(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-18
(54)【発明の名称】タウ病態の治療方法
(51)【国際特許分類】
A61K 39/395 20060101AFI20240910BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20240910BHJP
A61K 51/00 20060101ALI20240910BHJP
A61K 51/04 20060101ALI20240910BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240910BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20240910BHJP
A61K 31/4375 20060101ALI20240910BHJP
A61K 31/40 20060101ALI20240910BHJP
A61K 31/135 20060101ALI20240910BHJP
A61K 31/4453 20060101ALI20240910BHJP
A61K 31/46 20060101ALI20240910BHJP
A61K 31/405 20060101ALI20240910BHJP
A61K 38/22 20060101ALI20240910BHJP
A61K 31/455 20060101ALI20240910BHJP
A61K 31/519 20060101ALI20240910BHJP
A61K 31/131 20060101ALI20240910BHJP
A61K 31/445 20060101ALI20240910BHJP
C07K 16/18 20060101ALI20240910BHJP
C12N 15/13 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
A61K39/395 N
A61P25/28 ZNA
A61K51/00 200
A61K51/04 200
A61P43/00 121
A61K45/00
A61K31/4375
A61K31/40
A61K31/135
A61K31/4453
A61K31/46
A61K31/405
A61K38/22
A61K31/455
A61K31/519
A61K31/131
A61K31/445
C07K16/18
C12N15/13
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024512967
(86)(22)【出願日】2022-08-26
(85)【翻訳文提出日】2024-04-02
(86)【国際出願番号】 US2022075528
(87)【国際公開番号】W WO2023028591
(87)【国際公開日】2023-03-02
(32)【優先日】2021-08-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-07-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】509012625
【氏名又は名称】ジェネンテック, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】トン, エドモンド ホアトゥン
(72)【発明者】
【氏名】トス, バラス
(72)【発明者】
【氏名】マンサー, ポール
(72)【発明者】
【氏名】キーリー, マイケル
【テーマコード(参考)】
4C084
4C085
4C086
4C206
4H045
【Fターム(参考)】
4C084AA02
4C084AA19
4C084BA44
4C084DB01
4C084NA05
4C084ZA012
4C084ZA152
4C084ZA161
4C084ZA162
4C084ZB112
4C084ZB322
4C084ZB332
4C084ZC032
4C084ZC202
4C084ZC222
4C084ZC412
4C084ZC422
4C084ZC751
4C085AA14
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4C085EE01
4C085EE03
4C085HH03
4C085KB56
4C085LL13
4C086AA01
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4C086BC07
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4C086BC21
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4C086MA02
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4C086NA05
4C086ZA16
4C086ZC75
4C206AA01
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4C206FA05
4C206JA08
4C206KA01
4C206MA02
4C206MA04
4C206NA05
4C206ZA16
4C206ZC75
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA21
4H045FA74
(57)【要約】
本開示は、抗タウ抗体を使用して、軽度から中等度及び中等度のアルツハイマー病、並びに他のタウ病態における認知低下を遅らせる方法に関する。本開示は、軽度から中等度のAD及び中等度のADにおける臨床的低下を軽減し、特に認知能力の低下率を、臨床的に意義を持つ程度まで有意に低下させ、記憶力を有意に保持するのに使用するためのファースト・イン・クラス免疫療法を提供する。本開示はまた、AD又は関連タウオパチーを有する患者の脳内の病理学的タウの細胞間拡散を遮断するための抗タウ抗体の使用に関する。
【選択図】
図1B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軽度から中等度のアルツハイマー病(AD)と診断された患者における認知能力の低下を遅らせる方法であって、
4500mg用量のヒト化モノクローナル抗タウ抗体を前記患者に投与することを含み、前記抗タウ抗体が、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、方法。
【請求項2】
軽度から中等度のADと診断された患者のアルツハイマー病評価尺度、認知下位尺度、11項目バージョン(ADAS-Cog11)スコアの5ポイント以内に認知能力を維持する方法であって、
4500mg用量のヒト化モノクローナル抗タウ抗体を前記患者に投与することであって、12~17回の用量の前記抗体の投与後に評価される前記患者のADAS-Cog11スコアが、前記抗体の投与前に評価される前記患者のADAS-Cog11スコアよりも2.5ポイント以下、3ポイント以下、3.5ポイント以下、4ポイント以下、4.5ポイント以下、又は5ポイント以下高い、4500mg用量のヒト化モノクローナル抗タウ抗体を前記患者に投与することと、
それによって、前記患者のADAS-Cog11スコアの5ポイント以内の認知能力を維持することと
を含み、
前記抗タウ抗体が、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、方法。
【請求項3】
中等度のADと診断された患者における認知能力の低下を遅らせる方法であって、
4500mg用量のヒト化モノクローナル抗タウ抗体を前記患者に投与することを含み、前記抗タウ抗体が、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、方法。
【請求項4】
中等度のADと診断された患者のアルツハイマー病評価尺度、認知下位尺度、11項目バージョン(ADAS-Cog11)スコアの5ポイント以内に認知能力を維持する方法であって、
4500mg用量のヒト化モノクローナル抗タウ抗体を前記患者に投与することであって、12~17回の用量の前記抗体の投与後に評価される前記患者のADAS-Cog11スコアが、前記抗体の投与前に評価される前記患者のADAS-Cog11スコアよりも2.5ポイント以下、3ポイント以下、3.5ポイント以下、4ポイント以下、4.5ポイント以下、又は5ポイント以下高い、4500mg用量のヒト化モノクローナル抗タウ抗体を前記患者に投与することと、
それによって、前記患者のADAS-Cog11スコアの5ポイント以内の認知能力を維持することと
を含み、
前記抗タウ抗体が、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、方法。
【請求項5】
軽度から中等度のADと診断された患者の記憶力低下を遅らせる方法であって、
4500mg用量のヒト化モノクローナル抗タウ抗体を前記患者に投与することを含み、前記抗タウ抗体が、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、方法。
【請求項6】
軽度から中等度のADと診断された患者のアルツハイマー病評価尺度、認知下位尺度、11項目バージョン(ADAS-Cog11)記憶ドメインスコアの2.5ポイント以内に記憶力を維持する方法であって、
4500mg用量のヒト化モノクローナル抗タウ抗体を前記患者に投与することであって、12~17回の用量の前記抗体の投与後に評価される前記患者のADAS-Cog11記憶ドメインスコアが、前記抗体の投与前に評価される前記患者のADAS-Cog11記憶ドメインスコアよりも1ポイント以下、1.5ポイント以下、1.7ポイント以下、2ポイント以下、2.3ポイント以下、又は2.5ポイント以下高い、4500mg用量のヒト化モノクローナル抗タウ抗体を前記患者に投与することと、
それによって、前記患者のADAS-Cog11記憶ドメインスコアの2.5ポイント以内の記憶力を維持することと
を含み、
前記抗タウ抗体が、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、方法。
【請求項7】
中等度のADと診断された患者における記憶力低下を遅らせる方法であって、
前記患者における記憶力の低下を遅らせるために、4500mg用量のヒト化モノクローナル抗タウ抗体を前記患者に投与することを含み、前記抗タウ抗体が、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、方法。
【請求項8】
中等度のADと診断された患者のアルツハイマー病評価尺度、認知下位尺度、11項目バージョン(ADAS-Cog11)記憶ドメインスコアの2.5ポイント以内に記憶力を維持する方法であって、
4500mg用量のヒト化モノクローナル抗タウ抗体を前記患者に投与することであって、12~17回の用量の前記抗体の投与後に評価される前記患者のADAS-Cog11記憶ドメインスコアが、前記抗体の投与前に評価される前記患者のADAS-Cog11記憶ドメインスコアよりも1ポイント以下、1.5ポイント以下、1.7ポイント以下、2ポイント以下、2.3ポイント以下、又は2.5ポイント以下高い、4500mg用量のヒト化モノクローナル抗タウ抗体を前記患者に投与することと、
それによって、前記患者のADAS-Cog11記憶ドメインスコアの2.5ポイント以内の記憶力を維持することと
を含み、
前記抗タウ抗体が、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、方法。
【請求項9】
軽度から中等度のADと診断された患者における言語能力の低下を遅らせる方法であって、
4500mg用量のヒト化モノクローナル抗タウ抗体を前記患者に投与することを含み、前記抗タウ抗体が、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、方法。
【請求項10】
中等度のADと診断された患者における言語能力の低下を遅らせる方法であって、
4500mg用量のヒト化モノクローナル抗タウ抗体を前記患者に投与することを含み、前記抗タウ抗体が、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、方法。
【請求項11】
軽度から中等度のADと診断された患者におけるプラクシス能力の低下を遅らせる方法であって、
4500mg用量のヒト化モノクローナル抗タウ抗体を前記患者に投与することを含み、前記抗タウ抗体が、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、方法。
【請求項12】
中等度のADと診断された患者におけるプラクシス能力の低下を遅らせる方法であって、
4500mg用量のヒト化モノクローナル抗タウ抗体を前記患者に投与することを含み、前記抗タウ抗体が、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、方法。
【請求項13】
有害事象のリスクを増加させることなく、軽度から中等度のADと診断された患者を治療する方法であって、治療緊急有害事象のリスクを増加させることなく(又は有意に増加させることなく)、4500mg用量のヒト化モノクローナル抗タウ抗体を前記患者に投与することを含み、任意に、前記用量が12~17回の用量について繰り返され、前記抗タウ抗体が、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、方法。
【請求項14】
有害事象のリスクを増加させることなく、中等度のADと診断された患者を治療する方法であって、治療緊急有害事象のリスクを増加させることなく(又は有意に増加させることなく)、前記患者に4500mg用量のヒト化モノクローナル抗タウ抗体を投与することを含み、任意に、前記用量が12~17回の用量について繰り返され、前記抗タウ抗体が、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、方法。
【請求項15】
軽度から中等度のADと診断された患者における認知能力の低下を遅らせるのに使用するために4500mgの用量で提供されるヒト化モノクローナル抗タウ抗体であって、前記抗タウ抗体が、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体。
【請求項16】
12~17回の用量の投与後に、軽度から中等度のADと診断された患者のアルツハイマー病評価尺度、認知下位尺度、11項目バージョン(ADAS-Cog11)スコアよりも5ポイント以下高い認知能力の維持における使用のために4500mgの用量で提供されるヒト化モノクローナル抗タウ抗体であって、前記抗タウ抗体が、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体。
【請求項17】
中等度のADと診断された患者における認知能力の低下を遅らせるのに使用するために4500mgの用量で提供されるヒト化モノクローナル抗タウ抗体であって、前記抗タウ抗体が、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体。
【請求項18】
12~17回の用量の投与後に、中等度のADと診断された患者のアルツハイマー病評価尺度、認知下位尺度、11項目バージョン(ADAS-Cog11)スコアよりも5ポイント以下高い認知能力の維持における使用のために4500mgの用量で提供されるヒト化モノクローナル抗タウ抗体であって、前記抗タウ抗体が、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体。
【請求項19】
軽度から中等度のADと診断された患者における記憶力低下を遅らせるのに使用するために4500mgの用量で提供されるヒト化モノクローナル抗タウ抗体であって、前記抗タウ抗体が、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体。
【請求項20】
12~17回の用量の投与後に、軽度から中等度のADと診断された患者のアルツハイマー病評価尺度、認知下位尺度、11項目バージョン(ADAS-Cog11)記憶ドメインスコアの2.5ポイント以内の記憶力の維持における使用のために4500mgの用量で提供されるヒト化モノクローナル抗タウ抗体であって、前記抗タウ抗体が、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体。
【請求項21】
中等度のADと診断された患者における記憶力低下を遅らせるのに使用するために4500mgの用量で提供されるヒト化モノクローナル抗タウ抗体であって、前記抗タウ抗体が、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体。
【請求項22】
12~17回の用量の投与後に、中等度のADと診断された患者のアルツハイマー病評価尺度、認知下位尺度、11項目バージョン(ADAS-Cog11)記憶ドメインスコアの2.5ポイント以内の記憶力の維持における使用のために4500mgの用量で提供されるヒト化モノクローナル抗タウ抗体であって、前記抗タウ抗体が、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体。
【請求項23】
軽度から中等度のADと診断された患者における言語能力の低下を遅らせるのに使用するために4500mgの用量で提供されるヒト化モノクローナル抗タウ抗体であって、前記抗タウ抗体が、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体。
【請求項24】
中等度のADと診断された患者における言語能力の低下を遅らせるのに使用するために4500mgの用量で提供されるヒト化モノクローナル抗タウ抗体であって、前記抗タウ抗体が、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体。
【請求項25】
軽度から中等度のADと診断された患者におけるプラクシス能力の低下を遅らせるのに使用するために4500mgの用量で提供されるヒト化モノクローナル抗タウ抗体であって、前記抗タウ抗体が、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体。
【請求項26】
中等度のADと診断された患者におけるプラクシス能力の低下を遅らせるのに使用するために4500mgの用量で提供されるヒト化モノクローナル抗タウ抗体であって、前記抗タウ抗体が、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体。
【請求項27】
有害事象のリスクを増加させることなく軽度から中等度のADと診断された患者の治療における使用のための4500mgの用量で提供されるヒト化モノクローナル抗タウ抗体であって、任意に、前記用量が12~17回の用量について繰り返され、前記抗タウ抗体が、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体。
【請求項28】
有害事象のリスクを増加させることなく中等度のADと診断された患者の治療における使用のための4500mgの用量で提供されるヒト化モノクローナル抗タウ抗体であって、任意に、前記用量が12~17回の用量について繰り返され、前記抗タウ抗体が、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体。
【請求項29】
軽度から中等度のADと診断された患者における認知能力の低下を遅らせるための医薬の製造のためのヒト化モノクローナル抗タウ抗体の使用であって、前記抗タウ抗体が、4500mgの用量で提供されるように製剤化され、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、使用。
【請求項30】
12~17回の用量の投与に続いて、軽度から中等度のADと診断された患者のアルツハイマー病評価尺度、認知下位尺度、11項目バージョン(ADAS-Cog11)スコアよりも5ポイント以下高い認知能力を維持するための医薬の製造のためのヒト化モノクローナル抗タウ抗体の使用であって、前記抗タウ抗体が、4500mgの用量で提供されるように製剤化され、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、使用。
【請求項31】
中等度のADと診断された患者における認知能力の低下を遅らせるための医薬の製造のためのヒト化モノクローナル抗タウ抗体の使用であって、前記抗タウ抗体が、4500mgの用量で提供されるように製剤化され、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、使用。
【請求項32】
12~17回の用量の投与に続いて、中等度のADと診断された患者のアルツハイマー病評価尺度、認知下位尺度、11項目バージョン(ADAS-Cog11)スコアよりも5ポイント以下高い認知能力を維持するための医薬の製造のためのヒト化モノクローナル抗タウ抗体の使用であって、前記抗タウ抗体が、4500mgの用量で提供されるように製剤化され、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、使用。
【請求項33】
軽度から中等度のADと診断された患者における記憶力低下を遅らせるための医薬の製造のためのヒト化モノクローナル抗タウ抗体の使用であって、前記抗体が、4500mgの用量で提供されるように製剤化され、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、使用。
【請求項34】
12~17回の用量の投与に続いて、軽度から中等度のADと診断された患者のアルツハイマー病評価尺度、認知下位尺度、11項目バージョン(ADAS-Cog11)記憶ドメインスコアの2.5ポイント以内の記憶力を維持するための医薬の製造のためのヒト化モノクローナル抗タウ抗体の使用であって、前記抗タウ抗体が、4500mgの用量で提供されるように製剤化され、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、使用。
【請求項35】
中等度のADと診断された患者における記憶力低下を遅らせるための医薬の製造のためのヒト化モノクローナル抗タウ抗体の使用であって、前記抗体が、4500mgの用量で提供されるように製剤化され、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、使用。
【請求項36】
12~17回の用量の投与に続いて、中等度のADと診断された患者のアルツハイマー病評価尺度、認知下位尺度、11項目バージョン(ADAS-Cog11)記憶ドメインスコアの2.5ポイント以内の記憶力を維持するための医薬の製造のためのヒト化モノクローナル抗タウ抗体の使用であって、前記抗タウ抗体が、4500mgの用量で提供されるように製剤化され、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、使用。
【請求項37】
軽度から中等度のADと診断された患者における言語能力の低下を遅らせるための医薬の製造のためのヒト化モノクローナル抗タウ抗体の使用であって、前記抗体が、4500mgの用量で提供されるように製剤化され、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、使用。
【請求項38】
中等度のADと診断された患者における言語能力の低下を遅らせるための医薬の製造のためのヒト化モノクローナル抗タウ抗体の使用であって、前記抗体が、4500mgの用量で提供されるように製剤化され、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、使用。
【請求項39】
軽度から中等度のADと診断された患者におけるプラクシス能力の低下を遅らせるための医薬の製造のためのヒト化モノクローナル抗タウ抗体の使用であって、前記抗体が、4500mgの用量で提供されるように製剤化され、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、使用。
【請求項40】
中等度のADと診断された患者におけるプラクシス能力の低下を遅らせるための医薬の製造のためのヒト化モノクローナル抗タウ抗体の使用であって、前記抗体が、4500mgの用量で提供されるように製剤化され、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、使用。
【請求項41】
有害事象のリスクを増加させることなく軽度から中等度のADと診断された患者を治療するための医薬の製造のためのヒト化モノクローナル抗タウ抗体の使用であって、前記抗タウ抗体が、4500mgの用量で提供されるように製剤化され、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、使用。
【請求項42】
有害事象のリスクを増加させることなく中等度のADと診断された患者を治療するための医薬の製造のためのヒト化モノクローナル抗タウ抗体の使用であって、前記抗タウ抗体が、4500mgの用量で提供されるように製剤化され、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、使用。
【請求項43】
前記有害事象が、注入関連反応、神経画像異常、免疫原性;希死念慮、頭痛、認知機能の悪化、意識変容、発作、ふらつき、嘔吐、転倒、尿路感染症、不安、頭痛、動揺、うつ病、めまい、下痢、高血圧、鼻咽頭炎、関節痛、便秘、COVID-19、不眠症、上気道感染症、腹痛、背痛、咳、血尿、悪心、四肢痛、貧血、錯乱状態及び幻覚からなる群から選択される少なくとも1つ以上である、請求項13若しくは14に記載の方法、請求項27若しくは28に記載の使用のための抗タウ抗体、又は請求項41若しくは42に記載の使用。
【請求項44】
前記抗体の投与前及び/又は投与後に前記患者に投与されるタウPETトレーサーが、有害事象のリスクを増加させない、請求項13~14及び43のいずれか一項に記載の方法、請求項27~28及び43のいずれか一項に記載の使用のための抗タウ抗体、又は請求項41~43のいずれか一項に記載の使用。
【請求項45】
前記患者が、前記抗体の投与前に両端の値を含めて16~19のミニメンタルステート検査(MMSE)スコアを有し、任意に、前記抗体の投与前に両端の値を含めて16~18のMMSEを有する、請求項1~14及び43~44のいずれか一項に記載の方法、請求項15~28及び43~44のいずれか一項に記載の使用のための抗タウ抗体、又は請求項29~44のいずれか一項に記載の使用。
【請求項46】
前記患者が、前記抗体の投与前に1又は2の臨床的認知症グローバル尺度(CDR-GS)を有する、請求項1~14及び43~45のいずれか一項に記載の方法、請求項15~28及び43~45のいずれか一項に記載の使用のための抗タウ抗体、又は請求項29~45のいずれか一項に記載の使用。
【請求項47】
前記用量が少なくとも5回、少なくとも8回、若しくは少なくとも10回繰り返されるか、又は前記用量が5~17回の用量、10~17回の用量、若しくは12~17回の用量について繰り返される、請求項1~14及び43~46のいずれか一項に記載の方法、請求項15~28及び43~46のいずれか一項に記載の使用のための抗タウ抗体、又は請求項29~46のいずれか一項に記載の使用。
【請求項48】
前記用量が、13~15回の用量、13~14回の用量、14~15回の用量、又は14回の用量について繰り返される、請求項47に記載の方法、使用のための抗タウ抗体、又は使用。
【請求項49】
前記用量が、12~16回の用量について繰り返される、請求項47に記載の方法、使用のための抗タウ抗体、又は使用。
【請求項50】
前記用量が、14~17回の用量について繰り返される、請求項47に記載の方法、使用のための抗タウ抗体、又は使用。
【請求項51】
前記抗体を少なくとも24週間にわたって、任意に、少なくとも4週間ごとに(又は毎月)1回投与する、請求項1~14及び43~50のいずれか一項に記載の方法、請求項15~28及び43~50のいずれか一項に記載の使用のための抗タウ抗体、又は請求項29~50のいずれか一項に記載の使用。
【請求項52】
前記抗体を、少なくとも36週間にわたって、任意に、少なくとも4週間ごとに(又は毎月)1回投与する、請求項1~14及び43~50のいずれか一項に記載の方法、請求項15~28及び43~50のいずれか一項に記載の使用のための抗タウ抗体、又は請求項29~50のいずれか一項に記載の使用。
【請求項53】
前記抗体を、少なくとも40、44、48、52、56、60、64、68、72、76、80、84、88、92、96、100、104、108、112、116、120、124、128、132、136、140、144、148、152、156、160、164、又は168週間にわたって、任意に、少なくとも4週間ごとに(又は毎月)1回投与する、請求項1~14及び43~52のいずれか一項に記載の方法、請求項15~28及び43~52のいずれか一項に記載の使用のための抗タウ抗体、又は請求項29~52のいずれか一項に記載の使用。
【請求項54】
前記抗体を少なくとも40、44、48、52、56、又は60週間にわたって、任意に、少なくとも4週間ごとに(又は毎月)1回投与する、請求項1~14及び43~52のいずれか一項に記載の方法、請求項15~28及び43~53のいずれか一項に記載の使用のための抗タウ抗体、又は請求項29~53のいずれか一項に記載の使用。
【請求項55】
前記抗体を少なくとも48週間にわたって4週間ごとに(又は毎月)少なくとも1回投与する、請求項54に記載の方法、使用のための抗タウ抗体、又は使用。
【請求項56】
前記抗体の投与後に評価される前記患者のADAS-Cog11スコアが、前記抗体の投与前に評価される前記患者のADAS-Cog11スコアよりも2.5ポイント以下、3ポイント以下、3.5ポイント以下、4ポイント以下、4.5ポイント以下、又は5ポイント以下高い、請求項1~5、7、9~14及び43~55のいずれか一項に記載の方法、請求項15~19、21、23~27及び43~55のいずれか一項に記載の使用のための抗タウ抗体、又は請求項29~33、35及び37~55のいずれか一項に記載の使用。
【請求項57】
前記抗体の投与後に評価される前記患者のADAS-Cog11スコアが、前記抗体の投与前に評価される前記患者のADAS-Cog11スコアよりも4ポイント以下高い、請求項1~5、7、9~14及び43~56のいずれか一項に記載の方法、請求項15~19、21、23~27及び43~55のいずれか一項に記載の使用のための抗タウ抗体、又は請求項29~33、35及び37~55のいずれか一項に記載の使用。
【請求項58】
前記抗体の投与後に評価される前記患者のADAS-Cog11スコアが、前記抗体の投与前に評価される前記患者のADAS-Cog11スコアよりも2~4ポイント高い、請求項1~5、7、9~14及び43~56のいずれか一項に記載の方法、請求項15~19、21、23~27及び43~56のいずれか一項に記載の使用のための抗タウ抗体、又は請求項29~33、35及び37~56のいずれか一項に記載の使用。
【請求項59】
前記抗体の投与後に評価される前記患者のADAS-Cog11スコアが、前記抗体の投与前に評価される前記患者のADAS-Cog11スコアよりも3~4ポイント高い、請求項1~5、7、9~14及び43~58のいずれか一項に記載の方法、請求項15~19、21、23~27及び43~58のいずれか一項に記載の使用のための抗タウ抗体、又は請求項29~33、35及び37~58のいずれか一項に記載の使用。
【請求項60】
前記抗体の投与後に評価される前記患者のADAS-Cog11記憶ドメインスコアが、前記抗体の投与前に評価される前記患者のADAS-Cog11記憶ドメインスコアよりも1ポイント以下、1.5ポイント以下、1.7ポイント以下、2ポイント以下、2.3ポイント以下、又は2.5ポイント以下高い、請求項1~14及び43~55のいずれか一項に記載の方法、請求項15~28及び43~55のいずれか一項に記載の使用のための抗タウ抗体、又は請求項29~55のいずれか一項に記載の使用。
【請求項61】
前記抗体の投与後に評価される前記患者のADAS-Cog11記憶ドメインスコアが、前記抗体の投与前に評価される前記患者のADAS-Cog11記憶ドメインスコアより2ポイント以下高い、請求項1~14、43~55及び60のいずれか一項に記載の方法、請求項15~28、43~55及び60のいずれか一項に記載の使用のための抗タウ抗体、又は請求項29~55及び60のいずれか一項に記載の使用。
【請求項62】
前記抗体の投与後に評価される前記患者のADAS-Cog11記憶ドメインスコアが、前記抗体の投与前に評価される前記患者のADAS-Cog11記憶ドメインスコアよりも1~2ポイント高い、請求項1~14、43~55及び60~61のいずれか一項に記載の方法、請求項15~28、43~55及び60~61のいずれか一項に記載の使用のための抗タウ抗体、又は請求項29~55及び60~61のいずれか一項に記載の使用。
【請求項63】
前記抗体の投与後に評価される前記患者のADAS-Cog11記憶ドメインスコアが、前記抗体の投与前に評価される前記患者のADAS-Cog11記憶ドメインスコアよりも1.5~2.5ポイント高い、請求項1~14、43~55及び60のいずれか一項に記載の方法、請求項15~28、43~55及び60のいずれか一項に記載の使用のための抗タウ抗体、又は請求項29~55及び60のいずれか一項に記載の使用。
【請求項64】
前記抗体を少なくとも48週間にわたって4週間ごとに(又は毎月)少なくとも1回投与する、請求項59又は63に記載の方法、使用のための抗タウ抗体、又は使用。
【請求項65】
前記抗体の投与後に評価される前記患者のADAS-Cog11スコアが、前記抗体の投与なしで予想されるものと比較して、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、又は少なくとも50%低下する、請求項1~14及び43~64のいずれか一項に記載の方法、請求項15~28及び43~64のいずれか一項に記載の使用のための抗タウ抗体、又は請求項29~64のいずれか一項に記載の使用。
【請求項66】
前記抗体の投与後に評価される前記患者のADAS-Cog11スコアが、前記抗体の投与なしで予想されるものと比較して少なくとも40%低下する、請求項1~14及び43~65のいずれか一項に記載の方法、請求項15~28及び43~65のいずれか一項に記載の使用のための抗タウ抗体、又は請求項29~65のいずれか一項に記載の使用。
【請求項67】
前記抗体の投与後に評価される前記患者のADAS-Cog11スコアが、前記抗体の投与なしで予想されるものと比較して25~50%低下する、請求項1~14及び43~66のいずれか一項に記載の方法、請求項15~28及び43~66のいずれか一項に記載の使用のための抗タウ抗体、又は請求項29~66のいずれか一項に記載の使用。
【請求項68】
前記抗体の投与後に評価される前記患者のADAS-Cog11スコアが、前記抗体の投与なしで予想されるものと比較して40~50%低下する、請求項1~14及び43~67のいずれか一項に記載の方法、請求項15~28及び43~67のいずれか一項に記載の使用のための抗タウ抗体、又は請求項29~67のいずれか一項に記載の使用。
【請求項69】
前記抗体を少なくとも48週間にわたって4週間ごとに(又は毎月)少なくとも1回投与する、請求項68に記載の方法、使用のための抗タウ抗体、又は使用。
【請求項70】
前記方法、使用のための前記抗タウ抗体又は前記使用が、前記抗体を2週間ごとに1回、3週間ごとに1回、又は4週間ごとに1回投与することを含む、請求項1~14及び43~69のいずれか一項に記載の方法、請求項15~28及び43~69のいずれか一項に記載の使用のための抗タウ抗体、又は請求項29~69のいずれか一項に記載の使用。
【請求項71】
前記方法、使用のための前記抗タウ抗体又は前記使用が、前記抗体を1~5回の用量については2週間ごとに1回、次いで4週間ごとに1回(又は毎月1回)投与することを含む、請求項1~14及び43~70のいずれか一項に記載の方法、請求項15~28及び43~70のいずれか一項に記載の使用のための抗タウ抗体、又は請求項29~70のいずれか一項に記載の使用。
【請求項72】
前記方法、使用のための前記抗タウ抗体又は前記使用が、前記抗体を3回の用量については2週間ごとに1回、次いで4週間ごとに1回(又は毎月1回)投与することを含む、請求項1~14及び43~71のいずれか一項に記載の方法、請求項15~28及び43~71のいずれか一項に記載の使用のための抗タウ抗体、又は請求項29~71のいずれか一項に記載の使用。
【請求項73】
前記方法、使用のための前記抗タウ抗体又は前記使用が、前記抗体を静脈内投与することを含む、請求項1~14及び43~72のいずれか一項に記載の方法、請求項15~28及び43~72のいずれか一項に記載の使用のための抗タウ抗体、又は請求項29~72のいずれか一項に記載の使用。
【請求項74】
前記投与が、0.5~3.0mL/分の注入速度で行われる、請求項73に記載の方法、使用のための抗タウ抗体、又は使用。
【請求項75】
前記投与速度が、0.5~3.0mL/分の注入速度で、4週間ごとに(又は毎月)行われる、請求項74に記載の方法、使用のための抗タウ抗体、又は使用。
【請求項76】
前記注入速度が、任意に、第1の注入の10~120分間は、0.5~1mL/分であり、その後は3mL/分である、請求項75に記載の方法、使用のための抗タウ抗体、又は使用。
【請求項77】
前記抗体がIgG4抗体である、請求項1~14及び43~76のいずれか一項に記載の方法、請求項15~28及び43~76のいずれか一項に記載の使用のための抗タウ抗体、又は請求項29~76のいずれか一項に記載の使用。
【請求項78】
前記抗体が、EUナンバリングに従ってM252Y、S254T及びT256Eの変異を含む、請求項77に記載の方法、使用のための抗タウ抗体、又は使用。
【請求項79】
前記抗体が、EUナンバリングに従ってS228P変異を含む、請求項75に記載の方法、使用のための抗タウ抗体、又は使用。
【請求項80】
前記抗体が、配列番号5の配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び/又は配列番号9と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~14及び43~79のいずれか一項に記載の方法、請求項15~28及び43~79のいずれか一項に記載の使用のための抗タウ抗体、又は請求項29~79のいずれか一項に記載の使用。
【請求項81】
前記抗体が、配列番号5のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域、及び/又は配列番号9のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を含む、請求項1~14及び43~80のいずれか一項に記載の方法、請求項15~28及び43~80のいずれか一項に記載の使用のための抗タウ抗体、又は請求項29~80のいずれか一項に記載の使用。
【請求項82】
前記抗体がセモリネマブである、請求項1~14及び43~81のいずれか一項に記載の方法、請求項15~28及び43~81のいずれか一項に記載の使用のための抗タウ抗体、又は請求項29~81のいずれか一項に記載の使用。
【請求項83】
前記患者がApoε4陽性である、請求項1~14及び43~82のいずれか一項に記載の方法、請求項15~28及び43~82のいずれか一項に記載の使用のための抗タウ抗体、又は請求項29~82のいずれか一項に記載の使用。
【請求項84】
前記患者がApoε4陰性である、請求項1~14及び43~82のいずれか一項に記載の方法、請求項15~28及び43~82のいずれか一項に記載の使用のための抗タウ抗体、又は請求項29~82のいずれか一項に記載の使用。
【請求項85】
前記患者が、前記抗体の投与前に19~21のMMSEスコアを有する、請求項1~14及び43~84のいずれか一項に記載の方法、請求項15~28及び43~84のいずれか一項に記載の使用のための抗タウ抗体、又は請求項29~84のいずれか一項に記載の使用。
【請求項86】
前記患者が、前記抗体の投与前に、両端の値を含めて16~19のMMSEスコアを有し、任意に、前記抗体の投与前に、両端の値を含めて16~18のMMSEスコアを有する、請求項1~14及び43~84のいずれか一項に記載の方法、請求項15~28及び43~84のいずれか一項に記載の使用のための抗タウ抗体、又は請求項29~84のいずれか一項に記載の使用。
【請求項87】
前記患者が、タウ陽性及び/又はアミロイドベータ(Aベータ)陽性であり、任意に、前記患者が、タウに結合する陽電子放射断層撮影(PET)トレーサーを前記患者に投与することによってタウ陽性であると決定され、任意に、前記患者が、Aベータに結合するPETトレーサーを前記患者に投与することによってAベータ陽性であると決定される、請求項1~14及び43~86のいずれか一項に記載の方法、請求項15~28及び43~86のいずれか一項に記載の使用のための抗タウ抗体、又は請求項29~86のいずれか一項に記載の使用。
【請求項88】
タウのレベルが、前記患者の脳内の前記PETトレーサーの分布を示すスキャンの標準化取込み値比(SUVR)測定によって測定される、請求項87に記載の方法、使用のための抗タウ抗体、又は使用。
【請求項89】
前記患者が、高レベルのタウを有し、前記高レベルのタウが、
(iv)中央値Genentechタウプローブ1(GTP1)全皮質灰白質(WCG)以上の脳内タウレベル(上中分割)、
(v)1.325以上の側頭部からのSUVR測定値、及び
(vi)1.245以上である前記全皮質灰白質(WCG)領域からのSUVR測定値
のうちの1つ以上に相当する、請求項88に記載の方法、使用のための抗タウ抗体、又は使用。
【請求項90】
前記患者が、低レベルのタウを有し、前記低レベルのタウが、
(iv)中央値GTP1 WCG未満の脳内タウレベル(下中分割)、
(v)1.325未満である側頭部からのSUVR測定値、及び
(vi)1.245未満であるWCGからのSUVR測定値
のうちの1つ以上に相当する、請求項88に記載の方法、使用のための抗タウ抗体、又は使用。
【請求項91】
前記タウに結合する前記PETトレーサーが、[
18F]Genentechタウプローブ1([
18F]GTP1)、RO-948、AV-1451(フロルタウシピル)、PI-2014、PI-2620、MK-6240及びT-808からなる群から選択される少なくとも1つであり、前記Aベータに結合するPETトレーサーが、フロルベタピル、フロルベタベン及びフルテメタモルからなる群から選択される少なくとも1つである、請求項87~90のいずれか一項に記載の方法、使用のための抗タウ抗体、又は使用。
【請求項92】
前記タウが、前記患者から採取したCSF試料又は血漿試料において測定される、請求項87~91のいずれか一項に記載の方法、使用のための抗タウ抗体、又は使用。
【請求項93】
前記患者に1つ以上の追加の薬剤を同時投与する、請求項1~14及び43~92のいずれか一項に記載の方法、請求項15~28及び43~92のいずれか一項に記載の使用のための抗タウ抗体、又は請求項29~92のいずれか一項に記載の使用。
【請求項94】
前記1つ以上の追加の薬剤が、対症療法薬、神経薬、コルチコステロイド、抗生物質、抗ウイルス薬、追加の抗タウ抗体、タウ阻害剤、抗アミロイドベータ抗体、ベータ-アミロイド凝集阻害剤、抗BACE1抗体、BACE1阻害剤;コリンエステラーゼ阻害剤;NMDA受容体拮抗薬;モノアミン枯渇剤;メシル酸エルゴロイド;抗コリン作動性パーキンソン症候群治療薬;ドーパミン作動性パーキンソン症候群治療薬;テトラベナジン;抗炎症剤;ホルモン;ビタミン;ジメボリン;ホモタウリン;セロトニン受容体活性調節剤;インターフェロン、及び糖質コルチコイドからなる群から選択される、請求項93に記載の方法、使用のための抗タウ抗体、又は使用。
【請求項95】
前記対症療法薬が、コリンエステラーゼ阻害剤、ガランタミン、リバスチグミン、ドネペジル、N-メチル-D-アスパラギン酸受容体拮抗薬、メマンチン、及び栄養補助食品(任意に、前記栄養補助食品はSouvenaid(登録商標)である)からなる群から選択される、請求項94に記載の方法、使用のための抗タウ抗体、又は使用。
【請求項96】
前記抗アミロイドベータ抗体が、アデュカヌマブ、レカネマブ、又はドナネマブである、請求項94又は95に記載の方法、使用のための抗タウ抗体、又は使用。
【請求項97】
前記抗アミロイドベータ抗体が、クレネズマブ又はガンテネルマブである、請求項94~96のいずれか一項に記載の方法、使用のための抗タウ抗体、又は使用。
【請求項98】
前記追加の抗タウ抗体が、異なるN末端結合剤、中間ドメイン結合剤、及び線維性タウ結合剤からなる群から選択される、請求項94に記載の方法、使用のための抗タウ抗体、又は使用。
【請求項99】
前記追加の抗タウ抗体が、ゴスラネマブ、チラボネマブ、ベプラネマブ、及びザゴテネマブからなる群から選択される、請求項94又は98に記載の方法、使用のための抗タウ抗体、又は使用。
【請求項100】
前記1つ以上の追加の薬剤が、ベータセクレターゼ、タウ、プレセニリン、アミロイド前駆体タンパク質若しくはその一部、アミロイドベータペプチド又はそのオリゴマー若しくは原線維、細胞死受容体6(DR6)、終末糖化産物受容体(RAGE)、パーキン、及びハンチンチンからなる群から選択される標的に特異的に結合する治療剤を含む、請求項93に記載の方法、使用のための抗タウ抗体、又は使用。
【請求項101】
前記モノアミン枯渇剤が、テトラベナジンである、請求項94に記載の方法、使用のための抗タウ抗体、又は使用。
【請求項102】
前記抗コリン作動性パーキンソン症候群治療薬が、プロシクリジン、ジフェンヒドラミン、トリヘキシルフェニジル、ベンズトロピン、ビペリデン及びトリヘキシフェニジルからなる群から選択される、請求項94に記載の方法、使用のための抗タウ抗体、又は使用。
【請求項103】
前記ドーパミン作動性パーキンソン症候群治療薬が、エンタカポン、セレギリン、プラミペキソール、ブロモクリプチン、ロチゴチン、セレギリン、ロピニロール、ラサギリン、アポモルヒネ、カルビドパ、レボドパ、ペルゴリド、トルカポン及びアマンタジンからなる群から選択される、請求項94に記載の方法、使用のための抗タウ抗体、又は使用。
【請求項104】
前記抗炎症剤が、非ステロイド性抗炎症薬及びインドメタシンからなる群から選択される、請求項94に記載の方法、使用のための抗タウ抗体、又は使用。
【請求項105】
前記ホルモンが、エストロゲン、プロゲステロン、及びリュープロリドからなる群から選択される、請求項94に記載の方法、使用のための抗タウ抗体、又は使用。
【請求項106】
前記ビタミンが、葉酸塩及びニコチンアミドからなる群から選択される、請求項94に記載の方法、使用のための抗タウ抗体、又は使用。
【請求項107】
前記ホモタウリンが、3-アミノプロパンスルホン酸又は3APSである、請求項94に記載の方法、使用のための抗タウ抗体、又は使用。
【請求項108】
前記セロトニン受容体活性調節剤が、キサリプロデンである、請求項94に記載の方法、使用のための抗タウ抗体、又は使用。
【請求項109】
前記抗体の投与が、有害事象のリスクを増加させない、請求項1~12及び45~108のいずれか一項に記載の方法、請求項15~26及び45~108のいずれか一項に記載の使用のための抗タウ抗体、又は請求項29~40及び45~108のいずれか一項に記載の使用。
【請求項110】
前記有害事象が、注入関連反応、神経画像異常、免疫原性;希死念慮、頭痛、認知機能の悪化、意識変容、発作、ふらつき、嘔吐、転倒、尿路感染症、不安、頭痛、動揺、うつ病、めまい、下痢、高血圧、鼻咽頭炎、関節痛、便秘、COVID-19、不眠症、上気道感染症、腹痛、背痛、咳、血尿、悪心、四肢痛、貧血、錯乱状態及び幻覚からなる群から選択される少なくとも1つである、請求項109に記載の方法、使用のための抗タウ抗体、又は使用。
【請求項111】
前記患者が、アフリカ系若しくはヒスパニック系であるか、又は非ヨーロッパ系の民族起源を有する、請求項1~14及び43~110のいずれか一項に記載の方法、請求項15~28及び43~110のいずれか一項に記載の使用のための抗タウ抗体、又は請求項29~110のいずれか一項に記載の使用。
【請求項112】
軽度から中等度のADと診断された患者における認知能力の低下を遅らせる方法であって、前記方法が、4500mg用量のセモリネマブを、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で前記患者に静脈内投与することを含む、方法。
【請求項113】
軽度から中等度のADと診断された患者のADAS-Cog11スコアの5ポイント以内に認知能力を維持する方法であって、前記方法が、4500mg用量のセモリネマブを、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で前記患者に静脈内投与することを含む、方法。
【請求項114】
軽度から中等度のADと診断された患者を、有害事象のリスクを増加させることなく治療する方法であって、前記方法が、4500mg用量のセモリネマブを、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で前記患者に静脈内投与することを含む、方法。
【請求項115】
軽度から中等度のADと診断された患者における記憶力低下を遅らせる方法であって、前記方法が、4500mg用量のセモリネマブを、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で前記患者に静脈内投与することを含む、方法。
【請求項116】
軽度から中等度のADと診断された患者のADAS-Cog11スコアの2.5ポイント以内に認知能力を維持する方法であって、前記方法が、4500mg用量のセモリネマブを、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で前記患者に静脈内投与することを含む、方法。
【請求項117】
軽度から中等度のADと診断された患者における言語能力の低下を遅らせる方法であって、前記方法が、4500mg用量のセモリネマブを、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で前記患者に静脈内投与することを含む、方法。
【請求項118】
軽度から中等度のADと診断された患者におけるプラクシス能力の低下を遅らせる方法であって、前記方法が、4500mg用量のセモリネマブを、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で前記患者に静脈内投与することを含む、方法。
【請求項119】
中等度のADと診断された患者における認知能力の低下を遅らせる方法であって、前記方法が、4500mg用量のセモリネマブを、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で前記患者に静脈内投与することを含む、方法。
【請求項120】
中等度のADと診断された患者のADAS-Cog11スコアの5ポイント以内に認知能力を維持する方法であって、前記方法が、4500mg用量のセモリネマブを、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で前記患者に静脈内投与することを含む、方法。
【請求項121】
中等度のADと診断された患者を、有害事象のリスクを増加させることなく治療する方法であって、前記方法が、4500mg用量のセモリネマブを、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で前記患者に静脈内投与することを含む、方法。
【請求項122】
中等度のADと診断された患者における記憶力低下を遅らせる方法であって、前記方法が、4500mg用量のセモリネマブを、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で前記患者に静脈内投与することを含む、方法。
【請求項123】
中等度のADと診断された患者のADAS-Cog11スコアの2.5ポイント以内に認知能力を維持する方法であって、前記方法が、4500mg用量のセモリネマブを、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で前記患者に静脈内投与することを含む、方法。
【請求項124】
中等度のADと診断された患者における言語能力の低下を遅らせる方法であって、前記方法が、4500mg用量のセモリネマブを、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で前記患者に静脈内投与することを含む、方法。
【請求項125】
中等度のADと診断された患者におけるプラクシス能力の低下を遅らせる方法であって、前記方法が、4500mg用量のセモリネマブを、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で前記患者に静脈内投与することを含む、方法。
【請求項126】
軽度から中等度のADと診断された患者における認知能力の低下を遅らせるのに使用するための4500mg用量のセモリネマブであって、前記セモリネマブが、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で静脈内投与される、セモリネマブ。
【請求項127】
軽度から中等度のADと診断された患者のADAS-Cog11スコアよりも5ポイント以下高い認知能力の維持における使用のための4500mg用量のセモリネマブであって、前記セモリネマブが、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で静脈内投与される、セモリネマブ。
【請求項128】
有害事象のリスクを増加させることなく(又は有意に増加させることなく)軽度から中等度のADと診断された患者の治療における使用のための4500mg用量のセモリネマブであって、前記セモリネマブが、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で静脈内投与される、セモリネマブ。
【請求項129】
軽度から中等度のADと診断された患者における記憶力低下を遅らせるのに使用するための4500mg用量のセモリネマブであって、前記セモリネマブが、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で静脈内投与される、セモリネマブ。
【請求項130】
軽度から中等度のADと診断された患者のADAS-Cog11スコアよりも2.5ポイント以下高い認知能力の維持における使用のための4500mg用量のセモリネマブであって、前記セモリネマブが、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で静脈内投与される、セモリネマブ。
【請求項131】
軽度から中等度のADと診断された患者における言語能力の低下を遅らせるのに使用するための4500mg用量のセモリネマブであって、前記セモリネマブが、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で静脈内投与される、セモリネマブ。
【請求項132】
軽度から中等度のADと診断された患者におけるプラクシス能力の低下を遅らせるのに使用するための4500mg用量のセモリネマブであって、前記セモリネマブが、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で静脈内投与される、セモリネマブ。
【請求項133】
中等度のADと診断された患者における認知能力の低下を遅らせるのに使用するための4500mg用量のセモリネマブであって、前記セモリネマブが、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で静脈内投与される、セモリネマブ。
【請求項134】
中等度のADと診断された患者のADAS-Cog11スコアよりも5ポイント以下高い認知能力の維持における使用のための4500mg用量のセモリネマブであって、前記セモリネマブが、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で静脈内投与される、セモリネマブ。
【請求項135】
有害事象のリスクを増加させることなく(又は有意に増加させることなく)中等度のADと診断された患者の治療における使用のための4500mg用量のセモリネマブであって、前記セモリネマブが、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で静脈内投与される、セモリネマブ。
【請求項136】
中等度のADと診断された患者における記憶力低下を遅らせるのに使用するための4500mg用量のセモリネマブであって、前記セモリネマブが、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で静脈内投与される、セモリネマブ。
【請求項137】
中等度のADと診断された患者のADAS-Cog11スコアよりも2.5ポイント以下高い認知能力の維持における使用のための4500mg用量のセモリネマブであって、前記セモリネマブが、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で静脈内投与される、セモリネマブ。
【請求項138】
中等度のADと診断された患者における言語能力の低下を遅らせるのに使用するための4500mg用量のセモリネマブであって、前記セモリネマブが、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で静脈内投与される、セモリネマブ。
【請求項139】
中等度のADと診断された患者におけるプラクシス能力の低下を遅らせるのに使用するための4500mg用量のセモリネマブであって、前記セモリネマブが、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で静脈内投与される、セモリネマブ。
【請求項140】
軽度から中等度のADと診断された患者における認知能力の低下を遅らせるための医薬の製造のためのセモリネマブの使用であって、前記セモリネマブが、4500mgの用量での静脈内投与用に製剤化され、前記医薬が、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で投与される、使用。
【請求項141】
軽度から中等度のADと診断された患者のADAS-Cog11スコアよりも5ポイント以下高い認知能力を維持するための医薬の製造のためのセモリネマブの使用であって、前記セモリネマブが、4500mgの用量での静脈内投与用に製剤化され、前記医薬が、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で投与されるように製剤化される、使用。
【請求項142】
有害事象のリスクを増加させることなく(又は有意に増加させることなく)軽度から中等度のADと診断された患者を治療するための医薬の製造のためのセモリネマブの使用であって、前記セモリネマブが、4500mgの用量での静脈内投与用に製剤化され、前記医薬が、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で投与されるように製剤化される、使用。
【請求項143】
軽度から中等度のADと診断された患者における記憶力低下を遅らせるための医薬の製造のためのセモリネマブの使用であって、前記セモリネマブが、4500mgの用量での静脈内投与用に製剤化され、前記医薬が、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で投与されるように製剤化される、使用。
【請求項144】
軽度から中等度のADと診断された患者のADAS-Cog11スコアよりも2.5ポイント以下高い認知能力を維持するための医薬の製造のためのセモリネマブの使用であって、前記セモリネマブが、4500mgの用量での静脈内投与用に製剤化され、前記医薬が、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で投与されるように製剤化される、使用。
【請求項145】
軽度から中等度のADと診断された患者における言語能力の低下を遅らせるための医薬の製造のためのセモリネマブの使用であって、前記セモリネマブが、4500mgの用量での静脈内投与用に製剤化され、前記医薬が、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で投与されるように製剤化される、使用。
【請求項146】
軽度から中等度のADと診断された患者におけるプラクシス能力の低下を遅らせるための医薬の製造のためのセモリネマブの使用であって、前記セモリネマブが、4500mgの用量での静脈内投与用に製剤化され、前記医薬が、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で投与されるように製剤化される、使用。
【請求項147】
中等度のADと診断された患者における認知能力の低下を遅らせるための医薬の製造のためのセモリネマブの使用であって、前記セモリネマブが、4500mgの用量での静脈内投与用に製剤化され、前記医薬が、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で投与される、使用。
【請求項148】
中等度のADと診断された患者のADAS-Cog11スコアよりも5ポイント以下高い認知能力を維持するための医薬の製造のためのセモリネマブの使用であって、前記セモリネマブが、4500mgの用量での静脈内投与用に製剤化され、前記医薬が、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で投与されるように製剤化される、使用。
【請求項149】
有害事象のリスクを増加させることなく(又は有意に増加させることなく)中等度のADと診断された患者を治療するための医薬の製造のためのセモリネマブの使用であって、前記セモリネマブが、4500mgの用量での静脈内投与用に製剤化され、前記医薬が、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で投与されるように製剤化される、使用。
【請求項150】
中等度のADと診断された患者における記憶力低下を遅らせるための医薬の製造のためのセモリネマブの使用であって、前記セモリネマブが、4500mgの用量での静脈内投与用に製剤化され、前記医薬が、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で投与されるように製剤化される、使用。
【請求項151】
中等度のADと診断された患者のADAS-Cog11スコアよりも2.5ポイント以下高い認知能力を維持するための医薬の製造のためのセモリネマブの使用であって、前記セモリネマブが、4500mgの用量での静脈内投与用に製剤化され、前記医薬が、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で投与されるように製剤化される、使用。
【請求項152】
中等度のADと診断された患者における言語能力の低下を遅らせるための医薬の製造のためのセモリネマブの使用であって、前記セモリネマブが、4500mgの用量での静脈内投与用に製剤化され、前記医薬が、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で投与されるように製剤化される、使用。
【請求項153】
中等度のADと診断された患者におけるプラクシス能力の低下を遅らせるための医薬の製造のためのセモリネマブの使用であって、前記セモリネマブが、4500mgの用量での静脈内投与用に製剤化され、前記医薬が、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で投与されるように製剤化される、使用。
【請求項154】
前記セモリネマブが、少なくとも10回の用量についてはQ4Wの頻度で投与される、請求項112~125のいずれか一項に記載の方法、請求項126~139のいずれか一項に記載の使用のためのセモリネマブ、又は請求項140~153のいずれか一項に記載の使用。
【請求項155】
前記セモリネマブが、少なくとも13回の用量についてはQ4Wの頻度で投与される、請求項154に記載の方法、使用のためのセモリネマブ、又は使用。
【請求項156】
前記セモリネマブが、少なくとも16回の用量についてはQ4Wの頻度で投与される、請求項154に記載の方法、使用のためのセモリネマブ、又は使用。
【請求項157】
前記セモリネマブが、0.5mL/分~3.0mL/分の注入速度で投与される、請求項112~125及び154~156のいずれか一項に記載の方法、請求項126~139及び154~156のいずれか一項に記載の使用のためのセモリネマブ、又は請求項140~156のいずれか一項に記載の使用。
【請求項158】
前記注入速度が、任意に、第1の注入の10~120分間は、0.5mL/分~1mL/分であり、その後は3mL/分である、請求項157に記載の方法、使用のためのセモリネマブ、又は使用。
【請求項159】
前記方法、使用のための前記セモリネマブ及び前記使用が、Q4Wの頻度で96週間、4500mg用量のセモリネマブを前記患者に静脈内投与することを更に含む、請求項112~125及び154~158のいずれか一項に記載の方法、請求項126~139及び154~158のいずれか一項に記載の使用のためのセモリネマブ、又は請求項140~158のいずれか一項に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年8月27日に出願された米国仮出願第63/238,052号、2021年8月30日に出願された米国仮出願第63/238,737号、2021年11月4日に出願された米国仮出願第63/275,884号、及び2022年7月14日に出願された米国仮出願第63/389,269号の優先権及び利益を主張するものであり、これらの内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
技術分野
本開示は、抗タウ抗体を使用して、軽度から中等度のアルツハイマー病、並びに他のタウ病態における認知機能低下を遅らせる方法に関する。
【0003】
配列表
本出願は、XML形式で電子的に提出された配列表を含み、参照によりその全体が本明細書に援用される。2022年8月26日に作成された当該XMLコピーは、000218-0061-WO 1_SL.xmlという名前であり、サイズが15,329バイトである。
【背景技術】
【0004】
背景
アルツハイマー病(AD)は認知症の最も一般的な原因であり、米国で推定570万人が罹患している(アルツハイマー病協会2018)。4680万人がAD又は他の認知症を有すると推定される(Prince et al.,World Alzheimer Report 2015:The Global Impact of Dementia,Alzheimer’s Disease International,2015(available at www.alz.co.uk/research/WorldAlzheimerReport2015.pdf.)。この疾患は、病理学的に、脳新皮質における細胞外βアミロイド(Aβ)ペプチドを含有するプラーク及び微小管関連タンパク質タウの凝集物を含有する細胞内神経原線維変化の蓄積を特徴とする。診断は、ADの神経学的及び神経精神医学的徴候及び症候の臨床評価、並びに認知機能障害の他の原因の排除によって行われる。ADは、一般に、臨床的に関連する機能的及び/又は認知機能低下の存在及び重症度によって、前臨床段階、前駆段階、軽度、中等度及び重度の段階に分類され、分類は、臨床的認知症評価(CDR)尺度(Morris,Neurology 1993;43:241-4)又はミニメンタルステート検査(「MMSE」;Folstein et al.J Psychiatr Res 1975;12:189-98)等の全体的尺度によって容易にされることが多い。アセチルコリンエステラーゼ(「AChE」)活性を阻害するか、又は脳内のN-メチル-D-アスパラギン酸受容体に拮抗する承認された薬物療法は、一部の患者においてADの症候を一時的に改善し得るが、疾患の進行を修正しない(Cummings,N.Engl.J.Med.2004;351:56-67)。
【0005】
脳における細胞外アミロイド斑及び細胞内タウ凝集物の沈着は、1906年にAlois Alzheimerによって最初に報告されたADの顕著な病理学的所見である。細胞内神経原線維変化は、凝集した異常にリン酸化されたタウタンパク質で構成されている。タウは、MAPT遺伝子によってコードされ、352~441アミノ酸の長さを有する6つの選択的にスプライシングされたアイソフォームとしてヒト脳で発現される。6つのアイソフォームは、3つの29残基近アミノ末端インサート(0N、1N、及び2N)と2つのカルボキシ末端反復ドメイン(3R及び4R)との組み合わせを含む(Wang and Mandelkow,Nat.Rev.Neurosci.2016 Jan;17(1):5-21)。細胞内凝集物は、神経絨毛糸における神経原線維変化として、及び樹状細胞区画における神経糸として見出されるが、脳を通じたタウ病態の広がりは、細胞外脳環境における可溶性タウによって媒介されると考えられている(Braak et al.,Brain 2015;138:2814-33;Wang and Mandelkow,Nat.Rev.Neurosci.2016 Jan;17(1):5-21)。
【0006】
AD患者におけるタウ病態の空間分布は、罹患皮質ネットワークによって支配される認知ドメインの低下と相関する(Ossenkoppele et al.,Brain 2016;139(Pt 5):1551-67)。ADトランスジェニックマウスモデルにおけるタウ遺伝子のノックアウトは、認知欠損に対して保護的である(Roberson et al.,Science 2007;316:750-4)。脳内のタウの拡散を減少させる治療法は、認知機能障害を緩和し、更なるシナプス損失、軸索変性、及び神経細胞死を遮断し得ると考えられている。
【0007】
それにもかかわらず、著しい失敗は、AD及び他のタウオパチー、例えば進行性核上性麻痺(PSP)の治療のための治療用抗タウ抗体の開発を際立たせている。例えば、タウの凝集型形態を認識するヒト化IgG4抗体であるC2N-8E12の第2相試験は、PSP患者への薬物の投与が治療上有益な効果を示さなかった場合に中止され(ALZFORUM Networking for a Cure,“AbbVie’s Tau Antibody Flops in Progressive Supranuclear Palsy,”July 26,2019、https://www.alzforum.org/news/research-news/abbvies-Tau-antibody-flops-progressive-supranuclear-palsyにて入手可能)、またAD患者における使用について更に最近になって中止された(ALZFORUM Networking for a Cure,Therapeutics,“Tilavonemab,”https://www.alzforum.org/therapeutics/tilavonemabにて入手可能、2022年1月17日更新)。同様に、タウのN末端断片に対するヒト化モノクローナル抗体であるゴスラネマブを用いた第2相試験は、PSP患者への投与が中間解析で有効性を示さなかった場合に中止された(Sandusky-Beltran,et al.,2020;Neuropharmacology 175:108104)。
【0008】
さらに、ADに対するゴスラネマブを用いた最近の第2相試験では、研究が患者の脳脊髄液(CSF)におけるN末端タウの低下を報告したにもかかわらず、薬物は軽度認知障害(MCI)及び軽度AD認知症を有する患者においてその主要有効性評価項目を満たすことができず、様々な調査エンドポイントで治療上の利益は見られなかった(Biogen Inc.,“Biogen Announces Topline Results from Phase 2 Study of Gosuranemab,an Anti-Tau Antibody,for Alzheimer’s Disease,”2021年6月16日、https://www.globenewswire.com/news-release/2021/06/16/2248550/0/en/Biogen-Announces-Topline-Results-From-Phase-2-Study-of-Gosuranemab-an-Anti-Tau-Antibody-for-Alzheimer-s-Disease.htmlで入手可能)。同様に、ADに対するザゴテネマブも、第2相臨床試験でその主要評価項目を逃した後、中止されている(ALZFORUM Networking for a Cure,Therapeutics,“Zagotenemab,”、https://www.alzforum.org/therapeutics/zagotenemabにて入手可能、2021年10月29日更新)。初期(前駆期から軽度)ADにおける抗タウ抗体セモリネマブの第2相試験も、その主要な有効性及び副次評価項目を満たさなかった(AC Immune,“AC Immune Reports Top Line Results from TAURIEL Phase 2 Trial Evaluating Semorinemab in Early Alzheimer’s Disease,”2020年9月23日、https://ir.acimmune.com/news-releases/news-release-details/ac-immune-reports-top-line-results-Tauriel-phase-2-trialで入手可能)。
【0009】
65歳を超える人口の9人に1人がADを有すると推定されており、ADに罹患している個人による及びADに罹患している個人に代わってのヘルスケア、長期ケア及びホスピスケアの年間総費用は、2013年に2000億ドルを超え、2050年までに1兆2000億ドルに上昇すると推定されている(Alzheimer’s Association,“2013 Alzheimer’s Disease Facts and Figures,”Alzheimer’s and Dementia 9:208-245,2013)。ADは、2013年の時点で米国において6番目に多い死因である(id.)。
【0010】
ADの既存の治療法は、わずかな症候的利益しか提供せず、基礎となる神経変性過程の進行を遅らせることができない。AD、特に軽度から中等度のAD及び中等度のADを有する患者、並びに他のタウ病態を有する患者のための疾患修飾治療薬に対する多大な満たされていない医学的ニーズがある。
【発明の概要】
【0011】
開示の概要
一態様では、本開示は、軽度から中等度のアルツハイマー病(AD)と診断された患者における認知能力の低下を遅らせる方法であって、当該患者に4500mg用量のヒト化モノクローナル抗タウ抗体を投与することを含み、抗タウ抗体は、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、方法を提供する。
【0012】
別の態様では、本開示は、軽度から中等度のADと診断された患者のアルツハイマー病評価尺度、認知下位尺度、11項目バージョン(ADAS-Cog11)スコアの5ポイント以内に認知能力を維持する方法であって、4500mg用量のヒト化モノクローナル抗タウ抗体を当該患者に投与することであって、12~17回の用量の当該抗体の投与後に評価された患者のADAS-Cog11スコアが、当該抗体の投与前に評価された患者のADAS-Cog11スコアよりも2.5ポイント以下、3ポイント以下、3.5ポイント以下、4ポイント以下、4.5ポイント以下、又は5ポイント以下高い、4500mg用量のヒト化モノクローナル抗タウ抗体を当該患者に投与することと、それによって患者のADAS-Cog11スコアの5ポイント以内に認知能力を維持することと、を含み、抗タウ抗体が、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、方法を提供する。
【0013】
別の態様では、本開示は、中等度のADと診断された患者における認知能力の低下を遅らせる方法であって、当該患者に4500mgの用量のヒトかモノクローナル抗タウ抗体を投与することを含み、抗タウ抗体が、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、方法を提供する。
【0014】
別の態様では、本開示は、中等度のADと診断された患者のアルツハイマー病評価尺度、認知下位尺度、11項目バージョン(ADAS-Cog11スコアの5ポイント以内に認知能力を維持する方法であって、4500mg用量のヒト化モノクローナル抗タウ抗体を当該患者に投与することであって、12~17回の用量の当該抗体の投与後に評価された患者のADAS-Cog11スコアが、当該抗体の投与前に評価された患者のADAS-Cog11スコアよりも2.5ポイント以下、3ポイント以下、3.5ポイント以下、4ポイント以下、4.5ポイント以下、又は5ポイント以下高い、4500mg用量のヒト化モノクローナル抗タウ抗体を当該患者に投与することと、それによって患者のADAS-Cog11スコアの5ポイント以内に記憶を維持することと、を含み、抗タウ抗体が、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、方法を提供する。
【0015】
別の態様では、本開示は、軽度から中等度のADと診断された対象における記憶力低下を遅らせる方法であって、患者に4500mg用量のヒト化モノクローナル抗タウ抗体を投与することを含み、抗タウ抗体は、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、方法を提供する。
【0016】
別の態様では、本開示は、軽度から中等度のADと診断された患者のアルツハイマー病評価尺度、認知下位尺度、11項目バージョン(ADAS-Cog11)記憶ドメインスコアの2.5ポイント以内に記憶力を維持する方法であって、4500mg用量のヒト化モノクローナル抗タウ抗体を当該患者に投与することであって、12~17回の用量の当該抗体の投与後に評価された患者のADAS-Cog11記憶ドメインスコアが、当該抗体の投与前に評価された患者のADAS-Cog11記憶ドメインスコアよりも1ポイント以下、1.5ポイント以下、1.7ポイント以下、2ポイント以下、2.3ポイント以下、又は2.5ポイント以下高い、4500mg用量のヒト化モノクローナル抗タウ抗体を当該患者に投与することと、それによって患者のADAS-Cog11記憶ドメインスコアの2.5ポイント以内に記憶力を維持することと、を含み、抗タウ抗体が、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、方法を提供する。
【0017】
別の態様では、本開示は、中等度のADと診断された患者における記憶力低下を遅らせる方法であって、当該患者に4500mgの用量のヒトかモノクローナル抗タウ抗体を投与して患者における記憶力の低下を遅らせることを含み、抗タウ抗体が、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、方法を提供する。
【0018】
別の態様では、本開示は、中等度のADと診断された患者のアルツハイマー病評価尺度、認知下位尺度、11項目バージョン(ADAS-Cog11)記憶ドメインスコアの2.5ポイント以内に記憶力を維持する方法であって、4500mg用量のヒト化モノクローナル抗タウ抗体を当該患者に投与することであって、12~17回の用量の当該抗体の投与後に評価された患者のADAS-Cog11記憶ドメインスコアが、当該抗体の投与前に評価された患者のADAS-Cog11記憶ドメインスコアよりも1ポイント以下、1.5ポイント以下、1.7ポイント以下、2ポイント以下、2.3ポイント以下、又は2.5ポイント以下高い、4500mg用量のヒト化モノクローナル抗タウ抗体を当該患者に投与することと、それによって患者のADAS-Cog11記憶ドメインスコアの2.5ポイント以内に記憶力を維持することと、を含み、抗タウ抗体が、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、方法を提供する。
【0019】
別の態様では、本開示は、軽度から中等度のADと診断された患者における言語能力の低下を遅らせる方法であって、当該患者に4500mg用量のヒト化モノクローナル抗タウ抗体を投与することを含み、抗タウ抗体は、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、方法を提供する。
【0020】
別の態様では、本開示は、中等度のADと診断された患者における言語能力の低下を遅らせる方法であって、当該患者に4500mg用量のヒト化モノクローナル抗タウ抗体を投与することを含み、抗タウ抗体は、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、方法を提供する。
