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特表2024-534110ロボット外科手術用デバイス用の位置決めシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-18
(54)【発明の名称】ロボット外科手術用デバイス用の位置決めシステム
(51)【国際特許分類】
   A61B 34/35 20160101AFI20240910BHJP
【FI】
A61B34/35
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024510685
(86)(22)【出願日】2022-08-23
(85)【翻訳文提出日】2024-04-15
(86)【国際出願番号】 IB2022057894
(87)【国際公開番号】W WO2023026191
(87)【国際公開日】2023-03-02
(31)【優先権主張番号】63/235,832
(32)【優先日】2021-08-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520060483
【氏名又は名称】モーメンティス サージカル リミテッド
【氏名又は名称原語表記】MOMENTIS SURGICAL LTD.
【住所又は居所原語表記】3 YEHADUT CANADA STREET OR-YEHUDA, ISRAEL 6037503
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】ローテム, イダン
(72)【発明者】
【氏名】ソコル, ネリー
(72)【発明者】
【氏名】ロン, アダム
(72)【発明者】
【氏名】ミッツェル, フィリップ
【テーマコード(参考)】
4C130
【Fターム(参考)】
4C130AA04
4C130AA13
4C130AA34
4C130AB02
4C130AD02
4C130BA04
(57)【要約】
ロボット外科手術用デバイス用の位置決めシステムは、車輪付きベースから延びる支柱部を備える下部と、支柱部によって支持され、ロボット外科手術用デバイスのモータ制御ユニットをそこに固定するために適合されたドッキングインターフェースを含む上部と、遠隔ユーザ入力に応答して、ドッキングインターフェースに固定されたロボット外科手術用デバイスを、モータ制御ユニットの外科手術用アーム受容容積に近位側が取り付けられた外科手術用アームの遠位端部を中心に枢動させるように、上部を垂直方向に変位させると同時に、支柱部と上部との間に介在するピッチ軸部材を中心にピッチングさせるようにプログラムされた電子回路機構と、を備える。
【選択図】図6A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボット外科手術用デバイス用の位置決めシステムであって、前記位置決めシステムは、
a.下部、
b.上部、および
c.電子回路機構、を備え、
前記下部は、車輪付きベースから延びる支柱部を備え、
前記上部は、前記支柱部によって支持され、かつ、ロボット外科手術用デバイスのモータ制御ユニットをそこに固定するために適合されたドッキングインターフェースを備え、
前記上部は、第1遠隔ユーザ入力に応答して垂直方向に変位するように構成され、かつ、第2遠隔ユーザ入力に応答して、前記支柱部と前記上部との間に介在するピッチ軸部材を中心にピッチングするように構成され、
前記電子回路機構は、第3遠隔ユーザ入力に応答して前記上部を垂直方向に変位させると同時に、前記ピッチ軸部材を中心にピッチングさせるようにプログラムされており、これにより前記ドッキングインターフェースに固定された前記ロボット外科手術用デバイスを、近位側が前記モータ制御ユニットの外科手術用アーム受容容積に取り付けられた外科手術用アームの遠位端部を中心に枢動するように構成されている、
ている、位置決めシステム。
【請求項2】
前記電子回路機構は、前記外科手術用アームの前記遠位端部を変位させることなく、前記外科手術用アームの前記遠位端部を中心とする前記ロボット外科手術用デバイスの前記枢動をもたらすようにプログラムされている、請求項1に記載の位置決めシステム。
【請求項3】
前記外科手術用アームの前記遠位端部は、これに結合されたエンドエフェクタを有することを特徴とし、
前記外科手術用アームの前記遠位端部を中心とする前記ロボット外科手術用デバイスの前記枢動は、前記エンドエフェクタの遠位端部を中心とする前記ロボット外科手術用デバイスの枢動を含む、請求項1または2のいずれか1項に記載の位置決めシステム。
【請求項4】
ユーザからの前記第1、前記第2および前記第3遠隔ユーザ入力を受信するように配置されたユーザ入力デバイスをさらに備える、請求項1~3のいずれか1項に記載の位置決めシステム。
【請求項5】
前記ドッキングインターフェースは、第4遠隔ユーザ入力に応答して長手方向に変位するように構成されている、請求項1~4のいずれか1項に記載の位置決めシステム。
【請求項6】
前記ユーザ入力デバイスは、前記ユーザからの前記第4遠隔ユーザ入力を受け取るようにさらに配置されている、請求項5に記載の位置決めシステム。
【請求項7】
前記電子回路機構は、第5遠隔ユーザ入力に応答して、前記上部の垂直方向の変位およびピッチングと同時に、前記ドッキングインターフェースを長手方向に変位させるようにさらにプログラムされている、請求項5または6に記載の位置決めシステム。
【請求項8】
前記外科手術用アームをターゲットベクトルにアラインメントさせるための視覚補助装置をさらに備える、請求項1~7のいずれか1項に記載の位置決めシステム。
【請求項9】
前記ターゲットベクトルは、外科手術用アクセスチャネルの位置および外科手術用アクセスチャネルの向きの少なくとも一方を記述する、請求項8に記載の位置決めシステム。
【請求項10】
前記支柱部は、少なくとも一部が伸縮自在である、請求項1~9のいずれか1項に記載の位置決めシステム。
【請求項11】
前記位置決めシステムは、前記モータ制御ユニットに電力を供給するように構成されている、請求項1~10のいずれか1項に記載の位置決めシステム。
【請求項12】
方法であって、
a.前記モータ制御ユニットは前記ドッキングインターフェースに固定され、前記外科手術用アームは近位側が前記モータ制御ユニットの外科手術用アーム受容容積に取り付けられている組み立て状態の、請求項1~11のいずれか1項に記載の前記位置決めシステムを用意するステップ、
b.前記位置決めシステムをターゲット位置に近接して位置決めするステップ、
c.前記外科手術用アームの前記遠位端部が前記ターゲット位置に配置されたときに、前記第3遠隔ユーザ入力を受信するステップ、および
d.前記第3遠隔ユーザ入力の受信に応答して、前記ロボット外科手術用デバイスが前記外科手術用アームの前記遠位端部を中心に枢動するように、前記上部を垂直方向に変位させると同時に、前記上部を前記ピッチ軸部材を中心にピッチングさせるステップ、を備える、方法。
【請求項13】
前記位置決めするステップの後、前記外科手術用アームの前記遠位端部が前記ターゲット位置に配置されるまで、前記上部を垂直方向に変位させるステップをさらに備える、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ターゲット位置は前記外科手術用アクセスチャネルに近接している、請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
前記外科手術用アームが前記外科手術用アクセスチャネルとアラインメントするように方向付けられたときに、前記外科手術用アームの前記遠位端部を中心とした前記ロボット外科手術用デバイスの前記枢動を停止するステップをさらに備える、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記停止するステップは、前記外科手術用アームが前記外科手術用アクセスチャネルとアラインメントするように方向付けられているという視覚補助装置のインディケーションに応答して行われる、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記視覚補助装置は、レーザー照射器を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
ロボット外科手術用デバイス用の位置決めシステムであって、前記位置決めシステムは、
a.下部、
b.上部、および
c.電子回路機構、を備え、
前記下部は、車輪付きベースから延びる支柱部を備え、
前記上部は、前記支柱部によって支持され、かつ、ロボット外科手術用デバイスのモータ制御ユニットをこの上に固定するために適合されたドッキングインターフェースを備え、
前記上部は、垂直方向に変位するように構成され、かつ、前記支柱部と前記上部との間に介在するピッチ軸部材を中心にピッチングするように構成され、
前記電子回路機構は、前記上部を垂直方向に変位させると同時に、前記ピッチ軸部材を中心としてピッチングさせるようにプログラムされており、前記モータ制御ユニットを、遠隔ターゲット点を中心として枢動させ、前記モータ制御ユニットの動作ベクトルを前記遠隔ターゲット点におけるターゲットベクトルにアラインメントさせるように構成されている、位置決めシステム。
【請求項19】
前記動作ベクトルを前記ターゲットベクトルにアラインメントさせるステップは、
i.前記遠隔ターゲット点を捉えるように、前記モータ制御ユニットの前記動作ベクトルを整列させるステップ、
ii.前記モータ制御ユニットの前記動作ベクトルを前記遠隔ターゲット点におけるターゲットベクトルにアラインメントさせるために、前記遠隔ターゲット点を中心に前記モータ制御ユニットを枢動させるステップ、を含む、請求項18に記載の位置決めシステム。
【請求項20】
前記動作ベクトルを前記ターゲットベクトルにアラインメントさせるステップは、オフセットベクトルをオフセットターゲットベクトルにアラインメントさせるステップを含む、請求項18または19に記載の位置決めシステム。
【請求項21】
前記電子回路機構は、前記モータ制御ユニットが前記ドッキングインターフェースに固定されている間に、前記上部を垂直方向に変位させると同時に前記ピッチ軸部材を中心にピッチングさせるようにプログラムされている、請求項18から20のいずれか1項に記載の位置決めシステム。
【請求項22】
前記電子回路機構は、前記外科手術用アームの近位側が前記モータ制御ユニットの外科手術用アーム受容容積に取り付けられている間に、前記上部を垂直方向に変位させると同時に前記ピッチ軸部材を中心にピッチングさせるようにプログラムされている、請求項21に記載の位置決めシステム。
【請求項23】
前記モータ制御ユニットの外科手術用アーム受容容積が、外科手術用アームの近位部分を受容するように構成されている、請求項21または22に記載の位置決めシステム。
【請求項24】
前記外科手術用アーム受容容積に近位側が取り付けられた外科手術用アームは、前記動作ベクトルとアラインメントしている、請求項22または23に記載の位置決めシステム。
【請求項25】
前記電子回路機構は、前記上部の垂直方向の変位およびピッチングと同時に、前記ドッキングインターフェースを長手方向に変位させるようにさらにプログラムされている、請求項18から24のいずれか1項に記載の位置決めシステム。
【請求項26】
前記電子回路機構は、前記動作ベクトルを前記ターゲットベクトルにアラインメントさせるステップの後に、前記ドッキングインターフェースを長手方向に変位させるようにさらにプログラムされている、請求項18から25のいずれか1項に記載の位置決めシステム。
【請求項27】
前記動作ベクトルを前記ターゲットベクトルにアラインメントさせるための視覚補助装置をさらに備える、請求項18から26のいずれか1項に記載の位置決めシステム。
【請求項28】
ロボット外科手術用デバイス用の位置決めシステムであって、前記位置決めシステムは、
a.上部、および
b.下部、を備え、
前記上部は、ロボット手術装置のモータ制御ユニットをそこに固定するために適合されたドッキングインターフェースを備え、
前記下部は、
i.位置決め、位置調節、および静止のそれぞれの動作モードにおいて前記位置決めシステムを支持するように配置された、それぞれの複数の支持要素、および
ii.前記位置決めシステムの支持をあるそれぞれの複数の支持要素から別の支持要素に移すように構成された1つまたは複数のモードチェンジペダル、を備え、
前記それぞれの複数の支持要素は、それぞれ複数の車輪、複数のボールキャスター、および複数の車輪なし脚を備え、
前記モードチェンジペダルは、(A)前記位置決めシステムが前記複数の車輪によって支持されているときのモードチェンジペダルの適用は、前記位置決めシステムの支持を前記複数のボールキャスターに移すのに有効であり、かつ、(B)前記位置決めシステムが前記複数のボールキャスターによって支持されているときのモードチェンジペダルの適用は、前記位置決めシステムの支持を前記複数の車輪なし脚に移すのに有効であるように配置されている、位置決めシステム。
【請求項29】
前記1つまたは複数のモードチェンジペダルのうちの少なくとも1つは、適用されると前記複数の車輪を持ち上げるように配置されている、請求項28に記載の位置決めシステム。
【請求項30】
前記1つまたは複数のモードチェンジペダルは、第1モードチェンジペダルと第2モードチェンジペダルとを備え、
前記位置決めシステムが前記複数の車輪によって支持されているとき、前記第1モードチェンジペダルの適用は、前記位置決めシステムの支持を前記複数のボールキャスターに移すのに有効であり、
前記第2モードチェンジペダルの適用は、前記位置決めシステムの支持を前記複数の車輪なし脚に移すのに有効である、請求項28または29に記載の位置決めシステム。
【請求項31】
前記複数の車輪の各車輪は第1直径を有し、
前記複数のボールキャスターの各ボールキャスターは第2直径を有し、
