(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-18
(54)【発明の名称】管T字分岐を作る方法および装置
(51)【国際特許分類】
B21D 28/28 20060101AFI20240910BHJP
B23K 9/00 20060101ALI20240910BHJP
B23P 23/04 20060101ALI20240910BHJP
B23P 15/00 20060101ALI20240910BHJP
B23D 21/02 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
B21D28/28
B23K9/00 501P
B23P23/04
B23P15/00 Z
B23D21/02 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024511979
(86)(22)【出願日】2022-06-17
(85)【翻訳文提出日】2024-04-16
(86)【国際出願番号】 FI2022050430
(87)【国際公開番号】W WO2023025979
(87)【国際公開日】2023-03-02
(32)【優先日】2021-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523269155
【氏名又は名称】ラリッカ,レオ
【氏名又は名称原語表記】LARIKKA, Leo
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【氏名又は名称】前堀 義之
(72)【発明者】
【氏名】ラリッカ,レオ
【テーマコード(参考)】
4E048
4E081
【Fターム(参考)】
4E048KA02
4E048KA04
4E048KA07
4E048KA08
4E081YY20
(57)【要約】
本発明の目的は、内部溶接によって主管の孔の縁に枝管の成形された端部を接続することにより、管T字分岐を作る方法および装置である。主管(T)の孔と、枝管(P)の端部における主管に対応する円弧とを、ドライな機械工程で、孔から1つの固形部分を除去し、枝管の端部から2つの固形部分を除去することによって機械的に切断する。主管の孔の周囲に枝管(P)の成形された端部を配置し、溶接充填材を使用せずに内部溶接で管間の継ぎ目(21)を溶接する。適切な分岐孔が、主管の側面から接線方向にパンチングすることによって作られ、パンチ工具の移動方向と平行な管の接線がパンチ工具(1)の内側に位置する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
枝管の成形された端部を内部溶接によって主管の孔の縁に接続させることによって管T字分岐を作る方法であって、
方法は、
主管(T)の孔と、枝管(P)の端部における主管に対応する円弧とを、ドライな機械工程で、孔から1つの固形部分を除去し、枝管の端部から2つの固形部分を除去することによって機械的に切断するステップを含み、
接合部の清浄度は溶接に適したままであり、
方法はまた、
主管の中心軸を越えて主管に対して接線方向に移動したパンチ工具(1)で枝管孔を開けるステップと、
拡張可能な内側支持体(9、10、11)を使って切断する孔の両側で主管を内側から支持するステップと、
主管の孔(20)の周囲に枝管(P)の成形された端部を配置し、溶接充填材を使用せずに内部溶接で管間の継ぎ目(21)を溶接するステップと、を含む、方法。
【請求項2】
主管の孔が、
- 主管(T)の穿孔位置まで、保持ジョー(4、5)の間に主管を軸方向に挿入するステップと;
- 主管を穿孔位置に保持するために、保持ジョー(4、5)を主管に固定するステップと;
- 内側支持体内にある内側支持体(9)およびウェッジ(11)を主管内で移動させるステップと;
- 内側支持体の湾曲した凹部(10)が、主管に形成される孔のパンチ工具(1)の経路上に配置されるような位置で、内側支持体(9)の移動を停止するステップと;
