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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-18
(54)【発明の名称】洗濯添加剤
(51)【国際特許分類】
   A01N 37/10 20060101AFI20240910BHJP
   A01N 25/00 20060101ALI20240910BHJP
   A01P 7/02 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
A01N37/10
A01N25/00 101
A01P7/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024512979
(86)(22)【出願日】2022-08-22
(85)【翻訳文提出日】2024-04-03
(86)【国際出願番号】 AU2022050936
(87)【国際公開番号】W WO2023023710
(87)【国際公開日】2023-03-02
(31)【優先権主張番号】2021902671
(32)【優先日】2021-08-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
2.SPAN
(71)【出願人】
【識別番号】524067369
【氏名又は名称】バイエル・オーストラリア・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100216839
【弁理士】
【氏名又は名称】大石 敏幸
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】ヴォウスデン,ピーター
【テーマコード(参考)】
4H011
【Fターム(参考)】
4H011AC04
4H011AC08
4H011BA01
4H011BA03
4H011BA05
4H011BB06
4H011BC04
4H011BC19
4H011DA16
4H011DC05
4H011DD01
4H011DG16
4H011DH03
(57)【要約】
本発明は、テキスタイル上の1以上のアレルゲンを不活性化及び/又は変性させ、及び/又はイエダニを殺すための家庭用洗濯添加剤として有用な液体化学製剤に関する。本発明はまた、そのような製剤を調製する方法、及びテキスタイル上の1以上のアレルゲンを不活性化及び/又は変性させ、及び/又はイエダニを殺すための当該製剤の使用方法に関するものでもある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水中油型乳濁液の形態の抗イエダニ洗濯製剤であって、前記乳濁液が、
安息香酸ベンジル及び1以上の乳化剤を含む油相;
防腐剤、乳化安定剤及びpH調整剤を含む水相
を含む抗イエダニ洗濯製剤。
【請求項2】
1以上のタンパク質アレルゲンの変性及び/又は不活性化を可能にする1以上のアレルゲン変性剤をさらに含む、請求項1に記載の洗濯製剤。
【請求項3】
水中油型乳濁液の形態の抗イエダニ及び抗アレルゲン洗濯製剤であって、前記乳濁液が、
安息香酸ベンジル及び1以上の乳化剤を含む油相;及び
1以上のアレルゲン変性剤、乳化安定剤、pH調整剤及び防腐剤を含む水相
を含む抗イエダニ及び抗アレルゲン洗濯製剤。
【請求項4】
前記1以上のアレルゲン変性剤が、約0.1重量%~約5重量%の量で存在する、請求項2又は3に記載の洗濯製剤。
【請求項5】
前記アレルゲン変性剤が尿素及び/又はトリエタノールアミンを含む、請求項2~4のいずれか1項に記載の洗濯製剤。
【請求項6】
約0.1重量%~約10重量%、又は約1重量%~約5重量%の量で尿素及び/又はトリエタノールアミンを含む、請求項5に記載の洗濯製剤。
【請求項7】
前記安息香酸ベンジルが約10重量%~約25重量%の量で存在する、請求項1~6のいずれか1項に記載の洗濯製剤。
【請求項8】
前記乳濁液が、ソルビタンエステル、エトキシル化ヒマシ油及びエトキシル化脂肪アルコールからなる群から選択される1以上の乳化剤を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の洗濯製剤。
【請求項9】
前記1以上の乳化剤が、約1重量%~約10重量%、又は約1重量%~約5重量%の量で存在する、請求項8に記載の洗濯製剤。
【請求項10】
前記乳濁液が、約0.1重量%~約1重量%の量で存在する乳化安定剤を含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の洗濯製剤。
【請求項11】
前記乳濁液が、当該乳濁液のpHを上昇させるpH調整剤を含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の洗濯製剤。
【請求項12】
前記pH調整剤が約0.1重量%~約5重量%の量で存在する、請求項11に記載の洗濯製剤。
【請求項13】
前記乳濁液が、当該乳濁液のpHを低下させるpH調整剤を含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の洗濯製剤。
【請求項14】
前記pH調整剤が約0.1重量%~約5重量%の量で存在する、請求項13に記載の洗濯製剤。
【請求項15】
前記製剤の最終pHが約4.5~約5.5である、請求項13又は14に記載の洗濯製剤。
【請求項16】
前記乳濁液が、約0.1重量%~約5重量%の量で存在する防腐剤を含む、請求項1~15のいずれか1項に記載の洗濯製剤。
【請求項17】
テキスタイル中の1以上のイエダニを殺す、及び/又は1以上のアレルゲンを変性若しくは不活性化する方法であって、前記テキスタイルを、請求項1~16のいずれか1項に記載の製剤と接触させることを含む方法。
【請求項18】
前記洗濯製剤を1以上のイエダニ及び/又はアレルゲンを有する前記テキスタイルを含む洗濯サイクルに加える、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記製剤を、洗濯洗剤を含む洗濯サイクルに加える、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記テキスタイルに存在する1以上のイエダニを殺す、及び/又は1以上のアレルゲンを変性若しくは不活性化するのに十分な時間にわたり、前記テキスタイルを前記洗濯製剤に浸漬する段階を含む、請求項17~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
テキスタイルに存在する1以上のイエダニを殺す、及び/又は1以上のアレルゲンを変性若しくは不活性化するための、請求項1~16のいずれか1項に記載の製剤の使用。
【請求項22】
水中油型乳濁液の形態の抗イエダニ洗濯製剤の調製方法であって、
安息香酸ベンジルを1以上の乳化剤に可溶化することによって油相を調製する段階;
1以上の防腐剤、乳化安定剤及びpH調整剤を水に溶解することによって水相を調製する段階;及び
前記油相と前記水相を混和しながら合わせる段階
を含む方法。
【請求項23】
水中油型乳濁液の形態の抗イエダニ及び/又は抗アレルゲン洗濯製剤を調製する方法であって、
安息香酸ベンジルを1以上の乳化剤に可溶化することによって油相を調製する段階;
1以上のアレルゲン変性剤、1以上の防腐剤、乳化安定剤、及びpH調整剤を水に溶解することによって水相を調製する段階;及び
前記油相と前記水相を混和しながら合わせる段階
を含む方法。
【請求項24】
前記混和を高剪断下で行う、請求項22又は23に記載の方法。
【請求項25】
前記混和を室温で行う、請求項22又は23に記載の方法。
【請求項26】
前記油相を前記水相に添加する、請求項22又は23に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テキスタイル上の1つ以上のアレルゲンを不活性化及び/又は変性させ、及び/又はイエダニを殺すための家庭用洗濯添加剤として有用な液体化学製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
イエダニやその他の環境アレルゲンに対するアレルギーは、特に湿気の多い気候で多くの人に蔓延している。罹患者が経験するアレルギー反応は軽度から重度まであり、くしゃみ、喘鳴、目のかゆみや涙目、鼻炎、皮膚のかゆみ、皮膚上の蕁麻疹の出現及び他の影響などがある。一般的なアレルゲンには、イエダニ、花粉、草、動物の鱗屑などがある。
【0003】
イエダニ自体に加えて、ダニの体、分泌物及び糞は、敏感な人にとってアレルギー性であるタンパク質を含む。イエダニの餌には、皮膚の薄片、花粉及び真菌の胞子などがある。室内環境の暖かさ及び湿度と組み合わされたヒトから剥がれ落ちた皮膚の薄片は、一般家庭がイエダニとそれのアレルゲンにとって最適な環境を提供することを意味する。
【0004】
屋外アレルゲンへの曝露は屋外で過ごす時間を制限することで軽減できるが、屋内アレルゲンは衣類、リネン、タオル、寝具、ぬいぐるみ及び長繊維カーペットなどの家庭用テキスタイルに見られる。日常の状況で衣類や他のテキスタイルが近くにあることを考えると、テキスタイルにアレルゲンが存在すると、アレルギー反応が悪化する可能性がある。一部のアレルゲンは冷水で洗うことで除去できる場合があるが、イエダニなどのアレルゲンは高温で洗う必要があり、そうすることはすべての繊維製品に適合し得るものではない。