前記第1直径は前記第2直径の少なくとも3倍大きい、請求項28から30のいずれか1項に記載の位置決めシステム。
【請求項32】
前記上部は、遠隔ユーザ入力に応答して垂直方向に変位するように構成されている、請求項28から31のいずれか1項に記載の位置決めシステム。
【請求項33】
前記上部は、遠隔ユーザ入力に応答して、前記下部と前記上部との間に介在するピッチ軸部材を中心としてピッチングするように構成されている、請求項28から32のいずれか1項に記載の位置決めシステム。
【請求項34】
前記ドッキングインターフェースは、遠隔ユーザ入力に応答して長手方向に変位するように構成されている、請求項28から33のいずれか1項に記載の位置決めシステム。
【請求項35】
方法であって、
a.用意するステップ、
b.位置決めするステップ、および、
c.適用するステップ、
前記用意するステップは、ロボット外科手術用デバイス用の位置決めシステムを設け、前記位置決めシステムは、(i)位置決め、位置調整、および静止の各動作モードで前記位置決めシステムを支持するように配置されたそれぞれの複数の支持要素、および、(ii)前記位置決めシステムの支持を、あるそれぞれの複数の支持要素から別の支持要素に移すように構成された1つまたは複数のモードチェンジペダルと、を備え、
前記それぞれの複数の支持要素は、それぞれ複数の車輪、複数のボールキャスター、および複数の車輪なし脚を備え、
前記位置決めするステップは、前記位置決めシステムが前記複数の車輪によって支持された状態で、前記位置決めシステムを位置決めし、
前記適用するステップは、前記1つまたは複数のモードチェンジペダルのうちの1つを適用して、前記位置決めシステムの支持を前記複数の車輪なし脚に移し、これによって前記位置決めシステムを前記静止動作モードにする、方法。
【請求項36】
前記位置決めシステムの位置決めするステップの後に、
i.前記位置決めシステムの支持を前記複数の車輪から前記複数のボールキャスターに移すために前記1つまたは複数のモードチェンジペダルのうちの1つを適用するステップ、および
ii.前記ボールキャスターによって支持された前記位置決めシステムで、前記位置決めシステムの位置決めを調整するステップ、をさらに備える、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記1つまたは複数のモードチェンジペダルの少なくとも1つは、適用されたときに前記複数の車輪を持ち上げるように配置される、請求項35または36に記載の方法。
【請求項38】
医療用装置であって、
a.ロボット外科手術用デバイスのモータ制御ユニットをそこに固定するために適合されたドッキングインターフェースを備える位置決めシステム、
b.前記ドッキングインターフェースに結合され、かつ、位置決めシステムの遠位方向に照明光を生成するように動作可能な照明光源、ならびに、
c.(i)照明ターゲットおよびアイアンサイト遠位方向を画定するように互いにアラインメントされた第1および第2アイアンサイトを備え、(ii)前記ロボット外科手術用デバイスの1つまたは複数の外科手術用アームのそれぞれの遠位部分の横断を可能にするように形成された外科手術用アクセスチャネルを結合するように構成された、アクセスチャネルアセンブリフレームを備え、
前記モータ制御ユニットは、1つまたは複数の外科手術用アーム受容容積を備え、
前記照明光源は、少なくとも前記位置決めシステムの遠位方向に直交する横方向において、前記1つまたは複数の外科手術用アーム受容体積からオフセットされており、
前記結合は、前記第1および第2アイアンサイトが、少なくとも、前記アイアンサイト遠位方向と直交する横方向において、前記結合された外科手術用アクセスチャネルからオフセットされており、
前記1つまたは複数のアーム受容容積からの前記照明光源の横方向のオフセットは、前記アクセスチャネルからの前記第1および第2アイアンサイトの横方向のオフセットと実質的に同じである、医療用装置。
【請求項39】
i.前記アクセスチャネルアセンブリフレームは、これに結合された外科手術用アクセスチャネルを有し、かつ、外科手術用入口点に配置され、
ii.前記ドッキングインターフェースが、前記モータ制御ユニットがこれに搭載された組み立て状態で、外科手術用入口に近接する位置に配置され、かつ、前記1つまたは複数の外科手術用アームは、前記モータ制御ユニットのそれぞれのアーム受容容積に近位側が受容され、および、
iii.前記照明光源を動作させ、前記位置決めシステムの遠位方向に照明光を生成するとき、
前記照明光源が前記照明ターゲットを照らすように、前記ドッキングインターフェースの位置および前記ドッキングインターフェースの向きの少なくとも一方を調節するステップは、前記外科手術用アクセスチャネルを通る遠位端部が通過するために前記1つまたは複数の外科手術用アームをアラインメントさせるのに有効である、請求項38に記載の医療用装置。
【請求項40】
前記照明光源は、レーザー照明器を含む、請求項38または39に記載の医療用装置。
【請求項41】
前記アイアンサイトは折り畳み式サイトであり、
前記画定された照射ターゲットおよびアイアンサイト遠近方向は、前記サイトが折り畳まれた状態で画定される、請求項38から40のいずれか1項に記載の医療用装置。
【請求項42】
前記ドッキングインターフェースは、遠隔ユーザ入力に応答して垂直方向に変位するように構成されている、請求項38から41のいずれか1項に記載の医療用装置。
【請求項43】
前記ドッキングインターフェースは、遠隔ユーザ入力に応答して、前記位置決めシステムのピッチ軸部材を中心に枢動するように構成されている、請求項38から42のいずれか1項に記載の医療用装置。
【請求項44】
前記ドッキングインターフェースは、遠隔ユーザ入力に応答して長手方向に変位するように構成されている、請求項38から43のいずれか1項に記載の医療用装置。
【請求項45】
請求項38から44のいずれか1項に記載の医療用装置を使用する方法であって、前記方法は、
a.前記アクセスチャネルアセンブリフレームに結合された前記外科手術用アクセスチャネルを、外科手術用入口点に配置するステップ、
b.前記位置決めシステムに前記モータ制御ユニットが搭載された組み立て状態の前記位置決めシステムを、外科手術用入口に近接する位置に位置決めするステップ、
c.前記位置決めシステムの遠位方向に照明光を発生させるために前記照明光源を動作させるステップ、ならびに
d.前記照明光源が前記照明ターゲットを照らすように、前記ドッキングインターフェースの位置および前記ドッキングインターフェースの向きの少なくとも一方を調整するステップ、を備え、
前記1つまたは複数の外科手術用アームは、近位側が前記モータ制御ユニットのそれぞれのアーム受容容積に受容されている、方法。
【請求項46】
前記調整するステップは、前記外科手術用アクセスチャネルを通る遠位端部の通過のために前記1つまたは複数の外科手術用アームをアラインメントさせるのに有効である、請求項45に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
【0002】
本特許出願は、2021年8月23日に出願された米国仮特許出願第63/235,832号の利益を主張するものであり、この全体が参照により本明細書に援用される。
【0003】
本発明は、ロボット外科手術用デバイスと共に使用するためのカートおよび移動式台座を含む位置決めシステムに関し、特に、1つまたは複数の細長い機械アームを備えるロボット外科手術用デバイスに関する。
【背景技術】
【0004】
低侵襲外科手術に利点があることは十分に確立されている。このような外科手術用の器具は、典型的に、小さな開口部(例えば、体壁切開、自然開口部)を通じて挿入されて外科手術部位に到達する多関節外科手術用アーム(好ましくは最小直径を有する)の遠位端部に位置する外科手術用エンドエフェクタを有する。いくつかの例では、外科手術用器具はカニューレに通され、内視鏡を使用して外科手術部位の画像を提供することができる。
【0005】
利便性、精度、被験者の健康のために、エンドエフェクタ(例えば、組織の融着や切断などの外科手術用ツール、または測定ツール)を利用した外科手術用器具が開発されてきた。場合によっては、最終的にエンドエフェクタの位置を制御し、外科手術用アームの長手軸を基準にしてエンドエフェクタの向きを変えるために、多関節外科手術用アームは様々な入力デバイス(例えば、ハンド制御やフット制御)を用いて遠隔制御する1つまたは複数の曲げ部を有している。
【0006】
アームを精密に制御するために、モータ制御ユニットには外科手術用アームの歯車と噛み合う歯車が含まれる。車輪付きカートや車輪なしカート、移動式台座などの形態の位置決めシステムを使用して、モータ制御ユニットを支持し、モータ制御ユニットとインターフェースで接続し、外科手術を開始するためのターゲット位置に外科手術用器具を近接させることができる。既存の位置決めシステムは、位置を精密に調整するための機構、外科手術を開始するために外科手術用アームをターゲットベクトルに精度良くアラインメントするための機構、および必要な精密なアラインメントを実現するために3次元空間を通して外科手術用器具を移動および方向付けるための機構を欠いていることが既知である。
【発明の概要】
【0007】
本明細書に開示された実施形態によれば、ロボット外科手術用デバイス用の位置決めシステムは、(a)車輪付きベースから延びる支柱部を備える下部、(b)前記支柱部によって支持され、かつ、ロボット外科手術用デバイスのモータ制御ユニットをそこに固定するために適合されたドッキングインターフェースを備える上部(上部は、第1遠隔ユーザ入力に応答して垂直方向に変位するように構成され、かつ、第2遠隔ユーザ入力に応答して、前記支柱部と前記上部との間に介在するピッチ軸部材を中心にピッチングするように構成される)、および(c)第3遠隔ユーザ入力に応答して、前記上部を垂直方向に変位させると同時に、前記ピッチ軸部材を中心にピッチングさせるようにプログラムされている電子回路機構(これにより、前記ドッキングインターフェースに固定されたロボット外科手術用デバイスを、近位側が前記モータ制御ユニットの外科手術用アーム受容容積に取り付けられている外科手術用アームの遠位端部を中心に枢動するように構成される)を備える。
【0008】
いくつかの実施形態では、前記電子回路機構は、前記外科手術用アームの前記遠位端部を変位させることなく、前記外科手術用アームの前記遠位端部を中心とする前記ロボット外科手術用デバイスの前記枢動をもたらすようにプログラムされ得る。
【0009】
いくつかの実施形態では、前記外科手術用アームの前記遠位端部は、これに結合されたエンドエフェクタを有することを特徴とすることができ、前記外科手術用アームの前記遠位端部を中心とする前記ロボット外科手術用デバイスの前記枢動は、前記エンドエフェクタの遠位端部を中心とする前記ロボット外科手術用デバイスの枢動を含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、位置決めシステムは、ユーザからの前記第1、前記第2および前記第3遠隔ユーザ入力を受信するように配置されたユーザ入力デバイスをさらに備えることができる。
【0011】
いくつかの実施形態では、前記ドッキングインターフェースは、第4遠隔ユーザ入力に応答して長手方向に変位するように構成され得る。いくつかの実施形態では、前記ユーザ入力デバイスは、前記ユーザからの前記第4遠隔ユーザ入力を受け取るようにさらに配置され得る。
【0012】
いくつかの実施形態では、前記電子回路機構は、第5遠隔ユーザ入力に応答して、前記上部の垂直方向の変位およびピッチングと同時に、前記ドッキングインターフェースを長手方向に変位させるようにさらにプログラムされ得る
【0013】
いくつかの実施形態では、位置決めシステムは、前記外科手術用アームをターゲットベクトルにアラインメントさせるための視覚補助装置をさらに備えることができる。いくつかの実施形態では、前記ターゲットベクトルは、外科手術用アクセスチャネルの位置および外科手術用アクセスチャネルの向きの少なくとも一方を記述することができる。
【0014】
いくつかの実施形態では、前記支柱部は、少なくとも一部が伸縮自在とできる。
【0015】
実施形態によれば、方法が開示され、前記方法は、(a)前記モータ制御ユニットは前記ドッキングインターフェースに固定され、外科手術用アームは近位側が前記モータ制御ユニットの外科手術用アーム受容容積に取り付けられている組み立て状態の、前記請求項のいずれか1項に記載の前記位置決めシステムを用意するステップ、(b)前記位置決めシステムをターゲット位置に近接して位置決めするステップ、(c)前記外科手術用アームの前記遠位端部が前記ターゲット位置に配置されたときに、前記第3遠隔ユーザ入力を受信するステップ、および(d)前記第3遠隔ユーザ入力の受信に応答して、前記ロボット外科手術用デバイスが前記外科手術用アームの前記遠位端部を中心に枢動するように、前記上部を垂直方向に変位させると同時に、前記上部を前記ピッチ軸部材を中心にピッチングさせるステップ、を備える。
【0016】
いくつかの実施形態では、前記位置決めするステップの後、前記外科手術用アームの前記遠位端部が前記ターゲット位置に配置されるまで、前記上部を垂直方向に変位させるステップをさらに備えることができる。
【0017】
いくつかの実施形態では、前記ターゲット位置は外科手術用アクセスチャネルに近接し得る。
【0018】
いくつかの実施形態では、前記方法は、前記外科手術用アームが前記外科手術用アクセスチャネルとアラインメントするように方向付けられたときに、前記外科手術用アームの前記遠位端部を中心とした前記ロボット外科手術用デバイスの前記枢動を停止するステップをさらに備えることができる。いくつかの実施形態では、前記停止するステップは、前記外科手術用アームが前記外科手術用アクセスチャネルとアラインメントするように方向付けられているという視覚補助装置のインディケーションに応答するものとできる。いくつかの実施形態では、前記視覚補助装置は、レーザー照射器を含むことができる。
