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特表2024-534141レーザエネルギーを用いた泌尿器症状の安全で効果的な処置のための方法および装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-18
(54)【発明の名称】レーザエネルギーを用いた泌尿器症状の安全で効果的な処置のための方法および装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/26 20060101AFI20240910BHJP
【FI】
A61B18/26
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024512164
(86)(22)【出願日】2022-08-24
(85)【翻訳文提出日】2024-04-19
(86)【国際出願番号】 US2022041375
(87)【国際公開番号】W WO2023028144
(87)【国際公開日】2023-03-02
(31)【優先権主張番号】63/236,514
(32)【優先日】2021-08-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501012517
【氏名又は名称】アイピージー フォトニクス コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】グレゴリー・アルトゥシュラー
(72)【発明者】
【氏名】イリヤ・ヤロスラフスキー
(72)【発明者】
【氏名】ヴィクトリヤ・アンドレヴァ
(72)【発明者】
【氏名】アナスタシア・コヴァレンコ
(72)【発明者】
【氏名】ケヴィン・コイル
(72)【発明者】
【氏名】オリヴィエ・トレクサー
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー・ヴィボルノフ
【テーマコード(参考)】
4C026
【Fターム(参考)】
4C026AA04
4C026FF17
(57)【要約】
レーザビームを生成するように構成される処理レーザと、目標にレーザビームを向けるように構成されるビーム送出システムと、ユーザからの入力を受け取るように構成されるユーザ入力デバイスと、処理レーザおよびユーザ入力デバイスに結合され、ユーザ入力デバイスから初期ユーザ入力データを受け取ることであって、初期ユーザ入力データが、ビーム送出システムの1つまたは複数の特性および目標の1つまたは複数の特性のうちの少なくとも1つを含む、受け取ることと、初期ユーザ入力データおよび電気的に記憶された情報に基づいて、少なくとも1つの初期レーザ動作パラメータ値および対応する初期レーザ動作パラメータ範囲を決定することと、少なくとも1つの初期レーザ動作パラメータ値を使用して処理レーザを制御することとを行うように構成されるコントローラとを含むレーザシステム。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザビームを生成するように構成される処理レーザと、
目標に前記レーザビームを向けるように構成されるビーム送出システムと、
ユーザからの入力を受け取るように構成されるユーザ入力デバイスと、
前記処理レーザおよび前記ユーザ入力デバイスに結合され、
前記ユーザ入力デバイスから初期ユーザ入力データを受け取ることであって、前記初期ユーザ入力データが、
前記ビーム送出システムの1つまたは複数の特性、および
前記目標の1つまたは複数の特性、
のうちの少なくとも1つを含む、受け取ることと、
前記初期ユーザ入力データ、および
電気的に記憶された情報
に基づいて、少なくとも1つの初期レーザ動作パラメータ値および対応する初期レーザ動作パラメータ範囲を決定することと、
前記少なくとも1つの初期レーザ動作パラメータ値を使用して前記処理レーザを制御することと、
を行うように構成されるコントローラと、
を備える、レーザシステム。
【請求項2】
前記コントローラが、表示デバイス上に、前記少なくとも1つの初期動作パラメータ値および前記対応する初期レーザ動作パラメータ範囲を表示するように構成される、請求項1に記載のレーザシステム。
【請求項3】
前記コントローラが、
前記ユーザ入力デバイスから1つまたは複数の調整されたレーザ動作パラメータ値を受け取ることと、
前記1つまたは複数の調整されたレーザ動作パラメータ値、および
前記電気的に記憶された情報、
に基づいて、少なくとも1つの変更されたレーザ動作パラメータ値および対応する変更されたレーザ動作パラメータ範囲を決定することと、
前記調整されたレーザ動作パラメータ値および前記少なくとも1つの変更されたレーザ動作パラメータ値のうちの少なくとも1つを使用して前記処理レーザを制御することと、
を行うようにさらに構成される、請求項1に記載のレーザシステム。
【請求項4】
変更される前記少なくとも1つのレーザ動作パラメータが、調整される前記1つまたは複数のレーザ動作パラメータとは異なる、請求項3に記載のレーザシステム。
【請求項5】
前記初期レーザ動作パラメータ範囲および前記変更されたレーザ動作パラメータ範囲が、
各範囲の下限値が前記レーザ動作パラメータについての最小効果に対応し、
各範囲の上限値が前記レーザ動作パラメータについての安全性限界に対応する、
ように決定される、請求項3に記載のレーザシステム。
【請求項6】
前記コントローラが、表示デバイス上に、各範囲の前記下限値および前記上限値を表示するように構成される、請求項5に記載のレーザシステム。
【請求項7】
前記コントローラが、各表示されるレーザ動作パラメータ範囲について、システムレーザ動作パラメータ範囲を表示するようにさらに構成される、請求項6に記載のレーザシステム。
【請求項8】
前記レーザ動作パラメータ範囲が前記システムレーザ動作範囲よりも狭い、請求項7に記載のレーザシステム。
【請求項9】
前記コントローラが、
前記ユーザ入力デバイスから受け取った前記1つまたは複数の調整されたレーザ動作パラメータ値がいずれかの範囲の前記上限値を超えるかどうかを決定し、
前記1つまたは複数の調整されたレーザ動作パラメータ値がいずれかの範囲の前記上限値を超えることに応答して、
表示デバイス上に視覚的な警告を表示することと、
聴覚デバイスで聴覚的な警告を鳴らすこと、
のうちの少なくとも1つを実施するようにさらに構成される、請求項5に記載のレーザシステム。
【請求項10】
前記コントローラが、
前記少なくとも1つの初期レーザ動作パラメータのうちの1つについての
初期レーザ動作パラメータ値、および
対応する初期レーザ動作パラメータ範囲、
のうちの少なくとも1つが一定に保たれるように、前記少なくとも1つの変更されたレーザ動作パラメータ値および対応する変更されたレーザ動作パラメータ範囲を決定するように構成される、請求項3に記載のレーザシステム。
【請求項11】
一定に保たれる前記少なくとも1つの初期レーザ動作パラメータのうちの前記1つが平均パワーである、請求項10に記載のレーザシステム。
【請求項12】
前記平均パワーについての最小効果値および安全性限界値のうちの少なくとも1つが一定に保たれる、請求項11に記載のレーザシステム。
【請求項13】
前記1つまたは複数の調整されたレーザ動作パラメータ値が、
平均パワー、
パルス形状、
パルス繰返し率、
パルスエネルギー、
パルス持続時間、および
ピークパワー、
のうちの少なくとも1つを含む、請求項3に記載のレーザシステム。
【請求項14】
前記目標が腎臓結石であり、前記腎臓結石の前記1つまたは複数の特性が、
結石の位置、
結石の処置手順タイプ、
結石の組成、
結石の固さ、および
結石のサイズ、
のうちの少なくとも1つを含む、請求項3に記載のレーザシステム。
【請求項15】
前記ビーム送出システムの前記1つまたは複数の特性が、
外科用ファイバのコアサイズ、
剛性スコープ、可撓性スコープ、および半剛性スコープのうちの1つである、送出システム幾何形状、
ファイバと前記結石目標との間の距離、
洗浄流量、ならびに、
前記結石目標に対するファイバまたはレーザビームの動きの速さ、
のうちの少なくとも1つを含む、請求項14に記載のレーザシステム。
【請求項16】
前記コントローラが、
レーザ動作パラメータとしての実効平均レーザパワー(EAP)を、次式すなわち、
EAP=(AP*LOT)/LTT
にしたがって決定することであって、上式で、
AP=平均パワー、
LOT=LTT期間のレーザオン持続時間、および
LTT=後処置時間
である、決定することと、
表示デバイス上に前記EAPを表示することと、
を行うようにさらに構成される、請求項3に記載のレーザシステム。
【請求項17】
前記コントローラが、
レーザ動作パラメータとしての実効デューティサイクル(EDC)を、次式すなわち、
EDC=LOT/LTT
にしたがって決定することであって、上式で、
LOT=LTT期間のレーザオン持続時間、および、
LTT=レーザ処置時間、
である、決定することと、
表示デバイス上に前記EDCを表示することと
