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特表2024-534136光学器械を位置決めするための装置及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-18
(54)【発明の名称】光学器械を位置決めするための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/182 20210101AFI20240910BHJP
   F16M 11/18 20060101ALI20240910BHJP
   G02B 7/198 20210101ALI20240910BHJP
【FI】
G02B7/182
F16M11/18 B
G02B7/198 100
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024512105
(86)(22)【出願日】2022-08-01
(85)【翻訳文提出日】2024-03-15
(86)【国際出願番号】 EP2022071588
(87)【国際公開番号】W WO2023025531
(87)【国際公開日】2023-03-02
(31)【優先権主張番号】2108887
(32)【優先日】2021-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520179305
【氏名又は名称】ユニヴェルシテ パリ-サクレー
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITE PARIS-SACLAY
(71)【出願人】
【識別番号】509025832
【氏名又は名称】サントル ナシオナル ドゥ ラ ルシェルシェ シアンティフィク
【氏名又は名称原語表記】CENTRE NATIONAL DE LA RECHERCHE SCIENTIFIQUE
(74)【代理人】
【識別番号】100139594
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 健次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100194973
【弁理士】
【氏名又は名称】尾崎 祐朗
(72)【発明者】
【氏名】ブージ,メディ
(72)【発明者】
【氏名】ハム,ヴァンサン
(72)【発明者】
【氏名】レケルチエ,ギヨーム
【テーマコード(参考)】
2H043
【Fターム(参考)】
2H043BB04
2H043BC04
2H043CA03
2H043CD02
2H043CE00
(57)【要約】
本発明は、弾性変形可能な本体が設けられた作動部材(3)を使用して、空間光学器械用ミラー類機器の要素を位置決めするための装置に関する。作動部材(3)の本体は、マイクロメーターねじを用いて変形させることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空間光学器械用ミラーなどの機器を位置決めするための装置であって、前記機器を受け入れる、又は前記機器の一部を形成することを意図された台(2)と、前記台(2)に接続された6つの作動部材(3)とを備え、前記作動部材(3)の各々が、弾性変形可能な本体(10)と、前記台(2)の位置を変更するように前記本体(10)を変形させることができるように構成された制御機構(14)とを備えることを特徴とする、装置。
【請求項2】
前記本体(10)が、エフェクタ構成要素(23)と、制御方向(D1)に従って互いに離間するように前記エフェクタ構成要素(23)に各々接続された2つのアーム(20、26;21、27)とを含み、前記制御機構(14)が、前記制御方向(D1)に対して垂直又は斜めの作動方向(D2)に従って前記エフェクタ構成要素(23)を変位させるために、前記アーム(20、26;21、27)を前記制御方向(D1)に従って隔てる距離を変更することができる機械的力を前記アーム(20、26;21、27)に印加するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記本体(10)の各アーム(20、26;21、27)が、前記制御機構(14)に接続された連結部(20、21)と、前記連結部(20、21)を前記本体(10)の前記エフェクタ構成要素(23)に接続するストリップ(26、27)などの可撓性構成要素とを備える、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記制御機構(14)がマイクロメーターねじ(11)を備える、請求項1~3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