(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-18
(54)【発明の名称】バキュロウイルス発現システム
(51)【国際特許分類】
C12N 15/866 20060101AFI20240910BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20240910BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20240910BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20240910BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20240910BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
C12N15/866 Z ZNA
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024512005
(86)(22)【出願日】2022-08-19
(85)【翻訳文提出日】2024-03-28
(86)【国際出願番号】 US2022075186
(87)【国際公開番号】W WO2023028440
(87)【国際公開日】2023-03-02
(31)【優先権主張番号】PCT/US2021/047218
(32)【優先日】2021-08-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-02-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】512147244
【氏名又は名称】バイオベラティブ セラピューティクス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100216105
【氏名又は名称】守安 智
(72)【発明者】
【氏名】トンヤオ・リウ
(72)【発明者】
【氏名】アジャイ・メゴディア
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ・ザカス
【テーマコード(参考)】
4B065
【Fターム(参考)】
4B065AA90X
4B065AA90Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065BC01
4B065CA44
(57)【要約】
所望のタンパク質の産生のためのバキュロウイルス発現ベクターが本明細書において提供される。一態様において、所望のタンパク質は、ウイルスファミリーパルボウイルス科のメンバーのゲノムに由来する野生型および/または切断型逆方向末端反復を含むクローズドエンドDNA(ceDNA)分子である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
細菌レプリコン;
選択可能なマーカー配列;
トランスポゾンの挿入のための第1の選択的標的部位を含む第1のレポーター遺伝子;
バキュロウイルス誘導性プロモーターに作動可能に連結された第2のレポーター遺伝子;および
部位特異的組換え事象を媒介することができる第2の選択的標的部位
を含むbacmid。
【請求項2】
細菌レプリコンは、低コピー数レプリコンである、請求項1に記載のbacmid。
【請求項3】
低コピー数レプリコンは、ミニFレプリコンである、請求項2に記載のbacmid。
【請求項4】
選択可能なマーカー配列は、抗生物質耐性遺伝子を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載のbacmid。
【請求項5】
抗生物質耐性遺伝子は、カナマイシン耐性遺伝子である、請求項4に記載のbacmid。
【請求項6】
第1のレポーター遺伝子は、発色基質を代謝することができる酵素をコードする、請求項1~5のいずれか1項に記載のbacmid。
【請求項7】
酵素は、LacZαまたはその機能的部分である、請求項6に記載のbacmid。
【請求項8】
発色基質は、Blue-galまたはX-galである、請求項6または7に記載のbacmid。
【請求項9】
トランスポゾンの挿入のための第1の選択的標的部位は、第1のレポーター遺伝子のリーディングフレームを妨害しない、請求項1~8のいずれか1項に記載のbacmid。
【請求項10】
第1の選択的標的部位は、細菌性トランスポゾンのための付着部位である、請求項1~9のいずれか1項に記載のbacmid。
【請求項11】
第1の選択的標的部位は、T7トランスポゾンのための付着部位である、請求項1~10のいずれか1項に記載のbacmid。
【請求項12】
トランスポゾンは、T7トランスポゾンである、請求項11に記載のbacmid。
【請求項13】
第2のレポーター遺伝子は、蛍光タンパク質をコードする、請求項1~12のいずれか1項に記載のbacmid。
【請求項14】
蛍光タンパク質は、赤色蛍光タンパク質である、請求項13に記載のbacmid。
【請求項15】
バキュロウイルス誘導性プロモーターは、39Kプロモーターである、請求項1~14のいずれか1項に記載のbacmid。
【請求項16】
第2の選択的標的部位は、LoxP部位またはそのバリアントを含む、請求項1~15のいずれか1項に記載のbacmid。
【請求項17】
部位特異的組換え事象は、Creリコンビナーゼによって媒介される、請求項1~16のいずれか1項に記載のbacmid。
【請求項18】
ミニFレプリコン;
抗生物質耐性遺伝子;
T7トランスポゾンのための付着部位を含むLacZα遺伝子またはその機能的部分;
バキュロウイルス誘導性プロモーターに作動可能に連結された蛍光タンパク質をコードする遺伝子;および
LoxP部位またはそのバリアント
を含むbacmid。
【請求項19】
細菌レプリコン;
第1の選択可能なマーカー配列;
第1のレポーター遺伝子に挿入された異種配列であって、挿入された異種配列が第1のレポーター遺伝子のリーディングフレームを妨害する、異種配列;
バキュロウイルス誘導性プロモーターに作動可能に連結された第2のレポーター遺伝子;および
部位特異的組換え事象を媒介することができる選択的標的部位
を含む組換えbacmid。
【請求項20】
異種配列は、異種遺伝子を含む、請求項19に記載の組換えbacmid。
【請求項21】
異種遺伝子は、タンパク質をコードする配列を含む、請求項19または20に記載の組換えbacmid。
【請求項22】
異種配列は、発現制御配列を含む、請求項20または21に記載の組換えbacmid。
【請求項23】
発現制御配列は、タンパク質をコードする配列に作動可能に連結される、請求項22に記載の組換えbacmid。
【請求項24】
発現制御配列は、バキュロウイルスプロモーターを含む、請求項22または23に記載の組換えbacmid。
【請求項25】
バキュロウイルスプロモーターは、最初期、初期、後期、または最晩期の遺伝子プロモーターである、請求項24に記載の組換えbacmid。
【請求項26】
バキュロウイルスプロモーターは、ポリヘドリンプロモーター、最初期1プロモーター、および最初期2プロモーターからなる群から選択される、請求項24または25に記載の組換えbacmid。
【請求項27】
発現制御配列は、ポリアデニル化シグナルを含む、請求項22~26のいずれか1項に記載の組換えbacmid。
【請求項28】
タンパク質は、ウイルスファミリーパルボウイルス科のメンバーのゲノムから単離されたRepタンパク質である、請求項21~27のいずれか1項に記載の組換えbacmid。
【請求項29】
タンパク質は、パルボウイルスRepタンパク質である、請求項21~28のいずれか1項に記載の組換えbacmid。
【請求項30】
パルボウイルスRepタンパク質は、B19 Rep、AAV2 Rep、HBoV1 Rep、およびGPV Repからなる群から選択される、請求項29に記載の組換えbacmid。
【請求項31】
異種配列は、第2の選択可能なマーカー配列を含む、請求項19~30のいずれか1項に記載の組換えbacmid。
【請求項32】
第2の選択可能なマーカー配列は、ゲンタマイシン耐性遺伝子を含む、請求項31に記載の組換えbacmid。
【請求項33】
細菌レプリコンは、ミニFレプリコンである、請求項19~32のいずれか1項に記載の組換えbacmid。
【請求項34】
第1の選択可能なマーカー配列は、カナマイシン耐性遺伝子を含む、請求項19~33のいずれか1項に記載の組換えbacmid。
【請求項35】
第1のレポーター遺伝子は、LacZαまたはその機能的部分をコードする、請求項19~34のいずれか1項に記載の組換えbacmid。
【請求項36】
第2のレポーター遺伝子は、赤色蛍光タンパク質をコードする、請求項19~35のいずれか1項に記載の組換えbacmid。
【請求項37】
バキュロウイルス誘導性プロモーターは、39Kプロモーターである、請求項19~36のいずれか1項に記載の組換えbacmid。
【請求項38】
選択的標的部位は、LoxP部位またはそのバリアントを含む、請求項19~37のいずれか1項に記載の組換えbacmid。
【請求項39】
部位特異的組換え事象は、Creリコンビナーゼによって媒介される、請求項19~38のいずれか1項に記載の組換えbacmid。
【請求項40】
ミニattTn7部位に挿入された異種配列であって、Repをコードし、ならびに挿入されたRepがLacZα遺伝子またはその機能的部分のリーディングフレームを妨害する、異種配列;および
LoxP部位またはそのバリアント
を含む組換えbacmid。
【請求項41】
細菌レプリコン;
第1の抗生物質耐性遺伝子;
ミニattTn7部位に挿入された異種配列であって、Repをコードし、ならびに挿入されたRepがLacZα遺伝子またはその機能的部分のリーディングフレームを妨害する、異種配列;
バキュロウイルス誘導性プロモーターに作動可能に連結された蛍光タンパク質をコードする遺伝子;および
LoxP部位またはそのバリアント
を含む組換えbacmid。
【請求項42】
細菌レプリコン;
第1の抗生物質耐性遺伝子;
ミニattTn7部位に挿入された異種配列であって、B19 Repをコードし、ならびに挿入されたB19 RepがLacZα遺伝子またはその機能的部分のリーディングフレームを妨害する、異種配列;
バキュロウイルス誘導性プロモーターに作動可能に連結された蛍光タンパク質をコードする遺伝子;および
LoxP部位またはそのバリアント
を含む組換えbacmid。
【請求項43】
細菌レプリコン;
第1の抗生物質耐性遺伝子;
ミニattTn7部位に挿入された異種配列であって、GPV Repをコードし、ならびに挿入されたGPV RepがLacZα遺伝子またはその機能的部分のリーディングフレームを妨害する、異種配列;
バキュロウイルス誘導性プロモーターに作動可能に連結された蛍光タンパク質をコードする遺伝子;および
LoxP部位またはそのバリアント
を含む組換えbacmid。
【請求項44】
細菌レプリコン;
第1の抗生物質耐性遺伝子;
ミニattTn7部位に挿入された異種配列であって、AAV2 Repをコードし、ならびに挿入されたAAV2 RepがLacZα遺伝子またはその機能的部分のリーディングフレームを妨害する、異種配列;
バキュロウイルス誘導性プロモーターに作動可能に連結された蛍光タンパク質をコードする遺伝子;および
LoxP部位またはそのバリアント
を含む組換えbacmid。
【請求項45】
第1の細菌株における核酸ベクターを伝搬するための第1の複製起点であって、条件付きの複製起点である、第1の複製起点;
第2の細菌株における核酸ベクターを伝搬するための第2の複製起点;
異種配列の挿入のための多重クローニング部位;
選択可能なマーカー配列;
レポーター遺伝子;および
部位特異的組換え事象を媒介することができる選択的標的部位
を含む核酸ベクター。
【請求項46】
第1の複製起点は、π-タンパク質の存在に関して条件付きである、請求項45に記載のベクター。
【請求項47】
第1の複製起点は、R6Kγである、請求項45または46に記載のベクター。
【請求項48】
第1の細菌株は、π-タンパク質を含む、請求項45~47のいずれか1項に記載のベクター。
【請求項49】
第2の複製起点は、pUC57である、請求項45~48のいずれか1項に記載のベクター。
【請求項50】
選択可能なマーカー配列は、抗生物質耐性遺伝子を含む、請求項45~49のいずれか1項に記載のベクター。
【請求項51】
抗生物質耐性遺伝子は、アンピシリン耐性遺伝子である、請求項50に記載のベクター。
【請求項52】
レポーター遺伝子は、蛍光タンパク質をコードする、請求項45~51のいずれか1項に記載のベクター。
【請求項53】
蛍光タンパク質は、緑色蛍光タンパク質である、請求項52に記載のベクター。
【請求項54】
選択的標的部位は、LoxP部位またはそのバリアントを含む、請求項45~53のいずれか1項に記載のベクター。
【請求項55】
部位特異的組換え事象は、Creリコンビナーゼによって媒介される、請求項45~54のいずれか1項に記載のベクター。
【請求項56】
第1の細菌株における核酸ベクターを伝搬するための第1の複製起点であって、条件付きの複製起点である、第1の複製起点;
第2の細菌株における核酸ベクターを伝搬するための第2の複製起点;
異種配列;
選択可能なマーカー配列;
レポーター遺伝子;および
部位特異的組換え事象を媒介することができる選択的標的部位
を含む核酸ベクター。
【請求項57】
異種配列は、異種遺伝子を含む、請求項56に記載のベクター。
【請求項58】
異種遺伝子は、タンパク質をコードする配列を含む、請求項57に記載のベクター。
【請求項59】
異種配列は、発現制御配列を含む、請求項57または58に記載のベクター。
【請求項60】
発現制御配列は、タンパク質をコードする配列に作動可能に連結される、請求項59に記載のベクター。
【請求項61】
発現制御配列は、組織特異的プロモーターを含む、請求項59または60に記載のベクター。
【請求項62】
組織特異的プロモーターは、トリステトラプロリン(TTP)またはマウストランスチレチン(mTTR)プロモーターである、請求項61に記載のベクター。
【請求項63】
発現制御配列は、ポリアデニル化シグナルを含む、請求項59~62のいずれか1項に記載のベクター。
【請求項64】
ポリアデニル化シグナルは、ウシ成長ホルモンポリアデニル化シグナルである、請求項63に記載のベクター。
【請求項65】
発現制御配列は、転写後調節エレメントを含む、請求項59~64のいずれか1項に記載のベクター。
【請求項66】
転写後調節エレメントは、ウッドチャック肝炎ウイルス転写後調節エレメント(WPRE)である、請求項65に記載のベクター。
【請求項67】
タンパク質は、治療用タンパク質である、請求項58~66のいずれか1項に記載のベクター。
【請求項68】
治療用タンパク質が凝固因子である、請求項67に記載のベクター。
【請求項69】
凝固因子は、第VIII因子(FVIII)である、請求項66に記載のベクター。
【請求項70】
凝固因子は、FVIII-XTENである、請求項68または69に記載のベクター。
【請求項71】
異種配列は、5’逆方向末端反復(ITR)を含む、請求項56~70のいずれか1項に記載のベクター。
【請求項72】
異種配列は、3’逆方向末端反復(ITR)を含む、請求項56~71のいずれか1項に記載のベクター。
【請求項73】
5’ITRおよび3’ITRは、パルボウイルスに由来する、請求項71または72に記載のベクター。
【請求項74】
パルボウイルスは、B19、GPV、HBoV1、およびAAV2からなる群から選択される、請求項73に記載のベクター。
【請求項75】
5’ITRは、B19に由来する野生型またはバリアント5’ITRである、請求項71~74のいずれか1項に記載のベクター。
【請求項76】
5’ITRは、GPVに由来する野生型またはバリアント5’ITRである、請求項71~74のいずれか1項に記載のベクター。
【請求項77】
5’ITRは、AAV2に由来する野生型またはバリアント5’ITRである、請求項71~74のいずれか1項に記載のベクター。
【請求項78】
5’ITRは、HBoV1に由来する野生型5’ITRである、請求項71~74のいずれか1項に記載のベクター。
【請求項79】
バリアント5’ITRは、切断型5’ITRである、請求項75~77のいずれか1項に記載のベクター。
【請求項80】
3’ITRは、B19に由来する野生型またはバリアント3’ITRである、請求項71~79のいずれか1項に記載のベクター。
【請求項81】
3’ITRは、GPVに由来する野生型またはバリアント3’ITRである、請求項71~78のいずれか1項に記載のベクター。
【請求項82】
3’ITRは、AAV2に由来する野生型またはバリアント3’ITRである、請求項71~78のいずれか1項に記載のベクター。
【請求項83】
3’ITRは、HBoV1に由来する野生型3’ITRである、請求項71~78のいずれか1項に記載のベクター。
【請求項84】
バリアント3’ITRは、切断型3’ITRである、請求項80~82のいずれか1項に記載のベクター。
【請求項85】
第1の複製起点は、π-タンパク質の存在に関して条件付きである、請求項56~76のいずれか1項に記載のベクター。
【請求項86】
第1の複製起点は、R6Kγである、請求項85に記載のベクター。
【請求項87】
第1の細菌株は、π-タンパク質を含む、請求項85または86に記載のベクター。
【請求項88】
第2の複製起点は、pUC57である、請求項56~87のいずれか1項に記載のベクター。
【請求項89】
選択可能なマーカー配列は、抗生物質耐性遺伝子を含む、請求項56~88のいずれか1項に記載のベクター。
【請求項90】
抗生物質耐性遺伝子は、アンピシリン耐性遺伝子である、請求項89に記載のベクター。
【請求項91】
レポーター遺伝子が蛍光タンパク質をコードする、請求項56~90のいずれか1項に記載のベクター。
【請求項92】
蛍光タンパク質は、緑色蛍光タンパク質である、請求項91に記載のベクター。
【請求項93】
選択的標的部位は、LoxP部位またはそのバリアントを含む、請求項56~92のいずれか1項に記載のベクター。
【請求項94】
部位特異的組換え事象は、Creリコンビナーゼによって媒介される、請求項56~93のいずれか1項に記載のベクター。
【請求項95】
第1のレポーター遺伝子に挿入された第1の異種配列であって、挿入された異種配列が第1のレポーター遺伝子のリーディングフレームを妨害する、第1の異種配列;
部位特異的組換え事象を媒介することができる第1の選択的標的部位;
第2の異種配列を含む多重クローニング部位;および
部位特異的組換え事象を媒介することができる第2の選択的標的部位
を含む組換えbacmid。
【請求項96】
第1の異種配列は、第1の異種遺伝子を含む、請求項95に記載の組換えbacmid。
【請求項97】
第1の異種配列は、タンパク質をコードする配列に作動可能に連結された発現制御配列を含む、請求項96に記載の組換えbacmid。
【請求項98】
発現制御配列は、バキュロウイルスプロモーターを含む、請求項97に記載の組換えbacmid。
【請求項99】
バキュロウイルスプロモーターは、最初期、初期、後期、または最晩期のプロモーターである、請求項98に記載の組換えbacmid。
【請求項100】
バキュロウイルスプロモーターは、ポリヘドリンプロモーター、最初期1プロモーター、および最初期2プロモーターからなる群から選択される、請求項99に記載の組換えbacmid。
【請求項101】
タンパク質は、ウイルスファミリーパルボウイルス科のメンバーのゲノムから単離されたRepタンパク質である、請求項97~100のいずれか1項に記載の組換えbacmid。
【請求項102】
タンパク質は、パルボウイルスRepタンパク質である、請求項97~101のいずれか1項に記載の組換えbacmid。
【請求項103】
パルボウイルスRepタンパク質は、B19 Rep、AAV2 Rep、HBoV1 Rep、およびGPV Repからなる群から選択される、請求項102に記載の組換えbacmid。
【請求項104】
第2の異種配列は、第2の異種遺伝子を含む、請求項95~103のいずれか1項に記載の組換えbacmid。
【請求項105】
第2の異種配列は、タンパク質をコードする配列に作動可能に連結された発現制御配列を含む、請求項104に記載の組換えbacmid。
【請求項106】
発現制御配列は、組織特異的プロモーター、ポリアデニル化シグナル、および/または転写後調節エレメントを含む、請求項105に記載の組換えbacmid。
【請求項107】
組織特異的プロモーターは、トリステトラプロリン(TTP)またはマウストランスチレチン(mTTR)プロモーターである、請求項106に記載の組換えbacmid。
【請求項108】
ポリアデニル化シグナルは、ウシ成長ホルモンポリアデニル化シグナルである、請求項107に記載の組換えbacmid。
【請求項109】
転写後調節エレメントは、ウッドチャック肝炎ウイルス転写後調節エレメント(WPRE)である、請求項107に記載の組換えbacmid。
【請求項110】
タンパク質は、治療用タンパク質である、請求項105~109のいずれか1項に記載の組換えbacmid。
【請求項111】
治療用タンパク質が凝固因子である、請求項110に記載の組換えbacmid。
【請求項112】
凝固因子は、第VIII因子(FVIII)である、請求項111に記載の組換えbacmid。
【請求項113】
凝固因子は、FVIII-XTENである、請求項111または112に記載の組換えbacmid。
【請求項114】
第2の異種配列は、5’逆方向末端反復(ITR)を含む、請求項95~113のいずれか1項に記載の組換えbacmid。
【請求項115】
第2の異種配列は、3’逆方向末端反復(ITR)を含む、請求項95~114のいずれか1項に記載の組換えbacmid。
【請求項116】
5’ITRは、ウイルスファミリーパルボウイルス科の第1のメンバーのゲノムに由来し、ならびに3’ITRは、ウイルスファミリーパルボウイルス科の第2のメンバーのゲノムに由来する、請求項115に記載の組換えbacmid。
【請求項117】
第1および第2のメンバーは、同じである、請求項116に記載の組換えbacmid。
【請求項118】
第1および第2のメンバーは、異なる、請求項116に記載の組換えbacmid。
【請求項119】
5’ITRおよび3’ITRは、B19、GPV、HBoV1、およびAAV2からなる群から選択されるパルボウイルスに由来する、請求項114~118のいずれか1項に記載の組換えbacmid。
【請求項120】
5’ITRは、B19に由来する野生型または切断型5’ITRである、請求項119に記載の組換えbacmid。
【請求項121】
5’ITRは、GPVに由来する野生型または切断型5’ITRである、請求項119に記載の組換えbacmid。
【請求項122】
5’ITRは、AAV2に由来する野生型または切断型5’ITRである、請求項119に記載の組換えbacmid。
【請求項123】
5’ITRは、HBoV1に由来する野生型5’ITRである、請求項119に記載の組換えbacmid。
【請求項124】
3’ITRは、B19に由来する野生型または切断型3’ITRである、請求項119に記載の組換えbacmid。
【請求項125】
3’ITRは、GPVに由来する野生型または切断型3’ITRである、請求項119に記載の組換えbacmid。
【請求項126】
3’ITRは、AAV2に由来する野生型または切断型3’ITRである、請求項119に記載の組換えbacmid。
【請求項127】
3’ITRは、HBoV1に由来する野生型3’ITRである、請求項119に記載の組換えbacmid。
【請求項128】
さらに、細菌レプリコンを含む、請求項95~126のいずれか1項に記載の組換えbacmid。
【請求項129】
細菌レプリコンは、ミニFレプリコンである、請求項128に記載の組換えbacmid。
【請求項130】
さらに、1つまたはそれ以上の選択可能なマーカー配列を含む、請求項95~129のいずれか1項に記載の組換えbacmid。
【請求項131】
1つまたはそれ以上の選択可能なマーカー配列は、1つまたはそれ以上の抗生物質耐性遺伝子を含む、請求項130に記載の組換えbacmid。
【請求項132】
1つまたはそれ以上の抗生物質耐性遺伝子は、アンピシリン耐性遺伝子、カナマイシン耐性遺伝子、およびゲンタマイシン耐性遺伝子からなる群から選択される、請求項131に記載の組換えbacmid。
【請求項133】
第1のレポーター遺伝子は、LacZαまたはその機能的部分をコードする、請求項95~132のいずれか1項に記載の組換えbacmid。
【請求項134】
さらに、少なくとも第2および第3のレポーター遺伝子を含む、請求項95~133のいずれか1項に記載の組換えbacmid。
【請求項135】
第2および第3のレポーター遺伝子はそれぞれ、蛍光タンパク質をコードする、請求項134に記載の組換えbacmid。
【請求項136】
蛍光タンパク質は、緑色蛍光タンパク質または赤色蛍光タンパク質である、請求項135に記載の組換えbacmid。
【請求項137】
第1および第2の選択的標的部位は、LoxP部位またはそのバリアントを含む、請求項95~136のいずれか1項に記載の組換えbacmid。
【請求項138】
部位特異的組換え事象は、Creリコンビナーゼによって媒介される、請求項95~137のいずれか1項に記載の組換えbacmid。
【請求項139】
Repをコードする配列であって、挿入されたRep配列がLacZα遺伝子またはその機能的部分のリーディングフレームを妨害する、配列:および
異種配列であって、5’から3’に向かって:
ウイルスファミリーパルボウイルス科のメンバーの第1のゲノムに由来する野生型または切断型5’逆方向末端反復;
タンパク質をコードする配列;
タンパク質をコードする配列に作動可能に連結された1つまたはそれ以上の発現制御配列;および
ウイルスファミリーパルボウイルス科のメンバーの第2のゲノムに由来する野生型または切断型3’逆方向末端反復
を含む異種配列
を含む組換えbacmid。
【請求項140】
ウイルスファミリーパルボウイルス科の第1および第2のゲノムは、同じである、請求項139に記載の組換えbacmid。
【請求項141】
ウイルスファミリーパルボウイルス科の第1および第2のゲノムは、異なる、請求項140に記載の組換えbacmid。
【請求項142】
Repは、ウイルスファミリーパルボウイルス科のメンバーの第1または第2のゲノムに由来する、請求項139~141のいずれか1項に記載の組換えbacmid。
【請求項143】
B19 Repをコードする配列であって、挿入されたB19 Rep配列がLacZα遺伝子またはその機能的部分のリーディングフレームを妨害する、配列;および
異種配列であって、5’から3’に向かって:
B19に由来する野生型または切断型5’逆方向末端反復;
タンパク質をコードする配列;
タンパク質をコードする配列に作動可能に連結された1つまたはそれ以上の発現制御配列;および
B19に由来する野生型または切断型3’逆方向末端反復
を含む異種配列
を含む組換えbacmid。
【請求項144】
GPV Repをコードする配列であって、挿入されたGPV Rep配列がLacZα遺伝子またはその機能的部分のリーディングフレームを妨害する、配列;および
異種配列であって、5’から3’に向かって:
GPVに由来する野生型または切断型5’逆方向末端反復;
タンパク質をコードする配列;
タンパク質をコードする配列に作動可能に連結された1つまたはそれ以上の発現制御配列;および
GPVに由来する野生型または切断型3’逆方向末端反復
を含む異種配列
を含む組換えbacmid。
【請求項145】
AAV2 Repをコードする配列であって、挿入されたAAV2 Rep配列がLacZα遺伝子またはその機能的部分のリーディングフレームを妨害する、配列;および
異種配列であって、5’から3’に向かって:
AAV2に由来する野生型または切断型5’逆方向末端反復;
タンパク質をコードする配列;
タンパク質をコードする配列に作動可能に連結された1つまたはそれ以上の発現制御配列;および
AAV2に由来する野生型または切断型3’逆方向末端反復
を含む異種配列
を含む組換えbacmid。
【請求項146】
HBoV1 Repをコードする配列であって、挿入されたHBoV1 Rep配列がLacZα遺伝子またはその機能的部分のリーディングフレームを妨害する、配列;および
異種配列であって、5’から3’に向かって:
HBoV1に由来する野生型または切断型5’逆方向末端反復;
タンパク質をコードする配列;
タンパク質をコードする配列に作動可能に連結された1つまたはそれ以上の発現制御配列;および
HBoV1に由来する野生型または切断型3’逆方向末端反復
を含む異種配列
を含む組換えbacmid。
【請求項147】
タンパク質は、治療用タンパク質である、請求項139~146のいずれか1項に記載の組換えbacmid。
【請求項148】
治療用タンパク質が凝固因子である、請求項147に記載の組換えbacmid。
【請求項149】
凝固因子は、第VIII因子(FVIII)である、請求項148に記載の組換えbacmid。
【請求項150】
凝固因子は、FVIII-XTENである、請求項148または149に記載の組換えbacmid。
【請求項151】
Repタンパク質をコードする配列であって、Repがレポーター遺伝子またはその機能的部分のリーディングフレームを妨害する、配列;および
配列番号20の核酸配列を含む異種配列
を含む組換えbacmid。
【請求項152】
異種配列は、配列番号19の核酸配列を含む、請求項147に記載の組換えbacmid。
【請求項153】
Repタンパク質をコードする配列であって、Repがレポーター遺伝子またはその機能的部分のリーディングフレームを妨害する、配列;および
配列番号29の核酸配列を含む異種配列
を含む組換えbacmid。
【請求項154】
請求項1~18のいずれか1項に記載のbacmidを含む宿主細胞。
【請求項155】
請求項19~44のいずれか1項に記載の組換えbacmidを含む宿主細胞。
【請求項156】
請求項45~55のいずれか1項に記載のベクターを含む宿主細胞。
【請求項157】
請求項56~94のいずれか1項に記載のベクターを含む宿主細胞。
【請求項158】
請求項95~153のいずれか1項に記載の組換えbacmidを含む宿主細胞。
【請求項159】
請求項19~44のいずれか1項に記載の組換えbacmidを生成する方法であって、
細菌細胞に:
請求項1~18のいずれか1項に記載のbacmid;および
請求項19~44のいずれか1項に記載の異種配列を含むトランスポゾンに作動可能に連結された細菌レプリコンを含むドナー核酸分子、
を導入すること;
転移が生じる条件下において細菌細胞をインキュベートすること;および
細菌細胞から組換えbacmidを単離すること
を含む方法。
【請求項160】
請求項95~153のいずれか1項に記載の組換えbacmidを生成する方法であって、
細菌細胞に:
請求項19~44のいずれか1項に記載の組換えbacmid;
請求項56~94のいずれか1項に記載のベクター;および
Creリコンビナーゼ、
を導入すること;
部位特異的組換えが生じる条件下において細菌細胞をインキュベートすること;および
細菌細胞から組換えbacmidを単離すること
を含む方法。
【請求項161】
組換えバキュロウイルスを生成する方法であって、
適切な条件下において、請求項95~153のいずれか1項に記載の組換えbacmidを昆虫細胞にトランスフェクトすること
を含む方法。
【請求項162】
クローズドエンドDNA(ceDNA)分子を生成する方法であって、
昆虫細胞に、請求項1~44および95~153のいずれか1項に記載のbacmidを含む組換えバキュロウイルスを感染させること
を含む方法。
【請求項163】
クローズドエンドDNA(ceDNA)分子を生成する方法であって、
組換えバキュロウイルスを生成するために適切な条件下において請求項139~153のいずれか1項に記載の組換えbacmidを昆虫細胞へトランスフェクトすること;および
ceDNA分子を生成するのに適切な条件下において第2の昆虫細胞に組換えバキュロウイルスを感染させること
を含む方法。
【請求項164】
組換えバキュロウイルスは、単一のbacmidを含む、請求項161~163のいずれか1項に記載の方法。
【請求項165】
野生型または切断型B19逆方向末端反復を含むクローズドエンドDNA(ceDNA)分子を生成する方法であって、
組換えバキュロウイルスを生成するために適切な条件下において請求項139に記載の組換えbacmidを昆虫細胞へトランスフェクトすること;および
ceDNA分子を生成するのに適切な条件下において第2の昆虫細胞に組換えバキュロウイルスを感染させること
を含む方法。
【請求項167】
野生型または切断型GPV逆方向末端反復を含むクローズドエンドDNA(ceDNA)分子を生成する方法であって、
組換えバキュロウイルスを生成するために適切な条件下において請求項139に記載の組換えbacmidを昆虫細胞へトランスフェクトすること;および
ceDNA分子を生成するのに適切な条件下において第2の昆虫細胞に組換えバキュロウイルスを感染させること
を含む方法。
【請求項168】
野生型または切断型AAV2逆方向末端反復を含むクローズドエンドDNA(ceDNA)分子を生成する方法であって、
組換えバキュロウイルスを生成するために適切な条件下において請求項139に記載の組換えbacmidを昆虫細胞へトランスフェクトすること;および
ceDNA分子を生成するのに適切な条件下において第2の昆虫細胞に組換えバキュロウイルスを感染させること
を含む方法。
【請求項169】
野生型HBoV1逆方向末端反復を含むクローズドエンドDNA(ceDNA)分子を生成する方法であって、
組換えバキュロウイルスを生成するために適切な条件下において請求項139に記載の組換えbacmidを昆虫細胞へトランスフェクトすること;および
ceDNA分子を生成するのに適切な条件下において第2の昆虫細胞に組換えバキュロウイルスを感染させること
を含む方法。
【請求項170】
核酸配列を含むプラスミドであって、5’から3’に向かって:
ウイルスファミリーパルボウイルス科の第1のメンバーのゲノムに由来する野生型または切断型5’逆方向末端反復;
タンパク質をコードする配列;
タンパク質をコードする配列に作動可能に連結された1つまたはそれ以上の発現制御配列;および
ウイルスファミリーパルボウイルス科の第2のメンバーのゲノムに由来する野生型または切断型3’逆方向末端反復
を含むプラスミド。
【請求項171】
1つまたはそれ以上の発現制御配列は、組織特異的プロモーター、ポリアデニル化シグナル、および/または転写後調節エレメントを含む、請求項170に記載のプラスミド。
【請求項172】
組織特異的プロモーターは、トリステトラプロリン(TTP)またはマウストランスチレチン(mTTR)プロモーターである、請求項171に記載のプラスミド。
【請求項173】
ポリアデニル化シグナルは、ウシ成長ホルモンポリアデニル化シグナルである、請求項170または171に記載のプラスミド。
【請求項174】
転写後調節エレメントは、ウッドチャック肝炎ウイルス転写後調節エレメント(WPRE)である、請求項170~173のいずれか1項に記載のプラスミド。
【請求項175】
タンパク質は、治療用タンパク質である、請求項170~174のいずれか1項に記載のプラスミド。
【請求項176】
治療用タンパク質が凝固因子である、請求項175に記載のプラスミド。
【請求項177】
凝固因子は、第VIII因子(FVIII)である、請求項176に記載のプラスミド。
【請求項178】
凝固因子は、FVIII-XTENである、請求項176または177に記載のプラスミド。
【請求項179】
凝固因子は、配列番号20の核酸配列を含む、請求項176~178のいずれか1項に記載のプラスミド。
【請求項180】
第1および/または第2のメンバーは、B19、GPV、HBoV1、およびAAV2からなる群から選択される、請求項170~179のいずれか1項に記載のプラスミド。
【請求項180】
第1および/または第2のメンバーは、同じである、請求項180に記載のプラスミド。
【請求項181】
第1および第/または2のメンバーは、異なる、請求項180に記載のプラスミド。
【請求項182】
核酸配列は、安定細胞株のゲノムに安定に組み込まれる、請求項170~181のいずれか1項に記載の核酸配列を含む安定細胞株。
【請求項183】
安定細胞株は、安定昆虫細胞株である、請求項182に記載の安定細胞株。
【請求項184】
安定昆虫細胞株は、Sf9である、請求項183に記載の安定細胞株。
【請求項185】
野生型または切断型逆方向末端反復を含むクローズドエンドDNA(ceDNA)分子を生成する方法であって、
請求項182~184のいずれか1項に記載の安定細胞株にRepタンパク質をコードするバキュロウイルスを導入することを含む方法。
【請求項186】
安定細胞株は、昆虫細胞株である、請求項185に記載の方法。
【請求項187】
昆虫細胞株は、Sf9である、請求項186に記載の方法。
【請求項188】
第1のbacmidおよび第2のbacmidを含む組換えbacmidのセットであって、
第1のbacmidが、ミニattTn7部位に挿入されたRepをコードする配列を含み、挿入されたRepがレポーター遺伝子またはその機能的部分のリーディングフレームを妨害し、ならびに
第2のbacmidが異種配列を含み、異種配列が、5’から3’に向かって:
ウイルスファミリーパルボウイルス科のメンバーの第1のゲノムに由来する野生型または切断型5’逆方向末端反復(ITR);
タンパク質をコードする配列;
タンパク質をコードする配列に作動可能に連結された1つまたはそれ以上の発現制御配列;および
ウイルスファミリーパルボウイルス科のメンバーの第2のゲノムに由来する野生型または切断型3’逆方向末端反復(ITR)
を含む、
組換えbacmidのセット。
【請求項189】
5’ITRおよび3’ITRは、B19、GPV、HBoV1、およびAAV2からなる群から選択されるパルボウイルスに由来する、請求項182に記載の組換えbacmidのセット。
【請求項190】
異種配列は、配列番号20の核酸配列を含む、請求項188または189に記載の組換えbacmidのセット。
【請求項191】
異種配列は、配列番号19の核酸配列を含む、請求項188または189に記載の組換えbacmidのセット。
【請求項192】
異種配列は、配列番号29の核酸配列を含む、請求項188または189に記載の組換えbacmidのセット。
【請求項193】
クローズドエンドDNA(ceDNA)分子を生成する方法であって、
昆虫細胞に請求項188~192のいずれか1項に記載の組換えbacmidのセットを含む組換えバキュロウイルスを感染させること
を含む方法。
【請求項194】
クローズドエンドDNA(ceDNA)分子を生成する方法であって、
組換えバキュロウイルスを生成するために適切な条件下において請求項188~192のいずれか1項に記載の組換えbacmidのセットを昆虫細胞へトランスフェクトすること;および
ceDNA分子を生成するのに適切な条件下において第2の昆虫細胞に組換えバキュロウイルスを感染させること
を含む方法。
【請求項195】
細菌レプリコン;
第1の抗生物質耐性遺伝子;
HBoV1 Repをコードする配列であって、挿入されたHBoV1 Rep配列がLacZα遺伝子またはその機能的部分のリーディングフレームを妨害する、配列;
バキュロウイルス誘導性プロモーターに作動可能に連結された蛍光タンパク質をコードする遺伝子;および
LoxP部位またはそのバリアント