【0005】
殺ダニ剤、殺ダニ剤及び抗アレルゲン活性剤が、テキスタイルに存在するダニ及びアレルゲンを除去するのに使用できるが、これらの活性剤を効率的かつ使いやすい方法で送達することは、その活性剤の物理的特性を考慮すると困難である。テキスタイルの洗濯は一部のアレルゲンを除去し得るが、イエダニの死滅及び/又はアレルゲンの変性若しくは不活性化を目的とした活性剤の直接添加は、そのような活性剤が家庭の洗濯条件の特徴である水性の性質と不適合であることを考慮すると、奏功する可能性は低い。
【0006】
そこで、イエダニを殺し、及び/又は家庭用テキスタイル中のアレルゲンを変性若しくは不活性化するのに使用するのに好適な組成物が必要とされている。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、家庭用洗濯条件下で添加剤として使用され、乳濁液の存在下で洗濯及び/又はすすぎをされるファブリック及びテキスタイル上に存在するあらゆるダニ及び/又はアレルゲンを殺し、その後に除去する、安定で無害の不燃性水性洗濯製剤に関する。本明細書に記載の製剤は、罹患個体においてアレルギー反応を引き起こすことが知られているイエダニを殺すための殺ダニ剤を含む。
【0008】
本明細書に記載の製剤は、活性成分として既知の殺ダニ剤である安息香酸ベンジルを含む。安息香酸ベンジルは水溶解度が極めて低いため、製剤は水性環境に適合する均一な水中油型乳濁液の形で提供される。本明細書に記載の安息香酸ベンジルを含む乳濁液は、乳濁液の形成及び安定化を可能にする1以上の乳化剤を含む。乳濁液は安定しており、濃縮物としてエンドユーザーに提供され、家庭の設定で消費者が「即時使用できる」状態になっている。
【0009】
第1の態様によれば、本発明は、水中油型乳濁液の形態の抗イエダニ洗濯製剤であって、当該乳濁液が、
i)安息香酸ベンジル及び1以上の乳化剤を含む油相;
ii)防腐剤、乳化安定剤及びpH調整剤を含む水相
を含む抗イエダニ洗濯製剤を提供する。
【0010】
第1の態様の1実施形態において、乳濁液は、約10重量%~約25重量%の量で存在する安息香酸ベンジルを含む。
【0011】
第1の態様の別の実施形態において、乳濁液は、ソルビタンエステル、エトキシル化ヒマシ油、及びエトキシル化脂肪アルコールからなる群から選択される1以上の乳化剤を含む。1実施形態において、乳濁液はオレイン酸ソルビタンを含む。別の実施形態において、乳濁液はエトキシル化ヒマシ油を含む。別の実施形態において、乳濁液はエトキシル化脂肪アルコールを含む。第1の態様の実施形態において、乳濁液は、約1重量%~約5重量%の量で存在する1以上の乳化剤を含む。
【0012】
イエダニ自体に加えて、イエダニの体、分泌物及び糞には、敏感な人にとってアレルギーを引き起こすタンパク質が含まれている。イエダニのこれらのアレルゲン性部分は、イエダニが存在する場所、すなわち家庭用テキスタイルに見られることから、本明細書に記載の製剤は、これらのタンパク質アレルゲンの変性及び/又は不活性化を可能にする1以上のアレルゲン変性剤も含有し得る。任意に、当該製剤は、1以上の別のアレルゲンを変性又は不活性化するための薬剤をさらに含んでもよい。
【0013】
第2の態様によれば、本発明は、水中油型乳濁液の形態の抗イエダニ及び抗アレルゲン洗濯製剤であって、当該乳濁液が
i)安息香酸ベンジル及び1以上の乳化剤を含む油相;及び
ii)1以上のアレルゲン変性剤、乳化安定剤、pH調整剤及び防腐剤を含む水相
を含む抗イエダニ及び抗アレルゲン洗濯製剤を提供する。
【0014】
第2の態様の1実施形態において、乳濁液は、約0.1重量%~約5重量%の量で存在する1以上のアレルゲン変性剤を含む。
【0015】
第2の態様の1実施形態において、アレルゲン変性剤は尿素を含む。
【0016】
第2の態様の1実施形態において、乳濁液尿素は約0.1重量%~約5重量%の量である。
【0017】
第1及び第2の態様の1実施形態において、乳濁液は、約10重量%~約20重量%の量で存在する安息香酸ベンジルを含む。
【0018】
第1及び第2の態様の別の実施形態において、乳濁液は、ソルビタンエステル、エトキシル化ヒマシ油、及びエトキシル化脂肪アルコールからなる群から選択される1以上の乳化剤を含む。
【0019】
第1及び第2の態様の別の実施形態において、乳濁液は、約1重量%~約5重量%の量で存在する1以上の乳化剤を含む。
【0020】
第1及び第2の態様の1実施形態において、乳濁液は、約0.1重量%~約1重量%の量で存在する乳化安定剤を含む。
【0021】
第1及び第2の態様の1実施形態において、乳濁液は、乳濁液のpHを上昇させるpH調整剤を含む。
【0022】
第1及び第2の態様の1実施形態において、乳濁液は、乳濁液のpHを上昇させるpH調整剤を含み、当該pH調整剤は、約0.1重量%~約5重量%の量で存在する。
【0023】
第1及び第2の態様の1実施形態において、乳濁液は、乳濁液のpHを低下させるpH調整剤を含む。
【0024】
第1及び第2の態様の1実施形態において、乳濁液は、乳濁液のpHを低下させるpH調整剤を含み、当該pH調整剤は、約0.1重量%~約0.5重量%の間の量で存在する。
【0025】
第1及び第2の態様の1実施形態において、乳濁液は、約0.1重量%~約5重量%の量で存在する防腐剤を含む。
【0026】
抗イエダニ特性を有する本明細書に開示の製剤は、既知のダニ駆除剤及び殺ダニ剤である安息香酸ベンジルを含む。安息香酸ベンジルは小有機化合物であり、水溶解度が極めて低く、そのために水系環境での製剤及び使用の両方に困難が生じる。製剤中の安息香酸ベンジルの量は、ダニ駆除効果及び/又は殺ダニ効果をもたらすのに十分でなければならないが、投与量、すなわち標準条件下で消費者が使用する乳濁液の量によっても決まる。
【0027】
本発明の実施形態において、水中油型乳濁液の形態の本明細書に記載の製剤は、1以上のダニを不活性化するのに十分な量の安息香酸ベンジルを提供する。一部の実施形態において、ダニはイエダニである。他の実施形態において、ダニはヒゼンダニである。
【0028】
一部の実施形態において、製剤は、抗アレルゲン特性を提供し、抗アレルゲン製剤をもたらす1以上のアレルゲン変性剤を含む。1実施形態において、乳濁液は、アレルゲン変性剤として尿素を含む。別の実施形態において、乳濁液は、アレルゲン変性剤としてトリエタノールアミンを含む。さらなる実施形態において、乳濁液は、アレルゲン変性剤として尿素とトリエタノールアミンの両方を含む。1実施形態において、乳濁液は、合計約1重量%~約10重量%の1以上のアレルゲン変性剤を含む。一部の実施形態において、乳濁液は二つのアレルゲン変性剤を含み、そのアレルゲン変性剤は同じ量又は異なる量で存在する。1実施形態において、乳濁液は、同じ量で存在する二つのアレルゲン変性剤を含む。安息香酸ベンジルが製剤中に存在し、1以上のアレルゲン変性剤も存在する場合、製剤は水中油型乳濁液の形態であり、抗イエダニ特性と抗アレルゲン特性の両方を有する。
【0029】
本発明の水中油型乳濁液の形態の本明細書に記載の製剤は、1以上の乳化剤を含む。理論に拘束されることを望むものではないが、出願人は、乳化剤の使用により、安息香酸ベンジル(及び他の成分)が可溶性で乳濁液の一部のままになるように、乳濁液の親水性-親油性バランス(HLB)を改変できると考えている。安息香酸ベンジルを含む乳濁液を維持するための所望のHLBを達成するには、すべての乳化剤が他の成分と化学的に適合するとは限らず、又は特定の条件下で化学的に適合するわけではないため、乳化剤の種類と具体的な乳化剤の両方を賢明に選択することが必要である。乳濁液が複数の乳化剤を含む場合、乳濁液のHLBは各乳化剤の影響を受ける。この状況では、乳濁液のHLBは、乳化剤の種類及び正確な性質だけでなく、乳化剤が提供される比率にも影響される。さらに、1以上の乳化剤の選択に関連する他の考慮事項には、全体的なコスト、物理特性、使用される及び複数の乳化剤を有する乳濁液に特有の量、乳化剤の存在比率などがある。複数の乳化剤が存在する場合、その乳化剤の効果が一緒になって、乳濁液の安定性と製品の保存寿命に寄与する可能性がある。
【0030】
第1及び第2の態様の1実施形態において、水中油型乳濁液は1以上の乳化剤を含み、少なくとも一つの乳化剤がソルビトール系界面活性剤である。さらなる実施形態において、少なくとも一つの乳化剤は、エステル化されたソルビトール系界面活性剤である。さらなる実施形態において、少なくとも一つの乳化剤は、ポリエトキシル化ソルビトール系界面活性剤である。別の実施形態において、少なくとも一つの乳化剤は、エステル化ポリエトキシル化ソルビトール系界面活性剤である。
【0031】
さらなる実施形態において、1以上の乳化剤が、安定な水中油型乳濁液を提供するのに十分な量で存在し、乳濁液の性質はその成分の性質によって決まる。1実施形態において、1以上の乳化剤が、約1重量%~約10重量%の量で存在する。一部の実施形態において、1以上の乳化剤が、約1重量%、2重量%、3重量%、4重量%、5重量%、6重量%、7重量%、8重量%、9重量%、又は約10重量%の量で存在する。
【0032】