記マイクロメーターねじ(11)が第1の調整ねじを形成し、前記制御機構(14)が、前記第1のねじ(11)の雄ねじと協働する雌ねじを形成する孔が設けられた第2の調整ねじ(52)を備え、前記制御機構(14)が、前記第1のねじ(11)及び/又は前記第2のねじ(52)の回転変位の作用下で前記本体(10)を変形させることができるように構成される、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記本体(10)が、連結部材(13)によって前記台(2)に接続され、前記連結部材(13)は、少なくとも1つの自由度を規定する連結によって前記本体(10)に接続される、請求項1から5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記連結部材(13)が、ロッド又はストリップによって前記本体(10)に連結される、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の装置を使用して、空間光学器械用ミラーなどの機器を位置決めするための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、精密な位置決めを必要とする機器、例えば光学器械用機器を位置決めする分野に関する。
本発明は、空間計測の分野に特に関係するが、それに限定されない。
【先行技術】
【0002】
空間計測の分野では、光学機械式据付具を使用してミラー又はレンズなどの機器を位置決めすることが知られている。
【0003】
国際公開第2012/041462号パンフレットには、6脚構造を形成する長さ調整可能な6本の脚部を備え、6自由度で機器の位置を変更することができるような位置決め装置が開示されている。
【0004】
しかしながら、そのような装置を使用して機器を位置決めすることは、それぞれの脚の長さを変更するために調整ディスクを追加及び取り外す必要があるため、時間がかかり面倒であることが分かっている。この位置決めは、ディスクの厚さの測定及び判定、分解、調整、並びに再組立ての工程を反復的に実行する必要がある。
更に、そのような装置は、ディスクの追加及び取外し、並びにそれに対応する組立て及び分解の工程に鑑みて、調整の再現性の問題がある。
【発明の開示】
【0005】
本発明は、従来の位置決め装置の欠点を克服すること、特に、3次元空間における精密な位置決めを必要とする空間光学器械(space optical instrument)又は任意の他の器械の機器の位置決めを単純化することを目的とする。
【0006】
この目的のため、本発明の主題は、機器を受け入れる、又は機器の一部を形成することを意図された台と、台に接続された1つ又は複数の作動部材とを備えた、空間光学器械用ミラーなどの機器を位置決めするための装置である。本発明によれば、前記作動部材の少なくとも1つは、弾性変形可能な本体と、台の位置を変更するために本体を変形させることが可能なように構成された制御機構とを備える。
【0007】
そのような作動部材によって、ディスクなどの取り外し可能な調整部品を使用することなく、本体の長さ、結果として台及び機器の位置を変更することが可能となる。このように、作動部材の本体を単純に変形させることによって、機器を変位又は再位置決めすることができる。
したがって、本発明によって、精密で再現可能な位置決めを保証しながら、機器の位置決めを単純化することが可能となる。
【0008】
一実施形態では、本体は、エフェクタ構成要素と、制御方向に互いに離間するようにエフェクタ構成要素に各々接続された2つのアームとを含み、制御機構は、制御方向に対して垂直又は斜めの作動方向にエフェクタ構成要素を変位させるために、アームを制御方向に隔てる距離を変更することができる機械的力をアームに印加するように構成される。
【0009】
特に、本体は、これらのアームを制御方向に互いにそれぞれ接近させ、離間させることにより、エフェクタ構成要素を作動方向に、それぞれ第1の向き、第2の向きに変位させるように構成することができる。
エフェクタ構成要素は、好ましくは、作動方向に沿って本体の端部を形成することができる本体の一部によって形成される。
【0010】
この場合、エフェクタ構成要素は、アームを互いに接続する本体の単純な構造的構成要素によって形成することができる。
したがって、エフェクタ構成要素は、本体が制御機構の作用によって変形されたときに台を変位させるように、台に接続することができる。
【0011】
一実施形態では、本体の各アームは、制御機構に接続された連結部と、連結部を本体のエフェクタ構成要素に接続するストリップなどの可撓性構成要素とを備える。
一実施形態では、制御機構は、マイクロメーターねじ(micrometer screw)又は差動ねじを含む。
