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特表2024-534218果実の摘果のための1-アミノ-1-シクロプロパンカルボン酸
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-18
(54)【発明の名称】果実の摘果のための1-アミノ-1-シクロプロパンカルボン酸
(51)【国際特許分類】
   A01G 7/06 20060101AFI20240910BHJP
   A01N 53/00 20060101ALI20240910BHJP
   A01P 21/00 20060101ALI20240910BHJP
   A01N 25/02 20060101ALI20240910BHJP
   A01G 17/00 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
A01G7/06 A
A01N53/00
A01P21/00
A01N25/02
A01G17/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024513970
(86)(22)【出願日】2022-09-01
(85)【翻訳文提出日】2024-03-07
(86)【国際出願番号】 US2022042313
(87)【国際公開番号】W WO2023034482
(87)【国際公開日】2023-03-09
(31)【優先権主張番号】63/240,485
(32)【優先日】2021-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】509319074
【氏名又は名称】バレント・バイオサイエンシーズ・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】Valent BioSciences LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100150500
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 靖
(74)【代理人】
【識別番号】100176474
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 信彦
(72)【発明者】
【氏名】マッカートニー,スティーブ
(72)【発明者】
【氏名】ウーラード,デレク ディ
(72)【発明者】
【氏名】シュレーダー,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ベルドゥーゴ マタマラ,アントニエタ イサベル
【テーマコード(参考)】
2B022
4H011
【Fターム(参考)】
2B022EA01
2B022EB06
4H011AB03
4H011BB15
4H011DA14
(57)【要約】
本発明は、開花前に植物に1-アミノ-1-シクロプロパンカルボン酸を施用することを含む、木本多年生植物の作物負荷を低減する方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1-アミノ-1-シクロプロパンカルボン酸(ACC)またはその水和物、その多形体またはその塩を、開花前に植物に有効量で施用することを含む、木本多年生植物の作物負荷を低減する方法。
【請求項2】
木本多年生植物が、ブドウのツル、キウイフルーツのツル、核果の木、仁果の木、ブルーベリーの低木およびイバラ、およびそれらの栽培品種、変種および雑種からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
木本多年草植物が、核果の木である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
核果果樹が、モモの木、ネクタリンの木、またはプラムの木である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
ACCまたはその水和物、その多形体またはその塩が、芽の段階から開花前まで植物に施用される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
有効量が、約1~約5,000ppmである、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
有効量が、約10~約2,000ppmである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
有効量が、約100~約1,000ppmである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
ACCまたはその水和物、その多形体またはその塩が、噴霧剤として植物に施用される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
噴霧剤が、葉面散布剤である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
