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特表2024-534099複数のアクセスポイント/BSSを含むシナリオのための無線ローカルエリアネットワークの全二重強化
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-18
(54)【発明の名称】複数のアクセスポイント/BSSを含むシナリオのための無線ローカルエリアネットワークの全二重強化
(51)【国際特許分類】
   H04B 7/024 20170101AFI20240910BHJP
   H04L 27/26 20060101ALI20240910BHJP
   H04W 84/12 20090101ALI20240910BHJP
【FI】
H04B7/024
H04L27/26 420
H04L27/26 114
H04W84/12
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024510513
(86)(22)【出願日】2022-08-07
(85)【翻訳文提出日】2024-02-20
(86)【国際出願番号】 IB2022057350
(87)【国際公開番号】W WO2023021364
(87)【国際公開日】2023-02-23
(31)【優先権主張番号】63/260,455
(32)【優先日】2021-08-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/814,450
(32)【優先日】2022-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504257564
【氏名又は名称】ソニー コーポレイション オブ アメリカ
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(72)【発明者】
【氏名】スン リ-シャン
(72)【発明者】
【氏名】アブエルサウード モハメド
(72)【発明者】
【氏名】シン リャンシャオ
(72)【発明者】
【氏名】シャー チン
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067DD25
5K067EE02
5K067EE10
(57)【要約】
複数のAP/BSSを含む3つのシナリオのための全二重(FD)強化。(1)WLAN上での複数のAPのジョイント送信。自己干渉及び他の問題をなくすために、PPDUにおける特定のパイロット信号が、プライマリAPによってのみ送信される。ジョイント送信に参加する1又は2以上のセカンダリAPが、パイロットを受け取り、後続のシンボルにおいて自身のクロックを訂正する。(2)第2のチャネル上で送信される拡張OFDMシンボルを用いて通信が実行されて、第1のチャネル上で送信する局に対するNAV復号化を容易にする。(3)1よりも多くのAPが、UL PPDUに対するジョイントAck/BAを実行することができる。セカンダリAPは、その全二重能力を利用して、自身とプライマリAPとの間の受信ステータスの差を決定し、プライマリAPが受け取らなかったデータをプライマリAPに転送することができる。
【選択図】図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワーク内の無線通信のための装置であって、前記装置は、
(a)IEEE 802.11プロトコルの下で無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)上で通信を実行する際に、プライマリリンク及びセカンダリリンクを通じて他の無線局(STA)と無線通信するように構成されるアクセスポイント(AP)の一部とすることができる局としての無線通信回路であって、プライマリAP及びセカンダリAPとして動作する前記ネットワーク上のAPは、1又は2以上の非AP局へのジョイント送信を実行する、無線通信回路と、
(b)STAとして前記WLAN上で動作するための前記無線通信回路に結合されるプロセッサと、
(c)前記プロセッサによって実行可能な命令を記憶する非一時的メモリと、
を備え、
(d)前記命令は、前記プロセッサによって実行された時に、残留ドリフトに起因する中心周波数オフセット及びシンボルタイミングオフセットを克服するための1又は2以上のステップを実行し、前記1又は2以上のステップは、
(i)プライマリAPとして動作するAPによって、直交周波数分割多重(OFDM)送信内でパイロット信号を送信するステップ、
を含み、
(ii)プライマリパイロット信号としての、全体のパイロット信号のセットの一部は、前記プライマリAPによって送信されることのみを許可され、セカンダリAPとして動作するAPによって送信されることを許可されず、
(iii)セカンダリAPとして動作する各前記局は、それ自身のクロックを含むように構成され、前記パイロット信号を受け取ると、ジョイント送信を実行しながら、そのクロック及び後続のシンボルを訂正する、
ことを特徴とする装置。
【請求項2】
前記セカンダリAPは、そのクロック訂正を、異なる周波数トーンにおけるプライマリパイロットの推定された位相差に基づかせて、前記プライマリAPと自身との間のサンプリング時間の差分を決定して、前記(単複の)後続のシンボルに対して訂正を実行することを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記セカンダリAPは、そのクロック訂正を、異なるシンボルにおけるプライマリパイロットの推定された位相差に基づかせて、前記プライマリAPと自身との間のキャリア周波数の差分を決定して、前記(単複の)後続のシンボルに対して訂正を実行することを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
セカンダリAPとして動作するAPは、全二重対応であり、一方、前記プライマリAPは、全二重又は半二重のいずれかであることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
非AP STAへの空間ストリームは、複数のAPからの信号を含むことを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記プライマリAPではないAPは、ジョイント送信で非プライマリパイロット信号を送信するように構成されることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
非AP局として動作する前記局は、受け取られたプライマリパイロットを利用して、位相追跡を実行するように構成されることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記プライマリAPはトリガフレームを送信し、前記トリガフレームは、前記ジョイント送信に参加する前記セカンダリAPによって受け取られ、前記トリガフレームは、前記ジョイント送信の中心周波数及び/又はサンプリングレート及びAP間のクロックの同期を確立することを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記トリガフレームは、空間データストリームに対して前記セカンダリAPにおいてデータを事前符号化するための前記プライマリAPからの命令を含むことを特徴とする、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記プライマリAP及びセカンダリAPは、データを事前符号化して、前記非AP局に、前記空間データストリーム及びパイロットを共同で(jointly)送信することを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
ネットワーク内の無線通信のための装置であって、前記装置は、
(a)IEEE 802.11プロトコルの下で無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)上で通信を実行する際に、単一の周波数帯域内でプライマリリンク/チャネル及びセカンダリリンク/チャネルを通じて他の無線局と無線通信するように構成されるアクセスポイント(AP)の一部とすることができる局としての無線通信回路と、
(b)局として前記WLAN上で動作するための前記無線通信回路に結合されるプロセッサと、
(c)前記プロセッサによって実行可能な命令を記憶する非一時的メモリと、
を備え、
(d)前記命令は、前記プロセッサによって実行された時に、単一の無線帯域で近隣チャネルを使用して、プライマリチャネル及びセカンダリチャネル上で同時送受信(STR)を行うための1又は2以上のステップを実行し、前記1又は2以上のステップは、
(i)前記セカンダリチャネル上で(単複の)拡張直交周波数分割多重(OFDM)シンボルと共に送信される初期メッセージを送信して、前記プライマリチャネル上で送信する局に対するネットワーク割り当てベクトル(NAV)復号化の動作を容易にするステップと、
(ii)異なるリンクとしての近隣チャネル間のOFDMシンボル位置合わせを含む単一帯域マルチリンク動作(MLO)を実行するステップと、
を含む、
ことを特徴とする装置。
【請求項12】
ネットワーク内の無線通信のための装置であって、前記装置は、
(a)IEEE 802.11プロトコルの下で無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)上で通信を実行する際に、プライマリリンク及びセカンダリリンクを通じて他の無線局と無線通信するように構成されるアクセスポイント(AP)の一部とすることができる局としての無線通信回路と、
(b)局として前記WLAN上で動作するための前記無線通信回路に結合されるプロセッサと、
(c)前記プロセッサによって実行可能な命令を記憶する非一時的メモリと、
を備え、
(d)前記命令は、前記プロセッサによって実行された時に、1又は2以上のステップを実行し、前記1又は2以上のステップは、
(i)1よりも多くのAPが、プライマリAPに対して意図されるアップリンク(UL)PPDUに対するジョイント確認応答(Ack)又はブロック確認応答(Ack/BA)を送信できるようにするステップと、
(ii)セカンダリAPとしての自身と前記プライマリAPとの間の受信機ステータスの差を決定するステップであって、前記セカンダリAPは、非APに前記プライマリAPへの再送信を実行するように要求する代わりに、自身によって受け取られたが前記プライマリAPによって受け取られなかったデータを前記プライマリAPに転送する、ステップと、
を含む、
ことを特徴とする装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願の相互参照〕
本出願は、2022年7月22日に出願された米国特許出願第17/814,450号に対する優先権及びその利益を主張するものであり、この特許出願はその全体が引用により本明細書に組み入れられる。本出願は、2021年8月20日に出願された米国仮特許出願第63/260,455号に対する優先権及びその利益を主張するものであり、この仮特許出願はその全体が引用により本明細書に組み入れられる。
【0002】
〔連邦政府が支援する研究又は開発に関する記述〕