【0019】
本明細書に開示された実施形態によれば、ロボット外科手術用デバイス用の位置決めシステムは、(a)ロボット手術装置のモータ制御ユニットをそこに固定するために適合されたドッキングインターフェースを備える上部、ならびに、(b)(i)位置決め、位置調節、および静止のそれぞれの動作モードにおいて前記位置決めシステムを支持するように配置された、それぞれの複数の支持要素(前記それぞれの複数の支持要素は、それぞれ複数の車輪、複数のボールキャスター、および複数の車輪なし脚を備える)、および、(ii)前記位置決めシステムの支持をあるそれぞれの複数の支持要素から別の支持要素に移すように構成された1つまたは複数のモードチェンジペダル(前記モードチェンジペダルは、(A)前記位置決めシステムが前記複数の車輪によって支持されているときのモードチェンジペダルの適用は、前記位置決めシステムの支持を前記複数のボールキャスターに移すのに有効であり、かつ、(B)前記位置決めシステムが前記複数のボールキャスターによって支持されているときのモードチェンジペダルの適用は、前記位置決めシステムの支持を前記複数の車輪なし脚に移すのに有効であるように配置されている)を備える下部、を備える。
【0020】
いくつかの実施形態では、前記1つまたは複数のモードチェンジペダルのうちの少なくとも1つは、適用されると前記複数の車輪を持ち上げるように配置され得る。
【0021】
いくつかの実施形態では、前記1つまたは複数のモードチェンジペダルは、第1モードチェンジペダルと第2モードチェンジペダルとを備え、前記位置決めシステムが前記複数の車輪によって支持されているとき、前記第1モードチェンジペダルの適用は、前記位置決めシステムの支持を前記複数のボールキャスターに移すのに有効であり、前記第2モードチェンジペダルの適用は、前記位置決めシステムの支持を前記複数の車輪なし脚に移すのに有効であるものとすることができる。
【0022】
いくつかの実施形態では、前記複数の車輪の各車輪は第1直径を有し、前記複数のボールキャスターの各ボールキャスターは第2直径を有し、前記第1直径は前記第2直径の少なくとも3倍大きいものとすることができる。
【0023】
いくつかの実施形態では、前記上部は、遠隔ユーザ入力に応答して垂直方向に変位するように構成され得る。
【0024】
いくつかの実施形態では、前記上部は、遠隔ユーザ入力に応答して、前記下部と前記上部との間に介在するピッチ軸部材を中心としてピッチングするように構成され得る。
【0025】
いくつかの実施形態では、前記ドッキングインターフェースは、遠隔ユーザ入力に応答して長手方向に変位するように構成され得る。
【0026】
実施形態に係る方法が開示されている。方法は、(a)ロボット外科手術用デバイス用の位置決めシステムを用意するステップ(前記位置決めシステムは、(i)位置決め、位置調整、および静止の各動作モードで前記位置決めシステムを支持するように配置されたそれぞれの複数の支持要素(前記それぞれの複数の支持要素は、それぞれ複数の車輪、複数のボールキャスター、および複数の車輪なし脚を備える)、および、(ii)前記位置決めシステムの支持を、あるそれぞれの複数の支持要素から別の支持要素に移すように構成された1つまたは複数のモードチェンジペダルと、を備える)、(b)前記位置決めシステムが前記複数の車輪によって支持された状態で、前記位置決めシステムを位置決めするステップ、ならびに、(c)前記位置決めシステムの支持を前記複数の車輪なし脚に移し、これによって前記位置決めシステムを前記静止動作モードにするために前記1つまたは複数のモードチェンジペダルのうちの1つを適用するステップを備える。
【0027】
いくつかの実施形態では、前記方法は、前記位置決めシステムの位置決めするステップの後に、(i)前記位置決めシステムの支持を前記複数の車輪から前記複数のボールキャスターに移すために前記1つまたは複数のモードチェンジペダルのうちの1つを適用するステップ、および(ii)前記ボールキャスターによって支持された前記位置決めシステムで、前記位置決めシステムの位置決めを調整するステップ、をさらに備えることができる。
【0028】
いくつかの実施形態では、前記1つまたは複数のモードチェンジペダルの少なくとも1つは、適用されたときに前記複数の車輪を持ち上げるように配置され得る。
【0029】
本明細書に開示された実施形態によれば、医療用装置は、(a)ロボット外科手術用デバイスのモータ制御ユニットをそこに固定するために適合されたドッキングインターフェースを備える位置決めシステム(前記モータ制御ユニットは、1つまたは複数の外科手術用アーム受容容積を備える)、(b)前記ドッキングインターフェースに結合され、かつ、位置決めシステムの遠位方向に照明光を生成するように動作可能な照明光源(前記照明光源は、少なくとも位置決めシステムの遠位方向に直交する横方向において、前記1つまたは複数の外科手術用アーム受容体積からオフセットされている)、ならびに、(c)(i)照明ターゲットおよびアイアンサイト遠位方向を画定するように互いにアラインメントされた第1および第2アイアンサイトを備え、(ii)前記ロボット外科手術用デバイスの1つまたは複数の外科手術用アームのそれぞれの遠位部分の横断を可能にするように形成された外科手術用アクセスチャネルを結合するように構成された、アクセスチャネルアセンブリフレーム(前記結合は、前記第1および第2アイアンサイトが、少なくとも、前記アイアンサイト遠位方向と直交する横方向において、前記結合された外科手術用アクセスチャネルからオフセットされている)を備え、前記1つまたは複数のアーム受容容積からの前記照明光源の横方向のオフセットは、前記アクセスチャネルからの前記第1および第2アイアンサイトの横方向のオフセットと実質的に同じである。
【0030】
いくつかの実施形態では、(i)前記アクセスチャネルアセンブリフレームは、これに結合された外科手術用アクセスチャネルを有し、かつ、外科手術用入口点に配置され、および/または(ii)前記ドッキングインターフェースが、前記モータ制御ユニットがこれに搭載された組み立て状態で、外科手術用入口に近接する位置に配置され、かつ、1つまたは複数の外科手術用アームは、前記モータ制御ユニットのそれぞれのアーム受容容積に近位側が受容され、および/または(iii)前記照明光源を動作させ、前記位置決めシステムの遠位方向に照明光を生成するとき、前記照明光源が前記照明ターゲットを照らすように、前記ドッキングインターフェースの位置および前記ドッキングインターフェースの向きの少なくとも一方を調節するステップは、前記外科手術用アクセスチャネルを通る遠位端部が通過するために前記1つまたは複数の外科手術用アームをアラインメントさせるのに有効であり得る。いくつかの実施形態では、前記照明光源は、レーザー照明器を含むことができる。
【0031】
いくつかの実施形態では、前記アイアンサイトは折り畳み式サイトとでき、前記画定された照射ターゲットおよびアイアンサイト遠近方向は、前記サイトが折り畳まれた状態で画定される。
【0032】
いくつかの実施形態では、前記ドッキングインターフェースは、遠隔ユーザ入力に応答して垂直方向に変位するように構成され得る。
【0033】
いくつかの実施形態では、前記ドッキングインターフェースは、遠隔ユーザ入力に応答して、前記位置決めシステムのピッチ軸部材を中心に枢動するように構成され得る。
【0034】
いくつかの実施形態では、前記ドッキングインターフェースは、遠隔ユーザ入力に応答して長手方向に変位するように構成され得る。
【0035】
実施形態によれば、本明細書に開示された実施形態のいずれか1つに係る医療用装置を資料する方法が開示される。前記方法は、(a)前記アクセスチャネルアセンブリフレームに結合された前記外科手術用アクセスチャネルを、外科手術用入口点に配置するステップ、(b)前記位置決めシステムに前記モータ制御ユニットが搭載された組み立て状態の前記位置決めシステムを、外科手術用入口に近接する位置に位置決めするステップ(前記1つまたは複数の外科手術用アームは、近位側が前記モータ制御ユニットのそれぞれのアーム受容容積に受容されている)、(c)前記位置決めシステムの遠位方向に照明光を発生させるために前記照明光源を動作させるステップ、ならびに(d)前記照明光源が前記照明ターゲットを照らすように、前記ドッキングインターフェースの位置および前記ドッキングインターフェースの向きの少なくとも一方を調整するステップ、を備える。
【0036】
いくつかの実施形態では、前記調整するステップは、前記外科手術用アクセスチャネルを通る遠位端部の通過のために前記1つまたは複数の外科手術用アームをアラインメントさせるのに有効であり得る。
【0037】
本明細書に開示された実施形態によれば、ロボット外科手術用デバイス用の位置決めシステムは、
(a)車輪付きベースから延びる支柱部を備える下部、(b)前記支柱部によって支持され、かつ、ロボット外科手術用デバイスのモータ制御ユニットをこの上に固定するために適合されたドッキングインターフェースを備える上部(前記上部は、垂直方向に変位するように構成され、かつ、前記支柱部と前記上部との間に介在するピッチ軸部材を中心にピッチングするように構成される)、および(c)、前記上部を垂直方向に変位させると同時に、前記ピッチ軸部材を中心としてピッチングさせるようにプログラムされている電子回路機構(これにより前記モータ制御ユニットを遠隔ターゲット点を中心として枢動させ、前記モータ制御ユニットの動作ベクトルを前記遠隔ターゲット点におけるターゲットベクトルにアラインメントさせるように構成されている)、を備える。
【0038】
いくつかの実施形態では、前記動作ベクトルを前記ターゲットベクトルにアラインメントさせるステップは、(i)前記遠隔ターゲット点を捉えるように、前記モータ制御ユニットの前記動作ベクトルを整列させるステップ、および/または(ii)前記モータ制御ユニットの前記動作ベクトルを前記遠隔ターゲット点におけるターゲットベクトルにアラインメントさせるために、前記遠隔ターゲット点を中心に前記モータ制御ユニットを枢動させるステップ、を含むことができる。いくつかの実施形態では、前記動作ベクトルを前記ターゲットベクトルにアラインメントさせるステップは、オフセットベクトルをオフセットターゲットベクトルにアラインメントさせるステップを含むことができる。
【0039】
いくつかの実施形態では、前記電子回路機構は、前記モータ制御ユニットが前記ドッキングインターフェースに固定されている間に、前記上部を垂直方向に変位させると同時に前記ピッチ軸部材を中心にピッチングさせるようにプログラムされ得る。
【0040】
いくつかの実施形態では、前記電子回路機構は、外科手術用アームの近位側が前記モータ制御ユニットの外科手術用アーム受容容積に取り付けられている間に、前記上部を垂直方向に変位させると同時に前記ピッチ軸部材を中心にピッチングさせるようにプログラムされ得る。
【0041】
いくつかの実施形態では、前記モータ制御ユニットの外科手術用アーム受容容積が、外科手術用アームの近位部分を受容するように構成され得る。
【0042】
いくつかの実施形態では、前記外科手術用アーム受容容積に近位側が取り付けられた外科手術用アームは、前記動作ベクトルとアラインメントされ得る。
【0043】
いくつかの実施形態では、前記電子回路機構は、前記上部の垂直方向の変位およびピッチングと同時に、前記ドッキングインターフェースを長手方向に変位させるようにさらにプログラムされ得る。
【0044】
いくつかの実施形態では、前記電子回路機構は、前記動作ベクトルを前記ターゲットベクトルにアラインメントさせるステップの後に、前記ドッキングインターフェースを長手方向に変位させるようにさらにプログラムされ得る。
【0045】
いくつかの実施形態では、前記動作ベクトルを前記ターゲットベクトルにアラインメントさせるための視覚補助装置をさらに備えることができる。
【0046】
本明細書に開示される位置決めシステムの実施形態のいずれにおいても、前記位置決めシステムは、前記モータ制御ユニットに電力を供給するように構成され得る。
【図面の簡単な説明】
【0047】
次に、添付の図面を参照して、例として本発明をさらに説明する。図中に示す構成要素および特徴の寸法は、提示の利便性および明瞭性のために選択されており、必ずしも縮尺通りではない。
【0048】
図1Aおよび図1Bは、それぞれ、本発明の実施形態に係る位置決めシステムの概略立面図および概略透視図である。
【0049】
図2は、本発明の実施形態に係る、外科手術用アームを備えるロボット外科手術用デバイスと一体化した組み立て状態の位置決めシステムの概略立面図である。
【0050】
図3は、本発明の実施形態に係る、位置決めシステムの上部が垂直方向に変位している図2の組み立て状態の位置決めシステムを示す図である。
【0051】
図4Aおよび図4Bは、本発明の実施形態に係る、位置決めシステムの上部がピッチ軸を中心に枢動している図2の組み立て状態の位置決めシステムを示す図である。
【0052】
図5は、本発明の実施形態に係る、位置決めシステムの上部のドッキングインターフェースが遠位側に変位している図2の組み立て状態の位置決めシステムを示す図である。
【0053】
図6Aおよび図6Bはそれぞれ、本発明の実施形態に係る、ハンドル、ペダルおよび制御パネルを備える位置決めシステムの概略立面図および概略透視図である。
【0054】
図7は、本発明の実施形態に係る位置決めシステムの制御パネルの概略図である。
【0055】
図8は、本発明の実施形態に係る位置決めシステムのモードチェンジペダルの概略図である。
【0056】
図9は、本発明の実施形態に係る、図6A-Bの位置決めシステムの概略立面図であり、位置決めシステムの上部が、垂直方向に変位し、かつピッチ軸を中心に枢動している。
【0057】
図10は、本発明の実施形態に係る、図6A-Bの位置決めシステムの概略立面図であり、位置決めシステムの上部が垂直方向に変位し、上部のドッキングインターフェースが遠位側に変位している。
【0058】
