(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-18
(54)【発明の名称】燃焼ボイラの流動床における局所的な温度異常を判定するための方法、燃焼ボイラの流動床の数値モデルを較正するための方法、流動床燃焼ボイラの床焼結の危険性を評価するための方法、流動床ボイラを制御する方法、および燃焼ボイラ
(51)【国際特許分類】
F23C 10/28 20060101AFI20240910BHJP
F22B 37/38 20060101ALI20240910BHJP
F23N 5/24 20060101ALI20240910BHJP
F23N 5/02 20060101ALI20240910BHJP
F23C 10/04 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
F23C10/28
F22B37/38 Z
F23N5/24 106Z
F23N5/02 341Z
F23C10/04
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024514120
(86)(22)【出願日】2021-09-09
(85)【翻訳文提出日】2024-03-01
(86)【国際出願番号】 EP2021074840
(87)【国際公開番号】W WO2023036427
(87)【国際公開日】2023-03-16
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506425251
【氏名又は名称】スミトモ エスエイチアイ エフダブリュー エナージア オサケ ユキチュア
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】リウコネン,ミカ
(72)【発明者】
【氏名】ミエッティネン,ヨウニ
(72)【発明者】
【氏名】ケットゥネン,アリ
【テーマコード(参考)】
3K003
3K005
3K064
【Fターム(参考)】
3K003SB10
3K003SC04
3K003SC06
3K003SC10
3K005AB06
3K005AC07
3K005CA09
3K005DA01
3K005DA07
3K064AA08
3K064AB01
3K064AD05
3K064BA07
3K064BA15
3K064BA17
(57)【要約】
【課題】 流動床燃焼ボイラシステムにおける床制御を改善することである。
【解決手段】 燃焼ボイラの流動床における局所的な温度異常を判定するための方法、燃焼ボイラの流動床の数値モデルを較正するための方法、流動床燃焼ボイラの床焼結の危険性を評価するための方法、流動床ボイラを制御する方法、および燃焼ボイラ。流動床ボイラシステム(10)の制御を改善するために、流動床の状態監視に関する特定の方法が提案されている。流動床ボイラシステム(10)を制御する方法では、例えば、局所的な床温度異常および/または床焼結指数が監視され、予め定められた基準を超える局所的な床温度異常および/または床焼結指数を検出すると、燃焼ボイラシステム(10)の運転を自動的に調節し、および/または、局所的な床温度異常および/または床焼結状態が検出されていることをボイラ運転員に示す。
【選択図】
図1及び
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
共に測定格子を定め、それぞれが測定点(P
i、i=1、・・・、n)を代表する少なくとも3つの温度センサ(20
i)を備えるボイラ格子(250)を有する炉(12)を備える燃焼ボイラシステム(10)の流動床における局所的な温度異常を判定するための方法であって、
- 床温度(T
Mi、i=1、・・・、N)が、前記測定点(P
i、i=1、・・・、N)で測定され、
- 前記測定点(P
i、i=1、・・・、n)に対する床温度が、少なくとも1つの数値床温度モデルを使用して計算されて、前記燃焼ボイラシステム(10)の通常運転状態における計算床温度(T
Ci、i=1、・・・、n)を得て、
- 前記測定点(P
i、i=1、・・・、n)の少なくともいくつかに対して、前記測定温度(T
Mi)が、前記計算温度(T
Ci)と比較され、異常閾値を超えている場合、局所的な温度異常が存在すると判定する、方法。
【請求項2】
前記測定点(P
i、i=1、・・・、N)に対する前記計算床温度(T
Ci、i=1、・・・、N)が、以下の方法で得られ、
- ボイラ運転データ、すなわち少なくとも一次空気流量(x1)、燃料水分(x2)、主蒸気流量(x3)、煙道ガス酸素(x4)、および床圧力(x5)と、各測定点(P