マイクロメーターねじによって、単純な方法で精密な調整を行うことができる。
【0012】
マイクロメーターねじは、第1の雄ねじ及び第2の雄ねじを含み得る。第1の雄ねじは、例えば本体のアームのうちの1つの前記連結部などの、本体の第1の部分によって、又は本体のこの第1の部分に接続された制御機構の第1の部分によって形成された雌ねじと協働することができる。第2の雄ねじは、例えば本体の他のアームの前記連結部などの、本体の第2の部分によって、又は本体のこの第2の部分に接続された制御機構の第2の部分によって形成された雌ねじと協働することができる。
【0013】
一実施形態では、マイクロメーターねじは第1の調整ねじを形成し、制御機構は、第1のねじの雄ねじと協働する雌ねじを形成する孔が設けられた第2の調整ねじを備え、制御機構は、第1のねじ及び/又は第2のねじの回転変位の作用下で本体を変形させることができるように構成される。
【0014】
本実施形態の文脈において、第2のねじは、好ましくは、本体の前記第2の部分に接続された制御機構の一部と協働する雄ねじを含む。
一実施形態では、作動部材は、本体の前記アームを制御方向に沿って並進的に案内する手段を備える。
【0015】
案内手段は、制御機構の前記第1及び第2の部分によって、又は本体の各アームとそれぞれ一体化した2つの部分によって形成することができ、これらの部分は、好ましくは、摺動枢動連結又は摺動連結によって互いに接続される。
一実施形態の変形例では、制御機構は圧電アクチュエータを備える。
このアクチュエータは、作動部材の本体のアーム間に介在する変形可能な圧電材料を含むことができる。
【0016】
別の実施形態の変形例では、制御機構はステッピングモータを備える。
一実施形態では、本体は、連結部材によって台に接続され、この連結部材は、少なくとも1つの自由度を規定する連結によって本体に接続される。
より具体的には、この連結部材は、前記エフェクタ構成要素に接続することができる。
この連結部材と本体との間の連結は、枢動連結又はボールジョイント連結であり得る。
第1の変形例によれば、連結部材はロッドによって本体に接続される。
したがって、この連結ロッドは、3自由度を規定するボールジョイント連結を形成し得る。
【0017】
第2の変形例によれば、連結部材はストリップによって本体に接続される。
したがって、この連結ストリップは、単一の自由度を規定する枢動連結を形成し得る。
代替的又は追加的に、作動部材は、本体を基部に接続するように意図された、説明してきたものと同様の連結部材を含むことができる。
一実施形態では、前記作動部材は6つの作動部材を含む。
したがって、作動部材は6脚体を形成することができる。
【0018】
好ましくは、各作動部材は、弾性変形可能な本体と、台の位置を変更するために本体を変形させることが可能なように構成された制御機構とを備える。
一実施形態では、装置は、台の位置を判断するように構成された測定システムを備える。
測定システムは光学式であり得る。
別の態様によれば、本発明はまた、上記で定義された装置を使用して、空間光学器械用ミラーなどの機器を位置決めするための方法に関する。
【0019】
一実施態様では、本方法は、上述の測定システムを使用して台の位置を判断する工程と、台の目標位置に応じて、1つ又は複数の前記作動部材の目標構成を判断する工程とを含む。
本発明はまた、操作者が上記で定義された方法を実施することを補助するように構成されたコンピュータ化ツールに関する。
【0020】
好ましくは、このツールは、上述の装置のモデルを含む。
ツールは、本装置の台の初期位置から開始する調整の命令を提供するように構成することができる。
この初期位置は、上述の測定システムを用いて判断することができる。
本発明の他の利点及び特徴は、以下の詳細で非限定的な説明を読むことによって明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
以下の詳細な説明は、添付の図面を参照する。
図1】本発明の第1の実施形態による作動部材を備えた、放物面ミラーなどの機器を位置決めするための装置の概略斜視図である。
図2図1の作動部材の1つの概略斜視図である。
図3図2の作動部材の概略断面図である。
図4】本発明の第2の実施形態による作動部材の概略断面図である。
図5】本発明の第3の実施形態による作動部材の概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、本発明による装置を示す。
この例において、決して限定するものではないが、装置は、基部1と、台2と、6つの作動部材3とを備える。
基部1は、横材4によって互いに接続された3つの端部を有する略三角形の3脚体を形成する。
基部1の各端部は、装置を主支持体(図示せず)に堅固に接続するために設けられた固締手段5を備える。
