(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-18
(54)【発明の名称】電力伝送アダプタ機構、充電用コンセントおよび自動車
(51)【国際特許分類】
H01R 13/11 20060101AFI20240910BHJP
H01R 4/02 20060101ALI20240910BHJP
H01R 4/18 20060101ALI20240910BHJP
H01R 4/34 20060101ALI20240910BHJP
H01R 13/03 20060101ALI20240910BHJP
B60R 16/04 20060101ALN20240910BHJP
【FI】
H01R13/11 301D
H01R4/02 C
H01R4/18 Z
H01R4/34
H01R4/18 A
H01R13/03 A
H01R13/03 D
B60R16/04 T
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024510708
(86)(22)【出願日】2022-08-16
(85)【翻訳文提出日】2024-04-17
(86)【国際出願番号】 CN2022112755
(87)【国際公開番号】W WO2023024971
(87)【国際公開日】2023-03-02
(31)【優先権主張番号】202110991360.2
(32)【優先日】2021-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524029323
【氏名又は名称】チャンチュン ジェティ オートモーティブ テクノロジー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100098729
【氏名又は名称】重信 和男
(74)【代理人】
【識別番号】100206911
【氏名又は名称】大久保 岳彦
(74)【代理人】
【識別番号】100204467
【氏名又は名称】石川 好文
(74)【代理人】
【識別番号】100148161
【氏名又は名称】秋庭 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100195833
【氏名又は名称】林 道広
(72)【発明者】
【氏名】ワン,チャオ
【テーマコード(参考)】
5E012
5E085
【Fターム(参考)】
5E012BA12
5E085BB12
5E085BB14
5E085CC03
5E085CC09
5E085DD03
5E085DD04
5E085DD13
5E085FF01
5E085HH06
5E085HH12
5E085HH13
5E085JJ38
(57)【要約】
本発明は、電力伝送アダプタ機構、充電用コンセントおよび自動車を提供し、電力伝送部と、アダプタ部と、ケーブルとを含み、電力伝送部が順に接続された挿抜端と接続端とを含み、ケーブルが内部の導電性コアと、前記導電性コアを被覆する絶縁層とを含み、アダプタ部が順に接続された第1の端と、折り曲げ部と、第2の端とを含み、第1の端が接続端に電気的に接続され、第2の端がケーブルの一端における導電性コアに電気的に接続され、折り曲げ部が少なくとも1つの折り曲げ領域を含む。本発明に係る電力伝送アダプタ機構は、端子とケーブルとの非同軸接続またはアングル接続を実現することができることに加え、端子に使用される銅材料を節約して、端子のコストを低減することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力伝送部と、アダプタ部と、ケーブルとを含む電力伝送アダプタ機構において、
前記電力伝送部が順に接続された挿抜端と接続端とを含み、
前記ケーブルが内部の導電性コアと、前記導電性コアを被覆する絶縁層とを含み、
前記アダプタ部が順に接続された第1の端と、折り曲げ部と、第2の端とを含み、
前記第1の端が前記接続端に電気的に接続されており、前記第2の端が前記ケーブルの一端における前記導電性コアに電気的に接続されており、前記折り曲げ部が少なくとも1つの折り曲げ領域を含む
ことを特徴とする電力伝送アダプタ機構。
【請求項2】
前記第1の端の少なくとも一部は、前記接続端部の少なくとも一部に接触接続されている
ことを特徴とする請求項1に記載の電力伝送アダプタ機構。
【請求項3】
前記第1の端の少なくとも一部と前記接続端の少なくとも一部は、抵抗溶接、摩擦溶接、超音波溶接、アーク溶接、レーザ溶接、電子ビーム溶接、圧力拡散溶接、磁気誘導溶接、螺着、係止、つなぎ合わせ、圧着のうちの1種又は複数種により接続されている
ことを特徴とする請求項2に記載の電力伝送アダプタ機構。
【請求項4】
前記接続端に接続面が含まれ、前記接続面と前記第1の端との接触領域の面積は前記接続面の面積の5%以上を占める
ことを特徴とする請求項1に記載の電力伝送アダプタ機構。
【請求項5】
前記接続端は、形状が片状であり、第1の上面と、第1の下面と、第1の側面とを含み、
前記接続面は、前記第1の上面又は前記第1の下面に設けられており、
前記第1の端は、形状が片状であり、第2の上面と、第2の下面と、第2の側面とを含み、
前記第1の上面又は前記第1の下面は、前記第2の上面又は前記第2の下面と重なって接触接続されている
ことを特徴とする請求項4に記載の電力伝送アダプタ機構。
【請求項6】
前記接続端は、形状が柱状であり、側面と端面とを含み、
前記接続面は、前記端面に設けられており、
前記第1の端は、形状が片状であり、第2の上面と、第2の下面と、第2の側面とを含み、
前記端面は、前記第2の上面又は前記第2の下面に接触接続されている
ことを特徴とする請求項4に記載の電力伝送アダプタ機構。
【請求項7】
ボルトをさらに含み、
前記第2の上面には、前記第2の下面まで貫通する貫通孔が設けられ、
前記端面には、ねじ孔が設けられており、前記ボルトは、前記貫通孔を通して前記ねじ孔に螺着されている
ことを特徴とする請求項6に記載の電力伝送アダプタ機構。
【請求項8】
前記ボルトが前記ねじ孔に螺着されるトルクの範囲は、0.1N・m~30N・mである
ことを特徴とする請求項7に記載の電力伝送アダプタ機構。
【請求項9】
前記接続端は、形状が筒状であり、第1の内面と第1の外面とを含み、
前記接続面は、前記第1の内面または前記第1の外面に設けられており、
前記第1の端は、形状が筒状であり、第2の内面と第2の外面とを含み、
前記第1の内面または前記第1の外面は、前記第2の外面または前記第2の内面と重なって接触接続されている
ことを特徴とする請求項4に記載の電力伝送アダプタ機構。
【請求項10】
前記接続端または前記第1の端は、横断面形状が円形、楕円形、矩形または多角形である
ことを特徴とする請求項9に記載の電力伝送アダプタ機構。
【請求項11】
前記第2の端は、形状が平板形、椀形、U字状、V字状または筒状である
ことを特徴とする請求項1に記載の電力伝送アダプタ機構。
【請求項12】
前記導電性コアの少なくとも一部は、前記第2の端の少なくとも一部に接触接続されている
ことを特徴とする請求項1に記載の電力伝送アダプタ機構。
【請求項13】
前記導電性コアの少なくとも一部と前記第2の端の少なくとも一部は、抵抗溶接、摩擦溶接、超音波溶接、アーク溶接、レーザ溶接、電子ビーム溶接、圧力拡散溶接、磁気誘導溶接、螺着、係止、つなぎ合わせ、圧着のうちの1種または複数種により接続されている
ことを特徴とする請求項12に記載の電力伝送アダプタ機構。
【請求項14】
前記接続端に接続面が含まれ、前記第1の端の少なくとも一部が前記接続面の少なくとも一部に接触接続されており、
前記第2の端にワイヤ接続面が含まれ、前記ワイヤ接続面と前記導電性コアとの接触領域の面積が前記ワイヤ接続面の面積の5%以上を占める
ことを特徴とする請求項1に記載の電力伝送アダプタ機構。
【請求項15】
前記アダプタ部は、板材からプレスまたは切割・折り曲げまたは機械加工により形成されたものである
ことを特徴とする請求項1に記載の電力伝送アダプタ機構。
【請求項16】
前記第1の端、折り曲げ部および第2の端の厚さは、相互間の差が35%以下である
ことを特徴とする請求項1に記載の電力伝送アダプタ機構。
【請求項17】
前記折り曲げ領域における隣接する2つの平面の夾角は0°~180°である
ことを特徴とする請求項1に記載の電力伝送アダプタ機構。
【請求項18】
前記折り曲げ領域における折り曲げ箇所は円弧状であり、前記折り曲げ箇所の内部半径が前記アダプタ部の厚さの3分の1以上である
ことを特徴とする請求項1に記載の電力伝送アダプタ機構。
【請求項19】
前記折り曲げ領域の接線方向には、少なくとも1つの補強リブが設けられており、前記補強リブは、前記折り曲げ領域における外部材料が内部へ凹んで形成されたものである
ことを特徴とする請求項1に記載の電力伝送アダプタ機構。
【請求項20】
前記折り曲げ領域は、ツイスト状であり、前記第1の端の平面または縦方向中心対称面は、前記第2の端の平面または縦方向中心対称面との夾角が0°~90°である
ことを特徴とする請求項1に記載の電力伝送アダプタ機構。
【請求項21】
前記アダプタ部の材質は、ニッケル、カドミウム、ジルコニウム、クロム、コバルト、マンガン、アルミニウム、スズ、チタン、亜鉛、銅、銀、金、リン、テルル、ベリリウム、鉛のうちの1種または複数種を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の電力伝送アダプタ機構。
【請求項22】
前記アダプタ部の材質にテルル銅合金が含まれ、前記テルル銅合金におけるテルルの含有量は0.1%~5%である
ことを特徴とする請求項1に記載の電力伝送アダプタ機構。
【請求項23】
前記アダプタ部の材質にベリリウム銅合金が含まれ、前記ベリリウム銅合金におけるベリリウムの含有量は0.05%~5%である
ことを特徴とする請求項1に記載の電力伝送アダプタ機構。
【請求項24】
前記アダプタ部の材質にリン青銅合金が含まれ、前記リン青銅合金におけるリンの含有量は0.01%~1.5%である
ことを特徴とする請求項1に記載の電力伝送アダプタ機構。
【請求項25】
前記アダプタ部の材質に鉛黄銅合金が含まれ、前記鉛黄銅合金加における鉛の含有量は0.1%~5%である
ことを特徴とする請求項1に記載の電力伝送アダプタ機構。
【請求項26】
前記電力伝送部、前記導電性コアおよび前記アダプタ部に少なくとも部分的にめっき層が設けられている
ことを特徴とする請求項14に記載の電力伝送アダプタ機構。
【請求項27】
前記接続面の少なくとも一部には、前記めっき層が設けられていない
ことを特徴とする請求項26に記載の電力伝送アダプタ機構。
【請求項28】
前記接続面の少なくとも一部には、前記めっき層が設けられており、前記接続面における前記めっき層は第1のめっき層である
ことを特徴とする請求項26に記載の電力伝送アダプタ機構。
【請求項29】
前記第1の端における少なくとも前記接続面と接触する平面には、前記めっき層が設けられていない
ことを特徴とする請求項26に記載の電力伝送アダプタ機構。
【請求項30】
前記第1の端における少なくとも前記接続面と接触する平面に前記めっき層が設けられており、前記第1の端における少なくとも前記接続面と接触する平面における前記めっき層は第2のめっき層である
ことを特徴とする請求項28に記載の電力伝送アダプタ機構。
【請求項31】
前記ワイヤ接続面の少なくとも一部には、前記めっき層が設けられていない
ことを特徴とする請求項26に記載の電力伝送アダプタ機構。
【請求項32】
前記ワイヤ接続面の少なくとも一部には、前記めっき層が設けられており、前記ワイヤ接続面における前記めっき層は第3のめっき層である
ことを特徴とする請求項30に記載の電力伝送アダプタ機構。
【請求項33】
前記導電性コアには、前記めっき層が設けられていない
ことを特徴とする請求項26に記載の電力伝送アダプタ機構。
【請求項34】
前記導電性コアの少なくとも一部には、前記めっき層が設けられており、前記導電性コアにおける前記めっき層は第4のめっき層である
ことを特徴とする請求項32に記載の電力伝送アダプタ機構。
【請求項35】
前記第1のめっき層の材質と、前記第2のめっき層の材質と、前記第3のめっき層の材質と、前記第4のめっき層の材質とは、異なる
ことを特徴とする請求項34に記載の電力伝送アダプタ機構。
【請求項36】
前記第1のめっき層の厚さと、前記第2のめっき層の厚さと、前記第3のめっき層の厚さと、前記第4のめっき層の厚さとは、異なる
ことを特徴とする請求項34に記載の電力伝送アダプタ機構。
【請求項37】
前記めっき層の材質は、金、銀、ニッケル、スズ、亜鉛、スズ鉛合金、銀アンチモン合金、パラジウム、パラジウムニッケル合金、グラファイト銀、グラフェン銀および銀金ジルコニウム合金のうちの1種または複数種を含む
ことを特徴とする請求項26に記載の電力伝送アダプタ機構。
【請求項38】
前記めっき層は、電気めっき、無電解めっき、マグネトロンスパッタリングまたは真空めっきによって設けられたものである
ことを特徴とする請求項26に記載の電力伝送アダプタ機構。
【請求項39】
前記めっき層は、下地層と表層とを含む
ことを特徴とする請求項26に記載の電力伝送アダプタ機構。
【請求項40】
前記下地層の材質は、金、銀、ニッケル、スズ、スズ鉛合金および亜鉛のうちの1種または複数種を含み、前記表層の材質は、金、銀、ニッケル、スズ、亜鉛、スズ鉛合金、銀アンチモン合金、パラジウム、パラジウムニッケル合金、グラファイト銀、グラフェン銀および銀金ジルコニウム合金のうちの1種または複数種を含む
