(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-18
(54)【発明の名称】多重パルシングを用いたプラズマ均一度制御システムおよびその制御方法
(51)【国際特許分類】
H05H 1/46 20060101AFI20240910BHJP
H01J 27/08 20060101ALI20240910BHJP
H01J 37/08 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
H05H1/46 R
H01J27/08
H01J37/08
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024512093
(86)(22)【出願日】2022-07-25
(85)【翻訳文提出日】2024-02-22
(86)【国際出願番号】 KR2022010856
(87)【国際公開番号】W WO2023043042
(87)【国際公開日】2023-03-23
(31)【優先権主張番号】10-2021-0125123
(32)【優先日】2021-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】597060645
【氏名又は名称】コリア アトミック エナジー リサーチ インスティテュート
【氏名又は名称原語表記】KOREA ATOMIC ENERGY RESEARCH INSTITUTE
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】ホ,ソン・リョル
【テーマコード(参考)】
2G084
5C101
【Fターム(参考)】
2G084AA02
2G084AA12
2G084AA21
2G084AA22
2G084BB05
2G084CC08
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2G084CC17
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2G084HH05
2G084HH20
2G084HH26
2G084HH28
5C101AA31
5C101BB02
5C101DD03
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5C101FF02
5C101GG15
5C101GG33
5C101LL04
(57)【要約】
一実施例に係るプラズマ均一度制御システムは、パルス電力をプラズマ源料ガスに印加してプラズマを生成するプラズマ発生部;プラズマ発生部に連結されており、プラズマ発生部で生成されたプラズマを伝達されて収容するイオン供給部;イオン供給部の内部または下部に位置し、互いに電気的に独立しており、個別的に電圧が印加される複数の分割電極;およびイオン供給部で複数の分割電極のそれぞれに移動するイオンの供給量を制御する制御部;を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パルス電力をプラズマ源料ガスに印加してプラズマを生成するプラズマ発生部;
前記プラズマ発生部に連結されており、前記プラズマ発生部で生成されたプラズマを伝達されて収容するイオン供給部;
前記イオン供給部の内部または下部に位置し、互いに電気的に独立しており、個別的に電圧が印加される複数の分割電極;および
前記イオン供給部で前記複数の分割電極のそれぞれに移動するイオンの供給量を制御する制御部;
を含むプラズマ均一度制御システム。
【請求項2】
前記制御部は、任意の時間で前記複数の分割電極のそれぞれに印加される電圧の大きさを調節する、請求項1に記載のプラズマ均一度制御システム。
【請求項3】
前記複数の分割電極は、第1分割電極と第2分割電極とを含み、前記第1分割電極は、前記第2分割電極より前記プラズマ発生部からさらに近く位置し、かつ前記プラズマ発生部がアフターグロー(after-glow)状態のとき、前記第2分割電極に印加される電位が前記第1分割電極に印加される電位よりさらに高い、請求項2に記載のプラズマ均一度制御システム。
【請求項4】
前記複数の分割電極は、第1分割電極と第2分割電極を含み、前記第1分割電極は、前記第2分割電極より前記プラズマ発生部からさらに近く位置し、かつ前記プラズマ発生部がアクティブグロー(active-glow)状態のとき、前記第2分割電極に印加される電位が前記第1分割電極に印加される電位よりさらに低い、請求項2に記載のプラズマ均一度制御システム。
【請求項5】
前記複数の分割電極のそれぞれは、複数のホールを含む、請求項1に記載のプラズマ均一度制御システム。
【請求項6】
前記複数の分割電極は、多重層で構成されており、第1層の複数の分割電極と第2層の複数の分割電極とを含む、請求項1に記載のプラズマ均一度制御システム。
【請求項7】
前記イオンを引き出すイオン利用部をさらに含む、請求項1に記載のプラズマ均一度制御システム。
【請求項8】
磁場を形成してアクティブグロー(active-glow)状態の前記プラズマ発生部で生成された高エネルギー電子が前記イオン供給部に移動することを制限する磁場フィルターをさらに含む、請求項1に記載のプラズマ均一度制御システム。
【請求項9】
前記プラズマ発生部または前記イオン供給部が、イオンの生成および消滅に関わるプラズマ電子温度を位置別に変わるようにする形状を有する、請求項1に記載のプラズマ均一度制御システム。
【請求項10】
第1パルス電力を第1プラズマ源料ガスに印加して第1プラズマを生成する第1プラズマ発生部;
前記第1パルス電力と位相差を有する第2パルス電力を第2プラズマ源料ガスに印加して第2プラズマを生成する第2プラズマ発生部;
前記第1プラズマ発生部と前記第2プラズマ発生部の間に位置し、前記第1プラズマ発生部および前記第2プラズマ発生部に連結されており、前記第1プラズマおよび前記第2プラズマを伝達されて収容するイオン供給部;
第1電圧が印加される第1分割電極;および
第2電圧が印加され、前記第1分割電極より前記第1プラズマ発生部からさらに遠く位置し、前記第1分割電極より前記第2プラズマ発生部からさらに近く位置する第2分割電極;を含み、
前記第1プラズマ発生部のアフターグローで、前記第1電圧は、前記第2電圧より陰の方向に電圧の大きさが大きく、かつ前記第2プラズマ発生部アクティブグロー状態にある、プラズマ均一度制御システム。
【請求項11】
前記第2プラズマ発生部がアフターグローであるとき、前記第1電圧は、前記第2電圧より陽の方向にその大きさが大きく、かつ前記第1プラズマ発生部は、アクティブグロー状態にある、請求項10に記載のプラズマ均一度制御システム。
【請求項12】
プラズマ発生部で生成されたプラズマがイオン供給部に伝達された後、各分割電極に対応する前記イオン供給部または前記イオン利用部で位置別に任意の時間に対してイオン供給量またはイオン供給量の分布を測定するステップ;
