(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-18
(54)【発明の名称】最小ゲル含量を有する高分子量ポリマーの調製
(51)【国際特許分類】
C09J 4/02 20060101AFI20240910BHJP
C09J 11/06 20060101ALI20240910BHJP
C09J 7/30 20180101ALI20240910BHJP
C09J 133/00 20060101ALI20240910BHJP
C08F 20/12 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
C09J4/02
C09J11/06
C09J7/30
C09J133/00
C08F20/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024513907
(86)(22)【出願日】2022-07-27
(85)【翻訳文提出日】2024-04-25
(86)【国際出願番号】 IB2022056956
(87)【国際公開番号】W WO2023031695
(87)【国際公開日】2023-03-09
(32)【優先日】2021-09-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100130339
【氏名又は名称】藤井 憲
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】プリンス,ライアン ビー.
(72)【発明者】
【氏名】ウォール,アダム アール.
(72)【発明者】
【氏名】ケレン,バーバラ エル.
(72)【発明者】
【氏名】クーゲル,アレキサンダー ジェイ.
【テーマコード(参考)】
4J004
4J040
4J100
【Fターム(参考)】
4J004AA01
4J004AA10
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4J100BC07P
4J100CA01
4J100CA04
4J100JA03
(57)【要約】
接着剤(例えば、感圧接着剤)のための硬化性前駆体組成物、並びに関連する物品、アセンブリ、及び方法。提供される組成物は、50~100重量部の第1の重合性成分及び0~50重量部の第2の重合性成分を含む混合物と、混合物に可溶性である遷移金属錯体と、有効量の重合開始剤とを含有し、それによって、連鎖移動剤又は架橋剤が存在しない場合であっても、確立されたホットメルト技術によって容易に加工することができる、本質的にゲル含量のない高分子量ポリマー(すなわち、ホットメルト加工可能な接着剤)の形成が可能になる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレ接着剤組成物であって、
(a)50~100重量部の第1の重合性成分であって、第三級ではないアルキルアルコールの(メタ)アクリル酸エステルを少なくとも1つ含み、前記アルキル基は1~20個の炭素原子を含む、第1の重合性成分、及び
(b)0~50重量部の第2の重合性成分であって、前記(メタ)アクリル酸エステル以外の、成分(a)と共重合可能な変性用モノマーを少なくとも1つ含む、第2の重合性成分
を含み、(a)+(b)の合計が100重量部である、混合物と、
前記混合物に可溶な遷移金属錯体と、
有効量の重合開始剤と、を含む、プレ接着剤組成物。
【請求項2】
前記第1の重合性成分が、第一級アルキル(メタ)アクリレート、第二級アルキル(メタ)アクリレート、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載のプレ接着剤組成物。
【請求項3】
第1の重合性成分のアルキル基が1~18個の炭素原子を含む、請求項1又は2に記載のプレ接着剤組成物。
【請求項4】
前記第2の重合性成分が、アクリル酸、n-ビニルピロリドン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載のプレ接着剤組成物。
【請求項5】
前記遷移金属錯体が銅を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のプレ接着剤組成物。
【請求項6】
前記遷移金属錯体が、2-エチルヘキサン酸銅(II)、酢酸銅(II)、銅(II)アセチルアセトネート、トリフルオロ酢酸銅(II)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項5に記載のプレ接着剤組成物。
【請求項7】
前記重合開始剤が、ノーリッシュ(Norish)タイプI光開始剤である、請求項1~6のいずれか一項に記載のプレ接着剤組成物。
【請求項8】
重合開始剤の有効量が、(a)+(b)の合計に対して0.05重量%~1重量%である、請求項1~7のいずれか一項に記載のプレ接着剤組成物。
【請求項9】
粘着付与剤、可塑剤、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される添加剤を更に含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のプレ接着剤組成物。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載のプレ接着剤組成物を含む、重合した材料。
【請求項11】
試験方法2によって測定して、前記第1の重合性成分及び前記第2の重合性成分の、前記重合した材料への転化率が99%超である、請求項10に記載の重合した材料。
【請求項12】
試験方法1によって測定して、前記重合した材料が酢酸エチルに95%超可溶性である、請求項10又は11に記載の重合した材料。
【請求項13】