を含む組換えbacmid。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、2021年8月23日に出願された国際出願第PCT/US2021/047218号および2022年2月14日に出願された米国特許仮出願第63/310,038号に対する優先権を主張するものであり、なお、当該特許の開示は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
【0002】
電子的に提出された配列一覧に対する参照
ASCIIテキストファイルで電子的に提出された配列リスト(名前:732841_SA9-474BPC_ST26.xml;サイズ:86.2KB;および作成年月日2022年8月17日)の内容は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
【背景技術】
【0003】
遺伝子療法は、様々な疾患を治療する永続的な手段の可能性を提供する。遺伝子療法治療における最近の進展は、ウイルスまたは非ウイルスベクターの使用を採用している。現在、遺伝子療法ベクターの産生のためにいくつかの技術が使用されている。
【0004】
例えば、バキュロウイルス発現ベクターシステム(BEVS)は、遺伝子療法ベクターの産生のための確立したシステムである。このシステムでは、昆虫宿主細胞が、組換えバキュロウイルスに感染させられる。昆虫宿主細胞は、遺伝子組換えバキュロウイルスによってコードされる産物を産生するために、必要なタンパク質加工機構を提供する。BEVSは、多くの異なる用途、例えば、ワクチン、治療用タンパク質、タンパク質結晶学、および基礎および応用研究のための産物など、のための産物を産生するために使用されてきた。遺伝子療法のためのウイルスベクターを作製する場合、いくつかのバキュロウイルス発現ベクターがしばしば使用され、昆虫宿主細胞に感染させられた。それぞれのバキュロウイルス発現ベクターの生成は時間がかかり、ならびに、製造のためのコストを引き上げる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、既存のシステムの制限を避けつつ、改良されたバキュロウイルス発現バキュロウイルス発現ベクターシステムが、当技術分野において必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
治療薬産物を産生するように設計されたバキュロウイルスシャトルベクター(bacmid)および/または安定細胞株を含むバキュロウイルス発現ベクターシステムが、本明細書において提供される。本明細書において提供されるバキュロウイルス発現ベクターシステムは、1つまたはそれ以上の外来配列挿入部位、および外来配列挿入部位への外来配列(例えば、異種遺伝子)の挿入を媒介することができる1つまたはそれ以上のドナーベクターを含む組換えbacmidを含む。
【0007】
一態様において、細菌レプリコン;選択可能なマーカー配列;トランスポゾンの挿入のための第1の選択的標的部位を含む第1のレポーター遺伝子;バキュロウイルス誘導性プロモーターに作動可能に連結された第2のレポーター遺伝子;および部位特異的組換え事象を媒介することができる第2の選択的標的部位を含むbacmidが、本明細書において提供される。
【0008】
ある特定の例示的実施形態において、細菌レプリコンは、低コピー数レプリコンである。ある特定の例示的実施形態において、低コピー数レプリコンは、ミニFレプリコンである。
【0009】
ある特定の例示的実施形態において、選択可能なマーカー配列は、抗生物質耐性遺伝子を含む。ある特定の例示的実施形態において、抗生物質耐性遺伝子は、カナマイシン耐性遺伝子である。
【0010】
ある特定の例示的実施形態において、第1のレポーター遺伝子は、発色基質を代謝することができる酵素をコードする。ある特定の例示的実施形態において、当該酵素は、LacZαまたはその機能的部分である。ある特定の例示的実施形態において、発色基質は、Blue-galまたはX-galである。
【0011】
ある特定の例示的実施形態において、トランスポゾンの挿入のための第1の選択的標的部位は、第1のレポーター遺伝子のリーディングフレームを妨害しない。ある特定の例示的実施形態において、第1の選択的標的部位は、細菌性トランスポゾンのための付着部位である。ある特定の例示的実施形態において、第1の選択的標的部位は、T7トランスポゾンのための付着部位である。ある特定の例示的実施形態において、トランスポゾンは、T7トランスポゾンである。
【0012】
ある特定の例示的実施形態において、第2のレポーター遺伝子は、蛍光タンパク質をコードする。ある特定の例示的実施形態において、蛍光タンパク質は、赤色蛍光タンパク質である。
【0013】
ある特定の例示的実施形態において、バキュロウイルス誘導性プロモーターは、39Kプロモーターである。
【0014】
ある特定の例示的実施形態において、第2の選択的標的部位は、LoxP部位またはそのバリアントを含む。
【0015】
ある特定の例示的実施形態において、部位特異的組換え事象は、Creリコンビナーゼによって媒介される。
【0016】
別の態様において、ミニFレプリコン;抗生物質耐性遺伝子;T7トランスポゾンのための付着部位を含むLacZα遺伝子またはその機能的部分;バキュロウイルス誘導性プロモーターに作動可能に連結された蛍光タンパク質をコードする遺伝子;およびLoxP部位またはそのバリアントを含むbacmidが、本明細書において提供される。
【0017】
別の態様において、以下:細菌レプリコン;第1の選択可能なマーカー配列;挿入された異種配列が第1のレポーター遺伝子のリーディングフレームを妨害する、第1のレポーター遺伝子に挿入された異種配列;バキュロウイルス誘導性プロモーターに作動可能に連結された第2のレポーター遺伝子;および部位特異的組換え事象を媒介することができる選択的標的部位を含む組換えbacmidが、本明細書において提供される。
【0018】
ある特定の例示的実施形態において、異種配列は、異種遺伝子を含む。ある特定の例示的実施形態において、異種遺伝子は、タンパク質をコードする配列を含む。
【0019】
ある特定の例示的実施形態において、異種配列は、さらに、発現制御配列を含む。ある特定の例示的実施形態において、発現制御配列は、タンパク質をコードする配列に作動可能に連結される。
【0020】
ある特定の例示的実施形態において、発現制御配列は、バキュロウイルスプロモーターを含む。ある特定の例示的実施形態において、バキュロウイルスプロモーターは、最初期、初期、後期、または最晩期の遺伝子プロモーターである。ある特定の例示的実施形態において、バキュロウイルスプロモーターは、ポリヘドリンプロモーター;最初期1プロモーター;および最初期2プロモーターからなる群から選択される。
【0021】
ある特定の例示的実施形態において、発現制御配列は、ポリアデニル化シグナルを含む。
【0022】
ある特定の例示的実施形態において、タンパク質は、ウイルスファミリーパルボウイルス科のメンバーのゲノムから単離されたRepタンパク質である。ある特定の例示的実施形態において、タンパク質は、パルボウイルスRepタンパク質である。ある特定の例示的実施形態において、パルボウイルスRepタンパク質は、B19 Rep、AAV2 Rep、HBoV1 Rep、およびGPV Repからなる群から選択される。
【0023】
ある特定の例示的実施形態において、異種配列は、第2の選択可能なマーカー配列を含む。ある特定の例示的実施形態において、第2の選択可能なマーカー配列は、ゲンタマイシン耐性遺伝子を含む。
【0024】
ある特定の例示的実施形態において、細菌レプリコンは、ミニFレプリコンである。ある特定の例示的実施形態において、第1の選択可能なマーカー配列は、カナマイシン耐性遺伝子を含む。ある特定の例示的実施形態において、第1のレポーター遺伝子は、LacZαまたはその機能的部分をコードする。ある特定の例示的実施形態において、第2のレポーター遺伝子は、赤色蛍光タンパク質をコードする。ある特定の例示的実施形態において、バキュロウイルス誘導性プロモーターは、39Kプロモーターである。ある特定の例示的実施形態において、第2の選択的標的部位は、LoxP部位またはそのバリアントを含む。ある特定の例示的実施形態において、部位特異的組換え事象は、Creリコンビナーゼによって媒介される。
【0025】
別の態様において、以下:ミニattTn7部位に挿入された異種配列であって、Repをコードし、挿入されたRepがLacZα遺伝子またはその機能的部分のリーディングフレームを妨害する、異種配列;およびLoxP部位またはそのバリアントを含む組換えbacmidが、本明細書において提供される。
【0026】
別の態様において、以下:細菌レプリコン;第1の抗生物質耐性遺伝子;ミニattTn7部位に挿入された異種配列であって、Repをコードし、挿入されたRepがLacZα遺伝子またはその機能的部分のリーディングフレームを妨害する、異種配列;バキュロウイルス誘導性プロモーターに作動可能に連結された蛍光タンパク質をコードする遺伝子;およびLoxP部位またはそのバリアントを含む組換えbacmidが、本明細書において提供される。
【0027】
別の態様において、以下:細菌レプリコン;第1の抗生物質耐性遺伝子;ミニattTn7部位に挿入された異種配列であって、B19 Repをコードし、挿入されたB19 RepがLacZα遺伝子またはその機能的部分のリーディングフレームを妨害する、異種配列;バキュロウイルス誘導性プロモーターに作動可能に連結された蛍光タンパク質をコードする遺伝子;およびLoxP部位またはそのバリアントを含む組換えbacmidが、本明細書において提供される。
【0028】
別の態様において、以下:細菌レプリコン;第1の抗生物質耐性遺伝子;ミニattTn7部位に挿入された異種配列であって、GPV Repをコードし、挿入されたGPV RepがLacZα遺伝子またはその機能的部分のリーディングフレームを妨害する、異種配列;バキュロウイルス誘導性プロモーターに作動可能に連結された蛍光タンパク質をコードする遺伝子;およびLoxP部位またはそのバリアントを含む組換えbacmidが、本明細書において提供される。
【0029】
別の態様において、以下:
細菌レプリコン;第1の抗生物質耐性遺伝子;ミニattTn7部位に挿入された異種配列であって、AAV2 Repをコードし、挿入されたAAV2 RepがLacZα遺伝子またはその機能的部分のリーディングフレームを妨害する、異種配列;バキュロウイルス誘導性プロモーターに作動可能に連結された蛍光タンパク質をコードする遺伝子;およびLoxP部位またはそのバリアントを含む組換えbacmidが、本明細書において提供される。
【0030】
別の態様において、第1の細菌株における核酸ベクターを伝搬するための第1の複製起点であって、条件付きの複製起点(conditional origin of replication)である、第1の複製起点;第2の細菌株における核酸ベクターを伝搬するための第2の複製起点;異種配列の挿入のための多重クローニング部位;選択可能なマーカー配列と;レポーター遺伝子と;および部位特異的組換え事象を媒介することができる選択的標的部位を含む核酸ベクターが、本明細書において提供される。
【0031】
ある特定の例示的実施形態において、第1の複製起点は、π-タンパク質の存在に関して条件付きである。ある特定の例示的実施形態において、第1の複製起点は、R6Kγである。
【0032】
ある特定の例示的実施形態において、第1の細菌株は、π-タンパク質を含む。
【0033】
ある特定の例示的実施形態において、第2の複製起点は、pUC57である。
【0034】
ある特定の例示的実施形態において、選択可能なマーカー配列は、抗生物質耐性遺伝子を含む。ある特定の例示的実施形態において、抗生物質耐性遺伝子は、アンピシリン耐性遺伝子である。
【0035】
ある特定の例示的実施形態において、レポーター遺伝子は、蛍光タンパク質をコードする。ある特定の例示的実施形態において、蛍光タンパク質は、緑色蛍光タンパク質である。
【0036】
ある特定の例示的実施形態において、選択的標的部位は、LoxP部位またはそのバリアントを含む。ある特定の例示的実施形態において、部位特異的組換え事象は、Creリコンビナーゼによって媒介される。
【0037】
別の態様において、第1の細菌株における核酸ベクターを伝搬するための第1の複製起点であって、条件付きの複製起点である、第1の複製起点;第2の細菌株における核酸ベクターを伝搬するための第2の複製起点;異種配列を含む多重クローニング部位;選択可能なマーカー配列;レポーター遺伝子;および部位特異的組換え事象を媒介することができる選択的標的部位を含む核酸ベクターが、本明細書において提供される。
【0038】
ある特定の例示的実施形態において、異種配列は、異種遺伝子を含む。ある特定の例示的実施形態において、異種遺伝子は、タンパク質をコードする配列を含む。
【0039】
ある特定の例示的実施形態において、異種配列は、さらに、発現制御配列を含む。ある特定の例示的実施形態において、発現制御配列は、タンパク質をコードする配列に作動可能に連結される。ある特定の例示的実施形態において、発現制御配列は、組織特異的プロモーターを含む。ある特定の例示的実施形態において、組織特異的プロモーターは、トリステトラプロリン(TTP)またはマウストランスチレチン(mTTR)プロモーターである。ある特定の例示的実施形態において、発現制御配列は、ポリアデニル化シグナルを含む。ある特定の例示的実施形態において、ポリアデニル化シグナルは、ウシ成長ホルモンポリアデニル化シグナルである。ある特定の例示的実施形態において、発現制御配列は、転写後調節エレメントを含む。ある特定の例示的実施形態において、転写後調節エレメントは、ウッドチャック肝炎ウイルス転写後調節エレメント(WPRE)である。
【0040】
ある特定の例示的実施形態において、タンパク質は、治療用タンパク質である。ある特定の例示的実施形態において、治療用タンパク質は、凝固因子である。ある特定の例示的実施形態において、凝固因子は、第VIII因子(FVIII)である。ある特定の例示的実施形態において、凝固因子は、FVIII-XTENである。
【0041】
ある特定の例示的実施形態において、異種配列は、5’逆方向末端反復(ITR)を含む。ある特定の例示的実施形態において、異種配列は、3’逆方向末端反復(ITR)を含む。ある特定の例示的実施形態において、5’ITRおよび3’ITRは、パルボウイルスに由来する。ある特定の例示的実施形態において、パルボウイルスは、B19、GPV、HBoV1、およびAAV2からなる群から選択される。ある特定の例示的実施形態において、5’ITRは、B19に由来する野生型またはバリアント5’ITRである。ある特定の例示的実施形態において、5’ITRは、GPVに由来する野生型またはバリアント5’ITRである。ある特定の例示的実施形態において、5’ITRは、AAV2に由来する野生型またはバリアント5’ITRである。ある特定の例示的実施形態において、5’ITRは、HBoV1に由来する野生型またはバリアント5’ITRである。ある特定の例示的実施形態において、バリアント5’ITRは、切断型5’ITRである。ある特定の例示的実施形態において、3’ITRは、B19に由来する野生型またはバリアント3’ITRである。ある特定の例示的実施形態において、3’ITRは、GPVに由来する野生型またはバリアント3’ITRである。ある特定の例示的実施形態において、3’ITRは、AAV2に由来する野生型またはバリアント3’ITRである。ある特定の例示的実施形態において、バリアント3’ITRは、切断型3’ITRである。ある特定の例示的実施形態において、3’ITRは、HBoV1に由来する野生型3’ITRである。
【0042】
ある特定の例示的実施形態において、第1の複製起点は、π-タンパク質の存在に関して条件付きである。ある特定の例示的実施形態において、第1の複製起点は、R6Kγである。
【0043】
ある特定の例示的実施形態において、第1の細菌株は、π-タンパク質を含む。
【0044】
ある特定の例示的実施形態において、第2の複製起点は、pUC57である。
【0045】
ある特定の例示的実施形態において、選択可能なマーカー配列は、抗生物質耐性遺伝子を含む。ある特定の例示的実施形態において、抗生物質耐性遺伝子は、アンピシリン耐性遺伝子である。
【0046】
ある特定の例示的実施形態において、レポーター遺伝子は、蛍光タンパク質をコードする。ある特定の例示的実施形態において、蛍光タンパク質は、緑色蛍光タンパク質である。
【0047】
ある特定の例示的実施形態において、選択的標的部位は、LoxP部位またはそのバリアントを含む。ある特定の例示的実施形態において、部位特異的組換え事象は、Creリコンビナーゼによって媒介される。
【0048】
別の態様において、以下:第1のレポーター遺伝子のリーディングフレームを妨害する、第1のレポーター遺伝子に挿入された第1の異種配列;部位特異的組換え事象を媒介することができる第1の選択的標的部位;第2の異種配列を含む多重クローニング部位;部位特異的組換え事象を媒介することができる第2の選択的標的部位を含む組換えbacmidが、本明細書において提供される。
【0049】
ある特定の例示的実施形態において、第1の異種配列は、第1の異種遺伝子を含む。ある特定の例示的実施形態において、第1の異種配列は、タンパク質をコードする配列に作動可能に連結された発現制御配列を含む。
【0050】
ある特定の例示的実施形態において、発現制御配列は、バキュロウイルスプロモーターを含む。ある特定の例示的実施形態において、バキュロウイルスプロモーターは、最初期、初期、後期、または最晩期のプロモーターである。ある特定の例示的実施形態において、バキュロウイルスプロモーターは、ポリヘドリンプロモーター、最初期1プロモーター、および最初期2プロモーターからなる群から選択される。
【0051】
ある特定の例示的実施形態において、タンパク質は、ウイルスファミリーパルボウイルス科のメンバーのゲノムから単離されたRepタンパク質である。ある特定の例示的実施形態において、タンパク質は、パルボウイルスRepタンパク質である。ある特定の例示的実施形態において、パルボウイルスRepタンパク質は、B19 Rep、AAV2 Rep、HBoV1 Rep、およびGPV Repからなる群から選択される。
【0052】
ある特定の例示的実施形態において、第2の異種配列は、第2の異種遺伝子を含む。ある特定の例示的実施形態において、第2の異種配列は、タンパク質をコードする配列に作動可能に連結された発現制御配列を含む。ある特定の例示的実施形態において、発現制御配列は、組織特異的プロモーター、ポリアデニル化シグナル、および/または転写後調節エレメントを含む。ある特定の例示的実施形態において、組織特異的プロモーターは、トリステトラプロリン(TTP)またはマウストランスチレチン(mTTR)プロモーターである。ある特定の例示的実施形態において、ポリアデニル化シグナルは、ウシ成長ホルモンポリアデニル化シグナルである。ある特定の例示的実施形態において、転写後調節エレメントは、ウッドチャック肝炎ウイルス転写後調節エレメント(WPRE)である。
【0053】
ある特定の例示的実施形態において、タンパク質は、治療用タンパク質である。ある特定の例示的実施形態において、治療用タンパク質は、凝固因子である。ある特定の例示的実施形態において、凝固因子は、第VIII因子(FVIII)である。ある特定の例示的実施形態において、凝固因子は、FVIII-XTENである。
【0054】
ある特定の例示的実施形態において、第2の異種配列は、5’逆方向末端反復(ITR)を含む。ある特定の例示的実施形態において、第2の異種配列は、3’逆方向末端反復(ITR)を含む。ある特定の例示的実施形態において、5’ITRは、ウイルスファミリーパルボウイルス科の第1のメンバーのゲノムに由来し、ならびに、3’ITRは、ウイルスファミリーパルボウイルス科の第2のメンバーのゲノムに由来する。ある特定の例示的実施形態において、第1および第2のメンバーは、同じであるある特定の例示的実施形態において、第1および第2のメンバーは、異なる。ある特定の例示的実施形態において、5’ITRおよび3’ITRは、B19、GPV、およびAAV2からなる群から選択されるパルボウイルスに由来する。ある特定の例示的実施形態において、5’ITRは、B19に由来する野生型または切断型5’ITRである。ある特定の例示的実施形態において、5’ITRは、GPVに由来する野生型または切断型5’ITRである。ある特定の例示的実施形態において、5’ITRは、AAV2に由来する野生型または切断型5’ITRである。ある特定の例示的実施形態において、5’ITRは、HBoV1に由来する野生型または切断型5’ITRである。ある特定の例示的実施形態において、3’ITRは、B19に由来する野生型または切断型3’ITRである。ある特定の例示的実施形態において、3’ITRは、GPVに由来する野生型または切断型3’ITRである。ある特定の例示的実施形態において、3’ITRは、AAV2に由来する野生型または切断型3’ITRである。ある特定の例示的実施形態において、5’ITRは、HBoV1に由来する野生型3’ITRである。
【0055】
ある特定の例示的実施形態において、組換えbacmidは、さらに、細菌レプリコンを含む。ある特定の例示的実施形態において、細菌レプリコンは、ミニFレプリコンである。
【0056】
ある特定の例示的実施形態において、組換えbacmidは、さらに、1つまたはそれ以上の選択可能なマーカー配列を含む。ある特定の例示的実施形態において、1つまたはそれ以上の選択可能なマーカー配列は、1つまたはそれ以上の抗生物質耐性遺伝子を含む。ある特定の例示的実施形態において、1つまたはそれ以上の抗生物質耐性遺伝子は、アンピシリン耐性遺伝子、カナマイシン耐性遺伝子、およびゲンタマイシン耐性遺伝子からなる群から選択される。
【0057】
ある特定の例示的実施形態において、第1のレポーター遺伝子は、LacZαまたはその機能的部分をコードする。
【0058】
ある特定の例示的実施形態において、組換えbacmidは、さらに、少なくとも第2および第3のレポーター遺伝子を含む。ある特定の例示的実施形態において、第2および第3のレポーター遺伝子はそれぞれ、蛍光タンパク質をコードする。ある特定の例示的実施形態において、蛍光タンパク質は、緑色蛍光タンパク質または赤色蛍光タンパク質である。
【0059】
ある特定の例示的実施形態において、第1および第2の選択的標的部位は、LoxP部位またはそのバリアントを含む。ある特定の例示的実施形態において、部位特異的組換え事象は、Creリコンビナーゼによって媒介される。
【0060】
別の態様において、以下:ミニattTn7部位に挿入されたRepをコードする配列であって、挿入されたRepがLacZα遺伝子またはその機能的部分のリーディングフレームを妨害する、配列;異種配列を含む多重クローニング部位であって、異種配列が、5’から3’に向かって:ウイルスファミリーパルボウイルス科のメンバーの第1のゲノムに由来する野生型または切断型5’逆方向末端反復;タンパク質をコードする配列;タンパク質をコードする配列に作動可能に連結された1つまたはそれ以上の発現制御配列;およびウイルスファミリーパルボウイルス科のメンバーの第2のゲノムに由来する野生型または切断型3’逆方向末端反復を含む、多重クローニング部位を含むbacmidが、本明細書において提供される。
【0061】
ある特定の例示的実施形態において、ウイルスファミリーパルボウイルス科の第1および第2のゲノムは、同じである。ある特定の例示的実施形態において、ウイルスファミリーパルボウイルス科の第1および第2のゲノムは、異なる。
【0062】
ある特定の例示的実施形態において、Repは、ウイルスファミリーパルボウイルス科のメンバーの第1または第2のゲノムに由来する。
【0063】
別の態様において、以下:ミニattTn7部位に挿入されたB19 Repをコードする配列であって、挿入されたB19 RepがLacZα遺伝子またはその機能的部分のリーディングフレームを妨害する、配列;異種配列を含む多重クローニング部位であって、異種配列が、5’から3’に向かって:B19に由来する野生型または切断型5’逆方向末端反復;タンパク質をコードする配列;タンパク質をコードする配列に作動可能に連結された1つまたはそれ以上の発現制御配列;およびB19に由来する野生型または切断型3’逆方向末端反復を含む、多重クローニング部位を含むbacmidが、本明細書において提供される。
【0064】
別の態様において、以下:ミニattTn7部位に挿入されたGPV Repをコードする配列であって、挿入されたGPV RepがLacZα遺伝子またはその機能的部分のリーディングフレームを妨害する、配列;異種配列を含む多重クローニング部位であって、異種配列が、5’から3’に向かって:GPVに由来する野生型または切断型5’逆方向末端反復;タンパク質をコードする配列;タンパク質をコードする配列に作動可能に連結された1つまたはそれ以上の発現制御配列;およびGPVに由来する野生型または切断型3’逆方向末端反復を含む、多重クローニング部位を含むbacmidが、本明細書において提供される。
【0065】
別の態様において、以下:ミニattTn7部位に挿入されたAAV2 Repをコードする配列であって、挿入されたAAV2 RepがLacZα遺伝子またはその機能的部分のリーディングフレームを妨害する、配列;異種配列を含む多重クローニング部位であって、異種配列が、5’から3’に向かって:AAV2に由来する野生型または切断型5’逆方向末端反復;タンパク質をコードする配列;タンパク質をコードする配列に作動可能に連結された1つまたはそれ以上の発現制御配列;およびAAV2に由来する野生型または切断型3’逆方向末端反復を含む、多重クローニング部位を含むbacmidが、本明細書において提供される。
【0066】
別の態様において、以下:ミニattTn7部位に挿入されたAAV2 HBoV1 Repをコードする配列であって、挿入されたHBoV1 RepがLacZα遺伝子またはその機能的部分のリーディングフレームを妨害する、配列;および異種配列を含む多重クローニング部位であって、異種配列が、5’から3’に向かって:HBoV1に由来する野生型5’逆方向末端反復;タンパク質をコードする配列;タンパク質をコードする配列に作動可能に連結された1つまたはそれ以上の発現制御配列;およびHBoV1に由来する野生型3’逆方向末端反復、含む、多重クローニング部位を含むbacmidが、本明細書において提供される。
【0067】
ある特定の例示的実施形態において、タンパク質は、治療用タンパク質である。ある特定の例示的実施形態において、治療用タンパク質は、凝固因子である。ある特定の例示的実施形態において、凝固因子は、第VIII因子(FVIII)である。ある特定の例示的実施形態において、凝固因子は、FVIII-XTENである。
【0068】
別の態様において、本明細書において説明されるbacmidを含む宿主細胞が提供される。別の態様において、本明細書において説明される組換えbacmidを含む宿主細胞が提供される。別の態様において、本明細書において説明されるベクターを含む宿主細胞が提供される。
【0069】
別の態様において、本明細書において説明される組換えbacmidを生成する方法であって、本明細書において説明されるbacmid;および本明細書において説明される異種配列を含むトランスポゾンに作動可能に連結された細菌レプリコンを含むドナー核酸分子を細菌細胞中に導入すること;転移が生じる条件下において細菌細胞をインキュベートすること;ならびに細菌細胞から組換えbacmidを単離することを含む方法が、本明細書において提供される。
【0070】
別の態様において、本明細書において説明される組換えbacmidを生成する方法であって、本明細書において説明される組換えbacmid;本明細書において説明されるベクター;およびCreリコンビナーゼを細菌細胞中に導入すること;部位特異的組換えが生じる条件下において細菌細胞をインキュベートすること;ならびに細菌細胞から組換えbacmidを単離することを含む方法が、本明細書において提供される。
【0071】
別の態様において、組換えバキュロウイルスを生成する方法であって、本明細書において説明される組換えbacmidを適切な条件下で昆虫細胞にトランスフェクトすることを含む方法が、本明細書において提供される。
【0072】
別の態様において、クローズドエンドDNA(ceDNA)分子を生成する方法であって、本明細書において説明される組換えbacmidを、組換えバキュロウイルスを生成するのに適切な条件下において昆虫細胞にトランスフェクトすること;ならびにceDNA分子を生成するのに適切な条件下において第2の昆虫細胞に組換えバキュロウイルスを感染させることを含む方法が、本明細書において提供される。
【0073】
別の態様において、野生型または切断型B19逆方向末端反復を含むクローズドエンドDNA(ceDNA)分子を生成する方法であって、野生型または切断型B19逆方向末端反復を含む本明細書において説明される組換えbacmidを、組換えバキュロウイルスを作製するのに適切な条件下において昆虫細胞にトランスフェクトすること;ならびにceDNA分子を生成するのに適切な条件下において第2の昆虫細胞に組換えバキュロウイルスを感染させることを含む方法が、本明細書において提供される。
【0074】
別の態様において、野生型または切断型GPV逆方向末端反復を含むクローズドエンドDNA(ceDNA)分子を生成する方法であって、野生型または切断型GPV逆方向末端反復を含む本明細書において説明される組換えbacmidを、組換えバキュロウイルスを生成するのに適切な条件下において昆虫細胞にトランスフェクトすること;ならびにceDNA分子を生成するのに適切な条件下において第2の昆虫細胞に組換えバキュロウイルスを感染させることを含む方法が、本明細書において提供される。
【0075】
別の態様において、野生型または切断型AAV2逆方向末端反復を含むクローズドエンドDNA(ceDNA)分子を生成する方法であって、野生型または切断型AAV2逆方向末端反復を含む本明細書において説明される組換えbacmidを、組換えバキュロウイルスを生成するのに適切な条件下において昆虫細胞にトランスフェクトすること;ならびにceDNA分子を生成するのに適切な条件下において第2の昆虫細胞に組換えバキュロウイルスを感染させることを含む方法が、本明細書において提供される。
【0076】
別の態様において、野生型HBoV1逆方向末端反復を含むクローズドエンドDNA(ceDNA)分子を生成する方法であって、野生型HBoV1逆方向末端反復を含む本明細書において説明される組換えbacmidを、組換えバキュロウイルスを生成するのに適切な条件下において昆虫細胞にトランスフェクトすること;ならびにceDNA分子を生成するのに適切な条件下において第2の昆虫細胞に組換えバキュロウイルスを感染させることを含む方法が、本明細書において提供される。
【0077】
別の態様において、5’から3’に向かって:ウイルスファミリーパルボウイルス科の第1のメンバーのゲノムに由来する野生型または切断型5’逆方向末端反復;タンパク質をコードする配列;タンパク質をコードする配列に作動可能に連結された1つまたはそれ以上の発現制御配列;およびウイルスファミリーパルボウイルス科の第2のメンバーのゲノムに由来する野生型または切断型3’逆方向末端反復を含む核酸配列を含むプラスミドが、本明細書において提供される。
【0078】
いくつの実施形態において、第1のbacmidおよび第2のbacmidを含む組換えbacmidのセットであって、第1のbacmidが、ミニattTn7部位に挿入されたRepをコードする配列を含み、挿入されたRepがレポーター遺伝子またはその機能的部分のリーディングフレームを妨害し;ならびに第2のbacmidが異種配列を含み、この場合、異種配列が5’から3’に向かって:ウイルスファミリーパルボウイルス科のメンバーの第1のゲノムに由来する、野生型または切断型5’逆方向末端反復(ITR);タンパク質をコードする配列;タンパク質をコードする配列に作動可能に連結された1つまたはそれ以上の発現制御配列;およびウイルスファミリーパルボウイルス科のメンバーの第2のゲノムに由来する、野生型または切断型3’逆方向末端反復(ITR)を含む、組換えbacmidのセットが、本明細書において開示される。いくつの実施形態において、5’ITRおよび3’ITRは、B19、GPV、HBoV1、およびAAV2からなる群から選択されるパルボウイルスに由来する。
【0079】
ある特定の例示的実施形態において、1つまたはそれ以上の発現制御配列は、組織特異的プロモーター、ポリアデニル化シグナル、および/または転写後調節エレメントを含む。ある特定の例示的実施形態において、組織特異的プロモーターは、トリステトラプロリン(TTP)またはマウストランスチレチン(mTTR)プロモーターである。ある特定の例示的実施形態において、ポリアデニル化シグナルは、ウシ成長ホルモンポリアデニル化シグナルである。ある特定の例示的実施形態において、転写後調節エレメントは、ウッドチャック肝炎ウイルス転写後調節エレメント(WPRE)である。
【0080】
ある特定の例示的実施形態において、タンパク質は、治療用タンパク質である。ある特定の例示的実施形態において、治療用タンパク質は、凝固因子である。ある特定の例示的実施形態において、凝固因子は、第VIII因子(FVIII)である。ある特定の例示的実施形態において、凝固因子は、FVIII-XTENである。
【0081】
ある特定の例示的実施形態において、第1および/または第2のメンバーは、B19、GPV、HBoV1、およびAAV2からなる群から選択される。ある特定の例示的実施形態において、第1および第2のメンバーは、同じである。ある特定の例示的実施形態において、第1および第2のメンバーは、異なる。
【0082】
別の態様において、本明細書において説明される核酸配列を含む安定細胞株であって、核酸配列が安定細胞株のゲノムに安定に組み込まれる、安定細胞株が、本明細書において提供される。
【0083】
ある特定の例示的実施形態において、安定細胞株は、安定昆虫細胞株である。ある特定の例示的実施形態において、安定昆虫細胞株は、Sf9である。
【0084】
別の態様において、野生型または切断型逆方向末端反復を含むクローズドエンドDNA(ceDNA)分子を生成する方法であって、本明細書において説明される組換えbacmidを本明細書において説明される安定細胞株に導入することを含む方法が、本明細書において提供される。
【0085】
別の態様において、野生型または切断型逆方向末端反復を含むクローズドエンドDNA(ceDNA)分子を生成する方法であって、以下:本明細書において説明されるプラスミド;および本明細書において説明される組換えbacmidを宿主細胞中に導入することを含む方法が、本明細書において提供される。
【0086】
ある特定の例示的実施形態において、宿主細胞は、昆虫細胞である。ある特定の例示的実施形態において、昆虫細胞は、Sf9である。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【
図1】
図1A-1Dは、本発明の一実施形態による組換えbacmidの概略図である。
図1Aは、カナマイシン抵抗性マーカー(KanR)、インフレームでLacZαに融合したミニattTn7挿入部位、およびミニF複製起点(ミニF)をコードするbMON14272の模式図を示す。
図1Bは、AcMNPV 39Kプロモーター(p39K)とその後に続くetsポリアデニル化シグナル(etsPAS)の存在下において赤色蛍光タンパク質(RFP)をコードする遺伝子、LoxP組換え部位、およびEGT隣接遺伝子配列を含む合成トランスファーベクターの概略線形図を示す。
図1Cは、カナマイシン抵抗性マーカー(KanR)、インフレームでLacZαと融合したミニattTn7挿入部位、ミニF複製起点(ミニF)、AcMNPV 39Kプロモーター(p39K)とその後に続くetsポリアデニル化シグナル(etsPAS)の存在下において赤色蛍光タンパク質(RFP)遺伝子をコードする遺伝子、およびLoxP組換え部位をコードする組換えbacmid(BIVVBac)の模式図を示す。
図1Dは、BIVVBac bacmidを保持する大腸菌(E.coli)株(BIVVBacDH10B)およびトランスポザーゼをコードするTn7ヘルパープラスミドの模式図を示す。
【
図2】
図2A-2Bは、本発明の一実施形態によるCre-LoxPドナーベクターの概略図である。
図2Aは、AcMNPV最初期1(pIE1)プロモーターとそれに先行するAcMNPV転写エンハンサーhr5エレメントおよび後に続くAcMNPV p10ポリアデニル化シグナル(p10PAS)の存在下において増強されたGFPをコードする遺伝子、LoxP組換え部位(LoxP)、アンピシリン抗生物質耐性遺伝子、多重クローニング部位(MCS)、ColE1、およびR6Kγ複製起点(Ori)を含む合成DNAの概略線形図を示す。
図2Bは、合成DNA(
図2A)をpUC57ベクターに挿入することによって作製された、本発明の一実施形態によるCre-LoxPドナーベクターの概略マップを示す。
【
図3-1】
図3A-3Fは、本発明の実施形態による複製(Rep)タンパク質発現コンストラクトの概略図である。
図3Aは、AcMNPVポリヘドリンまたは最初期1(ie1)プロモーターとその後に続くSV40ポリアデニル化シグナル(SV40 PAS)の存在下においてB19 Rep遺伝子をコードする合成DNAの概略線形マップを示す。
図3Bは、B19.Rep合成DNA(
図3A)をpFastBac1ベクター(Invitrogen)に挿入することによって作製された、本発明の実施形態によるTn7トランスファーベクターの概略マップを示す。
図3Cは、AcMNPVポリヘドリンプロモーターとその後に続くSV40ポリアデニル化シグナル(SV40 PAS)の存在下においてGPV Rep78およびRep52挿入遺伝子をコードする合成DNAの概略線形マップを示す。改変mRNA転写物(伝令RNA)が、Rep78の非標準開始コドン(CUG)、Rep52の標準開始コドン(AUG)、および停止コドン(UAA)を伴う波線として示されている。
図3Dは、GPV.Rep合成DNA(
図3C)をpFastBac1ベクター(Invitrogen)に挿入することによって作製された、本発明の実施形態によるTn7トランスファーベクターの概略マップを示す。
図3Eは、AcMNPVポリヘドリンプロモーターとその後に続くSV40ポリアデニル化シグナル(SV40 PAS)の存在下においてAAV2 Rep78およびRep52挿入遺伝子をコードする合成DNAの概略線形マップを示す。改変mRNA転写物(mRNA)が、Rep78の非標準開始コドン(CUG)、Rep52の標準開始コドン(AUG)、および停止コドン(UAA)を伴う波線として示されている。
図3Fは、AAV2.Rep合成DNA(
図3E)をpFastBac1ベクター(Invitrogen)に挿入することによって作製された、本発明の実施形態によるTn7トランスファーベクターの概略マップを示す。
【
図4A】ヒトFVIIIco6XTEN発現コンストラクトの概略図である。
図4Aは、肝臓特異的TTPpプロモーターの制御下においてXTEN144ペプチド(FVIIIco6XTEN)を含むコドン最適化ヒト第VIII因子(FVIIIco6)をコードする発現コンストラクト、ウッドチャック転写後調節エレメント(WPRE、およびウシ成長ホルモンポリアデニル化(bGHpA)シグナルの概略線形マップを示す。hFVIIIco6XTEN発現カセットには、それぞれ、B19(Δ135、WT)、GPV(Δ162、WT、およびAsy)、またはAAV2(WT、Asy1、Asy2、Asy3)の、対称切断型(Δ)ITR、対称野生型(WT)ITR、および非対称(Asy)ITRが隣接する。示されるITR配列は、表1に見出すことができる。
【
図4B】ヒトFVIIIco6XTEN発現コンストラクトの概略図である。