一部の実施形態において、本明細書に開示の乳濁液は、複数の乳化剤を含む。一部の実施形態において、乳濁液は、約1:1~約10:1の比、例えば、約1:1、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1又は約10:1の比で二つの乳化剤を含む。一部の実施形態において、乳化剤は、水中油型乳濁液の油相の一部として提供される。
【0033】
本明細書に開示される製剤は、存在する任意のアレルゲン(例えば、タンパク質アレルゲンを含むイエダニの一部)を除去するのに適した、1以上のアレルゲン変性剤、任意に化学系のアレルゲン変性剤を含んでいてもよい。したがって、テキスタイルでの使用に適しており、消費者にとって無毒かつ無害である、アレルゲン変性剤を含む乳濁液、特には水中油型乳濁液の形態の製剤が本明細書において提供される。
【0034】
1実施形態において、製剤は一つのアレルゲン変性剤を含む。他の実施形態において、製剤は複数のアレルゲン変性剤を含む。本明細書で開示の製剤は、1以上のアレルゲン変性剤を約1重量%~約10重量%の量で含む。
【0035】
乳濁液である本明細書に記載の製剤は水中油型乳濁液であり、これは、それらが主要成分として水相を含み、少量成分として油相を含むことを意味する。本明細書で開示の乳濁液は、1以上の溶媒を含んでもよい。乳濁液は洗濯添加剤として使用されることから、水性環境と適合し、水性環境で効果的でなければならない。さらに、乳濁液で送達される活性剤は、標準条件下で必要な製造安定性及び保存安定性を示さなければならない。
【0036】
1以上の他の非乳化剤成分、例えば懸濁剤、増粘剤、乳化安定剤などの使用も、(適切な場合には)乳濁液としての製剤の維持に寄与し得る。1実施形態において、製剤は乳化安定剤を含む。1実施形態において、乳化安定剤はキサンタンガムである。1実施形態において、製剤は、約0.1重量%~約1重量%の量の乳化安定剤を含む。別の実施形態において、製剤は水中油型乳濁液の形態であり、約0.1重量%~約1重量%の量の乳化安定剤を含む。他の実施形態において、乳化安定剤は、約0.1重量%、約0.2重量%、約0.3重量%、約0.4重量%、約0.5重量%、約0.6重量%、約0.7重量%、約0.8重量%、約0.9重量%又は約1重量%の量で存在する。使用される乳化安定剤の正確な性質は、乳濁液中の他の成分、存在する乳化剤の性質、及び安定剤を含まない乳濁液の特性によって決まることが理解されるであろう。乳化安定剤は、乳濁液を安定化することに加えて、乳濁液を増粘させるなどの他の特徴も提供することができる。
【0037】
他の実施形態において、製剤は1以上のさらなる添加剤を含む。1実施形態において、乳濁液はpH調整剤をさらに含む。1実施形態において、pH調整剤は、乳濁液のpHを上昇させる働きをする。他の実施形態において、pH調整剤は、乳濁液のpHを低下させる働きをする。十分に高い又は低いpH環境もタンパク質を変性させ得るが、アレルゲンタンパク質を変性させることができるpH値を有する乳濁液及び製剤は、テキスタイル、洗濯機及び一般の消費者による使用と適合しない可能性がある。本明細書に記載のように、pH調整剤の添加により非中性乳濁液が提供され、それがアレルゲンタンパク質の変性及び不活性化に寄与し得ることが判明した。
【0038】
一部の実施形態において、乳濁液は、乳濁液のpHを上昇させるpH調整剤をさらに含む。一部の実施形態において、pH調整剤はトリエタノールアミンである。一部の実施形態において、乳濁液中のpH調整剤は、約0.1%~約5重量%の量で存在する。乳濁液が、乳濁液のpHを上昇させるpH調整剤を含む場合、得られる乳濁液のpHは、代表的には約7より大きい。一部の実施形態において、得られる乳濁液のpHは、約8より大きい。一部の実施形態において、得られる乳濁液のpHは、約9より大きい。一部の実施形態において、得られる乳濁液のpHは、約10より大きい。
【0039】
他の実施形態において、乳濁液は、乳濁液のpHを低下させるpH調整剤を含む。乳濁液が、乳濁液のpHを低下させるpH調整剤を含む場合、得られる乳濁液のpHは、代表的には約7未満である。一部の実施形態において、得られる乳濁液のpHは、約6未満である。一部の実施形態において、得られる乳濁液のpHは、約5未満である。一部の実施形態において、得られる乳濁液のpHは、約4.5未満である。一部の実施形態において、pH調整剤は乳酸である。
【0040】
別の実施形態において、乳濁液は、1以上の防腐剤をさらに含む。乳濁液中の防腐剤の存在は、乳濁液の貯蔵寿命及び保存安定性を向上させる働きを持ち、それは消費者に提供される製剤が乳濁液の形態により長く維持され、乳濁液における望ましくない細菌や真菌の増殖が起こらないことを意味する。乳濁液中の防腐剤の存在は、乳濁液の貯蔵寿命及び保存安定性を向上させる働きを持ち、それは消費者に提供される製剤が乳濁液の形態により長く維持され、乳濁液における望ましくない細菌や真菌の活性が起こらないことを意味する。1実施形態において、乳濁液は一つの防腐剤を含む。別の実施形態において、乳濁液は複数の防腐剤を含む。1実施形態において、防腐剤はフェノキシエタノールである。別の実施形態において、防腐剤はベンゾイソチアゾリノンである。別の実施形態において、乳濁液は、防腐剤としてフェノキシエタノール及びベンゾイソチアゾリノンの両方を含む。1実施形態において、本明細書に開示の製剤は、約0.1重量%~約2重量%の量で1以上の防腐剤を含む。別の実施形態において、本明細書に開示の製剤は、約0.1重量%~約2重量%の量でフェノキシエタノールを含む。別の実施形態において、本明細書に開示の製剤は、フェノキシエタノール及びベンゾイソチアゾリノンを約0.1重量%~約2重量%の量で含む。
【0041】
第3の態様によれば、本発明は、テキスタイルにおける1以上のイエダニを殺す方法であって、前記テキスタイルを、第1の態様で定義した製剤と接触させることを含む方法を提供する。
【0042】
第4の態様によれば、本発明は、テキスタイルにおける1以上のイエダニを殺す、及び/又は1以上のアレルゲンを変性若しくは不活性化する方法であって、前記テキスタイルを、第1又は第2の態様で定義した製剤と接触させることを含む方法を提供する。
【0043】
1実施形態において、第3及び第4の態様の方法は、1以上のイエダニ及び/又はアレルゲンを有するテキスタイルを含む洗濯サイクルに前記製剤を添加する段階を含む。1実施形態において、当該製剤は、冷水中で行われる洗濯サイクルに添加される。別の実施形態において、当該製剤は、洗濯洗剤を含む洗濯サイクルに添加される。別の実施形態において、当該方法は、テキスタイルを製剤ですすぐ段階を含む。他の実施形態において、当該方法は、当該製剤を希釈して前記テキスタイルを当該製剤ですすぐ段階を含む。
【0044】
別の実施形態において、当該方法は、テキスタイルを第1又は第2の態様で定義の製剤と接触させる段階を含み、前記乳濁液は希釈される。
【0045】
他の実施形態において、当該方法は、変性又は不活性化された1以上のダニ及び/又はアレルゲンを除去するためにテキスタイルをすすぐ段階をさらに含む。
【0046】
一部の実施形態において、当該方法は、第1又は第2の態様で定義の水中油型乳濁液の形態の抗アレルゲン及び/又は抗ダニ洗濯製剤にテキスタイルを、1以上のイエダニを殺し、及び/又はテキスタイルに存在する1以上のアレルゲンを変性又は不活性化するのに十分な時間浸漬する段階を含む。
【0047】
第5の態様によれば、本発明は、1以上のイエダニを殺すため、及び/又はテキスタイルに存在する1以上のアレルゲンを変性若しくは不活性化するための、第1又は第2の態様で定義された製剤の使用を提供する。
【0048】
第6の態様によれば、本発明は、水中油型乳濁液の形態の抗イエダニ洗濯製剤を調製する方法であって、
i)安息香酸ベンジルを1以上の乳化剤に懸濁又は可溶化することによって油相を調製する段階;
ii)1以上の防腐剤、乳化安定剤及びpH調整剤を水に溶解させることによって水相を調製する段階、及び
iii)前記油相と前記水相を混和しながら合わせる段階
を有する方法を提供する。
【0049】
第7の態様によれば、本発明は、水中油型乳濁液の形態の抗イエダニ及び/又は抗アレルゲン洗濯製剤を調製する方法であって、
i)安息香酸ベンジルを1以上の乳化剤に懸濁又は可溶化することによって油相を調製する段階;
ii)1以上のアレルゲン変性剤、1以上の防腐剤、乳化安定剤、及びpH調整剤を水に溶解させることによって水相を調製する段階;及び
iii)前記油相と前記水相を混和しながら合わせる段階
を有する方法を提供する。
【0050】
第6及び第7の態様の一部の実施形態において、前記混和は高剪断下で行われる。
【0051】
第6及び第7の態様の他の実施形態において、前記混和は室温で行われる。
【0052】
第6及び第7の態様の他の実施形態において、油相を前記水相に添加する。
【0053】
第8の態様によれば、本発明は、第6の態様で定義される方法によって製造される水中油型乳濁液の形態の抗イエダニ洗濯製剤を提供する。
【0054】
第9の態様によれば、本発明は、第7の態様で定義の方法によって製造される水中油型乳濁液の形態の抗イエダニ及び/又は抗アレルゲン洗濯製剤を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0055】
本明細書及びそれに続く特許請求の範囲全体を通じて、文脈上別段の必要がない限り、「含む(comprise)」という語、及び「含む(comprises)」及び「含む(comprising)」などの変形形態は、記載された整数若しくは段階又は整数若しくは段階の群を含むことを示唆するものと理解されるであろうが、他の整数若しくは段階又は整数若しくは段階の群を除外するものではない。