1-アミノ-1-シクロプロパンカルボン酸(ACC)またはその水和物、その多形体またはその塩を、開花前に木に有効量で施用することを含む、モモの木またはプラムの木の作物負荷を低減する方法。
【請求項12】
ACCまたはその水和物、その多形体またはその塩が、芽の段階から開花前まで木に施用される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
ACCまたはその水和物、その多形体またはその塩が、ピンク色の芽の段階のモモまたはネクタリンの木、または白い芽の段階のプラムの木に施用される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
有効量が、約1~約5,000ppmである、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
有効量が、約10~約2,000ppmである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
有効量が、約100~約1,000ppmである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
ACCまたはその水和物、その多形体またはその塩が、噴霧剤として木に施用される、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
噴霧剤が、葉面散布剤である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
1-アミノ-1-シクロプロパンカルボン酸(ACC)またはその水和物、その多形体またはその塩を、約100~1,000ppmの量で、ピンク色の芽の段階のモモの木またはネクタリンの木、または白い芽の段階のプラムの木に施用することを含む、モモの木、ネクタリンの木、またはプラムの木の作物負荷を低減する方法。
【請求項20】
ACCまたはその水和物、その多形体またはその塩が、葉面散布で木に施用される、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1-アミノ-1-シクロプロパンカルボン酸またはその水和物、その多形体またはその塩を、開花前に植物に施用することを含む、木本多年生植物の作物負荷を低減する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アーモンド、アプリコット、チェリー、ネクタリン、モモ、およびプラムなどの核果果実は、米国および世界中で重要な多年生果物作物である。果実の量(トン数)ではなく、高品質でより大きな果実を生産することにますます重点が置かれている。消費者が年間を通じて高品質の果物を期待するようになったため、生産者は、現在、適切な色と最適な風味を備えた均一で大きな果実の作物を生産することが課題となっている。
【0003】
樹木への作物負荷の低減(間伐)は、高品質の樹木果実を生産するためによく用いられる。開花および結実中、生産者は、一般に、残す果実の大きさと品質を最大化するために、物理的または化学的に、花の除去(花の間引き、摘花)または若い果実の除去(小果実の間引き、摘果)を行う(Dennis、2000、Plant Growth Reg.31:1-16)。一般に、作物負荷が早く「間引かれる」ほど、収穫時の果物の品質は良くなる。各木の花や子実を手作業で取り除く(手で間引く)と、一定した結果が得られることがよくあるが、法外に高価になる可能性がある。
【0004】
費用効率の高い花または子実体の間引きには化学物質を使用することが好ましい。サイトカイニン 6-ベンジルアデニン(6BA)は、開花後に摘果する重要な化学物質であり、果実のサイズを大きくするのに特に効果的である。しかしながら、6BAで誘発される摘果は、生理学的条件および気象条件に影響されやすい(YuanおよびGreene、2000、J.Amer.Soc.Hort.Sci.125:169-176)。化学殺虫剤カルバリル(carbaryl)は、開花後のリンゴの小果実の摘果にしばしば使用される(Petracek et al.、2003、HortScience.38:937-942)。しかしながら、カルバリルは、規制上の課題に直面しており、ミツバチに有害であるため、一部の地域では栽培者がもはや利用できなくなっている。ミツバチへの害も、開花期にカルバリルを適用できない理由である。モモなどの核果の場合、1-アミノ-1-シクロプロパンカルボン酸を開花中または開花後に適用すると、摘果を誘発することが実証されている。米国特許第8,435,929号を参照。
【0005】
ほとんどの化学的摘果剤は開花後に施用される。現在まで、開花前の適用に広く受け入れられている化学的摘果剤はない。しかしながら、開花前の間引きには、花の数を低減し、最終的に間引かれる小果実に対する供給源の無駄が減るなど、いくつかの利点がある。さらに、霜による損失に耐えられるだけの十分な花芽が残る必要がある。
【0006】
したがって、本技術分野において、開花前に適用した場合に作物負荷を低減することができる効果的な化学的摘果剤が必要とされている。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、1-アミノ-1-シクロプロパンカルボン酸またはその水和物、その多形体またはその塩を、開花前に植物に施用することを含む、木本多年生植物の作物負荷を低減する方法に関する。