電気的に独立した複数の分割電極に制御部によって個別的に電圧を印加するステップ;および
複数の分割電極電圧変化に基づいて前記イオン供給部または前記イオン利用部で任意の時間に対して位置別のイオン供給量またはイオン供給量の分布がユーザーの設計に合致するか否かを判断するステップ;
を含む、プラズマ均一度制御方法。
【請求項13】
前記プラズマ発生部が多重パルシングによってプラズマを生成する、請求項12に記載のプラズマ均一度制御方法。
【請求項14】
前記複数の分割電極に個別的に電圧を印加するステップは、前記複数の分割電極のそれぞれによって位置別のイオン供給量が制御されることを含む、請求項12に記載のプラズマ均一度制御方法。
【請求項15】
前記ユーザーの設計に合致しない場合、補正された電圧を前記複数の分割電極に個別的に印加する、請求項12に記載のプラズマ均一度制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
多重パルシングを用いたプラズマ均一度制御システムおよびその制御方法が提供される。
【背景技術】
【0002】
プラズマは、気体にエネルギーを加えて生成された準中性のイオン化したガスあるいは粒子の集合体を意味し、中性粒子、電子、イオン、ラジカルなどを含む。ここで、電子はエネルギーによる粒子数分布を有し、エネルギー準位によって高エネルギー電子または低エネルギー電子に分類することができる。
【0003】
陰イオン源を含むイオン源技術は、多様な技術分野、特に核融合、半導体、航空宇宙分野において活発に活用されている。例えば、核融合分野の核融合炉システム用中性粒子ビーム入射装置、半導体分野のプラズマ乾式エッチング工程技術、航空宇宙分野の宇宙推進体としてのイオン推力器などがある。
【0004】
イオン源技術で陰イオンを生成する機序としては、仕事関数が低い物質が塗布されたイオン源装置表面で陰イオンを生成する表面生成機序(surface production mechanism)、高エネルギー電子によって高振動励起分子を生成した後、高振動励起分子と低エネルギー電子の反応により陰イオンを生成する空間生成機序(volume production mechanism)などがある。
【0005】
イオン源分野では、陰イオン生成効率の引き上げなど多様な目的で、プラズマパルシング(plasma pulsing)技術が活用されている。また、パルシングによって生成されたプラズマイオンを連続的に供給し、イオン供給量を設定に応じて調節できる多重プラズマパルシング技術が研究されている。
【0006】
イオン源分野では、多重プラズマパルシング技術の活用性を極大化するために大面積均一度を制御できる技術が必要である。
【0007】
関連先行文献として、韓国登録特許第10-1886755号公報は、多重パルスプラズマを用いた陰イオン供給の連続化システムおよび方法を開示し、韓国登録特許第10-1465542号公報は、強化した電荷中性化を備えたプラズマ工程および工程の制御を開示し、韓国登録特許第10-0485034号公報は、プラズマ処理システムおよび方法を開示し、韓国登録特許第10-1328800号公報は、多重周波数のRFパルスパワーを用いたパルスプラズマの特性制御方法を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】韓国登録特許第10-1886755号公報
【特許文献2】韓国登録特許第10-1465542号公報
【特許文献3】韓国登録特許第10-0485034号公報
【特許文献4】韓国登録特許第10-1328800号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
一実施例は、パルスプラズマイオンを連続的に供給すると共に大面積均一度を制御するためのものである。
【0010】
一実施例は、時間によるパルスプラズマイオン供給量を制御して時間-イオン供給量グラフ上でのシェイピング(shaping)を提示するためのものである。
【0011】
一実施例は、核融合炉システムで中性粒子ビーム入射装置、プラズマ乾式エッチング工程技術、宇宙推進体でイオン推力器を含む多様な技術に適用するためのものである。
【0012】
前記課題の他にも、具体的に言及されていない他の課題を達成するために本発明に係る実施例を用いることができる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
一実施例に係るプラズマ均一度制御システムは、パルス電力をプラズマ源料ガスに印加してプラズマを生成するプラズマ発生部;プラズマ発生部に連結されており、プラズマ発生部で生成されたプラズマを伝達されて収容するイオン供給部;イオン供給部の内部または下部に位置し、互いに電気的に独立しており、個別的に電圧が印加される複数の分割電極;およびイオン供給部で複数の分割電極のそれぞれに移動するイオンの供給量を制御する制御部;を含む。
【0014】
一実施例に係るプラズマ均一度制御システムは、第1パルス電力を第1プラズマ源料ガスに印加して第1プラズマを生成する第1プラズマ発生部;第1パルス電力と位相差を有する第2パルス電力を第2プラズマ源料ガスに印加して第2プラズマを生成する第2プラズマ発生部;第1プラズマ発生部と第2プラズマ発生部の間に位置し、第1プラズマ発生部および第2プラズマ発生部に連結されており、第1プラズマおよび第2プラズマを伝達されて収容するイオン供給部;第1電圧が印加される第1分割電極;および第2電圧が印加され、第1分割電極より第1プラズマ発生部からさらに遠く位置し、第1分割電極より第2プラズマ発生部からさらに近く位置する第2分割電極;を含み、第1プラズマ発生部のアフターグローで、第1電圧は第2電圧より陰の方向に電圧の大きさが大きく、かつ第2プラズマ発生部アクティブグロー状態にある。
【0015】
一実施例に係るプラズマ均一度制御方法は、プラズマ発生部で生成されたプラズマがイオン供給部に伝達された後、各分割電極に対応するイオン供給部またはイオン利用部で位置別に任意の時間に対してイオン供給量またはイオン供給量の分布を測定するステップ;電気的に独立した複数の分割電極に制御部によって個別的に電圧を印加するステップ;および複数の分割電極電圧変化に基づいてイオン供給部またはイオン利用部で任意の時間に対して位置別のイオン供給量またはイオン供給量の分布がユーザーの設計に合致するか否かを判断するステップ;を含む。
【発明の効果】
【0016】
一実施例は、プラズマパルシングで生成されたイオンを連続的かつ大面積に均一にまたは所望の分布で供給することができ、時間によるイオン供給量を制御して時間-イオン供給量に対するシェイピングが可能であり、核融合炉システムの中性粒子ビーム入射装置、プラズマ乾式エッチング工程、宇宙推進体のイオン推力器を含む多様な技術に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1a】一実施例に係る多重パルシングを用いたプラズマ均一度制御システムを概略的に示す断面図である。