前記重合した材料が、試験方法4によって測定して2,000,000~4,000,000のMz、及び試験方法3によって測定して1.2~2.3の固有粘度を有する、請求項10~12のいずれか一項に記載の重合した材料。
【請求項14】
架橋剤、連鎖移動剤、粘着付与剤、可塑剤、膨脹性ポリマー微小球、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される添加剤を更に含む、請求項10~13のいずれか一項に記載の重合した材料。
【請求項15】
前記架橋剤がUV光下で反応する、請求項14に記載の重合した材料。
【請求項16】
前記架橋剤が電子ビーム照射下で反応する、請求項14に記載の重合した材料。
【請求項17】
前記連鎖移動剤がチオール官能基を含まない、請求項14に記載の重合した材料。
【請求項18】
前記連鎖移動剤が第二級アルコールを含む、請求項14に記載の重合した材料。
【請求項19】
前記連鎖移動剤が不飽和炭化水素を含む、請求項14に記載の重合した材料。
【請求項20】
前記可塑剤がアクリレート官能基を含まない、請求項14に記載の重合した材料。
【請求項21】
請求項10~20のいずれか一項に記載の重合した材料を含む、感圧接着剤。
【請求項22】
請求項10~20のいずれか一項に記載の重合した材料を含む、構造用接着剤。
【請求項23】
請求項10~20のいずれか一項に記載の重合した材料を含む、テープ。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
パッケージ材料が重合後に保持されるか(すなわち、第1のタイプの製品)、又は重合後かつその後の加工前に除去されるか(すなわち、第2のタイプの製品)のいずれかである、パッケージ化粘弾性組成物を作製する方法が知られている。例えば、米国特許第5,804,610号(Hamerら)は、これらの2つのタイプの製品を別々に、特にホットメルト接着剤組成物(本明細書では「ホットメルト加工可能な接着剤」とも呼ばれる)に関して開示及び記載しているが、記載されている原理は、他のタイプの粘弾性組成物、例えば、感圧接着剤全般、ホットメルト加工可能なシーラント、振動減衰材料、及び医療用途のためのゲルなどに等しく適用可能である。
【発明の概要】
【0002】
50~100重量部の第1の重合性成分及び0~50重量部の第2の重合性成分を含む混合物と、混合物に可溶な遷移金属錯体と、有効量の重合開始剤と、を含有する、組成物が本明細書に提供され、それによって、連鎖移動剤又は架橋剤が存在しない場合であっても、確立されたホットメルト技術によって容易に加工することができる、本質的にゲル含量のない高分子量ポリマー(すなわち、ホットメルト加工可能な接着剤)の形成が可能になる。
【0003】
開示されたプレ接着剤組成物を調製する方法、及びそのようなプレ接着剤組成物を含む物品も本明細書に記載される。
【0004】
本明細書で使用される場合、
「一般的な溶媒」は、当業者によって溶媒として一般的に使用される低分子量の有機液体を指し、脂肪族及び脂環式炭化水素(例えば、ヘキサン、ヘプタン、及びシクロヘキサン)、芳香族溶媒(例えば、ベンゼン、トルエン、及びキシレン)、エーテル(例えば、ジエチルエーテル、グリム、ジグリム、ジイソプロピルエーテル、及びテトラヒドロフラン)、エステル(例えば、酢酸エチル及び酢酸ブチル)、アルコール(例えば、エタノール及びイソプロピルアルコール)、ケトン(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、及びメチルイソブチルケトン)、スルホキシド(例えば、ジメチルスルホキシド)、アミド(例えば、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、及びN-メチル-2-ピロリドン)、ハロゲン化溶媒(例えば、メチルクロロホルム、1,1,2-トリクロロ-1,2,2-トリフルオロエタン、トリクロロエチレン、及びトリフルオロトルエン)、並びにそれらの混合物が挙げられ、ただし、「一般的な溶媒」からは、所与の組成物中でモノマーとして、又はそうでなければ反応物質として作用する種が除外され、
組成物中にいかなる量の材料も「本質的にない」は、「5重量パーセント未満」、「4重量パーセント未満」、「3重量パーセント未満」、「2重量パーセント未満」、「1重量パーセント未満」、「0.5重量パーセント未満」、「0.1重量パーセント未満」、又は「なし」で置き換えられてもよい。
【0005】
「膨張性ポリマー微小球」は、ポリマーシェルと、加熱時に膨張する気体、液体、又はそれらの組み合わせの形態のコア材料と、を含む微小球を指し、コア材料の膨張は、次に、少なくとも加熱温度でシェルを膨張させる。
【0006】
「ホットメルト加工可能な接着剤」とは、従来の条件下でホットメルト加工することができる、一般的な溶媒を本質的に含まない接着剤を意味し、ホットメルト加工は、ホットメルトブレンド及び押出を含む。
【0007】
「感圧接着剤」又は「PSA」とは、少なくとも以下の特性:a)粘着性の表面、b)指圧以下で接着する能力、c)いかなるエネルギー源による活性化もなしに接着する能力、d)意図された被着体上に保持されるのに十分な能力、及び好ましくはe)被着体からきれいに除去されるのに十分な凝集力を有し、典型的には、1Hz及び室温における0.3MPa未満の貯蔵弾性率を有するというダルキスト基準(Dahlquist criterion)を満たす材料を意味する。
【0008】
「構造用接着剤」とは、不可逆的硬化によって結合する接着剤、典型的には、重なり剪断試験を使用して、少なくとも689kPa(100psi)、いくつかの実施形態では少なくとも1379kPa(200psi)、いくつかの実施形態では少なくとも2067kPa(300psi)の破断応力(ピーク応力)として測定される、その意図される基材に結合したときの強度で結合する接着剤を意味する。