ことを特徴とする請求項39に記載の電力伝送アダプタ機構。
【請求項41】
前記導電性コアの材質にアルミニウムが含まれる
ことを特徴とする請求項1に記載の電力伝送アダプタ機構。
【請求項42】
前記電力伝送部と前記アダプタ部との間の接触抵抗は9mΩ未満である
ことを特徴とする請求項1に記載の電力伝送アダプタ機構。
【請求項43】
前記導電性コアと前記アダプタ部との間の接触抵抗は9mΩ未満である
ことを特徴とする請求項1に記載の電力伝送アダプタ機構。
【請求項44】
請求項1乃至43のいずれかに記載の電力伝送アダプタ機構を含むことを特徴とする充電用コンセント。
【請求項45】
請求項1乃至43のいずれかに記載の電力伝送アダプタ機構または請求項44に記載の充電用コンセントを含むことを特徴とする自動車。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本発明は、2021年8月26日に提出された出願番号が202110991360.2であり、発明名称が「電力伝送アダプタ構造、充電用コンセントおよび自動車」である中国特許出願の優先権を主張し、その全ての内容は援用により本発明に組み合わせられている。
【技術分野】
【0002】
本発明は、電気接続の技術分野に関し、特に、電力伝送アダプタ機構、充電用コンセントおよび自動車に関する。
【背景技術】
【0003】
現在、電力伝送の分野において、大電流を導通させる必要がある場合が多く、断面積が大きいケーブルと接続端子を使用する必要があり、受電装置機構の体積が増大することに繋がる。例えば、現在ますます広く適用されている電気自動車における充電システムは、充電時間を減少させるために、充電電流を増大させ、これによって、充電ケーブルと充電端子の有効導電断面積が95mm2~160mm2にも達し、これによって、充電用コンセントまたは充電ガンの体積も膨大になって重くなり、使用が不便である。
【0004】
一部の受電装置機構の体積が制限されるため、受電装置機構における挿抜接続を行うための端子は、電力を伝送するためのケーブルと同軸ではなく、直接接続することができなかったり、ケーブルの引き出される方向と端子の軸方向の方向との間に一定の角度ずれが存在したりするため、対応するアダプタ機構で接続することが必要である。
【0005】
さらに、大電流を導通する端子は、いずれも銅材料を基材とし、銅の導電性がよく、抵抗率が低く、且つ延性がよく、加工成形しやすいため、一般的に、端子は、銅材料を旋削、鍛造、プレスするなどの方法で加工成形されたものである。受電装置機構において、ケーブルの接続位置が端子の位置から遠い場合、端子は、その全体が銅材料で加工され、銅材料の消費量が多く、無駄遣いし過ぎ、端子のコストを低減させることができない。
【0006】
したがって、電力伝送の分野では、端子とケーブルとの間を接続する電力伝送アダプタ機構であって、端子とケーブルとの非同軸接続またはアングル接続を実現することができ、端子に使用される銅材料を節約し、端子のコストを低減することができる電力伝送アダプタ機構が強く求められている。
【発明の概要】
【0007】
本発明により提供される電力伝送アダプタ機構、充電用コンセントおよび自動車によれば、端子とケーブルとの非同軸接続またはアングル接続を実現することに加え、端子に使用される銅材料を節約して、端子のコストを低減することができる。受電装置機構の体積が大型化する、端子とケーブルとが非同軸接続またはアングル接続を達成できなくなる、端子用の銅材料の消費量が多くて端子のコストを低減することができないなどの課題を解決できる。
【0008】
本発明により提供される技術方案は、電力伝送アダプタ機構であって、電力伝送部と、アダプタ部と、ケーブルとを含み、前記電力伝送部が順に接続された挿抜端と接続端とを含み、前記ケーブルが内部の導電性コアと前記導電性コアを被覆する絶縁層とを含み、前記アダプタ部が順に接続された第1の端と、折り曲げ部と、第2の端とを含み、前記第1の端が前記接続端に電気的に接続され、前記第2の端が前記ケーブルの一端における前記導電性コアに電気的に接続されており、前記折り曲げ部が少なくとも1つの折り曲げ領域を含む電力伝送アダプタ機構である。
【0009】
好ましい実施形態において、前記第1の端の少なくとも一部は、前記接続端の少なくとも一部に接触接続されている。好ましい実施形態において、前記第1の端の少なくとも一部と前記接続端の少なくとも一部とは、抵抗溶接、摩擦溶接、超音波溶接、アーク溶接、レーザ溶接、電子ビーム溶接、圧力拡散溶接、磁気誘導溶接、螺着、係止、つなぎ合わせ、圧着のうちの1種または複数種により接続されている。好ましい実施形態において、前記接続端に接続面が含まれ、前記接続面と前記第1の端との接触領域の面積は前記接続面の面積の5%以上を占める。好ましい実施形態において、前記接続端は、形状が片状であり、第1の上面と、第1の下面と、第1の側面とを含み、前記接続面は、前記第1の上面または前記第1の下面に設けられており、前記第1の端は、形状が片状であり、第2の上面と、第2の下面と、第2の側面とを含み、前記第1の上面または前記第1の下面は、前記第2の上面または前記第2の下面と重なって接触接続されている。
【0010】
好ましい実施形態において、前記接続端は、形状が柱状であり、側面と端面とを含み、前記接続面が前記端面に設けられており、前記第1の端は、形状が片状であり、第2の上面と、第2の下面と、第2の側面とを含み、前記端面は、前記第2の上面または前記第2の下面に接触接続されている。
【0011】
好ましい実施形態において、前記電力伝送アダプタ機構は、ボルトをさらに含み、前記第2の上面には、前記第2の下面まで貫通する貫通孔が設けられており、前記端面には、ねじ孔が設けられており、前記ボルトは、前記貫通孔を通して前記ねじ孔に螺着されている。
【0012】
好ましい実施形態においては、前記ボルトが前記ねじ孔に螺着されるトルクの範囲は、0.1N・m~30N・mである。
【0013】
好ましい実施形態において、前記接続端は、形状が筒状であり、第1の内面と第1の外面とを含み、前記接続面が前記第1の内面または前記第1の外面に設けられており、前記第1の端は、形状が筒状であり、第2の内面と第2の外面とを含み、前記第1の内面または前記第1の外面は、前記第2の外面または前記第2の内面と重なって接触接続されている。
【0014】
好ましい実施形態において、前記接続端または前記第1の端は、横断面形状が円形、楕円形、矩形または多角形である。好ましい実施形態において、前記第2の端は、形状が平板形、椀形、U字状、V字状または筒状である。好ましい実施形態において、前記導電性コアの少なくとも一部は、前記第2の端の少なくとも一部に接触接続されている。
【0015】
好ましい実施形態において、前記導電性コアの少なくとも一部と前記第2の端の少なくとも一部とは、抵抗溶接、摩擦溶接、超音波溶接、アーク溶接、レーザ溶接、電子ビーム溶接、圧力拡散溶接、磁気誘導溶接、螺着、係止、つなぎ合わせ、圧着のうちの1種または複数種により接続されている。
【0016】
好ましい実施形態において、前記接続端に接続面が含まれ、前記第1の端の少なくとも一部が前記接続面の少なくとも一部に接触接続されており、前記第2の端にワイヤ接続面が含まれ、前記ワイヤ接続面と前記導電性コアとの接触領域の面積が前記ワイヤ接続面の面積の5%以上を占める。
【0017】
好ましい実施形態において、前記アダプタ部は、板材からプレスまたは切割・折り曲げまたは機械加工により形成されたものである。
【0018】
好ましい実施形態において、前記第1の端、折り曲げ部および第2の端の厚さは、相互間の差が35%以下である。好ましい実施形態において、前記折り曲げ領域における隣接する2つの平面の夾角は0°~180°である。好ましい実施形態において、前記折り曲げ領域における折り曲げ箇所は円弧状であり、前記折り曲げ箇所の内部半径が前記アダプタ部の厚さの3分の1以上である。好ましい実施形態において、前記折り曲げ領域の接線方向には、少なくとも1つの補強リブが設けられており、前記補強リブは、前記折り曲げ領域における外部材料が内部へ凹んで形成されたものである。好ましい実施形態において、前記折り曲げ領域は、ツイスト状であり、前記第1の端の平面または縦方向中心対称面は、前記第2の端の平面または縦方向中心対称面との夾角が0°~90°である。
【0019】
好ましい実施形態において、前記アダプタ部の材質は、ニッケル、カドミウム、ジルコニウム、クロム、コバルト、マンガン、アルミニウム、スズ、チタン、亜鉛、銅、銀、金、リン、テルル、ベリリウム、鉛のうちの1種または複数種を含む。好ましい実施形態において、前記アダプタ部の材質にテルル銅合金が含まれ、前記テルル銅合金におけるテルルの含有量は0.1%~5%である。好ましい実施形態において、前記アダプタ部の材質にベリリウム銅合金が含まれ、前記ベリリウム銅合金におけるベリリウムの含有量は0.05%~5%である。好ましい実施形態においては、前記アダプタ部の材質にリン青銅合金が含まれ、前記リン青銅合金におけるリンの含有量は0.01%~1.5%である。好ましい実施形態において、前記アダプタ部の材質に鉛黄銅合金が含まれ、前記鉛黄銅合金加における鉛の含有量は0.1%~5%である。
【0020】
好ましい実施形態において、前記電力伝送部、前記導電性コアおよび前記アダプタ部に少なくとも部分的にめっき層が設けられている。好ましい実施形態においては、前記接続面の少なくとも一部には、前記めっき層が設けられていない。好ましい実施形態において、前記接続面の少なくとも一部には、前記めっき層が設けられており、前記接続面における前記めっき層は第1のめっき層である。
【0021】
好ましい実施形態において、前記第1の端における少なくとも前記接続面と接触する平面には、前記めっき層が設けられていない。好ましい実施形態において、前記第1の端における少なくとも前記接続面と接触する平面に前記めっき層が設けられており、前記第1の端における少なくとも前記接続面と接触する平面における前記めっき層は第2のめっき層である。
【0022】
好ましい実施の形態においては、前記ワイヤ接続面の少なくとも一部には、前記めっき層が設けられていない。
【0023】
好ましい実施形態において、前記ワイヤ接続面の少なくとも一部には、前記めっき層が設けられており、前記ワイヤ接続面における前記めっき層は第3のめっき層である。
【0024】
好ましい実施形態においては、前記導電性コアには、前記めっき層が設けられていない。好ましい実施形態において、前記導電性コアの少なくとも一部には、前記めっき層が設けられており、前記導電性コアにおける前記めっき層は第4のめっき層である。
【0025】
好ましい実施形態において、前記第1のめっき層の材質と、前記第2のめっき層の材質と、前記第3のめっき層の材質と、前記第4のめっき層の材質とは、異なる。好ましい実施形態において、前記第1のめっき層の厚さと、前記第2のめっき層の厚さと、前記第3のめっき層の厚さと、前記第4のめっき層の厚さとは、異なる。
【0026】
好ましい実施形態において、前記めっき層の材質は、金、銀、ニッケル、スズ、亜鉛、スズ鉛合金、銀アンチモン合金、パラジウム、パラジウムニッケル合金、グラファイト銀、グラフェン銀および銀金ジルコニウム合金のうちの1種または複数種を含む。
【0027】
好ましい実施形態において、前記めっき層は、電気めっき、無電解めっき、マグネトロンスパッタリングまたは真空めっきによって設けられたものである。
【0028】
好ましい実施形態においては、前記めっき層は、下地層と表層とを含む。好ましい実施形態において、前記下地層の材質は、金、銀、ニッケル、スズ、スズ鉛合金および亜鉛のうちの1種または複数種を含み、前記表層の材質は、金、銀、ニッケル、スズ、亜鉛、スズ鉛合金、銀アンチモン合金、パラジウム、パラジウムニッケル合金、グラファイト銀、グラフェン銀および銀金ジルコニウム合金のうちの1種または複数種を含む。
【0029】
好ましい実施形態においては、前記導電性コアの材質にアルミニウムが含まれる。好ましい実施形態において、前記電力伝送部と前記アダプタ部との間の接触抵抗は9mΩ未満である。好ましい実施形態において、前記導電性コアと前記アダプタ部との間の接触抵抗は9mΩ未満である。
【0030】
本発明は、以上に記載の電力伝送アダプタ機構を含む充電用コンセントをさらに提供する。
【0031】
本発明は、上記の電力伝送アダプタ機構または上記の充電用コンセントを含む自動車をさらに提供する。
【0032】
本発明は、有益な効果をもたらすことができる。
【0033】
1、本発明により提供される電力伝送アダプタ機構によれば、アダプタ部により電力伝送部とケーブルの導電性コアのそれぞれを接続するとともに、アダプタ部に折り曲げ部が設けられていることによって、電力伝送部とケーブルを異なる軸方向で接続することができ、電力伝送部とケーブルとをアングル接続することができ、これによって、受電装置機構の体積が小さくなって、受電装置機構がより多くの使用環境に適応することができる。
【0034】
2、本発明により提供される電力伝送部とアダプタ部とは、多様な接続の方式で接続することが可能であるため、使用状況に応じて、圧着またはつなぎ合わせあるいは溶接の異なる方式で電力伝送部とアダプタ部を接続することができ、これによって、電力伝送アダプタ機構としての良好な電気的性能と力学性能を実現する。
【0035】
3、本発明により提供される電力伝送部とアダプタ部との接続箇所は、様々な形状を有し、実装環境に応じて異なる形状を選択して接続することができ、設計者に様々な設計方向を提供する。
【0036】