基部1は、その端部の各々に、ナット用の収容部を画定する座ぐり(図示せず、以下を更に参照されたい)が各々に設けられた2つの開口部6を備える。
【0023】
台2は、円形の平坦な上面7を画定する本体を備える。
台2の本体は、一方では、上面7上にそれぞれ開口する孔8Aを備える。他方では、孔8Bと、ナットの収容部を画定する座ぐり(以下を更に参照)が各々に設けられた開口部9とが、台2の本体を貫通している。
【0024】
図1の例では、作動部材3の各々は2つの端部を備え、その一方は基部1のそれぞれの開口部6に受け入れられ、他方は台2のそれぞれの開口部9に受け入れられる。
作動部材3は、基部1に対する台2の位置を変更することができるように構成される。
【0025】
この例では、装置は、空間光学器械の放物面ミラー(図示せず)を支持するように意図される。ミラーは、孔8Aに把持され取り付けられたガイドピン(図示せず)を使用して台2上に配置することができ、孔8Bを貫通するねじ(図示せず)によって台2に固定させることができる。
このような用途の文脈において、基部1は、上述の主支持体を形成する衛星(図示せず)の一部に固締することができる。
【0026】
ここで、図2及び図3を参照し、図1の作動部材3の1つについて説明する。以下の説明は、図1の作動部材3の各々に援用される。
図2及び図3は、第1の基準方向、第2の基準方向及び第3の基準方向をそれぞれ画定する基準フレームD1、D2、D3を含む。
【0027】
一般に、図2及び図3の作動部材3は、本体10と、2つの連結部材12及び13と、制御機構14と、初荷重ばね15とを備える。
「バー」とも呼ばれる本体10は、「作動方向」と呼ばれる方向D2に沿って延在し、この例では、本体10の下端部及び上端部をそれぞれ形成する2つの構成要素22及び23、並びに下端部22及び上端部23を互いに接続する2つのアームを備える。
【0028】
これらのアームのうち、図2及び図3において左側に位置する第1のアームは、本体10を制御機構14に連結する部分を形成する中央の構成要素20と、連結部20を下端部22及び上端部23にそれぞれ接続する2つの構成要素25及び26とを備える。
【0029】
これらのアームのうち、図2及び図3において右側に位置する第2のアームもまた、本体10を制御機構14に連結する部分を形成する中央の構成要素21と、連結部21を上端部23及び下端部22にそれぞれ接続する2つの構成要素27及び28とを備える。
連結部20、21は、それぞれ略平行6面体の形状を有し、変形することなく本体10の他の部分に力を伝達することができる。
【0030】
この例では、本体10の2つのアームは、平面D2-D3に関して互いに対称であり、本体10の下端部22及び上端部23は、平面D1-D3に関して互いに対称である。
本体10の連結部20及び21は、「制御方向」と呼ばれる第1の方向D1に互いに離間している。
本体10の下端部22及び上端部23は、作動方向D2に互いに離間している。
各構成要素25から28は、この例では可撓性ストリップ、すなわち、その主要寸法に対して厚さが比較的薄い構成要素を形成する。
【0031】
したがって、図3を参照すると、ストリップ25は、このストリップ25の平均厚さX2に対して比較的大きな長さX1を画定するように、連結部20と下端部22との間に延在する。
図2を参照すると、ストリップ25は更に、このストリップ25の平均厚さX2に対して比較的広い幅X3を画定するように、方向D3に沿って延在する。
この例でストリップ25と同じ幾何学的形状を有するストリップ26、27及び28についても、同じことが当てはまる。
【0032】
この例では、作動部材3の本体10はまた、2つの停止構成要素30及び31を備え、これらの停止構成要素は、本体10の2つのアームの間に、ストリップ25~28の変形を妨げないようにストリップ25~28から離隔してD1方向に延在する。
停止構成要素30は、下端部22の内面の右側に延在し、停止構成要素31は、上端部23の内面の右側に延在する。
【0033】
これらの各停止構成要素30及び31は、端部22又は23の内面に対向して2つの内側当接面32A及び32B並びに2つの外側当接面33A及び33Bを画定する、二重フォークの形状をした自由端を有する。
各停止構成要素30及び31の当接面32A、32B、33A及び33Bは、D1方向に互いに離間している。
【0034】
図3を参照すると、本体10の連結部20は、停止構成要素30及び31の当接面32A及び33Aの間にD1方向に延在するように構成された2つのタブ40及び41を備える。対称的に、本体10の連結部21もまた、停止構成要素30及び31の当接面32B及び33Bの間にD1方向に延在するように構成された2つのタブ40及び41を備える。