適用なし
【0003】
〔著作権保護を受ける資料の通知〕
本特許文書中の資料の一部は、米国及びその他の国の著作権法の下で著作権保護を受けることができる。著作権の権利所有者は、米国特許商標庁の一般公開ファイル又は記録内に表されるとおりに第三者が特許文献又は特許開示を複製することには異議を唱えないが、それ以外は全ての著作権を留保する。著作権所有者は、限定するわけではないが、米国特許法施行規則§1.14に従う権利を含め、本特許文献を秘密裏に保持しておくあらゆる権利を本明細書によって放棄するものではない。
【0004】
本開示の技術は、一般に、IEEE802.11の下の無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)に関し、具体的には、複数のアクセスポイント(AP)を含むシステムにおいて全二重(FD)通信を利用する強化に関する。
【背景技術】
【0005】
最近のIEEE802.11be修正は、複数のリンク及び複数のAPをサポートする遅延に敏感なアプリケーション向けに強化されている。
【0006】
しかしながら、これらの機能強化の根底にあるのは、システム全体の効率を制限する可能性がある半二重動作の前提である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、全二重通信が利用されている時に効率を最適化することもできる強化されたWLANプロトコルに対するニーズが存在する。本開示は、上述の欠点を克服するとともに、既存のプロトコルを凌駕する更なる利点をもたらす。
【課題を解決するための手段】
【0008】
全二重(FD)通信の使用を向上させて、複数のAPを含むシナリオを容易にするWLANプロトコル。本開示は、全二重(FD)動作を使用して無線通信を強化する3つの方法を説明する。1つの方法をセカンダリAPに適用して、2つのAPから非AP局へのジョイント送信を実行する時に、プライマリAPのクロックに対するセカンダリAPのクロックドリフトを訂正することができる。1つの方法を適用して、FD能力が利用可能である時に、単一の無線帯域上でマルチリンク動作を容易にすることができる。1つの方法/装置は、ダイバーシティのために複数のAP(プライマリ及びセカンダリ)によるアップリンク(UL)受信を容易にし、セカンダリAPが、プライマリAPの受信ステータスから独立してUL受信を確認応答し、どんな情報をプライマリAPに転送すべきかを決定できるようにする。
【0009】
残留ドリフトに起因する中心周波数オフセット及びシンボルタイミングオフセットを克服するための第1の方法の場合、複数のアクセスポイント(AP)のジョイント送信の物理レイヤプロトコルデータユニット(PPDU)における特定のパイロット信号は、プライマリAPによって送信されることのみを許可される。ジョイント送信に参加するセカンダリAPは、これらのパイロット信号を受け取り、ジョイント送信を実行しながら、パイロット信号を利用して後続のシンボルにおいて自身のクロックを訂正する。本開示の1つの利益は、マルチAPジョイント送信においてAP間の性能を低下させる残留クロックドリフトの問題を克服することである。
【0010】
第2の方法の場合、単一の無線帯域で近隣チャネル(隣接又は非隣接)を使用して、プライマリチャネル(本明細書ではCh1と呼ぶ)及びセカンダリチャネル(本明細書ではCh2と呼ぶ)の両方で同時送受信(STR)を実行することができる。Ch2上で(単複の)拡張直交周波数分割多重(OFDM)シンボルと共に送信される初期メッセージを使用して、Ch1上で送信するSTAに対するネットワーク割り当てベクトル(NAV)復号化の動作を容易にする。本開示の下の単一帯域マルチリンク動作(MLO)は、異なるリンクとしての近隣チャネル間のOFDMシンボル位置合わせを必要とする可能性があるが、単純な位置合わせ機構は、全てのパーティが第1のチャネル上で現在送信して、第2のチャネル上で新たなTXOP及びそのNAVを検出するのに適していない場合がある。
【0011】
第3の方法の場合、1よりも多くのAPが、プライマリAPに対して意図されるアップリンク(UL)PPDUに対するジョイント確認応答(Ack)又はブロック確認応答(Ack/BA)を実行することができる。ジョイントAck/BAは、OFDMAとすることができ、セカンダリAPは、その全二重能力を利用して、自身とプライマリAPとの間の受信ステータスの差を決定することができ、プライマリAPによって受け取られなかったが自身によって受け取られたデータをプライマリAPに転送する。UL PPDUは、1よりも多くのAPによって受け取ることができ、これらのAPは、ジョイントAckを実行する。セカンダリAPは、その全二重能力を使用して、プライマリAPによって受け取られなかったが自身によって受け取られたものを決定し、非APにプライマリAPへの再送信を実行するように要求する代わりに、このデータをプライマリAPに転送する。
【0012】
本明細書の以下の部分では、本明細書で説明する技術の更なる態様が明らかになり、この詳細な説明は、本技術の好ましい実施形態を制限することなく完全に開示するためのものである。
【0013】
本明細書で説明する技術は、例示のみを目的とする以下の図面を参照することによって十分に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本開示の少なくとも1つの実施形態による無線局(STA)ハードウェアのハードウェアブロック図である。
図2】本開示の少なくとも1つの実施形態による、マルチリンクデバイス(MLD)ハードウェアに含まれるような局構成のハードウェアブロック図である。
図3】MLDなどのSTAのブロック図であり、Txチェーン及びRxチェーンの各対の間に、RF/アナログ自己干渉キャンセル(SIC)及びベースバンド/デジタルSIC要素が存在することを示す図である。
図4】WLANネットワークの複数のアクセスポイント(AP)及び少なくとも1つの非AP局(STA)のトポロジ図である。
図5】本開示の少なくとも1つの実施形態による例示的なパイロット位相測定値のプロット図である。
図6】本開示の少なくとも1つの実施形態による単一の帯域でのマルチリンク動作を説明するためのネットワークトポロジ図である。
図7】複数のリンク動作及びいくつかの欠点を有する単純な解決策(素朴な解決策)のOFDMウィンドウ図である。
図8】本開示の少なくとも1つの実施形態による、図7に見られる素朴な手法に対する解決策のOFDMウィンドウ図である。
図9】本開示の少なくとも1つの実施形態による、図7に見られるような素朴な問題に対する解決策の通信図である。
図10】本開示の少なくとも1つの実施形態に従って使用される、非APによってトリガされた、複数のAPからのAckを説明するためのネットワークトポロジを示す図である。
図11】本開示の少なくとも1つの実施形態による、非APによってトリガされた、複数のAPからのAckの通信図である。
図12】本開示の少なくとも1つの実施形態による、プライマリAPとのジョイント送信のための残留CFO/SFO訂正のフロー図である。
図13】本開示の少なくとも1つの実施形態による、セカンダリAPとのジョイント送信のための残留CFO/SFO訂正のフロー図である。
図14】本開示の少なくとも1つの実施形態による、非AP STA(STAx)のための単一の帯域でのマルチリンク動作のフロー図である。
図15】本開示の少なくとも1つの実施形態による、プライマリAP(AP1)のための単一の帯域でのマルチリンク動作のフロー図である。
図16】本開示の少なくとも1つの実施形態による、プライマリAP(AP1)のための単一の帯域でのマルチリンク動作のフロー図である。
図17】本開示の少なくとも1つの実施形態による、プライマリAP(AP1)のための単一の帯域でのマルチリンク動作のフロー図である。
図18】本開示の少なくとも1つの実施形態による、他のMLDのための単一の帯域でのマルチリンク動作のフロー図である。
図19】本開示の少なくとも1つの実施形態による、非APによってトリガされた、非AP局のためのAckのフロー図である。
図20】本開示の少なくとも1つの実施形態による、非APによってトリガされた、セカンダリAPのためのAckのフロー図である。
図21】本開示の少なくとも1つの実施形態による、非APによってトリガされた、プライマリAPのためのAckのフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
1.局(STA)及びマルチリンクデバイス(MLD)ハードウェア
図1に、本開示のプロトコルを実行するように構成されるSTAハードウェアの実施形態例10を示す。外部I/O接続14は、好ましくは、回路12の内部バス16に結合し、内部バス16上に、CPU18及びメモリ(例えばRAM)20が接続されて、通信プロトコルを実装するプログラムを実行するようになっている。ホストマシンは、通信をサポートするための少なくとも1つのモデム22を収容し、モデム22は、少なくとも1つのRFモジュール24、28に結合され、RFモジュール24、28の各々は、1又は複数のアンテナ29、26a、26b、26c、…、26nに接続される。複数のアンテナ(例えばアンテナアレイ)を含むRFモジュールは、送信及び受信中にビームフォーミングを実行することを可能にする。このように、STAは、複数のビームパターンのセットを使用して、信号を送信することができる。
【0016】
バス14は、CPUに様々なデバイスを接続すること、例えば、センサ、アクチュエータなどへの接続を可能にする。プロセッサ18上では、通信プロトコルを実装するプログラムを実行するための、メモリ20からの命令が実行され、通信プロトコルが実行されて、STAがアクセスポイント(AP)局又は通常の局(非AP STA)の機能を実行できるようにする。また、プログラミングは、現在の通信文脈においてどのような役割を実行しているかによって、異なるモード(TXOP保持者、TXOP共有参加者、送信元、中間、送信先、第1のAP、他のAP、第1のAPと関連付けられる局、他のAPと関連付けられる局、コーディネータ、コーディネーティ(coordinatee)、OBSS内のAP、OBSS内のSTAなど)で動作するように構成されると理解されたい。
【0017】
したがって、図示のSTA HWは、少なくとも1つの帯域で通信を提供するために、少なくとも1つのモデム及び関連するRF回路を含むように構成される。本開示は、主にsub-6GHz帯を対象とする。
【0018】
本開示は、各々が任意の数のRF回路に結合された複数のモデム22を含むように構成することができると理解されたい。一般に、使用するRF回路の数が多ければ多いほど、アンテナビーム方向のカバレッジが広くなる。なお、利用するRF回路の数及びアンテナの数は、特定のデバイスのハードウェア制約によって決まると理解されたい。RF回路及びアンテナの中には、STAが近隣STAと通信する必要がないと判断した時に無効にできるものもある。少なくとも1つの実施形態では、RF回路が、周波数変換器及びアレイアンテナコントローラなどを含み、送受信のためにビームフォーミングを実行するように制御される複数のアンテナに接続される。このように、STAは、複数のビームパターンのセットを使用して信号を送信することができ、各ビームパターン方向がアンテナセクタとみなされる。