4、本発明により提供されるアダプタ部の材質は、様々な銅材料であってもよく、材質の異なる銅材料は、対応して異なる性能を有し、異なる使用環境において、対応した設計目的を達成することができる。
【0037】
5、本発明により提供される電力伝送部とアダプタ部とにめっき層を設けることによって、電力伝送部とアダプタ部との耐擦過性能および耐腐食性能を向上させることができ、これによって、電力伝送アダプタ機構の使用寿命を延ばすことができる。
【0038】
6、本発明により提供される電力伝送部とアダプタ部のめっき層は、下地層と表層とを有し、電力伝送部とアダプタ部の表面にまず一層の下地層をめっきし、表面の隙間と穴を埋めてから、表層であるめっき層をめっきすることで、めっき層と基材との結合がより強固になり、より平らになり、めっき層の表面に隙間と穴がなくなるため、電力伝送アダプタ機構の耐摩耗性能、耐腐食性能、電気的性能がより優れて、電力伝送アダプタ機構の使用寿命を大幅に延ばすことができる。
【0039】
7、本発明により提供されるケーブルの導電性コアには、アルミニウムが含まれるため、銅ケーブルの代わりにアルミニウムケーブルを使用することができ、ケーブルの重量を低減すると同時に、ケーブルのコストを低減することができる。
【0040】
8、本発明は、本発明における電力伝送アダプタ機構を用いた充電用コンセントをさらに提供し、これによって、充電用コンセントの体積をより小さくし、ケーブルの引き出し方向を任意に設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図1】本発明に係る電力伝送アダプタ機構の一実施形態の構造概略図である。
【
図2】本発明に係る電力伝送部の一実施形態の構造概略図である。
【
図3】本発明に係る電力伝送部の他の実施形態の構造概略図である。
【
図4】本発明に係るアダプタ部の一実施形態の構造概略図である。
【
図7】本発明に係る電力伝送部の別の実施形態の構造概略図である。
【
図8】本発明に係る電力伝送部とアダプタ部とを組み合わせた一実施形態の構造概略図である。
【
図9】本発明に係る電力伝送部とアダプタ部とを組み合わせた他の実施形態の構造概略図である。
【
図10】本発明に係る第2の端の形状が椀形である構造概略図である。
【
図11】本発明に係る第2の端の形状がU字形である構造概略図である。
【
図12】本発明に係る第2の端の形状が筒状である構造概略図である。
【
図13】本発明に係るアダプタ部に補強リブが設けられている構造概略図である。
【
図14】本発明に係る充電用コンセントの断面構造概略図である。
【0042】
図中、1-電力伝送部、11-插拔端、12-接続端、13-接続面、14-第1の上面、15-第1の側面、16-第1の下面、17-側面、18-端面、19-ねじ孔;2-アダプタ部、21-第1の端、22-折り曲げ部、23-第2の端、24-第2の上面、25-第2の側面、26-第2の下面、27-貫通孔、28-補強リブ、3-ケーブル、31-導電性コア、32-絶縁層;4-ボルト、5-充電用コンセント。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、当業者が明細書の文字を参照して実施できるように本発明をさらに詳細に説明する。本発明の技術的な特徴、目的および効果をより明確に理解するために、図面を参照しながら本発明の具体的な実施形態を説明する。ただし、「第1の」、「第2の」等の用語は、説明の目的のみに用いられ、相対的な重要性を指示または暗示したり、指示された技術的特徴の数を暗黙的に示したりすると理解されるべきではなく、これにより、「第1の」、「第2の」等に限定された特徴は、1つまたは複数の当該特徴を明示的または暗黙的に含むことができる。本発明の説明において、特に断りのない限り、「複数」は2つ以上のことを意味する。本発明の説明において、特に断りのない限り、「接続」という用語は、広義に理解されるべきであり、例えば、固定的に接続されることを指してもよく、着脱可能に接続されることを指してもよく、また、直接接続されることを指してもよく、中間の媒体を介して間接接続されてることを指してもよく、当業者にとって、具体的な状況に応じて本特許における上記用語の具体的な意味を理解することができる。
【実施例1】
【0044】
本発明は、電力伝送アダプタ機構を提供し、
図1に示すように、電力伝送部1と、アダプタ部2と、ケーブル3とを含み、そのうち、電力伝送部1が順に接続された挿抜端11と接続端12とを含み、ケーブル3が内部の導電性コア31と導電性コア31を被覆する絶縁層32とを含み、アダプタ部2が順に接続された第1の端21と、折り曲げ部22と、第2の端23とを含み、第1の端21が接続端12に電気的に接続され、第2の端23がケーブル3の一端における導電性コア31に電気的に接続されており、折り曲げ部22が少なくとも1つの折り曲げ領域を含む。
【0045】
本発明において、アダプタ部2により電力伝送部1とケーブル3の導電性コア31のそれぞれを接続するとともに、アダプタ部2に折り曲げ部22が設けられていることによって、電力伝送部1とケーブル3を異なる軸方向で接続することができ、電力伝送部1とケーブル3をアングル接続することができ、これによって、受電装置機構の体積を小さくして、受電装置機構をより多くの使用環境に適応させることができる。
【0046】
さらに、本発明は、アダプタ部2を設けることによって、電力伝送部1に、ケーブル3を接続するために延出される構造を設ける必要がなく、電力伝送部1の使用材料を節約すると同時に、複雑な形状の電力伝送部1の加工難度を低減することができ、簡単なプロセスで電力伝送部1を量産することができ、加工工数を低減し、電力伝送部1の生産効率を向上させることができる。
【0047】
一実施形態において、第1の端21の少なくとも一部は、接続端12の少なくとも一部に接触接続されている。電力伝送部1とアダプタ部2との電気的接続を実現するために、電力伝送部1の接続端12とアダプタ部2の第1の端21とを電気的に接続する必要があるため、第1の端21の少なくとも一部の構造と接続端12の少なくとも一部の構造とを接触させて接続させることによって、電力伝送部1とアダプタ部2とを電気的に接続する目的を達成することができる。
【0048】
一実施形態において、第1の端21の少なくとも一部と接続端12の少なくとも一部は、抵抗溶接、摩擦溶接、超音波溶接、アーク溶接、レーザ溶接、電子ビーム溶接、圧力溶接、拡散溶接、磁気誘導溶接、螺着、係止、つなぎ合わせ、圧着のうちの1種または複数種により接続されている。
【0049】
抵抗溶接とは、強い電流を、電極とワークとの間の接触点を通過させ、接触抵抗から熱を発生させて溶接する方法を指す。摩擦溶接とは、ワーク接触面の摩擦による熱を熱源として、ワークを圧力により塑性変形させて溶接する方法を指す。超音波溶接とは、高周波振動波を2つの溶接すべき物体表面に伝達させ、加圧する状態で、2つの物体表面を互いに摩擦させて分子層間の融着を形成することを指す。アーク溶接とは、アークを熱源とし、空気放電の物理現象を利用して、電気エネルギーを溶接に必要な熱エネルギーおよび機械エネルギーに変換することによって、金属を接続する目的を達成することを指し、主な方法として、被覆アーク溶接、サブマージアーク溶接、ガスシールドアーク溶接などがある。レーザー溶接とは、高エネルギー密度のレーザービームを熱源とする高効率で精密な溶接方法である。電子ビーム溶接とは、加速および集束された電子ビームを真空または非真空中に置かれた溶接面に衝突させることによって、溶接対象のワークを溶融させて溶接することを指す。圧力溶接とは、溶接ワークに圧力を付勢し、接合面を密着接触させて一定の塑性変形を生じさせて溶接する方法である。拡散溶接とは、ワークを、視認可能な変形や相対的な移動が生することなく、高温で加圧する固相溶接方法を指す。磁気誘導溶接とは、2つの溶接対象のワークが強いパルス磁場の作用で瞬間的に高速に衝突し、材料の表層が非常に高い圧力波の作用で、2種の材料の原子が原子間距離内で出会うことによって、界面に安定的な金属結合を形成することを指し、固相冷間溶接の一種であり、属性が類似または非類似の伝導金属を溶接することができる。螺着とは、ねじによる接続を指し、ねじ部材(または被接続部材のねじ部分)で被接続部材を一体に接続する取り外し可能な接続である。一般的なねじ接続部材として、ボルト4と、スタッドと、ねじと、止めねじなどがあり、ほとんどは規格品である。係止とは、接続端12または接続面13に対応する係止爪または係止溝をそれぞれ設け、係止溝と係止爪による取付により、互いに接続されることを指す。係止は、接続が速く、取り外し可能であることを利点とする。つなぎ合わせとは、接続端12または接続面13に対応する凹溝と突起とをそれぞれ設け、凹溝と突起が互いにほぞ継ぎまたはつなぎ合わせで組み立てられることによって、互いに接続されることを指す。つなぎ合わせは、接続が安定であり、取り外し可能であることを利点とする。圧着について、圧着は、接続端12と接続面13とを組み立てた後、圧着機を用いて両者を一体にプレスする生産プロセスである。圧着は、量産性に優れて、自動圧着機を利用することで安定した品質の製品を大量で迅速に製造することができることを利点とする。
【0050】
上記した接続の方式により、実際の使用環境、および接続端12と第1の端21との実際の状態に応じて、適切な接続の方式または接続の方式の組み合わせを選択して、接続端12と第1の端21とを安定的に接続して、効果的な電気的接続を実現することができる。
【0051】
一実施形態において、接続端12は、接続面13を含み、接続面13と第1の端21との接触領域の面積は、接続面13の面積の5%以上を占める。電力伝送部1とアダプタ部2との良好な電気的接続を確保するために、接続面13と第1の端21との接触面積は重要な特性であり、接触面積が大きいほど、接続面13と第1の端21との間の電圧降下が小さくなり、引抜力が大きくなる。接続面13と第1の端21との接触領域の面積が接続面13の面積を占める割合と、接続面13と第1の端21との間の電圧降下および引抜力との関係を検証するために、発明者は、同一である電力伝送部1とアダプタ部2とを10組用意し、また、全ての電力伝送部1に同じ接続面13を設け、その後、同じ超音波溶接の方式を採用した。しかしながら、接続面13と第1の端21との接触領域の面積が接続面13の面積を占める割合を変化させ、電流を流して、接続面13と第1の端21との間の電圧降下を測定し、接続面13と第1の端21との間の引抜力を測定して、その結果を表1に記録した。
【0052】
電圧降下の測定方法では、接続端12と第1の端21とを電圧降下検出台に置き、接続面13と第1の端21との自身の電圧値AとBをそれぞれ測定し、次に接続面13から第1の端21までの電圧値Cを測定し、次にC-(A+B)の値を、接続面13と第1の端21との接続点の電圧降下の値として計算する。本実施例において、電圧降下の値が4mVよりも大きいものを不合格とする。
【0053】
引抜力の測定方法では、引抜力試験機を用いて、溶接された後の接続端12と第1の端21とを引抜力試験機の両端の治具にそれぞれ固定した後、引抜力試験機を起動し、両端の治具を均一な速度で対向する2つの方向に動かせるとともに、第1の端21が接続端12から離脱する時の引抜力を記録した。本実施例において、引抜力が1600N未満であるものを不合格とする。
【0054】
表1:接続面13と第1の端21との接触領域の面積が接続面13の面積を占める割合による電圧降下と引抜力への影響
【0055】
【0056】
上記の表1から分かるように、接続面13と第1の端21との接触領域の面積が接続面13の面積を占める割合が5%未満である場合、接続面13と第1の端21との間の電圧降下が4mVより大きく、且つ接続面13と第1の端21との間の引抜力が1600N未満であり、いずれも不合格である。接続面13と第1の端21との接触領域の面積が接続面13の面積を占める割合が5%よりも大きい場合、接続面13と第1の端21との間の電圧降下および引抜力がいずれも合格値より優れ、且つ割合が大きいほど、接続面13と第1の端21との電気的性能および力学的性能が良好であり、よって、発明者は、接続面13と第1の端21との接触領域の面積が接続面13の面積の5%以上を占めるように設定する。
【0057】
一実施形態において、
図2~
図6に示すように、接続端12は、形状が片状であり、第1の上面14と、第1の下面16と、第1の側面15とを含み、接続面13が第1の上面14または第1の下面16に設けられており、第1の端21は、形状が片状であり、第2の上面24と、第2の下面26と、第2の側面25とを含み、第1の上面14または第1の下面16が第2の上面24または第2の下面26と重なって接触接続されている。接続端12と第1の端21とはいずれも片状であり、加工が簡単であり、重ね合わせて接続することも比較的に便利であり、機器治具と溶接金型の製造に有利であり、自動化生産を実現して、生産効率を向上させ、生産コストを低減させることに有利である。
【0058】
一実施形態において、
図7~
図9に示すように、接続端12は、形状が柱状であり、側面17と端面18とを含み、接続面13が端面18に設けられており、第1の端21は、形状が片状であり、第2の上面24と、第2の下面26と、第2の側面25とを含み、端面18が第2の上面24または第2の下面26に接触接続されている。電力伝送部1の端部を、片状構造に加工せず、端面18に直接加工することによって、加工工程を少なくし、加工工数を低減することができ、また、電力伝送部1の長さを短くし、電力伝送アダプタ機構の体積を簡素化することができ、さらに、電力伝送部1の加工材料を節約して、電力伝送部1のコストを低減することができる。接続端12の端面18と第1の端21とは、溶接または螺着または係止またはつなぎ合わせにより接続されることができる。
