(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-18
(54)【発明の名称】薬剤送達システム
(51)【国際特許分類】
A61M 5/142 20060101AFI20240910BHJP
【FI】
A61M5/142 524
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024513976
(86)(22)【出願日】2022-08-26
(85)【翻訳文提出日】2024-04-30
(86)【国際出願番号】 EP2022073856
(87)【国際公開番号】W WO2023031062
(87)【国際公開日】2023-03-09
(31)【優先権主張番号】PCT/EP2021/073893
(32)【優先日】2021-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2022-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】524076590
【氏名又は名称】メディカルトゥリー・パテンツ・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】フォーセル,ペーター
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA03
4C066AA07
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD11
(57)【要約】
本開示は、患者の体内に物質を注入するための少なくとも部分的に埋め込み可能なシステムであって、
- 患者の体内に埋め込むためのハウジング(12)であって、貫通領域(14)を有する外壁を有するハウジングと、
- ハウジング内に配置された少なくとも1本の注入針(11)と、
- 少なくとも1本の注入針の前進時に、少なくとも1本の注入針の先端が前記貫通領域を貫通し、少なくとも1本の注入針を介して前記貫通領域を通して物質を注入できるように、少なくとも1本の注入針を反対方向に前進および後退させるように配置された駆動ユニット(D;100;200;700)と、を備えるシステムに関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の体内に物質を注入するための、少なくとも一部が埋め込み可能なシステムであって、
- 患者の体内に埋め込むためのハウジング(12)であって、貫通領域(14)を有する外壁を有するハウジング(12)と、
- ハウジング(12)内に配置された少なくとも1本の注入針(11)と、
- 少なくとも1本の注入針(11)の前進時に、少なくとも1本の注入針(11)を介して前記貫通領域(14)を介して物質を注入できるように、少なくとも1本の注入針(11)の先端端が前記貫通領域(14)を貫通するように、少なくとも1本の注入針(11)を反対の前進および後退方向に前進および後退させるために配置された駆動ユニット(D;100;200;700)と、
- 少なくとも1本の注入針(11)の前進または後退時に、少なくとも1本の注入針(11)と協働するように配置された針協働部材(13;113;213;713)と、
を備え、
針協働部材(13;113;213;713)は、前進方向および後退方向とは異なる変位方向において異なる位置に移動可能であるように結合されるクロスガイド(15;115;215;715)をさらに備える、システム。
【請求項2】
前記駆動ユニット(D;100;700)は、
少なくとも1本の注入針(11)を、逆進退方向に進退させ、または前進および後退の両方をさせるための第1のモーターと、
針協働部材(13;113;713)を変位方向に変位させるための第2のモーターと、
を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記クロスガイド(15;115;215;715)は、2つの対向する固定点の間に固定的に保持されている、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
前記クロスガイド(15;115;215;715)は、前記針協働部材(13;113;213;713)が摺動可能に取り付けられたシャフトを備える、前記請求項のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記クロスガイド(15;115;215;715)は、少なくとも1本の注入針(11)の進退方向に対して垂直な変位方向、または少なくとも1本の注入針(11)の進退方向に対して傾斜した方向に延びる、請求項1~4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
進退方向に移動するように配置された並進フレーム(103;203;703)を備え、クロスガイド(15;115;215;715)が、並進フレーム(103;203;703)と一緒に移動するように並進フレーム(103;203;703)に固定されている、請求項1~5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
少なくとも1本の注入針(11)が注入針(11)のアレイ(705)を構成し、針協働部材(713)が、注入針(11)のアレイ(705)のそれぞれの1本の注入針(11)と一度に協働するように配置される、請求項1~6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
針協働部材(713)は、クロスガイド(715)に対する相対位置に応じて、それぞれの1本の注入針(11)を前進または後退させるように、注入針(11)のアレイ(705)に作用するように配置されている、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
針協働部材(713)は、注入針(11)のアレイ(705)とは別体である、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
静止位置において、針協働部材(713)は、注入針(11)のアレイ(705)から係合解除され、並進フレーム(703)の移動時に、それぞれの1本の注入針(11)に係合する、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記注入針(11)のアレイ(705)の注入針(11)は、進退方向に摺動可能なように取付ブロック(706)に取り付けられている、請求項8から10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
針協働部材(713)は、それぞれの1本の注入針(11)を前進方向に押すことによって前進させるように配置されている、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記針協働部材(713)は、針駆動部(713B)と位置決め部(713A)とを有し、前記針駆動部(713B)と位置決め部(713A)とは、前記並進フレーム(703)が前進方向に移動するときに互いに係合解除するように配置されている、請求項7から12のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項14】
クロスガイド(715)に平行に配置された二次クロスガイド部材(715A)を備え、前記位置決め部(713A)は、前記二次クロスガイド部材(715A)に可動に、好ましくは摺動可能に取り付けられ、前記針駆動部(713B)は、前記クロスガイド(715)に可動に、好ましくは摺動可能に取り付けられる、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記位置決め部(713A)と前記針駆動部(713B)とが係合しているとき、前記位置決め部(713A)は、前記クロスガイド(715)に沿って変位方向に移動可能である、それにより、前記針駆動部(713B)は、変位方向にも前記二次クロスガイド部材(715A)に沿って所望の位置に移動され、前記位置決め部(713A)が進退方向に移動されると、前記針駆動部(713B)と前記位置決め部(713A)との係合が解除される、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
針協働部材(713)をクロスガイド(715)に沿って変位方向に引っ張るための変位ケーブル(120;720)が、針協働部材(713)の位置決め部(713A)に接続されている、請求項13から15のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項17】
少なくとも1本の注入針(11)が単一の注入針(11)からなり、単一の注入針(11)が、針協働部材(113;213)と共に変位方向に移動可能であるように針協働部材(113;213)に取り付けられている、請求項1から6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項18】
単一の注入針(11)が針協働部材(113;213)に溶接またはポッティングされている、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
単一注入針(11)は湾曲部を有し、湾曲部は針協働部材(113;213)に取り付けられている、請求項17または18に記載のシステム。
【請求項20】
湾曲部は、針協働部材(113;213)の対応する湾曲凹部(114)に固定的に保持される、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
単一の注入針(11)の周囲に針補強チューブ(20)が配置される、請求項17から20のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項22】
単一注入針(11)に物質を供給するためのチューブを備え、該チューブが、該単一注入針(11)の端部に接続され、該チューブの所要の可動範囲を許容するように、ハウジング(12)内でループ状になっている、請求項17から21のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項23】
前記針協働部材(113;713)を前記クロスガイド(115;715)に沿って変位方向に引っ張るための変位ケーブル(120;720)または変位ベルトを備える、前記請求項のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項24】
前記針協働部材(713)に作用する前記変位ケーブル(720)の引張り力に対抗する力を与える引張りばね(709)を備える、請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
引張りばね(709)によって与えられる反力は、針協働部材(713)に作用する変位ケーブル(720)の引張り力がないときに、針協働部材(713)を変位方向と反対の方向に移動させるのに十分な強さである、請求項24に記載のシステム。
【請求項26】
引張りばね(709)が定荷重引張りばねである、請求項24または25に記載のシステム。
【請求項27】
引張りばね(709)が、張力が加えられていないときにそれ自体に巻き付く金属バンドからなり、金属バンドの一端がリールに取り付けられ、金属バンドの他端が針協働部材(713)に接続されている、請求項24から26のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項28】
引張りばねが、0.5Nから2Nの間、好ましくは0.8Nから1.2Nの間、最も好ましくは約1Nの引張り力を提供する、請求項24から27のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項29】
変位ケーブル(120)または変位ベルトは、針協働部材(113)をクロスガイド(115)に沿って反対の第1および第2の変位方向に引っ張るために配置されている、請求項23に記載のシステム。
【請求項30】
第1の回転軸を有する第1の車輪(121)と、第1の回転軸に平行で、第1の回転軸から間隔をおいて配置された第2の回転軸を有する第2の車輪(122)とを備え、変位ケーブル(120)または変位ベルトが、第1および第2の車輪(121、122)の周囲を巻回する、請求項29に記載のシステム。
【請求項31】
変位ケーブル(120)または変位ベルトがエンドレスである、請求項30に記載のシステム。
【請求項32】
変位ケーブル(120)または変位ベルトが、第1の車輪(121)から第2の車輪(122)まで延び、第2の車輪(122)の周りを少なくとも180°巻き、第2の車輪(122)から第1の車輪(121)に戻り、第1の車輪(121)の周りを少なくとも180°巻くループを形成する、請求項31に記載のシステム。
【請求項33】
変位ケーブル(120)または変位ベルトが、第1および第2の車輪(121、122)の少なくとも一方の周りを180°、さらに完全な回転数だけ巻回する、請求項32に記載のシステム。
【請求項34】
前記変位ケーブル(120)または前記変位ベルトに、前記変位ケーブル(120)または前記変位ベルトの長手方向軸線に対して横方向に張力を発生させる張力発生要素(123)を備える、請求項30から33のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項35】
駆動ケーブル(124)が、第1または第2の車輪(121、122)を回転させるように配置され、ハウジング(12)から延びている、請求項34に記載のシステム。
【請求項36】
駆動ケーブル(124)は、第1および第2の車輪(121、122)の一方に接続され、第1もしくは第2の車輪(121、122)に巻きついたり離れたりするように、または第1もしくは第2の車輪(121、122)の周りに巻かれるように配置されている、請求項35に記載のシステム。
【請求項37】
第1および第2の車輪(121,122)の少なくとも一方は、駆動シャフトの回転によって回転するように駆動シャフトに取り付けられ、駆動ケーブル(124)は駆動シャフトを駆動するために駆動シャフトに接続されている、請求項35に記載のシステム。
【請求項38】
駆動シャフトに取り付けられた第3の車輪(126)を備え、駆動ケーブル(124)は、第3の車輪(126)に巻きついたり離れたりするように、または第3の車輪(126)の周りに巻きついたりする、請求項37に記載のシステム。
【請求項39】
駆動ケーブル(124)が、第1もしくは第2の車輪(121、122)または第3の車輪(126)に巻きついたり離れたりするように配置されている場合、
駆動ケーブル(124)は、
駆動ケーブル(124)が第1の方向に引っ張られているときに、駆動ケーブル(124)が巻き戻され、駆動ケーブル(124)の一部がハウジング(12)の外に移動するように、駆動ケーブル(124)の一端が、それぞれの第1、第2または第3の車輪(121、122、126)に取り付けられ、引張りばねは、駆動ケーブル(124)を反対の第2の方向に引っ張ってそれぞれの第1、第2または第3の車輪(121、122、126)にハウジング(12)内に戻すように配置されている、請求項35から38のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項40】
前記駆動ケーブル(124)が、前記第1もしくは第2の車輪(121、122)の周囲または第3の車輪(126)の周囲に巻回するように配置されている場合、前記駆動ケーブル(124)が引っ張られているときに、前記駆動ケーブル(124)の一部分が前記ハウジング(12)の中に移動する一方、前記駆動ケーブル(124)の別の部分がハウジング(12)の外に移動するように、前記駆動ケーブル(124)が配置されている、請求項35から38のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項41】
針協働部材(713)上に配置された第1のアライメント構造と、固定して配置された第2のアライメント構造と、を備え、針協働部材(713)がクロスガイド(715)に沿って異なる位置に移動されるときに、第1および第2のアライメント構造が互いに係合し、針協働部材(713)のための異なる静止位置を規定する、請求項1~40のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項42】
前記第1のアライメント構造は板ばね(711)であり、前記第2のアライメント構造は、前記板ばね(311)と協働するように配置された複数の静止した戻り止めまたは突起(310)から構成されるか、あるいは、前記第1のアライメント構造は複数の戻り止めまたは突起から構成され、前記第2のアライメント構造は、前記戻り止めまたは突起と協働するように配置された1つまたは複数の静止した板ばねから構成される、請求項41に記載のシステム。
【請求項43】
少なくとも1つのリニアベアリング、好ましくは2つの平行なリニアベアリングと、少なくとも1つのリニアベアリングに沿って進退方向に移動するように配置された並進フレームとを備え、クロスガイドが並進フレームに固定されている、請求項1から42のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項44】
前記並進フレームを静止位置に付勢するように配置された少なくとも1つの戻しばねを備える、請求項43に記載のシステム。
【請求項45】
少なくとも1つのリターンスプリングが、少なくとも1つのリニアベアリングの1つの周囲に配置されたコイルスプリング、または2つの平行なリニアベアリングのそれぞれの1つの周囲に配置された2つのコイルスプリングからなる、請求項44に記載のシステム。
【請求項46】
前記駆動ユニットは、前進ケーブルを備え、この前進ケーブルは、この前進ケーブルを引くことにより、少なくとも1本の注入針を前進または後退させるように配置されている、請求項1から45のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項47】
前進ケーブルがハウジングの壁を通して案内される、請求項46に記載のシステム。
【請求項48】
前進ケーブルがブロック・アンド・タックル・セットアップの一部を形成する、請求項46または47に記載のシステム。
【請求項49】
システムが、少なくとも1つのリニアベアリング、好ましくは2つのリニアベアリングと、少なくとも1つのリニアベアリングに沿って前進方向および後退方向に移動するように配置された並進フレームとを備え、並進フレームのそれぞれの移動によって、少なくとも1本の注入針を前進させるか後退させるか、または前進および後退の両方を行うように構成されている場合、ブロックアンドタックルセットアップは、並進フレームと共に移動するように並進フレームに固定された少なくとも1つの第1のプーリー、好ましくは2つの第1のプーリーと、静止するようにハウジングに固定された少なくとも1つの第2のプーリー、好ましくは2つの第2のプーリーとを備える、請求項46から48のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項50】
前進ケーブルの一端がハウジングに固定されている、請求項49に記載のシステム。
【請求項51】
前進ケーブルの一端が並進フレームに固定されている、請求項49に記載のシステム。
【請求項52】
駆動ユニットが、前進および変位ケーブルを引っ張ることによって、少なくとも1本の注入針の前進または後退を引き起こすことと、前進および後退方向とは異なる変位方向への少なくとも1本の注入針の変位を引き起こすこととの両方を可能にするように配置された、前進・変位複合ケーブルを備える、請求項1から51のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項53】
前進・変位ケーブルの第1の端部に取り付けられた第1のアクチュエータと、前進・変位ケーブルの第2の端部に取り付けられた第2のアクチュエータとを備え、第1のアクチュエータは、前進・変位ケーブルを第1の引っ張り方向に引っ張り移動させることができるように配置され、第2のアクチュエータは、前進・変位ケーブルを第1の引っ張り方向とは反対の第2の引っ張り方向に引っ張り移動させることができるように配置されている、請求項52に記載のシステム。
【請求項54】
第1および第2のアクチュエータを同時に作動させて、前進ケーブルおよび変位ケーブルを反対の第1および第2の引き込み方向に移動させることにより、少なくとも1本の注入針を前進または後退させる、請求項53に記載のシステム。
【請求項55】
システムが、少なくとも1つのリニアベアリング、好ましくは2つのリニアベアリングと、並進フレームのそれぞれの移動によって少なくとも1本の注入針を前進させるか後退させるか、または前進および後退の両方を行うように、前進方向および後退方向に少なくとも1つのリニアベアリングに沿って移動するように配置された並進フレームとを備える場合、反対側の第1および第2の引っ張り方向への前進ケーブルおよび変位ケーブルの移動が、並進フレームを少なくとも1つのリニアベアリングに沿って移動させる、請求項54に記載のシステム。
【請求項56】
静止するようにハウジングに固定された少なくとも2つの第1のプーリを備え、前進および変位ケーブルが、2つの第1のプーリのうちの1つのプーリ上を案内され、さらに並進フレームに案内され、さらに2つの第1のプーリのうちの他の1つのプーリ上を案内される、請求項55に記載のシステム。
【請求項57】
前記並進フレームを静止位置に付勢するように配置された少なくとも1つの戻しばねを備える、請求項55または56に記載のシステム。
【請求項58】
少なくとも1つのリターンスプリングが、少なくとも1つのリニアベアリングの1つの周りに配置されたコイルスプリング、または少なくとも1つのリニアベアリングのそれぞれのものの周りに配置された2つのコイルスプリングからなる、請求項57に記載のシステム。
【請求項59】
第1アクチュエータおよび第2アクチュエータのいずれか一方の作動が、進退ケーブルを第1または第2の引き込み方向に移動させる一方で、第1アクチュエータおよび第2アクチュエータのそれぞれの他方の作動が、進退ケーブルを移動させないようにされることにより、少なくとも1本の注入針の変位方向への変位が引き起こされる、請求項53に記載のシステム。
【請求項60】
システムが、少なくとも1本の注入針が取り付けられる針協働部材と、針協働部材が結合されるクロスガイドとを備える場合、前進および変位ケーブルは、針協働部材をクロスガイドに沿って変位方向の異なる位置に引っ張って移動させるように、針協働部材に接続される、請求項59に記載のシステム。
【請求項61】
針協働部材の対向する側で並進フレームに固定された少なくとも2つの第2のプーリを含み、前進および変位ケーブルが2つの第2のプーリ上を案内される、請求項60に記載のシステム。
【請求項62】
前進・変位ケーブルは、その中央部分が針協働部材に固定的に接続されている、請求項60または61に記載のシステム。
【請求項63】
前進・変位ケーブルが、2つの別個のケーブル部分からなり、各ケーブル部分は、その一端が針協働部材に接続されている、請求項60または61に記載のシステム。
【請求項64】
少なくとも1本の注入針が単一の注入針のみからなる、請求項52から63のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項65】
単一の注入針が針協働部材に溶接またはポッティングされる、請求項64に記載のシステム。
【請求項66】
単一の注入針が湾曲部を有し、湾曲部が針協働部材に取り付けられている、請求項64または65に記載のシステム。
【請求項67】
湾曲部が針協働部材の凹部に固定的に保持される、請求項66に記載のシステム。
【請求項68】
針補強チューブが少なくとも1本の注入針の周囲に配置される、請求項64から67のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項69】
単一注入針に物質を供給するためのチューブを備え、該チューブが、該単一注入針の端部に接続され、該チューブが所要の可動範囲を有するように該ハウジングの内部でループ状になっている、請求項68に記載のシステム。
【請求項70】
協働して、少なくとも1本の注入針を前進方向または後退方向に前進または後退させ、個々に、針協働部材をそれぞれ反対の変位方向に変位させるために配置される2つのモーターを備える、請求項52から69のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項71】
少なくとも1本の注入針は、先端端を有する管状針本体と、少なくとも1本の注入針を介して物質を注入することができるように先端端に配置された注入ポートと、注入される物質を受け取ることができるように先端端から離れた位置に配置された供給ポートと、注入ポートと供給ポートとを接続する管状針本体内部の針管腔とを有し、供給ポートが、管状針本体の側面に配置された側面ポートである、請求項1から51のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項72】
少なくとも1本の注入針が複数の注入針を備える、請求項71に記載のシステム。
【請求項73】
前記複数の注入針の注入針は、1mmから2mmの間の距離だけ互いに離間している、請求項72に記載のシステム。
【請求項74】
前記複数の注入針の注入針は、1.5mmの距離だけ互いに離間している、請求項73に記載のシステム。
【請求項75】
ハウジングの内部に内部リザーバを備え、内部リザーバは、注入される物質を保持するために配置され、少なくとも1本の注入針が、貫通領域を貫通する前進位置にあるとき、供給ポートは、内部リザーバの内部に配置され、注入ポートは、ハウジングの外部に配置される、請求項71から74のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項76】
貫通領域が隔壁を備え、少なくとも1本の注入針が後退位置にあるとき、供給ポートが内部リザーバの外側かつ隔壁の内側にあるように、内部リザーバが隔壁内に配置される、請求項75に記載のシステム。
【請求項77】
貫通領域が隔壁を備え、少なくとも1本の注入針が後退位置にあるとき、供給ポートが内部リザーバ内にあるように、内部リザーバが隔壁内に配置される、請求項75に記載のシステム。
【請求項78】
少なくとも1本の注入針が後退位置にあるとき、注入ポートが隔壁の内側にある、請求項76または77に記載のシステム。
【請求項79】
少なくとも1本の注入針が後退位置にあるとき、注入ポートが隔壁の内側にあり、内部リザーバの外側にある、請求項78に記載のシステム。
【請求項80】
少なくとも1本の注入針が後退位置にあるとき、注入ポートが隔壁の内側かつ内部リザーバの内側にある、請求項78に記載のシステム。
【請求項81】
システムが、少なくとも1つのリニアベアリングと、少なくとも1つのリニアベアリングに沿って前進方向および後退方向に移動するように配置された並進フレームとを備え、並進フレームのそれぞれの移動によって少なくとも1本の注入針を前進させるか後退させるか、または前進および後退の両方を行う場合、内部リザーバに注入される物質を供給するための供給ルーメンが、少なくとも1つのリニアベアリングの内腔に沿って走るように設けられる、請求項75から80のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項82】
注入ポートが、管状針本体の側面に配置された側面ポートである、請求項71から81のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項83】
外面(520)と、該外面上に配置されたコーティング(530)とを備える、請求項1~82のいずれか一項に記載の患者の体内に物質を注入するためのシステム。
【請求項84】
コーティングが、生体材料の少なくとも1つの層を含む、請求項83に記載のシステム。
【請求項85】
前記生体材料が、抗血栓性、抗菌性、および抗血小板性のうちの1つ以上の特性を有する少なくとも1つの薬物または物質を含む、請求項84に記載のシステム。
【請求項86】
生体材料がフィブリンベースである、請求項84または85に記載のシステム。
【請求項87】
第1のコーティング(530)上に配置された第2のコーティング(530b)をさらに含む、請求項83から86のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項88】
前記第2のコーティングが、前記第1のコーティングとは異なる生体材料である、請求項87に記載のシステム。
【請求項89】
前記第1のコーティングが、前記表面に化学的に付着したパーフルオロカーボン層からなり、前記第2のコーティングが、液体パーフルオロカーボン層からなる、請求項88に記載のシステム。
【請求項90】
コーティングが、多孔性材料中にカプセル化された薬物を含む、請求項83から89のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項91】
表面が金属からなる、請求項83から90のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項92】
金属が、チタン、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ジルコニウム、モリブデン、スズまたは鉛から選択される少なくとも1つを含む、請求項91に記載のシステム。
【請求項93】
前記表面は、マイクロパターンを含んでなる、請求項83から92のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項94】
マイクロパターンは、体内への挿入前に表面にエッチングされる、請求項93に記載のシステム。
【請求項95】
マイクロパターン上にコーティングされた生体材料の層をさらに含む、請求項93または94に記載のシステム。
【請求項96】
前記少なくとも1本の注入針の側面に設けられた注入ポートを備え、前記注入ポートは、前記少なくとも1本の注入針の先端から2mm未満離間している、請求項1から95のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項97】
注入ポートが、少なくとも1本の注入針の先端から1mm未満離間している、請求項96に記載のシステム。
【請求項98】
注入ポートが、少なくとも1本の注入針の先端から0.5~1mm離間している、請求項96または97に記載のシステム。
【請求項99】
注入ポートが、注入針の長手方向に0.5mm以下の延長部を有する、請求項96から98のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項100】
前記注入ポートが、前記注入針の長手方向と直交する方向において、前記注入針の長手方向における前記注入ポートの延長部よりも大きい延長部を有する、請求項96から99のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項101】
患者の体内に物質を注入するための少なくとも部分的に埋め込み可能なシステムであって、
- 患者の体内に埋め込むためのハウジングまたはケーシングであって、外壁を有する、ハウジングまたはケーシングと、
- ハウジングまたはケーシング内に配置された少なくとも1本の注入針であって、少なくとも1本の注入針の前進時に、少なくとも1本の注入針の先端が外壁を貫通して延び、少なくとも1本の注入針を通して物質をハウジングの外部に注入できるように構成された少なくとも1本の注入針と、
を備え、
- 注入針が外壁に対して10°から80°の範囲で傾斜している、システム。
【請求項102】
ハウジングの外壁が、第1の方向に延びる外面を有し、長手方向容器の中心軸が第1の方向と平行に延びるように、長手方向容器が前記外面に隣接して配置可能であるように構成され、少なくとも1本の注入針の進退方向が、前記第1の方向と前記長手方向容器の前記中心軸とによって画定される平面内に、前記第1の方向に対して10°から80°の範囲の傾斜角度で配置される、請求項1から101のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項103】
前記少なくとも1本の注入針が前進しているときに、前記容器の中心軸が前記ハウジングの外壁面の前記第1の方向と平行に延びるように、前記容器を所定の位置に保持するように構成されたホルダを備える、請求項102に記載のシステム。
【請求項104】
ホルダが、容器がホルダから脱出できないように、長手方向容器の一部を囲むように構成されている、請求項103に記載のシステム。
【請求項105】
前記ホルダは、前記長手方向容器の前記部分を前記ホルダ内に配置及び保持するために、前記ホルダを開閉するように構成された可動蓋を備える、請求項103または104に記載のシステム。
【請求項106】
傾斜角度が20°から40°の範囲である、請求項101から105のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項107】
- 注入ポートが少なくとも1本の注入針の側面に設けられており、
- 少なくとも1本の注入針が後退位置にあるとき、少なくとも1本の注入針の先端はチューブ内に配置され、チューブの内面と少なくとも1本の注入針の外面は、チューブを通って注入ポートへの流体の浸入を防止するように互いに対して液密にシールされる、請求項1から106のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項108】
前記チューブの内面の内径と前記少なくとも1本の注入針の外面の外径とが、前記チューブを通って前記注入ポートへの流体の浸入を防ぐために互いに液密にシールするように互いに一致する、請求項107に記載のシステム。
【請求項109】
前記チューブの内面および前記少なくとも1本の注入針の外面の一方または両方がセラミック材料でできている、請求項107または108に記載のシステム。
【請求項110】
前記貫通領域は、少なくとも一部が弾性材料で作られており、この弾性材料には、少なくとも1本の注入針が通過するための通路が予め形成されており、前記通路は、弾性材料の弾性によって発生する弾力的な力によって通常は閉じられている、請求項1から109のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項111】
前記通路は、前記注入針が前進しているときに、前記少なくとも1本の注入針が通過するように自動的に開く、請求項110に記載のシステム。
【請求項112】
前記通路が、前記少なくとも1本の注入針が前記通路に進入するために前記通路が通常開口している、拡幅された入口部を有する、請求項110または111に記載のシステム。
【請求項113】
注入針が後退位置にあるとき、少なくとも1本の注入針の先端は、通路の内側に存在する、請求項110から112のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項114】
前記通路が、長さ方向に延びるとともに幅方向に延びるスリットを有するように構成されている、請求項110から113のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項115】
注入針が前進しているときに、少なくとも1本の注入針のための通路を開くように、スリットの幅方向の延在方向の反対側で弾性材料の反対側に作用するように構成されたコンプレッサを備える、請求項114に記載のシステム。
【請求項116】
注入ポートが少なくとも1本の注入針の側面に設けられ、前記注入ポートは、注入ポートと側面との間の移行部に丸みを帯びたまたは面取りされた縁部を有する、請求項1から115のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項117】
前記丸みを帯びた縁部または面取りされた縁部は、少なくとも前記注入ポートの対向する側に設けられ、前記注入ポートの前記対向する側の間の仮想接続線は、前記注入針の進退方向に沿って延びている、請求項116記載のシステム。
【請求項118】
請求項1から117のいずれか一項に記載の患者の体内に物質を注入するためのシステムを使用する方法であって、前記システムの構成要素間で無線通信を行うステップを含む方法。
【請求項119】
以下の工程の少なくとも1つを含む、請求項118に記載の方法:
- システムのコントローラから、またはコントローラへ、あるいはコントローラからコントローラへ、およびコントローラからコントローラへの無線通信を暗号化すること、
- 無線通信を介してコントローラから送信されたデータに署名すること、および
- システムのユーザを認証するために、患者の認証データを入力すること。
【請求項120】
前記無線通信を暗号化するステップは、公開鍵による暗号化と秘密鍵による復号化を含む、請求項119に記載の方法。
【請求項121】
少なくとも第1の鍵と第2の鍵とを結合することにより、秘密鍵を結合鍵として導出するステップを含む、請求項120に記載の方法。
【請求項122】
無線通信を介してコントローラによって送信されたデータに署名するステップは、秘密鍵の使用を含み、公開鍵を使用して署名されたデータを検証するステップをさらに含む、請求項119から121のいずれか一項に記載の方法。
【請求項123】
患者の認証データを取得するステップを含む、請求項119から122のいずれか一項に記載の方法。
【請求項124】
患者の認証データを取得するステップは、指紋リーダー、網膜スキャナ、カメラ、コードを入力するためのグラフィカル・ユーザ・インターフェース、およびマイクロフォンのうちの少なくとも1つを使用してそのようなデータを取得することを含む、請求項123に記載の方法。
【請求項125】
患者の感覚によって検出可能な感覚を生成するステップと、感覚に関連する患者の認証データを入力することによって、システムの2つのコントローラ間の通信チャネルを認証するステップとを含む、請求項119から124のいずれか一項に記載の方法。
【請求項126】
前記通信チャネルを認証するステップは、前記認証データが、前記感覚ジェネレータによって生成された感覚に関連する感覚ジェネレータからのデータと一致することを検証するステップを含む、請求項125に記載の方法。
【請求項127】
患者の感覚によって検出可能な感覚を生成するステップは、以下の少なくとも1つを生成することを含む、請求項125又は126に記載の方法:
- 固定周波数の機械的振動を含むか含まないかの振動、
- 固定周波数の機械的振動の重ね合わせを含むか含まないかの音、
- 赤外線パルスなどの非可視光パルスを含む、または含まない光信号、
- 視覚的な光パルスを含むか含まないかの光信号、
- 電流パルスを含む、または含まない電気信号と
- 熱パルスを含むか含まないかの熱信号。
【請求項128】
請求項1から117のいずれか一項に記載の物質を患者の体内に注入するシステムの少なくとも1つの構成要素を移植する方法であって、
- 皮膚を切開すること、
- 患者の体内の少なくとも一つの部位を自由に切除すること、
- 少なくとも1本の注入針を収容するハウジングを、少なくとも1本の注入針の先端がハウジングの外壁を貫通する際に患者の組織を貫通し、少なくとも1本の注入針を介して前記少なくとも1つの貫通領域を通して物質を注入できるように、前記解剖領域内に配置すること、
- システムの少なくとも一部を移植した後、少なくとも皮膚を閉じること、
を含む、方法。
【請求項129】
請求項128記載の方法であって、少なくとも1本の注入針を収容するハウジングから離れた患者の体内に、システムの以下の構成要素のうちの1つ以上を配置することをさらに含む方法:
- ドライブユニット(D)の少なくとも一部、
- リザーバ、
- ポンプ(P)、
- 駆動装置、ポンプ(P)、またはシステムの他のエネルギー消費部分の1つまたは複数の要素を作動させるための、少なくとも1つのモーター(M,M
2)、
- 少なくとも1つのモーターにエネルギーを供給するためのエネルギー貯蔵手段(A)、
- 外部エネルギー源(E)またはエネルギー貯蔵手段(A)とモーター(M、M
2)の間のガルバニック結合要素、
- モーター(M、M
2)またはエネルギー貯蔵手段(A)またはその両方を、モーターまたはエネルギー貯蔵手段またはその両方に非接触でエネルギーを伝送するための体外一次エネルギー源に接続するように適合された無線結合要素、
- モーター(M、M2)を制御する制御ユニット(C1)、
- 外部のデータ処理装置(C2)から制御ユニット(C1)へ無線でデータを送信するためのデータ送信インターフェース、
- フィードバックセンサ(F)、
- 無線エネルギー変換手段、
- リザーバ(R1)を再充填するための注入ポート、および
-少なくとも1本の注射針によって注射される物質を注入するための少なくとも1本のチューブ。
【請求項130】
患者の体内に物質を注入するための少なくとも部分的に埋め込み可能なシステムであって、
- 患者の体内に埋め込むためのハウジング(12)であって、貫通領域(14)を有する外壁を有するハウジング(12)と、
- ハウジング(12)内に配置された少なくとも1本の注入針(11)と、
- 少なくとも1本の注入針(11)の前進時に、少なくとも1本の注入針(11)の先端が前記貫通領域(14)を貫通し、少なくとも1本の注入針(11)を介して前記貫通領域(14)を通して物質を注入することができるように、少なくとも1本の注入針(11)を逆進退方向に前進および後退させるように配置された駆動ユニット(D;100;200;700)と、
を備える、システム。
【請求項131】
注入ポートをその側面に備える注入針であって、前記注入ポートは、少なくとも1本の注入針の先端から2mm未満離間している、注入針。
【請求項132】
前記注入ポートは、前記少なくとも1本の注入針の先端端から1mm未満離間している、請求項131に記載の注入針。
【請求項133】
注入ポートが、少なくとも1本の注入針の先端から0.5mmから1mmの間だけ離間している、請求項131または132に記載の注入針。
【請求項134】
前記注入ポートは、前記注入針の長手方向に0.5mm以下の延長部を有する、請求項131から133のいずれか一項に記載の注入針。
【請求項135】
前記注入ポートは、前記注入ポートの前記注入針の長手方向への延長よりも大きい、前記注入針の長手方向と直交する方向への延長を有する、請求項131から134のいずれか一項に記載の注入針。
【請求項136】
注入ポートをその側面に備え、前記注入ポートは、注入ポートと側面との間の移行部に丸みを帯びたまたは面取りされた縁部を有する、注入針。
【請求項137】
前記注入針は、長手方向に延び、前記丸みを帯びた縁部または面取りされた縁部は、少なくとも前記注入ポートの対向する側に設けられ、前記注入ポートの前記対向する側の間の仮想連結線は、前記注入針の長手方向に沿って延びる、請求項136に記載の注入針。
【請求項138】
患者の体内に物質を注入するための少なくとも部分的に埋め込み可能なシステムであって、注入ポートがその側面に設けられた注入針を備え、該注入針が、反対方向に前進および後退するように配置され、該注入針が後退位置にあるとき、該注入針の先端端がチューブ内に配置され、該注入針が前進位置にあるとき、該注入針の先端端がチューブから延びて、該注入針の注入ポートから患者の体内に物質を注入することができる、少なくとも部分的に埋め込み可能なシステム、注入針が後退位置にあるとき、注入針の先端がチューブ内に配置され、注入針が前進位置にあるとき、注入針の先端がチューブから延び、注入針の注入ポートから患者の体内に物質が注入され、注入針が後退位置にあるとき、チューブの内径と注入針の外径が互いに一致し、チューブを介して注入ポートへの流体の浸入を防止するために互いに液密にシールされる、システム。
【請求項139】
チューブの内面および注入針の外面の一方または両方がセラミック材料でできている、請求項138に記載のシステム。
【請求項140】
患者の体内に物質を注入するための少なくとも部分的に埋め込み可能なシステムであって、
- 患者の体内に埋め込むためのハウジング(12)であって、貫通領域(14)を有する外壁を有するハウジング(12)と、
- ハウジング(12)内に配置された少なくとも1本の注入針(11)と、
- 少なくとも1本の注入針(11)の前進時に、少なくとも1本の注入針(11)の先端が前記貫通領域(14)を貫通し、少なくとも1本の注入針(11)を介して前記貫通領域(14)から物質を注入できるように、少なくとも1本の注入針(11)を反対方向に前進および後退させるために配置された駆動ユニット(D;100;200;700)と、
- 患者に埋め込まれた埋め込み可能な医療機器と通信するように構成された外部機器と、
を備え、
該外部機器は、
- ディスプレイ装置と、
- ディスプレイ装置と機械的かつ分離可能に接続するように構成されたハウジングユニットと、
を備え、
該ハウジングユニットは、
- ディスプレイ装置からの通信を受信するための第1の通信ユニットと、
- 埋め込み型医療機器に通信を無線送信する第2の通信ユニットと、
を備える、システム。
【請求項141】
患者の体内に物質を注入するための少なくとも部分的に埋め込み可能なシステムであって、
- 患者の体内に埋め込むためのハウジング(12)であって、貫通領域(14)を有する外壁を有するハウジング(12)と、
- ハウジング(12)内に配置された少なくとも1本の注入針(11)と、
- 少なくとも1本の注入針(11)の前進時に、少なくとも1本の注入針(11)の先端が前記貫通領域(14)を貫通し、少なくとも1本の注入針(11)を介して前記貫通領域(14)から物質を注入できるように、少なくとも1本の注入針(11)を反対方向に前進および後退させるために配置された駆動ユニット(D;100;200;700)と、
- 埋め込み可能な医療機器用の埋め込み可能なコントローラであって、
- 外部機器と無線通信するための無線トランシーバと、セキュリティ・モジュールと、
- 無線トランシーバ、セキュリティ・モジュール、および埋め込み型医療機器と通信するように構成された中央ユニットと、
を備え、
- 無線トランシーバは、埋め込み型医療機器に対する少なくとも1つの指示を含む外部機器からの通信を受信し、受信した通信を中央ユニットに送信するように構成され、
- 中央ユニットは、外部装置から受信した通信に由来する安全な通信をセキュリティ・モジュールに送信するように構成され、セキュリティ・モジュールは、
- 安全な通信の少なくとも一部を復号化すること、および
- 安全な通信の真正性を検証すること、
の少なくとも1つを行うように構成され、
- セキュリティ・モジュールは、応答通信を中央ユニットに送信するように構成され、
- 中央ユニットは、少なくとも1つの命令を埋め込み型医療機器に伝達するように構成され、少なくとも1つの命令は、
- レスポンス・コミュニケーション、および
- 応答通信と外部機器からの受信通信の組み合わせ、
に基づいている、システム。
【請求項142】
患者の体内に物質を注入するための少なくとも部分的に埋め込み可能なシステムであって、
- 患者の体内に埋め込むためのハウジング(12)であって、貫通領域(14)を有する外壁を有するハウジング(12)と、
- ハウジング(12)内に配置された少なくとも1本の注入針(11)と、
- 少なくとも1本の注入針(11)の前進時に、少なくとも1本の注入針(11)の先端が前記貫通領域(14)を貫通し、少なくとも1本の注入針(11)を介して前記貫通領域(14)から物質を注入できるように、少なくとも1本の注入針(11)を反対方向に前進および後退させるために配置された駆動ユニット(D;100;200;700)と、
- 受信ユニットを備える埋め込み可能な医療装置と、
を備え、
該受信ユニットは
- 経皮的に伝達されるエネルギーを受け取るように構成された少なくとも1つのコイルと、
- コイルが受け取るエネルギーに関連するパラメータを測定するように構成された測定ユニットと、
- コイルに電気的に接続された可変インピーダンスと、
- 可変インピーダンスとコイルとの間の電気接続をオフにするために、可変インピーダンスとコイルとの間に配置されたスイッチと、
- 可変インピーダンスを制御してインピーダンスを変化させ、それによって測定されたパラメータに基づいてコイルを調整し、測定されたパラメータが閾値を超えたことに応答して、可変インピーダンスとコイル間の電気的接続をオフにするためのスイッチを制御するように構成されたコントローラと、
とを備える、システム。
【請求項143】
患者の体内に物質を注入するための少なくとも部分的に埋め込み可能なシステムであって、
- 患者の体内に埋め込むためのハウジング(12)であって、貫通領域(14)を有する外壁を有するハウジング(12)と、
- ハウジング(12)内に配置された少なくとも1本の注入針(11)と、
- 少なくとも1本の注入針(11)の前進時に、少なくとも1本の注入針(11)の先端が前記貫通領域(14)を貫通し、少なくとも1本の注入針(11)を介して前記貫通領域(14)から物質を注入できるように、少なくとも1本の注入針(11)を反対方向に前進および後退させるために配置された駆動ユニット(D;100;200;700)と、
- 受信ユニットを備える埋め込み可能な医療装置と、
を備え、
該受信ユニットは
- 経皮的に伝達されるエネルギーを受け取るように構成された少なくとも1つのコイルと、
- コイルが受け取るエネルギーに関連するパラメータを測定するように構成された測定ユニットと、
- コイルの第1の端部に配置される第1のスイッチと、
- コイルの第2の端部に配置された第2のスイッチであって、コイルを埋め込み型医療装置の他の部分から完全に切り離すことができる、第2のスイッチと、
- 測定されたパラメータに基づいて、埋め込み型医療装置の他の部分からコイルを完全に切り離すために、第1および第2のスイッチを制御するように構成されたコントローラと、
を備える、システム。
【請求項144】
患者の体内に物質を注入するための少なくとも部分的に埋め込み可能なシステムであって、
- 患者の体内に埋め込むためのハウジング(12)であって、貫通領域(14)を有する外壁を有するハウジング(12)と、
- ハウジング(12)内に配置された少なくとも1本の注入針(11)と、
- 少なくとも1本の注入針(11)の前進時に、少なくとも1本の注入針(11)の先端が前記貫通領域(14)を貫通し、少なくとも1本の注入針(11)を介して前記貫通領域(14)から物質を注入できるように、少なくとも1本の注入針(11)を反対方向に前進および後退させるために配置された駆動ユニット(D;100;200;700)と、
- 受信ユニットを備える埋め込み可能な医療装置と、
を備え、
該受信ユニットは
- 経皮的に伝達されるエネルギーを受け取るように構成された少なくとも1つのコイルと、
- コイルが受け取るエネルギーに関連するパラメータを測定するように構成された測定ユニットと、
- コントローラと、
を備え、
- 受信ユニットは、パルスパターンにしたがって、経皮的に伝達されるエネルギーをパルスで受信するように構成されており、
- 測定ユニットは、パルスパターンに関連するパラメータを測定するように構成され、
- コントローラは、受信エネルギーのパルスパターンが所定のパルスパターンから逸脱していることに応答して、受信ユニットを制御するように構成される、システム。
【請求項145】
少なくとも1本の注入針(11)の前進または後退時に、少なくとも1本の注入針(11)と協働するように配置された針協働部材(13;113;213;713)を備え、さらに、針協働部材(13;113;213;713)が、前進方向および後退方向とは異なる変位方向において異なる位置に移動可能であるように結合されるクロスガイド(15;115;215;715)を備える、請求項140から144のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項146】
平行に配置された2つのリニアベアリングと、2つのリニアベアリングを連結し、2つのリニアベアリングに沿って少なくとも1本の注入針の前進方向および後退方向に移動するように配置された並進フレームとを備え、並進フレームの移動によって少なくとも1本の注入針を前進させるか後退させるか、または前進および後退の両方を行うように構成されている、請求項140から144のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項147】
駆動ユニットが前進ケーブルを備え、前進ケーブルを引くことにより少なくとも1本の注入針を前進または後退させ、前進ケーブルがブロック・アンド・タックル・セットアップの一部を形成する、請求項140から144のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項148】
前記駆動ユニットは、前進および変位ケーブルを組み合わせて構成されており、この前進および変位ケーブルを引っ張ることにより、少なくとも1本の注入針の前進または後退を引き起こすことと、前進および後退方向とは異なる変位方向への少なくとも1本の注入針の変位を引き起こすことの両方を可能にするように配置されている、請求項140から144のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項149】
少なくとも1本の注入針が、先端端を有する管状針本体と、少なくとも1本の注入針を介して物質を注入することができるように先端端に配置された注入ポートと、注入される物質を受け取ることができるように先端端から離れた位置に配置された供給ポートと、注入ポートと供給ポートとを接続する管状針本体内部の針管腔とを有し、供給ポートが管状針本体の側面に配置された側面ポートである、請求項140から144のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項150】
注入ポートが少なくとも1本の注入針の側面に設けられ、前記注入ポートは少なくとも1本の注入針の先端から2mm未満離間している、請求項140から144のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項151】
ハウジングの外壁は、第1の方向に延びる外面を有し、長手方向容器の中心軸が第1の方向と平行に延びるように長手方向容器が前記外面に隣接して配置可能であるように構成され、少なくとも1本の注入針の進退方向は、前記第1の方向と前記長手方向容器の前記中心軸とによって画定される平面内に、前記第1の方向に対して傾斜角度で配置され、前記傾斜角度は、10°から80°の範囲内である、請求項140から144のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項152】
少なくとも1本の注入針が後退位置にあるとき、少なくとも1本の注入針の先端端がチューブ内に配置され、チューブの内面と少なくとも1本の注入針の外面が、チューブを通って注入ポートへの流体の浸入を防止するように互いに対して液密にシールされている、請求項140から144のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項153】
前記貫通領域は、少なくとも1本の注入針が通過するための通路が予め構成された弾性材料で少なくとも部分的に作られており、前記通路は、弾性材料の弾性によって発生する弾力的な力によって通常は閉じられている、請求項140から144のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項154】
注入ポートが少なくとも1本の注入針の側面に設けられ、前記注入ポートは、注入ポートと側面との間の移行部に丸みを帯びた又は面取りされた縁部を有する、請求項140から144のいずれか一項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、少なくとも部分的に埋め込み可能な薬物送達システムによって、患者の体内に、特に患者の血液循環系に、または陰茎の勃起を刺激するために、物質、特に薬物を注入することに関する。
【背景技術】
【0002】
1つ以上の埋め込み可能な注入針を使用する腸内埋め込み能な薬物送達システムは、例えば、特に陰茎の勃起を刺激するために設計されたWO2010/040548A1から知られている。WO2010/040548A1の教示および以下に説明する本発明によれば、注入針は、ハウジングの外壁をその先端で貫通するように前進できるように、ハウジング内に移動可能に配置される。このように注入針をハウジング内に配置することにより、注入針に線維症が発生するのを防止することができる。しかし、同じ身体部位に頻繁に穿刺することは、炎症を引き起こし、最終的にはそれ以上の穿刺を困難にし、あるいは不可能にすることさえある。そこで、複数の注入針、または横方向に変位可能な単一の注入針を設け、異なる穿刺部位でハウジングの外壁を穿刺できるようにする。これにより、注入部位を変化させ、異なる注入部位を異なる時間に貫通させることができ、それにより、人体組織に注入針による貫通から回復する時間を与えることができる。駆動ユニットは、前進および後退ならびに注入針を適宜横方向に変位させるために設けられる。駆動ユニットの一部は、注入領域から離れた場所に移植するために提供されてもよく、ワイヤの離れた端部を引っ張ると注入針の移動を引き起こすための引っ張りワイヤで構成されてもよい。より具体的には、ワイヤを引っ張ることによって、注入針の先端が、第1の穿刺部位から第2の穿刺部位へと横方向に変位することがある。単一の引っ張りワイヤが、一方向への注入針の移動を引き起こすのに十分であり、一方、バネ要素が注入針を開始位置に戻すように促すか、または、2つの引っ張りワイヤが、注入針を前後に移動させるように設けられてもよい。注入針を前進させたり後退させたりするために、さらなる引っ張りワイヤが配置されてもよく、再び、注入針を開始位置に戻すよう促すために、ばね要素が設けられてもよい。システムは、駆動ユニット又は駆動ユニットの一部、例えばワイヤ又はワイヤを駆動するための、ハウジングの内部及び/又は外部に設けられた1つ又は複数の電気モーターを更に含んでもよく、患者の体内に埋め込むように適合され、注入されるべき物質を注入針に供給するように注入針又は針と流体連通している少なくとも1つのリザーバを更に含んでもよい。また、同じく患者の体内に埋め込むように適合されたポンプが、物質をリザーバから注入針または注射針に送るために設けられていてもよい。
【0003】
上述のように、WO2010/040548A1においても、本開示によれば、駆動ユニットは、注入針を前進および後退させるように構成されている。WO2010/040548A1では、これは一般に、注入針を摺動可能に取り付け、戻しばねによって静止位置に戻すように付勢することによって達成される。しかしながら、WO2010/040548A1には、これを達成するために駆動装置をどのように構成する必要があるかについての具体的な開示はない。上記でさらに述べたように、WO2010/040548A1においても、本開示によれば、駆動ユニットは、注入針の先端端を異なる穿刺部位に横方向に変位させるか、または複数の注入針の異なるものを作動させるように構成されている。WO2010/040548A1では、これは一般に、注入針をターンテーブルおよび/またはスライドなどの可動キャリッジに取り付けることによって達成される。しかしながら、やはり、WO2010/040548A1には、これを達成するために駆動ユニットをどのように構成する必要があるかについての具体的な開示はない。
【0004】
したがって、本開示の目的は、進退方向、横方向変位方向、または進退方向と横方向変位方向の両方への移動など、注入針を移動させるための改良された駆動装置を提供することである。
【0005】
上述したように、WO2010/040548A1においても、本開示によれば、複数の注入針が提供されてもよい。WO2010/040548A1では、複数の注入針の個々のものに注入される物質を分配するためにバルブが使用される。このため、バルブの作動が必要となり、システムの操作が複雑になる。
【0006】
したがって、本開示の別の目的は、システムが複数の注入針から構成される場合に、注入される物質を個々の注入針に供給する方法を容易にすることである。
【発明の概要】
【0007】
したがって、本開示による患者の体内に物質を注入するための少なくとも部分的に埋め込み可能なシステムは、
- 患者の体内に埋め込まれるように適合されたハウジングであって、貫通領域を有する外壁を有するハウジングと、
- ハウジング内に配置された少なくとも1本の注入針と、
- 注入針または複数の注入針を介して貫通領域を通して物質を注入できるように、注入針または複数の注入針の先端が、前進時に、前記貫通領域を貫通するように、注入針または複数の注入針を逆進退方向に前進および後退させるように配置された駆動ユニットと、を備える。
【0008】
この文脈では、注入針の前進に伴う先端部による貫通領域の貫通は、必ずしも、そのような前進の前に、先端部がハウジングの外壁の内部側から離間してハウジングの内部に存在することを意味しない。むしろ、注入針は、その先端が、その前進の前に外壁内に延び、前進の際に、壁の外部側から延びるように壁を貫通することさえある。これは、連続する注入サイクルの間に注入針が横方向に変位しない実施の形態では、少なくとも選択肢となる。
【0009】
また、貫通領域は、好ましくは、注入針が容易に貫通できる材料、特にシリコーンなどのエラストマーポリマー材料で作られた膜から形成されてもよいが、場合によっては、貫通領域は、単に、針をハウジングまたはケーシングの内側からその外側に進めることができる壁の穴であってもよい。
【0010】
本開示の第1の態様によれば、システムは、少なくとも1本の注入針の前進または後退時に少なくとも1本の注入針と協働するように配置された針協働部材と、前進方向および後退方向とは異なる変位方向において異なる位置に移動可能であるように針協働部材が結合されるクロスガイドと、をさらに含み得る。したがって、注入針を前進または後退させるには、クロスガイドに沿って針協働部材を異なる注射部位の位置まで事前に横方向に移動させることを伴うことがある。
【0011】
好ましくは、クロスガイドは、クロスガイド上の、またはクロスガイドに対する針協働部材の位置とは無関係に、注射部位に対する針協働部材の適切な位置合わせを確実にするのに十分な剛性を有する構造を提供するために、2つの対向する固定点の間に固定的に保持される。この目的のために、クロスガイドは、針協働部材が摺動可能に取り付けられるシャフトで構成することができる。
【0012】
クロスガイドは、好ましくは、針または複数の針の進退方向に対して垂直な変位方向に延びるが、ハウジングが患者の体内に埋め込まれる空間がそのように要求する場合には、針または複数の針の進退方向に対して傾斜した方向に延びることもある。
【0013】
好ましくは、システムは、針の前進および後退方向に移動するように配置された並進フレームからなり、クロスガイドは、並進フレームとともに移動するように並進フレームに固定される。このようにして、一旦、針協働部材がクロスガイドに対して所望の位置にもたらされると、針を前進または後退させるように、針の前進方向および後退方向に移動させることができる。好ましくは、配置は、並進フレームの移動時に単一の針が前進または後退するようなものである。
【0014】
少なくとも1本の注入針が注入針のアレイからなる場合、針協働部材は、好ましくは、注入針のアレイのそれぞれの1本の注入針と一度に協働するように配置される。
【0015】
より具体的には、針協働部材は、クロスガイドに対する相対的な位置に応じて、それぞれの1本の注入針を前進または後退させるように、注入針のアレイに作用するように配置することができる。この目的のために、針協働部材は、注入針のアレイから分離されていてもよい。すなわち、静止位置では、針協調部材は、注入針から離間していてもよく、並進フレームの移動時に、注入針のそれぞれの1つに係合することができる。一実施の形態では、注入針のアレイの注入針は、前進方向および後退方向にスライド可能であるように取り付けブロックに取り付けられてもよく、針協働部材は、好ましくは、前進方向に押すことによってそれぞれの1本の注入針を前進させるように配置される。
【0016】
特定の実施の形態では、針協働部材は、針駆動部と位置決め部とから構成されてもよく、針駆動部と位置決め部とは、並進フレームが前進方向に移動するときに互いに係合解除するように配置されている。この場合、クロスガイドに平行に二次クロスガイド部材が配置されることがあり、位置決め部は主二次クロスガイド部材に移動可能に、好ましくは摺動可能に取り付けられ、針駆動部は(主)クロスガイドに移動可能に、好ましくは摺動可能に取り付けられる。
【0017】
好ましくは、配置は、位置決め部品と針駆動部品とが係合するとき、位置決め部品が副クロスガイド部材に沿って変位方向に移動され、それによって針駆動部品が主クロスガイドに沿って変位方向にも所望の位置に移動され、そして、針駆動部が位置決めされたとき、針駆動部と位置決め部との係合が解除され、針駆動部が注入針のアレイのそれぞれの1本の注入針と協働するように、前述の並進フレームを前進方向または後退方向に移動させることができる。
【0018】
以下さらに詳細に説明する変位ケーブルは、針協働部材をクロスガイドに沿って変位方向に引っ張るために設けられ、針協働部材の位置決め部に接続されてもよい。
【0019】
少なくとも1本の注入針が単一の注入針のみからなる場合、単一の注入針は、針協働部材とともに変位方向に移動可能であるように、針協働部材に取り付けられてもよい。単一の注入針は、注入針を所定の位置に確実に保持するように、針協働部材に溶接またはポッティングすることができる。
【0020】
単一の注入針は、針協働部材に取り付けられる湾曲部を有することができる。これにより、システムを組み立てる際に、針協働部材の正しい位置に注入針を取り付けることが容易になる場合がある。より具体的には、湾曲部は、針協働部材の対応する湾曲凹部内に固定的に保持され得る。湾曲した凹部は、針がその前端部でハウジングの壁の貫通領域を貫通するように前進させられるときに、針に作用する力に対抗する力を提供する。
【0021】
また、ハウジングの壁の貫通領域を貫通する際の注入針のたわみを最小限に抑えるために、単一の注入針の周囲に針補強チューブを配置することもできる。
【0022】
最後に、単一注入針を通して注入される物質を供給するためのチューブは、単一注入針の端部に接続され、チューブの必要な可動域を可能にするためにハウジングの内部でループ状にすることができる。
【0023】
少なくとも1つのモーター、例えば、針または複数の針を反対側の前進および後退方向に前進および/または後退させるための第1のモーターと、針または複数の針または針協働部材を異なる横方向の変位方向に変位させるための第2のモーターを設けることができる。あるいは、2つのモーターが、協働して、針または複数の針を反対の前進および後退方向に前進および/または後退させ、針または複数の針または針協働部材を異なる横変位方向に変位させるために設けられてもよい。
【0024】
モーターは、針が配置されたハウジング内に配置することができる。しかし、患者の体内にハウジングを埋め込むために利用可能なスペースによっては、ハウジングを小さく保つことが望ましい場合がある。その場合、ハウジング内に配置された針または複数の針を移動させるための運動エネルギーをハウジング内に伝達するために、患者の体内または体外にも遠隔配置された1つまたは複数のモーターからハウジング内に延びる1つまたは複数のプルケーブルを設けることができる。また、ハウジング内に配置された部品間でエネルギーを伝達するために、1本以上のケーブルまたはベルトをハウジング内に設けることもできる。
【0025】
モーターまたはケーブルが注入針または複数の針を前進方向に前進させるように配置され、例えば、バネ要素のような弾力手段が、針または複数の針を静止位置に戻すように付勢するために設けられているすべての実施の形態において、モーターまたはケーブルが注入針または複数の針を静止位置に後退させるように配置され、例えばバネ要素のような弾力手段が、針または複数の針を作動位置に前進させるために設けられているように、配置が反対であってもよい。
【0026】
ケーブルが採用されるすべての実施の形態において、ケーブルは、好ましくは、折り曲げ可能でありながら引っ張り力を伝達することができるように、ボーデンケーブルである。これは、駆動装置の一部がハウジングから離れた場所にあり、ケーブルが離れた場所に配置されたモーターからハウジング内に延びている場合に特に有利である。
【0027】
ケーブルは通常、被覆された一組のワイヤから構成されると理解されるが、本開示の意味におけるケーブルは、単一の被覆されていないワイヤ、単一の被覆されたワイヤ、一組の被覆されていないワイヤ、一組の被覆されたワイヤ、または一組の被覆されたワイヤのような、被覆されていない、または好ましくは被覆された、1つ以上のワイヤから構成されてもよい。ワイヤは、好ましくは金属製であるが、代替的に、1つまたは複数のポリマーワイヤから構成されていてもよいし、1つまたは複数のポリマーワイヤを含んでいてもよい。
【0028】
前述したように、システムは、針協働部材をクロスガイドに沿って変位方向に引っ張るための変位ケーブルまたは変位ベルトから構成することができる。
【0029】
第1の実施の形態では、引張りばねが、針協働部材に作用し得る変位ケーブルの引張り力に対抗する反力を提供するように配置され得る。したがって、引張りばねは、針位置決め部材をクロスガイドに対して所定の位置に保持するのに役立つ。好ましくは、引張りばねによって提供される反力は、針協働部材に作用する変位ケーブルの引張り力がないときに、針協働部材を変位方向と反対の方向に移動させるのに十分な強さである。すなわち、ある回数の注射の後、針協働部材がクロスガイドに対して一歩一歩変位して最終位置に達したとき、変位ケーブルの引っ張り力を解除して、引張りばねの反力によって針協働部材を開始位置に戻すことができる。
【0030】
引張りばねが定張力引張りばねとして設計されると有利である。このようにすると、クロスガイドに沿って針協働部材を移動させるのに必要な引っ張り力、したがって関連するモーターによって提供される動力は、クロスガイドに対する針協働部材の位置とは無関係に一定である。例えば、引張りばねは、引張られていないときにそれ自体に巻きつく金属バンドから構成されてもよい。金属バンドの一端はリールに取り付けられ、他端は針協働部材に接続される。そして、変位ケーブルの助けを借りて針協働部材がクロスガイドに沿って一歩一歩引っ張られると、引張りばねが一定の反力を生み出す。変位ケーブルの引っ張り力が解除されると、引張りばねは自動的にリールに巻き戻され、それによって針協働部材はその開始位置に引き戻される。好ましくは、引張りバネは0.5Nから2Nの間、好ましくは0.8Nから1.2Nの間、最も好ましくは約1Nの引張り力を提供する。
【0031】
第2の実施の形態では、変位ケーブルまたは変位ベルトは、針協働部材をクロスガイドに沿って反対の第1および第2の変位方向に引っ張るために配置することができる。この場合、変位ケーブルによって針協働部材をその開始位置に戻すことができるため、上述のような引張りばねは必要ない。この場合、第1の車輪と第2の車輪を設けることができ、第1の車輪は第1の回転軸を有し、第2の車輪は第1の回転軸に平行で、第1の回転軸から間隔を隔てた第2の回転軸を有し、変位ケーブルまたは変位ベルトは第1の車輪と第2の車輪の周囲を巻回する。
【0032】
好ましくは、変位ケーブルまたは変位ベルトはエンドレスである。例えば、第1の車輪から第2の車輪に延び、第2の車輪の周りを180°巻き付けるか、またはケーブルまたはベルトの滑りを防止するために、好ましくは180°巻き付けてさらに数回完全に回転し、第2のホイールから第1のホイールまで戻って延び、第1のホイールの周りを180°巻き付けるか、またはやはり好ましくは180°巻き付けてさらに数回完全に回転するループの形態で設けてもよい。そして、針協調部材は、第1および第2の車輪の回転方向に応じて、第1および第2の変位方向に移動する。
【0033】
変位ケーブルまたは変位ベルトの弛みを減少させるように、変位ケーブルまたは変位ベルトの長手方向軸に対して横方向に変位ケーブルまたは変位ベルトに張力を発生させるために、張力要素を設けることができる。
【0034】
