(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-18
(54)【発明の名称】電気的に制御可能な光学特性を有し、温度依存切り替え挙動を有するグレージングユニット
(51)【国際特許分類】
G02F 1/133 20060101AFI20240910BHJP
G02F 1/13 20060101ALI20240910BHJP
G02F 1/15 20190101ALI20240910BHJP
B60J 3/04 20060101ALI20240910BHJP
B60J 1/00 20060101ALI20240910BHJP
G02F 1/169 20190101ALI20240910BHJP
【FI】
G02F1/133 580
G02F1/13 505
G02F1/15 502
B60J3/04
B60J1/00 J
G02F1/169
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024510676
(86)(22)【出願日】2022-07-25
(85)【翻訳文提出日】2024-03-15
(86)【国際出願番号】 EP2022070773
(87)【国際公開番号】W WO2023025492
(87)【国際公開日】2023-03-02
(32)【優先日】2021-08-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500374146
【氏名又は名称】サン-ゴバン グラス フランス
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100217179
【氏名又は名称】村上 智史
(72)【発明者】
【氏名】カール マラショウスキ
(72)【発明者】
【氏名】リヒャルト ステルツァー
(72)【発明者】
【氏名】アディル ジャーファール
(72)【発明者】
【氏名】チャン ホイシン
【テーマコード(参考)】
2H088
2H193
2K101
【Fターム(参考)】
2H088EA34
2H088GA06
2H193ZA22
2H193ZB34
2H193ZH17
2H193ZH33
2H193ZH52
2H193ZQ13
2H193ZR06
2K101AA22
2K101DA01
2K101EB82
2K101ED25
2K101ED62
2K101EK03
(57)【要約】
本発明は、電気的に制御可能な光学特性を有するグレージングユニットに関し、これは以下を有し:
- 電気的に制御可能な光学特性を有する機能素子(4)を有する、積層ペイン(100)、及び、
- 機能素子(4)に電気的に接続されている制御ユニット(10)、
ここで、制御ユニット(10)は、予め定義された温度範囲内の各温度にランプ電圧を割り当てる、データセット又はプログラムされた関数を有し、ここで、制御ユニット(10)は、以下のことに適している:
- 温度を確認すること、
- 確認された温度に基づいてデータセットからランプ電圧を選択すること、又はこれをプログラムされた関数によって計算すること、及び、
- 選択されたランプ電圧又は計算されたランプ電圧を機能素子(4)に適用すること。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気的に制御可能な光学特性を有するグレージングユニットであって、以下を有し:
- 電気的に制御可能な光学特性を有する機能素子(4)を有する、積層ペイン(100)、及び、
- 前記機能素子(4)に電気的に接続されている、制御ユニット(10)、
ここで、前記制御ユニット(10)は、データセット又はプログラムされた関数を有し、これは、予め定義された温度範囲内のそれぞれの温度にランプ電圧を割り当て、
ここで、前記制御ユニット(10)は:
- 温度を確認すること、
- 前記確認された温度に基づいて前記データセットからランプ電圧を選択すること、又は前記プログラムされた関数によってランプ電圧を計算すること、及び
- 前記選択されたランプ電圧又は前記計算されたランプ電圧で前記機能素子(4)に電圧を適用すること
に適している、グレージングユニット。
【請求項2】
前記機能素子(4)が、異なる光学特性を有する少なくとも2つの切り替え状態を有し、温度依存切り替え時間が、2つの切り替え状態の間の変化のために必要とされ、その結果、任意の温度範囲において、ありうる限り最長の必要とされる切り替え時間に相当する、時間t
maxを有する温度が存在し、
ここで、前記確認された温度に基づいて、選択されたランプ電圧又は計算されたランプ電圧のそれぞれは、t
maxより長いか又はt
maxと等しい切り替え時間t
Switchをもたらし、それによって、前記切り替え時間t
Switchが、電圧が前記機能素子(4)に適用されるときに生じ、
ここで、「任意の温度範囲」とは、少なくとも1℃、好ましくは少なくとも2℃、特には少なくとも5℃にわたる温度範囲を意味する、請求項1に記載のグレージングユニット。
【請求項3】
前記機能素子(4)が、少なくとも2つの分離したセグメント(S1、S2、S3、S4)に分割され、各セグメント(S1、S2、S3、S4)が、前記制御ユニット(10)に電気的に接続され、それによって、前記選択されたランプ電圧又は前記計算されたランプ電圧による前記電圧が、各セグメント(S1、S2、S3、S4)に対して互いに独立して適用されうる、請求項1又は請求項2に記載のグレージングユニット。
【請求項4】
前記制御ユニット(10)が、最初に前記電圧を、前記少なくとも2つの分離したセグメント(S1、S2、S3、S4)のうちの第1セグメント(S1)に適用するのに適しており、かつ前記電圧を、前記切り替え時間t
Switchの後にのみ、前記少なくとも2つの分離したセグメント(S1、S2、S3、S4)のうちのさらなるセグメント(S2)に適用するのに適しており、
ここで、前記少なくとも2つの分離したセグメント(S1、S2、S3、S4)は、好ましくは、同じ切り替え状態に変化する、請求項3に記載のグレージングユニット。
【請求項5】
2つの切り替え状態の間の変化が、比較的低温の場合に、比較的高温の場合よりも長い時間t
maxを必要とする、請求項2~4のいずれか1項に記載のグレージングユニット。
【請求項6】
前記機能素子(4)が、PDLC機能素子又はSPD機能素子である、請求項1~5のいずれか1項に記載のグレージングユニット。
【請求項7】
前記積層ペイン(100)が、外側ペイン(1)及び内側ペイン(2)を有し、前記機能素子(4)が、前記外側ペイン(1)と前記内側ペイン(2)との間に配置されている、請求項1~5のいずれか1項に記載のグレージングユニット。
【請求項8】
前記機能素子(4)が、第1平面電極(8)と第2平面電極(9)との間に活性層(5)を有し、前記機能素子(4)の前記電気的に制御可能な光学特性が、前記活性層(5)によって決定される、請求項1~7のいずれか1項に記載のグレージングユニット。
【請求項9】
前記第1及び/又は前記第2平面電極(8、9)は、インジウムスズ酸化物(ITO)に基づいて形成されている、請求項8に記載のグレージングユニット。
【請求項10】
電気的に制御可能な光学特性を有するグレージングユニットを制御する方法であって、これにおいて、請求項1~9のいずれか1項に記載のグレージングユニットが提供され、ここで、前記制御ユニット(10)が以下を行う、方法:
(a) 温度を確認すること、
(b) 前記確認された温度に基づいて、前記データセットからランプ電圧を選択すること、又は前記プログラムされた関数によってランプ電圧を計算すること、及び、
(c) 前記機能素子(4)に、前記選択されたランプ電圧又は前記計算されたランプ電圧で電圧を適用すること。
【請求項11】
前記機能素子(4)の温度が、前記積層ペイン(100)に取り付けられている温度センサーを用いて測定される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記機能素子(4)のインピーダンスが、前記制御ユニット(10)によって確認され、前記機能素子(4)の温度が、前記インピーダンスによって計算される、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記制御ユニット(10)が、DC電圧源(15)に接続されており、かつ、前記DC電圧源(15)の一次電圧を比較的高い二次電圧に変換するDC電圧コンバータ(11)を備え、かつ、前記二次電圧を前記機能素子(4)に適用されるAC電圧に変換するインバータ(12)を備え、ここで、前記制御ユニット(10)は、前記インバータ(12)の消費電流の測定値から、前記機能素子(4)の前記インピーダンスを確認する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
請求項1~9のいずれか1項に記載のグレージングユニットの制御ユニット(10)内に設置され、請求項10~13のいずれか1項に記載の方法を実行するのに適している、コンピュータプログラム物品。
【請求項15】
請求項1~9のいずれか1項に記載のグレージングユニットの、乗り物の窓ペインとしての、特にはサイドペイン、ウィンドシールド、リアペイン、又はルーフペインとしての使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気的に制御可能な光学特性を有するグレージングユニット、その使用、及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気的に制御可能な光学特性を有するグレージングユニット自体が知られている。これらは、光学特性が、適用される電圧によって変化しうる、機能素子を備える、積層ペインを有する。電圧は、制御ユニットを介して適用され、これは、機能素子の2つの平面電極に接続されており、これらの間に機能素子の活性層が位置する。このような機能素子の例は、SPD機能素子(懸濁粒子装置:suspended particle device)であり、これらは、例えば欧州特許第0876608号明細書及び国際公開第2011/033313号で知られている。電圧を適用することによって、可視光の透過を、SPD機能素子によって制御しうる。別の例は、PDLC機能素子(ポリマー分散液晶)であり、これらは、例えば、独国特許出願公開第102008026339号明細書から知られている。活性層は、ポリマーマトリックス内に埋め込まれている液晶を含有する。電圧が適用されていない場合、液晶は、無秩序な様式において配列されるであろう。その結果、活性層を通過する光が強く散乱する。平面電極に電圧が適用される場合、液晶は、共通の方向において配列されるであろうし、活性層を通る光の透過率が高まる。PDLC機能素子は、全透過率を低下させることによってではなく、主に散乱を増加させることによって動作し、その結果、クリアな視界を阻止しうるし、又はアンチグレア保護を確保しうる。エレクトロクロミック機能素子も、例えば米国特許出願公開第20120026573号明細書、国際公開第2010/147494号、及び欧州特許出願公開第1862849号明細書、及び国際公開第2012/007334号から知られており、これらにおいて、透過率の変化は、適用される電圧によって誘発される、電気化学プロセスの結果である。
【0003】
このようなグレージングユニットは、例えば、乗り物の窓ペインとして用いられてよく、そして、それらの光透過挙動を、電気的に制御しうる。それらを、例えば、直射日光への暴露又は問題となる反射を低減するためのルーフパネルとして、用いてよい。このようなルーフパネルは、例えば、独国特許出願公開第10043141号明細書、及び欧州特許出願公開第3456913号明細書から知られている。電気的に制御可能なサンスクリーンが切り替え可能な機能素子によって実現されている、ウィンドシールドも提案されており、それによって、自動車における従来の機械的に折り畳み可能なサンスクリーンに代わる。電気的に制御可能なサンスクリーンを有するウィンドシールドは、例えば、独国特許出願公開第102013001334号明細書、独国特許発明第102005049081号明細書、独国特許出願公開第102005007427号明細書、及び独国特許出願公開第102007027296号明細書から知られている。
【0004】
また、このようなグレージングユニット又は切り替え可能な機能素子に、光学特性を互いに独立して切り替えうる、複数のセグメントを提供することも知られている。例えば、機能素子のうちの一領域は、他の領域を透明なままにしつつ、選択的に暗くされうるし、又は高いレベルの光散乱性を提供されうる。独立したセグメントを有するグレージングユニット及びそれらの作製方法は、例えば、国際公開第2014/072137号から知られている。国際公開第2017/157626号も参照されている。