【
図1b】
図1aのシステムで複数の分割電極を示す平面図である。
【
図1c】一実施例に係る多重パルシングを用いたプラズマ均一度制御システムを概略的に示す断面図である。
【
図2a】
図1aの多重パルシングを用いたプラズマ均一度制御システムで、複数のプラズマ発生部と分割電極に対して、各プラズマ発生部に印加されるパルス電力プロファイルと各電極に印加される時間別の電圧プロファイルとを示すグラフである。
【
図2b】
図1aの多重パルシングを用いたプラズマ均一度制御システムで、複数のプラズマ発生部と分割電極に対して、各プラズマ発生部に印加されるパルス電力プロファイルと各電極に印加される時間別の電圧プロファイルとを示すグラフである。
【
図3a】
図1aのシステムで、
図2aの設定されたパルス電力および電極電圧印加によって現れる位置(A-E)別の時間-陰イオン供給量を示すグラフである。
【
図3b】
図1aのシステムで、
図2aのパルス電力の印加によって現れるイオン供給部内の位置(a-e)別の時間-陰イオン密度を示すグラフである。
【
図4a】
図1aのシステムで、
図2bの設定されたパルス電力および電極電圧印加によって現れる位置(A-E)別の時間-陽イオン供給量を示すグラフである。
【
図4b】
図1aのシステムで、
図2bのパルス電力の印加によって現れるイオン供給部内の位置(a-e)別の時間-陽イオン密度を示すグラフである。
【
図5a】一実施例に係る多重パルシングを用いたプラズマ均一度制御システムを概略的に示す断面図である。
【
図5b】
図5aのシステムで複数の分割電極を示す平面図である。
【
図6】一実施例に係る多重パルシングを用いるプラズマ均一度制御システムでの複数の分割電極を示す平面図である。
【
図7】一実施例に係る複数の分割電極を示す斜視図である。
【
図8】イオン供給部内の電極または基板上であるいはイオン利用部内で、ユーザーが所望する時間別のイオン(ビーム)供給量および分布を形成させようとするとき、制御部で各分割電極に印加される時間別の電極電圧プロファイルを設定する方法を示すフローチャートである。
【
図9】多重プラズマパルシング技術を活用した時間-陰イオン供給量シェイピングの多様な例を示すグラフである。
【
図10】多重パルシングを用いたプラズマ均一度制御システムの制御図を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
添付の図面を参考として本発明の実施例に対して本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳しく説明する。本発明は色々な異なる形態で具現することができ、ここで、説明する実施例に限定されない。図面で本発明を明確に説明するために説明上不必要な部分は省略し、明細書全体にわたって同一または類似の構成要素に対しては同一の図面符号が使用された。また広く知られている公知技術の場合、その具体的な説明は省略する。
【0019】
明細書全体で、ある部分がある構成要素を「含む」というとき、これは特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くものではなく、他の構成要素をさらに含むことができるのを意味する。
【0020】
明細書全体で、イオン供給量は、イオン密度、またはイオンフラックス(flux)を全て含むことを意味する。
【0021】
明細書および図面全体で、A地点ないしE地点、a地点ないしe地点は、対象物の表面または当該地点の空間を意味する。
【0022】
明細書および図面全体で、一実施例に係るプラズマ均一度制御システムは、必要に応じて、韓国登録特許第10-1886755号公報に記載されているシステムの各構成要素を追加することができる。
【0023】
以下、一実施例に係る多重パルシングを用いたプラズマ均一度制御システムおよびその制御方法について説明する。
【0024】
図1aは、一実施例に係る多重パルシングを用いたプラズマ均一度制御システムを概略的に示す断面図であり、
図1bは、
図1aのシステムで、複数の分割電極を示す平面図であり、
図1cは、一実施例に係る多重パルシングを用いたプラズマ均一度制御システムを概略的に示す断面図である。
図2aは、
図1aの多重パルシングを用いたプラズマ均一度制御システムで、複数のプラズマ発生部と分割電極に対して、各プラズマ発生部に印加されるパルス電力プロファイルと各電極に印加される電圧の時間別の電圧プロファイルとを示すグラフである。一例として、ここで、時間別の電圧プロファイルは、電極または基板上のA-E位置に
図3aの均一分布下の目標陰イオン供給量X’またはX’に対応する
図3bの均一分布下の目標陰イオン密度Xを提供するために設定したプロファイルである。
図3aは、
図1aのシステムで、
図2aに設定されたパルス電力および電極電圧印加によって現れる位置(A-E)別の時間-陰イオン供給量を示すグラフである。位置(A-E)別の目標陰イオン供給量が、X'と同一であるので、目標陰イオン供給量の分布は均一分布である。
図3bは、複数の分割電極によるイオンフラックスの制御がないか、または複数の分割電極に同一の電圧が印加される場合の位置(a-e)別の時間-陰イオン密度を示すグラフである。ここで、Xは電極または基板上のA-E位置でイオン供給量(または、フラックス)をX’だけ同一に提供しようとするとき、対応するa-e位置での目標陰イオン密度である。
【0025】
図1aおよび
図1bを参考にすると、多重パルシングを用いたプラズマ均一度制御システム1は、プラズマ発生部110、イオン供給部120、複数の分割電極160、および制御部130を含む。
【0026】
プラズマ均一度制御システム1は、制御部130によって複数の分割電極160に個別的に印加される電圧を調節して、大面積の多様な位置でのイオン供給量の均一度を制御することができる。例えば、AないしE地点でのイオン供給量が実質的に同一であってもよく、またはAないしE地点でのイオン供給量の分布が全体的に、鐘形状、角形状、スロープ形状など多様な形状を有してもよい。
【0027】
プラズマ発生部110は、複数のプラズマ発生部110a、110bを含み、制御部130によって制御されてもよい。プラズマ発生部110は、プラズマ発生に必要なインピーダンス整合器、電源供給装置、アンテナなどの追加構成を必要に応じて含んでもよい。また、プラズマ発生部110は、ガス供給装置によってガスを供給されてもよい。プラズマ発生部110は、必要に応じて2個以上のプラズマ発生部を含んでもよい。
図2aを参考にすると、複数のプラズマ発生部110a、110bのそれぞれは位相差を有し、パルス電力をプラズマ源料ガス(plasma source gas)に印加してプラズマを生成する。したがって、