第1または第2の車輪を回転させるための動力を供給するために、ハウジングの内部または外部にモーターを配置することもできる。しかしながら、前述したように、埋め込みのためのスペースが限られており、したがって、ハウジングを小さく保たなければならないため、モーターをハウジングに取り付けることができない場合には、第1又は第2の車輪を回転させるために駆動ケーブルを配置することが好ましく、駆動ケーブルは、それに応じてハウジングの外側に延び、遠隔のモーターに接続される。この場合、駆動ケーブルは、第1および第2の車輪の一方に接続され、第1または第2の車輪に巻きついたり離れたり、あるいは第1または第2の車輪の周囲を巻いたりすることができる。
【0035】
あるいは、第1および第2の車輪の少なくとも一方は、駆動シャフトの回転によって回転するように駆動シャフトに取り付けられ、駆動シャフトを駆動するために駆動ケーブルが駆動シャフトに接続されてもよい。この場合、第3の車輪が駆動シャフトに取り付けられ、駆動ケーブルが第3の車輪に巻きついたり、第3の車輪から外れたり、第3の車輪の周りに巻きついたりしてもよい。
【0036】
駆動ケーブルが第1または第2の車輪に巻きついたり離れたり、あるいは第3の車輪に巻きついたり離れたりするように配置されている場合、駆動ケーブルは、駆動ケーブルが第1の方向に引っ張られているときに、駆動ケーブルがほどけて駆動ケーブルの一部分がハウジングの外に移動するように、駆動ケーブルの一端がそれぞれの車輪に取り付けられていてもよく、引張りばねは、駆動ケーブルをハウジングの中に反対側の第2の方向に引っ張り、それぞれの車輪の上に戻すように配置されている。駆動ケーブルが第1または第2の車輪の周り、あるいは第3の車輪の周りに巻かれるように配置されている場合、駆動ケーブルが引っ張られると、駆動ケーブルの一部分がハウジングの中に移動し、駆動ケーブルの別の部分がハウジングの外に移動するように、駆動ケーブルを配置することができる。
【0037】
すべての実施の形態において、第1のアライメント構造が針協働部材上に配置され、第2のアライメント構造が静止して配置され、針協働部材がクロスガイドに沿って異なる位置に移動されるときに、第1および第2のアライメント構造が互いに係合し、針協働部材の異なる静止位置を規定するようにしてもよい。この配置は、針協働部材の正確な位置決めをサポートする。
【0038】
好ましい実施の形態では、第1のアライメント構造は板バネであってよく、第2のアライメント構造は、板バネと協働するように配置された複数の静止した戻り止めまたは突起から構成されてよく、あるいは、第1のアライメント構造は複数の戻り止めまたは突起から構成されてよく、第2のアライメント構造は、戻り止めまたは突起と協働するように配置された1つまたは複数の静止した板バネから構成されてよい。したがって、針協働部材がある位置から次の位置へ変位方向にクロスガイドに対して相対的に動かされると、リーフスプリングは後方に付勢されて回り止めまたは突起から外れ、その後、1つまたは複数の隣接する回り止め、または突起と再び係合するために再び前方にスナップする。
【0039】
本開示の第2の態様によれば、システムは、少なくとも1つのリニアベアリング、好ましくは2つの平行なリニアベアリングと、少なくとも1本の注入針の前進方向および後退方向にリニアベアリングまたはベアリングに沿って移動するように配置された並進フレームとを備え、並進フレームのそれぞれの移動によって注入針を前進または後退させるか、または前進および後退の両方を行う。最も好ましくは、針協働部材が結合される上述のクロスガイドを並進フレームに固定し、並進フレームと共に針の進退方向に移動できるようにする。平行な2つのリニアベアリングを設けることにより、システムの安定性と精度が向上する。2つのリニアベアリングは、好ましくは、並進フレームが摺動可能に取り付けられた2本の平行なシャフトの形態をとる。
【0040】
並進フレームを静止位置に付勢するために、さらに少なくとも1つの戻しばねを配置することができる。例えば、少なくとも1つのリターンスプリングは、1つのリニアベアリングの周りに配置されたコイルスプリングで構成されてもよく、より好ましくは、2つの平行なリニアベアリングのそれぞれのものの周りに配置された2つのコイルスプリングで構成されてもよい。
【0041】
駆動ユニットは、前進ケーブルを引っ張ることによって少なくとも1本の注入針を前進または後退させるように配置された前進ケーブルを含んでいてもよい。例えば、前進ケーブルは、少なくとも1つのリニアベアリングに沿って並進フレームを前進方向及び後退方向に移動させ、それによって注入針を前進及び/又は後退させるように配置することができる。前進ケーブルは、ハウジングの壁を通って、ハウジングから離れた患者の外側の位置、より好ましくは患者の内側のどこかに配置されたモーターに向かって案内されることがある。
【0042】
本開示の第3の態様によれば、前進ケーブルは、ブロックアンドタックルセットアップの一部を形成することができる。これにより、針または複数の針をハウジングの壁の貫通領域を通して前進させるのに必要な電力量が低減される。したがって、前進ケーブルを駆動するためのモーターは、比較的小さくてもよい。
【0043】
前進ケーブルが、前進方向および後退方向に上記リニアベアリングまたはベアリングに沿って上記並進フレームを移動させるように配置されている場合、ブロックアンドタックルセットアップは、並進フレームと共に移動するように並進フレームに固定された少なくとも1つの第1のプーリー、好ましくは2つの第1のプーリーと、静止するようにハウジングに固定された少なくとも1つの第2のプーリー、好ましくは2つの第2のプーリーとから構成され得る。さらに、前進ケーブルの一端は、ハウジングまたは並進フレームに固定されている。したがって、前進ケーブルの一端がハウジングに固定され、前進ケーブルが並進フレームを移動させるように引っ張られると、並進フレームとともに移動する第1のプーリーに沿って巻き取られ、それによって並進フレームを移動させるのに必要な引っ張り力が2分割される。
【0044】
本開示の第4の態様によれば、駆動ユニットは、進退ケーブルを引っ張ることによって、少なくとも1本の注入針の進退と、進退方向とは異なる変位方向への少なくとも1本の注入針の変位との両方を引き起こすことができるように配置された、前進・変位複合ケーブルを含んでいてもよい。例えば、第1のアクチュエータが進退ケーブルの第1の端部に取り付けられ、第2のアクチュエータが進退ケーブルの第2の端部に取り付けられてもよく、第1のアクチュエータは、進退ケーブルを第1の引っ張り方向に引っ張って移動させることができるように配置され、第2のアクチュエータは、進退ケーブルを第1の引っ張り方向とは反対の第2の引っ張り方向に引っ張って移動させることができるように配置される。
【0045】
この配置は、前進および変位ケーブルを反対側の第1および第2の引き込み方向に動かすように第1および第2のアクチュエータを同時に作動させることにより、少なくとも1本の注入針を前進または後退させるようにすることができる。
【0046】
この場合、進退ケーブルが、上記並進フレームを上記リニアベアリング又はベアリングに沿って進退方向に移動させるように配置されているとき、進退ケーブルの反対側の第1及び第2の引張り方向への移動は、並進フレームをリニアベアリング又はベアリングに沿って移動させることができる。これは、例えば、静止するようにハウジングに固定された少なくとも2つの第1のプーリによって達成されてもよく、この場合、進退ケーブルは、ハウジングに固定された2つの第1のプーリのうちの1つのプーリ上を案内され、さらに並進フレームに案内され、さらにハウジングに固定された2つの第1のプーリのうちの他の1つのプーリ上を案内される。したがって、前進及び変位ケーブルの反対側の端部が、同じ距離にわたって反対側の第1及び第2の引っ張り方向に引っ張られると、並進フレームは、リニアベアリング又はベアリングに沿って、注入針又は針の前進方向など、2つの第1のプーリに向かう方向に引っ張られる。前述のブロックとタックルのセットアップが同様に前進と変位ケーブルのために提供されてもよいが、この場合、1つのモーターだけでなく2つのモーターが、前進と変位ケーブルの両端に1つずつ使用されてもよいので、2倍の電力が利用可能であるため、これはそれほど重要ではない。この場合も、前述の戻しばねを配置して並進フレームを静止位置に向けて付勢し、進退ケーブルの引っ張り力が減少したときに戻しばねによって並進フレームが静止位置に自動的に戻るようにしてもよい。
【0047】
この配置はさらに、前進および変位ケーブルを第1または第2の引き込み方向に移動させるように第1および第2のアクチュエータのいずれか一方を作動させ、一方、第1および第2のアクチュエータのそれぞれの他方は前進および変位ケーブルを移動させないようにして、少なくとも1本の注入針を変位方向に変位させるようにしてもよい。
【0048】
この場合、システムが、少なくとも1本の注入針が取り付けられる上記針協働部材と、針協働部材が結合される上記クロスガイドとから構成されるとき、進退変位ケーブルは、針協働部材をクロスガイドに沿って変位方向の異なる位置に引っ張り移動させるように、針協働部材に接続することができる。これは、例えば、針協働部材の対向する側で並進フレームに固定された少なくとも2つの第2プーリによって達成され得、前進および変位ケーブルは、2つの第2プーリ上を案内される。したがって、前進および変位ケーブルが一方または他方の引っ張り方向に引っ張られると、針協働部材は、それに応じて、クロスガイドに沿って、2つの第2のプーリのそれぞれの1つに向かって、すなわち、注入針の変位方向に引っ張られる。
【0049】
一実施の形態では、前進および変位ケーブルは、2つの別個のケーブル部分から構成されてもよく、各ケーブル部分は、その一端が針協働部材に接続されている。しかし、前進・変位ケーブルは、その中央部分が針協働部材に固定的に接続された連続ケーブルであってもよい。
【0050】
前述から明らかなように、この第4の態様では、2つのモーターが、協働して、少なくとも1本の注入針を前進方向または後退方向に前進または後退させ、個々に、針協働部材をそれぞれ反対の変位方向に変位させるために配置され得る。
【0051】
特に、この第4の態様においても、少なくとも1本の注入針は、針協働部材と共に変位方向に移動可能であるように、針協働部材に取り付けられた単一の注入針のみから構成されてもよい。この場合も、単一の注入針は、針協働部材に溶接またはポッティングされていてもよく、針協働部材に取り付けられることによって湾曲部を有していてもよく、湾曲部は、針協働部材の対応する湾曲凹部に固定的に保持されていてもよい。また、ハウジングの壁の貫通領域を貫通する際の注入針の撓みを最小限に抑えるために、針補強チューブを単一注入針の周囲に配置してもよく、単一注入針を通して注入される物質を供給するためのチューブを単一注入針の端部に接続し、チューブが所要の可動域を有するようにハウジング内でループ状にしてもよい。
【0052】
本開示の第5の態様によれば、少なくとも1本の注入針は、先端端を有する管状針本体と、少なくとも1本の注入針を介して物質を注入することができるように先端端に配置された注入ポートと、注入される物質を受け取ることができるように先端端から離れた位置に配置された供給ポートと、注入ポートと供給ポートとを接続する管状針本体内部の針管腔とを備えることができ、供給ポートは、管状針本体の側方に配置される側方ポートである。したがって、この態様によれば、注射される物質は、針本体内に横向きに供給される。このようにして、供給ルーメンは、針の後端と衝突しない。この後端は、注入針を前進または後退方向に移動させるために使用され、特に適合させることができる。この態様は、単一の供給管腔のみが必要とされるように単一の注入針のみが存在する場合に確かに適用可能であるが、この態様は、複数の注入針からなるシステムにおいても有利に採用され得る。一般に、複数の針が提供される場合、注入針は、1mmから2mmの間の距離、好ましくは1.5mmの距離だけ互いに離間され得る。
【0053】
いずれの場合においても、システムは、注入される物質を保持するために配置されるハウジング内部に内部リザーバを含んでいてもよく、注入針が貫通領域を貫通する前進位置にあるとき、供給ポートは内部リザーバ内に配置され、注入ポートはハウジングの外側に配置される。したがって、この位置では、輸液などの物質は、管状針本体の側面に配置された供給ポートから注入針に入ることができ、内部リザーバ内の物質に適切な圧力が加えられると、物質は、内部リザーバから供給ポート、針内腔および注入ポートを通って患者に流入する。複数の注入針の場合、それぞれの注入針が、それぞれの供給ポートが内部リザーバの内側に位置し、それぞれの注入ポートがハウジングの外側に位置した状態で、貫通領域を貫通する位置まで個別に前進するように配置することができる。
【0054】
好ましくは、貫通領域は隔壁で構成され、内部リザーバは、注入針が後退位置にあるとき、供給ポートが内部リザーバの外側で隔壁の内側にあるように、隔壁内に配置される。このようにすると、注入針が使用されず収納されていないとき、供給ポートは隔壁の材料によって密閉的に閉じられる。あるいは、セプタム内の内部リザーバの寸法は、注入針が後退位置にあるときに、供給ポートが内部リザーバ内に位置するような寸法であってもよい。これは、注入針が後退位置から前進位置に移動する前に、針内腔が内部リザーバから物質で満たされるようにするために有利である。この場合も、複数の注入針の場合、各注入針はこのように、好ましくは横に並べて配置される。
【0055】
さらに好ましくは、注入針が後退位置にあるとき、注入針の先端部の注入ポートも隔壁の内側に配置することができる。このようにして、注入ポートは安全に保護される。この格納位置では、注入ポートは隔壁の内側で内部リザーバの外側に配置されてもよい。この方法でも、注入針が使用されず収納されていないとき、注入ポートは隔壁の材料によって密閉的に閉じられる。さらに、このような配置は、注入針の安定性を高め、針の動きにある程度の指針を与える。あるいは、注入ポートが隔壁の内側に配置され、注入針が後退位置にあるときに内部リザーバの内側に配置されることもある。この場合も、注入針が引き込み位置から前進位置に移動する前に、針内腔が内部リザーバから物質ですでに満たされていることを確実にするために有利である。
【0056】
内部リザーバに注入物質を供給するための供給ルーメンに関して、システムが、上述の1つまたは複数のリニアベアリングと、リニアベアリングに沿って進退方向に移動するように配置された並進フレームとから構成され、並進フレームのそれぞれの移動によって注入針を進退させる場合、供給ルーメンは、リニアベアリングの内腔に沿って走るように配置することができる。このようにすれば、ハウジングの全体的な大きさを小さく抑えることができる。内腔は、好ましくは、前述の内部リザーバに直接接続する。
【0057】
好ましくは、注入針の注入ポートも、管状針本体の側方に配置された側方ポートとして設計される。したがって、注入針はその先端側で閉じられ、側方に配置された注入ポートが特定の身体部位への薬剤の送達に使用される。したがって、注入針はいかなる材料も切り取ることはなく、単に貫通時に分割されるだけである。したがって、注入針が線維症および/または自己密封性の貫通膜の形態である可能性のある隔壁のような物質を貫通しても、物質が侵入して薬物送達通路を塞ぐことはない。
【0058】
すべての実施の形態において、ハウジングの最大サイズは30mm×40mm×6mmである。
【0059】
[通信]
本開示のさらなる態様によれば、不正な第3者の介入に対するシステムの安全性を高めることができる。これは、第3者によって容易に傍受され、その後悪用される可能性がある無線通信の文脈において特に重要である。したがって、システムは、好ましくは、以下のうちの少なくとも1つが行われるように構成される:
- システムのコントローラから、またはコントローラへ、あるいはコントローラから、およびコントローラへの無線通信は暗号化されること、
- 無線通信を介してコントローラから送信されたデータに署名すること
- システムの利用者の認証には、患者の認証データの入力が含まれること。
【0060】
好ましくは、暗号化無線通信は、よく知られたRSA暗号化などの公開鍵による暗号化と秘密鍵による復号化を含む。他の暗号化方法も同様に実施することができる。好ましくは、秘密鍵は、少なくとも第1の鍵と第2の鍵とを組み合わせることによって導出される複合鍵であってもよいという点で、セキュリティレベルはさらに向上する。
【0061】
同様に、前述の外部コントローラまたはリモートコントローラから内部コントローラなど、コントローラから無線で送信されるデータの署名に関して、署名には秘密鍵が関与する場合があり、署名されたデータのその後の検証には対応する公開鍵が関与する場合がある。
【0062】
好ましくは、データ通信は暗号化と署名の両方を含む。RSA暗号化技術は、データの暗号化とデジタル署名の両方を可能にする。暗号化/復号化プロセスでは、送信者は受信者の公開鍵を使用してデータを暗号化し、受信者は受信者の秘密鍵を使用してその後にデータを復号化する。一方、署名/認証プロセスでは、送信者は自分の秘密鍵を使用して(暗号化された)データに署名し、受信者は送信者の公開鍵を使用して署名を認証する。
【0063】
患者の認証データの入力を伴うユーザの認証に関して、システムは、患者の認証データを取得するように構成された検証ユニットを備えることができる。例えば、検証ユニットは、指紋リーダー、網膜スキャナ、カメラ、コードを入力するためのグラフィカル・ユーザ・インターフェース、およびマイクロフォンのうちの少なくとも1つで構成される。検証ユニットによる肯定的な検証の後にのみ、システムの特定の機能が有効になる。たとえば、肯定的な検証により、コントローラが特定のデータを処理できるようになったり、無線通信チャネルなど、システムの2つのコントローラ間の通信チャネルが開かれたりする。
【0064】
代替的または追加的に、システムは、患者の感覚によって検出可能な感覚を生成する ための感覚ジェネレータを含んでいてもよい。この場合、患者は、患者が感知したものに関連する認証データをシステムに入力することができる。次に、ユーザの認証は、ユーザによって入力された認証データが、感覚ジェネレータによって生成された感覚に関連する感覚ジェネレータからのデータと一致することを検証ユニットによって検証することを含む。この場合も、検証ユニットによる肯定的な検証の後にのみ、システムの特定の機能が有効になる。例えば、肯定的な検証により、コントローラが特定のデータを処理できるようになったり、無線通信チャネルなど、システムの2つのコントローラ間の通信チャネルが開かれたりする。
【0065】
この文脈において、感覚ジェネレータは、患者の感覚によって検出可能な感覚として、以下の少なくとも1つを発生するように構成される:
- 振動、この振動には例えば固定周波数の機械的振動が含まれる、
- 音、この音は、例えば固定周波数の機械的振動の重ね合わせを含む、
- 光量子信号、例えば赤外線パルスのような非可視光パルスを含むことができる、
- 光信号、例えば視覚的な光パルスを含む、
-電気信号、電流パルスなどを含む、
-熱信号、例えば熱パルスを含む。
【0066】
[一般通信・ハウジング]
さらに、患者に埋め込まれたときに埋め込み型医療装置と通信するように構成された外部装置が提供され、この外部装置は、ディスプレイ装置と、ディスプレイ装置に機械的かつ分離可能に接続するように構成されたハウジングユニットとを備え、ハウジングは、ディスプレイ装置から通信を受信するための第1の通信ユニットと、埋め込み型医療装置に通信を無線送信するための第2の通信ユニットとを備える。
【0067】
一実施の形態によれば、外部装置は携帯型電子機器からなる。
【0068】
一実施の形態によれば、外部装置は、埋め込み型医療装置の動作状態を変更するために埋め込み型医療装置と通信するように構成されている。この実施の形態の利点は、埋め込み型医療装置の動作状態を遠隔操作で変更できることである。
【0069】
一実施の形態によれば、第1の通信ユニットは、ディスプレイ装置と無線通信するための無線通信ユニットである。この実施の形態の利点は、電線を必要とせずにディスプレイ装置と通信できることである。
【0070】
一実施の形態によれば、第1の通信ユニットは、第1の通信周波数を用いてディスプレイ装置と無線通信するように構成され、第2の通信ユニットは、第2の通信周波数を用いて埋め込み型医療装置と無線通信するように構成され、第1および第2の通信周波数は異なる。本実施の形態の利点は、干渉の可能性が低減されることである。
【0071】
一実施の形態によれば、第2の通信ユニットは、100kHz以下の周波数の電磁波を用いて埋め込み型医療装置と無線通信するように構成されている。
【0072】
一実施の形態によれば、第2の通信ユニットは、40kHz以下の周波数の電磁波を用いて埋め込み型医療装置と無線通信するように構成されている。この実施の形態の利点は、医療機器に一般的に使用されるチタンが40kHz以下の電磁波に対して透明であることである。
【0073】
一実施の形態によれば、第1の通信ユニットは、100kHzを超える周波数の電磁波を用いてディスプレイ装置と無線通信するように構成されている。この実施の形態の利点は、医療用埋め込み型装置との通信において、100kHz以下の周波数スペクトルがノイズのないままであることである。
【0074】
一実施の形態によれば、第1の通信ユニットは、第1の通信プロトコルを用いてディスプレイ装置と無線通信するように構成され、第2の通信ユニットは、第2の通信プロトコルを用いて埋め込み型医療装置と無線通信するように構成され、第1および第2の通信プロトコルは異なる。実施の形態の利点は、通信ユニットのニーズにどちらのプロトコルがより適しているかに応じて、第1および第2の通信ユニットの通信用にプロトコルを独立して選択できることである。
【0075】
一実施の形態によれば、ハウジングユニットは、ディスプレイ装置との無線通信用に構成された第1のアンテナと、埋め込み型医療装置との無線通信用に構成された第2のアンテナとを備える。この実施の形態の利点は、第1および第2の通信ユニットの通信のために、どちらのアンテナがより通信ユニットのニーズに適しているかに応じて、アンテナを独立して選択できることである。
【0076】
一実施の形態によれば、第1の通信ユニットは、ディスプレイ装置と有線通信するための有線通信ユニットである。この実施の形態の利点は、第1の通信ユニットの通信が信頼性が高く安全であることである。
【0077】
一実施の形態によれば、ディスプレイ装置は、ハウジングユニットと通信するための第1の通信ユニットと、第2の外部装置と無線通信するための第2の通信ユニットとを備える。この実施の形態の利点は、追加の外部装置との通信が可能になり、それによって冗長性と信頼性がもたらされることである。
【0078】
一実施の形態によれば、ディスプレイ装置の第2の通信ユニットは、インターネットを介して第2の外部装置と通信するように構成される。この実施の形態の利点は、ディスプレイ装置が遠方の装置と通信できることである。
【0079】
一実施の形態によれば、ディスプレイ装置の第1の通信ユニットは、ハウジングユニットと無線通信するための無線通信ユニットである。この実施の形態の利点は、通信ユニットを、ワイヤを使用せずにハウジングユニットに接続できることである。
【0080】
一実施の形態によれば、ディスプレイ装置の第1の通信ユニットは、第1の通信周波数を用いてハウジングユニットと無線通信するように構成され、ディスプレイ装置の第2の通信ユニットは、第2の通信周波数を用いて第2の外部装置と無線通信するように構成され、第1および第2の通信周波数は異なる。本実施の形態の利点は、干渉の可能性が低減され、信号対干渉比およびノイズ比が向上することである。
【0081】
一実施の形態によれば、ディスプレイ装置の第1の通信ユニットは、第1の通信プロトコルを用いてハウジングユニットと無線通信するように構成され、ディスプレイ装置の第2の通信ユニットは、第2の通信プロトコルを用いて第2の外部装置と無線通信するように構成され、第1および第2の通信プロトコルは異なる。本実施の形態の利点は、第1通信ユニットと第2通信ユニットの通信において、どちらのプロトコルが通信ユニットのニーズに適しているかに応じて、プロトコルを独立して選択できることである。
【0082】
一実施の形態によれば、ディスプレイ装置は、ハウジングとの無線通信用に構成された第1のアンテナと、第2の外部装置との無線通信用に構成された第2のアンテナとを備える。この実施の形態の利点は、第1および第2の通信ユニットの通信のために、どちらのアンテナがより通信ユニットのニーズに適しているかに応じて、アンテナを独立して選択できることである。
【0083】
一実施の形態によれば、第1の通信ユニットは、ハウジングユニットと有線通信するための有線通信ユニットである。この実施の形態の利点は、第1の通信ユニットの通信が信頼性が高く安全であることである。
【0084】
一実施の形態によれば、ディスプレイ装置は、患者にユーザ・インターフェースを表示するように構成されている。この実施の形態の利点は、患者が使い慣れたディスプレイ装置を使用してハウジングユニットと通信できることである。
【0085】
一実施の形態によれば、ハウジングユニットは、ユーザ・インターフェースの表示に係る情報をディスプレイ装置に送信するように構成されている。この実施の形態の利点は、患者が使い慣れたディスプレイ装置を用いて情報を受信できることである。
【0086】
一実施の形態によれば、ディスプレイ装置は、埋め込み型医療装置との間の通信に係る入力を患者から受信し、受信した入力に基づく信号をハウジングユニットに送信するように構成されている。この実施の形態の利点は、患者が使い慣れたディスプレイ装置を使用してハウジングユニットと通信できることである。
【0087】
一実施の形態によれば、ディスプレイ装置は、ユーザ・インターフェースを表示し、患者からの入力を受け取るように構成されたタッチスクリーンからなる。この実施の形態の利点は、患者が使い慣れた方法で情報を扱うことができることである。
【0088】
一実施の形態によれば、ハウジングユニットは、患者に対してユーザ・インターフェースを表示するように構成されている。この実施の形態の利点は、ハウジングユニットがユーザ入力を受信できることである。
【0089】
一実施の形態によれば、ハウジングユニットの第1の通信ユニットは、第2の通信ユニットを用いて、患者からの入力に係る埋め込み型医療機器からの通信を受信し、受信した入力に基づく信号を埋め込み型医療機器に無線送信するように構成されている。本実施の形態の利点は、ハウジングユニットがディスプレイ装置と埋め込み型医療装置との間の通信において余分なノードとして機能し、それによって通信を監視できることである。
【0090】
一実施の形態によれば、ハウジングユニットの第2の通信ユニットは、標準ネットワークプロトコルを用いて埋め込み型医療装置と無線通信するように構成されている。この実施の形態の利点は、通信ユニットの実装が安価であり、プロトコルが信頼できることである。
【0091】
一実施の形態によれば、標準ネットワークプロトコルは、以下のリストのうちの1つである:無線周波数型プロトコル、RFID型プロトコル、WLAN型プロトコル、Bluetooth型プロトコル、BLE型プロトコル、NFC型プロトコル、3G/4G/5G型プロトコル、GSM型プロトコル。
【0092】
一実施の形態によれば、ハウジングユニットの第2通信ユニットは、Bluetooth(登録商標)・トランシーバで構成される。
【0093】
一実施の形態によれば、ハウジングユニットの第2の通信ユニットは、独自のネットワークプロトコルを使用して埋め込み型医療装置と無線通信するように構成されている。この実施の形態の利点は、ハウジングユニットが独自のネットワークプロトコルを使用する埋め込み型医療装置と互換性があることである。
【0094】
一実施の形態によれば、ハウジングユニットの第2の通信ユニットは、UWBトランシーバで構成される。利点は、第2の通信ユニットを介して高いデータレートで通信できることである。
【0095】
一実施の形態によれば、ハウジングユニットの第1の通信ユニットは、標準ネットワークプロトコルを使用してディスプレイ装置と無線通信するように構成される。この実施の形態の利点は、通信ユニットの実装が安価であり、プロトコルが信頼できることである。
【0096】
一実施の形態によれば、標準ネットワーク・プロトコルはNFC型プロトコルである。この実施の形態の利点は、通信デバイス間の距離が制限されるため、盗聴攻撃から保護されることである。
【0097】
一実施の形態によれば、ハウジングユニットの第1の通信ユニットは、独自のネットワークプロトコルを使用してディスプレイ装置と無線通信するように構成されている。この実施の形態の利点は、ハウジングユニットが、独自のネットワークプロトコルを使用する埋め込み型医療機器と互換性があることである。
【0098】
一実施の形態によれば、ハウジングユニットの第1の通信ユニットの通信範囲は、ハウジングユニットの第2の通信ユニットの通信範囲よりも小さい。この実施の形態の利点は、その通信範囲で十分な場合に第1の通信ユニットを選択することによってエネルギーが節約されることである。
【0099】
一実施の形態によれば、ディスプレイ装置の第1の通信ユニットの通信範囲は、ディスプレイ装置の第2の通信ユニットの通信範囲よりも小さい。この実施の形態の利点は、その通信範囲で十分な場合に第1の通信ユニットを選択することによってエネルギーが節約されることである。
【0100】
一実施の形態によれば、ハウジングユニット及びディスプレイ装置の少なくとも一方は、ハウジングユニットとディスプレイ装置との間の距離に基づいて、ハウジングユニットとディスプレイ装置との間の通信を許可するように構成される。この実施の形態の利点は、距離が安全および認可要素として使用されることである。
【0101】
一実施の形態によれば、ハウジングユニットおよびディスプレイ装置の少なくとも一方は、ハウジングユニットがディスプレイ装置に機械的に接続されることに基づいて、ハウジングユニットとディスプレイ装置との間の通信を可能にするように構成される。この実施の形態の利点は、中間者攻撃に対する安全性が向上することである。
【0102】
一実施の形態によれば、ハウジングユニットは、ハウジングユニットと埋め込み可能な医療装置との間の距離に基づいて、ハウジングユニットと埋め込み可能な医療装置との間の通信を可能にするように構成されている。この実施の形態の利点は、距離が安全および認可要素として使用されることである。
【0103】
一実施の形態によれば、ハウジングユニットは、ディスプレイデバイスから受信した通信を暗号化するように構成された暗号化ユニットをさらに備える。この実施の形態の利点は、暗号化された通信が望ましくない第3者のアクセスから保護されることである。
【0104】
一実施の形態によれば、ハウジングユニットはさらに、第2の通信ユニットを用いて暗号化通信を埋め込み型医療装置に送信するように適合されている。この実施の形態の利点は、暗号化通信が望ましくない第3者のアクセスから保護されることである。
【0105】
一実施の形態によれば、ディスプレイ装置の第2の通信ユニットは、ディスプレイ装置とハウジングユニットとの間の通信、およびハウジングユニットと埋め込み型医療装置との間の通信のうちの少なくとも1つを可能にするために無効化されるように構成される。
【0106】
本明細書で説明する実施の形態のいずれかにおけるディスプレイ装置は、ウェアラブル装置であってもよいし、ハンドセットであってもよい。本実施の形態の利点は、装置が移動可能であり、必要な場所で使用できることである。
【0107】
一実施の形態によれば、ハウジングユニットは、ウェアラブルデバイスまたはハンドセット用のケースを構成する。この実施の形態の利点は、ウェアラブルデバイスまたはハンドセットを機械的損傷から保護できることである。
【0108】
さらに、患者に埋め込まれたときに埋め込み型医療装置と通信するように構成されたハウジングユニットが提供され、ハウジングユニットは、ディスプレイ装置に機械的に接続するように構成され、ディスプレイ装置と通信するための第1の通信ユニットと、埋め込み型医療装置と無線通信するための第2の通信ユニットとを備える。
【0109】
一実施の形態によれば、ディスプレイ装置はウェアラブル装置または携帯電話機であり、ハウジングユニットはウェアラブル装置または携帯電話機のケースを構成する。
【0110】
一実施の形態によれば、第1の通信ユニットは、ディスプレイ装置と無線通信するための無線通信ユニットである。
【0111】
一実施の形態によれば、第1の通信ユニットは、第1の通信周波数を用いてディスプレイ装置と無線通信するように構成され、第2の通信ユニットは、第2の通信周波数を用いて埋め込み型医療装置と無線通信するように構成され、第1および第2の通信周波数は異なる。
【0112】
一実施の形態によれば、ハウジングユニットは、ユーザ・インターフェースの表示に係る情報をディスプレイ装置に送信するように構成される。
【0113】
一実施の形態によれば、ハウジングユニットは、ディスプレイ装置から患者の入力を受け取るように構成されている。
【0114】
一実施の形態によれば、ハウジングユニットは、患者にユーザ・インターフェースを表示するように構成されている。
【0115】
一実施の形態によれば、ハウジングユニットは、ハウジングユニットとディスプレイ装置との間の距離に基づいて、ハウジングユニットとディスプレイ装置との間の通信を可能にするように構成される。
【0116】
一実施の形態によれば、ハウジングユニットは、ハウジングユニットがディスプレイ装置に機械的に接続されることに基づいて、ハウジングユニットとディスプレイ装置との間の通信を可能にするように構成される。
【0117】
一実施の形態によれば、ハウジングユニットは、ハウジングユニットと埋め込み可能な医療装置との間の距離に基づいて、ハウジングユニットと埋め込み可能な医療装置との間の通信を可能にするように構成されている。
【0118】
一実施の形態によれば、ハウジングユニットは、ディスプレイデバイスから受信した通信を暗号化するように構成された暗号化ユニットをさらに備える。
【0119】
一実施の形態によれば、ハウジングユニットはさらに、第2の通信ユニットを用いて埋め込み可能な医療装置に暗号化通信を送信するように適合されている。
【0120】
一実施の形態によれば、ハウジングがディスプレイ装置に機械的に接続されている場合、ハウジングユニットとディスプレイ装置の最小バウンディングボックスは、ディスプレイ装置の最小バウンディングボックスよりも10%以上広く、10%以上長く、100%以上高くない。
【0121】
一実施の形態によれば、ハウジングユニットは、ハウジングがディスプレイ装置に機械的に接続されていないときに患者が使用するように構成された1つ以上のスイッチを含んでいる。
【0122】
一実施の形態によれば、ディスプレイ装置がハウジングユニットに機械的に接続されている場合、スイッチは少なくとも一部がディスプレイ装置によって覆われる。
【0123】
一実施の形態によれば、ハウジングの少なくとも一部は、ディスプレイ装置に機械的に接続するために屈曲する。
【0124】
一実施の形態によれば、ハウジングの少なくとも一部は、ディスプレイ装置を挟み込むように構成されている。
【0125】
一実施の形態によれば、ハウジングは、ディスプレイ装置に機械的に接続されたときに、ディスプレイ装置の少なくとも一側面を覆うように構成される。
【0126】
一実施の形態によれば、ハウジングは、ハウジングおよびディスプレイ装置に機械的に接続される装置によって、ディスプレイ装置に機械的に接続されるように構成される。
【0127】
[一般セキュリティ・モジュール]
さらに、埋め込み型医療装置用の埋め込み型コントローラが提供される。埋め込み型コントローラは、外部装置と無線通信するための無線トランシーバと、セキュリティ・モジュールと、無線トランシーバ、セキュリティ・モジュールおよび埋め込み型医療装置と通信するように構成された中央ユニットとを備える。無線トランシーバは、埋め込み型医療装置に対する少なくとも1つの命令を含む外部装置からの通信を受信し、受信した通信を中央ユニットに送信するように構成されている。中央装置は、外部装置から受信した通信に由来するセキュア通信をセキュリティ・モジュールに送信するように構成され、セキュリティ・モジュールは、セキュア通信の少なくとも一部を復号化し、および/または、セキュア通信の真正性を検証するように構成される。セキュリティ・モジュールは、応答通信を中央ユニットに送信するように構成され、中央ユニットは、少なくとも1つの命令を埋め込み型医療装置に通信するように構成され、少なくとも1つの命令は、応答通信に基づくか、または応答通信と外部装置から受信した通信との組み合わせに基づく。
【0128】
一実施の形態によれば、セキュリティ・モジュールは、中央装置からの通信を受け入れるためのルール・セットで構成される。
【0129】
一実施の形態によれば、無線トランシーバは、無線トランシーバによって無線通信を送受信することができないオフモードに置かれるように構成され、ルールのセットは、無線トランシーバがオフモードに置かれている場合にのみ中央ユニットからの通信を受け入れることを規定するルールを含む。
【0130】
一実施の形態によれば、ルールのセットは、無線トランシーバが特定の時間オフモードに置かれている場合にのみ、中央ユニットからの通信を受け付けることを規定するルールを含んでいる。
【0131】
一実施の形態によれば、中央装置は、外部装置から受信した通信のデジタル署名を検証するように構成されている。
【0132】
一実施の形態によれば、ルールのセットは、受信した通信のデジタル署名が中央ユニットによって検証された場合にのみ、中央ユニットからの通信が受け入れられることを規定するルールを含んでいる。
【0133】
一実施の形態によれば、中央装置は、外部装置から受信した通信のサイズを確認するように構成されている。
【0134】
一実施の形態によれば、ルールのセットは、受信した通信のサイズが中央ユニットによって検証された場合にのみ、中央ユニットからの通信を受け付けることを規定するルールを含んでいる。
【0135】
前記実施の形態のいずれかの無線トランシーバは、少なくとも第1および第2の暗号化層で暗号化されている外部デバイスからのメッセージを受信するように構成されてもよく、中央ユニットは、第1の暗号化層を復号化し、第2の暗号化層を構成するメッセージの少なくとも一部をセキュリティモデルに送信するように構成されてもよい。セキュリティ・モジュールは、第2の暗号化層を復号化し、セキュリティ・モジュールによって復号化されたメッセージの一部に基づいて、応答通信を中央ユニットに送信するように構成されてもよい。
【0136】
一実施の形態によれば、中央装置は、デジタル署名が中央装置によって検証され得るように、デジタル署名を含むメッセージの一部を復号化するように構成され得る。
【0137】
一実施の形態によれば、中央装置は、中央装置によってメッセージ・サイズを検証できるように、メッセージ・サイズ情報を含むメッセージの一部を復号化するように構成される。
【0138】
一実施の形態によれば、中央装置は、メッセージの第1部分と第2部分を復号化するように構成され、第1部分は、第2部分の真正性を検証するためのチェックサムを含んでいる。
【0139】
一実施の形態によれば、セキュリティ・モジュールから送信される応答通信はチェックサムを含み、中央装置は、受信したチェックサムを用いて、中央装置によって復号化されたメッセージの少なくとも一部の真正性を検証するように構成され得る。
【0140】
一実施の形態によれば、ルールのセットは、中央ユニットとセキュリティ・モジュール間のデータ転送速度に関連するルールを含んでいる。
【0141】
本明細書のいずれかの実施の形態におけるセキュリティ・モジュールは、デジタル署名がセキュリティ・モジュールによって検証され得るように、第2の暗号化層で暗号化されたデジタル署名を含むメッセージの一部を復号化するように構成され得る。
【0142】
中央装置は、無線トランシーバがオフモードに置かれているときにのみ、外部装置から受信した通信の一部を復号化できるように構成されていてもよい。
【0143】
一実施の形態によれば、中央装置は、無線トランシーバがオフモードに置かれているときにのみ、埋め込み型医療装置に少なくとも1つの命令を伝達することができる。
【0144】
一実施の形態によれば、移植可能コントローラは、無線トランシーバを使用して、第1の非暗号化部分と第2の暗号化部分とを含む外部装置からのメッセージを受信し、暗号化部分を復号化し、復号化部分を使用して非暗号化部分の真正性を検証するように構成される。
【0145】
一実施の形態によれば、中央装置は、暗号化された部分をセキュリティ・モジュールに送信し、暗号化された部分に含まれる情報がセキュリティ・モジュールによって復号化されることに基づいて、セキュリティ・モジュールから応答通信を受信し、応答通信を使用して非暗号化部分の真正性を検証するように構成される。
【0146】
一実施の形態によれば、非暗号化部分は、埋め込み型医療装置に対する少なくとも1つの命令の少なくとも一部を構成する。
【0147】
埋め込み型コントローラは、無線トランシーバを使用して、患者の生理学的パラメータおよび埋め込み型医療装置の物理的パラメータの少なくとも一方に関連する情報を含む外部装置からのメッセージを受信し、受信した情報を使用してメッセージの真正性を検証するように構成され得る。
【0148】
患者の生理学的パラメータは、体温、心拍数、および飽和値のうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0149】
埋め込まれた医療機器の物理的または機能的パラメータは、埋め込まれた医療機器の現在の設定または値、埋め込まれた医療機器に送信された事前の指示、および埋め込まれた医療機器のIDのうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0150】
一実施の形態によれば、情報を構成するメッセージの部分は暗号化されており、中央装置は、暗号化された部分をセキュリティ・モジュールに送信し、セキュリティ・モジュールによって復号化された情報に基づいて、セキュリティ・モジュールから応答通信を受信するように構成されている。
【0151】
一実施の形態によれば、セキュリティ・モジュールは、少なくとも1つのハードウェアベースの鍵を含むハードウェア・セキュリティ・モジュールから構成される。ハードウェアベースの鍵は、外部デバイス内のハードウェアベースの鍵に対応してもよく、外部デバイスに接続可能なキーカード上のハードウェアベースの鍵であってもよい。
【0152】
一実施の形態によれば、セキュリティ・モジュールは、少なくとも1つのソフトウェアベースの鍵を含むソフトウェア・セキュリティ・モジュールから構成される。ソフトウェアベースの鍵は、外部装置内のソフトウェアベースの鍵に対応してもよい。ソフトウェアベースの鍵は、外部機器に接続可能なキーカード上のソフトウェアベースの鍵に対応してもよい。セキュリティ・モジュールは、いずれの実施の形態においても、ソフトウェアベースの鍵とハードウェアベースの鍵の組み合わせから構成されてもよい。
【0153】
前述の実施の形態のいずれかにおいて、移植可能コントローラは、少なくとも1つの暗号プロセッサを含むことができる。
【0154】
無線トランシーバは、いずれの実施の形態においても、携帯型外部装置からの通信を受信するように構成され得る。
【0155】
一実施の形態によれば、埋め込み型医療装置に対する少なくとも1つの指示は、埋め込み型医療装置の動作状態を変更するための指示を含んでいてもよい。
【0156】
無線トランシーバは、100kHz以下の周波数または40kHz以下の周波数の電磁波を使用して外部装置と無線通信するように構成され得る。
【0157】
一実施の形態によれば、無線トランシーバは、第1の通信プロトコルを用いて外部装置と無線通信するように構成され、中央装置は、第2の異なる通信プロトコルを用いてセキュリティ・モジュールと通信するように構成される。
【0158】
実施の形態のいずれかにおいて、無線トランシーバは、標準ネットワークプロトコルを使用して外部デバイスと無線通信するように構成されてもよい。標準ネットワークプロトコルは、RFID型プロトコル、WLAN型プロトコル、ブルートゥース型プロトコル、BLE型プロトコル、NFC型プロトコル、3G/4G/5G型プロトコル、およびGSM型プロトコルからなるリストから選択されてもよい。
【0159】
無線トランシーバは、いくつかの実施の形態では、独自のネットワークプロトコルを使用して外部デバイスと無線通信するように構成される。
【0160】
一実施の形態によれば、無線トランシーバはUWBトランシーバで構成される。
【0161】
一実施の形態によれば、セキュリティ・モジュールおよび/または中央ユニットおよび/または無線トランシーバは、コントローラ内に構成される。
【0162】
本明細書の実施の形態のいずれかにおける外部ユニットは、ウェアラブルデバイスまたはハンドセットであってもよい。本実施の形態の利点は、装置が移動可能であり、必要な場所で使用できることである。
【0163】
さらに、埋め込み型医療装置は受信ユニットを含んでいてもよい。埋め込み型医療装置は、経皮的に伝達されるエネルギーを受信するように構成された少なくとも1つのコイルと、コイルによって受信されるエネルギーに関連するパラメータを測定するように構成された測定ユニットと、コイルに電気的に接続された可変インピーダンスと、可変インピーダンスとコイルとの間の電気的接続をオフにするために可変インピーダンスとコイルとの間に配置されたスイッチと、を備える。埋め込み型医療装置は、インピーダンスを変化させ、それによって測定されたパラメータに基づいてコイルを調整するための可変インピーダンスと、測定されたパラメータが閾値を超えたときに応答して可変インピーダンスとコイルとの間の電気的接続をオフにするためのスイッチとの少なくとも一方を制御するように構成されたコントローラをさらに備える。
【0164】
一実施の形態によれば、コントローラは、測定されたパラメータが閾値を超えた場合に応答して可変インピーダンスを変化させるように構成される。
【0165】
一実施の形態によれば、測定ユニットは、コイルによって受信されるエネルギーに関連するパラメータを一定期間にわたって測定するように構成されている。
【0166】
一実施の形態によれば、測定ユニットは、コイルが受け取るエネルギーの変化に関連するパラメータを測定するように構成されている。
【0167】
一実施の形態によれば、第1のスイッチはコイルの第1の端部に配置され、埋め込み型医療装置は、コイルを埋め込み型医療装置の他の部分から完全に切り離すことができるように、コイルの第2の端部に配置された第2のスイッチをさらに備える。
【0168】
一実施の形態によれば、受信ユニットは、パルスパターンにしたがって経皮的に伝達されるエネルギーをパルスで受信するように構成され、測定ユニットは、パルスパターンに関連するパラメータを測定するように構成される。
【0169】
一実施の形態によれば、制御装置は、パルスパターンが予め定義されたパルスパターンから逸脱した場合に応答して可変インピーダンスを制御するように構成される。
【0170】
一実施の形態によれば、コントローラは、パルスパターンが予め定義されたパルスパターンから逸脱することに応答して、可変インピーダンスとコイルとの間の電気的接続をオフにするためのスイッチを制御するように構成される。
【0171】
一実施の形態によれば、測定ユニットは、埋め込み型医療装置内または患者の体内の温度を測定するように構成され、コントローラは、測定された温度に応答して第1および第2のスイッチを制御するように構成される。
【0172】
一実施の形態によれば、可変インピーダンスは、抵抗器とコンデンサ、抵抗器とインダクタ、および/またはインダクタとコンデンサから構成される。
【0173】
可変インピーダンスは、デジタル同調コンデンサで構成されてもよい。可変インピーダンスは、デジタル電位差計で構成されてもよい。可変インピーダンスは可変インダクタで構成されてもよい。
【0174】
一実施の形態によれば、インピーダンスの変動は、受信ユニットによって受信される有効電力を低下させるように構成される。
【0175】
一実施の形態によれば、可変インピーダンスはコイルと直列に配置される。
【0176】
一実施の形態によれば、可変インピーダンスはコイルに平行に配置される。
【0177】
一実施の形態によれば、埋め込み型医療装置は、受信ユニットに接続されたエネルギー貯蔵ユニットをさらに備える。エネルギー貯蔵ユニットは、受信ユニットによって受信されたエネルギーを貯蔵するように構成されている。
【0178】
[表面コーティング]
本開示のさらなる態様は、上述した移植可能システムなどの医療用インプラントと患者の組織または流れる血液との接触によって生じるフィブリン生成の緩和に関する。よく知られているように、身体は医療用インプラントに反応する傾向があり、その理由の一部は、インプラントが異物であるためであり、その理由の一部は、インプラントが身体の組織および/または身体内を流れる血液と機械的に相互作用するためである。患者の組織に医療器具および/または生体材料を移植すると、体の異物反応が誘発され、異物巨細胞が形成され、インプラントを包む線維性カプセルが発達することがある。インプラントを宿主から隔離する高密度の線維性カプセルの形成は、インプラント失敗の一般的な根本原因である。血流中の医療器具および/または生体材料の移植もまた、血流内の特定の細胞の吸引力により、線維性カプセルの形成を引き起こす可能性がある。インプラントは、フィブリン形成により血液凝固を引き起こし、患者に合併症を引き起こす可能性がある。インプラントが血液と接触したり、体内に留置されたりすると、細菌感染を引き起こす可能性もある。血栓の形成に対抗する一般的な方法の一つは、様々な種類の血液希釈剤を使用することである。一般的に使用される血液希釈剤のひとつにヘパリンがある。しかし、ヘパリンには望ましくない副作用がある。
【0179】
一般に、フィブリンは出血に反応して部分的に産生される不溶性タンパク質であり、血栓の主要成分である。フィブリンは、肝臓で産生され血漿中に存在する可溶性タンパク質であるフィブリノゲンによって形成される。組織の損傷により出血が起こると、フィブリノゲンは傷口で凝固酵素であるトロンビンの作用によりフィブリンに変換される。フィブリンは血小板とともに創傷部に止血栓や血栓を形成する。フィブリノゲンからフィブリンが形成される過程では、まず血小板が引き寄せられる。血小板はその表面にトロンビン受容体を持っており、血清トロンビン分子と結合する。これらの分子は可溶性フィブリノゲンをフィブリンに変換する。フィブリンはその後、血小板に結合した丈夫で不溶性のタンパク質の長い鎖を形成する。フィブリンはその後架橋され、硬化し収縮する。これは、ヒトの血液中に存在する酵素である第XIII因子によって可能になる。フィブリンは異物反応によっても生成される。体内に異物が検出されると、免疫系はその異物に引き付けられ、分解しようとする。この分解がうまくいかないと、線維芽細胞のエンベロープが作られ、身体を異物から隔離するための物理的バリアが形成される。これがさらにフィブリン鞘に発展することもある。異物がインプラントの場合、これはインプラントの機能を妨げる可能性がある。
【0180】
このように、インプラントは体内に埋め込まれると、流れる血液と接触する可能性がある。このため、インプラントの表面に血小板が付着することがある。そして血小板は、血液中のフィブリノーゲンをフィブリンに変換させ、インプラント上および/またはその周囲に鞘を作ることがある。これにより、インプラントが正常に機能しなくなる可能性があり、また、患者にとって危険な血栓が生じる可能性もある。しかし、血液と接触していないインプラントでも、フィブリンの生成によって機能不全に陥る可能性がある。この場合、異物反応が誤作動の根本的な要因である可能性がある。さらに、人体への異物の移植は、炎症反応を引き起こすことがある。この反応は一般に、人体を異物から保護する線維性結合組織の比較的密な層に異物が包み込まれるまで持続する。この過程は、インプラントが宿主タンパク質の層を即座に自然に獲得することから始まるかもしれない。血液タンパク質で修飾された表面は、細胞が表面に付着することを可能にし、単球とマクロファージがインプラント表面で相互作用することを可能にする。マクロファージは線維化を調節するタンパク質を分泌し、異物、すなわちインプラントの周囲に線維化カプセルを形成する。実際には、線維化カプセルは過剰な線維性結合組織の緻密な層で形成されることがある。線維化カプセルの非弾性的な特性は、インプラントの硬化、締め付け、変形、歪みを引き起こし、ひどい場合には再手術に至ることもある。
【0181】
インプラントはまた、様々な種類の感染症を引き起こす可能性がある。インプラントに関連した感染症につながる細菌のコロニー形成は、多くの種類のインプラントで知られている問題である。例えば、皮膚常在菌であるブドウ球菌や黄色ブドウ球菌は、インプラントのような異物に定着する傾向があり、感染症を引き起こす可能性がある。黄色ブドウ球菌の問題点は、インプラント周囲にバイオフィルムを形成し、外部環境から細菌のニッチを封じ込めることである。このため、宿主の防御システムが細菌を処理することが難しくなる。インプラントによる感染を引き起こす細菌とそのプロセスの例は他にもある。
【0182】
したがって、本開示のこのさらなる態様によれば、上述の埋め込み可能なシステムの構成要素と、患者の組織または流れる血液との間の接触によって引き起こされるフィブリン生成を緩和するために、システムの埋め込み可能な構成要素は、構成要素のそれぞれの外面に配置された特定のコーティングを含んでもよい。このコーティングは、生体材料の少なくとも1つの層から構成され得る。生体材料は、好ましくはフィブリン系である。コーティングは、抗血栓性および/または抗菌性および/または抗血小板特性を有する少なくとも1つの薬物または物質を含んでもよい。薬物または物質は、多孔質材料中にカプセル化されていてもよい。
【0183】
第1のコーティング上に配置された第2のコーティングが提供されてもよい。第2のコーティングは、前記第1のコーティングとは異なる生体材料であってもよい。特に、第1のコーティングは、表面に化学的に付着したパーフルオロカーボンの層からなり、第2のコーティングは、液体のパーフルオロカーボン層からなることがある。
【0184】
さらに好ましくは、表面は、チタン、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ジルコニウム、モリブデン、スズまたは鉛のうちの少なくとも1つのような金属で構成されていてもよい。
【0185】
最後に、表面は微細パターンを含んでいてもよく、微細パターンは、体内への挿入前に表面にエッチングされてもよい。生体材料の層は、微細パターン上にコーティングされてもよい。
【0186】
本開示のさらなる態様は、本明細書に開示された実施の形態のいずれか1つによるシステム、すなわち血管内に前進し、血管から後退する注射針を伴うシステムを用いて、患者の血管、特に血管、例えば動脈または静脈に薬剤を確実に注入する方法に関する。
【0187】
このさらなる態様の第1の副次的態様によれば、注入針は、その側面に注入ポートを含んでいてもよく、前記注入ポートは、少なくとも1本の注入針の先端端から2mm未満、好ましくは1mm未満、より好ましくは0.5~1mmだけ離間している。これは、穿刺される血管の直径が小さい場合に特に有用である。すなわち、注入ポートがサイドポートであり、注入針の先端端に非常に近接して配置されているため、注入ポートを血管内に配置するために、注入針を非常に短い距離だけ血管内に前進させる必要があり、それにより、注入針の先端端が血管の反対側の血管壁を通って血管外に延びることが防止される。上記の間隔は、注入針の先端と、その先端に最も近い注入ポートの端部との間の距離に関する。この文脈において、注入ポートは、好ましくは注入針の長手方向に0.5mm以下、より好ましくは0.3mm以下、さらに好ましくは0.2mm以下の延長部を有する。
【0188】
さらに好ましくは、注入ポートは、注入針の長手方向に直交する方向において、注入針の長手方向における注入ポートの延長部よりも大きい延長部を有することができる。このようにすると、注入ポートの長手方向の延びを小さくしながら、注入ポートの断面積を大きく保つことができ、これにより、血管内への注入針の前進時に、注入ポートの長手方向の延びが短いために、注入ポートが血管の内腔に完全に収容される。
【0189】
したがって、患者の体内に物質を注入するための少なくとも部分的に埋め込み可能なシステムは、以下のように構成することができる:
- 患者の体内に埋め込むためのハウジングであって、貫通領域を有する外壁を有するハウジング、
- ハウジング内に配置された少なくとも1本の注入針と
-少なくとも1本の注入針の前進時に、少なくとも1本の注入針の先端が前記貫通領域を貫通し、少なくとも1本の注入針を介して前記貫通領域を通して物質を注入できるように、少なくとも1本の注入針を反対方向に前進および後退させるように配置された駆動ユニット、
-ここで、注入針は上記のように設計され、すなわち、少なくとも1本の注入針の側面に注入ポートを備え、前記注入ポートは、少なくとも1本の注入針の先端端から2mm未満好ましくは1mm未満、より好ましくは0.5~1mm離間し、好ましくは0.5mm以下、より好ましくは0.3mm以下、さらに好ましくは0.2mm以下であり、さらに好ましくは、注入ポートの注入針の長手方向の延長よりも大きい注入針の長手方向と直角方向の延長を有する。
【0190】
このさらなる態様の第2の副次的態様によれば、注入針は、前進時に、傾斜した態様で、すなわち非垂直的に容器内に進入するように配置することができる。これは、注入針を、前進時にハウジングから垂直に延びるのではなく、ハウジングの外面に対して傾斜した角度で延びるように配置することによって達成することができる。この目的のために、移植可能システムのハウジングの外壁は、第1の方向に延びる外面を有することができ、この外面は、静脈または動脈などの長手方向の血管が、長手方向の血管の中心軸が前記第1の方向と平行に延びるように、前記外面に隣接して配置可能であるように構成される。そして、少なくとも1本の注入針の進退方向が、ハウジングの外壁面の前記第1の方向と前記縦方向血管の前記中心軸とによって規定される平面内であって、前記第1の方向に対して傾斜角度をなして配置されている場合、注入針は、進退時に、そのような傾斜角度で血管内に進入する。換言すれば、注入針は、ハウジングの外壁に対して、より具体的にはハウジングの外壁の外面に対して角度をなしてハウジングの内部に配置される。傾斜角度は90°より小さく、好ましくは10°から80°の範囲、より好ましくは20°から40°の範囲である。
【0191】
さらに、少なくとも1本の注入針が前進したときに、長手方向の血管を、血管の中心軸がハウジングの外壁の外面の前記第1の方向と平行に延びるように、ハウジングに対して位置決めされた状態で保持するように構成されたホルダを提供することが好ましい。ホルダは、一方では、血管が正しく位置決めされていることを保証し、他方では、血管が注入針によって刺し通されているときに、血管が移動しないことを保証する。
【0192】
好ましくは、ホルダは、長手方向容器または好ましくはその全周を囲むように、すなわち容器がホルダから抜け出ないように構成される。この点に関して、ホルダは、長手方向容器の前記部分をホルダ内に配置し保持するために、ホルダを開閉するように構成された可動蓋を含んでいてもよい。
【0193】
したがって、患者の体内に物質を注入するための少なくとも部分的に埋め込み可能なシステムは:
- 患者の体内に埋め込むためのハウジングであって、貫通領域を有する外壁を有するハウジングと、
- ハウジング内に配置された少なくとも1本の注入針と、
- 前記少なくとも1本の注入針の前進時に、前記少なくとも1本の注入針の先端が前記貫通領域を貫通し、前記少なくとも1本の注入針を介して前記貫通領域を通して物質を注入できるように、前記少なくとも1本の注入針を逆進退方向に前進および後退させるように配置された駆動ユニットと、
を備え、
- 前記ハウジングの外壁が、第1の方向に延びる外面を有し、前記外面に隣接して長手方向の容器が配置可能であり、前記容器の中心軸が前記第1の方向と平行に延びるように構成され前記少なくとも1本の注入針の進退方向が、前記第1の方向と前記容器の前記長手方向軸とによって画定される平面内に、前記第1の方向に対して傾斜角度で配置され、前記傾斜角度が、10°~80°の範囲内、より好ましくは20°~40°の範囲内であり、前記システムが、上記ホルダをさらに含んでもよい。
【0194】
本開示のさらなる態様は、注入針がその側面に注入ポートを有する場合に生じ得る問題に関する。この場合、注入針がハウジングの内部と外部とを隔てるダイヤフラムを通過する際に、注入針がダイヤフラムに穴を開け、注入針の側面の注入ポートが、ダイヤフラムの材料、例えばシリコーン材料や他の高分子材料に沿って移動する。このため、ダイヤフラムに傷がつき、その結果、ダイヤフラムの材料が摩耗し、患者の体内に運ばれる可能性がある。
【0195】
このさらなる態様の第1の副次的態様によれば、システムは、少なくとも1本の注入針が後退位置にあるとき、注入針の先端端がチューブ内に配置され、チューブの内面と注入針の外面が互いに液密にシールされるように構成され得る。この結果、注入ポートが密閉され、すなわち、血液などの流体がチューブを通って注入ポートに侵入することが確実に防止される。好ましくは、チューブの内面の内径と少なくとも1本の注入針の外面の外径とは、チューブを通って注入ポートへの流体の浸入を防止するために互いに液密にシールするように互いに一致する。すなわち、シール面はこれら2つの面によって構成される。好ましくは、注入ポートは、注入針のこのシール部に配置される。好ましい実施の形態では、チューブの内面および注入針の外面の一方または好ましくは両方が-好ましくは注入ポートが配置される部分を構成する-セラミック材料で作られている。セラミックは、公差の小さい互いに対向する摺動面を提供するように高精度で製造することができ、それにより、前記内面と外面との間に液密な嵌合を生じさせることができる。そして、注入針とその注入口がチューブからハウジングに延びるように前進するとき、針はハウジングの壁を貫通するために穴を開ける必要がない。むしろ、穴は、注入針の先端が存在するチューブによってすでに壁に設けられている。これにより、注入針が前進する際に、材料が注入ポートの開口部の端によって壁から削り取られる危険性が低減される。注入針が後退位置にあるとき、チューブの一端はハウジングの外部に開口しているが、チューブの内面と注入針の外面が互いに液密にシールされているか、または互いに液密にシールされているため、何らかの体液や線維症が針に入り込んだり、針を塞いだりする危険性はない。むしろ、針がチューブから伸びるように進められると、チューブ内の線維症は押し出され、チューブの手前の線維症は注入針によって貫通される。
【0196】
したがって、患者の体内に物質を注入するための少なくとも部分的に埋め込み可能なシステムは:
- 患者の体内に埋め込むためのハウジングであって、貫通領域を有する外壁を有するハウジング、
- ハウジング内に配置された少なくとも1本の注入針と、
- 少なくとも1本の注入針の前進時に、少なくとも1本の注入針の先端が前記貫通領域を貫通し、少なくとも1本の注入針を介して前記貫通領域を通して物質を注入できるように、少なくとも1本の注入針を反対方向に前進および後退させるように配置された駆動ユニットと、
を備え、
- 注射ポートが、少なくとも1本の注入針の側面に設けられ、少なくとも1本の注入針が後退位置にあるとき、注入針の先端端がチューブ内に配置され、チューブの内面と少なくとも1本の注入針の外面が、流体の浸入、例えば血液の浸入を防止するように互いに対して液密にシールされ、好ましくは、チューブの内面の内径と少なくとも1本の注入針の外面の外径が、液密にシールされるように互いに一致する。好ましくは、チューブの内表面の内径と少なくとも1本の注入針の外表面の外径は、チューブを通ってさらに注入ポートへの流体の浸入を防止するために互いに対して液密にシールするように互いに一致し、より好ましくは、チューブの内表面と少なくとも1本の注入針の外表面の一方または両方は、好ましくは、注入ポートを構成する注入針の部分を含み、セラミック材料で作られている。
【0197】
このさらなる態様の第2の副次的態様によれば、注入針によって貫通されるハウジングの外壁の貫通領域は、少なくとも1本の注入針が通過するための通路が予め構成された弾性材料で少なくとも部分的に作られ、前記通路は、通常、シリコーンまたは任意の他の弾性高分子材料などの弾性材料の弾性によって発生する弾力的な力によって閉じられる。したがって、体液の浸入や線維症の進展に対して通路を閉じた状態に保つために外力を必要としない。次に、注入針とその注入ポートが、前記予め設定された通路を通って前進されるとき、針は、ハウジングの壁を貫通するために、ハウジングの壁に穴を開ける必要はない。むしろ、通路はすでに壁に設けられており、開くだけでよい。例えば、注入針の先端が通路に潜り込むことで通路が自動的に開き、それによって通路が広がって開くこともある。これにより、注入針が前進する際に、材料が注入ポートの開口部の端部によって壁から削り取られる危険性が低減される。
【0198】
好ましい実施の形態では、通路は、ハウジングの方を向いた広がった入口部を有する。したがって、入口部において、通路は、少なくとも1本の注入針が前進しているときに通路内に進入するために通常開いている。これにより、注入針が通路に挿入され、さらに通路を通過することが容易になる。
【0199】
他の実施の形態では、注入針が後退位置にあるとき、注入針の先端は通路内に存在することができる。これにより、注入針が前進しているときに注入針を通路内に適切に送り込む必要性が回避される。しかしながら、これは、注入針の先端端が連続する輸液の間、前方および後方に移動されるが、横方向には移動されない実施の形態についての選択肢に過ぎない。
【0200】
好ましくは、通路は、壁を貫通する長さ方向の延長部と幅方向の延長部とを有するスリットとして構成される。このようなスリットは、スリットが開くように、スリットの幅方向延在部の反対方向において弾性材料の反対側に作用することによって圧縮され得、それによって、注入針が前進しているときに、少なくとも1本の注入針のための通路を開く。一実施の形態では、コンプレッサが注入針と作動的に接続されており、注入針が前進しているときにスリットをその幅方向の延長に沿って圧縮するように配置されている。
【0201】
したがって、患者の体内に物質を注入するための少なくとも部分的に埋め込み可能なシステムは:
- 患者の体内に埋め込むためのハウジングであって、貫通領域を有する外壁を有するハウジングと、
- ハウジング内に配置された少なくとも1本の注入針と、
- 少なくとも1本の注入針の前進時に、少なくとも1本の注入針の先端が前記貫通領域を貫通し、少なくとも1本の注入針を介して前記貫通領域を通して物質を注入できるように、少なくとも1本の注入針を反対方向に前進および後退させるように配置された駆動ユニットと、
を備え、
前記貫通領域が、少なくとも部分的に、少なくとも1本の注入針が通過するための通路が予め構成された弾性材料で作られており、前記通路が、弾性材料の弾性によって発生する弾力的な力によって通常は閉じられており、好ましくは、通路が、少なくとも1本の注入針が通路に進入するために通常は開いている、および/または、注入針が前進しているときに、少なくとも1本の注入針が通過するために通路が自動的に開く、広がった入口部を有しており通路は、好ましくは、長さ方向の延長部と幅方向の延長部とを有するスリットとして構成され、コンプレッサは、注入針が前進しているときに少なくとも1本の注入針のために通路を開くように、スリットの幅方向の延長部の反対方向において弾性材料の反対側に作用するように設けられ得る。
【0202】
このさらなる態様の第3の副次的態様によれば、注入針が提供され得、その注入ポートは、その側面に再び設けられ、ここでは、注入ポートと側面との間の移行部に丸みを帯びたまたは面取りされた縁部を有する。換言すれば、注入針の外面における注入ポートを囲む縁は、丸みを帯びるか、または面取りされる。このようにして、縁部の鋭さが低減され、それにより、注入針が前進しているときに、注入ポートの開口部の縁部によって材料が削り取られる危険性が低減される。好ましくは、丸みを帯びた縁部または面取りされた縁部は、少なくとも注入ポートの対向する側面に設けられ、注入ポートの前記対向する側面間の仮想接続線は、注入針の前進方向および後退方向に沿って延びる。これらは、注入ポートの外縁による材料の掻き落としが最も発生する注入ポートの領域である。
【0203】
したがって、患者の体内に物質を注入するための、少なくとも部分的に埋め込み可能なシステムは:
- 患者の体内に埋め込むためのハウジングであって、貫通領域を有する外壁を有するハウジングと、
- ハウジング内に配置された少なくとも1本の注入針と、
- 少なくとも1本の注入針の前進時に、少なくとも1本の注入針の先端が前記貫通領域を貫通し、少なくとも1本の注入針を介して前記貫通領域を通して物質を注入できるように、少なくとも1本の注入針を反対方向に前進および後退させるように配置された駆動ユニットと、
を備え、
- 注入ポートが、少なくとも1本の注入針の側面に設けられ、前記注入ポートは、注入ポートと側面との間の移行部に丸みを帯びた縁部または面取りされた縁部を有し、好ましくは、丸みを帯びた縁部または面取りされた縁部は、注入ポートの少なくとも対向する側面に設けられ、注入ポートの前記対向する側面間の仮想接続線は、注入針の進退方向に沿って延びる。
【0204】
[ポップ・リベット]
本開示のさらなる態様は、埋め込み可能な通電医療装置に関し、この埋め込み可能な通電医療装置は、開示された埋め込み可能な薬物送達システムと有利に組み合わされ得、患者の組織部分によって定位置に保持されるように構成される。この医療装置は:組織部分の第1の側に配置されるように構成された第1の部分であって、該第1の部分は、第1の平面における第1の断面積を有し、該組織部分の該第1の側の第1の組織表面に対向するように構成された第1の表面を備える、第1の部分と;該組織部分の第2の側に配置されるように構成された第2の部分であって、該第2の側は該第1の側に対向する、第2の部分と、を備える、第2の部分、該第2の部分は、第2の平面における第2の断面積を有し、該組織部分の該第2の側の第2の組織表面に係合するように構成された第2の表面と;該組織部分の該第1の側と該第2の側との間に延びる該組織部分の穴を通して配置されるように構成された連結部分と;を備え、該連結部分は、第3の平面における第3の断面積を有し、該第1の部分を該第2の部分に連結するように構成され、ここで第1の平面、第2の平面、および第3の平面は互いに平行であり、第3の断面積は、第1の断面積および第2の断面積よりも小さく、第1の部分および第2の部分が、第1の平面、第2の平面、および第3の平面に垂直な方向に、組織部分の穴を通って移動するのを阻止するようになっており、連結部分および第2の部分は、連結部分と第2の部分との間に連結界面を形成するように構成されており前記第2の部分は、前記第2の平面に平行な第1の方向に沿って延び、前記第2の部分は、前記第1の方向に沿った長さ方向の断面積を有し、前記第2の長さ方向の断面積は、前記第1の長さ方向の断面積よりも小さく、前記第1の長さ方向の断面積は、前記第1の方向に関して、前記連結界面により近い位置に配置される。
【0205】
いくつかの実施の形態において、第2の部分は、第1の端部と、第1の方向に沿って第1の端部に対向する第2の端部とを有し、第2の部分は、第1の端部と第2の端部との間の長さを有し、第2の部分は、中間領域と遠位領域とを有し、中間領域は、接続部分と第2の部分との間の接続界面によって画定され、遠位領域は、接続部分と第2の部分との間の接続界面から第2の端部まで延びる。
【0206】
いくつかの実施の形態において、第2の部分の長さ方向の断面積は、中間領域の端部から第2の端部に向かって連続的に減少する。
【0207】
いくつかの実施の形態において、第2の部分の長さ方向の断面積は、中間領域の端部から第2の端部に向かって直線的に減少する。
【0208】
いくつかの実施の形態において、第2の部分の長さ方向の断面積は、中間領域の端部から第2の端部に向かって段階的に減少する。
【0209】
いくつかの実施の形態において、第2の部分の遠位領域は円錐形である。
【0210】