i、i=1、・・・、N)における前記測定床温度(T
Mi、i=1、・・・、N)との間の数値モデル(f)が準備および較正され、
- 各測定点(P
i、i=1、・・・、N)における前記測定温度(T
Mi、i=1、・・・、N)と、少なくとも一次空気流量(x1)、燃料水分(x2)、主蒸気流量(x3)、煙道ガス酸素(x4)、および床圧力(x5)とを含む前記ボイラの現在の運転データが監視され、
- 少なくとも1つの測定点(P
j、jは1、・・・、n)に対して、前記数値モデルが、現在の運転データと少なくとも2つの他の測定点の測定温度とを使用して計算温度(T
Cj)を計算するために使用され、
- 前記計算温度(T
Ci)と前記測定温度(T
Mi)を異常基準に対して比較し、前記異常基準が満たされている場合、局所的な温度異常が存在すると判定する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記較正が、好ましくは少なくともM日前の履歴データを使用して遅延方式で行われ、Mが少なくとも3であり、好ましくはMが少なくとも7であり、より好ましくはMが少なくとも14である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
局所的な温度異常を検出すると、前記較正が、予め定められた時間の間、実行されない、請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
所与の閾値を満たす局所的な温度異常を検出すると、前記較正が、予め定められた時間の間、実行されない、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
好ましくは、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法の文脈の中で使用するために、燃焼ボイラシステム(10)の流動床の数値モデルを較正する方法であって、
- 前記燃焼ボイラシステム(10)が、共に測定格子を定め、それぞれが測定点(P
i、i=1、・・・、N)を代表する少なくとも3つの温度センサ(20
i)を備えるボイラ格子(250)を有する炉(12)を備え、前記燃焼ボイラシステム(10)が、前記測定点(P
i、i=1、・・・、N)のそれぞれにおいて測定温度(T
Mi)を生成するように構成され、
- 各測定点(P
i、i=1、・・・、n)における前記測定温度(T
Mi、i=1、・・・、N)と、少なくとも一次空気流量(x1)、燃料水分(x2)、主蒸気流量(x3)、煙道ガス酸素(x4)、および床圧力(x5)とを含む前記ボイラの現在の運転データが監視および収集されて履歴データとなり、
- ボイラ運転データ、すなわち少なくとも一次空気流量(x1)、燃料水分(x2)、主蒸気流量(x3)、煙道ガス酸素(x4)、および床圧力(x5)と、各測定点(P
i、i=1、・・・、n)における前記測定床温度(T
Mi、i=1、・・・、N)との間の数値モデル(f)が、少なくとも1つの数値フィッティング法、好ましくは数値回帰法、有利には最小二乗フィッティングを使用してフィッティングされる、方法。
【請求項7】
前記較正が、予め定められた間隔で繰り返される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
局所的な温度異常を検出すると、前記較正が中止される、請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
流動床燃焼ボイラの床焼結の危険性を評価するための方法であって、
- 前記燃焼ボイラシステム(10)が、共に測定格子を定め、それぞれが測定点(P
i、i=1、・・・、n)を代表する少なくとも3つの温度センサ(20
i)を備えるボイラ格子(250)を有する炉(12)を備え、
- 前記ボイラの現在の運転データ、すなわち前記測定温度(T
Mi、i=1、・・・、N)が、各測定点(P
i、i=1、・・・、n)で測定され、
- 前記ボイラの前記現在の運転データに基づき、
i)前記測定床温度の平均が計算され、
ii)測定床温度の標準偏差が計算され、
iii)測定床最高温度と測定床最低温度との差が計算され、
iv)前記測定床温度に対して、散布度
【数1】
が計算され、
- i)、ii)、iii)、およびiv)の計算結果を使用して、床焼結指数を準備する、方法。
【請求項10】
さらに
v)同じ測定点に対する計算床温度(T
Ci、I=1、・・・、n)が計算され、前記測定床温度(T