図1(a)のイオン供給部120内の特定位置の場合、特定密度のイオンを時間の変化に関係なく連続的に供給することができる。システム1での多重プラズマパルシングでパルスプラズマイオンの供給は連続化し、常時または連続的にイオン供給および活用が必要な装置にシステム1を提供することができる。
【0028】
例えば、プラズマ源料ガスは、プラズマ状態で陰イオンを作ることができる負性ガス(electronegative gas)を含んでもよい。プラズマ源料ガスに負性ガスが含まれる場合、生成されたプラズマは、陰イオン、陰イオン前駆体の高振動励起分子(highly vibrationally excited molecule)、高エネルギー電子、低エネルギー電子を含んでもよい。
【0029】
パルス電力は、パルス型プラズマ発生電力を意味するものであって、電力が印加されるON状態と印加されないOFF状態をいずれも含む。電力が印加されるON状態またはその時間領域はアクティブグロー(active-glow)、そして電力が印加されないOFF状態またはその時間領域はアフターグロー(after-glow)である。例えば、
図3bを参考にすると、第1プラズマ発生部110aで、アクティブグローはt
1-t
2時間区間およびt
3-t
4時間区間であり、アフターグローはt
2-t
3時間区間である。第2プラズマ発生部110bで、アクティブグローはt
5-t
6時間区間であり、アフターグローはt
6-t
7時間区間である。
【0030】
アクティブグローの場合、ON状態の電力によって陰イオン消滅反応および高振動励起分子の生成に関わる高エネルギー電子が多いため、高振動励起分子の密度は高く形成されるが、陰イオン密度はアフターグローでの陰イオン密度より低く形成される。アフターグローの場合、陰イオン消滅反応に関わる高エネルギー電子が非常に少なく、高振動励起分子と低エネルギー電子の密度は陰イオン生成反応に必要な程度に維持されるため、陰イオン密度は、アクティブグローでの陰イオン密度より高く形成され、その後、陰イオン生成反応による低エネルギー電子と高振動励起分子の消耗などの理由により陰イオン密度は増々減少する。これにより、イオン供給部120に複数のプラズマ発生部110a、110bを連結し、一つのプラズマ発生部110がアクティブグローで陰イオン供給量が少ないとき、他のプラズマ発生部110をアフターグローにして陰イオン供給量を補償することによって、特定位置で複数のプラズマ発生部110a、110bからイオン供給部120に供給される時間による総陰イオンの量を一定に維持することができる。例えば、アフターグローで、陰イオンが高い密度に生成されるので、第1プラズマ発生部110aのアクティブグロー(
図3bのc地点t
3-t
4区間)で減少する陰イオンの供給量は、第2プラズマ発生部110bのアフターグロー(
図3bのc地点の同じ時間区間)で生成された陰イオンを供給することによって補償することができる。
【0031】
複数のプラズマ発生部110a、110bのそれぞれは、誘導結合型プラズマ装置(Inductively Coupled Plasma、ICP)、電子サイクロトロン共鳴(Electron Cyclotron Resonance Plasma、ECR)プラズマ装置、電磁波(microwave)プラズマ装置、フィラメント放電プラズマ装置、ラジオ周波数プラズマ装置、ヘリコン(helicon)プラズマ装置、容量結合型プラズマ装置(Capacitvely Coupled Plasma、CCP)等を含んでもよい。複数のプラズマ発生部110a、110bは互いに同一または異なってもよく、多様な組み合わせのプラズマ装置で構成されてもよい。
【0032】
複数のプラズマ発生部110a、110bのそれぞれで生成されたプラズマは、複数のプラズマ発生部110a、110bに連結されているイオン供給部120に伝達される。例えば、イオン供給部120は、プラズマ発生部110で生成された陰イオンを伝達されて収容することができる。また、イオン供給部120は、プラズマ発生部110から伝達された陰イオン前駆体と低エネルギー電子が反応して陰イオンが生成される空間を含んでもよい。
【0033】
イオン供給部120の内部下段に複数の分割電極160が位置してもよい。例えば、大面積基板が使用される半導体工程で、複数の分割電極160が用いられてもよく、これにより、所望のイオン供給量、イオン分布、イオンエネルギーなどを適切に制御しながら基板にイオンを供給することができる。複数の分割電極160は、電気的に独立しており、多様な個数で構成されてもよく、多様な形状を有してもよい。
【0034】
複数の分割電極160は、実質的に同一の平面または曲面上に位置してもよい。制御部130によって、複数の分割電極160のそれぞれに時間によって多様に変わる電圧が個別的に印加されてもよく、複数の分割電極160のそれぞれの電位が互いに異なってもよい。このような複数の分割電極160のそれぞれの電位と近傍のイオン供給部120の内部のプラズマ空間電位との差を互いに異なるように設定することによって、イオン供給部120の内部空間で複数の分割電極160のそれぞれに移動するイオンのフラックスを制御することができる。イオン供給部120の内部位置(a-e)に対するイオン密度分布は、位置別に複数のプラズマ発生部110a、110bのそれぞれからの距離が互いに異なるので、位置、時間によって変わるイオン供給量の不均一性(
図3bを参考)が発生する。この不均一性は、分割電極160上のイオンフラックス分布の不均一性につながることもあるので、イオンフラックスの制御を通じてイオンフラックス分布の不均一性を緩和させるか、またはユーザーの設計によって任意の時間で特定の形状の分布を有するように調節することができる。
【0035】
陰イオンに対する均一分布の制御に関連する一例として
図2aを参考にすると、第1プラズマ発生部110aのアフターグローの特定時点、(t
2+t
3)/2で、複数の分割電極160は、第1プラズマ発生部110aに近いほど、その電位が陰(-)の方向により大きい値を有するように制御することができる。例えば、ε分割電極、δ分割電極、γ分割電極、β分割電極、およびα分割電極の順にその電位が陰(-)の方向により大きい値を有するように制御することができる。また、第2プラズマ発生部110bのアフターグローの特定時点、(t
6+t
7)/2で、複数の分割電極160は、第2プラズマ発生部110bに近いほど、その電位が陰(-)の方向により大きい値を有するように制御することができる。例えば、α分割電極、β分割電極、γ分割電極、δ分割電極、およびε分割電極の順にその電位が陰(-)の方向により大きい値を有するように制御することができる。
【0036】
図3bを参考にすると、第1プラズマ発生部110aのアフターグローの特定時点((t
2+t