いくつかの実施の形態では、第2の部分は、第1の方向に沿って回転対称性を有する。
【0211】
いくつかの実施の形態では、第2の部分の第2の表面は、連結部分の中央延長部に対して実質的に垂直である。
【0212】
いくつかの実施の形態では、第2の部分の第2の表面は、第2の平面に実質的に平行である。
【0213】
いくつかの実施の形態において、第2の部分の第2の表面は、実質的に平坦であり、第2の組織表面に対する接触領域を形成するように構成され、第2の部分が、第2の端部に向かって先細になるように構成された、第1の部分から離れる向きの下側表面をさらに備える。
【0214】
いくつかの実施の形態において、第2の部分は、近位領域を有し、近位領域は、第1の端部から、接続部分と第2の部分との間の接続界面まで延びる。
【0215】
いくつかの実施の形態では、第2の部分の長さ方向の断面積は、中間領域の端部から第1の端部に向かって連続的に減少する。
【0216】
いくつかの実施の形態において、第2の部分の長さ方向の断面積は、中間領域の端部から第1の端部に向かって直線的に減少する。
【0217】
いくつかの実施の形態において、第2の部分の長さ方向の断面積は、中間領域の端部から第1の端部に向かって段階的に減少する。
【0218】
いくつかの実施の形態では、第2の部分の近位領域は円錐形である。
【0219】
いくつかの実施の形態では、第1端と第2端はそれぞれ楕円点からなる。
【0220】
いくつかの実施の形態では、第1および第2の端部はそれぞれ半球状のエンドキャップからなる。
【0221】
いくつかの実施の形態では、第2の部分は、第1の端部と第2の端部との間の長さに沿って少なくとも1つの円形断面を有する。
【0222】
いくつかの実施の形態では、第2の部分は、第1の端部と第2の端部との間の長さに沿って少なくとも1つの楕円形の断面を有する。
【0223】
いくつかの実施の形態では、第2の部分は、第1の端部と第2の端部との間の長さに沿って少なくとも1つの楕円形の断面を有する。
【0224】
いくつかの実施の形態では、第2の部分は、連結部分の中心延長部とは異なる方向に前記長さを有する。
【0225】
いくつかの実施の形態では、連結部分と第2の部分との間の連結界面は、第2の部分に対して偏心している。
【0226】
いくつかの実施の形態では、接続部分と第2の部分との間の接続界面は、第2の部分に対して、第1の方向には偏心しているが、第1の方向に垂直な第2の方向には偏心していない。
【0227】
いくつかの実施の形態において、接続部分と第2の部分との間の接続界面は、第2の部分に対して、第1の方向および第1の方向に垂直な第2の方向に偏心している。
【0228】
いくつかの実施の形態では、第2の方向は第2の平面に平行である。
【0229】
いくつかの実施の形態において、近位領域および遠位領域は、組織部分の第2の側面の第2の表面に係合するように構成された第2の表面を備える。
【0230】
いくつかの実施の形態では、第2の部分は、第1の端部から第2の端部に向かってテーパー状である。
【0231】
いくつかの実施の形態において、第2の部分は、第2の部分の中間領域から第1の端部および第2の端部の各々までテーパー状である。
【0232】
いくつかの実施の形態では、第1の部分は、最大寸法が10~40mmの範囲、例えば10~30mmの範囲、例えば15~25mmの範囲にある。
【0233】
いくつかの実施の形態では、第1の部分は、10~40mmの範囲、例えば10~30mmの範囲、例えば15~25mmの範囲にある直径を有する。
【0234】
いくつかの実施の形態では、連結部分は、2~20mmの範囲、例えば2~15mmの範囲、例えば5~10mmの範囲の第3平面における最大寸法を有する。
【0235】
いくつかの実施の形態では、第2の部分は、最大寸法が30~90mmの範囲、例えば30~70mmの範囲、例えば35~60mmの範囲にある。
【0236】
いくつかの実施の形態では、第1の部分は、球形状、楕円体形状、多面体形状、細長い形状、および平坦な円盤形状のうちの1つ以上を有する。
【0237】
いくつかの実施の形態では、接続部分は、第3の平面に平行な平面において、楕円形の断面、細長い断面、および円形の断面のうちの1つを有する。
【0238】
いくつかの実施の形態では、遠位領域は、立位患者の下方に向けられるように構成される。
【0239】
いくつかの実施の形態では、第1の部分は第1の高さを有し、第2の部分は第2の高さを有し、両方の高さは第1および第2の平面に垂直な方向にあり、第1の高さは第2の高さよりも小さい。
【0240】
いくつかの実施の形態では、第1の高さは第2の高さの2/3未満、例えば第2の高さの1/2未満、例えば第2の高さの1/3未満である。
【0241】
いくつかの実施の形態では、第2の部分の第2の端部は、患者内の埋め込み可能な通電医療装置の位置から尾部方向に位置するインプラントに接続するための接続部を備える。
【0242】
いくつかの実施の形態では、第2の部分の第1の端部は、患者内の埋め込み可能な通電医療装置の位置から頭蓋方向に位置するインプラントに接続するための接続部を備える。
【0243】
いくつかの実施の形態において、接続部分は、第4の平面における第4の断面積をさらに備え、第4の平面は、第1、第2および第3の平面に平行であり、第3の断面積は、第4の断面積よりも小さい。
【0244】
いくつかの実施の形態では、接続部分は、第4の断面積を構成する突出要素からなる。
【0245】
いくつかの実施の形態において、第1の表面は、組織部分の第1の側の第1の組織表面と係合するように構成される。
【0246】
いくつかの実施の形態において、第1の部分は、外部の無線エネルギー送信機から無線送信されたエネルギーを受信するように構成された第1の無線エネルギー受信機を備える。
【0247】
いくつかの実施の形態では、第1の部分は、内部の無線エネルギー送信機を構成する。
【0248】
いくつかの実施の形態では、第2の部分は、第2の無線エネルギー受信機を備える。
【0249】
いくつかの実施の形態では、第1の部分は、第1のエネルギー貯蔵ユニットを備える。
【0250】
いくつかの実施の形態では、第2の部分は、第2のエネルギー貯蔵ユニットを構成する。
【0251】
いくつかの実施の形態では、第1および第2のエネルギー貯蔵ユニットの少なくとも一方は、固体電池である。
【0252】
いくつかの実施の形態では、固体電池は塩化チオニル電池である。
【0253】
いくつかの実施の形態において、第1のワイヤレスエネルギー受信機は、外部ワイヤレスエネルギー送信機によってワイヤレス送信されたエネルギーを受信し、受信したエネルギーを第1のエネルギー貯蔵ユニットに貯蔵するように構成され、内部ワイヤレスエネルギー送信機は、第1のエネルギー貯蔵ユニットに貯蔵されたエネルギーを第2のワイヤレスエネルギー受信機にワイヤレス送信するように構成され、第2のワイヤレスエネルギー受信機は、内部ワイヤレスエネルギー送信機によってワイヤレス送信されたエネルギーを受信し、受信したエネルギーを第2のエネルギー貯蔵ユニットに貯蔵するように構成される。
【0254】
いくつかの実施の形態では、第1の部分は、少なくとも1つの処理ユニットを含む第1のコントローラを備える。
【0255】
いくつかの実施の形態では、第2の部分は、少なくとも1つの処理ユニットを含む第2のコントローラを備える。
【0256】
いくつかの実施の形態では、第1および第2のコントローラの少なくとも一方は、外部装置と無線通信するための無線トランシーバに接続されている。
【0257】
いくつかの実施の形態では、第1のコントローラは、外部装置から無線通信を受信するために第1の部分内の第1の無線通信受信機に接続され、第1のコントローラは、第2の部分内の第2の無線通信受信機に無線通信を送信するために第1の部分内の第1の無線通信送信機に接続される。
【0258】
いくつかの実施の形態では、第2のコントローラは、第1の部分から無線通信を受信するための第2の無線通信受信機に接続される。
【0259】
いくつかの実施の形態では、第1のワイヤレスエネルギー受信機は第1のコイルからなり、内部ワイヤレスエネルギー送信機は第2のコイルからなる。
【0260】
いくつかの実施の形態では、第1の部分は複合コイルを備え、複合コイルは、外部の無線エネルギー送信機から無線でエネルギーを受信し、第2の部分の第2の無線受信機に無線でエネルギーを送信するように構成される。
【0261】
いくつかの実施の形態では、コイルの少なくとも1つはセラミック材料に埋め込まれている。
【0262】
いくつかの実施の形態において、埋め込み可能な通電医療装置は、少なくとも第1の部分を囲むように構成されたハウジングをさらに備え、ハウジングの第1の部分はチタンから作られ、ハウジングの第2の部分はセラミック材料から作られる。
【0263】
いくつかの実施の形態では、セラミック材料から作られたハウジングの部分は、セラミック材料に埋め込まれた少なくとも1つのコイルを含んでいる。
【0264】
いくつかの実施の形態において、埋め込み可能な通電医療装置は、少なくとも第2の部分を囲むように構成されたハウジングをさらに備え、ハウジングの第1の部分はチタンから作られ、ハウジングの第2の部分はセラミック材料から作られる。
【0265】
いくつかの実施の形態では、セラミック材料から作られたハウジングの部分は、セラミック材料に埋め込まれた少なくとも1つのコイルを含んでいる。
【0266】
いくつかの実施の形態では、第2の部分は、埋め込み可能な身体係合部を操作するための操作装置の少なくとも一部を構成する。
【0267】
いくつかの実施の形態では、第2部分は少なくとも1つの電気モーターから構成される。
【0268】
いくつかの実施の形態では、第2の部分は、電気モーターによって生成される運動の速度を低下させ、力を増加させるように構成された変速機からなる。
【0269】
いくつかの実施の形態では、トランスミッションは、高い速度で週力を低い速度で強い力に伝達するように構成されている。
【0270】
いくつかの実施の形態では、トランスミッションは回転力を直線力に変換するように構成されている。
【0271】
いくつかの実施の形態では、トランスミッションはギアシステムで構成される。
【0272】
いくつかの実施の形態では、第2部分は、第2部分の第1チャンバを第2部分の第2チャンバから分離するバリア、少なくとも第2部分を囲むハウジング、のうちの1つを通して電気モーターからの機械的仕事を伝達するための磁気カップリングを備える。
【0273】
いくつかの実施の形態では、第2部分は、少なくとも1つの油圧ポンプからなる。
【0274】
いくつかの実施の形態では、油圧ポンプは、少なくとも1つの圧縮可能な油圧リザーバを含むポンプから構成される。
【0275】
いくつかの実施の形態において、埋め込み可能な通電式医療装置は、第1および第2のエネルギー貯蔵ユニットの少なくとも一方に接続され、電気モーターに接続されたコンデンサをさらに備え、コンデンサは、第1および第2のエネルギー貯蔵ユニットの少なくとも一方によって充電され、電気モーターに電力を供給するように構成される。
【0276】
いくつかの実施の形態では、第1および第2の部分の少なくとも一方は、患者の感覚によって検出可能な感覚を発生するように適合された感覚ジェネレータを備える。
【0277】
いくつかの実施の形態では、第2部分は、第2部分から移植体係合部分に力を機械的に伝達するように構成された力伝達要素を備える。
【0278】
いくつかの実施の形態では、第2部分は、第2部分から移植体係合部分へ力を油圧で伝達するように構成された力伝達要素を含んでいる。
【0279】
いくつかの実施の形態では、第2の部分は、電気エネルギーおよび/または情報を第2の部分から埋め込まれた身体係合部分に伝達するための少なくとも1つのリードを備える。
【0280】
いくつかの実施の形態では、第1の部分は、第1の部分に流体を注入するための注入ポートを備える。
【0281】
いくつかの実施の形態において、接続部分は、第1の部分から第2の部分へ流体を移送するための導管を備える。
【0282】
いくつかの実施の形態では、導管は、接続部分の中空部分を通って延びるように配置される。
【0283】
いくつかの実施の形態において、第2の部分は、互いに離間した第1のチャンバおよび第2のチャンバを備え、第1のチャンバは第1の液体を含み、第2のチャンバは第2の液体を含み、第2の液体は、患者の身体部分に力を及ぼすように構成された移植可能要素に力を伝達するように構成された液圧液体である。
【0284】
いくつかの実施の形態では、第1のチャンバの壁部は、第1のチャンバの膨張を可能にする弾力性を有する。
【0285】
いくつかの実施の形態では、第2の部分は、患者の身体部分に力を及ぼすように構成された第1の油圧作動可能な移植要素と流体連通している第1の油圧システムと、患者の身体部分に力を及ぼすように構成された第2の油圧作動可能な移植要素と流体連通している第2の油圧システムとを備え、第1および第2の油圧作動可能な移植要素は互いに独立して調節可能である。
【0286】
いくつかの実施の形態では、第1の油圧システムは第1の油圧ポンプからなり、第2の油圧システムは第2の油圧ポンプからなる。
【0287】
いくつかの実施の形態では、第1および第2の油圧システムの各々は、作動油を保持するためのリザーバを備える。
【0288】
いくつかの実施の形態では、埋め込み可能な通電式医療装置は、第1の液圧システムの圧力を感知するように構成された第1の圧力センサと、第2の液圧システムの圧力を感知するように構成された第2の圧力センサとをさらに備える。
【0289】
いくつかの実施の形態において、第1の表面は、組織部分の第1の側の第1の組織表面と係合するように構成される。
【0290】
いくつかの実施の形態では、第1、第2および第3の平面は、組織の主要伸展面に平行である。
【0291】
いくつかの実施の形態では、第4の平面は組織の主要な伸展面に平行である。
【0292】
本開示のさらなる態様は、埋め込み可能な通電医療装置に関し、この埋め込み可能な通電医療装置は、開示された埋め込み可能な薬物送達システムと有利に組み合わされ得、患者の組織部分によって定位置に保持されるように構成され、この医療装置は以下を備える:組織部分の第1の側に配置されるように構成された第1の部分であって、該第1の部分は、第1の平面における第1の断面積を有し、組織部分の第1の側の第1の組織表面と対向するように構成された第1の表面を備える、第1の部分と、組織部分の第2の側に配置されるように構成された第2の部分であって、該第2の側は、該第1の側と対向し、該第2の部分は、第2の平面における第2の断面積を有し、組織部分の第2の側の第2の組織表面と係合するように構成された第2の表面を備える、第2の部分と組織部分の第1の側部と第2の側部との間に延びる組織部分の穴を通して配置されるように構成された連結部分であって、該連結部分は、第3の平面における第3の断面積を有し、組織部分の第1の側部の第1の組織表面に係合するように構成された第3の表面を備える、連結部分と、を備え、該連結部分は、該第1の部分を該第2の部分に連結するように構成され、ここで、以下第1の平面、第2の平面、および第3の平面は互いに平行であり、第3の断面積は第2の断面積よりも小さく、第1の部分、第2の部分、および連結部分が、第1の平面、第2の平面、および第3の平面に垂直な方向で組織部分の穴を通って移動することが阻止されるようになっている、前記第1の部分は、周波数レベルを超える周波数で電磁波を受信するように構成され、および/または、周波数レベルを下回る周波数で電磁波を送信するように構成され、前記第2の部分は、周波数レベルを下回る周波数で電磁波を受信および/または送信するように構成され、前記周波数レベルは100kHzである。
【0293】
いくつかの実施の形態では、第1の部分は、周波数レベル未満の周波数の電磁波を第2の部分に送信するように構成される。
【0294】
いくつかの実施の形態では、第1の部分は、周波数レベルを超える周波数の電磁波を外部機器に送信するように構成される。
【0295】
いくつかの実施の形態では、周波数レベルは40kHzまたは20kHzである。
【0296】
一部の実施の形態では、電磁波は無線エネルギーおよび/または無線通信を構成する。
【0297】
いくつかの実施の形態では、第1の部分は、周波数レベルより高い外部無線エネルギー送信機によって無線送信されたエネルギーを受信するための第1の無線エネルギー受信機と、周波数レベルより低い第2の部分にエネルギーを無線送信するように構成された内部無線エネルギー送信機とを備え、第2の部分は、周波数レベルより低い内部無線エネルギー送信機によって無線送信されたエネルギーを受信するように構成された第2の無線エネルギー受信機を備える。
【0298】
いくつかの実施の形態では、第1の部分は、少なくとも1つの処理ユニットを含む第1のコントローラを備える。
【0299】
いくつかの実施の形態では、第2の部分は、少なくとも1つの処理ユニットを含む第2のコントローラを備える。
【0300】
いくつかの実施の形態では、第1のコントローラは、周波数レベルより上方の外部装置から無線通信を受信するための第1の部分の第1の無線通信受信機に接続され、第1のコントローラは、第1の部分の第1の無線通信送信機に接続され、周波数レベル未満の第2の部分の第2の無線通信受信機に無線通信を送信する。
【0301】
いくつかの実施の形態では、第2のコントローラは、周波数レベル以下の第1の部分からの無線通信を受信するための第2の無線通信受信機に接続される。
【0302】
いくつかの実施の形態では、第1の部分は、ポリマー材料から作られた外側ケーシングからなる。
【0303】
いくつかの実施の形態では、外側ケーシングは完全なハウジングを形成し、第1の部分によって受信され送信される電磁波はケーシングを通過しなければならない。
【0304】
いくつかの実施の形態では、第2の部分はチタン製の外側ケーシングからなる。
【0305】
いくつかの実施の形態では、外側ケーシングは完全なハウジングを形成し、第2の部分によって受信され送信される電磁波はケーシングを通過しなければならない。
【0306】
本開示のさらなる態様は、埋め込み可能な通電医療装置に関し、この埋め込み可能な通電医療装置は、開示された埋め込み可能な薬物送達システムと有利に組み合わされ得、患者の組織部分によって定位置に保持されるように構成され、この医療装置は以下を備える:組織部分の第1の側に配置されるように構成された第1の部分であって、該第1の部分は、第1の平面における第1の断面積を有し、組織部分の第1の側の第1の組織表面に対向するように構成された第1の表面を備える、第1の部分と、組織部分の第2の側に配置されるように構成された第2の部分であって、該第2の側は、該第1の側と対向し、該第2の部分は、第2の平面における第2の断面積を有し、組織部分の第2の側の第2の組織表面に係合するように構成された第2の表面を備える、第2の部分と組織部分の第1の側部と第2の側部との間に延びる組織部分の穴を通して配置されるように構成された連結部分であって、該連結部分は、第3の平面における第3の断面積を有し、組織部分の第1の側部の第1の組織表面に係合するように構成された第3の表面を備える、連結部分と、を備え、該連結部分は、該第1の部分を該第2の部分に連結するように構成され、ここで、以下第1の平面、第2の平面および第3の平面は互いに平行であり、第3の断面積は第2の断面積よりも小さく、第1の部分、第2の部分および連結部分が、第1の平面、第2の平面および第3の平面に垂直な方向に組織部分の穴を通って移動することが妨げられ、第1の部分は、周波数レベル未満の周波数で電磁波を受信および/または送信するように構成され、周波数レベルは100kHzである。
【0307】
いくつかの実施の形態では、第2の部分は、周波数レベル未満の周波数で電磁波を受信および/または送信するように構成される。
【0308】
いくつかの実施の形態では、第1の部分は、周波数レベル以下の周波数の電磁波を第2の部分に送信するように構成される。
【0309】
いくつかの実施の形態では、第1の部分は、周波数レベル以下の周波数の電磁波を外部装置に送信するように構成される。
【0310】
いくつかの実施の形態では、周波数レベルは40kHzまたは20kHzである。
【0311】
一部の実施の形態では、電磁波は無線エネルギーおよび/または無線通信を構成する。
【0312】
いくつかの実施の形態では、第1の部分は、周波数レベル未満の外部無線エネルギー送信機によって無線送信されたエネルギーを受信するための第1の無線エネルギー受信機と、周波数レベル未満の第2の部分にエネルギーを無線送信するように構成された内部無線エネルギー送信機とを備え、第2の部分は、周波数レベル未満の内部無線エネルギー送信機によって無線送信されたエネルギーを受信するように構成された第2の無線エネルギー受信機を備える。
【0313】
いくつかの実施の形態では、第1の部分は、少なくとも1つの処理ユニットを含む第1のコントローラを備える。
【0314】
いくつかの実施の形態では、第2の部分は、少なくとも1つの処理ユニットを含む第2のコントローラを備える。
【0315】
いくつかの実施の形態において、第1のコントローラは、周波数レベル以下の外部装置から無線通信を受信するための第1の部分の第1の無線通信受信機に接続され、第1のコントローラは、周波数レベル以下の第2の部分の第2の無線通信受信機に無線通信を送信するための第1の部分の第1の無線通信送信機に接続される。
【0316】
いくつかの実施の形態では、第2のコントローラは、周波数レベル以下の第1の部分からの無線通信を受信するための第2の無線通信受信機に接続される。
【0317】
いくつかの実施の形態では、第1の部分は、ポリマー材料から作られた外側ケーシングからなる。
【0318】
いくつかの実施の形態では、第1部分はチタン製の外側ケーシングからなる。
【0319】
いくつかの実施の形態では、外側ケーシングは完全なハウジングを形成し、第1の部分によって受信され送信される電磁波はケーシングを通過しなければならない。
【0320】
いくつかの実施の形態では、第2の部分はチタン製の外側ケーシングからなる。
【0321】
いくつかの実施の形態では、外側ケーシングは完全なハウジングを形成し、第2の部分によって受信され送信される電磁波はケーシングを通過しなければならない。
【0322】
本開示のさらなる態様は、埋め込み可能な通電医療装置に関し、この埋め込み可能な通電医療装置は、開示された埋め込み可能な薬物送達システムと有利に組み合わされ得、患者の組織部分によって定位置に保持されるように構成され、この医療装置は以下を備える:組織部分の第1の側に配置されるように構成された第1の部分であって、該第1の部分は、第1の平面における第1の断面積を有し、組織部分の第1の側の第1の組織表面に対向するように構成された第1の表面を備える、第1の部分と、組織部分の第2の側に配置されるように構成された第2の部分であって、該第2の側は、該第1の側と対向し、該第2の部分は、第2の平面における第2の断面積を有し、組織部分の第2の側の第2の組織表面に係合するように構成された第2の表面を備える、第2の部分と組織部分の第1の側部と第2の側部との間に延びる組織部分の穴を通して配置されるように構成された連結部分であって、該連結部分は、第3の平面における第3の断面積を有し、組織部分の第1の側部の第1の組織表面に係合するように構成された第3の表面を備える、連結部分と、を備え、該連結部分は、該第1の部分を該第2の部分に連結するように構成され、ここで、以下第1の平面、第2の平面および第3の平面は互いに平行であり、第3の断面積は第2の断面積よりも小さく、第1の部分、第2の部分および連結部分が、第1の平面、第2の平面および第3の平面に垂直な方向で組織部分の穴を通って移動するのを防止するようになっており、第1の部分はポリマー材料から作られており、第2の部分はチタンから作られたケーシングから構成されており、ケーシングは完全なハウジングを形成している。
【0323】
いくつかの実施の形態では、第2の部分のケーシングは、第2の部分が連結部分に連結されたときに、第2の部分の外面の全体がケーシングによって覆われるような完全な囲いを形成する。
【0324】
いくつかの実施の形態では、第1の部分は、ポリマー材料から作られたケーシングからなる。
【0325】
いくつかの実施の形態では、第1の部分のケーシングは、第1の部分の外面の全体がケーシングによって覆われるような完全な囲いを形成する。
【0326】
いくつかの実施の形態では、接続部分は、第1部分および第2部分にそれぞれ接続し、電気信号および/またはエネルギーを伝送するように配置された接続部を備える。
【0327】
いくつかの実施の形態では、接続部は、接続部の外側材料によって封止されるように、接続部のコアに配置される。
【0328】
いくつかの実施の形態では、連結部分はセラミック材料からなる。
【0329】
いくつかの実施の形態では、接続部はセラミック材料内にカプセル化されている。
【0330】
いくつかの実施の形態では、第1の部分は、接続部分の接続部に接続するように構成された第1の接続部を備える。
【0331】
いくつかの実施の形態では、第2の部分は、接続部の接続部に接続するように構成された第2の接続部を備える。
【0332】
いくつかの実施の形態では、第2部分のケーシングは気密封止されている。
【0333】
いくつかの実施の形態では、第2の接続部は、第2の部分の気密封止がそのまま維持されるように配置される。
【0334】
いくつかの実施の形態では、第1部分のケーシングは密閉されている。
【0335】
本開示のさらなる態様は、埋め込み可能な通電医療装置に関し、この埋め込み可能な通電医療装置は、開示された埋め込み可能な薬物送達システムと有利に組み合わされ得、患者の組織部分によって定位置に保持されるように構成され、この医療装置は以下を備える:
組織部分の第1の側に配置されるように構成された第1の部分であって、該第1の部分は、第1の平面における第1の断面積を有し、組織部分の第1の側の第1の組織表面に対向するように構成された第1の表面を備える、第1の部分と;組織部分の第2の側に配置されるように構成された第2の部分であって、該第2の側は、該第1の側と対向し、該第2の部分は、第2の平面における第2の断面積を有し、組織部分の第2の側の第2の組織表面に係合するように構成された第2の表面を備える、第2の部分と;組織部分の第1の側部と第2の側部との間に延びる組織部分の穴を通して配置されるように構成された連結部分であって、該連結部分は、第3の平面における第3の断面積を有し、組織部分の第1の側部の第1の組織表面に係合するように構成された第3の表面を備える、連結部分と;を備え、該連結部分は、該第1の部分を該第2の部分に連結するように構成され、ここで、第1の平面、第2の平面、および第3の平面は、互いに平行であり、第3の断面積は、第2の断面積よりも小さく、第1の部分、第2の部分、および連結部分が、第1の平面、第2の平面、および第3の平面に垂直な方向に、組織部分の穴を通って移動することが防止され、連結部分が、中心延長軸に沿って、第1の部分と第2の部分との間に延びるように構成され、第2の部分が、中心延長軸と発散する長さ方向に延びるように構成される、連結部分が、中心延長軸に沿って実質的に一定の断面積を有するか、または連結部分が、中心延長軸に沿って第1の部分から第2の部分に向かう方向に減少する断面積を有するか、および/または第2の部分が、長さ方向に沿って実質的に一定の断面積を有するか、または第2の部分が、長さ方向に減少する断面積を有する。
【0336】
いくつかの実施の形態では、第3の断面積は第1の断面積よりも小さい。
【0337】
いくつかの実施の形態では、連結部分は、中心延長軸に沿って第1の部分から第2の部分に向かう方向にテーパー状である。
【0338】
いくつかの実施の形態では、連結部分は、第1の部分から第2の部分に向かう方向に直径が減少する、中心延長軸に沿った円形または楕円形の断面を有する。
【0339】
いくつかの実施の形態では、第2部分は長さ方向にテーパー状である。
【0340】
いくつかの実施の形態では、連結部分は、長さ方向に直径が減少する円形または楕円形の断面を有する。
【0341】
いくつかの実施の形態では、長さ方向は、連結部分と第2の部分との間の界面から第2の部分の端部に向かって延びる。
【0342】
いくつかの実施の形態では、長さ方向は、中心延長軸に実質的に垂直な方向に延びる。
【図面の簡単な説明】
【0343】
次に、添付図面を参照しながら、本発明を例示的に説明する。
【
図1】
図1は、第1の変形例にしたがって患者の体内に埋め込まれた本開示のシステム全体を示す。
【
図2】
図2は、第2の変形例にしたがって患者の体内に埋め込まれた本開示のシステム全体を示す。
【
図3】
図3は、異なる穿刺部位において、穿刺領域がどのように注入針によって穿刺され得るかを示す第1の一般的概念である。
【
図4】
図4は、異なる穿刺部位において、穿刺部位がどのように注入針によって穿刺されうるかを示す第2の一般的概念である。
【
図5】
図5は、第1の実施の形態による駆動装置の正面図および背面図である。
【
図6】
図6は、第1の実施の形態による駆動装置の正面図および背面図である。
【
図7】
図7は、注入針が取り付けられる第1の実施の形態による駆動装置の針協働部材を示す。
【
図9】
図9は、第2の実施の形態による駆動装置の正面図である。
【
図10】
図10は、第2の実施の形態による駆動装置の背面図である。
【
図11】
図11は、第3の実施の形態による駆動装置の正面図である。
【
図12】
図12は、第3の実施の形態による駆動装置の背面図である。
【
図13】
図13は、2つの分離可能な部分からなる第3の実施の形態による駆動装置の針協働部材を示す。
【
図14】
図14は、第3の実施の形態による駆動装置のアライメント構造を示す図である。
【
図15】
図15は、第3の実施の形態による駆動装置を用いた静脈への物質の注入を示す図である。
【
図16A】
図16Aは、一般に、埋め込まれた医療機器と通信するためのシステムを示している。
【
図16B】
図16Bは、一般に、埋め込まれた医療機器と通信するためのシステムを示している。
【
図16B)】
図16B’は、一般に、埋め込まれた医療機器と通信するためのシステムを示している。
【
図16C】
図16Cは、一般に、埋め込まれた医療機器と通信するためのシステムを示している。
【
図17】
図17は、埋め込み型医療機器のコントローラを充電、プログラミング、および通信するためのシステムの一実施の形態を示す。
【
図18】
図18は、ハウジングユニットの左側からの立面透視図である。
【
図20】
図20は、ハウジングユニットの左側からの上面透視図である。
【
図22】
図22は、埋め込み型医療機器と無線通信を行うハウジングとディスプレイ装置からなる外部機器のシステム概要を示す。
【
図23】
図23は、インプラント表面と、その表面に配置されたコーティングを有するインプラントを示している。
【
図24】
図24は、インプラント表面に複数のコーティングが施されたインプラントを示している。
【
図25A】
図25Aは、インプラントの表面に施された異なる微細パターンを示している。
【
図25B】
図25Bは、インプラントの表面に施された異なる微細パターンを示している。
【
図26】
図26は、システムの移植方法のフローチャートである。
【
図27】
図27は、埋め込み可能な通電式医療機器の一実施の形態を示す。
【
図28】
図28は、埋め込み可能な通電式医療機器の一実施の形態を示す。
【
図34】
図34は、埋め込み可能な通電式医療機器のさらなる実施の形態を示す。
【
図35】
図35は、埋め込み可能な通電式医療機器の一般的な例を示している。
【
図42】
図42は、その第1および第2部分が互いに異なる回転変位をしている
図35の医療器具を示す。
【
図43】
図43は、その第1および第2部分が互いに異なる回転変位をしている
図35の医療器具を示す。
【
図45】
図45は、埋め込み可能な通電式医療機器のさらなる実施の形態を示す。
【
図46A】
図46Aは、埋め込み可能な通電医療装置をインプラントに連結するための歯車配置および磁気カップリングを示している。
【
図46B】
図46Bは、埋め込み可能な通電医療装置をインプラントに連結するための歯車配置および磁気カップリングを示している。
【
図47A】
図47Aは、埋め込み可能な医療装置に電力を供給するための埋め込み可能な通電式医療装置の一実施の形態の右側からの上面透視図である。
【
図48】
図48は、埋め込み可能な医療装置に電力を供給するための埋め込み可能な通電式医療装置の実施の形態の断面平面図である。
【
図49】
図49は、埋め込み可能な医療装置に電力を供給するための埋め込み可能な通電式医療装置の実施の形態の断面平面図である。
【
図50】
図50は、埋め込み可能な医療装置に電力を供給するための埋め込み可能な通電式医療装置の実施の形態の断面平面図である。
【
図51A】
図51Aは、埋め込み可能な医療装置に電力を供給するための埋め込み可能な通電式医療装置の一実施の形態の右側からの上面透視図である。
【
図52】
図52は、
図3の第1の一般的態様によるシステム全体の変形例を概略的に示している。
【
図53】
図53は、傾斜した注入針を用いて物質を注入する原理を示したものである。
【
図54A】
図54Aは、注入針の前部を示す上面図であり、注入針の先端近くに注入ポートが配置されている。
【
図54B】
図54Bは、注入針の前部を示す断面側面図であり、注入針の先端近くに注入ポートが配置されている。
【
図55】
図55は、注入針がそれぞれのチューブ内に配置されたシステムの貫通領域を模式的に示している。
【
図56】
図56は、注入針が入るための広がった入口部を有する予め構成された通路を有するシステムの貫通領域を概略的に示している。
【
図57】
図57は、注入針がそれぞれの先端で延びるようにあらかじめ構成された通路を有するシステムの貫通領域を模式的に示している。
【
図58】
図58は、幅方向に伸びる通路と、これらの通路を開くためのコンプレッサがあらかじめ構成されたシステムの貫通領域を模式的に示している。
【発明を実施するための形態】
【0344】
[詳細説明]
以下では、添付の図面を参照して本発明の実施の形態の詳細な説明を行う。図面は例示のためのものであり、本発明の範囲を何ら制限するものではないことが理解されよう。したがって、「上」や「下」のような方向への言及は、図に示された方向のみを指す。同じ参照数字を有する特徴は同じ機能を有するので、ある実施の形態の特徴は、明らかに矛盾しない限り、同じ参照数字を有する他の実施の形態の特徴と交換することができることに留意すべきである。したがって、同じ参照数字を有する特徴の説明は、特徴の基本的な考え方を説明する上で互いに補完し合い、それによって特徴の汎用性を示すものと見なすべきである。
【0345】
[システム全体]
次に、本開示の全体システムについて、全体システムの第1の変形例を示す
図1に関連して概説する。全体的な構造は、WO2010/040548A1の
図1に開示された構造に対応する。この変形例で特に示されているのは、単一の注入針11と駆動ユニットDとを備えたハウジング12である。駆動ユニットDは、針または複数の針11を異なる方向に動かすことができることを矢印で模式的に示している。ハウジング12は、ここでは海綿体の形をしているが、他の種類の血管、特に静脈や動脈などの血管であってもよい、患者の血管7に隣接して配置された自己シール貫通領域14を備えている。注入針は、先端が閉鎖された管状の本体を有し、薬剤を送達するための側方に配置された送達出口ポートを備えることができる。したがって、針はいかなる物質も切り取ることはなく、単に貫通中に分裂させるだけである。したがって、針が線維症および/またはハウジングの壁に配置された自己密封貫通領域14のような物質を貫通するとき、物質が侵入して薬物送達通路を塞ぐことはない。
【0346】
ハウジング12内のモーターMは、駆動ユニットDの一部を駆動するためにハウジング12内に収容されている。ハウジング12内のモーターMは、制御システムの埋め込み可能な部分を構成する制御ユニットC2によって制御され、この制御ユニットC2は、コマンドおよび他のあらゆる種類のデータを制御ユニットC2に送信することができる外部データ処理装置C1をさらに備えている。例えば、外部データ処理装置C1は、患者の体外から注射サイクルを開始するために使用することができ、これは矢印23で示すように無線で行われる。埋め込まれた制御ユニットC2は、ハウジング12内のモーターMを制御するだけでなく、アキュムレータAからハウジング12内のモーターMへのエネルギー供給も制御する。
【0347】
外部データ処理装置C1は、同様に、埋め込まれた制御ユニットC2をプログラムするために使用されてもよい。また、外部データ処理装置C1と埋め込まれた制御ユニットC2との間でデータを転送するためのデータ転送ポートは、双方向にデータを転送するように適合させることができる。
【0348】
患者の陰茎内に埋め込まれたフィードバックセンサFは、ここではハウジング12内のモーターMに接続されているように示されており、同様に埋め込み可能な制御ユニットC2に接続されていてもよい。フィードバックセンサFは、陰茎海綿体内の薬剤レベル、陰茎海綿体を通る流量、陰茎海綿体内の圧力など、患者の1つ以上の物理的パラメータを感知することができる。電気的パラメータ、膨張、距離など、システムのプロセスパラメータを感知するために、他のフィードバックセンサを異なる位置に設けてもよい。
【0349】
針11と、区画R1およびR2からなるリザーバとを接続する導管19と、エネルギー源Aからハウジング12内のモーターMに電気エネルギーを伝達するための配線24とは、共通の導管25を介して導かれている。
【0350】
システム全体のこの変形例では、リザーバは、例えば生理食塩水がその中に含まれる第1のコンパートメントR1と、例えば粉末状または凍結乾燥状の薬剤がその中に含まれる第2のコンパートメントR2とからなる。第2のモーターM2によって駆動されるポンプPは、リザーバR1から注入針11に輸液を圧送するように配置されている。ポンプPによって圧送された輸液が混合チャンバ26を通過し、その中にリザーバR2から薬剤が適切な時間調整で放出される。モーターM2または別のモーターによって、第2のリザーバR2から薬剤が放出されるようにしてもよい。モーターM2も制御ユニットC2によって制御される。こうして、ポンプPを介して比較的大きな第1のリザーバR1から混合チャンバ26を通って送液された輸液が、第2のリザーバR2から放出された薬剤と混合され、その間にハウジング12の自己封止貫通領域14を貫通した注入針11に到達し、海綿体7に流入する。
【0351】
制御ユニットC2に加えて、または制御ユニットC2の代わりに、ハウジング12内のモーターMおよび/またはモーターM2を作動させるための感圧スイッチを皮下に配置してもよい。
【0352】
システム全体は、多種多様なリザーバタイプの一つで構成される可能性があるが、ここでは特定のリザーバタイプについて説明する。リザーバR1の容積は膜31によって2つのセクションに分けられる。一方は気体で満たされ、他方は輸液(生理食塩水)で満たされる。注入ポート32により、補充針を使ってリザーバR1に輸液を補充することができる。リザーバR1が満タンの状態では、気体部は常圧または過加圧状態にある。輸液サイクルのたびにポンプPによってリザーバR1から輸液が引き出されると、気体セクションの圧力は周囲圧力より低く、すなわち負の相対値まで低下する。ポンプPの特定のタイプによっては、ポンプPからリザーバR1への逆流を防止するために、単動ボールバルブを設けるのが有利な場合がある。
【0353】
モーターMとM2にエネルギーを供給する方法は様々である。図示された変形例では、エネルギーは、モーターによる直接使用のため、および/または、再充電可能なバッテリおよび/またはコンデンサの形態をとることができるアキュムレータAを充電するために、患者の体外から供給される。体外一次エネルギー源Eは、患者の皮膚10を通して第1の形態のエネルギーを、第1の形態のエネルギーを電気エネルギーなどの第2の形態のエネルギーに変換するエネルギー変換装置Tに伝達する。電気エネルギーは、要求に応じてモーターMに二次エネルギーを供給するアキュムレータAの再充電に使用される。
【0354】
外部一次エネルギー源Eは、電磁場、磁場、電場などの外部場を作り出すように、または電磁波や音波信号などの波信号を作り出すように適合させることができる。例えば、エネルギー変換装置Tは太陽電池として機能するが、一次エネルギー源Eの特定の種類の波動信号に適合させることができる。
【0355】
外部一次エネルギー源Eの代わりに、アキュムレータAの代わりに通常の長寿命バッテリなど、埋め込み可能な一次エネルギー源Eを使用してもよい。
【0356】
エネルギー信号はまた、エネルギーが無線で送信されるか有線で送信されるかにかかわらず、エネルギー信号の適切な変調によって外部データ処理デバイスC1から信号を送信するために使用されてもよく、エネルギー信号はそれによって、デジタルまたはアナログ制御信号の搬送波信号として機能する。より詳細には、制御信号は、周波数変調、位相変調、および/または振幅変調された信号であってもよい。
【0357】
図2は、システム全体の第2の変形例を示しており、基本的に
図1のシステムと異なるのは、ハウジング12内のモーターMが完全に省かれている点だけである。これは、
図1に示したシステムの配線24に代わるケーブル33によって実現される。
【0358】
[一般概念]
図3および
図4は、異なる穿刺部位において穿刺領域14がどのように注入針11によって穿刺され得るかについての2つの異なる一般的概念を示している。
図3の第1の概念によれば、注入針11は、ハウジング12に収容され、第1のアクチュエータ16によって第1の方向(X方向)に往復動可能であり、第2のアクチュエータ17によって第2の方向(Y方向)に往復動可能である針協働部材13に取り付けられている。第1の方向は、注入針11の変位方向、すなわち、注入針11がある穿刺部位から次の穿刺部位まで穿刺部位に対して横方向に変位する方向に対応する。この目的のために、針協働部材13は、針協働部材13が変位方向に移動可能であるクロスガイド15に沿って取り付けられる。第2の方向は、注入針11の進退方向、すなわち、輸液サイクルが実行されるたびに注入針11が貫通領域位14を貫通するように移動される方向に対応する。
【0359】
図4に示すような第2の概念は、単一の横方向に移動可能な注入針の代わりに、複数の注入針11が貫通領域14に沿って並んで配置されている点で、第1の概念とは異なっており、そのうちの2つの例示的な注入針11のみが
図4に示されている。この概念では、注入針11は、針協働部材13に固定的に取り付けられていない。その代わりに、針協働部材13は、位置決め部13Aと針駆動部13Bとからなる。位置決め部13Aは、上述したように、クロスガイド15に沿って変位方向に移動可能である。ただし、注入針11を横方向に変位させるのではなく、針駆動部13Bのみを、ある注入針11から次の注入針11へと変位方向に移動させる。針駆動部13Bが注入針11の1つに隣接する所望の位置に移動されると、第2のアクチュエータ17によって前進させられ、注入針11が貫通領域14を貫通するように付勢される。その後、それぞれの注入針11は、次の注入針11までさらに横方向に変位させるために、プロセスの最後に、それぞれの注入針11から切り離される必要がある針駆動部13Bによって、反作用するばね要素の力によって、または針駆動部13Bによって引き込まれることができる。
【0360】
以下では、3つの例示的な実施の形態を参照して、ハウジング12内の駆動装置について説明する。ここで、第1および第2のアクチュエータ16、17は、ケーブルで構成される。一実施の形態では、単一のケーブルが、注入針11を前進および/または後退させるだけでなく、横方向に変位させる両方に使用される。本開示は、異なる態様を提供する。これらの態様は、3つの実施の形態のうちの1つまたは2つに関して説明されることもあるが、他の実施の形態のうちの1つまたは両方においても同様に実現することができる。
【0361】
[第1実施の形態]
第1の実施の形態による駆動ユニット100を、
図5および
図6にそれぞれ正面図および背面図で示す。駆動ユニット100は、
図3および
図4に示すハウジング12に取り付けることができる。駆動ユニット100は、ベース101と、ベース101の対向する端部から突出する2つの平行なリニアベアリング102と、2つのリニアベアリング102に沿ってベース101に向かっておよびベース101から離れる方向に摺動可能に移動可能な並進フレーム103と、2つのリニアベアリング102のそれぞれの一方に配置されたコイルばねの形態の2つの戻しばね104とを備える。針11が固定的に取り付けられた針協働部材113は、それに沿って(横方向の)変位方向に移動可能なクロスガイド115に取り付けられている。クロスガイド115は、その反対側の端部が並進フレーム103に固定的に取り付けられており、リニアベアリング102に沿って並進フレーム103がベース101に向かって、およびベース101から離れる方向に移動することにより、注入針11がそれぞれ前進方向および後退方向に前進および後退するようになっている。注入針11が前進すると、注入針11は、
図3および
図4に関連して上述したハウジング12内の貫通領域14に隣接して配置された隔壁116を貫通する。あるいは、隔壁はハウジングの壁に配置され、貫通領域14を形成してもよい。
【0362】
ベース101は、ハウジング12に対して静止しており、例えば、ハウジングに接着されているか、ハウジング内に圧入されているか、またはハウジング内に機械的に保持されており、したがって、本開示の文脈内では、ベース101に固定されている要素とハウジング12に固定されている要素とは同義に理解される。これは全ての実施の形態に適用される。
【0363】
注入針11が取り付けられた針協調部材113の対向する第1および第2の変位方向への横方向移動は、変位ケーブル120によって実現される。変位ケーブル120は、
図6に示すように、第1および第2のリニアベアリング102にそれぞれ取り付けられた第1のホイール121および第2のホイール122の周りをループする。変位ケーブル120の対向端124は、
図5に示すように、針状協働部材113のポケットに圧着固定されている。したがって、変位ケーブル120を前方または後方に移動させることにより、針協働部材113および注入針11がそれぞれの横変位方向に移動される。変位ケーブル120は、変位ケーブル120と第1および第2の車輪121,122との間の摩擦を増加させるために、第1および第2の車輪121,122のそれぞれの周囲を複数回巻き、それにより、変位ケーブル120の滑りを回避する。張力要素123は、変位ケーブル120の弛みを減少させるように、変位ケーブル120の長手方向軸線に対して横方向に変位ケーブル120に張力を発生させるように、並進フレーム103に固定的に保持される。図示の実施の形態では、張力要素123は、ループ内のケーブル張力を維持するために並進フレーム103の背面のポケットに配置された板ばねである。注目すべきは、変位ケーブル120がケーブルである代わりに、変位ベルトとして、特に、歯付き第1および第2ホイール121、122の周囲に巻かれた歯付き変位ベルトとして実現されてもよいことである。
【0364】
変位ケーブル120を動かすために、駆動ケーブル125が、電気モーターであってもよい遠隔モーターから、ハウジング12の壁を貫通してハウジング12内に延びる(図示せず)。駆動ケーブル125は、一方の車輪または他方の車輪を駆動するように、第1の車輪121または第2の車輪122の周囲にループ状に巻かれていてもよい。しかし、
図5および
図6に示す好ましい実施の形態では、駆動ケーブル125は、リニアベアリング102、ここでは第1の車輪121が取り付けられたリニアベアリング102に取り付けられた第3の車輪126に巻き付けられる。したがって、対応するリニアベアリング102は、ベース101と並進フレーム103の両方に回転可能に取り付けられており、駆動ケーブル125によって車輪126を回転させることにより、リニアベアリング102とその上に固定的に取り付けられた第1の車輪121を回転させ、それによって上述のように変位ケーブル120の移動を引き起こす。
【0365】
図示されていない実施の形態では、変位ケーブル120は、駆動ケーブル125が針協働部材113に固定的に接続され得るという点で、駆動ケーブル125と置き換えられてもよい。この場合、駆動ケーブル125は、並進フレーム103に対して一方の側でハウジングに入り、並進フレーム103のそれぞれの他方の側で、好ましくは複数回、第2の車輪122の周りをループし、ハウジングから再び、例えば並進フレーム103に対して第1の側で出ることになる。この場合、第1の車輪121は不要とすることができる。さらに別の方法として、針協働部材113に固定的に接続されている駆動ケーブル125は、一方の側でハウジングに入り、他方の側でハウジングから出ることができ、この場合、第1および第2の車輪121、122の両方を省くことができる。
【0366】
変位ケーブル120および/または駆動ケーブル125が、対応する車輪121、122および/または126の周りを巻くすべての実施の形態において、代わりに、対応する車輪の上を巻いたり、離れたりしてもよい。この場合、ケーブルはその一端をそれぞれの車輪に取り付けてもよい。これについては、第2の実施の形態に関連してさらに後述する。
【0367】
好ましくは横方向変位方向に対して垂直な進退方向における注入針11の進退に関しては、別個の進退ケーブル130が設けられる。駆動ケーブル125と同様に、前進ケーブル130は、遠隔に配置されたモーター、すなわち電気モーターであってもよい第2のモーターに接続され、前進ケーブル130は、第2のモーターからハウジング12の壁を通ってハウジング12内に延びる。基本原理は、前進ケーブル130を引っ張ることにより、並進フレーム103がリニアベアリング102に沿ってベース101に向かって移動するように、前進ケーブル130を並進フレーム103に接続することである。最も複雑でない構造によれば、前進ケーブル130の一端は並進フレーム103に固定され、そこから前進ケーブル130はベース101に向かって下方に延び、さらにハウジング12から遠隔の第2モーターに向かって直接またはガイドホイールを介して案内される。
【0368】
しかしながら、注入針11をセプタム116に挿入し、セプタム116を通して前進させるのに必要な前進ケーブル130の引っ張り力は比較的大きい可能性があるため、
図5および
図6に示す好ましい実施の形態は、前進ケーブル130がその一部を形成するブロックアンドタックルセットアップを含む。このセットアップは、隔壁116およびハウジング12の壁の貫通領域を通して注入針11を前進させるのに必要な電力量を低減する。したがって、前進ケーブル130を駆動するためのモーターは比較的小さくてもよい。
【0369】
より具体的には、
図5および
図6の実施の形態に示すように、1つまたは好ましくは2つのプーリが、並進フレーム103とともに移動するように並進フレーム103に固定され、
図5および
図6の実施の形態に示すように、別の1つまたは好ましくは2つの第2のプーリ133が、静止するようにベース101、すなわちハウジング12に固定される。前進ケーブル130の端部131は、ベース101に圧着され、接地されている。代わりに、並進フレーム103に固定してもよく、その場合、第1のプーリ132の1つを省く(それにより、ブロック・アンド・タックル効果を低減する)か、またはさらなる第2のプーリ133をベース101に設ける(それにより、ブロック・アンド・タックル効果をさらに増大する)ことができる。図示の実施の形態では、前進ケーブル130は、2つの第2滑車133のうちの1つの滑車に2回巻き付けられるので、この滑車は二重滑車として実現される。
【0370】
図7は、注入針11が取り付けられる針協働部材113を示す。より具体的には、注入針11は湾曲しており、注入針11の湾曲部は、針協働部材113の対応する湾曲凹部114に配置される。これにより、システムを組み立てる際に、注入針11を針協働部材113の正しい位置に取り付けることが容易になる。湾曲した凹部114は、注入針11がその前端部で隔壁116を貫通し、さらにハウジング12の壁の貫通領域14を貫通するように前進させられるときに、注入針11に作用する力に対抗する力を与える。好ましくは、注入針11は、注入針11を所定の位置に確実に保持するように、凹部114の領域において針協働部材113に溶接またはポッティングされる。注入針11の前端の注入ポート11Aは、管状の針本体11Bの側面に配置されたサイドポートとして設計されている。注入針11の反対側の端部には、
図1に示す導管19のような薬剤供給ラインを接続するためのチューブ接続部18が設けられている。最後に、針補強チューブ20が注入針11の周囲に配置され、注入針11がハウジング12の隔壁116および貫通領域14を貫通する際のたわみを最小限に抑えるために、管状針本体11Bを強化する。
【0371】
図8は、注入針11とベース101を備えた針協働部材113の透視図である。分かるように、ベース101には、チューブ19を注入針11に通すための窓105が設けられている。基部101は、チューブ19がハウジング12内でループ状に巻かれるのに十分な空間を提供するので、チューブ19は、針11が横方向に変位および/または進退する際に必要とされる全可動範囲をカバーすることができる。
【0372】
本第1実施の形態に示す 駆動装置100の全体の大きさは、高さ40mm、幅30mm、奥行き6mm、またはそれ以下とすることができる。これは、隣接する注射部位の中心間に1ミリメートルの空間があると仮定すると、15個の注射部位に十分な空間を提供する。駆動部の幅を広げると、注射部位の数が1対1に増える、すなわち、1ミリ増やすと注射部位の数が1つ増える。
【0373】
[第2の実施の形態]
駆動ユニット200の第2実施の形態の正面図および背面図をそれぞれ
図9および
図10に示す。その構造は、大部分が上述の第1の実施の形態と同じである。したがって、駆動ユニット200は、ベース201と、ベース201の対向する端部から延びる2つの平行なリニアベアリング202と、リニアベアリング202に沿ってベース201に向かっておよびベース201から離れる方向に移動可能なように2つのリニアベアリング202に摺動可能に取り付けられた並進フレーム203と、リニアベアリング202の周囲にそれぞれ取り付けられたコイルばねの形態の2つの戻しばね204とから構成されている。クロスガイド215が、その対向端部を並進フレーム203に固定的に取り付けられ、針状協働部材230が、クロスガイド215に沿って、対向する横方向の変位方向に摺動可能であり、その変位方向は、リニアベアリング202の伸長方向とは異なり、特に垂直方向である。したがって、リニアベアリング202に沿って並進フレーム203をベース201に向かって及びベース201から離れる方向に移動させることにより、針協働部材230は、針協働部材213に固定的に取り付けられている注入針11と共に、反対の前進及び後退方向に前進及び後退させられる。
【0374】
第2の実施の形態が第1の実施の形態と本質的に異なる点は、単一の進退ケーブル240が設けられ、注入針11の前進方向への前進と変位方向への変位の両方を行うように配置されている点である。第1の電動モーター(図示せず)などの第1のアクチュエータを進退ケーブル240の第1の端部に取り付け、第2の電動モーター(図示せず)などの第2のアクチュエータを進退ケーブル240の第2の端部に取り付けてもよい。第1および第2のモーターは、好ましくは、ハウジングから離れた位置にあり、したがって、前進および変位ケーブル240の第1および第2の端部は、ハウジング12の壁を貫通して案内される。
【0375】
進退ケーブル240は、静止するようにベース201に固定された2つの第1プーリ232と、進退フレーム203と共に進退方向に移動するように進退フレーム203に固定された2つの第2プーリ233とに亘って案内される。より具体的には、進退ケーブル240は、ベースに固定された2つの第1のプーリ232のうちの1つのプーリ232を越えて、さらに並進フレーム203に案内され、さらにハウジングに固定された2つの第1のプーリ232のうちの他の1つのプーリ232を越えて案内されるので、進退ケーブル240の対向する端部が、対向する第1および第2の引っ張り方向に同じ距離だけ引っ張られると、並進フレームは、リニアベアリング202に沿って、2つの第1のプーリ232に向かう方向、すなわち注入針11の前進方向に引っ張られる。戻しばね204は、進退ケーブル240に対する引張力が減少したときに、戻しばね204が、
図9および
図10に示すその静止位置に戻る進退フレーム203の自動的な移動を引き起こすように、静止位置に向かって進退フレーム203を付勢するように配置されている。
【0376】
さらに、進退変位ケーブル240は、並進フレーム203に直接取り付けられているのではなく、むしろ、並進フレーム203に取り付けられたクロスガイド215に沿って移動可能である針協働部材213に取り付けられており、さらに、針協働部材213に固定的に連結されている対向する2つの第2のプーリ233の上を案内されているので、進退変位ケーブル240を一方または他方の方向に引っ張る、例えば、進退変位ケーブル240の一端のみを引っ張ることにより、針協働部材113がクロスガイド215に沿って移動し、それによって、注入針11が変位方向に横方向に変位する。例えば、進退変位ケーブル240の一端のみを引っ張ると、針協働部材113がクロスガイド215に沿って移動し、それによって注入針11が変位方向に横方向に変位する。したがって、並進フレーム203がその静止位置にある間に注入針11の横方向の変位が所望される場合、前進端変位ケーブル240の両端を同時に引っ張ると、注入針11も隔壁216に向かって前進することになるので、前進端変位ケーブル240の一端のみが引っ張られるべきである。同様に、注入針11の前進が望まれる場合、前進変位ケーブル240の両端は、前進中に注入針11が横方向に移動するのを避けるために、同じ距離にわたって引っ張られるべきである。戻しバネ204が、進退ケーブル240が張られて針協働部材213の横方向の変位を引き起こすときに、直線軸受202に沿って並進フレーム203の移動を防止するのに十分な強度を確保することが重要である。
【0377】
進退ケーブル240は、中央部分が針協働部材213に固定された連続的な形態を有していてもよいが、
図9および
図10に示す実施の形態では、進退ケーブル240は、2つの別個のケーブル部分からなり、各ケーブル部分は、その一端が針協働部材213に接続されている。具体的には、それぞれの端部は、針協働部材213に形成された圧着ポケット214に圧着保持されている。
【0378】
これ以外は、第2の実施の形態は第1の実施の形態に対応する。例えば、針協働部材213を前進させると、注入針11が隔壁216を貫通し、さらに患者内に侵入するので、注射ポート11aから薬剤を送出することができる。さらに、注入針11は、第1の実施の形態に関連して説明したのと同様に、針協働部材213に取り付け固定される湾曲針である。この場合も、注入される薬剤を塗布する導管が、注入ポート11Aに対向する注入針11の端部のチューブ接続部18に取り付けられてもよい。
【0379】
高さ41mm、幅32mm、奥行き7mmの寸法を有する駆動ユニット200では、隣り合う注射部位の中心間の距離が1ミリメートルで、18個の注射部位に十分なスペースがあるような駆動ユニット200の設計とすることができる。射出部位の数を18から16に減らすことにより、幅をさらに30mmに減らすことができる。
【0380】
[第3の実施の形態]
図11および
図12は、それぞれ、駆動ユニット700の第3の実施の形態の正面図および背面図である。第3の実施の形態は、単一の注入針ではなく、注入針11のアレイ705が設けられている点で、主に第1および第2の実施の形態と異なる。したがって、注入針を変位方向に横方向に移動させる代わりに、針協働部材713のみを変位方向に横方向に移動させて、注入針11のアレイ705のうちの1本の注入針11に作用させ、それによって、注入針11を前進させる。
【0381】
第1および第2の実施の形態と同様に、第3の実施の形態の駆動ユニット700は、ベース701と、平行に配置され、ベース701の対向する端部から延びる2つのリニアベアリング702と、リニアベアリング702に沿ってベース701に向かっておよびベース701から離れる方向に摺動可能に移動する並進フレーム703と、並進フレーム703をベース701から離れた静止位置に付勢するようにリニアベアリング702の周囲にそれぞれ配置された2つのリターンスプリング702とを備える。さらに、先の実施の形態と同様に、シャフト形状のクロスガイド715が、その対向する端部を並進フレーム703に固定的に連結されている。クロスガイド715には、クロスガイド715に沿って対向する変位方向に摺動可能なように、針協働部材713が取り付けられている。
【0382】
この第3の実施の形態では、針協働部材713は、互いに分離可能な2つの部品、すなわち、クロスガイド715に摺動可能に取り付けられた部品である針駆動部713Bと、副クロスガイド部材715Aに摺動可能に取り付けられた位置決め部713Aとから構成されている。したがって、針協調部材713の針駆動部713Bが移動可能に取り付けられたクロスガイド715が主クロスガイドを構成し、針協調部材713の位置決め部713Aが移動可能に取り付けられた副クロスガイド部材715Aが副クロスガイドを構成する。以下により詳細に説明されるように、並進フレーム703が
図11および
図12に示されるその静止位置にあるとき、位置決め部713Aおよび針駆動部713Bは、副クロスガイド部材715Aに沿った位置決め部713Aの移動が(主)クロスガイド715に沿った針駆動部713Bの対応する移動を引き起こすように、互いに係合している。
【0383】
これは
図13にさらに示されている。見られるように、位置決め部713Aの突出部707は、針駆動部713Bの対応する凹部708内に延びている。もちろん、突出部707は、同様に、針駆動部713Bおよび位置決め部713Aの凹部708に配置することができ、または、位置決め部713Aおよび針駆動部713Bを横方向の変位方向において一緒に保持するが、変位方向とは異なる方向、好ましくは垂直な方向、すなわち注入針の前進方向において位置決め部713Aおよび針駆動部713Bの係合解除を可能にする任意の他の係合構造を設けることができる。
【0384】
変位ケーブル720の圧着端724は、位置決め部713Aに取り付けられ、ハウジング12の外部にある電動モーターであってもよいアクチュエータに向かって車輪721上を案内される。変位ケーブル720を第1の変位方向、
図13では左方向に引っ張ると、位置決め部713Aが副クロスガイド部材715Aに沿って第1の変位方向にスライドし、副クロスガイド部材715Aが針駆動部713Bに係合するので、針駆動部713Bも(主)クロスガイド715に沿って同じ変位方向に移動させられる。
【0385】
変位ケーブル720に作用する引っ張り力に対抗する力を生じさせるように、定力ばね709も位置決め部品713Aに取り付けられている。これにより、位置決め部713Aを副クロスガイド部材715Aに対して、したがって、針駆動部713Bを(主)クロスガイド715に対して相対的な位置に保持するのに役立つ。ばね709を定力引張バネとして設計することによって、針協働部材713をクロスガイド715に沿って移動させるのに必要な引張力、したがって、関連するモーターによって提供される動力は、クロスガイド715に対する針協働部材713の相対的な位置とは無関係に一定である。図示の実施の形態では、定力引張りばね709は、引張られていないときにそれ自体に巻き付く金属バンドからなる。金属バンドの一端はリールに取り付けられ、他端は針協働部材713の位置決め部713Aに接続されている。針協調部材713が変位ケーブル720の助けによってクロスガイド715に沿って一歩一歩引っ張られると、引張りばね709は一定の反力を生じる。変位ケーブル720の引っ張り力が解除されると、引張りバネは自動的にリールに巻き戻され、それによって針協働部材713はその開始位置に引き戻される。引張りばね709によって与えられる引張り力は、0.5Nから2Nの間、好ましくは0.8Nから1.2Nの間、より好ましくは約1Nの間である。
【0386】
針協働部材713の正確な位置決めは、針協働部材713の異なる静止位置を規定するように互いに係合する第1および第2のアライメント構造によって支持される。アライメント構造の一方は、変位方向に対して静止しており、他方のアライメント構造は、針協働部材713と共に移動可能である。例えば、第1のアライメント構造は板バネであってもよく、第2のアライメント構造は、板バネと協働するように配置された複数の静止した戻り止めまたは突起から構成されてもよい。この概念は、説明した第1および第2の実施の形態においても同様に提供することができる。
【0387】
図13に示すように、第3の実施の形態では、第1の整列構造は、針協働部材713の針駆動部713Bに取り付けられた板ばね711であり、第2の整列構造は、板ばね711と協働するように並進フレーム703に配置された複数の回り止めまたは突起710からなる。これは
図14にさらに詳細に示されている。したがって、針協働部材713がある位置から次の位置へと変位方向にクロスガイド715に対して相対的に動かされるとき、板バネ711の自由端は、戻り止めまたは突起710から外れるように後方に付勢され、その後、戻り止めまたは突起の隣接する1つと再び係合するために再び前方にスナップする。
図14からも認識できるように、針協働部材713の針駆動部713Bは、注入針11に密接して、すなわち注入針11のわずかに上方に配置された突出部712を有し、これにより、並進フレーム703が前進方向下方に移動するとき、突出部712が注入針11のそれぞれの1つを前進方向下方に押す。
【0388】
針駆動部713Bの前進方向下方への移動は、第1の実施の形態に関連して上述したのと同様に実現される。したがって、第1の実施の形態に関する
図6と同様に、第3の実施の形態に関する
図11は、その自由端731がベース701に固定され、並進フレーム703に取り付けられた2つの第1のプーリ732と、ベース701、したがってハウジング12に固定的に取り付けられた2つの第2のプーリ733とに沿って案内される前進ケーブル730からなるブロック・アンド・タックルのセットアップを示している。したがって、針協働部材713が、変位ケーブル720によって針アレイ705の注入針11の1つに対して適切な位置に移動されると、針協働部材713の針駆動部713Bが並進フレーム703と共に下方に移動するように、前進ケーブル730を引くことができる、それによって、一方では、針協働部材713の位置決め部713Aから外れ、他方では、針アレイ705のそれぞれの1本の注入針11を前進方向の下方に促す。
【0389】
これはさらに、駆動ユニット700の一部の関連部分のみを示す
図15に示されている。したがって、針駆動部713Bは、既に針アレイ705の1本の注入針11をハウジング12(図示せず)の貫通領域14を通して患者の静脈2内に押し込んだ非係合位置に示されている。前進ケーブル730の張力が解除されると、前進した注入針11は、戻しばね704によってその静止位置に自動的に引き込まれる。より具体的には、
図11に示されるように、並進フレーム703のクロスバー703Aが注入針11の側方延長部11Cの下方に配置され、並進フレーム713がその静止位置へ戻される際にクロスバー703Aが側方延長部11Cに接触して注入針11を上方へ移動させるようになっている。
【0390】
図15は、注入針11を通して患者に薬剤を供給する方法をさらに示している。この概念では、管状針本体11Bの側面に注入針11の先端から離れた位置に配置された供給口11Dを有する注入針11を利用する。したがって、注入される物質は、管状針本体11B内に横向きに供給される。筒状針本体11Bの内部には、上述したように、送液ポート11Dとサイドポートとしても実現される注入ポート11Aとを連通する針ルーメン(図示せず)が形成されている。
【0391】
図15に示すように、隔壁716は、上部隔壁716Aおよび下部隔壁716B、ならびに上部隔壁716Aと下部隔壁716Bとの間の内部リザーバ717からなる。注入針11は、上部隔壁716A、内部リザーバ717および下部隔壁716Bを通って延びる。後退位置では、供給ポート11Dは上部隔壁716Aで保護され、注入ポート11Aは下部隔壁716Bで保護される。それらの前進位置では、供給ポート11Dは内部リザーバ717の内側に配置され、注射ポート11Aはハウジング12の外側に配置され、それによって、注射される物質が、内部リザーバ717から供給ポート11Dおよび管状針本体11Bの内腔を通って注射ポート11Aに向かって、そして注射ポート11Aを通って患者の体内に流れることを可能にする。供給ポート11Dと注射ポート11Aとの間の間隔は、供給ポート11Dが内部リザーバ717にアクセスする前に、注射ポート11Aが患者に完全に挿入されるように選択される。
【0392】
内部リザーバ717に注入物質を供給するための供給ルーメン750は、リニアベアリング702の内腔に沿って走るように配置されている。内腔は、
図15に示すように、内部リザーバ717に直接接続する。
【0393】
駆動装置700の全体の大きさは 、好ましくは、高さが46mm以下、幅が33mm以下、奥行きが8.5mm以下である。これにより、中心間距離1.5mmで間隔をあけた針アレイ705の約14個の離散的な注射部位が可能になる。
【0394】
[通信(コントローラー、暗号化/復号化、認証/検証)]
外部装置間または外部装置とインプラント間の通信は暗号化されていてもよい。対称暗号化または非対称暗号化など、任意の適切なタイプの暗号化を採用することができる。暗号化は、単一鍵暗号化であってもよいし、多鍵暗号化であってもよい。複数鍵暗号化では、暗号化されたデータを復号化するために複数の鍵が必要となる。複数の鍵は、第1の鍵、第2の鍵、第3の鍵など、あるいは鍵の第1部分、鍵の第2部分、鍵の第3部分などと呼ばれることがある。複数の鍵は、(暗号化方式や使用ケースに応じて)任意の適切な方法で組み合わされ、復号に使用できる結合鍵が導出される。場合によっては、結合鍵の導出とは、データを復号するために各鍵を1つずつ使用し、最終的な鍵を使用したときに復号されたデータが得られることを意味する。
【0395】
また、複数の鍵を組み合わせることで、データを復号化する「マスター鍵」が1つになる場合もある。言い換えれば、これは秘密共有の一形態であり、秘密がパーツに分割され、各参加者(外部デバイス、内部デバイス)に独自のパーツが与えられる。元のメッセージを再構築(復号化)するには、最小数の部分(鍵)が必要である。閾値方式では、この数は部品の総数よりも少ない(例えば、データを復号化するには、インプラントの鍵と2つの外部装置のうちの1つの鍵が必要である)。他の実施の形態では、データを復号化する可能性のある結合鍵を達成するために、元の秘密を再構築するためにすべての鍵が必要とされる。
【0396】
復号化のための鍵の生成部が、最終的に別の装置に鍵を送り、その装置で使用される必要はないことに注意すべきである。場合によっては、鍵の生成部は単に暗号化/復号化の促進し、他の装置/ユーザに代わって作業を行うだけである。
【0397】
検証ユニットは、検証ユニットを構成する、または検証ユニットに接続されたユニット(外部デバイスなど)の使用(すなわち、ユーザ認証)を検証または認証するための任意の適切な手段を構成することができる。たとえば、検証ユニットは、ユーザからの認証入力を受信するためのインターフェース(UI、GUI)を構成するか、インターフェースに接続することができる。検証ユニットは、検証ユニットを構成するデバイスに接続された(外部デバイスとは別の)デバイスから認証データを受信するための通信インターフェースを含んでいてもよい。認証入力/データは、コード、キー、指紋、手のひら静脈構造、画像認識、顔認識、虹彩認識、網膜スキャン、手の形状、ゲノム比較などの任意の適切な技術に基づくバイオメトリクスデータから構成されてもよい。検証/認証は、検証ユニットにインストールされた、または検証ユニットに関連してインストールされた、第三者アプリケーションを使用して提供することができる。
【0398】
検証ユニットは、2部構成の認証手順の一部として使用することができる。もう1つの部分は、例えば、導電性通信認証、センセーション認証、またはパラメータ認証で構成される。
【0399】
