(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-18
(54)【発明の名称】制限装置
(51)【国際特許分類】
A61N 1/378 20060101AFI20240910BHJP
A61N 1/36 20060101ALI20240910BHJP
A61N 1/372 20060101ALI20240910BHJP
A61F 2/48 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
A61N1/378
A61N1/36
A61N1/372
A61F2/48
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024513470
(86)(22)【出願日】2022-08-26
(85)【翻訳文提出日】2024-04-26
(86)【国際出願番号】 EP2022073860
(87)【国際公開番号】W WO2023031066
(87)【国際公開日】2023-03-09
(31)【優先権主張番号】PCT/EP2021/073893
(32)【優先日】2021-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2022-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】517409413
【氏名又は名称】インプランティカ・パテント・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】フォーセル,ペーター
【テーマコード(参考)】
4C053
4C097
【Fターム(参考)】
4C053JJ02
4C053JJ05
4C053JJ21
4C053JJ24
4C097AA14
4C097BB01
(57)【要約】
本開示は、患者の腸(100)に関する障害を有する患者を治療するためのシステムであって、腸の筋肉または神経組織を電気的に刺激するための1つまたは複数の電極(11)を有する1つまたは複数の電気刺激装置(10)を備え、1つまたは複数の電気刺激装置(10)の各々は、筋肉または神経組織を刺激するためのエネルギーを無線で受信するように構成されたワイヤレスエネルギー受信機(R)を備える、システムに関する。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の腸(100)に関する障害を有する患者を治療するためのシステムであって、1つまたは複数の電気刺激装置(10)を備え、1つまたは複数の電気刺激装置(10)の各々は、腸(100)の筋肉または神経組織を電気的に刺激するための1つまたは複数の電極(11)と、筋肉または神経組織を刺激するためのエネルギーを無線で受信するように構成されたワイヤレスエネルギー受信機(R)とを備える、システム。
【請求項2】
1つまたは複数のワイヤレスエネルギー送信器(T)を備え、1つのワイヤレスエネルギー送信器が、1つまたは複数の電気刺激装置(10)の全てにエネルギーを伝達するように構成されているか、または複数のワイヤレスエネルギー送信器(T)のうちの少なくとも1つが、1つまたは複数の電気刺激装置(10)のうちのいくつかにエネルギーを伝達するように構成されている、請求項1記載のシステム。
【請求項3】
1つまたは複数の電気刺激装置(10)の各々のワイヤレスエネルギー受信機(R)が二次コイルを含み、ワイヤレスエネルギー送信機(T)の少なくとも1つが、1つまたは複数の電気刺激装置(10)の一部またはすべての二次コイルに電圧を誘導するように構成された一次コイル(18)を含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記1つまたは複数の電気刺激装置(10)のそれぞれの1つに対して個別のワイヤレスエネルギー送信機を含み、前記1つまたは複数の電気刺激装置(10)のそれぞれの1つにエネルギーを伝達するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
1つ以上の電気刺激装置(10)の各々の無線エネルギー受信器(R)が二次コイルを含み、個々のワイヤレスエネルギー送信機(T)の各々が、1つ以上の電気刺激装置(10)の各々の二次コイルにエネルギーを伝達するように構成された一次コイル(18A、18B)を含む、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
ワイヤレスエネルギー受信機(R)は、RFIDパルスを介してエネルギーを受信するように構成されている、請求項1から5のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項7】
ワイヤレスエネルギー受信機(R)は、RFIDパルスを介して受信したエネルギー量に関するフィードバックを提供するように構成されたフィードバックユニットを備え、システムは、フィードバックに基づいてエネルギー量を調整するように構成されている、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記1つまたは複数の電気刺激装置(10)の各々は、無線受信されたエネルギーの少なくとも一部を一時的に蓄積するための再充電可能なエネルギー蓄積ユニット(E)を備える、請求項1から7のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項9】
1つ以上の電気刺激装置(10)の各々が内部制御装置(C
I )を備える、請求項1から8のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項10】
内部コントローラ(C
I )は、筋肉または神経組織の刺激を制御するための電極制御データを無線で受信するように構成されている、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
内部コントローラ(C
I )は、ワイヤレスエネルギー受信機(R)を介して電極制御データをワイヤレスで受信するように構成されている、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
内部コントローラ(C
I )は、 外部コントローラ(C
E )、またはリモートコントローラ(C
R )によって個別にアドレス指定可能な個別コードを含む、請求項9から11のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項13】
内部コントローラ(C
I )と無線通信するように構成された外部コントローラ(C
E )を含む、請求項9から12のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項14】
外部コントローラ(C
E )が、患者の体内に埋め込まれるように構成された埋め込み可能な外部コントローラ (C
E )である、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
外部コントローラ(C
E )は、患者の体外から内部コントローラ(C
I )と通信するように構成されたリモートコントローラである、請求項13に記載のシステム。
【請求項16】
患者の体外から埋め込み型外部コントローラ(C
E )と通信するように構成された遠隔コントローラ(C
R )を含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項17】
遠隔コントローラは、電気配線を介して埋め込み可能な外部コントローラ(C
E )と通信するように構成されている、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
遠隔コントローラ(C
R )は、植込み型外部コントローラ(C
E )と無線通信するように構成されている、請求項16記載のシステム。
【請求項19】
リモートコントローラ(C
R )が、患者の皮膚(200)に装着されるように構成されている、請求項15から18のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項20】
4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、または12個を超える電気刺激装置(10)を備える、請求項1から19のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項21】
1つ以上の電気刺激装置(10)の電極(11)によって、腸(100)が収縮する程度に腸(100)の筋肉が収縮するのに十分な筋肉または神経組織を電気的に刺激するように構成された、請求項1から20のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項22】
前記1つ以上の電気刺激装置(10)は、患者の腸(100)を通じて腸内容物を下流方向に前進させるように構成された電気刺激型ポンプの一部を形成する、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
腸(100)の屈曲部の横方向に隣接する部分の相互接触線に沿って切断され、切断された腸(100)の上半分および下半分がリザーバ部の腸壁を形成するように連結された外科的に修正された腸(100)から形成される腸のリザーバ部に適用されるように構成されている、請求項1から22のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項24】
1つ以上の電気刺激装置(10)の少なくとも電極(11)が、患者の腸(100)の外科的に作成されたひだ(102)に埋め込まれるように構成されている、請求項1から23のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項25】
腸(100)をその外側から収縮させるために、患者の腸(100)の外側に、それに近接して移植されるように構成された少なくとも1つの機械的または液圧式の収縮装置を含む、請求項1から24のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項26】
機械的または液圧式の狭窄装置が、腸内容物を患者の腸(100)を通して下流方向に前進させるように構成されたポンプの一部を形成する、請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
機械的または液圧式の収縮装置は、収縮によって腸(100)を開閉し、それによって腸(100)を通る腸内容物の流れを制御するように構成された弁である、請求項25に記載のシステム。
【請求項28】
腸(100)の組織を通る血流を増加させるために、少なくとも1つの機械的または液圧式の収縮装置によって収縮された腸(100)の領域の筋肉または神経組織を、1つまたは複数の電気刺激装置(10)の電極(11)によって電気的に刺激するように構成された、請求項1から27のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項29】
腸(100)の組織を通る血流を増加させるための筋肉または神経組織の電気刺激は、腸(100)を収縮させるのに十分でない低いレベルで調節可能である、請求項28に記載のシステム。
【請求項30】
以下のうちの少なくとも1つが行われるように構成されている、請求項1から29のいずれか1項に記載のシステム:
- システムのコントローラから、またはコントローラへ、あるいはコントローラから、およびコントローラへの無線通信は暗号化される、
- 無線通信を介してコントローラから送信されたデータに署名する、および
- システムの利用者の認証には、患者の認証データの入力が含まれる。
【請求項31】
前記暗号化無線通信は、公開鍵による暗号化と秘密鍵による復号化を含む、請求項30に記載のシステム。
【請求項32】
秘密鍵は、少なくとも第一の鍵と第二の鍵とを結合して得られる結合鍵である、請求項31記載のシステム。
【請求項33】
無線通信を介してコントローラから送信されるデータの署名には秘密鍵が関与し、署名されたデータの検証には公開鍵が関与する、請求項30から32のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項34】
患者の認証データを取得するように構成された検証ユニットを備える、請求項30から33のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項35】
前記検証ユニットは、指紋リーダー、網膜スキャナー、カメラ、コードを入力するためのグラフィカル・ユーザー・インターフェース、およびマイクのうちの少なくとも1つを備える、請求項34に記載のシステム。
【請求項36】
患者の感覚によって検出可能な感覚を発生させる感覚発生器を備え、システムの2つのコントローラ間の通信チャネルの認証が、感覚に関連する患者の認証データの入力を含む、請求項30から35のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項37】
前記通信チャネルの認証は、前記認証データが、前記感覚発生器によって生成された感覚に関連する前記感覚発生器からのデータと一致することの検証を含む、請求項36に記載のシステム。
【請求項38】
前記感覚発生器は、前記患者の感覚によって検出可能な感覚として、以下の少なくとも1つを生成するように構成されている、請求項36または37に記載のシステム:
- 固定周波数の機械的振動を含むか含まないかの振動、
- 固定周波数の機械的振動の重ね合わせを含むか含まないかの音、
- 赤外線パルスなどの非可視光パルスを含むか含まないかの光信号、
- 視覚的な光パルスを含むか含まないかの光信号、
- 電流パルスを含むか含まないかの電気信号、および
- 熱パルスを含むか含まないかの熱信号。
【請求項39】
前記1つまたは複数の電極(11)が、組織と金属-組織界面を形成するように構成された裸電極部分からなり、それにより、前記界面上でファラデー電荷移動が優勢な電荷移動機構であることを可能にする、請求項1から38のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項40】
前記1つまたは複数の電極(11)は、組織との誘電体-組織界面を形成するように構成された誘電体材料によって少なくとも部分的に覆われた電極部分を含み、それによって、前記界面上の電荷移動機構のファラデー部分を減少させることができる、請求項1から38のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項41】
電気刺激装置(10)は、電極(11)の少なくとも2つが患者の腸(100)の対向する側に配置できるように構成されている、請求項1から40のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項42】
組織が一連の電気パルスによって刺激されるように電極(11)を制御するように構成された、請求項1から41のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項43】
第1の極性のパルスの後に第2の逆極性のパルスが続くように電極(11)を制御するように構成された、請求項42記載のシステム。
【請求項44】
0.01~150Hzのパルス周波数からなるパルス電気刺激信号を生成するように構成された、請求項42又は43に記載のシステム。
【請求項45】
電気刺激信号が0.01~100msのパルス持続時間を含む、請求項44に記載のシステム。
【請求項46】
前記電気刺激信号は、1~15mAのパルス振幅からなる、請求項44または45に記載のシステム。
【請求項47】
電気刺激信号が、0.15~0.25Hzのパルス周波数、20~30msのパルス持続時間、及び3~10mAのパルス振幅からなる、請求項44から45のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項48】
電気刺激信号が、振幅が徐々に増加する0.01~2秒のビルドアップ期間、1~60秒の刺激期間、及び0.01~60秒の刺激休止期間を含み、電気信号が、1~50Hzのパルス周波数及び0.1~10msのパルス持続時間を含む、請求項44から47のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項49】
無線遠隔制御によって電気刺激信号を制御するように構成されている、請求項44から48のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項50】
外面(520)と、該外面上に配置されたコーティング(530;530a)とを備える、請求項1から49のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項51】
コーティングが、生体材料の少なくとも1つの層を含む、請求項50に記載のシステム。
【請求項52】
前記生体材料が、抗血栓性、抗菌性、および抗血小板性のうちの1つ以上の特性を有する少なくとも1つの薬物または物質を含む、請求項51に記載のシステム。
【請求項53】
生体材料がフィブリンベースである、請求項51または52に記載のシステム。
【請求項54】
第1のコーティング(530a)上に配置された第2のコーティング(530b)をさらに含む、請求項50から53のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項55】
前記第2のコーティングが、前記第1のコーティングとは異なる生体材料である、請求項54に記載のシステム。
【請求項56】
前記第1のコーティングが、前記表面に化学的に付着したパーフルオロカーボン層からなり、前記第2のコーティングが、液体パーフルオロカーボン層からなる、請求項55に記載のシステム。
【請求項57】
コーティングが、多孔性材料中にカプセル化された薬物を含む、請求項50から56のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項58】
表面が金属からなる、請求項50から57のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項59】
金属が、チタン、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ジルコニウム、モリブデン、スズまたは鉛から選択される少なくとも1つを含む、請求項58に記載のシステム。
【請求項60】
前記表面は、微細パターンからなる、請求項50から59のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項61】
微小パターンは、体内への挿入前に表面にエッチングされる、請求項60に記載のシステム。
【請求項62】
マイクロパターン上にコーティングされた生体材料の層をさらに含む、請求項60または61に記載のシステム。
【請求項63】
患者の腸(100)に関する障害を有する患者を治療するためのシステムであって、腸(100)をその外側から収縮させるために、患者の腸(100)の外側に、それに近接して埋め込まれるように構成された収縮装置(30)を備え、さらに、1つまたは複数の電気刺激装置(10)を備え、1つまたは複数の電気刺激装置(10)の各々が、腸(100)の筋肉組織を電気的に刺激するための1つまたは複数の電極(11)を備える、システム、システムは、少なくとも1つの狭窄装置(30)によって狭窄された腸(100)の領域の筋肉組織を、1つまたは複数の電気刺激装置(10)の電極(11)によって電気的に刺激して、筋肉組織を運動させ、狭窄装置の長期的な埋め込み条件を改善するように構成される。
【請求項64】
電気刺激装置(10)が、腸(100)の組織を通る血流を増加させるために筋肉組織を十分に電気刺激するように構成されている、請求項63に記載のシステム。
【請求項65】
腸(100)の組織を通る血流を増加させるための筋肉組織の電気刺激は、腸(100)を収縮させるのに十分でない低いレベルで調節可能である、請求項63または64に記載のシステム。
【請求項66】
前記収縮装置が、機械式収縮装置および液圧式収縮装置の少なくとも一方からなる、請求項63から65のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項67】
狭窄装置が、腸内容物を患者の腸を通して下流方向に前進させるように構成されたポンプの一部を形成する、請求項63から66のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項68】
前記収縮装置が、収縮によって腸を開閉し、それによって腸を通る腸内容物の流れを制御するように構成された弁である、請求項63から66のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項69】
前記1つ以上の電気刺激装置が、前記狭窄装置の外面に配置されている、請求項63から68のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項70】
前記1つ以上の電気刺激装置が、前記1つ以上の電気刺激装置と前記筋組織との間の接触面を増加させ、前記1つ以上の電気刺激装置が前記筋組織の収縮および弛緩に追従できるようにするためのコイル状ワイヤからなる、請求項63から69のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項71】
前記1つ以上の電気刺激デバイスが、筋組織と金属-組織界面を形成するように構成された裸電極部分を含み、それにより、前記界面を介したファラデー電荷移動が優勢な電荷移動機構となることを可能にする、請求項63から70のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項72】
前記1つ以上の電気刺激装置が、筋組織と誘電体-組織界面を形成するように構成された誘電体材料によって少なくとも部分的に覆われた電極部分を含み、それによって、前記界面上の電荷移動機構のファラデー部分を減少させることができる、請求項63から71のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項73】
筋肉組織の電気刺激を制御するために、前記1つ以上の電気刺激デバイスに動作可能に接続されるように構成されたコントローラをさらに含む、請求項63から72のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項74】
前記コントローラは、筋組織が一連の電気パルス(PL1、PL2、PL3、PL4)によって刺激されるように前記電気刺激装置を制御するように構成されている、請求項73に記載のシステム。
【請求項75】
前記コントローラは、第1の極性のパルスに続いて第2の逆極性のパルスが続くように前記電気刺激装置を制御するように構成されている、請求項73または74に記載のシステム。
【請求項76】
前記コントローラは、0.01~150Hzのパルス周波数(F)からなるパルス電気刺激信号を生成するように構成されている、請求項73~75のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項77】
パルス電気刺激信号が0.01~100msのパルス持続時間(D)を含む、請求項76に記載のシステム。
【請求項78】
パルス電気刺激信号が1~15mAのパルス振幅(A)からなる、請求項76又は77に記載のシステム。
【請求項79】
パルス電気刺激信号が、0.15~0.25Hzのパルス周波数、20~30msのパルス持続時間、及び3~10mAのパルス振幅からなる、請求項76~78のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項80】
パルス電気刺激信号が、振幅が徐々に増加する0.01~2秒のビルドアップ期間(X1)、1~60秒の刺激期間(X2)、及び0.01~60秒の刺激休止期間(X4)からなり、電気信号が、1~50Hzのパルス周波数及び0.1~10msのパルス持続時間からなる、請求項76~79のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項81】
移植されたときに、腸(100)を通る腸内容物の流れを制限するように患者の腸(100)の壁に作用するように構成された人工括約筋であって、請求項1から62のいずれか1項に記載のシステムまたは請求項63から80のいずれか1項に記載のシステムを含む人工括約筋。
【請求項82】
埋め込まれたときに、腸(100)内に収容された腸内容物を腸(100)から送り出すように患者の腸(100)の壁に作用するように構成された空腸装置であって、該空腸装置は、請求項1から62のいずれか1項に記載のシステムまたは請求項63から80のいずれか1項に記載のシステムを備える、空腸装置。
【請求項83】
請求項1から62のいずれか1項に記載のシステム、請求項63から80のいずれか1項に記載のシステム、または請求項81に記載の人工括約筋、または請求項82に記載の空腸装置を使用する方法であって、1つまたは複数の電気刺激装置(10)の電極(11)によって、腸の組織を通る血流を増加させるために、少なくとも1つの機械的または液圧式狭窄装置によって狭窄された腸の領域(100)の筋肉組織を十分に電気的に刺激するステップを含む方法。
【請求項84】
腸を収縮させるのに十分でない低いレベルで腸の組織を通る血流を増加させるために筋肉組織の電気刺激を調整するステップを含む、請求項83に記載の方法。
【請求項85】
患者の腸(100)に関する障害を有する患者を治療するためのシステムを移植する方法であって、以下のステップを含む方法:
- 腸(100)にアクセスするために患者の身体を切開し、
- 1つまたは複数の電気刺激装置(10)を挿入し、ここで、1つまたは複数の電気刺激装置(10)の各々は、腸(100)の筋肉または神経組織を電気的に刺激するための1つまたは複数の電極(11)と、筋肉または神経組織を刺激するためのエネルギーを無線で受信するように構成されたワイヤレスエネルギー受信機(R)とを備える、
- 1つまたは複数の電気刺激装置(10)の電極(11)を腸(100)に接続し、
- 1つまたは複数のワイヤレスエネルギー送信機(T)を挿入し、
- 1つまたは複数のワイヤレスエネルギー送信器(T)を、1つまたは複数のエネルギー送信器から1つまたは複数の電気刺激装置(10)の全てへのエネルギーの伝達を可能にするように、1つまたは複数の電気刺激装置(10)の近傍に配置する。
【請求項86】
請求項85に記載の方法であって、
- 1つ以上の電気刺激装置(10)の各1つに対して個別のワイヤレスエネルギー送信器を挿入することと、
- 個々の無線送信機を、1つまたは複数の電気刺激装置(10)のそれぞれの1つに近接して配置し、1つまたは複数の電気刺激装置(10)の前記それぞれの1つにエネルギーを伝達できるようにすること
とを含む、方法。
【請求項87】
1つ以上の電気刺激装置(10)の各々が内部コントローラ(C
I )を備え、該方法は、該内部コントローラ(C
I )から離れた外部コントローラ(C
E )を埋め込むステップを含み、該外部及び内部コントローラ(C
I 、C
E )は無線通信するように構成されている、請求項85又は86記載の方法。
【請求項88】
前記1つ以上の電気刺激装置(10)の少なくとも電極(11)を、患者の腸(100)の外科的に作成されたひだ(102)に移植するステップを含む、請求項85から87のいずれか1項に記載の方法。
【請求項89】
腸(100)をその外側から収縮させるために、少なくとも1つの機械的または液圧式の収縮装置を患者の腸(100)の外側に、それに近接して移植するステップを含む、請求項87から88のいずれか1項に記載の方法。
【請求項90】
1つ以上の電気刺激装置(10)の電極(11)を腸(100)に関連して配置するステップにおいて、1つ以上の電気刺激装置(10)の電極(11)の少なくとも2つが、患者の腸(100)の対向する側に配置される、請求項85から89のいずれか1項に記載の方法。
【請求項91】
機械的または液圧式の狭窄装置が、腸内容物を患者の腸(100)を通して下流方向に前進させるように構成され、埋め込まれるポンプの一部を形成する、請求項90に記載の方法。
【請求項92】
機械的または液圧式の収縮装置が、収縮によって腸(100)を開閉し、それによって腸(100)を通る腸内容物の流れを制御するように構成され移植された弁である、請求項91に記載の方法。
【請求項93】
請求項1乃至62のいずれか1項に記載のシステム、又は請求項81に記載の人工括約筋、又は請求項82に記載の空腸装置を使用する方法であって、エネルギー受信機にエネルギーを無線で送信し、エネルギー受信機によってエネルギーを受信するステップを含む方法。
【請求項94】
前記ワイヤレスエネルギー受信機(R)によって受信されたエネルギー量に関連するフィードバックを提供するステップと、前記フィードバックに基づいてエネルギー量を調整するステップとを含む、請求項93に記載の方法。
【請求項95】
前記無線受信エネルギーの少なくとも一部を、前記1つ以上の電気刺激の各々の再充電可能エネルギー蓄積ユニットに一時的に蓄積するステップを含む、請求項93又は94に記載の方法。
【請求項96】
1つ以上の電気刺激装置(10)の各々が内部制御器(C
I )を備え、該方法は、筋肉又は神経組織の刺激を制御するための制御データを、無線エネルギー受信器(R)を介して内部制御器(C
I )によって無線受信するステップを含む、請求項93から95のいずれか1項に記載の方法。
【請求項97】
外部コントローラ(C
E )またはリモートコントローラによって、個別コードを介して内部コントローラ(C
I )を個別にアドレス指定するステップを含む、請求項96に記載の方法。
【請求項98】
外部コントローラ(C
E )を介して内部コントローラ(C
I )と無線通信するステップを含む、請求項96または97に記載の方法。
【請求項99】
外部コントローラ(C
E )が患者の体内に移植される、請求項98に記載の方法。
【請求項100】
外部コントローラ(C
E )が患者の体外の遠隔コントローラである、請求項99に記載の方法。
【請求項101】
患者の体外から埋め込み可能な外部コントローラ(C
E )と通信するように構成された遠隔コントローラを含む、請求項98に記載の方法。
【請求項102】
リモートコントローラを患者の皮膚に装着するステップ(200)を含む、請求項100または101のいずれか1項に記載の方法。
【請求項103】
1つまたは複数の電気刺激装置(10)の電極(11)によって、腸(100)の筋肉が腸(100)を収縮させる程度に収縮するのに十分な筋肉または神経組織を電気的に刺激するステップを含む、請求項93から102のいずれか1項に記載の方法。
【請求項104】
電気刺激が、腸内容物が患者の腸(100)を通って下流方向に前進するようなものである、請求項103に記載の方法。
【請求項105】
腸(100)の屈曲部分の横方向に隣接する部分の相互接触線に沿って切断され、切断された腸(100)の上半分および下半分がリザーバ部分の腸壁を形成するように連結された、外科的に改変された腸(100)から形成される腸のリザーバ部分に適用される、請求項93から104のいずれか1項に記載の方法。
【請求項106】
腸(100)をその外側から収縮させるために、患者の腸(100)の外側に、それに近接して移植されるように構成された少なくとも1つの機械的または液圧式の収縮装置を含む、請求項93から105のいずれか1項に記載の方法。
【請求項107】
機械的または液圧式の狭窄装置がポンプの一部を形成し、該方法が、機械的または液圧式の狭窄装置を用いて、腸内容物を患者の腸(100)を通して下流方向に前進させるステップを含む、請求項106記載の方法。
【請求項108】
機械的または液圧式の収縮装置がバルブであり、該方法が、収縮によって腸(100)を開閉し、それによってバルブを用いて腸(100)を通る腸内容物の流れを制御するステップを含む、請求項106記載の方法。
【請求項109】
1つ以上の電気刺激装置(10)の電極(11)によって、腸(100)の組織を通る血流を増加させるために、少なくとも1つの機械的または液圧式収縮装置によって収縮された腸(100)の領域の筋肉または神経組織を十分に電気的に刺激するステップを含む、請求項106から108のいずれか1項に記載の方法。
【請求項110】
腸(100)を収縮させるのに十分でない低いレベルで腸(100)の組織を通る血流を増加させるために筋肉または神経組織の電気刺激を調整するステップを含む、請求項109に記載の方法。
【請求項111】
以下の工程の少なくとも1つを含む、請求項93から110のいずれか1項に記載の方法:
- システムのコントローラから、またはコントローラへ、あるいはコントローラからとコントローラへの両方の無線通信を暗号化すること、
- 無線通信を介してコントローラから送信されたデータに署名すること、
- システムのユーザーを認証するために、患者の認証データを入力すること。
【請求項112】
前記無線通信を暗号化するステップは、公開鍵による暗号化と秘密鍵による復号化を含む、請求項111に記載の方法。
【請求項113】
少なくとも第1の鍵と第2の鍵とを結合することにより、秘密鍵を結合鍵として導出するステップを含む、請求項112記載の方法。
【請求項114】
無線通信を介してコントローラから送信されたデータに署名するステップは、秘密鍵の使用を含み、方法は、公開鍵を使用して署名されたデータを検証するステップをさらに含む、請求項111から113のいずれか1項に記載の方法。
【請求項115】
患者の認証データを取得するステップを含む、請求項113から114のいずれか1項に記載の方法。
【請求項116】
患者の認証データを取得するステップは、指紋リーダー、網膜スキャナー、カメラ、コードを入力するためのグラフィカルユーザインタフェース、およびマイクロフォンのうちの少なくとも1つを使用してそのようなデータを取得することを含む、請求項105に記載の方法。
【請求項117】
患者の感覚により検出可能な感覚を生成するステップと、感覚に関連する患者の認証データを入力することにより、システムの2つのコントローラ間の通信チャネルを認証するステップとを含む、請求項111から116のいずれか1項に記載の方法。
【請求項118】
前記通信チャネルを認証するステップは、前記認証データが、前記感覚発生器により発生された感覚に関連する感覚発生器からのデータと一致することを検証するステップを含む、請求項117記載の方法。
【請求項119】
患者の感覚により検出可能な感覚を発生させるステップは、以下の少なくとも1つを発生させることを含む、請求項117又は118に記載の方法:
- 固定周波数の機械的振動を含むか含まないかの振動、
- 固定周波数の機械的振動の重ね合わせを含むか含まないかの音、
- 赤外線パルスなどの非可視光パルスを含む、または含まない光信号、
- 視覚的な光パルスを含むか含まないかの光信号、
- 電流パルスを含む、または含まない電気信号、および
- 熱パルスを含むか含まないかの熱信号。
【請求項120】
組織が一連の電気パルスによって刺激されるように電極(11)を制御するステップを含む、請求項93から119のいずれか1項に記載の方法。
【請求項121】
電極(11)を制御するステップは、第1の極性のパルスの後に第2の逆極性のパルスが続くようにする、請求項120記載の方法。
【請求項122】
電極(11)を制御するステップが、0.01~150Hzのパルス周波数からなるパルス電気刺激信号を生成するステップを含む、請求項120または121に記載の方法。
【請求項123】
パルス電気刺激信号を生成するステップが、電気刺激信号が0.01~100msのパルス持続時間を含むようなものである、請求項122に記載の方法。
【請求項124】
パルス状の電気刺激信号を生成するステップが、電気刺激信号が1~15mAのパルス振幅からなるようなものである、請求項123または123に記載の方法。
【請求項125】
パルス電気刺激信号を生成するステップが、電気刺激信号が、0.15~0.25Hzのパルス周波数、20~30msのパルス持続時間、及び3~10mAのパルス振幅を含むようなものである、請求項122から124のいずれか1項に記載の方法。
【請求項126】
パルス状の電気刺激信号を生成するステップが、電気刺激信号が、振幅が徐々に増加する0.01~2秒のビルドアップ期間と、1~60秒の刺激期間と、0.01~60秒の刺激休止期間とを含み、電気信号が1~50Hzのパルス周波数と0.1~10msのパルス持続時間とを含むようなものである、請求項122~125のいずれか1項に記載の方法。
【請求項127】
患者の腸(100)に関する障害を有する患者を治療するためのシステムであって、1つまたは複数の電気刺激装置(10)を備え、1つまたは複数の電気刺激装置(10)の各々は、腸(100)の筋肉または神経組織を電気的に刺激するための1つまたは複数の電極(11)と、筋肉または神経組織を刺激するためのエネルギーを無線で受信するように構成されたワイヤレスエネルギー受信機(R)とを備え、本システムは、さらに、
- 埋め込み型医療機器用の埋め込み型コントローラを備え、前記埋め込み型コントローラは、
- 外部デバイスとワイヤレスで通信するためのワイヤレストランシーバ、セキュリティモジュール、および
- 無線トランシーバ、セキュリティモジュール、および埋め込み型医療機器と通信するように構成された中央ユニットとを備え、
前記無線トランシーバは、埋め込み型医療機器への少なくとも1つの命令を含む外部デバイスからの通信を受信し、受信した通信を中央ユニットに送信するように構成され、
前記中央ユニットは、外部デバイスから受信した通信から得られた安全な通信をセキュリティモジュールに送信するように構成され、
前記セキュリティモジュールは、安全な通信の少なくとも一部を復号化し、安全な通信の真正性を検証するように構成され、
前記セキュリティモジュールは、応答通信を中央ユニットに送信するように構成され、
前記中央ユニットは、少なくとも1つの命令を埋め込み型医療機器に通信するように構成され、
少なくとも1つの命令は、応答通信、または応答通信と外部デバイスから受信した通信の組み合わせに基づく。
【請求項128】
患者の腸(100)に関する障害を有する患者を治療するためのシステムであって、1つまたは複数の電気刺激装置(10)を備え、1つまたは複数の電気刺激装置(10)の各々は、腸(100)の筋肉または神経組織を電気的に刺激するための1つまたは複数の電極(11)と、筋肉または神経組織を刺激するためのエネルギーを無線で受信するように構成されたワイヤレスエネルギー受信機(R)とを備え、本システムは、さらに、
- 受信ユニットを備える移植可能医療装置を備え、該受信ユニットは
- 経皮的に伝達されるエネルギーを受け取るように構成された少なくとも1つのコイル、
- コイルが受け取るエネルギーに関連するパラメータを測定するように構成された測定ユニット、
- コイルに電気的に接続された可変インピーダンス、
- 可変インピーダンスとコイルとの間の電気接続をオフにするために、可変インピーダンスとコイルとの間に配置されたスイッチ、および
- コントローラ
を備え、前記コントローラは、
- 可変インピーダンスを制御してインピーダンスを変化させ、それによって測定されたパラメータに基づいてコイルを調整し、
- 測定されたパラメータが閾値を超えたことに応答して、可変インピーダンスとコイル間の電気的接続をオフにするためのスイッチを制御するように設定される。
【請求項129】
患者の腸(100)に関する障害を有する患者を治療するためのシステムであって、1つまたは複数の電気刺激装置(10)を備え、1つまたは複数の電気刺激装置(10)の各々は、腸(100)の筋肉または神経組織を電気的に刺激するための1つまたは複数の電極(11)と、筋肉または神経組織を刺激するためのエネルギーを無線で受信するように構成されたワイヤレスエネルギー受信機(R)とを備え、本システムは、さらに、
- 受信ユニットを備える移植可能医療装置を備え、該受信ユニットは
- 経皮的に伝達されるエネルギーを受け取るように構成された少なくとも1つのコイル、
- コイルによって受信されたエネルギーに関連するパラメータを測定するように構成された測定ユニット、
- コイルの第1の端部に配置される第1のスイッチ、
- コイルの第2の端部に配置された第2のスイッチであって、コイルを埋め込み型医療装置の他の部分から完全に切り離すことができる、第2のスイッチ、および
-測定されたパラメータに基づいて、植込み型医療装置の他の部分からコイルを完全に切り離すために、第1および第2のスイッチを制御するように構成されたコントローラ。
【請求項130】
患者の腸(100)に関する障害を有する患者を治療するためのシステムであって、1つまたは複数の電気刺激装置(10)を備え、1つまたは複数の電気刺激装置(10)の各々は、腸(100)の筋肉または神経組織を電気的に刺激するための1つまたは複数の電極(11)と、筋肉または神経組織を刺激するためのエネルギーを無線で受信するように構成されたワイヤレスエネルギー受信機(R)とを備え、本システムはさらに、
- 受信ユニットを備える移植可能医療装置を備え、該受信ユニットは
- 経皮的に伝達されるエネルギーを受け取るように構成された少なくとも1つのコイル、
- コイルによって受信されたエネルギーに関連するパラメータを測定するように構成された測定ユニット、および
- コントローラ
を備え、
- 受信ユニットは、パルスパターンに従って、経皮的に伝達されるエネルギーをパルスで受信するように構成されており、
- 測定ユニットは、パルスパターンに関連するパラメータを測定するように構成され、
- コントローラは、受信エネルギーのパルスパターンが所定のパルスパターンから逸脱していることに応答して、受信ユニットを制御するように構成される。
【請求項131】
患者の腸(100)に関する障害を有する患者を治療するためのシステムであって、腸(100)をその外側から収縮させるために、患者の腸(100)の外側に、それに近接して埋め込まれるように構成された収縮装置(30)を備え、さらに、1つまたは複数の電気刺激装置(10)を備え、1つまたは複数の電気刺激装置(10)の各々が、腸(100)の筋肉組織を電気的に刺激するための1つまたは複数の電極(11)を備え、システムは、1つまたは複数の電気刺激装置(10)の電極(11)によって、少なくとも1つの狭窄装置(30)によって狭窄された腸(100)の領域の筋肉組織を電気的に刺激して、狭窄装置の長期間の埋め込み条件を改善するように筋肉組織を運動させるように構成され、システムは:
- 患者に埋め込まれた埋め込み可能な医療機器と通信するように構成された外部機器を備え、該外部機器は、
- ディスプレイ装置、および
- ディスプレイ装置と機械的かつ分離可能に接続するように構成されたハウジングユニットを含み、該ハウジングユニットは、以下を含む:
- ディスプレイ装置からの通信を受信するための第1の通信ユニットと、
- 植込み型医療機器に通信を無線送信する第2の通信ユニット。
【請求項132】
患者の腸(100)に関する障害を有する患者を治療するためのシステムであって、腸(100)をその外側から収縮させるために、患者の腸(100)の外側に、それに近接して埋め込まれるように構成された収縮装置(30)を備え、さらに、1つまたは複数の電気刺激装置(10)を備え、1つまたは複数の電気刺激装置(10)の各々が、腸(100)の筋肉組織を電気的に刺激するための1つまたは複数の電極(11)を備え、システムは、1つまたは複数の電気刺激装置(10)の電極(11)によって、少なくとも1つの狭窄装置(30)によって狭窄された腸(100)の領域の筋肉組織を電気的に刺激して、狭窄装置の長期間の埋め込み条件を改善するように筋肉組織を運動させるように構成され、システムは:
- 埋め込み可能な医療装置のための埋め込み可能なコントローラを備え、該埋め込み可能なコントローラは、
- 外部機器と無線通信するための無線トランシーバ、セキュリティモジュール、および
- 無線トランシーバ、セキュリティモジュール、および植込み型医療機器と通信するように構成された中央ユニット
を備え、
- 無線トランシーバは、植込み型医療機器に対する少なくとも1つの指示を含む外部機器からの通信を受信し、受信した通信を中央ユニットに送信するように構成され、
- 中央ユニットは、外部装置から受信した通信に由来する安全な通信をセキュリティモジュールに送信するように構成され、かつ
- セキュリティモジュールは、以下の少なくとも1つを行うように構成され、
- 安全な通信の少なくとも一部を復号化すること、および
- 安全な通信の真正性を検証すること、
- セキュリティモジュールは、応答通信を中央ユニットに送信するように構成され、
- 中央ユニットは、少なくとも1つの命令を植込み型医療機器に伝達するように構成され、少なくとも1つの命令は、以下に基づいている:
- 応答通信または
- 応答通信と外部機器からの受信通信の組み合わせ。
【請求項133】
患者の腸(100)に関する障害を有する患者を治療するためのシステムであって、腸(100)をその外側から収縮させるために、患者の腸(100)の外側に、それに近接して埋め込まれるように構成された収縮装置(30)を備え、さらに、1つまたは複数の電気刺激装置(10)を備え、1つまたは複数の電気刺激装置(10)の各々が、腸(100)の筋肉組織を電気的に刺激するための1つまたは複数の電極(11)を備え、システムは、1つまたは複数の電気刺激装置(10)の電極(11)によって、少なくとも1つの狭窄装置(30)によって狭窄された腸(100)の領域の筋肉組織を電気的に刺激して、狭窄装置の長期間の埋め込み条件を改善するように筋肉組織を運動させるように構成され、システムは:
- 受信ユニットを備える移植可能医療装置を備え、該受信ユニットは
- 経皮的に伝達されるエネルギーを受け取るように構成された少なくとも1つのコイル、
- コイルが受け取るエネルギーに関連するパラメータを測定するように構成された測定ユニット、
- コイルに電気的に接続された可変インピーダンス、
- 可変インピーダンスとコイルとの間の電気接続をオフにするために、可変インピーダンスとコイルとの間に配置されたスイッチ、および
- 可変インピーダンスを制御してインピーダンスを変化させ、それによって測定されたパラメータに基づいてコイルを調整し、
- 測定されたパラメータが閾値を超えたことに応答して、可変インピーダンスとコイル間の電気的接続をオフにするためのスイッチを制御するように構成されたコントローラ
を備える。
【請求項134】
患者の腸(100)に関する障害を有する患者を治療するためのシステムであって、腸(100)をその外側から収縮させるために、患者の腸(100)の外側に、それに近接して埋め込まれるように構成された収縮装置(30)を備え、さらに、1つまたは複数の電気刺激装置(10)を備え、1つまたは複数の電気刺激装置(10)の各々が、腸(100)の筋肉組織を電気的に刺激するための1つまたは複数の電極(11)を備え、システムは、1つまたは複数の電気刺激装置(10)の電極(11)によって、少なくとも1つの狭窄装置(30)によって狭窄された腸(100)の領域の筋肉組織を電気的に刺激して、狭窄装置の長期間の埋め込み条件を改善するように筋肉組織を運動させるように構成され、システムは:
- 受信ユニットを備える移植可能医療装置を備え、該受信ユニットは
- 経皮的に伝達されるエネルギーを受け取るように構成された少なくとも1つのコイル、
- コイルによって受信されたエネルギーに関連するパラメータを測定するように構成された測定ユニット、
- コイルの第1の端部に配置される第1のスイッチ、
- コイルの第2の端部に配置された第2のスイッチであって、コイルを埋め込み型医療装置の他の部分から完全に切り離すことができる、第2のスイッチ、および
- 測定されたパラメータに基づいて、植込み型医療装置の他の部分からコイルを完全に切り離すために、第1および第2のスイッチを制御するように構成されたコントローラ
を備える。
【請求項135】
患者の腸(100)に関する障害を有する患者を治療するためのシステムであって、腸(100)をその外側から収縮させるために、患者の腸(100)の外側に、それに近接して埋め込まれるように構成された収縮装置(30)を備え、さらに、1つまたは複数の電気刺激装置(10)を備え、1つまたは複数の電気刺激装置(10)の各々が、腸(100)の筋肉組織を電気的に刺激するための1つまたは複数の電極(11)を備え、システムは、1つまたは複数の電気刺激装置(10)の電極(11)によって、少なくとも1つの狭窄装置(30)によって狭窄された腸(100)の領域の筋肉組織を電気的に刺激して、狭窄装置の長期間の埋め込み条件を改善するように筋肉組織を運動させるように構成され、システムは:
- 受信ユニットを備える移植可能医療装置を備え、該受信ユニットは
- 経皮的に伝達されるエネルギーを受け取るように構成された少なくとも1つのコイル、
- コイルによって受信されたエネルギーに関連するパラメータを測定するように構成された測定ユニット、及び
- コントローラ
を備え、
- 前記受信ユニットは、パルスパターンに従って、経皮的に伝達されるエネルギーをパルスで受信するように構成されており
- 前記測定ユニットは、パルスパターンに関連するパラメータを測定するように構成され、
- 前記コントローラは、受信エネルギーのパルスパターンが所定のパルスパターンから逸脱していることに応答して、受信ユニットを制御するように構成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者の腸に関する障害を有する患者を治療するためのシステムに関する。より具体的には、この治療は、患者の腸を電気的に刺激することを含む。また、このようなシステムの移植方法および使用方法も開示する。
【背景技術】
【0002】
腸の障害は、外傷、先天性欠損、がん、または便秘や失禁などのその他の病気によって引き起こされる可能性がある。WO2011/128124A1には、腸を通る腸内容物の流れを調節するシステムが開示されている。この特定の用途では、腸の内容物用のリザーバは、腸の屈曲部分の横方向に隣接する部分の相互接触線に沿って切断され、結果として得られる腸の上部半分と下部半分とがリザーバの腸壁を形成するように接続され、腸の内容物用のリザーバが外科的に改変された腸から形成され、システムは、このような腸の内容物用のリザーバを空にするように設計される。より具体的には、先行技術のシステムは、リザーバの容積を減少させ、それによってリザーバを空にするように、前記腸壁に作用するように適合されたポンプを備える。ポンプは、電気刺激型ポンプ、油圧作用型ポンプ、または/および機械的作用型ポンプであってよい。システムはさらに、リザーバの上流側に入口バルブ、下流側に出口バルブを備える。
【0003】
電気刺激型ポンプは、特に一連の電気パルスによって、少なくとも部分的な収縮を引き起こすように腸壁に電気パルスを印加することによって、前記腸壁の筋肉または神経組織を電気的に刺激するための電気刺激装置を備える。この目的のために、電気刺激装置は、電気パルスを発生するように適合された1つまたは複数の電極から構成される。これは、リザーバを収縮させる非常に穏やかな方法である。自然な腸内容物の流れの方向にある前記腸壁の異なる部分を経時的に電気刺激することにより、腸内容物は腸リザーバに沿って汲み上げられ、その結果、腸リザーバは空になる。より具体的には、電気刺激型ポンプの電極は、ケーブル状、またはその他の縦長、縞状、棒状、または板状の形状を有する1つまたは複数の保持装置に取り付けられる。複数の電極は、保持装置の長さ方向に沿って1列または複数列に配置することができる。長手方向の保持装置は、埋め込まれると、リザーバの片側または反対側の腸リザーバ全体をほぼ覆うように、並んで配置される。
【0004】
この保持装置は、選択的な電気刺激によって腸リザーバの一部が個々に収縮する際に、保持装置が腸リザーバの動きに追従できるように、柔軟なウェブの中に埋め込まれている。あるいは、縦方向の保持装置は、リザーバの腸壁に外科的に作られたひだの中に埋め込まれる。あるいは、電極は、共通の保持装置上に担持されることなく、1つずつまたはグループで腸壁に直接埋め込まれる。さらに、WO2011/128124A1には、電極を備えた複数の長手方向の保持装置を設ける代わりに、電気刺激装置をリザーバの少なくとも片側に一体形成して、取り扱いや製造を容易にすることが提案されている。
【0005】
電気刺激型ポンプに加えて、WO2011/128124A1に開示されたポンプは、腸壁に外部から作用して腸リザーバを機械的または水力的に少なくとも部分的に収縮させるために、患者の体内に埋め込まれた収縮型ポンプを含んでいてもよい。そこでは、電気刺激型ポンプおよび収縮型ポンプは、腸壁の同じ部分に作用して、経時的に、前記腸壁の異なる部分を電気的に刺激し、同時に、自然な腸内容物の流れの方向にリザーバのそれぞれの部分を収縮させることによって、リザーバに沿って腸内容物を汲み上げるようにすることができる。特に、作動中の収縮型ポンプは、腸組織を損傷しないように、腸リザーバを部分的にのみ収縮させることができるが、完全な収縮、ひいてはリザーバを空にすることは、前述のような方法で腸壁部分を電気的に追加刺激することによって得られる。
【0006】
外科的改造により、腸リザーバ自体が自然な蠕動機能を失っているので、電気刺激型ポンプは、例えば、狭窄型ポンプによるリザーバの狭窄が解除されたときに、腸管壁の異なる部分を波状(蠕動)に刺激することにより、リザーバに沿って腸管内容物を自然な腸管内容物の流れ方向に汲み上げ、リザーバに供給される腸管内容物による腸リザーバの充填性を向上させることができる。腸リザーバの下流端に設けられた出口弁は、リザーバが充満している間は閉じられ、腸管内容物がリザーバから不用意に漏出するのを防止する。
【0007】
本発明の目的は、患者の腸の電気的刺激を伴う、腸に関連する障害を有する患者を治療するためのシステムをさらに改良することである。この点に関して、本システムは、WO2011/128124A1に関連して上述されたような全ての特徴から構成され得るが、以下に記載されるようないくつかの変更が加えられる。
【発明の概要】
【0008】
本開示の一態様によれば、患者の腸に関する障害を有する患者を治療するためのシステムは、腸の筋肉または神経組織を電気的に刺激するための1つまたは複数の電極を有する複数の電気刺激装置を備え、1つまたは複数の電気刺激装置の各々は、筋肉または神経組織を刺激するためのエネルギーを無線で受信するように構成されたワイヤレスエネルギー受信機を備える。
【0009】
つまり、電気刺激装置は有線でも他の方法でも接続されていない。物理的に、電気刺激装置は互いに独立している。このように、電気刺激装置は腸の上または近くに設置することができ、腸壁に埋め込むこともでき、腸のあらゆる動きに追従することができる。特に、このような腸の動きは、それぞれの電気刺激装置を介した電気刺激によって、および/または、前述の収縮型ポンプを介した収縮によって、および/または、他の任意の機械的または液圧的または他のタイプの収縮装置を介した収縮によって引き起こされ得る。言い換えれば、1つまたは複数の電気刺激装置は、むしろ柔軟であり、電気刺激装置の物理的な独立性のおかげで、システムおよび電気刺激装置を覆って成長し、包む線維症のためにそのような柔軟性が低下する危険性が最小化されるため、時間の経過とともに柔軟性を維持する。
【0010】
システムは、好ましくは、1つまたは複数の電気刺激装置の一部または全部にエネルギーを伝達するように構成された1つまたは複数のワイヤレスエネルギー送信機を備える。したがって、1つのエネルギー送信器が、2つ以上の電気刺激デバイスにエネルギーを供給するために提供される。より具体的には、1つのワイヤレスエネルギー送信機が1つ以上の電気刺激装置の全てにエネルギーを伝達するように構成されてもよいし、複数のワイヤレスエネルギー送信機の少なくとも1つ、好ましくは全てが、1つ以上の電気刺激装置の一部にエネルギーを伝達するように構成されてもよい。このようにして、システムの複雑さを最小限に抑えることができる。もちろん、1つ以上のエネルギー送信機を設けることもでき、それらの各々は、1つ以上の電気刺激装置にエネルギーを供給するように構成される。
【0011】
1つ以上の電気刺激装置の各々のワイヤレスエネルギー受信機は、二次コイルを含んでよく、ワイヤレスエネルギー送信機の少なくとも1つ、好ましくは、各送信機は、1つ以上の電気刺激装置の一部または全ての二次コイルに電圧を誘導するように構成された一次コイルを含んでよい。このようにして、エネルギーは、一次コイルおよび二次コイルを介して、エネルギー送信器からエネルギー受信器に無線送信され得る。
【0012】
あるいは、システムは、1つまたは複数の電気刺激デバイスのそれぞれの1つに個別にエネルギーを伝達するために、1つまたは複数の電気刺激デバイスのそれぞれの1つに対する個別のワイヤレスエネルギ送信器を含んでいてもよい。この場合、エネルギーを無線で伝送するために、1つ以上の電気刺激装置のそれぞれのワイヤレスエネルギー受信機は、二次コイルを含んでいてもよく、個々のワイヤレスエネルギー送信機のそれぞれは、1つ以上の電気刺激装置のそれぞれの1つの二次コイルにエネルギーを伝送するように構成された一次コイルを含んでいてもよい。
【0013】
好ましくは、RFID技術が、エネルギー送信器からエネルギー受信器へのエネルギーの無線転送に使用される。RFID技術は広く知られており、前述の一次コイルおよび二次コイルを介したエネルギーの転送は、RFID技術によるエネルギーの転送方法としてよく知られている。より具体的には、ワイヤレスエネルギー受信機は、RFIDパルスを介してエネルギーを受信するように構成することができる。
【0014】
好ましくは、システムは、RFIDパルスを介するなどしてワイヤレスエネルギー受信機によって受信されるエネルギーの量に係るフィードバックを提供するように構成されたフィードバックユニットを備え、システムは、フィードバックに基づいて転送されるエネルギーの量を調整するように構成される。より具体的には、受信されるRFIDパルスエネルギーの量は、満足できるレベルに達するまでパルス周波数を連続的に上げるように、フィードバックに基づいて調整することができる。
【0015】