【0008】
本発明はさらに、1-アミノ-1-シクロプロパンカルボン酸またはその水和物、その多形体またはその塩を、開花前に植物に施用することを含む、核果の木または仁果の木における作物負荷を低減することに関する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
出願人は、予想外にも、開花前に、1-アミノ-1-シクロプロパンカルボン酸(「ACC」)を施用すると、作物負荷が効果的に減少し、収穫時の果実がより大きくなり、および/または品質がより高くなることを見出した。
【0010】
ACCは、本出願人によるいくつかの最近の特許出願の主題となっており、これには果実の摘果のためのものが含まれ、WO2010144779、WO2018183674、WO2018183680、WO2018183686、WO2018207693、およびWO2018207694が含まれる。列挙したこれらの特許出願のそれぞれは、参照により本明細書に組み込まれ、これらの特許出願に開示されている、ACCの塩、水和物、多形体、および製剤は、本発明の方法で使用され得るものである。
【0011】
ACCは、無機または有機の酸または塩基から誘導される塩の形態で使用することができる。本発明の活性成分の酸付加塩は、本発明の化合物の最終的な単離および精製中にその場で、または遊離塩基官能基を適切な有機酸と反応させることによって別途で、調製することができる。代表的な酸付加塩としては、これに限定されるものではないが、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、樟脳酸塩、カンファースルホン酸塩、ジグルコン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、フマル酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシエタンスルホン酸塩(イソチオネート)、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、ペクチン酸塩(pectinate)、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバリン酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、リン酸塩、グルタミン酸塩、重炭酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、およびウンデカン酸塩が挙げられる。また、塩基性窒素含有基は、薬剤で四級化することができ、例えば、メチル、エチル、プロピル、およびブチルの塩化物、臭化物、およびヨウ化物などの低級アルキルハロゲン化物;硫酸ジメチル、硫酸ジエチル、硫酸ジブチル、硫酸ジアミルなどのジアルキル硫酸塩;デシル、ラウリル、ミリスチル、ステアリルの塩化物、臭化物、ヨウ化物などの長鎖ハロゲン化物;臭化ベンジルおよび臭化フェネチルなどのハロゲン化アリールアルキルなどが挙げられる。これにより、水溶性または油溶性または分散性の生成物が得られる。酸付加塩を形成するために使用できる酸としては、例えば、塩酸、臭化水素酸、ヒアルロン酸、リン酸などの無機酸、および、シュウ酸、マレイン酸、メタノスルホン酸、コハク酸などの有機酸が挙げられる。塩基性付加塩は、本発明の化合物の最終的な単離および精製中に、その場で、カルボン酸含有部分を、適切な塩基と、例えば、薬学的に許容される金属カチオンの水酸化物、炭酸塩または重炭酸塩、またはアンモニアまたは有機第一級、第二級または第三級アミンなどと、反応させることによって、調製することができる。塩としては、これに限定されるものではないが、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムおよびアルミニウムの塩などのアルカリ金属またはアルカリ土類金属に基づくカチオン、および、非毒性の第四級アンモニアおよびアミンカチオン、とりわけ、アンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、メチルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム、およびエチルアンモニウムなどが挙げられる。塩基付加塩の形成に有用な他の代表的な有機アミンとしては、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペリジン、ピペラジンなどが挙げられる。
【0012】
本発明での使用に適したACCの水和物には、ACC三水和物およびACC無水物が含まれる。
【0013】
本発明は、ACCまたはその水和物、その多形体またはその塩を、開花前に植物に施用することを含む、木本多年生植物の作物負荷を低減する方法に関する。
【0014】
木本多年生植物とは、それらが成長した地面に枯れない幹(stem)を有する植物を意味し、これに限定されるものではないが、ブドウのツル、キウイフルーツのツル、核果(stone fruit)の木、仁果(pome fruit)の木、ブルーベリーの低木(bush)およびイバラ(bramble)、例えば、ラズベリー、ブラックベリー、それらの栽培品種(cultivars)、変種(varieties)、および雑種(hybrids)などが挙げられる。