【0021】
別の態様では、本開示は、軽度から中等度のADと診断された患者におけるプラクシス能力の低下を遅らせる方法であって、当該患者に4500mg用量のヒト化モノクローナル抗タウ抗体を投与することを含み、抗タウ抗体は、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、方法を提供する。
【0022】
別の態様では、本開示は、中等度のADと診断された患者におけるプラクシス能力の低下を遅らせる方法であって、当該患者に4500mg用量のヒト化モノクローナル抗タウ抗体を投与することを含み、抗タウ抗体は、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、方法を提供する。
【0023】
別の態様では、本開示は、有害事象のリスクを増加させることなく、軽度から中等度のADと診断された患者を治療する方法であって、治療緊急有害事象のリスクを増加させることなく(又は有意に増加させることなく)、当該患者に4500mg用量のヒト化モノクローナル抗タウ抗体を投与することを含み、任意に、用量が12~17回の用量について繰り返され、抗タウ抗体が、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、方法を提供する。
【0024】
別の態様では、本開示は、有害事象のリスクを増加させることなく、中等度のADと診断された患者を治療する方法であって、治療緊急有害事象のリスクを増加させることなく(又は有意に増加させることなく)、当該患者に4500mg用量のヒト化モノクローナル抗タウ抗体を投与することを含み、任意に、用量が12~17回の用量について繰り返され、抗タウ抗体が、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、方法を提供する。
【0025】
別の態様では、本開示は、軽度から中等度のADと診断された患者における認知能力の低下を遅らせるのに使用するために4500mgの用量で提供されるヒト化モノクローナル抗タウ抗体であって、抗タウ抗体が、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体を提供する。
【0026】
別の態様では、本開示は、12~17回の用量の投与後に、軽度から中等度のADと診断された患者のアルツハイマー病評価尺度、認知下位尺度、11項目バージョン(ADAS-Cog11)スコアよりも5ポイント以下高い認知能力の維持における使用のために4500mgの用量で提供されるヒト化モノクローナル抗タウ抗体であって、抗タウ抗体が、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体を提供する。
【0027】
別の態様では、本開示は、中等度のADと診断された患者における認知能力の低下を遅らせるのに使用するために4500mgの用量で提供されるヒト化モノクローナル抗タウ抗体であって、抗タウ抗体が、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体を提供する。
【0028】
別の態様では、本開示は、12~17回の用量の投与後に、中等度のADと診断された患者のアルツハイマー病評価尺度、認知下位尺度、11項目バージョン(ADAS-Cog11)スコアよりも5ポイント以下高い認知能力の維持における使用のために4500mgの用量で提供されるヒト化モノクローナル抗タウ抗体であって、抗タウ抗体が、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体を提供する。
【0029】
別の態様では、本開示は、軽度から中等度のADと診断された患者における記憶力低下を遅らせるのに使用するために4500mgの用量で提供されるヒト化モノクローナル抗タウ抗体であって、抗タウ抗体が、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体を提供する。
【0030】
別の態様では、本開示は、12~17回の用量の投与後に、軽度から中等度のADと診断された患者のアルツハイマー病評価尺度、認知下位尺度、11項目バージョン(ADAS-Cog11)記憶ドメインスコアの2.5ポイント以内の記憶力の維持における使用のために4500mgの用量で提供されるヒト化モノクローナル抗タウ抗体であって、抗タウ抗体が、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体を提供する。
【0031】
別の態様では、本開示は、中等度のADと診断された患者における記憶力低下を遅らせるのに使用するために4500mgの用量で提供されるヒト化モノクローナル抗タウ抗体であって、抗タウ抗体が、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体を提供する。
【0032】
別の態様では、本開示は、12~17回の用量の投与後に、中等度のADと診断された患者のアルツハイマー病評価尺度、認知下位尺度、11項目バージョン(ADAS-Cog11)記憶ドメインスコアの2.5ポイント以内の記憶力の維持における使用のために4500mgの用量で提供されるヒト化モノクローナル抗タウ抗体であって、抗タウ抗体が、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体を提供する。
【0033】
別の態様では、本開示は、軽度から中等度のADと診断された患者における言語能力の低下を遅らせるのに使用するために4500mgの用量で提供されるヒト化モノクローナル抗タウ抗体であって、抗タウ抗体が、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体を提供する。
【0034】
別の態様では、本開示は、中等度のADと診断された患者における言語能力の低下を遅らせるのに使用するために4500mgの用量で提供されるヒト化モノクローナル抗タウ抗体であって、抗タウ抗体が、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体を提供する。
【0035】
別の態様では、本開示は、軽度から中等度のADと診断された患者におけるプラクシス能力の低下を遅らせるのに使用するために4500mgの用量で提供されるヒト化モノクローナル抗タウ抗体であって、抗タウ抗体が、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体を提供する。
【0036】
別の態様では、本開示は、中等度のADと診断された患者におけるプラクシス能力の低下を遅らせるのに使用するために4500mgの用量で提供される ヒト化モノクローナル抗タウ抗体であって、抗タウ抗体が、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体を提供する。
【0037】
別の態様では、本開示は、有害事象のリスクを増加させることなく軽度から中等度のADと診断された患者の治療における使用のための4500mgの用量で提供されるヒト化モノクローナル抗タウ抗体であって、任意に、用量が12~17回の用量について繰り返され、抗タウ抗体が、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体を提供する。
【0038】
別の態様では、本開示は、有害事象のリスクを増加させることなく中等度のADと診断された患者の治療における使用のための4500mgの用量で提供されるヒト化モノクローナル抗タウ抗体であって、任意に、用量が12~17回の用量について繰り返され、抗タウ抗体が、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体を提供する。
【0039】
別の態様では、本開示は、軽度から中等度のADと診断された患者における認知能力の低下を遅らせるための医薬の製造のためのヒト化モノクローナル抗タウ抗体の使用であって、抗タウ抗体が、4500mgの用量で提供されるように製剤化され、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、使用を提供する。
【0040】
別の態様では、本開示は、12~17回の用量の投与に続いて、軽度から中等度のADと診断された患者のアルツハイマー病評価尺度、認知下位尺度、11項目バージョン(ADAS-Cog11)スコアよりも5ポイント以下高い認知能力を維持するための医薬の製造のためのヒト化モノクローナル抗タウ抗体の使用であって、抗タウ抗体が、4500mgの用量で提供されるように製剤化され、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、使用を提供する。
【0041】
別の態様では、本開示は、中等度のADと診断された患者における認知能力の低下を遅らせるための医薬の製造のためのヒト化モノクローナル抗タウ抗体の使用であって、抗タウ抗体が、4500mgの用量で提供されるように製剤化され、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、使用を提供する。
【0042】
別の態様では、本開示は、12~17回の用量の投与に続いて、中等度のADと診断された患者のアルツハイマー病評価尺度、認知下位尺度、11項目バージョン(ADAS-Cog11)スコアよりも5ポイント以下高い認知能力を維持するための医薬の製造のためのヒト化モノクローナル抗タウ抗体の使用であって、抗タウ抗体が、4500mgの用量で提供されるように製剤化され、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、使用を提供する。
【0043】
別の態様では、本開示は、軽度から中等度のADと診断された患者における記憶力低下を遅らせるための医薬の製造のためのヒト化モノクローナル抗タウ抗体の使用であって、抗体が、4500mgの用量で提供されるように製剤化され、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、使用を提供する。
【0044】
別の態様では、本開示は、12~17回の用量の投与に続いて、軽度から中等度のADと診断された患者のアルツハイマー病評価尺度、認知下位尺度、11項目バージョン(ADAS-Cog11)記憶ドメインスコアの2.5ポイント以内の記憶力を維持するための医薬の製造のためのヒト化モノクローナル抗タウ抗体の使用であって、抗タウ抗体が、4500mgの用量で提供されるように製剤化され、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、使用を提供する。
【0045】
別の態様では、本開示は、中等度のADと診断された患者における記憶力低下を遅らせるための医薬の製造のためのヒト化モノクローナル抗タウ抗体の使用であって、抗体が、4500mgの用量で提供されるように製剤化され、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、使用を提供する。
【0046】
別の態様では、本開示は、12~17回の用量の投与に続いて、中等度のADと診断された患者のアルツハイマー病評価尺度、認知下位尺度、11項目バージョン(ADAS-Cog11)記憶ドメインスコアの2.5ポイント以内の記憶力を維持するための医薬の製造のためのヒト化モノクローナル抗タウ抗体の使用であって、抗タウ抗体が、4500mgの用量で提供されるように製剤化され、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、使用を提供する。
【0047】
別の態様では、本開示は、軽度から中等度のADと診断された患者における言語能力の低下を遅らせるための医薬の製造のためのヒト化モノクローナル抗タウ抗体の使用であって、抗体が、4500mgの用量で提供されるように製剤化され、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、使用を提供する。
【0048】
別の態様では、本開示は、中等度のADと診断された患者における言語能力の低下を遅らせるための医薬の製造のためのヒト化モノクローナル抗タウ抗体の使用であって、抗体が、4500mgの用量で提供されるように製剤化され、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、使用を提供する。
【0049】
別の態様では、本開示は、軽度から中等度のADと診断された患者におけるプラクシス能力の低下を遅らせるための医薬の製造のためのヒト化モノクローナル抗タウ抗体の使用であって、抗体が、4500mgの用量で提供されるように製剤化され、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、使用を提供する。
【0050】
別の態様では、本開示は、中等度のADと診断された患者におけるプラクシス能力の低下を遅らせるための医薬の製造のためのヒト化モノクローナル抗タウ抗体の使用であって、抗体が、4500mgの用量で提供されるように製剤化され、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、使用を提供する。
【0051】
別の態様では、本開示は、有害事象のリスクを増加させることなく軽度から中等度のADと診断された患者を治療するための医薬の製造のためのヒト化モノクローナル抗タウ抗体の使用であって、抗タウ抗体が、4500mgの用量で提供されるように製剤化され、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、使用を提供する。
【0052】
別の態様では、本開示は、有害事象のリスクを増加させることなく中等度のADと診断された患者を治療するための医薬の製造のためのヒト化モノクローナル抗タウ抗体の使用であって、抗タウ抗体が、4500mgの用量で提供されるように製剤化され、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、使用を提供する。
【0053】
いくつかの実施形態では、本開示の方法、使用のための抗タウ抗体、又は使用の有害事象は、注入関連反応、神経画像異常、免疫原性;希死念慮、頭痛、認知機能の悪化、意識変容、発作、ふらつき、嘔吐、転倒、尿路感染症、不安、頭痛、動揺、うつ病、めまい、下痢、高血圧、鼻咽頭炎、関節痛、便秘、COVID-19、不眠症、上気道感染症、腹痛、背痛、咳、血尿、悪心、四肢痛、貧血、錯乱状態及び幻覚からなる群から選択される少なくとも1つ以上である。
【0054】
いくつかの実施形態では、本開示の方法、使用のための抗タウ抗体、又は使用のタウPETトレーサーは、抗体の投与前及び/又は投与後に患者に投与され、有害事象のリスクを増加させない。
【0055】
いくつかの実施形態では、本開示の方法、使用のための抗タウ抗体、又は使用の患者は、当該抗体の投与前に、両端の値を含めて16~19のミニメンタルステート検査(MMSE)スコアを有し、任意に、当該抗体の投与前に、両端の値を含めて16~18のMMSEスコアを有する。
【0056】
いくつかの実施形態では、本開示の方法、使用のための抗タウ抗体、又は使用の患者は、当該抗体の投与前に1又は2の臨床的認知症グローバル尺度(CDR-GS)を有する。
【0057】
いくつかの実施形態では、本開示の方法、使用のための抗タウ抗体、又は使用の用量は、少なくとも5回、少なくとも8回、又は少なくとも10回繰り返されるか、又は用量は、5~17回、10~17回、又は12~17回の用量について繰り返される。いくつかの実施形態では、本開示の方法、使用のための抗タウ抗体、又は使用の用量は、13~15回の用量、13~14回の用量、14~15回の用量、又は14回の用量について繰り返される。いくつかの実施形態では、本開示の方法、使用のための抗タウ抗体、又は使用の用量は、12~16回の用量について繰り返される。いくつかの実施形態では、本開示の方法、使用のための抗タウ抗体又は使用の用量は、14回~17回の用量について繰り返される。
【0058】
いくつかの実施形態では、本開示の方法、使用のための抗タウ抗体、又は使用の抗体は、少なくとも24週間にわたって、任意に、4週間ごとに(又は毎月)少なくとも1回投与される。いくつかの実施形態では、本開示の方法、使用のための抗タウ抗体、又は使用の抗体は、少なくとも36週間にわたって、任意に、4週間ごとに(又は毎月)少なくとも1回投与される。
【0059】
いくつかの実施形態では、本開示の方法、使用のための、抗タウ抗体、又は使用の抗体は、少なくとも40、44、48、52、56、60、64、68、72、76、80、84、88、92、96、100、104、108、112、116、120、124、128、132、136、140、144、148、152、156、160、164、又は168週間にわたって、任意に、4週間ごとに(又は毎月)少なくとも1回投与される。いくつかの実施形態では、本開示の方法の抗体、使用のための抗タウ抗体、又は使用は、少なくとも40、44、48、52、56、又は60週間わたって、任意に4週間ごとに(又は毎月)少なくとも1回投与される。
【0060】
いくつかの実施形態では、本開示の方法、使用のための抗タウ抗体、又は使用では、抗体は、少なくとも48週間にわたって4週間ごとに(又は毎月)少なくとも1回投与される。
【0061】
いくつかの実施形態では、本開示の方法、使用のための抗タウ抗体又は使用のADAS-Cog11スコアは、患者への当該抗体の投与後に評価され、当該抗体の投与前に評価された患者のADAS-Cog11スコアよりも、2.5ポイント以下、3ポイント以下、3.5ポイント以下、4ポイント以下、4.5ポイント以下、又は5ポイント以下高い。いくつかの実施形態では、本開示の方法、使用のための抗タウ抗体、又は使用のADAS-Cog11スコアは、患者への当該抗体の投与後に評価され、当該抗体の投与前に評価された患者のADAS-Cog11スコアよりも4ポイント以下高い。いくつかの実施形態では、本開示の方法、使用のための抗タウ抗体、又は使用のADAS-Cog11スコアは、患者への当該抗体の投与後に評価され、当該抗体の投与前に評価された患者のADAS-Cog11スコアよりも2~4ポイント高い。いくつかの実施形態では、本開示の方法、使用のための抗タウ抗体、又は使用のADAS-Cog11スコアは、患者への当該抗体の投与後に評価され、当該抗体の投与前に評価された患者のADAS-Cog11スコアよりも3~4ポイント高い。
【0062】
いくつかの実施形態では、本開示の方法、使用のための抗タウ抗体又は使用のADAS-Cog11記憶ドメインスコアは、患者への当該抗体の投与後に評価され、当該抗体の投与前に評価された患者のADAS-Cog11記憶ドメインスコアよりも、1ポイント以下、1.5ポイント以下、1.7ポイント以下、2ポイント以下、2.3ポイント以下、又は2.5ポイント以下高い。いくつかの実施形態では、本開示の方法、使用のための抗タウ抗体、又は使用のADAS-Cog11記憶ドメインスコアは、患者への当該抗体の投与後に評価され、当該抗体の投与前に評価された患者のADAS-Cog11メモリドメインスコアより2ポイント以下高い。いくつかの実施形態では、本開示の方法、使用のための抗タウ抗体、又は使用のADAS-Cog11記憶ドメインスコアは、患者への当該抗体の投与後に評価され、当該抗体の投与前に評価された患者のADAS-Cog11メモリドメインスコアより1~2ポイント高い。いくつかの実施形態では、本開示の方法、使用のための抗タウ抗体、又は使用のADAS-Cog11記憶ドメインスコアは、患者への当該抗体の投与後に評価され、当該抗体の投与前に評価された患者のADAS-Cog11メモリドメインスコアより1.5~2.5ポイント高い。
【0063】
いくつかの実施形態では、本開示の方法の抗体、使用のための抗タウ抗体、又は使用は、少なくとも48週間にわたって4週間ごとに(又は毎月)少なくとも1回投与される。
【0064】
いくつかの実施形態では、本開示の方法、使用のための抗タウ抗体、又は使用の当該抗体の投与後に評価される(患者の)ADAS-Cog11スコアは、抗体の投与なしで予想されるものと比較して、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、又は少なくとも50%低下する。いくつかの実施形態では、本開示の方法、使用するための抗タウ抗体、又は使用のADAS-Cog11スコアは、患者への当該抗体の投与後に評価され、当該抗体の投与なしで予想されるものと比較して少なくとも40%低下する。いくつかの実施形態では、本開示の方法、使用するための抗タウ抗体、又は使用のADAS-Cog11スコアは、患者への当該抗体の投与後に評価され、当該抗体の投与なしで予想されるものと比較して25~50%低下する。いくつかの実施形態では、本開示の方法、使用するための抗タウ抗体、又は使用のADAS-Cog11スコアは、患者への当該抗体の投与後に評価され、当該抗体の投与なしで予想されるものと比較して40~50%低下する。
【0065】
いくつかの実施形態では、本開示の方法の抗体、使用のための抗タウ抗体、又は使用は、患者に、少なくとも48週間にわたって4週間ごとに(又は毎月)少なくとも1回投与される。
【0066】
いくつかの実施形態では、本開示の方法、使用のための抗タウ抗体、又は使用は、抗体を2週間ごと、3週間ごと、又は4週間ごとに1回投与することを含む。いくつかの実施形態では、本開示の方法、使用のための抗タウ抗体、又は使用は、抗体を1~5回の用量については2週間ごとに1回、次いで4週間ごとに1回(又は月に1回)投与することを含む。いくつかの実施形態では、本開示の方法、使用のための抗タウ抗体、又は使用は、抗体を3回の用量については2週間ごとに1回、次いで4週間ごとに1回(又は月に1回)投与することを含む。
【0067】
いくつかの実施形態では、本開示の方法、使用のための抗タウ抗体、又は使用は、抗体を静脈内投与することを含む。
【0068】
いくつかの実施形態では、本開示の方法、使用のための抗タウ抗体、又は使用の投与は、0.5~3.0mL/分の注入速度で行われる。いくつかの実施形態では、本開示の方法、使用のための抗タウ抗体、又は使用の投与は、4週間ごとに(又は毎月)0.5~3.0mL/分の注入速度で行われる。
【0069】
いくつかの実施形態では、本開示の方法、使用のための抗タウ抗体、又は使用の注入速度は、任意に第1の注入の10~120分間は0.5~1mL/分であり、その後は3mL/分である。
【0070】
いくつかの実施形態では、本開示の方法、使用のための抗タウ抗体、又は使用の抗体は、IgG4抗体である。
【0071】
いくつかの実施形態では、本開示の方法の抗体、使用のための抗タウ抗体、又は使用は、EUナンバリングに従ってM252Y、S254T、及びT256E変異を含む。
【0072】
いくつかの実施形態では、本開示の方法の抗体、使用のための抗タウ抗体、又は使用は、EUナンバリングに従ってS228P変異を含む。
【0073】
いくつかの実施形態では、本開示の方法、使用のための抗タウ抗体、又は使用の抗体は、配列番号5の配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び/又は配列番号9の配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、本開示の方法、使用のための抗タウ抗体、又は使用の抗体は、配列番号5のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域及び/又は配列番号9のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を含む。
【0074】
いくつかの実施形態では、本開示の方法、使用のための抗タウ抗体、又は使用の抗体は、セモリネマブである。
【0075】
いくつかの実施形態では、本開示の方法、使用のための抗タウ抗体、又は使用の患者は、Apoε4陽性である。
【0076】
いくつかの実施形態では、本開示の方法、使用のための抗タウ抗体、又は使用の患者は、Apoε4陰性である。
【0077】
いくつかの実施形態では、本開示の方法、使用のための抗タウ抗体、又は使用の患者は、抗体の投与前に19~21のMMSEスコアを有する。
【0078】
いくつかの実施形態では、本開示の方法、使用のための抗タウ抗体、又は使用の患者は、抗体の投与前に、16~19(両端の値を含む)のMMSEスコアを有し、任意に、抗体の投与前に、16~18(両端の値を含む)のMMSEスコアを有する。
【0079】
いくつかの実施形態では、本開示の方法、使用のための抗タウ抗体、又は使用の患者は、タウ陽性及び/又はアミロイドベータ(Aベータ)陽性であり、任意に、患者は、タウに結合する陽電子放射断層撮影(PET)トレーサーを患者に投与することによってタウ陽性であると決定され、任意に、患者は、Aベータに結合するPETトレーサーを患者に投与することによってAベータ陽性であると決定される。
【0080】
いくつかの実施形態では、本開示の方法、使用のための抗タウ抗体、又は使用のタウのレベルは、患者の脳内のPETトレーサーの分布を示すスキャンの標準化取込み値比(SUVR)測定によって測定される。
【0081】
いくつかの実施形態では、本開示の方法、使用のための抗タウ抗体、又は使用の患者は、高レベルのタウを有し、高レベルのタウは、
(i)中央値Genentechタウプローブ1(GTP1)全皮質灰白質(WCG)以上の脳内タウレベル(上中分割)、
(ii)1.325以上の側頭部からのSUVR測定値、及び
(iii)1.245以上である全皮質灰白質(WCG)領域からのSUVR測定値
のうちの1つ以上に相当する。
【0082】
いくつかの実施形態では、本開示の方法、使用のための抗タウ抗体、又は使用の患者は、低レベルのタウを有し、低レベルのタウは、
(i)中央値GTP1 WCG未満の脳内タウレベル(下中分割)、
(ii)1.325未満である側頭部からのSUVR測定値、及び
(iii)1.245未満であるWCGからのSUVR測定値
のうちの1つ以上に相当する。
【0083】
いくつかの実施形態では、本開示の方法、使用又は使用のための抗タウ抗体のタウに結合するPETトレーサーは、[18F]Genentechタウプローブ1([18F]GTP1、RO-948、AV-1451(フロルタウシピル)、PI-2014、PI-2620、MK-6240及びT-808からなる群から選択される少なくとも1つであり、本開示の方法、使用のための抗タウ抗体又は使用のAベータに結合するPETトレーサーは、フロルベタピル、フロルベタベン及びフルテメタモルからなる群から選択される少なくとも1つである。
【0084】
いくつかの実施形態では、本開示の方法、使用のための抗タウ抗体、又は使用のタウは、患者から採取したCSF試料又は血漿試料で測定される。
【0085】
いくつかの実施形態では、本開示の方法、使用のための抗タウ抗体、又は使用の患者は、1つ以上の追加の薬剤を同時投与される。
【0086】
いくつかの実施形態では、本開示の方法、使用のための抗タウ抗体、又は使用の1つ以上の追加の薬剤は、対症療法薬、神経薬、コルチコステロイド、抗生物質、抗ウイルス薬、追加の抗タウ抗体、タウ阻害剤、抗アミロイドベータ抗体、ベータ-アミロイド凝集阻害剤、抗BACE1抗体、BACE1阻害剤;コリンエステラーゼ阻害剤;NMDA受容体拮抗薬;モノアミン枯渇剤;メシル酸エルゴロイド;抗コリン作動性パーキンソン症候群治療薬;ドーパミン作動性パーキンソン症候群治療薬;テトラベナジン;抗炎症剤;ホルモン;ビタミン;ジメボリン;ホモタウリン;セロトニン受容体活性調節剤;インターフェロン、及び糖質コルチコイドからなる群から選択される。
【0087】
いくつかの実施形態では、本開示の方法、使用のための抗タウ抗体又は使用の対症療法薬は、コリンエステラーゼ阻害剤、ガランタミン、リバスチグミン、ドネペジル、N-メチル-D-アスパラギン酸受容体拮抗薬、メマンチン、及び栄養補助食品(任意に、栄養補助食品はSouvenaid(登録商標)である)からなる群から選択される。
【0088】
いくつかの実施形態では、本開示の方法、使用のための抗タウ抗体、又は使用のための抗アミロイドベータ抗体は、アデュカヌマブ、レカネマブ、又はドナネマブである。
【0089】
いくつかの実施形態では、本開示の方法、使用のための抗タウ抗体、又は使用のための抗アミロイドベータ抗体は、クレネズマブ若しくはガンテネルマブである。
【0090】
いくつかの実施形態では、本開示の方法、使用のための抗タウ抗体、又は使用の追加の抗タウ抗体は、異なるN末端結合剤、中間ドメイン結合剤、及び線維性タウ結合剤からなる群から選択される。
【0091】
いくつかの実施形態では、本開示の方法、使用のための抗タウ抗体、又は使用の追加の抗タウ抗体は、ゴスラネマブ、チラボネマブ、ベプラネマブ、及びザゴテネマブからなる群から選択される。
【0092】
いくつかの実施形態では、本開示の方法、使用のための抗タウ抗体、又は使用の1つ以上の追加の薬剤は、ベータセクレターゼ、タウ、プレセニリン、アミロイド前駆体タンパク質若しくはその一部、アミロイドベータペプチド又はそのオリゴマー若しくは原線維、細胞死受容体6(DR6)、終末糖化産物受容体(RAGE)、パーキン、及びハンチンチンからなる群から選択される標的に特異的に結合する治療剤を含む。
【0093】
いくつかの実施形態では、本開示の方法、使用のための抗タウ抗体、又は使用のモノアミン枯渇剤は、テトラベナジンである。
【0094】
いくつかの実施形態では、本開示の方法、使用のための抗タウ抗体、又は使用の抗コリン作動性パーキンソン症候群治療薬は、プロシクリジン、ジフェンヒドラミン、トリヘキシルフェニジル、ベンズトロピン、ビペリデン及びトリヘキシフェニジルからなる群から選択される。
【0095】
いくつかの実施形態では、本開示の方法、使用のための抗タウ抗体、又は使用のドーパミン作動性パーキンソン症候群治療薬は、エンタカポン、セレギリン、プラミペキソール、ブロモクリプチン、ロチゴチン、セレギリン、ロピニロール、ラサギリン、アポモルヒネ、カルビドパ、レボドパ、ペルゴリド、トルカポン及びアマンタジンからなる群から選択される。
【0096】
いくつかの実施形態では、本開示の方法、使用のための抗タウ抗体、又は使用の抗炎症剤は、非ステロイド系抗炎症薬及びインドメタシンからなる群から選択される。
【0097】
いくつかの実施形態では、本開示の方法のホルモン、使用のための抗タウ抗体、又は使用は、エストロゲン、プロゲステロン、及びリュープロリドからなる群から選択される。
【0098】
いくつかの実施形態では、本開示の方法、使用のための抗タウ抗体、又は使用のビタミンは、葉酸塩及びニコチンアミドからなる群から選択される。
【0099】
いくつかの実施形態では、本開示の方法、使用のための抗タウ抗体、又は使用のホモタウリンは、3-アミノプロパンスルホン酸又は3APSである。
【0100】
いくつかの実施形態では、本開示の方法、使用のための抗タウ抗体又は使用のセロトニン受容体活性調節剤はキサリプロデンである。
【0101】
いくつかの実施形態では、本開示の方法の抗体、使用のための抗タウ抗体、又は使用の投与は、有害事象のリスクを増加させない。
【0102】
いくつかの実施形態では、本開示の方法、使用のための抗タウ抗体、又は使用の有害事象は、注入関連反応、神経画像異常、免疫原性;希死念慮、頭痛、認知機能の悪化、意識変容、発作、ふらつき、嘔吐、転倒、尿路感染症、不安、頭痛、動揺、うつ病、めまい、下痢、高血圧、鼻咽頭炎、関節痛、便秘、COVID-19、不眠症、上気道感染症、腹痛、背痛、咳、血尿、悪心、四肢痛、貧血、錯乱状態及び幻覚からなる群から選択される少なくとも1つである。
【0103】
いくつかの実施形態では、本開示の方法、使用のための抗タウ抗体、又は使用の患者は、黒人又はヒスパニック系であるか、又は非ヨーロッパ系の民族起源を有する。
【0104】
別の態様では、本開示は、軽度から中等度のADと診断された患者における認知能力の低下を遅らせる方法であって、方法が、4500mg用量のセモリネマブを、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で患者に静脈内投与することを含む、方法を提供する。
【0105】
別の態様では、本開示は、軽度から中等度のADと診断された患者のADAS-Cog11スコアの5ポイント以内に認知能力を維持する方法であって、方法が、4500mg用量のセモリネマブを、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で患者に静脈内投与することを含む、方法を提供する。
【0106】
別の態様では、本開示は、軽度から中等度のADと診断された患者を、有害事象のリスクを増加させることなく治療する方法であって、方法が、4500mg用量のセモリネマブを、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で患者に静脈内投与することを含む、方法を提供する。
【0107】
別の態様では、本開示は、軽度から中等度のADと診断された患者における記憶力低下を遅らせる方法であって、方法が、4500mg用量のセモリネマブを、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で患者に静脈内投与することを含む、方法を提供する。
【0108】
別の態様では、本開示は、軽度から中等度のADと診断された患者のADAS-Cog11スコアの2.5ポイント以内に認知能力を維持する方法であって、方法が、4500mg用量のセモリネマブを、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で患者に静脈内投与することを含む、方法を提供する。
【0109】
別の態様では、本開示は、軽度から中等度のADと診断された患者における言語能力の低下を遅らせる方法であって、方法が、4500mg用量のセモリネマブを、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で患者に静脈内投与することを含む、方法を提供する。
【0110】
別の態様では、本開示は、軽度から中等度のADと診断された患者におけるプラクシス能力の低下を遅らせる方法であって、方法が、4500mg用量のセモリネマブを、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で患者に静脈内投与することを含む、方法を提供する。
【0111】
別の態様では、本開示は、中等度のADと診断された患者における認知能力の低下を遅らせる方法であって、方法が、4500mg用量のセモリネマブを、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で患者に静脈内投与することを含む、方法を提供する。
【0112】
別の態様では、本開示は、中等度のADと診断された患者のADAS-Cog11スコアの5ポイント以内に認知能力を維持する方法であって、方法が、4500mg用量のセモリネマブを、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で患者に静脈内投与することを含む、方法を提供する。
【0113】
別の態様では、本開示は、中等度のADと診断された患者を、有害事象のリスクを増加させることなく治療する方法であって、方法が、4500mg用量のセモリネマブを、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で患者に静脈内投与することを含む、方法を提供する。
【0114】
別の態様では、本開示は、中等度のADと診断された患者における記憶力低下を遅らせる方法であって、方法が、4500mg用量のセモリネマブを、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で患者に静脈内投与することを含む、方法を提供する。
【0115】
別の態様では、本開示は、中等度のADと診断された患者のADAS-Cog11スコアの2.5ポイント以内に認知能力を維持する方法であって、方法が、4500mg用量のセモリネマブを、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で患者に静脈内投与することを含む、方法を提供する。
【0116】
別の態様では、本開示は、中等度のADと診断された患者における言語能力の低下を遅らせる方法であって、方法が、4500mg用量のセモリネマブを、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で患者に静脈内投与することを含む、方法を提供する。
【0117】
別の態様では、本開示は、中等度のADと診断された患者におけるプラクシス能力の低下を遅らせる方法であって、方法が、4500mg用量のセモリネマブを、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で患者に静脈内投与することを含む、方法を提供する。
【0118】
別の態様では、本開示は、軽度から中等度のADと診断された患者における認知能力の低下を遅らせるのに使用するための4500mg用量のセモリネマブであって、セモリネマブが、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で静脈内投与される、セモリネマブを提供する。
【0119】
別の態様では、本開示は、軽度から中等度のADと診断された患者のADAS-Cog11スコアよりも5ポイント以下高い認知能力の維持における使用のための4500mg用量のセモリネマブであって、セモリネマブが、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で静脈内投与される、セモリネマブを提供する。
【0120】
別の態様では、本開示は、有害事象のリスクを増加させることなく(又は有意に増加させることなく)軽度から中等度のADと診断された患者の治療における使用のための4500mg用量のセモリネマブであって、セモリネマブが、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で静脈内投与される、セモリネマブを提供する。
【0121】
別の態様では、本開示は、軽度から中等度のADと診断された患者における記憶力低下を遅らせるのに使用するための4500mg用量のセモリネマブであって、セモリネマブが、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で静脈内投与される、セモリネマブを提供する。
【0122】
別の態様では、本開示は、軽度から中等度のADと診断された患者のADAS-Cog11スコアよりも2.5ポイント以下高い認知能力の維持における使用のための4500mg用量のセモリネマブであって、セモリネマブが、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で静脈内投与される、セモリネマブを提供する。
【0123】
別の態様では、本開示は、軽度から中等度のADと診断された患者における言語能力の低下を遅らせるのに使用するための4500mg用量のセモリネマブであって、セモリネマブが、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で静脈内投与される、セモリネマブを提供する。
【0124】
別の態様では、本開示は、軽度から中等度のADと診断された患者におけるプラクシス能力の低下を遅らせるのに使用するための4500mg用量のセモリネマブであって、セモリネマブが、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で静脈内投与される、セモリネマブを提供する。
【0125】
別の態様では、本開示は、中等度のADと診断された患者における認知能力の低下を遅らせるのに使用するための4500mg用量のセモリネマブであって、セモリネマブが、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で静脈内投与される、セモリネマブを提供する。
【0126】
別の態様では、本開示は、中等度のADと診断された患者のADAS-Cog11スコアよりも5ポイント以下高い認知能力の維持における使用のための4500mg用量のセモリネマブであって、セモリネマブが、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で静脈内投与される、セモリネマブを提供する。
【0127】
別の態様では、本開示は、有害事象のリスクを増加させることなく(又は有意に増加させることなく)中等度のADと診断された患者の治療における使用のための4500mg用量のセモリネマブであって、セモリネマブが、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で静脈内投与される、セモリネマブを提供する。
【0128】
別の態様では、本開示は、中等度のADと診断された患者における記憶力低下を遅らせるのに使用するための4500mg用量のセモリネマブであって、セモリネマブが、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で静脈内投与される、セモリネマブを提供する。
【0129】
別の態様では、本開示は、中等度のADと診断された患者のADAS-Cog11スコアよりも2.5ポイント以下高い認知能力の維持における使用のための4500mg用量のセモリネマブであって、セモリネマブが、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で静脈内投与される、セモリネマブを提供する。
【0130】
別の態様では、本開示は、中等度のADと診断された患者における言語能力の低下を遅らせるのに使用するための4500mg用量のセモリネマブであって、セモリネマブが、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で静脈内投与される、セモリネマブを提供する。
【0131】
別の態様では、本開示は、中等度のADと診断された患者におけるプラクシス能力の低下を遅らせるのに使用するための4500mg用量のセモリネマブであって、セモリネマブが、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で静脈内投与される、セモリネマブを提供する。
【0132】
別の態様では、本開示は、軽度から中等度のADと診断された患者における認知能力の低下を遅らせるための医薬の製造のためのセモリネマブの使用であって、セモリネマブが、4500mgの用量での静脈内投与用に製剤化され、医薬が、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で投与される、使用を提供する。
【0133】
別の態様では、本開示は、軽度から中等度のADと診断された患者のADAS-Cog11スコアよりも5ポイント以下高い認知能力を維持するための医薬の製造のためのセモリネマブの使用であって、セモリネマブが、4500mgの用量での静脈内投与用に製剤化され、医薬が、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で投与されるように製剤化される、使用を提供する。
【0134】
別の態様では、本開示は、有害事象のリスクを増加させることなく(又は有意に増加させることなく)軽度から中等度のADと診断された患者を治療するための医薬の製造のためのセモリネマブの使用であって、セモリネマブが、4500mgの用量での静脈内投与用に製剤化され、医薬が、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で投与されるように製剤化される、使用を提供する。
【0135】
別の態様では、本開示は、軽度から中等度のADと診断された患者における記憶力低下を遅らせるための医薬の製造のためのセモリネマブの使用であって、セモリネマブが、4500mgの用量での静脈内投与用に製剤化され、医薬が、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で投与されるように製剤化される、使用を提供する。
【0136】
別の態様では、本開示は、軽度から中等度のADと診断された患者のADAS-Cog11スコアよりも2.5ポイント以下高い認知能力を維持するための医薬の製造のためのセモリネマブの使用であって、セモリネマブが、4500mgの用量での静脈内投与用に製剤化され、医薬が、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で投与されるように製剤化される、使用を提供する。
【0137】
別の態様では、本開示は、軽度から中等度のADと診断された患者における言語能力の低下を遅らせるための医薬の製造のためのセモリネマブの使用であって、セモリネマブが、4500mgの用量での静脈内投与用に製剤化され、医薬が、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で投与されるように製剤化される、使用を提供する。
【0138】
別の態様では、本開示は、軽度から中等度のADと診断された患者におけるプラクシス能力の低下を遅らせるための医薬の製造のためのセモリネマブの使用であって、セモリネマブが、4500mgの用量での静脈内投与用に製剤化され、医薬が、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で投与されるように製剤化される、使用を提供する。
【0139】
別の態様では、本開示は、中等度のADと診断された患者における認知能力の低下を遅らせるための医薬の製造のためのセモリネマブの使用であって、セモリネマブが、4500mgの用量での静脈内投与用に製剤化され、医薬が、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で投与される、使用を提供する。
【0140】
別の態様では、本開示は、中等度のADと診断された患者のADAS-Cog11スコアよりも5ポイント以下高い認知能力を維持するための医薬の製造のためのセモリネマブの使用であって、セモリネマブが、4500mgの用量での静脈内投与用に製剤化され、医薬が、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で投与されるように製剤化される、使用を提供する。
【0141】
別の態様では、本開示は、有害事象のリスクを増加させることなく(又は有意に増加させることなく)中等度のADと診断された患者を治療するための医薬の製造のためのセモリネマブの使用であって、セモリネマブが、4500mgの用量での静脈内投与用に製剤化され、医薬が、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で投与されるように製剤化される、使用を提供する。
【0142】
別の態様では、本開示は、中等度のADと診断された患者における記憶力低下を遅らせるための医薬の製造のためのセモリネマブの使用であって、セモリネマブが、4500mgの用量での静脈内投与用に製剤化され、医薬が、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で投与されるように製剤化される、使用を提供する。
【0143】
別の態様では、本開示は、中等度のADと診断された患者のADAS-Cog11スコアよりも2.5ポイント以下高い認知能力を維持するための医薬の製造のためのセモリネマブの使用であって、セモリネマブが、4500mgの用量での静脈内投与用に製剤化され、医薬が、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で投与されるように製剤化される、使用を提供する。
【0144】
別の態様では、本開示は、中等度のADと診断された患者における言語能力の低下を遅らせるための医薬の製造のためのセモリネマブの使用であって、セモリネマブが、4500mgの用量での静脈内投与用に製剤化され、医薬が、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で投与されるように製剤化される、使用を提供する。
【0145】
別の態様では、本開示は、中等度のADと診断された患者におけるプラクシス能力の低下を遅らせるための医薬の製造のためのセモリネマブの使用であって、セモリネマブが、4500mgの用量での静脈内投与用に製剤化され、医薬が、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で投与されるように製剤化される、使用を提供する。
【0146】
いくつかの実施形態では、本開示の方法のセモリネマブ、使用のためのセモリネマブ、又は本開示の使用は、少なくとも10回の用量についてQ4Wの頻度で投与される。いくつかの実施形態では、本開示の方法のセモリネマブ、使用のためのセモリネマブ、又は本開示の使用は、少なくとも13回の用量についてQ4Wの頻度で投与される。いくつかの実施形態では、本開示の方法のセモリネマブ、使用のためのセモリネマブ、又は本開示の使用は、少なくとも16回の用量についてQ4Wの頻度で投与される。
【0147】
いくつかの実施形態では、本開示の方法、使用のためのセモリネマブ、又は使用は、0.5mL/分~3.0mL/分の注入速度で投与される。
【0148】
いくつかの実施形態では、本開示の方法、使用のためのセモリネマブ、又は使用の注入速度は、任意に第1の注入の10~120分間は0.5mL/分~1mL/分であり、その後は3mL/分である。
【0149】
いくつかの実施形態では、本開示の方法、使用のためのセモリネマブ、又は使用は、4500mg用量のセモリネマブを、患者に96週間にわたってQ4Wの頻度で静脈内投与することを更に含む。
【図面の簡単な説明】
【0150】
本特許又は特許出願は、カラーで作成された少なくとも1つの図面を含む。カラー図面を含む本特許又は特許出願公開のコピーは、要請及び必要な手数料の支払いに応じて特許庁から提供される。
【0151】
【
図1】
図1A及び1Bは、スクリーニング期間、二重盲検治療期間、任意の非盲検継続(OLE)期間及び安全性追跡調査期間を含む研究計画全体を示す概略図を提供する。COVID-19により、試験薬の1回以上の用量を逃した参加者の盲検期間は60週間に延長された;2回以上の連続して研究薬注入を逃した場合、参加者に補充Q2W用量を与えた。Q2Wは2週間ごとを指し、Q4Wは4週間ごとを指す。
aは、8週間のスクリーニング期間の延長は、メディカルモニターに連絡することによって、場合によって認められ得ることを指す。
bは、メディカルモニターに連絡することによって、場合によっては15日間のベースライン来院期間の延長が認められ得ることを指す。
cは、コホート2及びコホート3について、二重盲検治療期間中に2回以上の連続研究薬物注入を逃した場合、研究薬物投与を次の3回の用量のQ2W投与で再開し、その後Q4W投与を行うことを指す。
【0152】
【
図2】
図2は、研究コホートの割り当てを示す。DBPは二重盲検期間を指す。OLEは、非盲検継続を指す。V3は、バージョン3を指す。
【0153】
【
図3】
図3は、研究参加者の無作為化を示す概略図である。
【0154】
【
図4】
図4A~4Bは、二重盲検治療期間中のコホート1(
図4A)及びコホート2(
図4B)の投与及び頻度を示す概略図である。
【0155】
【
図5】
図5Aは、セモリネマブの6つのHVRのアミノ酸配列を示す;
図5Bは、セモリネマブのVHドメイン及びVLドメインのアミノ酸配列を示す。
【0156】
【
図6】
図6は、ベースライン時のADAS-Cog11及び最大1回のセモリネマブ用量を逃した少なくとも1つのベースライン後値を有する患者についての経時的なADAS-Cog11の調整済み平均変化(95%CIによる)を示す。MITT集団は、全てのエンドポイントについてADAS-Cog11を使用して定義される。推定値は、構造化されていない共分散行列を使用した反復測定の混合効果モデル(MMRM)に基づく分析からのものである:変化=ベースライン+年齢+Apoε+DS結果+ベースライン併用薬物治療+分析来院+治療+治療*分析来院+分析来院*ベースライン(分析ベースラインにわたる反復値は疾患悪化に対応する)。ベースライン時の記述統計には、ベースライン時のADAS-Cog11及び少なくとも1つのベースライン後の値を有する患者が含まれる。mITT集団は、全てのエンドポイントについてADAS-Cog11を使用して定義される。推定値は、非構造化共分散行列を使用した反復測定の混合効果モデル(MMRM)に基づく解析によるものである。変化=ベースライン+年齢+ApoE4+DS結果+ベースラインconmed+分析来院+治療+治療*分析来院+分析来院*ベースライン(分析来院にわたって繰り返される値)。対照群とのペアワイズ比較のための未調整のp値を示す。ベースラインからのエンドポイントの増加は、疾患の悪化に対応する。Raveデータ抽出:2021年8月2日。臨床データのカットオフ:2021年7月12日。
【0157】
【
図7】
図7A~7Bは、2つの異なる集団における経時的なADAS-Cog11の変化を示す。ベースラインからのエンドポイントの増加は、疾患の悪化に対応する。Raveデータ抽出:2021年8月2日。臨床データのカットオフ:2021年7月12日。
図7Aは、二重盲検期間におけるADAS-Cog11のベースラインからの変化を分析する混合効果反復測定モデルからの調整済み平均プロット(95%CI)を示す。患者は、最大1回の欠落した用量で修正された治療意図(MITT)であり、49週目のADAS-Cog評価を完了した患者である。最大1回の投与漏れ、49週目完了者。ベースラインからの変化の混合効果反復測定モデル分析からの調整済み平均プロット(95%CIによる)、ADAS-Cog11、二重盲検期間、最大1回の用量漏れフラグ、MITT患者、49週目完了者。
図7Bは、修正治療意図(MITT)患者のうち、二重盲検期間におけるADAS-Cog11のベースラインからの変化を分析する混合効果反復測定モデルからの調整済み平均プロット(95%CI)を示す。ベースライン、ADAS-Cog11、二重盲検期間、MITT患者からの変化の混合効果反復測定モデル分析からの調整済み平均プロット(95%CIによる)。
【0158】
【
図8】
図8A~8Bは、研究コホートにおける経時的なADAS-Cog11の調整済み平均変化(95%CIによる)を示す。ベースラインからのエンドポイントの増加は、疾患の悪化に対応する。 Raveデータ抽出:2021年8月2日。臨床データのカットオフ:2021年7月12日。
図8Aは、実際の研究コホート1に割り当てられた修正治療意図(MITT)患者について、二重盲検期間におけるADAS-Cog11のベースラインからの変化を分析する混合効果反復測定モデルからの調整済み平均プロット(95%CIによる)を示す。ベースライン、ADAS-Cog11、二重盲検期間、MITT患者、実際の研究コホート1からの変化の混合効果反復測定モデル分析からの調整済み平均プロット(95%CIによる)。
図8Bは、実際の研究コホート2に割り当てられた修正治療意図(MITT)患者について、二重盲検期間におけるADAS-Cog11のベースラインからの変化を分析する混合効果反復測定モデルからの調整済み平均プロット(95%CIによる)を示す。ベースライン、ADAS-Cog11、二重盲検期間、MITT患者、実際の研究コホート2からの変化の混合効果反復測定モデル分析からの調整済み平均プロット(95%CIによる)。
【0159】
【
図9】
図9は、MITT集団について、セモリネマブアーム及びプラセボアームにおけるADAS-Cog11のベースラインから49週目までの一定レベルの変化の累積確率を示す。
【0160】
【
図10】
図10A~10Bは、セモリネマブ治療患者とプラセボ治療患者とのサブグループ間の一貫した差を示す。
図10Aは、最大1回の用量を逃した修正治療意図(MITT)対象についてADAS-Cog11のベースラインから49週目までの変化を分析する混合効果反復測定モデルからの調整済み平均の差を示すフォレストプロットを示す。事前に指定されたサブグループには、高又は低GTP1(高GTP1は、中央値GTP1WCG以上と定義され、低GTP1は、中央値GTP1WCG未満と定義される);MMSE16-18又はMMSE19-21;及びApoε4陽性又はApoε4陰性が含まれていた調整済み平均とプラセボとの差:混合効果反復からのフォレストプロットは、ベースラインからの変化からモデル分析を測定する。ADAS-Cog11、二重盲検期間、最大1回用量漏れフラグ、MITT患者。ベースラインからのエンドポイントの増加は、疾患の悪化に対応する。Raveデータ抽出:2021年8月2日。臨床データのカットオフ:2021年7月12日。
図10Bは、ADAS-Cog11結果をADCS-ADL結果と比較し、異なる事前に指定されたサブグループについて、最大1回の用量を逃したMITT対象について、ADAS-Cog11又はADCS-ADLのベースラインから49週目までの変化を分析する混合効果反復測定モデルからの調整済み平均の差を示すフォレストプロットを更に示す。
【0161】
【
図11】
図11A~11Bは、mITT集団の主要エンドポイント結果を示す。
図11Aは、プラセボ(灰色の円)アーム及びセモリネマブ(緑色の円)アームにおける経時的なベースラインからのADAS-Cog11調整済み変化を示す。
図11Bは、プラセボ(灰色の円)アーム及びセモリネマブ(緑色の円)アームにおける経時的なベースラインからのADCS-ADL調整済み変化を示す。グラフは、比較を容易にするために、ベースライン値から減速するように示されている。
【0162】
【
図12】
図12A~12Cは、経時的な(ベースライン後の週)mITT集団についてのADAS-Cog11(Verma et al.,Alzheimer’s Research and Therapy,2015によって定義される)内の異なる認知ドメイン(すなわち、記憶力、言語、プラクシス)における治療効果を示す、すなわち、記憶力、言語及びプラクシスドメインを含むADAS-Cog11認知ドメイン分析を示す。結果は、経時的な(ベースライン後の週)mITT集団に対するADAS-Cog11における主に記憶ドメイン主導の治療効果、並びに言語ドメインにおける小さな効果を示す。
図12Aは、経時的なADAS-Cog11記憶ドメインのベースラインからの未調整の変化を示し、
図12Bは、経時的なADAS-Cog11言語ドメインのベースラインからの未調整の変化を示し、
図12Cは、経時的なADAS-Cog11プラクシスドメインのベースラインからの未調整の変化を示す。
【0163】
【
図13】
図13A~13Dは、副次評価項目がmITT(MMSE及びCDR-SB)をもたらすことを示す。
図13Aは、プラセボアーム(灰色の円)及びセモリネマブアーム(緑色の円)における経時的なベースラインからのMMSE調整済み変化(ベースライン後の週)を示す。
図13Bは、異なる事前に指定されたサブグループ(高又は低GTP1(高GTP1は、中央値GTP1WCG以上と定義され、低GTP1は、中央値GTP1WCG以下と定義される);MMSE16-18又はMMSE19-21;及びApoε4陽性又はApoε4陰性)についてMMSEのベースラインからの変化を分析する混合効果反復測定モデルからのフォレストプロットを示す。
図13Cは、プラセボアーム(灰色の円)及びセモリネマブアーム(緑色の円)における経時的なベースラインからのCDR-SB(逆)調整済み変化(ベースライン後の週)を示す。
図13Dは、異なる事前に指定されたサブグループ(高又は低GTP1(高GTP1は、中央値GTP1WCG以上と定義され、低GTP1は、中央値GTP1WCG以下と定義される);MMSE16-18又はMMSE19-21;及びApoε4陽性又はApoε4陰性)についてCDR-SBのベースラインからの変化を分析する混合効果反復測定モデルからのフォレストプロットを示す。
【0164】
【
図14】
図14A~14Gは、軽度から中等度のADにおけるタウ蓄積に有意な効果がなく、領域分析に有意差がないことを示す。y軸は「年間化」されているので、49週目と61週目の両方の時点が使用される。
図14Aは、プラセボアーム(灰色)又はセモリネマブアーム(緑色)の全皮質灰白領域の[
18F]GTP1タウPETシグナルのベースラインからの未調整の年間変化を示す。
図14Bは、赤色で全皮質灰白質領域を示し、全皮質灰白領域の位置を示す。
図14Cは、プラセボアーム(灰色)又はセモリネマブアーム(緑色)の前頭領域の[
18F]GTP1タウPETシグナルのベースラインからの未調整の年間変化を示す。
図14Dは、プラセボアーム(灰色)又はセモリネマブアーム(緑色)の側頭部領域の[
18F]GTP1タウPETシグナルのベースラインからの未調整の年間変化を示す。
図14Eは、プラセボアーム(灰色)又はセモリネマブアーム(緑色)の頭頂領域の[
18F]GTP1タウPETシグナルのベースラインからの調整されていない年間変化を示す。
図14Fは、プラセボアーム(灰色)又はセモリネマブアーム(緑色)の後頭部の[
18F]GTP1タウPETシグナルのベースラインからの未調整の年間変化を示す。
図14Gは、解剖学的アトラス Hammersテンプレートに基づくROIを示す。
【0165】
【
図15】
図15A~15Bは、血清薬物動態及び血漿薬力学を示す。
図15Aは、経時的な(日)血清中のセモリネマブ濃度(μg/mL)を示し、他のモノクローナル抗体の観察されたものと一致するCSF/血清比を与える。
図15Bは、プラセボ(灰色の円)アーム及びセモリネマブ(緑色の円)アームにおける経時的な(日)血漿タウ濃度(pg/mL)を示し、タウとのセモリネマブの関与の裏付けを示す。
【発明の詳細な説明】
【0166】
開示の詳細な説明
本明細書に開示されるAD患者における第2相臨床試験の結果は、N末端結合タウ抗体であるセモリネマブが、軽度から中等度のAD又は中等度のAD患者における臨床的減退及び疾患進行を遅らせ、特に認知能力の低下を遅らせることを実証している。さらに、この効果は、軽度から中等度又は中等度のADと診断された患者に典型的なタウ病態を有する患者に見られる。さらに、結果は、これらの効果が、神経画像異常又は希死念慮等の有害事象の有意な発生なしに起こることを実証している。
【0167】
試験では、本明細書ではMTAU9937A又はRO7105705とも呼ばれるセモリネマブ、すなわち、タウの細胞外アイソフォームに結合してこれを妨害し、細胞間の細胞拡散及び皮質及び皮質下ネットワーク全体にわたるタウ病態の伝播を潜在的に遅らせるように設計されたpanタウIgG4モノクローナル抗体を使用した。セモリネマブは、翻訳後修飾の有無にかかわらず、現在知られている全長タウの全てのアイソフォームを標的とする(例えば、リン酸化)。
【0168】
セモリネマブのIgG4骨格は、ヒトIgG1サブクラスと比較してFc-γ受容体結合親和性が低下しており、したがって免疫エフェクター応答が低下している。セモリネマブはまた、新生児型Fc受容体(FcRn)への結合を増強する重鎖の断片結晶化可能(Fc)領域に3つの突然変異(M249Y、S251T及びT253E[YTE])を含有するように操作されており、ヒトにおいて末梢抗体クリアランスを遅延させ、曝露レベルを潜在的に増大させることが示されている(Robbie et al.Antimicrob Agents Chemother 2013;57:6147-53)。いくつかの実施形態では、抗体は、EUナンバリングに従って、S228P、M252Y、S254T及びT256E変異を含み、C末端リジンを欠くIgG4重鎖を含む。いくつかの実施形態では、本開示のヒト化モノクローナル抗タウ抗体はIgG4抗体である。いくつかの実施形態では、本開示のヒト化モノクローナル抗タウ抗体は、EUナンバリングに従って、M252Y、S254T及びT256E変異を含む。いくつかの実施形態では、本開示のヒト化モノクローナル抗タウ抗体は、EUナンバリングに従って、S228P変異を含む。
【0169】
本開示は、軽度から中等度又は中等度のADと診断された患者を治療及び監視するための方法であって、Apoε4陽性患者、16~21(両端の値を含む)のMMSEスコアを有する患者、及び軽度から中等度又は中等度のADと診断された患者の脳に典型的に見られるタウ病態を有する患者を含む方法を提供する。本明細書で例示されるように、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体は、神経画像異常または希死念慮を含む有害事象の発生率を増加させることなく、軽度から中等度のADにおける認知能力の低下を有意に減少させるのに有効であることが示されている。結果は、疾患の初期段階又は軽度段階を超える患者を含むAD患者について、抗体なしで予想されるものと比較して、認知機能低下率の統計学的に有意で臨床的に意義を持つ低下を実証する。本開示はまた、4500mgが有効用量であり、一連の反復用量の後に治療上の利益を提供することを実証する。
【0170】
したがって、本開示は、ADの進行を調節するための治療剤及びそれを使用する改善された方法を提供する。
【0171】
本開示は、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体又はその抗原結合断片を投与することを含む、軽度から中等度又は中等度のAD、並びに他の関連タウ病態に罹患している患者を治療する方法を提供する。いくつかの実施形態では、タウ病態は原発性タウオパチーである。いくつかの実施形態では、タウ病態は神経変性タウオパチーである。いくつかの実施形態では、タウオパチーは、軽度から中等度のAD、中等度のAD、筋萎縮性側索硬化症、パーキンソン病、クロイツフェルト・ヤコブ病、パンチドランカー、ダウン症候群、ゲルストマン・シュトロイスラー・シャインカー病、封入体筋炎、プリオンタンパク質脳アミロイド血管症、外傷性脳損傷、グアム筋萎縮性側索硬化症/パーキンソン症認知症症候群、神経原線維変化を伴う非グアム運動ニューロン疾患、嗜銀顆粒性認知症、大脳皮質基底核変性症、石灰化を伴うびまん性神経原線維変化病、前頭側頭型認知症(frontotetemporal dementia)、17番染色体に連鎖しパーキンソン症候群を伴う前頭側頭型認知症、ハラーホルデン・スパッツ病(Hallevorden-Spatz disease)、多系統萎縮症、ニーマン・ピック病C型、淡蒼球-橋脳-黒質変性症(Pallido-ponto-nigral degeneration)、ピック病、進行性皮質下グリオーシス、進行性核上性麻痺、亜急性硬化性全脳炎、神経原線維変化型認知症、脳炎後パーキンソン症、及び筋強直性ジストロフィーから選択される。いくつかの実施形態では、タウオパチーは進行性核上性麻痺である。いくつかの実施形態では、タウオパチーは軽度から中等度のADである。いくつかの実施形態では、タウオパチーは中等度のADである。いくつかの実施形態では、タウオパチーは軽度から中等度又は中等度のADである。
【0172】
いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、単量体、オリゴマー、非リン酸化及びリン酸化形態のタウに、例えば100nM未満、75nM未満又は50nM未満のKDで結合することができる。いくつかの実施形態では、抗体は、タウのN末端領域内のエピトープ、例えば、成熟ヒトタウのアミノ酸残基2~24内のエピトープ(例えば、配列番号1に示されるアミノ酸残基2~24)及び/又は成熟ヒトタウのアミノ酸残基6~23内のエピトープ若しくはそれにまたがるエピトープ(例えば、配列番号1に示されるアミノ酸残基6~23)に結合する。いくつかの実施形態では、抗体は、モノクローナル抗体である。いくつかの実施形態では、抗体は、ヒト抗体、ヒト化抗体、又はキメラ抗体である。いくつかの実施形態では、抗体はヒト化抗体である。いくつかの実施形態では、抗体は、ヒトタウに結合する抗体断片である。いくつかの実施形態では、ヒトタウは、配列番号1の配列を含む。いくつかの実施形態では、抗体は、カニクイザルタウ(配列番号10)に結合する。
【0173】
いくつかの実施形態では、抗体はIgG4抗体である。ある特定の実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、6つの超可変領域(HVR)を含み、HVR-H1は配列番号2のアミノ酸配列を有し、HVR-H2は配列番号3のアミノ酸配列を有し、HVR-H3は配列番号4のアミノ酸配列を有し、HVR-L1は配列番号6のアミノ酸配列を有し、HVR-L2は配列番号7のアミノ酸配列を有し、HVR-L3は配列番号8のアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号5のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域(VH)と、配列番号9のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域(VL)とを含む。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号5のアミノ酸配列を有するVHを含む。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号9のアミノ酸配列を有するVLを含む。いくつかの実施形態では、抗体はセモリネマブである。
【0174】
本明細書で提供される治療方法は、本明細書で更に説明するように、AD又は他のタウ病態に罹患している患者に適用することができる。適切な患者には、軽度から中等度のADに罹患している患者、中等度のADに罹患している患者、軽度から中等度のADに罹患しているApoε4陽性患者、中等度のADに罹患しているApoε4陽性患者、軽度から中等度のADに罹患しているApoε4陰性患者、中等度のADに罹患しているApoε4陰性患者、16~21のMMSEスコアを有する患者、特に16~19のMMSEスコア又は16~18のMMSEスコア(例えば、16~17、17~18、17~19、又は18~19)を有する患者、及び/又は1若しくは2のCDR-GSを有する患者、及びタウ陽性患者、特に、軽度から中等度のADと診断された患者に見られるものと一致するタウ病態生理を有する患者が含まれる。いくつかの実施形態では、治療は、患者の脳内の神経細胞間の細胞外空間におけるタウ負荷、特に凝集体タウを減少させる。
【0175】
いくつかの態様では、本明細書に提供される方法は、軽度から中等度のADに罹患している患者のADによる低下を軽減する方法である。いくつかの態様では、本明細書に提供される方法は、中等度のADに罹患している患者のADによる低下を軽減する方法である。いくつかの実施形態では、低下は、臨床的減退、認知機能低下、及び機能的低下のうちの1つ以上である。いくつかの実施形態では、低下は、臨床的減退である。いくつかの実施形態では、低下は認知能力の低下又は認知機能低下である。認知能力(記憶力を含む)及び/又は機能を測定するために、様々な試験及び尺度が開発されてきた。様々な実施形態では、臨床的、機能的又は認知機能低下を測定するために1つ以上の尺度が使用される。
【0176】
認知能力の標準的な測定値は、アルツハイマー病評価尺度、認知下位尺度、例えば11項目バージョン(ADAS-Cog11)である。したがって、いくつかの実施形態では、抗タウ抗体で治療された患者における認知能力の低下(又は認知機能低下)の減少又は減速は、ADAS-Cog11スケールを使用して決定される。ADAS-Cogl1スコアの増加は、患者の症状の悪化を示す。
【0177】
機能的能力の標準的な測定値は、アルツハイマー病共同研究日常生活動作インベントリ(ADCS-ADL)である。したがって、いくつかの実施形態では、ADCS-ADLスケールを使用して、抗タウ抗体で治療された患者における機能低下(又は機能能力の低下若しくは機能低下)の減少又は減速を決定する。ADCS-ADLスコアの低下は、患者の症状の悪化を示す。
【0178】
いくつかの実施形態では、抗タウ抗体で治療された患者の認知及び/又は機能低下(又は認知能力及び/又は機能能力の低下)の減少又は減速は、臨床的認知症尺度-合計点数(CDR-SOB又はCDR-SB)スコア及び/又はミニメンタルステート検査(MMSE)によって判定される。いくつかの実施形態では、抗タウ抗体で治療された患者の臨床的減退の軽減又は減速は、神経精神症状評価(NPI)及び/又はアルツハイマー病の介護者全般印象尺度(CaGI-Alz)によって決定される。いくつかの実施形態では、認知機能低下を軽減又は減速することは、記憶喪失を遅らせること、記憶容量を保持すること、記憶容量を増加させること、記憶機能を増加させること、又は認知機能を増加させることの1つ以上を含む。
【0179】
いくつかの実施形態では、1つ以上のタイプの低下を評価し、前述の試験又は尺度の1つ以上を疾患進行の遅延を測定するために使用する。いくつかの実施形態では、(1つ以上の試験からの)測定値又はスコアを、抗体の投与前のベースラインにおけるそれぞれのスコアと比較する。いくつかの実施形態では、低下の減速は、抗体による治療開始後少なくとも13週間、少なくとも24週間、少なくとも25週間、少なくとも37週間、少なくとも49週間、少なくとも61週間、少なくとも69週間、又は少なくとも73週間で見られる。いくつかの実施形態では、少なくとも40、45、47、49、51、53、55、57、又は60週間、任意に4週間ごとに(又は毎月)少なくとも1回、抗体の投与後に低下の減速が見られる。いくつかの実施形態では、少なくとも40、45、47、49、51、53、55、57、60、64、68、72、76、80、84、88、92、96、100、104、108、112、116、120、124、128、132、136、140、144、148、152、156、160、164、又は168週間、任意に4週間ごとに(又は毎月)少なくとも1回、抗体の投与後に低下の減速が見られる。
【0180】
特定の実施形態では、本開示は、例えば、抗体の投与前後、例えば、一定回数の用量の当該抗体の反復投与後に、患者のADAS-Cog11スコアを評価する場合に、軽度から中等度のAD又は中等度のADと診断された患者のADAS-Cog11スコアの5ポイント(すなわち、以下より5ポイント以下高い)以内に認知能力を維持する方法を提供する。いくつかの実施形態では、抗体の投与後の患者のADAS-Cog11スコアは、抗体の投与前よりも2.5ポイント以下、3ポイント以下、3.5ポイント以下、4ポイント以下、4.5ポイント以下、又は5ポイント以下高い。いくつかの実施形態では、抗体の投与後の患者のADAS-Cog11スコアは、抗体の投与前よりも2~4ポイント、3~4ポイント、又は4ポイント高い。ある特定の実施形態では、ADAS-Cog11スコアは、抗体の5~15回の用量(すなわち、5~15回の4500mg用量の反復投与)、例えば抗体の10~15回の用量、12~15回の用量、13~15回の用量、13~14回の用量、14~15回の用量、又は14回の用量の投与後に評価される。いくつかの実施形態では、抗体はセモリネマブである。いくつかの実施形態では、抗体を、少なくとも49週間にわたって4週間ごとに(又は毎月)少なくとも1回投与する。いくつかの実施形態では、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体を、少なくとも48週間にわたって4週間ごとに(又は毎月)少なくとも1回投与する。
【0181】
いくつかの実施形態では、抗体の投与後の患者のADAS-Cog11は、抗体の投与なしで予測されるものと比較して(例えば、臨床研究の同等のプラセボアームと比較して)、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、又は少なくとも50%減少する。典型的には、3ポイント以上の変化は臨床的に意義を持つと考えられる。特定の実施形態では、抗体の投与後の患者のADAS-Cog11スコアは、当該抗体の投与なしで予想されるものと比較して(例えば、臨床研究の同等のプラセボアームと比較して)、25~50%、40~50%、又は40%低下する。いくつかの実施形態では、抗体はセモリネマブである。特定の実施形態では、抗体を、少なくとも49週間にわたって4週間ごとに(又は毎月)少なくとも1回投与する。いくつかの実施形態では、セモリネマブを、少なくとも48週間にわたって4週間ごとに(又は毎月)少なくとも1回投与する。
【0182】
いくつかの実施形態では、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体の投与後に評価される患者のADAS-Cog11スコアは、抗体の投与なしで予想されるものと比較して、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、又は少なくとも50%低下する。いくつかの実施形態では、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体の投与後に評価される患者のADAS-Cog11スコアは、抗体の投与なしで予想されるものと比較して少なくとも25%低下する。いくつかの実施形態では、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体の投与後に評価される患者のADAS-Cog11スコアは、抗体の投与なしで予想されるものと比較して少なくとも30%低下する。いくつかの実施形態では、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体の投与後に評価される患者のADAS-Cog11スコアは、抗体の投与なしで予想されるものと比較して少なくとも35%低下する。いくつかの実施形態では、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体の投与後に評価される患者のADAS-Cog11スコアは、抗体の投与なしで予想されるものと比較して少なくとも40%低下する。いくつかの実施形態では、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体の投与後に評価される患者のADAS-Cog11スコアは、抗体の投与なしで予想されるものと比較して少なくとも45%低下する。いくつかの実施形態では、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体の投与後に評価される患者のADAS-Cog11スコアは、抗体の投与なしで予想されるものと比較して少なくとも50%低下する。いくつかの実施形態では、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体の投与後に評価される患者のADAS-Cog11スコアは、抗体の投与なしで予想されるものと比較して25~50%低下する。いくつかの実施形態では、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体の投与後に評価される患者のADAS-Cog11スコアは、抗体の投与なしで予想されるものと比較して40~50%低下する。いくつかの実施形態では、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体の投与後に評価される患者のADAS-Cog11スコアは、抗体の投与なしで予想されるものと比較して25%低下する。いくつかの実施形態では、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体の投与後に評価される患者のADAS-Cog11スコアは、抗体の投与なしで予想されるものと比較して30%低下する。いくつかの実施形態では、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体の投与後に評価される患者のADAS-Cog11スコアは、抗体の投与なしで予想されるものと比較して35%低下する。いくつかの実施形態では、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体の投与後に評価される患者のADAS-Cog11スコアは、抗体の投与なしで予想されるものと比較して40%低下する。いくつかの実施形態では、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体の投与後に評価される患者のADAS-Cog11スコアは、抗体の投与なしで予想されるものと比較して45%低下する。いくつかの実施形態では、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体の投与後に評価される患者のADAS-Cog11スコアは、抗体の投与なしで予想されるものと比較して50%低下する。
【0183】