検証ユニットは、スマートカードを読み取るためのカードリーダで構成することができる。スマートカードは、通常、暗号鍵の生成、保存、および操作に使用される安全なマイクロコントローラである。スマートカード認証は、認証のためにスマートカード・デバイスをユーザに提供する。ユーザは、スマートカードを検証ユニットに接続する。検証ユニット上のソフトウェアは、スマートカードに保存されている鍵の材料やその他の秘密と対話し、ユーザを認証する。スマートカードを作動させるために、ユーザはユーザ暗証番号でスマートカードのロックを解除する必要がある。スマートカードは、非常に強力な認証形式であると考えられている。なぜなら、カードに格納されている暗号鍵やその他の秘密は、物理的にも論理的にも非常によく保護されているため、盗みにくいからである。
【0400】
検証ユニットは、例えばパスポートや運転免許証に匹敵する個人用e-IDで構成することができる。e-IDシステムは、検証ユニットにインストールされたセキュリティ・ソフトウェアと、信頼できるプロバイダのウェブサイトからダウンロードされるか、信頼できるプロバイダからスマートカードを介して提供されるe-IDで構成される。
【0401】
検証ユニットは、SMSベースの二要素認証用ソフトウェアで構成される場合がある。その他の二要素認証システムを使用してもよい。二要素認証は、認証を受けるために2つのものを必要とする。すなわち、あなたが知っているもの(パスワード、コードなど)と、あなたが持っているもの(モバイルデバイス(SMSやe-IDなど)からの追加のセキュリティコード、またはスマートカードなどの物理的なトークン)である。
【0402】
また、他の認証方式を採用してもよい。例えば、有線通信や無線を使用した無線通信の代わりに、可視光を使用して外部装置と通信する検証ユニットなどである。検証ユニットの光源は、秘密鍵などを外部デバイスに送信し(例えば、異なるパターンで点滅させる)、外部デバイスは受信したデータを使用して、ユーザを検証したり、データを復号化したり、その他の方法で認証を実行したりすることができる。光は、電波よりも盗聴敵から遮断したり隠したりするのが容易であるため、この文脈では有利である。同様の実施の形態では、検証データを外部デバイスに送信するために、可視光の代わりに電磁放射線が使用される。
【0403】
インプラントの機能性に関するパラメータは、通信の対象となり、例えば、バッテリレベル、制御プログラムのバージョン、インプラントの特性、インプラントのモーターのステータスなどのインプラントのステータスインジケータなどの機密情報を構成することができる。さらに、操作指示からなるデータが通信の対象となることがあり、例えば、新しいまたは更新された制御プログラム、インプラントの特定の構成に関するパラメータなど、他の機密情報からなることがある。このようなデータは、例えば、電気刺激装置及び/又は埋め込み型狭窄装置の操作方法に関する指示、患者データを収集する指示、フィードバックを送信する指示等からなる場合がある。これらのパラメータ及びデータは、漏洩しないように保護されなければならない。
【0404】
[コントローラー]
ここで、本明細書に開示された実施の形態のいずれかによる埋め込み可能な医療装置を制御し、患者の体外の装置および/または埋め込み可能なセンサと通信するためのコントローラを、
図16A~
図16Cを参照して一般的に説明する。
図16Aは、制御装置300を含む埋め込み可能な医療装置Mが、例えば、上述の制御装置CIおよび/またはCEを有する出口および入口弁30、40および/または電気刺激装置10の形態の収縮装置のように、埋め込まれたときの患者を示す。埋め込み可能な医療装置Mは、電気刺激装置および/または機械的もしくは液圧式の狭窄装置の一部であり、1つまたは複数の操作可能な要素、弁、ポートなどを構成する能動ユニット302を備える。能動ユニット302は、腸に作用するために患者の身体に直接または間接的に接続される。能動ユニット302は、電気接続C2を介して制御装置300に接続されている。コントローラ300(
図16Bを参照してさらに説明)は、外部装置320(
図16Cを参照してさらに説明)と通信するように構成されている。コントローラ300は、無線接続WL1を介して、および/または電気接続C1を介して、外部装置320と無線通信することができる。
【0405】
次に
図16Bを参照して、コントローラ300の一実施の形態をより詳細に説明する。コントローラ300は、埋め込み型医療装置MDによって実行される機能を制御するように構成された内部コンピューティング・ユニット306を備える。コンピューティング・ユニット306は、その中にプログラムを記憶するように構成された内部メモリ307を備える。
図13bに記載された実施の形態では、内部メモリ307は、埋め込み型医療装置MDの機能を制御することができる第1の制御プログラム310を含んでいる。第1の制御プログラム310は、第2の制御プログラム312の更新中にのみ埋め込み型医療装置Mで実行される最小限の機能を有するプログラムと見なすことができる。埋め込み可能な医療装置Mが第1の制御プログラム310で実行されているとき、埋め込み可能な医療装置Mは、機能が低下したセーフモードで実行されていると見なすことができる。例えば、第1の制御プログラム310が実行されている間、埋め込み型医療装置Mにセンサデータが保存されない、または、第1の制御プログラム310が実行されている間、埋め込み型医療装置Mからフィードバックが送信されないという結果になる可能性がある。低複雑度の第1の制御プログラムを有することにより、埋め込み型医療装置Mのメモリが節約され、第2の制御プログラム312の更新中に埋め込み型医療装置Mが故障する危険性が低減される。
【0406】
第2の制御プログラム312は、通常時に埋め込み型医療装置Mを制御するプログラムであり、埋め込み型医療装置Mに完全な機能と特徴を提供する。
【0407】
メモリ307は、更新可能な第2の制御プログラム312をさらに含むことができる。更新可能という用語は、プログラムが、そのコードに対する漸進的または反復的な更新を受け取るか、またはコードの新しいバージョンによって置き換えられるように構成されていると解釈される。更新は、コードの以前の欠陥を修正するだけでなく、インプラントに新しいおよび/または改善された機能を提供することができる。コンピューティング・ユニット306は、コントローラ300を介して第2の制御プログラム312の更新を受信することができる。更新は、WL1を介して無線で受信することも、電気接続C1を介して受信することもできる。
図16Bに示すように、コントローラ300の内部メモリ307は、第3のプログラム314を記憶することができる。第3のプログラム314は、埋め込み型医療装置Mの機能を制御することができ、演算装置306は、第2のプログラム312を第3のプログラム314に更新するように構成され得る。第3のプログラム314は、第2のプログラム312の元の状態を再起動するときに利用することができる。したがって、第3のプログラム314は、コントローラ300の工場出荷時のリセット(例えば、工場出荷時の設定に戻す)を提供すると見なすことができる。このように、第3のプログラム314は、コントローラ300に見られるソフトウェア(第2の制御プログラム312)を元の製造業者の設定にリセットするために使用されるように、メモリ307の安全な部分にインプラント300に含まれることができる。
【0408】
制御装置300は、内部コンピューティング・ユニット306に接続されるか、内部コンピューティング・ユニット306の一部であるか、または当該内部コンピューティング・ユニット306に送信されるリセット機能316を含んでいてもよい。リセット機能316は、内部コンピューティング・ユニット306に、第2の制御プログラム312の実行から第1の制御プログラム310の実行に切り替えさせるように構成される。リセット機能316は、内部コンピューティング・ユニット306にメモリ307から第2の制御プログラム312を削除させるように構成されてもよい。リセット機能316は、患者の皮膚を触診したり、押圧したりすることによって操作することができる。これは、インプラントにボタンを設けることによって行うことができる。あるいは、リセット機能316は、タイマまたはリセットモジュールを介して呼び出すことができる。触診を感知するために、温度センサおよび/または圧力センサを利用することができる。リセット機能316は、患者の皮膚を貫通することによっても作動させることができる。リセット機能316が磁気的手段によって操作され得ることはさらにもっともである。これは、磁気センサを利用し、体外から磁力を加えることによって行うことができる。リセット機能316は、2秒などの制限を超える時間印加された磁力にのみ反応するように構成することができる。制限時間は、同様に、5秒、10秒、またはそれ以上であってもよい。このような場合、インプラントはタイマを含んでいてもよい。したがって、リセット機能316は、このような磁力を感知するためのセンサを含むか、またはセンサに接続されることがある。
【0409】
上述したリセット機能に加えて、またはリセット機能の代替として、インプラントは、埋め込み型医療装置Mの機能を制御するための第2の制御プログラム312と、リセット機能318とを含む内部コンピューティング・ユニット306(内部プロセッサを含む)を備えることができる。リセット機能318は、i.リセット機能318のタイマがリセットされていないこと、またはii.第1の制御プログラム310の誤動作に応答して、前記第2の制御プログラム312を再起動またはリセットするように構成され得る。
【0410】
リセット機能318は、例えば、内部コンピューティング・ユニット306に接続された適切に動作するコンピュータ、COP、機能などの第1のリセット機能で構成されてもよい。第1のリセット機能は、第2のリセット機能を用いて第1または第2の制御プログラム312を再起動またはリセットするように構成されてもよい。第1のリセット機能はタイマで構成され、第1の制御プログラムまたは第2の制御プログラムは、タイマを周期的にリセットするように構成される。
【0411】
リセット機能318は、内部演算ユニットおよび第2のリセット機能に接続された第3のリセット機能をさらに含んでもよい。第3のリセット機能は、一例として、第1の制御プログラム310または第2の制御プログラム312を修正するための修正機能をトリガするように構成されてもよく、第2のリセット機能は、修正機能がトリガされた後のある時点で第1の制御プログラム310または第2の制御プログラム312を再起動するように構成される。修正機能は、ソフトリセットまたはハードリセットであってもよい。
【0412】
第2または第3のリセット機能は、例えば、リセット・パルスを生成するように構成された内部または外部のパルス発生器を作動させることによってハードウェア・リセットをトリガすることによって、ハードウェア・リセットを呼び出すように構成され得る。あるいは、第2または第3のリセット機能は、ソフトウェアによって実装されてもよい。
【0413】
コントローラ300は、内部無線トランシーバ308をさらに含んでいてもよい。トランシーバ308は、無線接続WL1を介して外部装置320と無線通信する。トランシーバは、無線接続WL2またはWL4を介して外部装置320、300とさらに通信してもよい。トランシーバは、接続C1、WL1、WL2、WL4のいずれかを介してデータを送信および受信することができる。任意選択で、外部装置320、300は、存在する場合、例えば無線接続WL3を介して互いに通信してもよい。
【0414】
コントローラ300は、さらに、外部装置320と電気的に接続C1され、患者の身体を導体として使用して通信することができる。したがって、コントローラ300は、電気的接続C1のために、有線トランシーバ303または内部トランシーバ303を構成することができる。
【0415】
図16Bによる埋め込み型医療装置Mの制御装置300は、フィードバックユニット349をさらに備える。フィードバックユニット349は、第2の制御プログラム312から第1の制御プログラム310への切り替えに関連するフィードバックを提供する。フィードバックは、例えば、ソフトウェアすなわち第2の制御プログラム312の更新がいつ開始され、いつ更新が終了したかの情報を表すことができる。このフィードバックは、例えば外部装置320上のディスプレイを介して患者に視覚的に伝えることができる。このディスプレイは、腕時計、電話、またはコントローラ300に結合された他の外部装置320に配置することができる。好ましくは、フィードバックユニット349は、WL1を介してこのフィードバック信号を外部装置320に無線で提供する。可能性として、「更新開始」、または「更新終了」という言葉、または同じ意味を持つ同様の言葉を患者に表示してもよい。別の選択肢として、異なる色を表示することもでき、例えば緑色は更新が終了したことを意味し、赤色または黄色は更新が進行中であることを意味する。もちろん、どのような色でも同様に妥当であり、ユーザは個人的な好みに応じてこれらを選択することができる。別の可能性としては、外部デバイス320に光を点滅させることが考えられる。この場合、外部装置320は、必要とされる発光装置を構成する。このような光は、例えばLEDであってもよい。異なる色は、やはり、プログラム更新の状態を表すことができる。更新が進行中であり、まだ終了していないことを表す1つの方法は、光を点滅させること、すなわち、光を点灯させたり消灯させたりすることであってもよい。ライトの点滅が止まれば、患者は更新が終了したことを認識する。フィードバックはまた、可聴であってもよく、埋め込み式狭窄装置Mによって直接、または外部装置320によって提供されてもよい。その場合、埋め込み型医療装置Mおよび外部装置320は、音声を提供する手段を備える。フィードバックは、例えば、使用者が感知できる振動の形態で、触覚的であってもよい。そのような場合、埋め込み型医療装置Mまたは外部装置320のいずれかが、振動および/またはバイブレータなどの触覚を提供するための手段を構成する。
【0416】
図16Bに見られるように、コントローラ300は、第1のエネルギー貯蔵ユニット40Aをさらに備えることができる。第1のエネルギー貯蔵ユニット40Aは、第1の制御プログラム310を実行する。コントローラ300は、第2の制御プログラム312を実行する第2のエネルギー貯蔵ユニット40Bをさらに備える。これは、第1の制御プログラム310がそれ自身の別個のエネルギー貯蔵ユニット40Aを有するので、更新中のセキュリティをさらに高めることができる。第1の電源40Aは、第1のエネルギー貯蔵器304aおよび/または第1のエネルギー受信器305aを備えることができる。第2のエネルギー貯蔵ユニット40Bは、第2のエネルギー貯蔵器304bおよび/または第2のエネルギー受信器305bから構成することができる。エネルギーは、誘導手段または導電手段によって無線で受け取ることができる。外部エネルギー貯蔵ユニットは、例えば、内部コイル(図示せず)に電圧を誘導する外部コイルを利用することによって、患者の体内のエネルギー受信器305a、305bにワイヤレスエネルギーの量を転送することができる。第1のエネルギー受信器305aがRFIDパルスを介してエネルギーを受信することはもっともである。フィードバックユニット349は、RFIDパルスを介して受信されたエネルギーの量に関連するフィードバックを提供することができる。受信されるRFIDパルスのエネルギー量は、満足できるレベルに達するまでパルス周波数を連続的に上げるように、フィードバックに基づいて調整することができる。
【0417】
図16Bによる埋め込み型医療装置Mの制御装置300は、電気スイッチ309をさらに備える。電気スイッチ309は、患者の身体部分に力を及ぼすように構成され、患者の身体部分に及ぼされた力が閾値を超えた結果として切り替えられるように構成された埋め込み可能な要素に機械的に接続されてもよい。スイッチ309は、例えば、本明細書の実施の形態のいずれかにおいて埋め込み型医療装置Mの一部に接着されていてもよい。スイッチ309は、代替的に、埋め込み可能な医療装置Mに電気的に接続され、埋め込み可能な医療装置Mに供給される電流が閾値を超えた結果として切り替えられるように構成されてもよい。スイッチ309は、例えば、電気刺激装置10および/または出口弁30および入口弁40の形態の狭窄装置に接続され、埋め込み可能な医療装置Mへの電流が閾値を超えた場合に切り替えられるように構成されていてもよい。このようなスイッチは、例えば、電気刺激装置10の電極または機械式もしくは液圧式の収縮装置のモーターなどへの電流の流れによって生じる熱によって切り替わるバイメタルスイッチのような、閾値を超える温度にさらされた場合に切り替わるように構成されたスイッチ309であってもよい。別の方法として、閾値を超える温度にさらされた場合に切り替わるように構成されたスイッチ309は、温度を超えた場合に切り替わるように埋め込み型医療装置Mの別の場所に配置することもでき、それにより、埋め込み型医療装置Mが組織損傷を引き起こす可能性のある過熱から妨げられる。
【0418】
スイッチ309は、操作装置への電力をカットするように構成されるか、または埋め込み型コントローラ300のプロセッサ306に制御信号を生成するように構成されるかのいずれかであり、これによりコントローラ300は、電力を低下させるか、または埋め込み型医療装置Mの動作をオフにするなどの適切な行動をとることができる。
【0419】
外部装置320は
図16Cに表されている。外部装置320は、患者の身体のどこにでも、好ましくは便利で快適な場所に配置することができる。外部装置320はリストバンドであってもよく、および/または腕時計の形状を有していてもよい。また、外部装置が携帯電話や患者に直接取り付けられていない他の装置であることももっともである。
図16Cに示すように、外部装置320は、有線トランシーバ323と、エネルギー貯蔵装置324とから構成される。また、無線トランシーバ328とエネルギー送信機325から構成されている。さらに、演算ユニット326とメモリ327から構成されている。外部装置320内のフィードバックユニット322は、演算ユニット326に関連するフィードバックを提供するように構成されている。フィードバックユニット322によって提供されるフィードバックは、視覚的であってもよい。外部装置320は、そのような視覚的フィードバックを患者に示すディスプレイを有していてもよい。フィードバックが可聴であり、外部装置320が音声を提供する手段を備えることも同様にもっともである。フィードバックユニット322によって与えられるフィードバックは、振動などの触覚的なものであってもよい。フィードバックはまた、無線信号WL1、WL2、WL3、WL4の形態で提供されてもよい。
【0420】
第2、第3または第4の通信手段WL2、WL3、WL4は、無線通信の形態であってもよい。第2、第3または第4の通信方法WL2、WL3、WL4は、好ましくは、電磁波または無線に基づく通信の形態であってもよい。第2、第3、第4の通信方式WL2、WL3、WL4は、電気通信方式に基づくものであってもよい。第2、第3または第4の通信方法WL2、WL3、WL4は、以下のリストの項目から構成されるか、またはこれらに関連し得る:無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)、ブルートゥース、ブルートゥース5、BLE、GSMまたは2G(第2世代セルラー技術)、3G、4Gまたは5G。
【0421】
外部装置320は、本体を導体として用いて埋め込み型医療装置Mと電気的接続C1になるように適合させることができる。この場合、電気接続C1は、外部装置320と埋め込み型医療装置Mとの間の導電性通信に使用される。
【0422】
[暗号化/復号化]
一実施の形態では、通信方式WL2、WL3、WL4、C1のいずれかを介したコントローラ300と外部装置320との間の通信は、公開鍵および/または秘密鍵で暗号化および/または復号化される場合がある。たとえば、コントローラ300は、秘密鍵および対応する公開鍵で構成される場合があり、外部デバイス320は、秘密鍵および対応する公開鍵で構成される場合がある。
【0423】
コントローラ320と外部デバイス320は、公開鍵を交換し、公開鍵暗号化を使用して通信を実行することができる。当業者は、鍵を交換するための公知の方法を利用することができる。
【0424】
コントローラは、外部デバイス320に対応する公開鍵を使用して、外部デバイス320に送信するデータを暗号化してもよい。暗号化されたデータは、有線、無線、または電気通信チャネルC1、WL1、WL2、WL3を介して外部装置に送信される。外部デバイス320は、暗号化されたデータを受信し、外部デバイス320に構成された秘密鍵(データが暗号化された公開鍵に対応する秘密鍵)を使用して復号してもよい。外部装置320は、暗号化されたデータをコントローラ300に送信してもよい。外部装置320は、コントローラ300の秘密鍵に対応する公開鍵を使用して、送信するデータを暗号化することができる。外部装置320は、有線、無線、または電気接続C1、WL1、WL2、WL3、WL4を介して、直接または間接的に、暗号化されたデータをインプラントのコントローラに送信することができる。コントローラは、データを受信し、コントローラ300に含まれる秘密鍵を使用してデータを復号化することができる。
【0425】
図16A~
図16Cを参照して説明した公開鍵暗号化に代えて、埋め込み型医療装置Mのコントローラ300と外部装置320、330との間、または外部装置320、330とコントローラ300との間で送信されるデータは、署名されてもよい。コントローラ300から外部装置320、330へデータを送信する方法において、コントローラ300から送信されるデータは、コントローラ300の秘密鍵を使用して署名されてもよい。データは、通信チャネルまたは接続C1、WL1、WL2、WL3、WL4を介して送信されてもよい。外部デバイス320、330は、メッセージを受信し、コントローラ300の秘密鍵に対応する公開鍵を使用して、データの真正性を検証することができる。このようにして、外部装置320、330は、データがコントローラ300から送信されたものであり、他の装置またはソースから送信されたものではないと判断することができる。
【0426】
次に、外部装置320と埋め込み型医療装置Mのコントローラ300との間で複合キーを用いて通信する方法を、
図16A~
図16Cを参照して説明する。この方法の第1のステップは、インプラントにおいて、無線伝送WL1、WL2、WL3、WL4などによって、外部装置320、330から第1のキーを受信することからなる。本方法はさらに、インプラントにおいて、無線通信WL1、WL2、WL3によって第2の鍵を受信することを含む。第2の鍵は、外部装置320、330とは別の第2の外部装置によって生成されてもよいし、第2の外部装置320、330に代わって第2の鍵の生成部である別の外部装置によって生成されてもよい。第2の鍵は、外部装置320、第2の外部装置330、および第2の鍵の生成部のいずれか1つからインプラントで受信されることがある。前記第2の外部装置は、管理人または他の関係者によって制御されてもよい。前記別の外部装置は、インプラントの製造者、または医療スタッフ、管理人などによって制御されてもよい。
【0427】
コントローラ300が外部デバイス320から第2のキーを受信している場合、これは、第2の外部デバイス330から、または別の外部デバイス(ジェネレータ)から、第2のキーが外部デバイスを介してルーティングされることを意味する。ルーティングは、本明細書において第10の態様で説明するように実行されてもよい。これらの場合、インプラントおよび/または外部装置は、そのようなルーティングを実行するために必要な特徴および機能(本書の各セクションに記載)を備えている。患者からの確認の有無にかかわらず、外部装置320を中継として使用することは、外部装置320が復号化された情報を保存または他の方法で取り扱う必要がない可能性があるため、追加のセキュリティ層を提供する可能性がある。そのため、外部装置320は、復号化された情報を失うことなく紛失する可能性がある。コントローラ300は、第1の鍵および第2の鍵と、コントローラ300が保持する第3の鍵(たとえば、コントローラ300のメモリ307)とを結合することにより、結合鍵を導出するように構成されたコンピューティング・ユニット306を備える。第3の鍵は、例えば、インプラントのライセンス番号または埋め込み型医療装置MDのチップ番号である。組み合わされた鍵は、外部装置320からコントローラ300に無線伝送WL1によって伝送される暗号化されたデータを、コンピューティング・ユニット306によって復号化するために使用され得る。任意選択で、復号化されたデータは、コンピューティング・ユニット306によって、埋め込み型医療装置MDの動作を変更するために使用されてもよい。埋め込み型医療装置Mの動作の変更は、埋め込みの能動ユニット302を制御または切り替えることを含んでよい。いくつかの実施の形態では、本方法はさらに、復号化されたデータに基づいて、制御装置300内で実行されている制御プログラムを更新するステップと、復号化されたデータ内の動作命令を使用して埋め込み型医療装置Mを動作させるステップとのうちの少なくとも1つを含む。
【0428】
外部装置320とコントローラ300との間の暗号化通信のための方法は、以下のように構成され得る:
- 外部デバイス320において、無線トランシーバ328によって、第1の鍵を受信し、第1の鍵は、外部デバイス320とは別の第2の外部デバイス330によって、または第2の外部デバイス330に代わって第2の鍵の生成部である別の外部デバイスによって生成され、第1の鍵は、第2の外部デバイス330および第2の鍵の生成部のいずれか一方から受信される;
- 無線トランシーバ328によって外部装置320で、コントローラ300からの第2のキーを受信する;
- 外部デバイス320のコンピューティング・ユニット326が、第1の鍵および第2の鍵と、外部デバイス320が保持する(例えばメモリ307内の)第3の鍵とを結合することにより、結合鍵を導出する;
- インプラントから外部装置へ暗号化されたデータを送信し、無線トランシーバ328によって外部装置で暗号化されたデータを受信する;
- 計算ユニット326は、外部デバイス320内の暗号化されたデータを、結合されたキーを使用して復号化する。
【0429】
上述したように、データを復号化するにはさらなる鍵が必要な場合がある。その結果、無線トランシーバ328は、以下のように構成される:
- 第3の外部装置から第4のキーを受信する、
ここで、演算ユニット326は、以下のように構成される:
- 第1、第2および第4の鍵と外部デバイスが保持する第3の鍵とを結合して結合鍵を導出するステップと
- 結合されたキーを使って暗号化されたデータを復号する。
【0430】
これらの実施の形態は、通信におけるセキュリティをさらに高める。演算ユニット326は、インプラントと外部装置との間の通信を確認するように構成されてもよく、確認は、以下を備える:
- 外部装置320によって患者のパラメータを測定する;
- 埋め込み型医療機器Mから、患者の測定パラメータを受信する;
- 埋め込み型医療機器Mによって測定されたパラメータと外部機器320によって測定されたパラメータを比較する;
- 比較に基づいて接続を確認する;
- 確認の結果、暗号化されたデータを外部デバイスで復号化する。
【0431】
本セクションで説明する鍵は、実施の形態によっては、後述するセンサが感知したデータに基づいて生成することもできる。シードとは、乱数生成プロセスを開始するために擬似乱数生成器に投入される初期値のことである。このため、シードは、そのベースとなる患者の生理学的パラメータへのアクセスや知識がなくても予測しにくいものとすることができ、生成される鍵にさらなる安全性を提供することができる。
【0432】
[通信方法]
次に、埋め込み型医療装置MDが患者に埋め込まれ、外部装置320が患者の身体の外部に配置されている場合の、外部装置320と埋め込み型医療装置MDとの間の通信方法について、
図16A~
図16Cを参照して説明する。外部装置320は、身体を導体として使用して、コントローラ300と電気接続C1になるように適合される。電気接続C1は、外部装置320と埋め込み型医療装置MDとの間の導電性通信に使用される。埋め込み型医療装置MDは、コントローラ300を構成する。コントローラ300および外部装置320の両方は、コントローラ300と外部装置320との間の無線通信C1のための無線トランシーバ308を構成する。コントローラ300に含まれる)無線トランシーバ308は、いくつかの実施の形態では、外部装置320および他の外部装置からデータを受信するためのサブトランシーバを構成することができ、例えば、異なる周波数帯域、変調方式などを使用する。
【0433】
方法の第1のステップでは、コントローラ300と外部装置320との間の電気的接続C1が確認され、これにより認証される。電気的接続の確認および認証は、以下に説明するように行うことができる。このような場合、インプラントおよび/または外部装置は、このような認証を実行するために必要な特徴および機能(本書の各セクションに記載)を備えている。これらの態様にしたがって認証を行うことにより、悪意のある第3者が患者の過渡的な生理学的パラメータを知ること、またはアクセスすること、または患者においてもしくは患者内で発生するランダム化された感覚を検出することを必要とする可能性があるため、認証の安全性が高まる可能性がある。
【0434】
埋め込み型医療装置MDのコントローラ300は、身体を導体として用いて外部装置320と電気的接続C1になるように構成された第1のトランシーバ303を含んでいてもよい。あるいは、コントローラ300の第1のトランシーバ303は、無線であってもよい。外部装置320は、身体を導体として埋め込み型医療装置Mと電気的接続C1になるように構成された第1の外部送信機323と、無線通信WL1をコントローラ300に送信するように構成された無線送信機とを含んでいてもよい。あるいは、外部装置320の第1の外部送信機323は無線であってもよい。外部装置320の第1の外部送信機323と無線送信機とは、同じ送信機であってもよいし、別々の送信機であってもよい。
【0435】
コントローラ300は、外部装置320と内部トランシーバ303との間の電気的接続を確認し、確認に基づいて外部装置320からの(データの)無線通信WL1を受け入れるように構成されたコンピューティング・ユニット306を含んでもよい。
【0436】
データは、外部装置320からコントローラ300へ、例えばコントローラ300および外部装置320のそれぞれの無線トランシーバを使用して無線で送信される。データは、代わりに、電気接続C1を介して送信されてもよい。確認の結果、受信されたデータは、埋め込み型医療装置MDを指示するために使用されてもよい。例えば、コントローラ300内で実行されている制御プログラム310が更新されたり、受信データ内の操作命令を使用してコントローラ300が操作されたりする。これは、演算装置306によって処理されてもよい。
【0437】
この方法は、外部装置320からコントローラ300に無線でデータを送信することからなる場合があり、暗号化されたデータを無線で送信することからなる場合がある。暗号化されたデータを復号化するために(例えば、コンピューティング・ユニット306を使用して)、いくつかの方法が使用され得る。
【0438】
一実施の形態では、確認された導電性通信路C1(すなわち、電気的接続)を使用して、外部装置320からコントローラ300にキーが送信される。鍵は、コントローラで(第1の内部トランシーバ303によって)受信される。その後、暗号化されたデータを復号化するために鍵が使用される。
【0439】
ある実施の形態では、暗号化されたデータを復号するには鍵だけで十分である。他の実施の形態では、データを復号化するためにさらなる鍵が必要である。一実施の形態では、確認された導電性通信チャネルC1(すなわち、電気的接続)を使用して、外部装置320からコントローラ300に鍵が送信される。鍵は、コントローラ300で(第1の内部トランシーバ303によって)受信される。第2のキーは、無線通信WL1を使用して外部装置320から(無線トランシーバ208によって)送信され、無線トランシーバ308によってコントローラ300で受信される。その後、コンピューティング・ユニット306は、鍵と第2の鍵とから結合鍵を導出し、これを暗号化データの復号化に使用する。
【0440】
さらに他の実施の形態では、確認された導電性通信路C1(すなわち、電気的接続)を使用して、外部装置320からコントローラ300にキーが送信される。鍵は、コントローラで(第1の内部トランシーバ303によって)受信される。第3のキーは、外部装置320とは別の第2の外部装置330から、WL2を介して無線でインプラントに送信される。第3のキーは、第2の外部装置330からWL2を介した無線通信を受信するように構成されたコントローラ300の第2の無線受信機(無線トランシーバ308の一部)によって受信される場合がある。
【0441】
第1および第3の鍵は、コンピューティング・ユニット306によって結合鍵を導出するために使用され得、次いで、コンピューティング・ユニット306は、暗号化されたデータを復号化する。復号化されたデータは、次に、上述のように埋め込み型医療装置MDに指示するために使用される。
【0442】
第2の外部装置330は、コントローラ300によって送信および復号化されるデータのセキュリティおよび妥当性をさらに高めるために、例えば、介護者によって制御される場合がある。
【0443】
いくつかの実施の形態では、外部装置は、第2の外部装置330から二次無線通信WL2を受信し、二次無線通信WL2から受信したデータを埋め込み型医療装置MDに送信するようにさらに構成されることに留意されたい。データのこのルーティングは、無線トランシーバ308、208(すなわち、無線接続WL1)を使用して、またはコントローラ300と外部装置320との間のさらなる無線接続WL4を使用して達成され得る。これらの場合、インプラントおよび/または外部装置は、そのようなルーティングを実行するために必要な特徴および機能を備える。その結果、いくつかの実施の形態では、第3の鍵は、第2の外部装置330によって生成され、WL2を介して外部装置320に送信され、外部装置320は、暗号化されたデータの復号化のために使用される第3の鍵をコントローラ300にルーティングする。言い換えれば、外部装置とは別の第2の外部装置からインプラントに第3の鍵を無線送信するステップは、外部装置320を介して第3の鍵をルーティングすることからなる。患者による検証の有無にかかわらず、外部装置320を中継として使用することにより、外部装置320が復号化された情報を保存またはその他の方法で取り扱う必要がなくなるため、セキュリティの層がさらに厚くなる可能性がある。そのため、復号化された情報を失うことなく外部装置320を紛失することができる。
【0444】
さらに他の実施の形態では、確認された導電性通信チャネルC1(すなわち、電気的接続)を使用して、外部装置320からコントローラ300にキーが送信される。キーはインプラントで(第1の内部トランシーバ303によって)受信される。第2のキーは、外部装置320からコントローラ300にWL1を介して無線送信され、コントローラ300で受信される。第3の鍵は、外部装置320とは別の第2の外部装置から、WL4を介してコントローラ300に無線送信される。外部デバイス320からコントローラ300に送信された暗号化データは、鍵、第2の鍵、および第3の鍵から導出された複合鍵を使用して復号化される。外部装置は、ウェアラブル外部装置であってもよい。
【0445】
外部装置320は携帯電話機であってもよい。第2の外部装置330は、ハンドセットであってもよいし、サーバであってもよいし、クラウドベースであってもよい。
【0446】
いくつかの実施の形態では、外部装置320とコントローラ300との間の電気的接続C1は、外部装置320と接続されるように構成された導電性部材321を、インプラントとの導電性通信C1のために患者の皮膚と電気的に接続するように配置することによって達成される。このような場合、インプラントおよび/または外部装置は、このような導電性通信を行うために必要な特徴および機能(本書の各セクションに記載)を備えている。したがって、通信は、外部装置320、導電性部材321、導電性接続C1、コントローラ300などの導電経路に電気的に閉じ込められることによって、暗号化に加えてさらに一層のセキュリティが提供される可能性があり、これは、通信が、患者と物理的に接触していない、または少なくとも患者に近接していない第3者によって傍受されることが過度に困難であることを意味する。
【0447】
[認証/検証]
コントローラ300と外部装置320との間の通信のセキュリティをさらに高めるために、異なるタイプの認証、検証、および/または暗号化を採用することができる。いくつかの実施の形態では、外部装置320は、検証ユニット340を備える。検証ユニット340は、インプラントと外部装置との間の導電性通信を認証するために、ユーザの検証に適した任意のタイプのユニット、すなわちユーザから認証入力を受信するように構成されたユニットであってよい。一部の実施の形態では、検証ユニットおよび外部装置は、ユーザ(患者である場合もない場合もある)から認証入力を収集するための手段を備える。このような手段は、指紋読取装置、網膜スキャナ、カメラ、コード入力用GUI、マイク、採血するように構成された装置などで構成することができる。したがって、認証入力は、指紋、手のひら静脈構造、画像認識、顔認識、虹彩認識、網膜スキャン、手の形状、およびゲノム比較のリストから選択されたバイオメトリクス技術に基づくコードまたは何かで構成される可能性がある。認証入力を収集する手段は、代わりに、指紋リーダーまたは他のタイプのバイオメトリック・リーダーのような、上記の機能例のいずれかを構成する導電性部材321の一部であってもよい。
【0448】
いくつかの実施の形態では、外部装置320の検証ユニット340によってユーザから認証入力を受信し、認証入力を使用してコントローラ300と外部装置との間の導電性通信を認証することによって、セキュリティを高めることができる。認証が肯定されると、導電性通信チャネルC1は、外部装置320によるコントローラ300への導電性通信の送信、および/またはコントローラ300による外部装置320への導電性通信の送信を構成するために使用される。他の実施の形態では、受信した導電性通信に基づいて埋め込み型医療装置MDを動作させる前、および/または上述のようにコントローラ300内で実行されている制御プログラムを更新する前に、肯定的な認証が必要とされる。
【0449】
図16A~
図16Cはさらに、埋め込み型医療装置MDが感覚ジェネレータ381に接続されていることを示している。感覚ジェネレータ381は、感覚を発生するように構成されていてもよい。感覚ジェネレータ381は、埋め込み型医療装置MD内に含まれていてもよいし、別個のユニットであってもよい。感覚ジェネレータ381は埋め込まれてもよい。また、感覚ジェネレータ381は、そのように埋め込まれないが、患者のみが発生した感覚を経験することができるように、患者と接続されるように配置されてもよい。コントローラ300は、感覚ジェネレータ381によって発生された感覚に関連する認証データを記憶するように構成されている。
【0450】
コントローラ300は、外部装置320から入力認証データを受信するようにさらに構成される。生成された感覚に関連する認証データは、コントローラ300のメモリ307によって記憶されてもよい。認証データは、接続、通信、または装置を認証するために、入力認証データと比較するなどして分析することができるように、生成された感覚に関する情報を含むことができる。入力認証データは、患者が外部装置320に入力することによって生成される情報に関連する。入力認証データは、実際の患者入力であっても、外部装置320によって符号化された患者入力の符号化バージョンであってもよい。認証データおよび入力認証データは、多数の感覚または感覚成分から構成される場合がある。
【0451】
認証データは、タイムスタンプを含むことができる。入力認証データは、患者からの入力のタイムスタンプから構成されてもよい。タイムスタンプは、感覚発生装置381による感覚の発生や、患者による入力認証データの作成などのイベントの時刻であってもよい。タイムスタンプは符号化されていてもよい。タイムスタンプは、実際の時刻ではなく、任意の時間単位を特徴としてもよい。タイムスタンプは、コントローラ300の内部クロック360および外部装置320の外部クロック362によって提供される場合がある。クロック360、362は、互いに同期していてもよい。クロック360、362は、外部デバイス320およびそのそれぞれのクロック362からコントローラ300およびそのそれぞれのクロック360へ同期データを通信するための導電接続C1または無線接続WL1を使用することによって同期される場合があり、その逆も同様である。クロック360、362の同期は、連続的に実行されてもよく、安全な通信に依存しなくてもよい。
【0452】
接続の認証は、感覚のタイムスタンプと患者からの入力のタイムスタンプとの間の時間差を計算し、時間差が閾値未満であると判定したときに接続を認証することからなる。閾値の例としては、1秒が挙げられる。解析はまた、通常の人間の応答時間よりも速い患者からの入力をフィルタリングするために、低い閾値で構成されることもある。低い閾値は例えば50msである。
【0453】
認証データは、感覚ジェネレータが感覚を発生させた回数からなり、入力認証データは、患者が感覚を検出した回数に関する患者からの入力からなる。そして、接続を認証することは、認証データと入力認証データの回数が等しいと判断したときに、接続を認証することからなる。
【0454】
埋め込み型医療装置MDと外部装置320との間の接続を認証する方法は、適宜、以下のステップを含む。
【0455】
感覚発生装置381により、患者の感覚により検出可能な感覚を発生させる。感覚は複数の感覚成分から構成されることがある。感覚または感覚成分は、振動(例えば、一定周波数の機械的振動)、音(例えば、一定周波数の機械的振動の重ね合わせ)、光信号(例えば、赤外線パルスなどの非可視光パルス)、光信号(例えば、可視光パルス)、電気信号(例えば、電流パルス)、または熱信号(例えば、熱パルス)からなる場合がある。感覚ジェネレータは、埋め込み型、患者の皮膚に接触して装着するように構成されたもの、またはビープ音アラームのように患者と物理的に接触することなく感覚を発生させることができるものであってもよい。感覚は、患者の内部生物学的プロセスに危害を与えたり影響を与えたりする危険性がない一方で、患者の感覚によって一貫して感じられるように構成することができる。
【0456】
コントローラ300は、生成されたセンセーションに関連する認証データを保存する。
【0457】
患者による外部装置への入力により、入力認証データが得られる。入力の提供は、例えば、電気スイッチの作動、バイオメトリック入力センサの使用、外部装置320上で実行されるデジタルインターフェースへの入力など、いくつかの例を挙げることができる。
【0458】
入力された認証データを外部機器からコントローラ300に送信する。ステップを実行した場合、制御装置300によって解析が実行されてもよい。
【0459】
埋め込み型医療機器MDから外部機器320に認証データを送信する。ステップが実行された場合、外部装置320によって解析が実行されてもよい。認証データまたは入力認証データの送信には、無線接続WL1または導電接続C1が使用されてもよい。
【0460】
入力された認証データと認証データの分析に基づいて接続を認証する。例えば、生成された感覚と経験した感覚の数を比較したり、認証データと入力された認証データのタイムスタンプを比較したりする。ステップが実行された場合、解析は埋め込み型医療機器MDによって実行されてもよい。
【0461】
肯定的な認証に続いて、コントローラ300と外部装置320との間でさらなるデータを通信する。無線接続WL1または導電接続C1を使用して、さらなるデータを通信することができる。さらなるデータは、コントローラ300内で実行されている制御プログラム310を更新するためのデータ、または埋め込み型医療装置Mを操作するための操作指示からなる場合がある。
【0462】
解析がコントローラ300によって実行された場合、外部装置320は、コントローラ300と外部装置320との間の接続の認証ステータスの情報を継続的に要求または受信し、外部装置320において、接続が認証されたと判断すると、外部装置320からコントローラ300にさらなるデータを送信することができる。
【0463】
解析が外部装置320によって実行された場合、コントローラ300は、コントローラ300と外部装置320との間の接続の認証ステータスの情報を継続的に要求または受信し、コントローラ300において、接続が認証されたと判断した場合、コントローラ300から外部装置320にさらなるデータを送信することができる。
【0464】
この方法にしたがって接続を認証する主な利点は、患者のみが感覚を体験できることである。したがって、患者のみが、感覚の発生に対応する認証入力を提供することにより、接続を認証することができる。
【0465】
[セキュリティ・モジュール]
図16A~
図16Cを参照して説明した一実施の形態によれば、通信ユニット300または内部制御装置300または制御ユニット300は、外部装置と無線通信するための無線トランシーバ308と、セキュリティ・モジュール389と、本明細書ではコンピューティング・ユニット306とも呼ばれる中央ユニットとから構成されており、これらは等価であると考えられる。中央ユニット306は、無線トランシーバ308、セキュリティ・モジュール389、および埋め込み型医療装置または能動ユニット302と通信するように構成されている。無線トランシーバ308は、埋め込み型医療装置MDに対する少なくとも1つの命令を含む外部装置320からの通信を受信し、受信した通信を中央ユニットまたはコンピューティング・ユニット306に送信するように構成されている。中央ユニットまたはコンピューティング・ユニット306は、外部装置320からの受信通信から導出されたセキュア通信をセキュリティ・モジュール389に送信するように構成され、セキュリティ・モジュール389は、セキュア通信の少なくとも一部を復号化し、セキュア通信の真正性を検証するように構成される。セキュリティ・モジュールはさらに、応答通信を中央ユニットまたはコンピューティング・ユニット306に送信するように構成され、中央ユニットまたはコンピューティング・ユニットは、少なくとも1つの命令をアクティブユニット302に通信するように構成される。
図16A~
図16Cに示す実施の形態では、少なくとも1つの命令は、応答通信、または応答通信と外部装置320からの受信通信の組み合わせに基づいている。
【0466】
図16A~
図16Cに示す実施の形態では、セキュリティ・モジュール389は、中央ユニットまたはコンピューティング・ユニット306からの通信を受け入れるための一連の規則から構成される。
図16A~
図16Cに示す実施の形態では、無線トランシーバ308は、無線トランシーバ308によって無線通信が送受信されないオフモードに置かれ得るように構成される。規則のセットは、無線トランシーバ308がオフモードに置かれているときにのみ、中央ユニットまたはコンピューティング・ユニット306からセキュリティ・モジュール389またはアクティブユニット302への通信が受け入れられることを規定する規則からなる。
【0467】
図16A~
図16Cに示す実施の形態では、ルールのセットは、無線トランシーバ308が特定の時間オフモードに置かれている場合にのみ、中央ユニットまたはコンピューティング・ユニット306からの通信を受け付けることを規定するルールで構成される。
【0468】
図16A~
図16Cに示す実施の形態では、中央装置または演算装置306は、外部装置320からの受信通信のデジタル署名を検証するように構成されている。デジタル署名は、患者または医療専門家からのバイオメトリック署名に基づくハッシュベースのデジタル署名であり得る。規則のセットはさらに、受信した通信のデジタル署名が中央装置306によって検証された場合にのみ、中央装置306からの通信が受け入れられることを規定する規則を含んでいる。検証は、例えば、デジタル署名またはデジタル署名の一部を、中央ユニット306に記憶された以前に検証されたデジタル署名と比較するステップを含み得る。中央装置306は、外部装置からの受信した通信のサイズを検証するように構成され得、規則のセットは、受信した通信のサイズが中央装置306によって検証された場合にのみ、中央装置306からの通信が受け入れられることを規定する規則を含み得る。したがって、中央装置は、指定されたサイズ範囲を超える通信または下回る通信が拒絶されることを規定する規則を有し得る。
【0469】
図16A~
図16Cに示す実施の形態では、無線トランシーバは、少なくとも第1層及び第2層の暗号化で暗号化されている外部装置320からのメッセージを受信するように構成されている。中央装置306は、第1の層の暗号化を復号化し、第2の層の暗号化を構成するメッセージの少なくとも一部をセキュリティモデル389に送信する。次に、セキュリティ・モジュール389は、第2層の暗号化を復号化し、セキュリティ・モジュール389によって復号化されたメッセージの一部に基づいて、応答通信をセントラル・ユニット306に送信する。
【0470】
図16A~
図16Cに示す実施の形態では、中央ユニット306は、デジタル署名を構成するメッセージの一部を復号化するように構成され、デジタル署名を中央ユニット306が検証できるようになっており、また、中央ユニット306は、メッセージ・サイズ情報を構成するメッセージの一部を復号化するように構成され、メッセージ・サイズを中央ユニット306が検証できるようになっている。
【0471】
図16A~
図16Cに示す実施の形態では、中央装置306は、メッセージの第1部分および第2部分を復号化するように構成され、第1部分は、第2部分の真正性を検証するためのチェックサムからなる。
【0472】
図16A~
図16Cに示す実施の形態では、セキュリティ・モジュール389から送信される応答通信はチェックサムを含んでおり、中央装置306は、受信したチェックサムを用いて、すなわち中央装置306によって復号化されたメッセージの一部を加算し、その合計をチェックサムと比較することによって、中央装置306によって復号化されたメッセージの少なくとも一部の真正性を検証するように構成されている。
【0473】
図16A~
図16Cに示す実施の形態では、規則セットは、中央ユニット306とセキュリティ・モジュール389との間のデータ転送速度に関連する規則をさらに含んでいる。この規則では、データ転送速度が設定された最大データ転送速度を超えた場合に通信を拒否または中止すべきであると規定することができ、これにより、不正な者が医療用インプラントに悪意のあるコードまたは命令を注入することを困難にすることができる。
【0474】
図16A~
図16Cに示す実施の形態では、セキュリティ・モジュール389は、デジタル署名がセキュリティ・モジュール389によって検証され得るように、第2層の暗号化で暗号化されているデジタル署名を含むメッセージの一部を復号化するように構成されている。次に、セキュリティ・モジュール389は、検証の結果に基づいて、中央ユニット306に応答通信を送信し、この応答通信は、中央ユニット306によって、メッセージのさらなる復号化のために、または、メッセージ内の命令がアクティブユニット302に通信されるべきかどうかを決定するために使用され得る。
【0475】
図16A~
図16Cに示す実施の形態では、中央ユニット306は、無線トランシーバ308がオフモードに置かれているときにのみ、外部装置320からの受信通信の一部を復号化することができる。代替案として、または追加のセキュリティ層として、中央ユニット306は、無線トランシーバ308がオフモードに置かれているときにのみ、埋め込み型医療装置MDのアクティブユニット302に命令を通信することができるように制限されることができる。これにより、中央ユニット306がアクティブユニット302と通信している間に攻撃が行われることはない。
【0476】
図16A~
図16Cに示す実施の形態では、埋め込み型コントローラ300は、無線トランシーバ308を使用して、第1の非暗号化部分と第2の暗号化部分とを含む外部装置320からのメッセージを受信するように構成されている。埋め込み可能なコントローラ300(例えば、中央ユニット306またはセキュリティ・モジュール389)は、次に、暗号化された部分を復号化し、復号化された部分を使用して、非暗号化部分の真正性を検証する。このように、通信全体を暗号化するのではなく、メッセージの残りの部分(チェックサムおよび/またはデジタル署名など)を認証するために必要な部分のみを暗号化することによって、計算パワーおよびそれによるエネルギーを節約することができる。
【0477】
図16A~
図16Cに示す実施の形態では、中央装置306は、暗号化された部分をセキュリティ・モジュール389に送信し、暗号化された部分に含まれる情報がセキュリティ・モジュールによって復号化されることに基づいて、セキュリティ・モジュール389から応答通信を受信するように構成されている。その後、中央装置306は、応答通信を使用して非暗号化部分の真正性を検証するように構成される。非暗号化部分は、埋め込み型医療装置306に対する少なくとも1つの指示の少なくとも一部を構成し得る。
【0478】
図16A~
図16Cに示す実施の形態では、埋め込み型コントローラ300は、無線トランシーバ308を使用して、患者の生理学的パラメータおよび埋め込み型医療装置MDの物理的パラメータのうちの少なくとも1つに関連する情報を含む外部装置320からのメッセージを受信し、受信した情報を使用してメッセージの真正性を検証するように構成される。患者の生理的パラメータは、体温、心拍数、および飽和値のうちの1つ以上に基づくパラメータのようなパラメータであり得る。
【0479】
埋め込み型医療機器MDの物理的パラメータは、埋め込み型医療機器MDの現在の設定値または値、埋め込み型医療機器MDに送信された事前の指示、または埋め込み型医療機器MDのIDの少なくとも1つから構成され得る。
【0480】
患者の生理学的パラメータおよび/または埋め込まれた医療装置MDの物理的または機能的パラメータに関連する情報を含むメッセージの部分は暗号化され得、中央ユニット306は、暗号化された部分をセキュリティ・モジュール389に送信し、セキュリティ・モジュール389によって復号化された情報に基づいてセキュリティ・モジュール389から応答通信を受信するように構成され得る。
【0481】
図16A~
図16Cに示す実施の形態では、セキュリティ・モジュール389は、少なくとも1つのハードウェアベースの鍵からなるハードウェア・セキュリティ・モジュールである。セキュリティ・モジュール389は、改ざんの可視的な兆候またはロギングおよび警告などの改ざん証拠を提供する機能を有することができる。また、セキュリティ・モジュール389が、改ざんが検出された場合にセキュリティ・モジュール389を動作不能にする「改ざん耐性」を有するようにしてもよい。例えば、改ざんに対する応答として、改ざんが検知された場合、鍵を削除することが考えられる。セキュリティ・モジュール389は、1つ以上のセキュアな暗号プロセッサチップで構成される。セキュリティ・モジュール389のハードウェア鍵は、外部デバイス320に配置可能な対応するハードウェア鍵を有する可能性がある。対応する外部ハードウェアベースの鍵は、外部デバイス 320 に接続可能なキーカード上に置くことができる。
【0482】
代替実施の形態では、セキュリティ・モジュール389は、少なくとも1つのソフトウェアベースの鍵を含むソフトウェア・セキュリティ・モジュール、またはハードウェアベースのセキュリティ・モジュールとソフトウェアベースの鍵の組み合わせである。ソフトウェアベースの鍵は、外部装置320内のソフトウェアベースの鍵に対応してもよい。ソフトウェアベースの鍵は、外部装置320に接続可能なキーカード上のソフトウェアベースの鍵に対応してもよい。
【0483】
図16A~
図16Cに示す実施の形態では、外部装置320はハンドヘルド外部装置であるが、代替実施の形態では、外部装置は遠隔外部装置またはクラウドベースの外部装置であってもよい。
【0484】
図16A~
図16Cに示す実施の形態では、埋め込み型医療装置MDに対する少なくとも1つの指示は、埋め込み型医療装置MDの動作状態を変更するための指示を含んでいる。
【0485】
図16A~
図16Cに示す実施の形態では、無線トランシーバ308は、100kHz以下、より具体的には40kHz以下の周波数の電磁波を用いて外部装置320と無線通信するように構成されている。このように、ワイヤレストランシーバ308は、「超低周波」通信(VLF)を使用して外部装置320と通信するように構成される。VLF信号は、埋め込み型医療装置MDのチタン製ハウジングを貫通する能力を有し、そのため、埋め込み型医療装置MDの電子機器をチタン製ハウジング内に完全に封入することができる。
【0486】
無線トランシーバ308は、第1の通信プロトコルを使用して外部装置320と無線通信するように構成され、中央装置306は、第2の異なる通信プロトコルを使用してセキュリティ・モジュール389と通信するように構成される。これにより、第1の通信プロトコルから第2の通信プロトコルへの転送を可能にする中央装置306の電子回路および/またはソフトウェアにセキュリティ構造が組み込まれる可能性があるため、セキュリティの層が追加される。無線トランシーバ308は、RFID型プロトコル、WLAN型プロトコル、Bluetooth(BT)型プロトコル、BLE型プロトコル、NFC型プロトコル、3G/4G/5G型プロトコル、およびGSM型プロトコルのうちの1つであり得る標準ネットワークプロトコルを使用して、外部デバイスと無線通信するように構成され得る。代替案として、または組み合わせとして、無線トランシーバ308は、独自のネットワークプロトコルを使用して外部デバイス320と無線通信するように構成され得る。無線トランシーバ308は、超広帯域(UWB)トランシーバで構成され得、移植可能コントローラ300と外部装置320との間の無線通信は、したがって、UWBに基づき得る。UWB技術の使用により、埋め込み型医療装置MDが、外部装置320が埋め込み型医療装置MDおよび/または患者が正しいと認めることができる位置、例えば、患者の手の届く範囲内および/または埋め込み型医療装置MDの1メートルもしくは2メートル以内など、医療装置MDおよび/または患者の直接の近傍にあることを確定する方法として使用することができる遠隔制御320’’の位置決めが可能になる。代替案として、UWBとBTを組み合わせて使用することも可能であり、この場合、BTを使用した方が大きなデータセットの転送が容易であるため、UWB通信をBT通信の認証に使用することができる。
【0487】
[可変インピーダンス]
図16A~
図16Cを参照して説明した一実施の形態によれば、埋め込み型医療装置MDの通信ユニット300またはコントローラは、経皮的に伝達されるエネルギーを受信するように構成されたコイル192(具体的には
図16B’に示す)からなる受信ユニット305またはエネルギー受信器305を備える。受信ユニットはさらに、コイル192によって受信されたエネルギーに関連するパラメータを測定するように構成された測定ユニット194と、コイル192に電気的に接続された可変インピーダンス193とを備える。受信ユニット305は、可変インピーダンス193とコイル192との間の電気的接続をオフにするために、可変インピーダンス193とコイル192との間に配置されたスイッチ195aをさらに備える。通信ユニット300または制御装置300は、インピーダンスを変化させるために可変インピーダンス193を制御し、それによって、測定されたパラメータに基づいてコイル192を調整するように構成される。通信ユニット300または制御装置300はさらに、測定されたパラメータが閾値を超えたことに応答して、可変インピーダンス193とコイル192との間の電気的接続をオフにするためにスイッチ195aを制御するように構成される。コントローラ300は、さらに、測定されたパラメータが閾値を超えたことに応答して可変インピーダンスを変化させるように構成されていてもよい。このように、受信エネルギー量が過剰になった場合、受信エネルギー量を低減するようにコイルを調整またはオフにすることができる。測定ユニット194は、時間にわたってコイル192によって受信されるエネルギーに関連するパラメータを測定するように構成され、および/または、例えば受信エネルギーの時間微分を測定することによって、コイル192によって受信されるエネルギーの変化に関連するパラメータを測定するように構成される。可変インピーダンス193は、
図16B’に示す実施の形態では、コイル192と直列に配置されている。しかし、別の実施の形態では、可変インピーダンスをコイル192に並列に配置することも考えられる。
【0488】
第1のスイッチ195aはコイル192の第1の端部分192aに配置され、埋め込み型医療装置MDは、コイル192が埋め込み型医療装置MDの他の部分から完全に切り離され得るように、コイル192の第2の端部分に配置された第2のスイッチ195bをさらに備える。受信ユニット305は、経皮的に伝達されるエネルギーをパルスパターンにしたがってパルスで受信するように構成されている。測定ユニット194は、
図16B’に示す実施の形態では、パルスパターンに関連するパラメータを測定するように構成されている。制御装置300は、予め定義されたパルスパターンから逸脱するパルスパターンに応答して可変インピーダンスを制御するように構成される。コントローラ300は、パルスパターンが予め定義されたパルスパターンから逸脱することに応答して、可変インピーダンス193とコイル192との間の電気的接続をオフにするためのスイッチ195aを制御するように構成される。測定ユニットは、埋め込み型医療装置MD内または患者の体内の温度を測定するように構成され、制御装置300は、測定された温度に応答して第1および第2のスイッチ195a、195bを制御するように構成される。
【0489】
可変インピーダンス193は、抵抗器とコンデンサ、および/または、抵抗器とインダクタ、および/または、インダクタとコンデンサから構成されてもよい。可変インピーダンス193は、デジタル同調コンデンサまたはデジタルポテンショメータで構成されてもよい。可変インピーダンス193は、可変インダクタで構成されてもよい。第1および第2のスイッチは、MOSFETなどの半導体で構成される。インピーダンスの変動は、受信ユニットによって受信される有効電力を低下させるように構成される。
図16B’に見られるように、可変インピーダンス193、第1および第2のスイッチ195a,195b、ならびに測定ユニット194は、通信ユニット/コントローラ300に接続されており、受信ユニット305は、蓄電ユニット40が受信ユニット305によって受信されたエネルギーを蓄積できるように、蓄電ユニット40に接続されている。
【0490】
[セキュリティ強化のため、異なる権限レベルを持つ複数の外部機器]
図17は、埋め込み型医療装置MDのコントローラ300を充電し、プログラミングし、通信するためのシステムの一実施の形態を示す。
図17はさらに、患者が保持し操作する装置、医療提供者(HCP)が保持し操作する装置、または例えば埋め込み型医療装置MDまたは外部装置320’、320’’、320’’’の製造業者によるインフラストラクチャ供給者である専用データインフラ(DDI)である可能性がある異なる外部装置間の通信および相互作用を説明する。
図17の実施の形態のシステムは、コントローラ300と通信可能な3つの外部装置320’、320’’、320’’’から構成される。基本的な考え方は、異なるレベルの権限を有する3つの外部装置320’、320’’、320’’’を有することによって、医療装置MDとの通信および医療装置MDの動作のセキュリティを確保することである。最も低いレベルの権限は、患者が操作するリモコン320’’に与えられる。リモートコントロール320’’は、患者の入力に基づいて、埋め込み型コントローラ300を介して埋め込み型医療装置MDの機能を操作する権限を有する。リモートコントロール320’’はさらに、コントローラ300から必要なデータを取得する権限を有する。リモートコントロール320’’は、コントローラ300上で現在実行されているソフトウェアと現在の設定またはソフトウェアで通信することによってのみ、コントローラ300を操作することができる。次のレベルの権限は、患者外部質問装置(P-EID)320’’’に与えられ、これは、患者によって保持されるが、医療提供者(HCP)によって部分的に遠隔操作される充電及び通信ユニットである。(これは通常、埋め込まれた医療機器MDの助けを借りて治療を提供する診療所の医師である)。P-EID320’’は、HCPによって遠隔操作される場合、埋め込み型医療装置MDのコントローラ300上で実行されているソフトウェアに対して設定変更を行う権限を有する。HCP-EID320’には最高レベルの権限が与えられている。HCP-EID320’は、HCPがHCPの診療所で物理的に保持する充電および通信ユニットである。HCP-EID320’は、患者がクリニックまたはHCPに物理的にいるときに、コントローラ300上で動作するソフトウェアを自由に変更または交換する権限を有する。
【0491】
最も低いレベルの権限から出発して、遠隔制御320’’は、埋め込み型医療装置MDと通信するための無線トランシーバ328を備える。遠隔制御装置320’’は、埋め込み型医療装置MDの予め設定された機能を制御することによって、例えば、埋め込み型医療装置MDの意図された機能を実行するための埋め込み型医療装置MDの能動部分を動作させるために、制御装置300を介して埋め込み型医療装置MDの動作を制御することができる。
図17に示す実施の形態では、無線トランシーバ328は、ブルートゥース(BT)トランシーバからなり、遠隔制御320’’は、BTを使用して埋め込み型医療装置MDと通信するように構成されている。別の構成では、遠隔制御装置320’’は、超広帯域(UWB)無線通信とBTとの組み合わせを使用して埋め込み型医療装置MDと通信する。UWB技術の使用により、埋め込み型医療装置MDが、埋め込み型医療装置MDおよび/または患者が正しいと認めることができる位置、例えば、患者の手の届く範囲内および/または埋め込み型医療装置MDから1メートル以内もしくは2メートル以内など、医療装置MDおよび/または患者に直接近接した位置に遠隔制御装置320’’があることを確定する方法として使用することができる遠隔制御装置320’’の位置決めが可能になる。
【0492】
UWB通信は、特定の時間間隔で無線エネルギーを発生させ、広い帯域幅を占有することで行われるため、パルス位置変調や時間変調が可能である。また、パルスの極性および/またはその振幅をエンコードすることによって、および/または直交パルスを使用することによって、UWB信号(パルス)に情報を変調することもできる。UWB無線システムは、様々な周波数で送信の「飛行時間」を決定するために使用することができる。これはマルチパス伝搬を克服するのに役立つ。なぜなら、いくつかの周波数は見通し軌道を持つが、他の間接経路は遅延が長いからである。協調的な対称型双方向測光技術により、距離を高分解能かつ高精度で測定することができる。UWBはリアルタイムの位置情報システムに有用であり、その高精度能力と低電力により、無線周波数に敏感な環境に適している。
【0493】
BTおよびUWB技術の組み合わせが使用される実施の形態では、UWB技術は、遠隔制御装置320’’の位置ベースの認証に使用することができ、通信および/またはデータ転送は、BTを使用して行うことができる。一部の実施の形態では、UWB信号は、コントローラ300のウェイクアップ信号として、または埋め込み型医療装置MDのBTトランシーバが使用されていないときにオフにされるようにBTトランシーバのウェイクアップ信号として使用することもでき、これにより、BTが傍受されるリスク、または埋め込み型医療装置MDのコントローラ300がBT通信によってハッキングされるリスクが排除される。BT/UWBの組み合わせが使用される実施の形態では、UWB接続は、データの送信にも使用され得る。別の方法として、UWB接続は、データの機密部分などのデータの一部の送信のため、またはBTを介して送信される暗号化通信のロックを解除するためのキーの送信のために使用することができる。
【0494】
リモートコントロール320’’は、埋め込まれた医療装置MDと通信するための制御ロジックアプリケーションを実行する制御ロジックを含んでいる。制御ロジックは、リモコン320’’上に配置された制御ボタン335から直接入力を受けることも、患者が操作するディスプレイ装置334上に表示された制御インターフェース334iから入力を受けることもできる。リモコン320’’が、患者によって操作されるディスプレイ装置334上に表示された制御インターフェース334iから入力を受信する実施の形態では、リモコン320’’は、制御インターフェース334iをウェブビュー、すなわち患者のディスプレイ装置334上のサンドボックス環境で実行されるリモートインターフェースの形態で送信する。患者のディスプレイ装置334は、例えば、携帯電話、タブレットまたはスマートウォッチとすることができる。
図17に示す実施の形態では、患者のディスプレイ装置334は、BTによって遠隔制御装置320’’と通信する。ウェブビューの形態の制御インターフェース334iは、BTを介して遠隔制御装置320’’から患者のディスプレイ装置334に送信される。患者から制御インターフェース334iへの入力形式の制御コマンドは、患者のディスプレイ装置334からリモコン320’’に送信され、制御ボタン335を使用して提供され得る入力と同等の入力をリモコン320’’に提供する。患者のディスプレイ装置334内で作成された制御コマンドは、患者のディスプレイ装置334内で暗号化され、BTを用いてリモコン320’に送信される。
【0495】
患者のディスプレイ装置334は(ディスプレイ装置334が携帯電話又はタブレットの場合)、Wi-Fi又はモバイル接続(例えば、3G、4G又は5G規格に従う)などの補助無線接続を提供するための補助無線送信機を含んでいてもよい。リモコン320’’との通信を可能にするには、補助無線接続を切断する必要がある場合がある。補助無線接続を切断することで、患者のディスプレイ装置334に表示される制御インターフェース334iの完全性が損なわれたり、患者のディスプレイ装置334に表示される制御インターフェース334iが許可されていない装置によって遠隔制御されたりするリスクが低減される。
【0496】
代替実施の形態では、制御コマンドは、患者のディスプレイ装置によって生成され、暗号化されて、DDI330に送信される。DDI330は、リモートコントロール320’’に送信するために制御コマンドをさらに暗号化する前に、作成された制御コマンドをリモートコントロール320’’によって読み取り可能なコマンドに変更するか、または制御コマンドをリモートコントロール320’’に送信する前に暗号化の追加層を追加するか、または単に制御コマンドを患者のディスプレイ装置334からリモートコントロール320’’に中継するためのルータとして機能することができる。DDI330が、埋め込まれた医療装置MDに向けられたエンドツーエンドの暗号化レイヤを追加して、埋め込まれた医療装置MDだけが制御コマンドを解読して、患者が意図したコマンドを実行できるようにすることも可能である。
【0497】
患者のディスプレイ装置334は、埋め込まれた医療装置MDに関連する第1および第2のアプリケーションを有することができる。第1のアプリケーションは、埋め込み型医療装置MDを制御するための制御インターフェース334iを表示する制御アプリケーションであり、一方、第2のアプリケーションは、埋め込み型医療装置MDの状態に関する一般的な情報またはDDI330もしくはHCPからの情報を患者に提供するための、または患者の一般的な幸福、患者のライフスタイル、または埋め込み型医療装置MDの機能に関する患者からの一般的な入力に関連する一般的な入力をDDI330もしくはHCPに提供するためのインターフェースを患者に提供するための一般的なアプリケーションである。第2のアプリケーションは、遠隔制御装置320’’および/または埋め込み型医療装置MDへの入力を提供しないため、機密性の低いデータを扱う。そのため、一般的なアプリケーションは、すべての補助無線接続がアクティブ化されているときにも機能するように構成することができるが、より機密性の高い制御コマンドおよび埋め込み型医療装置MDとの通信を処理する制御アプリケーションに切り替えるには、補助無線接続を一時的にアクティブ化解除する必要がある。制御アプリケーションが一般アプリケーション内で実行されるサブアプリケーションであることも可能であり、その場合、一般アプリケーション内のサブアプリケーションとしての制御アプリケーションの起動は、補助無線接続の一時的な解除を必要とすることがある。