【0015】
核果の木としては、これに限定されるものではないが、モモ(peach、桃)の木、ネクタリン(nectarine)の木、プラム(plum、梅)の木、アプリコット(apricot、杏)の木、およびチェリー(cherry、桜)の木、およびそれらの栽培品種、変種および雑種が挙げられる。
【0016】
仁果の木としては、これに限定されるものではないが、リンゴ、アザロール(azarole)、クラブアップル(crabapple)、ビワ(loquat)、メイホー(mayhaw)、セイヨウカリン(medlar、メドラー)、洋ナシ(pear)、ナシ(Asian pear)、マルメロ(quince、クインス)、カリン(Chinese quince)、ボケ(Japanese quince)、サンザシ(tejocote、テホコテス)、およびそれらの栽培品種、変種および雑種が挙げられる。
【0017】
好ましい実施形態において、本発明は、ACCまたはその水和物、その多形体またはその塩を、開花前に植物に施用することを含む、核果の木または仁果の木における作物負荷を低減することに関する。
【0018】
さらにより好ましい実施形態において、本発明は、ACCまたはその水和物、その多形体またはその塩を、開花前に植物に施用することを含む、核果の木における作物負荷を低減することに関する。
【0019】
さらにより好ましい実施形態において、本発明は、ACCまたはその水和物、その多形体またはその塩を、開花前に植物に施用することを含む、モモの木の作物負荷を低減することに関する。
【0020】
本発明の方法において、ACCまたはその水和物、その多形体またはその塩は、開花前に植物に施用される。好ましい実施形態において、ACCまたはその水和物、その多形体またはその塩は、芽吹き後、開花前に施用される。最も好ましい実施形態において、ACCまたはその水和物、その多形体またはその塩は、ピンク色の芽の段階のモモの木に施用される。
【0021】
本明細書において、「芽」(bud)または「芽吹き」という用語は、植物の生育ライフサイクルにおける段階において、花の芽が最初に目に見えるようになり、芽の中の花びらが最初に見えるようになる前の直前の時点までの段階を意味する。
【0022】
本明細書において、「開花」(bloom)または「花が開く」という用語は、植物の生育ライフサイクルにおける段階において、花びらが最初に目に見えるようになり、花びらが植物から落ち始めるまでの段階を意味する。
【0023】
モモの木の花の芽の成長段階は以下のとおりであり、1)休眠中:芽はしっかりしていて、目に見える膨らみはない、2)芽が膨らむ-芽が膨らんでいる、3)緑色のがく(萼、calyx)、緑色の芽、または芽の破裂-芽の上部が開いている、4)ピンク色の芽:芽が拡張して伸びている、5)最初の花:最初の花が開くとき、6)満開(full bloom):木のほとんどの花が開いたとき、7)花びらが落ちる:花びらが木から落ちるとき、8)果皮の分裂:果実の成長により花の殻が裂ける、および、9)果皮の離れ:果実の成長により、花が果実の花端から剥がれ落ちる、である。
【0024】
別の好ましい実施形態において、ACCまたはその水和物、その多形体またはその塩は、約1~5,000ppm(parts per million、「ppm」)、より好ましくは約10~約2,000ppm、さらに好ましくは約100~約1,000ppm、さらにより好ましくは約300~約600ppmの量(割合)で、植物に施用される。
【0025】
プラムの花の芽の成長段階は、ピンクの芽の段階が白い芽の段階として知られること以外は、モモの木のものと同様である。
【0026】
本明細書において、「有効量」とは、作物負荷の低減または間伐をもたらす、ACCまたはその水和物、その多形体またはその塩が施用される量(割合)を意味する。「有効量」は、処理される植物の種または品種、望みとする結果、および植物の生育段階、その他の要因によって異なる。したがって、正確な「有効量」をいつも規定できるとは限らない。
【0027】
ACCまたはその水和物、その多形体またはその塩は、任意の簡便な手段によって施用することができる。当業者は、施用方法に精通しており、例えば、噴霧(spraying)、散布(dusting)、および粒状散布(granular applications)などの葉面施用(foliar application)、噴霧散布(spraying)、畝間内処理(in-furrow treatments)、側方施用(side-dressing)などの土壌施用(soil application)、が挙げられる。好ましい実施形態において、ACCまたはその水和物、その多形体またはその塩は、噴霧剤(spray)として、さらに好ましくは葉面散布剤(foliar spray)として植物に施用される。
【0028】
本明細書において、量、重量パーセントなどに関するすべての数値は、それぞれの特定の値の「約」または「およそ」の値、すなわちプラスまたはマイナス10%(±10%)として定義される。例えば、「少なくとも5重量%」という語句は、「少なくとも4.5重量%から5.5重量%まで」と理解されるべきである。したがって、特許請求された値の10%以内の量が特許請求の範囲に包含される。