を行うようにさらに構成される、請求項3に記載のレーザシステム。
【請求項18】
前記LTTが、全処置手順の持続時間または前記処置手順の一部の持続時間のうちの1つである、請求項16または17に記載のレーザシステム。
【請求項19】
前記ビーム送出システムの前記1つまたは複数の特性が、
外科用ファイバのコアサイズ、
剛性スコープ、可撓性スコープ、および半剛性スコープのうちの1つである、送出システム幾何形状、
ファイバと前記目標との間の距離、
洗浄流量、ならびに、
前記目標に対するファイバまたはレーザビームの動きの速さ、
のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のレーザシステム。
【請求項20】
前記目標の前記1つまたは複数の特性が、
目標サイズ、
目標位置、
目標タイプ、および
目標材料、
のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のレーザシステム。
【請求項21】
処理レーザを制御するための方法であって、前記処理レーザがレーザビームを生成するように構成され、
初期ユーザ入力データを受け取るステップであって、前記初期ユーザ入力データが、
目標に前記レーザビームを向けるように構成されるビーム送出システムの1つまたは複数の特性、および
前記目標の1つまたは複数の特性、
のうちの少なくとも1つを含む、ステップと、
前記初期ユーザ入力データ、および
電気的に記憶された情報、
に基づいて、少なくとも1つの初期レーザ動作パラメータ値および対応する初期レーザ動作パラメータ範囲を決定するステップと、
前記少なくとも1つの初期レーザ動作パラメータ値を使用して前記処理レーザを制御するステップと、
を含む、方法。
【請求項22】
表示デバイス上に、前記少なくとも1つの初期動作パラメータ値および前記対応する初期レーザ動作パラメータ範囲を表示するステップをさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
1つまたは複数の調整されたレーザ動作パラメータ値を受け取るステップと、
前記1つまたは複数の調整されたレーザ動作パラメータ値、および
前記電気的に記憶された情報、
に基づいて、少なくとも1つの変更されたレーザ動作パラメータ値および対応する変更されたレーザ動作パラメータ範囲を決定するステップと、
前記調整されたレーザ動作パラメータ値および前記少なくとも1つの変更されたレーザ動作パラメータ値のうちの少なくとも1つを使用して前記処理レーザを制御するステップと、
をさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
変更される前記少なくとも1つのレーザ動作パラメータが、調整される前記1つまたは複数のレーザ動作パラメータとは異なる、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記初期レーザ動作パラメータ範囲および前記変更されたレーザ動作パラメータ範囲が、
各範囲の下限値が前記レーザ動作パラメータについての最小効果に対応し、
各範囲の上限値が安全性限界に対応する
ように決定される、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
表示デバイス上に、各範囲の前記下限値および前記上限値を表示するステップをさらに含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記1つまたは複数の調整されたレーザ動作パラメータ値がいずれかの範囲の前記上限値を超えるかどうかを決定するステップと、
前記1つまたは複数の調整されたレーザ動作パラメータ値がいずれかの範囲の前記上限値を超えることに応答して、
表示デバイス上に視覚的な警告を表示するステップ、および
聴覚デバイスで聴覚的な警告を鳴らすステップ、
のうちの少なくとも1つを実施するステップと、
をさらに含む、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記少なくとも1つの初期レーザ動作パラメータのうちの1つについての
初期レーザ動作パラメータ値、および
対応する初期レーザ動作パラメータ範囲、
のうちの少なくとも1つが一定に保たれるように、前記少なくとも1つの変更されたレーザ動作パラメータ値および対応する変更されたレーザ動作パラメータ範囲が決定される、請求項23に記載の方法。
【請求項29】
平均パワーについての前記初期レーザ動作パラメータ範囲が一定に保たれる、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記平均パワーについての前記最小効果値および前記安全性限界値のうちの少なくとも1つが一定に保たれる、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記1つまたは複数の調整されたレーザ動作パラメータ値が、
平均パワー、
パルス形状、
パルス繰返し率、
パルスエネルギー、
パルス持続時間、および
ピークパワー、
のうちの少なくとも1つを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項32】
前記目標が腎臓結石であり、前記腎臓結石の前記1つまたは複数の特性が、
結石の位置、
結石の処置手順タイプ、
結石の組成、
結石の固さ、および
結石のサイズ、
のうちの少なくとも1つを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項33】
前記ビーム送出システムの前記1つまたは複数の特性が、
外科用ファイバのコアサイズ、
剛性スコープ、可撓性スコープ、および半剛性スコープのうちの1つである、送出システム幾何形状、
ファイバと前記結石目標との間の距離、
洗浄流量、ならびに、
前記結石目標に対するファイバまたはレーザビームの動きの速さ、
のうちの少なくとも1つを含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
レーザ動作パラメータとしての実効平均レーザパワー(EAP)を、次式すなわち、
EAP=(AP*LOT)/LTT
にしたがって決定するステップであって、上式で、
AP=平均パワー、
LOT=LTT期間のレーザオン持続時間、および
LTT=後処置時間
である、ステップと、
表示デバイス上に前記EAPを表示するステップと
をさらに含む、請求項23に記載の方法。
【請求項35】
レーザ動作パラメータとしての実効デューティサイクル(EDC)を、次式すなわち、
EDC=LOT/LTT
にしたがって決定するステップであって、上式で、
LOT=LTT期間のレーザオン持続時間、および
LTT=レーザ処置時間、
である、ステップと、
表示デバイス上に前記EDCを表示するステップと、
をさらに含む、請求項23に記載の方法。
【請求項36】
前記LTTが、全処置手順の持続時間または前記処置手順の一部の持続時間のうちの1つである、請求項34または35に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その内容がその全体で参照によって本明細書に組み込まれる、2021年8月24日に出願された、「METHOD AND APPARATUS FOR SAFE AND EFFICACIOUS TREATMENT OF UROLOGICAL CONDITIONS WITH LASER ENERGY」という題名の、米国仮特許出願第63/236,514号への優先権を主張する。
【0002】
技術分野
本技術分野は、一般に、指向性レーザエネルギーを用いた泌尿器症状の処置に関する。
【背景技術】
【0003】
腎臓結石症は、世界の人口の12%に影響をおよぼしていると推定される高頻度に見られる症状である。患者のほとんどは自然に結石を流すことができるが、症状は、医療の介入を必要とするのに十分なほど激しい場合がある。ひどい痛み、吐き気、おう吐、感染、尿流の妨害、および腎臓機能の喪失が続く場合がある。レーザ砕石術は、腎臓結石の処置のための方法である。光ファイバを通して導かれるレーザエネルギーを使用して、結石を、自然に流すことができるより細かい部分に破壊する。
【0004】
レーザ砕石術の主な問題の1つとしては、十分なレーザエネルギーを使用して、結石材料を離解するが、無傷の周りの柔組織を誤って損なわないようにもすることが挙げられる。レーザエネルギーは、組織の切断、切開、切除、蒸発、および凝固を通して、(たとえば、良性前立腺過形成(BPH)、膀胱腫瘍など)柔組織の様々な病理を処置するためにも幅広く使用される。結石を用いて上で記載したような場合のように、処置パラメータの最適な選択は、効果と安全との間の妥協である。これらの問題に対処するための能力の必要性が残ったままである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