3)/2)で、a地点は、c地点より陰イオンおよび陰イオン前駆体が大量生成された第1プラズマ発生部110aとさらに近いため、a地点に到達するイオンの量(フラックス)がc地点のイオンの量(フラックス)よりさらに多い。そして、これにより仮に複数の分割電極160によるイオンフラックスの制御がないか複数の分割電極160に同一の電圧が印加される場合、A地点に到達するイオンの量(フラックス)もC地点に到達するイオンの量(フラックス)よりさらに多くなる。これにより、アフターグローの特定時点((t
2+t
3)/2)で、α分割電極電位をγ分割電極電位より陰の方向に大きく増加させると、当該地点電場の分布によってa地点からA地点に移動する陰イオンのフラックス変化量はc地点からC地点に移動する陰イオンのフラックス変化量より減ることになる。a地点の陰イオン密度がc地点の陰イオン密度より高いため、結果的に、
図3aに示されたように、A地点およびC地点の陰イオンフラックスはX'と同一になるように制御可能である。これとは異なり、第1プラズマ発生部110aのアフターグローの特定時点((t
2+t
3)/2)で、e地点はc地点より第1プラズマ発生部110aからの距離がさらに遠いため、第1プラズマ発生部110aからe地点に到達するイオンの量(フラックス)がc地点に到達するイオンの量(フラックス)よりさらに少ない。仮に複数の分割電極160によるイオンフラックスの制御がないか複数の分割電極160に同一の電圧が印加される場合、E地点の陰イオンフラックスもC地点の陰イオンフラックスより小さいだろう。これにより、アフターグローの特定時点((t
2+t
3)/2)で、ε分割電極に印加される電位をγ分割電極電位より陽の方向に大きく増加させることによって、e地点からE地点に移動する陰イオンフラックス変化量をc地点からC地点に移動する陰イオンフラックス変化量より大きくすることができる。e地点の陰イオン密度がc地点の陰イオン密度より低いため、結果的に、第1プラズマ発生部110aからE地点に到達するイオン供給量はC地点と実質的にX’と同一になるように制御することができる。このような方式でβおよびδ分割電極電位を調節して、BおよびD地点のイオン供給量もそれぞれ制御可能である。また、これと同様の方式で、第2プラズマ発生部110bのアフターグローの特定時点、(t
6+t
7)/2で分割電極に印加される電圧を制御することによって、A-E地点に到達するイオン供給量を、
図3aに示したように、実質的にX’と同一になるように制御することができる。
【0037】
陽イオンに対する均一分布の制御に関連する一例を、
図2b、
図4aおよび
図4bを参考にして説明すると、以下の通りである。
【0038】
図2bは、
図1aの多重パルシングを用いたプラズマ均一度制御システムで、複数のプラズマ発生部と分割電極とに対して、
図2aの設定とは異なる、各プラズマ発生部の印加パルス電力プロファイルと各電極印加時間別の電圧プロファイルとを示すグラフである。一例として、ここで、時間別の電圧プロファイルは、電極または基板上のA-E位置に
図4aの均一分布下の目標陽イオン供給量Y’またはY’に対応する下記の
図4bの均一分布下の目標陽イオン密度Yを提供するために設定したプロファイルである。
図4aは、
図1aのシステムで、
図2bの設定されたパルス電力および電極電圧印加によって現れる位置(A-E)別の時間-陽イオン供給量を示すグラフである。ここで、位置(A-E)別の目標陽イオン供給量がY'と同一であるので、目標陽イオン供給量の分布は均一分布である。
図4bは、
図2bのパルス電力プロファイルを
図1aのシステムに適用し、複数の分割電極によるイオンフラックスの制御がないか、または複数の分割電極に同一の電圧が印加される場合のイオン供給部内の位置(a-e)別の時間-陽イオン密度を示すグラフである。ここで、Yは電極または基板上のA-E位置でイオン供給量(または、フラックス)をY’だけ同一に提供しようとするとき、対応するa-e位置での目標陽イオン密度である。
【0039】
第1プラズマ発生部110aのアクティブグローの特定時点t
Aで(
図2b参照)、複数の分割電極160は、第1プラズマ発生部110aに近いほど、その電位が陽(+)の方向により大きい値を有するように制御することができる。例えば、ε分割電極、δ分割電極、γ分割電極、β分割電極、およびα分割電極の順にその電位が陽(+)の方向により大きい値を有するように制御することができる。
【0040】
また、第2プラズマ発生部110bのアクティブグローの特定時点tBで、複数の分割電極160は、第2プラズマ発生部110bに近いほど、その電位が陽(+)の方向により大きい値を有するように制御することができる。例えば、α分割電極、β分割電極、γ分割電極、δ分割電極、およびε分割電極の順にその電位が陽(+)の方向により大きい値を有するように制御することができる。
【0041】
図4bを参考にすると、第1プラズマ発生部110aのアクティブグローの特定時点t
Aで、a地点はc地点より陽イオンが大量生成された第1プラズマ発生部110aとさらに近いため、a地点に到達するイオンの量(フラックス)がc地点のイオンの量(フラックス)よりさらに多い。そして、これにより仮に複数の分割電極160によるイオンフラックスの制御がないか複数の分割電極160に同一の電圧が印加される場合、A地点に到達するイオンの量(フラックス)もC地点に到達するイオンの量(フラックス)よりさらに多くなる。これにより、アクティブグローの特定時点t
Aで、α分割電極電位をγ分割電極電位より陽の方向に大きく増加させると、当該地点電場の分布によってa地点からA地点に移動する陽イオンフラックス変化量は、c地点からC地点に移動する陽イオンフラックス変化量より減ることになる。a地点の陽イオン密度がc地点の陽イオン密度より高いため、結果的に、
図4aに示されたように、A地点およびC地点の陽イオンフラックスはY'と同一になるように制御可能である。これとは異なり、第1プラズマ発生部110aのアクティブグローの特定時点t
Aで、e地点はc地点より第1プラズマ発生部110aからの距離がさらに遠いため、第1プラズマ発生部110aからe地点に到達するイオンの量(フラックス)がc地点に到達するイオンの量(フラックス)よりさらに少ない。仮に複数の分割電極160によるイオンフラックスの制御がないか複数の分割電極160に同一の電圧が印加される場合、E地点の陽イオンフラックスもC地点の陽イオンフラックスより小さいだろう。アクティブグローの特定時点t
Aで、ε分割電極に印加される電位をγ分割電極電位より陰の方向にさらに大きく増加させることによって、e地点からE地点に移動する陽イオンフラックス変化量は、c地点からC地点に移動する陽イオンフラックス変化量より大きくすることができる。e地点の陽イオン密度がc地点の陽イオン密度より低いため、結果的に、第1プラズマ発生部110aからE地点に到達するイオン供給量は、C地点と実質的にY’と同一になるように制御することができる。このような方式でβおよびδ分割電極電位を調節して、BおよびD地点それぞれに対するイオン供給量制御が可能である。また、これと同様の方式で、第2プラズマ発生部110bのアクティブグローの特定時点t