【0019】
更に、なお、図に示すような局ハードウェアの複数の例は、マルチリンクデバイス(MLD)に組み合わせることができ、マルチリンクデバイス(MLD)は、通常、活動を調整するためのプロセッサ及びメモリを有するが、MLD内の各STAに別個のCPU及びメモリが常に必要であるとは限らない。
【0020】
図2に、マルチリンクデバイス(MLD)ハードウェア構成の実施形態例30を示す。MLDは、ソフトAP MLDを含むことができ、ソフトAP MLDは、APとして動作させる1又は2以上の提携STAからなるMLDである。ソフトAP MLDは、2.4GHz、5GHz及び6GHzでの複数の無線動作をサポートすべきである。複数の無線の中で、基本リンクセットは、同時送受信(STR)モードを満たすリンクペア、例えば、基本リンクセット(2.4GHz及び5GHz)、基本リンクセット(2.4GHz及び6GHz)である。
【0021】
条件付きリンクは、いくつかの基本リンクを含む非同時送受信(NSTR)リンクペアを形成するリンクである。例えば、これらのリンクペアは、5GHzが基本リンクである時に、5GHzリンクに対応する条件付きリンクとして6GHzリンクを含むことができ、6GHzが基本リンクである時には、5GHzリンクが、6GHzリンクに対応する条件付きリンクである。ソフトAPは、Wi-Fiホットスポット及びテザーリング(tethering)を含む異なるシナリオにおいて使用される。
【0022】
複数のSTAが、MLDと提携しており、その各STAは、異なる周波数のリンク上で動作する。MLDは、アプリケーションへの外部I/Oアクセスを有し、このアクセスは、CPU52及びメモリ(例えばRAM)54を有するMLD管理エンティティ38に接続して、MLDレベルにおいて通信プロトコルを実装するプログラムを実行できるようにする。MLDは、MLDが接続される各提携局(ここでは、STA1 32、STA2 34、…、STA_N 36として例示する)にタスクを分散し、各提携局から情報を収集して、提携STA間で情報を共有することができる。
【0023】
少なくとも1つの実施形態では、MLDの各STAは、それ自身のCPU40及びメモリ(RAM)42を有し、CPU40及びメモリ(RAM)42は、バス48を通じて、少なくとも1つのモデム44に結合され、モデム44は、少なくとも1つのRF回路46に接続され、RF回路46は、1又は2以上のアンテナを有する。本例では、RF回路は、例えばアンテナアレイの複数のアンテナ50a、50b、50c、…、50nを有する。モデムは、RF回路及び関連するアンテナと共同して、近隣STAとの間でデータフレームを送信/受信する。少なくとも1つの実装では、RFモジュールは、周波数変換器と、アレイアンテナコントローラと、そのアンテナとインターフェイスするための他の回路とを含む。
【0024】
MLDの各STAは、特定のMLD実装に応じて、リソースを、互いに及び/又はMLD管理エンティティと共有することができるので、それ自身のプロセッサ及びメモリを必ずしも必要としないと理解されたい。上記のMLDの図は、限定ではなく一例として示したものであるが、本開示は、広範囲のMLD実装で動作することができると理解されたい。
【0025】
図3に、図2に見られるSTA及び図3に見られるMLDなどの局において利用されるような自己干渉キャンセル(SIC)ハードウェアの実施形態例60を示す。MLDの各STAに対して、Txチェーン及びRxチェーンの各対62の間に、IEEE802.11-18/0498r8 “Technical Report on Full Duplex for 802.11”に記述されるようなRF/アナログSIC及びベースバンド/デジタルSIC66が存在する。これらのSICを使用して、受信信号から送信信号(自己干渉)を除去する。通常、Tx/Rxアンテナ分離68は、自己干渉の約45~50dBの低減をもたらす。アナログSIC回路70は、約15~20dBの自己干渉を抑制することができ、一方、デジタルSIC72は、理想的に約30~35dBの自己干渉を抑制することができる。
【0026】
図示のデジタルベースバンド78は、TxのためのDAC及びUC74と、RxのためのADC及びDC76とを含む。図示のように、送信チェーンからの信号は、デジタル/デジタルSIC66のために使用され、RxのADC及びDC76からの入力と合計(77)されて、デジタルBB78に入る。Rxチェーンが有用な信号を受け取ることができる前に、ADC及びDC76の後にベースバンド78において、Txチェーンから送信される送信トレーニング信号を受け取って、TxベースバンドからRxベースバンドへの自己干渉チャネルを確立することができる。次に、この推定されたチャネルを使用して、デジタルSICのためのベースバンドにおいて生じる自己干渉を推定することができる。
【0027】
2.ジョイント送信(JT)のための残留CFO/SFO訂正
2.1.複数APネットワークのトポロジ
図4に、残留キャリア周波数オフセット(CFO)及び/又はサンプリング周波数オフセット(SFO)と、ジョイント送信(JT)のためのCFO/SFO訂正とを示すためのトポロジ例80を示す。本明細書のこの及びその他のトポロジ図は、関与する技術の説明を助けるために、かつ提案する技術の理解を向上させるために提供される。プロトコルは、任意のトポロジのWLAN STA及びMLDの間の通信に利用することができるので、本開示は、この例のトポロジに決して限定されないと理解されたい。
【0028】
図では、非AP局(STA)に対して、マルチアクセスポイント(マルチAP)ジョイント送信が実行される。ジョイント送信は、プライマリAP82及び1又は2以上のセカンダリAP84から、直交周波数分割多重(OFDM)において同じ時間・周波数リソースを使用して、非AP STA86に少なくとも1つの空間ストリームを送信するものである。空間ストリームのためのデータは、以下のステップが行われる前に、プライマリAP及びセカンダリAPの両方に配信された。
【0029】
OFDMは、重複するスペクトルを含む複数の密に離間された直交サブキャリア信号を使用して、データを並列に搬送することに依拠するが、復調は、一般に、高速フーリエ変換(FFT)に基づくことに留意されたい。
【0030】
ステップ(1)において、プライマリAPはトリガフレームを送信し、トリガフレームは、ジョイント送信に参加するセカンダリAPによって受け取られる。このトリガフレームは、ジョイント送信の中心周波数及び/又はサンプリングレート及びAP間のクロックの同期を確立する。トリガフレームは、空間データストリームに対してセカンダリAPにおいてデータを事前符号化するためのプライマリAPからの命令を含むこともできる。
【0031】
ステップ(2)において、プライマリAP及びセカンダリAPは、データを事前符号化して、非AP STAに、空間データストリーム及びパイロットを共同で(jointly)送信する。
【0032】
非AP STAは、パイロット信号を使用して、送信機に対する受信機の位相差を追跡して、受け取られたデータに訂正を適用する。
【0033】
直交周波数分割多重(OFDM)バーストを復調する時に、プリアンブルから計算される推定キャリア中心周波数オフセットは、受け取られたOFDM信号の初期訂正を可能にすると理解されるであろう。パケット継続時間におけるAPのクロック周波数は、プリアンブル中に受信側非APによって推定されるもの、すなわち、残留キャリア周波数オフセットと同じままではないので、パイロット追跡を使用して、これらの追加のクロックドリフトと、パケットの長さにわたって変化する欠陥とを訂正する。各OFDMシンボルにおいて、サブキャリアのうちのいくつかは、通常、コヒーレント検出を周波数オフセット及び位相ノイズに対してロバストにするために、パイロット信号に用いられる。パイロットサブキャリアは、既知のデータシーケンスで送信する。この情報を使用して、理想信号と実際の受信信号との間の差分又は誤差を決定する。次に、誤差データを使用して、より正確な復調のために、パイロット及びデータサブキャリアの欠陥の両方を訂正することができる。
【0034】
JTプロセスにおいて、AP間の同期されたクロックが、残留キャリア周波数オフセット(CFO)に起因して、ドリフトし始める場合がある。このJTシナリオでは、1よりも多くの送信機が存在するので、これらの送信機間のクロックは、残留キャリア周波数オフセット(CFO)に起因して、位相差を有する場合もある。
【0035】
2.2.図4のトポロジについての課題の記述
残留CFOはJT性能を低下させると判断された。JTにおいて、空間ストリーム(SS)の等化されたパイロットは、(UL MU-MIMOとは異なり)異なるクロックドリフトを含む複数の送信機からの混合信号を含む。したがって、非AP STAによってパイロットを使用して、SS毎に単一のドリフトを推定して訂正を実行することができない。性能低下は、異なるAPにおける異なるクロックドリフトに起因する。
【0036】
現在提案されているこの問題の解決策は、受信機側でチャネルを再推定するためにミッドアンブルを周期的に送信する際に、追加のオーバヘッドを必要とする。開示する手法は、このミッドアンブルのための追加のオーバヘッドを招くことはない。
【0037】
2.3.図4に見られる問題に対する手法
JTに参加するAP局は、全二重(FD)対応である。本開示の少なくとも1つの実施形態では、特定のパイロットトーン(プライマリパイロット)は、プライマリAPによって、又は他の全てのAPによって聴取することができるAPによって送信されることのみを許可される。JT中に他のAPによって同時に、パイロットの位相を測定することができる。JT中に送信機側で非マスタAPによって、クロックドリフトを訂正して、マスタAPのクロックに一致させる。以下に、いくつかの例を示す。
【0038】
プライマリAP:(a)ロングトレーニングフィールド(LTF)シンボルでプライマリパイロットトーンを送信し、(b)データシンボルでプライマリパイロットトーンを送信し、(c)LTFシンボル及びデータシンボルの両方を使用して、非プライマリパイロットトーンを送信する。
【0039】
セカンダリAP:(a)LTFシンボルでプライマリパイロットトーンを受け取り、(b)データシンボルでプライマリパイロットトーンを受け取り、(c)LTFシンボル及びデータシンボルで非プライマリパイロットトーンを送信し、(d)LTF及びSTFでプライマリパイロットトーンを使用して、クロックドリフトを推定し、LTFを使用して、パイロットトーンに対する推定されたチャネルを含むチャネル(チャネル応答)を推定し、(e)上記の推定されたクロックドリフトを使用して、後続のOFDMシンボルに訂正を適用し、推定されたチャネルを使用して、データシンボルで受け取られたプライマリパイロットを等化し、(f)異なる周波数においてプライマリパイロットトーンの位相オフセットを使用して、プライマリAPに対する時間差を推定するか、又は(g)異なるシンボルにおいてプライマリパイロットトーンの位相オフセットを使用して、プライマリAPに対する周波数差を推定する。
【0040】
開示する手法は、ミッドアンブルを送信する必要がないので、ミッドアンブルの送信からオーバヘッドを招くことはないと理解されたい。
【0041】
2.4.マスタAPのみによって送信されるパイロットトーン