【0009】
本明細書で使用される全ての科学用語及び技術用語は、別途明記しない限り、当該技術分野で一般に使用される意味を有する。
【0010】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、「コーティングされた」及び「エンボス加工された」などの過去形動詞は、構造を表すことを意図しており、別段の指定がない限り、列挙された構造を得るために使用されるプロセスを制限することを意図していない。
【0011】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用する場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、内容が別途明示しない限り、複数の指示対象を有する実施形態を包含する。
【0012】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用する場合、用語「又は」は、そうでないことを内容が明示していない限り、全般的に、「及び/又は」を含む意味で用いられる。
【0013】
本明細書で使用される場合、「有する(have)」、「有する(having)」、「含む(include)」、「含む(including)」、「含む(comprise)」、「含む(comprising)」などは、オープンエンドの意味で用いられ、全般的に、「含むが、これらに限定されない」という意味である。「からなる」及び「から本質的になる」という用語は、「を含む」などの用語に包括されることが理解される。
【0014】
本開示の特徴及び利点は、発明を実施するための形態及び添付の特許請求の範囲を考慮することで、更に理解される。
【発明を実施するための形態】
【0015】
連鎖移動剤及び架橋剤を使用して、中程度の分子量、適切な凝集力、及び最小ゲル含量(例えば、5重量%未満)を有するパッケージ化粘弾性組成物を調製し、接着剤に使用して材料性能を加工条件とバランスさせることが知られている。しかしながら、高分子量ポリマー(すなわち、約2,000,000を超えるMzを有するポリマー)がこれらの既知の方法に従って製造される場合、より高いゲル含量が観察されることがあり、これは加工における困難性又は許容できないコーティング外観をもたらすことがある。場合により、特に感圧接着剤(「PSA」)用途において、これらのより高い分子量のポリマーが必要とされるので、これらの用途は、より低いゲル含量と併せて必要とされるより高い分子量範囲を達成するために、ホットメルト加工可能な接着剤の代わりに溶媒製ポリマーに依存することを余儀なくされてきた。
【0016】
本開示において実証されるように、驚くべきことに、プレ接着剤組成物のモノマー混合物に可溶性である遷移金属錯体(例えば、銅(II)塩)がパッケージ化粘弾性組成物の調製中に存在する場合、連鎖移動剤又は架橋剤が存在しない場合であっても、確立されたホットメルト技術を介して容易に加工することができる、本質的にゲル含量のない高分子量ポリマー(すなわち、ホットメルト加工可能な接着剤)を形成することが可能であることが見出された。
【0017】
一態様では、第1の重合性成分及び任意選択的に第2の重合性成分を含む混合物と、混合物に可溶な遷移金属錯体と、有効量の重合開始剤と、を含む、プレ接着剤組成物が本明細書で提供される。
【0018】
第1の重合性成分
本開示の好ましい実施形態では、プレ接着剤組成物は、50~100重量部、70~100重量部、90~100重量部、又は100重量部の第1の重合性成分を含む、混合物を含む。第1の重合性成分は、第三級ではないアルキルアルコールの(メタ)アクリル酸エステルを含み、アルキル基が1~20個の炭素原子、任意選択的に1~18個の炭素原子、任意選択的に1~16個の炭素原子、任意選択的に1~14個の炭素原子、任意選択的に1~12個の炭素原子、任意選択的に1~10個の炭素原子、又は任意選択的に1~8個の炭素原子を含む。いくつかの実施形態では、第1の重合性成分は、例えば、ベンジルアクリレート及びシクロベンジルアクリレートなどの芳香族アクリレートを含む。いくつかの好ましい実施形態では、第1の重合性成分は、第一級アルキル(メタ)アクリレート、第二級アルキル(メタ)アクリレート、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。有用な第一級アルキル(メタ)アクリレート及び第二級アルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソボルニルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、ラウリルアクリレート、シクロへキシルアクリレート、イソ-オクチルアクリレート、オクタデシルアクリレート、ノニルアクリレート、デシルアクリレート、イソボルニルアクリレート、ドデシルアクリレート、2-プロピルヘプチルアクリレート、ヘプタデカニルアクリレート、米国特許第8,137,807号(Clapperら)の実施例GM1に従って作製された2-ブチル-1-オクチルアクリレート、米国特許第8,137,807号(Clapperら)の実施例GM4に従って作製されたC18アクリレート異性体ブレンド、並びに米国特許第9,102,774号(Clapperら)に記載されるように調製されたアルキルアクリレート異性体ブレンドを挙げることができる。
【0019】
第2の重合性成分