【0056】
本明細書で使用される「約」又は「およそ」という用語は、当業者によって決定される特定の値の許容誤差範囲内を意味し、それは、値がどのように測定又は決定されるか、すなわち測定システムの限界に部分的に依存する。
【0057】
別断の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって共通に理解されるものと同じ意味を有する。本発明に関して、以下の用語を下記で定義する。
【0058】
本明細書で使用される場合、「乳濁液」という用語は、各相が液体であり、ある相が別の相に分散することで均質な混合物が得られるような、2以上の相の混合物を指す。本明細書に記載の乳濁液は、油相と水相からなるものであることができる。一部の実施形態において、油相が水相中に分散されるか、又はその逆である。しかしながら、好ましい実施形態において、本明細書に記載の乳濁液は、水相中に分散された油相を含む。乳濁液は任意の手段で調製することができるが、低エネルギー手段がより効率的であるため、そのような方法が好ましい。このような手段には、相加熱後の混和、高せん断下での混和などがあり得る。乳化を達成する他の手段も考えられる。
【0059】
本明細書で使用される場合、「水中油型乳濁液」という用語は、乳濁液の油相がその乳濁液の水相中に分散している乳濁液を指す。「油相」という用語は、非水相を指し、これは代表的には、水にわずかにしか溶けない、又は水に不溶な成分を含む。油相は、1以上の非水溶媒又は担体、代表的には水溶解度をほとんど示さない成分を可溶化できる溶媒又は担体を含んでいることができる。「水相」という用語は、その中に溶解している成分、例えば、一般に非水溶解度よりも大きい水溶解度を示す成分を含み得る水相を指す。
【0060】
本明細書で使用される場合、「洗濯」という用語は、1以上のテキスタイルを洗浄することを指す。好ましくは、テキスタイルは家庭用テキスタイル、例えば衣類、リネン、寝具、タオルなどである。
【0061】
本明細書で使用される場合、「ダニ」という用語は、1以上の小型又は微視的なコナダニ亜綱の寄生性クモ形類を指す。代表的には、ダニはイエダニ又はチリダニである。「イエダニ」及び「チリダニ」という用語は、本明細書では互換的に使用される。イエダニは、例えば、デルマトファゴイデス・プテロニッシヌス(Dermatophagoides pteronyssinus)(ヨーロッパイエダニ)、D.ファリナエ(D. farinae)(アメリカイエダニ)、D.エバンシ(D. evansi)、D.ミクロセラス(D. microceras)、D.ハルテロフィラス(D. halterophilus)、D.シボニー(D. siboney)、D.ネオトロピカリス(D. neotropicalis)、D.アレクスファイニ(D. alexfaini)、D.アニソポダ(D. anisopoda)、D.チロビ(D. chirovi)、D.デアネイ(D. deanei)、D.ルワンダエ(D. rwandae)、D.シェレメテロスキイ(D. scheremeteroskyi)、D.シェレメテウィスキイ(D. scheremetewskyi)、D.シンプレックス(D. simplex)、ユーログリフス・マイネイ(Euroglyphus maynei)(メインイエダニ)、E.ロンギオル(E. longior)、ヒルスチア・ドミコラ(Hirstia domicola)、マラヨグリフス・カルメリツス(Malayoglyphus carmelitus)、M.インテルメディウス(M. intermedius)、ピログリフス・アフリカヌス(Pyroglyphus africanus)、スツルノファゴイデス・ブラシリエンシス(Sturnophagoides brasiliensis)、又はビオミア・トロピカリス(Biomia tropicalis)などのあらゆる種のものであることができる。
【0062】
本明細書で使用される場合、「アレルゲン」という用語は、対象者の近くに存在する場合に対象者においてアレルギー反応を誘発する物質を指す。アレルギー反応は対象者における免疫応答であり、その応答には免疫細胞からのヒスタミンの放出や炎症反応などの事象が介在する。アレルゲンの例には、イエダニ、他のダニ、動物及び他の昆虫からの動物産物(動物の毛皮、唾液、鱗屑、イエダニの糞、卵、幼虫など)、花及び/又は他の植物からの花粉、雑草、草、木又はその一部、及びカビなどがある。家庭環境では、一般的なアレルゲンには、イエダニ、ネコ及びイヌの毛、花粉、草などがある。他のアレルゲンの例には真菌アレルゲンなどがあり、真菌の胞子がアレルギー反応を誘発する。真菌からのアレルゲン源には、キノコなどがある。特定のアレルゲンに対してアレルギーのある対象者は、その特定のアレルゲンに曝露された時、又はその近くにいる時にアレルギー反応を発症し得る。アレルギー反応の例には、くしゃみ、喘鳴、気道の腫れ及び/又は炎症、涙目、喘息、湿疹又はアトピー性皮膚炎、蕁麻疹(urticaria)又は蕁麻疹(hives)などがある。1実施形態において、アレルゲンはイエダニ又はイエダニの排泄物を含む。別の実施形態において、アレルゲンは、家庭用ペット、例えば、ネコ又はイヌなどの哺乳動物家庭用ペットからの毛皮、毛又は鱗屑に由来する。他の実施形態において、アレルゲンは、例えば、花粉又はカビを含み得る。
【0063】
本明細書で使用される場合、「抗アレルゲン」という用語は、アレルゲンに感受性であるか、及び/又はアレルゲンに応答してアレルギー反応を発症したことがある対象者におけるアレルギー反応を軽減又は改善する物質を指す。抗アレルゲン物質は、タンパク質アレルゲンを変性することによって作用して、そのアレルゲンが対象者においてアレルギー反応を引き起こすことができないようにすることができる。
【0064】
本明細書で使用される場合、「抗イエダニ」という用語は、1以上のイエダニを減少又は根絶する物質を指す。そこで、抗イエダニ剤は、ダニ、具体的にはイエダニに対して感受性の、及び/又はアレルギー反応を発症したことがある対象者におけるアレルギー反応を軽減又は改善することができる。
【0065】
本明細書で使用される場合、「殺ダニ剤」という用語は、1以上のダニに投与した場合に、そのダニを減少又は根絶することができる物質を指す。
【0066】
本明細書に記載の抗イエダニ特性を有する製剤は、乳濁液を洗濯サイクルに添加したときに殺ダニ(acaricidal)効果及び/又は殺ダニ(miticidal)効果をもたらすのに十分な量の安息香酸ベンジルを含む。一部の実施形態において、安息香酸ベンジルは、約10重量%~約25重量%の量で存在する。他の実施形態において、安息香酸ベンジルは、約15重量%~約25重量%の量で存在する。1実施形態において、安息香酸ベンジルは、約10重量%、約11重量%、約12重量%、約13重量%、約14重量%、約15重量%、約16重量%、約17重量%、約18重量%、約19重量%、約20重量%、約21重量%、約22重量%、約23重量%、約24重量%又は約25重量%の量で存在する。別の実施形態において、安息香酸ベンジルは、約15重量%の量で存在する。別の実施形態において、安息香酸ベンジルは、約17重量%の量で存在する。別の実施形態において、安息香酸ベンジルは、約20重量%の量で存在する。一部の実施形態において、安息香酸ベンジルは、水中油型乳濁液の形態で提供される製剤中に存在する。
【0067】
本明細書で使用される場合、「乳化剤」という用語は、混合物中の1以上の液体間の表面張力を低下させることによって乳濁液を安定化する物質を指す。乳化剤はイオン性でも非イオン性でもよいが、場合により非イオン性乳化剤が好ましいことがあり得る。イオン性乳化剤は、アニオン性乳化剤であってもカチオン性乳化剤であってもよい。乳化剤は、非混和性であり、乳化剤が存在しない場合には別個の相を形成する液体の混合物に添加することができる。このような混合物に乳化剤を添加すると、乳濁液が形成される。当技術分野における他の用語は、「乳化剤」という用語と互換的に使用することができる。他の用語の例には、界面活性剤、表面活性剤、湿展剤、洗剤、乳化剤、発泡剤、分散剤などがあり、これらのそれぞれ(及びここにリストされていないもの)は、乳濁液を安定化する薬剤を指すのに使用される。乳化剤の種類には、アミン、ソルビタン、ソルビトール、グリコール、グリセロール、スクロース、グルコシド、脂肪アルコールなどをベースとするものなどがある。他の乳化剤は、ヒマシ油などの脂肪酸及びその修飾型をベースとすることができる。乳化剤は、適切な脂肪酸など、例えば長鎖脂肪酸で1回以上エステル化されてもよく、エステル基の数は脂肪酸の性質及びエステル化され得る位置の数によって決まる。一部の長鎖脂肪酸には、8~30個の炭素原子を有する脂肪酸が含まれており、飽和又は不飽和の場合があり得る。一部の実施形態において、長鎖脂肪酸は、10~30個の炭素原子、12~30個の炭素原子、12~25個の炭素原子、15~25個の炭素原子、16~22個の炭素原子、18~22個の炭素原子、又は18~20個の炭素原子を有する。不飽和脂肪酸は、1以上の炭素-炭素二重結合を含む。本発明の乳化剤の一部としてエステル基を提供し得る脂肪酸の例には、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸及びオレイン酸などがある。その脂肪酸は、グリセロール、ソルビタン、ソルビトールなどとエステルを形成することができる。このような乳化剤の例としては、「Span」乳化剤(ソルビタンベース)などがある。乳化剤は、例えば、1回以上エトキシル化されてもよい。乳化剤はまた、例えば、1以上のエチレングリコール基を導入することによって誘導体化して、ポリエチレングリコール(すなわち、エトキシレート)誘導体を提供することもできる。このような乳化剤の例としては、「Tween」乳化剤(ソルビタンベース)、エトキシル化脂肪アルコール及びエトキシル化ヒマシ油などがある。一部の実施形態において、乳化剤は1~10モルのエトキシル化を有する。他の実施形態において、乳化剤は2~9モルのエトキシル化を有する。他の実施形態において、乳化剤は3~8モルのエトキシル化を有する。
