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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-18
(54)【発明の名称】新規抗MUC1抗体およびその用途
(51)【国際特許分類】
   C07K 16/28 20060101AFI20240910BHJP
   C12N 15/13 20060101ALI20240910BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20240910BHJP
   C07K 16/46 20060101ALI20240910BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20240910BHJP
   C12P 21/08 20060101ALI20240910BHJP
   C12N 5/0783 20100101ALI20240910BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20240910BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240910BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20240910BHJP
   A61K 47/68 20170101ALI20240910BHJP
   A61K 35/17 20150101ALI20240910BHJP
   A61K 49/00 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
C07K16/28 ZNA
C12N15/13
C07K19/00
C07K16/46
C12N5/10
C12P21/08
C12N5/0783
C12N15/63 Z
A61P35/00
A61K39/395 D
A61K39/395 N
A61K47/68
A61K35/17
A61K49/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024512218
(86)(22)【出願日】2022-08-25
(85)【翻訳文提出日】2024-02-22
(86)【国際出願番号】 KR2022012764
(87)【国際公開番号】W WO2023027534
(87)【国際公開日】2023-03-02
(31)【優先権主張番号】10-2021-0113712
(32)【優先日】2021-08-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0106864
(32)【優先日】2022-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505404220
【氏名又は名称】ペプトロン インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003007
【氏名又は名称】弁理士法人謝国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】チョイ、ホイル
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
4C076
4C085
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B064AG27
4B064CA10
4B064CA19
4B064CC24
4B064DA01
4B064DA13
4B065AA90X
4B065AA90Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA44
4B065CA46
4C076AA95
4C076EE41
4C076EE59
4C085AA13
4C085AA14
4C085AA16
4C085BB11
4C085CC01
4C085DD62
4C085EE01
4C085KA03
4C085LL18
4C087AA01
4C087BB37
4C087BB65
4C087NA14
4C087ZB26
4H045AA10
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA09
4H045BA41
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA20
4H045EA50
4H045FA74
(57)【要約】
本発明は、新規抗体およびその用途に関するものであって、より詳しくは、従来の抗体配列を置換して、生産過程で発生するglycation-related substanceがないことを特徴とする、前記抗体またはその抗原結合断片を含む抗体-薬物複合体または二重特異性抗体、これを含む癌の予防または治療用薬学的組成物および前記抗体またはその抗原結合断片をコードする核酸、該核酸を含むベクターおよび宿主細胞、また抗体またはその抗原結合断片の製造方法に関するものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
MUC1のC-末端細胞外ドメイン内の連続するアミノ酸配列を含むポリペプチドに特異的に結合し、重鎖CDR1、重鎖CDR2または重鎖CDR3を含む重鎖可変領域および;軽鎖CDR1、軽鎖CDR2または軽鎖CDR3を含む軽鎖可変領域のうち、一つ以上を含み、前記軽鎖CDR配列に含まれるリジン(K)残基が他のアミノ酸に置換されたことを特徴とする、抗-MUC1抗体またはその抗原結合断片。
【請求項2】
前記軽鎖CDR配列に含まれるリジン(K)残基は、軽鎖CDRのK24またはK30であることを特徴とする、請求項1に記載の抗-MUC1抗体またはその抗原結合断片。
【請求項3】
前記軽鎖CDR配列に含まれるリジン(K)残基は、アルギニン(R)、ヒスチジン(H)、アスパラギン酸(D)またはグルタミン酸(G)、グリシン(G)、アラニン(A)、バリン(V)、メチオニン(M)、フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W)、ロイシン(L)およびイソロイシン(I)からなる群より選択されるアミノ酸に置換されることを特徴とする、請求項1に記載の抗-MUC1抗体またはその抗原結合断片。
【請求項4】
前記重鎖可変領域は、配列番号1の重鎖CDR1、配列番号2の重鎖CDR2、または配列番号3の重鎖CDR3を含み、
前記軽鎖可変領域は、配列番号4の軽鎖CDR1、配列番号5の軽鎖CDR2、または配列番号6の軽鎖CDR3を含むものである、請求項1に記載の抗-MUC1抗体またはその抗原結合断片。
【請求項5】
請求項1に記載の抗-MUC1抗体またはその抗原結合断片を含む、抗体-薬物複合体。
【請求項6】
請求項1に記載の抗-MUC1抗体またはその抗原結合断片を含む、二重特異性抗体。
【請求項7】
請求項1に記載の抗-MUC1抗体またはその抗原結合断片を含む、キメラ抗原受容体(Chimeric antigen receptor;CAR)。
【請求項8】
請求項7に記載のキメラ抗原受容体を含む、免疫細胞。
【請求項9】
前記免疫細胞は、CAR-T、CAR-NK、およびCAR-MAの中から選択されることを特徴とする、請求項8に記載の免疫細胞。
【請求項10】
請求項5~8のいずれか一項に記載の抗体-薬物複合体、二重特異性抗体、キメラ抗原受容体およびこれを含む免疫細胞のうち、一つ以上を含む、癌の予防または治療用組成物。
【請求項11】