Mi、i=1、・・・、n)と前記計算床温度との間の残差が計算され、ステップv)の結果がまた、前記床焼結指数の準備に使用される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記計算床温度(T
Ci、I=1、・・・、n)が、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法を使用して得られる、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
流動床ボイラシステム(10)を制御する方法であって、
局所的な床温度異常および/または床焼結指数が監視され、
予め定められた基準を超える局所的な床温度異常および/または床焼結指数を検出すると、燃焼ボイラシステム(10)の運転を自動的に調節し、および/または、局所的な床温度異常および/または床焼結状態が検出されていることをボイラ運転員に示す、方法。
【請求項13】
ボイラ運転の前記自動調節が、a)燃焼空気供給(151、152)の増減、b)燃料供給(20)の増減、c)流動媒体供給および/または流動媒体除去の増減、d)再循環ガス流量の調節、e)前記ボイラ負荷の一時的な制限、のうちの少なくとも1つ、好ましくは2つ、3つ、4つ、またはすべてを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
請求項1から5のいずれか一項に記載の方法を使用して、前記局所的な床温度異常が監視される、請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
請求項9から11のいずれか一項に記載の方法を使用して前記床焼結指数が監視される、請求項12から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記局所的な床温度異常および/または前記監視焼結指数が、数値モデルを使用して監視され、前記数値モデルの遅延較正が、前記較正データにおける最近の床状態の影響を低減または回避するために使用される、請求項12から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記遅延較正が、請求項6から8のいずれか一項に記載の方法を使用して行われる、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記燃焼ボイラシステム(10)が、請求項1から17のいずれか一項に記載の方法を実行するように構成されていることを特徴とする燃焼ボイラシステム(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、循環流動床(CFB:circulating fluidized bed)ボイラまたは気泡流動床(BFB:bubbling fluidized bed)ボイラなどの流動床燃焼ボイラの制御に関する。
【背景技術】
【0002】
火格子ボイラおよび流動床ボイラなどの燃焼ボイラは、典型的には、発電および暖房など様々な目的のために使用することができる蒸気を発生させるために利用される。
【0003】
流動床ボイラでは、燃料および固体粒子状流動媒体が炉の中に導入され、炉の底部から流動化ガスを導入することによって流動媒体および燃料を流動化させる。燃料の燃焼は炉内で生じる。BFB燃焼では、流動化ガスが床に気泡を形成するように流動化ガスは床を通過する。BFBでは、流動化ガスの供給および燃料の供給を制御することによって流動床をむしろ都合よく制御できる。
【0004】
CFB燃焼では、流動化ガスは流動媒体を通過する。ほとんどの床粒子は流動化ガスに巻き込まれ、流動化ガスによって運ばれる。粒子は流動化ガスから分離され、炉の中に戻されて循環する。
【0005】
すべてのボイラでは、燃焼技術に関係なく、酸素と燃料の混合などの燃焼状態が理想的でない場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
流動床燃焼ボイラシステムにおける床制御を改善することが本発明の第1の目的である。この目的は、独立請求項1に記載の方法で達成することができる。
【0007】
流動床燃焼ボイラシステムにおける床制御の精度を改善することが本発明の第2の目的である。この目的は、並列独立請求項6に記載の方法で達成することができる。
【0008】
流動床燃焼ボイラシステムにおける床制御を改善することが本発明の第3の目的である。この目的は、並列独立請求項9に記載の方法で達成することができる。
【0009】