【0059】
一実施形態において、
図7~
図9に示すように、電力伝送アダプタ機構は、ボルト4をさらに含み、第2の上面24には、第2の下面26まで貫通する貫通孔27が設けられており、端面18には、ねじ孔19が設けられており、ボルト4は、貫通孔27を通してねじ孔19に螺着されている。ねじによる接続の方式により、電力伝送部1とアダプタ部2とを迅速に接続することができ、また、取り外し可能にすることができ、後のメンテナンス保守において取り外しおよび交換作業を容易に行うことができる。
【0060】
一実施形態において、ボルト4がねじ孔19に螺着されるトルク範囲は、0.1N・m~30N・mである。
【0061】
ボルト4がねじ孔19に螺着されるトルクの範囲による電力伝送部1とアダプタ部2との電気的接続および機械的接続性能への影響を検証するために、発明者は、同一である電力伝送部1と、アダプタ部2と、ボルト4およびねじ孔19のそれぞれを用意し、異なるトルクでそれらを締め付け、ボルト4とねじ孔19との接触抵抗および振動試験を経たボルト4とねじ孔19との接続状況をそれぞれ測定した。検証結果を表2に示す。
【0062】
ボルト4とねじ孔19との接触抵抗の測定方法は、マイクロオムメータを使用し、マイクロオムメータの測定端の一端を電力伝送部1に置き、他端をアダプタ部2に置き、測定する度に同じ位置に置かれて測定し、その後、マイクロオムメータにおける接触抵抗の読み取り値を読み取る。本実施例において、接触抵抗が1mΩよりも大きいものを不合格とする。
【0063】
振動試験は、接続された後のサンプルを振動試験台に置き、300個の振動サイクルを経て、各サイクルにいずれも6個の方向の振動を必要とし、周波数が100Hzであり、一方向加速度が40m/s2であり、その後、ボルト4とねじ孔19に緩め抜けの現象があるか否かを観察した。本実施例において、ボルト4とねじ孔19が緩められたものを不合格とする。
【0064】
表2:ボルト4とねじ孔19との異なるトルクによる電力伝送部1とアダプタ部2の電気的接続および機械的接続性能への影響
【0065】
【0066】
上記の表2から分かるように、ボルト4がねじ孔19に螺着されるトルクの値が0.1N・m未満である場合、電力伝送部1とアダプタ部2との接触抵抗値が不合格であり、且つ、電力伝送部1とアダプタ部2とが振動試験を経た後に緩め抜けてしまったため、発明者は、ボルト4がねじ孔19に螺着されるトルクの範囲の最小値を0.1N・mとする。ボルト4がねじ孔19に螺着されるトルクの値が30N・mを超えると、電力伝送部1とアダプタ部2との接触抵抗をそれ以上低減させることができなくなる。よって、発明者は、ボルト4がねじ孔19に螺着されるトルクの範囲を0.1N・m~30N・mに決定する。
【0067】
一実施形態において、接続端12は、形状が筒状であり、第1の内面と第1の外面とを含み、接続面13が第1の内面または第1の外面に設けられており、第1の端部21は、形状が筒状であり、第2の内面と第2の外面とを含み、第1の内面または第1の外面が第2の外面または第2の内面と重なって接触接続されている。接続端12と第1の端21とは、いずれも筒状であり、嵌装により重ね合わせてから、上記の接続の方式で接続することができる。このような重ね合わせた嵌装の接続の方式により、接続端12と第1の端21との接触面積が大きく、接続端12と第1の端21との間の接触抵抗を効果的に低減させ、電力伝送アダプタ機構の電気的性能を向上させることができる。
【0068】
一実施形態において、接続端12または第1の端21は、横断面形状が円形、楕円形、矩形または多角形である。接続端12または第1の端21の筒状構造は、横断面が多くの形状に設定されることができ、接続端12または第1の端21の具体的な使用環境、および自身の加工プロセスに応じて、異なる横断面形状を選択することで、接続端12と第1の端21とを効果的に電気的に接続する目的を達成することができる。
【0069】
一実施形態において、
図10~
図12に示すように、第2の端23は、形状が平板形、椀形、U字状、V字状または筒状である。第2の端23は、アダプタ部2がケーブル3の導電性コア31に接続される箇所であり、第2の端23の形状は、ケーブル3の導電性コア31の形状、および具体的な使用環境に応じて選択することができる。平板状および椀状は、一般的に導電性コア31との溶接に用いられ、U字状およびV字状は、一般的に導電性コア31との圧着に用いられ、筒状は、導電性コア31との圧着または溶接に用いられることができる。
【0070】
一実施形態において、導電性コア31の少なくとも一部は、第2の端23の少なくとも一部に接触接続されている。アダプタ部2とケーブル3の導電性コア31との電気的接続を実現するために、ケーブル3の導電性コア31とアダプタ部2の第2の端23とを電気的に接続する必要があり、ケーブル3の導電性コア31の少なくとも一部の構造と第2の端23の少なくとも一部の構造とを接触接続させることによって、アダプタ部2とケーブル3の導電性コア31とを電気的に接続する目的を達成する。
【0071】
一実施形態において、導電性コア31の少なくとも一部と第2の端23の少なくとも一部は、抵抗溶接、摩擦溶接、超音波溶接、アーク溶接、レーザ溶接、電子ビーム溶接、圧力拡散溶接、磁気誘導溶接、螺着、係止、つなぎ合わせ、圧着のうちの1種または複数種により接続されている。
【0072】
具体的な接続の方式は、上記の説明において既に詳細に説明されており、ここで、詳しい説明を省略する。前記した接続の方式により、実際の使用環境、およびケーブル3の導電性コア31と第2の端23との実際の状態に応じて、適切な接続の方式または接続の方式の組み合わせを選択し、ケーブル3の導電性コア31の少なくとも一部と第2の端23の少なくとも一部とを安定的に接続し、効果的な電気的接続を実現することができる。
【0073】
一実施形態において、接続端12に接続面13が含まれ、第1の端21の少なくとも一部は、接続面13の少なくとも一部に接触接続されており、第2の端23にワイヤ接続面が含まれ、ワイヤ接続面と導電性コア31との接触領域の面積がワイヤ接続面の面積の5%以上を占める。アダプタ部2とケーブル3の導電性コア31との良好な電気的接続を確保するために、ワイヤ接続面と導電性コア31との接触面積は重要な特性であり、接触面積が大きいほど、ワイヤ接続面と導電性コア31との間の電圧降下が小さくなり、引抜力が大きくなる。ワイヤ接続面と導電性コア31との接触領域の面積がワイヤ接続面の面積を占める割合と、ワイヤ接続面と導電性コア31との間の電圧降下および引抜力との関係を検証するために、発明者は、同一であるアダプタ部2とケーブル3とを10組用意し、且つそれぞれの第2の端23に同じワイヤ接続面を設け、その後、同じ超音波溶接の方式を利用した。しかしながら、ワイヤ接続面と導電性コア31との接触領域の面積がワイヤ接続面の面積を占める割合を変化させ、電流を流して、ワイヤ接続面と導電性コア31との間の電圧降下を測定し、ワイヤ接続面と導電性コア31との間の引抜力を測定し、その結果を表3に記録した。
【0074】
電圧降下の測定方法では、アダプタ部2とケーブル3とを電圧降下検出台に置き、ワイヤ接続面と導電性コア31との自身の電圧値AとBをそれぞれ測定し、次にワイヤ接続面から導電性コア31までの電圧値Cを測定し、次にC-(A+B)の値を、ワイヤ接続面と導電性コア31との接続点の電圧降下の値として計算する。本実施例において、電圧降下の値が4mVよりも大きいものを不合格とする。
【0075】
引抜力の試験方法では、引抜力試験機を用いて、溶接された後のワイヤ接続面と導電性コア31とを引抜力試験機の両端の治具にそれぞれ固定した後、引抜力試験機を起動し、両端の治具を均一な速度で対向する2つの方向に動かせるとともに、導電性コア31がワイヤ接続面から離脱させる時の引抜力を記録した。本実施例において、引抜力が1600N未満であるものを不合格とする。
【0076】
表3:ワイヤ接続面と導電性コア31との接触領域の面積がワイヤ接続面の面積を占める割合によるワイヤ接続面と導電性コア31との間の電圧降下および引抜力へのる影響
【0077】
【0078】
上記の表3から分かるように、ワイヤ接続面と導電性コア31との接触領域の面積がワイヤ接続面の面積を占める割合が5%未満である場合、ワイヤ接続面と導電性コア31との間の電圧降下が4mVより大きく、且つワイヤ接続面と導電性コア31との間の引抜力が1600N未満であり、いずれも不合格であった。ワイヤ接続面と導電性コア31との接触領域の面積がワイヤ接続面の面積を占める割合が5%よりも大きい場合、ワイヤ接続面と導電性コア31との間の電圧降下および引抜力がいずれも合格値より優れ、且つ割合が大きいほど、ワイヤ接続面と導電性コア31との電気的性能および力学的性能が良好であり、よって、発明者は、ワイヤ接続面と導電性コア31との接触面積がワイヤ接続面の面積の5%以上を占めるように設定する。
【0079】
一実施形態において、アダプタ部2は、板材のプレスまたは切割・折り曲げまたは機械加工により形成されたものである。板材の加工成形を利用することは、現在の金属加工プロセスにおいて比較的簡単で成熟したプロセスであり、そして、板材も容易に得られる材料の一つである。アダプタ部2の形状があまり複雑でなければ、板材加工プロセスによって生じる廃材は、旋削、フライスなどの加工プロセスによって生じる廃材に比べてかなり少なく、材料利用率が高い生産プロセスの一つである。成熟した板材プレスプロセスおよびプレス金型を利用する場合、成形されるアダプタ部2を大量で迅速に生産することができ、さらに、レーザ切断、水切断などの先進加工プロセスを利用して板材に対して先に材料取りをし、次に折り曲げプロセスにより成形したり、機械加工の態様により板材を加工したりしてもよく、生産コストを低減し、アダプタ部2の生産効率を向上させることもできる。
【0080】
一実施形態において、第1の端21、折り曲げ部22および第2の端23の厚さは、相互間の差が35%以下である。アダプタ部2が板材から成形される場合、板材の厚さが一致することが望ましく、材料がよく見られるものであり、プレスまたは切割・折り曲げで加工する場合、加工パラメータも安定する。また、接続端12または導電性コア31の形状が多様であるため、電力伝送アダプタ機構の空間と使用環境も様々であり、場合によっては、幅の異なる第1の端21、折り曲げ部22および第2の端23を使用する必要があり、アダプタ部2の導通電流が一致することを確保するために、アダプタ部2の各位置の断面積の相互間の差が大き過ぎてはならないため、厚さが異なる第1の端21、折り曲げ部22および第2の端23を使用する必要がある。
【0081】
第1の端21と、折り曲げ部22と、第2の端23との厚さの差の百分率によるアダプタ部2自身の電圧降下への影響を検証するために、発明者は、長さ及び幅がそれぞれ同一であり、折り曲げ部22の形状がそれぞれ同一であり、第1の端21、折り曲げ部22および第2の端23の厚さがそれぞれ異なる複数のアダプタ部2のサンプルを用意し、アダプタ部2の両端の電圧降下を測定し、検証結果を表4に記録した。本実施例において、電圧降下の値が4mVよりも大きいものを不合格とする。
【0082】
なお、第1の端21と折り曲げ部22と第2の端23との厚さの差の百分率とは、第1の端21、折り曲げ部22および第2の端23のうち、(最大厚さの値/最小厚さの値×100%)のことを指す。
【0083】
電圧降下の測定方法では、厚さがサンプルの最小厚さと同じであり、他の寸法および形状がそれぞれ同一であるアダプタ部2のサンプルを使用して、電圧降下検出台上で両端の電圧値をDとして測定し、また本実施例における厚さが異なるアダプタ部2のサンプルを使用して、同一の位置で両端の電圧値をEとして測定し、次にE-Dの値をアダプタ部2の電圧降下の値として計算する。
【0084】
表4:厚さの差の百分率によるアダプタ部2の電圧降下への影響
【0085】
【0086】
上記の表4から分かるように、第1の端21と折り曲げ部22と第2の端23との厚さの差の百分率が35%よりも大きい場合、各部分の断面積の差が大きいため、アダプタ部2の電圧降下の値が合格値の要求を満たさず、第1の端21、折り曲げ部22および第2の端23の厚さの相互間の差が35%以下である場合、アダプタ部2の電圧降下の値が合格であり、よって、発明者は、第1の端21、折り曲げ部22および第2の端23の厚さを、相互間の差が35%以下であるように設定する。
【0087】
一実施形態において、折り曲げ領域の隣接する2つの平面の夾角は0°~180°である。折り曲げ角度は、0°~180°の範囲内にあることで、アダプタ部2の異なるワイヤ接続方向の要求に適応しやすい。
図5に示すように、アダプタ部2は、2つの折り曲げ領域を有し、折り曲げ角度が対向するA°であり、これによって、アダプタ部2の第1の端21と第2の端23とを略平行な2つの平面に形成する。
図8に示すように、アダプタ部2は、折り曲げ角度が90°である1つの折り曲げ領域を有し、ケーブル3の引き出し方向と電力伝送部1の軸方向とを90°にすることができ、異なる方向の引き出しの要求を満たすことができる。他の実施例において、電力伝送アダプタ機構の空間が制限されたり、他の引き出し方向の要求があったりするため、いずれも折り曲げ領域の隣接する2つの平面の夾角を変更することができる。