好ましくは、1つまたは複数の電気刺激装置の各々は、無線で受信したエネルギーの少なくとも一部を一時的に蓄積するための、充電式電池またはキャパシタなどの充電式エネルギー蓄積ユニットを備える。再充電可能なエネルギー貯蔵ユニットは、筋肉または神経組織を刺激するためにそれぞれの電気刺激装置の電極または電極が必要とするエネルギー量が必要なときに利用できるように、時間の経過とともに充電されることがある。筋肉の収縮は、電気刺激によって対応する神経の活性化電位に達するか、またはそれを超えると自律的に行われるため、このようなエネルギー量はいずれにせよ少なくてよい。
【0016】
好ましくは、1つ以上の電気刺激装置の各々は、内部コントローラを備える。内部コントローラは、様々な機能を果たすことができるが、主な機能は、神経組織または筋肉組織を刺激するために電気刺激装置の電極または電極に印加されるエネルギーのタイミングおよび量を制御することからなる。別の重要な機能は、ワイヤレスエネルギー受信機を介して受信されるエネルギー量を制御し、場合によっては蓄積することである。内部コントローラはさらに、外部コントローラおよび/または遠隔コントローラと通信する役割を果たすことがある。例えば、このような通信は、特に、エネルギー受信機を介したエネルギー伝達、および/または、電極または電極に印加されるエネルギーのタイミングおよび/または量に関連する可能性がある。
【0017】
特に、内部コントローラは、筋肉または神経組織の刺激を制御するための電極制御データを無線で受信するように構成することができる。このように、電気刺激装置が互いに物理的に独立するために、エネルギー伝達だけでなくデータ伝達も無線で行われる。このようなデータは、埋め込まれた外部コントローラから受信することも、患者の体外の遠隔コントローラから受信することもできる。
【0018】
好ましくは、内部コントローラーは、ワイヤレスエネルギー受信機を介して電極制御データをワイヤレスで受信する。言い換えれば、同じポートが、エネルギーとデータの両方を受信するために使用されてもよい。特に、ワイヤレスエネルギー受信機を介して電気刺激装置に伝達され、電気刺激装置によって受信されるエネルギーは、適切に変調されてもよく、変調は、内部コントローラによって復号化され、データとして解釈され得る信号を定義し、従って、搬送する。これは周知の技術であり、特にRFID技術の中で知られており、使用されている。つまり、RFID信号はエネルギーと情報の両方を伝送するために使用される。
【0019】
より具体的には、1つまたは複数の電気刺激装置のそれぞれの内部コントローラは、個々のコード、すなわちそれぞれの内部コントローラに固有のコードを使用して、外部コントローラまたは遠隔コントローラによって個別にアドレス指定可能であり得る。これは、1つの外部コントローラまたは遠隔コントローラが複数の電気刺激デバイスを制御するために使用される場合、および/または1つの無線送信機が複数の電気刺激デバイスのワイヤレスエネルギー受信機にエネルギーを無線送信するために使用される場合に、特に有用である。例えば、電気刺激装置を順次作動させる場合、例えば腸を波状に刺激する場合、それぞれの電気刺激装置は、対応する内部コントローラの個別コードを用いて個別にアドレス指定され得る。通常、このような個別コードは、内部コントローラに送信されるデータの先頭に配置される。このようにして、1つまたは複数の所望の電気刺激装置のみが、腸の一部を電気的に刺激するように所与の時間に指示されてもよく、および/または、1つまたは複数の所望の電気刺激装置のみが、ワイヤレスエネルギ受信器を通して受信されたエネルギーを受信し、場合によっては蓄積する。
【0020】
前述のように、システムは、内部コントローラと無線通信するように構成された外部コントローラを含んでいてもよい。外部コントローラは、患者の体内に埋め込まれるように構成された埋め込み可能な外部コントローラ、または患者の体外から内部コントローラと直接通信するように構成されたリモートコントローラのいずれかである。あるいは、システムは、患者の体外から埋め込み可能な外部コントローラと通信するように構成されたリモートコントローラで構成されてもよい。後者の場合、少なくとも3種類のコントローラ、すなわち、電気刺激装置の各1つ内の内部コントローラ、1つ以上の内部コントローラと通信するための患者の体内の少なくとも1つの外部コントローラ、及び好ましくは、1つ以上の埋め込み可能な外部コントローラと通信するための患者の体外の1つの遠隔コントローラのみが存在する。遠隔コントローラは、好ましくは、患者および/または介護者が操作可能である。
【0021】
遠隔コントローラは、電気配線を介して埋め込み可能な外部コントローラと通信するように構成することができる。しかし、好ましくは、遠隔コントローラは、埋め込み可能な外部コントローラと無線で通信するように構成され、この方が患者および/または介護者にとって便利である。遠隔コントローラと埋め込み可能な外部コントローラとの間のエネルギー転送および/またはデータ転送は、電気刺激装置の内部コントローラへの(および内部コントローラからの)エネルギー転送および/またはデータ転送と同じ方法で実現することができる。いずれにしても、リモートコントローラは、患者の皮膚に装着できるように構成されていることが好ましい。
【0022】
本システムは、多数の電気刺激装置から構成することができる。これらは、電気的に刺激されるべき腸の部分に沿って、すなわち、1列または複数列に、および/または腸の1面または2面または2面以上、特にその対向する2面に、多数の異なる位置に配置することができる。例えば、4個または5個または6個または7個または8個または9個または10個または11個または12個または12個以上の電気刺激装置を設けることができる。各電気刺激装置は、単一の電極から構成されてもよいし、複数の2つ以上の電極から構成されてもよい。
【0023】
本開示の一実施形態において、システムは、1つ以上の電気刺激デバイスの電極によって、腸が収縮するような程度に腸の筋肉が収縮するのに十分な筋肉または神経組織を電気的に刺激するように構成される。すなわち、本システムは、腸の筋肉の収縮を電気的に刺激することにより、収縮装置として機能することができる。
【0024】
この文脈において、1つまたは複数の電気刺激装置は、WO2011/128124A1に開示された先行技術に関連して上述したような電気刺激型ポンプの一部を形成することができ、そのポンプは、例えば、波状すなわち蠕動的に腸の異なる部分を連続的に電気刺激することによって、腸内容物を患者の腸を通して下流方向に前進させるように構成されている。
【0025】
より具体的には、WO2011/128124A1に開示されたシステムと同様に、本明細書に記載されたシステムは、腸の屈曲部の横方向に隣接する部分の相互接触線に沿って切断され、切断された腸の上半分および下半分がリザーバ部の腸壁を形成するように接続された、外科的に改変された腸から形成される腸のリザーバ部に使用するように構成されてよく、特に適している。より具体的には、1つまたは複数の電気刺激装置の少なくとも電極は、患者の腸の外科的に作成されたひだに埋め込まれるように構成され得る。
【0026】
1つ以上の電気刺激装置に加えて、本システムは、腸をその外側から収縮させるために、患者の腸の外側に近接して埋め込まれるように構成された少なくとも1つの機械的または液圧式の収縮装置をさらに含むことができる。電気刺激装置と機械的または液圧式の収縮装置は、WO2011/128124A1から一般に知られているように、患者の腸の同じ部分に作用するように構成することができる。この場合、機械的または液圧式狭窄装置は、腸内容物を患者の腸内を下流方向に前進させるように構成されたポンプの一部を形成することができる。あるいは、機械的または液圧式の収縮装置は、収縮によって腸を開閉し、それによって腸を通る腸内容物の流れ、特に腸内または腸外への腸内容物の流れを制御するように構成された弁の機能を有していてもよい。例えば、弁は、患者の直腸の近くまたは患者のストーマの近くに人工括約筋を形成することができる。電気刺激装置は、機械式または液圧式の狭窄装置のそれぞれの機能をサポートすることができる。これらは個々に、または一緒になって、患者の腸のそれぞれの部分を空にするための空腸装置を形成することができる。
【0027】
本開示の別の実施形態では、システムは、1つ以上の電気刺激デバイスの電極によって、腸の組織を通る血流を増加させるために、少なくとも1つの機械的または液圧式狭窄デバイスなどの医療デバイスによって十分に狭窄された腸の領域の筋肉または神経組織を電気的に刺激するように構成される。その目的は、狭窄装置と接触している組織壁を運動させることである。インプラントが異物であるため、またインプラントが身体の組織と機械的に相互作用するため、身体は医療用インプラントに反応する傾向がある。機械式、液圧式、その他のタイプの狭窄装置との長期的な係合や圧力に組織をさらすと、組織細胞から酸素や栄養が奪われ、組織の劣化、萎縮、最終的には壊死につながる可能性がある。その結果、組織壁を貫通するなど、装置の移動が起こる可能性がある。したがって、血流を刺激し、インプラントからの圧力に対する組織の耐性を高めるように、組織細胞を運動させることが望ましい。この観点から、腸の組織を通る血流を増加させるための筋肉または神経組織への電気刺激が、腸を収縮させるのに十分でない低いレベルで調整可能であるようにシステムを構成することが好ましい。
【0028】
コミュニケーション
本開示のさらなる態様によれば、不正な第三者の介入に対するシステムの安全性を高めることができる。これは、第三者によって容易に傍受され、その後悪用される可能性がある無線通信の文脈において特に重要である。したがって、システムは、好ましくは、以下のうちの少なくとも1つが行われるように構成される:
-システムのコントローラから、またはコントローラへ、あるいはコントローラから、およびコントローラへの無線通信は暗号化される、
-無線通信を介してコントローラから送信されたデータに署名するステップと
-システムの利用者の認証には、患者の認証データの入力が含まれる。
【0029】
好ましくは、暗号化無線通信は、よく知られたRSA暗号化などの公開鍵による暗号化と秘密鍵による復号化を含む。他の暗号化方法も同様に実施することができる。好ましくは、秘密鍵は、少なくとも第1の鍵と第2の鍵とを組み合わせることによって導出される複合鍵であってもよいという点で、セキュリティレベルはさらに向上する。
【0030】
同様に、前述の外部コントローラまたはリモートコントローラから内部コントローラなど、コントローラから無線で送信されるデータの署名に関して、署名には秘密鍵が関与する場合があり、署名されたデータのその後の検証には対応する公開鍵が関与する場合がある。
【0031】
好ましくは、データ通信は暗号化と署名の両方を含む。RSA暗号化技術は、データの暗号化とデジタル署名の両方を可能にする。暗号化/復号化プロセスでは、送信者は受信者の公開鍵を使用してデータを暗号化し、受信者は受信者の秘密鍵を使用してその後にデータを復号化する。一方、署名/認証プロセスでは、送信者は自分の秘密鍵を使用して(暗号化された)データに署名し、受信者は送信者の公開鍵を使用して署名を認証する。
【0032】
患者の認証データの入力を伴うユーザの認証に関して、システムは、患者の認証デー タを取得するように構成された検証ユニットを備えることができる。例えば、検証ユニットは、指紋リーダー、網膜スキャナー、カメラ、コードを入力するためのグラフィカル・ユーザー・インターフェース、およびマイクロフォンのうちの少なくとも1つで構成される。検証ユニットによる肯定的な検証の後にのみ、システムの特定の機能が有効になる。たとえば、肯定的な検証により、コントローラが特定のデータを処理できるようになったり、無線通信チャネルなど、システムの2つのコントローラ間の通信チャネルが開かれたりする。
【0033】
代替的または追加的に、システムは、患者の感覚によって検出可能な感覚を生成する ための感覚ジェネレータを含んでいてもよい。この場合、患者は、患者が感知したものに関連する認証データをシステムに入力することができる。次に、ユーザの認証は、ユーザによって入力された認証データが、感覚ジェネレータによって生成された感覚に関連する感覚ジェネレータからのデータと一致することを検証ユニットによって検証することを含む。この場合も、検証ユニットによる肯定的な検証の後にのみ、システムの特定の機能が有効になる。例えば、肯定的な検証により、コントローラが特定のデータを処理できるようになったり、無線通信チャネルなど、システムの2つのコントローラ間の通信チャネルが開かれたりする。
【0034】
この文脈において、感覚発生器は、患者の感覚によって検出可能な感覚として、以下の少なくとも1つを発生するように構成される:
-この振動には、例えば固定周波数の機械的振動が含まれる、
-この音は、例えば固定周波数の機械的振動の重ね合わせを含む、
-光信号は、例えば赤外線パルスのような非可視光パルスを含むことができる、
-光信号は、例えば視覚的な光パルスを含む、
-電流パルスなどを含む電気信号と
-熱信号は、例えば熱パルスを含む。
【0035】
電極は、腸壁の組織と金属-組織界面を形成するように構成されたむき出しの電極部分を含んでいてもよく、それによって、ファラデー電荷移動が、前記界面上の主要な電荷移動メカニズムであることを可能にする。
【0036】
あるいは、電極は、腸壁の組織と誘電体-組織界面を形成するように構成された誘電体材料によって少なくとも部分的に覆われた電極部分を含んでいてもよく、それによって、前記界面上の電荷移動機構のファラデー部分を減少させることができる。
【0037】
電気刺激装置の配置は、少なくとも2つの電極を患者の腸の対向する側に配置できるように構成することができる。
【0038】
コミュニケーション・ハウジング
さらに、患者に埋め込まれたときに埋め込み型医療装置と通信するように構成された外部装置が提供され、この外部装置は、表示装置と、表示装置に機械的かつ分離可能に接続するように構成されたハウジングユニットとを備え、ハウジングは、表示装置から通信を受信するための第1の通信ユニットと、埋め込み型医療装置に通信を無線送信するための第2の通信ユニットとを備える。
【0039】
一実施形態によれば、外部装置は携帯型電子機器からなる。
【0040】
一実施形態によれば、外部装置は、埋め込み型医療装置の動作状態を変更するために埋め込み型医療装置と通信するように構成されている。この実施形態の利点は、埋め込み型医療装置の動作状態を遠隔操作で変更できることである。
【0041】
一実施形態によれば、第1の通信ユニットは、表示装置と無線通信するための無線通信ユニットである。この実施形態の利点は、電線を必要とせずに表示装置と通信できることである。
【0042】
一実施形態によれば、第1の通信ユニットは、第1の通信周波数を用いて表示装置と無線通信するように構成され、第2の通信ユニットは、第2の通信周波数を用いて埋め込み型医療装置と無線通信するように構成され、第1および第2の通信周波数は異なる。本実施形態の利点は、干渉の可能性が低減されることである。
【0043】
一実施形態によれば、第2の通信ユニットは、100kHz以下の周波数の電磁波を用いて埋め込み型医療装置と無線通信するように構成されている。
【0044】
一実施形態によれば、第2の通信ユニットは、40kHz以下の周波数の電磁波を用いて埋め込み型医療装置と無線通信するように構成されている。この実施形態の利点は、医療機器に一般的に使用されるチタンが40kHz以下の電磁波に対して透明であることである。
【0045】
一実施形態によれば、第1の通信ユニットは、100kHzを超える周波数の電磁波を用いて表示装置と無線通信するように構成されている。この実施形態の利点は、医療用埋め込み型装置との通信において、100kHz以下の周波数スペクトルがノイズのないままであることである。
【0046】
一実施形態によれば、第1の通信ユニットは、第1の通信プロトコルを用いて表示装置と無線通信するように構成され、第2の通信ユニットは、第2の通信プロトコルを用いて埋め込み型医療装置と無線通信するように構成され、第1および第2の通信プロトコルは異なる。実施形態の利点は、通信ユニットのニーズにどちらのプロトコルがより適しているかに応じて、第1および第2の通信ユニットの通信用にプロトコルを独立して選択できることである。
【0047】
一実施形態によれば、ハウジングユニットは、ディスプレイ装置との無線通信用に構成された第1のアンテナと、埋め込み型医療装置との無線通信用に構成された第2のアンテナとを備える。この実施形態の利点は、第1および第2の通信ユニットの通信のために、どちらのアンテナがより通信ユニットのニーズに適しているかに応じて、アンテナを独立して選択できることである。
【0048】
一実施形態によれば、第1の通信ユニットは、ディスプレイ装置と有線通信するための有線通信ユニットである。この実施形態の利点は、第1の通信ユニットの通信が信頼性が高く安全であることである。
【0049】
一実施形態によれば、ディスプレイ装置は、ハウジングユニットと通信するための第1の通信ユニットと、第2の外部装置と無線通信するための第2の通信ユニットとを備える。この実施形態の利点は、追加の外部装置との通信が可能になり、それによって冗長性と信頼性がもたらされることである。
【0050】
一実施形態によれば、表示装置の第2の通信ユニットは、インターネットを介して第2の外部装置と通信するように構成される。この実施形態の利点は、表示装置が遠方の装置と通信できることである。
【0051】
一実施形態によれば、表示装置の第1の通信ユニットは、筐体ユニットと無線通信するための無線通信ユニットである。この実施形態の利点は、通信ユニットを、ワイヤを使用せずにハウジングユニットに接続できることである。
【0052】
一実施形態によれば、ディスプレイ装置の第1の通信ユニットは、第1の通信周波数を用いてハウジングユニットと無線通信するように構成され、ディスプレイ装置の第2の通信ユニットは、第2の通信周波数を用いて第2の外部装置と無線通信するように構成され、第1および第2の通信周波数は異なる。本実施形態の利点は、干渉の可能性が低減され、信号対干渉比およびノイズ比が向上することである。
【0053】
一実施形態によれば、ディスプレイ装置の第1の通信ユニットは、第1の通信プロトコルを用いてハウジングユニットと無線通信するように構成され、ディスプレイ装置の第2の通信ユニットは、第2の通信プロトコルを用いて第2の外部装置と無線通信するように構成され、第1および第2の通信プロトコルは異なる。本実施形態の利点は、第1通信ユニットと第2通信ユニットの通信において、どちらのプロトコルが通信ユニットのニーズに適しているかに応じて、プロトコルを独立して選択できることである。
【0054】
一実施形態によれば、表示装置は、筐体との無線通信用に構成された第1のアンテナと、第2の外部装置との無線通信用に構成された第2のアンテナとを備える。この実施形態の利点は、第1および第2の通信ユニットの通信のために、どちらのアンテナがより通信ユニットのニーズに適しているかに応じて、アンテナを独立して選択できることである。
【0055】
一実施形態によれば、第1の通信ユニットは、ハウジングユニットと有線通信するための有線通信ユニットである。この実施形態の利点は、第1の通信ユニットの通信が信頼性が高く安全であることである。
【0056】
一実施形態によれば、表示装置は、患者にユーザインタフェースを表示するように構成されている。この実施形態の利点は、患者が使い慣れた表示装置を使用してハウジングユニットと通信できることである。
【0057】
一実施形態によれば、ハウジングユニットは、ユーザインタフェースの表示に係る情報を表示装置に送信するように構成されている。この実施形態の利点は、患者が使い慣れた表示装置を用いて情報を受信できることである。
【0058】
一実施形態によれば、表示装置は、埋め込み型医療装置との間の通信に係る入力を患者から受信し、受信した入力に基づく信号をハウジングユニットに送信するように構成されている。この実施形態の利点は、患者が使い慣れたディスプレイ装置を使用してハウジングユニットと通信できることである。
【0059】
一実施形態によれば、表示装置は、ユーザインタフェースを表示し、患者からの入力を受け取るように構成されたタッチスクリーンからなる。この実施形態の利点は、患者が使い慣れた方法で情報を扱うことができることである。
【0060】
一実施形態によれば、ハウジングユニットは、患者に対してユーザインタフェースを表示するように構成されている。この実施形態の利点は、ハウジングユニットがユーザ入力を受信できることである。
【0061】
一実施形態によれば、ハウジングユニットの第1の通信ユニットは、第2の通信ユニットを用いて、患者からの入力に係る埋め込み型医療機器からの通信を受信し、受信した入力に基づく信号を埋め込み型医療機器に無線送信するように構成されている。本実施形態の利点は、筐体ユニットが表示装置と埋め込み型医療装置との間の通信において余分なノードとして機能し、それによって通信を監視できることである。
【0062】
一実施形態によれば、ハウジングユニットの第2の通信ユニットは、標準ネットワークプロトコルを用いて埋め込み型医療装置と無線通信するように構成されている。この実施形態の利点は、通信ユニットの実装が安価であり、プロトコルが信頼できることである。
【0063】
一実施形態によれば、標準ネットワークプロトコルは、以下のリストのうちの1つである:無線周波数型プロトコル、RFID型プロトコル、WLAN型プロトコル、Bluetooth型プロトコル、BLE型プロトコル、NFC型プロトコル、3G/4G/5G型プロトコル、GSM型プロトコル。
【0064】
一実施形態によれば、ハウジングユニットの第2通信ユニットは、ブルートゥース・トランシーバーで構成される。
【0065】
一実施形態によれば、ハウジングユニットの第2の通信ユニットは、独自のネットワークプロトコルを使用して埋め込み型医療装置と無線通信するように構成されている。この実施形態の利点は、ハウジングユニットが独自のネットワークプロトコルを使用する埋め込み型医療装置と互換性があることである。
【0066】
一実施形態によれば、ハウジングユニットの第2の通信ユニットは、UWBトランシーバーで構成される。利点は、第2の通信ユニットを介して高いデータレートで通信できることである。
【0067】
一実施形態によれば、筐体ユニットの第1の通信ユニットは、標準ネットワークプロトコルを使用してディスプレイ装置と無線通信するように構成される。この実施形態の利点は、通信ユニットの実装が安価であり、プロトコルが信頼できることである。
【0068】
一実施形態によれば、標準ネットワーク・プロトコルは NFC 型プロトコルである。この実施形態の利点は、通信デバイス間の距離が制限されるため、盗聴攻撃から保護されることである。
【0069】
一実施形態によれば、ハウジングユニットの第1の通信ユニットは、独自のネットワークプロトコルを使用して表示装置と無線通信するように構成されている。この実施形態の利点は、ハウジングユニットが、独自のネットワークプロトコルを使用する埋め込み型医療機器と互換性があることである。
【0070】
一実施形態によれば、ハウジングユニットの第1の通信ユニットの通信範囲は、ハウジングユニットの第2の通信ユニットの通信範囲よりも小さい。この実施形態の利点は、その通信範囲で十分な場合に第1の通信ユニットを選択することによってエネルギーが節約されることである。
【0071】
一実施形態によれば、ディスプレイ装置の第1の通信ユニットの通信範囲は、ディスプレイ装置の第2の通信ユニットの通信範囲よりも小さい。この実施形態の利点は、その通信範囲で十分な場合に第1の通信ユニットを選択することによってエネルギーが節約されることである。
【0072】
一実施形態によれば、ハウジングユニット及び表示装置の少なくとも一方は、ハウジングユニットと表示装置との間の距離に基づいて、ハウジングユニットと表示装置との間の通信を許可するように構成される。この実施形態の利点は、距離が安全および認可要素として使用されることである。
【0073】
一実施形態によれば、筐体ユニットおよび表示装置の少なくとも一方は、筐体ユニットが表示装置に機械的に接続されることに基づいて、筐体ユニットと表示装置との間の通信を可能にするように構成される。この実施形態の利点は、中間者攻撃に対する安全性が向上することである。
【0074】
一実施形態によれば、ハウジングユニットは、ハウジングユニットと埋め込み可能な医療装置との間の距離に基づいて、ハウジングユニットと埋め込み可能な医療装置との間の通信を可能にするように構成されている。この実施形態の利点は、距離が安全および認可要素として使用されることである。
【0075】
一実施形態によれば、ハウジングユニットは、ディスプレイデバイスから受信した通信を暗号化するように構成された暗号化ユニットをさらに備える。この実施形態の利点は、暗号化された通信が望ましくない第三者のアクセスから保護されることである。
【0076】
一実施形態によれば、ハウジングユニットはさらに、第2の通信ユニットを用いて暗号化通信を埋め込み型医療装置に送信するように適合されている。この実施形態の利点は、暗号化通信が望ましくない第三者のアクセスから保護されることである。
【0077】
一実施形態によれば、表示装置の第2の通信ユニットは、表示装置とハウジングユニットとの間の通信、およびハウジングユニットと埋め込み型医療装置との間の通信のうちの少なくとも1つを可能にするために無効化されるように構成される。
【0078】
本明細書で説明する実施形態のいずれかにおける表示装置は、ウェアラブル装置であってもよいし、ハンドセットであってもよい。本実施形態の利点は、装置が移動可能であり、必要な場所で使用できることである。
【0079】
一実施形態によれば、ハウジングユニットは、ウェアラブルデバイスまたはハンドセット用のケースを構成する。この実施形態の利点は、ウェアラブルデバイスまたはハンドセットを機械的損傷から保護できることである。
【0080】
さらに、患者に埋め込まれたときに埋め込み型医療装置と通信するように構成されたハウジングユニットが提供され、ハウジングユニットは、ディスプレイ装置に機械的に接続するように構成され、ディスプレイ装置と通信するための第1の通信ユニットと、埋め込み型医療装置と無線通信するための第2の通信ユニットとを備える。
【0081】
一実施形態によれば、ディスプレイ装置はウェアラブル装置または携帯電話機であり、ハウジングユニットはウェアラブル装置または携帯電話機のケースを構成する。
【0082】
一実施形態によれば、第1の通信ユニットは、ディスプレイ装置と無線通信するための無線通信ユニットである。
【0083】
一実施形態によれば、第1の通信ユニットは、第1の通信周波数を用いて表示装置と無線通信するように構成され、第2の通信ユニットは、第2の通信周波数を用いて埋め込み型医療装置と無線通信するように構成され、第1および第2の通信周波数は異なる。
【0084】
一実施形態によれば、ハウジングユニットは、ユーザーインターフェースの表示に係る情報を表示装置に送信するように構成される。
【0085】
一実施形態によれば、ハウジングユニットは、ディスプレイ装置から患者の入力を受け取るように構成されている。
【0086】
一実施形態によれば、ハウジングユニットは、患者にユーザーインターフェースを表示するように構成されている。
【0087】
一実施形態によれば、ハウジングユニットは、ハウジングユニットとディスプレイ装置との間の距離に基づいて、ハウジングユニットとディスプレイ装置との間の通信を可能にするように構成される。
【0088】
一実施形態によれば、ハウジングユニットは、ハウジングユニットがディスプレイ装置に機械的に接続されることに基づいて、ハウジングユニットとディスプレイ装置との間の通信を可能にするように構成される。
【0089】
一実施形態によれば、ハウジングユニットは、ハウジングユニットと埋め込み可能な医療装置との間の距離に基づいて、ハウジングユニットと埋め込み可能な医療装置との間の通信を可能にするように構成されている。
【0090】
一実施形態によれば、ハウジングユニットは、ディスプレイデバイスから受信した通信を暗号化するように構成された暗号化ユニットをさらに備える。
【0091】
一実施形態によれば、ハウジングユニットはさらに、第2の通信ユニットを用いて移植可能医療装置に暗号化通信を送信するように適合されている。
【0092】
一実施形態によれば、ハウジングがディスプレイ装置に機械的に接続されている場合、ハウジングユニットとディスプレイ装置の最小バウンディングボックスは、ディスプレイ装置の最小バウンディングボックスよりも10%以上広く、10%以上長く、100%以上高くない。
【0093】
一実施形態によれば、ハウジングユニットは、ハウジングがディスプレイ装置に機械的に接続されていないときに患者が使用するように構成された1つ以上のスイッチを含んでいる。
【0094】
一実施形態によれば、表示装置がハウジングユニットに機械的に接続されている場合、スイッチは少なくとも一部が表示装置によって覆われる。
【0095】
一実施形態によれば、ハウジングの少なくとも一部は、ディスプレイ装置に機械的に接続するために屈曲する。
【0096】
一実施形態によれば、ハウジングの少なくとも一部は、ディスプレイ装置を挟み込むように構成されている。
【0097】
一実施形態によれば、ハウジングは、ディスプレイ装置に機械的に接続されたときに、ディスプレイ装置の少なくとも一側面を覆うように構成される。
【0098】
一実施形態によれば、ハウジングは、ハウジングおよびディスプレイ装置に機械的に接続される装置によって、ディスプレイ装置に機械的に接続されるように構成される。
【0099】
一般セキュリティモジュール
さらに、埋め込み型医療装置用の埋め込み型コントローラが提供される。埋め込み型コントローラは、外部装置と無線通信するための無線トランシーバと、セキュリティモジュールと、無線トランシーバ、セキュリティモジュールおよび埋め込み型医療装置と通信するように構成された中央ユニットとを備える。無線トランシーバは、埋め込み型医療装置に対する少なくとも1つの命令を含む外部装置からの通信を受信し、受信した通信を中央ユニットに送信するように構成されている。中央装置は、外部装置から受信した通信に由来するセキュア通信をセキュリティモジュールに送信するように構成され、セキュリティモジュールは、セキュア通信の少なくとも一部を復号化し、および/または、セキュア通信の真正性を検証するように構成される。セキュリティモジュールは、応答通信を中央ユニットに送信するように構成され、中央ユニットは、少なくとも1つの命令を埋め込み型医療装置に通信するように構成され、少なくとも1つの命令は、応答通信に基づくか、または応答通信と外部装置から受信した通信との組み合わせに基づく。
【0100】
一実施形態によれば、セキュリティ・モジュールは、中央装置からの通信を受け入れるためのルール・セットで構成される。
【0101】
一実施形態によれば、無線トランシーバは、無線トランシーバによって無線通信を送受信することができないオフモードに置かれるように構成され、ルールのセットは、無線トランシーバがオフモードに置かれている場合にのみ中央ユニットからの通信を受け入れることを規定するルールを含む。
【0102】
一実施形態によれば、ルールのセットは、無線トランシーバが特定の時間オフモードに置かれている場合にのみ、中央ユニットからの通信を受け付けることを規定するルールを含んでいる。
【0103】
一実施形態によれば、中央装置は、外部装置から受信した通信のデジタル署名を検証するように構成されている。
【0104】
一実施形態によれば、ルールのセットは、受信した通信のデジタル署名が中央ユニットによって検証された場合にのみ、中央ユニットからの通信が受け入れられることを規定するルールを含んでいる。
【0105】
一実施形態によれば、中央装置は、外部装置から受信した通信のサイズを確認するように構成されている。
【0106】
一実施形態によれば、ルールのセットは、受信した通信のサイズが中央ユニットによって検証された場合にのみ、中央ユニットからの通信を受け付けることを規定するルールを含んでいる。
【0107】
前記実施形態のいずれかの無線トランシーバは、少なくとも第1および第2の暗号化層で暗号化されている外部デバイスからのメッセージを受信するように構成されてもよく、中央ユニットは、第1の暗号化層を復号化し、第2の暗号化層を構成するメッセージの少なくとも一部をセキュリティモデルに送信するように構成されてもよい。セキュリティモジュールは、第二の暗号化層を復号化し、セキュリティモジュールによって復号化されたメッセージの一部に基づいて、応答通信を中央ユニットに送信するように構成されてもよい。
【0108】
一実施形態によれば、中央装置は、デジタル署名が中央装置によって検証され得るように、デジタル署名を含むメッセージの一部を復号化するように構成され得る。
【0109】
一実施形態によれば、中央装置は、中央装置によってメッセージ・サイズを検証できるように、メッセージ・サイズ情報を含むメッセージの一部を復号化するように構成される。
【0110】
一実施形態によれば、中央装置は、メッセージの第1部分と第2部分を復号化するように構成され、第1部分は、第2部分の真正性を検証するためのチェックサムを含んでいる。
【0111】
一実施形態によれば、セキュリティ・モジュールから送信される応答通信はチェックサムを含み、中央装置は、受信したチェックサムを用いて、中央装置によって復号化されたメッセージの少なくとも一部の真正性を検証するように構成され得る。
【0112】
一実施形態によれば、ルールのセットは、中央ユニットとセキュリティモジュール間のデータ転送速度に関連するルールを含んでいる。
【0113】
本明細書のいずれかの実施形態におけるセキュリティモジュールは、デジタル署名がセキュリティモジュールによって検証され得るように、第2の暗号化層で暗号化されたデジタル署名を含むメッセージの一部を復号化するように構成され得る。
【0114】
中央装置は、無線トランシーバがオフモードに置かれているときにのみ、外部装置から受信した通信の一部を復号化できるように構成されていてもよい。
【0115】
一実施形態によれば、中央装置は、無線トランシーバがオフモードに置かれているときにのみ、埋め込み型医療装置に少なくとも1つの命令を伝達することができる。
【0116】
一実施形態によれば、移植可能コントローラは、無線トランシーバを使用して、第1の非暗号化部分と第2の暗号化部分とを含む外部装置からのメッセージを受信し、暗号化部分を復号化し、復号化部分を使用して非暗号化部分の真正性を検証するように構成される。
【0117】
一実施形態によれば、中央装置は、暗号化された部分をセキュリティモジュールに送信し、暗号化された部分に含まれる情報がセキュリティモジュールによって復号化されることに基づいて、セキュリティモジュールから応答通信を受信し、応答通信を使用して非暗号化部分の真正性を検証するように構成される。
【0118】
一実施形態によれば、非暗号化部分は、埋め込み型医療装置に対する少なくとも1つの命令の少なくとも一部を構成する。
【0119】
埋め込み型コントローラは、無線トランシーバを使用して、患者の生理学的パラメータおよび埋め込み型医療装置の物理的パラメータの少なくとも一方に関連する情報を含む外部装置からのメッセージを受信し、受信した情報を使用してメッセージの真正性を検証するように構成され得る。
【0120】
患者の生理学的パラメータは、体温、心拍数、および飽和値のうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0121】
埋め込まれた医療機器の物理的または機能的パラメータは、埋め込まれた医療機器の現在の設定または値、埋め込まれた医療機器に送信された事前の指示、および埋め込まれた医療機器のIDのうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0122】
一実施形態によれば、情報を構成するメッセージの部分は暗号化されており、中央装置は、暗号化された部分をセキュリティモジュールに送信し、セキュリティモジュールによって復号化された情報に基づいて、セキュリティモジュールから応答通信を受信するように構成されている。
【0123】
一実施形態によれば、セキュリティ・モジュールは、少なくとも1つのハードウェア・ベースの鍵を含むハードウェア・セキュリティ・モジュールから構成される。ハードウェアベースの鍵は、外部デバイス内のハードウェアベースの鍵に対応してもよく、外部デバイスに接続可能なキーカード上のハードウェアベースの鍵であってもよい。
【0124】
一実施形態によれば、セキュリティ・モジュールは、少なくとも1つのソフトウェア・ベースの鍵を含むソフトウェア・セキュリティ・モジュールから構成される。ソフトウェアベースの鍵は、外部装置内のソフトウェアベースの鍵に対応してもよい。ソフトウェアベースの鍵は、外部機器に接続可能なキーカード上のソフトウェアベースの鍵に対応してもよい。セキュリティモジュールは、いずれの実施形態においても、ソフトウェアベースの鍵とハードウェアベースの鍵の組み合わせから構成されてもよい。
【0125】
前述の実施形態のいずれかにおいて、移植可能コントローラは、少なくとも1つの暗号プロセッサを含むことができる。
【0126】
無線トランシーバは、いずれの実施形態においても、携帯型外部装置からの通信を受信するように構成され得る。
【0127】
一実施形態によれば、埋め込み型医療装置に対する少なくとも1つの指示は、埋め込み型医療装置の動作状態を変更するための指示を含んでいてもよい。
【0128】
無線トランシーバは、100kHz以下の周波数または40kHz以下の周波数の電磁波を使用して外部装置と無線通信するように構成され得る。
【0129】
一実施形態によれば、無線トランシーバは、第1の通信プロトコルを用いて外部装置と無線通信するように構成され、中央装置は、第2の異なる通信プロトコルを用いてセキュリティモジュールと通信するように構成される。
【0130】
実施形態のいずれかにおいて、無線トランシーバは、標準ネットワークプロトコルを使用して外部デバイスと無線通信するように構成されてもよい。標準ネットワークプロトコルは、RFID型プロトコル、WLAN型プロトコル、ブルートゥース型プロトコル、BLE型プロトコル、NFC型プロトコル、3G/4G/5G型プロトコル、およびGSM型プロトコルからなるリストから選択されてもよい。
【0131】
無線トランシーバは、いくつかの実施形態では、独自のネットワークプロトコルを使用して外部デバイスと無線通信するように構成される。
【0132】
一実施形態によれば、無線トランシーバはUWBトランシーバで構成される。
【0133】
一実施形態によれば、セキュリティモジュールおよび/または中央ユニットおよび/または無線トランシーバは、コントローラ内に構成される。
【0134】
本明細書の実施形態のいずれかにおける外部ユニットは、ウェアラブルデバイスまたはハンドセットであってもよい。本実施形態の利点は、装置が移動可能であり、必要な場所で使用できることである。
【0135】
さらに、埋め込み型医療装置は受信ユニットを含んでいてもよい。埋め込み型医療装置は、経皮的に伝達されるエネルギーを受信するように構成された少なくとも1つのコイルと、コイルによって受信されるエネルギーに関連するパラメータを測定するように構成された測定ユニットと、コイルに電気的に接続された可変インピーダンスと、可変インピーダンスとコイルとの間の電気的接続をオフにするために可変インピーダンスとコイルとの間に配置されたスイッチと、を備える。埋め込み型医療装置は、インピーダンスを変化させ、それによって測定されたパラメータに基づいてコイルを調整するための可変インピーダンスと、測定されたパラメータが閾値を超えたときに応答して可変インピーダンスとコイルとの間の電気的接続をオフにするためのスイッチとの少なくとも一方を制御するように構成されたコントローラをさらに備える。
【0136】
一実施形態によれば、コントローラは、測定されたパラメータが閾値を超えた場合に応答して可変インピーダンスを変化させるように構成される。
【0137】
一実施形態によれば、測定ユニットは、コイルによって受信されるエネルギーに関連するパラメータを一定期間にわたって測定するように構成されている。
【0138】
一実施形態によれば、測定ユニットは、コイルが受け取るエネルギーの変化に関連するパラメータを測定するように構成されている。
【0139】
一実施形態によれば、第1のスイッチはコイルの第1の端部に配置され、埋め込み型医療装置は、コイルを埋め込み型医療装置の他の部分から完全に切り離すことができるように、コイルの第2の端部に配置された第2のスイッチをさらに備える。
【0140】
一実施形態によれば、受信ユニットは、パルスパターンに従って経皮的に伝達されるエネルギーをパルスで受信するように構成され、測定ユニットは、パルスパターンに関連するパラメータを測定するように構成される。
【0141】
一実施形態によれば、コントローラは、パルスパターンが予め定義されたパルスパターンから逸脱した場合に応答して可変インピーダンスを制御するように構成される。
【0142】
一実施形態によれば、コントローラは、パルスパターンが予め定義されたパルスパターンから逸脱することに応答して、可変インピーダンスとコイルとの間の電気的接続をオフにするためのスイッチを制御するように構成される。
【0143】
一実施形態によれば、測定ユニットは、埋め込み型医療装置内または患者の体内の温度を測定するように構成され、コントローラは、測定された温度に応答して第1および第2のスイッチを制御するように構成される。
【0144】
一実施形態によれば、可変インピーダンスは、抵抗器とコンデンサ、抵抗器とインダクタ、および/またはインダクタとコンデンサから構成される。
【0145】
可変インピーダンスは、デジタル同調コンデンサで構成されてもよい。可変インピーダンスは、デジタル電位差計で構成されてもよい。可変インピーダンスは可変インダクタで構成されてもよい。
【0146】
一実施形態によれば、インピーダンスの変動は、受信ユニットによって受信される有効電力を低下させるように構成される。
【0147】
一実施形態によれば、可変インピーダンスはコイルと直列に配置される。
【0148】
一実施形態によれば、可変インピーダンスはコイルに平行に配置される。
【0149】
一実施形態によれば、埋め込み型医療装置は、受信ユニットに接続されたエネルギー貯蔵ユニットをさらに備える。エネルギー貯蔵ユニットは、受信ユニットによって受信されたエネルギーを貯蔵するように構成されている。
【0150】
前述のように、上記のようなシステムは、人工括約筋のような弁に使用するのに特に有用である。したがって、本開示の別の態様によれば、人工括約筋は、移植されたときに、腸内容物の腸外への流れを制限するように患者の腸の壁に作用するように構成され、本明細書に記載のようなシステムを構成することができる。
【0151】
同様に、上記のようなシステムは、空洞化装置における使用に特に有用である。したがって、本開示の別の態様によれば、空洞化装置は、移植されたときに、腸内に含まれる腸内容物を腸の外に進めるように患者の腸の壁に作用するように構成され、本明細書に記載されるようなシステムを構成し得る。
【0152】
移植
したがって、患者の腸に関連する障害を有する患者を治療するためのシステムを移植する方法は、以下のステップからなる:
-腸にアクセスするために患者の体を切開すること、
-ここで、1つ以上の電気刺激装置の各々は、腸の筋肉または神経組織を電気的に刺激するための1つ以上の電極と、筋肉または神経組織を刺激するためのエネルギーを無線で受信するように構成されたワイヤレスエネルギー受信機とを備える、
-1つまたは複数の電気刺激装置の電極を腸に接続する、
-1つまたは複数のワイヤレスエネルギー送信機を挿入する、
-つまたは複数のワイヤレスエネルギー送信機を1つまたは複数の電気刺激装置の近傍に配置し 、1つまたは複数のエネルギー送信機から1つまたは複数の電気刺激装置のすべてへのエネルギーの伝達を可能にする。
【0153】
システムを移植する方法は、上述し、以下により詳細に説明するようなさらなるステップを含んでいてもよい。
【0154】
本システム、人工括約筋または空腸装置を使用する方法は、それに応じて、エネルギーをエネルギー受信器に無線で送信し、エネルギー受信器によってエネルギーを受信するステップを備える。システムの使用方法は、上述し、以下により詳細に説明するようなさらなるステップを含んでいてもよい。
【0155】
表面コーティング
本開示のさらなる態様は、上述した移植可能システムなどの医療用インプラントと患者の組織または流れる血液との接触によって生じるフィブリン生成の緩和に関する。よく知られているように、身体は医療用インプラントに反応する傾向があり、その理由の一部は、インプラントが異物であるためであり、その理由の一部は、インプラントが身体の組織および/または身体内を流れる血液と機械的に相互作用するためである。患者の組織に医療器具および/または生体材料を移植すると、体の異物反応が誘発され、異物巨細胞が形成され、インプラントを包む線維性カプセルが発達することがある。インプラントを宿主から隔離する高密度の線維性カプセルの形成は、インプラント失敗の一般的な根本原因である。血流中の医療器具および/または生体材料の移植もまた、血流内の特定の細胞の吸引力により、線維性カプセルの形成を引き起こす可能性がある。インプラントは、フィブリン形成により血液凝固を引き起こし、患者に合併症を引き起こす可能性がある。インプラントが血液と接触したり、体内に留置されたりすると、細菌感染を引き起こす可能性もある。血栓の形成に対抗する一般的な方法の一つは、様々な種類の血液希釈剤を使用することです。一般的に使用される血液希釈剤のひとつにヘパリンがある。しかし、ヘパリンには望ましくない副作用がある。
【0156】
一般に、フィブリンは出血に反応して部分的に産生される不溶性タンパク質であり、血栓の主要成分である。フィブリンは、肝臓で産生され血漿中に存在する可溶性タンパク質であるフィブリノゲンによって形成される。組織の損傷により出血が起こると、フィブリノゲンは傷口で凝固酵素であるトロンビンの作用によりフィブリンに変換される。フィブリンは血小板とともに創傷部に止血栓や血栓を形成する。 フィブリノゲンからフィブリンが形成される過程では、まず血小板が引き寄せられる。血小板はその表面にトロンビン受容体を持っており、血清トロンビン分子と結合する。これらの分子は可溶性フィブリノゲンをフィブリンに変換する。フィブリンはその後、血小板に結合した丈夫で不溶性のタンパク質の長い鎖を形成する。フィブリンはその後架橋され、硬化し収縮する。これは、ヒトの血液中に存在する酵素である第XIII因子によって可能になる。フィブリンは異物反応によっても生成される。体内に異物が検出されると、免疫系はその異物に引き付けられ、分解しようとする。この分解がうまくいかないと、線維芽細胞のエンベロープが作られ、身体を異物から隔離するための物理的バリアが形成される。これがさらにフィブリン鞘に発展することもある。異物がインプラントの場合、これはインプラントの機能を妨げる可能性がある。
【0157】
このように、インプラントは体内に埋め込まれると、流れる血液と接触する可能性がある。このため、インプラントの表面に血小板が付着することがある。そして血小板は、血液中のフィブリノーゲンをフィブリンに変換させ、インプラント上および/またはその周囲に鞘を作ることがある。これにより、インプラントが正常に機能しなくなる可能性があり、また、患者にとって危険な血栓が生じる可能性もある。 しかし、血液と接触していないインプラントでも、フィブリンの生成によっ て機能不全に陥る可能性がある。この場合、異物反応が誤作動の根本的な要因である可能性がある。さらに、人体への異物の移植は、炎症反応を引き起こすことがある。この反応は一般に、人体を異物から保護する線維性結合組織の比較的密な層に異物が包み込まれるまで持続する。この過程は、インプラントが宿主タンパク質の層を即座に自然に獲得することから始まるかもしれない。血液タンパク質で修飾された表面は、細胞が表面に付着することを可能にし、単球とマクロファージがインプラント表面で相互作用することを可能にする。マクロファージは線維化を調節するタンパク質を分泌し、異物、すなわちインプラントの周囲に線維化カプセルを形成する。実際には、線維化カプセルは過剰な線維性結合組織の緻密な層で形成されることがある。線維化カプセルの非弾性的な特性は、インプラントの硬化、締め付け、変形、歪みを引き起こし、ひどい場合には再手術に至ることもある。
【0158】
インプラントはまた、様々な種類の感染症を引き起こす可能性がある。インプラントに関連した感染症につながる細菌のコロニー形成は、多くの種類のインプラントで知られている問題です。例えば、皮膚常在菌であるブドウ球菌や黄色ブドウ球菌は、インプラントのような異物に定着する傾向があり、感染症を引き起こす可能性があります。黄色ブドウ球菌の問題点は、インプラント周囲にバイオフィルムを形成し、外部環境から細菌のニッチを封じ込めることである。このため、宿主の防御システムが細菌を処理することが難しくなる。インプラントによる感染を引き起こす細菌とそのプロセスの例は他にもあります。
【0159】
したがって、本開示のこのさらなる態様によれば、上述の移植可能なシステムの構成要素と、患者の組織または流れる血液との間の接触によって引き起こされるフィブリン生成を緩和するために、システムの移植可能な構成要素は、構成要素のそれぞれの外面に配置された特定のコーティングを含んでもよい。このコーティングは、生体材料の少なくとも1つの層から構成され得る。生体材料は、好ましくはフィブリン系である。コーティングは、抗血栓性および/または抗菌性および/または抗血小板特性を有する少なくとも1つの薬物または物質を含んでもよい。薬物または物質は、多孔質材料中にカプセル化されていてもよい。
【0160】
第1のコーティング上に配置された第2のコーティングが提供されてもよい。第2のコーティングは、前記第1のコーティングとは異なる生体材料であってもよい。特に、第1のコーティングは、表面に化学的に付着したパーフルオロカーボンの層からなり、第2のコーティングは、液体のパーフルオロカーボン層からなることがある。
【0161】
さらに好ましくは、表面は、チタン、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ジルコニウム、モリブデン、スズまたは鉛のうちの少なくとも1つのような金属で構成されていてもよい。
【0162】
最後に、表面は微細パターンを含んでいてもよく、微細パターンは、体内への挿入前に表面にエッチングされてもよい。生体材料の層は、微細パターン上にコーティングされてもよい。
【0163】
本開示のさらなる態様は、患者の腸に関する障害を有する患者を治療するために開示されたシステムと有利に組み合わされ得、患者の組織部分によって定位置に保持されるように構成される移植可能な通電医療装置に関し、この医療装置は以下のものを備える:組織部分の第1の側に配置されるように構成された第1の部分であって、該第1の部分は、第1の平面における第1の断面積を有し、該組織部分の該第1の側の第1の組織表面に対向するように構成された第1の表面を備える、第1の部分と、該組織部分の第2の側に配置されるように構成された第2の部分であって、該第2の側は該第1の側に対向する、第2の部分と、を備え該第2の部分は、第2の平面における第2の断面積を有し、該組織部分の該第2の側の第2の組織表面に係合するように構成された第2の表面と、該組織部分の該第1の側と該第2の側との間に延びる該組織部分の穴を通して配置されるように構成された連結部分と、を備え、該連結部分は、第3の平面における第3の断面積を有し、該第1の部分を該第2の部分に連結するように構成され、ここで第1の平面、第2の平面、および第3の平面は互いに平行であり、第3の断面積は、第1の断面積および第2の断面積よりも小さく、第1の部分および第2の部分が、第1の平面、第2の平面、および第3の平面に垂直な方向に、組織部分の穴を通って移動するのを阻止するようになっており、連結部分および第2の部分は、連結部分と第2の部分との間に連結界面を形成するように構成されており前記第2の部分は、前記第2の平面に平行な第1の方向に沿って延び、前記第2の部分は、前記第1の方向に沿った長さ方向の断面積を有し、前記第2の長さ方向の断面積は、前記第1の長さ方向の断面積よりも小さく、前記第1の長さ方向の断面積は、前記第1の方向に関して、前記連結界面により近い位置に配置される。
【0164】
いくつかの実施形態において、第2の部分は、第1の端部と、第1の方向に沿って第1の端部に対向する第2の端部とを有し、第2の部分は、第1の端部と第2の端部との間の長さを有し、第2の部分は、中間領域と遠位領域とを有し、中間領域は、接続部分と第2の部分との間の接続界面によって画定され、遠位領域は、接続部分と第2の部分との間の接続界面から第2の端部まで延びる。
【0165】
いくつかの実施形態において、第2の部分の長さ方向の断面積は、中間領域の端部から第2の端部に向かって連続的に減少する。
【0166】
いくつかの実施形態において、第2の部分の長さ方向の断面積は、中間領域の端部から第2の端部に向かって直線的に減少する。
【0167】
いくつかの実施形態において、第2の部分の長さ方向の断面積は、中間領域の端部から第2の端部に向かって段階的に減少する。
【0168】
いくつかの実施形態において、第2の部分の遠位領域は円錐形である。
【0169】
いくつかの実施形態では、第2の部分は、第1の方向に沿って回転対称性を有する。
【0170】
いくつかの実施形態では、第2の部分の第2の表面は、連結部分の中央延長部に対して実質的に垂直である。
【0171】
いくつかの実施形態では、第2の部分の第2の表面は、第2の平面に実質的に平行である。
【0172】
いくつかの実施形態において、第2の部分の第2の表面は、実質的に平坦であり、第2の組織表面に対する接触領域を形成するように構成され、第2の部分が、第2の端部に向かって先細になるように構成された、第1の部分から離れる向きの下側表面をさらに備える。
【0173】
いくつかの実施形態において、第2の部分は、近位領域を有し、近位領域は、第1の端部から、接続部分と第2の部分との間の接続界面まで延びる。
【0174】
いくつかの実施形態では、第2の部分の長さ方向の断面積は、中間領域の端部から第1の端部に向かって連続的に減少する。
【0175】
いくつかの実施形態において、第2の部分の長さ方向の断面積は、中間領域の端部から第1の端部に向かって直線的に減少する。
【0176】
いくつかの実施形態において、第2の部分の長さ方向の断面積は、中間領域の端部から第1の端部に向かって段階的に減少する。
【0177】
いくつかの実施形態では、第2の部分の近位領域は円錐形である。
【0178】
いくつかの実施形態では、第1端と第2端はそれぞれ楕円点からなる。
【0179】
いくつかの実施形態では、第1および第2の端部はそれぞれ半球状のエンドキャップからなる。
【0180】
いくつかの実施形態では、第2の部分は、第1の端部と第2の端部との間の長さに沿って少なくとも1つの円形断面を有する。
【0181】
いくつかの実施形態では、第2の部分は、第1の端部と第2の端部との間の長さに沿って少なくとも1つの楕円形の断面を有する。
【0182】
いくつかの実施形態では、第2の部分は、第1の端部と第2の端部との間の長さに沿って少なくとも1つの楕円形の断面を有する。
【0183】
幾つかの実施形態では、第2の部分は、連結部分の中心延長部とは異なる方向に前記長さを有する。
【0184】
いくつかの実施形態では、連結部分と第2の部分との間の連結界面は、第2の部分に対して偏心している。
【0185】
いくつかの実施形態では、接続部分と第2の部分との間の接続界面は、第2の部分に対して、第1の方向には偏心しているが、第1の方向に垂直な第2の方向には偏心していない。
【0186】
いくつかの実施形態において、接続部分と第2の部分との間の接続界面は、第2の部分に対して、第1の方向および第1の方向に垂直な第2の方向に偏心している。
【0187】
いくつかの実施形態では、第2の方向は第2の平面に平行である。
【0188】
いくつかの実施形態において、近位領域および遠位領域は、組織部分の第2の側面の第2の表面に係合するように構成された第2の表面を備える。
【0189】
いくつかの実施形態では、第2の部分は、第1の端部から第2の端部に向かってテーパー状である。
【0190】
いくつかの実施形態において、第2の部分は、第2の部分の中間領域から第1の端部および第2の端部の各々までテーパー状である。
【0191】
いくつかの実施形態では、第1の部分は、最大寸法が10~40mmの範囲、例えば10~30mmの範囲、例えば15~25mmの範囲にある。
【0192】
いくつかの実施形態では、第1の部分は、10~40mmの範囲、例えば10~30mmの範囲、例えば15~25mmの範囲にある直径を有する。
【0193】
いくつかの実施形態では、連結部分は、2~20mmの範囲、例えば2~15mmの範囲、例えば5~10mmの範囲の第3平面における最大寸法を有する。
【0194】
いくつかの実施形態では、第2の部分は、最大寸法が30~90mmの範囲、例えば30~70mmの範囲、例えば35~60mmの範囲にある。
【0195】
いくつかの実施形態では、第1の部分は、球形状、楕円体形状、多面体形状、細長い形状、および平坦な円盤形状のうちの1つ以上を有する。
【0196】
いくつかの実施形態では、接続部分は、第3の平面に平行な平面において、楕円形の断面、細長い断面、および円形の断面のうちの1つを有する。
【0197】
いくつかの実施形態では、遠位領域は、立位患者の下方に向けられるように構成される。
【0198】
いくつかの実施形態では、第1の部分は第1の高さを有し、第2の部分は第2の高さを有し、両方の高さは第1および第2の平面に垂直な方向にあり、第1の高さは第2の高さよりも小さい。
【0199】
いくつかの実施形態では、第1の高さは第2の高さの2/3未満、例えば第2の高さの1/2未満、例えば第2の高さの1/3未満である。
【0200】
いくつかの実施形態では、第2の部分の第2の端部は、患者内の埋め込み可能な通電医療装置の位置から尾部方向に位置するインプラントに接続するための接続部を備える。
【0201】
いくつかの実施形態では、第2の部分の第1の端部は、患者内の埋め込み可能な通電医療装置の位置から頭蓋方向に位置するインプラントに接続するための接続部を備える。
