(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-18
(54)【発明の名称】CAR-T細胞の活性回復のためのコンジュゲート、組成物、および方法
(51)【国際特許分類】
A61K 47/54 20170101AFI20240910BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240910BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240910BHJP
A61K 31/437 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
A61K47/54
A61P35/00
A61P43/00 107
A61K31/437
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024513345
(86)(22)【出願日】2022-08-30
(85)【翻訳文提出日】2024-04-18
(86)【国際出願番号】 US2022042094
(87)【国際公開番号】W WO2023034341
(87)【国際公開日】2023-03-09
(32)【優先日】2021-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】598063203
【氏名又は名称】パーデュー・リサーチ・ファウンデーション
【氏名又は名称原語表記】PURDUE RESEARCH FOUNDATION
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100153693
【氏名又は名称】岩田 耕一
(72)【発明者】
【氏名】ロウ,フィリップ,スチュワート
(72)【発明者】
【氏名】ナポレオン,ジョン,ヴィクター
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA95
4C076CC27
4C076DD59
4C076EE59
4C076FF68
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086CB05
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA13
4C086ZB22
4C086ZB26
(57)【要約】
キメラ抗原受容体(CAR)T細胞活性回復コンジュゲートおよび組成物ならびに消耗したCAR T細胞を活性回復させる使用方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)CARが、第1の標的化部分、第2の標的化部分、または第1の標的化部分および第2の標的化部分に結合する、(i)前記CARをコードする核酸配列に作動的に連結されたプロモーターを含むベクターまたは(ii)前記CARを発現するT細胞、ならびに
(b)特異性を持ってがん細胞に結合し、前記第1の標的化部分にコンジュゲートしたリガンドを含むがん結合コンジュゲートであって、前記がんおよび前記第1の標的化部分によって結合された前記リガンドが、第1のリンカーを介して場合によりコンジュゲートされる、がん結合コンジュゲート
によって処置されているがんを有する対象において、消耗したキメラ抗原受容体(CAR)-T細胞を活性回復させる方法であって、
前記第1の標的化部分または前記第2の標的化部分のいずれかとコンジュゲートした、toll様受容体7、toll様受容体8、またはtoll様受容体7およびtoll様受容体8のアゴニスト(TLR7/8のアゴニスト)を含むCAR T細胞活性回復コンジュゲートを前記対象に投与するステップであって、前記アゴニストおよび前記第1の標的化部分または前記第2の標的化部分のいずれかが第2のリンカーを介してコンジュゲートされる、ステップを含み、
前記CAR T細胞活性回復コンジュゲートが、構造:
【化1】
[式中:
R
1は、アルキル、ハロ、ヘテロアルキル、アルコキシ、およびシクロアルキルから独立して選択される1つまたは複数の置換基によって場合により置換される、非環状アルキルまたは環状アルキルであり;
R
2は、-NR
2xR
2y、水素(H)、-OR
z、-SO
2N(R
z)
2、またはN
3(式中:
R
2xおよびR
2yは、それぞれ独立して、H、-N(R
z)
2、-CON(R
z)
2、-C(R
z)
2-N(R
z)
2、-CS-N(R
z)
2、もしくはオキソ、ハロ、アルキル、ヘテロアルキル、アルコキシ、およびシクロアルキルから独立して選択される1つもしくは複数の置換基によって場合により置換されるアルキルであり;
各R
Zは、独立して、Hもしくは場合により置換されるアルキルであり;または
R
2xおよびR
2yは一緒になって、場合により置換される3~10員の単環式もしくは二環式ヘテロシクロアルキルを形成する)であり;
各R
3は、独立して、H、ハロ、-N
3、-CN、-NO
2、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、アミノ、ヒドロキシ、カルボニル、またはチオールであり、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキルまたはアルコキシは、場合により置換され;
R
4およびR
5は、それぞれ独立して、アルキル、アルコキシ、ハロ、またはシクロアルキルであり、アルキル、アルコキシ、またはシクロアルキルは場合により置換され;
X
1、X
2、およびX
3は、独立してNまたはCR
q(式中、各R
qは、独立してH、ハロ、または場合により置換されるアルキルである)であり;
Zは、G-L-(式中、Lは、前記第2のリンカーであり、Gは、前記第1の標的化部分または前記第2の標的化部分である)であり;
式(I)のnは、1~6であり;
式(I)のmは、0~4である]
もしくはその薬学的に許容される塩を有し、または
前記CAR T細胞活性回復コンジュゲートが、構造:
【化2】
[式中:
R
1、R
3、R
4、およびR
5は、それぞれ独立して、H、アルキル、アルコキシル、アルケニル、アルキニル、脂環式、アリール、ビアリール、ハロ、ヘテロアリール、-COR
2x、
【化3】
(式中、R
2xおよびR
2yのそれぞれは、H、-OH、-CH
2-OH、-NH
2、-CH
2-NH
2、-COOMe、-COOH、-CONH
2、-COCH
3、アルキル、アルケニル、アルキニル、脂環式、アリール、ビアリール、およびヘテロアリールからなる群から独立して選択される)であり;
Zは、G-L-(式中、Lは、前記第2のリンカーであり、Gは、前記第1の標的化部分または前記第2の標的化部分である)であり;
X
1、X
2、およびX
3は、独立してCR
qまたはN(式中、各R
qは、独立してH、ハロ、または場合により置換されるアルキルである)であり;
Yは、H、-OR
z、-NR
2xR
2y、-SR
z、-SOR
z、-SO
3R
z、-N
3、-COR
z、-COOR
z、-CON(R
z)
2、-COSR
z、-SO
2N(R
z)
2、または-CON(R
z)
2(式中:
R
2xおよびR
2yは、それぞれ独立してH、-N(R
z)
2、-CON(R
z)
2、-C(R
z)
2-N(R
z)
2、-CS-N(R
z)
2、もしくは場合により置換されるアルキルであり;
各R
zは、独立してHもしくは場合により置換されるアルキルであり;または
R
2xおよびR
2yは一緒になって、場合により置換されるヘテロシクロアルキルを形成する)であり;
式(II)のnは、0~30である]
を有するか、もしくはその薬学的に許容される塩であり、または
前記CAR T細胞活性回復コンジュゲートが、構造:
【化4】
[式中:
R
1は、ハロ、アルキル、ヘテロアルキル、アルコキシ、およびシクロアルキルから独立して選択される1つまたは複数の置換基によって場合により置換される、非環状アルキルまたは環状アルキルであり;
Yは、H、-OR
z、-NR
2xR
2y、-SR
z、-SOR
z、-SO
3R
z、-N
3、-COR
z、-COOR
z、-CON(R
z)
2、-COSR
z、-SO
2N(R
z)
2、または-CON(R
z)
2(式中:R
2xおよびR
2yは、それぞれ独立してH、-N(R
z)
2、-CON(R
z)
2、-C(R
z)
2-N(R
z)
2、-CS-N(R
z)
2、もしくはオキソ、ハロ、アルキル、ヘテロアルキル、アルコキシ、もしくはシクロアルキルから独立して選択される1つもしくは複数の置換基によって場合により置換されるアルキルであり;
各R
Zは、独立して、Hもしくは場合により置換されるアルキルであり;または
R
2xおよびR
2yは一緒になって、場合により置換される3~10員の単環式もしくは二環式ヘテロシクロアルキルを形成する)であり;
各R
3は、独立して、ハロ、-N
3、-CN、-NO
2、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、アミノ、ヒドロキシ、カルボニル、またはチオールであり、アルキル、アルコキシ、ヘテロアルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルは、場合により置換され;
R
4およびR
5は、それぞれ独立して、アルキル、アルコキシ、ハロゲン、またはシクロアルキルであり、アルキル、アルコキシ、またはシクロアルキルは場合により置換され;
X
1、X
2、およびX
3は、独立してCR
qまたはN(式中、各R
qは、独立してH、ハロゲン、または場合により置換されるアルキルである)であり;
Zは、L-G(式中、Lは、前記第2のリンカーであり、Gは、前記第1の標的化部分または前記第2の標的化部分である)であり;
式(III)のnは、0~30であり;
式(III)のmは、0~4である]
を有するか、もしくはその薬学的に許容される塩である、前記方法。
【請求項2】
式(I)、式(II)、または式(III)のX
1、X
2、およびX
3のそれぞれがNである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記CAR T細胞活性回復コンジュゲートが、構造:
【化5】
または前述の構造のいずれかの薬学的に許容される塩を有する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記CAR T細胞活性回復コンジュゲートが、構造:
【化6】
を有するか、または前述の構造のいずれかの薬学的に許容される塩である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記CAR T細胞活性回復コンジュゲートが、TLR7/8のアゴニストを含み、構造:
【化7】
を有するか、または前述の構造のいずれかの薬学的に許容される塩である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の標的化部分、前記第2の標的化部分、または前記第1の標的化部分および前記第2の標的化部分が、構造:
【化8】
を有する基であるか、またはその基を含む、請求項1~5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記第1の標的化部分、前記第2の標的化部分、または前記第1の標的化部分および前記第2の標的化部分が、構造:
【化9】
を有する基であるか、またはその基を含む、請求項1~5のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記CAR T細胞活性回復コンジュゲートが、構造:
【化10】
を有するか、またはその薬学的に許容される塩である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記CAR T細胞活性回復コンジュゲートが、構造:
【化11】
[式中、n=0~200である]、または前述の構造のいずれかの薬学的に許容される塩を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記CAR T細胞活性回復コンジュゲートが、構造:
【化12】
を有するか、またはその薬学的に許容される塩である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記CAR T細胞活性回復コンジュゲートが、
【化13】
から選択される構造を有するか、または前述の構造のいずれかの薬学的に許容される塩である、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記CAR T細胞活性回復コンジュゲートが、
【化14】
から選択される構造を有するか、または前述の構造のいずれかの薬学的に許容される塩である、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記CAR T細胞活性回復コンジュゲートが、
【化15】
から選択される構造を有するか、または前述の構造のいずれかの薬学的に許容される塩である、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記CAR T細胞活性回復コンジュゲートが、
【化16】
から選択される構造を有するか、または前述の構造のいずれかの薬学的に許容される塩である、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
特異性を持ってがん細胞に結合する前記リガンドが、葉酸塩、5-メチルテトラヒドロ葉酸、2-[3-(1,3-ジカルボキシプロピル)ウレイド]ペンタン二酸(DUPA)リガンド、ニューロキニン1受容体(NK-1R)リガンド、炭酸脱水酵素IX(CAIX)リガンド、ガンマグルタミルトランスペプチダーゼのリガンド、黄体ホルモン放出ホルモン(LHRHR)のリガンド、CD73のリガンド、熱ショックタンパク質(HSP)のリガンド、グルコーストランスポーター1(glut-1)のリガンド、線維芽細胞活性化タンパク質のリガンド、ナチュラルキラーグループ2D受容体(NKG2D)リガンド、およびコレシストキニンB受容体(CCKBRまたはCCK2)リガンドからなる群から選択される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記第1の標的化部分および前記第2の標的化部分が、2,4-ジニトロフェニル(DNP)、L-ラムノース、タクロリムス(FK506)、2,4,6-トリニトロフェノール(TNP)、ビオチン、ラパマイシン、ジゴキシゲニン、葉酸塩、5-メチルテトラヒドロ葉酸、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、NHS-フルオレセイン、ペンタフルオロフェニルエステル、テトラフルオロフェニルエステル、ノッチン、センチリン、およびDARPinからなる群から独立して選択される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記第1の標的化部分および前記第2の標的化部分が、DNP、FK506、TNP、ビオチン、ラパマイシン、ジゴキシゲニン、葉酸塩、5-メチルテトラヒドロ葉酸、フルオレセイン、FITC、NHS-フルオレセイン、ペンタフルオロフェニルエステル、テトラフルオロフェニルエステル、ノッチン、センチリン、およびDARPinからなる群から独立して選択され;
特異性を持ってがん細胞に結合する前記リガンドが、葉酸塩、DUPAリガンド、NK-1Rリガンド、CAIXリガンド、ガンマグルタミルトランスペプチダーゼのリガンド、LHRHRのリガンド、CD73のリガンド、HSPのリガンド、glut-1のリガンド、線維芽細胞活性化タンパク質のリガンド、NKG2DリガンドおよびCCKBRまたはCCK2リガンドからなる群から選択される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記第1のリンカーおよび前記第2のリンカーが、独立して、放出可能または放出不可能である、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記第1のリンカーおよび前記第2のリンカーが、C
1~C
20アルキル、アルキレン、ヘテロアルキレン、-O-アルキニレン、アルケニレン、アシル、アリール、ヘテロアリール、アミド、オキシム、エーテル、エステル、トリアゾール、-S-S、-CO-O-(CH
2)
n-S-S-(n=2~6)、-O-CO-O-(CH
2)
n-S-S-(n=2~6)、-S-CO-O-(CH
2)
n-S-S-(n=2~6)、-NH-CO-O-(CH
2)
n-S-S-(n=2~6)、カルボン酸塩、炭酸塩、カルバミン酸塩、尿素、チオ尿素、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロリン、オリゴ-(4-ピペリジン)カルボン酸、オリゴピペリジン、アミノ酸、ペプチド、サッカロペプチド、糖、ペプチドグリカン、ポリビニルピロリドン、プルロニックF-127、または前述の2つもしくはそれ以上の任意の組合せを独立して含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記第1のリンカー、前記第2のリンカー、または前記第1のリンカーおよび前記第2のリンカーの両方が、PEGを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
特異性を持ってCAR T細胞のCARに結合する標的化部分とリンカーを介してコンジュゲートされるtoll様受容体7、toll様受容体8、またはtoll様受容体7およびtoll様受容体8のアゴニストを含む、キメラ抗原受容体(CAR)T細胞活性回復コンジュゲートであって、構造:
【化17】
[式中:
R
1は、アルキル、ハロ、ヘテロアルキル、アルコキシ、およびシクロアルキルから独立して選択される1つまたは複数の置換基によって場合により置換される、非環状アルキルまたは環状アルキルであり;
R
2は、-NR
2xR
2y、H、-OR
z、-SO
2N(R
z)
2、またはN
3(式中:
R
2xおよびR
2yは、それぞれ独立して、水素(H)、-N(R
z)
2、-CON(R
z)
2、-C(R
z)
2-N(R
z)
2、-CS-N(R
z)
2、もしくはオキソ、ハロ、アルキル、ヘテロアルキル、アルコキシ、およびシクロアルキルから独立して選択される1つもしくは複数の置換基によって場合により置換されるアルキルであり;
各R
Zは、独立して、Hもしくは場合により置換されるアルキルであり;または
R
2xおよびR
2yは一緒になって、場合により置換される3~10員の単環式もしくは二環式ヘテロシクロアルキルを形成する)であり;
各R
3は、独立して、H、ハロ、-N
3、-CN、-NO
2、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、アミノ、ヒドロキシ、カルボニル、またはチオールであり、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキルまたはアルコキシは、場合により置換され;
R
4およびR
5は、それぞれ独立して、アルキル、アルコキシ、ハロ、またはシクロアルキルであり、アルキル、アルコキシ、またはシクロアルキルは場合により置換され;
X
1、X
2、およびX
3は、独立してNまたはCR
q(式中、各R
qは、独立してH、ハロ、または場合により置換されるアルキルである)であり;
Zは、G-L-(式中、Lはリンカーであり、Gは標的化部分である)であり;
式(I)のnは、1~6であり;
式(I)のmは、0~4である]
を有するか、もしくはその薬学的に許容される塩であり、または
構造:
【化18】
[式中:
R
1、R
3、R
4、およびR
5は、それぞれ独立して、H、アルキル、アルコキシル、アルケニル、アルキニル、脂環式、アリール、ビアリール、ハロ、ヘテロアリール、-COR
2x、
【化19】
(式中、R
2xおよびR
2yのそれぞれは、H、-OH、-CH
2-OH、-NH
2、-CH
2-NH
2、-COOMe、-COOH、-CONH
2、-COCH
3、アルキル、アルケニル、アルキニル、脂環式、アリール、ビアリール、およびヘテロアリールからなる群から独立して選択される)であり;
Zは、G-L-(式中、Lはリンカーであり、Gは標的化部分である)であり;
X
1、X
2、およびX
3は、独立してCR
qまたはN(式中、各R
qは、独立してH、ハロ、または場合により置換されるアルキルである)であり;
Yは、H、-OR
z、-NR
2xR
2y、-SR
z、-SOR
z、-SO
3R
z、-N
3、-COR
z、-COOR
z、-CON(R
z)
2、-COSR
z、-SO
2N(R
z)
2、または-CON(R
z)
2(式中:
R
2xおよびR
2yは、それぞれ独立して水素、-N(R
z)
2、-CON(R
z)
2、-C(R
z)
2-N(R
z)
2、-CS-N(R
z)
2、もしくは場合により置換されるアルキルであり;
各R
zは、独立して水素もしくは場合により置換されるアルキルであり;または
R
2xおよびR
2yは一緒になって、場合により置換されるヘテロシクロアルキルを形成する)であり、
式(II)のnは、0~30である]
を有するか、またはその薬学的に許容される塩であり、または
構造:
【化20】
[式中:
R
1は、ハロ、アルキル、ヘテロアルキル、アルコキシ、およびシクロアルキルから独立して選択される1つまたは複数の置換基によって場合により置換される、非環状アルキルまたは環状アルキルであり;
Yは、H、-OR
z、-NR
2xR
2y、-SR
z、-SOR
z、-SO
3R
z、-N
3、-COR
z、-COOR
z、-CONR
z
2、-COSR
z、-SO
2N(R
z)
2、または-CON(R
z)
2(式中:
各R