図4Bは、
図2Bにおいて説明されるCre-LoxPドナーベクターへクローニングされた
図4Aにおいて説明されるB19、GPV、またはAAV2のITRが隣接するhFVIIIco6XTEN発現カセットをコードするCre-LoxPドナーベクターの概略線形マップを示す。
【
図5-1】
図5A-5Gは、Repをコードする配列を含む組換えバキュロウイルス発現ベクター(BEV)、ならびにその確認研究の概略図を示す。
図5Aは、親BIVVBacおよびbMON14272 bacmidsと比較した、B19.Rep、GPV.Rep、またはAAV2.Repをコードする組換えBIVVBac bacmids(それぞれ、BIVVBac.IE1.B19.Rep
Tn7、BIVVBac.Polh.GPV.Rep
Tn7、およびBIVVBac.Polh.AAV2.Rep
Tn7)の制限酵素マッピングのアガロースゲル電気泳動画像である。
図5Bは、AcBIVVBac.IE1.B19.Rep
Tn7の概略マップを示す。
図5Cは、AcBIVVBac.Polh.GPV.Rep
Tn7の概略マップを示す。
図5Dは、AcBIVVBac.Polh.AAV2.Rep
Tn7の概略マップを示す。
図5Eは、一次抗体としてのポリクローナル抗B19 NS1(1:2500)および二次抗体としてのIRDye@680RDロバ抗ウサギLI-COR(1:10,000)を伴う組換えAcBIVVBac.IE1.B19.Rep
Tn7 BEVのプラーク精製クローン(クローン1~6;Cl#1、Cl#2、Cl#3、Cl#4、Cl#5、Cl#6)におけるB19.REP免疫ブロッティングを示している。Precision Plus Protein(商標)Dual Color(Bio-Rad)が、標準として使用され、左側に示されている。
図5Fは、一次抗体としてのポリクローナル抗GPV REPペプチド抗体(1:500)および二次抗体としてのIRDye@680RDロバ抗ウサギLI-COR(1:10,000)を伴う組換えAcBIVVBac.Polh.GPV.Rep
Tn7BEVのプラーク精製クローン(クローン1~6;Cl#1、Cl#2、Cl#3、Cl#4、Cl#5、Cl#6)におけるGPV.REP免疫ブロッティングを示している。Precision Plus Protein(商標)Dual Color(Bio-Rad)が、標準として使用され、左側に示されている。
図5Gは、一次抗体としてのモノクローナル抗AAV2 Rep(1:500)および二次抗体としてのIRDye@800CWロバ抗マウスLI-COR(1:10,000)を伴う組換えAcBIVVBac.Polh.AAV2.Rep
Tn7BEVのプラーク精製クローンにおけるAAV2.REP免疫ブロッティングを示している。Precision Plus Protein(商標)Dual Color(Bio-Rad)が、標準として使用され、左側に示されている。
【
図6-1】
図6A-6Cは、RepおよびhFVIIIco6XTENをコードする配列を含むBEVの概略図である。
図6Aは、示されるようなB19 ITRが隣接するB19.Rep発現カセットおよびhFVIIIco6XTEN発現カセットをコードする組換えBEV(AcBIVVBac(B19.Rep)FVIII.B19.ITRs
LoxP)の概略マップを示す。
図6Bは、示されるようなGPV ITRが隣接するGPV.Rep発現カセットおよびhFVIIIco6XTEN発現カセットをコードする組換えBEV(AcBIVVBac(GPV.Rep)FVIII.GPV.ITRs
LoxP)の概略マップを示す。
図6Cは、AAV2 ITRが隣接するAAV2.Rep発現カセットおよびhFVIIIco6XTEN発現カセットをコードする組換えBEV(AcBIVVBac(AAV2.Rep)FVIII.AAV2.ITRs
LoxP)の概略マップを示す。
図6A~6Cに示されるITR配列は、表1に見出すことができる。
【
図7】
図7A-7Cは、本発明の一実施形態によるバキュロウイルス発現ベクターシステムを使用したヒトFVIIIco6XTEN ceDNAベクターの作製を示す。
図7Aは、GPV非対称ITRが隣接するGPV.Rep発現カセットおよびhFVIIIco6XTEN発現カセットをコードする組換えBEV(AcBIVVBac(GPV.Rep)FVIII.GPV.Asy.ITRs
LoxP)の概略マップである。示されるITR配列は、表1に見出すことができる。
図7Bは、AcBIVVBac(GPV.Rep)FVIII.GPV.Asy.ITRs
LoxPBEV(クローン1~6;Cl#1、Cl#2、Cl#3、Cl#4、Cl#5、Cl#6)のプラーク精製クローンを感染させたSf9細胞から単離されたceDNAベクターのアガロースゲル電気泳動画像である。hFVIIIco6XTENのサイズに対応するDNAバンドは、矢印によって示される。
図7Cは、異なる量においてロードされた組換えAcBIVVBac(GPV.Rep)FVIII.GPV.Asy.ITRs
LoxP BEVクローン#4(
図7Bに示されるような)から得られるceDNAベクターのアガロースゲル電気泳動画像である。hFVIIIco6XTENのサイズに対応するDNAバンドは、矢印によって示される。
【
図8】
図8A-8Bは、昆虫細胞系をコードする安定ヒトFVIIIco6XTENを生成する際に使用される材料を示す。
図8Aは、AcMNPV最初期1(ie1)プロモーターとそれに先行する転写エンハンサーhr5エレメントおよび後に続くAcMNPV p10ポリアデニル化シグナルの存在下においてネオマイシン耐性マーカーをコードするプラスミドの概略マップを示す。
図8Bは、安定細胞株を生成するためにSf9細胞ゲノムに安定に組み込まれる、B19、GPV、またはAAV2 ITRが隣接するhFVIIIco6XTEN発現カセットの概略マップを示す。作製された安定細胞株のリストは、表5に示され、ならびにITRの配列は、表1に示される。
【
図9】
図9A-9Cは、安定細胞株からのヒトFVIIIco6XTEN ceDNAベクターの産生を示すアガロースゲル電気泳動画像である。
図9Aは、それぞれ対称切断型(B19Δ135)または対称野生型(B19.WT)ITRが隣接し、hFVIIIco6XTENをコードする、Sf細胞株-1および-2から単離されたceDNAベクターのアガロースゲル電気泳動画像である。
図9Bは、それぞれ、対称切断型(GPVΔ162)、対称野生型(GPV.WT)、または非対称(GPV.Asy)ITRが隣接し、hFVIIIco6XTENをコードする、Sf細胞株-3、-4、および-5から単離されたceDNAベクターのアガロースゲル電気泳動画像である。
図9Cは、それぞれ、対称野生型(AAV2.WT)、非対称1(AAV2.Asy1)、非対称2(AAV2.Asy2)、または非対称3(AAV2.Asy3)が隣接し、hFVIIIco6XTENをコードする、Sf細胞株-6、-7、-8、および-9から単離されたceDNAベクターのアガロースゲル電気泳動画像である。
図9A~9Cにおいて使用された安定細胞株は、表5に示され、ならびにITRの配列は、表1に示される。
【
図10】Chromogenix Coatest(登録商標)SP第VIII因子発色アッセイによって測定されたhFVIII活性を示すプロットである。安定細胞株から単離されたceDNAがHuh7細胞へトランスフェクトされ、無細胞上清が、トランスフェクションの48および72時間後に収集され、発色アッセイによってhFVIII検出のために試験される。実線はceDNA試料を表し、点線は、コントロールとして使用されたプラスミドDNA試料を表す。
【
図11-1】
図11A-11Fは、本発明の実施形態による複製(Rep)タンパク質発現コンストラクトの概略図である。
図11Aは、OpMNPV最初期(OpIE2)プロモーターと後に続くSV40ポリアデニル化シグナル(SV40 PAS)の存在下においてB19 Rep遺伝子をコードする合成DNAの概略線形マップを示す。
図11Bは、
図3Bに示されるpFastBac.IE1.B19.RepコンストラクトにおいてIE1プロモーターをOpIE2で交換することによって作製された一過性発現プラスミドの概略マップを示す。
図11Cは、OpMNPV最初期(OpIE2)プロモーターと後に続くSV40ポリアデニル化シグナル(SV40 PAS)の存在下においてGPV Rep78およびRep52挿入遺伝子をコードする合成DNAの概略線形マップを示す。改変mRNA転写物(伝令RNA)が、Rep78の非標準開始コドン(CUG)、Rep52の標準開始コドン(AUG)、および停止コドン(UAA)を伴う波線として示される。
図11Dは、
図3Dに示されるpFastBac.Polh.GPV.RepコンストラクトにおいてポリヘドリンプロモーターをOpIE2で交換することによって作製された一過性発現プラスミドの概略マップを示す。
図11Eは、OpMNPV最初期(OpIE2)プロモーターと後に続くSV40ポリアデニル化シグナル(SV40 PAS)の存在下においてAAV2 Rep78およびRep52挿入遺伝子をコードする合成DNAの概略線形マップを示す。改変mRNA転写物(伝令RNA)が、Rep78の非標準開始コドン(CUG)、Rep52の標準開始コドン(AUG)、および停止コドン(UAA)を伴う波線として示される。
図11Fは、
図3Fに示されるpFastBac.Polh.AAV2.RepコンストラクトにおいてポリヘドリンプロモーターをOpIE2で交換することによって作製された一過性発現プラスミドの概略マップを示す。
【
図12】
図12A-12Cは、本発明の実施形態によるパルボウイルスITR、肝臓特異的改変マウストランスチレチン(mTTR)プロモーター(mTTR482)、および(V2.0)コドン最適化BDDco-FVIIIXTEN導入遺伝子(V2.0 FVIIIXTEN)(配列番号19)を伴う改変FVIIIXTEN発現カセットの概略図である。
図12Aは、AAV2 WT ITR(配列番号5、配列番号6)が隣接する改変FVIIIXTEN発現カセットの概略線形マップを示す。
図12Bは、B19 WT(配列番号2)またはB19最小(配列番号16)が隣接する改変FVIIIXTEN発現カセットの概略線形マップを示す。
図12Cは、GPVΔ120(配列番号17)またはGPVΔ186(配列番号18)が隣接する改変FVIIIXTEN発現カセットの概略線形マップを示す。
【
図13】
図13A-13Cは、本発明の一実施形態によるバキュロウイルスシステムにおけるceDNA産生のために使用したアプローチの概略図である。
図13Aは、ceDNA作製のために、異なる遺伝子座においてV2.0 FVIIIXTENおよびRep遺伝子をコードする単一の組換えBEVを、Sf9細胞の感染に使用したOne BACアプローチの概略図を示す。
図13Bは、ceDNA産生のために、Sf9細胞に、V2.0 FVIIIXTENおよび/またはRep遺伝子をコードする組換えBEVを共感染させた、2BACアプローチの概略図を示す。
図13Cは、FVIIIXTEN発現カセットが、Sf9細胞ゲノムに安定に組み込まれ、ならびにceDNA作製のために、Rep遺伝子をコードする組換えBEVを感染させることによってレスキューされた、安定細胞株アプローチの概略図を示す。
【
図14】
図14A-14Cは、本発明の一実施形態によるAAV2 One BACからのヒトFVIIIXTEN ceDNAベクターの産生を示す。
図14Aは、AcMNPVポリヘドリンプロモーターとV2.0 FVIIIXTENを含みAAV2 WT ITRが隣接するヒトFVIIIXTEN発現カセットとの存在下においてAAV2 Rep遺伝子をコードする組換えBEVを使用する、Sf9細胞でのFVIIIXTEN ceDNAベクター産生のOne BACアプローチ(AcBIVVBac(mTTR.FVIIIXTEN.AAV2.WT.ITRs)Polh.AAV2.Rep
LoxP)の概略図である。
図14Bは、AcBIVVBac(mTTR.FVIIIXTEN.AAV2.WT.ITRs)Polh.AAV2.Rep
LoxP BEVの概略マップを示す。
図14Cは、AcBIVVBac(mTTR.FVIIIXTEN.AAV2.WT.ITRs)Polh.AAV2.Rep
LoxP BEVの力価測定されたウイルスストック(P2)を感染させたSf9細胞から単離されたceDNAベクターのアガロースゲル電気泳動画像である。FVIIIXTEN ceDNA(ceDNA)、バキュロウイルスDNA(vDNA)、およびSf9細胞ゲノムDNA(ゲノムDNA)のサイズに対応するDNAバンドが、矢印によって示される。
【
図15】
図15A-15Cは、本発明の一実施形態によるB19 One BACからのヒトFVIIIXTEN ceDNAベクターの産生を示す。
図15Aは、AcMNPVポリヘドリンプロモーターとV2.0 FVIIIXTENを含みB19 WT ITRが隣接するヒトFVIIIXTEN発現カセットとの存在下においてB19 NS1遺伝子をコードする組換えBEVを使用した、Sf9細胞でのFVIIIXTEN ceDNAベクター産生のOne BACアプローチ(AcBIVVBac(mTTR.FVIIIXTEN.B19.WT.ITRs)Polh.B19.NS1
LoxP)の概略図である。
図15Bは、AcBIVVBac(mTTR.FVIIIXTEN.B19.WT.ITRs)Polh.B19.NS1
LoxP BEVの概略マップを示す。
図15Cは、AcBIVVBac(mTTR.FVIIIXTEN.B19.WT.ITRs)Polh.B19.NS1
LoxP BEVの力価測定されたウイルスストック(P2)を感染させたSf9細胞から単離されたceDNAベクターのアガロースゲル電気泳動画像である。FVIIIXTEN ceDNA(ceDNA)、バキュロウイルスDNA(vDNA)、およびSf9細胞ゲノムDNA(ゲノムDNA)のサイズに対応するDNAバンドは、矢印によって示される。
【
図16】
図16A-16Cは、本発明の一実施形態によるAAV2 Two BACからのヒトFVIIIXTEN ceDNAベクターの産生を示す。
図16Aは、Sf9細胞に、V2.0 FVIIIXTENを含みAAV2 WT ITRが隣接するFVIIIXTEN発現カセット(AcBIVVBac.mTTR.FVIIIXTEN.AAV2.WT.ITRs
Tn7)をコードする組換えBEV、ならびに/あるいは、AcMNPVポリヘドリンプロモーターの存在下においてAAV2 Rep遺伝子をコードする組換えBEV(AcBIVVBac.Polh.AAV2.Rep
Tn7)を共感染させたFVIIIXTEN ceDNAベクターの産生のTwo BACアプローチの概略図である。
図16Bは、AcBIVVBac.mTTR.FVIIIXTEN.AAV2.WT.ITRs
Tn7およびAcBIVVBac.Polh.AAV2.Rep
Tn7 BEVsの概略マップを示す。
図16Cは、示されたAcBIVVBac.mTTR.FVIIIXTEN.AAV2.WT.ITRs
Tn7およびAcBIVVBac.Polh.AAV2.Rep
Tn7 BEVsの異なるMOIにおいて共感染されたSf9細胞から単離されたceDNAベクターのアガロースゲル電気泳動画像である。FVIIIXTEN ceDNAベクター(ceDNA)、バキュロウイルスDNA(vDNA)、およびSf9細胞ゲノムDNA(ゲノムDNA)のサイズに対応するDNAバンドは、矢印によって示される。
【
図17】
図17A-17Cは、本発明の一実施形態によるB19 Two BACからのヒトFVIIIXTEN ceDNAベクターの産生を示す。
図17Aは、Sf9細胞に、V2.0 FVIIIXTENを含みB19 WT ITRが隣接するFVIIIXTEN発現カセットをコードする組換えBEV(AcBIVVBac.mTTR.FVIIIXTEN.B19.WT.ITRs
Tn7)ならびに/あるいは、AcMNPVポリヘドリンプロモーターの存在下においてB19 NS1遺伝子をコードする組換えBEV(AcBIVVBac.Polh.B19.NS1
Tn7)を共感染された、FVIIIXTEN ceDNAベクター産生のTwo BACアプローチの概略図である。
図17Bは、AcBIVVBac.mTTR.FVIIIXTEN.B19.WT.ITRs
Tn7およびAcBIVVBac.Polh.B19.NS1
Tn7 BEVの概略マップを示す。
図17Cは、示されたAcBIVVBac.mTTR.FVIIIXTEN.B19.WT.ITRs
Tn7およびAcBIVVBac.Polh.B19.NS1
Tn7 BEVsの異なるMOIにおいて共感染させたSf9細胞から単離されたceDNAベクターのアガロースゲル電気泳動画像である。FVIIIXTEN ceDNAベクター(ceDNA)、バキュロウイルスDNA(vDNA)、およびSf9細胞ゲノムDNA(ゲノムDNA)のサイズに対応するDNAバンドは、矢印によって示される。
【
図18】
図18A-18Cは、本発明の一実施形態によるGPV Two BACからのヒトFVIIIXTEN ceDNAベクターの作製を示す。
図18Aは、Sf9細胞に、V2.0 FVIIIXTENを含みGPVΔ120 ITRが隣接するFVIIIXTEN発現カセットをコードする組換えBEV(AcBIVVBac.mTTR.FVIIIXTEN.GPVΔ120.ITRs
Tn7)ならびに/あるいは、AcMNPVポリヘドリンプロモーターの存在下においてGPV NS1遺伝子をコードする組換えBEV(AcBIVVBac.Polh.GPV.NS1
Tn7)を共感染された、FVIIIXTEN ceDNAベクター産生のTwo BACアプローチの概略図である。
図18Bは、AcBIVVBac.mTTR.FVIIIXTEN.GPVΔ120.ITRs
Tn7およびAcBIVVBac.Polh.GPV.NS1
Tn7 BEVの概略マップを示す。
図18Cは、示されたAcBIVVBac.mTTR.FVIIIXTEN.GPVΔ120.ITRs
Tn7およびAcBIVVBac.Polh.GPV.NS1
Tn7 BEVの異なるMOIにおいて共感染されるSf9細胞から単離されたceDNAベクターのアガロースゲル電気泳動画像である。FVIIIXTEN ceDNAベクター(ceDNA)、バキュロウイルスDNA(vDNA)、およびSf9細胞ゲノムDNA(ゲノムDNA)のサイズに対応するDNAバンドは、矢印によって示される。
【
図19】
図19A-19Cは、本発明の一実施形態によるAAV2安定細胞株からのヒトFVIIIXTEN ceDNAベクターの産生を示す。
図19Aは、V2.0 FVIIIXTENを含みAAV2 WT ITRが隣接するFVIIIXTEN発現カセットをコードする安定細胞株に、AcMNPVポリヘドリンプロモーターの存在下においてAAV2 Rep遺伝子をコードする組換えBEV(AcBIVVBac.Polh.AAV2.Rep
Tn7)を感染させる、FVIIIXTEN ceDNAベクター産生の安定細胞株アプローチの概略図を示す。
図19Bは、AcBIVVBac.Polh.AAV2.Rep
Tn7 BEVの概略マップを示す。
図19Cは、図示されるAcBIVVBac.Polh.AAV2.Rep
Tn7 BEVの異なるMOIにおいて感染させたAAV2安定細胞株から単離されたceDNAベクターのアガロースゲル電気泳動画像である。FVIIIXTEN ceDNAベクター(ceDNA)、バキュロウイルスDNA(vDNA)、およびSf9細胞ゲノムDNA(ゲノムDNA)のサイズに対応するDNAバンドは、矢印によって示される。
【
図20】
図20A-20Cは、本発明の一実施形態によるB19安定細胞株からのヒトFVIIIXTEN ceDNAベクターの産生を示す。
図20Aは、V2.0 FVIIIXTENを含みB19最小ITRが隣接するFVIIIXTEN発現カセットをコードする安定細胞株に、AcMNPVポリヘドリンプロモーターの存在下においてB19 NS1遺伝子をコードする組換えBEV(AcBIVVBac.Polh.B19.NS1
Tn7)を感染させる、FVIIIXTEN ceDNAベクター産生の安定細胞株アプローチの概略図を示す。
図20Bは、AcBIVVBac.Polh.B19.NS1
Tn7 BEVの概略マップを示す。
図20Cは、図示されるAcBIVVBac.Polh.B19.NS1
Tn7 BEVの異なるMOIにおいて感染させたB19安定細胞株から単離されたceDNAベクターのアガロースゲル電気泳動画像である。FVIIIXTEN ceDNAベクター(ceDNA)、バキュロウイルスDNA(vDNA)、およびSf9細胞ゲノムDNA(ゲノムDNA)のサイズに対応するDNAバンドは、矢印によって示される。
【
図21】
図21A-21Cは、本発明の一実施形態によるGPV安定細胞株からのヒトFVIIIXTEN ceDNAベクターの産生を示す。
図21Aは、FVIIIXTEN ceDNAベクター産生の安定細胞株アプローチの概略図を示し、この場合、V2.0 FVIIIXTENを含みGPVΔ120 ITRが隣接するFVIIIXTEN発現カセットをコードする安定細胞株は、AcMNPVポリヘドリンプロモーターの存在下においてGPV NS1遺伝子をコードする組換えBEV(AcBIVVBac.Polh.GPV.NS1
Tn7)を感染される。
図21Bは、AcBIVVBac.Polh.GPV.NS1
Tn7 BEVの概略マップを示す。
図21Cは、図示されるAcBIVVBac.Polh.GPV.NS1
Tn7 BEVの異なるMOIにおいて感染させたGPV安定細胞株から単離されたceDNAベクターのアガロースゲル電気泳動画像である。FVIIIXTEN ceDNAベクター(ceDNA)、バキュロウイルスDNA(vDNA)、およびSf9細胞ゲノムDNA(ゲノムDNA)のサイズに対応するDNAバンドは、矢印によって示される。
【
図22】
図22A-22Eは、本発明の一実施形態によるTwo BACアプローチを使用したFVIIIXTEN ceDNAベクター産生および精製のワークフローを示す。
図22Aは、細胞増殖および持続期間(0~2日目)の概略図を示し、この場合、細胞は、無血清ESF921培地における2.5~3.0x10
6/mLの細胞密度を達成するために、少量細胞(0.5L)から大量培養(1.5L)フラスコへと連続してスケールアップされる。
図22Bは、Sf9の大きい培養(1.5L)フラスコでの感染およびインキュベーションの持続期間(2~6日目)の概略図を示し、この場合、細胞は、それぞれ、0.1および0.01のプラーク形成単位(pfu)/細胞のMOIにおいて、V2.0 FVIIIXTENを含みHBoV1 ITRが隣接するFVIIIXTEN発現カセットをコードする組換えBEV(AcBIVVBac.mTTR.FVIIIXTEN.HBoV1.ITRs
Tn7)、ならびに/あるいは、AcMNPVポリヘドリンプロモーターの存在下においてHBoV1 NS1遺伝子をコードする組換えBEV(AcBIVVBac.Polh.HBoV1.NS1
Tn7)を共感染される。
図22Cは、感染細胞の細胞密度と生存率を毎日測定し、細胞生存率が70~80%に達した後に、細胞を低速遠心沈殿によってペレット化した、処理の持続期間(6~7日目)におけるPlasmid Giga Prep Purificationキットおよびアガロースゲル電気泳動の画像を示す。FVIIIXTEN ceDNAを、PureLink
TM HiPure Expi Plasmid Gigaprep Kit(Invitrogen)によって感染細胞ペレットから精製し、FVIIIXTEN ceDNA(ceDNA)、バキュロウイルスDNA(vDNA)、および/またはSf9細胞ゲノムDNA(ゲノムDNA)の産生能を特定するために、アリコートをアガロースゲル電気泳動に供した。
図22Dは、高分子量DNAからFVIIIXTEN ceDNA(約8.5kbの断片)を分離するために、Giga-prep精製DNAを、Prep細胞における分取アガロースゲルにロードさせた、処理の持続期間(7~12日目)におけるBio-Radモデル491 Prep細胞およびアガロースゲル電気泳動の画像を示す。FVIIIXTEN ceDNAの純度を特定するために、分取アガロースゲル電気泳動から70~80分間隔で採取した溶出分画を、0.8~1.2%のアガロースゲルにおいて分析した。
図22Eは、Prep細胞から採取した分画を収集し、精製されたFVIIIXTEN ceDNAを得るために、1/10倍の量の3MのNaOAc(pH5.5)および3倍の量の100%のエタノールによって沈殿させた、アガロースゲル電気泳動の画像を示す。ゲル画像は、出発材料と比較したFVIIIXTEN ceDNAの純度を示しており、矢印は、FVIIIXTEN ceDNAベクター(ceDNA)、バキュロウイルスDNA(vDNA)、およびSf9細胞ゲノムDNA(ゲノムDNA)のサイズに対応するDNAバンドを示している。
【
図23】Chromogenix Coatest(登録商標)SP第VIII因子発色アッセイによって測定した血漿FVIII活性レベルのグラフ表示を示す。
図23は、80、40、または12μg/kgのFVIIIXTEN HBoV1(wtHBoV1)またはAAV2 (wtAAV2)ITRs ceDNAによる尾静脈水圧注入によって全身注入されたhFVIIIR593C
+/+/HemAマウスから異なる間隔で採取した血液試料において測定した血漿FVIII活性レベルのグラフプロットを示す。
【
図24】
図24A-24Cは、本発明の一実施形態によるOne BACアプローチを使用したFVIIIXTEN ceDNAベクターの産生を示す。
図24Aは、AcMNPVポリヘドリンプロモーターおよびHBoV1 ITRが隣接するヒトFVIIIXTEN発現カセットとの存在下においてHBoV1 NS1遺伝子をコードする組換えBEV(AcBIVVBac(mTTR.FVIIIXTEN.HBoV1.ITRs)Polh.HBoV1.NS1
LoxP)を使用したSf9細胞でのFVIIIXTEN ceDNAベクター産生のOne BACアプローチの概略図である。
図24Bは、AcBIVVBac(mTTR.FVIIIXTEN.HBoV1.ITRs)Polh.HBoV1.NS11
LoxP BEVの概略マップを示す。
図24Cは、(AcBIVVBac(mTTR.FVIIIXTEN.HBoV1.ITRs)Polh.HBoV1.NS11
LoxP)BEVの力価測定されたウイルスストック(P2)を感染させたSf9細胞から単離されたceDNAベクターのアガロースゲル電気泳動画像である。FVIIIXTEN ceDNA(ceDNA)、バキュロウイルスDNA(vDNA)、およびSf9細胞ゲノムDNA(ゲノムDNA)のサイズに対応するDNAバンドは、矢印によって示される。
【
図25】
図25A-25Cは、本発明の一実施形態によるTwo BACアプローチを使用したFVIIIXTEN ceDNAベクターの産生を示す。
図25Aは、FVIIIXTEN ceDNAベクター産生のTwo BACアプローチの概略図であり、この場合、Sf9細胞は、HBoV1 ITRが隣接するFVIIIXTEN発現カセットをコードする組換えBEV(AcBIVVBac.mTTR.FVIIIXTEN.HBoV1.ITRs
Tn7)、ならびに/あるいは、AcMNPVポリヘドリンプロモーターの存在下においてHBoV1 NS1遺伝子をコードする組換えBEV(AcBIVVBac.Polh.HBoV1.NS1
Tn7)を共感染される。
図25Bは、AcBIVVBac.mTTR.FVIIIXTEN.HBoV1.ITRs
Tn7およびAcBIVVBac.Polh.HBoV1.NS1
Tn7 BEVの概略マップを示す。
図25Cは、図示されたAcBIVVBac.mTTR.FVIIIXTEN.HBoV1.ITRs
Tn7およびAcBIVVBac.Polh.HBoV1.NS1
Tn7 BEVの一定の比率の異なるMOIまたは一定のMOIの異なる比率において共感染させたSf9細胞から単離されたceDNAベクターのアガロースゲル電気泳動画像である。FVIIIXTEN ceDNAベクター(ceDNA)、バキュロウイルスDNA(vDNA)、およびSf9細胞ゲノムDNA(ゲノムDNA)のサイズに対応するDNAバンドは、矢印によって示される。
【発明を実施するための形態】
【0088】
2つ以上の外来配列の発現にとって好適なバキュロウイルス発現ベクターシステムが、本明細書において提供される。例えばceDNAを作製するために、本明細書において説明されるバキュロウイルス発現ベクターシステムを使用する方法も、提供される。
【0089】
I.定義
ここで、用語「a」または「an」の付いた名詞は、その名詞の1つまたはそれ以上を意味し:例えば、「ヌクレオチド配列(a nucleotide sequence)」は、1つまたはそれ以上のヌクレオチド配列を表すと理解される。同様に、「治療用タンパク質(a therapeutic protein)」および「miRNA(a miRNA)」は、それぞれ、1つまたはそれ以上の治療用タンパク質ならびに1つまたはそれ以上のmiRNAを表すと理解される。したがって、用語「a」(または「an」)、「1つまたはそれ以上」、および「少なくとも1つ」は、本明細書において相互互換的に使用することができる。
【0090】
用語「約(about)」は、およそ(「approximately」、「roughly」、「around」、または「in the region of」)を意味するために本明細書において使用される。用語「約」が、数値範囲に関連して使用される場合、説明された数値の上限および下限を拡張することによってその範囲を修飾する。一般的に、用語「約」は、10パーセント高いまたは低い変動によって、言明された値を上回るおよび下回る数値を修飾するために使用される。
【0091】
本明細書において使用される場合、「および/または」は、関連する一覧された項目の1つまたはそれ以上のあらゆる可能な組合せ、ならびに二者択一(「または」)において解釈される場合には組合せの欠如も意味し、それを包含する。
【0092】
「核酸」、「核酸分子」、「ヌクレオチド」、「ヌクレオチド配列」、および「ポリヌクレオチド」は、相互互換的に使用され、ならびに、一本鎖形態または二本鎖ヘリックスのどちらかにおけるリボヌクレオシド(アデノシン、グアノシン、ウリジン、またはシチジン;「RNA分子」)またはデオキシリボヌクレオシド(デオキシアデノシン、デオキシグアノシン、デオキシチミジン、またはデオキシシチジン;「DNA分子」)のリン酸エステル重合形態あるいはその任意のホスホエステル類似物、例えば、ホスホロチオエートおよびチオエステルなどを意味する。一本鎖核酸配列は、一本鎖DNA(ssDNA)または一本鎖RNA(ssRNA)を意味する。二本鎖DNA-DNA、DNA-RNAおよびRNA-RNAヘリックスは可能である。核酸分子、特にDNAまたはRNA分子という用語は、分子の一次および二次構造のみを意味し、それを任意の特定の三次形態に限定しない。したがって、この用語は、とりわけ、直鎖状もしくは環状DNA分子(例えば、制限断片)、プラスミド、超螺旋DNAおよび染色体において見出される二本鎖DNAを包含する。特定の二本鎖DNA分子の構造の説明において、配列は、DNAの非転写鎖(すなわち、mRNAに対して同種の配列を有する鎖)に沿って5’から3’への方向における配列のみを与える通常の慣習に従って本明細書において説明することができる。「組換えDNA分子」は、分子生物学的操作を受けているDNA分子である。DNAとしては、これらに限定されるわけではないが、cDNA、ゲノムDNA、プラスミドDNA、合成DNA、および半合成DNAが挙げられる。本開示の「核酸組成物」は、本明細書において説明される1つまたはそれ以上の核酸を含む。
【0093】
本明細書において使用される場合、「逆方向末端反復」(または「ITR」)は、下流にその逆相補配列、すなわち、パリンドローム配列、が続くヌクレオチドのセットを含む、一本鎖核酸配列の5’または3’末端のどちらかに位置された核酸サブ配列を意味する。初期配列と逆相補配列との間におけるヌクレオチドの介在配列は、ゼロを含む任意の長さであり得る。一実施形態において、本開示にとって有用なITRは、1つまたはそれ以上の「パリンドローム配列」を含む。ITRは、任意の数の機能を有することができる。いくつの実施形態において、本明細書において説明されるITRは、ヘアピン構造を形成する。いくつの実施形態において、ITRは、T形のヘアピン構造を形成する。いくつの実施形態において、ITRは、非T形のヘアピン構造、例えば、U形のヘアピン構造を形成する。いくつの実施形態において、ITRは、細胞核での核酸分子の長期生存を促進する。いくつの実施形態において、ITRは、細胞核での核酸分子の永久的生存(例えば、細胞の寿命全体に対する)を促進する。いくつの実施形態において、ITRは、細胞核での核酸分子の安定性を促進する。いくつの実施形態において、ITRは、細胞核での核酸分子の維持を促進する。いくつの実施形態において、ITRは、細胞核での核酸分子の持続性を促進する。いくつの実施形態において、ITRは、細胞核での核酸分子の分解を阻害または予防する。
【0094】
したがって、「ITR」は、本明細書に使用される場合、それ自体に折り重なることができ、ならびに二本鎖セグメントを形成する。例えば、配列GATCXXXXGATCは、折り畳まれて二重螺旋を形成する場合、GATCの初期配列およびその補体(3’CTAG5’)を含む。いくつの実施形態において、ITRは、初期配列と逆相補配列との間に連続パリンドローム配列(例えば、GATCGATC)を含む。いくつの実施形態において、ITRは、初期配列と逆相補配列との間に中断されたパリンドローム配列(例えば、GATCXXXXGATC)を含む。いくつの実施形態において、連続したまたは中断されたパリンドローム配列の相補部分は、お互いに相互作用して「ヘアピンループ」構造を形成する。本明細書において使用される場合、二本鎖セクションを形成する一本鎖ヌクレオチド分子塩基対上の少なくとも2つの相補配列である場合、結果として「ヘアピンループ」構造が生じる。いくつの実施形態において、ITRの一部のみが、ヘアピンループを形成する。他の実施形態では、ITR全体が、ヘアピンループを形成する。
【0095】
本開示において、少なくとも1つのITRは、非アデノウイルス関連ウイルス(非AAV)のITRである。ある特定の実施形態において、ITRは、ウイルスファミリーパルボウイルスの非AAVメンバーのITRである。いくつの実施形態において、ITRは、ディペンドウイルス属またはエリスロウイルス属の非AAVメンバーのITRである。特定の実施形態において、ITRは、ガチョウパルボウイルス(GPV)、ノバリケンパルボウイルス(MDPV)、またはエリスロウイルスパルボウイルスB19(パルボウイルスB19(本明細書において「B19」とも呼ばれる)、霊長類エリスロパルボウイルス1、B19ウイルス、およびエリスロウイルスとしても知られる)のITRである。ある特定の実施形態において、2つのITRの一方のITRは、AAVのITRである。他の実施形態において、コンストラクトの2つのITRのうちの一方のITRは、血清型1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、およびそれらの任意の組合せから選択されるAAV血清型のITRである。特定の一実施形態において、ITRは、AAV血清型2に由来し、例えば、AAV血清型2のITRである。
【0096】
本開示のある特定の態様において、核酸分子は、2つのITRである5’ITRおよび3’ITRを含み、この場合、5’ITRは、核酸分子の5’末端に位置され、ならびに3’ITRは、核酸分子の3’末端に位置される。5’ITRおよび3’ITRは、同じウイルスまたは異なるウイルスに由来し得る。ある特定の実施形態において、5’ITRは、AAVに由来し、ならびに3’ITRは、AAVウイルスに由来しない(例えば、非AAV)。いくつの実施形態において、3’ITRは、AAVに由来し、ならびに5’ITRは、AAVウイルスに由来しない(例えば、非AAV)。他の実施形態において、5’ITRは、AAVウイルスに由来せず(例えば、非AAV)、ならびに3’ITRは、同じまたは異なる非AAVウイルスに由来する。
【0097】
用語「パルボウイルス」は、本明細書に使用される場合、パルボウイルス属のファミリー、例えば、これらに限定されるわけではないが、自己複製性パルボウイルスおよびディペンドウイルスなどを包含する。自律性パルボウイルスとしては、例えば、ボカウイルス属(Bocavirus)、ディペンドウイルス属(Dependovirus)、エリスロウイルス属(Erythrovirus)、アムドウイルス属(Amdovirus)、パルボウイルス属(Parvovirus,)、デンソウイルス属(Densovirus)、イテラウイルス属(Iteravirus)、コントラウイルス属(Contravirus)、アベパルボウイルス属(Aveparvovirus)、コピパルボウイルス属(Copiparvovirus)、プロトパルボウイルス属(Protoparvovirus)、テトラパルボウイルス属(Tetraparvovirus)、アンビデンソウイルス属(Ambidensovirus)、ブレビデンソウイルス属(Brevidensovirus)、ヘパンデンソウイルス属(Hepandensovirus)、およびペンスチルデンソウイルス属(Penstyldensovirus)のメンバーが挙げられる。
【0098】
例示的な自律性パルボウイルスは、としては、これらに限定されるわけではないが、ブタパルボウイルス、マウスマイニュートウイルス、イヌパルボウイルス、ミンク腸炎(entertitus)ウイルス、ウシパルボウイルス、ニワトリパルボウイルス、ネコ汎白血球減少症ウイルス、ネコパルボウイルス、ガチョウパルボウイルス、H1パルボウイルス、ノバリケンパルボウイルス、ヘビパルボウイルス、およびB19ウイルスが挙げられる。他の自律性パルボウイルスは、当業者に既知である。例えば、FIELDSら、VIROLOGY,2巻,69章(第4版,Lippincott-Raven Publishers)を参照されたい。
【0099】
用語「非AAV」は、本明細書に使用される場合、核酸、タンパク質、ならびにパルボウイルスファミリーの全てのアデノ随伴ウイルス(AAV)を除くファミリーパルボウイルスからのウイルスを包含する。「非AAV」としては、これらに限定されるわけではないが、ボカウイルス属、ディペンドウイルス属、エリスロウイルス属、アムドウイルス属、パルボウイルス属、デンソウイルス属、イテラウイルス属、コントラウイルス属、アベパルボウイルス属、コピパルボウイルス属、プロトパルボウイルス属、テトラパルボウイルス属、アンビデンソウイルス属、ブレビデンソウイルス属、ヘパンデンソウイルス属、およびペンスチルデンソウイルス属の自己複製性メンバーが挙げられる。
【0100】
本明細書において使用される場合、用語「アデノ随伴ウイルス」(AAV)は、これらに限定されるわけではないが、AAVタイプ1、AAVタイプ2、AAVタイプ3(タイプ3Aおよび3Bを含む)、AAVタイプ4、AAVタイプ5、AAVタイプ6、AAVタイプ7、AAVタイプ8、AAVタイプ9、AAVタイプ10、AAVタイプ11、AAVタイプ12、AAVタイプ13、ヘビAAV、トリAAV、ウシAAV、イヌAAV、ウマAAV、ヒツジAAV、ヤギAAV、エビAAV、それらのAAV血清型、およびGaoら(J.Virol.78:6381(2004))およびMorisら(Virol.33:375(2004))によって開示されるクレード、ならびに現在既知であるかまたは後に発見される任意の他のAAVを包含する。例えば、FIELDSら、VIROLOGY,volume 2,chapter 69(4th ed.,Lippincott-Raven Publishers)を参照されたい。
【0101】