前記癌は、黒色腫などの皮膚癌、肝臓癌、肝細胞癌(hepatocellular carcinoma)、肝細胞性癌、胃癌、乳癌、肺癌、卵巣癌、気管支癌、鼻咽頭癌、喉頭癌、膵臓癌、膀胱癌、大腸癌、結腸癌、胆嚢癌、子宮頸癌、脳癌、前立腺癌、骨癌、皮膚癌、甲状腺癌、副甲状腺癌、腎臓癌、食道癌、胆道癌、精巣癌、直腸癌、頭頸部癌、頸椎癌、尿管癌、骨肉腫、神経芽細胞腫、線維肉腫、横紋筋肉腫、星状細胞腫、神経芽腫、神経膠腫、急性骨髄系白血病(AML)、急性リンパ球性白血病(ALL)、成人T-細胞白血病、慢性リンパ球性白血病(CLL)、有毛細胞白血病、骨髄異形成、骨髄増殖性障害、慢性骨髄性白血病(CML)、骨髄形成異常症候群(MDS)、ヒト白血病ウイルス-1型(HTLV-1)白血病、肥満細胞症、急性リンパ芽球性白血病、リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫または孤立性骨髄腫からなる群より選択されるものである、請求項10に記載の癌の予防または治療用組成物。
【請求項12】
請求項1に記載の抗体またはその抗原結合断片を含む、癌の診断用組成物。
【請求項13】
請求項1に記載の抗-MUC1抗体またはその抗原結合断片をコードする核酸を含む発現ベクターを宿主細胞で発現させる段階を含む、抗-MUC1抗体またはその抗原結合断片の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、MUC1(Mucin 1)に特異的に結合する抗-MUC1抗体およびその用途に関するものであって、前記抗MUC1抗体またはその抗原結合断片は、作製時、純度を高めるためのアミノ酸配列を含む。また、本発明は、前記抗体またその抗原結合断片を含む抗体-薬物複合体または二重特異性抗体、これを含む癌の予防または治療用薬学的組成物並びに前記抗体またはその抗原結合断片をコードする核酸、該核酸を含むベクターおよび宿主細胞、これを用いた抗-MUC1抗体またはその抗原結合断片の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ムチン1(MUC1、Mucin 1)は、多数の糖化した細胞外ドメインを含む膜貫通糖タンパク質である。MUC1の長さは、細胞表面から200~500nmであり、MUC1は、正常上皮細胞の頂端膜に位置する。MUC1は、乳房、胃、食道、膵臓、尿道、肺、腎臓および胆嚢のような多くの臓器の腺上または内腔上皮において発現する。正常組織においてMUC1の負に帯電した炭水化物は、脱水、pH変化、花粉および微生物から基底上皮を保護する物理的な障壁を形成する。MUC1遺伝子は、単一転写物を暗号化する。翻訳後、MUC1は、ウニの精子タンパク質エンテロキナーゼおよびアグリン(SEA)ドメイン内に位置するGSVVVモチーフで自己切断(autocleaved)される。これらはN-末端サブユニット(MUC1-N)およびC末端サブユニット(MUC1-C)の2個のペプチド断片からなる。
初めてMUC1が生成された後、MUC1は、細胞に結合している部分と細胞外に放出(release)され得る部分が非共有相互作用(noncovalent interaction)によって結合し、このとき、開裂(cleavage)は、Sheddaseという酵素によって起こる。MUC1複合体は、IFN-γおよびTNF-αのようなサイトカインの刺激によって分離される。MUC1-N放出は、TNF-α変換酵素(TACE:TNF-α Converting Enzyme)およびマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP:Matrix Metallo-protease)を含む酵素によって起こる。これらの酵素は、MUC1-Cの細胞外ドメインを切断して、2つの切片に分割し、癌が進行するにつれて、この細胞外切片は癌細胞から離れて身体の血液内に浮遊し、細胞と結合している切片は、癌細胞と共に持続的に結合した状態で存在する。
MUC1は、癌細胞の成長に重要であるが、その理由は、他の癌細胞に存在する癌細胞増殖に関連している細胞膜タンパク質との結合によって持続的な細胞増殖シグナルを送り、癌細胞増殖に決定的な役割するからである。また、この部分は、癌細胞の成長から消滅時まで常に一緒にその運命を共にするため、癌検出の良い標的となり、また、癌を除去することができる決定的なバイオマーカー(Biomarker)となる。また、MUC1の他の部分と違い、この部分は唯一グリコシル化(glycosylation)されない部分として知られており、癌と正常細胞におけるMUC1を区別することができる明確な差をみせる部分であると考えられた。そこで、本発明者らは、MUC1の細胞に結合した部分が癌と運命を共にし、正常細胞のMUC1と癌細胞のMUC1を区別できる切片を抗体の最適の抗原とみなし、MUC1-C末端を標的とする抗体を開発した。
この背景技術の部分に記載された情報は、単に本発明の背景に関する理解を向上させるためのものである。よって、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者にとって既に知られた先行技術を形成する情報を含まなくてもよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、MUC1の「細胞に結合している部分」に特異的に結合し、特定の残基において糖化(glycation)が減少された、抗-MUC1抗体またはその抗原結合断片を提供することである。本発明の目的は、MUC1の「細胞に結合している部分」に特異的に結合し、特定の残基において糖化(glycation)が減少された、抗-MUC1抗体またはその抗原結合断片を提供することである。
本発明の他の目的は、前記抗体またはその抗原結合断片に薬物がコンジュゲートした抗体-薬物複合体および前記抗体、その抗原結合断片を含む二重特異性抗体または前記抗体またはその抗原結合断片を含むキメラ抗原受容体(CAR(Chimeric antigen receptor))を含む免疫細胞として、CAR-T、CAR-NK(natural killer cell)および/またはCAR-MA(Macrophage)を提供することである。
本発明のまた他の目的は、前記抗-MUC1抗体またはその抗原結合断片、前記抗体-薬物複合体または二重特異性抗体を含む癌の予防または治療用組成物および治療方法を提供することである。
本発明のまた他の目的は、前記抗-MUC1抗体またはその抗原結合断片を含む癌の診断用組成物および診断方法を提供することである。
また、本発明のまた他の目的は、前記抗-MUC1抗体またはその抗原結合断片をコードする核酸、該核酸を含むベクターおよび宿主細胞、これを用いた抗-MUC1抗体またはその抗原結合断片の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記目的を達成するために、本発明は、MUC1のC-末端細胞外ドメイン内の連続する5個以上のアミノ酸を含むポリペプチドを認識する抗-MUC1抗体またはその抗原結合断片であって、一部のアミノ酸残基が置換された抗体または抗原結合断片を提供する。
好ましくは、抗-MUC1抗体またはその抗原結合断片は、6個の相補性決定領域(CDR)を含み、前記抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1(GYTFTSYWMH)の重鎖CDR1;配列番号2(YINPGTGYIEYNQKFKD)の重鎖CDR2;配列番号3(STAPFDY)の重鎖CDR3;配列番号4(XASQDIXSYLS)の軽鎖CDR1;配列番号5(YATRLAD)の軽鎖CDR2;および配列番号6(LQYDESPYT)の軽鎖CDR3からなる群より選択されるいずれか一つ以上の配列を含み、前記軽鎖CDR配列に含まれるリジン(K)残基が他のアミノ酸に置換されたことを特徴とすることができる。