Bで分割電極に印加される電圧を制御することによって、A-E地点に到達するイオン供給量を、
図4aに示したように、実質的にY’と同一になるように制御することができる。
【0042】
制御部130は、前述した複数のプラズマ発生部110a、110bを制御することができる。例えば、制御部130は、プラズマ発生部110に供給されるパルス電力の大きさ、印加時点、繰り返し周波数、パルス幅、デューティーサイクル、複数の電力パルスの間の位相差などを適切に制御することができる。また、制御部130は、前述した複数の分割電極160に対する電圧特性を制御することができる。例えば、制御部130は、複数の分割電極160のそれぞれに供給される電圧の大きさを時間の変化によって個別的に制御することができる。
【0043】
多重パルシングを用いたプラズマ均一度制御システム1は、選択的に磁場フィルター150を含んでもよい。
【0044】
磁場フィルター150は、プラズマ発生部110とイオン供給部120の間に設けられ、磁場を形成するように構成される。磁場フィルター150は、プラズマ発生部110がイオン供給部120に連結する連結部151a、151bに設けられてもよい。その他にも、磁場フィルター150は、プラズマ発生部110またはイオン供給部120の周辺に設けられてもよい。磁場フィルター150は磁場を形成してアクティブグロー状態のプラズマ発生部110で生成された高エネルギー電子がイオン供給部120に移動することを制限するように構成することができ、これにより、イオン供給部120内の陰イオンの密度を高く維持し、陰イオン供給の連続性を高めることができる。
【0045】
磁場フィルター150は、複数の磁場フィルター150a、150bを含んでもよく、電磁石磁場フィルター、永久磁石磁場フィルターなどであってもよい。複数の磁場フィルター150a、150bのそれぞれは多様な組み合わせの磁場フィルターで構成されてもよい。ここで、電磁石磁場フィルターは、電磁石用電源供給装置と電磁石を含んでもよく、制御部130によってパルス電力の位相差と連携(または、同期化)して、プラズマ発生部110の作動状態によって磁場の大きさを調節することができる。例えば、電磁石磁場フィルターは、プラズマ発生部110のアクティブグローで磁場を形成してプラズマ発生部110の内で生成された高エネルギー電子がイオン供給部に移動することを制限することができる。また、電磁石磁場フィルターは、時間による変化なく一定の磁場を形成するか、特定時間に対して遅延して作動することもできる。
【0046】
永久磁石磁場フィルターの場合、その設置が簡単で、電磁石磁場フィルターより経済的でかつ高エネルギー電子の移動を制限することができる。
【0047】
磁場フィルター150を設ける代わりに、プラズマ発生部110またはイオン供給部120の体積または形状を調節するか、プラズマ発生部110とイオン供給部120の間の連結部151a、151bの大きさや形状を調節することによって、電子温度を制御したまま、イオンおよびイオン前駆体をイオン供給部120に拡散または輸送することができる。
【0048】
図1cを参考にすると、a-e地点とA-E地点の間の電場を局部的に調節するために、複数の分割電極160は、二元化または多元化して活用可能である。
図1cで、上部に位置した電極160と下部に位置した電極190とは、イオン供給部120内のウエハー(図示せず)等のようなイオン照射対象を挟んで位置してもよい。上部電極160と下部電極190とは、一方のみ複数の分割電極で構成するかまたは両方とも複数の分割電極で構成することができる。例えば、
図6または
図7のような分割方式を両方とも同一に適用するか、異なるように適用することができる。例えば、イオン照射対象または基板は、イオン供給部120の下部に位置する単一電極190の上に置かれてもよく、その上に複数の分割電極160がイオン供給部120内の上部に位置してもよい。このような
図1cの多重パルシングを用いたプラズマ均一度制御システム1は、
図1aの互いに異なる電圧が印加される複数の分割電極160の上にイオン照射対象が置かれ難い状況を克服するために効果的に用いることができる。例えば、金属導体のイオン照射対象を処理するために、分割電極の上に置き、互いに異なる電圧をかけてシステムを作動させる場合、金属導体は電気が通るため分割電極の上で電極間の短絡(short)を引き起こす可能性がある。これによりシステムが高障するか、電圧供給装置が高障する可能性がある。しかし、基板それ自体をイオン供給部の下部に置くかあるいは下部の単一電極上に基板を置き、上部分割電極を用いる場合、短絡、高障などが起きないこともある。
【0049】
活用目的によっては、
図1cのイオン供給部120の下部に位置する単一電極160bの代わりに単に基板(図示せず)を位置させてもよい。この場合、複数の分割電極160は、二元化または多元化せず、イオン供給部120の上部にのみ位置し、a-e地点と基板上のA-E地点の間の電場を局部的に調節するようになる。
【0050】
図1cの多重パルシングを用いたプラズマ均一度制御システム1の構成の中で、
図1aおよび
図1bの多重パルシングを用いたプラズマ均一度制御システム1と重複する構成に対しては、前述した
図1aおよび
図1bの多重パルシングを用いたプラズマ均一度制御システム1に対する原理を適用することができる。また、
図1cの多重パルシングを用いたプラズマ均一度制御システム1は、前述した
図2aおよび
図2bの、陰イオンおよび陽イオン供給量の分布制御のための、複数のプラズマ発生部と分割電極に印加されるパルス電力プロファイルと各電極に印加される時間別の電圧プロファイルとを示すグラフ、
図3aの設定されたパルス電力および電極電圧の印加によって現れる位置別の時間-陰イオン供給量を示すグラフ、
図3bのパルス電力の印加によって現れるイオン供給部内の位置別の時間-陰イオン密度を示すグラフ、
図4aの設定されたパルス電力および電極電圧の印加によって現れる位置別の時間-陽イオン供給量を示すグラフ、および
図4bのパルス電力の印加によって現れるイオン供給部内の位置別の時間-陽イオン密度を示すグラフに対する説明を一部適用することができる。適用時に考慮する本技術の原理は、a-e地点とA-E地点の間の時間別の電場大きさを局部的に制御してA-E地点のイオン供給量を調節するということである。
【0051】
図5aは、一実施例に係る、イオンビームを用いようとするとき、またはイオンおよびイオンビームをイオン供給部とは異なる空間で用いようとするときに活用可能な、多重パルシングを用いたプラズマ均一度制御システムを概略的に示す断面図であり、
図5bは、
図5aのシステムで複数の分割電極を示す平面図である。
【0052】
図5aおよび