用語「に由来する(derived from)」は、本明細書に使用される場合、明示された分子または有機体から単離されるかそれを使用して作製された成分、あるいは明示された分子または有機体からの情報(例えば、アミノ酸または核酸配列)を意味する。例えば、第2の核酸配列(例えば、ITR)に由来する核酸配列(例えば、ITR)は、第2の核酸配列のヌクレオチド配列と同一であるかまたは実質的に同様であるヌクレオチド配列を含み得る。ヌクレオチドまたはポリペプチドの場合、由来する種は、例えば、自然に生じる変異誘発、人工的な定方向変異誘発、または人工的な無作為変異誘発によって得ることができる。ヌクレオチドまたはポリペプチドを誘導するために使用される変異誘発は、故意に指向され得るか、または故意に無作為化され得るか、または、それぞれの混合であり得る。第1に由来する異なるヌクレオチドまたはポリペプチドを作り出すためのヌクレオチドまたはポリペプチドの変異誘発は、偶発的な事象(例えば、ポリメラーゼのインフィデリティによる)であり得、ならびに、由来するヌクレオチドまたはポリペプチドの識別は、例えば、本明細書において説明されるような、適切なスクリーニング方法によって行うことができる。ポリペプチドの変異誘発は、典型的には、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの操作を伴う。いくつの実施形態において、第2ヌクレオチドまたはアミノ酸配列に由来するヌクレオチドまたはアミノ酸配列は、それぞれ、第2のヌクレオチドまたはアミノ酸配列に対して少なくとも50%、少なくとも51%、少なくとも52%、少なくとも53%、少なくとも54%、少なくとも55%、少なくとも56%、少なくとも57%、少なくとも58%、少なくとも59%、少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有し、この場合、第1のヌクレオチドまたはアミノ酸配列は、第2のヌクレオチドまたはアミノ酸配列の生物活性を維持する。他の実施形態において、非AAV(またはAAV)のITRに由来するITRは、非AAV ITR(または、それぞれ、AAV ITR)に対して少なくとも90%同一であり、この場合、非AAV(またはAAV)ITRは、非AAV ITR(または、それぞれ、AAV ITR)の機能的特性を維持する。いくつの実施形態において、非AAV(またはAAV)のITRに由来するITRは、非AAV ITR(または、それぞれ、AAV ITR)に対して少なくとも80%同一であり、この場合、非AAV(またはAAV)ITRは、非AAV ITR(または、それぞれ、AAV ITR)の機能的特性を維持する。いくつの実施形態において、非AAV(またはAAV)のITRに由来するITRは、非AAV ITR(または、それぞれ、AAV ITR)に対して少なくとも70%同一であり、この場合、非AAV(またはAAV)ITRは、非AAV ITR(または、それぞれ、AAV ITR)の機能的特性を維持する。いくつの実施形態において、非AAV(またはAAV)のITRに由来するITRは、非AAV ITR(または、それぞれ、AAV ITR)に対して少なくとも60%同一であり、この場合、非AAV(またはAAV)ITRは、非AAV ITR(または、それぞれ、AAV ITR)の機能的特性を維持する。いくつの実施形態において、非AAV(またはAAV)のITRに由来するITRは、非AAV ITR(または、それぞれ、AAV ITR)に対して少なくとも50%同一であり、この場合、非AAV(またはAAV)ITRは、非AAV ITR(または、それぞれ、AAV ITR)の機能的特性を維持する。
【0102】
ある特定の実施形態において、非AAV(またはAAV)のITRに由来するITRは、非AAV(またはAAV)のITRの断片を含むかまたはそれからなる。いくつの実施形態において、非AAV(またはAAV)のITRに由来するITRは、非AAV(またはAAV)のITRの断片を含むかまたはそれからなり、この場合、断片は、少なくとも約5ヌクレオチド、少なくとも約10ヌクレオチド、少なくとも約15ヌクレオチド、少なくとも約20ヌクレオチド、少なくとも約25ヌクレオチド、少なくとも約30ヌクレオチド、少なくとも約35ヌクレオチド、少なくとも約40ヌクレオチド、少なくとも約45ヌクレオチド、少なくとも約50ヌクレオチド、少なくとも約55ヌクレオチド、少なくとも約60ヌクレオチド、少なくとも約65ヌクレオチド、少なくとも約70ヌクレオチド、少なくとも約75ヌクレオチド、少なくとも約80ヌクレオチド、少なくとも約85ヌクレオチド、少なくとも約90ヌクレオチド、少なくとも約95ヌクレオチド、少なくとも約100ヌクレオチド、少なくとも約125ヌクレオチド、少なくとも約150ヌクレオチド、少なくとも約175ヌクレオチド、少なくとも約200ヌクレオチド、少なくとも約225ヌクレオチド、少なくとも約250ヌクレオチド、少なくとも約275ヌクレオチド、少なくとも約300ヌクレオチド、少なくとも約325ヌクレオチド、少なくとも約350ヌクレオチド、少なくとも約375ヌクレオチド、少なくとも約400ヌクレオチド、少なくとも約425ヌクレオチド、少なくとも約450ヌクレオチド、少なくとも約475ヌクレオチド、少なくとも約500ヌクレオチド、少なくとも約525ヌクレオチド、少なくとも約550ヌクレオチド、少なくとも約575ヌクレオチド、または少なくとも約600ヌクレオチドを含み;非AAV(またはAAV)のITRに由来するITRは、非AAV ITR(または、それぞれ、AAV ITR)の機能的特性を維持する。ある特定の実施形態において、非AAV(またはAAV)のITRに由来するITRは、非AAV(またはAAV)のITRの断片を含むかまたはそれからなり、この場合、断片は、少なくとも約129のヌクレオチドを含み、ならびに非AAV(またはAAV)のITRに由来するITRは、非AAV ITR(または、それぞれ、AAV ITR)の機能的特性を維持する。ある特定の実施形態において、非AAV(またはAAV)のITRに由来するITRは、非AAV(またはAAV)のITRの断片を含むかまたはそれからなり、この場合、断片は、少なくとも約102のヌクレオチドを含み、ならびに非AAV(またはAAV)のITRに由来するITRは、非AAV ITR(または、それぞれ、AAV ITR)の機能的特性を維持する。
【0103】
いくつの実施形態において、非AAV(またはAAV)のITRに由来するITRは、非AAV(またはAAV)のITRの断片を含むかまたはそれからなり、この場合、断片は、非AAV(またはAAV)のITRの長さの少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%を含む。
【0104】
ある特定の実施形態において、第2ヌクレオチドまたはアミノ酸配列に由来するヌクレオチドまたはアミノ酸配列は、適切にアラインメントされた場合に、それぞれ、第2のヌクレオチドまたはアミノ酸配列の相同部分に対して少なくとも50%、少なくとも51%、少なくとも52%、少なくとも53%、少なくとも54%、少なくとも55%、少なくとも56%、少なくとも57%、少なくとも58%、少なくとも59%、少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有し、この場合、第1のヌクレオチドまたはアミノ酸配列は、第2のヌクレオチドまたはアミノ酸配列の生物活性を維持する。他の実施形態において、非AAV(またはAAV)のITRに由来するITRは、適切にアラインメントされた場合に、非AAV ITR(または、それぞれ、AAV ITR)の相同部分に対して少なくとも90%同一であり、この場合、第1のヌクレオチドまたはアミノ酸配列は、第2のヌクレオチドまたはアミノ酸配列の生物活性を維持する。いくつの実施形態において、非AAV(またはAAV)のITRに由来するITRは、適切にアラインメントされた場合に、非AAV ITR(または、それぞれ、AAV ITR)の相同部分に対して少なくとも80%同一であり、この場合、第1のヌクレオチドまたはアミノ酸配列は、第2のヌクレオチドまたはアミノ酸配列の生物活性を維持する。いくつの実施形態において、非AAV(またはAAV)のITRに由来するITRは、適切にアラインメントされた場合に、非AAV ITR(または、それぞれ、AAV ITR)の相同部分に対して少なくとも70%同一であり、この場合、第1のヌクレオチドまたはアミノ酸配列は、第2のヌクレオチドまたはアミノ酸配列の生物活性を維持する。いくつの実施形態において、非AAV(またはAAV)のITRに由来するITRは、適切にアラインメントされた場合に、非AAV ITR(または、それぞれ、AAV ITR)の相同部分に対して少なくとも60%同一であり、この場合、第1のヌクレオチドまたはアミノ酸配列は、第2のヌクレオチドまたはアミノ酸配列の生物活性を維持する。いくつの実施形態において、非AAV(またはAAV)のITRに由来するITRは、適切にアラインメントされた場合に、非AAV ITR(または、それぞれ、AAV ITR)の相同部分に対して少なくとも50%同一であり、この場合、第1のヌクレオチドまたはアミノ酸配列は、第2のヌクレオチドまたはアミノ酸配列の生物活性を維持する。
【0105】
「無カプシド(capsid-free)」または「カプシドなし(capsid-less)」ベクターまたは核酸分子は、カプシドのないベクターコンストラクトを意味する。いくつの実施形態において、カプシドなしベクターまたは核酸分子は、例えば、AAV Repタンパク質などをコードする配列を含まない。いくつの実施形態において、無カプシドまたはカプシドなしベクターは、共有結合性クローズドエンドを含み得、本明細書において「クローズドエンドDNA(ceDNA)」と呼ばれる。概して、本明細書において説明されるceDNAは、本発明のバキュロウイルス発現システムを使用して作製することができ、ならびにceDNAは、概して、どちらか側でITR(例えば、AAVまたは非AAV ITR)が隣接する異種遺伝子産物をコードする少なくとも1つの核酸を含む。
【0106】
本明細書において使用される場合、「コード領域」または「コード配列」は、アミノ酸へ翻訳可能なコドンからなる、ポリヌクレオチドの一部である。「停止コドン」(TAG、TGA、またはTAA)は、典型的には、アミノ酸へと翻訳されないが、コード領域の一部であると見なすことができ、しかし、任意の隣接配列、例えば、プロモーター、リボソーム結合部位、転写ターミネーター、イントロンなどは、コード領域の一部ではない。コード領域の境界は、典型的には、結果のポリペプチドのアミノ末端をコードする、5’末端における開始コドンおよび結果のポリペプチドのカルボキシル末端をコードする、3’末端における開始コドン翻訳停止コドンによって決定される。単一のポリヌクレオチドコンストラクトに、例えば、単一のベクターに、あるいは別々のポリヌクレオチドコンストラクトに、例えば、別々の(異なる)ベクターに、2つまたはそれ以上のコード領域が存在することができる。したがって、単一のベクターが、単一のコード領域のみを含み得るか、あるいは2つまたはそれ以上のコード領域を含み得るということになる。
【0107】
哺乳動物細胞によって分泌されるある特定のタンパク質は、粗面小胞体を越えて成長タンパク質鎖の搬出が開始された後に成熟タンパク質から切断される分泌シグナルペプチドに関連する。当業者は、シグナルペプチドは、概して、ポリペプチドのN末端に融合され、ならびに、完全または「全長」ポリペプチドから切断されて、分泌されたまたは「成熟した」形態のポリペプチドを産生することを承知している。ある特定の実施形態において、天然のシグナルペプチドまたはその配列の機能的誘導体は、それに作動可能に関連付けられたポリペプチドの分泌を指示する能力を維持する。あるいは、異種哺乳動物のシグナルペプチド、例えば、ヒト組織プラスミノーゲン活性化因子(TPA)またはマウスβ-グルクロニダーゼシグナルペプチドまたはその機能的誘導体を使用することができる。
【0108】
用語「下流」は、基準ヌクレオチド配列の3’側に位置されるヌクレオチド配列を意味する。ある特定の実施形態において、下流ヌクレオチド配列は、転写の開始点に続く配列に関連する。例えば、遺伝子の翻訳開始コドンは、転写の開始部位の下流に位置される。
【0109】
用語「上流」は、基準ヌクレオチド配列の5’側に位置されるヌクレオチド配列を意味する。ある特定の実施形態において、上流ヌクレオチド配列は、コード領域または転写の開始点の5’側に位置される配列に関する。例えば、ほとんどのプロモーターは、転写の開始部位の上流に位置される。
【0110】
本明細書において使用される場合、用語「遺伝子カセット」または「発現カセット」は、目的のポリヌクレオチド配列に作動可能に連結されたプロモーターを含む、適切な宿主細胞における特定のポリヌクレオチド配列の発現を指示することができるDNA配列を意味する。遺伝子のカセットは、コード領域の上流(5’非コード配列)、内、下流(3’非コード配列)に位置され、転写、RNAプロセシング、安定性、または関連コード領域の翻訳に影響を及ぼす、ヌクレオチドを包含する。コード領域が、真核細胞における発現を意図される場合、ポリアデニル化シグナルおよび転写終結配列は、通常、コード配列の3’側に位置されるであろう。いくつの実施形態において、遺伝子カセットは、遺伝子産物をコードするポリヌクレオチドを含む。いくつの実施形態において、遺伝子カセットは、miRNAをコードするポリヌクレオチドを含む。いくつの実施形態において、遺伝子カセットは、異種ポリヌクレオチド配列を含む。
【0111】
産物、例えば、miRNAなど、または遺伝子産物(例えば、治療用タンパク質などのポリペプチド)をコードするポリヌクレオチドは、プロモーターおよび/または、1つもしくはそれ以上のコード領域に作動可能に関連付けられた他の発現(例えば、転写または翻訳)制御配列を含むことができる。作動可能な関連において、遺伝子産物、例えば、ポリペプチドなど、のためのコード領域は、遺伝子産物の発現を調節領域の影響下または制御下に置くような様式において、1つまたはそれ以上の調節領域に関連する。例えば、プロモーター機能の誘導が、結果として、コード領域によってコードされた遺伝子産物をコードするmRNAの転写を生じる場合、ならびにプロモーターとコード領域との間の連結の性質が、遺伝子産物の発現を指示するプロモーターの能力を妨げないか、またはDNA鋳型の転写される能力を妨げない場合、コード領域およびプロモーターは、「作動可能に関連付けられている」。プロモーター以外の他の発現制御配列、例えば、エンハンサー、オペレーター、レプレッサー、および転写停止シグナルも、遺伝子産物の発現を指示するように、コード領域に作動可能に関連付けられている。
【0112】
「発現制御配列」は、宿主細胞におけるコード配列の発現を提供する調節ヌクレオチド配列、例えば、プロモーター、エンハンサー、ターミネーターなどを意味する。発現制御配列は、概して、作動可能に連結されたコード核酸の効率的な転写および翻訳を促進する任意の調節ヌクレオチド配列を包含する。発現制御配列の非限定的な例としては、プロモーター、エンハンサー、翻訳リーダー配列、イントロン、ポリアデニル化認識配列、RNAプロセシング部位、エフェクター結合部位、またはステム-ループ構造が挙げられる。様々な発現制御配列が、当業者に既知である。そのようなものとしては、これらに限定されるわけではないが、脊椎動物細胞において機能する発現制御配列、例えば、これに限定されるわけではないが、サイトメガロウイルスからのプロモーターおよびエンハンサーセグメント(イントロンAに関連して、最初期プロモーター)、シミアンウイルス40(初期プロモーター)、およびレトロウイルス(ラウス肉腫ウイルスなど)など、が挙げられる。他の発現制御配列としては、脊椎動物遺伝子に由来するもの、例えば、アクチン、熱ショックタンパク質、ウシ成長ホルモン、およびウサギβ-グロビン、ならびに真核生物細胞において遺伝子発現を制御することができる他の配列が挙げられる。追加の好適な発現制御配列としては、組織特異的プロモーターおよびエンハンサーならびにリンホカイン誘導性プロモーター(例えば、インターフェロンまたはインターロイキンによって誘導可能なプロモーター)が挙げられる。他の発現制御配列としては、イントロン配列、転写後調節エレメント、およびポリアデニル化シグナルが挙げられる。追加の例示的発現制御配列は、本開示における他の場所で説明される。
【0113】
同様に、様々な翻訳制御エレメントは、当業者に既知である。そのようなものとして、これらに限定されるわけではないが、リボソーム結合部位、翻訳開始コドンおよび終止コドンならびにピコルナウイルスに由来するエレメント(特に、内部リボソーム侵入部位、またはIRES、CITE配列とも呼ばれる)が挙げられる。
【0114】
用語「発現」は、本明細書に使用される場合、ポリヌクレオチドが遺伝子産物、例えば、RNAまたはポリペプチドを産生するプロセスを意味する。そのようなものとしては、これらに限定されるわけではないが、メッセンジャーRNA(mRNA)、トランスファーRNA(tRNA)、低分子ヘアピンRNA(shRNA)、低分子干渉RNA(siRNA)、または任意の他のRNA産物へのポリヌクレオチドの転写、ならびにポリペプチドへのmRNAの翻訳が挙げられる。発現は、「遺伝子産物」を産生する。本明細書において使用される場合、遺伝子産物は、核酸、例えば遺伝子の転写によって産生されるメッセンジャーRNAなど、または転写物から翻訳されるポリペプチド、のどちらかであり得る。本明細書において説明される遺伝子産物は、さらに、転写後修飾、例えば、ポリアデニル化またはスプライシングを伴う核酸、あるいは翻訳後修飾、例えば、メチル化、グリコシル化、脂質の追加、他のタンパク質サブユニットとの会合、またはタンパク質分解的切断を伴うポリペプチドを含む。用語「収量」は、本明細書に使用される場合、遺伝子の発現によって産生されるポリペプチドの量を意味する。
【0115】
「ベクター」は、宿主細胞への核酸のクローニングおよび/または移送のための任意の運搬体を意味する。ベクターは、結合させたセグメントの複製を行うために別の核酸セグメントを結合させることができるレプリコンであり得る。「レプリコン」は、インビボにおいて複製の自動ユニットとして機能する、すなわち、自身の制御下において複製することができる任意の遺伝的エレメント(例えば、プラスミド、ファージ、コスミド、染色体、ウイルス)を意味する。用語「ベクター」は、インビトロ、エクスビボ、またはインビボにおいて核酸を細胞に導入するための運搬体を包含する。例えば、プラスミド、改変された真核生物ウイルス、または改変された細菌ウイルスなど、多くのベクターが知られており、当技術分野において使用される。好適なベクターへのポリヌクレオチドの挿入は、適切なポリヌクレオチド断片を、相補凝集性終端にライゲートすることによって達成することができる。
【0116】
ベクターは、ベクターを組み込んだ細胞の選択または識別を提供する選択可能なマーカーまたはレポーターをコードするように操作することができる。選択可能なマーカーまたはレポーターの発現は、含まれた他のコード領域を組み込みベクター上において発現させる宿主細胞の識別および/または選択を可能にする。既知であり当技術分野において使用される選択可能なマーカーの例としては:アンピシリン、ストレプトマイシン、ゲンタマイシン、カナマイシン、ハイグロマイシン、ビアラホス除草剤、スルホアミドなどに対する耐性を提供する遺伝子;ならびに表現型マーカーとして使用される遺伝子、すなわち、アントシアニン調節遺伝子、イソペンタニルトランスフェラーゼ遺伝子など、が挙げられる。既知の当技術分野において使用されるレポーターの例としては:ルシフェラーゼ(Luc)、緑色蛍光タンパク質(GFP)、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)、βガラクトシダーゼ、(LacZ)、βグルクロニダーゼ(Gus)など、が挙げられる。選択可能なマーカーは、レポーターであると見なすことができる。
【0117】
用語「宿主細胞」は、本明細書に使用される場合、例えば、ssDNAまたはベクターのレシピエントとして使用することができるかまたは使用された、微生物、酵母細胞、昆虫細胞、および哺乳動物細胞を意味する。この用語は、形質導入された原細胞の子孫を包含する。したがって、「宿主細胞」は、本明細書に使用される場合、概して、外因性DNA配列を形質導入された細胞を意味する。単一の親細胞の子孫は、自然の、偶発的な、または、故意の変異により、元の親に対してモルホロジーまたはゲノムまたは全DNA補体において必ずしも完全に同一であり得るわけではない。いくつの実施形態において、宿主細胞は、インビトロ宿主細胞であり得る。
【0118】
用語「選択可能なマーカー」は、識別因子(通常は、抗生物質もしくは化学物質耐性遺伝子、これは、マーカー遺伝子の効果、すなわち、抗生物質に対する耐性、除草剤に対する耐性に基づいて選択することができる)、比色マーカー、酵素、蛍光マーカーなどを意味し、この場合、効果は、目的の核酸の遺伝物を追跡するため、および/または目的の核酸を受け継いだ細胞または生物体を識別するために使用される。既知であり当技術分野において使用される選択可能なマーカーの例としては:アンピシリン、ストレプトマイシン、ゲンタマイシン、カナマイシン、ハイグロマイシン、ビアラホス除草剤、スルホアミドなどに対する耐性を提供する遺伝子;ならびに表現型マーカーとして使用される遺伝子、すなわち、アントシアニン調節遺伝子、イソペンタニルトランスフェラーゼ遺伝子など、が挙げられる。
【0119】
用語「レポーター遺伝子」は、レポーター遺伝子の効果に基づいて識別することができる識別因子をコードする核酸を意味し、この場合、効果は、目的の核酸の遺伝物を追跡するため、目的の核酸を受け継いだ細胞または生物体を識別するため、および/または、遺伝子発現誘導または転写を測定するために使用される。既知の当技術分野において使用されるレポーター遺伝子の例としては:ルシフェラーゼ(Luc)、緑色蛍光タンパク質(GFP)、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)、βガラクトシダーゼ(LacZ)、βグルクロニダーゼ(Gus)などが挙げられる。選択可能なマーカー遺伝子は、レポーター遺伝子であると見なすことができる。
【0120】
「プロモーター」および「プロモーター配列」は、相互互換的に使用され、コード配列または機能的RNAの発現を制御することができるDNA配列を意味する。概して、コード配列は、’プロモーター配列の3’側に位置される。プロモーターは、その全体が天然遺伝子に由来し得るか、または天然に見出される異なるプロモーターに由来する異なるエレメントで構成され得るか、または合成DNAセグメントをも含み得る。異なるプロモーターは、異なる組織または細胞型において、または異なる発生段階において、または異なる環境的生理的条件に応じて、遺伝子の発現を指示することができる。ほとんどの場合に遺伝子を大抵の細胞型において発現させるプロモーターは、一般的に「構成的プロモーター」と呼ばれる。遺伝子を特定の細胞型において発現させるプロモーターは、一般的に「細胞特異的プロモーター」または「組織特異的プロモーター」と呼ばれる。遺伝子を発生または細胞分化の特定の段階において発現させるプロモーターは、一般的に「発生特異的プロモーター」または「細胞分化特異的プロモーター」と呼ばれる。薬剤、生物学的分子、化学物質、リガンド、光、またはプロモーターを誘導する同様のもの、による細胞の曝露または処理の後に遺伝子を発現させるかまたは発現を誘導するプロモーターは、一般的に「誘導性プロモーター」または「調節可能なプロモーター」と呼ばれる。さらに、ほとんどの場合、調節配列の正確な境界は、完全に定義されていないため、異なる長さのDNA断片が、同じプロモーター活性を有することができる。
【0121】
プロモーター配列は、典型的には、転写開始部位によってその3’終端において境界され、バックグラウンドを上回る検出可能なレベルにおいて転写を開始するのに必要な最小数の塩基またはエレメントを含むように上流(5’方向)に広がる。転写開始部位(例えば、ヌクレアーゼS1によるマッピングなどによって簡便に定義される)、ならびにRNAポリメラーゼの結合を担うタンパク質結合ドメイン(コンセンサス配列)が、プロモーター配列内に見出されるであろう。
【0122】
いくつの実施形態において、核酸分子は、組織特異的プロモーターを含む。ある特定の実施形態において、組織特異的プロモーターは、肝臓における、例えば、肝細胞および/または内皮細胞における、治療用タンパク質、例えば、凝固因子の発現を駆動する。特定の実施形態において、プロモーターは、マウストランスチレチンプロモーター(mTTR)、天然ヒト因子VIIIプロモーター、ヒトアルファ-1-アンチトリプシンプロモーター(hAAT)、ヒトアルブミン最小プロモーター、マウスアルブミンプロモーター、トリステトラプロリン(TTP)プロモーター、CASIプロモーター、CAGプロモーター、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、ホスホグリセリン酸キナーゼ(PGK)プロモーター、およびそれらの任意の組合せからなる群から選択される。いくつの実施形態において、プロモーターは、肝臓特異的プロモーター(例えば、α1-アンチトリプシン(AAT))、筋肉特異的プロモーター(例えば、筋肉クレアチンキナーゼ(MCK)、ミオシン重鎖α(αMHC)、ミオグロビン(MB)、およびデスミン(DES))、合成のプロモーター(例えば、SPc5-12、2R5Sc5-12、dMCK、およびtMCK)、ならびにそれらの任意の組合せから選択される。特定の一実施形態において、プロモーターは、TTPプロモーターを含む。
【0123】
用語「制限エンドヌクレアーゼ」および「制限酵素」は、相互互換的に使用され、二本鎖DNA内の特定のヌクレオチド配列に結合して切断する酵素を意味する。
【0124】
用語「プラスミド」は、しばしば、通常は、環状二本鎖DNA分子の形態において、細胞の中心的な代謝の一部でない遺伝子を運搬する染色体外エレメントを意味する。そのようなエレメントは、任意の供給源に由来する、自己複製性配列、ゲノム組込み配列、ファージまたはヌクレオチド配列、直鎖状、環状、もしくは高次コイル状の一本鎖または二本鎖DNAまたはRNAであり得、この場合、多くのヌクレオチド配列が、ユニークコンストラクトに接合または再結合しており、それらは、適切な3’非翻訳配列を伴う選択された遺伝子産物のためのプロモーター断片およびDNA配列を細胞内に導入することができる。
【0125】
使用することができる真核ウイルスベクターとしては、これらに限定されるわけではないが、アデノウイルスベクター、レトロウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、ポックスウイルス、例えば、種痘疹ウイルスベクター、パキュロウイルスベクター、またはヘルペスウイルスベクターが挙げられる。非ウイルスベクターは、プラスミド、リポソーム、荷電された脂質(サイトフェクチン(cytofectin))、DNA-タンパク質複合体、およびバイオポリマーを含む。
【0126】
「クローニングベクター」は、「レプリコン」を意味し、それは、連続して複製する核酸のユニット長であり、複製起点を含み、例えば、プラスミド、ファージ、またはコスミドなどであり、それらは、結合したセグメントの複製を行うために、別の核酸セグメントを結合させることができる。ある特定のクローニングベクターは、ある細胞型、例えば細菌、における複製と、別の細胞、例えば、真核生物細胞、における発現を可能にする。クローニングベクターは、典型的には、目的の核酸配列の挿入のためのベクターおよび/または1つもしくはそれ以上の複数のクローニング部位を含む細胞の選択のために使用することができる1つまたはそれ以上の配列を含む。
【0127】
用語「発現ベクター」は、宿主細胞への挿入の後に、挿入された核酸配列の発現を可能にするように設計された運搬体を意味する。挿入された核酸配列は、上記において説明されるような調節領域との作動可能な関連において配置される。
【0128】
ベクターは、当技術分野において周知の方法、例えば、トランスフェクション、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション、形質導入、細胞融合、DEAEデキストラン、リン酸カルシウム沈殿、リポフェクション(リソゾーム融合)、遺伝子銃の使用、またはDNAベクタートランスポータ、によって宿主細胞内に導入される。「培養(Culture)」、「培養する(to culture)」、および「培養すること(culturing)」は、本明細書に使用される場合、細胞の増殖または分裂を可能にするかまたは細胞を生きた状態に維持することを可能にするインビトロ条件下において細胞をインキュベートすることを意味する。「培養細胞」は、本明細書に使用される場合、インビトロにおいて伝搬される細胞を意味する。
【0129】
当技術分野において知られる用語「パーセント同一性」は、配列を比較することによって特定される、2つもしくはそれ以上のポリペプチド配列または2つもしくはそれ以上のポリヌクレオチド配列の間の関係性である。当技術分野において、「同一性」は、それが可能な場合、そのような配列の鎖の間の一致によって特定されるようなポリペプチドまたはポリヌクレオチド配列の間の配列関連性の程度も意味する。「同一性」は、既知の方法、例えば、これらに限定されるわけではないが、以下:Computational Molecular Biology(Lesk,A.M.,ed.)Oxford University Press,New York(1988);Biocomputing:Informatics and Genome Projects(Smith,D.W.,ed.)Academic Press,New York(1993);Computer Analysis of Sequence Data,Part I(Griffin,A.M.,and Griffin,H.G.,eds.)Humana Press,New Jersey(1994);Sequence Analysis in Molecular Biology(von Heinje,G.,ed.)Academic Press(1987);およびSequence Analysis Primer(Gribskov,M.and Devereux,J.,eds.)Stockton Press,New York(1991)、に記載の方法などによって容易に計算することができる。同一性を特定するための好ましい方法は、試験された配列間での最大の一致を与えるように設計される。同一性を特定する方法は、公的に利用可能なコンピュータプログラムにおいて成文化される。配列アライメントおよびパーセント同一性の計算は、配列解析ソフトウェア、例えば、LASERGENE bioinformatics computing suite(DNASTAR Inc.,Madison,WI)のMegalignプログラム、プログラム(Wisconsin Package Version 9.0、Genetics Computer Group(GCG),Madison,WI)のGCGスイート、BLASTP、BLASTN、BLASTX(Altschulら,J.Mol.Biol.215:403(1990))、およびDNASTAR(DNASTAR,Inc.1228 S.Park St.Madison,WI 53715 USA)などを使用して実施することができる。この適用の文脈中において、配列解析ソフトウェアが解析のために使用される場合、解析の結果は、特に明記されない限り、参照されたプログラムの「デフォルト値」に基づくであろうことは理解されるであろう。本明細書において使用される場合、「デフォルト値」は、最初に開始されたときソフトウェアによって元々ロードされた値またはパラメータの任意のセットを意味するであろう。
【0130】
本明細書において使用される場合、本開示の特定の配列のヌクレオチドに対応するヌクレオチドは、参照配列に対する同一性を最大にするために、本開示の配列のアライメントによって識別される。参照配列における同等のアミノ酸を識別するために使用される数値は、本開示の配列における対応するアミノ酸を識別するために使用される数値に基づく。
【0131】
本明細書において使用される場合、用語「異種(heterologous)」または「外因性」は、所定の状況において、例えば、細胞またはポリペプチドにおいて通常は見出されない分子を意味する。例えば、外因性または異種分子は、細胞に導入することができ、ならびに、例えば、トランスフェクションなどによる細胞の操作の後にのみ存在し、または遺伝子操作されたまたは異種アミノ酸配列の他の形態は、それが天然には見出されないようなタンパク質に存在することができる。
【0132】
本明細書において使用される場合、用語「異種ヌクレオチド配列」は、所定のポリヌクレオチド配列によって自然には生じないヌクレオチド配列を意味する。一実施形態において、異種ヌクレオチド配列は、治療用タンパク質、例えば、凝固因子、例えば、FVIII、の半減期を延長することができるポリペプチドをコードする。別の実施形態において、異種ヌクレオチド配列は、治療用タンパク質、例えば、凝固因子、例えば、FVIII、の流体力学半径を増加させるポリペプチドをコードする。他の実施形態では、異種ヌクレオチド配列は、その生物活性または機能(例えば、プロコアグラント活性)にあまり影響を及ぼすことなく、治療用タンパク質の1つまたはそれ以上の薬物動態特性を改善するポリペプチドをコードする。いくつの実施形態において、治療用タンパク質は、異種ヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチドに、リンカーによって連結されるかまたは接続される。異種ヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチド部分の非限定的な例としては、免疫グロブリンの定常領域またはその一部分、アルブミンまたはその断片、アルブミン結合部分、トランスフエリン、米国特許出願公開第20100292130号のPASポリペプチド、HAP配列、トランスフエリンまたはその断片、ヒト絨毛性ゴナドトロピンのβサブユニットのC末端ペプチド(CTP)、アルブミン結合小分子、XTEN配列、FcRn結合部分(例えば、FcRnに結合する完全な定常領域またはその一部分)、単鎖Fc領域(例えば、米国特許第2008/0260738号、国際公開第2008/012543号、または国際公開第2008/1439545号に記載されるような、ScFc領域)、ポリグリシンリンカー、ポリセリンリンカー、中でも50%未満から50%超の二次構造の様々な程度のグリシン(G)、アラニン(A)、セリン(S)、トレオニン(T)、グルタメート(E)、およびプロリン(P)から選択される2つのタイプのアミノ酸の6~40のアミノ酸によるペプチドおよび低分子ポリペプチド、あるいはそれらの2つまたはそれ以上の組合せが挙げられる。いくつの実施形態において、異種ヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチドは、非ポリペプチド部分に連結される。非ポリペプチド部分の非限定的な例としては、ポリエチレングリコール(PEG)、アルブミン結合小分子、ポリシアル酸、ヒドロキシエチルデンプン(HES)、その誘導体、またはその任意の組合せが挙げられる。
【0133】
本明細書において使用される場合、ヌクレオチド配列に関して、用語「最適化された(optimized)」は、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を意味し、この場合、ポリヌクレオチド配列は、そのポリヌクレオチド配列の特性を強化するように変異されている。いくつの実施形態において、最適化は、転写レベルを増加させるため、翻訳レベルを増加させるため、定常状態mRNAレベルを増加させるため、一般転写因子などの調節タンパク質の結合を増加もしくは減少させるため、スプライシングを増加もしくは減少させるため、またはポリヌクレオチド配列によって産生されるポリペプチドの収量を増加させるために行われる。ポリヌクレオチド配列を最適化するためにポリヌクレオチド配列に対して為される変更の例としては、コドン最適化、G/C含量最適化、反復配列の除去、ATリッチエレメントの除去、隠れた切断部位の除去、転写または翻訳を抑制するシス作用性エレメントの除去、ポリTまたはポリA配列の追加または除去、Kozakコンセンサス配列など、転写機能を高める転写開始部位周囲への配列の追加、ステムループ構造を形成することができる配列の除去、不安定化配列の除去、ならびにそれらの2つまたはそれ以上の組合せが挙げられる。
【0134】
本明細書において使用される場合、用語「bacmid」は、大腸菌および昆虫細胞の両方において伝搬することができるシャトルベクターを意味する。組換えbacmidは、異種配列(例えば、異種遺伝子をコードする異種配列)を含むbacmidを意味する。
【0135】
II.バキュロウイルス発現ベクターシステム
バキュロウイルスシャトルベクター(bacmid)および/または、治療薬産物を産生するように操作された安定細胞株を含むバキュロウイルス発現ベクターシステムが、本明細書において提供される。本明細書において提供されるバキュロウイルス発現ベクターシステムは、2つまたはそれ以上の外来配列挿入部位を含む組換えbacmid、ならびに外来配列挿入部位への外来配列(例えば、異種遺伝子)の挿入を媒介することができる1つまたはそれ以上のドナーベクターを含む。
【0136】
いくつの実施形態において、治療薬産物は、タンパク質である。いくつの実施形態において、治療薬産物は、核酸である。いくつの実施形態において、治療薬産物は、例えば、ワクチン、タンパク質置換療法(例えば、酵素置換療法)、ならびに基礎および応用研究のための組換えタンパク質などの様々な用途において使用される組換えタンパク質である。ある特定の実施形態において、治療薬産物は、DNA治療薬物質であり、それは、標的配列をコードする、プラスミド様の無カプシド核酸分子である。DNA治療薬物質は、共有結合性クローズドエンドDNA(ceDNA)の形態であり得る。概して、ceDNAは、第1の逆方向末端反復(5’ITR)と第2のITR(3’ITR)との間に位置された治療用タンパク質-コード遺伝子を含む。
【0137】
ある特定の実施形態において、5’ITRおよび3’ITRは、アデノ随伴ウイルス(AAV)ITRまたは非AAV ITRである。ある特定の実施形態において、非AAV ITRは、ウイルスファミリーパルボウイルス属のメンバーから得られるITRである。好適なITR配列は、当業者に既知のAAV血清型のAAV ITRを含む。好適なAAVおよび非AAV ITR配列は、国際公開第2019032898(A1)号、国際公開第2020033863(A1)号、および国際公開第2017152149(A1)号に記載されており、なお、当該文献の開示は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。例えば、非AAV ITR配列は、ガチョウパルボウイルス(GPV)またはパルボウイルスB19(本明細書において「B19」とも呼ばれる)に由来し得る。
【0138】
A.バキュロウイルスシャトルベクター(Bacmid)
バキュロウイルスは、昆虫に感染する最も顕著なウイルスである。500を超えるバキュロウイルス分離株が特定されており、その大部分が、鱗翅目の昆虫に起源を有する。2つの最も一般的な分離株は、オートグラファカリフォルニア核多角体病ウイルス(AcMNPV)およびカイコ核多角体病ウイルス(BmNPV)である。遺伝子療法のためのウイルスもしくは非ウイルスベクターを製造する場合、しばしば、いくつかのバキュロウイルス発現ベクターを昆虫宿主細胞に感染させる必要がある。それぞれのバキュロウイルス発現ベクターの生成は時間がかかり、製造のためのコストを引き上げ、このことは、本発明の前のバキュロウイルス発現ベクターシステムの重要な短所を代表している。
【0139】
ある特定の実施形態において、本明細書において提供されるバキュロウイルス発現ベクターシステムは、本明細書において「BIVVBac」と呼ばれる組換えbacmidを含む。BIVVBacの代表的な概略図が、