図17に示す実施の形態では、制御アプリケーションへのアクセスは、患者のディスプレイ装置へのバイオメトリック入力と組み合わせたハードウェアキー333’の光学的手段及び/又はNFC手段の使用を必要とするが、一般アプリケーションへのアクセスは、患者のディスプレイ装置へのバイオメトリック入力及び/又はピン・コードのみを必要とする。別の方法として、ピン・コードと組み合わせたデジタル・キーなどの二要素認証ソリューションを、一般アプリケーションおよび/または制御アプリケーションへのアクセスに使用することもできる。
【0498】
患者のディスプレイ装置334が、システムの別のユニットによって提供されるウェブビューのみを表示しピン・コードドドように構成される実施の形態では、ウェブビューがDDI330上に提供されるバックエンドのビューであることが可能であり、そのような実施の形態では、患者が患者のディスプレイ装置上の制御インターフェースと対話することは、患者がDDI330の領域と対話することと等価である。
【0499】
次に、P-EID 320’’’について説明すると、P-EID 320’’’は、埋め込み型医療装置MDと通信し、埋め込み型医療装置MDを充電する外部装置である。P-EID320’’’は、HCPによって遠隔操作され、埋め込み型医療装置MDから情報を読み取り、埋め込み型医療装置MDの動作を制御し、埋め込み型医療装置MDの充電を制御し、埋め込み型医療装置MDのコントローラ300上で動作するソフトウェアに対する設定を、例えば、予め定義されたプログラムステップを追加または削除することによって、および/または限定された範囲内で予め定義されたパラメータを選択することによって調整することができる。遠隔制御装置320’’と同様に、P-EID320’’’は、BT通信またはUWB通信を使用して埋め込み型医療装置MDと通信するように構成することができる。遠隔制御320’’と同様に、P-EID320’’が正しい患者および/または正しい医療装置MDに直接近接しているなど、埋め込まれた医療装置MDおよび/または患者および/またはHCPが正しいと認めることができる位置にあることを確立する方法として、P-EID320’’の位置決めを可能にするためにUWB無線通信とBTの組み合わせを使用することも可能である。遠隔制御320’’と同様に、BTとUWB技術の組み合わせが使用される実施の形態では、UWB技術はP-EID320’’の位置ベースの認証に使用することができ、一方、通信および/またはデータ転送はBTを使用して行うことができる。P-EID320’’は、通信用の無線送受信機328を具備し、また、磁界の形態のエネルギーを受信し、埋め込み型エネルギー蓄積ユニット40における蓄積のため、および/または埋め込み型医療装置MDのエネルギー消費部(操作装置、コントローラ300など)における消費のために、エネルギーを電気エネルギーに変換するように構成された埋め込み型医療装置MDの無線受信機395に、磁界の形態のエネルギーを無線で転送するように構成された無線送信機325を具備する。P-EIDにおいて発生し、埋め込み型医療装置MDにおいて受信される磁界は、「充電信号」と表記される。充電信号は、P-EIDから埋め込み型医療装置MDへのエネルギーの無線伝送を可能にすることに加えて、通信手段としても機能し得る。例えば、P-EIDから埋め込み型医療機器MDへの一方向の通信、あるいはP-EIDと埋め込み型医療機器MDとの間の双方向の通信を可能にするための信号伝達手段として、送信周波数および/または信号の振幅の変動を用いることができる。
図17に示す実施の形態における充電信号は、120~140kHzの範囲の信号であり、通信は独自の通信信号プロトコルに従う、すなわちオープンスタンダードに基づくものではない。別の実施の形態では、BTを充電信号を用いた通信と組み合わせたり、充電信号を用いた通信をUWB信号と組み合わせたりすることができる。
【0500】
リモコン320’’と同様に、UWB信号は、いくつかの実施の形態では、コントローラ300、またはBTトランシーバ用のウェイクアップ信号としても使用することができ、これにより、埋め込み型医療装置MD内のBTトランシーバは、使用されていないときにオフにすることができ、BTが傍受されるリスク、またはBT通信によって埋め込み型医療装置MDのコントローラ300がハッキングされるリスクを排除することができる。別の方法として、充電信号はあまり遠くまで移動しないので、充電信号をBTのウェイクアップ信号として使用することもできる。また、位置ベースの認証手段として、充電信号またはRSSIの影響を埋め込み型医療装置MD内のコントローラ300によって評価し、送信機が定義された範囲内にあることを確立することができる。BT/UWBの組み合わせにおいて、UWBは、データの送信にも使用され得る。いくつかの実施の形態では、UWBおよび/または充電信号は、データの機密部分などのデータの一部の送信のため、またはBTによって送信された暗号化通信を解除するための鍵の送信のために使用することができる。
【0501】
UWBは、充電信号の送信をウェイクアップしたり、エネルギーの無線転送を開始したり、充電信号を使用して通信を開始したりするためにも使用できる。エネルギー伝送用の信号は、通常の無線通信信号と比較して非常に高い効果を持つため、エネルギー伝送用の信号を常時アクティブにすることはできません。
【0502】
P-EID320’’は、VPNなどのセキュアな通信によって、インターネット上でHCPと通信する。HCPとP-EID320’’’との間の通信は、好ましくは暗号化される。HCPから埋め込み型医療機器MDへの通信は、エンドツーエンドの暗号化を用いて実行されてもよく、この場合、通信はP-EID320’’’によって復号化されない。このような実施の形態では、P-EID 320’’’は、HCPから埋め込み型医療装置MDのコントローラ300に暗号化された通信を渡すだけのルータとして機能する。この解決策では、情報を復号化するための鍵がHCPと埋め込み型医療装置MDだけにあるため、暗号化されていない信号が権限のない装置によって傍受される危険性が低減され、セキュリティがさらに向上する。
【0503】
埋め込み型医療装置MDがP-EID320’’’を介してHCPによって遠隔制御および/または更新される場合、HCP専用装置(DD)332は、予め定義されたプログラムステップまたは設定値がHCPに提示されるインターフェースを表示する。HCPは、プログラム・ステップの選択、設定値および/または値の変更、または事前に定義されたプログラム・ステップを実行する順序の変更によって、HCP DD 332に入力を提供する。遠隔操作のためにHCP DD 332に入力された命令/パラメータは、
図17に示す実施の形態では、命令を復号化/読み取ることができてもできなくてもよいDDI330を介して、P-EID 320’’’にルーティングされる。DDI330は、作成された命令のパッケージ内の命令を後でP-EID320’’’に転送するために、命令を一定期間保存することができる。DDI330によってパッケージに暗号化の追加レイヤが提供されることも可能である。追加の暗号化層は、P-EID330によって復号化される暗号化層であってもよいし、埋め込み型医療装置MDのコントローラ300によってのみ復号化され得る暗号化層であってもよく、これにより、暗号化されていない命令またはパッケージが権限のない装置によって傍受されるリスクが低減される。次いで、命令/パラメータがP-EID 320’’に提供され、P-EID 320’’は、本明細書で開示される信号転送手段(無線または導電性)のいずれかを使用して、次の充電/エネルギー転送中に命令/パラメータを埋め込み型医療装置MDにロードする。
【0504】
医療従事者EID(HCP EID)320’は、P-EID320’’と同じ機能を有し、P-EID320’’と同じ代替方法(および代替方法の組み合わせ)で埋め込み型医療装置MDと通信することができる。しかしながら、加えて、HCP EID 320’は、HCPが、埋め込み型医療装置MDのコントローラ300を自由に再プログラムすることも可能にし、これには、コントローラ300で実行されているプログラムコード全体を置き換えることも含まれる。HCP EID 320’は常にHCPの手元にあり、そのため、HCP EID 320’を使用したプログラムコードの更新または埋め込み型医療装置MDからのデータの取得はすべて、HCPが存在する状態(すなわち、遠隔ではない状態)で実行されるという考え方である。HCPの物理的な存在は、埋め込み型医療機器MDの機能にとって重要である可能性のあるこれらの更新のための追加的なセキュリティ層である。
【0505】
図17に示す実施の形態では、HCPは、HCP EID 320’を制御し、HCP EID 320’と通信するための制御インターフェースを構成するディスプレイ装置であるHCP専用装置332(HCP DD)を用いて、HCP EID 320’と通信する。HCP EID 320’は、常にHCPの診療所に物理的に留まるので、HCP EID 320’とHCP DD 332との間の通信は、インターネットを介して送信される必要はない。その代わりに、HCP DD 332とHCP EID 320’は、BT、独自の無線通信チャネル、および有線接続のうちの1つ以上を使用して通信できる。そして、プログラミングの変更は、HCP EID 320’を介して埋め込み型医療機器MDに直接送信される。HCP EID 320’による直接操作のためにHCP DD 332に入力することは、HCP EID 320’に直接入力することと同じであり、HCP EID 320’はその指示を埋め込み型医療装置MDに直接転送する。
【0506】
図17に示す実施の形態では、患者とHCPの両方が、組み合わされたハードウェア・ キー333’、333’’を有する。複合キー333’、333’’は、固有の回路(最高レベルのセキュリティを提供する)、特定のコードを送信するための無線NFC送信機339(中レベルのセキュリティを提供する)、およびカードの光学的認識のための印刷されたQRコード344(最低レベルのセキュリティを提供する)からなるハードウェア・コンポーネントで構成される。
【0507】
図17に示す実施の形態における患者のキー333’は、P-EID 320’’のキーカードスロットにキーカードを挿入できるように、P-EID 320’’と通信するためのインターフェースを有するキーカードの形態である。NFCトランスミッタ339および/または印刷されたQRコード344は、ディスプレイ装置334の制御インターフェース334iにアクセスするための手段として使用することができる。さらに、ディスプレイ・デバイス334は、ピン・コードおよび/または顔認識や指紋認識などのバイオメトリクス入力を必要とする場合がある。
【0508】
図17に示す実施の形態におけるHCPのキー333’’は、HCP-EID 320’と通信するためのインターフェースを有するキー・カードの形態であり、キー・カードをHCP-EID 320’のキー・カード・スロットに挿入できるようになっている。NFCトランスミッタ339および/または印刷されたQRコード344は、HCP DD 332の制御インターフェースにアクセスするための手段として使用できる。さらに、HCP DD 332は、ピン・コードおよび/または顔認識や指紋認識などの生体入力を必要とする場合がある。
【0509】
しかし、代替実施の形態では、ハードウェア・キー・ソリューションを、PIN コードまたは生体認証入力(顔認識および/または指紋認識など)と組み合わせたデジタル・キーなどの二要素認証ソリューションに置き換えることも可能である。
【0510】
図17に示す実施の形態では、インターネットを介した通信は、クラウドサービス上で動作する専用データインフラ(DDI)330を介して行われる。DDI330は、HCP DD332とP-EID320’’’との間、HCPと遠隔制御装置320’’’との間、HCPと患者のディスプレイ装置334との間、およびHCPと補助装置336(患者の治療をフォローアップするためのツール、例えば肥満治療の例では体重計、血圧治療の例では血圧計など)との間の通信を処理する。一部の実施の形態では、HCP DD332は、患者のディスプレイ装置334と遠隔制御装置335との間の通信も処理する。全ての例において、HCPからP-EID320’’、遠隔制御320’’、患者のディスプレイ装置334及び補助装置336への通信は、エンドツーエンドの暗号化を用いて実行されてもよい。エンドツーエンドの暗号化を用いた実施の形態では、通信はDDI330によって復号化できない。このような実施の形態では、DDI330は、HCPから様々なデバイスに暗号化された通信を単に渡すルータとして機能する。このソリューションでは、情報を復号化するための鍵がHCPと通信を送信または受信するデバイスにのみあるため、セキュリティがさらに向上し、暗号化されていない信号が権限のないデバイスによって傍受されるリスクが低減する。
【0511】
通信の仲介者またはルータとして機能することに加えて、DDI330は、埋め込まれた医療機器MDのデータ、治療のデータ、および患者のデータを収集する。データは、暗号化された形式、匿名化された形式、またはオープンな形式で収集されることがある。収集されるデータの形式は、データの機密性またはデータが収集されるソースに依存する場合がある。
図17に示す実施の形態では、DDI330は患者のディスプレイ装置334に質問票を送信する。アンケートは、患者の一般的な健康に関連する、患者の生活様式に関連する、または埋め込まれた医療装置MDによって提供される治療(例えば、痛みを測定するための視覚アナログスケールなど)に特に関連する、患者への質問から構成することができる。DDI330は、複数のソースからの入力を編集および/または結合し、そのような入力をHCPに伝達することができ、HCPは、提供された情報を使用して、DDI330を介して送り返される様々な装置への指示を作成することができる。DDI330によって実行されるデータ収集は、システム内のユニット間の全通信をバックトレースできるようにするために、ログの形にすることもできる。通信をログに記録することで、ソフトウェアに対するすべての変更またはソフトウェアの設定、ならびに埋め込まれた医療機器MDの頻度および動作を確実に追跡することができる。通信を追跡することで、DDI330またはHCPは治療を追跡し、通信の何かが治療が意図した結果を提供しないことを示す場合、またはシステム内のコンポーネントのいずれかに何か問題があるように見える場合に対応することができる。
【0512】
図17に示す具体的な実施の形態では、異なるユニット間の無線接続は以下の通りである。補助装置336とDDI330との間の無線接続411は、Wi-Fiまたはモバイル電気通信体制に基づいており、補助装置336と患者のディスプレイ装置334との間の無線接続411は、BTに基づいている。患者のディスプレイ装置334とDDI330との間の無線接続412は、Wi-Fiまたはモバイル電気通信体制に基づいている。患者のディスプレイ装置334と遠隔制御装置320’’との間の無線接続413は、BTに基づいている。遠隔制御装置320’’と埋め込み型医療装置MDとの間の無線接続414は、BTおよびUWBに基づいている。遠隔制御装置320’’とDDI330との間の無線接続415は、Wi-Fiまたはモバイル通信方式に基づいている。P-EID320’’’と埋め込み型医療装置MDとの間の無線接続416は、BT、UWBおよび充電信号に基づいている。P-EID320’’’とDDI330との間の無線接続417は、Wi-Fiまたはモバイル電気通信体制に基づいている。HCP-EID 320’’と埋め込み型医療機器MDとの間の無線接続418は、BT、UWBおよび充電信号に基づく。P-EID320’’とHCP DD332との間の無線接続419は、BTに基づいている。HPC-EID320’とDDI330との間の無線接続420は、Wi-Fiまたはモバイル通信方式に基づいている。HPC DD 332とDDI 330との間の無線接続421は、Wi-Fiまたはモバイル通信体制に基づいている。HCP-EID320’とHCP DD 332との間の無線接続422は、BTに基づく。
【0513】
しかしながら、
図17に示す実施の形態で特に説明した無線接続は、無線周波数識別(RFID)、近距離無線通信(NFC)、ブルートゥース、ブルートゥース・ロー・エネルギー(BLE)、または無線ローカル・エリア・ネットワーク(WLAN)に基づく無線接続によって置き換えられるか、または補助されてもよい。モバイル通信方式は、例えば、1G、2G、3G、4G、または5Gである。無線接続はさらに、振幅変調(AM)、周波数変調(FM)、位相変調(PM)、直交振幅変調(QAM)などの変調技術に基づいてもよい。ワイヤレス接続は、時分割多重アクセス(TDMA)、周波数分割多重アクセス(FDMA)、または符号分割多重アクセス(CDMA)などの技術をさらに備えてもよい。無線接続は、赤外線(IR)通信に基づくこともできる。無線接続は、高周波数帯域(HF)、超高周波数帯域(VHF)、超高周波数帯域(UHF)、および本質的に電磁波通信に適用可能な他の任意の帯域の無線周波数を特徴としてもよい。無線接続はまた、電磁波に依存しない少なくとも1つの例を挙げると、超音波通信に基づいてもよい。
【0514】
また、
図17を参照して開示した実施の形態では、主に無線通信について説明したが、外部装置のいずれかの間の無線通信を有線通信に代えてもよい。また、外部装置と埋め込み型医療装置MDとの間の無線通信の一部または全部を、人体の一部を導体として使用する導電性通信(
図16A~
図16Cを参照してさらに説明したような)に代えてもよい。
【0515】
[通信ハウジング]
本願で前述したように、医療用インプラントとの通信は信頼性が高く安全である必要がある。この目的のためには、医療用インプラントへの通信を妨害または破損する可能性のある他のプログラムまたはアプリケーションが同じ装置上で実行されないように、医療用インプラントの外部遠隔制御(例えば、
図17において320’’として説明される)としてスタンドアロン装置を有することが望ましい。しかし、スマートフォンまたはタブレット(例えば、
図17の334として説明)は、ほとんどの人々にとって日常生活の一部となっている。つまり、私たちはほとんど常にスマートフォンを手元に置いている。このため、患者がスマートフォンを使用して医療用インプラントと直接通信することができれば、スタンドアロン型の装置を追加で携帯する必要がなく、便利であった。しかし、スマートフォン上では他のアプリケーションが多数動作しているため、他の通信の干渉を受けず、安全で信頼性の高い通信ツールであるという要件を満たしていない。そのため、外部機器とインプラント間の安全な通信を提供するタスクを、インターネットとの通信や使い慣れた直感的なユーザ・インターフェースを提供するタスクから分離することが望ましい。この目的のために、安全な通信と改ざん防止ソフトおよびハードウェアを提供する外部装置が提供され、ディスプレイ装置により直感的で簡単な使用が可能になる。
図18~
図22を参照して説明した実施の形態では、これらの組み合わせの必要性を満たす装置を、スマートフォンまたはスマートウォッチやタブレットなどの他のディスプレイ装置334に接続可能なハウジングユニット320’’に一体化されたスタンドアロン型遠隔制御外部装置の形態で説明する。
【0516】
図18は、ハウジングユニット320’’を左からの立面透視図で示し、
図19は、ハウジングユニット320’’を左からの平面図で示す。
図18に示す実施の形態では、ハウジングユニット320’’は、丸みを帯びた縁を有する長方形の形状を有し、幅1522の1.5倍以上の高さ1521を有する。ハウジングユニット320’’は、ディスプレイ装置334をハウジングユニット320’’に機械的かつ取り外し可能に接続するために、ハウジングユニット320’’に嵌め込まれるように構成された、スマートフォンの形態のディスプレイ装置334を受け入れるように構成された凹部1525を備える。ハウジングユニット320’’内の凹部1525の境界は、ディスプレイ装置334が凹部1525に挿入されたときに、ディスプレイ装置334を取り囲むように構成された縁部1528を形成する。
図18に示す実施の形態では、凹部1525は、ディスプレイ装置334が凹部1525に完全に挿入されるように構成された深さ1526を有する。このように、凹部1525の深さ1526は、ディスプレイ装置334の深さ1531を超える。
図18および
図19に示す実施の形態では、縁部は比較的薄く、ディスプレイ装置334の幅の1/8~1/100の範囲である幅1527を有し、そのように、ハウジングユニット320’’は、ハウジングユニット320’’の幅1522の1.02~1.25倍の範囲の幅を有する。同様に、ハウジングユニット320’’は、ディスプレイ装置334の高さ1521の1.01倍~1.25倍の範囲の高さ1521を有する。
図120~
図19に示す実施の形態では、縁部1528は、ディスプレイ装置334を挟み込み、それによってディスプレイ装置334をハウジングユニット320’’内に機械的に固定するように構成されている。機械的に接続されたときのハウジングユニット320’’とディスプレイ装置334の最小バウンディングボックスは、ディスプレイ装置334の最小バウンディングボックスよりも10%広く、10%長く、または100%高くはない。
【0517】
把持固定を形成するために、ハウジングユニット320’’の縁部は、縁部1528とディスプレイ装置334との間に張力を与え、ディスプレイ装置334を所定の位置に保持する弾性材料から作られる。弾性材料は、弾性ポリマー材料、または弾性金属の薄いシートであり得る。ディスプレイ装置334をハウジングユニット320’’内にさらに固定する目的で、縁部1528の内面は、任意選択で、ディスプレイ装置334の外面の凹部または突出部に対応する凹部または突出部(図示せず)を構成することができる。縁部1528は、ハウジングユニット320’’とディスプレイ装置334との間にスナップロック式の留め具による機械的固定を形成するための凹状部分を構成することもできる。
【0518】
図18および
図19に示す実施の形態では、ハウジングユニット320’’は、埋め込まれた医療装置から情報を受信し、埋め込まれた医療装置に指示および更新を提供することを含む、埋め込まれた医療装置と通信するための遠隔制御として機能する。情報は、埋め込まれた医療装置の任意の機能パラメータを含む埋め込まれた医療装置の状態に関連する情報であるか、または患者の身体に関連する任意の生理学的パラメータを含む患者の状態に関連し得る(本開示の他のセクションでさらに説明される)。埋め込み型医療装置に入力を提供し、ハウジングユニット320’’の機能を制御および更新する目的で、ハウジングユニット320’’は、制御ボタン335の形態のスイッチからなる制御インターフェースを備える。制御ボタン335は、外部装置がディスプレイ装置334から切り離されたときに使用されるように構成されている。制御インターフェースは、ディスプレイ装置334のディスプレイよりも小さく、典型的には洗練されていないディスプレイ1505をさらに備える。代替実施の形態では、制御ボタン335およびディスプレイ1505は、制御ボタンが表示され得る単一のタッチ応答(タッチスクリーン)ディスプレイに統合される。
図18および
図19に示す実施の形態では、制御ボタン335の1つは埋め込み型医療装置を作動させるための制御ボタンであり、制御ボタン335のもう1つは埋め込み型医療装置を作動停止させるための制御ボタンである。ディスプレイ装置334がハウジングユニット320’’に取り付けられているとき、制御ボタン335およびディスプレイはディスプレイ装置334によって覆われており、そのような状態では動作状態ではない。
図18および
図19に示す実施の形態では、ハウジングユニット320’’は、ユーザ・インターフェースの表示に係る情報をディスプレイ装置334に送信するように構成され、ディスプレイ装置334は、埋め込み型医療装置との間の通信に係る入力を患者から受信し、受信した入力に基づく信号をハウジングユニット320’’に送信するように構成されている。入力は、埋め込み型医療装置の動作状態を変更するためのコマンドであってもよい。ディスプレイ装置334は、ユーザ・インターフェースを表示し、患者からの入力を受信するように構成されたタッチスクリーンを備える。ディスプレイ装置334のディスプレイは、1つまたは複数のOLEDまたはIPS LCD素子で構成することができる。ディスプレイ装置334がハウジングユニット320’’に接続されると、ディスプレイ装置334は、ハウジングユニット320’’との通信、すなわちハウジングユニット320’’への入力の提供およびハウジングユニット320’’からの情報の受信に使用される制御インターフェースを表示するように構成される。ハウジングユニット320’’に提供された入力は、その後、移植医療装置に中継され、同様に、移植医療装置からハウジングユニット320’’に通信された情報は、ディスプレイ装置334に中継または表示され得る。埋め込み型医療装置と通信するための通信手段を構成するハウジングユニット320’’と、基本的にハウジングユニット320’’に接続された入出力装置としてのみ機能するディスプレイ装置334との組み合わせからなる外部装置を有することにより、ディスプレイ装置334のインターネット接続から手の届かないハウジングユニット320’’とディスプレイ装置334との間で安全な通信を行うことが可能になり、外部の攻撃者がハウジングユニット320’’の重要な通信部分のいずれかにアクセスすることがより困難になる。ハウジングユニットとディスプレイ装置334との間の通信は非常に制限されており、ディスプレイ装置334からハウジングユニット320’’に許可される通信は、患者または医療専門家からの入力と、ディスプレイ装置334上で実行される認証アプリケーションによって作成される認証パラメータのみである。ディスプレイ装置334上で実行される認証アプリケーションは、患者または医療従事者を認証するための番号生成認証装置または生体認証装置である可能性があり、認証パラメータは、例えば、顔画像または指紋から得られるパラメータである可能性がある。反対方向、すなわちハウジングユニット320’’からディスプレイ装置334への方向では、通信は、ディスプレイ装置334に情報及び/又はグラフィカル・ユーザ・インターフェースを表示するために必要な通信のみに制限され得る。通信の制限は、例えば、通信パッケージのサイズまたは通信が行われる頻度に基づくことができ、これにより、権限のない人物がハンドヘルドデバイスから情報を抽出する、またはハンドヘルドデバイスに情報を転送することを複数回試みるリスクを低減することができる。
【0519】
図18および
図19を参照して示す実施の形態では、ハウジングユニット320’’は、ディスプレイ装置334に無線接続413を提供する第1の通信ユニットを備える。無線接続413は、
図18及び
図19に示される実施の形態ではNFCに基づいているが、代替の実施の形態では、ブルートゥース又は本明細書に開示される任意の他の通信経路に基づいてもよい。ハウジングユニット320’’は、移植医療装置との無線接続を提供する第2の通信ユニットをさらに備える。ハウジングユニット320’’と埋め込まれた医療装置との間の無線通信は、
図18および
図19に示された実施の形態ではブルートゥースに基づいているが、代替の実施の形態では、NFCまたはUWB、あるいは本明細書に開示された任意の他の通信経路に基づくことも可能である。
【0520】
前述したように、
図18および
図19に示す実施の形態では、ハウジングユニット320’’とディスプレイ装置334との間の無線通信はNFCに基づいており、ハウジングユニット320’’とディスプレイ装置334との間の無線通信はブルートゥースに基づいている。このように、ハウジングユニット320’’の第1の通信ユニットは、第1の通信周波数を用いてディスプレイ装置334’と無線通信するように構成され、ハウジングユニット320’’の第2の通信ユニットは、第2の異なる通信周波数を用いて埋め込み型医療装置と無線通信するように構成される。この目的のために、ハウジングユニット320’’の第1の通信ユニットは、ディスプレイ装置334とのNFCベースの無線通信用に構成された第1のアンテナからなり、第2の通信ユニットは、埋め込み型医療装置とのブルートゥースベースの無線通信用に構成された第2のアンテナからなる。第1および第2のアンテナは、ワイヤベースのアンテナであってもよいし、基板ベースのアンテナであってもよい。このように、第1の通信ユニットは、第1の周波数でディスプレイ装置334と無線通信するように構成され、第2の通信ユニットは、第2の異なる通信周波数を用いて埋め込み型医療装置と無線通信するように構成される。また、ハウジングユニット320’の第1の通信ユニットは、第1の通信プロトコル(NFC通信プロトコル)を用いてディスプレイ装置334と無線通信するように構成され、第2の通信ユニットは、第2の通信プロトコル(ブルートゥース通信プロトコル)を用いて埋め込み型医療装置と無線通信するように構成されている。第1の通信プロトコルと第2の通信プロトコルは異なるため、第1の通信プロトコルから第2の通信プロトコルへの転送を可能にするセキュリティ構造が電子機器および/またはソフトウェアに組み込まれる可能性があり、セキュリティ層が追加される。
【0521】
代替実施の形態では、第2の通信ユニットは、100kHz以下の周波数、好ましくは40kHz以下の周波数の電磁波を使用して埋め込み型医療装置と無線通信するように構成することができる。このように、第2の通信ユニットは、「超低周波」通信(VLF)を用いて埋め込み型医療装置と通信するように構成されていてもよい。VLF信号はインプラントのチタン製ハウジングを貫通する能力を有するため、埋め込み型医療装置の電子機器をチタン製ハウジング内に完全に封入することができる。さらなる実施の形態では、第1および第2の通信ユニットは、RFID型プロトコル、WLAN型プロトコル、BLE型プロトコル、3G/4G/5G型プロトコル、またはGSM型プロトコルによって通信するように構成することができる。
【0522】
さらに他の代替実施の形態では、ハウジングユニット320’’とディスプレイ装置334との間の機械的接続が、ハウジングユニット320’’とディスプレイ装置334との間にワイヤベースの通信チャネルを形成するための電気的接続を構成することが考えられる。電気的接続はまた、ディスプレイ装置334からハウジングユニットに電気エネルギーを伝達するように構成され得、その結果、ハウジングユニット320’’’は、ディスプレイ装置334によって電力が供給され得るか、または充電され得る。有線接続は、NFCベースの無線接続よりも、非認可事業体にとってアクセスがさらに困難であり、これにより、ハウジングユニット320’’とディスプレイ装置334との間の通信の安全性がさらに高まる。
【0523】
図18及び
図19を参照して示される実施の形態では、ディスプレイ装置334は、NFCに基づいてハウジングユニット320’’との無線接続413を提供する第1の通信ユニットを備える。ディスプレイ装置334は、さらなる外部装置との、および/またはインターネットとの無線接続を提供する第2の通信ユニットをさらに備える。第2の外部装置は、例えば病院や医療従事者が診療を行う場所など、遠くにある場合がある。ディスプレイ装置334とさらなる外部装置との間の無線通信は、
図18および
図19に示す実施の形態ではWiFiに基づいているが、代替実施の形態では、例えばBluetoothに基づいてもよい。
【0524】
前述のように、
図18および
図19に示す実施の形態では、ディスプレイ装置334とハウジングユニット320’’との間の無線通信はNFCに基づいており、ディスプレイ装置とさらなる外部ユニットとの間の無線通信はWiFiに基づいている。このように、ディスプレイ装置334の第1の通信ユニットは、第1の通信周波数を用いてハウジングユニット320’’と無線通信するように構成され、ディスプレイ装置334の第2の通信ユニットは、第2の異なる通信周波数を用いてさらなる外部装置と無線通信するように構成される。この目的のために、ディスプレイ装置334の第1の通信ユニットは、ハウジングユニット320’’とのNFCベースの無線通信用に構成された第1のアンテナを備え、第2の通信ユニットは、さらなる外部装置とのWiFiベースの無線通信用に構成された第2のアンテナを備える。第1および第2のアンテナは、ワイヤベースのアンテナであってもよいし、基板ベースのアンテナであってもよい。このように、第1の通信ユニットは、第1の周波数でハウジングユニット320’’と無線通信するように構成され、第2の通信ユニットは、第2の異なる通信周波数を用いてさらなる外部装置と無線通信するように構成される。また、表示デバイス334の第1の通信ユニットは、第1の通信プロトコル(NFC通信プロトコル)を用いてハウジングユニット320’’と無線通信するように構成され、第2の通信ユニットは、第2の通信プロトコル(WiFi通信プロトコル)を用いてさらなる外部デバイスと無線通信するように構成される。第1の通信プロトコルと第2の通信プロトコルは異なっており、これにより、第1の通信プロトコルから第2の通信プロトコルへの転送を可能にするセキュリティ構造が電子機器および/またはソフトウェアに組み込まれる可能性があるため、追加のセキュリティ層が追加される。
【0525】
代替実施の形態では、ディスプレイ装置334の第2の通信ユニットは、WLANタイプのプロトコル、または3G/4G/5Gタイプのプロトコル、またはGSMタイプのプロトコルによって、さらなる外部装置と通信するように構成され得る。
【0526】
図18および
図19に示す実施の形態では、ハウジングユニット320’’と医療用インプラントとの間の通信距離がハウジングユニット320’’とディスプレイ装置334との間の通信距離よりも長くてもよいように、ハウジングユニット320’’の第1の通信ユニットの通信範囲はハウジングユニット320’の第2の通信ユニットの通信範囲よりも小さい。
図18および
図19に示す実施の形態では、第1の通信ユニットの通信範囲は、ディスプレイ装置334の最小バウンディングボックスの最長寸法の5倍未満の長さに制約されてもよく、より正確には、ディスプレイ装置334の最小バウンディングボックスの最長寸法の3倍未満の長さに制約されてもよい。
【0527】
図18および
図19に示す実施の形態では、ハウジングユニット320’’とディスプレイ装置334との間の通信は、ハウジングユニット320’’がディスプレイ装置334に接続されている場合にのみ可能になる。すなわち、ハウジングユニット320’’およびディスプレイ装置334の少なくとも一方は、ハウジングユニット320’’とディスプレイ装置334との間の距離に基づいて、ハウジングユニット320’’とディスプレイ装置334との間の通信を可能にするように構成される。代替案として、ハウジングユニット320’’及び/又はディスプレイデバイス334は、ハウジングユニット320’’がディスプレイデバイス334に取り付けられているか否かを推定するように構成されたセンサ、例えば、ハウジングユニット320’’及びディスプレイデバイス334が互いに機械的に接続されたときにセンサ入力を提供する機械的に作動するスイッチ又は光抵抗センサを含んで構成されてもよい。その後、少なくとも1つのセンサからの信号を使用して、ディスプレイ装置334との通信用に構成された通信ユニットの使用を許可することができる。
【0528】
図18および
図19に示す実施の形態では、ハウジングユニット320’’と埋め込み型医療装置との間の通信は、ハウジングユニット320’’と埋め込み型医療装置との間の距離に基づいてのみ可能になる。
図18および
図19に示す実施の形態では、距離はディスプレイ装置の最小バウンディングボックスの最長寸法の20倍未満、より具体的にはディスプレイ装置の最小バウンディングボックスの最長寸法の10倍未満であることが好ましい。ハウジングユニット320’’と医療用インプラントとの間の距離は、電磁波または音響波を用いて測定することができる。距離を測定するプロセスは、三角測量で構成されてもよい。
【0529】
図18および
図19に示す実施の形態では、ディスプレイ装置334とハウジングユニット320’’との間の通信を可能にするために、ディスプレイ装置334の第2の通信ユニットを無効にする必要があり、さらに、ハウジングユニット320’’と医療用インプラントとの間の通信を可能にするために、ディスプレイ装置334の第2の通信ユニットを無効にする必要がある。また、ハウジングユニット320’’と医療用インプラントとの間の通信を可能にするために、ハウジングユニット320’’の第2の通信ユニットを無効にする必要がある。
【0530】
図18および
図19に示す実施の形態では、ハウジングユニット320’’は、通信を埋め込み型医療装置に送信する前にディスプレイ装置334から受信した通信を暗号化するように構成された暗号化ユニットをさらに備える。暗号化ユニットは、例えば、以下のアルゴリズムのうちの1つに基づくことができる:AES、Blowfish、DES、Kalyna、SerpentまたはTwofish。通信、I/O及び暗号化を処理する目的で、ハウジングユニット320’’は、汎用マイクロプロセッサ及び/又は命令セットプロセッサ及び/又は関連チップセット及び/又はASIC(Application Specific Integrated Circuit)のような特殊用途マイクロプロセッサであり得るプロセッサを備える。プロセッサは、命令及び/又はデータを記憶するためのメモリも備える。
【0531】
図20および
図21は、
図18および
図19を参照して説明した実施の形態と同様の外部ユニットの実施の形態を示す。相違点は、
図20および
図21の実施の形態では、ハウジングユニット320’’がディスプレイ装置334を挟み込まないことである。その代わりに、ハウジングユニットは、ディスプレイ装置334をハウジングユニット320’’に磁気的に固定するための2つの磁石1510を備える。代替実施の形態では、外部装置が、ディスプレイ装置334との取り外し可能な接続を提供するためにハウジングユニットに固定的に固定される中間部分から構成されることも同様に考えられる。代替案では、中間装置は、ディスプレイ装置334に固定的に固定され、ハウジングユニット320’’との取り外し可能な接続を提供し得る。
【0532】
図22は、外部装置(
図18および
図19を参照して説明した実施の形態の外部装置、または
図20および
図21を参照して説明した実施の形態の外部装置であり得る)のシステム概要を示す。ハウジングユニット320’’は、ディスプレイ装置334に接続されている。無線接続413がハウジングユニット320’’とディスプレイ装置334との間に設けられ、さらに無線接続413がハウジングユニット320’’と埋め込み型医療装置MDとの間に設けられ、ハウジングユニットが埋め込み型医療装置MDに指示および更新を送信し、埋め込み型医療装置MDから情報、パラメータ(センサ値など)およびアラームを受信できるようになっている。外部装置と埋め込み型医療装置MDとの間の通信については、本開示の他の部分でさらに説明する。
【0533】
[表面コーティング]
図23は、本体510と、インプラント表面520と、表面520上に配置されたコーティング530とを備える埋め込み可能な医療装置またはインプラントMDを示す。コーティング530は抗菌特性を有するように構成することができる。埋め込み可能な医療装置の用途によっては、これらの効果の一方または両方が有利な場合がある。コーティング530は、埋め込み型医療装置MDが挿入される宿主体との直接接触から表面520を遮蔽するように、表面520上に配置することができる。
【0534】
コーティング530は、生体材料の少なくとも1つの層を含んでもよい。コーティング530は、抗血栓性の材料から構成されてもよい。また、コーティング530は、抗菌性の材料から構成されてもよい。コーティング530は、表面520に化学的に付着させることができる。
【0535】
図24は、本体510および表面520を有する例示的な移植可能医療機器またはインプラントMDを示す。埋め込み可能な医療装置MDは、表面上に配置された複数のコーティング530a、530b、530cからなる。インプラントMDは、任意の数のコーティングからなることができ、
図24の特定の実施の形態では、3層のコーティング530a、530b、530cが開示されている。第2のコーティング530bは、第1のコーティング530a上に配置されている。異なるコーティング530a、530b、530cは、フィブリン鞘形成または細菌が表面520に集まることのいずれかを防止するために、異なる特徴を有する異なる材料からなることができる。一例として、第1のコーティング530aは、表面に化学的に付着したパーフルオロカーボンの層から構成されてもよい。第2のコーティング530bは、第1のコーティング530a上に配置された液体パーフルオロカーボン層から構成されてもよい。
【0536】
言及されたコーティングは、任意の物質または任意の物質の組み合わせからなることができる。コーティングは、以下のような抗凝固薬を含んでいてもよい:アピキサバン、ダビガトラン、ダルテパリン、エドキサバン、エノキサパリン、フォンダパリヌクス、ヘパリン、リバロキサバン、ワルファリンなどである。
【0537】
コーティングはまた、いわゆる抗血小板剤である医薬品または物質を含んでいてもよい。これらには、アスピリンCilostazol、Clopidogrel、Dipyridamole、Eptifibatide、Prasugrel、Ticagrelor、Tirofiban、Vorapaxar。
【0538】
コーティングはまた、抗血栓性、抗血小板性、抗菌性を有する他の種類の物質、例えばソルターゼA、パーフルオロカーボンなどを含んでいてもよい。
【0539】
コーティングはまた、抗菌性や抗血栓性を有する特定の材料からなる埋め込み型医療器具と組み合わせることもできる。例えば、ある種の金属は抗菌性を示す。インプラントまたはインプラントの少なくとも外面がそのような金属でできている場合、細菌感染を減少させるために有利である。医療用インプラントまたはインプラントの表面は、他の適切な金属または材料で作られていてもよい。例えば、表面は、チタン、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ジルコニウム、モリブデン、スズまたは鉛のいずれかの金属またはその組み合わせから構成される。
【0540】
[医療を実現する多孔質コーティング]
埋め込み可能な医療器具は、フィブリン鞘の形成や細菌の炎症を防ぐために、局所的で徐放性の抗線維化薬や抗菌薬でコーティングすることもできる。フィブリンや炎症の発生を防ぐために、薬物や医薬品を表面にコーティングし、インプラントからゆっくりと放出するように配置することもできる。薬剤を体内に投与し、フィブリンの生成を防ぐために、薬剤をゆっくりと崩壊する多孔性または可溶性の材料で覆うこともできる。薬物は、従来の抗線維化薬や抗菌薬であってもよい。
【0541】
[インプラント表面の物理的構造]
図25Aおよび
図25Bは、インプラント表面上の異なる微細パターンを示している。血液適合性を向上させるために、インプラント材料の物理的構造を変更または制御することができる。インプラント表面に特定のトポグラフィーを形成することで、フィブリンの生成や炎症反応を抑制することができる。
図25Aは、シャークスキンの特徴を模倣した微細パターンの例である。この微細パターンは、様々な形状やインプラント表面への深さがあり、他のコーティングを補完するものであっても、単独で使用されるものであってもよい。
図25Bに、微細パターンの別の例を示す。
【0542】
微細パターンは、例えば、体内に挿入する前に埋め込み可能な医療器具の表面にエッチングすることができる。埋め込み可能な医療器具の表面は、例えば、金属から構成されていてもよい。表面は、例えば、以下の金属のいずれか、または以下の金属の組み合わせから構成されてもよい:チタン、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ジルコニウム、モリブデン、スズ、または鉛。これらの金属は抗菌性が証明されており、宿主の体内に挿入されたときにインプラントがよりよく機能することを保証する可能性があるという点で有利である。
【0543】
[移植の方法]
図26は、前述のシステムの少なくとも1つのコンポーネントの移植方法のフローチャートであり、以下のステップを含む:
- 皮膚を切開する;
- 患者の体内の少なくとも一つの部位を自由に切除する;
- 少なくとも1本の注入針を収容するハウジングを、少なくとも1本の注入針の先端がハウジングの外壁を貫通する際に患者の組織を貫通し、少なくとも1本の注入針を介して前記少なくとも1つの貫通領域を通して物質を注入できるように、前記解剖領域内に配置する;
- システムの少なくとも一部を移植した後、少なくとも皮膚を閉じる。
【0544】
本方法は、少なくとも1本の注入針を収容するハウジングから離れた患者の体内に、システムの以下の構成要素のうちの1つ以上を配置するステップをさらに含み得る:
- ドライブユニット(D)の少なくとも一部、
- リザーバ、
- ポンプ(P)、
- 駆動装置、ポンプ(P)、またはシステムの他のエネルギー消費部分の1つまたは複数の要素を作動させるための少なくとも1つのモーター(M、M2)、
- 少なくとも1つのモーターにエネルギーを供給するためのエネルギー貯蔵手段(A)、
- 外部エネルギー源(E)またはエネルギー貯蔵手段(A)とモーター(M、M2)の間のガルバニック結合要素、
- モーター(M、M2)またはエネルギー貯蔵手段(A)またはその両方を、モーターまたはエネルギー貯蔵手段またはその両方に非接触でエネルギーを伝送するための体外一次エネルギー源に接続するように適合されたワイヤレス・カップリング要素、
- モーター(M、M2)を制御する制御ユニット(C1)、
- 外部のデータ処理装置(C2)から制御ユニット(C1)へ無線でデータを送信するためのデータ送信インターフェース、
- フィードバックセンサ(F)、
- 無線エネルギー変換手段、
- リザーバ(R1)を再充填するための注入ポート、および
-少なくとも1本の注射針によって注射される物質を注入するための少なくとも1本のチューブ。
【0545】
[ポップ・リベット・フランジ]
図27および
図28は、埋め込み可能な通電式医療装置MDの実施の形態を示し、これは、本開示の他の部分では遠隔ユニットと呼ばれることがある。医療装置MDは、患者の組織部分610によって定位置に保持されるように構成されている。第1の部分MD’および第2の部分MD’’は、本開示の他の部分に記載されているように、受信機、送信機、トランシーバ、制御ユニット、処理ユニット、センサ、エネルギー貯蔵ユニットなどの1つまたは複数の機能部分を含んでよい。第1の部分MD’は、医療装置MDにエネルギーを供給するための第1のエネルギー貯蔵ユニットを構成することができる。図示の実施の形態における第2の部分MD’’はポンプからなるが、これは、医療装置MDの埋め込み可能な部分の一例を示すに過ぎない。第2の部分MD’’の他の実施の形態が、接続部分MD-2を介して第1の部分MD’に接続され得ること、例えば、流体を使用せずに機械的な仕事を提供するためのモーターからなる第2の部分MD’’があることを理解されたい。
【0546】
医療装置MDは、組織部分610の第1の側面612に配置されるように構成された第1の部分MD’を備え、第1の部分MD’は、第1の平面P1において第1の断面積A1を有し、組織部分610の第1の側面612の第1の組織表面616に対向するように構成された第1の表面614を備える。医療装置MDは、組織部分610の第2の側面618に配置されるように構成された第2の部分MD’’をさらに備え、第2の側面618は、第1の側面612に対向し、第2の部分MD’’は、第2の平面P2における第2の断面積A2を有し、組織部分610の第2の側面618の第2の組織表面622に係合するように構成された第2の表面620を備える。医療器具MDは、組織部分610の第1および第2の側面612、618の間に延びる組織部分610の穴を通して配置されるように構成された連結部分MD-2をさらに備える。ここでの連結部分MD-2は、第3の平面P3における第3の断面積A3と、第4の平面P4における第4の断面積A4と、組織部分610の第1の側面612の第1の組織表面616に係合するように構成された第3の表面624とを有する。連結部分MD-2は、第1の部分MD’を第2の部分MD’’に連結するように構成されている。
【0547】
したがって、連結部分MD-2は、組織部分610の穴を通して適合するような大きさおよび形状を有する部分を有し、そのような部分は、第3の断面積A3を有する。さらに、連結部分MD-2は、組織部分610の穴を通って適合しないような大きさおよび形状にされた別の部分を有してもよく、そのような部分は第4の断面積A4を有する。同様に、第2の部分MD’’は、組織部分610の穴を通って適合しないような大きさおよび形状にされた部分を有してもよく、そのような部分は第2の断面積A2を有する。したがって、連結部分MD-2は、第2の部分MD’’と協働して、医療器具MDを組織部分610の穴の所定の位置に保持することができる。
【0548】
図27に示される実施の形態では、第1の部分MD’は、機械的機構および/または磁気的機構によって、接続部分MD-2に着脱可能に接続する、すなわち可逆的に接続するように構成される。図示された実施の形態では、機械的機構が使用され、この機構では、第1の部分MD’が連結部分MD-2に挿入されると、1つまたはいくつかのバネ付き球状要素601が連結部分MD-2の溝603の所定の位置にロックされる。対応するねじ山および溝、自己ロック要素、およびツイスト・アンド・ロック継手を含む他のロック機構が想定される。
【0549】
医療装置MDは、移植されるとき、第1の部分MD’が第2の部分MD’’よりも患者の外側に近い位置に配置されるように構成される。さらに、いくつかの移植手順では、医療装置MDは、第2の部分MD’’の向こう側、すなわち、組織部分610の第2の側618の向こう側に空間が利用可能になるように移植されることがあるが、組織部分の第1の側612には同じだけの空間が存在することがある。さらに、組織および/または皮膚は、組織部分610に向かって第1の部分MD’に力を及ぼし、第2の部分MD’’が組織部分610の孔を通って組織部分610の第1の側612に向かって移動しないことを提供し得る。したがって、医療器具MDが、第1の部分MD’が組織部分610の孔を通って組織部分610の第2の側面618に向かって移動するのを防止するように主に構成されていると好ましい。
【0550】
第1の部分MD’は、接続部分MD-2を介して第2の部分MD’’にエネルギーおよび/または通信信号を伝達するための1つまたは複数の接続部605をさらに含んでいてもよい。図示された実施の形態における接続部605は、第1の部分MD’の突出部607の円周の周りに対称的に配置され、接続部分MD-2の内面に配置された対応する接続部609と係合するように配置される。突出部607は、中央部分MD-2の中央延長部C1に延びていてもよい。第2の部分MD’’はまた、第1の部分MD’の接続部605と同様に配置および構成され得る1つまたはいくつかの接続部611を含んでよい。例えば、1つまたはいくつかの接続部611は、第1の部分MD’からエネルギーおよび/または通信信号を受信するために、接続部分MD-2の接続部609と係合してもよい。
図27には突出部607が別個に図示されているが、突出部607は第1の部分MD’と一体に形成されてもよいことを理解されたい。
【0551】
突出部607の円周の周りに非対称に配置された接続部など、接続部の他の配置も想定される。また、第1の部分MD’の第1の表面614上に1つまたはいくつかの接続部が配置されてもよく、接続部は、接続部MD-2の対向表面613上に配置された対応する接続部と係合するように配置されることが想定される。対向表面613上のそのような接続部は、接続部609と比較して比較的大きな面積をカバーすることができ、したがって、より大きな接触面積と、エネルギーおよび/または通信信号の伝達のより高い速度および/または信号強度とを可能にする。さらに、第1の部分MD’、接続部分MD-2、および第2の部分MD’’間の物理的接続は、本開示の他の部分でさらに説明されるように、無線配置に置き換えられるか、または無線配置を伴ってよいことが想定される。
【0552】
第1の部分MD’の第1の表面614、第2の部分MD’の第2の表面620、連結部分MD-2の第3の表面624、および連結部分MD-2の対向する表面613のいずれかは、医療装置MDが組織部分によって定位置に保持されることを容易にするため、および/または医療装置MDの異なる部分が相互の定位置に保持されることを容易にするために、リブ、バーブ、フック、摩擦強化表面処理、および摩擦強化材料のうちの少なくとも1つを備えることができる。
【0553】
対向面613は、第1の部分MD’の少なくとも一部を収容するように構成された凹部を備えてもよい。特に、かかる凹部は、第1の表面614を含む第1の部分MD’の少なくとも一部を受容するように構成されてもよい。同様に、第1の表面614は、連結部分MD-2の少なくとも一部を収容するように構成された凹部を備えてもよい。特に、そのような凹部は、連結部分MD-2の少なくとも一部を受容するように構成されてもよく、いくつかの実施の形態では、そのような凹部は、少なくとも1つの突出要素またはフランジを少なくとも部分的に囲むために、少なくとも1つの突出要素を受容するように構成されてもよい。
【0554】
図示の実施の形態では、第1の部分MD’は、第1のエネルギー貯蔵ユニット304aと、第1のエネルギー貯蔵ユニット304aに接続された1つまたは複数の処理ユニットからなるコントローラ300aとを備える。第1のエネルギー貯蔵ユニット304aは、エネルギーの無線転送によって再充電可能であってもよい。いくつかの実施の形態では、第1のエネルギー貯蔵ユニット304aは、非充電可能であってもよい。このような第1のエネルギー貯蔵の寿命が尽きると、新しい第1のエネルギー貯蔵ユニットを含む交換用の第1の部分が、消耗した第1のエネルギー貯蔵ユニットを有する第1の部分の代わりに単に交換されてもよい。第2の部分MD’’は、1つまたは複数の処理ユニットを含むコントローラ300bをさらに備えることができる。
【0555】
図28に見られるように、第1、第2、第3および第4の平面P1、P2、P3およびP4は、互いに平行である。さらに、図示された実施の形態において、第3の断面積A3は、第1の部分MD’、第2の部分MD’’および連結部分MD-2が、第1の平面P1、第2の平面P2および第3の平面P3に垂直な方向において組織部分610の穴を通って移動することを妨げられるように、第1の断面積A1、第2の断面積A2および第4の断面積A4よりも小さい。これにより、第1の部分MD’が連結部分MD-2から外れても、第2の部分MD’’および連結部分MD-2は、患者の組織部分610によって所定の位置に保持され得る。
【0556】
図示された平面P1、P2、P3およびP4は、そのような平面が医療装置MDとどのように交差し得るかの単なる例示であることを理解されたい。上記の条件が満たされる限り、すなわち、部分が断面積を有し、第3の平面P3における第3の断面積が第1、第2および第4の断面積よりも小さく、平面P1、P2、P3およびP4が互いに平行である限り、平面の他の配置も可能である。
【0557】
図28に図示された連結部分MD-2は、フランジ626からなる連結部分MD-2として定義することができる。したがって、フランジ626は、第1、第2および第3の平面P1、P2およびP3に垂直な方向において組織部分610の穴を通って移動することが妨げられるように、第4の断面積A4を構成する。フランジ626は、第1、第2、第3および第4の平面P1、P2、P3およびP4に平行な方向に突出してもよい。この方向は、連結部分MD-2の中心延長部C1に対して垂直である。
【0558】
しかしながら、連結部分MD-2はフランジに限定されない。他の突出要素を付加的または代替的に連結部分MD-2に組み込んでもよい。このように、連結部分MD-2は、第1の部分MD’が連結部分MD-2から切り離されても、第2の部分MD’’および連結部分MD-2が患者の組織部分610によって定位置に保持され得るように、少なくとも1つの突出要素が組織部分610の穴を通って移動することを防止されるように、第4の断面積A4を構成する少なくとも1つの突出要素から構成されてもよい。少なくとも1つの突出要素は、第1、第2、第3および第4の平面P1、P2、P3およびP4に平行な方向に突出することができる。この方向は、連結部分MD-2の中心延長部C1に対して垂直である。このように、少なくとも1つの突出要素はまた、組織部分610の第1の側面612の第1の組織表面616に係合するように構成された第3の表面624を構成する。
【0559】
連結部分MD-2は、中空部分628を含んでもよい。中空部分628は、第1および第2の部分MD’、MD’’間の通路を提供することができる。特に、中空部分628は、第1の部分MD’から第2の部分MD’’へ流体を移送するための導管を収容してもよい。中空部分628はまた、第1の部分MD’と第2の部分MD’’との間でエネルギーおよび/または通信信号を伝達するための1つまたはいくつかの接続部または電気リード線を構成または収容することができる。
【0560】
埋め込み可能な通電式医療装置は、本明細書では第3の断面積が第1の断面積よりも小さいものとして開示されているが、この特徴は必須ではないことに留意することが重要である。第3の断面積は、第1の断面積と等しくてもよいし、第1の断面積よりも大きくてもよい。
【0561】
第1の部分MD’内のワイヤレスエネルギー受信機および/または通信受信機および/または送信機は、100kHz未満、より具体的には40kHz未満、より具体的には20kHz未満の周波数の電磁波を使用して、体外の外部装置からエネルギーを受信し、および/または体外の外部装置とワイヤレス通信するように構成され得る。したがって、第1の部分MD’のワイヤレスエネルギー受信機および/または通信受信機および/または送信機は、「超低周波」通信(VLF)を使用して外部装置と通信するように構成され得る。VLF信号は、埋め込み型通電医療装置のチタンハウジングを貫通する能力を有し、そのため、埋め込み型通電医療装置の電子機器は、チタンハウジング内に完全に封入することができる。加えて、または代替的に、第1の部分MD’と第2の部分MD’’との間の通信およびエネルギー伝達は、VLF信号を用いて行われてもよい。そのような実施の形態では、第1の部分MD’および第2の部分MD’’の(エネルギーおよび/または通信用の)受信機および送信機は、それに応じて構成される。
【0562】
次に、医療装置MDのいくつかの相対寸法を、
図28および
図29A~
図29Dを参照して説明する。しかしながら、これらの寸法は、医療装置MDの他の実施の形態にも適用され得ることを理解されたい。少なくとも1つの突出要素626は、第4の平面P4に垂直な方向において、当該方向における第1の部分MD’の高さH1よりも小さい高さHFを有してもよい。高さHFは、代替的に、前記方向における第1の部分MD’の前記高さH1の半分未満、前記方向における第1の部分MD’の前記高さH1の4分の1未満、または前記方向における第1の部分MD’の前記高さH1の10分の1未満であってもよい。
【0563】
第1の平面P1に垂直な方向における第1の部分MD’の高さH1は、前記方向における第2の部分MD’’の高さH2よりも小さくてもよく、例えば、前記方向における第2の部分MD’’の前記高さH2の半分未満、前記方向における第2の部分MD’’の前記高さH2の4分の1未満、または前記方向における第2の部分MD’’の前記高さH2の10分の1未満である。
【0564】
少なくとも1つの突出要素626は、第4の平面P4における直径DFが、第1の平面P1における第1の部分MD’の直径D1よりも小さい、第1の平面P1における第1の部分MD’の直径D1と等しい、および第1の平面P1における第1の部分MD’の直径D1よりも大きい、のうちの1つであることを有してもよい。同様に、第4の平面P4における少なくとも1つの突出要素626の断面積は、第1の平面P1における第1の部分の断面積よりも小さくてもよく、等しくてもよく、大きくてもよい。
【0565】
少なくとも1つの突出要素626は、第4の平面P4に垂直な方向における高さHFが、当該方向における連結部分MD-2の高さHCよりも小さくてもよい。ここで、連結部分MD-2の高さHCは、連結部分MD-2の一部を形成する少なくとも1つの突出要素を除いた高さとして定義される。高さHFは、代替的に、前記方向における連結部分MD-2の前記高さHCの半分未満、前記方向における連結部分MD-2の前記高さHCの4分の1未満、または前記方向における連結部分MD-2の前記高さHCの10分の1未満であってもよい。
【0566】
図29Dに示すように、第1の部分MD’は、接続部分MD-2の第3の断面積A3と等しいか、またはそれより小さい第1の断面積A1を有することができる。特に、第1の部分MD’は、連結部分MD-2が連結部分MD-2の第3の断面積よりも大きい付加的な断面積を提供する場合、組織の穴を通過するように意図された連結部分MD-2の第3の断面積よりも大きい断面積を必ずしも提供する必要はない。
図29Dに図示されるような第1の部分MD’は、エネルギー貯蔵ユニット、受信器、送信器などのような、図示されないが、本開示の他の箇所で議論される構成要素から構成され得る。
【0567】
図30A~
図30Bに示すように、少なくとも1つの突出要素626は、円板形状などの環状形状を有することができる。しかしながら、楕円形、細長い、および/または他の多面体形状もしくは不規則な形状も可能である。図示された実施の形態において、少なくとも1つの突出要素626は、連結部分MD-2の中心軸の周りを一回転して延びる。しかしながら、少なくとも1つの突出要素626が部分円セクタを構成する他の配置も可能である。複数の突出要素の場合、そのような複数の突出要素は複数の部分円セクタを構成することができる。
【0568】
図31A~
図31B、
図32A~
図32Bに示すように、連結部MD-2は、少なくとも2つの突出要素626、627から構成されてもよい。例えば、連結部分MD-2は、少なくとも3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個の突出要素から構成されてもよい。このような実施の形態において、少なくとも2つの突出要素626、627は、一緒になって第4の断面積を構成してもよく、したがって、第1の部分MD’および第2の部分MD’’が組織部分610の穴を通って移動するのを防止するのに必要な断面積を提供する。
【0569】
少なくとも2つの突出要素626、627は、
図31Aから
図31Bに示すように、連結部分MD-2の中心軸を中心として対称に配置されてもよく、
図32Aから
図32Bに示すように、連結部分MD-2の中心軸を中心として非対称に配置されてもよい。特に、少なくとも2つの突出要素626、627は、
図32A~
図32Bに示すように、連結部分MD-2の一方の側に向かって位置するように非対称に配置されてもよい。突出要素の配置により、医療装置MD、特に連結部分MD-2を、1つまたは複数の方向においてスペースが制限されている患者の領域に配置することができる。
【0570】
[ポップ・リベット・キット]
本開示の他の部分において遠隔ユニットと呼ばれ得る埋め込み可能な通電医療装置MDの1つのタイプまたは実施の形態は、ほとんどの患者に適合し得るが、埋め込み可能な通電医療装置MDまたは埋め込み可能な通電医療装置MDに組み立てられる部分MD’、MD’’の選択を提供することが必要であり得る。例えば、一部の患者は、個々の解剖学的構造に応じて、異なる長さ、形状、サイズ、幅または高さを必要とする場合がある。さらに、埋め込み可能な通電式医療装置MDのいくつかの部品または部分は、埋め込み可能な通電式医療装置のいくつかの異なるタイプまたは実施の形態の間で共通であってもよく、他の部品または部分は、交換可能または交換可能であってもよい。このような部品または部分には、エネルギー貯蔵装置、通信装置、流体接続部、機械的接続部、電気的接続部などが含まれ得る。
【0571】
柔軟性を提供し、使い勝手を向上させるために、部品のキットが提供されてもよい。キットは、好ましくは、1つまたは複数の第1の部分のグループ、1つまたは複数の第2の部分のグループ、および1つまたは複数の連結部分のグループから構成され、第1の部分、第2の部分、および連結部分は、本開示全体を通して記載されるように具体化される。グループの少なくとも1つは、前記それぞれの部分の少なくとも2つの異なるタイプからなる。用語「タイプ」によって、本明細書では、前記それぞれの部分の品種、クラス、または実施の形態が意味される。
【0572】
キットのいくつかの実施の形態では、1つまたは複数の第1の部分のグループ、1つまたは複数の第2の部分のグループ、および1つまたは複数の連結部分のグループは、完全な埋め込み可能な通電式医療装置に組み立てることができる別個の部品を構成する。したがって、埋め込み可能な通電式医療装置MDは、第1の部分MD’、第2の部分MD’’、および/または連結部分MD-2が、それぞれの部分の別のタイプと交換可能であるという点で、モジュール式であると言うことができる。
【0573】
図33を参照すると、埋め込み可能な通電医療装置MDを組み立てるためのキットは、1つまたは複数の第1の部分MD’のグループ650、図示の例では1つの第1の部分MD’のグループ、1つまたは複数の連結部分MD-2のグループ652、図示の例では3つの連結部分MD-2のグループ、および1つまたは複数の第2の部分MD’’のグループ654、図示の例では2つの第2の部分MD’’のグループからなる。簡単のため、第1の部分MD’、第2の部分MD’’および連結部分MD-2のすべての種類および組み合わせは、詳細に図示または説明しない。
【0574】
したがって、1つ以上の連結部分MD-2のグループ652は、3つの異なるタイプの連結部分MD-2から構成される。ここで、異なる種類の連結部分MD-2は、異なる高さを有する連結部分MD-2a、MD-2b、MD-2cからなる。さらに、1つ以上の第2部分MD’’のグループ654は、2つの異なる種類の第2部分MD’’からなる。
【0575】
ここで、異なるタイプの第2の部分MD’’は、本開示の他の部分に記載されているように、第1の端部および第2の端部を有する、接続部分に偏心して接続するように構成されている第2の部分MD’’aを含んでおり、第2の部分MD’’aの第2の端部は、医療装置MDが組み立てられたときに、患者内の埋め込み可能な通電された医療装置の位置から尾部方向に位置するインプラントに接続するための少なくとも1つの接続部を含んでいるか、またはそのように構成されている。図示の図では、少なくとも1つの接続部は、リード線またはワイヤとして視覚化されている。しかしながら、第2の端部が、電力、流体、および/または信号の伝送のためのポート、コネクタ、または他のタイプの接続要素から構成されることを含む、他の実施の形態も可能である。
【0576】
さらに、異なるタイプの第2の部分MD’’は、本開示の他の部分に記載されているように、第1の端部および第2の端部を有する、接続部分に偏心して接続するように構成されている第2の部分MD’’bを備え、第2の部分MD’’bの第1の端部は、医療装置MDが組み立てられたときに、患者における埋め込み可能な通電医療装置の位置から頭蓋方向に位置するインプラントに接続するための少なくとも1つの接続部を備えるか、またはそのように構成されている。図示の図では、少なくとも1つの接続部は、リード線またはワイヤとして視覚化されている。しかしながら、第1の端部が、電力、流体、および/または信号の伝達のためのポート、コネクタ、または他のタイプの接続要素から構成されることを含む、他の実施の形態も可能である。
【0577】
このように、埋め込み可能な通電式医療装置MDはモジュール式であってもよく、グループ652、654、656のそれぞれから第1の部分MD’、連結部分MD-2、および第2の部分MD’’を選択して組み合わせることにより、異なるタイプの医療装置MDを実現することができる。
【0578】
図示の実施例では、第1の部分MD’、連結部分MD-2a、および第2の部分MD’’aの選択により、第1の埋め込み可能な通電医療装置MDaが実現される。このような装置MDaは、連結部分MD-2aが、第1の部分MD’と第2の部分MD’’aとを連結するために厚い組織の層を通って延びることができる点で特に有利であり得る。別の埋め込み可能な通電医療装置MDbは、第1の部分MD’、連結部分MD-2c、および第2の部分MD’’bの選択によって実現される。このような装置は、連結部分MD-2cが連結部分MD-2aよりも小さいフットプリントを有する、すなわち患者においてより少ないスペースを占有するという点で特に有利であり得る。医療装置MDaおよびMDbのモジュール特性により、開業医または外科医は、患者の解剖学的構造を評価した上で、必要に応じて適切な接続部分を選択することができる。さらに、装置MDaおよびMDbは、共通のタイプの第1の部分MD’を共有するので、第2の部分MD’’a、MD’’bの場合のように、第2の部分MD’’の第1の端部または第2の端部にそれぞれ配置された異なる接続部を有する医療装置MDを実現するためだけに、開業医または外科医が、異なる第1の部分MD’の在庫(または、完全な組み立てられた医療装置MDの在庫)を維持する必要はない。
【0579】
図33に示された実施例は、モジュール式埋め込み可能な通電式医療装置MDのアイデアを表示するために例示したに過ぎない。つまたは複数の第1の部分MD’のグループ650は、第1のエネルギー貯蔵ユニットを有するかまたは有さない第1の部分、外部無線エネルギー送信機によって無線送信されるエネルギーを受信するための第1の無線エネルギー受信ユニットを有するかまたは有さない第1の部分、内部無線エネルギー送信機を有するかまたは有さない第1の部分、および/または本開示全体を通して説明されるような他の特徴など、様々な異なる特徴を含んでいてもよい。他の特徴には、第1の部分の異なる高さ、幅、または長さが含まれる。つ以上のこのような特徴を有する第1の部分MD’は、特定の形状または寸法と組み合わされて、様々な第1の部分を実現し得ることを理解されたい。接続部分MD-2および第2部分MD’’も同様である。
【0580】
[ポップ・リベット内部ワイヤレス]
図34を参照して、本開示の他の部分では遠隔ユニットと呼ばれることがある、埋め込み可能な通電式医療装置MDの実施の形態を説明する。医療装置MDは、患者の組織部分610によって定位置に保持されるように構成されている。医療装置MDは、組織部分610の第1の側に配置されるように構成された第1の部分MD’を備え、第1の部分MD’は、第1の平面P1において第1の断面積を有し、組織部分610の第1の側の第1の組織表面に面するおよび/または係合するように構成された第1の表面を備える。医療装置MDは、組織部分610の第2の側に配置されるように構成された第2の部分MD’’をさらに備え、第2の側は、第1の側に対向し、第2の部分MD’’は、第2の平面における第2の断面積を有し、組織部分610の第2の側の第2の組織表面に係合するように構成された第2の表面を備える。医療器具MDは、組織部分610の第1の側面と第2の側面との間に延びる組織部分610の穴を通して配置されるように構成された連結部分MD-2をさらに備える。ここで、連結部分MD-2は、第3の平面における第3の断面積を有する。連結部分MD-2は、第1の部分MD’を第2の部分MD’’に連結するように構成されている。ここで、第1の部分MD’は、外部の無線エネルギ送信器によって無線送信されたエネルギを受信するための第1の無線エネルギ受信器308aと、第2の部分にエネルギを無線送信するように構成された内部の無線エネルギ送信器308aとを備える。さらに、ここでは、第2の部分は、内部無線エネルギ送信器308aによって無線送信されたエネルギを受信するように構成された第2の無線エネルギ受信器308bを備える。