Zは、独立してH、もしくは場合により置換されるアルキルであり;
R
2xおよびR
2yは、それぞれ独立してH、-N(R
z)
2、-CON(R
z)
2、-C(R
z)
2-N(R
z)
2、-CS-N(R
z)
2、もしくはオキソ、ハロ、アルキル、ヘテロアルキル、アルコキシ、およびシクロアルキルから独立して選択される1つもしくは複数の置換基によって場合により置換されるアルキルであり;または
R
2xおよびR
2yは一緒になって、場合により置換される3~10員の単環式もしくは二環式ヘテロシクロアルキルを形成する)であり;
各R
3は、独立して、ハロ、-N
3、-CN、-NO
2、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、アミノ、ヒドロキシ、カルボニル、またはチオールであり、アルキル、アルコキシ、ヘテロアルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルは、場合により置換され;
R
4およびR
5は、それぞれ独立して、アルキル、アルコキシ、ハロゲン、またはシクロアルキルであり、アルキル、アルコキシ、またはシクロアルキルは場合により置換され;
X
1、X
2、およびX
3は、独立してCR
qまたはN(式中、各R
qは、独立して水素、ハロゲン、または場合により置換されるアルキルである)であり;
Zは、L-G-(式中、Lはリンカーであり、Gは標的化部分である)であり;
式(III)のnは、0~30であり;
式(III)のmは、0~4である]
を有するか、もしくはその薬学的に許容される塩であり、
式(I)、式(II)または式(III)のGは、構造:
【化21】
を有する基であるかもしくはその基を含み、またはその薬学的に許容される塩である、前記CAR T細胞活性回復コンジュゲート。
【請求項22】
式(I)、式(II)、および式(III)のX
1、X
2、およびX
3のそれぞれがNである、請求項21に記載のCAR T細胞活性回復コンジュゲート。
【請求項23】
構造:
【化22】
またはその薬学的に許容される塩を有する、CAR T細胞活性回復コンジュゲート。
【請求項24】
【化23】
[式中、n=0~200]
から選択される構造、または前述の構造のいずれかの薬学的に許容される塩を有する、CAR T細胞活性回復コンジュゲート。
【請求項25】
【化24】
から選択される構造、またはその薬学的に許容される塩を有する、CAR T細胞活性回復コンジュゲート。
【請求項26】
【化25】
から選択される構造を有するか、または前述の構造のいずれかの薬学的に許容される塩である、CAR T細胞活性回復コンジュゲート。
【請求項27】
【化26】
から選択される構造を有するか、または前述の構造のいずれかの薬学的に許容される塩である、CAR T細胞活性回復コンジュゲート。
【請求項28】
【化27】
から選択される構造を有するか、または前述の構造のいずれかの薬学的に許容される塩である、CAR T細胞活性回復コンジュゲート。
【請求項29】
【化28】
から選択される構造を有するか、または前述の構造のいずれかの薬学的に許容される塩である、CAR T細胞活性回復コンジュゲート。
【請求項30】
前記リンカーが、放出可能または放出不可能である、請求項21に記載のCAR T細胞活性回復コンジュゲート。
【請求項31】
前記リンカーが、C
1~C
20アルキル、アルキレン、ヘテロアルキレン、-O-アルキニレン、アルケニレン、アシル、アリール、ヘテロアリール、アミド、オキシム、エーテル、エステル、トリアゾール、カルボン酸塩、炭酸塩、カルバミン酸塩、尿素、チオ尿素、-S-S、-CO-O-(CH
2)
n-S-S-(n=2~6)、-O-CO-O-(CH
2)
n-S-S-(n=2~6)、-S-CO-O-(CH
2)
n-S-S-(n=2~6)、-NH-CO-O-(CH
2)
n-S-S-(n=2~6)、PEG、ポリプロリン、オリゴ-(4-ピペリジン)カルボン酸、オリゴピペリジン、アミノ酸(例えば、親水性アミノ酸)、ペプチド、サッカロペプチド、糖、ペプチドグリカン、ポリビニルピロリドン、プルロニックF-127、または前述の2つもしくはそれ以上の任意の組合せを含む、請求項21または30に記載のCAR T細胞活性回復コンジュゲート。
【請求項32】
前記リンカーが、PEGを含む、請求項21または30に記載のCAR T細胞活性回復コンジュゲート。
【請求項33】
請求項21~32のいずれか一項に記載のCAR T細胞活性回復コンジュゲートおよび薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権
本特許出願は、2021年8月30日に出願された米国仮特許出願第63/238300号の優先権の利益に関連し、それを主張する。上記出願の内容は、その全体が本開示へと参照によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、キメラ抗原受容体(CAR)T細胞、Toll様受容体(TLR)7/8アゴニスト(すなわち、TLR7、TLR8、またはTLR7およびTLR8)を含むコンジュゲート、それらを含む組成物、および消耗したCAR T細胞を活性回復させるそれらの使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
キメラ抗原受容体(CAR)T細胞は、造血細胞がんの処置においてかなり有望であることが実証された。しかしながら、固形腫瘍を根絶するそれらの有用性は、増殖の減少およびエフェクター機能障害をもたらす、機能不全または消耗した表現型の発生により危うくなる。
【0004】
上記を考慮して、消耗したCAR T細胞を活性回復させる、満たされていない必要性がある。望ましくは、CAR T細胞の活性回復は標的化され、それにより、除外しない場合、健康な細胞に対する毒性を最小にする。
【0005】
消耗したCAR T細胞を活性回復させるためのコンジュゲート、組成物、および方法を提供することが、本開示の目的である。このおよび他の目的、ならびに発明の特徴および利点は、本明細書において提供した説明から明らかであろう。
【発明の概要】
【0006】
(a)(i)CARをコードする核酸配列に作動的に連結されたプロモーターを含むベクターまたは(ii)CARを発現するT細胞、および(b)特異性を持ってがん細胞に結合し、第1の標的化部分とコンジュゲートしたリガンドを含むがん結合コンジュゲートによって処置されているがんを有する対象において、消耗したキメラ抗原受容体(CAR)-T細胞を活性回復させる方法が提供される。CARは、第1の標的化部分、第2の標的化部分、または第1の標的化部分および第2の標的化部分の両方に結合し、特異性を持ってがん細胞に結合するリガンドおよび第1の標的化部分は、第1のリンカーを介して場合によりコンジュゲートされ得る。方法は、第1の標的化部分または第2の標的化部分とコンジュゲートした、toll様受容体7(TLR7)、toll様受容体8(TLR8)、またはtoll様受容体7およびtoll様受容体8(TLR7/8)のアゴニストを含むCAR T細胞活性回復コンジュゲートを対象(例えば、消耗したCAR T細胞を有する)に投与するステップであって、アゴニストおよび第1の標的化部分または第2の標的化部分のいずれかが第2のリンカーを介してコンジュゲートされるステップを含み得る。
【0007】
CAR T細胞活性回復コンジュゲートは、構造:
【0008】
【化1】
[式中:
R
1は、アルキル、ハロ、ヘテロアルキル、アルコキシ、およびシクロアルキルから独立して選択される1つまたは複数の置換基によって場合により置換される、非環状アルキルまたは環状アルキルであり;
R
2は、-NR
2xR
2y、水素(H)、-OR
z、-SO
2N(R
z)
2、またはN
3
(式中:
R
2xおよびR
2yは、それぞれ独立して、H、-N(R
z)
2、-CON(R
z)
2、-C(R
z)
2-N(R
z)
2、-CS-N(R
z)
2、もしくはオキソ、ハロ、アルキル、ヘテロアルキル、アルコキシ、およびシクロアルキルから独立して選択される1つもしくは複数の置換基によって場合により置換されるアルキルであり;
各R
Zは、独立して、Hもしくは場合により置換されるアルキルであり;または
R
2xおよびR
2yは一緒になって、場合により置換される3~10員の単環式もしくは二環式ヘテロシクロアルキルを形成する)
であり;
各R
3は、独立して、H、ハロ、-N
3、-CN、-NO
2、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、アミノ、ヒドロキシ、カルボニル、またはチオールであり、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキルまたはアルコキシは、場合により置換され;
R
4およびR
5は、それぞれ独立して、アルキル、アルコキシ、ハロ、またはシクロアルキルであり、アルキル、アルコキシ、またはシクロアルキルは場合により置換され;
X
1、X
2、およびX
3は、独立してNまたはCR
q(式中、各R
qは、独立して水素、ハロ、または場合により置換されるアルキルである)であり;
Zは、G-L-(式中、Lはリンカー(例えば、第2のリンカー)であり、Gは標的化部分(例えば、第1の標的化部分または第2の標的化部分)である)であり;
式(I)のnは、1~6であり;
式(I)のmは、0~4である]
を有し得るか、またはその薬学的に許容される塩であり得る。
【0009】
CAR T細胞活性回復コンジュゲートは、構造:
【0010】
【化2】
[式中:
R
1、R
3、R
4、およびR
5は、それぞれ独立して、H、アルキル、アルコキシル、アルケニル、アルキニル、脂環式、アリール、ビアリール、ハロ、ヘテロアリール、-COR
2x、
【0011】
【化3】
(式中、R
2xおよびR
2yのそれぞれは、H、-OH、-CH
2-OH、-NH
2、-CH
2-NH
2、-COOMe、-COOH、-CONH
2、-COCH
3、アルキル、アルケニル、アルキニル、脂環式、アリール、ビアリール、およびヘテロアリールからなる群から独立して選択される)であり;
Zは、G-L-(式中、Lはリンカー(例えば、Lは第2のリンカーである)であり、Gは標的化部分(例えば、Gは第1の標的化部分または第2の標的化部分である)である)であり;
X
1、X
2、およびX
3は、独立してCR
qまたはN(式中、各R
qは、独立してH、ハロ、または場合により置換されるアルキルである)であり;
Yは、H、-OR
z、-NR
2xR
2y、-SR
z、-SOR
z、-SO
3R
z、-N
3、-COR
z、-COOR
z、-CON(R
z)
2、-COSR
z、-SO
2N(R
z)
2、または-CON(R
z)
2(式中:
R
2xおよびR
2yは、それぞれ独立してH、-N(R
z)
2、-CON(R
z)
2、-C(R
z)
2-N(R
z)
2、-CS-N(R
z)
2、もしくは場合により置換されるアルキル(例えば、場合により、1つまたは複数の置換基によって置換され、各置換基は独立して、オキソ、ハロ、アルキル、ヘテロアルキル、アルコキシ、またはシクロアルキルである)であり;
各R
zは、独立してHもしくは場合により置換されるアルキルであり;または
R
2xおよびR
2yは一緒になって、場合により置換されるヘテロシクロアルキル(例えば、場合により置換されるヘテロシクロアルキルは単環式または二環式ヘテロシクロアルキルであり、および/または場合により置換されるヘテロシクロアルキルは3~10員のヘテロシクロアルキルである)を形成する)であり;
式(II)のnは、0~30である]
を有し得るか、またはその薬学的に許容される塩であり得る。
【0012】
ある特定の実施形態では、CAR T細胞活性回復コンジュゲートは、構造:
【0013】
【化4】
[式中:
R
1は、ハロ、アルキル、ヘテロアルキル、アルコキシ、およびシクロアルキルから独立して選択される1つまたは複数の置換基によって場合により置換される、非環状アルキルまたは環状アルキルであり;
Yは、H、-OR
z、-NR
2xR
2y、-SR
z、-SOR
z、-SO
3R
z、-N
3、-COR
z、-COOR
z、-CON(R
z)
2、-COSR
z、-SO
2N(R
z)
2、または-CON(R
z)
2(式中:R
2xおよびR
2yは、それぞれ独立してH、-N(R
z)
2、-CON(R
z)
2、-C(R
z)
2-N(R
z)
2、-CS-N(R
z)
2、もしくは場合により置換されるアルキル(例えば、場合により、1つまたは複数の置換基によって置換され、各置換基は独立して、オキソ、ハロゲン、アルキル、ヘテロアルキル、アルコキシ、またはシクロアルキルである)であり;
各R
Zは、独立して、Hもしくは場合により置換されるアルキルであり;または
R
2xおよびR
2yは一緒になって、場合により置換されるヘテロシクロアルキルを形成する(例えば、場合により置換されるヘテロシクロアルキルは単環式または二環式ヘテロシクロアルキルである、および/または場合により置換されるヘテロシクロアルキルは3~10員のヘテロシクロアルキルである))であり;
各R
3は、独立して、ハロ、-N
3、-CN、-NO
2、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、アミノ、ヒドロキシ、カルボニル、またはチオールであり、アルキル、アルコキシ、ヘテロアルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルは、場合により置換され;
R
4およびR
5は、それぞれ独立して、アルキル、アルコキシ、ハロゲン、またはシクロアルキルであり、アルキル、アルコキシ、またはシクロアルキルは場合により置換され;
X
1、X
2、およびX
3は、独立してCR
qまたはN(式中、各R
qは、独立して、H、ハロゲン、または場合により置換されるアルキルである)であり;
Zは、L-G(式中、Lはリンカー(例えば、第2のリンカー)であり、Gは標的化部分(例えば、第1の標的化部分または第2の標的化部分)である)であり;
式(III)のnは、0~30であり;
式(III)のmは、0~4である]
を有し得るか、またはその薬学的に許容される塩であり得る。
【0014】
使用中、対象中のCAR T細胞(例えば、消耗したCAR T細胞)は、T細胞が、CAR T細胞活性回復コンジュゲートのアゴニストによって活性回復するように、CAR T細胞活性回復コンジュケートに結合し、エンドサイトーシスすることができる。
【0015】
様々な実施形態では、式(I)、式(II)、または式(III)のX1、X2、およびX3のそれぞれはNであり得る。
【0016】
CAR T細胞活性回復コンジュゲートは、構造:
【0017】
【化5】
を有し得るか、または前述の構造のいずれかの薬学的に許容される塩であり得る。あるいは、CAR T細胞活性回復コンジュゲートは、構造:
【0018】
【化6】
を有し得るか、または前述の構造のいずれかの薬学的に許容される塩であり得る。
【0019】
ある特定の実施形態では、CAR T細胞活性回復コンジュゲートのアゴニストは、TLR7/8のアゴニストであり、構造:
【0020】
【化7】
を有するか、または前述の構造のいずれかの薬学的に許容される塩である。
【0021】
第1の標的化部分、第2の標的化部分、または第1の標的化部分および第2の標的化部分の両方は、構造:
【0022】
【化8】
を有する基であり得るか、またはその基を含み得る。
【0023】
あるいは、第1の標的化部分、第2の標的化部分、または第1の標的化部分および第2の標的化部分の両方は、構造:
【0024】
【化9】
を有する基であり得るか、またはその基を含み得る。
【0025】
ある特定の実施形態では、CAR T細胞活性回復コンジュゲートは、構造:
【0026】
【化10】
を有し得るか、またはその薬学的に許容される塩であり得る。あるいは、CAR T細胞活性回復コンジュゲートは、構造:
【0027】
【化11】
[式中、n=0~200である]
を有し得るか、または前述の構造のいずれかの薬学的に許容される塩であり得る。
【0028】
さらに代替的には、CAR T細胞活性回復コンジュゲートは、構造:
【0029】
【化12】
を有し得るか、またはその薬学的に許容される塩であり得る。またさらに、CAR T細胞活性回復コンジュゲートは、
【0030】
【化13】
から選択される構造を有し得るか、または前述の構造のいずれかの薬学的に許容される塩であり得る。ある特定の実施形態では、CAR T細胞活性回復コンジュゲートは、
【0031】
【化14】
から選択される構造を有し得るか、または前述の構造のいずれかの薬学的に許容される塩であり得る。ある特定の実施形態では、CAR T細胞活性回復コンジュゲートは、
【0032】
【化15】
から選択される構造を有し得るか、または前述の構造のいずれかの薬学的に許容される塩であり得る。ある特定の実施形態では、CAR T細胞活性回復コンジュゲートは、
【0033】
【化16】
から選択される構造を有し得るか、または前述の構造のいずれかの薬学的に許容される塩であり得る。
【0034】
特異性を持ってがん細胞に結合するリガンドは、葉酸塩、5-メチルテトラヒドロ葉酸、2-[3-(1,3-ジカルボキシプロピル)ウレイド]ペンタン二酸(DUPA)リガンド、ニューロキニン1受容体(NK-1R)リガンド、炭酸脱水酵素IX(CAIX)リガンド、ガンマグルタミルトランスペプチダーゼのリガンド、黄体ホルモン放出ホルモン(LHRHR)のリガンド、CD73のリガンド、線維芽細胞活性化タンパク質のリガンド、熱ショックタンパク質(HSP)のリガンド、グルコーストランスポーター1(glut-1)のリガンド、ナチュラルキラーグループ2D受容体(NKG2D)リガンド、およびコレシストキニンB受容体(CCKBRまたはCCK2)リガンドからなる群から選択され得る。
【0035】
第1の標的化部分および第2の標的化部分は、2,4-ジニトロフェニル(DNP)、L-ラムノース、タクロリムス(FK506)、2,4,6-トリニトロフェノール(TNP)、ビオチン、ラパマイシン、ジゴキシゲニン、葉酸塩、5-メチルテトラヒドロ葉酸、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、NHS-フルオレセイン、ペンタフルオロフェニルエステル、テトラフルオロフェニルエステル、ノッチン、センチリン、およびDARPinからなる群から独立して選択され得る。
【0036】
ある特定の実施形態では、第1の標的化部分および第2の標的化部分は、DNP、FK506、TNP、ビオチン、ラパマイシン、ジゴキシゲニン、葉酸塩、5-メチルテトラヒドロ葉酸、フルオレセイン、FITC、NHS-フルオレセイン、ペンタフルオロフェニルエステル、テトラフルオロフェニルエステル、ノッチン、センチリン、およびDARPinからなる群から独立して選択され;特異性を持ってがん細胞に結合するリガンドは、葉酸塩、DUPAリガンド、NK-1Rリガンド、CAIXリガンド、ガンマグルタミルトランスペプチダーゼのリガンド、LHRHRのリガンド、CD73のリガンド、HSPのリガンド、glut-1のリガンド、線維芽細胞活性化タンパク質のリガンド、NKG2DリガンドおよびCCKBRまたはCCK2リガンドからなる群から選択される。
【0037】
第1のリンカーおよび第2のリンカーは、独立して、放出可能または放出不可能であってもよい。第1のリンカーおよび第2のリンカーは、C1~C20アルキル、アルキレン、ヘテロアルキレン、-O-アルキニレン、アルケニレン、アシル、アリール、ヘテロアリール、アミド、オキシム、エーテル、エステル、トリアゾール、-S-S、-CO-O-(CH2)n-S-S-(n=2~6)、-O-CO-O-(CH2)n-S-S-(n=2~6)、-S-CO-O-(CH2)n-S-S-(n=2~6)、-NH-CO-O-(CH2)n-S-S-(n=2~6)、カルボン酸塩、炭酸塩、カルバミン酸塩、尿素、チオ尿素、ポリエチレングリコール(PEG)(例えば、PEGn、n=1~200)、ポリプロリン、オリゴ-(4-ピペリジン)カルボン酸、オリゴピペリジン、アミノ酸(例えば、親水性アミノ酸)、ペプチド、サッカロペプチド、糖、ペプチドグリカン(例えば、非天然ペプチドグリカン)、ポリビニルピロリドン、プルロニックF-127、または前述の2つもしくはそれ以上の任意の組合せを独立して含み得る。第1のリンカー、第2のリンカー、または第1のリンカーおよび第2のリンカーの両方が、PEGを含み得る。
【0038】
特異性を持ってCAR T細胞のCARに結合する標的化部分とリンカーを介してコンジュゲートされるTLR7、TLR8、またはTLR7/8のアゴニストを含むCAR T細胞活性回復コンジュゲートであって、構造:
【0039】
【化17】
[式中:
R
1は、アルキル、ハロ、ヘテロアルキル、アルコキシ、およびシクロアルキルから独立して選択される1つまたは複数の置換基によって場合により置換される、非環状アルキルまたは環状アルキルであり;
R
2は、-NR
2xR
2y、H、-OR
z、-SO
2N(R
z)
2、またはN
3(式中:
R
2xおよびR
2yは、それぞれ独立して、水素、-N(R
z)
2、-CON(R
z)
2、-C(R
z)
2-N(R
z)
2、-CS-N(R
z)
2、もしくはオキソ、ハロ、アルキル、ヘテロアルキル、アルコキシ、およびシクロアルキルから独立して選択される1つまたは複数の置換基によって場合により置換されるアルキルであり;
各R
Zは、独立して、Hもしくは場合により置換されるアルキルであり;または
R
2xおよびR
2yは一緒になって、場合により置換される3~10員の単環式もしくは二環式ヘテロシクロアルキルを形成する)であり、
各R
3は、独立して、H、ハロ、-N
3、-CN、-NO