本開示の抗体又はその抗原結合断片は、本明細書に記載されるように、AD又は他のタウ病態を治療するのに有効な用量で投与される。適切な用量は本明細書に記載されており、約200mg~約20,000mg、例えば約225mg、約675mg、約1200mg、約1500mg、約2100mg、約4200mg、約4500mg、約8100mg、約8400mg、又は約16800mgの範囲であり得る。いくつかの実施形態では、用量は、225mg、675mg、1200mg、1500mg、2100mg、4200mg、4500mg、8100mg、8400mg又は16800mgである。いくつかの実施形態では、用量は、約4000mg~約5000mg、約4000mg~約4500mg又は約4500mg~約5000mgである。いくつかの実施形態では、用量は、4000mg~5000mg、4000mg~4500mg、又は4500mg~5000mgである。いくつかの実施形態では、用量は約4500mgである。いくつかの実施形態では、用量は4500mgである。いくつかの実施形態では、用量は、0.5mL/分~3.0mL/分の注入速度で、例えば、0.5mL/分、1mL/分、1.5mL/分又は3mL/分で静脈内投与される4500mgである。いくつかの実施形態では、使用される用量は、30mg/kg~60mg/kg、40mg/kg~50mg/kg、50mg/kg~60mg/kg又は50mg/kgである。
【0184】
本明細書で提供される方法では、抗体を長期間にわたって、例えば数ヶ月から数年にわたって、例えば毎週又は毎月スケジュールで繰り返し投与する投与レジメンを含む様々な投与レジメンが企図される。いくつかの実施形態では、抗体は、2、3、4、5、6、7、又は8週間ごとに1回投与される。いくつかの例において、抗体は、最初の2回、3回又は4回の用量については2週間ごとに、その後は4週間ごとに(又は毎月)投与される。
【0185】
本開示のヒト化モノクローナル抗タウ抗体は、神経画像異常又は希死念慮等の有害事象の発生率を増加させないという点で更なる利点を提供する。本明細書に示すように、プラセボアームと比較して治療アームではこれらの有害事象の統計学的に有意な増加はなかった。したがって、本開示は更に、神経画像異常、希死念慮、頭痛、認知機能の悪化、意識変容、発作、ふらつき、及び嘔吐等の有害事象の発生率を増加させることなく(有意に増加させることなく)、軽度から中等度又は中等度のADに罹患している患者を治療する方法を提供する。
【0186】
本開示は更に、本明細書に開示される治療の方法での使用に適した医薬製剤を提供する。医薬は、任意の便利な投与経路、例えば非経口又は静脈内注射のために製剤化することができ、典型的には、本明細書に記載の抗タウ抗体に加えて、所望の投与様式に適した1つ以上の許容される担体、賦形剤、及び/又は希釈剤を含む。いくつかの実施形態では、抗タウ抗体は、静脈内投与のために製剤化され得る。更なる実施形態が本明細書に記述される。医薬製剤は、使用を容易にするために単位剤形で包装することができる。
【0187】
本明細書に記載されるAD又は他のタウ病態の治療のための抗タウ抗体の使用は、1つ以上の抗アミロイドベータ(Aベータ)抗体、又はセモリネマブ以外の1つ以上の抗タウ抗体を含む他の療法と組み合わせることができる。他の療法の非限定的な例としては、神経薬、コルチコステロイド、抗生物質、抗ウイルス剤、追加の抗タウ抗体、タウ阻害剤、抗アミロイドベータ抗体、ベータ-アミロイド凝集阻害剤、抗BACE 1抗体、BACE1阻害剤;標的に特異的に結合する治療剤;コリンエステラーゼ阻害剤;NMDA受容体拮抗薬;モノアミン枯渇剤;メシル酸エルゴロイド;抗コリン作動性パーキンソン症候群治療薬;ドーパミン作動性パーキンソン症候群治療薬;テトラベナジン;抗炎症剤;ホルモン;ビタミン;ジメボリン;ホモタウリン;セロトニン受容体活性調節剤;インターフェロン、及び糖質コルチコイドが挙げられる。
【0188】
いくつかの実施形態では、患者は、併用薬物治療、例えば対症療法薬で治療されている。いくつかの実施形態では、対症療法薬は、コリンエステラーゼ阻害剤、ガランタミン、リバスチグミン、ドネペジル、N-メチル-D-アスパラギン酸受容体拮抗薬、メマンチン、及び栄養補助食品(任意に、栄養補助食品はSouvenaid(登録商標)である)からなる群から選択される。対症療法薬は、いくつかの実施形態では、ガランタミン、リバスチグミン、及び/又はドネペジル等のコリンエステラーゼ阻害剤である。いくつかの実施形態では、対症療法薬は、N-メチル-D-アスパラギン酸受容体拮抗薬である。いくつかの実施形態では、対症療法薬はメマンチンである。いくつかの実施形態では、対症療法薬は、栄養補助食品、例えば栄養補助食品である、Souvenaid(登録商標)である。
【0189】
本開示は、一部には、第2相研究によって実証されるように、抗タウモノクローナル抗体が、軽度から中等度のAD又は中等度のADに罹患している患者における認知能力の臨床的減退率を統計学的に有意な程度まで減少させることができ、特に記憶力低下を減少させることができるという驚くべき知見に関する。本開示は、AD患者及び進行性核上性麻痺(PSP)等の他のタウオパチーを有する患者の脳内の病理学的タウに関連する認知の臨床的減退を減少させる、特に記憶力低下を減少させるのに使用するためのファーストインクラスの免疫療法を提供する。
【0190】
臨床試験は、軽度から中等度のAD及び中等度のADにおける最初のタウ抗体第2相試験で主要評価項目を満たし、ADAS-Cog11によって測定されるように、プラセボと比較してベースラインからの認知の臨床的減退の割合を減少させ、AD又は関連タウ病態の治療における抗タウ特異的アプローチのための初めての臨床的概念実証をマークした。さらに、本明細書の実施例に示されるように、タウのN末端領域に結合する抗体は、軽度から中等度のAD又は中等度のADと診断された患者における認知の臨床的減退の速度を低下させ、特に、記憶機能の喪失の速度を低下させることによって低下させる。
【0191】
本明細書に開示される第2相臨床試験は、軽度から中等度のAD(MMSE 16-21、CDR-GS 1又は2)を有する患者におけるセモリネマブの臨床的有効性、安全性、薬物動態及び薬力学を評価するように設計された多施設無作為化二重盲検プラセボ対照並行群臨床試験であった。この研究には、スクリーニング期間、48週間(コホート1の参加者では1~49週)又は60週間(コホート2の参加者では1~61週)の二重盲検治療期間、任意の非盲検継続(OLE)期間及び安全性追跡調査期間が含まれ、ADAS-Cog11及びADCS-ADLツールを共主要評価項目とし、CDR-SB、MMSE及び安全性を副次評価項目とした。この研究は、世界中の43の研究センターにわたって272名の参加者を追跡した。
【0192】
本明細書に開示される臨床試験は、タウ標的療法が、タウ病態(タウオパチー)を含む神経変性疾患の臨床的減退の速度を低下させるという第1の証拠を提供する。第2相研究のトップラインデータは、セモリネマブは、
● プラセボと比較して、1つの主要評価項目:ADAS-Cog11-ADAS-Cog11によって測定される、プラセボと比較してベースラインからの認知機能低下率を減少させるという主要な臨床エンドポイントの1つを満たす認知の尺度で低下を遅らせ;及び
● 安全で忍容性が高く、許容可能な安全性プロファイルを有し、予想外のシグナルはなかったことを実証した。
【0193】
研究はまた、軽度から中等度のADと診断された患者における認知能力の低下を遅らせる、特に記憶力低下を遅らせる有効用量の抗タウ抗体を実証した。この研究における4500mg Q4W投薬レジメンは、非臨床毒物学研究からの安全性プロファイル、第I相研究(GN39058)からの安全性及びPKプロファイル、並びに目標関与モデリング運動からの結果を考慮に入れた。標的関与モデリング分析では、脳の間質液中のセモリネマブによる標的(すなわち、タウ)関与パーセントを予測するためにシミュレーションを行った。結果は、様々なシナリオ(例えば、いくつかの血漿:脳分配比及びセモリネマブ結合親和性)の下で4500mg用量について高い目標達成(すなわち、>80%)が可能であることを実証した。それにもかかわらず、臨床的有効性に必要な標的関与の程度は、この試験の結果の前には不明であった。
【0194】
この研究はまた、驚くべきことに、疾患の特定の段階、すなわち軽度から中等度の重症度のADの患者において臨床的応答を見出した。この試験の患者は、軽度から中等度の疾患重症度(全体として、集団のMMSEは両端の値を含めて16ポイント以上21ポイント以下であり、CDRGSは1又は2であった)で、ADの標準的な研究基準(NIAAA診断基準及びADのガイドラインによる)を満たした。
【0195】
理論に束縛されるものではないが、タウ病態は、疾患のこの段階で増加し続けるようである(Jack et al.Lancet Neurol.2013;12:207-16)。ADの軽度から中等度の段階におけるタウの拡散を標的とすることは、いくつかの実施形態では、疾患のこの段階でAβを標的とするが、更なる臨床的減退を改善することができなかった以前の介入よりも有効であることが証明された(Doody et al.N Engl J Med 2013;Doody et al.N Engl J Med 2014;370:311-21369:341-5;Salloway et al.N Engl J Med 2014;370:322-33;Egan et al.N Engl J Med 2018;378:1691-1703)。Aβ病態の蓄積の大部分は、AD患者が中等度の病期に達するまでに既に生じている可能性があるが、タウ病態は増加し続けているようである(Jack et al.Lancet Neurol.2013;12:207-16)。さらに、ADの異なる段階では、タウ病態は異なる一次構成で現れることがあり、これは、タウ病態の更なる広がり及び臨床的減退に対するタウ病態の相対的寄与の両方において異なる役割を果たし得る。ADにおけるタウの拡散種の正確な性質は不確かなままであるが、脳実質におけるタウ神経原線維変化の構造及びCSF中の異なる可溶性ホスホ-タウ種の相対的存在量の両方が、疾患重症度の増加と共に進化する可能性があり、その結果、異なる抗タウ治療薬は、疾患の異なる段階で異なる有効性を有し得る。それにもかかわらず、30年以上にわたって、研究は、臨床的減退の速度を低下させるための抗タウアプローチの使用をこれまでに首尾よく実証することなく、中等度のAD患者におけるタウ病態の継続的な進行を示唆してきた。例えば、神経病理学(Nelson et al.J Neuropathol Exp Neurol.2012;71:362-81)、CSFタウレベル(Kanai et al.Ann Neurol 1998;44:17-26)及びPETイメージング(Ishiki et al.PLoS One 2015;10:e0140311)を介してタウ指標を調べる研究を考慮する。
【0196】
本明細書に開示される第2相臨床試験はまた、抗タウ抗体アプローチが、有害事象のリスクを増加させることなく、軽度から中等度のAD又は中等度のADと診断された患者を治療することを実証した。Aβとは異なり、タウは血管構造に沈着することは知られておらず、タウに対する抗体の投与は、いくつかの抗Aβ療法で見られるように血管原性浮腫又は微小出血を引き起こさない可能性がある。タウ病態は主に罹患ニューロンの細胞質で細胞内に起こり(Braak et al.Acta Neuropathol 2006;112:389-404)、細胞外空間からの可溶性タウはCSFに見出される(Blennow and Zetterberg,J Alzheimers Dis.2009;18:413-7)。さらに、セモリネマブは、エフェクター機能の低下に関連するIgG4骨格を有する。
【0197】
一方、おそらく血管内又は血管周囲に沈着したAβと相互作用し、免疫応答を誘発することによる、Aβペプチドを標的とする免疫療法の治験中の使用に関連して、脳血管原性浮腫及び微小出血を表すと考えられる画像異常の発生が報告されている。症候は、そのような画像異常に関連して存在する場合、頭痛、認知機能の悪化、意識変容、発作、ふらつき、及び嘔吐を含むことが報告されている(Salloway et al.Neurology 2009;73:2061-70.;Sperling et al.Lancet Neurol.2012;11:241-9)。本開示は、当該有害作用を誘発しないという治療上の利点を提供する。いくつかの実施形態では、抗タウ抗体の投与後に画像異常は起こらない。いくつかの実施形態では、治療は、頭痛、認知機能の悪化、意識変容、発作、ふらつき、及び/又は嘔吐なしに達成される。
【0198】
一般
本明細書に開示される方法の実施、並びに組成物の調製及び使用には、別途指示がない限り,分子生物学,生化学,クロマチン構造と分析、計算化学,細胞培養,組換えDNA及び関連分野における、当分野の技術の範囲内の一般的な技術が用いられる。これら技術は文献で十分に説明されている。
【0199】
「本明細書」という用語は、本開示全体を意味する。
【0200】
本明細書に記載される実施形態のいずれもが、本開示の異なる態様及び明細書の異なる部分(実施例にのみ記載される実施形態を含む)に記載されるものを含め、明確に否定されるか又は不適切であると明記されない限り、本明細書に開示される1つ以上の他の実施形態と組み合わせることができると理解すべきである。実施形態の組み合わせは、複数の従属項により特許請求される特定の組み合わせに限定されない。
【0201】
本開示で言及される任意の刊行物、特許及び公開された特許出願は、参照により本明細書に具体的に組み込まれる。矛盾する場合は、その特異的定義を含む本明細書が優先する。
【0202】
本明細書を通して、「含む(comprise)」という単語又は「含む(comprises)」若しくは「含む(comprising)」等の変形は、「含む(including)」、「含有する(containing)」若しくは「特徴とする(characterizedby)」と同義であり、包括的又はオープンエンドであり、追加の列挙されていない要素又は方法工程を除外しない。
【0203】
本明細書を通して、組成物が特定の成分を有する、含む、又は備える(又はその変形)と記載される場合、組成物が言及された成分から本質的になっても、又はそのような成分からなってもよいと考慮される。同様に、方法又は過程が特定の工程段階を有する、含む、又は備えると記載される場合、その過程は、言及された工程段階から本質的になっても、又はそのような工程段階からなってもよい。さらに、本明細書に記載される組成物及び方法が作用可能である限り、工程の順序又は特定の動作を実施する順序は重要でないと理解すべきである。さらに、2つ以上の工程又は動作を同時に実行することができる。
【0204】
「からなる(consisting of)」という用語は、具体的に列挙されていない要素、工程、又は成分を除外する。
【0205】
「から本質的になる(consisting essentially of)」という用語は、本開示の範囲を、指定された材料又は工程、並びに本開示の基本的かつ新規な特徴(複数可)に実質的に影響を及ぼさないものに限定する。
【0206】
「例えば(「e.g.」又は「for example」)」という用語に続く1つ以上の例(複数可)は、排他的又は限定的であることを意味しない。
【0207】
冠詞(“a”及び“an”)は、本明細書では、冠詞の文法的対象の1つ又は、2つ以上(即ち、少なくとも1つ)を指すために使用される。例として、「要素(“element”)」は、1つの要素又は2つ以上の要素を意味する。
【0208】
本明細書で使用される場合、本開示の方法に用いられる組成物の成分、パラメータ、計算、又は測定値の数量を修飾する「約」という用語は、例えば、実世界において単離されたポリペプチド又は薬学的組成物を作製するために使用される一般的な測定及び液体取り扱い手順により;これら手順の不注意による誤差により;組成物を作製するか又は方法を実行するために用いられる成分の製造,供給源,又は純度の差等により;本開示の組成物又は方法の化学的又は物理的属性に実質的な影響を及ぼすことなく生じ得る数量の変動を指す。そのような変動は、典型的には、所与の値又は範囲の10%以内、より典型的には更に5%以内であり得る。「約」という用語は、特定の初期混合物に起因する組成物の異なる平衡条件により異なる量も包含する。「約」という用語によって修飾されているかどうかにかかわらず、パラグラフは、その数量に相当するものを含む。本明細書における「約」に続く値又はパラメータへの言及は、その値又はパラメータ自体を対象とする実施形態を含む(かつ説明する)。例えば、「約X」に言及する記載には、「X」の記載が含まれる。数値範囲は、その範囲を規定する数値を包含する。
【0209】
本明細書で使用される場合、「又は」という用語は、文脈上そうでないことが明白でない限り、「及び/又は」を意味すると理解されるべきである。
【0210】
本開示の広い範囲を示す数値範囲及びパラメータは近似値であるにもかかわらず、特定の実施例に示される数値は可能な限り正確に報告される。しかしながら、任意の数値は、それぞれの試験測定値に見られる標準偏差から必然的に生じる特定の誤差を本質的に含む。さらに、本明細書に開示される全ての範囲は、そこに含まれる全ての下位範囲を包含すると理解されたい。例えば、「1~10」と記述される範囲は、最小値1と最大値10の間の全ての下位範囲(両端の値を含む);即ち、1以上の最小値で始まる全ての下位範囲、例えば、1~6.1、及び10以下の最大値で終わる全ての下位範囲例えば、5.5~10を含むと考えるべきである。範囲の開示は、その範囲の端点の開示としても考慮されるべきである。
【0211】
例示的方法及び材料が以下に記載されるが、本明細書に開示されるものと類似又は同等の方法及び材料も、本開示の実施又は試験に使用できる。材料、方法、及び実施例は、例示にすぎず、限定を意図しない。
【0212】
特定の定義及び略語
別途定義されない限り、本明細書において使用される技術用語及び科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般に理解されている意味と同じ意味を有する。Singleton et al.et al.,Dictionary of Microbiology and Molecular Biology 2nd ed.,J.Wiley&Sons(New York,N.Y.1994)、及びMarch,Advanced Organic Chemistry Reactions,Mechanisms and Structure 4th ed.,John Wiley&Sons(New York,N.Y.1992)は、本開示で使用される用語の多くに対する一般的なガイドを当業者に提供する。
【0213】
本明細書を解釈する目的で、以下の定義が適用され、適切な場合には常に適用される。以下に記載されるいずれかの定義が、参照により本明細書に援用されるいずれかの文献と矛盾する場合には、以下に記載される定義が優先するものとする。
【0214】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において提供される範囲は、両方のエンドポイント及び両エンドポイント間の全ポイントを含む。したがって、例えば、2.0~3.0の範囲は、2.0、3.0、及び2.0~3.0の全てのポイントを含む。
【0215】
以下の用語は、別途指示がない限り,以下の意味を有するものと理解すべきである:
【0216】
対象に対して物質、化合物又は薬剤「を投与すること」又は対象への物質、化合物又は薬剤「の投与」は、その物質,化合物又は薬剤の、対象又は対象の細胞,組織,器官又は体液への接触を指す。例えば、化合物又は薬剤は、静脈内又は皮下に投与することができる。投与は、例えば、1回、複数回、及び/又は1回以上の延長期間にわたって実施することもできる。いくつかの実施形態では、投与には、自己投与を含む直接投与と、薬物の処方行為を含む間接投与との両方が含まれる。例えば、本明細書で使用される場合、対象に薬物を自己投与するように指示する、又は別の者に薬物を投与させるように指示する、及び/又は対象に薬物の処方箋を提供する医師は、対象に薬物を投与している。「投与する(administering)」、「~の投与(administration of)」、及び「投与される(administered)」という用語は、「提供される(provided)」及びその異なる形態と互換的に使用される。
【0217】
本明細書で使用される「実質的に類似する」又は「実質的に同じ」という語句は、本明細書で使用される場合、当業者が、当該値(例えば、Kd値)により測定される生物学的特質の文脈において、2つの値の間にある差異を生物学的及び/又は統計学的に重要性がほとんどないか、まったくないとみなすような、2つの数値間の充分に程度の高い類似性を意味する。当該2つの値の差は、値の関数として、約50%未満、約40%未満、約30%未満、約20%未満、約10%未満、約5%未満、約1%未満、約0.5%未満、又は約0.1%未満である。
【0218】
「抗体」及び「免疫グロブリン」(「Ig」)という用語は、最も広い意味で互換的に使用され、免疫グロブリン分子の可変領域に位置する少なくとも1つの抗原認識部位を介して、炭水化物、ポリヌクレオチド、脂質、ポリペプチド等の特定の標的又は抗原を認識して結合することができる免疫グロブリン分子(例えば、完全抗体、抗体断片、又は修飾抗体)を指す。この用語には、モノクローナル抗体(例えば、完全長又はインタクトなモノクローナル抗体)、ポリクローナル抗体、多価抗体(例えば、二重特異性抗体)、ポリエピトープ特異性を有する抗体、一本鎖抗体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体、三重特異性抗体、四重特異性抗体)、及び抗体の断片が含まれるが、これらに限定されないが、ただし、これらは、所望の生物学的活性を示すものとする。そのような抗体は、キメラ、ヒト化、ヒト、合成、及び/又は親和性成熟であり得る。いくつかの実施形態では、「抗体」及び/又は「免疫グロブリン」(Ig)は、任意に、ジスルフィド結合により相互接続した、少なくとも2つの重(H)鎖(約50~70kDa)と2つの軽(L)鎖(約25kDa)とを含むポリペプチドを指す。軽鎖には、λとκの二種類がある。ヒトにおいて、λ及びκ軽鎖は類似しているが、各抗体には一種類のみが存在する。重鎖は、ミュー、デルタ、ガンマ、アルファ、又はイプシロンとして分類され、抗体のアイソタイプをそれぞれIgM、IgD、IgG、IgA、及びIgEとして定義する。一般に、Fundamental Immunology Ch.7(Paul,W.,ed.,2nd ed.Raven Press,N.Y.(1989))(参照によりその全体が組み込まれる)を参照されたい。本明細書に開示される方法、使用及び使用のための組成物は、IgG抗体を利用する。
【0219】
本明細書で使用される場合、「アミロイドベータ」、「アミロイドβ」、「Aベータ」及び「Aベータ」という用語は互換的に使用され、アルツハイマー病を有する人々の脳に見られるアミロイド斑の主成分である36~43アミノ酸残基のペプチドを指す。
【0220】
本明細書で使用される場合、「追加の抗タウ抗体」及び「異なる抗タウ抗体」という用語は互換的に使用され、セモリネマブの同じ6つのCDRを有さない抗タウ抗体を指す。
【0221】
本明細書で使用される場合、「抗原結合断片」という用語は、抗体結合特異性を保持する抗体の一部(又は断片)を指す。したがって、本明細書で使用される場合、抗原結合断片は、参照抗体の6つのCDRを保持する。
【0222】
「完全長抗体」、「インタクトな抗体」、及び「全抗体」という用語は、本明細書で互換的に使用され、天然抗体構造と実質的に同様の構造を有するか、又は本明細書に定義されるFc領域を含有する重鎖を有する抗体を指す。
【0223】
「抗体断片」は、無傷抗体の一部分のみを含み、この部分は、無傷抗体内に存在する場合にその部分に通常関連する機能のうちの少なくとも1つ、典型的にはほとんど又は全てを保持することが好ましい。いくつかの実施形態では、抗体断片は、インタクトな抗体の抗原結合部位を含み、それゆえに、抗原に結合する能力を保持する。いくつかの実施形態では、抗体断片、例えば、Fc領域を含む抗体断片は、インタクトな抗体中に存在する場合にFc領域に通常関連する生物学的機能、例えば、FcRn結合、抗体半減期調節、ADCC機能、及び補体結合等のうちの少なくとも1つを保持する。いくつかの実施形態では、抗体断片は、インタクトな抗体と実質的に同様のin vivo半減期を有する一価抗体である。例えば、そのような抗体断片は、断片にin vivo安定性を付与することのできる、Fc配列に結合した抗原上結合アームを含み得る。抗体断片の例には、限定されないが、Fv、Fab、Fab’、Fab’-SH、F(ab’)2、ダイアボディ、直鎖状抗体、単鎖抗体分子(例えば、scFv)、及び抗体断片から形成される多重特異性抗体が含まれる。
【0224】
本明細書で使用される場合、「Fc」、「Fc領域」又は「Fcドメイン」という用語は、本明細書で互換的に使用され、定常領域の少なくとも一部を含有する免疫グロブリン重鎖のC末端領域を指す。この用語には、天然配列Fc領域及びバリアントFc領域が含まれる。いくつかの実施形態では、ヒトIgG重鎖Fc領域は、Cys226又はPro230から、重鎖のカルボキシル末端に及ぶ。しかしながら、Fc領域のC末端リジン(Lys447)は、存在してもしなくてもよい。本明細書に別途指定がない限り、Fc領域又は定常領域内のアミノ酸残基のナンバリングは、Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD,1991.に記載されているような、EUインデックスとも呼ばれるEUナンバリングに従う。当業者は、EUナンバリングが本明細書に開示される配列の残基ナンバリングと異なり得ることを認識するであろう。例えば、当業者は、配列番号11における残基ナンバリングに基づくS225P、M249Y、S251T及びT253E変異が、EUナンバリングに従って、S228P、M252Y、S254T及びT256E変異であることを認識するであろう。IgGの場合、Fcドメインは、免疫グロブリンドメインCγ2及びCγ3と、Cγ1とCγ2との間の下部ヒンジ領域とを含む。
【0225】
本明細書で使用される場合、「Fcバリアント」又は「バリアントFc」という用語は、Fcドメインにアミノ酸修飾を含むタンパク質を指す。
【0226】
本明細書で使用される場合、「Fcガンマ受容体」、「Fc-ガンマ受容体」「FcγR」及び「FcガンマR」という用語は、互換的に使用され、IgG抗体のFc領域に結合するタンパク質のファミリーのいずれかのメンバーを指し、FcγR遺伝子によってコードされる。FcγRは、任意の生物由来のものでよい。いくつかの実施形態では、FcγRはヒトFcγRである。ヒトでは、このファミリーには、限定されないが、アイソフォームFcγRIa、FcγRIb及びFcγRIcを含むFcγRI(CD64);アイソフォームFcγRIIa(アロタイプH131及びR131を含む)、FcγRIIb(FcγRIIb-1及びFcγRIIb-2を含む)、及びFcγRIIcを含むFcγRII(CD32);アイソフォームFcγRIIIa(アロタイプV158及びF158を含む)及びFcγRIIIb(アロタイプFcγRIIb-NA1及びFcγRIIb-NA2を含む)を含むFcγRIII(CD16)(Jefferis et al.,2002,Immunol Lett 82:57-65(参照により全体が組み込まれる))、並びに、任意の未発見のヒトFcγR又はFcγRアイソフォーム若しくはアロタイプが含まれる。
【0227】
本明細書で使用される場合、「FcRn」又は「新生児Fc受容体」という用語は、IgG抗体Fc領域に結合し、FcRn遺伝子によって少なくとも部分的にコードされるタンパク質を指す。FcRnは、任意の生物に由来するものでよい。いくつかの実施形態では、FcRnは、ヒトFcRnである。当技術分野で知られているように、機能性FcRnタンパク質は、多くの場合重鎖及び軽鎖と呼ばれる2つのポリペプチドを含む。軽鎖はベータ2ミクログロブリンであり、重鎖はFcRn遺伝子によってコードされる。本明細書で別途明記されない限り、FcRn又はFcRnタンパク質は、FcRn重鎖とベータ2ミクログロブリンとの複合体を指す。様々なFcRnバリアントを使用して、FcRn受容体への結合を増加させ、場合によっては血清半減期を増加させることができる。一般に、別途明記されない限り、本明細書に開示されるFcモノマーは、FcRn受容体への結合を保持する(かつ、以下に述べるように、FcRn受容体への結合を増加させるアミノ酸バリアントを含むことができる)。
【0228】
本明細書で使用される場合、「エフェクター機能」という用語は、抗体アイソタイプによって異なり、抗体Fc領域とFc受容体又は別のエフェクター分子(例えば、Fc受容体様(FcRL)分子、補体成分C1q及び三要素モチーフ含有タンパク質21(TRIM21))との相互作用から生じる、抗体のFc領域に起因する生物学的活性を指す。抗体エフェクター機能の例としては:Clq結合及び補体依存性細胞傷害(CDC);Fc受容体結合;抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC);食作用;細胞表面受容体(例えば、B細胞受容体)のダウンレギュレーション;並びにB細胞活性化が挙げられる。野生型IgG4抗体は、野生型IgG1抗体よりもエフェクター機能が低いことが当技術分野で公知である。エフェクター機能には、限定されないが、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)、抗体依存性細胞媒介性食作用(ADCP)及び補体依存性細胞傷害(CDC)が含まれる。本明細書で使用される場合、「ADCC」又は「抗体依存性細胞媒介性細胞傷害」という用語は、FcγRを発現する非特異的細胞傷害性細胞が標的細胞上の結合した抗体を認識し、続いて標的細胞の溶解を引き起こす細胞媒介反応を指す。ADCCはFcγRIIIaへの結合と相関し、FcγRIIIaへの結合の増加は、ADCC活性の増加をもたらす。本明細書で論じるように、本開示の多くの実施形態は、ADCC活性を完全にアブレートする。本明細書で使用される場合、「ADCP」又は抗体依存性細胞媒介性食作用」という用語は、FcγRを発現する非特異的細胞傷害性細胞が標的細胞上の結合した抗体を認識し、続いて標的細胞の食作用を引き起こす細胞媒介反応を意味する。本明細書で使用される場合、「CDC」又は「補体依存性細胞傷害」という用語は、古典的補体経路の活性化をもたらすエフェクター機能を指し、これは、抗体の、標的細胞上の抗原への結合によって引き起こされ、血中に補体関連タンパク質群を含む一連のカスケードを活性化する。
【0229】
参照抗体と「同じエピトープに結合する抗体」は、競合アッセイにおいて、参照抗体のその抗原に対する結合を50%以上遮断する抗体を指し、逆に、参照抗体は、競合アッセイにおいて、抗体のその抗原に対する結合を50%以上遮断する。
【0230】
本明細書で使用される場合、「親和性」又は「結合親和性」という用語は、分子(例えば、抗体)の単一の結合部位とその結合パートナー(例えば、抗原)との間の非共有結合性の相互作用の合計強度のことを指す。別途示されない限り、本明細書で使用される場合、「結合親和性」とは、結合対のメンバー(例えば、抗体の結合アームと抗原との)間の1:1の相互作用を反映する固有の結合親和性のことを指す。分子XのそのパートナーYに対する親和性は一般に、解離定数(Kd)によって表され得る。親和性は、本明細書に記載されるものを含む、当技術分野で公知の一般的な方法によって測定することができ、そのいずれも本開示の目的のために使用することができる。Kd結合親和性定数は、例えばBIACORE(登録商標)システム(Pharmacia Biosensor AB,Uppsala,Sweden and Piscataway,N.J.)を使用して、表面プラズモン共鳴により測定することができる。それぞれが参照により本明細書に具体的に組み込まれる、Jonsson et al.,Ann.Biol.Clin.51:19 26(1993);Jonsson et al.,Biotechniques 11:620 627(1991);Jonsson et al.,J.Mol.Recognit.8:125 131(1995);Johnsson et al.,Anal.Biochem.198:268 277(1991);Hearty S et al.,Methods Mol Biol.907:411-42(2012)も参照されたい。KDは、KinExA(登録商標)システム(Sapidyne Instruments,Hanover,Germany and Boise,ID)を使用して測定してもよい。
【0231】
本明細書で使用される場合、「アミノ酸」及び「アミノ酸同一性」という用語は、DNA及びRNAによってコードされる20個の天然に存在するアミノ酸のうちの1つを指す。
【0232】
本明細書で使用される場合、「アミノ酸置換」又は「置換」という用語は、親ポリペプチド配列の特定の位置におけるアミノ酸の異なるアミノ酸での置き換えを指す。特に、いくつかの実施形態では、置換は、特定の位置に天然には存在せず、生物内又は任意の生物内に天然には存在しないアミノ酸に対するものである。例えば、置換E272Yは、位置272のグルタミン酸がチロシンで置き換えられているバリアントポリペプチド、この場合はFcバリアントを指す。明確にするために、核酸コード配列を変更するが、開始アミノ酸を変更しない(例えば、宿主生物の発現レベルを増加させるためにCGG(アルギニンをコードする)をCGA(依然としてアルギニンをコードする)に交換する)ように操作されたタンパク質は、「アミノ酸置換」ではない。即ち、同じタンパク質をコードする新しい遺伝子が生成されたにもかかわらず、タンパク質が、開始位置である特定の位置に同じアミノ酸を有する場合、それはアミノ酸置換とは考慮されない。
【0233】
本明細書で使用される場合、「アミノ酸挿入」、「アミノ酸付加」又は「付加」又は「挿入」という用語は、親ポリペプチド配列の特定の位置におけるアミノ酸配列の付加を指す。例えば、-233E、_233E又は233Eは、233位の後かつ234位の前のグルタミン酸の挿入を示す。さらに、-233ADE、_233ADE又は233ADEは、233位の後かつ234位の前のAlaAspGluの挿入を示す。
【0234】
本明細書で使用される場合、「アミノ酸欠失」又は「欠失」は、親ポリペプチド配列の特定の位置におけるアミノ酸配列の除去を指す。例えば、E233-又はE233#、E233()、E233_又はE233delは、233位におけるグルタミン酸の欠失を指す。さらに、EDA233-、EDA233_又はEDA233#は、233位で始まる配列GluAspAlaの欠失を示す。
【0235】
本明細書で使用される場合、「ポリペプチド」、「ペプチド」及び「タンパク質」という用語は、互換的に使用され、アミノ酸残基のポリマーを指す。
【0236】
「親和性成熟」抗体は、変更を有さない親抗体と比較して、1つ以上の超可変領域(HVR)に1つ以上の改変を有し、そのような改変は、抗原に対する抗体の親和性に改善をもたらす。
【0237】
「天然抗体」は、様々な構造を有する天然に存在する免疫グロブリン分子を指す。例えば、天然IgG抗体は、ジスルフィド結合されている2つの同一の軽鎖及び2つの同一の重鎖で構成される約150,000ダルトンのヘテロ四量体糖タンパク質である。N末端からC末端に向かって、各重鎖は、可変重鎖ドメイン又は重鎖可変ドメインとも呼ばれる、可変領域(VH)、それに続く3つの定常ドメイン(CH1、CH2、及びCH3)を有する。同様に、N末端からC末端まで、各軽鎖は、可変軽ドメイン又は軽鎖可変ドメインとも呼ばれる可変領域(VL)を有し、これに定常軽(CL)ドメインが続く。抗体の軽鎖は、その定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ(κ)及びラムダ(λ)と呼ばれる2タイプのうちの1つに割り当てられ得る。
【0238】
参照ポリペプチド配列に関する「アミノ酸配列同一性パーセント(%)」は、最大の配列同一性パーセントを達成するために、配列をアラインメントし、必要に応じてギャップを導入した後に、いかなる保存的置換も配列同一性の一部として考慮せずに、参照ポリペプチド配列におけるアミノ酸残基と同一である、候補配列におけるアミノ酸残基のパーセンテージとして定義される。アミノ酸配列同一性パーセントを決定する目的のための整列は、当技術分野における技術の範囲内にある種々の方法において、例えば、BLAST、BLAST-2、ALIGN、又はMegalign(DNASTAR)ソフトウェア等の公的に入手可能なコンピュータソフトウェアを用いて達成され得る。当業者は、比較される配列の完全長に対して最大のアラインメントを達成するために必要な任意のアルゴリズムを含む、配列をアラインメントするための適切なパラメータを決定することができる。しかしながら、本明細書での目的のために、アミノ酸配列同一性%値は、配列比較コンピュータプログラムALIGN-2を使用して生成される。ALIGN-2配列比較コンピュータプログラムは、Genentech,Inc.が作成したものであり、ソースコードは、使用者用書類と共に、米国著作権局、Washington D.C.、20559に提出され、ここに米国著作権登録番号TXU510087として登録されている。ALIGN-2プログラムは、Genentech,Inc.(South San Francisco,California)から公的に入手可能であるか、又はそのソースコードからコンパイルされ得る。ALIGN-2プログラムは、デジタルUNIX V4.0Dを含む、UNIXオペレーティングシステムにおける使用のためにコンパイルされるべきである。全ての配列比較パラメータは、ALIGN-2プログラムによって設定されており、変わらない。
【0239】
ALIGN-2がアミノ酸配列比較に用いられる状況では、所与のアミノ酸配列Bへの、アミノ酸配列Bとの、又はアミノ酸配列Bに対する、所与のアミノ酸配列Aのアミノ酸配列同一性%(あるいは、所与のアミノ酸配列Bへの、アミノ酸配列Bとの、又はアミノ酸配列Bに対する、特定のアミノ酸配列同一性%を有する又は含む、所与のアミノ酸配列Aとして記述され得る)は、以下のように計算される:
100×分数(X/Y)
式中、Xは、配列アラインメントプログラムALIGN-2によって、そのプログラムのAとBのアラインメントにおいて同一のマッチとしてスコア付けされたアミノ酸残基の数であり、Yは、B中のアミノ酸残基の総数である。アミノ酸配列Aの長さがアミノ酸配列Bの長さに等しくない場合、A対Bのアミノ酸配列同一性%は、B対Aのアミノ酸配列同一性%に等しくないことが理解されよう。特に明記しない限り、本明細書で使用される場合、全ての%アミノ酸配列同一性値は、ALIGN-2コンピュータプログラムを使用して、直前の段落で説明したように得られる。
【0240】
本明細書で使用される場合、「モノクローナル抗体」という用語は、実質的に均一な抗体の集団から得られる抗体を指す、すなわち、集団を含む個々の抗体は、天然に存在する可能性のある変異を除いて同一である、及び/又は同じエピトープに結合する、又はモノクローナル抗体調製物の産生中に生じる、少量存在し得る抗体を指す。モノクローナル抗体は、単一の抗原に対して、高度に特異的である。さらに、異なる決定基(エピトープ)を対象とする異なる抗体を典型的に含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基を対象とする。「モノクローナル」という修飾語は、実質的に均一な抗体集団から得られるという抗体の特徴を示し、任意の特定の方法による抗体の産生を必要とするものと解釈されるべきではない。例えば、本開示に従って使用されるモノクローナル抗体は、ハイブリドーマ法、組換えDNA法、ファージディスプレイ法、及びヒト免疫グロブリン遺伝子座の全部又は一部を含むトランスジェニック動物を利用する方法を含むがこれらに限定されない種々の技術によって作製されてもよい。
【0241】
本明細書におけるモノクローナル抗体には、具体的には、重鎖及び/又は軽鎖の一部が、特定の種に由来するか、又は特定の抗体クラス若しくはサブクラスに属する抗体内の対応する配列と同一又は相同である一方で、鎖(複数可)の残りが、別の種に由来するか、又は別の抗体クラス若しくはサブクラスに属する抗体内の対応する配列と同一又は相同である「キメラ」抗体、並びにそれらが所望の生物学的活性を呈する限り、そのような抗体の断片を含む(米国特許第4,816,567号及びMorrison et al,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:6851-6855(1984))。
【0242】
抗体の「クラス」は、その重鎖によって保有される定常ドメイン又は定常領域の型を指す。抗体の5つの主要なクラスすなわち、IgA、IgD、IgE、IgG及びIgMが存在し、これらのうちのいくつかを、「サブクラス」(又は「アイソタイプ」)、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1及びIgA2に更に分けることができる。免疫グロブリンの異なるクラスに相当する重鎖定常ドメインは、それぞれα、δ、ε、γ、及びμと呼ばれる。
【0243】
非ヒト(例えばマウス)抗体の「ヒト化」形態は、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小配列を含むキメラ抗体である。「ヒト化抗体」は、非ヒトHVR由来のアミノ酸残基及びヒトFR由来のアミノ酸残基を含む、キメラ抗体を指す。ほとんどの場合、ヒト化抗体は、ヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)の超可変領域の残基を、所望の特異性、親和性及び能力を有する非ヒト種(ドナー抗体)、例えば、マウス、ラット、ウサギ又は非ヒト霊長類の超可変領域の残基で置き換えた抗体である。いくつかの事例では、ヒト免疫グロブリンのフレームワーク領域(FR)残基は、対応する非ヒト残基に置き換えられる。さらに、ヒト化抗体は、レシピエント抗体又はドナー抗体に見出されない残基を含んでいてもよい。これらの修飾は、抗体性能を更に洗練させるために行われる。一般に、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインのうちの実質的に全てを含み、超可変ループのうちの全て、又は実質的に全てが、非ヒト免疫グロブリンの超可変ループに対応し、FRのうちの全て、又は実質的に全てがヒト免疫グロブリン配列のFRである。また、ヒト化抗体は、任意に、免疫グロブリンの定常領域(Fc)の少なくとも一部、典型的にはヒト免疫グロブリンの定常領域の少なくとも一部を含む。更なる詳細については、例えば、Jones et al.,Nature 321:522-525(1986);Riechmann et al.,Nature 332:323-329(1988);及びPresta,Curr.Op.Struct.Biol.2:593-596(1992)を参照されたい。以下の総説論文及びそこに引用されている参考文献も参照されたい:Vaswani and Hamilton,Ann.Allergy,Asthma&Immunol.1:105-115(1998);Harris,Biochem.Soc.Transactions 23:1035-1038(1995);Hurle and Gross,Curr.Op.Biotech.5:428-433(1994)
【0244】
「ヒト抗体」は、ヒト若しくはヒト細胞によって産生される抗体のアミノ酸配列に対応するアミノ酸配列を含むもの、及び/又はヒト抗体レパートリー若しくは他のヒト抗体コード配列を利用する非ヒト供給源に由来したもの、例えば本明細書に開示されるヒト抗体を作製するための技術のいずれかを使用して作製されたものである。そのような技術としては、限定されないが、ヒト由来コンビナトリアルライブラリ、例えばファージディスプレイライブラリ(例えば、Marks et al,J.Mol.Biol,222:581-597(1991)及びHoogenboom et al,Nucl Acids Res.,19:4133-4137(1991)を参照)をスクリーニングすること;ヒト骨髄腫及びマウス-ヒトヘテロミエローマ細胞株を使用してヒトモノクローナル抗体の産生すること(例えば、Kozbor J.Immunol.,133:3001(1984);Brodeur et al,Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications,pp.55-93(Marcel Dekker,Inc.,New York,1987);及びBoerner et al.,J.Immunol.,147:86(1991)を参照);並びに内因性免疫グロブリン産生の非存在下でヒト抗体の完全なレパートリーを産生することができるトランスジェニック動物(例えば、マウス)においてモノクローナル抗体を作製すること(例えば、Jakobovits et al,Proc.Natl.Acad.Sci USA,90:2551(1993);Jakobovits et al.,Nature,362:255(1993);Bruggermann et al.,Year in Immunol,7:33(1993)を参照)が挙げられる。ヒト抗体のこの定義は、抗原結合残基を含むヒト化抗体を、非ヒト動物から明確に除外する。
【0245】
「可変領域」又は「可変ドメイン」という用語は、抗体の抗原への結合に関与する抗体の重鎖又は軽鎖のドメインを指す。天然の抗体の重鎖及び軽鎖の可変ドメイン(それぞれVH及びVL)は、一般に、類似の構造を有しており、各ドメインは、4つの保存されたフレームワーク領域(FR)と、3つの超可変領域(HVR)とを含む。(例えば、Kindt et al.Kuby Immunology,6th ed.,W.H.Freeman and Co.,page 91(2007)を参照)。抗原結合特異性を付与するには、単一のVH又はVLドメインで十分である。さらに、特定の抗原に結合する抗体は、抗原に結合する抗体のVH又はVLドメインを使用し、それぞれ、相補的VL又はVHドメインのライブラリをスクリーニングして、単離してもよい(例えば、Portolano et al,J.Immunol.150:880-887(1993);Clarkson et al,Nature 352:624-628(1991)を参照)。
【0246】
「超可変領域」、「HVR」又は「HV」という用語は、本明細書で使用される場合、配列が超可変であり、及び/又は構造的に定義されたループを形成し、及び/又は抗原接触残基(「抗原接触」)を含む抗体可変ドメインの領域を指す。概して、抗体は、VH中に3つ(H1、H2、H3)及びVL中に3つ(L1、L2、L3)の6つの超可変領域を含む。いくつかの超可変領域記述法が使用されており、本明細書に包含される。Kabat相補性決定領域(CDR)は、配列可変性に基づくものであり、最も一般的に使用されている(Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,Md.(1991))。Chothiaは、そうではなく、構造的ループの位置を指す(Chothia及びLesk J.Mol.Biol.196:901-917(1987))。AbM超可変領域は、KabatのCDRとChothiaの構造的ループとの折衷物であり、Oxford MolecularのAbM抗体モデリングソフトウェアによって使用されている。「接触」超可変領域は、利用可能な複合体結晶構造の分析に基づく。
本明細書の例示的なHVRとして、以下のものが挙げられる:
(a)アミノ酸残基26-32(L1)、50-52(L2)、91-96(L3)、26-32(H1)、53-55(H2)及び96-101(H3)で生じる超可変ループ(Chothia and Lesk,J.Mol.Biol.196:901-917(1987));
(b)アミノ酸残基24~34(L1)、50~56(L2)、89~97(L3)、31~35b(H1)、50-65(H2)及び95~102(H3)で生じるCDR(Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD(1991));
(c)アミノ酸残基27c-36(L1),46-55(L2),89-96(L3),30-35b(H1),47-58(H2),及び93-101(H3)に生じる抗原接触(MacCallum et al.J.Mol.Biol.262:732-745(1996));及び
(d)HVRアミノ酸残基46~56(L2)、47~56(L2)、48~56(L2)、49~56(L2)、26~35(H1)、26~35b(H1)、49~65(H2)、93~102(H3)及び94~102(H3)を含む、(a)、(b)及び/又は(c)の組み合わせ。
別段の記載がない限り、HVR残基及び可変ドメイン内の他の残基(例えば、FR残基)は、本明細書において、上述のKabatらに準じてナンバリングされている。
【0247】
「フレームワーク」又は「FR」残基は、本明細書において定義される超可変領域残基以外の可変ドメイン残基である。可変ドメインのFRは、一般に、4つのFRドメイン:FR1、FR2、FR3及びFR4を含む。したがって、HVR及びFR配列は、一般的に、VH(又はVL)中で以下の配列で現れる:FR1-H1(L1)-FR2-H2(L2)-FR3-H3(L3)-FR4。
【0248】
本明細書の目的では、「アクセプターヒトフレームワーク」とは、下記に定義されるように、ヒト免疫グロブリンフレームワーク又はヒトコンセンサスフレームワークに由来する軽鎖可変ドメイン(VL)フレームワーク又は重鎖可変ドメイン(VH)フレームワークのアミノ酸配列を含むフレームワークである。ヒト免疫グロブリンフレームワーク又はヒトコンセンサスフレームワーク「由来の」アクセプターヒトフレームワークは、その同じアミノ酸配列を含んでいてもよく、又はアミノ酸配列の変更を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、アミノ酸変化の数は、10以下、9以下、8以下、7以下、6以下、5以下、4以下、3以下、又は2以下である。いくつかの実施形態では、VLアクセプターヒトフレームワークは、VLヒト免疫グロブリンフレームワーク配列又はヒトコンセンサスフレームワーク配列に対して、配列が同一である。
【0249】
「ヒトコンセンサスフレームワーク」は、ヒト免疫グロブリンVL又はVHフレームワーク配列の選択において最も一般的に生じるアミノ酸残基を表すフレームワークである。一般に、ヒト免疫グロブリンVL又はVH配列の選択は、可変ドメイン配列のサブグループからである。一般に、配列のサブグループは、Kabat et al.Sequences of Proteins of Immunological Interest,Fifth Edition,NIH Publication 91-3242,Bethesda MD(1991),vols.1-3.と同様にサブグループである。いくつかの実施形態では、VLについて、サブグループはサブグループカッパIである。いくつかの実施形態では、VHについて、サブグループは、Kabat et al.のようにサブグループIIIである。
【0250】
「免疫コンジュゲート」は、限定されないが、追加の治療(追加の治療剤)を含む1つ以上の異種分子(複数可)にコンジュゲートした抗体である。
【0251】
「ネイキッド抗体」は、異種部分(例えば、更なる治療部分)又は放射性標識にコンジュゲートしていない抗体を指す。ネイキッド抗体は、医薬製剤中に存在してもよい。
【0252】
「単離された」抗体は、その自然環境の成分から同定及び分離及び/又は回収されたものである。その天然環境の混入成分は、抗体の診断的及び治療的使用を妨害する物質であり、これらとしては、酵素、ホルモン、及び他のタンパク質性若しくは非タンパク質性溶質が挙げられ得る。いくつかの実施形態では、抗体は、例えば、電気泳動(例えば、SDS-PAGE、等電点電気泳動(IEF)、キャピラリー電気泳動)又はクロマトグラフ(例えば、イオン交換又は逆相HPLC)によって決定される、95%超又は99%超の純度まで精製される。抗体純度の評価のための方法の総説については、例えば、Flatman et al.,J.Chromatogr.B 848:79-87(2007)を参照されたい。
【0253】
「核酸」、「ポリヌクレオチド」及び「オリゴヌクレオチド」という用語は、互換的に使用され、線形又は円形コンホメーション、かつ一本鎖又は二本鎖形態の、デオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチドポリマーを指す。本開示の目的のために,これら用語は、ポリマーの長さに関する限定と解釈されない。
【0254】
本明細書で使用される場合、「位置」という用語は、タンパク質又はポリヌクレオチドの配列内の位置を指す。位置は、連続的に、又は確立されたフォーマット、例えば抗体ナンバリングのためのEUインデックスに従って、ナンバリングされ得る。位置は、参照配列に対して定義され得る。そのような場合、参照配列は比較目的で提供される。
【0255】
本明細書で使用される場合、「残基」という用語は、タンパク質中の位置及びそれに関連付けられるアミノ酸同一性を指す。例えば、アスパラギン297(Asn297又はN297とも呼ばれる)は、特定のタンパク質中の297位における残基である。
【0256】
「宿主細胞」、「宿主細胞株」及び「宿主細胞培養物」という用語は、本明細書で互換的に使用され、外因性の核酸が導入された細胞を指し、そのような細胞の子孫を含む。宿主細胞には、「形質転換体」及び「形質転換細胞」が含まれ、これには初代形質転換細胞及び継代数に関係なくそれに由来する子孫が含まれる。子孫は、核酸の含有量が親細胞と完全に同一でなくてもよく、変異を含んでいてもよい。元の形質転換細胞においてスクリーニング又は選択されたのと同じ機能又は生物学的活性を有する変異子孫が本明細書に含まれる。
【0257】
「単離された」核酸は、その天然環境の構成要素から分離された核酸分子を指す。単離された核酸には、通常は核酸分子を含む細胞に含まれる核酸分子が含まれるが、核酸分子は染色体外に、又は天然の染色体位置とは異なる染色体位置に存在する。
【0258】
「抗タウ抗体をコードする単離核酸」とは、抗体重鎖及び軽鎖(又はそれらの断片)をコードする1つ以上の核酸分子を指し、単一のベクター又は別個のベクター内のそのような核酸分子(複数可)を含み、そのような核酸分子(複数可)は、宿主細胞内の1つ以上の位置に存在する。
【0259】
本明細書で使用される場合、「ベクター」という用語は、それに結合されている別の核酸を増やすことができる核酸分子のことを指す。この用語には、自己複製する核酸構造としてのベクターだけでなく、ベクターが導入された宿主細胞のゲノムに組み込まれたベクターも含まれる。ある種のベクターは、動作可能に連結された核酸の発現を指示することができる。そのようなベクターは、本明細書で「発現ベクター」と呼ばれる。
【0260】
本明細書で使用される場合、「標的」という用語は、別段示されない限り、霊長類(例えば、ヒト)並びに齧歯類(例えば、マウス及びラット)等の哺乳動物を含む任意の脊椎動物源由来の任意の天然分子を指す。この用語は、「完全長」の未処理標的、並びに細胞内での処理から生じる任意の形態の標的を包含する。この用語はまた、標的の天然に存在するバリアント、例えば、スプライスバリアント又は対立遺伝子バリアントも包含する。
【0261】
「抗標的抗体」又は「標的に結合する抗体」という用語は、抗体が標的を標的とする際の診断薬及び/又は治療剤として有用であるように、十分な親和性で標的に結合することができる抗体を指す。いくつかの実施形態では、無関係な非標的タンパク質に対する抗標的抗体の結合の程度は、例えば、ラジオイムノアッセイ(RIA)によって測定した場合に、標的に対する抗体の結合の約10%未満である。特定の実施形態では、抗標的抗体は、異なる種間で保存されている標的のエピトープに結合する。
【0262】
本明細書で使用される場合、「タウ」という用語は、別段示されない限り、霊長類(例えば、ヒト)並びに齧歯類(例えば、マウス及びラット)等の哺乳動物を含む任意の脊椎動物源由来の任意の天然タウタンパク質を指す。この用語は、「完全長」未処理のタウ、並びに細胞内の処理から生じるタウの任意の形態を包含する。この用語はまた、タウの天然に存在するバリアント、例えば、スプライスバリアント又は対立遺伝子バリアントも包含する。タウは、異なる形態で存在することが知られている。タウの構造及び配列は当業者に周知であり、当該ペプチドを産生するか又は脳及び他の組織からそれらを抽出する方法も公知である。タウ及びタウのペプチドは、様々な形態で市販されている。
【0263】
本明細書で使用される場合、「pタウ」という用語は、セリン、スレオニン又はチロシン残基が、共有結合したリン酸基の付加によって、タンパク質キナーゼによりリン酸化される、タウを指す。いくつかの実施形態では、pタウは、セリン残基上又はスレオニン残基上でリン酸化される。いくつかの実施形態では、pタウは、セリン409位及び/又はセリン404位上でリン酸化される。タウ上の追加のリン酸化部位としては、Thr181、Ser199、Ser202、Thr205、Thr217、Thr231、Ser235、Ser422及びThr534が挙げられるが、これらに限定されない。
【0264】
本明細書で使用される場合、「可溶性タウ」又は「可溶性タウタンパク質」という用語は、可溶化されたタウタンパク質/ペプチドモノマー、タウ様ペプチド/タンパク質、修飾又は切断型タウペプチド/タンパク質、及び/又はタウペプチド/タンパク質モノマーの他の誘導体を指し、これらのいずれも可溶性、実質的に可溶性、又は完全に可溶性である。「可溶性タウ」はまた、可溶性、実質的に可溶性、又は完全に可溶性であるタウタンパク質オリゴマーを指す。逆に、「可溶性タウ」は神経原線維変化(NFT)を除外する。
【0265】
本明細書で使用される場合、「不溶性タウ」という用語は、タウのペプチド若しくはタンパク質、タウ様ペプチド/タンパク質、修飾若しくは切断型タウのペプチド/タンパク質、及び/又はタウのペプチド/タンパク質の他の誘導体の複数の凝集したモノマーを指し、これらのいずれも哺乳動物若しくはヒトの身体、より具体的には脳に不溶性である。不溶性タウは、一般に、哺乳動物又はヒトの体内、より具体的には脳において、水性媒体中のin vitro及びin vivoの両方で不溶性のオリゴマー又はポリマー構造を形成する。「不溶性タウ」は特に、神経原線維変化(NFT)を含む。
【0266】
本明細書で使用される場合、「単量体タウ」、「タウ単量体」、及び「タウの単量体形態」という用語は、水性媒体中に凝集した複合体を含まない、完全に(又は実質的に)可溶化したタウタンパク質を指す。
【0267】
本明細書で使用される場合「凝集タウ」、「オリゴマータウ」、「タウオリゴマー」、及び「タウのオリゴマー形態」という用語は、タウのペプチド若しくはタンパク質、タウ様ペプチド/タンパク質、修飾若しくは切断型タウのペプチド/タンパク質、及び/又は哺乳動物若しくはヒトの身体、特に脳に不溶性のオリゴマー若しくはポリマー構造を形成するタウのペプチド/タンパク質の他の誘導体の複数の凝集したモノマーを指す。一般に、凝集タウは、哺乳動物又はヒトの体内、より具体的には脳において、水性媒体中のin vitro及びin vivoの両方で不溶性である(完全に不溶性、又は実質的に不溶性)。
【0268】
本明細書で使用される場合、「pタウPHF」、「PHF」、及び「対らせん状フィラメント」という用語は、電子顕微鏡で見える160nmの周期性を有するらせんに巻かれたフィラメントの対を指す。幅は、10~22nmの間で変動する。PHFは、ADの神経原線維変化及び神経絨毛糸における主構造である。PHFはまた、老人斑に関連する変性神経突起の全てではないがいくつかにも見られることがある。PHFの主要構成成分は、微小管関連タンパク質タウの高リン酸化形態である。PHFは一部には、ジスルフィド結合された逆平行高リン酸化タウタンパク質から構成され得る。PHF タウは、そのC末端の20個のアミノ酸残基が切断され得る。PHF形成の根底にある機序は不明であるが、タウの高リン酸化は、それを微小管から開放し、ニューロン内でPHFが形成され得るタウの可溶性プールを増加させ得る。
【0269】
「タウ病態」、「タウオパチー」、「タウタンパク質関連疾患」又は「タウ関連疾患」という用語は、本明細書では互換的に使用され、神経原線維又は神経絨毛糸の形成によって引き起こされる又はそれに関連するものを含む、患者の脳の細胞外空間のタウ凝集物によって引き起こされる又はそれに関連する疾患及び障害の群を指す。そのような疾患には、AD等の神経障害、及び認知能力の喪失を特徴とする疾患又は症状が含まれるが、これらに限定されない。タウ病態の非限定的な例としては、筋萎縮性側索硬化症、パーキンソン病、クロイツフェルト・ヤコブ病、パンチドランカー、ダウン症候群、ゲルストマン・シュトロイスラー・シャインカー病、封入体筋炎、プリオンタンパク質脳アミロイド血管症、外傷性脳損傷、グアム筋萎縮性側索硬化症/パーキンソン症認知症症候群、神経原線維変化を伴う非グアム運動ニューロン疾患、嗜銀顆粒性認知症、大脳皮質基底核変性症、石灰化を伴うびまん性神経原線維変化病、前頭側頭型認知症(frontotetemporal dementia)、17番染色体に連鎖しパーキンソン症候群を伴う前頭側頭型認知症、ハラーホルデン・スパッツ病(Hallevorden-Spatz disease)、多系統萎縮症、ニーマン・ピック病C型、淡蒼球-橋脳-黒質変性症(Pallido-ponto-nigral degeneration)、ピック病、進行性皮質下グリオーシス、進行性核上性麻痺、亜急性硬化性全脳炎、神経原線維変化型認知症、脳炎後パーキンソン症、及び筋強直性ジストロフィーが挙げられる。いくつかの実施形態では、タウオパチーは進行性核上性麻痺である。いくつかの実施形態では、タウ病態は、軽度から中等度のADに見られるものと実質的に同様の患者の脳の細胞外空間におけるタウ病態を特徴とし、そのようなタウ病態は、本明細書では、軽度から中等度のADに関連するタウ病態又は「関連タウ病態」と呼ばれる。いくつかの実施形態では、タウ病態はADである。いくつかの実施形態では、タウ病態は軽度から中等度のADである。いくつかの実施形態では、タウ病態は中等度のADである。いくつかの実施形態では、タウ病態は軽度から中等度又は中等度のADである。
【0270】
「タウ陽性」個体は、タウ病態に典型的な脳タウアイソフォーム及び/又はレベルを有する患者、例えば、陽性タウ陽電子放射断層撮影(PET)スキャン(例えば、陽性[18F]GTP1スキャン)を有する、及び/又はタウオパチーに特徴的なタウ血清若しくは血漿検出を有する;及び/又はタウオパチーのタウCSF検出特性を有する患者を指す。いくつかの実施形態では、タウ負荷は、軽度から中等度のADと診断された患者に見られるものと一致する。現在のタウPETトレーサーは、ADタウ沈着物を確実に検出するだけであり、PSP、FTD、又はCTEタウ沈着物を一貫して標識/検出しない。その結果、上昇したpタウ181、pタウ217及びpタウ231はADに比較的特異的であり、他のタウオパチーでは一般に上昇していない。
【0271】
アルツハイマー病(「AD」)は、一般に、病歴、臨床検査、及び確立されたイメージングモダリティに基づいて診断される。
【0272】
Aベータ陽性は、AD診断に使用され得る。いくつかの実施形態では、AD患者はアミロイド陽性であると判定される(McKhann et al.Alzheimers Dement 2011;7:263-9;Dubois et al.Lancet Neurol.2014;13:614-29)。Aベータ沈着のバイオマーカーの証拠は、CSF Aベータ1~42レベルの低下(例えば、事前に指定されたカットオフポイント及びRoche Diagnostics Elecsys(登録商標)βAmyloid[1-42]イムノアッセイ(下方カットオフ;1,000pg/mL以下)を使用する)及び/又はアミロイドPETイメージングによる脳の集中視覚評価によって評価することができる。両アプローチは、剖検時のAベータ病態の「ゴールドスタンダード」と相関することが示されている(Shaw et al.Ann Neurol.2009:65;403-13;Clark et al.JAMA 2011;305:275-83;Le Bastard et al.J Alzheimer’s Dis 2013;33:117-31)(臨床研究への登録のためにこのアプローチを使用する実施例1を参照)。
【0273】
このアプローチは、アミロイドPETイメージングとCSFバイオマーカーとの間の一貫性を示す新たな証拠と一致している。低CSF Aβ1-42は、ピッツバーグ化合物BアミロイドPETイメージング(Fagan et al.Ann Neurol.2006;59:512-9;Forsberg et al.Neurobiol Aging 2008;29:1456-65;Tolboom et al.J Nucl Med 2009;50:1464-70)で測定したin vivo Aβ皮質負荷と逆の関係を示す。アミロイドPETイメージング及び低CSF Aβ1-42を介して得られた情報は、ADの重症度の範囲にわたる広範な集団において一致している(軽度から中等度のADによる前認知症;Jagust et al.Neurology 2009;73:1193-9;Fagan et al.Arch Neurol.2011;68:1137-44;Landau et al.Ann Neurol.2013;74:826-36;Zwan et al.J Alzheimer’s Dis 2014;41:801-7)。
【0274】
さらに、ADのNIA AA診断基準及びガイドライン、並びに欧州医薬品審査委員会の限定的見解の両方が、軽度から中等度のAD認知症における試験の強化のためのCSFバイオマーカー及び/又はPETアミロイドイメージングの使用を奨励しており(2012)、米国食品医薬品局(FDA)のドラフトガイダンスは、早期AD(2018)のためにそれを行っている。FDAガイダンスは、個体が軽度の認知障害を示すADの初期段階に言及しているが、アミロイド病態のバイオマーカーもまた、中等度のADにおける患者選択に価値を加えると予想される。ADを診断するための更なる詳細を以下の表1に提供する。
【表1】
AD=アルツハイマー病;CSF=脳脊髄液;NIA-AA=国立老化研究所/アルツハイマー病協会;PET=陽電子放射断層撮影法。
【0275】
本明細書で使用される場合、「早期アルツハイマー病」又は「早期AD」という用語(例えば、「早期ADと診断された患者」又は「早期ADに罹患している患者」)は、前駆期から軽度のAD重症度を含む。
【0276】
AD患者は、1つ以上のADバイオマーカーを有すると同定され得、例えばアミロイド陽性患者又は陽性タウPETスキャンを有する患者であり得る。1つ以上の市販のアミロイドトレーサー、例えば、フロルベタピル、フロルベタベン、フルテメタモル等が使用され得る。1つ以上のタウPETトレーサーを使用することができ、例えば、タウトレーサは、米国特許第10,076,581号に記載されているように、[18F]Genentechタウプローブ1([18F]GTP1)である。いくつかの実施形態では、他のタウプローブを使用することができる。そのようなトレーサー分子の例には、限定されないが、以下が含まれる:RO-948(F.Hoffmann-La Roche AG);AV-1451(「Flortaucipir」、Avid,Inc.);PI-2014,及びPI-2620(AC Immune);MK-6240(Merck Sharp&Dohme);並びにT-808(Eli Lilly&Co.)。放射性標識トレーサーの画像化に基づいて、患者の脳内のタウ分布を定量化する方法としては、「標準化取込み値比」(SUVR)が挙げられる(例えば、参照により本明細書に組み込まれる、J.Nucl.Med.,S.Sanabria Bohorquez et al.,58(1),(2017),incorporated herein by referenceを参照)。
【0277】
いくつかの実施形態では、AD患者は、PETトレーサーを使用して識別される。いくつかの実施形態では、PETトレーサーはタウに結合する。いくつかの実施形態では、PETトレーサーはAベータに結合する。いくつかの実施形態では、PETトレーサーは、タウ又はAベータに結合する。いくつかの実施形態では、タウに結合するPETトレーサーは、[18F]Genentechタウプローブ1([18F]GTP1)、RO-948、AV-1451(フロルタウシピル)、PI-2014、PI-2620、MK-6240及びT-808からなる群から選択される少なくとも1つであり、Aベータに結合するPETトレーサーが、フロルベタピル、フロルベタベン及びフルテメタモルからなる群から選択される少なくとも1つである。いくつかの実施形態では、タウに結合するPETトレーサーは、[18F]Genentechタウプローブ1([18F]GTP1)、RO-948、AV-1451(フロルタウシピル)、PI-2014、PI-2620、MK-6240及びT-808からなる群から選択される少なくとも1つである。いくつかの実施形態では、Aベータに結合するPETトレーサーは、フロルベタピル、フロルベタベン及びフルテメタモルからなる群から選択される少なくとも1つである。いくつかの実施形態では、PETトレーサーは、[18F]Genentechタウプローブ1([18F]GTP1)である。いくつかの実施形態では、PETトレーサーはRO-948である。いくつかの実施形態では、PETトレーサーはAV-1451(フロルタウシピル)である。いくつかの実施形態では、PETトレーサーはPI-2014である。いくつかの実施形態では、PETトレーサーはPI-2620である。いくつかの実施形態では、PETトレーサーはMK-6240である。いくつかの実施形態では、PETトレーサーはT-808である。いくつかの実施形態では、PETトレーサーはフロルベタピルである。いくつかの実施形態では、PETトレーサーはフロルベタベンである。いくつかの実施形態では、PETトレーサーはフルテメタモルである。
【0278】
いくつかの実施形態では、前駆型ADは、0.5のCDRスコアを特徴とするADを指す。AD疾患は、前駆期から軽度、軽度から中等度、及び中等度から重症に進行する。
【0279】
いくつかの実施形態では、「軽度アルツハイマー病」又は「軽度AD」という用語は、20~26のMMSEスコアを特徴とするADを指すことができる。いくつかの実施形態では、軽度ADは、1のCDRスコアを特徴とするADを指す。
【0280】
本明細書で使用される場合、「軽度から中等度アルツハイマー病」又は「軽度から中等度のAD」という用語は、軽度及び中等度のADの両方を包含する。本明細書で使用される場合、軽度から中等度のADは、16から21のMMSEスコアを特徴とする。16から21のスコアを有する患者の群の中で、18以下のMMSEスコアを有する患者は中等度のADを有すると考えられ得、19以上のスコアを有する患者は軽度ADを有すると考えられ得る。
【0281】
本明細書で使用される場合、「中等度アルツハイマー病」又は「中等度のAD」という用語(例えば、「中等度のADと診断された患者」)は、一般に、10~19のMMSEスコア等のより低いMMSEスコアを特徴とするADの病期を指す。いくつかの実施形態では、中等度のADは、2のCDRスコアを特徴とするADを指す。中等度のADを有する患者は、疾患の軽度認知障害又は軽度認知症段階を有する患者と区別することができる。
【0282】
軽度から中等度のADは、以下の1つ以上によって評価することができる:(1)ミニメンタルステート検査;(2)臨床的認知症尺度;(3)臨床的認知症評価-合計点数;(4)アルツハイマー病評価尺度-認知下位尺度;(5)ADAS-Cog12;(6)ADAS-Cog11;(7)アルツハイマー病協同研究グループ-日常生活動作インベントリ又はアルツハイマー病協同研究グループ-日常生活動作尺度;(8)神経精神症状評価;(9)アルツハイマー病の介護者全般印象尺度;(10)器械的日常生活動作尺度;及び(11)アムステルダムの器械的日常生活質問票。
【0283】
(1)ミニメンタルステート検査
ミニメンタルステート検査(「MMSE」)は、認知症及び他の認知欠損(Folstein et al.J Psychiatr Res 1975;12:189-98)をスクリーニングするために一般的に使用される簡単な臨床認知検査である。MMSEは、0~30の合計スコアを提供する。26以下のスコアは、一般に、欠損を示すと考えられる。MMSEの数値スコアが低いほど、より高いスコアを有する別の個体と比較して、試験された患者の欠損又は機能障害が大きくなる。MMSEスコアの増加は患者の症状の改善を示し得る一方で、MMSEスコアの減少は患者の症状の悪化を意味し得る。いくつかの実施形態では、安定なMMSEスコアは、ADの進行の遅延、遅延若しくは停止、又は新しい臨床的、機能的若しくは認知的症候若しくは障害の出現の欠如、又は疾患の全体的な安定化を示し得る。
【0284】
(2)臨床的認知症尺度
臨床的認知症尺度(「CDR」)(Morris Neurology 1993;43:2412-4)は、記憶力、見当識、判断及び問題解決、社会問題、家庭及び趣味、並びにパーソナルケアの6つのカテゴリーの認知ベースの機能の各々についてパフォーマンスの5つの障害度をもたらす半構造化面接である。CDRを、最初はグローバルスコア:0-認知症なし、0.5-疑わしい認知症、1-軽度認知症、2-中等度認知症、3-重症認知症で設計した。
【0285】
(3)臨床的認知症評価-合計点数
完全なCDR-SBスコアは、6つのボックス全てにわたるスコアの合計に基づく。サブスコアは、ボックス又はコンポーネントのそれぞれについて個別に、例えばCDR/記憶又はCDR/判断及び問題解決でも取得することができる。本明細書で使用される場合、「CDR-SBパフォーマンスの低下」又は「CDR-SBスコアの増加」は、患者の症状の悪化を示し、ADの進行を反映し得る。
【0286】
「CDR-SB」という用語は、0と18との間のスコアを提供する臨床的認知症評価-合計点数を指す(O’Bryant et al.,2008,Arch Neurol 65:1091-1095)。CDR-SBスコアは、患者及び介護者の情報提供者の半構造化されたインタビューに基づいており、認知に基づく機能の6つのカテゴリー:記憶力、見当識、判断/問題解決、コミュニティの問題、家庭及び趣味、並びにパーソナルケアのそれぞれについて、パフォーマンスの5つの障害度をもたらす。試験は、患者及び介護者の両方に適用され、各コンポーネント(又は各「ボックス」)は、0~3の尺度でスコア化される(0障害なし、0.5(障害の疑い)、1(軽度障害)、2(中等度障害)、3(重症障害))。6つのカテゴリーのスコアの合計がCDR-SBスコアである。CDR-SBスコアの減少は、患者の症状の改善を示し得るが、CDR-SBスコアの増加は、患者の症状の悪化を示し得る。いくつかの実施形態では、安定なCDR-SBスコアは、ADの進行の遅延、遅延若しくは停止、又は新しい臨床的、機能的若しくは認知的症候若しくは障害の出現の欠如、又は疾患の全体的な安定化を示し得る。
【0287】
(4)アルツハイマー病評価尺度-認知下位尺度
アルツハイマー病評価尺度-認知下位尺度(「ADAS Cog」)は、軽度から中等度のADの臨床試験において認知を評価するために頻繁に使用される尺度である(Rozzini et al.Int J Geriatr Psychiatry 2007;22:1217-22.;Connor and Sabbagh,J Alzheimers Dis.2008;15:461-4;Ihl et al.Int J Geriatr Psychiatry 2012;27:15-21)。ADAS-Cogは、記憶力、理解、プラクシス、見当識、及び自発的発話を含む複数の認知ドメインを評価する検査者投与バッテリである(Rosen et al.1984,Am J Psychiatr 141:1356-64;Mohs et al.1997,Alzheimer Dis Assoc Disord 11(S2):S13-S21)。ADAS-Cogは、AD治療試験における標準的な主要評価項目である(Mani 2004,Stat Med 23:305-14).ADAS-Cogの数値スコアが高いほど、より低いスコアを有する別の個体と比較して、試験された患者の欠損又は機能障害が大きくなる。ADAS-Cogは、ADの治療が治療上有効であるかどうかを評価するために使用され得る。ADAS-Cogスコアの増加は患者の症状の悪化を示し、ADAS-Cogスコアの減少は患者の症状の改善を示す。いくつかの実施形態では、安定なADAS-Cogスコアは、ADの進行の遅延、遅延若しくは停止、又は新しい臨床的若しくは認知的症候若しくは障害の出現の欠如、又は疾患の全体的な安定化を示し得る。
【0288】
(5)ADAS-Cog12
ADAS-Cog12は、70ポイントバージョンのADAS-Cogに、学習済み単語リストのリコールを評価する10ポイントの遅延ワードリコール項目を加えたものである。ADAS-Cog11は、0~70の範囲を有する別のバージョンである。他のADAS-Cogスケールとしては、ADAS-Cogl3及びADAS-Cogl4が挙げられる。
【0289】
(6)ADAS-Cog11
ADAS-Cog11スコアの減少は、患者の症状の改善を示し得るが、ADAS-Cog11スコアの増加は、患者の症状の悪化を示し得る。いくつかの実施形態では、安定したADAS-Cog11スコアは、ADの進行の遅延、遅延若しくは停止、又は臨床若しくは認知機能低下の進行の減少、又は新しい臨床若しくは認知の症候若しくは障害の出現の欠如、又は疾患の全体的な安定化を示し得る。
【0290】
ADAS-Cog11のコンポーネントサブテストは、記憶、言語、及びプラクシスの3つの認知ドメインにグループ化することができる(Verma et al.Alzheimer’s Research&Therapy 2015)。この「内訳」は、例えば、軽度から中等度のAD段階に集中している場合、認知能力の低下を測定する際の感度を改善することができる(Verma,2015)。したがって、ADAS-Cog11スコアは、3つの認知ドメイン:記憶ドメイン、言語ドメイン、及びプラクシスドメインのそれぞれの変化について分析することができる。ADAS-Cog11スコアのメモリドメイン値は、本明細書では「ADAS-Cog11記憶ドメインスコア」又は単に「記憶ドメイン」と呼ばれることがある。記憶力低下を遅らせることは、記憶容量及び/又は機能の低下率の低減、記憶の保持、及び/又は記憶喪失の低減を指し得る。記憶力低下の減速は、例えば、ADAS-Cog11記憶ドメインのより小さい(又はより少ない負の)スコアによって証明することができる(例えば、表12を参照)。
【0291】
同様に、ADAS-Cog11スコアの言語ドメイン値は、本明細書では「ADAS-Cog11言語ドメインスコア」又は単に「言語ドメインスコア」と呼ばれることがあり、ADAS-Cog11スコアのプラクシスドメイン値は、本明細書では「ADAS-Cog11プラクシスドメインスコア」又は単に「プラクシスドメイン」と呼ばれることがある。プラクシスは、単純なタスクの計画及び/又は実行を指すことができ、及び/又はプラックスは、複雑な一連のモータ動作、並びにコピー図面又は3次元構造、及び以下のコマンドを概念化、計画、及び実行する能力を指すことができる。
【0292】
記憶ドメインスコアは、単語を認識及び/又は想起する対象の能力を反映するスコアを含むコンポーネントに更に分割され、それによって「語彙認識」又は「語彙想起」の能力が評価される。ADAS-Cog11記憶ドメインスコアの単語認識評価は、本明細書では「ADAS-Cog11語彙認識スコア」又は単に「語彙認識スコア」と呼ばれることがある。例えば、語彙想起及び語彙認識のための同等の代替形態のサブテストを、所与の患者の連続的な試験適用に使用することができる。いくつかの実施形態では、記憶力低下を遅らせることは、特に、語彙認識能力の低下を遅らせること、例えば、語彙認識損失率を低減すること、単語を認識することに関して記憶力を保持すること、及び/又は単語のリストを呼び出す際の記憶損失を低減することを指し得る。記憶力低下の減速は、例えば、ADAS-Cog11記憶ドメインの語彙認識コンポーネントのスコアがより小さい(又はよりマイナスより少ない)ことによって証明することができる。
【0293】
(7)アルツハイマー病協同研究グループ-日常生活動作インベントリ又はアルツハイマー病協同研究グループ-日常生活動作尺度
アルツハイマー病協同研究グループ-日常生活動作インベントリ又はアルツハイマー病協同研究グループ-日常生活動作尺度(“ADCS-ADL;”Galasko et al.Alzheimer Dis Assoc Disord 1997;11(Suppl 2):S33-9)は、AD患者の機能的転帰を評価するための最も広く使用されている尺度である(Vellas et al.Lancet Neurol.2008;7:436-50)。スコアは0~78までの範囲であり、より高いスコアはより良好なADL機能を示す。ADCS-ADLは介護者に適用され、塩基性ADL(例えば、食事及びトイレ使用)及びより複雑なADL又は手段的ADL(例えば、電話の使用、財務管理、食事の準備)の両方をカバーする(Galasko et al.Alzheimer Disease and Associated Disorders,1997 11(Suppl2),S33-S39)。
【0294】
(8)神経精神症状評価