図1Cに示される。ある特定の実施形態において、BIVVBacは、少なくとも2つの外来配列挿入部位を含む遺伝子改変AcMNPVである。少なくとも2つの外来配列挿入部位を含むbacmidを含むバキュロウイルス発現ベクターシステムは、生成する必要があるバキュロウイルス発現ベクターの総数の減少を可能にする。いくつの実施形態において、本発明の単一のバキュロウイルス発現ベクターは、遺伝子療法ベクターを製造するために必要である。
【0140】
ある特定の実施形態において、BIVVBacは、第1および第2の外来配列挿入部位を含む。第1および第2の外来配列挿入部位は、異なっていてもよく、外来配列の挿入を駆動するために様々な機構を利用する(例えば、異種配列、異種遺伝子)。外来配列の挿入は、当技術分野において既知の任意の方法によって駆動される。例えば、外来配列は、転移または部位特異的組換えによって挿入される。外来配列挿入部位は、外来配列の挿入においてレポーター遺伝子が妨害されるようにレポーター遺伝子内に含まれるように設計される。レポーター遺伝子の妨害は、そこに挿入された外来配列を有するbacmidクローンの識別に役立ち得る。そのような実施形態において、外来配列挿入部位がインフレームにおいてレポーター遺伝子と融合されるか、または、レポーター遺伝子がインフレームにおいて外来配列挿入部位と融合される。
【0141】
ある特定の実施形態において、第1および第2の外来配列挿入部位は、AcMNPV内の異なる遺伝子座に位置される。ある特定の実施形態において、第1および第2の外来配列挿入部位は、AcMNPV内の異なる非必須遺伝子座に位置される。AcMNPVの様々な非必須遺伝子座は、当業者に既知である。例えば、ポリヘドリン遺伝子およびEGT遺伝子は、昆虫細胞でのウイルス複製のための非必須AcMNPV遺伝子である。したがって、ある特定の実施形態において、第1の外来配列挿入部位は、AcMNPVのポリヘドリン遺伝子座に位置され、ならびに第2の外来配列挿入部位は、AcMNPVのEGT遺伝子座に位置される。
【0142】
ある特定の実施形態において、第1の外来配列挿入部位は、転移による外来配列の挿入を可能にする。ある特定の実施形態において、第1の外来配列挿入部位は、トランスポゾンの挿入のための選択的標的部位を含む。ある特定の実施形態において、第1の外来配列挿入部位は、トランスポゾンの挿入のための選択的標的部位である。ある特定の実施形態において、第1の外来配列挿入部位は、細菌トランスポゾンのための付着部位である選択的標的部位である。好適な細菌トランスポゾンおよびそれらの対応する付着部位は、当業者に既知である。例えば、トランスポゾンTn7は、高頻度において細菌染色体(attTn7)の特定の部位に転移するその能力で知られる。したがって、ある特定の実施形態において、第1の外来配列挿入部位は、Tn7トランスポゾン(例えば、attTn7)のための付着部位である選択的標的部位である。いくつの実施形態において、第1の外来配列挿入部位は、ミニTn7トランスポゾン(例えば、ミニ-attTn7、Tn7転移因子による認識およびTn7トランスポゾンの結合のために必要な最小DNA配列)のための付着部位である選択的標的部位である。
【0143】
ある特定の実施形態において、第1の外来配列挿入部位は、レポーター遺伝子とインフレームにおいて融合される。レポーター遺伝子は、例えば、ルシフェラーゼ(Luc)、緑色蛍光タンパク質(GFP)、赤色蛍光タンパク質(RFP)、特定の色の蛍光タンパク質、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)、βガラクトシダーゼ(LacZ)、βグルクロニダーゼ(Gus)などの当技術分野において既知の任意のレポーター遺伝子であり得る。ある特定の実施形態において、第1の外来配列挿入部位は、発色基質を代謝することができる酵素をコードするレポーター遺伝子とインフレームにおいて融合される。発色基質を代謝することができる酵素は、同じ特性を有する当技術分野において既知の酵素、例えば、LacZまたはその機能的部分であり得る。発色基質を代謝することができる酵素をコードするレポーター遺伝子は、陽性挿入事象の色ベースのスクリーニングにおいて使用される。例えば、LacZは、ブルー・ホワイトスクリーニングにおいて使用され、この場合、機能的LacZ遺伝子産物は、発色基質X-galまたはBlue-galを切断し、結果として青色色素の産生を生じる。ブルー・ホワイトスクリーニングにおいて、α相補性による機能的LacZの存在は、挿入事象が失敗したことを意味し、青色コロニーは、外来配列が挿入されなかったクローンを表す。その一方で、白色コロニーは、外来配列が首尾よく挿入されたクローンを表しており、それにより、機能的LacZ遺伝子産物の製造を妨害し、発色基質(例えば、X-gal)の切断を表す。
【0144】
したがって、ある特定の実施形態において、第1の外来配列挿入部位は、LacZαまたはその機能的部分をコードする配列とインフレームにおいて融合される細菌トランスポゾンのための選択的標的部位である。ある特定の実施形態において、第1の外来配列挿入部位は、LacZαまたはその機能的部分をコードする配列とインフレームにおいて融合されるTn7トランスポゾン(例えば、attTn7)のための付着部位である選択的標的部位である。首尾よい転移に関して、トランスポゾンは、LacZαをコードする配列を妨害し、その結果として、機能的LacZ遺伝子産物の製造の妨害を生じる。
【0145】
ある特定の実施形態において、第2の外来配列挿入部位は、部位特異的組換えによる外来配列の挿入を可能にする。ある特定の実施形態において、第2の外来配列挿入部位は、部位特異的組換え事象を媒介することができる選択的標的部位を含む。様々な部位特異的リコンビナーゼ技術は、当業者に既知である。例えば、Cre-LoxPシステムは、loxP部位と呼ばれる34の塩基対DNA配列を認識することができるCreリコンビナーゼによる部位特異的組換えを媒介する。したがって、第2の外来配列挿入部位は、Cre媒介性組換えのための選択的標的部位である。ある特定の実施形態において、第2の外来配列挿入部位は、Creリコンビナーゼによって認識されることができるLoxP部位またはそのバリアントを含む選択的標的部位である。
【0146】
本発明の組換えbacmidは、細菌細胞(例えば、大腸菌)および昆虫細胞の両方において伝搬されるその能力のために必要な他のエレメントを含む。例えば、本発明の組換えbacmidは、細菌レプリコンを含む。ある特定の実施形態において、bacmidは、細菌レプリコンを含む。様々な細菌レプリコンは、当業者に既知であり、例えば、Fプラスミド起源のレプリコンを含む。ある特定の実施形態において、好適な細菌レプリコンは、ミニFレプリコンであり、それは、複製および調整のために必要なDNA領域oriSおよびincCで構成されたFプラスミドの誘導体である。ある特定の実施形態において、細菌レプリコンは、低コピー数レプリコンである。ある特定の実施形態において、低コピー数レプリコンは、ミニFレプリコンである。
【0147】
本発明の組換えbacmidの他のエレメントは、1つまたはそれ以上の選択可能なマーカー配列、および他のレポーター遺伝子を含む。当技術分野において既知であり使用される選択可能なマーカーの例としては:アンピシリン、ストレプトマイシン、ゲンタマイシン、カナマイシン、ハイグロマイシン、ビアラホス除草剤、スルホアミドなどに対する耐性を提供する遺伝子;ならびに表現型マーカーとして使用される遺伝子、すなわち、アントシアニン調節遺伝子、イソペンタニルトランスフェラーゼ遺伝子など、が挙げられる。ある特定の実施形態において、組換えbacmidは、抗生物質耐性遺伝子を含む選択可能なマーカー配列を含む。ある特定の実施形態において、抗生物質耐性遺伝子は、カナマイシン耐性遺伝子であり、ならびにカナマイシンに対する耐性を付与する。当技術分野において既知であり使用されるレポーターの例としては:ルシフェラーゼ(Luc)、緑色蛍光タンパク質(GFP)、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)、βガラクトシダーゼ(LacZ)、βグルクロニダーゼ(Gus)など、が挙げられる。いくつかの場合において、選択マーカーは、レポーターであると見なすことができる。ある特定の実施形態において、組換えbacmidは、蛍光タンパク質をコードするレポーター遺伝子を含む。ある特定の実施形態において、蛍光タンパク質は、赤色蛍光タンパク質である。
【0148】
当業者は、本明細書において説明される組換えbacmidの様々なエレメントがお互いに作動可能な連結状態にあることを認識する。bacmidにおける様々なコード配列のそれぞれは、例えば、プロモーター配列などを含む調節領域と作動可能な連結状態にあり得る。当技術分野において既知の任意のプロモーター配列は、好適であり得る。
【0149】
したがって、本発明の組換えbacmidは、ミニFレプリコン、抗生物質耐性遺伝子、Tn7トランスポゾンのための付着部位を含むLacZαまたはその機能的部分、バキュロウイルス誘導性プロモーターに作動可能に連結された蛍光タンパク質をコードする遺伝子、ならびにLoxP部位またはそのバリアントを含む。
【0150】
ある特定の例示的実施形態において、本発明の組換えbacmidは、
図1Cに示されるBIVVBacである。ある特定の実施形態において、BIVVBacは、AcMNPV C6ゲノムをコードし、ならびに、2つの外来配列挿入部位:1)ポリヘドリン遺伝子座におけるミニattTn7、および2)EGT遺伝子座におけるLoxPをコードするように操作されている。ミニattTn7挿入配列は、Tn7媒介性転移の後の、組換えbacmidのX-gal媒介性ブルー/ホワイトスクリーニングのためのLac-プロモーター駆動大腸菌LacZα断片、ならびにCre媒介性インビトロまたはインビボ組換えのためのLoxP部位、とインフレームにおいて融合される。BIVVBacは、AcMNPV39Kプロモーターの制御下の赤色蛍光タンパク質遺伝子も含み、その後に、etsポリアデニル化シグナルが続く。
【0151】
ある特定の例示的実施形態において、BIVVBacは、Tn7媒介性転移を可能にすることができる細菌株に導入される。ある特定の実施形態において、細菌株は、大腸菌株である。ある特定の実施形態において、細菌株は、大腸菌DH10B細菌である。ある特定の実施形態において、Tn7トランスポザーゼ遺伝子tnsA-Eおよびテトラサイクリン抵抗性をコードするヘルパープラスミドが、BIVVBacを保持するDH10B大腸菌に導入される。BIVVBacおよびヘルパープラスミドを保持するDH10B大腸菌は、本明細書においてBIVVBacDH10Bと呼ばれる。
【0152】
任意の外来配列(例えば、異種配列)を、Tn7媒介性転移を介してBIVVBacに導入することができる。ある特定の実施形態において、外来配列は、外来配列を含むTn7トランスファーベクターをBIVVBacDH10Bに導入することによってTn7媒介性転移を介してBIVVBacに導入され、その結果として、外来配列を含むBIVVBacを生じる。ある特定の実施形態において、外来配列を含むBIVVBacは、細菌レプリコン、第1の選択可能なマーカー配列、第1のレポーター遺伝子に挿入された外来配列(例えば、異種配列)を含み、この場合、挿入された外来配列は、第1のレポーター遺伝子のリーディングフレーム、バキュロウイルス誘導性プロモーターに作動可能に連結された第2のレポーター遺伝子、および部位特異的組換え事象を媒介することができる選択的標的部位を妨害する。
【0153】
ある特定の例示的実施形態において、遺伝子療法ベクターを作製する目的のために、AAVまたは非AAV Rep遺伝子が、Tn7媒介性転移を介してBIVVBacに導入される。ある特定の実施形態において、AAVまたは非AAV Rep遺伝子を含むTn7トランスファーベクターが、BIVVBacDH10B、に導入され、その結果として、Rep遺伝子を含むBIVVBacを生じる。ある特定の実施形態において、組換えbacmidは:ミニFレプリコン;第1の抗生物質耐性遺伝子;LacZαまたはその機能的部分に挿入されたB19 Repをコードする配列を含み、この場合、挿入されたB19 Repは、LacZαまたはその機能的部分のリーディングフレーム;バキュロウイルス誘導性プロモーターに作動可能に連結された蛍光タンパク質をコードする遺伝子;ならびにLoxP部位またはそのバリアントを妨害する。ある特定の実施形態において、組換えbacmidは:ミニFレプリコン;第1の抗生物質耐性遺伝子;LacZαまたはその機能的部分に挿入されたGPV Repをコードする配列を含み、この場合、挿入されたGPV Repは、LacZαまたはその機能的部分のリーディングフレーム;バキュロウイルス誘導性プロモーターに作動可能に連結された蛍光タンパク質をコードする遺伝子;ならびにLoxP部位またはそのバリアントを妨害する。ある特定の実施形態において、組換えbacmidは、ミニFレプリコン、第1の抗生物質耐性遺伝子;LacZαまたはその機能的部分に挿入されたAAV2 Repをコードする配列を含み、この場合、挿入されたAAV2 Repは、LacZαまたはその機能的部分のリーディングフレーム;バキュロウイルス誘導性プロモーターに作動可能に連結された蛍光タンパク質をコードする遺伝子;ならびにLoxP部位またはそのバリアントを妨害する。
【0154】
任意の外来配列(例えば、異種配列)を、Cre媒介性組換えを介してBIVVBacに導入することができる。ある特定の実施形態において、外来配列は、Cre媒介性組換えを介してBIVVBacに導入され、この場合、外来配列は、本明細書において説明されるCre-LoxPトランスファーベクター上に存在する。Cre媒介性組換えの方法は、当業者に周知である。
【0155】
ある特定の例示的実施形態において、遺伝子療法ベクターを作製する目的のために、対称または非対称AAVまたは非AAV逆方向末端反復(ITR)が隣接した治療用タンパク質-コード遺伝子が、Cre媒介性組換えを介してBIVVBacに導入される。ある特定の実施形態において、組換えbacmidは:ミニFレプリコン;抗生物質耐性遺伝子;T7トランスポゾンのための付着部位を含むLacZαまたはその機能的部分;部位特異的組換え事象を媒介することができる第1の選択的標的部位(例えば、第1のLoxP部位);対称性または非対称性AAVまたは非AAVITRが隣接した治療用タンパク質-コード遺伝子;ならびに部位特異的組換えイベントを媒介することができる第2の選択的標的部位(例えば、第2のLoxP部位)を含む。
【0156】
したがって、遺伝子療法ベクターを作製する目的のために、組換えbacmidは:LacZαまたはその機能的部分に挿入されたB19 Repをコードする配列を含み、この場合、挿入されたB19 Repは、LacZαまたはその機能的部分のリーディングフレーム;および異種配列を含む多重クローニング部位を妨害し、この場合、異種配列は、5’から3’に向かって:パルボウイルスB19に由来する野生型または切断型5’逆方向末端反復;タンパク質をコードする配列;タンパク質をコードする配列に作動可能に連結された1つまたはそれ以上の発現制御配列;およびパルボウイルスB19に由来する野生型または切断型3’逆方向末端反復を含む。
【0157】
したがって、遺伝子療法ベクターを作製する目的のために、組換えbacmidは:LacZαまたはその機能的部分に挿入されたGPV Repをコードする配列を含み、この場合、挿入されたGPV Repは、LacZαまたはその機能的部分のリーディングフレーム;ならびに異種配列を含む多重クローニング部位を妨害し、この場合、異種配列は、5’から3’に向かって:GPVに由来する野生型または切断型5’逆方向末端反復;タンパク質をコードする配列;タンパク質をコードする配列に作動可能に連結された1つまたはそれ以上の発現制御配列;およびGPVに由来する野生型または切断型3’逆方向末端反復を含む。
【0158】
したがって、遺伝子療法ベクターを作製する目的のために、組換えbacmidは:LacZαまたはその機能的部分に挿入されたAAV2 Repをコードする配列を含み、この場合、挿入されたAAV2 Repは、LacZαまたはその機能的部分のリーディングフレーム;ならびに異種配列を含む多重クローニング部位を妨害し、この場合、異種配列は、5’から3’に向かって:AAV2に由来する野生型または切断型5’逆方向末端反復;タンパク質をコードする配列;タンパク質をコードする配列に作動可能に連結された1つまたはそれ以上の発現制御配列;およびAAV2に由来する野生型または切断型3’逆方向末端反復を含む。
【0159】
したがって、遺伝子療法ベクターを作製する目的のために、組換えbacmidは:ミニattTn7部位に挿入されたヒトボカウイルス(HBoV1)Repをコードする配列、LacZα、またはその機能的部分を含み、この場合、挿入されたHBoV1 Repは、LacZαまたはその機能的部分のリーディングフレーム;ならびに異種配列を含む多重クローニング部位を妨害し、この場合、異種配列は、5’から3’に向かって:HBoV1に由来する野生型または切断型5’逆方向末端反復;タンパク質をコードする配列;タンパク質をコードする配列に作動可能に連結された1つまたはそれ以上の発現制御配列;およびHBoV1に由来する野生型または切断型3’逆方向末端反復を含む。
【0160】
ある特定の実施形態において、BIVVBac bacmidは、クローズドエンドDNA(ceDNA)を作製するために使用される。いくつの実施形態において、ceDNAは、単一のバキュロウイルス発現ベクターを使用することによって作製される。この「OneBAC」アプローチにおいて、単一のバキュロウイルス発現ベクター(例えば、BIVVBac)は、バキュロウイルスシステムにおけるceDNA作製のために必要な全ての必須エレメントをコードし、ならびに、潜在的に、ceDNA作製のための任意のバキュロウイルス許容細胞株において使用することができた。このアプローチは、
図13Aに表される。
【0161】
ある特定の実施形態において、ceDNAは、複数のバキュロウイルス発現ベクターを使用することによって作製される。この「TwoBAC」アプローチにおいて、ceDNA作製のために必要な全ての必須エレメントは、2つの異なるバキュロウイルス(例えば、2つのBIVVBac bacmids)に挿入され、ならびに、バキュロウイルス感染に対して許容的である任意の細胞株における共感染のために使用されるであろう。このアプローチは、
図13Bに表される。
【0162】
ある特定の実施形態において、ceDNAは、安定細胞株によって産生される。このアプローチにおいて、ceDNA作製にとって必要な必須エレメントは、バキュロウイルスシステムの両方の成分に挿入される。このアプローチは、
図13Cに表される。安定細胞株は、バキュロウイルス遺伝子プロモーター(例えば、バキュロウイルス構成的プロモーター)の制御下において配列をコードするタンパク質を安定に組み込むことによって生成することができる。ある特定の実施形態において、安定細胞株は、安定昆虫細胞株である。
【0163】
B.トランスファーベクター
本明細書において説明される組換えbacmidは、少なくとも2つの外来配列挿入部位を含む。ある特定の実施形態において、当該少なくとも2つの外来配列挿入部位は、1)Tn7媒介性転移のためのミニattTn7、および2)Cre媒介性部位特異的組換えのためのLoxPである。したがって、本発明のバキュロウイルス発現ベクターシステムは、さらに、組換えbacmidの外来配列挿入部位に挿入された外来配列を含む2つまたはそれ以上のトランスファーベクターを含む。
【0164】
Tn7トランスファーベクター
ある特定の実施形態において、トランスファーベクターは、組換えbacmidのミニattTn7に挿入される外来配列を含む。ある特定の実施形態において、トランスファーベクターは、Tn7トランスファーベクターである。ある特定の実施形態において、トランスファーベクターは、ミニTn7トランスファーベクターである。ある特定の実施形態において、Tn7トランスファーベクターは、組換えbacmidのミニattTn7への外来配列の転移を媒介することができるTn7の左端および右端(Tn7LおよびTn7R)を含む。
【0165】
ある特定の例示的実施形態において、遺伝子療法ベクターを作製する目的のために、Tn7トランスファーベクターは、AAVまたは非AAV Repに対するコード配列を含む。いくつの実施形態において、Rep発現コンストラクトが提供され、この場合、rep遺伝子は、pFastBac1トランスファーベクター(Invitrogen)におけるバキュロウイルス遺伝子プロモーターの制御下においてクローンされた非AAVまたはAAVの遺伝子である。ある特定の実施形態において、バキュロウイルス遺伝子プロモーターは、最初期(ie1)のためのプロモーターである。ある特定の実施形態において、バキュロウイルス遺伝子プロモーターは、ポリヘドリン遺伝子のためのプロモーターである。好適なバキュロウイルス遺伝子プロモーターは、当業者に既知である。ある特定の実施形態において、好適なバキュロウイルス遺伝子プロモーターは、最初期、初期、後期、または最晩期の遺伝子プロモーターである。
【0166】
ある特定の実施形態において、Repコード配列は、Rep78の標準開始コドンが非標準開始コドンへと改変されるように改変される。ある特定の実施形態において、Rep52の開始コドンの前の他のAUGコドンは、漏出性リボソーマルスキャンニングメカニズムによって単一mRNA転写物からのRep78およびRep52ポリペプチドの発現を可能にするために、いずれかのサイレント変異に耐えるように変異されるか(フレーム外の場合)または保存的アミノ酸置換をコードするように変異される(インフレームの場合)。
【0167】
ある特定の実施形態において、Tn7トランスファーベクターは、Rep遺伝子に作動可能に連結されたバキュロウイルス遺伝子プロモーターに隣接するTn7の左端および右端(Tn7LおよびTn7R)を含む。ある特定の実施形態において、Rep遺伝子は、B19 Rep、GPV Rep、HBoV1、およびAAV2 Repからなる群から選択される。ある特定の実施形態において、Tn7トランスファーベクターは、
図3Aおよび3Bに示されるように、B19 Repに作動可能に連結されたポリヘドリンプロモーターに隣接するTn7の左および右端を含む。ある特定の実施形態において、Tn7トランスファーベクターは、
図3Aおよび3Bに示されるように、B19 Repに作動可能に連結されたie1プロモーターに隣接するTn7の左および右端を含む。ある特定の実施形態において、Tn7トランスファーベクターは、
図3Cおよび3Dに示されるように、GPV Repに作動可能に連結されたポリヘドリンプロモーターに隣接するTn7の左および右端を含む。ある特定の実施形態において、Tn7トランスファーベクターは、
図3Eおよび3Fに示されるように、AAV2 Repに作動可能に連結されたポリヘドリンプロモーターに隣接するTn7の左および右端を含む。ある特定の実施形態において、Tn7トランスファーベクターは、HBoV1 Repに作動可能に連結されたポリヘドリンプロモーターに隣接するTn7の左および右端を含む(データは提供されない)。
【0168】
Cre-LoxPトランスファードナーベクター
ある特定の実施形態において、トランスファーベクターは、Cre-LoxPトランスファードナーベクターである。ある特定の実施形態において、Cre-LoxPトランスファードナーベクターは、第1の細菌株において核酸ベクターを伝搬するための第1の複製起点を含む核酸ベクターであり、この場合、第1の複製起点は、条件付きの複製起点;第2の細菌株において核酸ベクターを伝搬するための第2の複製起点;外来配列(例えば、異種配列)の挿入のための多重クローニング部位;選択可能なマーカー配列;レポーター遺伝子;および/または部位特異的組換え事象を媒介することができる選択的標的部位である。ある特定の実施形態において、第1の複製起点は、π-タンパク質、例えば、R6Kγ複製起点など、の存在において条件付きである。ある特定の実施形態において、第1の複製起点は、R6Kγ複製起点である。したがって、ある特定の実施形態において、第1の細菌株は、π-タンパク質を含む。ある特定の実施形態において、第2の複製起点は、pUC57複製起点である。ある特定の実施形態において、部位特異的組換え事象を媒介することができる選択的標的部位は、LoxP部位またはそのバリアントを含み、ならびに、部位特異的組換え事象は、Creリコンビナーゼによって媒介される。本明細書において説明されるCre-LoxPトランスファーベクターは、ベクターを含む宿主細胞の適切な識別にとって好適な任意の他のエレメントを有することができる。例えば、当業者に既知の任意の選択可能なマーカー配列および/またはレポーター遺伝子は、本明細書において説明されるCre-LoxPトランスファーベクターに組み込むことができる。
【0169】
ある特定の実施形態において、Cre-LoxPトランスファーベクターは、LoxP組換え部位、AcMNPV ie1プロモーターとそれに先行する転写エンハンサーhr5エレメントおよび後に続くAcMNPV p10ポリアデニル化シグナルの存在下の増強されたGFP(eGFP)マーカー遺伝子、アンピシリン耐性マーカー、条件付きR6Kγ複製起点、ならびに多重クローニング部位を含むpUC57ベクターである。Cre-LoxPトランスファーベクターの特徴としては、1)導入遺伝子を挿入するための多重クローニング部位(MCS);2)Cre媒介性インビトロまたはインビボ組換えのためのLoxP部位;3)以下:i)大腸菌株、例えば、DH5α、NEB Stable、PMC103、およびDH10Bなど、にこのベクターを伝搬するためのColE1 Ori;ならびにii)π(パイ)タンパク質、例えば、pir+およびpir116などを発現する大腸菌株へこのベクターを伝搬するための条件付きR6KγOriを含む2つ複製起点;4)Cre媒介性組換えによってBIVVBacのLoxP部位にCre-LoxPドナーベクターを挿入した後にカナマイシンおよびアンピシリンを伴う組換えbacmidを選択するためのアンピシリン抗生物質耐性遺伝子;ならびに5)連続継代において昆虫細胞において複製しつつ組換えBEVにおける導入遺伝子の安定性を特定するために増強されたGFPレポーター遺伝子、が挙げられる。多重クローニング部位が、外来配列がどのようにそこに挿入されたか(例えば、端末制限部位または非端末制限部位を使用することによって、またはそこで外来配列をクローニングするために使用される制限酵素の性質)に応じて、外来配列(例えば、導入遺伝子)を含むCre-LoxPトランスファーベクターにおいて維持されるか否かは、当業者によって理解できるであろう。
【0170】
ある特定の例示的実施形態において、遺伝子療法ベクターを作製する目的のために、Cre-LoxPトランスファーベクターは、外来配列(例えば、異種配列)を含む。例えば、ある特定の実施形態において、Cre-LoxPトランスファーベクターは、対称性または非対称性AAVまたは非AAV逆方向末端反復(ITR)が隣接した治療用タンパク質-コード遺伝子を含む。ある特定の実施形態において、対称性または非対称性AAVまたは非AAVITRが隣接した治療用タンパク質-コード遺伝子は、Cre-LoxPトランスファーベクターの多重クローニング部位の位置に存在する。
【0171】
Tn7トランスファーベクターおよびCre-LoxPトランスファードナーベクターは、本発明の組換えbacmidを生成するために外来配列の挿入のために用いることができるトランスファーベクターの例であることは、当業者によって認識されるであろう。ある特定の実施形態において、本明細書において説明されるトランスファーベクターを使用して挿入される外来配列は、トランスファーベクターの間においての交換可能である。例えば、遺伝子療法ベクターを作製する目的のために、Rep遺伝子は、Tn7トランスファーベクターによって組換えbacmidに導入され、ならびに、治療用タンパク質-コード遺伝子は、Cre-LoxPトランスファーベクターによって導入される。別の例において、遺伝子療法ベクターを作製する目的のために、Rep遺伝子は、Cre-LoxPトランスファーベクターによって組換えbacmidに導入され、ならびに、治療用タンパク質-コード遺伝子は、Tn7トランスファーベクターによって導入される。
【0172】
ある特定の実施形態において、本発明のCre-LoxPトランスファーベクターは、LoxP配列および増強された緑色蛍光タンパク質(eGFP)コード遺伝子を含み、ならびに、治療用タンパク質-コード遺伝子(例えば、隣接する対称または非対称ITRを伴うhFVIIIco6XTEN、この場合、ITRは、非AAVまたはAAVのITRである)をクローニングするために使用される。
【0173】
ある特定の実施形態において、組換えbacmidが提供され、この場合、Repコード遺伝子は、転移によってポリヘドリン遺伝子座のミニattTn7部位に挿入され、ならびに、対称または非対称ITRを伴う治療用タンパク質-コード遺伝子は、Cre媒介性組換えによってEGT遺伝子座のLoxP部位に挿入される。ある特定の実施形態において、Rep遺伝子およびITRは、非AAVまたはAAVのそれである。
【0174】
したがって、ある特定の実施形態において、以下:LacZαまたはその機能的部分に挿入された(例えば、LacZα内のミニattTn7部位に挿入された)AAV Rep(例えば、AAV2 Rep)をコードする配列であって、挿入されたRepがLacZαまたはその機能的部分のリーディングフレームを妨害する、配列;ならびに異種配列を含む多重クローニング部位であって、異種配列が5’から3’に向かって:由来する野生型または切断型AAV 5’逆方向末端反復;タンパク質をコードする配列;タンパク質をコードする配列に作動可能に連結された1つまたはそれ以上の発現制御配列;および野生型または切断型AAV 3’逆方向末端反復を含む、多重クローニング部位を含む、組換えbacmidが提供される。
【0175】
ある特定の実施形態において、以下:LacZαまたはその機能的部分に挿入された(例えば、LacZα内のミニattTn7部位に挿入された)非AAV Repをコードする配列であって、挿入されたRepがLacZαまたはその機能的部分のリーディングフレームを妨害する、配列;ならびに異種配列を含む多重クローニング部位であって、異種配列が5’から3’に向かって:第1のパルボウイルス非AAVゲノムに由来する野生型または切断型非AAV 5’逆方向末端反復;タンパク質をコードする配列;タンパク質をコードする配列に作動可能に連結された1つまたはそれ以上の発現制御配列;および第2のパルボウイルス非AAVゲノムに由来する野生型または切断型非AAV3’逆方向末端反復を含む、多重クローニング部位を含む、組換えbacmidが提供される。ある特定の実施形態において、第1および第2のパルボウイルス非AAVゲノムは、異なる。
【0176】
ある特定の実施形態において、以下:LacZαまたはその機能的部分に挿入された(例えば、LacZα内のミニattTn7部位に挿入されたB19 Repをコードする配列であって、挿入されたB19 RepがLacZαまたはその機能的部分のリーディングフレームを妨害する、配列;ならびに異種配列を含む多重クローニング部位であって、異種配列が5’から3’に向かって:パルボウイルスB19に由来する野生型または切断型5’逆方向末端反復;タンパク質をコードする配列;タンパク質をコードする配列に作動可能に連結された1つまたはそれ以上の発現制御配列;およびパルボウイルスB19に由来する野生型または切断型3’逆方向末端反復を含む、多重クローニング部位を含む、組換えbacmidが、本明細書において提供される。
【0177】
ある特定の実施形態において、以下:LacZαまたはその機能的部分に挿入された(例えば、LacZα内のミニattTn7部位に挿入された)GPV Repをコードする配列であって、挿入されたGPV RepがLacZαまたはその機能的部分のリーディングフレームを妨害する、配列;ならびに異種配列を含む多重クローニング部位であって、異種配列が5’から3’に向かって:GPVに由来する野生型または切断型5’逆方向末端反復;タンパク質をコードする配列;タンパク質をコードする配列に作動可能に連結された1つまたはそれ以上の発現制御配列;およびGPVに由来する野生型または切断型3’逆方向末端反復を含む、多重クローニング部位を含む組換えbacmidが、本明細書において提供される。
【0178】
ある特定の実施形態において、以下:LacZαまたはその機能的部分に挿入された(例えば、LacZα内のミニattTn7部位に挿入された)AAV2 Repをコードする配列であって、挿入されたAAV2 RepがLacZαまたはその機能的部分のリーディングフレームを妨害する、配列;ならびに異種配列を含む多重クローニング部位であって、異種配列が5’から3’に向かって:AAV2に由来する野生型または切断型5’逆方向末端反復;タンパク質をコードする配列;タンパク質をコードする配列に作動可能に連結された1つまたはそれ以上の発現制御配列;およびAAV2に由来する野生型または切断型3’逆方向末端反復を含む、多重クローニング部位を含む組換えbacmidが、本明細書において提供される。
【0179】
ある特定の実施形態において、以下:LacZαまたはその機能的部分に挿入された(例えば、LacZα内のミニattTn7部位に挿入された)HBoV1 Repをコードする配列であって、挿入されたHBoV1 RepがLacZαまたはその機能的部分のリーディングフレームを妨害する、配列;ならびに異種配列を含む多重クローニング部位であって、異種配列が5’から3’に向かって:HBoV1に由来する野生型または切断型5’逆方向末端反復;タンパク質をコードする配列;タンパク質をコードする配列に作動可能に連結された1つまたはそれ以上の発現制御配列;およびHBoV1に由来する野生型または切断型3’逆方向末端反復を含む、多重クローニング部位を含む組換えbacmidが、本明細書において提供される。
【0180】
ある特定の実施形態において、以下:LacZαまたはその機能的部分に挿入された(例えば、LacZα内のミニattTn7部位に挿入された)非AAV Repをコードする配列であって、挿入されたRepがLacZαまたはその機能的部分のリーディングフレームを妨害する、配列;ならびに異種配列を含む多重クローニング部位であって、異種配列が5’から3’に向かって:野生型または切断型非AAV 5’逆方向末端反復;タンパク質をコードする配列;タンパク質をコードする配列に作動可能に連結された1つまたはそれ以上の発現制御配列;および野生型または切断型非AAV3’逆方向末端反復を含む、多重クローニング部位を含む組換えbacmidが提供される。ある特定の実施形態において、非AAV Repおよび非AAV逆方向末端反復は、ウイルスファミリーパルボウイルス属の非AAVゲノムのITRから選択される。ある特定の実施形態において、5’ITRおよび3’ITRは、同じパルボウイルス非AAVゲノムのITRである。ある特定の実施形態において、5’ITRおよび3’ITRは、異なるパルボウイルス非AAVゲノムのITRである。そのような実施形態において、非AAV Repは、パルボウイルス非AAVゲノムのうちの少なくとも1つのRepである。そのような実施形態において、当業者は、5’ITRおよび3’ITRが異なるパルボウイルス非AAVゲノムのITRである実施形態において使用されるべき最も好適なRepを決定することができるであろう。
【0181】
ある特定の実施形態において、組換えbacmidは、野生型または切断型AAV 5’ITR、ならびに野生型または切断型パルボウイルス非AAV 3’ITRを含む。ある特定の実施形態において、組換えbacmidは、野生型または切断型パルボウイルス非AAV 5’ITR、ならびに野生型または切断型AAV 3’ITRを含む。そのような実施形態において、当業者は、5’ITRおよび3’ITRが異なるパルボウイルスゲノムのITRである実施形態において使用されるべき最も好適なRepを決定することができるであろう。
【0182】
III.外来配列
本明細書において説明されるバキュロウイルス発現ベクターシステムは、任意の所望の産物の作製のために使用することができることは、当業者によって理解できるであろう。例えば、本明細書において説明されるバキュロウイルス発現ベクターシステムは、遺伝子治療のための組換えタンパク質またはウイルスもしくは非ウイルスベクターの作製のために使用することができる。したがって、核酸分子の作製の下記の説明は、いかなる点においても制限ではない。
【0183】
核酸分子
ある特定の実施形態において、本明細書において説明されるバキュロウイルス発現ベクターシステムは、核酸分子の作製のために使用することができる。例えば、遺伝子療法のための核酸分子の作製。したがって、本明細書において説明されるある特定の実施形態は、標的配列をコードする、プラスミド様の無カプシド核酸分子の作製に関する。ウイルスのタンパク質シェルであるカプシドは、ウイルスの遺伝物質を囲んでいる。カプシドは、ウイルスゲノムを保護し、ゲノムを宿主に送達し、ならびに宿主と相互作用することによってビリオンの機能を支援することが知られている。とはいえ、ウイルスカプシドは、ベクターのパッケージング能力を制限し、および/または、とりわけ遺伝子療法において使用される場合、免疫反応を引き起こす要因であり得る。
【0184】
AAVベクターは、遺伝子療法ベクターのより一般的なタイプの1つとして台頭した。しかしながら、カプシドの存在は、遺伝子療法によるAAVベクターの有用性を制限する。特に、カプシド自体が、ベクターに含まれる導入遺伝子のサイズを4.5kb未満まで低く制限し得る。遺伝子療法において有用であり得る様々な治療用タンパク質は、発現制御配列が加えられる前でさえ、このサイズを容易に超え得る。
【0185】
さらに、カプシドを構成するタンパク質は、対象の免疫系が標的にし得る抗原として機能し得る。AAVは、一般集団において非常に一般的であり、ほとんどの人が、その人生を通してAAVに曝されている。結果として、最も可能性のある遺伝子療法レシピエントは、おそらく既にAAVに対する免疫反応を発生させており、したがって、この療法を拒絶する可能性が高い。
【0186】
ある特定の実施形態において、本発明は、第1のITR、第2のITR、および遺伝子カセット、例えば、治療用タンパク質および/またはmiRNAをコードする遺伝子カセットを含む核酸分子の作製を対象とする。いくつの実施形態において、第1のITRおよび第2のITRは、異種ポリヌクレオチド配列を含む遺伝子カセットに隣接する。いくつの実施形態において、核酸分子は、カプシドタンパク質、複製タンパク質、および/または集合タンパク質をコードする遺伝子を含まない。いくつの実施形態において、遺伝子カセットは、治療用タンパク質をコードする。いくつの実施形態において、治療用タンパク質は、凝固因子を含む。いくつの実施形態において、遺伝子カセットは、miRNAをコードする。ある特定の実施形態において、遺伝子カセットは、第1のITRおよび第2のITRの間に位置される。いくつの実施形態において、核酸分子は、さらに、1つまたはそれ以上の非コード領域を含む。ある特定の実施形態において、1つまたはそれ以上の非コード領域は、プロモーター配列、イントロン、転写後調節エレメント、3’UTRポリ(A)配列、またはそれらの任意の組合せを含む。
【0187】
一実施形態において、遺伝子カセットは、一本鎖核酸である。別の実施形態において、遺伝子カセットは、二本鎖核酸である。
【0188】