2、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、アミノ、ヒドロキシ、カルボニル、またはチオールであり、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキルまたはアルコキシは、場合により置換され;
R
4およびR
5は、それぞれ独立して、アルキル、アルコキシ、ハロ、またはシクロアルキルであり、アルキル、アルコキシ、またはシクロアルキルは場合により置換され;
X
1、X
2、およびX
3は、独立してNまたはCR
q(式中、各R
qは、独立してH、ハロ、または場合により置換されるアルキルである)であり;
Zは、G-L-(式中、Lはリンカーであり、Gは標的化部分である)であり;
式(I)のnは、1~6であり;
式(I)のmは、0~4である]
を有するか、もしくはその薬学的に許容される塩であり、または
構造:
【0040】
【化18】
[式中:
R
1、R
3、R
4、およびR
5は、それぞれ独立して、H、アルキル、アルコキシル、アルケニル、アルキニル、脂環式、アリール、ビアリール、ハロ、ヘテロアリール、-COR
2x、
【0041】
【化19】
(式中、R
2xおよびR
2yのそれぞれは、H、-OH、-CH
2-OH、-NH
2、-CH
2-NH
2、-COOMe、-COOH、-CONH
2、-COCH
3、アルキル、アルケニル、アルキニル、脂環式、アリール、ビアリール、およびヘテロアリールからなる群から独立して選択される)であり;
Zは、G-L-(式中、Lはリンカーであり、Gは標的化部分である)であり;
X
1、X
2、およびX
3は、独立してCR
qまたはN(式中、各R
qは、独立してH、ハロ、または場合により置換されるアルキルである)であり;
Yは、H、-OR
z、-NR
2xR
2y、-SR
z、-SOR
z、-SO
3R
z、-N
3、-COR
z、-COOR
z、-CON(R
z)
2、-COSR
z、-SO
2N(R
z)
2、または-CON(R
z)
2(式中:
R
2xおよびR
2yは、それぞれ独立してH、-N(R
z)
2、-CON(R
z)
2、-C(R
z)
2-N(R
z)
2、-CS-N(R
z)
2、もしくは場合により置換されるアルキル(例えば、場合により、1つまたは複数の置換基によって置換され、各置換基は独立して、オキソ、ハロゲン、アルキル、ヘテロアルキル、アルコキシ、またはシクロアルキルである)であり;
各R
zは、独立して水素もしくは場合により置換されるアルキルであり;または
R
2xおよびR
2yは一緒になって、場合により置換されるヘテロシクロアルキル(例えば、場合により置換されるヘテロシクロアルキルは単環式または二環式ヘテロシクロアルキルであり、および/または場合により置換されるヘテロシクロアルキルは3~10員のヘテロシクロアルキルである)を形成する)であり、
式(II)のnは、0~30である]
を有するか、もしくはその薬学的に許容される塩であり、または
構造:
【0042】
【化20】
[式中:
R
1は、ハロ、アルキル、ヘテロアルキル、アルコキシ、およびシクロアルキルから独立して選択される1つまたは複数の置換基によって場合により置換される、非環状アルキルまたは環状アルキルであり;
Yは、H、-OR
z、-NR
2xR
2y、-SR
z、-SOR
z、-SO
3R
z、-N
3、-COR
z、-COOR
z、-CONR
z
2、-COSR
z、-SO
2N(R
z)
2、または-CON(R
z)
2(式中:
各R
Zは、独立してH、もしくは場合により置換されるアルキルであり;
R
2xおよびR
2yは、それぞれ独立してH、-N(R
z)
2、-CON(R
z)
2、-C(R
z)
2-N(R
z)
2、-CS-N(R
z)
2、またはオキソ、ハロ、アルキル、ヘテロアルキル、アルコキシ、およびシクロアルキルから独立して選択される1つもしくは複数の置換基によって場合により置換されるアルキルであり;または
R
2xおよびR
2yは一緒になって、場合により置換される3~10員の単環式もしくは二環式ヘテロシクロアルキルを形成する)であり、
各R
3は、独立して、ハロ、-N
3、-CN、-NO
2、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、アミノ、ヒドロキシ、カルボニル、またはチオールであり、アルキル、アルコキシ、ヘテロアルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルは、場合により置換され;
R
4およびR
5は、それぞれ独立して、アルキル、アルコキシ、ハロゲン、またはシクロアルキルであり、アルキル、アルコキシ、またはシクロアルキルは場合により置換され;
X
1、X
2、およびX
3は、独立してCR
qまたはN(式中、各R
qは、独立してH、ハロゲン、または場合により置換されるアルキルである)であり;
Zは、L-G(式中、Lはリンカーであり、Gは標的化部分である)であり;
式(III)のnは、0~30であり;
式(III)のmは、0~4である]
を有するか、もしくはその薬学的に許容される塩であり、
式(I)、式(II)または式(III)のGは、構造:
【0043】
【化21】
を有する基であるかもしくはその基を含み、またはその薬学的に許容される塩である、CAR T細胞活性回復コンジュゲートも提供される。様々な実施形態では、式(I)、式(II)、または式(III)のX
1、X
2、およびX
3のそれぞれは窒素(N)であり得る。
【0044】
CAR T細胞活性回復コンジュゲートの標的化部分は、DNP、L-ラムノース、FK506、TNP、ビオチン、ラパマイシン、ジゴキシゲニン、葉酸塩、5-メチルテトラヒドロ葉酸、フルオレセイン、FITC、NHS-フルオレセイン、ペンタフルオロフェニルエステル、テトラフルオロフェニルエステル、ノッチン、センチリン、およびDARPinからなる群から選択され得る。
【0045】
CAR T細胞活性回復コンジュゲートのリンカーは、放出可能であり得る。CAR T細胞活性回復コンジュゲートのリンカーは、放出不可能であり得る。リンカーは、C1~C20アルキル、アルキレン、ヘテロアルキレン、-O-アルキニレン、アルケニレン、アシル、アリール、ヘテロアリール、アミド、オキシム、エーテル、エステル、トリアゾール、-S-S、-CO-O-(CH2)n-S-S-(n=2~6)、-O-CO-O-(CH2)n-S-S-(n=2~6)、-S-CO-O-(CH2)n-S-S-(n=2~6)、-NH-CO-O-(CH2)n-S-S-(n=2~6)、カルボン酸塩、炭酸塩、カルバミン酸塩、尿素、チオ尿素、PEG(例えば、PEGn、n=1~200)、ポリプロリン、オリゴ-(4-ピペリジン)カルボン酸、オリゴピペリジン、アミノ酸(例えば、親水性アミノ酸)、ペプチド、サッカロペプチド、糖、ペプチドグリカン(例えば、非天然ペプチドグリカン)、ポリビニルピロリドン、プルロニックF-127、または前述の2つもしくはそれ以上の任意の組合せを含み得る。リンカーは、PEGを含み得る。
【0046】
CAR T細胞活性回復コンジュゲートは、構造:
【0047】
【化22】
を有し得るか、またはその薬学的に許容される塩であり得る。CAR T細胞活性回復コンジュゲートは、
【0048】
【化23】
[式中、n=0~200]
から選択される構造を有し得るか、または前述の構造のいずれかの薬学的に許容される塩であり得る。CAR T細胞活性回復コンジュゲートは、
【0049】
【化24】
から選択される構造を有し得るか、またはその薬学的に許容される塩であり得る。またさらに代替的には、CAR T細胞活性回復コンジュゲートは、
【0050】
【化25】
から選択される構造を有し得るか、または前述の構造のいずれかの薬学的に許容される塩であり得る。
【0051】
ある特定の実施形態では、CAR T細胞活性回復コンジュゲートは、
【0052】
【化26】
から選択される構造を有し得るか、または前述の構造のいずれかの薬学的に許容される塩である。CAR T細胞活性回復コンジュゲートの他の構造は、
【0053】
【化27】
から選択される構造を含み、前述の構造のいずれかの薬学的に許容される塩であり得る。またさらに、ある特定の実施形態では、CAR T細胞活性回復コンジュゲートは、
【0054】
【化28】
から選択される構造を含み得るか、または前述の構造のいずれかの薬学的に許容される塩であり得る。
【0055】
医薬組成物も提供される。組成物は、CAR T細胞活性回復コンジュゲートおよび薬学的に許容される担体を含み得る。
【0056】
本開示の実施形態および本明細書に含有される他の特徴、利点、および態様、ならびにそれらを達成することは、本開示の様々な例示的な実施形態の以下の詳細な説明に照らして明らかになるであろう。そのような詳細な説明は、添付の図面と併せるとより理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【
図1】
図1Aは、キメラ抗原受容体(CAR)T細胞の活性回復戦略の図示である。
図1Aは、アダプター化合物の存在下でのCAR T細胞の細胞死滅効果を示す図である。
図1Bは、キメラ抗原受容体(CAR)T細胞の活性回復戦略の図示である。
図1Bは、標的化された活性回復化合物の存在下でのCAR T細胞の活性回復を示す図である。
【
図2】
図2Aは、in vivoで選択的にCAR-T細胞を活性化する、抗フルオレセインCARおよびフルオレセイン-Toll様受容体(TLR)7aコンジュゲートを用いるCAR T細胞活性回復戦略の実施形態の図示である。
図2Aは、フルオレセイン-葉酸塩コンジュゲート(「がん死滅」コンジュゲートの実施形態)の、葉酸受容体発現腫瘍を有する対象への投与時に、「がん死滅」コンジュゲートが、抗フルオレセインCAR T細胞(すなわち、抗フルオレセイン細胞表面受容体を有するCAR T細胞)と葉酸受容体発現がん細胞の間に架橋を形成し、がん細胞の死滅およびCAR T細胞の増殖を促進したことを示す。
図2Bは、in vivoで選択的にCAR-T細胞を活性化する、抗フルオレセインCARおよびフルオレセインToll様受容体(TLR)7aコンジュゲートを用いるCAR T細胞活性回復戦略の実施形態の図示である。
図2Bは、フルオレセイン-TLR7aコンジュゲート(「活性回復」コンジュゲートの実施形態)の、葉酸受容体発現腫瘍を有する対象への投与時に、「活性回復」コンジュゲートが、CAR T細胞の表面上の同じ抗フルオレセイン受容体に結合し、それにより、CAR T細胞によるTLR7aのエンドサイトーシスおよびCAR-T細胞の活性回復を可能にすることを示す。
図2Bの凡例は、
図2Aと
図2Bの両方の図示に適用される。
【
図3-1】
図3Aは、フルオレセインコンジュゲート蛍光色素が、抗フルオレセインCAR発現T細胞にのみ結合することを支持する図である。
図3Aは、フルオレセイン-近赤外線(NIR)色素コンジュゲート(フルオレセイン-NIR色素またはフルオレセイン-Alexafluor647のいずれか)が、1000倍過剰なフルオレセインの添加により定量的にブロックされ得る方法で、抗フルオレセインCAR T細胞に結合したことを実証する。フローサイトメトリーは、フルオレセイン-NIR色素コンジュゲート(10nM)の不在下(青いヒストグラム)もしくは存在下(緑のヒストグラム)、またはフルオレセイン-色素コンジュゲートと1000倍過剰なフルオレセインの両方の存在下(マゼンタのヒストグラム)での抗フルオレセインCAR T細胞で実施した。
図3Bは、フルオレセインコンジュゲート蛍光色素が、抗フルオレセインCAR発現T細胞にのみ結合することを支持する図である。
図3Bは、CAR陰性細胞株、MDA-MB-231細胞およびKB細胞が、フルオレセイン-色素コンジュゲート(10nM)の結合部位を発現しなかったことを実証する。
【
図3-2】
図3Cは、フルオレセインコンジュゲート蛍光色素が、抗フルオレセインCAR発現T細胞にのみ結合することを支持する図である。
図3Cは、まず4℃で1時間インキュベートしたCAR T細胞による、フルオレセイン-Alexafluor 647コンジュゲートの内部移行の共焦点顕微鏡評価を示す。横棒=10μm。
図3Dは、フルオレセインコンジュゲート蛍光色素が、抗フルオレセインCAR発現T細胞にのみ結合することを支持する図である。
図3Dは、
図3Cからの細胞が続いて4時間、37℃に移行された後、CAR T細胞による、フルオレセイン-Alexafluor 647コンジュゲートの内部移行の共焦点顕微鏡評価を示す。横棒=10μm。
【
図4-1】
図4Aは、異なる濃度のTLR7-54またはTLR7-1aアゴニストのいずれかの投与時の、ヒトCD3+T細胞の活性化を示す図である。
図4Aは、フローサイトメトリーによって測定した漸増濃度のTLR-54またはTLR7-1aの不在下または存在下で、単離されたヒト末梢血CD3+T細胞が抗CD3+mAbによって刺激された後、CD69+細胞のパーセント増加を示す。データは、ベースラインレベル(すなわち、ビヒクル(DMSO処置))を超えるこれらのパラメーターの増加を示す。棒グラフは、平均±標準偏差(SD)、n=3を表す。
図4Bは、異なる濃度のTLR7-54またはTLR7-1aアゴニストのいずれかの投与時の、ヒトCD3+T細胞の活性化を示す図である。
図4Bは、フローサイトメトリーによって測定した漸増濃度のTLR-54またはTLR7-1aの不在下または存在下で、単離されたヒト末梢血CD3+T細胞が抗CD3+モノクローナル抗体(mAb)によって刺激された後、CD25+細胞のパーセント増加を示す。データは、ベースラインレベル(すなわち、ビヒクル(DMSO処置))を超えるこれらのパラメーターの増加を示す。棒グラフは、平均±標準偏差(SD)、n=3を表す。
【
図4-2】
図4Cは、異なる濃度のTLR7-54またはTLR7-1aアゴニストのいずれかの投与時の、ヒトCD3+T細胞の活性化を示す図である。
図4Cは、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)によって測定した、刺激したT細胞の24時間での無細胞上清中のインターフェロンガンマ(INF-γ)のレベルを示す。データは、ベースラインレベル(すなわち、ビヒクル(DMSO処置))を超えるこれらのパラメーターの増加を示す。棒グラフは、平均±標準偏差(SD)、n=3を表す。
図4Dは、異なる濃度のTLR7-54またはTLR7-1aアゴニストのいずれかの投与時の、ヒトCD3+T細胞の活性化を示す図である。
図4Dは、ELISAによって測定した、刺激したT細胞の24時間での無細胞上清中の腫瘍壊死因子アルファ(TNF-α)のレベルを示す。データは、ベースラインレベル(すなわち、ビヒクル(DMSO処置))を超えるこれらのパラメーターの増加を示す。棒グラフは、平均±標準偏差(SD)、n=3を表す。
【
図5-1】
図5Aは、in vi(TRoでのCAR T細胞消耗への、CAR T細胞標的化および非標的化TLR7-1aアゴニストの効果を示す図である。
図5Aは、培養中の新しいMDA-MB-231ヒト乳がん細胞への、12時間毎のCAR T細胞の連続移行を含む、CAR T細胞消耗の誘導のためのプロトコールを示す。
図5Bは、in vi(TRoでのCAR T細胞消耗への、CAR T細胞標的化および非標的化TLR7-1aアゴニストの効果を示す図である。
図5Bは、3ラウンドの連続移行後、MDA-MB-231細胞を死滅させる抗フルオレセインCAR T細胞の能力の減少を示す。
図5Cは、in vi(TRoでのCAR T細胞消耗への、CAR T細胞標的化および非標的化TLR7-1aアゴニストの効果を示す図である。
図5Cは、3ラウンドの連続移行後、T細胞消耗マーカー(プログラム細胞死タンパク質(PD-1
+)、T細胞免疫グロブリンおよびムチンドメイン含有-3(TIM3
+)、およびリンパ球活性化3(LAG3
+))の発現の増加を示す。
【
図5-2】
図5Dは、in vi(TRoでのCAR T細胞消耗への、CAR T細胞標的化および非標的化TLR7-1aアゴニストの効果を示す図である。
図5Dは、標的化または非標的化TLR7-1aとのインキュベーション後、培養中のMDA-MB-231細胞を死滅させる抗フルオレセインCAR T細胞の能力の回復を示す。データは、ベースラインレベル(すなわち、ビヒクル(DMSO処置))を超えるこれらのマーカーの変化を示す。棒グラフは、平均±SD、n=3を表す。
図5Eは、in vi(TRoでのCAR T細胞消耗への、CAR T細胞標的化および非標的化TLR7-1aアゴニストの効果を示す図である。
図5Eは、活性回復した抗フルオレセインCAR T細胞による、細胞表面消耗マーカーの発現の減少を示す。データは、ベースラインレベル(すなわち、ビヒクル(DMSO処置))を超えるこれらのマーカーの変化を示す。棒グラフは、平均±SD、n=3を表す。
【
図6-1】
図6Aは、MDA-MB-231腫瘍およびKB腫瘍の増殖および免疫特性への、抗フルオレセインCAR T細胞療法の効果を示す図である。NOD SCIDガンマ(NSG)マウスは、400万個のMDA-MB-231細胞および100万個のKB細胞を同じマウスの別の脇腹に移植し、2週間後に、生理食塩水または8×10
6個の抗フルオレセインCAR T細胞のいずれかを注入した(すなわち、MDA-MB-231腫瘍およびKB腫瘍が、それぞれ、~160または80mm
3に到達した場合(すなわち、それらの異なる増殖率を調整するため))。CAR T細胞注入の4および24時間後、全てのマウスに、500nmol/kgのフルオレセイン-葉酸塩を静脈内注射し、この注射は、その後、1回/週で繰り返した。
図6Aは、未処置のまま(点線)または抗フルオレセインCAR T細胞とフルオレセイン-葉酸塩二重特異性アダプターの両方による処置(実線)のいずれかのコホートの腫瘍容積を示す。
図6Bは、MDA-MB-231腫瘍およびKB腫瘍の増殖および免疫特性への、抗フルオレセインCAR T細胞療法の効果を示す図である。NOD SCIDガンマ(NSG)マウスは、400万個のMDA-MB-231細胞および100万個のKB細胞を同じマウスの別の脇腹に移植し、2週間後に、生理食塩水または8×10
6個の抗フルオレセインCAR T細胞のいずれかを注入した(すなわち、MDA-MB-231腫瘍およびKB腫瘍が、それぞれ、~160または80mm
3に到達した場合(すなわち、それらの異なる増殖率を調整するため))。CAR T細胞注入の4および24時間後、全てのマウスに、500nmol/kgのフルオレセイン-葉酸塩を静脈内注射し、この注射は、その後、1回/週で繰り返した。
図6Bは、腫瘍が切除され、フローサイトメトリーによる解析の前に、腫瘍解離キットを使用して、がん細胞および間質細胞の両方が放出された場合、18日目のCD3+T細胞のパーセンテージ(腫瘍中の全細胞のパーセンテージとして)を示す。
図6Cは、MDA-MB-231腫瘍およびKB腫瘍の増殖および免疫特性への、抗フルオレセインCAR T細胞療法の効果を示す図である。NOD SCIDガンマ(NSG)マウスは、400万個のMDA-MB-231細胞および100万個のKB細胞を同じマウスの別の脇腹に移植し、2週間後に、生理食塩水または8×10
6個の抗フルオレセインCAR T細胞のいずれかを注入した(すなわち、MDA-MB-231腫瘍およびKB腫瘍が、それぞれ、~160または80mm
3に到達した場合(すなわち、それらの異なる増殖率を調整するため))。CAR T細胞注入の4および24時間後、全てのマウスに、500nmol/kgのフルオレセイン-葉酸塩を静脈内注射し、この注射は、その後、1回/週で繰り返した。
図6Cは、腫瘍が切除され、フローサイトメトリーによる解析の前に、腫瘍解離キットを使用して、がん細胞および間質細胞の両方が放出された場合、18日目の消耗マーカーPD-1+およびTIM3+(全てのヒトCD3+T細胞のパーセンテージとして)を示す。
【
図6-2】
図6Dは、MDA-MB-231腫瘍およびKB腫瘍の増殖および免疫特性への、抗フルオレセインCAR T細胞療法の効果を示す図である。NOD SCIDガンマ(NSG)マウスは、400万個のMDA-MB-231細胞および100万個のKB細胞を同じマウスの別の脇腹に移植し、2週間後に、生理食塩水または8×10
6個の抗フルオレセインCAR T細胞のいずれかを注入した(すなわち、MDA-MB-231腫瘍およびKB腫瘍が、それぞれ、~160または80mm
3に到達した場合(すなわち、それらの異なる増殖率を調整するため))。CAR T細胞注入の4および24時間後、全てのマウスに、500nmol/kgのフルオレセイン-葉酸塩を静脈内注射し、この注射は、その後、1回/週で繰り返した。
図6Dは、腫瘍が切除され、フローサイトメトリーによる解析の前に、腫瘍解離キットを使用して、がん細胞および間質細胞の両方が放出された場合、18日目のCD206+ F4/80+ CD11b+骨髄性細胞に対するCD86+ F4/80+ CD11b+の比を示す。n=5匹のマウス/群。全てのデータは、二元配置分散分析(ANOVA)によって解析し、平均±SEMとしてプロットした(
*p<0.05、
**p<0.01、
***p<0.001)。示したデータは、2つの独立した実験の提示である。
図6Eは、MDA-MB-231腫瘍およびKB腫瘍の増殖および免疫特性への、抗フルオレセインCAR T細胞療法の効果を示す図である。NOD SCIDガンマ(NSG)マウスは、400万個のMDA-MB-231細胞および100万個のKB細胞を同じマウスの別の脇腹に移植し、2週間後に、生理食塩水または8×10
6個の抗フルオレセインCAR T細胞のいずれかを注入した(すなわち、MDA-MB-231腫瘍およびKB腫瘍が、それぞれ、~160または80mm
3に到達した場合(すなわち、それらの異なる増殖率を調整するため))。CAR T細胞注入の4および24時間後、全てのマウスに、500nmol/kgのフルオレセイン-葉酸塩を静脈内注射し、この注射は、その後、1回/週で繰り返した。
図6Eは、MDA-MB231およびKB細胞固形腫瘍へのヒトCD3+T細胞浸潤を示す代表的な画像を示す。横棒=200μm。
