(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-18
(54)【発明の名称】収容バッグ
(51)【国際特許分類】
A61B 17/00 20060101AFI20240910BHJP
A61B 17/34 20060101ALI20240910BHJP
A61B 90/00 20160101ALI20240910BHJP
A61B 18/14 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
A61B17/00
A61B17/34
A61B90/00
A61B18/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024512167
(86)(22)【出願日】2022-08-25
(85)【翻訳文提出日】2024-04-19
(86)【国際出願番号】 US2022041582
(87)【国際公開番号】W WO2023028265
(87)【国際公開日】2023-03-02
(32)【優先日】2021-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517021754
【氏名又は名称】エクシミス サージカル インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】ディルク ジョンソン
(72)【発明者】
【氏名】クリスティン ディー.ジョンソン
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム エヌ.グレッグ
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン シー.ラップ
(72)【発明者】
【氏名】スティーブ チェ
(72)【発明者】
【氏名】アルマンド ガルシア
(72)【発明者】
【氏名】ハナ クリーシー
(72)【発明者】
【氏名】クリス アンダーウッド
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160FF41
4C160KK03
4C160KK12
4C160MM32
(57)【要約】
本発明は、組織検体を抽出するための収容バッグアセンブリに関する。前記収容バッグアセンブリは、1つ以上の切片化ワイヤを備えるバッグと、近位端及び遠位端を備える外側管と、前記収容バッグの頂部開口を形成するように構成されている、可撓性リングと、を備えている。前記可撓性リングは、2つのリングサブアセンブリであって、各リングサブアセンブリは近位端及び遠位端を有する、2つのリングサブアセンブリと、前記2つのリングサブアセンブリの前記遠位端同士の間に配置され、かつ前記2つのリングサブアセンブリの前記遠位端に結合された、可撓性部材と、を備えている。前記可撓性部材が前記潰れ位置にあるときには、前記2つのリングサブアセンブリは潰れ位置にあり、かつ、前記収容バッグは前記外側管内に格納されるように構成されており、かつ、前記可撓性部材が前記拡大位置にあるときには、前記2つのリングサブアセンブリ及び前記可撓性部材は、前記収容バッグの前記頂部開口を、前記組織検体を前記収容バッグ内に配置することを可能にする開放位置に至らせるように付勢している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織検体を患者から抽出するための収容バッグアセンブリであって、前記収容バッグアセンブリは、
1つ以上の切片化ワイヤを備える収容バッグと、
遠位端及び近位端を備える外側管と、
可撓性リングであって、前記可撓性リングは、前記収容バッグの頂部開口を形成するように構成されている、可撓性リングと、を備えており、前記可撓性リングは、
-2つのリングサブアセンブリであって、各リングサブアセンブリは近位端及び遠位端を備える、2つのリングサブアセンブリと、
-前記2つのリングサブアセンブリの前記遠位端同士の間に配置され、かつ前記2つのリングサブアセンブリの前記遠位端に結合された、可撓性部材と、を備えており、前記可撓性部材は、潰れ位置と拡大位置の間で移動可能であり、
前記可撓性部材が前記潰れ位置にあるときには、前記2つのリングサブアセンブリは潰れ位置にあり、かつ前記収容バッグは前記外側管内に収容されるように構成されており、かつ、
前記可撓性部材が前記拡大位置にあるときには、前記2つのリングサブアセンブリ及び前記可撓性部材は、前記収容バッグの前記頂部開口を、前記組織検体を前記収容バッグ内に配置することを可能にする開放位置に至らせるように付勢している、収容バッグアセンブリ。
【請求項2】
前記可撓性部材はヒンジを備えており、前記ヒンジは、前記外側管の中心軸から見て90度未満のリード角を有している、請求項1に記載の収容バッグアセンブリ。
【請求項3】
前記2つのリングサブアセンブリの各々は、ばねアームを備えており、かつ、前記2つのリングサブアセンブリは、前記潰れ位置にあるときに、互いに対して平行であるか又は実質的に平行である、請求項1に記載の収容バッグアセンブリ。
【請求項4】
前記2つのリングサブアセンブリ及び前記可撓性部材は、前記収容バッグが前記外側管内の第1の引込み位置にある状態では、前記潰れ位置に配置されるように、構成されている、請求項3に記載の収容バッグアセンブリ。
【請求項5】
前記2つのリングサブアセンブリ及び前記可撓性部材は、前記外側管の外側の第2の前進位置へと押し出されるように構成されており、かつ、前記可撓性リングは、前記収容バッグの前記頂部開口を前記開放位置に維持する、請求項4に記載の収容バッグアセンブリ。
【請求項6】
前記可撓性リングは、前記外側管の前記遠位端の外側へとスライドし、前記収容バッグを前記遠位端から押し出し、前記可撓性部材を前記拡大位置へと移動させ、かつ前記収容バッグの前記頂部開口を前記開放位置に維持するように構成されている、請求項1に記載の収容バッグアセンブリ。
【請求項7】
前記可撓性部材は、ばね付勢部を備えている、請求項1に記載の収容バッグアセンブリ。
【請求項8】
前記外側管はトロッカーを含んでおり、
前記可撓性部材はリードイン部分を含んでおり、前記リードイン部分はブラントチップを含んでおり、前記ブラントチップは、遠位先端圧力が閾値以上であるときには前記外側管の前記遠位端を通って突出するように構成されており、かつ前記遠位先端圧力が前記閾値未満であるときには前記可撓性部材の前記リードイン部分へと引込むように構成されている、請求項1に記載の収容バッグアセンブリ。
【請求項9】
前記収容バッグは、複数の層を含んでおり、前記複数の層は、前記1つ以上の切片化ワイヤと前記収容バッグの内側に配置されているリターン電極の間に電気外科手術上の効果を発生させるために、少なくとも1つの電気絶縁層を含んでいる、請求項1に記載の収容バッグアセンブリ。
【請求項10】
前記少なくとも1つの電気絶縁層の各々は、ポリマーフィルム、ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド、及びポリエステル、から選択された高誘電率材料から成る、請求項9に記載の収容バッグアセンブリ。
【請求項11】
前記少なくとも1つの電気絶縁層の各々は、高誘電率コーティングを有する可撓性ポリマーフィルムを含んでおり、前記高誘電率コーティングは、ポリマーフィルム、ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド、及びポリエステル、のうち1つを含んでいる、請求項9に記載の収容バッグアセンブリ。
【請求項12】
前記収容バッグは、前記収容バッグの内側と前記収容バッグの外側の間に絶縁をもたらすための1つ以上の流体ギャップによって分離された複数の層を備えており、かつ、
前記1つ以上の流体ギャップの各々は、空気、脱イオン水、又はシリコンを充填される、請求項1に記載の収容バッグアセンブリ。
【請求項13】
前記収容バッグの前記1つ以上の流体ギャップは、前記収容バッグが前記患者の体腔内に配置された後で充填されるように構成されている、請求項12に記載の収容バッグアセンブリ。
【請求項14】
前記収容バッグは、一緒になるよう溶接された複数の層を含んでいる、請求項1に記載の収容バッグアセンブリ。
【請求項15】
前記複数の層は、前記収容バッグの内側と前記収容バッグの外側の間の光屈折を減少させるか又は最小化するように配置された、異なる屈折率を有する層を含んでおり、かつ、前記複数の層は、前記収容バッグの前記内側から前記外側へ向かって、屈折率の昇順か又は屈折率の降順のうち一方で配置されている、請求項14に記載の収容バッグアセンブリ。
【請求項16】
収容バッグアセンブリを製造する方法であって、前記方法は、
ハンモックアセンブリを提供することを含んでおり、前記ハンモックアセンブリを提供することは、
-複数のフィルム層を提供することと、
-複数の切片化ワイヤ及びリターン電極を提供することと、
-前記複数の切片化ワイヤの各々の端に張力を適用することと、
-前記複数の切片化ワイヤ及び前記リターン電極を、前記複数のフィルム層に対してシールすることと、を含んでおり、前記方法はさらに、
取付具を提供することであって、前記取付具は、収容バッグ及び前記ハンモックアセンブリを保持するような形状及びサイズである、取付具を提供することと、
前記ハンモックアセンブリを前記収容バッグの内側表面に結合させることと、を含んでおり、前記ハンモックアセンブリが、前記複数のフィルム層、前記複数の切片化ワイヤ、及び前記リターン電極を備える、方法。
【請求項17】
前記ハンモックアセンブリを提供することは、
前記複数のフィルム層を保持するためのプラットフォーム、前記複数の切片化ワイヤ、及び前記リターン電極を、前記シールすることの前又はその間に、所定の位置に提供することを含んでおり、
前記複数のフィルム層は、前記リターン電極を一時的に保持するためのリターン電極層、前記リターン電極の少なくとも一部と前記複数の切片化ワイヤの各々の一部とを絶縁させるためのチャネル層、及び前記複数の切片化ワイヤを一時的に保持するための穿孔層を少なくとも含んでいる、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記シールすることは、熱エネルギー又は指向性エネルギーを用いて、前記複数の切片化ワイヤ及び前記リターン電極を前記複数のフィルム層に対してシールすることを含んでおり、
前記結合させることは、接着剤又はヒートシールのうち1つ以上を用いて、前記ハンモックアセンブリを前記収容バッグの前記内側表面に結合させることを含んでいる、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
組織検体を患者から抽出するための収容バッグであって、前記収容バッグは、
頂部開口及び1つ以上の側壁を有する可撓性容器を含み、前記可撓性容器は、1つ以上の層を含んでおり、前記収容バッグはさらに、
可撓性リングを含んでおり、前記可撓性リングは、前記可撓性容器の前記頂部開口を形成するように構成されており、前記可撓性リングは、
-2つのリングサブアセンブリであって、各リングサブアセンブリは近位端及び遠位端を含んでいる、2つのリングサブアセンブリと、
-前記2つのリングサブアセンブリの前記遠位端同士の間に配置され、かつ前記2つのリングサブアセンブリの前記遠位端に結合された、可撓性部材であって、前記可撓性部材は、潰れ位置と拡大位置の間で移動可能である、可撓性部材と、を含んでおり、前記収容バッグはさらに、
前記1つ以上の側壁のうち少なくとも1つの側壁上に配置された1つ以上の膨張可能チャネルであって、前記1つ以上の膨張可能チャネルの各々は、内側層及び外側層を含んでいる、1つ以上の膨張可能チャネルと、
前記1つ以上の膨張可能チャネルを膨張させるための少なくとも1つのポートであって、前記少なくとも1つのポートは、流体供給源に結合されるように構成されている、少なくとも1つのポートと、を含んでいる、収容バッグ。
【請求項20】
前記1つ以上の膨張可能チャネルのうち少なくとも1つの膨張可能チャネルは、異なる材料から形成された内側層及び外側層を含んでおり、前記内側層及び前記外側層は、異なる厚さを有しており、異なる硬度、異なる可撓性又は弾性、又はそれらの組み合わせを有している、請求項19に記載の収容バッグ。
【請求項21】
膨張材供給源に接続する前記ポートは、腹部内へ展開される前には、前記可撓性リング内に位置している、請求項19に記載の収容バッグ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願に対する相互参照)
本出願は、2021年8月25日に出願され、かつ本出願の譲受人に譲渡された、「収容バッグ」と題された米国特許仮出願第63/237024号に対する優先権を主張する。この出願は、参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
【0002】
本出願は、2019年4月11日に出願され、「組織検体摘出装置、システムおよび方法」と題された米国特許出願第16/381661号、2017年5月16日に出願され、「電気外科手術装置および方法」と題された米国特許第9649147号、及び2016年12月20日に出願され、「大容量の組織を縮小して摘出するシステム及び方法」と題された米国特許第9522034号に関する。それらの開示内容全体は、すべての適切な目的のために、参照により、本明細書に完全に記載されているかのように、本明細書に組み込まれる。また、本特許出願は本出願の譲受人に譲渡され、参照によって本明細書に明示的に組み込まれる、「大容量の組織を縮小して摘出するシステム及び方法」と題された米国特許第10925665号、「電気外科手術装置および方法」と題された米国特許第10603100号、及び「コネクタ」と題された第10873164号にも関する。これらの出願は、参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
【0003】
本明細書には様々な新規の特徴が記載されているが、それらは上記の特許に記載された発明及び開示と並行して、又はそれらと一緒に、使用され得る。従って、これらの先行特許の関連文献、図面及び他の開示内容は、文脈のため、背景のため、かつ、必要な場合には本明細書に記載の発明の態様に組み込むために、本開示に含まれる。
【0004】
本開示は、一般的に、外科処置の間に生物学的組織を摘出するための装置、システム、及び方法に関する。限定するものではないが、本開示は、特に、外科処置の間に生物学的組織を摘出するための検体バッグ又は収容バッグに関する。
【背景技術】
【0005】
限定はされないものの、例えば子宮摘出術、腎摘出術、及び脾臓摘出術等である最少侵襲的処置によって大寸組織検体を摘出するための現在の方法は、分割器を使用するか、又は、RFエネルギー、機械的切断、又は破断方法により組織サイズを手動的に縮小するというものである。これらの方法は、完了するのに、相当量の時間、及び多くの逐次的な段階を必要とする。分割器技術に対する代替策は、組織検体全体を摘出できるようにするため、アクセスポートのためのより大きな切開口を形成することである。残念ながら、この手法は、患者の痛みの増大、及び回復期間の長期化につながってしまう。
【0006】
本背景のセクションにおいて行われた記述は、単にそれが背景のセクションに記載又は関連付けられているというだけの理由によって先行技術であると想定されるべきではない。背景のセクションは、主題技術の1つ以上の側面を記述する情報を備え得るのである。
【発明の概要】
【0007】
以下の記載は、本明細書で開示される1つ以上の態様及び/又は実施形態に関する単純化された要約を提示する。そのため、以下の要約は、すべての考え出される態様及び/又は実施形態に関する広範な概要と考えられるべきではなく、また、以下の要約は、すべての考え出される態様及び/又は実施形態に関する主要要素又は重要要素を特定するためであると見做されるべきではなく、任意の特定の態様及び/又は実施形態に関連する範囲を定めるためであると見做されるべきでもない。従って、以下の要約は、以下で提示される詳細な説明に先立って、本明細書で開示される機構に関する1つ以上の態様及び/又は実施形態に関する特定の概念を単純化された形式で提示するという目的のみを有するのである。
【0008】
本開示の一態様は、組織検体を患者から抽出するための収容バッグアセンブリを提供する。前記収容バッグアセンブリは、1つ以上の切片化ワイヤを備える収容バッグと、遠位端及び近位端を備える外側管と、可撓性リングであって、前記可撓性リングは、前記収容バッグの頂部開口を形成するように構成されている、可撓性リングと、を備えている。幾つかの実装では、前記可撓性リングは、2つのリングサブアセンブリであって、各リングサブアセンブリは近位端及び遠位端を備える、2つのリングサブアセンブリと、前記2つのリングサブアセンブリの前記遠位端同士の間に配置され、かつ前記2つのリングサブアセンブリの前記遠位端に結合された、可撓性部材と、を備えており、前記可撓性部材は、潰れ位置と拡大位置の間で移動可能であり、前記可撓性部材が前記潰れ位置にあるときには、前記2つのリングサブアセンブリは潰れ位置にあり、かつ前記収容バッグは前記外側管内に巻き取られかつ格納されるように構成されており、かつ、前記可撓性部材が前記拡大位置にあるときには、前記2つのリングサブアセンブリ及び前記可撓性部材は、前記収容バッグの前記頂部開口を、前記組織検体を前記収容バッグ内に配置することを可能にする開放位置に至らせるように付勢している。
【0009】
本開示の他の態様は、収容バッグアセンブリを製造する方法を提供する。前記方法は、ハンモックアセンブリを提供することを含んでおり、前記ハンモックアセンブリを提供することは、複数のフィルム層を提供することと、複数の切片化ワイヤ及びリターン電極を提供することと、前記複数の切片化ワイヤの各々の端に張力を適用することと、前記複数の切片化ワイヤ及び前記リターン電極を、前記複数のフィルム層に対してシールすることと、を含んでいる。幾つかの実装では、前記方法は、取付具を提供することであって、前記取付具は、収容バッグ及び前記ハンモックアセンブリを保持するような形状及びサイズである、取付具を提供することと、前記ハンモックアセンブリを前記収容バッグの内側表面に結合させることと、をさらに含んでおり、前記ハンモックアセンブリが、前記複数のフィルム層、前記複数の切片化ワイヤ、及び前記リターン電極を備えている。
【0010】
本開示のさらなる他の態様は、患者から組織検体を抽出するための収容バッグを提供する。前記収容バッグは、頂部開口及び1つ以上の側壁を有する可撓性容器を含み、前記可撓性容器は、1つ以上の層を含んでおり、前記収容バッグはさらに、可撓性リングを含んでおり、前記可撓性リングは、前記可撓性容器の前記頂部開口を形成するように構成されている。幾つかの実装では、前記可撓性リングは、2つのリングサブアセンブリであって、各リングサブアセンブリは近位端及び遠位端を含んでいる、2つのリングサブアセンブリと、前記2つのリングサブアセンブリの前記遠位端同士の間に配置され、かつ前記2つのリングサブアセンブリの前記遠位端に結合された、可撓性部材であって、前記可撓性部材は、潰れ位置と拡大位置の間で移動可能である、可撓性部材と、を含んでいる。幾つかの実装では、前記収容バッグはさらに、前記1つ以上の側壁のうち少なくとも1つの側壁上に配置された1つ以上の膨張可能チャネルであって、前記1つ以上の膨張可能チャネルの各々は、内側層及び外側層を含んでいる、1つ以上の膨張可能チャネルと、前記1つ以上の膨張可能チャネルを膨張させるための少なくとも1つのポートであって、前記少なくとも1つのポートは、流体供給源に結合されるように構成されている、少なくとも1つのポートと、を含んでいる。
【0011】
幾つかの実装では、前記可撓性部材はヒンジを備えており、前記ヒンジは、前記外側管の中心軸から見て90度未満のリード角を有している。
【0012】
幾つかの実装では、前記2つのリングサブアセンブリの各々は、ばねアームを備えている。幾つかの実装では、前記2つのリングサブアセンブリは、前記潰れ位置にあるときに、互いに対して平行であるか又は実質的に平行である。
【0013】
幾つかの実装では、前記2つのリングサブアセンブリ及び前記可撓性部材は、前記収容バッグが前記外側管内の第1の引込み位置にある状態では、前記潰れ位置に配置されるように、構成されている。
【0014】
幾つかの実装では、前記2つのリングサブアセンブリ及び前記可撓性部材は、前記外側管の外側の第2の前進位置へと押し出されるように構成されており、かつ、前記可撓性リングは、前記収容バッグの前記頂部開口を前記開放位置に維持する。
【0015】
幾つかの実装では、前記可撓性リングは、前記外側管の前記遠位端の外側へとスライドし、前記収容バッグを前記遠位端から押し出し、前記可撓性部材を前記拡大位置へと移動させ、かつ前記検体バッグの前記頂部開口を前記開放位置に維持するように構成されている。
【0016】
幾つかの実装では、前記可撓性部材は、ばね付勢部を備えている。
【0017】
幾つかの実装では、前記外側管はトロッカーを含んでいる。幾つかの実装では、前記可撓性部材はリードイン部分を含んでおり、前記リードイン部分はブラント部分(例:ブラントチップ)を含んでおり、前記ブラント部分は、遠位先端圧力が閾値以上であるときには前記外側管の前記遠位端を通って突出するように構成されており、かつ前記遠位先端圧力が前記閾値未満であるときには前記可撓性部材の前記リードイン部分へと引込むように構成されている。
【0018】
幾つかの実装では、前記収容バッグは、複数の層を含んでおり、前記複数の層は、前記1つ以上の切片化ワイヤと前記収容バッグの内側に配置されているリターン電極の間に電気外科手術上の効果をもたらすために、少なくとも1つの電気絶縁層を含んでいる。
【0019】
幾つかの実装では、前記少なくとも1つの電気絶縁層の各々は、ポリマーフィルム、ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド、及びポリエステル、から成る群から選択された高誘電率材料から成る。
【0020】
幾つかの実装では、前記少なくとも1つの電気絶縁層の各々は、高誘電率コーティングを有する可撓性ポリマーフィルムを含んでおり、前記高誘電率コーティングは、ポリマーフィルム、ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド、及びポリエステル、から成る群から選択されている。
【0021】
幾つかの実装では、前記収容バッグは、前記収容バッグの内側と前記収容バッグの外側の間に絶縁をもたらすための1つ以上の流体ギャップによって分離された複数の層を備えている。
【0022】
幾つかの実装では、前記1つ以上の流体ギャップの各々は、空気、脱イオン水、又はシリコンを充填される。
【0023】
幾つかの実装では、前記収容バッグの前記1つ以上の流体ギャップは、前記収容バッグが前記患者の体腔内に配置された後で充填されるように構成されている。
【0024】
幾つかの実装では、前記収容バッグは、(例えば、ヒートシールを介して)一緒になるよう溶接された複数の層を含んでいる。代替的には、前記収容バッグの前記複数の層は、透明であるか又は実質的に透明な接着剤を使用して、一緒になるよう接着又は積層されている。
【0025】
幾つかの実装では、前記収容バッグの前記複数の層は、前記収容バッグ収容内側と外側の間の光屈折を減少させるか又は最小化するように配置された、異なる屈折率を有する層を含んでいる。幾つかの実装では、前記収容バッグの前記複数の層は、前記収容バッグの前記内側から前記外側へ向かって、屈折率の昇順か又は屈折率の降順のうち一方で配置されている。
【0026】
幾つかの実装では、前記1つ以上の切片化ワイヤは、切片化及び抽出の前に前記組織検体をグリップするための非一様な表面を備えている。
【0027】
前記方法の幾つかの実装では、前記ハンモックアセンブリを提供することは、前記複数のフィルム層を保持するためのプラットフォーム、前記複数の切片化ワイヤ、及び前記リターン電極を、前記シールすることの前又はその間に、所定の位置に提供することを含んでいる。
【0028】
幾つかの実装では、前記複数のフィルム層は、前記リターン電極を一時的に保持するためのリターン電極層、前記リターン電極の少なくとも一部及び前記複数の切片化ワイヤの各々の一部を絶縁させるためのチャネル層、及び前記複数の切片化ワイヤを一時的に保持するための穿孔層を少なくとも含んでいる。
【0029】
前記方法の幾つかの実装では、前記シールすることは、熱エネルギー又は指向性エネルギーを用いて、前記複数の切片化ワイヤ及び前記リターン電極を前記複数のフィルム層に対してシールすることを含んでいる。
【0030】
前記方法の幾つかの実装では、前記結合させることは、接着剤及び/又はヒートシールを用いて、前記ハンモックアセンブリを前記収容バッグの前記内側表面に結合させることを含んでいる。
【0031】
幾つかの実装では、前記固定具は、1つ以上の機械的整列タブ、ポスト、及び前記ハンモックアセンブリを保持するための把持部分を備えており、前記方法は、(1)前記収容バッグを、前記ハンモックアセンブリを備える前記固定具の上に載せること、及び、(2)前記結合することの前に、前記収容バッグ及び前記ハンモックアセンブリを所定の位置に保持すること、をさらに含む。
【0032】
前記収容バッグの幾つかの実装では、前記可撓性容器は、前記頂部開口の反対側に配置された基部又は底部を備えている。前記収容バッグの幾つかの実装では、前記可撓性容器は、円柱状又は半球状の断面を備えている。前記収容バッグの幾つかの実装では、前記可撓性容器は、前記可撓性容器の頂部開口と前記基部又は前記底部の間に配置された複数の側壁を備えている。
【0033】
前記収容バッグの幾つかの実装では、前記少なくとも1つの膨張可能チャネルのうち少なくとも1つの膨張可能チャネルは、タフト設計を(又は、1つ以上のタフトを)備えている。前記収容バッグの幾つかの実装では、少なくとも1つの膨張チャネルは、互いに流体連通されていない、1つ以上のサブコンパートメントを備えている。そのような例では、前記少なくとも1つの膨張可能チャネルの各サブコンパートメントは、対応する前記サブコンパートメントを膨張させるためのポートを備え得る。