【0005】
個別のセグメントに電圧を適用することによって、光学特性を制御しうる。このようにして、セグメントを、例えば、連続的に、任意の順序においてランダムに、又は外側のセグメントから内側のセグメントに向かって、暗くしうるし、又は不透明若しくは透明に切り替えうる、アニメーション方式もありうる。しかしながら、機能素子の光学特性は温度に依存する。例えば、高温、例えば50℃を超えると、平面電極の電気抵抗が大きく増加することになりうる。そして、電圧が、特定のセグメントに高温で適用される場合、これは、実際にオフに切り替えられているセグメントの近傍において、電界の発生をもたらす。そして、セグメントは、それらの光学的状態を、目標とする電圧の適用によって変化させるのではなく、むしろ電界によって変化させる。
【0006】
別の光学的問題は、機能素子が、特には低温下、例えば0℃未満で動作する場合に発生する。この場合、機能素子の切り替え時間が大幅に増加しうる。2つの光学状態の間の時間が、通常、1秒未満である場合、低温での時間は、1つの光学状態から別の光学状態への変化が完了する前に、数分になりうる。その結果、機能素子を知らないユーザーは、機能素子が正常に動作していないと想定してしまう。この問題に対する1つの解決策が、国際公開第2019/111235号に開示されている。温度が過度に低いときに機能素子を加熱する、加熱コーティングによって、切り替えの時間を一定に保ちうる。しかしながら、この解決策は、電気的に作動させる必要のある加熱コーティングを用いることを要求する。したがって、追加のスペースが利用可能である必要があり、さらに電気供給を確保する必要がある。国際公開第9837453号には、エレクトロクロミック素子が開示されており、これにおいて、温度依存電圧が、エレクトロクロミック素子に適用され、それによって、ありうる限り最速の色変化を可能にする。温度は、温度感知装置によって確認され、これは、好ましくはエレクトロクロミック機能素子内を直接測定する。温度依存電圧は、温度に依存しない、好ましくは線形の、ランプ電圧によって、エレクトロクロミック機能素子に適用され、それによって、機能素子の色変化を達成する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
電気的に制御可能な光学特性の切り替え挙動が改善された、グレージングユニットが必要とされている。本発明の目的は、そのような改善されたグレージングユニット及びその制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、電気的に制御可能な光学特性を有するグレージングユニットによって、本発明に従って達成される。グレージングユニットは、以下を有する:
- 電気的に制御可能な光学特性を有する機能素子を有する、積層ペイン、及び、
- 機能素子に電気的に接続されている、制御ユニット。
【0009】
制御ユニットは、予め定義された温度範囲内の各温度にランプ電圧を割り当てる、データセット又はプログラムされた関数を有する。制御ユニットはまた、以下に適している:
- 機能素子の温度を確認すること、
- 確認された温度に基づいて、データセットからランプ電圧を選択するか、又はこれをプログラムされた関数によって計算すること、及び、
- 選択されたランプ電圧、又は計算されたランプ電圧で、機能素子に電圧を適用する。
【0010】
この目的はまた、電気的に制御可能な光学特性を有するグレージングユニットを制御する方法によっても達成される。この方法は、制御ユニットが以下を行うことを特徴とする。
(a) 機能素子の温度を確認すること、
(b) 確認された温度に基づいて、データセットからランプ電圧を選択するか、又はこれをプログラムされた関数によって計算すること、及び、
(c) 選択されたランプ電圧、又は計算されたランプ電圧で、機能素子に電圧を適用する。
【0011】
グレージングユニット及び方法を、下記で一緒に記載するが、説明及び好ましい実施形態は、グレージングユニット及び方法に等しく関連する。好ましい特徴が、方法に関連して記載されている場合、これは、グレージングユニットが、好ましくはそれに応じて設計され、適していることを意味する。一方、好ましい特徴が、グレージングユニットに関連して記載されている場合、これは、方法もまた、好ましくはそれに従って実施されることを意味する。グレージングユニットは、乗り物又は建造物において用いられることを意図されている。積層ペインは、窓が開く際(特には乗り物の窓が開く際、しかしながら代替的にはまた、建物又は部屋の窓が開く際)、内部空間を外部環境から分離するために提供される。
【0012】
本発明は、典型的な、電気的に制御可能な機能素子の切り替え挙動が温度に依存するという、知識に基づいている。温度を確認し、かつデータセットからランプ電圧を選択するか、又はプログラムされた関数によってランプ電圧を計算することによって、切り替え挙動を、温度に適合させうる。2つの切り替え状態の間で変化する時間は、温度に依存するため、2つの切り替え状態の間の変化が起こる前に、機能素子の温度によっては数分経過しうるが、それが1秒未満かかることもありうる。本発明によれば、機能素子に段階的に電圧が適用される、ランプ電圧は、機能素子の温度の関数としてグレージングユニットによって計算又は選択されうるし、それによって2つの切り替え状態の間の変化に関する時間を、加速又は減速させうる。
【0013】
「定義された温度範囲」とは、データセット内に保存されている、又はプログラムされた関数の始域を構成する、温度間隔であり、機能素子が用いられる前に定義される必要がある。
【0014】
定義された温度範囲は、好ましくは-30℃~120℃、特に好ましくは-25℃~100℃、とりわけ-20℃~100℃に及ぶ。これらの温度範囲では、2つの切り替え状態の間で変化するのに必要な時間が、特には様々な温度によって異なる。これらの温度範囲はまた、自然環境(すなわち、単なる実験室条件又は例外的条件ではない)で発生する、一般的な温度範囲でもある。
【0015】
本発明の意味において、「電圧を適用する」とは、電圧が制御ユニットによって適用されている、切り替え状態から、無電圧の切り替え状態への変化が起こりうることも意味する。無電圧状態はまた、平衡電圧の状態、例えばエレクトロクロミック機能素子における平衡電圧の状態も表す。したがって、無電圧とはむしろ、電圧源によって電圧が適用されないことを意味する。
【0016】
本発明の好ましい実施形態では、機能素子は、様々な光学特性を有する少なくとも2つの切り替え状態を有し、温度依存切り替え時間が、2つの切り替え状態の間の変化に必要とされる。その結果、ありうる限り最長の必要とされる切り替え時間に対応する、時間tmaxを有する温度が、任意の温度範囲内に存在する。
【0017】
ここで、制御ユニットによって確認された温度に基づいて選択又は計算された、各ランプ電圧は、tmax以上である切り替え時間tSwitchをもたらし、それによって、切り替え時間tSwitchが、機能素子に電圧が適用されたときに、生じる。
【0018】
換言すれば、温度範囲内において最低の切り替え速度である、温度依存切り替え速度vminを有する温度が、任意の温度範囲内に存在する。制御ユニットは、予め定義された温度範囲内の各温度にvmin以下である切り替え速度vSwitchをもたらすランプ電圧を割り当てる、データセット又はプログラムされた関数を有する。この場合、制御ユニットは、以下を行う:
(a) 機能素子の温度を確認すること、
(b) 確認された温度に基づいて、データセットからランプ電圧を選択するか、又は、プログラムされた関数によってランプ電圧を計算し、それによって、切り替え速度vSwitchが、機能素子に電圧が適用されたときに生じること、及び、
(c) ランプ電圧で機能素子に電圧を適用し、それによって、少なくとも2つの切り替え状態の間で変化が起こること。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、本発明によるグレージングユニットの実施形態の平面図である。
【
図2】
図2は、
図1のグレージングユニットを通る断面図である。
【
図5A】
図5Aは、切り替え時間による、23℃における、電気的に制御可能な一般的な機能素子の「切り替えオン」の図である、
【
図5B】
図5Bは、切り替え時間による、23℃における、電気的に制御可能な一般的な機能素子の「切り替えオフ」の図である、
【
図6A】
図6Aは、切り替え時間による、-20℃における、電気的に制御可能な一般的な機能素子の「切り替えオン」の図である。
【
図6B】
図6Bは、切り替え時間による、-20℃における、電気的に制御可能な一般的な機能素子の「切り替えオフ」の図である。
【
図7】
図7は、アニメーション方式である、本発明による方法の表現である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の文脈では、「任意の温度範囲」という表現は、好ましくは、考慮される各温度区間について、少なくとも1つの温度であって、2つの切り替え状態の間の変化が、他の一定の条件(ランプ電圧、圧力、湿度など)の下で時間tmaxを必要とする、少なくとも1つの温度が存在することを意味する。したがって、任意の温度範囲において、例えば、-20℃~50℃までの温度を考慮するか、又は0℃~100℃までの温度を考慮するかは、関係ない。これら2つの温度範囲のそれぞれは、tmaxが適用される、少なくとも1つの温度を有する。「任意の温度範囲」はまた、少なくとも1℃、好ましくは少なくとも2℃、特には少なくとも5℃にわたる温度範囲を意味する。したがって、任意の温度範囲は、少なくとも1℃の幅を有する。このように、少なくとも1℃にわたる温度範囲は、例えば150℃~151℃、又は例えば-51℃~-50℃でありうる。それは、0℃~1℃の範囲に限定されない。
【0021】
「温度」(「温度値」)はまた、非整数を意味しうる。好ましくは、温度範囲内の温度(温度値)は、小数点以下10桁まで、特に好ましくは小数点以下5桁まで、とりわけ小数点以下2桁までの実数でありうる。
【0022】
機能素子の温度の関数として、2つの切り替え状態の間の必要な切り替え時間は、1秒未満~数分になりうる。このように変化しうる切り替え挙動は、このような機能素子を有するグレージングユニットのユーザーにとって望ましくない。機能素子のこのような温度依存の切り替え時間によって、専門家でないユーザーは、グレージングユニットが適切に作動していないという印象をすぐに受ける。この印象はユーザー体験を悪化させうる。この問題は、制御ユニットがデータセット又はプログラムされた関数を有し、温度が制御ユニットによって確認されることによって解決されうる。データセットは、予め定義された温度範囲内の各温度にランプ電圧を割り当てる。プログラムされた関数は、少なくとも定義された温度範囲によって表される始域を有し、温度によってランプ電圧(終域におけるランプ電圧)を計算する。2つの切り替え状態の間で変化する場合、切り替えに必要な電圧は、データセットから選択された、又はプログラムされた関数によって計算された、ランプ電圧によって適用される。ランプ電圧は、確認された温度に応じて選択され、それによって、2つの切り替え状態の間の変化が、切り替え速度vSwitchで起こる。2つの切り替え状態のうち、一方の切り替え状態から他方の切り替え状態への変化時間は、tmax又はそれより長い時間に相当することは言うまでもない。このようにして、2つの切り替え状態の間の変化時間は、少なくともほとんどの切り替え動作、すなわちtmax未満の技術的に必要な切り替え時間を有する、全ての切り替え動作に関して、人為的に延長される。
【0023】
本発明の文脈では、電気的に制御可能な光学特性は、特には、連続的に制御可能であるそのような特性を意味すると理解される。本発明の文脈では、「機能素子が変化しうる切り替え状態」とは、光学特性の変化が最小である切り替え状態(切り替え状態0%又は最小切り替え状態)から光学特性の変化が最大である切り替え状態(切り替え状態100%又は最大切り替え状態)までのスケール上にありうる切り替え状態を指す。前述の2つの状態の間で、全ての切り替え状態を、電圧を適宜選択することによって連続的に実現しうる。20%の切り替え状態は、例えば、光学特性における最大変化の20%による変化に対応する。上記光学特性は、特には光透過及び/又は散乱挙動に関連する。切り替え状態の間で変化するための切り替え時間は、光学特性における変化率に依存しうる。変化の差は、好ましくは、切り替え時間に正比例し、それによって、例えば、0%の切り替え状態から80%の切り替え状態への変化は、好ましくは、0%の切り替え状態から20%の切り替え状態への変化の4倍の時間をとる。しかしながら、切り替え状態の間での変化に関する切り替え時間は、光学特性における変化率に依存しないこともありうる。