態様および実施形態は、泌尿器症状の処置のための、最適なレーザパラメータを提供するための方法およびシステムに向けられる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
例示的な実施形態によれば、レーザビームを生成するように構成される処理レーザと、目標にレーザビームを向けるように構成されるビーム送出システムと、ユーザからの入力を受け取るように構成されるユーザ入力デバイスと、処理レーザおよびユーザ入力デバイスに結合され、ユーザ入力デバイスから初期ユーザ入力データを受け取ることであって、初期ユーザ入力データが、ビーム送出システムの1つまたは複数の特性および目標の1つまたは複数の特性のうちの少なくとも1つを含む、受け取ることと、初期ユーザ入力データおよび電気的に記憶された情報に基づいて、少なくとも1つの初期レーザ動作パラメータ値および対応する初期レーザ動作パラメータ範囲を決定することと、少なくとも1つの初期レーザ動作パラメータ値を使用して処理レーザを制御することとを行うように構成されるコントローラとを含むレーザシステムが提供される。
【0007】
1つの例では、コントローラは、表示デバイス上に、少なくとも1つの初期動作パラメータ値および対応する初期レーザ動作パラメータ範囲を表示するように構成される。
【0008】
1つの例では、コントローラは、ユーザ入力デバイスから1つまたは複数の調整されたレーザ動作パラメータ値を受け取ることと、1つまたは複数の調整されたレーザ動作パラメータ値および電気的に記憶された情報に基づいて、少なくとも1つの変更されたレーザ動作パラメータ値および対応する変更されたレーザ動作パラメータ範囲を決定することと、調整されたレーザ動作パラメータ値および少なくとも1つの変更されたレーザ動作パラメータ値のうちの少なくとも1つを使用して処理レーザを制御することとを行うようにさらに構成される。
【0009】
1つの例では、変更される少なくとも1つのレーザ動作パラメータが、調整される1つまたは複数のレーザ動作パラメータとは異なる。
【0010】
1つの例では、初期レーザ動作パラメータ範囲および変更されたレーザ動作パラメータ範囲は、各範囲の下限値がレーザ動作パラメータについての最小効果に対応し、各範囲の上限値がレーザ動作パラメータについての安全性限界に対応するように決定される。さらなる例では、コントローラは、表示デバイス上に、各範囲の下限値および上限値を表示するように構成される。
【0011】
1つの例では、コントローラは、各表示されるレーザ動作パラメータ範囲について、システムレーザ動作パラメータ範囲を表示するようにさらに構成される。さらなる例では、レーザ動作パラメータ範囲は、システムレーザ動作範囲よりも狭い。
【0012】
1つの例では、コントローラは、ユーザ入力デバイスから受け取った1つまたは複数の調整されたレーザ動作パラメータ値がいずれかの範囲の上限値を超えるかどうかを決定し、1つまたは複数の調整されたレーザ動作パラメータ値がいずれかの範囲の上限値を超えることに応答して、表示デバイス上に視覚的な警告を表示することと聴覚デバイスで聴覚的な警告を鳴らすことのうちの少なくとも1つを実施するようにさらに構成される。
【0013】
1つの例では、コントローラは、少なくとも1つの初期レーザ動作パラメータのうちの1つについての初期レーザ動作パラメータ値および対応する初期レーザ動作パラメータ範囲のうちの少なくとも1つが一定に保たれるように、少なくとも1つの変更されたレーザ動作パラメータ値および対応する変更されたレーザ動作パラメータ範囲を決定するように構成される。
【0014】
1つの例では、一定に保たれる少なくとも1つの初期レーザ動作パラメータのうちの1つは平均パワーである。さらなる例では、平均パワーについての最小効果値および安全性限界値のうちの少なくとも1つが一定に保たれる。
【0015】
1つの例では、1つまたは複数の調整されたレーザ動作パラメータ値は、平均パワー、パルス形状、パルス繰返し率、パルスエネルギー、パルス持続時間、およびピークパワーのうちの少なくとも1つを含む。
【0016】
1つの例では、目標が腎臓結石であり、腎臓結石の1つまたは複数の特性が、結石の位置、結石の処置手順タイプ、結石の組成、結石の固さ、および結石のサイズのうちの少なくとも1つを含む。さらなる例では、ビーム送出システムの1つまたは複数の特性は、外科用ファイバのコアサイズ、送出システム幾何形状であって、剛性スコープ、可撓性スコープ、および半剛性スコープのうちの1つである、送出システム幾何形状、ファイバと結石目標との間の距離、洗浄流量、ならびに、結石目標に対するファイバまたはレーザビームの動きの速さのうちの少なくとも1つを含む。
【0017】
1つの例では、コントローラは、レーザ動作パラメータとしての実効平均レーザパワー(EAP)を、次式すなわち、EAP=(AP*LOT)/LTTにしたがって決定し、ここで、AP=平均パワー、LOT=LTT期間のレーザオン持続時間、およびLTT=後処置時間であって、表示デバイス上にEAPを表示するようにさらに構成される。
【0018】
1つの例では、コントローラは、レーザ動作パラメータとしての実効デューティサイクル(EDC)を、次式すなわち、EDC=LOT/LTTにしたがって決定し、ここで、LOT=LTT期間のレーザオン持続時間、およびLTT=レーザ処置時間であって、表示デバイス上にEDCを表示するようにさらに構成される。
【0019】
1つの例では、LTTは、全処置手順の持続時間または処置手順の一部の持続時間のうちの1つである。
【0020】
1つの例では、ビーム送出システムの1つまたは複数の特性は、外科用ファイバのコアサイズ、送出システム幾何形状であって、剛性スコープ、可撓性スコープ、および半剛性スコープのうちの1つである、送出システム幾何形状、ファイバと目標との間の距離、洗浄流量、ならびに、目標に対するファイバまたはレーザビームの動きの速さのうちの少なくとも1つを含む。
【0021】
1つの例では、目標の1つまたは複数の特性は、目標サイズ、目標位置、目標タイプ、および目標材料のうちの少なくとも1つを含む。
【0022】
別の例示的な実施形態によれば、処理レーザを制御するための方法が提供され、処理レーザはレーザビームを生成するように構成され、方法は、初期ユーザ入力データを受け取るステップであって、初期ユーザ入力データが、目標にレーザビームを向けるように構成されるビーム送出システムの1つまたは複数の特性および目標の1つまたは複数の特性のうちの少なくとも1つを含む、ステップと、初期ユーザ入力データおよび電気的に記憶された情報に基づいて、少なくとも1つの初期レーザ動作パラメータ値および対応する初期レーザ動作パラメータ範囲を決定するステップと、少なくとも1つの初期レーザ動作パラメータ値を使用して処理レーザを制御するステップとを含む。
【0023】
1つの例では、方法は、表示デバイス上に、少なくとも1つの初期動作パラメータ値および対応する初期レーザ動作パラメータ範囲を表示するステップをさらに含む。
【0024】
1つの例では、方法は、1つまたは複数の調整されたレーザ動作パラメータ値を受け取るステップと、1つまたは複数の調整されたレーザ動作パラメータ値および電気的に記憶された情報に基づいて、少なくとも1つの変更されたレーザ動作パラメータ値および対応する変更されたレーザ動作パラメータ範囲を決定するステップと、調整されたレーザ動作パラメータ値および少なくとも1つの変更されたレーザ動作パラメータ値のうちの少なくとも1つを使用して処理レーザを制御するステップとをさらに含む。
【0025】
1つの例では、変更される少なくとも1つのレーザ動作パラメータが、調整される1つまたは複数のレーザ動作パラメータとは異なる。
【0026】
1つの例では、初期レーザ動作パラメータ範囲および変更されたレーザ動作パラメータ範囲は、各範囲の下限値がレーザ動作パラメータについての最小効果に対応し、各範囲の上限値が安全性限界に対応するように決定される。さらなる例では、方法は、表示デバイス上に、各範囲の下限値および上限値を表示するステップを含む。
【0027】
1つの例では、方法は、1つまたは複数の調整されたレーザ動作パラメータ値がいずれかの範囲の上限値を超えるかどうかを決定するステップと、1つまたは複数の調整されたレーザ動作パラメータ値がいずれかの範囲の上限値を超えることに応答して、表示デバイス上に視覚的な警告を表示するステップおよび聴覚デバイスで聴覚的な警告を鳴らすステップのうちの少なくとも1つを実施するステップとをさらに含む。
【0028】
1つの例では、少なくとも1つの初期レーザ動作パラメータのうちの1つについての初期レーザ動作パラメータ値および対応する初期レーザ動作パラメータ範囲のうちの少なくとも1つが一定に保たれるように、少なくとも1つの変更されたレーザ動作パラメータ値および対応する変更されたレーザ動作パラメータ範囲が決定される。1つの例では、平均パワーについての初期レーザ動作パラメータ範囲が一定に保たれる。1つの例では、平均パワーについての最小効果値および安全性限界値のうちの少なくとも1つが一定に保たれる。
【0029】