本発明はまた、前記抗-MUC1抗体を産生するためのハイブリドーマを提供する。
本発明はまた、抗-MUC1抗体またはその抗原結合断片を含む抗体-薬物複合体、二重特異性抗体またはキメラ抗原受容体(CAR(Chimeric antigen receptor))を含む免疫細胞であるCAR-T、CAR-NKおよび/またはCAR-MAを提供する。
本発明はまた、前記抗-MUC1抗体またはその抗原結合断片、前記抗体-薬物複合体または二重特異性抗体を含む癌の予防または治療用組成物および治療方法を提供する。
本発明はまた、前記抗-MUC1抗体またはその抗原結合断片を含む癌の診断用組成物および診断方法を提供する。
本発明はまた、前記抗-MUC1抗体またはその抗原結合断片をコードする核酸、該核酸を含むベクターおよび宿主細胞、これを用いた抗-MUC1抗体またはその抗原結合断片の製造方法を提供する。
MUC1(ムチン1、Mucin 1)は、一般的に正常上皮細胞の一面(頂端膜:apical membrane)で発現し、また、多様な癌腫において高いレベルで異常に発現する。癌で発現するMUC1は、糖化程度が減少し、細胞の全表面で均一に発現し、癌細胞の増殖、侵襲、転移および血管形成を促進させることに関与するため、癌細胞で発現するMUC1は、癌特異的MUC1(ムチン1、Mucin 1)は、一般的に正常上皮細胞の一面(頂端膜:apical membrane)で発現し、また、多様な癌腫瘍で高いレベルで異常に発現する。癌で発現するMUC1は、糖化程度が減少し、細胞の全表面で均一に発現し、癌細胞の増殖、侵襲、転移および血管形成を促進させることに関与するため、癌細胞で発現するMUC1は、癌特異性治療のための標的となる。
特に、MUC1-C(MUC1のC-末端サブユニット)ドメインは、膜貫通または細胞質に位置し、MUC1の細胞外ドメインが酵素によって切り離された後、MUC1-C末端部位(細胞外ドメイン)が細胞表面に残るようになる。本発明は、これを標的とする新規なMUC1C末端に特異的に結合する抗体であって、特に前記抗体のCDRに含まれる一部のリジン(Lysine、K)残基が置換され、当該部分の糖化(glycation)が減少しているMUC1-C抗体またはその抗原結合分子を提供する。
すなわち、本発明は、一観点において、MUC1に特異的に結合する抗-MUC1抗体またはその抗原結合断片に関するものである。
より詳しくは、本発明の抗体または抗原結合断片は、MUC1のC-末端細胞外ドメイン内の連続する5個以上のアミノ酸を含むポリペプチドを認識する抗-MUC1抗体またはその抗原結合断片であり、前記抗体または抗原結合断片のCDR配列内に一つ以上のアミノ酸残基の置換を含むことができる。
本明細書における「抗体」とは、免疫系内において抗原の刺激によって作られる物質を総称し、その種類は特に制限されない。前記抗体は、特定の抗原と疫学的に反応性である免疫グロブリン分子であって、抗原を特異的に認識する受容体としての役割をするタンパク質分子を意味し、ポリクロナール抗体(polyclonal antibody)およびモノクローナル抗体(単一クロナール抗体、monoclonal antibody)と全抗体および抗体断片のいずれをも含むことができる。前記抗体は、非自然的に生成されたもの、例えば、組換え的にまたは合成的に生成されたものであってもよい。前記抗体は、動物抗体(例えば、マウス抗体など)、キメラ抗体、ヒト化抗体またはヒト抗体であってもよい。前記抗体は、モノクローナル抗体であってもよい。また、抗体は、特に断りがない限り、抗原結合能を保有した抗体の抗原結合断片も含むものと理解できよう。
本明細書において「相補性決定領域(Complementarity-determining regions、CDR)」とは、抗体の可変領域のうち、抗原との結合特異性を付与する部位を意味する。前述した抗体の抗原結合断片は、前記相補性決定領域を一つ以上含む抗体断片であってもよい。
本発明において、前記抗-MUC1抗体は、ハイブリドーマから産生されたものであってもよい。
また、前記抗-MUC1抗体またはその抗原結合断片は、前記ハイブリドーマから産生された抗体の相補性決定領域(CDR-H1、CDR-H2、CDR-H3、CDR-L1、CDR-L2およびCDR-L3)または重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含むものであることを特徴とすることができる。
一側面において、本発明による抗-MUC1抗体またはその抗原結合断片は、6個の相補性決定領域(CDR)を含む。前記抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1(GYTFTSYWMH)の重鎖CDR1;配列番号2(YINPGTGYIEYNQKFKD)の重鎖CDR2;配列番号3(STAPFDY)の重鎖CDR3;配列番号4(XASQDIXSYLS)の軽鎖CDR1;配列番号5(YATRLAD)の軽鎖CDR2;および配列番号6(LQYDESPYT)の軽鎖CDR3からなる群より選択されるいずれか一つ以上の配列を含み、前記抗体CDRのアミノ酸残基のうちの一つ以上が他のアミノ酸に置換されたものであってもよい。
より具体的には、本発明の抗体または抗原結合分子で置換されたアミノ酸の位置は、配列番号4の軽鎖CDR配列のうち1番目および7番目のアミノ酸残基である。すなわち、前記置換されるアミノ酸残基は、本発明の抗-MUC1抗体の軽鎖CDRのリジン(K24またはK30)から置換されたものであり、置換されるアミノ酸は、その種類に制限されるものではないが、好ましくは、電気的に極性側鎖を含むアミノ酸であるアルギニン(R)、ヒスチジン(H)、アスパラギン酸(D)またはグルタミン酸(G)であるか、疎水性側鎖を含むアミノ酸であるグリシン(G)、アラニン(A)、バリン(V)、メチオニン(M)、フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W)、ロイシン(L)またはイソロイシン(I)のいずれかであることができ、より好ましくは、アルギニン(R)またはグリシン(G)であってもよい。上記のように、CDRにおけるリジン残基の置換によって前記残基の糖化(glycation)による翻訳語後修飾(Post translational modification)が起きないことによって、proteome complexityが減少するため、高純度の抗体または抗原結合断片を製造することができる効果を有する。
本発明において、前記抗-MUC1抗体またはその抗原結合断片は、MUC1タンパク質、具体的には、MUC1タンパク質のC-末端細胞外ドメイン内の5個、7個、10個、12個以上または好ましくは15個以上のアミノ酸を含むポリペプチド(エピトープ)を認識するか、特異的に結合することを特徴とすることができる。前記抗体またはその抗原結合断片は、MUC1タンパク質の細胞外ドメイン、MUC1タンパク質のSEAドメインまたはMUC1タンパク質のC-末端細胞外ドメインを認識するか、および/またはここに特異的に結合することを特徴とすることができる。本明細書における用語「MUC1特異的抗体」または「MUC1に特異的に結合する抗体」とは、MUC1に結合し、MUC1の生物学的活性の抑制をもたらす抗体を意味し、「抗-MUC1抗体」と混用して使用される。本発明における「抗-MUC1抗体」とは、動物抗体(例えば、マウス抗体)、キメラ抗体(例えば、マウス-ヒトキメラ抗体)またはヒト化抗体であってもよく、モノクローナル抗体またはポリクロナール抗体であってもよく、例えば、モノクローナル抗体であってもよい。ポリクロナール抗体(polyclonal antibody)およびモノクローナル抗体(単一クロナール抗体、monoclonal antibody)をいずれも含む概念であって、好ましくは、モノクローナル抗体であり、無傷の全抗体(whole antibody)の形態を有することができる。全抗体は、2個の全長の軽鎖および2個の全長の重鎖を有する構造であって、不変領域を含む構造であり、それぞれの軽鎖は、重鎖とジスルフィド結合によって連結している。