【0202】
いくつかの実施形態において、接続部分は、第4の平面における第4の断面積をさらに備え、第4の平面は、第1、第2および第3の平面に平行であり、第3の断面積は、第4の断面積よりも小さい。
【0203】
いくつかの実施形態では、接続部分は、第4の断面積を構成する突出要素からなる。
【0204】
いくつかの実施形態において、第1の表面は、組織部分の第1の側の第1の組織表面と係合するように構成される。
【0205】
いくつかの実施形態において、第1の部分は、外部のワイヤレスエネルギー送信機から無線送信されたエネルギーを受信するように構成された第1のワイヤレスエネルギー受信機を備える。
【0206】
いくつかの実施形態では、第1の部分は、内部のワイヤレスエネルギー送信機を構成する。
【0207】
いくつかの実施形態では、第2の部分は、第2のワイヤレスエネルギー受信機を備える。
【0208】
いくつかの実施形態では、第1の部分は、第1のエネルギー貯蔵ユニットを備える。
【0209】
いくつかの実施形態では、第2の部分は、第2のエネルギー貯蔵ユニットを構成する。
【0210】
いくつかの実施形態では、第1および第2のエネルギー貯蔵ユニットの少なくとも一方は、固体電池である。
【0211】
いくつかの実施形態では、固体電池は塩化チオニル電池である。
【0212】
いくつかの実施形態において、第1のワイヤレスエネルギー受信機は、外部ワイヤレスエネルギー送信機によってワイヤレス送信されたエネルギーを受信し、受信したエネルギーを第1のエネルギー貯蔵ユニットに貯蔵するように構成され、内部ワイヤレスエネルギー送信機は、第1のエネルギー貯蔵ユニットに貯蔵されたエネルギーを第2のワイヤレスエネルギー受信機にワイヤレス送信するように構成され、第2のワイヤレスエネルギー受信機は、内部ワイヤレスエネルギー送信機によってワイヤレス送信されたエネルギーを受信し、受信したエネルギーを第2のエネルギー貯蔵ユニットに貯蔵するように構成される。
【0213】
いくつかの実施形態では、第1の部分は、少なくとも1つの処理ユニットを含む第1のコントローラを備える。
【0214】
いくつかの実施形態では、第2の部分は、少なくとも1つの処理ユニットを含む第2のコントローラを備える。
【0215】
いくつかの実施形態では、第1および第2のコントローラの少なくとも一方は、外部装置と無線通信するための無線トランシーバに接続されている。
【0216】
いくつかの実施形態では、第1のコントローラは、外部装置から無線通信を受信するために第1の部分内の第1の無線通信受信機に接続され、第1のコントローラは、第2の部分内の第2の無線通信受信機に無線通信を送信するために第1の部分内の第1の無線通信送信機に接続される。
【0217】
いくつかの実施形態では、第2のコントローラは、第1の部分から無線通信を受信するための第2の無線通信受信機に接続される。
【0218】
いくつかの実施形態では、第1のワイヤレスエネルギー受信機は第1のコイルからなり、内部ワイヤレスエネルギー送信機は第2のコイルからなる。
【0219】
いくつかの実施形態では、第1の部分は複合コイルを備え、複合コイルは、外部のワイヤレスエネルギー送信機から無線でエネルギーを受信し、第2の部分の第2の無線受信機に無線でエネルギーを送信するように構成される。
【0220】
いくつかの実施形態では、コイルの少なくとも1つはセラミック材料に埋め込まれている。
【0221】
いくつかの実施形態において、移植可能な通電医療装置は、少なくとも第1の部分を囲むように構成されたハウジングをさらに備え、ハウジングの第1の部分はチタンから作られ、ハウジングの第2の部分はセラミック材料から作られる。
【0222】
いくつかの実施形態では、セラミック材料から作られたハウジングの部分は、セラミック材料に埋め込まれた少なくとも1つのコイルを含んでいる。
【0223】
いくつかの実施形態において、移植可能な通電医療装置は、少なくとも第2の部分を囲むように構成されたハウジングをさらに備え、ハウジングの第1の部分はチタンから作られ、ハウジングの第2の部分はセラミック材料から作られる。
【0224】
いくつかの実施形態では、セラミック材料から作られたハウジングの部分は、セラミック材料に埋め込まれた少なくとも1つのコイルを含んでいる。
【0225】
いくつかの実施形態では、第2の部分は、移植可能な身体係合部を操作するための操作装置の少なくとも一部を構成する。
【0226】
いくつかの実施形態では、第2部分は少なくとも1つの電気モーターから構成される。
【0227】
いくつかの実施形態では、第2の部分は、電気モーターによって生成される運動の速度を低下させ、力を増加させるように構成された変速機からなる。
【0228】
いくつかの実施形態では、トランスミッションは、高い速度で週力を低い速度で強い力に伝達するように構成されている。
【0229】
いくつかの実施形態では、トランスミッションは回転力を直線力に変換するように構成されている。
【0230】
いくつかの実施形態では、トランスミッションはギアシステムで構成される。
【0231】
いくつかの実施形態では、第2部分は、第2部分の第1チャンバを第2部分の第2チャンバから分離するバリア、少なくとも第2部分を囲むハウジング、のうちの1つを通して電気モーターからの機械的仕事を伝達するための磁気カップリングを備える。
【0232】
いくつかの実施形態では、第2部分は、少なくとも1つの油圧ポンプからなる。
【0233】
いくつかの実施形態では、油圧ポンプは、少なくとも1つの圧縮可能な油圧リザーバを含むポンプから構成される。
【0234】
いくつかの実施形態において、移植可能な通電式医療装置は、第1および第2のエネルギー貯蔵ユニットの少なくとも一方に接続され、電気モータに接続されたコンデンサをさらに備え、コンデンサは、第1および第2のエネルギー貯蔵ユニットの少なくとも一方によって充電され、電気モータに電力を供給するように構成される。
【0235】
いくつかの実施形態では、第1および第2の部分の少なくとも一方は、患者の感覚によって検出可能な感覚を発生するように適合された感覚発生器を備える。
【0236】
いくつかの実施形態では、第2部分は、第2部分から移植体係合部分に力を機械的に伝達するように構成された力伝達要素を備える。
【0237】
いくつかの実施形態では、第2部分は、第2部分から移植体係合部分へ力を油圧で伝達するように構成された力伝達要素を含んでいる。
【0238】
いくつかの実施形態では、第2の部分は、電気エネルギーおよび/または情報を第2の部分から埋め込まれた身体係合部分に伝達するための少なくとも1つのリードを備える。
【0239】
いくつかの実施形態では、第1の部分は、第1の部分に流体を注入するための注入ポートを備える。
【0240】
いくつかの実施形態において、接続部分は、第1の部分から第2の部分へ流体を移送するための導管を備える。
【0241】
いくつかの実施形態では、導管は、接続部分の中空部分を通って延びるように配置される。
【0242】
いくつかの実施形態において、第2の部分は、互いに離間した第1のチャンバおよび第2のチャンバを備え、第1のチャンバは第1の液体を含み、第2のチャンバは第2の液体を含み、第2の液体は、患者の身体部分に力を及ぼすように構成された移植可能要素に力を伝達するように構成された液圧液体である。
【0243】
いくつかの実施形態では、第一のチャンバーの壁部は、第一のチャンバーの膨張を可能にする弾力性を有する。
【0244】
いくつかの実施形態では、第2の部分は、患者の身体部分に力を及ぼすように構成された第1の油圧作動可能な移植要素と流体連通している第1の油圧システムと、患者の身体部分に力を及ぼすように構成された第2の油圧作動可能な移植要素と流体連通している第2の油圧システムとを備え、第1および第2の油圧作動可能な移植要素は互いに独立して調節可能である。
【0245】
いくつかの実施形態では、第1の油圧システムは第1の油圧ポンプからなり、第2の油圧システムは第2の油圧ポンプからなる。
【0246】
いくつかの実施形態では、第1および第2の油圧システムの各々は、作動油を保持するためのリザーバを備える。
【0247】
いくつかの実施形態では、埋め込み可能な通電式医療装置は、第1の液圧システムの圧力を感知するように構成された第1の圧力センサーと、第2の液圧システムの圧力を感知するように構成された第2の圧力センサーとをさらに備える。
【0248】
いくつかの実施形態において、第1の表面は、組織部分の第1の側の第1の組織表面と係合するように構成される。
【0249】
いくつかの実施形態では、第1、第2および第3の平面は、組織の主要伸展面に平行である。
【0250】
いくつかの実施形態では、第4の平面は組織の主要な伸展面に平行である。
【0251】
本開示のさらなる態様は、患者の腸に関する障害を有する患者を治療するために開示されたシステムと有利に組み合わされ得、患者の組織部分によって定位置に保持されるように構成された、移植可能な通電医療装置に関し、この医療装置は以下のものを備える:組織部分の第1の側に配置されるように構成された第1の部分であって、該第1の部分は、第1の平面における第1の断面積を有し、組織部分の第1の側の第1の組織表面に対向するように構成された第1の表面を備える、第1の部分と、組織部分の第2の側に配置されるように構成された第2の部分であって、該第2の側は第1の側に対向し、該第2の部分は、第2の平面における第2の断面積を有し、組織部分の第2の側の第2の組織表面に係合するように構成された第2の表面を備える、第2の部分と組織部分の第1の側部と第2の側部との間に延びる組織部分の穴を通して配置されるように構成された連結部分であって、該連結部分は、第3の平面における第3の断面積を有し、組織部分の第1の側部の第1の組織表面に係合するように構成された第3の表面を備える、連結部分と、を備え、該連結部分は、該第1の部分を該第2の部分に連結するように構成され、ここで、以下第1の平面、第2の平面、および第3の平面は互いに平行であり、第3の断面積は第2の断面積よりも小さく、第1の部分、第2の部分、および連結部分が、第1の平面、第2の平面、および第3の平面に垂直な方向で組織部分の穴を通って移動することが阻止されるようになっている、前記第1の部分は、周波数レベルを超える周波数で電磁波を受信するように構成され、および/または、周波数レベルを下回る周波数で電磁波を送信するように構成され、前記第2の部分は、周波数レベルを下回る周波数で電磁波を受信および/または送信するように構成され、前記周波数レベルは100kHzである。
【0252】
いくつかの実施形態では、第1の部分は、周波数レベル未満の周波数の電磁波を第2の部分に送信するように構成される。
【0253】
いくつかの実施形態では、第1の部分は、周波数レベルを超える周波数の電磁波を外部機器に送信するように構成される。
【0254】
いくつかの実施形態では、周波数レベルは40kHzまたは20kHzである。
【0255】
一部の実施形態では、電磁波はワイヤレスエネルギおよび/または無線通信を構成する。
【0256】
いくつかの実施形態では、第1の部分は、周波数レベルより高い外部ワイヤレスエネルギー送信機によって無線送信されたエネルギーを受信するための第1のワイヤレスエネルギー受信機と、周波数レベルより低い第2の部分にエネルギーを無線送信するように構成された内部ワイヤレスエネルギー送信機とを備え、第2の部分は、周波数レベルより低い内部ワイヤレスエネルギー送信機によって無線送信されたエネルギーを受信するように構成された第2のワイヤレスエネルギー受信機を備える。
【0257】
いくつかの実施形態では、第1の部分は、少なくとも1つの処理ユニットを含む第1のコントローラを備える。
【0258】
いくつかの実施形態では、第2の部分は、少なくとも1つの処理ユニットを含む第2のコントローラを備える。
【0259】
幾つかの実施形態では、第1のコントローラは、周波数レベルより上方の外部装置から無線通信を受信するための第1の部分の第1の無線通信受信機に接続され、第1のコントローラは、周波数レベルより下方の第2の部分の第2の無線通信受信機に無線通信を送信するための第1の部分の第1の無線通信送信機に接続される。
【0260】
いくつかの実施形態では、第2のコントローラは、周波数レベル以下の第1の部分からの無線通信を受信するための第2の無線通信受信機に接続される。
【0261】
いくつかの実施形態では、第1の部分は、ポリマー材料から作られた外側ケーシングからなる。
【0262】
いくつかの実施形態では、外側ケーシングは完全な筐体を形成し、第1の部分によって受信され送信される電磁波はケーシングを通過しなければならない。
【0263】
いくつかの実施形態では、第2の部分はチタン製の外側ケーシングからなる。
【0264】
いくつかの実施形態では、外側ケーシングは完全な筐体を形成し、第2の部分によって受信され送信される電磁波はケーシングを通過しなければならない。
【0265】
本開示のさらなる態様は、患者の腸に関する障害を有する患者を治療するために開示されたシステムと有利に組み合わされ得、患者の組織部分によって定位置に保持されるように構成される移植可能な通電医療装置に関し、この医療装置は以下のものを備える:組織部分の第1の側に配置されるように構成された第1の部分であって、該第1の部分は、第1の平面における第1の断面積を有し、組織部分の第1の側の第1の組織表面に対向するように構成された第1の表面を備える、第1の部分と、組織部分の第2の側に配置されるように構成された第2の部分であって、該第2の側は第1の側に対向し、該第2の部分は、第2の平面における第2の断面積を有し、組織部分の第2の側の第2の組織表面に係合するように構成された第2の表面を備える、第2の部分と組織部分の第1の側部と第2の側部との間に延びる組織部分の穴を通して配置されるように構成された連結部分であって、該連結部分は、第3の平面における第3の断面積を有し、組織部分の第1の側部の第1の組織表面に係合するように構成された第3の表面を備える、連結部分と、を備え、該連結部分は、該第1の部分を該第2の部分に連結するように構成され、ここで、以下第1の平面、第2の平面および第3の平面は互いに平行であり、第3の断面積は第2の断面積よりも小さく、第1の部分、第2の部分および連結部分が、第1の平面、第2の平面および第3の平面に垂直な方向に組織部分の穴を通って移動することが妨げられ、第1の部分は、周波数レベル未満の周波数で電磁波を受信および/または送信するように構成され、周波数レベルは100kHzである。
【0266】
いくつかの実施形態では、第2の部分は、周波数レベル未満の周波数で電磁波を受信および/または送信するように構成される。
【0267】
いくつかの実施形態では、第1の部分は、周波数レベル以下の周波数の電磁波を第2の部分に送信するように構成される。
【0268】
いくつかの実施形態では、第1の部分は、周波数レベル以下の周波数の電磁波を外部装置に送信するように構成される。
【0269】
いくつかの実施形態では、周波数レベルは40kHzまたは20kHzである。
【0270】
一部の実施形態では、電磁波はワイヤレスエネルギおよび/または無線通信を構成する。
【0271】
いくつかの実施形態では、第1の部分は、周波数レベル未満の外部ワイヤレスエネルギー送信機によって無線送信されたエネルギーを受信するための第1のワイヤレスエネルギー受信機と、周波数レベル未満の第2の部分にエネルギーを無線送信するように構成された内部ワイヤレスエネルギー送信機とを備え、第2の部分は、周波数レベル未満の内部ワイヤレスエネルギー送信機によって無線送信されたエネルギーを受信するように構成された第2のワイヤレスエネルギー受信機を備える。
【0272】
いくつかの実施形態では、第1の部分は、少なくとも1つの処理ユニットを含む第1のコントローラを備える。
【0273】
いくつかの実施形態では、第2の部分は、少なくとも1つの処理ユニットを含む第2のコントローラを備える。
【0274】
いくつかの実施形態において、第1のコントローラは、周波数レベル以下の外部装置から無線通信を受信するための第1の部分の第1の無線通信受信機に接続され、第1のコントローラは、周波数レベル以下の第2の部分の第2の無線通信受信機に無線通信を送信するための第1の部分の第1の無線通信送信機に接続される。
【0275】
いくつかの実施形態では、第2のコントローラは、周波数レベル以下の第1の部分からの無線通信を受信するための第2の無線通信受信機に接続される。
【0276】
いくつかの実施形態では、第1の部分は、ポリマー材料から作られた外側ケーシングからなる。
【0277】
いくつかの実施形態では、第一部分はチタン製の外側ケーシングからなる。
【0278】
いくつかの実施形態では、外側ケーシングは完全な筐体を形成し、第1の部分によって受信され送信される電磁波はケーシングを通過しなければならない。
【0279】
いくつかの実施形態では、第2の部分はチタン製の外側ケーシングからなる。
【0280】
いくつかの実施形態では、外側ケーシングは完全な筐体を形成し、第2の部分によって受信され送信される電磁波はケーシングを通過しなければならない。
【0281】
本開示のさらなる態様は、患者の腸に関する障害を有する患者を治療するために開示されたシステムと有利に組み合わされ得、患者の組織部分によって定位置に保持されるように構成された、移植可能な通電医療装置に関し、この医療装置は以下のものを備える:組織部分の第1の側に配置されるように構成された第1の部分であって、該第1の部分は、第1の平面における第1の断面積を有し、組織部分の第1の側の第1の組織表面に対向するように構成された第1の表面を備える、第1の部分と、組織部分の第2の側に配置されるように構成された第2の部分であって、該第2の側は第1の側に対向し、該第2の部分は、第2の平面における第2の断面積を有し、組織部分の第2の側の第2の組織表面に係合するように構成された第2の表面を備える、第2の部分と組織部分の第1の側部と第2の側部との間に延びる組織部分の穴を通して配置されるように構成された連結部分であって、該連結部分は、第3の平面における第3の断面積を有し、組織部分の第1の側部の第1の組織表面に係合するように構成された第3の表面を備える、連結部分と、を備え、該連結部分は、該第1の部分を該第2の部分に連結するように構成され、ここで、以下第1の平面、第2の平面および第3の平面は互いに平行であり、第3の断面積は第2の断面積よりも小さく、第1の部分、第2の部分および連結部分が、第1の平面、第2の平面および第3の平面に垂直な方向で組織部分の穴を通って移動するのを防止するようになっており、第1の部分はポリマー材料から作られており、第2の部分はチタンから作られたケーシングから構成されており、ケーシングは完全な筐体を形成している。
【0282】
いくつかの実施形態では、第2の部分のケーシングは、第2の部分が連結部分に連結されたときに、第2の部分の外面の全体がケーシングによって覆われるような完全な囲いを形成する。
【0283】
いくつかの実施形態では、第1の部分は、ポリマー材料から作られたケーシングからなる。
【0284】
いくつかの実施形態では、第1の部分のケーシングは、第1の部分の外面の全体がケーシングによって覆われるような完全な囲いを形成する。
【0285】
いくつかの実施形態では、接続部分は、第1部分および第2部分にそれぞれ接続し、電気信号および/またはエネルギーを伝送するように配置された接続部を備える。
【0286】
いくつかの実施形態では、接続部は、接続部の外側材料によって封止されるように、接続部のコアに配置される。
【0287】
いくつかの実施形態では、連結部分はセラミック材料からなる。
【0288】
いくつかの実施形態では、接続部はセラミック材料内にカプセル化されている。
【0289】
いくつかの実施形態では、第1の部分は、接続部分の接続部に接続するように構成された第1の接続部を備える。
【0290】
いくつかの実施形態では、第2の部分は、接続部の接続部に接続するように構成された第2の接続部を備える。
【0291】
いくつかの実施形態では、第2部分のケーシングは気密封止されている。
【0292】
いくつかの実施形態では、第2の接続部は、第2の部分の気密封止がそのまま維持されるように配置される。
【0293】
いくつかの実施形態では、第一部分のケーシングは密閉されている。
【0294】
本開示のさらなる態様は、患者の腸に関する障害を有する患者を治療するために開示されたシステムと有利に組み合わされ得、患者の組織部分によって定位置に保持されるように構成される移植可能な通電医療装置に関し、この医療装置は以下のものを備える:組織部分の第1の側に配置されるように構成された第1の部分であって、該第1の部分は、第1の平面における第1の断面積を有し、組織部分の第1の側の第1の組織表面に対向するように構成された第1の表面を備える、第1の部分と、組織部分の第2の側に配置されるように構成された第2の部分であって、該第2の側は第1の側に対向し、該第2の部分は、第2の平面における第2の断面積を有し、組織部分の第2の側の第2の組織表面に係合するように構成された第2の表面を備える、第2の部分と組織部分の第1の側部と第2の側部との間に延びる組織部分の穴を通して配置されるように構成された連結部分であって、該連結部分は、第3の平面における第3の断面積を有し、組織部分の第1の側部の第1の組織表面に係合するように構成された第3の表面を備える、連結部分と、を備え、該連結部分は、該第1の部分を該第2の部分に連結するように構成され、ここで、以下第1の平面、第2の平面、および第3の平面は、互いに平行であり、第3の断面積は、第2の断面積よりも小さく、第1の部分、第2の部分、および連結部分が、第1の平面、第2の平面、および第3の平面に垂直な方向に、組織部分の穴を通って移動することが防止され、連結部分が、中心延長軸に沿って、第1の部分と第2の部分との間に延びるように構成され、第2の部分が、中心延長軸と発散する長さ方向に延びるように構成される、連結部分が、中心延長軸に沿って実質的に一定の断面積を有するか、または連結部分が、中心延長軸に沿って第1の部分から第2の部分に向かう方向に減少する断面積を有するか、および/または第2の部分が、長さ方向に沿って実質的に一定の断面積を有するか、または第2の部分が、長さ方向に減少する断面積を有する、ことを特徴とする。
【0295】
いくつかの実施形態では、第3の断面積は第1の断面積よりも小さい。
【0296】
いくつかの実施形態では、連結部分は、中心延長軸に沿って第1の部分から第2の部分に向かう方向にテーパー状である。
【0297】
いくつかの実施形態では、連結部分は、第1の部分から第2の部分に向かう方向に直径が減少する、中心延長軸に沿った円形または楕円形の断面を有する。
【0298】
いくつかの実施形態では、第2部分は長さ方向にテーパー状である。
【0299】
いくつかの実施形態では、連結部分は、長さ方向に直径が減少する円形または楕円形の断面を有する。
【0300】
いくつかの実施形態では、長さ方向は、連結部分と第2の部分との間の界面から第2の部分の端部に向かって延びる。
【0301】
いくつかの実施形態では、長さ方向は、中心延長軸に実質的に垂直な方向に延びる。
【0302】
本発明の概念の一実施形態によれば、患者の身体部分に力を及ぼすための埋め込み可能な装置が提供され、この埋め込み可能な装置は、埋め込み可能な通電医療装置と、患者の身体部分に力を及ぼすように構成された埋め込み可能な要素と、を備える。
【0303】
いくつかの実施形態では、患者の身体部分に力を及ぼすように構成された埋め込み可能な要素は、埋め込み可能な水圧収縮装置である。
【0304】
いくつかの実施形態において、移植可能な水圧収縮装置は、患者の腸を収縮させるように構成されている。
【0305】
いくつかの実施形態において、埋め込み可能な液圧式収縮装置は、患者の結腸または直腸を収縮させるための埋め込み可能な液圧式収縮装置からなる。
【0306】
いくつかの実施形態では、埋め込み可能な水圧収縮装置は、患者のストーマの領域で腸を収縮させるための埋め込み可能な水圧収縮装置からなる。
【図面の簡単な説明】
【0307】
次に、添付図面を参照しながら、本発明を例示的に説明する:
【
図1A】
図1Aは、患者の腸の組織を電気的に刺激するシステムの第1実施形態を上面図で示す。
【
図2A】
図2Aは、患者の腸の組織を電気的に刺激するシステムの第2の実施形態を上面図で示す。
【
図3A】
図3Aは、患者の腸の組織を電気的に刺激するシステムの第3の実施形態を上面図で示す。
【
図4A】
図4Aは、患者の腸の組織を電気的に刺激するシステムの第4の実施形態を上面図で示す。
【
図5A】
図5Aは、患者の腸の組織を電気的に刺激するシステムの第5の実施形態を上面図で示す。
【
図6】
図6は、患者の腸の組織を電気的に刺激するシステムの第6の実施形態を上面図で示す。
【
図7】
図7は、患者の腸の組織を電気的に刺激するシステムの第7の実施形態を上面図で示している。
【
図8】
図8は、患者の腸の組織を電気的に刺激するシステムの第8の実施形態を上面図で示す。
【
図9】
図9は、患者の腸の組織を電気的に刺激するシステムの第9の実施形態を上面図で示している。
【
図10A】
図10Aは、本明細書に記載される患者の腸の組織を電気的に刺激するシステムの実施形態のいずれか1つを支持するために提供され得る油圧ポンプシステムを上面図で示す。
【
図11】
図11は、患者の腸の組織を電気的に刺激するシステムの第11の実施形態を上面図で示す。
【
図12A】
図12Aは、患者の筋肉組織を電気刺激するための電極配置の様々な例を示している。
【
図12B】
図12Bは、患者の筋肉組織を電気刺激するための電極配置の様々な例を示している。
【
図12C】
図12Cは、患者の筋肉組織を電気刺激するための電極配置の様々な例を示している。
【
図12D】
図12Dは、患者の筋肉組織を電気刺激するための電極配置の様々な例を示している。
【
図13】
図13は、筋肉組織を電気的に刺激するためのパルス信号を示している。
【
図14】
図14は、筋肉組織を電気的に刺激するためのパルス信号を示している。
【
図15】
図15は、逆流性疾患を治療するシステムの概略図である。
【
図16】
図16は、逆流性疾患を治療するシステムの概略図である。
【
図17】
図17は、逆流性疾患を治療するシステムの概略図である。
【
図18】
図18は、システムの移植方法のフローチャートである。
【
図19A】
図19Aは、一般に、埋め込まれた医療機器と通信するためのシステムを示している。
【
図19B】
図19Bは、一般に、埋め込まれた医療機器と通信するためのシステムを示している。
【
図19B)】
図19B’は、一般に、埋め込まれた医療機器と通信するためのシステムを示している。
【
図19C】
図19Cは、一般に、埋め込まれた医療機器と通信するためのシステムを示している。
【
図20】
図20は、埋め込み型医療機器のコントローラを充電、プログラミング、および通信するためのシステムの一実施形態を示す。
【
図21】
図21は、ハウジングユニットの左側からの立面透視図である。
【
図23】
図23は、ハウジングユニットの左側からの立面透視図である。
【
図25】
図25は、埋め込み型医療機器と無線通信する筐体ユニットと表示装置からなる外部機器のシステム概要を示す。
【
図26】
図26は、インプラント表面と、その表面に配置されたコーティングを有するインプラントを示している。
【
図27】
図27は、インプラント表面に複数のコーティングが施されたインプラントを示している。
【
図28A】
図28Aは、インプラントの表面に施された異なる微細パターンを示している。
【
図28B】
図28Bは、インプラントの表面に施された異なる微細パターンを示している。
【
図29】
図29は、移植可能な通電式医療機器の一実施形態を示す。
【
図30】
図30は、移植可能な通電式医療機器の一実施形態を示す。
【
図36】
図36は、移植可能な通電式医療機器のさらなる実施形態を示す。
【
図37】
図37は、移植可能な通電式医療機器の一般的な例を示している。
【
図44】
図44は、その第1および第2部分が互いに異なる回転変位をしている
図37の医療器具を示す。
【
図45】
図45は、その第1および第2部分が互いに異なる回転変位をしている
図37の医療器具を示す。
【
図47】
図47は、移植可能な通電式医療機器のさらなる実施形態を示す。
【
図48A】
図48Aは、移植可能通電医療装置をインプラントに結合するための歯車配置および磁気結合を示す。
【
図48B】
図48Bは、移植可能通電医療装置をインプラントに結合するための歯車配置および磁気結合を示す。
【
図49A】
図49Aは、埋め込み可能な医療装置に電力を供給するための埋め込み可能な通電式医療装置の一実施形態の右側からの透視立面図である。
【
図50】
図50は、埋め込み可能な医療装置に電力を供給するための埋め込み可能な通電式医療装置の実施形態の断面平野側面図である;
【
図51】
図51は、埋め込み可能な医療装置に電力を供給するための埋め込み可能な通電式医療装置の実施形態の断面平野側面図である;
【
図52】
図52は、埋め込み可能な医療装置に電力を供給するための埋め込み可能な通電式医療装置の実施形態の断面平野側面図である;
【
図53A】
図53Aは、埋め込み可能な医療装置に電力を供給するための埋め込み可能な通電式医療装置の一実施形態の右側からの透視立面図である;
【発明を実施するための形態】
【0308】
詳細な説明
以下では、添付の図面を参照して本発明の実施形態の詳細な説明を行う。図面は例示のためのものであり、本発明の範囲を何ら制限するものではないことが理解されよう。従って、「上」や「下」のような方向への言及は、図に示された方向への言及に過ぎない。同じ参照数字を有する特徴は同じ機能を有するので、ある実施形態の特徴は、明らかに矛盾しない限り、同じ参照数字を有する他の実施形態の特徴と交換することができることに留意すべきである。従って、同じ参照数字を有する特徴の説明は、特徴の基本的な考え方を説明する上で互いに補完し合い、それによって特徴の汎用性を示すものと見なすべきである。
【0309】
腸の制限とは、腸の断面積を減少させる操作と理解される。制限により、腸内の物質の流れが減少する場合もあれば、物質が通過できないように腸が完全に閉鎖される場合もある。収縮とは、腸を制限する特別な方法、すなわち、例えば、腸の外側から腸に作用して腸を収縮させる機械的または油圧的な収縮装置による収縮による制限と理解される。
【0310】
コントローラは、システムの少なくとも一部を制御できるあらゆるユニットとして理解される。コントローラは、モータおよび/またはポンプ、あるいはシステムの少なくとも一部を作動させるための任意の別の作動装置を含むことができる。それは、電気刺激装置及び/又は機械的若しくは液圧式の収縮装置とは別個であってよく、その動作のみを制御するように適合されてよい。好ましくは、コントローラは、コントローラがデータを処理することを可能にするCPUを含む。制御信号とは、電気刺激装置および/または機械的もしくは液圧式の収縮装置、またはシステムの他の部分を直接的または間接的に制御することができるように、情報および/または電力を伝達することができるあらゆる信号として理解される。
【0311】
図1Aは、患者の腸100に関する障害を有する患者を治療するためのシステムの第1の実施形態の上面図である。この実施形態および以下の実施形態において、システムは、腸の屈曲部分の横方向に隣接する部分の相互接触線に沿って切断され、切断された腸の上半分および下半分がリザーバ部分の腸壁を形成するように接続された、外科的に改変された腸から形成される腸100のリザーバ部分に関連して移植されるように適合される。接続線は縫合糸101で縫合される。
【0312】
患者の腸を治療するためのシステムは、複数の電気刺激装置10による電気刺激を含む。各電気刺激装置10は、1つまたは複数の電極11から構成することができる。図示の実施形態では、電気刺激装置10は7つの電極11から構成されている。各電気刺激装置10の電極11は、電線12によって相互接続されていてもよく、これは、電圧がワイヤ12に印加されると、それらの電極11が同時に通電されることを意味する。図示の実施形態では、電極11が接続された電線12は、切断された腸の上半分と下半分とが縫合糸101によって縫合される相互接触線に沿って配置されている。あるいは、電極11は腸100の異なる位置に配置してもよい。
【0313】
電気刺激装置10の各々は、腸100の筋肉または神経組織を無線で刺激するためのエネルギーを受信するように構成されたワイヤレスエネルギー受信機Rを備える。したがって、電気刺激装置100は物理的に相互接続されておらず、互いに独立している。
図1Bに示す側面図から分かるように、電気刺激装置10は、共通のワイヤレスエネルギー受信器Rを共有する2つの分岐部10A、10Bを含む。
図1Cに示す別の図から分かるように、電極11は、電線12があってもなくても、外科的に作成されたひだ102に配置することができる。あるいは、電極11および/または電線12は、
図1Bに示すように、腸100の外壁103に取り付けてもよいし、壁103に埋め込んでもよい(図示せず)。
【0314】
図1A~
図1Cに示す実施形態では、それぞれのワイヤレスエネルギー受信機Rの1つ1つに対してワイヤレスエネルギー送信機Tが設けられており、したがって、電気刺激装置10にエネルギーがワイヤレスで送信され、これにより、電気刺激装置10は、互いからだけでなく、システム全体の残りの部分からも比較的独立している。このようにして、電気刺激装置10は、線維症がシステムを覆って成長し、包むことによる柔軟性の低下の危険性が最小化されるので、長期にわたってむしろ柔軟性を維持する。このことは、腸の適切な機能にとって重要であり、この腸は、充満運動および排出運動、特に蠕動運動を行うことができなければならない。このことは、例えば
図1に改変して示したような腸リザーバだけでなく、本明細書に開示したようなシステムが同様に適用できる通常の腸にも当てはまる。しかし、注意しなければならないのは、ワイヤレスエネルギ送信器Tが、エネルギー送信器Tからそれぞれ関連するエネルギー受信器Rにエネルギーを安全に送信できるように、ワイヤレスエネルギ受信器Rの十分近くに配置されること、より詳細には埋め込まれることである。
【0315】
ワイヤレスエネルギ送信器Tとワイヤレスエネルギー受信器Rの間のエネルギー伝達は、送信器Tのそれぞれの一次コイルと受信器Rのそれぞれの二次コイルのような、協働するアンテナを介して行われることが好ましく、一次コイルは、関連する二次コイルに電圧を誘導するように構成され、そのために、ワイヤレスエネルギ送信器と受信器は、移植されたとき、互いに近接して配置されることが好ましい。
【0316】
無線送信機Tと受信機Rの一次コイルと二次コイルにより、RFID技術を使用してエネルギー送信機からエネルギー受信機にエネルギーを伝達することができる。この技術はよく確立されている。特に、ワイヤレスエネルギー受信機Rは、RFIDパルスを介してエネルギーを受信するように構成することができる。
【0317】
一方、ワイヤレスエネルギ送信器Tは、必ずしも経時的な柔軟性を維持する必要はなく、従って、それぞれ電気配線13を介してコントローラに接続される。コントローラは、本明細書で後述するように、電気刺激装置10の一部を構成し得る内部コントローラと比較して、「外部」コントローラを表すC
Iで参照される。より具体的には、外部コントローラC
IIは、埋め込まれた外部コントローラである。ここで、埋め込みは、プレスボタンの形態を有することができるスイッチ14によって手動で作動させることができるように、皮膚の下に行われる。特に、スイッチ14は、
図1Aに示すように皮下に埋め込むこともできるし、(
図6に示すように)患者の体外で患者の皮膚に設けることもできる。
【0318】
さらに、再充電可能なエネルギー貯蔵ユニットEは、外部コントローラC
IIによって適宜制御されたときにワイヤレスエネルギ送信器Tにエネルギーを供給するように、外部コントローラC
IIに接続されている。エネルギー貯蔵ユニットは、
図1Aに矢印で示すように、患者の皮膚200を通して無線で再充電可能であり、そのため、エネルギー貯蔵ユニットEは、好ましくは、患者の皮膚200のごく近くに埋め込まれる。あるいは、
図6に示すように、エネルギー貯蔵ユニットEは、患者の皮膚200に取り付けられたポート15にワイヤで接続されてもよい。必要なときはいつでも、エネルギー貯蔵ユニットEは、電気充電器をポート15にドッキングすることによって再充電することができる。
【0319】
従って、本システムを患者または介護者が埋め込んで使用する場合、皮膚200の下に埋め込まれたスイッチ14を押すことによって作動させることができ、これにより、コントローラCIIが起動し、コントローラCIIのCPUにインストールされたプログラムが実行される。かかるプログラムに従って、コントローラCIは、エネルギー貯蔵ユニットEから電気刺激装置10に順次エネルギーを放出する。その結果、腸100の異なる部分が異なるタイミングで電気刺激され、収縮し、それによって腸100内の容積が制限される。このようにして、腸100内に収容された腸内容物は、腸100内を腸100の端部に向かってさらにさらに押し出される。プログラムの終了時には、腸100の神経組織および筋肉組織が弛緩するように、ワイヤレスエネルギ送信器Tと受信器Rとの間のエネルギー伝達が終了される。もちろん、外部コントローラーCIIにおけるプログラムの実行は、必要に応じて、スイッチ14をもう一度作動させることにより、いつでも中断することができる。
【0320】
図2Aは、患者の腸の組織を電気的に刺激するシステムの第2の実施形態を上面図で示す。この実施形態は、各電気刺激装置10が単一の電極11のみを含む点で第1の実施形態と異なる。従って、各電気刺激装置10はそれ自身のワイヤレスエネルギー受信機Rを有するので、各電気刺激装置10の1つ1つに対してワイヤレスエネルギー送信機Tが提供される。ワイヤレスエネルギー送信機Tは、共通のウェブ16上に配置されてもよく、このウェブ16は、好ましくは、1つのワイヤレスエネルギー送信機Tがネット状構造の関連接続点に取り付けられるネット状構造を有してもよい。
【0321】
図2Bは、
図2Aのシステムを側面図で示し、
図1Bの枝部10Aおよび10Bと同様に、
図2Bではウェブ16Aおよび16Bとして参照される前述のウェブ16のうちの2つを備える。
図2Aおよび
図2Bの両方から分かるように、ワイヤレスエネルギー送信機Tは、ワイヤレスエネルギー送信機Tと受信機Rとの間で最良のエネルギー伝達を提供するように、それぞれ関連するワイヤレスエネルギー受信機Rの上に最小限の距離で重なっている。
【0322】
図3Aは、患者の腸の組織を電気的に刺激するシステムの第3の実施形態を示す上面図である。
図3Bは、第3の実施形態の側面図である。この実施形態が
図1A~
図1Cに示す第1の実施形態と異なる点は、単一のワイヤレスエネルギ送信器Tが全ての電気刺激装置10にエネルギーを送信するために設けられている点である。すべての電気刺激装置10に同時に通電することは望ましくないので、各電気刺激装置10に内部コントローラC
I がさらに設けられている。内部コントローラC
I は、関連するワイヤレスエネルギー受信機Rとそれぞれの電気刺激装置10の電極または電極11との間の電気接続をそれぞれ遮断および閉鎖するスイッチ17を制御する。このように、ワイヤレスエネルギー送信機Tは、ワイヤレスエネルギー受信機Rにエネルギーを送信するだけでなくデータも送信するように適合されており、同様に、ワイヤレスエネルギー受信機Rは、エネルギーを無線で受信するだけでなくデータも受信するように適合されている。この目的のためには、RFID技術が特に適している。当技術分野でよく知られているように、RFID信号はエネルギーと情報の両方を伝送するために使用することができるからである。したがって、ワイヤレスエネルギー受信機Rを介して内部コントローラC
I によって無線で受信されるデータには、ワイヤレスエネルギー受信機Rを介してエネルギーが対応する電気刺激装置10に伝達されるように、スイッチ17を閉じるおよび/または開くタイミングに関する情報が含まれる。ワイヤレスエネルギー送信機Tとワイヤレスエネルギー受信機Rとの間の、一方ではエネルギー、他方ではデータの伝達は、
図3Aおよび
図3Bにおいてそれぞれ異なる矢印で示されている。
【0323】
より具体的には、複数の電気刺激装置10のそれぞれの内部コントローラCI は、それぞれの内部コントローラCI に固有の個別コードを使用して、外部コントローラCIIによって(または、後述するようにリモートコントローラによって)個別にアドレス指定されてもよい。 上述したように、電気刺激装置が、腸を波状に刺激するために順次作動される状況において、それぞれの電気刺激装置は、対応する内部コントローラCI の個別コードを使用して個別にアドレス指定されてもよい。このようにして、特にアドレス指定された内部コントローラCIを有する電気刺激装置10のみが、関連するスイッチ17を閉じることによって作動させられ、この特定の電気刺激装置10のみが、腸100のそれぞれの部分を刺激するためにワイヤレスエネルギ送信器Tを介して電気エネルギーを受信するようにすることができる。したがって、ワイヤレスエネルギ送信器Tは、すべての電気刺激装置10のワイヤレスエネルギー受信器Rの二次コイルの全体にわたって延びる単一の一次コイルで構成することができる。
【0324】
図4Aおよび
図4Bは、患者の腸の組織を電気的に刺激するためのシステムの第4の実施形態をそれぞれ上面図および側面図で示す。この実施形態が第3の実施形態と異なるのは、電気刺激装置10の各々が、例えば充電式電池またはキャパシタであってもよい、それ自身のエネルギー蓄積ユニットEを構成している点のみである。したがって、電気刺激装置10のエネルギー蓄積ユニットEは、内部コントローラC
Iが(共通の)ワイヤレスエネルギ送信器Tを介して外部コントローラC
IIから指示を受信して、関連する刺激装置10を閉じ、したがって作動させるときに、電気刺激装置10の各々で十分なエネルギーが利用可能であるように、時間をかけてエネルギーを蓄積することができる。外部コントローラC
IIに接続されたエネルギー貯蔵ユニットEは、好ましくは、長期間にわたって大量のエネルギーを貯蔵することができる充電可能な電池であるが、電気刺激装置10のエネルギー貯蔵ユニットEは、好ましくは、実質的に小さく、ほとんど無視できる大きさであり、腸100を刺激するプロセスに必要な、より短いが十分に長い期間にわたって十分なエネルギーを貯蔵することができるコンデンサとして構成される。
【0325】
もちろん、
図1A、
図1Bおよび
図2A、
図2Bに示す第1および第2の実施形態におけるワイヤレスエネルギー受信機Rも同様に、ワイヤレスエネルギー受信機R、内部コントローラC
I、および好ましくはキャパシタの形態のエネルギー蓄積ユニットEの組み合わせに置き換えることができる。
【0326】
図5Aおよび
図5Bは、患者の腸の組織を電気的に刺激するためのシステムの第5の実施形態をそれぞれ上面図および側面図で示す。この実施形態は、一方では、各電気刺激装置10が(第2の実施形態と同様に)単一の電極11から構成され、他方では、(第3の実施形態と同様に)すべての電気刺激装置10にエネルギーを供給するために単一のワイヤレスエネルギー送信機Tが設けられている点で、
図2A、2Bに示す第2の実施形態と
図3A、3Bに示す第3の実施形態とを組み合わせたものである。したがって、電気刺激装置10はそれぞれ、ワイヤレスエネルギー受信機Rに加えて内部コントローラC
Iを含み、内部コントローラC
Iは、対応する電気刺激装置10によって腸100の刺激が達成され得るように、スイッチ(
図3A、
図3Bのスイッチ17と同様であるが、
図5A、
図5Bには示されていない)を作動させるために個々にアドレス指定され得る。
【0327】
ワイヤレスエネルギ送信装置Tの一次コイル18は、
図5Aおよび
図5Bにおいて、複数の電気刺激装置10を上から覆うように示されている。一次コイル18から腸100の下側の電気刺激装置10へのエネルギー伝達は、腸100の上側の電気刺激装置10へのエネルギー伝達よりも効率が悪いので、好ましい実施形態は、
図5Cに示すように、一次コイル18Aおよび18Bをそれぞれ有する2つのワイヤレスエネルギ送信器Tからなり、一方は腸100の上側の電気刺激装置10を覆うように、他方は腸100の下側の電気刺激装置10を覆うように配置されている。したがって、
図5Cに示す実施形態では、ワイヤレスエネルギ送信器Tの各々は、電気刺激装置10の複数(すべてではない)にエネルギーを送信する。
【0328】
もちろん、
図5A~
図5Cの実施形態における電気刺激装置10は、
図4A、
図4Bに示した第4の実施形態に関連して上述したのと同様に、エネルギー蓄積ユニットEをさらに含んでもよい。
【0329】
上述した実施形態では、エネルギーは、外部コントローラC
II、外部コントローラC
IIに接続されたエネルギー貯蔵ユニットEに無線で送信され、外部コントローラC
IIは、押しボタンなどのスイッチ14によって作動される。しかし、既に前述したように、また第6の実施形態を表す
図6に示すように、ポート15を患者の体外、例えば患者の皮膚200に取り付けて設けてもよく、それによって外部エネルギー源を接続してエネルギー貯蔵ユニットEを再充電してもよく、および/またはスイッチ、例えば押圧ボタンを患者の体外、例えば患者の皮膚200に配置してもよい。あるいは、エネルギー貯蔵ユニットEを省略し、別個のエネルギー源を、恒久的に、またはシステムによる腸100の電気刺激が望まれるときにその都度、ポート15に取り付けてもよい。
【0330】
さらに別の方法として、第7の実施形態を表す
図7に示すように、エネルギー貯蔵ユニットEを患者の皮膚200に取り付けてもよく、このエネルギー貯蔵ユニットEは、好ましくは充電式または少なくとも交換可能な電池であるが、同様に他の種類のエネルギー貯蔵ユニットであってもよい。
図7に示す実施形態は、外部コントローラC
II、移植されるのではなく、患者の体外に位置し、ここでは患者の皮膚200に装着されるという点で、これまでの実施形態とはさらに異なる。
図7に示す実施形態は、
図1A、1Bに関連して上述した第1の実施形態と最も共通する特徴を有するが、他の実施形態も、患者の体外、好ましくは患者の皮膚上に配置される/配置される外部コントローラC
IIおよび/または外部コントローラC
IIに接続されるエネルギー貯蔵ユニットEを備えてもよいことは明らかである。
【0331】
図8は、第7の実施形態と異なる第8の実施形態を示し ており、患者または介護者が外部コントローラC
II とワイヤレス通信できるリモートコントローラC
R の形態の外部コントローラをさらに備えている。もちろん、ワイヤレス外部コントローラC
II は、上記の第1から第6の実施形態に示されるよう に、移植された外部コントローラC
II であってもよい。この方が、患者にとって好ましい場合もある。例えば、遠隔コントローラC
R 、携帯電話、腕時計、または別の携帯機器などの遠隔機器上のプログラムまたはアプリの一部を構成することができ、これにより、システムの適用が、ユーザおよび介護者にとって非常に便利になる。
【0332】
好ましい第9の実施形態では、
図9に示すように、埋め込み式または患者の皮膚に装着式の外部コントローラC
II 、は省略され、埋め込み式ワイヤレスエネルギー送信機Tを制御するのはワイヤレス遠隔コントローラC
R 。リモートコントローラC
R は無線通信を行うため、ワイヤレスリモートコントローラC
R からの制御信号を受信し、それらの信号をワイヤレスエネルギー送信機Tに送信するために、追加のワイヤレスエネルギー受信機R
T が埋め込みのために提供される。追加のワイヤレスエネルギー受信機R
T とワイヤレスエネルギー送信機Tは、場合によっては、トランシーバを形成するために組み合わされてもよい。これ以外の点では、
図9の第10の実施形態の機能は、他の実施形態に関連して上述したものと同一である。特に、
図9に示すような特定の実施形態は、ワイヤレスエネルギー受信機Rと内部コントローラC
I の両方を含む電気刺激装置10で構成されているが、電気刺激装置10は、さらにエネルギー貯蔵装置Eを含んでいてもよいし、内部コントローラC
I を含まないワイヤレスエネルギー受信機Rのみで構成されていてもよい。電気刺激装置10が内部コントローラC
I を含まない場合、システムは、
図1Aおよび
図1Cに示す第1の実施形態と同様に、電気刺激装置10の各々に対してワイヤレスエネルギー送信機Tを含む必要があり、電気刺激装置10が遠隔コントローラC
R によって個別にアドレス指定できるように、ワイヤレスエネルギー送信機Tの各々に対して追加のワイヤレスエネルギー受信機R
Tを設ける必要がある。
【0333】
上記のような患者の腸の組織を電気的に刺激するシステムは、WO2011/128124A1に開示されているような機械的または液圧式の収縮装置と組み合わせてもよい。特に好適なのは、
図10Aおよび
図10Bに示すような液圧式収縮装置、または液圧式収縮装置である。このような収縮装置は、患者の腸の電気刺激装置と同じ部分に作用することができる。特に、このような収縮装置は、腸内容物を患者の腸内を下流方向に前進させるように構成されたポンプの一部を形成することがあり、この文脈では電気刺激装置10と協力することがある。
【0334】
この文脈において、
図10A、
図10Bは、第10の実施形態として、リザーバ140の腸壁にその外側から作用するように適合された液圧作用部材190からなる液圧式ポンプを示しており、リザーバ140は、先の実施形態に示した腸100に対応している。液圧作用部材190は、液圧作用部材190に作動液を供給する人工リザーバ193に接続されている。人工リザーバ193は、腸リザーバ140の容積に対応する量の作動液を収容するのに十分な大きさを有する。人工リザーバ193は、作動液が人工リザーバ193から引き出され、人工リザーバ193に再び充填されることを可能にする可撓性壁を有する。液圧作用部材190は可撓性材料であり、電気刺激装置10(図示せず)を含む腸リザーバ140をその中に収容するようにチューブ状または袋状であってもよい。
図5Bに示すように、リザーバ140は油圧作用部材190によって取り囲まれている。水力学的作用部材190は複数の室に分割され、最初の室191と最後の室194は水力学的導管によって人工リザーバ193に接続されている。室は接続部192を介して相互に接続されており、この接続部192は絞りとして機能する単純な穴であってもよいし、好ましくは自動制御される1つ以上のバルブを含んでいてもよい。
【0335】
患者が皮下アクチュエータ14を使用してシステムを作動させると、人工リザーバ193から最初のチャンバ191に作動液を供給することにより、腸リザーバ140の空封が開始される。次に続く室には、接続部192を通して作動液が供給され、それにより、液圧作用部材190は、最初の室191から最後の室194までゆっくりと充填される。室の充填は順次行われ、前の室が完全に充填される前に次の次の室が充填され始める。このようにして、腸内容物はリザーバ140の出口に向かう方向に液圧的に絞り出される。液圧作用部材190が液圧流体で完全に満たされると、リザーバ 140 は完全に収縮する。その後、液圧作動部材190のチャンバから液圧作動液が、負圧を使用して人工リザーバ193内に引き戻される。その後、腸リザーバ140は腸内容物で再び満たされ始める。
【0336】
このプロセスは、人工リザーバ193に接続された装置 150 によって制御される。人工リザーバ193に接続されているか、または人工リザーバ193と一体的に形成されているのは、液圧作動部材に液圧流体を送り込み、液圧作動部材から液圧流体を引き出すための電気駆動ポンプ(図示せず)である。電気駆動ポンプには、複合エネルギー貯蔵手段およびコントローラ145からエネルギーが供給される。複合エネルギー貯蔵手段およびコントローラ145は、電気刺激式システムに関連して上述した外部コントローラCE、エネルギー貯蔵ユニットEをさらに含むことができる。また、上述のように無線遠隔コントローラCRを設けることもできる。
【0337】
別の実施形態では、液圧作用部材190の各室は、個別に充填できるように、人工リザーバ193への別個の流体接続を有してもよい。腸リザーバ140は、油圧作動部材190の隣接する2つのチャンバーを連続して充填することによって、すなわち、最初に第1および第2チャンバーを充填し、次に第3チャンバーを充填しながら第1チャンバーを空にし、次に第4チャンバーを充填しながら第2チャンバーを空にする、などして空にすることができる。このようにして、腸内容物は腸リザーバ140の出口に向かって絞り出され、出口から排出される。
【0338】
あるいは、チャンバを排気するために負圧を加える代わりに、油圧作用部材190と人工リザーバ193との間に、適切な作動位置にあるときには、腸リザーバ140が腸内容物で満たされたときに油圧作用部材から人工リザーバ193に戻る作動液の受動的な流れを可能にし、適切な他の位置にあるときには、腸リザーバが空になっているときに油圧作用部材から人工リザーバに戻る作動液の流れを防止する、少なくとも1つのバルブ、好ましくは2つのバルブを設けてもよい(図示せず)。
【0339】
上述したような無線制御可能な電気刺激装置10は、同様に、液圧式狭窄装置のような付加的な狭窄装置の有無にかかわらず、腸管通路を一時的に制限し、あるいは閉鎖するための弁に実装することができる。言い換えれば、無線制御可能な電気刺激装置を含む上述のようなシステムは、人工括約筋のような弁に使用することができる。このような弁または人工括約筋は、上記のような患者の腸から作られたリザーバまたは人工リザーバのような腸リザーバの出口弁および/または入口弁として使用することができる。このことは、
図11の上面図に示すように、患者の腸の組織を電気的に刺激するシステムの第11の実施形態に関連してさらに説明される。この実施形態は、患者の結腸または直腸について、あるいはストーマに隣接して出口弁40が設けられ、その上流に入口弁30が設けられている点で、
図3Aに示す第3の実施形態とは異なる。しかしながら、このような出口弁40および/または入口弁30は、同様に、本明細書に記載される他の実施形態のいずれにも設けることができる。
図11では、出口弁40と入口弁30の両方が開いた構成で示されているが、通常は、2つの弁の一方が閉じ、他方が開いている。それぞれ閉じた状態は、対応する電気刺激装置10の電極11に隣接する腸100の神経組織または筋肉組織を電気的に刺激することによって達成することができる。出口および入口弁40、30の電気刺激装置10は、単一の電極11を備えるように示されているが、それらは、好ましくはそれぞれの腸セクションの互いに対向する側に、2つ、3つまたは4つなどの複数の電極から構成されてもよい。出口弁40の電気刺激装置10は、その電気刺激装置10のワイヤレスエネルギー受信機Rの上にワイヤレスエネルギー送信機T
EX。一方、入口弁30の電気刺激装置10は、関連するワイヤレスエネルギー受信機Rの上にワイヤレスエネルギー送信機T
EN。ワイヤレスエネルギー送信機T
EX、T
ENの両方は、前述と同様に外部コントローラC
E。したがって、腸100の各部分の刺激は、外部コントローラーC
E、エネルギー貯蔵ユニットEからワイヤレスエネルギ送信器T
EX、T
EN、それぞれを介してワイヤレスエネルギ受信器Rにエネルギーを送信することによって達成することができる。
【0340】
電気刺激装置10に加えて、出口バルブ40と入口バルブ30の両方が、液圧収縮装置を備えていてもよく、液圧収縮装置も、同様に外部コントローラC
Eによって電気刺激と液圧収縮を調整することができる。液圧収縮装置は、それぞれ中空の液圧部材41および31と、液圧ポンプPと、電気刺激装置10にエネルギーを供給するのと同じエネルギー貯蔵装置であってもよいエネルギー貯蔵装置Eとから構成される。特に、システム全体に対して単一のエネルギー貯蔵装置Eを設けてもよい。液圧ポンプPは、中空液圧部材41、31の内部にそれぞれ作動液を圧送し、中空液圧部材41、31の内部から作動液を引き抜くように構成されている。
図11は、中空油圧部材31,41から作動液が引き抜かれた状態を示しており、この場合、それぞれの腸管部は収縮していない。中空油圧部材に作動液が充填されると、腸管部は腸内容物の通過が妨げられる程度に収縮する(図示せず)。もちろん、液圧絞り装置の代わりに、出口バルブ40および/または入口バルブ30が、同じ目的を果たす機械的絞り装置で構成されていてもよい。
【0341】
本開示の実施形態のうち、システムが機械式または液圧式の狭窄装置を備え、システムが、機械式または液圧式の狭窄装置によって狭窄された腸の領域の筋肉または神経組織を、1つまたは複数の電極によって電気的に刺激するように構成されているものでは、そのような電気的刺激は、腸を収縮させることなく、腸の組織を通る血流を単に増加させるか、または、収縮させるとしても、それぞれの腸セクションを通る流れを完全に制限することなく、部分的にのみ収縮させるように制限することができる。その目的は、機械的であれ水力的であれ、狭窄装置と接触している組織壁を運動させることである。すなわち、インプラントが異物であるため、またインプラントが身体の組織と機械的に相互作用するためでもあるが、身体は医療用インプラントに反応する傾向がある。機械式、液圧式、または他のタイプの狭窄装置との長期的な係合や圧力に組織をさらすと、組織細胞から酸素や栄養が奪われ、組織の劣化、萎縮、最終的には壊死につながる可能性がある。その結果、組織壁を貫通するなど、装置の移動が起こる可能性がある。血流を刺激して組織細胞を運動させると、インプラントからの圧力に対する組織の耐性が高まる。前述のように、腸の組織を通る血流を増加させるための筋肉または神経組織への電気刺激が、腸を収縮させるのに十分でない低レベルで調整可能であるようにシステムを構成するのが好ましい。
【0342】
移植の方法
図19は、以下のステップを含むシステムの移植方法のフローチャートである:
-腸にアクセスするために患者の体を切開すること、
-ここで、電気刺激装置の各々は、腸の筋肉または神経組織を電気的に刺激するための1つまたは複数の電極と、筋肉または神経組織を刺激するためのエネルギーを無線で受信するように構成されたワイヤレスエネルギー受信機とを備える、
-少なくとも電気刺激装置の電極を患者の腸の外科的に作られたひだの中に埋め込むことを含む、
-1つまたは複数のワイヤレスエネルギー送信機を挿入する、