図11は、本発明の実施形態に係る、図6A-Bの位置決めシステムの概略立面図であり、位置決めシステムの上部がピッチ軸を中心に枢動し、上部のドッキングインターフェースが遠位側に変位している。
【0059】
図12は、本発明の実施形態に係る、図6A-Bの位置決めシステムの概略立面図であり、位置決めシステムの上部が垂直方向に変位し、かつピッチ軸を中心に枢動し、上部のドッキングインターフェースが、遠位側に変位している。
【0060】
図13Aは、本発明の実施形態に係る、ターゲットベクトルの向きとロボット外科手術用デバイスの外科手術用アームとの間の角度を示す、組み立て状態の図9の位置決めシステムの概略立面図である。
【0061】
図13Bは、本発明の実施形態に係る、ターゲットベクトルにアラインメントされた図13Aの組み立て状態の位置決めシステムを示す図である。
【0062】
図14は、本発明の実施形態に係る、図12の組み立て状態の位置決めシステムを概略的に示している図であり、位置決めシステムの上部が垂直方向に変位し、ピッチ軸を中心に枢動し、かつ、上部のドッキングインターフェースが遠位側に変位している。
【0063】
図15は、本発明の実施形態に係る、車輪と車輪なし脚を示す位置決めシステムの下部の詳細を示す図である。
【0064】
図16は、本発明の実施形態に係る、ボールキャスターと車輪なしの脚を示す位置決めシステムの下部の詳細を示す図である。
【0065】
図17は、本発明の実施形態に係る、モードチェンジペダルの適用を示す位置決めシステムの下部の詳細を示す図である。
【0066】
図18は、本発明の実施形態に係る、位置決めシステムの上部の概略透視図であり、位置決めシステム遠位方向に照明光を生成するように配置された照明光源を示す。
【0067】
図19Aは、本発明の実施形態に係る、折り畳み式アイアンサイトを備え、アクセスチャネルに結合されたアクセスチャネルアセンブリフレームを示す図である。
【0068】
図19Bは、本発明の実施形態に係る照射ターゲットを画定するためにアラインメントされたアイアンサイトを有する図19Aのフレームの詳細を示す図である。
【0069】
図20は、本発明の実施形態に係る、組み立て状態の位置決めシステム、および、アイアンサイトとアクセスチャネルとを備えたアクセスチャネルアセンブリフレームの概略的かつ部分的な遠位端部立面図である。
【0070】
図21は、本発明の実施形態に係る、折り畳み状態における、折り畳み式アイアンサイトを備え、かつ、アクセスチャネルに結合された、アクセスチャネルアセンブリフレームを示す図である。
【0071】
図22A、22B、22C、23Aおよび23Bは、本発明の実施形態に係る方法および方法ステップのフローチャートである。
【0072】
図24は、本発明の実施形態に係る医療用装置の使用方法のフローチャートである。
【0073】
図25Aは、本発明の実施形態に係る、動作ベクトルの向きとターゲットベクトルとの間の角度を示す、位置決めシステムの概略立面図である。
【0074】
図25Bは、本発明の実施形態に係る、動作ベクトルがターゲットベクトルにアラインメントされているときの図25Aの位置決めシステムを示す。
【0075】
図25Cは、本発明の実施形態に係る、図25A-Bの位置決めシステムを概略的に示している図であり、位置決めシステムの上部は、垂直方向に変位し、ピッチ軸を中心に枢動し、かつ、上部のドッキングインターフェースは、遠位側に変位している。
【0076】
図26Aは、本発明の実施形態に係る、位置決めシステムの概略立面図であり、ロボット外科手術用デバイスのモータ制御ユニットの動作ベクトルの向きとターゲットベクトルとの間の角度を示す。
【0077】
図26Bは、本発明の実施形態に係る、動作ベクトルがターゲットベクトルにアラインメントされているときの図26Aの位置決めシステムを示す図である。
【0078】
図26Cは、本発明の実施形態に係る、図26A~Bの位置決めシステムを概略的に示す図であり、ロボット外科手術用デバイスのモータ制御ユニットが存在する状態で、位置決めシステムの上部が垂直に変位し、ピッチ軸を中心に枢動し、かつ、上部のドッキングインターフェースが遠位側に変位している。
【発明を実施するための形態】
【0079】
本明細書において、添付の図面を参照しながら、本発明を例としてのみ説明する。ここで、詳細かつ具体的に図面を参照すると、示された特徴は、例として、本発明の好ましい実施形態の例示的な議論のみを目的としており、本発明の原理および概念的な態様の最も有用かつ容易に理解できる説明であると考えられるものを提供するために提示することを強調する。この点で、本発明の基本的な理解に必要以上に詳細に本発明の構造的な詳細を示そうとする試みはなされておらず、図面と共に扱われる説明は、本発明のいくつかの形態が実際にどのように具現化され得るかを当業者に明らかにするものである。図面全体を通して、通常、同様に参照する文字は同様の要素を指定するために使用される。
【0080】
本開示全体を通して、添え字付きの参照番号(例えば、10または10)は、図面中であるか否かにかかわらず、単一種の要素の複数の別個の外観を指定するために使用され得る。例えば、10は、要素10の(複数の外観のうちの)1つの外観である。同じ要素は、複数の別個の外観のうちの特定の1つを指していない場合、すなわち、種一般に言及している場合、代替的に添え字なし(例えば、10ではなく10)で参照することもできる。
【0081】
本開示で使用する際の「時計回り」および「反時計回り」という説明用語は、様々な図に示されるような位置決めシステムおよびこの構成要素の向きを参照してのみ理解されるべきである。この用語は、単に便宜上使用するものにすぎず、所与の図の特定のそれぞれ見方の視点のみを説明するものである。位置決めシステムの一方側から見た場合の「時計回り」の移動、すなわち、所与の図の見方の視点は、位置決めシステムの他方側から見た場合には反時計回りになり、この逆も同様である。ピッチ移動に関する「順方向」および「逆方向」は、様々な図に具体的に示されているように、「時計回り」および「反時計回り」と同じ意味であり、遠位方向(患者に向かう方向)は、それぞれの図の右側である。
【0082】
本明細書に開示される実施形態は、複数の異なる動作モードおよび/または複数の異なる入力デバイスを使用する、1つまたは複数の外科手術用機械アーム、すなわち多関節機械アームを使用するロボット外科手術用デバイスの位置決めシステムに関する。
【0083】
本明細書または添付の特許請求の範囲で「アーム」を使用する場合は常に、外科手術システムまたは電気外科手術システムの一部であり、ヒトの被験者の体内で外科手術(電気外科手術および画像診断を含むがこれらに限定されない)行為を行うか、行うのを助けるために使用する、多関節機械アームを意味する。また、多関節アームを可撓性とみなすことができる。アームは、エンドエフェクタを含むことができる。これは、本明細書において、人体内に配備される場合に、外科手術、電気外科手術、診断または画像診断に関連して使用するツールまたはデバイスを意味するために使用される。エンドエフェクタは、アームの一部として、すなわち、アームの動力および通信搬送装置に既に搭載され、機械的に取り付けられ、および/または一体化された状態で供給されてもよい。いくつかの実施形態では、アーム、エンドエフェクタは、外科手術の前に、または手術中であっても、すなわち、被験者の体内に挿入する前に、作業ユニットへの組み立ておよび/または一体化のために別個に用意されてもよい。本明細書で使用する「ロボット外科手術用デバイス」とは、1つまたは複数の外科手術用機械アームと、1つまたは複数のアームを収容および制御するためのモータユニットまたはモータ制御ユニットと、を有するデバイスを意味する。
【0084】
図、特に図1Aおよび図1Bを参照すると、実施形態に係る位置決めシステム500が、側面図および近位透視図で図示されている。図1Aおよび図1Bのそれぞれの矢印1000および1001は、本開示全体を通して使用される用語として、近位方向および遠位方向を示す。「遠位」とは、患者に近い方向、または患者の方向にある方向を意味し、「近位」とは、患者からより遠い方向、または患者から遠ざかる方向を意味する。図1Aおよび図1Bの例示的な位置決めシステム500は、車輪付きベース531によって支持された支柱535を含む下部530を備える。車輪付きベース531は、位置決めシステム500が複数の車輪542によって支持されるように、車輪付きベース531に枢動可能に搭載された複数の車輪542を含む。本開示および添付の請求の範囲を通して、「~によって支持される」という用語は、前者(位置決めシステム500)の重量の大部分、例えば、少なくとも70%、または少なくとも80%、または少なくとも90%、または全部が、後者(複数の車輪542)によって支持されることを意味するために使用される。位置決めシステム500は、スライド式ドッキングインターフェース515を含む上部510をさらに備え、ドッキングインターフェース515の上方に面した露出面は、ロボット外科手術用デバイス100のモータ制御ユニット(図1A図1Bには不図示)をこれに固定するためのドッキング配置518を含む。図1Aに示すように、車輪付きベース531-または特定の設計に係る位置決めシステム500の任意の他の適当な部分-は、外部電源から電力を受け取るため、および/または、位置決めシステム500、例えば、車輪付きベース531に設置されたオンボード電源、例えば、バッテリー(不図示)を充電するための電源インターフェース507を含むことができる。電源インターフェース507の位置は単なる例示であり、実施形態のいくつかの実施態様では、例えば、手術室の設計にしたがって、または安全要件にしたがって、位置決めシステム500の近位側の表面または任意の他の表面上に配置することができる。実施形態において、電力インターフェース507によって、およびまたは前述のバッテリーによって供給されるオンボード電力システムを利用して、ロボット外科手術用デバイス100に電力を供給することができる。このような実施形態によれば、ドッキング配置518を介して、または電気ワイヤ、例えば、位置決めシステム500に設けられた電気ソケットに適合する電気プラグを備えるロボット外科手術用デバイス100から近位側に延びるワイヤを介して、電力をロボット外科手術用デバイス100に供給することができる。電気ソケットは、電源インターフェース507の一部であるか、または位置決めシステム500上の他の場所に存在し得る。別の例では、ロボット外科手術用デバイス100の電気接続は、必要なときに、位置決めシステム500の任意の他の部分またはベース531内の区画から延長することができる。位置決めシステムからロボット外科手術用デバイスに電力を供給することにより、位置決めシステム500およびロボット外科手術用デバイス100の両方の電力動作を可能にするために必要とされる電気プラグの接続が1つであるので、外科手術のためのセットアップが簡素化される。このように、動力式位置決めシステム500は、ロボット外科手術用デバイス100の電源および/または充電ステーションとして機能するように構成されている。いくつかの適用では、動力式位置決めシステム500がコンセントに差し込まれると、ロボット外科手術用デバイス100は有効になり、位置決めシステム500が(コンセントに)差し込まれていないと、ロボット外科手術用デバイス100は無効になる。付加的に、または代替的に、いくつかの適用では、位置決めシステム500の電気システムが、例えば、オン/オフスイッチ(不図示)によって、パワーアップ(電気がオンにされる)されると、ロボット外科手術用デバイス100はパワーアップされ、位置決めシステム500が、例えば、オン/オフスイッチによって、パワーダウン(電気がオフにされる)されると、ロボット外科手術用デバイス100もパワーダウンされる。同様に、いくつかの適用では、位置決めシステム500の緊急停止は、ロボット外科手術用デバイス100の緊急停止としても伝播される。いくつかの適用では、ロボット外科手術用デバイス100が位置決めシステム500からの電力を利用可能である場合、(緊急停止であるか否かにかかわらず)ロボット外科手術用デバイス100への電力を切断する、(緊急停止であるか否かにかかわらず)位置決めシステム500の電力を遮断する、または、位置決めシステム500を電気から切り離す、のいずれか1つによって、ロボット外科手術用デバイス100を、直接、および、位置決めシステム500から、オン/オフすることが可能になる。
【0085】
車輪付きベース531-または特定の設計に係る位置決めシステム500の任意の他の適当な部分-は、外部電源またはオンボード電源からの電力を使用して、位置決めシステム500の部分、および/または位置決めシステム500自体の移動をもたらすための1つまたは複数のモータおよび/または他の機械アクチュエータを含むことができる。
【0086】
図2は、組み立て状態の位置決めシステム600を概略的に示している。組み立て状態とは、ロボット外科手術用デバイス100が位置決めシステム500に設置され、かつ、1つまたは複数の外科手術用アーム102の近位側がロボット外科手術用デバイス100のモータ制御ユニット101のそれぞれのアーム受容容積に設置されている状態である。図2の例示的なロボット外科手術用デバイス100は、1つまたは複数の外科手術用アーム102を制御するためのモータおよび歯車を収容するモータ制御ユニット101を備える。1つまたは複数の外科手術用アーム102のそれぞれ1つずつは、近位側が、すなわち、各アーム102の近位部分が、モータ制御ユニット101のアーム受容容積(不図示)において、この中に固定されるように、かつ、それによって(例えば、それぞれのアーム受容容積(複数可)内の対応する歯車と噛み合う外科手術用アーム102の有する歯車によって)制御されるように設置されている。