本開示のいくつかの実施形態では、プレ接着剤組成物は、最大50重量部、最大30重量部、最大10重量部の第2の重合性成分であって、上述のメタアクリル酸エステル以外の、第1の重合性成分と共重合可能な変性用モノマーを少なくとも1つ有する、第2の重合性成分を含み、第1の重合性成分及び第2の重合性成分の合計は100重量部である、混合物を含んでもよい。第2の重合性成分の重合性成分として使用するために好適な非酸性官能性極性モノマーの代表的な例としては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、N-ビニルピロリドン、N-ビニルカプロラクタム、アクリルアミド、モノ-又はジ-N-アルキル置換アクリルアミド、t-ブチルアクリルアミド、ジメチルアミノエチルアクリルアミド、N-オクチルアクリルアミド、2-(2-エトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレート、2-メトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、2-メトキシエチルメタクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートなどのポリ(アルコキシアルキル)(メタ)アクリレート、ビニルメチルエーテルなどのアルキルビニルエーテル、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。好ましい極性モノマーとしては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及びN-ビニルピロリドンからなる群から選択されるものが挙げられる。いくつかの実施形態では、第2の重合性成分は、酸官能性モノマーを含んでもよく、酸官能基は、カルボン酸などの酸そのものであってもよく、又は一部分が、その塩、例えば、アルカリ金属カルボン酸塩などであってもよい。有用な酸官能性モノマーとしては、エチレン性不飽和カルボン酸、エチレン性不飽和スルホン酸、エチレン性不飽和ホスホン酸、及びこれらの混合物から選択されるものが挙げられるが、これらに限定されない。このような化合物の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、クロトン酸、シトラコン酸、マレイン酸、オレイン酸、β-カルボキシエチル(メタ)アクリレート、2-スルホエチルメタクリレート、スチレンスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、ビニルホスホン酸、及びこれらの混合物から選択されるものが挙げられる。入手しやすさから、酸官能性コポリマーの酸官能性モノマーは、概して、エチレン性不飽和カルボン酸、すなわち(メタ)アクリル酸から選択される。更により強い酸が所望である場合、酸性モノマーとしては、エチレン性不飽和スルホン酸及びエチレン性不飽和ホスホン酸が挙げられる。いくつかの好ましい実施形態では、第2の重合性成分は、アクリル酸、N-ビニルピロリドン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0020】
遷移金属錯体
本開示の実施形態において有用な遷移金属錯体としては、上述の第1の重合性成分及び第2の重合性成分の混合物に可溶性である錯体が挙げられる。いくつかの好ましい実施形態では、遷移金属錯体は銅を含む。いくつかの好ましい実施形態では、遷移金属錯体は、2-エチルヘキサン酸銅(II)、酢酸銅(II)、銅(II)アセチルアセトネート、トリフルオロ酢酸銅(II)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。本開示のプレ接着剤組成物は、典型的には、第1の重合性成分及び存在する場合第2の重合性成分を含む混合物の総重量に基づく重量部で、0.01重量%~0.2重量%、任意選択的に0.02重量%~0.12重量%の遷移金属錯体を含む。
【0021】
重合開始剤
本開示の実施形態において有用な重合開始剤は、当該技術分野において既知であり、IGM Resins(Waalwijk,The Netherlands)から商品名OMNIRADで入手可能なものなどのノリッシュ(Norrish)タイプI光開始剤が挙げられる。好適な光開始剤としては、例えば、2,2-ジメトキシー1,2-ジフェニルエタン-1-オン(OMNIRAD 651)、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン(OMNIRAD 1173)、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニル-ケトン(ONNIRAD 184)、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニルホスフィンオキサイド(OMNIRAD TPO)、及び2,4,6-トリメチルベンゾイルフェニルホスフィネート(OMNIRAD TPO-L)が挙げられる。
【0022】
光開始剤は、典型的には、第1の重合性成分及び存在する場合第2の重合性成分の総重量に基づいて、最大約1重量%の量でプレ接着剤組成物中に存在する。いくつかの場合には、光開始剤は、0.05重量%以上、0.07重量%以上、又は0.1重量%以上;かつ1重量%以下、0.8重量%以下、又は0.6重量%以下の量で存在する。換言すれば、光開始剤は、第1の重合性成分の重合性成分及び存在する場合第2の重合性成分の総重量に基づいて、約0.05重量%~1重量%、0.07重量%~0.8重量%、又は0.1重量%~0.6重量%の量で存在し得る。
【0023】
プレ接着剤組成物添加剤