神経精神症状評価(「NPI」)(Cummings et al.Neurology 1994;44:2308-14)は、その頻度、重症度、及び関連する苦痛を含む、ADの行動症候を評価する広く使用されている尺度である。個々の症候スコアは0~12の範囲であり、総NPIスコアは0~144の範囲である。NPIは介護者に適用され、先月の患者の行動を指す。
【0295】
(9)アルツハイマー病の介護者全般印象尺度
アルツハイマー病の介護者全般印象尺度(「CaGI-Alz」)は、本明細書に記載の臨床試験で使用される新規な尺度であり、患者の疾患重症度の変化に対する介護者の認識を評価するための4項目で構成される。全ての項目は、1(治療開始/以前のCaGI Alz評価から非常に改善)から7(治療開始/以前のCaGI Alz評価から非常に悪化)までの7ポイントのリッカート型スケールで評価される。
【0296】
(10)器械的日常生活動作尺度
「iADL」という用語は、器械的日常生活動作尺度(Lawton,M.P.,and Brody,E.M.,1969,Gerontologist 9:179-186)を指す。この尺度は、家事、洗濯、電話の操作、買い物、食事の準備等の典型的な日常活動を行う能力を測定する。スコアが低いほど、個人が日常生活動作を行う上でより障害がある。
【0297】
(11)アムステルダムの器械的日常生活動作質問票
使用され得る別の尺度は、「アムステルダムの器械的日常生活動作質問票(A-IADL-Q)」である。
【0298】
いくつかの実施形態では、「軽度から中等度のAD」は、16~21ポイント(両端の値を含む)のスクリーニングMMSEスコア及び1又は2のCDR GSによって定義される中等度のAD認知症を指し、ADは、上記の表1に概説される国立老化研究所-アルツハイマー病協会(NIA AA)診断基準及びADのガイドラインによる標準的な研究基準に基づいて診断される。実施例1では、例えば、これらのスコアは共に、軽度から中等度のAD(例えば、19~21のMMSEスコア及び/又は1のCDR GSと相関する軽度AD;16~18のMMSEスコア及び/又は2のCDR GSと相関する中等度のAD)の証拠を提供する。
【0299】
「アミロイド症」は、ADに関与するアミロイドβタンパク質等のアミロイド又はアミロイド様タンパク質に関連する疾患及び障害の群を指す。
【0300】
「抗タウ免疫グロブリン」、「抗タウ抗体」及び「タウに結合する抗体」は、本明細書では互換的に使用され、タウを標的とする際の診断及び/又は治療剤として有用であるように、十分な親和性でタウ(例えば、ヒトタウ)に結合することができる抗体を指す。いくつかの実施形態では、抗タウ抗体が非関連非タウタンパク質に結合する程度は、例えば、ラジオイムノアッセイ(RIA)によって測定される、抗体のタウへの結合の約10%未満である。いくつかの実施形態では、タウに結合する抗体は、1μM以下、100nM以下、10nM以下、1nM以下、0.1nM以下、0.01nM以下、又は0.001nM以下(例えば10-8M以下、例えば10-8~10-13M、例えば10-9M~10-13M)の解離定数(KD)を有する。いくつかの実施形態では、抗タウ抗体は、異なる種由来のタウ間で保存されるタウのエピトープに結合する。いくつかの場合、抗体は、単量体タウ、オリゴマータウ及び/又はリン酸化タウに結合する。いくつかの実施形態では、抗タウ抗体は、体外に50倍以下だけ異なる親和性等の同等の親和性で、単量体タウ、オリゴマータウ、非リン酸化タウ、及びリン酸化タウに結合する。いくつかの実施形態では、単量体タウ、オリゴマータウ、非リン酸化タウ、及びリン酸化タウに結合する抗体は、「pan-タウ抗体」と呼ばれる。抗タウ抗体の非限定的な例は、セモリネマブである。
【0301】
「N末端結合抗タウ抗体」又は「N末端結合剤」は、そのN末端に向かってタウに結合する、例えば、成熟ヒトタウのアミノ酸2~24内のエピトープに結合する、例えば、いくつかの実施形態では、成熟ヒトタウのアミノ酸6~23内/貫通アミノ酸に結合する抗体を指す。
【0302】
「セモリネマブ」、「MTAU9937A」及び「RO7105705」という用語は、本明細書で互換的に使用され、タウの単量体形態、オリゴマー形態、非リン酸化形態及びリン酸化形態に結合する特異的抗タウ抗体を指す。いくつかの実施形態では、抗タウ抗体は、タウのN末端領域、例えば残基2~24内のエピトープ、例えば残基6~23内の/にまたがるエピトープに結合する。いくつかの実施形態では、抗タウ抗体は、
図5 Aに示されるHVR配列を含む。いくつかの実施形態では、抗タウ抗体は、以下を含む:配列番号2のアミノ酸配列を含むHVR-H1;配列番号3のアミノ酸配列を含むHVR-H2配列;配列番号4のアミノ酸配列を含むHVR-H3配列;配列番号6のアミノ酸配列を含むHVR-L1配列;配列番号7のアミノ酸配列を含むHVR-L2配列;配列番号8のアミノ酸配列を含むHVR-L3配列。いくつかの実施形態では、特異的抗タウ抗体は、
図5Bに示されるアミノ酸配列を有するVH及びVLドメインを含む。いくつかの実施形態では、抗タウ抗体は、配列番号5のアミノ酸配列を含むVHドメインと、配列番号9のアミノ酸配列を含むVLドメインとを含む。いくつかの実施形態では、抗タウ抗体はIgG4抗体である。いくつかの実施形態では、IgG4抗体は、EUナンバリングに従って、M252Y、S254T及びT256Eから選択される1つ以上の変異を含む。いくつかの実施形態では、IgG4抗体は、EUナンバリングに従って、M252Y、S254T及びT256E変異を含む。いくつかの実施形態では、抗体は、EUナンバリングに従って、S228P変異を含む。
【0303】
「治療剤」という用語は、疾患の症候を治療するか、又は疾患の進行を遅らせる薬剤を含むがこれらに限定されない、疾患を治療するために使用される任意の薬剤を指す。
【0304】
本明細書で使用される場合、「治療」(及び「治療する」又は「治療すること」等のその文法的変形)は、治療されている個体の病態の自然経過を変化させようとする臨床的介入を指し、予防のために、又は病態の経過中のいずれかに行うことができる。
【0305】
治療の望ましい効果には、限定するものではないが、疾患の発生又は再発の予防、1つ以上の症候の緩和又は改善、疾患の直接的又は間接的な病理学的結果の減少又は遅延、疾患の任意の直接的又は間接的な病理学的結果の悪化の停止又は遅延、疾患進行速度の低下、疾患状態の改善又は緩和、寛解、及び/又は予後の改善が含まれる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗タウ抗体を使用して、疾患の発症を遅延させるか、又は疾患の進行を遅延させる、例えば、軽度から中等度のAD又は関連するタウオパチーの臨床的減退を遅らせる(例えば、記憶機能の喪失を遅らせることによって認知機能低下を遅らせる)。いくつかの特定の実施形態では、抗タウ抗体は、軽度から中等度のAD又は関連するタウオパチーを有する患者の脳の皮質及び皮質下ネットワーク全体にわたる、タウの細胞間拡散並びに/又はタウの毒性及び病態の伝播を妨害、防止、又は遅延させるために、細胞外形態のタウの拡散を妨害、防止、又は減速させるために使用される。
【0306】
本明細書で使用される場合、「治療レジメン」という用語は、別の療法、例えば併用薬物治療の追加の有無にかかわらず、投与量、投与様式、投与頻度、及び/又は治療期間の組み合わせを指す。
【0307】
本明細書で使用される場合、「有効な治療レジメン」という用語は、治療を受けている患者に有益な効果を提供する治療レジメンを指す。
【0308】
本明細書で使用される場合、「治療を修正する」という用語は、投与量、投与様式、投与頻度、若しくは治療期間の変更、及び/又は追加の治療法の追加若しくは除去を含む治療レジメンの変更を指す。
【0309】
本明細書で使用される場合、「治療緊急」という用語は、治療剤の第1の用量が投与された後に起こる事象を指す。例えば、「治療下で発現した有害事象」は、臨床研究において治療の最初の投与時又は投与後に特定される事象である。
【0310】
「有害事象」は、原因属性にかかわらず、医薬品を投与された患者における任意の不都合な医学的事象である。したがって、有害事象は以下のいずれかであり得る:
・ 医薬品の使用に時間的に関連するあらゆる好ましくない及び意図しない徴候(異常な検査所見を含む)、症候又は疾患(当該製品に関連すると考えられるか否かを問わない)
・ 新規疾患又は既存疾患の増悪(既知の症状の特徴、頻度、又は重症度の悪化)
・ ベースラインに存在しない間欠的な医学的症状(例えば、頭痛)の再発
・ 症候に関連するか、又は研究薬(例えば、セモリネマブ、[18F]GTP1放射性リガンド、又はアミロイド放射性リガンド)に由来する研究治療若しくは併用治療若しくは中止の変化をもたらす検査値又は他の臨床試験(例えば、ECG、X線)の低下
・ 治験実施計画書に規定された介入に関連する有害事象、例えば研究治療の割り当て前に生じるもの(例えば、生検等の侵襲的手順のスクリーニング)。
例えば、有害事象は、異常な検査値(例えば、高カリウム血症、カリウム上昇)、異常なバイタルサイン(例えば、高血圧症)、異常な肝機能試験、より頻繁な頭痛、及び入院のうちの1つ以上を含み得る。
【0311】
「重篤な有害事象」は、以下の基準のいずれかを満たす有害事象である:致死性である(すなわち、有害事象が実際に死を引き起こすか、又は死に至る);生命を脅かす(すなわち、有害事象は、治験責任医師の観点から、患者を死亡の即時リスクにさらす)(ただし、より重症な形態で発生したか又は継続させた場合に死を引き起こした可能性がある有害事象を含まない);入院患者の入院を必要とするか、又は延長する;結果として、持続的又は有意な身体障害/無能力(すなわち、有害事象は、正常な生活機能を行う患者の能力の実質的な破壊をもたらす)がもたらされる;研究薬(例えば、[18F]GTP1放射性リガンド又はアミロイド放射性リガンド)に曝露された母親から生まれた新生児/乳児の先天異常/出生時欠損である;治験責任医師の判断において重大な医学的事象である(例えば、患者を危険にさらす可能性があり、又は上に列挙した結果のうちの1つを防ぐために医学的/外科的介入を必要とする可能性がある)。
【0312】
「重症」及び「重篤」という用語は、同義語ではない。重症度は、有害事象の強度(例えば、軽度、中等度、若しくは重度と評価されるか、又は国立癌研究所有害事象共通用語基準に従って評価される)を指し、事象自体は、比較的医学的に重要でない可能性がある(更なる所見のない重度の頭痛等)。
【0313】
本明細書で使用される場合、「特別な関心のある有害事象」には、Hyの法則によって定義されるように、ビリルビン上昇若しくは臨床的黄疸のいずれかと組み合わせたALT若しくはAST上昇を含む潜在的な薬物誘発性肝損傷の症例が含まれる;任意の生物、ウイルス若しくは感染性粒子(例えば、伝染性海綿状脳症を伝達するプリオンタンパク質)、病原性若しくは非病原性等の、研究薬物若しくは[18F]GTP1放射性リガンドによる感染性因子の疑われる伝播;治療緊急の臨床的に有意なMRI異常;及び/又は重症(グレード3以上)の注入関連反応。
【0314】
「持続性有害事象」は、患者評価時点の間で解消することなく連続的に延びるものである。
【0315】
「再発性有害事象」は、患者の評価時点の間に消散し、その後再発するものである。
【0316】
本明細書で使用される場合、「ベースライン」という用語は、本明細書の治療方法において抗タウ抗体の最初の用量の投与前に患者が評価される時点を指す。「ベースラインスコア」又は「ベースライン評価」は、治療前、抗体の初回/初回用量の前に評価されたスコアを指す。いくつかの実施形態では、ベースライン評価は治療前スクリーニング期間中に行われる。
【0317】
本明細書で使用される場合、患者の「寿命」は、治療開始後の患者の余命を指す。
【0318】
本明細書で使用される場合、「進行」という用語は、疾患の経時的な悪化を指す。疾患の「進行速度」又は「進行速度」は、疾患と診断された患者において疾患が経時的にどの程度速く又は遅く発症するかを指す。疾患の進行速度は、疾患の特定の特徴の経時的な測定可能な変化によって表すことができる。特定の遺伝的形質を有する患者は、そのような遺伝的形質を有しない患者よりも病状が急速に進行する場合、「進行速度の増加」を有する、又は有する可能性が高いと言われる。一方、治療に反応する患者は、治療前の疾患状態又は治療を受けていない他の患者と比較して、治療の投与後に疾患の進行が減速する場合、「進行速度の低下」を有するか、又は有する可能性が高いと言われる。
【0319】
「臨床的減退の減速」、「臨床的減退の減速」、「認知機能低下の減少」及び他の文法的変形は、例えば治療後の所与の疾患の進行速度の減少を指す。いくつかの実施形態では、臨床的減退は、同様の段階(例えば、軽度から中等度のAD)で同じ疾患と診断されたが、本明細書に記載されるように、抗タウ抗体ではなくプラセボを投与された患者と比較される。プラセボ(例えば、臨床研究の同等のプラセボアームに)との比較は、抗タウ抗体の投与なしで予想される疾患進行との比較を表し得る。臨床的減退の減速は、例えば、機能的低下及び/又は認知機能低下の減少によって、例えば、本明細書に記載されるように、又は特定の認知ドメイン、例えば記憶力において測定され得る。
【0320】
本明細書で使用される場合、「試料」及び「試験試料」という用語は、本明細書では互換的に使用され、例えば、物理的、生化学的、化学的、及び/又は生理的特徴に基づいて特性化及び/又は特定されることになる、細胞的要素及び/又は他の分子的要素を含有する、目的の対象から得られるか、又はそれに由来する、組成物を指す。いくつかの実施形態では、定義は、生物学的起源の血液及び他の液体試料、並びに生検検体又は組織培養物若しくはそれに由来する細胞等の組織試料を包含する。組織試料の供給源は、新鮮な、凍結された、及び/又は保存された臓器若しくは組織試料、又は生検又は吸引物からの固体組織;血液若しくは任意の血液成分;体液;並びに対象の妊娠若しくは発育における任意の時期の細胞、又は血漿であってもよい
【0321】
本明細書で使用される場合、「生体試料」という用語は、全血、血液由来細胞、血清、血漿、痰、組織生検(例えば、肺試料)、鼻スワブ又は鼻ポリープを含む鼻試料、リンパ液、滑液、細胞抽出物、及びそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、試料は、臨床試料である。いくつかの実施形態では、試料は、診断アッセイで使用される。いくつかの実施形態では、試料はCSF試料又は血漿試料、例えば患者のタウレベルを評価するために使用されるCSF又は血漿試料である。いくつかの実施形態では、試料は、AD等のタウ病態に罹患している患者から採取されたCSF試料である。いくつかの実施形態では、試料は、AD等のタウ病態に罹患している患者から採取された血漿試料である。
【0322】
「生体試料」という用語はまた、タンパク質若しくはポリヌクレオチド等の特定の成分の試薬による治療、可溶化若しくは濃縮、又は区分目的のための半固体若しくは固体マトリックスへの埋め込み等による、それらの調達後に何らかの方法で操作された生体試料を含み得る。本明細書の目的のために、組織試料の「切片」とは、組織試料の単一部分又は一片、例えば、組織試料から切り取られた組織又は細胞の薄片を意味する。いくつかの実施形態では、試料は、抗タウ抗体による治療の前に対象又は患者から得られる。いくつかの実施形態では、試料は、抗タウ抗体による少なくとも1回の治療後に対象又は患者から得られる。
【0323】
本明細書で使用される場合、「参照試料」は、比較目的で使用される任意の試料、標準、又はレベルを指す。いくつかの実施形態では、参照試料は、例えばベースラインを提供するために、本明細書に記載されるように、抗タウ抗体による治療の開始前に患者から得られる。いくつかの実施形態では、参照試料は、同じ対象又は患者の身体の健康な部分及び/又は罹患していない部分(例えば、組織又は細胞)から得られる。いくつかの実施形態では、参照試料は、同じ対象又は個体の身体の未治療の組織及び/又は細胞から得られる。いくつかの実施形態では、参照試料は、対象又は患者ではない個体の身体の健康な部分及び/又は罹患していない部分(例えば、組織又は細胞)から得られる。いくつかの実施形態では、参照試料は、対象又は患者ではない個体の身体の未治療の組織及び/又は細胞部分から得られる。
【0324】
特定の実施形態では、参照試料は、試験試料が得られた時点からの1つ以上の異なる時点で得られた同じ対象又は患者からの単一の試料又は組み合わせた複数の試料である。例えば、参照試料は、試験試料が得られたときと比較して、同じ対象又は患者からより早い時点で得られ得る。特定の実施形態では、参照試料は、対象又は患者ではないタウ病態、例えばADを有する1人以上の個体から得られる。
【0325】
特定の実施形態では、参照試料は、対象又は患者ではない1人以上の健康な個体からの複数の試料を組み合わせたものである。特定の実施形態では、参照試料は、対象又は患者ではない疾患又は障害(例えば、タウオパチー、例えば、AD又は軽度から中等度のAD等)を有する1人以上の個体からの複数の試料と組み合わされる。特定の実施形態では、参照試料は、対象又は患者ではない1人以上の個体からのプールされたCSF、プールされた血漿、又は血清試料である。
【0326】
本明細書で使用される場合、「患者」、「対象」及び「個体」という用語は、本明細書では互換的に使用され、治療が望まれる任意の単一の対象を指す。特定の実施形態では、患者はヒトである。対象は、典型的にはヒトである。特定の実施形態では、対象は、非ヒト哺乳動物である。例示的な非ヒト哺乳動物としては、実験動物、飼育動物、愛玩動物、競技用動物、及び家畜動物、例えば、マウス、ネコ、イヌ、ウマ、及びウシが挙げられる。典型的には、対象は治療に適格であり、例えば、疾患の1つ以上の徴候を示す。一般に、そのような対象又は患者は、タウ病態、例えば軽度から中等度のADの治療に適格である。いくつかの実施形態では、そのような適格な対象又は患者は、上記のように、軽度から中等度のADの1つ以上の徴候、症候、又は他の指標を経験しているか又は経験したか、又は軽度から中等度のADと診断された対象である。いくつかの実施形態では、適格な対象又は患者は、上記のように、中等度のADの1つ以上の徴候、症候、又は他の指標を経験しているか又は経験したか、又は中等度のADと診断された対象である。
【0327】
対象として含まれることが意図されるのは、臨床研究試験又は疫学研究に関与する個体、又は対照として使用される対象である。対象は、抗Aベータ若しくは抗タウ抗体、又はその抗原結合断片、又は別の薬物で以前に治療されていてもよく、又はそのように治療されていなくてもよい。対象は、本明細書の治療が開始されるときに使用される追加の薬物(複数可)に対してナイーブであり得る、すなわち、対象は、例えば「ベースライン」で抗タウ抗体以外の治療で以前に治療されていない場合がある。そのような「ナイーブ」対象は、一般に、そのような追加の薬物(複数可)による治療の候補であると考えられる。
【0328】
患者には、異なる民族的起源の人々が含まれる。例えば、いくつかの実施形態では、患者は、非ヨーロッパ系の子孫、例えば、黒人、ヒスパニック系、及び/又はアジア系の患者である。いくつかの実施形態では、患者は、黒人若しくはヒスパニック系であるか、又は非ヨーロッパ系の民族起源を有する。いくつかの実施形態では、患者は黒人である。いくつかの実施形態では、患者はヒスパニック系である。いくつかの実施形態では、患者はアジア系である。いくつかの実施形態では、患者は非ヨーロッパ系である。
【0329】
本明細書で使用される場合、「応答する可能性がより高い」という用語は、疾患進行を遅らせる、遅延させる、若しくは停止させる、及び/又は患者の脳内の皮質/皮質下ネットワーク全体にわたるタウ毒性及び病態の細胞間拡散を遅らせる、遅延させる、又は停止させることを含む、抗タウ抗体の投与後に有益な効果を示す可能性が最も高い患者を指す。軽度から中等度のADに関して、「反応する可能性がより高い」とは、抗タウ抗体治療後に機能又は認知の喪失の減少を示す可能性がより高い患者も指す。本開示の文脈における「~に応答性である」という語句は、本明細書に記載の障害に罹患しているか、又は障害と診断された患者が、抗タウ抗体治療に対する応答を示すことを示す。
【0330】
「アポリポタンパク質ε4キャリア」又は「Apoε4キャリア」という用語は、「アポリポタンパク質ε4陽性」又は「Apoε4陽性」と本明細書で互換的に使用され、少なくとも1つのアポリポタンパク質ε4(又は「Apoε4」)対立遺伝子を有する個体を指す。0個のApoε4対立遺伝子を有する個体は、本明細書では「Apoε4陰性」又は「Apoε4非キャリア」(Prekumar,et al.,1996,Am.J Pathol.148:2083-95)と呼ばれる。
【0331】
「医薬製剤」又は「医薬組成物」という用語は、本明細書では互換的に使用され、内部に含まれる有効成分の生物活性が有効になるような形態であり、かつ製剤が投与される対象が許容できない程度に毒性である追加の成分を含まない調製物を指す。
【0332】
医薬組成物中の薬剤、例えば抗タウ抗体の「治療有効量」、「有効量」及び「有効用量」という用語は、本明細書では互換的に使用され、所望の治療結果又は予防結果を達成するために必要な期間有効な量を指す。例えば、治療有効量は、AD、特に軽度から中等度のADの進行を修正するため、及び/又はADの1つ以上の症候を緩和及び/又は予防するため等、示された疾患、臨床病態、又は症候を治療するために必要な期間有効な量である。ある特定の実施形態では、有効量を使用して、記憶力低下の速度を減少させる。
【0333】
治療剤の「一定」又は「フラット」用量は、ヒト患者に、患者の体重(WT)又は体表面積(BSA)に関係なく投与される用量を指す。したがって、この固定用量又はフラット用量は、mg/kg用量又はmg/m2用量としてではなく、むしろ治療剤又は有効成分の絶対量として規定されている。
【0334】
「薬学的に許容され得る担体」は、対象に非毒性である、有効成分以外の医薬製剤の成分を指す。薬学的に許容される担体には、緩衝剤、賦形剤、安定剤、又は防腐剤が含まれるが、これらに限定されない。
【0335】
「野生型」又は「WT」という用語は、本明細書において互換的に使用され、対立遺伝子の変種を含め、天然に見られるアミノ酸配列又はヌクレオチド配列を指す。WTタンパク質は、意図的に修飾されていないアミノ酸配列を有するか、又は意図的に修飾されていないヌクレオチド配列によってコードされている。
【0336】
本明細書において参照される配列は、以下の表3に示される。Fc含有タンパク質のプロセシング及び発現中に、C末端リジンが切断され得ることは当技術分野で公知である(当技術分野ではC末端リジンクリッピングとしても知られている)。したがって、C末端リジンを含む本明細書に開示される各配列について、C末端リジンを含まない対応する配列(すなわち、C末端リジン切断産物)も企図される。いくつかの実施形態では、第1のモノマーは、C末端リジンを含む。いくつかの実施形態では、モノマーはC末端リジンを含む。いくつかの実施形態では、モノマーはC末端リジンを欠く。いくつかの実施形態では、抗タウ抗体の重鎖は、C末端リジンを含む。いくつかの実施形態では、抗タウ抗体の重鎖は、C末端リジンを欠く。
【0337】
C末端切断プロセスは不正確であり、追加のC末端残基が切断され得ることも当技術分野で公知である。したがって、C末端リジンを含む本明細書に開示される各配列について、2個のC末端残基を含まない対応する配列も企図される。いくつかの実施形態では、C末端リジンを含む本明細書に開示される各配列について、3個のC末端残基を含まない対応する配列も企図される。いくつかの実施形態では、C末端リジンを含む本明細書に開示される各配列について、4個のC末端残基を含まない対応する配列も企図される。いくつかの実施形態では、C末端リジンを含む本明細書に開示される各配列について、5個のC末端残基を含まない対応する配列も企図される。いくつかの実施形態では、C末端リジンを含む本明細書に開示される各配列について、6個のC末端残基を含まない対応する配列も企図される。いくつかの実施形態では、C末端リジンを含む本明細書に開示される各配列について、7個のC末端残基を含まない対応する配列も企図される。いくつかの実施形態では、C末端リジンを含む本明細書に開示される各配列について、8個のC末端残基を含まない対応する配列も企図される。いくつかの実施形態では、C末端リジンを含む本明細書に開示される各配列について、9個のC末端残基を含まない対応する配列も企図される。いくつかの実施形態では、C末端リジンを含む本明細書に開示される各配列について、10個のC末端残基を含まない対応する配列も企図される。いくつかの実施形態では、C末端リジンを含む本明細書に開示される各配列について、11個のC末端残基を含まない対応する配列も企図される。いくつかの実施形態では、C末端リジンを含む本明細書に開示される各配列について、12個のC末端残基を含まない対応する配列も企図される。いくつかの実施形態では、C末端リジンを含む本明細書に開示される各配列について、13個のC末端残基を含まない対応する配列も企図される。いくつかの実施形態では、C末端リジンを含む本明細書に開示される各配列について、14個のC末端残基を含まない対応する配列も企図される。いくつかの実施形態では、C末端リジンを含む本明細書に開示される各配列について、15個のC末端残基を含まない対応する配列も企図される。いくつかの実施形態では、欠けているC末端残基は、操作の結果である(例えば、1つ以上のC末端残基をコードするヌクレオチド配列を欠くポリヌクレオチドを発現させること)。
【0338】
「イメージング剤」は、その存在及び/又は位置を直接的又は間接的に検出することを可能にする1つ以上の特性を有する化合物である。イメージング剤の例には、検出を可能にする標識部分を組み込んだタンパク質及び小分子化合物が含まれる。
【0339】
「小分子」という用語は、50ダルトン~2500ダルトンの分子量を有する有機分子を指す。
【0340】
「標識」は、検出又はイメージングに使用される分子と結合したマーカーである。そのような標識の例には、放射性標識、フルオロフォア、発色団又はアフィニティータグが含まれる。いくつかの実施形態では、標識は、医療撮像に使用される放射性標識、例えばTc99若しくは123I、又は核磁気共鳴(NMR)撮像(磁気共鳴イメージング、MRIとしても知られている)用のスピン標識、例えばヨウ素-123、ヨウ素-131、フッ素-19、炭素-13、窒素-15、酸素-17、ガドリニウム、マンガン、鉄等である。
【0341】
「添付文書」という用語は、治療用製品の市販パッケージに通例含まれる説明書であって、そのような治療用製品の使用に関する適応症、用法、用量、投与、併用療法、禁忌及び/又は警告についての情報を含む説明書を指すために使用される。「添付文書」という用語はまた、意図される用途、試験原理、試薬の調製及び取り扱い、検体の収集及び調製、アッセイ及びアッセイ手順の較正、アッセイの感度及び特異性等の性能及び精度データに関する情報を含む診断製品の市販のパッケージに通例含まれる説明書を指すために使用される。
【0342】
組成物及び方法
本開示は、抗タウ抗体による治療のための患者の治療、予後、選択及び/又は同定のための組成物及び方法を提供する。一態様では、本開示は、タウ病態、特に軽度から中等度又は中等度のADを治療する改善された方法に部分的に基づく。
A.例示的な抗体
【0343】
タウに結合する抗体を用いてタウオパチーを治療する方法が提供される。いくつかの実施形態では、抗体は、単量体タウ、オリゴマータウ、非リン酸化タウ、及びリン酸化タウに結合する。いくつかの実施形態では、抗体は、成熟ヒトタウのアミノ酸2~24内のエピトープに結合する。いくつかの実施形態では、抗体は、アミノ酸2~24のタウ内のエピトープに結合し、単量体タウ、オリゴマータウ、非リン酸化タウ及びリン酸化タウに結合する。いくつかの実施形態では、抗体は、成熟ヒトタウのアミノ酸6~23内の、又はこれにまたがるエピトープに結合する。いくつかの実施形態では、抗体は、アミノ酸6~23のタウ内の又はタウにまたがるエピトープに結合し、単量体タウ、オリゴマータウ、非リン酸化タウ及びリン酸化タウに結合する。いくつかの実施形態では、抗体は、配列AEPRQEFEVMEDHAGTYGLGDRK(配列番号1)を有するか、又はそれからなる、ヒトタウのエピトープに結合する。いくつかの実施形態では、抗体は、配列AEPRQEFDVMEDHAGTYGLGDRK(配列番号10)を有するか、又はそれからなる、カニクイザルタウのエピトープに結合する。
【0344】
いくつかの実施形態では、本開示のヒト化モノクローナル抗タウ抗体は、単量体タウ、オリゴマータウ、非リン酸化タウ及びリン酸化タウ中のヒトタウ(配列番号1)の残基2及び24内、又は残基6及び23内に結合する。いくつかの実施形態では、本開示のヒト化モノクローナル抗タウ抗体は、単量体タウ、オリゴマータウ、非リン酸化タウ及びリン酸化タウ中のヒトタウ(配列番号1)の残基2及び24内に結合する。いくつかの実施形態では、本開示のヒト化モノクローナル抗タウ抗体は、単量体タウ、オリゴマータウ、非リン酸化タウ及びリン酸化タウ中のヒトタウ(配列番号1)の残基6及び23内に結合する。
【0345】
いくつかの実施形態では、本開示のヒト化モノクローナル抗タウ抗体は、単量体タウ、リン酸化タウ、非リン酸化タウ及びオリゴマータウのそれぞれに、100nM未満、75nM未満又は50nM未満のKDで結合する。いくつかの実施形態では、本開示のヒト化モノクローナル抗タウ抗体は、単量体タウ、リン酸化タウ、非リン酸化タウ及びオリゴマータウのそれぞれに、100nM未満のKDで結合する。いくつかの実施形態では、本開示のヒト化モノクローナル抗タウ抗体は、単量体タウ、リン酸化タウ、非リン酸化タウ及びオリゴマータウのそれぞれに、75nM未満のKDで結合する。いくつかの実施形態では、本開示のヒト化モノクローナル抗タウ抗体は、単量体タウ、リン酸化タウ、非リン酸化タウ及びオリゴマータウのそれぞれに、50nM未満のKDで結合する。
【0346】
いくつかの実施形態では、本開示のヒト化モノクローナル抗タウ抗体は、カニクイザルタウ(配列番号10)に結合する。
【0347】
いくつかの実施形態では、抗タウ抗体は、(a)配列番号2のアミノ酸配列を含むHVR-H1;(b)配列番号3のアミノ酸配列を含むHVR-H2;及び(c)配列番号4のアミノ酸配列を含むHVR-H3から選択される少なくとも1つ、2つ、又は3つのHVRを含む。いくつかの実施形態では、抗タウ抗体は、(a)配列番号2のアミノ酸配列を含むHVR-H1;(b)配列番号3のアミノ酸配列を含むHVR-H2;及び(c)配列番号4のアミノ酸配列を含むHVR-H3を含む。いくつかの実施形態では、抗タウ抗体は、(a)配列番号2のアミノ酸配列を含むHVR-H1;(b)配列番号3のアミノ酸配列を含むHVR-H2;(c)配列番号4のアミノ酸配列を含むHVR-H3;(d)配列番号6のアミノ酸配列を含むHVR-L1;(e)配列番号7のアミノ酸配列を含むHVR-L2;及び(f)配列番号8のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。
【0348】
いくつかの実施形態では、抗タウ抗体は、(a)配列番号16のアミノ酸配列を含むHVR-H1;(b)配列番号17のアミノ酸配列を含むHVR-H2;及び(c)配列番号18のアミノ酸配列を含むHVR-H3から選択される少なくとも1つ、2つ、又は3つのHVRを含む。いくつかの実施形態では、抗タウ抗体は、(a)配列番号16のアミノ酸配列を含むHVR-H1;(b)配列番号17のアミノ酸配列を含むHVR-H2;及び(c)配列番号18のアミノ酸配列を含むHVR-H3を含む。いくつかの実施形態では、抗タウ抗体は、(a)配列番号16のアミノ酸配列を含むHVR-H1;(b)配列番号17のアミノ酸配列を含むHVR-H2;(c)配列番号18のアミノ酸配列を含むHVR-H3;(d)配列番号19のアミノ酸配列を含むHVR-L1;(e)配列番号20のアミノ酸配列を含むHVR-L2;及び(f)配列番号21のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。
【0349】
いくつかの実施形態では、抗タウ抗体はヒト化されている。いくつかの実施形態では、抗タウ抗体は、例えば上記のHVRを含み、アクセプターヒトフレームワーク、例えばヒト免疫グロブリンフレームワーク又はヒトコンセンサスフレームワークを更に含む。
【0350】
いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号5のアミノ酸配列を含むVHを含む。いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号9のアミノ酸配列を含むVLを含む。いくつかの実施形態では、抗体は、それぞれ配列番号5及び配列番号9のアミノ酸配列を含むVH及びVLを含み、これらの配列の翻訳後修飾がある場合、それらを含む。
【0351】
いくつかの実施形態では、本開示の抗タウ抗体は、配列番号5の配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含むVHを含む。いくつかの実施形態では、本開示の抗タウ抗体は、配列番号9の配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含むVHを含む。いくつかの実施形態では、本開示の抗タウ抗体は、配列番号5の配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含むVH、及び配列番号9の配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含むVLを含む。いくつかの実施形態では、本開示の抗タウ抗体は、配列番号5のアミノ酸配列を有するVH及び配列番号9のアミノ酸配列を有するVLを含む。
【0352】
いくつかの実施形態では、抗体はIgG4抗体である。いくつかの実施形態では、IgG4抗体は、EUナンバリングに従って、M252Y、S254T及びT256Eから選択される1つ以上の変異を含む。いくつかの実施形態では、IgG4抗体は、EUナンバリングに従って、M252Y、S254T及びT256E変異を含む。いくつかの実施形態では、抗体は、EUナンバリングに従って、S228P変異を含む。
【0353】
いくつかの実施形態では、抗タウ抗体は、配列番号11の配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗タウ抗体は、配列番号12の配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗タウ抗体は、配列番号13の配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗タウ抗体は、配列番号11のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗タウ抗体は、配列番号12のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗タウ抗体は、配列番号13のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗タウ抗体は、配列番号11又は配列番号12のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号13のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む。いくつかの実施形態では、抗タウ抗体は、配列番号11又は配列番号12のアミノ酸配列からなる重鎖と、配列番号13のアミノ酸配列からなる軽鎖とを含む。いくつかの実施形態では、抗タウ抗体は、配列番号12のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号13のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む。いくつかの実施形態では、抗タウ抗体は、配列番号12のアミノ酸配列からなる重鎖と、配列番号13のアミノ酸配列からなる軽鎖とを含む。いくつかの実施形態では、抗タウ抗体は、配列番号11のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号13のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む。いくつかの実施形態では、抗タウ抗体は、配列番号11のアミノ酸配列からなる重鎖と、配列番号13のアミノ酸配列からなる軽鎖とを含む。
【0354】
他のN末端結合抗タウ抗体が、本明細書に記載される開示の方法において使用される場合がある。そのような抗体の例としては、限定されないが、PCT/US2016/035409及び/又はPCT/US2018/024300に開示されるN末端結合抗タウ抗体が挙げられる。
【0355】
いくつかの実施形態では、上記の実施形態のいずれかによる抗タウ抗体は、キメラ、ヒト化又はヒト抗体を含むモノクローナル抗体である。いくつかの実施形態では、抗タウ抗体は、抗体断片、例えばFv、Fab、Fab’、scFv、ダイアボディ、又はF(ab’)2断片である。いくつかの実施形態では、本抗体は、全長抗体、例えば、インタクトなIgG1若しくはIgG4抗体、又は本明細書に定義される他の抗体クラス若しくはアイソタイプである。いくつかの実施形態では、抗タウ抗体はセモリネマブである。いくつかの実施形態では、上記の実施形態のいずれかによる抗タウ抗体は、以下のセクション1~5に記載されるように、特徴のいずれかを単独で又は組み合わせて組み込むことができる。
【0356】
1.抗体親和性
特定の実施形態では、本明細書で提供される抗体は、1μM以下、100nM以下、10nM以下、1nM以下、0.1nM以下、0.01nM以下、又は0.001nM以下(例えば、10-8M以下、例えば、10-8M~10-13M、例えば10-9M~10-13M)の解離定数(KD)を有する。
【0357】
いくつかの実施形態では、KDは、放射標識抗原結合アッセイ(RIA)によって測定される。いくつかの実施形態では、RIAは、目的とされる抗体のFabバージョン及びその抗原で実行される。例えば、抗原に対するFabの溶液結合親和性は、標識されていない抗原の滴定系列の存在下で、最小濃度の(125I)標識された抗原でFabを平衡化し、次いで、抗Fab抗体でコーティングされたプレートで結合した抗原を捕捉することによって測定される(例えば、Chen et al.,J.Mol.Biol.293:865-881(1999)を参照)。アッセイの条件を確立するために、MICROTITER(登録商標)マルチウェルプレート(Thermo Scientific)を、50mMの炭酸ナトリウム(pH9.6)中の5μg/mLの捕捉用抗Fab抗体(Cappel Labs)で一晩コーティングし、その後、PBS中の2%(w/v)ウシ血清アルブミンで2から5時間にわたって室温(およそ23℃)でブロックする。非吸着性プレート(Nunc番号269620)中、100pM又は26pMの[125I]-抗原を、目的のFabの段階希釈液と混合する(例えば、Presta et al.,Cancer Res.57:4593-4599(1997)における抗VEGF抗体Fab-12の評価と一貫する)。次に、目的とするFabを一晩インキュベートするが、このインキュベーションは、平衡が達成されることを確実にするために、より長い期間(例えば、約65時間)継続し得る。その後、混合物を、室温でのインキュベーション(例えば、1時間)のため、捕捉プレートに移す。次に、溶液を除去し、プレートを、PBS中0.1%のポリソルベート20(TWEEN-20(登録商標))で8回洗浄する。プレートが乾燥したら、150μl/ウェルの閃光物質(MICROSCINT-20(商標);Packard)を加え、プレートをTOPCOUNT(商標)ガンマ計測器(Packard)で10分間計測する。最大結合の20%以下をもたらす各Fabの濃度を、競合結合アッセイにおける使用のために選択する。
【0358】
他の実施形態によると、KDは、BIACORE(登録商標)表面プラズモン共鳴アッセイを使用して測定される。例えば、BIACORE(登録商標)-2000又はBIACORE(登録商標)-3000(BIAcore,Inc.、ニュージャージー州ピスカタウェイ)を用いたアッセイは、約10反応単位(RU)の固定化した抗原CM5チップを用いて25℃で実施される。いくつかの実施形態では、カルボキシメチル化デキストランバイオセンサーチップ(CM5,BIAcore,Inc.)を、供給業者の説明書に従い、N-エチル-N’-(3-ジメチルアミノプロピル)-カルボジイミド塩酸塩(EDC)及びN-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)で活性化する。抗原を、10mMの酢酸ナトリウム(pH4.8)で5μg/mL(約0.2μM)になるまで希釈した後に、5μL/分の流量で注入して、約10共鳴単位(RU)のカップリングしたタンパク質を得る。抗原の注入後、未反応群を遮断するために、1Mのエタノールアミンを注入する。動力学測定のために、Fabの2倍の段階希釈液(0.78nMから500nM)を、0.05%のポリソルベート20(TWEEN-20TM)界面活性剤(PBST)を含むPBSに、25℃、約25μl/分の流量で注入する。会合速度(kon)及び解離速度(koff)を、単純な1対1ラングミュア結合モデル(BIACORE(登録商標)評価ソフトウェアバージョン3.2)を使用して、会合及び解離センサーグラムを同時にフィッティングすることによって、計算する。平衡解離定数(KD)は、比koff/kon(Chen et al.,J.Mol.Biol.293:865-881(1999))として計算される。上述の表面プラズモン共鳴アッセイによりオン速度が106M-1s-1を超える場合、オン速度を、ストップフローを装備した分光測色計(Aviv Instruments)又は撹拌キュベットを有する8000シリーズSLM-AMINCO(商標)分光測色計(ThermoSpectronic)等の分光計で測定される抗原の増加した濃度の存在下でPBS(pH7.2)中20nMの抗抗原抗体(Fab形態)の25℃での蛍光発光強度(励起=295nm、発光=340nm、16nm帯域通過)の増加又は減少を測定する蛍光クエンチ技法を使用することによって決定することができる。
【0359】
2.抗体断片
特定の実施形態では、本明細書に提供される抗体は抗体断片である。抗体断片には、限定されないが、Fab断片、Fab’断片、Fab’-SH断片、F(ab’)2断片、Fv断片、及びscFv断片、及び以下に記載される他の断片が含まれる。特定の抗体断片の総説については、Hudson et al.Nat.Med.9:129-134(2003)を参照されたい。scFv断片の総説については、例えば、PluckthunのThe Pharmacology of Monoclonal Antibodies,vol.113,Rosenburg and Moore eds.,(Springer-Verlag,New York),pp.269-315(1994)を参照されたい。また、国際公開第93/16185号、並びに米国特許第5571894号及び第5587458号も参照されたい。サルベージ受容体結合エピトープ残基を含み、in vivo半減期が長くなったFab及びF(ab’)2断片の説明については、米国特許第5,869,046号を参照されたい。
【0360】
ダイアボディは、二価又は二重特異性の2つの抗原結合部位を持つ抗体断片である。例えば、欧州特許第404,097号、国際公開第1993/01161号、Hudson et al.,Nat.Med.9:129-134(2003);及びHollinger et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:6444-6448(1993)を参照されたい。また、トリアボディ及びテトラボディも、Hudson et al.,Nat.Med.9:129-134(2003)に記載されている。単一ドメイン抗体は、抗体の重鎖可変ドメインの全部若しくは一部又は軽鎖可変ドメインの全部若しくは一部を含む抗体断片である。特定の実施形態では、単一ドメイン抗体は、ヒト単一ドメイン抗体である(Domantis,Inc.、マサチューセッツ州ウォルサム;例えば、米国特許第6,248,516号B1を参照)。
【0361】
抗体断片は、本明細書に記載の組換え宿主細胞(例えば大腸菌(E.coli)又はファージ)による産生の他、インタクト抗体のタンパク質消化を含むがこれらに限定されない、種々の技術で作製することができる。
【0362】
3.キメラ抗体及びヒト化抗体
特定の実施形態では、本明細書に提供される抗体は、キメラ抗体である。特定のキメラ抗体は、例えば、米国特許第4,816,567号、及びMorrison et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,81:6851-6855(1984))に記載されている。一つの例では、キメラ抗体は、非ヒト可変領域(例えば、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、又はサル等の非ヒト霊長類に由来する可変領域)とヒト定常領域を含む。更なる例では、キメラ抗体は、クラス又はサブクラスが親抗体のそれらから変更されている「クラススイッチ」抗体である。キメラ抗体は、その抗原結合断片を含む。
【0363】
特定の実施形態では、キメラ抗体は、ヒト化抗体である。典型的には、非ヒト抗体は、ヒトに対する免疫原性を低減するために、親の非ヒト抗体の特異性と親和性を保持したままヒト化されている。通常、ヒト化抗体は、HVR、例えばCDR(又はその一部)が非ヒト抗体に由来する1つ以上の可変ドメインを含み、FR(又はその一部)はヒト抗体配列に由来する。ヒト化抗体は、任意に、ヒト定常領域の少なくとも一部も含む。いくつかの実施形態では、ヒト化抗体中のいくつかのFR残基は、例えば、抗体特異性又は親和性を復元又は改善するために、非ヒト抗体(例えば、HVR残基が由来する抗体)由来の対応する残基で置換される。
【0364】
ヒト化抗体及びこれを製造する方法は、例えば、Almagro and Fransson,Front.Biosci.13:1619-1633(2008)に総説され、例えば、Riechmann et al.,Nature 332:323-329(1988);Queen et al.,Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 86:10029-10033(1989);US Patent Nos.5,821,337,7,527,791,6,982,321,and 7,087,409;Kashmiri et al.,Methods 36:25-34(2005(特異性決定領域(SDR)のグラフト接合を記載する);Padlan,Mol.Immunol.28:489-498(1991)(「リサーフェシング」を記載する);Dall’Acqua et al.,Methods 36:43-60(2005)(「FRシャッフリング」を記載する);並びにOsbourn et al.,Methods 36:61-68(2005)及びKlimka et al.,Br.J.Cancer,83:252-260(2000)(FRシャッフリングに対する「ガイド付き選択」手法を記載する)に更に記載される。
【0365】
ヒト化に用い得るヒトフレームワーク領域としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:「ベストフィット」法を用いて選択したフレームワーク領域(例えば、Sims et al.J.Immunol.151:2296(1993)を参照されたい);重鎖又は軽鎖可変領域の特定の亜型のヒト抗体コンセンサス配列に由来するフレームワーク領域(例えば、Carter et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA,89:4285(1992);及びPresta et al.J.Immunol.,151:2623(1993)を参照されたい);ヒト成熟(体細胞突然変異)フレームワーク領域又はヒト生殖系列フレームワーク領域(例えば、Almagro and Fransson,Front.Biosci.13:1619-1633(2008)を参照されたい);並びにFRライブラリのスクリーニングに由来するフレームワーク領域(例えば、Baca et al.,J.Biol.Chem.272:10678-10684(1997)及びRosok et al.,J.Biol.Chem.271:22611-22618(1996)を参照されたい)。
【0366】
4.多重特異性抗体
特定の実施形態では、本明細書で提供される抗体は、多重特異性抗体、例えば二重特異性抗体である。多重特異性抗体は、少なくとも2つの異なる部位に対して結合特異性を有するモノクローナル抗体である。特定の実施形態では、結合特異性の一方はタウに対するものであり、他方は任意の他の抗原に対するものである。特定の実施形態では、結合特異性の一方はタウに対するものであり、他方はアミロイドベータに対するものである。特定の実施形態では、二重特異性抗体は、タウの2つの異なるエピトープに結合することができる。二重特異性抗体はまた、タウを発現する細胞に細胞傷害性薬剤を局所化させるために使用することができる。二重特異性抗体は、完全長抗体又は抗体断片として調製することができる。
【0367】
多重特異性抗体を作製するための技術には、異なる特異性を有する2つの免疫グロブリン重鎖-軽鎖対の組換え共発現(Milstein and Cuello,Nature 305:537(1983)、国際公開第93/08829号、及びTraunecker et al.,EMBO J.10:3655(1991)を参照)、及び「ノブ・イントゥ・ホール」操作(例えば、米国特許第5,731,168号を参照)が含まれるが、これらに限定されるものではない。多重特異性抗体はまた、抗体Fcヘテロ二量体分子を作製するための静電ステアリング効果の操作(国際公開第2009/089004A1号);2つ以上の抗体又は断片の架橋(例えば、米国特許第4,676,980号、及びBrennan et al.,Science,229:81(1985)を参照);二重特異性抗体を作製するためのロイシンジッパーの使用(例えば、Kostelny et al.,J.Immunol.,148(5):1547-1553(1992)を参照);二重特異性抗体断片を作製するための「ダイアボディ」技術の使用(例えば、Hollinger et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,90:6444-6448(1993)を参照);及び単鎖Fv(sFv)二量体の使用(例えば、Gruber et al.,J.Immunol.,152:5368(1994)を参照);及び、例えば、Tutt et al.J.Immunol.147:60(1991)に記載される三重特異性抗体の調製によっても作製され得る。
【0368】
「オクトパス抗体」を含む、3つ以上の機能性抗原結合部位を持つ操作抗体もまた本明細書に含まれる(例えば、米国特許出願公開第2006/0025576A1号を参照)。本明細書における抗体又は断片はまた、タウ及び別の異なる抗原に結合する抗原結合部位を含む、「二重作用(Dual Acting)FAb」又は「DAF」も含む(例えば、米国特許出願公開第2008/0069820号を参照されたい)。
【0369】
5.抗体バリアント
特定の実施形態では、本明細書に提供される抗体のアミノ酸配列バリアントが企図される。例えば、抗体の結合親和性及び/又は他の生物学的特性を改善することが望ましい場合がある。抗体のアミノ酸配列バリアントは、抗体をコードするヌクレオチド配列中に適正な修飾を導入することによって、又はペプチド合成によって調製されてもよい。このような修飾としては、例えば、抗体のアミノ酸配列内の残基からの欠失及び/又は抗体のアミノ酸配列内の残基への挿入及び/又は抗体のアミノ酸配列内の残基の置換が挙げられる。最終構築物に到達するために欠失、挿入、及び置換を任意に組み合わせることができるが、ただし、その最終構築物が所望の特性、例えば、抗原結合を保有することを条件とする。
【0370】
a.置換、挿入及び欠失バリアント
特定の実施形態では、1つ以上のアミノ酸置換を有する抗体バリアントが提供される。置換による変異導入のための目的の部位には、HVR及びFRが含まれる。保存的置換は、表2において、「好ましい置換」の見出しの下に示される。より実質的な変化は、表2において、「例示的な置換」の見出しの下に提供されており、また、アミノ酸側鎖クラスに関しては以下で更に説明するとおりである。目的とする抗体中にアミノ酸置換を導入し、その産物を、所望の活性、例えば、保持/改善された抗原結合、減少した免疫原性、又は改善されたADCC若しくはCDCについてスクリーニングすることができる。
【表2】
【0371】
アミノ酸は以下の共通の側鎖特性に従ってグループ化することができる。
(1)疎水性:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile;
(2)中性親水性:Cys、Ser、Thr、Asn、Gln;
(3)酸性:Asp、Glu;
(4)塩基性:His、Lys、Arg;
(5)鎖の配向に影響を及ぼす残基:Gly、Pro;
(6)芳香族:Trp、Tyr、Phe。
【0372】
非保存的置換は、これらのクラスのうちの1つの要素を別のクラスの要素と交換することを必然的に伴うものである。
【0373】
ある種の置換バリアントは、親抗体(例えば、ヒト化抗体又はヒト抗体)の1つ以上の超可変領域残基を置換することを含む。一般に、更なる研究のために選択される、得られたバリアント(複数可)は、親抗体と比較して、特定の生物学的特性における修飾(例えば、改善)(例えば、親和性の増加、免疫原性の低減)を有し、及び/又は実質的に保持された親抗体の特定の生物学的特性を有することになる。例示的な置換バリアントは、例えば、本明細書に記載されるもの等のファージディスプレイに基づく親和性成熟技法を使用して好都合に生成され得る、親和性成熟抗体である。簡潔には、1つ以上のHVR残基が変異し、バリアント抗体がファージに提示され、特定の生物活性(例えば、結合親和性)についてスクリーニングされる。
【0374】
例えば抗体親和性を改善するために、HVRに改変(例えば置換)を加えることができる。このような改変は、HVR「ホットスポット」、すなわち、体細胞成熟プロセス中に高頻度で変異を受けるコドンによってコードされる残基(例えば、Chowdhury,Methods Mol.Biol.207:179-196(2008)を参照)、及び/又は抗原と接触する残基内で行われ得て、結果として得られるバリアントVH又はVLが結合親和性について試験される。二次ライブラリからの構築及び再選択による親和性成熟化は、例えば、Hoogenboom et al.in Methods in Molecular Biology 178:1-37(O’Brien et al.,ed.,Human Press,Totowa,NJ,(2001))に記載されている。親和性成熟のいくつかの実施形態では、多様な方法(例えば、エラープローンPCR、鎖シャッフリング、又はオリゴヌクレオチド指向性変異誘発)のいずれかによって、成熟のために選択される可変遺伝子に多様性が導入される。その後、二次ライブラリが作製される。その後、このライブラリがスクリーニングされて、所望の親和性を有する任意の抗体バリアントを特定する。多様性を導入するための別の方法は、いくつかのHVR残基(例えば、一度に4~6個の残基)を無作為化する、HVR指向性アプローチを含む。抗原結合に関与するHVR残基は、例えば、アラニンスキャニング突然変異誘発又はモデリングを使用して、具体的に特定されてもよい。特にCDR-H3及びCDR-L3が標的とされることが多い。
【0375】
特定の実施形態では、置換、挿入、又は欠失は、そのような改変が抗原に結合する抗体の能力を実質的に低下させない限り、1つ以上のHVR内で生じ得る。例えば、結合親和性を実質的に低減させない保存的改変(例えば、本明細書に提供されるような保存的置換)が、HVR中で行われてもよい。このような改変は、例えば、HVR内の抗原接触残基の外側であり得る。上に提供されるバリアントVH及びVL配列の特定の実施形態では、各HVRは、変化していないか、又は1つ、2つ若しくは3つ以下のアミノ酸置換を含有するかのいずれかである。
【0376】
変異誘発を標的とし得る抗体の残基又は領域の同定のための有用な方法は、Cunningham and Wells(1989)Science,244:1081-1085によって記載されるように、「アラニンスキャンニング変異誘発」と呼ばれる。この方法では、抗体と抗原との相互作用が影響を受けるかどうかを決定するために、残基又は標的残基群(例えば、帯電した残基、例えば、Arg、Asp、His、Lys及びGlu)が同定され、中性又は負に帯電したアミノ酸(例えば、アラニン又はポリアラニン)によって置き換えられる。更なる置換が、最初の置換 に対する機能的感受性を示すアミノ酸位置に導入されてもよい。これに代えて、又はこれに加えて、抗体と抗原との間の接点を同定するための抗原-抗体複合体の結晶構造。このような接触残基及び隣接残基は、置換の候補として標的にしても排除してもよい。バリアントは、所望の特性を有するか否かを決定するためにスクリーニングされてもよい。
【0377】
アミノ酸配列挿入には、1残基から100以上の残基を有するポリペプチドまでの長さにわたるアミノ末端及び/又はカルボキシル末端融合、並びに単一又は複数のアミノ酸残基の配列内挿入が含まれる。末端挿入の例には、N末端メチオニル残基を有する抗体が含まれる。抗体分子の他の挿入バリアントには、抗体の血清半減期を増加させる酵素(例えば、ADEPTのための)又はポリペプチドへの抗体のN末端若しくはC末端の融合が含まれる。
【0378】
いくつかの実施形態では、抗体はIgG4抗体である。IgG4抗体は、低下したエフェクター機能を有することが知られている。IgG4抗体は、Fabアーム交換として公知のプロセスを受けることができる動的分子である。特定のアミノ酸置換、例えば、S228Pは、IgG4抗体におけるFabアーム交換を妨げることができる。いくつかの実施形態では、IgG4抗体は、S228P置換を含む。
【0379】
b.グリコシル化バリアント
特定の実施形態では、本明細書で提供される抗体は、抗体がグリコシル化されている程度を増加又は減少させるように改変される。抗体へのグリコシル化部位の付加又は欠失は、1つ以上のグリコシル化部位が作成又は除去されるようにアミノ酸配列を改変することにより、達成され得る。
【0380】
抗体がFc領域を含む場合、それに結合した炭水化物が改変され得る。哺乳動物細胞により産生された天然抗体は典型的には、N結合によりFc領域のCH2ドメインのAsn297に一般に結合される分岐状の二分岐オリゴ糖を含む(Wright et al.TIBTECH 15:26-32(1997))。オリゴ糖は、種々の炭水化物、例えば、マンノース、N-アセチルグルコサミン(GlcNac)、ガラクトース、及びシアル酸、並びに二分オリゴ糖構造の「ステム」のGlcNAcに結合したフコースを含んでもよい。いくつかの実施形態では、ある特定の特性が改善された抗体バリアントを作製するために、本開示の抗体におけるオリゴ糖の修飾が行われ得る。
【0381】
いくつかの実施形態では、Fc領域に(直接又は間接的に)結合したフコースを欠く炭水化物構造を有する抗体バリアントが提供される。例えば、このような抗体内のフコースの量は、1%~80%、1%~65%、5%~65%又は20%~40%であり得る。フコースの量は、例えば、国際公開第2008/077546号に記載されるMALDI-TOF質量分析法によって測定される、Asn297に結合した全ての糖構造(例えば、複合体、ハイブリッド、及び高マンノース構造)の合計に対する、Asn297での糖鎖内のフコースの平均量を計算することによって決定される。Asn297は、Fc領域の約297位(Fc領域残基のEuナンバリング)に位置するアスパラギン残基を指すが、Asn297も、抗体の軽微な配列変異に起因して、297位の上流又は下流の約±3アミノ酸に、すなわち294~300位の間に位置してもよい。そのようなフコシル化バリアントは、改善されたADCC機能を有し得る(例えば、米国特許出願公開第2003/0157108号(Presta,L.);米国特許出願公開第2004/0093621号(Kyowa Hakko Kogyo Co.,Ltd)を参照)。「脱フコシル化」又は「フコース欠乏」抗体バリアントに関する刊行物の例としては:米国特許出願公開第2003/0157108号;国際公開第2000/61739号;同第2001/29246号;米国特許出願公開第2003/0115614号;同第2002/0164328号;同第2004/0093621号;同第2004/0132140号;同第2004/0110704号;同第2004/0110282号;同第2004/0109865号;国際公開第2003/085119号;同第2003/084570号;同第2005/035586号;同第2005/035778号;同第2005/053742号;同第2002/031140号;Okazaki et al.J.Mol.Biol.336:1239-1249(2004);Yamane-Ohnuki et al.Biotech.Bioeng.87:614(2004)が挙げられる。脱フコシル化抗体を産生することができる細胞株の例としては、タンパク質フコシル化を欠損するLec13 CHO細胞(Ripka et al.Arch.Biochem.Biophys.249:533-545(1986);米国特許出願公開第2003/0157108号A1、Presta,L;及び国際公開第2004/056312号A1、Adams et al特に実施例11)、及びノックアウト細胞株、例えばα-1,6-フコシルトランスフェラーゼ遺伝子、FUT8、ノックアウトCHO細胞(例えば、Yamane-Ohnuki et al.Biotech.Bioeng.87:614(2004);Kanda,Y.et al.,Biotechnol.Bioeng.,94(4):680-688(2006);及び国際公開第2003/085107号を参照)。
【0382】
例えば、抗体のFc領域に結合した二分岐オリゴ糖がGlcNAcによって二分されている二分オリゴ糖を有する抗体バリアントが更に提供される。このような抗体バリアントは、低減されたフコシル化及び/又は改善されたADCC機能を有し得る。このような抗体バリアントの例は、例えば、国際公開第2003/011878(Jean-Mairet et al.);米国特許第6,602,684号(Umana et al.);及び米国特許出願公開第2005/0123546号(Umana et al.)に記載されている。Fc領域に付着したオリゴ糖中に少なくとも1つのガラクトース残基を持つ抗体バリアントも提供される。このような抗体バリアントは、改善されたCDC機能を有し得る。このような抗体バリアントは、例えば、国際公開第1997/30087(Patel et al.)、国際公開第1998/58964(Raju,S.)、及び国際公開第1999/22764(Raju,S.)に記載される。
【0383】
c.Fc領域バリアント
特定の実施形態では、1つ以上のアミノ酸修飾が本明細書に提供される抗体のFc領域に導入され、それにより、Fc領域バリアントが作製され得る。Fc領域バリアントは、1つ以上のアミノ酸位置にアミノ酸修飾(例えば、置換)を含むヒトFc領域配列(例えば、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4 Fc領域)を含み得る。
【0384】
特定の実施形態では、本開示は、全てではないが、いくつかのエフェクター機能を有することにより、in vivoでの抗体の半減期は重要ではあるが、特定のエフェクター機能(補体及びADCC等)が不要又は有害である用途に望ましい候補となる抗体バリアントを企図する。CDC及び/又はADCC活性の低下/消失を確認するために、In vitro及び/又はin vivoの細胞毒性アッセイを実施することができる。例えば、Fc受容体(FcR)結合アッセイを行って、抗体がFcγR結合を欠く(ゆえにADCC活性を欠く可能性がある)が、FcRn結合能を保持していることを確実にすることができる。ADCCを媒介するための主要な細胞であるNK細胞が、FcγRIIIのみを発現する一方で、単球は、FcγRI、FcγRII及びFcγRIIIを発現する。造血細胞上のFcRの発現は、Ravetch及びKinet,Annu.Rev.Immunol.9:457-492(1991)の464頁の表3に要約されている。目的の分子のADCC活性を評価するためのin vitroアッセイの非限定的な例は、米国特許第5,500,362号(例えば、Hellstrom,I.et al.Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 83:7059-7063(1986)、及びHellstrom,I et al.,Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 82:1499-1502(1985);米国特許第5,821,337号(Bruggemann,M.et al.,J.Exp.Med.166:1351-1361(1987)を参照)に記載されている。あるいは、非放射性アッセイ方法を使用してもよい(例えば、フローサイトメトリーのためのACTI(商標)非放射性細胞傷害アッセイ(CellTechnology,Inc.カリフォルニア州マウンテンビュー)、及びCytoTox96(登録商標)非放射性細胞傷害性アッセイ(Promega、ウィスコンシン州マディソン))。このようなアッセイに有用なエフェクター細胞には、末梢血単核球(PBMC)及びナチュラルキラー(NK)細胞が含まれる。あるいは、又は加えて、目的とする分子のADCC活性は、例えば、Clynes et al.Proc.Nat’l Acad.Sci.USA95:652-656(1998に開示されるような動物モデルにおいて、in vivoで評価され得る。また、抗体がC1qに結合することができないがゆえにCDC活性を欠いていることを確認するために、C1q結合アッセイを行ってもよい。例えば、国際公開第2006/029879号及び国際公開第2005/100402号における、C1q及びC3c結合ELISAを参照されたい。補体活性化を評価するために、CDCアッセイを行ってもよい(Gazzano-Santoro et al.,J.Immunol.Methods 202:163(1996);Cragg,M.S.et al.,Blood 101:1045-1052(2003);及びCragg,M.S.and M.J.Glennie,Blood 103:2738-2743(2004))。FcRn結合及びin vivoクリアランス/半減期の決定はまた、当技術分野で知られている方法を用いて行うことができる(例えば、Petkova,S.B.et al.,Int’l.Immunol.18(12):1759-1769(2006)を参照)。
【0385】
エフェクター機能が低下した抗体としては、Fc領域の残基238、265、269、270、297、327及び329の1つ以上の置換を有するものが挙げられる(米国特許第6,737,056号)。そのようなFc変異体としては、アミノ酸位置265、269、270、297及び327のうちの2つ以上に置換を有するFc変異体(アラニンへの残基265及び297の置換を有するいわゆる「DANA」Fc変異体(米国特許第7,332,581号)を含む)が挙げられる。
【0386】
FcRに対する結合が改善又は減少したある特定の抗体バリアントが記載される(例えば、米国特許第6,737,056号;国際公開第2004/056312号、Shields et al.,J.Biol.Chem.9(2):6591-6604(2001))。
【0387】
特定の実施形態では、抗体バリアントは、ADCCを改善する1つ以上のアミノ酸置換、例えば、Fc領域の298、333、及び/又は334位(残基のEUナンバリング)での置換を有するFc領域を含む。いくつかの実施形態では、例えば、米国特許第6,194,551号、国際公開第99/51642号、及びIdusogie et al.J.Immunol.164:4178-4184(2000)に記載されているように、C1q結合及び/又は補体依存性細胞傷害性(CDC)の変化(すなわち向上又は減少のいずれか)をもたらすFc領域内で改変を行う。
【0388】
半減期が増加し、母体IgGを胎児に移入する役割を果たす新生児型Fc受容体(FcRn)(Guyer et al.,J.Immunol.117:587(1976);Kim et al.,J.Immunol.24:249(1994))への結合が向上した抗体が、米国特許出願公開第2005/0014934号A1(Hinton et al.)に記載されている。それらの抗体は、FcRnへのFc領域の結合を改善する1つ以上の置換をFc領域内に有するFc領域を含む。このようなFcバリアントには、Fc領域残基:238、252、254、256、265、272、286、303、305、307、311、312、317、340、356、360、362、376、378、380、382、413、424又は434のうちの1つ以上における置換、例えば、Fc領域残基434の置換が含まれる(例えば、米国特許第7,371,826号)。Fc領域バリアントの他の例に関しては、Duncan&Winter,Nature 322:738-40(1988)、米国特許第5,648,260号、米国特許第5,624,821号、及び国際公開第94/29351号も参照されたい。いくつかの実施形態では、抗体はIgG4抗体である。いくつかの実施形態では、IgG4抗体は、EUナンバリングに従って、M252Y、S254T及びT256Eから選択される1つ以上の変異を含む。いくつかの実施形態では、IgG4抗体は、EUナンバリングに従って、M252Y、S254T及びT256E変異を含む。
【0389】
d.システイン操作抗体バリアント
特定の実施形態では、抗体の1つ以上の残基がシステイン残基で置換されているシステイン操作された抗体、例えば、「thioMAb」を作製することが望ましい場合がある。ある特定の実施形態では、置換された残基は、抗体のアクセス可能な部位に存在する。これらの残基をシステインで置換することにより、反応性チオール基は、それによって抗体のアクセス可能な部位に配置され、本明細書に更に記載されるように、抗体を薬物部位又はリンカー薬物部位等のような他の部位に抱合させて免疫コンジュゲートを作製するために使用され得る。特定の実施形態では、以下の残基のうちのいずれか1つ以上がシステインで置換されていてもよい。軽鎖のV205(Kabatナンバリング)、重鎖のA118(EUナンバリング)、及び重鎖Fc領域のS400(EUナンバリング)。システイン改変抗体は、例えば、米国特許第7,521,541号に記載されているように作製してよい。
【0390】
e.抗体誘導体
特定の実施形態では、本明細書で提供される抗体は、当該技術分野で知られ、容易に入手可能な追加の非タンパク質部分を含むように更に改変され得る。抗体の誘導体化に適した部位としては、水溶性ポリマーが挙げられるが、これに限定されない。水溶性ポリマーの非限定的な例には、ポリエチレングリコール(PEG)、エチレングリコール/プロピレングリコールのコポリマー、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ-1,3-ジオキソラン、ポリ-1,3,6-トリオキサン、エチレン/無水マレイン酸コポリマー、ポリアミノ酸(ホモポリマー又はランダムコポリマーのいずれか)、及びデキストラン又はポリ(n-ビニルピロリドン)ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールホモポリマー、ポリプロピレンオキシド/エチレンオキシドコポリマー、ポリオキシエチル化ポリオール(例えば、グリセロール)、ポリビニルアルコール、並びにこれらの混合物が含まれる(ただし、これらに限定されない)。ポリエチレングリコールプロピオンアルデヒドは、水の中でのその安定性に起因して、製造時に有利であり得る。ポリマーは、任意の分子量であってよく、分枝状でも非分枝状でもよい。抗体に付着するポリマーの数は変化し得て、2つ以上のポリマーが付着する場合、ポリマーは、同じ分子であってもよく、又は異なる分子であってもよい。一般に、誘導体化のために使用されるポリマーの数及び/又は種類は、限定されないが、改良対象の抗体の特定の特性又は機能、抗体誘導体が規定の条件下で治療に使用されるかどうか等を含む考慮事項に基づいて決定され得る。
【0391】
いくつかの実施形態では、放射線への曝露によって選択的に加熱され得る抗体及び非タンパク質性部分のコンジュゲートが提供される。いくつかの実施形態では、非保護性部分はカーボンナノチューブである(Kam et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 102:11600-11605(2005))。放射線は、任意の波長であってよく、通常の細胞に害を与えず、限定されないが、抗体-非保護性部位に近位の細胞が死滅する温度まで非保護性部位を加熱する波長を含む。
【0392】
A.組換え法及び組成物
抗体は、例えば米国特許第4816567号に記載されるように、組換え方法及び組成物を用いて製造することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される抗タウ抗体をコードする単離核酸が提供される。そのような核酸は、抗体のVLを含むアミノ酸配列及び/又は抗体のVHを含むアミノ酸配列(例えば、抗体の軽鎖及び/又は重鎖)をコードし得る。更なる実施形態では、そのような核酸を含む1つ以上のベクター(例えば、発現ベクター)が提供される。更なる実施形態では、核酸を含む宿主細胞が提供される。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、(例えば、形質転換された)以下を含む:(1)抗体のVLを含むアミノ酸配列と、抗体のVHを含むアミノ酸配列とをコードする核酸を含むベクター、又は(2)抗体のVLを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含む第1のベクター、及び抗体のVHを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含む第2のベクター。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、真核細胞、例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞又はリンパ系細胞(例えば、Y0、NS0、Sp20細胞)である。いくつかの実施形態では、抗タウ抗体を作製する方法であって、上記に提供される抗体をコードする核酸を含む宿主細胞を、その抗体の発現に好適な条件下で培養することと、任意に、抗体を宿主細胞(又は宿主細胞培養培地)から回収することとを含む、方法が提供される。
【0393】
抗タウ抗体の組換え産生のために、例えば、上記のもの等の、抗体をコードする核酸が単離され、宿主細胞内での更なるクローニング及び/又は発現のために、1つ以上のベクター中に挿入される。このような核酸は、容易に単離され得て、従来の手順を用いて(例えば、抗体の重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合できるオリゴヌクレオチドプローブを使用することによって)配列決定され得る。
【0394】
抗体をコードするベクターのクローニング又は発現に適した宿主細胞は、本明細書に記載の原核生物細胞又は真核細胞を含む。例えば、抗体は、特に、グリコシル化及びFcエフェクター機能が必要とされていない場合には、細菌中で産生されてもよい。細菌における抗体断片及びポリペプチドの発現については、例えば、米国特許第5,648,237号、同第5,789,199号及び同第5,840,523号(大腸菌(E.coli)における抗体断片の発現を記載しているCharlton,Methods in Molecular Biology,Vol.248(B.K.C.Lo,ed.,Humana Press,Totowa,NJ,2003),pp.245-254参照)を参照されたい。発現後、本発明の抗体は、細菌細胞ペーストから可溶性画分として単離され、更に精製することができる。
【0395】
原核生物に加えて、糸状菌又は酵母等の真核微生物は、抗体をコードするベクターに好適なクローニング又は発現宿主であり、そのグリコシル化経路が「ヒト化」されており、部分的又は完全なヒトグリコシル化パターンを有する抗体の産生をもたらす、真菌株及び酵母株を含む(Gerngross,Nat.Biotech.22:1409-1414(2004),and Li et al.,Nat.Biotech.24:210-215(2006))。
【0396】
グリコシル化抗体の発現に適した宿主細胞は、多細胞生物(無脊椎動物及び脊椎動物)からも得られる。無脊椎動物細胞の例としては、植物細胞及び昆虫細胞が挙げられる。多数のバキュロウイルス株が同定されており、これを昆虫細胞と組み合わせて使用することができ、特にスポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)細胞のトランスフェクションに使用され得る。
【0397】
植物細胞培養物を宿主として利用することもできる(例えば、米国特許第5,959,177号、同第6,040,498号、同第6,420,548号、同第7,125,978号及び同第6,417,429号(トランスジェニック植物において抗体を産生するためのPLANTIBODIES(商標)技術を記載する)を参照)。
【0398】
脊椎動物細胞も宿主として用いることができる。例えば、懸濁液中で増殖するように適合されている哺乳動物細胞株は有用であり得る。有用な哺乳動物宿主細胞株の他の例は、SV40(COS-7)により形質転換されたサル腎臓CV1株;ヒト胚性腎臓株(例えば、Graham et al.,J.Gen Virol.36:59(1977)に記載される293又は293細胞);ベビーハムスター腎細胞(BHK);マウスセルトリ細胞(例えば、Mather,Biol.Reprod.23:243-251(1980)に記載されるTM4細胞);サル腎臓細胞(CV1);アフリカ緑猿腎臓細胞(VERO-76);ヒト子宮頸がん細胞(HELA);イヌ腎臓細胞(MDCK);水牛ラット肝臓細胞(BRL 3A);ヒト肺細胞(W138);ヒト肝細胞(Hep G2);マウス乳腺腫瘍(MMT060562);例えば、Mather et al.,Annals N.Y.Acad.Sci.383:44-68(1982)に記載されるTRI細胞;MRC5細胞;及びFS4細胞である。他の有用な哺乳動物宿主細胞株としては、DHFR-CHO細胞(Urlaub et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77:4216(1980))を含むチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、並びにY0、NS0及びSp2/0等の骨髄腫細胞株が挙げられる。抗体産生に好適な特定の哺乳動物宿主細胞株の概説については、例えば、Yazaki and Wu,Methods in Mol.Biology,Vol.248(B.K.C.Lo,ed.,Humana Press,Totowa,NJ),pp.255-268(2003)を参照されたい。
【0399】
B.アッセイ
本明細書に提供される抗タウ抗体は、それらの物理的/化学的特性及び/又は生物学的活性について、当該技術分野において既知である様々なアッセイによって、特定され、スクリーニングされ、又は特性評価されてもよい。
【0400】
1.結合アッセイ及びその他のアッセイ
本開示の抗体は、例えば、ELISA、ウエスタンブロット等の公知の方法によって、その抗原結合活性について試験され得る。
【0401】
競合アッセイを使用して、タウへの結合について本明細書に記載される抗体と競合する抗体を特定することができる。特定の実施形態では、そのような競合抗体は、セモリネマブにより結合されるのと同じエピトープ(例えば、線状又は立体構造エピトープ)に結合する。抗体が結合するエピトープをマッピングするための詳細な例示的方法が、Morris(1996)“Epitope Mapping Protocols,”in Methods in Molecular Biology vol.66(Humana Press,Totowa,NJ)に提供されている。
【0402】
例示的な競合アッセイでは、固定化されたタウ(単量体タウ等)を、タウに結合する第1の標識抗体(例えば、本明細書に記載される任意の抗体、例えばセモリネマブ)と、タウへの結合について第1の抗体と競合する能力について試験されている第2の非標識抗体とを含む溶液中でインキュベートする。第2の抗体は、ハイブリドーマ上清中に存在し得る。対照として、固定化されたタウを、第1の標識された抗体を含むが第2の非標識抗体を含まない溶液中でインキュベートする。第1の抗体のタウへの結合を許容する条件下でのインキュベーションの後、過剰な未結合抗体を除去し、固定化されたタウに関連する標識の量を測定する。固定化されたタウに関連する標識の量が、対照試料と比較して試験試料中で実質的に低減される場合、それは、第2の抗体がタウへの結合について第1の抗体と競合していることを示す(Harlow and Lane(1988)Antibodies:A Laboratory Manual ch.14(Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,NY))。