1つの例では、1つまたは複数の調整されたレーザ動作パラメータ値は、平均パワー、パルス形状、パルス繰返し率、パルスエネルギー、パルス持続時間、およびピークパワーのうちの少なくとも1つを含む。
【0030】
1つの例では、目標が腎臓結石であり、腎臓結石の1つまたは複数の特性が、結石の位置、結石の処置手順タイプ、結石の組成、結石の固さ、および結石のサイズのうちの少なくとも1つを含む。
【0031】
1つの例では、ビーム送出システムの1つまたは複数の特性は、外科用ファイバのコアサイズ、剛性スコープ、送出システム幾何形状であって、可撓性スコープ、および半剛性スコープのうちの1つである、送出システム幾何形状、ファイバと結石目標との間の距離、洗浄流量、ならびに、結石目標に対するファイバまたはレーザビームの動きの速さのうちの少なくとも1つを含む。
【0032】
1つの例では、方法は、レーザ動作パラメータとしての実効平均レーザパワー(EAP)を、次式すなわち、EAP=(AP*LOT)/LTTにしたがって決定するステップ、ここで、AP=平均パワー、LOT=LTT期間のレーザオン持続時間、およびLTT=後処置時間である、ステップと、表示デバイス上にEAPを表示するステップとをさらに含む。
【0033】
1つの例では、方法は、レーザ動作パラメータとしての実効デューティサイクル(EDC)を、次式すなわち、EDC=LOT/LTTにしたがって決定するステップ、ここで、LOT=LTT期間のレーザオン持続時間、およびLTT=レーザ処置時間である、ステップと、表示デバイス上にEDCを表示するステップとをさらに含む。
【0034】
さらに他の態様、実施形態、ならびにこれらの例示的な態様および実施形態の利点が下で詳細に考察される。さらに、上述の情報および以下の詳細な記載の両方が様々な態様および実施形態の単なる説明のための例であって、特許請求される態様および実施形態の性質および特性を理解するための概要または枠組みを提供することが意図されることを理解されたい。本明細書で開示される実施形態は他の実施形態と組み合わせることができ、「実施形態」、「例」、「いくつかの実施形態」、「いくつかの例」、「代替実施形態」、「様々な実施形態」、「一実施形態」、「少なくとも1つの実施形態」、「これおよび他の実施形態」、「ある実施形態」などへの言及は、必ずしも相互に排他的ではなく、記載される特定の特徴、構造、または特性が少なくとも1つの実施形態に含まれてよいと示すことが意図される。本明細書中でそのような用語が現れても、必ずしもすべてが同じ実施形態への言及ではない。
【0035】
少なくとも1つの実施形態の様々な態様が、添付図面を参照して下で考察される。添付図面は、原寸に比例することは意図されない。図面は、様々な態様および実施形態の説明およびさらなる理解をもたらすために含まれており、本明細書に組み込まれて本明細書の一部を構成するが、何らかの特定の実施形態の制限を規定することは意図していない。図面は、本明細書の残りと一緒に、記載され特許請求される態様および実施形態の原理および動作を説明する役に立つ。図面では、様々な図に図示される各同一またはほぼ同一の構成要素は、同様の数字によって表される。分かりやすくするために、あらゆる図中のあらゆる構成要素がラベル付けされなくてよい。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】本発明の態様にしたがったレーザシステムのブロック図である。
図2A】本発明の1つまたは複数の態様にしたがった、計算されユーザに表示されるような、初期レーザ動作パラメータおよび対応する範囲の組の一例を示す図である。
図2B】本発明の1つまたは複数の態様にしたがった、計算されユーザに表示されるような、初期レーザ動作パラメータおよび対応する範囲の変更された組の一例を示す図である。
図3】本発明の1つまたは複数の態様にしたがった、レーザ動作パラメータについての効果/安全性回廊を示すグラフである。
図4A】本発明の態様にしたがった、ツリウムファイバレーザ(TFL)ベースシステムを使用する腎臓処置のための、最適範囲およびプリセットの表である。
図4B】本発明の態様にしたがった、ツリウムファイバレーザ(TFL)ベースシステムを使用する腎臓処置のための、最適範囲およびプリセットの表である。
図4C】本発明の態様にしたがった、ツリウムファイバレーザ(TFL)ベースシステムを使用する腎臓処置のための、最適範囲およびプリセットの表である。
図5A】本発明の態様にしたがった、TFLベースシステムを使用する尿管処置のための、最適範囲およびプリセットの表である。
図5B】本発明の態様にしたがった、TFLベースシステムを使用する尿管処置のための、最適範囲およびプリセットの表である。
図6】本発明の態様にしたがった、TFLベースシステムを使用する膀胱処置のための、最適範囲およびプリセットの表である。
図7】本発明の態様にしたがった、TFLベースシステムを使用する柔組織処置のための、最適範囲およびプリセットの表である。
図8】本発明の態様にしたがった、可能な最大レーザ設定の表である。
図9】本発明の態様にしたがった、いくつかのレーザ動作パラメータを表示するグラフィカルユーザーインターフェースを図示する一例のスクリーンショットである。
図10】本発明の態様にしたがった、実効平均パワーを含むいくつかのレーザ動作パラメータを表示するグラフィカルユーザーインターフェースを図示する別の例のスクリーンショットである。
図11】本発明の態様にしたがった、実効デューティサイクルを含むいくつかのレーザ動作パラメータを表示するグラフィカルユーザーインターフェースを図示する別の例のスクリーンショットである。
図12】平均パワーについての最小値および最大値を含むいくつかのレーザ動作パラメータを表示するグラフィカルユーザーインターフェースを図示する別の例のスクリーンショットである。
図13】本発明の態様にしたがった、初期ユーザ入力データの例を表示するグラフィカルユーザーインターフェースを図示する一例のスクリーンショットである。
図14】本発明の態様にしたがった、ビーム送出システムの特性を含む、初期ユーザ入力データの例を表示するグラフィカルユーザーインターフェースを図示する別の例のスクリーンショットである。
【発明を実施するための形態】
【0037】
砕石術と柔組織手術(たとえば、BPH除去)との間に広がる様々な泌尿器症状の処置のために、レーザエネルギーが幅広く使用される。処置のための最適な(すなわち、最大効果を提供するがやはり安全である)レーザパラメータを選択する問題が残ったままである。本明細書に開示されるシステムおよび方法は、証拠またはデータが主導する手法を使用して泌尿器症状を処置するための技法を提供する。
【0038】
経験のある操作者(外科医)は彼らの知識および経験を使用して所望の処置パラメータ(たとえば、レーザ動作パラメータ)を設定するが、経験のより少ない操作者は、使用されるレーザシステムの製造業者によって提供されたプリセット値に依拠しなければならない。しかし、パラメータのただ1つの組では、まさにその性質によって、すべての実際の臨床症状について最適な成果をなすことはできない。
【0039】
本明細書に開示されるのは、レーザ発生源と、レーザ発生源の最適な処置パラメータを設定するための手段を提供する制御ユニットとを備えるレーザシステムの1つまたは複数の実施形態である。一実施形態では、ツリウムファイバレーザ(TFL)ベースシステムについての具体的な最適範囲およびデフォルト設定ポイントが提供される。下でさらに詳細に説明されるように、1つまたは複数の実施形態にしたがったシステムおよび方法は、以下を提供する。
・種々の臨床症状について最適なレーザ動作パラメータの範囲を特定すること
・これらの範囲内の初期(デフォルト)処置パラメータを特定すること
・プログラムまたは他の方法が、これらの範囲およびデフォルトパラメータ値を、レーザシステムのグラフィカルユーザーインターフェース(GUI)へ提供すること
・目標の泌尿器症状を最適パラメータで処置すること。システムは、ユーザがレーザパラメータを変更、あるいは調整して、一方では特定の臨床状態に適合させ、他方では処置の安全性および効果を継続的に確保することを可能にするように構成される。
【0040】
本明細書に記載される実施形態は、泌尿器科用途に向けられる。しかし、他の医療分野へのこれらの教示の適用も、また本開示の範囲内であることを理解されたい。
【0041】
全体的なシステムの説明
図1は、少なくとも1つの実施形態によって提供される全体として100で示されるレーザシステムの1つの非限定の例のブロック図である。レーザシステム100は、レーザビーム112を生成するように構成される処理(処置)レーザ110、目標105にレーザビーム112を向けるように構成されるビーム送出システム125、ユーザ120からの入力を受け取るように構成されるユーザ入力デバイス115、ならびに、処理レーザ110およびユーザ入力デバイス115に結合されるコントローラ150を備える。
【0042】