例示的な位置決めシステム500の高さは、図2においてHと記した矢印によって示すように、50~150cmの間(本開示におけるすべての「間」の範囲は包括的である)、または50~70cmの間、または50~90cmの間、または50~120cmの間、または50~150cmの間、または70~90cmの間、または70~120cmの間、または70~150cmの間、または90~120cmの間、または90~150cmの間、または120~150cmの間である。
【0087】
次に、図3図4A図4B、および、図5を参照する。
【0088】
実施形態において、本明細書で開示されるような位置決めシステム500は、モノリシックではなく、むしろ、例えば、外科手術用アクセスチャネルのような患者に近接した外科手術配置に関連するターゲットベクトルと外科手術用アームのアラインメントを容易にするために、様々な方向に移動可能な可動部品を備えることが望ましい場合がある。
【0089】
図3は、例えば図2の組み立て状態の位置決めシステム600と同様であり、かつ、垂直方向に変位するように構成された上部510を備える組み立て状態の位置決めシステム600を示す。上部510の双方向変位機能は矢印1100で示されている。図3の支柱部535は、支柱部535内から上昇する伸縮部538によって明らかなように、伸縮自在である。他の例示的な設計では、支柱部535は必ずしも伸縮自在ではなく、上部510を昇降させるために、例えば支柱部535内にピストンが設けられる。変位は、典型的には、動力式変位であり、例えば、オンボードモータまたは他のアクチュエータによって行われ、外部電源またはオンボード電源によって電力供給される。垂直方向の変位は、ユーザ入力デバイス、例えば、図7のユーザ入力パネル580で受信する遠隔ユーザ入力などのユーザ入力に応答して開始され得る。ユーザ入力デバイスは、位置決めシステム500に取り付けられるか、または他の場所に配置され得る。図3においてHと記された矢印によって示されるように、上部が最大範囲まで垂直方向に変位している例示的な位置決めシステム500の完全に伸びた高さは、100cm~200cmの間(本開示における「間」の範囲はすべて包括的である)、または100cm~120cmの間、または100cm~150cmの間、または100cm~180cmの間、または120cm~150cmの間、または120cm~180cmの間、または120cm~200cmの間、または150cm~180cmの間、または150cm~200cmの間である。高さの総延長、すなわち高さHと高さHの差は、10cm~100cmの間、または10cm~30cmの間、または10cm~50cmの間、または10cm~75cmの間、または30cm~50cmの間、または30cm~75cmの間、または30cm~100cmの間、または50cm~75cmの間、または50cm~100cmの間、または75cm~100cmの間である。
【0090】
図4Aおよび図4Bは、例えば、図2の組み立て状態の位置決めシステム600と同様であり、かつ、支柱部535と上部510との間を仲介するピッチ軸部材(不図示)を中心に枢動するように構成された上部510を備える組み立て状態の位置決めシステム600を示す。上部510の双方向のピッチングは、図4Aおよび図4Bの両方においてそれぞれの矢印1120によって示されている。ピッチングは、典型的には、動力式枢動であり、例えば、オンボードモータまたは他のアクチュエータによって行われ、外部電源またはオンボード電源によって電力供給される。位置決めシステム500に設置され、枢軸部材とつながる歯車、ピストンおよび/またはクラッチなどの任意の適当な機械的配置によって枢動運動は付与され得る。図4Aに図示するように、上部510は、θの最大枢動角度まで反時計回りにピッチング(すなわち、図4Aの視点から反時計回り)するように構成され得る。実施形態において、枢動角度は、例えば、逆トレンデレンブルグ体位などの外科手術中の患者の向きに対応することができる。実施形態において、最大枢動角度θは、少なくとも10°、または少なくとも15°、または少なくとも20°、または少なくとも25°、または少なくとも30°、または少なくとも35°、または少なくとも40°、または少なくとも45°である。図4Bに図示するように、上部510は、最大枢動角度θまで時計回りにピッチング(すなわち、図4Bの視点から時計回り)するように構成され得る。実施形態において、最大枢動角度θは、少なくとも10°、または少なくとも15°、または少なくとも20°、または少なくとも25°、または少なくとも30°、または少なくとも35°、または少なくとも40°、または少なくとも45°である。実施形態において、枢動角度は、例えば、トレンデレンブルグ体位のような外科手術中の患者の向きに対応することができる。いくつかの実施形態では、θとθは等しく、他の実施形態では、カート500の特定の設計選択に基づいて、これらは等しくない。
【0091】
図5は、例えば、図2の組み立て状態の位置決めシステム600と同様の組み立て状態の位置決めシステム600を示し、上部510は、長軸方向に、すなわち上部510の初期位置から遠位側に変位するように構成されたスライド式ドッキングインターフェース515を備える。「長手方向」(または「長軸方向」)という用語は、一般に、図1Aおよび図1Bにおいてそれぞれの矢印1000および1001によって示される近位-遠位軸によって表される2つの方向のいずれか一方または両方を意味する。ドッキングインターフェース515の双方向の変位は、図5において矢印1105で示されている。長軸方向の変位は、典型的には、動力式変位であり、例えば、オンボードモータまたは他のアクチュエータによって行われ、外部電源またはオンボード電源によって電力供給される。変位運動は、ピストン、または図5の非限定的な例では伸縮部材512のような任意の適当な機械的配置によって付与されることができる。スライド式ドッキングインターフェース515は、遠位方向に最大120cm、または最大100cm、または最大80cm、または最大60cm、または最大40cmまで変位するように構成されることができる。
【0092】
実施形態に係る位置決めシステム500を、図6Aおよび図6Bにおいて側面図および近位透視図に概略的にそれぞれ示す。位置決めシステム500は、位置決めシステム500が移動するように設計されている任意の方向に位置決めシステム500を引くおよび/または押すのに使用するための1つまたは複数のハンドルを含むことができるハンドル部材505を含む。いくつかの実施形態では、これは遠位-近位方向の運動のみを含むことができ、他の実施形態では、例えば遠位-近位方向の運動で達した位置を調整または微調整するための任意の方向の運動を含むことができる。図6Aおよび図6Bの非限定的な例では、ハンドル部材505は、ユーザ入力パネル580のための取り付け点として使用される。ユーザ入力パネル580を使用して、図3図4A図4Bおよび図5を参照して本明細書で上述した構成要素の変位およびピッチングを含むがこれらに限定されない、位置決めシステム500の様々な機能を制御することができる。ユーザ入力パネル580のこの配置は、ユーザ入力パネル580が、例えば、位置決めシステム500を押したり引いたりするために、位置決めシステム500の後方に近接して立っているユーザにとって便利な位置にあるという点で人間工学的利点を有するが、ユーザ入力パネル580は、位置決めシステム500上のどこにでも配置されることができ、任意選択で、着脱可能、例えば、ドッキング可能にできる。位置決めシステムの構成要素の全ての変位および枢動を止めるための動作停止ボタン516のような他の入力デバイスを、位置決めシステム500に設置または取り付けることができる。
【0093】
次に、図7を参照すると、例示的なユーザ入力デバイス(または等価的に、ユーザ入力パネルもしくは制御パネル)580の詳細が示されている。ユーザ入力パネルは、この段落で論じられる制御の例のいずれかまたはすべてを含むことができ、この段落で特に論じられていない制御の他の例を含むことができる。これらの制御は、この段落で論じられる追加機能または代替機能を実施することができ、および/または機能を組み合わせることができる。さらに、制御を、任意の適当な配置でレイアウトすることができ、図7に示すレイアウトおよびグラフィックデザインは、特に人間工学的な例を説明するためのものである。図7に示すように、それぞれの上下の垂直方向の変位制御581、581は、図3に図示したように、ユーザ入力パネル580で(または、等価的にすべてのユーザ入力について)受信したユーザ入力に応答して、上部510の垂直方向の変位を制御(例えば、開始、停止など)するために提供される。それぞれの時計回りと反時計回りのピッチ制御583、583は、ユーザ入力パネル580で受信したユーザ入力に応答して、図4A図4Bに図示されているように、上部510の順方向と逆方向のピッチ軸枢動をそれぞれ制御するために提供される。ピッチングに関してここで使用する「順方向」および「逆方向」という用語から一般化すると、順方向ピッチング移動は、上部510の近位端部を上昇させ、遠位端部を下降させる枢動運動である。一方、逆方向ピッチング移動は、上部510の近位端部を下降させ、遠位端部を上昇させる枢動運動である。それぞれの近位側および遠位側の長軸方向変位制御584近位、584遠位は、ユーザ入力パネル580で受信したユーザ入力に応答して、スライド式ドッキングインターフェース515の変位を制御するために設けられる。通知要素585、例えば、ライト、発光ダイオード(LED)、液晶ディスプレイ(LCD)などは、位置決めシステム500またはこの構成要素のいずれか1つまたは複数の状態を表示するために設けられる。図7の制御パネル580上の第1通知要素585は、位置決めシステム500の車輪なし脚545が展開されるとき、例えば、車輪542が上昇するとき、または車輪なし脚545が下降するときに点灯する。図7の制御パネル580上の第2通知要素585ドッキングは、ロボット外科手術用デバイス100のモータ制御ユニット101が、位置決めシステム500のスライド式ドッキングインターフェース515に固定されたとき、例えば、ドッキングされ、ロックされたときに、点灯する。
【0094】
制御パネル(不図示)の別の例では、制御および通知要素の一部またはすべてが、タッチスクリーンなどの対話型ユーザインターフェースに存在する。
【0095】
次に、図9図10図11図12図13Aおよび図13Bを参照する。
【0096】
実施形態では、ロボット外科手術用デバイスのターゲットベクトルとのアラインメントのために、構成要素の移動(例えば、垂直方向および長軸方向の変位、枢動)を組み合わせることが望ましい場合がある。図9の例では、位置決めシステム500は、矢印1100で示されるような上部510の垂直方向の変位と、矢印1120で示されるようなピッチ軸を中心とした上部510の枢動の両方について構成されている。いくつかの実施形態では、位置決めシステム500は、例えば、共通のユーザ入力制御によって、上部510が垂直方向に変位すると同時におよび枢動することを許容、および/または容易にするように構成される。図10の例では、位置決めシステム500は、矢印1100で示されるような上部510の垂直方向の変位と、矢印1105で示されるようなスライド式ドッキングインターフェース515の長軸方向の変位との両方を許容および/または可能にするように構成される。いくつかの実施形態において、位置決めシステム500は、例えば、共通のユーザ入力制御によって、上部510の枢動と同時にスライド式ドッキングインターフェース515が長軸方向に変位することを許容、および/または容易にするように構成される。図11の例では、位置決めシステム500は、矢印1120で示されるようなピッチ軸を中心とした上部510の枢動と、矢印1105で示されるようなスライド式ドッキングインターフェース515の長軸方向の変位との両方を許容、および/または、可能にするように構成される。いくつかの実施形態では、位置決めシステム500は、例えば、共通のユーザ入力制御によって、上部510の枢動と同時にスライド式ドッキングインターフェース515が長軸方向に変位することを許容し、および/または容易にするように構成される。図12の例では、位置決めシステム500は、矢印1100で示されるような上部510の垂直方向の変位、矢印1120で示されるようなピッチ軸を中心とする上部510の枢動、および矢印1105で示されるようなスライド式ドッキングインターフェース515の長軸方向の変位を許容および/または可能にするように構成される。いくつかの実施形態において、位置決めシステム500は、例えば、共通のユーザ入力制御によって、上部510が垂直方向に変位すると同時に枢動し、かつスライド式ドッキングインターフェース515が長手方向に変位することを許容および/または容易にするように構成される。
【0097】
実施形態において、ロボット外科手術用デバイス100の1つまたは複数の外科手術用アーム102のターゲットベクトル(例えば、図13Aにおいて矢印1150によって示されるターゲットベクトル)とのアラインメントは、ターゲット位置801を参照して行われる。具体的には、例えば、遠位端部103がターゲット位置801に近接して配置される場合、ロボット外科手術用デバイス100の1つまたは複数の外科手術用アーム102の遠位端部103を中心にロボット外科手術用デバイス100を枢動させることによって行われる。ターゲット位置801の例示的な例は、患者の外科手術部位への通過を容易にするために配置された外科手術用アクセスチャネル570の近位開口部である。
【0098】