図5に、図4に示すJTの例を示し、マスタ(プライマリ)APによってのみ送信されるパイロットトーンのスレーブ(セカンダリ)APによるプライマリパイロット位相測定値90を示す。トーン間の線形位相シフトは、スレーブ(セカンダリ)APのサンプリングインスタンスがマスタ(プライマリ)APのサンプリングインスタンスに対して遅れている/進んでいることを示す図で分かる。これに応答して、スレーブ(セカンダリ)APは、それ自身の送信信号の後続のOFDMシンボルの訂正を行う。
【0042】
セカンダリAPはFDデバイスであるので、SICの後に同じOFDMシンボルをリスンしながら、OFDMシンボルの非プライマリパイロットトーンでジョイント送信を実行することができる。次に、セカンダリAPは、上記の測定のために使用されるべき出力を含むプライマリパイロットトーンの受信及び等化を実行することができる。周波数領域における傾きは、プライマリAPからの同じ時間領域サンプルと比較して、時間領域サンプルの遅れ/進みを示す。次に、セカンダリAPは、推定された時間領域の遅れ/進みに基づいて、時間領域において次のOFDMシンボルを訂正するか、又は推定された線形位相オフセットに基づいて、周波数領域において次のOFDMシンボルを訂正する。
【0043】
3.単一の帯域でのMLO
図6に、単一の帯域でのマルチリンク動作を説明するのに使用されるネットワークトポロジ例110を示す。FDを含まない既存のWLANでは、Ch2上でのSTAx MLDの送信は不可能であり、Ch1上でのSTAy MLDとAP2 MLDとの間の通信は、両方向とすることはできない。FD能力を含む本開示によるWLANでは、AP2 MLD及びSTAy MLDは、両方向通信を実行することができるが、Ch2上でSTAxによって送信されるプリアンブル(又はSTAx MLDによって設定されるTXOP継続時間)を検出することができない場合があり、別の通信のためのCh1上での通信の後に、Ch2上でのSTAxの送信に加えて送信することができる。
【0044】
図に示すように、AP2 MLD 112は、第1のチャネル(Ch1)114を通じて、STAy MLD 116と両方向(FD)通信を行う。また、STAx MLD 120は、第2のチャネル(Ch2)を通じて、AP1 MLD 118と送信(122)し、次に、AP1 MLD 118は、第1のチャネル(Ch1)を通じて、別のSTA 124と送信(126)し、別のSTA 124は、ch1上でAP1 MLDと通信するが、送信又は受信のための別のリンクとしてch2を使用しない。
【0045】
図では、AP1 MLD 118、AP2 MLD 112、STAx MLD 120、STAy MLD 116は、2つのリンク上で動作するMLDであり、この例の2つのリンクは、近隣チャネル(いくらか分離しているが周波数帯域内で互いに隣接するチャネル)(本明細書ではCh1及びとCh2として示す)である。全二重(FD)の使用は、単一の帯域でマルチリンク動作(MLO)を実行する機会を与える。
【0046】
理想的には、AP2 MLD、STAy MLD、又はAP1 MLDなどの同じFDデバイス内で、Ch2上でのSTAx MLDからの受信及びCh1上での送信は、時間領域においてOFDMシンボル位置合わせを必要とする場合がある。位置合わせがある場合、ベースバンドにおいて、Ch1上で連結された送信機により発生して、トーン周波数においてCh2上で連結された受信機によって受け取られる自己干渉は、0である。というのは、自己干渉は、FFT/IFFTのために同じウィンドウを使用することによって、Ch2のOFDMトーンに直交するからである。これにより、デジタルSICのために自己干渉チャネル推定を必要としない。送信シンボル及び受信シンボルが位置合わせされない場合、Ch1上の送信信号は、Ch2上のOFDMトーンの各々に対して非ゼロ信号(自己干渉)を発生するが、これは問題を含む。すなわち、位置合わせがない場合、Ch1上の送信機と連結されるCh2上の受信機は、シンボルの位置ずれ(misalignment)に起因して、Ch1上の送信信号により発生するCh2上の自己干渉チャネル応答を推定する必要があり、これにより、Ch1上で送信を開始した時に、Ch2はアイドル/静かである必要がある(すなわち、Ch1上での送信中にCh2上での受信を確実にするために、送信機がCh1上で送信を開始した時に、自己干渉チャネル推定のためにCh2上でトレーニング信号を受け取るべきである)。
【0047】
3.1.図6のトポロジについての課題の記述
MLDでは、リンク1(Ch1)上で送信しながら、リンク2(Ch2)上で聴取することが望ましい。そうでない場合には、リンク1上での送信の後に、リンク2上の回復期間が続く。この回復期間では、MLDは、Ch2上のNAV(ネットワーク割り当てベクトル)が分からず、CCAのために伝統的なエネルギー検出閾値を使用しなければならないか、又はリンク2上では全く送信できない。上記のように、AP2/STAy/AP1 MLDにおいてFD能力がある場合でも、AP2/STAy/AP1 MLDは、Ch2上のSTAxの信号が、Ch1上のAP1/AP2/STAyの信号と適時にシンボル位置合わせされるまで、Ch1上で送信しながら、Ch1からCh2への自己干渉をキャンセルすることができない場合がある。AP1及びAP2/STAyが全て送信しており、かつSTAxが衝突信号を受け取って、Ch1上で使用されるシンボルタイミングを検出することができない時に、問題が生じる。更に、AP1及びAP2/STAyからのシンボルタイミングは異なり、STAxは、異なるシンボルタイミングに位置合わせするCh2上で信号を送信することができない。位置ずれ(misalignment)に起因して、AP1又はAP2/STAyのいずれかは、STAxの信号を検出することができない。AP1が、Ch1上で送信しながら、Ch2上でSTAxの信号を検出することができない場合、STAxのパケットが損失する。AP2/STAyが、Ch1上で送信しながら、Ch2上でSTAxの信号を検出することができない場合、AP2/STAyは、リンク1上でのそれらの送信の後に、Ch2上で回復期間に入らざるを得ない(又は検出されていないSTAx信号を含むCh2上での未来の送信の衝突のリスクを冒さざるを得ない)。
【0048】
AP1、AP2又はSTAy MLDのいずれかが既にCh1上で進行中の送信を有し、かつAP2 MLDを含む重複基本サービスセット(OBSS)が存在し、かつSTAy MLDもCh1上で進行中の通信交換を有する時に、非AP局(ここでは、STAx MLDとして例示する)がAP(AP1 MLD又はAP1 MLDではない別の受信機など)に送信するデータを有する時に、問題が生じる。
【0049】
問題は、Ch2上で送信するSTAxのMLDが、AP1、AP2及びSTAyのMLDと同じ時間にCh1上でOFDMシンボルを同時に位置合わせすることができないことである。Ch1上で送信されたOFDM信号及びCh2上で受け取られたOFDM信号の直交性がない場合、MLDのうちのいくつか(例えば、AP1、AP2、STAy)は、Ch2上でSTAxのMLDからNAVを受け取ることができない。したがって、直交性がない場合、AP1、AP2及びSTAyは、Ch1上での送信の不連続性から発生する信号をキャンセルするためにCh2の自己干渉(SI)チャネル応答を推定する必要があり、再び、これにより、Ch1上で送信を開始した時に、Ch2はアイドルである必要があるので、望ましくない。
【0050】
図7に、AP1が、ベースバンドにおいて事前の自己干渉チャネル推定を行わずに、Ch1上で送信しながら、Ch2のOFDMシンボルを検出する時の例130を示す。図に、Ch1上のAP1 Tx OFDMシンボル(132)と、Ch2上のSTAx Tx OFDMシンボル(134)とを示す。FFTのためにウィンドウ(135)を使用することによって、Tx Ch1からRx Ch2への干渉は、(Ch2のOFDMトーン位置において)ゼロであるが、ウィンドウ(135)においてCh2上のOFDMシンボルの不連続性が存在し、IFFTのためにウィンドウ(135)を使用することができない。AP1ウィンドウ(136)を使用することによって、Tx側でOFDMシンボルの不連続性が発生し、これにより、Ch2のトーン位置において干渉を発生させる。AP1がCh2の自己干渉チャネル応答を知らない(その応答に関する十分な情報を有さない)限り、干渉をキャンセルすることができない。
【0051】
3.2.図7に示す問題に対する手法
上記の更なる問題を克服するために、本開示では、STAx MLDから、デュアル(dual)連続OFDMシンボルと共に、Ch2上でのNAVシグナリングのための初期メッセージ(init msg)を送信して、Ch1上で送信しているそれらのSTA(例えば、AP1、AP2、STAy MLD)によって受け取られるようにする。
【0052】
対象の受信機(AP1 MLD)は、AP1 MLDのCh1上のOFDMシンボルタイミングを示す短い応答メッセージで応答する。デュアル(dual)連続OFDMシンボルは、AP1、AP2及びSTAyのMLDが初期メッセージを理解するのを助ける。
【0053】
AP1、AP2、STAy MLDは、特にそれらのOFDMシンボルタイミングのうちのいずれかに位置合わせされるSTAxのOFDMシンボルタイミングを含まないinit msgのCh2上での送信の最中に、Ch2を通じて受信することができ、これは、欠点が克服されたことを示す。
【0054】
位置合わせがある場合、SIは0であるので、AP1/AP2/STAy MLDは、Ch1上での送信からCh2のSIチャネル応答を推定する必要がない。
【0055】
図6では、STA MLDxがCh2上で通信を送信(122)する必要がある時に、既にCh1上で進行中の送信(114)及び(126)(単一/両方向)が存在する。STA MLDxは、その送信を、Ch2からのNAV(NAV2)及びそのCCAステータスに基づかせて、バックオフ(BO)を実行し、次に、Ch2上で送信(122)することができる。この場合、Ch2上のSTAx MLDのPPDUは、新たなNAV2を搬送する。
【0056】
この手法には、多くの問題がある。Ch1上での通信(114)及び(126)がSTAx MLDにおいて衝突すること、STAx MLDがAP1 MLDのOFDMシンボルタイミングに関する情報を有さないこと、など。
【0057】
STAx MLDが、そのCh2上のOFDMシンボルを、Ch1上のAP1 MLDから送信されたOFDMシンボルと位置合わせすることができる場合でも、これらは、AP2 MLDから送信されたOFDMシンボルと位置合わせされない。したがって、AP2 MLDは、STAxからNAV2を受け取ることができない。したがって、AP2 MLDは、通信(114)の後にCh2上のNAVが分からない(NAV blindness)。
【0058】
3.2.1.単一の帯域でのMLO-3.1節の問題を克服する
図8及び図9に、3.1節で説明した問題に対する解決策150、170を示す。
【0059】