【0029】
本出願全体を通じて、文脈上明らかに別の指示がない限り、単数形「a」、「an」、および「the」は複数形を含む。
【0030】
本明細書において、各特定の値に「約」または「およそ」として定義される量、重量パーセントなどに関するすべての数値は、その特定の値のプラスまたはマイナス10%の値を表す。例えば、「約10%w/w」という用語は、9%から11%w/wの値を包含するものと理解されるべきである。したがって、特許請求された値の10%以内の量は、本発明の範囲に包含される。
【0031】
本発明は、以下の代表的な実施例によって実証される。これらの例は、説明のみを目的として提供されており、限定を目的とするものではない。
【実施例
【0032】
Regulaid(登録商標)を、2-ブトキシエタノール、ポロキサレン(poloxalene)、モノプロピレングリコールの供給源として使用した(Regulaidは、Kalo,Inc.の登録商標であり、そこから入手可能である)。
【0033】
実施例1:モモの木の間伐
方法
間引き試験は、2018年5月にミシガン州コロマで実施した。具体的には、1-アミノ-1-シクロプロパンカルボン酸を、界面活性剤として、0.05%の2-ブトキシエタノール、ポロキサレン、モノプロピレングリコールを用いて、300ppmおよび600ppmのACC溶液で調製した。これらの溶液を、ピンク色の芽の段階、満開時、および花びらが落ちた後に、グレングロピーチ(GlenGlo Peach)の木に葉面散布で適用した。8つの複製木での各処理について、3つの1年齢の新芽(shoot)に着目した(フラグを立てた)。果実と落葉は、開花施用から4週間後、および花びら落下施用後の2週間後に評価した。以下の表1は、これらの核果の木に対する300ppmまたは600ppmのACC溶液の施用の効果を示す。間伐活性は、結実率(fruit set)(花100個あたりの大きな果実の数)として表される。以下の表2は、葉の品質に対するACC施用の効果を示しており、1が最もよい、3が最も悪い、である。
【表1】

【表2】
【0034】
結果
上記の表1に示すように、ACCの施用は、ピンク色の芽の段階または満開時のいずれかで施用した場合、界面活性剤のみの対照と比較して、用量依存的に、モモの木を著しく間伐した。具体的には、ピンク色の芽の段階でACCを施用すると、300ppmでは対照に対して310%、600ppmでは対照に対して583%結実が低下した。しかしながら、花びらが落ちた後の施用では、効果的な間伐活性は得られなかった。したがって、ACCの開花前施用により、核果の木の効果的な間伐が行われる。さらに、上記の表2に示すように、ピンクの芽の段階でのACCの施用は、核果の木の葉の品質を有意に低下させなかった。
【0035】
実施例2:モモおよびネクタリンの木の間伐
方法
間引き試験は、2020年に、ギリシャ、イタリア、スペインで実施された。具体的には、1-アミノ-1-シクロプロパンカルボン酸を、200、300、400、500、800、および1,000ppmのACC溶液で調製した。これらの溶液を、ピンク色の芽の段階で、モモの木(すなわち、スペイン北部、スペイン南部#1およびギリシャ#2)、およびネクタリンの木(すなわち、スペイン南部#1およびギリシャ#1)に、葉面散布で施用した。以下の表3は、これらの核果の木に対するACC溶液の施用の効果を示す。間伐活性は、結実率(花100個あたりの大きな果実の数)として表される。
【表3】
【0036】
結果
上記の表3に示すように、ACCの施用は、ピンク色の芽の段階で施用した場合、未処理の対照と比較して、用量依存的に、モモおよびネクタリンの木を著しく間伐した。具体的には、ピンク色の芽の段階でACCを施用すると、平均して、200ppmで対照に対して18%、300ppmで対照に対して30%、400ppmで対照に対して49%、500ppmで対照に対して58%、800ppmで対照に対して108%、1,000ppmで対照に対して117%、結実率が低下した。したがって、ACCの開花前施用により、核果の木の効果的な間伐が行われる。
【0037】
実施例3:プラムの木の間伐
方法
間引き試験は、2020年にチリで実施された。具体的には、1-アミノ-1-シクロプロパンカルボン酸を、300ppmおよび450ppmのACC溶液で調製した。これらの溶液を、白い芽の段階、満開の段階、または花びらが落ちる段階で、2つの異なる品種のプラムの木(すなわち、Candy Stripe、およびBlack Majesty)に葉面散布で施用した。以下の表4は、これらの核果の木に対するACC溶液の施用の効果を示す。間伐活性は、結実率(花100個あたりの大きな果実の数)として表される。
【表4】
【0038】
上記の表4に示すように、ACCの施用は、白い芽の段階で施用した場合、未処理の対照と比較して、プラムの木を著しく間伐した。具体的には、白い芽の段階でのACCの施用により、平均して、300ppmでは対照に対して21.5%、450ppmでは対照に対して21%、結実率が低下した。したがって、ACCの開花前施用により、核果の木の効果的な間伐が行われる。
【国際調査報告】