【0034】
前記収容バッグの幾つかの実装では、前記複数の膨張可能チャネルのうち少なくとも1つの膨張可能チャネルは、前記可撓性容器の各側壁上及び前記底部上に配置されている。即ち、膨張可能チャネルは、前記可撓性容器の前記複数の側壁の各側壁上及び前記可撓性容器の前記基部/底部上に配置され(又は貼付され)得る。
【0035】
前記収容バッグの幾つかの実装では、前記可撓性容器は、内側層及び外側層を備えている。前記収容バッグの幾つかの実装では、前記可撓性容器の前記外側層の少なくとも一部は、前記複数の可撓性チャネルの各々の前記内側層の一部を形成している。
【0036】
前記収容バッグの幾つかの実装では、前記複数の膨張可能チャネルは、前記可撓性容器の外側表面領域の少なくとも10%を覆っている。前記収容バッグの他の態様では、前記複数の膨張可能チャネルは、前記可撓性容器の単一の側面上にのみ存在しており、かつ、前記容器の前記基部上には存在していないか、又は前記可撓性容器の前記基部上にのみ存在している。
【0037】
前記収容バッグの幾つかの実装では、前記複数の膨張可能チャネルの前記内側層及び前記外側層は、異なる材料から形成されており、異なる厚さを有しており、異なる硬度を、異なる可撓性又は弾性を、又はそれらの組み合わせを有している。
【0038】
これらの特徴及び他の特徴、ならびに本技術の特徴、ならびに構造の関連要素の操作方法及び機能、ならびに部分の組み合わせ、ならびに製造の経済性は、添付の図面を参照しつつ、以下の説明及び添付の請求項を考慮することにより、より明らかになるであろう。ここで、添付の図面のすべては、本明細書の一部を形成し、同様の参照符号は、各図において対応する部分を指定している。しかしながら、図面は例示及び説明のみを意図したものであり、本発明の限定を定めることを意図されたものではないことは、明示的に理解されたい。本明細書及び請求項で使用されるとき、単数形の「a」、「an」、及び「the」は、文脈が明らかに指定していない限り、複数形の参照語を含む。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】
図1は、本発明の様々な態様による、検体バッグが開放された状態の検体摘出バッグシステムの実施形態を示している。
【0040】
【
図2】
図2は、本開示の幾つかの態様による、組織切片化装置を示している。
【0041】
【
図3】
図3は、本開示の様々な態様による、インフレータの側断面図である。
【0042】
【
図4】
図4は、本開示の様々な態様による、組織摘出バッグの構成要素の幾つかの図を示している。
【0043】
【
図5】
図5は、本開示の様々な態様による、エプロンを有するバッグを示している。
【0044】
【
図6】
図6は、本開示の様々な態様による、引紐を有するバッグを示している。
【0045】
【
図7】
図7は、本開示の様々な態様による、組織摘出バッグのための膨張機構の幾つかの図を示している。
【0046】
【
図8】
図8は、本開示の様々な態様による、電気外科手術装置の幾つかの構成要素の側断面図を示している。
【0047】
【
図9】
図9は、本開示の様々な態様による、摘出バッグの部分透視斜視図及び部分透視側面図を示している。
【0048】
【
図10】
図10は、本開示の様々な態様による、組織摘出バッグの平面図及び側面図を示している。
【0049】
【
図11】
図11は、本開示の様々な態様による、組織を締め付けるように構成された内側バッグを有するデュアルバッグ構造を示している。
【0050】
【
図12】
図12は、本開示の様々な態様による、組織を締め付けるように構成された外側バッグを有するデュアルバッグ構造を示している。
【0051】
【
図13】
図13は、本開示の様々な態様による、漏出検出部を有するバッグアセンブリの幾つかの構成要素の横断面図である。
【0052】
【
図14】
図14は、本開示の様々な態様による、漏出検出部を有するバッグアセンブリの幾つかの構成要素の部分側断面図である。
【0053】
【
図15A】
図15Aは、本開示の様々な態様による、漏出検出部を有するバッグアセンブリの構成要素の部分側断面図を示している。
【
図15B】
図15Bは、本開示の様々な態様による、漏出検出部を有するバッグアセンブリの構成要素の部分側断面図を示している。
【
図15C】
図15Cは、本開示の様々な態様による、漏出検出部を有するバッグアセンブリの構成要素の部分側断面図を示している。
【0054】
【
図16】
図16は、本開示の様々な態様による、ワイヤ管理のための幾つかの構成要素を示している。
【0055】
【
図17】
図17は、本開示の様々な態様による、ワイヤ管理システムの幾つかの構成要素の側断面図を示している。
【0056】
【
図18】
図18は、本開示の様々な態様による、潰れ位置にあるばねアームシステムの例を示しており、この例において、ばねアームシステムは、検体バッグの開閉を制御するように用いられ得る。
【0057】
【
図19】
図19は、本開示の様々な態様による、拡大位置にある
図18のばねアームシステムを示している。
【0058】
【
図20】
図20は、本開示の様々な態様による、検体バッグシステムを製造するためのハンモックアセンブリのシール取付具の一例を示している。
【0059】
【
図21A】
図21Aは、本開示の様々な態様によるシールされたハンモックの一例であり、1つ以上のワイヤ電極を示している。
【0060】
【
図21B】
図21Bは、本開示の様々な態様による、検体バッグシステムを製造するために用いられ得る取付具の一例を示している。
【0061】
【
図22】
図22は、本開示の様々な態様による、検体バッグシステムを製造するために用いられ得る取付具の一例を示している。
【0062】
【
図23】
図23は、本開示の様々な態様による、検体バッグシステムの分解図であり、取付具、複数のワイヤ電極を含むハンモックアセンブリ、及び検体バッグを示している。
【0063】
【
図24】
図24は、本開示の様々な態様による、
図22及び/又は23の取付具上に取付けられた、製造された検体バッグシステムの斜視図を示している。
【0064】
【
図25】
図25は、本開示の様々な態様による、複数のフィルム層を含む検体バッグの斜視図を示している。
【0065】
【0066】
【0067】
【
図28】
図28は、本開示の様々な態様による、検体バッグ及び検体バッグの周囲に配置された複数の膨張可能チャネルを含む、検体バッグシステムの斜視図を示している。
【0068】
【
図29】
図29は、本開示の様々な態様による、
図28の検体バッグシステムの前面図を示している。
【0069】
【
図30】
図30は、本開示の様々な態様による、
図28の検体バッグシステムの側面図を示している。
【0070】
【
図31】
図31は、本開示の様々な態様による、
図28の検体バッグシステムの平面図を示している。
【0071】
【
図32】
図32は、本開示の様々な態様による、
図28の検体バッグシステムの底面図を示している。
【0072】
【
図33】
図33は、本開示の様々な態様による、
図28の検体バッグの膨張可能チャネルの斜視図を示している。
【0073】
【
図34】
図34は、本開示の様々な態様による、
図33の膨張可能チャネルの前面図を示している。
【0074】
【
図35】
図35は、本開示の様々な態様による、
図33の膨張可能チャネルの側面図を示している。
【0075】
【
図36】
図36は、本開示の様々な態様による、
図33の膨張可能チャネルの底面図を示している。
【0076】
【
図37A】
図37Aは、本開示の様々な態様による、複数の電極ワイヤを備えた検体バッグシステムの一例を示している。
【
図37B】
図37Bは、本開示の様々な態様による、複数の電極ワイヤを備えた検体バッグシステムの一例を示している。
【0077】
【0078】
【
図38A】
図38Aは、本開示の様々な態様による、複数のワイヤ電極を格納するための複数のチャネルを備えたハンモックアセンブリの一例を示している。
【0079】
【
図38B】
図38Bは、本開示の様々な態様による、クラムシェル設計を有するハンモックアセンブリの一例を示している。
【0080】
【
図38C】
図38Cは、本開示の様々な態様による、複数の層を備えるハンモックアセンブリの一例を示している。
【0081】
【
図38D】
図38Dは、本開示の様々な態様による、複数の層を備えるハンモックアセンブリの一例を示している。
【0082】
【
図38E】
図38Eは、本開示の様々な態様による、ハンモックアセンブリと、そのハンモックアセンブリの外側に貼付された1つ以上のチャネルと、を含む検体バッグの一例を示している。
【0083】
【
図38F】
図38Fは、本開示の様々な態様による、ハンモックアセンブリと、その検体バッグの外側バッグ層の外側に貼付された1つ以上の膨張可能チャネルと、を含む検体バッグの一例を示している。
【0084】
【
図38G】
図38Gは、本開示の様々な態様による、内側バッグと、1つ以上の外側バッグと、1つ以上の膨張可能チャネルと、を有する検体バッグの一例を示している。
【0085】
【0086】
【
図38I】
図38Iは、本開示の様々な態様による、膨張チャネル層を有する検体バッグの一例を示している。
【0087】
【
図39】
図39は、1つ以上の実装による、導入管が第1の引込み位置にある状態の本開示の検体摘出バッグシステムの一実施形態を示しており、検体バッグは導入管の外側管内に保持されている。
【0088】
【
図40】
図40は、1つ以上の実装による、
図39の導入管が第2の前進位置にある状態の検体摘出バッグシステムの一実施形態を示しており、検体バッグは開放位置へと展開されている。
【0089】
【
図41A】
図41Aは、本開示の様々な態様による、
図28の検体バッグシステムの膨張可能チャネルの側面図を示しており、複数の中断部又はタフトが示されている。
【0090】
【発明を実施するための形態】
【0091】
本開示は、外科処置の間に生物学的組織を摘出するための装置、システム、及び方法に関する。限定するものではないが、本開示は、特に、外科処置の間に生物学的組織を摘出するための検体バッグ又は収容バッグに関する。
【0092】
本明細書において、「例示的」という用語は、「例、事例、又は実例として役立つ」ことを意味するものとして用いられる。本明細書中に記載されている「例示的な」実施形態は、必ずしも他の実施形態に対して好ましいか又は有利であると解釈されるべきものであるとは限らない。
【0093】
本開示の目的のために、意図された外科手術の向きについて言及する際には、「前方」及び「遠位」という用語は、意図された外科手術の向きに関連付けられた(即ち、患者の体に向かう、患者の体内へと向かう)側及び向きを指すものとされたい。一方、「後方」、「後部」、又は「近位」という用語は、アクチュエータハンドルの意図された装具に関連付けられた(即ち、外科医に向かうか又は外科手術チームに向かう)ものとされたい。さらに、本開示の目的のために、「導入管」、「挿入管」、及び「遠位管」という用語は、相互可換であり得るのであって、切開口を通って患者の体腔内に入るように構成され、かつ外科処置中に患者の切開口に腹腔鏡ツールを挿入されることができるような形状及びサイズである、管であり得る。さらに、「外側管」という用語は、例えば、巻き取られた収容バッグアセンブリを包み込むような形状及びサイズである管を指し得る。幾つかの例では、外側管は内側管を受け入れるような形状及びサイズであり、その際、内側管は、例えば、巻き取られた収容バッグアセンブリを外側管の遠位端から押し出し、巻き取られたバッグを広げるように用いられる。幾つかの実施形態では、外側管は、導入管と同一である場合があるが、導入管と異なっていてもよい。即ち、幾つかの例では、巻き取られた収容バッグを含む外側管は、導入管としても機能する。
【0094】
本特許出願は本出願の譲受人に譲渡され、参照によって本明細書に明示的に組み込まれる、「大容量の組織を縮小して摘出するシステム及び方法」と題された米国特許第10925665号(’665特許)、「電気外科手術装置および方法」と題された米国特許第10603100号(’100特許)、及び「コネクタ」と題された第10873164号(’164特許)に関する。これらの出願は、参照により本明細書に明示的に組み込まれる。また、本特許出願は、本出願の譲受人に譲渡され、参照によって本明細書に明示的に組み込まれる、「組織検体摘出装置、システムおよび方法」と題された米国特許出願公開第2019/0328377号(’377特許)にも関する。この出願は、参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
【0095】
外科手術の技術における進歩は、ますます、手技の侵襲性の削減に関するものとなってきている。特に、外科医は、可能な場合であれば常に「侵襲性が最小である」手技-これは、切開口が特定のサイズに制限されることを意味するが-を実施しようと努めている。しかしながら、非常に小さな切開部位を介してそのほぼ全体を実施することができる多くの外科手術では、結局、非常に小さな切開部位を介して実施することが非常に困難な最終ステップが求められることになる。その最終ステップとは、切除された組織の摘出である。例えば子宮全体、肝臓の大部分、又は癌性腫瘍等の大きな組織部分の摘出は、多くのロジスティクス上の課題を生み出す。本開示を通じて参照されている以前の開示は、検体バッグ内の大きな組織部片を未だ患者の体内にある間に切片化するための様々な装置、システム、及び方法を記載している。現在のアプローチによって、組織を、小さな切開部位を通して1つずつ引張り出されることができるほど十分に小さい部片へと切片化することが可能になっている。
【0096】
幾つかの要因により、このプロセスは、時間がかかるか、困難であるか、面倒であるか、かつ/又は患者にリスクをもたらす可能性がある。例えば、組織の一部分が石灰化している場合、現在利用可能な切断装置では、当該部分を切り抜くことに長い時間を要することがある。そのような事例においては、組織が抽出される際に、組織を検体バッグの頂部付近に持っていってそれを切断することに1時間以上を要する場合があり、かつその領域内で多くの人手及びツールが必要ともされ得る。組織及び検体バッグを過剰に操作及び処理しなければならない場合には、バッグ開口部が切開部位に滑り落ちて戻ってしまう可能性がある。組織検体が癌性腫瘍である場合には、そのような検体は患者の体内に零れて癌細胞を撒き散らし得る液体を含んでいることが多いため、このことは、患者にとって特に大きなリスクになり得る。本開示は、検体バッグ内部で組織検体を切片化することの容易性、安全性、及び効率を改善する装置、システム、及び方法を提供する。
【0097】
既存の検体バッグ又は収容構成要素システムは、外科医、外科医助手、及び/又は看護師によって巻き取られているか又は折り畳まれており、トロッカー又は切開部位を通って挿入されて患者の体内に入ったところで開放されることができる、可撓性材料である。この種類のシステムにおいては、外科医はまず摘出すべき組織を切除し、そしてその後で腹腔鏡ツールを用いてバッグ開口部を操作し、組織検体をバッグ内に置く。組織を捕捉した後に、バッグ開口部は腹腔鏡グラスパーを用いて上昇させられて切開部位から外へと導かれ、外科医の手によって、又はさらにケリー鉗子又は留め金を用いて、体外で固定される。
【0098】
これらの種類の検体バッグの中には、バッグの頂部に形成されているか又は取付けられているポリマーリングを組み込んでいるものがあり、該ポリマーリングは、バッグ開口部が完全開放位置になるよう付勢されている状態を維持するためのものである。このポリマーリングは、バッグが患者の腹膜又は他の外科手術部位内に落下して戻ることがないよう、体外露出(exteriorize)されるバッグを開放状態で適切な位置に保つことを補助することができる。
【0099】
他の一般的な種類の検体バッグ又は収容要素システムは、典型的には、トロッカー又は切開部位を通って腹膜内へと送入するためのカニューレ又はルーメン内に配置されているバッグを使用しており、該検体バッグは該カニューレを超えて前進して開口部にアクセスする。
【0100】
多くの検体バッグシステムが、組織検体をバッグ内部に配置する際に外科医を補助するために、バッグ開口部を付勢して伸長位置へと至らせるための機械的手段を使用している。このようなシステムは、検体バッグの頂部に取付けられたばね付勢部を伴う成形金属リングを含み得る。検体バッグがカニューレの外側にあるとき、このばね付勢部によって検体バッグの頂部が開放されるようになっている。また、この種類の金属リングを用いるシステムのほとんどは、体外露出のためにバッグ開口部を閉鎖するための引紐として、紐又はスツールも含んでいる。これらの装置において、上記の紐は患者の体の外部に留まっていてよく、この紐を引張ってバッグをシールすることができる。この紐は、金属リングがカニューレ内に引込ませられて戻る際、開口部を閉鎖し、バッグをカニューレ及び金属リングから解放された状態に残し、さらに、カニューレ及び金属リングが引き抜かれた後には、バッグを切開部位に残しもする。その後、外科医は上記の紐を用いて、切開部位を通してバッグ開口部を引張ることができる。他のシステムでは、紐又はスツールは、バッグ開口部を閉鎖し、バッグを金属リング及びカニューレから解放された状態に残す引紐として用いられる。紐はその後、バッグ開口部を、切開部位を通して回収するように用いられる。
【0101】
1つの非限定的な例では、2つの金属リングの半分から成る金属リングサブアセンブリが、検体バッグの頂部に取付けられた成形金属リングの閉鎖を補助するために利用され得る。これについては、以下で、
図1、18、及び19に関連して記述される。幾つかの実施形態では、金属リングの2つの半分の間にある遠位接続点は、可撓性部材(例:可撓性部材1041)によって接続され得る。幾つかの状況においては、この可撓性部材は、ばね付勢された金属リングを圧縮し、ばね付勢された金属リングの2つの半分が平行又は実質的に平行であるような、ほぼ平坦な構成にすることができる。本開示の態様によれば、この可撓性部材1041は、ばね付勢された金属リング(ばねアームとも呼ばれ、
図18のばねアーム1021等である)の遠位端の保持を容易にすることができる多様な方法で作られ得る。可撓性部材のために利用される製造技術の幾つかの非限定的な例は、可撓性フィルムから可撓性部材を製造すること(即ち、熱収縮)、遠位リング先端に可撓性ヒンジが組み込まれた機械加工サブアセンブリを用いること、又は、遠位先端で金属リングアセンブリを自由に蝶着させることができる射出成形リビングヒンジ機能(即ち、それが接続する2つの部片と同じ材料から作製された統合型ヒンジ)を用いること、を含み得る。例えば、幾つかの例では、金属リングサブアセンブリ(例:ばねアーム1021)が圧縮状態にある状態で、収容バッグサブアセンブリは、患者の切開口を通して配置することを容易にし得るより小さな直径の構成に巻き取られるように構成され得る。幾つかの実施形態では、この圧縮されたかつ/又は巻き取られた収容バッグアセンブリは、外側管(例:薄壁の外側管)、導入管、カニューレアセンブリ、又はトロッカーの内部に装填されることができ、製品輸送、装填中のバッグ管理、及び/又は患者の切開口を通しての展開、のうち1つ以上を補助することができる。
【0102】
上記されたように、現在利用可能な検体回収用ポーチは、外科医が検体バッグに装填しその後体外露出を行う間、組織を収容するように設計されている。上で言及され組み込まれた特許に記載の組織検体摘出システムは、ワイヤ、リターン電極、及び他の構成要素を含む組織切片化装置を利用している。本開示の組織検体摘出システムは、各種組織切片化器具の構成要素を、例えば切片化ワイヤ及びリターン電極を統合しており、かつ1つ以上の「コネクタ」をさらに備え得る。「組織切片化装置の構成要素」又は単に「切片化構成要素」は、組織を物理的に切断するように構成された任意の種類の切断装置を指し得る。多くの場合、これらの切片化構成要素は、別個のワイヤ又はワイヤループを備えており、それらは、力学的な力によって、又はRFエネルギーの補助を用いて、又はそれらの組み合わせを用いて、組織を通るように引かれることによって組織を切断する。しかしながら、本明細書に記載の任意の切片化構成要素は、上記の組み込まれた特許の各々で言及された切片化構成要素、本開示を通じて言及されるものいずれか、又は、公知又はまだ作り出されていない任意の他の組織切断装置、を含み得る。多くの実施形態では、これらの切片化構成要素は、患者の体内で展開される前に、本開示の検体バッグに統合され得る。このような統合型の切片化構成要素(例:切片化ワイヤループ)を有する検体バッグの例は、本開示で後に記述される。検体バッグは、(例えば、バッグ内に統合された)リターン電極を含んでいる場合もあれば含んでいない場合もあることは、注意されたい。さらに、RFエネルギーが検体分割のために利用されるときには、RFエネルギーは、バイポーラ又はモノポーラ方式で印加され得る。バイポーラの場合には、リターン電極が必要とされる場合がある。
【0103】
「コネクタ」という用語は、1つ以上のコネクタピンを含むコネクタハウジング、又は個別のコネクタピン自体のいずれかを指し得る。「コネクタピン」は、「コネクタ部分」と呼称される場合もある。これらのコネクタは、一方の端部で、切片化構成要素に検体バッグ内で取付けられる。コネクタは、切片化装置の別個の部分と後で接続可能であるように構成されている。組織切片化装置の構成要素とこの別個の接続可能部分の間での言及及び区別を容易にするため、後者は、本明細書では「接続可能(組織切片化)機器」又は「接続可能機器の部片」と呼称されることがある。例えば、該接続可能機器は、組織を通るように引くための準備として、組織検体に面した切片化構成要素(切断装置又は切片化ワイヤ)に張力付与するように構成された、張力付与機構アセンブリであり得る。接続可能機器は、幾つかの実施形態では、切片化構成要素が必要とする力及び無線周波数(RF)エネルギーを切片化構成要素に印加し、リターン電流を運んでRF発電機へと戻すことができる。このようにすると、コネクタ、切片化ワイヤ、及びリターン電極を統合する本開示の検体バッグは、受動的な検体回収ポーチの適用例のためには必要とされない追加的な構成要素を有することがあるが、これは、そのような例においては、組織の分割は、バッグに統合又は接続されていない別個のツールを用いて外科医によって実施されるからである。
【0104】
組織切片化機器と接続されているか又は接続可能であり得る検体摘出バッグを含む本開示の装置では、コネクタと関連付けられた構成要素は、組織の装填のために必要ではなく、体外露出の際にも必要ではない。本開示の装置及びシステムがこれらのコネクタを含んでいるのは、それらが組織切片化機器の接続のための1つ以上の機構(即ち、コネクタ)を組織検体収集バッグ自体に統合することは、非常に有利であるからである。特に、収集された組織検体を、検体バッグ内部に保持している間に切片化する必要があるときには、切片化構成要素(例:切片化ワイヤ又は他の切断装置)を他の接続可能な組織切片化機器(例:張力付与装置)に迅速かつ容易に接続できることが、外科医にとって有利であり得る。切片化構成要素を迅速にアクティベートし使用することができることは、組織が可動化された後の極めて重要な瞬間において、貴重な時間を節約することができる。幾つかの実施形態では、切片化構成要素は、バッグに統合された複数のワイヤループ又は切片化ワイヤを含んでいる。これらの切片化ワイヤの端部を管理し邪魔にならない場所にどけておき、ひとたび必要となった際には直ちにアクセス可能にしておくことは、極めて望ましい。このことにより、追加の器具の回収のために費やされる時間は削減され、かつ、機器を何度も着脱することに伴うリスクも低減される。従って、本開示の統合型のコネクタシステムは、複数の利便性及び有利な点を提供する。
【0105】
図18は、本開示の様々な態様に従う、収容バッグアセンブリのばねアームアセンブリ1011の一例を示しており、ここで、ばねアームアセンブリ1011は、巻き取られた収容バッグアセンブリ(図示されてはいない)を患者の切開口内で展開するように用いられ得る。幾つかの例では、ばねアームアセンブリ1011及び巻き取られた収容バッグアセンブリは、外側管又はトロッカーアセンブリの内部に嵌合するような形状及びサイズである。外側管又はトロッカーアセンブリがひとたび患者の切開口内に挿入されたときには、ばねアームアセンブリ1011が拡大位置に移行し得るのであって、巻き取られた収容バッグアセンブリは広げられ得る。そのような場合、ばねアームアセンブリ1011は、検体バッグのための頂部開口を形成する。
図18は、潰れ位置にあるばねアームアセンブリを示しており、一方、
図19は、拡大位置にあるばねアームアセンブリを示している。さらに、
図1は、ばねアームアセンブリ及びそのばねアームアセンブリから下向きに延びた検体バッグを示している。ここで、検体バッグは、組織検体を受け入れるための準備位置にある。
【0106】