本開示のいくつかの態様は、遺伝子カセット、例えば、治療用タンパク質および/またはmiRNAをコードする遺伝子カセットを含む核酸分子を対象とする。いくつの実施形態において、遺伝子カセットは、治療用タンパク質をコードする。いくつの実施形態において、治療用タンパク質は、凝固因子を含む。いくつの実施形態において、遺伝子カセットは、miRNAをコードする。いくつの実施形態において、核酸分子は、さらに、少なくとも1つの非コード領域を含む。ある特定の実施形態において、少なくとも1つの非コード領域は、プロモーター配列、イントロン、転写後調節エレメント、3’UTRポリ(A)配列、またはそれらの任意の組合せを含む。
【0189】
いくつの実施形態において、本明細書において開示される核酸分子は、イントロンまたはイントロン配列を含む。いくつの実施形態において、イントロン配列は、天然に存在するイントロン配列である。いくつの実施形態において、イントロン配列は、合成配列である。いくつの実施形態において、イントロン配列は、天然に存在するイントロン配列に由来する。いくつの実施形態において、イントロン配列は、ハイブリッド合成イントロンまたはキメライントロンである。いくつの実施形態において、イントロン配列は、ニワトリβ-アクチン/ウサギβ-グロビンイントロンからなるキメライントロンであり、ならびに、偽の翻訳開始を減少させるために5つの既存のATG配列を排除するように改変されている。ある特定の実施形態において、イントロン配列は、SV40低分子Tイントロンを含む。いくつの実施形態において、イントロン配列は、FVIIIポリペプチドをコードする核酸配列の5’側に位置される。いくつの実施形態において、キメライントロンは、プロモーター配列、例えば、mTTRプロモーターなど、の5’側に位置される。いくつの実施形態において、キメライントロンは、配列番号23の核酸配列を含む。
【0190】
一実施形態において、遺伝子カセットは、一本鎖核酸である。別の実施形態において、遺伝子カセットは、二本鎖核酸である。別の実施形態において、遺伝子カセットは、閉鎖型二本鎖核酸(ceDNA)である。
【0191】
いくつの実施形態において、遺伝子カセットは、FVIIIポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含み、この場合、ヌクレオチド配列は、コドン最適化される。いくつの実施形態において、遺伝子カセットは、mTTRプロモーターおよび合成イントロンによって駆動されるコドン最適化FVIIIをコードするヌクレオチド配列を含む。いくつの実施形態において、遺伝子カセットは、国際出願第PCT/US2017/015879号において開示されるヌクレオチド配列を含み、なお、当該特許は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。いくつの実施形態において、遺伝子カセットは、国際出願第PCT/US2017/015879号において説明される「hFVIIIco6XTEN」遺伝子カセットである。いくつの実施形態において、遺伝子カセットは、XTEN 144ペプチドと融合したBドメイン削除(BDD)コドン最適化ヒト第VIII因子(BDDcoFVIII)をコードするコドン最適化cDNAを含む。
【0192】
いくつの実施形態において、遺伝子カセットは、mTTRプロモーターによって駆動されるコドン最適化FVIIIをコードするヌクレオチド配列を含む。いくつの実施形態において、mTTRプロモーターは、配列番号22の核酸配列を含む。いくつの実施形態において、遺伝子カセットは、さらに、A1MB2エンハンサーエレメントを含む。いくつの実施形態において、A1MB2エンハンサーエレメントは、配列番号21の核酸配列を含む。いくつの実施形態において、遺伝子カセットは、さらに、キメラまたは合成イントロンを含む。いくつの実施形態において、キメライントロンは、ニワトリβ-アクチン/ウサギβ-グロビンイントロンからなり、ならびに、偽の翻訳開始を減少させるために5つの既存のATG配列を排除するように改変されている。いくつの実施形態において、イントロン配列は、FVIIIポリペプチドをコードする核酸配列の5’側に位置される。いくつの実施形態において、キメライントロンは、プロモーター配列、例えば、mTTRプロモーターなど、の5’側に位置される。いくつの実施形態において、キメライントロンは、配列番号23の核酸配列を含む。いくつの実施形態において、遺伝子カセットは、さらに、ウッドチャック転写後調節エレメント(WPRE)を含む。いくつの実施形態において、WPREは、配列番号24の核酸配列を含む。いくつの実施形態において、遺伝子カセットは、さらに、ウシ成長ホルモンポリアデニル化(bGHpA)シグナルを含む。いくつの実施形態において、bGHpAシグナルは、配列番号25の核酸配列を含む。いくつの実施形態において、遺伝子カセットは、配列番号19に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む。いくつの実施形態において、遺伝子カセットは、配列番号19の核酸配列を含む。
【0193】
いくつの実施形態において、遺伝子カセットは、A1MB2エンハンサーエレメント、ハイブリッド合成イントロン(キメライントロン)、ウッドチャック転写後調節エレメント(WPRE)、およびウシ成長ホルモンポリアデニル化(bGHpA)シグナルを含む肝臓特異的改変マウストランスチレチン(mTTR)プロモーター(mTTR482)によって駆動されるコドン最適化FVIIIおよびXTENペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む。いくつの実施形態において、遺伝子カセットは、配列番号19の核酸配列を含む。いくつの実施形態において、遺伝子カセットは、配列番号19に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む。
【0194】
逆方向末端反復
ある特定の実施形態において、5’ITRおよび3’ITRは、アデノ随伴ウイルス(AAV)ITRまたは非AAV ITRである。ある特定の実施形態において、非AAV ITRは、ウイルスファミリーパルボウイルスのメンバーから得られるITRである。好適なITR配列は、当業者に既知のAAV血清型のAAV ITRを含む。好適なAAVおよび非AAV ITR配列は、国際公開第2019032898(A1)号、国際公開第2020033863(A1)号、および国際公開第2017152149(A1)号に記載されており、なお、当該文献の開示は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。例えば、非AAV ITR配列は、ガチョウパルボウイルス(GPV)またはパルボウイルスB19(本明細書において「B19」とも呼ばれる)に由来し得る。いくつの実施形態において、ITRは、AAVゲノムに由来しない。いくつの実施形態において、ITRは、非AAVのITRである。いくつの実施形態において、ITRは、これらに限定されるわけではないが、ボカウイルス属、ディペンドウイルス属、エリスロウイルス属、アムドウイルス属、パルボウイルス属、デンソウイルス属、イテラウイルス属、コントラウイルス属、アベパルボウイルス属、コピパルボウイルス属、プロトパルボウイルス属、テトラパルボウイルス属、アンビデンソウイルス属、ブレビデンソウイルス属、ヘパンデンソウイルス属、ペンスチルデンソウイルス属、およびそれらの任意の組合せからなる群から選択されるウイルスファミリーパルボウイルス属の非AAVゲノムのITRである。ある特定の実施形態において、ITRは、エリスロウイルスパルボウイルスB19(ヒトウイルス;本明細書において「B19」とも呼ばれる)に由来する。別の実施形態において、ITRは、ノバリケンパルボウイルス(MDPV)株に由来する。ある特定の実施形態において、MDPV株は、弱毒化された、例えばMDPV株FZ91-30である。他の実施形態において、MDPV株は、病原性の、例えばMDPV株YYである。いくつの実施形態において、ITRは、ブタパルボウイルス、例えばブタパルボウイルスU44978、に由来する。いくつの実施形態において、ITRは、マウスマイニュートウイルス、例えばマウスマイニュートウイルスU34256、に由来する。いくつの実施形態において、ITRは、イヌパルボウイルス、例えばイヌパルボウイルスM19296、に由来する。いくつの実施形態において、ITRは、ミンク腸炎ウイルス例えばミンク腸炎ウイルスD00765に由来する。いくつの実施形態において、ITRは、デペンドパルボウイルス属(Dependoparvovirus)に由来する。一実施形態において、デペンドパルボウイルス属は、ディペンドウイルス属ガチョウパルボウイルス(GPV)株である。特定の実施形態において、GPV株は、弱毒化された、例えばGPV株82-0321Vである。別の特定の実施形態において、GPV株は、病原性の、例えばGPV株Bである。好適なパルボウイルスITR配列の例は、表1に記載される。
【0195】
【0196】
治療用タンパク質
いくつかの態様において、第1のITR、第2のITR、および標的配列をコードする遺伝子カセットであって、標的配列が治療用タンパク質をコードする、遺伝子カセットを含む核酸分子の作製が、本明細書において提供される。いくつの実施形態において、遺伝子カセットは、1つの治療用タンパク質をコードする。いくつの実施形態において、遺伝子カセットは、2つ以上の治療用タンパク質をコードする。いくつの実施形態において、遺伝子カセットは、同じ治療用タンパク質の2つまたはそれ以上のコピーをコードする。いくつの実施形態において、遺伝子カセットは、同じ治療用タンパク質の2つまたはそれ以上のバリアントをコードする。いくつの実施形態において、遺伝子カセットは、2つまたはそれ以上の異なる治療用タンパク質をコードする。
【0197】
本開示のある特定の実施形態は、第1のITR、第2のITR、および治療用タンパク質をコードする遺伝子カセットを含む核酸分子を対象とする。全ての治療用タンパク質は、これらに制限されるわけではないが、凝固因子の作製など、本開示のバキュロウイルス発現ベクターシステムによって作製することができる。いくつの実施形態において、凝固因子は、FI、FII、FIII、FIV、FV、FVI、FVII、FVIII、FIX、FX、FXI、FXII、FXIII、VWF、プレカリクレイン、高分子量キニノーゲン、フィブロネクチン、アンチトロンビンIII、ヘパリン補因子II、プロテインC、プロテインS、プロテインZ、プロテインZ関連のプロテアーゼ阻害因子(ZPI)、プラスミノーゲン、α2-アンチプラスミン、組織プラスミノーゲン活性化因子(tPA)、ウロキナーゼ、プラスミノーゲン活性化因子阻害因子1(PAI-1)、プラスミノーゲン活性化因子阻害因子2(PAI2)、その任意のチモーゲン、その任意の活性形態、およびそれらの任意の組合せからなる群から選択される。一実施形態において、凝固因子は、FVIIIまたはそのバリアントもしくは断片を含む。別の実施形態において、凝固因子は、FIXまたはそのバリアントもしくは断片を含む。別の実施形態において、凝固因子は、FVIIまたはそのバリアントもしくは断片を含む。別の実施形態において、凝固因子は、VWFまたはそのバリアントもしくは断片を含む。
【0198】
増殖因子
いくつかの態様において、第1のITR、第2のITR、および標的配列をコードする遺伝子カセットであって、標的配列が治療用タンパク質をコードし、治療用タンパク質が増殖因子を含む、遺伝子カセットを含む核酸分子の作製が、本明細書において提供される。増殖因子は、当技術分野において既知の任意の増殖因子から選択することができる。いくつの実施形態において、増殖因子は、ホルモンである。他の実施形態において、増殖因子は、サイトカインである。いくつの実施形態において、増殖因子は、ケモカインである。
【0199】
いくつの実施形態において、増殖因子は、アドレノメジュリン(AM)である。いくつの実施形態において、増殖因子は、アンジオポイエチン(Ang)である。いくつの実施形態において、増殖因子は、オートクリン運動因子である。いくつの実施形態において、増殖因子は、骨形成タンパク質(BMP)である。いくつの実施形態において、BMPは、BMP2、BMP4、BMP5、およびBMP7から選択される。いくつの実施形態において、増殖因子は、毛様体神経栄養因子ファミリーメンバーである。いくつの実施形態において、毛様体神経栄養因子ファミリーメンバーは、毛様体神経栄養因子(CNTF)、白血病阻止因子(LIF)、インターロイキン-6(IL-6)から選択される。いくつの実施形態において、増殖因子は、コロニー刺激因子である。いくつの実施形態において、コロニー刺激因子は、マクロファージコロニー刺激因子(m-CSF)、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、および顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)から選択される。いくつの実施形態において、増殖因子は、上皮細胞増殖因子(EGF)である。いくつの実施形態において、増殖因子は、エフリンである。いくつの実施形態において、エフリンは、エフリンA1、エフリンA2、エフリンA3、エフリンA4、エフリンA5、エフリンB1、エフリンB2、およびエフリンB3から選択される。いくつの実施形態において、増殖因子は、エリスロポイエチン(EPO)である。いくつの実施形態において、増殖因子は、線維芽細胞増殖因子(FGF)である。いくつの実施形態において、FGFは、FGF1、FGF2、FGF3、FGF4、FGF5、FGF6、FGF7、FGF8、FGF9、FGF10、FGF11、FGF12、FGF13、FGF14、FGF15、FGF16、FGF17、FGF18、FGF19、FGF20、FGF21、FGF22、およびFGF23から選択される。いくつの実施形態において、増殖因子は、ウシ胎児成長ホルモン(FBS)である。いくつの実施形態において、増殖因子は、GDNFファミリーメンバーである。いくつの実施形態において、GDNFファミリーメンバーは、グリア細胞株由来神経栄養因子(GDNF)、ニュールツリン、パーセフィン、およびアルテミンから選択される。いくつの実施形態において、増殖因子は、増殖分化因子9(GDF-9)である。いくつの実施形態において、増殖因子は、肝細胞増殖因子(HGF)である。いくつの実施形態において、増殖因子は、肝がん由来増殖因子(HDGF)である。いくつの実施形態において、増殖因子は、インスリンである。いくつの実施形態において、増殖因子は、インスリン様増殖因子である。いくつの実施形態において、インスリン様増殖因子は、インスリン様増殖因子1(IGF-1)またはIGF-2である。いくつの実施形態において、増殖因子は、インターロイキン(IL)である。いくつの実施形態において、ILは、IL-1、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、およびIL-7から選択される。いくつの実施形態において、増殖因子は、ケラチノサイト増殖因子(KGF)である。いくつの実施形態において、増殖因子は、移動刺激因子(MSF)である。いくつの実施形態において、増殖因子は、マクロファージ刺激タンパク質(MSP)または肝細胞増殖因子様タンパク質(HGFLP)である。いくつの実施形態において、増殖因子は、ミオスタチン(GDF-8)である。いくつの実施形態において、増殖因子は、ニューレグリンである。いくつの実施形態において、ニューレグリンは、ニューレグリン1(NRG1)、NRG2、NRG3、およびNRG4から選択される。いくつの実施形態において、増殖因子は、ニューロトロフィンである。いくつの実施形態において、増殖因子は、脳由来神経栄養因子(BDNF)である。いくつの実施形態において、増殖因子は、神経成長因子(NGF)である。いくつの実施形態において、NGFは、ニューロトロフィン3(NT-3)またはNT-4である。いくつの実施形態において、増殖因子は、胎盤増殖因子(PGF)である。いくつの実施形態において、増殖因子は、血小板由来増殖因子(PDGF)である。いくつの実施形態において、増殖因子は、レナラーゼ(renalase)(RNLS)である。いくつの実施形態において、増殖因子は、T細胞増殖因子(TCGF)である。いくつの実施形態において、増殖因子は、トロンボポイエチン(TPO)である。いくつの実施形態において、増殖因子は、トランスフォーミング増殖因子である。いくつの実施形態において、トランスフォーミング増殖因子は、形質転換増殖因子α(TGF-α)またはTGF-βである。いくつの実施形態において、増殖因子は、腫瘍壊死因子α(TNF-α)である。いくつの実施形態において、増殖因子は、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)である。
【0200】
microRNA(miRNA)
microRNA(miRNA)は、翻訳を阻害することかまたはメッセンジャーRNA(mRNA)分解を誘導することによって遺伝子発現を負に調節する低分子非コードRNA分子(約18~22ヌクレオチド)である。それらの発見以来、miRNAは、様々な細胞プロセス、例えば、アポトーシス、分化、および細胞増殖など、に関与しており、ならびに、それらは、発癌において重要な役割を果たすことがわかっている。遺伝子発現を調節するmiRNAsの能力は、miRNAの発現を、遺伝子療法におけるインビボでの有益なツールにする。
【0201】
いくつかの態様において、第1のITR、第2のITR、および標的配列をコードする遺伝子カセットであって、標的配列がmiRNAをコードし、第1のITRおよび/または第2のITRが非アデノ随伴ウイルスのITR(例えば、第1のITRおよび/または第2のITRは非AAV由来である)である、遺伝子カセットを含む核酸分子の作製が、本明細書において提供される。miRNAは、当技術分野において既知の任意のmiRNAであり得る。いくつの実施形態において、miRNAは、標的遺伝子の発現を下方制御する。ある特定の実施形態において、標的遺伝子は、SOD1、HTT、RHO、またはそれらの任意の組合せから選択される。
【0202】
いくつの実施形態において、遺伝子カセットは、1つのmiRNAをコードする。いくつの実施形態において、遺伝子カセットは、2つ以上のmiRNAをコードする。いくつの実施形態において、遺伝子カセットは、2つまたはそれ以上の異なるmiRNAをコードする。いくつの実施形態において、遺伝子カセットは、同じmiRNAの2つまたはそれ以上のコピーをコードする。いくつの実施形態において、遺伝子カセットは、同じ治療用タンパク質の2つまたはそれ以上のバリアントをコードする。ある特定の実施形態において、遺伝子カセットは、1つまたはそれ以上のmiRNAおよび1つまたはそれ以上の治療用タンパク質をコードする。
【0203】
いくつの実施形態において、miRNAは、天然に存在するmiRNAである。いくつの実施形態において、miRNAは、操作されたmiRNAである。いくつの実施形態において、miRNAは、人工miRNAである。ある特定の実施形態において、miRNAは、Eversら,Molecular Therapy 26(9):1~15(2018年6月の印刷前のepub)によって開示されたmiHTT操作miRNAを含む。ある特定の実施形態において、miRNAは、Dirrenら,Annals of Clinical and Translational Neurology 2(2):167~84(2015年2月)によって開示されたmiR SOD1人工miRNAを含む。ある特定の実施形態において、miRNAは、RHOを標的にするmiR-708を含む(Behrmanら,JCB 192(6):919~27(2011)。
【0204】
いくつの実施形態において、miRNAは、遺伝子の阻害剤の発現を下方制御することによって遺伝子の発現を上方制御する。いくつの実施形態において、阻害剤は、天然の、例えば野生型の、阻害剤である。いくつの実施形態において、阻害剤は、変異した、異種の、および/または誤発現した遺伝子の結果として生じる。
【0205】
発現制御エレメント
いくつの実施形態において、本明細書において説明されるバキュロウイルス発現ベクターシステムによって作製される核酸分子またはベクターは、さらに、少なくとも1つの発現制御配列を含む。本明細書において使用される発現制御配列は、配列が作動可能に連結されるコード核酸の効率的な転写および翻訳を促進する、任意の調節ヌクレオチド配列、例えば、プロモーター配列またはプロモーターエンハンサー組合せ物である。例えば、本開示の方法によって作製される単離された核酸分子は、少なくとも1つの転写調節配列に作動可能に連結させることができる。
【0206】
遺伝子発現制御配列は、例えば、哺乳類またはウイルスプロモーター、例えば、構成的または誘導性プロモーターなどであり得る。構成的哺乳類プロモーターとしては、これらに限定されるわけではないが、以下の遺伝子:ヒポキサンチンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HPRT)、アデノシンデアミナーゼ、ピルビン酸キナーゼ、β-アクチンプロモーター、に対するプロモーター、ならびに他の構成的プロモーターが挙げられる。真核生物細胞において構成的に機能する例示的ウイルスプロモーターとしては、例えば、サイトメガロウイルス(CMV)、シミアンウイルス(例えば、SV40)、パピローマウイルス、アデノウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ラウス肉腫ウイルス、サイトメガロウイルス、モロニー白血病ウイルスの長い末端反復(LTR)、および他のレトロウイルス、に由来するプロモーター、ならびに単純ヘルペスウイルスのチミジンキナーゼプロモーター、が挙げられる。
【0207】
他の構成的プロモーターは、当業者に既知である。本開示の遺伝子発現配列として有用なプロモーターは、誘導性プロモーターも含む。誘導性プロモーターは、誘導剤の存在下において発現される。例えば、メタロチオネインプロモーターは、ある特定の金属イオンの存在下において転写および翻訳を促進するように誘導される。他の誘導性プロモーターは、当業者に既知である。
【0208】
一実施形態において、本開示は、組織特異的プロモーターおよび/またはエンハンサーの制御下における導入遺伝子の発現を含む。別の実施形態において、当該プロモーターまたは他の発現制御配列は、肝臓細胞での導入遺伝子の発現を選択的に高める。肝臓特異的プロモーターの例としては、これらに限定されるわけではないが、マウストランスチレチンプロモーター(mTTR)、天然ヒト因子VIIIプロモーター、天然ヒト因子IXプロモーター、ヒトアルファ-1-アンチトリプシンプロモーター(hAAT)、ヒトアルブミン最小プロモーター、およびマウスアルブミンプロモーターが挙げられる。特定の実施形態において、プロモーターは、mTTRプロモーターを含む。mTTRプロモーターは、R.H.Costaら,1986,Mol.Cell.Biol.6:4697に記載される。F8プロモーターは、Figueiredo and Brownlee,1995,J.Biol.Chem.270:11828~11838に記載される。ある特定の実施形態において、プロモーターは、米国特許出願公開第2019/0048362号において開示されるような、mTTRプロモーターのいずれか(例えば、mTTR202プロモーター、mTTR202optプロモーター、mTTR482プロモーター)を含み、なお、当該文献は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
【0209】
いくつの実施形態において、核酸分子は、組織特異的プロモーターを含む。ある特定の実施形態において、組織特異的プロモーターは、肝臓において、例えば、肝細胞および/または内皮細胞において、治療用タンパク質、例えば、凝固因子、の発現を駆動する。特定の実施形態において、プロモーターは、マウストランスチレチンプロモーター(mTTR)、天然ヒト因子VIIIプロモーター、ヒトアルファ-1-アンチトリプシンプロモーター(hAAT)、ヒトアルブミン最小プロモーター、マウスアルブミンプロモーター、トリステトラプロリン(TTP)プロモーター、CASIプロモーター、CAGプロモーター、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、ホスホグリセリン酸キナーゼ(PGK)プロモーター、およびそれらの任意の組合せからなる群から選択される。いくつの実施形態において、プロモーターは、肝臓特異的プロモーター(例えば、α1-アンチトリプシン(AAT))、筋肉特異的プロモーター(例えば、筋肉クレアチンキナーゼ(MCK)、ミオシン重鎖α(αMHC)、ミオグロビン(MB)、およびデスミン(DES))、合成のプロモーター(例えば、SPc5-12、2R5Sc5-12、dMCK、およびtMCK)、およびそれらの任意の組合せから選択される。
【0210】
発現レベルは、1つまたはそれ以上のエンハンサーを使用して治療効率を達成するために、さらに高めることができる。1つまたはそれ以上のエンハンサーは、単独においてまたは1つもしくはそれ以上のプロモーターエレメントと一緒のどちらかにおいて提供することができる。典型的には、発現制御配列は、複数のエンハンサーエレメントおよび組織特異的プロモーターを含む。一実施形態において、エンハンサーは、α-1-ミクログロブリン/ビクニンエンハンサーの1つまたはそれ以上のコピーを含む(Rouetら,1992,J.Biol.Chem.267:20765-20773;Rouetら,1995,Nucleic Acids Res.23:395~404;Rouetら,1998,Biochem.J.334:577~584;Illら,1997,Blood Coagulation Fibrinolysis 8:S23~S30)。別の実施形態において、エンハンサーは、HNF1、(センス)-HNF3、(センス)-HNF4、(アンチセンス)-HNF1、(アンチセンス)-HNF6、(センス)-EBP、(アンチセンス)-HNF4(アンチセンス)を含むEnh1を伴う、肝臓特異的転写因子結合部位、例えば、EBP、DBP、HNF1、HNF3、HNF4、HNF6など、に由来する。
【0211】
特定の実施例において、本開示のために有用なプロモーターは、ETプロモーターであり、これは、GenBank番号AY661265としても知られている。Vignaら,Molecular Therapy 11(5):763(2005)も参照されたい。他の好適ベクターおよび発現制御配列の例は、国際公開第02/092134号、欧州特許第1395293号、または米国特許第6,808,905号、同第7,745,179号、または同第7,179,903号に記載されており、なお、当該文献は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
【0212】
概して、発現制御配列シェルは、必要に応じて、それぞれ、転写および翻訳の開始に関与する5’非転写および5’非翻訳配列、例えば、TATAボックス、キャッピング配列、CAAT配列などを含む。とりわけ、そのような5’非転写配列は、作動可能に連結されたコード核酸の転写制御のためのプロモーター配列を含むプロモーター領域を含むであろう。遺伝子発現配列は、場合により、所望に応じてエンハンサー配列または上流活性化因子配列を含む。
【0213】
ある特定の実施形態において、本明細書において説明されるバキュロウイルス発現ベクターシステムによって作製される核酸分子は、例えば、導入遺伝子に作動可能に連結される、1つまたはそれ以上のmiRNA標的配列を含む。
【0214】
いくつの実施形態において、標的配列は、骨髄系前駆細胞および少なくとも部分的により原始的なHSPCにおいて、最も効果的に発現をブロックすると報告されているmiR-223標的である。miR-223標的は、分化した骨髄系細胞、例えば、顆粒球、単核細胞、マクロファージ、骨髄樹状細胞など、における発現をブロックすることができる。miR-223標的は、リンパ球系または赤血球系の系統におけるロバストな導入遺伝子発現に依拠する遺伝子療法適用に対しても好適であり得る。miR-223標的は、ヒトHSCにおける発現も非常に効果的にブロックすることができる。
【0215】
いくつの実施形態において、標的配列は、miR-142標的である。いくつの実施形態において、造血特異的microRNAの相補配列、例えば、miR-142(142T)など、は、導入遺伝子を含む核酸分子に組み込まれ、導入遺伝子をコードする転写物を、miRNA-媒介性下方制御を受けやすくする。この方法によって、非造血細胞において維持しつつ、導入遺伝子の発現を、造血系抗原提供細胞(APC)において防ぐことができる(Brownら,Nat Med 2006)。この戦略は、導入遺伝子の発現におけるストリンジェントな転写後制御を強いることができ、結果として、導入遺伝子の安定な送達および長期間の発現を可能にする。いくつの実施形態において、miR-142制御は、形質導入細胞の免疫媒介性クリアランスを防ぎ、および/または抗原特異的御性T細胞(T reg)を誘導し、導入遺伝子をコードした抗原に対するロバストな免疫寛容性を媒介する。
【0216】
いくつの実施形態において、標的配列は、miR181標的である。Chen C-Z and Lodish H,Seminars in Immunology(2005)17(2):155~165では、マウス骨髄内のB細胞において特異的に発現されるmiRNAであるmiR-181が開示されている(Chen and Lodish,2005)。いくつかのヒトmiRNAが白血病に関連することも開示されている。
【0217】
標的配列は、miRNAに対して完全にまたは部分的に相補的であり得る。用語「完全に相補的」は、標的配列が標的配列を認識するmiRNAの配列に対して100%相補的である当該核酸配列を有することを意味する。用語「部分的に相補的」は、標的配列が、標的配列を認識するmiRNAの配列に対して一部においてのみ相補的であることを意味し、それにより、部分的に相補的な配列は、依然としてmiRNAによって認識される。換言すると、本開示との関連における部分的に双方的な標的配列は、対応するmiRNAの認識ならびにmiRNAを発現する細胞での導入遺伝子の発現の予防または減少の実行において有効である。miRNA標的配列の例は、国際公開第2007/000668号、国際公開第2004/094642号、国際公開第2010/055413号、または国際公開第2010/125471号に記載されており、なお、当該特許仮出願は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
【0218】
異種部分
いくつの実施形態において、導入遺伝子は、異種アミノ酸配列をコードする。異種アミノ酸配列は、導入遺伝子産物に連結させることができる。いくつの実施形態において、異種アミノ酸配列は、導入遺伝子産物のN末端またはC末端に連結させることができる。例えば、FVIIIをコードする導入遺伝子に関して、異種アミノ酸配列は、FVIIIアミノ酸のN末端もしくはC末端に連結させることができ、またはFVIIIアミノ酸配列における2つのアミノ酸の間に挿入することができる。いくつの実施形態において、異種アミノ酸配列は、国際公開第2013/123457(A1)号および国際公開第2015/106052(A1)号または米国特許出願公開第2015/0158929(A1)号において開示される任意の部位においてFVIIIポリペプチドの中に挿入することができ、なお、当該文献は、その全体が参照によって本明細書に組み入れられる。
【0219】
いくつの実施形態において、異種アミノ酸配列は、FVIIIのBドメインまたはその断片内に挿入される。
【0220】
いくつの実施形態において、異種部分は、1つもしくはそれ以上のXTEN配列、その断片、バリアント、または誘導体を含む。本明細書において使用される場合、「XTEN 配列」は、主に低分子親水性アミノ酸で構成される天然に存在しない、実質的に非反復性の配列によって長さの延長されたポリペプチドを意味し、この場合、当該配列は、生理的条件下において二次または三次構造を有さないかまたは低い程度しか有さない。異種部分として、XTENは、半減期延長部分として機能することができる。さらに、XTENは、望ましい特性、例えば、これらに限定されるわけではないが、高められた薬物動態パラメータおよび溶解特性などを提供することができる。
【0221】
いくつの実施形態において、本開示にとって有用なXTEN配列は、約20、30、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1200、1400、1600、1800、または2000超のアミノ酸残基を有するペプチドもしくはポリペプチドである。ある特定の実施形態において、XTENは、約20から約3000超のアミノ酸残基、30から約2500超の残基、40から約2000超の残基、50から約1500超の残基、60から約1000超の残基、70から約900超の残基、80から約800超の残基、90から約700超の残基、100から約600超の残基、110から約500超の残基、または120から約400超の残基を有するペプチドもしくはポリペプチドである。特定の一実施形態において、XTENは、42超かつ144未満のアミノ酸長のアミノ酸配列
を含む。
【0222】
本開示のXTEN配列は、5~14個(例えば、9~14個)のアミノ酸残基の1つもしくはそれ以上の配列モチーフ、または配列モチーフと少なくとも80%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%同一であるアミノ酸配列を含むことができ、この場合、モチーフは、グリシン(G)、アラニン(A)、セリン(S)、トレオニン(T)、グルタメート(E)、およびプロリン(P)からなる群から選択される、4~6のタイプのアミノ酸(例えば、5アミノ酸)を含むか、それから実質的になるか、またはそれからなる。本開示のキメラタンパク質において異種部分として使用することができるXTEN配列の例は、例えば、米国特許出願公開第2010/0239554(A1)号、同第2010/0323956(A1)号、同第2011/0046060(A1)号、同第2011/0046061(A1)号、同第2011/0077199(A1)号、もしくは同第2011/0172146(A1)号、または国際公開第2010/091122(A1)号、同第2010/144502(A2)号、同第2010/144508(A1)号、同第2011/028228(A1)号、同第2011/028229(A1)号、もしくは同第2011/028344(A2)号において開示されており、なお、当該文献のそれぞれは、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
【0223】
IV.宿主細胞
好適な宿主細胞は、当業者に既知である。「宿主細胞」は、目的の任意の物質を保持するかまたは保持することができる任意の細胞を意味する。
【0224】
いくつの実施形態において、本発明における使用にとって好適な宿主細胞は、昆虫起源の細胞である。いくつの実施形態において、好適な昆虫宿主細胞としては、例えば、スポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)(Sf)から単離された細胞株またはイラクサギンウワバ(Trichoplusia ni)(Tni)から単離された細胞株が挙げられる。当業者は、容易に任意のSfまたはTni細胞株の適性を特定することができるであろう。昆虫宿主細胞の例としては、これらに限定されるわけではないが、Sf9細胞、Sf21細胞、High Five(商標)細胞が挙げられる。昆虫宿主細胞の例としては、これらに限定されるわけではないが、外来ウイルス混入のない任意のSfまたはTni細胞株、例えば、Sf-ラブドウイルス(rhadovirus)陰性(Sf-RVN)およびTn-ノダウイルス陰性(Tn-NVN)細胞、も挙げられる。他の好適な宿主昆虫細胞は、当業者に既知である。特定の一実施形態において、昆虫宿主細胞は、Sf9細胞である。
【0225】
いくつの実施形態において、本発明における使用にとって好適な宿主細胞は、細菌起源の細胞である。いくつの実施形態において、好適な細菌宿主細胞は、当業者に既知の任意の細菌宿主細胞であり得る。ある特定の実施形態において、好適な細菌宿主細胞は、十字型のDNA構造を解くことができない。ある特定の実施形態において、好適な細菌宿主株は、SbcCD複合体における破壊を含む。いくつの実施形態において、SbcCD複合体における破壊は、SbcC遺伝子および/またはSbcDの遺伝子における遺伝子破壊を含む。ある特定の実施形態において、SbcCD複合体における破壊は、SbcC遺伝子における遺伝子破壊を含む。SbcC遺伝子における遺伝子破壊を含む様々な細菌宿主株は、当技術分野において既知である。例えば、これらに限定されるものではないが、細菌宿主株PMC103は、遺伝子型sbcC、recD、mcrA、ΔmcrBCFを含み;細菌宿主株PMC107は、遺伝子型recBC、recJ、sbcBC、mcrA、ΔmcrBCFを含み;ならびに細菌宿主株SUREは、遺伝子型recB、recJ、sbcC、mcrA、ΔmcrBCF、umuC、uvrCを含む。
【0226】
いくつの実施形態において、本発明における使用にとって好適な宿主細胞は、哺乳類起源、例えばヒト起源の細胞である。当業者は、彼らの目的に対して最も適した特定の宿主細胞株を優先的に決定する能力を認められている。例示的宿主細胞株としては、これらに限定されるわけではないが、CHO、DG44、およびDUXB11(チャイニーズハムスター卵巣株、DHFRマイナス)、HELA(ヒト子宮頚部癌)、CVI(サル腎臓株)、COS(SV40T抗原を伴うCVIの誘導体)、R1610(チャイニーズハムスター繊維芽細胞)BALBC/3T3(マウス繊維芽細胞)、HAK(ハムスター腎臓株)、SP2/O(マウス骨髄腫)、P3.times.63-Ag3.653(マウス骨髄腫)、BFA-1c1BPT(ウシ内皮細胞)、RAJI(ヒトリンパ球)、PER.C6(登録商標)、NS0、CAP、BHK21、およびHEK293(ヒト腎臓)が挙げられる。
【0227】
宿主細胞内への本開示のベクターの導入は、当業者に周知の様々な技術によって達成することができる。これらとしては、これらに限定されるわけではないが、トランスフェクション(例えば、電気泳動、およびエレクトロポレーション)、プロトプラスト融合、リン酸カルシウム沈殿、エンベロープDNAとの細胞融合、マイクロインジェクション、および完全なウイルス(intact virus)の感染が挙げられる。Ridgway,A.A.G.「Mammalian Expression Vectors」Chapter 24.2,pp.470-472 Vectors,Rodriguez and Denhardt,Eds.(Butterworths,Boston,Mass.1988)を参照されたい。
【0228】
本開示のベクターを含む宿主細胞は、適切な増殖培地において増殖される。本明細書において使用される場合、用語「適切な増殖培地」は、細胞の増殖のために必要な栄養素を含む培地を意味する。細胞の増殖のために必要な栄養素は、炭素源、窒素源、必須アミノ酸、ビタミン、ミネラル、および増殖因子を含み得る。場合により、培地は、1つまたはそれ以上の選択因子を含有し得る。場合により、培地は、仔ウシ血清またはウシ胎児血清(FCS)を含有し得る。概して、増殖培地は、例えば、ベクターの選択可能なマーカーによって補足される必須栄養素での薬剤の選択または欠乏によって、ベクターを含む細胞を選択するであろう。
【0229】
V.使用方法
本明細書において提供されるバキュロウイルス発現ベクターシステムは、本明細書において説明される組換えbacmidに挿入された外来配列によってコードされる産物の作製において使用される。産物のスケーラブルな作製は、当技術分野において既知のいくつかのアプローチによって達成することができる。
【0230】