【0024】
しかしながら、原理的には、電気的に制御可能な光学特性を、2つの離散的な切り替え状態の間でのみ切り替えうることも考えられうる。その場合、2つの切り替え状態、すなわち0%及び100%、のみ存在する。また、電気的に制御可能な光学特性を、2つ超の離散的な切り替え状態の間で切り替えうることも考えられうる。
【0025】
AC電圧(交流電圧)又はDC電圧(直流電圧)が、機能素子に適用される。機能素子が、PDLC機能素子又はSPD機能素子である場合、AC電圧が機能素子に適用される。機能素子がエレクトロクロミック機能性素子である場合、DC電圧が機能素子に適用される。
【0026】
機能素子が、エレクトロクロミック機能性素子である場合、本発明の文脈における「ランプ電圧」は、単位Vs-1の経時的な線形電圧変化を意味する。
【0027】
しかしながら、機能素子がPDLC又はSPD機能素子である場合、ランプ電圧は線形でないであろうし、所望の切り替え状態の光学特性から生じる逆関数によって確認される。非線形コヒーレンスが、電圧、すなわちAC電圧のRMS値と、機能素子の光学特性との間に存在するので、逆関数が、ランプ電圧を決定するために用いられる。逆関数は、特には、機能素子の切り替え状態の設定の特性の逆関数でありうる。換言すれば、特定の切り替え状態に到達するために、電圧(AC電圧のRMS値)は、機能素子に段階的に適用され、ここで、電圧は、機能素子のタイプの関数として、かつ透明である切り替え状態又は比較的低い透明度である切り替え状態のいずれかを達成する関数として、各段階で減少するか、又は増加するかのいずれかである。電圧の段階的増加は、好ましくは逆関数によって非線形に行われる。逆関数は温度に依存し、それによって、ランプ電圧が非線形である場合、ランプ電圧は好ましくはプログラム関数の一部であろう。代替的には、最終電圧まで段階的に適用される全ての電圧値が、定義された温度範囲内の全ての温度についてデータセット内に保存される。各電圧値の変化は、好ましくは最大1秒間の特定の時間内に行われる。
【0028】
プログラムされた関数は、温度、現在の切り替え状態、及び所望の切り替え状態の関数としてのランプ電圧を含む。したがって、vSwitch又はtSwitchに必要なランプ電圧は、確認された温度(例えば60℃)の関数として制御ユニットによって確認されうるし、機能素子に適用されうる。
【0029】
データセットでは、ランプ電圧が線形である場合、ランプ電圧が各温度値に割り当てられるであろう。データセットは、例えば、個別点が測定値によって知られており、それらの間で補間(例えば、線形補間)が実行されるように、作られうる。しかしながら、原則的には、データセットが表のような様式で存在することもありうるし、ここで、それぞれのランプ電圧が、特定の温度ゾーン(例えば、1℃~2℃)、又は離散的な温度値(例えば、正確に1.0℃)に割り当てられる。後者は、全ての温度について測定値を確認するのがはるかに比較的複雑であるため、好ましさの程度が比較的低い。
【0030】
温度依存切り替え時間は、比較的高い透明度又は光透過率を有する切り替え状態から比較的低い透明度又は光透過率を有する切り替え状態(下降切り替え状態)に切り替わる場合、比較的低い透明度又は光透過率を有する切り替え状態から比較的高い透明度又は光透過率を有する切り替え状態(上昇切り替え状態)に切り替わる場合よりも長くなりうる。これは、例えば、40%の透明度を有する切り替え状態から70%の透明度を有する切り替え状態への切り替えは、逆方向の切り替えよりも短い切り替え時間を必要とすることを意味する。このように、切り替え時間は所望の切り替え状態の方向に依存する。したがって、ランプ電圧は、好ましくは、電圧が機能素子に適用されたときに、切り替え時間tSwitchが、下降切り替え状態への変化及び上昇切り替え状態への変化の両方について生じるように、それぞれの場合において選択される。このように、データセットは、好ましくは、予め定義された温度範囲内の各温度に割り当てられた異なるランプ電圧を有する。制御ユニットがプログラムされた関数を有する場合、プログラムされた関数は、好ましくは、上昇切り替え状態への変化に関する関数、及び下降切り替え状態への変化に関する関数を有する。
【0031】
典型的には、温度依存の、必要な切り替え時間tmaxは、10℃を超える温度での切り替え時間に比べて、10℃未満の温度で著しく延長される。一般的な機能素子では、限界温度は、典型的には約10℃である。10℃未満である温度は、特には季節的な理由、及び天候的な理由で発生する。20℃の温度での時間tmaxは、典型的には0.5秒以下である。対照的には、-10℃の温度において、時間tmaxは、典型的には5秒以上である。異なる温度におけるこの時間差は、温度が下がるにつれて、かつ機能素子に依存して、増加しうる。したがって、好ましくは、少なくとも2つの切り替え状態は、比較的低温の場合に、比較的高温の場合よりも長い、2つの切り替え状態の間の変化に必要とされる時間を有する。
【0032】
好ましくは、機能素子は、少なくとも2つの分離したセグメントに分割され、各セグメントは、制御ユニットに電気的に接続され、それによって、電圧が、ランプ電圧で、各セグメントに対して互いに独立して適用されうる。機能素子はまた、2つ超の分離したセグメントに分割されうる。機能素子は、特に好ましくは3つ以上の分離したセグメントに分割され、非常に特に好ましくは5つ以上、とりわけ10以上の分離したセグメントに分割される。異なるセグメントへの分割は、機能素子を需要に応じて制御することを可能にする。独立して制御可能なセグメントによって、ユーザーはグレージングユニットのどの領域が透明であり、どの領域が暗くされ、不透明であり、又は高い光散乱性(半透明)を提供されるかを定義しうる。グレージングユニットが、例えば、乗り物内のルーフペインとして用いられる場合、乗り物内部が過度に加熱されるのを、太陽の位置に応じて、個別のセグメントを選択的に制御することによって避けうる。また、各乗員に、すなわち、例えば、運転手、前席の乗員、左側の後席の乗員、右側の後席の乗員に、彼らの上方に位置するそれぞれのセグメントを割り当てることもありうる。
【0033】
本発明の特定の実施形態では、機能素子は、アニメーション方式で制御され、電圧が、最初に少なくとも2つの分離したセグメントのうちの第1セグメントに適用され、切り替え時間tSwitch後にのみ、電圧が同様に少なくとも2つの分離したセグメントのうちのさらなるセグメントに適用される。このように、さらなるセグメントは、第1セグメントの別の切り替え状態への切り替え動作が完了した後にのみ変化する。電圧は、好ましくは、前の切り替え動作が完了した後、直ちに、さらなるセグメントに適用される。この文脈において、「直ちに」とは、好ましくは1秒以下、特に好ましくは0.5秒以下、とりわけ0.1秒以下の時間を意味する。この場合、少なくとも2つの分離したセグメントは、好ましくは同じ切り替え状態に変化する。他のアニメーション方式もありうる。機能素子が2つ超のセグメントに分割されている場合、互いに隣接するセグメントは、上述の様式で連続して切り替えられうる。しかしながら、最初に外側のセグメントを切り替え、次に隣接する内側のセグメントを連続して切り替えることもありうる。当然、逆の順序もありうる。
【0034】
本発明のさらに好ましい実施形態では、機能素子は、別のアニメーション方式により用いられ、ここで、電圧が、少なくとも2つのセグメントのうち全てのセグメントに同時に適用され、それによって、少なくとも2つのセグメントのうち全てのセグメントが同時に所望の切り替え状態に変化する。代替的には、切り替え状態を変化させるための電圧が、少なくとも2つのセグメントのうち全てのセグメントに、わずかな時間のずれ、好ましくは最大5秒、特に好ましくは最大1秒のわずかな時間のずれを伴って、連続して適用される。
【0035】
制御ユニットが提供され、これは機能素子の光学特性を制御するのに適している。制御ユニットは、一方では機能素子又は随意に機能素子の個別のセグメントに導電的に接続され、他方では電圧源に接続される。制御ユニットは、切り替え状態の関数として必要な電圧を平面電極に適用させるために必要な、電気的及び/又は電子的構成要素を含む。切り替え状態は、ユーザーによって(例えば、スイッチ、ボタン、又は回転式若しくはスライド式のコントローラを操作することによって)予め定義されうるし、センサーによって決定されうるし、かつ/又は、乗り物の中央制御装置(これは、積層ペインが乗り物の窓ペインである場合、通常はLINバス又はCANバスである)からデジタルインターフェースを介して送られうる。スイッチ(切り替え)、ボタン、回転式又はスライド式のコントローラは、例えば、積層ペインが乗り物の窓ペインである場合、乗り物のダッシュボード内に組み込まれうる。しかしながら、タッチセンサーを積層ペイン内に直接組み込んでもよく、例えば静電容量式センサー又は抵抗式センサーを直接組み込んでもよい。代替的には、機能素子を、例えばジェスチャーを認識することによって、又はカメラ及び適切な評価エレクトロニクスによって決定される瞳孔若しくはまぶたの状態の関数に応じて、非接触方法によっても制御しうる。制御ユニットは、例えば、電子プロセッサー、電圧変換器、トランジスタ、コンデンサ、ダイオード、及びその他の構成要素を有しうる。
【0036】
機能素子に適用される電圧は、機能素子がSPD機能素子又はPDLC機能素子である場合、AC電圧である。機能素子がエレクトロクロミック機能素子である場合、DC電圧が機能素子に適用される。
【0037】
機能素子がPDLC機能素子又はSPD機能素子であっても、しかしながら電圧源がDC電圧源である場合がありうる。このような状況は、例えば、乗り物において、積層ペインが、乗り物ペインであり、車載電圧に接続されている場合に、発生する。制御ユニットは、好ましくは車載電気システムに接続され、そこから、制御ユニットは、電圧、及び随意に、設定される切り替え状態に関する情報を得る。そして、制御ユニットは、DC電圧をAC電圧に変換するために、少なくとも1つのインバータを備える。第1実施形態では、制御ユニットは単一のインバータを有し、これは、随意に、機能素子のセグメントを分離して作動させるための複数の独立した出力を有する、インバータの出力極を有し、各セグメントは出力の1つに接続されている。このようにして、各セグメント又は機能素子全体が、インバータの出力に割り当てられ、それによって電気的に接続される。個別の出力は、典型的にはスイッチ(切り替え)によって実現され、ここで、インバータが、電圧を発生させ、これがその後切り替えられる。これらのスイッチは、インバータ内に直接組み込まれうる。代替的には、しかしながら、インバータ自体が、厳密に言えば、単一の出力のみを有し、そして、これに外部スイッチが接続され、それによって、電圧を機能素子のセグメントに分配することもありうる。本発明の意味では、このような外部接続スイッチも、インバータの出力とされる。第2実施形態では、機能素子が少なくとも2つのセグメントを有する場合、制御ユニットは、複数のインバータを有し、ここで、セグメントを分離して作動させるために、各セグメントは、分離したインバータに接続される。このように、各セグメントは、インバータに電気的に接続されている。第1実施形態は、費用対効果が比較的高く、比較的省スペースであるという利点を有する。しかしながら、それは、機能素子が少なくとも2つのセグメントに分割されている場合、セグメントは、いわば光学的にデジタル制御されうるのみであるという欠点を有する。セグメントに、異なる有限の切り替え状態を提供する(いわば独立して「調光可能」にする)ことはできず、これは第2実施形態では問題なく可能である。
【0038】
1つ又は複数のインバータを、実際のAC電圧であって、その負電圧成分を制御装置の供給電圧に対して含む、AC電圧を生成するように動作させうる。しかしながら、DC電圧源の場合、例えば乗り物の場合など、負電位は利用できないので、この解決策は、技術的に比較的複雑である。代替的には、いわばAC電圧をそのままシミュレートすることもありうるし、これはしばしば好まれる。この場合、制御ユニットは2つのインバータを備え、機能素子は両方のインバータに電気的に接続される。インバータの電位は、様々な関数、例えば正弦関数で調節され、第1インバータの電位は同位相であり、第2インバータの電位は位相がずれており、特には180°の位相のずれを有する。そして、第1インバータの信号は、第2インバータの信号に対して反転される。このようにして、時間的に変動する、周期的な電位差が、生成され、相対的に正の寄与及び相対的に負の寄与を交互に有し、これは、AC電圧に相当する。機能素子が少なくとも2つのセグメントに分割されている場合、各セグメントは、2つの異なるインバータに電気的に接続され、それによって、各セグメントに関してAC電圧を調節できる。「異なるインバータ」とは、それぞれのインバータがまた、複数のセグメントに接続できないという意味ではない。