【0088】
一実施形態において、折り曲げ領域の折り曲げ箇所は、円弧状を成して、内部半径がアダプタ部2の厚さの3分の1以上である。なお、折り曲げ領域の折り曲げ箇所は、一般的にプレスで折り曲げられ、または折り曲げ機を用いて折り曲げられ、折り曲げ領域の内部半径が小さ過ぎて、ひいてはゼロになると、折り曲げ箇所の外部の半径も極めて小さくなり、折り曲げ箇所の外部が伸び過ぎて、折り曲げ箇所に応力が集中するため、後続の使用中、ケーブル3が外部のガタツキをアダプタ部2の折り曲げ領域に伝達することになる。折り曲げ箇所に応力が集中すると、折り曲げ箇所がガタツキにより破断して、電力伝送アダプタ機構の機能が無効し、最悪の場合、短絡が発生したり、燃焼事故が発生したりすることになる。したがって、折り曲げ箇所の応力を分散させるために、折り曲げ領域の折り曲げ箇所は、内部半径がアダプタ部2の厚さの3分の1以上であるようにする。
【0089】
一実施形態において、折り曲げ領域の接線方向には、少なくとも1つの補強リブ28が設けられており、補強リブ28は、折り曲げ領域の外部材料が内部へ凹んで形成されたものである。
図13に示すように、折り曲げ領域においてプレスにより少なくとも1つの補強リブ28を加工することによって、折り曲げ領域の強度を補強することができ、折り曲げ領域においてアダプタ2が耐える最大力を増加させ、板状のアダプタ2により長い使用寿命を有させることができる。
【0090】
一実施形態において、折り曲げ領域は、ツイスト状であり、第1の端21の平面または縦方向中心対称面と、第2の端23の平面または縦方向中心対称面との夾角は0°~90°である。ケーブル3の引き出し方向が、アダプタ部2に対して比較的には特別な角度である場合、折り曲げ領域の簡単な折り曲げのみによって形成された角度により満たさないとき、第1の端21の平面と第2の端23の平面とが平行ではなく、一定の角度をなすように折り曲げ領域をねじる必要がある。第1の端21および第2の端23が平面ではないとき、第1の端21または第2の端23の縦方向の中心対称面を基準面とすることができる。この場合、ケーブル3の引き出し角度は、電力伝送部1の軸方向および径方向の両方に対して一定の角度をなす。
図6に示すように、第1の端21の平面と第2の端23の平面との夾角はB°である。
【0091】
一実施形態において、アダプタ2の材質は、ニッケル、カドミウム、ジルコニウム、クロム、コバルト、マンガン、アルミニウム、スズ、チタン、亜鉛、銅、銀、金、リン、テルル、ベリリウム、鉛のうちの1種または複数種を含む。
【0092】
アダプタ部2の異なる材質によるアダプタ部2の導電率への影響を検証するために、発明者は、規格寸法が同一で、異なる材質を有する材料で製造されたアダプタ部2のサンプルを利用し、アダプタ部2の導電率をそれぞれ測定し、検証結果は表5に示すように、本実施例において、アダプタ部2の99%よりも大きい導電率を理想値とする。
【0093】
表5:異なる材質のアダプタ部2によるアダプタ部2の導電率への影響
【0094】
【0095】
表5から分かるように、選択された金属材質で製造されたアダプタ部2は、いずれも導電率が理想値の範囲内にあり、さらに、リンは、非金属材料であり、アダプタ部2の材質として直接使用されることができないが、他の金属に添加されて合金を形成することで、金属自身の導電と機械的性能を向上させることができる。したがって、発明者は、アダプタ部2の材質を、ニッケル、カドミウム、ジルコニウム、クロム、コバルト、マンガン、アルミニウム、スズ、チタン、亜鉛、銅、銀、金、リン、テルル、ベリリウム、鉛のうちの1種または複数種を含むように設定する。
【0096】
一実施形態において、アダプタ部2の材質にテルル銅合金が含まれ、テルル銅合金におけるテルルの含有量は0.1%~5%である。これによって、アダプタ部2は、良好な導電性および切削容易性を有し、電気的性能を確保しながら、加工性を向上することができる。
【0097】
アダプタ部2の材質について、テルル銅合金におけるテルルの含有量によるアダプタ部2の導電率への影響を検証するために、発明者は、同じ形状であるアダプタ部2を10個用意して検証を行い、各アダプタ部2の寸法は同じであり、アダプタ部2の材質は、いずれもテルル銅合金であるが、テルルの含有量の割合がそれぞれ0.05%、0.1%、0.2%、0.5%、0.8%、1.2%、2%、3%、5%、6%、7%である。アダプタ部2に電流を流し、対応するアダプタ部2の導電率を検出し、検出結果を表6に示す。本実施例において、99%よりも大きい導電率を理想値とする。
【0098】
表6:テルル含有量の異なるテルル銅合金によるアダプタ部2の導電率への影響
【0099】
【0100】
表6から分かるように、テルルの含有量の割合が0.1%未満、または5%よりも大きい場合、導電率が著しく低下し、導電率の理想値の要求を満たすことができない。テルルの含有量の割合が0.2%以上1.2%以下である場合、導電性能が最も良く、テルルの含有量の割合が0.1%より大きく0.2%未満である場合、または1.2%より大きく5%以下である場合、導電率が理想値の要求を満たすが、徐々に低下する傾向があり、導電性能も低下する。従って、発明者は、テルルの含有量が0.1%~5%であるテルル銅合金を選択する。最も理想的には、含有量が0.2%~1.2%のテルル銅合金を選択する。
【0101】
一実施形態において、アダプタ部2の材質にベリリウム銅合金が含まれ、ベリリウム銅合金におけるベリリウムの含有量は0.05%~5%である。好ましくは、アダプタ2の材質におけるベリリウムの含有量は0.1%~3.5%である。
【0102】
アダプタ部2にベリリウムが含まれることによって、アダプタ部2に高い硬度、弾性限界、疲労限界および耐摩耗性を有させることができ、さらに、良好な耐腐食性、熱伝導性および導電性を有させ、且つ、衝撃を受ける時に火花が発生しない。
【0103】
ベリリウム含有量によるアダプタ部2の導電率への影響を検証するために、発明者は、形状が同一であり、幅が同一であるアダプタ部2を10個用意して検証を行い、各アダプタ部2はいずれもベリリウムを含むが、ベリリウムの含有量の割合がそれぞれ0.03%、0.05%、0.1%、0.2%、1%、1.8%、3%、3.5%、5%、6%である。検証結果を表7に示す。本実施例において、99%よりも大きい導電率を理想値とする。
表7:異なるベリリウム含有量による導電率への影響
【0104】
【0105】
表7から分かるように、ベリリウムの含有量の割合が0.05%未満、または5%よりも大きい場合、導電率が著しく低下し、実際の要求を満たすことができない。ベリリウムの含有量の割合が0.1%以上3.5%以下である場合、導電性能が最も良く、よって、発明者は、ベリリウムの含有量が0.05%~5%であるアダプタ部2を選択する。最も理想的には、ベリリウム含有量が0.1%~3.5%であるアダプタ部2を選択する。
【0106】
一実施形態において、アダプタ部2の材質にリン青銅合金が含まれ、リン青銅合金におけるリンの含有量は0.01%~1.5%である。リン青銅のメリットとして、より優れた耐腐食性、耐摩耗性を有し、アダプタ部2の良好な接触、良好な弾力を確保することができることに加え、優れた機械加工性能を有し、部品の加工時間を迅速に短縮することができる。
【0107】
リンの含有量によるアダプタ部2の導電率への影響を検証するために、発明者は、形状が同一で、幅が同一であるアダプタ部2を10個用意して検証を行い、各アダプタ部2はいずれもリンを含むが、リンの含有量の割合がそれぞれ0.001%、0.005%、0.01%、0.05%、0.1%、0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%である。検証結果を表8に示す。本実施例において、99%よりも大きい導電率を理想値とする。
【0108】
表8:異なるリン含有量による導電率への影響
【0109】
【0110】
表8から分かるように、リンの含有量の割合が0.01%未満または1.5%よりも大きい場合、導電率が著しく低下し、実際の要求を満たすことができない。リンの含有量の割合が0.05%以上0.5%以下である場合、導電性能が最も良く、よって、発明者は、リンの含有量が0.01%~1.5%であるアダプタ部2を選択する。最も理想的には、リン含有量が0.05%~0.5%であるアダプタ部2を選択する。
【0111】
一実施形態において、アダプタ部2の材質に鉛黄銅合金が含まれ、鉛黄銅合金における鉛の含有量は0.1%~5%である。鉛黄銅合金のメリットとして、強度が高く、組織が緻密で均一で、耐腐食性に優れ、切削、穴あけなどの機械加工性能に優れることである。
【0112】
鉛の含有量によるアダプタ部2の導電率への影響を検証するために、発明者は、形状が同一で、幅が同一であるアダプタ部2を10個用意して検証を行い、各アダプタ部2はいずれも鉛を含むが、鉛の含有量の割合がそれぞれ0.05%、0.1%、0.5%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%である。検証結果を表9に示す。本実施例において、99%よりも大きい導電率を理想値とする。
【0113】
表9:異なる鉛の含有量による導電率への影響
【0114】
【0115】
表9から分かるように、鉛の含有量の割合が0.1%未満、または5%よりも大きい場合、導電率が著しく低下し、実際の要求を満たすことができない。鉛の含有量の割合が1%以上3%以下である場合、導電性能が最も良く、よって、当業者は、鉛の含有量が0.1%~5%であるアダプタ部2を選択する。最も理想的には、鉛の含有量が1%~3%であるアダプタ2を選択する。
【0116】
一実施形態において、電力伝送部1、導電性コア31およびアダプタ部2には、少なくとも一部にめっき層が設けられていることによって、電力伝送部1、導電性コア31およびアダプタ部2の耐腐食性を向上させ、導電性能を向上させ、電力伝送アダプタ機構の使用寿命をよりよく延ばすことができる。
【0117】
一実施形態において、接続面13の少なくとも一部には、めっき層が設けられていない。電力伝送部1をアダプタ部2に接続する際、接続面が溶接または圧着により接続される場合、めっき層を設けず、2つの接続面を直接接触させてもよく、接触抵抗を低減し、電力伝送部1とアダプタ部2との間の電圧降下を低減し、電力伝送アダプタ機構の電気的性能を向上することができる。
【0118】
一実施形態において、接続面13の少なくとも一部には、めっき層が設けられており、接続面13におけるめっき層は第1のめっき層である。電力伝送アダプタ機構が位置する環境が悪い場合、耐腐食性を向上させるためにめっき層が必要であり、または、電力伝送部1とアダプタ部2の材質が異なる場合、過渡するためにめっき層とする金属が必要である。この場合、接続面13上にめっき層を設ける必要があり、他のめっき層と区別するために、接続面13におけるめっき層は第1のめっき層である。
【0119】
一実施形態において、第1の端21における少なくとも接続面13と接触する平面には、めっき層が設けられていない。同様に、電力伝送部1をアダプタ部2に接続する際、接続面が溶接または圧着により接続される場合、めっき層を設けず、2つの接続面を直接接触させてもよく、接触抵抗を低減し、電力伝送部1とアダプタ部2との間の電圧降下を低減し、電力伝送アダプタ機構の電気的性能を向上することができる。
【0120】
一実施形態において、第1の端21における少なくとも接続面13と接触する平面には、めっき層が設けられており、第1の端21における少なくとも接続面13と接触する平面におけるめっき層は第2のめっき層である。電力伝送アダプタ機構が位置する環境が悪い場合、耐腐食性を向上させるためにめっき層が必要であり、または、電力伝送部1とアダプタ部2の材質が異なる場合、過渡するためにめっき層とする金属が必要である。この場合、第1の端21上にめっき層を設ける必要があり、他のめっき層と区別するために、第1の端21におけるめっき層は第2のめっき層である。
【0121】
一実施形態において、ワイヤ接続面の少なくとも一部には、めっき層が設けられておらず、同様に、導電性コア31をアダプタ部2に接続する際、ワイヤ接続面が溶接または圧着により接続される場合、めっき層を設けず、2つの面を直接接触させてもよく、接触抵抗を低減させ、導電性コア31とアダプタ部2との間の電圧降下を低減し、電力伝送アダプタ機構の電気的性能を向上することができる。
【0122】
一実施形態において、ワイヤ接続面の少なくとも一部には、めっき層が設けられており、ワイヤ接続面におけるめっき層は第3のめっき層である。電力伝送アダプタ機構が位置する環境が悪い場合、耐腐食性を向上させるためにめっき層が必要であり、この場合、アダプタ部2にめっき層を設ける必要があり、他のめっき層と区別するために、ワイヤ接続面におけるめっき層は第3のめっき層である。
【0123】
一実施形態において、導電性コア31には、めっき層が設けられておらず、同様に、導電性コア31をアダプタ部2に接続する際、接続面が溶接または圧着により接続される場合、めっき層を設けず、2つの接続面を直接接触させてもよく、接触抵抗を低減させ、導電性コア31とアダプタ部2との間の電圧降下を低減し、電力伝送アダプタ機構の電気的性能を向上することができる。
【0124】
一実施形態において、導電性コア31の少なくとも一部には、前記めっき層が設けられており、導電性コア31におけるめっき層は第4のめっき層である。電力伝送アダプタ機構が位置する環境が悪い場合、導電性コア31の耐腐食性を向上させるためにめっき層が必要であり、この場合、導電性コア31にめっき層を設ける必要があり、他のめっき層と区別するために、導電性コア31におけるめっき層は第4のめっき層である。