幾つかの例では、巻き取られた収容バッグアセンブリは、それが組織検体を受け入れることができるようにするために、外側管又はトロッカーの遠位端を通して押し出され、収容バッグ開口部が拡大され得る。幾つかの例では、外側チューブ又はトロッカーは、内側管を受け入れるような形状及びサイズであり、その際、該内側管は、巻き取られた収容バッグアセンブリを外側管の遠位端の外へと押し出すように利用される。上記されたように、ばねアームアセンブリ1011は、剛性であるか又は実質的に剛性である検体バッグの頂部開口の形成を補助し、これにより、検体バッグは、患者の切開口内にあるときに開放状態に保たれることができる。ばねアームアセンブリ1011は、複数のばねアーム1021と、ばねアーム1021をそれらの遠位端で結合させるための可撓性部材1041と、可撓性部材1041の遠位端1061にあるリードイン部分1081と、を備えており、ここで、リードイン部分1081は、巻き取られた収容バッグアセンブリから外側管又はトロッカーを通って遠位方向に突出するように構成されている。幾つかの例では、該リードイン部分1081は、幾つか名前を挙げると、ばね式の引込み可能ブレード、ブラントリードイン部分、及び/又はヒンジ、を含み得る。この引込み可能ブレード(即ち、リードイン部分1081)は、遠位先端圧力下で、例えば、巻き取られた収容バッグアセンブリを患者の皮膚に対して押し付けるように用いられる圧力下で、突出するように構成され得る。幾つかの態様では、このブレード(例:リードイン部分1081のブレード部分)は、巻き取られた収容バッグサブアセンブリの配置と同時に、患者の切開口を形成することを補助し得る。幾つかの例では、遠位ブレードは、遠位先端圧力がひとたび開放されたときに、可撓性部材1041上のリードイン部分1081内へと引込むように構成され得る。幾つかの実施形態では、収容バッグアセンブリは、展開され、組織検体を装填され、そしてトロッカーアセンブリ及び/又は外側管を通って引込ませられるように、構成され得る。幾つかの例では、トロッカーの外側管は、収容バッグ開口部の体外露出の前に除去されるように構成され得る。
【0107】
図19は、本開示の様々な実施形態による、拡大位置にある収容バッグアセンブリ1012の頂部の詳細な図を示している。
図19は、
図18の1つ以上の態様を示しており、かつ、
図18に関連して上で記述されたばねアームアセンブリ1011のばねアーム1021及び可撓性部材1041を示している。この例において、ばねアーム1021は、外側管又はトロッカーから見て外向きに湾曲しており、収容バッグの頂部開口を(
図1に示されているように)拡大させている。幾つかの例では、収容バッグアセンブリは、収容バッグ(図示されてはいない)及び複数のばねアーム1021(例:ばねアーム1021-a、1021-b)を含んでおり、その際、ばねアーム1021は、検体/収容バッグの頂部開口を形成する。見ることができるように、ばねアーム1021-a、1021-bは、可撓性部材1041を用いてそれらの遠位端1061で結合させられる。可撓性部材1041は、
図18に関連して上で記述された可撓性部材1041と類似であるか、又は実質的に類似である場合がある。幾つかの例では、ばねアーム1021(例:ばねアーム1021-a、1021-b)は、拡大位置にあるときに、外側管の遠位端から外へ延びているように構成されている。幾つかの実施形態では、ばねアーム1021は、(
図1に示されているように)その近位端で固定されて保持される。
【0108】
幾つかの実施形態では、外側管の中心軸からのリード角(例えば、90度未満である)が、外側管に対して付与されている場合がある。1つの非限定的な例では、可撓性部材1041は、外側管の中心軸から見て90度未満であるリード角を有するリードイン部分1081(ブレード1081又はヒンジ1081とも呼称される)を備えている。このリード角は、患者の切開口に存在し得る不規則層を通る外側管の初期配置を容易化する。幾つかの他の例では、可撓性部材上に小さなリードイン部分が形成される場合があり、その際、該リードイン部分は、巻き取られた収容バッグサブアセンブリ(又は収容バッグサブアセンブリのばねアームアセンブリ1011)から遠位方向かつ外側管を通って突出するように設計されている。幾つかの例では、このリードイン部分もまた、患者の切開口を通る外側管の初期配置を容易化する。例えば、
図19に見られるように、可撓性部材1041は、外側管の遠位端を通るように押された際に検体バッグの頂部を開放しばねアーム1021を拡大させるための、ばね付勢部(即ち、リードイン遠位ヒンジ1081)を含んでいる。
【0109】
幾つかの状況では、収容バッグの処置は、小さな切開口サイズをもたらし得る。本開示の態様によれば、着脱式のばねアセンブリは、現在用いられている技術と比較して、巻き取られた収容/検体バッグの直径を、従って切開口サイズを、減少させることに役立ち得る。上で論じられたように、収容バッグの開口部は、バッグの開口部が手順を通じて開放状態に維持されることを可能にするばねアーム1021を拡大させることを含み得る。幾つかの実施形態では、収容バッグに組織検体が装填され、その開口部が体外露出されるとき、ばねアーム1021は患者の切開口の外側に配置されていてよい。1つの非限定的な例では、このことは、収容バッグの周囲に小さな穴を加えることによって達成されることができ、それにより、フック状の部分を用いて、バッグ開口部をばねアーム1021に接続させることができる。ばねアーム1021を患者の切開口の外側に取付けるために適用可能な他の技術が、異なる実施形態で考えられるのであって、本明細書で列挙される例は、限定することを意図されてはいない。
【0110】
(トロッカーとしての器具配置(DI、Deploying Instrument))
多くの腹腔鏡手順においては、外科医が、トロッカーを用いて、外科手術器具(例:切片化ワイヤ、グラスパー、はさみ)を患者の切開口を通るよう配置したい場合がある。幾つかの状況では、トロッカーは、外科手術器具がトロッカーの中央シャフトを自由に通過しつつ、患者の切開口を緊密に空気圧シールすることを可能にする。幾つかの例では、トロッカーはまた、CO2ガスを用いた患者の気腹を可能にするための補助ポートを備えてもいる。外側管内に配置される巻き取られたバッグサブアセンブリの1つの実施形態では、外側管を、トロッカーのように機能する構成要素のサブアセンブリと交換することができる。上記されたように、幾つかの実施形態では、トロッカー外側管は、収容バッグ開口部の体外露出の前に除去されるように構成され得る。
【0111】
他の実施形態では、収容バッグ開口部は、患者の切開口又は体腔の内側に残るように構成され得る。例えば、1つの非限定的な例では、バッグ開口部は、収容バッグが開放され患者の体腔の内部に装填された後に、トロッカーの遠位先端へと引込ませられ得る。幾つかの例では、空気圧シール及び/又は接続部分は、検体バッグ開口部(例えば、
図19のばねアーム1021によって形成される)を、トロッカーの遠位先端のすぐ外側又は内側の位置に保持するように用いられる。幾つかの例では、組織検体が切片化された後かつ組織切片が摘出される前に、トロッカーは除去されるように構成され、収容バッグ開口部は体外露出されるように構成される。
【0112】
幾つかの例では、組織検体摘出システムが、大きな体積の組織検体をサイズの点で減少させるように構成される場合があり、それにより、より小さな部片が、最小侵襲手術の間に患者体内のアクセスポートを通って摘出されることができる。幾つかの例では、組織検体摘出システムが、装置を、例えば手順の間に組織検体を捕捉し収容するような検体バッグを導入及び展開するための装置を用いる場合がある。また、組織検体摘出システムは、1つ以上のRF電気外科手術用発電機を用いる場合もある。幾つかの例では、装置はRFエネルギー充填ワイヤを通じて組織検体を切片化するように適合されている場合がある。その際、RFエネルギーは、以下でさらに記述される1つ以上のRF電気外科手術用発電機(又は、単に、発電機)から受け取られる。幾つかの例では、発電機は、組織の切片化のために必要な公称電力設定値に設定され得る。電力設定値の範囲は、露出サイズ、又は組織検体とRF切断ワイヤの間の表面積に基づいて決定され得る。1つの非限定的な例では、組織の切片化のために用いられるRF電力は、60ワットから400ワットの範囲であり得る。幾つかの例では、RFエネルギー又は電力は、バイポーラ形式で印加され、このことは、隣接した組織構造に電流が送達されることを阻止するのに役立つ。絶縁された検体/収容バッグ内に組織検体を収容することは、患者の残りの体部からのさらなる電気絶縁を組織検体に加えることに役立ち得る。幾つかの実施形態では、RF発電機は、切断の導入及び維持の際に観察された電流供給とインピーダンスに少なくとも部分的に基づき、出力電流の振幅又はデューティサイクルの調節を行うことができる。
【0113】
幾つかの状況では、収容バッグは、ワイヤ(アクティブ電極)と、バッグの内側表面内に、切片化管(即ち、導入/挿入管)の遠位端に、又はバッグ内の他の中間位置に配置されたリターン電極との間に、電気外科手術上の効果をもたらす。切片化の間、検体バッグが腹腔内で吊るされているので、検体バッグの外側で(例:バッグと接触している組織内で)漏出電流が観察されることがあり、漏出電流が閾値を超えた場合には、それによって代わりの部位の組織加熱が起こる場合がある。加えて、電気外科手術出力部には高電圧が含まれるので、バッグの絶縁破壊によって、組織損傷が、絶縁破壊又はアーク現象が発生した位置で発生する場合もある。
【0114】
幾つかの実施形態では、絶縁破壊又は代替漏出電流経路の可能性を排除又は低減することができ、それは、(1)組織を取り囲む材料層、ならびに(2)電圧閾値(例:切片化プロセス中に観察される最大電圧)を超える絶縁耐力を備えるアクティブ電極及びリターン電極、の1つ以上を使用することによってである。この絶縁耐力は、誘電破壊から保護し、通電されたバッグの構成要素と接地の間の容量結合を変化させることによって漏出電流量を減少させる。国際安全規格に、例えばIEC60601-1又はIEC60601-2-2に精通している者には理解できようが、この絶縁耐力要件は、上記最大電圧を、その絶縁線図ごとに切片化システムが必要とする追加マージン分超えているとよく、一般的には、この観察される最大電圧より1kV以上大きいとよい。追加的又は代替的には、この絶縁耐力は、切片化プロセスにおいて観察される最大電圧を超えているだけではなく、バッグがさらされる可能性がある、バッグの外側で起こり得る電気手術であって、(限定するものではないが)例えば、他の患者の切開部位で用いられるスプレー凝固によって発生する最大電圧も超えるように選択されるとよい。幾つかの態様では、そのような設計は、ユーザ(例:外科医)又は切片化システムによっては検出されない、バッグ内での絶縁破壊の可能性を減少させることに役に立つ。
【0115】
幾つかの実施形態では、この絶縁耐力は、高誘電率(例:閾値が2.0である場合には、閾値よりも大きな誘電率)を有するバッグ材料を用いることで生み出され得るのであって、高誘電率は、検体/収容バッグの内容物全体又は実質的な部分の周囲に電気絶縁を形成することに役に立つのである。バッグ材料の幾つかの非限定的な例は、ポリエチレン、PTFE、ETFE、PET、ポリアミド、ポリエステル等の公知の高誘電率材料を有する材料から作製されたポリマーフィルムを備える場合があるが、他の任意の高誘電率フィルムを備えてもよい。同一又は異なる高誘電率材料の複数の層が、幾つかの実施形態において利用され得ることは、注意されたい。例えば、上記のポリマーフィルムのうち幾つかは、十分な絶縁耐力を提供する一方、望ましくない機械的特性を有している場合があり、望ましくない機械的特性には、(例えば、単一の層として使用される際の)可撓性の欠如、伸長性の欠如、展開のために小さなルーメン内に巻き取られる能力の欠如、及び/又は低い摩耗耐性又は耐引裂性、等が挙げられる。そのような例では、これらのトレードオフは、複数の層(即ち、同一又は異なる材料の複数の層)を使用することによって埋め合わせられ得る。そのような設計は、絶縁耐力を複数の層に分配して必要とされる総絶縁耐力を達成することにより、個々の層の絶縁耐力の要件を引き下げることに役に立ち得ると同時に、単一の層の使用に対してより高い柔軟性を実現することも可能である。電気絶縁上の特性を備えるこのようなバッグの非限定的な例は、
図28-36に関連して以下で記述される。
【0116】
幾つかの他の例では、この絶縁耐力を生み出すために、可撓性ポリマーフィルム上に高絶縁耐力コーティングが用いられる場合がある。高絶縁耐力コーティングは、上記と類似の材料を用いて構成され得るのであって、その材料には、ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド、及びポリエステル等が挙げられるが、それらに限定されるわけではない。追加的又は代替的には、高絶縁耐力コーティングは、基質材料(例:可撓性ポリマーフィルム)と共に用いられ、複合的に所望の誘電特性を提供する場合がある。
【0117】
さらなる他の例では、高誘電性材料フィルム、コーティング、及び/又は固形物は、発生し得る患者又はユーザとの接触が部位的な火傷をもたらし得る基質フィルムの領域(例:同じ切開部位又は代替的な切開部位)にのみ塗布され得る。幾つかの態様では、高誘電性材料の基質フィルムに対するそのような選択的塗布は、製造コストの削減、製造プロセスの単純化等に供し得る。幾つかの例では、高誘電性材料が塗布される基質フィルムの領域は、バッグ内の使用中に通電される構成要素(例えば、2つの非限定的な例を挙げると、アクティブ電極、RFエネルギーを運搬する切片化ワイヤ)の移動に基づいて決定され得る。例えば、1つの非限定的な例では、高誘電性材料は、切片化ワイヤが移動できる検体バッグの底面及び下面上で、リターン電極で、リターン電極の近傍で、かつ/又は使用中に外科医がバッグを保持する場所で、利用され得るが、ワイヤが移動されないかつ/又はリターン部分が配置されない中間部分では、利用されない。
【0118】
さらなる他の例では、
図13に関連して記述されるように、絶縁を提供するさらなる方法は、検体バッグのフィルム層同士の間に空気ギャップを設けることを含み得る。追加的又は代替的には、
図28-36、38A-38I、及び/又は41A-41Bに関連して記述されるように、絶縁は、1つ以上のチャネル(例:膨張チャネル)を用いて設けられ得る。そのような例では、空気ギャップ又は間隔(例:中間空間9106)は、例えば、RFエネルギーに近接し得る内側層と患者に接触し得る外側層の間のインシュレータのように機能し得る。幾つかの実施形態では、この空気ギャップ(例:中間空間9106)は、公知の分離を提供するためのバッグの特徴を用いて自然に作り出される場合もある。あるいは、このギャップは、フィルム層同士の間の領域を、流体、空気、又は他の気体を用いて膨張させることによって、正圧で作り出されてもよい。幾つかの例では、この領域は、脱イオン水等の液体溶液、又は誘電特性を上昇させて必要な絶縁耐力を提供するシリコン等の、流れる材料で充填されてもよい。幾つかの例では、バッグが配置された後(即ち、操作を容易にするためである)かつRFエネルギーの印加より前に、空気又は流体が適用され得る。幾つかの例では、これらの材料は、RFエネルギーの使用後に吸引され得るのであって、このことは、使用後の検体/収容バッグの容易な摘出に役立ち得る。
【0119】
(電極ワイヤ把持部分)
例えば、幾つかの例では、電極ワイヤを機械的張力と組み合わせて用いるアクチュエータシステムの場合に、初期に組織検体の表面を把持するワイヤの能力が、組織の切片化を助けることができ、又は、ワイヤが切断前に組織の周囲で滑ってしまうことを防止することができる。そのような例では、初期の(即ち、実際の切片化に先立つ)より低い事前張力が、切片化/切断ワイヤが組織検体の表面を把持することを補助するように用いられ得る。本開示の態様によれば、例えば
図23のワイヤ10428等の電極/切断ワイヤに、ワイヤと組織検体の間のグリップを促進させるための表面処理又は特徴を加えることができる。幾つかの他の例では、バーブ及び/又は他の非均一な表面特徴を設け、ワイヤと組織検体の間のグリップを改善することができる。
【0120】
追加的又は代替的には、凝固波形又は低振幅切断波形を利用し、組織とワイヤの界面の間の乾燥を通じて、ワイヤが界面組織の表面に付着すること(又はグリップされること)が促進される場合がある。幾つかの例では、凝固波形は、初期に、各電極ワイヤ(例:電極ワイヤ10428)のために用いられ得る。他の例では、凝固波形が、電極ワイヤの一部のみのために用いられる場合もある。さらに他の例では、凝固波形が、上記の表面処理/特徴と共に用いられ、ワイヤが組織検体をグリップすることを助ける場合もある。代替的には、ワイヤを保持しバッグに取付けるワイヤチャネルは、以下のように、即ち、ワイヤ穿孔チャネル(
図21Bで穿孔層10441として示されている)がバッグに対して取付けられているが、ワイヤの長さに沿った領域内ではバッグから引き離されることができるように、準着脱可能である場合がある。このことにより、(例えば、機械的に、又はRFエネルギーの印加を通じて)切片化が開始されるまで、ワイヤを組織上の所定の位置に保持することができる。
【0121】
(収容バッグリターン電極、及びワイヤパターンアセンブリハンモック)
後に続く組織の分割のために幾つかの内部構成要素を組み込んでいる収容バッグのために、これらの内部構成要素のサブアセンブリを製造する方法が提供される。該方法は、2つの非限定的な例を挙げると、組立時間及び潜在的なスクラップコストを削減することにより、製造の合理化に役立ち得る。さらに、パターンを有する事前配置されたワイヤ(例:アクティブ電極、切片化ワイヤ)及び/又は追加的なリターン電極を組み込むことが論じられる。具体的には、本開示の態様は、パターンを有する事前配置された電極ワイヤ及び/又はリターン電極を含むサブアセンブリ(例:
図21A及び21Bのワイヤサブアセンブリ1044)を製造し、かつ、このサブアセンブリをスタンドアローンなバッグに追加するための方法に関する。幾つかの例では、このワイヤサブアセンブリ1044は、ハンモックアセンブリ1044とも呼称され得るのであって、というのも、このサブアセンブリは、検体バッグ1062の床部に接するよう配置されるか、又は検体バッグ1062の床部の直上に配置されるように(即ち、2つの木の間に吊られたハンモックのように)構成され得るからである。幾つかの例では、このワイヤサブアセンブリ1044は、複数のフィルム層を含んでおり、それら複数のフィルム層は、例えばリターン電極層10444、リターン電極層10444の少なくとも一部を選択的に絶縁するためのワイヤチャネル層10443、1つ以上のアクティブ電極ワイヤ10442(又は、
図21A中のアクティブ電極ワイヤ10428)、及び/又は穿孔層10441であるが、これらに限定されるわけではない。幾つかの例では、フィルム/穿孔層10441は、ハンモックアセンブリ1044をバッグ1062に対してシールする前に、パターンを有するワイヤ(例:アクティブ電極ワイヤ10442)をそれらのそれぞれの位置に一時的に保持するように用いられ得る。
【0122】
(所定の位置における、リターン部及びワイヤのフラットシール)
本開示の態様によれば、ハンモックアセンブリを製造する方法が提供される。
図20は、1つ以上の実装による、ワイヤ/ハンモックアセンブリ(例:ワイヤ又はハンモックアセンブリ1044)を検体バッグ(例:検体バッグ1062)に対してシールするために用いられ得るシール取付具1031の一例を示している。幾つかの例では、ハンモックアセンブリは、少なくとも1つの機械的手段を用いて複数の層(例:
図21Aの層10417、10416、
図21Bの層10441、10442、10443、10444、10445、及び/又は10446)を所定の位置に保持するように構成されたプラットフォーム10315を備え得る。1つの非限定的な例では、上記複数の層は、プラットフォームのポスト/フィルム層の穴構成を用いて、所定の位置に保持され得る。この例では、ワイヤ10428(
図21Bではアクティブ電極ワイヤ10442としても示されている)は、ワイヤ10428がそれらの所望の位置に着座することを可能にする、プラットフォーム10315内の1つ以上の特徴による張力下で、保持され得る。幾つかの実施形態では、上記ワイヤの端部は、例えば、クラムシェル型の蓋1037上で、1つ以上の磁気ストリップ10359の補助を用いた圧力下で、保持され得る。異なる実施形態においては、クラムシェル型の蓋(例:
図20のクラムシェル型の蓋1037)以外の他の種類の蓋も考えられ、本明細書に列挙された例は、限定することを意図されてはいない。幾つかの例では、ひとたび層(例:
図21Aのチャネル層10417、リターン層10416)のすべて又は大部分が所定の位置に保持されると、それらは一緒にシールされ、それによって、層の少なくとも一部が制御ポイントで一緒に溶接される。1つの非限定的な例では、それらの層は熱エネルギー又は指向性エネルギーを用いて一緒にシールされ得るが、他の実施形態においては、当技術分野で公知の他のシール手段(例:接着剤)も考えられる。幾つかの実施形態では、ハンモックの他方の面上のチャネル層(例:膨張チャネル層10445)が、別個に、又は同時に、取付けられ得る。
【0123】
図21Aは、本開示の様々な態様による、複数のフィルム層(例:チャネル層10417、リターン層10416)及び1つ以上のワイヤ電極10428を含むハンモックアセンブリ1044の一例を示している。ひとたびシールされると、上記の1つ以上のワイヤ電極10428は、チャネル内に配置され得るのであって、その際、チャネルは、フィルム/穿孔層(例:
図21Bの穿孔層10441)を、ワイヤ10428を覆うように追加することによって形成されている。上記されたように、シール取付具(例:
図20の取付具1031)は、複数のフィルム層及びワイヤ電極を位置決めするために利用され得る。ひとたび所定の位置に配置されると、熱エネルギー又は指向性エネルギーが、各種フィルム層とワイヤ電極を一緒にシールし、ハンモックアセンブリ1044を形成するために印加される。ワイヤ電極10428は、
図21Bでアクティブ電極10442として示されている、1つ以上のアクティブ電極を含み得る。例えばRFエネルギーがモノポーラ形式で印加されるとき、オプションとしてリターン電極10444が利用される場合がある。幾つかの他の例では、1つ以上のワイヤ電極10428がリターン電極を含んでいる場合があり、その際には、
図21Bのリターン電極10444がオプションであり得る。バイポーラの構成である幾つかの実施形態では、ワイヤ電極10428が、1つ以上のアクティブ電極及びリターン電極を、ハンモックアセンブリ1044上のリターン電極(例:リターン電極10444)は必要とされなくてよいように、含んでいる場合がある。同様にして、代替的な実施形態では、切片化ワイヤが組織の切片化のためにのみ機械的エネルギーを用いる場合に、リターン電極は必要とされない場合がある。ひとたびシールされると、このワイヤハンモックアセンブリ1044は、検体/収容バッグの1つ以上の内側層に接続され得るモノリシック構造として機能する。このことは、
図23及び24に関連してさらに記述される。
【0124】
幾つかの例においては、本開示の態様は複数のワイヤ(例:アクティブ電極10442)を有する収容バッグを組立てることを容易化するのであって、その際には、上記複数のワイヤは、事前配置されたパターンに配置される。幾つかの例では、ハンモックアセンブリ1044内のワイヤの幾何学的パターンは、製造された平坦な2Dバッグの内部に着座する三次元的構造の(3Dの)組織に近似するように設計され得る。代替的には、3Dバッグが、組織検体の挿入によってバッグがとる形状を予測するように構成される場合もある。幾つかの状況では、3Dバッグ構成は、その2Dの対応物よりもふるまいが予測しやすい場合があるが、その代償として製造コストがより高額である。幾つかの例では、本開示の態様は、平坦な2Dバッグを模擬的な3Dバッグの形状内でシールする方法に関し、これは以下で記述される。
【0125】
図22に移ると、同図は、本開示の様々な態様による、検体バッグアセンブリを製造するために用いられる取付具1051の一例を示している。この例では、プロセスは、検体バッグ(例:
図23の検体バッグ1062)及び取付具1051を用いて開始される。ここで、取付具1051は、一般的には四角形の形状(例:四角形形状1053)又はロリポップ形状(例えば、取付具が上記四角形形状部分1053の下方に延びるポスト1057を備えている場合に)であるが、これは限定することは何ら意図されていない。換言すれば、異なる形状を有する異なる種類の取付具が、異なる実施形態において考えられるのであり、
図22は、検体バッグアセンブリを製造するために利用され得る取付具のそのような一例を示しているのである。必須ではないが、検体バッグ(例:
図23の検体バッグ1062)は、底部(例:平坦底部、基部)及び開口部を備えていてもよく、その際、開口部は、該底部の反対側に位置している。幾つかの態様では、取付具1051の形状は、部分的には検体バッグの形状に基づき得る。この例では、一般的には四角形形状の取付具が利用されるが、これは、製造の間、シール及び溶接のための実質的に平坦な表面を提供するからである。四角形形状の取付具の使用によって、検体バッグの基部が、取付具1051の頂部表面10519と同一平面であるか又は実質的に同一平面であることができる。これにより、ワイヤ/ハンモックアセンブリ(例:ハンモックアセンブリ1044)がバッグの内部に対してシールされるときに、構造的な完全性が提供される。幾つかの例では、取付具1051の頂部表面10519は、取付具1051を覆ったバッグが引張られるとき、検体バッグの底部が実質的に平坦(即ち、縮れ、弛み等が最小限である)なままであることができるような形状及びサイズであり得る。取付具及び検体バッグの他の形状が異なる実施形態において考えられること、ならびに、本明細書に列挙された例は限定することは意図されていないことは、注意されたい。例えば、取付具及び/又は検体バッグは、幾つかの実施形態では、円筒形断面を備えている場合がある。あるいは、取付具及び/又は検体バッグは、幾つかの実施形態では、半球形断面を有している場合がある。例えば、取付具は、半球(又はさかさまのボウル)に似ており、検体バッグもまた画定された基部又は平坦底部を有さない半球に似ている、という場合がある。幾つかの例では、検体バッグは開口部、該開口部の反対側に配置された底部、及び該開口部及び底部の間に位置する少なくとも1つの側壁を備えている。
【0126】