本発明による抗-MUC1抗体の全抗体は、IgA、IgD、IgE、IgMおよびIgG形態を含む概念であって、IgGは、サブタイプ(subtype)であって、IgG1、IgG2、IgG3およびIgG4を含む。
無傷のIgG形態の抗体は、2個の全長(full length)軽鎖および2個の全長重鎖を有する構造であり、それぞれの軽鎖は、重鎖と二硫化結合によって連結している。抗体の不変領域は、重鎖不変領域と軽鎖不変領域に分けられ、重鎖不変領域は、ガンマ(γ)、ミュー、アルファ(α)、デルタ(δ)およびイプシロン(ε)型を有し、サブクラスとしてガンマ1(γ1)、ガンマ2(γ2)、ガンマ3(γ3)、ガンマ4(γ4)、アルファ1(α1)およびアルファ2(α2)を有する。軽鎖の不変領域は、カッパ(κ)およびラムダ(λ)型を有する。
本発明において、用語「重鎖(heavy chain)」は、抗原に特異性を付与するため、十分な可変領域配列を有するアミノ酸配列を含む可変領域ドメインVHおよび3個の不変領域ドメインCH1、CH2およびCH3とヒンジ(hinge)を含む全長重鎖およびその断片をいずれも含むものと解釈される。また、用語「軽鎖(light chain)」は、抗原に特異性を付与するための十分な可変領域配列を有するアミノ酸配列を含む可変領域ドメインVLおよび不変領域ドメインCLを含む全長軽鎖およびその断片をいずれも含む意味に解釈される。
本発明において、「CDR(complementarity determining region)」は、免疫グロブリンの重鎖および軽鎖の高可変領域(hypervariable region)のアミノ酸配列を意味する。重鎖および軽鎖は、それぞれ3個のCDRを含むことができる(CDRH1、CDRH2、CDRH3およびCDRL1、CDRL2、CDRL3)。前記CDRは、抗体が抗原またはエピトープに結合するにあたって主要な接触残基を提供することができる。
なお、用語「特異的に結合」または「特異的に認識」とは、当業者に通常公知されている意味と同様のものであって、抗原および抗体が特異的に相互作用して免疫学的反応をすることを意味する。
本発明による抗-MUC1抗体の「抗原結合断片」とは、抗-MUC1抗体の抗原、すなわち、MUC1と結合しうる機能を保有した断片を意味し、Fab、Fab’、F(ab’)2、scFv、(scFv)2、scFv-Fc、およびFvなどを含む概念であって、本明細書では、「抗体断片」と同じ意味で混用して使用される。抗原結合断片は、例えば、scFv、(scFv)2、Fab、Fab’またはF(ab’)2であってもよいが、これらに限定されるものではない。前記抗原結合断片のうち、Fabは、軽鎖および重鎖の可変領域と軽鎖の不変領域および重鎖の第一の不変領域(CH1)を有する構造として1個の抗原結合部位を有する。Fab’は、重鎖CH1ドメインのC-末端に一つ以上のシステイン残基を含むヒンジ領域(hinge region)を有する点でFabと差がある。F(ab’)2抗体は、Fab’のヒンジ領域のシステイン残基がジスルフィド結合をなしながら生成される。Fvは、重鎖可変部位および軽鎖可変部位のみを有する最小の抗体片であって、Fv断片を生成する組み換え技術は、当業者に広く公知されている。二本鎖Fv(two-chain Fv)は、非共有結合によって重鎖可変部位と軽鎖可変部位とが結合しており、単鎖Fv(singlechain Fv)は、一般的にペプチドリンカーを介して重鎖の可変領域と軽鎖の可変領域とが共有結合によって連結する、またはC-末端で直接結合しており、二本鎖Fvのように、ダイマーのような構造をなすことができる。前記抗原結合断片は、タンパク質加水分解酵素を用いて得られ(例えば、全抗体をパパインで制限切断すればFabが得られ、ペプシンで切断すれば、F(ab’)2断片が得られる)、遺伝子組み換え技術を用いて作製することができる。
本発明において、用語「ヒンジ領域(hinge region)」は、抗体の重鎖に含まれている領域であって、CH1およびCH2領域の間に存在し、抗体内抗原結合部位の柔軟性(flexibility)を提供する機能を果たす領域を意味する。
前記抗-MUC1抗体は、モノクローナル抗体であってもよい。モノクローナル抗体は、当業界に周知の方法で製造することができる。例えば、ファージディスプレイ(phage display)法を用いて製造することができる。または、抗-MUC1抗体を用いて通常の方法によってマウス由来のモノクローナル抗体として製造することができる。
一方、典型的なELISA(Enzyme-Linked ImmunoSorbent Assay)フォーマットを用いてMUC1との結合能に基づいて個別のモノクローナル抗体をスクリーニングすることができる。結合体に対して分子的相互作用を検定するための競争的ELISA(Competitive ELISA)のような機能性分析またはセル-ベースアッセイ(cell-based assay)のような機能性分析を通じて阻害活性に対して検定することができる。それから強い阻害活性に基づいて選択されたモノクローナル抗体メンバーに対してMUC1に対するそれぞれの親和性(Kd values)を検定する。
本発明による抗-MUC1抗体またはその抗原結合断片の権利範囲には、本発明による抗-MUC1抗体またはその抗原結合断片に含まれた軽鎖および重鎖のCDR1~CDR3のいずれか一つ以上を有し、且つ実施的に同じMUC1抗原に対する結合能および特異性を有するペプチド(peptide)およびアプタマー(aptamer)も含まれる。
本発明は他の観点において、前記抗-MUC1抗体を産生するハイブリドーマに関するものである。本発明は、前記ハイブリドーマが産生する抗-MUC1抗体またはその抗原結合断片を提供する。他の例は、前記ハイブリドーマが産生する抗-MUC1抗体の重鎖相補性決定領域(CDR-H1、CDR-H2、CDR-H3、またはそれらの組み合わせ)、軽鎖相補性決定領域(CDR-L1、CDR-L2、CDR-L3、またはそれらの組み合わせ)、またはそれらの組み合わせ;または前記ハイブリドーマが産生する抗-MUC1抗体の重鎖可変領域、軽鎖可変領域、またはそれらの組み合わせを含む抗-MUC1抗体またはその抗原結合断片を提供する。
このとき、前記相補性決定領域は、通常のいずれの方法によって決定されてもよく、例えば、IMGTの定義(IMGT definition)または Kabatの定義(Kabat definition)によって決定されることができるが、これに制限されるものではない。
本発明において、前記抗-MUC1抗体またはその抗原結合断片は、MUC1-C末端細胞外ドメインを特異的に認識することによって、MUC1-C 末端細胞外ドメインが正常細胞に比べて高いレベルで発現し、少なく糖化された癌または腫瘍細胞において特異的に作用でき、かつ細胞の一面だけでなく全表面に発現したMUC1タンパク質を認識/結合させることができる。また、前記抗-MUC1抗体またはその抗原結合断片は、MUC1タンパク質、特に、MUC1-C末端細胞外ドメインと結合するだけでなく、細胞内に内在化(internalization)されることによって、MUC1媒介の伝達経路(pathway)を効果的に阻害して薬理的効果を極大化させることができる。また、前記抗-MUC1抗体またはその抗原結合断片の内在化(internalization)特性は、抗体-薬物複合体(ADC)として適用される場合に、コンジュゲートした薬物を効果的に細胞内に伝達させることができるという利点を有する。