【0039】
乗り物の車載電圧(例えば12~14V)は、典型的には、機能素子を完全に光学的に制御するには十分ではない。この理由のため、機能素子がPDLC機能素子、SPD機能素子、又はエレクトロクロミック機能素子のいずれであるかにかかわらず、制御ユニットは、さらに好ましくは、DC-DCコンバータを備え、これは、供給される供給電圧(一次電圧)を上昇させる、すなわち、これを比較的高い二次電圧(例えば65V)に変換するのに適している。制御ユニットは、DC電圧源に接続され、これによって一次電圧が供給される。DC-DCコンバータは、一次電圧を比較的高い二次電圧に変換する。有利な実施形態における二次電圧は、5V~70V、AC電圧は、5V~50Vである。機能素子がエレクトロクロミック機能素子でない場合、二次電圧は、インバータによってAC電圧(例えば、48V)に変換される。
【0040】
本発明によれば、機能素子の温度が確認され、それによって、この温度に基づいて、ランプ電圧が選択又は計算され、これにより電圧が適用される。ここでは、積層ペインが全体的に均質な温度を有すること、すなわち、機能素子の温度が積層ペインの他の領域の温度と一致することが想定されるが、これは、典型的には少なくともほぼその通りである。したがって、積層ペインの温度を確認することは、機能素子の温度を確認することに少なくともほぼ対応する。
【0041】
有利な実施形態では、積層ペインは温度センサーを備える。温度センサーは、制御ユニットが、積層ペインの温度、ひいては機能素子の温度を、温度センサーによって確認できるように、制御ユニットに接続されている。このようにして、温度センサーの測定信号は、制御ユニットに送られ、そこで評価され、それによって、制御ユニットが、温度センサーによって積層ペインの温度を確認できる。温度センサーは、積層ペイン内に組み込まれうる。代替的には、温度センサーは、積層ペインの外部に固定されてよく、又はそれに割り当てられる。好ましくは、温度センサーは、内部(例えば、乗り物内部)に面している積層ペインの表面に固定される。温度センサーはまた、制御ユニット自体において、又は固定要素において配置されてよく、これによって、制御ユニットが積層ペインに固定される。原理的にはまた、積層ペインに直接固定されることも、その中に一体化されることもなく、しかしながら離れた位置で温度を測定する、温度センサーを用いてよく、例えば、積層ペインの付近に配置され、これに向けられる、IRセンサーを用いてよい。
【0042】
さらに有利な実施形態では、制御ユニットは、機能素子の電気インピーダンスを確認し、そこから機能素子の温度を確認するのに適している。インピーダンス(AC電圧の場合、従来のオーミック抵抗に相当)は温度に依存するので、これはありうる。特に、単射関係が、電気インピーダンスの実部と機能素子の温度との間に存在する。このように、温度を各インピーダンスに割り当てうる。特に、温度の関数としてのインピーダンスの実部は、温度が上昇するにつれて厳密には単調減少する。この実施形態は、温度センサーを省きうるという利点を有し、温度センサーは、さらなる構成要素として組み込まれる必要があり、したがって構造を複雑にし、製造コストを増加させる。この方法は、制御ユニットが機能素子のインピーダンスを確認し、そこから温度を確認又は推定するように実行される。この目的のために、電圧が特には適用され、その結果生じる電流が確認される。インピーダンスは、電圧及び電流の商として計算されうる。インピーダンスデータ、例えばインピーダンス曲線又はインピーダンス表は、インピーダンス(より正確にはインピーダンスの実部)の温度依存性(温度の関数としてのインピーダンス、又はインピーダンスの関数としての温度)を記載し、制御ユニット内に保存される。測定されたインピーダンスの大きさを、インピーダンスデータに対して比較することで、制御ユニットは温度をおおよそ確認しうる。
【0043】
インピーダンスを確認するために、様々な実施形態が、特に消費電力の測定に関して、順々にありうる。制御ユニットが、少なくとも1つのインバータを有する場合、これは、入力されるDC電圧を出力されるAC電圧に変換し、それによって、インバータの出力電流が測定される。ここで問題となるのは、このように確認される電流(「皮相電流」又は「全電流」)が、2つの要素、すなわち無効電流(比喩的に言えば、AC電圧及び容量的に作用する機能素子の結果として電子が「押し戻されたり押し出されたり」することによって生じる)、並びに有効電流(供給線及び機能素子における寄生損失によって生じる)からなることである。しかしながら、有効電流のみが、インピーダンス(より正確にはその実部)を確認する上で決定的である。このとき、測定された電流の有効要素(有効電流)は、制御ユニットによって全電流から、例えば電圧と皮相電流との間の位相のずれを確認することなどによって、計算される必要がある。
【0044】
機能素子が、PDLC機能素子又はSPD機能素子である場合、インピーダンスを、特に好ましい変形例では、インバータの消費電流の測定値から確認しうる。制御ユニットが、この確認に適している。ここではDC電圧のみが存在するので、任意の無効電流は、これがインバータ内の中間回路のコンデンサによって吸収されない限り、平均して時間とともに消滅する。それによって、インバータにおける損失係数を考慮すると、測定された電流は、インピーダンスを確認するための基礎として直接用いられうる。さらなる利点は、この電流測定が故障検出(短絡及び過負荷)のために頻繁に行われ、追加の構成要素コストを省きうることである。
【0045】
機能素子の温度を確認するためのさらなる可能性として、推定アルゴリズムを用いうる。推定アルゴリズムは、好ましくは制御ユニット内に設置され、そこで実行される。機能素子の温度は、1つ以上の測定信号に基づいて推定される。温度推定用の信号は、測定データ、好ましくは、内部温度、外部温度、熱放射(赤外線、2次熱及び/若しくは紫外線)、並びに/又は積層ペインが乗り物内の乗り物ペインとして用いられる場合の走行速度に関する、測定データでありうる。信号は、センサーを介して、典型的には乗り物内に設置されたセンサーを介して測定され、制御ユニットに送られる。代替的には、センサーを、積層ペイン付近に、特には温度推定の目的のために、配置しうる。いずれにしても、センサーは制御ユニットに接続される。推定アルゴリズムによって、温度を、測定された信号に基づいて推定しうる。温度は、1つ以上の信号の関数である;このように、信号が始域であり、温度が終域である。機能素子の温度は、機能素子がPDLC機能素子、SPD機能素子、又はエレクトロクロミック機能素子のいずれであっても、推定アルゴリズムによって確認されうる。
【0046】
好ましい実施形態では、機能素子はPDLC(ポリマー分散液晶)機能素子である。PDLC機能素子は、ポリマーマトリックス内に埋め込まれている、液晶を含有する。PDLC機能素子に電圧が適用されない場合、液晶は無秩序な様式で配列され、その結果、活性層を通過する光が強く散乱される(半透明)。機能素子に電圧が適用される場合、液晶が共通の方向において配列され、機能素子を通る光の透過率が高くなる(透明)。しかしながら、液晶が、電圧が適用されていない状態では秩序正しく存在し、液晶が、電圧が適用される場合、それに応じて無秩序に存在する場合もありうる。しかしながら、他の機能素子を用いてもよく、これらの光学特性の可変性は液晶に基づき、例えばPNLC(polymer-networked liquid crystal)機能素子を用いてもよい。電圧の適用が、PDLC機能素子のような機能素子に関連して言及される場合、本発明の意味におけるAC電圧(瞬時電圧ではなく、AC電圧のRMS値)が常に意味される。
【0047】
さらに好ましい実施形態では、機能素子は、SPD(懸濁粒子装置)機能素子である。この場合、SPD機能素子は懸濁粒子を含有する。懸濁粒子は、電圧適用の結果として、光を吸収することによって機能素子の光学状態を変化させる。このように、SPD機能素子は、透明な光学特性及び不透明な光学特性、並びに透明及び不透明の間の中間段階を有する、切り替え状態を有する。電圧の適用が、SPD機能素子のような機能素子に関連して言及される場合、本発明の意味におけるAC電圧(瞬時電圧ではなく、AC電圧のRMS値)が常に意味される。
【0048】
さらに好ましい実施形態では、機能素子は、エレクトロクロミック機能素子である。この場合、機能素子を通る可視光の透過率は、イオンの埋め込み度合いに依存する。イオンは、例えば、イオン貯蔵層によって放出され、エレクトロクロミック層内に埋め込まれる。透過率は、機能素子に適用され、かつイオンの移動を引き起こす、電圧によって影響を受けうる。適切なエレクトロクロミック層は、例えば、少なくとも酸化タングステン又は酸化バナジウムを含有する。機能素子がエレクトロクロミック機能素子である場合、制御ユニットは、好ましくはインバータを備えていないであろうし、DC電圧が機能素子に適用される。しかしながら、1V~50V、好ましくは10V~42Vの範囲内の電圧に到達するためのDC-DCコンバータを、必要に応じて、制御ユニットの構成要素としうる。
【0049】
さらに好ましい実施形態では、機能素子は、SPD機能素子又はPDLC機能素子である。機能素子の切り替え速度は、機能素子がAC電圧によって動作する場合、ランプ電圧によって著しく比較的良好な影響を受けうる。特に、機能素子は、PDLC機能素子である。本発明の技術的効果は、PDLC機能素子に対して特に有利に展開することが、実験的に示されている。
【0050】
前述の制御可能な機能素子及びそれらの動作モードは、それ自体当業者に知られているため、この時点で詳細な説明を省きうる。
【0051】
積層ペインは、好ましくは、少なくとも1つの外側ペイン及び1つの内側ペインを有し、これらは熱可塑性中間層を介して互いに接続されている。
【0052】
本発明の文脈では、「内側ペイン」とは、内部に面しているペインを指す。「外側ペイン」とは、外部環境に面しているペインを指す。外側ペイン及び内側ペインは、それぞれ、外部側表面及び内部側表面、並びにそれらの間に延在する周方向の側縁部表面を有する。本発明の文脈において、「内側ペイン及び外側ペインの外部側表面」とは、設置位置において外部環境に面するように提供される主表面を指す。本発明の文脈において、「内側ペイン及び外側ペインの内部側表面」とは、設置位置において内部に面するように提供される主表面を指す。したがって、外側ペインの内部側表面と内側ペインの外部側表面は互いに面しており、熱可塑性中間層によって互いに接続されている。
【0053】
熱可塑性中間層は、積層ペインで一般的なことであるように、内側ペインと外側ペインとを接続する役割を果たす。熱可塑性フィルムが、典型的には、用いられ、中間層は、そこから形成される。好ましい実施形態では、中間層は、少なくとも第1熱可塑性層及び第2熱可塑性層から形成され、これらの間に機能素子が配置される。そして、機能素子は、第1熱可塑性層の領域を介して外側ペインに接続され、第2熱可塑性樹脂層の領域を介して内側ペインに接続される。熱可塑性層は、好ましくは、機能素子を越えて周方向に突出している。熱可塑性層が互いに直接接触し、機能素子によって互いに分離されていない場合、熱可塑性層は、元の層がもはや識別できず、代わりに均質な中間層が存在するように、積層の際に一緒に合わせられうる。
【0054】
熱可塑性層は、例えば、単一の熱可塑性フィルムによって形成されうる。熱可塑性層はまた、異なる熱可塑性フィルムの断片から形成されてよく、それらの側縁部は互いに付着されている。
【0055】
好ましい実施形態では、機能素子、より正確には機能素子の側縁部は、第3熱可塑性層によって周方向に囲まれている。第3熱可塑性層は、機能素子が挿入される凹部を有するフレーム状のものである。第3熱可塑性層は、切断によって凹部が導入された熱可塑性フィルムによって形成されうる。代替的には、第3熱可塑性層はまた、機能素子の周囲において複数のフィルムの断片から構成されうる。そして、中間層は、互いに重なり合って平坦に配置されている少なくとも3つの熱可塑性層の全体から形成され、中間層は、機能素子が配置される凹部を有する。作製の際、第3熱可塑性層は、第1熱可塑性層と第2熱可塑性層との間に配置され、全ての熱可塑性層の側縁部は、好ましくは一致している。第3熱可塑性層は、好ましくは機能素子とほぼ同じ厚さを有する。これは、局所的に限定される機能素子によって導入される、局所的な厚みの差を補い、それによって、積層の際のガラスの破損を回避しうるし、改善された外観がもたらされる。
【0056】