【0035】
本体10は、制御方向D1に互いに接近させるような力が連結部20及び21に加わると、ストリップ25から28が変形し、端部22及び23を作動方向D2に離間させるように、すなわち作動部材3の本体10の長さX4(図2参照)を増加させるように構成される。
これにより、「エフェクタ構成要素」とも呼ばれる本体10の上端部23を、作動方向D2に沿って、台2の方向に向かって相対的に変位させる。
【0036】
逆に、制御方向D1に互いに離間させるような力が連結部20及び21に加わると、ストリップ25から28が変形し、端部22及び23を作動方向D2に接近させる、すなわち作動部材3の本体10の長さX4を減少させる。
これにより、本体10のエフェクタ構成要素23を、作動方向D2に沿って、基部1の方向に向かって相対的に変位させる。
【0037】
当然ながら、ストリップ25~28の可撓性及び本体10の弾性変形可能性は、本体10、特に構成要素25~28の多様な幾何学的形状に起因し得る。例えば、図示されていない実施形態では、図2及び図3のストリップ25~28の各々は、1つ又は複数の溝又は開口部を備えることができ、又は図2のストリップの幅X3よりも幅が狭いいくつかのストリップによって、又は楕円形のストリップによって置き換えることもできる。
【0038】
この例では、内側当接面32A及び32Bは、D1方向に互いに接近させる向きの連結部20及び21の変位を制限し、外側当接面33A及び33Bは、D1方向に離間させる向きの連結部20、21の変位を制限する。
したがって、停止構成要素30及び31は、本体10の変形を、その弾性限界を超えないように制限することを可能にする。
【0039】
調整を固定するために、接着剤などの補剛又は制動構成要素を、連結部20及び21の各々のタブ40及び41と表面32A及び32B、又は33A及び33Bとの間に介在させることができる。これにより、例えば装置に搭載されたロケットの発射中に、作動部材3の剛性を高めることができる。これはまた、そのような条件下でより重い機器を支持することを可能にする。
【0040】
本体10の基部1及び台2への連結に関して、より具体的には、図2及び図3の連結部材12及び13は各々、外面を画定する肩部60を備え、外面の右側にはナット62と協働するように設けられたねじ軸61が延在する。
【0041】
連結部材12、13の肩部60は、本体10の下端部22、上端部23それぞれに連結ロッド63によって接続され、連結ロッド63は、一方が本体10の下端部22、上端部23それぞれの外面の右側に、そして他方が連結部材12、13それぞれの肩部60の内面の右側に延在するように、これらの部分に固締される。
【0042】
連結部材12及び13の各連結ロッド63は、本体10に対するこれらの連結部材12及び13の相対変位を可能にするように構成され、それぞれがボールジョイント連結を規定する。
したがって、図1図3及び上記の説明を参照すると、作動部材3は、連結部材12を介して基部1に接続され、連結部材13を介して台2に接続され得る。
【0043】
この目的のために、連結部材13のねじ軸61は、肩部60の外面が台2の表面に支持され、ねじ軸61に係合されたナット62が開口部9の座ぐりによって形成された座面に把持力を加えることによってこの連結を固定するように、台2の開口部9の1つに収容される。
【0044】
同様に、連結部材12のねじ軸61は、肩部60の外面が基部1の表面に支持され、ねじ軸61に係合されたナット62が開口部6の座ぐりによって形成された座面に把持力を加えることによってこの連結を固定するように、基部1の開口部6の1つに収容される。
【0045】
このような連結部材12及び13によって、特に装置が真空環境に置かれた場合の摩擦学的な問題を低減することができ、したがって、例えば接触面を処理する必要性を回避することができる。
【0046】
ここで、制御機構14に関して、この例では、制御機構は2つの調整ねじ11及び52を備え、それぞれ、本体10をそれぞれの精度水準で変形させることを可能にする。
図2及び図3のねじ11は、方向D1に沿って延在し、回転軸A1を有するマイクロメーターねじ又は差動ねじである。
【0047】
このねじ11は、第1の雄ねじを有する第1の部分(図3の右側)と、第1の雄ねじのピッチとは異なる第2の雄ねじを有する第2の部分(図3の左側)とを備える。
ねじ52は、一方の側にねじ11の前記第2のねじ山と協働する雌ねじを有し、他方の側に雄ねじを有するスリーブを形成する。
図3を参照すると、制御機構14は更に、2つのカラー50及び51と、2つの緩み止めナット53及び54とを備える。
カラー51は、例えばねじ止め又は接着によって、D1方向に、本体10の連結部21を貫通する孔に入り込ませて取り付けられる。
【0048】