使用例では、1つまたは複数の外科手術用アーム102のそれぞれの遠位端部103は、例えば、組み立て状態の位置決めシステム600の適当な配置によって、ターゲット位置801に位置決めされる。図13Aに示すように、該適当な配置に続いて、1つまたは複数の外科手術用アーム120は、ターゲットベクトル1150から回転角度θターゲットベクトルの方向に向けられていることがわかる。1つまたは複数の外科手術用アーム102のターゲットベクトル1150とのアラインメントは、実施形態によれば、図9に図示された上部510の枢動機能および垂直方向の変位機能を組み合わせて利用することによって実現可能である。再び図7を参照すると、それぞれの時計回りおよび反時計回りのアームアラインメント制御589、589は、ユーザ入力パネル580で受信したユーザ入力に応答して、垂直方向の変位矢印1200垂直およびピッチ矢印1200ピッチによって図13Bにそれぞれ示すように、上部510のピッチングおよび垂直方向の変位を同時に制御するために設けられる。最適には、位置決めシステム500は、上部510の垂直方向の変位と、ピッチ軸を中心とする上部510の枢動との両方を同時に作用させるように構成された(例えばプログラムされた)電子回路機構(不図示)を含む。電子回路機構を、ユーザ入力パネル580内、または位置決めシステム500内の他の任意の場所に配置することができる。代替的に、電子回路機構は、位置決めシステム500の外部に配置され、位置決めシステム500と電子通信する1つまたは複数のプロセッサを含むことができる。図13Bに示すように、電子回路機構は、遠位端部(複数可)がターゲット位置801に留まりながら、ターゲットベクトル1150とアラインメントするように角度θターゲットベクトルを通して、1つまたは複数の外科手術用アーム102の遠位端部(複数可)103についてロボット外科手術用デバイス100を枢動させるのに有効である。実施形態において、電子回路機構は、電子回路機構の1つまたは複数のプロセッサに記憶された、または他の方法でアクセス可能なプログラム命令を実行することによって、枢動を行う。いくつかの実施形態では、枢動点は、1つまたは複数の外科手術用アーム102の遠位端部103である。いくつかの実施形態では、枢動点は、遠位端部103に取り付けられたエンドエフェクタ、例えば、外科手術用ツール、診断用ツール、または画像診断用ツールである。制御パネル580および位置決めシステム500は、時計回りのアームアラインメント制御589が、ユーザ入力パネル580で受信したユーザ入力に応答して、上部510の時計回りのピッチング(図13Bの視点から見て時計回り)と共に、上部510の上方への垂直方向の変位を引き起こすのに有効であるように構成され得る。また、制御パネル580および位置決めシステム500は、逆アームアラインメント制御589が、ユーザ入力パネル580で受信したユーザ入力に応答して、上部510の「反時計回り」のピッチング(図の参照フレームにおいて反時計回り)と共に上部510の上方への垂直方向の変位を引き起こすのに有効であるように構成され得る。
【0099】
次に、図14を参照する。第2使用例において、1つまたは複数の外科手術用アーム102のターゲットベクトル1150とのアラインメントは、図12に図示された、ドッキングインターフェース515の長軸方向の変位機能と共に、上部510の枢動機能および垂直方向の変位機能を組み合わせて利用することによって実現可能である。この例において、それぞれの時計回りおよび反時計回りのアームアラインメント制御589、589は、長軸方向の変位矢印1201スライドによって図14に示されるようなドッキングインターフェース515の長軸方向の変位と同時に、共に、垂直方向の変位矢印1201垂直およびピッチ矢印1201ピッチによって図14にそれぞれ示されるような上部510のピッチングおよび垂直方向の変位を同時に制御するように構成される。
【0100】
次に図15、16、17を参照する。
【0101】
実施形態では、位置決めシステム500(ひいては組み立て状態の位置決めシステム600を含む)は、それぞれ位置決め動作モード、位置調整動作モード、および静止動作モードで動作可能である。それぞれの複数の異なる支持要素(それぞれの複数の車輪542、複数のボールキャスター547、および複数の車輪なし脚545)は、それぞれの異なる動作モードにおいて位置決めシステム500を支持するように配置される。
【0102】
位置決めシステム500で利用可能な第1動作モードでは、位置決めシステムの重量は3、4、5、6、またはそれ以上の数の車輪を含むことができる、複数の車輪542によって支持される。実際の車輪の数は、利便性、または重量の配分、転がり抵抗、および/もしくは安定性を最適化するように選択される。車輪542は、独立または軸付きとすることができ、各車輪が単一軸上で回転する場合、位置決めシステム500の位置決めにおいて主に長軸方向(双方向)の運動を意図しているが、長軸方向の運動は、ナビゲーションアーク(navigating arcs)を含むことがある。いくつかの実施形態では、車輪542はさらに旋回するように構成され、多少の横方向の移動も可能となる。図15に示す例示的な一例では、車輪542は横方向の移動に抵抗するように設計されている。いくつかの実施形態において、車輪542は、第1動作モードにおいて、位置決めシステムの動力式移動を作り出すために、動力が供給されている。すなわち、車輪542は、位置決めシステムの1つまたは複数のモータと電気的に通信している。
【0103】
位置決めシステム500で利用可能な第2動作モードでは、位置決めシステム500の重量は、3、4、5、6、またはそれ以上の数のボールキャスターを含むことができる複数のボールキャスター547によって支持される。実際のボールキャスターの数は、利便性、または重量の配分、転がり抵抗、および/もしくは安定性を最適化するように選択される。ボールキャスター547の数は、必ずしも車輪542の数と一致する必要はない。ボールキャスターは、主に、位置決めシステム500の短距離の全方向の移動のためのものである。ボールキャスター547は、第1動作モードにおいて達した位置決めシステム500の位置を微調整、または調整するために必要な精密な移動を可能にするために有効であり得る。この精度は、特に、ボールキャスター547が車輪542よりも小さい直径を有することによるものである。実施例では、各車輪は、図15においてD車輪と記された矢印によって示される直径を有する。これは、各ボールキャスター547の図16においてDボールキャスターと記された矢印によって示される直径の少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、または少なくとも5倍である。例では、ボールキャスター547の直径は1~4cmの間である。いくつかの例では、ボールキャスターの直径は1cm~2cmの間、1cm~2.5cmの間、1cm~3cmの間、1cm~3.5cmの間、1.5cm~2.5cmの間、1.5cm~3cmの間、1.5cm~3.5cmの間、1.5cm~4cmの間、2cm~3cmの間、2cm~3.5cmの間、2cm~4cmの間、2.5cm~3.5cmの間、または2.5cm~4cmの間である。いくつかの例では、車輪の直径は8~15の間cm、8~12の間cm、8~10cm、10~15cmの間、10~12の間cm、または12~15の間cmである。いくつかの例では、車輪の直径とボールキャスターの直径との比は、3:1~8:1の間、3:1~7:1の間、3:1~6:1の間、3:1~5:1の間、4:1~8:1の間、4:1~7:1の間、4:1~6:1の間、5:1~8:1の間、または5:1~7:1の間である。
【0104】
さらに、ボールキャスター547は、各ボールキャスターが自身の中心を中心に全方向に回転するため、旋回車輪(swiveled wheels)よりも精密な横方向の移動を作り出すのにより効果的である。
【0105】
位置決めシステム500で利用可能な第3動作モードでは、位置決めシステム500の重量は、3、4、5、6またはそれ以上の脚を含むことができる複数の車輪なし脚545によって支持される。脚の実際の数は、利便性、または重量の配分および/もしくは安定性を最適化するように選択される。車輪なし脚545は、車輪542およびボールキャスター547とは対照的に、移動を防止するように意図され、位置決めシステム500を不動にすることを目的としている。このため、脚545は、本開示で前述した構成要素の様々な変位および枢動によって生じる移動に抵抗するように設計されている。
【0106】
実施形態では、図6A図6Bおよび図8に見られるように、複数のモードチェンジペダル590が位置決めシステム500に設けられている。第1モードチェンジ例では、複数の車輪542によって位置決めシステム500が支持された状態でのペダル590の適用は、図17に概略的に示すように、車輪542を上昇させ、位置決めシステム500の支持を複数のボールキャスター547に移すのに有効である。第2モードチェンジ例では、複数の車輪542によって位置決めシステム500が支持された状態でのペダル590の適用は、ボールキャスター547を下降させ、位置決めシステム500の支持を複数のボールキャスター547に移すのに有効である。第3モードチェンジ例では、複数の車輪542によって位置決めシステム500が支持された状態でのペダル590を適用は、車輪542を上昇させ、位置決めシステム500の支持を複数の車輪なし脚545に移すのに有効である。第4モードチェンジ例では、複数の車輪542によって位置決めシステム500が支持された状態でのペダル590の適用は、車輪なし脚545を下降させ、位置決めシステム500の支持を複数の車輪なし脚部545に移すのに有効である。第5モードチェンジ例において、複数のボールキャスター547によって位置決めシステム500が支持された状態でのペダル590の適用は、位置決めシステム500の支持を複数の車輪なし脚545に移すのに有効である。第6モードチェンジ例では、複数の車輪542によって位置決めシステム500が支持された状態でのペダル590の適用は、ボールキャスター547を下降させ、位置決めシステム500の支持を複数のボールキャスター547に移すのに有効である。第7モードチェンジ例では、位置決めシステム500が複数の車輪542によって支持された状態でのペダル590の適用は、車輪なし脚545を下降させ、位置決めシステム500の支持を複数の車輪なし脚545に移すのに有効である。
【0107】
実施形態において、1つまたは複数のモードチェンジペダル590は、第1モードチェンジペダル590および第2モードチェンジペダル590を備える。これらは、位置決めシステム500が複数の車輪542によって支持されているとき、第1モードチェンジペダル590の適用は、位置決めシステム500の支持を複数の車輪542から複数のボールキャスター547に移すのに有効であり、かつ、第2モードチェンジペダル590の適用は、位置決めシステム500の支持を複数のボールキャスター547から複数の車輪なし脚545に移すのに有効であるように配置される。
【0108】
非限定的な一例では、組み立て状態の位置決めシステム600は、50メートルを超える距離にわたって、第1動作モードで長手方向に移動される。モードチェンジペダル590の適用時に、組み立て状態の位置決めシステム600の支持は、複数のボールキャスター547に移される。組み立て状態の位置決めシステム600の位置は、ロボット外科手術用デバイスのモータ制御ユニット101に近位側が設置された外科手術用アーム102の遠位端部103をターゲット位置にもたらすように、長軸方向および横方向の両方において2メートル未満の距離にわたって調整される。
【0109】
次に図18-21を参照する。
【0110】
実施形態において、外科手術用アーム102とターゲットベクトル、例えば図13Aのターゲットベクトル1150とのアラインメントは、視覚補助装置を使用することによって達成される。視覚補助装置は、オプティカルサイトまたはアイアンサイトのようなアラインメントツールを含むことができる。オプティカルサイトやアイアンサイトの使用は、サイト要素の視覚的アラインメントのようなターゲットを照らす照明システムを使用することによって強化され得る。
【0111】
図18は、上部510を示す位置決めシステム500の近位側の透視詳細図である。照明光源575は、位置決めシステムの遠位方向(図18において矢印1020で示す方向)を照らすために設けられている。
【0112】
図19Aは、位置決めシステム500の照明光源575と共に、視覚補助装置として使用されるアクセスチャネルアセンブリフレーム560の透視図である。アクセスチャネルアセンブリフレーム560は、フレーム560の構造を安定させるためのフレーム部材アセンブリ565を含む。外科手術用アクセスチャネル570を搭載(例えば、結合)するための搭載ブロック566が、フレーム560の遠位端部でフレーム部材アセンブリ565に取り付けられている。「遠位」とは、図19Aの矢印1070によって示される方向である。フレーム部材アセンブリ565には、一対のアイアンサイト561、561が取り付けられている。「アイアンサイト」は、オプティカルサイトでないサイト(照準器)を意味する技術用語であり、構造材料は関係ない。アイアンサイト561は、フレーム部材アセンブリ565と共に、銅合金やステンレス鋼のような任意の適当な材料から作製される。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の外科手術用アーム102と外科手術用アクセスチャネル570との視覚的なアラインメントの補助のために、アラインメントアーム563が設けられる。アイアンサイト561は、固定されるか、または「折り畳み式」、すなわち、使用のために折り畳み可能に構成される。また、例えば、アイアンサイト561は、ターゲットベクトル1150または外科手術用アクセスチャネル570との精密なアラインメントを達成した後、使用しないときにはフレーム部材アセンブリ565を折り返す(be folded back)ように構成される。図20は、アイアンサイト561が折り返されている、折り畳み状態のアクセスチャネルアセンブリフレーム560の例を概略的に示す。
【0113】