- 凹部(10)の両側で内側支持体を主管(T)の内壁に押し付けるために、内側支持体(9)に対するウェッジ(11)の移動を継続するステップと;
- パンチ工具の移動方向と平行な管の接線がパンチ工具(1)の内側に位置するように、パンチ工具(1)を管の外周面と中心線との間で管に対して接線方向に移動するように誘導し、これにより、パンチ工具の切断ブレード(3)が、まず、主管の外側から内側に形成される孔の一方の縁で主管を貫通し、次に、主管の内側から外側に形成される孔の反対側の縁で主管を貫通するステップと;
- ウェッジ(11)を前の移動方向とは反対の方向に移動させ、内側支持体(9)を主管の内面に対する圧力から解放するステップと;
- 内側支持体(9)とウェッジ(11)を主管の外側に移動させるステップと;
- 保持ジョー(4、5)を開き、穿孔された主管を回収容器内に落下させるステップと、
によって開けられる、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
枝管(P)の端部から除去される部品の切断深さは、主管に対応する円弧間の枝管の端部に切断されていない直線状の端部外面(23)を提供するように調整される、
請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
内側支持体(9)が管の内面にウェッジ(11)によって押し付けられ、
ウェッジは、内側支持体(9)を支持位置へ、および支持位置から動かすためのものと同じアクチュエータ(F)によって内側支持体(9)に対して前後に動かされ、
内側支持体(9)が、そのウェッジ(11)とともに、ウェッジアーム(11a)およびばね(14)を介して、まず支持位置に移動し、次に、ばね(14)の付勢力に抗してウェッジアーム(11a)を介してウェッジ(11)のみを動かすことによって支持位置に動かされる、
請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
請求項2の方法によって管に分岐孔を作るための装置であって、
装置は、
円形の、またはほぼ円形の、または部分的に円形の断面を有するパンチ工具(1)と、
パンチ工具の端部にある切断ブレード(3)と、
穿孔される管を受けるための支持溝(6、8)を含み、パンチングの間、管を外から支持するための保持ジョー(4、5)と、
保持ジョーの第一の部分(4)でパンチ工具(1)を受けるガイド孔(7)と、
を含み、
ガイド孔(7)は、パンチ工具(1)の動きの方向に平行な長手軸を有し、ガイド孔(7)は、細長く、保持ジョーの第一の部分(4)で支持溝(6)と交差し、外側支持体の第二の部分(5)で支持溝(8)を超えて延び、
管支持位置における支持溝(6、8)の表面に一致する仮想円柱の接線は、ガイド孔の長手方向軸に平行に、ガイド孔(7)内に位置し、
パンチ工具ガイド孔(7)は、外側支持体の第一の部分(4)の支持溝(6)の側面、およびパンチングの間、管を内側から支持するための内側支持体(9)の両方まで延び、
内側支持体(9)は、内側支持体(9)を管の内面に対して押し付けるように構成されるウェッジ(11)を含み、
内側支持体(9)は、内側支持体(9)が支持位置で管の中に配置されたとき、パンチ工具(1)が中を通るように構成される湾曲した凹部(10)を含み、
内側支持体(9)は、主管の内面とのその衝突点(C)が、パンチ工具(1)の移動方向からみて、湾曲した凹部(10)の対向する端部と一致するような形状をしている、
装置。
【請求項6】
ブレード(3)は、パンチ工具の中心線(A)の法線平面(P)に対して、面取り角度(α)が0°よりも大きくなるように面取りされており、切断ブレードの湾曲した先端部(3a)は、パンチ時に管の側方から先に管に貫入する、
請求項5に記載の装置。
【請求項7】
パンチ工具の中心線(A)の法線平面(P)に対する切断ブレード(3)の面取り角度(α)が5°から30°の間である、
請求項5に記載の装置。
【請求項8】
パンチ工具(1)の切断ブレード(3)は、湾曲した先端(3a)およびその両側の直線状の刃先を有し、