このカラー51は、方向D1に沿って貫通し、方向D1に沿って図3の右から左に、ねじ11の前記第1の雄ねじと協働する雌ねじを形成する第1の部分と、ねじ11の第1の部分の直径よりも大きな直径を有する滑らかな孔を形成する第2の部分とを画定する、段付き内側開口部を備える。
カラー50に関して、カラー50は、方向D1に沿って図3の右から左に、第1の部分及び第2の部分を画定する段付き筒部を形成する。
【0049】
カラー50の第1の部分は、ねじ11の第1の部分及び第2の部分の直径よりも大きな内径と、カラー51の第2の部分によって形成される孔の直径よりもわずかに小さな外径とを有する。
【0050】
カラー50の第1の部分は、カラー51の第2の部分によって形成された孔に受け入れられ、それによって、カラー51と共に摺動枢動連結を形成し、カラー50及び51が制御方向D1に沿って互いに変位するときの並進を確実に案内する。
【0051】
カラー50の第2の部分は、D1方向に、本体10の連結部20を貫通する孔に入り込ませて取り付けられており、雌ねじを形成し、カラー50の第1の部分の内径よりも大きな内径を有する内面を備える。
ねじ52の雄ねじは、カラー50の第2の部分の雌ねじと協働する。
【0052】
この例では、ねじ11の第1の雄ねじ及びカラー51の第1の部分の雌ねじのピッチは0.2mmであり、ねじ11の第2の雄ねじ及びねじ52の雌ねじのピッチは0.225mmであり、ねじ52の雄ねじ及びカラー50の第2の部分の雌ねじのピッチは0.5mmである。
このような制御機構14によって、要求される変位の精度又は量に応じて2種類の調整を実行することができる。
【0053】
一方では、ねじ11は、このねじ11の第2の雄ねじのピッチと第1の雄ねじのピッチとの間の比較的小さな差、この例では0.025mmを考慮して微調整を行うことができる。
【0054】
この目的のために、カラー50に対するねじ52の回転を阻止するように緩み止めナット53がカラー50に対して締め付けられている間、緩み止めナット54は緩められるか又は取り外される。
【0055】
次いで、ねじ11は回転駆動され、軸A1を中心としたその回転の向きに応じて、本体10の連結部20及び21を接近又は離間させ、その結果、それぞれ作動方向D2に本体10の寸法X4を増加又は減少させ、基部1に対して台2を変位させる。
【0056】
また一方では、ねじ52は、ねじ52の雄ねじのピッチとねじ11の第2の雄ねじのピッチとの相対的な差を考慮して、より粗い調整を行うことができる。この例では、差は0.3mmであり、したがって、ねじ11の第1の雄ねじと第2の雄ねじとの間のピッチと比較して相対的に大きい。
【0057】
この第2の種類の調整を実行するために、ねじ52とねじ11の第2の部分とが回転的に組み合うように緩み止めナット54がねじ52に対して締め付けられている間、緩み止めナット53は緩められるか又は取り外される。
【0058】
次いで、ねじ52は回転駆動され、軸A1を中心としたその回転の向きに応じて、本体10の連結部20及び21を接近又は離間させ、その結果、それぞれ作動方向D2に本体10の寸法X4を増加又は減少させ、基部1に対して台2を変位させる。
【0059】
こうして、制御機構14は、軸A1を中心としたねじ11又はねじ11及び52の回転運動を、作動方向D2に沿ったエフェクタ構成要素23の並進運動に確実に変換する。
この例では、ばね15は、本体10の連結部20と21との間に介在する圧縮ばねであり、D1方向に離間させようとする力を連結部20及び21に加える。
ばね15からこのように加えられる初荷重によって、ねじ山の遊びを低減又は除去できる。
【0060】
図2及び図3では、作動部材3は、公称位置、すなわち、制御機構14によって加えられる変形張力なしに本体10が自由状態にある位置に示されている。
【0061】
公称位置では、本体10の連結部20によって支持されたタブ40及び41は、停止構成要素30及び31によって形成された内側当接面32Aと外側当接面33Aとの中間に配置される。同様に、本体10の連結部21によって支持されたタブ40及び41は、停止構成要素30及び31によって形成された内側当接面32Bと外側当接面33Bとの中間に配置される(図3参照)。
【0062】
したがって、この公称位置から開始して、調整ねじ11及び/又は52を2つの回転方向に変位させ、作動方向D2に本体10の長さX4を増加又は減少させることが可能である。
【0063】
一例として、作動部材3の本体10、連結部材12及び13、並びにロッド63は、ニッケル、コバルト及びモリブデンを含む鋼、例えば「MARVAL18」の名称で知られる鋼で作製することができる。
【0064】
本体10は、放電加工によって機械加工することができ、一方、連結部材12及び13、並びにロッド63は、フライス切削によって機械加工することができる。