アプローチの1つは、バキュロウイルスの増殖を支援する好適な昆虫宿主細胞の感染を含む。ある特定の実施形態において、本明細書において説明される外来配列を含む組換えbacmidは、最初に、好適な細菌宿主細胞(例えば、大腸菌)において伝搬される。次いで、組換えbacmidが細菌宿主細胞から単離され、好適なトランスフェクション試薬(例えば、CELLFECTIN)を使用して好適な昆虫宿主細胞へとトランスフェクトされる。昆虫宿主細胞は、組換えバキュロウイルス粒子を生成し、次いで、それは、外来配列のウイルス増幅のために、宿主昆虫細胞に感染させることができる。
【0231】
ある特定の実施形態において、外来配列によってコードされる産物を作製する方法であって、組換えバキュロウイルスを生成するために、本明細書において説明される組換えbacmidを適切な条件下において好適な昆虫細胞内へトランスフェクトすること;および外来配列によってコードされる産物を製造するために、適切な条件下において、組換えバキュロウイルスを第2の好適な昆虫細胞に感染させることを含む方法が、本明細書において提供される。ある特定の実施形態において、遺伝子療法を作製する目的のために、組換えbacmidは、Repコード配列およびITRが両側で隣接するタンパク質をコードする配列を含む。
【0232】
ある特定の実施形態において、核酸分子を生成する方法であって、組換えバキュロウイルスを生成するために、本明細書において説明される組換えbacmidを適切な条件下において好適な昆虫細胞内へトランスフェクトすること;ならびに核酸分子を作製するために、適切な条件下において、組換えバキュロウイルスを第2の好適な昆虫細胞に感染させることを含む方法が、本明細書において提供される。ある特定の実施形態において、ceDNAを生成する方法であって、組換えバキュロウイルスを生成するために、本明細書において説明される組換えbacmidを適切な条件下において好適な昆虫細胞内へトランスフェクトすること;ならびにceDNAを作製するために、適切な条件下において、組換えバキュロウイルスを第2の好適な昆虫細胞に感染させることを含む方法が、本明細書において提供される。
【0233】
別のアプローチにおいて、安定細胞株は、バキュロウイルス遺伝子プロモーター(例えば、バキュロウイルス構成的遺伝子プロモーター)の制御下において配列をコードするタンパク質を安定に組み込むことによって生成することができる。ある特定の実施形態において、安定細胞株は、安定昆虫細胞株である。配列の安定な組込みは、当業者に既知の任意の方法によって実施することができる。様々な宿主細胞株への核酸の安定な組込みのための方法は、当技術分野において既知である(核酸の安定な組込みによって作り出される例示的プロデューサー細胞株のより詳細な説明は下記の実施例を参照されたい)。例えば、反復選択(例えば、選択可能なマーカーの使用による)は、選択可能なマーカー(およびAAVキャップならびにrep遺伝子および/またはrAAVゲノム)を含む核酸が組み込まれた細胞を選択するために使用され得る。他の実施形態において、核酸は、プロデューサー細胞株を生成するために、部位特異的方式において細胞株に組み込まれる。いくつかの部位特異的組換えシステムは、例えば、FLP/FRT(例えば、O’Gorman,S.ら(1991)Science 251:1351~1355を参照されたい)、Cre/loxP(例えば、Sauer,B.and Henderson,N.(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.85:5166~5170を参照されたい)、およびphi C31-att(例えば、Groth,A.C.ら(2000)Proc.Natl.Acad.Sci.97:5995~6000を参照されたい)など、当技術分野において既知である。
【0234】
安定細胞株アプローチにおいて、一実施形態において、配列をコードするタンパク質の適切な発現のために必要な補体タンパク質をコードするBEVが、安定細胞株に導入される。ある特定の実施形態において、遺伝子療法を製造する目的のために、安定細胞株は、そこに安定に組み込まれた対称または非対称AAVもしくは非AAVITRに隣接する治療用タンパク質-コード遺伝子を含む。好適なRepをコードすることを含むBEVは、次いで、遺伝子治療の作製のために必要な条件下において、安定細胞株に導入される。
【0235】
特異的安定細胞株を生成する方法が、本明細書において説明される(実施例8を参照されたい)。ceDNAを作製するための特異的安定細胞系の例としては、そこに安定に組み込まれる
図8Bに示されるプラスミドを有する細胞株が挙げられる。これらの安定細胞株は、表5に一覧される。ある特定の方法において、ceDNAを作製するために、好適なRepをコードするBEVが、ceDNAの作製のために必要な条件下において、安定細胞株に導入される。
【0236】
さらなる別のアプローチにおいて、外来配列によってコードされる産物の作製は、無バキュロウイルスの方式において安定細胞株を使用して達成することができる。ある特定の実施形態において、遺伝子療法を製造する目的のために、安定細胞株は、そこに安定に組み込まれた対称または非対称AAVもしくは非AAV ITRに隣接する治療用タンパク質-コード遺伝子を含む。ある特定の実施形態において、安定細胞株における無バキュロウイルスの作製は、バキュロウイルスプロモーターの制御下での安定細胞株におけるRepタンパク質の一過性発現を含む。好適なバキュロウイルス遺伝子プロモーターは、当業者に既知である。ある特定の実施形態において、バキュロウイルス遺伝子プロモーターは、オルギア・シュードツガタ核多角体病ウイルス(Orgyia pseudotsugata multiple nucleopolyhedrovirus:OpMNPV)の最初期(ie)遺伝子プロモーターである。ある特定の実施形態において、バキュロウイルス遺伝子プロモーターは、OpMNPVのOpIE2プロモーターである。一過性遺伝子発現を媒介する様々な方法は、当業者に既知である。ある特定の実施形態において、一過性遺伝子発現は、ポリエチレンイミン(PEI)媒介性トランスフェクションによって達成することができる。
【0237】
産物の下流精製は、当業者に既知の任意の方法を伴う。例えば、遺伝子療法のためのウイルスまたは非ウイルスベクターのために、目的物は、イオン交換クロマトグラフィによってRNA、高分子量DNA、タンパク質、および他の不純物から低分子DNAを分離するシリカベースのカラムを含むプラスミドDNA単離キットによって精製される。
【0238】
本明細書において説明される様々な態様、実施形態、および選択肢の全ては、あらゆるバリエーションにおいて組み合わせることができる。
【0239】
本明細書において言及した全ての刊行物、特許、および特許出願は、あたかも個々の刊行物、特許、または特許出願が参照により組み入れられることが具体的かつ個別的に示されるのと同程度に、参照により本明細書に組み入れられるものとする。
【0240】
本開示を一般的に説明してきたが、本明細書において提供される実施例を参照することによって、さらなる理解を得ることができる。これらの実施例は、例示目的のみのためであり、制限であることを意図するものではない。
【実施例1】
【0241】
BIVVBac前駆体Bacmid
発現ベクターの中でも、バキュロウイルスが傑出するが、その理由は、100kbの報告もある最大で数10kbのそれらの特大の遺伝子積載能力のためである。この導入遺伝子の能力は、組換えAAVベクター(最大38kbまでの発現カセット)の作製のために利用されてきた。バキュロウイルスの大きな導入遺伝子積載能力も、非ウイルス遺伝子療法のためのDNA治療薬物質の作製のために利用することができることが推察された。したがって、新規の多能なバキュロウイルスシャトルベクター(bacmid)を、既存のbacmidツールによって達成できるよりも多数の導入遺伝子を収容できるように明確に設計して作製した。この多能なbacmid(「BIVVBac」と呼ばれる)は、インビボ遺伝子療法のためのrAAVベクター作製のため、ならびに任意の所望のタンパク質、例えば、組換えタンパク質の製造のためにも使用することができた。
【0242】
BIVVBac bacmidは、AcMNPV C6ゲノムをコードするbMON14272(Invitrogen)に由来し(
図1A)、ならびに、2つの挿入部位:1)ポリヘドリン遺伝子座におけるミニattTn7、および2)EGT遺伝子座におけるLoxPをコードするように操作した。ミニattTn7挿入配列は、Tn7媒介性転移の後の組換えbacmidのX-gal媒介性ブルー/ホワイトスクリーニングのためのLac-プロモーター駆動大腸菌LacZα断片ならびにCre媒介性インビトロまたはインビボ組換えのためのLoxP部位とインフレームにおいて融合される。LoxP組換え部位を、2段階において、ポリヘドリン遺伝子座におけるミニattTn挿入配列を含むbMON14272に挿入した。最初に、AcMNPV 39Kプロモーターと後に続くetsポリアデニル化シグナルの存在下のRudolph赤色蛍光タンパク質(RFP)遺伝子、LoxP組換え部位、およびAcMNPV EGT遺伝子座に隣接する配列で構成されるプラスミドを、GenScript(登録商標)(ピスキャタウェイ、NJ)によって合成した(
図1B)(配列番号9)。次いで、合成プラスミドDNAに、製造元の取扱説明書に従ってセルフェクチン(Cellfectin)(Invitrogen)トランスフェクション試薬を使用してSf9細胞(ATCC(登録商標)CRL-1711)においてAvrII線形化bMON14272を共トランスフェクトさせた。RFP発現カセットおよびLoxP配列を、Sf9細胞における相同的組換えによって、EGT遺伝子座において組み換えた。無細胞上清において作製した子孫ウイルスを、プラーク精製し、RFP+プラークを、P1(継代1)ウイルスを生成するためにSf9細胞において増幅させた。次いで、バキュロウイルスDNAをP1ウイルスから単離し、PCRに対する鋳型として使用した。PCRは、トランスファープラスミドの内側および外側のプライマーを使用して、予想された組換え結合部にわたる領域を増幅し、結果として生じるアンプライマーを配列決定した。組換えウイルスをさらに増幅し、ウイルスDNA単離のために使用し、次いで、大腸菌DH10B細菌へと形質転換させ(O’Reillyら、1992)、その後に、カナマイシン、X-Gal、およびIPTGによる選択を行った。カナマイシン耐性青色大腸菌クローンから分離されたBacmid DNAを、制限酵素マッピングによって解析し、「BIVVBac」と命名した(
図1C)。Tn7トランスポザーゼ遺伝子tnsA-Eおよびテトラサイクリン耐性をコードするpMON7124(Invitrogen)のヘルパープラスミドを、BIVVBacを保持するDH10B大腸菌へ形質転換させ、その後に、カナマイシンおよびテトラサイクリンによる選択を行った。以前に記載されているように(Sharma and Schimke,1996)、二重耐性クローンの1つを使用してエレクトロコンピテント(Electro-competent)細胞を作製し、結果として得られる新規の大腸菌株を、BIVVBac
DH10Bと命名した(
図1D)。次いで、下記において説明されるように、この株を、Tn7転移によってAAV2、B19、またはGPV複製(Rep)タンパク質遺伝子をポリヘドリン遺伝子座に挿入するために使用した。
【実施例2】
【0243】
Cre-LoxPドナーベクター
LoxP組換え部位、転写エンハンサーhr5エレメントによって先行されAcMNPV p10ポリアデニル化シグナルが後に続くAcMNPV ie1プロモーターの存在下の増強されたGFP(eGFP)マーカー遺伝子、アンピシリン耐性マーカー、条件付きR6Kγ複製起点、および多重クローニング部位で構成されるDNAコンストラクトを、GenScript(登録商標)(ピスキャタウェイ、NJ)によって合成した(配列番号10)(
図2A)。この合成DNAを、pUC57ベクターへクローニングし、結果として得られるコンストラクトを「Cre-LoxPドナーベクター」と命名した(
図2B)。
Cre-LoxPドナーベクターの重要な特徴は:(1)導入遺伝子を挿入するための多重クローニング部位(MCS);(2)Cre媒介性インビトロまたはインビボ組換えのためのLoxP部位;(3)2つの複製起点:(3a)このベクターを大腸菌株、例えば、DH5α、NEB Stable、PMC103、およびDH10Bなど、へ伝搬するためのColE1 Ori;および(3b)πタンパク質、例えば、pir+およびpir116などを発現する大腸菌株へこのベクターを伝搬するための条件付きR6KγOri;(4)Cre-LoxP組換えによって「BIVVBac」のLoxP部位にCre-LoxPドナーベクターを挿入した後にカナマイシンおよびアンピシリンを伴う組換えbacmidを選択するためのアンピシリン抗生物質耐性遺伝子;ならびに(5)連続継代においてSf9細胞において複製しつつ組換えBEVにおける形質転換遺伝子の安定性を特定するための増強されたGFPレポーター遺伝子である。
【実施例3】
【0244】
複製(Rep)タンパク質発現コンストラクト
B19.Rep:
B19 Repのコード配列を、B19株HV(GenBankアクセッション番号AF162273)から得、ならびに野生型配列をGenScript(登録商標)(ピスキャタウェイ、NJ)によって合成した(配列番号11)(
図3A)。合成DNAを、AcMNPVポリヘドリンプロモーターの存在下においてpFastBac1(Invitrogen)ベクターへクローニングし、ゲンタマイシン耐性クローンを使用してpFastBac.Polh.B19.Repトランスファーベクターを生成した。下記において説明されるように、このベクターをBIVVBac
DH10B大腸菌へ形質転換することにより組換えBEV、AcBIVVBac.Polh.B19.RepTn7を作製した。次いで、力価測定されたBEVを、対称B19 ITRを伴うhFVIIIco6XTENをコードするポリクローナルSf細胞株における感染のために使用し、ならびに、下記において説明されるように、ceDNAベクターを感染細胞ペレットから精製した。予備結果により、ポリヘドリンプロモーター駆動B19.RepがceDNAを「レスキュー」できないことが明らかとなった。バキュロウイルス感染サイクルの最晩期フェーズでの非スプライスB19.Rep発現の高いレベルは非効率的であり、および/または細胞に対して毒性であると仮定した。この仮説に対して、ポリヘドリンプロモーターをAcMNPV-構成的最初期(ie1)プロモーターで置き換えることにより、pFastBac.IE1.B19.Repトランスファーベクターを生成した(
図3B)。このベクターを使用することにより、組換えBEVであるAcBIVVBac.IE1.B19.Rep
Tn7を生成し、次いで、対称B19 ITRを伴うhFVIIIco6XTENをコードするポリクローナルSf細胞株において試験した。結果は、AcMNPV-構成的ie1-駆動B19.Repが、ポリヘドリン駆動Repと比較して、試験した両方の細胞株からceDNAベクターをレスキューすることができることを示した。このデータは、rAAV作製について前に観察されたように、Repタンパク質の化学量論的発現は、Sf9細胞でのceDNA作製にとって重要であることを示唆している。
【0245】
GPV.Rep:
GPV Repのコード配列を、GPV株B(GenBankアクセッション番号GPU25749)から得た。B19と異なり、GPV.Repは、単一のmRNA転写物からスプライスされたタンパク質(Rep78およびRep52)を産生し、ならびに、両方タンパク質の化学量論的発現を達成するために、漏出性リボソーマルスキャンニングメカニズムによって単一のmRNA種からのRep78およびRep52ポリペプチドの発現を可能にするように、Rep78コード配列を遺伝子改変した。Rep78オープンリーディングフレーム(orf)のAUGの開始コドン、隣接するプロリンコドン、およびRep52orfの開始コドンの前に生じる12の下流AUGトリプレットを、遺伝子合成によって変更した。Rep78開始コドンおよび近接ヌクレオチドを、Kozakコンセンサス配列の文脈において示されたCUGトリプレットで構成される非効率的翻訳開始シグナルに変異させた。Rep78 orfの開始コドンとRep52 orfのAUG開始コドンとの間に生じるAUGトリプレットを、いずれかのサイレント変異に耐えるように変更するか(フレーム外AUGコドンの場合)、または保存的アミノ酸置換をコードするように変更した(インフレームAUGコドンの場合)。最後に、改変GPV.Repコード配列を、GenScript(登録商標)によって合成し(配列番号12)(
図3C)、ならびに、pFastBac.Polh.GPV.Repトランスファーベクターを生成するために、合成DNAを、AcMNPVポリヘドリンプロモーターの存在下においてpFastBac1(Invitrogen)ベクターへクローニングした(
図3C)。下記において説明されるように、次いで、このベクターをBIVVBac
DH10B大腸菌へ形質転換することにより、組換えBEV、AcBIVVBac.Polh.GPV.Rep
Tn7を作製した。
【0246】
AAV2.Rep:
AAV2 Repのコード配列を、AAV2ゲノム(GenBankアクセション番号NC_001401)から得た。B19.Repと異なり、AAV2.Repは、単一のmRNA転写物からスプライスされたタンパク質(Rep78およびRep52)も産生し、ならびに、以前に記載されているように(Smithら,2009)、両方タンパク質の化学量論的発現を達成するために、漏出性リボソーマルスキャンニングメカニズムによって単一mRNA転写物からのRep78およびRep52ポリペプチドの発現を可能にするようにRep78コード配列を遺伝子改変した(
図3E)。改変AAV2.Repコード配列を、GenScript(登録商標)によって合成し(配列番号13)(
図3E)、ならびに、pFastBac.Polh.AAV2.Repトランスファーベクターを生成するために、AcMNPVポリヘドリンプロモーターの存在下において合成DNAをpFastBac1(Invitrogen)ベクターへクローニングした(
図3F)。下記において説明されるように、次いで、このベクターをBIVVBac
DH10B大腸菌へ形質転換することにより、組換えBEV、AcBIVVBac.Polh.AAV2.RepTn7を作製した。
【実施例4】
【0247】
ヒトFVIIIco6XTEN発現コンストラクト
非AAVまたはAAV ITRを伴うヒトFVIIIco6XTEN発現コンストラクト:
肝臓特異的TTPpプロモーターの存在下においてXTEN 144ペプチドを伴うコドン最適化ヒトFVIII(FVIIIco6XTEN)を含む遺伝子コンストラクト、ウッドチャック転写後調節エレメント(WPRE)、ウシ成長ホルモンポリアデニル化(bGHpA)シグナルおよび非AAVまたはAAVの切断型隣接ITRは、国際公開第2019032898(A1)号に記載されている。ここで、5’または3’ITRのどちらかを非AAVまたはAAVの野生型配列で置き換えることによって作製されたこれらのコンストラクトを、新しいコンストラクトと平行して、試験した(表2)。これらの新しいコンストラクトを培養し、十字型DNA構造を認識して排除するエキソヌクレアーゼをコードする、削除されたsbcC遺伝子を含む大腸菌株PMC103において維持した。PMC103大腸菌は、温度および細菌培養の増殖条件を最適化した後に非AAVまたはAAVの対称または非対称ITRを伴うhFVIIIco6XTENコンストラクトの増殖を支援することができた。全ての新規のコンストラクトを、アンピシリン耐性プレート上において選択し、正しい遺伝構造を決定するために、制限酵素マッピングによってスクリーニングした。次いで、Cre-LoxPドナーベクターを作製するために、hFVIIIco6XTEN発現カセットコンストラクトを使用した。
【0248】
【0249】
非AAVまたはAAV ITRを伴うヒトFVIIIco6XTEN Cre-LoxPドナーベクター
コンストラクト-1、-3、および-7(表2)からのhFVIIIco6XTEN発現カセットをPstI酵素で切除し、Cre-LoxPドナーベクターの同じ部位においてクローニングした。結果として得られるコンストラクトを、NEB(登録商標)安定コンピテント大腸菌株(New England Biolabs)へ形質転換し、アンピシリン抵抗性クローンを、制限酵素マッピングによってスクリーニングした。正しいクローンを、pCLDV-1、-3、および-7(表2)における「プラスミドCre-LoxP」に対して接頭語「pCL」を用いて命名した(
図4B)、同様に、他のドナーベクターを生成するために、コンストラクト-2、-4、-5、-6、-8、および-9からのhFVIIIco6XTEN発現カセットを、PstIおよび/またはPvuII酵素で切除し、Cre-LoxPドナーベクターの同じ部位においてクローニングした。これらのコンストラクトを、野生型ITR配列の長い回帰性反復に起因して、PMC103大腸菌株へと形質転換し、アンピシリン抵抗性クローンを、制限酵素マッピングによってスクリーニングした。次いで、結果として得られるCre-LoxPドナーベクター、pCLDV-2、-4、-5、-6、-8、および-9を、LoxP組換え部位において、それぞれ、Tn7部位でB19、GPV、またはAAV2 Repのいずれかをコードする「BIVVBac」bacmidに挿入した(表3)。表3のITRの配列は、表1に記載される。
【0250】
【実施例5】
【0251】
複製(Rep)バキュロウイルス発現ベクター(BEV)
AAVの複製は、非構造的(複製)タンパク質;Rep78、Rep68、Rep52、およびRep40に依存する。例えば、AAV ITRへの結合、配列および鎖特異的エンドヌクレアーゼ活性、およびATP依存性DNAヘリカーゼ活性など、ウイルスDNA複製に関与することを特徴としたAAV Rep78およびRep68のいくつかの活性が存在する。Rep68またはRep78のどちらかは、ITR内の特定の領域(Rep結合部位)に結合し、末端解離部位(Terminal Resolution Site:TRS)と呼ばれるユニーク部位において二本鎖複製中間体の一本鎖に切れ目を入れる。エンドヌクレアーゼ反応は、結果として、新たに生成された5’末端へのRepの共有結合を生じる。切れ目の3’末端は、ITRの拡張のためのプライマーとして機能する。共有結合したRep分子のヘリカーゼ活性は、ITRの二次構造を解き得る。末端解離のプロセスは、末端の回復および子孫ウイルスゲノムの生成ための手段を提供する。したがって、Repは、真核生物細胞におけるITR媒介性ベクター作製にとって必須であり、ならびに、Sf9細胞からITR隣接hFVIIIco6XTENベクターゲノムを「レスキューする」ために、発明者らは、非AAVまたはAAV Repをコードする組換えBEVを生成した。これらのBEVを生成するために、最初に、BIVVBac
DH10B大腸菌(
図1D)を、トランスファーベクター、pFastBac.IE1.B19.Rep(
図3B)、pFastBac.Polh.GPV.Rep(
図3D)、およびpFastBac.Polh.AAV2.Rep(
図3F)によって超形質転換し、次いで、形質転換体を、カナマイシン、ゲンタマイシン、X-Gal、およびIPTGにおいて選択した。BIVVBacのミニattTn7挿入部位におけるRep発現カセットおよびゲンタマイシン耐性遺伝子の部位特異的転移は、LacZα(インフレームにおいてミニattTn7と融合した)を妨害し、結果として、X-Gal媒介性二重抗生物質選択において大腸菌のホワイトコロニーを生じた。その結果、組換えbacmid DNAを、アルカリ溶菌ミニプレップによって大腸菌ホワイトコロニーから単離し、正しい遺伝構造を決定するために制限酵素で消化させた。制限酵素マッピングの結果は、各組換えbacmidに対する予想された断片を示し、それは、BIVVBacのポリヘドリン遺伝子座におけるRepの部位特異的転移を示唆した(
図5A)。トランスファープラスミドの内側および外側のプライマーを使用して予想された挿入部位にわたる領域をPCR増幅して、結果として生じるアンプライマーを配列決定することによってさらなる確認を得た。
【0252】
B19.Rep、GPV.Rep、またはAAV2.Repをコードする正しい組換えbacmidを、製造元の取扱説明書に従って、Cellfectin(登録商標)(Invitrogen)トランスフェクション試薬を使用してSf9細胞においてトランスフェクトした。トランスフェクション後の4~5日間に、記載されるように(Jarvis,2014)、子孫バキュロウイルスを収集し、Sf9細胞においてプラーク精製した。それぞれの組換えBEV、AcBIVVBac.IE1.B19.Rep
Tn7(
図5B)、AcBIVVBac.Polh.GPV.Rep
Tn7(
図5C)、およびAcBIVVBac.Polh.AAV2.Rep
Tn7(
図5D)の6つのプラーク精製RFP+クローンを、10%熱不活性化ウシ胎仔血清(FBS)を補ったESF-921培地のT25フラスコにおいて、0.5×10
6/mLで播種したSf9細胞においてP1(継代1)へと増幅した。感染後の4~5日間に、低速遠心沈殿によってP1ウイルスを収集し、感染細胞ペレットを、それぞれ、抗B19 NS1(MyBioSource,Inc.)、抗GPV.REP(GenScript(登録商標))、および抗AAV2.REP303.9(American Research Products Inc.)モノクローナルまたはポリクローナル抗体を使用した免疫ブロット法によって、B19.REP、GPV.REP、またはAAV2.REP検出のために試験した。AcBIVVBac.IE1.B19.Rep
Tn7プラーク精製クローン(
図5E)の免疫ブロット分析は、74kDaの予測された質量のB19.REPの単一種を示し、それは、Sf9細胞において非スプライスmRNAから発現されたB19.REPを示唆した。興味深いことに、試験した全てのウイルスクローンにおいて同等レベルのB19.REPの発現が観察され、それは、Sf9細胞におけるAcMNPV IE1プロモーターの存在下での化学量論的レベルのB19.REPの発現を示唆した。B19.Repと異なり、AcBIVVBac.Polh.GPV.Rep
Tn7(
図5F)、またはAcBIVVBac.Polh.AAV2.Rep
Tn7(
図5G)プラーク精製クローンの免疫ブロット分析は、73kDaおよび49kDaの予測された質量でのREPの2つの種が、Rep78およびRep52ポリペプチドに対応することを示し、それは、Sf9細胞においてスプライスmRNA転写物から発現されたGPV.REPおよびAAV2.REPを示唆した。試験した全てのウイルスクローンにおいて同等レベルのRep78またはRep52が観察され、それは、Sf9細胞におけるAcMNPVポリヘドリンプロモーターの存在下での安定したGPV.REPおよびAAV2.REP発現を示唆した。REP78発現のレベルは、REP52のおよそ半分であり、このことはさらに、両方のポリペプチドの正しい化学量論的発現が、漏出性リボソーマルスキャンニングメカニズムによって単一mRNA転写物から達成されることを示唆した。Sf9細胞でのさらなる増幅のために、それぞれのBEVの最も高いREP発現性クローンを選択し、次いで、ceDNAベクター作製のために、非AAVおよびAAVの対称または非対称ITRが隣接するhFVIIIco6XTENをコードする安定細胞株における感染のために使用した。
【実施例6】
【0253】
複製(Rep)およびヒトFVIIIco6XTENバキュロウイルス発現ベクター(BEV)
複数の導入遺伝子に対応するためにBIVVBacを使用することができるか否かを試験するために、2つの導入遺伝子発現カセット:1)Repおよび、2)非AAVおよびAAVの対称または非対称ITRが隣接するhFVIIIco6XTENをコードする誘導体ベクターのファミリーを生成した。これらのBEVを、2段階において作製した。最初に、上記において説明されるように、Rep発現カセットを、Tn7転移によってポリヘドリン遺伝子座のミニattTn7部位に挿入した。次いで、結果として生じる組換えbacmidを、Creリコンビナーゼ(New England Biolabs)を使用したインビトロCre-LoxP組換えによってEGT遺伝子座のLoxP部位にhFVIIIco6XTEN発現カセットを挿入するために使用した。当該プロセスにおいて、B19 ITR、GPV ITR、およびAAV ITRを伴うhFVIIIco6XTENをコードするCre-LoxPドナーベクター(pCLDV-1から-9)(表2)を、それぞれ、AcBIVVBac.IE1.B19.Rep7(
図5B)、AcBIVVBac.Polh.GPV.Rep(
図5C)、またはAcBIVVBac.Polh.AAV2.Rep(
図5D)bacmidに挿入した。組換え反応物を、DH10B大腸菌において形質転換し、形質転換体をカナマイシン、ゲンタマイシン、およびアンピシリンにおいて選択した。三重抗生物質耐性コロニーを、制限酵素マッピングによって、および/またはトランスファープラスミドの内側および外側のプライマーを使用して予想された挿入部位にわたる領域を増幅し、結果として生じるアンプライマーを配列決定することによるPCRによって、スクリーニングした。
【0254】
両方の導入遺伝子カセットをコードする正しい組換えbacmidを、マキシプレップ(maxi prep)精製し、Cellfectin(登録商標)(Invitrogen)トランスフェクション試薬を使用してSf9細胞においてトランスフェクトした。トランスフェクション後の4~5日間に、子孫バキュロウイルスを収集し、Sf9細胞においてプラーク精製した。各組換えBEV(BEV-1から-9)(表4)の6つのプラーク精製RFP+およびGFP+クローン(
図6A、6B、および6C)を、10%熱不活性化ウシ胎仔血清(FBS)を補ったESF921培地のT25フラスコにおいて0.5×10
6/mLで播種したSf9細胞においてP1(継代1)へと増幅した。感染後の4~5日間において、全てのクローンは、感染の進行を示し、それは、それぞれの組換えBEVに対して、GFP+およびRFP+細胞の数によって特定され、このことは、ウイルスを正常に複製することができ、同じバキュロウイルスゲノムにおける複数の導入遺伝子の挿入は、子孫ウイルス作製に悪影響を全く及ぼさないことを示唆した。低速遠心沈殿によってP1ウイルスを収集し、免疫ブロット法によるREP検出またはPureLink Maxi Prep DNA単離キット(Invitrogen)を使用したceDNA単離のどちらかのために、感染細胞ペレットを処理した。上記において説明されるように、B19.REP、GPV.REP、またはAAV2.REPを検出するために、免疫ブロット法を実施した。免疫ブロット法の結果は、試験した各REPに対して6つ全てのクローンが陽性であることを示し、これは、EGT遺伝子座でのhFVIIIco6XTENカセットの挿入が最初期またはポリヘドリン駆動REP発現に悪影響を全く及ぼさなかったことを示唆した。最後に、BEVのワーキングストック(P2)を作製するために、それぞれのBEVの最も高いREP発現性クローンをさらに増幅させ、その後に、Sf9細胞において力価測定を行った。下記において説明されるように、hFVIIIco6XTEN ceDNAベクターを作製するために、力価測定されたBEVをSf9細胞における感染に使用した。
【0255】
【実施例7】
【0256】
バキュロウイルスからのヒトFVIIIco6XTEN ceDNAベクター作製
ceDNA製造のために、hFVIIIco6XTENおよびRep遺伝子の両方をコードする組換えBEV(表4)を試験した。Sf9細胞に、それぞれのBEVの力価測定されたワーキングストック(P2)を3pfu/細胞の感染多重度(MOI)において感染させた。細胞を、室温において1.5時間穏やかにタンブルし、5分間かけて500xgでペレット化し、上清を吸引して、細胞を、10mLの新鮮なESF-921培地で1回洗浄した。細胞を50mLのESF-921培地に懸濁させ、次いで、シェーカーインキュベーターにおいて28℃で72時間インキュベートした。感染の72時間後、感染細胞を収集し、残留バキュロウイルス粒子および/または培養培地を除去するために、ペレットを1×PBSで1回洗浄した。次いで、ceDNAベクターを、製造元の取扱説明書に従って、PureLink Maxi Prep DNA単離キット(Invitrogen)によって単離した。各ceDNAベクターの収量および純度を特定するために、溶出分画を0.8~1.2%のアガロースゲルによって分析した。分析の最初のラウンドとして、BEV-5((表4)、
図7A)を感染させたSf9細胞から分離されたceDNAベクターを試験した。BEV-5の6つ全てのクローンを、ceDNA作製に対して試験した。クローンの1つは、hFVIIIco6XTEN導入遺伝子(約7.0kb)のサイズに対応するDNAバンドを示し、このことは、ポリヘドリン駆動GPV REPが非対称ITR隣接hFVIIIco6XTENベクターDNAをレスキューすることができることを示している(
図7B)。バンディングパターンを可視化しceDNAのサイズを確認するために、試料を異なる量において再び試験した。高分子量の多重バンドが観察された(
図7C)。このデータは、非AAV Repをコードする単一の組換えBEVからのceDNA作製の概念、ならびにITR隣接hFVIIIco6XTEN導入遺伝子を裏付ける。
【実施例8】
【0257】
ヒトFVIIIco6XTEN安定昆虫細胞株
昆虫細胞ゲノムも、バキュロウイルス感染後にDNA治療薬物質を産生するように改変することができることが推察された。この目標を達成するために、転写エンハンサーhr5エレメントによって先行されAcMNPV p10ポリアデニル化シグナルが後に続くAcMNPV最初期1(ie1)プロモーターの存在下においてネオマイシン耐性マーカーをコードするプラスミドを、GenScript(登録商標)(ピスキャタウェイ、NJ)から合成した(配列番号14)(
図8A)。この合成DNAを、Cellfectin(登録商標)(Invitrogen
TM)を使用してSf9細胞において非AAVおよびAAVの対称および非対称ITRが隣接するhFVIIIco6XTEN発現カセット(表3)をコードするプラスミドによって共トランスフェクトした。トランスフェクトの24時間後、トランスフェクション効率を特定するために、細胞を蛍光顕微鏡の下で視覚化したところ、結果は、>80%のGFP+細胞を示し、これは、より高いトランスフェクション効率を示唆している。トランスフェクションの72時間後、1.0mg/mLの最終濃度において完全なTNMFH培地(10%のFBS+0.1%のプルロニックF68を補ったGrace’s Insect Medium)に懸濁されたG418抗生物質(Sigma Aldrich)によって細胞を選択した。選択の約1週間後に、形質転換された細胞の約50%が回収され、このことは、ネオマイシン耐性マーカーがこの細胞集団に安定に組み込まれたことを示唆した。生存細胞を選択培地から取り出し、コンフルエンス増殖まで新鮮な完全なTNMFH培地を供給した。付着培養として、コンフレント細胞をそれらが分裂を続けられるようなより大きい培養容器へと徐々に拡大した。その後、各細胞株は、完全なTNMFHにおける1回の継代および10%のFBSを補ったESF-921培地における1回の継代において振盪フラスコでの懸濁培養に適合させた。最後に、各細胞株を、懸濁培養として振盪フラスコでの無血清ESF-921に適合させた。これらの振盪フラスコ培養を、4日毎の継代によって無血清ESF-921培地において日常作業的に維持し、細胞増殖をモニターした。各細胞株を、挿入されたhFVIIIco6XTENコンストラクトに従い、接頭語「Sf」を用いて命名した(
図8B)(表5)。
【0258】
【実施例9】
【0259】
安定細胞株からのヒトFVIIIco6XTEN ceDNAベクターの作製
安定細胞株アプローチを試験するために、非AAVおよびAAVの対称または非対称ITRを伴うhFVIIIco6XTEN発現カセットをコードする各細胞株(表4)のポリクローナル集団を使用した。細胞に、3pfu/細胞の感染多重度(MOI)において、Repをコードする各組換えBEVの力価測定されたワーキングストック(P2)(FIG.5B~D)を感染させた。細胞を、室温において1.5時間穏やかにタンブルし、5分間かけて500xgでペレット化して、上清を吸引し、細胞を、10mLの新鮮なESF-921培地で1回洗浄した。最後に、細胞を50mLのESF-921培地に懸濁させ、次いで、シェーカーインキュベーターにおいて28℃で72時間インキュベートした。感染の72時間後、感染細胞を収集し、残留バキュロウイルス粒子および/または培養培地を除去するために、ペレットを1×PBSで1回洗浄した。次いで、製造元の取扱説明書に従って、ceDNAベクターを、PureLink Maxi Prep DNA単離キット(Invitrogen)によって単離した。各ceDNAベクターの収量および純度を特定するために、溶出分画を0.8~1.2%のアガロースゲル電気泳動によって分析した。結果は、以前に観察されたように、DNAバンドは、異なる程度の強度ならびに高分子量バンドによって、hFVIIIco6XTENのサイズ(約7.0kb)に対応することを示した(
図9A~C)。興味深いことに、試験した全ての細胞株は、DNAバンドが、隣接する対称および/または非対称ITRにかかわらず、hFVIIIco6XTEN発現カセットのサイズに対応することを示した。B19またはAAV2株と比較して、GPV細胞株-3、-4、および-5は、様々なサイズの多重バンドを示した。
【実施例10】
【0260】
ceDNAからのヒトFVIIIco6XTEN発現
ceDNAを血友病A患者を治療するための非ウイルス遺伝子療法ベクターとして使用することができるかどうかを特定するため、肝細胞由来癌腫ヒトHuh7細胞におけるceDNAからのヒトFVIII発現を試験するためにインビトロ分析を実施した。最初に、Huh7細胞を、24ウェルプレートにおいて、10%のFBSおよび0.1%の抗生物質の混合物(Invitrogen(商標))を補った改質IMEM培地(Gibco(商標))に5×10
5細胞/mLにおいて播種し、次いで、静止細胞の増殖による単層を達成するために、CO
2(5%)を伴う37℃のインキュベーターにおいて48時間インキュベートした。インビボでの非分裂性肝臓細胞の核におけるhFVIIIco6XTEN発現を模倣するために、この増殖条件を達成した。製造元の取扱説明書に従って、リポフェクタミン3000(Invitrogen(商標))を使用して、この単層を、hFVIIIco6XTEN発現カセットのサイズに対応する約1μgのゲル精製ceDNAによってトランスフェクトした。対称切断型ITRが隣接するhFVIIIco6XTENをコードするプラスミドDNAを、コントロール(pCLDV-1、-3、および-7、表3)として使用した。トランスフェクションの18時間後、トランスフェクション混合物を吸引し、細胞に、10%のFBSおよび0.1%の抗生物質の混合物を補った新鮮なIMEM培地を供給した。供給の48時間後および72時間後に、無細胞上清を各治療から分取し、分泌されたhFVIIIco6XTENを、製造元の取扱説明書に従って、Chromogenix Coatest(登録商標)SP第VIII因子発色アッセイによって測定した。FVIII活性を、標準物質によって正規化し、