少なくとも1つの実施形態によれば、処理レーザ110によって生成されるレーザビーム112からのレーザエネルギーは、いくつかの泌尿器症状のうちのいずれか1つを処置するために使用される。処理レーザ110についての非限定の例としては、ツリウムドープファイバレーザ(TFL)、エルビウムドープファイバレーザ、イットリウムドープファイバレーザ、Ho:YAG固体レーザ、Tm:YAG固体レーザ、またはNd:YAG固体レーザが挙げられる。図1には明示的に示されないが、コントローラ150または処理レーザ110自体のいずれかが、レーザ発生源のためのドライバを備える。
【0043】
いくつかの実施形態によれば、ビーム送出システム125は、泌尿器症状を処置するように構成された砕石デバイスを含む、砕石デバイスの1つまたは複数の構成要素を含む。これらの構成要素は、目標105、ならびに、送出システムを含む他のアクセサリ(たとえば、膀胱鏡、さや有り/さや無しの可撓性内視鏡、経皮的腎臓結石摘出術(PCNL)/剛性内視鏡、ミニ/ウルトラミニPCNL内視鏡)、および流体流デバイスなどの他の関連する支援構成要素(たとえば、洗浄および吸引機能)にレーザビーム112を送出する、送出または外科用ファイバを備えることができる。いくつかの実施形態では、ビーム送出システム125は、1つまたは複数の光学系、反射デバイス、多関節アーム、および/もしくは、処理レーザ110から目標105にレーザエネルギー出力を向けるように構成される機械デバイスを備えることができる。
【0044】
ユーザ入力デバイス115は、医師などのユーザ120からの入力を受け取るように構成され、タッチスクリーンを含むいくつかの異なる形状のうちのいずれか1つをとることができる。タッチ感知スクリーン以外に、ユーザ入力デバイスの他の非限定の例として、マウス、トラックボール、またはジョイスティックなどといったカーソル制御デバイス(CCD)、キーボード、1つもしくは複数のボタン、スイッチ、またはノブ、および音声入力システムが挙げられる。少なくとも1つの実施形態によれば、ユーザからの入力は、処理レーザ110などシステム100の1つまたは複数の構成要素を制御するため、コントローラ150が(少なくとも部分的に)使用できる、ユーザ入力データを構成する。
【0045】
ユーザ入力データは、処置手順の開始時にユーザから受け取られる初期ユーザ入力データを含むことができる。いくつかの実施形態では、初期ユーザ入力データは、(1)ビーム送出システムの1つまたは複数の特性、および(2)目標の1つまたは複数の特性のうちの少なくとも1つを含む。
【0046】
いくつかの実施形態では、ビーム送出システムの1つまたは複数の特性の非限定の例としては、外科用ファイバのコアサイズ(たとえば、外科用ファイバコア直径)、送出システム幾何形状(たとえば、剛性スコープまたは器具、可撓性スコープまたは器具、半剛性スコープまたは器具)、洗浄流量、ファイバと目標との間の距離、目標に対するファイバまたはレーザビームの動きの速さが挙げられる。
【0047】
いくつかの実施形態によれば、目標の1つまたは複数の特性の非限定の例としては、目標サイズ、目標位置(たとえば、砕石術のための、腎臓、尿管、または膀胱)、目標タイプ、目標処置手順タイプ、および目標材料が挙げられる。たとえば、腎臓結石処置のための目標処置手順タイプの非限定の例としては、ダスティング、断片化、およびポップコーン法が挙げられ、柔組織のための目標処置手順タイプの非限定の例としては、切開、切除、カット、切断、蒸発、前立腺摘出、および止血が挙げられる。目標材料の非限定の例としては、腎臓結石および柔組織が挙げられる。目標特性の他の非限定の例としては、位置、組成、サイズ、および固さ、または、目標タイプが腎臓結石である場合にはハウンズフィールドスケールにおける密度が挙げられる。一実施形態によれば、目標105が腎臓結石であり、腎臓結石の1つまたは複数の特性は、結石の位置、結石の処置手順タイプ、結石の組成、結石の固さ、および結石のサイズのうちの少なくとも1つを含む。
【0048】
図13は、1つまたは複数の実施形態にしたがった、初期ユーザ入力データの例を表示するグラフィカルユーザーインターフェースを図示するスクリーンショットの一例である。この初期ユーザ入力は、ユーザが安全だが効果的な方式で処置動作を実施するのを助ける、ユーザに提供される「アシスタントモード」(「アシスタンスモード」とも呼ばれる)の少なくとも一部を形成する。たとえば、図13では、少なくとも1つの実施形態にしたがって、以下のオプションがユーザのためにリスト化され、結石目標についての腎臓結石処置手順における初期ユーザ入力データとして使用される。
(A)結石の位置、たとえば、腎臓、尿管、または膀胱
(B)ハウンズフィールドスケールにおける結石密度(本明細書では、結石の固さとも呼ばれる)、たとえば、<500、500~1000、1001~1500、>1500、または不明
(C)結石タイプ(本明細書では、結石組成とも呼ばれる)、たとえば、CaOx二水和物、CaOx一水和物、シスチン、尿酸、または不明
(D)両方の足踏みペダルについての結石の処置手順(処置手順タイプ)、たとえば、断片化とダスティング、ポップコーン法とダスティング、または断片化とポップコーン法
(E)結石サイズ、たとえば、<10mm、10~12mm、12~15mm、>15mm、または不明
【0049】
図14は、1つまたは複数の実施形態にしたがった、初期ユーザ入力データの例を表示するグラフィカルユーザーインターフェースを図示するスクリーンショットの別の例である。たとえば、ユーザが図13中の結石の位置として「腎臓」を選択する場合、図14中のスクリーンが表示され、ユーザは、ビーム送出システム125に関する1つまたは複数の特性をここで選択することができる。たとえば、図14では、少なくとも1つの実施形態にしたがって、以下のオプションがユーザにリスト化され、ビーム送出システムについての腎臓結石処置手順における初期ユーザ入力データとして使用される。
(A)さや有りの可撓性内視鏡(内視鏡)
(B)さや無しの可撓性内視鏡(ユーザが選択して、図14に示されるこの例ではより明るい背景色で示される)
(C)PCNL/剛性内視鏡
(D)ミニ/ウルトラミニPCNL
図14にはまた、腎臓結石についての目標特性が含まれ、以下の非限定の例は、1つの実施形態にしたがった、ユーザのための潜在的なオプションとしてリスト化される。
・結石サイズ、たとえば、小(<5mm)、中(5~10mm)、大(>15mm)、または不明
・固さ(ハウンズフィールドスケール)、たとえば、柔(<500)、中間(500~1000)、堅(>1000)、または不明
図14に示されるこの特定の例では、ユーザは、大きいサイズで堅い結石を選択した。
【0050】
コントローラ150は、処理レーザ110およびユーザ入力デバイス115に結合される。少なくとも1つの実施形態によれば、コントローラ150は、ユーザ入力デバイス115から初期ユーザ入力データを受け取って、初期ユーザ入力データおよび電気的に記憶された情報に基づいて、少なくとも1つの初期レーザ動作パラメータ値および対応する初期レーザ動作パラメータ範囲を決定するように構成される。下でさらに詳細に考察されるように、ある実施形態によれば、電気的に記憶された情報は、異なる目標特性およびビーム送出システム構成についてのレーザ動作パラメータを含む。ある実施形態によれば、レーザ動作パラメータの非限定の例としては、平均パワー、ピークパワー、周波数(パルス繰返し率)、パルス形状、パルス持続時間、およびパルスエネルギーが挙げられる。
【0051】
コントローラ150は、別個または一体の構成要素であってよい回路を含む。コントローラ150によって実施される動作は、1つもしくは複数のコントローラ、プロセッサ、ならびに/または、ソフトウェアおよび/もしくはハードウェア構成要素を含む他の電子構成要素が実施できることを、当業者なら理解するであろう。たとえば、コントローラ150は、当業者には理解されるように、(1つよりも多いプロセッサを含むことができる)プロセッサ155、コンピュータ可読記憶デバイス(図1には明示的に示されない)、およびメモリ140(記憶デバイスとも呼ばれる)、ならびに、他のハードウェアおよびソフトウェア構成要素を含む。
【0052】
上で述べたように、初期ユーザ入力データは、ビーム送出システムおよび/または目標の1つまたは複数の特性を含むことができる。
【0053】