【0581】
本開示では、受信器および送信器が別々に議論され、図示されることがあるが、受信器および/または送信器は、トランシーバ内に構成されてもよいことを理解されたい。さらに、第1の部分MD’および第2の部分MD’’のそれぞれの受信器および/または送信器は、データを含むエネルギーおよび/または通信信号を受信または送信するように構成された単一の受信ユニットまたは送信ユニットの一部を形成してもよい。さらに、内部無線エネルギー送信機および/または第1の無線通信受信機/送信機は、接続部分MD-2および第2の部分MD’’に近い第1の部分MD’の下部に配置された別個のユニット308cであってもよい。このような配置は、ユニット308cによって送信されるエネルギーおよび/または通信信号が、第2の部分MD’’に送信されるときに第1の部分MD’の内部構成要素によって減衰されないことを提供し得る。そのような内部構成要素は、第1のエネルギー貯蔵ユニット304aを含み得る。
【0582】
第1の部分MD’は、第1の無線エネルギー受信機308aに接続された第1のエネルギー貯蔵ユニット304aからなる。第2の部分は、第2のワイヤレスエネルギー受信機308bに接続された第2のエネルギー蓄積ユニット304bからなる。このようなエネルギー貯蔵ユニットは、塩化チオニル電池のような固体電池であってもよい。
【0583】
いくつかの実施の形態において、第1のワイヤレスエネルギー受信機308aは、外部ワイヤレスエネルギー送信機によってワイヤレス送信されたエネルギーを受信し、受信したエネルギーを第1のエネルギー蓄積ユニット304aに蓄積するように構成される。さらに、内部ワイヤレスエネルギー送信器308aは、第1のエネルギー蓄積ユニット304aに蓄積されたエネルギーを第2のワイヤレスエネルギー受信器308bにワイヤレス送信するように構成され、第2のワイヤレスエネルギー受信器308bは、内部ワイヤレスエネルギー送信器308aによってワイヤレス送信されたエネルギーを受信し、受信したエネルギーを第2のエネルギー蓄積ユニット305bに蓄積するように構成される。
【0584】
第1のエネルギー貯蔵ユニット304aは、第2のエネルギー貯蔵ユニット304bよりも少ないエネルギーを貯蔵するように構成されてもよく、および/または第2のエネルギー貯蔵ユニット304bよりも速く充電されるように構成されてもよい。これにより、第1のエネルギー貯蔵ユニット304aの充電は比較的速く行われ、一方、第1のエネルギー貯蔵ユニット304aから第2のエネルギー貯蔵ユニット304bへのエネルギーの移動は比較的遅く行われることがある。したがって、ユーザは、第1のエネルギー貯蔵ユニット304aを迅速に充電することができ、そのような充電の間、例えば特定の場所で、外部の無線エネルギー送信機に接続されることによって長時間制限されることはない。第1のエネルギー貯蔵ユニット304aを充電した後、第1の無線エネルギー送信機308a、308cおよび第2の無線エネルギー受信機308bを介して、エネルギーが第1のエネルギー貯蔵ユニット304aから第2のエネルギー貯蔵ユニット304bにゆっくりと移動する間、使用者は自由に移動することができる。
【0585】
第1の部分は、少なくとも1つの処理ユニット306aを含む第1のコントローラを構成することができる。第2の部分は、少なくとも1つの処理ユニット306bを含む第2のコントローラから構成されてもよい。第1および第2の処理ユニット306a、306bの少なくとも一方は、外部装置と無線通信するための無線トランシーバ308a、308b、308cに接続されていてもよい。
【0586】
第1のコントローラは、外部装置からおよび/または第2の部分MD’’内の無線通信送信機308bから無線通信を受信するために、第1の部分MD’内の第1の無線通信受信機308a、308cに接続されてもよい。さらに、第1のコントローラは、第2の部分MD’’内の第2のワイヤレス通信受信機308bにワイヤレス通信を送信するために、第1の部分MD’内の第1のワイヤレス通信送信機308a、308cに接続されてもよい。第2のコントローラは、第1の部分MD’からの無線通信を受信するために、第2の無線通信受信機308bに接続されてもよい。第2のコントローラはさらに、第1の部分MD’に無線通信を送信するための第2の無線通信送信機308bに接続されてもよい。いくつかの実施の形態では、第1のワイヤレスエネルギー受信機308aは第1のコイルからなり、ワイヤレスエネルギー送信機308a、308cは第2のコイルからなる。
【0587】
[ポップ・リベット・シューズ]
図30、
図38Aおよび
図38Bを参照して、本開示の他の部分では遠隔ユニットと呼ばれることがある埋め込み可能な通電式医療装置MDの実施の形態について説明する。医療装置MDは、患者の組織部分610によって定位置に保持されるように構成されている。医療装置MDは、組織部分610の第1の側面612に配置されるように構成された第1の部分MD’を備え、第1の部分MD’は、第1の平面P1において第1の断面積A1を有し、組織部分610の第1の側面612の第1の組織表面616に面するおよび/または係合するように構成された第1の表面614を備える。医療装置MDは、組織部分610の第2の側面618に配置されるように構成された第2の部分MD’’をさらに備え、第2の側面618は、第1の側面612に対向し、第2の部分MD’’は、第2の平面P2における第2の断面積A2を有し、組織部分610の第2の側面618の第2の組織表面622に係合するように構成された第2の表面620を備える。医療器具MDは、組織部分610の第1および第2の側面612、618の間に延在する組織部分610の穴を通して配置されるように構成された連結部分MD-2をさらに備える。ここで、連結部分MD-2は、第3の平面P3において第3の断面積A3を有する。連結部分MD-2は、第1の部分MD’を第2の部分MD’’に連結するように構成されている。図示の実施の形態では、連結部分MD-2と第2の部分MD’’との間の連結界面630は、第2の部分MD’’に対して偏心している。
【0588】
第1の部分MD’は、
図1の図示された実施の形態では細長い形状を有する。同様に、第2の部分MD’’は細長い形状を有する。しかしながら、第1の部分MD’および/または第2の部分MD’’は、例えば、高さよりも大きい幅および長さを有する平坦な円盤、球体、楕円体、または任意の他の多面体もしくは不規則な形状などの他の形状を有してもよく、これらのいくつかは、
図30~
図37に例示されている。
【0589】
図38Aおよび
図38Bに示されるように、連結部分MD-2と第2の部分MD’’との間の連結界面630は、第1の方向631において第2の部分MD’’に対して偏心していてもよいが、第1の方向に垂直な第2の方向633においては偏心していなくてもよい。第1の方向631は、ここでは、線A-A、第2の平面P2、および第2の部分MD’’の長さに平行である。第2の方向633は、ここでは、線B-Bに平行であり、第2の平面P2に平行であり、第2の部分MD’’の幅に平行である。接続部分MD-2と第2の部分MD’’との間の接続界面が、第2の部分MD’’に対して、第1の方向631だけでなく、第1の方向631に垂直な第2の方向633においても偏心していることも可能である。
【0590】
同様に、連結部分MD-2と第1の部分MD’との間の連結界面は、第1の部分MD’に対して第1の方向631および/または第2の方向633に偏心していてもよい。
【0591】
第1の部分MD’、連結部分MD-2および第2の部分MD’’は、構造的に一体的なユニットを形成することができる。しかしながら、第1の部分MD’および連結部分MD-2が構造的に1つの一体的なユニットを形成する一方で、第2の部分MD’’が別個のユニットを形成すること、または第2の部分MD’’および連結部分MD-2が構造的に1つの一体的なユニットを形成する一方で、第1の部分MD’が別個のユニットを形成することも可能である。
【0592】
さらに、または代替的に、第2の部分MD’’は、取り外し可能および/または交換可能な部分639を含んでよい。いくつかの実施の形態において、取り外し可能部分639は、遠位領域の一部を形成し得る。取り外し可能な部分はまた、近位領域の一部を形成してもよい。したがって、第2の部分MD’’は、少なくとも2つの取り外し可能な部分を含んでよく、各々は、第2の部分MD’’のそれぞれの端部に配置される。取り外し可能部分639は、本開示の他の部分に記載されているように、歯車、モーター、接続部、リザーバなどの医療装置MDの1つまたはいくつかの機能部分を収容、保持、または構成することができる。このような取り外し可能部分639を有する実施の形態は、特定の患者の状況に応じて必要に応じて変更することができる。
【0593】
第1部分MD’、連結部分MD-2および第2部分MD’’が構造的に一体化されたユニットを形成する場合、連結部分MD-2と第2部分MD’’との間の偏心連結界面は、第2部分MD’’に対して、医療装置MDを組織部分の穴に挿入できるようにする。医療機器MDは、例えば、足を靴に挿入する方法と同様に、第2部分MD’’の大部分または全部が孔を通過できるように角度を付けて孔に挿入され、その後、第2部分MD’’の残りの部分が孔を通過できるように角度を付けられ、回転され、および/または揺動され、医療機器MDが意図された位置になるようにされる。
【0594】
図30、
図36および
図37に示されるように、第1の部分MD’は、長円形、平らな円盤形、球形、または任意の他の多面体形状もしくは不規則な形状などの様々な形状をとることができる。同様に、第2の部分MD’’は、長円形、平らな円盤形、球形、または他の任意の多面体または不規則な形状などの様々な形状を想定することができる。第1および第2の部分MD’、MD’’の提案された形状は、例示された実施の形態に例示されない実施の形態を形成するために混合され、組み合わされてもよい。例えば、第1および第2の部分MD’、MD’’の一方または両方は、平坦な長円形状を有してもよい。この文脈において、「平坦」という用語は、第1または第2の部分MD’、MD’’の高さ、すなわち、連結部分MD-2の中心延長部C1に平行な方向における高さに関連する。長方形」という用語は、第1または第2の部分MD’、MD’’の長さに関連する。
【0595】
図38A~
図38Bを参照すると、第2の部分MD’’は、第1の端部632と、第1の端部632に対向する第2の端部634とを有する。第2の部分MD’’の長さは、第1の端部632と第2の端部634との間の長さとして定義される。第2の部分MD’’の長さは、さらに、連結部分MD-2の中心延長部C1とは異なる方向に延びている。第1の端部632および第2の端部634は、第2の平面P2に平行な方向に離間している。同様に、第1の部分MD’は、第1の端部と第2の端部との間の長さを有し、その長さは、接続部分MD-2の中心延長部C1とは異なる方向に延びている。
【0596】
第2の部分MD’’は、その長さに沿って湾曲していてもよい。例えば、第2の部分MD’’の一端または両端は、第2の平面P2とは実質的に異なる方向、すなわち、移植されたときに組織部分から離れる方向または組織部分に向かって湾曲する方向を指すことがある。いくつかの実施の形態において、第2の部分MD’’は、第2の平面P2内で、排他的に、または他の平面での湾曲と組み合わせて湾曲する。第2の部分MD’’はまた、1つ以上の方向、すなわち、その長さに沿っておよびその幅に沿って湾曲することができ、幅は長さに垂直な方向に延びる。
【0597】
第2の部分MD’’の第1および第2の端部632、634はそれぞれ、楕円形の点を構成してもよい。例えば、第1および第2の端部632、634はそれぞれ半球状のエンドキャップを構成してもよい。第1の部分MD’の第1および第2の端部もそのような特徴を有してよいことを理解されたい。
【0598】
第2の部分MD’’は、
図30に示されるように、第1の端部632と第2の端部634との間の長さに沿って少なくとも1つの円形断面を有することができる。しかしながら、第2の部分MD’’が、第1の端部632と第2の端部634との間の長さに沿って、少なくとも1つの楕円形断面または少なくとも1つの楕円形断面を有することも可能である。このような断面形状は、第2の部分MD’’の幅方向における端部間にも存在し得る。同様に、このような断面形状は、第1の部分MD’の長さ方向および/または幅方向における端部間にも存在し得る。
【0599】
以下の段落では、第2部分MD’’のいくつかの特徴および特性について説明する。しかしながら、これらの特徴および特性は、第1の部分MD’にも適用され得ることを理解されたい。
【0600】
第2の部分MD’’は、近位領域636、中間領域638、および遠位領域640を有する。近位領域636は、第1の端部632から連結部分MD-2と第2の部分MD’’との間の界面まで延び、中間領域638は、連結部分MD-2と第2の部分MD’’との間の連結界面630によって画定され、遠位領域640は、連結部分MD-2と第2の部分MD’’との間の連結界面630から第2の端部634まで延びる。近位領域636は、第2部分の長さに関して、すなわち長さ方向631に関して、遠位領域640よりも短い。したがって、第2の部分MD’’には、かかと(近位領域)とつま先(遠位領域)とが存在する。
【0601】
組織部分610の第2の側面618の第2の組織表面622と係合するように構成された第2の表面620は、近位領域636および遠位領域640の一部である。第2の部分MD’’の長さをxと定義し、第2の部分MD’’の幅を、互いに垂直であり第2の平面P2に実質的に平行であるそれぞれの長さ方向および幅方向631、633に沿ってyと定義すると、接続部分MD-2と第2の部分MD’’との間の接続界面は、x>0からx<x/2まで、および/または、y>0からy<y/2まで延びる領域内に含まれ、xおよびyおよび0は、前記長さ方向および幅方向に沿った第2の部分MD’’のそれぞれの端点である。換言すれば、連結部分MD-2と第2の部分MD’’との間の連結界面は、第2の部分MD’’にヒールとトウとが形成されるように、第2の部分MD’’に対して少なくとも一方向に偏心している。
【0602】
組織部分610の第1の側面612の第1の組織表面616に面するおよび/または係合するように構成された第1の表面614は、実質的に平坦であってよい。換言すれば、第1の部分MD’は、組織部分610の方を向いた実質的に平坦な面を含んでよい。さらに、組織部分610から離れる方を向いた第1の部分MD’の対向面は、実質的に平坦であってもよい。同様に、組織部分610の第2の側面618の第2の組織表面622に係合するように構成された第2の表面620は、実質的に平坦であってよい。換言すれば、第2の部分MD’’は、組織部分610の方を向いた実質的に平坦な面を含んでよい。さらに、組織部分610から離れる方を向いた第2の部分MD’’の対向面は、実質的に平坦であってもよい。
【0603】
第2の部分MD’’は、第1の端部632から第2の端部634に向かってテーパー状であってもよく、したがって、第2の部分MD’’に、第2の部分MD’’の長さに沿って異なる高さおよび/または幅を与える。第2の部分はまた、第1の端部632および第2の端部634の各々から第2の部分MD’’の中間領域638に向かってテーパー状であってもよい。
【0604】
次に、第1の部分MD’、第2の部分MD’’および連結部分MD-2のいくつかの寸法を開示する。以下の数値間隔の開示のいずれは、前記間隔の端点を含んでも含まなくてもよい。
【0605】
第1の部分MD’は、10~60mmの範囲、例えば10~40mmの範囲、例えば10~30mmの範囲、例えば10~25mmの範囲、例えば15~40mmの範囲、例えば15~35mmの範囲、例えば15~30mmの範囲、例えば15~25mmの範囲の最大寸法を有することができる。最大寸法」という用語は、あらゆる方向における最大の寸法を意味する。
【0606】
第1の部分MD’は、10~60mmの範囲の直径、例えば10~40mmの範囲の直径、例えば10~30mmの範囲の直径、例えば10~25mmの範囲の直径、例えば15~40mmの範囲の直径、例えば15~35mmの範囲の直径、例えば15~30mmの範囲の直径、例えば15~25mmの範囲の直径を有することができる。
【0607】
連結部MD-2は、第3平面P3における最大寸法が、2~20mmの範囲、例えば2~15mmの範囲、例えば2~10mmの範囲、例えば5~10mmの範囲、例えば8~20mmの範囲、例えば8~15mmの範囲、例えば8~10mmの範囲であってもよい。
【0608】
第2の部分MD’’は、30~90mmの範囲、例えば30~70mmの範囲、例えば30~60mmの範囲、例えば30~40mmの範囲、例えば35~90mmの範囲、例えば35~70mmの範囲、例えば35~60mmの範囲、例えば35~40mmの範囲の最大寸法を有することができる。
【0609】
第1の部分は第1の高さH1を有し、第2の部分は第2の高さH2を有し、両方の高さは第1および第2の平面P1,P2に垂直な方向である。第1の高さは第2の高さより小さくてもよい。しかしながら、
図36A~
図38Bに示される実施の形態では、第1の高さH1は、第2の高さH2と実質的に等しい。他の高さ比も可能であり、例えば、第1の高さH1は、第2の高さH2の2/3未満、例えば、第2の高さH2の1/2未満、例えば、第2の高さH2の1/3未満、例えば、第2の高さH2の1/4未満、例えば、第2の高さH2の1/5未満、例えば、第2の高さH2の1/10未満であってもよい。
【0610】
図38A~
図38Bに示されるように、近位領域636は、遠位領域640の長さ646よりも小さい長さ642を有する。中間領域638は、長さ644、および幅648を有する。いくつかの実施の形態において、中間領域638の長さ644は、幅648よりも大きい。換言すれば、接続部分MD-2と第2の部分MD’’との間の接続界面は、より長い寸法(例示的な場合には、長さ)とより短い寸法(例示的な場合には、幅)とを有する細長いものであってもよい。中間領域638の長さ644が中間領域638の幅648よりも短いことも可能である。
【0611】
遠位領域640の長さ646は、中間領域638の長さ644よりも大きいことが好ましいが、等しく長い遠位領域640および中間領域638、または中間領域638よりも短い遠位領域640も可能である。近位領域636の長さ642は、中間領域638の長さ644より小さくてもよく、中間領域638の長さ644と等しくてもよく、中間領域638の長さ644より大きくてもよい。
【0612】
中間領域638の長さ644は、好ましくは、第2の部分MD’’の長さの半分未満、すなわち、近位領域636、中間領域638、および遠位領域630の組み合わせられた長さの半分未満である。いくつかの実施の形態において、中間領域638の長さ644は、第2の部分MD’’の長さの3分の1未満、例えば、第2の部分MD’’の長さの4分の1未満、5分の1未満、または10分の1未満である。
【0613】
接続部分は、第3の平面P3に平行な平面において、楕円形の断面、細長い断面、および円形の断面のうちの1つを有することができる。特に、連結部分は、中央延長部C1において、その長さに沿って複数の異なる断面形状を有してもよい。
【0614】
いくつかの実施の形態では、遠位領域640は、医療装置MDが埋め込まれたときに、立った患者の下方に、すなわち尾骨方向に向けられるように構成される。
図39A~
図39Dに示されるように、第1の部分MD’に対する第2の部分MD’’の異なる向きが可能である。いくつかの実施の形態では、第1の部分MD’と連結部分MD-2との間の接続、または第2の部分MD’’と連結部分MD-2との間の接続は、複数の異なる接続方向を可能にし得る。例えば、第1の部分MD’と接続部分MD-2との間の接続機構(または第2の部分MD’’と接続部分MD-2との間の接続機構)は、第2の部分MD’が第1の部分MDに対して4つの異なる位置に設定されることを可能にするために、90度の回転対称性を有することができる。もちろん、30度、45度、60度、120度、180度など、他の回転対称度も可能である。他の実施の形態では、第1の部分MD’、連結部分MD-2、および第2の部分MD’’のいずれの間にも連結機構は存在せず(すなわち、部分は1つの一体型ユニットとして作製される)、そのような場合、医療装置MDの異なる変形を製造中に達成することができる。他の実施の形態では、第1の部分MD’と連結部分MD-2との間(または第2の部分MD’’と連結部分MD-2との間)の連結機構は非可逆的であり、すなわち、第1の部分MD’および第2の部分MD’’は、最初は別個の部品として取り扱われ得るが、第1の部分MD’に対する第2の部分MD’’の向きは、一旦選択され、連結部分MD-2を介して部品が連結されると、変更することができない。
【0615】
第1の部分MD’に対する第2の部分MD’’の異なる向きは、第2の部分MD’’の長さ方向が第1の部分MD’の長さ方向に対して関係または角度を有するものとして定義することができる。このような角度は、15度、30度、45度、60度、75度、90度、105度、120度、135度、150度、165度、180度、195度、210度、225度、240度、255度、270度、285度、300度、315度、330度、345度、または360度であってよい。特に、第1の部分MD’と第2の部分MD’’との間の角度は、医療器具MDが埋め込まれたときに、平面P1およびP2における角度として、または組織部分610に平行な平面における角度として定義され得る。
図39A~
図39Dに示される実施の形態では、第2の部分MD’’の長さ方向は、第1の部分MD’の長さ方向に対して0度、90度、180度、および270度だけ角度が付けられている。
【0616】
ここで
図39E-K、
図39M、
図39N、
図39Pおよび
図39Qを参照する。以下では、第1の部分MD’のいくつかの特徴、および場合によっては連結部分MD-2の追加的または代替的な特徴について説明するが、これらの特徴は、第1の部分MD’が第1の平面においてその断面積を増大させること(すなわち、第1の組織表面に面するように構成された第1の表面の面積を増大させること)を可能にし、および/または第1の部分MD’が連結部分MD-2に対して回転、並進、または他の方法で移動されることを可能にする。いくつかの実施の形態において、第1の部分MD’は、第1の面内または第1の面内で連結部分MD-2からさらに離れるように延びるように構成される。これらの特徴は、埋め込み可能な通電医療装置の他の特徴と組み合わせることができることを理解されたい。特に、図示された実施の形態における第1の部分、連結部分および/または第2の部分の特定の形状は、単に例示的なものである。本開示で論じるように、他の形状も可能である。したがって、細長い第2の部分MD’’は、例えば
図39Eに示すように必ずしも細長い必要はなく、さらに、第1の部分MD’は、必ずしも半円形の形状を有する必要はない。
【0617】
図39Eを参照すると、埋め込み可能な通電式医療装置MDが示されており、第1の部分MD’は、第1の部分MD’の端部710が第1の方向631に関して連結部分MD-2と実質的に整列するように構成されかつ形作られている。言い換えれば、第1の部分MD’のどの部分も、第1の方向631に関して連結部分MD-2の前方に突出していない。これにより、第2の部分MD’’の大部分または全部が組織の穴を通って挿入されるまで、第1の部分MD’が組織と接触しないので、特に下方に角度が付けられた場合に、埋め込み可能な通電医療装置MDの挿入が容易になり得る。縁部710は、第1の部分MD’の他の縁部と同様に、半径を有さないものとしてここに示されているが、半径を有する縁部が可能である。したがって、縁部710は、半径を有してもよく、および/または、第1の部分MD’、および/または、第2の部分MD’’、および/または、連結部分MD-2は、半径を有する縁部を構成してもよい。
【0618】
図39Fおよび
図39Gを参照すると、第1の部分MD’は、その表面積が増大するように構成されていることが示されている。ここでは、第1の断面積が増大され、それによって、第1の組織表面に面するように構成された(いくつかの実施の形態では、接触するようにも構成された)第1の表面の面積が増大される。図示された実施の形態では、第1の部分MD’は、第1の要素712と、第1の要素712が第2の要素714の上に配置される第1の状態(図示せず)と、第1の要素712が第2の要素714に隣接または隣接して配置されるように折り畳まれる第2の状態とをとることができるように蝶番状に相互接続される第2の要素714とを備える。同様の構成は、第1の要素712と第2の要素714との間の他の相互接続手段によって達成されてもよく、すなわち、構成はヒンジタイプの接続に限定されない。例えば、第1の要素712および第2の要素714は、それぞれ第1の状態および第2の状態をとるためにそれ自体の上に折り重ねることができるように十分に柔軟である一片の材料で構成されてもよい。
【0619】
好ましくは、第1および第2の要素712、714は相互接続され、第1の方向631に沿った第1および第2の要素712、714の間の移行が面一になるように形成される。さらに、第1の状態にある間、第1の部分MD’は、
図39Eと併せて論じたのと同じ特徴を有していてもよく、すなわち、第1の部分MD’は、連結部分MD-2と実質的に整列していてもよい。
【0620】
図39Hおよび
図39Iを参照すると、第1の部分MD’は、その表面積が増大するように構成されていることが示されている。ここでは、第1の断面積が増大され、それによって、第1の組織表面に面するように構成された(いくつかの実施の形態では、接触するようにも構成された)第1の表面の面積が増大される。図示された実施の形態では、第1の部分MD’は、第1の要素712と第2の要素714とを備える。第2の要素714は、ここでは、第1の要素712を部分的にまたは完全に収容するように構成されたスロット715を備える。第1の要素712は、第1の要素712がスロット715内に部分的にまたは完全に収容される第1の状態と、第1の要素712がスロット715から突出して第1の断面積を増大させる第2の状態とをとるように、軸を中心に回転するように構成される。第1の要素712は、軸を中心に180度回転するように構成されてもよい。図示の例では、第1および第2の要素712、714は、半円の形状であり、第2の状態において完全な円に適合する形状を形成する。しかしながら、第1の要素712が軸を中心に90度までしか回転せず、したがって第2の状態において円の4分の3に適合する形状を形成することも可能である。他の形状、例えば多角形も可能である。
【0621】
図39Jおよび
図39Kを参照すると、
図39Hおよび
図39Iを参照して説明したのと同様の構成が示されている。しかしながら、ここでは、第2の要素714はスロットを構成せず、したがって、第1の要素はスロット内に収容されない。その代わりに、第1の要素712は第2の要素714の上に配置される(
図39Fおよび
図39Gの実施の形態と同様)。第1の部分MD’は、ここでは、その表面積が増大するように構成され、特に、第1の断面積が増大し、それによって、第1の組織表面に面するように構成された(いくつかの実施の形態では、接触するようにも構成された)第1の表面の面積が増大する。第1の要素712は、第1の状態をとるために軸を中心に回転するように構成され、第1の要素712は、部分的にまたは完全に第2の要素714の上に配置される。ここで、「完全に上に配置される」とは、第1の要素712が第2の要素714の境界内に閉じ込められることを意味する。第1の要素712の軸を中心とする回転によって、第1の要素712は、第1の要素712が第2の要素714の縁または境界を越えて突出し、第1の断面積を増大させる第2の状態をとることができる。第1の要素712は、軸を中心に180度回転するように構成されてもよい。しかしながら、第1の要素712が軸を中心に90度までしか回転しないことも可能である。第1および第2の要素712、714の他の形状、例えば多角形も可能である。
【0622】
図39Mおよび
図39Nを参照すると、第1の部分MD’は、その表面積が増大するように構成されることが示されている。ここでは、第1の断面積が増大され、それによって、第1の組織表面に面するように構成された(いくつかの実施の形態では、接触するようにも構成された)第1の表面の面積が増大される。図示された実施の形態では、第1の部分MD’は、第1の要素712と第2の要素714とを備える。ここで第1の要素712は、第2の要素714を部分的にまたは完全に収容するように構成されたスロットを備える。第1の要素712は、
図39Mに示されるように、第2の要素714が第1の要素712のスロット内に部分的にまたは完全に配置される第1の状態と、
図39Nに示されるように、第1の要素712が第1の方向に移動されて第2の要素714が第1の要素712のスロットから突出し、第1の要素712が第1の平面内で連結部分MD-2からさらに離れるように延びる第2の状態とをとるように構成される。理解されるように、他の変形が可能であり、例えば、第2の要素714がスロットを構成してもよく、第1の要素712がそのようなスロット内に部分的にまたは完全に収容されてもよく、その後、第1の要素712または第2の要素714がそのようなスロットから突出するように移動されてもよい。
【0623】
図39Pおよび
図39Qを参照すると、第1の部分MD’が連結部分MD-2に対して移動されるように構成されているのが示されている。移動されるように構成されている」という表現は、この文脈では、第1の部分MD’が、接続部分MD-2に直接接触したまま、接続部分MD-2に対して少なくとも2つの異なる位置をとるように構成されていると解釈することができる。ここで、連結部分MD-2は突出要素717からなり、第1の部分MD’はスロット718からなり、突出要素717は、所定の経路に沿って、例えば、第1の方向および前記第1の方向とは反対の方向に、スロット718内をスライドするように構成される。突出要素717は、突出要素717が予め設定された位置においてのみスロット718から取り外すことができるように、スロット718内でインターロックされるように構成されてもよい。他の実施の形態では、突出要素717は、スロット718内に恒久的に封入されてもよい。第1の部分MD’を第1の方向にスライドさせることにより、連結部分MD-2に対する第1の平面内の第1の部分MD’の延長を調整することができる。スロット718の端点間の任意の位置が、第1の部分MD’によって想定され得る。特に、第1の部分MD’および/または連結部分MD-2は、連結部分MD-2に対する第1の部分MD’の位置を固定するように構成されたロック機構を含んでいてもよい。このようなロック機構は、第1の部分MD’および連結部分MD-2を互いに対して固定された位置に維持するために、可撓性部分が互いに対してバイアスされることに依存し得る。他の可能なロック機構には、摩擦の使用、スナップロック手段などが含まれる。
【0624】
第2の部分MD’’の第2の端部634は、患者における埋め込み可能な通電された医療装置MDの位置から尾方向に位置するインプラントに接続するための1つまたは複数の接続部を構成することができる。これにより、医療装置MDが患者に埋め込まれるとき、好ましくは、遠位領域640および第2の端部634が、立っている患者において下方を向いているとき、第1の端部632が頭蓋方向を向いているのに対して、第2の端部634が尾部方向を向いているため、接続部はインプラントに近くなる。第2の部分MD’’の第2の端部634がインプラントに接続するように構成されることも可能であり、すなわち、第2の端部634は、電力、流体および/または信号を伝送するためのポート、コネクタまたは他のタイプの接続要素を構成することができる。
【0625】
同様に、第2の部分MD’’の第1の端部632は、患者における埋め込み可能な通電された医療装置MDの位置から頭蓋方向に位置するインプラントに接続するための1つまたは複数の接続部を構成することができる。これにより、医療装置MDが患者に埋め込まれるとき、好ましくは、遠位領域640および第2の端部634が、立っている患者において下方を向いているとき、第1の端部632が頭蓋方向を向いているのに対し、第2の端部634が尾骨方向を向いているため、接続部はインプラントに近くなる。第2の部分MD’’の第1の端部632がインプラントに接続するように構成されることも可能であり、すなわち、第1の端部632は、電力、流体および/または信号を伝送するためのポート、コネクタまたは他のタイプの接続要素を構成することができる。
【0626】
[ポップ・リベット・クロス]
図40および
図41を参照して、本開示の他の部分において遠隔ユニットと呼ばれることがある埋め込み可能な通電医療装置MDの実施の形態について説明する。医療装置MDは、患者の組織部分610によって定位置に保持されるように構成されている。医療装置MDは、組織部分610の第1の側面612に配置されるように構成された第1の部分MD’を備え、第1の部分MD’は、第1の平面P1における第1の断面積を有し、組織部分610の第1の側面612上の第1の組織表面616に面するおよび/または係合するように構成された第1の表面614を備える。医療装置MDは、組織部分610の第2の側618に配置されるように構成された第2の部分MD’’をさらに備え、第2の側618は、第1の側612に対向し、第2の部分MD’’は、第2の平面における第2の断面積を有し、組織部分610の第2の側618上の第2の組織表面622に係合するように構成された第2の表面620を備える。医療器具MDは、組織部分610の第1および第2の側面612、618の間に延びる組織部分610の穴を通して配置されるように構成された連結部分MD-2をさらに備える。ここでの連結部分MD-2は、第3の平面における第3の断面積を有する。連結部分MD-2は、第1の部分MD’を第2の部分MD’’に連結するように構成されている。
【0627】
図42を参照すると、第1の断面積は、第1の断面距離CD1aと第2の断面距離CD2aとを有し、第1および第2の断面距離CD1a,CD2aは互いに垂直であり、第1の断面距離CD1aは第2の断面距離CD2aよりも長い。さらに、第2の断面積は、第1の断面距離CD1bおよび第2の断面距離CD2bを有し、第1および第2の断面距離CD2a、CD2bは互いに垂直であり、第1の断面距離CD1bは第2の断面距離CD2bよりも長い。第1の断面積の第1の断面距離CD1aおよび第2の断面積の第1の断面距離CD1bは、組織部分610の孔を通る第2の部分MD’’の挿入を容易にするために、45度を超える角度だけ互いに対して回転変位する。
図42に示される実施の形態では、回転変位は90度である。
【0628】
第1の部分MD’および第2の部分MD’’の回転変位は、十字のような構造を形成し、組織部分610の孔を通る挿入が容易になり、組織部分610の孔に一旦位置決めされると、確実な位置が達成され得るという点で特に有利である。特に、第2の部分MD’’が、その第1の断面距離CD1bが組織部分610の孔611の長さの延長に沿って延びるように、医療器具MDが位置決めされる場合、孔611を通る第2のポーションMD’’の挿入が容易になり得る。さらに、第1の部分MD’の第1の断面距離CD1aが孔611の長さの延長線に対して変位するように、第1の部分MD’が第2の部分MD’’に対して次に変位する場合、第1の部分MD’は、組織部分の孔611を通って移動することを防止され得る。このような場合、組織部分の穴611が長円形、楕円形、または少なくとも一方向の寸法が他方向の寸法よりも長いと特に有利である。組織部分におけるこのような長円形の孔は、例えば、繊維方向を有する組織において形成され得、孔の最長寸法は、繊維方向と整列され得る。
【0629】
図40に示される実施の形態では、第1の部分MD’の第1の表面614は平坦であり、したがって、第1の組織表面616に対してより大きな接触面を提供し、その結果、組織部分に対する圧力がより小さくなる。より安定した位置もまた、平坦な表面によって達成され得る。また、第2の部分MD’’の第2の表面620は、平坦であってもよい。しかし、本開示の他の部分に記載されているような他の形状も可能である。
【0630】
図42に示すように、連結部分MD-2は、第3平面において細長い断面を有することができる。連結部分MD-2が幅648よりも長い長さ644を有し、前記長さ644が第2の部分MD’’の長さ方向と同じ方向に、すなわち第2の部分MD’’の伸長方向と同じ方向に延びていると特に有利であり得る。これにより、連結部分MD-2の伸びは、組織部分の穴の伸びと同じ方向に走ることができる。
【0631】
図43を参照すると、第1の断面積の第1の断面距離と第2の断面積の第1の断面距離の回転変位が、ここでは約45度の角度で示されている。したがって、第1の部分MD’の長さ方向633と第2の部分MD’’の長さ方向631との間に、第1、第2および第3の平面において、回転変位が存在する。回転変位の他の角度、例えば、60度、75度、90度、105度、120度、135度などが可能である。
【0632】
同一の装置MDは、第1の部分MD’および第2の部分MD’’の回転変位に関していくつかの異なる配置を想定することができる。特に、これは、第1の部分MD’および/または第2の部分MD’’が、相互接続部分MD-2に着脱可能に接続するように構成される場合に可能である。例えば、第1の部分MD’と連結部分MD-2との間の連結機構、または第2の部分MD’’と連結部分MD-2との間の連結機構は、第1の部分MD’が連結部分MD-2に対して異なる位置に設定され、拡張して第2の部分MD’’に対しても異なる位置に設定されることを可能にする回転対称性を有することができる。同様に、このような回転対称性は、第2の部分MD-2’’が、連結部分MD-2に対して異なる位置に設定され、第1の部分MD’に対して拡張することも可能にする。
【0633】
図44A~
図44Cを参照して、組織部分610における医療器具MDの挿入手順について説明する。医療器具MDは、第2の部分MD’’の長さ方向631が穴611の中に下方を向くように配向され得る。好ましくは、第2の部分MD’’は、孔611の縁に近接して挿入されるように配置される。次いで、第2の部分MD’’は、第1の部分MD’が第1の組織表面616に接する点まで、孔611を通って部分的に挿入され得る。ここで、上述したように、第1の部分MD’と第2の部分MD’’との間の90度の回転変位により、第1の部分MD’が第1の組織表面616に突き当たる前に、第2の部分MD’’の比較的大きな部分を挿入することができる。その後、医療器具MDを回動させて、第2の部分MD’’の残りの部分を孔611を通してスライドまたは挿入することができる。第2の部分MD’’の残りの部分を挿入する間、組織は、第2の部分MD’’に道を譲るように自然に撓み、動くことがある。第2の部分MD’’が完全に組織部分610の反対側に位置するように、孔611を通して第2の部分MD’’を完全に挿入した後、組織は自然に撓んで戻ることができる。
【0634】
[ポップ・リベット・セラミック・コイル]
図45を参照して、本開示の他の部分では遠隔ユニットと呼ばれることがある、埋め込み可能な通電式医療装置MDの実施の形態を説明する。医療装置MDは、患者の組織部分610によって定位置に保持されるように構成されている。医療装置MDは、組織部分610の第1の側面612に配置されるように構成された第1の部分MD’を備え、第1の部分MD’は、第1の平面P1において第1の断面積を有し、組織部分610の第1の側面612の第1の組織表面に面するおよび/または係合するように構成された第1の表面614を備える。医療装置MDは、組織部分610の第2の側面618に配置されるように構成された第2の部分MD’’をさらに備え、第2の側面618は、第1の側面612に対向し、第2の部分MD’’は、第2の平面における第2の断面積を有し、組織部分610の第2の側面618の第2の組織表面に係合するように構成された第2の表面620を備える。医療器具MDは、組織部分610の第1および第2の側面612、618の間に延びる組織部分610の穴を通して配置されるように構成された連結部分MD-2をさらに備える。ここで、連結部分MD-2は、第3の平面における第3の断面積を有する。連結部分MD-2は、第1の部分MD’を第2の部分MD’’に連結するように構成されている。
【0635】
第1の部分および第2の部分の少なくとも一方は、セラミック材料に埋め込まれた少なくとも1つのコイルからなり、少なくとも1つのコイルは、無線で送信されるエネルギーの受信、エネルギーの無線送信、無線通信の受信、および無線通信の送信の少なくとも1つのために構成される。図示の実施の形態では、第1の部分MD’は第1のコイル658と第2のコイル660とからなり、第2の部分MD’’は第3のコイル662からなる。コイルはセラミック材料664に埋め込まれている。
【0636】
本開示の他の部分で議論されるように、第1の部分MD’は、外部のワイヤレスエネルギー送信機からワイヤレスで送信されるエネルギーを受信するように構成された第1のワイヤレスエネルギー受信機を含んでよく、さらに第1の部分MD’は、第1のワイヤレス通信受信機を含んでよい。第1のワイヤレスエネルギー受信機および第1のワイヤレス通信受信機は、第1のコイル658を構成してもよい。したがって、第1のコイル658は、無線でエネルギーを受信するように、及び/又は、無線で通信を受信するように構成されてもよい。
【0637】
コイルからなる受信機/送信機」という表現により、前記コイルが受信機/送信機の一部を構成することがあることを理解されたい。
【0638】
第1の部分MD’は、遠位端665および近位端666からなり、ここでは、接続部分MD-2に関して定義される。特に、近位端665は、医療装置MDが組み立てられるとき、接続部分MD-2により近く、第2の部分MD’’により近く配置される。図示の実施の形態では、第1のコイル658は遠位端665に配置されている。
【0639】
第1の部分MD’は、内部ワイヤレスエネルギー送信機と、さらに第1のワイヤレス通信送信機とを備えることができる。いくつかの実施の形態では、内部ワイヤレスエネルギー送信機及び/又は第1のワイヤレス通信送信機は、第1のコイル658から構成される。しかしながら、いくつかの実施の形態では、内部ワイヤレスエネルギー発信器及び/又は第1のワイヤレス通信発信器は、第2のコイル660から構成される。ここで、第2のコイル660は、第1の部分MD’の近位端665に配置される。第2のコイル660のこのような配置は、第2のコイル660によって送信されるエネルギーおよび/または通信信号が、第2の部分MD’’に送信されるときに第1の部分MD’の内部構成要素によって減衰されないことを提供し得る。
【0640】
いくつかの実施の形態では、第1のワイヤレスエネルギー受信器および内部ワイヤレスエネルギー送信器は、セラミック材料に埋め込まれた単一のコイルから構成される。したがって、単一のコイルは、エネルギーを無線で受信し、エネルギーを無線で送信するように構成されてもよい。同様に、第1の無線通信受信機および第1の無線通信送信機は、セラミック材料に埋め込まれた単一のコイルから構成されてもよい。さらに、いくつかの実施の形態では、単一のコイルは、エネルギーを無線で受信および送信するため、ならびに通信信号を無線で受信および送信するために構成されてもよい。
【0641】
本明細書で論じるコイルは、好ましくは、組織部分610に実質的に平行に延びる平面内に配置される。
【0642】
第2の部分MD’’は、第2のワイヤレスエネルギー受信機および/または第2のワイヤレス通信受信機を構成することができる。いくつかの実施の形態では、第2の部分MD’’内の第3のコイル662は、第2のワイヤレスエネルギー受信機および/または第2のワイヤレス通信受信機を構成する。
【0643】
第2の部分MD’’は、遠位端668と近位端670とからなり、ここでは接続部分MD-2に関して定義される。特に、近位端668は、医療装置MDが組み立てられるとき、接続部分MD-2により近く、第1の部分MD’により近く配置される。図示された実施の形態では、第3のコイル662は、第2の部分MD’’の近位端668に配置される。第3のコイル662のこのような配置は、第3のコイル662によって受信されるエネルギーおよび/または通信信号が、第1の部分MD’から受信されるときに第2の部分MD’’の内部構成要素によって減衰されないことを提供し得る。
【0644】
第1の部分MD’は、第1のコイル658、第2のコイル660および/または第3のコイル662に接続された第1のコントローラ300aから構成されてもよい。第2の部分MD’’は、第1のコイル658、第2のコイル660および/または第3のコイル662に接続された第2のコントローラ300bから構成されてもよい。
【0645】
図示の実施の形態では、第1の部分MD’は、第1のワイヤレスエネルギー受信機308a、すなわち第1のコイル658に接続された第1のエネルギー蓄積ユニット304aからなる。第2の部分は、第2のワイヤレスエネルギー受信機308b、すなわち第3のコイル662に接続された第2のエネルギー蓄積ユニット304bからなる。このようなエネルギー蓄積ユニットは、塩化チオニル電池などの固体電池であってもよい。
【0646】
いくつかの実施の形態では、第1のコイル658は、外部の無線エネルギー送信機によって無線送信されたエネルギーを受信し、受信したエネルギーを第1のエネルギー蓄積ユニット304aに蓄積するように構成される。さらに、第1のコイル658および/または第2のコイル660は、第1のエネルギー蓄積ユニット304aに蓄積されたエネルギーを第3のコイル662に無線送信するように構成されてもよく、第3のコイル662は、第1のコイル658および/または第2のコイル660によって無線送信されたエネルギーを受信し、受信したエネルギーを第2のエネルギー蓄積ユニット305bに蓄積するように構成されてもよい。
【0647】
第1のエネルギー貯蔵ユニット304aは、第2のエネルギー貯蔵ユニット304bよりも少ないエネルギーを貯蔵するように、および/または第2のエネルギー貯蔵ユニット304bよりも速く充電されるように構成されてもよい。ここで、第1のエネルギー貯蔵ユニット304aの充電は比較的速くてもよく、一方、第1のエネルギー貯蔵ユニット304aから第2のエネルギー貯蔵ユニット304bへのエネルギーの移動は比較的遅くてもよい。したがって、ユーザは、第1のエネルギー貯蔵ユニット304aを迅速に充電することができ、そのような充電の間、例えば特定の場所で、外部の無線エネルギー送信機に接続されることによって長時間制限されることはない。第1のエネルギー貯蔵ユニット304aを充電した後、第1および/または第2のコイルと第3のコイルを介して第1のエネルギー貯蔵ユニット304aから第2のエネルギー貯蔵ユニット304bにエネルギーがゆっくりと移動する間、使用者は自由に移動することができる。
【0648】
[ギア・ポップ・リベット]
図46Aおよび
図46Bは、埋め込み可能な通電医療装置MDを、身体部分に力を及ぼすインプラントに結合するための歯車配置および磁気結合を示し、特に、医療装置MDの外側ハウジングまたは第2の部分MD’’の外側ハウジングを介して機械的運動を伝達するための歯車配置を示す。
【0649】
医療装置MDまたは第2の部分MD’’のハウジング484は、医療装置MDのいくつかの実施の形態において存在し得る。そのような実施の形態では、ハウジング484は、少なくとも、コントローラ(図示せず)、モーターM、存在する場合の任意の受信機および送信機(図示せず)、および存在する場合の任意のギア配置G、G1、G2を囲むように構成される。ここで、このような特徴は、体液から保護される。ハウジング484は、炭素系材料(グラファイト、炭化ケイ素、または炭素繊維材料など)、ホウ素系材料、ポリマー材料(シリコーン、Peek、ポリウレタン、UHWPE、またはPTFEなど)、金属材料(チタン、ステンレス鋼、タンタル、白金、ニオブ、またはアルミニウムなど)、セラミック材料(二酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、または炭化タングステンなど)、またはガラスのうちの1つまたはそれらの組み合わせから作られたハウジングであってもよい。どのような場合でも、ハウジングは、ハウジングの壁を通る流体の移動が防止されるような、透過性の低い材料から作られるべきである。
【0650】
埋め込み可能な通電式医療装置は、磁気カップリング部490aなどの磁気カップリングの少なくとも一部を含んでいてもよい。磁気結合部490aに磁気的に結合して磁気結合を形成するように、磁気結合部490bなどの磁気結合の相補的な部分が医療装置MDに隣接して配置されてもよい。磁気結合部490bは、医療装置MDの一部を形成しない実体の一部を形成してもよい。しかしながら、いくつかの実施の形態では、第2の部分MD’’は、互いに気密に封止された複数のチャンバから構成される。そのようなチャンバは、本明細書で議論されるように、磁気カップリングを介して結合され得る。磁気カップリング490a、490bは、例えば、電気モーターを介して医療装置MDによって出力された機械的な仕事が、医療装置MDから、例えば、患者の身体部分に力を及ぼすように構成されたインプラントに伝達され得ることを提供する。言い換えれば、磁気カップリング490a、490bは、機械的な力がハウジング484を介して伝達され得ることを提供する。
【0651】
モーターと歯車配列の間、あるいは歯車配列と磁気カップリングの間など、コンポーネント間の結合は、例えばシャフトなどによって実現することができる。
【0652】
いくつかの実施の形態では、例えば
図46Aに示されるように、第2の部分MD’’内のモーターMによって出力された力は、磁気カップリング部490aに接続される。磁気カップリング部490aは、モーターMから出力された力を磁気カップリング部490bに、すなわち磁気カップリング490a、490bを介して伝達する。磁気カップリング部490a、490bを介して伝達される力出力は、ここでは、モーターMによって伝達されるのと実質的に同じトルクであるトルクT1を有する。磁気カップリング部490bは、医療装置MDの外部、例えば、身体部分に力を及ぼすように構成された医療用インプラント内または身体部分に力を及ぼすように構成された医療用インプラントの中間に配置された歯車配置Gに接続されている。歯車配置Gは、磁気カップリング490a、490bを介して伝達される力のトルクを増大させて、トルクT2がトルクT1よりも高い力を医療用インプラントに伝達するように構成される。その結果、低い角速度で比較的大きな力を達成するために歯車配置Gを介してトルクが増大される前に、モーターMによって低いトルク、すなわち、高い角速度で比較的小さな力が磁気カップリング490a、490bを介して伝達される可能性がある。これにより、磁気カップリング490a、490bは、磁気カップリング部品490a、490b間の滑りの危険性なしに、医療装置MDのハウジング484を介して機械的仕事を伝達するために比較的弱い磁力を利用することができる。
【0653】
いくつかの実施の形態では、例えば
図46Aに示されるように、第2の部分MD’’内のモーターMの力出力は、第1のギア配置G1に接続され、このギア配置G1は、磁気カップリング部490aに結合される。ここでモーターMはトルクT0を有する機械的な力を提供する。磁気カップリング部490aは、モーターMから出力された力を第1の歯車配置G1に伝達する。第1のギア配置G1は、モーターMから送り出される力のトルクを増大させ、より高いトルクT1を有する力を磁気カップリング490a、490bに送り出すように構成されている。磁気カップリング部490aは、トルクT1を有する力を磁気カップリング部490bに伝達する。磁気カップリング部490bは、医療装置の外部、例えば、身体部分に力を及ぼすように構成された医療用インプラント内、または身体部分に力を及ぼすように構成された医療用インプラントの中間に配置された第2のギア配置G2に接続されている。第2の歯車配置G2は、磁気カップリング490a、490bを介して伝達される力のトルクを増大させて、トルクT2がトルクT1よりも高く、したがってトルクT0よりも高い力を医療用インプラントに伝達するように構成される。その結果、モーターMによって低トルク、すなわち高い角速度を有する比較的小さな力が提供されることがある。モーターMによって提供される力のトルクは、磁気カップリング490a、490bを介して力が伝達される前に、第1のギア配置G1によって増加される。磁気カップリング490a、490bを介して伝達される力のトルクは、その後、低い角速度で比較的大きな力を達成するために、第2の歯車配置G2を介して再び増加される。これにより、磁気カップリング490a、490bは、比較的弱い磁力を利用して、磁気カップリング部品490a、490bの間で滑る危険性なしに、医療装置MDのハウジング484を介して機械的仕事を伝達することができる。さらに、トルク増加の一部は第2の部分MD’’内で行われ、トルク増加の残りの一部は医療装置および第2の部分MD’’の外部で行われるため、歯車配置G1、G2は、トルク増加の仕事を分担するように適切なサイズおよび構成にすることができる。
【0654】
[ポップ・リベット]
図47A~C、
図48、
図49、
図50および
図51A~Cを参照して、本開示の他の部分において遠隔ユニットと呼ばれ得る通電式医療装置MDの実施の形態が説明される。図示されているように、これらの埋め込み可能な通電式医療装置は、埋め込み可能な通電式医療装置が一定期間埋め込まれ、線維性組織が第2の部分の周囲に形成され始めると、埋め込み可能な通電式医療装置の除去を容易にするために、特定の方法で形成されている第2の部分を有する。
図47A~C、
図48、
図49、
図50および
図51A~Cに図示され、以下に開示されるような、これらのタイプの第2の部分が、本開示において論じられる埋め込み可能な通電式医療装置の他の特徴のいずれかと組み合わされ得ることが、ここに開示される。
【0655】
装置MDは、患者の組織部分610によって定位置に保持されるように構成されている。装置MDは、組織部分610の第1の側面612に配置されるように構成された第1の部分MD’を備え、第1の部分MD’は、第1の平面における第1の断面積を有し、組織部分610の第1の側面612の第1の組織表面616に面するおよび/または係合するように構成された第1の表面を備える。装置MDは、組織部分610の第2の側面618に配置されるように構成された第2の部分MD’’をさらに備え、第2の側面618は、第1の側面612に対向し、第2の部分MD’’は、第2の平面における第2の断面積を有し、組織部分610の第2の側面618の第2の組織表面622に係合するように構成された第2の表面を備える。装置MDは、組織部分610の第1および第2の側面612、618の間に延びる組織部分610の穴を通して配置されるように構成された連結部分MD-2をさらに備える。ここでの連結部分MD-2は、第3の平面における第3の断面積を有する。連結部分MD-2は、第1の部分MD’を第2の部分MD’’に連結するように構成されている。図示の実施の形態では、連結部分MD-2と第2の部分MD’’との間の連結インターフェース630が、第2の部分MD’’の端部に配置されている。
【0656】
第1部分MD’は細長い形状を有していてもよい。同様に、第2の部分MD’’は細長い形状を有してもよい。しかしながら、第1の部分MD’および/または第2の部分MD’’は、例えば、高さよりも大きい幅および長さを有する平坦な円盤、球体、楕円体、または任意の他の多面体もしくは不規則な形状などの他の形状を有してもよく、これらのいくつかは
図35~
図37に例示されている。
【0657】
以下の開示の参照枠を提供するために、そして
図48、
図49および
図50に示されるように、第1の方向631は、ここでは、線A-Aに平行であり、第2の平面に平行であり、第2の部分MD’’の長さに平行である。第2の方向633は、ここでは、線B-Bに平行であり、第2の平面に平行であり、第2の部分MD’’の幅に平行である。第2の部分MD’’は、第1の端部632と、第1の端部632に対向する第2の端部634とを有する。第2の部分MD’’の長さは、第1の端部632と第2の端部634との間の長さとして定義される。第2の部分MD’’の長さは、さらに、連結部分MD-2の中心延長部C1とは異なる方向に延びている。第1の端部632および第2の端部634は、第2の平面に平行な方向に離間している。同様に、第1の部分MD’は、第1の端部と第2の端部との間の長さを有し、その長さは、接続部分MD-2の中心延長部C1とは異なる方向に延びている。
【0658】
第1の部分MD’、連結部分MD-2および第2の部分MD’’は、構造的に一体的なユニットを形成することができる。しかしながら、第1の部分MD’と連結部分MD-2が構造的に1つの一体的なユニットを形成し、第2の部分MD’’が別個のユニットを形成すること、または、第2の部分MD’’と連結部分MD-2が構造的に1つの一体的なユニットを形成し、第1の部分MD’が別個のユニットを形成することも可能である。
【0659】
加えて、または代替的に、第2の部分MD’’は、本開示の他の部分に記載されるように、取り外し可能および/または交換可能な部分639を構成し得る。
【0660】
以下の段落では、第2部分MD’’のいくつかの特徴および特性について説明する。しかしながら、これらの特徴および特性は、第1の部分MD’にも適用され得ることを理解されたい。
【0661】
第2の部分MD’’は、中間領域638、および遠位領域640を有する。中間領域638は、連結部分MD-2と第2の部分MD’’との間の連結インターフェース630によって画定され、遠位領域640は、連結部分MD-2と第2の部分MD’’との間の連結インターフェース630から第2の端部634まで延びる。
【0662】
組織部分610の第1の側面612の第1の組織表面616に面するおよび/または係合するように構成された第1の表面614は、実質的に平坦であってよい。換言すれば、第1の部分MD’は、組織部分610の方を向いた実質的に平坦な面を含んでよい。さらに、組織部分610から離れる方を向いた第1の部分MD’の対向面は、実質的に平坦であってもよい。同様に、組織部分610の第2の側面618の第2の組織表面622に係合するように構成された第2の表面620は、実質的に平坦であってよい。換言すれば、第2の部分MD’’は、組織部分610の方を向いた実質的に平坦な面を含んでよい。さらに、組織部分610から離れる方を向いた第2の部分MD’’の対向面は、実質的に平坦であってもよい。
【0663】
第2の部分MD’’は、第1の端部632から第2の端部634に向かってテーパー状であってもよく、したがって、第2の部分MD’’に、第2の部分MD’’の長さに沿って異なる高さおよび/または幅を与える。第2の部分はまた、第1の端部632および第2の端部634の各々から第2の部分MD’’の中間領域638に向かってテーパー状であってもよい。
【0664】
なおも
図47A~C、
図48、
図49、
図50、および
図51A~Cを参照すると、第2の部分MD’’および接続部分MD-2は、ここでは接続界面630を形成している。さらに、第2の部分MD’’は、第1の方向に沿った長さ方向の断面積を有し、第2の長さ方向の断面積690は、第1の長さ方向の断面積689よりも小さく、第1の長さ方向の断面積689は、第1の方向631に関して接続界面630の近くに位置する。これにより、第2の端部634に向かって先細になったテーパー状の第2の部分が形成される。第2の部分MD’’の長さ方向の断面積は、例えば
図48に示されるように、中間領域638の端部から第2の端部634に向かって連続的に減少することができる。減少は、例えば
図48に図示されるように、直線的であってもよい。しかしながら、放物線状、指数関数状、階段状、または各段階の間に放射状の縁部を有する階段状など、長さ方向の断面積が減少する他のタイプも可能であり、これにより滑らかな丸みを帯びた輪郭が形成される。
【0665】
図47Bおよび
図47Cは、線A-Aに沿って見たときに、長さ方向断面積が第2部分MD’’の長さ634に向かってどのように減少するかを示している。
図47Bは、第1の長さ方向断面積689を図示し、
図47Cは、第2の長さ方向断面積690を図示する。
【0666】
いくつかの実施の形態では、長さ方向の断面積は、第2の端部634に向かう第2の部分の長さの大部分にわたって減少してもよい。いくつかの実施の形態では、第2の端部634に向かう第2の部分の長さの少なくとも1/4にわたって長さ方向断面積が減少すれば十分である。
図48に示される例では、第2の部分の長さの約85%にわたって長さ方向の断面積が減少している。
【0667】
第2の部分MD’’が第1の方向631に沿った回転対称性を有することにより、例えば
図47Aに示されるように、第2の部分MD’’の形状は円錐形であってもよい。
【0668】
図49に示されるように、第2の部分MD’’は、本開示の他の部分で議論されるように、組織部分の第2の側の第2の組織表面に係合するように構成された第2の表面620を含む上面を有してもよく、上面または第2の表面620は、実質的に平坦であり、第2の平面に平行である。いくつかの実施の形態では、上面は、連結部分MD-2の中央延長部C1に対して実質的に垂直であってもよい。これにより、第2の表面は、組織部分の第2の側部に対して平坦になるように構成され得る。このような実施の形態では、第2の表面620の反対側であって、第1の部分MD’から離れる方向を向いている第2の部分MD’’の下面は、第2の端部634に向かって先細になるように構成されてよく、したがって、第2の端部634に向かって第1の方向631に沿って長さ方向の断面積が減少することが達成される。
【0669】
図50は、長さ方向の断面積が第2の部分MD’’の第2の端部634に向かって段階的に減少する実施の形態を示す。ここで、第2の部分MD’’は、実質的に一定の直径を有し、それぞれの直径が第2の端部634に向かって小さくなる3つの主要セグメント692、693、694を有し、直径が第1の方向631に沿って減少する中間セグメント695、696によって接続されている。実質的に一定の直径を有する主要セグメントと、第1の方向632に沿って減少する直径を有する中間セグメントとの他の変形が可能であり、例えば、減少する直径を有する単一の中間セグメントによって接続された少なくとも2つの主要セグメント、減少する直径を有する3つの中間セグメントによって接続された少なくとも4つの主要セグメントなどが挙げられる。
【0670】
次に
図51A~Cを参照すると、
図49に図示されたものと同様の埋め込み可能な通電医療装置が図示されている。
図51Aの透視図に見られるように、第2の部分MD’’は、第2の端部に向かって長さ方向の断面積が減少している。上面697もこの図に見えるが、実質的に平坦であり、第2の組織表面622に接触領域を提供する。第1の長さ方向断面積689は、
図51Bおよび
図51Cに見られるように、第2の断面積690よりも大きく、第1の長さ方向断面積689は、第1の方向に関して、連結部分MD-2と第2の部分MD’’との間の連結界面により近くに位置する。
【0671】
[傾斜針]
図52は、以下さらに説明されるように、
図3に示されるような第1の一般的な態様による全体的なシステムの変形例、すなわち、連続する注入サイクルの間に注入針が横方向に移動されるシステムに関連して、概略的に示している。しかしながら、この変形例に関する以下の教示は、横方向に移動可能でない複数の注入針が設けられている、
図4に示すような第2の一般的な態様によるシステム全体にも同様に適用可能である。この変形例によれば、注入針11は、ハウジング12から垂直に延びておらず、ハウジングの外壁に対して、より具体的には、ハウジングの外壁の外面に対して、角度αで傾斜している。
【0672】
これは
図53により詳細に示されており、ハウジング12の外壁は貫通領域14から形成されている。貫通領域14は、ハウジング12の外壁の外面を形成する外面14Aを有し、このような外面は、第1の方向(図面平面において
図53では左から右または右から左)に延びている。このような構成により、静脈や動脈などの長手方向の血管Vを、その中心軸A
V が外面14Aに対して平行に、より具体的には外面14Aが延びる第1の方向に対して平行に延びるように、当該外面に隣接して配置することができる。外表面14Aの延在方向(前記第1の方向)と長手方向の血管Vの中心軸A
Vとによって規定される平面内に注入針11を配置することによって、注入針の進退方向が血管Vの中心軸A
Vに対して傾斜し、したがって、血管Vの後壁を貫通して血管Vから抜け出る危険性が低減されるため、注入針11による血管Vの確実な刺通性を向上させることができる。
【0673】
図52に見られるように、貫通領域14の下方にはホルダ20が配置されており、注入針11が貫通領域14から容器V内に延びるように前進しているときに、容器Vを所定位置に保持するように構成されている。ホルダ20は、その中心軸A
Vが外面14aの上記延びる方向(前記第1の方向)と平行に延びる位置に容器Vを保持するように構成されている。
【0674】
一実施の形態(図示せず)では、ホルダ20は、容器Vをホルダ20内に横向きに押し込むことができるように、その前面側または背面側が開いていてもよい。しかし、
図52に示す実施の形態では、ホルダ20は、ホルダ20内に容器Vの一部を配置し保持するために、ホルダ20を開閉するように構成された可動蓋21からなる。このようにして、容器Vはその全周にわたって保持される。
図52では、蓋21はホルダ20の下側に配置され、ホルダを開閉するように回転軸を中心に移動可能である。あるいは、蓋21は、ホルダ20の前側または後側に配置されてもよい。蓋21を閉じた位置に保持するためのスナップフィットが設けられていてもよい。蓋21が旋回可能であるヒンジは、フィルムヒンジまたは他のタイプのヒンジとして実現されてもよい。さらに、回転軸を中心に旋回可能である代わりに、可動蓋21をホルダ20から完全に取り外し可能としてもよい。ホルダ20の高さは、保持される容器Vの直径よりわずかに小さいことが好ましく、一方、ホルダ20の幅は、容器がホルダ20内に十分な空間を有するが、ハウジング12の外面に接触するように、これよりいくらか大きいことが好ましい。
【0675】
[針注入口の短い距離]
図54Aおよび
図54Bは、
図53に示す注入針の前部をそれぞれ上面図および断面側面図で示す。針11の先端は、先端端が針の中心軸11Bからオフセットされた斜めの先端として設計されているが、針の注入ポート11Aの設計および配置は、先端端が例えば注入針11の中心軸11B上に横たわる尖った先端を有する注入針にも同様に適している。より具体的には、注入ポート11Aは、2mm未満、好ましくは1mm未満、最も好ましくは0.5~1mmの距離「a」で注入針11の先端端11Cに近接して配置される。距離「a」は、
図54Aに示すように、先端端11Cから、先端端11Cに最も近い注入ポート11Aの壁の点まで測定される。注入ポート11Aが先端端11Cに近ければ近いほど、注入ポートが、注入針11が血管Vを貫通することなく血管Vの内側に位置する可能性が高くなる。より具体的には、注入針11の長手方向における注入ポート11Aの断面延長は、0.5mmを超えないことが好ましい。
【0676】
より好ましくは、注入ポート11Aは、注入針11の長手方向におけるその延長部「c」と比較して、注入針11の長手方向に対して横方向のより大きな延長部「b」を有する。例えば、注入ポート11aは、
図54Aに示すように、矩形または楕円形の断面を有することができる。このようにして、注入ポート11Aの断面積は、好ましくは0.5mm未満の注入針11の長手方向における短い寸法を損なうことなく増大させることができる。
【0677】
[丸みを帯びたエッジまたは面取りされたエッジを持つ注射針注入ポート]
好ましい実施の形態では、注入針11の側面の注入ポート11Aは、注入ポート11Aと注入針11の側面の間の移行部において丸みを帯びた縁部または面取りされた縁部を有する。
図54Bに示すような注入針11の断面図は、丸みを帯びたエッジを有する注入ポート11Aを図示している。注入ポート11Aの丸みを帯びた縁部または面取りされた縁部は、
図54Bに示すように、注入ポート11Aの少なくとも注入針11の進退方向に沿った対向面に設けられている。換言すれば、注入ポート11Aの前記対向する側面間の仮想的な連結線は、注入針11の進退方向に沿って延びることになる。好ましくは、注入ポート11Aと注入針11の側面との間の移行部におけるエッジは、注入ポート11Aの全周に沿って丸みを帯びるか、または面取りされる。
【0678】
[予め設定された通路を有する貫通領域]
図55から
図58は、貫通領域14が、注入針11が貫通し、前進するときにそこから延び出すことができる、あらかじめ構成された開口部14Aを含む異なる実施の形態を示す。
【0679】
[チューブ内の針]
図55において、貫通領域14には注入針11が配置されたチューブが設けられており、注入針はその側面に注入ポートが配置され、すなわち注入針の前面は閉じられている。チューブの内面と注入針の外面とは互いに液密にシールされており、血液等の流体がチューブを通って注入ポート11aに侵入することが確実に防止されるようになっている。チューブは、チューブの壁がそのような材料から形成されるように、貫通領域14の材料と一体的に形成されてもよく、そのような材料は、シリコーンのような弾性ポリマーであってもよい。あるいは、注入針11が配置されるチューブは、貫通領域14に配置される個々のチューブであってもよい。特に、そのような個々の管は、セラミック材料から形成されてもよく、または、貫通領域14全体がセラミック材料から形成されてもよく、好ましくは、注入針11または少なくともその外表面もセラミック材料から作られる。いずれの場合においても、
図55から分かるように、チューブの内面の内径と注入針11の外面の外径とは、チューブを通ってさらに注入ポート11A内への流体の浸入を防止するような液密シールを得るように、互いに一致する。また、
図55には、前述したホルダ20の蓋21が図示されており、この蓋21は、針11を貫通領域14から容器V内に進入させたときに、容器Vが抜け出さないように保持するものである。
【0680】
[予め設定された弾性開口]
図56は、予め構成された通路14Aを有する貫通領域の別の代替案を示している。ここで、通路14Aは、貫通領域14を貫通してY方向に延びる長さと、スロットを形成するようにZ方向に延びる幅とを有する。この通路は、シリコーンなどのエラストマーであってもよい貫通領域14の材料の弾性によって発生する弾力的な力により、通常は閉じられている。さらに、通路14aは、注入針11が通路に進入し、通路を通過すると自動的に開く。注入サイクルの後、針11がその引っ込んだ位置に戻ると、通路14Aは、貫通領域14の弾性材料によって生成された弾性力によって再び自動的に閉じる。好ましくは、通路14Aは、
図56に示すように、広がった入口部14Bを有する。このような入口部では、通路14Aは、注入針11が通路14Aに容易に入ることができるように、通常は開いている。
【0681】
図57は、
図4に示された第2の一般的概念との関連で好適な異なる実施の形態を示し、この実施の形態は、注入サイクルのために前進および後退される必要があるだけであるが、連続する注入サイクルの間で横方向に移動される必要がない複数の注入針11からなる。この場合、注入針11の横方向への移動は要求されないので、注入針11がそれぞれの後退位置にあるとき、注入針11の前端部分は通路14A内に存在する。したがって、
図51に関連して説明されたような広がった入口部14Bは、省略され得るが、それにもかかわらず、そのような入口部は、システム全体が組み立てられるときに有用であり得るので、設けられてもよい。
【0682】
図58は、予め構成された通路14aが設けられ、貫通領域14を貫通して全体に延びるスロットを形成するように幅方向に延びる部分を有する、さらなる代替実施の形態を示す。この場合も、貫通領域14は弾性材料、好ましくはシリコーンなどのエラストマーで作られている。注入針11がスロット内に入ることができるようにスロットを開くために、注入針11が前進しているときに少なくとも1本の注入針11のための通路14Aを開くように、弾性材料の反対側、より具体的には、スロットの幅方向延長部の反対方向に圧力が及ぼされる。これは、多くの異なる方法で達成することができ、その1つが