本発明はまた他の観点において、本発明による抗-MUC1抗体またはその抗原結合断片を含むキメラ抗原受容体(CAR(Chimeric antigen receptor))を含む免疫細胞に関するものであって、より具体的には、CAR-T、CAR-NK(natural killer cell)および/またはCAR-MA(Macrophage)細胞およびこれを含む治療剤に関するものである。前記CAR-T、CAR-NK、CAR-MAまたはこれに含まれる抗-MUC1抗体またはその抗原結合断片の形態は、scFvが好ましいが、これに限定されるものではない。
本発明はまた他の観点において、前記抗-MUC1抗体またはその抗原結合断片に薬物がコンジュゲートした抗体-薬物複合体(Antibody-drug conjugate、ADC)に関するものである。
抗体-薬物複合体(Antibody-drug conjugate、ADC)は、標的癌細胞へ抗癌薬物が伝達される前まで抗癌薬物が抗体に安定的に結合されていなければならない。標的に伝達された薬物は、抗体から遊離し、標的細胞のアポートシスを誘導しなければならない。これのためには、薬物が抗体に安定的に結合すると同時に標的細胞から遊離されるときは、標的細胞のアポートシスを誘導する十分な細胞毒性を有しなければならない。
本発明において、前記抗体-薬物複合体は、本発明が属する技術分野で公然知られた技術によるものであることができる。
本発明において、前記抗体-薬物複合体は、前記抗体またはその抗原結合断片がリンカーを介して薬物と結合されることを特徴とすることができる。
本発明はまた他の観点において、前記抗-MUC1抗体またはその抗原結合断片を含む二重特異性抗体(Bispecific antibody)に関するものである。前記二重特異性抗体は、抗体の2個のアーム(arm)のうち、一つのアーム(arm)は、本発明による抗-MUC1抗体またはその抗原結合断片を含み、残りの他のアーム(arm)は、MUC1以外の他の抗原、好ましくは癌関連抗原または免疫チェックポイントタンパク質抗原に特異的な抗体または免疫効能細胞関連抗原に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片を含む形態を意味する。
本発明による二重抗体に含まれる抗-MUC1抗体以外の抗体が結合する抗原は、好ましくは癌関連抗原または免疫チェックポイントタンパク質抗原として、Her2、EGFR、VEGF、VEGF-R、CD-20、MUC16、CD30、CD33、CD52、PD-1、PD-L1、CTLA4、BTLA4、EphB2、E-セレクチン(selectin)、EpCam、CEA、PSMA、PSA、ERB3、c-METなどから選択されることができ、免疫効能細胞関連抗原としては、TCR/CD3、CD16(FcγRIIIa)CD44、CD56、CD69、CD64(FcγRI)、CD89およびCD11b/CD18(CR3)などが選択されることができるが、これらに限定されるものではない。
本発明はまた他の観点において、前記抗-MUC1抗体またはその抗原結合断片、前記抗体またはその抗原結合断片を含む抗体-薬物複合体、二重特異性抗体、またはキメラ抗原受容体(CAR)を含む免疫細胞を含むMUC1関連疾病の予防および/または治療用薬学的組成物に関するものである。
前記MUC1関連疾病は、MUC1の発現または過発現、MUC1の細胞の全表面に発現し、および/または正常細胞に比べてMUC1タンパク質の糖化減少と関連した疾病であってもよく、例えば、癌であってもよい。前記正常細胞は非-腫瘍細胞であってもよい。これによって前記MUC1関連疾病は、好ましくは癌または腫瘍であるが、これらに限定されるものではない。
用語「癌」または「腫瘍」は、典型的に調節されない細胞成長/増殖を特徴とする哺乳動物の生理学的状態を意味する。
本発明における組成物で治療可能な癌または癌腫は特に限定されず、固形癌および血液癌を全部含む。このような癌の例には、黒色腫などの皮膚癌、肝臓癌、肝細胞癌(hepatocellular carcinoma)、肝細胞性癌、胃癌、乳癌、肺癌、卵巣癌、気管支癌、鼻咽頭癌、喉頭癌、膵臓癌、膀胱癌、大腸癌、結腸癌、 胆嚢癌、子宮頸癌、脳癌、前立腺癌、骨癌、皮膚癌、甲状腺癌、副甲状腺癌、腎臓癌、食道癌、胆道癌、精巣癌、直腸癌、頭頸部癌、頸椎癌、尿管癌、骨肉腫、神経芽細胞腫、線維肉腫、横紋筋肉腫、星状細胞腫、神経芽腫、神経膠腫、急性骨髄系白血病(AML)、急性リンパ球性白血病(ALL)、成人T-細胞白血病、慢性リンパ球性白血病(CLL)、有毛細胞白血病、骨髄異形成、骨髄増殖性障害、慢性骨髄性白血病(CML)、骨髄形成異常症候群(MDS)、ヒト白血病ウイルス-1型(HTLV-1)白血病、肥満細胞症、急性リンパ芽球性白血病、リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫または孤立性骨髄腫からなる群より選択されることができるが、これらに限定されるものではない。
より好ましくは、前記癌は、MUC1タンパク質が発現されたことを特徴とし、乳癌、膵臓癌、前立腺癌、肺癌、甲状腺癌、胃癌、卵巣癌、大腸癌、肝臓癌、胆嚢癌、腎臓癌、子宮頸癌、または膀胱癌であってもよいが、これらに制限されるものではない。前記癌は、原発性癌または転移性癌であってもよい。
前記MUC1関連疾病は、NASH(Non-Alcoholic SteatoHepatitis)またはTGF-β-mediated immune diseaseであってもよいが、これに制限されるものではない。本発明の一実施例において、前記癌の予防および/または治療用薬学的組成物、方法および用途において、前記抗-MUC1抗体またはその抗原結合断片は、単独有効成分として提供されるか、抗癌剤などの細胞毒性物質と併用投与されうるか、或いは抗癌剤などの細胞毒性物質とコンジュゲートした複合体(antibody-drug conjugate;ADC)の形態で提供され得る。
また、本発明による抗-MUC1抗体またはその抗原結合断片、およびこれを含む薬学的組成物は、従来の治療剤と併用して使用する用途に用いることができる。すなわち、本発明による抗-MUC1抗体またはその抗原結合断片、およびこれを含む薬学的組成物は、従来の抗癌剤などの治療剤と同時に投与するまたは順次に投与する用途に用いることができる。
本発明はまた他の観点において、前記抗-MUC1抗体またはその抗原結合断片または前記抗体-薬物複合体の治療的有効量をMUC1関連疾病の予防および/または治療を必要とする患者に投与する段階を含む、MUC1関連疾病の予防および/または治療方法に関するものである。前記予防および/または治療方法は、前記投与段階以前に前記疾病の予防および/または治療を必要とする患者を確認する段階をさらに含むことができる。
前記組成物において薬物の局所的に伝達するための抗体複合体の使用により、薬物を抗-MUC1抗体で標的化された抗原を示す細胞に伝達することができる。