見られるように、取付具1051は、頂部端及び底部端を含んでおり、その際、頂部端は、頂部表面10519、及び頂部表面10519から下方に延びる四角形形状部分1053を含んでいる。さらに、取付具1051は、四角形形状部分1053から取付具1051の底部端に向かって下方に延びるポスト1057を含んでいる。幾つかの例では、取付具1051は、その頂部表面10519に沿って複数の穴10535を備えている。それらの穴によって、捕捉された空気(存在する場合)に出口を与えることができる場合があり、このことにより、取付具1051上のハンモックアセンブリ1044がより近接して配置されることが容易化される。
【0127】
図23は、1つ以上の実装による、検体バッグアセンブリの製造に向けられたプロセスフロー1060の一例を示している。概して言えば、検体バッグを製造することは、以下を含む。即ち、取付具1051を位置決めすること(2つの非限定的な例を挙げると、該取付具の底部のポスト1057を保持することによってか、又は受け入れ穴内にポスト1057を固定することによって)と、ハンモックアセンブリ1044を取付具の頂部表面の上で位置決めすることと、ハンモックアセンブリの少なくとも一部がバッグ1062の基部1069と該取付具の頂部表面の間に配置されるように、検体/収容バッグ1062(又は、複数層を有する検体バッグの内側バッグ層)を、ハンモックアセンブリ及び取付具1051を覆うように引張ることと、ハンモックアセンブリを検体バッグ1062の内側層又は内側表面に対してシールすることと、取付具1051を除去することと、が含まれる。
【0128】
幾つかの例では、ハンモックアセンブリ1044は、検体/収容バッグ1062の内側に結合されている。幾つかの例では、ハンモックアセンブリをバッグ1062の内側層又は内側表面に対してシールすることは、ハンモックアセンブリを、内側層の底部(又はバッグの底部)及び内側層(又はバッグ)の少なくとも1つの側壁のうち1つ以上に対してシールすることを含んでいる。幾つかの例では、
図23及び/又は
図24の検体/収容バッグ1062は、その検体バッグを含む場合があるが、代替的には、複数層を有する検体バッグの内側層を含む場合もある。
【0129】
図23に描かれているハンモックアセンブリ1044は、
図21A及び/又は21Bに関連して上で記述されたハンモックアセンブリ1044に類似か又は実質的に類似であり得る。見られるように、ハンモックアセンブリ1044は、取付具1051の一般的には四角形形状の部分1053に従う。限定するものではないものの、より詳細には、ハンモックアセンブリ1044は、取付具1051を覆うように配置されているときには、3D形状をとる。ひとたび取付具1051を覆うように引き下ろされたときには、ハンモックアセンブリ1044は、(1)基部であって、該基部はリターン部10672をさらに備える、基部と、(2)複数の延長部10676と、を少なくとも備える。見られるように、ハンモックアセンブリ1044のワイヤ電極10428(例:アクティブ電極ワイヤ)は、四角形形状部分1053の側方を下方に延びる。幾つかの例では、ハンモックアセンブリ1044は、複数の延長部10676を有するリターン電極10672をさらに備える。これらの延長部10676は、ワイヤ10428を含むアクティブ電極チャネル同士の間に配置されており、かつハンモックアセンブリ1044の遠位部分又はその近傍で(例えば、
図9のリング3423等のリングによって)電気的に結合されている。即ち、アクティブ電極チャネル同士の間に配置されたこれらの延長部10676は、リターン電極10672の延長部である。
【0130】
幾つかの例では、ワイヤ電極10428の少なくとも一部が、例えば基部近傍で、又はハンモックの側面に沿って、ハンモックアセンブリ1044の各種フィルム層同士の間に配置されている場合がある。さらに、ワイヤ電極(例:アクティブ電極)の少なくとも一部は、切片化されるべき組織検体に接触することを可能にするように露出させられている場合もある。幾つかの実施形態では、ハンモックアセンブリ1044はまた、アクティブ電極/ワイヤ10428を固定するための穿孔層又は窓10759(
図24に示されている)も備えている。これらの穿孔層又は窓10759は、
図4に関連して以下で記述される穿孔部2701に類似であるか又は実質的に類似であり得る。例えば、窓10759は、事前張力付与ステップの間のアクティブ電極/ワイヤの解放を制御するように設計されている場合もあれば、又は、選択位置にあるアクティブ電極/ワイヤ10428を部分的に解放し、かつ切断中のワイヤ10428の移動の間には残存位置にある電極/ワイヤを解放するように、設計されている場合もある。事前張力付与の間の電極/ワイヤの解放を制御することは、穿孔層が取付けられる材料の厚さ及び剛性と同様に、穿孔部/窓10759を含有するフィルムの厚さTと弾性(例:
図21Bのフィルム/穿孔層10441の厚さ及び弾性)を組み合わせつつ、長さの構成ごとに穿孔部を選択することによって達成され得る。
【0131】
取付具1051はまた、四角形形状部分1053の底部又はその近傍に、シールの間にハンモックアセンブリ1044及びそのワイヤ電極10428を所定の位置に保持することを助けることができる、1つ以上の受け入れ穴10674及び/又は突出部10673を備えている。ひとたびハンモックアセンブリ1044が取付具の頂部表面上にシールされると、検体バッグ1062は、
図24に示されているように、取付具を覆うように位置決めされる。幾つかの実施形態では、検体バッグ(又は検体バッグの内側層)は、頂部開口10656及び底部又は基部1069を備えており、その際、頂部開口10656は取付具1051を受け入れるような形状およびサイズであり、ハンモックアセンブリ1044及び基部1069は、取付具1051の頂部表面上に平坦に(又は実質的に平坦に)横たわるような形状及びサイズである。ひとたび検体バッグが取付具1051の頂部端から底部端へと引張られたとき、熱又は熱的エネルギーが、
図24に示されているように、ハンモックアセンブリ1044をバッグ1062の内側表面に対してシールするように印加される。上記のように、基部又は底部1069は、実施形態によっては、必ずしも平坦でなくてよい。本明細書で用いられているように、基部1069は、切片化ワイヤがバッグを通るように引張られる方向の反対側にあるバッグの側面として定義されるか、又は、
図24に示されているように、バッグ開口部の反対側のバッグの側面として定義される。
【0132】
図24は、1つ以上の実装による、検体バッグ1062及びハンモックアセンブリ(例:
図23のハンモックアセンブリ1044)を含む検体バッグアセンブリ1071の一例を示している。この例では、複数のワイヤ電極10428を備えるハンモックアセンブリ1044は、
図23に関連して上で記述されたように、バッグ1062の内側表面にシール/溶接されている。検体バッグ1062は、複数の層を備えている場合があり、その際、当該複数の層は、空間(例:空気ギャップ又は流体ギャップ)によって分離されているか、代替的には、一緒になるよう接着されている。
図13は、1つ以上の実装による、空気ギャップ又は流体ギャップによって分離された複数の層を含む検体バッグの一例を示している。
【0133】
幾つかの例では、検体バッグ1062の複数の層は、同一又は異なる材料から形成されており、同一又は異なる厚さ、同一又は異なる屈折率等を有する、という場合がある。幾つかの例では、検体バッグ1062は、取付具1051に接するように引張られ、取付具1051に接する面では、検体バッグ1062は平坦底面3Dバッグの形状をとる。幾つかの例では、ハンモックアセンブリ1044は、検体/収容バッグ1062の内側に結合されている。そのような例では、ハンモックアセンブリ1044は、ハンモックアセンブリ1044を検体バッグ1062の内側表面に結合させた後で、
図23及び24に示されているような3Dバッグの形状をとる。幾つかの例では、ハンモックアセンブリ1044は、ヒートシールを用いて、又は代替的には、接着剤を介して、検体/収容バッグ1062の内側に結合される。当技術分野で公知の他の結合技術が、異なる実施形態においては考えられる。さらに、本明細書で列挙された例は、限定することを意図されてはいない。幾つかの例では、検体バッグアセンブリ(例:
図24の検体バッグアセンブリ1071)は、組み合わせられたバッグアセンブリが取付具1051から除去されたとき、完全に構築された3D検体バッグの形状及び構造を維持するように構成されている。換言すれば、検体バッグアセンブリは、取付具1051の除去後、それ自体で潰れることがないように設計されている場合がある。幾つかの例では、検体/収容バッグ1062が、取付具1051に接するよう負荷をかけられ、所定の位置に結合させられる際、機械的整列タブ、ポスト(例:ポスト1057)、受け入れ穴10674、突出部10673、又は他の適用可能な把持部分が、下にあるハンモックアセンブリ1044を保持するように用いられ得る。
【0134】
以下でさらに詳細に記述されるが、複数のバッグ層が、液体内容物の保護の改善のために採用され得るのであって、RFエネルギーが収容バッグの内側で用いられる場合には、断熱及び電気絶縁される、という場合がある。
【0135】
図37A-37Cは、1つ以上の実装による、検体バッグ1062の一例を示している。幾つかの例では、検体バッグ又は収容バッグ1062は、入力口/開口部614を有する容器612を備えている場合があり、その際、入力口/開口部614は、患者の体腔内での展開に際して、例えば
図18及び19に関連して記述されたばねアセンブリによって開放されるように付勢される。他の例では、入力口又は開口部614は、組織検体が検体バッグ1062内に配置されることを可能にする開放構成に至るように、膨張可能である。幾つかの例では、検体バッグ1062は、外側層又は第1の層を有している場合があり、該層は、例えばプラスチック、ポリビニル、ナイロン、ポリウレタン、又は生きた患者の体内で使用するに適切な他の生体適合性絶縁材料から作製された、容器612等である。リターン電極616は、容器612に結合されているか又は容器612内の第2の層として存在し得る。幾つかの例では、リターン電極616ならびにアクティブ電極604、606、608、及び/又は610のうち1つ以上は、
図21A、21B、及び/又は23に関連して上で記述されたハンモックアセンブリのリターン電極及びアクティブの例であり得る。幾つかの例では、上記の電極は、第1の電極604及び第2の電極606を有する第1の電極セット622になるように、かつ、第3の電極608及び第4の電極610を有する第2の電極セットになるように、一緒に縮められている場合がある。幾つかの例では、第1の電極セット622及び第2の電極セット624は、引張りアセンブリ(示されてはいない)を引くように結合され得る。
図37Aに見ることができるように、電極604、606、608、610は、一時的に容器612に取付けられており、近位方向の力の適用によってそれらの電極は容器612から脱離させられるという場合がある。取付けのための手段は、熱カシメ、ステッチング、接着剤、又は他の固定手段を含み得るが、これらに限定されるわけではない。他の例では、電極は、
図24及び25に関連して上で記述されたように、一時的にフィルム/穿孔層の下に取付けられる。さらに、電極は、機械的に(例:引張ることによって)、電気的に(例:閾値量の電流又はRFエネルギーが電極を通過させられたときに、電極が発熱し、それによってフィルム/穿孔層が劣化することによって)、又はそれらの組み合わせによって、脱離させられ得る。
【0136】
リターン電極616は、患者の体内からエネルギーを伝達させるためのリターンケーブル618に結合された、銅製の箔又はメッシュ、又は生きた患者の体内で使用するに適切な他の高導電性材料であり得る。リターンケーブル618は、容器612内にあるように描かれているが、エネルギーの効率的かつ安全な伝達のために適切な任意の方法でリターン電極616に結合されてよく、例えば、開口部614の遠位である容器612の層内にあるか、又は検体装填の間にリターンケーブル618を邪魔にならない場所に保つべく、部分的には容器612の外側に存在する場合がある。リターンケーブル618は、以下のやり方によって、即ち、リターンケーブル618をリターン電極616に対して半田付けすることによって、検体バッグ1062の製造の間、リターンケーブル618とリターン電極616を一緒になるよう積層させることによって適用される機械的接触によって、導電性エポキシ材又は類似の材料を用いてリターンケーブル618をリターン電極616に接着することによって、又は、リターン電極616及びリターンケーブル618を単一の連続的な箔又はメッシュから形成することによって、リターン電極616に取付けられ得る。
【0137】
幾つかの例では、障壁620等の保護絶縁材料が、リターン電極616の内側部又は第3の層として提供され得る。障壁620は、電極604、606、608、610とリターン電極616の間に配置され得る。当業者であれば、検体の切片化を起こすために、組織検体はリターン電極616とアクティブ電極604、606、608及び/又は610の両方と接触しなければならないこと、ならびに、リターン電極616はアクティブ電極604、606、608及び/又は610と直接接触してはならないことが、理解できよう。従って、障壁620は、リターン電極とアクティブ電極の間の絶縁層であり、絶縁効果をもたらすのに適切な任意の材料から作製されてよい。
【0138】
また、当業者であれば、バッグ構造の層の数は最も少なくて1、2、又は3であって、上記の構成要素を、層又は容器612の内側表面に取付けられて有するという場合があり、かつ、実施形態によっては、層の数が3よりも多く、図(例:
図37A-37C)中に示された検体バッグ1062の構成要素は、患者の体腔内で拡大する前に挿入ツール内で圧縮されるサイズでありかつ適切に可撓性であるべきであるという場合があることも、理解できよう。
【0139】
以下で記述されるように、幾つかの実施形態では、真空であるか又は空気(又は他の流体)を充填された中間空間を有する複数層のバッグが用いられ得る。幾つかの状況では、ワイヤを検体バッグに一時的に取付けることの1つの潜在的なリスクは、ワイヤの脱離の際にバッグが破れる可能性があることである。複数のバッグ層の使用によって、バッグが保持部分の解放に際して損なわれないままに保たれることを確実にすることが補助され得る。必須ではないものの、幾つかの例では、バッグが損なわれずかつ流体に対して透過させないままであることを確実にするために、保持部分はバッグの最も内側の層に取付けられ、バッグの外側には1つ以上の追加の層が備えられる。
【0140】
図13は、本開示の様々な実施形態による、漏出検出部を有するバッグアセンブリ1300の幾つかの構成要素の断面図である。幾つかの例では、検体バッグ(例:検体バッグ1062)は、空間9106によって分離された複数の層9102、9104を備えている場合がある。層9102,9104間の空間9106内の圧力は(チャネルを有しているにせよ有していないにせよ)、外側バッグ層9102を膨張させるように用いられ得る。外側バッグ層9102内に裂け目が発生した場合、圧力損失は、膨張したバッグのサイズ又は圧力の減少を探すことによって、視覚的に検出され得る。代替的には、膨張した領域での圧力低下(例:閾値以上の圧力低下)を検出するために圧力ゲージが用いられ得る。幾つかの例では、真空がバッグ層9102、9104の間の空間9106に適用され得る。この真空は、2つの目的のために役に立ち得る。即ち、(1)外側バッグ層9104がもはや内側層9104に向かって引張られてはいない場合には真空は、裂け目の視覚的な表示を提供し得る。(2)裂け目が外側バッグ層9104内で生じた場合には、真空はバッグ層9102、9104の間の空間内に空気を吸い込み、それによって、他の材料又は流体がその穴から漏出する可能性が最小化される(特に、穴が小さい場合)。即ち、空間9106内の圧力であれば、裂け目の発生時、流体を外に、潜在的には患者の体内に解放する傾向がある一方、層9102、9104間の空間9106内の真空は、流体を内向きに付勢し得るのである。
【0141】
幾つかの状況では、複数のバッグフィルムが一緒になるよう構成されている場合、バッグの内部に格納された対象及び活動の視覚化は、困難であり得る。本開示の態様は、複数の層(即ち、複数のバッグフィルム)を有する収容バッグ(例:検体バッグ1062)を通じた可視性の向上に関する。1つの非限定的な例においては、可視性の向上のため、収容バッグ(例:検体/収容バッグ1062)内部に光源が導入される場合がある。これは、バッグ開口部を通じて挿入される独立した製品である場合もあるし、又は組織検体の分割のために用いられるアクチュエータの一部である光源である場合もある。後者の実施形態では、該光源は、導入管に、外側管に、又はトロッカーに組み込まれた遠位先端付近の光源である場合があり、又は代替的には、該光源は、アクチュエータのより高い位置から発し、導入管を通して中心的に光線を照射して該管を照らし、かつ/又は導入管の遠位端を通してバッグ内容物を照らすスポットライトとして機能する、光源である場合もある。他の例では、光源は、第1の電極セット622、第2の電極セット624に接するか又はその近傍に配置されている場合がある。さらに他の例では、光源は、
図19に示されたばねアームアセンブリの可撓性部材1041から(近位方向に)延びるように構成されている場合もある。いずれかの例で、光は、以下のように用いられてもよく、即ち、ユーザ又は外科医が、導入管(即ち、切片化器具の部分)を、導入管が組織検体の頂部又はそれの近傍になるように配置することを補助するように、用いられてもよい。
【0142】
幾つかの他の例では、各バッグ層又はバッグフィルムの表面仕上げは、検体/収容バッグの外側に配置された光源を用いたカメラの視認性を生じさせるか又はそれに影響を与える可能性がある反射率を最小化するように、設計され得る。さらに他の例では、複数の層の幾つか又はすべてが、空間的に分離された層によって生じ得る屈折を低減するために、一緒になるよう接着され得る。例えば、検体バッグ1062の層又は層の部分が一緒になるようラミネート加工され、収容バッグ層同士の間の空間が除去される場合がある。追加的又は代替的には、透明な接着剤が、バッグ層の部分を一緒になるよう接着するように用いられ、ユーザが容易に収容バッグ1062の内部を覗き込める可視化「窓」が与えられる場合もある。上で列挙された例は、限定することを意図されてはおらず、バッグ層又はバッグフィルムを「より透明」なものにするための他の技術が他の実施形態においては考えられることは、注意されたい。例えば、幾つかの例では、異なるバッグ層は、異なる材料から成り得る。1つの非限定的な例では、最も内側のバッグ層は、より強度が高くより透明度が低い第1の材料から成り、一方でそれに続くバッグ層は、強度では劣るが透明度はより高い第2の材料から成る、という場合がある。他の非限定的な例では、最も内側のバッグ層は、より強度が低くより透明度が高い第1の材料から成り、一方でそれに続くバッグ層は、強度では勝るが透明度はより低い第2の材料から成る、という場合がある。幾つかの他の例では、バッグ層は、異なる屈折率を有する材料を用いて形成されてよい。さらに、バッグ層がそれらの屈折率に基づいて配置及び位置決めされる場合もあり、例えば、屈折率の昇順又は降順で配置及び位置決めされる場合がある。
【0143】
図5及び/又は17に関連して以下で記述されるように、エプロン(例:エプロン2885)が、組織装填の間にワイヤを邪魔にならない場所に保ち、かつ/又は第2のセットのワイヤ(
図21Bのリターン電極10444、
図37Bの第2のセットのワイヤ608、610)を第1のセットのワイヤ(例:
図21Bのアクティブ電極10442、
図37Bの第1のセットのワイヤ604、606)から離隔するために、検体バッグ(例:検体バッグ1062)内で用いられ得る。幾つかの例では、エプロンは、
図37Bのアクティブ電極ワイヤ604、606、608及び610等のアクティブ電極ワイヤを互いに絶縁させるようにも用いられ得るが、これに限定はされない。幾つかの例では、第2のエプロンは、バッグの完全な内周に沿ってか走っている場合があり、又はバッグの周囲を部分的に走っている場合もある。より大きな第2のエプロンの有利な点は、第1のセットのワイヤが第2のセットのワイヤから分離されたままであることを確実化することである。
【0144】
幾つかの例では、コネクタ(例:
図1のコネクタキャリア10105)が、切断ワイヤ(即ち、切片化ワイヤ)を切片化機器のレセプタクルに接続するコネクタピンを保持するように、用いられる。バッグの組み立てを補助するために、コネクタは、コネクタピンを保持する穴に沿って、開口部又はスロットを有し得る。これにより、コネクタピンは、アクティブ電極及び/又はリターン電極ワイヤが既にコネクタピンに取付けられた後で、コネクタ内に配置されることができる。側部入力コネクタがない場合には、ワイヤアセンブリは、ワイヤがコネクタを通って供給され、そしてピンに取付けられることを要件とする。空間の最小性によって、このステップは問題を孕む場合がある。
【0145】
(膨張チャネル)
複数の非限定的な例を挙げると、幾つかの実施形態では、膨張チャネルが、外側層と内側層の間で利用される場合があり、代替的には、膨張チャネルが、患者に対するさらなる保護のために、断熱又は電気絶縁のために、かつ/又はバッグ開放の補助のために、収容バッグの外側のみで利用される場合もある。広く言えば、膨張チャネルは、以下の目的の一部又はすべての役に立ち得る。即ち、(1)熱的防護、(2)気腹下でバッグを開放状態に保つためか、又はバッグの開放を助けるための熱膨張、(3)剛性バッグ領域の生成、(4)漏出検出、(5)検体保持、(6)切開口の周囲での気腹維持、(7)リターン部が検体と接触していることの確認、の一部又はすべての役に立ち得る。これらの目的の1つ以上を達成するために、膨張チャネルが、2つのフィルムから作られ、そして1つ以上のバッグ層に取付けられるという場合があり、又は、代替的には、その1つ以上のバッグ層が膨張チャネルを構成するために利用されるという場合もある。幾つかの例では、膨張チャネル11121は、溶接、レーザカット又はレーザ溶接、又は他の適用可能なプロセス等のプロセスを通じて作り出され得る。バッグ層に溶接されない場合、膨張チャネルは、感圧接着剤、他の接着剤又は糊材、又は類似の手段を用いて取付けられ得る。幾つかの実施形態では、膨張チャネルは、互いに流体連通され得る。代替的には、膨張チャネルの1つ以上が他の膨張チャネルと流体連通していない場合もある。
【0146】
幾つかの例では、内側層と外側層の間に膨張可能かつ/又はシール可能な体積部分を有する複数層バッグが、膨張チャネルを作り出すために用いられてもよい(
図28の膨張可能チャネル等の膨張可能チャネル11121も参照)。この体積部分は、バッグ1062の本体部又はバッグ1062の延長部に取付けられたフィッティング(例:
図28のチャネル開口部11122等のポート又はチャネル開口部)によって直接アクセスされてよく、この際、バッグ1062の延長部は、使用中に患者の体外まで延びるように構成されている。幾つかの実施形態では、ポート等のこのフィッティングは、チャネル11121の膨張のためのシリンジ(例:
図28で流体供給源11124として示されている)を受けるように構成されている場合がある。他の例では、ポートは、バッグ1062を膨張させるための、外部空気又は膨張材供給源、又はガスシリンダに結合されている場合もある。幾つかの実施形態では、フィッティングはまた、バルブと一緒に用いられる場合もある。圧力は、患者の体外に位置するビルトインバルブ又は別個のバルブ/マニホールドを用いて調節され得る。バッグの膨張はまた、(1)RF切断の影響の結果として生じる組織温度の上昇発生時における追加防護、及び/又は(2)電気絶縁/離隔層としても役に立ち得る。幾つかの状況では、切片化される検体組織の近傍の組織(例:バッグの外側に接触している組織又は組織構造)が、切片化手順の間に高温になり得る。そのようなリスクを緩和させるために、絶縁層の空気が、検体バッグ1062の外部上の膨張可能チャネル11121を用いて捕捉されている場合がある。このことは、隣接する組織又は周囲の構造が、RF切断によって生じる熱エネルギーによって過熱されることを防ぐ。少なくとも
図28に関連して以下で記述される膨張可能チャネル11121は、
図7に示された膨張させられた(又は膨張可能な)セル3132の1つ以上の態様を実装することができる。
【0147】
さらに、以下で
図13に関連して記述されるように、外側バッグ層と内側バッグ層の間の複数セル層は、内側層が損なわれた場合に潜在的に漏出し得る流体の体積を減少させることに役立つ、複数の内部空間を含み得る。例えば、内側層と外側層を結合する複数の壁が、バッグの内側層と外側層の間に、空気、流体、ゲル、又は本明細書に記載の他の漏出緩和又は漏出管理手段のより小さな固定体積部分を形成することができる。層9102、9104は、ジョイント部9108等の当技術分野で公知の任意の手段を用いて互いに結合又は融着させられてよい。
【0148】
幾つかの例では、バッグ1062の内部空間に対する膨張チャネル11121の影響は、最小化又は低減され、膨張チャネル11121が分割手段(例:切断ワイヤ)に衝突する可能性及び/又はバッグ内側の内部で作業スペースを占める可能性を小さくすることができる。そのために、膨張チャネルは、
図28-30に示されているように、検体バッグの側壁及び/又は基部に沿って位置決めされるか又はそれと一致するように設計されるとよい。代替的には、膨張チャネル11121は、(