第1および第2アイアンサイト561、561は、照明ターゲット564を画定するように、矢印1070に平行なアイアンサイト遠位方向に互いにアラインメントされている。これらは、図19Bに前方と後方のアイアンサイト561の中心部分の視覚的な収束として示されている。アイアンサイト561の具体的な形状、およびこれらの視覚的な収束またはアラインメントの形状、すなわち照明ターゲットは、完全に設計上の選択の問題であり、任意の適当なサイト形状またはターゲット形状を実装することができる。一例では、照明光源575は、例えばレーザー照明器またはインコヒーレント光のマスクされた光源もしくは集光光源とすることができる。照明光源は、照明ターゲット564の輪郭内に両方のアイアンサイト561、561を照らす成形ビームを投射するように構成される。照明ターゲットを作動、調節および/または無効化するために、図7に示すように、照明光源制御562をユーザ入力パネル580上に配置することができる。
【0114】
実施形態において、照明ターゲット564、例えば照明ターゲット564の中心は、アクセスチャネルアセンブリフレーム560が搭載ブロック566に搭載されたときに、外科手術用アクセスチャネル570からオフセットされる。このオフセットには、(矢印1070に平行な)アイアンサイト遠位方向のオフセットと、アイアンサイト遠位方向に直交する横方向のオフセットとが含まれる。
【0115】
図21には、アクセスチャネルアセンブリフレーム560とアラインメントされた組み立て状態の位置決めシステム600の遠位方向からみた部分的な概略的立面図が含まれる。具体的には、フレーム部材アセンブリ565、アイアンサイト561、および外科手術用アクセスチャネル570が取り付けられた搭載ブロック566が「前景」に見えている。すなわち、遠位視点は、組み立て状態の位置決めシステム600の遠位であるアクセスチャネルアセンブリフレーム560の遠位点からのものである。
【0116】
当業者は、この視点を実現するためには、(i)1つまたは複数の外科手術用アームが(外科手術用アクセスチャネル570を介して)ターゲットベクトル1150とアラインメントされ、(ii)図19Aのアイアンサイト遠位方向(矢印1070)と直交位置決めシステム遠位方向(図18の矢印1020)とが平行であり、(iii)図21の画角がターゲットベクトル1150とアラインメントされることを理解するであろう。
【0117】
この視点は、次のことを示すのに有効である。(i)照明ターゲット564、すなわち、照明ターゲット564の中心は、外科手術用アクセスチャネル570から、少なくとも、アイアンサイトの遠位方向に直交する横方向にオフセットしていること、(ii)照明光源575は、1つまたは複数の外科手術用アーム102から、少なくとも、位置決めシステムの遠位方向に直交する横方向にオフセットしていること(図21は、上述したように、アイアンサイトの遠位方向と平行である)、(iii)外科手術用アクセスチャネル570からの照明ターゲット564の横方向のオフセットは、大きさおよび方向において、1つまたは複数の外科手術用アーム102からの照明光源575の横方向のオフセットと等しいこと。オフセットが等しいということは、図21の構成において、照明ターゲット564を正しく照らすことは、1つまたは複数の外科手術用アーム102が、実際に、ターゲットベクトル1150とアラインメントしていることを示すことを意味する。実施形態において、2つのオフセットは「実質的に」等しく、これは、オフセットが互いの±1%以内、または互いの±2%以内、または互いの±3%以内、または互いの±4%以内、または互いの±5%以内、または互いの±6%以内、または±7%以内、または±8%以内、または±9%以内、または±10%以内、または±11%以内、または±12%以内、または±13%以内、または±14%以内、または±15%以内であることを意味する。
【0118】
前述の実施形態では、視覚補助装置を採用するためのアイアンサイトの使用に関して説明したが、照明光源の有無にかかわらず、1つまたは複数のオプティカルサイトの代替的または追加的な使用も本発明の範囲内である。
【0119】
実施形態では、図1A図1B図6A図6B図9図10図11図12、および図18に図示し、これらの図に関して説明した位置決めシステム500のいずれか1つは、以下の共通の特徴および機能のいずれか1つもしくは複数、またはすべてを含むことができ、および/または備えることができる(網羅的なものではない)。上部510の垂直方向の変位、上部510のピッチ軸部材を中心とする枢動、ドッキングインターフェース515の長軸方向の変位、前述の変位機能および枢動機能のうちの2つ以上の任意の組み合わせ、位置決め動作モード、位置調整動作モード、および静止動作モードのそれぞれのうちの任意の1つにおける位置決めシステムの動作、ならびに、それぞれの複数の異なる支持要素の間で位置決めシステム500の支持が移ること、すなわち、1つまたは複数のモードチェンジペダル590を使用して、複数の車輪542、複数のボールキャスター547、および複数の車輪なし脚545のそれぞれの間で、位置決めシステム500の支持が移ること。
【0120】
実施形態では、図2図3図4A図4B図5図13A図13B図14、および図21に図示し、これらの図に関して説明した組み立て状態の位置決めシステム600のいずれか1つは、以下の共通の特徴および機能のいずれか1つもしくは複数、またはすべてを含むことができ、および/または備えることができる(網羅的なものではない)。上部510の垂直方向の変位、上部510のピッチ軸部材を中心とする枢動、ドッキングインターフェース515の長軸方向の変位、前述の変位および枢動機能のうちの2つ以上の任意の組み合わせ、位置決め動作モード、位置調整動作モード、および静止動作モードのそれぞれのうちの任意の1つにおける位置決めシステムの動作、それぞれの複数の異なる支持要素の間で位置決めシステム500の支持が移ること、すなわち、1つまたは複数のモードチェンジペダル590を使用して、それぞれの複数の車輪542、複数のボールキャスター547、および複数の車輪なし脚545の間での位置決めシステム500の支持が移ること、ロボット外科手術用デバイス100のモータ制御ユニット101に近位側が設置された1つまたは複数の外科手術用アーム102の遠位端部103(およびまたは遠位端部103に結合されたエンドエフェクタ)を中心としたロボット外科手術用デバイス100の枢動、ならびに、視覚補助装置、例えば、1つまたは複数の外科手術用アームのターゲットベクトル1150とのアラインメント用の照明光源575およびサイト561の使用(ターゲットベクトル1150は、外科手術用アクセスチャネル570の位置および外科手術用アクセスチャネル570の向きのうち少なくとも一方を記述するターゲットベクトルを含む)。
【0121】
実施形態に係る方法が開示される。図22Aのフローチャートに示すように、本方法は、以下のステップのいずれかまたはすべてを含む。
【0122】
ステップS01:組み立て状態の位置決めシステム600を用意するステップ。すなわち、モータ制御ユニット101はドッキングインターフェース515に固定され、1つまたは複数の外科手術用アーム102はモータ制御ユニット101のそれぞれの外科手術用アーム受容容積に近位側が取り付けられている、組み立て状態の、本明細書で上に開示した実施形態のいずれかに係る位置決めシステム500を用意する。
【0123】
ステップS02:位置決めシステム500をターゲット位置801に近接させて位置決めするステップ。すなわち、1つまたは複数の外科手術用アーム102の遠位先端部103をターゲット位置801に近接させて位置決めする。いくつかの実施形態では、ターゲット位置801は、外科手術用アクセスチャネル570に近接している。
【0124】
ステップS03:外科手術用アーム102の遠位端部103がターゲット位置801に配置されたときに、ロボット外科手術用デバイス100を外科手術用アーム102の遠位端部103周りに枢動させるために、上部510を垂直方向に変位させるステップと、上部510を、ピッチ軸部材を中心にピッチングさせるステップとを同時に行うそれぞれの遠隔ユーザ入力を受信するステップ。
【0125】
ステップS04:ロボット外科手術用デバイス100が外科手術用アーム102の遠位端部103を中心に枢動するように、上部510を垂直方向に変位させると同時に、上部510をピッチ軸部材を中心にピッチングさせるステップ。
【0126】
いくつかの実施形態では、図22Bのフローチャートに示すように、本方法は、ステップS02の後に、さらに以下のステップを含む。
【0127】
ステップS05:外科手術用アーム102の遠位端部103がターゲット位置801に配置されるまで、上部510を垂直方向に変位させるステップ。このステップは、ステップS02の位置決めステップによって遠位先端部103がターゲット位置801に近接するが、垂直方向にオフセットがある場合に有用であり得る。
【0128】
いくつかの実施形態では、図22Cのフローチャートに示すように、本方法は、ステップS04の後に、さらに以下のステップを含む。
【0129】
ステップS06:外科手術用アーム102が外科手術用アクセスチャネル570とアラインメントするように方向付けられたときに、外科手術用アーム102の遠位端部103を中心とするロボット外科手術用デバイス100の枢動を停止するステップ。
【0130】
いくつかの実施形態では、ステップS06の停止ステップは、1つまたは複数の外科手術用アーム102がターゲットベクトル1150および/または外科手術アクセスチャネル570とアラインメントするように方向付けられているという視覚補助装置のインディケーションに応答して実施される。
【0131】
実施形態に係る方法が開示される。図23Aのフローチャートに示すように、本方法は、以下のステップのいずれかまたはすべてを含む。
【0132】
ステップS11:ロボット外科手術用デバイス100のための位置決めシステム500を用意するステップ。位置決めシステム500は、(i)位置決め動作モードで位置決めシステム500を支持するように配置された複数の車輪542と、(ii)位置調整動作モードで位置決めシステム500を支持するように配置された複数のボールキャスター547と、(iii)静止動作モードで位置決めシステム500を支持するように配置された複数の車輪なし脚545と、(iv)位置決めシステム500の支持をあるそれぞれの複数の支持要素542、545、547から別のものに移すように構成された1つまたは複数のモードチェンジペダル590と、を備える。いくつかの実施形態では、位置決めシステム500は、組み立て状態の位置決めシステム600の一部として設けられる。
【0133】
ステップS12:複数の車輪542によって支持された位置決めシステム500を位置決めするステップ。
【0134】
ステップS13:位置決めシステム500の支持を複数の車輪なし脚545に移すために1つまたは複数のモードチェンジペダル590のうちの1つを適用するステップ。これによって位置決めシステム500を静止動作モードにする。
【0135】
いくつかの実施形態では、図23Bのフローチャートに示すように、本方法は、ステップS12の後に、さらに以下のステップを含む。
【0136】
ステップS14:位置決めシステム500の支持を複数の車輪542から複数のボールキャスター547に移すために、1つまたは複数のモードチェンジペダル590のうちの1つを適用するステップ。
【0137】
ステップS15:位置決めシステム500をボールキャスター547で支持した状態で、位置決めシステム500の位置決めを調整するステップ。
【0138】
この方法のいくつかの実施形態では、1つまたは複数のモードチェンジペダルのうちの少なくとも1つは、適用されると複数の車輪を持ち上げるように配置される。
【0139】
実施形態に係る医療用装置を使用する方法が開示される。医療用装置は、本明細書で開示した実施形態のいずれかに係る位置決めシステム500と、照明光源575と、本明細書で開示した実施形態のいずれかに係るアクセスチャネルアセンブリフレーム560とを含む。本方法によれば、照明光源575は、ドッキングインターフェース515に、直接的または間接的に、(例えば上部510を介して)結合され、位置決めシステム遠位方向に照明光を生成するように動作可能である。さらに、照明光源575は、少なくとも位置決めシステム遠位方向に直交する横方向において、1つまたは複数の外科手術用アーム102から、またはそれぞれの外科手術用アーム受容容積からオフセットされている。本方法によれば、アクセスチャネルアセンブリフレーム560は、照射ターゲットおよびアイアンサイト遠位方向を画定するために互いにアラインメントされた第1および第2アイアンサイト561を備える。さらに、アクセスチャネルアセンブリフレーム560は、ロボット外科手術用デバイス100の1つまたは複数の外科手術用アーム102のそれぞれの遠位部分103の横断を可能にするように形成された外科手術用アクセスチャネル570に結合されるように構成される。外科手術用アクセスチャネル570の結合は、第1および第2アイアンサイト561が、少なくともアイアンサイト遠位方向と直交する横方向において、結合された外科手術用アクセスチャネル570からオフセットされるように行われる。図24のフローチャートに示すように、本方法は、以下のステップのいずれかまたは全てを含む。
【0140】
ステップS21:アクセスチャネルアセンブリフレーム560と結合させ、外科手術用アクセスチャネル800を外科手術用入口点に配置するステップ。
【0141】
ステップS22:位置決めシステム500を、組み立て状態で、外科手術用入口に近接する位置に位置決めするステップ。組み立て状態は、位置決めシステム500のドッキングインターフェース515にモータ制御ユニット101が搭載され、1つまたは複数の外科手術用アーム102はモータ制御ユニット101のそれぞれのアーム受容容積に近位側が受容される状態、すなわち位置決めシステム500が組み立て状態の位置決めシステム600の一部として位置決めされる状態である。
【0142】
ステップS23:位置決めシステム遠位方向1020に照明光を生成するように照明光源575を動作させるステップ。
【0143】