【0403】
2.活性アッセイ
本開示はまた、生物学的活性を有するその抗タウ(例えば、pan-タウ)抗体を同定するためのアッセイを提供する。生物学的活性としては、例えば、複数の形態のタウ(例えば、単量体タウ、オリゴマータウ、非リン酸化タウ、及びリン酸化タウ)へのそのような抗体の結合、並びにタウタンパク質(例えば、脳内、例えば、脳皮質及び/又は海馬内の、総タウ、総可溶性タウ、可溶性非リン酸化タウ、可溶性リン酸化タウ、総不溶性タウ、不溶性非リン酸化タウ、不溶性リン酸化タウ、高リン酸化タウ、又は高リン酸化タウを含有する対らせん状細線維)のレベルの低減を挙げることができる。そのような生物活性をin vivo及び/又はin vitroで有する抗体も提供される。
【0404】
特定の実施形態では、本開示の抗体をそのような生物学的活性について試験する。例えば、タウトランスジェニックマウス(例えば、P301L)等のタウオパチーの動物モデルを使用して、脳切片への、例えば、トランスジェニックマウスの脳内の神経原線維変化への、抗タウ抗体の結合を検出することができる。さら、タウトランスジェニックマウス(例えば、P301L)等のタウオパチーの動物モデルを抗タウ抗体で治療することができ、当該技術分野において既知である実験的技法を使用して、そのような治療が、マウス脳内(例えば、脳皮質及び/又は海馬内の)のタウタンパク質(例えば、総タウ、総可溶性タウ、可溶性リン酸化タウ、可溶性非リン酸化タウ、総不溶性タウ、不溶性リン酸化タウ、不溶性非リン酸化タウ、高リン酸化タウ、又は高リン酸化タウを含有する対らせん状細線維)のレベルを低減するかどうかを評価することができる。
【0405】
3.診断及び検出のためのアッセイ
特定の実施形態では、本明細書に提供される抗タウ抗体のいずれも、生体試料中のタウの存在の検出に有用である。本明細書で使用される場合、「検出する」という用語は、定量的又は定性的な検出を包含する。特定の実施形態では、生体試料は、血清、血漿、鼻スワブ、痰、脳脊髄液、眼の房水等の細胞若しくは組織、又は神経若しくは脳組織を含む試料等の生物から得られた組織若しくは細胞試料を含む。
【0406】
いくつかの実施形態では、診断又は検出方法における使用のための抗タウ抗体が提供される。更なる一態様では、生体試料中のタウの存在の検出方法が提供される。特定の実施形態では、方法は、タウへの抗タウ抗体の結合を許容する条件下で、生体試料を本明細書に記載される抗タウ抗体と接触させることと、複合体が抗タウ抗体とタウとの間で形成されるかどうかを検出することとを含む。このような方法は、in vitro法又はin vivo法であってもよい。
【0407】
本明細書に記載される抗体を使用して診断され得る例示的な障害は、タウ病態、特に、脳内の凝集体タウ、又は軽度から中等度のADに見られるものと実質的に同様の細胞外空間内のタウ負荷によって特徴付けられるものである。本明細書に記載される抗体を用いた診断のための障害の非限定的な例としては、軽度から中等度又は中等度のAD、筋萎縮性側索硬化症、パーキンソン病、クロイツフェルト・ヤコブ病、パンチドランカー、ダウン症候群、ゲルストマン・シュトロイスラー・シャインカー病、封入体筋炎、プリオンタンパク質脳アミロイド血管症、外傷性脳損傷、グアム筋萎縮性側索硬化症/パーキンソン症認知症症候群、神経原線維変化を伴う非グアム運動ニューロン疾患、嗜銀顆粒性認知症、大脳皮質基底核変性症、石灰化を伴うびまん性神経原線維変化病、前頭側頭型認知症、17番染色体に連鎖しパーキンソン症候群を伴う前頭側頭型認知症、ハラーホルデン・スパッツ病、多系統萎縮症、ニーマン・ピック病C型、淡蒼球-橋脳-黒質変性症、ピック病、進行性皮質下グリオーシス、進行性核上性麻痺、亜急性硬化性全脳炎、神経原線維変化型認知症、脳炎後パーキンソン症、及び筋強直性ジストロフィーが挙げられる。いくつかの実施形態では、タウオパチーが進行性核上性麻痺である。
【0408】
特定の実施形態では、標識された抗タウ抗体が提供される。標識には、直接検出される標識又は部分(蛍光、発色団、電子密度、化学発光、及び放射性標識等)、並びに、例えば酵素反応又は分子相互作用を介して間接的に検出される酵素又はリガンド等の部分が含まれるが、これらに限定されない。例示的な標識には、放射性同位元素33P、14C、125I、3H、及び131I、希土類キレート又はフルオレセイン及びその誘導体等のフルオロフォア、ローダミン及びその誘導体、ダンシル、ウンベリフェロン、ルセリフェラーゼ、例えば、ホタルルシフェラーゼ及び細菌ルシフェラーゼ(米国特許第4,737,456号)、ルシフェリン、2,3-ジヒドロフタラジンジオン、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)、アルカリホスファターゼ、β-ガラクトシダーゼ、グルコアミラーゼ、リゾチーム、糖オキシダーゼ、例えばグルコースオキシダーゼ、ガラクトースオキシダーゼ、グルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ、ウリカーゼやキサンチンオキシダーゼ等の複素環式オキシダーゼを、HRP、ラクトペルオキシダーゼ、又はミクロペルオキシダーゼ、ビオチン/アビジン、スピン標識、バクテリオファージ標識、安定したフリーラジカル等の色素前駆体を酸化するために過酸化水素を使用する酵素と結合したもの等が含まれるが、これらに限定されない。
【0409】
4.免疫コンジュゲート
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される抗タウ抗体のいずれかは、1つ以上の他の治療剤又は放射性同位体にコンジュゲートされた抗タウ抗体を含む免疫コンジュゲートを形成するのに有用である。
【0410】
いくつかの実施形態では、免疫コンジュゲートは、放射性原子に複合体化されて放射性複合体を形成する、本明細書に記載される抗体を含む。放射性コンジュゲートの生成には、様々な放射性同位体が利用可能である。例として、At211、I131、I125、Y90、Re186、Re188、Sm153、Bi212、P32、Pb212、及びLuの放射性同位体が挙げられる。放射性物質が検出のために使用される場合、それは、シンチグラフィ研究のための放射性原子、例えば99mTc若しくは123I、又は核磁気共鳴(nuclear magnetic resonance:NMR)イメージング(別名、磁気共鳴イメージング、MRI)のためのスピンラベル、例えばヨウ素123、ヨウ素131、インジウム111、フッ素19、炭素13、窒素15、酸素17、ガドリニウム、マンガン又は鉄を含んでいてもよい。
【0411】
抗体のコンジュゲートは、N-サクシニミジル-3-(2-ピリジルジチオ)プロピオン酸塩(SPDP)、サクシニミジル-4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボン酸塩(SMCC)、イミノチオラン(IT)、イミドエステルの二官能性誘導体(アジプイミド酸ジメチルHCl等)、活性エステル(スベリン酸ジサクシニミジル等)、アルデヒド(グルタルアルデヒド等)、ビス-アジド化合物(ビス(p-アジドベンゾイル)ヘキサンジアミン等)、ビス-ジアゾニウム誘導体(ビス-(p-ジアゾニウムベンゾイル)-エチレンジアミン等)、ジイソシアネート(トルエン2,6-ジイソシアネート等)、及びビス-活性フッ素化合物(1,5-ジフルオロ-2,4-ジニトロベンゼン等)等の様々な二官能性タンパク質カップリング剤を使用して作製することができる。例えば、リシンイムノトキシンは、Vitetta et al.,Science 238:1098(1987)に記載されるように調製することができる。炭素-14で標識された1-イソチオシアナトベンジル-3-メチルジエチレントリアミンペンタ酢酸(MX-DTPA)は、放射性ヌクレオチドの抗体へのコンジュゲートのための一例示的なキレート剤である(国際公開第94/11026号)。リンカーは、細胞内での細胞傷害性薬物の放出を促進する「開裂性リンカー」であってもよい。例えば、酸-ラビリンカー、ペプチダーゼ感受性リンカー、フォトラビリンカー、ジメチルリンカー又はジスルフィド含有リンカー(Chari et al.,Cancer Res.52:127-131(1992);米国特許第5,208,020号)を使用することができる。
【0412】
本明細書の免疫コンジュゲート又はADCは、市販されている(例えば、Pierce Biotechnology,Inc.,Rockford,IL.,U.S.Aから)、BMPS、EMCS、GMBS、HBVS、LC-SMCC、MBS、MPBH、SBAP、SIA、SIAB、SMCC、SMPB、SMPH、スルホ-EMCS、スルホ-GMBS、スルホ-KMUS、スルホ-MBS、スルホ-SIAB、スルホ-SMCC、及びスルホ-SMPB、並びにSVSB(スクシンイミジル-(4-ビニルスルホン)ベンゾエート)を含むが、これらに限定されない架橋剤試薬で調製されるこのようなコンジュゲートを明確に意図するが、これらに限定されない。
【0413】
C.医薬製剤
更なる一態様では、本開示は、例えば、気指される治療方法のいずれかに使用するための、本明細書に提供される抗タウ抗体のいずれかを含む、医薬製剤を提供する。いくつかの実施形態では、医薬製剤は、抗タウ抗体及び薬学的に許容され得る担体を含む。特定の実施形態では、医薬製剤は、例えば本明細書に記載されるように、少なくとも1つの追加の治療剤を更に含む。
【0414】
本明細書に記載される抗タウ抗体の医薬製剤は、所望される程度の純度を有するそのような抗体と、1つ以上の任意の薬学的に許容される担体、希釈剤、及び/又は賦形剤とを混合すること(Remington’s Pharmaceutical Sciences 16th edition,Osol,A.Ed.(1980))によって、凍結乾燥製剤又は水溶液の形態で調製される。例示的な凍結乾燥した抗体製剤は、例えば、米国特許第6,267,958号に記載される。水性抗体製剤には、米国特許第6,171,586号及び国際公開第2006/044908号に記載されているものが含まれ、後者の製剤には、ヒスチジン-酢酸緩衝液が含まれる。
【0415】
薬学的に許容され得る担体、希釈剤、及微賦形剤としては、一般に、使用される用量及び濃度でレシピエントに対して非毒性であり、限定されないが、滅菌水、リン酸塩、クエン酸塩、及び他の有機酸等のバッファー;アスコルビン酸及びメチオニンを含む抗酸化物質;防腐剤(塩化オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム;塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチル、若しくはベンジルアルコール;メチル若しくはプロピルパラベン等のアルキルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;及びm-クレゾール等);低分子量(約10残基未満)のポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、若しくは免疫グロブリン等のタンパク質;ポリビニルピロリドン等の親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、若しくはリジン等のアミノ酸;単糖類、二糖類、及びグルコース、マンノース、若しくはデキストリンを含む他の炭水化物;EDTA等のキレート剤;スクロース、マンニトール、トレハロース、若しくはソルビトール等の糖類;ナトリウム等の塩形成対イオン;金属複合体(例えば、Zn-タンパク質複合体);並びに/又はポリエチレングリコール(PEG)等の非イオン性界面活性剤が挙げられる。本明細書における例示的な薬学的に許容される担体は、可溶性の中性活性ヒアルロニダーゼ糖タンパク質(sHASEGP)、例えば、rHuPH20(HYLENEX(登録商標)、Baxter International,Inc.)等のヒト可溶性PH-20ヒアルロニダーゼ糖タンパク質等の介在性薬物分散剤を更に含む。rHuPH20を含む、特定の例示的なsHASEGP及び使用方法は、米国特許出願公開第2005/0260186号及び同第2006/0104968号に記載される。一態様では、sHASEGPを、1つ以上の追加のグリコサミノグリカナーゼ(例えば、コンドロイチナーゼ)と組み合わせる。
【0416】
上記の実施形態及び態様のいずれかにおいて、抗体はセモリネマブであり得る。
【0417】
本明細書の製剤はまた、治療される特定の適応症に必要な2つ以上の治療剤有効成分を含んでもよく、好ましくは、互いに悪影響を及ぼさない相補的な活性を有するものを含んでもよい。例えば、ADの症候を予防又は治療するための1つ以上化合物を更に提供することが望ましい場合がある。そのような有効成分は、適切には、意図する目的に有効な量の組み合わせで存在する。
【0418】
有効成分は、コロイド薬物送達系(例えば、リポソーム、アルブミンマイクロスフェア、マイクロエマルジョン、ナノ粒子及びナノカプセル)又はマクロエマルジョンにおいて、例えば、コアセルベーション技術又は界面重合によって調製されたマイクロカプセル、例えば、それぞれ、ヒドロキシメチルセルロース又はゼラチンマイクロカプセル及びポリ-(メチルメタクリレート)マイクロカプセルに封入され得る。このような技法は、Remington’s Pharmaceutical Sciences 16th edition,Osol,A.Ed.(1980)に開示されている。
【0419】
徐放性調製物を調製してもよい。徐放性調製物の好適な例としては、抗体を含有する固体疎水性ポリマーの半透性マトリクスが含まれ、これらのマトリクスは、成形物品、例えば、フィルム又はマイクロカプセルの形態である。
【0420】
in vivo投与に使用される製剤は、一般に無菌である。滅菌は、例えば、滅菌濾過膜による濾過によって容易に達成することができる。
【0421】
治療方法及びそこでの使用のための組成物
上記のように、本開示は、抗タウアプローチを使用して、軽度から中等度及び中等度のADにおいて臨床的減退の減速及び疾患進行の減少を示す第1の臨床データを提供する。具体的には、軽度から中等度又は中等度のADを有する患者は、プラセボと比較して、セモリネマブで治療した場合に認知機能低下率の減少を示した。さらに、使用した用量は有害事象の発生率を増加させなかった。したがって、一態様では、本開示は、軽度から中等度又は中等度のAD及び関連するタウオパチーの治療における抗タウ抗体のいずれかの使用を提供する。そのような抗タウ抗体は、医薬して使用するために提供される。いくつかの実施形態では、抗タウ抗体は、軽度から中等度のADの治療用である。いくつかの実施形態では、抗タウ抗体は、中等度のADの治療用である。
【0422】
いくつかの実施形態では、タウオパチーは、神経変性タウオパチーである。いくつかの実施形態では、タウ病態は、軽度から中等度のADに見られるものと実質的に同様の患者の脳の細胞外空間におけるタウ病態を特徴とする。本明細書に開示される抗タウ抗体で治療することができる例示的なタウ病態としては、限定されないが、軽度から中等度のAD、筋萎縮性側索硬化症、パーキンソン病、クロイツフェルト・ヤコブ病、パンチドランカー、ダウン症候群、ゲルストマン・シュトロイスラー・シャインカー病、封入体筋炎、プリオンタンパク質脳アミロイド血管症、外傷性脳損傷、グアム筋萎縮性側索硬化症/パーキンソン症認知症症候群、神経原線維変化を伴う非グアム運動ニューロン疾患、嗜銀顆粒性認知症、大脳皮質基底核変性症、石灰化を伴うびまん性神経原線維変化病、前頭側頭型認知症、17番染色体に連鎖しパーキンソン症候群を伴う前頭側頭型認知症、ハラーホルデン・スパッツ病、多系統萎縮症、ニーマン・ピック病C型、淡蒼球-橋脳-黒質変性症、ピック病、進行性皮質下グリオーシス、進行性核上性麻痺、亜急性硬化性全脳炎、神経原線維変化型認知症、脳炎後パーキンソン症、及び筋強直性ジストロフィーが挙げられる。いくつかの実施形態では、軽度から中等度のADの治療における使用のための抗タウ抗体が提供される。いくつかの実施形態では、進行性核上性麻痺の治療における使用のための抗タウ抗体が提供される。いくつかの実施形態では、タウ病態の治療における使用のための抗タウ抗体が提供され、タウ病態は、軽度から中等度のADに見られるものと実質的に同様の患者の脳の細胞外空間におけるタウ病態を特徴とする。
【0423】
さらに、抗タウ抗体で治療することができるタウ病態には、推論、状況判断、記憶容量、学習、及び/又は特別なナビゲーション等の認知機能の障害又は喪失を示す疾患又は障害が含まれる。特定の実施形態では、本開示は、上記のタウ病態のいずれか1つを有する個体の治療方法における使用のための抗タウ抗体を提供し、方法は、有効量の抗タウ抗体を個体に投与することを含む。そのような一実施形態では、方法は、有効量の少なくとも1つの追加の治療剤、例えば併用対症療法薬を個体に投与することを更に含む。
【0424】
前述の実施形態及び態様のいずれかにおいて、本開示の抗体はセモリネマブであり得る。
【0425】
患者は、典型的には、治療の適合性を判定する前に、1つ以上のタウオパチーの存在について最初に評価される。1つの非限定的な例として、軽度から中等度のADは、NINCDS-ADRDA(Neurological and Communicative Disorders and Stroke-Alzheimer’s Disease Related Disorders Assessment)基準(McKhann,et al.,1984,Neurology 34:939-44)を使用して患者において診断され得る。本明細書に記載される1つ以上の抗体を投与される可能性のある患者を、(i)患者が1つ以上のタウオパチーを経験する可能性がより高い若しくはより低いこと、(ii)患者が治療から利益を得る可能性がより高い若しくはより低いこと、又は(iii)抗体の投与経過中に患者が1つ以上の有害事象又は副作用を経験する可能性がより高い若しくはより低いことのいずれかの素因となる1つ以上の遺伝子マーカーの有無について試験してもよい。1つの非限定的な例として、Apoε4対立遺伝子を有する患者は、対立遺伝子を欠く患者よりもADを発症する実質的に高いリスクを有することが知られている(Saunders et al,Neurology 1993;43:1467-72;Prekumar et al.,Am.J.Pathol.1996;148:2083-95)。
【0426】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される抗体は、患者の軽度から中等度のADを治療するために使用される。患者は、Apoε4陽性又はApoε4陰性であり得る。いくつかの実施形態では、抗体を使用して、軽度から中等度のADを有するApoε4陽性患者を治療する。いくつかの実施形態では、抗体を使用して、中等度のADを有するApoε4陽性患者を治療する。いくつかの実施形態では、患者は、Apoε4陽性である。いくつかの実施形態では、患者は、Apoε4陰性である。
【0427】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される抗体は、16~21の間、16~18の間、又は19~21の間のMMSEスコアを有する患者を治療するために使用される。いくつかの実施形態では、抗体は、1又は2のCDR GSを有する患者を治療するために使用される。
【0428】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される抗体は、16~20の間、16~19の間、16~18の間、16~17の間、17~21の間、17~20の間、17~19の間、17~18の間、18~21の間、18~20の間、18~19の間、19~21との間、又は19~20との間のMMSEスコアを有する患者を治療するために使用される。本明細書で使用される場合、2つの数字間のMMSEスコアは、その範囲の両端の数字を含む。例えば、16~21の間のMMSEスコアは、16及び21のMMSEスコアを含む。
【0429】
いくつかの実施形態では、本開示の患者は、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体の投与前に、両端の値を含めて16~19のMMSEスコアを有し、任意に、抗体の投与前に、両端の値を含めて16~18のMMSEスコアを有する。いくつかの実施形態では、本開示の患者は、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体の投与前に、両端の値を含めて16~19のMMSEスコアを有する。いくつかの実施形態では、本開示の患者は、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体の投与前に、両端の値を含めて16~18のMMSEスコアを有する。
【0430】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される抗体は、タウ陽性である患者を治療するために使用される。ある特定の実施形態では、抗体は、軽度から中等度のADと診断された患者に見られるものに典型的なタウ負荷又はタウ病態を有する患者を治療するために使用される。ある特定の実施形態では、抗体は、中等度のADと診断された患者に見られるものに典型的なタウ負荷又はタウ病態を有する患者を治療するために使用される。
【0431】
いくつかの実施形態では、本開示の患者は、タウ陽性及び/又はアミロイドベータ(Aベータ)陽性である。いくつかの実施形態では、患者は、タウに結合する陽電子放射断層撮影(PET)トレーサーを患者に投与することによって、タウ陽性であると判定される。いくつかの実施形態では、患者は、Aベータに結合するPETトレーサーを患者に投与することによって、Aベータ陽性であると判定される。いくつかの実施形態では、本開示の患者は、タウ陽性であり、任意に、患者は、タウに結合する陽電子放射断層撮影(PET)トレーサーを患者に投与することによって、タウ陽性であると判定される。いくつかの実施形態では、本開示の患者はAベータ陽性であり、任意に、患者は、Aベータに結合する陽電子放射断層撮影(PET)トレーサーを患者に投与することによってAベータ陽性であると判定される。いくつかの実施形態では、本開示の患者は、タウ陽性及び/又はAベータ陽性である。いくつかの実施形態では、本開示の患者は、タウ陽性である。いくつかの実施形態では、本開示の患者は、Aベータ陽性である。いくつかの実施形態では、患者は、タウに結合する陽電子放射断層撮影(PET)トレーサーを患者に投与することによって、タウ陽性であると判定される。いくつかの実施形態では、患者は、Aベータに結合する陽電子放射断層撮影(PET)トレーサーを患者に投与することによって、Aベータ陽性であると判定される。
【0432】
更なる実施形態では、本開示は、患者のタウ蓄積(例えば、総タウ、総可溶性タウ、可溶性リン酸化タウ、総不溶性タウ、凝集タウ、不溶性リン酸化タウ、高リン酸化タウ、又は高リン酸化タウを含有する対らせん状フィラメント)を遅らせるのに使用するための抗タウ抗体を提供する。例えば、抗体を使用して、患者の脳内の神経細胞間の細胞外空間のタウ凝集を遅らせることができる。いくつかの実施形態では、本開示は、タウPETスキャンによって測定される患者のタウタンパク質の蓄積を遅らせるのに使用するための抗タウ抗体を提供する。例えば、そのような緩慢な蓄積が脳内で(例えば、脳皮質及び/又は海馬において)起こり得る。いくつかの実施形態では、本開示は、可溶性リン酸化タウを含む、リン酸化タウの蓄積を遅らせるのに使用するための抗タウ抗体を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、凝集タウの蓄積を遅らせるのに使用するための抗タウ抗体を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、不溶性タウ(例えば、不溶性リン酸化タウ)の蓄積を遅らせるのに使用するための抗タウ抗体を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、過剰リン酸化タウの蓄積を遅らせるのに使用するための抗タウ抗体を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、脳組織(例えば、脳皮質及び/又は海馬において)における対らせん状フィラメント(例えば、高リン酸化タウを含有する対らせん状フィラメント)の蓄積を遅らせるのに使用するための抗タウ抗体を提供する。特定の実施形態では、本開示は、タウの蓄積を遅らせるために有効量(例えば、4500mg)の抗タウ抗体を患者に投与することを含む、患者の脳(例えば、脳皮質及び/又は海馬において)におけるタウタンパク質(例えば、総タウ、総可溶性タウ、可溶性リン酸化タウ、総不溶性タウ、凝集タウ、不溶性リン酸化タウ、高リン酸化タウ、又は高リン酸化タウを含有する対らせん状フィラメント)の蓄積を遅らせる方法に使用するための抗タウ抗体を提供する。いくつかの実施形態では、抗体は、タウのN末端領域内のエピトープ(N末端結合抗タウ抗体)に結合し、例えば、成熟ヒトタウのアミノ酸残基2~24内のエピトープに結合し、例えば、成熟ヒトタウのアミノ酸残基6~23内/貫通アミノ酸残基内のエピトープに結合する。いくつかの実施形態では、抗体はセモリネマブである。仮説又は理論に限定されるものではないが、本明細書に記載の抗タウ抗体を使用して細胞外でタウを妨害し、これまで影響を受けていないニューロンへの更なるタウ沈着物の播種/拡散を阻止することができる。
【0433】
更なる実施形態では、本開示は、治療有効量の抗タウ抗体を患者に投与することによってタウ蓄積(例えば、総タウ、総可溶性タウ、可溶性リン酸化タウ、総不溶性タウ、凝集タウ、不溶性リン酸化タウ、高リン酸化タウ、又は高リン酸化タウを含有する対らせん状フィラメント)を遅らせる方法を提供する。例えば、抗体を使用して、患者の脳内の神経細胞間の細胞外空間のタウ凝集を遅らせることができる。いくつかの実施形態では、本開示は、治療有効量の抗タウ抗体を患者に投与することによって、タウPETスキャンによって測定される患者のタウタンパク質の蓄積を遅らせる方法を提供する。例えば、そのような緩慢な蓄積が脳内で(例えば、脳皮質及び/又は海馬において)起こり得る。いくつかの実施形態では、本開示は、治療有効量の抗タウ抗体を対象に投与することによって、可溶性リン酸化タウを含むリン酸化タウの蓄積を遅らせる方法を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、治療有効量の抗タウ抗体を対象に投与することによって、凝集タウの蓄積を遅らせる方法を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、治療有効量の抗タウ抗体を対象に投与することによって、不溶性タウ(例えば、不溶性リン酸化タウ)の蓄積を遅らせる方法を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、治療有効量の抗タウ抗体を対象に投与することによって、過剰リン酸化タウの蓄積を遅らせる方法を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、治療有効量の抗タウ抗体を対象に投与することによって、脳組織(例えば、脳皮質及び/又は海馬において)における対らせん状フィラメント(例えば、高リン酸化タウを含有する対らせん状フィラメント)の蓄積を遅らせる方法を提供する。特定の実施形態では、本開示は、タウの蓄積を遅らせるために治療有効量(例えば、4500mg)の抗タウ抗体を患者に投与することを含む、患者の脳(例えば、脳皮質及び/又は海馬において)におけるタウタンパク質(例えば、総タウ、総可溶性タウ、可溶性リン酸化タウ、総不溶性タウ、凝集タウ、不溶性リン酸化タウ、高リン酸化タウ、又は高リン酸化タウを含有する対らせん状フィラメント)の蓄積を遅らせる方法を提供する。いくつかの実施形態では、抗体は、タウのN末端領域内のエピトープ(N末端結合抗タウ抗体)に結合し、例えば、成熟ヒトタウのアミノ酸残基2~24内のエピトープに結合し、例えば、成熟ヒトタウのアミノ酸残基6~23内/貫通アミノ酸残基内のエピトープに結合する。いくつかの実施形態では、抗体はセモリネマブである。
【0434】
いくつかの実施形態では、タウのレベルの低下は、タウ病態及び/又は凝集タウの密度及び/又は程度を測定することによって決定される。したがって、タウ病態及び/又は凝集タウ(例えば陽電子放射断層撮影撮像によって測定される)の密度又は程度の低下は、タウのレベルの低下を示すと考えられる。タウ、非リン酸化タウ、リン酸化タウ又は過剰リン酸化タウのレベルは、陽電子放射断層撮影法(PET)によって、又は腰椎穿刺を介して得られた脳脊髄液等の脳脊髄液の分析によって測定することができる。いくつかの実施形態では、タウタンパク質のレベルの低下は、タウ断片のレベルを測定することによって決定される。
【0435】
いくつかの実施形態では、タウのレベルは、本開示の患者の脳内のPETトレーサーの分布を示すスキャンの標準化取込み値比(SUVR)測定によって測定される。いくつかの実施形態では、本開示の患者は、高レベルのタウを有し、高レベルのタウは、以下の1つ以上に対応する:(i)中央値Genentechタウプローブ1(GTP1)全皮質灰白質(WCG)以上の脳内タウレベル(上中分割);(ii)1.325以上の側頭部からのSUVR測定;及び(iii)1.245以上である全皮質灰白質(WCG)領域からのSUVR測定値。いくつかの実施形態では、本開示の患者は、高レベルのタウを有し、高レベルのタウは、中央値Genentechタウプローブ1(GTP1)全皮質灰白質(WCG)以上の脳内タウレベルに対応する(上中分割)。いくつかの実施形態では、本開示の患者は、高レベルのタウを有し、高レベルのタウは、側頭部からの1.325以上であるSUVR測定値に対応する。いくつかの実施形態では、本開示の患者は、高レベルのタウを有し、高レベルのタウは、1.245以上である全皮質灰白質(WCG)領域からのSUVR測定値に対応する。いくつかの実施形態では、患者は低レベルのタウを有し、低レベルのタウは、以下の1つ以上に対応する:(i)中央値GTP1WCG未満の脳内タウレベル(下中分割);(ii)側頭部からのSUVR測定値が1.325未満;及び(iii)1.245未満であるWCGからのSUVR測定値。いくつかの実施形態では、患者は、低レベルのタウを有し、低レベルのタウは、中央値GTP1 WCG未満の脳内タウレベルに対応する(下中分割)。いくつかの実施形態では、患者は低レベルのタウを有し、低レベルのタウは、1.325未満である側頭部からのSUVR測定値に対応する。いくつかの実施形態では、患者は低レベルのタウを有し、低レベルのタウは、1.245未満であるWCGからのSUVR測定値に対応する。
【0436】
いくつかの実施形態では、本開示は、例えば患者の脳(例えば、脳皮質及び/又は海馬において)におけるタウ負荷(例えば、総タウ、総可溶性タウ、可溶性リン酸化タウ、総不溶性タウ、凝集タウ、不溶性リン酸化タウ、高リン酸化タウ、又は高リン酸化タウを含有する対らせん状フィラメント)の調節における使用のための抗タウ抗体を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、治療有効量の抗タウ抗体を患者に投与することによって、例えば患者の脳(例えば、脳皮質及び/又は海馬において)におけるタウ負荷(例えば、総タウ、総可溶性タウ、可溶性リン酸化タウ、総不溶性タウ、凝集タウ、不溶性リン酸化タウ、高リン酸化タウ、又は高リン酸化タウを含有する対らせん状フィラメント)を調節する方法を提供する。いくつかの実施形態では、抗体はセモリネマブである。いくつかの実施形態では、用量は、4500mgのセモリネマブである。
【0437】
更なる一態様では、本開示は、医薬の製造又は調製における抗タウ抗体の使用を提供する。医薬は、上記のタウ病態のいずれかの治療用であり得る。いくつかの実施形態では、医薬は、軽度から中等度又は中等度のADの治療用である。いくつかの実施形態では、医薬は、軽度から中等度のADの治療用である。いくつかの実施形態では、医薬は、中等度のADの治療用である。いくつかの実施形態では、医薬は、患者の脳内のタウ病態(例えば、総タウ、総可溶性タウ、可溶性リン酸化タウ、総不溶性タウ、凝集タウ、不溶性リン酸化タウ、高リン酸化タウ、又は高リン酸化タウを含有する対らせん状フィラメント)を軽減するためのものである。
【0438】
いくつかの態様では、本開示は、タウ病態の1つ以上の症候を緩和する方法を提供し、又はタウ病態(例えば、本明細書に記載される疾患又は障害のいずれか、例えば、軽度から中等度のAD又は中等度のAD)の1つ以上の症候を緩和するための抗タウ抗体、又は抗タウ抗体を含む医薬を提供する。いくつかの態様では、本開示は、タウ病態の症候の数又は1つ以上の症候の重症度を軽減する方法を提供するか、又は、タウ病態(例えば、本明細書に記載される疾患又は障害のいずれか、例えば、AD)の症候の数又は重症度を軽減するための抗タウ抗体又は抗タウ抗体を含む医薬を提供する。特定の実施形態では、タウ病態の症候は、認知能力の障害又は認知能力の低下、例えば認知能力の進行性低下である。いくつかの実施形態では、タウ病態の症候は、プラクシスの進行性低下等のプラクシスの障害である。いくつかの実施形態では、タウ病態の症候は、学習の進行性低下等の学習障害である。いくつかの実施形態では、タウ病態の症候は、記憶能力の進行性低下等の記憶の障害である。いくつかの実施形態では、タウ病態の症候は、長期記憶喪失である。特定の実施形態では、タウ病態の症候は認知症である。いくつかの実施形態では、タウタンパク質病態の症候は、錯乱、過敏性、攻撃性、気分変動、又は言語障害である。いくつかの実施形態では、タウタンパク質病態の症候は、推論、状況判断、記憶容量、プラクシス、及び/又は学習等の1つ以上の認知機能の障害又は喪失である。追加の態様では、本開示は、治療有効量の抗タウ抗体を対象に投与することによって、それを必要とする対象の軽度から中等度又は中等度のAD及び関連するタウオパチーを治療する方法を提供する。いくつかの実施形態では、方法は、軽度から中等度のADを治療する方法である。いくつかの実施形態では、方法は、中等度のADを治療する方法である。本明細書で提供される方法は、ある量(例えば、4500mg等の治療有効量)の抗タウ抗体を患者(例えば、タウ病態の1つ以上の症候を呈する者)に投与することを含む。特定の実施形態では、抗体はセモリネマブである。
【0439】
特定の態様では、本開示は、記憶容量、記憶機能、若しくは認知機能を保持若しくは増加させるための、又はタウ病態に関連する記憶喪失若しくは認知能力の喪失を遅らせるための方法を提供する。したがって、いくつかの態様では、本開示は、記憶容量、記憶機能若しくは認知機能を保持若しくは増加させるための、又はタウ病態(例えば、本明細書に記載される任意の疾患又は障害、例えば、AD、軽度から中等度のAD又は中等度のAD(記憶喪失は一般に疾患進行の中心的特徴である)等)に関連する記憶喪失若しくは認知能力喪失を遅らせるための、抗タウ抗体、又は抗タウ抗体を含む医薬を提供する。記憶力は、例えば、ADAS-Cog11スコアを構成する3つのドメインのうちの1つとして、例えば、本明細書に記載されるように(ADAS-Cog11記憶ドメインスコア)評価され得る。ある特定の実施形態では、記憶力は、語彙認識及び/又は語彙想起に関して、例えばADAS-Cog11検定を使用して評価されるように評価される。本明細書で提供される方法は、ある量(例えば、4500mg等の治療有効量)の抗タウ抗体を患者(例えば.、記憶喪失又は記憶容量の減少の1つ以上の症候を呈する者)に投与することを含む。特定の実施形態では、抗体はセモリネマブである。
【0440】
特定の態様では、本開示は、タウ病態に関連する語彙認識能力の低下を遅らせる方法を提供する。したがって、いくつかの態様では、本開示は、タウ病態(例えば、本明細書に記載される疾患又は障害のいずれか、例えば、軽度から中等度のAD又は中等度のAD)に関連する語彙認識及び/又は語彙想起の喪失を遅らせるための抗タウ抗体、又は抗タウ抗体を含む医薬を提供する。語彙認識/想起は、例えば、ADAS-Cog11スコアを構成する記憶ドメインのコンポーネントとして、例えば、本明細書に記載されるように評価され得る(ADAS-Cog11語彙認識スコア)。本明細書で提供される方法は、ある量(例えば、4500mg等の治療有効量)の抗タウ抗体を患者(例えば、語彙認識能力の低下の1つ以上の症候を呈する者)に投与することを含む。特定の実施形態では、抗体はセモリネマブである。
【0441】
いくつかの態様では、本開示は、タウ病態に関連する言語及び/又はプラクシス能力の低下を遅らせる方法を提供する。したがって、いくつかの態様では、本開示は、タウ病態(例えば、本明細書に記載される疾患又は障害のいずれか、例えば、軽度から中等度のAD又は中等度のAD)に関連する言語及び/又はプラクシス能力の喪失を遅らせるための抗タウ抗体、又は抗タウ抗体を含む医薬を提供する。言語及びプラクシスは、例えば、ADAS-Cog11スコアを構成するドメインとして、例えば、本明細書に記載されるように(ADAS-Cog11言語ドメインスコア又はADAS-Cog11プラクシスドメインスコア)評価され得る。本明細書で提供される方法は、ある量(例えば、4500mg等の治療有効量)の抗タウ抗体を患者(例えば、言語及び/又はプラクシス能力の低下の1つ以上の症候を呈する者)に投与することを含む。特定の実施形態では、抗体はセモリネマブである。
【0442】
いくつかの態様では、本開示は、タウ病態の進行速度を低下させる方法を提供するか、又は、タウ病態(例えば、本明細書に記載される疾患又は障害のいずれか、例えば、軽度から中等度のAD又は中等度のAD)の進行速度を低下させるための抗タウ抗体、若しくは抗タウ抗体を含む医薬を提供する。本明細書で提供される方法は、ある量(例えば、4500mg等の治療有効量)の抗タウ抗体を患者(例えば、タウ病態の1つ以上の症候を呈する者)に投与することを含む。特定の実施形態では、抗体はセモリネマブである。
【0443】
さらに、本開示の抗体は、有害事象の発生率を増加させることなく、軽度から中等度のAD又は中等度のADを治療するために有用である。いくつかの実施形態では、患者は、Apoε4陽性である。いくつかの実施形態では、患者は、16~18のMMSEスコア又は16~19のMMSEスコアを有する。
【0444】
抗タウ抗体は、優良医療実務と一致する様式で製剤化され、投与され、投与される。この観点において考慮すべき因子は、治療される特定の疾患、治療される特定の哺乳動物、個々の対象の臨床症状、疾患の原因、薬剤送達部位、投与方法、投与日程及び医療従事者に既知の他の因子を含む。
C.投与経路
【0445】
本明細書に記載される抗体(及び任意の追加の治療剤)は、非経口を含む任意の適切な手段によって投与することができる。いくつかの実施形態では、抗体は静脈内又は皮下に投与され、いくつかの実施形態では、抗体は静脈内に投与される。いくつかの実施形態では、抗体は、皮下投与される。
【0446】
投薬は、その投与が短期か又は長期かに部分的に依存して、任意の好適な経路、例えば、静脈内注射等の注射により行うことができる。いくつかの実施形態では、抗体は皮下注射される。いくつかの実施形態では、抗体は静脈内注射される。いくつかの実施形態では、セモリネマブは皮下投与される。いくつかの実施形態では、セモリネマブは静脈内投与される。いくつかの実施形態では、抗体は、シリンジ(例えば、予め充填されているか否か)又は自己注射器を使用して投与される。本明細書では、単回投与又は様々な時点にわたる複数回投与、ボーラス投与、パルス注入を含むがこれらに限定されない様々な投薬スケジュールが企図される。
【0447】
ある特定の実施形態では、抗体は、注入によって静脈内投与される。いくつかの実施形態では、注入速度は、0.1~5.0mL/分、例えば0.2mL/分、0.3mL/分、0.4mL/分、0.5mL/分、0.6mL/分、0.7mL/分、0.8mL/分、1.0mL/分、1.5mL/分、2.0mL/分、2.5mL/分、2.8mL/分、3.0mL/分、3.2mL/分、3.5mL/分、4.0mL/分、又は4.5mL/分である。いくつかの実施形態では、注入速度は0.5~3.0mL/分である。注入速度は、投与を通して一定であってもよく、又は治療を受けている患者について最初の期間の後又は第1の注入の後に増加してもよい。いくつかの実施形態では、注入速度は、第1の注入の10~120分間は0.5~1mL/分、その後は2~4mL/分、その後は2.8~3.2mL/分、又はその後は3mL/分である。いくつかの実施形態では、注入速度は、第1の注入の30~60分間は0.5~1mL/分、その後は2~4mL/分、その後は2.8~3.2mL/分、又はその後は3mL/分である。いくつかの実施形態では、注入速度は、第1の注入の最初の30分間は0.5、その後の30分間は1mL/分、その後の注入中、及び任意にその後の注入中は3mL/分である。
【0448】
いくつかの実施形態では、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体を、0.5mL/分~3.0mL/分の注入速度で投与する。いくつかの実施形態では、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体を、0.5mL/分~3.0mL/分の注入速度で、4週間ごとに(又は毎月)投与する。いくつかの実施形態では、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体を、任意に第1の注入の10~120分間は0.5mL/分~1mL/分、その後は3mL/分の注入速度で投与する。いくつかの実施形態では、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体を、0.5mL/分~1.0mL/分の注入速度で投与する。
【0449】
いくつかの実施形態では、セモリネマブを、0.5mL/分~3.0mL/分の注入速度で投与する。いくつかの実施形態では、本開示のセモリネマブ抗タウ抗体を、0.5mL/分~3.0mL/分の注入速度で、4週間ごとに(又は毎月)投与する。いくつかの実施形態では、セモリネマブを、任意に第1の注入の10~120分間は0.5mL/分~1mL/分、その後は3mL/分の注入速度で投与する。いくつかの実施形態では、セモリネマブを、0.5mL/分~1mL/分の注入速度で投与する。
【0450】
いくつかの実施形態では、本開示の方法、使用のための抗体及び使用は、4500mg用量のセモリネマブをQ4Wの頻度で96週間患者に静脈内投与することを更に含む。
1.投与及び頻度
【0451】
タウオパチーの治療のために、本明細書に記載される抗体の適切な投与量(単独で又は1つ以上の他の追加の治療剤と組み合わせて使用される場合)は、治療される疾患の具体的な種類、抗体の種類、疾患の重症度及び経過、以前の治療、患者の病歴及び抗体に対する応答、並びに主治医の裁量に依存する。
【0452】
抗体は、一度に又は一連の時点にわたって患者に適切に投与される。単回又は種々の時点での複数回投与、ボーラス投与、及びパルス輸注を含むがこれらに限定されない種々の投薬スケジュールが、本明細書で企図される。
【0453】
疾患の種類及び重症度に応じて、約10mg/kg~100mg/kgの抗体を、例えば、1回以上の別個の投与で、又は連続注入によって使用することができる。投薬量は、単回用量又は分割用量(例えば、50mg/kgの総用量に対して25mg/kgの2つの用量)で投与することができる。数週間以上にわたる反復投与に関しては、症状に応じて、治療は一般に疾患症候の望まれる抑制が起こるまで継続されるものとする。
【0454】
抗体の例示的な一投与量は、約20mg/kg~約80mg/kgの範囲である。したがって、約0.5mg/kg、1.0mg/kg、1.5mg/kg、2.0mg/kg、3.0mg/kg、4.0mg/kg、5.0mg/kg、10mg/kg、15mg/kg、20mg/kg、25mg/kg、30mg/kg、35mg/kg、40mg/kg、45mg/kg、50mg/kg、55mg/kg、60mg/kg、70mg/kg、又は80mg/kg(又はそれらの任意の組み合わせ)の1回以上の用量を患者に投与することができる。いくつかの実施形態では、約0.5mg/kgの1回以上の用量が患者に投与される。いくつかの実施形態では、約1.0mg/kgの1回以上の用量が患者に投与される。いくつかの実施形態では、約1.5mg/kgの1回以上の用量が患者に投与される。いくつかの実施形態では、約2.0mg/kgの1回以上の用量が患者に投与される。いくつかの実施形態では、約3.0mg/kgの1回以上の用量が患者に投与される。いくつかの実施形態では、約4.0mg/kgの1回以上の用量が患者に投与される。いくつかの実施形態では、約5.0mg/kgの1回以上の用量が患者に投与される。いくつかの実施形態では、約10mg/kgの1回以上の用量が患者に投与される。いくつかの実施形態では、約15mg/kgの1回以上の用量が患者に投与される。いくつかの実施形態では、約20mg/kgの1回以上の用量が患者に投与される。いくつかの実施形態では、約25mg/kgの1回以上の用量が患者に投与される。いくつかの実施形態では、約30mg/kgの1回以上の用量が患者に投与される。いくつかの実施形態では、約35mg/kgの1回以上の用量が患者に投与される。いくつかの実施形態では、約40mg/kgの1回以上の用量が患者に投与される。いくつかの実施形態では、約45mg/kgの1回以上の用量が患者に投与される。いくつかの実施形態では、約50mg/kgの1回以上の用量が患者に投与される。いくつかの実施形態では、約55mg/kgの1回以上の用量が患者に投与される。いくつかの実施形態では、約60mg/kgの1回以上の用量が患者に投与される。いくつかの実施形態では、約70mg/kgの1回以上の用量が患者に投与される。いくつかの実施形態では、約80mg/kgの1回以上の用量が患者に投与される。
【0455】
いくつかの実施形態では、抗体の投与量は、20mg/kg~80mg/kgの範囲である。したがって、0.5mg/kg、1.0mg/kg、1.5mg/kg、2.0mg/kg、3.0mg/kg、4.0mg/kg、5.0mg/kg、10mg/kg、15mg/kg、20mg/kg、25mg/kg、30mg/kg、35mg/kg、40mg/kg、45mg/kg、50mg/kg、55mg/kg、60mg/kg、70mg/kg、又は80mg/kg(又はそれらの任意の組み合わせ)の1回以上の用量を患者に投与することができる。いくつかの実施形態では、0.5mg/kgの1回以上の用量が患者に投与される。いくつかの実施形態では、1.0mg/kgの1回以上の用量が患者に投与される。いくつかの実施形態では、1.5mg/kgの1回以上の用量が患者に投与される。いくつかの実施形態では、2.0mg/kgの1回以上の用量が患者に投与される。いくつかの実施形態では、3.0mg/kgの1回以上の用量が患者に投与される。いくつかの実施形態では、4.0mg/kgの1回以上の用量が患者に投与される。いくつかの実施形態では、5.0mg/kgの1回以上の用量が患者に投与される。いくつかの実施形態では、10mg/kgの1回以上の用量が患者に投与される。いくつかの実施形態では、15mg/kgの1回以上の用量が患者に投与される。いくつかの実施形態では、20mg/kgの1回以上の用量が患者に投与される。いくつかの実施形態では、25mg/kgの1回以上の用量が患者に投与される。いくつかの実施形態では、30mg/kgの1回以上の用量が患者に投与される。いくつかの実施形態では、35mg/kgの1回以上の用量が患者に投与される。いくつかの実施形態では、40mg/kgの1回以上の用量が患者に投与される。いくつかの実施形態では、45mg/kgの1回以上の用量が患者に投与される。いくつかの実施形態では、50mg/kgの1回以上の用量が患者に投与される。いくつかの実施形態では、55mg/kgの1回以上の用量が患者に投与される。いくつかの実施形態では、60mg/kgの1回以上の用量が患者に投与される。いくつかの実施形態では、70mg/kgの1回以上の用量が患者に投与される。いくつかの実施形態では、80mg/kgの1回以上の用量が患者に投与される。
【0456】
いくつかの実施形態では、投与される総用量は、1000mg~10,000mgの範囲である。約1500mg、約2000mg、約2500mg、約3000mg、約3500mg、約4000mg、約4500mg、約5000mg、約5500mg、約6000mg、約6500mg、約7000mg、約7500mg、約8000mg、約8500mg、約9000mg、約9500mg、又は約10,000mg(又はそれらの任意の組み合わせ)の例示的な用量を患者に投与してもよい。いくつかの実施形態では、約1500mgの1回以上の用量が患者に投与される。いくつかの実施形態では、約2000mgの1回以上の用量が患者に投与される。いくつかの実施形態では、約2500mgの1回以上の用量が患者に投与される。いくつかの実施形態では、約3000mgの1回以上の用量が患者に投与される。いくつかの実施形態では、約3500mgの1回以上の用量が患者に投与される。いくつかの実施形態では、約4000mgの1回以上の用量が患者に投与される。いくつかの実施形態では、約4500mgの1回以上の用量が患者に投与される。いくつかの実施形態では、約5000mgの1回以上の用量が患者に投与される。いくつかの実施形態では、約5500mgの1回以上の用量が患者に投与される。いくつかの実施形態では、約6000mgの1回以上の用量が患者に投与される。いくつかの実施形態では、約6500mgの1回以上の用量が患者に投与される。いくつかの実施形態では、約7000mgの1回以上の用量が患者に投与される。いくつかの実施形態では、約7500mgの1回以上の用量が患者に投与される。いくつかの実施形態では、約8000mgの1回以上の用量が患者に投与される。いくつかの実施形態では、約8500mgの1回以上の用量が患者に投与される。いくつかの実施形態では、約9000mgの1回以上の用量が患者に投与される。いくつかの実施形態では、約9500mgの1回以上の用量が患者に投与される。いくつかの実施形態では、約10,000mgの1回以上の用量が患者に投与される。いくつかの実施形態では、約4000mg~約4500mgの1回以上の用量が患者に投与される。いくつかの実施形態では、約4300mg~約4700mgの1回以上の用量が患者に投与される。いくつかの実施形態では、約4400mg~約4600mgの1回以上の用量が患者に投与される。いくつかの実施形態では、1500mg、2000mg、2500mg、3000mg、3500mg、4000mg、4500mg、5000mg、5500mg、6000mg、6500mg、7000mg、7500mg、8000mg、8500mg、9000mg、9500mg、又は10,000mg(又はそれらの任意の組み合わせ)の用量を患者に投与することができる。いくつかの実施形態では、1500mgの1回以上の用量が患者に投与される。いくつかの実施形態では、2000mgの1回以上の用量が患者に投与される。いくつかの実施形態では、2500mgの1回以上の用量が患者に投与される。いくつかの実施形態では、3000mgの1回以上の用量が患者に投与される。いくつかの実施形態では、3500mgの1回以上の用量が患者に投与される。いくつかの実施形態では、4000mgの1回以上の用量が患者に投与される。いくつかの実施形態では、4500mgの1回以上の用量が患者に投与される。いくつかの実施形態では、5000mgの1回以上の用量が患者に投与される。いくつかの実施形態では、5500mgの1回以上の用量が患者に投与される。いくつかの実施形態では、6000mgの1回以上の用量が患者に投与される。いくつかの実施形態では、6500mgの1回以上の用量が患者に投与される。いくつかの実施形態では、7000mgの1回以上の用量が患者に投与される。いくつかの実施形態では、7500mgの1回以上の用量が患者に投与される。いくつかの実施形態では、8000mgの1回以上の用量が患者に投与される。いくつかの実施形態では、8500mgの1回以上の用量が患者に投与される。いくつかの実施形態では、9000mgの1回以上の用量が患者に投与される。いくつかの実施形態では、9500mgの1回以上の用量が患者に投与される。いくつかの実施形態では、10,000mgの1回以上の用量が患者に投与される。いくつかの実施形態では、4000mg~4500mgの1回以上の用量が患者に投与される。いくつかの実施形態では、4300mg~4700mgの1回以上の用量が患者に投与される。いくつかの実施形態では、約4400mg~約4600mgの1回以上の用量が患者に投与される。そのような用量は、断続的に、例えば、毎週、2週間ごと、3週間ごと、4週間ごと、毎月、2ヶ月ごと、3ヶ月ごと、又は6ヶ月ごとに投与され得る。この治療の進行は、従来の技術及びアッセイによって監視することができる。特定の実施形態では、抗体はセモリネマブである。
【0457】
いくつかの実施形態では、初期用量は、後の用量と同じ又は実質的に同じであり、例えば本明細書に記載されるように、1つ以上の治療効果を達成するために5~50回の用量が投与される。例えば、8回用量、10回用量、12回用量、13回用量、14回用量、15回用量、16回用量、17回用量、18回用量、19回用量、20回用量、25回用量、30回用量、35回用量、36回用量、37回用量、38回用量、40回用量、45回用量、又は50回用量が、例えば本明細書に記載されるように、1つ以上の治療効果を達成するために投与され得る。ある特定の実施形態では、例えば本明細書に記載されるように、1つ以上の治療効果を達成するために、(例えば、25週目までに)5~10回の用量、7~9回の用量、又は8回の用量が投与される。ある特定の実施形態では、例えば本明細書に記載されるように、1つ以上の治療効果を達成するために、(例えば、37週目までに)9~13回の用量、10~12回の用量、又は11回の用量が投与される。1つのある特定の実施形態では、例えば、本明細書に記載されるように、1つ以上の治療効果を達成するために、(例えば、49週目までに)12~16回の用量、13~15回の用量又は14回の用量が投与される。ある特定の実施形態では、例えばADAS-Cog11によって測定される認知機能低下の統計的に有意な減少を達成するため、及び/又は例えばADAS-Cog11記憶ドメインによって測定される記憶力低下の統計的に有意な減少を達成するために、5~15回の用量が投与される。いくつかの実施形態では、10~15回の用量、12~15回の用量、13~15回の用量、13~14回の用量、14~15回の用量又は14回の用量の抗体が、認知機能低下における統計学的に有意な減少を達成するために、及び/又は、例えば、ADAS-Cog11によって測定される記憶力低下における統計学的に有意な減少を達成するために(例えば、49週目までに)投与される。特定の実施形態では、抗体はセモリネマブである。
【0458】
特定の実施形態では、本開示の抗体を、15mg/kg、30mg/kg、40mg/kg、45mg/kg、50mg/kg、60mg/kgの用量又は一定用量、例えば3500mg、4000mg、4500mg、5000mg若しくは5500mgで投与する。いくつかの実施形態では、用量は、一定期間にわたって2週間ごと又は4週間ごとに静脈内注射又は注入によって投与される。いくつかの実施形態では、用量は、最初の期間にわたって2週間ごとに静脈内(例えば、注入によって)投与される。特定の実施形態では、最初の期間は、最初の2回の用量、最初の3回の用量、最初の4回の用量、又は最初の5回の用量の間続く。いくつかの実施形態では、用量は、初回用量(複数可)の後で、その後の期間にわたって4週間ごとに静脈内投与される(例えば、注入によって)。特定の実施形態では、その後の期間(初期期間の後)は、4週間、8週間、12週間、24週間、36週間、48週間、49週間、50週間、52週間、55週間、60週間、61週間、62週間、65週間、70週間、72週間、73週間、74週間、75週間、80週間、90週間、100週間、104週間、又はそれ以上継続する。特定の実施形態では、その後の期間(初期期間の後)は、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、9ヶ月、12ヶ月(又は1年)、18ヶ月(又は1年半)、2年、5年、10年、15年、20年、又は患者の生涯にわたって継続する。特定の実施形態では、抗体はセモリネマブである。
【0459】
いくつかの実施形態では、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体の用量は、少なくとも5回、少なくとも8回、若しくは少なくとも10回投与されるか、又は用量は、5~17回、10~17回、又は12~17回の用量について投与される。いくつかの実施形態では、ある量のヒト化モノクローナル抗タウ抗体を少なくとも5回投与する。いくつかの実施形態では、上記用量のヒト化モノクローナル抗タウ抗体を少なくとも8回投与する。いくつかの実施形態では、ある用量のヒト化モノクローナル抗タウ抗体を少なくとも10回投与する。いくつかの実施形態では、ある量のヒト化モノクローナル抗タウ抗体を少なくとも5~17回投与する。いくつかの実施形態では、ある量のヒト化モノクローナル抗タウ抗体を少なくとも10~17回の用量について投与する。いくつかの実施形態では、ある量のヒト化モノクローナル抗タウ抗体を少なくとも12~17回の用量について投与する。いくつかの実施形態では、ある用量の抗タウ抗体のヒト化モノクローナルを13~15回の用量、13~14回の用量、14~15回の用量、又は14回の用量について投与する。いくつかの実施形態では、ある量のヒト化モノクローナル抗タウ抗体を少なくとも13~15回の用量について投与する。いくつかの実施形態では、ある量のヒト化モノクローナル抗タウ抗体を少なくとも13~14回の用量について投与する。いくつかの実施形態では、ある量のヒト化モノクローナル抗タウ抗体を少なくとも14~15回の用量について投与する。いくつかの実施形態では、ある量のヒト化モノクローナル抗タウ抗体を少なくとも14回の用量について投与する。いくつかの実施形態では、ある量のヒト化モノクローナル抗タウ抗体を少なくとも12~16回の用量について投与する。いくつかの実施形態では、ある量のヒト化モノクローナル抗タウ抗体を少なくとも14~17回の用量について投与する。
【0460】
いくつかの実施形態では、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体を、少なくとも24週間、任意に4週間ごとに(又は毎月)少なくとも1回投与する。いくつかの実施形態では、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体を、少なくとも36週間、任意に4週間ごとに(又は毎月)少なくとも1回投与する。いくつかの実施形態では、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体を、少なくとも40、44、48、52、56、60、64、68、72、76、80、84、88、92、96、100、104、108、112、116、120、124、128、132、136、140、144、148、152、156、160、164、又は168週間、任意に4週間ごとに(又は毎月)少なくとも1回投与する。いくつかの実施形態では、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体を、少なくとも40、44、48、52、56、又は60週間、任意に4週間ごとに(又は毎月)少なくとも1回投与する。いくつかの実施形態では、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体を、少なくとも40、44、又は48週間、任意に4週間ごとに(又は毎月)少なくとも1回投与する。いくつかの実施形態では、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体を、少なくとも52、56、又は60週間、任意に4週間ごとに(又は毎月)少なくとも1回投与する。いくつかの実施形態では、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体を、少なくとも48週間、任意に4週間ごとに(又は毎月)少なくとも1回投与する。いくつかの実施形態では、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体を、少なくとも60週間、任意に4週間ごとに(又は毎月)少なくとも1回投与する。いくつかの実施形態では、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体を、少なくとも144週間、任意に4週間ごとに(又は毎月)少なくとも1回投与する。いくつかの実施形態では、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体を、少なくとも156週間、任意に4週間ごとに(又は毎月)少なくとも1回投与する。
【0461】
いくつかの実施形態では、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体を、2週間ごと、3週間ごと、又は4週間ごとに1回投与する。いくつかの実施形態では、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体を、2週間ごとに1回(Q2W)投与する。いくつかの実施形態では、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体を、3週間ごとに1回(Q3W)投与する。いくつかの実施形態では、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体を4週間ごとに投与する(Q4W)。いくつかの実施形態では、セモリネマブを、2週間ごとに、3週間ごと、又は4週間ごと1回に投与する。いくつかの実施形態では、セモリネマブを、2週間ごとに1回投与する(Q2W)。いくつかの実施形態では、セモリネマブを、3週間ごとに1回投与する(Q3W)。いくつかの実施形態では、セモリネマブを、4週間ごとに投与する(Q4W)。
【0462】
いくつかの実施形態では、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体を、1~5回の用量については2週間ごとに1回、次いで4週間ごとに1回(又は月に1回)投与する。いくつかの実施形態では、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体を、1~3回の用量については2週間ごとに1回、次いで4週間ごとに1回(又は月に1回)投与する。いくつかの実施形態では、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体を、1~5回の用量については2週間に1回、次いで4週間ごとに1回投与する。いくつかの実施形態では、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体を、1~3回の用量については2週間に1回、次いで4週間ごとに1回投与する。いくつかの実施形態では、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体を、1~5回の用量については2週間ごとに1回、次いで毎月1回投与する。いくつかの実施形態では、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体を、1~3回の用量については2週間ごとに1回、次いで毎月1回投与する。いくつかの実施形態では、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体を、1~5回の用量についてはQ2Wで投与され、次いでQ4Wで投与する。いくつかの実施形態では、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体を、1~3回の用量についてはQ2Wで投与され、次いでQ4Wで投与する。いくつかの実施形態では、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体を、5回の用量についてはQ2Wで投与され、次いでQ4Wで投与する。いくつかの実施形態では、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体を、3回の用量についてはQ2Wで投与され、次いでQ4Wで投与する。
【0463】
いくつかの実施形態では、セモリネマブを、少なくとも1回の用量についてはQ2Wの頻度で投与する。いくつかの実施形態では、セモリネマブを、少なくとも2回の用量についてはQ2Wの頻度で投与する。いくつかの実施形態では、セモリネマブを、少なくとも3回の用量についてはQ2Wの頻度で投与する。
【0464】
いくつかの実施形態では、セモリネマブを、少なくとも10回の用量についてQ4Wの頻度で投与する。いくつかの実施形態では、セモリネマブを、少なくとも13回の用量についてはQ4Wの頻度で投与する。いくつかの実施形態では、セモリネマブを、少なくとも16回の用量についてはQ4Wの頻度で投与する。いくつかの実施形態では、セモリネマブを、少なくとも34回の用量についてはQ4Wの頻度で投与する。いくつかの実施形態では、セモリネマブを、少なくとも37回の用量についてQ4Wの頻度で投与する。いくつかの実施形態では、セモリネマブを、1~5回の用量についてはQ2Wで投与し、次いでQ4W投与する。いくつかの実施形態では、セモリネマブを、1~3回の用量についてはQ2Wで投与し、次いでQ4W投与する。いくつかの実施形態では、セモリネマブを、5回の用量についてはQ2Wで投与し、次いでQ4Wで投与する。いくつかの実施形態では、セモリネマブを、3回の用量についてはQ2Wで投与し、次いでQ4Wで投与する。
【0465】
いくつかの実施形態では、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体(例えば、セモリネマブ)は、1回以上のサイクルで本開示における頻度のいずれかで投与される。いくつかの実施形態では、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体(例えば、セモリネマブ)を、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20のサイクルで上記頻度のいずれかで投与する。いくつかの実施形態では、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体(例えば、セモリネマブ)をQ2Wの頻度で1回以上のサイクルで投与する。いくつかの実施形態では、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体(例えば、セモリネマブ)を、Q2Wの頻度で1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20のサイクルで投与する。いくつかの実施形態では、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体(例えば、セモリネマブ)をQ2Wの頻度で1サイクル投与する。いくつかの実施形態では、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体(例えば、セモリネマブ)をQ2Wの頻度で2サイクル投与する。いくつかの実施形態では、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体(例えば、セモリネマブ)をQ2Wの頻度で3サイクル投与する。いくつかの実施形態では、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体(例えば、セモリネマブ)をQ4Wの頻度で1回以上のサイクルで投与する。いくつかの実施形態では、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体(例えば、セモリネマブ)を、Q4Wの頻度で1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20のサイクルで投与する。いくつかの実施形態では、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体(例えば、セモリネマブ)をQ4Wの頻度で11サイクル投与する。いくつかの実施形態では、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体(例えば、セモリネマブ)をQ4Wの頻度で14サイクル投与する。いくつかの実施形態では、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体(例えば、セモリネマブ)をQ4Wの頻度で35サイクル投与する。いくつかの実施形態では、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体(例えば、セモリネマブ)をQ4Wの頻度で38サイクル投与する。いくつかの実施形態では、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体(例えば、セモリネマブ)を、Q2Wの頻度で2回の4週間のサイクル(すなわち、サイクル1~2)で投与し、その後、(すなわち、サイクル3及びその後の全ての4週間サイクル)Q4Wの頻度で投与する。いくつかの実施形態では、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体(例えば、セモリネマブ)を、Q2Wの頻度で第1サイクルの4週間サイクル(すなわち、サイクル1)投与し、その後、(すなわち、サイクル2及びその後の全ての4週間サイクル)Q4Wの頻度で投与する。
【0466】
2.治療治療に対する応答の監視/評価
本開示の方法で使用される場合、抗体は、患者に治療効果又は利益を提供する。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される抗体により治療されている患者は、その患者がその治療から利益を受けているかどうかを明らかにするために監視され、又は評価される。特定の実施形態では、治療上の利益は、ADの進行の遅延若しくは阻害、又は臨床的、機能的若しくは認知機能低下の減少である。いくつかの実施形態では、治療効果又は利益は、「患者応答」又は「応答」(及びその文法的変形)に反映される。
【0467】
患者応答は、患者に対する利益を示す任意のエンドポイントを使用して評価することができ、限定されないが、(1)疾患進行のある程度の阻害(安定化又は減速及び完全停止を含む);(2)プラーク量の減少又は脳アミロイド蓄積の減少及び/又は神経原線維変化の減少;(3)患者の脳におけるタウ毒性/病態の脳タウレベルの低下及び/又は細胞間拡散の低下;(4)限定されないが、ADAS-Cog11(ADAS-Cog11記憶ドメインを含む)、ADCS-ADL、CDR-SB、MMSE、NPI、及びCaGI-Alzスケールを含む1つい以上の評価メトリクスにおける改善(又は悪化速度の減少);(5)患者の日常機能の改善;(6)ADの存在を示す1つ以上のバイオマーカーの減少、例えば脳脊髄液中のAベータ又はタウの減少;並びに(7)ADの改善を示すバイオマーカーの増加を含む。患者応答の評価はまた、起こり得る、及び治療と相関し得る有害事象の評価を含み得る。
【0468】
いくつかの実施形態では、患者の認知能力及び日常機能は、本明細書に記載の抗体による治療の経過前、経過中、及び/又は経過後に評価される。精神機能、認知、及び神経学的欠損の評価、診断、及びスコアリングにおける使用のためのいくつかの認知及び機能評価ツールが開発されている。例示的なこれらのツールとしては、限定されないが、11項目のADAS-Cog(ADAS-Cog11)、12項目のADAS-Cog(ADAS-Cog12)、13項目のADAS-Cog(ADAS-Cog13)、及び14項目のADAS-Cog(ADAS-Cog14)を含むADAS-Cog;CDR判定及び問題解決並びにCDR記憶コンポーネントを含むADCS-ADL、CDR-SOB;RBANS、及びMMSEが挙げられる。
【0469】
ADAS-Cogスコア
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗体で治療された患者は、以前の時点からの患者の以前のADAS-Cogスコアと比較して、患者のADAS-Cogスコア(ADAS-Cog11又はADAS-Cog11記憶ドメイン等)の改善(すなわち、減少)を示す。いくつかの実施形態では、より早いスコアは、治療前の時点、すなわち患者への抗タウ抗体の投与前からのスコアである。いくつかの実施形態では、本明細書の治療方法は、例えば抗体の投与前に評価される患者のより早いADAS-Cog11スコアの範囲内で患者の認知能力を維持する。ある特定の実施形態では、本明細書の治療方法は、例えば抗体の投与前に評価される、患者のより早いADAS-Cog11記憶ドメインスコアの範囲内で患者の記憶容量/能力を維持する。軽度から中等度のAD患者では、抗タウ抗体を約49週間にわたって投与しなければ、6ポイントの平均認知機能低下が予想される(すなわち、実施例1のプラセボ治療患者では6ポイントの平均低下が予想され。)。また、軽度から中等度のAD患者については、抗タウ抗体を約49週間にわたって投与しなければ、3~4ポイントの平均記憶力低下が予想されるであろう(すなわち、実施例1のプラセボ治療患者では3~4ポイントの平均低下が予想された)。特定の実施形態では、治療される患者は、16~21のMMSEスコア及び/又は1若しくは2のCDR-GSを有する軽度から中等度のADを有する。特定の実施形態では、治療される患者は、16~18のMMSEスコア及び/又は2のCDR-GSを有する。特定の実施形態では、治療される患者は、16~19のMMSEスコア及び/又は2のCDR-GSを有する。いくつかの実施形態では、治療される患者は、19~21のMMSEスコア及び/又は1のCDR-GSを有する。いくつかの実施形態では、治療される患者は、軽度ADよりも疾患の後期段階にあり、及び/又は中等度のADを有する。
【0470】
いくつかの実施形態では、対象は、抗タウ抗体の投与前に、両端の値を含めて16~19のミニメンタルステート検査(MMSE)スコアを有する。いくつかの実施形態では、対象は、抗タウ抗体の投与前に、両端の値を含めて16~19のミニメンタルステート検査(MMSE)スコアを有し、任意に、抗タウ抗体の投与前に、両端の値を含めて16~18のMMSEを有する。いくつかの実施形態では、対象は、抗タウ抗体の投与前に、両端の値を含めて16~18のミニメンタルステート検査(MMSE)スコアを有する。
【0471】
いくつかの実施形態では、患者は、抗タウ抗体の投与前に1又は2の臨床的認知症グローバル尺度(CDR-GS)を有する。いくつかの実施形態では、患者は、抗タウ抗体の投与前に1の臨床的認知症グローバル尺度(CDR-GS)を有する。いくつかの実施形態では、患者は、抗タウ抗体の投与前に2の臨床的認知症グローバル尺度(CDR-GS)を有する。
【0472】
特定の実施形態では、本開示は、例えば、抗体の投与前後、例えば、一定回数の用量の当該抗体の反復投与後に、患者のADAS-Cog11スコアを評価する場合に、軽度から中等度のAD又は中等度のADと診断された患者のADAS-Cog11スコアの5ポイント(すなわち、以下より5ポイント以下高い)以内に認知能力を維持する方法を提供する。いくつかの実施形態では、抗体の投与後の患者のADAS-Cog11スコアは、抗体の投与前よりも2ポイント以下、2.3ポイント以下、2.5ポイント以下、2.8ポイント以下、3ポイント以下、3.3ポイント以下、3.5ポイント以下、3.8ポイント以下、4ポイント以下、4.3ポイント以下、4.5ポイント以下、4.8ポイント以下、又は5ポイント以下高い。いくつかの実施形態では、抗体の投与後の患者のADAS-Cog11スコアは、抗体の投与前よりも2~3ポイント、2~4ポイント、2~5ポイント、3~4ポイント、3~4ポイント、又は4~5ポイント高い。いくつかの実施形態では、抗体の投与後の患者のADAS-Cog11スコアは、抗体の投与前よりも2ポイント、3ポイント、4ポイント、又は5ポイント以内高い。いくつかの実施形態では、抗体の投与後の患者のADAS-Cog11スコアは、抗体の投与前よりも2ポイント、3ポイント、4ポイント、又は5ポイント高い。特定の実施形態では、本開示は、例えば、抗体の複数回投与の前後に患者についてADAS-Cog11スコアを評価する場合に、軽度から中等度のAD又は中等度のADと診断された患者のADAS-Cog11スコアの5ポイント(すなわち、以下より5ポイント以下高い)以内に認知能力を維持する方法を提供する。いくつかの実施形態では、抗体の複数回投与後の患者のADAS-Cog11スコアは、抗体の投与前よりも2ポイント以下、2.3ポイント以下、2.5ポイント以下、2.8ポイント以下、3ポイント以下、3.3ポイント以下、3.5ポイント以下、3.8ポイント以下、4ポイント以下、4.3ポイント以下、4.5ポイント以下、4.8ポイント以下、又は5ポイント以下高い。いくつかの実施形態では、抗体の複数回投与後の患者のADAS-Cog11スコアは、抗体の投与前よりも2~3ポイント、2~4ポイント、2~5ポイント、3~4ポイント、3~4ポイント、又は4~5ポイント高い。いくつかの実施形態では、抗体の複数回投与後の患者のADAS-Cog11スコアは、抗体の投与前よりも2ポイント、3ポイント、4ポイント、又は5ポイント以内高い。いくつかの実施形態では、抗体の複数回投与後の患者のADAS-Cog11スコアは、抗体の投与前よりも2ポイント、3ポイント、4ポイント、又は5ポイント高い。いくつかの実施形態では、複数回投与は、少なくとも13回の用量を含む。いくつかの実施形態では、複数回投与は、少なくとも16回の用量を含む。いくつかの実施形態では、複数回投与は、少なくとも37回の用量を含む。いくつかの実施形態では、複数回投与は、少なくとも40回の用量を含む。いくつかの実施形態では、抗体はセモリネマブである。ある特定の実施形態では、抗体を、少なくとも49週間にわたって4週間ごとに(又は毎月)少なくとも1回投与する。いくつかの実施形態では、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体を、少なくとも48週間にわたって4週間ごとに(又は毎月)少なくとも1回投与する。
【0473】