【0125】
一実施形態において、第1のめっき層の材質と、第2のめっき層の材質と、第3のめっき層の材質と、第4のめっき層の材質とは、異なる。すなわち、第1のめっき層、第2のめっき層、第3のめっき層および第4のめっき層のうち、少なくとも一方の材質は、残りの材質と異なる。例えば、第1のめっき層の材質は、第2のめっき層の材質と、第3のめっき層の材質と、第4のめっき層の材質と異なってもよく、または第2のめっき層の材質は、第1のめっき層の材質と、第3のめっき層の材質と、第4のめっき層の材質と異なってもよく、または第3のめっき層の材質は、第1のめっき層の材質と、第2のめっき層の材質と、第4のめっき層の材質と異なってもよく、または第4のめっき層の材質は、第1のめっき層の材質と、第2のめっき層の材質と、第3のめっき層の材質と異なってもよい。
【0126】
さらに、あるいは、第1のめっき層、第2のめっき層、第3のめっき層および第4のめっき層のうち、二者ずつの材質は同じであるが、残りの二者の材質と異なる。例えば、第1のめっき層の材質と第2のめっき層の材質とは同じであり、第3のめっき層の材質と第4のめっき層の材質とは同じであるが、第1のめっき層の材質と第3のめっき層の材質とは異なってもよく、または第1のめっき層の材質と第3のめっき層の材質とは同じであり、第2のめっき層の材質と第4のめっき層の材質とは同じであるが、第1のめっき層の材質と第2のめっき層の材質とは異なってもよく、または第1のめっき層の材質と第4のめっき層の材質とは同じであり、第2のめっき層の材質と第3のめっき層の材質とは同じであるが、第1のめっき層の材質と第2のめっき層の材質とは異なってもよい。
【0127】
さらに、あるいは、第1のめっき層、第2のめっき層、第3のめっき層および第4のめっき層のうち、3つのめっき層の材質は異なる。例えば、第1のめっき層の材質は、第2のめっき層の材質と同じであり、第3のめっき層の材質と第4のめっき層の材質と異なってもよく、第1のめっき層の材質は、第3のめっき層の材質と同じであり、第2のめっき層の材質と第4のめっき層の材質と異なってもよく、第1のめっき層の材質は、第4のめっき層の材質と同じであり、第2のめっき層の材質と第3のめっき層の材質と異なってもよく、第2のめっき層の材質は、第3のめっき層の材質と同じであり、第1のめっき層の材質と第4のめっき層の材質と異なってもよく、第2のめっき層の材質は、第4のめっき層の材質と同じであり、第1のめっき層の材質と第3のめっき層の材質と異なってもよく、第3のめっき層の材質は、第4のめっき層の材質と同じであり、第1のめっき層の材質と第2のめっき層の材質と異なってもよい。
【0128】
一実施形態において、第1のめっき層の厚さと、第2のめっき層の厚さと、第3のめっき層の厚さと、第4のめっき層の厚さとは、異なる。すなわち、第1のめっき層、第2のめっき層、第3のめっき層および第4のめっき層のうち、少なくとも一方の厚さは、残りの厚さと異なりる。例えば、第1のめっき層の厚さは、第2のめっき層の厚さと、第3のめっき層の厚さと、第4のめっき層の厚さと異なってもよく、または、第2のめっき層の厚さは、第1のめっき層の厚さと、第3のめっき層の厚さと、第4のめっき層の厚さと異なってもよく、または、第3のめっき層の厚さは、第1のめっき層の厚さと、第2のめっき層の厚さと、第4のめっき層の厚さと異なってもよく、または、第4のめっき層の厚さは、第1のめっき層の厚さと、第2のめっき層の厚さと、第3のめっき層の厚さと異なってもよい。
【0129】
さらに、あるいは、第1のめっき層、第2のめっき層、第3のめっき層および第4のめっき層のうち、二者ずつの厚さは同じであるが、残りの二者の厚さと異なる。例えば、第1のめっき層の厚さと第2のめっき層の厚さとは同じであり、第3のめっき層の厚さと第4のめっき層の厚さとは同じであるが、第1のめっき層の厚さと第3のめっき層の厚さとは異なってもよく、または、第1のめっき層の厚さと第3のめっき層の厚さとは同じであり、第2のめっき層の厚さと第4のめっき層の厚さとは同じであるが、第1のめっき層の厚さと第2のめっき層の厚さとは異なってもよく、または、第1のめっき層の厚さと第4のめっき層の厚さとは同じであり、第2のめっき層の厚さと第3のめっき層の厚さとは同じであるが、第1のめっき層の厚さと第2のめっき層の厚さとは異なってもよい。
【0130】
さらに、あるいは、第1のめっき層、第2のめっき層、第3のめっき層および第4のめっき層のうち、3つのめっき層の厚さは異なる。例えば、第1のめっき層の厚さは、第2のめっき層の厚さと同じであり、第3のめっき層の厚さと第4のめっき層の厚さと異なってもよく、第1のめっき層の厚さは、第3のめっき層の厚さと同じであり、第2のめっき層の厚さと第4のめっき層の厚さと異なってもよく、第1のめっき層の厚さは、第4のめっき層の厚さと同じであり、第2のめっき層の厚さと第3のめっき層の厚さと異なってもよく、第2のめっき層の厚さは、第3のめっき層の厚さと同じであり、第1のめっき層の厚さと第4のめっき層の厚さと異なってもよく、第2のめっき層の厚さは、第4のめっき層の厚さと同じであり、第1のめっき層の厚さと第3のめっき層の厚さと異なってもよく、第3のめっき層の厚さは、第4のめっき層の厚さと同じであり、第1のめっき層の厚さと第2のめっき層の厚さと異なってもよい。
【0131】
一実施形態において、めっき層の材質は、金、銀、ニッケル、スズ、亜鉛、スズ鉛合金、銀アンチモン合金、パラジウム、パラジウムニッケル合金、グラファイト銀、グラフェン銀および銀金ジルコニウム合金のうちの1種または複数種を含む。ほとんどの場合、電力伝送部1とアダプタ部2は、いずれも銅材料を利用する。銅は、活性金属として、使用過程において酸素および水と酸化反応するため、電力伝送部1とアダプタ部2の使用寿命を延ばすために、1種または複数種の不活性金属のめっき層が必要である。上記金属の導電性および安定性は、いずれも銅または銅合金より優れるため、電力伝送部1およびアダプタ部2がよりよい電気的性能およびより長い使用寿命を得ることができる。
【0132】
めっき層の異なる材質による電力伝送部1とアダプタ部2との全体の性能への影響を検証するために、発明者は、規格、材質が同一で、めっき層材料が異なる電力伝送部1とアダプタ部2のサンプルを用意し、経時的に耐腐食性に関する一連の検証を行い、検証結果を表10に示す。
【0133】
表10における経時的に耐腐食性に関する検証は、電力伝送部1とアダプタ部2のサンプルを塩霧吐出試験箱内に置き、電力伝送部1とアダプタ部2のサンプルの各位置に塩霧を吐出し、20時間ごとに取り出して洗浄して表面の腐食状況を観察し、すなわち、20時間は1サイクルになり、電力伝送部1とアダプタ部2のサンプルの表面の腐食面積が総面積の10%を超えたときに、検証を停止し、その時のサイクル数を記録した。本実施例において、サイクル数が80回未満であるものを不合格とする。
【0134】
表10:めっき層の異なる材質による電力伝送部1とアダプタ部2のサンプルの耐腐食性への影響
【0135】
【0136】
表10から分かるように、めっき層の材質が常用の金属スズ、ニッケル、亜鉛を含む場合、検証した結果は他の金属が選択された場合よりも劣っており、他の金属を選択した検証結果は、標準値を大幅に超え、性能が安定している。したがって、発明者は、めっき層の材質が金、銀、ニッケル、スズ、亜鉛、スズ鉛合金、銀アンチモン合金、パラジウム、パラジウムニッケル合金、グラファイト銀、グラフェン銀および銀金ジルコニウム合金のうちの1種または複数種を含むように選択する。
【0137】
一実施形態において、めっき層は、電気めっき、無電解めっき、マグネトロンスパッタリングまたは真空めっきにより設けられたものである。電気めっきの方法は、電解原理を利用してある金属の表面に他の金属または合金を薄層めっきするプロセスである。無電解めっきの方法は、金属の触媒作用で、制御可能な酸化還元反応により金属を生成する堆積プロセスである。マグネトロンスパッタリングの方法は、磁場と電場の交互作用を利用して、電子をターゲット表面付近で螺旋状に行動させることによって、電子がアルゴンガスに衝突してイオンを発生させる確率を増大させ、発生したイオンが、電界の作用でターゲット面に衝突してターゲットをスパッタするものである。真空めっきの方法は、真空という条件で、蒸留またはスパッタリングなどにより部品の表面に様々な金属および非金属の薄膜を堆積するものである。
【0138】
一実施形態において、めっき層は下地層と表層とを含む。めっき層は、多層めっきの方法を採用して形成されたものである。電力伝送部1とアダプタ部2が加工された後、それらの表面の微視的な界面には依然として多くのスリットと穴が存在し、これらのスリットと穴は、電力伝送部1とアダプタ部2の使用過程における摩耗と腐食の最大原因となる。本実施形態において、電力伝送部1とアダプタ部2の表面には、先に一層の下地層をめっきして表面のスリットと穴を埋めて、電力伝送部1とアダプタ部2の表面を平坦で穴がないようにする。次に表層をめっきすることで、結合がより強固になり、表面がより平坦になり、めっき層の表面にスリットと穴がなくなり、電力伝送部1とアダプタ部2の耐摩耗性能、耐腐食性能、電気的性能がより優れて、電力伝送部1とアダプタ部2の使用寿命を大幅に延ばすことができる。
【0139】
一実施形態において、下地層の材質は、金、銀、ニッケル、スズ、スズ鉛合金および亜鉛のうちの1種または複数種を含み、表層の材質は、金、銀、ニッケル、スズ、亜鉛、スズ鉛合金、銀アンチモン合金、パラジウム、パラジウムニッケル合金、グラファイト銀、グラフェン銀および銀金ジルコニウム合金のうちの1種または複数種を含む。
【0140】
別の実施形態において、前記下地層の厚さは0.01μm~15μmであり、好ましくは、前記下地層の厚さは0.1μm~9μmである。
【0141】
別の実施形態において、前記表層の厚さは0.5μm~55μmであり、好ましくは、前記表層の厚さは1μm~35μmである。
【0142】
下地層とするめっき層の厚さの変化による電力伝送部1とアダプタ部2との全体の性能への影響を検証するために、発明者は、規格及び材質がそれぞれ同一で、ニッケルめっきした下地層の厚さが異なり、銀めっきした表層の厚さが同一である電力伝送部1とアダプタ部2のサンプルを用いて、温度上昇試験と経時的な耐腐食性に関する一連の検証とを行い、検証結果を表11に示す。
【0143】
温度上昇試験においては、接続された後の電力伝送部1とアダプタ部2のサンプルに同一の電流を流し、封止された環境で、通電前と温度が安定した後との電力伝送部1とアダプタ部2のサンプルの同一の位置の温度を検出するとともに、差を取って絶対値にした。本実施例において、温度上昇が50Kよりも大きいものを不合格とする。
【0144】
経時的な耐腐食性に関する検証は、電力伝送部1とアダプタ部2のサンプルを塩霧吐出試験箱内に置き、電力伝送部1とアダプタ部2のサンプルの各位置に塩霧を吐出し、20時間ごとに取り出して洗浄して表面の腐食状況を観察し、すなわち、20時間が1サイクルでありになり、電力伝送部1とアダプタ部2のサンプルの表面の腐食面積が総面積の10%を超えたときに、検証を停止し、その時のサイクル数を記録した。本実施例において、サイクル数が80回未満であるものを不合格とする。
【0145】
表11:下地層であるめっき層の異なる厚さによる電力伝送部1とアダプタ部2との温度上昇及び耐腐食性への影響
【0146】
【0147】
表11から分かるように、下地層であるニッケルめっき層の厚さが0.01μm未満である場合、該電力伝送部1とアダプタ部2とのサンプルの温度上昇は合格であったが、めっき層が薄過ぎるため、電力伝送部1とアダプタ部2のサンプルの耐腐食性サイクル数が80未満であり、電力伝送部1とアダプタ部2のサンプルの性能方面の要求を満たさず、該電力伝送アダプタ機構の全体の性能と寿命に大きな影響を与え、最悪な場合、製品寿命の激減、ひいては燃焼事故を引き起こすことがある。下地層であるニッケルめっき層の厚さが12μmを超えると、下地層であるめっき層が厚いため、該電力伝送部1とアダプタ部2のサンプルから発生した熱が放熱できず、該電力伝送部1とアダプタ部2のサンプルの温度上昇は不合格となり、そして、めっき層が厚いため、かえって電力伝送部1とアダプタ部2のサンプルの表面から脱落しやすくなり、耐腐食性サイクル数が低下することになる。したがって、発明者は、下地層であるめっき層の厚さを0.01μm~12μmにする。
【0148】
好ましくは、発明者は、下地層であるめっき層の厚さが0.1μm~9μmである場合、該電力伝送部1とアダプタ部2のサンプルの温度上昇と耐腐食性の総合的な効果がよりよくなることを発見したため、製品自体の安全性、信頼性および実用性をさらに向上させるために、好ましくは、下地層であるめっき層の厚さが0.1μm~9μmである。
【0149】
表層であるめっき層の厚さの変化による電力伝送部1とアダプタ部2との全体の性能への影響を検証するために、発明者は、規格、材質が同一で、ニッケルめっきした下地層の厚さが同一で、銀めっきした表層の厚さが異なる電力伝送部1とアダプタ部2のサンプルを用いて、温度上昇と経時的な耐腐食性に対して一連の検証を行い、検証方法は上記検証方法と同じであり、検証結果を表12に示す。
【0150】
表12:表層であるめっき層の異なる厚さによる電力伝送部1とアダプタ部2との温度上昇と耐腐食性への影響
【0151】
【0152】