中間層の層は、好ましくは同じ材料から形成されるが、原理的には異なる材料からも形成されうる。中間層の層又はフィルムは、好ましくはポリビニルブチラール(PVB)、エチレン酢酸ビニル(EVA)、又はポリウレタン(PU)に基づく。これは、層又はフィルムは、主に上記材料を含有し(50重量%超)、さらには随意に、さらなる成分、例えば可塑剤、安定剤、UV吸収剤又はIR吸収剤を含有しうる。各熱可塑性層の厚さは、好ましくは0.2mm~2mm、特に好ましくは0.3mm~1mmである。例えば、0.38mm又は0.76mmの標準的な厚さを有するフィルムを用いうる。
【0057】
外側ペイン及び内側ペインは、好ましくはガラスでできており、特に好ましくは、窓ペインに関する慣例のように、ソーダ石灰ガラスでできている。しかしながら、ペインはまた、他の種類のガラス、例えば石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、若しくはアルミノケイ酸ガラス、又は硬質クリアプラスチック、例えばポリカーボネート、若しくはポリメチルメタクリレートから製造されうる。ペインは、クリアでありうるし、又は着色、若しくは色づけされうる。用途に応じて、着色又は色づけの程度に制限を設けてよい:例えば、所定の光透過率を確保する必要がある場合があり、例えば国際連合欧州経済委員会(UN/ECE)の規則第43号(ECE-R43、「安全グレージング材料の承認及び乗り物へのそれらの取り付けに関する統一規定」)によれば、主視野Aにおいて少なくとも70%の光透過率などを確保する必要がある場合がある。
【0058】
外側ペイン、内側ペイン、及び/又は中間層は、それ自体知られている適切なコーティング、例えば反射防止コーティング、非粘着コーティング、傷防止コーティング、光触媒コーティング、紫外線吸収若しくは反射コーティング、又は赤外線吸収若しくは反射コーティング、例えば日焼け防止コーティング、又はLow-Eコーティングなどを有しうる。
【0059】
外側ペイン及び内側ペインの厚さは、広く様々であってよく、したがって、個々の場合の要件に適合しうる。外側ペイン及び内側ペインは、好ましくは0.5mm~5mm、特に好ましくは1mm~3mmの厚さを有する。
【0060】
積層ペインは、乗り物分野において、特にはウィンドシールド、リアウィンドウ、及びルーフペインにとって一般的なことであるように、不透明なカバー印刷を、特には周縁部領域内に備えてよい。カバー印刷は、典型的には、ガラスフリット及び顔料、特には黒色顔料を含有するエナメルでできている。印刷インクは、典型的には、スクリーン印刷法で適用され、その後焼き付けられる。このようなカバー印刷は、ペイン表面のうち少なくとも1つ、好ましくは外側ペイン及び/又は内側ペインの内部側表面に適用される。カバー印刷は、好ましくは、中央のシースルー領域をフレーム状の様式で取り囲み、特には、紫外線から接着剤を保護する役割を果たし、この接着剤によって積層ペインは乗り物本体に接続されている。制御ユニットが、内側ペインの内部側表面に取り付けられる場合、それは好ましくはカバー印刷の不透明領域内に取り付けられるであろう。
【0061】
本発明による積層ペインは、電気的に制御可能な光学特性を有する機能素子を含み、これは、好ましくは、外側ペインと内側ペインとの間に配置され、すなわち、中間層内に埋め込まれる。機能素子は、特に好ましくは、少なくとも2層の熱可塑性材料の中間層の間に配置され、第1層によって外側ペインに接続され、第2層によって内側ペインに接続される。しかしながら、代替的には、機能素子はまた、中間層に面している外側ペイン又は内側ペインの表面上に直接配置されうる。好ましくは、機能素子の側縁部は、中間層によって完全に取り囲まれ、それによって、機能素子は、積層ペインの側縁部まで延在せず、したがって周囲雰囲気と接触しない。
【0062】
温度センサーが積層ペイン内に組み込まれている場合、本発明の意味では、これは温度センサーが外側ペインと内側ペインとの間に積層されていることを意味する。温度センサーは、好ましくは中間層内に埋め込まれ、特に好ましくは少なくとも2層の熱可塑性材料の中間層の間に配置される。好ましくは、温度センサーは、温度センサーが機能素子から2cm以下、特に好ましくは1cm以下の距離にあるように、機能素子に隣接して配置される。
【0063】
特に好ましい実施形態では、機能素子は、少なくとも1つの活性層、並びに第1平面電極及び第2平面電極を有し、これらは、活性層の両面上に配置され、それによって、活性層は、第1平面電極及び第2平面電極の間に配置される。平面電極及び活性層は、典型的には、外側ペイン及び内側ペインの表面に対して本質的に平行に配置される。活性層は、平面電極を介して活性層に適用される電圧によって制御されうる、様々な光学特性を有する。したがって、活性層は、好ましくは、PDLC機能素子の場合には少なくともポリマーマトリックス中に液晶を有し、SPD機能素子の場合には少なくとも懸濁粒子を有し、エレクトロクロミック機能素子の場合には少なくともイオン貯蔵層及びエレクトロクロミック層を有する。
【0064】
第1平面電極は、好ましくは、遮断線(絶縁線)によって互いに分離されている、少なくとも2つの電極セグメントを有する。「遮断線」という用語は、平面電極の材料が存在しない線状の領域を意味すると理解され、それによって、隣接するセグメントが、互いに物質的に分離され、したがって互いに電気的に遮断される。これは、直接的な電気的接続は電極セグメント間に存在しないが、電極セグメントは、これらに接触する活性層を介して、間接的に、ある程度、導電的な様式で、互いに接続されうる。第1平面電極は、複数の遮断線によって複数のセグメントに細分化されうる。各電極セグメントは、機能素子のセグメントを表す。電極セグメントの数は、機能素子の所望のセグメント数に応じて自由に選択されうる。好ましい実施形態では、遮断線は、互いに実質的に平行に延在し、平面電極の側縁部から反対側の側縁部まで延在している。しかしながら、任意の他の幾何学的形状も考えられうる。機能素子の電極セグメントを形成するために遮断線を用いることは、機能素子のセグメントを作り出すためのコスト効率が良く、簡単な方法である。第2平面電極及び活性層は、好ましくは、合着する、完全な層をそれぞれ形成する。
【0065】
遮断線は、例えば5μm~500μm、特には20μm~200μmの幅を有する。それらは、好ましくは、レーザー放射によって平面電極内に導入される。セグメントの幅、すなわち隣接する遮断線間の距離は、個々の場合における要件に従って、当業者によって適切に選択されうる。
【0066】
特に好ましい実施形態では、第2平面電極は、第1平面電極と平行に延在する遮断線を有し、それによって、第1平面電極及び第2平面電極の両方が、積層ペインを通して見る際に一致するように配置されている、少なくとも2つの電極セグメントを有する。この配置の結果、機能素子のセグメント間のいわゆるクロストーク効果を防ぐことができる。クロストーク効果とは、セグメントであって、実際には無電圧であるはずが、電圧が適用された隣接するセグメントによってそれらの切り替え状態が変化するという、セグメントの切り替え状態における変化を指す。しかしながら、原理的には、第2平面電極は、第1平面電極よりも少ない程度にセグメント化され、すなわち、比較的少ない遮断線及び電極セグメントを有することも考えられうるし、それによって、第1平面電極の複数の電極セグメントは、第2平面電極の少なくとも1つの電極セグメントに割り当てられる。このようにして、コストを節約しうる。
【0067】
第1平面電極の電極セグメントは、互いに独立して制御ユニットに電気的に接続され、それによって、第1電位(これは、AC電圧の場合、時間的に変化する)を各電極セグメントに(他の電極セグメントとは独立して)適用しうる。第2平面電極も、同様に制御ユニットに電気的に接続され、それによって、全体として第2電位を、第2平面電極に適用しうる。このようにして、電圧が、ランプ電圧で、各電極セグメントと第2平面電極との間に適用される。第2平面電極が、同様に電極セグメントに分割されている場合、第2平面電極の各電極セグメントも、同様に互いに独立して制御ユニットに電気的に接続される。第1電位と第2電位とが同一である場合、電圧は、それぞれのセグメント内の電極間に適用されない(0%の切り替え状態)。第1電位と第2電位とが異なる場合、電圧が、それぞれのセグメント内の電極間に適用され、これによって、有限の切り替え状態が作り出される。エレクトロクロミック機能素子に関して、平衡電圧が、0%の切り替え状態においても発生しうるので、第1電位と第2電位とは、同一にならない。しかしながら、電流が、この平衡電圧ではほとんど流れないので、切り替え状態が、電圧源からの電圧が適用されるときにのみ変化する。
【0068】
平面電極は、好ましくは透明であり、このことは、本発明の文脈では、これらが、少なくとも50%、好ましくは少なくとも70%、特に好ましくは少なくとも80%の可視スペクトル範囲内の光透過率を有することを意味する。平面電極は、好ましくは、少なくとも1つの金属、1つの金属合金、又は1つの透明導電性酸化物(TCO)を含有する。平面電極は、例えば、銀、金、銅、ニッケル、クロム、タングステン、酸化インジウムスズ(ITO)、ガリウムドープ若しくはアルミニウムドープ酸化亜鉛、及び/又はフッ素ドープ若しくはアンチモンドープ酸化スズに基づいて形成されてよく、好ましくは銀又はITOに基づいて形成されてよい。平面電極は、好ましくは10nm~2μm、特に好ましくは20nm~1μm、非常に特に好ましくは30nm~500nmの厚さを有する。
【0069】
有利な実施形態では、機能素子は、活性層、並びに第1平面電極及び第2平面電極に加えて、2つのキャリアフィルムを有し、活性層及び平面電極は、好ましくはキャリアフィルムの間に配置される。キャリアフィルムは、好ましくは熱可塑性材料、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、フッ素化エチレンプロピレン、ポリフッ化ビニル、又はエチレンテトラフルオロエチレンに基づいて形成され、特に好ましくはPETに基づいて形成される。キャリアフィルムの厚さは、好ましくは10μm~200μmである。このような機能素子は、有利には、多層フィルム、特には市販されている多層フィルムとして提供されてよく、所望のサイズ及び形状に切断されてよく、そして、積層ペイン内に積層されてよく、好ましくは、それぞれの場合において、外側ペイン及び内側ペインを有する熱可塑性層を介して積層ペイン内に積層されてよい。第1平面電極及び/又は第2平面電極を、これがこのような多層フィルム内に埋め込まれている場合でも、レーザー照射によってセグメント化しうる。薄く、視覚的に目立たない遮断線を、レーザー処理によって、典型的にはその上にあるキャリアフィルムを損傷することなく、作り出しうる。
【0070】
機能素子の周縁側縁部を、部分的に又は完全に封止してよく、例えばキャリア層を溶かすことによって、又は(好ましくはポリマー性の)テープによって部分的に又は完全に封止しうる。随意に存在する、活性層は、このようにして、保護されうるし、特には中間層の構成要素(特には可塑剤)が機能素子内に拡散することから保護されうるし、これは機能素子の劣化につながりうる。
【0071】
機能素子又はセグメントの電気的接触のために、機能素子は、好ましくは、いわゆる平坦導体又は箔導体に接続され、これらは、中間層から出て積層ペインの側縁部を越えて延在する。平坦導体は、これらの導電性コアとして帯状の金属性層を有し、この層は、接触表面を除き、典型的には、ポリマー性遮断シースによって取り囲まれている。随意に、いわゆるバスバー、例えば導電性箔(例えば銅箔など)のストリップ又は導電性印刷などを、平面電極上に配置してよく、平坦導体又は箔導体は、上記バスバーに接続される。平坦導体又は箔導体は、直接又はさらなる導体を介して、制御ユニットに接続される。
【0072】
有利な実施形態では、制御ユニットは、積層ペインの内部表面、好ましくは中間層とは反対側に面している内側ペインの表面に固定される。制御ユニットは、例えば、積層ペインの表面上に直接接着されうる。有利な実施形態では、制御ユニットは、固定要素内に挿入され、次いで、これは、積層ペインの内部表面に、固定され、好ましくは接着剤層を介して固定される。このような固定要素は、乗り物分野ではブラケットとしても知られており、典型的には、プラスチックでできている。積層ペインの電気的接続は、制御ユニットを積層ペインに直接取り付けることによって、容易になる。特に、長いケーブルは、制御ユニットと機能素子との間に必要ない。
【0073】