【0068】
乳化剤の選択及びそれが水中油型乳濁液中に存在する量は、乳濁液全体の安定性、及び乳濁液の安息香酸ベンジル及び他の成分の溶解性及び懸濁液の維持に寄与し得る。前記1以上の乳化剤は、それらの親水性-親油性バランス(HLB)値に基づいて選択することができ、例えば、特定の比率で異なるHLB値を有する乳化剤の使用を行って、制限された溶解度を有する成分のHLBを近似することができる。本発明の一部の実施形態において、安息香酸ベンジルの乳化を改善するために、安息香酸ベンジルのHLBに近いHLBを提供するように乳化剤が選択される。一部の実施形態において、本発明の乳濁液は単一の乳化剤を含む。他の実施形態において、乳濁液は複数の異なる乳化剤を含む。一部の実施形態において、乳化剤はソルビトールベースの乳化剤である。別の実施形態において、乳化剤はエステル化ソルビトールベースの乳化剤である。乳化剤は、例えば脂肪酸などを用いて、1以上の基によってエステル化されていてもよい。別の実施形態において、乳化剤はエトキシル化ソルビトールベースの乳化剤である。乳化剤は、1以上のエトキシル基を含んでもよい、すなわち、乳化剤はポリエトキシル化されていてもよい。
【0069】
1実施形態において、本製剤の1以上の乳化剤が、1以上の長鎖脂肪酸を含む。1実施形態において、本製剤の1以上の乳化剤が、エチレンオキサイド基又はオキシエチレン基とも呼ばれ得る1以上のエチレングリコール基を含む。他の実施形態において、本製剤の1以上の乳化剤が、約1~約200モルの量のエチレンオキサイドの1以上のエチレングリコール基を含む。
【0070】
1実施形態において、本製剤の1以上の乳化剤はソルビタンをベースとする。1実施形態において、ソルビタン系乳化剤はエステル化されている。さらなる実施形態において、ソルビタンベースの乳化剤は、1以上の脂肪酸でエステル化される。1実施形態において、ソルビタンベースの乳化剤は、1以上のC~C30長鎖脂肪酸でエステル化される。別の実施形態において、長鎖脂肪酸はC10~C30脂肪酸である。別の実施形態において、長鎖脂肪酸はC10~C20脂肪酸である。一部の実施形態において、ソルビタンベースの乳化剤は、1、2、又は3個の長鎖脂肪酸エステル基を含む。1実施形態において、ソルビタンベースの乳化剤は、一つの長鎖脂肪酸エステル基を含む。別の実施形態において、ソルビタンベースの乳化剤は、二つの長鎖脂肪酸エステル基を含む。他の実施形態において、ソルビタンベースの乳化剤は、三つの長鎖脂肪酸エステル基を含む。一部の実施形態において、長鎖脂肪酸エステル基を含むソルビタンベースの乳化剤は、1以上のエチレングリコール基も含む。一部の実施形態において、ソルビタンベースの乳化剤は、各ソルビタン基について約3~約40モルのエチレングリコールの量でエチレングリコール基を含む。他の実施形態において、ソルビタンベースの乳化剤は、各ソルビタン基について約5~約30モルのエチレングリコールを含む。さらなる実施形態において、ソルビタンベースの乳化剤は、各ソルビタン基について約15~約25モルのエチレングリコールを含む。1実施形態において、ソルビタンベースの乳化剤は、1、2又は3個の長鎖脂肪酸エステル基と、乳化剤中の各ソルビタン基について約15~約15モルのエチレングリコールとを含む。1実施形態において、ソルビタンベースの乳化剤は三つの長鎖脂肪酸エステル基を含み、そのエステル基はオレイン酸に由来する。特定の実施形態において、ソルビタンベースの乳化剤はソルビタントリオレエートである。さらなる実施形態において、ソルビタンベースの乳化剤は、約15~約25モルのエチレングリコールをさらに含むソルビタントリオレエートである。
【0071】
1実施形態において、本製剤の1以上の乳化剤は、主にトリグリセリド、具体的にはリシノール酸及びその脂肪酸エステルを含むヒマシ油をベースとする。さらなる実施形態において、乳化剤は硬化ヒマシ油である。さらなる実施形態において、乳化剤はヒマシ油ブレンドである。さらに別の実施形態において、乳化剤は、1以上のエチレングリコール基を含むヒマシ油である。別の実施形態において、乳化剤は、両方とも水素化され、複数のポリエチレングリコール基を含むヒマシ油である。さらなる実施形態において、乳化剤は、各ヒマシ油基について約1~200モルのエチレングリコールを含有するヒマシ油である。1実施形態において、乳化剤は、複数のポリエチレングリコール基を含むヒマシ油ブレンドである。1実施形態において、乳化剤は、約10モル~約100モル、約10モル~約50モル、約20モル~約50モル、約30モル~約50モル、又は約40モルのポリエチレングリコールを含有する。さらなる実施形態において、乳化剤はポリエチレングリコール40硬化ヒマシ油である。
【0072】
1実施形態において、1以上の乳化剤はエトキシル化脂肪アルコールである。一部の実施形態において、前記脂肪アルコールは、6~30個の炭素原子、8~24個の炭素原子、8~20個の炭素原子、又は8~16個の炭素原子を含む。他の実施形態において、脂肪アルコールは、8、10、12、14又は16個の炭素原子を含む。一部の実施形態において、乳化剤は、約3~約25モルのエトキシル化を含むエトキシル化脂肪アルコールである。一部の実施形態において、乳化剤は、約3モル~約20モル、約3モル~約15モル、約3モル~約10モル、又は約3モル~約8モルのエトキシル化を含有するエトキシル化脂肪アルコールである。1実施形態において、乳化剤は、8~16個の炭素原子及び約3~約10モルのエトキシル化を含むエトキシル化脂肪アルコールである。別の実施形態において、乳化剤は、約12個の炭素原子及び約3~約8モルのエトキシル化を含むエトキシル化脂肪アルコールである。
【0073】
1実施形態において、本明細書に記載の乳濁液は、約1重量%~約5重量%の量で1以上の乳化剤を含む。一部の実施形態において、乳濁液は、約1重量%、約2重量%、約3重量%、約4重量%又は約5重量%の量で1以上の乳化剤を含む。
【0074】
一部の実施形態において、本明細書に記載される乳濁液は、複数の乳化剤を含む。一部の実施形態において、本明細書に記載の乳濁液は、複数の乳化剤を含み、それぞれの乳化剤が同じ量又は異なる量で乳濁液中に存在する。一部の実施形態において、本明細書に記載の乳濁液は、異なる量で複数の乳化剤を含み、当該乳化剤は約1:1~約1:10、例えば、約1:1、約1:1、約1:2、約1:3、約1:4、約1:5、約1:6、約1:7、約1:8、約1:9又は約1:10の比で乳濁液中に存在する。存在する乳化剤の量及び比率は、各乳化剤の正確な性質、乳濁液中の安息香酸ベンジルの量、及び乳濁液中の他の成分などのいくつかの因子によって決まり得る。
【0075】
本明細書で使用する場合、「テキスタイル」という用語は、一連の糸又は撚り糸を織る、編む、接着する、織り交ぜる、又は編むことによって作成されるファブリック材料を指す。テキスタイルの撚り糸又は糸は同じでも異なっていてもよく、動物源(例えば、動物の毛、毛皮又は皮膚)、植物源(例えば、草、わら、竹、綿、レーヨン、モダール(modal)及び麻)又は合成源(例えば、ポリエステル、アクリル、ナイロン、スパンデックス、ルレックス、アラミド又は炭素繊維)由来であることができる。次いで、テキスタイルを使用して、衣類、タオル、リネン、家庭用家具、カバーなどの品目を作ることができる。
【0076】
本明細書で使用される場合、アレルゲンに関して「変性」及び「不活性化」という用語は、アレルゲンの活性が改善され、それによってアレルゲンの影響及び関連するアレルギー反応が軽減されるプロセスを指す。アレルゲンは化学的に、すなわち化合物への曝露によって変性させることができる。或いは、アレルゲンを熱、高pH又は低pHなどの条件にさらすことによっても、アレルゲンが変性又は不活性化させることができる。
【0077】
本明細書に記載の製剤は、1以上のアレルゲン変性剤を含んでもよい。ほとんどのアレルゲンは本質的にタンパク質であるため、タンパク質アレルゲンを変性すると、一般にアレルゲンが起こすアレルギー反応が減少する。十分な熱(すなわち高温)がタンパク質を変性させることは知られているが、熱の使用のみではすべてのアレルゲンを変性させ、アレルゲンの効果を軽減するには不十分である可能性がある。また、テキスタイルによっては高温が適さない場合がある。理論に束縛されることを望むものではないが、本願人は、化学的アレルゲン変性剤の使用(テキスタイルが曝露される温度又はpHのいずれかを変える代わりに)がアレルゲンのより効率的な変性を提供すると考えている。