-エネルギー送信器からすべての電気刺激装置へのエネルギーの伝達を可能にするように、ワイヤレスエネルギ送信器を電気刺激装置の近傍に配置することであり、これは、電気刺激装置のそれぞれの1つへのエネルギーの伝達を可能にするように、電気刺激装置のそれぞれの1つに対して個別のワイヤレスエネルギ送信器を挿入することからなり得る、
- ここで、電気刺激装置は内部コントローラを備え、任意に、内部コントローラから離れた外部コントローラを移植し、外部コントローラと内部コントローラは無線通信するように構成される、
- オプションとして、腸をその外側から収縮させるために、少なくとも1つの機械的または液圧式の収縮装置を患者の腸の外側に移植する。
【0343】
電気刺激装置の電極を腸に接続して配置するステップでは、電気刺激装置の電極の少なくとも2つが患者の腸の対向する側に配置される。
【0344】
電気刺激/電極
以下に説明する電極の配置は、本開示の実施形態のいずれにおいても実施することができ、特に、機械式または液圧式の狭窄装置などの狭窄装置と接触している腸の組織壁を運動させる目的でも実施することができる。ヒトおよび動物の身体は、医療用インプラントに反応する傾向があるが、その理由の一部は、インプラントが異物であるためであり、またその理由の一部は、インプラントが身体の組織と機械的に相互作用するためである。組織がインプラントと長期間係合したり、インプラントから圧力を受けたりすると、細胞から酸素や栄養が奪われ、組織の劣化、萎縮、最終的には壊死を引き起こす可能性がある。前述したように、この結果、組織壁を貫通する移動を含む、器具の移動が起こる可能性がある。インプラントと組織との相互作用により、インプラントが少なくとも部分的に線維組織に包まれる線維症が生じることもある。したがって、細胞を刺激または運動させて血流を促し、インプラントからの圧力に対する組織の耐性を高めることが望ましい。
【0345】
筋組織は一般に、筋フィラメントと呼ばれる筋原線維収縮タンパク質の組織化された規則的な繰り返しの配列の有無によって、それぞれ筋原線維または平滑筋となる組織で結合した筋細胞から形成される。筋組織はさらに、骨格筋組織と心筋組織に分類される。骨格筋組織は通常、意識的な制御を受け、腱によって骨に固定されている。心筋組織は一般的に心臓に存在し、自発的なコントロールは受けない。筋組織の第三のタイプは、いわゆる平滑筋組織であり、通常、筋組織構造でも随意制御下でもない。平滑筋組織は、腸管を含む消化管や管壁の筋肉部分を構成している。
【0346】
筋組織の収縮は、神経系とホルモンの相互作用によって活性化される。筋の種類や部位によって、神経伝達物質や内分泌物質に対する反応が異なる。
【0347】
神経は軸索と呼ばれる神経線維の束で、個々の神経細胞やニューロンの延長である。軸索は、その膜を横切る電圧勾配の維持によって電気的に興奮しやすくなっており、活動電位と呼ばれる電気化学的神経インパルスの共通経路を提供している。活動電位は、軸索の膜を横切る電圧が短い間隔で十分に大きく変化した場合に、軸索によって発生するオール・オア・ナッシングの電気化学的パルスである。活動電位はシナプスを通過することで、あるニューロンから別のニューロンへと伝わり、そこでメッセージが電気的なものから化学的なものへと変換され、また電気的なものへと戻る。
【0348】
軸索の遠位端は軸索終末と呼ばれ、神経伝達物質を貯蔵するシナプス小胞からなる。軸索終末は、神経伝達物質を軸索と筋細胞の間の界面または接合部に放出するよう特化されている。放出された神経伝達物質は、筋細胞の細胞膜上のレセプターに短時間結合した後、シナプス内にある酵素によって解離・加水分解される。この酵素は筋肉への刺激を素早く減少させるので、筋収縮の程度とタイミングを注意深く調節することができる。
【0349】
正常な骨格筋細胞の活動電位はニューロンの活動電位に似ており、通常約-90mVである。活性化すると、細胞膜に内在するナトリウム/カリウムチャネルが開き、ナトリウムが流入し、カリウムが流出する。その結果、細胞膜は極性を反転させ、ナトリウムが侵入すると、細胞膜の電圧は-90mVの静止膜電位から+75mVまで急速に跳ね上がる。筋活動電位の持続時間はおよそ2~4ms、絶対不応期はおよそ1~3ms、筋に沿った伝導速度はおよそ5m/sである。この極性の変化によって、今度は筋細胞が収縮する。
【0350】
平滑筋細胞の収縮活性は通常、自発的な電気活動、神経やホルモンの入力、化学組成の局所的変化、伸張などの複数の入力の影響を受ける。これとは対照的に、骨格筋細胞や心筋細胞の収縮活動は、単一の神経入力に依存している。平滑筋細胞の種類によっては、自発的に活動電位を発生させることができ、これは通常、ペースメーカー電位や徐波電位に続いて起こる。しかし、収縮の速度と強さは、自律神経系からの外 部入力によって調節することができる。自律神経ニューロンは、平滑筋組織を通して運動単位を形成する、静脈瘤と呼ばれる一連の軸索様膨隆を構成することがある。小胞は、筋細胞に信号を伝達するための神経伝達物質を含む小胞で構成されている。
【0351】
上記の筋肉細胞、すなわち心筋細胞、骨格筋細胞、平滑筋細胞は、電極による電気刺激のような外部刺激に反応することが知られている。神経から伝達される刺激と筋組織への直接的な電気刺激とは区別することができる。神経を介した刺激の場合、実際の筋組織から離れた場所で神経に電気信号が供給されることもあれば、体内の神経のアクセス性や伸展性に応じて筋組織で電気信号が供給されることもある。筋組織を直接刺激する場合、電気信号は筋細胞に直接または密着して配置された電極によって筋細胞に供給される。しかし、繊維組織や神経などの他の組織が、電極と筋組織との界面に存在することももちろんあり、その結果、他の組織も電気刺激を受けることになる。
【0352】
本出願の文脈において、様々な態様および実施形態に関連して議論される電気刺激は、埋め込み可能な狭窄装置と直接または間接的に接触する組織に提供され得る。好ましくは、電気刺激は、組織上もしくは組織内、または埋め込み可能な収縮装置と組織との間の界面もしくは接触面に配置された1つまたは複数の電極要素によって提供される。したがって、電気刺激は、本開示の観点からは、組織への直接刺激とみなすことができる。特に、間接刺激または神経刺激と呼ばれる、神経によって距離を越えて伝達される刺激と対照的である。
【0353】
したがって、1つまたは複数の電極要素からなる電極配置は、電気信号によって運動させる組織の中、その一部、上、またはその近傍に配置することができる。好ましくは、電極は、刺激されるべき組織の部分に電気信号を伝達して、組織を収縮させるか、または収縮させないか、またはほとんど収縮させずに運動させるようにすることができる。したがって、電極素子は、埋め込まれたとき、収縮装置などの医療用インプラントと、インプラントが静止するように配置された組織との間に配置されると考えることができる。
【0354】
電気刺激装置の作動中、電気信号によって筋細胞が収縮と弛緩を繰り返すことがある。このような活動が少ない場合、細胞のこのような作用は運動と呼ばれ、組織の劣化や損傷を防ぐという点で好影響を与える可能性がある。さらに、この運動は、医療用インプラントから発生する圧力や機械的な力に対する組織の耐性を高めるのに役立つ可能性がある。
【0355】
電気刺激装置の電極と患者の腸の組織との間の相互作用は、組織と電極エレメントとの間の接合部における特性によってほぼ決定される。電極要素(他の材料も同様に考えられるが、以下では「金属」と呼ぶ)の活性電気伝導性表面は、金属-組織界面をもたらす被覆されていないか、またはある種の誘電材料で絶縁されているかのいずれかである。電極の被覆されていない金属表面は、裸電極と呼ばれることもある。電極と組織の間の界面は、組織との電気的相互作用がこの界面を介して伝達されるため、電極の挙動に影響を与える可能性があります。実際の組織や接合部に存在する可能性のある電解質など、電極を取り囲む生物学的媒体では、電流は荷電イオンによって運ばれ、電極の材料では電流は電子によって運ばれます。したがって、連続的な電流を流すためには、この2つのキャリア間で電荷を移動させる何らかのメカニズムが必要である。
【0356】
ある実施例では、電極は裸電極であり、刺激される筋組織や神経組織に埋め込まれると、金属が周囲の生物学的媒体に露出することがある。この場合、電極と組織との間の金属-電解質界面で電荷移動が起こる可能性がある。金属と電解質の間の熱力学的平衡が自然に保たれようとするため、界面に電圧がかかり、電解質からイオンが引き寄せられ、秩序化される。金属表面のこの帯電したイオンの層は「二重層」と呼ばれ、電極の静電容量の一部を物理的に説明することができる。
【0357】
したがって、電極では容量性ファラデーシス過程の両方が起こる可能性がある。ファラデー過程では、金属-電解質界面を横切る荷電粒子の移動が、電流移動の主要なメカニズムであると考えられる。したがって、ファラデー過程では、一定電流を流した後、電極の電荷、電圧、組成は一定値になる傾向がある。その代わり、容量性(非ファラデーシス)プロセスでは、電荷は金属表面に徐々に蓄積され、電流移動は一般的に界面を充電することで通過できる量に制限される。
【0358】
いくつかの例では、電極は裸の電極部分、すなわち、電極素子が移植されたときに電極と組織との間に導体-組織界面が提供されるように、組織に面する被覆されていない表面部分を有する電極から構成され得る。これにより、主にファラデー的な電荷移動プロセスによって電気信号が組織に伝達される。ファラデー的プロセスは容量性電荷移動プロセスよりも効率的である傾向があるため、裸電極は電力消費の観点から有利であると考えられる。したがって、裸電極を使用することで、所定の消費電力に対して組織に伝達される電流を増加させることができる。
【0359】
いくつかの例では、電極は、電極が埋め込まれたときに筋組織と誘電体-組織界面を形成するように、少なくとも一部が誘電体材料で覆われている部分を含んでいてもよい。このタイプの電極は、電気信号の筋組織への伝達を、主に容量性、すなわち、非ファラディックにすることができる。ファラデー的な電荷移動はいくつかの問題と関連する可能性があるため、これは裸の電極に関連する主にファラデー的なプロセスよりも有利である可能性があります。ファラデー的な電荷移動に関連する問題の例としては、金属の酸化、水の電気分解、生理食塩水の酸化、有機物の酸化などの望ましくない化学反応がある。水の電気分解はガスを発生させるため、ダメージを与える可能性がある。生理食塩水の酸化は、さまざまな化合物を生成する可能性があり、中には有毒なものもある。金属の酸化は、金属イオンや塩を組織内に放出する可能性があり、危険である。最後に、電極素子が直接組織を刺激している状況での有機物の酸化は、有毒な化学生成物を生成する可能性がある。
【0360】
誘電体材料で少なくとも部分的に覆われた電極を使用することによって達成することができる。好ましくは、誘電体材料はできるだけ高い静電容量を持つように選択され、界面を流れる電流を主に容量性に制限する。
【0361】
本開示では、いくつかのタイプの電極素子を組み合わせることができる。電極要素は、例えば、組織との界面を形成する板状の活性部分からなる板状電極とすることができる。他の例では、電極は、組織と電気的に接触させることができる導電性ワイヤで形成されたワイヤ電極であってもよい。さらなる例としては、筋肉組織に取り付けたり、筋肉組織内に挿入したりすることができる先端部を有する針状またはピン状の電極が挙げられる。電極は、例えば、電気的絶縁と保護のためにエポキシ樹脂で包まれ、筋組織と接触するための金線または接触パッドで構成される。
【0362】
使用される電極の種類に関係なく、ファラデー的メカニズムと容量性メカニズムの両方が同時に存在しうることが理解されよう。したがって、容量性電荷移動は金属-組織界面を形成する裸電極にも存在し、ファラデー性電荷移動は誘電体-組織界面を形成する被覆電極にも存在する。電気信号のパルスの持続時間を短くすることによって、筋肉組織に供給される電流のファラデー的な部分を減少させるか、あるいはなくすことができることがわかった。パルスの持続時間を短くすることは、ファラデー電流ではなく、容量性電流として界面を通過できる信号の部分を増加させる効率的な方法であることが判明した。その結果、短いパルスは電極や組織へのダメージを少なくすることができる。
【0363】
電流の容量性部分は、電気信号の電流パルスの振幅を減少させることにより、ファラデー性部分に対してさらに増加させることができる。振幅を小さくすることにより、電極と組織との界面における化学反応を低減または抑制することができ、それによって、そのような反応によって生成される化合物およびイオンによって引き起こされる可能性のある潜在的な損傷を低減することができる。
【0364】
一例として、電気刺激は、電気信号の正のパルスに続いて負のパルス(または、別の言い方をすれば、第1の極性のパルスに続いて第2の逆極性のパルス)が、好ましくは同じ振幅および/または持続時間で続くように制御することができる。有利なことに、後続の負(または逆)パルスは、第一の正パルスに応答して界面で起こる化学反応または変化を逆転させるか、少なくとも中程度に抑えるために使用することができる。逆パルスを発生させることで、電極と筋肉組織の界面における電極および/または組織の劣化のリスクを低減することができる。
【0365】
図11は、出入口弁30、40がそれぞれ単一の電極11からなる実施形態を示すが、出入口弁30、40の長期埋め込み条件を改善するために、筋肉組織を運動させるために腸管部の組織を電気的に刺激するための複数の電極11を設けてもよい。
図11の実施形態では、電極11は中空の水圧部材31、41の下に配置され、したがって、腸の組織と電気的に接続された状態で配置される。あるいは、第一の、場合によっては第二の電極11を発光器官の第一の側に配置し、第三の、場合によっては第四の電極11を腸の第二の対向する側に配置してもよい。つまたは4つの電極11のそれぞれは、腸の組織が一連の電気パルスによって刺激されるように、腸の組織の電気刺激を制御するための外部コントローラーC
E(代わりにワイヤレスリモートコントローラーC
R)に接続されている。パルスは、第1の極性のパルスに続いて第2の極性を反転させたパルスからなる場合があり、生成されるパルス状の電気刺激信号は、0.01~150Hzのパルス周波数からなる場合がある。電気刺激信号は、0.01~100msのパルス持続時間及び1~15mAのパルス振幅を含んでよい。より具体的には、電気刺激信号は、0.15~0.25Hzのパルス周波数、20~30msのパルス持続時間、及び3~10mAのパルス振幅から構成されてよい。さらに、電気刺激信号は、振幅が徐々に増加する0.01~2秒のビルドアップ期間、1~60秒の刺激期間、および0.01~60秒の刺激休止期間を含んでいてもよく、電気信号は、1~50Hzのパルス周波数および0.1~10msのパルス持続時間を含んでいてもよい。
【0366】
図12Aは、バイポーラ電極配置150の一例であり、先の実施形態のいずれかを参照して説明した電極素子と同様に構成され得る第1および第2の電極素子152、154からなる。以下の図において、第1および第2の電極要素は、それぞれ参照数字E1およびE2によって区別される。第1および第2の電極要素E1、E2は、異なる電位に接続されてもよい。したがって、第1の電極要素E1は陽極として動作させることができ、第2の電極要素E2は陰極として動作させることができる。しかし、代替実施形態では、両方の電極要素E1、E2を陰極として動作させ、一方、身体の組織を陽極として使用することもできる。電極要素E1、E2は、
図11を参照して開示したような移植可能な装置の外面に直接取り付けることができる。いくつかの例では、電極要素E1、E2は、移植可能な狭窄装置30に取り付けられるように構成され得る可撓性パッチなどの支持体上に配置され得る。電極配置150は、埋め込み可能な狭窄装置30と組織との間に配置することができ(
図11を参照して開示したような)、ある実施例では、別個の、物理的に異なるアイテムとして提供することができ、他の実施例では、装置100に組み込むことができる。電極配置150は、埋め込まれたときに電極と組織との間の接触面を増加させるための1つまたは複数の接触パッドを含んでいてもよい。動作中、電気信号は、筋細胞の収縮を刺激するように、第1および第2の電極要素E1、E2によって筋組織に供給される。
【0367】
図12Bは電極配置150の別の例であり、本例ではユニポーラ電極素子152、154であってもよい。電極要素E1は、例えば、埋め込まれたときに陰極として動作することができる。電極要素152は、電極要素152と組織との間の接触面を増加させるために、平坦なコイル状ワイヤで形成されてもよい。さらに、コイル状の構成は、収縮および弛緩時に筋肉組織に追従できるように、電極要素152の一定の機械的柔軟性を可能にする。
【0368】
図12Cは、針状またはピン状の電極配置150の末端部分を示しており、電極要素152の活性部分は、電極要素152の残りの部分を覆う絶縁体156から突出して、電極要素152の末端部分に裸の電極表面155として設けられている。従って、筋肉組織に埋め込まれたとき、電極要素152の活性な裸電極表面155は、筋肉組織との金属-組織界面を形成することができ、界面は、比較的大きな接触面を提供するように電極要素152の端部を取り囲むことができる。本実施例は、組織内に挿入することができ、それによって組織のある深さでの選択的な刺激が可能になるという点で有利である。
【0369】
図12Dは、
図12Cのものと同様の電極素子152を示すが、本電極素子152は、電極材料を劣化から保護し、容量性電流の伝達を促進するように、誘電体材料157で覆われた活性部分を含んでいる点が異なる。誘電体材料157は、例えば電気化学的に析出させた酸化タンタルであってもよく、界面を電荷が通過することを可能にするが、電極の腐食、ガス形成、代謝物反応のリスクを低減する。
【0370】
使用される電極のタイプに関係なく、ファラデー的メカニズムと容量性メカニズムの両方が同時に存在しうることが理解されよう。したがって、容量性電荷移動は、金属-組織界面を形成する裸電極にも存在し、ファラデー性電荷移動は、誘電体-組織界面を形成する被覆電極にも存在する。電気信号のパルスの持続時間を短くすることで、筋肉組織に供給される電流のファラデー性部分を減少させるか、あるいはなくすことができることがわかった。パルスの持続時間を短くすることは、ファラデー電流ではなく、容量性電流として界面を通過できる信号の部分を増加させる効率的な方法であることが判明した。その結果、短いパルスは電極や組織へのダメージを少なくすることができる。
【0371】
電流の容量性部分は、電気信号の電流パルスの振幅を減少させることにより、ファラデー性部分に対してさらに増加させることができる。振幅を小さくすることにより、電極と組織との界面における化学反応を低減または抑制することができ、それによって、そのような反応によって生成される化合物およびイオンによって引き起こされる可能性のある損傷を低減することができる。一例では、電気信号の正パルスに続いて負パルス(または、別の言い方をすれば、第1の極性のパルスに続いて第2の逆極性のパルス)が、好ましくは同じ振幅および/または持続時間で続くように、電気刺激を制御することができる。有利なことに、後続の負(または逆)パルスは、第一の正パルスに応答して界面で起こる化学反応または変化を逆転させるか、少なくとも中程度に抑えるために使用することができる。逆パルスを発生させることで、電極と筋肉組織の界面における電極および/または組織の劣化のリスクを低減することができる。
【0372】
図13は、上述したように、電極-組織インターフェースを介して筋肉組織を電気的に刺激するための電極に印加するパルス電気信号の例を示す。電気信号は、(
図11を参照して説明したように)体外に配置された刺激コントローラまたは体内に埋め込まれた刺激コントローラによって生成することができる。刺激コントローラ170は、リード172によって電極要素152、154に動作可能に接続されてもよく、本図に示す電気信号は、刺激コントローラ170で生成される信号、または電極-組織インターフェースで電極要素152、154に送達される信号のいずれかを反映してもよい。電気信号の特性は、電極-組織界面の電気的特性および組織の実際の応答に基づいて選択および変化させることができる。筋肉細胞に与えられる電気刺激は、組織における電極エレメント152、154の構成や配置、界面における繊維性物質の存在、界面における電解質の組成、電極表面における非導電性物質の蓄積など、いくつかの要因に依存する可能性がある。したがって、本図に示すような電気信号の特性を選択し、被刺激組織からの観察されたまたは推定された応答に基づいて変化させることが提案される。
【0373】
本実施例では、電気信号は矩形波PL1、PL2、PL3、PL4からなるパルス信号である。しかし、他の形状のパルスを採用してもよい。パルス信号は、図示のように周期的であってもよいし、断続的(すなわち、パルスのない期間で区切られた複数の一連のパルス)であってもよい。パルスは、ボルト、アンペアなどで測定される振幅Aを有していてもよい。同様に、信号が周期的である場合、パルス信号は信号の周波数に対応する周期Fを有する。さらに、パルスは、基準に対して正または負のいずれかであってもよい。
【0374】
パルス周波数は、例えば0.01~150Hzの範囲内にある。より具体的には、パルス周波数は0.1~1Hz、1~10Hz、10~50Hzおよび50~150Hzの範囲の少なくとも1つに含まれる。平滑筋組織のペースメーカー細胞に関連する徐波電位を模倣または増強するために、比較的低いパルス周波数を採用することができることが観察されている。したがって、このような用途には、0.01~0.1Hzや1Hz以下の周波数、数Hzといった比較的低いパルス周波数を使用するのが有利であろう。
【0375】
パルス持続時間は例えば0.01~100ミリ秒(ms)、例えば0.1~20ミリ秒、好ましくは1~5msの範囲内である。自然な筋活動電位は約2~4msであることがいくつかの研究で観察されているので、その範囲を模倣したパルス持続時間を使用することが有利である可能性がある。
【0376】
振幅は例えば1~15ミリアンペア(mA)の範囲内にあり、例えば0.5~5mAの範囲では、いくつかの研究で特に良好な筋収縮反応が観察されている。
【0377】
好ましい具体例では、パルス周波数10Hz、パルス時間3ms、振幅3mAのパルス信号を用いて電気刺激を行う。
【0378】
図14はパルス信号の一例を示しており、振幅が徐々に増加するビルドアップ期間X1、筋組織が収縮刺激30信号に曝される刺激期間X2、振幅が徐々に減少するランプダウン期間X3、および新たなビルドアップ期間が開始される前の刺激休止期間X4からなる。ビルドアップ期間は例えば0.01~2秒、刺激期間は1~85秒、ランプダウン期間は0.01~2秒、刺激休止期間は0.01~60秒とすることができる。パルス周波数は例えば1~50Hz、パルス持続時間は0.1~10ミリ秒、刺激期間中の振幅は1~15ミリアンペアとすることができる。骨格筋組織への刺激は、例えば周波数50Hz、持続時間100μsのパルスを用いて行うことができる。電流振幅は1、2.5、7.5または10mAである。特に、0.5~5.0mAの範囲で所望の筋収縮反応が実験的に観察されている。本実施例では、コイル状電極を陰極として使用することができる。別の設計例としては、らせん状に配置された多撚り線がある。これらは眼底(または食道)の筋壁に埋め込み、任意の所望のパターンで刺激することができる。刺激パラメーターは、例えば2相性パルス、10~40Hz、持続時間0.1~5ms、電流密度3~5mA/cm2とすることができる。
【0379】
図15は、器具100からの圧力に対する組織の耐性を高めるために、筋肉細胞を電気的に刺激または運動させるシステムの概略図である。このシステムは、埋め込み型装置100と組み合わせて使用することができ、いくつかの例では、そのような装置100内に構成することができる。本システムは、先の実施例に関連して上述した電極配置/電極素子と同様に構成され得る電極配置150と、電気信号の生成に必要な電気エネルギーを供給するためのエネルギー源160と、電気信号の生成を制御する刺激コントローラ170とから構成され得る。
【0380】
図12Dに示す裸電極または誘電体材料157で少なくとも部分的に覆われた電極のような、1つまたは数個の電極要素152、154からなる電極配置150は、刺激信号が伝達され得る電極-組織界面を形成するように、刺激されるべき筋肉組織に埋め込まれるように、または筋肉に係合するように構成され得る。別法として、または追加的に、電極要素152、154は、電極要素と筋肉組織との間の電気的結合が確立されるように、筋肉組織の近傍に配置することができる。これは例えば、埋め込まれた装置と筋組織との間に結合組織などの他の組織が存在する場合である。
【0381】
電極は、電気信号が電極-組織界面に伝達されるように、例えば配線またはリード線によってエネルギー源160に電気的に接続されてもよい。いくつかの例では、電極152、154は、患者に埋め込まれたときに電極152、154が器具100と筋肉組織との間の界面に配置されるように、器具と一体化されるか、または器具に取り付けられることがある。これにより、電極152、154は、インプラントによって機械的な影響を受ける筋肉組織を運動させるために使用することができる。
【0382】
エネルギー源160は、例えば、一次電池のような非充電式タイプであってもよいし、二次電池のような充電式タイプであってもよい。エネルギー源160は、体外から、外部エネルギー源から送信されるエネルギーによって再充電可能であってもよいし、手術によって交換されてもよい。さらに、電極配置150は、電気パルスを発生させるために、電気パルス発生器からなる刺激制御器170に動作可能に接続されていてもよい。刺激コントローラ170は、エネルギー源160と一体化されていてもよいし、体内に埋め込まれるように構成されていてもよいし、体外から作動するように構成されていてもよい、物理的に別個の別個のユニットとして提供されていてもよい。後者の場合、外部制御ユニットが刺激コントローラ150と無線通信できるようにすると有利である。
【0383】
いくつかの実施例によれば、システムは、身体及び/又は装置100の物理的パラメータを感知するように構成されたセンサS1を含んでいてもよい。センサS1は、例えば、刺激された筋肉組織の収縮など、電気刺激に対する身体反応を感知または検出するために採用され得る。一例として、センサS1は、筋組織に送られる活動電位を感知するように構成されていてもよい。活動電位は、例えば、筋肉組織のペースメーカー細胞によって生成されてもよく、センサS1によって登録され、刺激コントローラ170に送信されてもよい。刺激コントローラ170は、エネルギー源160を制御する際に、生成された電気信号が感知された活動電位を増幅するように、受信された信号を使用してもよい。
【0384】
エネルギー源160は、好ましくは、患者の身体の内側に配置されるように構成された埋め込み可能なエネルギー源160であってもよい。好ましくは、埋め込み可能なエネルギー源160は、外科的な電池交換処置の必要性を減少させるように、体外から充電することができる二次電池を構成することができる。本図に示されているように、埋め込み可能なエネルギー源160は、体外に配置された外部エネルギー源165から電気エネルギーを供給されるように構成されていてもよい。このような例では、システムは、埋め込み可能なエネルギー源160に電気的に接続され、外部エネルギー源165による埋め込み可能なエネルギー源160の充電を可能にするように構成された埋め込み可能な充電器190をさらに備えることができる。埋め込み可能な充電器190は、例えば、電気エネルギーが埋め込み可能な充電器190から埋め込み可能なエネルギー源160に伝達され得るように、配線またはリード線によって埋め込み可能なエネルギー源160に電気的に接続されるように構成され得る。埋め込み可能な充電器190はさらに、充電器190と埋め込み可能なエネルギー源160との間のものと同様の配線またはリード線を用いて、無線結合または有線結合によって外部エネルギー源165に結合されてもよい。後者の場合、配線またはリード線は、患者の皮膚からアクセス可能な端子で終端することができる。例えば、皮膚を切開してポートを露出させ、外部エネルギー源165を差し込むことができるようにすることによって、外部エネルギー源165をポートに接続することによって、電気エネルギーを充電器190に伝送することができる。
【0385】
あるいは、埋め込み型充電器190は、外部エネルギー源165から、例えば誘導的に、ワイヤレスでエネルギーを受け取るように構成されてもよい。この場合、充電器190は、外部エネルギー源165から電力を無線で受け取るように構成された電磁コイルを含んでいてもよい。充電器190は、例えば、患者の皮膚を介したエネルギーの誘導伝達を容易にするように皮下に配置されてもよい。
【0386】
埋め込み可能なエネルギー源160の充電は、いくつかの異なる方式に従って制御することができる。一実施例では、埋め込み可能なエネルギー源160の充電は、埋め込み可能な充電器190における外部エネルギー源からの電力の受信を制御することによって制御され得る。別の言い方をすれば、充電器190は、外部エネルギー源165から電気エネルギーを受け取る能力を変化させるか、または制御するように構成されてもよい。
【0387】
したがって、埋め込み可能なエネルギー源160に供給される電力の量は、外部エネルギー源165ではなく、埋め込み可能な充電器190において調節される可能性があり、それゆえ、外部エネルギー源165は、実質的に一定の電力を送信することを許容される可能性がある。外部エネルギー源165における送電ではなく、充電器190における受電を変化させることによって、埋め込み可能なエネルギー源160の充電は、外部エネルギー源165に制御信号を送ることなく実行され得る。その代わりに、埋め込み型エネルギー源160の充電を調節および制御するために必要なインテリジェンスは、体外との通信を必要とすることなく、患者の体内に収容することができる。
【0388】
代替的な実施形態では、埋め込み可能なエネルギー源160の充電は、外部エネルギー源165における電力の送信を制御することによって制御されてもよい。したがって、充電器190(または体内に配置された装置/システムの任意の他の構成要素)は、それに応じてその送信電力を調節することができる外部エネルギー源165に、例えば制御信号を介して送信命令を送信することができる。
【0389】
埋め込み可能なエネルギー源160の充電は、コントローラ170によって制御されてもよく、したがって、コントローラ170は、上述したように、埋め込み可能な充電器190および/または外部エネルギー源165に制御命令を発行するように構成されてもよい。いくつかの例では、コントローラ170は、例えば埋め込み可能なエネルギー源160の充電レベル、充電容量、電圧および/または温度などの埋め込み可能なエネルギー源160の機能状態を示すように構成されてもよい。機能的状態は、例えば、上述のように埋め込み可能なエネルギー源160の充電を制御するため、および埋め込み可能なエネルギー源160の状態を患者または医療スタッフなどの別の外部のエンティティに示すために使用されてもよい。機能状態は、例えば、体外に伝送され、そこで解釈され、埋め込まれた器具の状態/状況の診断に使用され得る。さらに、機能状態を体外に送信して、例えば電池残量低下や過熱を示す警告信号を提供することもできる。コントローラ170への/コントローラ170からの信号の送信については、以下の
図15から
図17に関連してさらに詳細に説明する。
【0390】
機能状態は、例えば、埋め込まれたエネルギー源160の温度を感知するように構成された温度センサ、または埋め込まれたエネルギー源160の電気的状態を測定するように構成された電流計または電圧計などのセンサからの信号に基づいてもよい。センサ出力は、例えば、配線または導電体によってコントローラ170に伝送されてもよく、そこで、充電器190/外部エネルギー源165に対する制御指示および/または機能状態情報を含む発行信号の形態で処理および作用され得る。
【0391】
機能状態は、いくつかの例では、例えば皮下に配置される可能性のある送信機によって、キャリア信号を介して体外に送信される可能性がある。送信機は充電器 190 に内蔵されている場合もある。
【0392】
図16は、
図15を参照して上述したシステムと同様の実施形態を示す。しかしながら、本図に示されるように、システムは、コントローラ170に動作可能に接続されるように構成され得る無線リモート175などの外部信号送信機175をさらに含んでもよい。外部信号送信機175は、患者またはサービス技術者や医療スタッフなどの別の外部エンティティがコントローラ170と対話できるように配置することができる。外部信号送信器175は、例えば、電極配置150によって組織に送達される電気刺激信号に影響を与えるかまたは調整するために、埋め込まれたコントローラ170の動作を制御するかまたは調整するために使用することができる。コントローラ170の外部制御は、例えば、電気刺激信号の振幅または周波数を増加または減少させる目的、または電気刺激を活性化/非活性化する目的に役立つ可能性がある。一例では、外部信号送信器175は、経験された逆流症状に応答して心臓括約筋の電気刺激を増加させるために使用することができる。このようにして、患者は、胃内容物が食道内で上昇するのをさらに妨げるように、心臓括約筋の収縮を増大させることができる。
【0393】
外部信号送信器175が埋め込みコントローラ170と通信する信号は、音信号、超音波信号、電磁波信号、および赤外線信号、可視光線信号、紫外線信号、レーザー信号、マイクロ波信号、電波信号、X線放射線信号、およびガンマ線放射線信号からなる群から選択することができる。
【0394】
図では別個の構成要素/実体として図示されているが、埋め込み型、すなわち内部コントローラ170は、埋め込み型充電器190および/または埋め込み型エネルギー源160に統合されていてもよいことが理解される。さらに、外部信号送信機175は、無線遠隔装置に統合されていてもよい。
【0395】
図17は、
図15および
図16を参照して説明したシステムと同様に構成され得るシステム、または装置の概略図である。したがって、
図1~
図11に関連して上述した実施形態のいずれかによる埋め込み器具の影響を受ける筋肉組織を運動させるための電極配置150と、筋肉組織の電気刺激を制御するために電極配置150に動作可能に接続されるように構成されたコントローラ170とを備えるシステムが開示される。コントローラ170は、コントローラ170によって生成された刺激信号またはパターンに従って電極配置に電力を供給するために、埋め込み可能なエネルギー源160に結合されてもよい。
【0396】
図17は、移植可能な通信器171をさらに示しており、この通信器は、
図16に関連して上述したものと同様に、コントローラ170と患者の体外との間で信号を送信するように構成され得る。通信機171は、コントローラ170に内蔵されていてもよいし、別体として設けられていてもよい。したがって、通信器171は、埋め込み可能なエネルギー源160の機能状態を構成する信号を送信するため、および埋め込み可能なコントローラ170の作動を制御または調整するために使用される外部コントローラ176と通信するために使用することができる。外部コントローラ176は、例えば、
図16に示すような遠隔コントローラ175に構成することができる。
【0397】
埋め込み可能なコントローラ170は、内部コントローラまたは刺激コントローラ170とも呼ばれ、組織の電気刺激を制御することができる任意の埋め込み可能なユニットとして理解され得る。コントローラは、電気信号発生器、変調器、または電気刺激信号を電極配置に送達することができる他の電気回路を含み得る。さらに、コントローラは、制御信号を処理し、それに応答して電気刺激信号を生成することができ、さらに、例えば埋め込み型エネルギー源160および/または埋め込み型充電器190などのシステムまたは装置の他の構成要素を制御するための制御信号を生成することができる。したがって、制御信号は、システム/装置の構成要素を直接的または間接的に制御することができるように、情報および/または電力を伝達することができるあらゆる信号として理解することができる。
【0398】
コントローラは、電極配置150およびシステムの他のコンポーネントの制御を処理するための、CPUなどの処理ユニットで構成され得る。処理ユニットは、単一の中央処理ユニットであり得るか、または2つ以上の処理ユニットで構成され得る。処理ユニットは、汎用マイクロプロセッサおよび/または命令セットプロセッサおよび/または関連チップセットおよび/またはASIC(特定用途向け集積回路)などの特殊用途マイクロプロセッサで構成され得る。処理ユニットはまた、命令および/またはデータを記憶するためのメモリを構成し得る。コントローラ170は、筋組織の刺激に使用される異なる刺激パターンおよび期間、ならびにいくつかの例ではセンサS1によって感知された活動電位も追跡するように適合され得る。コントローラ170は、上記で概説したように、通信器、または通信ユニット171をさらに含んでいてもよく、この通信器171は、体外との間で/からの無線信号または有線信号を受信および/または送信するように構成されていてもよい。通信ユニット171は、電極配置150の動作を最適に機能するようにプログラムすることができるように、患者の体外からコントローラ170をプログラムすることを可能にすることができる。
【0399】
コントローラ170、ならびにエネルギー源160および充電器190などの他の移植された構成要素は、構成要素を体液から保護するように筐体によって囲まれてもよい。筐体は、炭素ベースの材料(グラファイト、炭化ケイ素、または炭素繊維材料など)、ホウ素材料、ポリマー材料(シリコーン、Peek、ポリウレタン、UHWPE、またはPTFEなど)、金属材料(チタン、ステンレス鋼、タンタル、白金、ニオブ、またはアルミニウムなど)、セラミック材料(二酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、または炭化タングステンなど)、またはガラスのうちの1つまたはそれらの組み合わせから作られた筐体であってもよい。いずれの場合も、筐体は、筐体の壁を通る流体の移動が妨げられるような、透過性の低い材料から作られるべきである。
【0400】
通信(コントローラー、暗号化/復号化、認証/検証)
外部装置間または外部装置とインプラント間の通信は暗号化されていてもよい。対称暗号化または非対称暗号化など、任意の適切なタイプの暗号化を採用することができる。暗号化は、単一鍵暗号化であってもよいし、多鍵暗号化であってもよい。複数鍵暗号化では、暗号化されたデータを復号化するために複数の鍵が必要となる。複数の鍵は、第一の鍵、第二の鍵、第三の鍵など、あるいは鍵の第一部分、鍵の第二部分、鍵の第三部分などと呼ばれることがある。複数の鍵は、(暗号化方式や使用ケースに応じて)任意の適切な方法で組み合わされ、 復号に使用できる結合鍵が導出される。場合によっては、結合鍵の導出とは、データを復号するために各鍵を1つずつ使用し、 最終的な鍵を使用したときに復号されたデータが得られることを意味する。
【0401】
また、複数の鍵を組み合わせることで、データを復号化する「マスター鍵」が1つになる場合もある。言い換えれば、これは秘密共有の一形態であり、秘密がパーツに分割され、各参加者(外部デバイス、内部デバイス)に独自のパーツが与えられる。元のメッセージを再構築(復号化)するには、最小数の部分(鍵)が必要である。閾値方式では、この数は部品の総数よりも少ない(例えば、データを復号化するには、インプラントの鍵と2つの外部装置のうちの1つの鍵が必要である)。他の実施形態では、データを復号化する可能性のある結合鍵を達成するために、元の秘密を再構築するためにすべての鍵が必要とされる。
【0402】
復号化のための鍵の生成者が、最終的に別の装置に鍵を送り、その装置で使用される 必要がないことに注意すべきである。場合によっては、鍵の生成者は単に暗号化/復号化の促進者であり、他の装置/ユーザに代わって作業を行うだけである。
【0403】
検証ユニットは、検証ユニットを構成する、または検証ユニットに接続されたユニット(外部デバイスなど)の使用(すなわち、ユーザ認証)を検証または認証するための任意の適切な手段を構成することができる。たとえば、検証ユニットは、ユーザからの認証入力を受信するためのインタフェース(UI、GUI)を構成するか、インタフェースに接続することができる。検証ユニットは、検証ユニットを構成するデバイスに接続された(外部デバイスとは別の)デバイスから認証データを受信するための通信インタフェースを含んでいてもよい。認証入力/データは、コード、キー、指紋、手のひら静脈構造、画像認識、顔認識、虹彩認識、網膜スキャン、手の形状、ゲノム比較などの任意の適切な技術に基づくバイオメトリクスデータから構成されてもよい。検証/認証は、検証ユニットにインストールされた、または検証ユニットに関連してインストールされた、サードパーティアプリケーションを使用して提供することができる。
【0404】
検証ユニットは、2 部構成の認証手順の 1 部として使用することができる。もう1つの部分は、例えば、導電性通信認証、センセーション認証、またはパラメータ認証で構成される。
【0405】
検証ユニットは、スマートカードを読み取るためのカードリーダで構成することができる。スマートカードは、通常、暗号鍵の生成、保存、および操作に使用される安全なマイクロコントローラである。スマート・カード認証は、認証のためにスマート・カード・デバイスをユーザに提供する。ユーザーは、スマート・カードを検証ユニットに接続する。検証ユニット上のソフトウェアは、スマートカードに保存されている鍵の材料やその他の秘密と対話し、ユーザーを認証する。スマート・カードを作動させるために、ユーザはユーザ暗証番号でスマート・カードのロックを解除する必要がある。スマート・カードは、非常に強力な認証形式であると考えられている。なぜな ら、カードに格納されている暗号鍵やその他の秘密は、物理的にも論理的にも非常によく 保護されているため、盗みにくいからである。
【0406】
検証ユニットは、例えばパスポートや運転免許証に匹敵する個人用 e-ID から構成される。e-IDシステムは、検証ユニットにインストールされたセキュリティ・ソフトウェアと、信頼できるプロバイダのウェブサイトからダウンロードされるか、信頼できるプロバイダからスマートカードを介して提供されるe-IDで構成される。
【0407】
検証ユニットは、SMS ベースの二要素認証用ソフトウェアで構成される場合がある。その他の二要素認証システムを使用してもよい。二要素認証は、認証を受けるために2つのものを必要とする。すなわち、あなたが知っているもの(パスワード、コードなど)と、あなたが持っているもの(モバイルデバイス(SMS、e-IDなど)からの追加のセキュリティコード、またはスマートカードなどの物理的トークン)である。
【0408】
また、他の認証方式を採用してもよい。例えば、有線通信や無線を使用した無線通信の代わりに、可視光を使用して外部装置と通信する検証ユニットなどである。検証ユニットの光源は、秘密鍵などを外部デバイスに送信し(例えば、異なるパターンで点滅させる)、外部デバイスは受信したデータを使用して、ユーザを検証したり、データを復号化したり、その他の方法で認証を実行したりすることができる。光は、電波よりも盗聴敵から遮断したり隠したりするのが容易であるため、この文脈では有利である。同様の実施形態では、検証データを外部デバイスに送信するために、可視光の代わりに電磁放射線が使用される。
【0409】
インプラントの機能性に関するパラメータは、通信の対象となり、例えば、バッテリレベル、制御プログラムのバージョン、インプラントの特性、インプラントのモータのステータスなどのインプラントのステータスインジケータなどの機密情報を構成することができる。さらに、操作指示からなるデータが通信の対象となることがあり、例えば、新しいまたは更新された制御プログラム、インプラントの特定の構成に関するパラメータなど、他の機密情報からなることがある。このようなデータは、例えば、電気刺激装置及び/又は埋め込み型狭窄装置の操作方法に関する指示、患者データを収集する指示、フィードバックを送信する指示等からなる場合がある。これらのパラメータ及びデータは、漏洩しないように保護されなければならない。
【0410】
コントローラー
ここで、本明細書に開示された実施形態のいずれかによる埋め込み可能な医療装置を制御し、患者の体外の装置および/または埋め込み可能なセンサと通信するためのコントローラを、
図19A~
図19Cを参照して一般的に説明する。
図19Aは、コントローラ300を含む埋め込み可能な医療装置Mが、例えば、上述のコントローラC
I および/またはC
E を有する出口および入口弁30、40の形態の収縮装置および/または電気刺激装置10のように、埋め込まれたときの患者を示す。埋め込み可能な医療装置Mは、電気刺激装置および/または機械的もしくは液圧式の狭窄装置の部分であり、1つまたは複数の操作可能な要素、弁、ポートなどから構成される能動ユニット302を備える。能動ユニット302は、腸に作用するために患者の身体に直接または間接的に接続される。能動ユニット302は、電気接続C2を介してコントローラ300に接続されている。コントローラ300(
図19Bを参照してさらに説明)は、外部装置320(
図19Cを参照してさらに説明)と通信するように構成されている。コントローラ300は、無線接続WL1を介して、および/または電気接続C1を介して、外部装置320と無線通信することができる。
【0411】
次に
図19Bを参照して、コントローラ300の一実施形態をより詳細に説明する。コントローラ300は、埋め込み型医療装置Mによって実行される機能を制御するように構成された内部演算ユニット306を備える。演算ユニット306は、その上にプログラムを記憶するように構成された内部メモリ307を備える。
図19Bに記載された実施形態では、内部メモリ307は、埋め込み型医療装置Mの機能を制御することができる第1の制御プログラム310を含んでいる。第1の制御プログラム310は、第2の制御プログラム312の更新中にのみ埋め込み型医療装置Mで実行される最小限の機能を有するプログラムと見なすことができる。埋め込み可能な医療装置Mが第1の制御プログラム310で実行されているとき、埋め込み可能な医療装置Mは、機能が低下したセーフモードで実行されていると見なすことができる。例えば、第1の制御プログラム310が実行されている間、埋め込み型医療装置Mにセンサデータが保存されない、または、第1の制御プログラム310が実行されている間、埋め込み型医療装置Mからフィードバックが送信されないという結果になる可能性がある。低複雑度の第1の制御プログラムを有することにより、埋め込み型医療装置Mのメモリが節約され、第2の制御プログラム312の更新中に埋め込み型医療装置Mが故障する危険性が低減される。
【0412】
第2の制御プログラム312は、通常時に埋め込み型医療装置Mを制御するプログラムであり、埋め込み型医療装置Mに完全な機能と特徴を提供する。
【0413】
メモリ307は、更新可能な第2の制御プログラム312をさらに含むことができる。更新可能という用語は、プログラムが、そのコードに対する漸進的または反復的な更新を受け取るか、またはコードの新しいバージョンによって置き換えられるように構成されていると解釈される。更新は、コードの以前の欠陥を修正するだけでなく、インプラントに新しいおよび/または改善された機能を提供することができる。演算ユニット306は、コントローラ300を介して第2の制御プログラム312の更新を受信することができる。更新は、WL1を介して無線で受信することも、電気接続C1を介して受信することもできる。
図19Bに示すように、コントローラ300の内部メモリ307は、第3のプログラム314を記憶することができる。第3のプログラム314は、埋め込み型医療装置Mの機能を制御することができ、演算ユニット306は、第2のプログラム312を第3のプログラム314に更新するように構成され得る。第3のプログラム314は、第2のプログラム312の元の状態を再起動するときに利用することができる。したがって、第3のプログラム314は、コントローラ300の工場出荷時のリセット(例えば、工場出荷時の設定に戻す)を提供すると見なすことができる。このように、第3のプログラム314は、コントローラ300に見られるソフトウェア(第2の制御プログラム312)を元の製造業者の設定にリセットするために使用されるように、メモリ307の安全な部分にインプラント300に含まれることができる。
【0414】
コントローラ300は、内部演算ユニット306に接続されるか、内部演算ユニット306の一部であるか、または当該内部演算ユニット306に送信されるリセット機能316を含んでいてもよい。リセット機能316は、内部演算ユニット306に、第2の制御プログラム312の実行から第1の制御プログラム310の実行に切り替えさせるように構成される。リセット機能316は、内部演算ユニット306にメモリ307から第2の制御プログラム312を削除させるように構成されてもよい。リセット機能316は、患者の皮膚を触診したり、押圧したりすることによって操作することができる。これは、インプラントにボタンを設けることによって行うことができる。あるいは、リセット機能316は、タイマーまたはリセットモジュールを介して呼び出すことができる。触診を感知するために、温度センサーおよび/または圧力センサーを利用することができる。リセット機能316は、患者の皮膚を貫通することによっても作動させることができる。リセット機能316が磁気的手段によって操作され得ることはさらにもっともである。これは、磁気センサを利用し、体外から磁力を加えることによって行うことができる。リセット機能316は、2秒などの制限を超える時間印加された磁力にのみ反応するように構成することができる。制限時間は、同様に、5秒、10秒、またはそれ以上であってもよい。このような場合、インプラントはタイマーを含んでいてもよい。したがって、リセット機能316は、このような磁力を感知するためのセンサーを含むか、またはセンサーに接続されることがある。
【0415】
上述したリセット機能に加えて、またはリセット機能の代替として、インプラントは、埋め込み型医療装置Mの機能を制御するための第2の制御プログラム312と、リセット機能318とを含む内部コンピューティングユニット306(内部プロセッサを含む)を備えることができる。リセット機能318は、i.リセット機能318のタイマーがリセットされていないこと、またはii.第1の制御プログラム310の誤動作に応答して、前記第2の制御プログラム312を再起動またはリセットするように構成され得る。
【0416】
リセット機能318は、例えば、内部コンピューティングユニット306に接続された適切に動作するコンピュータ、COP、機能などの第1のリセット機能で構成されてもよい。第1のリセット機能は、第2のリセット機能を用いて第1または第2の制御プログラム312を再起動またはリセットするように構成されてもよい。第1のリセット機能はタイマで構成され、第1の制御プログラムまたは第2の制御プログラムは、タイマを周期的にリセットするように構成される。
【0417】
リセット機能318は、内部演算ユニットおよび第2のリセット機能に接続された第3のリセット機能をさらに含んでもよい。第3のリセット機能は、一例として、第1の制御プログラム310または第2の制御プログラム312を修正するための修正機能をトリガするように構成されてもよく、第2のリセット機能は、修正機能がトリガされた後のある時点で第1の制御プログラム310または第2の制御プログラム312を再起動するように構成される。修正機能は、ソフトリセットまたはハードリセットであってもよい。
【0418】
第2または第3のリセット機能は、例えば、リセット・パルスを生成するように構成された内部または外部のパルス発生器を作動させることによってハードウェア・リセットをトリガすることによって、ハードウェア・リセットを呼び出すように構成され得る。あるいは、第2または第3のリセット機能は、ソフトウェアによって実装されてもよい。
【0419】
コントローラ300は、内部無線トランシーバ308をさらに含んでいてもよい。トランシーバ308は、無線接続WL1を介して外部装置320と無線通信する。トランシーバは、無線接続WL2またはWL4を介して外部装置320、300とさらに通信してもよい。トランシーバは、接続C1、WL1、WL2、WL4のいずれかを介してデータを送信および受信することができる。任意選択で、外部装置320、300は、存在する場合、例えば無線接続WL3を介して互いに通信してもよい。
【0420】
コントローラ300は、さらに、外部装置320と電気的に接続C1され、患者の身体を導体として使用して通信することができる。したがって、コントローラ300は、電気的接続C1のために、有線トランシーバ303または内部トランシーバ303を構成することができる。
【0421】
図20Bによる埋め込み型医療装置Mのコントローラ300は、フィードバックユニット349をさらに備える。フィードバックユニット349は、第2の制御プログラム312から第1の制御プログラム310への切り替えに関連するフィードバックを提供する。フィードバックは、例えば、ソフトウェアすなわち第2の制御プログラム312の更新がいつ開始され、いつ更新が終了したかの情報を表すことができる。このフィードバックは、例えば外部装置320上のディスプレイを介して患者に視覚的に伝えることができる。このディスプレイは、腕時計、電話、またはコントローラ300に結合された他の外部装置320に配置することができる。好ましくは、フィードバックユニット349は、WL1を介してこのフィードバック信号を外部装置320に無線で提供する。可能性として、「更新開始」、または「更新終了」という言葉、または同じ意味を持つ同様の言葉を患者に表示してもよい。別の選択肢として、異なる色を表示することもでき、例えば緑色は更新が終了したことを意味し、赤色または黄色は更新が進行中であることを意味する。もちろん、どのような色でも同様に妥当であり、ユーザーは個人的な好みに応じてこれらを選択することができる。もう1つの可能性は、外部デバイス320に光を点滅させることである。この場合、外部装置320は、必要とされる発光装置を構成する。このような光は、例えばLEDであってもよい。異なる色は、やはり、プログラム更新の状態を表すことができる。更新が進行中であり、まだ終了していないことを表す1つの方法は、光を点滅させること、すなわち、光を点灯させたり消灯させたりすることであってもよい。ライトの点滅が止まれば、患者は更新が終了したことを認識する。フィードバックはまた、埋め込み型医療装置Mによって直接、または外部装置320によって可聴で提供されることもある。その場合、埋め込み型医療装置Mおよび外部装置320は、音声を提供する手段を備える。フィードバックはまた、例えば、使用者が感知できる振動の形態で、触覚的であってもよい。このような場合、埋め込み型医療装置Mまたは外部装置320は、振動および/またはバイブレータなどの触覚を提供するための手段を備えている。
【0422】
図19Bに見られるように、コントローラ300は、第1のエネルギー貯蔵ユニット40Aをさらに備えることができる。第1のエネルギー貯蔵ユニット40Aは、第1の制御プログラム310を実行する。コントローラ300は、第2の制御プログラム312を実行する第2のエネルギー貯蔵ユニット40Bをさらに備える。これは、第1の制御プログラム310がそれ自身の別個のエネルギー貯蔵ユニット40Aを有するので、更新中のセキュリティをさらに高めることができる。第1の電源40Aは、第1のエネルギー貯蔵器304aおよび/または第1のエネルギー受信器305aから構成され得る。第2のエネルギー貯蔵ユニット40Bは、第2のエネルギー貯蔵器304bおよび/または第2のエネルギー受信器305bから構成することができる。エネルギーは、誘導手段または導電手段によって無線で受け取ることができる。外部エネルギー貯蔵ユニットは、例えば、内部コイル(図示せず)に電圧を誘導する外部コイルを利用することによって、患者の体内のエネルギー受信器305a、305bにワイヤレスエネルギーの量を転送することができる。第1のエネルギー受信器305aがRFIDパルスを介してエネルギーを受信することはもっともである。フィードバックユニット349は、RFIDパルスを介して受信されたエネルギーの量に関連するフィードバックを提供することができる。受信されるRFIDパルスのエネルギー量は、満足できるレベルに達するまでパルス周波数を連続的に上げるように、フィードバックに基づいて調整することができる。
【0423】
図20Bによる埋め込み型医療装置Mのコントローラ300は、電気スイッチ309をさらに備える。電気スイッチ309は、患者の身体部分に力を及ぼすように構成され、患者の身体部分に及ぼされた力が閾値を超えた結果として切り替えられるように構成された埋め込み可能な要素に機械的に接続されてもよい。スイッチ309は、例えば、本明細書の実施形態のいずれかにおいて埋め込み型医療装置Mの一部に接着されていてもよい。スイッチ309は、代替的に、埋め込み可能な医療装置Mに電気的に接続され、埋め込み可能な医療装置Mに供給される電流が閾値を超えた結果として切り替えられるように構成されてもよい。スイッチ309は、例えば、電気刺激装置10および/または出口弁30および入口弁40の形態の狭窄装置に接続され、埋め込み可能な医療装置Mへの電流が閾値を超えた場合に切り替えられるように構成されていてもよい。このようなスイッチは、例えば、電気刺激装置10の電極または機械式もしくは液圧式の収縮装置のモータなどへの電流の流れによって生じる熱によって切り替わるバイメタルスイッチのような、閾値を超える温度にさらされた場合に切り替わるように構成されたスイッチ309であってもよい。別の方法として、閾値を超える温度にさらされた場合に切り替わるように構成されたスイッチ309は、温度を超えた場合に切り替わるように埋め込み型医療装置Mの別の場所に配置することもでき、それにより、埋め込み型医療装置Mが組織損傷を引き起こす可能性のある過熱から妨げられる。
【0424】
スイッチ309は、操作装置への電力をカットするように構成されるか、または埋め込み型コントローラ300のプロセッサ306に制御信号を生成するように構成されるかのいずれかであり、これによりコントローラ300は、電力を低下させるか、または埋め込み型医療装置Mの動作をオフにするなどの適切な行動をとることができる。