しかしながら、代替的には、制御ユニットを、積層ペインに固定せず、例えば、積層ペインが乗り物ペインである場合に、乗り物の電気システム内に組み込んだり、又は乗り物本体に固定したりすることもありうる。制御ユニットは、好ましくは、乗り物の内部において、見えないように、例えばダッシュボード内又はパネリングの裏側などに、配置される。
【0074】
本発明はまた、本発明によるグレージングユニットの制御ユニット内に設置され、以下のために適切である、コンピュータプログラム物品にも及ぶ:
- 機能素子の温度を確認するように、制御ユニットに指示し、制御ユニットが、その後機能素子の温度を確認すること、
- 確認された温度に基づいてデータセットからランプ電圧を選択すること、又はこれをプログラムされた関数によって計算すること、及び、
- ランプ電圧で機能素子に電圧を適用するように、制御ユニットに指示し、制御ユニットが、その後ランプ電圧で機能素子に電圧を適用すること。
【0075】
本発明は、電気的に制御可能な光学特性を有するグレージングユニットを制御するための方法にも及び、これにおいて、本発明によるグレージングユニットが提供され、以下の通りである:
(a) 制御ユニットが、機能素子の温度を確認するように、コンピュータプログラム物品によって指示され、その後温度を確認し、
(b) コンピュータプログラム物品が、確認された温度に基づいてデータセットからランプ電圧を選択するか、又はこれをプログラムされた関数によって計算し、かつ、
(c) 制御ユニットが、ランプ電圧で機能素子に電圧を適用するように、コンピュータプログラム物品によって指示され、その後ランプ電圧による電圧を適用する。
【0076】
本発明はまた、本発明によるグレージングユニットの、特には本発明によるグレージングユニットの積層ペインの、建築物における、又は陸上、空中若しくは水中での輸送手段における、好ましくは乗り物の窓ペインとしての、特には自動車の窓ペインとしての、使用に関する。グレージングユニット又は積層ペインを、例えば、ウィンドシールド、ルーフペイン、リアウォールペイン、又はサイドペインとして用いうる。
【0077】
特に好ましい実施形態では、グレージングユニット又は積層ペインは、乗り物のウィンドシールドである。機能素子は、好ましくは、電気的に制御可能なサンスクリーンとして用いられ、これは、ウィンドシールドの上側領域内に配置される一方で、ウィンドシールドの大部分には、機能素子が提供されない。随意に存在するセグメントは、好ましくは、ウィンドシールドの上側縁部に対して、そこからの距離を増加させつつ、実質的に平行に配置されている。独立して制御可能なセグメントの結果、ユーザーは、太陽の位置に応じて、上側縁部に隣接しており、暗くされるか、又は高い光散乱を提供される領域の範囲を決定しうるし、それによって、太陽の眩しさを防止する。
【0078】
さらに別の好ましい実施形態では、グレージングユニット又は積層ペインは、乗り物のルーフパネルである。そして、機能素子は、好ましくは、積層ペインのシースルー領域全体において配置される。典型的な実施形態では、このシースルー領域は、不透明なカバー印刷が積層ペインの少なくとも1つの表面上に提供されている周縁縁部領域を除いた、積層ペイン全体を含む。機能素子は、シースルー領域全体にわたって延在し、その側縁部は、不透明カバー印刷の領域内に配置され、このようにして、観察者には見えない。随意に存在するセグメントは、好ましくは、ルーフペイン前方縁部(ウィンドシールドに面している縁部)に対して、そこからの距離を増加させつつ、実質的に平行に配置されている。ユーザーは、独立して制御可能なセグメントによって、ルーフペインのどの領域を透明にし、どの領域が暗い必要があるか、又は高い光散乱性が提供される必要があるかを、例えば太陽の位置に応じて、定義しうるし、それによって、乗り物内部の過剰な加熱を避ける。また、各乗り物乗員、すなわち、例えば、運転手、前席乗員、左側後席の乗員及び右側後席の乗員に、それらの上方に位置するそれぞれのセグメントを割り当てうる。
【0079】
本発明を、図面及び例示的な実施形態を参照してより詳細に説明する。図面は概略的な表現であり、縮尺に忠実ではない。図面は、本発明を何ら限定するものではない。以下に示す通りである:
図1は、本発明によるグレージングユニットの実施形態の平面図である。
図2は、
図1のグレージングユニットを通る断面図である。
図3は、
図2の領域Zの拡大表現である。
図4は、回路図における
図1の機能素子である、
図5Aは、切り替え時間による、23℃における、電気的に制御可能な一般的な機能素子の「切り替えオン」の図である、
図5Bは、切り替え時間による、23℃における、電気的に制御可能な一般的な機能素子の「切り替えオフ」の図である、
図6Aは、切り替え時間による、-20℃における、電気的に制御可能な一般的な機能素子の「切り替えオン」の図である。
図6Bは、切り替え時間による、-20℃における、電気的に制御可能な一般的な機能素子の「切り替えオフ」の図である。
図7は、アニメーション方式である、本発明による方法の表現である。
【0080】
図1、
図2、
図3、及び
図4はそれぞれ、電気的に制御可能な光学特性を有する本発明による積層ペイン100の詳細を示す。
図1は、本発明による積層ペイン100の平面図を示し、一方、
図2は、
図1に示す積層ペインの、断面線X-X’による断面図を示す。
図3は、
図2の断面図の拡大領域Zを示す。積層ペイン100は、一例として、乗用車のルーフペインとして提供され、その光透過率は、領域内において電気的に制御されうる。積層ペイン100は、外側ペイン1及び内側ペイン2を有し、これらは中間層3を介して互いに接続されている。外側ペイン1及び内側ペイン2は、ソーダ石灰ガラスからなり、随意に着色されうる。例えば、外側ペイン1は、2.1mmの厚さを有し、内側ペイン2は、1.6mmの厚さを有する。
【0081】
中間層3は、合計3つの熱可塑性層3a、3b、3cを有し、これらはそれぞれ、PVBでできている、0.38mmの厚さを有する熱可塑性フィルムによって形成される。第1熱可塑性層3aは、外側ペイン1に接続されており、第2熱可塑性層3bは、内側ペイン2に接続されている。それらの間に位置する第3熱可塑性層3cは、切り込みを有し、この中に、電気的に制御可能な光学特性を有する機能素子4が、本質的に正確にフィットするように、すなわち全面がほぼ面一になるように挿入される。このようにして、第3熱可塑性層3cは、いわば、1種のマウント又はフレームを、厚さ約0.4mmの機能素子4のために形成し、したがって、これは、熱可塑性材料によって封入され、それによって保護される。機能素子4は、例えば、PDLC多層フィルムであり、これは、不透明な、非透明(半透明)な0%の切り替え状態から、クリアな、透明な100%の切り替え状態に切り替えられうる。機能素子4は、第1平面電極8と第2平面電極9との間にある活性層5、及び2つのキャリアフィルム6、7からなる多層フィルムである。第1キャリアフィルム6は、第1平面電極8と平面的に接触し、第2キャリアフィルム7は、第2平面電極9と平面的に接触している。活性層5は、ポリマーマトリクスを含有し、これにおいて液晶が分散されており、これは、平面電極8、9に適用される電圧(AC電圧)に応じて配列され、それによって、光学特性が制御されうる。キャリアフィルム6、7は、PETでできており、例えば、0.125mmの厚さを有する。キャリアフィルム6、7は、活性層5に面している、約100nmの厚さを有するITOでできているコーティングを提供され、平面電極8、9を形成する。平面電極8、9は、バスバー(図示せず)(例えば、銅箔のストリップから形成される)を介して電気ケーブル14に接続され、これらは、制御ユニット10への電気的接続を作り出す。
【0082】
この制御ユニット10は、例えば、中間層3とは反対側に面している、内側ペイン2の内部側表面に取り付けられる。この目的のために、例えば、固定要素(図示せず)が、内側ペイン2に接着され、その中に制御ユニット10が挿入される。しかしながら、制御ユニット10を、必ずしも積層ペイン100に直接取り付ける必要はない。代替的には、それを、例えば、ダッシュボード若しくは乗り物本体に取り付けてよく、又は乗り物の車載電気システム内に組み込んでよい。
【0083】
積層ペイン100は、不透明なカバー印刷13が提供される、周縁縁部領域を有する。上記カバー印刷13は、典型的には、黒色のエナメルから形成される。これは、黒色顔料及びガラスフリットを含む印刷インクとして、スクリーン印刷法においてインプリントされ、ペイン表面内に焼き付けられる。カバー印刷13は、例えば、外側ペイン1の内部側表面上に適用され、内側ペイン2の内部側表面上にも適用される。機能素子4の側縁部は、このカバー印刷13によってカバーされる。制御ユニット10は、この不透明な縁部領域内に配置され、すなわち内側ペイン2のカバー印刷13上に接着される。制御ユニット10は、そこで積層ペイン100を通しての視界を妨げず、視覚的に目立たない。さらに、それは、積層ペイン100の側縁部から短い距離にあるので、短いケーブル14のみが、有利には、機能素子4を電気的に接続するために必要である。
【0084】
一方、制御ユニット10は、簡略化のために、
図1及び
図2には示されていない、乗り物の車載電気システムに接続されている。制御ユニット10は、機能素子4の平面電極8、9にランプ電圧による電圧を適用するのに適しており、これは、機能素子4の所望の光学的状態(切り替え状態)のために、例えば、運転者がボタンを押すことによって指定する制御信号の関数として、必要である。
【0085】
機能素子4は、一例として、4つの独立したセグメントS1、S2、S3、S4を有し、これにおいて、機能素子4の切り替え状態が、制御ユニット10によって互いに独立して設定されうる。セグメントS1、S2、S3、S4は、ルーフペインの前方縁部から後方縁部に向かう方向において、互いに並んで配置されている。「前方縁部」とは、設置位置において乗り物の前方に最も近くに配置されている、ルーフペインの縁部を意味し、「後方縁部」とは、設置位置において乗り物の後方に最も近くに配置されている、縁部を意味する。セグメントS1、S2、S3、S4により、乗り物の運転者は、(例えば、太陽の位置に応じて)上記積層ペイン100全体ではなく、積層ペイン100のうちの1つの領域のみに、半透明状態を提供する一方で、他の領域は透明のままであることを選択しうる。
【0086】
セグメントS1、S2、S3、S4を形成するために、第1平面電極8は、3本の遮断線8’によって割り込まれ、これらは、互いに実質的に平行に配置されており、機能素子4の側縁部から反対側の側縁部まで延在する。遮断線8’は、典型的には、レーザー加工によって第1平面電極8内に導入され、これを、互いに物質的に分離されている4つの電極セグメント8.1、8.2、8.3及び8.4に細分化する。各電極セグメント8.1、8.2、8.3及び8.4は、他から独立して制御ユニット10に接続されている。制御ユニット10は、互いに独立して、一方では第1平面電極8の各電極セグメント8.1、8.2、8.3及び8.4と、他方では第2平面電極9との間に電圧を適用するのに適しており、それによって、それらの間に位置する活性層5の一部分が、所望の切り替え状態に到達するために必要な電圧を受ける。
【0087】
図4の等価回路図において示されているように、制御ユニット10は、乗り物の車載電気システムを介して電圧源15に接続されている。乗り物分野では、電圧源15は、典型的には、12V~14Vの範囲内のDC電圧(乗り物の車載電圧)を供給する。制御ユニット10は、DC-DCコンバータ11を備え、これは、車載電圧(一次電圧)を比較的高い大きさのDC電圧、例えば65V(二次電圧)に変換する。二次電圧は、機能素子4の100%の切り替え状態を実現するために十分に高い必要がある。制御ユニット10は、さらには、二次電圧をAC電圧に変換するインバータ12を備える。インバータ12の一極は、第2平面電極9に接続されている。他の極に関して、インバータ12は複数の独立した出力を有し、各出力は、それぞれの場合に電極セグメント8.1、8.2、8.3、8.4に接続されており、それによって、関連するセグメントS1、S2、S3、S4の切り替え状態を、他のものと独立して設定しうる。切り替え状態が0%である場合、電極セグメント8.1、8.2、8.3、8.4、及び第2平面電極9は、常に同じ電位を有するので、電圧が適用されない。セグメントS1,S2,S3,S4の切り替え状態が0%より大きい場合、電圧が、関連する電極セグメント8.1,8.2,8.3,8.4と第2平面電極9との間に適用される。電圧の結果、電流が活性層5の関連部分を通って流れる。
【0088】