【
図7】
図7は、フルオレセインコンジュゲート蛍光色素(フルオレセイン-NIR色素)が、in vivoで、抗フルオレセインCAR T細胞に特異的に標的化されることを示す図である。NSGマウスは、一方の脇腹に100万個のKB細胞を移植し、KB腫瘍容積が、~50mm
3に達すると、抗フルオレセインCAR T細胞(~50%の抗フルオレセインCAR T細胞を含有する8×10
6個の細胞)を注入した。500nmol/kgのフルオレセイン-葉酸塩を、4時間後と24時間後の両方、およびその後、1回/週で再び注入した。CAR T細胞注入の15日後、マウスに500nmol/kgのフルオレセイン-NIR色素を尾静脈注射し、4時間後に腫瘍を解離し、フルオレセイン-NIR色素の取込みについてフローサイトメトリーによって解析した。CD3+T細胞を、APC-Cy7チャネルで抗ヒトCD3によって検出し、緑色蛍光タンパク質(GFP)-トランスフェクト抗フルオレセインCAR T細胞を、GFPチャネルを使用して検出した。
【
図8-1】
図8A~
図8Fは、フルオレセイン-TLR7-1aコンジュゲートの静脈注射後の、in vivoでの抗フルオレセインCAR T細胞の活性回復を示す図である。
図8Aは、in vivo研究のためのスキームを示す図である。マウスは、10
6個のKB細胞を-7日目に皮下注射し、8×10
6個の抗フルオレセインCAR T細胞を1日目に注入した。6時間、24時間および9日後、マウスにフルオレセイン-葉酸塩を静脈内注射し、葉酸受容体陽性KBがん細胞とCAR T細胞の結合を誘導した。次いで、4~7日目および11~14日目に、マウスに、フルオレセイン-TLR7-1aを静脈内注射した。腫瘍容積(
図8B)および動物の体重変化(
図8C)を3日毎に測定した。腫瘍を切除し、16日目に成分細胞へと解離し、ヒトCD3
+T細胞を、
図8Dの全ての腫瘍細胞のパーセンテージとして決定した。全てのヒトCD3
+T細胞のパーセンテージとしてPD-1
+TIM3
+細胞を
図8Eに示し、抗フルオレセインCAR T細胞処置群において骨髄マーカーF4/80およびCD11bも発現するCD206
+細胞に対するマウスCD86
+細胞の比を、
図8Fに示す。全てのデータは、平均±SEMとしてプロットする。示したデータは、少なくとも2つの独立した実験の提示である。データは、二元配置ANOVAによって解析した(
**p<0.01;n.s.、顕著ではない)。
【発明を実施するための形態】
【0058】
本開示は、様々な改変および変更形態を許容するが、それらの例示的な実施形態は、図面の例により示され、本明細書に詳細に記載される。
【0059】
本開示は、消耗されたキメラ抗原受容体(CAR)T細胞の活性回復を目的とする。活性回復は、細胞増殖を増加させ、エフェクター機能障害を回復させ、それにより、活性回復したCAR T細胞を固形腫瘍の根絶に有用にする。
【0060】
CAR-T細胞は、機能不全になるかもしくは「消耗し」得、または腫瘍微小環境において、腫瘍抗原もしくは免疫抑制因子(例えば、骨髄由来抑制性細胞(MDSC)、腫瘍関連マクロファージ(TAM)、制御性T細胞((TReg)、および抑制性サイトカイン)に慢性的に曝露されると、増殖の減少が生じ得る。これらの問題を解決するため、少なくとも1つの実施形態では、CARの一部である認識領域(例えばscFV断片)のエンドサイトーシスが利用され、活性回復化合物もしくはコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩をCAR-T細胞に送達する。
【0061】
活性回復コンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩は、標的化部分(例えば、CAR T細胞のCARを選択的に結合する)に、リンカーを介してコンジュゲートされたCAR T細胞活性回復のための活性剤を含む。T細胞活性回復コンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩は、消耗したCAR-T細胞を活性回復させるように製剤化された化合物、薬物または活性剤であり得る。「CAR-T細胞活性回復」およびそのバリアントは、CAR-T細胞を活性化すること、CAR-T細胞の増殖を増加させること、消耗したもしくは機能不全CAR-T細胞の阻害シグナル伝達をブロックすること、抗原非依存的な経路によりCAR-T細胞を再活性化すること、またはその他のCAR-T細胞の機能を増加させることを意味する。本コンジュゲートの実施形態は、T細胞消耗または機能不全、増殖の減少、および腫瘍微小環境によって誘導された同様の状況を防止または逆転することに特に有用であり得る。様々な実施形態では、活性回復化合物、またはその薬学的に許容される塩は、Toll様受容体(TLR)アゴニスト(例えば、TLR7、TLR8、および/またはTLR7およびTLR8(TLR7/8のアゴニスト))からなる群から選択される。
【0062】
上記のように、T細胞活性回復コンジュゲートは、標的化部分をさらに含む。標的化部分は、CAR T細胞のCARに選択的に結合し得る。用語「選択的に結合する(selectively binds)」、「特異性を持って結合する(binds with specificity)」、「高親和性で結合する(binds with high affinity)」、または「特異的に結合する(specifically binds)」とは、リガンド/受容体、認識領域/標的化部分、または他の結合対に関する場合、タンパク質の異種性集団および他の生物製剤におけるタンパク質の存在を決定する結合反応を示す。したがって、指定した条件下で、特定したリガンドまたは標的化部分は、それぞれ特定の受容体(例えば、がん細胞に存在するもの)または標的化部分(例えば、CAR認識領域に存在するもの)に結合し、試料(例えば、正常、健常細胞と関連するもの)中に存在する他のタンパク質に多量には結合しない。特異的結合または特異性を持ったもしくは高親和性での結合は、例えば、結合部分またはリガンドが、任意の他の受容体との親和性よりも、多くは少なくとも25%高い、より多くは少なくとも50%高い、最も多くは少なくとも100%(2倍)高い、一般的には少なくとも10倍高い、より一般的には少なくとも20倍高い、最も一般的には少なくとも100倍高い親和性でその標的に結合することも意味し得る。
【0063】
ある特定の実施形態では、本明細書のコンジュゲートは、「がん死滅」化合物と組み合わせて投与された場合、適用に有用であり得る。
図1Aは、CAR T細胞をがん細胞に結合する「がん死滅」コンジュゲート(「がん死滅」は、容易に参照できるように本明細書において使用され、「活性回復」から区別される)の存在下でのCAR T細胞の細胞死滅効果を示す。
図1Bは、CAR T細胞の受容体、例えばフルオレセイン受容体に結合する活性回復化合物を含む、がん死滅コンジュゲートおよび「活性回復」コンジュゲートの存在下でのCAR T細胞の活性回復を示す。
【0064】
図2Aは、フルオレセイン-葉酸塩コンジュゲート(「がん死滅」コンジュゲートの実施形態)の、葉酸受容体発現腫瘍および抗フルオレセインCAR T細胞(すなわち、抗フルオレセイン細胞表面受容体を有するCAR T細胞)を有する対象への投与時に、「がん死滅」コンジュゲートが、抗フルオレセインCAR T細胞と葉酸受容体発現がん細胞の間に架橋を形成することができ、それががん細胞の死滅およびCAR T細胞の増殖を促進することを示す。フルオレセイン受容体は、本明細書において、様々な実施形態および例で言及されるが、CAR T細胞の他の受容体が、本明細書の活性回復コンジュゲートによって標的化および/または結合され得ることが理解されるであろう。
図2Bは、フルオレセイン-TLR7aコンジュゲート(「活性回復」コンジュゲートの実施形態)の、葉酸受容体発現腫瘍および消耗した抗フルオレセインCAR T細胞を有する対象への投与時に、「活性回復」コンジュゲートが、CAR T細胞の表面の抗フルオレセイン受容体に結合し、活性回復コンジュゲートがCAR T細胞によってエンドサイトーシスされ、それによりCAR T細胞の活性回復をもたらすことを示す。
【0065】
上記を考慮して、CAR T細胞療法によって処置されるがんを有する対象における、消耗したCAR T細胞の活性回復の方法が提供される。CAR T細胞は、細胞傷害性リンパ球、例えば細胞傷害性T細胞であり得る。ある特定の実施形態では、CARは、NK細胞と関連して使用され得る。ある特定の実施形態では、CARは、リンホカイン活性化キラー(LAK)細胞と関連して使用され得る。ある特定の実施形態では、CARは、NK細胞、LAK細胞、および/またはT細胞の組合せと関連して使用され得る。様々な操作した細胞療法が、現在、当技術分野で公知であり、ある特定の実施形態では、CAR T細胞療法は、がんを処置または防止するために有用であり、本明細書のCAR T細胞活性回復コンジュゲートと関連する使用から利益を得る、任意の現在公知のまたは以下に発見した操作した細胞または細胞療法を含み得ることが理解されるであろう。
【0066】
ある特定の実施形態では、操作した細胞は、前駆細胞または幹細胞から調製したNK細胞である。ある特定の実施形態では、操作した細胞は、前駆細胞または幹細胞から調製したT細胞である。
【0067】
少なくとも1つの実施形態では、Tリンパ球(例えば、細胞傷害性Tリンパ球)は、CARを発現するように操作される。少なくとも1つの実施形態では、NK細胞は、CARを発現するように操作される。
【0068】
CARは、認識領域、共刺激ドメイン、および活性化シグナル伝達ドメインを含む融合タンパク質である。ある特定の実施形態では、CARは、高い特異性で免疫抑制細胞または癌細胞の細胞表面抗原に結合する。
【0069】
ある特定の実施形態では、CARの認識領域は、特異性(例えば、高い特異性)を持って細胞表面抗原(例えば、表面抗原分類19(CD19))に結合する、抗体のscFv、Fab断片等であり得る。CARの認識領域が、scFv領域を含む場合、scFv領域は、(i)標的部分に結合する当技術分野で公知の抗体、(ii)ハプテンのような、少なくとも1つの標的化部分を使用して新しく調製された抗体、および(iii)そのような抗体のscFv領域、例えば、それらが由来するscFv領域のアミノ酸配列と少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または少なくとも約99.5%の配列同一性を有するscFv領域由来の配列バリアントから調製され得る。
【0070】
「パーセント(%)配列同一性」は、ポリペプチド配列またはヌクレオチド配列への言及に関して、必要であれば、最大パーセント配列同一性を達成し、配列同一性の一部として任意の保存置換を考慮しないように配列をアラインし、ギャップを導入した後、参照配列の残基と同一である候補配列のそれぞれアミノ酸または核酸残基のパーセンテージとして規定される。パーセント配列同一性を決定する目的のためのアライメントは、例えば、公に利用可能なコンピューターソフトウェアを使用して、当技術分野内の様々な方法で達成され得る。例えば、配列間のパーセント同一性または類似性の決定は、例えばGAPプログラム(Genetic Computer Group、ソフトウェア;Accelrysオンラインを介して現在利用可能である)を使用することによって行われてもよく、アライメントは、例えば、ClustalWアルゴリズム(VNTIソフトウェア、InforMax Inc.,Bethesda,MD)を使用して行われてもよい。さらに、配列データベースは、目的の核酸またはアミノ酸配列を使用して検索することができる。データベース検索のためのアルゴリズムは、典型的には、BLASTソフトウェアに基づくが、当業者は、比較される配列の全長にわたる最大アライメントを達成するために必要とされる任意のアルゴリズムを含む、配列をアラインするための適切なパラメーターを決定することができる。一部の実施形態では、パーセント同一性は、核酸またはアミノ酸配列の全長にそって決定され得る。
【0071】
ある特定の実施形態では、活性化シグナル伝達ドメインは、標的化部分へのCARの結合時に、リンパ球活性化シグナルを生成する。好適な活性化シグナル伝達ドメインとしては、限定されるものではないが、T細胞CD3鎖、CD3デルタ受容体タンパク質、mbl受容体タンパク質、B29受容体タンパク質、Fc受容体γ、4-1BBドメイン、CD28活性化ドメイン、またはIL-15/IL-2ドメインであり得る。当業者は、バリアントが、モデルとするドメインと同じまたは類似の活性を有する場合、これらの活性化シグナル伝達ドメインの配列バリアントが使用され得ることを理解するであろう。様々な実施形態では、そのようなバリアントは、それらが由来するドメインのアミノ酸配列と少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または少なくとも約99.5%の配列同一性を有する。
【0072】
CARをコードする構築物は、遺伝子工学技術を使用して調製され得る。そのような技術は、両方ともその全体が参照によって本明細書に組み込まれるSambrook et al., "Molecular Cloning: A Laboratory Manual," 3rd Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, (2001)、およびGreen and Sambrook, "Molecular Cloning: A Laboratory Manual," 4th Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, (2012)に詳細に記載される(総称して「プロトコール」)。
【0073】
非限定的な例により、プラスミドまたはウイルス発現ベクター(例えば、レンチウイルスベクター、レトロウイルスベクター、sleeping beauty、およびpiggyback(非ウイルス媒介性CAR遺伝子送達システムを含むトランスポゾン/トランスポザーゼシステム))が調製され、インフレームで5’から3’方向に連結された認識領域、1つまたは複数の共刺激ドメイン、および活性化シグナル伝達ドメインを含む融合タンパク質をコードする。
【0074】
他の配置も許容可能であり、認識領域、活性化シグナル伝達ドメイン、および1つまたは複数の共刺激ドメインを含む。
【0075】
用語「ベクター」は、目的の核酸を運ぶ、持つ、または発現するように機能する任意の核酸を意味する。核酸ベクターは、発現、パッケージング、シュードタイピング、または形質導入のような特定の機能を有し得る。ベクターは、クローニングまたはシャトルベクターとしての使用のために適用された場合、操作機能も有し得る。ベクターの構造は、作製するのが可能であり、特定の使用に望ましい任意の所望の形態を含み得る。そのような形態は、例えば、プラスミドおよびファージミドのような環状形態、ならびに線状または分岐状形態を含み得る。例えば、プラスミドおよびファージミドのような環状形態、ならびに線状または分岐状形態を含み得る。核酸ベクターは、例えばDNAまたはRNAから構成されてもよく、ならびに、部分的にまたは完全にヌクレオチド誘導体、類似体または模倣体を含有してもよい。そのようなベクターは天然源から得られてもよく、組換えまたは化学合成によって産生されてもよい。
【0076】
融合タンパク質の認識領域の位置は、通常、細胞の外側での領域の提示が達成されるようにであろう。所望であれば、CARは、さらなるエレメント、例えば細胞表面への融合タンパク質の正確な輸送を確実にするシグナルペプチド(例えばCD8αシグナルペプチド)、融合タンパク質が膜内在性タンパク質として維持されるのを確実にする膜貫通ドメイン(例えば、CD8α膜貫通ドメイン、CD28膜貫通ドメイン、またはCD3ζ膜貫通ドメイン)、および認識領域に可動性を与え、標的化部分への強い結合を可能にするヒンジドメイン(例えばCD8αヒンジ)も含み得る。
【0077】
細胞傷害性リンパ球(例えば、細胞傷害性Tリンパ球またはNK細胞)は、CAR構築物をコードする発現ベクターによってリンパ球の集団をトランスフェクトすることによってCAR構築物を発現するように遺伝子操作され得る。選択されたCAR構築物を発現するリンパ球の形質導入した集団を調製するための好適な方法は、当業者に周知である。
【0078】
一実施形態では、本明細書に記載される方法で使用される細胞は、処置される患者が、患者の免疫系を破壊する高用量の化学療法または放射線処置を受けた場合など、異種細胞も使用され得るが、自家細胞であり得る。一実施形態では、同種細胞が使用され得る。
【0079】
本明細書の方法と関連して、CAR T細胞療法は、対象が、CARを発現するT細胞を受ける療法を含み得る。ある特定の実施形態では、CAR T細胞療法は、CARをコードする核酸配列に作動的に連結されたプロモーターを含むベクターを介して対象に投与され得る。CARは、第1の標的化部分、第2の標的化部分、または第1の標的化部分および第2の標的化部分の両方に結合することができる。ある特定の実施形態では、CARは、特異性を持って、第1の標的化部分、第2の標的化部分、または第1の標的化部分および第2の標的化部分の両方に結合することができる。
【0080】
CAR T細胞療法は、少なくともCARの第1の標的化部分とコンジュゲートしたリガンドを含む、がん結合コンジュゲートを受ける対象をさらに含む。リガンドは、がん細胞の受容体に結合することができる(例えば、リガンドは、特異性を持ってがん細胞受容体に結合することができる)。ある特定の実施形態では、リガンドおよび第1の標的化部分は、第1のリンカーを介してコンジュゲートされる。本明細書で使用される場合、用語「リガンド」は、コンジュゲートの中心原子もしくはイオン(例えば薬物)に接着される分子、イオン、または原子である。
【0081】
方法は、CAR T細胞活性回復コンジュゲートを対象(例えば、消耗したCAR T細胞を有する)に投与するステップをさらに含む。CAR T細胞活性回復コンジュゲートは、第1の標的化部分または第2の標的化部分のいずれかとコンジュゲートした(例えば、CARが第1の標的化部分および/または第2の標的化部分と結合できるように)、toll様受容体7(TLR7)、toll様受容体8(TLR8)、またはtoll様受容体7およびtoll様受容体8(TLR7/8)のアゴニストを含み得る。ある特定の実施形態では、アゴニストおよび第1の標的化部分または第2の標的化部分のいずれかは、第2のリンカーを介して場合によりコンジュゲートされる。
【0082】
CAR T細胞活性回復コンジュゲートは、構造:
【0083】
【化29】
[式中:
R
1は、アルキル、ハロ、ヘテロアルキル、アルコキシ、およびシクロアルキルから独立して選択される1つまたは複数の置換基によって場合により置換される、非環状アルキルまたは環状アルキルであり;
R
2は、-NR
2xR
2y、H、-OR
z、-SO
2N(R
z)
2、またはN
3(式中:
R
2xおよびR
2yは、それぞれ独立して、水素、-N(R
z)
2、-CON(R
z)
2、-C(R
z)
2-N(R
z)
2、-CS-N(R
z)
2、もしくはオキソ、ハロ、アルキル、ヘテロアルキル、アルコキシ、およびシクロアルキルから独立して選択される1つまたは複数の置換基によって場合により置換されるアルキルであり;
各R
Zは、独立して、水素もしくは場合により置換されるアルキルであり、または
R
2xおよびR
2yは一緒になって、場合により置換される3~10員の単環式もしくは二環式ヘテロシクロアルキルを形成する)であり、
各R
3は、独立して、水素、ハロ、-N
3、-CN、-NO
2、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、アミノ、ヒドロキシ、カルボニル、またはチオールであり、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキルまたはアルコキシは、場合により置換され;
R
4およびR
5は、それぞれ独立して、アルキル、アルコキシ、ハロ、またはシクロアルキルであり、アルキル、アルコキシ、またはシクロアルキルは場合により置換され;
X
1、X
2、およびX
3は、独立してNまたはCR
q(式中、各R
qは、独立して水素(H)、ハロ、または場合により置換されるアルキルである)であり;
Zは、G-L-(式中、Lはリンカーであり、Gは第1の標的化部分または第2の標的化部分である(例えば、CARが特異性を持って結合する))であり;
式(I)のnは、1~6であり;
式(I)のmは、0~4である]
を有するか、またはその薬学的に許容される塩である。
【0084】
ある特定の実施形態では、CAR T細胞活性回復コンジュゲートは、構造:
【0085】
【化30】
[式中:
R
1、R
3、R
4、およびR
5は、それぞれ独立して、H、アルキル、アルコキシル、アルケニル、アルキニル、脂環式、アリール、ビアリール、ハロ、ヘテロアリール、-COR
2x、
【0086】
【化31】
(式中、R
2xおよびR
2yのそれぞれは、H、-OH、-CH
2-OH、-NH
2、-CH
2-NH
2、-COOMe、-COOH、-CONH
2、-COCH
3、アルキル、アルケニル、アルキニル、脂環式、アリール、ビアリール、およびヘテロアリールからなる群から独立して選択される)であり;
Zは、G-L-(式中、Lはリンカーであり、Gは第1の標的化部分または第2の標的化部分である(例えば、特異性を持ってCARと結合できる))であり;
X
1、X
2、およびX
3は、独立してCR
qまたはN(式中、各R
qは、独立してH、ハロ、または場合により置換されるアルキルである)であり;
Yは、H、-OR
z、-NR
2xR
2y、-SR
z、-SOR
z、-SO
3R
z、-N
3、-COR
z、-COOR
z、-CON(R
z)
2、-COSR
z、-SO
2N(R
z)
2、または-CON(R