流動床燃焼ボイラシステムにおける床制御を改善することが本発明の第4の目的である。この目的は、並列独立請求項12に記載の方法で達成することができる。
【0010】
従属請求項には、本方法の有利な態様が記載されている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の目的に関して、共に測定格子を定め、それぞれが測定点を代表する少なくとも3つの温度センサを備えるボイラ格子を有する炉を備える燃焼ボイラシステムの流動床における局所的な温度異常を判定するための方法は、
- 測定点で床温度を測定するステップと、
- 測定点に対する床温度を、少なくとも1つの数値床温度モデルを使用して計算して、燃焼ボイラシステムの通常運転状態における計算床温度を得るステップと、
- 測定点の少なくともいくつかに対して、測定温度が計算温度と比較され、異常閾値を超えている場合、局所的な温度異常が存在すると判定するステップと
を含む。
【0012】
この方法では、床温度を監視するために使用される少なくとも3つの温度センサは、数値床温度モデルと共に、局所的な床温度異常を検出できるようになる程度に、流動床温度測定の精度が高い。
【0013】
特に、ボイラ格子で床温度が測定される場合には特に、理論に縛られることなく、局所的な異常が流動床の焼結状態の始まりに関係していることがわかることがある。本発明者らは、局所的な温度異常が、流動床が焼結し始める前兆として機能することを観察した。したがって、計算温度と共に測定温度を監視することによって、床の焼結の始まりを検出することができ、床を修復する、または少なくとも焼結が悪化するのを回避するための対策を余裕をもって講じることができる。これは、床焼結のための燃焼ボイラシステムの停止、および費用のかかる修復を回避するのに役立つことができる。床温度異常が、床品質に関する情報、好ましくは、床で焼結が起きているかどうかの情報を与えることは有利である。あるいは、言い換えれば、是正措置がとられなければ停止する傾向になり得る、床に関連する問題についての情報を受け取ることが可能となる。したがって、ボイラの稼働率を改善することができ、および/または、運転コストを削減することができる。本方法は、好ましくは、ローカルなボイラ制御システム、または遠隔の、好ましくはプロセスインテリジェンスシステムのいずれかで自動的に実行される。
【0014】
測定点に対する計算床温度は、次の方法で得ることができる。
- ボイラ運転データ、すなわち少なくとも一次空気流量、燃料水分、主蒸気流量、煙道ガス酸素、および床圧力と、各測定点における測定床温度との間の数値モデルが準備および較正され、
- 各測定点における測定温度と、少なくとも一次空気流量、燃料水分、主蒸気流量、煙道ガス酸素、および床圧力とを含むボイラの現在の運転データが監視され、
- 少なくとも1つの測定点に対して、数値モデルが、現在の運転データと少なくとも2つの他の測定点の測定温度とを使用して計算温度を計算するために使用され、
- 計算温度と測定温度を異常基準に対して比較し、異常基準が満たされている場合、局所的な温度異常が存在すると判定する。
【0015】
較正は、好ましくは少なくともM日前の履歴データを使用して遅延方式で行うことができ、ここでMは少なくとも3であり、好ましくはMは少なくとも7であり、より好ましくはMは少なくとも14である。このようにして、ちょうど発生している床品質の問題が較正に悪影響を与えないことをより確実にすることができる。
【0016】
本発明の一実施形態によれば、計算床温度モデルは、次式、
y=b0+b1×x1+b2×x2+b3×x3+b4×x4+b5×x5+b6×x6
から得ることができる。
ここで、
b0・・・b6は、線形回帰モデルから得られるモデル係数である
x1=全空気流量、一次空気流量(x1Prim)と二次空気流量(x1sec)の合計として計算される
x2=燃料水分
x3=出力床温度測定(y)に隣接する床温度測定(x3a、x3b)の平均
x4=煙道ガス酸素含有量
x5=床圧力の平均
x6=再循環ガス流量の平均
【0017】
一実施形態によれば、燃料水分は計算されてもよいし測定されてもよい。
【0018】
本発明の一実施形態によれば、計算床温度モデルは、次式、
y=b0+b1×x1+b2×x2+b3×x3+b4×x4+b5×x5+b6×x6
から得ることができる。
ここで、
b0・・・b6は、線形回帰モデルから得られるモデル係数である。
x1=全空気流量、一次空気流量(x1Prim)と二次空気流量(x1sec)の合計として計算される
x2=煙道ガスのH2O含有量
x3=出力床温度測定(y)に隣接する床温度測定(x3a、x3b)の平均