切断ブレード(3)の湾曲した先端(3a)の反対側にある切断ブレード(3)の直線状の刃先間の角度(β1)は、パンチ工具の長手方向軸(A)の方向に見た場合、97°から107°の間である、
請求項6または7に記載の装置。
【請求項9】
パンチ工具(1)は、切断ブレード(3)で終端する谷状のブレード本体(2)を有し、
ブレード本体(2)の外面は、切断ブレードの直線状の刃先で終端する2つの平面状の側面(18)を有する、
請求項5~8のいずれか1つに記載の装置。
【請求項10】
ブレード本体(2)の肉厚は、切断ブレード(3)からブレード本体(2)の基部に向かって増加し、
ブレード本体(2)の基部は、主管から除去された小片を受ける逃がし孔(15)で終わっている、
請求項5に記載の装置。
【請求項11】
内側支持体(9)は、
最初に、ウェッジ(11)と共に内側支持体(9)をウェッジアーム(11a)とばね(14)を介して支持位置へ動かせ、
次に、内側支持体が支持位置に保持されるとき、ばね(14)の付勢力に抗してウェッジアーム(11a)を介してウェッジ(11)のみを動かすように配置された単一のアクチュエータ(F)によって、支持位置へ向かって、および支持位置から離れて移動するように配置され、
それにより内側支持体(9)は支持位置にウェッジ留めされる、
請求項5に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の目的は、内部溶接によって主管(main pipe)の孔の縁に枝管(branch pipe)の成形された端部を接続することにより、管T字分岐(pipe T-branch)を作る方法および装置である。
【0002】
本発明のもう一つの目的は、本方法で必要とされる、主管の孔あけに使用できる装置である。
【0003】
枝管の端部は、例えば特許公開US10537948から公知の方法および装置を用いて、主管に一致する弧状に切断されるが、枝管(P)の端部から除去される部品の切断深さは、
図4に示すように、主管に対応する円弧の間の枝管の端部に切断されていない直線状の端面を提供するように調整される。これにより、主管の外面に適量の材料を残すことができ、外側から充填材(filler)を導入することなく、内側から部品を溶接することができる。
【背景技術】
【0004】
管をT字型に分岐させる場合、分岐接続用の孔を開ける方法はたくさんある。小さい管の場合、最も一般的な方法はドリル孔あけである。ドリルで孔を開けると切粉が出るため、効率よく孔を開けるには切削液を使用する必要がある。切粉や切削液は、生産面でも環境面でも不利になる。継手溶接のためには、切粉を除去し、部品を洗浄しなければならないが、通常は温水で洗浄する。さらに、ドリルで管に孔を開けるのは、比較的時間のかかる生産方法である。
【0005】
CA2280650号公報には、エンジンの排気マニホールドの湾曲した管にパンチングによって孔を開ける方法が開示されている。パンチ工具は、パンチ工具の外側が管の外面に接するように案内される。打ち抜かれた孔は、セグメント化されたフィンガを備えたマンドレルを使って広げられる。最後に、センサを取り付けた金属管を取り付けるためのネジ山が設けられる。パンチ工具の先端の設計と内側支持の欠如により、T字分岐を作るのに適した孔を開けることができない。得られた孔の形状は、内部溶接による分岐管の成形された端部の接続には適していない。
【0006】
特開2001162335号公報は、パンチ工具が管の外周の一部を接線方向に貫通し、ブレードの平坦な前端部によって押された物質を管の外周から除去するように管に孔を開ける方法を開示している。ブレードの面取り部分は、除去された物質を孔から排出する。ブレードの形状は、除去される材料をつぶし(upset)、管の変形を引き起こし、これは特に、非拡張性の内側支持体(inner support)が、パンチ工具の衝突点で孔の縁を十分に支持しないためである。このようにして形成された孔は、内部溶接によって分岐管の成形された端部を接続するのには適さない。このことは、特に枝管の直径が大きい場合に当てはまり、説明した方法は、穿孔される管の直径に近い直径の孔を形成するのに適していないからである。この不適性は、ブレードの形状が材料をつぶすようなものであること、および非拡張性の内側支持体が管の変形を妨げないことに起因する。