z)
2(式中:
R
2xおよびR
2yは、それぞれ独立してH、-N(R
z)
2、-CON(R
z)
2、-C(R
z)
2-N(R
z)
2、-CS-N(R
z)
2、もしくは場合により置換されるアルキル(例えば、場合により、1つまたは複数の置換基によって置換され、各置換基は独立して、オキソ、ハロゲン、アルキル、ヘテロアルキル、アルコキシ、またはシクロアルキルである)であり;
各R
zは、独立してHもしくは場合により置換されるアルキルであり;または
R
2xおよびR
2yは一緒になって、場合により置換されるヘテロシクロアルキル(例えば、場合により置換されるヘテロシクロアルキルは単環式または二環式ヘテロシクロアルキルであり、および/または場合により置換されるヘテロシクロアルキルは3~10員のヘテロシクロアルキルである)を形成する)であり;
式(II)のnは、0~30である]
を有するか、またはその薬学的に許容される塩である。
【0087】
ある特定の実施形態では、CAR T細胞活性回復コンジュゲートは、構造:
【0088】
【化32】
[式中、
R
1は、ハロ、アルキル、ヘテロアルキル、アルコキシ、およびシクロアルキルから独立して選択される1つまたは複数の置換基によって場合により置換される、非環状アルキルまたは環状アルキルであり;
Yは、H、-OR
z、-NR
2xR
2y、-SR
z、-SOR
z、-SO
3R
z、-N
3、-COR
z、-COOR
z、-CON(R
z)
2、-COSR
z、-SO
2N(R
z)
2、または-CON(R
z)
2(式中:
R
2xおよびR
2yは、それぞれ独立してH、-N(R
z)
2、-CON(R
z)
2、-C(R
z)
2-N(R
z)
2、-CS-N(R
z)
2、もしくはオキソ、ハロ、アルキル、ヘテロアルキル、アルコキシ、またはシクロアルキルから独立して選択される1つもしくは複数の置換基によって場合により置換されるアルキルであり;
各R
zは、独立して、水素もしくは場合により置換されるアルキルであり;または
R
2xおよびR
2yは一緒になって、場合により置換される3~10員の単環式もしくは二環式ヘテロシクロアルキルを形成する)であり;
各R
3は、独立して、ハロ、-N
3、-CN、-NO
2、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、アミノ、ヒドロキシ、カルボニル、またはチオールであり、アルキル、アルコキシ、ヘテロアルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルは、場合により置換され;
R
4およびR
5は、それぞれ独立して、アルキル、アルコキシ、ハロゲン、またはシクロアルキルであり、アルキル、アルコキシ、またはシクロアルキルは場合により置換され;
X
1、X
2、およびX
3は、独立してCR
qまたはN(式中、各R
qは、独立してH、ハロゲン、または場合により置換されるアルキルである)であり;
Zは、L-G-(式中、Lはリンカーであり、Gは第1の標的化部分または第2の標的化部分である)であり;
式(III)のnは、0~30であり;
式(III)のmは、0~4である]
を有するか、またはその薬学的に許容される塩である。
【0089】
ある特定の実施形態では、対象中のCAR T細胞(例えば、消耗したCAR T細胞)は、CAR T細胞活性回復コンジュケートに結合およびエンドサイトーシスし、CAR T細胞は、そのアゴニストによって活性回復される。様々な実施形態では、式(I)、式(II)、および/または式(III)のX1、X2、およびX3のそれぞれは窒素(N)であり得る。
【0090】
CAR T細胞活性回復コンジュゲートは、構造:
【0091】
【化33】
を有し得るか、またはその薬学的に許容される塩であり得る。あるいは、CAR T細胞活性回復コンジュゲートは、構造:
【0092】
【化34】
を有し得るか、または前述の構造のいずれかの薬学的に許容される塩であり得る。また、あるいは、CAR T細胞活性回復コンジュゲートは、構造:
【0093】
【化35】
を有し得るか、またはその薬学的に許容される塩であり得る。
【0094】
第1の標的化部分、第2の標的化部分、または第1の標的化部分および第2の標的化部分は、構造:
【0095】
【化36】
またはその薬学的に許容される塩を有する基であり得るか、またはその基を含み得る。
【0096】
あるいは、第1の標的化部分、第2の標的化部分、または第1の標的化部分および第2の標的化部分は、構造:
【0097】
【化37】
またはその薬学的に許容される塩を有する基であり得るか、またはその基を含み得る。
【0098】
CAR T細胞活性回復コンジュゲートは、構造:
【0099】
【化38】
またはその薬学的に許容される塩を有し得る。あるいは、CAR T細胞活性回復コンジュゲートは、
【0100】
【化39】
[式中、n=0~200である]
から選択される構造を有し得るか、または前述の構造のいずれかの薬学的に許容される塩であり得る。さらに代替的には、CAR T細胞活性回復コンジュゲートは、
【0101】
【化40】
から選択される構造を有し得るか、またはその薬学的に許容される塩であり得る。よりさらに代替的には、CAR T細胞活性回復コンジュゲートは、
【0102】
【化41】
から選択される構造を有し得るか、または前述の構造のいずれかの薬学的に許容される塩であり得る。CAR T細胞活性回復コンジュゲートの他の構造としては、
【0103】
【化42】
またはその薬学的に許容される塩が挙げられる。CAR T細胞活性回復コンジュゲートのさらに他の構造としては、
【0104】
【化43】
または前述の構造のいずれかの薬学的に許容される塩が挙げられる。
【0105】
ある特定の実施形態では、CAR T細胞活性回復コンジュゲートは、
【0106】
【化44】
から選択される構造を有し得るか、または前述の構造のいずれかの薬学的に許容される塩である。
【0107】
一部の実施形態では、上記のように、CAR T細胞療法は、リガンドおよび第1の標的化部分を含むがん結合コンジュゲートを含み、リガンドおよび第1の標的化部分は、第1のリンカーを介して場合によりコンジュゲートされる。
【0108】
リガンドは、がん(例えば、がん細胞)によって結合され得る(または結合のための親和性を有するかもしくは特異性を持って結合する)。がん細胞によって結合されたリガンド(または結合のための親和性を有するかもしくは特異性を持って結合する)は、葉酸塩、5-メチルテトラヒドロ葉酸、2-[3-(1,3-ジカルボキシプロピル)ウレイド]ペンタン二酸(DUPA)リガンド、ニューロキニン1受容体(NK-1R)リガンド、炭酸脱水酵素IX(CAIX)リガンド、ガンマグルタミルトランスペプチダーゼのリガンド、黄体ホルモン放出ホルモン(LHRHR)のリガンド、CD73のリガンド、線維芽細胞活性化タンパク質のリガンド、熱ショックタンパク質(HSP)のリガンド、グルコーストランスポーター1(glut-1)のリガンド、ナチュラルキラーグループ2D受容体(NKG2D)リガンド、およびコレシストキニンB受容体(CCKBRまたはCCK2)リガンドからなる群から選択され得る。
【0109】
「葉酸塩」は、例えば、限定されるものではないが、葉酸(例えば、ロイコボリン)、プテロイルポリグルタミン酸、プテロイル-D-グルタミン酸、およびテトラヒドロプテリン、ジヒドロ葉酸、テトラヒドロ葉酸(例えば、5-メチルテトラヒドロ葉酸(5-MTHF))、ならびにそれらのデアザおよびジデアザ類似体のような葉酸受容体結合プテリジン(pterdines)のような、葉酸の類似体および誘導体を含む、葉酸、葉酸類似体、または別の葉酸受容体結合分子であり得る。
【0110】
ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質に関する「類似体」または「誘導体」は、オリジナルのペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質と類似または同一の機能を持つが、オリジナルのペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質の類似または同一のアミノ酸配列または構造を必ずしも含まない別のペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質を指す。類似体は、好ましくは、以下の少なくとも1つを満たす:(a)オリジナルのアミノ酸配列と少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を有するタンパク質性剤;(b)オリジナルのアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列に厳密な条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列によってコードされるタンパク質性剤;または(c)オリジナルのアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列と少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも99%同一であるヌクレオチド配列によってコードされるタンパク質性剤。
【0111】
用語「デアザ」および「ジデアザ」類似体は、自然発生の葉酸構造、またはその類似体もしくは誘導体の1つまたは2つの窒素原子を置換する炭素原子を有する当技術分野において承認されている類似体を指す。例えば、デアザ類似体は、葉酸、フォリン酸、プテロポリグルタミン酸および、テトラヒドロプテリン、ジヒドロ葉酸、およびテトラヒドロ葉酸のような葉酸受容体結合プテリジンの1-デアザ、3-デアザ、5-デアザ、8-デアザ、および10-デアザ類似体を含み得る。ジデアザ類似体は、例えば、1,5-ジデアザ、5,10-ジデアザ、8,10-ジデアザ、および5,8-ジデアザ類似体を含む。前述の葉酸類似体は、葉酸受容体に結合するそれらの能力を反映して慣習的に「葉酸塩(folate)」と呼ばれる。他の葉酸受容体結合類似体は、アミノプテリン、アメトプテリン(メトトレキサート)、N10-メチル葉酸、2-デアミノヒドロキシフォレート、1-デアザメトプテリンまたは3-デアザメトプテリンのようなデアザ類似体、および3’,5’-ジクロロ-4-アミノ-4-デオキシ-N10-メチルプテロイルグルタミン酸(ジクロロメトトレキサート)を含む。
【0112】
前述の類似体および/または誘導体は、葉酸受容体に結合するそれらの能力を反映して、「葉酸塩(a folate)」、「葉酸塩(the folate)」、または「葉酸塩(folates)」とも呼ばれる。そのような分子は、外因性分子とコンジュゲートされる場合、葉酸塩媒介性エンドサイトーシスを介するなど、膜貫通輸送を増強するのに有効であり得る。前述のものは本明細書に記載される葉酸受容体結合リガンドで使用され得る。
【0113】
第1の標的化部分および第2の標的化部分(例えば、CARに結合する親和性を有する)は、2,4-ジニトロフェニル(DNP)、L-ラムノース、タクロリムス(FK506)、2,4,6-トリニトロフェノール(TNP)、ビオチン、ラパマイシン、ジゴキシゲニン、葉酸塩、5-メチルテトラヒドロ葉酸、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、NHS-フルオレセイン、ペンタフルオロフェニルエステル、テトラフルオロフェニルエステル、ノッチン、センチリン、DARPin、アフィボディ、アフィリン、アンチカリン、アトリマー、アビマー、二環状ペプチド、FN3足場、cys-ノット、フィノマー、Kunitzドメイン、またはObodyからなる群から独立して選択され得る。
【0114】
第1のリンカーおよび第2のリンカーは、適用可能である場合、独立して、放出可能または放出不可能であってもよい。第1のリンカーおよび第2のリンカーは、C1~C20アルキル、アルキレン、ヘテロアルキレン、-O-アルキニレン、アルケニレン、アシル、アリール、ヘテロアリール、アミド、オキシム、エーテル、エステル、トリアゾール、-S-S、-CO-O-(CH2)n-S-S-(n=2~6)、-O-CO-O-(CH2)n-S-S-(n=2~6)、-S-CO-O-(CH2)n-S-S-(n=2~6)、-NH-CO-O-(CH2)n-S-S-(n=2~6)、カルボン酸塩、炭酸塩、カルバミン酸塩、尿素、チオ尿素、ポリエチレングリコール(PEG)(例えば、PEGn、n=1~200)、ポリプロリン、オリゴ-(4-ピペリジン)カルボン酸、オリゴピペリジン、アミノ酸(例えば、親水性アミノ酸)、ペプチド、サッカロペプチド、糖、ペプチドグリカン(例えば、非天然ペプチドグリカン)、ポリビニルピロリドン、プルロニックF-127、または前述の2つもしくはそれ以上の任意の組合せを独立して含み得る。
【0115】
第1のリンカー、第2のリンカー、または第1のリンカーおよび第2のリンカーの両方が、PEGを含み得る。
【0116】
上記に示されるように、様々な式の様々な置換基は、「場合により置換される」。本明細書で使用される場合、用語「置換される」は、指定した原子の正常な原子価を超えず、置換が安定な化合物を結果として生じる限り、指定した原子または基の任意の1つまたは複数の水素が、置換基の示した基からの選択によって置き換えられることを意味する。置換がオキソ(ケト、すなわち、=0)である場合、原子の2個の水素が置き換えられる。本開示は、本コンジュゲートで生じる原子の全ての同位体(放射性同位体を含む)を含む。
【0117】
コンジュゲートがさらに置換される場合、それらは、本明細書に開示のもののような1つまたは複数の好適な基によって、1つまたは複数の利用可能な位置、典型的には、1つ~3つまたは4つの位置で置換され得る。「置換される」基に存在し得る好適な基としては、例えば、限定されるものではないが、ハロゲン;シアノ;ヒドロキシル;ニトロ;アジド;アルカノイル(アシル等のようなC1~6アルカノイル基など);カルボキサミド;アルキル基(1個~約8個の炭素原子を有する、シクロアルキル基を含む);アルケニル基およびアルキニル基(1つまたは複数の不飽和結合および2個~約8個の炭素原子を有する基を含む);1つまたは複数の酸素結合および1個~約8個の炭素原子を有するアルコキシ基;フェノキシのようなアリールオキシ;1つまたは複数のチオエーテル結合および1個~約8個の炭素原子を有するものを含むアルキルチオ基;1つまたは複数のスルフィニル結合および1個~約8個の炭素原子を有するものを含むアルキルスルフィニル基;1つまたは複数のスルフォニル結合および1個~約8個の炭素原子を有するものを含むアルキルスルフォニル基;1つまたは複数のN原子および1個~約8個の炭素原子を有する基を含むアミノアルキル基が挙げられる。
【0118】
本明細書で使用される場合、「アルキル」は、特定の数の炭素原子を有する、分岐および直鎖脂肪族飽和炭化水素基の両方を含む。アルキルの例としては、限定されるものではないが、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、s-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、およびs-ペンチルが挙げられる。好ましいアルキル基は、C1~6アルキル基である。特に好ましいアルキル基は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、および3-ペンチルであり得る。
【0119】
一般に、用語「アシル」または「アシル置換基」は、無機酸を含む、オキソ酸から1つまたは複数のヒドロキシル基の除去により生じるものを指し、二重結合した酸素原子およびアルキル基を含有する。
【0120】
用語「アルキレン」は、それ自体または別の置換基の一部として、他に言及しない限り、アルキル、例としては、限定されるものではないが、-CH2CH2CH2CH2-に由来する二価のラジカルを意味する。典型的には、アルキル(またはアルキレン)基は、1個~24個の炭素原子を有するであろう。
【0121】
用語「ヘテロアルキル」は、それ自体または別の用語と組み合わせて、他に言及しない限り、少なくとも1つの炭素原子ならびにO、N、P、Si、およびSからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子からなる、安定な直鎖もしくは分岐鎖、またはこれらの組合せ(複数可)を意味し、窒素および硫黄原子は、場合により酸化されてもよく、窒素ヘテロ原子は、場合により四級化されてもよい。ヘテロ原子(複数可)O、N、P、S、およびSiは、ヘテロアルキル基の任意の内部位置またはアルキル基が分子の残部に接着される位置に置かれてもよい。例としては、限定はされないが、-CH2-CH2-O-CH3、-CH2-CH2-NH-CH3、-CH2-CH2-N(CH3)-CH3、-CH2-S-CH2-CH3、-CH2-CH2-S(O)-CH3、-CH2-CH2-S(O)2-CH3、-CH2=CH-O-CH3、-Si(CH3)3、-CH2-CH=N-OCH3、-CH=CH-N(CH3)-CH3、-O-CH3、-O-CH2-CH3および-CNが挙げられる。最大2つのヘテロ原子は、例えば-CH2-NH-OCH3のような連続であり得る。
【0122】
同様に、用語「ヘテロアルキレン」は、それ自体または別の置換基の一部として、(他に言及しない限り)ヘテロアルキル、例としては、限定はされないが、-CH2-CH2-S-CH2-CH2および-CH2-S-CH2-CH2-NH-CH2に由来する二価のラジカルを意味する。ヘテロアルキレン基については、ヘテロ原子は、鎖末端(例えば、アルキレンオキシ、アルキレンジオキシ、アルキレンアミノ、アルキレンジアミノ等)のいずれかまたは両方を占めてもよい。またさらに、アルキレンおよびヘテロアルキレン連結基については、連結基の方向が連結基の式が記載される方向によって意味されない。例えば、式-C(O)2R’-は、-C(O)2R’-と-R’C(O)2-の両方を表す。上記のように、ヘテロアルキル基は、本明細書で使用される場合、ヘテロ原子によって分子の残部に接着されるそれらの基、例えば、-C(O)R’、-C(O)NR’、-NR’R’’、-OR’、-SR’、および/またはSO2R’を含む。「ヘテロアルキル」が記載される場合、特定のヘテロアルキル基、例えば、-NR’R’’等の記載が続き、用語ヘテロアルキルおよび-NR’R’’は重複または相互排他的ではないことが理解されるであろう。むしろ、特定のヘテロアルキル基は明確さを加えるために記載する。したがって、用語「ヘテロアルキル」は、-NR’R’’等のような、特定のヘテロアルキル基を除外すると本明細書で解釈されるべきではない。
【0123】
上記を考慮して、CAR T細胞活性回復コンジュゲートが提供される。活性回復コンジュゲートは、特異性を持ってCAR T細胞のCARに結合する標的化部分と、リンカー(例えば、第2のリンカー)を介してコンジュゲートされる、TLR7、TLR8、またはTLR7/8のアゴニストを含み得、CAR T細胞活性回復コンジュゲートは、構造:
【0124】
【化45】
[式中:
R
1は、アルキル、ハロ、ヘテロアルキル、アルコキシ、およびシクロアルキルから独立して選択される1つまたは複数の置換基によって場合により置換される、非環状アルキルまたは環状アルキルであり;
R
2は、-NR
2xR
2y、H、-OR
z、-SO
2N(R
z)
2、またはN
3(式中:
R
2xおよびR
2yは、それぞれ独立して、水素、-N(R
z)
2、-CON(R
z)
2、-C(R
z)
2-N(R
z)
2、-CS-N(R
z)
2、もしくはオキソ、ハロ、アルキル、ヘテロアルキル、アルコキシ、およびシクロアルキルから独立して選択される1つもしくは複数の置換基によって場合により置換されるアルキルであり;
各R
Zは、独立して、Hもしくは場合により置換されるアルキルであり;または
R
2xおよびR
2yは一緒になって、場合により置換される3~10員の単環式もしくは二環式ヘテロシクロアルキルを形成する)であり、
各R
3は、独立して、水素、ハロ、-N
3、-CN、-NO
2、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、アミノ、ヒドロキシ、カルボニル、またはチオールであり、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキルまたはアルコキシは、場合により置換され;
R
4およびR
5は、それぞれ独立して、アルキル、アルコキシ、ハロ、またはシクロアルキルであり、アルキル、アルコキシ、またはシクロアルキルは場合により置換され;
X
1、X
2、およびX
3は、独立してNまたはCR
q(式中、各R
qは、独立してH、ハロ、または場合により置換されるアルキルである)であり;
Zは、G-L-(式中、Lはリンカー(例えば、第2のリンカー)であり、Gは標的化部分(例えば、第1の標的化部分、第2の標的化部分、または第1の標的化部分および第2の標的化部分の両方)である)であり;
nは、1~6であり;
mは、0~4である]
を有するか、またはその薬学的に許容される塩である。
【0125】
ある特定の実施形態では、活性回復コンジュゲートは、CAR T細胞のCARに(例えば、特異性を持って)結合する標的化部分と、リンカー(例えば、第2のリンカー)を介してコンジュゲートされる、TLR7、TLR8、またはTLR7/8のアゴニストを含み、CAR T細胞活性回復コンジュゲートは、構造:
【0126】
【化46】
[式中:
R
1、R
3、R
4、およびR
5は、それぞれ独立して、水素、アルキル、アルコキシル、アルケニル、アルキニル、脂環式、アリール、ビアリール、ハロ、ヘテロアリール、-COR
2x、
【0127】
【化47】
(式中、R
2xおよびR
2yのそれぞれは、H、-OH、-CH
2-OH、-NH
2、-CH
2-NH
2、-COOMe、-COOH、-CONH