【0425】
外部装置320は
図19Cに表されている。外部装置320は、患者の身体のどこにでも、好ましくは便利で快適な場所に配置することができる。外部装置320はリストバンドであってもよく、および/または腕時計の形状を有していてもよい。また、外部装置が携帯電話や患者に直接取り付けられていない他の装置であることももっともである。
図19Cに示すように、外部装置320は、有線トランシーバ323と、エネルギー貯蔵装置324とから構成される。また、無線トランシーバ328とエネルギー送信器325から構成されています。さらに、演算ユニット326とメモリ327から構成されている。外部装置320内のフィードバックユニット322は、演算ユニット326に関連するフィードバックを提供するように構成されている。フィードバックユニット322によって提供されるフィードバックは、視覚的であってもよい。外部装置320は、そのような視覚的フィードバックを患者に示すディスプレイを有していてもよい。フィードバックが可聴であり、外部装置320が音声を提供する手段を備えることも同様にもっともである。フィードバックユニット322によって与えられるフィードバックは、振動などの触覚的なものであってもよい。フィードバックはまた、無線信号WL1、WL2、WL3、WL4の形態で提供されてもよい。
【0426】
第2、第3または第4の通信手段WL2、WL3、WL4は、無線通信の形態であってもよい。第2、第3または第4の通信方法WL2、WL3、WL4は、好ましくは、電磁波または無線に基づく通信の形態であってもよい。第2、第3、第4の通信方式WL2、WL3、WL4は、電気通信方式に基づくものであってもよい。第2、第3または第4の通信方法WL2、WL3、WL4は、以下のリストの項目から構成されるか、またはこれらに関連し得る:無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)、ブルートゥース、ブルートゥース5、BLE、GSMまたは2G(第2世代セルラー技術)、3G、4Gまたは5G。
【0427】
外部装置320は、本体を導体として用いて埋め込み型医療装置Mと電気的接続C1になるように適合させることができる。この場合、電気接続C1は、外部装置320と埋め込み型医療装置Mとの間の導電性通信に使用される。
【0428】
暗号化/復号化
一実施形態では、通信方式WL2、WL3、WL4、C1のいずれかを介したコントローラ300と外部装置320との間の通信は、公開鍵および/または秘密鍵で暗号化および/または復号化される場合がある。たとえば、コントローラ300は、秘密鍵および対応する公開鍵から構成される場合があり、外部デバイス320は、秘密鍵および対応する公開鍵から構成される場合がある。
【0429】
コントローラ320と外部デバイス320は、公開鍵を交換し、公開鍵暗号化を使用して通信を実行することができる。当業者は、鍵を交換するための公知の方法を利用することができる。
【0430】
コントローラは、外部デバイス320に対応する公開鍵を使用して、外部デバイス320に送信するデータを暗号化してもよい。暗号化されたデータは、有線、無線、または電気通信チャネルC1、WL1、WL2、WL3を介して外部装置に送信される。外部デバイス320は、暗号化されたデータを受信し、外部デバイス320に構成された秘密鍵(データが暗号化された公開鍵に対応する秘密鍵)を使用して復号してもよい。外部装置320は、暗号化されたデータをコントローラ300に送信してもよい。外部装置320は、コントローラ300の秘密鍵に対応する公開鍵を使用して、送信するデータを暗号化することができる。外部装置320は、有線、無線、または電気接続C1、WL1、WL2、WL3、WL4を介して、直接または間接的に、暗号化されたデータをインプラントのコントローラに送信することができる。コントローラは、データを受信し、コントローラ300に含まれる秘密鍵を使用してデータを復号化することができる。
【0431】
図19A~
図19Cを参照して説明した公開鍵暗号化に代えて、埋め込み型医療装置Mのコントローラ300と外部装置320、330との間、または外部装置320、330とコントローラ300との間で送信されるデータは、署名されてもよい。コントローラ300から外部装置320、330へデータを送信する方法において、コントローラ300から送信されるデータは、コントローラ300の秘密鍵を使用して署名されてもよい。データは、通信チャネルまたは接続C1、WL1、WL2、WL3、WL4を介して送信されてもよい。外部デバイス320、330は、メッセージを受信し、コントローラ300の秘密鍵に対応する公開鍵を使用して、データの真正性を検証することができる。このようにして、外部装置320、330は、データがコントローラ300から送信されたものであり、他の装置またはソースから送信されたものではないと判断することができる。
【0432】
次に、外部装置320と埋め込み型医療装置Mのコントローラ300との間で複合キーを用いて通信するための方法を、
図19A~
図19Cを参照して説明する。この方法の第1のステップは、インプラントにおいて、無線伝送WL1、WL2、WL3、WL4などによって、外部装置320、330から第1のキーを受信することからなる。本方法はさらに、インプラントにおいて、無線通信WL1、WL2、WL3によって第2の鍵を受信することを含む。第2の鍵は、外部装置320、330とは別の第2の外部装置によって生成されてもよいし、第2の外部装置320、330に代わって第2の鍵の生成者である別の外部装置によって生成されてもよい。第2の鍵は、外部装置320、第2の外部装置330、および第2の鍵の生成者のいずれか1つからインプラントで受信されることがある。前記第2の外部装置は、管理人または他の関係者によって制御されてもよい。前記別の外部装置は、インプラントの製造者、または医療スタッフ、管理人などによって制御されてもよい。
【0433】
コントローラ300が外部デバイス320から第2キーを受信している場合、第2キーは、第2外部デバイス330から、または別の外部デバイス(ジェネレータ)から、外部デバイスを介してルーティングされることを意味する。ルーティングは、本明細書において第10の態様で説明するように実行されてもよい。これらの場合、インプラントおよび/または外部装置は、そのようなルーティングを実行するために必要な特徴および機能(本書の各セクションに記載)を備えている。患者からの確認の有無にかかわらず、外部装置320を中継として使用することは、外部装置320が復号化された情報を保存または他の方法で取り扱う必要がない可能性があるため、追加のセキュリティ層を提供する可能性がある。そのため、外部装置320は、復号化された情報を失うことなく紛失する可能性がある。コントローラ300は、第1の鍵および第2の鍵と、コントローラ300が保持する第3の鍵(たとえば、コントローラ300のメモリ307)とを結合することにより、結合鍵を導出するように構成された演算ユニット306を備える。結合鍵は、外部装置320からコントローラ300に無線伝送WL1によって伝送される暗号化データを、演算ユニット306によって復号化するために使用される。任意選択で、復号化されたデータは、コンピューティングユニット306によって、埋め込み型医療装置Mの動作を変更するために使用されてもよい。いくつかの実施形態では、本方法は、復号化されたデータに基づいて、コントローラ300内で実行されている制御プログラムを更新するステップと、復号化されたデータ内の動作命令を使用して埋め込み型医療装置Mを動作させるステップとのうちの少なくとも1つをさらに含む。
【0434】
外部装置320とコントローラ300との間の暗号化通信のための方法は、以下のように構成され得る:
-外部デバイス320において、無線トランシーバ328によって、第1の鍵を受信し、第1の鍵は、外部デバイス320とは別の第2の外部デバイス330によって、または第2の外部デバイス330に代わって第2の鍵の生成者である別の外部デバイスによって生成され、第1の鍵は、第2の外部デバイス330および第2の鍵の生成者のいずれか一方から受信される、
-無線トランシーバ328によって外部装置320で、コントローラ300からの第2のキーを受信する、
-外部デバイス320のコンピューティング・ユニット326が、第1の鍵および第2の鍵と、外部デバイス320が保持する(例えばメモリ307内の)第3の鍵とを結合することにより、結合鍵を導出する、
-インプラントから外部装置へ暗号化されたデータを送信し、無線トランシーバ328によって外部装置で暗号化されたデータを受信するステップと
-計算ユニット326は、外部デバイス320内の暗号化されたデータを、結合されたキーを使用して復号化する。
【0435】
上述したように、データを復号化するにはさらなる鍵が必要な場合がある。その結果、無線トランシーバ328は、以下のように構成される:
- 第3の外部装置から第4のキーを受信する、
ここで、演算ユニット326は、以下のように構成される:
- 第1、第2および第4の鍵と外部デバイスが保持する第3の鍵とを結合して結合鍵を導出するステップと
- 結合されたキーを使って暗号化されたデータを復号する。
【0436】
これらの実施形態は、通信におけるセキュリティをさらに高める。演算ユニット326は、インプラントと外部装置との間の通信を確認するように構成されてもよく、確認は、以下を備える:
- 外部装置320によって患者のパラメータを測定する、
- 埋め込み型医療機器Mから、患者の測定パラメータを受信する、
- 埋め込み型医療機器Mによって測定されたパラメータと外部機器320によって測定されたパラメータを比較する、
- 比較に基づいて接続を確認するステップと
- 確認の結果、暗号化されたデータを外部デバイスで復号化する。
【0437】
本セクションで説明する鍵は、実施形態によっては、後述するセンサーが検知したデー タに基づいて生成することができる。シードとは、乱数生成プロセスを開始するために擬似乱数生成器に投入される初期値のことである。このため、シードは、その基となる患者の生理学的パラメータへのアクセスや知識がなくても予測しにくいものとすることができ、生成される鍵にさらなる安全性を提供することができる。
【0438】
コミュニケーションの方法
次に、埋め込み型医療装置Mが患者に埋め込まれ、外部装置320が患者の身体の外部に配置されている場合の、外部装置320と埋め込み型医療装置Mとの間の通信方法について、
図19A~
図19Cを参照して説明する。外部装置320は、身体を導体として使用して、コントローラ300と電気接続C1になるように適合される。電気接続C1は、外部装置320と埋め込み型医療装置Mとの間の導電性通信に使用される。コントローラ300および外部装置320の両方は、コントローラ300と外部装置320との間の無線通信C1のための無線トランシーバ308を含んでいる。コントローラ300に含まれる)無線トランシーバ308は、いくつかの実施形態では、外部装置320および他の外部装置からデータを受信するためのサブトランシーバを含んでいてもよく、例えば、異なる周波数帯域、変調方式などを使用する。
【0439】
方法の第1のステップでは、コントローラ300と外部装置320との間の電気的接続C1が確認され、これにより認証される。電気的接続の確認および認証は、以下に説明するように行うことができる。このような場合、インプラントおよび/または外部装置は、このような認証を実行するために必要な特徴および機能(本書の各セクションに記載)を備えている。これらの態様に従って認証を行うことにより、悪意のある第三者が患者の過渡的な生理学的パラメータを知ること、またはアクセスすること、または患者においてもしくは患者内で発生するランダム化された感覚を検出することを必要とする可能性があるため、認証の安全性が高まる可能性がある。
【0440】
埋め込み型医療装置Mのコントローラ300は、身体を導体として外部装置320と電気接続C1するように構成された第1のトランシーバ303を含んでいてもよい。あるいは、コントローラ300の第1のトランシーバ303は、無線であってもよい。外部装置320は、身体を導体として埋め込み型医療装置Mと電気的接続C1になるように構成された第1の外部送信機323と、無線通信WL1をコントローラ300に送信するように構成された無線送信機とを含んでいてもよい。あるいは、外部装置320の第1の外部送信機323は無線であってもよい。外部装置320の第1の外部送信機323と無線送信機とは、同じ送信機であってもよいし、別々の送信機であってもよい。
【0441】
コントローラ300は、外部装置320と内部トランシーバ303との間の電気的接続を確認し、確認に基づいて外部装置320からの(データの)無線通信WL1を受け入れるように構成された演算ユニット306を含んでもよい。
【0442】
データは、外部装置320からコントローラ300へ、例えばコントローラ300および外部装置320のそれぞれの無線トランシーバを使用して無線で送信される。データは、代わりに、電気接続C1を介して送信されてもよい。確認の結果、受信されたデータは、埋め込み型医療装置Mへの指示のために使用されてもよい。例えば、コントローラ300内で実行されている制御プログラム310が更新されてもよいし、受信されたデータ内の操作指示を使用してコントローラ300が操作されてもよい。これは、演算装置306によって処理されてもよい。
【0443】
この方法は、外部装置320からコントローラ300に無線でデータを送信することからなる場合があり、暗号化されたデータを無線で送信することからなる場合がある。暗号化されたデータを復号化するために(例えば、演算ユニット306を使用して)、いくつかの方法が使用され得る。
【0444】
一実施形態では、確認された導電性通信路C1(すなわち、電気的接続)を使用して、外部装置320からコントローラ300にキーが送信される。鍵は、コントローラで(第1の内部トランシーバ303によって)受信される。その後、暗号化されたデータを復号化するために鍵が使用される。
【0445】
ある実施形態では、暗号化されたデータを復号するには鍵だけで十分である。他の実施形態では、データを復号化するためにさらなる鍵が必要である。一実施形態では、確認された導電性通信チャネルC1(すなわち、電気的接続)を使用して、外部装置320からコントローラ300に鍵が送信される。鍵は、コントローラ300で(第1の内部トランシーバ303によって)受信される。第2のキーは、無線通信WL1を使用して外部装置320から(無線トランシーバ208によって)送信され、無線トランシーバ308によってコントローラ300で受信される。その後、演算ユニット306は、鍵と第2の鍵とから結合鍵を導出し、これを暗号化データの復号化に使用する。
【0446】
さらに他の実施形態では、確認された導電性通信路C1(すなわち、電気的接続)を使用して、外部装置320からコントローラ300にキーが送信される。鍵は、コントローラで(第1の内部トランシーバ303によって)受信される。第3のキーは、外部装置320とは別の第2の外部装置330から、WL2を介して無線でインプラントに送信される。第3のキーは、第2の外部装置330からWL2を介した無線通信を受信するように構成されたコントローラ300の第2の無線受信機(無線トランシーバ308の一部)によって受信される場合がある。
【0447】
第1および第3の鍵は、演算ユニット306によって結合鍵を導出するために使用され得、次いで、演算ユニット306は、暗号化されたデータを復号化する。そして、復号化されたデータは、上述のように埋め込み型医療装置Mに指示するために使用される。
【0448】
第2の外部装置330は、コントローラ300によって送信および復号化されるデータのセキュリティおよび妥当性をさらに高めるために、例えば、介護者によって制御される場合がある。
【0449】
いくつかの実施形態では、外部装置は、第2の外部装置330から二次無線通信WL2を受信し、二次無線通信WL2から受信したデータを埋め込み型医療装置Mに送信するようにさらに構成されることに留意されたい。データのこのルーティングは、無線トランシーバ308、208を使用して(すなわち、無線接続WL1を使用して、またはコントローラ300と外部装置320との間のさらなる無線接続WL4を使用して)達成され得る。これらの場合、インプラントおよび/または外部装置は、そのようなルーティングを実行するために必要な特徴および機能を備える。その結果、いくつかの実施形態では、第3の鍵は、第2の外部装置330によって生成され、WL2を介して外部装置320に送信され、外部装置320は、暗号化されたデータの復号化のために使用される第3の鍵をコントローラ300にルーティングする。言い換えれば、外部装置とは別の第2の外部装置からインプラントに第3の鍵を無線送信するステップは、外部装置320を介して第3の鍵をルーティングすることからなる。患者による検証の有無にかかわらず、外部装置320を中継として使用することにより、外部装置320が復号化された情報を保存またはその他の方法で取り扱う必要がなくなるため、セキュリティの層がさらに厚くなる可能性がある。そのため、復号化された情報を失うことなく外部装置320を紛失することができる。
【0450】
さらに他の実施形態では、確認された導電性通信チャネルC1(すなわち、電気的接続)を使用して、外部装置320からコントローラ300にキーが送信される。キーはインプラントで(第1の内部トランシーバ303によって)受信される。第2のキーは、外部装置320からコントローラ300にWL1を介して無線送信され、コントローラ300で受信される。第3の鍵は、外部装置320とは別の第2の外部装置から、WL4を介してコントローラ300に無線送信される。外部デバイス320からコントローラ300に送信された暗号化データは、鍵、第2の鍵、および第3の鍵から導出された複合鍵を使用して復号化される。外部装置は、ウェアラブル外部装置であってもよい。
【0451】
外部装置320は携帯電話機であってもよい。第2の外部装置330は、ハンドセットであってもよいし、サーバであってもよいし、クラウドベースであってもよい。
【0452】
いくつかの実施形態では、外部装置320とコントローラ300との間の電気的接続C1は、外部装置320と接続されるように構成された導電性部材321を、インプラントとの導電性通信C1のために患者の皮膚と電気的に接続するように配置することによって達成される。このような場合、インプラントおよび/または外部装置は、このような導電性通信を行うために必要な特徴および機能(本書の各セクションに記載)を備えている。したがって、通信は、外部装置320、導電性部材321、導電性接続C1、コントローラ300などの導電経路に電気的に閉じ込められることによって、暗号化に加えてさらに一層のセキュリティが提供される可能性があり、これは、通信が、患者と物理的に接触していない、または少なくとも患者に近接していない第三者によって傍受されることが過度に困難であることを意味する。
【0453】
認証/検証
コントローラ300と外部装置320との間の通信のセキュリティをさらに高めるために、異なるタイプの認証、検証、および/または暗号化を採用することができる。いくつかの実施形態では、外部装置320は、検証ユニット340を備える。検証ユニット340は、インプラントと外部装置との間の導電性通信を認証するために、ユーザの検証に適した任意のタイプのユニット、すなわちユーザから認証入力を受信するように構成されたユニットであってよい。一部の実施形態では、検証ユニットおよび外部装置は、ユーザ(患者である場合もない場合もある)から認証入力を収集するための手段を備える。このような手段は、指紋読取装置、網膜スキャナ、カメラ、コード入力用GUI、マイク、採血するように構成された装置などで構成することができる。したがって、認証入力は、指紋、手のひら静脈構造、画像認識、顔認識、虹彩認識、網膜スキャン、手の形状、およびゲノム比較のリストから選択されたバイオメトリクス技術に基づくコードまたは何かで構成される可能性がある。認証入力を収集する手段は、代わりに、指紋リーダーまたは他のタイプのバイオメトリック・リーダーのような、上記の機能例のいずれかを構成する導電性部材321の一部であってもよい。
【0454】
いくつかの実施形態では、外部装置320の検証ユニット340によってユーザから認証入力を受信し、認証入力を使用してコントローラ300と外部装置との間の導電性通信を認証することによって、セキュリティを高めることができる。認証が肯定されると、導電性通信チャネルC1は、外部装置320によるコントローラ300への導電性通信の送信、および/またはコントローラ300による外部装置320への導電性通信の送信を構成するために使用される。他の実施形態では、受信した導電性通信に基づいて埋め込み型医療装置Mを動作させる前、および/または上述のようにコントローラ300内で実行されている制御プログラムを更新する前に、肯定的な認証が必要とされる。
【0455】
図19A~
図19Cはさらに、埋め込み型医療装置Mが感覚発生器381に接続されていることを示している。感覚発生器381は、感覚を発生するように構成されていてもよい。感覚発生器381は、埋め込み型医療装置M内に含まれていてもよいし、別個のユニットであってもよい。感覚発生器381は埋め込まれてもよい。また、感覚発生器381は、そのように埋め込まれないが、患者のみが発生した感覚を経験することができるように、患者と接続されるように配置されることもある。コントローラ300は、感覚発生器381によって発生された感覚に関連する認証データを記憶するように構成されている。
【0456】
コントローラ300は、外部装置320から入力認証データを受信するようにさらに構成される。生成された感覚に関連する認証データは、コントローラ300のメモリ307によって記憶されてもよい。認証データは、接続、通信、または装置を認証するために、入力認証データと比較するなどして分析することができるように、生成された感覚に関する情報を含むことができる。入力認証データは、患者が外部装置320に入力することによって生成される情報に関連する。入力認証データは、実際の患者入力であっても、外部装置320によって符号化された患者入力の符号化バージョンであってもよい。認証データおよび入力認証データは、多数の感覚または感覚成分から構成される場合がある。
【0457】
認証データは、タイムスタンプを含むことができる。入力認証データは、患者からの入力のタイムスタンプから構成されてもよい。タイムスタンプは、感覚発生装置381による感覚の発生や、患者による入力認証データの作成などのイベントの時刻であってもよい。タイムスタンプは符号化されていてもよい。タイムスタンプは、任意の時間単位、すなわち実際の時間ではないことを特徴としてもよい。タイムスタンプは、コントローラ300の内部クロック360および外部装置320の外部クロック362によって提供される場合がある。クロック360、362は、互いに同期していてもよい。クロック360、362は、外部デバイス320およびそのそれぞれのクロック362からコントローラ300およびそのそれぞれのクロック360へ同期データを通信するための導電接続C1または無線接続WL1を使用することによって同期される場合があり、その逆も同様である。クロック360、362の同期は、連続的に実行されてもよく、安全な通信に依存しなくてもよい。
【0458】
接続の認証は、感覚のタイムスタンプと患者からの入力のタイムスタンプとの間の時間差を計算し、その時間差が閾値未満であると判定したときに、接続を認証することからなる。閾値の例としては、1秒が挙げられる。解析はまた、通常の人間の応答時間よりも速い患者からの入力をフィルタリングするために、低い閾値で構成されることもある。低い閾値は例えば50msである。
【0459】
認証データは、感覚発生器が感覚を発生させた回数からなり、入力認証データは、患者が感覚を検出した回数に関する患者からの入力からなる。そして、接続を認証することは、認証データと入力認証データの回数が等しいと判断したときに、接続を認証することからなる。
【0460】
埋め込み型医療装置Mと外部装置320との間の接続を認証する方法は、適宜、以下のステップを含む。
【0461】
感覚発生装置381により、患者の感覚により検出可能な感覚を発生させる。感覚は、複数の感覚成分から構成されてもよい。感覚又は感覚成分は、振動(例えば、一定周波数の機械的振動)、音(例えば、一定周波数の機械的振動の重ね合わせ)、光信号(例えば、赤外線パルスなどの非可視光パルス)、光信号(例えば、可視光パルス)、電気信号(例えば、電流パルス)又は熱信号(例えば、熱パルス)から構成されてもよい。感覚発生器は、埋め込み型であってもよいし、患者の皮膚に接触して装着するように構成されていてもよいし、ビープ音アラームのように患者と物理的に接触することなく感覚を発生させることができるものであってもよい。感覚は、患者の内部生物学的プロセスに危害を与えたり影響を与えたりする危険性がない一方で、患者の感覚によって一貫して感じられるように構成することができる。
【0462】
コントローラ300は、生成されたセンセーションに関連する認証データを保存する。
【0463】
患者による外部装置への入力により、入力認証データが得られる。入力の提供は、例えば、電気スイッチの作動、バイオメトリック入力センサーの使用、外部装置320上で実行されるデジタルインターフェースへの入力など、いくつかの例を挙げることができる。
【0464】
入力された認証データを外部機器からコントローラ300に送信する。ステップを実行した場合、コントローラ300によって解析が実行されてもよい。
【0465】
埋め込み型医療装置Mから外部装置320に認証データを送信する。ステップが実行された場合、外部装置320によって解析が実行されてもよい。認証データまたは入力された認証データの送信には、無線接続WL1または導電接続C1が使用されてもよい。
【0466】
入力された認証データと認証データの分析に基づいて接続を認証する。例えば、生成された感覚と経験した感覚の数を比較したり、認証データと入力された認証データのタイムスタンプを比較したりする。ステップが実行された場合、解析は埋め込み型医療機器Mによって実行されてもよい。
【0467】
肯定的な認証後に、コントローラ300と外部装置320との間でさらなるデータを通信する。無線接続WL1または導電接続C1を使用して、さらなるデータを通信することができる。さらなるデータは、コントローラ300内で実行されている制御プログラム310を更新するためのデータ、または埋め込み型医療装置Mを操作するための操作指示からなる場合がある。
【0468】
解析がコントローラ300によって実行された場合、外部装置320は、コントローラ300と外部装置320との間の接続の認証ステータスの情報を継続的に要求または受信し、外部装置320において、接続が認証されたと判断すると、外部装置320からコントローラ300にさらなるデータを送信することができる。
【0469】
解析が外部装置320によって実行された場合、コントローラ300は、コントローラ300と外部装置320との間の接続の認証ステータスの情報を継続的に要求または受信し、コントローラ300において、接続が認証されたと判断すると、コントローラ300から外部装置320にさらなるデータを送信することができる。
【0470】
この方法に従って接続を認証する主な利点は、患者のみが感覚を体験できることである。従って、患者のみが、感覚の発生に対応する認証入力を提供することにより、接続を認証することができる。
【0471】
セキュリティ・モジュール
図19A~
図19Cを参照して説明した一実施形態によれば、通信ユニット300または内部コントローラ300または制御ユニット300は、外部装置と無線通信するための無線トランシーバ308と、セキュリティモジュール389と、本明細書では演算ユニット306 306とも呼ばれる中央ユニットとから構成されており、これらは等価であると考えられる。中央ユニット306は、無線トランシーバ308、セキュリティモジュール389、および埋め込み型医療装置または能動ユニット302と通信するように構成されている。無線トランシーバ308は、埋め込み型医療装置MDに対する少なくとも1つの命令を含む外部装置320からの通信を受信し、受信した通信を中央ユニットまたは演算ユニット306に送信するように構成されている。中央ユニットまたは演算ユニット306は、外部装置320からの受信通信から導出されたセキュア通信をセキュリティモジュール389に送信するように構成され、セキュリティモジュール389は、セキュア通信の少なくとも一部を復号化し、セキュア通信の真正性を検証するように構成される。セキュリティモジュールはさらに、応答通信を中央ユニットまたはコンピューティングユニット306に送信するように構成され、中央ユニットまたはコンピューティングユニットは、少なくとも1つの命令をアクティブユニット302に通信するように構成される。
図19A~
図19Cに示す実施形態では、少なくとも1つの命令は、応答通信、または応答通信と外部装置320からの受信通信との組み合わせに基づいている。
【0472】
図19A~
図19Cに示される実施形態では、セキュリティモジュール389は、中央ユニットまたはコンピューティングユニット306からの通信を受け入れるための一連の規則を構成する。
図19A~
図19Cに示す実施形態では、無線トランシーバ308は、無線トランシーバ308によって無線通信が送受信されないオフモードに置かれ得るように構成される。規則のセットは、無線トランシーバ308がオフモードに置かれているときにのみ、中央ユニットまたは演算ユニット306からセキュリティモジュール389またはアクティブユニット302への通信が受け入れられることを規定する規則からなる。
【0473】
図19A~
図19Cに示す実施形態では、ルールのセットは、無線トランシーバ308が特定の時間オフモードに置かれている場合にのみ、中央ユニットまたはコンピューティング・ユニット306からの通信を受け付けることを規定するルールで構成される。
【0474】
図19A~
図19Cに示す実施形態では、中央装置または演算装置306は、外部装置320からの受信通信のデジタル署名を検証するように構成されている。デジタル署名は、患者または医療専門家からのバイオメトリック署名に基づくハッシュベースのデジタル署名であり得る。規則のセットはさらに、受信した通信のデジタル署名が中央装置306によって検証された場合にのみ、中央装置306からの通信が受け入れられることを規定する規則を含んでいる。検証は、例えば、デジタル署名またはデジタル署名の一部を、中央ユニット306に記憶された以前に検証されたデジタル署名と比較するステップを含み得る。中央装置306は、外部装置からの受信した通信のサイズを検証するように構成され得、規則のセットは、受信した通信のサイズが中央装置306によって検証された場合にのみ、中央装置306からの通信が受け入れられることを規定する規則を含み得る。したがって、中央装置は、指定されたサイズ範囲を超える通信または下回る通信が拒絶されることを規定する規則を有し得る。
【0475】
図19A~
図19Cに示す実施形態では、無線トランシーバは、少なくとも第1層及び第2層の暗号化で暗号化されている外部装置320からのメッセージを受信するように構成されている。中央装置306は、第1の層の暗号化を復号化し、第2の層の暗号化を構成するメッセージの少なくとも一部をセキュリティモデル389に送信する。次に、セキュリティ・モジュール389は、第2層の暗号化を復号化し、セキュリティ・モジュール389によって復号化されたメッセージの一部に基づいて、応答通信をセントラル・ユニット306に送信する。
【0476】
図19A~
図19Cに示す実施形態では、中央ユニット306は、デジタル署名を構成するメッセージの一部を復号化するように構成され、デジタル署名を中央ユニット306が検証できるようになっており、また、中央ユニット306は、メッセージ・サイズ情報を構成するメッセージの一部を復号化するように構成され、メッセージ・サイズを中央ユニット306が検証できるようになっている。
【0477】
図19A~
図19Cに示す実施形態では、中央装置306は、メッセージの第1部分および第2部分を復号化するように構成され、第1部分は、第2部分の真正性を検証するためのチェックサムを含んでいる。
【0478】
図19A~
図19Cに示す実施形態では、セキュリティ・モジュール389から送信される応答通信はチェックサムを含んでおり、中央ユニット306は、受信したチェックサムを用いて、すなわち中央ユニット306によって復号化されたメッセージの一部を加算し、その合計をチェックサムと比較することによって、中央ユニット306によって復号化されたメッセージの少なくとも一部の真正性を検証するように構成されている。
【0479】
図19A~
図19Cに示す実施形態では、規則セットは、中央ユニット306とセキュリティ・モジュール389との間のデータ転送速度に関連する規則をさらに含んでいる。この規則では、データ転送速度が設定された最大データ転送速度を超えた場合に通信を拒否または中止すべきであると規定することができ、これにより、不正な者が医療用インプラントに悪意のあるコードまたは命令を注入することを困難にすることができる。
【0480】
図19A~
図19Cに示す実施形態では、セキュリティ・モジュール389は、デジタル署名がセキュリティ・モジュール389によって検証され得るように、第2層の暗号化で暗号化されているデジタル署名を含むメッセージの一部を復号化するように構成される。次に、セキュリティモジュール389は、検証の結果に基づいて、中央ユニット306に応答通信を送信し、この応答通信は、中央ユニット306によって、メッセージのさらなる復号化のために、または、メッセージ内の命令がアクティブユニット302に通信されるべきかどうかを決定するために使用することができる。
【0481】
図19A~
図19Cに示す実施形態では、中央ユニット306は、無線トランシーバ308がオフモードに置かれているときにのみ、外部装置320からの受信通信の一部を復号化することができる。代替案として、または追加のセキュリティ層として、中央ユニット306は、無線トランシーバ308がオフモードに置かれているときにのみ、埋め込み型医療装置MDのアクティブユニット302に命令を通信することができるように制限されることができる。これにより、中央ユニット306がアクティブユニット302と通信している間に攻撃が行われることはない。
【0482】
図19A~
図19Cに示す実施形態では、埋め込み型コントローラ300は、無線トランシーバ308を使用して、第1の非暗号化部分と第2の暗号化部分とを含む外部装置320からのメッセージを受信するように構成されている。埋め込み可能なコントローラ300(例えば、中央ユニット306またはセキュリティモジュール389)は、次に、暗号化された部分を復号化し、復号化された部分を使用して、非暗号化部分の真正性を検証する。このように、通信全体を暗号化するのではなく、メッセージの残りの部分(チェックサムおよび/またはデジタル署名など)を認証するために必要な部分のみを暗号化することによって、計算パワーおよびそれによるエネルギーを節約することができる。
【0483】
図19A~
図19Cに示す実施形態では、中央装置306は、暗号化された部分をセキュリティ・モジュール389に送信し、暗号化された部分に含まれる情報がセキュリティ・モジュールによって復号化されることに基づいて、セキュリティ・モジュール389から応答通信を受信するように構成されている。その後、中央装置306は、応答通信を使用して非暗号化部分の真正性を検証するように構成される。非暗号化部分は、埋め込み型医療装置306に対する少なくとも1つの指示の少なくとも一部を構成し得る。
【0484】
図19A~
図19Cに示す実施形態では、埋め込み型コントローラ300は、無線トランシーバ308を使用して、患者の生理学的パラメータおよび埋め込み型医療装置MDの物理的パラメータのうちの少なくとも1つに関連する情報を含む外部装置320からのメッセージを受信し、受信した情報を使用してメッセージの真正性を検証するように構成される。患者の生理的パラメータは、体温、心拍数、および飽和値のうちの1つ以上に基づくパラメータのようなパラメータであり得る。
【0485】
埋め込み型医療機器MDの物理的パラメータは、埋め込み型医療機器MDの現在の設定値または値、埋め込み型医療機器MDに送信された事前の指示、または埋め込み型医療機器MDのIDの少なくとも1つから構成され得る。
【0486】
患者の生理学的パラメータおよび/または埋め込まれた医療装置MDの物理的または機能的パラメータに関連する情報を含むメッセージの部分は暗号化され得、中央ユニット306は、暗号化された部分をセキュリティモジュール389に送信し、セキュリティモジュール389によって復号化された情報に基づいてセキュリティモジュール389から応答通信を受信するように構成され得る。
【0487】
図19A~
図19Cに示す実施形態では、セキュリティモジュール389は、少なくとも1つのハードウェアベースの鍵からなるハードウェアセキュリティモジュールである。セキュリティモジュール389は、改ざんの可視的な兆候またはロギングおよび警告などの改ざん証拠を提供する機能を有することができる。また、セキュリティモジュール389が、改ざんが検出された場合にセキュリティモジュール389を動作不能にする「改ざん耐性」を有するようにしてもよい。例えば、改ざんに対する応答として、改ざんが検知された場合、鍵を削除することが考えられる。セキュリティモジュール389は、1つ以上のセキュアな暗号プロセッサチップで構成される。セキュリティモジュール389のハードウェア鍵は、外部デバイス320に配置可能な対応するハ ードウェア鍵を有する可能性がある。対応する外部ハードウェア・ベースの鍵は、外部デバイス 320 に接続可能なキー・カード上に置くことができる。
【0488】
代替実施形態では、セキュリティ・モジュール389は、少なくとも1つのソフトウェア・ベースの鍵を含むソフトウェア・セキュリティ・モジュール、またはハードウェア・ベースのセキュリティ・モジュールとソフトウェア・ベースの鍵の組み合わせである。ソフトウェアベースの鍵は、外部装置320内のソフトウェアベースの鍵に対応してもよい。ソフトウェアベースの鍵は、外部装置320に接続可能なキーカード上のソフトウェアベースの鍵に対応してもよい。
【0489】
図19A~
図19Cに示す実施形態では、外部装置320はハンドヘルド外部装置であるが、代替実施形態では、外部装置は遠隔外部装置またはクラウドベースの外部装置であってもよい。
【0490】
図19A~
図19Cに示す実施形態では、埋め込み型医療装置MDに対する少なくとも1つの指示は、埋め込み型医療装置MDの動作状態を変更するための指示を含んでいる。
【0491】
図19A~
図19Cに示す実施形態では、無線トランシーバ308は、100kHz以下、より具体的には40kHz以下の周波数の電磁波を用いて外部装置320と無線通信するように構成されている。このように、無線トランシーバ308は、「超低周波」通信(VLF)を使用して外部装置320と通信するように構成される。VLF信号は、埋め込み型医療装置MDのチタン製ハウジングを貫通する能力を有し、そのため、埋め込み型医療装置MDの電子機器をチタン製ハウジング内に完全に封入することができる。
【0492】
無線トランシーバ308は、第1の通信プロトコルを使用して外部装置320と無線通信するように構成され、中央装置306は、第2の異なる通信プロトコルを使用してセキュリティモジュール389と通信するように構成される。これにより、第1の通信プロトコルから第2の通信プロトコルへの転送を可能にする中央装置306の電子回路および/またはソフトウェアにセキュリティ構造が組み込まれる可能性があるため、セキュリティの層が追加される。無線トランシーバ308は、RFID型プロトコル、WLAN型プロトコル、Bluetooth(BT)型プロトコル、BLE型プロトコル、NFC型プロトコル、3G/4G/5G型プロトコル、およびGSM型プロトコルのうちの1つであり得る標準ネットワークプロトコルを使用して、外部デバイスと無線通信するように構成され得る。代替案として、または組み合わせとして、無線トランシーバ308は、独自のネットワークプロトコルを使用して外部デバイス320と無線通信するように構成され得る。無線トランシーバ308は、超広帯域(UWB)トランシーバで構成され得、移植可能コントローラ300と外部装置320との間の無線通信は、したがって、UWBに基づき得る。UWB技術の使用により、埋め込み型医療装置MDが、外部装置320が埋め込み型医療装置MDおよび/または患者が正しいと認めることができる位置、例えば、患者の手の届く範囲内および/または埋め込み型医療装置MDの1メートルもしくは2メートル以内など、医療装置MDおよび/または患者の直接の近傍にあることを確定する方法として使用することができる遠隔制御320’’の位置決めが可能になる。代替案として、UWBとBTを組み合わせて使用することも可能であり、この場合、BTを使用した方が大きなデータセットの転送が容易であるため、UWB通信をBT通信の認証に使用することができる。
【0493】
可変インピーダンス
図19A~
図19Cを参照して説明した一実施形態によれば、埋め込み型医療装置MDの通信ユニット300またはコントローラは、経皮的に伝達されるエネルギーを受信するように構成されたコイル192(具体的には
図19B’に示す)からなる受信ユニット305またはエネルギー受信機305を備える。受信ユニットはさらに、コイル192によって受信されたエネルギーに関連するパラメータを測定するように構成された測定ユニット194と、コイル192に電気的に接続された可変インピーダンス193とを備える。受信ユニット305は、可変インピーダンス193とコイル192との間の電気的接続をオフにするために、可変インピーダンス193とコイル192との間に配置されたスイッチ195aをさらに備える。通信ユニット300またはコントローラ300は、インピーダンスを変化させるために可変インピーダンス193を制御し、それによって、測定されたパラメータに基づいてコイル192を調整するように構成される。通信ユニット300またはコントローラ300はさらに、測定されたパラメータが閾値を超えたことに応答して、可変インピーダンス193とコイル192との間の電気的接続をオフにするためにスイッチ195aを制御するように構成される。コントローラ300は、さらに、測定されたパラメータが閾値を超えたことに応答して可変インピーダンスを変化させるように構成されていてもよい。このように、受信エネルギー量が過剰になった場合、受信エネルギー量を低減するようにコイルを調整またはオフにすることができる。測定ユニット194は、時間にわたってコイル192によって受信されるエネルギーに関連するパラメータを測定するように構成され、および/または、例えば受信エネルギーの時間微分を測定することによって、コイル192によって受信されるエネルギーの変化に関連するパラメータを測定するように構成される。可変インピーダンス193は、
図19B’に示す実施形態では、コイル192と直列に配置されている。しかし、別の実施形態では、可変インピーダンスをコイル192に並列に配置することも考えられる。
【0494】
第1のスイッチ195aはコイル192の第1の端部分192aに配置され、埋め込み型医療装置MDは、コイル192が埋め込み型医療装置MDの他の部分から完全に切り離され得るように、コイル192の第2の端部分に配置された第2のスイッチ195bをさらに備える。受信ユニット305は、経皮的に伝達されるエネルギーをパルスパターンに従ってパルスで受信するように構成されている。測定ユニット194は、
図19B’に示す実施形態では、パルスパターンに関連するパラメータを測定するように構成されている。コントローラ300は、予め定義されたパルスパターンから逸脱するパルスパターンに応答して可変インピーダンスを制御するように構成される。コントローラ300は、パルスパターンが予め定義されたパルスパターンから逸脱することに応答して、可変インピーダンス193とコイル192との間の電気的接続をオフにするためのスイッチ195aを制御するように構成される。測定ユニットは、埋め込み型医療装置MD内または患者の体内の温度を測定するように構成され、コントローラ300は、測定された温度に応答して第1および第2のスイッチ195a、195bを制御するように構成される。
【0495】
可変インピーダンス193は、抵抗器とコンデンサ、および/または、抵抗器とインダクタ、および/または、インダクタとコンデンサから構成されてもよい。可変インピーダンス193は、デジタル同調コンデンサまたはデジタルポテンショメータで構成されてもよい。可変インピーダンス193は、可変インダクタで構成されてもよい。第1および第2のスイッチは、MOSFETなどの半導体で構成される。インピーダンスの変動は、受信ユニットによって受信される有効電力を低下させるように構成される。
図19B’に見られるように、可変インピーダンス193、第1および第2のスイッチ195a,195b、ならびに測定ユニット194は、通信ユニット/コントローラ300に接続されており、受信ユニット305は、エネルギー蓄積ユニット40に接続されており、エネルギー蓄積ユニット40は、受信ユニット305によって受信されたエネルギーを蓄積することができるようになっている。
【0496】
セキュリティ強化のため、異なる権限レベルを持つ複数の外部機器
図20は、埋め込み型医療装置MDのコントローラ300を充電し、プログラミングし、通信するためのシステムの一実施形態を示す。
図20はさらに、患者が保持し操作する装置、医療提供者(HCP)が保持し操作する装置、または例えば埋め込み型医療装置MDまたは外部装置320’、320’’、320’’’の製造業者によって供給されるインフラストラクチャである専用データインフラ(DDI)である可能性がある異なる外部装置間の通信および相互作用を説明する。
図20の実施形態のシステムは、コントローラ300と通信可能な3つの外部装置320’、320’’、320’’’から構成される。基本的な考え方は、異なるレベルの権限を有する3つの外部装置320’、320’’、320’’’を有することによって、医療装置MDとの通信および医療装置MDの動作のセキュリティを確保することである。最も低いレベルの権限は、患者が操作するリモコン320’’に与えられる。リモートコントロール320’’は、患者の入力に基づいて、埋め込み型コントローラ300を介して埋め込み型医療装置MDの機能を操作する権限を有する。リモートコントロール320’’はさらに、コントローラ300から必要なデータを取得する権限を有する。リモートコントロール320’’は、コントローラ300上で現在実行されているソフトウェアと現在の設定またはソフトウェアで通信することによってのみ、コントローラ300を操作することができる。次のレベルの権限は、患者外部質問装置(P-EID)320’’’に与えられ、これは、患者によって保持されるが、医療提供者(HCP)によって部分的に遠隔操作される充電及び通信ユニットである。(これは通常、埋め込まれた医療機器MDの助けを借りて治療を提供する診療所の医師である)。P-EID320’’は、HCPによって遠隔操作される場合、埋め込み型医療装置MDのコントローラ300上で実行されているソフトウェアに対して設定変更を行う権限を有する。HCP-EID320’には最高レベルの権限が与えられている。HCP-EID320’は、HCPがHCPの診療所で物理的に保持する充電および通信ユニットである。HCP-EID320’は、患者がクリニックまたはHCPに物理的にいるときに、コントローラ300上で動作するソフトウェアを自由に変更または交換する権限を有する。
【0497】
最も低いレベルの権限から出発して、遠隔制御320’’は、埋め込み型医療装置MDと通信するための無線トランシーバ328を備える。遠隔コントローラ320’’は、埋め込み型医療装置MDの予め設定された機能を制御することによって、例えば、埋め込み型医療装置MDの意図された機能を実行するための埋め込み型医療装置MDの能動部分を操作するために、コントローラ300を介して埋め込み型医療装置MDの動作を制御することができる。
図20に示す実施形態では、無線トランシーバ328は、ブルートゥース(BT)トランシーバからなり、遠隔制御320’’は、BTを使用して埋め込み型医療装置MDと通信するように構成されている。別の構成では、遠隔コントローラ320’’は、超広帯域(UWB)無線通信とBTとの組み合わせを使用して埋め込み型医療装置MDと通信する。UWB技術の使用により、埋め込み型医療装置MDが、埋め込み型医療装置MDおよび/または患者が正しいと認めることができる位置、例えば、患者の手の届く範囲内および/または埋め込み型医療装置MDから1メートル以内もしくは2メートル以内など、医療装置MDおよび/または患者に直接近接した位置に遠隔コントローラ320’’があることを確定する方法として使用することができる遠隔コントローラ320’’の位置決めが可能になる。
【0498】
UWB通信は、特定の時間間隔でワイヤレスエネルギを発生させ、広い帯域幅を占有することで行われるため、パルス位置変調や時間変調が可能である。また、パルスの極性および/またはその振幅をエンコードすることによって、および/または直交パルスを使用することによって、UWB信号(パルス)に情報を変調することもできる。UWB無線システムは、様々な周波数で送信の「飛行時間」を決定するために使用することができる。これはマルチパス伝搬を克服するのに役立つ。なぜなら、いくつかの周波数は見通し軌道を持つが、他の間接経路は遅延が長いからである。協調的な対称型双方向測光技術により、距離を高分解能かつ高精度で測定することができる。UWBはリアルタイムの位置情報システムに有用であり、その高精度能力と低電力により、無線周波数に敏感な環境に適している。
【0499】
BTおよびUWB技術の組み合わせが使用される実施形態では、UWB技術は、遠隔制御320’’の位置ベースの認証に使用することができ、通信および/またはデータ転送は、BTを使用して行うことができる。一部の実施形態では、UWB信号は、コントローラ300のウェイクアップ信号として、または埋め込み型医療装置MDのBTトランシーバが使用されていないときにオフにされるようにBTトランシーバのウェイクアップ信号として使用することもでき、これにより、BTが傍受されるリスク、または埋め込み型医療装置MDのコントローラ300がBT通信によってハッキングされるリスクが排除される。BT/UWBの組み合わせが使用される実施形態では、UWB接続は、データの送信にも使用され得る。別の方法として、UWB接続は、データの機密部分などのデータの一部の送信のため、またはBTを介して送信される暗号化通信のロックを解除するためのキーの送信のために使用することができる。
【0500】
リモートコントロール320’’は、埋め込まれた医療装置MDと通信するための制御ロジックアプリケーションを実行する制御ロジックを含んでいる。制御ロジックは、リモコン320’’上に配置された制御ボタン335から直接入力を受けることも、患者が操作する表示装置334上に表示された制御インターフェース334iから入力を受けることもできる。リモコン320’’が、患者によって操作されるディスプレイ装置334上に表示された制御インターフェース334iから入力を受信する実施形態では、リモコン320’’は、制御インターフェース334iをウェブビュー、すなわち患者のディスプレイ装置334上のサンドボックス環境で実行されるリモートインターフェースの形態で送信する。患者のディスプレイ装置334は、例えば、携帯電話、タブレットまたはスマートウォッチとすることができる。
図20に示す実施形態では、患者の表示装置334は、BTによって遠隔コントローラ320’’と通信する。ウェブビューの形態の制御インターフェース334iは、BTを介して遠隔コントローラ320’’から患者の表示装置334に送信される。患者から制御インターフェース334iへの入力形式の制御コマンドは、患者のディスプレイ装置334からリモコン320’’に送信され、制御ボタン335を使用して提供され得る入力と同等の入力をリモコン320’’に提供する。患者の表示装置334内で作成された制御コマンドは、患者の表示装置334内で暗号化され、BTを用いてリモコン320’に送信される。
【0501】
患者の表示装置334は(表示装置334が携帯電話又はタブレットの場合)、Wi-Fi又はモバイル接続(例えば、3G、4G又は5G規格に従う)などの補助無線接続を提供するための補助無線送信機を含んでいてもよい。リモコン320’’との通信を可能にするには、補助無線接続を切断する必要がある場合がある。補助無線接続を切断することで、患者の表示装置334に表示される制御インターフェース334iの完全性が損なわれたり、患者の表示装置334に表示される制御インターフェース334iが許可されていない装置によって遠隔制御されたりするリスクが低減される。
【0502】
代替実施形態では、制御コマンドは、患者のディスプレイ装置によって生成され、暗号化されて、DDI330に送信される。DDI330は、リモートコントロール320’’に送信するために制御コマンドをさらに暗号化する前に、作成された制御コマンドをリモートコントロール320’’によって読み取り可能なコマンドに変更するか、または制御コマンドをリモートコントロール320’’に送信する前に暗号化の追加層を追加するか、または単に制御コマンドを患者のディスプレイ装置334からリモートコントロール320’’に中継するためのルータとして機能することができる。DDI330が、埋め込まれた医療装置MDに向けられたエンドツーエンドの暗号化レイヤーを追加して、埋め込まれた医療装置MDだけが制御コマンドを解読して、患者が意図したコマンドを実行できるようにすることも可能である。
【0503】
患者の表示装置334は、埋め込まれた医療装置MDに関連する第1および第2のアプリケーションを有することができる。第1のアプリケーションは、埋め込み型医療装置MDを制御するための制御インターフェース334iを表示する制御アプリケーションであり、一方、第2のアプリケーションは、埋め込み型医療装置MDの状態に関する一般的な情報またはDDI330もしくはHCPからの情報を患者に提供するための、または患者の一般的な幸福、患者のライフスタイル、または埋め込み型医療装置MDの機能に関する患者からの一般的な入力に関連する一般的な入力をDDI330もしくはHCPに提供するためのインターフェースを患者に提供するための一般的なアプリケーションである。第2のアプリケーションは、遠隔コントローラ320’’および/または埋め込み型医療装置MDへの入力を提供しないため、機密性の低いデータを扱う。そのため、一般的なアプリケーションは、すべての補助無線接続がアクティブ化されているときにも機能するように構成することができるが、より機密性の高い制御コマンドおよび埋め込み型医療装置MDとの通信を処理する制御アプリケーションに切り替えるには、補助無線接続を一時的にアクティブ化解除する必要がある。制御アプリケーションが一般アプリケーション内で実行されるサブアプリケーションであることも可能であり、その場合、一般アプリケーション内のサブアプリケーションとしての制御アプリケーションの起動は、補助無線接続の一時的な解除を必要とすることがある。
図20に示す実施形態では、制御アプリケーションへのアクセスは、患者のディスプレイ装置への生体認証入力と組み合わせて、ハードウェアキー333’の光学的手段及び/又はNFC手段を使用することを必要とするが、一般アプリケーションへのアクセスは、患者のディスプレイ装置への生体認証入力及び/又はピンコードのみを必要とする。別の方法として、ピンコードと組み合わせたデジタルキーなどの二要素認証ソリューションを、一般アプリケーショ ンおよび/または制御アプリケーションへのアクセスに使用することもできる。
【0504】
患者の表示装置334が、システムの別のユニットによって提供されるウェブビューのみを表示して対話するように構成される実施形態では、ウェブビューがDDI330上に提供されるバックエンドのビューであることが可能であり、そのような実施形態では、患者が患者の表示装置上の制御インターフェースと対話することは、患者がDDI330の領域と対話することと等価である。
【0505】
次に、P-EID 320’’’について説明すると、P-EID 320’’’は、埋め込み型医療装置MDと通信し、埋め込み型医療装置MDを充電する外部装置である。P-EID320’’’は、HCPによって遠隔操作され、埋め込み型医療装置MDから情報を読み取り、埋め込み型医療装置MDの動作を制御し、埋め込み型医療装置MDの充電を制御し、埋め込み型医療装置MDのコントローラ300上で動作するソフトウェアに対する設定を、例えば、予め定義されたプログラムステップを追加または削除することによって、および/または限定された範囲内で予め定義されたパラメータを選択することによって調整することができる。遠隔コントローラ320’’と同様に、P-EID320’’’は、BT通信またはUWB通信を使用して埋め込み型医療装置MDと通信するように構成することができる。遠隔制御320’’と同様に、P-EID320’’が正しい患者および/または正しい医療装置MDに直接近接しているなど、埋め込まれた医療装置MDおよび/または患者および/またはHCPが正しいと認めることができる位置にあることを確立する方法として、P-EID320’’の位置決めを可能にするためにUWB無線通信とBTの組み合わせを使用することも可能である。遠隔制御320’’と同様に、BTとUWB技術の組み合わせが使用される実施形態では、UWB技術はP-EID320’’の位置ベースの認証に使用することができ、一方、通信および/またはデータ転送はBTを使用して行うことができる。P-EID320’’は、通信用の無線送受信機328を具備し、また、磁界の形態のエネルギーを受信し、埋め込み型エネルギー蓄積ユニット40における蓄積のため、および/または埋め込み型医療装置MDのエネルギー消費部(操作装置、コントローラ300など)における消費のために、エネルギーを電気エネルギーに変換するように構成された埋め込み型医療装置MDの無線受信機395に、磁界の形態のエネルギーを無線で転送するように構成された無線送信機325を具備する。P-EIDにおいて発生し、埋め込み型医療装置MDにおいて受信される磁界は、「充電信号」と表記される。充電信号は、P-EIDから埋め込み型医療装置MDへのエネルギーの無線伝送を可能にすることに加えて、通信手段としても機能し得る。例えば、P-EIDから埋め込み型医療機器MDへの一方向の通信、あるいはP-EIDと埋め込み型医療機器MDとの間の双方向の通信を可能にするための信号伝達手段として、送信周波数および/または信号の振幅の変動を用いることができる。