【0007】
US3120143号公報は、T字分岐を接続するために、接線方向にパンチングして管に孔を開ける方法を開示している。パンチ工具の切断ブレードは、まず管の外側から内側に形成される孔の一方の縁で管を貫通し、次に管の内側から外側に形成される孔の反対側の縁で貫通する。パンチ工具は先細りの鋭利なブレードを持つが、これは薄肉管や柔らかい管材にしか適さない。このようなブレードは、一般的な肉厚の鋼管の貫通には耐えられない。また、管の内側で支える力が弱いため、管が変形してしまい、T字分岐継手の製造には適さない。
【0008】
T字分岐を作るのに適した孔を開ける最も簡単な方法は、典型的なパンチング法で、丸いパンチ工具を使って管の長手軸に垂直に孔を開ける。これは、枝管が主管より一定量小さい場合に有効である。管自体と同じサイズか、ほぼ同じサイズの分岐管を接続できる孔を管に開けるには、一般的なパンチとダイによる解決策は機能しない。枝管の端の内縁とパンチ孔の内縁との間の差は非常に大きく、内部溶接は不可能であり、外部溶接は流動性の観点から許容できる結果をもたらさない。
【0009】
本発明の目的は、T字分岐の部品を作るための機械的工程を、切削油や洗浄を必要としない「ドライプロセス」として実施し、管と同じサイズまたはほぼ同じサイズの分岐を接続できる孔を主管に設けることができる方法と装置を提供することである。
【0010】
本発明による方法は、主管(T)の孔と、枝管(P)の端部における主管に対応する円弧とを、ドライな機械工程で、孔から1つの固形部分を除去し、枝管の端部から2つの固形部分を除去することによって機械的に切断するステップを含み、接合部の清浄度は溶接に適したままであり、方法はまた、主管の中心軸を越えて主管に対して接線方向に移動したパンチ工具で枝管に孔を開けるステップと、拡張可能な内側支持体を使って切断する孔の両側で主管を内側から支持するステップと、主管の孔の周囲に枝管(P)の成形された端部を配置し、溶接充填材を使用せずに内部溶接で管間の継ぎ目を溶接するステップと、を含む。
【0011】
内部溶接を実施するための方法および装置の例は、刊行物US6433307(B1)、EP1633520(B1)およびWO2019166689に提示されている。これらに基づいて、当業者は、内部溶接機能に関して、本発明を利用する方法を認知している。
【発明の概要】
【0012】
本発明による装置では、パンチ工具が主管の壁を接線方向に貫通する際に、座屈などの主管の変形を防止するために、特別に構成された内側支持体が使用される。本装置の特徴は請求項5に示されている。
【0013】
さらに、本発明の好ましい実施形態の目的は、主管の孔の形状を分岐管の端部の内表面の形状に可能な限り密接に接合することができ、さらに、接合継ぎ目における重なり合う材料の厚さが、外側から充填材を導入することなく内側から部品を溶接接合するのに適している方法および装置を提供することである。
【0014】
これらの付加的な目的は、従属する方法および装置の特許請求の範囲に示される特徴的な形質により、本発明によって達成される。
【0015】
枝管の直径が本管の直径と等しいかほぼ等しい場合には、パンチ工具の刃先が円弧とその円弧の間に位置する2本の直線とからなるような形状にすることが好ましい。これにより、孔の形状を枝管の端部の内面の形状にできるだけ近づけることができる。このような場合、2つの管の接触面は、管の肉厚全部の厚さを有する。さらに、打ち抜かれた孔の内縁部には鋭角の材料の領域が残され、パンチ工具の対向する位置の孔の側面ではほぼ均一な厚さを有し、主管の長手方向で互いに離れている孔の側面ではより小さい。この材料は、内部溶接の充填材として機能する。その結果、接合部には母材より薄い材料は存在しない。さらに、内部溶接で作られた接合部は、良好な流動性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