前記薬学的組成物は、薬学的に許容可能な担体をさらに含むことができる。前記薬学的に許容可能な担体は、薬物の製剤化に通常用いられるものとして、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アカシアゴム、リン酸カルシウム、アルギネート、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微結晶性セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、水、シロップ、メチルセルロース、メチルヒドロキシベンゾエート、プロピルヒドロキシベンゾエート、滑石、ステアリン酸マグネシウム、ミネラルオイルなどからなる群より選択された1種以上であってもよいが、これらに限定されるものではない。前記薬学的組成物はまた、薬学的組成物の製造に通常用いられる希釈剤、賦形剤、潤滑剤、湿潤剤、甘味剤、香味剤、乳化剤、懸濁剤、保存剤などからなる群より選択された1種以上をさらに含むことができる。
前記薬学的組成物は、経口または非経口で投与することができる。非経口投与の場合には、静脈内注入、皮下注入、筋肉注入、腹腔注入、内皮投与、鼻内投与、肺内投与、直腸内投与、または病変部位局所投与などで投与することができる。
経口投与時、タンパク質またはペプチドは消化されるため、経口用組成物は活性薬剤をコーティンするか、或いは胃内での分解から保護されるように剤形化することができる。また、前記組成物は、活性物質が標的細胞に移動することができる任意の装置によって投与することができる。
前記薬学的組成物内の抗-MUC1抗体またはその抗原結合断片の含有量または投与量は、製剤化方法、投与方式、患者の年齢、体重、性別、病態、食餌、投与時間、投与間隔、投与経路、排泄速度、および反応感受性などの要因によって多様に処方することができる。例えば、前記抗-MUC1抗体またはその抗原結合断片の1日投与量は、0.001~1000mg/kg、具体的には0.01~100mg/kg、より具体的には0.1~50mg/kg、さらに具体的には0.1~20mg/kgの範囲であってもよいが、これに制限されるものではない。前記1日の投与量は、単位用量の形態で1つの製剤として製剤化するか、適宜に分量して製剤化するか、或いは多用量容器内に内入させて製造され得る。
前記薬学的組成物は、オイルまたは水性媒質中の溶液、懸濁液、シロップ剤または乳化液の形態である、またはエキス剤、散剤、粉末剤、顆粒剤、錠剤、またはカプセル剤などの形態で剤形化することができ、剤形化のための分散剤または安定化剤をさらに含むことができる。
前記薬学的組成物の投与対象患者は、ヒト、サルなどを含む霊長類、マウス、ラットなどを含む齧歯類などを含む哺乳類であってもよい。
本明細書において癌の治療は、癌細胞の増殖阻害、癌細胞アポトーシス、転移抑制などのように癌の症状の悪化を防止したり、緩和する若しくは好転させたり、または癌を部分的に或いは全部消滅させたりする全ての抗癌作用を意味するものであることができる。
前記抗-MUC1抗体またはその抗原結合断片は、MUC1タンパク質、特に、MUC1-C-末端細胞外ドメインに特異的に結合するため、これを用いてMUC1タンパク質またはMUC1-C-末端細胞外ドメインを検出または確認することができる。したがって、本発明はまた他の観点において、前記抗-MUC1抗体またはその抗原結合断片を含むMUC1タンパク質、例えば、MUC1-C-末端細胞外ドメインの検出用組成物および生物試料に前記抗-MUC1抗体またはその抗原結合断片を処理する段階を含むMUC1の検出方法に関するものである。
前記検出方法は、前記処理する段階以後に、抗原-抗体反応の有無を確認する段階をさらに含むことができる。前記検出方法において、抗原-抗体反応が探知される場合、前記生物試料にMUC1、例えば、MUC1-C-末端細胞外ドメインが存在すると決定(判断)することができる。したがって、前記検出方法は、前記確認する段階以後に、抗原-抗体反応が探知される場合、前記生物試料にMUC1が存在すると決定する段階をさらに含むことができる。前記生物試料は、哺乳類、例えば、ヒト(例えば、癌患者)から得た(分離された)細胞、組織、体液、それらの培養物などからなる群より選択されたものであることができる。
MUC1タンパク質、例えば、MUC1タンパク質のC-末端部位(またはMUC1タンパク質のSEAドメインまたはMUC1-C-末端細胞外ドメイン)の発現は、いろいろな疾病、例えば、癌と関連しているので、本発明はまた他の観点において、前記抗-MUC1抗体またはその抗原結合断片を含むMUC1タンパク質関連疾病、例えば、癌の検出または診断用組成物および対象から分離された生物試料に前記抗-MUC1抗体またはその抗原結合断片を処理(投与)する段階を含む、癌の検出或いは診断方法、または検出或いは診断に情報を提供する方法に関するものである。
前記検出または診断方法は、前記処理する段階後に、抗原-抗体反応の有無を確認する段階をさらに含むことができる。前記方法において、抗原-抗体反応が探知される場合、前記生物試料または前記生物試料が由来した患者にMUC1関連疾病、例えば、癌が存在すると決定(判断)することができる。したがって、前記方法は、前記確認する段階後に、抗原-抗体反応が探知される場合、前記生物試料または前記患者をMUC1関連疾病患者、例えば、癌患者と決定する段階をさらに含むことができる。前記生物試料は、哺乳類、例えば、ヒト(例えば、癌患者)から得た(分離された)細胞、組織、体液、それらの培養物などからなる群より選択されたものであってもよい。
前記抗原-抗体反応の有無を確認する段階は、当業界に公知された多様な方法により行うことができる。例えば、通常の酵素反応、蛍光、発光および/または放射線検出を通じて測定することができ、具体的には、免疫クロマトグラフィー(Immunochromatography)、免疫組織化学染色(Immunohistochemistry)、酵素結合免疫吸着分析(enzyme linked immunosorbent assay:ELISA)、放射線免疫測定法(radioimmunoassay:RIA)、酵素免疫分析(enzyme immunoassay:EIA)、蛍光免疫分析(Floresence immunoassay:FIA)、発光免疫分析(luminescence immunoassay:LIA)、ウエスタンブロッティング(Western blotting)、マイクロアレイ、免疫沈降分析などからなる群より選択された方法によって測定することができるが、これに制限されるものではない。
このとき、前記抗-MUC1抗体またはその抗原結合断片は、標識物質をさらに含むことができる。前記標識物質は、放射線同位元素、蛍光物質、クロモゲン(chromogen)、染色物質などからなる群より選択された1種以上であることができる。
前記標識物質は、前記抗体または抗原結合断片に通常の方法(例えば、共有結合、配位結合、イオン結合などの化学結合)により結合(連結)されたものであることができる。前記抗体(または抗原結合断片)と標識物質との結合は、本発明が属する技術分野で公然知られた技術によるものであることができる。
本発明はまた他の観点において、本発明による抗-MUC1抗体をコードする核酸に関するものである。本明細書において用いられる核酸は、細胞、細胞溶解液(lysate)中に存在するか、或いは部分的に精製された形態または実施的に純粋な形態で存在することもできる。核酸は、アルカリ/SDS処理、CsClバンド化(banding)、カラムクロマトグラフィー、アガロースゲル電気泳動および当該技術分野に公然知られたその他のものを含む標準技術による他の細胞成分またはその他の汚染物質、例えば、他の細胞の核酸またはタンパク質から精製されて出る場合、「分離」または「実施的に純粋になった」ものである。本発明の核酸は、例えば、DNAまたはRNAであってもよく、イントロン配列を含んでも含まなくてもよい。本発明はまた他の観点において、前記核酸を含む組み換え発現ベクターに関するものである。本発明による抗-MUC1抗体またはその抗原結合断片の発現のために、部分的または全長の軽鎖および重鎖をコードするDNAを標準分子生物学技術(例えば、PCR増幅または目的抗体を発現するハイブリドーマを用いたcDNAクローニング)により得ることができ、DNAが転写および翻訳制御配列に「作用するように結合」して発現ベクターに挿入することができる。