図8に、Ch1上でのAP1のOFDMシンボル送信(152)と、Ch2上でのSTAxのOFDMシンボル送信(154)と、Ch1上でのAP2及びSTAyのOFDMシンボル送信(156)とを示す。また、Ch2上で受信するためにFFTを実行するためのAP1のウィンドウ(158a,158b)と、Ch2上で受信する時にFFTを実行するためのAP2、STAyのウィンドウ(160a,160b)とを示す。この図に示すように、AP1/AP2/STAyは全て、受信FFTウィンドウとして、それ自身の送信OFDM IFFTウィンドウを使用して、Ch2上でSIチャネル推定を行わずに154で搬送される情報を受け取ることができる。
【0060】
図9に、AP1 172、STAx 174、及びAP2/STAy 176の間の通信が見られる。STAxは、Ch2上で初期メッセージ(178b)を送信し、これらの信号の非レガシー部分は、(検出/タイミング、チャネル推定(ChEst)、NAVのための)少なくとも2つのOFDMシンボルで搬送される。図示のように、初期化は、それぞれ、AP1及びAP2のSTAyによって受け取られる(178a,178c)。Ch1上の送信機(AP1、AP2、STAy MLD)は、STAx MLD NAV2を受け取る。Ch1上で送信するAP2及びSTAyは、初期メッセージ(init msg)を受け取ることができ、Ch2上でSTAxによって設定されるNAVを学習し、Ch1上で送信した後にCh2のための回復期間に入る必要がない。
【0061】
2つのシンボルの間には、信号の不連続性が存在しないことに留意されたい。初期パターンが検出されると、AP1、AP2、STAy MLDは、シンボル(例えば、図8の160aと160bとの間のAP2のためのシンボル)をスキップして、後続のシンボル(例えば、図8のウィンドウ(160b)を含むシンボル)を受け取ることができる。
【0062】
AP1 MLDは、Ch2上で応答信号(本明細書では単に「msg2」と呼ぶ)(180)を送信して、Ch1上でのAP1のOFDMシンボルタイミングをシグナリングし、msg2は、STAxによって受け取られる(182)。STAxの観点から、Ch1上のAP1の信号がCh1上のAP2/STAyの信号と衝突して、AP1のシンボルタイミングを決定することができない場合、msg2は、STAxがCh1上でAP1のシンボルタイミングを取得するのを容易にする。
【0063】
STAx MLDは、シンボルタイミングの後に、リンク2上でデータPPDU(188)を送信する。図示のPPDUは、レガシープリアンブル又はパッドを含み、これは、AP1との必要な開始シンボル位置合わせ(183)を示すmsg2を含む。
【0064】
AP1 MLDによるmsg2の送信(180)は、Ch2上の自己干渉を推定する際に、AP1によって利用することができる。図示のAP1は、Ch1のOFDMシンボルタイミングを使用して、データを受け取る(186)。データ継続時間が短いか、又は効率が考慮すべき事項ではない場合、STAxは、データ送信(188)のために、図8で説明したような拡張シンボルを使用することができる。この場合、データを送信する前に、初期msg及びmsg2は必要ない。
【0065】
図8の拡張シンボル構造を使用して、msg2(180)又はデータ(188)が送信されない場合、図示のAP2、STAyは、msg2又はデータ(188)を復号することができない(185)。これらのパケットで搬送される情報は、AP1及びSTAyにとって有用ではない場合がある。というのは、AP1及びSTAyは対象の受信機ではないからである。AP2/STAyのみが、Ch2上でNAVを設定するために、初期メッセージ(init msg)において制御情報を必要とする。msg2及び/又はデータ(188)はAP2及びSTAyにとって有用な情報ではないことに留意されたい。init msgは、Ch2上でNAVを設定するために、AP2及びSTAyにとって有用な情報である。また、拡張シンボルを使用する場合、データ長が2倍になり、効率的ではない。
【0066】
4.非APによってトリガされた、複数のAPからのACK
図10に、非APによってトリガされた、BSS196内の複数のAPからのAckを説明するのに使用されるトポロジ例190を示す。STA1 202は、AP1 200と関連付けられ、また、AP2 198の範囲内である。限定ではなく一例として、図に示すように、AP2は、ゲートウェイ194及びインターネット192に接続される。
【0067】
図11に、非APによってトリガされた、複数のAPからのAckを実行する際のSTA1 222とAP1 212、AP2 214との間の通信例210を示す。図に、EDCA UL(216)と、BA1(218)、BA2(220)とを示す。PPDU(204)及び(206)は、STA1 202によって送信され、場合によってはAP1 200及びAP2 198によって受け取られる同じPPDUである。PPDU自体は、AP1 200及びAP2 198から送信されるべきAckのための暗示的なトリガとして働く。なお、208は、AP1とAP2との間のバックホールリンクである。
【0068】
AP1は、関連付けられたSTAが、近隣APのビーコンを検出した場合、AP1に加えてAP2にUL PPDUに対する確認応答(Ack又はブロックAck(BA))を送信請求することができることを通知する(図示せず)。通知は、AP1とAP2との間のバックホールリンク(208)が存在し、それらが協働していることを暗示的に意味する。
【0069】
AP1にUL PPDUを送信する時に、STA1は、AP2にAck/BAを送信請求することもできる。STA1は、UL PPDUにおいて、AP1及びAP2に対してリソースユニット(RU)を割り当てて、Ack/BAを実行する。AP1及びAP2に対するRUは、STA1のシグナリングを含まないように予め構成される。
【0070】
図10に示す送信(204,206)は、それぞれ、AP1及びAP2へのものである。図11は、この送信をEDCA UL(216)として示し、BA1(218)、BA2(220)は、それぞれ、AP1及びAP2から受け取られる。
【0071】
AP1及びAP2からのAck/BAは、STA1によって受け取られるOFDMA PPDU内に存在することができることに留意されたい。また、AP2は、FD対応であり、そのBA2をSTA1に送信する時に、AP1によって送信されるBA1も受け取ることにも留意されたい。
【0072】
AP2は、BA1の復号に成功した場合、(a)AP2によって復号されるがAP1によって復号されないMPDUを、AP1-AP2リンクを介してAP1に送信するか、又は(b)AP2によって復号されるがAP1によって復号されないMPDUを、ゲートウェイ194又は配信システム(DS)に送信することができる。AP2は、訂正された受信MPDUのTID、SN及び/又はSTA IDを、AP1-AP2リンクを通じてAP1に通信することができる。
【0073】
AP2は、BA1の復号に成功しなかった場合、(a)復号に成功したMPDUの全てを、AP1-AP2リンクを通じてAP1に送信するか、又は(b)復号に成功したMPDUの全てを、ゲートウェイ194又は配信システム(DS)に送信することができる。AP2は、MPDUのトラフィック優先度識別子(TID)、シーケンス番号(SN)及び/又はSTA識別(ID)を、AP1-AP2リンクを通じてAP1に通信することができ、(c)AP1を照会して、AP2によって復号されたがAP1によってまだ復号されていないMPDUを決定することができ、次に、AP2がBA1の復号に成功した場合のために上記の手順に従う。
【0074】
STA1は、その再送信バッファから、AP1又はAP2のいずれかによって確認応答されるMPDU/MSDUを破棄することができる。
【0075】
5.具体化される方法の流れ
5.1.ジョイント送信のための残留CFO/SFO訂正
図12及び図13に、それぞれ、プライマリAP(230)及びセカンダリAP(250)によって実行されるようなジョイント送信のための残留CFO/SFO訂正の手順の実施形態230、250を示す。
【0076】
プライマリAPは、他のAPによって送信されないプライマリパイロットを送信するAPであると考えられる。プライマリ/非プライマリパイロットについては、前述した。
【0077】
図12において、プライマリAPは、ジョイント送信を開始するトリガフレームを送信し(232)、その後に、ロングトレーニングフィールド(LTF)シンボル及びデータシンボルでプライマリパイロットトーンを送信し、LTFシンボル及びデータシンボルで非プライマリパイロットトーン及びデータトーンを送信する(234)。
【0078】
図13において、セカンダリAPは、ジョイント送信のためのトリガフレームを受け取る(252)。セカンダリAPは、LTFシンボルでプライマリパイロットトーンを受け取り、データシンボルでプライマリパイロットトーンを受け取り、LTFシンボル及びデータシンボルで非プライマリパイロットを送信する(254)。
【0079】
ステップ256において、LTFでプライマリパイロットトーンを使用して、チャネル特性を推定する。推定されたチャネルを使用して、データシンボルで受け取られたプライマリパイロットシンボルを等化する。異なる周波数においてプライマリパイロットトーンの線形位相オフセットを使用して、プライマリAPに対する時間差を推定する。異なるシンボルにおいてプライマリパイロットトーンの位相オフセットを使用して、プライマリAPに対する周波数差を推定する。
【0080】
次に、ステップ258において、プライマリAPに対する推定された時間/周波数差を使用して、後続のシンボルを調整する。
【0081】
図14図18に、非AP STA(STAx)のための、プライマリAP(AP1)のための、及びセカンダリAP(AP2 MLD、STAy MLD)のための単一の帯域でのマルチリンク動作の実施形態例270、290、330を示す。
【0082】
図14において、非AP STAは、Ch2のバックオフがタイムアウトしたかどうかを判断するためにチェック(272)する。バックオフがタイムアウトしていない場合、実行はこのチェックに戻る。そうでない場合には、ブロック274において、STAは、関連付けられたAPに、拡張シンボルを含む初期メッセージを送信する。
【0083】
チェック(276)によって、応答(response/reply)(msg2)が受け取られたかどうかを判断する。応答msg2が受け取られなかった場合、別のバックオフ(278)を実行し、実行はブロック272から再開始する。
【0084】
一方で、応答msg2が受け取られた場合、ブロック280において、msg2で提供されるタイミング情報に基づいて通常のシンボルを含むデータを送信する(この追加の情報がmsgで搬送される場合)。非AP STAは、Ack又はBAを受け取っても受け取らなくてもよい。
【0085】
図15図17に、プライマリAP(AP1)のための単一の帯域でのマルチリンク動作が見られる。ブロック292において、チェックによって、プライマリチャネル(Ch1)上で送信が行われているかどうかを判断する。その条件が満たされない場合、ブロック294において、AP(AP1)は、拡張シンボルを想定する通常の(従来の)手順を使用して、Ch2上で初期メッセージを検出して受け取り、その後に、実行はブロック298に進む。
【0086】