いくつかの実施形態では、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体の投与後に評価される対象のADAS-Cog11スコアは、当該抗体の投与前に評価される対象のADAS-Cog11スコアよりも、2ポイント以下、2.3ポイント以下、2.5ポイント以下、2.8ポイント以下、3ポイント以下、3.3ポイント以下、3.5ポイント以下、3.8ポイント以下、4ポイント以下、4.3ポイント以下、4.5ポイント以下、4.8ポイント以下、又は5ポイント以下高い。いくつかの実施形態では、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体の投与後に評価される対象のADAS-Cog11スコアは、当該抗体の投与前に評価される対象のADAS-Cog11スコアよりも、2.5ポイント以下、3ポイント以下、3.5ポイント以下、4ポイント以下、4.5ポイント以下、又は5ポイント以下高い。いくつかの実施形態では、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体の投与後に評価される対象のADAS-Cog11スコアは、当該抗体の投与前に評価される対象のADAS-Cog11スコアよりも、2ポイント以下高い。いくつかの実施形態では、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体の投与後に評価される対象のADAS-Cog11スコアは、当該抗体の投与前に評価される対象のADAS-Cog11スコアよりも、2.3ポイント以下高い。いくつかの実施形態では、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体の投与後に評価される対象のADAS-Cog11スコアは、当該抗体の投与前に評価される対象のADAS-Cog11スコアよりも、2.5ポイント以下高い。いくつかの実施形態では、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体の投与後に評価される対象のADAS-Cog11スコアは、当該抗体の投与前に評価される対象のADAS-Cog11スコアよりも、2.8ポイント以下高い。いくつかの実施形態では、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体の投与後に評価される対象のADAS-Cog11スコアは、当該抗体の投与前に評価される対象のADAS-Cog11スコアよりも、3ポイント以下高い。いくつかの実施形態では、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体の投与後に評価される対象のADAS-Cog11スコアは、当該抗体の投与前に評価される対象のADAS-Cog11スコアよりも、3.3ポイント以下高い。いくつかの実施形態では、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体の投与後に評価される対象のADAS-Cog11スコアは、当該抗体の投与前に評価される対象のADAS-Cog11スコアよりも、3.5ポイント以下高い。いくつかの実施形態では、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体の投与後に評価される対象のADAS-Cog11スコアは、当該抗体の投与前に評価される対象のADAS-Cog11スコアよりも、3.8ポイント以下高い。いくつかの実施形態では、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体の投与後に評価される対象のADAS-Cog11スコアは、当該抗体の投与前に評価される対象のADAS-Cog11スコアよりも、4ポイント以下高い。いくつかの実施形態では、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体の投与後に評価される対象のADAS-Cog11スコアは、当該抗体の投与前に評価される対象のADAS-Cog11スコアよりも、4.3ポイント以下高い。いくつかの実施形態では、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体の投与後に評価される対象のADAS-Cog11スコアは、当該抗体の投与前に評価される対象のADAS-Cog11スコアよりも、4.5ポイント以下高い。いくつかの実施形態では、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体の投与後に評価される対象のADAS-Cog11スコアは、当該抗体の投与前に評価される対象のADAS-Cog11スコアよりも、4.8ポイント以下高い。いくつかの実施形態では、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体の投与後に評価される対象のADAS-Cog11スコアは、当該抗体の投与前に評価される対象のADAS-Cog11スコアよりも、5ポイント以下高い。いくつかの実施形態では、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体の投与後に評価される対象のADAS-Cog11スコアは、当該抗体の投与前に評価される対象のADAS-Cog11スコアよりも、2~4ポイント高い。いくつかの実施形態では、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体の投与後に評価される対象のADAS-Cog11スコアは、当該抗体の投与前に評価される対象のADAS-Cog11スコアよりも、3~4ポイント高い。いくつかの実施形態では、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体の投与後に評価される対象のADAS-Cog11スコアは、当該抗体の投与前に評価される対象のADAS-Cog11スコアよりも、2ポイント高い。いくつかの実施形態では、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体の投与後に評価される対象のADAS-Cog11スコアは、当該抗体の投与前に評価される対象のADAS-Cog11スコアよりも、3ポイント高い。いくつかの実施形態では、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体の投与後に評価される対象のADAS-Cog11スコアは、当該抗体の投与前に評価される対象のADAS-Cog11スコアよりも、4ポイント高い。
【0474】
いくつかの実施形態では、認知能力のこの維持は、少なくとも20週間後、少なくとも25週間後、少なくとも30週間後、少なくとも35週間後、少なくとも37週間後、少なくとも40週間後、少なくとも45週間後、少なくとも47週間後、少なくとも49週間後、少なくとも51週間後、又は少なくとも53週間後、任意に49週間後に現れる。いくつかの実施形態では、抗体を投与して少なくとも45週間後、少なくとも47週間後、少なくとも49週間後、少なくとも51週間後、又は少なくとも53週間後、任意に49週間後のADAS-Cog11スコアは、抗体を投与する前の患者からの以前のADAS-Cog11スコア(ベースラインスコア)よりも2ポイント、3ポイント、4ポイント、又は5ポイント以下高い。いくつかの実施形態では、ベースラインと比較した、又は抗タウ抗体を投与せずに予想されるものと比較した安定したADAS-Cog11スコアは、ADの進行の遅延、遅延若しくは停止、又は臨床的認知機能低下、例えば軽度から中等度のADにおける、及び/又は新しい臨床的認知症候若しくは障害の欠如、又は疾患進行の全体的な安定化を示す。ある特定の実施形態では、抗体はセモリネマブ(例えば、セモリネマブ4500mg)である。
【0475】
いくつかの実施形態では、本明細書の治療方法は、抗体の投与なしで予想される認知能力と比較して(例えば、プラセボとの比較によって、例えば、臨床試験の対照アームの患者との比較によって示される)、患者の認知能力の低下を減少させる。特定の実施形態では、治療される患者は、16~21のMMSEスコア及び/又は1若しくは2のCDR-GSを有する軽度から中等度のADを有する。特定の実施形態では、治療される患者は、16~18のMMSEスコア及び/又は2のCDR-GSを有する。特定の実施形態では、治療される患者は、16~19のMMSEスコア及び/又は2のCDR-GSを有する。いくつかの実施形態では、治療される患者は、軽度ADよりも疾患の後期段階にある。
【0476】
いくつかの実施形態では、抗体の投与後の患者のADAS-Cog11スコアは、抗体の投与なしで予測されるスコアと比較して(例えば、臨床研究の同等のプラセボアームと比較して)、少なくとも20%、少なくとも23%、少なくとも25%、少なくとも28%、少なくとも30%、少なくとも33%、少なくとも35%、少なくとも38%、少なくとも40%、少なくとも41%、少なくとも42%、少なくとも43%、少なくとも44%、少なくとも45%、少なくとも46%、少なくとも48%、少なくとも50%、少なくとも53%、又は少なくとも55%、又は少なくとも60%低下する。いくつかの実施形態では、抗体の投与後の患者のADAS-Cog11スコアは、抗体の投与なしで予測されるスコアと比較して(例えば、臨床研究の同等のプラセボアームと比較して)、少なくとも43.2%、43.4%、43.6%、43.8%、又は44%低下する。いくつかの実施形態では、抗体の投与後の患者のADAS-Cog11スコアは、抗体の投与なしで予測されるスコアと比較して(例えば、臨床研究の同等のプラセボアームと比較して)、少なくとも41%、41.5%、41.8%、42%、42.2%、42.4%、42.6%、42.8%、又は43%低下する。特定の実施形態では、抗体の投与後の患者のADAS-Cog11スコアは、当該抗体の投与なしで予想されるものと比較して(例えば、臨床研究の同等のプラセボアームと比較して)、20~60%、25~55%、25~50%、30~50%、35~45%、40~50%、35~40%、又は40~45%低下する。特定の実施形態では、抗体の投与後の患者のADAS-Cog11スコアは、当該抗体の投与なしで予想されるものと比較して(例えば、臨床研究の同等のプラセボアームと比較して)、42~44%、43~44%、43.4~43.8%、43.5~43.7%又は43.6%低下する。特定の実施形態では、抗体の投与後の患者のADAS-Cog11スコアは、当該抗体の投与なしで予想されるものと比較して(例えば、臨床研究の同等のプラセボアームと比較して)、40~45%、41~43%、42~42.5%又は42.2%低下する。特定の実施形態では、抗体の投与後の患者のADAS-Cog11スコアは、当該抗体の投与なしで予想されるものと比較して(例えば、臨床研究の同等のプラセボアームと比較して)、20%、25%、30%、35%、38%、40%、42%、43%又は45%低下する。いくつかの実施形態では、抗体はセモリネマブである。ある特定の実施形態では、記載される治療効果を達成するために、(例えば、49週目までに)12~16回の用量、12~15回の用量、13~15回の用量、13~14回の用量、14~15回の用量、又は14回の用量が投与される。ある特定の実施形態では、抗体を、少なくとも49週間にわたって4週間ごとに(又は毎月)少なくとも1回投与する。いくつかの実施形態では、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体を、少なくとも48週間にわたって4週間ごとに(又は毎月)少なくとも1回投与する。
【0477】
いくつかの実施形態では、認知機能低下のこの減少は、少なくとも20週間後、少なくとも25週間後、少なくとも30週間後、少なくとも35週間後、少なくとも37週間後、少なくとも40週間後、少なくとも45週間後、少なくとも47週間後、少なくとも49週間後、少なくとも51週間後、又は少なくとも53週間後、任意に49週間後に現れる。いくつかの実施形態では、抗体を投与して少なくとも45週間後、少なくとも47週間後、少なくとも49週間後、少なくとも51週間後、又は少なくとも53週間後、任意に49週間後のADAS-Cog11スコアは、抗体を投与する前の患者からの以前のADAS-Cog11スコア(ベースラインスコア)よりも30%、35%、40%、45%、又は50%以下高い。いくつかの実施形態では、ベースラインと比較した、又は抗タウ抗体を投与せずに予想されるものと比較した安定したADAS-Cog11スコアは、ADの進行の遅延、遅延若しくは停止、又は臨床的認知機能低下、例えば軽度から中等度のADにおける、及び/又は新しい臨床的認知症候若しくは障害の欠如、又は疾患進行の全体的な安定化を示す。特定の一実施形態では、抗体はセモリネマブ(例えば、セモリネマブ4500mg)である。
【0478】
ある特定の実施形態では、本開示は、記憶の低下速度を遅くする、例えば、記憶容量又は記憶機能の損失を遅くする、及び/又は進行性記憶損失を減少させる方法を提供する。特定の実施形態では、本開示は、例えば、抗体の投与前後に患者についてADAS-Cog11記憶ドメインスコアを評価する、軽度から中等度のAD又は中等度のADと診断された患者のADAS-Cog11記憶ドメインスコアの2.5ポイント以内に記憶容量を維持する方法を提供する。いくつかの実施形態では、抗体の投与後の患者のADAS-Cog11記憶ドメインスコアは、抗体の投与前よりも1ポイント以下、1.4ポイント以下、1.5ポイント以下、1.6ポイント以下、1.7ポイント以下、1.8ポイント以下、2ポイント以下、2.2ポイント以下、2.3ポイント以下、2.4ポイント以下、又は2.5ポイント以下高い。いくつかの実施形態では、抗体の投与後の患者のADAS-Cog11記憶ドメインスコアは、抗体の投与前よりも1~2ポイント、1.5~2ポイント、1~2.5ポイント、又は1.5~2.5ポイント高い。いくつかの実施形態では、抗体の投与後の患者のADAS-Cog11記憶ドメインスコアは、抗体の投与前よりも1ポイント、1.5ポイント、2ポイント、又は2.5ポイント以内高い。いくつかの実施形態では、抗体の投与後の患者のADAS-Cog11記憶ドメインスコアは、抗体の投与前よりも1ポイント、1.5ポイント、2ポイント、又は2.5ポイント高い。いくつかの実施形態では、抗体はセモリネマブである。ある特定の実施形態では、抗体を、少なくとも49週間にわたって4週間ごとに(又は毎月)少なくとも1回投与する。ある特定の実施形態では、セモリネマブを、少なくとも48週間にわたって4週間ごとに(又は毎月)少なくとも1回投与する。
【0479】
いくつかの実施形態では、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体の投与後に評価される対象のADAS-Cog11記憶ドメインスコアは、当該抗体の投与前に評価される患者のADAS-Cog11メモリドメインスコアよりも1ポイント以下、1.5ポイント以下、1.7ポイント以下、2ポイント以下、2.3ポイント以下、又は2.5ポイント以下高い。いくつかの実施形態では、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体の投与後に評価される対象のADAS-Cog11記憶ドメインスコアは、当該抗体の投与前に評価される患者のADAS-Cog11メモリドメインスコアよりも1ポイント以下高い。いくつかの実施形態では、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体の投与後に評価される対象のADAS-Cog11記憶ドメインスコアは、当該抗体の投与前に評価される患者のADAS-Cog11メモリドメインスコアよりも1.5ポイント以下高い。いくつかの実施形態では、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体の投与後に評価される対象のADAS-Cog11記憶ドメインスコアは、当該抗体の投与前に評価される患者のADAS-Cog11メモリドメインスコアよりも1.7ポイント以下高い。いくつかの実施形態では、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体の投与後に評価される対象のADAS-Cog11記憶ドメインスコアは、当該抗体の投与前に評価される患者のADAS-Cog11メモリドメインスコアよりも2ポイント以下高い。いくつかの実施形態では、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体の投与後に評価される対象のADAS-Cog11記憶ドメインスコアは、当該抗体の投与前に評価される患者のADAS-Cog11メモリドメインスコアよりも2.3ポイント以下高い。いくつかの実施形態では、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体の投与後に評価される対象のADAS-Cog11記憶ドメインスコアは、当該抗体の投与前に評価される患者のADAS-Cog11メモリドメインスコアよりも2.5ポイント以下高い。いくつかの実施形態では、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体の投与後に評価される対象のADAS-Cog11記憶ドメインスコアは、当該抗体の投与前に評価される患者のADAS-Cog11メモリドメインスコアよりも1~2ポイント高い。いくつかの実施形態では、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体の投与後に評価される対象のADAS-Cog11記憶ドメインスコアは、当該抗体の投与前に評価される患者のADAS-Cog11メモリドメインスコアよりも1.5~2.5ポイント高い。いくつかの実施形態では、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体の投与後に評価される対象のADAS-Cog11記憶ドメインスコアは、当該抗体の投与前に評価される患者のADAS-Cog11メモリドメインスコアよりも1ポイント高い。いくつかの実施形態では、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体の投与後に評価される対象のADAS-Cog11記憶ドメインスコアは、当該抗体の投与前に評価される患者のADAS-Cog11メモリドメインスコアよりも1.5ポイント高い。いくつかの実施形態では、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体の投与後に評価される対象のADAS-Cog11記憶ドメインスコアは、当該抗体の投与前に評価される患者のADAS-Cog11メモリドメインスコアよりも2ポイント高い。いくつかの実施形態では、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体の投与後に評価される対象のADAS-Cog11記憶ドメインスコアは、当該抗体の投与前に評価される患者のADAS-Cog11メモリドメインスコアよりも2.5ポイント高い。
【0480】
いくつかの実施形態では、記憶力のこの維持は、少なくとも20週間後、少なくとも25週間後、少なくとも30週間後、少なくとも35週間後、少なくとも37週間後、少なくとも40週間後、少なくとも45週間後、少なくとも47週間後、少なくとも49週間後、少なくとも51週間後、又は少なくとも53週間後、任意に49週間後に現れる。いくつかの実施形態では、抗体を投与してから少なくとも45週間後、少なくとも47週間後、少なくとも49週間後、少なくとも51週間後、又は少なくとも53週間後、任意に、49週間後のADAS-Cog11記憶ドメインスコアは、抗体を投与する前の患者からの以前のADAS-Cog11メモリドメインスコア(ベースラインスコア)よりも1ポイント、1.5ポイント、2ポイント、又は2.5ポイント以下高い。いくつかの実施形態では、ベースラインと比較した、又は抗タウ抗体を投与せずに予想されるものと比較した安定したADAS-Cog11記憶ドメインスコアは、ADの進行の遅延、遅延若しくは停止、又は臨床的認知機能低下、例えば軽度から中等度のADにおける(又は中等度のADにおける)、及び/又は新しい臨床的認知症候若しくは障害の欠如、又は疾患進行の全体的な安定化を示す。ある特定の実施形態では、抗体はセモリネマブ(例えば、セモリネマブ4500mg)である。
【0481】
いくつかの実施形態では、本明細書の治療方法は、抗体の投与なしで予想される記憶力と比較して(例えば、プラセボとの比較によって、例えば、臨床試験の対照アームの患者との比較によって示される)、患者の認知能力の低下を減少させる。特定の実施形態では、治療される患者は、16~21のMMSEスコア及び/又は1若しくは2のCDR-GSを有する軽度から中等度のAD(又は中等度のAD)を有する。特定の実施形態では、治療される患者は、16~18のMMSEスコア及び/又は2のCDR-GSを有する。特定の実施形態では、治療される患者は、16~19のMMSEスコア及び/又は2のCDR-GSを有する。いくつかの実施形態では、治療される患者は、軽度ADよりも疾患の後期段階にある。
【0482】
いくつかの実施形態では、抗体の投与後の患者のADAS-Cog11記憶ドメインスコアは、抗体の投与なしで予測されるスコアと比較して(例えば、臨床研究の同等のプラセボアームと比較して)、少なくとも20%、少なくとも23%、少なくとも25%、少なくとも28%、少なくとも30%、少なくとも33%、少なくとも35%、少なくとも38%、少なくとも40%、少なくとも41%、少なくとも42%、少なくとも43%、少なくとも44%、少なくとも45%、少なくとも46%、少なくとも48%、少なくとも50%、少なくとも53%、又は少なくとも55%、又は少なくとも60%低下する。いくつかの実施形態では、抗体の投与後の患者のADAS-Cog11記憶ドメインスコアは、抗体の投与なしで予測されるスコアと比較して(例えば、臨床研究の同等のプラセボアームと比較して)、少なくとも43.2%、43.4%、43.6%、43.8%、又は44%低下する。いくつかの実施形態では、抗体の投与後の患者のADAS-Cog11記憶ドメインスコアは、抗体の投与なしで予測されるスコアと比較して(例えば、臨床研究の同等のプラセボアームと比較して)、少なくとも41%、41.5%、41.8%、42%、42.2%、42.4%、42.6%、42.8%、又は43%低下する。特定の実施形態では、抗体の投与後の患者のADAS-Cog11記憶ドメインスコアは、当該抗体の投与なしで予想されるものと比較して(例えば、臨床研究の同等のプラセボアームと比較して)、20~60%、25~55%、25~50%、30~50%、35~45%、40~50%、35~40%、又は40~45%低下する。特定の実施形態では、抗体の投与後の患者のADAS-Cog11記憶ドメインスコアは、当該抗体の投与なしで予想されるものと比較して(例えば、臨床研究の同等のプラセボアームと比較して)、42~44%、43~44%、43.4~43.8%、43.5~43.7%又は43.6%低下する。特定の実施形態では、抗体の投与後の患者のADAS-Cog11記憶ドメインスコアは、当該抗体の投与なしで予想されるものと比較して(例えば、臨床研究の同等のプラセボアームと比較して)、40~45%、41~43%、42~42.5%又は42.2%低下する。特定の実施形態では、抗体の投与後の患者のADAS-Cog11記憶ドメインスコアは、当該抗体の投与なしで予想されるものと比較して(例えば、臨床研究の同等のプラセボアームと比較して)、20%、25%、30%、35%、38%、40%、42%、43%又は45%低下する。いくつかの実施形態では、抗体はセモリネマブである。ある特定の実施形態では、記載される治療効果を達成するために、(例えば、49週目までに)12~16回の用量、12~15回の用量、13~15回の用量、13~14回の用量、14~15回の用量、又は14回の用量が投与される。特定の実施形態では、抗体を、少なくとも49週間にわたって4週間ごとに(又は毎月)少なくとも1回投与する。
【0483】
いくつかの実施形態では、記憶力低下のこの減少は、少なくとも20週間後、少なくとも25週間後、少なくとも30週間後、少なくとも35週間後、少なくとも37週間後、少なくとも40週間後、少なくとも45週間後、少なくとも47週間後、少なくとも49週間後、少なくとも51週間後、又は少なくとも53週間後、任意に49週間後に現れる。いくつかの実施形態では、抗体を投与して少なくとも45週間後、少なくとも47週間後、少なくとも49週間後、少なくとも51週間後、又は少なくとも53週間後、任意に49週間後のADAS-Cog11記憶ドメインスコアは、抗体を投与する前の患者からの以前のADAS-Cog11メモリドメインスコア(ベースラインスコア)よりも30%、35%、40%、45%、又は50%以下高い。いくつかの実施形態では、ベースラインと比較した、又は抗タウ抗体を投与せずに予想されるものと比較した安定したADAS-Cog11記憶ドメインスコアは、ADの進行の遅延、遅延若しくは停止、又は臨床的認知機能低下、例えば軽度から中等度のADにおける(又は中等度のADにおける)、及び/又は新しい臨床的認知症候若しくは障害の欠如、又は疾患進行の全体的な安定化を示す。ある特定の実施形態では、抗体はセモリネマブ(例えば、セモリネマブ4500mg)である。
【0484】
a)タウレベル
患者におけるタウレベル又はタウ負荷は、例えばPET(陽電子放出断層撮影)スキャンを使用して、神経学的撮像技術及びツールを使用して評価することができる。このような方法では、タウに結合することが知られているトレーサー分子をPET感受性放射性同位体で放射性標識し、患者に導入する。患者の脳のスキャンと併せて、トレーサーがタウ分子に結合するという仮定に基づいて、タウの位置及び量(すなわち、分布)を画像化することができる。経時的に、例えば治療の投与の前後に(又は治療レジメンの経過全体にわたって1つ以上の間隔で)行われる患者の連続PETスキャンにより、脳内のタウ負荷の増加、減少、又は変化していない検出を可能にすることができる。患者のタウレベルは、患者からの血液、血清、又はCSF試料中のタウを測定することによっても評価することができる。これらの技術のうちの1つ以上を使用して、治療の過程にわたる様々な時点において、総タウが増加しているか減少しているか、又はタウの所与のアイソフォーム(例えば、凝集タウ)が増加しているか減少しているかを決定することができる。
【0485】
いくつかの実施形態では、タウトレーサーは、米国特許第10,076,581号に記載されているように、[18F]Genentechタウプローブ1([18F]GTP1)である。いくつかの実施形態では、他のタウプローブを使用することができる。そのようなトレーサー分子の例としては、限定されないが、RO-948(F.Hoffmann-La Roche AG);AV-1451(「フロルタウシピル」、Avid,Inc.);PI-2014,及びPI-2620(AC Immune);MK-6240(Merck Sharp&Dohme);並びにT-808(Eli Lilly&Co.)が挙げられる。放射性標識トレーサーの画像化に基づいて、患者の脳内のタウ分布を定量化する方法としては、「標準化取込み値比」(SUVR)が挙げられる(例えば、参照により本明細書に組み込まれるJ.Nucl.Med.,S.Sanabria Bohorquez et al.,58(1),(2017)を参照)。
【0486】
[18F]GTP1等の放射性リガンドを使用するタウ撮像は、タウ病態の分布と抗タウ療法に対する応答との間の関係を評価することを可能にするという点で、従来のCSFバイオマーカー評価を超える利点を提供する。例えば、本明細書に開示される臨床研究(実施例1)では、タウ病態、認知機能、及び疾患進行の空間分布の間の関係を知らせる可能性があるため、セモリネマブに対するこのバイオマーカーの応答を評価するために、長期[18F]GTP1 PETイメージングデータを収集した。
【0487】
理論に束縛されるものではないが、ADの異なる段階では、タウ病態は異なる一次構成で現れることがあり、これは、タウ病態の更なる広がり及び臨床的減退に対するタウ病態の相対的寄与の両方において異なる役割を果たし得る。以前の臨床研究では、初期(前駆期から軽度)AD患者の治療が検討されたが、本明細書で提供される結果では、軽度から中等度のAD患者の治療が検討された。したがって、本明細書に開示される以前の臨床研究及び臨床研究は、(この点に関して)異なる患者集団を表す。
【0488】
b)アミロイドレベル
脳のアミロイドの量又は負荷は、神経学的撮像技術及びツールを使用して、例えばPET(陽電子放出断層撮影)スキャンを使用して決定することができる。経時的に、例えば治療の投与の前後に(又は治療レジメンの経過全体にわたって1つ以上の間隔で)行われる患者の連続PETスキャンにより、脳内のアミロイドベータ負荷の増加、減少、又は変化していない検出を可能にすることができる。この技術は、アミロイド蓄積が増加しているか減少しているかを判定するために更に使用することができる。いくつかの実施形態では、脳内のアミロイド沈着の検出は、CSF Aベータ1~42レベル(事前に指定されたカットオフポイント及びRoche Diagnostics Elecsys(登録商標)βAmyloid [1-42]イムノアッセイ(下方カットオフ;1,000pg/mL以下)を使用する)又はアミロイドPETイメージングによる脳の集中視覚評価を測定することによって行われる。いくつかの実施形態では、脳内のアミロイド沈着の検出は、フロルベタピル、フロルベタベン、及び/又はフルテメタモルを使用して行われる。いくつかの実施形態では、フロルベタピルPETスキャンは、スキャンの集中的な視覚的読み取りに基づいて、中~高頻度の神経炎プラークの存在を確立する場合に陽性とみなされる。
【0489】
Aベータ沈着のバイオマーカーの証拠は、CSF Aベータ1~42レベルの低下(例えば、事前に指定されたカットオフポイント及びRoche Diagnostics Elecsys(登録商標)βAmyloid[1-42]イムノアッセイ(下方カットオフ;1,000pg/mL以下)を使用する)及び/又はアミロイドPETイメージングによる脳の集中視覚評価によって評価することができる。両アプローチは、剖検時のAベータ病態の「ゴールドスタンダード」と相関することが示されている(Shaw et al.Ann Neurol.2009:65;403-13;Clark et al.JAMA 2011;305:275-83;Le Bastard et al.J Alzheimer’s Dis 2013;33:117-31)(例えば、実施例1を参照)。
【0490】
c)評価スケジュール
典型的には、患者は、抗タウ抗体の投与前後の様々な時点で評価される。いくつかの実施形態では、患者は、「治療の前」に評価され、これは、抗体による治療の開始前、例えば、抗体の最初の投与の前、すなわち、その患者への第1の/初回用量の抗体の投与の前を意味する。「ベースライン」スコアは、治療前、抗体の第1の/初回用量の前に評価されるスコアを指す。
【0491】
「治療前」は、典型的には、疾患の診断(例えば、AD、又は軽度から中等度のAD)から本明細書で提供される治療の投与までの任意の時点を意味する。いくつかの実施形態では、治療前は、治療前12ヶ月、6ヶ月、3ヶ月、2ヶ月、1ヶ月、3週間、2週間、又は1週間以内である。いくつかの実施形態では、ベースライン評価は、同じ日であるが治療開始前に行われる。ベースライン期間は、15日以上まで続く場合がある。いくつかの実施形態では、ベースラインは、スクリーニング及びベースライン観察の平均を指す。いくつかの実施形態では、ベースラインは、抗体による治療の開始の5~10分前、15~30分前、30~60分前、1~2時間前、2~12時間前、12~18時間前、12~24時間前、1日前、2日前、3日前、1週間前、10日間前、14日間前又は15日間前に評価される。
【0492】
いくつかの実施形態では、患者は、抗体による治療の開始後、例えばその患者への抗体の第1、第2、第3等の投与後に評価される。患者は、用量が投与されるのと同じ日に、例えば同じ診療所来院中に、又は異なる日に評価され得る。
【0493】
いくつかの実施形態では、ベースライン及び患者が治療上の利益及び/又は安全性(有害作用)について評価される時点は、少なくとも1週間、少なくとも3週間、少なくとも5週間、少なくとも9週間、少なくとも13週間、少なくとも17週間、少なくとも21週間、少なくとも25週間、少なくとも29週間、少なくとも33週間、少なくとも37週間、少なくとも41週間、少なくとも45週間、少なくとも49週間、及び/又は少なくとも57週間離れている。いくつかの実施形態では、患者は、ベースライン又は以前の治療から1週間、3週間(±3日間)、5週間(±5日間)、9週間(±5日間)、13週間(±5日間)、17週間(±5日間)、21週間(±5日間)、25週間(±5日間)、29週間(±5日間)、33週間(±5日間)、37週間(±5日間)、41週間(±5日間)、45週間(±5日間)、49週間(±5日間)、及び/又は57週間(±7日間)の時点で評価される。例えば、実施例1、コホート1(二重盲検治療期間)を参照されたい。いくつかの実施形態では、ベースライン及び患者が治療上の利益及び/又は安全性(有害作用)について評価される時点は、少なくとも53週間、少なくとも57週間、少なくとも61週間、少なくとも65週間、少なくとも69週間、少なくとも73週間、少なくとも77週間、少なくとも81週間、少なくとも85週間、少なくとも89週間、少なくとも93週間、少なくとも97週間、少なくとも101週間、少なくとも105週間、少なくとも109週間、少なくとも113週間、少なくとも117週間、少なくとも121週間、少なくとも125週間、少なくとも129週間、少なくとも133週間、少なくとも137週間、少なくとも141週間、少なくとも145週間、及び/又は少なくとも157週間離れている。いくつかの実施形態では、患者は、ベースライン又は以前の治療から53週間(±5日間)、57週間(±5日間)、61週間(±5日間)、65週間(±5日間)、69週間(±5日間)、73週間(±5日間)、77週間(±5日間)、81週間(±5日間)、85週間(±5日間)、89週間(±5日間)、93週間(±5日間)、97週間(±5日間)、101週間(±5日間)、105週間(±5日間)、109週間(±5日間)、113週間(±5日間)、117週間(±5日間)、121週間(±5日間)、125週間(±5日間)、129週間(±5日間)、133週間(±5日間)、137週間(±5日間)、141週間(±5日間)、145週間(±5日)及び/又は157週間(±5日)の時点で評価される。例えば、実施例1、コホート1(非盲検延長期間)を参照されたい。
【0494】
いくつかの実施形態では、ベースライン及び患者が治療上の利益及び/又は安全性(有害作用)について評価される時点は、少なくとも1週間、少なくとも3週間、少なくとも5週間、少なくとも9週間、少なくとも13週間、少なくとも17週間、少なくとも21週間、少なくとも25週間、少なくとも29週間、少なくとも33週間、少なくとも37週間、少なくとも41週間、少なくとも45週間、少なくとも49週間、少なくとも53週間、少なくとも57週間、少なくとも61週間、及び/又は少なくとも69週間離れている。いくつかの実施形態では、患者は、ベースライン又は以前の治療から1週間、3週間(±3日間)、5週間(±5日間)、9週間(±5日間)、13週間(±5日間)、17週間(±5日間)、21週間(±5日間)、25週間(±5日間)、29週間(±5日間)、33週間(±5日間)、37週間(±5日間)、41週間(±5日間)、45週間(±5日間)、49週間(±5日間)、53週間(±5日間)、57週間(±5日間)、61週間(±5日間)、及び/又は69週間(±7日間)の時点で評価される。例えば、実施例1、コホート2(二重盲検治療期間)を参照されたい。
【0495】
いくつかの実施形態では、患者は、抗体の最初の投与(すなわち、抗体による治療の開始後)の少なくとも65週間後、少なくとも69週間後、少なくとも73週間後、少なくとも77週間後、少なくとも81週間後、少なくとも85週間後、少なくとも89週間後、少なくとも93週間後、少なくとも97週間後、少なくとも101週間後、少なくとも105週間後、少なくとも109週間後、少なくとも113週間後、少なくとも117週間後、少なくとも121週間後、少なくとも125週間後、少なくとも129週間後、少なくとも133週間後、少なくとも137週間後、少なくとも141週間後、少なくとも145週間後、少なくとも149週間後、少なくとも153週間後、少なくとも157週間後、及び/又は少なくとも169週間後に評価される。いくつかの実施形態では、患者は、ベースライン又は以前の治療から53週間(±5日間)、57週間(±5日間)、61週間(±5日間)、65週間(±5日間)、69週間(±5日間)、73週間(±5日間)、77週間(±5日間)、81週間(±5日間)、85週間(±5日間)、89週間(±5日間)、93週間(±5日間)、97週間(±5日間)、101週間(±5日間)、105週間(±5日間)、109週間(±5日間)、113週間(±5日間)、117週間(±5日間)、121週間(±5日間)、125週間(±5日間)、129週間(±5日間)、133週間(±5日間)、137週間(±5日間)、141週間(±5日間)、145週間(±5日)、149週間(±5日)、153週間(±5日)、157週間(±5日)、及び/又は169週間(±5日)の時点で評価される。例えば、実施例1、コホート2(非盲検延長期間)を参照されたい。
【0496】
いくつかの実施形態では、ベースライン及び患者が治療上の利益及び/又は安全性(有害作用)について評価される時点は、少なくとも1週間、少なくとも3週間、少なくとも5週間、少なくとも9週間、少なくとも13週間、少なくとも17週間、少なくとも21週間、少なくとも25週間、少なくとも29週間、少なくとも33週間、少なくとも37週間、少なくとも41週間、少なくとも45週間、少なくとも49週間、少なくとも53週間、少なくとも57週間、少なくとも61週間、少なくとも65週間、少なくとも69週間、少なくとも73週間、及び/又は少なくとも81週間離れている。いくつかの実施形態では、患者は、ベースライン又は以前の治療から1週間、3週間(±3日間)、5週間(±5日間)、9週間(±5日間)、13週間(±5日間)、17週間(±5日間)、21週間(±5日間)、25週間(±5日間)、29週間(±5日間)、33週間(±5日間)、37週間(±5日間)、41週間(±5日間)、45週間(±5日間)、49週間(±5日間)、53週間(±5日間)、57週間(±5日間)、61週間(±5日間)、65週間(±5日間)、69週間(±5日間)、71週間(±5日間)、及び/又は81週間(±7日間)の時点で評価される。例えば、実施例1、コホート3(二重盲検治療期間)を参照されたい。いくつかの実施形態では、ベースライン及び患者が治療上の利益及び/又は安全性(有害作用)について評価される時点は、少なくとも77週間、少なくとも81週間、少なくとも85週間、少なくとも89週間、少なくとも93週間、少なくとも97週間、少なくとも101週間、少なくとも105週間、少なくとも109週間、少なくとも113週間、少なくとも117週間、少なくとも121週間、少なくとも125週間、少なくとも129週間、少なくとも133週間、少なくとも137週間、少なくとも141週間、少なくとも145週間、少なくとも149週間、少なくとも153週間、少なくとも157週間、少なくとも161週間、少なくとも165週間、少なくとも169週間、及び/又は少なくとも181週間離れている。いくつかの実施形態では、患者は、ベースライン又は以前の治療から77週間(±5日間)、81週間(±5日間)、85週間(±5日間)、89週間(±5日間)、93週間(±5日間)、97週間(±5日間)、101週間(±5日間)、105週間(±5日間)、109週間(±5日間)、113週間(±5日間)、117週間(±5日間)、121週間(±5日間)、125週間(±5日間)、129週間(±5日間)、133週間(±5日間)、137週間(±5日間)、141週間(±5日間)、145週間(±5日間)、149週間(±5日間)、153週間(±5日間)、157週間(±5日間)、161週間(±5日間)、165週間(±5日間)、169週間(±5日)及び/又は181週間(±5日)の時点で評価される。例えば、実施例1、コホート3(非盲検延長期間)を参照されたい。
【0497】
3.同時投与
本開示の抗体を、単独で、又は他の薬剤若しくは他の治療と組み合わせて使用することができる。例えば、抗タウ抗体は、「同時投与」されてもよく、又は少なくとも1つの追加の治療剤と同時投与されてもよい。追加の治療は、抗タウ抗体に加えて、患者によって使用される任意の薬物治療(例えば、処方薬、市販薬、ワクチン、ハーブ療法又はホメオパシー療法、栄養補助食品)を含み得る。例としては、ヒトタウを標的とする任意の薬剤が挙げられる。場合によっては、追加の治療は、オピエート又はオピオイド、ベンゾジアゼピン、バルビツレート又は催眠薬、臨床的に有意な中枢性抗ヒスタミン活性又は抗コリン活性を有する薬物治療、抗精神病薬及び/又は神経遮断薬物治療を含む。特定の場合において、追加の治療は、併用薬物治療、例えば、(ADの症候を改善するために使用される)対症療法薬であり、これには、1つ以上のコリンエステラーゼ阻害剤(例えば、ガランタミン、リバスチグミン、ドネペジル等)、N-メチル-D-アスパラギン酸受容体拮抗薬(例えば、メマンチン)、及び/又は栄養補助食品(例えば、栄養補助食品のSouvenaid(登録商標))が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、本開示の1つ以上の追加の薬剤は、対症療法薬、神経薬、コルチコステロイド、抗生物質、抗ウイルス薬、追加の抗タウ抗体、タウ阻害剤、抗アミロイドベータ抗体、ベータ-アミロイド凝集阻害剤、抗BACE1抗体、BACE1阻害剤;コリンエステラーゼ阻害剤;NMDA受容体拮抗薬;モノアミン枯渇剤;メシル酸エルゴロイド;抗コリン作動性パーキンソン症候群治療薬;ドーパミン作動性パーキンソン症候群治療薬;テトラベナジン;抗炎症剤;ホルモン;ビタミン;ジメボリン;ホモタウリン;セロトニン受容体活性調節剤;インターフェロン、及び糖質コルチコイドからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、1つ以上の追加の薬剤は、対症療法薬である。いくつかの実施形態では、1つ以上の追加の薬剤は、神経薬である。いくつかの実施形態では、1つ以上の追加の薬剤はコルチコステロイドである。いくつかの実施形態では、1つ以上の追加の薬剤は抗生物質である。いくつかの実施形態では、1つ以上の追加の薬剤は抗ウイルス剤である。いくつかの実施形態では、1つ以上の追加の薬剤は追加の抗タウ抗体である。いくつかの実施形態では、1つ以上の追加の薬剤はタウ阻害剤である。いくつかの実施形態では、1つ以上の追加の薬剤は抗アミロイドベータ抗体である。いくつかの実施形態では、1つ以上の追加の薬剤はベータ-アミロイド凝集阻害剤である。いくつかの実施形態では、1つ以上の追加の薬剤は抗BACE1抗体である。いくつかの実施形態では、1つ以上の追加の薬剤はBACE1阻害剤である。いくつかの実施形態では、1つ以上の追加の薬剤はコリンエステラーゼ阻害剤である。いくつかの実施形態では、1つ以上の追加の薬剤はNMDA受容体拮抗薬である。いくつかの実施形態では、1つ以上の追加の薬剤はモノアミン枯渇剤である。いくつかの実施形態では、1つ以上の追加の薬剤はメシル酸エルゴロイドである。いくつかの実施形態では、1つ以上の追加の薬剤は抗コリン作動性パーキンソン症候群治療薬である。いくつかの実施形態では、1つ以上の追加の薬剤はドーパミン作動性パーキンソン症候群治療薬である。いくつかの実施形態では、1つ以上の追加の薬剤はテトラベナジンである。いくつかの実施形態では、1つ以上の追加の薬剤は抗炎症剤である。いくつかの実施形態では、1つ以上の追加の薬剤はホルモンである。いくつかの実施形態では、1つ以上の追加の薬剤はビタミンである。いくつかの実施形態では、1つ以上の追加の薬剤はジメボリンである。いくつかの実施形態では、1つ以上の追加の薬剤はホモタウリンである。いくつかの実施形態では、1つ以上の追加の薬剤はセロトニン受容体活性調節因子である。いくつかの実施形態では、1つ以上の追加の薬剤はインターフェロンである。いくつかの実施形態では、1つ以上の追加の薬剤は糖質コルチコイドである。
【0498】
したがって、抗タウ抗体は、生物学的に活性な物質又は化合物、例えば、タウオパチー及び/又はアミロイドーシスの薬物治療に使用される既知の化合物等の追加の治療剤と組み合わせて投与され得る。
【0499】
一般に、他の治療剤は、ニューロン-伝達エンハンサー、心理療法薬、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤、カルシウムチャネル遮断剤、生体アミン、ベンゾジアゼピン精神安定剤、アセチルコリン合成、貯蔵若しくは放出エンハンサー、アセチルコリンシナプス後受容体アゴニスト、モノアミン酸化酵素A若しくはB阻害剤、N-メチル-D-アスパラギン酸グルタミン酸受容体拮抗薬、非ステロイド性抗炎症薬、酸化防止剤、セロトニン受容体拮抗薬、又は他の治療剤を含み得る。特に、追加の治療剤は、酸化ストレスに対する化合物、抗アポトーシス性化合物、金属キレート剤、DNA修復の阻害剤(ピレンゼピン及び代謝物等)、3-アミノ-1-プロパンスルホン酸(3APS)、1,3-プロパンジスルホン酸(1,3PDS)、セクレターゼ活性化剤、ベータ-及びガンマ-セクレターゼ阻害剤、タウタンパク質、その他の抗タウ抗体(国際公開第2012049570号、国際公開第2014028777号、国際公開第2014165271号、国際公開第2014100600号、国際公開第2015200806号、米国特許第8980270号、及び米国特許第8980271号に開示される抗体を含むが、これらに限定されない)、神経伝達物質、ベータ-シートブレーカー、抗炎症性分子、「非定型抗精神病剤」(例えば、クロザピン、ジプラシドン、リスペリドン、アリピプラゾール若しくはオランザピン等)、又はコリンエステラーゼ阻害剤(ChEI)(タクリン、リバスチグミン、ドネペジル、及び/若しくはガランタミン等)、並びに他の薬物及び栄養素補助剤(例えば、ビタミンB12、システイン、アセチルコリンの前駆体、レシチン、コリン、イチョウ、アシエチル-L-カルニチン、イデベノン、プロペントフィリン、及び/又はキサンチン誘導体)から選択される少なくとも1つの化合物を含み得る。
【0500】
いくつかの実施形態では、抗タウ抗体は、神経薬と組み合わせて投与される。神経薬としては、ベータセクレターゼ、プレセニリン、アミロイド前駆体タンパク質又はその部分、アミロイドベータペプチド又はそれらのオリゴマー若しくは原線維、細胞死受容体6(DR6)、終末糖化産物受容体(RAGE)、パーキン、及びハンチンチン;NMDA受容体拮抗薬(すなわち、メマンチン)、モノアミン枯渇剤(すなわち、テトラベナジン);メシル酸エルゴロイド;抗コリン作動性パーキンソン症候群治療薬(すなわち、プロシクリジン、ジフェンヒドラミン、トリヘキシルフェニジル、ベンズトロピン、ビペリデン及びトリヘキシフェニジル);ドーパミン作動性パーキンソン症候群治療薬(すなわち、エンタカポン、セレギリン、プラミペキソール、ブロモクリプチン、ロチゴチン、セレギリン、ロピニロール、ラサギリン、アポモルヒネ、カルビドパ、レボドパ、ペルゴリド、トルカポン及びアマンタジン);テトラベナジン;抗炎症剤(非ステロイド性抗炎症薬(すなわち、インドメチシン(indomethicin)及び上記に列挙される他の化合物)を含むが、これらに限定されない);ホルモン(すなわち、エストロゲン、プロゲステロン及びリュープロリド);ビタミン(すなわち、葉酸及びニコチンアミド);ジメボリン(dimebolin);ホモタウリン(すなわち、3-アミノプロパンスルホン酸、3APS);セロトニン受容体活性調節剤(すなわち、キサリプロデン);インターフェロン、並びにグルココルチコイド又はコルチコステロイドから選択される標的に特異的に結合する、抗体又は他の結合分子(小分子、ペプチド、アプタマー、若しくは他のタンパク質結合剤を含むが、これらに限定されない)が挙げられるが、これらに限定されない。「コルチコステロイド」という用語は、フルチカゾン(プロピオン酸フルチカゾン(FP)を含む)、ベクロメタゾン、ブデソニド、シクレソニド、モメタゾン、フルニソリド、ベータメサゾン及びトリアムシノロンを含むが、これらに限定されない。「吸入可能コルチコステロイド」とは、吸入による送達に好適なコルチコステロイドを意味する。例示的な吸入可能コルチコステロイドは、フルチカゾン、プロピオン酸ベクロメタゾン、ブデノシド、フロ酸モメタゾン、シクレソニド、フルニソリド、及びトリアムシノロンアセトニドである。いくつかの実施形態では、本開示の1つ以上の追加の薬剤は、ベータセクレターゼ、タウ、プレセニリン、アミロイド前駆体タンパク質若しくはその一部、アミロイドベータペプチド又はそのオリゴマー若しくは原線維、細胞死受容体6(DR6)、終末糖化産物受容体(RAGE)、パーキン、及びハンチンチンからなる群から選択される標的に特異的に結合する治療剤を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の追加の薬剤は、ベータセクレターゼである標的に特異的に結合する治療剤である。いくつかの実施形態では、1つ以上の追加の薬剤は、タウである標的に特異的に結合する治療剤である。いくつかの実施形態では、1つ以上の追加の薬剤は、プレセニリンである標的に特異的に結合する治療剤である。いくつかの実施形態では、1つ以上の追加の薬剤は、アミロイド前駆体タンパク質又はその一部である標的に特異的に結合する治療剤である。いくつかの実施形態では、1つ以上の追加の薬剤は、アミロイドベータペプチド又はそのオリゴマー若しくは原線維である標的に特異的に結合する治療剤である。いくつかの実施形態では、1つ以上の追加の薬剤は、細胞死受容体6(DR6)である標的に特異的に結合する治療剤である。いくつかの実施形態では、1つ以上の追加の薬剤は、終末糖化産物受容体(RAGE)である標的に特異的に結合する治療剤である。いくつかの実施形態では、1つ以上の追加の薬剤は、パーキンである標的に特異的に結合する治療剤である。いくつかの実施形態では、1つ以上の追加の薬剤は、ハンチンチンである標的に特異的に結合する治療剤である。
【0501】
いくつかの実施形態では、モノアミン枯渇剤はテトラベナジンである。いくつかの実施形態では、抗コリン作動性パーキンソン症候群治療薬は、プロシクリジン、ジフェンヒドラミン、トリヘキシルフェニジル、ベンズトロピン、ビペリデン及びトリヘキシフェニジルからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、抗コリン作動性パーキンソン症候群治療薬はプロシクリジンである。いくつかの実施形態では、抗コリン作動性パーキンソン症候群治療薬はジフェンヒドラミンである。いくつかの実施形態では、抗コリン作動性パーキンソン症候群治療薬はトリヘキシルフェニジルである。いくつかの実施形態では、抗コリン作動性パーキンソン症候群治療薬はベンズトロピンである。いくつかの実施形態では、抗コリン作動性パーキンソン症候群治療薬はビペリデンである。いくつかの実施形態では、抗コリン作動性パーキンソン症候群治療薬はトリヘキシフェニジルである。いくつかの実施形態では、ドーパミン作動性パーキンソン症候群治療薬は、エンタカポン、セレギリン、プラミペキソール、ブロモクリプチン、ロチゴチン、セレギリン、ロピニロール、ラサギリン、アポモルヒネ、カルビドパ、レボドパ、ペルゴリド、トルカポン及びアマンタジンからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、ドーパミン作動性パーキンソン症候群治療薬はエンタカポンである。いくつかの実施形態では、ドーパミン作動性パーキンソン症候群治療薬はセレギリンである。いくつかの実施形態では、ドーパミン作動性パーキンソン症候群治療薬はプラミペキソールである。いくつかの実施形態では、ドーパミン作動性パーキンソン症候群治療薬はブロモクリプチンである。いくつかの実施形態では、ドーパミン作動性パーキンソン症候群治療薬はロチゴチンである。いくつかの実施形態では、ドーパミン作動性パーキンソン症候群治療薬はセレギリンである。いくつかの実施形態では、ドーパミン作動性パーキンソン症候群治療薬はロピニロールである。いくつかの実施形態では、ドーパミン作動性パーキンソン症候群治療薬はラサギリンである。いくつかの実施形態では、ドーパミン作動性パーキンソン症候群治療薬はアポモルヒネである。いくつかの実施形態では、ドーパミン作動性パーキンソン症候群治療薬はカルビドパである。いくつかの実施形態では、ドーパミン作動性パーキンソン症候群治療薬はレボドパである。いくつかの実施形態では、ドーパミン作動性パーキンソン症候群治療薬はペルゴリドである。いくつかの実施形態では、ドーパミン作動性パーキンソン症候群治療薬はトルカポンである。いくつかの実施形態では、ドーパミン作動性パーキンソン症候群治療薬はアマンタジンである。いくつかの実施形態では、抗炎症剤は、非ステロイド系抗炎症薬及びインドメタシンからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、抗炎症剤は非ステロイド系抗炎症薬である。いくつかの実施形態では、抗炎症剤はインドメタシンである。いくつかの実施形態では、ホルモンは、エストロゲン、プロゲステロン及びリュープロリドからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、ホルモンはエストロゲンである。いくつかの実施形態では、ホルモンはプロゲステロンである。いくつかの実施形態では、ホルモンはリュープロリドである。いくつかの実施形態では、ビタミンは、葉酸及びニコチンアミドからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、ビタミンは葉酸塩である。いくつかの実施形態では、ビタミンはニコチンアミドである。いくつかの実施形態では、ホモタウリンは、3-アミノプロパンスルホン酸又は3APSである。いくつかの実施形態では、セロトニン受容体活性調節因子はキサリプロデンである。
【0502】
特定のある特定の実施形態では、同時投与される薬剤は、コルチコステロイド、抗生物質、抗ウイルス剤、異なる抗タウ抗体、タウ阻害剤、抗アミロイドベータ抗体、ベータ-アミロイド凝集阻害剤、抗BACE 1抗体、BACE1阻害剤;標的に特異的に結合する治療剤;コリンエステラーゼ阻害剤;NMDA受容体拮抗薬;モノアミン枯渇剤;メシル酸エルゴロイド;抗コリン作動性パーキンソン症候群治療薬;ドーパミン作動性パーキンソン症候群治療薬;テトラベナジン;抗炎症剤;ホルモン;ビタミン;ジメボリン;ホモタウリン;セロトニン受容体活性調節剤;インターフェロン、及び糖質コルチコイドの群から選択される1つ以上である。
【0503】
いくつかの実施形態では、1つ以上の抗アミロイドベータ(抗Aベータ)抗体が、本明細書に開示される抗タウ抗体とともに投与されてもよい。そのような抗Aベータ抗体の非限定的な例としては、クレネズマブ、ソラネズマブ、バピネズマブ、アデュカヌマブ、ガンテネルマブ、ドナネマブ(Lilly)及びレカネマブ(BAN-2401;Biogen、Eisai Co.,Ltd)が挙げられる。いくつかの実施形態では、1つ以上のベータ-アミロイド凝集阻害剤が、本明細書で論じられる抗タウ抗体とともに投与されてもよい。非限定的な例示的ベータ-アミロイド凝集阻害剤としては、ELND-005(AZD-103又はシロ-イノシトールとも呼ばれる)、トラミプロセート、及びPTI-80(Exebryl-1(登録商標)、ProteoTech)が挙げられる。いくつかの実施形態では、1つ以上のBACE阻害剤を抗タウ抗体と共に投与することができる。BACE阻害剤の非限定的な例としては、E-2609(Biogen,Eisai Co.,Ltd.)、AZD3293(LY3314814、AstraZeneca,Eli Lilly&Co.としても知られる)、MK-8931(Verubecestat)、及びJNJ-54861911(Janssen,Shionogi Pharma)が挙げられる。
【0504】
いくつかの実施形態では、1つ以上のタウ阻害剤は、本明細書で論じられる抗タウ抗体と共に投与され得る。タウ阻害剤の非限定的な例としては、メチルチオニニウム、LMTX(ロイコ-メチルチオニニウム又はTrx-0237、TauRx Therapeutics Ltd.としても知られる)、Rember(商標)(メチレンブルー又は塩化メチルチオニニウム[MTC]、Trx-0014、TauRx Therapeutics Ltd)、PBT2(Prana Biotechnology)、及びPTI-51-CH3(TauPro(商標)、ProteoTech)が挙げられる。いくつかの実施形態では、セモリネマブ以外の1つ以上の抗タウ抗体を同時投与する。いくつかの実施形態では、異なる抗タウ抗体は、異なるN末端結合剤、中間ドメイン結合剤、及び線維性タウ結合剤からなる群から選択される1つ以上である。いくつかの実施形態では、追加の抗タウ抗体は、異なるN末端結合剤である。いくつかの実施形態では、追加の抗タウ抗体は、中間ドメイン結合剤である。いくつかの実施形態では、追加の抗タウ抗体は、線維性タウ結合剤である。いくつかの実施形態では、追加の抗タウ抗体は、ゴスラネマブ、チラボネマブ、ベプラネマブ、及びザゴテネマブからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、追加の抗タウ抗体は、ゴスラネマブ(BMS-986168とも呼ばれる)である。いくつかの実施形態では、追加の抗タウ抗体は、チラボネマブ(C2N-8E12とも呼ばれる)である。いくつかの実施形態では、追加の抗タウ抗体はベプラネマブである。いくつかの実施形態では、抗タウ抗体はザゴテネマブである。他の抗タウ抗体の非限定的な例としては、BIIB 092又はBMS-986168(Biogen。Bristol-Myers Squibb)、及びABBV-8E12又はC2N-8E12(AbbVie、C2N Diagnostics,LLC)が挙げられる。いくつかの実施形態では、NPT088(NeuroPhage Pharmaceuticals)等の一般的なミスフォールディング阻害剤を抗タウ抗体と共に投与する。
【0505】
いくつかの実施形態では、1つ以上抗Aベータ抗体が同時投与される。そのような抗Aベータ抗体の非限定的な例としては、クレネズマブ、ソラネズマブ、バピネズマブ、アデュカヌマブ、ドナネマブ、レカネマブ及びガンテネルマブが挙げられる。いくつかの実施形態では、本開示の抗アミロイドベータ抗体は、アデュカヌマブ、レカネマブ又はドナネマブである。いくつかの実施形態では、本開示の抗アミロイドベータ抗体は、クレネズマブ又はガンテネルマブである。いくつかの実施形態では、本開示の抗アミロイドベータ抗体は、アデュカヌマブである。いくつかの実施形態では、本開示の抗アミロイドベータ抗体は、レカネマブである。いくつかの実施形態では、本開示の抗アミロイドベータ抗体は、ドナネマブである。いくつかの実施形態では、本開示の抗アミロイドベータ抗体は、クレネズマブである。いくつかの実施形態では、本開示の抗アミロイドベータ抗体は、ガンテネルマブである。
【0506】
いくつかの実施形態では、「非定型抗精神病剤」は、例えば、幻覚、妄想、思考障害(顕著な支離滅裂、逸脱、脱線思考によって現れる)、及び奇異な行動又は解体行動、並びにアンヘドニア、情動平坦化、感情鈍麻、及び引きこもりを含む陽性及び陰性の精神病症候の治療のためのクロザピン、ジプラシドン、リスペリドン、アリピプラゾール又はオランザピン等が同時投与される。
【0507】
いくつかの実施形態では、同時投与することができる他の化合物としては、例えば、国際公開第2004/058258号(特に、16頁及び17頁を参照)に記載されている治療剤が挙げられ、治療薬標的(36~39頁)、アルカンスルホン酸及びアルカノール硫酸(39~51頁)、コリンエステラーゼ阻害剤(51~56頁)、NMDA受容体拮抗薬(56~58頁)、エストロゲン(58~59頁)、非ステロイド性抗炎症薬(60~61頁)、酸化防止剤(61~62頁)、ペルオキシソーム増殖因子-活性化受容体(PPAR)アゴニスト(63~67頁)、コレステロール低下剤(68~75頁);アミロイド阻害剤(75~77頁)、アミロイド形成阻害剤(77~78頁)、金属キレート剤(78~79頁)、抗精神病剤及び抗鬱剤(80~82頁)、栄養補助剤(83~89頁)及び脳内で生物活性物質の利用能を増加させる化合物(89~93頁を参照)並びにプロドラッグ(93及び94頁)を含む、例えば、国際公開第2004/058258号(特に16及び17頁を参照)を含み、この文書は、特に上記に示される頁に言及される化合物が、参照により本明細書に組み込まれる。
【0508】
上述のそのような併用療法は、併用投与(同じ又は別個の製剤中に2つ以上の治療剤が含まれる)及び別個の投与を包含し、別個の投与の場合、抗タウ抗体(例えば、セモリネマブ)の投与は、追加の治療剤(複数可)の投与前、投与と同時に、及び/又は投与後に行われ得る。いくつかの実施形態では、抗タウ抗体(例えば、セモリネマブ)は、追加の治療剤の投与前に投与される。いくつかの実施形態では、抗タウ抗体(例えば、セモリネマブ)は、追加の治療剤の投与と同時に投与される。いくつかの実施形態では、抗タウ抗体(例えば、セモリネマブ)は、追加の治療剤の投与後に投与される。いくつかの実施形態では、抗タウ抗体の投与及び追加の治療剤の投与は、互いの約1ヶ月以内、又は約1週間、2週間若しくは3週間以内、又は約1、2、3、4、5、若しくは6日以内に生じる。いくつかの実施形態では、抗タウ抗体及び追加の治療剤は、数分以内、例えば5分、10分、15分、20分、30分、45分、1時間、2時間、3時間、又は6時間以内に投与される。
【0509】
したがって、本明細書に開示される抗体は、任意に、問題となっている障害又はその症候の1つ以上を予防するために、又は治療するために現在使用されている1つ以上の薬剤とともに製剤化される場合がある。有効量のそのような他の作用物質は、製剤中に存在する抗体の量、障害又は治療の種類、及び上述の他の要因に依存する。これらは、一般に、ここに記載されている投与量と同じ投与量で、又はここに記載されている投与量の約1~99%、又は経験的/臨床的に適切であると判断される任意の投与量で、及び任意の投与経路で使用される。本明細書に開示される抗タウ抗体は、前述の治療剤のいずれかと同時に同時投与され得るか、又は前述の治療剤のいずれかの投与の前又は後に投与され得ることが当業者によって理解されるであろう。
【0510】
上記の製剤又は治療方法のいずれかは、抗タウ抗体の代わりに、又はそれに加えて、本開示の免疫コンジュゲートを使用して実施され得ることが理解される。
【0511】
D.製造品
別の態様では、本開示は、タウ病態の治療、予防、監視及び/又は診断に有用な材料を含む製造品を提供する。製造品は、容器と、容器に挿入されるか、又は容器に付随するラベル又はパッケージ添付文書とを備えている。好適な容器としては、例えば、瓶、バイアル、シリンジ、静注溶液袋等が挙げられる。容器は、ガラス又はプラスチック等の様々な材料から形成され得る。容器は、症状を治療、予防、監視、及び/又は診断するのに有効な別の組成物と単独で又は組み合わせて使用される組成物を保持し、無菌アクセスポートを有していてもよい(例えば、容器は、静脈内溶液バッグ又は皮下注射針によって穿孔可能なストッパーを有するバイアルであってもよい)。
【0512】
組成物中の少なくとも1つの活性剤は、本明細書に記載の抗タウ抗体である。ラベル又は添付文書は、組成物が、選択される症状を治療するために使用されることを示す。さらに、製造品は、(a)組成物が含有された第1の容器であって、組成物が抗タウ抗体を含む、第1の容器と、(b)組成物が含有された第2の容器であって、組成物が追加の治療剤を含む、第2の容器とを含み得る。本開示のこの実施形態における製造品は、特定の症状を治療するために上記組成物が使用可能であることを示す添付文書を更に含み得る。これに代えて、又はこれに加えて、製造品は、薬学的に許容される緩衝液、例えば、注射用静菌水(BWFI)又は注入用水、リン酸緩衝化生理食塩水、Ringer溶液及びデキストロース溶液を含む第2の(又は第3の)容器を更に含み得る。本製造品は、他のバッファー、希釈剤、フィルタ、針及びシリンジを含む、商業的及びユーザーの観点から望ましい他の材料を更に備えてもよい。
【0513】
E.認知能力の低下を維持又は遅らせる方法
本開示は、軽度から中等度のアルツハイマー病(AD)又は中等度のADと診断された対象における認知能力の低下を遅らせる方法に関する。本開示はまた、軽度から中等度のAD又は中等度のADと診断された患者のアルツハイマー病評価尺度、認知下位尺度、11項目バージョン(ADAS-Cog11)スコアの5ポイント以内に認知能力を維持する方法であって、12~17回の用量の当該抗体の投与後に評価される患者のADAS-Cog11スコアが、当該抗体の投与前に評価される患者のADAS-Cog11スコアよりも2.5ポイント以下、3ポイント以下、3.5ポイント以下、4ポイント以下、4.ポイント5以下、又は5ポイント以下高く、それにより認知能力を患者のADAS-Cog11スコアの5ポイント以内に維持する方法に関する。いくつかの実施形態では、本開示の方法は、軽度から中等度のAD又は中等度のADと診断された対象に4500mg用量のヒト化モノクローナル抗タウ抗体を投与することを含み、抗タウ抗体は、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む。
【0514】
本開示の一態様は、軽度から中等度のアルツハイマー病(AD)と診断された患者における認知能力の低下を遅らせる方法であって、患者に4500mg用量のヒト化モノクローナル抗タウ抗体を投与することを含み、抗タウ抗体は、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、方法を提供する。
【0515】
別の態様では、本開示は、軽度から中等度のADと診断された患者における認知能力の低下を遅らせるのに使用するために4500mgの用量で提供されるヒト化モノクローナル抗タウ抗体であって、抗タウ抗体が、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体を提供する。
【0516】
別の態様では、本開示は、軽度から中等度のADと診断された患者における認知能力の低下を遅らせるための医薬の製造のためのヒト化モノクローナル抗タウ抗体の使用であって、抗タウ抗体が、4500mgの用量で提供されるように製剤化され、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、使用を提供する。
【0517】
本開示の更なる態様は、中等度のADと診断された患者における認知能力の低下を遅らせる方法であって、当該患者に4500mgの用量のヒトかモノクローナル抗タウ抗体を投与することを含み、抗タウ抗体が、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、方法を提供する。
【0518】
別の態様では、本開示は、中等度のADと診断された患者における認知能力の低下を遅らせるのに使用するために4500mgの用量で提供されるヒト化モノクローナル抗タウ抗体であって、抗タウ抗体が、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体を提供する。
【0519】
別の態様では、本開示は、中等度のADと診断された患者における認知能力の低下を遅らせるための医薬の製造のためのヒト化モノクローナル抗タウ抗体の使用であって、抗タウ抗体が、4500mgの用量で提供されるように製剤化され、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、使用を提供する。
【0520】
本開示の更なる態様は、軽度から中等度のADと診断された患者のアルツハイマー病評価尺度、認知下位尺度、11項目バージョン(ADAS-Cog11スコアの5ポイント以内に認知能力を維持する方法であって、4500mg用量のヒト化モノクローナル抗タウ抗体を当該患者に投与することであって、12~17回の用量の当該抗体の投与後に評価された患者のADAS-Cog11スコアが、当該抗体の投与前に評価された患者のADAS-Cog11スコアよりも2.5ポイント以下、3ポイント以下、3.5ポイント以下、4ポイント以下、4.5ポイント以下、又は5ポイント以下高い、4500mg用量のヒト化モノクローナル抗タウ抗体を当該患者に投与することと、それによって患者のADAS-Cog11スコアの5ポイント以内に記憶を維持することと、を含み、抗タウ抗体が、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、方法を提供する。
【0521】
別の態様では、本開示は、12~17回の用量の投与後に、軽度から中等度のADと診断された患者のアルツハイマー病評価尺度、認知下位尺度、11項目バージョン(ADAS-Cog11)スコアよりも5ポイント以下高い認知能力の維持における使用のために4500mgの用量で提供されるヒト化モノクローナル抗タウ抗体であって、抗タウ抗体が、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体を提供する。
【0522】
別の態様では、本開示は、12~17回の用量の投与に続いて、軽度から中等度のADと診断された患者のアルツハイマー病評価尺度、認知下位尺度、11項目バージョン(ADAS-Cog11)スコアよりも5ポイント以下高い認知能力を維持するための医薬の製造のためのヒト化モノクローナル抗タウ抗体の使用であって、抗タウ抗体が、4500mgの用量で提供されるように製剤化され、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、使用を提供する。
【0523】
本開示の更なる態様は、中等度のADと診断された患者のアルツハイマー病評価尺度、認知下位尺度、11項目バージョン(ADAS-Cog11スコアの5ポイント以内に認知能力を維持する方法であって、4500mg用量のヒト化モノクローナル抗タウ抗体を当該患者に投与することであって、12~17回の用量の当該抗体の投与後に評価された患者のADAS-Cog11スコアが、当該抗体の投与前に評価された患者のADAS-Cog11スコアよりも2.5ポイント以下、3ポイント以下、3.5ポイント以下、4ポイント以下、4.5ポイント以下、又は5ポイント以下高い、4500mg用量のヒト化モノクローナル抗タウ抗体を当該患者に投与することと、それによって患者のADAS-Cog11スコアの5ポイント以内に記憶を維持することと、を含み、抗タウ抗体が、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、方法を提供する。
【0524】
別の態様では、本開示は、12~17回の用量の投与後に、中等度のADと診断された患者のアルツハイマー病評価尺度、認知下位尺度、11項目バージョン(ADAS-Cog11)スコアよりも5ポイント以下高い認知能力の維持における使用のために4500mgの用量で提供されるヒト化モノクローナル抗タウ抗体であって、抗タウ抗体が、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体を提供する。
【0525】
別の態様では、本開示は、12~17回の用量の投与に続いて、中等度のADと診断された患者のアルツハイマー病評価尺度、認知下位尺度、11項目バージョン(ADAS-Cog11)スコアよりも5ポイント以下高い認知能力を維持するための医薬の製造のためのヒト化モノクローナル抗タウ抗体の使用であって、抗タウ抗体が、4500mgの用量で提供されるように製剤化され、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、使用を提供する。
【0526】
本開示の追加の態様は、軽度から中等度のADと診断された患者における認知能力の低下を遅らせる方法であって、方法が、4500mg用量のセモリネマブを、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で患者に静脈内投与することを含む、方法を提供する。
【0527】
別の態様では、本開示は、軽度から中等度のADと診断された患者における認知能力の低下を遅らせるのに使用するための4500mg用量のセモリネマブであって、セモリネマブが、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で静脈内投与される、セモリネマブを提供する。
【0528】
別の態様では、本開示は、軽度から中等度のADと診断された患者における認知能力の低下を遅らせるための医薬の製造のためのセモリネマブの使用であって、セモリネマブが、4500mgの用量での静脈内投与用に製剤化され、医薬が、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で投与される、使用を提供する。
【0529】
本開示の更なる態様は、軽度から中等度のADと診断された患者のADAS-Cog11スコアの5ポイント以内に認知能力を維持する方法であって、方法が、4500mg用量のセモリネマブを、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で患者に静脈内投与することを含む、方法を提供する。
【0530】
別の態様では、本開示は、軽度から中等度のADと診断された患者のADAS-Cog11スコアよりも5ポイント以下高い認知能力の維持における使用のための4500mg用量のセモリネマブであって、セモリネマブが、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で静脈内投与される、セモリネマブを提供する。
【0531】
別の態様では、本開示は、軽度から中等度のADと診断された患者のADAS-Cog11スコアよりも5ポイント以下高い認知能力を維持するための医薬の製造のためのセモリネマブの使用であって、セモリネマブが、4500mgの用量での静脈内投与用に製剤化され、医薬が、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で投与されるように製剤化される、使用を提供する。
【0532】
本開示の追加の態様は、軽度から中等度のADと診断された患者のADAS-Cog11スコアの2.5ポイント以内に認知能力を維持する方法であって、方法が、4500mg用量のセモリネマブを、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で患者に静脈内投与することを含む、方法を提供する。
【0533】
別の態様では、本開示は、軽度から中等度のADと診断された患者のADAS-Cog11スコアよりも2.5ポイント以下高い認知能力の維持における使用のための4500mg用量のセモリネマブであって、セモリネマブが、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で静脈内投与される、セモリネマブを提供する。
【0534】
別の態様では、本開示は、軽度から中等度のADと診断された患者のADAS-Cog11スコアよりも2.5ポイント以下高い認知能力を維持するための医薬の製造のためのセモリネマブの使用であって、セモリネマブが、4500mgの用量での静脈内投与用に製剤化され、医薬が、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で投与されるように製剤化される、使用を提供する。
【0535】
本開示の追加の態様は、中等度のADと診断された患者における認知能力の低下を遅らせる方法であって、方法が、4500mg用量のセモリネマブを、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で患者に静脈内投与することを含む、方法を提供する。
【0536】
別の態様では、本開示は、中等度のADと診断された患者における認知能力の低下を遅らせるのに使用するための4500mg用量のセモリネマブであって、セモリネマブが、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で静脈内投与される、セモリネマブを提供する。
【0537】
別の態様では、本開示は、中等度のADと診断された患者における認知能力の低下を遅らせるための医薬の製造のためのセモリネマブの使用であって、セモリネマブが、4500mgの用量での静脈内投与用に製剤化され、医薬が、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で投与される、使用を提供する。
【0538】
本開示の更なる態様は、中等度のADと診断された患者のADAS-Cog11スコアの5ポイント以内に認知能力を維持する方法であって、方法が、4500mg用量のセモリネマブを、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4の頻度で患者に静脈内投与することを含む、方法を提供する。
【0539】
別の態様では、本開示は、中等度のADと診断された患者のADAS-Cog11スコアよりも5ポイント以下高い認知能力の維持における使用のための4500mg用量のセモリネマブであって、セモリネマブが、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で静脈内投与される、セモリネマブを提供する。
【0540】
別の態様では、本開示は、中等度のADと診断された患者のADAS-Cog11スコアよりも5ポイント以下高い認知能力を維持するための医薬の製造のためのセモリネマブの使用であって、セモリネマブが、4500mgの用量での静脈内投与用に製剤化され、医薬が、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で投与されるように製剤化される、使用を提供する。
【0541】
本開示の更なる態様は、中等度のADと診断された患者のADAS-Cog11スコアの2.5ポイント以内に認知能力を維持する方法であって、方法が、4500mg用量のセモリネマブを、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で患者に静脈内投与することを含む、方法を提供する。
【0542】
別の態様では、本開示は、中等度のADと診断された患者のADAS-Cog11スコアよりも2.5ポイント以下高い認知能力の維持における使用のための4500mg用量のセモリネマブであって、セモリネマブが、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で静脈内投与される、セモリネマブを提供する。
【0543】
別の態様では、本開示は、中等度のADと診断された患者のADAS-Cog11スコアよりも2.5ポイント以下高い認知能力を維持するための医薬の製造のためのセモリネマブの使用であって、セモリネマブが、4500mgの用量での静脈内投与用に製剤化され、医薬が、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で投与されるように製剤化される、使用を提供する。
【0544】
別段の指示がない限り、認知能力の維持又はその低下を遅らせる方法、使用のための抗体、又は使用の上記態様のいずれかは、本明細書に開示される抗タウ抗体、医薬組成物、投与経路、用量、投薬レジメン又は同時投与のいずれかを含むことができる。
【0545】
F.記憶力を維持する方法又は記憶力低下を遅らせる方法
本開示は、軽度から中等度のアルツハイマー病(AD)又は中等度のADを有する対象の記憶力低下を遅らせる方法に関する。本開示はまた、軽度から中等度のAD又は中等度のADと診断された対象のアルツハイマー病評価尺度、認知下位尺度、11項目バージョン(ADAS-Cog11)記憶ドメインスコアの2.5ポイント以内に記憶力を維持することに関し、12~17回の用量の抗体の投与後に評価された対象のADAS-Cog11記憶ドメインスコアが、抗体の投与前に評価された対象のADAS-Cog11記憶ドメインスコアよりも1ポイント以下、1.5ポイント以下、1.7ポイント以下、2ポイント以下、2.3ポイント以下、又は2.5ポイント以下高く、それにより記憶力を対象のADAS-Cog11記憶ドメインスコアの2.5ポイント以内に維持する。いくつかの実施形態では、本開示の方法は、軽度から中等度のAD又は中等度のADと診断された対象に4500mg用量のヒト化モノクローナル抗タウ抗体を投与することを含み、抗タウ抗体は、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む。
【0546】
本開示の態様は、軽度から中等度のADと診断された対象における記憶力低下を遅らせる方法であって、当該対象に4500mg用量のヒト化モノクローナル抗タウ抗体を投与することを含み、抗タウ抗体は、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、方法を提供する。
【0547】
別の態様では、本開示は、軽度から中等度のADと診断された対象における記憶力低下を遅らせるのに使用するために4500mgの用量で提供されるヒト化モノクローナル抗タウ抗体であって、抗タウ抗体が、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体を提供する。
【0548】
別の態様では、本開示は、軽度から中等度のADと診断された対象における記憶力低下を遅らせるための医薬の製造のためのヒト化モノクローナル抗タウ抗体の使用であって、抗体が、4500mgの用量で提供されるように製剤化され、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、使用を提供する。
【0549】
本開示の更なる態様は、中等度のADと診断された患者における記憶力の低下を遅らせる方法であって、当該患者に4500mgの用量のヒトかモノクローナル抗タウ抗体を投与して患者における記憶力低下を遅らせることを含み、抗タウ抗体が、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、方法を提供する。
【0550】
別の態様では、本開示は、中等度のADと診断された患者における記憶力低下を遅らせるのに使用するために4500mgの用量で提供されるヒト化モノクローナル抗タウ抗体であって、抗タウ抗体が、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体を提供する。
【0551】
別の態様では、本開示は、中等度のADと診断された患者における記憶力低下を遅らせるための医薬の製造のためのヒト化モノクローナル抗タウ抗体の使用であって、抗体が、4500mgの用量で提供されるように製剤化され、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、使用を提供する。
【0552】