当業者によく知られている様々な他の任意選択の成分、例えば、粘着付与剤、可塑剤、酸化防止剤、及びこれらの組み合わせなどを、プレ接着剤組成物に添加することができる。本開示の実施形態において有用な粘着付与剤は、当該技術分野において既知であり、例えば、Arakawa Europe GnbH(Germany)から入手可能なARKON P-125炭化水素樹脂、ヤスハラケミカルから入手可能なCLEARON P150、及びEastman Chemical Company,Kingsport,Tennesseeから入手可能なENDEX 160が挙げられ得る。可塑剤は、好ましくは不揮発性かつ非反応性である。特に有用な可塑剤としては、例えば、Dow Chemical Co.,Midland,MIから入手可能なメトキシポリエチレンオキシドのアクリレート官能性誘導体であるCARBOWAX 750、及びBASF Company,Ludwigshafen,Germanyから入手可能なエチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマー可塑剤であるPLURONIC 25R4が挙げられる。酸化防止剤は、紫外線又は熱によって引き起こされる過酷な環境による老化から保護するために使用することができる。酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール、アミン、及び硫黄、並びにリン水酸化物分解剤が挙げられる。好ましい酸化防止剤としては、例えば、BASF,Ludwigshafen,Germanyから市販されているIRGANOX 1076及びIRGANOX 1010が挙げられる。該して、各添加剤の量は、得られる組成物の意図される使用に応じて異なる。
【0024】
物品
本開示のプレ接着剤組成物は、当業者に既知の方法によって、及び以下の実施例に記載されるように、調製及び加工されてもよい。開示されたプレ接着剤組成物を含む重合した材料は、例えば、第1の重合性成分、任意選択的に第2の重合性成分、混合物に可溶性である遷移金属錯体、及び重合開始剤を好適な反応容器内でブレンドし、続いて密封フィルム受け器に収容されたプレ接着剤組成物を紫外(「UV」)線に曝露することによって作製することができる。いくつかの好ましい実施形態では、照射により、第1の重合性成分及び第2の重合性成分の、重合した材料への転化率が99%超になり得る。いくつかの好ましい実施形態では、重合した材料は、酢酸エチルに95%超の可溶性、96%超の可溶性、97%超の可溶性、又は98%超の可溶性である。いくつかの好ましい実施形態では、重合した材料は、2,000,000~4,000,000のMzを有する。いくつかの好ましい実施形態では、重合した材料は、1.2~2.3の固有粘度を有する。
【0025】
最終製品の所望の特性に応じて、例えば、架橋剤(例えば、1,6-ヘキサンジオールアクリレート)、連鎖移動剤(例えば、アルケン、アルコール)、粘着付与剤、可塑剤、膨張性ポリマー微小球、及びこれらの組み合わせなどの他の添加剤も重合した材料に含まれ得る。いくつかの実施形態では、架橋剤は、UV光下で反応する。いくつかの実施形態では、架橋剤は、電子ビーム照射下で反応する。いくつかの実施形態では、連鎖移動剤は、チオール官能基を含まない。いくつかの実施形態では、連鎖移動剤は、第二級アルコールを含む。いくつかの実施形態では、連鎖移動剤は、不飽和炭化水素を含む。本開示の実施形態に好適な粘着付与樹脂の有用な例としては、液体ゴム、脂肪族及び芳香族炭化水素樹脂、ロジン、二量化又は水素化バルサム(hydrogenated balsams)及びエステル化アビエチン酸などの天然樹脂、ポリテルペン、テルペンフェノール樹脂、フェノール-ホルムアルデヒド樹脂、及びロジンエステルが挙げられるが、これらに限定されない。可塑剤の有用な例として、ポリブテン、パラフィン油、ナフテン油、ワセリン、及びジトリデシルフタレートなどの長脂肪族側鎖を有する特定のフタレートが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、可塑剤は、アクリレート官能基を含まない。本開示の実施形態において有用な膨張性ポリマー微小球としては、米国特許第7,879,441号(Gehlenら)に記載されているものが挙げられる。
【0026】
いくつかの実施形態では、重合した材料は、例えば、感圧接着剤、構造用接着剤、又はホットメルト接着剤などの接着剤の成分である。そのような接着剤組成物及び基材を含む、物品が提供される。いくつかの実施形態では、接着剤組成物の層は基材に隣接して配置される。接着剤組成物を基材と直接接触させてもよく、又はより多くの層のうちの1つ、例えばプライマー層によって基材から分離させてもよい。
【0027】
任意の好適な基材を使用することができる。いくつかの物品において、基材は可撓性である。可撓性の基材材料の例としては、ポリマーフィルム、織布又は不織布;金属箔、発泡体(例えば、ポリアクリル系、ポリエチレン、ポリウレタン)、及びこれらの組み合わせ(例えば、金属化ポリマーフィルム)が挙げられるが、これらに限定されない。ポリマーフィルムとしては、例えば、ポリプロピレン(例えば、二軸延伸)、ポリエチレン(例えば、高密度又は低密度)、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン(例えば、熱可塑性ポリウレタン)、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate、「PET」)、ポリエチレンナフタレート(polyethylene naphthalate、「PEN」)、及びポリ乳酸コポリマー)、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメチル(メタ)アクリレート(polymethyl(meth)acrylate、「PMMA」)、ポリビニルブチラール、ポリイミド、ポリアミド、フルオロポリマー、酢酸セルロース、トリアセチルセルロース(triacetyl cellulose、TAC)、エチルセルロース、及び多環式オレフィンポリマー(polycyclic olefin polymers、「COP」)が挙げられる。織布又は不織布としては、合成材料又は天然材料の繊維又はフィラメント、例えばセルロース、綿、ナイロン、レーヨン、ガラス、及びセラミックなどが挙げられる。