そうでない場合には、Ch1上で送信が行われているので、実行はブロック296に進み、アナログ自己干渉キャンセル(アナログSIC)を提供して、プライマリチャネル(Ch1)のシンボルタイミングを使用して、セカンダリチャネル(Ch2)のトーン位置において信号及び/又はエネルギーを検出する。
【0087】
次に、また、実行は判断(298)に進み、初期メッセージが受け取られたかどうかを判断する。初期メッセージが受け取られなかった場合、実行は手順の開始に戻る。
【0088】
そうでない場合には、初期メッセージが検出されたので、実行は図16のブロック300に進み、信号に対してFFTを実行し、初期メッセージの時間領域サンプルでトレーニング信号を受け取り、初期メッセージのCFOを推定する。時間領域サンプルに訂正位相シフトを適用し、初期メッセージにおけるトレーニング信号を使用して、周波数領域チャネルを推定する。推定されたチャネルを使用して、初期メッセージのデータ部分を等化/復号する。
【0089】
チェック(302)において、(a)初期メッセージのデータ部分が復号された、及び(b)初期メッセージの前に、(例えば、CCAアイドル評価から)セカンダリチャネル(Ch2)がアイドルである、という両方の条件が満たされるかどうかを判断する。これらの条件が満たされない場合、実行はプロセスの最初(292)に戻る。
【0090】
そうでない場合には、チェック(304)において、プライマリチャネル(Ch1)上で送信が行われているかどうかを判断する。プライマリチャネル(Ch1)上で送信が行われていない場合、ブロック306において、応答メッセージ(例えば、msg2)を送信する。受信機がCh1上で送信していないので、したがって、msg2は、Ch1のTx OFDMシンボルタイミングを示さない場合があり、次に、実行は図17のブロック316に進み、干渉キャンセルを含まない通常の手順を使用して、データを検出して受け取り、次に、図17のブロック312に進む。そうでない場合には、Ch1上で送信が行われているので、実行は図17のブロック308に進む。
【0091】
ブロック308において、Ch1のためのシンボルタイミング情報を含む応答メッセージ(例えば、msg2)を送信する。OFDMシンボルタイミングは、msg2のために使用されるか、又はmsg2で明示的に示すことができる。次に、ブロック310において、アナログSICキャンセルを実行し、Ch1のシンボルタイミングを使用して、信号を検出し、データパケットのCFOを推定する。時間領域サンプルに訂正位相シフトを適用し、データパケットにおけるトレーニング信号を使用して、周波数領域チャネルを推定する。推定されたチャネルを使用して、Ch2上でデータパケットのデータ部分を等化/復号する。
【0092】
ブロック312において、MPDUが受け取られたかどうかをチェックする。MPDUが受け取られなかった場合、ブロック292から実行を再開始する。一方で、MPDUが受け取られた場合、Ack又はブロック確認応答(BA)を送信(314)し、その後に、プロセスを再び開始する。
【0093】
図18に、他のMLDのための単一の帯域でのマルチリンク動作の実施形態例330を示す。ブロック332において、チェックによって、プライマリチャネル(Ch1)上で送信が行われているかどうかを判断する。条件が満たされない場合、ブロック334において、MLDは、拡張シンボルを想定する通常の(従来の)手順を使用して、Ch2上で初期メッセージを検出して受け取り、実行はブロック338に進む。
【0094】
そうでない場合には、ブロック336において、アナログSICキャンセルを実行して、Ch1のシンボルタイミングを使用して、Ch2のトーン位置において信号/エネルギーを検出し、その後に、ブロック338に進む。
【0095】
ブロック338において、初期メッセージが受け取られたかどうかを判断する。初期メッセージが受け取られなかった場合、実行はブロック332からの開始に戻る。そうでない場合には、ブロック340において、初期メッセージからのCFOの推定を実行し、訂正を適用する。チャネルを推定し、初期メッセージを等化/復号して、必要に応じて更新されるCh2 NAVを含むチャネルNAVを受け取る。
【0096】
図19に、非APによってトリガされた、複数のAPからのAckの実施形態例350を示し、非AP局のための一般的な方法ステップを示す。
【0097】
ブロック352において、データ送信(UL PPDU)を実行して、Ack/BAのためにAP1及びAP2にリソースユニット(RU)を割り当てる。
【0098】
チェック(354)によって、プライマリAP又はセカンダリAPからAck/BAが受け取られたかどうかを判断する。Ack/BAが受け取られなかった場合、実行はブロック352に戻る。そうでない場合には、ブロック356において、プライマリAP又はセカンダリAPのいずれかによって、(再)送信バッファからのMPDUの除去を確認応答し、実行はプロセスの開始に戻る。
【0099】
図20に、非APによってトリガされた、複数のAPからのAckの実施形態例370を示し、セカンダリAP(AP2)局のための一般的な方法ステップを示す。
【0100】
ブロック372において、チェックによって、AckのためにAP2にRUを割り当てるか、又はセカンダリAP(AP2)がAckのためにリソースユニット(RU)を予め構成したOBSS UL PPDUが受け取られたかどうかを判断する。条件が満たされない場合、チェックを繰り返す。
【0101】
そうでない場合には、ブロック374において、割り当てられたRUでAck/BAを送信し、セカンダリAPは、プライマリAPからのAck/BAを待つ。次に、ブロック376において、セカンダリAPによって確認応答されたがプライマリAPによって確認応答されなかったMPDUを転送するか、又はセカンダリAPによって確認応答されたMPDUを配信システム(DS)に直接転送し、転送されたMSDUについて、プライマリAPに通知する。
【0102】
図21に、非APによってトリガされた、複数のAPからのAckの実施形態例390を示し、プライマリAP(AP1)局のための一般的な方法ステップを示す。
【0103】
ブロック392において、チェックによって、自身(このプライマリAP局)宛てのUL PPDUが受け取られたかどうかを判断する。条件が満たされない場合、チェックを繰り返す。
【0104】
そうでない場合には、ブロック394において、プライマリAPは、(RUが割り当てられた場合、割り当てられたRUで)Ack/BAを送信する。次に、ブロック396において、バックホールリンクが存在する場合、セカンダリAPから追加のMPDUを受け取り、その後に、プロセスは開始において継続する。
【0105】
6.実施形態の一般的概要
以下に、特定の項目で概要を表現しようと試みるが、あらゆる発明の態様も以下の項目リストに表現されると解釈すべきではない。
【0106】
1.この説明の節において、「xの(In x)」は、文が数「x」から始まることを意味する。
【0107】
2.マルチAPシステムのために、プライマリAPと、1又は2以上のセカンダリAPとが存在する。各APは、それ自身の個別のクロックを有する。
【0108】
3.項目2のセカンダリAPは、全二重対応であり、例えば、セカンダリAPは、同じチャネル上で送信しながら受信することができる。
【0109】
4.項目2のプライマリAPは、全二重対応とすることができる。
【0110】
5.プライマリAP及びセカンダリAPは、1又は2以上の非AP STAへのジョイント送信を実行する。(a)非AP STAへの1つの空間ストリームは、1よりも多くのAPからの信号からなる。
【0111】
6.ジョイント送信のPPDUにおけるパイロット信号のうちのいくつかは、プライマリAPによってのみ送信される。(a)プライマリAPによってのみ送信されるパイロット信号は、プライマリパイロットとして示される。(b)ジョイント送信に参加する全てのAPによって送信されるパイロット信号が存在することができる。これらのパイロットは、非プライマリパイロットとして示される。(c)受信側非AP STAは、プライマリパイロット及び/又は非プライマリパイロットを使用して、位相追跡を実行することができる。
【0112】
7.セカンダリAPは、プライマリパイロットを受け取り、プライマリパイロットを使用して、プライマリAPのクロック周波数と自身のクロック周波数との間のクロックドリフトを訂正することができる。(a)例えば、セカンダリAPは、クロック訂正を、異なる周波数トーンにおけるプライマリパイロットの推定された位相差に基づかせて、プライマリAPと自身との間のサンプリング時間の差分を決定して、(単複の)後続のシンボルに対して訂正を実行することができる。(b)例えば、セカンダリAPは、クロック訂正を、異なるシンボルにおけるプライマリパイロットの推定された位相差に基づかせて、プライマリAPと自身との間のキャリア周波数の差分を決定して、(単複の)後続のシンボルに対して訂正を実行することができる。
【0113】
8.システムであって、STAx MLD(マルチリンクデバイス)は、別のチャネル(Ch1)がCCAビジーである時に、CCAアイドルであるチャネル(Ch2)上でアクセスすることができるシステム。(a)STAx MLDは、AP MLD又は非AP MLDとすることができる。MLDがAP MLDである場合、関連付けられた非AP MLDは、複数の帯域で動作するMLDの場合のように、全ての可能なリンク(この場合、チャネル)をモニタする必要がある場合がある。(b)チャネル1(Ch1)及びチャネル(Ch2)は、STAx MLDの動作チャネル内に存在する。2つのチャネルは、互いの近隣チャネルとすることができる。ここで、チャネルは、チャネル番号(例えば、5GHz帯におけるチャネル100)と関連付けられる周波数範囲を意味し、個別のOFDMトーンを意味するものではない。近隣は、周波数分離における2つのチャネルの距離が小さいことを示す。ここに示す近隣チャネルは、隣接チャネルである必要はないが、周波数が近く、FD能力を有さないレガシーMLDが、1つのチャネルで受信して別のチャネルで送信することができないようになっている。(c)チャネル1(Ch1)をCCAビジーにするSTAは、全二重対応のSTA/MLDとすることができる。
【0114】
9.STAx MLDは、初期メッセージ(初期msg)を用いてチャネル2(Ch2)上でアクセスすることができ、初期メッセージにおいて、いくつかの又は全てのOFDMシンボルは、拡張OFDMシンボルである。拡張OFDMシンボルの非CP部分は、通常のOFDMシンボルの非CP部分の2よりも多くの又は2に等しいシンボルを有する。(a)拡張OFDMシンボルは、異なる周波数トーンにおける時間領域連続正弦波信号からなる。(b)例えば、拡張OFDMシンボルの非競合期間(非CP)部分は、時間領域において2回繰り返される通常のOFDMシンボルの非CP部分である。
【0115】
10.項目9の初期メッセージは、チャネル2(Ch2)上でSTAx MLDによって取得されるTXOPに対して、チャネル2(Ch2)上でNAV情報をシグナリングする。
【0116】
11.初期メッセージのアドレス指定された受信機STAzは、STAx MLDに、チャネル2(Ch2)上の送信可(clear to send)を示すメッセージ2(msg2)で応答することができる。
【0117】
12.STAzは、チャネル1(Ch1)上で送信していることができる。この場合、STAzは全二重対応であり、MLDも同様である。