図37Cのリターン電極616として示されている)バッグのリターン部に、又はその近傍に、配置され得る。幾つかの他の例では、膨張チャネルは、異なる厚さ又は硬度の2つのフィルムを用いて形成され得る。そのような例では、より厚いフィルムに比べて、より薄くより硬度の低いフィルムが、好ましく(例:より容易に)拡大することができる。例えば、1つのフィルムが、より厚いフィルムを有する内側バッグ層と、その内側バッグ層に取付けられているか又は溶接された、より薄いか又はより硬度の低い層と、から作製され得る。膨張に際して、膨張チャネルのより薄い外側フィルムが、より厚い内側フィルムが内側に拡大する量を最小化しつつ、外側に向かって拡大し得る。
【0149】
幾つかの実施形態では、1つ以上の構造追加物が、限定するわけではないものの例えばバッグ縁部(例:
図25の基部1069、側壁10813)が、バッグの部分に追加され得る。幾つかの実施形態では、
図41A-Bに関連して示され記述されるような、マットレス状の設計又はタフト設計が、膨張可能チャネル11121のために利用され得る。タフト設計(例:
図41A及び41Bでタフト11331として示されている、枕又はマットレスに類似のタフト設計)は、膨張チャネル11121からの圧力をより大きな表面積にわたって拡大及び分散させるように構成され得る。幾つかの例では、チャネルを膨張させるために、1つ以上の膨張管が膨張チャネル11121の開口部に取付けられ得る。ユーザ(例:外科医)は、チャネル開口部11122等の管/チャネルの入口を通じて、シリンジ、ポンプ、又は他の適用可能な空気/流体供給源11124を用いてチャネルを膨張させることができる。幾つかの例では、狭いチャネル開口部(例:1cm又は0.39インチ未満)が利用され、チャネル開口部11122を加圧し、かつ検体バッグのチャネル層を充填するか又は実質的に充填することを補助できる場合がある。追加的又は代替的には、チャネル幅はテーパしていて(例:チャネルの口付近ではより狭く、チャネルの反対端に向かってより広くなっていて)もよい。幾つかの実施形態では、膨張管は、接着剤、溶媒、溶接、クランプ等を用いてチャネルフィルムに取付けられ得る。1つの非限定的な例では、膨張管は反対側の端部(即ち、チャネルと接続されていない端部)に、気体、空気、又は他の適用可能な流体供給源に接続するための「ルアー」(luer)テーパを備えている場合もある。
【0150】
バッグを展開器具(DI)内に巻き取る、かつ/又は配置する間、膨張管を邪魔にならない場所に保つために膨張管は、バッグの遠位端上(例:ばねアームに、又はその近傍に、又は、ばねアームの近位端近傍に)に配置されているとよい。膨張管が、ばねアームの近位端に配置される場合には、ばねアームの間の空間内に配置されるとよく、又は代替的には、リターン電極に平行に走らされているか又はリターン電極に取付けられていてもよい。幾つかの例では、リターンケーブル(又はリターン電極)及び膨張管は、キャリア(例:コネクタキャリア10105)の下を走っているか又は内側管(例:内側管ハンドル)内へ走っているという場合がある。
【0151】
図28-32に移ると、同図は、本開示の様々な態様による、検体バッグアセンブリ11101の異なる図を示しており、検体バッグアセンブリ11101は、検体バッグ1062と、検体バッグの基部及び又は1つ以上の側壁に沿って配置された複数の膨張可能チャネル11121と、を備えている。見られるように、検体バッグ1062は、頂部開口10656(例:複数のばねアーム又はリング10812によって形成されている)と、1つ以上の側壁10813と、基部(例:
図25の基部1069として示されている)と、を備えている。この例では、検体バッグ1062は、円状の頂部開口10656から正方形/矩形の基部までテーパしているが、これは限定することを意図されてはいない。幾つかの例では、検体バッグ1062は、複数の層(例:第1の内側層、第2の層、第3の層等)を備えている。オプションとして、ギャップ(例:空気ギャップ)が、検体バッグ1062の隣接する層同士の間に設けられている場合がある。1つの非限定的な例では、検体バッグ1062は、3つの層を、即ち、内側層、外側層、及び中間層を備えている。さらに、空気ギャップ(又は他の流体ギャップ)が、各層の間に設けられている場合がある。代替的には、内側層と中間層は互いに接着されており、外側層と中間層の間に空気ギャップが設けられている、という場合もある。
【0152】
図28-32はまた、検体バッグ1062の部分に沿って設けられた膨張可能チャネル11121を示している。幾つかの例では、1つ以上の膨張可能チャネル11121が、検体バッグ1062の各側壁10813に沿って形成されている。この例では、膨張可能チャネル11121は、検体バッグの基部から側壁10813の高さの半分よりわずかに下まで延び得る。他の例では、膨張可能チャネル11121は、側壁10813の高さの全体(又は大部分)に沿って延び得る。本明細書に記載の例は、限定することを意図されてはおらず、異なる膨張可能チャネル構造が異なる実施形態において考えられることは、注意されたい。検体バッグ1062はまた、1つ以上の膨張可能チャネルをその下方に(即ち、基部に隣接して)備えており、
図29-30においてより明瞭にみることができる。
【0153】
バッグのチャネルの代替として、1つ以上の剛性部材がバッグに取付けられる場合があり、その場合には、その1つ以上の剛性部材は、バッグがDIから展開された際にバッグの開放を補助することができる。幾つかの例では、1つ以上の剛性部材は、非限定的な例を幾つか挙げると、ニチノールワイヤ、弾性ばね部材、及び/又は拡大可能複数層プラスチックリッジ等から形成され得る。幾つかの例では、プラスチック(又は他の適用可能な材料)から形成された複数層リッジは、非限定的な例を2つ挙げると、流体吸収を通じた流体接触の結果として、又は代替的には、メモリによる流体接触なしで、拡大することができる。
【0154】
(バッグ膨張)
内側バッグ内での、かつ/又は1つ以上のバッグ層同士の間での膨張は、バッグ1062の外側表面上のチャネル11121に加えて、又はその代わりに、用いることができる。幾つかの例では、膨張は、切片化の前に(又はその間に)行われてよいし、かつ/又は切片化の間持続されてもよい。幾つかの例では、切片化器具(切片化機器とも呼称される)とバッグの間にシールが作り出される場合があり、それによって切片化の間に内側バッグ内での膨張の維持が補助される。幾つかの例では、ユーザ又は外科医は、バッグ及び切片化器具を一緒に保持することができる。代替的には、クランプ又はタイ、又は他の機械的手段が、バッグを切片化機器に対してシールするために用いられ得る。幾つかの例では、このシールは、気圧の損失を最小化することを助けもする。幾つかの実施形態では、大流量かつ/又は加圧された空気供給源に加え、切片化器具が、圧力損失を最小化するためにシールされる場合もある。切片化器具は、様々なアプローチを用いてシールされ得る。例えば、幾つかの実施形態では、1つ以上のガスケット、超音波溶接、接着剤、及び/又はOリングが、器具シェル又はばねトレイをシールするために用いられ得る。他の例では、外科医は、組織を利用し、より広くかつ/又はより平坦な接触領域を作り出すことによって、導入管の遠位端を遮断するか又は効果的にシールすることができる。さらに他の例では、ボール(例:テフロン(登録商標)又はシリコンのボール)が、空気損失を最小化するために、導入管内に配置される場合もある。理解できるように、ボールの使用は、空気損失を低減するか又は最小化することを補助し得るが、依然として、切片化ワイヤが導入管内のボールの周囲に巻き付き/ボールを通過し、検体バッグの内部に入ることは、許容され得る。幾つかの実施形態では、トレイを通じた空気損失をさらに最小化するために、ハイドロゲルを張力付与トレイ内で用いることができ、その際には、ワイヤは切片化器具を通して引張られることができる。
【0155】
幾つかの実施形態では、別個のシェル又はバッグが、切片化機器の周囲に配置され得る。この別個のシェル又はバッグは、切片化機器の周囲に配置される前に、漏出の検査を受け得る。クラムシェルは、切片化機器に対するアクセサリとしてはたらき、かつ、(存在するのであれば)ギャップをシールするために、導入管が患者の体内に延びた後で、切片化機器を覆うようにフィットする形状及びサイズである場合がある。幾つかの例では、このクラムシェルは、ケーブルをシールするために、かつ/又は導入管とシェルの間にシールを提供するために、1つ以上のOリングを備えている場合がある。
【0156】
幾つかの実施形態では、バッグに対して気圧を提供するために(又はバッグ内の空気を加圧するために)、空気供給源が切片化機器に対して取付けられている場合がある。幾つかの他の例では、この空気供給源は、バッグに直接結合されているか、又はバッグ内に直接配置されている場合もある。検体バッグ内の空気を加圧するための異なる技術が異なる実施形態において考えられ、本明細書で列挙された例は限定することを意図されていないことは、注意されたい。
【0157】
図25-27は、本開示の様々な態様による、検体バッグ1080の様々な図を示している。検体バッグ1080は、本明細書で開示される検体バッグの1つ以上の態様を実装することができ、そこには、
図23及び24に関連して記述される検体バッグ1062が、少なくとも含まれる。検体バッグ1080は、その頂部端に開口部10656を備えており、ここで、開口部10656は、リング(
図1に示されている)又は複数のばねアーム(例:
図19のばねアーム1021-a、1021-b)の拡大によって形成され得る。幾つかの例では、複数のばねアーム1021-a、1021-bは、検体バッグの頂部開口の周囲にリング10812を形成する。検体バッグ1080は、複数の外側壁10813及び基部1069をさらに含む。幾つかの例では、検体バッグ1080は、複数のバッグ層又はフィルム層を備えており、その複数の層は、例えば断熱性を向上させるために、空気/流体ギャップによって分離させられている。他の例では、複数のバッグ層は、ラミネート加工又は接着されて一緒にされており、これは、例えば断熱性を向上させるため、検体バッグの構造的な完全性を向上させるため、又はそれらの組み合わせのためである。図示された例では、検体バッグ1080は、リング10812を検体バッグに取付けるための1つ以上の可撓性ループ10811を備えている。幾つかの例では、検体バッグ1080は、
図1に関連して記述される検体バッグ10101と類似か又は実質的に類似であり得る。可撓性ループ10811は、一緒になるよう束ねられる(即ち、初期に外側管又はカニューレアセンブリ内で巻き取られているときに、又は可撓性リング10812が外側管内に引き戻されたときに)ことができ、又は、それらは、可撓性リング10812が前進させられたときに互いに離隔されて広げられることができる。
【0158】
図33-36は、膨張可能チャネルシステム11601の様々な図を示しており、ここで、膨張可能チャネルシステム11601は、本明細書で開示される検体バッグのいずれか1つと共に用いられるように構成されており、本明細書で開示される検体バッグには、少なくとも検体バッグ1080、1062、及び/又は10101が含まれる。膨張可能チャネルシステム11601は、複数の膨張可能チャネル11121を含んでおり、ここで、膨張可能チャネル11121は、
図28、38A-38I、及び/又は41A-41Bに関連して記述されたものに類似であるか、又は実質的に類似である。
【0159】
図38A-38Iは、本開示の様々な態様による、ハンモック、検体バッグ、チャネル、及び/又はチャネル層の様々な構成を示している。
図38A及び/又は38Bに関連して以下でさらに記述されるように、幾つかの実施形態では、膨張チャネルはハンモックアセンブリに取付けられており、かつそのハンモックアセンブリがバッグ層(非限定的な2つの例を挙げると、内側バッグ層の外側面、外側バッグの内側面)に取付けられている、という場合がある。幾つかの他の例では、以下で
図38Eに関連してさらに記述されるように、1つ以上のチャネルを備えるハンモックアセンブリが、内側バッグ層の外側面又は外側バッグ層の内側面に設けられるか又は貼付される場合がある。さらに他の例では、以下で
図38Fに関連してさらに記述されるように、1つ以上のチャネルを備えるハンモックアセンブリが設けられる場合があり、その際、その1つ以上のチャネルのうち少なくとも1つは、外側バッグ層の外側面上に配置され得る。幾つかの実施形態では、以下で
図38G及び38Hに関連してさらに記述されるように、内側バッグ層を有する検体バッグ、少なくとも1つの膨張チャネル、及び1つ以上の外側バッグ層が設けられ、その少なくとも1つの膨張チャネルは内側バッグ層の外側面に配置されている、場合もある。幾つかの実施形態では、以下で
図38Iに関連してさらに記述されるように、膨張チャネルがバッグ層の外側に取付けられた状態であるバッグを含む検体バッグが設けられる場合もある。そのような例において、検体バッグがさらなる外側バッグ層を備えている場合もあれば、備えていない場合もある。
【0160】
図38Aは、本開示の様々な実施形態による検体バッグ1062-aの一例を示しており、検体バッグ1062-aは、その上に組織検体10666が着座する内側バッグ層又はハンモック1044-a、外側バッグ層10446-a、及び複数のチャネル10444-aを備えている。ここで、複数のチャネル10444-aの各々は、1つ以上の切片化電極又はワイヤ(図示されていない)を受け入れるような形状及びサイズである。見られるように、複数のチャネル10444-aは、ハンモック1044-aと外側バッグ層10446-aの間の空間/体積に形成される。幾つかの例では、チャネル10444-aは、膨張チャネルの例である場合もあれば、ハンモック1044-aに取付けられている場合もある。さらに、
図38Aで示されているように、ハンモック1044-aは、外側バッグ層10446-aに取付けられている場合もある。幾つかの例では、外側バッグ層10446-aは、基部又は底部(即ち、バッグ1062の開口部10656の反対側の面)、及び1つ以上の側面(又は側壁)を備えている。幾つかの例では、複数の膨張チャネル10444-aを備える膨張チャネル層は、組織検体10666が着座している場所から見てハンモック1044-aの反対側の面に配置され得る。上記したように、膨張チャネル10444-aは、複数の機能を提供し得るのであって、これには、熱障壁としてはたらくこと、組織検体10666のバッグ1062-a内への装填/配置を補助すること、及び/又は、ハンモック1044-aが完全に開放されること及び切片化ワイヤが切片化の前又はその間に自由に移動することを確実化すること、が含まれるが、限定されるわけではない。それらの目的に応じて、膨張チャネル10444-aは、組織検体10666が検体バッグ1062-aに装填される前に膨張させられる場合もあれば、装填後に膨張させられる場合もある。
【0161】
この例では、バッグ1062-aは、特定の平坦な区画又は基部(例:
図23の基部1069のような)を有さない。幾つかの実施形態では、ハンモック1044-a及び/又は外側バッグ層10446-aは、バッグ1062-aが異なる形状に従うことができるようにする可撓性フィルム又は層から形成されるのであって、それによって患者の体腔内にある際の操作性が向上させられる。幾つかの例では、ハンモック及び外側バッグ層10446-aは、2つのワイヤチャネル10444-aの間にギャップ/空間を残しつつ、ハンモック1044-a及び外側バッグ層10446-aがそれらの近位端でシールされるような、形状及びサイズである。
【0162】
図38Bは、本開示の様々な実施形態による、内側バッグ層又はハンモック1044-bと、外側バッグ層10446-bと、複数のチャネル10444-b(例:膨張チャネル)と、を備える検体バッグ1062-bの一例を示している。この例では、検体バッグ1062-bは、クラムシェル設計を備えており、外側バッグ層10446-bは、クラムシェルの2つの半分10551-a、10551-bを一緒になるよう溶接することによって作り出される。具体的には、外側バッグ層10446-bの第1の半分10551-a及び第2の半分10551-bは、その開口部を除いたバッグ1062-bの周囲をまわるように溶接されている。幾つかの例では、クラムシェルの第1の半分及び第2の半分の各々10551は、可撓性フィルムを備えている。幾つかの例では、チャネル10444-bを画定する検体バッグ1062-bの内側層/ハンモック1044-b及び/又は中間層はまた、ジョイント部10449で一緒になるよう溶接された2つのフィルムを含むクラムシェル設計を有し得る。さらに、外側バッグ層、ハンモック、及び中間層の各々の第1の半分10551-aの近位端は、
図38Bに示されているように、シール/溶接され得る。同様にして、外側バッグ層、ハンモック、及び中間層の各々の第2の半分10551-bの近位端も、
図38Bに示されているように、シール/溶接され得る。
【0163】
図38Aに関連して記述された検体バッグ1062-aはまた、幾つかの実施形態のクラムシェル設計を備えてもよいことは、注意されたい。例えば、外側バッグ層10446-a及びハンモック1044-aの各々は、ジョイント部(
図38Bでジョイント部10449として示されている)で一緒になるよう溶接された、第1の半分及び第2の半分を備え得る。さらに、外側バッグ層10446-a及びハンモック1044-aの第1の半分及び第2の半分もまた、
図38Aで示されたようにシール/溶接され得る。
【0164】
幾つかの例では、
図38A-38Bに関連して記述された検体バッグ1062の外側層10446及び/又はハンモックアセンブリ1044は、プラスチック、ポリビニル、ナイロン、ポリウレタン、又は生きた患者の体内で使用するのに適した他の任意の生体適合性絶縁材料、から作製され得る。
【0165】
図38C及び38Dは、1つ以上の実装に従う、ハンモックアセンブリの層の2つの代替的な断面図を示している。
図38Cは、RFエネルギーを供給されたワイヤが切断手順のために用いられる際、ハンモック1044-aに組み入れられ得る層の断面図を示している。この例では、ハンモック1044-aは、(ハンモックを含む検体バッグの内側から外側に向かって見て、)穿孔層10441、切片化ワイヤ10442、ワイヤチャネル層10443、リターン電極層10444、及びハンモック層10446、を備えている。穿孔層10441は、ワイヤチャネル層10443と共に、切片化の前に切片化ワイヤ10442を所定の配置に保持することを助け得る。幾つかの実施形態では、リターン電極層10444は、例えば、導電性材料(例:金属)をハンモック層10446上にプリントすることによって、ハンモック層10446の内側面上に組み込まれ得る。他の例では、リターン電極層10444は、ハンモック層10446上に取付けられた別個の導電性層であり得る。幾つかの例では、ハンモック10446は、ハンモック1044-aの外側対向層を備える。
【0166】
図38Dは、1つ以上の実装に従う、ハンモック層10446の外側面に貼付された追加的な膨張チャネル層10445を備えるハンモック1044-bを示している。幾つかの例では、ハンモック1044-bは、
図38Cに関連して上で記述されたハンモック1044-aの1つ以上の態様を実装するが、ハンモック層10446の反対側に取付けられた膨張チャネル層10445を含んでいる。
【0167】
幾つかの他の例では、膨張チャネル層は、ハンモック層の周囲に沿って形成され得る。さらに、上記されたように、バイポーラRF切断アプローチ又は機械的切断アプローチ(即ち、切片化ワイヤにRFエネルギーを印加しない)を利用した切片化ワイヤのために、リターン電極層10444がオプションであり得る。幾つかの実施形態では、製造の間、
図38C及び/又は38Dに関連して図示又は記述された様々な層が、互いの上に配置され、ヒートシール又は溶接を介してシールされ、ハンモックアセンブリ1044(例:ハンモック1044-a、ハンモック1044-b)を形成している。その後、ハンモック1044は、接着剤、感圧接着剤、又は溶接のうち1つ以上を用いて、外側バッグ層(例:外側バッグ層の内側面)に取付けられる。
【0168】
図38E及び38Fは、本開示の様々な態様による、2つの代替的な膨張チャネルの実装を示しており、膨張チャネルは、外側バッグ層の内側に取付けられているか(
図38E)、又は外側バッグ層の外側に取付けられている(
図38F)。
【0169】
図38Eは、本開示の様々な態様による、ハンモックアセンブリ1044、組織検体10666、外側バッグ層10446-c、及びハンモックアセンブリ1044と外側バッグ層10446-cの間の空間に配置された1つ以上のチャネル11121-a、を含む検体バッグを示している。
【0170】
図38Fは、本開示の様々な態様による、ハンモックアセンブリ1044、外側バッグ層10446-d、及び外側バッグ層10446-dの外側面に貼付された1つ以上の膨張可能チャネル11121-c、を含む検体バッグ1062-dを示している。幾つかの例では、検体バッグ1062-dは、1つ以上の膨張チャネル11121-bも備えており、それは、例えば、ハンモックアセンブリ1044と外側バッグ層10446-dの間に配置されている。
【0171】
幾つかの例では、
図38E及び/又は38Fに関連して記述される膨張チャネルの変形例は、非限定的な2つの例を挙げると、漏出検出を補助すること、及び/又は製造プロセスを容易化することができる。
【0172】
図38Gは、本開示の様々な態様による、内側バッグ10626、1つ以上の外側バッグ10446、及び1つ以上のタフト11331を有する膨張可能チャネル、を有する検体バッグを示している。幾つかの例では、ばねアーム1021(例:図中では、ばねアーム1021-a、1021-bとして示されている)は、外科処置の間(例:組織検体の装填の間)にバッグ1062-eの頂部開口10656を開放状態に維持するように利用され得る。幾つかの例では、内側バッグ10626は、可撓性材料から作製され、かつ切片化の間に組織検体を保持することを補助する底部/基部1069及び1つ以上の側壁10813を有する、という場合がある。幾つかの例では、バッグ1062-eは、患者の切開口を通じた摘出のための、組織検体をより小さな切片へと小さくする/スライスするように構成された複数の切片化ワイヤ(図示されてはいない)を備えている。膨張チャネル層(例:タフト11331を有する膨張可能チャネル11121)が、内側バッグ10626の外側に取付けられる。幾つかの例では、膨張チャネルは、内側バッグ10626上に溶接されたフィルムの単一の層から形成され得る。代替的には、膨張チャネルは、2つの層を用いて作り出され、内側バッグ10626の外側に、溶接、接着剤、感圧接着剤、又は当技術分野で公知の類似の代替手段を通じて別個に取付けられ得る。
図38Gはまた、1つ以上の二次元(2D)外側バッグ10446を示してもいる。幾つかの例では、外側バッグ10446は、最初は「クラムシェル」のような2D構造物として形成され、開放されたときに3Dバッグを作り出す。このような設計は、製造の容易化を補助するのであって、幾つかの例においては製造コストの低減も含まれる。
【0173】
図38Hは、本開示の様々な態様による、バッグ壁3800の断面図を示している。幾つかの例では、
図38Hに示されている断面図は、
図38Gに関連して上で記述されたバッグ1062-eの各種層を示している。見られるように、バッグ壁3800は、複数の層を備えており、該層には、リターン電極10444、第1のチャネル層10443(バッグフィルム層10443とも呼称される)、膨張チャネル層10445、及び膨張チャネル層10445とバッグフィルム層10443の間の空気(又は他の流体)を含むギャップ層10447、が含まれる。幾つかの例では、バッグフィルム層10443は、
図38Gの内側バッグ10626と同一か又は実質的に類似である。上記されたように、膨張チャネル層10445は、内側バッグ(又はバッグフィルム層10443)に取付けられ得る。幾つかの実施形態では、層10443、10445の間のギャップ10447は、空気又は他の流体で充填されており、このことは、検体バッグ1062-eの内側と外側の間に断熱及び/又は電気絶縁を提供することに役立つ。
【0174】
図38Iは、本開示の様々な態様による、検体バッグ1062-fの一例を示している。この例では、検体バッグ1062-fは、開口部10656を有する内側バッグ10626、開口部10656の反対側の基部1069、及び該基部と開口部の間の1つ以上の側壁10813、を含む。内側バッグ10626は、切片化手順の間、組織検体(例:
図38A及び38Eで組織検体10666として示されているような)を保持するような形状及びサイズである。膨張チャネル層は、
図38Gの膨張可能チャネル11121に類似か又は実質的に類似であり得るのであって、内側バッグ10626の外側面に取付けられている。幾つかの例では、膨張チャネル層(又は膨張可能チャネル11121)は、内側バッグ10626層上に溶接されたフィルムの単一の層から形成され得るのであって、その際、膨張可能チャネル層は、内側バッグ10626の頂部開口に向かって、又はその近傍に、延びている。これにより、1つ以上の追加的なバッグ層(例:外側バッグ層)と共に用いられ得るか又はそれらなしで用いられ得る、冗長収容層が作り出される。
【0175】
図41A及び41Bは、本明細書で開示される検体バッグのいずれかと共に使用されるように構成された膨張可能チャネルシステム11601の各種図を示しており、本明細書で開示される検体バッグには、少なくとも検体バッグ1080、1062、及び/又は10101が含まれる。この膨張可能チャネルシステム11601は、複数の膨張可能チャネル11121を含んでおり、ここで、膨張可能チャネル11121は、
図28-36、及び/又は38A-38Iに関連して記述された膨張可能チャネルに類似か又は実質的に類似である。上記されたように、幾つかの実施形態では、膨張可能チャネル11121は、タフト11331によって示されている、タフト設計を利用し得る。
図41A及び41Bに見られるように、膨張可能チャネル11121は複数の中断部(例:円状中断部)を備えている場合があり、それは、例えば、マットレス又は枕のようなタフト11331である。幾つかの例では、タフト11331はオプションである場合があり、又は