表12から分かるように、表層である銀めっき層の厚さが0.5μm未満である場合、該電力伝送部1とアダプタ部2のサンプルの温度上昇は合格であったが、めっき層が薄過ぎるため、電力伝送部1とアダプタ部2のサンプルの耐腐食性サイクル数が80未満であり、電力伝送部1とアダプタ部2のサンプルの性能方面の要求を満たさず、該電力伝送アダプタ機構の全体の性能と寿命に大きな影響を与え、最悪な場合、製品寿命の激減、ひいては燃焼事故を引き起こすことがある。表層である銀めっき層の厚さが50μmを超えると、表層であるめっき層が厚いため、端子から発生した熱が放熱できず、温度上昇が不合格となり、そして、めっき層が厚いため、かえって電力伝送部1とアダプタ部2のサンプルの表面から脱落しやすく、耐腐食性サイクル数が低下することになる。また、表層であるめっき層の金属は高価であるため、厚いめっき層にすると、性能が向上することないため、使用価値がない。したがって、発明者は、表層である銀めっき層の厚さを0.1μm~50μmにする。
【0153】
好ましくは、発明者は、表層であるめっき層の厚さが1μm~35μmである場合、電力伝送部1とアダプタ部2のサンプルの温度上昇と耐腐食性の総合的な効果がよりよくなることを発見したため、製品自体の安全性、信頼性および実用性をさらに向上させるために、好ましくは、表層めっき層の厚さが1μm~35μmである。
【0154】
一実施形態において、導電性コア31の材質には、アルミニウムが含まれている。電気接続の分野では、通常銅導線を用いて電流を流させ、銅の導電率が高く、延性が良い。しかし、銅の価格の日々高騰に伴い、銅材を導線として使用する場合の材料のコストがますます高くなっている。そのため、コストを低減するために、人々は金属である銅の代替品を探している。金属であるアルミニウムの地殻における含有量は約7.73%であり、精製技術が最適化された後、価格が比較的低くなり、また、アルミニウムは、銅に対して重量が軽く、導電率が銅に次いで、電気接続の分野において一部の銅を代替することができる。したがって、自動車の電気的接続の分野では、アルミニウムで銅を代替することが発展のトレンドである。
【0155】
しかし、銅-アルミニウム間の電極電位差が大きいため、銅材料のアダプタ部2と導電性コア31とが直接接続された後、銅-アルミニウム間に電気化学腐食が発生し、アルミニウムが腐食されやすくて、接続面13の抵抗が増大することになり、電気的接続に機能の無効、火災などのひどい結果が発生しやすくなる。したがって、銅-アルミニウム間にめっき層を追加する必要があり、銅-アルミニウム間の電極電位差を低減して、銅-アルミニウム間の電気的性能を向上することができると同時に、電力伝送アダプタ機構の使用寿命を大幅に延ばすことができる。
【0156】
別の実施形態において、導電性コア31の材質にはアルミニウムが含まれる場合、アダプタ部2の材質にもアルミニウムが含まれ、この場合、導電性コア31とアダプタ部2との接続は、過渡のため間隔用金属を用いなくてもよく、圧着または溶接または係止またはつなぎ合わせまたは螺着で直接接続してもよいが、銅-アルミニウム間の電気化学腐食を防止するために、アダプタ部2と電力伝送部1との間に間隔用金属を設けて過渡する必要がある。
【0157】
一実施形態において、電力伝送部1とアダプタ部2との間の接触抵抗は、9mΩ未満である。一般的に、電力伝送部1とアダプタ部2との間に大電流を導通する必要があり、電力伝送部1とアダプタ部2との間の接触抵抗が9mΩを超えると、接触位置において大きな温度上昇が発生することになり、また、時間の経過に伴って、温度がますます高くなり、電力伝送部1とアダプタ部2との間の温度が高過ぎるようになる。これにより、その1は、送部1とアダプタ部2との間では、材質が異なり、熱膨張率が異なることに起因して、機械的変形が同期せず、電力伝送部1とアダプタ部2との間に内部応力が発生してしまい、最悪な場合、めっき層の脱落を引き起こし、保護の役割を果たすことができないようになる。その2は、電力伝送部1とアダプタ部2の高過ぎる温度が、アダプタ部2に接続されたケーブル3の絶縁層32に伝導することによって、対応する絶縁層32が溶融し、絶縁保護の役割を果たすことができなくなり、最悪な場合、回線の短絡による接続構造の破壊、ひいては燃焼などの安全事故を引き起こすことがある。このため、発明者は、電力伝送部1とアダプタ部2との間の接触抵抗を9mΩ未満に設定する。
【0158】
電力伝送部1とアダプタ部2との間の接触抵抗による電力伝送アダプタ機構の温度上昇と導電率への影響を検証するために、発明者は、形状が同一である電力伝送部1とアダプタ部2のサンプルを用意し、異なる接触抵抗に設定するとともに、導電率と温度上昇を検証した。
【0159】
導電率の検証は、電力伝送部1とアダプタ部2とを接続した後、電力伝送アダプタ機構に通電してから、対応する接続箇所の導電率を検出することで行われる。本実施例において、99%よりも大きい導電率を理想値とする。
【0160】
温度上昇の検証では、該電力伝送アダプタ機構に同一の電流を流し、封止された環境で通電前と温度が安定した後との電力伝送部1とアダプタ部2のサンプルの同一の位置の温度を検出するとともに、差を取って絶対値にした。本実施例において、温度上昇が50Kよりも大きいものを不合格とする。
【0161】
表13:電力伝送部1とアダプタ部2との間の異なる接触抵抗による導電率と温度上昇への影響
【0162】
【0163】
上記の表13から分かるように、電力伝送部1とアダプタ部2のサンプルの接触抵抗が9mΩよりも大きい場合、電力伝送部1とアダプタ部2のサンプルの温度上昇が50Kを超え、同時に、電力伝送アダプタ機構の導電率も99%未満であり、標準とする要求を満たさない。したがって、発明者は、電力伝送部1とアダプタ部2との間の接触抵抗を9mΩ未満に設定する。
【0164】
一実施形態において、導電性コア31とアダプタ部2との間の接触抵抗は、9mΩ未満である。一般的に、導電性コア31とアダプタ部2との間に大電流を導通する必要があり、導電性コア31とアダプタ部2との間の接触抵抗が9mΩを超えると、接触位置において大きな温度上昇が発生し、且つ時間の経過に伴って、温度がますます高くなり、導電性コア31とアダプタ部2との間の温度が高過ぎるようになる。これにより、その1は、導電性コア31とアダプタ部2との間では、材質が異なり、熱膨張率が異なることによって、機械的変形が同期せず、導電性コア31とアダプタ部2との間に内部応力が発生してしまい、最悪な場合、アダプタ部2のめっき層の脱落を引き起こし、保護の役割を果たすことができないようになる。その2は、導電性コア31とアダプタ部2の高過ぎる温度がケーブル3の絶縁層32に伝導することによって、対応する絶縁層32が溶融し、絶縁保護の役割を果たすことができなくなり、最悪な場合、回線の短絡による接続構造の破壊、ひいては燃焼などの安全事故を引き起こすことがある。このため、発明者は、導電性コア31とアダプタ部2との間の接触抵抗を9mΩ未満に設定する。
【0165】
導電性コア31とアダプタ部2との間の接触抵抗による電力伝送アダプタ機構の温度上昇と導電率への影響を検証するために、発明者は、形状が同一である導電性コア31とアダプタ部2のサンプルを用意し、異なる接触抵抗に設定するとともに、導電率と温度上昇を検証した。導電率検証は、導電性コア31とアダプタ部2とを接続した後、電力伝送アダプタ機構に通電してから、対応する接続箇所の導電率を検出することで行われる。本実施例において、99%よりも大きい導電率を理想値とする。温度上昇検証では、該電力伝送アダプタ機構に同一の電流を流し、封止された環境で通電前と温度が安定した後との導電性コア31とアダプタ部2のサンプルの同一の位置の温度を検出し、差を取って絶対値にした。本実施例において、温度上昇が50Kよりも大きいものを不合格とする。
【0166】
表14:導電性コア31とアダプタ部2との間の異なる接触抵抗による導電率と温度上昇への影響
【0167】
【0168】
上記の表14から分かるように、導電性コア31とアダプタ2のサンプルの接触抵抗が9mΩよりも大きい場合、導電性コア31とアダプタ2のサンプルの温度上昇が50Kを超え、同時に、電力伝送アダプタ機構の導電率も99%未満であり、標準とする要求を満たさない。したがって、発明者は、導電性コア31とアダプタ部2との間の接触抵抗を9mΩ未満に設定する。
【実施例2】
【0169】
本発明は、充電用コンセント5をさらに提供し、
図14に示すように、充電用コンセント5は、上記の電力伝送アダプタ機構を含む。この充電用コンセント5を用いることによって、ケーブル3の引き出し方向を充電用コンセント5の後端の任意の方向に設定することができると同時に、充電用コンセント5の充電端子とケーブル3とが非同軸の状況を実現することができ、設計者により多くの設計選択を提供することができ、充電台の実装環境に応じて異なる引き出し方向を設計することができ、充電用コンセント5の体積をできるだけ小さくし、実装スペースを節約することができる。
【実施例3】
【0170】
本発明は、上記の電力伝送アダプタ機構または上記の充電用コンセント5を含む自動車をさらに提供する。充電用コンセント5の実装スペースを低減することができ、他の電気機器を実装することを便利にする。任意の引き出し方向を設定することができ、最短のケーブル3の長さでバッテリシステムに接続することができ、ケーブル3の材料を節約し、自動車のコストを低減することができる。
【0171】
本発明の実施形態は、以上のように開示されたが、明細書および実施形態に挙げられた適用に限定されるものではなく、本発明に適した様々な分野に完全に適用されることができ、当業者にとって、他の変更も容易に実現することができるため、特許請求の範囲および同等範囲に限定された一般概念から逸脱することなく、本発明は、特定の詳細およびここに例示や記載された図例に限定されない。
【手続補正書】
【提出日】2024-04-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0001】
本発明は、2021年8月26日に提出された出願番号が202110991360.2であり、発明名称が「電力伝送アダプタ機構、充電用コンセントおよび自動車」である中国特許出願の優先権を主張し、その全ての内容は援用により本発明に組み合わせられている。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0003
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0003】
現在、電力伝送の分野において、大電流を導通させる必要がある場合が多く、断面積が大きいケーブルと接続端子を使用する必要があり、受電装置機構の体積が増大することに繋がる。例えば、現在ますます広く適用されている電気自動車における充電システムは、充電時間を減少させるために、充電電流を増大させ、これによって、充電ケーブルと充電端子の有効導電断面積が95mm
2
~160mm
2
にも達し、これによって、充電用コンセントまたは充電ガンの体積も膨大になって重くなり、使用が不便である。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0020】
好ましい実施形態において、前記アダプタ部の材質は、ニッケル、カドミウム、ジルコニウム、クロム、コバルト、マンガン、アルミニウム、スズ、チタン、亜鉛、銅、銀、金、リン、テルル、ベリリウム、鉛のうちの1種または複数種を含む。好ましい実施形態において、前記アダプタ部の材質にテルル銅合金が含まれ、前記テルル銅合金におけるテルルの含有量は0.1%~5%である。好ましい実施形態において、前記アダプタ部の材質にベリリウム銅合金が含まれ、前記ベリリウム銅合金におけるベリリウムの含有量は0.05%~5%である。好ましい実施形態においては、前記アダプタ部の材質にリン青銅合金が含まれ、前記リン青銅合金におけるリンの含有量は0.01%~1.5%である。好ましい実施形態において、前記アダプタ部の材質に鉛黄銅合金が含まれ、前記鉛黄銅合金における鉛の含有量は0.1%~5%である。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0050
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0050】