図10にU/mLにおいてプロットした。アッセイ結果は、hFVIII.B19Δ135.ceDNAを除く試験した全ての試料において、時間経過におけるhFVIII発現のレベルの増加を示した。このデータは、FVIIIが、Huh7細胞の非分裂性単層の核において潜在的にトランスフェクトされたceDNAベクターから発現されたことを示唆している。GPV細胞株-3、-4、および-5から得られたceDNAは、AAV株-6および-8と比較して低いFVIII発現のレベルを示し、このことは、上記において説明されるように、GPV ITRが、細胞ゲノムに組み込まれる間に切断されている可能性が高いことを示唆している。驚くべきことに、B19細胞株-1および-2から得られたceDNAは、検出可能なhFVIIIco6XTEN発現を示さず、その一方で、コントロールとして使用したプラスミドDNA(pCLDV-1、表3)では検出可能であった。全体的に、GPVおよびAAVのceDNAベクターは、Huh7細胞での生理的レベルにおいて持続的hFVIII発現を示し、このことは、ceDNAを、非ウイルス遺伝子療法ベクターとして使用することができることを示唆している(
図10)。個々の細胞株は、表5に記載される。
【実施例11】
【0261】
一過性トランスフェクションによるヒトFVIIIco6XTEN ceDNAベクターの作製
一過性遺伝子発現システムは、バキュロウイルス昆虫細胞システムの機能解析を行うための最も重要な技術の1つである。このシステムは、一過性発現プラスミドにおいて、バキュロウイルスプロモーターの制限下で外来遺伝子を発現させるために開発された。さらに、このシステムは、ベクター構築およびタンパク質合成におけるより短いターンアラウンドを提供し、ウイルス感染および細胞溶解に関連する困難を回避し、タンパク質の細胞輸送を観察するためのロバストな手段を提供する。バキュロウイルス遺伝子プロモーターは、一般的に、感染サイクルにおける転写の開始に従って最初期、初期、晩期、および最晩期のプロモーターに分けられる。この中で、最初期(ie)遺伝子プロモーターのみが、宿主RNAポリメラーゼIIによって認識され、ならびにウイルス転写因子と無関係であり、このことにより、それらは、昆虫細胞における無バキュロウイルス異種タンパク質発現に対して好適である。最も広く市販されている一過性遺伝子発現システムは、オルギア・シュードツガタ多核大型核ポリヘドロシスウイルス(OpMNPV)の最初期(ie)遺伝子プロモーターに基づいて開発される。他の最初期(ie)遺伝子プロモーターと比較して、OpMNPVのOpIE2プロモーターは、Sf細胞における異種タンパク質発現に対する強い活性を提供することが明らかとなった(Bleckmannら,2016)。より近年では、OpIE2プロモーターの制御下でのポリエチレンイミン(PEI)媒介性一過性遺伝子発現に基づく無バキュロウイルスのシステムも記載された(Puente-Massaguerら,2020)。
【0262】
したがって、Repタンパク質の一過性発現は安定細胞株からのヒトFVIIIco6XTEN ceDNAベクターを「レスキューする」ことができると仮定した。この仮説を調べるために、安定細胞株における無バキュロウイルスの作製のためのOpMNPV最初期(OpIE2)プロモーターの存在下でのPEI媒介性一過性Repタンパク質発現を利用した。OpMNPVゲノム(GenBankアクセション番号NC_001875.2)からのOpIE2プロモーター配列を、GenScript(登録商標)(ピスキャタウェイ、NJ)によって合成した(配列番号15)。Repタンパク質発現コンストラクトにおけるポリヘドリンまたは最初期プロモーターを置き換えるために、合成プロモーター配列をクローニングした(
図11A、11C、11E)。結果として得られた一過性発現プラスミドである、pFastBac.OpIE2.B19.Rep(
図11B)、pFastBac.OpIE2.GPV.Rep(
図11D)、およびpFastBac.OpIE2.AAV2.Rep(
図11F)は、非AAVおよびAAVの対称または非対称ITRを伴うヒトFVIIIco6XTEN発現カセットをコードする安定細胞株(表5)をトランスフェクトするために使用されるであろう。
【0263】
非AAVおよびAAVの対称または非対称ITRを伴うヒトFVIIIco6XTEN発現カセットをコードする安定細胞株(表5)は、安定細胞株の新しいセットを生成するために、OpMNPV最初期(OpIE2)プロモーターの存在下においてB19.Rep、GPV.Rep、またはAAV2.Repをコードする一過性発現プラスミド(
図11)、ならびに、転写エンハンサーhr5エレメントによって先行されAcMNPV p10ポリアデニル化シグナルが後に続くAcMNPV最初期1(ie1)プロモーターの存在下においてピューロマイシン耐性マーカーをコードするplamid、によって超形質転換されるであろう。形質転換された細胞は、実施例8において説明されるように、ピューロマイシンによって選択され、振盪フラスコ培養へと増幅されるであろう。これらの細胞株は、無バキュロウイルスヒトFVIIIco6XTEN ceDNAベクター作製のためのプロデューサー細胞株として使用されるであろう。
【実施例12】
【0264】
改変FVIIIXTEN発現カセット
導入遺伝子発現カセットのレベルは、標的にされた宿主に対してcDNAをコドン最適化することによって増加させることができると仮定した。V1.0 FVIIIco6XTEN発現カセットからのFVIII発現の生理的レベルは、米国特許出願公開第20190185543号に記載されるように、以前の研究において実証されている。しかしながら、標的特異性をさらに改善し、免疫原性を減少させるため、FVIIIXTEN cDNAを、パルボウイルスITRを伴うFVIIIXTEN発現カセットをコードするDNAベクターに対して生じた先天性免疫応答を回避するように、枯渇したCpG反復によってコドン最適化した。エンハンサーエレメント(A1MB2)、ハイブリッド合成イントロン(キメライントロン)、ウッドチャック転写後調節エレメント(WPRE、およびウシ成長ホルモンポリアデニル化(bGHpA)シグナルを伴う肝臓特異的改変マウストランスチレチン(mTTR)プロモーター(mTTR482)の制御下においてXTEN 144ペプチド(FVIIIXTEN)と融合したBドメイン欠失(BDD)コドン最適化ヒト第VIII因子(BDDcoFVIII)を含む、改変されたV2.0 FVIIIXTEN発現カセットを生成した。V2.0 FVIIIXTEN発現カセットは、配列番号19の核酸配列を含む。
【0265】
初期のインビボ効果研究は、V1.0 FVIIIXTEN発現カセットと比較して、FVIII活性におけるかなりの改善を示した(データは示されず)。したがって、上記(実施例6))において説明されるように、組換えBIVVBac bacmidを生成するために、V2.0 FVIIIXTEN発現カセットを使用した。次いで、AAV2 WT(
図12A)、B19 WTまたは最小(配列番号16)(
図12B)、およびGPVΔ120(配列番号17)もしくはGPVΔ186(配列番号18)(
図12C)を含む操作されたパルボウイルスITRを、V2.0 FVIIIXTEN発現カセット(配列番号19)に挿入し、ならびに、下記において説明されるように、3つの異なるアプローチを使用してバキュロウイルスシステムでのFVIIIXTEN ceDNAベクターの作製のために試験した。
【実施例13】
【0266】
FVIIIXTEN ceDNA作製のアプローチ
バキュロウイルス昆虫細胞システムにおいて、組換えBEVは、強いプロモーターの存在下において目的の遺伝子を送達し、ならびに昆虫細胞でのウイルス複製にとって必須である転写複合体を提供する。このシステムは、バキュロウイルスゲノムおよび/または安定細胞株の形態の昆虫細胞ゲノムにおける目的の導入遺伝子の挿入の柔軟性を提供する。バキュロウイルスシステムのこれらの利点は、スケーラビリティの容易さによるプラットフォーム選択の柔軟性を提供するためのceDNA作製の3つの異なるアプローチの設計において活用された。
【0267】
OneBAC:
導入遺伝子発現に対するOneBacアプローチの使用を調査するために、BIVVBac bacmidを使用した。実施例1において説明されるように、バキュロウイルスゲノム内の2つの異なる部位における2つの異なるメカニズムによって複数の導入遺伝子の挿入を受け入れるようにBIVVBacを設計した。最適化されたFVIIIXTEN発現カセット(配列番号19)を、同じ骨格において、Tn7転移によってBIVVBacにおけるポリヘドリン遺伝子座のミニattTn7部位にパルボウイルスITRと共に挿入し、上記(実施例6)において説明されるように、ITR特異的複製(Rep)遺伝子発現カセットを、Cre-LoxP組換えによってEGT遺伝子座のLoxP部位に挿入した。次いで、組換えBEVを生成し、
図13Aに示されるように、FVIIIXTEN ceDNAを作製するために、Sf9細胞での感染に使用した。下記において説明されるように、ceDNA製造のためのOneBacアプローチの概念を証明するために、Rep発現レベルを制御するための異なるプロモーターを使用した。
【0268】
TwoBAC:
導入遺伝子の発現に対するTwoBacアプローチの使用を調査するため、上記の実施例5において説明されるように、最適化されたFVIIIXTEN発現カセットを、パルボウイルスITRと共に挿入し、および/または、ITR特異的複製(Rep)遺伝子発現カセットを、Tn7転移によって2つの異なるBIVVBac bacmidのポリヘドリン遺伝子座におけるミニattTn7部位に挿入した。次いで、組換えBEVを生成し、
図13Bに示されるように、FVIIIXTEN ceDNAを作製するためにSf9細胞における共感染に使用した。TwoBACアプローチに関連している困難を、下記の実験において説明されるように、2つのバキュロウイルスの感染多重度(MOI)を異なる比率において使用し、ならびに再現可能なceDNAの産生能を得るためにRep発現レベルを微調節することによって調査した。
【0269】
安定細胞株:
導入遺伝子の発現に対する安定細胞株アプローチの使用を調査するために、実施例8において説明されるように、パルボウイルスITRを伴う最適化されたFVIIIXTEN発現カセットを用いて安定細胞株を生成した。上記の実施例5において説明されるように、Tn7転移により、BIVVBac bacmidのポリヘドリン遺伝子座におけるミニattTn7部位にITR特異的複製(Rep)遺伝子発現カセットを挿入することによって、組換えbacmidも生成した。次いで、組換えRep.BEVを生成し、
図13Cに示されるように、FVIIIXTEN ceDNAを作製するために、FVIIIXTEN安定細胞株における感染に使用した。安定細胞株アプローチに関連する困難を、下記の実験において説明されるように、安定細胞株を生成するプロセスを促進するためにプロキシとしてGFPを使用したFACS細胞選別により、FVIIIXTEN形質転換体を富化することによって調査した。
【実施例14】
【0270】
OneBACからのFVIIIXTEN ceDNA(ceFVIIIXTEN)ベクター作製
AcMNPVポリヘドリンプロモーターの存在下においてAAV2 WTもしくはB19 WT ITRおよびそれらのそれぞれのRep遺伝子を伴うV2.0 FVIIIXTENをコードする組換えBEVを、上記において説明されるように、OneBACアプローチを使用して、Sf9細胞におけるFVIIIXTEN ceDNA(ceFVIIIXTEN)産生に対して試験した。約2.0×10
6/mLの細胞に、0.1、0.5、1.0、2.0、または3.0プラーク形成単位(pfu)/細胞のMOIにおいてOneBAC BEVを感染させた(
図14A、15A)。細胞を、50mLの無血清ESF-921培地に懸濁させ、次いで、28℃のシェーカーインキュベーターにおいて、72~96時間または生存率が60~70%に達するまでインキュベートした。感染の約96時間後、感染細胞を収集し、ceFVIIIXTEN単離のために、製造元の取扱説明書に従って、Maxi Prep DNA単離キット(Invitrogen)を使用してペレットを処理した。ceFVIIIXTENの産生能を特定するために、最終溶出分画を0.8~1.2%のアガロースゲル電気泳動において分析した。
【0271】
ceFVIIIXTEN AAV2 ITR
AAV2 OneBACのアガロースゲル分析(
図14B)は、他の治療と比較して、1.0pfu/細胞のMOIにおいて得られた最も高い産生能によって試験した全てのMOIにおいて、ceFVIIIXTEN AAV2 ITRのサイズ(約8.5kb)に対応するDNAバンドを示した(
図14C)。この結果は、HBoV1 ITRコンストラクトから得られたceFVIIIXTENがウイルス負荷の増加と共に産生能の増加を示したことを示す初期データに反した(データは示さず)。理論に束縛されるわけではないが、このことは、HBoV1-NS1タンパク質と比較して、AAV2 Repが、異なる結合のメカニズムおよびDNA複製のためのAAV2 WT ITRの末端解離部位でのエンドヌクレアーゼ活性を有し、それが、それぞれのITRにおける異なるヘアピン構造(T字形対U字形)に起因し得ることを示唆し得る。
【0272】
ceFVIIIXTEN B19 ITR
B19 OneBACのアガロースゲル分析(
図15B)は、低レベルの産生能によって試験した全てのMOIにおいて、ceFVIIIXTEN B19 ITRのサイズ(約8.5kb)に対応するDNAバンドを示した(
図15C)。AAV2またはHBoV1と異なり、B19 OneBACのより高いウイルス負荷は、強い(ポリヘドリン)バキュロウイルスプロモーターの存在下において感染の後期に発現されたB19-NS1のより高いレベルに潜在的に起因して、ceFVIIIXTENの産生能を改善しなかった。これらの結果は、全長(WT)パルボウイルスITRと化学量論的REP発現との組合せが、バキュロウイルスシステムにおいてより高いceDNA産生能を得ることにとって重要であり得ることを示唆している。
【0273】
結論として、これらの実験は、OneBACアプローチが、パルボウイルスITRおよびNS1導入遺伝子を伴うFVIIIXTENをコードする単一組換えBEVからのceDNA産生の概念を証明することを示した。それは、バキュロウイルスシャトルベクター(BIVVBac)の異なる遺伝子座に挿入された複数の導入遺伝子の実行可能性および機能性、ならびにバキュロウイルス昆虫細胞システムにおける組換えAAVベクター作製のためのその潜在的使用を示している。
【実施例15】
【0274】
TwoBACからのFVIIIXTEN ceDNA(ceFVIIIXTEN)ベクター作製
ceDNA導入遺伝子発現に対するTwoBACアプローチを調査するために、共感染のいくつかの異なる条件を、比率を一定に維持して異なるMOIにおいてTwoBACをSf9に共感染させるか、またはMOIを一定に維持して異なる比率においてTwoBACをSf9に共感染させるかのどちらかによって試験した。各場合において、ウイルス種菌は除去せずに、28℃のシェーカーインキュベーターにおいて生存率が60~70%に達するまで、細胞をインキュベートした。感染の約96時間後、感染細胞を収集し、製造元の取扱説明書に従って、ceFVIIIXTEN単離のために、Maxi Prep DNA単離キット(Invitrogen)を使用してペレットを処理した。ceFVIIIXTENの産生能を特定するために、最終溶出分画を0.8~1.2%のアガロースゲル電気泳動において分析した。
【0275】
ceFVIIIXTEN AAV2 ITR
50mLの無血清ESF-921培地に播種した約2.0×10
6/mLの細胞に、それぞれ、比率1:10を一定に維持するための、0.01、0.1、0.3、1.0、または3.0pfu/細胞のMOIでのAcBIVVBac.mTTR.FVIIIXTEN.AAV2.WT.ITRs
Tn7 BEV、ならびに0.001、0.01、0.03、0.1、または0.3pfu/細胞のMOIでのAcBIVVBac.Polh.AAV2.RepΔVP80
Tn7 BEV(以前に米国特許出願第63/069,115号において記載される)、の力価測定されたワーキングストック(P2)を共感染させた(
図16A~16B)。共感染の異なるMOIでの汚染バキュロウイルスDNA(vDNA)と比較して、AAV2 TwoBACのアガロースゲル分析は、異なる程度のceFVIIIXTEN(ceDNA)産生能を示した。0.1~0.01および3.0~0.3pfu/細胞のMOIは、同じ程度のceFVIIIXTEN(ceDNA)産生能を示したが、晩期の共感染MOIは、汚染vDNAのより低いレベルを示した(
図16C)。
【0276】
これらの結果は、AAV2 TwoBACアプローチはOneBACに対して同等なレベルのceFVIIIXTEN産生能を示すが、精製のこの方法によって同時精製した他の不純物のレベルに著しい違いが存在することを示唆している。理論に束縛されるわけではないが、このことは、Sf9細胞においてより高いceFVIIIXTEN産生能を達成するための化学量論的AAV2 REP78/REP52発現の重要性をさらに強調し得る。
【0277】
ceFVIIIXTEN B19 ITR
50mLの無血清ESF-921培地に播種した約2.0×10
6/mLの細胞に、0.1、0.3、0.5、1.0、3.0、または5.0pfu/細胞のMOIでのAcBIVVBac.mTTR.FVIIIXTEN.B19.WT.ITRs
Tn7 BEV、ならびにそれぞれ、比率1:10を維持するための0.01、0.03、0.05、0.1、0.3、もしくは0.5pfu/細胞のMOIまたは比率1:5を一定に維持するための0.02、0.06、0.1、0.2、もしくは0.6pfu/細胞のMOIでのAcBIVVBac.Polh.B19-NS1
Tn7 BEV、の力価測定されたワーキングストック(P2)を共感染させた(
図17A~17B)。AAV2 TwoBACと異なり、B19 TwoBACのアガロースゲル分析は、共感染の異なるMOIにおいて、ceFVIIIXTEN(ceDNA)および汚染バキュロウイルスDNA(vDNA)の産生能において同等なレベルを示した(
図17C)。興味深いことに、試験したいずれの条件も、B19 OneBACによって得られた結果のようなceFVIIIXTEN B19 ITRの産生能における改善を示さなかった。
【0278】
結論として、B19 OneBACおよびB19 TwoBACアプローチの両方は、バキュロウイルスシステムにおける非AAVパルボウイルスITRからのceDNA産生の概念を証明する。
【0279】
ceFVIIIXTEN GPV ITR
50mLの無血清ESF-921培地に播種した約2.0×10
6/mLの細胞に、0.1、0.3、0.5、1.0、3.0、もしくは5.0pfu/細胞のMOIでのAcBIVVBac.mTTR.FVIIIXTEN.GPVΔ120.ITRs
Tn7 BEV、ならびにそれぞれ、比率1:10を維持するための0.01、0.03、0.05、0.1、0.3、もしくは0.5pfu/細胞のMOIまたは比率1:5を一定に維持するための0.02、0.06、0.1、0.2pfu/細胞のMOIでのAcBIVVBac.Polh.GPV-NS1
Tn7 BEV、の力価測定されたワーキングストック(P2)を共感染させた(
図18A~18B)。AAV2またはB19 TwoBACと異なり、GPV TwoBACのアガロースゲル分析は、5.0~0.5pfu/細胞共感染のMOIにおいて観察されるかすかなバンドを除く、試験した全てのMOIにおいて、ceFVIIIXTENのサイズ(約8.5kb)に対応する検出可能なDNAバンドを示さなかった(
図18C)。GPV TwoBACによって得られたceFVIIIXTEN産生能は、GPV OneBACと相関し、この場合、上記において説明されるように、V1.0 FVIIIco6XTENを、GPV非対称ITRと共に使用した(
図7B、実施例7を参照されたい)。
【0280】
両方の研究において、FVIIIXTEN導入遺伝子カセットの両端の全長WT GPV ITRの入手におけるクローニングの複雑さに起因して、切断型GPV ITRを試験した。それにもかかわらず、GPV OneBACおよびGPV TwoBACアプローチの両方は、ceDNA産生の概念を証明し、ならびに、最適なMOI比の有意性およびSf9細胞におけるFVIIIXTEN ceDNAのより高い産生能を達成するためのプロモーター選択を実証する。
【実施例16】
【0281】
安定細胞株からのFVIIIXTEN ceDNA(ceFVIIIXTEN)ベクター作製
安定細胞株アプローチを試験するために、AAV2 WT、B19最小、またはGPVΔ120ITRが隣接するV2.0 FVIIIXTENで作製された各細胞株のポリクローナル集団に、50mLの無血清ESF921培地に約2.0×106/mLにおいて播種し、ならびに、示されるように、異なるMOIでのITR特異的REP.BEVの力価測定されたワーキングストック(P2)を感染させた。各場合において、ウイルス種菌は除去せずに、細胞を、72~96時間または28℃のシェーカーインキュベーターにおいて生存率が60~70%に達するまでインキュベートした。感染の約96時間後、感染細胞を収集し、製造元の取扱説明書に従って、PureLink Maxi Prep DNA単離キット(Invitrogen)を使用したceFVIIIXTEN単離のために、ペレットを処理した。ceFVIIIXTENの産生能を特定するために、最終溶出分画を0.8~1.2%のアガロースゲル電気泳動において分析した。
【0282】
ceFVIIIXTEN AAV2 ITR
以前(実施例8)に説明したように、AAV2 WT ITRを伴うV2.0 FVIIIXTENをコードする細胞株を開発した。次いで、ポリクローナルSf.FVIIIXTEN.AAV2.WT.ITR細胞集団に、0.001、0.01、0.03、0.1、0.3、または0.5pfu/細胞のMOIにおいてAcBIVVBac.Polh.AAV2.RepΔVP80
Tn7 BEV(米国特許出願第63/069,115号に記載される)の力価測定されたワーキングストック(P2)を感染させた(
図19A、19B)。AAV2安定細胞株から単離されたceFVIIIXTENのアガロースゲル分析は、ceFVIIIXTENのサイズ(約8.5kb)に対応する検出可能なDNAバンドを示さなかった0.001pfu/細胞の最低MOIを除いて、試験した全てのMOIにおいて同等なレベルの産生能を示した。興味深いことに、0.01および0.03pfu/細胞のMOIにおいてREP.BEVを感染させた細胞は、より高いMOIと比較して、汚染バキュロウイルスDNA(vDNA)と同時に、ceFVIIIXTENによるより高い産生能を示した(
図19C)。これらの結果は、AAV2 OneBACまたはAAV2 TwoBACアプローチと異なり、安定細胞株アプローチは、Sf9細胞ゲノムのAAV2 WT ITRが隣接する安定に組み込まれたFVIIIXTEN発現カセットを「レスキューする」ために、より低いウイルス種菌を必要とすることを示唆している。
【0283】
結論として、この研究は、パルボウイルスITRsが隣接するFVIIIXTEN発現カセットを安定に組み込まれた細胞株によるceDNA産生の概念を証明する。
【0284】
ceFVIIIXTEN B19 ITRs
B19最小 ITRを伴うV2.0 FVIIIXTENをコードする細胞株を、以前(実施例8)に説明したように開発した。次いで、ポリクローナルSf.FVIIIXTEN.B19.最小.ITR細胞集団に、0.01、0.03、0.05、0.1、0.3、0.5、1.0、3.0、または5.0pfu/細胞のMOIにおいてAcBIVVBac.Polh.B19-NS1
Tn7 BEVの力価測定されたワーキングストック(P2)を感染させた(
図20A、20B)。B19安定細胞株から単離されたceFVIIIXTENのアガロースゲル分析は、REP.BEVのMOIの増加と共にDNAバンド強度のレベルが増加することを示した。しかしながら、DNAバンドは、ceFVIIIXTENの予想されたサイズ(約8.5kb)よりわずかに低かった(
図20C)。興味深いことに、異なるITRを伴うが、B19安定細胞株から得られたV1.0 ceFVIIIXTEN(実施例9、
図9A)に対して、同様のバンドパターンが観察された。対照的に、B19 WT ITRを伴うFVIIIXTENをコードするB19 OneBACまたはTwoBACを感染させたSf9細胞から得られたceFVIIIXTENは、V2.0 ceFVIIIXTENに対する予想されたDNAバンドのサイズ(約8.5kb)を示した(
図15Cおよび
図17C)。
【0285】
これらの結果は、末端解離部位およびREP結合エレメントが、B19 ITRの切断型または最小バリアントに存在するが、効率的複製のためには、B19-NS1がDNAに結合して切断するために全長(WT)配列が必要とされることを示唆している。
【0286】
ceFVIIIXTEN GPV ITR
GPVΔ120 ITRを伴うV2.0 FVIIIXTENをコードする細胞株を、以前(実施例8)に説明したように開発した。次いで、ポリクローナルSf.FVIIIXTEN.GPVΔ120.ITR細胞集団に、0.01、0.03、0.05、0.1、0.3、0.5、1.0、3.0、または5.0pfu/細胞のMOIにおいてAcBIVVBac.Polh.GPV-NS1
Tn7 BEVの力価測定されたワーキングストック(P2)を感染させた(
図21A、21B)。B19細胞株と異なり、GPV安定細胞株から単離されたceFVIIIXTENのアガロースゲル分析は、感染のMOIの増加と共に産生能のレベルも減少することを示した。
【0287】
興味深いことに、ceFVIIIXTEN GPV ITRの場合、他方のパルボウイルスITRと比較して、ceFVIIIXTEN産生能において逆の傾向が観察された。GPV細胞株での感染のために使用される最低MOI(0.01pfu/細胞)は、試験した他のMOIと比較して、ceFVIIIXTEN(ceDNA)に対して最も高いバンド強度を示した(
図21C)。これらの結果は、少なくとも安定細胞株の場合、GPV-ITR-媒介性ceDNA産生のためには、GPV-NS1の非常に低いレベルが必要とされることを示唆している。さらに、このデータは、GPV OneBACまたはTwoBACにおいて観察されたceFVIIIXTENの低い産生能(
図7C、18C)は、おそらく、高いウイルス負荷に起因し、それが、ceFVIIIXTEN作製のために元々必要とされるよりも高いレベルのGPV-NS1発現に間接的に対応していることを示唆している。
【0288】
それにもかかわらず、安定細胞株アプローチは、非AAVパルボウイルスが隣接するFVIIIXTEN発現カセットと安定に組み込まれた細胞株からのceDNA産生の概念を証明する。
【実施例17】
【0289】
FVIIIXTEN ceDNA(ceFVIIIXTEN)ベクター作製
バキュロウイルス昆虫細胞システムにおいて、組換えBEVは、強いプロモーターの存在下において目的の遺伝子を送達し、ならびに、昆虫細胞でのウイルス複製にとって必須である転写複合体を提供する。典型的には、バキュロウイルスDNAゲノムは、核において複製して、それぞれが全長DNAゲノムを含んだ数千万の子孫ウイルス粒子を産生する。バキュロウイルスゲノムDNAは、プラスミドDNAベースの精製方法、例えば、シリカゲルカラムなどを使用して昆虫細胞からDNAを単離しつつ、ceDNAと共に同時精製されることは実証されている。市販のプラスミドDNAキットのカラムは、一般的に、DNAの分子量に基づいてDNAを分離するように設計されておらず、したがって、典型的には、試料中に存在するDNAの全ての形態がこれらのカラム結合し得る。その上、高分子量のDNAの結合能力は、低分子量DNAとは異なり得、アニオン交換ベースのキットのカラムは、DNAの異なるサイズの結合効率に基づいて最適化されていない。
【0290】
ceDNAプレップにおいて観察された高分子量DNA(>20kb)は、おそらく、低分子量ceFVIIIXTEN(約8.5kb)と共に同時精製されたバキュロウイルスおよび/またはSf9細胞ゲノムDNAであると仮定した(例えば、
図14C~21Cを参照されたい)。以前に、感染性の子孫ウイルス産生のために必要である、バキュロウイルスカプシド遺伝子、例えば、VP80などをノックアウトすることによって、バキュロウイルスDNAを減じるために、間接的アプローチを用いた。このアプローチは、ノックアウトBEVから得られたceDNAプレップにおけるバキュロウイルスDNAの著しい減少を示した(米国特許出願第63/069,115号を参照されたい)。このアプローチは、バキュロウイルスDNA混入を低減することにおいて効率的であるが、このアプローチは、感染細胞ペレットから得られる全DNAの有意量(約60%)に存在する細胞ゲノムDNAを減少させることができない。
【0291】
この研究において、残りの所望でないDNAからFVIIIXTEN ceDNAを分離する直接アプローチを用い、感染細胞ペレットからの全DNAプレップから、精製されたFVIIIXTEN(>95%の純度)を効率的に得ることを実証した。この新規のアプローチは、サイズおよび電荷に従って異なるタンパク質分子を分離するために広く使用される分取電気泳動を活用する。例えば、Michov,B.(2020)Electrophoresis.Berlin,Boston:De Gruyter,pp.405~424を参照されたい。例えば、Bio-Rad Model 491プレップ細胞または他のそのようなユニットを使用することにより、複合体分子のサイズに基づいてそれらを分離することができる。
【0292】
本研究において、高分子量DNAからFVIIIXTEN ceDNAを分離するために分取電気泳動技術を用い、下記において説明されるように、インビボ研究のために使用される、精製されたceDNAを首尾よく得た。
【0293】
ceDNA精製のワークフロー全体が
図22に示されており、この場合、プロセスは、無血清昆虫細胞培養培地における0.5Lから1.5Lまたはより大きい量へのSf9細胞培養のスケールアップで開始される(
図22A)。約2.5×10
6/mLの所望の細胞密度に達することに関して、典型的には、約1.3×10
6/mLの播種密度による2日間のインキュベーションの後に、細胞に、最適化されたMOIにおいてOneBACまたはTwoBAC BEVを感染させ(ceDNA産生のために使用されるアプローチに依存する)、生存率が約60~70%に達するまで(典型的には、約4日を要する)、28℃のシェーカーインキュベーターにおいて細胞をインキュベートした(
図22B)。生存率が約70%に達した後、細胞を収集し、アニオン交換クロマトグラフキットのカラム、例えば、PureLink HiPure Expi Plasmid Gigaprep精製キット(Invitrogen)など、によって、製造元の取扱説明書に従って、全DNA精製のために処理した。DNA産生能および無欠陥性を特定するために、精製したDNA物質の分取を、0.8~1.2%のアガロースゲル電気泳動において点検した(
図22C)。精製された材料は、次いで、製造元の取扱説明書に従って組み立てた、0.5%の分取アガロースゲルおよび0.25%のスタッキングアガロースゲルを含む分取アガロースゲル電気泳動装置にロードさせた。フラクション収集チャンバーにおいて各フラクションを70~80分間収集するために、試料を、低電圧(一定の約40ボルト)において、約50mL/分のバッファー再循環流速、および50μL/分の溶出バッファー速度において4℃で6~7日間電気泳動させる。連続溶出電気泳動の後に、FVIIIXTEN ceDNAの純度を特定するために、各フラクションの20μLを、0.8~1.2%のアガロースゲル電気泳動において点検した(
図22D)。所望のフラクションを収集して、3MのNaOAc、pH5.5、および100%のEtOHにより-200℃で1~2時間かけて沈殿させた。最後に、沈殿したFVIIIXTEN ceDNAを、高速においてペレット化し、pH8.0のバッファーであるTEに再懸濁させる前に、70%のEtOHで1回洗浄した。精製したFVIIIXTEN ceDNAを、インビボ効率研究のために動物に注入する前に純度および無欠陥性を確認するために0.8~1.2%のアガロースゲル電気泳動において再び点検した(
図22E)。
【実施例18】
【0294】
FVIIIXTEN ceDNA(ceFVIIIXTEN)のインビボ効果
HemAマウスのceFVIIIXTEN全身性投与
インビボでのceDNAの機能性を検証するために、AAV2またはHBoV1 WT ITRを伴う精製ceFVIIIXTENを、0.3μg、1.0μg、または2.0μg/マウスにおいて(それぞれ、12μg、40μg、および80μg/kgに相当する)、hFVIIIR593C+/+/HemAマウスに尾静脈水圧注入によって全身注入した。注入されたマウスから血漿試料を7日間の間隔で採取し、上記において説明されるように、発色アッセイによってFVIII活性を測定した。
【0295】
ceFVIIIXTEN注入コホートに対する正常のパーセントに対して正規化した血漿FVIII活性を、
図23に示す。結果は、FVIII発現の超生理学的レベル(正常の>500%)のHemAマウスにおける用量依存性応答が、試験したAAV2もしくはHBoV1 ceDNAの最も高い用量において観察されることを示した。しかしながら、注入後の最長140日目まで、FVIII発現レベルの段階的な減少が観察され、その後、レベルは、ceFVIIIXTEN AAV2 ITR注入コホートにおいて安定した。興味深いことに、ceFVIIIXTEN HBoV1 ITRのFVIII発現レベルは、eFVIIIXTEN AAV2 ITRを注入したマウスと同様の発現傾向を示した(データは示されず)。
【0296】
結論として、これらのインビボ効果研究は、ceFVIIIXTENの機能性を確認し、パルボウイルスITRがバキュロウイルス昆虫細胞システムにおける目的の導入遺伝子をコードする機能的ceDNAを作製するために使用することができることを実証している。
【実施例19】
【0297】
OneBACからのFVIIIXTEN HBoV1 ITRs ceDNAベクター作製
FVIIIXTEN HBoV1 ITRおよびHBoV1 NS1遺伝子の両方をコードするOneBAC BEVを、Sf9細胞でのFVIIIXTEN ceDNA産生について試験した。約2.5×10
6/mLの細胞に、各BEVの力価測定されたワーキングストック(P2)を0.1、0.5、1.0、2.0、または3.0プラーク形成単位(pfu)/細胞の感染多重度(MOI)において感染させた(
図24A)。細胞を、50mLの無血清ESF-921培地に懸濁させ、次いで、72~96時間または28℃のシェーカーインキュベーターにおいて生存率が60~70%に達するまでインキュベートした。感染の約96時間後、感染細胞を収集し、PureLink Maxi Prep DNA単離キット(Invitrogen)によるFVIIIXTEN ceDNAベクター単離のために、製造元の取扱説明書に従って、ペレットを処理した。FVIIIXTEN ceDNAベクターの産生能を特定するために、最終溶出分画を、0.8~1.2%のアガロースゲル電気泳動において分析した。
【0298】
HBoV1 ITRおよびポリヘドリン駆動HBoV1-NS1を伴うFVIIIXTENをコードするAcBIVVBac(mTTR.FVIIIXTEN.HBoV1.ITRs)Polh.HBoV1.NS1
LoxP BEV(
図24B)のアガロースゲル分析が、
図24Cに示される。結果は、DNAバンドは、試験した全て用量において、FVIIIXTEN HBoV1 ITR(約8.5kb)ceDNAのサイズに対応し、MOIの増加と共に産生能が増加することを示した。
【0299】
この結果は、産生能の減少が、ウイルス負荷の増加の前に観察された、AAV2 ITRs OneBACによって得られたceDNAの産生能に反していた。理論に束縛されるわけではないが、HBoV1-NS1タンパク質は、DNA複製のための独特な結合のメカニズムおよびHBoV1 ITRの末端解離部位でのエンドヌクレアーゼ活性を有し得、それらは、REHおよびLEH ITRの独特な構造に起因し得る。
【0300】
結論として、これらの実験は、OneBACアプローチが、HBoV1 ITRおよびNS1導入遺伝子を伴うFVIIIXTENをコードする単一組換えBEVからのceDNA産生の概念を証明することを示した。それは、バキュロウイルスシャトルベクター(BIVVBac)の異なる遺伝子座に挿入された複数の導入遺伝子の実行可能性および機能性、ならびにバキュロウイルス昆虫細胞システムにおける組換えAAVベクター作製のためのその潜在的使用も示している。
【実施例20】
【0301】
TwoBACからのFVIIIXTEN HBoV1 ITRs ceDNAベクター作製
導入遺伝子発現に対するTwoBACアプローチを調査するため、Sf9細胞でのFVIIIXTEN ceDNAベクターの製造のための1:10および1:5の比率の異なるMOIでの、または0.3、1.0、3.0、および5.0pfu/細胞での異なる比率での共感染に対して、ポリヘドリン駆動HBoV1-NS1 BEVを伴うFVIIIXTEN HBoV1 ITRをコードするクローナル組換えBEVを試験した(
図25A)。詳細には、約2.0×10
6/mLの細胞を、50mLの無血清ESF-921培地に播種し、0.1、0.3、0.5、1.0、3.0、5.0pfu/細胞のMOIでのAcBIVVBac.mTTR.FVIIIXTEN.HBoV1.ITRs
Tn7 BEVと、それぞれ、一定の1:10の比率を維持するための0.01、0.03、0.05、0.1、0.3、0.5pfu/細胞のMOIでの、または一定の1:5の比率を維持するための0.02、0.06、0.1、0.2、0.6、1.0pfu/細胞のMOIでのAcBIVVBac.Polh.HBoV1-NS1
Tn7 BEVの力価測定されたワーキングストック(P2)を共感染された。同様に、細胞に、0.3、1.0、3.0、または5.0pfu/細胞のMOIでの1:1、1:2、1:5、または1:10の比率においても共感染させた(
図25B)。各場合において、ウイルス種菌は除去せずに、28℃のシェーカーインキュベーターにおいて生存率が60~70%に達するまで細胞をインキュベートした。感染の約96時間後、感染細胞を収集し、製造元の取扱説明書に従って、PureLink Maxi Prep DNA単離キット(Invitrogen)によるFVIIIXTEN ceDNAベクター単離のために、ペレットを処理した。ceDNA産生能を特定するために、最終溶出分画を0.8~1.2%のアガロースゲル電気泳動において分析した。
【0302】
予想されるように、アガロースゲル分析は、異なる条件により、FVIIIXTEN ceDNA産生能の異なる程度を示した。しかしながら、試験した他の条件と比較して、3.0pfu/細胞のMOIで共感染させたTwoBACは、最も高い1:10のウイルス負荷の比率の増加に伴うFVIIIXTEN ceDNA産生能の増加を示した(
図25C)。より高いウイルス負荷は、FVIIIXTEN HBoV1 ITRs ceDNAの産生能を改善するように見え、それは、OneBAC BEVにおける観察(実施例6を参照されたい)と一致する。このことは、Sf9細胞でのHBoV1-ITR依存性FVIIIXTEN ceDNAの複製に対する、HBoV1-NS1のより高いレベルの要件を、さらに示唆している。
【0303】
OneBACまたはTwoBACによる結果は、HBoV1-NS1複製のレベルが、バキュロウイルスシステムにおけるFVIIIXTEN ceDNAの産生能に対して著しい影響を有することを示している。
【0304】
結論として、これらの実験は、TwoBACアプローチがHBoV1 ITRおよび/またはNS1導入遺伝子を伴うFVIIIXTENをコードする2つの組換えBEVからのceDNA産生の概念を証明することを示した。これらの実験は、最適なMOI比および/またはSf9細胞においてFVIIIXTEN ceDNAのより高い産生能を達成するためのプロモーターの重要性も実証している。
【0305】
配列
【0306】
【表6-1】
【表6-2】
【表6-3】
【表6-4】
【表6-5】
【表6-6】
【表6-7】
【配列表】
【国際調査報告】