図41A及び41Bに示されたものとは異なる形状(例:正方形)を有する場合もある。
【0176】
本開示は、検体バッグ及び統合型のコネクタキャリアを利用する組織検体摘出のための装置、システム、及び方法を提供する。
図1は、本開示の様々な態様による、検体バッグとコネクタキャリアのアセンブリ10100の一例を示している。検体バッグとコネクタキャリアのアセンブリ10100は、図示された実施形態において統合されているので、これは単に「検体バッグアセンブリ」と呼称され得る。この検体バッグアセンブリは、バッグ開口部に取付けられ得る可撓性リング10102を有する検体バッグ10101を含んでいる。図示された実施形態の可撓性リング10102は、十分に薄く可撓性である金属から作製され、ばねのような性質を有し得る。図示された実施形態では、可撓性リング10102は、遠位端で可撓性部材10103と結合され、近位端10104で堅く保持される、2つの別個のばねアーム10107-a及び10107-bを含んでいる。可撓性リングが、より多くの、又はより少数の、別個の構成要素を備え得ることが考えられ、例えば、可撓性リングが単一の可撓性リングである場合もあれば、より多くの別個の部分を有している場合もある。図示内容を通じて、検体バッグ10101は、その壁内に、又はその壁に隣接して、複数の切片化構成要素を含み得る。
【0177】
検体バッグ10101とカニューレアセンブリ(
図1には示されていない)の間の中間位置には、コネクタキャリア10105が示されている。コネクタキャリア10105は、後続の図中で図示されかつ記述される幾つかの機能を実施する。その機能は、切片化機器に取付けられるように構成されたコネクタを保持することと、バッグ開口部を開閉させるための可撓性リング10102に沿った移動のための案内を提供することと、バッグから離れる方向に延びるリターン電極ケーブル10108のためのチャネルを提供することと、リターン電極ケーブル10108を引張ることによって適用され得る力を緩和させるために、リターン電極10108をアセンブリの近位端で固定することと、外側管の最も遠位の位置に機械的アンカーを提供すべく、カニューレ又は外側管と統合できるロックを提供することと、を含む。リターン電極10108は、切片化機器がRF電力を供給される実施形態において、切片化機器の部分にプラグインされるように構成され得る。このような実施形態では、検体バッグ10101内で導電性材料に取付けられ得るリターン電極10108は、切片化機器及び切片化構成要素(例:ワイヤループ)によって作り出される回路を検体バッグ10101内で完結させることができる。RF電力型切片化装置の実施形態は、本開示を通じて図示及び記述される。
【0178】
図39は、製造中にコネクタキャリア10105(
図1にある。
図39には図示されていない)を中に装填することができる導入管10201(又はカニューレアセンブリ10201)の一例を示している。幾つかの実施形態では、コネクタキャリア10105は、機械的アンカー(例:
図1の機械的アンカー10802)に近接して配置され得る。幾つかの事例では、導入管又はカニューレアセンブリ10201は、内側管10206及び外側管10203を受け入れるような形状及びサイズである。幾つかの例では、外側管10203は、内側管10206を受け入れるような形状及びサイズである。さらに、内側管10206は、近位端部グリップ10204も備え得る。製造中、検体バッグ(例:検体バッグ10101、バッグ1062等)は、巻き取られて外側管10203の内部に配置され得る。導入管10201が切開部位を通って挿入された後、内側管10206を前進させることによって患者の体内に検体バッグを前進させることができるのであって、このように、内側管10206は外側管10203内に押し込まれる。幾つかの事例では、医療用グリップ部分10202が、内側管10206と外側管10203を、それらが完全に延ばされた位置と完全に覆われた位置の間の任意の位置に配置され得るような形で取付けるように、用いられ得る。即ち、内側管及び外側管は、端部同士で接した位置に、又は内側管が外側管内にある位置に、又はその間の任意の位置に、配置され得るのである。
【0179】
バッグ10101が前進するとき、ばねアームアセンブリ(例:ばねアーム1021-a、1021-b)は、ばねアームが外側管10203の遠位縁部10205を超えて延びていくにつれて、バッグを開放し始める。コネクタキャリア10105が遠位縁部10205に到達していくにつれて、コネクタキャリア10105の頂部部分内に統合された機械的アンカー(例:
図1中の機械的アンカー10802)が外側管10203内の開口部10207(本明細書中では、「固定用開口部」とも呼称される)とインターフェース接続し、それを導入管又はカニューレアセンブリ10201内部の位置に固定することができる。幾つかの実施形態では、機械的アンカー10802は、それが開口部10207に到達して突出し、外側管10203の内部のその位置にコネクタキャリア10105を固定するまで、導入管10201の内部で押し下げられた位置にとどまっている、ばね式戻り止め機構として実装される。例えば、幾つかの事例では、コネクタキャリア10105の機械的アンカー10802が開口部10207内に固定されているとき、ユーザは、内側管10206を前進させるか又は引込ませることにより、検体バッグの開閉を制御することができる。幾つかの事例では、ヒッチ又は他の適用可能な要素が、ばねアームアセンブリに取付けられ、内側管10206によって移動させられ得るように構成されている。ヒッチの運動によって、ばねアームがコネクタキャリア10105の側面まわりでスライドさせられる。上記されたように、ばねアームは、バッグに結合されていてよいし、かつ/又はバッグを保持するように使用されてもよい。従って、上図に関連して記述されたばねアームアセンブリは、検体バッグが開放位置にある拘束解除位置と、バッグ開口部が外側管10203の遠位縁部10205に接して閉鎖されているか又は束ねられている引込み位置の間を、移動させられ得る。
【0180】
図40は、
図39の導入管10201が第2の前進位置にある状態のコネクタキャリアアセンブリ10100の一実施形態を示しており、1つ以上の実施形態による1つ以上の検体バッグ10101は開放位置へと展開されている。
図40は、内側管10206であって、内側管10206の大部分が外側管10203の内部に配置されるように全体的に押し込まれている、内側管10206を示している。検体バッグ10101及びばねアームアセンブリ(ここでは図示されていないが、
図18及び19においてばねアームアセンブリとして示されている)は、結果として、外側管10203から外に押し出されている。この例では、ばねアームアセンブリは描かれていないが、これは、検体バッグ10101の頂部が、ばねアームアセンブリを検体バッグ10101に取付けるために、オプションである複数の可撓性ループ10310を備えることを示すためである。幾つかの例では、オプションである複数の可撓性ループ10310は一緒に束ねることが可能であり(例えば、検体バッグが巻き取られ、外側管10203内に配置されているとき)、又は、それらは、可撓性リング/ばねアームアセンブリが前進させられたときに互いに離隔されて広げられ、検体バッグ10101の頂部を開放状態に保つことができる。
【0181】
幾つかの事例では、外側管10203及び内側管10206(即ち、導入管10201全体)は、例えばバッグの体外露出の後で、検体バッグアセンブリ10101から脱離させられ得る。この脱離は、内側管10206を、オプションである機械的アンカー10802が外側管の開口部10207をロックする位置を超えて前進させることによって実施され得る。幾つかの例では、内側管10206は、機械的アンカー10802を開口部10207から解放することによって前進させられ得る。非限定的な1つの例では、機械的アンカー10802はばね式戻り止め機構を備えており、その場合、ばねは、内側管10206を前進させる際に手動で押し下げられ得る。さらに、内側管10206は、近位グリップ部分10204に、又はその近傍に、機械的停止部10305を備え得る。機械的停止部10305は、製造及び輸送の間に内側管10206内に挿入されていることができ、それにより、内側管10206がアンカー10802を外側管10203内に固定する位置に向かって前進してしまうことを、制限することができる。幾つかの例では、ユーザが機械的停止部10305を除去し、内側管10206が前進することができるように、かつ外側管10203が機械的アンカー10802から解放されることができるように、することができる。
【0182】
本開示の様々な態様によれば、1つの例示的な適用では、
図2に示されているように、発展的な電気外科手術システム200が提供され得る。システム200は、2015年7月21日に出願され、2014年7月22日に優先日を有する、「大容量の組織を縮小して摘出するシステム及び方法」と題された、本出願人の国際特許出願PCT/US15/41407号に記載された、組織切片化及び/又は摘出等の機能の幾つか又はすべてを実施するように構成され得るのであって、上記出願の開示内容全体は、すべての目的のための参照によって、あたかも本明細書において完全に記述されているかのように、本明細書に組み込まれる。システム200は、複数のリード106によって一緒になるよう結合された電気外科手術装置102及び発電機104(例:RF発電機)を含み得る。システム200はさらに、コントローラ108、バッグ161、及び複数の電極/ワイヤセット151、160を備える。幾つかの例では、電極/ワイヤセットの各々は、複数の電極/ワイヤを備えている。例えば、第1の電極セット160は、電極/ワイヤ157、159を備えており、第2の電極セットは、電極セット153、155を備えている。この例では、発電機104は、コントローラ108を含む。幾つかの例では、バッグ161は、本明細書で開示される検体バッグに類似であるか又は実質的に類似であり、本明細書で開示される検体バッグには、少なくとも検体バッグ1062が含まれる。
【0183】
本明細書において特段の記載がない限りは、「切片化装置」という用語は、組織分割のための装置を含むものと理解されたい。さらに、この用語は、機械的切片化行為を含み、かつ/又は電気外科手術的切開行為を、例えばバイポーラ切片化行為又はモノポーラ切片化行為を含んでもよい。
【0184】
幾つかの実施形態では、
図3に示されているように、固定テザーを形成するように管と統合されたリターンケーブル2602が提供され、ユーザがバッグ161を体外露出させることを可能にしている。
図3は、本開示の様々な態様による、インフレータ300の側断面図である。幾つかの実施形態では、摘出バッグ161は、低圧空気を用いて膨張させることができるバッグ内の複数の膨張領域2604を含む。これらの膨張領域2604は、バッグ161のバッグ開口部及び/又は側壁に剛性を提供し、バッグ161内に組織検体を装填することを補助するように用いられる。膨張領域2604は、共通の膨張管2606を含んでいるか又はそれに結合されている場合があり、ここで、膨張管2606は、リターン電極ケーブル2602と並んで、摘出バッグ161が組織検体を装填するために挿入されたときには患者の体外へ突出している。
【0185】
幾つかの実施形態では、リターン電極ケーブル2602と膨張管2606は、一緒になるよう機械的に取付けられており、かつ、それらは、以下のように、即ち、組織検体が装填された後にそれらがバッグ161を切開部位に向かって引張るための手段として用いられ得るように、摘出バッグ161を出る位置に機械的に支持されている。バッグ161を収縮させた後に、バッグ開口部は切開部位を通るように引張られるのであって、これは、リターンケーブル2602及び膨張管2606のアセンブリを、以下に至るまで、即ち、バッグ開口部又はバッグ開口部の一部分が体外露出させられ、ユーザが残るバッグ開口部を患者の体外に引出すことができるようになるまで、引張ることによって行われる。リターンケーブル2602と管2606の統合部は、成型アセンブリであるか、両方の構成要素の周囲に適用されたフィルムであるか、1つのアセンブリとして一緒になるよう積層されているか、共通のアタッチメントの長さに沿って一緒に結び付けられているか、又は、接着剤又は他の手段を用いて結合されている、という場合がある。
【0186】
図4に移ると、1つ以上の実装により、組織摘出バッグシステム400が、システム200のために設けられている場合があり、その場合、組織摘出バッグシステムはバッグ2700を備える。バッグ2700は、本明細書に記載のバッグ10101、161、1062、及び/又は1080のうち1つ以上に類似であるか又は実質的に類似であり得る。バッグ2700は、電極/ワイヤをバッグ2700の内側面に固定する穿孔部2701を含有する、フィルム2702の薄い層を利用することができる。これらの穿孔部2701は、事前張力付与ステップの間の電極/ワイヤの解放を制御するように設計される場合もあれば、選択位置にある電極/ワイヤを部分的に解放し、かつ切断中の電極/ワイヤの移動の間には残存位置にある電極/ワイヤ解放するように、設計されている場合もある。事前張力付与の間の電極/ワイヤの解放を制御することは、穿孔層が取付けられる材料の厚さ及び剛性と同様に、穿孔部2701を含有するフィルム2702の厚さTと弾性を組み合わせつつ、長さの構成ごとに穿孔部を選択することによって達成され得る。
【0187】
加えて、フィルム2702がバッグ2700に取付けられていない寸法の幅Wが、ワイヤチャネル2707を画定する。ワイヤチャネル2707(
図21Bのワイヤチャネル層10443としても示されている)は、ワイヤ(例:既に説明された電極/ワイヤセット151、又は本明細書に記載の任意のワイヤ10428又は電極)の能力に関連する重要な寸法であり、その能力とは、電極/ワイヤ151を解放するために必要な分離を作り出すように張力が適用される際、ワイヤが穿孔部2701を破って進む能力である。最適なワイヤ解放性能を提供するために、長さの値及び上記のパターン当たりの穿孔部に加えて、この幅Wが、フィルム2702の材料の弾性及び/又は厚さTと組み合わせられて調節され得る。
【0188】
幾つかの実施形態では、組織摘出バッグ2700のためのワイヤチャネル2707の幅Wは、0.5cm未満(又は0.200インチ未満)であり、幾つかの実施形態では、その幅は1.63cm未満(又は0.064インチ未満)である。電極/ワイヤセット151が穿孔部を分離する可能性を上昇させることを補助するための他の手段は、フィルム2702内に互いに平行な穿孔ライン2701を有することにより、ワイヤがチャネル2707内で経路付けられ、穿孔ライン2701を破って進む可能性がより大きくなるようにすることである。
【0189】
これらの値の適切な組み合わせを選択することにより、電極/ワイヤの解放を、以下のように、即ち、電極/ワイヤが切断の間に前進する際に進行し、電極/ワイヤが穿孔チャネル2707に沿ってガイドされ得るように、行うことが可能になり、その結果として、切片化切断の予測性が上昇する。このことは、穿孔部2701を有する、一部又はすべての区画にわたって長さ値の同じ穿孔部を有することによって達成される場合があり、異なる区画で長さ値の異なる穿孔部を用いることによって改善されることもでき、線形、対数、又は他のパターンで増加又は減少する長さ値の穿孔部であることもでき、又は、電極/ワイヤが移動する際に分離を改善する開放領域(窓)2709に従うパターンの穿孔部2701であることもできる。
【0190】
当業者であれば、複数のワイヤがバッグ内で用いられるとき、RFエネルギー等の電力を組織に印加するように意図されたワイヤセットが、電力又はRFエネルギーを有することを意図されていないワイヤセットの近傍で交差する交点が生じることは、理解できよう。幾らかの量の電力が、非アクティブなワイヤセットと、容量、誘導性、又は導電性のいずれかで、結合してしまう。このことによって、電流密度を低下させる可能性がある、意図しないワイヤセットの切断が生じ得るのであって、アクティブな電極の全表面積が増加するので、所望の切断性能は達成されなくなる。そのため、意図しないワイヤセットの切断を避けるために、この結合を管理しなければならない。
【0191】
図16を少し参照すると、幾つかの実施形態では、1つ以上の電極ワイヤ9908が、フィルム9910又はバッグ壁9906の一部に成型されているか、又はそれに含有されている場合がある。
図16は、1つ以上の実装に従い、幾つかの電極ワイヤ9908がどのように位置決めされるかを示す平面
図1600を示している。さらに、
図16は、
図21A及び/又は21Bの1つ以上の態様を実装する。
【0192】
幾つかの実施形態では、上記の結合は、意図されたワイヤセットと意図されていないワイヤセットの間に高度な離隔を提供することによって、電気的に管理され得る。これは、上記交点に、チャネルの穿孔部を整列させることによって達成され得る。これにより、導電性結合には最大の利益がもたらされ、容量結合にはより高い誘電性がもたらされる。
【0193】
離隔を向上させることに加え、電場の全体の振幅を小さくすることも可能である。これは、アクティブなワイヤが組織に対して有する露出の量を制御することによって達成される。ワイヤと組織の間の接触が増加させられると、実効インピーダンスは小さくなり、その結果、ワイヤに沿った電場の振幅は小さくなる。加えて、ワイヤセットの電圧が、アーク放電が始まるレベルに達すると、そのアーク放電の経路は、好ましくは組織を通り、意図されていないワイヤセットは通らない。
【0194】
上記の結合は、切断を意図されたワイヤセットに対しては、意図されていないワイヤセットよりも高い機械的負荷をかけることによって、機械的に管理されることができる。これは、別個の事前張力によって、又は切断プロセスの持続中に適用される異なる力によって、達成され得る。上記の結合が、意図されたワイヤセットと意図されていないワイヤセットの間で観察された場合、意図されたワイヤセットが組織を通過するにつれて、2つのワイヤセット間の力の差によって、その2つの間の分離は拡大される。この拡大された分離によって、2つのワイヤセットの間の結合の大きさは縮小され、究極的には重要でないレベルまで小さくなる。
【0195】
引き続き
図4を参照すると、バッグ材料内の穿孔部2701が、又は代替的にはハンモックアセンブリが、以下に至るまで、即ち、力又は温度上昇によって補助された力が、ワイヤの解放を可能にすることができるまで、ワイヤを固定又は収容しておくための一時的な方法として用いられる。例えば、上で言及した
図21Bは、アクティブ電極10442の頂部に配置されたフィルム/穿孔層10441を示している。幾つかの例では、フィルム/穿孔層10441は、比較的低い融点(例:摂氏50度未満、摂氏60度未満)を有するように選択され得る。当業者であれば、穿孔層を含有する材料又はワイヤを取付ける材料が、非常に低い融点を有するフィルムであるときには、ワイヤチャネルは、主として電力又はRFエネルギーでのアクティベートから生み出された温度で解放されるように構成され得ることが、理解できよう。このようにすると、機械的力は、ワイヤをバッグから解放する二次的な手段であり、切断のためにアクティベートされたアクティブな電極ワイヤは、開始時に、より容易に解放される。
【0196】
図21Bに関連して記述されたハンモックアセンブリ1044の穿孔層10441等のバッグ穿孔部及び/又は穿孔層から離脱するワイヤセットの能力を高めるために、ある特徴がワイヤと組み合わせられる場合がある。例えば、電極/ワイヤセット151(
図21Bではアクティブ電極10442としても知られている)のワイヤは、ワイヤが組織を通って移動する際の穿孔部の引き裂きを改善するために、ワイヤ又はテフロン(登録商標)管に取付けられた楔形状の特徴を有している場合がある。
【0197】
幾つかの実施形態は、切開部位を通じて摘出するには大きすぎる切断組織切片の存在可能性を低減するように構成され得る。幾つかの実施形態では、複数の層のアクティブ電極ワイヤセットが、バッグの層に穿孔部と共に取付けられている。
【0198】
例えば、電気外科手術装置102が、別個の4つのアクティブ電極ワイヤセットに電力を印加する4つの張力付与機構を有するように設計されている場合は、バッグは、外側層、外側層に結合されたリターン電極を有する第2の層、及びバッグの内側に積層された一連の内側層、を備え得る。これらの内側層の各々は、穿孔部を有する絶縁層であり得るのであって、穿孔部と共に取付けられた4つのアクティブ電極ワイヤセットを有する層の長さを走っている。これらの層は、それらが容易に外側層に挿入され得るように、外側層の形状に従い得る。それらの層はまた、内側層が所定の位置にあるときにリターン電極が組織に対して露出するように、各層の底部領域に開口部を有し得る。ユーザは、アクティブ電極ワイヤセットのコネクタを、最も内側の層から電気外科手術装置102に取付けることができる。
【0199】
組織切片化は、当出願人の出願PCT/US15/41407号に記述されたように実施され得る。切片化が完了し、ワイヤが層から除去されているとき、その層は外科医の手で除去されることができ、例えば、内側層の露出部分を引張って層の穿孔部を分離し、フィルムを除去することができる。この除去により、アクティブ電極ワイヤセットのコネクタの次のセットが露出する。第2の電気外科手術装置102、又は完全伸長位置に再装填され得る装置は、ここで、上記されたのと同じやり方で、組織摘出バッグに対して接続されている場合がある。当業者であれば、これにより、切片化の切断数が増加し、切片化ステップが完了した後により大きな組織切片が依然残っている可能性が小さくなることが理解できよう。バッグの層は、以下のように、即ち、内側層の各々が他のすべての層からわずかに回転されており、すべての切片化ステップが完了した後により大きな組織切片が残されている可能性がさらに小さくなるように、構成され得る。
【0200】
引き続き
図4を見ると、幾つかの実施形態では、フィルム2702は、複数の異なる領域に分離されているのであり、幾つかの実施形態においては、2つの領域に分離されている。底部領域2700-aは、追加の領域2706を含んでいる場合があり、該領域は、図示されているように半球状領域である場合があるが、当業者であれば、バッグ2700の具体的な目的に応じて箱形状又は他の形状が選択されてもよいことは理解できよう。バッグ2700の側部は、側部領域2704を有し得る。事前張力付与及び切断の間に電極/ワイヤによって組織検体に適用される力により、底部領域2706における力が側部領域2704における力よりも小さく、それによって、側部からのワイヤの解放が底部からの解放よりも先になる場合がある。当業者であれば、この傾向を打ち消すために、例えば、底部における第2の厚さT2よりも厚い第1の厚さT1を側部において有するフィルム2702を提供することが望ましい場合があることを、理解できるだろう。穿孔部2701の第1のパターンを有するフィルム2702の側部と、穿孔部2701の第1のパターンとは異なる穿孔部2701の第2のパターンを有するフィルム2702の底部と、を提供することが望ましい場合もある。
【0201】
例えば、
図4は、穿孔部2701を分離するために提供される破断力をより小さくすべく、底部領域2706が、0.001インチ(25.40μm)の厚さのフィルムと、1インチにつき12本の歯(1センチメートルあたり約4.72本の歯)を有する穿孔部と、を有している実施形態を示している。側部領域2704は、約0.0022インチ(約55.88μm)の厚さと、1インチにつき8本の歯(1センチメートルにつき約3.15本の歯)を有するフィルム2702を有しており、それにより、側部領域2704の穿孔部2701を分離するために必要な力が、底部領域2700-aに比べてわずかに大きいことが確実になる、という場合がある。この実施形態は、組織検体の操作及び装填の際、側部領域2704には底部領域2700-aよりも大きな力が生じるという事実を利用し、装填プロセス中の破損を懸念することなく、底部領域2700-aにおいて用いられる穿孔部の力をより小さくすることを可能にする。この構成はまた、側部領域のより大きな力を利用して、電極/ワイヤが、事前張力付与ステップと共に、又はその間に、完全にかつ/又は早期に解放されてしまわないようにする。これにより、切断の間、電極/ワイヤが、以下のように、即ち、穿孔部2701が、組織を通るワイヤの移動を穿孔部2701と整列させるガイドとして機能するように、解放されることが可能になる。
【0202】
図4においては、穿孔パターンの他の例も示されている。幾つかの実施形態では、電気外科手術装置のための回収バッグを製造する方法も提供され得る。該方法は、少なくとも部分的にはフィルム2702でコーティングされている内側領域を有する可撓性バッグ2700を提供することと、以下のようなパターンに合わせて、即ち、少なくとも1つの電気外科手術用の電極又はワイヤの解放パターンを制御するように構成されているパターンに合わせて、フィルムを穿孔することを含み得る。該方法は、フィルム2702であって、側部部分に第1の厚さT1を有しかつ底部部分に厚さT2を有し、第2の厚さT2は第1の厚さT1とは異なる、フィルム2702を提供することを含み得る。
【0203】
図4に示されているように、幾つかの実施形態では、所望の間隔又は位置に開放窓2709又は穿孔層の省略部を設けることにより、バッグの開放が補助される。これらの窓2709は、ワイヤを拘束せず、アクティブ電極ワイヤと組織の間の直接接触を可能にする。穿孔領域又は穿孔壁は、整列を維持するためのワイヤの一時的な取付を提供する。
【0204】
穿孔部を通るワイヤ151の解放に要する力を制御するための、窓2709の穿孔壁に対する割合は、長さごとの穿孔の値と類似のやり方で調節又は選択されてよい。加えて、穿孔壁は、解放の前にはアクティブ電極ワイヤを覆っているので、穿孔壁が離隔層を提供するか、かつ/又は離隔層が穿孔壁を有する、という場合がある。