次に、添付図面を参照して、例示的な実施形態により本発明を説明する。
【0017】
【
図1】
図1は、本願発明に係る方法を実施するために使用される装置の基本部品を、上から斜めにみた不等角組立図を示す。
【
図2A】
図2Aは、本発明の好ましい実施形態に係るパンチ工具の長手方向断面図である。
【
図3】
図3は、本発明に係る方法および装置を使って製造されたT字分岐管を示す。
【
図4】
図4は、本発明に係る方法および装置を使って製造されたT字分岐管をより詳細に示し、中心線の左側に示されているのは右に90度回転させた断面図である。
【
図5】
図5は、主管内で支持位置にある内側支持体の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
分岐孔20は、断面がほぼ円形のパンチ工具1を用いて主管Tに打ち抜かれる。パンチ工具1の切断ブレード3は、湾曲した先端部3aとその両側の直線状の切断ブレードとを有する。切断ブレード3の湾曲した先端部3aの両側にある直線状の切断ブレード同士の間の角度β1は、パンチ工具の運動軸Aの方向に見た場合、97~107°である(
図2C)。図示の実施形態では、ブレード本体2の外面は、切断ブレード3の直線状の刃先で終わる2つの平面状の側面18を有する。上述したように、パンチ工具のこの設計により、枝管と主管が同じ大きさである場合に、孔の形状を枝管の先頭部の内面の形状にできるだけ近づけることができる。このような場合、充填材を使用しない内部溶接では、溶接継ぎ目で所望の肉厚が得られる。枝管のサイズが主管に対して小さくなると、平面状の側面18と直線状の刃先がなくなり、パンチ工具のブランクは円筒状になることがある。パンチ工具の、孔の形成に関与しないほうの半分は、比較的自由に成形することができる。
【0019】
管は、パンチングの間、保持ジョー(retaining jaws)4、5で外側から支持される。保持ジョー4、5は、穿孔される管を受けるための支持溝6、8を含む。支持溝の曲率は、主管Tの外面の曲率と一致する。主管を支持する位置では、保持ジョー4と5は互いにわずかに離れたままである。第二の保持ジョー5は、管が、溝6と8によってクランプ把持された状態で保持ジョー4と5の間に配置されるように、前後に動かすことができる。
【0020】
保持ジョーの第一の部分4は、パンチ工具1を受容し、パンチ工具1の移動方向と平行な長手方向軸を有するパンチ工具ガイド孔7を含む。パンチ工具ガイド孔7は細長く、保持ジョーの第一の部分4の支持溝6と交差している。ガイド孔7は、保持ジョーの第二の部分5の支持溝8を越えて延びている。この場合、管支持位置における支持溝6、8の表面に一致する仮想円柱の接線は、ガイド孔の長手方向軸に平行に、ガイド孔7内に位置する。換言すれば、当該接線は、分岐孔が形成される位置で管の外面に接する。パンチ工具のガイド孔7は、保持ジョーの第一の部分4の支持溝6の両側まで延びている。
【0021】
パンチ装置はさらに、パンチング中に主管Tを内側から支える内側支持体9を備えている。内側支持体は、パンチ工具が壁を貫通する際の切断状況において、主管が座屈するのを事前に防ぐために必要である。内側支持体9は、パンチ工具の外面に近い位置で管を支持する必要がある。つまり、パンチ工具の外縁の円弧と内側支持体の円弧の間の距離は最小でなければならない。丸い内側支持体では、これができない。異なる主管の内径は標準ではない。内側支持体は負の公差を持つ管にもフィットしなければならず、他の管では隙間ができてしまう。本発明では、この問題を、ウェッジによって拡張可能な内側支持体を設計することによって解決した。
図5は、管Tの内面との衝突点が、パンチ工具1の刃先の経路のラインから機能的にクリアランスのある点Cに位置するように、点Dで内側支持体の丸みが切断側でどのように変更されているかを示している。内側支持体9は、衝突点Cにおいてウェッジ11によって主管の内面に対して押し付けられる。主管の内面との衝突点Cは、パンチ工具1の移動方向から見て、内側支持体の湾曲した凹部10の対向する端部と一致する。