【0028】
いくつかの実施形態において、物品は接着テープであるか、又は接着テープを備える。このような接着テープの例としては、転写テープ、片面接着テープ、基材の各側に接着剤層を有する両面テープ(すなわち、例えば、発泡体などのコア基材)、又はダイカット接着剤物品(例えば、物品は、1つの剥離ライナーに隣接して配置された、若しくは2つの剥離ライナーの間に配置された、接着剤層を有する)が挙げられる。このような接着テープは、バッキング又は剥離ライナーとして使用するための多種多様な基材を含んでもよい。例としては、織布及び不織布材料、プラスチックフィルム、金属箔などが挙げられる。
【0029】
接着テープは、多くの場合、片面テープ又は両面テープを製造するための従来のコーティング技術を用いて、様々な可撓性又は非可撓性バッキング材料及び/又は剥離ライナー上に接着剤組成物をコーティングすることによって調製される。片面接着テープの場合、接着剤組成物を、バッキング材料の層上にコーティングすることができ、接着剤が配置されるところの反対側のバッキング材料の側を、好適な剥離材料(例えば、剥離層又は剥離ライナー)でコーティングすることができる。剥離材料は公知であり、例えば、シリコーン、ポリエチレン、ポリカーバメート、ポリアクリル系などの材料が挙げられる。両面接着テープについて、第1の接着剤組成物がバッキング材料の層上にコーティングされ、接着剤組成物の第2の層がバッキング材料の反対側の表面上に配置される。第2の層は、本明細書に記載される接着剤組成物を含んでも、異なる接着剤組成物を含んでもよい。ダイカット接着剤物品又は転写テープについて、接着剤組成物は、典型的には、2つの剥離ライナーの間に配置される。接着剤物品はまた、別の物品の一部とすることもできる。例えば、接着剤組成物は、物品の2つの部分を一緒に結合することができる。
【0030】
本開示の目的及び利点は以下の非限定的な実施例によって更に例証されるが、これらの実施例に列挙される具体的な材料及びそれらの量、並びに他の条件及び詳細は、本開示を過度に制限するものと解釈されるべきではない。
【実施例】
【0031】
別段の記載がない限り、又は文脈から容易に明らかでない限り、実施例及び本明細書のその他の箇所における全ての部、百分率、比などは、重量基準である。
【表1】
【0032】
実施例で使用される「100%固形分」又は「バルク」ポリマーの調製
モノマー混合物は、反応性アクリルモノマー、光開始剤、酸化防止剤、及び銅(II)塩を広口瓶内でブレンドすることによって調製した。この混合物に、磁気撹拌子を加え、混合物を撹拌プレート上に定置し、硬化性組成物を形成した。EVAフィルムをヒートシールして、各々18cm×5cmの開放端受け器を形成した。各受け器に約24グラムの硬化性組成物を充填した。空気を開口端から出し、次に開口端を、ヒートシーラー(J.J.Elemer Corp.,St.Louis,MOから商品名「MIDWEST PACIFIC IMPULSE SEALER」で入手)を用いて密封した。内部に封入された硬化性組成物を有する密封されたEVAフィルム受け器を、16℃の水浴中に一定温度で浸漬し、紫外光(365nm、4mW/cm2)で各面に対して9分間ずつ照射し、硬化性組成物を重合させた。重合した試料を、以下に記載するように、試験のためにEVAフィルム受け器から取り出した。
【0033】
試験方法
試験方法1:ゲル含量の測定
約24gの矩形ポリマー試料を、予め秤量した矩形メッシュの中心に置いた。メッシュは、0.0026インチ(66マイクロメートル)のワイヤ、及び0.0041インチ(104マイクロメートル)の開口部を使用した、150メッシュの織り構造の、ステンレス鋼タイプ304のウィーブワイヤクロス(McMaster-Carr Co.,Elmhurst,ILから商品名「MCMASTER-CARR」で入手)であった。メッシュの突出部を内側に折り畳み、メッシュの内側に試料を包み込んで固定化した。封入されたポリマーを有する折り畳まれたメッシュを秤量し、次いで、メカニカルローラー上に置かれたガラス広口瓶内の約8オンス(約240ml)の酢酸エチルに24時間浸漬した。続いてポリマーを有するメッシュを広口瓶から取り出し、オーブン内で30分間、120℃で乾燥し、再度秤量し、試料の質量を算出した。ポリマーのゲル化した不溶性部分を、以下の式を使用し、ゲル重量パーセント(「ゲル重量%」)として算出した。
【数1】
【0034】
試験方法2:固形分パーセントの測定
試験材料の試料(0.5g~2.0g)を秤量し、小さなアルミニウム製開放容器に入れ、対流式オーブン(VWR Corporation,Radnor,PAから商品名「SYMPHONY」で入手)内で一晩、約105℃に維持して、乾燥試料を準備した。乾燥試料の重量を測定し、記録した。蒸発したモノマーの重量減少の測定値により、ポリマーに変換されたモノマーの量を算出し、重量パーセント(重量%)として表した。
【0035】
試験方法3:固有粘度(「IV」)の測定
本明細書に報告した固有粘度(IV)は、当業者に既知の従来法によって得た。IVは、10mLのポリマー溶液(酢酸エチル中0.3g/dLのポリマー)の流動時間を測定するために27℃に制御された水浴中、単一浴希釈溶液ポリマー粘度計(Cannon Instrument Co.,State College,PAから商品名「MINIPV-X」で入手)を使用して得られた。従った試験手順及び使用装置は、Textbook of Polymer Science,F.W.Billmeyer,Wiley-Interscience,Second Edition,1971,Pages 84 and 85に詳しく記載されている。