電気的に記憶された情報は、コントローラ150のメモリ140に記憶される。少なくとも1つの実施形態によれば、電気的に記憶された情報は、ルックアップテーブル、経験的関数、および/または、分析モデルを含むことができる。この情報は、臨床前および臨床時の試験、試行、および調査からの結果を入力することによって生成される。これらの実施形態では、レーザ動作パラメータの最適な範囲は、臨床前および/または臨床時の調査によって提供される客観的証拠に基づく。たとえば、関連する臨床状態を再現する生体外(インビトロまたは擬似的)環境が作成され、対象のレーザ動作パラメータ(たとえば、ピークパワー、平均パワー、パルスエネルギー、繰返し率、パルス形状、ファイバサイズなど)のうちの1つまたは複数が変えられて、最小限受入れ可能な結石切断効果および率(受入れ可能速度)をなす対応するレーザ動作パラメータ範囲の下側境界/下限を規定する。結果は、記憶される情報としてメモリ140にデータとして入力される。少なくとも1つの実施形態によれば、レーザ動作範囲は、レーザ動作パラメータについての最小効果に対応する下限または下側境界、および、レーザ動作パラメータの安全性限界または最大値に対応する上限または上側境界を有する。安全性限界は、組織上のレーザの不慮の作用を通した組織の損傷(たとえば、臓器壁の貫通)などといった、不利な効果の受入れ可能な危険性に関係する。確定された範囲は、対応するレーザタイプで実際の臨床データを使用して、その後微調整することができる。次いで、この量のデータが、システムメモリ140中に記憶される情報として記録される。
【0054】
例として、異なるタイプのレーザ処置用に様々な変数が存在する。
砕石術では、これらの変数の非限定の例としては、以下が挙げられる。
・結石の位置(たとえば、腎臓、尿管、膀胱)
・結石の材料組成(たとえば、シュウ酸カルシウム一水和物(COM)、尿酸塩など)
・結石のサイズ
・結石の固さ(ハウンズフィールドスケール)
・特に、洗浄流量の使用可能な範囲を定める使用可能な器具のタイプ(剛性、可撓性など)
柔組織手術では、これらの変数の非限定の例としては、以下が挙げられる。
・処置部位の位置(たとえば、腎臓、尿管、膀胱)
・目標のタイプ(悪性、良性など)
・目標のサイズ
・周りの組織の血液含有量
・使用可能な器具のタイプ(剛性、可撓性など)
・止血、切開、切除、切断、蒸発、前立腺摘出などといった、処置手順タイプ
これらの変数が臨床時の調査で使用され、首尾のよい(また、安全な)処置をもたらすレーザ動作パラメータを決定する。これらの変数のうちの1つまたは複数を、初期ユーザ入力データとして入力して、コントローラ150が、臨床時の調査を実施することにより生成され、(ユーザによって、以前に入力され、メモリ140に記憶された)データを含む、1つまたは複数の対応する電気的に記憶された情報にアクセスするため使用することができる。
【0055】
いくつかの実施形態では、コントローラ150が少なくとも1つの初期レーザ動作パラメータ値および対応する初期レーザ動作パラメータ範囲を決定すると、コントローラ150は、表示デバイス130上にこれらのパラメータの一方または両方を表示することができる。表示デバイスは、3次元画像または2次元画像を提供することができ、非限定の例としては、タッチスクリーンディスプレイおよび/もしくは平面パネルディスプレイ、または、ユーザに図データおよび/もしくはテキストを表示することができる任意の他の好適な視覚出力デバイスが挙げられる。いくつかの実施形態では、タッチスクリーンは、表示デバイス130とユーザ入力デバイス115の両方として機能することができる。少なくとも1つの実施形態によれば、コントローラ150は、ユーザ入力デバイス115とともにユーザ入力を受け取るグラフィカルユーザーインターフェース(GUI)を表示デバイス130上に生成するように構成される。
【0056】
少なくとも1つの実施形態によれば、図2Aは、コントローラ150によって計算されユーザ120に表示されるような、初期レーザ動作パラメータおよび対応する範囲の組の1つの非限定の例である。この一般的なレイアウトは、ユーザ120およびコントローラ150によって使用されるGUIの少なくとも一部を形成することができる。この例では、コントローラ150は、3つの初期レーザ動作パラメータ値およびそれらの対応する範囲(レーザ動作パラメータA、B、およびC)を決定する。各レーザ動作パラメータについて、少なくとも1つの実施形態にしたがって、システムレーザ動作パラメータ範囲も表示される。この「システム」範囲は、その特定の動作パラメータについてのシステムの能力を示し、従来型レーザ処置システム上に典型的に表示される範囲に対応する。この「システム」範囲中の最小値は、典型的には、この範囲の中の、最小レーザシステム能力または最小レーザシステムパラメータとして規定される(本明細書で開示されるような最小効果ではない)。少なくとも1つの実施形態によれば、初期動作パラメータ範囲も表示され、これは、いくつかの実施形態では、システム動作範囲よりも狭く、上で議論したように、この範囲の下限値がレーザ動作パラメータについての最小効果に対応し、上限値がレーザ動作パラメータについての安全性限界に対応する。また、初期動作パラメータ値も表示される。上で議論したように、初期動作パラメータ値および対応する範囲は、初期ユーザ入力データおよび電気的に記憶された情報に基づいて決定される。初期動作パラメータ値および対応する範囲、ならびに下で述べられる変更された動作パラメータおよび対応する範囲が、ユーザが安全だが効果的な方式で処置動作を実施するのを助ける、ユーザに提供される「アシスタントモード」の少なくとも別の部分を形成する。
【0057】
いくつかの実施形態によれば、デフォルトまたは初期レーザ動作パラメータ値は、様々な方法で規定することができる。たとえば、効果(E)と安全性(S)の性能指数を、各動作パラメータに割り当てることができる。典型的には、E数はレーザ作用の強度が増すと増加する一方で、S数は対応して減少することになる。E曲線とS曲線の交差点が初期設定ポイントを提供する。また、この設定ポイントは、以前の臨床経験を使用して微調整することができる。
【0058】
コントローラ150は、また、少なくとも1つの初期レーザ動作パラメータ値を使用して処理レーザ110を制御するように構成される。例として図2Aを使用すれば、コントローラ150は、処理レーザ110を制御するために、動作パラメータA、B、およびCについての初期レーザ動作パラメータ値を使用することになる。たとえば、レーザ動作パラメータAが平均パワーであってよく、レーザ動作パラメータBがパルスエネルギーであってよく、レーザ動作パラメータCが周波数であってよい。図2Aと(下に記載される)図2Bの両方が、コントローラ150およびユーザ120によって使用されるGUIの一部を形成することができる。GUIは、処置手順の開始時にユーザ120に処置オプションおよび処置位置(たとえば、初期ユーザ入力データについてのオプション)のメニューを提供することによってさらに特徴づけられる(たとえば、図13および図14を参照)。
【0059】
処置手順の期間に、ユーザ120は、レーザ動作パラメータ値のうちの1つまたは複数を変更、あるいは調整したいと望む場合がある。一実施形態によれば、1つまたは複数の調整されたレーザ動作パラメータ値は、平均パワー、パルス形状、パルス繰返し率、パルスエネルギー、パルス持続時間、およびピークパワーのうちの少なくとも1つを含む。一実施形態によれば、コントローラ150は、ユーザ入力デバイス115から1つまたは複数の調整されたレーザ動作パラメータ値を受け取るように構成される。コントローラ150は、次いで、1つまたは複数の調整されたレーザ動作パラメータ値および電気的に記憶された情報に基づいて、少なくとも1つの変更されたレーザ動作パラメータ値および対応する変更されたレーザ動作パラメータ範囲を決定する。いくつかの実施形態では、変更される少なくとも1つのレーザ動作パラメータは、調整される1つまたは複数のレーザ動作パラメータとは異なる。図2Bは、この機能性を説明するために使用することができる。図2Bは、(図2Aからの)初期レーザ動作パラメータA、B、およびCの組の1つの非限定の例であり、ここで、ユーザ120が動作パラメータBを調整し、コントローラ150が、ユーザ120に表示される変更された動作パラメータ値AおよびCならびに対応する範囲を計算、あるいは決定する。いくつかの実施形態では、コントローラ150はまた、調整された動作パラメータ値についての変更された動作パラメータ範囲を決定し、これもユーザ120に表示される。
【0060】
理解すべき重要な1つの特徴は、多くの実施形態において、1つのレーザ動作パラメータがユーザによって調整されるとき他のレーザパラメータがこの変化に応答して変更されるように、レーザ動作パラメータA、B、およびCが互いに相互に連係されることである。この相互連係の背後にある1つの原理は、物理学に関係する。たとえば、平均レーザパワーは、次式によって表すことができる。
平均パワー(AP)=周波数(F)*合計パルスエネルギー(TPE)
上式で、
APはワット(W)の単位であり、
Fはヘルツ(Hz)の単位であり、
TPEはジュール(J)の単位である。
【0061】