2、-COCH
3、アルキル、アルケニル、アルキニル、脂環式、アリール、ビアリール、およびヘテロアリールからなる群から独立して選択される)であり;
Zは、G-L-(式中、Lはリンカー(例えば、第2のリンカー)であり、Gは標的化部分(例えば、第1および/または第2の標的化部分)である)であり;
X
1、X
2、およびX
3は、独立してCR
qまたはN(式中、各R
qは、独立して水素、ハロ、または場合により置換されるアルキルである)であり;
Yは、H、-OR
z、-NR
2xR
2y、-SR
z、-SOR
z、-SO
3R
z、-N
3、-COR
z、-COOR
z、-CON(R
z)
2、-COSR
z、-SO
2N(R
z)
2、または-CON(R
z)
2(式中:
R
2xおよびR
2yは、それぞれ独立してH、-N(R
z)
2、-CON(R
z)
2、-C(R
z)
2-N(R
z)
2、-CS-N(R
z)
2、もしくは場合により置換されるアルキル(例えば、場合により、1つまたは複数の置換基によって置換され、各置換基は独立して、オキソ、ハロゲン、アルキル、ヘテロアルキル、アルコキシ、またはシクロアルキルである)であり;
各R
zは、独立して水素もしくは場合により置換されるアルキルであり;または
R
2xおよびR
2yは一緒になって、場合により置換されるヘテロシクロアルキル(例えば、場合により置換されるヘテロシクロアルキルは単環式または二環式ヘテロシクロアルキルであり、および/または場合により置換されるヘテロシクロアルキルは3~10員のヘテロシクロアルキルである)を形成する)であり;
式(II)のnは、0~30である]
を有するか、またはその薬学的に許容される塩である。
【0128】
ある特定の実施形態では、活性回復コンジュゲートは、CAR T細胞のCARに(例えば、特異性を持って)結合する標的化部分と、リンカー(例えば、第2のリンカー)を介してコンジュゲートされる、TLR7、TLR8、またはTLR7/8のアゴニストを含み、CAR T細胞活性回復コンジュゲートは、構造:
【0129】
【化48】
[式中、
R
1は、ハロ、アルキル、ヘテロアルキル、アルコキシ、およびシクロアルキルから独立して選択される1つまたは複数の置換基によって場合により置換される、非環状アルキルまたは環状アルキルであり;
Yは、H、-OR
z、-NR
2xR
2y、-SR
z、-SOR
z、-SO
3R
z、-N
3、-COR
z、-COOR
z、-CONR
z
2、-COSR
z、-SO
2N(R
z)
2、または-CON(R
z)
2(式中:
各R
Zは、独立してH、または場合により置換されるアルキルであり;
R
2xおよびR
2yは、それぞれ独立してH、-N(R
z)
2、-CON(R
z)
2、-C(R
z)
2-N(R
z)
2、-CS-N(R
z)
2、もしくはオキソ、ハロ、アルキル、ヘテロアルキル、アルコキシ、およびシクロアルキルから独立して選択される1つもしくは複数の置換基によって場合により置換されるアルキルであり;または
R
2xおよびR
2yは一緒になって、場合により置換される3~10員の単環式もしくは二環式ヘテロシクロアルキルを形成する)であり、
各R
3は、独立して、ハロ、-N
3、-CN、-NO
2、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、アミノ、ヒドロキシ、カルボニル、またはチオールであり、アルキル、アルコキシ、ヘテロアルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルは、場合により置換され;
R
4およびR
5は、それぞれ独立して、アルキル、アルコキシ、ハロゲン、またはシクロアルキルであり、アルキル、アルコキシ、またはシクロアルキルは場合により置換され;
X
1、X
2、およびX
3は、独立してCR
qまたはN(式中、各R
qは、独立してH、ハロゲン、または場合により置換されるアルキルである)であり;
Zは、L-G(式中、Lはリンカー(例えば、第2のリンカー)であり、Gは標的化部分(例えば、第1および/または第2の標的化部分)である)であり;
nは、0~30であり;
mは、0~4である]
を有するか、またはその薬学的に許容される塩である。
【0130】
式(I)、式(II)または式(III)のG(標的化部分)は、構造:
【0131】
【化49】
または前述の構造のいずれかの薬学的に許容される塩を有する基であり得るかまたはその基を含み得る。式(I)、(II)、および/または(III)のX
1、X
2、およびX
3のそれぞれは、窒素(N)であり得る。
【0132】
CAR T細胞活性回復コンジュゲートは、構造:
【0133】
【化50】
またはその薬学的に許容される塩を有し得る。
【0134】
あるいは、CAR T細胞活性回復コンジュゲートは、
【0135】
【化51】
[式中、n=0~200]
から選択される構造を有し得るか、または前述の構造のいずれかの薬学的に許容される塩であり得る。さらに代替的には、CAR T細胞活性回復コンジュゲートは、
【0136】
【化52】
から選択される構造を有し得るか、または前述の構造のいずれかの薬学的に許容される塩であり得る。ある特定の実施形態では、CAR T細胞活性回復コンジュゲートは、
【0137】
【化53】
から選択される構造を有し得るか、または前述の構造のいずれかの薬学的に許容される塩であり得る。CAR T細胞活性回復コンジュゲートの他の構造は、
【0138】
【化54】
または前述のいずれかの薬学的に許容される塩を含み得る。ある特定の実施形態では、CAR T細胞活性回復コンジュゲートは、以下:
【0139】
【化55】
から選択される構造を有し得るか、または前述の構造のいずれかの薬学的に許容される塩であり得る。
【0140】
ある特定の実施形態では、CAR T細胞活性回復コンジュゲートは、
【0141】
【化56】
または前述の構造のいずれかの薬学的に許容される塩を含み得る。
【0142】
上記のように、CAR T細胞活性回復コンジュゲートは、少なくとも1つの標的化部分(例えば、CARを標的化する)を含み得る。式(I)~(III)に関して、標的化部分は、DNP、L-ラムノース、FK506、TNP、ビオチン、ラパマイシン、ジゴキシゲニン、葉酸塩、5-メチルテトラヒドロ葉酸、フルオレセイン、FITC、NHS-フルオレセイン、ペンタフルオロフェニルエステル、テトラフルオロフェニルエステル、ノッチン、センチリン、およびDARPinからなる群から選択され得る。
【0143】
さらなる実施形態は、標的化部分と活性剤(すなわちTLR7、TLR8、またはTLR7/8のアゴニスト)の間に配置されたリンカーを含み得る。式(I)~(III)に関して、用語「リンカー」は、第1の標的化部分または第2の標的化部分のいずれかとコンジュゲートしたTLR7、TLR8、またはTLR7/8のアゴニストと化学結合を形成するように生体機能的に適応された原子の鎖を含み、分子の2つまたはそれ以上の部分を接続して化合物を形成し得る。実例として、原子の鎖は、炭素(C)、窒素(N)、酸素(O)、硫黄(S)、ケイ素(Si)、およびリン(S)、またはC、N、O、S、およびP、C、N、OおよびSから選択され得る。原子の鎖は、小分子リガンドおよびコンジュゲートの標的化部分のような異なる機能性能を共有結合により接続し得る。リンカー(例えば第1または第2のリンカー)は、連続骨格の約2~約2000原子の範囲のような広範なリンクを含んでもよく、放出可能または放出不可能なリンカーを含み得る。ある特定の実施形態では、リンカーは、必要な場合に、オプションであり得る。
【0144】
リンカーは、C1~C20アルキル、アルキレン、ヘテロアルキレン、-O-アルキニレン、アルケニレン、アシル、アリール、ヘテロアリール、アミド、オキシム、エーテル、エステル、トリアゾール、-S-S、-CO-O-(CH2)n-S-S-(n=2~6)、-O-CO-O-(CH2)n-S-S-(n=2~6)、-S-CO-O-(CH2)n-S-S-(n=2~6)、-NH-CO-O-(CH2)n-S-S-(n=2~6)、カルボン酸塩、炭酸塩、カルバミン酸塩、尿素、チオ尿素、PEG(例えば、PEGn、n=1~200)、ポリプロリン、オリゴ-(4-ピペリジン)カルボン酸、オリゴピペリジン、アミノ酸(例えば、親水性アミノ酸)、ペプチド、サッカロペプチド、糖、ペプチドグリカン(例えば、非天然ペプチドグリカン)、ポリビニルピロリドン、プルロニックF-127、または前述の2つもしくはそれ以上の任意の組合せを含み得る。
【0145】
リンカーは、PEGを含み得る。例により、リンカーは、式:
【0146】
【化57】
[式中、nは、0~200の整数である]
を有する構造を含み得る。別の実施形態では、nは0~150、0~110、0~100、0~90、0~80、0~70、0~60、0~50、0~40、0~30、0~20、0~15、0~14、0~13、0~12、0~11、0~10、0~9、0~8、0~7、0~6、0~5、0~4、0~3、0~2、0~1、15~16、15~17、15~18、15~19、15~20、15~21、15~22、15~23、15~24、15~25、15~26、15~27、15~28、15~29、15~30、15~31、15~32、15~33、15~34、15~35、15~36、15~37、15~38、15~39、15~40、15~50、15~60、15~70、15~80、15~90、15~100、15~110、15~120、15~130、15~140、15~150の整数であり得るか、またはnは1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、50、60、70、80、90、100、108、110、120、130、140、または150であり得る。
【0147】
リンカーは、直接結合(例えばFITCのイソチオシアネート基とリガンドの遊離のアミン基の間の反応)であってもよく、または結合は仲介のリンカーを介してもよい。一実施形態では、存在する場合、仲介リンカーは、二価のリンカーのような当技術分野で公知の任意の生体適合性のリンカーであり得る。例示的な一実施形態では、リンカーは二価であり得る、および約1~約30個の炭素原子(例えば1~30個の炭素原子)を含み得る。別の例示的な実施形態では、二価のリンカーは、約2~約20個の炭素原子(例えば2~20個の炭素原子)を含み得る。他の実施形態では、低分子量の二価のリンカー(すなわち、約30ダルトン~約300ダルトンのおよその分子量を有するもの)が用いられる。別の実施形態では、好適であるリンカー長は、限定はされるものではないが、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39もしくは40、またはそれ以上の原子を有するリンカーを含む。
【0148】
二価のリンカーの例を表1に示し、(*)は、リガンド、標的化部分、または活性回復化合物(例えばTLR7/8アゴニスト)への接着点を示す。
【0149】
【0150】
【0151】
リンカー部分のための他の構造は:
【0152】
【化58】
[式中、nは0~200の整数である]
を含み得る。
【0153】
リンカーは、放出可能または放出不可能であり得る。用語「放出可能」は、リンカーの文脈では、例えば、薬剤不安定性、pH不安定性、酸不安定性、塩基不安定性、酸化的不安定性、代謝的不安定性、生化学不安定性、酵素不安定性またはp-アミノベンジルベースの多価の放出可能な結合の減少によるなど、生理学的条件下で破壊され得る(例えば化学的または酵素的に加水分解する)、少なくとも1つの結合を含むリンカーを意味する。結合破壊をもたらす生理学的条件が、必ずしも生物学的または代謝プロセスを含まず、かわりに標準的な化学反応、例えば生理学的pHで、または細胞質pHよりも低いpHを有するエンドソームのような細胞オルガネラへの区画化の結果として加水分解反応を含み得ることが認識される。切断可能な結合は、放出可能なリンカー内の2つの隣接する原子を接続することができ、および/または本明細書に記載されるように、他のリンカー部分または標的化部分および/または活性成分(例えばTLR7、TLR8、またはTLR7/8のアゴニスト)を、例えば放出可能なリンカーのいずれかのまたは両末端で接続することができる。一部の例では、放出可能なリンカーは、2つまたはそれ以上の断片に破壊される。一部の例では、放出可能なリンカーは、標的化部分から分けられる。ある特定の実施形態では、放出可能なリンカーを含むCAR T細胞活性回復コンジュゲートは、投与された場合、コンジュゲートがCAR発現細胞に進入する頃に、互いから放出される標的化部分およびアゴニストを生じる。
【0154】
反対に、用語「放出不可能」は、リンカーの文脈では、生理学的条件下で容易にまたはすぐに破壊されない少なくとも1つの結合を含むリンカーを意味する。一部の実施形態では、放出不可能なリンカーは、生理学的条件下で安定な骨格(例えば、骨格は、加水分解(水性加水分解または酵素的加水分解)に感受性ではない)を含む。一部の実施形態では、放出不可能なリンカーを含むCAR T細胞活性回復コンジュゲートのTLR7、TLR8、またはTLR7/8のアゴニストは、標的化部分から放出されない。一部の実施形態では、放出不可能なリンカーは、骨格のジスルフィド結合(例えばS-S)またはエステルを欠如する。一部の実施形態では、コンジュゲートは、コンジュゲートの循環の全期間、実質的に安定である骨格によって接続される標的化部分および活性成分(例えば、アゴニスト)を含む。放出不可能なリンカーは:アミド、エステル、エーテル、アミン、および/またはチオエーテル(例えばチオ-マレイミド)を含み得る。特定の例が本明細書で提供されるが、生理学的条件下で容易にまたはすぐに破壊されない少なくとも1つの結合が形成される限り、任意の分子が放出不可能なリンカーで使用され得ることが理解されるであろう。
【0155】
放出可能と放出不可能なリンカーの両方は、(例えばそれぞれのコンジュゲートおよび/またはその活性成分の)体内分布、生物学的利用能、およびPK/PDを最適化し、および/または当技術分野で一般に公知の、またはPEG化等によるなど以下に開発された方法に従って、(例えばそれぞれのコンジュゲートおよび/またはその活性成分の)標的化された細胞への取込みを増加するように操作され得る。
【0156】
コンジュゲート、およびその薬学的に許容される塩は、当業者によって実施される有機合成の従来の方法によって調製され得る。コンジュゲートの説明は、当業者に公知の化学結合の原理によって限定される。したがって、基は1つまたは複数の数の置換基によって置換されてもよく、そのような置換は、化学結合の原理に応じるように、ならびに本質的に不安定ではないおよび/または水性、中性、およびいくつかの公知の生理条件のような周囲条件下で不安定であるようであると当業者に公知の化合物を与えるように選択される。例えば、ヘテロシクロアルキルまたはヘテロアリールは、当業者に公知の化学結合の原理に従って環状ヘテロ原子を介して分子の残部に接着され、それにより本質的に不安定な化合物を避けることができる。
【0157】
コンジュゲート、およびその薬学的に許容される塩は、立体異性体として存在してもよい。したがって、様々な実施形態は、純粋な立体異性体またはコンジュゲートの立体異性体の混合物を含み得る。コンジュゲート、およびその薬学的に許容される塩は、水和形態を含む、非溶媒和形態および溶媒和形態でも存在し得る。一般に、溶媒和形態は、非溶媒和形態と等価であり、本開示の範囲内に包含される。
【0158】
用語「薬学的に許容される塩」は、その対イオンが薬学に使用され得るそれらの塩を指す。様々な実施形態では、そのような塩は、限定されるものではないが、1)塩酸、臭化水素酸、硝酸、リン酸、硫酸、および過塩素酸等のような無機酸、または酢酸、シュウ酸、(D)もしくは(L)リンゴ酸、マレイン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸またはマロン酸等のような有機酸との親化合物の遊離塩基の反応によって得ることができる酸付加塩;または2)親化合物に存在する酸性プロトンが、金属イオン、例えばアルカリ金属イオン、アルカリ土類イオン、またはアルミニウムイオンによって置き換えられるか;またはエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリメタミン、N-メチルグルカミン等のような有機塩基と配位するかのいずれかの場合に形成される塩を含む。薬学的に許容される塩は当業者に周知であり、任意のそのような薬学的に許容される塩は、本明細書に記載される実施形態と関連して検討される。
【0159】
様々な実施形態では、好適な酸付加塩は、非毒性塩を形成する酸から形成される。例示的な例は、酢酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベシル酸塩、重炭酸塩/炭酸塩、重硫酸塩/硫酸塩、ホウ酸塩、カンシラート、クエン酸塩、エジシル酸塩、エシレート、ギ酸塩、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、ヘキサフルオロリン酸塩、ヒベンズ酸塩、塩酸塩/塩化物塩、臭化水素酸塩/臭化物塩、ヨウ化水素酸塩/ヨウ化物塩、イセチオン酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メシル酸塩、メチル硫酸塩、ナフチル酸塩(naphthylate)、2-ナプシル酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オロチン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、リン酸塩/リン酸水素/リン酸二水素、糖酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、トシル酸塩およびトリフルオロ酢酸塩を含む。
【0160】
様々な実施形態では、好適な塩基付加塩は、非毒性塩を形成する塩基から形成される。例示的な例としては、アルギニン、ベンザチン、カルシウム、コリン、ジエチルアミン、ジオラミン、グリシン、リジン、マグネシウム、メグルミン、オラミン、カリウム、ナトリウム、トロメタミンおよび亜鉛の塩が挙げられる。酸および塩基の半塩(hemisalt)、例えばヘミ硫酸塩およびヘミカルシウム塩が形成されてもよい。
【0161】
上記を考慮して、医薬組成物がさらに提供される。ある特定の実施形態では、医薬組成物は、CAR T細胞活性回復コンジュゲートおよび薬学的に許容される担体を含む。
【0162】
本明細書で使用される場合、用語「組成物」は、通常、本明細書に記載のコンジュゲートを含む、1つより多くの成分を含む任意の産物を指す。組成物は、単離された化合物(すなわち、コンジュゲート;「化合物」および「コンジュゲート」は本明細書で交換可能に使用される)からまたは塩、溶液、水和物、溶媒和物、およびCAR T細胞活性回復コンジュゲートの他の形態から調製され得る。ある特定の官能基、例えばヒドロキシ、アミノ、およびそのような基が、化合物の様々な物理的形態で、水および/または様々な溶媒と複合体を形成し得る。ある特定の状況では、化合物(および化合物を含む組成物)は、様々な非晶質、非非晶質、部分的に結晶、結晶、および/または化合物の他の形態型から調製することができ、組成物は、化合物の様々な水和物および/または溶媒和物から調製することができることは理解されるであろう。したがって、コンジュゲートを表す医薬組成物は、化合物の様々な形態型および/または溶媒和物もしくは水和物形態のそれぞれ、またはその任意の組合せ、またはその個々の形態を含む。
【0163】
化合物および組成物は、1つまたは複数の薬学的に許容される担体、アジュバント、希釈剤、賦形剤、および/またはビヒクル、ならびにこれらの組合せを含有する単位剤形および/または組成物で投与され得る。用語「投与すること」およびその形成は、通常、対象の細胞、組織、器官、または生体液へと本明細書に記載される化合物および組成物を導入する任意のおよび全ての手段を指す。
【0164】
本明細書で使用される場合、「対象」は、哺乳動物、好ましくはヒトであるが、非ヒト動物であってもよい(限定されないが、実験動物、農業動物、飼育動物、または野生動物を含む)。したがって、方法、化合物、および組成物は、ヒトおよび獣医学両方の疾患ならびに適用に適用可能である。様々な態様では、対象は、齧歯類(例えば、マウス、ラット、ハムスター等)、ウサギ、サル、チンパンジーのような実験動物、イヌ、ネコ、もしくはウサギのような飼育動物、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、もしくはヤギのような農業動物、またはクマ、パンダ、ライオン、トラ、レオパード、ゾウ、シマウマ、キリン、ゴリラ、イルカ、またはクジラのような捕獲された野生動物であり得る。ある特定の実施形態では、対象は「患者」、すなわち疾患または状態のための医学的処置を受ける生きたヒトまたは動物であり、病変の兆候を評価している疾病を定義されていないヒトまたは動物を含む。ある特定の実施形態では、本明細書の方法を使用して処置され得る対象は、がんを有するかまたはがんを有するリスクがあるとして同定または選択された対象を含む。そのような同定および/または選択は、臨床または診断評価によって行われ得る。
【0165】
化合物は、医薬組成物として製剤化され、および/または選択した投与の経路に適応した様々な形態で、対象、例えばヒト患者に投与され得る。実際、当技術分野で公知の任意の好適な投与の方法が使用され得る。一態様では、化合物、もしくはその薬学的に許容される塩、または化合物および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物は、従来の非毒性の薬学的に許容される担体、アジュバント、およびビヒクルを含有する単位剤形および/または製剤で投与され得る。
【0166】