x4=煙道ガス酸素含有量
x5=床圧力の平均
x6=再循環ガス流量の平均
【0019】
本発明の一実施形態によれば、計算床温度は人工知能ツールを使用して得ることができる。本発明の一実施形態によれば、計算床温度はニューラルネットワークを使用して得ることができる。
【0020】
局所的な温度異常を検出すると、較正は、予め定められた時間の間、実行されない(すなわち、較正が省略される)ことが好ましい。ボイラ停止状況に加えまたはその代わりに、異常運転、および/または異常な床状態は、好ましくは、較正データから除去または省略される。この手法は、較正に悪影響を与える可能性のある床品質の問題を回避するのに役立つことができる。この手法は、所与の閾値を満たす局所的な温度異常を検出すると、較正が、予め定められた時間の間、実行されないように微調整され得る。その場合、十分に大きな異常信号を生成するのに十分厳しい条件のみを選択して、予め定められた時間の間、較正を省くことができる。
【0021】
本発明の第2の目的に関して、共に測定格子を定め、それぞれが測定点を代表する少なくとも3つの温度センサを備えるボイラ格子を有する炉を備える燃焼ボイラシステムの流動床の数値モデルを較正するための方法であって、燃焼ボイラシステムが、測定点のそれぞれにおいて測定温度を生成するように構成されており、好ましくは、本発明の第1の目的のための方法の文脈の中で使用される方法において、
- 各測定点における測定温度と、少なくとも一次空気流量、燃料水分、主蒸気流量、煙道ガス酸素、および床圧力とを含むボイラの現在の運転データは監視および収集されて履歴データとなり、
- ボイラ運転データ、すなわち少なくとも一次空気流量、燃料水分、主蒸気流量、煙道ガス酸素、および床圧力と、各測定点における測定床温度との間の数値モデルは、少なくとも1つの数値フィッティング法、好ましくは数値回帰法、有利には最小二乗フィッティングを使用してフィッティングされる。
【0022】
このようにして、燃焼ボイラシステムの異なる運転条件下で、適切な精度の結果を生じる較正された数値モデルを生成することができる。
【0023】
較正は、定期的になど、予め定められた間隔で繰り返されてもよい。これは、燃焼ボイラシステムの可能性のある磨耗や損傷だけでなく、燃料品質の変化、時間と共に変化する運転パラメータにつながることがある環境条件(温度、周囲湿度、周囲圧力の変化)を反映して、較正を実際の状態に保つ助けとなる。
【0024】
局所的な温度異常を検出すると、較正を中止することができる。このようにして、ちょうど発生している床品質の問題が較正に悪影響を与えないことをより確実にすることができる。
【0025】
本発明の第3の目的に関して、共に測定格子を定め、それぞれが測定点を代表する少なくとも3つの温度センサを備えるボイラ格子を有する炉を備える流動床燃焼ボイラシステムのボイラ床の焼結の危険性を評価するための方法は、
- ボイラの現在の運転データ、すなわち測定温度が、各測定点で測定されるステップと、
- ボイラの現在の運転データに基づき、
i)測定床温度の平均が計算され、
ii)測定床温度の標準偏差が計算され、
iii)測定床最高温度と測定床最低温度との差が計算され、
iv)測定床温度に対して、散布度が計算され、
- i)、ii)、iii)、およびiv)の計算結果を使用して、床焼結指数が準備されるステップと
を含む。
【0026】
好ましく使用される焼結指数の定義に対して1つの可能性のあるものとしては次のようなものであってもよい。
i)測定床温度の平均が計算され、
ii)測定床温度の標準偏差が計算され、
iii)測定床最高温度と測定床最低温度との差が計算され、
iv)測定床温度に対して、散布度
【0027】
【数1】
が計算されると、
これらは、平均、偏差、差、散布度に対する焼結の危険性の指数を得るように、対応する予め定められた限界値と比較される。
【0028】
同様に、
v)同じ測定点に対する計算床温度TCi、I=1、・・・、nが計算され、測定床温度TMi、i=1、・・・、nと計算床温度との間の残差が計算されると、
それは、床温度残差に対する焼結の危険性の指数を得るように、対応する予め定められた限界値と比較される。
【0029】
次いで、最終的な危険性の指数は、例えば上記の危険性の指数の最大値とすることができる。
【0030】
本発明者らは、このように、得られた床焼結指数が、ボイラを停止させる必要性を回避することができるように是正措置をとるのに十分早期に処理しなければボイラを停止させることにつながりかねない流動床状態を示すことを観察した。この点については、