【0022】
内側支持体9は、最初にウェッジ11と共に内側支持体9をウェッジアーム11aとばね14を介して支持位置へ移動させるように配置された単一のアクチュエータFによって支持位置へ向かって移動したり支持位置から離れて移動したりするように配置されている。この移動に必要な力は、ばね14をばね力に抗して変形させる(圧縮ばねを圧縮する)のに必要な力よりも小さく、ばね14は、内側支持体9の支持フランジ12を前に押し出す固定ピンのように作用する。ウェッジアーム11aは、アクチュエータFによって前後に動かされるプッシュフランジ13に取り付けられている。アクチュエータFは、通常ピストンシリンダ装置である。図示の例では、支持フランジ12と押しフランジ13との間に2つの圧縮ばね14が取り付けられている。支持フランジ12がフレーム内の固定アバットメント(図示せず)に接触すると、アクチュエータFはばね14の付勢力に抗してウェッジアーム11aを介してウェッジ11のみを移動させる。この場合、内側支持体9は支持フランジ12によって支持位置に保持され、これにより内側支持体9は支持位置にウェッジ留めされる。ウェッジ11にはスロット17があり、その中に内側支持体のピンが延びている。スロット17とピンによって、ウェッジは内側支持体を支持位置から後方に引き抜くことができる。ウェッジさせるステップ中は、スロット17が内側支持体9とウェッジ11との間の動きを制限することはなく、この動きは、内側支持体が管の内面に十分な力で支持されるまで続く。パンチ工具1は、内側支持体9が管内の支持位置にあるとき、内側支持体9の湾曲した凹部10の中を移動する。
【0023】
パンチ工具1の切断ブレード3は、湾曲した先端部3aとその両側の直線状の刃先とを有し、そのブレード3は、パンチ工具の中心線(A)の法線平面(P)に対して、面取り角度αが0°よりも大きくなるように面取りされており、この場合、切断ブレードの湾曲した先端部3aは、パンチ時に管の側方から先に管に貫入する。
【0024】
パンチ工具1の切断ブレード3の面取りと形状は、切断長さを最小にしつつ、管からスリット状の切り口で小片が除去されるように選択される。パンチ工具の先端部および同様に切断ブレード3の面取り角度αは、通常、パンチ工具の中心線Aの法線平面Pに対して5°から30°の間である。法線平面Pは、パンチ工具の中心線Aに対して垂直な切断ブレード3の先端3aを通る平面である。最適な面取り開先角度αは、穿孔される管の材質、穿孔される孔の寸法およびサイズに依存する。多くの場合、好ましい面取り角度αは10°~25°、好ましくは15°~20°程度である。
図2Bの平面に見られるように、切断ブレードの湾曲した先端3aの反対側にある切断ブレード3の直線部分の間の角度βは、角度αの大きさにもよるが、典型的には15°から25°の間である。これは、切断ブレードの湾曲した先端3aおよび平面状の側面18の反対側にある切断ブレード3の直線状の刃先間の角度β1によっても影響され、パンチ工具の長手方向軸(A)の方向に見た場合、典型的には97°から107°の間である。(
図2C)。この設計により、パンチ工具の耐久性を向上させ、孔の縁の材料分布を、外部から充填材を導入することなく、内部溶接に最適な状態にすることができる。
【0025】
好ましくは、パンチ工具1は、切断ブレード3で終端する谷状のブレード本体2を有する。ブレード本体2の外面は、切断ブレードの直線状の刃先で終端する2つの平面状の側面18を有する。ブレード本体2の外面の残りの部分は円筒形であってもよい。ブレード本体2の肉厚は、切断ブレード3からブレード本体2の基部に向かって増加する。ブレード本体2の基部は、管から除去された小片を受ける逃がし孔(relieving pit)15で終わっている。パンチ工具1は、その切断ブレードとともに、例えば、平面状の側面18を備えた円筒状のパンチ工具ブランクを約15~25°の角度に切断することにより製造され、これにより、パンチ工具の先端は、中央に円弧状の先端を有し、両側に直線状の刃先を有する、