さらに、化合物、もしくはその薬学的に許容される塩は、血流に、筋肉に、または内臓器官に直接投与され得る。様々な実施形態では、そのような非経口投与に好適な経路は、静脈内、動脈内、腹腔内、くも膜下腔内、硬膜外、脳室内、尿道内、胸骨下、頭蓋内、腫瘍内、筋肉内および皮下送達を含む。一実施形態では、非経口投与のための手段は、針(極微針を含む)注射器、針なし注射器および注入技術を含む。その化合物および組成物は、同様に所望の投与様式のために製剤化され得る。
【0167】
例えば、非経口製剤は、典型的には水溶液であり、塩、炭水化物および緩衝剤のような担体または賦形剤を(好ましくは3~9のpHで)含有し得るが、好適な場合、滅菌、パイロゲンフリー水または滅菌生理食塩水のような好適なビヒクルと組み合わせて使用される滅菌非水溶液として、または乾燥形態として製剤化されてもよい。他の実施形態では、本明細書に記載される任意の液体製剤は、非経口投与に適用され得る。非経口製剤のための滅菌凍結乾燥粉末を産生する凍結乾燥による、滅菌条件下での調製は、当業者に周知の標準的な薬学的技術を使用して容易に達成され得る。非経口製剤の調製で使用される化合物、またはその薬学的に許容される塩の可溶性は、適切な製剤技術、例えば可溶性増強剤の組込みの使用によって増加され得る。
【0168】
注射または注入に好適である化合物の医薬剤形は、滅菌注射可能もしくは注入可能溶液または分散液の即席の調製のために適用される活性成分を含む滅菌水溶液、分散液または滅菌粉末を含むことができ、場合によりリポソームにカプセル化される。全ての場合では、最終的な剤形は、製造および保存の条件下で滅菌、液体、および安定であるはずである。液体担体またはビヒクルは、例えば、限定されないが、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液体PEG等)、野菜油、非毒性グリセリルエステル、および/またはそれらの好適な混合物を含む、溶媒または液体分散培地であり得る。少なくとも一実施形態では、適切な流動性は、リポソームの形成により、分散剤の場合に必要とされる粒子サイズの維持により、または界面活性剤の使用により維持され得る。微生物の作用は、様々な抗菌剤、抗真菌剤、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサール等の添加によって防ぐことができる。ある特定の場合では、1つまたは複数の等張剤、例えば糖、緩衝剤、または塩化ナトリウムを含むことが望ましいこともある。注射可能な組成物の吸収の延長は、吸収を遅らせるために配合された薬剤、例えばモノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンの組み入れによってもたらされ得る。
【0169】
滅菌注射可能溶液は、上記の1つまたは複数の他の成分を含む、必要量の適切な溶媒中に活性成分の組み入れ、必要な場合、その後濾過滅菌により調製され得る。滅菌注射可能溶液の調製のための滅菌粉末の場合では、調製の好ましい方法は、真空乾燥および凍結乾燥技術であり、先に滅菌濾過した溶液中に存在する活性成分と任意の追加の所望の成分の粉末を産生する。
【0170】
化合物の有用な投与量は、動物モデルにおけるそれらのin vitro活性およびin vivo活性を比較することにより決定され得る。マウスおよび他の動物で有効な投与量のヒト対象への推定の方法は、当技術分野で公知である。実際、化合物の投与量は、対象の状態、処置されるがん種、病理がどのくらい進行しているか、化合物の投与の経路および組織分布、ならびに他の治療処置(例えば、放射線療法または併用療法での追加の薬物)の共利用の可能性によって著しく変わり得る。処置での使用のために必要な組成物および/または化合物の量(例えば、治療または予防有効量または用量)は、特定の適用によってだけではなく、選択された塩(適用可能であれば)および対象の特徴(例えば年齢、状態、性別、対象の体表面積および/または体重、薬物に対する耐性)によっても変わり、最終的に担当医師、臨床医、またはその他の裁量であろう。「治療有効量」または「予防有効量」は、所望の応答を誘導するのに十分である試薬または医薬組成物の量として定義される。
【0171】
対象に投与される、化合物、またはその薬学的に許容される塩の量は、処置されるがん、化合物、またはその薬学的に許容される塩の投与の経路、および組織分布に応じて著しく変わり得る。対象に投与される量は、体表面積、体重、および医師のアセスメントに基づき得る。
【0172】
様々な実施形態では、投与される量は、例えば約0.05mg~約30mg、約0.05mg~約25.0mg、約0.05mg~約20.0mg、約0.05mg~約15.0mg、約0.05mg~約10.0mg、約0.05mg~約9.0mg、約0.05mg~約8.0mg、約0.05mg~約7.0mg、約0.05mg~約6.0mg、約0.05mg~約5.0mg、約0.05mg~約4.0mg、約0.05mg~約3.0mg、約0.05mg~約2.0mg、約0.05mg~約1.0mg、約0.05mg~約0.5mg、約0.05mg~約0.4mg、約0.05mg~約0.3mg、約0.05mg~約0.2mg、約0.05mg~約0.1mg、約0.1mg~約2mg、約0.3mg~約10mg、約0.1mg~約20mg、または約0.8mg~約3mgの範囲であり得る。当業者は、用量が上記の因子に基づいて上記で提供される様々な範囲内で変わり得るおよび医師の裁量であり得ることを容易に認識するであろう。
【0173】
他の実施形態では、化合物、またはその薬学的に許容される塩の用量は、例えば、対象の体重の約50nmole/kg~約3,000nmole/kg、対象の体重の約50nmole/kg~約2,800nmole/kg 約50nmole/kg~約2,600nmole/kg 約50nmole/kg~約2,400nmole/kg 約50nmole/kg~約2,200nmole/kg 約50nmole/kg~約2,100nmole/kg 約50nmole/kg~約2,000nmole/kg、約50nmole/kg~約1,000nmole/kg、約50nmole/kg~約900nmole/kg、約50nmole/kg~約800nmole/kg、約50nmole/kg~約700nmole/kg、約50nmole/kg~約600nmole/kg、約50nmole/kg~約500nmole/kg、約50nmole/kg~約400nmole/kg、約50nmole/kg~約300nmole/kg、約50nmole/kg~約200nmole/kg、約50nmole/kg~約100nmole/kg、約100nmole/kg~約300nmole/kg、約100nmole/kg~約500nmole/kg、約100nmole/kg~約1,000nmole/kg、約100nmole/kg~約2,000nmole/kgの範囲であり得る。他の実施形態では、用量は、対象の体重の約1nmole/kg、約5nmole/kg、約10nmole/kg、約20nmole/kg、約25nmole/kg、約30nmole/kg、約40nmole/kg、約50nmole/kg、約60nmole/kg、約70nmole/kg、80nmole/kg、約90nmole/kg、約100nmole/kg、約150nmole/kg、約200nmole/kg、約250nmole/kg、約300nmole/kg、約350nmole/kg、約400nmole/kg、約450nmole/kg、約500nmole/kg、約600nmole/kg、約700nmole/kg、約800nmole/kg、約900nmole/kg、約1,000nmole/kg、約2,000nmole/kg、約2,500nmole/kgまたは約3,000nmole/kgであり得る。さらに他の実施形態では、用量は、対象の体重の約0.1nmole/kg、約0.2nmole/kg、約0.3nmole/kg、約0.4nmole/kg、または約0.5nmole/kg、約0.1nmole/kg~約1,000nmole/kg、約0.1nmole/kg~約900nmole/kg、約0.1nmole/kg~約850nmole/kg、約0.1nmole/kg~約800nmole/kg、約0.1nmole/kg~約700nmole/kg、約0.1nmole/kg~約600nmole/kg、約0.1nmole/kg~約500nmole/kg、約0.1nmole/kg~約400nmole/kg、約0.1nmole/kg~約300nmole/kg、約0.1nmole/kg~約200nmole/kg、約0.1nmole/kg~約100nmole/kg、約0.1nmole/kg~約50nmole/kg、約0.1nmole/kg~約10nmole/kg、または約0.1nmole/kg~約1nmole/kgであり得る。他の実施形態では、用量は、対象の体重の約0.3nmole/kg~約1,000nmole/kg、約0.3nmole/kg~約900nmole/kg、約0.3nmole/kg~約850nmole/kg、約0.3nmole/kg~約800nmole/kg、約0.3nmole/kg~約700nmole/kg、約0.3nmole/kg~約600nmole/kg、約0.3nmole/kg~約500nmole/kg、約0.3nmole/kg~約400nmole/kg、約0.3nmole/kg~約300nmole/kg、約0.3nmole/kg~約200nmole/kg、約0.3nmole/kg~約100nmole/kg、約0.3nmole/kg~約50nmole/kg、約0.3nmole/kg~約10nmole/kg、または約0.3nmole/kg~約1nmole/kgであり得る。
【0174】
様々な他の実施形態では、化合物、またはその薬学的に許容される塩の用量は、例えば、約10nmole/kg~約10,000nmole/kg、約10nmole/kg~約5,000nmole/kg、約10nmole/kg~約3,000nmole/kg、約10nmole/kg~約2,500nmole/kg、約10nmole/kg~約2,000nmole/kg、約10nmole/kg~約1,000nmole/kg、約10nmole/kg~約900nmole/kg、約10nmole/kg~約800nmole/kg、約10nmole/kg~約700nmole/kg、約10nmole/kg~約600nmole/kg、約10nmole/kg~約500nmole/kg、約10nmole/kg~約400nmole/kg、約10nmole/kg~約300nmole/kg、約10nmole/kg~約200nmole/kg、約10nmole/kg~約150nmole/kg、約10nmole/kg~約100nmole/kg、約10nmole/kg~約90nmole/kg、約10nmole/kg~約80nmole/kg、約10nmole/kg~約70nmole/kg、約10nmole/kg~約60nmole/kg、約10nmole/kg~約50nmole/kg、約10nmole/kg~約40nmole/kg、約10nmole/kg~約30nmole/kg、約10nmole/kg~約20nmole/kg、約200nmole/kg~約900nmole/kg、約200nmole/kg~約800nmole/kg、約200nmole/kg~約700nmole/kg、約200nmole/kg~約600nmole/kg、約200nmole/kg~約500nmole/kg、約250nmole/kg~約600nmole/kg、約300nmole/kg~約600nmole/kg、約300nmole/kg~約500nmole/kg、または約400nmole/kg~約600nmole/kgの範囲であり得る。
【0175】
様々な他の実施形態では、化合物、もしくはその薬学的に許容される塩の用量は、例えば、約1nmole/kg~約10,000nmole/kg、約1nmole/kg~約5,000nmole/kg、約1nmole/kg~約3,000nmole/kg、約1nmole/kg~約2,500nmole/kg、約1nmole/kg~約2,000nmole/kg、約1nmole/kg~約1,000nmole/kg、約1nmole/kg~約900nmole/kg、約1nmole/kg~約800nmole/kg、約1nmole/kg~約700nmole/kg、約1nmole/kg~約600nmole/kg、約1nmole/kg~約500nmole/kg、約1nmole/kg~約400nmole/kg、約1nmole/kg~約300nmole/kg、約1nmole/kg~約200nmole/kg、約1nmole/kg~約150nmole/kg、約1nmole/kg~約100nmole/kg、約1nmole/kg~約90nmole/kg、約1nmole/kg~約80nmole/kg、約1nmole/kg~約70nmole/kg、約1nmole/kg~約60nmole/kg、約1nmole/kg~約50nmole/kg、約1nmole/kg~約40nmole/kg、約1nmole/kg~約30nmole/kg、または約1nmole/kg~約20nmole/kgの範囲であり得る。
【0176】
別の実施形態では、約20μg/kg体重~約3mg/kg体重の化合物、もしくはその薬学的に許容される塩が、対象に投与され得る。別の態様では、量は、約0.2mg/kg体重~約0.4mg/kg体重であってもよく、または約50μg/kg体重であってもよい。
【0177】
他に指定しない限り、本明細書に記載される全ての投与量の実施形態では、「kg」は対象の体重のキログラムである。
【0178】
単回用量または複数回用量の化合物、もしくはその薬学的に許容される塩が、対象に投与され得る。
【0179】
当技術分野で公知の任意の適用可能な投与スケジュールは、化合物、その薬学的に許容される塩、またはそれを含む医薬組成物の投与のために使用され得る。例えば、1日1回投与(a.k.a qd)、1日2回投与(a.k.a bid)、1日3回投与(a.k.a tid)、1週間に2回投与(a.k.a BIW)、1週間に3回投与(a.k.a TIW)、1週間に1回投与等が使用され得る。一態様では、選択された投与スケジュールは、投与される化合物/組成物の濃度(例えば、投与されるCAR-T細胞の数を含む)を考慮することができる。
【0180】
「がん」は、本明細書に照らして読まれる場合、その明白なおよび通常の意味を有し、限定されるものではないが、身体の他の部位に侵入または拡散する能力を有する異常な細胞増殖を含む疾患の群を含み得る。限定されないが、癌腫、肉腫、骨肉腫、リンパ腫、黒色腫、中皮腫、鼻咽頭癌、白血病、腺癌、および骨髄腫を含む、多くの種類のがんが、本明細書に記載される組成物、化合物、および方法を使用して処置され得る。他の、およびおそらくより具体的には、方法および/または本明細書の化合物および組成物の使用によって処置され得るがんの例としては、限定されるものではないが、肺がん(限定されないが、非小細胞性肺がんを含む)、骨がん(限定されないが、骨肉腫を含む)、膵臓がん、皮膚がん(限定されないが、皮膚黒色腫を含む)、頭部のがん、頸部のがん、眼球内黒色腫、子宮がん、卵巣がん、子宮内膜がん、直腸がん、胃がん、大腸がん、乳がん、三重陰性乳がん、卵管の癌、子宮頸部の癌、膣の癌、外陰の癌、ホジキン病、食道のがん、小腸のがん、内分泌系のがん、甲状腺のがん、副甲状腺のがん、副腎のがん、軟部組織の肉腫、尿道のがん、前立腺がん、白血病(限定されないが、慢性白血病、急性白血病、急性骨髄性白血病、リンパ球性リンパ腫、骨髄性白血病、骨髄単球性白血病、およびヘアリー細胞白血病を含む)、胸膜中皮腫、膀胱のがん、バーキットリンパ腫、尿管のがん、腎臓のがん(限定されないが、腎細胞癌を含む)、腎盂の癌、中枢神経系(CNS)の新生物、CNS原発リンパ腫、脊椎軸腫瘍、脳幹神経膠腫、下垂体腺腫、および胃食道接合部の腺癌を含む。
【0181】
これらの実施形態の一部の態様では、がんは、葉酸受容体を発現するがん、例えば、限定されないが、葉酸受容体αを発現するがんである。他の実施形態では、がんは、葉酸受容体βを発現するがんである。これらの実施形態の一部の態様では、がんは子宮内膜がん、非小細胞性肺がん、卵巣がん、または三重陰性乳がんである。
【0182】
処置されるがんは腫瘍であり得る。別の実施形態では、がんは悪性腫瘍であり得る。別の実施形態では、がんは、例えばがんが葉酸受容体-βを発現する急性骨髄性白血病のような急性骨髄性白血病である。
【0183】
本明細書で言及した全ての特許、特許出願公開、学術論文、テキスト、および他の論文は、本開示が関連する当業者のレベルの指標である。全てのそのような論文は、各個々の論文が特におよび個々に参照によって組み込まれることが示されたように、同程度まで参照によって本明細書に組み込まれる。
【0184】
上記の説明では、多くの特定の詳細が記載され、本開示の全体理解を提供する。特定の実施例は、これらの特定の詳細の一部または全て無しで実施されてもよく、本開示が特定の生物系、特定のがん、または特定の器官または組織に限定されず、もちろん、変わり得るが、本明細書で提供されるデータを考慮して適用可能なままであることが理解される。
【0185】
さらに、本開示の様々な技術およびメカニズムは、時々、2つの成分間の接続または連結を記載する。屈折形態素を有する接着した、連結した、結合した、接続したのような言葉、および類似の用語は、違いが記載されるかまたはそうでなければ文脈から明らかにされない限り、交換可能に使用される。これらの言葉および表現は、必ずしも直接接続を意味しないが、成分の媒介を通す接続を含む。2つの成分の間の接続は、様々な他の成分が記載した2つの成分間にあり得る場合、必ずしも直接、無妨害の接続を意味しないことに注意すべきである。結果として、接続は、他に記載しない限り、必ずしも直接、無妨害の接続を意味しない。
【0186】
さらに、本開示が、単に説明目的のためにこの方法で提示され、本明細書に記載される原理および実施形態は、本明細書に特に記載される以外の構成を有する化合物および/または組成物成分に適用され得ることが理解されるであろう。実際、本開示の組成物および化合物の成分が、それらの所望の適用の促進に合わせられ得ることが特に考えられる。
【0187】
他に規定しない限り、本明細書で使用される全ての技術および科学用語は、化学および生物学分野で当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと類似のまたは等価な任意の方法および材料は、本出願の対象の実施または試験に使用されてもよく、好ましい方法および材料が本明細書に記載される。さらに、本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、文脈が他に明確に指定しない限り、複数の参照を含む。したがって、例えば、化合物/組成物が、「1つの(an)」アルキルまたはアリールによって置換される場合、化合物/組成物は、場合により、少なくとも1つのアルキルおよび/または少なくとも1つのアリールによって置換される。
【0188】
物理的特性、例えば分子量、または化学特性、例えば化学式について範囲が本明細書で使用される場合、範囲の全ての組合せおよび部分的組合せならびにその特定の実施形態が含まれることが意図される。
【0189】
さらに、用語「約(about)」は、数、数値または範囲(例えば、全数、画分、およびパーセンテージを含む)を参照する場合、参照される数または数値範囲は、実験的な変化性内(または統計的実験誤差内)の近似値であり、したがって、当業者が記載した値と等価である(例えば同じ機能または結果を有する)と考える限り、数値または範囲は、記載した数または数値範囲の1%と15%(例えば、記載した値の+/-5%~15%)の間で変わり得る。用語「含む(comprising)」(および「含む(comprise)」または「含む(comprises)」または「有する(having)」または「含む(including)」のような関連用語)は、本明細書に記載される他のある特定の実施形態、例えば任意の化合物、物質の組成、組成物、方法、またはプロセス等の実施形態を除外することを意図せず、記載した特徴「からなる(consist of)」または「本質的にからなる(consist essentially of)」ことがある。用語「実質的に」は、記載した値の、または記載した範囲の限界の、例えば、90%以内、95%以内、または99%以内の値または範囲のある程度の変化性も可能にし得る。
【0190】
治療の方法が、1つより多くの処置、化合物、または組成物を対象に投与するステップを含み、投与の順序、タイミング、数、濃度、および容積が、医学的要求および処置の限界によってのみ限定されることが理解されるであろう(すなわち、例えば同時に、連続して、順番に、代わりに、または任意の他のレジメンに従って2つの処置が対象に投与され得る)。
【0191】
さらに、代表的な実施形態の記載において、本開示は、ステップの特定の順序として方法および/またはプロセスを提示してもよい。方法またはプロセスが、本明細書に記載のステップの特定の順番によらない限り、方法またはプロセスは記載されるステップの特定の順序に限定されないはずである。当業者が認識するように、ステップの他の順序も可能である。したがって、本明細書に開示されるステップの特定の順番は、特許請求の範囲の限定として結論付けられないはずである。さらに、方法および/またはプロセスを対象とする特許請求の範囲は、記載された順番でのそれらのステップの実施に限定されないはずであり、当業者は、順序が変わり得るが依然として本開示の趣旨および範囲内にあることを容易に理解できる。
【0192】
したがって、本明細書および添付の特許請求の範囲が、本開示に基づいて当業者に明らかである全ての改変および変更を包含することが意図される。
【実施例】
【0193】
以下の実施例は、本開示を例示するためのものである。実施例は、いずれによっても特許請求した本発明の範囲を限定することを意図しない。
【0194】
[実施例1]