あるいは、本体10、連結部材12及び13、並びにロッド63によって形成された組立体は、付加製造によって製造することができる。
【0065】
任意選択的に、上述の組立体は、付加製造によって、基部1及び台2と共に1つの同じ部分を形成するように製造することができる。
ねじ11及びカラー50は316Lステンレス鋼を含むことができ、一方、ねじ52及びカラー51はベリリウム銅類の合金を含むことができ、材料を交互にして摩擦係数を低減する。
【0066】
したがって、図1を参照すると、本発明は、調整ディスクを使用することなく、作動部材3の長さをそれぞれの作動方向に応じて独立して変更することを可能にする。
したがって、台2及びその機器を3次元空間において6自由度で高精度に位置決めすることが可能である。
【0067】
この例では、並進位置決めの精度はミクロン程度、調整範囲は0.5mm程度であり、回転位置決めの精度は数千分の1度程度、調整範囲は0.7°程度であると推定される。
本発明はまた、装置の質量及び寸法を減少させ、ロケットによって誘発される振動などの機械的応力に対する高い耐性を装置に与えることを可能にする。
上記の説明は非限定的であり、本発明の範囲を超えることなく多数の変形形態が想定され得る。
【0068】
例えば、図4は、作動部材3を示しており、これは初荷重ばね15を備えていない点で、図2及び図3のものと大きく区別される。ここでは、図4の作動部材3は、図2及び図3との主な相違点のみにしたがって説明されており、上記の説明が本実施形態に同様に適用される。
【0069】
図4を参照すると、本体10の各連結部20及び21のタブ40及び41は、本体10が公称位置にあるときに、停止構成要素30及び31によって形成された外側当接面33A及び33Bに支持される。
したがって、本体10は、この公称位置から開始して、作動方向D2に沿って一方向にのみエフェクタ構成要素23を変位させるように変形することができる。
【0070】
この例では、初荷重は本体10自体によって付与され、本体10は、D1方向に互いに分離させようとする力を連結部20及び21に加える。
図5は、連結部材12及び13がロッドによってではなくストリップ64によって本体10に接続される別の実施形態を示す。
そのような連結ストリップ64は、これらの連結部材12及び13の、本体10に対する1自由度での相対変位を可能にし、枢動連結を形成する。
【0071】
図示されない他の実施形態の変形例では、本体10は、回転の自由度なしに基部1及び/又は台2に接続することができる。例えば、図2及び図3を参照して上述した連結部材12のねじ付き構成要素61は、本体10の下端部22の外面の右側に、直接すなわち連結ロッド又はストリップなしに延在することができる。
【0072】
図示されない変形例によれば、作動部材3の本体10は、図1から図5の異なる実施形態に存在するストリップ25及び28、又は下端部22、又は連結部材12を備えないことが可能である。特に、本体10の連結部20及び21は、エフェクタ構成要素23の位置の調整中に、これらの連結部20及び21が制御方向D1に沿って相対変位できるように、例えば、摺動連結によって基部1に直接接続することができる。
【0073】
制御機構14は、単一の調整ねじ11を備えることができ、その場合、その第2の部分は、螺旋連結によってカラー50と直接協働することができる。
【0074】
更に、ねじ11及び/又はねじ52の雄ねじは、本体10の連結部20及び21によって形成された雌ねじと直接、すなわち、カラー50/51を使用せずに協働することができる。
【0075】
図示されない別の変形例によれば、上述のカラー50は、カラー51と協働しないようにその第1の部分を欠いていてもよい。より一般的には、作動部材3は、連結部20及び21が制御方向D1に沿って互いに変位するときの並進案内手段を含まないか、又は別の案内手段を欠いてもよい。
【0076】
図示されない更に別の変形例によれば、図1の台2は、それ自体、位置決めされる機器の一部を形成することができる。言い換えると、作動部材3は、機器に直接接続することができる。
【0077】
上述の実施形態及び実施形態の変形例は、更に組み合わせることができる。例えば、図4の作動部材3の連結部材12及び13は、図5に示すものと同様の連結ストリップ64によって本体10に接続することができる。
【0078】
装置は更に、本発明による単一の作動部材3、又は互いに異なっていてもよい本発明によるいくつかの作動部材3を備えることができる。
例えば、機器が平面鏡である用途の文脈において、装置は、上述の実施形態のいずれか1つによる単一の作動部材3を備えることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】