【0078】
一部の実施形態において、1以上のアレルゲン変性剤を含む製剤が、水中油型乳濁液の形態で提供される。1実施形態において、製剤は、1以上のアレルゲン変性剤を総量約0.1重量%~約5重量%で含む。1実施形態において、製剤は、1以上のアレルゲン変性剤を合計約0.1重量%、約0.2重量%、約0.5重量%、約0.8重量%、約1重量%、約2重量%、約3重量%、約4重量%、又は約5重量%で含む。
【0079】
一部の実施形態において、本明細書に記載の製剤は、複数のアレルゲン変性剤を含み、それぞれが製剤中に同じ量又は異なる量で存在する。一部の実施形態において、本明細書に記載の製剤は、異なる量で複数のアレルゲン変性剤を含み、そのアレルゲン変性剤は、製剤中に約1:1~約1:10、例えば、約1:1、約1:2、約1:3、約1:4、約1:5、約1:6、約1:7、約1:8、約1:9又は約1:10の比で存在する。
【0080】
一部の実施形態において、本明細書に開示の製剤は、タンパク質アレルゲンを変性させることができる成分を含む。一部の実施形態において、製剤はアレルゲン変性剤として尿素を含む。一部の実施形態において、製剤は、アレルゲン変性剤として尿素を約0.1重量%~約5重量%の量で含む。一部の実施形態において、製剤は約0.1重量%の量で尿素を含む。他の実施形態において、製剤は約0.5重量%の量で尿素を含む。一部の実施形態において、製剤は約1重量%の量で尿素を含む。別の実施形態において、製剤は約2重量%の量で尿素を含む。さらなる実施形態において、製剤は約3重量%の量で尿素を含む。別の実施形態において、製剤は約4重量%の量で尿素を含む。さらに別の実施形態において、製剤は約5重量%の量で尿素を含む。
【0081】
上で議論したように、高pH又は低pH環境もアレルゲンタンパク質を変性させ得るが、そのような環境はテキスタイルを損傷する可能性がある。本明細書で定義の製剤は、それらが溶解又は懸濁している乳濁液のpHを本質的に改変する成分を含んでいてもよい。製剤中の特定の成分の使用は、複数の目的に役立つ可能性がある。例えば、本明細書で定義される一部の製剤は、アレルゲン変性剤としてトリエタノールアミンを含む。トリエタノールアミンは塩基性窒素基を含むため、この化合物は塩基として作用することができ、乳濁液のpHを上昇させることができる。トリエタノールアミンは弱塩基であるため、製剤のpHは上昇するが、テキスタイルに悪影響を与えると考えられる極端なpH条件は回避される。理論に拘束されることを望むものではないが、本願人は、トリエタノールアミンなどの成分の使用が、タンパク質を化学的に変性し、やはりアレルゲンを変性させることが知られているpHのわずかな上昇をもたらすことにより、アレルゲン変性剤として機能する可能性があると考えている。
【0082】
1実施形態において、本明細書に記載の製剤は、pH調整剤としてトリエタノールアミンを含む。別の実施形態において、製剤は、約0.1重量%~約5重量%の量でトリエタノールアミンを含む。1実施形態において、製剤は約0.1重量%の量でトリエタノールアミンを含む。別の実施形態において、製剤は約0.5重量%の量でトリエタノールアミンを含む。1実施形態において、製剤は約1重量%の量でトリエタノールアミンを含む。別の実施形態において、製剤は約2重量%の量でトリエタノールアミンを含む。さらなる実施形態において、製剤は約3重量%の量でトリエタノールアミンを含む。別の実施形態において、製剤は約4重量%の量でトリエタノールアミンを含む。さらに別の実施形態において、製剤は約5重量%の量でトリエタノールアミンを含む。
【0083】
一部の実施形態において、本明細書に記載の製剤は、製剤のpHを低下させるpH調整剤を含む。一部の実施形態において、製剤のpHを低下させるpH調整剤は酸である。例えば、酸を含む製剤は、約7未満のpHを有する乳濁液をもたらし得る。一部の実施形態において、酸は弱酸である。他の実施形態において、酸は強酸である。一部の実施形態において、酸は有機酸である。他の実施形態において、酸は無機酸である。理論に拘束されることを望むものではないが、本願人は、適切な酸を使用して約7未満のpHを有する製剤を提供することで、安息香酸ベンジルを含む安定な乳濁液、具体的には、本明細書で愛児の濃度で安息香酸ベンジルを含む乳濁液が得られると考えている。例示的な実施形態において、酸は乳酸である。一部の実施形態において、pH調整剤を含めると、得られる製剤は、約4.0~約7.0、約4.0~約6.0、約4.0~約5.5、又は約4.0~約5.0のpHを有する。一部の実施形態において、製剤は、約6.5未満、約6未満、約5.5未満、約5未満、又は約4.5未満のpHを有する。一部の実施形態において、製剤は約5.5、約5、約4.5又は約4のpHを有する。
【0084】
一部の実施形態において、本明細書に開示の製剤は、約0.1重量%~約5重量%の量で酸を含む。1実施形態において、製剤は約0.1重量%の量で酸を含む。1実施形態において、製剤は約0.2重量%の量で酸を含む。1実施形態において、製剤は約0.3重量%の量で酸を含む。1実施形態において、製剤は約0.4重量%の量で酸を含む。1実施形態において、製剤は約0.5重量%の量で酸を含む。1実施形態において、製剤は約1重量%の量で酸を含む。1実施形態において、製剤は約2重量%の量で酸を含む。1実施形態において、製剤は約3重量%の量で酸を含む。1実施形態において、製剤は約4重量%の量で酸を含む。1実施形態において、製剤は約5重量%の量で酸を含む。一部の実施形態において、本明細書に開示の製剤は弱酸を含む。一部の実施形態において、弱酸は乳酸である。特定の実施形態において、製剤は、約0.1重量%~約5重量%の量で乳酸を含む。他の実施形態において、製剤は、約0.1重量%~約0.5重量%、約0.1重量%~約0.4重量%、約0.1重量%~約0.3重量%、又は約0.1%~約0.2重量%の量で乳酸を含む。他の実施形態において、製剤は、約0.1重量%、約0.2重量%、約0.3重量%、約0.4重量%又は約0.5重量%の量で乳酸を含む。
【0085】
本明細書に記載の製剤は、1以上の防腐剤を含有することもできる。本明細書に記載の製剤における防腐剤の使用は、製剤が十分な時間にわたって安定性を保つように、製剤のさらなる保存安定性を提供するために行い得る。製剤が乳濁液として提供される場合、1以上の防腐剤の使用もまた、直接的又は間接的に乳濁液の安定性に寄与し得る。例えば、製剤は、意図された用途に適さない製剤をもたらす製剤中での細菌又は真菌の増殖を防ぐために1以上の防腐剤を含むことができる。したがって、防腐剤の使用は、製剤中の成分の分解及び/又は望ましくない細菌及び真菌の増殖を防ぐために行うことができる。一部の実施形態において、本明細書に記載の製剤は、1以上の防腐剤を含む。1実施形態において、本明細書に記載の製剤は、一つの防腐剤を含む。他の実施形態において、本明細書に記載の製剤は、複数の防腐剤を含む。一部の実施形態において、製剤は、約0.1重量%~約5重量%の量で存在する1以上の防腐剤を含む。1実施形態において、製剤は、約1重量%~約5重量%の量で存在する1以上の防腐剤を含む。他の実施形態において、製剤は、約2重量%~約5重量%の量で1以上の防腐剤を含む。他の実施形態において、製剤は、約2重量%~約4重量%の量で1以上の防腐剤を含む。特定の実施形態において、製剤は、フェノキシエタノール、ベンジルアルコール、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、ベンゾイソチアゾリノン、メチルイソチアゾリノン及びカルバミン酸ヨードプロピニルブチルからなる群から選択される1以上の防腐剤を含む。
【0086】
1実施形態において、本明細書に記載の製剤は、防腐剤としてフェノキシエタノールを含む。一部の実施形態において、フェノキシエタノールは、約0.5重量%~約1.5重量%の量で存在する。一部の実施形態において、フェノキシエタノールは、約0.5重量%、約0.75重量%、約1重量%、約1.25重量%又は約1.5重量%の量で存在する。
【0087】
別の実施形態において、本明細書に記載の製剤は、防腐剤としてベンゾイソチアゾールを含む。一部の実施形態において、ベンゾイソチアゾールは、約0.1%~約1重量%の量で存在する。一部の実施形態において、ベンゾイソチアゾールは、約0.1重量%、約0.25重量%、約0.5重量%、約0.75重量%又は約1重量%の量で存在する。
【0088】