図20に示す実施形態における充電信号は、120~140kHzの範囲の信号であり、通信は独自の通信信号プロトコルに従う、すなわちオープンスタンダードに基づくものではない。別の実施形態では、BTを充電信号を用いた通信と組み合わせたり、充電信号を用いた通信をUWB信号と組み合わせたりすることができる。
【0506】
リモコン320’’と同様に、UWB信号は、いくつかの実施形態では、コントローラ300、またはBTトランシーバ用のウェイクアップ信号としても使用することができ、これにより、埋め込み型医療装置MD内のBTトランシーバは、使用されていないときにオフにすることができ、BTが傍受されるリスク、またはBT通信によって埋め込み型医療装置MDのコントローラ300がハッキングされるリスクを排除することができる。別の方法として、充電信号はあまり遠くまで移動しないので、充電信号をBTのウェイクアップ信号として使用することもできる。また、位置ベースの認証手段として、充電信号またはRSSIの影響を埋め込み型医療装置MD内のコントローラ300によって評価し、送信機が定義された範囲内にあることを確立することができる。BT/UWBの組み合わせにおいて、UWBは、データの送信にも使用され得る。いくつかの実施形態では、UWBおよび/または充電信号は、データの機密部分などのデータの一部の送信のため、またはBTによって送信された暗号化通信を解除するための鍵の送信のために使用することができる。
【0507】
UWBは、充電信号の送信をウェイクアップしたり、エネルギーの無線転送を開始したり、充電信号を使用して通信を開始したりするためにも使用できます。エネルギー伝送用の信号は、通常の無線通信信号と比較して非常に高い効果を持つため、エネルギー伝送用の信号を常時アクティブにすることはできません。
【0508】
P-EID320’’は、VPNなどのセキュアな通信によって、インターネット上でHCPと通信します。HCPとP-EID320’’’との間の通信は、好ましくは暗号化される。HCPから埋め込み型医療機器MDへの通信は、エンドツーエンドの暗号化を用いて実行されてもよく、この場合、通信はP-EID320’’’によって復号化されない。このような実施形態では、P-EID 320’’’は、HCPから埋め込み型医療装置MDのコントローラ300に暗号化された通信を渡すだけのルータとして機能する。この解決策では、情報を復号化するための鍵がHCPと埋め込み型医療装置MDだけにあるため、暗号化されていない信号が権限のない装置によって傍受される危険性が低減され、セキュリティがさらに向上する。
【0509】
埋め込み型医療装置MDがP-EID320’’’を介してHCPによって遠隔制御および/または更新される場合、HCP専用装置(DD)332は、予め定義されたプログラムステップまたは設定値がHCPに提示されるインターフェースを表示する。HCPは、プログラム・ステップの選択、設定値および/または値の変更、または事前に定義されたプログラム・ステップを実行する順序の変更によって、HCP DD 332に入力を提供します。遠隔操作のためにHCP DD 332に入力された命令/パラメータは、
図20に示す実施形態では、DDI 330を介してP-EID 320’’’にルーティングされます。DDI330は、作成された命令のパッケージ内の命令を後でP-EID320’’’に転送するために、命令を一定期間保存することができる。DDI330によってパッケージに暗号化の追加レイヤが提供されることも可能である。追加の暗号化層は、P-EID330によって復号化される暗号化層であってもよいし、埋め込み型医療装置MDのコントローラ300によってのみ復号化され得る暗号化層であってもよく、これにより、暗号化されていない命令またはパッケージが権限のない装置によって傍受されるリスクが低減される。次いで、命令/パラメータがP-EID 320’’に提供され、P-EID 320’’は、本明細書で開示される信号転送手段(無線または導電性)のいずれかを使用して、次の充電/エネルギー転送中に命令/パラメータを埋め込み型医療装置MDにロードする。
【0510】
医療従事者EID(HCP EID)320’は、P-EID320’’と同じ機能を有し、P-EID320’’と同じ代替方法(および代替方法の組み合わせ)で埋め込み型医療装置MDと通信することができる。しかしながら、加えて、HCP EID 320’は、HCPが、埋め込み型医療装置MDのコントローラ300を自由に再プログラムすることも可能にし、これには、コントローラ300で実行されているプログラムコード全体を置き換えることも含まれる。HCP EID 320’は常にHCPの手元にあり、そのため、HCP EID 320’を使用したプログラムコードの更新または埋め込み型医療装置MDからのデータの取得はすべて、HCPが存在する状態(すなわち、遠隔ではない状態)で実行されるという考え方である。HCPの物理的な存在は、埋め込み型医療機器MDの機能にとって重要である可能性のあるこれらの更新のための追加的なセキュリティ層である。
【0511】
図20に示す実施形態では、HCPは、HCP EID 320’を制御し、HCP EID 320’と通信するための制御インタフェースを構成する表示装置であるHCP専用装置332(HCP DD)を用いて、HCP EID 320’と通信する。HCP EID 320’は、常にHCPの診療所に物理的に留まるので、HCP EID 320’とHCP DD 332との間の通信は、インターネットを介して送信される必要はない。その代わりに、HCP DD 332とHCP EID 320’は、BT、独自の無線通信チャネル、および有線接続のうちの1つ以上を使用して通信できます。そして、プログラミングの変更は、HCP EID 320’を介して埋め込み型医療機器MDに直接送信される。HCP EID 320’による直接操作のためにHCP DD 332に入力することは、HCP EID 320’に直接入力することと同じであり、HCP EID 320’はその指示を埋め込み型医療装置MDに直接転送する。
【0512】
図20に示す実施形態では、患者とHCPの両方が、組み合わされたハードウェア・ キー333’、333’’を有する。結合キー333’、333’’は、固有の回路(最高レベルのセキュリティを提供する)、特定のコードを送信するためのワイヤレスNFC送信機339(中レベルのセキュリティを提供する)、およびカードの光学的認識のための印刷されたQRコード344(最低レベルのセキュリティを提供する)からなるハードウェアコンポーネントで構成される。
【0513】
図 20 に示す実施形態における患者のキー 333’は、P-EID 320’’のキーカードスロットにキーカードを挿入できるように、P-EID 320’’と通信するためのインタフェースを有するキーカードの形態である。NFCトランスミッタ339および/または印刷されたQRコード344は、ディスプレイ装置334の制御インターフェース334iにアクセスするための手段として使用することができる。さらに、ディスプレイ・デバイス334は、ピン・コードおよび/または顔認識や指紋認識などのバイオメトリクス入力を必要とする場合がある。
【0514】
図20に示す実施形態におけるHCPのキー333’’は、HCP-EID 320’と通信するためのインタフェースを有するキー・カードの形態であり、キー・カードをHCP-EID 320’のキー・カード・スロットに挿入できるようになっています。NFCトランスミッタ339および/または印刷されたQRコード344は、HCP DD 332の制御インターフェースにアクセスするための手段として使用できます。さらに、HCP DD 332 は、ピン・コードおよび/または顔認識や指紋認識などの生体入力を必要と する場合があります。
【0515】
しかし、代替実施形態では、ハードウェア・キー・ソリューションを、PIN コードまたは生体認証入力(顔認識および/または指紋認識など)と組み合わせたデジタル・キーなどの二要素認証ソリューションに置き換えることも可能である。
【0516】
図20に示す実施形態では、インターネットを介した通信は、クラウドサービス上で動作する専用データインフラ(DDI)330を介して行われる。DDI330は、HCP DD332とP-EID320’’’との間、HCPと遠隔コントローラ320’’’との間、HCPと患者の表示装置334との間、およびHCPと補助装置336(患者の治療をフォローアップするためのツール、例えば肥満治療の例では体重計、血圧治療の例では血圧計など)との間の通信を処理する。一部の実施形態では、HCP DD332は、患者の表示装置334と遠隔コントローラ335との間の通信も処理する。全ての例において、HCPからP-EID320’’、遠隔制御320’’、患者の表示装置334及び補助装置336への通信は、エンドツーエンドの暗号化を用いて実行されてもよい。エンドツーエンドの暗号化を用いた実施形態では、通信はDDI330によって復号化できない。このような実施形態では、DDI330は、HCPから様々なデバイスに暗号化された通信を単に渡すルータとして機能する。このソリューションでは、情報を復号化するための鍵がHCPと通信を送信または受信するデバイスにのみあるため、セキュリティがさらに向上し、暗号化されていない信号が権限のないデバイスによって傍受されるリスクが低減します。
【0517】
通信の仲介者またはルーターとして機能することに加えて、DDI330は、埋め込まれた医療機器MDのデータ、治療のデータ、および患者のデータを収集する。データは、暗号化された形式、匿名化された形式、またはオープンな形式で収集されることがある。収集されるデータの形式は、データの機密性またはデータが収集されるソースに依存する場合がある。
図20に示す実施形態では、DDI330は患者のディスプレイ装置334に質問票を送信する。アンケートは、患者の一般的な健康に関連する、患者の生活様式に関連する、または埋め込まれた医療装置MDによって提供される治療(例えば痛みを測定するための視覚的アナログスケールなど)に特に関連する、患者への質問から構成することができる。DDI330は、複数のソースからの入力を編集および/または結合し、そのような入力をHCPに伝達することができ、HCPは、提供された情報を使用して、DDI330を介して送り返される様々な装置への指示を作成することができる。DDI330によって実行されるデータ収集は、システム内のユニット間の全通信をバックトレースできるようにするために、ログの形にすることもできる。通信をログに記録することで、ソフトウェアに対するすべての変更またはソフトウェアの設定、ならびに埋め込まれた医療機器MDの頻度および動作を確実に追跡することができます。通信を追跡することで、DDI330またはHCPは治療を追跡し、通信の何かが治療が意図した結果を提供しないことを示す場合、またはシステム内のコンポーネントのいずれかに何か問題があるように見える場合に対応することができます。
【0518】
図20に示す具体的な実施形態では、異なるユニット間の無線接続は以下の通りである。補助装置336とDDI330との間の無線接続411は、Wi-Fiまたはモバイル電気通信体制に基づいており、補助装置336と患者のディスプレイ装置334との間の無線接続411は、BTに基づいている。患者のディスプレイ装置334とDDI330との間の無線接続412は、Wi-Fiまたはモバイル電気通信体制に基づいている。患者のディスプレイ装置334と遠隔コントローラ320’’との間の無線接続413は、BTに基づいている。遠隔コントローラ320’’と埋め込み型医療装置MDとの間の無線接続414は、BTおよびUWBに基づいている。遠隔コントローラ320’’とDDI330との間の無線接続415は、Wi-Fiまたはモバイル通信方式に基づいている。P-EID320’’’と埋め込み型医療装置MDとの間の無線接続416は、BT、UWBおよび充電信号に基づいている。P-EID320’’’とDDI330との間の無線接続417は、Wi-Fiまたはモバイル電気通信体制に基づいている。HCP-EID 320’’と埋め込み型医療機器MDとの間の無線接続418は、BT、UWBおよび充電信号に基づく。P-EID320’’とHCP DD332との間の無線接続419は、BTに基づいている。HPC-EID320’とDDI330との間の無線接続420は、Wi-Fiまたはモバイル通信方式に基づいている。HPC DD 332とDDI 330との間の無線接続421は、Wi-Fiまたはモバイル通信体制に基づいている。HCP-EID320’とHCP DD 332との間の無線接続422は、BTに基づく。
【0519】
しかしながら、
図20に示す実施形態で特に説明した無線接続は、無線周波数識別(RFID)、近距離無線通信(NFC)、ブルートゥース、ブルートゥース・ロー・エネルギー(BLE)、または無線ローカル・エリア・ネットワーク(WLAN)に基づく無線接続によって置き換えられるか、または補助されてもよい。モバイル通信方式は、例えば、1G、2G、3G、4G、または5Gである。無線接続はさらに、振幅変調(AM)、周波数変調(FM)、位相変調(PM)、直交振幅変調(QAM)などの変調技術に基づいてもよい。ワイヤレス接続は、時分割多重アクセス(TDMA)、周波数分割多重アクセス(FDMA)、または符号分割多重アクセス(CDMA)などの技術をさらに備えてもよい。無線接続は、赤外線(IR)通信に基づくこともできる。無線接続は、高周波数帯域(HF)、超高周波数帯域(VHF)、超高周波数帯域(UHF)、および本質的に電磁波通信に適用可能な他の任意の帯域の無線周波数を特徴としてもよい。無線接続はまた、電磁波に依存しない少なくとも1つの例を挙げると、超音波通信に基づいてもよい。
【0520】
また、
図20を参照して開示した実施形態では、主に無線通信について説明したが、外部装置のいずれかの間の無線通信を有線通信に代えてもよい。また、外部装置と埋め込み型医療装置MDとの間の無線通信の一部または全部を、人体の一部を導体として使用する導電性通信(
図16A~
図16Cを参照してさらに説明するような)に代えてもよい。
【0521】
コミュニケーション・ハウジング
本願で既に述べたように、医療用インプラントとの通信は信頼性が高く安全である必要がある。この目的のためには、医療用インプラントとの通信を妨害したり破損したりする可能性のある他のプログラムやアプリケーションが同じ装置上で実行されないように、医療用インプラントの外部遠隔コントローラ(例えば、
図20の320’’として説明されている)としてスタンドアロン装置を備えることが望ましい。しかし、スマートフォンまたはタブレット(例えば、
図119a~
図119hに334として記載)は、ほとんどの人々にとって日常生活の一部となっている。つまり、私たちはほとんど常にスマートフォンを手元に置いている。このため、患者がスマートフォンを使用して医療用インプラントと直接通信することができれば、スタンドアロン型の追加装置を携帯する必要がなく、便利であった。しかし、スマートフォン上では他のアプリケーションが多数動作しているため、他の通信の干渉を受けず、安全で信頼性の高い通信ツールであるという要件を満たしていない。そのため、外部機器とインプラント間の安全な通信を提供するタスクを、インターネットとの通信や使い慣れた直感的なユーザー・インターフェースを提供するタスクから分離することが望ましい。この目的のために、安全な通信と改ざん防止ソフトおよびハードウェアを提供する外部装置が提供され、表示装置により直感的で簡単な使用が可能になる。
図21~
図25を参照して説明した実施形態では、これらの組み合わせの必要性を満たす装置を、スマートフォンまたはスマートウォッチやタブレットなどの他の表示装置334に接続可能なハウジングユニット320’’に統合されたスタンドアロン型遠隔制御外部装置の形態で説明する。
【0522】
図21は、ハウジングユニット320’’を左からの立面透視図で示し、
図22は、ハウジングユニット320’’を左からの平面図で示す。
図21に示す実施形態では、ハウジングユニット320’’は、丸みを帯びた縁を有する矩形形状を有し、幅1522の1.5倍以上の高さ1521を有する。ハウジングユニット320’’は、ディスプレイ装置334をハウジングユニット320’’に機械的かつ取り外し可能に接続するために、ハウジングユニット320’’に嵌め込まれるように構成された、スマートフォンの形態のディスプレイ装置334を受け入れるように構成された凹部1525を備える。ハウジングユニット320’’内の凹部1525の境界は、ディスプレイ装置334が凹部1525に挿入されたときに、ディスプレイ装置334を取り囲むように構成された縁部1528を形成する。
図21に示す実施形態では、凹部1525は、ディスプレイ装置334が凹部1525に完全に挿入されるように構成された深さ1526を有する。このように、凹部1525の深さ1526は、表示装置334の深さ1531を超える。
図21および
図22に示す実施形態では、縁部は比較的薄く、表示装置334の幅の1/8~1/100の範囲である幅1527を有し、そのように、ハウジングユニット320’’は、ハウジングユニット320’’の幅1522の1.02~1.25倍の範囲の幅を有する。同様に、ハウジングユニット320’’は、表示装置334の高さ1521の1.01倍~1.25倍の範囲の高さ1521を有する。
図120~
図22に示す実施形態では、縁部1528は、ディスプレイ装置334を挟み込み、それによってディスプレイ装置334をハウジングユニット320’’内に機械的に固定するように構成されている。機械的に接続されたときのハウジングユニット320’’とディスプレイ装置334の最小バウンディングボックスは、ディスプレイ装置334の最小バウンディングボックスよりも、10%広く、10%長く、または100%高くはない。
【0523】
把持固定を形成するために、ハウジングユニット320’’の縁部は、縁部1528とディスプレイ装置334との間に張力を与え、ディスプレイ装置334を所定の位置に保持する弾性材料から作られる。弾性材料は、弾性ポリマー材料、または弾性金属の薄いシートであり得る。ディスプレイ装置334をハウジングユニット320’’内にさらに固定する目的で、縁部1528の内面は、任意選択で、ディスプレイ装置334の外面の凹部または突出部に対応する凹部または突出部(図示せず)を構成することができる。縁部1528は、ハウジングユニット320’’とディスプレイ装置334との間にスナップロック式の留め具による機械的固定を形成するための凹状部分を構成することもできる。
【0524】
図21および
図22に示す実施形態では、ハウジングユニット320’’は、埋め込まれた医療装置から情報を受信し、埋め込まれた医療装置に指示および更新を提供することを含む、埋め込まれた医療装置と通信するための遠隔制御として機能する。情報は、埋め込まれた医療装置の任意の機能パラメータを含む埋め込まれた医療装置の状態に関連する情報であり得るか、または患者の身体に関連する任意の生理学的パラメータを含む患者の状態に関連し得る(本開示の他のセクションでさらに説明される)。埋め込み型医療装置に入力を提供し、ハウジングユニット320’’の機能を制御および更新する目的で、ハウジングユニット320’’は、制御ボタン335の形態のスイッチからなる制御インターフェースを備える。制御ボタン335は、外部装置が表示装置334から切り離されたときに使用されるように構成されている。制御インターフェースは、ディスプレイ装置334のディスプレイよりも小さく、典型的には洗練されていないディスプレイ1505をさらに備える。代替実施形態では、制御ボタン335およびディスプレイ1505は、制御ボタンが表示され得る単一のタッチ応答(タッチスクリーン)ディスプレイに統合される。
図21および
図22に示す実施形態では、制御ボタン335の1つは埋め込み型医療装置を作動させるための制御ボタンであり、制御ボタン335のもう1つは埋め込み型医療装置を非作動にするための制御ボタンである。表示装置334がハウジングユニット320’’に取り付けられているとき、制御ボタン335およびディスプレイは表示装置334によって覆われており、そのような状態では動作状態ではない。
図21および
図22に示す実施形態では、ハウジングユニット320’’は、ユーザインターフェースの表示に係る情報を表示装置334に送信するように構成され、表示装置334は、埋め込み型医療装置との間の通信に係る入力を患者から受信し、受信した入力に基づく信号をハウジングユニット320’’に送信するように構成されている。入力は、埋め込み型医療装置の動作状態を変更するためのコマンドであってもよい。表示装置334は、ユーザーインターフェースを表示し、患者からの入力を受信するように構成されたタッチスクリーンを備える。表示装置334のディスプレイは、1つまたは複数のOLEDまたはIPS LCD素子で構成することができる。表示装置334がハウジングユニット320’’に接続されると、表示装置334は、ハウジングユニット320’’との通信、すなわちハウジングユニット320’’への入力の提供およびハウジングユニット320’’からの情報の受信に使用される制御インターフェースを表示するように構成される。ハウジングユニット320’’に提供された入力は、その後、移植医療装置に中継され、同様に、移植医療装置からハウジングユニット320’’に通信された情報は、表示装置334に中継または表示され得る。埋め込み型医療装置と通信するための通信手段を構成するハウジングユニット320’’と、基本的にハウジングユニット320’’に接続された入出力装置としてのみ機能するディスプレイ装置334との組み合わせからなる外部装置を有することにより、ディスプレイ装置334のインターネット接続から手の届かないハウジングユニット320’’とディスプレイ装置334との間で安全な通信を行うことが可能になり、外部の攻撃者がハウジングユニット320’’の重要な通信部分のいずれかにアクセスすることがより困難になる。筐体ユニットとディスプレイ装置334との間の通信は非常に制限されており、ディスプレイ装置334から筐体ユニット320’’に許可される通信は、患者または医療専門家からの入力と、ディスプレイ装置334上で実行される認証アプリケーションによって作成される認証パラメータのみである。ディスプレイ装置334上で実行される認証アプリケーションは、患者または医療従事者を認証するための番号生成認証装置または生体認証装置である可能性があり、認証パラメータは、例えば、顔画像または指紋から得られるパラメータである可能性がある。反対方向、すなわちハウジングユニット320’’からディスプレイ装置334への方向では、通信は、ディスプレイ装置334に情報及び/又はグラフィカルユーザインターフェースを表示するために必要な通信のみに制限され得る。通信の制限は、例えば、通信パッケージのサイズまたは通信が行われる頻度に基づくことができ、これにより、権限のない人物がハンドヘルドデバイスから情報を抽出する、またはハンドヘルドデバイスに情報を転送することを複数回試みるリスクを低減することができる。
【0525】
図21および
図22を参照して示される実施形態では、ハウジングユニット320’’は、ディスプレイ装置334への無線接続413を提供する第1の通信ユニットを備える。無線接続413は、
図21及び
図22に示される実施形態ではNFCに基づいているが、代替の実施形態では、ブルートゥース又は本明細書に開示される任意の他の通信経路に基づいてもよい。ハウジングユニット320’’は、移植医療装置との無線接続を提供する第2の通信ユニットをさらに備える。ハウジングユニット320’’と埋め込まれた医療装置との間の無線通信は、
図21および
図22に示された実施形態ではブルートゥースに基づいているが、代替の実施形態では、NFCまたはUWB、あるいは本明細書に開示された任意の他の通信経路に基づくことも可能である。
【0526】
前述したように、
図21および
図22に示す実施形態では、筐体ユニット320’’と表示装置334との間の無線通信はNFCに基づいており、筐体ユニット320’’と表示装置334との間の無線通信はブルートゥースに基づいている。このように、ハウジングユニット320’’の第1の通信ユニットは、第1の通信周波数を用いて表示装置334’と無線通信するように構成され、ハウジングユニット320’’の第2の通信ユニットは、第2の異なる通信周波数を用いて埋め込み型医療装置と無線通信するように構成される。この目的のために、ハウジングユニット320’’の第1の通信ユニットは、ディスプレイ装置334とのNFCベースの無線通信用に構成された第1のアンテナからなり、第2の通信ユニットは、埋め込み型医療装置とのブルートゥースベースの無線通信用に構成された第2のアンテナからなる。第1および第2のアンテナは、ワイヤベースのアンテナであってもよいし、基板ベースのアンテナであってもよい。このように、第1の通信ユニットは、第1の周波数でディスプレイ装置334と無線通信するように構成され、第2の通信ユニットは、第2の異なる通信周波数を用いて埋め込み型医療装置と無線通信するように構成される。また、ハウジングユニット320’の第1の通信ユニットは、第1の通信プロトコル(NFC通信プロトコル)を用いて表示装置334と無線通信するように構成され、第2の通信ユニットは、第2の通信プロトコル(ブルートゥース通信プロトコル)を用いて埋め込み型医療装置と無線通信するように構成されている。第1の通信プロトコルと第2の通信プロトコルは異なるため、第1の通信プロトコルから第2の通信プロトコルへの転送を可能にするセキュリティ構造が電子機器および/またはソフトウェアに組み込まれる可能性があり、セキュリティ層が追加される。
【0527】
代替実施形態では、第2の通信ユニットは、100kHz以下の周波数、好ましくは40kHz以下の周波数の電磁波を使用して埋め込み型医療装置と無線通信するように構成することができる。このように、第2の通信ユニットは、「超低周波」通信(VLF)を用いて埋め込み型医療装置と通信するように構成されていてもよい。VLF信号はインプラントのチタン製ハウジングを貫通する能力を有するため、埋め込み型医療装置の電子機器をチタン製ハウジング内に完全に封入することができる。さらなる実施形態では、第1および第2の通信ユニットは、RFID型プロトコル、WLAN型プロトコル、BLE型プロトコル、3G/4G/5G型プロトコル、またはGSM型プロトコルによって通信するように構成することができる。
【0528】
さらに他の代替実施形態では、ハウジングユニット320’’とディスプレイ装置334との間の機械的接続が、ハウジングユニット320’’とディスプレイ装置334との間にワイヤベースの通信チャネルを形成するための電気的接続を構成することが考えられる。電気的接続はまた、ディスプレイ装置334からハウジングユニットに電気エネルギーを伝達するように構成され得、その結果、ハウジングユニット320’’’は、ディスプレイ装置334によって電力が供給され得るか、または充電され得る。有線接続は、NFCベースの無線接続よりも、非認可事業体にとってアクセスがさらに困難であり、これにより、ハウジングユニット320’’とディスプレイ装置334との間の通信の安全性がさらに高まる。
【0529】
図21及び
図22を参照して示される実施形態では、表示装置334は、NFCに基づいてハウジングユニット320’’との無線接続413を提供する第1の通信ユニットを備える。ディスプレイ装置334は、さらなる外部装置との、および/またはインターネットとの無線接続を提供する第2の通信ユニットをさらに備える。第2の外部装置は、例えば病院や医療従事者が診療を行う場所など、遠くにある場合がある。表示装置334と更なる外部装置との間の無線通信は、
図21及び
図22に示す実施形態ではWiFiに基づいているが、代替実施形態では、例えばブルートゥースに基づいてもよい。
【0530】
前述のように、
図21および
図22に示す実施形態では、表示装置334と筐体ユニット320’’との間の無線通信はNFCに基づいており、表示装置とさらなる外部ユニットとの間の無線通信はWiFiに基づいている。このように、表示装置334の第1の通信ユニットは、第1の通信周波数を使用してハウジングユニット320’’と無線通信するように構成され、表示装置334の第2の通信ユニットは、第2の異なる通信周波数を使用してさらなる外部装置と無線通信するように構成される。この目的のために、ディスプレイ装置334の第1の通信ユニットは、筐体ユニット320’’とのNFCベースの無線通信用に構成された第1のアンテナを備え、第2の通信ユニットは、さらなる外部装置とのWiFiベースの無線通信用に構成された第2のアンテナを備える。第1および第2のアンテナは、ワイヤベースのアンテナであってもよいし、基板ベースのアンテナであってもよい。このように、第1の通信ユニットは、第1の周波数でハウジングユニット320’’と無線通信するように構成され、第2の通信ユニットは、第2の異なる通信周波数を用いてさらなる外部装置と無線通信するように構成される。また、表示デバイス334の第1の通信ユニットは、第1の通信プロトコル(NFC通信プロトコル)を用いてハウジングユニット320’’と無線通信するように構成され、第2の通信ユニットは、第2の通信プロトコル(WiFi通信プロトコル)を用いてさらなる外部デバイスと無線通信するように構成される。第1の通信プロトコルと第2の通信プロトコルは異なっており、これにより、第1の通信プロトコルから第2の通信プロトコルへの転送を可能にするセキュリティ構造が電子機器および/またはソフトウェアに組み込まれる可能性があるため、追加のセキュリティ層が追加される。
【0531】
代替実施形態では、表示装置334の第2の通信ユニットは、WLANタイプのプロトコル、または3G/4G/5Gタイプのプロトコル、またはGSMタイプのプロトコルによって、さらなる外部装置と通信するように構成され得る。
【0532】
図21および
図22に示す実施形態では、ハウジングユニット320’’と医療用インプラントとの間の通信距離がハウジングユニット320’’と表示装置334との間の通信距離よりも長くてもよいように、ハウジングユニット320’’の第1の通信ユニットの通信範囲はハウジングユニット320’の第2の通信ユニットの通信範囲よりも小さい。
図21および
図22に示す実施形態では、第1の通信ユニットの通信範囲は、表示装置334の最小バウンディングボックスの最長寸法の5倍未満の長さに制約されてもよく、より正確には、表示装置334の最小バウンディングボックスの最長寸法の3倍未満の長さに制約されてもよい。
【0533】
図21および
図22に示す実施形態では、ハウジングユニット320’’と表示装置334との間の通信は、ハウジングユニット320’’が表示装置334に接続されている場合にのみ可能になる。すなわち、ハウジングユニット320’’およびディスプレイ装置334の少なくとも一方は、ハウジングユニット320’’とディスプレイ装置334との間の距離に基づいて、ハウジングユニット320’’とディスプレイ装置334との間の通信を可能にするように構成される。代替案として、ハウジングユニット320’’及び/又はディスプレイデバイス334は、ハウジングユニット320’’がディスプレイデバイス334に取り付けられているか否かを推定するように構成されたセンサ、例えば、ハウジングユニット320’’及びディスプレイデバイス334が互いに機械的に接続されたときにセンサ入力を提供する機械的に作動するスイッチ又は光抵抗センサを含んで構成されてもよい。その後、少なくとも1つのセンサーからの信号を使用して、ディスプレイ装置334との通信用に構成された通信ユニットの使用を許可することができる。
【0534】
図21および
図22に示す実施形態では、ハウジングユニット320’’と埋め込み型医療装置との間の通信は、ハウジングユニット320’’と埋め込み型医療装置との間の距離に基づいてのみ可能になる。
図21および
図22に示す実施形態では、距離は表示装置の最小バウンディングボックスの最長寸法の20倍未満、より具体的には表示装置の最小バウンディングボックスの最長寸法の10倍未満であることが好ましい。ハウジングユニット320’’と医療用インプラントとの間の距離は、電磁波または音響波を用いて測定することができる。距離を測定するプロセスは、三角測量で構成されてもよい。
【0535】
図21および
図22に示す実施形態では、表示装置334とハウジングユニット320’’との間の通信を可能にするために、表示装置334の第2の通信ユニットを無効にする必要があり、さらに、ハウジングユニット320’’と医療用インプラントとの間の通信を可能にするために、表示装置334の第2の通信ユニットを無効にする必要がある。また、ハウジングユニット320’’と医療用インプラントとの間の通信を可能にするために、ハウジングユニット320’’の第2の通信ユニットを無効にする必要がある。
【0536】
図21および
図22に示す実施形態では、筐体ユニット320’’は、通信を埋め込み型医療装置に送信する前に表示装置334から受信した通信を暗号化するように構成された暗号化ユニットをさらに備える。暗号化ユニットは、例えば、以下のアルゴリズムのうちの1つに基づくことができる:AES、Blowfish、DES、Kalyna、SerpentまたはTwofish。通信、I/O及び暗号化を処理する目的で、ハウジングユニット320’’は、汎用マイクロプロセッサ及び/又は命令セットプロセッサ及び/又は関連チップセット及び/又はASIC(Application Specific Integrated Circuit)のような特殊用途マイクロプロセッサであり得るプロセッサを備える。プロセッサは、命令及び/又はデータを記憶するためのメモリも備える。
【0537】
図23および
図24は、
図21および
図22を参照して説明した実施形態と同様の外部ユニットの実施形態を示す。異なる点は、
図23および
図24の実施形態では、ハウジングユニット320’’が表示装置334を挟み込まないことである。その代わりに、ハウジングユニットは、ディスプレイ装置334をハウジングユニット320’’に磁気的に固定するための2つの磁石1510を備える。代替実施形態では、外部装置が、ディスプレイ装置334との取り外し可能な接続を提供するためにハウジングユニットに固定的に固定される中間部分から構成されることも同様に考えられる。代替案では、中間装置は、ディスプレイ装置334に固定的に固定され、ハウジングユニット320’’との着脱可能な接続を提供し得る。
【0538】
図25は、外部装置(
図21および
図22を参照して説明した実施形態の外部装置、または
図23および
図24を参照して説明した実施形態の外部装置であり得る)のシステム概要を示す。筐体ユニット320’’は、表示装置334に接続されている。無線接続413がハウジングユニット320’’とディスプレイ装置334との間に設けられ、さらに無線接続413がハウジングユニット320’’と埋め込み型医療装置MDとの間に設けられ、ハウジングユニットが埋め込み型医療装置MDに指示および更新を送信し、埋め込み型医療装置MDから情報、パラメータ(センサ値など)およびアラームを受信できるようになっている。外部装置と埋め込み型医療装置MDとの間の通信については、本開示の他の部分でさらに説明する。
【0539】
表面コーティング
図26は、本体510と、インプラント表面520と、表面520上に配置されたコーティング530とを備える移植可能医療装置またはインプラントMDを示す。コーティング530は抗菌特性を有するように構成することができる。埋め込み可能な医療装置の用途によっては、これらの効果の一方または両方が有利な場合がある。コーティング530は、埋め込み型医療装置MDが挿入される宿主体との直接接触から表面520を遮蔽するように、表面520上に配置することができる。
【0540】
コーティング530は、生体材料の少なくとも1つの層を含んでもよい。コーティング530は、抗血栓性の材料から構成されてもよい。また、コーティング530は、抗菌性の材料から構成されてもよい。コーティング530は、表面520に化学的に付着させることができる。
【0541】
図27は、本体510および表面520を有する例示的な移植可能医療機器または移植物MDを示す。移植可能な医療装置MDは、表面上に配置された複数のコーティング530a、530b、530cからなる。インプラントMDは、任意の数のコーティングからなることができ、
図6の特定の実施形態では、3層のコーティング530a、530b、530cが開示されている。第2のコーティング530bは、第1のコーティング530a上に配置されている。異なるコーティング530a、530b、530cは、フィブリン鞘形成または細菌が表面520に集まることのいずれかを防止するために、異なる特徴を有する異なる材料から構成され得る。一例として、第1のコーティング530aは、表面に化学的に付着したパーフルオロカーボンの層から構成されてもよい。第2の被膜530bは、第1の被膜530a上に配置された液体パーフルオロカーボン層から構成されてもよい。
【0542】
言及されたコーティングは、任意の物質または任意の物質の組み合わせからなることができる。コーティングは、以下のような抗凝固薬を含んでいてもよい:アピキサバン、ダビガトラン、ダルテパリン、エドキサバン、エノキサパリン、フォンダパリヌクス、ヘパリン、リバロキサバン、ワルファリンなどである。
【0543】
コーティングはまた、いわゆる抗血小板剤である医薬品または物質を含んでいてもよい。これらには、アスピリン、シロスタゾール、クロピドグレル、ジピリダモール、エプチフィバチド、プラスグレル、チカグレロル、チロフィバン、ボラパクサールが含まれていてもよい。
【0544】
コーティングはまた、抗血栓性、抗血小板性、抗菌性を有する他の種類の物質、例えばソルターゼA、パーフルオロカーボンなどを含んでいてもよい。
【0545】
コーティングはまた、抗菌性や抗血栓性を有する特定の材料からなる埋め込み型医療器具と組み合わせることもできる。例えば、ある種の金属は抗菌性を示す。インプラントまたはインプラントの少なくとも外面がそのような金属でできている場合、細菌感染を減少させるために有利である。医療用インプラントまたはインプラントの表面は、他の適切な金属または材料で作られていてもよい。例えば、表面は、チタン、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ジルコニウム、モリブデン、スズまたは鉛のいずれかの金属またはその組み合わせから構成される。
【0546】
埋め込み可能な医療器具は、フィブリン鞘の形成や細菌の炎症を防ぐために、局所的で徐放性の抗線維化薬や抗菌薬でコーティングすることもできる。フィブリンや炎症の発生を防ぐために、薬物や医薬品を表面にコーティングし、インプラントからゆっくりと放出するように配置することもできる。薬剤を体内に投与し、フィブリンの生成を防ぐために、薬剤をゆっくりと崩壊する多孔性または可溶性の材料で覆うこともできる。薬物は、従来の抗線維化薬や抗菌薬であってもよい。
【0547】
図28Aおよび28Bは、インプラント表面上の異なる微細パターンを示す。血液適合性を向上させるために、インプラント材料の物理的構造を変更または制御することができる。インプラント表面に特定のトポグラフィーを形成することで、フィブリンの生成や炎症反応を抑制することができる。
図28Aは、シャークスキンの特徴を模倣した微細パターンの例である。この微細パターンは、様々な形状やインプラント表面への深さがあり、他のコーティングを補完するものであっても、単独で使用されるものであってもよい。
図28Bに、微細パターンの別の例を示す。
【0548】
微細パターンは、例えば、体内に挿入する前に移植可能な医療器具の表面にエッチングすることができる。埋め込み可能な医療器具の表面は、例えば、金属から構成されていてもよい。表面は、例えば、以下の金属のいずれか、または以下の金属の組み合わせから構成されてもよい:チタン、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ジルコニウム、モリブデン、スズ、または鉛。これらの金属は抗菌性があることが証明されており、宿主の体内に挿入されたときにインプラントの機能をより確実にする可能性があるという点で有利である。
【0549】
ポップ・リベット・フランジ
図29および
図30は、移植可能な通電式医療装置MDの実施形態を示し、これは、本開示の他の部分では遠隔ユニットと呼ばれることがある。医療装置MDは、患者の組織部分610によって定位置に保持されるように構成されている。第1の部分MD’および第2の部分MD’’は、本開示の他の部分に記載されているように、受信機、送信機、トランシーバ、制御ユニット、処理ユニット、センサ、エネルギー貯蔵ユニットなどの1つまたは複数の機能部分を含んでよい。第1の部分MD’は、医療装置MDにエネルギーを供給するための第1のエネルギー貯蔵ユニットを構成することができる。図示の実施形態における第2の部分MD’’はポンプからなるが、これは、医療装置MDの埋め込み可能な部分の一例を示すに過ぎない。第2の部分MD’’の他の実施形態が、接続部分MD-2を介して第1の部分MD’に接続され得ること、例えば、流体を使用せずに機械的な仕事を提供するためのモータからなる第2の部分MD’’があることを理解されたい。
【0550】
医療装置MDは、組織部分610の第1の側面612に配置されるように構成された第1の部分MD’を備え、第1の部分MD’は、第1の平面P1において第1の断面積A1を有し、組織部分610の第1の側面612の第1の組織表面616に対向するように構成された第1の表面614を備える。医療装置MDは、組織部分610の第2の側面618に配置されるように構成された第2の部分MD’’をさらに備え、第2の側面618は、第1の側面612に対向し、第2の部分MD’’は、第2の平面P2における第2の断面積A2を有し、組織部分610の第2の側面618の第2の組織表面622に係合するように構成された第2の表面620を備える。医療器具MDは、組織部分610の第1および第2の側面612、618の間に延びる組織部分610の穴を通して配置されるように構成された連結部分MD-2をさらに備える。ここでの連結部分MD-2は、第3の平面P3における第3の断面積A3と、第4の平面P4における第4の断面積A4と、組織部分610の第1の側面612の第1の組織表面616に係合するように構成された第3の表面624とを有する。連結部分MD-2は、第1の部分MD’を第2の部分MD’’に連結するように構成されている。
【0551】
従って、連結部分MD-2は、組織部分610の穴を通して適合するような大きさおよび形状を有する部分を有し、そのような部分は、第3の断面積A3を有する。さらに、連結部分MD-2は、組織部分610の穴を通って適合しないような大きさおよび形状にされた別の部分を有してもよく、そのような部分は第4の断面積A4を有する。同様に、第2の部分MD’’は、組織部分610の穴を通って適合しないような大きさおよび形状にされた部分を有してもよく、そのような部分は第2の断面積A2を有する。したがって、連結部分MD-2は、第2の部分MD’’と協働して、医療器具MDを組織部分610の穴の所定の位置に保持することができる。
【0552】
図29に示される実施形態では、第1の部分MD’は、機械的および/または磁気的機構によって、接続部分MD-2に着脱可能に接続する、すなわち可逆的に接続するように構成される。図示された実施形態では、機械的機構が使用され、この機構では、第1の部分MD’が連結部分MD-2に挿入されると、1つまたはいくつかのバネ付き球状要素601が連結部分MD-2の溝603の所定の位置にロックされる。対応するねじ山および溝、自己ロック要素、およびツイスト・アンド・ロック継手を含む他のロック機構が想定される。
【0553】
医療装置MDは、移植されるとき、第1の部分MD’が第2の部分MD’’よりも患者の外側に近い位置に配置されるように構成される。さらに、いくつかの移植手順では、医療装置MDは、第2の部分MD’’の向こう側、すなわち、組織部分610の第2の側618の向こう側に空間が利用可能になるように移植されることがあるが、組織部分の第1の側612には同じだけの空間が存在することがある。さらに、組織および/または皮膚は、組織部分610に向かって第1の部分MD’に力を及ぼし、第2の部分MD’’が組織部分610の孔を通って組織部分610の第1の側612に向かって移動しないことを提供し得る。したがって、医療器具MDが、第1の部分MD’が組織部分610の孔を通って組織部分610の第2の側面618に向かって移動するのを防止するように主に構成されていると好ましい。
【0554】
第1の部分MD’は、接続部分MD-2を介して第2の部分MD’’にエネルギーおよび/または通信信号を伝達するための1つまたは複数の接続部605をさらに含んでいてもよい。図示された実施形態における接続部605は、第1の部分MD’の突出部607の円周の周りに対称的に配置され、接続部分MD-2の内面に配置された対応する接続部609と係合するように配置される。突出部607は、中央部分MD-2の中央延長部C1に延びていてもよい。第2の部分MD’’はまた、第1の部分MD’の接続部605と同様に配置および構成され得る1つまたはいくつかの接続部611を含んでよい。例えば、1つまたはいくつかの接続部611は、第1の部分MD’からエネルギーおよび/または通信信号を受信するために、接続部分MD-2の接続部609と係合してもよい。
図18には突出部607が別個に図示されているが、突出部607は第1の部分MD’と一体に形成されてもよいことを理解されたい。
【0555】
突出部607の円周の周りに非対称に配置された接続部など、接続部の他の配置も想定される。また、第1の部分MD’の第1の表面614上に1つまたはいくつかの接続部が配置されてもよく、接続部は、接続部MD-2の対向表面613上に配置された対応する接続部と係合するように配置されることが想定される。対向表面613上のそのような接続部は、接続部609と比較して比較的大きな面積をカバーすることができ、したがって、より大きな接触面積と、エネルギーおよび/または通信信号の伝達のより高い速度および/または信号強度とを可能にする。さらに、第1の部分MD’、接続部分MD-2、および第2の部分MD’’間の物理的接続は、本開示の他の部分でさらに説明されるように、無線配置に置き換えられるか、または無線配置を伴ってよいことが想定される。
【0556】
第1の部分MD’の第1の表面614、第2の部分MD’の第2の表面620、連結部分MD-2の第3の表面624、および連結部分MD-2の対向する表面613のいずれかは、医療装置MDが組織部分によって定位置に保持されることを容易にするため、および/または医療装置MDの異なる部分が相互の定位置に保持されることを容易にするために、リブ、バーブ、フック、摩擦強化表面処理、および摩擦強化材料のうちの少なくとも1つを備えることができる。
【0557】
対向面613は、第1の部分MD’の少なくとも一部を収容するように構成された凹部を備えてもよい。特に、かかる凹部は、第1の表面614を含む第1の部分MD’の少なくとも一部を受容するように構成されてもよい。同様に、第1の表面614は、連結部分MD-2の少なくとも一部を収容するように構成された凹部を備えてもよい。特に、そのような凹部は、連結部分MD-2の少なくとも一部を受容するように構成されてもよく、いくつかの実施形態では、そのような凹部は、少なくとも1つの突出要素またはフランジを少なくとも部分的に囲むために、少なくとも1つの突出要素を受容するように構成されてもよい。
【0558】
図示の実施形態では、第1の部分MD’は、第1のエネルギー貯蔵ユニット304aと、第1のエネルギー貯蔵ユニット304aに接続された1つまたは複数の処理ユニットからなるコントローラ300aとを備える。第1のエネルギー貯蔵ユニット304aは、エネルギーの無線転送によって再充電可能であってもよい。いくつかの実施形態では、第1のエネルギー貯蔵ユニット304aは、非充電可能であってもよい。このような第1のエネルギー貯蔵の寿命が尽きると、新しい第1のエネルギー貯蔵ユニットを含む交換用の第1の部分が、消耗した第1のエネルギー貯蔵ユニットを有する第1の部分の代わりに単に交換されてもよい。第2の部分MD’’は、1つまたは複数の処理ユニットを含むコントローラ300bをさらに備えることができる。
【0559】
図30に見られるように、第1、第2、第3および第4の平面P1、P2、P3およびP4は、互いに平行である。さらに、図示された実施形態において、第3の断面積A3は、第1の部分MD’、第2の部分MD’’および連結部分MD-2が、第1の平面P1、第2の平面P2および第3の平面P3に垂直な方向において組織部分610の穴を通って移動することを防止されるように、第1の断面積A1、第2の断面積A2および第4の断面積A4よりも小さい。これにより、第1の部分MD’が連結部分MD-2から外れても、第2の部分MD’’および連結部分MD-2は、患者の組織部分610によって所定の位置に保持され得る。
【0560】
図示された平面P1、P2、P3およびP4は、そのような平面が医療装置MDとどのように交差し得るかの単なる例示であることを理解されたい。上記の条件が満たされる限り、すなわち、部分が断面積を有し、第3の平面P3における第3の断面積が第1、第2および第4の断面積よりも小さく、平面P1、P2、P3およびP4が互いに平行である限り、平面の他の配置も可能である。
【0561】
図30に図示された連結部分MD-2は、フランジ626からなる連結部分MD-2として定義することができる。従って、フランジ626は、第1、第2および第3の平面P1、P2およびP3に垂直な方向において組織部分610の穴を通って移動することが妨げられるように、第4の断面積A4を構成する。フランジ626は、第1、第2、第3および第4の平面P1、P2、P3およびP4に平行な方向に突出してもよい。この方向は、連結部分MD-2の中心延長部C1に対して垂直である。
【0562】
しかしながら、連結部分MD-2はフランジに限定されない。他の突出要素を付加的または代替的に連結部分MD-2に組み込んでもよい。このように、連結部分MD-2は、第1の部分MD’が連結部分MD-2から切り離されても、第2の部分MD’’および連結部分MD-2が患者の組織部分610によって定位置に保持され得るように、少なくとも1つの突出要素が組織部分610の穴を通って移動することを防止されるように、第4の断面積A4を構成する少なくとも1つの突出要素から構成されてもよい。少なくとも1つの突出要素は、第1、第2、第3および第4の平面P1、P2、P3およびP4に平行な方向に突出することができる。この方向は、連結部分MD-2の中心延長部C1に対して垂直である。このように、少なくとも1つの突出要素はまた、組織部分610の第1の側面612の第1の組織表面616に係合するように構成された第3の表面624を構成する。
【0563】
連結部分MD-2は、中空部分628を含んでもよい。中空部分628は、第1および第2の部分MD’、MD’’間の通路を提供することができる。特に、中空部分628は、第1の部分MD’から第2の部分MD’’へ流体を移送するための導管を収容してもよい。中空部分628はまた、第1の部分MD’と第2の部分MD’’との間でエネルギーおよび/または通信信号を伝達するための1つまたはいくつかの接続部または電気リード線を構成または収容することができる。
【0564】
移植可能な通電式医療装置は、本明細書では第3の断面積が第1の断面積よりも小さいものとして開示されているが、この特徴は必須ではないことに留意することが重要である。第3の断面積は、第1の断面積と等しくてもよいし、第1の断面積よりも大きくてもよい。
【0565】
次に、
図30および
図31A~
図31Dを参照して、医療装置MDのいくつかの相対寸法を説明する。しかしながら、これらの寸法は、医療装置MDの他の実施形態にも適用され得ることを理解されたい。少なくとも1つの突出要素626は、第4の平面P4に垂直な方向において、当該方向における第1の部分MD’の高さH1よりも小さい高さHFを有してもよい。高さHFは、代替的に、前記方向における第1の部分MD’の前記高さH1の半分未満、前記方向における第1の部分MD’の前記高さH1の4分の1未満、または前記方向における第1の部分MD’の前記高さH1の10分の1未満であってもよい。
【0566】
第1の平面P1に垂直な方向における第1の部分MD’の高さH1は、前記方向における第2の部分MD’’の高さH2よりも小さくてもよく、例えば、前記方向における第2の部分MD’’の前記高さH2の半分未満、前記方向における第2の部分MD’’の前記高さH2の4分の1未満、または前記方向における第2の部分MD’’の前記高さH2の10分の1未満である。
【0567】
少なくとも1つの突出要素626は、第4の平面P4における直径DFが、第1の平面P1における第1の部分MD’の直径D1よりも小さい、第1の平面P1における第1の部分MD’の直径D1と等しい、および第1の平面P1における第1の部分MD’の直径D1よりも大きい、のうちの1つであることを有してもよい。同様に、第4の平面P4における少なくとも1つの突出要素626の断面積は、第1の平面P1における第1の部分の断面積よりも小さくてもよく、等しくてもよく、大きくてもよい。
【0568】
少なくとも1つの突出要素626は、第4の平面P4に垂直な方向における高さHFが、当該方向における連結部分MD-2の高さHCよりも小さい場合がある。ここで、連結部分MD-2の高さHCは、連結部分MD-2の一部を形成する少なくとも1つの突出要素を除いた高さとして定義される。高さHFは、代替的に、前記方向における連結部分MD-2の前記高さHCの半分未満、前記方向における連結部分MD-2の前記高さHCの4分の1未満、または前記方向における連結部分MD-2の前記高さHCの10分の1未満であってもよい。
【0569】
図31Dに示すように、第1の部分MD’は、接続部分MD-2の第3の断面積A3と等しいか、またはそれより小さい第1の断面積A1を有することができる。特に、第1の部分MD’は、接続部分MD-2が接続部分MD-2の第3の断面積よりも大きい付加的な断面積を提供する場合、組織の穴を通過するように意図された接続部分MD-2の第3の断面積よりも大きい断面積を必ずしも提供する必要はない。
図31Dに図示されるような第1の部分MD’は、エネルギー貯蔵ユニット、受信機、送信機など、図示されないが、本開示の他の箇所で議論される構成要素から構成され得る。
【0570】
第1の部分MD’内のワイヤレスエネルギー受信機および/または通信受信機および/または送信機は、100kHz未満、より具体的には40kHz未満、より具体的には20kHz未満の周波数の電磁波を使用して、体外の外部装置からエネルギーを受信し、および/または体外の外部装置とワイヤレス通信するように構成され得る。したがって、第1の部分MD’のワイヤレスエネルギー受信機および/または通信受信機および/または送信機は、「超低周波」通信(VLF)を使用して外部装置と通信するように構成され得る。VLF信号は、埋め込み型通電医療装置のチタンハウジングを貫通する能力を有し、そのため、埋め込み型通電医療装置の電子機器は、チタンハウジング内に完全に封入することができる。加えて、または代替的に、第1の部分MD’と第2の部分MD’’との間の通信およびエネルギー伝達は、VLF信号を用いて行われてもよい。そのような実施形態では、第1の部分MD’および第2の部分MD’’の(エネルギーおよび/または通信用の)受信機および送信機は、それに応じて構成される。
【0571】
図32A~
図32Bに示すように、少なくとも1つの突出要素626は、円板形状などの環状形状を有することができる。しかしながら、楕円形、細長い、および/または他の多面体形状もしくは不規則な形状も可能である。図示された実施形態において、少なくとも1つの突出要素626は、連結部分MD-2の中心軸の周りを一回転して延びる。しかしながら、少なくとも1つの突出要素626が部分円セクタを構成する他の配置も可能である。複数の突出要素の場合、そのような複数の突出要素は複数の部分円セクタを構成することができる。
【0572】
図30A~
図30B、
図31A~
図31Bに示すように、連結部MD-2は、少なくとも2つの突出要素626、627から構成されてもよい。例えば、連結部分MD-2は、少なくとも3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個の突出要素から構成されてもよい。このような実施形態において、少なくとも2つの突出要素626、627は、一緒になって第4の断面積を構成してもよく、したがって、第1の部分MD’および第2の部分MD’’が組織部分610の穴を通って移動するのを防止するのに必要な断面積を提供する。
【0573】
少なくとも2つの突出要素626、627は、
図30Aから
図30Bに示されるように、連結部分MD-2の中心軸に関して対称に配置されてもよいし、
図31Aから
図31Bに示されるように、連結部分MD-2の中心軸に関して非対称に配置されてもよい。特に、少なくとも2つの突出要素626、627は、
図31A~
図31Bに示すように、連結部分MD-2の一方の側に向かって位置するように非対称に配置されてもよい。突出要素の配置により、医療装置MD、特に接続部分MD-2を、1つまたは複数の方向においてスペースが制限されている患者の領域に配置することができる。
【0574】
ポップ・リベット・キット
本開示の他の部分において遠隔ユニットと呼ばれ得る埋め込み可能な通電医療装置MDの1つのタイプまたは実施形態は、ほとんどの患者に適合し得るが、埋め込み可能な通電医療装置MDまたは埋め込み可能な通電医療装置MDに組み立てられる部分MD’、MD’’の選択を提供することが必要であり得る。例えば、一部の患者は、個々の解剖学的構造に応じて、異なる長さ、形状、サイズ、幅または高さを必要とする場合がある。さらに、埋め込み可能な通電式医療装置MDのいくつかの部品または部分は、埋め込み可能な通電式医療装置のいくつかの異なるタイプまたは実施形態の間で共通であってもよく、他の部品または部分は、交換可能または交換可能であってもよい。このような部品または部分には、エネルギー貯蔵装置、通信装置、流体接続部、機械的接続部、電気的接続部などが含まれ得る。