【0036】
試験方法4:GPC分析
約50mgのポリマー固形分を10mLのTHF(250ppmのBHTで安定化)中に入れた。試料を、メカニカルシェーカー(Eberbach Corporation,Belleville,MIから商品名E6010.00で入手)上で約3時間、低速で混合して、ポリマー溶液を準備した。全てのポリマー溶液を0.45ミクロンシリンジフィルターに通し、ゲル浸透クロマトグラフィー(「GPC」)によって分析した。GPCは、ポンプ、カラム及び検出器からなる。カラム及び検出器を以下に記載する。ポンプは、Agilent Technologies,Santa Clara,CAから商品名「AGILENT 1100 HPLC」で入手した。試料を調製し、二連で分析し、2つの値の平均を報告した。
【0037】
GPC装置及び条件:
試料:テトラヒドロフランで安定化され
0.45ミクロンの膜に通して濾過された試料5mg/mLで、50μLを注入
移動相:安定化されたUVグレードのテトラヒドロフラン(MilliporeSigma Co.,Burlington,MAから商品名「EMD OMNISOLV」で入手);又は同等グレードテトラヒドロフラン
流速:1.0mL/分
検出器:屈折率検出器(Agilent Technologies,Santa Clara,CAから商品名「1200 SERIES G1362」で入手)
カラム:公称MW範囲500~107ダルトンの2本(Agilent Technologies,Santa Clara,CAから商品名「PLGEL 10 MICRON MIXED-B」で入手)、及び公称MW範囲200~400000ダルトンの1本(Agilent Technologiesから商品名「PLGEL 5 MICRON MIXED-D」で入手)全てのカラムは7.8mm×300mmである。カラムを40℃で保持する。
標準:ポリスチレン、狭い分散性;6.035×106~580のMpの範囲;(三次多項式フィット)Agilent,Santa Clara,CAから商品名「EASICAL PS-1」で入手
シリンジフィルタータイプ:0.45ミクロンのPTFE
略語:
Mw=重量平均分子量
Mn=数平均分子量
Mz=Z平均分子量
多分散性=Mw/Mn、分布曲線の幅に関する数字
【0038】
比較例CE1及び実施例2~6:最小ゲル含量を有する高分子量ポリマーの調製及び分析
各実施例/比較例について、「100%固形分」又は「バルク」ポリマーの調製」のための全般手順に続いて、表1に列挙される量(異性体混合物A及びAAの総重量に基づく重量部)を使用して、比較例(CE-1)及び5つの実施例(Ex.2~6)を提供した。
【表2】
【0039】
CE-1及び実施例2~6の各々についてGPC分析を行った。結果を表2にまとめる。
【表3】
【0040】
CE-1及び実施例2~6の各々について、ゲル含量及び固有粘度(「IV」)測定を行った。結果を表3にまとめる。
【表4】
【0041】
実施例7~10:最小ゲル含量及び1.8超の固有粘度を有する高分子量ポリマーの調製及び分析
実施例は、出発材料及びそれらの量(IOA、MA、及びAAの総重量に基づく重量部)が表4に示されるとおりであったことを除いて、「「100%固形分」又は「バルク」ポリマーの調製」のための全般手順に従って作製した。
【表5】
【0042】
実施例7~10の各々について、ゲル含量及び固有粘度(「IV」)測定を行った。結果を表5にまとめる。
【表6】
【0043】
実施例11~12:最小ゲル含量を有するIOAを含む高分子量ポリマーの調製及び分析
実施例は、材料の量(IOA及びAAの総重量に基づく重量部)が表6に示されるとおりであったことを除いて、「「100%固形分」又は「バルク」ポリマーの調製」のための全般手順に従って作製した。
【表7】
【0044】
実施例7~10の各々について、ゲル含量及び固有粘度(「IV」)測定を行った。結果を表7にまとめる。
【表8】
【0045】
実施例13~16:様々なCu(II)源を使用して作製された最小ゲル含量を有する高分子量ポリマーの調製及び分析
実施例は、材料の量(ISOMER MIX A及びAAの総重量に基づく重量部)が表8に示されるとおりであったことを除いて、「「100%固形分」又は「バルク」ポリマーの調製」のための全般手順に従って作製した。
【表9】
【0046】
実施例13~16の各々について、ゲル含量及び固有粘度(「IV」)測定を行った。結果を表9にまとめる。
【表10】
【0047】
実施例17~22:UV硬化高分子量ポリマーの調製及び分析
実施例は、材料の量(異性体混合物A及びAAの総重量に基づく重量部)が表10に示されるとおりであったことを除いて、「「100%固形分」又は「バルク」ポリマーの調製」のための全般手順に従って作製した。
【表11】
【0048】
Cu(2-エチルヘキサノエート)の存在下及び非存在下での材料のUV硬化を試験した。表10からの材料の試料を、二軸押出機において160℃で3分間配合した。得られたホットメルト物を、ドロップダイを用いてシリコーン剥離ライナー上にコーティングした。ダイ及び押出機の押出温度を、160℃に維持した。押出された試料を3ミル(76マイクロメートル)の厚さでコーティングした。その後、試料をPETフィルム(Mitsubishi Polyester Film,Inc.,Greer,SCから商品名「HOSTAPHAN 3SAB」で入手)上に積層し、表11に示すように、UV溶融ランプ及びHバルブを使用して複数のUV-C線量で硬化させた。所与のUV-C放射線で硬化させた実施例17~22の各々についてゲル含量測定を行った。ゲル重量%を測定し、結果を表11にまとめる。