レーザ動作パラメータの相互連係の背後の別の原理は、(上で記載したような、初期および変更範囲の両方の)レーザ動作パラメータ範囲についての基礎を形成し、本明細書中のある実施形態中で実施される、効果/安全性回廊の概念と関係がある。効果/安全性回廊は、上で議論したように、臨床前および臨床時データに基づき、電気的に記憶された情報に記憶される情報の例である。図3は、この概念を説明するのを助けるグラフであり、ここで、周波数(Hz)がy軸に表示され、パルスエネルギー(J)がx軸に表示される。曲線は、最大安全平均レーザパワー(MxP)および最小効果平均レーザパワー(MnAP)を示し、平均パワーについての動作「回廊」は、これら2つの線の間の空間であり、その一例が両矢印線で示される。図3に示される例(これは、図9にも対応する)では、平均パワー値が8.8Wであり、これは、最小効果値と最大安全性限界値との間にある値である。加えて、パルスエネルギーは0.2Jであり、周波数は44Hzである。パルスエネルギーについての「効果/安全性回廊」内の対応する範囲は、およそ、0.1~0.3Jであり、周波数についての対応する範囲はおよそ25~55Hzであり、ここで、下限は最小効果に対応し、上限は安全性限界に対応する。図2Bに戻って、ユーザがパラメータB(たとえば、周波数)を調整すると、コントローラ150は、全部の動作パラメータ値が効果/安全性回廊内に留まるように、他のレーザ動作パラメータAおよびCならびにそれらの対応する範囲を変更する。この能力によって、ユーザの変更に対する動的な応答が作成され、連続的で、安全および効果的な処置が確実になる。
【0062】
コントローラ150はまた、調整されたレーザ動作パラメータ値のうちの少なくとも1つおよび少なくとも1つの変更されたレーザ動作パラメータ値を使用して処理レーザ110を制御するように構成される。例として図2Bを使用して、いくつかの実施形態では、コントローラ150は、調整されたレーザ動作パラメータBならびに変更されたレーザ動作パラメータ値AおよびCを使用して処理レーザ110を制御することになる。
【0063】
いくつかの実施形態によれば、コントローラ150はまた、ユーザ入力デバイス115から受け取った1つまたは複数の調整されたレーザ動作パラメータ値が、初期レーザ動作パラメータ範囲と変更されたレーザ動作パラメータ範囲の一方または両方の上限値を超えるかどうかを決定し、1つまたは複数の調整されたレーザ動作パラメータ値がいずれかの範囲の上限値を超えることに応答して、表示デバイス130上に視覚的な警告を表示することと聴覚デバイス135(たとえば、スピーカ)で聴覚的な警告を鳴らすことのうちの少なくとも1つを実施するように構成される。
【0064】
ある実施形態にしたがった、TFL「アシスタントモード」レーザ動作パラメータ範囲の例がここで記載される。結石のインビトロモデル(Bego stone)を使用して、最小の硬さおよび柔組織切断効果で必要な最小TFLレーザパラメータの実験的な評価が行われた。(臓器の壁の厚さを超える穿孔深度および通常の体温の8℃を超える臓器中の周りの流体の温度上昇について必要なレーザパラメータとして安全性基準毎に規定される)最大TFL動作パラメータは、生体外腎臓、尿管、および膀胱体積モデルを使用して行われた。得られた範囲は、泌尿器科医のパネルの臨床研究および経験によって検証された。図4A図4C図5A図5B図6、および図7は、レーザ砕石術用のTFLベース処置システムについての、特定の範囲の要約した組および初期設定ポイントを示す。これらの表では、最小(Min)、最大(Max)(効果/安全性回廊)、および初期(Def)動作レーザパラメータは、腎臓(図4A図4C)、尿管(図5A図5B)、および膀胱(図6)に対応する異なる位置の、断片化(図4A図5A図6)、ダスティング(図4B図5B)、ポップコーン法(図4C)を含む異なる処置手順についての、周波数、パルスエネルギー、平均パワー、およびピークパワーとして規定される。これらのレーザパラメータは、ハウンズフィールドスケールでの結石密度および目標サイズと相関された。図7は、組織の切開、腫瘍の切除、組織の蒸発、および止血を含む、柔組織処置のための、要約したパラメータの範囲および初期設定ポイントの1つの非限定の例である。図8は、特定のファイバサイズおよび処置位置のための平均パワー、パルスエネルギー、および周波数についての最大レーザ設定を示す表である。図4図8に示されるデータのすべては、本明細書に記載されるような電気的に記憶された情報を含むデータのタイプの例である。
【0065】
処置手順の期間に、ユーザ120は、初期ユーザ入力データを変更、あるいは調整したいと望む場合がある。いくつかの実施形態によれば、調整された初期ユーザ入力データは、ビーム送出システム125の1つまたは複数の調整された特性および目標105の1つまたは複数の調整された特性のうちの少なくとも1つを含む。たとえば、ユーザ120は、処理レーザ110で処置する必要がある異なるタイプの結石材料を見つける場合があり、このことによって、目標特性の調整が構成される。調整されたレーザ動作パラメータを参照して上で記載されたのと同様の方法で、コントローラ150は、ユーザ入力デバイス115からの調整された初期ユーザ入力データを受け取って、調整された初期ユーザ入力データおよび電気的に記憶された情報に基づいて、少なくとも1つの変更されたレーザ動作パラメータ値および対応する変更されたレーザ動作パラメータ範囲を決定するように構成される。このプロセスは、上で述べた初期レーザ動作パラメータの決定と類似しており、簡潔にするために、ここでは繰り返さない。加えて、変更されたレーザ動作パラメータ値および対応する範囲が表示デバイス130上に表示される。いくつかの実施形態によれば、変更された値および範囲が表示されると、ユーザ120は、これらの値を受け入れることまたは拒否することのいずれかができる。この事例では、コントローラ150は、ユーザ入力デバイス115からユーザ入力を受け取り(すなわち受け入れまたは拒否し)、次いでユーザ入力に基づいて、少なくとも1つの変更されたレーザ動作パラメータを使用して処理レーザ110を制御するように構成される。たとえば、ユーザは、変更されたレーザパワーまたはパルスエネルギーを受け入れることまたは拒否することができる。ユーザが変更された値を受け入れる場合、コントローラ150は、この値を使用して処理レーザを制御する。ユーザが変更された値を拒否する場合、変化は生じない。加えて、結果として得られた変更されたレーザ動作パラメータ値が安全性限界に対応する上限値を超えた場合、コントローラ150によって、視覚的または聴覚的警告が出力される。
【0066】
動的GUI内の処置不変量
少なくとも1つの実施形態によれば、(以前に述べたような)GUIで提供される動的な応答はまた、処置不変量の概念で構成される。処置不変量は、ユーザが他のレーザ動作パラメータのうちの1つまたは複数を調整するときに、一定または規定された範囲内のままを保つことが必要な、レーザ動作パラメータ(または、レーザ動作パラメータの組もしくはレーザ動作パラメータについての範囲)である。いくつかの実施形態では、コントローラ150は、少なくとも1つの初期レーザ動作パラメータのうちの1つについての初期レーザ動作パラメータ値と対応する初期レーザ動作パラメータ範囲のうちの少なくとも1つが一定または規定された範囲に保持されるように、少なくとも1つの変更されたレーザ動作パラメータ値および対応する変更されたレーザ動作パラメータ範囲を決定するように構成される。いくつかの実施形態によれば、一定を保持される初期レーザ動作パラメータ値および/または範囲を、処置不変量と呼ぶことができる。
【0067】
処置不変量の例としては、最大安全平均レーザパワー(MxP)および最小効果平均レーザパワー(MnAP)が挙げられる。個々の値以外に、処置不変量は、値の範囲を含むことができ、この特定の例では、最小値がMnAPによって規定され最大値がMxPによって規定される平均レーザパワーの範囲が挙げられる。処置手順の期間に、ユーザが、パルス繰返し率(周波数)またはパルスエネルギーなどの別のレーザ動作パラメータを変えるように試みると、以前に述べた式(すなわち、AP=F*TPE)にしたがって、変更されたまたは新しい平均レーザパワーが計算される。結果として得られるAP値がMnAPとMxPとの間(すなわち、上で記載されたような処置不変量範囲)である場合、変化が許可され、新しいレーザ動作パラメータがコントローラによって、レーザに送信される。しかし、結果として得られるAPがこの範囲外である場合、レーザ動作パラメータのうちの1つまたは複数が変更されて、処置不変量範囲が一定のままとなるのを確実にする。これが可能でない場合、コントローラは警告(たとえば、視覚的および/または聴覚的警告)を生成する。固定した水の洗浄および出力流での処置期間に平均レーザパワーを増加すると、臓器(たとえば、膀胱、尿管、または腎臓)の内側の水の温度が比例して上昇する。温度が45℃超に達し、露光時間が安全性限界を超えて増えた場合、臓器の壁の上皮および結合組織が凝固し、臓器に損傷を与えてひどい副作用をもたらす可能性がある。平均パワーをMxP値よりも下に保つのは、レーザ処置の期間のそのような熱損傷を防止するのに非常に重要であると考えられる。
【0068】