図2Bに示す形状に形成される。このような形状にすることで、パンチ力を低減し、パンチ工具の耐久性を向上させることができる。
図2Bは、パンチ工具が丸い場合の面取り切断で形成される楕円弧(一点鎖線)を示している。この場合、管壁面との衝突点が鈍角すぎる。刃先が直線状であるため、衝突点が鋭くなる。切断ブレード3の先端3aは、パンチ時に管の側面から最初に管を貫通するように配置されている。このため、先端部3aは、パンチ工具1の押し出し動作に伴って管が回転するのを防止し、管の外周面に対する保持ジョー4、5のクランプ力を小さくすることができる。
【0026】
管に分岐孔を形成するために、パンチ工具1は、ガイド孔7を用いて、管の外周面と中心線との間を管に対して接線方向に移動するように案内される。ここで接線方向とは、パンチ工具の移動方向と平行な管の接線がパンチ工具1の内側に位置することを意味する。言い換えれば、パンチ工具は、主管の中心軸を越えて主管に対して接線方向に移動される。この場合、パンチ工具の切断ブレード3は、まず、管の外側から内側に形成される孔の一方の縁で管を貫通し、次に、管の内側から外側に形成される孔の他方の反対側の縁で管を貫通する。パンチの間に、パンチ工具の切断ブレード3は、パンチ工具の対向する側面で孔20の側面を切断する。
【0027】
図4は、本明細書で前述したように形成された孔20に内部溶接で接続するのに最適なように、枝管Pの端部を成形する様子を示している。枝管Pの端部から除去される部品の切断深さは、主管に対応する円弧間の枝管の端部に切断されていない直線状の端部外面23を提供するように調整される。これにより、溶接時に溶融される接合部の材料の最適な量を得ることができる。
【0028】
上述した装置を使用し、以下の方法ステップで主管に孔を開けることができる:
- 主管(T)の穿孔位置まで、保持ジョー4、5の間に主管を軸方向に挿入するステップ;
- 保持ジョー4、5を主管に固定し、主管を穿孔位置に保持するステップ;
- 内側支持体内にある内側支持体9およびウェッジ11を主管内で移動させるステップ;
- 内側支持体9の湾曲した凹部10が、主管に形成される孔のパンチ工具1の経路上に配置されるような位置で、内側支持体9の移動を停止するステップ;
- 凹部10の両側で内側支持体を主管(T)の内壁に押し付けるために、内側支持体9に対するウェッジ11の移動を継続するステップ;
- パンチ工具の移動方向と平行な管の接線がパンチ工具1の内側に位置するように、パンチ工具1を管の外周面と中心線との間で管に対して接線方向に移動するように誘導し、これにより、パンチ工具の切断ブレード3が、まず、主管の外側から内側に形成される孔の一方の縁で主管を貫通し、次に、主管の内側から外側に形成される孔の反対側の縁で主管を貫通するステップ;
- ウェッジ11を前の移動方向とは反対の方向に移動させ、内側支持体9を主管の内面に対する圧力から解放するステップ;
- 内側支持体9とウェッジ11を主管の外側に移動させるステップ;
- 保持ジョー4、5を開き、穿孔された主管を回収容器内に落下させるステップ。
穿孔された管は、特殊な取り外し器(図示せず)を用いて保持ジョー4から取り外す必要がある。
【0029】
したがって、パンチ工具は、主管の壁から1つの固形部分を管の外側へ直接除去するために使用される。2つの湾曲片もパンチングによって枝管Pの端部から除去され、2つの湾曲片の切断面の曲率は主管の外面の曲率と一致する。最後に、枝管(P)の成形された端部を、主管の孔20の周囲に配置し、管間の継ぎ目21を、溶接充填材を使用せずに、重ね合わされた継ぎ目端部で材料を融着することにより内部溶接で溶接する。
図3には、電極アーム24と電極25が示されており、電極アームを前後に移動させながら回転させることにより、その先端が継ぎ目21に沿う経路に沿って誘導される。電源26は、電極25と管との間に電圧を発生させるために使用される。電圧は、電極25と継ぎ目の間の電気アークが継ぎ目21の材料を融合して管Tと管Pの壁を接合する一体化した壁になるように、適切なレベルに調整される。
【国際調査報告】