一部の実施形態において、本明細書に記載の製剤は、フェノキシエタノールと1以上のさらなる防腐剤の両方を含む。一部の実施形態において、製剤は、フェノキシエタノールと、約1:1~約10:1の比で存在する1以上のさらなる防腐剤とを含む。一部の実施形態において、フェノキシエタノール及びさらなる防腐剤は、約1:1、約2:1、約3:1、約4:1、約5:1、約6:1、約7:1、約8:1、約9:1又は約10:1の比で製剤中に存在する。一部の実施形態において、製剤中のフェノキシエタノールとさらなる防腐剤とを合わせた量は、約0.5重量%~約2.5重量%である。特定の実施形態において、製剤中のフェノキシエタノールとさらなる防腐剤とを合わせた量は、約1重量%、約1.25重量%、約1.5重量%、約1.75重量%、約2.0重量%、約2.25重量%、約2.5重量%、約2.75重量%、約3重量%、約3.25重量%、約3.5重量%、約3.75重量%、約4重量%、約4.25重量%、約4.5重量%、約4.75重量%、又は約5重量%である。一部の実施形態において、製剤は一つのさらなる防腐剤を含む。一部の実施形態において、さらなる防腐剤はベンゾイソチアゾリノンである。他の実施形態において、さらなる防腐剤はメチルイソチアゾリノンである。別の実施形態において、さらなる防腐剤はヨードプロピニルブチルカルバメートである。他の実施形態において、製剤は複数のさらなる防腐剤を含む。一部の実施形態において、製剤は二つのさらなる防腐剤を含む。他の実施形態において、製剤は、三つ、四つ、又は五つのさらなる防腐剤を含む。一部の実施形態において、製剤は、防腐剤としてフェノキシエタノール及び安息香酸ナトリウムを含む。他の実施形態において、製剤は、防腐剤としてフェノキシエタノール及びソルビン酸カリウムを含む。他の実施形態において、製剤は防腐剤としてフェノキシエタノール及びベンジルアルコールを含む。一部の実施形態において、製剤は、防腐剤としてフェノキシエタノール、安息香酸ナトリウム、及びソルビン酸カリウムを含む。他の実施形態において、製剤は、防腐剤としてフェノキシエタノール、安息香酸ナトリウム、及びベンジルアルコールを含む。他の実施形態において、製剤は、防腐剤としてフェノキシエタノール、ソルビン酸カリウム及びベンジルアルコールを含む。他の実施形態において、製剤は、防腐剤としてフェノキシエタノール、ソルビン酸カリウム及びベンジルアルコールを含む。さらに別の実施形態において、製剤は、防腐剤としてフェノキシエタノール、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム及びベンジルアルコールを含む。
【0089】
特定の実施形態において、本明細書に記載の製剤は、防腐剤として安息香酸ナトリウムを含む。一部の実施形態において、安息香酸ナトリウムは、約0.1重量%~約1重量%の量で存在する。一部の実施形態において、安息香酸ナトリウムは、約0.1重量%、約0.2重量%、約0.3重量%、約0.4重量%、約0.5重量%、約0.6重量%、約0.7重量%、約0.8重量%、約0.9重量%又は約1重量%の量で存在する。
【0090】
特定の実施形態において、本明細書に記載の製剤は、防腐剤としてソルビン酸カリウムを含む。一部の実施形態において、ソルビン酸カリウムは、約0.1重量%~約1重量%の量で存在する。一部の実施形態において、ソルビン酸カリウムは、約0.1重量%、約0.2重量%、約0.3重量%、約0.4重量%、約0.5重量%、約0.6重量%、約0.7重量%、約0.8重量%、約0.9重量%又は約1重量%の量で存在する。
【0091】
特定の実施形態において、本明細書に記載の製剤は、防腐剤としてベンジルアルコールを含む。一部の実施形態において、ベンジルアルコールは、約0.1重量%~1重量%の量で存在する。一部の実施形態において、安息香酸ナトリウムは、約0.1重量%、約0.2重量%、約0.3重量%、約0.4重量%、約0.5重量%、約0.6重量%、約0.7重量%、約0.8重量%、約0.9重量%又は約1重量%の量で存在する。
【0092】
例示的な1実施形態において、本発明の製剤は、安息香酸ベンジル、トリオレイン酸ソルビタン、エトキシル化ヒマシ油ブレンド、フェノキシエタノール、キサンタンガム、尿素、トリエタノールアミン、ベンゾイソチアゾール及び水を含む。別の例示的な実施形態において、本発明の製剤は、安息香酸ベンジル、トリオレイン酸ソルビタン、エトキシル化ヒマシ油ブレンド、フェノキシエタノール、キサンタンガム、トリエタノールアミン及び水を含む。
【0093】
別の例示的な実施形態において、本発明の製剤は、安息香酸ベンジル、トリオレイン酸ソルビタン、エトキシル化ヒマシ油ブレンド、フェノキシエタノール、キサンタンガム、尿素、トリエタノールアミン及び水を含む。別の例示的な実施形態において、本発明の製剤は、安息香酸ベンジル、トリオレイン酸ソルビタン、エトキシル化ヒマシ油ブレンド、フェノキシエタノール、キサンタンガム及び水を含む。
【0094】
別の例示的な実施形態において、本発明の製剤は、安息香酸ベンジル、モノオレイン酸ソルビタン、エトキシル化ヒマシ油ブレンド、フェノキシエタノール、キサンタンガム、乳酸、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム及び水を含む。別の例示的な実施形態において、本発明の製剤は、安息香酸ベンジル、モノオレイン酸ソルビタン、エトキシル化ヒマシ油ブレンド、フェノキシエタノール、キサンタンガム、乳酸、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、ベンジルアルコール及び水を含む。一部の例示的な実施形態において、モノオレイン酸ソルビタンはエトキシル化されている。一部の例示的な実施形態において、モノオレイン酸ソルビタンはポリエトキシル化されている。
【0095】
本明細書に記載の製剤は、標準条件下で洗濯製剤として使用することを意図しており、それ自体が水性である。本明細書における製剤の開示は、製剤の非水成分及びそれらの相対量を記載しており、製剤の残りは水であるとみなされる。
【0096】
本明細書に記載の製剤は、追加の溶媒、他の活性物質などの他の成分を調整することもできる。追加の溶媒は、乳濁液の維持、1以上の成分の溶解度の改善、製剤全体の物理的特性(例えば、比重、粘度など)の変更など、製剤全体に与える可能性のある物理特性に応じて選択することができる。製剤は、最終製品の視覚的外観を変えるために使用されるが、製剤の使用又は活性には影響を及ぼさない他の成分を含んでもよい。
【0097】
本明細書で使用される場合、「有効量」という用語は、有益な結果をもたらすのに十分な量を指す。所与の成分の有効量は、その成分の性質及び達成される結果によって決まり得る。
【0098】
特定の態様によれば、本発明は、テキスタイルを本明細書で定義の製剤と接触させることによって、テキスタイル中のイエダニを殺す及び/又はアレルゲンを変性若しくは不活性化する方法を提供する。当該方法は、家庭用洗濯サイクルの一部として本発明の製剤をテキスタイルに添加することを含んでもよく、その洗濯サイクルは冷水又は温水中で行われる。一部の実施形態において、洗濯サイクルは冷水中で実行される。この方法は、テキスタイルを本明細書で定義の製剤と接触させることを含み、前記製剤は水で希釈される。一部の実施形態において、この方法は、本明細書に記載の製剤でテキスタイルを浸漬及び/又はすすぐ段階を含む。イエダニを殺す方法及び/又はテキスタイル中のアレルゲンを不活性化若しくは変性する方法は、本明細書で定義の製剤と接触させた後にテキスタイルをすすぐことによってダニ及び/又はアレルゲンを除去するさらなる段階を含んでもよい。
【0099】
本明細書に記載の製剤は、消費者が家庭内で使用することを意図しており、すなわち、乳濁液は標準的な家庭用洗濯機の洗濯サイクルに単に加えられるだけである。製剤は濃縮物として提供することができ、洗濯サイクル中の水は、安息香酸ベンジル及び/又はアレルゲン変性剤の意図された用量が達成されるように濃縮物を希釈するのに十分である。本明細書に開示の製剤によって提供される安息香酸ベンジルの所期の用量は、水25リットル当たり約50g~水25リットル当たり約100gの範囲である。1実施形態において、本明細書で開示の製剤によって提供される安息香酸ベンジルの用量は、水25リットル当たり約75gである。
【0100】
本発明の特定の実施形態において、本明細書に記載の製剤は、洗濯洗剤の存在下又は非存在下で、抗イエダニ及び/又は抗アレルゲン活性を維持する。したがって、本発明の実施形態は、洗濯洗剤を用いる洗濯サイクルに本明細書に記載の製剤を添加することを企図するものである。或いは、洗濯洗剤がテキスタイルに添加され、すでにそのテキスタイルと接触した後に、前記製剤を洗濯サイクルに添加することもできる。或いは、前記製剤を洗濯サイクルで使用して、同じ洗濯サイクルで洗濯洗剤を使用せずにイエダニを殺し、及び/又はアレルゲンを変性若しくは不活性化することもできる。本明細書に記載の製剤は、例えば、約15℃~約50℃の水温の洗濯サイクルで使用することができ、これは、その洗濯サイクルが冷水サイクル又は温水サイクルであることができることを意味する。ほんの一例として、その洗濯サイクルは、約15℃、約20℃、約25℃、約30℃、約35℃、約40℃、約45℃又は約50℃の水温を利用することができる。
【0101】
本明細書に記載の製剤は、例えば寝具の定期的な洗濯、他の抗ダニ及び抗アレルゲンのベッドカバー(例えばマットレスカバー、キルトカバー、枕カバー)の使用、低湿度環境の維持、抗ヒスタミン薬の使用、定期的な掃除機掛け、及びエアフィルターの使用などの他の抗イエダニ及び抗アレルゲンの予防、除去及び管理戦略に付属するものとしての洗濯添加剤として用いることができる。
【0102】
本明細書に開示される製剤は、当技術分野で知られている標準的な手段によって調製され得る。例えば、製剤が水中油型乳濁液の形態で提供される場合、乳濁液は油相と水相を混和することによって達成することができ、各相は乳濁液全体の特定の成分を含む。一部の実施形態において、乳濁液は、高剪断下で油相と水相を混和することによって形成される。一部の実施形態において、乳濁液は、油相と水相を室温で混和することによって形成される。一部の実施形態において、油相を混和しながら水相に添加し、その混和は高剪断下で実施することができる。