【0205】
組織検体の周囲の所望の位置に配置された窓2709を有する実施形態では、切断導入及び早期切断性能が改善させられている場合がある。例えば、ワイヤの機械的負荷及び電場分布により、アクティブ電極ワイヤは、好ましくは、バッグ側壁の第1の部分で切断導入を開始することができる。窓2709を第1の部分又はその近傍に配置することが、この導入を改善させるのである。対照的に、壁を第2の部分又はその近傍に配置することは、切断導入を第2の部分に向かって移動させる。対照的に、穿孔壁を第1の部分又はその近傍に配置することにより、アクティブ電極ワイヤ151上に生じさせられた電圧が穿孔壁を通るアークを生み出すことができない限り、第1の部分における切断導入が制限されるという場合もある。従って、窓及び/又は穿孔壁は、バッグの選択された部分が、切断される組織の第1の部分を提供するように、構成され得る。
【0206】
即ち、切断は、組織の第1の領域から組織の第2の領域へと移動していくように制御され得るのである。
【0207】
図5は、本開示の様々な態様による、エプロン及び穿孔壁を有するバッグ500の一例を示している。幾つかの例では、穿孔壁2883は、バッグ開口部の領域まで延びてはおらず、それによって、(1)製造の間、電極又はワイヤの近位端がコネクタ2884内へと終わることか、(2)ユーザがワイヤセットコネクタを容易にガイドすることか、又は、(3)ワイヤが、切片化器具又はワイヤコネクタに取付けられることを意図された他の装置にある対応するレセプタクルへと終わること、が可能になる。ワイヤは、バッグ開口部の近傍では穿孔壁によって固定されてはいない電極又はワイヤの部分を有することにより、バッグの内側表面から自由に延びることが可能になる。
【0208】
図17を参照すると、バッグ10000は、ワイヤ/電極10006の配置を管理するために、外側バッグ10002及びエプロン10004を備えている場合がある。必須ではないが、エプロン10004(又は
図5のエプロン2885)は、1つ以上の開口部を備え得る。
【0209】
図5に移ると、ワイヤを装填の間の損傷から保護するために、「エプロン」又はフィルムのさらなる層2885がバッグに設けられている。このエプロンは、近位端でバッグ開口部に取付けられている場合もあれば、バッグ開口部の近傍に取付けられている場合もある。エプロンは、連続的な円筒形状である場合もあれば、バッグの内側の周囲まわりに延びる又は一連の切片である場合もある。エプロンは、ワイヤ及び/又はワイヤコネクタがエプロンとバッグの他の特徴の間に配置されるように、配置され得る。エプロンは、穿孔部によって収容されていないワイヤがエプロンの下にあるままであるように、バッグの内側表面に沿って、穿孔部の近傍の点又はそれを超えた場所の点に至るまで、遠位方向に延び得る。エプロンを用いることにより、組織は、ワイヤ又はワイヤコネクタに直接接触せず、かつ容易に装填されることができる。エプロンはまた、装填、バッグの操作、及び体外露出の間、ワイヤを保護することもできる。
【0210】
エプロン2885は、ワイヤセットの近位部分又はコネクタを一時的に保持するような、1つ以上のポーチ2881を有し得る。
【0211】
当業者であれば、エプロンは、バッグ表面上に配置された、検体の装填に干渉し得る任意の特徴についての利益を有し得るのであり、かつ/又は、装填、操作、体外露出、又は他の手順ステップの間、の保護の利益を有し得ることを、理解できよう。幾つかの実施形態では、エプロン2885は、アクティブ電極、上記のワイヤ又は電極/ワイヤセット151、機械的部材であって、ワイヤ、ケーブル又はメッシュ等の機械的部材、バッグ表面の突出部、監視電極、温度センサ、圧力センサ、バッグ内に埋め込まれた特徴、及び、他の特徴であって、バッグ内に配置されているか、バッグ内に配置されているか、又はバッグの内側表面の近傍で用いられる、他の特徴を、離隔又は保護することができる。
【0212】
エプロン2885はまた、装填後にバッグの内容物を維持することを補助するための収容フラップ2986(
図6を参照)としても用いられ得る。収容フラップ2986は、エプロンが組織をバッグに装填することを制限しないように、装填された組織検体とバッグの内側表面の間に残るようなサイズであり得る。収容フラップはまた、以下のような、即ち、組織がバッグ内に装填されたときに、組織がエプロンの最遠位端に落下するか又はその下に配置されるような、サイズである場合があり、又は、以下のような、即ち、収容フラップの最遠位端が、装填完了後に組織の上へ持ち上げられるような、サイズである場合もある。結果として、エプロン2885は、早期の又は意図されていない組織の摘出又は配置を制限するように、構成され得るのである。
【0213】
幾つかの実施形態では、電気外科手術装置102は、除去可能エプロン2885を有するバッグを有し得る。除去可能エプロンは、バッグ及び1つ以上の切断電極ワイヤ151の内側に選択的に配置され得る。除去可能エプロンは、ワイヤ151を露出させるために、バッグに対して相対的に移動可能であり得る。
【0214】
図6は、本開示の様々な態様による、引紐2987を有するバッグ600を示している。幾つかの実施形態では、引紐2987が提供され、その引紐2987は、以下のように、即ち、ユーザが収容フラップを閉鎖し、従って組織検体を捕捉しかつ流体を収容することができるように、収容フラップ2986の底部又は遠位端に位置決め又は配置され得る。この特徴は、バッグの内容物がバッグの操作及び体外露出の際に収容されていることが所望である場合に、例えば、組織検体が癌細胞を包含していることが信じられているか又は推測されている場合に、有益であり得る。収容フラップ及び引紐はまた、組織の装填の間にバッグの特徴を保護し得る。
【0215】
(
図6を参照すると)幾つかの実施形態では、2つのエプロン層が設けられており、第1のエプロン層2885は、上記されたようなバッグの特徴を保護するためであり、第2のエプロン層2986は、実質的には上記されたようなやり方で組織検体を収容するように用いられ得る。
【0216】
組織検体の装填後、収容フラップ2986が、バッグ開口部を体外露出させることの補助に用いられ得る。収容フラップの遠位端と、その周囲に沿って結合された引紐2987を用いることにより、切開部位を通るように引紐を引張ることによって、組織検体の周囲の収容フラップの遠位端を持ち上げ、開口部を切開口に向かって引き寄せることができる。引紐は、収容フラップを閉鎖するか又は実質的に閉鎖し、それを切開口を通るようにガイドすることができる。バッグ開口部は、それが切開口を通るように、引張られ得る。バッグが意図された体外露出位置に到着したとき、バッグは準剛性部材2889を用いて開口部の周囲に固定されることができ、膨張させられて固定されることができ、又は、他の機械的手段を用いて保持されることができるのであって、それは担当外科医によって所定の位置に保持されることも含まれる。引紐が緩められると、収容バッグが広がり、かつ/又は切断されて、電極及び/又はワイヤ、又はワイヤコネクタ等の、内側表面上のバッグの特徴へのアクセスが提供され得る。
【0217】
幾つかの実施形態では、エプロン2885が体外露出後まで所定の位置に留まることができるように、バッグを体外露出させるための別個の手段が用いられる場合もある。バッグは、リード又はスツール2888(
図5を参照)を、準剛性部材2889であって、バッグ開口部を、切開部位に向かって、そしてそれを通るようにガイドすることを補助する、準剛性部材2889に結合させることにより、体外露出させられ得る。体外露出後、組織検体が切断されるか、又はユーザがそれを引き裂くことを可能にする穿孔部分2890を有し得る場合には、エプロンは、組織検体の周囲で切開部位からアクセスされ、持ち上げられ、電極及び/又はワイヤ、又はワイヤコネクタ2884等の内側表面上のバッグの特徴へのアクセスを提供する。この実施形態は、装填及び操作の間、腹膜又は切開部位が、組織検体と接触したエプロン層の一部分と接触してしまう可能性を低減するという、さらなる利益を有する。エプロンは、内側バッグ体積の中で多少潰れることがある。この「カーティング」(curtaining)効果により、エプロンは、バッグの内側表面に近接しないようにさせられ得る。エプロンの最遠位端を所定の位置に保持することを助けるために、エプロン及びバッグの内側表面の対応する位置に、特徴が追加されてよい。
【0218】
上記のエプロンの1つの有利な点は、それが、装填の間、ワイヤ及びコネクタを邪魔にならない場所に保つことである。複数の又は異なるエプロンが、異なるワイヤセットを覆うために用いられる場合があり、その際、第1のエプロンが除去されて1つ以上のコネクタが器具に接続させられるために露出させられ、その後、第2のエプロンが除去されて1つ以上の他のコネクタが露出させられる。他の実施形態では、1つのエプロンが、ワイヤを邪魔にならない場所に保ちつつ不注意によるワイヤの絡まりを回避する一方で、器具への接続を可能にするための、ワイヤコネクタのための開口部を有し得る。この実施形態では、コネクタ開口部を有する1つ以上の第1のエプロンが、コネクタへのアクセスを依然可能にしつつワイヤを覆うことができ、一方、1つ以上の第2のエプロンは、器具との接続の前にコネクタを保護するという主目的のために用いられることができる。
【0219】
幾つかの実施形態では、バッグ(例:バッグ1062)は、2つ以上のフィルム層を含んでおり、ここで、2つ以上のフィルム層は、RFシール、溶接、及び/又は収容が所望であるときにルーメンを形成するための任意の他の手段によって、一緒になるよう取付けられる。幾つかの実施形態では、ワイヤがユーザによってガイド部から解放されることを可能にするように、穿孔部が設けられる。フィルムはまた、以下のように、即ち、事前張力付与を適用する前に、ユーザがフィルムを通るようにしてワイヤを「引き裂く」(tear)ことができるように、薄い内側フィルム層を有するように設計され得るのであって、それによって、切断手順の準備の際、事前張力付与導入管が制限されずに切開部位内へ移動することが可能になる。
【0220】
幾つかの実施形態では、延長ワイヤチャネルがエプロンの下に配置されており、コネクタ近傍の近位終端部がバッグの内側表面に取付けられている状態である。この取付は、ワイヤ連結を形成する際にユーザが引き裂くための穿孔部を有するように設計された、ヒートシール連結を用いている場合があり、ユーザが延長ワイヤチャネルをバッグの内側表面から「引き裂く」ことができるように、薄いフィルムである場合もあり、延長ワイヤチャネルが製造中に内部に着座させられる、バッグの内側のスロットに取付けられる場合もあり、かつ/又は、このチャネルをバッグの内側手段に取付ける他の手段であってもよい。幾つかの実施形態では、ユーザがワイヤ連結の間に除去することができる、製造中にコネクタが配置される開口部の近傍のバッグのポーチ又は領域を使用することによって、ワイヤコネクタとの取付が行われる場合がある。
【0221】
延長ワイヤチャネルの形状は、バッグの内側から解放されたときにねじれる可能性を低減するように、設計又は構成され得る。幾つかの実施形態では、比較的幅広い延長チャネルが設けられ得る。幾つかの実施形態では、複数のワイヤチャネルが設けられ、同じ延長ワイヤチャネル上に平行に整列させられる。この延長ワイヤチャネルの幅は、ユーザが連結を行った際のワイヤのねじれに抵抗する。幾つかの実施形態では、この耐ねじれ特徴を向上させるために、マイラーストリップ又は他の材料が、ワイヤチャネルフィルムに取付けられる。幾つかの実施形態では、延長ワイヤチャネルが自然に適切な位置に整列させられて存在するように、マイラーストリップ又は他の材料が、フィルムの外側層と第3の層の間に配置される。
【0222】
幾つかの実施形態は、切片化器具の内部に別個のチャネルを設けている。例えば、切断の間に張力付与機構を整列させるトレイも、別個のチャネルを設け得る。異なるワイヤセットを器具内で分離された状態に保つことにより、異なるワイヤセットの各々が互いにもつれるか又は干渉する可能性が排除される。
【0223】
幾つかの実施形態では、リターン電極ケーブルは検体バッグの遠位部分又は底部から、バッグの内側壁に沿って、バッグ開口部の外へと延びている。リターン電極ケーブルがワイヤセットと干渉しないことを保証するための手段は、切断が弱まらないことを保証するために重要である。このリターン電極ケーブルは、ケーブルを、以下のように、即ち、ポリウレタンフィルムから成るリターン電極ケーブルの「ワイヤチャネル」の下でありワイヤセット同士の間の位置に、ケーブルを内側壁に結合させることによってワイヤセットチャネルを収容するという上記ワイヤチャネルと類似のやり方で、走らせることによって、上記ワイヤセットから分離させられることができる。あるいは、このリターン電極ケーブルは、ポリウレタンフィルムの層同士の間を走らされる場合もあれば、又は、導電性材料をバッグ表面上に積層させることによって、電気絶縁を確実にするために追加される絶縁層と共に作り出される場合もある。
【0224】
図7に移ると、同図は、本開示の様々な態様による、組織摘出バッグのための膨張機構700の幾つかの図を示している。この例では、回収バッグ3130は、システム200のために設けられ得るのであって、かつバッグ3130は膨張可能部分を含み得る。幾つかの例では、バッグ3130は、
図28に関連して記述されている、バッグ1062及び膨張可能チャネル11121の1つ以上の態様を実装する。バッグの膨張は、膨張しているか又は膨張可能なセル3132のハニカムパターンを用いて達成され得る。複数の膨張可能セル3132は、バッグ3130内部で患者と電極/ワイヤの間に熱障壁を設けることができる。内側層に穴が開いたか又は熱的に故障したとき、セル3132は、残存するセル3132を損なわれていない状態に残して潰れ、熱防護を提供し続ける。幾つかの実施形態では、セル3132は、複数の膨張チャネル3132(
図28では膨張可能チャネル11121としても示されている)を含み得るのであって、そのうち一部又はすべては、シリンジ又は停止コック等の圧力保持のための手段を別個に有している。幾つかの実施形態では、バッグ3130は、圧力下に捕捉されて静止した空気を有する独立した小領域を含み得る。
【0225】
膨張させられたセル3132は、組織検体又は電極と摘出バッグの外側表面の外側にある隣接した構造との間に追加の断熱障壁を設ける。対照的に、バッグ全体が単一のセルとして膨張させられた場合、1つ以上の層の故障は、膨張及び断熱の喪失を引き起こす。複数の独立した膨張領域3132をバッグ3130内に設けることにより、個々の領域内の層のうち1つが故障した場合に、その層の断熱性は失われるか又は低下する可能性があるが、しかしながら、残存する膨張セル3132が断熱性を提供し続け、患者に対して生じ得る熱ダメージを最小化し続ける。
【0226】
図7を引き続き参照すると、複数の膨張領域3134(1、2、3、4とラベル付けされている)を有する摘出バッグ3130が提供されており、複数の膨張領域3134は、各々別個の圧力供給源を有しているか又は圧力保持のための別個の手段を有している。当業者であれば、任意の数の膨張領域3134が設けられ得ること、及び、同数又はより少ない数の手段が膨張のために設けられ得ることを、理解できよう。例えば、第1の膨張領域3133は、第2の膨張領域3135に対して、以下のように、即ち、単一の圧力供給源(例:
図28の流体供給源11124)が領域3133、3135の両方を加圧し得るように、流体連通され得る。
【0227】
幾つかの実施形態では、膨張部分又は膨張機能は、ワイヤチャネルに統合されている。例えば、第3の層が、該チャネルに設けられ得る。第1の層は穿孔層であり、第2の層は境界層であり、第3の層は底部層である。境界層及び底部層は、以下のように、即ち、低圧空気又は流体が適用されているときに、チャネルがワイヤチャネルの直接下の提供構造を膨張させるように、シールされている。このことは、ワイヤの直下に断熱を提供する利益を有するのと同様に、ワイヤをチャネルから解放することを補助する構造を提供することを助ける。
【0228】
図8に移ると、同図は、本開示の幾つかの態様による、電気外科手術装置(例:電気外科手術装置102)の幾つかの構成要素の側断面
図800を示している。
図8に見ることができるように、電気外科手術装置102(例:
図2を参照)が、1つ以上のワイヤ電極3302及び組織摘出バッグ3304(バッグ1062としても示されている)を有するように、設けられ得る。
図20-21Bに関連して記述されてもいるように、ワイヤ電極3302は、ワイヤ電極3302を摘出バッグ3304の内側にあるフィルム3306内に埋め込むことにより、組織摘出バッグ3304に結合され得る。組織切断効果は、電力をワイヤ電極3302に対して印加し、フィルム3306を破壊することによって導入され得る。それによって、ワイヤ電極3302はバッグから解放され、組織とワイヤ電極3302の間のスパークが導入され、組織切断効果が達成されるのである。
【0229】
一般的に、当業者であれば、ワイヤを始動させて切断効果を開始することは、例えばRFエネルギー等の電力が印加される際の、ワイヤ電極3302と組織の間の分離の結果であること、及び、ワイヤ電極又のコーティング又はバッグ3304のフィルム材料又は他の任意の構成要素は、この効果を達成するのに適していること、を理解できよう。
【0230】
幾つかの実施形態では、組織サンプルと、ワイヤ電極3302と組織の間の絶縁層と、に事前張力付与するための別個の手段が、この目的のために設けられる。この層は、加圧された空気層、非導電性流体層、ワイヤと組織の間の絶縁フィルム又は層であり得るのであって、この層は、組織サンプルに張力を適用する代替的な機能を提供することができる設計によって、又は、バッグ、取付部、及び事前張力付与機構の、以下のような、即ち、運転の間に、組織ワイヤ/バッグの界面においてギャップが生じるような設計によって、達成され得る。アクティベートされるべき所望のワイヤセットは、RFエネルギー等の電力を印加される場合があり、かつ、電圧を有する十分な電力が印加された後で、ワイヤセットは、組織の表面に向かって引張られ得るか、又は、機械的に、電気的に、又は温度を用いて、別個の層を破断させ、切断効果を開始することができる。一般的に言えば、容易に電気的に除去可能な(又は分解可能な)任意の接着剤又はワイヤ電極を所定の位置に保持するための維持体積部分が、
図8に示されているように設けられ得る。電気的入力を受けて、裸ワイヤ電極3302は、維持媒体(接着剤/維持体積部分)又はフィルム3306を通る切断を行う。この媒体又はフィルム3306の容易な分解により、組織切断効果の導入を促進するための、疑似的な空気ギャップも提供され得る。
【0231】
図9に移ると、同図は、本開示の様々な態様による、摘出バッグシステム900の部分的な透視図及び部分的な透視側面図を示している。ここで、摘出バッグシステムはバッグ161を備えており、リターン電極3420は、そのバッグに取付けられており、かつバッグ側壁を長手方向に下る延長部3421を備えている。これらの延長部3421は、アクティブ電極チャネル3422同士の間に配置されており、かつリング3423を用いてバッグ側壁の遠位部分で電気的に接続されている。図示された構成では、ワイヤ151はリターン電極3420とリング3423で交差するのみであり、従って、当業者であれば、
図21Bに関連して上記されたようなチャネル層10443等によって、リターン電極3420がリング3423でワイヤ151から離隔されるべきであることが、理解できよう。アクティブ電極/ワイヤ151をリターン電極3420から離隔させるために必要とされる離隔部は、延長部3421の使用によって、図示された実施形態では、縮小されている。即ち、幾つかの実施形態では、電気外科手術装置102は、基部又はリング部分3423に結合された、複数の導電性細長部分又は延長部3421を含み得る。加えて、この構成は、切断の開始時に発生する最小の測定インピーダンスを提供した(例えば、バッグ又はリング3423の底部近傍において)。ワイヤ151が組織内へと移動していくにつれて、インピーダンスは徐々に上昇し、ワイヤがリターン電極3420から離れるように移動していくにつれて、切断を維持するためにより多くのエネルギーを提供する。
【0232】
リターン電極3420の1つのさらなる有利な点は、切開部位を通して挿入する際、バッグアセンブリをより容易に小径に圧縮できることである。
【0233】
図2に少し戻ってみると、幾つかの実施形態では、アクティブ電極ワイヤ153、155、157、159の複数のセットを含有する摘出バッグ161が提供され得る。バッグ161及びアクティブ電極ワイヤ153、155、157、159は、第1のワイヤセットと第2のワイヤセットの間の干渉を回避するために、ワイヤ153、155、157、159の特定のアクティベーションシークエンスを有するように設計され得る。ユーザが誤ったシークエンスで電力又はRFエネルギーアクティベーションを実施することを防止するために、コネクタは、張力付与機構連結部と一致するカラーコード及び形状であり得る。関連して、張力付与機構は、ユーザ又はコントローラが選択する、事前決定された運転シークエンスを有し得る。
【0234】
幾つかの実施形態では、組織を所定の位置に保持するために、膨張が特定の領域に(例:バッグの内側体積部分内に、バッグを取り囲む領域又は体積部分内に)提供され得る。
【0235】
図10は、本開示の様々な態様による、4つの別個のアクティブ電極ワイヤセット4202を有する摘出バッグ4200を含む組織摘出システム101001の平面図及び側面図を示している。バッグ4200はまた、ワイヤセットと並行に走っており、ワイヤ同士の間のバッグ表面上に配置されている、膨張可能チャネル4204も含んでいる。これらの膨張可能チャネル4204は、組織検体が装填されるときには収縮させられ、バッグ4200が体外露出されかつ電気外科手術装置102に接続された後で、膨張させられる。この膨張により、バッグ4200上の膨張チャネル4204が、組織検体の表面に接触するまで延び、バッグ4200の周囲まわりでの支持を提供することが生じる。その後、張力付与機構は、切片化プロセスを開始すべく事前張力付与される。膨張チャネル4204の位置は、アクティブワイヤ電極が組織と接触し、チャネル4204との干渉なしで切断を実行できるように、選択され得る。膨張チャネル4204の位置はまた、切断の間全体を通じて組織を支持し、それによって組織が「流れる」ことを低減することもできる。その切断が完了した後では、膨張チャネル4204は収縮させられ、検体の摘出が可能になり得る。この膨張及び収縮は、シリンジ(例:
図28の流体供給源11124として示されている)を用いて実施され得る。幾つかの実施形態では、コントローラ108又は第2の装置が、圧力を自動的に調整するように構成され得る。シリンジを用いた膨張のために適用される体積の許容範囲、自動シリンジ適用を用いた手動での圧力上昇の抵抗、又は自動圧力送達装置内の圧力センサ、を観察することによって、圧力適用の成功に関するフィードバックが実施され得る。
【0236】
幾つかの例では、アクティブ電極及びリターン電極が検体バッグ構成に組み込まれる場合があり、その際、アクティブ電極ワイヤは、多層構成を提供することによって検体バッグ内に組み込まれ得る。非限定的な1つの例では、外側層がナイロン又はエラストマを備えており、外側層に隣接した第1の層は箔状リターン部を備えており、第1の層に隣接する第2の層は絶縁層を備えており、第2の層に隣接する第3の層はアクティブ電極ワイヤを備えており、かつ、第4の又は最も内側の層は穿孔されたバッグ材料を備えている、という場合がある。
【0237】
図11に示されているように、幾つかの実施形態は、検体に事前張力付与するためにデュアルバッグ構成7300を備えている。デュアルバッグ構成7300は、内側バッグ7302を備えており、該内側バッグ7302は装置に対して潰れることによって検体を締め付けることができ、一方、外側バッグ7304は、検体を切断するために用いられるワイヤ/電極を収容又は封入する、という場合がある。また、リターン電極(図示されてはいない)が、外側バッグ7304内に収容されてもよい。
【0238】
図12に示されているように、幾つかの実施形態は、最も外側のバッグ7402内にリターン電極(図示されてはいない)を有するデュアルバッグ構成を提供する。デュアル層バッグ構成7400は、外側バッグ7402が検体を締め付け、リターン電極を収容するように、用いられ得る。内側バッグ7404は、切断のためのアクティブ電極(図示されてはいない)を含み得る。
【0239】
幾つかの例では、本明細書に記載のようなワイヤをバッグに対して一時的に保持することは、幾つかのやり方で実施され得る。上記されているように、バッグは複数の層を含んでいる場合もあれば、ワイヤを所定の位置に一時的に保持するために取付けられた追加的な特徴を有する単一の層を備えている場合もある。バッグは、
図20-24に関連して上記されたように、一緒になるよう溶接又は接着された複数のフィルム部片を含んでいる場合もある。あるいは、バッグは、フィルムを再形成することによって成型される場合もあれば、バルーンに似た型に吹き込まれて形成される場合もある。アプローチ法にかかわらず、ワイヤを所定の位置に保持する手段は、組織の切片化を完了するために解放可能でなければならず、そして解放されなければならない。
【0240】
検体を切片化するためにワイヤを用いる他の重要な特徴は、無線高周波エネルギーを用いるか否かによらず、ワイヤを図示されているようにバッグの側壁に保持することである。ワイヤを一時的にバッグの側壁に取付けて維持することにより、不注意にもワイヤがずらされてしまうこと、又は検体がワイヤに引っかかってしまい検体を完全には装填できないこと、が生じることなく、検体を装填することが可能である。この目的のために、ワイヤは、ループ、穿孔部、又はワイヤに対して適用された張力で解放される類似のバッグ部分を用いて、所定の位置に保持され得る。さらに、上記の保持部分は、ワイヤに対する、保持部分を溶融又は軟化させるエネルギーの印加に反応して、解放される場合もある。さらなるアプローチ法は、ワイヤを保持部分から解放する、機械的引手又はユーザが引張ることができる特徴、を有することである。上記の機械的引手又は特徴は、以下のように、即ち、体外露出の際にユーザがバッグの開口部の近傍でアクセスできるように、保持部分に取付けられた別個の紐であり得る。バッグ自体の中にある膨張可能部分を、保持部分を破り裂くように用いられ得る。