【0575】
柔軟性を提供し、使い勝手を向上させるために、部品のキットが提供されてもよい。キットは、好ましくは、1つまたは複数の第1の部分のグループ、1つまたは複数の第2の部分のグループ、および1つまたは複数の連結部分のグループから構成され、第1の部分、第2の部分、および連結部分は、本開示全体を通して記載されるように具体化される。グループの少なくとも1つは、前記それぞれの部分の少なくとも2つの異なるタイプからなる。用語「タイプ」によって、本明細書では、前記それぞれの部分の品種、クラス、または実施形態が意味される。
【0576】
キットのいくつかの実施形態では、1つまたは複数の第1の部分のグループ、1つまたは複数の第2の部分のグループ、および1つまたは複数の連結部分のグループは、完全な埋め込み可能な通電式医療装置に組み立てることができる別個の部品を構成する。したがって、埋め込み可能な通電式医療装置MDは、第1の部分MD’、第2の部分MD’’、および/または連結部分MD-2が、それぞれの部分の別のタイプと交換可能であるという点で、モジュール式であると言うことができる。
【0577】
図35を参照すると、埋め込み可能な通電医療装置MDを組み立てるためのキットは、1つまたは複数の第1の部分MD’のグループ650、図示の例では1つの第1の部分MD’のグループ、1つまたは複数の連結部分MD-2のグループ652、図示の例では3つの連結部分MD-2のグループ、および1つまたは複数の第2の部分MD’’のグループ654、図示の例では2つの第2の部分MD’’のグループからなる。簡単のため、第1の部分MD’、第2の部分MD’’および連結部分MD-2のすべての種類および組み合わせは、詳細に図示または説明しない。
【0578】
従って、1つ以上の連結部分MD-2のグループ652は、3つの異なるタイプの連結部分MD-2から構成される。ここで、異なる種類の連結部分MD-2は、異なる高さを有する連結部分MD-2a、MD-2b、MD-2cからなる。さらに、1つ以上の第2部分MD’’のグループ654は、2つの異なるタイプの第2部分MD’’からなる。
【0579】
ここで、異なるタイプの第2の部分MD’’は、本開示の他の部分に記載されているように、第1の端部および第2の端部を有する、接続部分に偏心して接続するように構成されている第2の部分MD’’aからなり、第2の部分MD’’aの第2の端部は、医療装置MDが組み立てられたときに、患者内の埋め込み可能な通電された医療装置の位置から尾部方向に位置するインプラントに接続するための少なくとも1つの接続部を構成するか、またはそのように構成されている。図示の図では、少なくとも1つの接続部は、リード線またはワイヤとして視覚化されている。しかしながら、第2の端部が、電力、流体、および/または信号の伝達のためのポート、コネクタ、または他のタイプの接続要素から構成されることを含む、他の実施形態も可能である。
【0580】
さらに、異なるタイプの第2の部分MD’’は、本開示の他の部分に記載されているように、第1の端部および第2の端部を有する、接続部分に偏心して接続するように構成されている第2の部分MD’’bを備え、第2の部分MD’’bの第1の端部は、医療装置MDが組み立てられたときに、患者における埋め込み可能な通電医療装置の位置から頭蓋方向に位置するインプラントに接続するための少なくとも1つの接続部を備えるか、またはそのように構成されている。図示の図では、少なくとも1つの接続部は、リード線またはワイヤとして視覚化されている。しかしながら、第1の端部が、電力、流体、および/または信号の伝達のためのポート、コネクタ、または他のタイプの接続要素から構成されることを含む、他の実施形態も可能である。
【0581】
したがって、移植可能な通電医療装置MDはモジュール式であってもよく、グループ652、654、656のそれぞれから第1の部分MD’、連結部分MD-2、および第2の部分MD’’を選択して組み合わせることにより、異なるタイプの医療装置MDを実現することができる。
【0582】
図示の実施例では、第1の部分MD’、連結部分MD-2a、および第2の部分MD’’aの選択により、第1の移植可能な通電医療装置MDaが実現される。このような装置MDaは、連結部分MD-2aが、第1の部分MD’と第2の部分MD’’aとを連結するために厚い組織の層を通って延びることができる点で特に有利であり得る。別の移植可能な通電医療装置MDbは、第1の部分MD’、連結部分MD-2c、および第2の部分MD’’bの選択によって実現される。このような装置は、連結部分MD-2cが連結部分MD-2aよりも小さな設置面積を有する、すなわち患者においてより小さな空間を占めるという点で特に有利であり得る。医療装置MDaおよびMDbのモジュール特性により、開業医または外科医は、患者の解剖学的構造を評価した上で、必要に応じて適切な接続部分を選択することができる。さらに、装置MDaおよびMDbは、共通のタイプの第1の部分MD’を共有するので、第2の部分MD’’a、MD’’bの場合のように、第2の部分MD’’の第1の端部または第2の端部にそれぞれ配置された異なる接続部を有する医療装置MDを実現するためだけに、開業医または外科医が、異なる第1の部分MD’の在庫(または、完全な組み立てられた医療装置MDの在庫)を維持する必要はない。
【0583】
図35に示された例は、モジュール式埋め込み可能な通電式医療装置MDのアイデアを表示するために例示したに過ぎない。つまたは複数の第1の部分MD’のグループ650は、第1のエネルギー貯蔵ユニットを有するかまたは有さない第1の部分、外部ワイヤレスエネルギー送信機によって無線送信されるエネルギーを受信するための第1のワイヤレスエネルギ受信ユニットを有するかまたは有さない第1の部分、内部ワイヤレスエネルギー送信機を有するかまたは有さない第1の部分、および/または本開示全体を通して説明されるような他の特徴など、様々な異なる特徴を含んでいてもよい。他の特徴には、第1の部分の異なる高さ、幅、または長さが含まれる。つ以上のこのような特徴を有する第1の部分MD’は、特定の形状または寸法と組み合わされて、様々な第1の部分を実現し得ることを理解されたい。接続部分MD-2および第2部分MD’’も同様である。
【0584】
ポップリベット内蔵ワイヤレス
図36を参照して、本開示の他の部分では遠隔ユニットと呼ばれることがある、埋め込み可能な通電式医療装置MDの実施形態を説明する。医療装置MDは、患者の組織部分610によって定位置に保持されるように構成されている。医療装置MDは、組織部分610の第1の側に配置されるように構成された第1の部分MD’を備え、第1の部分MD’は、第1の平面P1において第1の断面積を有し、組織部分610の第1の側の第1の組織表面に面するおよび/または係合するように構成された第1の表面を備える。医療装置MDは、組織部分610の第2の側に配置されるように構成された第2の部分MD’’をさらに備え、第2の側は、第1の側に対向し、第2の部分MD’’は、第2の平面における第2の断面積を有し、組織部分610の第2の側の第2の組織表面に係合するように構成された第2の表面を備える。医療器具MDは、組織部分610の第1の側面と第2の側面との間に延びる組織部分610の穴を通して配置されるように構成された連結部分MD-2をさらに備える。ここで、連結部分MD-2は、第3の平面における第3の断面積を有する。連結部分MD-2は、第1の部分MD’を第2の部分MD’’に連結するように構成されている。ここで、第1の部分MD’は、外部のワイヤレスエネルギ送信器によって無線送信されたエネルギーを受信するための第1のワイヤレスエネルギ受信器308aと、第2の部分にエネルギーを無線送信するように構成された内部のワイヤレスエネルギ送信器308aとを備える。さらに、ここでは、第2の部分は、内部ワイヤレスエネルギ送信器308aによって無線送信されたエネルギーを受信するように構成された第2のワイヤレスエネルギ受信器308bを備える。
【0585】
本開示では、受信器および送信器が別々に議論され、図示されることがあるが、受信器および/または送信器は、トランシーバ内に構成されてもよいことを理解されたい。さらに、第1の部分MD’および第2の部分MD’’のそれぞれの受信器および/または送信器は、データを含むエネルギーおよび/または通信信号を受信または送信するように構成された単一の受信ユニットまたは送信ユニットの一部を形成してもよい。さらに、内部ワイヤレスエネルギー送信機および/または第1の無線通信受信機/送信機は、接続部分MD-2および第2の部分MD’’に近い第1の部分MD’の下部に配置された別個のユニット308cであってもよい。このような配置は、ユニット308cによって送信されるエネルギーおよび/または通信信号が、第2の部分MD’’に送信されるときに第1の部分MD’の内部構成要素によって減衰されないことを提供し得る。そのような内部構成要素は、第1のエネルギー貯蔵ユニット304aを含み得る。
【0586】
第1の部分MD’は、第1のワイヤレスエネルギー受信機308aに接続された第1のエネルギー貯蔵ユニット304aからなる。第2の部分は、第2のワイヤレスエネルギー受信機308bに接続された第2のエネルギー蓄積ユニット304bからなる。このようなエネルギー貯蔵ユニットは、塩化チオニル電池のような固体電池であってもよい。
【0587】
いくつかの実施形態において、第1のワイヤレスエネルギー受信機308aは、外部ワイヤレスエネルギー送信機によってワイヤレス送信されたエネルギーを受信し、受信したエネルギーを第1のエネルギー蓄積ユニット304aに蓄積するように構成される。さらに、内部ワイヤレスエネルギ送信器308aは、第1のエネルギー蓄積ユニット304aに蓄積されたエネルギーを第2のワイヤレスエネルギー受信器308bにワイヤレス送信するように構成され、第2のワイヤレスエネルギー受信器308bは、内部ワイヤレスエネルギ送信器308aによってワイヤレス送信されたエネルギーを受信し、受信したエネルギーを第2のエネルギー蓄積ユニット305bに蓄積するように構成される。
【0588】
第1のエネルギー貯蔵ユニット304aは、第2のエネルギー貯蔵ユニット304bよりも少ないエネルギーを貯蔵するように構成されてもよく、および/または第2のエネルギー貯蔵ユニット304bよりも速く充電されるように構成されてもよい。これにより、第1のエネルギー貯蔵ユニット304aの充電は比較的速く行われ、一方、第1のエネルギー貯蔵ユニット304aから第2のエネルギー貯蔵ユニット304bへのエネルギーの移動は比較的遅く行われることがある。したがって、ユーザは、第1のエネルギー貯蔵ユニット304aを迅速に充電することができ、そのような充電の間、例えば特定の場所で、外部のワイヤレスエネルギー送信機に接続されることによって長時間制限されることはない。第1のエネルギー貯蔵ユニット304aを充電した後、第1のワイヤレスエネルギー送信機308a、308cおよび第2のワイヤレスエネルギー受信機308bを介して、エネルギーが第1のエネルギー貯蔵ユニット304aから第2のエネルギー貯蔵ユニット304bにゆっくりと移動する間、使用者は自由に移動することができる。
【0589】
第1の部分は、少なくとも1つの処理ユニット306aを含む第1のコントローラを構成することができる。第2の部分は、少なくとも1つの処理ユニット306bを含む第2のコントローラから構成されてもよい。第1および第2の処理ユニット306a、306bの少なくとも一方は、外部装置と無線通信するための無線トランシーバ308a、308b、308cに接続されていてもよい。
【0590】
第1のコントローラは、外部装置からおよび/または第2の部分MD’’内の無線通信送信機308bから無線通信を受信するために、第1の部分MD’内の第1の無線通信受信機308a、308cに接続されてもよい。さらに、第1のコントローラは、第2の部分MD’’内の第2のワイヤレス通信受信機308bにワイヤレス通信を送信するために、第1の部分MD’内の第1のワイヤレス通信送信機308a、308cに接続されてもよい。第2のコントローラは、第1の部分MD’からの無線通信を受信するために、第2の無線通信受信機308bに接続されてもよい。第2のコントローラはさらに、第1の部分MD’に無線通信を送信するための第2の無線通信送信機308bに接続されてもよい。
【0591】
いくつかの実施形態では、第1のワイヤレスエネルギー受信機308aは第1のコイルからなり、ワイヤレスエネルギー送信機308a、308cは第2のコイルからなる。
【0592】
ポップ・リベット・シュー
図37、
図40Aおよび
図40Bを 参照して、本開示の他の部分において遠隔ユニットと呼ばれることがある埋め込み可能な通電式医療装置MDの実施形態を説明する。医療装置MDは、患者の組織部分610によって定位置に保持されるように構成されている。医療装置MDは、組織部分610の第1の側面612に配置されるように構成された第1の部分MD’を備え、第1の部分MD’は、第1の平面P1において第1の断面積A1を有し、組織部分610の第1の側面612の第1の組織表面616に面するおよび/または係合するように構成された第1の表面614を備える。医療装置MDは、組織部分610の第2の側面618に配置されるように構成された第2の部分MD’’をさらに備え、第2の側面618は、第1の側面612に対向し、第2の部分MD’’は、第2の平面P2における第2の断面積A2を有し、組織部分610の第2の側面618の第2の組織表面622に係合するように構成された第2の表面620を備える。医療器具MDは、組織部分610の第1および第2の側面612、618の間に延在する組織部分610の穴を通して配置されるように構成された連結部分MD-2をさらに備える。ここで、連結部分MD-2は、第3の平面P3において第3の断面積A3を有する。連結部分MD-2は、第1の部分MD’を第2の部分MD’’に連結するように構成されている。図示の実施形態では、連結部分MD-2と第2の部分MD’’との間の連結界面630は、第2の部分MD’’に対して偏心している。
【0593】
第1の部分MD’は、
図1の図示された実施形態では細長い形状を有する。同様に、第2の部分MD’’は細長い形状を有する。しかしながら、第1の部分MD’および/または第2の部分MD’’は、例えば、高さよりも大きい幅および長さを有する平坦な円盤、球体、楕円体、または任意の他の多面体もしくは不規則な形状などの他の形状を有してもよく、これらのいくつかは、
図37~
図38に例示される。
【0594】
図40Aおよび
図40Bに示されるように、連結部分MD-2と第2の部分MD’’との間の連結界面630は、第1の方向631において第2の部分MD’’に対して偏心していてもよいが、第1の方向に垂直な第2の方向633においては偏心していなくてもよい。第1の方向631は、ここでは、線A-A、第2の平面P2、および第2の部分MD’’の長さに平行である。第2の方向633は、ここでは、線B-Bに平行であり、第2の平面P2に平行であり、第2の部分MD’’の幅に平行である。接続部分MD-2と第2の部分MD’’との間の接続界面が、第2の部分MD’’に対して、第1の方向631だけでなく、第1の方向631に垂直な第2の方向633においても偏心していることも可能である。
【0595】
同様に、連結部分MD-2と第1部分MD’との間の連結界面は、第1部分MD’に対して第1方向631および/または第2方向633に偏心していてもよい。
【0596】
第1の部分MD’、連結部分MD-2および第2の部分MD’’は、構造的に一体的なユニットを形成することができる。しかしながら、第1の部分MD’および連結部分MD-2が構造的に1つの一体的なユニットを形成する一方で、第2の部分MD’’が別個のユニットを形成すること、または第2の部分MD’’および連結部分MD-2が構造的に1つの一体的なユニットを形成する一方で、第1の部分MD’が別個のユニットを形成することも可能である。
【0597】
さらに、または代替的に、第2の部分MD’’は、取り外し可能および/または交換可能な部分639を含んでよい。いくつかの実施形態において、取り外し可能部分639は、遠位領域の一部を形成し得る。取り外し可能な部分はまた、近位領域の一部を形成してもよい。したがって、第2の部分MD’’は、少なくとも2つの取り外し可能な部分を含んでよく、各々は、第2の部分MD’’のそれぞれの端部に配置される。取り外し可能部分639は、本開示の他の部分に記載されているように、歯車、モータ、接続部、リザーバなどの医療装置MDの1つまたはいくつかの機能部分を収容、保持、または構成することができる。このような取り外し可能な部分639を有する実施形態は、特定の患者の状況に応じて必要に応じて変更することができる。
【0598】
第1部分MD’、連結部分MD-2および第2部分MD’’が構造的に一体化されたユニットを形成する場合、連結部分MD-2と第2部分MD’’との間の偏心連結界面は、第2部分MD’’に対して、医療装置MDを組織部分の穴に挿入できるようにする。医療機器MDは、例えば、足を靴に挿入する方法と同様に、第2部分MD’’の大部分または全部が孔を通過できるように角度を付けて孔に挿入され、その後、第2部分MD’’の残りの部分が孔を通過できるように角度を付けられ、回転され、および/または揺動され、医療機器MDが意図された位置になるようにされる。
【0599】
図37、
図38および
図39に示されるように、第1の部分MD’は、長円形、平らな円盤形、球形、または任意の他の多面体もしくは不規則な形状などの様々な形状をとることができる。同様に、第2の部分MD’’は、長円形、平らな円盤形、球形、または他の任意の多面体または不規則な形状などの様々な形状を想定することができる。第1および第2の部分MD’、MD’’の提案された形状は、例示された実施形態に例示されない実施形態を形成するために混合され、組み合わされてもよい。例えば、第1および第2の部分MD’、MD’’の一方または両方は、平坦な長円形状を有してもよい。この文脈において、「平坦」という用語は、第1または第2の部分MD’、MD’’の高さ、すなわち、連結部分MD-2の中心延長部C1に平行な方向における高さに関連する。長方形」という用語は、第1または第2の部分MD’、MD’’の長さに関連する。
【0600】
図40A~
図40Bを参照すると、第2の部分MD’’は、第1の端部632と、第1の端部632に対向する第2の端部634とを有する。第2の部分MD’’の長さは、第1の端部632と第2の端部634との間の長さとして定義される。第2の部分MD’’の長さは、さらに、連結部分MD-2の中心延長部C1とは異なる方向に延びている。第1の端部632および第2の端部634は、第2の平面P2に平行な方向に離間している。同様に、第1の部分MD’は、第1の端部と第2の端部との間の長さを有し、その長さは、接続部分MD-2の中心延長部C1とは異なる方向に延びている。
【0601】
第2の部分MD’’は、その長さに沿って湾曲していてもよい。例えば、第2の部分MD’’の一端または両端は、第2の平面P2とは実質的に異なる方向、すなわち、移植されたときに組織部分から離れる方向または組織部分に向かって湾曲する方向を指すことがある。いくつかの実施形態では、第2の部分MD’’は、第2の平面P2内で、排他的に、または他の平面での湾曲と組み合わせて湾曲する。第2の部分MD’’はまた、1つ以上の方向、すなわち、その長さに沿っておよびその幅に沿って湾曲することができ、幅は長さに垂直な方向に延びる。
【0602】
第2の部分MD’’の第1および第2の端部632、634はそれぞれ、楕円形の点を構成してもよい。例えば、第1および第2の端部632、634はそれぞれ半球状のエンドキャップを構成してもよい。第1の部分MD’の第1および第2の端部もそのような特徴を有してよいことを理解されたい。
【0603】
第2の部分MD’’は、
図37に示されるように、第1の端部632と第2の端部634との間の長さに沿って少なくとも1つの円形断面を有することができる。しかしながら、第2の部分MD’’が、第1の端部632と第2の端部634との間の長さに沿って、少なくとも1つの楕円形断面または少なくとも1つの楕円形断面を有することも可能である。このような断面形状は、第2の部分MD’’の幅方向における端部間にも存在し得る。同様に、このような断面形状は、第1の部分MD’の長さ方向および/または幅方向における端部間にも存在し得る。
【0604】
以下の段落では、第2部分MD’’のいくつかの特徴および特性について説明する。しかしながら、これらの特徴および特性は、第1の部分MD’にも適用され得ることを理解されたい。
【0605】
第2の部分MD’’は、近位領域636、中間領域638、および遠位領域640を有する。近位領域636は、第1の端部632から連結部分MD-2と第2の部分MD’’との間の界面まで延び、中間領域638は、連結部分MD-2と第2の部分MD’’との間の連結界面630によって画定され、遠位領域640は、連結部分MD-2と第2の部分MD’’との間の連結界面630から第2の端部634まで延びる。近位領域636は、第2部分の長さに関して、すなわち長さ方向631に関して、遠位領域640よりも短い。したがって、第2の部分MD’’には、かかと(近位領域)とつま先(遠位領域)とが存在する。
【0606】
組織部分610の第2の側面618の第2の組織表面622と係合するように構成された第2の表面620は、近位領域636および遠位領域640の一部である。第2の部分MD’’の長さをxと定義し、第2の部分MD’’の幅を、互いに垂直であり第2の平面P2に実質的に平行であるそれぞれの長さ方向および幅方向631、633に沿ってyと定義すると、接続部分MD-2と第2の部分MD’’との間の接続界面は、x>0からx<x/2まで、および/または、y>0からy<y/2まで延びる領域内に含まれ、xおよびyおよび0は、前記長さ方向および幅方向に沿った第2の部分MD’’のそれぞれの端点である。換言すれば、連結部分MD-2と第2の部分MD’’との間の連結界面は、第2の部分MD’’にヒールとトウとが形成されるように、第2の部分MD’’に対して少なくとも一方向に偏心している。
【0607】
組織部分610の第1の側面612の第1の組織表面616に面するおよび/または係合するように構成された第1の表面614は、実質的に平坦であってよい。換言すれば、第1の部分MD’は、組織部分610の方を向いた実質的に平坦な面を含んでよい。さらに、組織部分610から離れる方を向いた第1の部分MD’の対向面は、実質的に平坦であってもよい。同様に、組織部分610の第2の側面618の第2の組織表面622に係合するように構成された第2の表面620は、実質的に平坦であってよい。換言すれば、第2の部分MD’’は、組織部分610の方を向いた実質的に平坦な面を含んでよい。さらに、組織部分610から離れる方を向いた第2の部分MD’’の対向面は、実質的に平坦であってもよい。
【0608】
第2の部分MD’’は、第1の端部632から第2の端部634に向かってテーパ状であってもよく、したがって、第2の部分MD’’に、第2の部分MD’’の長さに沿って異なる高さおよび/または幅を与える。第2の部分はまた、第1の端部632および第2の端部634の各々から第2の部分MD’’の中間領域638に向かってテーパ状であってもよい。
【0609】
次に、第1の部分MD’、第2の部分MD’’および連結部分MD-2のいくつかの寸法を開示する。以下の数値間隔の開示のいずれは、前記間隔の端点を含んでも含まなくてもよい。
【0610】
第1の部分MD’は、10~60mmの範囲、例えば10~40mmの範囲、例えば10~30mmの範囲、例えば10~25mmの範囲、例えば15~40mmの範囲、例えば15~35mmの範囲、例えば15~30mmの範囲、例えば15~25mmの範囲の最大寸法を有することができる。最大寸法」という用語は、あらゆる方向における最大の寸法を意味する。
【0611】
第1の部分MD’は、10~60mmの範囲の直径、例えば10~40mmの範囲の直径、例えば10~30mmの範囲の直径、例えば10~25mmの範囲の直径、例えば15~40mmの範囲の直径、例えば15~35mmの範囲の直径、例えば15~30mmの範囲の直径、例えば15~25mmの範囲の直径を有することができる。
【0612】
連結部MD-2は、第3平面P3における最大寸法が、2~20mmの範囲、例えば2~15mmの範囲、例えば2~10mmの範囲、例えば5~10mmの範囲、例えば8~20mmの範囲、例えば8~15mmの範囲、例えば8~10mmの範囲であってもよい。
【0613】
第2の部分MD’’は、30~90mmの範囲、例えば30~70mmの範囲、例えば30~60mmの範囲、例えば30~40mmの範囲、例えば35~90mmの範囲、例えば35~70mmの範囲、例えば35~60mmの範囲、例えば35~40mmの範囲の最大寸法を有することができる。
【0614】
第1の部分は第1の高さH1を有し、第2の部分は第2の高さH2を有し、両方の高さは第1および第2の平面P1,P2に垂直な方向である。第1の高さは第2の高さより小さくてもよい。しかしながら、
図40A~
図40Bに示される実施形態では、第1の高さH1は、第2の高さH2と実質的に等しい。他の高さ比も可能であり、例えば、第1の高さH1は、第2の高さH2の2/3未満、例えば、第2の高さH2の1/2未満、例えば、第2の高さH2の1/3未満、例えば、第2の高さH2の1/4未満、例えば、第2の高さH2の1/5未満、例えば、第2の高さH2の1/10未満であってもよい。
【0615】
図40A~
図40Bに示されるように、近位領域636は、遠位領域640の長さ646よりも小さい長さ642を有する。中間領域638は、長さ644、および幅648を有する。いくつかの実施形態において、中間領域638の長さ644は、幅648よりも大きい。換言すれば、接続部分MD-2と第2の部分MD’’との間の接続界面は、より長い寸法(例示的な場合には、長さ)とより短い寸法(例示的な場合には、幅)とを有する細長いものであってもよい。中間領域638の長さ644が中間領域638の幅648よりも短いことも可能である。
【0616】
遠位領域640の長さ646は、中間領域638の長さ644よりも大きいことが好ましいが、等しく長い遠位領域640および中間領域638、または中間領域638よりも短い遠位領域640も可能である。近位領域636の長さ642は、中間領域638の長さ644より小さくてもよく、中間領域638の長さ644と等しくてもよく、中間領域638の長さ644より大きくてもよい。
【0617】
中間領域638の長さ644は、好ましくは、第2の部分MD’’の長さの半分未満、すなわち、近位領域636、中間領域638、および遠位領域630の組み合わせられた長さの半分未満である。いくつかの実施形態において、中間領域638の長さ644は、第2の部分MD’’の長さの3分の1未満、例えば、第2の部分MD’’の長さの4分の1未満、5分の1未満、または10分の1未満である。
【0618】
接続部分は、第3の平面P3に平行な平面において、楕円形の断面、細長い断面、および円形の断面のうちの1つを有することができる。特に、連結部分は、中央延長部C1において、その長さに沿って複数の異なる断面形状を有してもよい。
【0619】
いくつかの実施形態では、遠位領域640は、医療装置MDが埋め込まれたときに、立った患者の下方に、すなわち尾骨方向に向けられるように構成される。
図41A~
図41Dに示されるように、第1の部分MD’に対する第2の部分MD’’の異なる向きが可能である。いくつかの実施形態では、第1の部分MD’と接続部分MD-2との間の接続、または第2の部分MD’’と接続部分MD-2との間の接続は、複数の異なる接続方向を可能にし得る。例えば、第1の部分MD’と接続部分MD-2との間の接続機構(または第2の部分MD’’と接続部分MD-2との間の接続機構)は、第2の部分MD’が第1の部分MDに対して4つの異なる位置に設定されることを可能にするために、90度の回転対称性を有することができる。もちろん、30度、45度、60度、120度、180度など、他の回転対称度も可能である。他の実施形態では、第1の部分MD’、連結部分MD-2、および第2の部分MD’’のいずれの間にも連結機構は存在せず(すなわち、部分は1つの一体型ユニットとして作製される)、そのような場合、医療装置MDの異なる変形を製造中に達成することができる。他の実施形態では、第1の部分MD’と連結部分MD-2との間(または第2の部分MD’’と連結部分MD-2との間)の連結機構は非可逆的であり、すなわち、第1の部分MD’および第2の部分MD’’は、最初は別個の部品として取り扱われ得るが、第1の部分MD’に対する第2の部分MD’’の向きは、一旦選択され、連結部分MD-2を介して部品が連結されると、変更することができない。
【0620】
第1の部分MD’に対する第2の部分MD’’の異なる向きは、第2の部分MD’’の長さ方向が第1の部分MD’の長さ方向に対して関係または角度を有するものとして定義することができる。このような角度は、15度、30度、45度、60度、75度、90度、105度、120度、135度、150度、165度、180度、195度、210度、225度、240度、255度、270度、285度、300度、315度、330度、345度、または360度であってよい。特に、第1の部分MD’と第2の部分MD’’との間の角度は、医療器具MDが埋め込まれたときに、平面P1およびP2における角度として、または組織部分610に平行な平面における角度として定義され得る。
図41A~
図41Dに示される実施形態では、第2の部分MD’’の長さ方向は、第1の部分MD’の長さ方向に対して0度、90度、180度、および270度だけ角度が付けられている。
【0621】
第2の部分MD’’の第2の端部634は、患者における埋め込み可能な通電された医療装置MDの位置から尾方向に位置するインプラントに接続するための1つまたは複数の接続部を構成することができる。これにより、医療装置MDが患者に埋め込まれるとき、好ましくは、遠位領域640および第2の端部634が、立っている患者において下方を向いているとき、第1の端部632が頭蓋方向を向いているのに対して、第2の端部634が尾部方向を向いているため、接続部はインプラントに近くなる。第2の部分MD’’の第2の端部634がインプラントに接続するように構成されることも可能であり、すなわち、第2の端部634は、電力、流体および/または信号を伝送するためのポート、コネクタまたは他のタイプの接続要素を構成することができる。
【0622】
同様に、第2の部分MD’’の第1の端部632は、患者における埋め込み可能な通電された医療装置MDの位置から頭蓋方向に位置するインプラントに接続するための1つまたは複数の接続部を構成することができる。これにより、医療装置MDが患者に埋め込まれるとき、好ましくは、遠位領域640および第2の端部634が、立っている患者において下方を向いているとき、第1の端部632が頭蓋方向を向いているのに対し、第2の端部634が尾骨方向を向いているため、接続部はインプラントに近くなる。第2の部分MD’’の第1の端部632がインプラントに接続するように構成されることも可能であり、すなわち、第1の端部632は、電力、流体および/または信号を伝送するためのポート、コネクタまたは他のタイプの接続要素を構成することができる。
【0623】
ここで
図41E~K、41M、41N、41Pおよび41Qを参照する。以下では、第1の部分MD’のいくつかの特徴、および場合によっては連結部分MD-2の追加的または代替的な特徴について説明するが、これらの特徴は、第1の部分MD’が第1の平面においてその断面積を増大させること(すなわち、第1の組織表面に面するように構成された第1の表面の面積を増大させること)を可能にし、および/または第1の部分MD’が連結部分MD-2に対して回転、並進、または他の方法で移動されることを可能にする。いくつかの実施形態において、第1の部分MD’は、第1の面内または第1の面内で連結部分MD-2からさらに離れるように延びるように構成される。これらの特徴は、移植可能な通電医療装置の他の特徴と組み合わせることができることを理解されたい。特に、図示された実施形態における第1の部分、連結部分および/または第2の部分の特定の形状は、単に例示的なものである。本開示で論じるように、他の形状も可能である。従って、細長い第2の部分MD’’は、例えば
図41Eに示すように必ずしも細長い必要はなく、さらに、第1の部分MD’は、必ずしも半円形の形状を有する必要はない。
【0624】
図41Eを参照すると、埋め込み可能な通電式医療装置MDが示されており、第1の部分MD’は、第1の部分MD’の端部710が第1の方向631に関して連結部分MD-2と実質的に整列するように構成および形状が定められている。言い換えれば、第1の部分MD’のどの部分も、第1の方向631に関して連結部分MD-2の前方に突出していない。これにより、第2の部分MD’’の大部分または全部が組織の穴を通って挿入されるまで、第1の部分MD’が組織と接触しないので、特に下方に角度が付けられた場合に、移植可能な通電医療装置MDの挿入が容易になり得る。縁部710は、第1の部分MD’の他の縁部と同様に、半径を有さないものとしてここに示されているが、半径を有する縁部が可能である。従って、縁部710は、半径を有してもよく、および/または、第1の部分MD’、および/または、第2の部分MD’’、および/または、連結部分MD-2は、半径を有する縁部を構成してもよい。
【0625】
図41Fおよび
図41Gを参照すると、第1の部分MD’は、その表面積が増大するように構成されていることが示されている。ここでは、第1の断面積が増大され、それによって、第1の組織表面に面するように構成された(いくつかの実施形態では、接触するようにも構成された)第1の表面の面積が増大される。図示された実施形態では、第1の部分MD’は、第1の要素712と、第1の要素712が第2の要素714の上に配置される第1の状態(図示せず)と、第1の要素712が第2の要素714に隣接または隣接して配置されるように折り畳まれる第2の状態とをとることができるようにヒンジ状に相互接続される第2の要素714とを備える。同様の構成は、第1の要素712と第2の要素714との間の他の相互接続手段によって達成されてもよく、すなわち、構成はヒンジタイプの接続に限定されない。例えば、第1の要素712および第2の要素714は、それぞれ第1の状態および第2の状態をとるためにそれ自体の上に折り重ねることができるように十分に柔軟である一片の材料で構成されてもよい。
【0626】
好ましくは、第1および第2の要素712、714は相互接続され、第1の方向631に沿った第1および第2の要素712、714の間の移行が面一になるように形成される。さらに、第1の状態にある間、第1の部分MD’は、
図41Eと併せて論じたのと同じ特徴を有していてもよく、すなわち、第1の部分MD’は、連結部分MD-2と実質的に整列していてもよい。
【0627】
図41Hおよび
図41Iを参照すると、第1の部分MD’は、その表面積が増大するように構成されていることが示されている。ここでは、第1の断面積が増大され、それによって、第1の組織表面に面するように構成された(いくつかの実施形態では、接触するようにも構成された)第1の表面の面積が増大される。図示された実施形態では、第1の部分MD’は、第1の要素712と第2の要素714とを備える。第2の要素714は、ここでは、第1の要素712を部分的にまたは完全に収容するように構成されたスロット715を備える。第1の要素712は、第1の要素712がスロット715内に部分的にまたは完全に収容される第1の状態と、第1の要素712がスロット715から突出して第1の断面積を増大させる第2の状態とをとるように、軸を中心に回転するように構成される。第1の要素712は、軸を中心に180度回転するように構成されてもよい。図示の実施例では、第1および第2の要素712、714は半円形であり、第2の状態において完全な円に適合する形状を形成する。しかしながら、第1の要素712が軸を中心に90度までしか回転せず、従って第2の状態において円の4分の3に適合する形状を形成することも可能である。他の形状、例えば多角形も可能である。
【0628】
図41Jおよび
図41Kを参照すると、
図41Hおよび
図41Iを参照して説明したのと同様の構成が示されている。しかしながら、ここでは、第2の要素714はスロットを構成せず、したがって、第1の要素はスロット内に収容されない。その代わりに、第1の要素712は第2の要素714の上に配置される(
図41Fおよび
図41Gの実施形態と同様)。第1の部分MD’は、ここでは、その表面積が増大するように構成され、特に、第1の断面積が増大し、それによって、第1の組織表面に面するように構成された(いくつかの実施形態では、接触するようにも構成された)第1の表面の面積が増大する。第1の要素712は、第1の状態をとるために軸を中心に回転するように構成され、第1の要素712は、部分的にまたは完全に第2の要素714の上に配置される。ここで、「完全に上に配置される」とは、第1の要素712が第2の要素714の境界内に閉じ込められることを意味する。第1の要素712の軸を中心とする回転によって、第1の要素712は、第1の要素712が第2の要素714の縁または境界を越えて突出し、第1の断面積を増大させる第2の状態をとることができる。第1の要素712は、軸を中心に180度回転するように構成されてもよい。しかしながら、第1の要素712が軸を中心に90度までしか回転しないことも可能である。第1および第2の要素712、714の他の形状も可能であり、例えば多角形である。
【0629】
図41Mおよび
図41Nを参照すると、第1の部分MD’は、その表面積が増大するように構成されていることが示されている。ここでは、第1の断面積が増大され、それによって、第1の組織表面に面するように構成された(いくつかの実施形態では、接触するようにも構成された)第1の表面の面積が増大される。図示された実施形態では、第1の部分MD’は、第1の要素712と第2の要素714とを備える。ここで第1の要素712は、第2の要素714を部分的にまたは完全に収容するように構成されたスロットを備える。第1の要素712は、
図41Mに示されるように、第2の要素714が第1の要素712のスロット内に部分的にまたは完全に配置される第1の状態と、
図41Nに示されるように、第1の要素712が第1の方向に移動されて第2の要素714が第1の要素712のスロットから突出し、第1の要素712が第1の平面内で連結部分MD-2からさらに離れるように延びる第2の状態とをとるように構成される。理解されるように、他の変形が可能であり、例えば、第2の要素714がスロットを構成してもよく、第1の要素712がそのようなスロット内に部分的にまたは完全に収容されてもよく、その後、第1の要素712または第2の要素714がそのようなスロットから突出するように移動されてもよい。
【0630】
図41Pおよび
図41Qを参照すると、第1の部分MD’が連結部分MD-2に対して移動されるように構成されているのが示されている。移動されるように構成されている」という表現は、この文脈では、第1の部分MD’が、接続部分MD-2に直接接触したまま、接続部分MD-2に対して少なくとも2つの異なる位置をとるように構成されていると解釈することができる。ここで、連結部分MD-2は突出要素717からなり、第1の部分MD’はスロット718からなり、突出要素717は、所定の経路に沿って、例えば、第1の方向および前記第1の方向とは反対の方向に、スロット718内をスライドするように構成される。突出要素717は、突出要素717が予め設定された位置においてのみスロット718から取り外すことができるように、スロット718内でインターロックされるように構成されてもよい。他の実施形態では、突出要素717は、スロット718内に恒久的に封入されてもよい。第1の部分MD’を第1の方向にスライドさせることにより、接続部分MD-2に対する第1の平面内の第1の部分MD’の延長を調整することができる。スロット718の端点間の任意の位置が、第1の部分MD’によって想定され得る。特に、第1の部分MD’および/または連結部分MD-2は、連結部分MD-2に対する第1の部分MD’の位置を固定するように構成されたロック機構を含んでいてもよい。このようなロック機構は、第1の部分MD’および連結部分MD-2を互いに対して固定された位置に維持するために、可撓性部分が互いに対してバイアスされることに依存し得る。他の可能なロック機構には、摩擦の使用、スナップロック手段などが含まれる。
【0631】
ポップ・リベット・クロス
図42および
図43を 参照して、本開示の他の部分において遠隔ユニットと呼ばれることがある埋め込み可能な通電式医療装置MDの実施形態を説明する。医療装置MDは、患者の組織部分610によって定位置に保持されるように構成されている。医療装置MDは、組織部分610の第1の側面612に配置されるように構成された第1の部分MD’を備え、第1の部分MD’は、第1の平面P1における第1の断面積を有し、組織部分610の第1の側面612上の第1の組織表面616に面するおよび/または係合するように構成された第1の表面614を備える。医療装置MDは、組織部分610の第2の側618に配置されるように構成された第2の部分MD’’をさらに備え、第2の側618は、第1の側612に対向し、第2の部分MD’’は、第2の平面における第2の断面積を有し、組織部分610の第2の側618上の第2の組織表面622に係合するように構成された第2の表面620を備える。医療器具MDは、組織部分610の第1および第2の側面612、618の間に延びる組織部分610の穴を通して配置されるように構成された連結部分MD-2をさらに備える。ここでの連結部分MD-2は、第3の平面における第3の断面積を有する。連結部分MD-2は、第1の部分MD’を第2の部分MD’’に連結するように構成されている。
【0632】
図44を参照すると、第1の断面積は、第1の断面距離CD1aと第2の断面距離CD2aとを有し、第1および第2の断面距離CD1a,CD2aは互いに垂直であり、第1の断面距離CD1aは第2の断面距離CD2aよりも長い。さらに、第2の断面積は、第1の断面距離CD1bおよび第2の断面距離CD2bを有し、第1および第2の断面距離CD2a、CD2bは互いに垂直であり、第1の断面距離CD1bは第2の断面距離CD2bよりも長い。第1の断面積の第1の断面距離CD1aおよび第2の断面積の第1の断面距離CD1bは、組織部分610の孔を通る第2の部分MD’’の挿入を容易にするために、45度を超える角度だけ互いに対して回転変位する。
図44に示される実施形態では、回転変位は90度である。
【0633】
第1の部分MD’および第2の部分MD’’の回転変位は、十字のような構造を形成し、組織部分610の孔を通る挿入が容易になり、組織部分610の孔に一旦位置決めされると、確実な位置が達成され得るという点で特に有利である。特に、第2の部分MD’’が、その第1の断面距離CD1bが組織部分610の孔611の長さの延長に沿って延びるように、医療器具MDが位置決めされる場合、孔611を通る第2のポーションMD’’の挿入が容易になり得る。さらに、第1の部分MD’の第1の断面距離CD1aが孔611の長さの延長線に対して変位するように、第1の部分MD’が第2の部分MD’’に対して次に変位する場合、第1の部分MD’は、組織部分の孔611を通って移動することを防止され得る。このような場合、組織部分の穴611が長円形、楕円形、または少なくとも一方向の寸法が他方向の寸法よりも長いと特に有利である。組織部分におけるこのような長円形の孔は、例えば、繊維方向を有する組織において形成され得、孔の最長寸法は、繊維方向と整列され得る。
【0634】
図42に示される実施形態では、第1の部分MD’の第1の表面614は平坦であり、したがって、第1の組織表面616に対してより大きな接触面を提供し、その結果、組織部分に対する圧力がより小さくなる。より安定した位置もまた、平坦な表面によって達成され得る。また、第2の部分MD’’の第2の表面620は、平坦であってもよい。しかし、本開示の他の部分に記載されているような他の形状も可能である。
【0635】
図44に示すように、連結部分MD-2は、第3平面において細長い断面を有することができる。連結部分MD-2が幅648よりも長い長さ644を有し、前記長さ644が第2の部分MD’’の長さ方向と同じ方向に、すなわち第2の部分MD’’の伸長方向と同じ方向に延びていると特に有利であり得る。これにより、連結部分MD-2の伸びは、組織部分の穴の伸びと同じ方向に走ることができる。
【0636】
図45を参照すると、第1の断面積の第1の断面距離と第2の断面積の第1の断面距離の回転変位が、ここでは約45度の角度で示されている。したがって、第1の部分MD’の長さ方向633と第2の部分MD’’の長さ方向631との間に、第1、第2および第3の平面において、回転変位が存在する。回転変位の他の角度、例えば、60度、75度、90度、105度、120度、135度などが可能である。
【0637】
つの同じ装置MDは、第1の部分MD’および第2の部分MD’’の回転変位に関していくつかの異なる配置を想定することができる。特に、これは、第1の部分MD’および/または第2の部分MD’’が、相互接続部分MD-2に着脱可能に接続するように構成される場合に可能である。例えば、第1の部分MD’と連結部分MD-2との間の連結機構、または第2の部分MD’’と連結部分MD-2との間の連結機構は、第1の部分MD’が連結部分MD-2に対して異なる位置に設定され、拡張して第2の部分MD’’に対しても異なる位置に設定されることを可能にする回転対称性を有することができる。同様に、このような回転対称性は、第2の部分MD-2’’が、連結部分MD-2に対して異なる位置に設定され、第1の部分MD’に対して拡張することも可能にする。
【0638】
図46A~
図46Cを参照して、組織部分610における医療器具MDの挿入手順を説明する。医療器具MDは、第2の部分MD’’の長さ方向631が穴611の中に下方を向くように配向され得る。好ましくは、第2の部分MD’’は、孔611の縁に近接して挿入されるように配置される。次いで、第2の部分MD’’は、第1の部分MD’が第1の組織表面616に接する点まで、孔611を通って部分的に挿入され得る。ここで、上述したように、第1の部分MD’と第2の部分MD’’との間の90度の回転変位により、第1の部分MD’が第1の組織表面616に突き当たる前に、第2の部分MD’’の比較的大きな部分を挿入することができる。その後、医療器具MDを回動させて、第2の部分MD’’の残りの部分を孔611を通してスライドまたは挿入することができる。第2の部分MD’’の残りの部分を挿入する間、組織は、第2の部分MD’’に道を譲るように自然に撓み、動くことがある。第2の部分MD’’が完全に組織部分610の反対側に位置するように、孔611を通して第2の部分MD’’を完全に挿入した後、組織は自然に撓んで戻ることができる。
【0639】
ポップ・リベット・セラミック・コイル
図47を参照して、本開示の他の部分では遠隔ユニットと呼ばれることがある、埋め込み可能な通電式医療装置MDの実施形態を説明する。医療装置MDは、患者の組織部分610によって所定の位置に保持されるように構成されている。医療装置MDは、組織部分610の第1の側面612に配置されるように構成された第1の部分MD’を備え、第1の部分MD’は、第1の平面P1において第1の断面積を有し、組織部分610の第1の側面612の第1の組織表面に面するおよび/または係合するように構成された第1の表面614を備える。医療装置MDは、組織部分610の第2の側面618に配置されるように構成された第2の部分MD’’をさらに備え、第2の側面618は、第1の側面612に対向し、第2の部分MD’’は、第2の平面における第2の断面積を有し、組織部分610の第2の側面618の第2の組織表面に係合するように構成された第2の表面620を備える。医療器具MDは、組織部分610の第1および第2の側面612、618の間に延びる組織部分610の穴を通して配置されるように構成された連結部分MD-2をさらに備える。ここで、連結部分MD-2は、第3の平面における第3の断面積を有する。連結部分MD-2は、第1の部分MD’を第2の部分MD’’に連結するように構成されている。
【0640】
第1の部分および第2の部分の少なくとも一方は、セラミック材料に埋め込まれた少なくとも1つのコイルからなり、少なくとも1つのコイルは、無線で送信されるエネルギーの受信、エネルギーの無線送信、無線通信の受信、および無線通信の送信の少なくとも1つのために構成される。図示の実施形態では、第1の部分MD’は第1のコイル658と第2のコイル660とからなり、第2の部分MD’’は第3のコイル662からなる。コイルはセラミック材料664に埋め込まれている。
【0641】
本開示の他の部分で議論されるように、第1の部分MD’は、外部のワイヤレスエネルギー送信機からワイヤレスで送信されるエネルギーを受信するように構成された第1のワイヤレスエネルギー受信機を含んでよく、さらに第1の部分MD’は、第1のワイヤレス通信受信機を含んでよい。第1のワイヤレスエネルギー受信機および第1のワイヤレス通信受信機は、第1のコイル658を構成してもよい。従って、第1のコイル658は、無線でエネルギーを受信するように、及び/又は、無線で通信を受信するように構成されてもよい。
【0642】
コイルからなる受信機/送信機」という表現により、前記コイルが受信機/送信機の一部を構成することがあることを理解されたい。
【0643】
第1の部分MD’は、遠位端665および近位端666からなり、ここでは、接続部分MD-2に関して定義される。特に、近位端665は、医療装置MDが組み立てられるとき、接続部分MD-2により近く、第2の部分MD’’により近く配置される。図示の実施形態では、第1のコイル658は遠位端665に配置されている。
【0644】
第1の部分MD’は、内部ワイヤレスエネルギー送信機と、さらに第1のワイヤレス通信送信機とを備えることができる。幾つかの実施形態では、内部ワイヤレスエネルギー送信機及び/又は第1のワイヤレス通信送信機は、第1のコイル658から構成される。しかしながら、幾つかの実施形態では、内部ワイヤレスエネルギー発信器及び/又は第1のワイヤレス通信発信器は、第2のコイル660から構成される。ここで、第2のコイル660は、第1の部分MD’の近位端665に配置される。第2のコイル660のこのような配置は、第2のコイル660によって送信されるエネルギーおよび/または通信信号が、第2の部分MD’’に送信されるときに第1の部分MD’の内部構成要素によって減衰されないことを提供し得る。
【0645】
いくつかの実施形態では、第1のワイヤレスエネルギー受信器および内部ワイヤレスエネルギ送信器は、セラミック材料に埋め込まれた単一のコイルから構成される。したがって、単一のコイルは、エネルギーを無線で受信し、エネルギーを無線で送信するように構成されてもよい。同様に、第1の無線通信受信機および第1の無線通信送信機は、セラミック材料に埋め込まれた単一のコイルから構成されてもよい。さらに、いくつかの実施形態では、単一のコイルは、エネルギーを無線で受信および送信するため、ならびに通信信号を無線で受信および送信するために構成されてもよい。
【0646】
本明細書で論じるコイルは、好ましくは、組織部分610に実質的に平行に延びる平面内に配置される。
【0647】
第2の部分MD’’は、第2のワイヤレスエネルギー受信機および/または第2のワイヤレス通信受信機を構成することができる。いくつかの実施形態では、第2の部分MD’’内の第3のコイル662は、第2のワイヤレスエネルギー受信機および/または第2のワイヤレス通信受信機を構成する。
【0648】
第2の部分MD’’は、遠位端668と近位端670とからなり、ここでは接続部分MD-2に関して定義される。特に、近位端668は、医療装置MDが組み立てられるとき、接続部分MD-2により近く、第1の部分MD’により近く配置される。図示された実施形態では、第3のコイル662は、第2の部分MD’’の近位端668に配置される。第3のコイル662のこのような配置は、第3のコイル662によって受信されるエネルギーおよび/または通信信号が、第1の部分MD’から受信されるときに第2の部分MD’’の内部構成要素によって減衰されないことを提供し得る。
【0649】
第1の部分MD’は、第1のコイル658、第2のコイル660および/または第3のコイル662に接続された第1のコントローラ300aから構成されてもよい。第2の部分MD’’は、第1のコイル658、第2のコイル660および/または第3のコイル662に接続された第2のコントローラ300bから構成されてもよい。
【0650】
図示の実施形態では、第1の部分MD’は、第1のワイヤレスエネルギー受信機308a、すなわち第1のコイル658に接続された第1のエネルギー蓄積ユニット304aからなる。第2の部分は、第2のワイヤレスエネルギー受信機308b、すなわち第3のコイル662に接続された第2のエネルギー蓄積ユニット304bからなる。このようなエネルギー蓄積ユニットは、塩化チオニル電池などの固体電池であってもよい。
【0651】
いくつかの実施形態では、第1のコイル658は、外部のワイヤレスエネルギー送信機によって無線送信されたエネルギーを受信し、受信したエネルギーを第1のエネルギー蓄積ユニット304aに蓄積するように構成される。さらに、第1のコイル658および/または第2のコイル660は、第1のエネルギー蓄積ユニット304aに蓄積されたエネルギーを第3のコイル662に無線送信するように構成されてもよく、第3のコイル662は、第1のコイル658および/または第2のコイル660によって無線送信されたエネルギーを受信し、受信したエネルギーを第2のエネルギー蓄積ユニット305bに蓄積するように構成されてもよい。
【0652】
第1のエネルギー貯蔵ユニット304aは、第2のエネルギー貯蔵ユニット304bよりも少ないエネルギーを貯蔵するように、および/または第2のエネルギー貯蔵ユニット304bよりも速く充電されるように構成されてもよい。ここで、第1のエネルギー貯蔵ユニット304aの充電は比較的速くてもよく、一方、第1のエネルギー貯蔵ユニット304aから第2のエネルギー貯蔵ユニット304bへのエネルギーの移動は比較的遅くてもよい。したがって、ユーザは、第1のエネルギー貯蔵ユニット304aを迅速に充電することができ、そのような充電の間、例えば特定の場所で、外部のワイヤレスエネルギー送信機に接続されることによって長時間制限されることはない。第1のエネルギー貯蔵ユニット304aを充電した後、第1および/または第2のコイルと第3のコイルを介して第1のエネルギー貯蔵ユニット304aから第2のエネルギー貯蔵ユニット304bにエネルギーがゆっくりと移動する間、使用者は自由に移動することができる。
【0653】
ポップ・リベット・ギア
図48Aおよび
図48Bは、移植可能な通電医療装置MDを、身体部分に力を及ぼすインプラントに結合するための歯車配置および磁気結合を示し、特に、医療装置MDの外側ハウジングまたは第2の部分MD’’の外側ハウジングを介して機械的運動を伝達するための歯車配置を示す。
【0654】
医療装置MDまたは第2の部分MD’’のハウジング484は、医療装置MDのいくつかの実施形態において存在し得る。そのような実施形態では、ハウジング484は、少なくとも、コントローラ(図示せず)、モータM、存在する場合の任意の受信機および送信機(図示せず)、および存在する場合の任意のギア配置G、G1、G2を囲むように構成される。ここで、このような特徴は、体液から保護される。ハウジング484は、炭素系材料(グラファイト、炭化ケイ素、または炭素繊維材料など)、ホウ素系材料、ポリマー材料(シリコーン、Peek、ポリウレタン、UHWPE、またはPTFEなど)、金属材料(チタン、ステンレス鋼、タンタル、白金、ニオブ、またはアルミニウムなど)、セラミック材料(二酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、または炭化タングステンなど)、またはガラスのうちの1つまたはそれらの組み合わせから作られた筐体であってもよい。どのような場合でも、筐体は、筐体の壁を通る流体の移動が防止されるような、透過性の低い材料から作られるべきである。
【0655】
埋め込み可能な通電式医療装置は、磁気カップリング部490aなどの磁気カップリングの少なくとも一部を含んでいてもよい。磁気結合部490aに磁気的に結合して磁気結合を形成するように、磁気結合部490bなどの磁気結合の相補的な部分が医療装置MDに隣接して配置されてもよい。磁気結合部490bは、医療装置MDの一部を形成しない実体の一部を形成してもよい。しかしながら、いくつかの実施形態では、第2の部分MD’’は、互いに気密に封止された複数のチャンバから構成される。そのようなチャンバは、本明細書で議論されるように、磁気カップリングを介して結合され得る。磁気カップリング490a、490bは、例えば、電気モータを介して医療装置MDによって出力された機械的な仕事が、医療装置MDから、例えば、患者の身体部分に力を及ぼすように構成されたインプラントに伝達され得ることを提供する。言い換えれば、磁気カップリング490a、490bは、機械的な力がハウジング484を介して伝達され得ることを提供する。
【0656】
モーターと歯車配列の間、あるいは歯車配列と磁気カップリングの間など、コンポーネント間の結合は、例えばシャフトなどによって実現することができる。
【0657】
いくつかの実施形態では、例えば
図48Aに示されるように、第2の部分MD’’内のモータMによって出力された力は、磁気カップリング部490aに接続される。磁気カップリング部490aは、モータMから出力された力を磁気カップリング部490bに、すなわち磁気カップリング490a、490bを介して伝達する。磁気カップリング部490a、490bを介して伝達される力出力は、ここでは、モータMによって伝達されるのと実質的に同じトルクであるトルクT1を有する。磁気カップリング部490bは、医療装置MDの外部、例えば、身体部分に力を及ぼすように構成された医療用インプラント内または身体部分に力を及ぼすように構成された医療用インプラントの中間に配置された歯車配置Gに接続されている。歯車配置Gは、磁気カップリング490a、490bを介して伝達される力のトルクを増大させて、トルクT2がトルクT1よりも高い力を医療用インプラントに伝達するように構成される。その結果、低い角速度で比較的大きな力を達成するために歯車配置Gを介してトルクが増大される前に、モータMによって低いトルク、すなわち、高い角速度で比較的小さな力が磁気カップリング490a、490bを介して伝達される可能性がある。これにより、磁気カップリング490a、490bは、磁気カップリング部品490a、490b間の滑りの危険性なしに、医療装置MDのハウジング484を介して機械的仕事を伝達するために比較的弱い磁力を利用することができる。