図5bを参考にすると、多重パルシングを用いたプラズマ均一度制御システム1は、イオン利用部170を含んでもよい。イオン利用部170は、複数の分割電極160を通じて均一度が制御されたイオンビームを引き出して利用できる空間である。また、複数の分割電極160は、それぞれ複数のホールなどが形成されていることがあり、このような複数のホールを介して均一度が制御されたイオンビームがイオン供給部120からイオン利用部170に引き出されることがある。複数のホールは、その模様、大きさ、個数、位置、および配列のそれぞれに対して多様に構成することができる。また、複数の分割電極160は、その内部に冷却水が流れる空間を含んでもよく、これにより複数の分割電極160の冷却効率を増大させることができる。
【0053】
図5aおよび
図5bの多重パルシングを用いたプラズマ均一度制御システム1の構成の中で、
図1aおよび
図1bの多重パルシングを用いたプラズマ均一度制御システム1と重複する構成に対しては、前述した
図1aおよび
図1bの多重パルシングを用いたプラズマ均一度制御システム1に対する説明を適用することができる。また、
図5aおよび
図5bの多重パルシングを用いたプラズマ均一度制御システム1は、前述した
図2aおよび
図2bの、陰イオン(ビーム)および陽イオン(ビーム)供給量の分布制御のための、複数のプラズマ発生部と分割電極に印加されるパルス電力プロファイルと各電極に印加される時間別の電圧プロファイルとを示すグラフ、
図3aの設定されたパルス電力および電極電圧印加によって現れる位置別の時間-陰イオン(ビーム)供給量を示すグラフ、
図3bのパルス電力の印加によって現れるイオン供給部内の位置別の時間-陰イオン密度を示すグラフ、
図4aの設定されたパルス電力および電極電圧印加によって現れる位置別の時間-陽イオン(ビーム)供給量を示すグラフ、および
図4bのパルス電力の印加によって現れるイオン供給部内の位置別の時間-陽イオン密度を示すグラフに対する説明を適用することができる。A-E地点でイオンはビーム形態で供給することができる。
【0054】
図6は、一実施例に係る、半径および円周方向のイオン(ビーム)供給量の分布を調節しようとするときに活用可能な、多重パルシングを用いたプラズマ均一度制御システムの複数の分割電極を示す平面図である。
【0055】
図6を参考にすると、複数の分割電極160は、18個の分割電極a1-a6、b1-b6、c1-c6を含む。複数のプラズマ発生部(図示せず)は、複数の分割電極160を囲んでいる形態で2個ないし6個が配置されてもよく、位相差を有するパルス電力によって交互にパルスプラズマが発生し得る。制御部130によって、パルス電力の位相差と連携されたまま、複数の分割電極a1-a6、b1-b6、c1-c6は個別的に特定時間別の電圧プロファイルの電圧が印加され、これを通じて多様な位置でのイオン(ビーム)供給量を調節、その分布を制御することができる。例えば、陰イオン(ビーム)供給量に対する均一な分布制御のために、c1分割電極の外側に位置したプラズマ発生部がアフターグローとなり、c4分割電極の外側に位置したプラズマ発生部がアクティブグローとなるとき、複数の分割電極160にそれぞれ印加されるc4分割電極、b4分割電極、a4分割電極、a1分割電極、b1分割電極、およびc1分割電極の電位は、
図2aのように順に陰(-)の方向により大きい値を有するように設定することができる。これとは異なり、c4分割電極の外側に位置したプラズマ発生部がアフターグローとなり、c1分割電極の外側に位置したプラズマ発生部がアクティブグローとなるとき、複数の分割電極160にそれぞれ印加される電圧は、c1分割電極、b1分割電極、a1分割電極、a4分割電極、b4分割電極、およびc4分割電極の電位は、順に陰(-)の方向により大きい値を有するように設定することができる。同様に、a2、b2、c2分割電極、a3、b3、c3分割電極、a5、b5、c5分割電極、およびa6、b6、c6分割電極も、c2-3、c5-6外側に位置できる複数のプラズマ発生部の状態によって、それぞれの時間別の電圧大きさを調整可能であり、これを通じてユーザーは所望のイオン(ビーム)供給量の分布を得ることができる。
【0056】
図7は、一実施例に係る多重パルシングを用いたプラズマ均一度制御システムで、多重構造電極を適用しようとするとき、複数の分割電極を示す斜視図である。
【0057】
図7を参考にすると、第1層の複数の分割電極161と第2層の複数の分割電極162とが上下方向に間隔をおいて位置する。イオンビームの引き出しおよび加速の面で、このような構造は断層の複数の分割電極に比べてより柔軟な制御が可能である。第1層の複数の分割電極161と第2層の複数の分割電極162のそれぞれは個別的に形状を決めて構成することができ、間の間隔、電圧などを設定することができる。その他にも、複数の分割電極160は、3重以上に多重層の形態で構成することができる。
【0058】
また、複数の分割電極160に磁場発生および制御装置を追加し、電子(ビーム)、イオン(ビーム)等の動きを調節することができる。例えば、複数の分割電極160の周りに電磁石または永久磁石を含むか、複数の分割電極160に電流を流して磁場を形成させることによって、電子(ビーム)、イオン(ビーム)フラックスなどを調節することができる。
【0059】
図8は、イオン供給部120あるいはイオン利用部170で、ユーザーが所望する時間別のイオン(ビーム)供給量および分布を得ようとするとき、制御部で複数の分割電極のそれぞれに適用される時間別の電極電圧プロファイルを設定する方法を示すフローチャートである。前述した
図1ないし
図7の多重パルシングを用いたプラズマ均一度制御システム1は、
図8のフローチャートに適用することができる。
【0060】
分割電極に対する電圧プロファイルの設定は、
図8を参考にして説明可能である。まず、ユーザーは各分割電極160に対応する
図1aのイオン供給部120内のA-E地点(あるいは、A-Eに対応する近い領域)あるいは
図5aのイオン利用部170内のA-E地点(あるいは、A-Eに対応する近い領域)に時間別のイオン(ビーム)供給量(密度、電流あるいは、フラックス)を測定できる診断計を設ける。第1の手続で、ユーザーは初期設定のために、各地点別に全体プラズマパルシング周期時間の間の別のイオン(ビーム)供給量を測定する(S10)。ここで、イオン(ビーム)供給量は、静電探針あるいは小型ファラデーカップなどの診断装置を活用して測定することができる。診断データに基づいてユーザーは時間別に位置別のイオン(ビーム)供給量および分布情報を得ることができる。
【0061】
次に、複数の分割電極160に個別的に電圧を印加する(S20)。制御部130によって複数の分割電極160のそれぞれに時間によって多様に変わる電圧を個別的に印加することができる。また、これによりA-E地点での時間別のイオン(ビーム)供給量および分布は変わることがある。
【0062】
次に、診断を通じて、各電圧変化に係る全体プラズマパルシング周期時間の間、時間による位置別のイオン(ビーム)供給量の変化量、および分布の変化程度を確認する(S30)。