切り替え速度、ひいては切り替え時間は、温度に依存する。10℃より低い温度では、特に、機能素子4又はセグメントS1、S2、S3、S4が、切り替え状態の間の変化に関して比較的低い切り替え速度を有する結果となる。10℃を超える温度では、このような遅延は、一般的には存在しないか、又は比較的顕著ではない。したがって、任意の温度範囲、例えば-20℃~120℃において、必要な切り替え時間tmaxが最長となる、少なくとも1つの温度が常に存在する。この例示的な実施形態では、-20℃がこの温度である。したがって、2つの切り替え状態の間での変化に必要な切り替え時間は、機能素子4が-20℃の温度を有するときに最も長くなる。
【0089】
温度に加えて、切り替え速度はまた、ランプ電圧を介して定義され、これによって電圧が機能素子4のセグメントS1、S2、S3、S4に適用される。本発明によれば、切り替え速度のこの依存性は、ランプ電圧による電圧が平面電極8、9に適用されるという点で利用され、ランプ電圧は、機能素子4の温度の関数として選択される。この目的のために、制御ユニット10内に保存されたコンピュータプログラム物品は、まず、積層ペイン100又は機能素子4の温度を確認するように制御ユニット10に指示する。制御ユニット10は温度を確認し、確認された温度の関数として、コンピュータプログラム物品は、制御ユニット10内に保存されたデータセットからランプ電圧を選択するか、又は制御ユニット10内のプログラムされた関数によってランプ電圧を計算し、制御ユニット10に、選択された又は計算されたランプ電圧で、電圧を、機能素子4の1つ又は複数のセグメントS1、S2、S3、S4に適用するように指示する。電圧は、所望の切り替え状態に到達するように選択される。確認された温度に応じて、データセットから選択された、又はプログラムされた関数によって計算されたランプ電圧は、1つ又は複数の様々な値(線形ランプ電圧又は非線形ランプ電圧)を有し、それによって、切り替え状態が変化する切り替え速度が、ランプ電圧に応じて比較的大きく又は比較的小さくなる。ランプ電圧は、切り替え時間tSwitchが、温度範囲内で確認される全ての温度に関する切り替え状態の変化について生じるように、選択される。切り替え時間tSwitchは、例えば、最長切り替え時間tmaxに等しく、これは、この例では、機能素子4の温度が-20℃である場合に必要である。換言すれば、切り替え状態の間で変化が起こる、切り替え速度vSwitchは、全ての温度に関して同一であり、-20℃を除く全ての温度に対して人為的に延長される。
【0090】
しかしながら、いくつかの機能素子4及び温度に関して、電圧を増加させる時間と減少させる時間とが異なる長さである場合がある。したがって、切り替えのための温度依存時間は、比較的高い透明度又は比較的高い透過率を有する切り替え状態から比較的低い透明度又は比較的低い透過率を有する切り替え状態への切り替わり(下降切り替え状態)が起こる場合、比較的低い透明度又は比較的低い透過率を有する切り替え状態から比較的高い透明度又は比較的高い透過率を有する切り替え状態に切り替わり(上昇切り替え状態)が起こる場合よりも、長くなりうる。したがって、ランプ電圧は、例えば、それぞれの場合において選択され、又は計算され、それによって、電圧が機能素子4に適用されるときに、切り替え時間tSwitchが、下降切り替え状態への変化及び上昇切り替え状態への変化の両方について生じる。換言すれば、ランプ電圧の大きさは、下降切り替え状態への変化が起きているか、又は上昇切り替え状態への変化が起きているかに応じて異なる。これは、切り替え速度vSwitchが、上昇切り替え状態への変化及び下降切り替え状態への変化の両方に関して同じになるという結果を有する。
【0091】
温度を確認するために、積層ペイン100は、例えば、温度センサーを備えてよく、これは、測定された温度を制御ユニット10に送る。温度センサーを、機能素子4の温度が推定される場合、例えば活性層5のインピーダンスに基づいて推定される場合には、省略しうる。電圧が適用されると、活性層5を通って電流が流れ、この程度は、温度依存の電気インピーダンスに依存する。適用された電圧による消費電流が確認されれば、電流又は活性層5のインピーダンスを、そこから確認しうるし、次いで温度をおおよそ確認するのに用いうる。この目的のために、活性層5のインピーダンスを温度に関連付けるインピーダンスデータが、制御ユニット10内に保存される。
【0092】
図5A、
図5B、
図6A、及び
図6Bは、汎用的なグレージングユニットに関する時間の関数としての透過率の図を示す。
図5A及び
図6Aは、比較的低い透過率を有する切り替え状態から比較的高い透過率を有する切り替え状態への変化(切り替えオン)を示す。
図5B及び
図6Bは、比較的高い透過率を有する切り替え状態から比較的低い透過率を有する切り替え状態への変化(切り替えオフ)を示す。透過率は、積層ペインを透過する光の割合を示す。積層ペイン又は機能素子は、
図5A及び
図5Bでは23℃の温度を有し、
図6A及び
図6Bでは-20℃の温度を有する。切り替え状態を変化させる信号は、全ての曲線について5秒後に発生する(
図5A、
図5B、
図6A、及び
図6Bでは「切り替え」と表記される)。23℃では、それぞれ他の切り替え状態(切り替えオン及び切り替えオフ)への変化が、1秒未満後に完了する。
図6A及び
図6Bの-20℃における切り替え挙動は、23℃におけるものとは異なる。機能素子の切り替えオン、すなわち約20%の透過率を有する切り替え状態から約47%の透過率を有する切り替え状態への変化は、約5秒の切り替え時間を必要とする。このように、切り替え時間は、23℃での
図5Aと比べて5倍超を有する。この効果は、切り替えオフの際にさらによりはっきりと観察されうる。この場合、透過率は、100秒間にわたって約25%しか減少せず、この時間内に約32%の透過率に到達する。測定は105秒後に終了したので、目標とした20%の切り替え状態に、
図6Bでは達していない。
【0093】
1秒未満から数分間続く切り替え時間を有する温度依存切り替え挙動は、グレージングユニットの専門家でないユーザーを煩わせるであろうし、ユーザーに、グレージングユニットが適切に機能していないという、当然の思い込みをさせてしまいうる。
【0094】
図7は、本発明による例示的な方法を説明するフローチャートを示し、4つのセグメントS1、S2、S3、S4を有する機能素子4の所望の切り替え状態が設定された後、コンピュータプログラム物品は、例えば、第1の方法ステップにおいて、制御ユニット10に機能素子4の温度を確認するように指示する。所望の切り替え状態は、例えば、光学特性の最大変化を伴う切り替え状態、すなわち、例えば、最小透明切り替え状態から最大透明切り替え状態への変化を伴う切り替え状態である。温度は、例えば、制御ユニット10によって、機能素子4の温度依存インピーダンス挙動によって確認される。第2の方法ステップでは、ランプ電圧が、例えば、コンピュータプログラム物品によって、制御ユニット10内に保存されているデータセットから、確認された温度に基づいて選択される。第3の方法ステップでは、制御ユニット10が、例えば、コンピュータプログラム物品によって、所望の切り替え状態に4つのセグメントS1、S2、S3、S4のうちの第1セグメントS1を到達させる目的で、選択されたランプ電圧を用いて必要な電圧を適用するように指示される。これら3つの方法ステップは、セグメントS1を所望の切り替え状態に変化させるための切り替え時間が、切り替え時間t
Switchに相当し、又は最小切り替え状態から最大切り替え状態に変化させるための切り替え速度が、切り替え速度v
Switchに相当するという結果を有する。第1セグメントS1の切り替え時間t
Switchが経過すると、所望の切り替え状態が到達され、選択されたランプ電圧による電圧が、4つのセグメントS1、S2、S3、S4のうちの第2セグメントS2に、適用される。第2セグメントS2に関する切り替え時間t
Switchが経過すると、この手順が第3セグメントS3で繰り返され、その後4つのセグメントS1、S2、S3、S4のうちの第4セグメント4で繰り返される。第2、第3、第4セグメントS2、S3、S4にも、それぞれのセグメントS2、S3、S4を所望の切り替え状態に変化させるための切り替え時間が、切り替え時間t
Switchに相当することが、適用される。機能素子4に応じて、電圧が、所望の切り替え状態が到達された後も維持されるか、又は電圧が制御ユニットによって適用されない状態への変化が起こる。
図1~4に示すような、PDLC機能素子を有するグレージングユニットに関するここで示す方法では、電圧は、例えば、所望の切り替え状態が到達された後も、それぞれのセグメントS1、S2、S3、S4に適用されている。エレクトロクロミック機能素子の場合、所望の切り替え状態が到達された後、電圧が制御ユニットによって適用されない状態、すなわち外部電圧が適用されない状態への変化が起こる。
【0095】
本発明による方法の第1実施形態では、少なくとも以下のステップが、開始後に実施される。
開始:[セグメントS1、S2、S3、S4に関する所望の切り替え状態を入力すること]
本方法は、4つのセグメントS1,S2,S3,S4に関する所望の切り替え状態を選択することによって開始される;
(a):[機能素子4の温度を確認すること]
グレージングユニットの機能素子4の温度は、コンピュータプログラム物品による指示の後、制御ユニット10によって確認される;
(b):[確認された温度に基づいてランプ電圧を選択すること]
ランプ電圧は、(a)から確認された温度に基づいて、制御ユニット10内に保存されたデータセットから選択されるか、又はプログラムされた関数によって計算される;
(c1):[セグメントS1にランプ電圧による電圧を、所望の切り替え状態に到達するまで、適用すること]
所望の切り替え状態に到達するために必要な電圧が、4つのセグメントS1、S2、S3、S4のうちの第1セグメントS1に、(b)において選択されたランプ電圧で適用される。また、電圧は、所望の切り替え状態が到達された後さらに適用され、それによって、第1セグメントS1が、所望の切り替え状態に留まる;
(c2):[セグメントS2にランプ電圧による電圧を、所望の切り替え状態に到達するまで、適用すること]
第1セグメントS1の切り替え時間tSwitchの経過後、電圧が、4つのセグメントS1、S2、S3、S4のうちの第2セグメントS2に、(b)において選択されたランプ電圧で適用される。また、電圧は、所望の切り替え状態が到達された後さらに適用され、それによって、第2セグメントS2が、所望の切り替え状態に留まる;
(c3):[セグメントS2にランプ電圧による電圧を、所望の切り替え状態に到達するまで、適用すること]
第2セグメントS2の切り替え時間tSwitchの経過後、電圧が、4つのセグメントS1、S2、S3、S4のうちの第3セグメントS3に、(b)において選択されたランプ電圧で適用される。また、電圧は、所望の切り替え状態が到達された後さらに適用され、それによって、第3セグメントS3が、所望の切り替え状態に留まる;
(c4):[セグメントS2にランプ電圧による電圧を、所望の切り替え状態に到達するまで、適用すること]
第3セグメントS3の切り替え時間tSwitchの経過後、電圧が、4つのセグメントS1、S2、S3、S4のうちの第4セグメントS4に、(b)において選択されたランプ電圧で適用される。また、電圧は、所望の切り替え状態が到達された後さらに適用され、それによって、第4セグメントS4が、所望の切り替え状態に留まる;
終了:本方法は完了し、終了する。
【0096】
このようにして、4つのセグメントS1、S2、S3、S4に、第1セグメントS1から第4セグメントS4まで、順次、所望の切り替え状態をもたらす。所望の切り替え状態に、切り替え時間tSwitchの経過とともに到達する。また、順序は異なりうる;例えば、最初に第4セグメントS4に、所望の切り替え状態をもたらしてよく、次に第3セグメントS3、次に第2セグメントS2、最後に第1セグメントS1に、所望の切り替え状態をもたらしてよい。ここに示した4つのセグメントS1、S2、S3、S4よりも少ない、又は多いセグメントもありうる。したがって、この方法は、異なる数のセグメントを用いても同様に実施されうる。また、セグメントを異なる切り替え状態に切り替えることもありうる。
【符号の説明】
【0097】
S1、S2、S3、S4 機能素子4のセグメント
【0098】
1 外側ペイン
2 内側ペイン
3 熱可塑性中間層
3a 中間層3の第1層
3b 中間層3の第2層
3c 中間層3の第3層
4 機能素子
5 活性層
6 第1キャリアフィルム
7 第2キャリアフィルム
8 第1平面電極
8.1、8.2、8.3、8.4 第1平面電極8の電極セグメント
8’ 電極セグメント8.1、8.2、8.3、8.4のうちいずれか2つの間の遮断線
9 第2平面電極
10 制御ユニット
11 DC-DCコンバータ
12 インバータ
13 カバー印刷
14 電気ケーブル
15 電圧源/DC電圧源