図58に示されている。ここで、フォーク22の2つの突起22Aは、それらの間に貫通領域14の少なくとも上部を取り込むように下げられる。突起22Aがさらに下げられるほど、貫通領域14の弾性材料がより圧縮され、それにより、予め構成された通路14Aのそれぞれの1つが徐々に開く。注入針11は、フォーク22の下降と同時に、またはその後個別に前進させられる。注入針11のさらなる前進は、フォーク22の動きとは無関係に起こることがある。この配置は、
図3による第1の一般的概念に適しているだけでなく、フォーク22と注入針21がそれらの引込み位置にあるときに、フォーク22と注入針11の両方が連続する注入サイクルの間に一緒に横方向に移動され得るので、特に
図4による第2の一般的概念に適している。
【0683】
本開示の好ましい態様を以下に要約する:
【0684】
第1の態様 - 針協働部材付きクロスガイド
態様1.患者の体内に物質を注入するための少なくとも部分的に埋め込み可能なシステムであって、
- 患者の体内に埋め込むためのハウジングであって、貫通領域を有する外壁を有するハウジングと、
- ハウジング内に配置された少なくとも1本の注入針と、
- 少なくとも1本の注入針の前進時に、少なくとも1本の注入針の先端が前記貫通領域を貫通し、少なくとも1本の注入針を介して前記貫通領域を通して物質を注入することができるように、少なくとも1本の注入針を逆進退方向に前進および後退させるように配置された駆動ユニットと、
- 少なくとも1本の注入針の前進または後退時に、少なくとも1本の注入針と協働するように配置された針協働部材と、
を備え、
さらに、前進方向および後退方向とは異なる変位方向に異なる位置に移動可能であるように、針協働部材が結合されるクロスガイドをさらに備える、システム。
態様2.前記駆動ユニットは、
前記少なくとも1本の注入針を、逆進退方向に前進および後退させ、または前進および後退の両方をさせるための第1のモーターと、
前記針協働部材を前記変位方向に変位させるための第2のモーターと、
を備える、態様1に記載のシステム。
態様3.前記クロスガイドは、2つの対向する固定点の間に固定的に保持される、態様1または2に記載のシステム。
態様4.前記クロスガイドは、前記針協働部材が摺動可能に取り付けられるシャフトを備える、前記態様のいずれか1つに記載のシステム。
態様5.前記クロスガイドは、前記少なくとも1本の注入針の進退方向に対して垂直な変位方向、または前記少なくとも1本の注入針の進退方向に対して傾斜した方向に延びる、前記態様のいずれか1つに記載のシステム。
態様6.進退方向に移動するように配置された並進フレームを備え、クロスガイドが、並進フレームとともに移動するように並進フレームに固定されている、前記態様のいずれか1つに記載のシステム。
態様7.少なくとも1本の注入針が注入針のアレイを構成し、針協働部材が注入針のアレイのそれぞれの1本の注入針と一度に協働するように配置される、先行する態様のいずれか1つに記載のシステム。
態様8.針協働部材が、クロスガイドに対する相対位置に応じて、それぞれの1本の注入針を前進または後退させるように、注入針のアレイに作用するように配置されている、態様7に記載のシステム。
態様9.針協働部材が注入針のアレイとは別体である、態様8に記載のシステム。
態様10.静止位置において、針協働部材は、注入針のアレイから係合解除され、並進フレームの移動時に、それぞれの1本の注入針に係合する、態様9に記載のシステム。
態様11.注入針のアレイの注入針は、前進方向および後退方向にスライド可能であるように取り付けブロックに取り付けられている、態様8から10のいずれか一項に記載のシステム。
態様12.針協働部材は、それぞれの1本の注入針を前進方向に押すことによって前進させるように配置されている、態様11に記載のシステム。
態様13.針協働部材は針駆動部と位置決め部とを有し、針駆動部と位置決め部とは、並進フレームが前進方向に移動するときに互いに係合解除するように配置されている、態様7から12のいずれか1つに記載のシステム。
態様14.前記クロスガイドと平行に配置された二次クロスガイド部材を備え、前記位置決め部は、前記二次クロスガイド部材上に可動に、好ましくは摺動可能に取り付けられ、前記針駆動部は、前記クロスガイド上に可動に、好ましくは摺動可能に取り付けられる、態様13に記載のシステム。
態様15.前記位置決め部品と前記針駆動部品とが係合しているとき、前記位置決め部品は、前記クロスガイドに沿って変位方向に移動可能であり、それにより、前記針駆動部品は、前記二次クロスガイド部材に沿って同じく変位方向に所望の位置に移動され、前記位置決め部品が前進方向または後退方向に移動されると、前記針駆動部品と前記位置決め部品とが互いに係合解除される、態様14に記載のシステム。
態様16.針協働部材をクロスガイドに沿って変位方向に引っ張るための変位ケーブルが、針協働部材の位置決め部に接続されている、態様13から15のいずれか1つに記載のシステム。
態様17.少なくとも1本の注入針が単一の注入針からなり、単一の注入針が、針協働部材とともに変位方向に移動可能であるように針協働部材に取り付けられている、態様1から6のいずれか1つに記載のシステム。
態様18.単一の注入針が針協働部材に溶接またはポッティングされている、態様17に記載のシステム。
態様19.単一の注入針が湾曲部を有し、湾曲部が針協働部材に取り付けられている、態様17または18に記載のシステム。
態様20.湾曲部は、針協働部材の対応する湾曲した凹部内に固定的に保持される、態様19に記載のシステム。
態様21.単一の注入針の周囲に針補強チューブが配置される、態様17から20のいずれか1つに記載のシステム。
態様22.単一点滴針に物質を供給するためのチューブを備え、該チューブが、該単一点滴針の端部に接続され、該チューブが必要な可動範囲を有するように該ハウジングの内部でループ状になっている、態様17から21のいずれか一項に記載のシステム。
態様23.前記針協働部材を前記クロスガイドに沿って変位方向に引っ張るための変位ケーブルまたは変位ベルトを備える、前記態様のいずれか1つに記載のシステム。
態様24.針協働部材に作用する変位ケーブルの引張り力に対抗する力を与える引張りばねを備える、態様23に記載のシステム。
態様25.変位ケーブルの引っ張り力が針協働部材に作用していないときに、引っ張りバネによって提供される反力は、針協働部材を変位方向と反対の方向に動かすのに十分な強さである、態様24に記載のシステム。
態様26.引張りばねが定荷重引張りばねである、態様24または25のシステム。
態様27.引張りばねが、張力が加えられていないときにそれ自体に巻き付く金属バンドからなり、金属バンドの一端がリールに取り付けられ、金属バンドの他端が針協働部材に接続されている、態様24から26のいずれか一項に記載のシステム。
態様28.引張りばねが、0.5Nから2Nの間、好ましくは0.8Nから1.2Nの間、最も好ましくは約1Nの引張り力を提供する、態様24から27のいずれか1つに記載のシステム。
態様29.変位ケーブルまたは変位ベルトは、針協働部材をクロスガイドに沿って反対の第1および第2の変位方向に引っ張るために配置される、態様23に記載のシステム。
態様30.第1の回転軸を有する第1の車輪と、第1の回転軸と平行で、第1の回転軸から間隔をあけて配置された第2の回転軸を有する第2の車輪とを備え、変位ケーブルまたは変位ベルトが、第1および第2の車輪の周囲を巻回する、態様29に記載のシステム。
態様31.変位ケーブルまたは変位ベルトがエンドレスである、態様30に記載のシステム。
態様32.変位ケーブルまたは変位ベルトが、第1の車輪から第2の車輪に延び、第2の車輪の周りを少なくとも180°巻き、第2の車輪から第1の車輪に戻り、第1の車輪の周りを少なくとも180°巻くループを形成する、態様31に記載のシステム。
態様33.変位ケーブルまたは変位ベルトが、第1および第2の車輪の少なくとも一方の周囲を180°、さらに完全な回転数だけ巻回する、態様32に記載のシステム。
態様34.変位ケーブルまたは変位ベルトに、変位ケーブルまたは変位ベルトの長手方向軸に対して横方向に張力を発生させる張力発生要素を備える、態様30から33のいずれか1つに記載のシステム。
態様35.駆動ケーブルが、第1または第2の車輪を回転させるように配置され、ハウジングの外に延びている、態様34に記載のシステム。
態様36.駆動ケーブルは、第1および第2の車輪の一方に接続され、第1もしくは第2の車輪に巻きついたり離れたりするように、または第1もしくは第2の車輪の周りに巻かれるように配置される、態様35に記載のシステム。
態様37.第1および第2の車輪の少なくとも一方は、駆動シャフトの回転によって回転するように駆動シャフトに取り付けられ、駆動ケーブルは、駆動シャフトを駆動するために駆動シャフトに接続される、態様35に記載のシステム。
態様38.駆動シャフトに取り付けられた第3の車輪を備え、駆動ケーブルは、第3の車輪(126)に巻きついたり離れたりするように、または第3の車輪(126)の周りに巻きついたりする、態様37に記載のシステム。
態様39.駆動ケーブルが、第1の車輪もしくは第2の車輪、または第3の車輪に巻きついたり離れたりするように配置されている場合、駆動ケーブルは、駆動ケーブルが第1の方向に引っ張られるときに、駆動ケーブルが巻き戻され、駆動ケーブルの一部分がハウジングの外に移動するように、駆動ケーブルの一端がそれぞれの第1の車輪、第2の車輪、または第3の車輪に取り付けられ、引張りばねは、駆動ケーブルを反対側の第2の方向に引っ張ってそれぞれの第1の車輪、第2の車輪、または第3の車輪にハウジングの中に戻すように配置される、態様35から38のいずれか1つに記載のシステム。
態様40.前記駆動ケーブルが、前記第1の車輪もしくは前記第2の車輪の周囲、または前記第3の車輪の周囲に巻かれるように配置されている場合、前記駆動ケーブルが引っ張られているときに、前記駆動ケーブルの一部分が前記ハウジングの中に移動する一方、前記駆動ケーブルの別の部分が前記ハウジングの外に移動するように、前記駆動ケーブルが配置されている、態様35から38のいずれか一項に記載のシステム。
態様41.針協働部材上に配置された第1のアライメント構造と、固定して配置された第2のアライメント構造と、を備え、針協働部材がクロスガイドに沿って異なる位置に移動されるときに、第1および第2のアライメント構造が互いに係合し、針協働部材の異なる静止位置を規定する、前記態様のいずれか1つに記載のシステム。
態様42.第1のアライメント構造は板バネであり、第2のアライメント構造は、板バネと協働するように配置された複数の静止した戻り止めまたは突起から構成されるか、あるいは、第1のアライメント構造が複数の戻り止めまたは突起から構成され、第2のアライメント構造は、戻り止めまたは突起と協働するように配置された1つまたは複数の静止した板バネから構成される、態様41のシステム。
【0685】
第1の態様と第2の態様の組み合わせ - 並進フレーム
態様43.少なくとも1つのリニアベアリング、好ましくは2つの平行なリニアベアリングと、少なくとも1つのリニアベアリングに沿って進退方向に移動するように配置された並進フレームとを備え、クロスガイドが並進フレームに固定されている、態様1から42のいずれか1つに記載のシステム。
態様44.前記並進フレームを静止位置に付勢するように配置された少なくとも1つの戻しばねを備える、態様43に記載のシステム。
態様45.少なくとも1つのリターンスプリングが、少なくとも1つのリニアベアリングの1つの周囲に配置されたコイルスプリング、または2つの平行なリニアベアリングのそれぞれの1つの周囲に配置された2つのコイルスプリングからなる、態様44に記載のシステム。
【0686】
第1の態様と第3の態様の組み合わせ - ブロック&タックルのセットアップ付きケーブル
態様46.前記駆動ユニットは、前進ケーブルを備え、この前進ケーブルは、この前進ケーブルを引くことにより、少なくとも1本の注入針を前進または後退させるように配置されている、態様1から45のいずれか一項に記載のシステム。
態様47.前進ケーブルがハウジングの壁を通して案内される、態様46に記載のシステム。
態様48.前進ケーブルがブロック・アンド・タックル・セットアップの一部を形成する、態様46または47に記載のシステム。
態様49.システムが、少なくとも1つのリニアベアリング、好ましくは2つのリニアベアリングと、少なくとも1つのリニアベアリングに沿って前進方向および後退方向に移動するように配置された並進フレームとを備え、並進フレームのそれぞれの移動によって、少なくとも1本の注入針を前進させるか後退させるか、または前進および後退の両方を行うように構成されている場合、ブロックアンドタックルセットアップは、並進フレームと共に移動するように並進フレームに固定された少なくとも1つの第1のプーリー、好ましくは2つの第1のプーリーと、静止するようにハウジングに固定された少なくとも1つの第2のプーリー、好ましくは2つの第2のプーリーとを備える、態様46から48のいずれか1つに記載のシステム。
態様50.前進ケーブルの一端がハウジングに固定されている、態様49に記載のシステム。
態様51.前進ケーブルの一端が並進フレームに固定されている、態様49に記載のシステム。
【0687】
第1の態様と第4の態様の組み合わせ - 前進・変位複合ケーブル
態様52.駆動ユニットが、前進および変位ケーブルを引っ張ることによって、少なくとも1本の注入針の前進または後退を引き起こすことと、前進および後退方向とは異なる変位方向への少なくとも1本の注入針の変位を引き起こすこととの両方を可能にするように配置された、前進・変位複合ケーブルを備える、態様1から51のいずれか一項に記載のシステム。
態様53.前進・変位ケーブルの第1の端部に取り付けられた第1のアクチュエータと、前進・変位ケーブルの第2の端部に取り付けられた第2のアクチュエータとを備え、第1のアクチュエータは、前進・変位ケーブルを第1の引っ張り方向に引っ張り移動させることができるように配置され、第2のアクチュエータは、前進・変位ケーブルを第1の引っ張り方向とは反対の第2の引っ張り方向に引っ張り移動させることができるように配置されている、態様52に記載のシステム。
態様54.第1および第2のアクチュエータを同時に作動させて、前進ケーブルおよび変位ケーブルを反対の第1および第2の引き込み方向に移動させることにより、少なくとも1本の注入針を前進または後退させる、態様53に記載のシステム。
態様55.システムが、少なくとも1つのリニアベアリング、好ましくは2つのリニアベアリングと、並進フレームのそれぞれの移動によって少なくとも1本の注入針を前進させるか後退させるか、または前進および後退の両方を行うように、前進方向および後退方向に少なくとも1つのリニアベアリングに沿って移動するように配置された並進フレームとを備える場合、反対側の第1および第2の引っ張り方向への前進ケーブルおよび変位ケーブルの移動が、並進フレームを少なくとも1つのリニアベアリングに沿って移動させる、態様54に記載のシステム。
態様56.静止するようにハウジングに固定された少なくとも2つの第1のプーリを備え、前進および変位ケーブルが、2つの第1のプーリのうちの1つのプーリ上を案内され、さらに並進フレームに案内され、さらに2つの第1のプーリのうちの他の1つのプーリ上を案内される、態様55に記載のシステム。
態様57.前記並進フレームを静止位置に付勢するように配置された少なくとも1つの戻しばねを備える、態様55または56に記載のシステム。
態様58.少なくとも1つのリターンスプリングが、少なくとも1つのリニアベアリングの1つの周りに配置されたコイルスプリング、または少なくとも1つのリニアベアリングのそれぞれのものの周りに配置された2つのコイルスプリングからなる、態様57に記載のシステム。
態様59.第1アクチュエータおよび第2アクチュエータのいずれか一方の作動が、進退ケーブルを第1または第2の引き込み方向に移動させる一方で、第1アクチュエータおよび第2アクチュエータのそれぞれの他方の作動が、進退ケーブルを移動させないようにされることにより、少なくとも1本の注入針の変位方向への変位が引き起こされる、態様53に記載のシステム。
態様60.システムが、少なくとも1本の注入針が取り付けられる針協働部材と、針協働部材が結合されるクロスガイドとを備える場合、前進および変位ケーブルは、針協働部材をクロスガイドに沿って変位方向の異なる位置に引っ張って移動させるように、針協働部材に接続される、態様59に記載のシステム。
態様61.針協働部材の対向する側で並進フレームに固定された少なくとも2つの第2のプーリを含み、前進および変位ケーブルが2つの第2のプーリ上を案内される、態様60に記載のシステム。
態様62.前進・変位ケーブルは、その中央部分が針協働部材に固定的に接続されている、態様60または61に記載のシステム。
態様63.前進・変位ケーブルが、2つの別個のケーブル部分からなり、各ケーブル部分は、その一端が針協働部材に接続されている、態様60または61に記載のシステム。
態様64.少なくとも1本の注入針が単一の注入針のみからなる、態様52から63のいずれか1つに記載のシステム。
態様65.単一の注入針が針協働部材に溶接またはポッティングされる、態様64に記載のシステム。
態様66.単一の注入針が湾曲部を有し、湾曲部が針協働部材に取り付けられている、態様64または65に記載のシステム。
態様67.湾曲部が針協働部材の凹部に固定的に保持される、態様66に記載のシステム。
態様68.針補強チューブが少なくとも1本の注入針の周囲に配置される、態様64から67のいずれか1つに記載のシステム。
態様69.単一注入針に物質を供給するためのチューブを備え、該チューブが、該単一注入針の端部に接続され、該チューブが所要の可動範囲を有するように該ハウジングの内部でループ状になっている、態様68に記載のシステム。
態様70.協働して、少なくとも1本の注入針を前進方向または後退方向に前進または後退させ、個々に、針協働部材をそれぞれ反対の変位方向に変位させるために配置される2つのモーターを備える、態様52から69のいずれか1つに記載のシステム。
【0688】
第1の態様と第5の態様の組み合わせ - 側方供給ポート付き注入針
態様71.少なくとも1本の注入針は、先端端を有する管状針本体と、少なくとも1本の注入針を介して物質を注入することができるように先端端に配置された注入ポートと、注入される物質を受け取ることができるように先端端から離れた位置に配置された供給ポートと、注入ポートと供給ポートとを接続する管状針本体内部の針管腔とを有し、供給ポートが、管状針本体の側面に配置された側面ポートである、態様1から51のいずれか1項に記載のシステム。
態様72.少なくとも1本の注入針が複数の注入針を備える、態様71に記載のシステム。
態様73.前記複数の注入針の注入針は、1mmから2mmの間の距離だけ互いに離間している、態様72に記載のシステム。
態様74.前記複数の注入針の注入針は、1.5mmの距離だけ互いに離間している、態様73に記載のシステム。
態様75.ハウジングの内部に内部リザーバを備え、内部リザーバは、注入される物質を保持するために配置され、少なくとも1本の注入針が、貫通領域を貫通する前進位置にあるとき、供給ポートは、内部リザーバの内部に配置され、注入ポートは、ハウジングの外部に配置される、態様71から74のいずれか1つに記載のシステム。
態様76.貫通領域が隔壁を備え、少なくとも1本の注入針が後退位置にあるとき、供給ポートが内部リザーバの外側かつ隔壁の内側にあるように、内部リザーバが隔壁内に配置される、態様75に記載のシステム。
態様77.貫通領域が隔壁を備え、少なくとも1本の注入針が後退位置にあるとき、供給ポートが内部リザーバ内にあるように、内部リザーバが隔壁内に配置される、態様75に記載のシステム。
態様78.少なくとも1本の注入針が後退位置にあるとき、注入ポートが隔壁の内側にある、態様76または77に記載のシステム。
態様79.少なくとも1本の注入針が後退位置にあるとき、注入ポートが隔壁の内側にあり、内部リザーバの外側にある、態様78に記載のシステム。
態様80.少なくとも1本の注入針が後退位置にあるとき、注入ポートが隔壁の内側かつ内部リザーバの内側にある、態様78に記載のシステム。
態様81.システムが、少なくとも1つのリニアベアリングと、少なくとも1つのリニアベアリングに沿って前進方向および後退方向に移動するように配置された並進フレームとを備え、並進フレームのそれぞれの移動によって少なくとも1本の注入針を前進させるか後退させるか、または前進および後退の両方を行う場合、内部リザーバに注入される物質を供給するための供給ルーメンが、少なくとも1つのリニアベアリングの内腔に沿って走るように設けられる、態様75から80のいずれか1つに記載のシステム。
態様82.注入ポートが、管状針本体の側面に配置された側面ポートである、態様71から81のいずれか一項に記載のシステム。
【0689】
第2の態様 - 並進フレーム
態様1.患者の体内に物質を注入するための少なくとも部分的に埋め込み可能なシステムであって、
- 患者の体内に埋め込むように適合されたハウジングであって、貫通領域を有する外壁を有するハウジングと、
- ハウジング内に配置された少なくとも1本の注入針と、
- 少なくとも1本の注入針の前進時に、少なくとも1本の注入針の先端が前記貫通領域を貫通し、少なくとも1本の注入針を介して前記貫通領域を通して物質を注入できるように、少なくとも1本の注入針を逆進退方向に前進および後退させ、
- 平行に配置された2つのリニアベアリングと、2つのリニアベアリングを連結し、2つのリニアベアリングに沿って少なくとも1本の注入針の前進および後退方向に移動するように配置された並進フレームと、
を備え、並進フレームの移動によって少なくとも1本の注入針を前進もしくは後退させ、または前進および後退の両方を行う、システム。
態様2.前記2つのリニアベアリングは、前記並進フレームが摺動可能に取り付けられた2つの平行なシャフトの形態をとる、態様1に記載のシステム。
態様3.並進フレームを静止位置に付勢するように配置された少なくとも1つの戻しばねをさらに備える、態様1または2に記載のシステム。
態様4.少なくとも1つのリターンスプリングが、少なくとも1つの平行リニアベアリングの1つの周囲に配置されたコイルスプリング、または2つの平行リニアベアリングのそれぞれのものの周囲に配置された2つのコイルスプリングからなる、態様3に記載のシステム。
【0690】
第2の態様と第1の態様の組み合わせ - 針協働部材付きクロスガイド
態様5.少なくとも1本の注入針の前進または後退時に少なくとも1本の注入針と協働するように配置された針協働部材を備え、前進方向および後退方向とは異なる変位方向において異なる位置に移動可能であるように針協働部材が結合されるクロスガイドをさらに備える、態様1から4のいずれか1つに記載のシステム。
態様6.前記駆動ユニットは、前記少なくとも1本の注入針を反対方向に前進または後退させるか、または前進および後退の両方を行うための第1のモーターと、前記針協働部材を前記変位方向に変位させるための第2のモーターとを備える、態様5に記載のシステム。
態様7.クロスガイドが2つの対向する固定点の間に固定的に保持される、態様5または6に記載のシステム。
態様8.前記クロスガイドが、前記針協働部材が摺動可能に取り付けられたシャフトからなる、態様5から7のいずれか一項に記載のシステム。
態様9.クロスガイドが、少なくとも1本の注入針の進退方向に対して垂直な変位方向、または少なくとも1本の注入針の進退方向に対して傾斜した方向に延びる、態様5から8のいずれか1項に記載のシステム。
態様10.前進方向および後退方向に移動するように配置された並進フレームを備え、クロスガイドが、並進フレームとともに移動するように並進フレームに固定されている、態様5から9のいずれか1つに記載のシステム。
態様11.少なくとも1本の注入針が注入針のアレイからなり、針協働部材が注入針のアレイのそれぞれの1本の注入針と一度に協働するように配置される、態様5から10のいずれか1項に記載のシステム。
態様12.針協働部材が、クロスガイドに対する相対位置に応じて、それぞれの1本の注入針を前進または後退させるように、注入針のアレイに作用するように配置されている、態様11に記載のシステム。
態様13.針協働部材が注入針のアレイから分離されている、態様12に記載のシステム。
態様14.静止位置において、針協働部材は、注入針のアレイから係合解除され、並進フレームの移動時に、それぞれの1本の注入針に係合する、態様13に記載のシステム。
態様15.注入針のアレイの注入針が、前進方向および後退方向にスライド可能であるように取り付けブロックに取り付けられている、態様11から14のいずれか一項に記載のシステム。
態様16.針協働部材が、それぞれの1本の注入針を前進方向に押すことによって前進させるように配置されている、態様15に記載のシステム。
態様17.針協働部材が針駆動部と位置決め部とを備え、針駆動部と位置決め部とが、並進フレームが前進方向に移動するときに互いに係合解除するように配置されている、態様11から16のいずれか1つに記載のシステム。
態様18.前記クロスガイドと平行に配置された二次クロスガイド部材を備え、前記位置決め部は、前記二次クロスガイド部材上に可動に、好ましくは摺動可能に取り付けられ、前記針駆動部は、前記クロスガイド上に可動に、好ましくは摺動可能に取り付けられる、態様17に記載のシステム。
態様19.前記位置決め部品と前記針駆動部品とが係合しているとき、前記位置決め部品は、前記クロスガイドに沿って変位方向に移動可能であり、それにより、前記針駆動部品は、前記二次クロスガイド部材に沿って同じく変位方向に移動して所望の位置に移動し、前記位置決め部品が進退方向に移動されると、前記針駆動部品と前記位置決め部品とが互いに係合解除される、態様18に記載のシステム。
態様20.針協働部材をクロスガイドに沿って変位方向に引っ張るための変位ケーブルが、針協働部材の位置決め部に接続されている、態様17から19のいずれか1つに記載のシステム。
態様21.少なくとも1本の注入針が単一の注入針からなり、単一の注入針が、針協働部材とともに変位方向に移動可能であるように針協働部材に取り付けられている、態様5から10のいずれか1つに記載のシステム。
態様22.単一の注入針が針協働部材に溶接またはポッティングされている、態様21に記載のシステム。
態様23.単一の注入針が湾曲部を有し、湾曲部が針協働部材に取り付けられている、態様21または22に記載のシステム。
態様24.湾曲部が、針協働部材の対応する湾曲した凹部に固定的に保持される、態様23に記載のシステム。
態様25.単一の注入針の周囲に針補強チューブが配置される、態様21から24のいずれか1つに記載のシステム。
態様26.単一注入針に物質を供給するためのチューブを備え、該チューブが、該単一注入針の端部に接続され、該チューブの必要な可動範囲を可能にするように、該ハウジングの内部でループ状になっている、態様21から25のいずれか一項に記載のシステム。
態様27.前記針協働部材を前記クロスガイドに沿って変位方向に引っ張るための変位ケーブルまたは変位ベルトを備える、態様5から26のいずれか一項に記載のシステム。
態様28.前記針協働部材に作用する前記変位ケーブルの引張り力に対抗する力を与える引張りばねを備える、態様27に記載のシステム。
態様29.変位ケーブルの引っ張り力が針協働部材に作用していないとき、引っ張りバネによって提供される反力は、針協働部材を変位方向と反対の方向に動かすのに十分な強さである、態様28に記載のシステム。
態様30.引張りばねが定荷重引張りばねである、態様28または29のシステム。
態様31.引張りばねが、張力が加えられていないときにそれ自体に巻きつく金属バンドからなり、金属バンドの一端がリールに取り付けられ、金属バンドの他端が針協働部材に接続されている、態様28から30のいずれか1つに記載のシステム。
態様32.引張りばねが、0.5Nから2Nの間、好ましくは0.8Nから1.2Nの間、最も好ましくは約1Nの引張り力を提供する、態様28から31のいずれか1つに記載のシステム。
態様33.変位ケーブルまたは変位ベルトは、針協働部材をクロスガイドに沿って反対の第1および第2の変位方向に引っ張るために配置される、態様32に記載のシステム。
態様34.第1の回転軸を有する第1の車輪と、第1の回転軸と平行で、第1の回転軸から間隔をあけて配置された第2の回転軸を有する第2の車輪とを備え、変位ケーブルまたは変位ベルトが、第1および第2の車輪の周囲を巻回する、態様33に記載のシステム。
態様35.変位ケーブルまたは変位ベルトがエンドレスである、態様34に記載のシステム。
態様36.変位ケーブルまたは変位ベルトが、第1の車輪から第2の車輪に延び、第2の車輪の周りを少なくとも180°巻き、第2の車輪から第1の車輪に戻り、第1の車輪の周りを少なくとも180°巻くループを形成する、態様35に記載のシステム。
態様37.変位ケーブルまたは変位ベルトが、第1および第2の車輪の少なくとも一方の周囲を180°、さらに完全な回転数だけ巻き取る、態様36に記載のシステム。
態様38.変位ケーブルまたは変位ベルトに、変位ケーブルまたは変位ベルトの長手方向軸に対して横方向に張力を発生させる張力発生要素を備える、態様34から37のいずれか1つに記載のシステム。
態様39.駆動ケーブルが、第1または第2の車輪を回転させるように配置され、ハウジングの外に延びている、態様38に記載のシステム。
態様40.駆動ケーブルが、第1および第2の車輪の一方に接続され、第1または第2の車輪に巻いたり巻かなかったりするように、あるいは第1または第2の車輪の周りに巻いたりするように配置される、態様39に記載のシステム。
態様41.第1および第2の車輪の少なくとも一方は、駆動シャフトの回転によって回転するように駆動シャフトに取り付けられ、駆動ケーブルは、駆動シャフトを駆動するために駆動シャフトに接続される、態様39に記載のシステム。
態様42.駆動シャフトに取り付けられた第3の車輪を備え、駆動ケーブルが第3の車輪に巻きついたり、第3の車輪から外れたり、第3の車輪の周りに巻きついたりする、態様41に記載のシステム。
態様43.駆動ケーブルが、第1の車輪もしくは第2の車輪、または第3の車輪に巻いたり巻かれたりするように配置されている場合において、駆動ケーブルが第1の方向に引っ張られているときに、駆動ケーブルが巻き戻され、駆動ケーブルの一部分がハウジングの外に移動するように、駆動ケーブルの一端がそれぞれの第1の車輪、第2の車輪、または第3の車輪に取り付けられており、引張りばねが、駆動ケーブルを反対側の第2の方向に引っ張ってそれぞれの第1の車輪、第2の車輪、または第3の車輪にハウジングの中に戻すように配置されている、態様39から42のいずれか1つに記載のシステム。
態様44.前記駆動ケーブルが、前記第1の車輪もしくは前記第2の車輪の周囲、または前記第3の車輪の周囲に巻かれるように配置されている場合には、前記駆動ケーブルが引っ張られているときに、前記駆動ケーブルの一部分が前記ハウジングの中に移動する一方で、前記駆動ケーブルの別の部分が前記ハウジングの外に移動するように、前記駆動ケーブルが配置されている、態様39から42のいずれか1つに記載のシステム。
態様45.針協働部材上に配置された第1のアライメント構造と、針協働部材がクロスガイドに沿って異なる位置に移動されるときに、第1および第2のアライメント構造が互いに係合し、針協働部材の異なる静止位置を規定するように静止配置された第2のアライメント構造とを備える、態様5から44のいずれか1つに記載のシステム。
態様46.第1のアライメント構造が板バネであり、第2のアライメント構造が、板バネと協働するように配置された複数の静止した戻り止めまたは突起から構成されるか、あるいは、第1のアライメント構造が複数の戻り止めまたは突起から構成され、第2のアライメント構造が、戻り止めまたは突起と協働するように配置された1つまたは複数の静止した板バネから構成される、態様45に記載のシステム。
【0691】
第2の態様と第3の態様の組み合わせ - ブロック&タックルのセットアップを備えたケーブル
態様47.駆動ユニットが前進ケーブルを備え、前進ケーブルを引くことにより、少なくとも1本の注入針を前進または後退させ、前進ケーブルがブロックアンドタックルセットアップの一部を形成する、態様1から46のいずれか一項に記載のシステム。
態様48.前進ケーブルがハウジングの壁を通して案内される、態様47に記載のシステム。
態様49.少なくとも1つのリニアベアリング、好ましくは平行に配置された2つのリニアベアリングと、並進フレームの移動によって少なくとも1本の注入針を前進させるか後退させるか、または前進と後退の両方を行うように、少なくとも1本の注入針の前進方向および後退方向に少なくとも1つのリニアベアリングに沿って移動するように配置された並進フレームとを備える、態様47または48に記載のシステム、ブロックアンドタックルセットアップが、並進フレームと共に移動するように並進フレームに固定された少なくとも1つの第1のプーリー、好ましくは2つの第1のプーリーと、静止するようにハウジングに固定された少なくとも1つの第2のプーリー、好ましくは2つの第2のプーリーとを備える。
態様50.前進ケーブルの一端がハウジングに固定されている、態様49に記載のシステム。
態様51.前進ケーブルの一端が並進フレームに固定されている、態様49に記載のシステム。
【0692】
第2の態様と第4の態様の組み合わせ - 前進・変位複合ケーブル
態様52.駆動ユニットが、前進および変位ケーブルを引っ張ることによって、少なくとも1本の注入針の前進または後退を引き起こすことと、前進および後退方向とは異なる変位方向への少なくとも1本の注入針の変位を引き起こすこととの両方を可能にするように配置された、前進・変位複合ケーブルを備える、態様1から51のいずれか一項に記載のシステム。
態様53.前進・変位ケーブルの第1の端部に取り付けられた第1のアクチュエータと、前進・変位ケーブルの第2の端部に取り付けられた第2のアクチュエータとを備え、第1のアクチュエータは、前進・変位ケーブルを第1の引っ張り方向に引っ張り移動させることができるように配置され、第2のアクチュエータは、前進・変位ケーブルを第1の引っ張り方向とは反対の第2の引っ張り方向に引っ張り移動させることができるように配置されている、態様52に記載のシステム。
態様54.第1および第2のアクチュエータを同時に作動させて、前進ケーブルおよび変位ケーブルを反対の第1および第2の引き込み方向に移動させることにより、少なくとも1本の注入針を前進または後退させる、態様53に記載のシステム。
態様55.少なくとも1つのリニアベアリング、好ましくは2つの平行なリニアベアリングと、少なくとも1つのリニアベアリングに沿って前進方向および後退方向に移動するように配置された並進フレームとを備え、前進ケーブルおよび変位ケーブルの反対側の第1および第2の引っ張り方向への移動が、並進フレームを少なくとも1つのリニアベアリングに沿って移動させる、態様54に記載のシステム。
態様56.静止するようにハウジングに固定された少なくとも2つの第1のプーリを備え、前進および変位ケーブルが、2つの第1のプーリのうちの1つのプーリ上を案内され、さらに並進フレームに案内され、さらに2つの第1のプーリのうちの他の1つのプーリ上を案内される、態様55に記載のシステム。
態様57.並進フレームを静止位置に付勢するように配置された少なくとも1つの戻しばねをさらに含む、態様55または56に記載のシステム。
態様58.少なくとも1つのリターンスプリングが、少なくとも1つのリニアベアリングの1つの周りに配置されたコイルスプリング、または少なくとも1つのリニアベアリングのそれぞれのものの周りに配置された2つのコイルスプリングからなる、態様57に記載のシステム。
態様59.第1および第2のアクチュエータのうちのいずれか一方のアクチュエータを、進退ケーブルを第1または第2の引き込み方向に移動させるように作動させ、一方、第1および第2のアクチュエータのうちのそれぞれの他方のアクチュエータを進退ケーブルを移動させないように作動させると、少なくとも1本の注入針を変位方向に変位させる、態様53から58のいずれか1つに記載のシステム。
態様60.少なくとも1本の注入針が取り付けられる針協働部材と、針協働部材が結合されるクロスガイドとを備え、前進および変位ケーブルは、針協働部材をクロスガイドに沿って変位方向の異なる位置に引っ張って移動させるように針協働部材に接続される、態様59に記載のシステム。
態様61.針協働部材の対向する側で並進フレームに固定された少なくとも2つの第2のプーリーを含み、前進および変位ケーブルが2つの第2のプーリー上を案内される、態様60に記載のシステム。
態様62.前進・変位ケーブルは、その中央部分が針協働部材に固定的に接続されている、態様60に記載のシステム。
態様63.前進・変位ケーブルが、2つの別個のケーブル部分からなり、各ケーブル部分は、その一端が針協働部材に接続されている、態様60に記載のシステム。
態様64.少なくとも1本の注入針が単一の注入針のみからなる、態様52から65のいずれか1つに記載のシステム。
態様65.単一の注入針が針協働部材に溶接またはポッティングされている、態様60から63のいずれか1つに記載のシステム。
態様66.単一の注入針の周囲に針補強チューブが配置される、態様60から64のいずれか1つに記載のシステム。
態様67.単一の注入針が湾曲部を有し、湾曲部が針協働部材に取り付けられている、態様66に記載のシステム。
態様68.湾曲部が針協働部材の凹部に固定的に保持される、態様67に記載のシステム。
態様69.単一注入針に物質を供給するためのチューブを備え、該チューブが、該単一注入針の端部に接続され、該チューブが所要の可動範囲を有するように該ハウジングの内部でループ状になっている、態様66から68のいずれか一項に記載のシステム。
態様70.協働して、少なくとも1本の注入針を前進方向または後退方向に前進または後退させ、個々に、針協働部材をそれぞれ反対の変位方向に変位させるために配置される2つのモーターを備える、態様52から69のいずれか1つに記載のシステム。
【0693】
第2の態様と第5の態様の組み合わせ - 側方供給ポート付き注入針
態様71.少なくとも1本の注入針が、先端端を有する管状針本体と、少なくとも1本の注入針を介して物質を注入することができるように先端端に配置された注入ポートと、注入される物質を受け取ることができるように先端端から離れた位置に配置された供給ポートと、注入ポートと供給ポートとを接続する管状針本体内部の針管腔とを有し、供給ポートが、管状針本体の側面に配置された側面ポートである、態様1から51のいずれか1項に記載のシステム。
態様72.少なくとも1本の注入針が複数の注入針を備える、態様71に記載のシステム。
態様73.前記複数の注入針の注入針が、1mmから2mmの間の距離だけ互いに離間している、態様72に記載のシステム。
態様74.mmの距離だけ互いに離間している、態様73に記載のシステム。
態様75.ハウジングの内部に内部リザーバを備え、内部リザーバは、注入される物質を保持するために配置され、少なくとも1本の注入針が、貫通領域を貫通する前進位置にあるとき、供給ポートは、内部リザーバの内部に配置され、注入ポートは、ハウジングの外部に配置される、態様71から73のいずれか1つに記載のシステム。
態様76.貫通領域が隔壁を備え、少なくとも1本の注入針が後退位置にあるとき、供給ポートが内部リザーバの外側かつ隔壁の内側にあるように、内部リザーバが隔壁内に配置される、態様75に記載のシステム。
態様77.貫通領域が隔壁を備え、少なくとも1本の注入針が後退位置にあるとき、供給ポートが内部リザーバ内にあるように、内部リザーバが隔壁内に配置される、態様75に記載のシステム。
態様78.少なくとも1本の注入針が後退位置にあるとき、注入ポートが隔壁の内側にある、態様76または77に記載のシステム。
態様79.少なくとも1本の注入針が後退位置にあるとき、注入ポートが隔壁の内側にあり、内部リザーバの外側にある、態様78に記載のシステム。
態様80.少なくとも1本の注入針が後退位置にあるとき、注入ポートが隔壁の内側かつ内部リザーバの内側にある、態様78に記載のシステム。
態様81.システムが、少なくとも1つのリニアベアリングと、少なくとも1つのリニアベアリングに沿って前進方向および後退方向に移動するように配置された並進フレームとを備え、並進フレームのそれぞれの移動によって少なくとも1本の注入針を前進させるか後退させるか、または前進および後退の両方を行う場合、内部リザーバに注入される物質を供給するための供給ルーメンが、少なくとも1つのリニアベアリングの内腔に沿って走るように設けられる、態様75から80のいずれか1つに記載のシステム。
態様82.注入ポートが、管状針本体の側面に配置された側面ポートである、態様81に記載のシステム。
【0694】
第3の態様- ブロック&タックルセットアップのケーブル
態様1.患者の体内に物質を注入するための少なくとも部分的に埋め込み可能なシステムであって、
- 患者の体内に埋め込むためのハウジングであって、貫通領域を有する外壁を有するハウジングと、
- ハウジング内に配置された少なくとも1本の注入針と
- 該少なくとも1本の注入針の前進時に、該少なくとも1本の注入針の先端が貫通するように、該少なくとも1本の注入針を逆進退方向に前進および後退させるために配置された駆動ユニットと、前記貫通領域は、少なくとも1本の注入針を介して前記貫通領域を通して物質を注入することを可能にするように、前記貫通領域を貫通し、前記駆動ユニットは、前進ケーブルを備え、前記前進ケーブルを引くことにより、前記少なくとも1本の注入針の前進または後退を引き起こし、前記前進ケーブルは、ブロックアンドタックルセットアップの一部を形成する、システム。
態様2.前進ケーブルがハウジングの壁を通して案内される、態様1に記載のシステム。
態様3.少なくとも1つのリニアベアリング、好ましくは平行に配置された2つのリニアベアリングと、並進フレームの移動によって少なくとも1本の注入針を前進または後退させるように、少なくとも1本の注入針の前進方向および後退方向に少なくとも1つのリニアベアリングに沿って移動するように配置された並進フレームとを備える、態様1または2に記載のシステム、ブロックアンドタックルセットアップが、並進フレームと共に移動するように並進フレームに固定された少なくとも1つの第1のプーリー、好ましくは2つの第1のプーリーと、静止するようにハウジングに固定された少なくとも1つの第2のプーリー、好ましくは2つの第2のプーリーとを備える。
態様4.前進ケーブルの一端がハウジングに固定されている、態様3に記載のシステム。
態様5.前進ケーブルの一端が並進フレームに固定されている、態様3に記載のシステム。
【0695】
第3の態様と第2の態様の組み合わせ - 変換フレーム
態様6.少なくとも1つのリニアベアリング、好ましくは平行に配置された2つのリニアベアリングと、2つのリニアベアリングを連結し、少なくとも1本の注入針を前進させるか後退させるか、または前進と後退の両方を行うように、少なくとも1本の注入針の前進方向および後退方向に2つのリニアベアリングに沿って移動するように配置された並進フレームとを備える、態様1から5のいずれか1つに記載のシステム。
態様7.態様6に記載のシステムにおいて、2つのリニアベアリングは、並進フレームが摺動可能に取り付けられた2つの平行シャフトの形態をとる。
態様8.並進フレームを静止位置に付勢するように配置された少なくとも1つの戻しばねをさらに備える、態様6または7に記載のシステム。
態様9.少なくとも1つのリターンスプリングが、少なくとも1つの平行リニアベアリングの1つの周囲に配置されたコイルスプリング、または2つの平行リニアベアリングのそれぞれのものの周囲に配置された2つのコイルスプリングからなる、態様8に記載のシステム。
【0696】
第3の態様と第1の態様の組み合わせ - 針協働部材付きクロスガイド
態様10.少なくとも1本の注入針の前進または後退時に少なくとも1本の注入針と協働するように配置された針協働部材を備え、前進方向および後退方向とは異なる変位方向において異なる位置に移動可能であるように針協働部材が結合されるクロスガイドをさらに備える、態様1から9のいずれか1項に記載のシステム。
態様11.前記駆動ユニットは、前記少なくとも1本の注入針を反対方向の前進および後退方向に前進または後退させるか、または前進および後退の両方を行うための第1のモーターと、前記針協働部材を前記変位方向に変位させるための第2のモーターとを備える、態様10に記載のシステム。
態様12.クロスガイドが2つの対向する固定点の間に固定的に保持される、態様10または11に記載のシステム。
態様13.前記クロスガイドが、前記針協働部材が摺動可能に取り付けられたシャフトを備える、態様10から12のいずれか一項に記載のシステム。
態様14.クロスガイドが、少なくとも1本の注入針の進退方向に対して垂直な変位方向、または少なくとも1本の注入針の進退方向に対して傾斜した方向に延びる、態様10から13のいずれか1項に記載のシステム。
態様15.前進方向および後退方向に移動するように配置された並進フレームを備え、クロスガイドが、並進フレームとともに移動するように並進フレームに固定されている、態様10から14のいずれか1つに記載のシステム。
態様16.少なくとも1本の注入針が注入針のアレイからなり、針協働部材が注入針のアレイのそれぞれの1本の注入針と一度に協働するように配置される、態様10から15のいずれか1項に記載のシステム。
態様17.針協働部材が、クロスガイドに対する相対位置に応じて、それぞれの1本の注入針を前進または後退させるように、注入針のアレイに作用するように配置される、態様16に記載のシステム。
態様18.針協働部材が注入針のアレイから分離されている、態様17に記載のシステム。
態様19.静止位置において、針協働部材は、注入針のアレイから係合解除され、並進フレームの移動時に、それぞれの1本の注入針に係合する、態様18に記載のシステム。
態様20.注入針のアレイの注入針が、前進方向および後退方向にスライド可能であるように取り付けブロックに取り付けられている、態様16から19のいずれか一項に記載のシステム。
態様21.針協働部材が、それぞれの1本の注入針を前進方向に押すことによって前進させるように配置されている、態様20に記載のシステム。
態様22.針協働部材が針駆動部と位置決め部とを備え、針駆動部と位置決め部とが、並進フレームが前進方向に移動するときに互いに係合解除するように配置されている、態様16から21のいずれか1つに記載のシステム。
態様23.前記クロスガイドと平行に配置された二次クロスガイド部材を備え、前記位置決め部は、前記二次クロスガイド部材上に可動に、好ましくは摺動可能に取り付けられ、前記針駆動部は、前記クロスガイド上に可動に、好ましくは摺動可能に取り付けられる、態様22に記載のシステム。
態様24.前記位置決め部品と前記針駆動部品とが係合しているとき、前記位置決め部品は、前記クロスガイドに沿って変位方向に移動可能であり、それにより、前記針駆動部品は、前記二次クロスガイド部材に沿って同じく変位方向に移動して所望の位置に移動し、前記位置決め部品が進退方向に移動されると、前記針駆動部品と前記位置決め部品とが互いに係合解除される、態様23に記載のシステム。
態様25.針協働部材をクロスガイドに沿って変位方向に引っ張るための変位ケーブルが、針協働部材の位置決め部に接続されている、態様22から24のいずれか1つに記載のシステム。
態様26.少なくとも1本の注入針が単一の注入針からなり、単一の注入針が、針協働部材とともに変位方向に移動可能であるように針協働部材に取り付けられている、態様10から15のいずれか1つに記載のシステム。
態様27.単一の注入針が針協働部材に溶接またはポッティングされる、態様26に記載のシステム。
態様28.単一の注入針が湾曲部を有し、湾曲部が針協働部材に取り付けられている、態様26または27に記載のシステム。
態様29.湾曲部が、針協働部材の対応する湾曲凹部に固定的に保持される、態様28に記載のシステム。
態様30.単一の注入針の周囲に針補強チューブが配置される、態様26から29のいずれか1つに記載のシステム。
態様31.単一注入針に物質を供給するためのチューブを備え、該チューブが、該単一注入針の端部に接続され、該チューブが所要の可動範囲を有するように該ハウジングの内部でループ状になっている、態様26から29のいずれか一項に記載のシステム。
態様32.前記針協働部材を前記クロスガイドに沿って変位方向に引っ張るための変位ケーブルまたは変位ベルトを備える、態様10から31のいずれか一項に記載のシステム。
態様33.針協働部材に作用する変位ケーブルの引張り力に対抗する力を与える引張りばねを備える、態様32に記載のシステム。
態様34.変位ケーブルの引っ張り力が針協働部材に作用していないとき、引っ張りバネによって提供される反力は、針協働部材を変位方向と反対の方向に動かすのに十分な強さである、態様33に記載のシステム。
態様35.引張りばねが定荷重引張りばねである、態様33または34のシステム。
態様36.引張りばねが、張力が加えられていないときにそれ自体に巻き付く金属バンドからなり、金属バンドの一端がリールに取り付けられ、金属バンドの他端が針協働部材に接続されている、態様33から35のいずれか1つに記載のシステム。
態様37.引張りばねが、0.5Nから2Nの間、好ましくは0.8Nから1.2Nの間、最も好ましくは約1Nの引張り力を提供する、態様33から36のいずれか1つに記載のシステム。
態様38.変位ケーブルまたは変位ベルトが、針協働部材をクロスガイドに沿って反対側の第1および第2の変位方向に引っ張るように配置されている、態様37に記載のシステム。
態様39.第1の回転軸を有する第1の車輪と、第1の回転軸に平行で、第1の回転軸から間隔をあけて配置された第2の回転軸を有する第2の車輪とを備え、変位ケーブルまたは変位ベルトが、第1および第2の車輪の周囲を巻回する、態様38に記載のシステム。
態様40.変位ケーブルまたは変位ベルトがエンドレスである、態様39に記載のシステム。
態様41.変位ケーブルまたは変位ベルトが、第1の車輪から第2の車輪に延び、第2の車輪の周りを少なくとも180°巻き、第2の車輪から第1の車輪に戻り、第1の車輪の周りを少なくとも180°巻くループを形成する、態様40に記載のシステム。
態様42.変位ケーブルまたは変位ベルトが、第1および第2の車輪の少なくとも一方の周囲を180°、さらに完全な回転数だけ巻き取る、態様41に記載のシステム。
態様43.変位ケーブルまたは変位ベルトに、変位ケーブルまたは変位ベルトの長手方向軸に対して横方向に張力を発生させる張力発生要素を備える、態様39から42のいずれか1つに記載のシステム。
態様44.駆動ケーブルが、第1または第2の車輪を回転させるように配置され、ハウジングから延出している、態様43に記載のシステム。
態様45.駆動ケーブルが、第1および第2の車輪の一方に接続され、第1または第2の車輪に巻いたり巻かなかったり、あるいは第1または第2の車輪の周りに巻いたりするように配置されている、態様45に記載のシステム。
態様46.第1および第2の車輪の少なくとも一方は、駆動シャフトの回転によって回転するように駆動シャフトに取り付けられ、駆動ケーブルは、駆動シャフトを駆動するために駆動シャフトに接続される、態様46に記載のシステム。
態様47.態様47に記載のシステムであって、駆動シャフトに取り付けられた第3の車輪を備え、駆動ケーブルは、第3の車輪上および第3の車輪外、または第3の車輪の周囲を巻き取る、システム。
態様48.態様44から47のいずれか1つに記載のシステムであって、駆動ケーブルが、第1の車輪もしくは第2の車輪、または第3の車輪に巻いたり巻かれたりするように配置される場合、駆動ケーブルは、駆動ケーブルが第1の方向に引っ張られるときに、駆動ケーブルが巻き戻され、駆動ケーブルの一部分がハウジングの外に移動するように、駆動ケーブルの一端がそれぞれの第1の車輪、第2の車輪、または第3の車輪に取り付けられ、引張りばねが、駆動ケーブルを反対側の第2の方向に引っ張ってそれぞれの第1の車輪、第2の車輪、または第3の車輪にハウジングの中に戻すように配置される、システム。
態様49.前記駆動ケーブルが、前記第1の車輪もしくは前記第2の車輪の周囲、または前記第3の車輪の周囲に巻かれるように配置されている場合には、前記駆動ケーブルが引っ張られているときに、前記駆動ケーブルの一部分が前記ハウジングの中に移動する一方で、前記駆動ケーブルの別の部分が前記ハウジングの外に移動するように、前記駆動ケーブルが配置されている、態様44から47のいずれか1つに記載のシステム。
態様50.針協働部材上に配置された第1のアライメント構造と、針協働部材がクロスガイドに沿って異なる位置に移動されるときに、第1および第2のアライメント構造が互いに係合し、針協働部材の異なる静止位置を規定するように静止配置された第2のアライメント構造とを備える、態様10から49のいずれか一項に記載のシステム。
態様51.第1のアライメント構造が板バネであり、第2のアライメント構造が、板バネと協働するように配置された複数の静止した戻り止めまたは突起から構成されるか、あるいは、第1のアライメント構造が複数の戻り止めまたは突起から構成され、第2のアライメント構造が、戻り止めまたは突起と協働するように配置された1つまたは複数の静止した板バネから構成される、態様50に記載のシステム。
【0697】
第3の態様と第4の態様の組み合わせ - 前進・変位複合ケーブル
態様52.駆動ユニットが、前進および変位ケーブルを引っ張ることによって、少なくとも1本の注入針の前進または後退を引き起こすことと、前進および後退方向とは異なる変位方向への少なくとも1本の注入針の変位を引き起こすこととの両方を可能にするように配置された、前進・変位複合ケーブルを備える、態様1から51のいずれか一項に記載のシステム。
態様53.前進・変位ケーブルの第1の端部に取り付けられた第1のアクチュエータと、前進・変位ケーブルの第2の端部に取り付けられた第2のアクチュエータとを備え、第1のアクチュエータは、前進・変位ケーブルを第1の引っ張り方向に引っ張り移動させることができるように配置され、第2のアクチュエータは、前進・変位ケーブルを第1の引っ張り方向とは反対の第2の引っ張り方向に引っ張り移動させることができるように配置されている、態様52に記載のシステム。
態様54.第1および第2のアクチュエータを同時に作動させて、前進ケーブルおよび変位ケーブルを反対の第1および第2の引き込み方向に移動させることにより、少なくとも1本の注入針を前進または後退させる、態様53に記載のシステム。
態様55.少なくとも1つのリニアベアリング、好ましくは2つの平行なリニアベアリングと、少なくとも1つのリニアベアリングに沿って前進方向および後退方向に移動するように配置された並進フレームとを備え、前進ケーブルおよび変位ケーブルの反対側の第1および第2の引っ張り方向への移動が、並進フレームを少なくとも1つのリニアベアリングに沿って移動させる、態様54に記載のシステム。
態様56.静止するようにハウジングに固定された少なくとも2つの第1のプーリを備え、前進および変位ケーブルが、2つの第1のプーリのうちの1つのプーリ上を案内され、さらに並進フレームに案内され、さらに2つの第1のプーリのうちの他の1つのプーリ上を案内される、態様55に記載のシステム。
態様57.並進フレームを静止位置に付勢するように配置された少なくとも1つの戻しばねをさらに含む、態様55または56に記載のシステム。
態様58.少なくとも1つのリターンスプリングが、少なくとも1つのリニアベアリングの1つの周りに配置されたコイルスプリング、または少なくとも1つのリニアベアリングのそれぞれのものの周りに配置された2つのコイルスプリングからなる、態様57に記載のシステム。
態様59.第1および第2のアクチュエータのうちのいずれか一方のアクチュエータを、進退ケーブルを第1または第2の引き込み方向に移動させるように作動させ、一方、第1および第2のアクチュエータのうちのそれぞれの他方のアクチュエータを進退ケーブルを移動させないように作動させると、少なくとも1本の注入針を変位方向に変位させる、態様53から58のいずれか1つに記載のシステム。
態様60.少なくとも1本の注入針が取り付けられる針協働部材と、針協働部材が結合されるクロスガイドとを備え、前進および変位ケーブルは、針協働部材をクロスガイドに沿って変位方向の異なる位置に引っ張って移動させるように針協働部材に接続される、態様59に記載のシステム。
態様61.針協働部材の対向する側で並進フレームに固定された少なくとも2つの第2のプーリーを含み、前進および変位ケーブルが2つの第2のプーリー上を案内される、態様60に記載のシステム。
態様62.前進・変位ケーブルは、その中央部分が針協働部材に固定的に接続されている、態様60に記載のシステム。
態様63.前進・変位ケーブルが、2つの別個のケーブル部分からなり、各ケーブル部分は、その一端が針協働部材に接続されている、態様60に記載のシステム。
態様64.少なくとも1本の注入針が単一の注入針のみからなる、態様52から65のいずれか1つに記載のシステム。
態様65.単一の注入針が針協働部材に溶接またはポッティングされている、態様60から63のいずれか1つに記載のシステム。
態様66.単一の注入針の周囲に針補強チューブが配置される、態様60から64のいずれか1つに記載のシステム。
態様67.単一の注入針が湾曲部を有し、湾曲部が針協働部材に取り付けられている、態様66に記載のシステム。
態様68.湾曲部が針協働部材の凹部に固定的に保持される、態様67に記載のシステム。
態様69.単一注入針に物質を供給するためのチューブを備え、該チューブが、該単一注入針の端部に接続され、該チューブが所要の可動範囲を有するように該ハウジングの内部でループ状になっている、態様66から68のいずれか一項に記載のシステム。
態様70.協働して、少なくとも1本の注入針を前進方向または後退方向に前進または後退させ、個々に、針協働部材をそれぞれ反対の変位方向に変位させるために配置される2つのモーターを備える、態様52から69のいずれか1つに記載のシステム。
【0698】
第3の態様と第5の態様の組み合わせ - 側方給液ポート付き注入針
態様71.少なくとも1本の注入針が、先端端を有する管状針本体と、少なくとも1本の注入針を介して物質を注入することができるように先端端に配置された注入ポートと、注入される物質を受け取ることができるように先端端から離れた位置に配置された供給ポートと、注入ポートと供給ポートとを接続する管状針本体内部の針管腔とを有し、供給ポートが、管状針本体の側面に配置された側面ポートである、態様1から51のいずれか1項に記載のシステム。
態様72.少なくとも1本の注入針が複数の注入針を備える、態様71に記載のシステム。
態様73.前記複数の注入針の注入針が、1mmから2mmの間の距離だけ互いに離間している、態様72に記載のシステム。
態様74.mmの距離だけ互いに離間している、態様73に記載のシステム。
態様75.ハウジングの内部に内部リザーバを備え、内部リザーバは、注入される物質を保持するために配置され、少なくとも1本の注入針が、貫通領域を貫通する前進位置にあるとき、供給ポートは、内部リザーバの内部に配置され、注入ポートは、ハウジングの外部に配置される、態様71から73のいずれか1つに記載のシステム。
態様76.貫通領域が隔壁を備え、少なくとも1本の注入針が後退位置にあるとき、供給ポートが内部リザーバの外側かつ隔壁の内側にあるように、内部リザーバが隔壁内に配置される、態様75に記載のシステム。
態様77.貫通領域が隔壁を備え、少なくとも1本の注入針が後退位置にあるとき、供給ポートが内部リザーバ内にあるように、内部リザーバが隔壁内に配置される、態様75に記載のシステム。
態様78.少なくとも1本の注入針が後退位置にあるとき、注入ポートが隔壁の内側にある、態様76または77に記載のシステム。
態様79.少なくとも1本の注入針が後退位置にあるとき、注入ポートが隔壁の内側にあり、内部リザーバの外側にある、態様78に記載のシステム。
態様80.少なくとも1本の注入針が後退位置にあるとき、注入ポートが隔壁の内側かつ内部リザーバの内側にある、態様78に記載のシステム。
態様81.システムが、少なくとも1つのリニアベアリングと、少なくとも1つのリニアベアリングに沿って前進方向および後退方向に移動するように配置された並進フレームとを備え、並進フレームのそれぞれの移動によって少なくとも1本の注入針を前進させるか後退させるか、または前進および後退の両方を行う場合、内部リザーバに注入される物質を供給するための供給ルーメンが、少なくとも1つのリニアベアリングの内腔に沿って走るように設けられる、態様75から80のいずれか1つに記載のシステム。
態様82.注入ポートが、管状針本体の側面に配置された側面ポートである、態様71から81のいずれか一項に記載のシステム。
【0699】
第4の態様:前進・変位複合ケーブル
態様1.患者の体内に物質を注入するための少なくとも部分的に埋め込み可能なシステムであって、
- 患者の体内に埋め込むためのハウジングであって、貫通領域を有する外壁を有するハウジングと、
- ハウジング内に配置された少なくとも1本の注入針と、
- 少なくとも1本の注入針の前進時に、少なくとも1本の注入針の先端が前記貫通領域を貫通し、少なくとも1本の注入針を介して前記貫通領域を通して物質を注入できるように、少なくとも1本の注入針を反対方向に前進および後退させるように配置された駆動ユニットと、を備え、
- 駆動ユニットは、少なくとも1本の注入針の前進または後退を引き起こすことと、前進方向および後退方向とは異なる変位方向への少なくとも1本の注入針の変位を引き起こすことの両方を可能にするように配置された前進・変位複合ケーブルを備える、システム。
態様2.前進・変位ケーブルの第1の端部に取り付けられた第1のアクチュエータと、前進・変位ケーブルの第2の端部に取り付けられた第2のアクチュエータとを備え、第1のアクチュエータは、前進・変位ケーブルを第1の引っ張り方向に引っ張り移動させることができるように配置され、第2のアクチュエータは、前進・変位ケーブルを第1の引っ張り方向とは反対の第2の引っ張り方向に引っ張り移動させることができるように配置されている、態様52に記載のシステム。
態様3.第1および第2のアクチュエータを同時に作動させて、前進ケーブルおよび変位ケーブルを反対の第1および第2の引き込み方向に移動させることにより、少なくとも1本の注入針を前進または後退させる、態様53に記載のシステム。
態様4.少なくとも1つのリニアベアリング、好ましくは2つの平行なリニアベアリングと、少なくとも1つのリニアベアリングに沿って前進方向および後退方向に移動するように配置された並進フレームとを備え、前進ケーブルおよび変位ケーブルの反対側の第1および第2の引っ張り方向への移動が、並進フレームを少なくとも1つのリニアベアリングに沿って移動させる、態様54に記載のシステム。
態様5.静止するようにハウジングに固定された少なくとも2つの第1のプーリを備え、前進および変位ケーブルが、2つの第1のプーリのうちの1つのプーリ上を案内され、さらに並進フレームに案内され、さらに2つの第1のプーリのうちの他の1つのプーリ上を案内される、態様55に記載のシステム。
態様6.並進フレームを静止位置に付勢するように配置された少なくとも1つの戻しばねをさらに含む、態様55または56に記載のシステム。
態様7.少なくとも1つのリターンスプリングが、少なくとも1つのリニアベアリングの1つの周りに配置されたコイルスプリング、または少なくとも1つのリニアベアリングのそれぞれのものの周りに配置された2つのコイルスプリングからなる、態様57に記載のシステム。
態様8.第1および第2のアクチュエータのうちのいずれか一方のアクチュエータを、進退ケーブルを第1または第2の引き込み方向に移動させるように作動させ、一方、第1および第2のアクチュエータのうちのそれぞれの他方のアクチュエータを進退ケーブルを移動させないように作動させると、少なくとも1本の注入針を変位方向に変位させる、態様53から58のいずれか1つに記載のシステム。
態様9.少なくとも1本の注入針が取り付けられる針協働部材と、針協働部材が結合されるクロスガイドとを備え、前進および変位ケーブルは、針協働部材をクロスガイドに沿って変位方向の異なる位置に引っ張って移動させるように針協働部材に接続される、態様59に記載のシステム。
態様10.針協働部材の対向する側で並進フレームに固定された少なくとも2つの第2のプーリーを含み、前進および変位ケーブルが2つの第2のプーリー上を案内される、態様60に記載のシステム。
態様11.前進・変位ケーブルは、その中央部分が針協働部材に固定的に接続されている、態様60に記載のシステム。
態様12.前進・変位ケーブルが、2つの別個のケーブル部分からなり、各ケーブル部分は、その一端が針協働部材に接続されている、態様60に記載のシステム。
態様13.少なくとも1本の注入針が単一の注入針のみからなる、態様52から65のいずれか1つに記載のシステム。
態様14.単一の注入針が針協働部材に溶接またはポッティングされている、態様60から63のいずれか1つに記載のシステム。
態様15.単一の注入針の周囲に針補強チューブが配置される、態様60から64のいずれか1つに記載のシステム。
態様16.単一の注入針が湾曲部を有し、湾曲部が針協働部材に取り付けられている、態様66に記載のシステム。
態様17.湾曲部が針協働部材の凹部に固定的に保持される、態様67に記載のシステム。
態様18.単一注入針に物質を供給するためのチューブを備え、該チューブが、該単一注入針の端部に接続され、該チューブが所要の可動範囲を有するように該ハウジングの内部でループ状になっている、態様66から68のいずれか一項に記載のシステム。
態様19.協働して、少なくとも1本の注入針を前進方向または後退方向に前進または後退させ、個々に、針協働部材をそれぞれ反対の変位方向に変位させるために配置される2つのモーターを備える、態様52から69のいずれか1つに記載のシステム。
【0700】
第4の態様と第2の態様の組み合わせ - 並進フレーム
態様20.少なくとも1つのリニアベアリング、好ましくは平行に配置された2つのリニアベアリングと、2つのリニアベアリングを連結し、2つのリニアベアリングに沿って少なくとも1本の注入針の前進方向および後退方向に移動するように配置された並進フレームとを備え、並進フレームの移動によって少なくとも1本の注入針を前進させるか後退させるか、または前進および後退の両方を行うように構成されている、態様1から19のいずれか一項に記載のシステム。
態様21.態様20に記載のシステムにおいて、2つのリニアベアリングは、並進フレームが摺動可能に取り付けられた2つの平行シャフトの形態をとる。
態様22.並進フレームを静止位置に付勢するように配置された少なくとも1つの戻しばねをさらに備える、態様20または21に記載のシステム。
態様23.少なくとも1つのリターンスプリングが、少なくとも1つの平行リニアベアリングの1つの周囲に配置されたコイルスプリング、または2つの平行リニアベアリングのそれぞれのものの周囲に配置された2つのコイルスプリングからなる、態様22に記載のシステム。
【0701】
第4の態様と第1の態様の組み合わせ - 針協働部材付きクロスガイド
態様24.少なくとも1本の注入針の前進または後退時に少なくとも1本の注入針と協働するように配置された針協働部材を備え、前進方向および後退方向とは異なる変位方向において異なる位置に移動可能であるように針協働部材が結合されるクロスガイドをさらに備える、態様1から23のいずれか1つに記載のシステム。
態様25.クロスガイドが2つの対向する固定点の間に固定的に保持される、態様24に記載のシステム。
態様26.前記クロスガイドが、前記針協働部材が摺動可能に取り付けられたシャフトからなる、態様24または25に記載のシステム。
態様27.クロスガイドが、少なくとも1本の注入針の進退方向に対して垂直な変位方向、または少なくとも1本の注入針の進退方向に対して傾斜した方向に延びる、態様24から26のいずれか1つに記載のシステム。
態様28.前進方向および後退方向に移動するように配置された並進フレームを備え、クロスガイドが、並進フレームとともに移動するように並進フレームに固定されている、態様24から27のいずれか1つに記載のシステム。
態様29.少なくとも1本の注入針が単一の注入針からなり、単一の注入針が、針協働部材とともに変位方向に移動可能であるように針協働部材に取り付けられている、態様24から28のいずれか1つに記載のシステム。
態様30.単一の注入針が針協働部材に溶接またはポッティングされている、態様29に記載のシステム。
態様31.単一の注入針が湾曲部を有し、湾曲部が針協働部材に取り付けられている、態様29または30に記載のシステム。
態様32.湾曲部が、針協働部材の対応する湾曲凹部に固定的に保持される、態様31に記載のシステム。
態様33.単一の注入針の周囲に針補強チューブが配置される、態様29から32のいずれか1つに記載のシステム。
態様34.単一注入針に物質を供給するためのチューブを備え、該チューブが、該単一注入針の端部に接続され、該チューブが所要の可動範囲を有するように該ハウジングの内部でループ状になっている、態様29から33のいずれか一項に記載のシステム。
態様35.針協働部材上に配置された第1のアライメント構造と、針協働部材がクロスガイドに沿って異なる位置に移動されるときに、第1および第2のアライメント構造が互いに係合し、針協働部材の異なる静止位置を規定するように静止配置された第2のアライメント構造とを備える、態様24から34のいずれか1つに記載のシステム。
態様36.第1のアライメント構造が板バネであり、第2のアライメント構造が、板バネと協働するように配置された複数の静止した戻り止めまたは突起から構成されるか、あるいは、第1のアライメント構造が複数の戻り止めまたは突起から構成され、第2のアライメント構造が、戻り止めまたは突起と協働するように配置された1つまたは複数の静止した板バネから構成される、態様35に記載のシステム。
【0702】
第4の態様と第3の態様の組み合わせ - ブロック&タックルのセットアップを備えたケーブル
態様47.駆動ユニットが前進ケーブルを備え、前進ケーブルを引くことにより、少なくとも1本の注入針を前進または後退させ、前進ケーブルがブロックアンドタックルセットアップの一部を形成する、態様1から46のいずれか一項に記載のシステム。
態様48.前進ケーブルがハウジングの壁を通して案内される、態様47に記載のシステム。
態様49.少なくとも1つのリニアベアリング、好ましくは平行に配置された2つのリニアベアリングと、並進フレームの移動によって少なくとも1本の注入針を前進または後退させるように、少なくとも1本の注入針の前進方向および後退方向に少なくとも1つのリニアベアリングに沿って移動するように配置された並進フレームとを備える、態様47または48に記載のシステム、ブロックアンドタックルセットアップが、並進フレームと共に移動するように並進フレームに固定された少なくとも1つの第1のプーリー、好ましくは2つの第1のプーリーと、静止するようにハウジングに固定された少なくとも1つの第2のプーリー、好ましくは2つの第2のプーリー133とを備える。
態様50.前進ケーブルの一端がハウジングに固定されている、態様49に記載のシステム。
態様51.前進ケーブルの一端が並進フレームに固定されている、態様49に記載のシステム。
【0703】
第4の態様と第5の態様の組み合わせ - 側方供給ポート付き注入針
態様52.少なくとも1本の注入針が、先端端を有する管状針本体と、少なくとも1本の注入針を介して物質を注入することができるように先端端に配置された注入ポートと、注入される物質を受け取ることができるように先端端から離れた位置に配置された供給ポートと、注入ポートと供給ポートとを接続する管状針本体内部の針管腔とを有し、供給ポートが、管状針本体の側面に配置された側面ポートである、態様1から51のいずれか1項に記載のシステム。
態様53.ハウジングの内部に内部リザーバを備え、内部リザーバは、注入される物質を保持するために配置され、少なくとも1本の注入針が、貫通領域を貫通する前進位置にあるとき、供給ポートは、内部リザーバの内部に配置され、注入ポートは、ハウジングの外部に配置される、態様52に記載のシステム。
態様54.貫通領域が隔壁を備え、少なくとも1本の注入針が引き込まれた位置にあるとき、供給ポートが内部リザーバの外側かつ隔壁の内側にあるように、内部リザーバが隔壁内に配置される、態様53に記載のシステム。
態様55.システムが、少なくとも1つのリニアベアリングと、少なくとも1つのリニアベアリングに沿って前進方向および後退方向に移動するように配置された並進フレームとを備え、並進フレームのそれぞれの移動によって少なくとも1本の注入針を前進させるか後退させるか、または前進および後退の両方を行う場合、内部リザーバに注入される物質を供給するための供給ルーメンが、少なくとも1つのリニアベアリングの内腔に沿って走るように設けられる、態様52から54のいずれか1つに記載のシステム。