【0063】
次に、変化した位置別のイオン(ビーム)供給量および分布がユーザーの目標に合致するかを確認し、フィードバック(feedback)プロセスに適した各分割電極電圧プロファイルを探索する(S40)。時間による位置別のイオン(ビーム)供給量および分布がユーザーの設計に合致する場合(YES)、S20ステップで設定された各分割電極電圧プロファイルが最終的に対応する各分割電極160に印加される。時間による位置別のイオン(ビーム)供給量および分布がユーザーの設計に合致しない場合(NO)、S20ステップに戻って、S20ステップで設定されたそれぞれの電圧プロファイルを補正した後、複数の分割電極160に印加する。
【0064】
S10およびS30ステップで、各分割電極160に対応する
図1aあるいは
図5aのイオン供給部120内のa-e地点(あるいは、a-eに対応する近い領域)での時間別のイオン(ビーム)供給量および分布を測定できる診断計を追加的に設け、a-e地点での時間別のイオン(ビーム)供給量および分布、およびa-e地点で、A-E地点に移動するイオンの時間別のイオン(ビーム)供給量情報を活用すると、S40ステップの各分割電極電圧プロファイルに対する探索作業をより効率的に行うこともできる。
【0065】
図9は、多重プラズマパルシング技術を活用した時間-陰イオン供給量(または、密度)シェイピングの多様な例を示すグラフである。前述した
図1ないし
図7の多重パルシングを用いたプラズマ均一度制御システム1は、
図9のグラフに適用することができる。
【0066】
図9を参考にすると、一周期の間のプラズマパルシング回数、パルスシークエンス(sequence)、電力大きさ、電力パルス長さ、パルス間の位相差、パルス繰り返し周波数などを調節することによって、イオン供給部内で、多様な時間-陰イオン供給量プロファイルシェイピングが可能である。
【0067】
図9の第1のグラフを参考にすると、パルス電力を第1プラズマ発生部110aと第2プラズマ発生部110bとで1度ずつだけ交互に印加する場合、単一プラズマパルシングで得られるイオン供給時間を延長できることが分かる。電力が印加された後の第1プラズマ発生部110aのアフターグローで、第1プラズマ発生部110aによって生成された陰イオンは密度が徐々に増加した後、再び徐々に減少する。このとき、第1プラズマ発生部110aの電力パルスと同一の電力大きさ、電力パルス長さを有する第2プラズマ発生部110bのパルス電力を一定の位相差で印加する。すると、第1プラズマ発生部110aのアフターグローと同様に、第2プラズマ発生部110bのアフターグローで、第2プラズマ発生部110bによって生成された陰イオンの密度が徐々に増加した後、再び徐々に減少する。第1および第2プラズマ発生部110a、110bによって生成された陰イオンは、イオン供給部120に供給されるので、イオン供給部120内の時間別の陰イオン供給量はまるで重なったもの(あるいは、単一プラズマ発生部による供給時間より延長されたもの)のようなプロファイルを有することができる。このような過程を制御することによって、イオン供給部120内の陰イオン供給時間はユーザーが所望するほど延長できる。
【0068】
図9の第2のグラフを第1のグラフと比較して参考にすると、第1および第2プラズマ発生部110a、110bに印加される電力パルス間位相差を増やすと、サドル形態の時間-陰イオン供給量プロファイルが形成されることが分かる。さらに、逆に第1および第2プラズマ発生部110a、110bに電力パルス間の位相差を減らすと、上方に凸の丘形態の時間-陰イオン供給量プロファイルが形成できる。
【0069】
図9の第3のグラフを第1のグラフと比較して参考にすると、第1および第2プラズマ発生部110a、110bに印加されるパルス電力大きさを互いに異なるようにすると、イオン供給時間の中間点基準の非対称型の陰イオン供給量プロファイルが形成されることが分かる。例えば、第2プラズマ発生部110bに印加されるパルス電力大きさを第1プラズマ発生部110aの印加パルス電力大きさより大きく設定する場合、イオン供給開始点-中間点領域の陰イオン供給量より中間点-イオン供給終了点領域の陰イオン供給量がさらに大きい、サドル形態の時間-陰イオン供給量プロファイルが形成されることが分かる。
【0070】
図9の第4のグラフを第1のグラフと比較して参考にすると、時間-陰イオン供給量プロファイルで陰イオン供給を急激に減少させるためのパルス電力の印加方法が分かる。例えば、第1のグラフの第2プラズマ発生部110bのアフターグローで、陰イオン密度が徐々に減少する時間区間で第4のグラフのように第2プラズマ発生部110bに再び電力を印加すると、第2プラズマ発生部110bの状態はアクティブグローとなり、多量の高エネルギー電子が生成され、陰イオンを消滅させることによって陰イオン供給量を急激に減少させることができる。
【0071】
図10は、多重パルシングを用いたプラズマ均一度制御システムの制御図を示すフローチャートである。前述した
図1ないし
図7の多重パルシングを用いたプラズマ均一度制御システム1および
図9のグラフは、
図10のフローチャートに適用することができる。
【0072】
図10を参考にすると、まず、時間によって変化できる、複数のプラズマ発生部110に印加されるパルス電力の特性、分割電極電圧、電磁石電力(または、電流)などが制御部130によって調節される。例えば、パルス電力の特性は、一周期の間のプラズマパルシング回数、パルスシークエンス、電力大きさ、電力パルス長さ、パルス間位相差、パルス繰り返し周波数などがある。
【0073】
次に、調節されたパルス電力が複数のプラズマ発生部110に印加され、ユーザーの設計に合致する時間-陰イオン供給量プロファイルが形成できる。
【0074】
さらに、プラズマ発生部110パルス電力だけでなく、複数の電磁石磁場フィルターのそれぞれに印加される電力(または、電流)、および複数の分割電極のそれぞれに印加される電圧特性などを選択的に調節することによって、ユーザーの設計に合致する時間、位置別のイオン(ビーム)供給量、および分布(あるいは、均一度)を有する多重パルシングを用いたプラズマ均一度制御システム1を実現するか、より精密な時間-陰イオン供給量プロファイル制御が可能である。
【0075】
図1ないし
図10で説明した多重パルシングを用いたプラズマ均一度制御システム1は、核融合炉システムで中性粒子ビーム入射装置、プラズマ乾式エッチング工程技術、宇宙推進体分野のイオン推力器、加速器用イオン源を含む多様な技術に適用することができる。
【0076】
以上で本発明の好ましい実施例について詳細に説明しているが、本発明の権利範囲はこれに限定されるものではなく、次の請求の範囲で定義している本発明の基本概念を用いた当業者の色々な変形および改良形態も本発明の権利範囲に属するものである。
【国際調査報告】