ステップS24:照明光源575が照明ターゲット564を照らすように、ドッキングインターフェース515の位置およびドッキングインターフェース515の向きの少なくとも一方を調整するステップ。いくつかの実施形態において、ステップS24の調節するステップは、外科手術用アクセスチャネル570を通る1つまたは複数の外科手術用アーム102の遠位端部103が通過するために、1つまたは複数の外科手術用アーム102をアラインメントさせるのに有効である。
【0144】
本明細書に開示した方法ステップはいずれも、本発明の範囲内で、他の方法ステップと有用な方法で組み合わせることができる。
【0145】
次に、図25A、25B、25Cを参照する。
【0146】
実施形態において、ロボット外科手術用デバイス100の動作ベクトル(より具体的には、モータ制御ユニット101の動作ベクトル202)を、ターゲットベクトル(例えば、図25Aにおいて矢印2150によって示されるターゲットベクトル)とアラインメントするステップは、本明細書において開示される1つまたは複数の制御可能な移動(位置決めシステム500の上部510の垂直方向の変位、上部510のピッチ軸枢動、およびスライド式ドッキングインターフェース515の長手方向の変位)を用いて実施されることができる。一例において、このようなアラインメントステップは、図25Aに示すように、ロボット外科手術用デバイス100が位置決めシステム500のスライド式ドッキングインターフェース515上に設置されていない状態で、外科手術のためのロボット外科手術用デバイス100のセットアップ中に実施され得る。
【0147】
動作ベクトルとターゲットベクトルとのアラインメントステップは、遠隔ターゲット点2801を基準にして、具体的には、遠隔ターゲット点を中心に位置決めシステム500の上部510を枢動させることによって実施されることができる。ターゲット位置2801の例示的な例は、患者の外科手術部位への通過を容易にするために配置された外科手術用アクセスチャネル570の近位開口部である。
【0148】
図25Aに示すように、位置決めシステム500の適当な配置に続いて、モータ制御ユニット101の動作ベクトル202は(図26A~Cのように存在しても、図25A~Cのように存在しなくても)、ターゲットベクトル2150から回転角度θターゲットベクトルで方向付けられることがわかる。動作ベクトル202をターゲットベクトル2150にアラインメントさせるステップは、実施形態によれば、例えば図9に図示した上部510の枢動機能および垂直方向の変位機能を組み合わせて利用することによって実現可能である。いくつかの実施形態では、動作ベクトルは、モータ制御ユニット101に設置されたときの外科手術用アーム102の予想ベクトルとアラインメントするベクトルである。再び図7を参照すると、順方向(「時計回り」)および逆方向(「反時計回り」)のそれぞれのアームアラインメント制御589、589は、例えば、ユーザ入力パネル580で受信したユーザ入力に応答して、垂直方向の変位矢印2200垂直およびピッチ矢印2200ピッチによって図25Bにそれぞれ示されるように、上部510が同時にピッチングおよび垂直方向に変位することを制御するために設けられる。最適には、位置決めシステム500は、上部510の垂直方向の変位と、上部510のピッチ軸を中心とする枢動との両方を同時に作用させるように構成された(例えばプログラムされた)電子回路機構(不図示)を含む。電子回路機構を、ユーザ入力パネル580内、または位置決めシステム500内の他の任意の場所に配置することができる。代替的に、電子回路機構は、位置決めシステム500の外部に配置され、位置決めシステム500と電子通信する1つまたは複数のプロセッサを含むことができる。図25Bに示すように、電子回路機構は、ターゲットベクトル2150とアラインメントするように角度θターゲットベクトルを介して遠隔ターゲット点2801を中心に動作ベクトル202を枢動させるのに有効である。実施形態では、電子回路機構は、電子回路機構の1つまたは複数のプロセッサに記憶された、または他の方法でアクセス可能なプログラム命令を実行することによって、枢動を効果的に行う。制御パネル580および位置決めシステム500は、ユーザ入力パネル580で受信したユーザ入力に応答して、順方向(時計回り)のアームアラインメント制御589が、上部510の時計回り(図25Bの視点から見て時計回り)のピッチングと共に、上部510の上方への垂直方向の変位を引き起こすのに有効であるように構成され得る。また、制御パネル580および位置決めシステム500は、ユーザ入力パネル580で受信したユーザ入力に応答して、逆アームアラインメント制御589が、上部510の「反時計回り」のピッチング(図の参照フレームにおいて反時計回り)と共に上部510の上方への垂直方向の変位を引き起こすのに有効であるように構成され得る。
【0149】
いくつかの実施形態では、動作ベクトル202とターゲットベクトル2150とのアラインメントステップは、1つのステップで達成される。いくつかの実施形態では、動作ベクトル202とターゲットベクトル2150とのアラインメントステップは、(i)遠隔ターゲット点2801を捉えるために動作ベクトル202を整列させるステップと、(ii)モータ制御ユニット101の有無にかかわらず、遠隔ターゲット点2801を中心に、ドッキングインターフェースを枢動させて、モータ制御ユニット101の動作ベクトル202を遠隔ターゲット点2801のターゲットベクトル2150にアラインメントさせるステップと、の2つのステップで達成される。
【0150】
次に図25Cを参照する。第2使用例において、動作ベクトル202をターゲットベクトル2150にアラインメントさせるステップは、例えば、図12に示すように、ドッキングインターフェース515の長軸方向の変位機能と共に、上部510の枢動機能および垂直方向の変位機能を組み合わせて利用することによって実現可能である。この例において、時計回りと反時計回りのそれぞれのアームアラインメント制御589、589は、(長手方向の変位矢印2201スライドによって図25Cに示されるように)ドッキングインターフェース515の長軸方向の同時変位と共に、(垂直方向の変位矢印2201垂直とピッチ矢印2201ピッチによって図25Cにそれぞれ示されるように)上部510ピッチングと同時に垂直方向の変位を制御するように構成される。
【0151】
実施形態では、図25A~Cを参照して説明した枢動機能は、動作ベクトルをターゲットベクトルにアラインメントさせるステップがオフセットベクトルをオフセットターゲットベクトルにアラインメントさせるステップを含むことができるように、図19A~Bの視覚的アラインメントシステムと組み合わせることができる。
【0152】
次に図26A、26B、26Cを参照する。
【0153】
実施形態において、ロボット外科手術用デバイス100の動作ベクトル(より具体的には、モータ制御ユニット101の動作ベクトル202)の、ターゲットベクトル(例えば、図26Aにおいて矢印2150によって示されるターゲットベクトル)とのアラインメントステップは、本明細書において開示される1つまたは複数の制御可能な移動(位置決めシステム500の上部510の垂直方向の変位、上部510のピッチ軸枢動、およびスライド式ドッキングインターフェース515の長軸方向の変位)を使用して実施され得る。一例において、このようなアラインメントステップは、ロボット外科手術用デバイス100のモータ制御ユニット101が、図26Aに示すように、位置決めシステム500のスライド式ドッキングインターフェース515上に設置された状態で、外科手術のロボット外科手術用デバイス100のセットアップ中に実施され得る。動作ベクトルとターゲットベクトルとのアラインメントステップは、遠隔ターゲット点2801を参照して、具体的には、遠隔ターゲット点を中心に位置決めシステム500の上部510を枢動させることによって実施され得る。ターゲット位置2801の例示的な一例は、患者の外科手術部位への通過を容易にするために配置された外科手術用アクセスチャネル570の近位側の開口部である。
【0154】
図26Aに示すように、位置決めシステム500の適当な配置に続いて、動作ベクトル202は、ターゲットベクトル2150から回転角度θターゲットベクトルで方向付けられることがわかる。動作ベクトル202をターゲットベクトル2150にアラインメントさせるステップは、実施形態によれば、例えば図9に図示された上部510の枢動機能および垂直方向の変位機能を組み合わせて利用することによって実現可能である。いくつかの実施形態では、動作ベクトルは、モータ制御ユニット101に設置されたときの外科手術用アーム102の予想ベクトルとアラインメントするベクトルである。再び図7を参照すると、順方向(「時計回り」)および逆方向(「反時計回り」)のそれぞれのアームアラインメント制御589、589は、例えば、ユーザ入力パネル580で受信したユーザ入力に応答して、垂直方向の変位矢印2200垂直およびピッチ矢印2200ピッチによって図26Bにそれぞれ示されるように、上部510のピッチングおよび垂直方向の変位を同時に制御するために設けられる。最適には、位置決めシステム500は、上部510の垂直方向の変位と、上部510のピッチ軸を中心とする枢動との両方を同時に作用させるように構成された(例えばプログラムされた)電子回路機構(不図示)を含む。電子回路機構を、ユーザ入力パネル580内、または位置決めシステム500内の他の任意の場所に配置することができる。代替的に、電子回路機構は、位置決めシステム500の外部に配置され、位置決めシステム500と電子通信する1つまたは複数のプロセッサを含むことができる。図25Bに示すように、電子回路機構は、ターゲットベクトル2150とアラインメントするように角度θターゲットベクトルを介して遠隔ターゲット点2801を中心に動作ベクトル202を枢動させるのに有効である。実施形態では、電子回路機構は、電子回路機構の1つまたは複数のプロセッサに記憶された、または他の方法でアクセス可能なプログラム命令を実行することによって、枢動を行う。制御パネル580および位置決めシステム500は、ユーザ入力パネル580で受信したユーザ入力に応答して、順方向(時計回り)のアームアラインメント制御589が、上部510の時計回り(図26Bの視点から見て時計回り)のピッチングと共に、上部510の上方への垂直方向の変位を引き起こすのに有効であるように構成され得る。また、制御パネル580および位置決めシステム500は、逆アームアラインメント制御589が、ユーザ入力パネル580で受信したユーザ入力に応答して、上部510の「反時計回り」のピッチング(図の参照フレームにおいて反時計回り)と共に、上部510の上方への垂直方向の変位を引き起こすのに有効であるように構成され得る。
【0155】
いくつかの実施形態では、動作ベクトル202とターゲットベクトル2150とのアラインメントステップは、1つのステップで達成される。いくつかの実施形態では、動作ベクトル202とターゲットベクトル2150とのアラインメントは、(i)遠隔ターゲット点2801を捉えるために動作ベクトル202を整列させるステップと、(ii)モータ制御ユニット101の動作ベクトル202を遠隔ターゲット点2801のターゲットベクトル2150にアラインメントさせるために、モータ制御ユニット101の有無にかかわらず、遠隔ターゲット点2801を中心に、ドッキングインターフェースを枢動させるステップと、の2つのステップで達成される。
【0156】
次に図26Cを参照する。第2使用例では、ドッキングインターフェース515に設置されたモータ制御ユニット101を用いて動作ベクトル202をターゲットベクトル2150にアラインメントさせるステップは、例えば図12に図示されるように、ドッキングインターフェース515の長軸方向の変位機能と共に、上部510の枢動機能および垂直方向の変位機能を組み合わせて利用することによって実現可能である。この例において、時計回りと反時計回りのそれぞれのアームアラインメント制御589、589は、(長軸方向の変位矢印2201スライドによって図25Cに示されるように)ドッキングインターフェース515の同時の長軸方向の変位と共に、(垂直方向の変位矢印2201垂直とピッチ矢印2201ピッチによって図26Cにそれぞれ示されるように)上部510のピッチングと垂直方向の変位を同時に制御するように構成される。
【0157】
本開示では、「電子回路機構」という用語は、ハードウェア、ソフトウェアおよび/またはファームウェアの任意の組み合わせを広範に記述するよう意図している。電子回路機構は、フィールドプログラマブルロジックアレイ(FPLA)素子(複数可)、ハードワイヤド論理素子(複数可)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)素子(複数可)、特定用途向け集積回路(ASIC)素子(複数可)を含むがこれらに限定されない、任意の実行可能なコードモジュール(すなわち、コンピュータ可読媒体に記憶されたもの)および/またはファームウェアおよび/またはハードウェア素子(複数可)を含むことができる。縮小命令セットコンピュータ(RISC)アーキテクチャおよび/または複合命令セットコンピュータ(CISC)アーキテクチャを含むがこれらに限定されない任意の命令セットアーキテクチャを使用することができる。電子回路機構を、1つの場所に配置してもよいし、複数の場所に分散して配置してもよく、様々な回路機構要素が互いに有線または無線で電子通信することができる。
【0158】
本発明は、本明細書において特に示し記載したものに限定されないことが、当業者には理解されよう。むしろ、本発明の範囲は、本明細書に記載した様々な特徴のコンビネーションおよびサブコンビネーションの両方、ならびに前述の説明を読んで当業者に思いつくであろう、従来技術にないこれらの変形および改変を含む。
図1A
図1B
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B
図14
図15
図16
図17
図18
図19A
図19B
図20
図21
図22A
図22B
図22C
図23A
図23B
図24
図25A
図25B
図25C
図26A
図26B
図26C
【国際調査報告】