【0241】
ワイヤをバッグに一時的に取付けることの1つの潜在的なリスクは、ワイヤの脱離の際、バッグが破れてしまうことである。複数のバッグ層を用いることは、保持部分の解放に際してもバッグが損なわれないままであることを保証するのに役立つ。保持部分は、バッグの最も内側の層に取付けられ、バッグの外側の1つ以上の追加的な層が、バッグが損なわれず流体を透過させないままであることを保証するために、用いられる。
【0242】
ユーザに対してバッグの完全性に関するフィードバックを提供する追加的な特徴が加えられる場合もある。バッグは、
図28-36に関連して記述されるように、膨張しているか又は膨張可能なチャネルを有することができる。膨張の際、バッグ又は膨張可能チャネルが保持する膨張圧の計測値が、バッグ内での穴の可能性を示唆する。センサを有する圧力バルブの使用は、圧力低下の検出のために用いられ得る。圧力バルブ及び/又はバッグを膨張させる手段又は膨張可能チャネルは、バッグ内に統合されている場合もあれば、代替的には切片化器具自体の内部に統合されている場合もある。他の可能なアプローチには、手順の間、ユーザがバッグの外側を見ることができるようにするための、カメラ及び光源の使用、3つの層のバッグの外側2つの層内における、液体部分との接触に際して色を変化させる変色表示部の使用、又は、流体が2つの層の間に浸透しているか否かをユーザが視覚的に決定することができる透明な外側バッグ層又はフィルムの使用、が含まれる。他の方法は、外側バッグ層の内部に導電性層を、膨張によって外側層とは分離される中央層を、有することである。2つの導電性層同士の間の静電容量は、以下のように、即ち、静電容量式タッチスクリーンプレスと同様に、圧力低下によって静電容量の読み取り値が変化するように、監視することができる。静電容量は、命令に応じて、又は持続的に、一定間隔で計測することができ、又は、圧力が失われた場合にシステムが状況を識別してアラートを発することができるように、閾値を事前に決定しておくことができる。2つの導電性層は、以下のように、即ち、2つの層同士の間の抵抗を用いて圧力損失状況を示すことができるという、抵抗膜式タッチスクリーンと類似のやり方で、用いられてもよい。最後に、バッグの外側2つの層は、滅菌された流体を含むことができ、これにより、手順の過程で液面レベルが低下していない場合には、ユーザはバッグの完全性を確信することができる。
【0243】
ユーザがバッグ内に空隙があると視覚的に判断した場合、バッグの内容物から流体又は組織が失われるリスクを低減するために、その場で接着剤パッチが貼付される場合がある。また、ユーザは、患者の体腔を洗浄(すすぎ及び吸引)することを決定してもよい。
【0244】
本明細書で上気したように、バッグ(例:バッグ161、バッグ1062)の破れは、組織切片化装置を用いているにせよ、単純に組織を切片化しない摘出装置を用いているにせよ、監視、阻止、かつ/又は緩和されるべき潜在的な故障である。
【0245】
次に、
図13を参照すると、外側バッグ層9102、内側バッグ層9104、及びそれらの間の空間9106、を備えた摘出バッグアセンブリ1300が設けられ得る。摘出バッグアセンブリ1300は、本明細書に記載の検体バッグの1つ以上の態様を実装し、本明細書に記載の検体バッグには、
図28に記載の検体バッグシステム11101が少なくとも含まれる。層9102、9104は、ジョイント部9108等、当技術分野で公知の任意の手段を用いて互いに結合又は融着されてよい。
【0246】
幾つかの実施形態では、層9102、9104の間の空間9106内の圧力は、外側バッグ層9102を膨張させるように用いられ得る。外側バッグ層9102内に裂け目が発生した場合、膨張させられたバッグのサイズ又は圧力の減少を探すことにより、圧力損失が視覚的に検出され得る。
【0247】
幾つかの実施形態では、バッグ層9102、9104の間の空間9106に真空が適用され得る。真空は2つの目的のために役に立ち得るのであって、第1に、真空は、外側バッグ層9104がもはや内側層9104に対して引張られることがない場合に、裂け目の視覚的示唆を与えることができる。第2に、裂け目が外側バッグ層9104に存在している場合、真空はバッグ層9102、9104の間の空間に空気を引込み、それによって、他の材料又は流体がその穴から漏出する可能性を最小化することができる。即ち、空間9106内に圧力がある場合、裂け目の発生時、流体を外に、潜在的には患者の体内に、解放してしまう傾向がある一方、層9102、9104の間の空間9106内の真空は、流体の内向きの流れを付勢する傾向を有し得るのである。
【0248】
幾つかの実施形態では、
図14に示されているように、装置102は、CO
2及び/又はN
2Oセンサを備えている場合があり、それは、気腹に用いられるガスの存在を検出するために、例えば導入管内に配置される。
図14は、本開示の様々な態様による、漏出検出部を有するバッグアセンブリの幾つかの構成要素の側断面
図1400を示している。
図14のバッグアセンブリは、本明細書に記載の他の検体バッグの1つ以上の態様を実装し、そこには、摘出バッグアセンブリ1300、バッグ161、及び/又はバッグ1062が、少なくとも含まれる。幾つかの状況では、その間が真空状態であるか又は空気を有しているバッグ161が患者の体腔内に導入される場合、二酸化炭素又は亜酸化窒素等の気腹に用いられるガスがバッグ161の内部空間9204に入る傾向があるので、センサ9202は、以下のように、即ち、該ガスの識別特性の変化を検出し、かつ/又は内部空間9204内のガスが気腹用ガスを有していることを検出するように、設けられかつ構成されるとよい。当業者であれば、センサ9202は必ずしも装置102の内側にある必要はないが、当技術分野で公知であるか又は未だ開発されていない任意の適切な手段を用いたサンプリングのために、内部空間9204に対して露出していることだけは必要であることを、認識できよう。追加的又は代替的には、導入管はまた、バッグの内部を照らすためのオプションの光源を備えていてもよい。非限定的な1つの例では、センサ9202は、光源によって置換される場合があり、又は、光源が、センサ9202に、又はその近傍に、配置される場合もある。
【0249】
幾つかの実施形態では、(図示されていない)管、ルーメン、又はチャネルが、以下のように、即ち、センサ9202を、外側バッグ層9102と内側バッグ層9104の間の中間空間9106に露出させるように、設けられ得る。センサ9202は、バッグアセンブリ1300から離れて位置決めされ、以下のように、即ち、センサ9202がこの中間空間9106の空気の内容物をサンプリングできるように、チャネルに結合される場合がある。幾つかの実施形態では、ルーメン又はチャネルは、
図13に関連して上記されたように、ジョイント部9108に、又はその近傍に、配置され得る。
【0250】
幾つかの実施形態では、層9102、9104の間の空間9106又はバッグ内部空間9204に、以下のように、即ち、センサ9202で検出されたガスの内容物が増加させられ、それによってより正確な漏出の表示が提供できるように、わずかな真空が適用され得る。このわずかな真空は、ポンプ(図示されていない)、排気された空気シリンダ、又は負圧を適用する他の手段を用いて作り出され得る。他の手段には、センサ9202と結合されて空間9106又はバッグ内部空間9204の内容物をセンサ9202に向かって引き、手順の間を通じて負圧を維持できることを確実にする、空気流量制御弁が含まれるが、これに限定されるわけではない。
【0251】
図28に示されているように、幾つかの実施形態では、1つ以上の膨張可能チャネル11121が設けられ、検体バッグ1062の外側層に結合されるという場合がある。追加的又は代替的には、外側バッグ層9102と内側バッグ層9104の間の中間空間(例:
図13の中間空間9106)が膨張させられる場合もある。幾つかの例では、第1の膨張可能チャネル11121が、流体供給源11124(又は、代替的には、真空ポンプ)に結合され、上記のように用いられて膨張可能チャネル内の中間空間に正圧(又は負圧)をもたらす場合がある。
【0252】
幾つかの実施形態では、外側バッグ層9102は、第1の半透明色で作製され、かつ内側バッグ層9104は第2の色で作製され、そしてそれらの間の空間9106が加圧される、という場合がある。このような設計は、漏出検出を補助し得る。例えば、漏出を決定する方法は、バッグ層9102、9104の間の1つ以上の接触点で認識される色の変化を視覚的に決定することを含み得る。視覚的に決定することは、内視鏡カメラ及び/又は光源を用いること、又は外科処置の間又は後で外側層9104を見ることを含み得る。例えば、内側バッグ層が青色を適用されており、外側層が黄色を適用されていた場合、接触領域は、2つの色の層の光学的結合の拡大により、結果として緑色の形状になり得る。幾つかの実施形態では、外科処置が進行する際の、色混合領域のサイズの変化が、特に増加が、2つの層同士の間の接触面積の変化を示唆し得る。固定体積の空気が2つの層の間のこの中間空間に捕捉されている場合、又は使用の前にわずかな圧力が適用されている場合、この色混合領域のサイズの増加によって、1つ以上のバッグ層の漏出を識別することができる。
【0253】
当業者であれば、上記の手順はまた、層間の空間9106が真空下である場合も適用可能であることを理解できよう。例えば、層9102、9104が互いに離れるように引張られている場合にも、漏出が示唆される。
【0254】
幾つかの実施形態では、漏出検出の方法は、水分検出層を設けること、及び/又は導電性流体又は流体によるインピーダンスの変化を表示する電気的パターンを監視すること、を含み得る。
【0255】
次に
図15A-15Cを参照すると、漏出検出部の幾つかの実施形態(1500-a、1500-b、1500-c)は、2つのバッグ層9702、9704の間の空間9706内の真空圧が失われたときに拡大又は「破裂」(pop)する(開封時に破裂する缶詰の蓋に擬えている)、音声又は視覚的表示部9708を設けるか又は用いることを含む。例えば、内側バッグ9704又は外側バッグ9702のいずれかに裂け目が生じたとき、真空喪失表示部9708特徴は破裂、拡大、又は張力付与された第1の状態から第2の状態へ変化し、外科医に対して、以下のことを、即ち、バッグのいずれかの層における裂け目によって、検体バッグの2つの層の間の空隙空間にその真空の喪失が生じていることを、示唆する。
【0256】
漏出検出部の幾つかの実施形態は、バッグ層同士の間の変色水分表示部を設けるか又は用いることを含み得る。例えば、検体バッグ層(即ち、内側バッグ層9704、外側バッグ層9702)が、溶接されたポリウレタンの2つの層から構成され、シールされた内側空間(例:空間9706)が作り出され得る。これら2つの層のいずれかにおける損害又は漏出は、バッグを構成する間に内側空間に適用された変色化学薬品によって示唆され得る。この化学薬品が水をベースとする人間の体液に接触したとき、該体液との化学反応によって薬品の変色が生じ、これは、体腔内の内視鏡カメラによって観察可能であるか、又はバッグ摘出後に外科医によって直接観察されるかのいずれかである。該薬品は、バッグの組み立ての間、ポリウレタンの壁のいずれか又は両方にスプレーされ得る。該薬品は、ルースパウダーとして、又は液体のフィルムとして、構成時に挿入されてもよい。着色された紙又は繊維のストリップにより、変色用薬品を保持することができる。
【0257】
漏出検出の方法又は装置の幾つかの実施形態は、視覚的表示部の使用を含む場合があり、該表示部は、層同士の間にカメラ及び/又は光源を備えている場合もあれば、備えていない場合もある。内側バッグ内に裂け目が生じているか否かの視覚的表示を提供するために、外側バッグ層は、白又は類似の対照をなす材料から作製されるのがよく、それにより、外科医は、器具の使用中に例えばカメラを用いて、又は使用後に、外側白色層上に血を見つけることができる。外側バッグ、内側バッグの変色が、内側バッグ層の裂け目の発生を表示し得るのである。
【0258】
漏出検出装置1500及び方法の幾つかの実施形態は、
図15A、B、及び/又はCに示されているような、表示管又は表示幾何形状等の、1つ以上の真空損失表示部を使用することを含み得る。例えば、1つ以上のポケット、管、又は拡大部材(即ち、音声又は視覚的表示部9708)が、バッグアセンブリの外側層9702のまわりの位置に配置され得る。1つ以上の拡大部材(即ち、音声又は視覚的表示部9708)は、通常の弛緩状態にあっては不分明であり得る、即ち、バッグアセンブリが完全に収容され加圧された通常状態下では、その幾何形状は弛緩状態のままであり得る。しかしながら、漏出が発生した場合には、内側バッグ層9704において、外側層9702上の拡大部材(即ち、音声又は視覚的表示部9708)は拡大し、内側バッグ層の漏出の容易に識別可能な示唆を提供する。
【0259】
幾つかの実施形態では、バッグ層同士の間の空間内の化学療法薬剤が、接触した細胞を殺すように構成されている場合がある。該薬剤は、意図された手順で目標を定めるように選択又は構成された特定の薬剤であり得る。幾つかの実施形態では、該薬剤は、ハイドロゲル又はゲル内に含まれており、それにより、薬剤に接触してきた細胞は、そのハイドロゲル又はゲルの表面にくっつくか又は接着されやすくなる。上記化学療法薬剤は、手順及び/又は患者の既往歴に基づいて選択され得る。例えば、子宮を摘出する場合、バッグの内部空間又はバッグ層同士の間の空間内に入ってくる可能性がある癌細胞に最適に対処することができるように、平滑筋肉腫を表示するための、患者に適した化学療法薬剤が用いられ得る。結腸切除の場合には、腺癌を表示する薬剤が選択され、バッグ内に配置され得る。幾つかの実施形態では、外科医及び/又は腫瘍医は、使用の直前に、化学療法薬剤を選択し、外側層と内側層の間の空間にその薬剤を加える。幾つかの実施形態では、外科医及び/又は腫瘍医は、製造中に、バッグ内又はバッグ層同士の間に配置された前投与化学療法薬剤の範囲の中から選択することができる。この薬剤は、適用安全量の形態で適用される場合があり、又は、内側バッグの外側層又は外側バッグ層の内側層のいずれかにフィルムとして適用される場合もある。
【0260】
漏出緩和の幾つかの実施形態では、層の防腐剤溶液又は消毒液が、本明細書で上記された化学療法薬剤に関連して記述されたものと実質的に類似のやり方で設けられる場合がある。
【0261】
漏出緩和の幾つかの実施形態は、以下のように、即ち、内側層内で漏出が発生した場合、内側層に裂け目を入れる一定量の流体又は他の材料を、吸収性材料が含有するように、内側バッグ層と外側バッグ層の間に吸収性材料の層を配置するか又は用いることを含んでいる。これにより、バッグの両層が器具又は他の機械的エッジによって損傷させられることを防ぐための防護も提供される。該吸収性材料は、繊維、フォーム、ゲル、又は水に対する高い吸収性を有する他の材料、であり得る。
【0262】
漏出緩和の幾つかの実施形態は、流体と接触しているときに硬度又は相を変化させる吸収性材料を提供又は使用することを含む。該材料は、バッグ層同士の間に配置され得る。幾つかの実施形態では、該材料は、ゲルへと変化する乾燥物質であり得る。幾つかの実施形態では、該物質はより硬くなる場合もあればより柔らかくなる場合もあり、ゲルへと変化する粉末又はフィルムである場合もあり、又は化学活性変化の結果として色が変化する場合もある。物質は、バッグの物理的な触診等を通じて検出されるために、相変化してもよい。
【0263】
漏出緩和の幾つかの実施形態は、内側バッグ層と外側バッグ層の間の粘性ゲル材料層を、以下のように、即ち、漏出が発生した場合には、そのゲルが漏出の衝撃を最小化するように構成されているように、使用すること及び配置することを含む場合がある。幾つかの実施形態では、そのゲルは漏出部を閉鎖することができる。幾つかの実施形態では、その漏出部は、漏出が内側バッグ層と外側バッグ層の両方及びゲル層を貫通する確率が低くなるように、バッグの厚さを増大させ得る。幾つかの実施形態では、ゲルは、生体適合性材料から作製されるか、又はそれを含み得る。幾つかの実施形態では、ゲルは、ハイドロゲルを含み得るのであって、それは例えばリターン電極上に配置されている、幾つかの実施形態では、ゲルは、親水性高分子材料、生分解性親水性材料、及び/又は有機親水性材料を含み得る。上記ゲルは、製造時に層同士の間に加えられる場合があり、又は、そのゲルは、その場でルーメンを通して加えられる場合もある。
【0264】
ゲルは、外側層を内側層から断熱するように選択及び構成されている場合があり、それにより、両方の層の裂け目の発生可能性を低下させることができる。
【0265】
漏出緩和の幾つかの実施形態は、複数セル中間層の使用を含む。外側バッグ層と内側バッグ層の間の複数セル層は、内側層が損なわれたときに潜在的に漏出し得る流体の体積を減少させることに供する、多数の内部領域を含み得る。例えば、内側層と外側層を結合させる多数の層は、バッグの内側層と外側層の間の空間内に、空気、流体、ゲル、又は、本明細書に記載の他の漏出緩和手段又は漏出管理手段の、小さな固定体積部分を多数形成し得る。
【0266】
幾つかの実施形態では、空気、流体、ゲル、又は本明細書に記載の他の漏出緩和手段又は漏出管理手段の、小さな固定体積部分は、内側層と外側層の間に配置された第3のバッグ層によって設けられ得る。この第3の層は、内壁、外壁、及び、内壁と外壁を結合させ、それらの間に上記固定体積部分を作り出す、多数の連結壁を含み得る。
【0267】
幾つかの実施形態では、複数セル層は、複数のシールされた流体ポケット又は漏出緩和手段を含み得る。複数セル層は、内側層と外側層の間に配置され得る。複数セル層は、汚染された材料の移動を制限し、癌性組織サンプルの一部等の汚染された材料がバッグアセンブリに裂け目を入れる可能性を低減する。幾つかの実施形態では、複数セル層は、両方のバッグ層の外側に配置されていてもよい。
【0268】
幾つかの実施形態では、二酸化炭素及び/又は亜酸化窒素と反応性の材料が、外側層と内側層の間の空間で用いられるか、又はその空間内に配置され得る。該反応性材料は、フォーム又はゲルを形成するように、又は固化するように、選択又は構成され得るのであって、それによって、内側バッグ層の裂け目の影響を緩和することができる。
【0269】
(バッグの折り畳み及び巻き取り)
外側管内への挿入のために収容バッグを折り畳みかつ巻き取ることは、バッグのサイズ及びバッグ層の数の増大に伴って、多くの課題を提起する。収容バッグを折り畳みかつ巻き取って外側管又はルーメン内に入れるために現在用いられている技術は、複数の点において欠陥がある。幾つかの状況では、バッグを巻き取る方法に焦点を当てることが、巻き取られた収容バッグの径を一定にすることを保証するために重要であり得る。アクティブ電極ワイヤとリターン電極を組み込んだ収容バッグの場合、バッグを完全に広げることで、これらの電極ワイヤを用いたサンプル分割の最適化が容易になり得る。外側管への挿入に先立つバッグの折り畳み及び巻き取りのために、多くの技術が記述される。上記されたように、幾つかの場合、外側管は内側管を受け入れるような形状及びサイズであり、その際、内側管は、巻き取られた収容バッグに結合されているか又はそれに連通されており、巻き取られた収容バッグを外側管の遠位端から広げることに利用される。幾つかの例では、収容バッグは、内側管を遠位方向に押すことによって広げられる場合がある。そのことは、収容バッグを遠位方向に押し、外側管から押し出すことに役立つのである。
【0270】
非限定的な1つの例では、角度をつけた巻き取り方法が利用される場合がある。この例では、収容バッグは、最初に巻き取り軸を含む平面に沿って平坦にされるのがよく、これは、巻き取られた収容バッグの大きさ/体積を最小化することに供し得る。次に、平坦にされた収容バッグが、巻き取りに先立って、バッグの深さの中央領域で、又はその近傍で折り畳まれ得る。幾つかの例では、巻き取りプロセスを該中央領域で開始することは、バッグの底部の大きさを減少させ、かつ/又は収容バッグを完全に巻き取るために必要な巻き取り回数を減少させることに供する場合がある。幾つかの例では、組織検体の挿入が後に続くことが、以下のように、即ち、組織が装填されバッグ開口部が体外露出される際に、例えば組織検体の重量によって、完全に広げられるように、バッグが中央領域の近傍で折り畳まれることを、促進する場合がある。角度をつけた巻き取り方法の幾つかの例では、検体/収容バッグは、外側管への挿入の前に、折り畳まれかつ巻き取られ得る。幾つかの例では、折り畳まれたバッグ上で、バッグ頂部開口の領域と折り畳まれた下部領域の間にわずかな角度を設けることで、外側管への挿入を容易化することができる場合がある。例えば、幾つかの例では、折り畳まれた下部領域は、バッグの装填の前に、バッグの近位側から離れるように角度を有している場合があり、そのことは、巻き取りの後でバッグの近位側の大きさを縮小することに供し得るのであり、それによって巻き取られた収容バッグの外側管への挿入を容易化することができる。
【0271】
収容バッグの折り畳み及び巻き取りのための他の非限定的な例では、互いに平行な(又は実質的に平行な)2本のスティックを利用する場合がある。この例では、第1のスティックは、バッグの折り畳みが起こされる平坦化されたバッグの中央領域に、配置され得る。さらに、第2のスティックは、第1のスティックに平行に、ただし平坦化されたバッグの反対の側に、配置され得る。幾つかの実施形態では、これらのスティックは、収容バッグアセンブリの頂部が所定の位置に保持されている間、折り畳まれたバッグに張力がかかっている状態で、一緒に絞られかつ巻き取られ得る。幾つかの状況では、スティックをバッグに対してわずかな角度を有するよう巻き取ることが、巻き取られたバッグの近位側における、バッグの巻き取り大きさを縮小することを助け得る。
【0272】
幾つかの実施形態では、巻き取られたバッグは外側管内に挿入されることができ、その際、巻き取りスティックを除去することが伴われていてもよいし、伴われていなくてもよい。例えば、幾つかの例では、スティック除去が必要である場合、張力付与されたスティックを巻き取られたバッグの中央部から除去するための空間を与えるために、スティックは、元々のバッグの巻き取りとは反対の方向にほどかれるとよい。収容バッグフィルムの完全性のために、各スティックを覆うようにフィルムを使用する方法が採用され得る。上記の例と同様に、張力付与されたスティックを巻き取られたバッグの中央部から除去するための空間を与えるために、スティックは、元々のバッグの巻き取りとは反対の方向にほどかれるとよい。この例では、2つのスティックの各々がまず除去され得るのであって、続いて、それぞれのスティックフィルムが除去され得る。非限定的な1つの例では、PTFE熱シュリンク等の高潤滑性フィルムが、スティックフィルムとして利用され得る。他の実施形態においては、他の種類の材料が用いられてスティックフィルムが形成される場合もあり、上で挙げられた例は、限定することを意図されたものではない。
【0273】
他の幾つかの例では、折り畳み及び巻き取りの前に、「」字状の折り目が、平坦底部収容バッグに組み込まれる。折り畳み及び巻き取りに先立つ「W」字状の折り目の使用は、使用中に収容バッグの平坦底部を完全に広げることを推進することに供し得る。他の例では、バッグの底床は、以下のように、即ち、それが平坦になり、平坦化されたバッグ本体と平行になるように、(即ち折り畳み及び巻き取りの前に)折り重ねられる。
【0274】
本明細書で開示される要素の各々は、様々なやり方で達成され得る。本開示は、任意の装置の実施形態の変形、方法又はプロセスの実施形態の変形、又はこれらの要素の単なる変形であっても、そのような変形の各々を包含するものと、理解されたい。特に、機能又は結果のみが同じであったとしても、各要素の用語は、等価な装置用語又は方法用語によって表現されるべきであることは、理解されたい。そのような等価な用語、より広い用語、又はより一般的な用語でさえもが、各要素又は作用の記述に包含されるものと、考えられるべきである。そのような用語は、暗黙のうちに本発明に対して認められる広範な範囲を明示するために、必要に応じて置き換えられ得る。
【0275】
一例であっても、すべての行為は、その行為をするための手段として、又はその行為を引き起こす要素として、表現され得ることは、理解されたい。同様にして、開示された各物理的要素は、その物理的要素が可能にする行為の開示を包含するものと理解されたい。この最後の側面に関しては、「切断機構」の開示内容は、-明示的に論じられているにせよそうでないにせよ-「切断」行為の開示内容を包含するものと理解されたい。逆に、「切断」行為のみが開示されている場合、そのような開示内容は、「切断機構」の開示内容を包含しているものと理解されたい。そのような変更または代替用語は、本明細書に明示的に含まれているものと理解されたい。
【0276】
開示された実施形態の上記の記述は、任意の当業者が請求項によって定義された本発明を作製又は使用することができるように、提供されている。これらの実施形態に対する様々な修正は、当業者にとっては容易に明らかであり、かつ、本明細書で定義される一般的な原理は、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、他の実施形態に対しても適用され得る。従って、本発明は、本明細書で示された実施形態に限定されることを意図されたものではなく、本明細書で開示された原理及び新規な特徴と一致する最も広い範囲が与えられるべきである。
【国際調査報告】