本開示の更なる態様は、軽度から中等度のADと診断された患者のアルツハイマー病評価尺度、認知下位尺度、11項目バージョン(ADAS-Cog11)記憶ドメインスコアの2.5ポイント以内に記憶力を維持する方法であって、4500mg用量のヒト化モノクローナル抗タウ抗体を当該患者に投与することであって、12~17回の用量の当該抗体の投与後に評価された患者のADAS-Cog11記憶ドメインスコアが、当該抗体の投与前に評価された患者のADAS-Cog11記憶ドメインスコアよりも1ポイント以下、1.5ポイント以下、1.7ポイント以下、2ポイント以下、2.3ポイント以下、又は2.5ポイント以下高い、4500mg用量のヒト化モノクローナル抗タウ抗体を当該患者に投与することと、それによって患者のADAS-Cog11記憶ドメインスコアの2.5ポイント以内に記憶力を維持することと、を含み、抗タウ抗体が、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、方法を提供する。
【0553】
別の態様では、本開示は、12~17回の用量の投与後に、軽度から中等度のADと診断された患者のアルツハイマー病評価尺度、認知下位尺度、11項目バージョン(ADAS-Cog11)記憶ドメインスコアの2.5ポイント以内の記憶力の維持における使用のために4500mgの用量で提供されるヒト化モノクローナル抗タウ抗体であって、抗タウ抗体が、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体を提供する。
【0554】
別の態様では、本開示は、12~17回の用量の投与に続いて、軽度から中等度のADと診断された患者のアルツハイマー病評価尺度、認知下位尺度、11項目バージョン(ADAS-Cog11)記憶ドメインスコアの2.5ポイント以内の記憶力を維持するための医薬の製造のためのヒト化モノクローナル抗タウ抗体の使用であって、抗タウ抗体が、4500mgの用量で提供されるように製剤化され、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、使用を提供する。
【0555】
本開示の追加の態様は、中等度のADと診断された患者のアルツハイマー病評価尺度、認知下位尺度、11項目バージョン(ADAS-Cog11)記憶ドメインスコアの2.5ポイント以内に記憶力を維持する方法であって、4500mg用量のヒト化モノクローナル抗タウ抗体を当該患者に投与することであって、12~17回の用量の当該抗体の投与後に評価された患者のADAS-Cog11記憶ドメインスコアが、当該抗体の投与前に評価された患者のADAS-Cog11記憶ドメインスコアよりも1ポイント以下、1.5ポイント以下、1.7ポイント以下、2ポイント以下、2.3ポイント以下、又は2.5ポイント以下高い、4500mg用量のヒト化モノクローナル抗タウ抗体を当該患者に投与することと、それによって患者のADAS-Cog11記憶ドメインスコアの2.5ポイント以内に記憶力を維持することと、を含み、抗タウ抗体が、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、方法を提供する。
【0556】
別の態様では、本開示は、12~17回の用量の投与後に、中等度のADと診断された患者のアルツハイマー病評価尺度、認知下位尺度、11項目バージョン(ADAS-Cog11)記憶ドメインスコアの2.5ポイント以内の記憶力の維持における使用のために4500mgの用量で提供されるヒト化モノクローナル抗タウ抗体であって、抗タウ抗体が、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体を提供する。
【0557】
別の態様では、本開示は、12~17回の用量の投与に続いて、中等度のADと診断された患者のアルツハイマー病評価尺度、認知下位尺度、11項目バージョン(ADAS-Cog11)記憶ドメインスコアの2.5ポイント以内の記憶力を維持するための医薬の製造のためのヒト化モノクローナル抗タウ抗体の使用であって、抗タウ抗体が、4500mgの用量で提供されるように製剤化され、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、使用を提供する。
【0558】
本開示の更なる態様は、軽度から中等度のADと診断された患者における記憶力低下を遅らせる方法であって、方法が、4500mg用量のセモリネマブを、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で患者に静脈内投与することを含む、方法を提供する。
【0559】
別の態様では、本開示は、軽度から中等度のADと診断された患者における記憶力低下を遅らせるのに使用するための4500mg用量のセモリネマブであって、セモリネマブが、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で静脈内投与される、セモリネマブを提供する。
【0560】
別の態様では、本開示は、軽度から中等度のADと診断された患者における記憶力低下を遅らせるための医薬の製造のためのセモリネマブの使用であって、セモリネマブが、4500mgの用量での静脈内投与用に製剤化され、医薬が、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で投与されるように製剤化される、使用を提供する。
【0561】
本開示の更なる態様は、中等度のADと診断された患者における記憶力低下を遅らせる方法であって、方法が、4500mg用量のセモリネマブを、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で患者に静脈内投与することを含む、方法を提供する。
【0562】
別の態様では、本開示は、中等度のADと診断された患者における記憶力低下を遅らせるのに使用するための4500mg用量のセモリネマブであって、セモリネマブが、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で静脈内投与される、セモリネマブを提供する。
【0563】
別の態様では、本開示は、中等度のADと診断された患者における記憶力低下を遅らせるための医薬の製造のためのセモリネマブの使用であって、セモリネマブが、4500mgの用量での静脈内投与用に製剤化され、医薬が、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で投与されるように製剤化される、使用を提供する。
【0564】
別段の指示がない限り、記憶力を維持又はその低下を遅らせるための方法、使用のための抗体、又は使用の上記態様のいずれかは、本明細書に開示される抗タウ抗体、医薬組成物、投与経路、用量、投薬レジメン又は同時投与のいずれかを含むことができる。
【0565】
G.言語能力又はプラクシス能力の低下を遅らせる方法
本開示は、軽度から中等度のアルツハイマー病(AD)又は中等度のADと診断された対象における言語能力の低下を遅らせる方法に関する。本開示はまた、軽度から中等度のAD又は中等度のADと診断された対象におけるプラクシス能力の低下を遅らせる方法に関する。いくつかの実施形態では、本開示の方法は、軽度から中等度のAD又は中等度のADと診断された対象に4500mg用量のヒト化モノクローナル抗タウ抗体を投与することを含み、抗タウ抗体は、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む。
【0566】
本開示の態様は、軽度から中等度のADと診断された患者における言語能力の低下を遅らせる方法であって、当該患者に4500mg用量のヒト化モノクローナル抗タウ抗体を投与することを含み、抗タウ抗体は、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、方法を提供する。
【0567】
別の態様では、本開示は、軽度から中等度のADと診断された患者における言語能力の低下を遅らせるのに使用するために4500mgの用量で提供されるヒト化モノクローナル抗タウ抗体であって、抗タウ抗体が、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体を提供する。
【0568】
別の態様では、本開示は、軽度から中等度のADと診断された患者における言語能力の低下を遅らせるための医薬の製造のためのヒト化モノクローナル抗タウ抗体の使用であって、抗体が、4500mgの用量で提供されるように製剤化され、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、使用を提供する。
【0569】
本開示の追加の態様は、中等度のADと診断された患者における言語能力の低下を遅らせる方法であって、当該患者に4500mgの用量のヒトかモノクローナル抗タウ抗体を投与することを含み、抗タウ抗体が、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、方法を提供する。
【0570】
別の態様では、本開示は、中等度のADと診断された患者における言語能力の低下を遅らせるのに使用するために4500mgの用量で提供されるヒト化モノクローナル抗タウ抗体であって、抗タウ抗体が、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体を提供する。
【0571】
別の態様では、本開示は、中等度のADと診断された患者における言語能力の低下を遅らせるための医薬の製造のためのヒト化モノクローナル抗タウ抗体の使用であって、抗体が、4500mgの用量で提供されるように製剤化され、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、使用を提供する。
【0572】
本開示の更なる態様は、軽度から中等度のADと診断された患者におけるプラクシス能力の低下を遅らせる方法であって、当該患者に4500mg用量のヒト化モノクローナル抗タウ抗体を投与することを含み、抗タウ抗体は、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、方法を提供する。
【0573】
別の態様では、本開示は、軽度から中等度のADと診断された患者におけるプラクシス能力の低下を遅らせるのに使用するために4500mgの用量で提供されるヒト化モノクローナル抗タウ抗体であって、抗タウ抗体が、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体を提供する。
【0574】
別の態様では、本開示は、軽度から中等度のADと診断された患者におけるプラクシス能力の低下を遅らせるための医薬の製造のためのヒト化モノクローナル抗タウ抗体の使用であって、抗体が、4500mgの用量で提供されるように製剤化され、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、使用を提供する。
【0575】
本開示の更なる態様は、中等度のADと診断された患者におけるプラクシス能力の低下を遅らせる方法であって、当該患者に4500mgの用量のヒトかモノクローナル抗タウ抗体を投与することを含み、抗タウ抗体が、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、方法を提供する。
【0576】
別の態様では、本開示は、中等度のADと診断された患者におけるプラクシス能力の低下を遅らせるのに使用するために4500mgの用量で提供されるヒト化モノクローナル抗タウ抗体であって、抗タウ抗体が、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体を提供する。
【0577】
別の態様では、本開示は、中等度のADと診断された患者におけるプラクシス能力の低下を遅らせるための医薬の製造のためのヒト化モノクローナル抗タウ抗体の使用であって、抗体が、4500mgの用量で提供されるように製剤化され、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、使用を提供する。
【0578】
本開示の追加の態様は、軽度から中等度のADと診断された患者における言語能力の低下を遅らせる方法であって、方法が、4500mg用量のセモリネマブを、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で患者に静脈内投与することを含む、方法を提供する。
【0579】
別の態様では、本開示は、軽度から中等度のADと診断された患者における言語能力の低下を遅らせるのに使用するための4500mg用量のセモリネマブであって、セモリネマブが、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で静脈内投与される、セモリネマブを提供する。
【0580】
別の態様では、本開示は、軽度から中等度のADと診断された患者における言語能力の低下を遅らせるための医薬の製造のためのセモリネマブの使用であって、セモリネマブが、4500mgの用量での静脈内投与用に製剤化され、医薬が、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で投与されるように製剤化される、使用を提供する。
【0581】
本開示の更なる態様は、軽度から中等度のADと診断された患者におけるプラクシス能力の低下を遅らせる方法であって、方法が、4500mg用量のセモリネマブを、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で患者に静脈内投与することを含む、方法を提供する。
【0582】
別の態様では、本開示は、軽度から中等度のADと診断された患者におけるプラクシス能力の低下を遅らせるのに使用するための4500mg用量のセモリネマブであって、セモリネマブが、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で静脈内投与される、セモリネマブを提供する。
【0583】
別の態様では、本開示は、軽度から中等度のADと診断された患者におけるプラクシス能力の低下を遅らせるための医薬の製造のためのセモリネマブの使用であって、セモリネマブが、4500mgの用量での静脈内投与用に製剤化され、医薬が、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で投与されるように製剤化される、使用を提供する。
【0584】
本開示の追加の態様は、中等度のADと診断された患者における言語能力の低下を遅らせる方法であって、方法が、4500mg用量のセモリネマブを、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で患者に静脈内投与することを含む、方法を提供する。
【0585】
別の態様では、本開示は、中等度のADと診断された患者における言語能力の低下を遅らせるのに使用するための4500mg用量のセモリネマブであって、セモリネマブが、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で静脈内投与される、セモリネマブを提供する。
【0586】
別の態様では、本開示は、中等度のADと診断された患者における言語能力の低下を遅らせるための医薬の製造のためのセモリネマブの使用であって、セモリネマブが、4500mgの用量での静脈内投与用に製剤化され、医薬が、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で投与されるように製剤化される、使用を提供する。
【0587】
本開示の更なる態様は、中等度のADと診断された患者におけるプラクシス能力の低下を遅らせる方法であって、方法が、4500mg用量のセモリネマブを、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で患者に静脈内投与することを含む、方法を提供する。
【0588】
別の態様では、本開示は、中等度のADと診断された患者におけるプラクシス能力の低下を遅らせるのに使用するための4500mg用量のセモリネマブであって、セモリネマブが、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で静脈内投与される、セモリネマブを提供する。
【0589】
別の態様では、本開示は、中等度のADと診断された患者におけるプラクシス能力の低下を遅らせるための医薬の製造のためのセモリネマブの使用であって、セモリネマブが、4500mgの用量での静脈内投与用に製剤化され、医薬が、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で投与されるように製剤化される、使用を提供する。
【0590】
別段の指示がない限り、言語能力又はプラクシス能力の低下を遅らせるための方法、使用のための抗体、又は使用の上記態様のいずれかは、本明細書に開示される抗タウ抗体、医薬組成物、投与経路、用量、投薬レジメン又は同時投与のいずれかを含むことができる。
【0591】
H.有害事象のリスクを増加させることなく治療する方法
本開示は、有害事象のリスクを増加させることなく軽度から中等度のアルツハイマー病(AD)又は中等度のADと診断された患者を治療する方法に関する。いくつかの実施形態では、本開示の方法は、治療緊急有害事象のリスクを増加させることなく(又は有意に増加させることなく)、対象に4500mg用量のヒト化モノクローナル抗タウ抗体を投与することを含み、任意に、用量が12~17回の用量について繰り返され、抗タウ抗体が、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む。
【0592】
本開示の態様は、有害事象のリスクを増加させることなく、軽度から中等度のADと診断された対象を治療する方法であって、治療緊急有害事象のリスクを増加させることなく(又は有意に増加させることなく)、当該患者に4500mg用量のヒト化モノクローナル抗タウ抗体を投与することを含み、任意に、用量が12~17回の用量について繰り返され、抗タウ抗体が、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、方法を提供する。
【0593】
別の態様では、本開示は、有害事象のリスクを増加させることなく軽度から中等度のADと診断された患者の治療における使用のための4500mgの用量で提供されるヒト化モノクローナル抗タウ抗体であって、任意に、用量が12~17回の用量について繰り返され、抗タウ抗体が、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体を提供する。
【0594】
別の態様では、本開示は、有害事象のリスクを増加させることなく軽度から中等度のADと診断された患者を治療するための医薬の製造のためのヒト化モノクローナル抗タウ抗体の使用であって、抗タウ抗体が、4500mgの用量で提供されるように製剤化され、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、使用を提供する。
【0595】
本開示の更なる態様は、有害事象のリスクを増加させることなく、中等度のADと診断された患者を治療する方法であって、治療緊急有害事象のリスクを増加させることなく(又は有意に増加させることなく)、当該患者に4500mg用量のヒト化モノクローナル抗タウ抗体を投与することを含み、任意に、用量が12~17回の用量について繰り返され、抗タウ抗体が、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、方法を提供する。
【0596】
別の態様では、本開示は、有害事象のリスクを増加させることなく中等度のADと診断された患者の治療における使用のための4500mgの用量で提供されるヒト化モノクローナル抗タウ抗体であって、任意に、用量が12~17回の用量について繰り返され、抗タウ抗体が、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体を提供する。
【0597】
別の態様では、本開示は、有害事象のリスクを増加させることなく中等度のADと診断された患者を治療するための医薬の製造のためのヒト化モノクローナル抗タウ抗体の使用であって、抗タウ抗体が、4500mgの用量で提供されるように製剤化され、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、使用を提供する。
【0598】
いくつかの実施形態では、有害事象は、注入関連反応、神経画像異常、免疫原性;希死念慮、頭痛、認知機能の悪化、意識変容、発作、ふらつき、嘔吐、転倒、尿路感染症、不安、頭痛、動揺、うつ病、めまい、下痢、高血圧、鼻咽頭炎、関節痛、便秘、COVID-19、不眠症、上気道感染症、腹痛、背痛、咳、血尿、悪心、四肢痛、貧血、錯乱状態及び幻覚からなる群から選択される少なくとも1つ以上である。いくつかの実施形態では、有害事象は注入関連反応である。いくつかの実施形態では、有害事象は神経画像異常である。いくつかの実施形態では、有害事象は免疫原性である。いくつかの実施形態では、有害事象は希死念慮である。いくつかの実施形態では、有害事象は頭痛である。いくつかの実施形態では、有害事象は認知機能の悪化である。いくつかの実施形態では、有害事象は意識変容である。いくつかの実施形態では、有害事象は発作である。いくつかの実施形態では、有害事象はふらつきである。いくつかの実施形態では、有害事象は嘔吐である。いくつかの実施形態では、有害事象は転倒である。いくつかの実施形態では、有害事象は尿路感染である。いくつかの実施形態では、有害事象は不安症である。いくつかの実施形態では、有害事象は頭痛である。いくつかの実施形態では、有害事象は動揺である。いくつかの実施形態では、有害事象はうつ病である。いくつかの実施形態では、有害事象はめまいである。いくつかの実施形態では、有害事象は下痢である。いくつかの実施形態では、有害事象は高血圧である。いくつかの実施形態では、有害事象は鼻咽頭炎である。いくつかの実施形態では、有害事象は関節痛である。いくつかの実施形態では、有害事象は便秘である。いくつかの実施形態では、有害事象はCOVID-19である。いくつかの実施形態では、有害事象は不眠症である。いくつかの実施形態では、有害事象は上気道感染である。いくつかの実施形態では、有害事象は腹痛である。いくつかの実施形態では、有害事象は背痛である。いくつかの実施形態では、有害事象は咳である。いくつかの実施形態では、有害事象は血尿である。いくつかの実施形態では、有害事象は悪心である。いくつかの実施形態では、有害事象は四肢痛である。いくつかの実施形態では、有害事象は貧血である。いくつかの実施形態では、有害事象は錯乱状態である。いくつかの実施形態では、有害事象は幻覚である。
【0599】
いくつかの実施形態では、抗タウ抗体の投与前及び/又は投与後に患者に投与される本開示のタウPETトレーサーは、有害事象のリスクを増加させない。
【0600】
いくつかの実施形態では、本開示のヒト化モノクローナル抗タウ抗体の投与は、有害事象のリスクを増加させない。
【0601】
本開示の更なる態様は、軽度から中等度のADと診断された患者を、有害事象のリスクを増加させることなく治療する方法であって、方法が、4500mg用量のセモリネマブを、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で患者に静脈内投与することを含む、方法を提供する。
【0602】
別の態様では、本開示は、有害事象のリスクを増加させることなく(又は有意に増加させることなく)軽度から中等度のADと診断された患者の治療における使用のための4500mg用量のセモリネマブであって、セモリネマブが、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で静脈内投与される、セモリネマブを提供する。
【0603】
別の態様では、本開示は、有害事象のリスクを増加させることなく(又は有意に増加させることなく)軽度から中等度のADと診断された患者を治療するための医薬の製造のためのセモリネマブの使用であって、セモリネマブが、4500mgの用量での静脈内投与用に製剤化され、医薬が、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で投与されるように製剤化される、使用を提供する。
【0604】
本開示の追加の態様は、中等度のADと診断された患者を、有害事象のリスクを増加させることなく治療する方法であって、方法が、4500mg用量のセモリネマブを、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で患者に静脈内投与することを含む、方法を提供する。
【0605】
別の態様では、本開示は、有害事象のリスクを増加させることなく(又は有意に増加させることなく)中等度のADと診断された患者の治療における使用のための4500mg用量のセモリネマブであって、セモリネマブが、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で静脈内投与される、セモリネマブを提供する。
【0606】
別の態様では、本開示は、有害事象のリスクを増加させることなく(又は有意に増加させることなく)中等度のADと診断された患者を治療するための医薬の製造のためのセモリネマブの使用であって、セモリネマブが、4500mgの用量での静脈内投与用に製剤化され、医薬が、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で投与されるように製剤化される、使用を提供する。
【0607】
別段の指示がない限り、記憶力を維持又はその低下を遅らせるための方法、使用のための抗体、又は使用の上記態様のいずれかは、本明細書に開示される抗タウ抗体、医薬組成物、投与経路、用量、投薬レジメン又は同時投与のいずれかを含むことができる。
【0608】
先述の開示を、理解を明確にする目的で、説明及び実施例によってある程度詳細に記載してきたが、その記載及び実施例は、本開示の範囲を限定するものと解釈すべきではない。本明細書で引用される全ての特許出願及び刊行物並びに科学文献の開示は、任意の目的のために参照によりその全体が明示的に組み込まれる。
【表3】
【0609】
番号が付された実施形態
本開示の特定の実施形態は、以下の番号が付けられた段落に示される。
1.軽度から中等度のアルツハイマー病(AD)と診断された患者における認知能力の低下を遅らせる方法であって、
4500mg用量のヒト化モノクローナル抗タウ抗体を前記患者に投与することを含み、前記抗タウ抗体が、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、方法。
2.軽度から中等度のADと診断された患者のアルツハイマー病評価尺度、認知下位尺度、11項目バージョン(ADAS-Cog11)スコアの5ポイント以内に認知能力を維持する方法であって、
4500mg用量のヒト化モノクローナル抗タウ抗体を前記患者に投与することであって、12~17回の用量の前記抗体の投与後に評価される患者のADAS-Cog11スコアが、前記抗体の投与前に評価される患者のADAS-Cog11スコアよりも2.5ポイント以下、3ポイント以下、3.5ポイント以下、4ポイント以下、4.5ポイント以下、又は5ポイント以下高い、4500mg用量のヒト化モノクローナル抗タウ抗体を前記患者に投与することと、
それによって、前記患者のADAS-Cog11スコアの5ポイント以内の認知能力を維持することと
を含み、
前記抗タウ抗体が、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、方法。
3.中等度のADと診断された患者における認知能力の低下を遅らせる方法であって、
4500mg用量のヒト化モノクローナル抗タウ抗体を前記患者に投与することを含み、前記抗タウ抗体が、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、方法。
4.中等度のADと診断された患者のアルツハイマー病評価尺度、認知下位尺度、11項目バージョン(ADAS-Cog11)スコアの5ポイント以内に認知能力を維持する方法であって、
4500mg用量のヒト化モノクローナル抗タウ抗体を前記患者に投与することであって、12~17回の用量の前記抗体の投与後に評価される患者のADAS-Cog11スコアが、前記抗体の投与前に評価される患者のADAS-Cog11スコアよりも2.5ポイント以下、3ポイント以下、3.5ポイント以下、4ポイント以下、4.5ポイント以下、又は5ポイント以下高い、4500mg用量のヒト化モノクローナル抗タウ抗体を前記患者に投与することと、
それによって、前記患者のADAS-Cog11スコアの5ポイント以内の認知能力を維持することと
を含み、
前記抗タウ抗体が、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、方法。
5.軽度から中等度のADと診断された患者の記憶力低下を遅らせる方法であって、
4500mg用量のヒト化モノクローナル抗タウ抗体を前記患者に投与することを含み、前記抗タウ抗体が、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、方法。
6.軽度から中等度のADと診断された患者のアルツハイマー病評価尺度、認知下位尺度、11項目バージョン(ADAS-Cog11)記憶ドメインスコアの2.5ポイント以内に記憶力を維持する方法であって、
4500mg用量のヒト化モノクローナル抗タウ抗体を前記患者に投与することであって、12~17回の用量の前記抗体の投与後に評価される前記患者のADAS-Cog11記憶ドメインスコアが、前記抗体の投与前に評価される前記患者のADAS-Cog11記憶ドメインスコアよりも1ポイント以下、1.5ポイント以下、1.7ポイント以下、2ポイント以下、2.3ポイント以下、又は2.5ポイント以下高い、4500mg用量のヒト化モノクローナル抗タウ抗体を前記患者に投与することと、
それによって、前記患者のADAS-Cog11記憶ドメインスコアの2.5ポイント以内の記憶力を維持することと
を含み、
前記抗タウ抗体が、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、方法。
7.中等度のADと診断された患者における記憶力低下を遅らせる方法であって、
前記患者における記憶力の低下を遅らせるために、4500mg用量のヒト化モノクローナル抗タウ抗体を前記患者に投与することを含み、前記抗タウ抗体が、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、方法。
8.中等度のADと診断された患者のアルツハイマー病評価尺度、認知下位尺度、11項目バージョン(ADAS-Cog11)記憶ドメインスコアの2.5ポイント以内に記憶力を維持する方法であって、
4500mg用量のヒト化モノクローナル抗タウ抗体を前記患者に投与することであって、12~17回の用量の前記抗体の投与後に評価される前記患者のADAS-Cog11記憶ドメインスコアが、前記抗体の投与前に評価される前記患者のADAS-Cog11記憶ドメインスコアよりも1ポイント以下、1.5ポイント以下、1.7ポイント以下、2ポイント以下、2.3ポイント以下、又は2.5ポイント以下高い、4500mg用量のヒト化モノクローナル抗タウ抗体を前記患者に投与することと、
それによって、前記患者のADAS-Cog11記憶ドメインスコアの2.5ポイント以内の記憶力を維持することと
を含み、
前記抗タウ抗体が、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、方法。
9.軽度から中等度のADと診断された患者における言語能力の低下を遅らせる方法であって、
4500mg用量のヒト化モノクローナル抗タウ抗体を前記患者に投与することを含み、前記抗タウ抗体が、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、方法。
10.中等度のADと診断された患者における言語能力の低下を遅らせる方法であって、
4500mg用量のヒト化モノクローナル抗タウ抗体を前記患者に投与することを含み、前記抗タウ抗体が、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、方法。
11.軽度から中等度のADと診断された患者におけるプラクシス能力の低下を遅らせる方法であって、
4500mg用量のヒト化モノクローナル抗タウ抗体を前記患者に投与することを含み、前記抗タウ抗体が、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、方法。
12.中等度のADと診断された患者におけるプラクシス能力の低下を遅らせる方法であって、
4500mg用量のヒト化モノクローナル抗タウ抗体を前記患者に投与することを含み、前記抗タウ抗体が、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、方法。
13.有害事象のリスクを増加させることなく、軽度から中等度のADと診断された患者を治療する方法であって、治療緊急有害事象のリスクを増加させることなく(又は有意に増加させることなく)、前記患者に4500mg用量のヒト化モノクローナル抗タウ抗体を投与することを含み、任意に、前記用量が12~17回の用量について繰り返され、前記抗タウ抗体が、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、方法。。
14.有害事象のリスクを増加させることなく、中等度のADと診断された患者を治療する方法であって、治療緊急有害事象のリスクを増加させることなく(又は有意に増加させることなく)、前記患者に4500mg用量のヒト化モノクローナル抗タウ抗体を投与することを含み、任意に、前記用量が12~17回の用量について繰り返され、前記抗タウ抗体が、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、方法。。
15.軽度から中等度のADと診断された患者における認知能力の低下を遅らせるのに使用するために4500mgの用量で提供されるヒト化モノクローナル抗タウ抗体であって、前記抗タウ抗体が、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体。
16.12~17回の用量の投与後に、軽度から中等度のADと診断された患者のアルツハイマー病評価尺度、認知下位尺度、11項目バージョン(ADAS-Cog11)スコアよりも5ポイント以下高い認知能力の維持における使用のために4500mgの用量で提供されるヒト化モノクローナル抗タウ抗体であって、前記抗タウ抗体が、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体。
17.中等度のADと診断された患者における認知能力の低下を遅らせるのに使用するために4500mgの用量で提供されるヒト化モノクローナル抗タウ抗体であって、前記抗タウ抗体が、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体。
18.12~17回の用量の投与後に、中等度のADと診断された患者のアルツハイマー病評価尺度、認知下位尺度、11項目バージョン(ADAS-Cog11)スコアよりも5ポイント以下高い認知能力の維持における使用のために4500mgの用量で提供されるヒト化モノクローナル抗タウ抗体であって、前記抗タウ抗体が、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体。
19.軽度から中等度のADと診断された患者における記憶力低下を遅らせるのに使用するために4500mgの用量で提供されるヒト化モノクローナル抗タウ抗体であって、前記抗タウ抗体が、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体。
20.12~17回の用量の投与後に、軽度から中等度のADと診断された患者のアルツハイマー病評価尺度、認知下位尺度、11項目バージョン(ADAS-Cog11)記憶ドメインスコアの2.5ポイント以内の記憶力の維持における使用のために4500mgの用量で提供されるヒト化モノクローナル抗タウ抗体であって、前記抗タウ抗体が、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体。
21.中等度のADと診断された患者における記憶力低下を遅らせるのに使用するために4500mgの用量で提供されるヒト化モノクローナル抗タウ抗体であって、前記抗タウ抗体が、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体。
22.12~17回の用量の投与後に、中等度のADと診断された患者のアルツハイマー病評価尺度、認知下位尺度、11項目バージョン(ADAS-Cog11)記憶ドメインスコアの2.5ポイント以内の記憶力の維持における使用のために4500mgの用量で提供されるヒト化モノクローナル抗タウ抗体であって、前記抗タウ抗体が、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体。
23.軽度から中等度のADと診断された患者における言語能力の低下を遅らせるのに使用するために4500mgの用量で提供されるヒト化モノクローナル抗タウ抗体であって、前記抗タウ抗体が、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体。
24.中等度のADと診断された患者における言語能力の低下を遅らせるのに使用するために4500mgの用量で提供されるヒト化モノクローナル抗タウ抗体であって、前記抗タウ抗体が、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体。
25.軽度から中等度のADと診断された患者におけるプラクシス能力の低下を遅らせるのに使用するために4500mgの用量で提供されるヒト化モノクローナル抗タウ抗体であって、前記抗タウ抗体が、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体。
26.中等度のADと診断された患者におけるプラクシス能力の低下を遅らせるのに使用するために4500mgの用量で提供されるヒト化モノクローナル抗タウ抗体であって、前記抗タウ抗体が、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体。
27.有害事象のリスクを増加させることなく軽度から中等度のADと診断された患者の治療における使用のための4500mgの用量で提供されるヒト化モノクローナル抗タウ抗体であって、任意に、前記用量が12~17回の用量について繰り返され、前記抗タウ抗体が、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体。
28.有害事象のリスクを増加させることなく中等度のADと診断された患者の治療における使用のための4500mgの用量で提供されるヒト化モノクローナル抗タウ抗体であって、任意に、前記用量が12~17回の用量について繰り返され、前記抗タウ抗体が、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体。
29.軽度から中等度のADと診断された患者における認知能力の低下を遅らせるための医薬の製造のためのヒト化モノクローナル抗タウ抗体の使用であって、前記抗タウ抗体が、4500mgの用量で提供されるように製剤化され、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、使用。
30.12~17回の用量の投与に続いて、軽度から中等度のADと診断された患者のアルツハイマー病評価尺度、認知下位尺度、11項目バージョン(ADAS-Cog11)スコアよりも5ポイント以下高い認知能力を維持するための医薬の製造のためのヒト化モノクローナル抗タウ抗体の使用であって、前記抗タウ抗体が、4500mgの用量で提供されるように製剤化され、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、使用。
31.中等度のADと診断された患者における認知能力の低下を遅らせるための医薬の製造のためのヒト化モノクローナル抗タウ抗体の使用であって、前記抗タウ抗体が、4500mgの用量で提供されるように製剤化され、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、使用。
32.12~17回の用量の投与に続いて、中等度のADと診断された患者のアルツハイマー病評価尺度、認知下位尺度、11項目バージョン(ADAS-Cog11)スコアよりも5ポイント以下高い認知能力を維持するための医薬の製造のためのヒト化モノクローナル抗タウ抗体の使用であって、前記抗タウ抗体が、4500mgの用量で提供されるように製剤化され、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、使用。
33.軽度から中等度のADと診断された患者における記憶力低下を遅らせるための医薬の製造のためのヒト化モノクローナル抗タウ抗体の使用であって、前記抗体が、4500mgの用量で提供されるように製剤化され、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、使用。
34.12~17回の用量の投与に続いて、軽度から中等度のADと診断された患者のアルツハイマー病評価尺度、認知下位尺度、11項目バージョン(ADAS-Cog11)記憶ドメインスコアの2.5ポイント以内の記憶力を維持するための医薬の製造のためのヒト化モノクローナル抗タウ抗体の使用であって、前記抗タウ抗体が、4500mgの用量で提供されるように製剤化され、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、使用。
35.中等度のADと診断された患者における記憶力低下を遅らせるための医薬の製造のためのヒト化モノクローナル抗タウ抗体の使用であって、前記抗体が、4500mgの用量で提供されるように製剤化され、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、使用。
36.12~17回の用量の投与に続いて、中等度のADと診断された患者のアルツハイマー病評価尺度、認知下位尺度、11項目バージョン(ADAS-Cog11)記憶ドメインスコアの2.5ポイント以内の記憶力を維持するための医薬の製造のためのヒト化モノクローナル抗タウ抗体の使用であって、前記抗タウ抗体が、4500mgの用量で提供されるように製剤化され、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、使用。
37.軽度から中等度のADと診断された患者における言語能力の低下を遅らせるための医薬の製造のためのヒト化モノクローナル抗タウ抗体の使用であって、前記抗体が、4500mgの用量で提供されるように製剤化され、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、使用。
38.中等度のADと診断された患者における言語能力の低下を遅らせるための医薬の製造のためのヒト化モノクローナル抗タウ抗体の使用であって、前記抗体が、4500mgの用量で提供されるように製剤化され、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、使用。
39.軽度から中等度のADと診断された患者におけるプラクシス能力の低下を遅らせるための医薬の製造のためのヒト化モノクローナル抗タウ抗体の使用であって、前記抗体が、4500mgの用量で提供されるように製剤化され、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、使用。
40.中等度のADと診断された患者におけるプラクシス能力の低下を遅らせるための医薬の製造のためのヒト化モノクローナル抗タウ抗体の使用であって、前記抗体が、4500mgの用量で提供されるように製剤化され、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、使用。
41.有害事象のリスクを増加させることなく軽度から中等度のADと診断された患者を治療するための医薬の製造のためのヒト化モノクローナル抗タウ抗体の使用であって、前記抗タウ抗体が、4500mgの用量で提供されるように製剤化され、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、使用。
42.有害事象のリスクを増加させることなく中等度のADと診断された患者を治療するための医薬の製造のためのヒト化モノクローナル抗タウ抗体の使用であって、前記抗タウ抗体が、4500mgの用量で提供されるように製剤化され、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H1と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H2と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、使用。
43.前記有害事象が、注入関連反応、神経画像異常、免疫原性;希死念慮、頭痛、認知機能の悪化、意識変容、発作、ふらつき、嘔吐、転倒、尿路感染症、不安、頭痛、動揺、うつ病、めまい、下痢、高血圧、鼻咽頭炎、関節痛、便秘、COVID-19、不眠症、上気道感染症、腹痛、背痛、咳、血尿、悪心、四肢痛、貧血、錯乱状態及び幻覚からなる群から選択される少なくとも1つ以上である、段落13若しくは14に記載の方法、段落27若しくは28に記載の使用のための抗タウ抗体、又は段落41若しくは42に記載の使用。
44.前記抗体の投与前及び/又は投与後に前記患者に投与されるタウPETトレーサーが、有害事象のリスクを増加させない、段落13~14及び43のいずれか1つに記載の方法、段落27~28及び43のいずれか1つに記載の使用のための抗タウ抗体、又は段落41~43のいずれか1つに記載の使用。
45.前記患者が、前記抗体の投与前に両端の値を含めて16~19のミニメンタルステート検査(MMSE)スコアを有し、任意に、前記抗体の投与前に両端の値を含めて16~18のMMSEを有する、段落1~14及び43~44のいずれか1つに記載の方法、段落15~28及び43~44のいずれか1つに記載の使用のための抗タウ抗体、又は段落29~44のいずれか1つに記載の使用。
46.前記患者が、前記抗体の投与前に1又は2の臨床的認知症グローバル尺度(CDR-GS)を有する、請求項1~14及び43~45のいずれか1つに記載の方法、段落15~28及び43~45のいずれか1つに記載の使用のための抗タウ抗体、又は段落29~45のいずれか1つに記載の使用。
47.前記用量が少なくとも5回、少なくとも8回、若しくは少なくとも10回繰り返されるか、又は前記用量が5~17回の用量、10~17回の用量、若しくは12~17回の用量について繰り返される、段落1~14及び43~46のいずれか1つに記載の方法、段落15~28及び43~46のいずれか1つに記載の使用のための抗タウ抗体、又は段落29~46のいずれか1つに記載の使用。
48.前記用量が、13~15回の用量、13~14回の用量、14~15回の用量、又は14回の用量について繰り返される、段落47に記載の方法、使用のための抗タウ抗体、又は使用。
49.前記用量が、12~16回の用量について繰り返される、段落47に記載の方法、使用のための抗タウ抗体、又は使用。
50.前記用量が、14~17回の用量について繰り返される、段落47に記載の方法、使用のための抗タウ抗体、又は使用。
51.前記抗体を少なくとも24週間にわたって、任意に、4週間ごとに(又は毎月)少なくとも1回投与する、段落1~14及び43~50のいずれか1つに記載の方法、段落15~28及び43~50のいずれか1つに記載の使用のための抗タウ抗体、又は段落29~50のいずれか1つに記載の使用。
52.前記抗体を少なくとも36週間にわたって、任意に、4週間ごとに(又は毎月)少なくとも1回投与する、段落1~14及び43~50のいずれか1つに記載の方法、段落15~28及び43~50のいずれか1つに記載の使用のための抗タウ抗体、又は段落29~50のいずれか1つに記載の使用。
53.前記抗体が、少なくとも40、44、48、52、56、60、64、68、72、76、80、84、88、92、96、100、104、108、112、116、120、124、128、132、136、140、144、148、152、156、160、164、又は168週間にわたって、任意に4週間ごとに(又は毎月)少なくとも1回投与される、段落1~14及び43~52のいずれか1つに記載の方法、段落15~28及び43~52のいずれか1つに記載の使用のための抗タウ抗体、又は段落29~52のいずれか1つに記載の方法。
54.前記抗体が、少なくとも40、44、48、52、56、又は60週間にわたって、任意に4週間ごとに(又は毎月)少なくとも1回投与される、段落1~14及び43~52のいずれか1つに記載の方法、段落15~28及び43~53のいずれか1つに記載の使用のための抗タウ抗体、又は段落29~53のいずれか1つに記載の方法。
55.前記抗体を少なくとも48週間にわたって4週間ごとに(又は毎月)少なくとも1回投与する、段落54に記載の方法、使用のための抗タウ抗体、又は使用。
56.前記抗体の投与後に評価される患者のADAS-Cog11スコアが、前記抗体の投与前に評価される患者のADAS-Cog11スコアよりも2.5ポイント以下、3ポイント以下、3.5ポイント以下、4ポイント以下、4.5ポイント以下、又は5ポイント以下高い、段落1~5、7、9~14及び43~55のいずれか1つに記載の方法、段落15~19、21、23~27及び43~55のいずれか1つに記載の使用のための抗タウ抗体、又は段落29~33、35及び37~55のいずれか1つに記載の方法。
57.前記抗体の投与後に評価される前記患者のADAS-Cog11スコアが、前記抗体の投与前に評価される前記患者のADAS-Cog11スコアよりも4ポイント以下高い、段落1~5、7、9~14及び43~56のいずれか1つに記載の方法、段落15~19、21、23~27及び43~55のいずれか1つに記載の使用のための抗タウ抗体、又は段落29~33、35及び37~55のいずれか1つに記載の使用。
58.前記抗体の投与後に評価される前記患者のADAS-Cog11スコアが、前記抗体の投与前に評価される前記患者のADAS-Cog11スコアよりも2~4ポイント高い、段落1~5、7、9~14及び43~56のいずれか1つに記載の方法、段落15~19、21、23~27及び43~56のいずれか1つに記載の使用のための抗タウ抗体、又は段落29~33、35及び37~56のいずれか1つに記載の使用。
59.前記抗体の投与後に評価される前記患者のADAS-Cog11スコアが、前記抗体の投与前に評価される前記患者のADAS-Cog11スコアよりも3~4ポイント高い、段落1~5、7、9~14及び43~58のいずれか1つに記載の方法、段落15~19、21、23~27及び43~58のいずれか1つに記載の使用のための抗タウ抗体、又は段落29~33、35及び37~58のいずれか1つに記載の使用。
60.前記抗体の投与後に評価される前記患者のADAS-Cog11記憶ドメインスコアが、前記抗体の投与前に評価される前記患者のADAS-Cog11記憶ドメインスコアよりも1ポイント以下、1.5ポイント以下、1.7ポイント以下、2ポイント以下、2.3ポイント以下、又は2.5ポイント以下高い、段落1~14及び43~55のいずれか1つに記載の方法、段落15~28及び43~55のいずれか1つに記載の使用のための抗タウ抗体、又は段落29~55のいずれか1つに記載の使用。
61.前記抗体の投与後に評価される患者のADAS-Cog11記憶ドメインスコアが、前記抗体の投与前に評価される患者のADAS-Cog11記憶ドメインスコアよりも2ポイント以下高い、段落1~14、43~55及び60のいずれか1つに記載の方法、段落15~28、43~55及び60のいずれか1つに記載の使用のための抗タウ抗体、又は段落29~55及び60のいずれか1つに記載の方法。
62.前記抗体の投与後に評価される患者のADAS-Cog11記憶ドメインスコアが、前記抗体の投与前に評価される患者のADAS-Cog11記憶ドメインスコアよりも1~2ポイント高い、段落1~14、43~55及び60~61のいずれか1つに記載の方法、段落15~28、43~55及び60~61のいずれか1つに記載の使用のための抗タウ抗体、又は段落29~55及び60~61のいずれか1つに記載の方法。
63.前記抗体の投与後に評価される患者のADAS-Cog11記憶ドメインスコアが、前記抗体の投与前に評価される患者のADAS-Cog11記憶ドメインスコアアよりも1.5~2.5ポイント高い、段落1~14、43~55及び60のいずれか1つに記載の方法、段落15~28、43~55及び60のいずれか1つに記載の使用のための抗タウ抗体、又は段落29~55及び60のいずれか1つに記載の方法。
64.前記抗体を少なくとも48週間にわたって4週間ごとに(又は毎月)少なくとも1回投与する、段落59又は63に記載の方法、使用のための抗タウ抗体、又は使用。
65.前記抗体の投与後に評価される前記患者のADAS-Cog11スコアが、前記抗体の投与なしで予想されるものと比較して、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、又は少なくとも50%低下する、段落1~14及び43~64のいずれか1つに記載の方法、段落15~28及び43~64のいずれか1つに記載の使用のための抗タウ抗体、又は段落29~64のいずれか1つに記載の使用。
66.前記抗体の投与後に評価される前記患者のADAS-Cog11スコアが、前記抗体の投与なしで予想されるものと比較して少なくとも40%低下する、段落1~14及び43~65のいずれか1つに記載の方法、段落15~28及び43~65のいずれか1つに記載の使用のための抗タウ抗体、又は段落29~65のいずれか1つに記載の使用。
67.前記抗体の投与後に評価される前記患者のADAS-Cog11スコアが、前記抗体の投与なしで予想されるものと比較して25~50%低下する、段落1~14及び43~66のいずれか1つに記載の方法、段落15~28及び43~66のいずれか1つに記載の使用のための抗タウ抗体、又は段落29~66のいずれか1つに記載の使用。
68.前記抗体の投与後に評価される前記患者のADAS-Cog11スコアが、前記抗体の投与なしで予想されるものと比較して40~50%低下する、段落1~14及び43~67のいずれか1つに記載の方法、段落15~28及び43~67のいずれか1つに記載の使用のための抗タウ抗体、又は段落29~67のいずれか1つに記載の使用。
69.前記抗体を少なくとも48週間にわたって4週間ごとに(又は毎月)少なくとも1回投与する、段落68に記載の方法、使用のための抗タウ抗体、又は使用。
70.前記方法、使用のための前記抗タウ抗体又は前記使用が、前記抗体を2週間ごとに1回、3週間ごとに1回、又は4週間ごとに1回投与することを含む、段落1~14及び43~69のいずれか1つに記載の方法、段落15~28及び43~69のいずれか1つに記載の使用のための抗タウ抗体、又は段落29~69のいずれか1つに記載の使用。
71.前記方法、使用のための前記抗タウ抗体又は前記使用が、前記抗体を1~5回の用量については2週間ごとに1回、次いで4週間ごとに1回(又は毎月1回)投与することを含む、段落1~14及び43~70のいずれか1つに記載の方法、段落15~28及び43~70のいずれか1つに記載の使用のための抗タウ抗体、又は段落29~70のいずれか1つに記載の使用。
72.前記方法、使用のための前記抗タウ抗体又は前記使用が、前記抗体を3回の用量については2週間ごとに1回、次いで4週間ごとに1回(又は毎月1回)投与することを含む、段落1~14及び43~71のいずれか1つに記載の方法、段落15~28及び43~71のいずれか1つに記載の使用のための抗タウ抗体、又は段落29~71のいずれか1つに記載の使用。
73.前記方法、使用のための前記抗タウ抗体又は前記使用が、前記抗体を静脈内投与することを含む、段落1~14及び43~72のいずれか1つに記載の方法、段落15~28及び43~72のいずれか1つに記載の使用のための抗タウ抗体、又は段落29~72のいずれか1つに記載の使用。
74.前記投与が、0.5~3.0mL/分の注入速度で行われる、段落73に記載の方法、使用のための抗タウ抗体、又は使用。
75.前記投与速度が、0.5~3.0mL/分の注入速度で、4週間ごとに(又は毎月)行われる、段落74に記載の方法、使用のための抗タウ抗体、又は使用。
76.前記注入速度が、任意に、第1の注入の10~120分間は、0.5~1mL/分であり、その後は3mL/分である、段落75に記載の方法、使用のための抗タウ抗体、又は使用。
77.前記抗体がIgG4抗体である、段落1~14及び43~76のいずれか1つに記載の方法、段落15~28及び43~76のいずれか1つに記載の使用のための抗タウ抗体、又は段落29~76のいずれか1つに記載の使用。
78.前記抗体が、EUナンバリングに従ってM252Y、S254T及びT256Eの変異を含む、段落77に記載の方法、使用のための抗タウ抗体、又は使用。
79.前記抗体が、EUナンバリングに従ってS228P変異を含む、段落75に記載の方法、使用のための抗タウ抗体、又は使用。
80.前記抗体が、配列番号5の配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び/又は配列番号9の配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、段落1~14及び43~79のいずれか1つに記載の方法、段落15~28及び43~79のいずれか1つに記載の使用のための抗タウ抗体、又は段落29~79のいずれか1つに記載の使用。
81.前記抗体が、配列番号5のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域及び/又は配列番号9のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を含む、段落1~14及び43~80のいずれか1つに記載の方法、段落15~28及び43~80のいずれか1つに記載の使用のための抗タウ抗体、又は段落29~80のいずれか1つに記載の使用。
82.前記抗体がセモリネマブである、段落1~14及び43~81のいずれか1つに記載の方法、段落15~28及び43~81のいずれか1つに記載の使用のための抗タウ抗体、又は段落29~81のいずれか1つに記載の使用。
83.前記患者がApoε4陽性である、段落1~14及び43~82のいずれか1つに記載の方法、段落15~28及び43~82のいずれか1つに記載の使用のための抗タウ抗体、又は段落29~82のいずれか1つに記載の方法。
84.前記患者がApoε4陰性である、段落1~14及び43~82のいずれか1つに記載の方法、段落15~28及び43~82のいずれか1つに記載の使用のための抗タウ抗体、又は段落29~82のいずれか1つに記載の方法。
85.前記患者が、前記抗体の投与前に19~21のMMSEスコアを有する、段落1~14及び43~84のいずれか1つに記載の方法、段落15~28及び43~84のいずれか1つに記載の使用のための抗タウ抗体、又は段落29~84のいずれか1つに記載の使用。
86.前記患者が、前記抗体の投与前に、両端の値を含めて16~19のMMSEスコアを有し、任意に、前記抗体の投与前に、両端の値を含めて16~18のMMSEスコアを有する、段落1~14及び43~84のいずれか1つに記載の方法、段落15~28及び43~84のいずれか1つに記載の使用のための抗タウ抗体、又は段落29~84のいずれか1つに記載の使用。
87.前記患者が、タウ陽性及び/又はアミロイドベータ(Aベータ)陽性であり、任意に、前記患者が、タウに結合する陽電子放射断層撮影(PET)トレーサーを前記患者に投与することによってタウ陽性であると決定され、任意に、前記患者が、Aベータに結合するPETトレーサーを前記患者に投与することによってAベータ陽性であると決定される、段落1~14及び43~86のいずれか1つに記載の方法、段落15~28及び43~86のいずれか1つに記載の使用のための抗タウ抗体、又は段落29~86のいずれか1つに記載の使用。
88.タウのレベルが、前記患者の脳内の前記PETトレーサーの分布を示すスキャンの標準化取込み値比(SUVR)測定によって測定される、段落87に記載の方法、使用のための抗タウ抗体、又は使用。
89.前記患者が、高レベルのタウを有し、前記高レベルのタウが、
(i)中央値Genentechタウプローブ1(GTP1)全皮質灰白質(WCG)以上の脳内タウレベル(上中分割)、
(ii)1.325以上の側頭部からのSUVR測定値、及び
(iii)1.245以上である前記全皮質灰白質(WCG)領域からのSUVR測定値
のうちの1つ以上に相当する、段落88に記載の方法、使用のための抗タウ抗体、又は使用。
90.前記患者が、低レベルのタウを有し、前記低レベルのタウが、
(i)中央値GTP1 WCG未満の脳内タウレベル(下中分割)、
(ii)1.325未満である側頭部からのSUVR測定値、及び
(iii)1.245未満であるWCGからのSUVR測定値
のうちの1つ以上に相当する、段落88に記載の方法、使用のための抗タウ抗体、又は使用。
91.前記PETトレーサーが、[18F]Genentechタウプローブ1([18F]GTP1)、RO-948、AV-1451(フロルタウシピル)、PI-2014、PI-2620、MK-6240及びT-808からなる群から選択される少なくとも1つであり、前記Aベータに結合するPETトレーサーが、フロルベタピル、フロルベタベン及びフルテメタモルからなる群から選択される少なくとも1つである、段落87~90のいずれか1つに記載の方法、使用のための抗タウ抗体、又は使用。
92.前記タウが、前記患者から採取したCSF試料又は血漿試料において測定される、段落87~91のいずれか1つに記載の方法、使用のための抗タウ抗体、又は使用。
93.前記患者に1つ以上の追加の薬剤を同時投与する、段落1~14及び43~92のいずれか1つに記載の方法、段落15~28及び43~92のいずれか1つに記載の使用のための抗タウ抗体、又は段落29~92のいずれか1つに記載の使用。
94.前記1つ以上の追加の薬剤が、対症療法薬、神経薬、コルチコステロイド、抗生物質、抗ウイルス薬、追加の抗タウ抗体、タウ阻害剤、抗アミロイドベータ抗体、ベータ-アミロイド凝集阻害剤、抗BACE1抗体、BACE1阻害剤;コリンエステラーゼ阻害剤;NMDA受容体拮抗薬;モノアミン枯渇剤;メシル酸エルゴロイド;抗コリン作動性パーキンソン症候群治療薬;ドーパミン作動性パーキンソン症候群治療薬;テトラベナジン;抗炎症剤;ホルモン;ビタミン;ジメボリン;ホモタウリン;セロトニン受容体活性調節剤;インターフェロン、及び糖質コルチコイドからなる群から選択される、段落93に記載の方法、使用のための抗タウ抗体、又は使用。
95.前記対症療法薬が、コリンエステラーゼ阻害剤、ガランタミン、リバスチグミン、ドネペジル、N-メチル-D-アスパラギン酸受容体拮抗薬、メマンチン、及び栄養補助食品(任意に、前記栄養補助食品はSouvenaid(登録商標)である)からなる群から選択される、段落94に記載の方法、使用のための抗タウ抗体、又は使用。
96.前記抗アミロイドベータ抗体が、アデュカヌマブ、レカネマブ、又はドナネマブである、段落94又は95に記載の方法、使用のための抗タウ抗体、又は使用。
97.前記抗アミロイドベータ抗体が、クレネズマブ又はガンテネルマブである、段落94~96のいずれか1つに記載の方法、使用のための抗タウ抗体、又は使用。
98.前記追加の抗タウ抗体が、異なるN末端結合剤、中間ドメイン結合剤、及び線維性タウ結合剤からなる群から選択される、段落94に記載の方法、使用のための抗タウ抗体、又は使用。
99.前記追加の抗タウ抗体が、ゴスラネマブ、チラボネマブ、ベプラネマブ、及びザゴテネマブからなる群から選択される、段落94又は98に記載の方法、使用のための抗タウ抗体、又は使用。
100.前記1つ以上の追加の薬剤が、ベータセクレターゼ、タウ、プレセニリン、アミロイド前駆体タンパク質若しくはその一部、アミロイドベータペプチド又はそのオリゴマー若しくは原線維、細胞死受容体6(DR6)、終末糖化産物受容体(RAGE)、パーキン、及びハンチンチンからなる群から選択される標的に特異的に結合する治療剤を含む、段落93に記載の方法、使用のための抗タウ抗体、又は使用。
101.前記モノアミン枯渇剤が、テトラベナジンである、段落94に記載の方法、使用のための抗タウ抗体、又は使用。
102.前記抗コリン作動性パーキンソン症候群治療薬が、プロシクリジン、ジフェンヒドラミン、トリヘキシルフェニジル、ベンズトロピン、ビペリデン及びトリヘキシフェニジルからなる群から選択される、段落94に記載の方法、使用のための抗タウ抗体、又は使用。
103.前記ドーパミン作動性パーキンソン症候群治療薬が、エンタカポン、セレギリン、プラミペキソール、ブロモクリプチン、ロチゴチン、セレギリン、ロピニロール、ラサギリン、アポモルヒネ、カルビドパ、レボドパ、ペルゴリド、トルカポン及びアマンタジンからなる群から選択される、段落94に記載の方法、使用のための抗タウ抗体、又は使用。
104.前記抗炎症剤が、非ステロイド性抗炎症薬及びインドメタシンからなる群から選択される、段落94に記載の方法、使用のための抗タウ抗体、又は使用。
105.前記ホルモンが、エストロゲン、プロゲステロン、及びリュープロリドからなる群から選択される、段落94に記載の方法、使用のための抗タウ抗体、又は使用。
106.前記ビタミンが、葉酸塩及びニコチンアミドからなる群から選択される、段落94に記載の方法、使用のための抗タウ抗体、又は使用。
107.前記ホモタウリンが、3-アミノプロパンスルホン酸又は3APSである、段落94に記載の方法、使用のための抗タウ抗体、又は使用。
108.前記セロトニン受容体活性調節剤が、キサリプロデンである、段落94に記載の方法、使用のための抗タウ抗体、又は使用。
109.前記抗体の投与が、有害事象のリスクを増加させない、段落1~12及び45~108のいずれか1つに記載の方法、段落15~26及び45~108のいずれか1つに記載の使用のための抗タウ抗体、又は段落29~40及び45~108のいずれか1つに記載の使用。
110.前記有害事象が、注入関連反応、神経画像異常、免疫原性;希死念慮、頭痛、認知機能の悪化、意識変容、発作、ふらつき、嘔吐、転倒、尿路感染症、不安、頭痛、動揺、うつ病、めまい、下痢、高血圧、鼻咽頭炎、関節痛、便秘、COVID-19、不眠症、上気道感染症、腹痛、背痛、咳、血尿、悪心、四肢痛、貧血、錯乱状態及び幻覚からなる群から選択される少なくとも1つである、段落109に記載の方法、使用のための抗タウ抗体、又は使用。
111.前記患者が、黒人若しくはヒスパニック系であるか、又は非ヨーロッパ系の民族起源を有する、段落1~14及び43~110のいずれか1つに記載の方法、段落15~28及び43~110のいずれか1つに記載の使用のための抗タウ抗体、又は段落29~110のいずれか1つに記載の使用。
112.軽度から中等度のADと診断された患者における認知能力の低下を遅らせる方法であって、前記方法が、4500mg用量のセモリネマブを、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で前記患者に静脈内投与することを含む、方法。
113.軽度から中等度のADと診断された患者のADAS-Cog11スコアの5ポイント以内に認知能力を維持する方法であって、前記方法が、4500mg用量のセモリネマブを、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で前記患者に静脈内投与することを含む、方法。
114.軽度から中等度のADと診断された患者を、有害事象のリスクを増加させることなく治療する方法であって、前記方法が、4500mg用量のセモリネマブを、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で前記患者に静脈内投与することを含む、方法。
115.軽度から中等度のADと診断された患者における記憶力低下を遅らせる方法であって、前記方法が、4500mg用量のセモリネマブを、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で前記患者に静脈内投与することを含む、方法。
116.軽度から中等度のADと診断された患者のADAS-Cog11スコアの2.5ポイント以内に認知能力を維持する方法であって、前記方法が、4500mg用量のセモリネマブを、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で前記患者に静脈内投与することを含む、方法。
117.軽度から中等度のADと診断された患者における言語能力の低下を遅らせる方法であって、前記方法が、4500mg用量のセモリネマブを、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で前記患者に静脈内投与することを含む、方法。
118.軽度から中等度のADと診断された患者におけるプラクシス能力の低下を遅らせる方法であって、前記方法が、4500mg用量のセモリネマブを、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で前記患者に静脈内投与することを含む、方法。
119.中等度のADと診断された患者における認知能力の低下を遅らせる方法であって、前記方法が、4500mg用量のセモリネマブを、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で前記患者に静脈内投与することを含む、方法。
120.中等度のADと診断された患者のADAS-Cog11スコアの5ポイント以内に認知能力を維持する方法であって、前記方法が、4500mg用量のセモリネマブを、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で前記患者に静脈内投与することを含む、方法。
121.中等度のADと診断された患者を、有害事象のリスクを増加させることなく治療する方法であって、前記方法が、4500mg用量のセモリネマブを、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で前記患者に静脈内投与することを含む、方法。
122.中等度のADと診断された患者における記憶力低下を遅らせる方法であって、前記方法が、4500mg用量のセモリネマブを、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で前記患者に静脈内投与することを含む、方法。
123.中等度のADと診断された患者のADAS-Cog11スコアの2.5ポイント以内に認知能力を維持する方法であって、前記方法が、4500mg用量のセモリネマブを、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で前記患者に静脈内投与することを含む、方法。
124.中等度のADと診断された患者における言語能力の低下を遅らせる方法であって、前記方法が、4500mg用量のセモリネマブを、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で前記患者に静脈内投与することを含む、方法。
125.中等度のADと診断された患者におけるプラクシス能力の低下を遅らせる方法であって、前記方法が、4500mg用量のセモリネマブを、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で前記患者に静脈内投与することを含む、方法。
126.軽度から中等度のADと診断された患者における認知能力の低下を遅らせるのに使用するための4500mg用量のセモリネマブであって、前記セモリネマブが、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で静脈内投与される、セモリネマブ。
127.軽度から中等度のADと診断された患者のADAS-Cog11スコアよりも5ポイント以下高い認知能力の維持における使用のための4500mg用量のセモリネマブであって、前記セモリネマブが、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で静脈内投与される、セモリネマブ。
128.有害事象のリスクを増加させることなく(又は有意に増加させることなく)軽度から中等度のADと診断された患者の治療における使用のための4500mg用量のセモリネマブであって、前記セモリネマブが、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で静脈内投与される、セモリネマブ。
129.軽度から中等度のADと診断された患者における記憶力低下を遅らせるのに使用するための4500mg用量のセモリネマブであって、前記セモリネマブが、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で静脈内投与される、セモリネマブ。
130.軽度から中等度のADと診断された患者のADAS-Cog11スコアよりも2.5ポイント以下高い認知能力の維持における使用のための4500mg用量のセモリネマブであって、前記セモリネマブが、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で静脈内投与される、セモリネマブ。
131.軽度から中等度のADと診断された患者における言語能力の低下を遅らせるのに使用するための4500mg用量のセモリネマブであって、前記セモリネマブが、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で静脈内投与される、セモリネマブ。
132.軽度から中等度のADと診断された患者におけるプラクシス能力の低下を遅らせるのに使用するための4500mg用量のセモリネマブであって、前記セモリネマブが、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で静脈内投与される、セモリネマブ。
133.中等度のADと診断された患者における認知能力の低下を遅らせるのに使用するための4500mg用量のセモリネマブであって、前記セモリネマブが、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で静脈内投与される、セモリネマブ。
134.中等度のADと診断された患者のADAS-Cog11スコアよりも5ポイント以下高い認知能力の維持における使用のための4500mg用量のセモリネマブであって、前記セモリネマブが、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で静脈内投与される、セモリネマブ。
135.有害事象のリスクを増加させることなく(又は有意に増加させることなく)中等度のADと診断された患者の治療における使用のための4500mg用量のセモリネマブであって、前記セモリネマブが、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で静脈内投与される、セモリネマブ。
136.中等度のADと診断された患者における記憶力低下を遅らせるのに使用するための4500mg用量のセモリネマブであって、前記セモリネマブが、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で静脈内投与される、セモリネマブ。
137.中等度のADと診断された患者のADAS-Cog11スコアよりも2.5ポイント以下高い認知能力の維持における使用のための4500mg用量のセモリネマブであって、前記セモリネマブが、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で静脈内投与される、セモリネマブ。
138.中等度のADと診断された患者における言語能力の低下を遅らせるのに使用するための4500mg用量のセモリネマブであって、前記セモリネマブが、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で静脈内投与される、セモリネマブ。
139.中等度のADと診断された患者におけるプラクシス能力の低下を遅らせるのに使用するための4500mg用量のセモリネマブであって、前記セモリネマブが、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で静脈内投与される、セモリネマブ。
140.軽度から中等度のADと診断された患者における認知能力の低下を遅らせるための医薬の製造のためのセモリネマブの使用であって、前記セモリネマブが、4500mgの用量での静脈内投与用に製剤化され、前記医薬が、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で投与される、使用。
141.軽度から中等度のADと診断された患者のADAS-Cog11スコアよりも5ポイント以下高い認知能力を維持するための医薬の製造のためのセモリネマブの使用であって、前記セモリネマブが、4500mgの用量での静脈内投与用に製剤化され、前記医薬が、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で投与されるように製剤化される、使用。
142.有害事象のリスクを増加させることなく(又は有意に増加させることなく)軽度から中等度のADと診断された患者を治療するための医薬の製造のためのセモリネマブの使用であって、前記セモリネマブが、4500mgの用量での静脈内投与用に製剤化され、前記医薬が、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で投与されるように製剤化される、使用。
143.軽度から中等度のADと診断された患者における記憶力低下を遅らせるための医薬の製造のためのセモリネマブの使用であって、前記セモリネマブが、4500mgの用量での静脈内投与用に製剤化され、前記医薬が、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で投与されるように製剤化される、使用。
144.軽度から中等度のADと診断された患者のADAS-Cog11スコアよりも2.5ポイント以下高い認知能力を維持するための医薬の製造のためのセモリネマブの使用であって、前記セモリネマブが、4500mgの用量での静脈内投与用に製剤化され、前記医薬が、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で投与されるように製剤化される、使用。
145.軽度から中等度のADと診断された患者における言語能力の低下を遅らせるための医薬の製造のためのセモリネマブの使用であって、前記セモリネマブが、4500mgの用量での静脈内投与用に製剤化され、前記医薬が、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で投与されるように製剤化される、使用。
146.軽度から中等度のADと診断された患者におけるプラクシス能力の低下を遅らせるための医薬の製造のためのセモリネマブの使用であって、前記セモリネマブが、4500mgの用量での静脈内投与用に製剤化され、前記医薬が、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で投与されるように製剤化される、使用。
147.中等度のADと診断された患者における認知能力の低下を遅らせるための医薬の製造のためのセモリネマブの使用であって、前記セモリネマブが、4500mgの用量での静脈内投与用に製剤化され、前記医薬が、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で投与される、使用。
148.中等度のADと診断された患者のADAS-Cog11スコアよりも5ポイント以下高い認知能力を維持するための医薬の製造のためのセモリネマブの使用であって、前記セモリネマブが、4500mgの用量での静脈内投与用に製剤化され、前記医薬が、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で投与されるように製剤化される、使用。
149.有害事象のリスクを増加させることなく(又は有意に増加させることなく)中等度のADと診断された患者を治療するための医薬の製造のためのセモリネマブの使用であって、前記セモリネマブが、4500mgの用量での静脈内投与用に製剤化され、前記医薬が、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で投与されるように製剤化される、使用。
150.中等度のADと診断された患者における記憶力低下を遅らせるための医薬の製造のためのセモリネマブの使用であって、前記セモリネマブが、4500mgの用量での静脈内投与用に製剤化され、前記医薬が、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で投与されるように製剤化される、使用。
151.中等度のADと診断された患者のADAS-Cog11スコアよりも2.5ポイント以下高い認知能力を維持するための医薬の製造のためのセモリネマブの使用であって、前記セモリネマブが、4500mgの用量での静脈内投与用に製剤化され、前記医薬が、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で投与されるように製剤化される、使用。