本明細書において使用される用語「作動するように結合」とは、ベクター内の転写および翻訳制御配列が抗体遺伝子の転写および翻訳を調節するという意図した機能をするように抗体をコードする遺伝子がベクターにライゲーションされることを意味することができる。
発現ベクターおよび発現制御配列は、使用される発現用宿主細胞と適合するように選択される。抗体の軽鎖遺伝子および抗体の重鎖遺伝子は、別個のベクター内に挿入されるか、或いは両遺伝子ともに同じ発現ベクター内に挿入される。
抗体は、標準方法(例えば、抗体遺伝子断片およびベクター上の相補性制限酵素部位のライゲーション、または制限酵素部位が全く存在しない場合、鈍(blunt)端ライゲーション)により発現ベクター内に挿入される。場合によって、前記組み換え発現ベクターは、宿主細胞からの抗体鎖の分泌を容易にするシグナルペプチドをコードすることができる。抗体鎖遺伝子は、シグナルペプチドがフレームに適合するように抗体鎖遺伝子のアミノ末端に結合するようにベクター内にクローニングすることができる。シグナルペプチドは、免疫グロブリンシグナルペプチドまたは異種性シグナルペプチド(すなわち、免疫グロブリンの外、タンパク質由来のシグナルペプチド)であることができる。また、前記組み換え発現ベクターは、宿主細胞において、抗体鎖遺伝子の発現を制御する調節配列を有する。「調節配列」とは、抗体鎖遺伝子の転写または翻訳を制御するプロモーター、エンハンサーおよびその他の発現制御要素(例えば、ポリアデニル化シグナル)を含むことができる。通常の技術者は、形質転換させる宿主細胞の選択、タンパク質の発現レベルなどのような因子によって調節配列を異に選択して、発現ベクターのデザインが変わり得ることを認識することができる。
本発明はまた他の観点において、前記核酸または前記ベクターを含む宿主細胞に関するものである。本発明による宿主細胞は、動物細胞、植物細胞、酵母、原核細胞および昆虫細胞からなる群より選択されることが好ましいが、これらに限定されるものではない。
具体的には、本発明による宿主細胞は、大腸菌、バチルス・サブチリス (Bacillus subtilis)、ストレプトマイセス属(Streptomyces sp.)、シュードモナス属(Pseudomonas sp.)、プロテウス・ミラビリス(Proteus mirabilis)またはスタフィロコッカス属(Staphylococcus sp.)のような原核細胞であってもよい。また、アスペルギルス属(Aspergillus sp.)のような真菌、ピキアパストリス(Pichia pastoris)、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、シゾサッカロミケス属(Schizosaccharomyces sp.)およびニューロスポラ・クラサ(Neurospora crassa)のような酵母、その他の下等真核細胞、および昆虫からの細胞のような高等真核生物の細胞のような真核細胞であることができる。
また、植物や哺乳動物に由来することができる。好ましくは、サル腎臓細胞7(COS7:monkey kidney cells)細胞、NSO細胞、SP2/0、チャイニーズハムスター卵巣(CHO:Chinese hamster ovary)細胞、W138、ベビーハムスター腎臓(BHK:baby hamster kidney)細胞、MDCK、骨髄腫細胞株、HuT 78細胞およびHEK293細胞などを用いることが可能であるが、これらに限定されるものではない。特に好ましくは、CHO細胞を用いることができる。
前記核酸または前記ベクターは、宿主細胞に形質転換またはトランスフェクション(transfection)される。「形質転換」または「トランスフェクション」させるために原核または真核宿主細胞内に外因性核酸(DNAまたはRNA)を導入することに通常用いられる種々の多様な技術、例えば、電気泳動法、リン酸カルシウム沈殿法、DEAE-デキストラントランスフェクションまたはリポフェクション(lipofection)などを用いることができる。本発明による抗-グリピカン3抗体を発現させるために、多様な発現宿主/ベクターの組み合わせを用いることができる。真核宿主に適した発現ベクターには、これらに限定されるものではないが、SV40、牛パピローマウイルス、アデノウイルス、アデノ-随伴ウイルス(adeno-associated virus)、サイトメガロウイルスおよびレトロウイルスに由来する発現調節配列が含まれる。細菌宿主に用いられ得る発現ベクターには、pET、pRSET、pBluescript、pGEX2T、pUCベクター、col E1、pCR1、pBR322、pMB9およびそれらの誘導体のように大腸菌(Escherichia coli)から得られる細菌性プラスミド、RP4のようにより広い宿主範囲を有するプラスミド、λgt10とλgt11、NM989といった非常に多様なファージラムダ(phage lambda)誘導体として例示され得るファージDNA、およびM13とフィラメント性一本鎖DNAファージのようなその他異なるDNAファージが含まれる。酵母細胞に有用な発現ベクターは、2℃プラスミドおよびその誘導体である。昆虫細胞に有用なベクターはpVL941である。
本発明はまた他の観点において、宿主細胞を培養して、本発明による抗-MUC1抗体またはその抗原結合断片を発現させる段階を含む、本発明による抗-MUC1抗体またはその抗原結合断片の製造方法に関するものである。
前記抗-MUC1抗体またはその抗原結合断片を発現することができる組み換え発現ベクターが哺乳類宿主細胞内に導入される場合、抗体は宿主細胞において抗体が発現するには十分な期間、またはより好ましくは宿主細胞が培養される培養培地内に抗体を分泌させるに十分な期間の間、宿主細胞を培養することによって製造することができる。
場合によって、発現した抗体は、宿主細胞から分離し、均一になるように精製することができる。前記抗体の分離または精製は、通常のタンパク質にて用いられている分離、精製方法、例えば、クロマトグラフィーによって行うことができる。前記クロマトグラフィーは、例えば、プロテインAカラム、プロテインGカラムを含む親和性クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィーまたは疎水性クロマトグラフィーを含むことができる。前記クロマトグラフィーに加えて、追加でろ過、超ろ過、塩析、透析などを組み合わせることによって、抗体を分離、精製することができる。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、MUC1に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片は、MUC1に対する優れた親和性および結合力を示すため、前記抗体、その抗原結合断片を含む抗体-薬物複合体、二重特異性抗体またはキメラ抗原受容体(CAR)は、MUC1発現細胞に特異的に結合することによって、薬物を効果的且つ特異的または選択的に伝達することができる。また、抗体CDR配列に含まれる一部のアミノ酸残基の置換によって、前記残基が糖化(glycation)される翻訳語後修飾(Post translational modification)が起こらないため、proteome complexityが減少するので、高純度の抗体または抗原結合断片を製造することができる効果を有する。したがって、本発明による抗-MUC1抗体および抗体-薬物複合体は、MUC1関連疾病、例えば、癌の治療に有用に適用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】点突然変異が起こらないPAb001のoriginal formの糖化(glycation)ピークを確認した結果である。