【表12】
【0049】
実施例23~26:電子ビーム硬化高分子量ポリマーの調製及び分析
実施例は、材料の量(IOA、MA及びAAの総重量に基づく重量部)が表12に示されるとおりであったことを除いて、「「100%固形分」又は「バルク」ポリマーの調製」のための全般手順に従って作製した。
【表13】
【0050】
材料の電子ビーム硬化を試験した。表12からの材料の試料を二軸押出機にて160℃で配合した。得られたホットメルトを、ドロップダイを用いてシリコーン剥離ライナー上にコーティングした。ダイ及び押出機の押出温度を、160℃に維持した。押出された試料を3ミル(約76マイクロメートル)の厚さでコーティングした。その後、試料をPETフィルム(Mitsubishi Polyester Film,Inc.,Greer,SCから商品名「HOSTAPHAN 3SAB」で入手)上に積層し、電子ビーム発生装置を使用して、様々な電子ビーム線量で硬化させた。実施例23~26の各々についてゲル含量測定を行った。電子ビーム線量及びゲル重量%の結果を、表13にまとめる。
【表14】
【0051】
実施例27~29:アルケン連鎖移動剤を含む高分子量ポリマーの調製及び分析
実施例は、材料の量(IOA、MA及びAAの総重量に基づく重量部)が表14に示されるとおりであったこと及び不飽和炭化水素が処方物中に更に含まれたことを除いて、「「100%固形分」又は「バルク」ポリマーの調製」のための全般手順に従って作製した。
【表15】
【0052】
実施例27~29の各々について、ゲル含量及び固有粘度(「IV」)測定を行った。結果を表15にまとめる。
【表16】
【0053】
実施例30~32:アルコール連鎖移動剤を含む高分子量ポリマーの調製及び分析
実施例は、材料の量(IOA、MA及びAAの総重量に基づく重量部)が表16に示されるとおりであったこと及びアルコールが連鎖移動剤として添加されたことを除いて、「「100%固形分」又は「バルク」ポリマーの調製」のための全般手順に従って作製した。
【表17】
【0054】
実施例30~32の各々について、ゲル含量及び固有粘度(「IV」)測定を行った。結果を表17にまとめる。
【表18】
【0055】
実施例33~34:粘着付与剤を含む高分子量ポリマーの調製及び分析
実施例は、材料の量(ISOMER MIX及びAAの総重量に基づく重量部)が表18に示されるとおりであったこと及びArkon P125が粘着付与剤として混合物に添加されたことを除いて、「「100%固形分」又は「バルク」ポリマーの調製」のための全般手順に従って作製した。
【表19】
【0056】
実施例33は、銅塩及び粘着付与剤の両方の存在下であっても完全に重合することが分かった。実施例33について、ゲル含量及び固有粘度(「IV」)測定を行った。結果を表19にまとめる。
【表20】
【0057】
実施例34の一部分(100グラム)を、一軸押出機にて160℃で、Arkon P-125(20グラム)と3分間配合した。得られたホットメルト物を、ドロップダイを用いてシリコーン剥離ライナー上にコーティングした。ダイ及び押出機の押出温度は160℃に維持した。押出された試料を3ミル(76マイクロメートル)の厚さでコーティングした。材料は均質であることが観察された。
【0058】
実施例35~36:可塑剤を含む高分子量ポリマーの調製及び分析
実施例は、材料の量(Pluronic 25R4又はCarbowax 750のいずれかを含む異性体混合物A及びAAの総重量に基づく重量部)が表20に示されるとおりであったことを除いて、「「100%固形分」又は「バルク」ポリマーの調製」のための全般手順に従って作製した。Carbowax 750を反応性可塑化剤として添加し、Pluronic 25R4を官能性可塑化剤として添加した。
【表21】
【0059】
各試料についてゲル含量及びIV測定を行い、IV及びゲル重量%の結果を表21にまとめた。
【表22】
【0060】
実施例34の一部分(100グラム)を、一軸押出機にて160℃で、PLURONIC 25R4(20グラム)と3分間配合した。得られたホットメルト物を、ドロップダイを用いてシリコーン剥離ライナー上にコーティングした。ダイ及び押出機の押出温度を、160℃に維持した。押出された試料を3ミル(76マイクロメートル)の厚さでコーティングした。材料は均質であることが観察された。
【0061】
比較例CE-37~CE-40:Cu(II)塩の存在下で調製した溶液ポリマー
溶液重合法:表22に示される相対量(異性体混合物A、AA、及びIBOAの総重量に基づく重量部)を使用して、250mlの琥珀色ボトルに異性体混合物A、AA、(2-エチルヘキサン酸)Cu、HDDA、及びVazo 67を添加した。
【表23】
【0062】
酢酸エチル(100g)をボトルに添加し、これは反応後に約50%の固形分をもたらすのに十分であった。ボトルの内容物を徹底的に混合し、溶液に窒素ガスの一定流を2分間バブリングすることによって脱気した。次いでボトルを密封し、65℃に設定した水浴で24時間重合させた。24時間後、ボトルを取り出し、溶液中の得られたポリマーを、モノマー転化パーセント及びIV値を測定することによって分析した。結果を表23にまとめる。
【表24】
【0063】
特許に関する上記特許出願において引用された全ての参考文献、特許及び特許出願は、一貫した形でそれらの全容が参照により本明細書に組み込まれる。組み込まれた参考文献の一部分と本出願の一部分との間に不一致又は矛盾がある場合、前述の記載における情報が優先するものとする。前述の記載は、当業者が、特許請求の範囲に記載の開示を実践することを可能にするためのものであり、本開示の範囲を限定するものと解釈すべきではなく、本開示の範囲は特許請求の範囲及びその全ての等価物によって定義される。
【国際調査報告】