【0658】
いくつかの実施形態では、例えば
図48Aに示されるように、第2の部分MD’’内のモータMの力出力は、第1のギア配置G1に接続され、このギア配置G1は、磁気カップリング部490aに結合される。ここでモータMはトルクT0を有する機械的な力を提供する。磁気カップリング部490aは、モータMから出力された力を第1の歯車配置G1に伝達する。第1のギア配置G1は、モータMから送り出される力のトルクを増大させ、より高いトルクT1を有する力を磁気カップリング490a、490bに送り出すように構成されている。磁気カップリング部490aは、トルクT1を有する力を磁気カップリング部490bに伝達する。磁気カップリング部490bは、医療装置の外部、例えば、身体部分に力を及ぼすように構成された医療用インプラント内、または身体部分に力を及ぼすように構成された医療用インプラントの中間に配置された第2のギア配置G2に接続されている。第2の歯車配置G2は、磁気カップリング490a、490bを介して伝達される力のトルクを増大させて、トルクT2がトルクT1よりも高く、したがってトルクT0よりも高い力を医療用インプラントに伝達するように構成される。その結果、モータMによって低トルク、すなわち高い角速度を有する比較的小さな力が提供されることがある。モータMによって提供される力のトルクは、磁気カップリング490a、490bを介して力が伝達される前に、第1のギア配置G1によって増加される。磁気カップリング490a、490bを介して伝達される力のトルクは、その後、低い角速度で比較的大きな力を達成するために、第2の歯車配置G2を介して再び増加される。これにより、磁気カップリング490a、490bは、比較的弱い磁力を利用して、磁気カップリング部品490a、490bの間で滑る危険性なしに、医療装置MDのハウジング484を介して機械的仕事を伝達することができる。さらに、トルク増加の一部は第2の部分MD’’内で行われ、トルク増加の残りの一部は医療装置および第2の部分MD’’の外部で行われるため、歯車配置G1、G2は、トルク増加の仕事を分担するように適切なサイズおよび構成にすることができる。
【0659】
ポップリベット
図49A~C、
図50、
図51、
図52および
図53A~Cを参照して、本開示の他の部分において遠隔ユニットと呼ばれ得る通電式医療装置MDの実施形態が説明される。図示されているように、これらの埋め込み可能な通電された医療器具は、埋め込み可能な通電された医療器具が一定期間埋め込まれ、線維性組織が第2の部分の周囲に形成され始めると、埋め込み可能な通電された医療器具の除去を容易にするために、特定の方法で形成されている第2の部分を有する。
図49A~C、
図50、
図51、
図52および
図53A~Cに図示され、以下に開示されるような、これらのタイプの第2の部分が、本開示において議論される埋め込み可能な通電式医療装置の他の特徴のいずれかと組み合わされ得ることが、ここに開示される。
【0660】
装置MDは、患者の組織部分610によって定位置に保持されるように構成されている。装置MDは、組織部分610の第1の側面612に配置されるように構成された第1の部分MD’を備え、第1の部分MD’は、第1の平面における第1の断面積を有し、組織部分610の第1の側面612の第1の組織表面616に面するおよび/または係合するように構成された第1の表面を備える。装置MDは、組織部分610の第2の側面618に配置されるように構成された第2の部分MD’’をさらに備え、第2の側面618は、第1の側面612に対向し、第2の部分MD’’は、第2の平面における第2の断面積を有し、組織部分610の第2の側面618の第2の組織表面622に係合するように構成された第2の表面を備える。装置MDは、組織部分610の第1および第2の側面612、618の間に延びる組織部分610の穴を通して配置されるように構成された連結部分MD-2をさらに備える。ここでの連結部分MD-2は、第3の平面における第3の断面積を有する。連結部分MD-2は、第1の部分MD’を第2の部分MD’’に連結するように構成されている。図示の実施形態では、連結部分MD-2と第2の部分MD’’との間の連結インターフェース630が、第2の部分MD’’の端部に配置されている。
【0661】
第1部分MD’は細長い形状を有していてもよい。同様に、第2の部分MD’’は細長い形状を有してもよい。しかしながら、第1の部分MD’および/または第2の部分MD’’は、例えば、高さよりも大きい幅および長さを有する平坦な円盤、球体、楕円体、または任意の他の多面体形状もしくは不規則形状などの他の形状を有してもよく、これらのいくつかは
図37~
図39に例示されている。
【0662】
以下の開示の参照枠を提供するために、そして
図50、
図51および
図52に示されるように、第1の方向631は、ここでは、線A-Aに平行であり、第2の平面に平行であり、第2の部分MD’’の長さに平行である。第2の方向633は、ここでは、線B-Bに平行であり、第2の平面に平行であり、第2の部分MD’’の幅に平行である。第2の部分MD’’は、第1の端部632と、第1の端部632に対向する第2の端部634とを有する。第2の部分MD’’の長さは、第1の端部632と第2の端部634との間の長さとして定義される。第2の部分MD’’の長さは、さらに、連結部分MD-2の中心延長部C1とは異なる方向に延びている。第1の端部632および第2の端部634は、第2の平面に平行な方向に離間している。同様に、第1の部分MD’は、第1の端部と第2の端部との間の長さを有し、その長さは、接続部分MD-2の中心延長部C1とは異なる方向に延びている。
【0663】
第1の部分MD’、連結部分MD-2および第2の部分MD’’は、構造的に一体的なユニットを形成することができる。しかしながら、第1の部分MD’と連結部分MD-2が構造的に1つの一体的なユニットを形成し、第2の部分MD’’が別個のユニットを形成すること、または、第2の部分MD’’と連結部分MD-2が構造的に1つの一体的なユニットを形成し、第1の部分MD’が別個のユニットを形成することも可能である。
【0664】
加えて、または代替的に、第2の部分MD’’は、本開示の他の部分に記載されるように、取り外し可能および/または交換可能な部分639を構成し得る。
【0665】
以下の段落では、第2部分MD’’のいくつかの特徴および特性について説明する。しかしながら、これらの特徴および特性は、第1の部分MD’にも適用され得ることを理解されたい。
【0666】
第2の部分MD’’は、中間領域638、および遠位領域640を有する。中間領域638は、連結部分MD-2と第2の部分MD’’との間の連結インターフェース630によって画定され、遠位領域640は、連結部分MD-2と第2の部分MD’’との間の連結インターフェース630から第2の端部634まで延びる。
【0667】
組織部分610の第1の側面612の第1の組織表面616に面するおよび/または係合するように構成された第1の表面614は、実質的に平坦であってよい。換言すれば、第1の部分MD’は、組織部分610の方を向いた実質的に平坦な面を含んでよい。さらに、組織部分610から離れる方を向いた第1の部分MD’の対向面は、実質的に平坦であってもよい。同様に、組織部分610の第2の側面618の第2の組織表面622に係合するように構成された第2の表面620は、実質的に平坦であってよい。換言すれば、第2の部分MD’’は、組織部分610の方を向いた実質的に平坦な面を含んでよい。さらに、組織部分610から離れる方を向いた第2の部分MD’’の対向面は、実質的に平坦であってもよい。
【0668】
第2の部分MD’’は、第1の端部632から第2の端部634に向かってテーパ状であってもよく、したがって、第2の部分MD’’に、第2の部分MD’’の長さに沿って異なる高さおよび/または幅を与える。第2の部分はまた、第1の端部632および第2の端部634の各々から第2の部分MD’’の中間領域638に向かってテーパ状であってもよい。
【0669】
なおも
図49A~C、
図50、
図51、
図52、および
図53A~Cを参照すると、第2の部分MD’’および接続部分MD-2は、ここでは接続界面630を形成している。さらに、第2の部分MD’’は、第1の方向に沿った長さ方向の断面積を有し、第2の長さ方向の断面積690は、第1の長さ方向の断面積689よりも小さく、第1の長さ方向の断面積689は、第1の方向631に関して接続界面630の近くに位置する。これにより、第2の端部634に向かって先細になったテーパ状の第2の部分が形成される。第2の部分MD’’の長さ方向の断面積は、例えば
図50に示されるように、中間領域638の端部から第2の端部634に向かって連続的に減少することができる。減少は、例えば
図50に示されるように、直線的であってもよい。しかしながら、放物線状、指数関数状、階段状、または各段階の間に放射状の縁部を有する階段状など、長さ方向の断面積が減少する他のタイプも可能であり、これにより滑らかな丸みを帯びた輪郭が形成される。
【0670】
図49Bおよび
図49Cは、線A-Aに沿って見た場合に、長さ方向断面積が第2部分MD’’の長さ634に向かってどのように減少するかを示している。
図49Bは、第1の長さ方向断面積689を図示し、
図49Cは、第2の長さ方向断面積690を図示する。
【0671】
いくつかの実施形態では、長さ方向の断面積は、第2の端部634に向かう第2の部分の長さの大部分にわたって減少してもよい。いくつかの実施形態では、第2の端部634に向かう第2の部分の長さの少なくとも1/4にわたって長さ方向断面積が減少すれば十分である。
図50に示される例では、第2の部分の長さの約85%にわたって長さ方向の断面積が減少している。
【0672】
第2の部分MD’’が第1の方向631に沿った回転対称性を有することにより、例えば
図49Aに示されるように、第2の部分MD’’の形状は円錐形であってもよい。
【0673】
図51に示されるように、第2の部分MD’’は、本開示の他の部分で議論されるように、組織部分の第2の側の第2の組織表面に係合するように構成された第2の表面620を含む上面を有してもよく、上面または第2の表面620は、実質的に平坦であり、第2の平面に平行である。いくつかの実施形態では、上面は、連結部分MD-2の中央延長部C1に対して実質的に垂直であってもよい。これにより、第2の表面は、組織部分の第2の側部に対して平坦になるように構成され得る。このような実施形態では、第2の表面620の反対側であって、第1の部分MD’から離れる方向を向いている第2の部分MD’’の下面は、第2の端部634に向かって先細になるように構成されてよく、したがって、第2の端部634に向かって第1の方向631に沿って長さ方向の断面積が減少することが達成される。
【0674】
図52は、長さ方向の断面積が第2の部分MD’’の第2の端部634に向かって段階的に減少する実施形態を示す。ここで、第2の部分MD’’は、実質的に一定の直径を有し、それぞれの直径が第2の端部634に向かって小さくなる3つの主要セグメント692、693、694を有し、直径が第1の方向631に沿って減少する中間セグメント695、696によって接続されている。実質的に一定の直径を有する主要セグメントと、第1の方向632に沿って減少する直径を有する中間セグメントとの他の変形が可能であり、例えば、減少する直径を有する単一の中間セグメントによって接続された少なくとも2つの主要セグメント、減少する直径を有する3つの中間セグメントによって接続された少なくとも4つの主要セグメントなどが挙げられる。
【0675】
次に
図53A~Cを参照すると、
図51に図示されたものと同様の移植可能な通電医療装置が図示されている。
図53Aの透視図に見られるように、第2の部分MD’’は、第2の端部に向かって長さ方向の断面積が減少している。上面697もこの図に見えるが、実質的に平坦であり、第2の組織表面622に接触領域を提供する。第1の長さ方向断面積689は、
図53Bおよび
図53Cに見られるように、第2の断面積690よりも大きく、第1の長さ方向断面積689は、第1の方向に関して、連結部分MD-2と第2の部分MD’’との間の連結界面の近くに位置する。
【0676】
[他の側面と組み合わせ可能なさらなる側面 - コミュニケーション]
コミュニケーション・ハウジング
1.患者に埋め込まれた埋め込み可能な医療装置と通信するように構成された外部装置であって、該外部装置は、以下を備える:
- ディスプレイ装置、
- ディスプレイ装置と機械的かつ分離可能に接続するように構成されたハウジングユニットであって、該ハウジングユニットは、以下を含む:
- ディスプレイ装置からの通信を受信するための第1の通信ユニットと、
- 埋め込み型医療機器に通信を無線送信する第2の通信ユニット。
【0677】
2.側面1に記載の外部装置であって、外部装置は携帯型電子装置からなる、外部装置。
【0678】
3.外部装置が、埋め込み可能な医療装置の動作状態を変更するために埋め込み可能な医療装置と通信するように構成されている、態様1および2のいずれか1つに記載の外部装置。
【0679】
4.前記第1の通信部は、前記表示装置と無線通信するための無線通信部である、前記態様のいずれか1つに記載の外部装置。
【0680】
5.側面4に記載の外部装置であって、
- 第1の通信ユニットは、第1の通信周波数を使用してディスプレイ装置と無線通信するように構成され、
- 第2の通信ユニットは、第2の通信周波数を使用して埋め込み型医療機器と無線通信するように構成され、かつ
- 第1と第2の通信周波数は異なる。
【0681】
6.前記第2の通信ユニットは、100kHz未満の周波数の電磁波を用いて埋め込み型医療装置と無線通信するように構成されている、前記態様のいずれか1つに記載の体外装置。
【0682】
7.前記第2の通信ユニットは、40kHz以下の周波数の電磁波を用いて埋め込み型医療装置と無線通信するように構成されている、前記態様のいずれか1つに記載の体外装置。
【0683】
8.前記第1の通信ユニットは、100kHzを超える周波数の電磁波を用いて前記表示装置と無線通信するように構成されている、側面4~7のいずれか一項に記載の外部装置。
【0684】
9.前記態様のいずれか1つに記載の外部装置であって、
- 第1の通信ユニットは、第1の通信プロトコルを使用してディスプレイ装置と通信するように構成される、
- 第2の通信ユニットは、第2の通信プロトコルを使用して埋め込み型医療機器と無線通信するように構成され、かつ
- 第1通信プロトコルと第2通信プロトコルは異なる。
【0685】
10.前記ハウジングユニットは、以下を備える、側面3~9のいずれか1つに記載の外部装置:
- ディスプレイ装置と無線通信するように構成された第1のアンテナと、
- 埋め込み型医療装置との無線通信用に構成された第2のアンテナ。
【0686】
11.前記第1の通信ユニットは、前記表示装置と有線通信するための有線通信ユニットである、側面1~3のいずれか1つに記載の外部装置。
【0687】
12.前記表示装置は、以下を備える、前記態様のいずれか1つに記載の外部装置:
- ハウジングユニットと通信するための第1の通信ユニットと、
- 第2の外部機器と無線通信するための第2の通信ユニット。
【0688】
13.表示装置の第2の通信ユニットは、インターネットを介して第2の外部装置と通信するように構成されている、側面12に記載の外部装置。
【0689】
14.前記表示装置の前記第1の通信ユニットは、前記筐体ユニットと無線通信するための無線通信ユニットである、側面12および13のいずれか1つに記載の外部装置。
【0690】
15.側面14に記載の外部装置であって、
- ディスプレイ装置の第1の通信ユニットは、第1の通信周波数を使用してハウジングユニットと無線通信するように構成され、
- ディスプレイデバイスの第2の通信ユニットは、第2の通信周波数を使用して第2の外部デバイスと無線通信するように構成されており
- 第1と第2の通信周波数は異なる。
【0691】
16.側面14および15のいずれか1つに記載の外部装置であって、
- ディスプレイ装置の第1の通信ユニットは、第1の通信プロトコルを使用してハウジングユニットと無線通信するように構成される、
- ディスプレイデバイスの第2の通信ユニットは、第2の通信プロトコルを使用して第2の外部デバイスと無線通信するように構成されており、
- 第1通信プロトコルと第2通信プロトコルは異なる。
【0692】
17.前記表示装置は、以下を備える、側面14~16のいずれか1つに記載の外部装置:
- ハウジングと無線通信するように構成された第1のアンテナと、
- 第2の外部装置との無線通信用に構成された第2のアンテナ。
【0693】
18.前記第1の通信ユニットは、前記筐体ユニットと有線通信するための有線通信ユニットである、側面12~13のいずれか1つに記載の外部装置。
【0694】
19.前記表示装置は、患者にユーザーインターフェースを表示するように構成されている、前記態様のいずれか1つに記載の外部装置。
【0695】
20.前記筐体ユニットは、前記ユーザーインターフェースの表示に係る情報を前記表示装置に送信するように構成されている、前記態様のいずれか1つに記載の外部装置。
【0696】
21.表示装置は、以下のように構成されている、側面19および20のいずれか1つに記載の外部装置:
- 患者から埋め込み型医療装置への、または埋め込み型医療装置からの通信に関する入力を受信するステップと、
- 受信した入力に基づく通信をハウジング・ユニットに送信する。
【0697】
22.表示装置が、ユーザーインターフェースを表示し、患者からの入力を受け取るように構成されたタッチスクリーンを備える、側面19~21のいずれか1つに記載の外部装置。
【0698】
23.前記ハウジングユニットは、患者にユーザーインターフェースを表示するように構成されている、前記態様のいずれか1つに記載の外部装置。
【0699】
24.前記ハウジングユニットの第1の通信ユニットは、第2の通信ユニットを用いて、患者からの入力に係る埋め込み型医療装置からの通信を受信し、受信した入力に基づく通信を埋め込み型医療装置に無線送信するように構成されている、前記態様のいずれか1つに記載の外部装置。
【0700】
25.ハウジングユニットの第2の通信ユニットは、標準ネットワークプロトコルを使用して埋め込み型医療装置と無線通信するように構成されている、前記態様のいずれか1つに記載の外部装置。
【0701】
26.前記標準ネットワークプロトコルは、以下からなるリストから選択される、態様25に記載の外部装置:
RFIDタイプのプロトコル、
WLANタイプのプロトコル、
Bluetoothタイプのプロトコル、
BLEタイプのプロトコル、
NFCタイプのプロトコル、
3G/4G/5Gタイプのプロトコル、および
GSMタイプのプロトコル。
【0702】
27.前記筐体ユニットの前記第2の通信ユニットは、ブルートゥーストランシーバを備える、態様25に記載の外部装置。
【0703】
27.ハウジングユニットの第2の通信ユニットは、独自のネットワークプロトコルを使用して埋め込み型医療装置と無線通信するように構成されている、前記態様のいずれか1つに記載の外部装置。
【0704】
28.前記筐体ユニットの前記第2の通信ユニットは、UWBトランシーバを備える、態様25~27のいずれか1つに記載の外部装置。
【0705】
29.前記ハウジングユニットの前記第1の通信ユニットは、標準ネットワークプロトコルを使用して前記表示デバイスと無線通信するように構成されている、態様4~28のいずれか1つに記載の外部デバイス。
【0706】
30.標準ネットワークプロトコルがNFCタイプのプロトコルである、側面29に記載の外部装置。
【0707】
31.前記ハウジングユニットの前記第1の通信ユニットは、独自のネットワークプロトコルを使用して前記表示デバイスと無線通信するように構成されている、側面4~28のいずれか1つに記載の外部デバイス。
【0708】
32.前記筐体の第1の通信ユニットの通信範囲は、前記筐体の第2の通信ユニットの通信範囲よりも小さい、側面4~31のいずれか1つに記載の外部装置。
【0709】
33.前記表示装置の第1の通信ユニットの通信範囲は、前記表示装置の第2の通信ユニットの通信範囲よりも小さい、側面14~32のいずれか1つに記載の外部装置。
【0710】
34.前記ハウジングユニットおよび前記表示装置の少なくとも一方は、前記ハウジングユニットと前記表示装置との間の距離に基づいて、前記ハウジングユニットと前記表示装置との間の通信を可能にするように構成されている、前記態様のいずれか1つに記載の外部装置。
【0711】
35.前記ハウジングユニットおよび前記表示装置の少なくとも一方は、前記ハウジングユニットが前記表示装置に機械的に接続されていることに基づいて、前記ハウジングユニットと前記表示装置との間の通信を可能にするように構成されている、前記態様のいずれか1つに記載の外部装置。
【0712】
36.ハウジングユニットは、ハウジングユニットと埋め込み可能な医療装置との間の距離に基づいて、ハウジングユニットと埋め込み可能な医療装置との間の通信を可能にするように構成されている、先行する態様のいずれか1つに記載の外部装置。
【0713】
37.前記筐体は、前記表示装置から受信した通信を暗号化するように構成された暗号化ユニットをさらに備える、前記態様のいずれか1つに記載の外部装置。
【0714】
38.第2の通信ユニットを用いて、暗号化通信を埋め込み型医療装置に送信するようにハウジングユニットがさらに適合されている、態様37に記載の外部装置。
【0715】
39.次の少なくとも1つを可能にするために、表示デバイスの第2の通信ユニットが無効にされるように構成される、態様14~38のいずれか1つに記載の外部デバイス:
表示装置とハウジングユニットとの間の通信
ハウジングユニットと埋め込み型医療機器との間の通信。
【0716】
40.前記表示装置は、ウェアラブル装置またはハンドセットである、前記態様のいずれか1つに記載の外部装置。
【0717】
41.側面40に記載の外部装置であって、ハウジングユニットは、ウェアラブルデバイスまたはハンドセットのケースを構成する。
【0718】
42.埋め込み可能な医療装置が、患者の身体部分に力を及ぼすように構成された埋め込み可能な医療装置である、前記態様のいずれか1つに記載の外部装置。
【0719】
43.埋め込み可能な医療装置が、電気モーターと、電気モーターを制御するためのコントローラー(300)とを備える、前記態様のいずれか1つに記載の外部装置。
【0720】
44.移植可能医療装置がエネルギー消費部を備える、側面1~41のいずれか1つに記載の外部装置。
【0721】
45.患者に埋め込まれたときに埋め込み型医療装置と通信するように構成されたハウジングユニットであって、該ハウジングユニットは、ディスプレイ装置と機械的かつ分離可能に接続するように構成され、以下を含むハウジングユニット。
- ディスプレイ装置からの通信を受信する第1の通信ユニット、および
- 埋め込み型医療機器に通信を無線送信するための第2の通信ユニット。
【0722】
46.側面45に記載のハウジングユニットであって、表示装置はウェアラブルデバイスまたはハンドセットであり、ハウジングユニットは、ウェアラブルデバイスまたはハンドセット用のケースを備える、ハウジングユニット。
【0723】
47.前記第1の通信ユニットは、前記表示装置と無線通信するための無線通信ユニットである、側面45~46のいずれか1つに記載の筐体ユニット。
【0724】
48.側面47に記載のハウジングユニットであって、
- 第1の通信ユニットは、第1の通信周波数を使用してディスプレイ装置と無線通信するように構成され、
- 第2の通信ユニットは、第2の通信周波数を使用して埋め込み型医療機器と無線通信するように構成され、かつ
- 第1と第2の通信周波数は異なる。
【0725】
49.第2の通信ユニットが、100kHz未満の周波数の電磁波を用いて埋め込み型医療装置と無線通信するように構成されている、側面45~48のいずれか1つに記載のハウジングユニット。
【0726】
50.第2の通信ユニットが、40kHz未満の周波数の電磁波を用いて埋め込み型医療装置と無線通信するように構成されている、側面45~49のいずれか1つに記載のハウジングユニット。
【0727】
51.前記第1の通信ユニットは、100kHzを超える周波数の電磁波を用いて前記表示装置と無線通信するように構成されている、側面47~50のいずれか1つに記載の筐体ユニット。
【0728】
52.側面45~51のいずれか1つに記載のハウジングユニットであって、
- 第1の通信ユニットは、第1の通信プロトコルを使用してディスプレイ装置と無線通信するように構成される、
- 第2の通信ユニットは、第2の通信プロトコルを使用して埋め込み型医療機器と無線通信するように構成され、かつ
- 第1通信プロトコルと第2通信プロトコルは異なる。
【0729】
53.側面47~52のいずれか1つに記載のハウジングユニットであって、ハウジングユニットは、以下を備える、ハウジングユニット:
- ディスプレイ装置と無線通信するように構成された第1のアンテナ、および
- 埋め込み型医療装置との無線通信用に構成された第2のアンテナ。
【0730】
54.第1の通信ユニットは、ディスプレイ装置と有線通信するための有線通信ユニットである、側面45~46のいずれか1つに記載の筐体ユニット。
【0731】
55.側面45~54のいずれか1つに記載のハウジングユニットであって、ハウジングユニットは、ユーザーインターフェースの表示に関連する情報を表示装置に送信するように構成されている、ハウジングユニット。
【0732】
56.ハウジングユニットが、ディスプレイ装置から患者の入力を受け取るように構成されている、側面45~55のいずれか1つに記載のハウジングユニット。
【0733】
57.ハウジングユニットが、患者に対してユーザーインターフェースを表示するように構成されている、側面45~56のいずれか1つに記載のハウジングユニット。
【0734】
58.第2の通信ユニットが、標準ネットワークプロトコルを使用して埋め込み型医療装置と無線通信するように構成されている、態様45~57のいずれか1つに記載のハウジングユニット。
【0735】
59.前記標準ネットワークプロトコルは、以下からなるリストから選択される1つである、態様58に記載のハウジングユニット:
RFIDタイプのプロトコル、
WLANタイプのプロトコル、
Bluetoothタイプのプロトコル、
BLEタイプのプロトコル、
NFCタイプのプロトコル、
3G/4G/5Gタイプのプロトコル、および
GSMタイプのプロトコル。
【0736】
60.第2の通信ユニットがブルートゥーストランシーバを備える、態様58に記載の筐体ユニット。
【0737】
61.第2の通信ユニットが、独自のネットワークプロトコルを使用して埋め込み型医療装置と無線通信するように構成されている、態様45~57のいずれか1つに記載のハウジングユニット。
【0738】
62.ハウジングユニットの第2の通信ユニットがUWBトランシーバを備える、態様58~61のいずれか1つに記載のハウジングユニット。
【0739】
63.前記ハウジングユニットの前記第1の通信ユニットは、標準ネットワークプロトコルを使用して前記ディスプレイ装置と無線通信するように構成されている、態様47~62のいずれか1つに記載のハウジングユニット。
【0740】
64.標準ネットワークプロトコルがNFCタイプのプロトコルである、側面63に記載のハウジングユニット。
【0741】
65.前記ハウジングユニットの第1の通信ユニットは、独自のネットワークプロトコルを使用して前記ディスプレイ装置と無線通信するように構成されている、態様47~62のいずれか1つに記載のハウジングユニット。
【0742】
66.第1の通信ユニットの通信範囲は、第2の通信ユニットの通信範囲よりも小さい、側面47~65のいずれか1つに記載の筐体ユニット。
【0743】
67.ハウジングユニットは、ハウジングユニットと表示装置との間の距離に基づいて、ハウジングユニットと表示装置との間の通信を可能にするように構成されている、側面45~66のいずれか1つに記載のハウジングユニット。
【0744】
68.ハウジングユニットは、ハウジングユニットがディスプレイ装置に機械的に接続されることに基づいて、ハウジングユニットとディスプレイ装置との間の通信を可能にするように構成される、側面45~67のいずれか1つに記載のハウジングユニット。
【0745】
69.ハウジングユニットは、ハウジングユニットと埋め込み可能な医療機器との間の距離に基づいて、ハウジングユニットと埋め込み可能な医療機器との間の通信を可能にするように構成されている、側面45~68のいずれか1つに記載のハウジングユニット。
【0746】
70.側面45~69のいずれか1つに記載のハウジングユニットであって、ハウジングユニットは、ディスプレイデバイスから受信した通信を暗号化するように構成された暗号化ユニットをさらに備える、ハウジングユニット。
【0747】
71.側面70に記載のハウジングユニットであって、ハウジングユニットが、第2の通信ユニットを用いて、暗号化通信を埋め込み型医療機器に送信するようにさらに適合されている、ハウジングユニット。
【0748】
72.機械的に接続されたときのハウジングユニットとディスプレイ装置の最小バウンディングボックスが、ディスプレイ装置の最小バウンディングボックスより、10%広く、10%長く、または100%高くない、側面45~71に記載のハウジングユニット。
【0749】
73.側面45~72に記載のハウジングユニットであって、ハウジングユニットが、ハウジングがディスプレイ装置に機械的に接続されていないときに、患者によって使用されるように構成された1つ以上のスイッチを含む、ハウジングユニット。
【0750】
74.表示装置がハウジングユニットに機械的に接続されているとき、スイッチが表示装置によって少なくとも部分的に覆われている、側面73に記載のハウジングユニット。
【0751】
75.ハウジングユニットの少なくとも一部が、ディスプレイ装置に機械的に接続するために曲がるように構成されている、側面45~74のいずれか1つに記載のハウジングユニット。
【0752】
76.ハウジングユニットの少なくとも一部が、ディスプレイ装置の少なくとも一側面を覆うように構成されている、側面45~75のいずれか一項に記載のハウジングユニット。
【0753】
77.側面45~76のいずれか1つに記載のハウジングユニットであって、ハウジングユニットは、ディスプレイ装置を挟み込むように構成されている、ハウジングユニット。
【0754】
78.側面45~76のいずれか1つに記載のハウジングユニットであって、ハウジングユニットは、ハウジングユニットおよびディスプレイ装置に機械的に接続された取り付け装置によって、ディスプレイ装置に機械的に接続されるように構成されている、ハウジングユニット。
【0755】
79.ハウジングユニットが、ハウジングユニットをディスプレイ装置に磁気的に取り付けるための磁石を備える、側面45~76のいずれか1つに記載のハウジングユニット。
【0756】
80.ハウジングユニットが、患者の身体部分に力を及ぼすように構成された移植可能な医療装置と通信するように構成されている、側面45~79のいずれか1つに記載のハウジングユニット。
【0757】
81.ハウジングユニットが、電気モーターおよび電気モーターを制御するためのコントローラーを含む埋め込み型医療装置と通信するように構成されている、側面45~80のいずれか1つに記載の外部装置。
【0758】
[一般セキュリティ・モード]
1.埋め込み可能な医療装置のための埋め込み可能なコントローラであって、該埋め込み可能なコントローラは、以下を備える:
- 外部機器と無線通信するための無線トランシーバ、セキュリティモジュールと、
- 無線トランシーバ、セキュリティモジュールおよび埋め込み型医療機器と通信するように構成された中央ユニット:
- 無線トランシーバは、埋め込み型医療機器に対する少なくとも1つの指示を含む外部機器からの通信を受信し、受信した通信を中央ユニットに送信するように構成される、
- 中央装置は、外部装置から受信した通信に由来する安全な通信をセキュリティモジュールに送信するように構成され、かつ
セキュリティモジュールは、以下の少なくとも1つを行うように構成される:
- 安全な通信の少なくとも一部を復号化するステップと
- 安全な通信の真正性を検証する;
- セキュリティモジュールは、応答通信を中央ユニットに送信するように構成され
- 中央ユニットは、少なくとも1つの命令を埋め込み型医療機器に伝達するように構成され、少なくとも1つの命令は、以下に基づいている:
- レスポンス・コミュニケーション
- 応答通信と外部機器からの受信通信の組み合わせ。
【0759】
2.セキュリティモジュールが、中央ユニットからの通信を受け入れるための規則セットを備える、態様1に記載の移植可能コントローラ。
【0760】
3.無線トランシーバが、無線トランシーバによって無線通信を送受信することができないオフモードに置かれるように構成され、ルールのセットが、無線トランシーバがオフモードに置かれる場合にのみ中央ユニットからの通信を受け入れることを規定するルールを含む、態様2に記載の移植可能コントローラ。
【0761】
4.一組の規則が、無線トランシーバが特定の時間オフモードに置かれている場合にのみ中央ユニットからの通信を受け入れることを規定する規則を含んでいる、態様4に記載の移植可能コントローラ。
【0762】
5.前記中央ユニットは、前記外部装置からの受信通信のデジタル署名を検証するように構成されている、前記態様のいずれか1つに記載の埋め込み型コントローラ。
【0763】
6.前記ルールのセットは、受信した通信のデジタル署名が前記中央ユニットによって検証された場合にのみ、前記中央ユニットからの通信が受け入れられることを規定するルールを含む、態様4に記載の移植可能コントローラ。
【0764】
7.前記中央ユニットは、前記外部装置から受信した通信のサイズを確認するように構成されている、先行する態様のいずれか1つに記載の移植可能コントローラ。
【0765】
8.前記ルールのセットは、受信した通信のサイズが前記中央ユニットによって検証された場合にのみ、前記中央ユニットからの通信を受け入れることを規定するルールを含む、態様7に記載の移植可能コントローラ。
【0766】
9.前記態様のいずれか1つに記載の移植可能コントローラであって
- 無線トランシーバは、少なくとも第1および第2の暗号化レイヤで暗号化された外部デバイスからのメッセージを受信するように構成される、
- 中央ユニットは、第1の層の復号化を復号化し、第2の層の暗号化を構成するメッセージの少なくとも一部をセキュリティモデルに送信するように構成され、かつ
- セキュリティモジュールは、第2層の暗号化を解読し、セキュリティモジュールによって解読されたメッセージの一部に基づいて、応答通信を中央ユニットに送信するように構成される。
【0767】
10.中央ユニットは、デジタル署名を含むメッセージの一部を復号化するように構成され、デジタル署名が中央ユニットによって検証され得るようになっている、態様9に記載の移植可能コントローラ。
【0768】
11.前記中央ユニットは、前記中央ユニットによって前記メッセージサイズを検証できるように、前記メッセージサイズ情報を含む前記メッセージの一部を復号化するように構成されている、態様9に記載の移植可能コントローラ。
【0769】
12.前記中央ユニットは、前記メッセージの第1部分および第2部分を復号化するように構成され、前記第1部分は、前記第2部分の真正性を検証するためのチェックサムを含む、態様9に記載の移植可能コントローラ。
【0770】
13.セキュリティモジュールから送信される応答通信がチェックサムを含み、中央ユニットが、受信したチェックサムを用いて、中央ユニットによって復号化されたメッセージの少なくとも一部の真正性を検証するように構成されている、態様9~12のいずれか1つに記載の移植可能コントローラ。
【0771】
14.前記ルールのセットは、前記中央ユニットと前記セキュリティモジュールとの間のデータ転送速度に関連するルールを含む、態様4に記載の移植可能コントローラ。
【0772】
15.セキュリティモジュールが、デジタル署名がセキュリティモジュールによって検証され得るように、第2の暗号化層で暗号化されたデジタル署名を含むメッセージの一部を復号化するように構成されている、態様9~14のいずれか1つに記載の移植可能コントローラ。
【0773】
16.前記中央ユニットは、前記無線トランシーバがオフモードに置かれている場合にのみ、前記外部装置からの受信通信の一部を復号化することが可能である、態様4~15のいずれか1つに記載の埋め込み型コントローラ。
【0774】
17.中央ユニットは、無線トランシーバがオフモードに置かれている場合にのみ、埋め込み可能な医療機器に少なくとも1つの命令を通信することが可能である、態様4~16のいずれか1つに記載の埋め込み可能なコントローラ。
【0775】
18.埋め込み可能なコントローラが以下のように構成されている、先行する態様のいずれか1つに記載の埋め込み可能なコントローラ:
- 無線トランシーバを使用して、第1の非暗号化部分と第2の暗号化部分を含む外部デバイスからのメッセージを受信する、
- 暗号化された部分を復号化 し
- 暗号化されていない部分の真正性を検証するために、復号化された部分を使用する。
【0776】
19.中央ユニットは、以下のように構成されている、態様18に記載の移植可能コントローラ:
- 暗号化された部分をセキュリティモジュールに送信する、
- 暗号化された部分に含まれる情報がセキュリティモジュールによって復号化されたことに基づいて、セキュリティモジュールから応答通信を受信する、
- そして、暗号化されていない部分の真正性を検証するために、応答通信を使用する。
【0777】
20.非暗号化部分が、埋め込み可能な医療装置に対する少なくとも1つの命令の少なくとも一部を構成する、態様18~19のいずれか1つに記載の埋め込み可能なコントローラ。
【0778】
21.埋め込み可能なコントローラが以下のように構成されている、先行する態様のいずれか1つに記載の埋め込み可能なコントローラ:
- 無線トランシーバを使用して、患者の生理学的パラメータおよび埋め込まれた医療装置の物理的パラメータの少なくとも一方に関連する情報を含む外部装置からのメッセージを受信するステップと、
- 受信した情報を使ってメッセージの信憑性を検証する。
【0779】
22.患者の生理学的パラメータが、体温、心拍数および飽和値のうちの少なくとも1つを含む、態様21に記載の移植可能コントローラ。
【0780】
23.埋め込み型医療装置の物理的パラメータが、埋め込み型医療装置の現在の設定値または値、埋め込み型医療装置に送信された事前の指示、または埋め込み型医療装置のIDのうちの少なくとも1つを含む、態様21に記載の埋め込み型コントローラ。
【0781】
24.情報を含むメッセージの部分が暗号化されており、中央ユニットが、暗号化された部分をセキュリティモジュールに送信し、セキュリティモジュールによって復号化された情報に基づいて、セキュリティモジュールから応答通信を受信するように構成されている、側面21~23のいずれか1つに記載の移植可能コントローラ。
【0782】
25.前記セキュリティモジュールが、少なくとも1つのハードウェアベースの鍵を含むハードウェアセキュリティモジュールを備える、前記態様のいずれか1つに記載の埋め込み可能コントローラ。
【0783】
26.ハードウェアベースのキーが外部装置のハードウェアベースのキーに対応する、態様25に記載の移植可能コントローラ。
【0784】
27.ハードウェアベースのキーが、外部デバイスに接続可能なキーカード上のハードウェアベースのキーに対応する、態様25に記載の移植可能コントローラ。
【0785】
28.前記セキュリティモジュールが、少なくとも1つのソフトウェアベースの鍵を含むソフトウェアセキュリティモジュールを備える、前記態様のいずれか1つに記載の埋め込み可能コントローラ。
【0786】
29.ソフトウェアベースのキーが外部装置のソフトウェアベースのキーに対応する、態様28に記載の移植可能コントローラ。
【0787】
30.ソフトウェアベースのキーが、外部装置に接続可能なキーカード上のソフトウェアベースのキーに対応する、態様28に記載の移植可能コントローラ。
【0788】
31.前記セキュリティモジュールが、ソフトウェアベースの鍵とハードウェアベースの鍵との組合せからなる、前記態様のいずれか1つに記載の埋め込み型コントローラ。
【0789】
32.前記セキュリティモジュールが少なくとも1つの暗号プロセッサを備える、前記態様のいずれか1つに記載の埋め込み可能コントローラ。
【0790】
33.前記無線トランシーバは、携帯型外部装置からの通信を受信するように構成されている、前記態様のいずれか1つに記載の移植可能コントローラ。
【0791】
34.埋め込み可能な医療装置に対する少なくとも1つの命令が、埋め込み可能な医療装置の動作状態を変更するための命令を含んでいる、先行する態様のいずれか1つに記載の埋め込み可能なコントローラ。
【0792】
35.前記無線トランシーバは、100kHz未満の周波数の電磁波を使用して前記外部装置と無線通信するように構成されている、前記態様のいずれか1つに記載の埋め込み型コントローラ。
【0793】
36.無線トランシーバが、40kHz未満の周波数の電磁波を用いて外部装置と無線通信するように構成されている、態様35に記載の埋め込み可能コントローラ。
【0794】
37.前記態様のいずれか1つに記載の移植可能コントローラであって、
-無線トランシーバは、第1の通信プロトコルを使用して外部デバイスと無線通信するように構成される、
-中央ユニットは、第2の通信プロトコルを使用してセキュリティモジュールと通信するように構成され、
-第1通信プロトコルと第2通信プロトコルは異なる。
【0795】
38.前記無線トランシーバは、標準ネットワークプロトコルを使用して前記外部装置と無線通信するように構成されている、前記態様のいずれか1つに記載の埋め込み可能コントローラ。
【0796】
39.標準ネットワークプロトコルが、以下からなるリストから選択される、態様38に記載の移植可能コントローラ:
RFIDタイプのプロトコル、
WLAN タイプのプロトコル、
Bluetoothタイプのプロトコル、
BLEタイプのプロトコル、
NFCタイプのプロトコル、
3G/4G/5Gタイプのプロトコルと
GSMタイプのプロトコル。
【0797】
40.無線トランシーバが、独自のネットワークプロトコルを使用して外部装置と無線通信するように構成されている、態様1~37のいずれか1つに記載の移植可能コントローラ。
【0798】
41.無線トランシーバがUWBトランシーバを備える、態様1~40のいずれか1つに記載の移植可能コントローラ。
【0799】
42.前記セキュリティモジュールと前記中央ユニットとがコントローラで構成されている、前記態様のいずれか1つに記載の外部装置。
【0800】
43.無線トランシーバがコントローラ内に構成されている、態様42に記載の外部装置。
【0801】
44.埋め込み可能な医療装置が、患者の身体部分に力を及ぼすように構成された埋め込み可能な医療装置である、前記態様のいずれか1つに記載の外部装置。
【0802】
45.埋め込み可能な医療装置が電気モーターを備え、コントローラが電気モーターを制御するように構成されている、前記態様のいずれか1つに記載の外部装置。
【0803】
[可変インピーダンス_1]
1.を含む受信ユニットを備える移植可能医療装置:
- 経皮的に伝達されるエネルギーを受け取るように構成された少なくとも1つのコイル、
- コイルが受け取るエネルギーに関連するパラメータを測定するように構成された測定ユニット、
- コイルに電気的に接続された可変インピーダンス、
- 可変インピーダンスとコイルとの間の電気接続をオフにするために、可変インピーダンスとコイルとの間に配置されたスイッチ、および
以下のように構成されたコントローラ:
- 可変インピーダンスを制御 してインピーダンスを変化させ、それによって測定されたパラメータに基づいてコイルを調整するステップと
- 測定されたパラメータが閾値を超えたことに応答して、可変インピーダンスとコイル間の電気的接続をオフにするためのスイッチを制御する 。
【0804】
2.コントローラが、測定されたパラメータが閾値を超えたことに応答して可変インピーダンスを変化させるように構成されている、態様1に記載の移植可能医療装置。
【0805】
3.測定ユニットが、コイルによって受信されたエネルギーに関連するパラメータを時間期間にわたって測定するように構成されている、態様1および2のいずれか1つに記載の埋め込み可能な医療機器。
【0806】
4.測定ユニットが、コイルによって受信されるエネルギーの変化に関連するパラメータを測定するように構成されている、前記態様のいずれか1つに記載の埋め込み可能な医療装置。
【0807】
5.第1のスイッチがコイルの第1の端部分に配置され、埋め込み可能な医療装置が、コイルが埋め込み可能な医療装置の他の部分から完全に切り離され得るように、コイルの第2の端部分に配置された第2のスイッチをさらに備える、先行する態様のいずれか1つに記載の埋め込み可能な医療装置。
【0808】
6.受信ユニットが、パルスパターンに従って経皮的に伝達されるエネルギーをパルスで受信するように構成され、測定ユニットが、パルスパターンに関連するパラメータを測定するように構成されている、前記態様のいずれか1つに記載の埋め込み可能な医療装置。
【0809】
7.コントローラが、パルスパターンが予め定義されたパルスパターンから逸脱することに応答して可変インピーダンスを制御するように構成されている、態様6に記載の移植可能医療装置。
【0810】
8.コントローラは、パルスパターンが予め定義されたパルスパターンから逸脱することに応答して、可変インピーダンスとコイルとの間の電気的接続をオフにするためのスイッチを制御するように構成されている、態様6に記載の移植可能医療装置。
【0811】
9.測定ユニットが、埋め込み型医療装置内または患者の体内の 温度を測定するように構成され、コントローラが、測定された温度に応答して第1および第2のスイッチを制御するように構成される、前記態様のいずれか1つに記載の埋め込み型医療装置。
【0812】
10.前記可変インピーダンスは、抵抗器とコンデンサとを備える、前記態様のいずれか1つに記載の埋め込み可能な医療装置。
【0813】
11.可変インピーダンスが抵抗器とインダクタとからなる、前記態様のいずれか1つに記載の埋め込み可能な医療装置。
【0814】
12.可変インピーダンスがインダクタおよびキャパシタからなる、先行する態様のいずれか1つに記載の移植可能医療装置。
【0815】
13.可変インピーダンスがデジタル的に調整されたコンデンサからなる、先行する態様のいずれか1つに記載の移植可能医療装置。
【0816】
14.可変インピーダンスがデジタル電位差計からなる、前記態様のいずれか1つに記載の移植可能医療装置。
【0817】
15.可変インピーダンスが可変インダクタを備える、前記態様のいずれか1つに記載の移植可能医療装置。
【0818】
16.インピーダンスの変動は、受信ユニットによって受信される有効電力を低下させるように構成されている、先行する態様のいずれか1つに記載の埋め込み可能な医療装置。
【0819】
17.可変インピーダンスがコイルと直列に配置されている、前記態様のいずれか1つに記載の埋め込み型医療装置。
【0820】
18.可変インピーダンスがコイルに平行に配置されている、態様1~16のいずれか1つに記載の移植可能医療装置。
【0821】
19.受信ユニットに接続されたエネルギー蓄積ユニットをさらに備え、エネルギー蓄積ユニットが、受信ユニットによって受信されたエネルギーを蓄積するように構成されている、前記態様のいずれか1つに記載の移植可能医療装置。
【0822】
20.エネルギー消費部をさらに備える、前記態様のいずれか1つに記載の移植可能医療装置。
【0823】
21.埋め込み可能な医療装置のエネルギー消費部は、患者の身体部分に力を及ぼすように構成されている、態様20に記載の埋め込み可能な医療装置。
【0824】
22.移植可能な医療装置のエネルギー消費部分が電気モーターを備え、コントローラーが電気モーターを制御するように構成されている、態様20に記載の移植可能な医療装置。
【0825】
[可変インピーダンス_2]
1.受信ユニットを含む移植可能な医療機器:
- 経皮的に伝達されるエネルギーを受け取るように構成された少なくとも1つのコイル、コイルによって受信されたエネルギーに関連するパラメータを測定するように構成された測定ユニット、
-第1のスイッチはコイルの第1の端部に配置される、
-コイルの第2の端部に配置された第2のスイッチであって、コイルを埋め込み型医療装置の他の部分から完全に切り離すことができる、第2のスイッチと、
-測定されたパラメータに基づいて、埋め込み型医療装置の他の部分からコイルを完全に切り離すために、第1および第2のスイッチを制御するように構成されたコントローラ。
【0826】
2.コントローラが、測定されたパラメータが閾値を超えたことに応答して、第1および第2のスイッチを制御するように構成されている、態様1に記載の移植可能医療装置。
【0827】
3.測定ユニットが、コイルによって受信されたエネルギーに関連するパラメータを時間期間にわたって測定するように構成されている、態様1および2のいずれか1つに記載の埋め込み可能な医療機器。
【0828】
4.測定ユニットが、コイルによって受信されるエネルギーの変化に関連するパラメータを測定するように構成されている、前記態様のいずれか1つに記載の埋め込み可能な医療装置。
【0829】
5.受信ユニットが、パルスパターンに従って経皮的に伝達されるエネルギーをパルスで受信するように構成され、測定ユニットが、パルスパターンに関連するパラメータを測定するように構成されている、前記態様のいずれか1つに記載の埋め込み可能な医療装置。
【0830】
6.コントローラは、パルスパターンが予め定義されたパルスパターンから逸脱することに応答して、第1および第2のスイッチを制御するように構成されている、態様5に記載の移植可能医療装置。
【0831】
7.測定ユニットが、埋め込み型医療装置内または患者の体内の温度を測定するように構成されており、コントローラが、測定された温度に応答して第1および第2のスイッチを制御するように構成されている、前記態様のいずれか1つに記載の埋め込み型医療装置。
【0832】
8.受信ユニットに接続されたエネルギー蓄積ユニットをさらに備え、エネルギー蓄積ユニットが、受信ユニットによって受信されたエネルギーを蓄積するように構成されている、前記態様のいずれか1つに記載の移植可能医療装置。
【0833】
9.エネルギー消費部をさらに備える、前記態様のいずれか1つに記載の移植可能医療装置。
【0834】
10.移植可能な医療装置のエネルギー消費部は、患者の身体部分に力を及ぼすように構成されている、態様9に記載の移植可能な医療装置。
【0835】
11.移植可能な医療装置のエネルギー消費部分が電気モーターを含み、コントローラーが電気モーターを制御するように構成されている、態様9に記載の移植可能な医療装置。
【0836】
[可変インピーダンス_3]
1.を含む受信ユニットを備える移植可能医療装置:
- 経皮的に伝達されるエネルギーを受け取るように構成された少なくとも1つのコイル、
コイルによって受信されたエネルギーに関連するパラメータを測定するように構成された測定ユニットと
- コントローラ:
- 受信ユニットは、パルスパターンに従って、経皮的に伝達されるエネルギーをパルスで受信するように構成されており、
- 測定ユニットは、パルスパターンに関連するパラメータを測定するように構成され、
- コントローラは、受信エネルギーのパルスパターンが所定のパルスパターンから逸脱していることに応答して、受信ユニットを制御するように構成される。
【0837】
2.コイルの切り替えのためにコイルと直列に配置された少なくとも1つのスイッチをさらに備え、コントローラは、受信エネルギーのパルスパターンが所定のパルスパターンから逸脱することに応答して、コイルの切り替えを行うようにスイッチを制御するように構成されている、態様1に記載の移植可能な医療装置。
【0838】
3.インピーダンスを変化させ、それによってコイルを同調させるための、コイルに電気的に接続された可変インピーダンスをさらに備え、コントローラが、受信エネルギーのパルスパターンが所定のパルスパターンから逸脱することに応答して可変インピーダンスを制御するように構成されている、態様1に記載の移植可能医療装置。
【0839】
4.測定ユニットが、コイルによって受信されたエネルギーに関連するパラメータを一定期間にわたって測定するように構成されている、前記態様のいずれか1つに記載の埋め込み型医療装置。
【0840】
5.測定ユニットが、コイルによって受信されるエネルギーの変化に関連するパラメータを測定するように構成されている、前記態様のいずれか1つに記載の埋め込み可能な医療装置。
【0841】
6.測定ユニットが、埋め込み型医療装置内または患者の体内の温度を測定するように構成されており、コントローラが、測定された温度に応答して第1および第2のスイッチを制御するように構成されている、前記態様のいずれか1つに記載の埋め込み型医療装置。
【0842】
7.第1のスイッチがコイルの第1の端部分に配置され、埋め込み可能な医療装置が、コイルが埋め込み可能な医療装置の他の部分から完全に切り離され得るように、コイルの第2の端部分に配置された第2のスイッチをさらに備える、先行する態様のいずれか1つに記載の埋め込み可能な医療装置。
【0843】
8.可変インピーダンスが抵抗器とコンデンサとからなる、態様3に記載の移植可能医療装置。
【0844】
9.可変インピーダンスが抵抗器とインダクタとからなる、態様3に記載の移植可能医療装置。
【0845】
10.可変インピーダンスがインダクタとコンデンサとからなる、態様3に記載の移植可能医療装置。
【0846】
11.可変インピーダンスがデジタル的に調整されたコンデンサからなる、態様3に記載の移植可能医療装置。
【0847】
12.可変インピーダンスがデジタル電位差計からなる、態様3に記載の移植可能医療装置。
【0848】
13.可変インピーダンスが可変インダクタからなる、態様3に記載の移植可能医療装置。
【0849】
14.インピーダンスの変動が、受信ユニットによって受信される有効電力を低下させるように構成されている、態様3~12のいずれか1つに記載の移植可能医療装置。
【0850】
15.可変インピーダンスがコイルと直列に配置されている、態様3~13のいずれか1つに記載の移植可能医療装置。
【0851】
16.可変インピーダンスがコイルに平行に配置されている、態様3~13のいずれか1つに記載の移植可能医療装置。
【0852】
17.受信ユニットに接続されたエネルギー蓄積ユニットをさらに備え、エネルギー蓄積ユニットが、受信ユニットによって受信されたエネルギーを蓄積するように構成されている、前記態様のいずれか1つに記載の移植可能医療装置。
【0853】
18.エネルギー消費部をさらに備える、前記態様のいずれか1つに記載の移植可能医療装置。
【0854】
19.移植可能な医療装置のエネルギー消費部は、患者の身体部分に力を及ぼすように構成されている、態様18に記載の移植可能な医療装置。
【0855】
20.移植可能な医療装置のエネルギー消費部分が電気モーターを備え、コントローラが電気モーターを制御するように構成されている、態様18に記載の移植可能な医療装置。
【0856】
[コミュニケーションの方法]
1.前記システムの構成要素間で無線通信を行うステップを含む、前記態様のいずれか1つに記載の患者の体内に物質を注入するためのシステムを使用する方法。
【0857】
2.以下の工程の少なくとも1つを含む、態様1に記載の方法:
-システムのコントローラから、またはコントローラへ、あるいはコントローラからコントローラへ、およびコントローラからコントローラへの無線通信を暗号化する、
-無線通信を介してコントローラから送信されたデータに署名するステップと
-システムのユーザーを認証するために、患者の認証データを入力する。
【0858】
3.前記無線通信を暗号化するステップは、公開鍵による暗号化と秘密鍵による復号化を含む、態様2に記載の方法。
【0859】
4.側面3に記載の方法であって、少なくとも第1の鍵と第2の鍵とを結合することにより、秘密鍵を結合鍵として導出するステップを含む方法。
【0860】
5.無線通信を介してコントローラによって送信されたデータに署名するステップは、秘密鍵の使用を含み、本方法は、公開鍵を使用して署名されたデータを検証するステップをさらに含む、態様2から4のいずれか一項に記載の方法。
【0861】
6.患者の認証データを取得するステップを含む、態様2から5のいずれか一項に記載の方法。
【0862】
7.患者の認証データを取得するステップが、指紋リーダ、網膜スキャナ、カメラ、コードを入力するためのグラフィカルユーザインタフェース、およびマイクロフォンのうちの少なくとも1つを使用してそのようなデータを取得することを含む、態様6による方法。
【0863】
8.患者の感覚によって検出可能な感覚を生成するステップと、感覚に関連する患者の認証データを入力することによって、システムの2つのコントローラ間の通信チャネルを認証するステップとを含む、態様2から7のいずれか1項に記載の方法。
【0864】
9.通信チャネルを認証するステップは、認証データが、感覚ジェネレータによって生成された感覚に関連する感覚ジェネレータからのデータと一致することを検証するステップを含む、態様8に記載の方法。
【0865】
10.患者の感覚によって検出可能な感覚を生成するステップが、以下の少なくとも1つを生成することを含む、態様8または9に記載の方法:
- 固定周波数の機械的振動を含むか含まないかの振動、
- 固定周波数の機械的振動の重ね合わせを含むか含まないかの音、
- 赤外線パルスなどの非可視光パルスを含む、または含まない光信号、
- 視覚的な光パルスを含むか含まないかの光信号、
- 電流パルスを含む、または含まない電気信号と
- 熱パルスを含むか含まないかの熱信号。
【国際調査報告】