図2】PAb001の軽鎖K30においてリジンがアルギニンに置換される点突然変異誘発時、糖化(glycation)ピークを確認した結果である。
図3】PAb001の軽鎖K24およびK30においてリジンがアルギニンに置換される点突然変異誘発時、糖化(glycation)ピークを確認した結果である。
図4】PAb001の軽鎖K30においてリジンがアルギニンに、軽鎖K24のリジンがグリシンに置換される点突然変異誘発時、糖化(glycation)ピークを確認した結果である。
図5】点突然変異が起こったPAb001の抗原結合能を確認した結果である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本明細書を具体的に説明するために実施例を挙げて詳細に説明する。 ただし、本明細書による実施例は、多様な異なる形態に変形することができ、本明細書の範囲は、以下に詳述する実施例に限定されるものとして解釈されない。本明細書の実施例は、当業界で平均的な知識を有する者に本明細書をより完全に説明するために提供されるものである。

実施例1.抗-MUC1抗体変異体のBAC分析
韓国特許第10-2127421号にて作製した抗MUC1抗体(PAb001)を用いて、純度に影響を及ぼす糖化(glycation)を引き起こす残基を確認するために、PAb001のoriginal formおよび変異体を対象にBAC分析を進めた。PAb001の軽鎖CDR中、K24およびK30の残基をアルギニン(R)またはグリシン(G)に置換し、それぞれのサンプルに対して、3回実験を行って確認した。
その結果、図1に示すように、PAb001のoriginal form(KK)では、non-glycation formおよびglycation formのピークが全部観察された。しかし、図2図4に示すように、K30がアルギニン(R)またはグリシン(G)に置換された場合、糖化(glycation)ピークが観察されなかった。これはK30のアミノ酸置換によってPAb001の糖化(glycation)が変化されることを示すものである。

実施例2.抗-MUC1抗体変異体の抗原結合力の分析
前記PAb001のoriginal formおよび前記変異体の抗原結合力を確認した結果、図5に示すように、傾向が類似しており、有意な差がみられなかった。このことはK30の点突然変異誘発によって抗体の抗原結合能には影響を与えなかったことを示すものである。
これを通じて、PAb001の軽鎖K30をRまたはGに置換する点突然変異誘発時、PAb001の機能的な差異なく前記抗体の糖化(glycation)が減少し、高純度の抗体を生産することができることがわかる。
これまで本発明に対して、その好ましい実施例を中心に見てみた。本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者は、本発明が本発明の本質的な特性から逸脱しない範囲で変形された形態で具現され得ることを理解できるであろう。したがって、開示された実施例は、限定的な観点ではなく説明的な観点から考慮すべきである。本発明の範囲は、前述した説明ではなく請求の範囲に示されており、それと同等の範囲内にある全ての差異点は本発明に含まれるものと解釈されるべきである。
【0008】
本発明の一態様において、本発明は、MUC1のC-末端細胞外ドメイン内の連続するアミノ酸配列を含むポリペプチドに特異的に結合し、重鎖CDR1、重鎖CDR2または重鎖CDR3を含む重鎖可変領域および;軽鎖CDR1、軽鎖CDR2または軽鎖CDR3を含む軽鎖可変領域のうち、一つ以上を含み、前記軽鎖CDR配列に含まれるリジン(K)残基が他のアミノ酸に置換されたことを特徴とする、抗-MUC1抗体またはその抗原結合断片に対するものである。
一側面において、本発明の前記軽鎖CDR配列に含まれるリジン(K)残基は、軽鎖CDRのK24またはK30のものである。
他の一側面において、本発明の前記軽鎖CDR配列に含まれるリジン(K)残基は、アルギニン(R)、ヒスチジン(H)、アスパラギン酸(D)またはグルタミン酸(G)、グリシン(G)、アラニン(A)、バリン(V)、メチオニン(M)、フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W)、ロイシン(L)およびイソロイシン(I)からなる群より選択されるアミノ酸に置換されるものである。
また他の一側面において、本発明の前記重鎖可変領域は、配列番号1の重鎖CDR1、配列番号2の重鎖CDR2または配列番号3の重鎖CDR3を含み、前記軽鎖可変領域は配列番号4の軽鎖CDR1、配列番号5の軽鎖CDR2、または配列番号6の軽鎖CDR3を含む。
本発明のまた他の態様において、本発明は前記抗-MUC1抗体またはその抗原結合断片を含む抗体-薬物複合体に対するものである。
本発明の他の態様において、本発明は前記抗-MUC1抗体またはその抗原結合断片を含む二重特異性抗体に対するものである。
本発明の他の態様において、本発明は前記抗-MUC1抗体またはその抗原結合断片を含むキメラ抗原受容体(Chimeric antigen receptor;CAR)に対するものである。
本発明の他の態様において、本発明は前記抗-MUC1抗体またはその抗原結合断片を含むキメラ抗原受容体を含む、免疫細胞に対するものである。
本発明の一側面において、前記免疫細胞は、CAR-T、CAR-NKおよびCAR-MAの中から選択されるものである。
本発明の他の態様において、本発明は前記抗-MUC1抗体またはその抗原結合断片を含む抗体-薬物複合体、二重特異性抗体、キメラ抗原受容体およびこれを含む免疫細胞のうち、一つ以上を含む癌の予防または治療用組成物に対するものである。
本発明の一側面において、前記癌は、黒色腫などの皮膚癌、肝臓癌、肝細胞癌(hepatocellular carcinoma)、肝細胞性癌、胃癌、乳癌、肺癌、卵巣癌、気管支癌、鼻咽頭癌、喉頭癌、膵臓癌、膀胱癌、大腸癌、結腸癌、胆嚢癌、子宮頸癌、脳癌、前立腺癌、骨癌、皮膚癌、甲状腺癌、副甲状腺癌、腎臓癌、食道癌、胆道癌、精巣癌、直腸癌、頭頸部癌、頸椎癌、尿管癌、骨肉腫、神経芽細胞腫、線維肉腫、横紋筋肉腫、星状細胞腫、神経芽腫、神経膠腫、急性骨髄系白血病(AML)、急性リンパ球性白血病(ALL)、成人T-細胞白血病、慢性リンパ球性白血病(CLL)、有毛細胞白血病、骨髄異形成、骨髄増殖性障害、慢性骨髄性白血病(CML)、骨髄形成異常症候群(MDS)、ヒト白血病ウイルス-1型(HTLV-1)白血病、肥満細胞症、急性リンパ芽球性白血病、リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫または孤立性骨髄腫からなる群より選択されるものである。
本発明の他の態様において、本発明は、前記抗-MUC1抗体またはその抗原結合断片を含む、癌の診断用組成物に対するものである。
本発明の他の態様において、本発明は前記抗-MUC1抗体またはその抗原結合断片をコードする核酸を含む発現ベクターを宿主細胞で発現させる段階を含む抗-MUC1抗体またはその抗原結合断片の製造方法に対するものである。
図1
図2
図3
図4
図5
【配列表】
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【国際調査報告】