152.中等度のADと診断された患者における言語能力の低下を遅らせるための医薬の製造のためのセモリネマブの使用であって、前記セモリネマブが、4500mgの用量での静脈内投与用に製剤化され、前記医薬が、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で投与されるように製剤化される、使用。
153.中等度のADと診断された患者におけるプラクシス能力の低下を遅らせるための医薬の製造のためのセモリネマブの使用であって、前記セモリネマブが、4500mgの用量での静脈内投与用に製剤化され、前記医薬が、3回の用量についてはQ2Wの頻度で、その後はQ4Wの頻度で投与されるように製剤化される、使用。
154.前記セモリネマブが、少なくとも10回の用量についてはQ4Wの頻度で投与される、段落112~125のいずれか1つに記載の方法、段落126~139のいずれか1つに記載の使用のためのセモリネマブ、又は段落140~153のいずれか1つに記載の使用。
155.前記セモリネマブが、少なくとも13回の用量についてはQ4Wの頻度で投与される、段落154に記載の方法、使用のためのセモリネマブ、又は使用。
156.前記セモリネマブが、少なくとも16回の用量についてはQ4Wの頻度で投与される、段落154に記載の方法、使用のためのセモリネマブ、又は使用。
157.前記セモリネマブが、0.5mL/分~3.0mL/分の注入速度で投与される、段落112~125及び154~156のいずれか1つに記載の方法、段落126~139及び154~156のいずれか1つに記載の使用のためのセモリネマブ、又は段落140~156のいずれか1つに記載の使用。
158.前記注入速度が、任意に、第1の注入の10~120分間は、0.5mL/分~1mL/分であり、その後は3mL/分である、段落157に記載の方法、使用のためのセモリネマブ、又は使用。
159.前記方法、使用のための前記セモリネマブ及び前記使用が、Q4Wの頻度で96週間、4500mg用量のセモリネマブを前記患者に静脈内投与することを更に含む、段落112~125及び154~158のいずれか1つに記載の方法、段落126~139及び154~158のいずれか1つに記載の使用のためのセモリネマブ、又は段落140~158のいずれか1つに記載の使用。
【実施例】
【0610】
以下の例示的な実施例は、本明細書に記載の組成物及び方法の実施形態の代表であり、決して限定することを意味するものではない。
【0611】
実施例1:
研究GN40040は、軽度から中等度のAD患者へのセモリネマブ投与が脳内の細胞間拡散及びタウ病態の伝播を停止又は遅延させ、臨床転帰を改善することを試験するための、臨床転帰評価(COA)、新規タウPETイメージング技術、及び他のバイオマーカーを使用した概念実証研究であった。
【0612】
薬物及びプラセボ
セモリネマブ及びプラセボを調製し、薬局マニュアルに従って100mLのIVバッグに希釈し、表4及び薬局マニュアルに概説されている説明書に従って注入液を投与した。
【表4】
OLE=非盲検継続
a第1の注入指示が、二重盲検処置期間中のセモリネマブ又はプラセボの第1の注入及びOLE期間中のセモリネマブの第1の注入に適用される。
【0613】
治験薬製品
セモリネマブ及びプラセボは、この研究における治験薬製品(IMP)であった。二重盲検治療期間中に研究薬物(セモリネマブ又はプラセボ)を静脈内投与し、任意のOLE期間中にセモリネマブを静脈内投与した。研究薬物投与は、二重盲検治療期間の最初の3回の用量についてQ2Wで行い、その後、二重盲検治療期間中にQ4Wで行う。セモリネマブをOLE期間にQ4Wで投与した。
【0614】
非治験薬製品
局所分類に応じて、[18F]GTP1タウPET放射性リガンド(複数可)及び/又はアミロイドPET放射性リガンドは、非治験薬製品又はIMPとみなされ得る。
目的及びエンドポイント
【0615】
本研究では、脳脊髄液(CSF)又はアミロイド陽電子放射断層撮影法(PET)によってアミロイド陽性である、50~85歳の軽度から中等度のAD患者におけるセモリネマブの臨床的有効性、安全性、薬物動態及び薬力学を評価した。この研究の具体的な目的と対応するエンドポイントの概要を以下に示す。
【0616】
主要有効性目的
本研究の主要有効性目的は、以下のエンドポイントに基づいて、認知及び機能に対するセモリネマブとプラセボとの比較の効果を評価することであった:
・ アルツハイマー病評価尺度、認知下位尺度、11項目バージョン(ADAS Cog11)によって測定した認知機能のベースラインから最終来院までの二重盲検治療期間(コホート1については49週目、コホート2については61週目、及びコホート3については73週目)の変化
・ アルツハイマー病共同研究日常生活動作インベントリ(ADCS-ADL)によって測定される機能的能力のベースラインから二重盲検治療期間の最後の来院まで(コホート1については49週目、コホート2については61週目、及びコホート3については73週目)の変化
プラセボ対照群は、ベースライン安全性プロファイルの確立、非研究薬と関連しない可能性がある任意に有害事象の識別に役立ち、研究の二重盲検治療期間における有効性測定の比較群としての役割を果たす。
【0617】
副次的有効性目的:
この研究の副次的有効性目的及び対応するエンドポイントは以下の通りであった:
・ 以下のエンドポイントに基づいて、プラセボと比較した全体的な認知及び機能に対するセモリネマブの効果を評価する:
- 臨床認知症評価尺度の合計点数(CDR SB)におけるベースラインから最終来院までの二重盲検治療期間(コホート1については49週目、コホート2については61週目、及びコホート3については73週目)の変化
・ 以下のエンドポイントに基づいて、プラセボと比較した認知に対するセモリネマブの効果を評価する:
- ミニメンタルステート検査(MMSE)におけるベースラインから最終来院までの二重盲検治療期間(コホート1については49週目、コホート2については61週目、及びコホート3については73週目)の変化
【0618】
探索的な有効性目的
この研究の探索的PKの目的は以下の通りである:
・ 以下のエンドポイントに基づいて、プラセボと比較した行動症候に対するセモリネマブの効果を評価する:
- 神経精神症状評価(NPI)におけるベースラインから二重盲検治療期間の最後の来院まで(コホート1については49週目、コホート2については61週目、及びコホート3については73週目)の変化
・ プラセボと比較した患者の認知及び機能的能力の変化に対する介護者の印象に対するセモリネマブの効果を以下のエンドポイントに基づいて評価する:
- 二重盲検治療期間の最後の来院時(コホート1については49週目、コホート2については61週目、及びコホート3については73週目)のアルツハイマー病の介護者全般印象尺度(CaGI-Alz)の評価
別の探索的エンドポイントが関与した:
● WCG[18F]GTP1タウPET SUVR
【0619】
安全性目的
本研究の安全性目的は、以下のエンドポイントに基づいて、プラセボと比較したセモリネマブの安全性及び忍容性を評価することであった:
・ 有害事象及び重篤な有害事象の性質、頻度、重症度及びタイミング(重症度はWHO毒性等級スケールに従って決定される)
・ セモリネマブ投与中及び投与後のバイタルサイン、身体所見、神経所見、ECG及び臨床検査結果のベースラインからの変化
・ コロンビア自殺重症度評価尺度(C SSRS)によって評価される、セモリネマブ投与中及び投与後の希死念慮及び行動のベースラインからの変化
・ セモリネマブ投与中の脳血管原性浮腫及び/又は微小出血を表し得る神経画像異常の性質、頻度、重症度及びタイミング
【0620】
薬物動態学の目的
本研究の薬物動態(PK)目的は、以下のエンドポイントに基づいてセモリネマブPKプロフィールを特徴付けることであった:
・ 特定の時点におけるセモリネマブの血清濃度
【0621】
この研究の探索的PKの目的は以下のとおりであった:
・ 以下のエンドポイントに基づいてCSF中のセモリネマブPKプロフィールを特徴付ける:指定された時点でのセモリネマブのCSF濃度
・ 薬物曝露とセモリネマブの有効性及び安全性との間の潜在的な関係を以下のエンドポイントに基づいて評価する:
- セモリネマブ及び安全性エンドポイントについての血清(及び利用可能であればCSF)濃度又はPKパラメータとの関係
- セモリネマブ及び有効性エンドポイントについての血清(及び利用可能であればCSF)濃度又はPKパラメータとの関係
・ 選択された共変量とセモリネマブへの曝露との間の潜在的関係を以下のエンドポイントに基づいて評価する:
- 選択された共変量(年齢及び性別を含むが、これらに限定されない)とセモリネマブの血清濃度又はPKパラメータとの関係
【0622】
免疫原性目的
この研究の免疫原性の目的は以下の通りであった:
・ セモリネマブに対する免疫応答を以下のエンドポイントに基づいて評価する:
- ベースラインでのADAの有病率に対する研究中の抗薬物抗体(ADA)の発生率
・ 以下のエンドポイントに基づいてADAの潜在的な効果を評価する:
- ADAの状態と有効性、安全性、又はPKエンドポイントとの関係
【0623】
バイオマーカーの目的
本研究の探索的バイオマーカーの目的は、以下のエンドポイントに基づいて、活性の証明の証拠を提供するため、作用機序の定義を補助するため、バイオマーカーの変化と有効性との間の関係を評価するため、及びバイオマーカーがベースラインで、より急速な疾患進行及び/又はセモリネマブに対する臨床的利益の増強を有する患者のサブセットを同定するかどうかを評価するために、バイオマーカーに対するセモリネマブの効果を評価することであった:
・ 血液及びCSF(利用可能な場合)中のバイオマーカーと、有効性、安全性、PK、免疫原性、又は他のバイオマーカーのエンドポイントとの関係
・ 磁気共鳴画像法(MRI)によって測定されるベースライン脳体積及び皮質厚さからの変化と、有効性、安全性、PK、免疫原性、又は他のバイオマーカーのエンドポイントとの関係
・ [18F] Genentechタウプローブ1(GTP1)PETによって測定したベースライン脳内タウ病態負荷量からの変化と、有効性、安全性、PK、免疫原性、又は他のバイオマーカーエンドポイントとの関係
【0624】
探索的バイオマーカー調査には、可溶性タウ、神経線維軽鎖、及びAD、神経変性、及び神経炎症に関連する遺伝子マーカーの分析が含まれ得るが、これらに限定されない。研究は、全ゲノム配列決定(WGS)を可能にするためのDNAの抽出、及び一塩基多型(SNP)の分析を含み得る。
【0625】
研究計画
この第II相多施設無作為化二重盲検プラセボ対照並行群研究では、軽度から中等度のAD患者におけるセモリネマブの臨床的有効性、安全性、薬物動態及び薬力学を評価した。
【0626】
簡潔には、国立老化研究所-アルツハイマー病協会の蓋然性の高いAD認知症の基準を満たし、ミニメンタルステータス検査(MMSE)スコアが16~21(両端の値を含む)、グローバル臨床認知症評価(CDR)スコアが1又は2であった50~85歳の参加者を、プラセボ又はセモリネマブ(4500mg)のいずれかの月1回のIV用量を48週間にわたって(すなわち、1~49週目)受けるように無作為化した。研究の過程で、パンデミックの間に少なくとも1回の用量の研究薬物治療を逃した参加者に対して、研究の盲検期間を60週間(すなわち、1~61週目)に延長することによって、潜在的なCOVID-19に関連する混乱を軽減するためにプロトコルを修正した。無作為化を、MMSE(16対18対19対21)及びAPOε状態(ε4+対ε4-)によって層別化した。共主要有効性エンドポイントは、ベースラインから49週目のアルツハイマー病評価尺度-認知下位尺度(ADAS-Cog11)の11項目バージョン及びアルツハイマー病共同研究-日常生活動作尺度(ADCS-ADL)の変化であった。副次的及び探索的有効性エンドポイントには、MMSE、CDR合計点数(CDR-SB)、及び全皮質灰白質[18F]GTP1タウPET SUVRに対するベースラインからの変化が含まれた。分析は、非構造化共分散行列を使用した反復測定の混合効果モデル(MMRM)を組み込んだ。重要な安全性評価には、物理的及び神経学的検査、臨床検査評価、脳磁気共鳴画像法(MRI)、及び有害事象の監視が含まれた。
【0627】
研究は、スクリーニング期間、二重盲検治療期間、任意の非盲検継続(OLE)期間及び安全性追跡調査期間からなった(
図1A及び1Bを参照)。無作為化後及び研究薬物の開始前に、継続ベースライン来院(最大15日間)を二重盲検治療期間に含めた。二重盲検治療期間中に研究薬物(セモリネマブ又はプラセボ)を静脈内投与し、任意のOLE期間中にセモリネマブを静脈内投与した。研究薬物投与は、二重盲検治療期間の最初の3つの用量については2週間ごとに(Q2W)、その後の二重盲検治療期間中は4週間ごとに(Q4W)行った。すなわち、投与頻度は、血清濃度を定常状態で達成されるものまで急速に増加させるために3週目にセモリネマブの用量も患者に投与した最初の1ヶ月間を除いて、Q4Wであった。世界的なCOVID-19混乱に関連する研究薬物投与における予想される混乱のために、以下に記載されるように、最大3つの試験コホートを予想した:
・ コホート1:プロトコル(プロトコルバージョン3)の実施前に二重盲検治療期間を完了した(すなわち、49週目の評価を完了した)か又は中止した患者。コホート1については、49週目の来院は二重盲検治療期間の終了を表し、患者は元のスケジュールに従ってOLE又は安全性追跡調査期間を継続した。加えて、二重盲検治療期間中に活動的であり、45週目まで投与を取り逃すことなく盲検研究薬物治療を完了した他のコホートの患者は、49週目の来院時にコホート1の活動スケジュールに戻すのに適格であり、49週目の来院評価を完了した後にOLEを継続した。
図2を参照されたい。
【0628】
研究規模を拡大することを決定した場合、研究に採用した追加の患者をコホート1に割り当てた。コホート1の患者が盲検研究薬物注入を受けなかった場合、患者をコホート2に移した。
・ コホート2:プロトコルバージョン3の実施後の二重盲検治療期間に活動的であった患者をコホート2に割り当てた。コホート2では、コホート1の活動スケジュールに戻すための上記の基準が満たされない限り、二重盲検治療期間を61週目に延長した。
・ コホート3:2020年後半までに、COVID-19の混乱により、二重盲検治療期間中に3回を超える研究薬注入を逃した患者の割合が有意になった場合、治験依頼者は、コホート3を確立する選択肢を有し、二重盲検治療期間中に依然として活動的であり、決定時に3回を超える用量の盲検研究薬を逃した患者からなる。このコホートでは、二重盲検治療期間を73週目まで延長した。しかしながら、コホート3は活性化されなかった。
【0629】
コホート2及びコホート3の患者について、二重盲検治療期間中に2回以上の連続研究薬物注入を逃した場合、研究薬物投与を次の3回の用量のQ2W投与で再開し、その後Q4W投与を行った。二重盲検治療期間の開始時の投与と同一であるこの短期間の高頻度投与は、研究薬物曝露を以前の定常状態レベルに迅速に回復させると予想された。
【0630】
全てのコホートの適格患者について、セモリネマブを、OLE期間中に96週間Q4W投与した。研究治療は、研究薬物+PETイメージング手順中に使用された[18F]GTP1放射性リガンドとして定義された。[18F]GTP1放射性リガンドを、灰色ブチルセプタ及びアルミニウムリングシールを有する滅菌ホウケイ酸ガラスバイアル中の滅菌非発熱原性溶液として供給した。最終製品は、以下の項目:全放射能(mCi)、体積(mL)、強度(mCi/mL)、較正日時、バッチ番号、研究識別、及び貯蔵寿命を有するラベルを有する。
【0631】
患者を、1:1の比でIV注入によって投与されるセモリネマブ(4500mg)又はプラセボを投与されるように無作為に割り当てた。患者の無作為化は、階層化された順列ブロック無作為化を使用して、中央対話型音声又はウェブベースの応答システム(IxRS)ベンダーによって管理される。
【0632】
OLEに参加している全ての患者は、セモリネマブ4500mgのIV注入を受けた。セモリネマブ及びプラセボを滅菌液体としてガラスバイアルに供給した。APOε遺伝子型(de Oliviera et al.J.of Neurol.Sci.2015;359(1-2):127-132)とベースライン認知能力((Kennedy et al.Alzheimers Dement(NY)2015;1:46-52)の両方がその後の臨床的進行速度に関連し得るため、APOε状態(Apoε4+対Apoε4-)とスクリーニングMMSEスコア(16対18対19対21)の両方によって無作為化を層別化した。
【0633】
国立老化研究所-アルツハイマー病協会[NIA-AA]のAD診断基準及びガイドラインに従って、起こり得るAD認知症の臨床診断に基づいて患者を選択した。各患者の臨床診断は、診断検証フォーム(DVF)で提供される情報によって支援され、治験依頼者または治験依頼者の委任者によって検討及び承認された。
【0634】
適格患者は、スクリーニングの開始時に50~85歳であり、起こり得るAD認知症の診断基準(McKhann et al.Alzheimers Dement 2011;7:263-9)を満たし、CSF分析(すなわち、CSFに登録された患者)又は定性的読み取りによる陽性アミロイドPETスキャン(すなわち、PET登録患者)によって示される脳アミロイドーシスの証拠を有していた。脳アミロイドーシスの決定のためのCSF対PETの選択は、個々の部位の能力及び/又は個々の患者の選好に基づいて行われた。患者が2つのモダリティ(CSF評価又はアミロイドPET)のうちの1つに基づいてアミロイド陰性である場合、患者はスクリーニング中に他のモダリティで評価を受けることができ、いずれのモダリティによるアミロイド陽性も適格性に十分である。スクリーニング時に、適格患者は、16~21(両端の値を含む)との間のMMSEスコア及び1又は2の臨床的認知症評価グローバルスコア(CDR-GS)を有していた。
【0635】
試験の適格性を判定するためにスクリーニング時、ベースライン時、及び他のベースライン後の時点でMMSEを患者に投与した。
【0636】
CDRインタビューは、AD患者及びその介護者の両方に行われた。6つの機能カテゴリー(6つの「ボックス」)のそれぞれについて得られた障害度の評価を合成して、認知症の1つの包括的評価(範囲、0~3)にした。6つのドメインの合計であり、0~18の範囲を有するCDR SBを使用することによって、障害のより精密な測定値が利用可能であった。評価者間信頼性が高いため、信頼性及び妥当性が確立されている。CDRを認知症の重症度の包括的評価として使用した。
【0637】
ADAS Cog11(11項目バージョン)を用いた。ADAS Cog11を患者に行った。同等の代替形態の単語リコール及び語彙認識サブテストを連続試験投与で使用した。
【0638】
ADCS-ADLを介護者を行い、基本的な日常生活動作(ADL)(例えば、食事及びトイレ使用)とより複雑なADL又は手段的ADL(例えば、電話の使用、財務管理、食事の準備)の両方をカバーした。
【0639】
NPIを介護者に行い、ADで最も頻繁に報告される12の一般的な行動症候に焦点を合わせた。
【0640】
CaGI Alz評価のために、介護者は、研究治療が開始されてから、及び以前のCaGI Alz評価(例えば、以前の6ヶ月間)からの患者の記憶力及びADLの変化を評価するように求められた。これらの項目をアンカーとして使用して、他のCOAの有意な変化を決定した。
【0641】
研究規模を拡大した場合に登録された追加の患者を除いて、患者は、[18F]GTP1 PETイメージングによるベースライン及び長期タウ関連バイオマーカー評価を受けた。これらの患者については、[18F]GTP1 PETイメージングは任意である。[18F]GTP1 PETイメージングを受けている患者については、二重盲検治療期間中のベースライン及び49週目の来院時にPETスキャンを実施し、任意のOLE期間中も継続するこれらの患者のサブセットについては、[18F]GTP1 PETイメージングをOLE期間の終了時に実施した。
【0642】
患者はまた、スクリーニング及び/又はベースライン来院時、及び二重盲検治療期間中の最後の研究来院時(すなわち,、コホート1については49週目、コホート2については61週目、又はコホート3については73週目)に腰椎穿刺(LP)によってCSFを採取する選択肢があった。任意のOLE期間を継続している患者には、97週目(コホート1)、109週目(コホート2)、又は121週目(コホート3)及びOLE期間の終了時にLPを実施するように促した。
【0643】
[18F]GTP1 PET及びMRI評価は標準プロトコルを使用した。アミロイドPETスキャン及びMRIのスクリーニングを、適格性を決定するために中央読み取り装置によって読み取った。
【0644】
患者
この研究には272人の患者が含まれ、北米及び欧州の約43カ所で実施された。研究規模を拡大する決定がなされた場合、研究のCOVID-19関連の混乱の影響を更に緩和するために、最大100人の患者が追加で登録され得る。患者は、50歳~85歳の軽度から中等度のADの男性及び女性患者であった。
【0645】
この研究は複数の地理的地域で実施されたため、異なる民族的起源の患者が研究に登録された可能性が高い(非ヨーロッパ系の人を含む)。この情報を収集して(地域の規制によって許可されている場合)、異なる民族的起源の患者に関する結果(例えば、PK曝露[血液中の薬物濃度]又は治療効果の差の可能性)を評価した。
【0646】
標的集団
選択基準:患者は以下の研究エントリーの基準を満たすものとする。
・ 患者が署名したインフォームドコンセント用紙(治験責任医師が適切であると判断した場合、及び/又は現地の規制、ガイドライン、及び治験審査委員会又は倫理委員会が要求した場合は、患者の法定代理人が共同署名する)
・ 治験責任医師の判断による、治験実施計画書を遵守する能力
・ インフォームドコンセント書類の署名時の年齢が50歳以上85歳以下(両端の値を含む)
・ National Institute on Aging/Alzheimer’s Associationのほぼ確実なAD認知症のコア臨床基準(選択された患者が軽度から中等度のAD認知症の臨床診断基準を満たす可能性が高いことを確実にするために、臨床医又は介護者によって行われた観察を通して、ADと一致する以前の低下の証拠を検証してDVFに記録し、治験依頼者又は治験依頼者の委任者による診断の判定を受け、客観的に確認され十分に文書化されたADの診断に基づいて患者が登録されることを確実にする(McKhann et al.Alzheimers Dement 2011;7:263-9))。
・ ElecsysβAmyloid(1-42)Test Systemで測定されたCSF Aベータ1-42又はコア/中央PETベンダーによる視覚的読み取りによるアミロイドPETスキャンのいずれかでの陽性アミロイド評価によるAD病理学的過程の証拠。
【0647】
CSF評価に基づいて患者がアミロイド陰性である場合、患者は潜在的に登録されるためにスクリーニング中にアミロイドPETスキャンを受けることができる。患者は、CSF評価のためのLP又はアミロイドPETスキャンを、スクリーニング中にそれぞれ1回だけ受けることができる。
【0648】
患者がアミロイドPETスキャンに基づいてアミロイド陰性であった場合、潜在的な適格性についてスクリーニングする間にCSF評価のためにLPを受けることができた。患者は、CSF評価のためのLP又はアミロイドPETスキャンを、スクリーニング中にそれぞれ1回だけ受けることができる。
【0649】
特定の状況下では、以前に取得されたアミロイドPETスキャンを研究の包含に使用することができる。以前に取得されたアミロイドPETスキャンが有効であると考えられ、コア/中央PETベンダーによって陰性と読み取られた場合、患者は潜在的な適格性についてCSF評価を受けることができたが、登録のための追加のアミロイドPETスキャンは受けられなかった。
・ スクリーニングMMSEスコア16~21ポイント(両端の値を含む)及びCDR GS 1又は2によって定義される軽度から中等度の重症度のAD認知症
【0650】
研究GN39763のスクリーニング期間中に得られたMMSEは、これが研究GN40040の無作為化日の8週間以内に得られ、スクリーニングの失敗がアミロイド陰性の証拠によるものではないという条件で使用することができた。
・ 以下に定義されるものを除いて、現在、非治験AD薬物治療を受けていない:
【0651】
患者が非治験AD薬物治療を受けている場合、投薬レジメンはスクリーニング開始前の2ヶ月間安定していなければならない。研究の期間中に任意のAD療法の用量を開始、中止、又は変更するという先験的な意図はないはずである。しかしながら、研究薬物の開始後、ADに対する標準治療対症療法薬は、臨床的に適切であると考えられるように開始、用量調整、又は中止され得る。対症療法薬には、例えば、コリンエステラーゼ阻害剤、メマンチン、及び/又は医学的栄養補助食品であるSouvenaid(登録商標))が含まれた。
・ スクリーニング時の臨床基準の治験依頼者によるレビュー(DVFによる)の対象への組み入れ
・ 治験責任医師の判断において、以下が可能な者(このプロトコルを通して「介護者」と呼ばれる):
- 患者の認知能力、行動能力、及び機能的能力に関する正確な情報を提供することができるように、患者との頻繁かつ十分な接触(すなわち、少なくとも10時間/週)を有する;診療所来院時に情報を提供することに同意する(スケールの完了のために介護者の入力を必要とする項目について);必要な同意書に署名する;患者の行動並びに認知及び機能的能力を正確に報告するのに十分な認知能力を有しする
- 研究期間を通して患者との同じレベルの相互作用及び研究手順への参加を維持する可能性が高いほど十分に良好な全身の健康状態にある
【0652】
指定された介護者臨床転帰評価(COA)を完了するために、研究の期間を通して同じ介護者を参加させるためにあらゆる努力がなされた。
・ 研究現場で行われる試験の言語の流暢さ
・ 5歳以降の6年間以上の正式な教育を受けた者
・ 研究の全ての必要な側面(MRI、臨床遺伝子型判定、及び該当する場合はPETイメージングを含む)を完了する意思及び能力(患者は、単独で又は介護者(複数可)の助けを借りて研究手順を完了することができるべきである)
・ 治験責任医師の判断で、神経心理学的検査を行うのに十分な視力及び聴覚視力(眼鏡及び補聴器は許可される)
・ 妊娠の可能性のある女性の場合:禁欲(異性間の性交を控える)又は避妊手段を使用することの合意、及び卵の提供を控えることの同意
・ 男性の場合:禁欲(異性との性交を控える)又はコンドームの使用の同意、及び精子の提供を控える旨の同意
【0653】
除外基準
以下の基準のいずれかを満たす患者は、研究エントリーから除外した:
・ 妊娠若しくは授乳中、又は研究中若しくは研究薬の最終用量後9週間以内、又は[18F]GTP1放射性リガンド若しくはアミロイド放射性リガンドの最終用量後4日以内のいずれか長い方で妊娠することを意図している
・ MRI治療に耐えられない、又はMRIに禁忌
・ PETイメージングに禁忌
・ アミロイド陽性の確認のためにLPを受けている患者について:治験責任医師の見解では、凝固障害、併用抗凝固療法(アスピリン又はクロピドグレル等の血小板阻害剤を除く)、血小板減少症(血小板数が50,000未満)、腰椎手術前、腰仙骨領域の著しい変形、又は安全なLPを妨げる他の要因を含む、腰椎硬膜穿刺に対する禁忌
・ 肥満度指数40超
・ スクリーニング前の4週間の入院
・ 治験責任医師の見解において認知評価に影響を及ぼすか、又はプロトコルの遵守を妨げる研究中の計画された手順又は手術
・ 熟練した看護施設での滞在(例えば、回復期在宅又は長期介護施設)
・ スクリーニング前8週間以内の輸血/研究中の計画された輸血
・ 末梢静脈アクセス不良
・ 再試験時に異常なままであり、治験責任医師の判断で、患者の研究への安全な参加及び研究の完了を妨げる、又は参加者の臨床的若しくは精神的状態の評価を著しく偏らせる、臨床試験における任意の重篤な医学的症状又は異常。以下を含むが、これらに限定されない:
- 重症慢性腎臓疾患(National Kidney Foundationのガイドラインによるステージ4又は5)
- 現在の薬物治療では高血圧が安定的に制御されない(例えば、160mmHg超の持続性収縮期血圧又は95mmHg超の拡張期血圧)
- 現在の薬物治療では安定的に制御できない糖尿病(例えば、ヘモグロビンA1c□ 8%、又はスクリーニング前2年以内の臨床的に有意な低血糖、高浸透圧症候群、ケトアシドーシス、若しくは糖尿病の他の有意な合併症の病歴)
- 心不全(例えば、ニューヨーク心臓病学会クラスII以上)
- スクリーニング時の臨床的に有意な異常なECG(例えば、有意な伝導遮断の証拠、又はスクリーニングの2年を超える前の既知の心筋梗塞に関連しない限り、以前の心筋梗塞の証拠)
- 治癒したとみなされる場合を除く、癌の病歴;適切に治療された子宮頸部の上皮内癌又はステージI子宮癌がある;過去5年間、著しい臨床的進行はなく、活性抗癌-療法も放射線療法もなく、治験責任医師の見解では、その後5年間で進行する可能性も治療を必要とする可能性もない;又は癌が前立腺癌若しくは基底細胞癌であり、過去2年間に有意な進行がなかった
・ フリデリシアの式(QTcF)を使用して補正したQT間隔 女性では>470ms、男性では>450ms、少なくとも2つのECG>30分離れていることによって実証
・ 異常なスクリーニング甲状腺機能試験又は再試験時に異常なままである試験、又は新しい治療若しくは現在の治療の調整を必要とする試験
・ 再試験時に十分に低い又は低いままである葉酸又はビタミンB12レベルのスクリーニングであって、その結果、欠陥が治療の開始又は変更を必要とする、及び/又は認知障害に寄与している可能性がある
【0654】
脳血管系/神経系/精神医学的除外
以下の脳血管/神経学的/精神医学的基準のいずれかを満たす患者を研究エントリーから除外した:
・ 発作の病歴(小児熱性発作又は他の遠隔非再発性発作を除く)
・ 軽度から中等度又は重症と等級分けされる以前の外傷性脳損傷の病歴は、30分以上続く意識消失をもたらす頭部損傷、提示時の初期グラスゴー・コーマ・スケールが12以上、外傷後健忘症若しくは錯乱状態が24時間以上続くこと、又は提示時の関連する異常な脳画像所見として定義される
・ 認知に影響を及ぼし得るAD以外の症状の任意の証拠(レビー小体型認知症、血管性認知症、パーキンソン病、皮質基底核変性症、クロイツフェルト・ヤコブ病、進行性核上性麻痺、前頭側頭型変性症、ハンチントン病、正常圧水頭症、低酸素症、重症睡眠時無呼吸若しくは他の慢性睡眠障害、又はベースライン知的障害が含まれるが、これらに限定されない)
・ 統合失調症、統合失調感情障害、大うつ病、又は双極性障害の病歴(大うつ病の病歴は、患者が過去1年以内にエピソードを有していないか、寛解しているとみなされるか、又はうつ病が治療によって制御される場合、許容される)
・ 治験責任医師の見解で自殺の危険性あり
・ 過去2年以内の任意の重症度(精神障害の診断・統計マニュアル第5版による)の薬物乱用、アルコール、大麻、フェンシクリジン、他の幻覚剤、吸入薬、オピオイド、鎮静薬、催眠薬、抗不安薬、又は刺激薬使用障害の基準を満たす
・ 治験責任医師の見解で、認知機能に影響を及ぼす可能性がある、脳に影響を及ぼす可能性がある臨床的に明白な血管疾患(例えば、臨床的に有意な頸動脈、椎骨狭窄又はプラーク;大動脈瘤;頭蓋内動脈瘤;脳又は他の頭蓋内出血;動静脈奇形)の病歴又は存在
・ 過去2年以内に臨床症候を伴う任意の脳卒中の病歴若しくは存在、又は急性事象の最後の6ヶ月以内に記録された既往歴が一貫しており、治験責任医師の見解では、一過性虚血発作を伴う
・ 脳アミロイド血管症の病歴、又は6個を超える微小出血のMRIの証拠、任意の大出血、又は1cmを超える2つ以上の領域を含む脳表ヘモジデリン沈着症
・ 治験責任医師の見解において臨床的に関連する(例えば、神経膠腫、脳転移)頭蓋内腫瘍の病歴又は存在
・ 脳機能に影響を及ぼす感染症の存在又は神経学的続発症をもたらした感染症の病歴(例えば、HIV、梅毒、神経ボレリア症、ウイルス性又は細菌性の髄膜炎/脳炎)
・ CNS又は全身性自己免疫障害の病歴又は存在は、関連する認知欠損を伴う進行性神経疾患を潜在的に引き起こす(例えば、多発性硬化症、紅斑性狼瘡、抗リン脂質抗体症候群、ベーチェット病)
・ Fazekas深部白質スコア3に対応する、又は治験責任医師の見解では、そうでなければ認知機能障害に寄与し得る、脳深部白質における2つを超えるラクナ梗塞、1cm3超の領域的梗塞、又は有意な流体減衰反転回復高強度病変のMRIの証拠
【0655】
感染症及び免疫疾患の除外
以下の感染症及び免疫障害の基準のいずれかを満たす患者を研究エントリーから除外した:
・ 免疫抑制薬物治療の継続的な効果のために、全身的に、臨床的に有意に免疫無防備状態の患者
・ スクリーニング時C型肝炎ウイルス抗体陽性
・ スクリーニング時B型肝炎表面抗原陽性
・ スクリーニング時HIV抗体陽性
・ スクリーニング前30日以内に経口又はIV抗生物質を必要とする重篤な感染症
・ キメラ、ヒト、又はヒト化抗体又は融合タンパク質に対する重症アレルギー反応、アナフィラキシー反応、又は他の過敏反応の既知の病歴
【0656】
スクリーニング
インフォームドコンセント用紙に署名した後、患者は適格性を判定するために最大8週間のスクリーニング期間に入った。この8週間の延長期間(例えば、脳アミロイドーシスの評価を完了するため)は、メディカルモニターによって症例ごとに認められた。
【0657】
任意の初期スクリーニング手順に基づいて、患者が依然として適格であることを条件として、DVFを完了した。DVFは、AD診断を裏付ける情報と共に、MMSE及びCDRの結果を含んでいた。DVFは、MRI、[18]GTP1若しくはアミロイドPETスキャン、又はLPを実施する前にレビュー及び承認された。
【0658】
COVID-19に関連する混乱の間、スクリーニング期間の延長は、COVID-19及び/又は任意の関連する制限の影響を受けた患者及び臨床現場についてメディカルモニターによって症例ごとに認められた。スクリーニング活動を中断し、後で再開するために、メディカルモニターは、場合によっては、特定のスクリーニング手順を繰り返す必要があるかどうかを助言した。
【0659】
研究期間
二重盲検治療期間
研究の二重盲検治療期間には、ベースライン期間及び二重盲検治療期間が含まれていた。ベースライン期間は最大15日間続いたが、例えば[18F]GTP1 PETイメージングを完了するための15日間のベースライン期間の延長が、場合によって認められた。COVID 19に関連する混乱のためにベースライン期間が2ヶ月以上に延長され、ベースライン活動が中断され、後に再開された場合、メディカルモニターは、症例ごとに、特定のベースライン手順を1週目の前に繰り返す必要があるかどうかを助言した。
【0660】
二重盲検治療期間は、コホート1では1~49週目、コホート2では1~61週目、コホート3では1~73週目であった。研究薬物による治療は、最初の3回の用量(すなわち、1、3、及び5週目の用量)についてはQ2Wであり、その後の最後の二重盲検用量(コホート1では合計13回、コホート2では16回、コホート3では19回までの投与量)まではQ4Wであった。二重盲検治療期間の最後の来院時に研究薬物の投与はなかった。コホート2及びコホート3について、二重盲検治療期間中に2回以上の連続研究薬物注入を逃した場合、研究薬物投与を次の3回の用量のQ2W投与で再開し、その後Q4W投与を行った。安全性、有効性、PK及びバイオマーカーの評価を、研究薬物の最初の投与前及び二重盲検治療期間の最後の来院を含むいくつかのベースライン後の来院時に行った。COVID-19関連の混乱に関連する理由で二重盲検治療期間中に研究薬物の注入を逃した患者は、最初の注入を逃した時点及び診療所での注入を再開した時点で(電話又はビデオ通話によって)遠隔投与された追加のCOAを有し得る。
【0661】
非盲検継続期間
二重盲検治療期間を完了し、治験責任医師の判断で、非盲検セモリネマブ治療から利益を得る可能性のある対象には、任意の96週間のOLE期間が利用可能であった。OLE期間については、全ての対象が、53週目(コホート1)、65週目(コホート2)又は77週目(コホート3)から始まるセモリネマブ4500mgのIVを受けた。
【0662】
199人の対象をプラセボ(N=95)又はセモリネマブ(N=104)治療群(非盲検)に無作為化した。149人の対象(プラセボ、N=72及びセモリネマブ、N=77)が依然としてOLE研究を継続している。両群の50人の対象は、表5の理由に基づいて継続しなかった。
【表5】
【0663】
安全性追跡調査期間
研究薬物の最終用量後、全患者の安全性を追跡した。OLE期間に入っていない患者は、研究薬の最終用量の12週間後に安全性追跡調査来院を受けた(すなわち、コホート1については57週目、コホート2については69週目、又はコホート3については81週目の安全性追跡調査)。OLE期間に入った患者は、非盲検治療の最終用量の12週間後に安全性追跡調査来院を受けた(すなわち、コホート1については157週目、コホート2については169週目、又はコホート3については181週目の安全性追跡調査)。二重盲検治療期間又はOLE期間のいずれかの早期に治療を中止した患者は、最終治療用量の12週間後に治療中止来院を受けた。
【0664】
評価
臨床転帰評価(COA)
COAは、治療が患者に及ぼす効果の理解を提供した。研究治療の有効性及び臨床プロファイルを特徴付けるために、様々な観察者(介護者)及び臨床医によって報告された転帰を収集した。主要アウトカム尺度であるADAS Cog11及びADCS-ADLは、ADの評価に広く使用されている検証済みの手段である。追加の観察者(介護者)及び臨床医が報告した結果を使用して、患者の認知、機能、及び行動を評価した。現場スタッフには、このプロトコルで特定されたCOAを管理することを認定するための標準化された評価者訓練プログラムが提供された。
【0665】
これらの認知評価への潜在的交絡因子の寄与を最小限に抑えるために、現在未治療のうつ病エピソード(すなわち、臨床的に有意なうつ病症候の存在)を有する任意の患者を研究から除外した。
【0666】
表6に列挙したCOAを、この研究に登録した全ての患者及び/又は介護者に行った。安全性を監視するためにC-SSRSを使用し、他の全てのCOAを治療有効性の評価として使用した。
【表6】
【0667】
有害事象の重症度の評定
有害事象重症度を評価するためにWHO毒性等級スケールを使用した。表7は、WHO毒性等級尺度に具体的に列挙されていない有害事象の重症度を評価するために使用した。
【表7】
【0668】
注入関連反応又は過敏症
セモリネマブ等のモノクローナル抗体は、重症アナフィラキシー反応を含む過敏症又は過敏症様反応等の臨床試験における潜在的な免疫応答に関連し得る。全ての参加者を、注入中及び注入直後に注入関連反応、過敏症、又は過敏症様反応について監視した。
【0669】
神経画像異常
潜在的な神経画像異常を監視するために以下を実施した:
・ 全ての患者は、スクリーニング時及びいくつかのベースライン後の時点でMRIを受けた。MRIを、対応する研究来院での任意の投与の前に実施し、投与前の任意の新たな臨床的に有意な異常の評価のためにリアルタイムで局所的に読み取った。しかしながら、局所MRI解釈においてそのような異常が識別されなかった場合、用量は、中央MRI報告の受信前に与えられてもよい。中央MRI読み取りによって特定された異常の場合、治験責任医師はその臨床的有意性を評価し、以下のように進める。
・ COVID-19に関連する混乱の間、研究に関連するMRIを得ることができなかった場合、患者を、新たな臨床的に有意な神経学的異常を示唆する何らかの徴候又は症候について監視した。新しい臨床的に有意な異常が観察されなかった場合、MRIなしで研究薬を投与することができたが、その後の予定外の試験に関連するMRIは、許容される局所症状として得られた。新たな臨床的に有意な神経学的異常が観察された場合、研究薬物は保留し、患者は適切な追跡調査及び適切な場合はMRIを含む医学的治療を紹介した。研究GN39763及びGN40040からの盲検安全性データの予備的分析は、これらの研究におけるMRI異常の割合がこの患者集団で報告されたバックグラウンド割合と一致することを示唆した(Carlson et al.Alzheimers Dement 2011;7:396-401;Caunca et al.J Am Heart Assoc [インターネット上のシリアル].[引用2020年4月14日]2016年9月.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5079015/から入手可能)。
・ 全ての患者は、神経学的徴候又は症候を評価するために定期的に神経学的検査を受けた。新しい臨床的に有意なCNS障害又は病変を示唆する所見の場合、患者は可能な限り早くMRI検査を受けた。
・ 臨床的に有意な新規又は悪化する異常の評価のために、全てのMRIをリアルタイムで局所的に読み取った。治験責任医師の判断で、任意の臨床的に有意な新規又は悪化するMRI異常(例えば、症候性又は無症候性の頭蓋内腫瘍、脳梗塞[ラクナ又はテリトリー型(territorial)]、脳出血[大出血、微小出血、脳表ヘモジデリン沈着症]、血管原性浮腫、脳溝滲出液)が観察された場合、研究薬を対応する研究来院時に保留した。研究薬治療の再開は、メディカルモニターとの議論後にのみ行うことができた。
・ 重症度にかかわらず、研究薬を投与した後の任意の時点で発生した臨床的に有意な新規又は悪化するMRI異常の全ての事象は、迅速に報告されることが特に興味深い有害事象であると考えられた。
【0670】
免疫原性
セモリネマブは、FcRnへの結合を増強するFc変異(YTE)を含有するように操作されたpanタウIgG4モノクローナル抗体であり、ヒトにおける末梢抗体クリアランスを遅らせることが示されている。ヒトにおけるセモリネマブに対するADAは、セモリネマブ曝露の変化、治療有効性の低下、又は過敏反応等の安全性所見に関連し得る。第I相研究(GN39058)では、治療緊急ADAの証拠はなかった。この第II相研究(GN40040)における免疫原性を、検証されたイムノアッセイを使用し、治療後のADAの発生率をベースラインでのそれらの有病率と比較して評価することによって評価した。
【0671】
コロンビア自殺重症度評価尺度
C-SSRSは、希死念慮及び自殺行動のベースライン発生率を評価し、ベースライン後の来院時に希死念慮及び自殺行動を予測的に評価するために使用される、面接に基づく手段である。ベースライン後の評価では、以前の来院からの希死念慮及び自殺行動を評価した。安全性を監視するためにC-SSRSを使用した。これを患者に行い、希死念慮の前向き評価において捉えるために重要であるとFDAが考えている希死念慮及び行動の5つのサブタイプを測定した(FDA 2012)。C-SSRS応答が有害事象を示唆するものであった場合、治験責任医師は、有害事象の基準が満たされているかどうかを判定し、満たされている場合、その事象を有害事象eCRFに報告した。
【0672】
バイオマーカー評価
血液及びCSFバイオマーカー評価を使用して、アミロイド陽性を検証し、[18F]GTP1 PETとCSFタウ測定との間の関係を評価し、患者におけるセモリネマブの生物学的活性の証拠を実証し、セモリネマブに対する応答を予測し得るバイオマーカーを同定し、PK及びPDの関係を定義し、患者におけるセモリネマブの作用機序の理解を進め、疾患生物学の知識及び理解を高めた。
【0673】
研究の終了
本研究の終了は、最後の患者が最後に来院した日付又は最後の患者から安全性追跡調査を受けた日付のうち遅い方と定義した。研究の終了は、最後の患者が登録されてから最大45ヶ月後に起こると予想された。
【0674】
研究期間
最初の患者のスクリーニングから研究終了までの研究全体は、最大60ヶ月間続くと予想された。研究の規模を拡大し、最大100人の患者を追加で登録することを決定した場合、研究全体は最大72ヶ月持続すると予想される。
【0675】
統計的特徴
試料サイズの決定
この研究は、1:1の比でIV有効用量アーム又はIVプラセボ用量アームのいずれかに無作為化された世界中の異なる国からの約272人の対象を登録した(表8)。この試料サイズは、プラセボ治療患者について6ポイントの平均低下、7.5の患者間の標準偏差、10%の脱落率、及び両側α=0.2の有意水準を仮定してセモリネマブをプラセボと比較した場合に、セモリネマブがベースラインからの平均ADAS Cog11変化の35%の相対的減少を検出するためのおよそ80%のパワーを提供した。2020年の後半に、盲検データを再検討して、研究規模の拡大の可能性に関する決定を知らせた。最大100人の追加の患者が登録された研究拡大は、プロトコルで実施された二重盲検期間の延長にもかかわらず、COVID-19混乱に関連する症状が研究の完全性及び/又は評価可能な患者集団のサイズを著しく損なう可能性がある程度の研究薬物治療の中断をもたらした場合、及び予備データが、セモリネマブがこの患者集団において許容可能かつ忍容可能な安全性プロファイルを示すことを示唆し続けた場合に考慮される。追加の患者数は、COVID-19に関連する混乱のために研究薬物注入を逃した現在無作為化されている患者の数に近似するであろう。
【表8】
【0676】
統計的検討事項及び分析計画
有効性分析は、少なくとも1回の用量の研究薬物を受け、少なくとも1つのベースライン後のADAS-Cog11及び/又はADCS-ADL測定値を有した全ての無作為化患者として定義される集団を治療する修正された意図に基づいた。有効性分析のために、無作為化時に割り当てられた治療に従って患者をグループ分けした。
【0677】
安全性分析は、セモリネマブ又はプラセボのいずれかの少なくとも1つの用量を受けた全ての無作為化患者に基づいた。実際に受けたセモリネマブ治療に従って患者をグループ分けした。
・ 一次解析は、最後の患者が二重盲検治療期間の最後の来院の評価を完了した後に行った(コホート1については49週目、コホート2については61週目、又はコホート3については73週目)。
・ 最後の患者がOLEを完了し、OLE期間の最後の来院の評価を完了した後に、最終分析が行われた(コホート1については145週目、コホート2については157週目、又はコホート3については169週目)。
【0678】
研究実施の概要
登録し、中止し(治療の早期中止又は研究の早期終了)、二重盲検治療期間を完了し(コホート1については49週目まで、コホート2については61週目まで、及びコホート3については73週目まで)、OLEに継続する患者の数を治療群別に集計した。治療の早期中止又は研究の早期終了の理由を治療群別に列挙し要約した。任意の適格基準の例外及び他の主要なプロトコルの逸脱もまた、治療群によって要約した。
【0679】
治療群の比較可能性の要約
年齢、性別、人種、Apoε4状態、及びベースラインMMSEスコア等の人口統計的及びベースライン特性を、必要に応じて連続変数の平均、標準偏差、中央値、及び範囲、並びにカテゴリ変数の頻度及び割合で要約した。要約を治療アーム及び全体によって提示する。
【0680】
有効性分析
主な有効性の評価項目
共主要有効性エンドポイントは、二重盲検治療期間(コホート1については49週目、コホート2については61週目、及びコホート3については73週目)のベースラインから最終来院までのADAS-Cog11及びADCS-ADLスコアの変化である。セモリネマブ治療患者とプラセボ治療患者との間の二重盲検治療期間のベースラインから最終来院までの平均変化の差を、Apoε4状態(Apoε4+対Apoε4-)、スクリーニングMMSE(16対18対19対21)、ベースライン[18F]GTP1 PET標準取り込み値比、年齢、ベースラインADAS Cog11又はADCS-ADLスコアについて調整した共分散モデルの分析、及び適切な場合には、COVID-19に関連する混乱による二重盲検治療期間中の研究薬物注入の失敗回数を用いて推定した。信頼区間及び最小二乗推定値を使用して、研究結果の解釈を支援した。
【0681】
副次的有効性評価項目
副次評価項目は、二重盲検治療期間(コホート1については49週目、コホート2については61週目、及びコホート3については73週目)のベースラインから最終来院までのCDR SB及びMMSEの変化である。副次的有効性エンドポイントを、主要エンドポイントと同じ様式で分析した。
【0682】
安全性分析
安全性分析集団は、セモリネマブ若しくはプラセボ又はGTP1のいずれかの少なくとも1つの用量を受けた全ての無作為化患者を含み、患者は治療アームに従ってグループ分けされた。受けた実際のセモリネマブ治療に従って患者を分析した。
【0683】
インフォームドコンセント後に発生した全ての有害事象を、マッピングされた用語、適切な類義語レベル、及び毒性グレードによって要約した。さらに、死亡及び中止につながる事象を含む全ての重篤な有害事象を別々に列挙し、要約した。
【0684】
実験データを、治療群別の記述統計学によって要約した。さらに、全ての検査異常を、WHO等級スケールを使用して等級別に要約した。
【0685】
特別な関心対象の有害事象及び神経画像異常を治療群別に列挙し、要約した。
【0686】
バイタルサイン(脈拍数、血圧、体温、呼吸数)、体重及び他の疾患特異的データを、治療群別の記述統計によって要約した。ベースラインからの変化を治療群ごとに要約した。
【0687】
薬物動態分析
個々の血清セモリネマブ濃度-時間データ及び平均血清セモリネマブ濃度-時間データを表にし、必要に応じて治療群及び/又はコホートごとにプロットし、Cmax及び最小濃度を報告した。PKパラメータの推定値を集計し、必要に応じて、用量を逃すことなく研究を完了した患者の記述統計(例えば、平均、標準偏差、最小、及び最大)によって要約した。個々の及び平均のセモリネマブCSF濃度-時間データを治療群ごとに集計した。追加のPK分析を必要に応じて行った。
【0688】
免疫原性分析
セモリネマブに対するADAのベースライン有病率及びベースライン後の発生率を要約した。関連する臨床的安全性及び活性エンドポイントに対するADA応答及びADA応答の潜在的効果を、評価可能な患者について評価した。
【0689】
免疫原性分析には、少なくとも1回の用量前及び1回の用量後ADA評価を受けた患者が含まれ、患者は治療アームに従ってグループ分けされた。
【0690】
治療期間及び追跡調査期間の両方におけるADA陽性患者及びADA陰性患者の数及び割合を治療群別に要約した。患者がベースライン時にADA陰性であったが研究薬物投与後にADA応答を発症した場合、又は患者がベースライン時にADA陽性であり、1つ以上のベースライン後の試料の力価がベースライン試料の力価より少なくとも4倍大きい(すなわち、0.60力価単位より大きい)場合、患者は治療緊急ADAを有するとみなされた。患者は、ベースライン時にADA陰性であり、ベースライン時にADA陽性であったが、ベースライン試料の力価より少なくとも4倍大きい力価を有するベースライン後のサンプルを有していない場合、患者はADA陰性であるとみなされ、全てのベースライン後の試料は陰性であるか、又は治療に影響されなかった。
【0691】
ADAの状態と安全性、有効性、PK、及びバイオマーカーエンドポイントとの間の関係は、記述統計学によって分析及び報告された。
【0692】
バイオマーカー分析
探索的分析を行って、探索的バイオマーカーに対するセモリネマブの効果を評価した。探索的バイオマーカーは、PK曝露と探索的バイオマーカーのレベルとの間の関係を決定するためにセモリネマブを投与する前後に分析されてもよい。さらに、バイオマーカー間の関係を評価してもよい。
【0693】
WGSデータ及びSNPデータは、この研究の文脈で実施され、疾患病理生物学の試験者の理解を高め、新しい治療アプローチの開発を導くために、他の試験からのデータとまとめて調査された。
【0694】
結果:
概要
簡潔には、合計272名の参加者をセモリネマブ治療アームとプラセボ治療アームとで1:1に無作為化した。修正された治療意図集団(mITT;n=238)は、1回以上の用量(複数可)以上の研究薬物治療を受け、ベースライン及び少なくとも1つのベースライン後評価(複数可)を受けた者を含んでいた。mITT集団内で、年齢(平均=72.0、SD=8.2)、性別(女性64.3%)、教育(高卒以上80.5%)及びAPOε状態(ε4+63.1%)の全体的な分布は治療アーム間で異ならなかった。49週目に、セモリネマブアームは、プラセボアームと比較してADAS-Cog11の低下が42.2%減少した(-2.89ポイント、SE=0.85、p=0.0008)ことを示した。ADCS-ADL、MMSE、及びCDR-SBの臨床的減退の同様の割合、及び全皮質灰白質[18F]GTP1 tau PET SUVRあたりのタウ蓄積の同様の割合が治療アーム間で見られた。セモリネマブアームが、プラセボアームと比較してADAS-Cog11の低下の43.6%の減少(-2.96ポイント、SE=0.97、p=0.0025)を示した、事前に指定された分析集団(mITT*:1回以下の盲検研究薬物用量を逃したmITT参加者)を含む他の分析集団を検査した場合、所見は一貫したままであった。安全性データの予備的分析は、有害事象、重篤な有害事象、死亡及び有害事象による離脱の割合が治療アーム間で合理的にバランスがとれていることを示した。セモリネマブの血清及びCSFの薬物動態は、以前の研究と一致していた。同様の血清セモリネマブ曝露が、mITT集団とmITT*集団との間で観察された。
【0695】
分析された集団
全対象(N=272);安全性評価可能(N=267)(登録し、少なくとも1回用量のセモリネマブ(N=135)又はプラセボ(N=132)を受けた対象);完了(N=200;セモリネマブ(N)=104及びプラセボ(N)=96)。安全性評価可能な対象者の民族性を表9に示す。
【表9】
【0696】
合計272人の対象を無作為化した。研究の中止は、以下の表10に提供されるように、プラセボアームとセモリネマブアームとの間でバランスよく行われた(N=267)。
【表10】
【0697】
本臨床試験の272名の患者及びサブグループ分析のバランスのとれたベースライン特性は、試験のトップライン結果(予め指定された治療意図(mITT)集団において49週目にADAS-Cog11を測定した場合に、プラセボと比較してセモリネマブによる認知機能低下率の統計学的に有意な43.6%の改善(p=0.0025)を実証することによって、その2つの主要評価項目の一方を満たす)を裏付けている。
【0698】
分析集団:
● mITT:1回以上の用量(複数可)の研究薬物を受け、ベースライン及び少なくとも1つのベースライン後のADAS-Cog11評価を受けた238名の参加者
● 事前に指定された分析集団、mITT*:1回以下の盲検研究薬物用量を逃したmITT集団の204人の参加者
【0699】
血清PKは、mITT集団及びmITT*集団において同様の曝露レベルを示し、トプライン結果は、mITT集団とmITT*集団との間で一貫していた。
【0700】
mITT集団のベースライン人口統計及び疾患特徴を以下の表11に要約する。表11に示すように、ベースライン人口統計及び疾患特性は、2つの治療アーム間で十分にバランスが取れていた(mITT、N=238)。
【表11】
【0701】
症候性AD療法には、ドネペジル、ガランタミン、リバスチグミン、メマンチン、スーベナイド(Souvenaid)が含まれる。
【0702】
主要な有効性集団:
1)MITT最大1用量漏れ(本明細書では「mITT*」とも呼ばれる)(ベースラインでのADAS-Cog11についてN=204)(来院レベルの選択、用量漏れの最大数が1又は2のいずれかであり、来院までの補充用量を伴う;61週目に限られた試料サイズで、依然として目標曝露(90%)を上回る患者)。「mITT*」は、COVID-19の混乱のため、事前に指定された集団であった。
2)MITT最大1用量漏れ(又はmITT*)、49週目完了者(ベースラインでのADAS-Cog11についてN=165)(来院レベル選択、用量漏れの最大数が1又は2のいずれかであり、補充用量があり、49週目のADAS-Cog試験を完了した;49週目までは最も信頼性の高い治療傾向推定値であるが、61週目の試料サイズは限られている)。
3)MITT(ベースラインでのADAS-Cog11についてN=238)(用量漏れ状態にかかわらず、コホート1及び2の両方からの全ての患者;最大試料サイズ;結果が上記2つの分析と一致する場合に推奨される)。
4)コホート1(ベースラインでのADAS-Cog11についてN=148)(コホート1に割り当てられたプロトコルスケジュールに従ったMITT患者(すなわち、49週間の盲検期間))。
5)コホート2(ベースラインでのADAS-Cog11についてN=93)(コホート2に割り当てられたプロトコルスケジュールに従ったMITT患者(すなわち、61週間の盲検期間))。
【0703】
検定力及び検定
この臨床試験は、ADAS-Cog11の低下における35%の相対的減少(RR)を検出するために、49週目までに10%の予想脱落率で登録された260名の対象について、α=0.2で80%の検定力に対して設計された。
【0704】
49週目までのSD=7.5の6ポイントのベースラインからの予想平均プラセボ変化。
【0705】
ADCS-ADLのシグナル対ノイズは、両方のエンドポイントを含む限られた利用可能なデータセットに基づいてADAS-Cog11と同様であると仮定された;独立した検定力計算を行わなかった。
【0706】
この分析の時点で、ADAS-Cog11で35%RRを検出するためにα=0.2レベルで83%の検定力があった。
【0707】
159人の対象(「MITT最大1用量漏れ」又は「mITT*」)が49週目のADAS-Cog11評価を受けた。
【0708】
ベースラインからの平均(未調整)プラセボ変化は、事前の予想と一致しており、SD=6.21で6.29ポイントである。
【0709】
同じパラメータを有するADCS-ADLの検定力は63%(ベースラインからの変化6.95、SD=9.78)とより低い。
【0710】
使用した分析方法:
一次分析及び二次分析に使用されるデータには、COVID-19混乱の開始前と開始後の両方で収集されたCOAが含まれる;一部のCDR-SB及びADCS-ADL評価(ADAS-Cog11ではない)をCOVID-19混乱の開始後に遠隔で収集した。
【0711】
ベースラインを、スクリーニング及びベースライン観察(全ての認知及び機能エンドポイント)の平均と定義した。ADAS-Cog11及びADCS-ADLもコホート2の患者について61週目に収集し、一次分析に含めた。試料サイズが限られているため、最大1個の欠落した用量分析集団を見ると、61週目の結果はそれ自体解釈されなかった。
【0712】
ベースラインからのエンドポイント変化に対する混合効果反復測定(MMRM)モデル:モデルをベースライン年齢及び層別化因子、並びにAD併用薬物治療について調整した;モデル治療は来院をカテゴリ(長手方向の軌跡の形状に関する仮定なし)として扱い、欠落データを処理するために無作為欠落(MAR)仮定を使用した。
【0713】
実施要領
この臨床研究では、セモリネマブで治療された軽度から中等度のADを有する参加者は、共主要認知評価項目(ADAS-Cog11)の低下の統計的に有意で臨床的に意義を持つ減少を示した。安全性データは以前のデータと一致していた:セモリネマブは十分に忍容され、許容可能な安全性プロファイルを有し、予想外の安全性シグナルはなかった。
【0714】
有効性の概要:
ADAS-Cog11:この臨床試験は、プラセボと比較してセモリネマブアームにおいて49週目に認知機能低下の統計学的に有意な相対的減少(43.6%;p=0.0025)を示した。セモリネマブ治療の利益はまた、25週目及び37週目に観察された。全体として、所見は分析集団間で一貫していた。
【0715】
ADCS-ADL:ADLにおけるセモリネマブの治療利益の証拠はなかった。観察された治療効果は、異なる分析集団における25、37及び49週目の[-2%~-29%]の相対減少範囲として表された。
【0716】
対象レベルで、共主要評価項目(ADAS-Cog11及びADCS-ADL)間に中等度の結果の相関が観察される。結果を以下の表12A及び12Bに要約する。
【表12A】
【表12B】
【0717】
COVID-19の影響:45%が1回又はそれを超える用量を逃し、逃した用量の分布はアーム間でバランスがとれていた。
【0718】
ベースライン特性又は不連続性に大きな不均衡はなかった。
【0719】
MITT集団及び「最大1回の用量漏れ」集団では同様のセモリネマブ曝露があった(血清及びCSF PKに基づく)。
【0720】
より高いセモリネマブ曝露(血清及びCSF PKに基づく)では、より遅いADAS-Cog11進行に向かう方向性の傾向があった。
【0721】
安全性の概要:
全体として、アーム間のAEに起因するバランスのとれたAE、SAE、死亡及び離脱があった(いくつかの小さな数値差が一方又は他方の治療アームを支持した)。AE率及びSAE率は研究集団で予想された通りであり、一般に、アームにわたってバランスがとれていた。グレード3のAEは、転倒及びくも膜下出血の報告のために、セモリネマブアームでわずかに高かったが、報告された事象数は小さいままであった。
【0722】
用量漏れ(COVID-19の制限又は他の要因による)は、有効性エンドポイントに対する治療効果の全体的な解釈に影響を及ぼさなかった。有効性エンドポイントに対する治療効果の解釈に影響を及ぼし得るベースライン特性の大きな不均衡、不連続はなかった計画された感度分析は、欠落した用量が研究の盲検部分からのデータのトプリン分析に有意に影響しないことを示唆した。
【0723】
注入関連反応、鼻咽頭炎+上気道感染症、関節痛、不眠症、背痛及びうっ血状態AEは、セモリネマブアームで数値的にわずかに高かった(1つの事象を除いて、これらは全て非重篤AEである)。
【0724】
神経画像異常は、予想される報告率の範囲内で、プラセボの方がわずかに高かった。
【0725】
NPIスコアと希死念慮/行動に不均衡はなかった。
【0726】
セモリネマブで観察された治療下で発現したADAはなかった。
【0727】
治療群による結果
ADAS-Cog11治療効果(MITT、最大1回用量漏れ)
以下の表13は、二重盲検期間、最大1回の用量漏れフラグについての、修正治療意図患者についての、ADAS-Cog11におけるベースラインからの変化の混合効果モデル反復測定(MMRM)分析を示す。
図6も参照されたい。
【0728】
わかるように、49週目に統計学的に有意な治療効果(RR=43.6% p値=0.003)が観察された(ADAS-Cog11スコアの増加は疾患悪化に対応する)。統計学的に有意ではないが、ポイント推定値は、25週目(RR=31.9%)及び37週目(RR=24.7%)のセモリネマブアームに有利である。
【表13】
【0729】
ADAS-Cog11治療利益(mITT)
より広いmITT集団の分析は、2つの主要評価項目の1つ(ADAS-Cog11)を満たすことの成功と一致している。ADAS-Cog11は、49週目にプラセボと比較して認知機能低下率の42.2%の改善を示した(治療差-2.89;p=0.0008)。ADAS-Cog11に対するセモリネマブの治療効果は、1回を超える用量の研究薬物を受け、少なくとも1つのベースライン後のADAS-Cog11評価を受けた全ての試験参加者を含むこのより大きな(n=238)mITT集団で確認された。この集団からのデータは、ADAS-Cog11によって測定した場合、プラセボと比較してセモリネマブによる認知機能低下率の42.2%の改善を示す(p=0.0008)。この治療効果は、下記により詳細に報告されるように、疾患重症度、ベースラインのタウ負荷及びApoεキャリア状態に基づいて、予め特定されたサブグループにおいて一貫して観察された。
【0730】
認知に対する利益は、主に、以下により詳細に報告されるように、ADのコア特徴であるADAS-Cog11の記憶ドメインサブコンポーネントによって推進された。
【0731】
集団/サブグループにおけるADAS-Cog11治療の利益
ADAS-Cog11治療の利益は、25、37、及び49週目の他の事前に指定された分析集団で一貫していた。例えば、
図7A~
図7Bを参照されたい。
図7Aが示すように、結果は、MITT及び最大1回用量漏れ集団と類似しており、25週目、37週目及び49週目には、セモリネマブアームが好まれた。
図7Bが示すように、25週目、37週目及び49週目の結果は、MITT集団及び最大1回の欠損用量集団の両方において類似していた。試料サイズの制限により、61週目の結果は分析集団間で一貫していなかった。
【0732】
ADAS-Cog11治療の利益はまた、コホート1及びコホート2のサブグループにおいて一貫していた。例えば、
図8A~
図8Bを参照されたい。
図8Aが示すように、コホート1の患者では、全ての時点を通して、ロバストな治療利益が観察された。
図8Bが示すように、一貫した治療効果がコホート2の患者について全体を通して観察され得る(数値的にコホート1よりわずかに小さい)。
【0733】
ADAS-Cog11治療の利益もまた、広範囲の疾患進行速度にわたってロバストであった。例えば、
図9を参照されたい。
図9が示すように、確率曲線は平行に走り、シフトしており、応答者%に関する治療利益がカットオフの範囲(約-5~約15)にわたってロバストであったことを示している。
【0734】
mITT集団の分析は、セモリネマブが認知機能低下率を低下させ、軽度から中等度のADにおける機能低下率に有意な影響を及ぼさないことを実証した。
図11A及び
図11Bを参照されたい。
図11A~11Bは、mITT集団の主要エンドポイント結果を示す。
図11Aは、プラセボ(灰色の円)アーム及びセモリネマブ(緑色の円)アームにおける経時的なベースラインからのADAS-Cog11調整済み変化を示す。
図11Bは、プラセボ(灰色の円)アーム及びセモリネマブ(緑色の円)アームにおける経時的なベースラインからのADCS-ADL調整済み変化を示す。所見は61週目で一貫しており、セモリネマブアームがプラセボアームと比較してADAS-Cog11の低下の43.6%の減少(-2.96ポイント、SE=0.97、p=0.0025)を示した事前に指定された分析集団(mITT*)を含む他の分析集団では一貫していた。
【0735】
追加のサブグループからの結果の分析
ベースラインのタウ負荷、疾患重症度、及びAPOε4キャリア状態に基づくサブグループ:
事前に指定されたサブグループ分析は、タウ負荷、疾患重症度、及びAPOε4キャリア状態に基づくサブグループについて、群全体の結果と一致した。
【0736】
ADAS-Cog11治療の利益はまた、高又は低GTP1(高GTP1はここでは中央値GTP1 WCG以上と定義され、低GTP1はここでは中央値GTP1 WCG以下と定義される);MMSE 16-18又はMMSE 19-21;及びApoε4陽性又はApoε4陰性を含む事前に指定されたサブグループ間で一貫していた。例えば、
図10Aを参照されたい。
図10Aが示すように、異なる事前に指定されたサブグループについて、49週目の(MITT、最大1回用量漏れ)におけるベースライン、ADAS-Cog11、二重盲検期間からの変化の混合効果反復測定モデル分析からのフォレストプロットを使用すると、調整済み平均対プラセボに一貫した差があった。
図10Aは、最大1回の用量を逃したMIIT対象についてADAS-Cog11のベースラインから49週目までの変化を分析する混合効果反復測定モデルからの調整済み平均の差を示すフォレストプロットを示す。事前に指定されたサブグループには、高又は低GTP1(高GTP1は、中央値GTP1WCG以上と定義され、低GTP1は、中央値GTP1WCG未満と定義される);MMSE16-18又はMMSE19-21;及びApoε4陽性又はApoε4陰性が含まれていた
図10Aは、最大1回の用量を逃したMIIT対象についてADAS-Cog11のベースラインから49週目までの変化を分析する混合効果反復測定モデルからの調整済み平均の差を示すフォレストプロットを示す。事前に指定されたサブグループには、高又は低GTP1(高GTP1は、中央値GTP1WCG以上と定義され、低GTP1は、中央値GTP1WCG未満と定義される);MMSE16-18又はMMSE19-21;及びApoε4陽性又はApoε4陰性が含まれていた
【0737】
図10Bは、ADAS-Cog11の結果とADCS-ADLの結果を更に比較し、異なる事前に指定されたサブグループについて、49週目の(MITT、最大1回用量漏れ)におけるベースライン、ADAS-Cog11又はADCS-ADL、二重盲検期間からの変化の混合効果反復測定モデル分析からのフォレストプロットを使用して、調整済み平均対プラセボの一貫した差を更に示す。
図10Bは、ADAS-Cog11結果をADCS-ADL結果と比較し、異なる事前に指定されたサブグループについて、最大1回の用量を逃したMIIT対象について、ADAS-Cog11又はADCS-ADLのベースラインから49週目までの変化を分析する混合効果反復測定モデルからの調整済み平均の差を示すフォレストプロットを更に示す。
【0738】
ADAS-Cog11ドメインの分析:
記憶ドメイン:
ADAS-Cog11ドメイン分析は、セモリネマブの治療効果が主に、ADのコア特徴である記憶ドメインによって促進されたことを示している。以下の表は、3つの認知ドメイン:記憶ドメイン、言語ドメイン、及びプラクシスドメインに基づくADAS-Cog11スコアの「内訳」を提供する。ADAS-Cog11認知ドメインは、Verma et al.Alzheimer’s Research&Therapy 2015.に従って本明細書で定義される。結果を以下の表14に示す。ADAS-Cog11スコアのメモリドメイン値は、本明細書では「ADAS-Cog11記憶ドメインスコア」又は単に「記憶ドメイン」と呼ばれることがある。
【表14】
【0739】
図12A~12Cは、経時的な(ベースライン後の週)mITT集団についてのADAS-Cog11(Verma et al.,Alzheimer’s Research and Therapy,2015によって定義される)内の異なる認知ドメイン(すなわち、記憶力、言語、プラクシス)における治療効果を示す。
図12Aは、経時的なADAS-Cog11記憶ドメインスコアのベースラインからの未調整の変化を示し、
図12Bは、経時的なADAS-Cog11言語ドメインスコアのベースラインからの未調整の変化を示し、
図12Cは、経時的なADAS-Cog11プラクシスドメインスコアのベースラインからの未調整の変化を示す。
【0740】
副次評価項目の結果:
セモリネマブは、副次評価項目によって測定された軽度から中等度のAD進行において有意な効果を示さなかった(すなわち、MMSE及びCDR-SB)。
図13A~13Dを参照されたい。
図13A~13Bについて、49週目のMMSEはRR 10.0%(治療Δ=0.33、p=0.4530)を提供する。
図13Aは、プラセボアーム(灰色の円)及びセモリネマブアーム(緑色の円)における経時的なベースラインからのMMSE調整済み変化(ベースライン後の週)を示す。
図13Bは、異なる事前に指定されたサブグループ(高又は低GTP1(高GTP1は、中央値GTP1WCG以上と定義され、低GTP1は、中央値GTP1WCG以下と定義される);MMSE16-18又はMMSE19-21;及びApoε4陽性又はApoε4陰性)についてMMSEのベースラインからの変化を分析する混合効果反復測定モデルからのフォレストプロットを示す。
図13Cは、プラセボアーム(灰色の円)及びセモリネマブアーム(緑色の円)における経時的なベースラインからのCDR-SB(逆)調整済み変化(ベースライン後の週)を示す。
図13Dは、異なる事前に指定されたサブグループ(高又は低GTP1(高GTP1は、中央値GTP1WCG以上と定義され、低GTP1は、中央値GTP1WCG以下と定義される);MMSE16-18又はMMSE19-21;及びApoε4陽性又はApoε4陰性)についてCDR-SBのベースラインからの変化を分析する混合効果反復測定モデルからのフォレストプロットを示す。
【0741】
タウ蓄積に関する結果:
バイオマーカー分析には、タウ陽電子放射断層撮影(PET)スキャン及び血漿タウレベルが含まれた。PET分析によって評価したところ、全体的又は地域的なタウ分布に対する特定可能な治療効果はなかった。
【0742】
セモリネマブは、軽度から中等度のADにおけるタウ蓄積に有意な効果を及ぼさなかった。
図14A~
図14Gを参照されたい。示されるように、2つの治療アーム間で[
18F]GTP1タウPETシグナルの同様の変化が観察された。
図14Aは、49週目及び61週目のプラセボアーム(灰色)又はセモリネマブアーム(緑色)の全皮質灰白領域の[
18F]GTP1タウPETシグナルのベースラインからの未調整の年間変化を示す。
図14Bは、赤色で全皮質灰白質領域を示し、全皮質灰白領域の位置を示す。
図14Cは、49週目及び61週目のプラセボアーム(灰色)又はセモリネマブアーム(緑色)の前頭領域の[
18F]GTP1タウPETシグナルのベースラインからの未調整の年間変化を示す。
図14Dは、49週目及び61週目のプラセボアーム(灰色)又はセモリネマブアーム(緑色)の側頭部の[
18F]GTP1タウPETシグナルのベースラインからの未調整の年間変化を示す。
図14Eは、49週目及び61週目のプラセボアーム(灰色)又はセモリネマブアーム(緑色)の頭頂領域の[
18F]GTP1タウPETシグナルのベースラインからの調整されていない年間変化を示す。
図14Fは、49週目及び61週目のプラセボアーム(灰色)又はセモリネマブアーム(緑色)の後頭部の[
18F]GTP1タウPETシグナルのベースラインからの未調整の年間変化を示す。
図14Gは、解剖学的アトラス Hammersテンプレートに基づくROIを示す。
【0743】
しかし、時間的及び後頭部領域では、タウ蓄積の減少に数値的傾向が観察される。
【0744】
PK及びPDの結果:
血漿タウの分析は、セモリネマブ治療による血漿タウレベルの顕著な増加を示し、これは末梢タウ結合を示唆する。血漿中のセモリネマブのレベルは、血漿中のセモリネマブのレベルに対するCSF中のセモリネマブのレベルの比(平均0.29%)と同様に、予想される範囲内であった。
【0745】
血清薬物動態プロファイルは以前の研究と類似しており、血漿薬力学は末梢タウ結合を支持する(すなわち、セモリネマブは血漿中のタウに結合しているようである)。
図15A~
図14Bを参照されたい。
図15Aは、経時的な(日)血清中のセモリネマブ濃度(μg/mL)を示し、他のモノクローナル抗体の観察されたものと一致するCSF/血清比を与える(CSF/血清比[%;平均(SD]:0.29(SD0.13)(他のmAbについての観察された比と一致する)。
図15Bは、プラセボ(灰色の円)アーム及びセモリネマブ(緑色の円)アームにおける経時的な(日)血漿タウ濃度(pg/mL)を示し、タウとのセモリネマブの関与の裏付けを示す。
【0746】
安全性結果
試験からの安全性データにより、以前のデータと一致して、セモリネマブが許容可能な安全性プロファイルで良好に忍容されることが確認された。有害事象及び重篤な有害事象は、2つの治療アーム間でバランスがとれており、予想外の安全シグナルはなかった。例えば、以下の表15を参照されたい。
表及びここでは、以下の通りである:AE、有害事象;IRR、注入関連反応;SAE、重症有害事象。
【0747】
二重盲検期間の有害事象
安全性評価群(N=267)の中で報告された有害事象を表15に提供する。表16に列挙される群(プラセボ又はセモリネマブ)あたりの有害事象及び罹患対象の数は、二重盲検期間でのみ発生したものである。他の有害事象を表17に列挙する。
【表15】
【表16】
【表17】
【0748】
結論:
この臨床試験は、ADAS-Cog11によって測定した場合に、プラセボと比較してセモリネマブアームにおいて49週目に認知機能低下の相対的減少(RR=43.6%、CHG=2.96ポイント、p値=0.003)を示し、治療利益も25週目及び37週目に観察された。全体として、所見は事前に指定された分析集団間で一貫していた。
【0749】
これらの結果は、患者が抗タウ抗体治療なしで6ポイントのADAS-Cog11スコア増加(すなわち、6ポイントの低下である)を示すと予想された期間にわたる認知機能低下の程度及び認知能力の維持の程度ADAS-Cog11スコアによって測定)において統計学的に有意である。研究に登録した患者(プラセボアームの患者を含む)も対症療法薬で治療されていたことを考えると、これらの結果は驚くほどロバストであり、特に驚くべきものである。これらの結果は、ADの後期段階(中等度、軽度から中等度)で患者集団を治療することにおける抗タウモノクローナル抗体アプローチの証拠を提供し、驚くべきことに、治療過程にわたってそのような程度まで認知機能低下を減少させる。
【0750】
予備的結果はまた、末梢におけるロバストなタウ結合(血漿総タウ)を支持し、CSFを有する患者の小さなサブセットでは、セモリネマブ治療によるCSF(p-タウ181、総タウ、タウ93~105)のミッドドメインタウの減少を示した。
【0751】
臨床試験の概要:
この臨床試験は、アルツハイマー病におけるタウ標的化モノクローナル抗体についての最初の肯定的な認知結果を提供した。軽度から中等度のADにおけるセモリネマブのこの第2相試験からのトップラインデータは、2つの主要評価項目の1つであるADAS-Cog11において統計学的に有意な減少を示し、MMSE 16-21(軽度から中等度)AD集団におけるタウ標的化モノクローナル抗体における臨床活性の最初の証拠を提供した。この臨床試験は、軽度から中等度のADにおける抗タウモノクローナル抗体セモリネマブの安全性及び有効性を評価するプラセボ対照第2相研究であり、その主要評価項目の1つであるADAS-Cog11を満たした。第2の共主要評価項目であるADCS-ADLは満たされなかった。安全性データは、セモリネマブが許容可能な安全性プロファイルで良好に忍容され、予期しない安全性シグナルがないことを示した。
【0752】
セモリネマブは、軽度から中等度のAD(すなわち、ミニメンタルステート検査(MMSE)16-21)を有する人々において、49週目にアルツハイマー病評価尺度、認知下位尺度、11項目バージョン(ADAS-Cog11)によって測定した場合に、プラセボと比較してベースラインから43.6%の認知機能低下の統計学的に有意な減少を示した(p=0.0025)。アルツハイマー病共同研究-日常生活動作(ADCS-ADL)、又はミニメンタルステート検査(MMSE)若しくは臨床認知症評価尺度の合計点数(CDR-SB)の副次的有効性評価項目によって測定される、ベースラインからの機能低下率を低下させる他の共主要評価項目には効果がなかった。安全性は、報告された以前の臨床データと一致していた。
【0753】
これは、モノクローナル抗タウ抗体療法による治療効果が初めて見られたものであり、モノクローナル抗体が初めて軽度から中等度のAD患者集団における認知に治療的影響を与えたものである。
【0754】
この臨床試験は、ADAS-Cog11によって測定した場合に、プラセボと比較してセモリネマブアームにおいて49週目に認知機能低下の相対的減少(RR=43.6%、CHG=2.96ポイント、p値=0.003)を示し、治療利益も25週目及び37週目に観察される。全体として、所見は事前に指定された分析集団間で一貫している。
【0755】
12ヶ月の治療後、セモリネマブ4500mg Q4Wを受けた軽度から中等度のADを有する参加者は、主に記憶ドメインにおけるADAS-Cogの認知機能低下を遅らせる証拠を示した。
【0756】
49週目に、ADCS-ADL(RR=-12.6%、CHG=-0.99ポイント、p値=0.492)におけるセモリネマブの有意な治療利益は観察されなかった。25週目、37週目にも有意な治療効果は観察されず、全体的な所見は事前に指定された分析集団間で一貫していた。
【0757】
副次評価項目CDR-SB及びMMSEについて有意な治療効果は観察されなかった。
【0758】
タウ蓄積におけるセモリネマブの治療効果の証拠はなかった。GTP1 PETによって測定された全体的なタウ蓄積が観察され、この患者集団における以前のGTP1自然過程研究からの投影と一致していた。
【0759】
予備的結果は、末梢でのロバストなタウ結合(血漿総タウ)を支持し、CSFを有する患者の小さなサブセットでは、セモリネマブ治療によるCSF(p-タウ181、総タウ、タウ93~105)のミッドドメインタウの減少を示唆していた
【0760】
安全性データは、セモリネマブが十分に忍容され、許容可能な安全性プロファイルを有し、予想外のシグナルはないことを示した。
【0761】
用量漏れ(COVID-19の制限又は他の要因による)は、有効性エンドポイントに対する治療効果の全体的な解釈に影響を及ぼさなかった。
【0762】
有効性エンドポイントに対する治療効果の解釈に影響を及ぼし得るベースライン特性の大きな不均衡、不連続はなかった
【0763】
血清及びCSF PKは、初期(前駆期から軽度)AD及びPh1の結果を有する患者における初期臨床試験の4500mgアームと一致していた。
【0764】
より高いセモリネマブ曝露でより遅いADAS-Cog11進行に向かう方向性の傾向が観察された。
【0765】
セモリネマブでは治療下で発現したADAは観察されなかった。
【配列表】
【国際調査報告】