【0099】
100 積層ペイン
【0100】
X-X’ 断面線
Z 拡大領域
【手続補正書】
【提出日】2024-03-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0096
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0096】
このようにして、4つのセグメントS1、S2、S3、S4に、第1セグメントS1から第4セグメントS4まで、順次、所望の切り替え状態をもたらす。所望の切り替え状態に、切り替え時間tSwitchの経過とともに到達する。また、順序は異なりうる;例えば、最初に第4セグメントS4に、所望の切り替え状態をもたらしてよく、次に第3セグメントS3、次に第2セグメントS2、最後に第1セグメントS1に、所望の切り替え状態をもたらしてよい。ここに示した4つのセグメントS1、S2、S3、S4よりも少ない、又は多いセグメントもありうる。したがって、この方法は、異なる数のセグメントを用いても同様に実施されうる。また、セグメントを異なる切り替え状態に切り替えることもありうる。
本開示は、下記の態様を含む。
<態様1>
電気的に制御可能な光学特性を有するグレージングユニットであって、以下を有し:
- 電気的に制御可能な光学特性を有する機能素子(4)を有する、積層ペイン(100)、及び、
- 前記機能素子(4)に電気的に接続されている、制御ユニット(10)、
ここで、前記制御ユニット(10)は、データセット又はプログラムされた関数を有し、これは、予め定義された温度範囲内のそれぞれの温度にランプ電圧を割り当て、
ここで、前記制御ユニット(10)は:
- 温度を確認すること、
- 前記確認された温度に基づいて前記データセットからランプ電圧を選択すること、又は前記プログラムされた関数によってランプ電圧を計算すること、及び
- 前記選択されたランプ電圧又は前記計算されたランプ電圧で前記機能素子(4)に電圧を適用すること
に適している、グレージングユニット。
<態様2>
前記機能素子(4)が、異なる光学特性を有する少なくとも2つの切り替え状態を有し、温度依存切り替え時間が、2つの切り替え状態の間の変化のために必要とされ、その結果、任意の温度範囲において、ありうる限り最長の必要とされる切り替え時間に相当する、時間tmaxを有する温度が存在し、
ここで、前記確認された温度に基づいて、選択されたランプ電圧又は計算されたランプ電圧のそれぞれは、tmaxより長いか又はtmaxと等しい切り替え時間tSwitchをもたらし、それによって、前記切り替え時間tSwitchが、電圧が前記機能素子(4)に適用されるときに生じ、
ここで、「任意の温度範囲」とは、少なくとも1℃、好ましくは少なくとも2℃、特には少なくとも5℃にわたる温度範囲を意味する、態様1に記載のグレージングユニット。
<態様3>
前記機能素子(4)が、少なくとも2つの分離したセグメント(S1、S2、S3、S4)に分割され、各セグメント(S1、S2、S3、S4)が、前記制御ユニット(10)に電気的に接続され、それによって、前記選択されたランプ電圧又は前記計算されたランプ電圧による前記電圧が、各セグメント(S1、S2、S3、S4)に対して互いに独立して適用されうる、態様1又は態様2に記載のグレージングユニット。
<態様4>
前記制御ユニット(10)が、最初に前記電圧を、前記少なくとも2つの分離したセグメント(S1、S2、S3、S4)のうちの第1セグメント(S1)に適用するのに適しており、かつ前記電圧を、前記切り替え時間tSwitchの後にのみ、前記少なくとも2つの分離したセグメント(S1、S2、S3、S4)のうちのさらなるセグメント(S2)に適用するのに適しており、
ここで、前記少なくとも2つの分離したセグメント(S1、S2、S3、S4)は、好ましくは、同じ切り替え状態に変化する、態様3に記載のグレージングユニット。
<態様5>
2つの切り替え状態の間の変化が、比較的低温の場合に、比較的高温の場合よりも長い時間tmaxを必要とする、態様2~4のいずれかに記載のグレージングユニット。
<態様6>
前記機能素子(4)が、PDLC機能素子又はSPD機能素子である、態様1~5のいずれかに記載のグレージングユニット。
<態様7>
前記積層ペイン(100)が、外側ペイン(1)及び内側ペイン(2)を有し、前記機能素子(4)が、前記外側ペイン(1)と前記内側ペイン(2)との間に配置されている、態様1~5のいずれかに記載のグレージングユニット。
<態様8>
前記機能素子(4)が、第1平面電極(8)と第2平面電極(9)との間に活性層(5)を有し、前記機能素子(4)の前記電気的に制御可能な光学特性が、前記活性層(5)によって決定される、態様1~7のいずれかに記載のグレージングユニット。
<態様9>
前記第1及び/又は前記第2平面電極(8、9)は、インジウムスズ酸化物(ITO)に基づいて形成されている、態様8に記載のグレージングユニット。
<態様10>
電気的に制御可能な光学特性を有するグレージングユニットを制御する方法であって、これにおいて、態様1~9のいずれかに記載のグレージングユニットが提供され、ここで、前記制御ユニット(10)が以下を行う、方法:
(a) 温度を確認すること、
(b) 前記確認された温度に基づいて、前記データセットからランプ電圧を選択すること、又は前記プログラムされた関数によってランプ電圧を計算すること、及び、
(c) 前記機能素子(4)に、前記選択されたランプ電圧又は前記計算されたランプ電圧で電圧を適用すること。
<態様11>
前記機能素子(4)の温度が、前記積層ペイン(100)に取り付けられている温度センサーを用いて測定される、態様10に記載の方法。
<態様12>
前記機能素子(4)のインピーダンスが、前記制御ユニット(10)によって確認され、前記機能素子(4)の温度が、前記インピーダンスによって計算される、態様10に記載の方法。
<態様13>
前記制御ユニット(10)が、DC電圧源(15)に接続されており、かつ、前記DC電圧源(15)の一次電圧を比較的高い二次電圧に変換するDC電圧コンバータ(11)を備え、かつ、前記二次電圧を前記機能素子(4)に適用されるAC電圧に変換するインバータ(12)を備え、ここで、前記制御ユニット(10)は、前記インバータ(12)の消費電流の測定値から、前記機能素子(4)の前記インピーダンスを確認する、態様12に記載の方法。
<態様14>
態様1~9のいずれかに記載のグレージングユニットの制御ユニット(10)内に設置され、態様10~13のいずれかに記載の方法を実行するのに適している、コンピュータプログラム物品。
<態様15>
態様1~9のいずれかに記載のグレージングユニットの、乗り物の窓ペインとしての、特にはサイドペイン、ウィンドシールド、リアペイン、又はルーフペインとしての使用。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気的に制御可能な光学特性を有するグレージングユニットであって、以下を有し:
- 電気的に制御可能な光学特性を有する機能素子(4)を有する、積層ペイン(100)、及び、
- 前記機能素子(4)に電気的に接続されている、制御ユニット(10)、
ここで、前記制御ユニット(10)は、データセット又はプログラムされた関数を有し、これは、予め定義された温度範囲内のそれぞれの温度にランプ電圧を割り当て、
ここで、前記制御ユニット(10)は:
- 温度を確認すること、
- 前記確認された温度に基づいて前記データセットからランプ電圧を選択すること、又は前記プログラムされた関数によってランプ電圧を計算すること、及び
- 前記選択されたランプ電圧又は前記計算されたランプ電圧で前記機能素子(4)に電圧を適用すること
に適している、グレージングユニット。
【請求項2】
前記機能素子(4)が、異なる光学特性を有する少なくとも2つの切り替え状態を有し、温度依存切り替え時間が、2つの切り替え状態の間の変化のために必要とされ、その結果、任意の温度範囲において、ありうる限り最長の必要とされる切り替え時間に相当する、時間t
maxを有する温度が存在し、
ここで、前記確認された温度に基づいて、選択されたランプ電圧又は計算されたランプ電圧のそれぞれは、t
maxより長いか又はt
maxと等しい切り替え時間t
Switchをもたらし、それによって、前記切り替え時間t
Switchが、電圧が前記機能素子(4)に適用されるときに生じ、
ここで、「任意の温度範囲」とは、少なくとも1℃、好ましくは少なくとも2℃、特には少なくとも5℃にわたる温度範囲を意味する、請求項1に記載のグレージングユニット。
【請求項3】
前記機能素子(4)が、少なくとも2つの分離したセグメント(S1、S2、S3、S4)に分割され、各セグメント(S1、S2、S3、S4)が、前記制御ユニット(10)に電気的に接続され、それによって、前記選択されたランプ電圧又は前記計算されたランプ電圧による前記電圧が、各セグメント(S1、S2、S3、S4)に対して互いに独立して適用されうる、請求項1又は請求項2に記載のグレージングユニット。
【請求項4】
前記制御ユニット(10)が、最初に前記電圧を、前記少なくとも2つの分離したセグメント(S1、S2、S3、S4)のうちの第1セグメント(S1)に適用するのに適しており、かつ前記電圧を、前記切り替え時間t
Switchの後にのみ、前記少なくとも2つの分離したセグメント(S1、S2、S3、S4)のうちのさらなるセグメント(S2)に適用するのに適しており、
ここで、前記少なくとも2つの分離したセグメント(S1、S2、S3、S4)は、好ましくは、同じ切り替え状態に変化する、請求項3に記載のグレージングユニット。
【請求項5】
2つの切り替え状態の間の変化が、比較的低温の場合に、比較的高温の場合よりも長い時間t
maxを必要とする、請求項
2に記載のグレージングユニット。
【請求項6】
前記機能素子(4)が、PDLC機能素子又はSPD機能素子である、
請求項1又は請求項2に記載のグレージングユニット。
【請求項7】
前記積層ペイン(100)が、外側ペイン(1)及び内側ペイン(2)を有し、前記機能素子(4)が、前記外側ペイン(1)と前記内側ペイン(2)との間に配置されている、
請求項1又は請求項2に記載のグレージングユニット。
【請求項8】
前記機能素子(4)が、第1平面電極(8)と第2平面電極(9)との間に活性層(5)を有し、前記機能素子(4)の前記電気的に制御可能な光学特性が、前記活性層(5)によって決定される、
請求項1又は請求項2に記載のグレージングユニット。
【請求項9】
前記第1及び/又は前記第2平面電極(8、9)は、インジウムスズ酸化物(ITO)に基づいて形成されている、請求項8に記載のグレージングユニット。
【請求項10】
電気的に制御可能な光学特性を有するグレージングユニットを制御する方法であって、これにおいて、請求項
1に記載のグレージングユニットが提供され、ここで、前記制御ユニット(10)が以下を行う、方法:
(a) 温度を確認すること、
(b) 前記確認された温度に基づいて、前記データセットからランプ電圧を選択すること、又は前記プログラムされた関数によってランプ電圧を計算すること、及び、
(c) 前記機能素子(4)に、前記選択されたランプ電圧又は前記計算されたランプ電圧で電圧を適用すること。
【請求項11】
前記機能素子(4)の温度が、前記積層ペイン(100)に取り付けられている温度センサーを用いて測定される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記機能素子(4)のインピーダンスが、前記制御ユニット(10)によって確認され、前記機能素子(4)の温度が、前記インピーダンスによって計算される、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記制御ユニット(10)が、DC電圧源(15)に接続されており、かつ、前記DC電圧源(15)の一次電圧を比較的高い二次電圧に変換するDC電圧コンバータ(11)を備え、かつ、前記二次電圧を前記機能素子(4)に適用されるAC電圧に変換するインバータ(12)を備え、ここで、前記制御ユニット(10)は、前記インバータ(12)の消費電流の測定値から、前記機能素子(4)の前記インピーダンスを確認する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
請求項1又は請求項2に記載のグレージングユニットの制御ユニット(10)内に設置され、請求項10~13のいずれか1項に記載の方法を実行するのに適している、コンピュータプログラム物品。
【請求項15】
請求項1又は請求項2に記載のグレージングユニットの、乗り物の窓ペインとしての、特にはサイドペイン、ウィンドシールド、リアペイン、又はルーフペインとしての使用。
【国際調査報告】