【0118】
13.項目12のSTAzからのメッセージ2(msg2)は、STAzによって送信されるチャネル1(Ch1)上のOFDMシンボルのタイミングを示すことができる。(a)指示は暗示的なものとすることができる。例えば、チャネル1(Ch1)上でSTAzによって送信されるOFDMシンボルのタイミングは、固定オフセットを含むメッセージ2(msg2)の特定のシンボルの開始/終了時間に基づいて、暗示的にシグナリングすることができる。
【0119】
14.項目12のSTAzによって送信されるメッセージ2(msg2)は、項目9で説明した初期メッセージと同じ拡張シンボル構造を有するか、又は項目15の通りとすることができる。
【0120】
15.項目12のSTAzによって送信されるメッセージ2(msg2)は、チャネル1上で送信されるシンボルとして、同期されたOFDMシンボル境界を有することができる。(a)拡張シンボル構造を使用しない。(b)項目12のSTAzは、送信されたメッセージ2(msg2)を使用して、チャネル2(Ch2)上で自己干渉チャネルを決定することができる。
【0121】
16.STAxは、チャネル2(Ch2)上で、データOFDMシンボルと、項目13に示したものと位置合わせされるデータシンボルのためのトレーニングOFDMシンボルとを含むメッセージ2(msg2)を受け取った後に、PPDUを送信することができる。(a)PPDUは、データOFDMシンボル及び/又はデータシンボルのためのトレーニングOFDMシンボルの前に、パディング信号を有することができる。
【0122】
17.項目8の(c)のSTAは、チャネル1(Ch1)上の自身の送信OFDMシンボルタイミングに基づいて、以下のように、チャネル2(Ch2)上で初期メッセージを受け取ることができる。(a)例えば、チャネル1(Ch1)上で送信された信号とチャネル2(Ch2)上で受け取られた信号との間の直交性を保証するウィンドウを使用することによって行う。(b)項目8の(c)のSTAは、初期メッセージのアドレス指定された受信機を含むことができる。(c)項目8の(c)のSTAは、初期メッセージの受信機にアドレス指定されない、チャネル1(Ch1)上で送信する他のSTAを含むことができる。
【0123】
18.項目8の(c)のSTAは、同じOFDMシンボルタイミングを有さない場合がある。
【0124】
19.項目17の(c)のSTAは、初期メッセージを使用して、チャネル2(Ch2)上のNAVを更新することができる。
【0125】
20.項目8の(c)のSTAは、チャネル2(Ch2)のNAVステータスを認識しているので、チャネル1上で送信する時に又はその後に、チャネル2(Ch2)にアクセスするための媒体同期遅延を実行する必要がない場合がある。
【0126】
7.実施形態の一般的範囲
本明細書では、コンピュータプログラム製品としても実装できる、本技術の実施形態による方法及びシステム、及び/又は手順、アルゴリズム、ステップ、演算、数式又はその他の計算表現のフロー図を参照して本技術の実施形態を説明することができる。この点、フローチャートの各ブロック又はステップ、及びフローチャートのブロック(及び/又はステップ)の組み合わせ、並びにあらゆる手順、アルゴリズム、ステップ、演算、数式、又は計算表現は、ハードウェア、ファームウェア、及び/又はコンピュータ可読プログラムコードの形で具体化された1又は2以上のコンピュータプログラム命令を含むソフトウェアなどの様々な手段によって実装することができる。理解されるように、このようなあらゆるコンピュータプログラム命令は、以下に限定されるわけではないが、汎用コンピュータ又は専用コンピュータ、又は機械を生産するための他のプログラマブル処理装置を含む1又は2以上のコンピュータプロセッサによって実行して、(単複の)コンピュータプロセッサ又は他のプログラマブル処理装置上で実行されるコンピュータプログラム命令が、(単複の)特定される機能を実装するための手段を生み出すようにすることができる。
【0127】
したがって、本明細書で説明したフローチャートのブロック、並びに手順、アルゴリズム、ステップ、演算、数式、又は計算表現は、(単複の)特定の機能を実行する手段の組み合わせ、(単複の)特定の機能を実行するステップの組み合わせ、及びコンピュータ可読プログラムコード論理手段の形で具体化されるような、(単複の)特定の機能を実行するコンピュータプログラム命令をサポートする。また、本明細書で説明したフロー図の各ブロック、並びにあらゆる手順、アルゴリズム、ステップ、演算、数式、又は計算表現、及びこれらの組み合わせは、(単複の)特定の機能又はステップを実行する専用ハードウェアベースのコンピュータシステム、又は専用ハードウェアとコンピュータ可読プログラムコードとの組み合わせによって実装することもできると理解されるであろう。
【0128】
更に、コンピュータ可読プログラムコードなどの形で具体化されるこれらのコンピュータプログラム命令を、コンピュータプロセッサ又は他のプログラマブル処理装置に特定の態様で機能するように指示することができる1又は2以上のコンピュータ可読メモリ又はメモリデバイスに記憶して、これらのコンピュータ可読メモリ又はメモリデバイスに記憶された命令が、(単複の)フローチャートの(単複の)ブロック内に指定される機能を実装する命令手段を含む製造の物品を生産するようにすることもできる。コンピュータプログラム命令をコンピュータプロセッサ又は他のプログラマブル処理装置によって実行し、コンピュータプロセッサ又は他のプログラマブル処理装置上で一連の動作ステップが実行されるようにしてコンピュータで実装される処理を生成し、コンピュータプロセッサ又は他のプログラマブル処理装置上で実行される命令が、(単複の)フローチャートの(単複の)ブロック、(単複の)手順、(単複の)アルゴリズム、(単複の)ステップ、(単複の)演算、(単複の)数式、又は(単複の)計算表現に特定される機能を実装するためのステップを提供するようにすることもできる。
【0129】
更に、本明細書で使用する「プログラム」又は「プログラム実行文」という用語は、本明細書で説明した1又は2以上の機能を実行するために1又は2以上のコンピュータプロセッサが実行できる1又は2以上の命令を意味すると理解されるであろう。命令は、ソフトウェア、ファームウェア、又はソフトウェアとファームウェアとの組み合わせで具体化することができる。命令は、装置の非一時的媒体に局所的に記憶することも、又はサーバなどに遠隔的に記憶することもでき、或いは命令の全部又は一部を局所的に又は遠隔的に記憶することもできる。遠隔的に記憶された命令は、ユーザが開始することによって、或いは1又は2以上の要因に基づいて自動的に装置にダウンロード(プッシュ)することができる。
【0130】
更に、本明細書で使用するプロセッサ、ハードウェアプロセッサ、コンピュータプロセッサ、中央処理装置(CPU)及びコンピュータという用語は、命令、並びに入力/出力インターフェイス及び/又は周辺装置との通信を実行できる装置を示すために同義的に使用されるものであり、プロセッサ、ハードウェアプロセッサ、コンピュータプロセッサ、CPU及びコンピュータという用語は、単一の又は複数の装置、シングルコア装置及びマルチコア装置、及びこれらの変種を含むように意図するものであると理解されるであろう。
【0131】
本明細書の説明から、本開示は、限定ではないが以下の内容を含む技術の複数の実装を含むと理解されるであろう。
【0132】
ネットワーク内の無線通信のための装置であって、前記装置は、(a)IEEE 802.11プロトコルの下で無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)上で通信を実行する際に、プライマリリンク及びセカンダリリンクを通じて他の無線局(STA)と無線通信するように構成されるアクセスポイント(AP)の一部とすることができる局としての無線通信回路であって、プライマリAP及びセカンダリAPとして動作する前記ネットワーク上のAPは、1又は2以上の非AP局へのジョイント送信を実行する、無線通信回路と、(b)STAとして前記WLAN上で動作するための前記無線通信回路に結合されるプロセッサと、(c)前記プロセッサによって実行可能な命令を記憶する非一時的メモリと、を備え、(d)前記命令は、前記プロセッサによって実行された時に、残留ドリフトに起因する中心周波数オフセット及びシンボルタイミングオフセットを克服するための1又は2以上のステップを実行し、前記1又は2以上のステップは、(d)(i)プライマリAPとして動作するAPによって、直交周波数分割多重(OFDM)送信内でパイロット信号を送信するステップ、を含み、(d)(ii)プライマリパイロット信号としての、全体のパイロット信号のセットの一部は、前記プライマリAPによって送信されることのみを許可され、セカンダリAPとして動作するAPによって送信されることを許可されず、(d)(iii)セカンダリAPとして動作する各前記局は、それ自身のクロックを含むように構成され、前記パイロット信号を受け取ると、ジョイント送信を実行しながら、そのクロック及び後続のシンボルを訂正する、装置。
【0133】
ネットワーク内の無線通信のための装置であって、前記装置は、(a)IEEE 802.11プロトコルの下で無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)上で通信を実行する際に、単一の周波数帯域内でプライマリリンク/チャネル及びセカンダリリンク/チャネルを通じて他の無線局と無線通信するように構成されるアクセスポイント(AP)の一部とすることができる局としての無線通信回路と、(b)局として前記WLAN上で動作するための前記無線通信回路に結合されるプロセッサと、(c)前記プロセッサによって実行可能な命令を記憶する非一時的メモリと、を備え、(d)前記命令は、前記プロセッサによって実行された時に、単一の無線帯域で近隣チャネルを使用して、プライマリチャネル及びセカンダリチャネル上で同時送受信(STR)を行うための1又は2以上のステップを実行し、前記1又は2以上のステップは、(d)(i)前記セカンダリチャネル上で(単複の)拡張直交周波数分割多重(OFDM)シンボルと共に送信される初期メッセージを送信して、前記プライマリチャネル上で送信する局に対するネットワーク割り当てベクトル(NAV)復号化の動作を容易にするステップと、(d)(ii)異なるリンクとしての近隣チャネル間のOFDMシンボル位置合わせを含む単一帯域マルチリンク動作(MLO)を実行するステップと、を含む、装置。
【0134】
ネットワーク内の無線通信のための装置であって、前記装置は、(a)IEEE 802.11プロトコルの下で無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)上で通信を実行する際に、プライマリリンク及びセカンダリリンクを通じて他の無線局と無線通信するように構成されるアクセスポイント(AP)の一部とすることができる局としての無線通信回路と、(b)局として前記WLAN上で動作するための前記無線通信回路に結合されるプロセッサと、(c)前記プロセッサによって実行可能な命令を記憶する非一時的メモリと、を備え、(d)前記命令は、前記プロセッサによって実行された時に、1又は2以上のステップを実行し、前記1又は2以上のステップは、(d)(i)1よりも多くのAPが、プライマリAPに対して意図されるアップリンク(UL)PPDUに対するジョイント確認応答(Ack)又はブロック確認応答(Ack/BA)を送信できるようにするステップと、(d)(ii)セカンダリAPとしての自身と前記プライマリAPとの間の受信機ステータスの差を決定するステップであって、前記セカンダリAPは、非APに前記プライマリAPへの再送信を実行するように要求する代わりに、自身によって受け取られたが前記プライマリAPによって受け取られなかったデータを前記プライマリAPに転送する、ステップと、を含む、装置。