抵抗溶接とは、強い電流を、電極とワークとの間の接触点を通過させ、接触抵抗から熱を発生させて溶接する方法を指す。摩擦溶接とは、ワーク接触面の摩擦による熱を熱源として、ワークを圧力により塑性変形させて溶接する方法を指す。超音波溶接とは、高周波振動波を2つの溶接すべき物体表面に伝達させ、加圧する状態で、2つの物体表面を互いに摩擦させて分子層間の融着を形成することを指す。アーク溶接とは、アークを熱源とし、空気放電の物理現象を利用して、電気エネルギーを溶接に必要な熱エネルギーおよび機械エネルギーに変換することによって、金属を接続する目的を達成することを指し、主な方法として、被覆アーク溶接、サブマージアーク溶接、ガスシールドアーク溶接などがある。レーザー溶接とは、高エネルギー密度のレーザービームを熱源とする高効率で精密な溶接方法である。電子ビーム溶接とは、加速および集束された電子ビームを真空または非真空中に置かれた溶接面に衝突させることによって、溶接対象のワークを溶融させて溶接することを指す。圧力溶接とは、溶接ワークに圧力を付勢し、接合面を密着接触させて一定の塑性変形を生じさせて溶接する方法である。拡散溶接とは、ワークを、視認可能な変形や相対的な移動が生することなく、高温で加圧する固相溶接方法を指す。磁気誘導溶接とは、2つの溶接対象のワークが強いパルス磁場の作用で瞬間的に高速に衝突し、材料の表層が非常に高い圧力波の作用で、2種の材料の原子が原子間距離内で出会うことによって、界面に安定的な金属結合を形成することを指し、固相冷間溶接の一種であり、属性が類似または非類似の伝導金属を溶接することができる。螺着とは、ねじによる接続を指し、ねじ接続部材(または被接続部材のねじ部分)で被接続部材を一体に接続する取り外し可能な接続である。一般的なねじ接続部材として、ボルト4と、スタッドと、ねじと、止めねじなどがあり、ほとんどは規格品である。係止とは、接続端12または接続面13に対応する係止爪または係止溝をそれぞれ設け、係止溝と係止爪による取付により、互いに接続されることを指す。係止は、接続が速く、取り外し可能であることを利点とする。つなぎ合わせとは、接続端12または接続面13に対応する凹溝と突起とをそれぞれ設け、凹溝と突起が互いにほぞ継ぎまたはつなぎ合わせで組み立てられることによって、互いに接続されることを指す。つなぎ合わせは、接続が安定であり、取り外し可能であることを利点とする。圧着について、圧着は、接続端12と接続面13とを組み立てた後、圧着機を用いて両者を一体にプレスする生産プロセスである。圧着は、量産性に優れて、自動圧着機を利用することで安定した品質の製品を大量で迅速に製造することができることを利点とする。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0091
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0091】
一実施形態において、折り曲げ領域は、ツイスト状であり、第1の端21の平面または縦方向中心対称面と、第2の端23の平面または縦方向中心対称面との夾角は0°~90°である。ケーブル3の引き出し方向が、アダプタ部2に対して比較的には特別な角度である場合、折り曲げ領域の簡単な折り曲げのみによって形成された角度により満たさないとき、第1の端21の平面と第2の端23の平面とが平行ではなく、一定の角度をなすように折り曲げ領域をねじる必要がある。第1の端21および第2の端23が平面ではないとき、第1の端21または第2の端23の縦方向の中心対称面を基準面とすることができる。この場合、ケーブル3の引き出し
方向は、電力伝送部1の軸方向および径方向の両方に対して一定の角度をなす。
図6に示すように、第1の端21の平面と第2の端23の平面との夾角はB°である。
【手続補正6】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力伝送部と、アダプタ部と、ケーブルとを含む電力伝送アダプタ機構において、
前記電力伝送部が順に接続された挿抜端と接続端とを含み、
前記ケーブルが内部の導電性コアと、前記導電性コアを被覆する絶縁層とを含み、
前記アダプタ部が順に接続された第1の端と、折り曲げ部と、第2の端とを含み、
前記第1の端が前記接続端に電気的に接続されており、前記第2の端が前記ケーブルの一端における前記導電性コアに電気的に接続されており、前記折り曲げ部が少なくとも1つの折り曲げ領域を含む
ことを特徴とする電力伝送アダプタ機構。
【請求項2】
前記第1の端の少なくとも一部は、前記接続端部の少なくとも一部に接触接続されている
ことを特徴とする請求項1に記載の電力伝送アダプタ機構。
【請求項3】
前記第1の端の少なくとも一部と前記接続端の少なくとも一部は、抵抗溶接、摩擦溶接、超音波溶接、アーク溶接、レーザ溶接、電子ビーム溶接、圧力拡散溶接、磁気誘導溶接、螺着、係止、つなぎ合わせ、圧着のうちの1種又は複数種により接続されている
ことを特徴とする請求項2に記載の電力伝送アダプタ機構。
【請求項4】
前記接続端に接続面が含まれ、前記接続面と前記第1の端との接触領域の面積は前記接続面の面積の5%以上を占める
ことを特徴とする請求項1に記載の電力伝送アダプタ機構。
【請求項5】
前記接続端は、形状が片状であり、第1の上面と、第1の下面と、第1の側面とを含み、
前記接続面は、前記第1の上面又は前記第1の下面に設けられており、
前記第1の端は、形状が片状であり、第2の上面と、第2の下面と、第2の側面とを含み、
前記第1の上面又は前記第1の下面は、前記第2の上面又は前記第2の下面と重なって接触接続されている
ことを特徴とする請求項4に記載の電力伝送アダプタ機構。
【請求項6】
前記接続端は、形状が柱状であり、側面と端面とを含み、
前記接続面は、前記端面に設けられており、
前記第1の端は、形状が片状であり、第2の上面と、第2の下面と、第2の側面とを含み、
前記端面は、前記第2の上面又は前記第2の下面に接触接続されている
ことを特徴とする請求項4に記載の電力伝送アダプタ機構。
【請求項7】
ボルトをさらに含み、
前記第2の上面には、前記第2の下面まで貫通する貫通孔が設けられ、
前記端面には、ねじ孔が設けられており、前記ボルトは、前記貫通孔を通して前記ねじ孔に螺着されている
ことを特徴とする請求項6に記載の電力伝送アダプタ機構。
【請求項8】
前記ボルトが前記ねじ孔に螺着されるトルクの範囲は、0.1N・m~30N・mである
ことを特徴とする請求項7に記載の電力伝送アダプタ機構。
【請求項9】
前記接続端は、形状が筒状であり、第1の内面と第1の外面とを含み、
前記接続面は、前記第1の内面または前記第1の外面に設けられており、
前記第1の端は、形状が筒状であり、第2の内面と第2の外面とを含み、
前記第1の内面または前記第1の外面は、前記第2の外面または前記第2の内面と重なって接触接続されている
ことを特徴とする請求項4に記載の電力伝送アダプタ機構。
【請求項10】
前記接続端または前記第1の端は、横断面形状が円形、楕円形、矩形または多角形である
ことを特徴とする請求項9に記載の電力伝送アダプタ機構。
【請求項11】
前記第2の端は、形状が平板形、椀形、U字状、V字状または筒状である
ことを特徴とする請求項1に記載の電力伝送アダプタ機構。
【請求項12】
前記導電性コアの少なくとも一部は、前記第2の端の少なくとも一部に接触接続されている
ことを特徴とする請求項1に記載の電力伝送アダプタ機構。
【請求項13】
前記導電性コアの少なくとも一部と前記第2の端の少なくとも一部は、抵抗溶接、摩擦溶接、超音波溶接、アーク溶接、レーザ溶接、電子ビーム溶接、圧力拡散溶接、磁気誘導溶接、螺着、係止、つなぎ合わせ、圧着のうちの1種または複数種により接続されている
ことを特徴とする請求項12に記載の電力伝送アダプタ機構。
【請求項14】
前記接続端に接続面が含まれ、前記第1の端の少なくとも一部が前記接続面の少なくとも一部に接触接続されており、
前記第2の端にワイヤ接続面が含まれ、前記ワイヤ接続面と前記導電性コアとの接触領域の面積が前記ワイヤ接続面の面積の5%以上を占める
ことを特徴とする請求項1に記載の電力伝送アダプタ機構。
【請求項15】
前記アダプタ部は、板材からプレスまたは切割・折り曲げまたは機械加工により形成されたものである
ことを特徴とする請求項1に記載の電力伝送アダプタ機構。
【請求項16】
前記第1の端、折り曲げ部および第2の端の厚さは、相互間の差が35%以下である
ことを特徴とする請求項1に記載の電力伝送アダプタ機構。
【請求項17】
前記折り曲げ領域における隣接する2つの平面の夾角は0°~180°である
ことを特徴とする請求項1に記載の電力伝送アダプタ機構。
【請求項18】
前記折り曲げ領域における折り曲げ箇所は円弧状であり、前記折り曲げ箇所の内部半径が前記アダプタ部の厚さの3分の1以上である
ことを特徴とする請求項1に記載の電力伝送アダプタ機構。
【請求項19】
前記折り曲げ領域の接線方向には、少なくとも1つの補強リブが設けられており、前記補強リブは、前記折り曲げ領域における外部材料が内部へ凹んで形成されたものである
ことを特徴とする請求項1に記載の電力伝送アダプタ機構。
【請求項20】
前記折り曲げ領域は、ツイスト状であり、前記第1の端の平面または縦方向中心対称面は、前記第2の端の平面または縦方向中心対称面との夾角が0°~90°である
ことを特徴とする請求項1に記載の電力伝送アダプタ機構。
【請求項21】
前記アダプタ部の材質は、ニッケル、カドミウム、ジルコニウム、クロム、コバルト、マンガン、アルミニウム、スズ、チタン、亜鉛、銅、銀、金、リン、テルル、ベリリウム、鉛のうちの1種または複数種を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の電力伝送アダプタ機構。
【請求項22】
前記アダプタ部の材質にテルル銅合金が含まれ、前記テルル銅合金におけるテルルの含有量は0.1%~5%である
ことを特徴とする請求項1に記載の電力伝送アダプタ機構。
【請求項23】
前記アダプタ部の材質にベリリウム銅合金が含まれ、前記ベリリウム銅合金におけるベリリウムの含有量は0.05%~5%である
ことを特徴とする請求項1に記載の電力伝送アダプタ機構。
【請求項24】
前記アダプタ部の材質にリン青銅合金が含まれ、前記リン青銅合金におけるリンの含有量は0.01%~1.5%である
ことを特徴とする請求項1に記載の電力伝送アダプタ機構。
【請求項25】
前記アダプタ部の材質に鉛黄銅合金が含まれ、前記鉛黄銅合
金における鉛の含有量は0.1%~5%である
ことを特徴とする請求項1に記載の電力伝送アダプタ機構。
【請求項26】
前記電力伝送部、前記導電性コアおよび前記アダプタ部に少なくとも部分的にめっき層が設けられている
ことを特徴とする請求項14に記載の電力伝送アダプタ機構。
【請求項27】
前記接続面の少なくとも一部には、前記めっき層が設けられていない
ことを特徴とする請求項26に記載の電力伝送アダプタ機構。
【請求項28】
前記接続面の少なくとも一部には、前記めっき層が設けられており、前記接続面における前記めっき層は第1のめっき層である
ことを特徴とする請求項26に記載の電力伝送アダプタ機構。
【請求項29】
前記第1の端における少なくとも前記接続面と接触する平面には、前記めっき層が設けられていない
ことを特徴とする請求項26に記載の電力伝送アダプタ機構。
【請求項30】
前記第1の端における少なくとも前記接続面と接触する平面に前記めっき層が設けられており、前記第1の端における少なくとも前記接続面と接触する平面における前記めっき層は第2のめっき層である
ことを特徴とする請求項28に記載の電力伝送アダプタ機構。
【請求項31】
前記ワイヤ接続面の少なくとも一部には、前記めっき層が設けられていない
ことを特徴とする請求項26に記載の電力伝送アダプタ機構。
【請求項32】
前記ワイヤ接続面の少なくとも一部には、前記めっき層が設けられており、前記ワイヤ接続面における前記めっき層は第3のめっき層である
ことを特徴とする請求項30に記載の電力伝送アダプタ機構。
【請求項33】
前記導電性コアには、前記めっき層が設けられていない
ことを特徴とする請求項26に記載の電力伝送アダプタ機構。
【請求項34】
前記導電性コアの少なくとも一部には、前記めっき層が設けられており、前記導電性コアにおける前記めっき層は第4のめっき層である
ことを特徴とする請求項32に記載の電力伝送アダプタ機構。
【請求項35】
前記第1のめっき層の材質と、前記第2のめっき層の材質と、前記第3のめっき層の材質と、前記第4のめっき層の材質とは、異なる
ことを特徴とする請求項34に記載の電力伝送アダプタ機構。
【請求項36】
前記第1のめっき層の厚さと、前記第2のめっき層の厚さと、前記第3のめっき層の厚さと、前記第4のめっき層の厚さとは、異なる
ことを特徴とする請求項34に記載の電力伝送アダプタ機構。
【請求項37】
前記めっき層の材質は、金、銀、ニッケル、スズ、亜鉛、スズ鉛合金、銀アンチモン合金、パラジウム、パラジウムニッケル合金、グラファイト銀、グラフェン銀および銀金ジルコニウム合金のうちの1種または複数種を含む
ことを特徴とする請求項26に記載の電力伝送アダプタ機構。
【請求項38】
前記めっき層は、電気めっき、無電解めっき、マグネトロンスパッタリングまたは真空めっきによって設けられたものである
ことを特徴とする請求項26に記載の電力伝送アダプタ機構。
【請求項39】
前記めっき層は、下地層と表層とを含む
ことを特徴とする請求項26に記載の電力伝送アダプタ機構。
【請求項40】
前記下地層の材質は、金、銀、ニッケル、スズ、スズ鉛合金および亜鉛のうちの1種または複数種を含み、前記表層の材質は、金、銀、ニッケル、スズ、亜鉛、スズ鉛合金、銀アンチモン合金、パラジウム、パラジウムニッケル合金、グラファイト銀、グラフェン銀および銀金ジルコニウム合金のうちの1種または複数種を含む
ことを特徴とする請求項39に記載の電力伝送アダプタ機構。
【請求項41】
前記導電性コアの材質にアルミニウムが含まれる
ことを特徴とする請求項1に記載の電力伝送アダプタ機構。
【請求項42】
前記電力伝送部と前記アダプタ部との間の接触抵抗は9mΩ未満である
ことを特徴とする請求項1に記載の電力伝送アダプタ機構。
【請求項43】
前記導電性コアと前記アダプタ部との間の接触抵抗は9mΩ未満である
ことを特徴とする請求項1に記載の電力伝送アダプタ機構。
【請求項44】
請求項1乃至43のいずれかに記載の電力伝送アダプタ機構を含むことを特徴とする充電用コンセント。
【請求項45】
請求項1乃至43のいずれかに記載の電力伝送アダプタ機構を含むことを特徴とする自動車。
【請求項46】
請求項44に記載の充電用コンセントを含むことを特徴とする自動車。
【国際調査報告】