態様56.注入ポートが、管状針本体の側面に配置された側面ポートである、態様52から55のいずれか一項に記載のシステム。
【0704】
第5の態様-側方供給ポート付き注入針
態様1.患者の体内に物質を注入するための少なくとも部分的に埋め込み可能なシステムであって、以下のものを含む:
- 患者の体内に埋め込むためのハウジングであって、貫通領域を有する外壁を有するハウジングと、
- ハウジング内に配置された少なくとも1本の注入針と、
- 少なくとも1本の注入針の前進時に、少なくとも1本の注入針の先端が前記貫通領域を貫通し、少なくとも1本の注入針を介して前記貫通領域を通して物質を注入できるように、少なくとも1本の注入針を反対方向に前進および後退させるように配置された駆動ユニットと、を備え、
- 少なくとも1本の注入針は、先端端部を有する管状針本体と、少なくとも1本の注入針を介して物質を注入できるように先端端部に配置された注入ポートと、注入される物質を受け取ることができるように先端端部から離れた位置に配置された供給ポートと、注入ポートと供給ポートとを接続する管状針本体内部の針管腔とを有し、供給ポートは、管状針本体の側部に配置された側部ポートである、システム。
態様2.ハウジングの内部に内部リザーバを備え、内部リザーバは、注入される物質を保持するために配置され、少なくとも1本の注入針が、貫通領域を貫通する前進位置にあるとき、供給ポートは、内部リザーバの内部に配置され、注入ポートは、ハウジングの外部に配置される、態様1に記載のシステム。
態様3.貫通領域が隔壁を備え、少なくとも1本の注入針が引き込まれた位置にあるとき、供給ポートが内部リザーバの外側かつ隔壁の内側にあるように、内部リザーバが隔壁内に配置される、態様2に記載のシステム。
態様4.貫通領域が隔壁を備え、少なくとも1本の注入針が後退位置にあるとき、供給ポートが内部リザーバ内にあるように、内部リザーバが隔壁内に配置される、態様2に記載のシステム。
態様5.少なくとも1本の注入針が後退位置にあるとき、注入ポートが隔壁の内側にある、態様3または4に記載のシステム。
態様6.態様5に記載のシステムであって、少なくとも1本の注入針が後退位置にあるとき、注入ポートが隔壁の内側にあり、内部リザーバの外側にある、システム。
態様7.少なくとも1本の注入針が後退位置にあるとき、注入ポートが隔壁の内側かつ内部リザーバの内側にある、態様5に記載のシステム。
態様8.システムが、少なくとも1つのリニアベアリングと、少なくとも1つのリニアベアリングに沿って前進方向および後退方向に移動するように配置された並進フレームとを備え、並進フレームのそれぞれの移動によって少なくとも1本の注入針を前進させるか、後退させるか、または前進および後退の両方を行う場合、少なくとも1つのリニアベアリングの内腔に沿うように、内部リザーバに注入される物質を供給するための供給ルーメンが設けられる、態様2から7のいずれか1項に記載のシステム。
態様9.注入ポートが、管状針本体の側面に配置された側面ポートである、態様1から8のいずれか一項に記載のシステム。
【0705】
第5の態様と第1の態様の組み合わせ - 針協働部材付きクロスガイド
態様10.少なくとも1本の注入針の前進または後退時に少なくとも1本の注入針と協働するように配置された針協働部材を備え、前進方向および後退方向とは異なる変位方向において異なる位置に移動可能であるように針協働部材が結合されるクロスガイドをさらに備える、態様1から9のいずれか1項に記載のシステム。
態様11.前記駆動ユニットは、前記少なくとも1本の注入針を反対方向の前進および後退方向に前進または後退させるか、または前進および後退の両方を行うための第1のモーターと、前記針協働部材を前記変位方向に変位させるための第2のモーターとを備える、態様10に記載のシステム。
態様12.クロスガイドが2つの対向する固定点の間に固定的に保持される、態様10または11に記載のシステム。
態様13.前記クロスガイドが、前記針協働部材が摺動可能に取り付けられたシャフトを備える、態様10から12のいずれか一項に記載のシステム。
態様14.クロスガイドが、少なくとも1本の注入針の進退方向に対して垂直な変位方向、または少なくとも1本の注入針の進退方向に対して傾斜した方向に延びる、態様10から13のいずれか1項に記載のシステム。
態様15.前進方向および後退方向に移動するように配置された並進フレームを備え、クロスガイドが、並進フレームとともに移動するように並進フレームに固定されている、態様10から14のいずれか1つに記載のシステム。
態様16.少なくとも1本の注入針が注入針のアレイからなり、針協働部材が注入針のアレイのそれぞれの1本の注入針と一度に協働するように配置される、態様10から15のいずれか1項に記載のシステム。
態様17.針協働部材が、クロスガイドに対する相対位置に応じて、それぞれの1本の注入針を前進または後退させるように、注入針のアレイに作用するように配置される、態様16に記載のシステム。
態様18.針協働部材が注入針のアレイから分離されている、態様17に記載のシステム。
態様19.静止位置では、針協働部材が注入針のアレイから離間しており、並進フレームの移動時に、それぞれの1本の注入針に係合する、態様18に記載のシステム。
態様20.注入針のアレイの注入針が、前進方向および後退方向にスライド可能であるように取り付けブロックに取り付けられている、態様17から19のいずれか一項に記載のシステム。
態様21.針協働部材が、それぞれの1本の注入針を前進方向に押すことによって前進させるように配置されている、態様20に記載のシステム。
態様22.針協働部材が針駆動部と位置決め部とを備え、針駆動部と位置決め部とが、並進フレームが前進方向に移動するときに互いに係合解除するように配置されている、態様16から21のいずれか1つに記載のシステム。
態様23.前記クロスガイドと平行に配置された二次クロスガイド部材を備え、前記位置決め部は、前記二次クロスガイド部材上に可動に、好ましくは摺動可能に取り付けられ、前記針駆動部は、前記クロスガイド上に可動に、好ましくは摺動可能に取り付けられる、態様22に記載のシステム。
態様24.前記位置決め部品と前記針駆動部品とが係合しているとき、前記位置決め部品は、前記クロスガイドに沿って変位方向に移動可能であり、それにより、前記針駆動部品は、前記二次クロスガイド部材に沿って同じく変位方向に移動して所望の位置に移動し、前記位置決め部品が進退方向に移動されると、前記針駆動部品と前記位置決め部品とが互いに係合解除される、態様23に記載のシステム。
態様25.針協働部材をクロスガイドに沿って変位方向に引っ張るための変位ケーブルが、針協働部材の位置決め部に接続されている、態様22から24のいずれか1つに記載のシステム。
態様26.前記針協働部材に作用する前記変位ケーブルの引張り力に対抗する力を与える引張りばねを備える、態様25に記載のシステム。
態様27.変位ケーブルの引っ張り力が針協働部材に作用していないとき、引っ張りバネによって提供される反力は、針協働部材を変位方向と反対の方向に動かすのに十分な強さである、態様26に記載のシステム。
態様28.引張りばねが定荷重引張りばねである、態様26または27のシステム。
態様29.引張りばねが、張力が加えられていないときにそれ自体に巻き付く金属バンドからなり、金属バンドの一端がリールに取り付けられ、金属バンドの他端が針協働部材に接続されている、態様26から28のいずれか1つに記載のシステム。
態様30.引張りばねが、0.5Nから2Nの間、好ましくは0.8Nから1.2Nの間、最も好ましくは約1Nの引張り力を提供する、態様26から29のいずれか1つに記載のシステム。
態様31.前記変位ケーブルは、前記針協働部材を前記クロスガイドに沿って反対の第1および第2の変位方向に引っ張るように配置されている、態様25に記載のシステム。
態様32.第1の回転軸を有する第1の車輪と、第1の回転軸と平行で、第1の回転軸から間隔をあけて配置された第2の回転軸を有する第2の車輪とを備え、変位ケーブルまたは変位ベルトが、第1および第2の車輪の周囲を巻回する、態様31に記載のシステム。
態様33.変位ケーブルまたは変位ベルトがエンドレスである、態様32に記載のシステム。
態様34.変位ケーブルまたは変位ベルトが、第1の車輪から第2の車輪に延び、第2の車輪の周りを少なくとも180°巻き、第2の車輪から第1の車輪に戻り、第1の車輪の周りを少なくとも180°巻くループを形成する、態様33に記載のシステム。
態様35.変位ケーブルまたは変位ベルトが、第1および第2の車輪の少なくとも一方の周囲を180°、さらに完全な回転数だけ巻き取る、態様34に記載のシステム。
態様36.変位ケーブルまたは変位ベルトに、変位ケーブルまたは変位ベルトの長手方向軸に対して横方向に張力を発生させる張力発生要素を備える、態様32から35のいずれか1つに記載のシステム。
態様37.駆動ケーブルが、第1または第2の車輪を回転させるように配置され、ハウジングから延出している、態様36に記載のシステム。
態様38.態様37に記載のシステムであって、駆動ケーブルは、第1および第2の車輪の一方に接続され、第1または第2の車輪に巻いたり巻かなかったり、あるいは第1または第2の車輪の周りに巻いたりするように配置される、システム。
態様39.第1および第2の車輪の少なくとも一方は、駆動シャフトの回転によって回転するように駆動シャフトに取り付けられ、駆動ケーブルは、駆動シャフトを駆動するために駆動シャフトに接続されている、態様37に記載のシステム。
態様40.駆動シャフトに取り付けられた第3の車輪を備え、駆動ケーブルが第3の車輪に巻きついたり、第3の車輪から外れたり、第3の車輪の周りに巻きついたりする、態様39に記載のシステム。
態様41.態様37から40のいずれか1つに記載のシステムであって、駆動ケーブルが、第1の車輪もしくは第2の車輪、または第3の車輪に巻いたり巻かなかったりするように配置される場合、駆動ケーブルは、ケーブルが第1の方向に引っ張られるときに、駆動ケーブルが巻き戻され、駆動ケーブルの一部がハウジングの外に移動するように、駆動ケーブルの一端がそれぞれの第1の車輪、第2の車輪、または第3の車輪に取り付け可能であり、引張りばねが、駆動ケーブルを、それぞれの第1の車輪、第2の車輪、または第3の車輪の上に、ハウジングに戻る反対の第2の方向に引っ張るように配置される、システム。
態様42.前記駆動ケーブルが、前記第1の車輪もしくは前記第2の車輪の周囲、または前記第3の車輪の周囲に巻かれるように配置されている場合には、前記駆動ケーブルが引っ張られているときに、前記駆動ケーブルの一部分が前記ハウジングの中に移動する一方で、前記駆動ケーブルの別の部分が前記ハウジングの外に移動するように、前記駆動ケーブルが配置されている、態様37から40のいずれか一項に記載のシステム。
態様43.針協働部材上に配置された第1のアライメント構造と、針協働部材がクロスガイドに沿って異なる位置に移動されるときに、第1および第2のアライメント構造が互いに係合し、針協働部材の異なる静止位置を規定するように静止配置された第2のアライメント構造とを備える、態様10から42のいずれか一項に記載のシステム。
態様44.第1のアライメント構造が板バネであり、第2のアライメント構造が、板バネと協働するように配置された複数の静止した戻り止めまたは突起から構成されるか、あるいは、第1のアライメント構造が複数の戻り止めまたは突起から構成され、第2のアライメント構造が、戻り止めまたは突起と協働するように配置された1つまたは複数の静止した板バネから構成される、態様43に記載のシステム。
【0706】
第5の態様と第2の態様の組み合わせ - 並進フレーム
態様45.少なくとも1つのリニアベアリング、好ましくは平行に配置された2つのリニアベアリングと、2つのリニアベアリングを連結し、2つのリニアベアリングに沿って少なくとも1本の注入針の前進方向および後退方向に移動するように配置された並進フレームとを備え、並進フレームの移動によって少なくとも1本の注入針を前進させるか後退させるか、または前進および後退の両方を行うように構成されている、態様1から44のいずれか一項に記載のシステム。
態様46.態様45に記載のシステムにおいて、2つのリニアベアリングは、並進フレームが摺動可能に取り付けられた2つの平行シャフトの形態をとる。
態様47.並進フレームを静止位置に付勢するように配置された少なくとも1つの戻しばねをさらに含む、態様45または46に記載のシステム。
態様48.少なくとも1つのリターンスプリングが、少なくとも1つの平行リニアベアリングの1つの周囲に配置されたコイルスプリング、または2つの平行リニアベアリングのそれぞれの1つの周囲に配置された2つのコイルスプリングからなる、態様47に記載のシステム。
【0707】
第5の態様と第3の態様の組み合わせ - ブロック&タックルのセットアップを備えたケーブル
態様49.駆動ユニットが前進ケーブルを備え、前進ケーブルを引くことにより、少なくとも1本の注入針を前進または後退させ、前進ケーブルがブロックアンドタックルセットアップの一部を形成する、態様1から48のいずれか一項に記載のシステム。
態様50.前記前進ケーブルは、前記ハウジングの壁を貫通して案内される、態様49に記載のシステム。
態様51.少なくとも1つのリニアベアリング、好ましくは平行に配置された2つのリニアベアリングと、並進フレームの移動によって少なくとも1本の注入針を前進させるか後退させるか、または前進と後退の両方を行うように、少なくとも1本の注入針の前進方向および後退方向に少なくとも1つのリニアベアリングに沿って移動するように配置された並進フレームとを備える、態様49または50に記載のシステム、ブロックアンドタックルセットアップが、並進フレームと共に移動するように並進フレームに固定された少なくとも1つの第1のプーリー、好ましくは2つの第1のプーリーと、静止するようにハウジングに固定された少なくとも1つの第2のプーリー、好ましくは2つの第2のプーリーとを備える。
態様52.前進ケーブルの一端がハウジングに固定されている、態様51に記載のシステム。
態様53.前進ケーブルの一端が並進フレームに固定されている、態様52に記載のシステム。
【0708】
他の態様と組み合わせ可能な更なる態様 - 表面コーティング
態様1.外面(520)と、該外面上に配置されたコーティング(530)とを備える、先行および後続の態様のいずれか1つに記載の患者の体内に物質を注入するためのシステム。
態様2.コーティングが少なくとも1層の生体材料を含む、態様1に記載のシステム。
態様3.前記生体材料が、抗血栓性、抗菌性、および抗血小板性のうちの1つ以上の特性を有する少なくとも1つの薬物または物質を含む、態様2に記載のシステム。
態様4.生体材料がフィブリンベースである、態様2または3に記載のシステム。
態様5.第1のコーティング(530)上に配置された第2のコーティング(530b)をさらに含む、態様1から4のいずれか一項に記載のシステム。
態様6.前記第2のコーティングが、前記第1のコーティングとは異なる生体材料である、態様5に記載のシステム。
態様7.第1のコーティングが、表面に化学的に付着したパーフルオロカーボンの層からなり、第2のコーティングが、液体パーフルオロカーボン層からなる、態様6に記載のシステム。
態様8.コーティングが、多孔性材料にカプセル化された薬物を含む、態様1から7のいずれか一項に記載のシステム。
態様9.表面が金属からなる、態様1から8のいずれか一項に記載のシステム。
態様10.金属が、チタン、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ジルコニウム、モリブデン、スズ、または鉛のうちの少なくとも1つを含む、態様9に記載のシステム。
態様11.表面がマイクロパターンからなる、態様1から10のいずれか一項に記載のシステム。
態様12.微細パターンが、体内への挿入前に表面にエッチングされる、態様11に記載のシステム。
態様13.マイクロパターン上にコーティングされた生体材料の層をさらに含む、態様11または12に記載のシステム。
【0709】
他の態様と組み合わせ可能なさらなる態様 - 通信
一般通信ハウジング
態様1.患者に埋め込まれた埋め込み可能な医療装置と通信するように構成された外部装置であって、
- ディスプレイ装置と、
- ディスプレイ装置と機械的かつ分離可能に接続するように構成されたハウジングユニットであって、
- ディスプレイ装置からの通信を受信するための第1の通信ユニットと、
- 埋め込み型医療機器に通信を無線送信する第2の通信ユニットと、
を含む、ハウジングユニットを備える、外部装置。
態様2.態様1に記載の外部装置であって、外部装置は携帯型電子装置からなる、外部装置。
態様3.外部装置が、埋め込み可能な医療装置の動作状態を変更するために埋め込み可能な医療装置と通信するように構成されている、態様1および2のいずれか1つに記載の外部装置。
態様4.前記第1の通信部は、前記ディスプレイ装置と無線通信するための無線通信部である、前記態様のいずれか1つに記載の外部装置。
態様5.態様4に記載の外部装置であって、
- 第1の通信ユニットは、第1の通信周波数を使用してディスプレイ装置と無線通信するように構成され、
- 第2の通信ユニットは、第2の通信周波数を使用して埋め込み型医療機器と無線通信するように構成され、かつ
- 第1と第2の通信周波数は異なる。
態様6.前記第2の通信ユニットは、100kHz未満の周波数の電磁波を用いて埋め込み型医療装置と無線通信するように構成されている、前記態様のいずれか1つに記載の体外装置。
態様7.前記第2の通信ユニットは、40kHz以下の周波数の電磁波を用いて埋め込み型医療装置と無線通信するように構成されている、前記態様のいずれか1つに記載の体外装置。
態様8.前記第1の通信ユニットは、100kHzを超える周波数の電磁波を用いて前記ディスプレイ装置と無線通信するように構成されている、態様4~7のいずれか一項に記載の外部装置。
態様9.前記態様のいずれか1つに記載の外部装置であって、
- 第1の通信ユニットは、第1の通信プロトコルを使用してディスプレイ装置と通信するように構成され、
- 第2の通信ユニットは、第2の通信プロトコルを使用して埋め込み型医療機器と無線通信するように構成され、かつ
- 第1通信プロトコルと第2通信プロトコルは異なる。
態様10.前記ハウジングユニットは、
- ディスプレイ装置と無線通信するように構成された第1のアンテナと、
- 埋め込み型医療装置との無線通信用に構成された第2のアンテナと、
を備える、態様3~9のいずれか1つに記載の外部装置。
態様11.前記第1の通信ユニットは、前記ディスプレイ装置と有線通信するための有線通信ユニットである、態様1~3のいずれか1つに記載の外部装置。
態様12.前記ディスプレイ装置は、
- ハウジングユニットと通信するための第1の通信ユニットと、
- 第2の外部機器と無線通信するための第2の通信ユニットと、
を備える、前記態様のいずれか1つに記載の外部装置。
態様13.ディスプレイ装置の第2の通信ユニットは、インターネットを介して第2の外部装置と通信するように構成されている、態様12に記載の外部装置。
態様14.前記ディスプレイ装置の前記第1の通信ユニットは、前記ハウジングユニットと無線通信するための無線通信ユニットである、態様12および13のいずれか1つに記載の外部装置。
態様15.態様14に記載の外部装置であって、
- ディスプレイ装置の第1の通信ユニットは、第1の通信周波数を使用してハウジングユニットと無線通信するように構成され、
- ディスプレイデバイスの第2の通信ユニットは、第2の通信周波数を使用して第2の外部デバイスと無線通信するように構成されており、
- 第1と第2の通信周波数は異なる。
態様16.態様14および15のいずれか1つに記載の外部装置であって、
- ディスプレイ装置の第1の通信ユニットは、第1の通信プロトコルを使用してハウジングユニットと無線通信するように構成され、
- ディスプレイデバイスの第2の通信ユニットは、第2の通信プロトコルを使用して第2の外部デバイスと無線通信するように構成されており、
- 第1通信プロトコルと第2通信プロトコルは異なる。
態様17.前記ディスプレイ装置は、
- ハウジングと無線通信するように構成された第1のアンテナと、
- 第2の外部装置との無線通信用に構成された第2のアンテナと、
を備える、態様14~16のいずれか1つに記載の外部装置。
態様18.前記第1の通信ユニットは、前記ハウジングユニットと有線通信するための有線通信ユニットである、態様12~13のいずれか1つに記載の外部装置。
態様19.前記ディスプレイ装置は、患者にユーザ・インターフェースを表示するように構成されている、前記態様のいずれか1つに記載の外部装置。
態様20.前記ハウジングユニットは、前記ユーザ・インターフェースの表示に係る情報を前記ディスプレイ装置に送信するように構成されている、前記態様のいずれか1つに記載の外部装置。
態様21.ディスプレイ装置は、
- 患者から埋め込み型医療装置への、または埋め込み型医療装置からの通信に関する入力を受信し、
- 受信した入力に基づく通信をハウジング・ユニットに送信する、
ように構成されている、態様19および20のいずれか1つに記載の外部装置。
態様22.ディスプレイ装置が、ユーザ・インターフェースを表示し、患者からの入力を受け取るように構成されたタッチスクリーンを備える、態様19~21のいずれか1つに記載の外部装置。
態様23.前記ハウジングユニットは、患者にユーザ・インターフェースを表示するように構成されている、前記態様のいずれか1つに記載の外部装置。
態様24.前記ハウジングユニットの第1の通信ユニットは、第2の通信ユニットを用いて、患者からの入力に係る埋め込み型医療装置からの通信を受信し、受信した入力に基づく通信を埋め込み型医療装置に無線送信するように構成されている、前記態様のいずれか1つに記載の外部装置。
態様25.ハウジングユニットの第2の通信ユニットは、標準ネットワークプロトコルを使用して埋め込み型医療装置と無線通信するように構成されている、前記態様のいずれか1つに記載の外部装置。
態様26.前記標準ネットワークプロトコルは、以下からなるリストから選択される、態様25に記載の外部装置:
RFIDタイプのプロトコル、
WLANタイプのプロトコル、
Bluetoothタイプのプロトコル、
BLEタイプのプロトコル、
NFCタイプのプロトコル、
3G/4G/5Gタイプのプロトコルと
GSMタイプのプロトコル。
態様27.前記ハウジングユニットの前記第2の通信ユニットは、ブルートゥーストランシーバを備える、態様25に記載の外部装置。
態様27.ハウジングユニットの第2の通信ユニットは、独自のネットワークプロトコルを使用して埋め込み型医療装置と無線通信するように構成されている、前記態様のいずれか1つに記載の外部装置。
態様28.前記ハウジングユニットの前記第2の通信ユニットは、UWBトランシーバを備える、態様25~27のいずれか1つに記載の外部装置。
態様29.前記ハウジングユニットの前記第1の通信ユニットは、標準ネットワークプロトコルを使用して前記表示デバイスと無線通信するように構成されている、態様4~28のいずれか1つに記載の外部装置。
態様30.標準ネットワークプロトコルがNFCタイプのプロトコルである、態様29に記載の外部装置。
態様31.前記ハウジングユニットの前記第1の通信ユニットは、独自のネットワークプロトコルを使用して前記表示デバイスと無線通信するように構成されている、態様4~28のいずれか1つに記載の外部装置。
態様32.前記ハウジングの第1の通信ユニットの通信範囲は、前記ハウジングの第2の通信ユニットの通信範囲よりも小さい、態様4~31のいずれか1つに記載の外部装置。
態様33.前記ディスプレイ装置の第1の通信ユニットの通信範囲は、前記ディスプレイ装置の第2の通信ユニットの通信範囲よりも狭い、態様14~32のいずれか1つに記載の外部装置。
態様34.前記ハウジングユニットおよび前記ディスプレイ装置の少なくとも一方は、前記ハウジングユニットと前記ディスプレイ装置との間の距離に基づいて、前記ハウジングユニットと前記ディスプレイ装置との間の通信を可能にするように構成されている、前記態様のいずれか1つに記載の外部装置。
態様35.前記ハウジングユニットおよび前記ディスプレイ装置の少なくとも一方は、前記ハウジングユニットが前記ディスプレイ装置に機械的に接続されていることに基づいて、前記ハウジングユニットと前記ディスプレイ装置との間の通信を可能にするように構成されている、前記態様のいずれか1つに記載の外部装置。
態様36.ハウジングユニットは、ハウジングユニットと埋め込み可能な医療装置との間の距離に基づいて、ハウジングユニットと埋め込み可能な医療装置との間の通信を可能にするように構成されている、先行する態様のいずれか1つに記載の外部装置。
態様37.前記ハウジングは、前記ディスプレイ装置から受信した通信を暗号化するように構成された暗号化ユニットをさらに備える、前記態様のいずれか1つに記載の外部装置。
態様38.第2の通信ユニットを用いて、暗号化通信を埋め込み型医療装置に送信するようにハウジングユニットがさらに適合されている、態様37に記載の外部装置。
態様39.ディスプレイ装置とハウジングユニットとの間の通信と、ハウジングユニットと埋め込み型医療機器との間の通信とのうち少なくとも1つを有効にするために、表示装置の第2の通信ユニットは無効にされるように構成されている、態様14~38のいずれか1つに記載の外部デバイス。
態様40.前記ディスプレイ装置は、ウェアラブル装置またはハンドセットである、前記態様のいずれか1つに記載の外部装置。
態様41.態様40に記載の外部装置であって、ハウジングユニットは、ウェアラブルデバイスまたはハンドセットのケースを構成する。
態様42.埋め込み可能な医療装置が、患者の身体部分に力を及ぼすように構成された埋め込み可能な医療装置である、前記態様のいずれか1つに記載の外部装置。
態様43.埋め込み可能な医療装置が、電気モーターと、電気モーターを制御するためのコントローラー(300)とを備える、前記態様のいずれか1つに記載の外部装置。
態様44.埋め込み可能な医療装置がエネルギー消費部を備える、態様1~41のいずれか1つに記載の外部装置。
態様45.患者に埋め込まれたときに埋め込み型医療装置と通信するように構成されたハウジングユニットであって、該ハウジングユニットは、ディスプレイ装置と 機械的かつ分離可能に接続するように構成され、以下を含むハウジングユニット。
- ディスプレイ装置からの通信を受信する第1の通信ユニットと、
- 埋め込み型医療機器に通信を無線送信するための第2の通信ユニット。
態様46.態様45に記載のハウジングユニットであって、ディスプレイ装置はウェアラブルデバイスまたはハンドセットであり、ハウジングユニットは、ウェアラブルデバイスまたはハンドセット用のケースを備える、ハウジングユニット。
態様47.前記第1の通信ユニットは、前記ディスプレイ装置と無線通信するための無線通信ユニットである、態様45~46のいずれか1つに記載のハウジングユニット。
態様48.態様47に記載のハウジングユニットであって、
- 第1の通信ユニットは、第1の通信周波数を使用してディスプレイ装置と無線通信するように構成され、
- 第2の通信ユニットは、第2の通信周波数を使用して埋め込み型医療機器と無線通信するように構成され、かつ
- 第1と第2の通信周波数は異なる。
態様49.第2の通信ユニットが、100kHz未満の周波数の電磁波を用いて埋め込み型医療装置と無線通信するように構成されている、態様45~48のいずれか1つに記載のハウジングユニット。
態様50.第2の通信ユニットが、40kHz未満の周波数の電磁波を用いて埋め込み型医療装置と無線通信するように構成されている、態様45~49のいずれか1つに記載のハウジングユニット。
態様51.前記第1の通信ユニットは、100kHzを超える周波数の電磁波を用いて前記ディスプレイ装置と無線通信するように構成されている、態様47~50のいずれか1つに記載のハウジングユニット。
態様52.態様45~51のいずれか1つに記載のハウジングユニットであって、
- 第1の通信ユニットは、第1の通信プロトコルを使用してディスプレイ装置と無線通信するように構成され、
-第2の通信ユニットは、第2の通信プロトコルを使用して埋め込み型医療機器と無線通信するように構成され、かつ
- 第1通信プロトコルと第2通信プロトコルは異なる。
態様53.態様47~52のいずれか1つに記載のハウジングユニットであって、ハウジングユニットは、
- ディスプレイ装置と無線通信するように構成された第1のアンテナと、
- 埋め込み型医療装置との無線通信用に構成された第2のアンテナと、
を備える、ハウジングユニット。
態様54.第1の通信ユニットは、ディスプレイ装置と有線通信するための有線通信ユニットである、態様45~46のいずれか1つに記載のハウジングユニット。
態様55.態様45~54のいずれか1つに記載のハウジングユニットであって、ハウジングユニットは、ユーザ・インターフェースの表示に関連する情報をディスプレイ装置に送信するように構成されている、ハウジングユニット。
態様56.ハウジングユニットが、ディスプレイ装置から患者の入力を受け取るように構成されている、態様45~55のいずれか1つに記載のハウジングユニット。
態様57.ハウジングユニットが、患者に対してユーザ・インターフェースを表示するように構成されている、態様45~56のいずれか1つに記載のハウジングユニット。
態様58.第2の通信ユニットが、標準ネットワークプロトコルを使用して埋め込み型医療装置と無線通信するように構成されている、態様45~57のいずれか1つに記載のハウジングユニット。
態様59.前記標準ネットワークプロトコルは、以下からなるリストから選択される1つである、態様58に記載のハウジングユニット:
RFIDタイプのプロトコル、
WLANタイプのプロトコル、
Bluetoothタイプのプロトコル、
BLEタイプのプロトコル、
NFCタイプのプロトコル、
3G/4G/5Gタイプのプロトコルと
GSMタイプのプロトコル。
態様60.第2の通信ユニットがブルートゥーストランシーバを備える、態様58に記載のハウジングユニット。
態様61.第2の通信ユニットが、独自のネットワークプロトコルを使用して埋め込み型医療装置と無線通信するように構成されている、態様45~57のいずれか1つに記載のハウジングユニット。
態様62.ハウジングユニットの第2の通信ユニットがUWBトランシーバを備える、態様58~61のいずれか1つに記載のハウジングユニット。
態様63.前記ハウジングユニットの前記第1の通信ユニットは、標準ネットワークプロトコルを使用して前記ディスプレイ装置と無線通信するように構成されている、態様47~62のいずれか1つに記載のハウジングユニット。
態様64.標準ネットワークプロトコルがNFCタイプのプロトコルである、態様63に記載のハウジングユニット。
態様65.前記ハウジングユニットの第1の通信ユニットは、独自のネットワークプロトコルを使用して前記ディスプレイ装置と無線通信するように構成されている、態様47~62のいずれか1つに記載のハウジングユニット。
態様66.第1の通信ユニットの通信範囲は、第2の通信ユニットの通信範囲よりも小さい、態様47~65のいずれか1つに記載のハウジングユニット。
態様67.ハウジングユニットは、ハウジングユニットとディスプレイ装置との間の距離に基づいて、ハウジングユニットとディスプレイ装置との間の通信を可能にするように構成されている、態様45~66のいずれか1つに記載のハウジングユニット。
態様68.ハウジングユニットは、ハウジングユニットがディスプレイ装置に機械的に接続されることに基づいて、ハウジングユニットとディスプレイ装置との間の通信を可能にするように構成される、態様45~67のいずれか1つに記載のハウジングユニット。
態様69.ハウジングユニットは、ハウジングユニットと埋め込み可能な医療機器との間の距離に基づいて、ハウジングユニットと埋め込み可能な医療機器との間の通信を可能にするように構成されている、態様45~68のいずれか1つに記載のハウジングユニット。
態様70.態様45~69のいずれか1つに記載のハウジングユニットであって、ハウジングユニットは、ディスプレイデバイスから受信した通信を暗号化するように構成された暗号化ユニットをさらに備える、ハウジングユニット。
態様71.態様70に記載のハウジングユニットであって、ハウジングユニットが、第2の通信ユニットを用いて、暗号化通信を埋め込み型医療機器に送信するようにさらに適合されている、ハウジングユニット。
態様72.機械的に接続されたときのハウジングユニットとディスプレイ装置の最小バウンディングボックスが、ディスプレイ装置の最小バウンディングボックスより、10%広く、10%長く、または100%高くない、態様45~71に記載のハウジングユニット。
態様73.態様45~72に記載のハウジングユニットであって、ハウジングユニットが、ハウジングがディスプレイ装置に機械的に接続されていないときに、患者によって使用されるように構成された1つ以上のスイッチを含む、ハウジングユニット。
態様74.ディスプレイ装置がハウジングユニットに機械的に接続されているとき、スイッチがディスプレイ装置によって少なくとも部分的に覆われている、態様73に記載のハウジングユニット。
態様75.ハウジングユニットの少なくとも一部が、ディスプレイ装置に機械的に接続するために曲がるように構成されている、態様45~74のいずれか1つに記載のハウジングユニット。
態様76.ハウジングユニットの少なくとも一部が、ディスプレイ装置の少なくとも一側面を覆うように構成されている、態様45~75のいずれか一項に記載のハウジングユニット。
態様77.態様45~76のいずれか1つに記載のハウジングユニットであって、ハウジングユニットは、ディスプレイ装置を挟み込むように構成されている、ハウジングユニット。
態様78.態様45~76のいずれか1つに記載のハウジングユニットであって、ハウジングユニットは、ハウジングユニットおよびディスプレイ装置に機械的に接続された取り付け装置によって、ディスプレイ装置に機械的に接続されるように構成されている、ハウジングユニット。
態様79.ハウジングユニットが、ハウジングユニットをディスプレイ装置に磁気的に取り付けるための磁石を備える、態様45~76のいずれか1つに記載のハウジングユニット。
態様80.ハウジングユニットが、患者の身体部分に力を及ぼすように構成された埋め込み可能な医療装置と通信するように構成されている、態様45~79のいずれか1つに記載のハウジングユニット。
態様81.ハウジングユニットが、電気モーターおよび電気モーターを制御するためのコントローラーを含む埋め込み型医療装置と通信するように構成されている、態様45~80のいずれか1つに記載の外部装置。
【0710】
一般セキュリティ・モード
態様1.埋め込み可能な医療機器用の埋め込み可能なコントローラであって、
- 外部機器と無線通信するための無線トランシーバと、セキュリティ・モジュールと、
- 無線トランシーバ、セキュリティ・モジュール、および埋め込み型医療機器と通信するように構成された中央ユニットと、
を備え、
- 無線トランシーバは、埋め込み型医療機器に対する少なくとも1つの指示を含む外部機器からの通信を受信し、受信した通信を中央ユニットに送信するように構成され、
- 中央ユニットは、外部装置から受信した通信に由来する安全な通信をセキュリティ・モジュールに送信するように構成され、セキュリティ・モジュールは、
- 安全な通信の少なくとも一部を復号化すること、および
- 安全な通信の真正性を検証すること、
の少なくとも1つを行うように構成され、
- セキュリティ・モジュールは、応答通信を中央ユニットに送信するように構成され、
- 中央ユニットは、少なくとも1つの命令を埋め込み型医療機器に伝達するように構成され、少なくとも1つの命令は、以下に基づいている:
- レスポンス・コミュニケーション
- 応答通信と外部機器からの受信通信の組み合わせ。
態様2.セキュリティ・モジュールが、中央ユニットからの通信を受け入れるための規則セットを備える、態様1に記載の移植可能コントローラ。
態様3.無線トランシーバが、無線トランシーバによって無線通信を送受信することができないオフモードに置かれるように構成され、ルールのセットが、無線トランシーバがオフモードに置かれる場合にのみ中央ユニットからの通信を受け入れることを規定するルールを含む、態様2に記載の移植可能コントローラ。
態様4.一組の規則が、無線トランシーバが特定の時間オフモードに置かれている場合にのみ中央ユニットからの通信を受け入れることを規定する規則を含んでいる、態様4に記載の移植可能コントローラ。
態様5.前記中央ユニットは、前記外部装置からの受信通信のデジタル署名を検証するように構成されている、前記態様のいずれか1つに記載の埋め込み型コントローラ。
態様6.前記ルールのセットは、受信した通信のデジタル署名が前記中央ユニットによって検証された場合にのみ、前記中央ユニットからの通信が受け入れられることを規定するルールを含む、態様4に記載の移植可能コントローラ。
態様7.前記中央ユニットは、前記外部装置から受信した通信のサイズを確認するように構成されている、先行する態様のいずれか1つに記載の移植可能コントローラ。
態様8.前記ルールのセットは、受信した通信のサイズが前記中央ユニットによって検証された場合にのみ、前記中央ユニットからの通信を受け入れることを規定するルールを含む、態様7に記載の移植可能コントローラ。
態様9.前記態様のいずれか1つに記載の移植可能コントローラであって
- 無線トランシーバは、少なくとも第1および第2の暗号化レイヤで暗号化された外部デバイスからのメッセージを受信するように構成される、
- 中央ユニットは、第1の層の復号化を復号化し、第2の層の暗号化を構成するメッセージの少なくとも一部をセキュリティモデルに送信するように構成され、かつ
- セキュリティ・モジュールは、第2層の暗号化を復号化し、セキュリティ・モジュールによって復号化されたメッセージの一部に基づいて、応答通信を中央ユニットに送信するように構成される。
態様10.中央ユニットは、デジタル署名を含むメッセージの一部を復号化するように構成され、デジタル署名が中央ユニットによって検証され得るようになっている、態様9に記載の移植可能コントローラ。
態様11.前記中央ユニットは、前記中央ユニットによって前記メッセージ・サイズを検証できるように、前記メッセージ・サイズ情報を含む前記メッセージの一部を復号化するように構成されている、態様9に記載の移植可能コントローラ。
態様12.前記中央ユニットは、前記メッセージの第1部分および第2部分を復号化するように構成され、前記第1部分は、前記第2部分の真正性を検証するためのチェックサムを含む、態様9に記載の移植可能コントローラ。
態様13.セキュリティ・モジュールから送信される応答通信がチェックサムを含み、中央ユニットが、受信したチェックサムを用いて、中央ユニットによって復号化されたメッセージの少なくとも一部の真正性を検証するように構成されている、態様9~12のいずれか1つに記載の移植可能コントローラ。
態様14.前記ルールのセットは、前記中央ユニットと前記セキュリティ・モジュールとの間のデータ転送速度に関連するルールを含む、態様4に記載の移植可能コントローラ。
態様15.セキュリティ・モジュールが、デジタル署名がセキュリティ・モジュールによって検証され得るように、第2の暗号化層で暗号化されたデジタル署名を含むメッセージの一部を復号化するように構成されている、態様9~14のいずれか1つに記載の移植可能コントローラ。
態様16.前記中央ユニットは、前記無線トランシーバがオフモードに置かれている場合にのみ、前記外部装置からの受信通信の一部を復号化することが可能である、態様4~15のいずれか1つに記載の埋め込み型コントローラ。
態様17.中央ユニットは、無線トランシーバがオフモードに置かれている場合にのみ、埋め込み可能な医療機器に少なくとも1つの命令を通信することが可能である、態様4~16のいずれか1つに記載の埋め込み可能なコントローラ。
態様18.埋め込み可能なコントローラが以下のように構成されている、先行する態様のいずれか1つに記載の埋め込み可能なコントローラ:
- 無線トランシーバを使用して、第1の非暗号化部分と第2の暗号化部分を含む外部デバイスからのメッセージを受信し、
- 暗号化された部分を復号化し
- 暗号化されていない部分の真正性を検証するために、復号化された部分を使用する。
態様19.中央ユニットは、以下のように構成されている、態様18に記載の移植可能コントローラ:
- 暗号化された部分をセキュリティ・モジュールに送信する、
- 暗号化された部分に含まれる情報がセキュリティ・モジュールによって復号化されたことに基づいて、セキュリティ・モジュールから応答通信を受信する、
- そして、暗号化されていない部分の真正性を検証するために、応答通信を使用する。
態様20.非暗号化部分が、埋め込み可能な医療装置に対する少なくとも1つの命令の少なくとも一部を構成する、態様18~19のいずれか1つに記載の埋め込み可能なコントローラ。
態様21.埋め込み可能なコントローラが以下のように構成されている、先行する態様のいずれか1つに記載の埋め込み可能なコントローラ:
- 無線トランシーバを使用して、患者の生理学的パラメータおよび埋め込まれた医療機器の物理的パラメータの少なくとも一方に関連する情報を含む外部機器からのメッセージを受信するステップと
- 受信した情報を使って、メッセージの真正性を検証する。
態様22.患者の生理学的パラメータが、体温、心拍数および飽和値のうちの少なくとも1つを含む、態様21に記載の移植可能コントローラ。
態様23.埋め込み型医療装置の物理的パラメータが、埋め込み型医療装置の現在の設定値または値、埋め込み型医療装置に送信された事前の指示、または埋め込み型医療装置のIDのうちの少なくとも1つを含む、態様21に記載の埋め込み型コントローラ。
態様24.情報を含むメッセージの部分が暗号化されており、中央ユニットが、暗号化された部分をセキュリティ・モジュールに送信し、セキュリティ・モジュールによって復号化された情報に基づいて、セキュリティ・モジュールから応答通信を受信するように構成されている、態様21~23のいずれか1つに記載の移植可能コントローラ。
態様25.前記セキュリティ・モジュールが、少なくとも1つのハードウェアベースの鍵を含むハードウェア・セキュリティ・モジュールを備える、前記態様のいずれか1つに記載の埋め込み可能コントローラ。
態様26.ハードウェアベースのキーが外部装置のハードウェアベースのキーに対応する、態様25に記載の移植可能コントローラ。
態様27.ハードウェアベースのキーが、外部デバイスに接続可能なキーカード上のハードウェアベースのキーに対応する、態様25に記載の移植可能コントローラ。
態様28.前記セキュリティ・モジュールが、少なくとも1つのソフトウェアベースの鍵を含むソフトウェア・セキュリティ・モジュールを備える、前記態様のいずれか1つに記載の埋め込み可能コントローラ。
態様29.ソフトウェアベースのキーが外部装置のソフトウェアベースのキーに対応する、態様28に記載の移植可能コントローラ。
態様30.ソフトウェアベースのキーが、外部装置に接続可能なキーカード上のソフトウェアベースのキーに対応する、態様28に記載の移植可能コントローラ。
態様31.前記セキュリティ・モジュールが、ソフトウェアベースの鍵とハードウェアベースの鍵との組合せからなる、前記態様のいずれか1つに記載の埋め込み型コントローラ。
態様32.前記セキュリティ・モジュールが少なくとも1つの暗号プロセッサを備える、前記態様のいずれか1つに記載の埋め込み可能コントローラ。
態様33.前記無線トランシーバは、携帯型外部装置からの通信を受信するように構成されている、前記態様のいずれか1つに記載の移植可能コントローラ。
態様34.埋め込み可能な医療装置に対する少なくとも1つの命令が、埋め込み可能な医療装置の動作状態を変更するための命令を含んでいる、先行する態様のいずれか1つに記載の埋め込み可能な制御装置。
態様35.前記無線トランシーバは、100kHz未満の周波数の電磁波を使用して前記外部装置と無線通信するように構成されている、前記態様のいずれか1つに記載の埋め込み型コントローラ。
態様36.無線トランシーバが、40kHz未満の周波数の電磁波を用いて外部装置と無線通信するように構成されている、態様35に記載の埋め込み可能コントローラ。
態様37.前記態様のいずれか1つに記載の移植可能コントローラであって
- 無線トランシーバは、第1の通信プロトコルを使用して外部デバイスと無線通信するように構成され、
- 中央ユニットは、第2の通信プロトコルを使用してセキュリティ・モジュールと通信するように構成され、
- 第1通信プロトコルと第2通信プロトコルは異なる。
態様38.前記無線トランシーバは、標準ネットワークプロトコルを使用して前記外部装置と無線通信するように構成されている、前記態様のいずれか1つに記載の埋め込み可能コントローラ。
態様39.標準ネットワークプロトコルが、以下からなるリストから選択される、態様38に記載の移植可能コントローラ:
RFIDタイプのプロトコル、
WLAN タイプのプロトコル、
Bluetoothタイプのプロトコル、
BLEタイプのプロトコル、
NFCタイプのプロトコル、
3G/4G/5Gタイプのプロトコルと
GSMタイプのプロトコル。
態様40.無線トランシーバが、独自のネットワークプロトコルを使用して外部装置と無線通信するように構成されている、態様1~37のいずれか1つに記載の移植可能コントローラ。
態様41.無線トランシーバがUWBトランシーバを備える、態様1~40のいずれか1つに記載の移植可能コントローラ。
態様42.前記セキュリティ・モジュールと前記中央ユニットとがコントローラで構成されている、前記態様のいずれか1つに記載の外部装置。
態様43.無線トランシーバがコントローラ内に構成されている、態様42に記載の外部装置。
態様44.埋め込み可能な医療装置が、患者の身体部分に力を及ぼすように構成された埋め込み可能な医療装置である、前記態様のいずれか1つに記載の外部装置。
態様45.埋め込み可能な医療装置が電気モーターを備え、制御装置が電気モーターを制御するように構成されている、前記態様のいずれか1つに記載の外部装置。
【0711】
可変インピーダンス_1
態様1.受信ユニットを備える埋め込み可能な医療装置であって:
- 経皮的に伝達されるエネルギーを受け取るように構成された少なくとも1つのコイルと、
- コイルが受け取るエネルギーに関連するパラメータを測定するように構成された測定ユニットと、
- コイルに電気的に接続された可変インピーダンスと、
- 可変インピーダンスとコイルとの間の電気接続をオフにするために、可変インピーダンスとコイルとの間に配置されたスイッチと、
-以下のように構成されたコントローラ:
- 可変インピーダンスを制御してインピーダンスを変化させ、それによって測定されたパラメータに基づいてコイルを調整し、
- 測定されたパラメータが閾値を超えたことに応答して、可変インピーダンスとコイル間の電気的接続をオフにするためのスイッチを制御する
ように構成されたコントローラと、
を備える、埋め込み可能な医療装置。
態様2.コントローラが、測定されたパラメータが閾値を超えたことに応答して可変インピーダンスを変化させるように構成されている、態様1に記載の埋め込み可能な医療装置。
態様3.測定ユニットが、コイルによって受信されたエネルギーに関連するパラメータを時間期間にわたって測定するように構成されている、態様1および2のいずれか1つに記載の埋め込み可能な医療機器。
態様4.測定ユニットが、コイルによって受信されるエネルギーの変化に関連するパラメータを測定するように構成されている、前記態様のいずれか1つに記載の埋め込み可能な医療装置。
態様5.第1のスイッチがコイルの第1の端部分に配置され、埋め込み可能な医療装置が、コイルが埋め込み可能な医療装置の他の部分から完全に切り離され得るように、コイルの第2の端部分に配置された第2のスイッチをさらに備える、先行する態様のいずれか1つに記載の埋め込み可能な医療装置。
態様6.受信ユニットが、パルスパターンにしたがって経皮的に伝達されるエネルギーをパルスで受信するように構成され、測定ユニットが、パルスパターンに関連するパラメータを測定するように構成されている、前記態様のいずれか1つに記載の埋め込み可能な医療装置。
態様7.制御装置が、パルスパターンが予め定義されたパルスパターンから逸脱することに応答して可変インピーダンスを制御するように構成されている、態様6に記載の埋め込み可能な医療装置。
態様8.制御装置は、パルスパターンが予め定義されたパルスパターンから逸脱することに応答して、可変インピーダンスとコイルとの間の電気的接続をオフにするためのスイッチを制御するように構成されている、態様6に記載の埋め込み可能な医療装置。
態様9.測定ユニットが、埋め込み型医療装置内または患者の体内の温度を測定するように構成され、コントローラが、測定された温度に応答して第1および第2のスイッチを制御するように構成される、前記態様のいずれか1つに記載の埋め込み型医療装置。
態様10.前記可変インピーダンスは、抵抗器とコンデンサとを備える、前記態様のいずれか1つに記載の埋め込み可能な医療装置。
態様11.可変インピーダンスが抵抗器とインダクタとからなる、前記態様のいずれか1つに記載の埋め込み可能な医療装置。
態様12.可変インピーダンスがインダクタおよびキャパシタからなる、先行する態様のいずれか1つに記載の埋め込み可能な医療装置。
態様13.可変インピーダンスがデジタル的に調整されたコンデンサからなる、先行する態様のいずれか1つに記載の埋め込み可能な医療装置。
態様14.可変インピーダンスがデジタル電位差計からなる、前記態様のいずれか1つに記載の埋め込み可能な医療装置。
態様15.可変インピーダンスが可変インダクタを備える、前記態様のいずれか1つに記載の埋め込み可能な医療装置。
態様16.インピーダンスの変動は、受信ユニットによって受信される有効電力を低下させるように構成されている、先行する態様のいずれか1つに記載の埋め込み可能な医療装置。
態様17.可変インピーダンスがコイルと直列に配置されている、前記態様のいずれか1つに記載の埋め込み型医療装置。
態様18.可変インピーダンスがコイルに平行に配置されている、態様1~16のいずれか1つに記載の埋め込み可能な医療装置。
態様19.受信ユニットに接続されたエネルギー蓄積ユニットをさらに備え、エネルギー蓄積ユニットが、受信ユニットによって受信されたエネルギーを蓄積するように構成されている、前記態様のいずれか1つに記載の埋め込み可能な医療装置。
態様20.エネルギー消費部をさらに備える、前記態様のいずれか1つに記載の埋め込み可能な医療装置。
態様21.埋め込み可能な医療装置のエネルギー消費部は、患者の身体部分に力を及ぼすように構成されている、態様20に記載の埋め込み可能な医療装置。
態様22.埋め込み可能な医療装置のエネルギー消費部分が電気モーターを備え、コントローラーが電気モーターを制御するように構成されている、態様20に記載の埋め込み可能な医療装置。
【0712】
可変インピーダンス_2
態様1.受信ユニットを含む埋め込み可能な医療装置であって、
- 経皮的に伝達されるエネルギーを受け取るように構成された少なくとも1つのコイルと、
- コイルによって受信されたエネルギーに関連するパラメータを測定するように構成された測定ユニットと、
- コイルの第1の端部に配置される第1のスイッチと、
- コイルの第2の端部に配置された第2のスイッチであって、コイルを埋め込み型医療装置の他の部分から完全に切り離すことができる、第2のスイッチと、
- 測定されたパラメータに基づいて、埋め込み型医療装置の他の部分からコイルを完全に切り離すために、第1および第2のスイッチを制御するように構成されたコントローラと、
を備える、埋め込み可能な医療装置。
態様2.コントローラが、測定されたパラメータが閾値を超えたことに応答して、第1および第2のスイッチを制御するように構成されている、態様1に記載の埋め込み可能な医療装置。
態様3.測定ユニットが、コイルによって受信されたエネルギーに関連するパラメータを時間期間にわたって測定するように構成されている、態様1および2のいずれか1つに記載の埋め込み可能な医療機器。
態様4.測定ユニットが、コイルによって受信されるエネルギーの変化に関連するパラメータを測定するように構成されている、前記態様のいずれか1つに記載の埋め込み可能な医療装置。
態様5.受信ユニットが、パルスパターンにしたがって経皮的に伝達されるエネルギーをパルスで受信するように構成され、測定ユニットが、パルスパターンに関連するパラメータを測定するように構成されている、前記態様のいずれか1つに記載の埋め込み可能な医療装置。
態様6.制御装置は、パルスパターンが予め定義されたパルスパターンから逸脱することに応答して、第1および第2のスイッチを制御するように構成されている、態様5に記載の埋め込み可能な医療装置。
態様7.測定ユニットが、埋め込み型医療装置内または患者の体内の温度を測定するように構成されており、コントローラが、測定された温度に応答して第1および第2のスイッチを制御するように構成されている、前記態様のいずれか1つに記載の埋め込み型医療装置。
態様8.受信ユニットに接続されたエネルギー蓄積ユニットをさらに備え、エネルギー蓄積ユニットが、受信ユニットによって受信されたエネルギーを蓄積するように構成されている、前記態様のいずれか1つに記載の埋め込み可能な医療装置。
態様9.エネルギー消費部をさらに備える、前記態様のいずれか1つに記載の埋め込み可能な医療装置。
態様10.埋め込み可能な医療装置のエネルギー消費部は、患者の身体部分に力を及ぼすように構成されている、態様9に記載の埋め込み可能な医療装置。
態様11.埋め込み可能な医療装置のエネルギー消費部分が電気モーターを含み、コントローラーが電気モーターを制御するように構成されている、態様9に記載の埋め込み可能な医療装置。
【0713】
可変インピーダンス_3
態様1.受信ユニットを備える埋め込み可能な医療装置であって、
- 経皮的に伝達されるエネルギーを受け取るように構成された少なくとも1つのコイルと、
- コイルによって受信されたエネルギーに関連するパラメータを測定するように構成された測定ユニットと、
- コントローラと、
を備え、
- 受信ユニットは、パルスパターンにしたがって、経皮的に伝達されるエネルギーをパルスで受信するように構成されており、
- 測定ユニットは、パルスパターンに関連するパラメータを測定するように構成され、
- コントローラは、受信エネルギーのパルスパターンが所定のパルスパターンから逸脱していることに応答して、受信ユニットを制御するように構成される、
埋め込み可能な医療装置。
態様2.コイルの切り替えのためにコイルと直列に配置された少なくとも1つのスイッチをさらに備え、コントローラは、受信エネルギーのパルスパターンが所定のパルスパターンから逸脱することに応答して、コイルの切り替えを行うようにスイッチを制御するように構成されている、態様1に記載の埋め込み可能な医療装置。
態様3.インピーダンスを変化させ、それによってコイルを同調させるための、コイルに電気的に接続された可変インピーダンスをさらに備え、コントローラが、受信エネルギーのパルスパターンが所定のパルスパターンから逸脱することに応答して可変インピーダンスを制御するように構成されている、態様1に記載の埋め込み可能な医療装置。
態様4.測定ユニットが、コイルによって受信されたエネルギーに関連するパラメータを一定期間にわたって測定するように構成されている、前記態様のいずれか1つに記載の埋め込み型医療装置。
態様5.測定ユニットが、コイルによって受信されるエネルギーの変化に関連するパラメータを測定するように構成されている、前記態様のいずれか1つに記載の埋め込み可能な医療装置。
態様6.測定ユニットが、埋め込み型医療装置内または患者の体内の温度を測定するように構成されており、コントローラが、測定された温度に応答して第1および第2のスイッチを制御するように構成されている、前記態様のいずれか1つに記載の埋め込み型医療装置。
態様7.第1のスイッチがコイルの第1の端部分に配置され、埋め込み可能な医療装置が、コイルが埋め込み可能な医療装置の他の部分から完全に切り離され得るように、コイルの第2の端部分に配置された第2のスイッチをさらに備える、先行する態様のいずれか1つに記載の埋め込み可能な医療装置。
態様8.可変インピーダンスが抵抗器とコンデンサとからなる、態様3に記載の埋め込み可能な医療装置。
態様9.可変インピーダンスが抵抗器とインダクタとからなる、態様3に記載の埋め込み可能な医療装置。
態様10.可変インピーダンスがインダクタとコンデンサとからなる、態様3に記載の埋め込み可能な医療装置。
態様11.可変インピーダンスがデジタル的に調整されたコンデンサからなる、態様3に記載の埋め込み可能な医療装置。
態様12.可変インピーダンスがデジタル電位差計からなる、態様3に記載の埋め込み可能な医療装置。
態様13.可変インピーダンスが可変インダクタからなる、態様3に記載の埋め込み可能な医療装置。
態様14.インピーダンスの変動が、受信ユニットによって受信される有効電力を低下させるように構成されている、態様3~12のいずれか1つに記載の埋め込み可能な医療装置。
態様15.可変インピーダンスがコイルと直列に配置されている、態様3~13のいずれか1つに記載の埋め込み可能な医療装置。
態様16.可変インピーダンスがコイルに平行に配置されている、態様3~13のいずれか1つに記載の埋め込み可能な医療装置。
態様17.受信ユニットに接続されたエネルギー蓄積ユニットをさらに備え、エネルギー蓄積ユニットが、受信ユニットによって受信されたエネルギーを蓄積するように構成されている、前記態様のいずれか1つに記載の埋め込み可能な医療装置。
態様18.エネルギー消費部をさらに備える、前記態様のいずれか1つに記載の埋め込み可能な医療装置。
態様19.埋め込み可能な医療装置のエネルギー消費部は、患者の身体部分に力を及ぼすように構成されている、態様18に記載の埋め込み可能な医療装置。
態様20.埋め込み可能な医療装置のエネルギー消費部分が電気モーターを備え、制御装置が電気モーターを制御するように構成されている、態様18に記載の埋め込み可能な医療装置。
【0714】
通信方法
態様1.前記システムの構成要素間で無線通信を行うステップを含む、前記態様のいずれか1つに記載の患者の体内に物質を注入するためのシステムを使用する方法。
態様2.以下の工程の少なくとも1つを含む、態様1に記載の方法:
- システムのコントローラから、またはコントローラへ、あるいはコントローラからコントローラへ、およびコントローラからコントローラへの無線通信を暗号化すること、
- 無線通信を介してコントローラから送信されたデータに署名すること、および
- システムのユーザを認証するために、患者の認証データを入力すること。
態様3.前記無線通信を暗号化するステップは、公開鍵による暗号化と秘密鍵による復号化を含む、態様2に記載の方法。
態様4.態様3に記載の方法であって、少なくとも第1の鍵と第2の鍵とを結合することにより、秘密鍵を結合鍵として導出するステップを含む方法。
態様5.無線通信を介してコントローラによって送信されたデータに署名するステップは、秘密鍵の使用を含み、本方法は、公開鍵を使用して署名されたデータを検証するステップをさらに含む、態様2から4のいずれか一項に記載の方法。
態様6.患者の認証データを取得するステップを含む、態様2から5のいずれか一項に記載の方法。
態様7.患者の認証データを取得するステップが、指紋リーダー、網膜スキャナ、カメラ、コードを入力するためのグラフィカル・ユーザ・インターフェース、およびマイクロフォンのうちの少なくとも1つを使用してそのようなデータを取得することを含む、態様6による方法。
態様8.患者の感覚によって検出可能な感覚を生成するステップと、感覚に関連する患者の認証データを入力することによって、システムの2つのコントローラ間の通信チャネルを認証するステップとを含む、態様2から7のいずれか1項に記載の方法。
態様9.前記通信チャネルを認証するステップは、前記認証データが、前記感覚ジェネレータによって生成された感覚に関連する感覚ジェネレータからのデータと一致することを検証するステップを含む、態様8に記載の方法。
態様10.患者の感覚によって検出可能な感覚を生成するステップが、以下の少なくとも1つを生成することを含む、態様8または9に記載の方法:
- 固定周波数の機械的振動を含むか含まないかの振動、
- 固定周波数の機械的振動の重ね合わせを含むか含まないかの音、
- 赤外線パルスなどの非可視光パルスを含む、または含まない光信号、
- 視覚的な光パルスを含むか含まないかの光信号、
- 電流パルスを含む、または含まない電気信号と
- 熱パルスを含むか含まないかの熱信号。
【0715】
他のいずれか1つの態様と組み合わせ可能なさらなる態様 - 移植
態様1.前記態様のいずれか1つに記載の物質を患者の体内に注入するためのシステムの少なくとも1つの構成要素を移植する方法であって、
- 皮膚を切開すること、
- 患者の体内の少なくとも一つの部位を自由に切除すること、
- 少なくとも1本の注入針を収容するハウジングを、少なくとも1本の注入針の先端がハウジングの外壁を貫通する際に患者の組織を貫通し、少なくとも1本の注入針を介して前記少なくとも1つの貫通領域を通して物質を注入できるように、前記解剖領域内に配置すること、
- システムの少なくとも一部を移植した後、少なくとも皮膚を閉じること、
を含む方法。
態様2.少なくとも1本の注入針を収容するハウジングから離れた患者の体内に、システムの以下の構成要素の1つ以上を配置することをさらに含む、態様1に記載の方法:
- ドライブユニット(D)の少なくとも一部、
- リザーバ、
- ポンプ(P)、
- 駆動装置、ポンプ(P)、またはシステムの他のエネルギー消費部分の1つまたは複数の要素を作動させるための、少なくとも1つのモーター(M,M2)、
- 少なくとも1つのモーターにエネルギーを供給するためのエネルギー貯蔵手段(A)、
- 外部エネルギー源(E)またはエネルギー貯蔵手段(A)とモーター(M、M2)の間のガルバニック結合要素、
- モーター(M、M2)またはエネルギー貯蔵手段(A)またはその両方を、モーターまたはエネルギー貯蔵手段またはその両方に非接触でエネルギーを伝送するための体外一次エネルギー源に接続するように適合された無線結合要素、
- モーター(M、M2)を制御する制御ユニット(C1)、
- 外部のデータ処理装置(C2)から制御ユニット(C1)へ無線でデータを送信するためのデータ送信インターフェース、
- フィードバックセンサ(F)、
- 無線エネルギー変換手段、
- リザーバ(R1)を再充填するための注入ポート、および
-少なくとも1本の注射針によって注射される物質を注入するための少なくとも1本のチューブ。
【0716】
他のすべての態様と組み合わせ可能な、独立した新しい第1の態様 - 注入ポートの短距離化
態様1.患者の体内に物質を注入するための少なくとも部分的に埋め込み可能なシステムであって、
- 患者の体内に埋め込むためのハウジングであって、貫通領域を有する外壁を有するハウジングと、
- ハウジング内に配置された少なくとも1本の注入針と、
- 少なくとも1本の注入針の前進時に、少なくとも1本の注入針の先端が前記貫通領域を貫通し、少なくとも1本の注入針を介して前記貫通領域を通して物質を注入できるように、少なくとも1本の注入針を反対方向に前進および後退させるように配置された駆動ユニットと、
を備え、
- 注入ポートが少なくとも1本の注入針の側面に設けられ、前記注入ポートは少なくとも1本の注入針の先端から2mm未満離間している、システム。
態様2.注入ポートが、少なくとも1本の注入針の先端から1mm未満離間している、態様1に記載のシステム。
態様3.注入ポートが、少なくとも1本の注入針の先端から0.5~1mm離間している、態様1または2に記載のシステム。
態様4.注入ポートが、注入針の長手方向に0.5mm以下の延長部を有する、態様1から3のいずれか一項に記載のシステム。
態様5.前記注入ポートが、前記注入針の長手方向と直交する方向において、前記注入針の長手方向における前記注入ポートの延長部よりも大きい延長部を有する、態様1から4のいずれか一項に記載のシステム。
態様6.注入ポートをその側面に備える注入針であって、前記注入ポートは、少なくとも1本の注入針の先端から2mm未満離間している、注入針。
態様7.注入ポートが、少なくとも1本の注入針の先端端から1mm未満離間している、態様6に記載の注入針。
態様8.注入ポートが、少なくとも1本の注入針の先端から0.5mmから1mmの間だけ離間している、態様6または7に記載の注入針。
態様9.注入ポートが、注入針の長手方向に0.5mm以下の延長部を有する、態様6から8のいずれか一項に記載の注入針。
態様10.注入ポートが、注入ポートの注入針の長手方向への延長よりも大きい、注入針の長手方向と直交する方向への延長を有する、態様6から9のいずれか一項に記載の注入針。
【0717】
他のすべての態様と組み合わせ可能な、独立した新しい第2の態様 - 傾斜した針
態様1.患者の体内に物質を注入するための少なくとも部分的に埋め込み可能なシステムであって、
- 患者の体内に埋め込むためのハウジングまたはケーシングであって、外壁を有する、ハウジングまたはケーシングと、
- ハウジングまたはケーシング内に配置された少なくとも1本の注入針であって、少なくとも1本の注入針の前進時に、少なくとも1本の注入針の先端が外壁を貫通して延び、少なくとも1本の注入針を通して物質をハウジングの外部に注入できるように構成された少なくとも1本の注入針と、
を備え、
- 注入針が外壁に対して10°から80°の範囲で傾斜している、システム。
態様2.ハウジングの外壁が、第1の方向に延びる外面を有し、長手方向容器の中心軸が第1の方向と平行に延びるように、長手方向容器が前記外面に隣接して配置可能であるように構成され、少なくとも1本の注入針の進退方向が、前記第1の方向と前記長手方向容器の前記中心軸とによって画定される平面内に、前記第1の方向に対して10°から80°の範囲の傾斜角度で配置される、態様1に記載のシステム。
態様3.前記少なくとも1本の注入針が前進しているときに、前記容器の中心軸が前記ハウジングの外壁面の前記第1の方向と平行に延びるように、前記容器を所定の位置に保持するように構成されたホルダを備える、態様2に記載のシステム。
態様4.ホルダは、容器がホルダから脱出できないように、長手方向容器の一部を囲むように構成されている、態様3に記載のシステム。
態様5.前記ホルダは、前記長手方向容器の前記部分を前記ホルダ内に配置及び保持するために、前記ホルダを開閉するように構成された可動蓋を備える、態様3又は4に記載のシステム。
態様6.傾斜角度が20°から40°の範囲である、態様1から5のいずれか一項に記載のシステム。
態様7.少なくとも1本の注入針を反対方向に前進および後退させるために配置された駆動ユニットを備える、態様1から6のいずれか一項に記載のシステム。
【0718】
他のすべての態様と組み合わせ可能な独立した新しい第3の態様 - チューブ内の針
態様1.患者の体内に物質を注入するための少なくとも部分的に埋め込み可能なシステムであって、
- 患者の体内に埋め込むためのハウジングであって、貫通領域を有する外壁を有するハウジングと、
- ハウジング内に配置された少なくとも1本の注入針と、
- 少なくとも1本の注入針の前進時に、少なくとも1本の注入針の先端が前記貫通領域を貫通し、少なくとも1本の注入針を介して前記貫通領域を通して物質を注入できるように、少なくとも1本の注入針を反対方向に前進および後退させるように配置された駆動ユニットと、
を備え、
- 注入ポートが少なくとも1本の注入針の側面に設けられており、
- 少なくとも1本の注入針が後退位置にあるとき、少なくとも1本の注入針の先端はチューブ内に配置され、チューブの内面と少なくとも1本の注入針の外面は、チューブを通って注入ポートへの流体の浸入を防止するように互いに対して液密にシールされる、システム。
態様2.前記チューブの内面の内径と前記少なくとも1本の注入針の外面の外径とが、前記チューブを通って前記注入ポートへの流体の浸入を防ぐために互いに液密にシールするように互いに一致する、態様1に記載のシステム。
態様3.チューブの内面および少なくとも1本の注入針の外面の一方または両方がセラミック材料でできている、態様1または2に記載のシステム。
態様4.患者の体内に物質を注入するための少なくとも部分的に埋め込み可能なシステムであって、注入ポートがその側面に設けられた注入針を備え、該注入針が、反対方向に前進および後退するように配置され、該注入針が後退位置にあるとき、該注入針の先端端がチューブ内に配置され、該注入針が前進位置にあるとき、該注入針の先端端がチューブから延びて、該注入針の注入ポートから患者の体内に物質を注入することができる、少なくとも部分的に埋め込み可能なシステム、注入針が後退位置にあるとき、注入針の先端がチューブ内に配置され、注入針が前進位置にあるとき、注入針の先端がチューブから延び、注入針の注入ポートから患者の体内に物質が注入され、注入針が後退位置にあるとき、チューブの内径と注入針の外径が互いに一致し、チューブを介して注入ポートへの流体の浸入を防止するために互いに液密にシールされる、システム。
態様5.チューブの内面および注入針の外面の一方または両方がセラミック材料でできている、態様4に記載のシステム。
【0719】
他のすべてのアスペクトと組み合わせ可能な、独立した新しい4番目の態様 - 事前に構成された弾性開口部
態様1.患者の体内に物質を注入するための少なくとも部分的に埋め込み可能なシステムであって、
- 患者の体内に埋め込むためのハウジングであって、貫通領域を有する外壁を有するハウジングと、
- ハウジング内に配置された少なくとも1本の注入針と、
- 少なくとも1本の注入針の前進時に、少なくとも1本の注入針の先端が前記貫通領域を貫通し、少なくとも1本の注入針を介して前記貫通領域を通して物質を注入できるように、少なくとも1本の注入針を反対方向に前進および後退させるように配置された駆動ユニットと、
を備え、
- 前記貫通領域は、少なくとも一部が弾性材料で作られており、この弾性材料には、少なくとも1本の注入針が通過するための通路が予め形成されており、前記通路は、通常、弾性材料の弾性によって生じる弾力的な力によって閉じられる、システム。
態様2.前記通路は、前記注入針が前進しているときに、前記少なくとも1本の注入針が通過するように自動的に開く、態様1に記載のシステム。
態様3.前記通路が、前記少なくとも1本の注入針が前記通路に進入するために前記通路が通常開口している、拡幅された入口部を有する、態様1または2に記載のシステム。
態様4.注入針が後退位置にあるとき、少なくとも1本の注入針の先端が通路内に存在する、態様1から3のいずれか1つに記載のシステム。
態様5.前記通路が、長さ方向に延びるとともに幅方向に延びるスリットを有するように構成されている、態様1から4のいずれか一項に記載のシステム。
態様6.注入針が前進しているときに、少なくとも1本の注入針のための通路を開くように、スリットの幅方向の延在方向の反対側で弾性材料の反対側に作用するように構成されたコンプレッサを備える、態様5に記載のシステム。
【0720】
他のすべての態様と組み合わせ可能な、独立した新しい第5の態様 - 丸みを帯びたまたは面取りされた注射針ポート
態様1.患者の体内に物質を注入するための少なくとも部分的に埋め込み可能なシステムであって、
- 患者の体内に埋め込むためのハウジングであって、貫通領域を有する外壁を有するハウジングと、
- ハウジング内に配置された少なくとも1本の注入針と、
- 少なくとも1本の注入針の前進時に、少なくとも1本の注入針の先端が前記貫通領域を貫通し、少なくとも1本の注入針を介して前記貫通領域を通して物質を注入できるように、少なくとも1本の注入針を反対方向に前進および後退させるように配置された駆動ユニットと、
を備え、
- 注入ポートが、少なくとも1本の注入針の側面に設けられ、前記注入ポートは、注入ポートと側面との間の移行部に丸みを帯びたまたは面取りされた縁部を有する、システム。
態様2.丸みを帯びた縁部または面取りされた縁部は、少なくとも注入ポートの対向する側に設けられ、前記注入ポートの前記対向する側の間の仮想接続線は、前記注入針の進退方向に沿って延びている、態様1に記載のシステム。
態様3.注入ポートをその側面に備え、前記注入ポートは、注入ポートと側面との間の移行部に丸みを帯びたまたは面取りされた縁部を有する、注入針。
態様4.前記注入針は、長手方向に延び、前記丸みを帯びた縁部または面取りされた縁部は、少なくとも前記注入ポートの対向する側に設けられ、前記注入ポートの前記対向する側の間の仮想連結線は、前記注入針の長手方向に沿って延びる、態様3に記載の注入針。
【国際調査報告】