がん細胞株およびヒト抗フルオレセインCAR T細胞の生成
MDA-MB-231細胞およびKB細胞は、American Type Culture Collection(ATCC)から得た。熱不活性化した10%ウシ胎仔血清(FBS)および1%ペニシリン-ストレプトマイシンを含有する葉酸フリーのRPMI1640(Gibco;Thermo Fisher Scientific、Waltham、MA)を使用して、両細胞株を培養した。安定なmCherry発現MDA-MB-231細胞を得るため、MDA-MB-231細胞を、まずレンチウイルスベクター(pLv-NLS-mCherry-puro;Vector Builder、Chicago、IL)によって形質導入し、次いで、ピューロマイシン含有培地中で陽性クローンを選択した。
【0195】
ヒト抗フルオレセインキメラ抗原受容体(CAR)T細胞の生成のため、末梢血単核細胞(PBMC)を、インフォームドコンセント後に、Ficoll(GE Healthcare Life Sciences、Piscataway、NJ)密度勾配遠心分離によって新しいヒト末梢血試料から単離した。次いで、CD3+T細胞を回収し、EasySep Human T-Cell Isolation Kit(STEMCELL Technologies、Vancouver、Canada)を使用して濃縮し、ヒト抗フルオレセインCAR T細胞を、公知のレンチウイルスベクタープロトコールに従って生成した。全ての細胞は、37℃、5%CO2下で維持し、マイコプラズマの夾雑を定期的に試験した。
【0196】
[実施例2]
ヒトT細胞におけるTLR7の発現の解析
Toll様受容体7(TLR7)が初代ヒトT細胞において発現されるかどうか決定するため、新しく単離したCD3+T細胞を、製造業者の説明書(In(TRacellular Flow Cytome(TRy Staining Protocol、BioLegend、San Diego、CA)に従って、固定および透過処理し、Alexa Fluor 488抗TLR7(IC5875G、R&D Systems、Minneapolis、MN)によって染色した。次いで、細胞をIn(TRacellular Staining Permeabilization Wash Buffer(BioLegend、San Diego、CA)によって2回洗浄し、フローサイトメトリーによる解析の前に、1×リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中に再懸濁した。
【0197】
[実施例3]
in vi(TRoおよびin vivoでの抗フルオレセインCAR T細胞へのフルオレセイン-NIR色素結合の解析
抗フルオレセインCAR T細胞(陰性対照としてMDA-MB-231細胞またはKB細胞と共に)を、1000倍過剰なフルオレセインナトリウム(10μM)の存在下または不在下でのインキュベーションの前に、室温で1時間、フルオレセイン近赤外線(NIR)色素(10nM)とインキュベートした。次いで、細胞をPBSで3回洗浄し、NIR色素蛍光をフローサイトメトリーによって測定した。
【0198】
フルオレセイン-NIR色素コンジュゲート(10nM)の不在下(
図3AのラベルA)もしくは存在下(
図3AのラベルB)、またはフルオレセイン-NIR色素コンジュゲート+1000倍過剰なフルオレセイン(
図3AのラベルC)の両方の存在下での抗フルオレセインCAR T細胞のフローサイトメトリーは、1000倍過剰なフルオレセインの添加によって定量的にブロックされ得る方法で、フルオレセイン-NIR色素コンジュゲートが、抗フルオレセインCAR T細胞に結合することを実証した。
【0199】
さらに、NSGマウスは、一方の脇腹に100万個のKB細胞を移植し、KB腫瘍容積が、~50mm3に達すると、抗フルオレセインCAR T細胞(~50%の抗フルオレセインCAR T細胞を含有する8×106個の細胞)を注入した。フルオレセイン-葉酸塩(500nmol/kg)を、4時間後と24時間後に、およびその後、週1回注射した。CAR T細胞注入の15日後、マウスに500nmol/kgのフルオレセイン-NIR色素を尾静脈注射した。4時間後に腫瘍を解離し、フルオレセイン-NIR色素の取込みについてフローサイトメトリーによって解析した。CD3+T細胞を、APC-Cy7チャネルで抗ヒトCD3によって検出し、緑色蛍光タンパク質(GFP)-トランスフェクト抗フルオレセインCAR T細胞を、GFPチャネルを使用して検出した。
【0200】
図3Bに示すように、CAR陰性細胞(例えば、MDA-MD-231細胞およびKB細胞)は、フルオレセイン色素コンジュゲート(10nM)の結合部位を発現しない。対照的に、共焦点顕微鏡評価は、フルオレセイン-Alexafluor 647コンジュゲートが、抗フルオレセイン細胞表面受容体を有するCAR T細胞によってエンドサイトーシスされることを示す(
図3Cは、4℃で1時間のインキュベーション後のAlexafluor647のエンドサイトーシスを示すが、
図3Dは、37℃で4時間へのCAR T細胞への移行後のAlexafluor647のエンドサイトーシスを示す)。横棒=10μm。
【0201】
[実施例4]
CAR T細胞消耗の刺激およびin vi(TRoでの消耗の回復
CAR T細胞消耗を誘導するため、抗フルオレセインCAR T細胞(10
4個/ウェル)を、葉酸フリーのRPMI1640培地中の葉酸受容体発現mCherry+MDA-MB-231細胞(10
4個/ウェル)に添加し、その後、mCherry+MDA-MB-231細胞のCAR T細胞媒介死滅を、10nM フルオレセイン葉酸塩の添加によって開始した。次いで、その後12時間毎に、抗フルオレセインCAR T細胞を、mCherry+MDA-MB-231細胞(10
4個/ウェル)の新しいフラスコに移し、
図5Aに示したように腫瘍抗原への連続的な曝露を確実にした。抗フルオレセインCAR T細胞の画分を、12時間後(第1ラウンド)、24時間後(第2ラウンド)、および36時間後(第3ラウンド)に回収し、フローサイトメトリーによって、消耗マーカーPD-1、TIM3、およびLAG3の発現を解析した。CAR T細胞は、それらがPD-1、TIM3およびLAG3を同時に発現した場合に消耗したと考えられた。
図5Cに示すように、T細胞消耗マーカーPD-1、TIM3、およびLAG3が増加した。生mCherry+(MDA-MB-231)細胞の数は、4時間毎にIncucyte S3によって数え、がん細胞死滅効率を算出するために使用した。
図5Bに示すように、MDA-MB-231細胞を死滅させる抗フルオレセインCAR T細胞の能力は減少した。
【0202】
消耗したCAR T細胞の活性回復の評価のため、消耗状態の第3ラウンドの開始時に、CAR T細胞とMDA-MB-231細胞を組み合わせた培養を、0.01~100nMの範囲の濃度の所望の活性回復化合物と終夜インキュベートした。次いで、CAR T細胞は、それらのがん細胞死滅効率を定量し、それらのPD-1、TIM3およびLAG3の発現を解析することによって活性回復を評価した。
【0203】
消耗した抗フルオレセインCAR T細胞の活性回復は、標的化または非標的化TLR7-1aのいずれかとのインキュベーションによって実証した。
図5Eに示すように、T細胞消耗マーカー(プログラム細胞死タンパク質1(PD-1+)、T細胞免疫グロブリンおよびムチンドメイン含有-3(TIM3
+)、およびリンパ球活性化3(LAG3
+))が減少した。さらに、
図5Dに示すように、MDA-MB-231細胞を死滅させる抗フルオレセインCAR T細胞の能力は増加した。示したデータは、ベースラインレベル(すなわち、ビヒクル(ジメチルスルホキシド(DMSO)処置))を超えるマーカーの変化を示す。棒グラフは、平均±SD、n=3を表す。
【0204】
ヒトCD3+T細胞は、
図4に示すように、異なる濃度のTLR7-54またはTLR7-1aアゴニストのいずれかの投与時に活性化された。
図4Aは、フローサイトメトリーによって測定した、漸増濃度のTLR-54またはTLR7-1aの不在下または存在下で、抗CD3+モノクローナル抗体(mAb)により、単離したヒト末梢血CD3+T細胞が刺激された後のCD69+細胞のパーセント増加を示す。
図4Bは、フローサイトメトリーによって測定した、漸増濃度のTLR-54またはTLR7-1aの不在下または存在下で、抗CD3+mAbにより、単離したヒト末梢血CD3+T細胞が刺激された後のCD25+細胞のパーセント増加を示す。
図4Cは、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)によって測定した、刺激したT細胞の24時間での無細胞上清中のインターフェロンガンマ(INF-γ)のレベルを示す。
図4Dは、ELISAによって測定した、刺激したT細胞の24時間での無細胞上清中の腫瘍壊死因子アルファ(TNF-α)のレベルを示す。示したデータは、ベースラインレベル(すなわち、ビヒクル(DMSO処置))を超えるこれらのパラメーターの増加を支持する。棒グラフは、平均±SD、n=3を表す。
【0205】
[実施例5]
フルオレセイン-TLR7-1aコンジュゲートの静脈注射後のin vivoでの抗フルオレセインCAR T細胞の活性回復
マウスは、10
6個のKB細胞を-7日目に皮下注射し、次いで、8×10
6個の抗フルオレセインCAR T細胞を1日目に注入した処置群を含む、4つの群に分けた。対照群は、CAR T細胞を受けなかった。6時間、24時間および9日後、2つの処置群のマウスにフルオレセイン-葉酸塩を静脈内注射し、葉酸受容体陽性KBがん細胞とCAR T細胞の結合を誘導した。その後、処置群のマウスを2つのコホートに分け、4~7日目および11~14日目に、処置群の第2コホートのマウスに、フルオレセイン-TLR7-1aを静脈内注射した。in vivo試験のタイムラインを
図8Aに示す。
【0206】
腫瘍容積(
図8B)および動物の体重変化(
図8C)を3日毎に測定した。CAR T+フルオレセイン-葉酸塩+フルオレセイン-TLR7-1aによって処置したコホートは、全ての他の群(対照と処置群の他のコホートの両方)と比較して、遅延した腫瘍増殖を示した。CAR T+フルオレセイン-葉酸塩+フルオレセイン-TLR7-1aによって処置したコホートは、CAR T+フルオレセイン-葉酸塩によって処置したコホートと比較して、無視できるパーセント体重変化を示した。
【0207】
16日目に腫瘍を切除し、成分細胞へと解離し、ヒトCD3+T細胞を、全ての腫瘍細胞(
図8D)のパーセンテージとして決定した。全てのヒトCD3+T細胞のパーセンテージとしてPD-1+TIM3+細胞も決定し(
図8E)、抗フルオレセインCAR T細胞処置群において骨髄マーカーF4/80およびCD11bも発現するCD206+細胞に対するマウスCD86+細胞の比も示す(
図8F)。TLR7-1aの本発明者らの標的化送達は、骨髄細胞に影響することなく、消耗したCAR T細胞の活性回復に成功した。全てのデータは、平均±SEMとしてプロットした。示したデータは、少なくとも2つの独立した実験の提示である。データは、二元配置分散分析(ANOVA)によって解析した(
**p<0.01;n.s.=顕著ではない)。
【0208】
[実施例6]
フルオレセイン-TLR7-1aコンジュゲートの存在下および不在下での固形KBおよびMDA-MB-231細胞腫瘍のCAR T細胞根絶の比較
8週齢から10週齢のNSGマウス(Jackson Lab 株番号005557;The Jackson Laboratory、Bar Harbor、ME)は、野生のヒトおよびマウスにおけるのと同様のレベルに、それらの血清葉酸濃度を減少させるため、葉酸欠乏食(TD.95247、Envigo、Indianapolis、IN)に、到着時に移した。1週間後、マウスは、同じマウスの別の脇腹に~106個のKB細胞および400万個のMDA-MB-231細胞を皮下移植された。KB腫瘍が80mm3に達し、MDA-MD-231腫瘍が~160mm3に達するまで、腫瘍を約2週間増殖させた(すなわち、それらの異なる増殖速度を調整する)。次いで、マウスに、生理食塩水または8×106個の抗フルオレセインCAR T細胞を静脈注射し、その後、CAR T細胞注入後4時間と24時間の両方に、500nmol/kgのフルオレセイン葉酸塩を注射した。
【0209】
CAR T細胞注入の4日後、CAR T細胞処置したマウスは、活性回復群(フルオレセイン-TLR7処置)と対照群(生理食塩水処置)に分けた。フルオレセイン-TLR7処置したコホートは、500nmol/kgのフルオレセイン-TLR7を4×/週で受けたが、対照群は、同じスケジュールで等容積の生理食塩水を受けた。腫瘍容積は、式(l×w2)/2(「l」は腫瘍の最長の幅であり、「w」は最長のトランセプトに対して垂直の寸法である)を使用してcaliperによって同時に測定した。
【0210】
18日目に、マウスを屠殺し、ヒト腫瘍解離キット(130-095-929、MeMiltenyi Biotec、Bergisch Gladbach、Germany)を使用して腫瘍断片を解離した。生じる単一細胞の懸濁液は、ヒトCD3(抗CD3-APC-Cy7、BioLegend、Sand Diego、CA)、PD-1(抗PD-1-PE、BioLegend、Sand Diego、CA)、TIM3(抗TIM3-PE-Cy7、BioLegend、Sand Diego、CA)、マウスCD11b(抗CD11b-PE、BioLegend、Sand Diego、CA)、F4/80(抗F4/80-APC-Cy7、BioLegend、Sand Diego、CA)、M2マクロファージマーカーCD206(抗CD206-APC、BioLegend、Sand Diego、CA)、およびM1マクロファージマーカーCD86(抗CD86-PE-Cy7、BioLegend、Sand Diego、CA)について染色した。次いで、全ての試料を、フローサイトメトリーによって解析した。
【0211】
図6は、MDA-MB-231腫瘍およびKB腫瘍の増殖および免疫特性への、抗フルオレセインCAR T細胞療法の効果を示す。
図6Aは、未処置のまま(点線)または抗フルオレセインCAR T細胞とフルオレセイン-葉酸塩二重特異性アダプターの両方による処置(実線)のいずれかのコホートの腫瘍容積を示す。
図6Bは、腫瘍が切除され、フローサイトメトリーによる解析の前に、腫瘍解離キットを使用して、がん細胞および間質細胞の両方が放出された場合、18日目のCD3+T細胞のパーセンテージ(腫瘍中の全細胞のパーセンテージとして)を示す。
図6Cは、腫瘍が切除され、フローサイトメトリーによる解析の前に、腫瘍解離キットを使用して、がん細胞および間質細胞の両方が放出された場合、18日目の消耗マーカーPD-1+およびTIM3+(全てのヒトCD3+T細胞のパーセンテージとして)を示す。
図6Dは、腫瘍が切除され、フローサイトメトリーによる解析の前に、腫瘍解離キットを使用して、がん細胞および間質細胞の両方が放出された場合、18日目のCD206+F4/80+CD11b+骨髄性細胞に対するCD86+F4/80+CD11b+の比を示す。n=5匹のマウス/群。全てのデータは、二元配置ANOVAによって解析し、平均±SEMとしてプロットした(
*p<0.05、
**p<0.01、
***p<0.001)。示したデータは、2つの独立した実験の提示である。
図6Eは、MDA-MB231およびKB細胞固形腫瘍へのヒトCD3+T細胞浸潤を示す代表的な画像を示す。横棒=200μm。
化学実施例
【0212】
実施例A
FITC-TCR7-1aの合成
【0213】
【0214】
3-アミノ-2,2-ジメチルプロパン-1-オール(2,1.5当量)およびトリエチルアミン(2当量)を、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)(10mL)中4-クロロ-3-ニトロキノリン(1,1.2当量)の撹拌溶液に添加した(スキーム1の(i))。反応混合物を70℃で60分間加熱し、液体クロマトグロフィー質量分析(LCMS)によってモニターした。次いで、それを冷却し、水によって希釈し、さらに15分間撹拌した。沈殿した固体を濾過し、水によって洗浄した。固体は、真空下で乾燥し、黄色固体として物質3を得た。収率-80%。
【0215】
その後、2,2-ジメチル-3-(3-ニトロキノリン-4-イルアミノ)プロパン-1-オール(1g)をメタノール(15mL)中に溶解し、水素バルーン条件下で4時間、触媒としてPd/C(100mg、10mol%)で還元した(スキーム1の(ii))。次いで、溶液を濾過し、減圧下で蒸発させ、3-(3-アミノキノリン-4-イルアミノ)-2,2-ジメチルプロパン-1-オール(4)を得た。
【0216】
次いで、トリエチルアミン(2当量)および塩化バレリル(5,1.5当量)を、無水テトラヒドロフラン(THF)(10mL)中の物質4(1g)の撹拌溶液に添加した(スキーム1の(iii))。次いで、反応混合物を4時間撹拌し、続いて減圧下で溶媒を除去した。次いで、粗残留物を酢酸エチル(EtOAc)に溶解し、水、塩水によって洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。組み合わせた有機層を真空下で蒸発させ、乾燥し、中間アミド化合物6を得た。全収率-70%。
【0217】
メタノール(MeOH)(15mL)中のアミド化合物6(1g)の撹拌溶液に、過剰な酸化カルシウム(10当量)を添加し、溶液を110℃で96時間加熱した(スキーム1の(iv))。次いで、真空下で溶媒を除去し、残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(MeOH/ジクロロメタン移動相)を使用して精製し、化合物7を得た。収率-60%。
【0218】
次いで、NaH(2当量)およびN-Boc-PEG3-臭化物(8,2当量)を、THF(5mL)中の中間ヒドロキシル化合物7(500mg)の撹拌溶液に添加した(スキーム1の(v))。これを、窒素雰囲気下で約5時間撹拌し、次いでロータリーエバポレーターを使用して、溶媒を蒸発させ、乾燥させた。それを水によってクエンチし、DMSOによって希釈した。粗反応混合物は、移動相として酢酸アンモニウムおよびアセトニトリルを使用する高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって精製し、無色の液体として産物を得た(9)。収率-60%。
【0219】
無水ジクロロメタン(1mL)中の9(100mg)の撹拌溶液に、3-クロロ過安息香酸(10,1.5当量)を添加し、溶液を45℃で30分間還流した(スキーム1の(vi))。撹拌物質が完全に消費された場合、真空下で溶媒を蒸発させ、乾燥させた。次いで、残留物を無水ジクロロメタン(1mL)中に再溶解し、続いてトリクロロアセチルイソシアネート(11,2.0当量)を添加し、反応混合物を45℃で30分間加熱した(スキーム1の(vi))。反応の完了後、溶媒を真空下で除去し、残留物を無水MeOH(1mL)中に再溶解し、その後25%ナトリウムメトキシドメタノール溶液(0.2mL)を添加した。次いで、これを75℃で1時間加熱し、冷却した(スキーム1の(vi))。溶媒を真空下で除去し、残留物をカラムクロマトグラフィー(MeOH/ジクロロメタン)を使用して精製し、無色の液体として化合物12を得た。全収率-40%。
【0220】
ジクロロメタン(1mL)中の中間化合物12(100mg)の撹拌溶液に、トリフルオロ酢酸(10当量)を添加した(スキーム1の(vii))。これを、窒素雰囲気下で約1時間撹拌し、ロータリーエバポレーターを使用して溶媒を蒸発させ、乾燥させた。残留酸の完全な除去後、それをDMSO(1mL)中に溶解した。
【0221】
このDMSO溶液に、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)(カタログ番号F7250;Sigma Aldrich、St.Louis、MO)(13,1.2当量)およびDIPEA(2当量)を添加し、溶液を10分間撹拌した(スキーム1の(vii))。反応は、LCMSによってモニターした。開始物質を完全に消費した後、移動相として酢酸アンモニウムおよびアセトニトリルを使用するHPLCによって精製し、黄色固体として産物(14)(FITC-TLR7-1a)を得た。収率-90%。
実施例B
フルオレセイン-薬物コンジュゲートの合成
【0222】
【0223】
試薬および条件:(a)アミノ-PEG3-アミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、1時間。(b)Alexa Fluor(商標)647 NHS Ester(構造は、供給業者から開示されていない)、DIPEA、DMSO、1時間。
【0224】
FITCを、DMSO中アミノ-PEG3-アミン(3当量)およびDIPEA(5当量)の溶液に滴下添加した。溶液は、室温で1時間撹拌した。生じた産物は、分取逆相高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって精製した(92%の収率)。FITC-PEG3-Alexa Fluor647、Alexa Fluor 647 NHSエステル(Thermo Fisher Scientific、Waltham、MA)を得るため、FITC-PEG3-アミン(2当量)およびDIPEA(5当量)をDMSOに溶解し、溶液を1時間撹拌した。次いで、産物は、HPLCを使用して精製し、90%の収率で化合物を得た。
【0225】
【0226】
試薬および条件:(c)HATU、DIPEA、DMSO、12時間。
【0227】
近赤外線(NIR)色素、HATU(1当量)、およびDIPEA(5当量)を、DMSO中に溶解し、25分間撹拌した後、FITC-PEG3-アミン(1当量)を添加した。反応は、室温で12時間撹拌し、産物は、HPLCを使用して精製した(71%)。
【国際調査報告】