【0135】
前記セカンダリAPは、そのクロック訂正を、異なる周波数トーンにおけるプライマリパイロットの推定された位相差に基づかせて、前記プライマリAPと自身との間のサンプリング時間の差分を決定して、(単複の)後続のシンボルに対して訂正を実行する、前出のいずれかの実装の装置又は方法又はシステム。
【0136】
前記セカンダリAPは、そのクロック訂正を、異なるシンボルにおけるプライマリパイロットの推定された位相差に基づかせて、前記プライマリAPと自身との間のキャリア周波数の差分を決定して、(単複の)後続のシンボルに対して訂正を実行する、前出のいずれかの実装の装置又は方法又はシステム。
【0137】
セカンダリAPとして動作するAPは、全二重対応であり、一方、前記プライマリAPは、全二重又は半二重のいずれかである、前出のいずれかの実装の装置又は方法又はシステム。
【0138】
非AP STAへの空間ストリームは、複数のAPからの信号を含む、前出のいずれかの実装の装置又は方法又はシステム。
【0139】
前記プライマリAPではないAPは、ジョイント送信で非プライマリパイロット信号を送信するように構成される、前出のいずれかの実装の装置又は方法又はシステム。
【0140】
非AP局として動作する前記局は、受け取られたプライマリパイロットを利用して、位相追跡を実行するように構成される、前出のいずれかの実装の装置又は方法又はシステム。
【0141】
前記プライマリAPはトリガフレームを送信し、前記トリガフレームは、前記ジョイント送信に参加する前記セカンダリAPによって受け取られ、前記トリガフレームは、前記ジョイント送信の中心周波数及び/又はサンプリングレート及びAP間のクロックの同期を確立する、前出のいずれかの実装の装置又は方法又はシステム。
【0142】
前記トリガフレームは、空間データストリームに対して前記セカンダリAPにおいてデータを事前符号化するための前記プライマリAPからの命令を含む、前出のいずれかの実装の装置又は方法又はシステム。
【0143】
前記プライマリAP及びセカンダリAPは、データを事前符号化して、前記非AP局に、空間データストリーム及びパイロットを共同で(jointly)送信する、前出のいずれかの実装の装置又は方法又はシステム。
【0144】
本明細書で使用する「実装」という用語は、以下に限定されるわけではないが、本明細書で説明する技術を実施する実施形態、実施例又はその他の形態を含むように意図するものである。
【0145】
本明細書で使用する単数語「a」、「an」、及び「the」は、文脈によって別途明確に指定しない限り、複数の参照物を含むことができる。単数形による物への言及は、明述しない限り「唯一」を意味するものではなく、「1又は2以上」を意味するものである。
【0146】
本開示内の「A、B及び/又はC」などの語句の構成体は、A、B、又はCのいずれかが存在することができる場合、又は項目A、B及びCの任意の組み合わせを説明する。「~のうちの少なくとも1つ」の後に要素を列挙したグループが続くような語句の構成体は、これらのグループ要素のうちの少なくとも1つが存在し、適用可能な場合、これらの列挙された要素の任意の可能な組み合わせを含むことを示す。
【0147】
本明細書中の「ある実施形態」、「少なくとも1つの実施形態」又は同様の実施形態の用語への言及は、説明された実施形態に関連して説明する特定の特徴、構造又は特性が、本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれることを示す。したがって、これらの様々な実施形態の語句は、必ずしも全てが同じ実施形態、又は説明されている他の全ての実施形態と異なる特定の実施形態について言及するものではない。実施形態の語句は、所与の実施形態の特定の特徴、構造又は特性を、開示する装置、システム又は方法の1又は2以上の実施形態にあらゆる好適な態様で組み合わせることができることを意味すると解釈すべきである。
【0148】
本明細書で使用する「組(set)」という用語は、1又は2以上の物体の集合を意味する。したがって、例えば物体の組は、単一の物体又は複数の物体を含むことができる。
【0149】
第1の(first)及び第2の(second)、上部の(top)及び下部の(bottom)などの関係語は、ある実体又は動作を別の実体又は動作と区別するためだけに使用することができ、このような実体又は動作間にこのような実際の関係又は順序が存在することを必ずしも必要とし、又は暗示するものではない。
【0150】
「含む(comprises)」、「含んでいる(comprising)」、「有する(has)」、「有している(having)」、「含む(includes)」、「含んでいる(including)」、「含む(contains)」、「含んでいる(containing)」という用語、又はこれらの用語の他のあらゆる変化形は、要素の列挙を含む(comprises、includes、contains)、有する(has)プロセス、方法、物品、又は装置が、これらの要素しか含んでいないのではなく、明確に列挙されていない、又はこのようなプロセス、方法、物品、又は装置に固有のその他の要素を含むことができるように非排他的な包含を含むことが意図されている。「~を含む(comprises...a)」、「~を有する(has...a)」、「~を含む(includes...a)」、「~を含む(contains...a)」によって導かれる要素は、これ以上の制約が無い場合、その要素を含む(comprises、includes、contains)、有する(has)プロセス、方法、物品、又は装置内に更なる同一の要素が存在することを否定するものではない。
【0151】
本明細書で使用する「近似的に(approximately)」、「近似の(approximate)」、「実質的に(substantially)」、「本質的に(essentially)」及び「約(about)」という用語、又はこれらの用語の他のあらゆるバージョンは、わずかな変動の記述及び説明のために使用するものである。これらの用語は、事象又は状況に関連して使用した時には、これらの事象又は状況が間違いなく発生する場合、及びこれらの事象又は状況が発生する可能性が非常に高い場合を意味することができる。これらの用語は、数値に関連して使用した時には、その数値の±5%以下、±4%以下、±3%以下、±2%以下、±1%以下、±0.5%以下、±0.1%以下、又は±0.05%以下などの、±10%以下の変動範囲を意味することができる。例えば、「実質的に」整列しているということは、±5°以下、±4°以下、±3°以下、±2°以下、±1°以下、±0.5°以下、±0.1°以下、又は±0.05°以下などの、±10%以下の角度変動範囲を意味することができる。
【0152】
また、本明細書では、量、比率及びその他の数値を範囲形式で示すこともある。このような範囲形式は、便宜的に簡略化して使用するものであり、範囲の限界として明確に指定された数値を含むが、この範囲に含まれる全ての個々の数値又は部分的範囲も、これらの各数値及び部分的範囲が明確に示されているかのように含むものであると柔軟に理解されたい。例えば、約1~約200の範囲内の比率は、約1及び約200という明確に列挙した限界値を含むが、約2、約3、約4などの個々の比率、及び約10~約50、約20~約100などの部分的範囲も含むと理解されたい。
【0153】
本明細書で使用する「結合される(coupled)」という用語は、「接続 される」と定義されるが、必ずしも直接的な、また必ずしも機械的な接続ではない。特定の方法で「構成される(configured)」装置又は構造は、少なくともその方法で構成されるが、列挙されていない方法で構成することもできる。
【0154】
利益、利点、問題の解決法、及びあらゆる利益、利点、又は解決法を生じる又はより明確にすることができるあらゆる(単複の)要素が、本明細書で説明する技術又は一部の又は全ての請求項の重要な、必要な、又は不可欠な特徴又は要素であると解釈すべきではない。
【0155】
更に、上記の開示では、開示を簡潔にするために、様々な実施形態において様々な特徴を互いにグループ化することができる。この開示の方法は、特許請求される実施形態が各請求項で明白に記載されるものよりも多くの特徴を必要とするという意図を反映するものと解釈されるべきではない。本発明の主題は、単一の開示される実施形態の全ての特徴未満のものの中にあり得る。
【0156】
読者が技術的開示の性質を迅速に確認できるように、要約書を提供する。要約書は、特許請求の範囲の範囲又は意味を解釈又は限定するためには使用されないという理解と共に提示される。
【0157】
いくつかの管轄の実施は、出願後に本開示の1又は2以上の部分の削除を必要とする場合があると理解されるであろう。したがって、読者は、本開示の当初の内容として提出された出願を参照すべきである。本開示の内容のいかなる削除も、当初提出された出願の主題の放棄、喪失又は一般への公開であると解釈すべきではない。
【0158】
以下の特許請求の範囲は、本明細書によって本開示に組み込まれ、各請求項は別個に特許請求される主題として自立する。
【0159】
本明細書の説明は多くの詳細を含んでいるが、これらは本開示の範囲を限定するものではなく、現在のところ好ましい実施形態の一部を例示するものにすぎないと解釈すべきである。したがって、本開示の範囲は、当業者に明らかになると考えられる他の実施形態も完全に含むと理解されるであろう。
【0160】
当業者に周知の本開示の実施形態の要素の全ての構造的及び機能的同等物も、引用によって本明細書に明確に組み入れられ、本特許請求の範囲に含まれるように意図される。更に、本開示の要素、構成要素又は方法ステップは、これらが特許請求の範囲に明示されているかどうかにかかわらず、一般に公開されるように意図するものではない。本明細書における請求項の要素については、その要素が「~のための手段」という表現を使用して明確に示されていない限り、「ミーンズプラスファンクション」の要素として解釈すべきではない。また、本明細書における請求項の要素については、その要素が「~のためのステップ」という表現を使用して明確に示されていない限り、「ステッププラスファンクション」の要素として解釈すべきではない。
図1
図2
図3
図4
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図6
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図8
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【国際調査報告】