図9は、この能力を説明するのを助けるGUIのスクリーンショットの例である。この例では、処置不変量に関係するレーザ動作パラメータはレーザ平均パワーであり、この例では、0~20ワットの処置不変量範囲を有する(すなわち、MnAP=2およびMxP=25)(図9には明示的に図示せず)。ユーザがパルスエネルギーまたは周波数を調整するのを試み、このことによって、平均レーザパワーAPがこの処置不変量範囲の外側になる結果となる場合、平均レーザパワーが処置不変量範囲内に留まるのを確実にするために、1つまたは複数の他のレーザパラメータが調整、あるいは変更される。たとえば、図9では、ユーザは、処置手順の期間に、パルスエネルギーについての初期レーザ動作パラメータ範囲(たとえば、0.5Jから3Jの範囲)の内側でパルスエネルギーを増加させることができる。次に、システムは、周波数動作範囲内の任意の選択によって、レーザ平均パワーが処置不変量範囲内のままとなるのが可能になるように、パルス周波数を変えることによって自動的に応答する(すなわち、この例では、25Wおよび3J=8.3Hzの最大値)。周波数についてのこの変更された動作範囲が、次いでユーザに表示される。ユーザは、初期レーザ動作パラメータ範囲の内側で(たとえば、22Hzから80Hzの最大安全エネルギー値に)、処置手順の期間の周波数を増加させる場合がある。次に、システムは、エネルギー動作範囲内の任意の選択によって、レーザ平均パワーが処置不変量範囲内のままとなるのが可能になるように、エネルギーを変えることによって自動的に応答する(たとえば、この例では、25W/80Hz=0.31J)。エネルギーについてのこの変更された動作範囲が、次いでユーザに表示される。平均パワーが処置範囲内に留まるのを確実にするため、1つまたは複数の他のレーザパラメータを変更することができない場合に、コントローラ150は、表示デバイス130上に視覚的な警告を表示することと聴覚デバイス135で聴覚的な警告を鳴らすことのうちの少なくとも1つを実施するように構成される。
【0069】
他のレーザ動作パラメータ
コントローラ150が計算しユーザに表示できるレーザ動作パラメータの別の例は、実効平均レーザパワー(EAP)であり、これは次式にしたがって計算される。
EAP=(AP*レーザオン時間(LOT))/レーザ処置時間(LTT)
上式で、
EAPはWの単位であり、
LOTは、(下で記載されるLTT期間の)秒(s)の単位であり、
LTTは秒の単位である。
いくつかの実施形態では、LTTは全処置手順の持続時間であり、他の実施形態では、LTTは処置手順の一部の持続時間である。
【0070】
LOTは典型的にはLTTよりも短い。というのは、処置期間に、ユーザは、周りの組織に発射するのを防止する目的で目標に対して望ましい距離内にファイバを位置合わせする必要があるとき、または、よりよく見えるように洗浄流で処置区域を洗浄するのを可能にする必要があるときに、足踏みペダルを使用してレーザの発射を中断するためである。EAPは、ダイレクトレーザパラメータであって、処置を受ける組織内の温度上昇を決定するのに使用される。この温度上昇は、所与の処置時間の間、最大安全レベルを下回って保たれるべきである。たとえば、レーザシステムの平均パワーが30Wとなるように設定され、患者へ送出される最初のレーザパルスと最後のレーザパルスとの間の全処置時間が20分であるが、ユーザがレーザを合計で2、10、および、15分間オンにする場合、最小EAPは、それぞれ、6W、15W、および22Wとなるべきである。臓器中の廃棄物の温度はEAPによって決まり、APではないために、処置手順の期間にユーザにEAPを提供するのはかなりの利点である。図10は、スクリーンの右側でユーザに平均パワーおよびEAPの両方の表示を示すGUIの一例のスクリーンショットである。
【0071】
コントローラ150が計算しユーザに表示できるレーザ動作パラメータの別の例は、実効デューティサイクル(EDC)であり、これは次式にしたがって計算される。
EDC=LOT/LTT
図11は、スクリーンの右側でユーザに平均パワーおよびEDC(単に「デューティサイクル」とも呼ばれる)の表示を示すGUIの一例のスクリーンショットである。ユーザはまた、式EAP=AP*EDCを使用して、EAPを推定または計算することができる。
【0072】
EAPとEDCの両方は、処置の期間に患者の体に送出されるエネルギーの実際の量に関係し、したがって、本明細書では、関連動作パラメータとして含まれる。平均パワーでのように、これらのパラメータの各々について不変量および/または範囲を計算することもできる。範囲の場合では、いくつかの実施形態によれば、最小値が最小効果に対応し、最大値が安全性限界に対応し、これらの限界の一方または両方を一定に保持することができる。処置手順中にある時間期間が経過した後にだけ、EAPおよびEDCを考えるのが有用であることを理解されたい(というのは、両方がLTTに依存するためである)。この点に関し、ある実施形態にしたがって、これらのレーザ動作パラメータの各々は、ユーザが別のレーザ動作パラメータの調整を行うとき(または、初期ユーザ入力データを調整するとき)に一定に保つことができる。すなわち、コントローラ150は、ユーザがレーザ動作パラメータの調整をするときに、EAPおよび/またはEDCを計算、あるいは決定し、変更されたレーザ動作パラメータおよび範囲を決定する際に、EAPおよび/またはEDC定数を保持する。上で記載されたのと同様の方式で、調整されたレーザ動作パラメータ(または、任意の他の調整された入力)が、EAPまたはEDCのいずれかの範囲について上限値が安全性限界を超える結果となる場合、コントローラ150は、(たとえば、視覚的および/または聴覚的)警告を出力する。
【0073】
別の実施形態によれば、ユーザに表示できるレーザ動作パラメータの別の例としては、平均パワーについての最小値および最大値が挙げられる。図12は、スクリーンの右側でユーザに最小および最大平均パワー値を表示するそのようなGUIのスクリーンショットである。この例での平均パワーについての最小値および最大値は、それぞれ、図3に示されるMnAP曲線およびMxP曲線に対応する。いくつかの実施形態では、図3の情報画像(またはその等価物)は、システムスクリーン(たとえば、表示デバイス)上に直接表示することができる。
【0074】
本発明にしたがって本明細書に開示される態様は、以下の説明に記載される、または添付図面に図示される、構成の詳細および構成要素の配置に対する態様の適用に限定されない。これらの態様は、他の実施形態を考えることが可能であり、様々な方法で実施または実行することが可能である。具体的な実装の例は、本明細書において例示目的でのみ提供されるが、限定することは意図されない。特に、いずれか1つまたは複数の実施形態に関して考察される行為、構成要素、要素、および特徴は、任意の他の実施形態における同様の役割から除外されることは意図されない。
【0075】
また、本明細書で使用する言い回しおよび用語は、説明のためのものであって、限定すると見なされるべきでない。本明細書で単数形で言及されるシステムおよび方法の例、実施形態、構成要素、要素、または行為に対する何らかの言及はまた、複数を含む実施形態を包含することができ、本明細書で任意の実施形態、構成要素、要素、または行為への複数形での何らかの言及はまた、単数だけを含む実施形態を包含することができる。単数形または複数形での言及は、本開示のシステムもしくは方法、それらの構成要素、行為、または要素を限定することを意図しない。「含む(including)」、「備える(comprising)」、「有する(having)」、「含む(containing)」、「含む(involving)」およびそれらの変形体の本明細書での使用は、その後にリスト化される項目およびそれらの等価物ならびに追加項目を包含することを意味する。「または(or)」への言及は、「または(or)」を使用して記載された任意の項目が、単数の項目、1つよりも多い項目、および記載された項目の全部のいずれかを示すことができるように、包含的であると解釈することができる。加えて、本文書と参照によって本明細書に組み込まれる文書の間の用語に使用上の不一致がある場合、組み込まれた参照文献中の用語使用法は、本文書のものに対する補足であり、矛盾する不一致では、本文書中の用語使用法が優先する。さらに、読者の利便性のため、本明細書中にタイトルまたはサブタイトルを使用する場合があるが、これらは、本発明の範囲には影響を持たないものとする。
【0076】
以上、少なくとも1つの例のいくつかの態様を説明してきたが、当業者には、様々な代替形態、変更形態、および改善形態が容易に想到することが理解されたい。たとえば、本明細書に開示される例は、他の文脈でも使用することができる。そのような代替形態、変更形態、および改善形態は、本開示の部分であることが意図され、本明細書で考察した例の範囲内であることが意図される。したがって、上の記載および図面は、単に例示にすぎない。
【符号の説明】
【0077】
100 レーザシステム
105 目標
110 処理(処置)レーザ
112 レーザビーム
115 ユーザ入力デバイス
120 ユーザ
125 ビーム送出システム
130 表示デバイス
135 聴覚デバイス
140 メモリ
150 コントローラ
155 プロセッサ
図1
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【国際調査報告】