【0103】
一部の実施形態において、油相は安息香酸ベンジル及び1以上の乳化剤を含む。油相は、安息香酸ベンジルを1以上の乳化剤と組み合わせることによって生成することができる。一部の実施形態において、安息香酸ベンジルは、混和しながら1以上の乳化剤に徐々に添加することができる。一部の実施形態において、油相は、高剪断下で混和しながら安息香酸ベンジルを1以上の乳化剤に徐々に添加することによって生成することができる。他の実施形態において、油相は、複数の乳化剤を組み合わせて均質な油相を生成し、続いて安息香酸ベンジルを添加し、さらに混和することによって生成することができる。
【0104】
一部の実施形態において、水相は、1以上の防腐剤、乳化安定剤、及びpH調整剤を含む。特定の実施形態において、水相は複数の防腐剤を含む。水相は、1以上の防腐剤、乳化安定剤及びpH調整剤を水と組み合わせ、均一な溶液が得られるまで混和することによって生成することができる。水相の成分は、順次添加してもよいし、成分の添加時及び/又は添加後に混和しながら一緒に添加してもよい。
【0105】
本明細書における先行刊行物(又はそれに由来する情報)、又は公知の事項への言及は、その先行刊行物(又はそれに由来する情報)又は公知の事項が本明細書が関係する努力傾注分野における共通の一般知識の一部を形成することの承認若しくは了解又は何らかの形での示唆ではなく、そうであると受け取られるべきではない。
【0106】
当業者は、本明細書に記載の発明が、具体的に記載されたもの以外の改変及び修正を受けやすいものであることを理解するであろう。理解すべき点として、本発明は、その精神及び範囲内にあるすべてのそのような改変及び修正を含む。本発明はまた、本明細書で個別に又は集合的に言及又は指示される段階、特徴、組成物及び化合物のすべて、及び前記段階若しくは特徴の任意の2以上のあらゆる組み合わせを含む。
【実施例
【0107】
以下の実施例は本開示を説明するものであり、本明細書全体にわたる説明の開示の一般的な性質をいかなる形でも限定するものとして解釈されるべきではない。
【0108】
実施例1-製剤例
例示的な抗イエダニ洗濯製剤(1807C、2110C及び2110D)並びに例示的な抗イエダニ及び抗アレルゲン洗濯製剤(1807B、1807D及び1807F)を表1及び2に提供している。すべての成分は重量%として列挙される。
【0109】
表1.洗濯製剤例
【0110】
【表1】
【0111】
表2.洗濯製剤例
【表2】
【0112】
製剤例2110C、2110D及び2110Fは4.5~5.0のpHを有する。
【0113】
安定性試験により、製剤2110Fは、4℃、25℃、又は40℃のいずれかで保管した場合、12週間にわたって、一定のpH及び一定の粘度を有する白色の均質な流体乳濁液の外観を保持することが実証された。
【0114】
乳濁液の調製
本発明の製剤は、1以上の油相を1以上の水相と組み合わせることによって製造できる水中油型乳濁液であることができる。安息香酸ベンジルを含む製剤は、水中油型乳濁液であり、水溶解度が低いことを考慮して安息香酸ベンジルが油相の一部として組み込まれている。水中油型乳濁液の油相と水相は、均質な乳濁液が生成され、油相と水相との間の相境界が識別できない条件下及び時間にわたり混和される。
【0115】
本明細書に開示の製剤の成分の条件は、成分及び乳濁液全体の性質に応じて変わり得る。例えば、成分は室温で組み合わせることができる。製剤中の成分の性質と物理特性に応じて、それらを組み合わせる順序と方法は変わり得る。したがって、本明細書に開示の調製物は、成分が溶解状態又は溶液状態若しくは懸濁液状態にとどまって、ここで開示の製剤を提供することを保証するものである。
【0116】
乳濁液例を調製する手順は下記の通りである:
i)キサンタンガムをフェノキシエタノール中に分散させる;
ii)各成分を水に溶解させることによって、トリエタノールアミン、尿素及び1以上の防腐剤を含む水相を調製する;
iii)キサンタンガム/フェノキシエタノール混合物を水相に添加する;
iv)安息香酸ベンジル及び1以上の乳化剤を含む油相を調製する;
v)ホモジナイザーを使用して、キサンタンガム/フェノキシエタノール/水相を油相と合わせる。
【0117】
実施例2-イエダニアレルゲンに対する活性
密閉容器に入ったイエダニダストのサンプルを分析用に提供した。上記の表1に列挙した洗濯製剤1807B、1807C、及び1807Dの試験に先立って、比較のためにイエダニダストからアレルゲンを抽出した。製剤1807B、1807C及び1807D(実施例1を参照)の有効性を下記のように試験した。
【0118】
試験用のイエダニダストサンプルの調製は、Tovey, E. R. et al., Journal of Allergy and Clinical Immunology, (2001), 108, 3, 369に記載されている手順に従って行った。
【0119】
試験用の洗濯製剤は、試験まで-20℃で保管した。製剤を3回反転させた後、0.1%Tween-20を含むリン酸緩衝生理食塩水(PBS-T)の溶液を用いて50mLの抽出溶液を調製した。PBS-Tは、135mM NaCl、2.7mM KCl、10mM NaHPO、1.8mM KHPO、及び0.1%(v/v) Tween-20を含む。
【0120】
イエダニダスト約50mgを15mLファルコン管に量り入れ、それぞれの製剤で5.0~5.3mg/mLの濃度に希釈した。サンプルを室温で5分間、上下回転させながら抽出した。抽出物を2000gで15分間遠心した。
【0121】
抽出上清500μLをPBS-Tで1:1の比率で希釈し、必要とされるまで-20℃で冷凍した。サンプルを0.22μM PESシリンジフィルターで濾過してから、分析に供した。
【0122】
ヒョウダニ(Dermatophagoides)属群1アレルゲン(DerP1)のELISAアッセイを、Indoor Biotechnologies(カタログ番号EPC-DP-1、ロット番号44383)から事前に購入したキットを使用して、逸脱なく製造業者の指示に従って実施した。すべてのサンプルはELISAプレート上で分析し、サンプルはロボット液体ハンドリングワークステーションepMotion 5075(Eppendorf)上でアッセイした。プレートをBio-Plex Pro II磁気プレート洗浄機(Bio-Rad)で洗浄し、FluoStar Optimaリーダーで読み取った。アッセイプレートを、光の非存在下で振盪せずに25℃でインキュベートした。サンプルを分析前に希釈し、三回分析し、結果を表3に示す。表3に示したものは、MilliQ水、非イオン性界面活性剤(PBS-T)を含む緩衝液、試験製剤1807B、1807C及び1807D単独、及び洗濯洗剤を加えた試験製剤1807Dの比較である。試験製剤1807B及び1807Dは、水のみと比較して、上記のプロトコールを使用して試験した場合、アレルゲン除去に有意差を示した。(製剤1807Cには、加えたアレルゲン除去成分は含まなかった)。PBS-Tは、サンプル中の指標となる基底線アレルゲンレベルを測定するために使用される界面活性剤を含む緩衝液である。サンプル1807Dに洗濯洗剤を添加すると、アレルゲン除去が増加した。
【0123】
表3.DerP1について試験された製剤であり、三回の結果、平均値(及び変動係数、%CV)及び統計分析が提供されている。
【0124】
【表3】
【0125】
実施例3-イエダニに対する有効性
イエダニであるヤケファゴイデス・プテロニシヌス(Dermatophagoides pteronyssinus)に対する製剤2110F(表2を参照)の有効性を求めるために実験室試験を行った。製剤2110Fが単独で、又は一般的な家庭用洗濯洗剤と組み合わせてイエダニを殺す能力を評価した。表4に示すように、7処理群を確立した。
【0126】
表4.処理群
【0127】
【表4】
【0128】
イエダニをシドニーの内西部及び南部郊外の住宅から収集し、コロニーを試験前にインキュベータ内で維持してから試験に供した。各処理グループに割り当てるために、Zeiss M3実体顕微鏡下で細いペイントブラシを使用してイエダニ約15匹を繁殖培地から分離し、処理液3mLが入った小さなシャーレに入れた。イエダニを穏やかに撹拌して液体との接触を容易にし、25分間放置した。25分後、液体とイエダニを黒い綿織物のふるいに通して注ぎ、処理液からイエダニを分離した。イエダニ10匹を、小型のプラスチック栓付き管(2.5cmx1cm)に入れた。イエダニをインキュベータに入れ、25℃及び相対湿度75%で24時間維持した。24時間後、生存イエダニ数をカウントした。これはイエダニが協調して移動する能力に基づくものであった。
【0129】
死んだイエダニ数における処理平均間の差を、分散分析(ANOVA)を使用して有意性について評価した(SPSSバージョン26、2019)。さらに、PPプロットと誤差の等分散性に関するルビーン検定を使用して、データが正規分布と分散の均一性の仮定に準拠しているかどうかをチェックした。等分散性の仮定が満たされた場合は、ライアンのQ検定を使用し、それが満たされなかった場合は、ダネットT-3検定を使用した。結果を表5に示す。2110Fを含むすべての処理群が、イエダニの死滅において陰性対照よりも統計的に優れていた。
【0130】
表5.イエダニ死亡率
【0131】
【表5】
【国際調査報告】