図7を参照してさらに詳細に論じる。
【0031】
本方法では、さらに、
v)同じ測定点に対する計算床温度が計算され、測定床温度と計算床温度との間の残差が計算され、ステップv)の結果はまた、床焼結指数の準備にも使用される。
【0032】
このようにして、床焼結指数の予測精度をさらに改善することができる。
【0033】
本発明の第3の目的による方法では、計算床温度は、本発明の第1の目的による方法を使用して得ることができる。
【0034】
本発明の第4の目的に関して、流動床ボイラシステムを制御する方法において、
局所的な床温度異常および/または床焼結指数が監視され、
予め定められた基準を超える局所的な床温度異常および/または床焼結指数を検出すると、燃焼ボイラシステムの運転を自動的に調節し、および/または、局所的な床温度異常および/または床焼結状態が検出されていることをボイラ運転員に示す。
【0035】
このようにして、燃焼ボイラシステムは、床焼結を防止するように自動的に制御されるか、あるいは、運転員は、局所的な床温度異常および/または床焼結状態を知らされて、床焼結を防止するような措置をとることができる。
【0036】
ボイラ運転の自動調節は、a)燃焼空気供給の増減、b)燃料供給の増減、c)流動媒体供給および/または流動媒体除去の増減、d)再循環ガス流量の調節、e)ボイラ負荷の一時的な制限、のうちの少なくとも1つを含んでもよい。
【0037】
燃焼空気は、一次空気および二次空気を含むことが好ましい。再循環ガス流は、好ましくは、煙道ガスの再循環部分を含むか、それからなる。
【0038】
本発明の一実施形態によれば、自動調節またはいわゆる是正措置は、
- 燃料混合比を変える
- ボイラ格子にある一次空気ノズルを通る空気パルスを引き起こす
- 含水粘土(例えばカオリン)であってもよい粘土などの供給添加物を導入する、またはそのような供給添加物の量を増やす
のうちの少なくとも1つを含む。
【0039】
測定床温度は、焼結の初期段階で低下し始める場合がある。したがって、床監視の過程で、モデル化された床温度より床温度が下がって異常閾値を超えていると判定されたときに、異常床状態が判定される場合がある。
【0040】
局所的な床温度異常は、本発明の第1の目的による方法を使用して監視することができる。
【0041】
床焼結指数は、本発明の第3の目的による方法を使用して監視することができる。
【0042】
本方法では、局所的な床温度異常および/または監視焼結指数は、数値モデルを使用して監視されることが好ましい。数値モデルの遅延較正は、較正データにおける最近の床状態の影響を低減または回避するために使用することができる。
【0043】
遅延較正は、本発明の第二の目的による方法を使用して実施されることが有利である。
【0044】
燃焼ボイラシステムは、本発明の目的のいずれか1つによる方法を実行するように構成される。
【0045】
以下では、
図1~
図8Bの添付図面に示す例示的な実施形態を参照して、本方法および本燃焼ボイラをより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【
図7】残差の計算方法を用いて得られた結果の図である。
【
図8A】
図7の状況に対する、燃焼ボイラシステムの実運転データで使用された危険性の計算方法の結果の図である。
【
図8B】
図7の状況に対する、燃焼ボイラシステムの実運転データで使用された危険性の計算方法の結果の図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
すべての図において、同じ参照数字は同じ技術的特徴を指す。
【0048】
図1は、CFBボイラであり、燃焼ボイラシステム10の水-蒸気回路に接続された管壁13(典型的には、前壁132、後壁134、側壁131、133を備える)を有する炉12を備える燃焼ボイラシステム10を示す。水は、水タンクからエコノマイザに供給され、エコノマイザから蒸気ドラムを経由して管壁13などの蒸発伝熱面に供給され、次いで、蒸気ドラムを経由して過熱器に、次いで、タービンに導くことができる。煙道ガス流路は、エコノマイザおよび/または過熱器および/または再熱器を備えることができる。
【0049】
流動化ガス(空気および/または酸素含有ガスなど)は、流動化ガス供給部153から、(燃料および流動媒体を流動化させるために)通常、一次流動化空気が格子250のノズルを通って炉内に入るように一次流動化ガス供給部151を経由して格子250の下方に供給され、また、(空気などの酸素含有ガスを供給して燃焼を制御するために)二次流動化ガス供給部152を経由して供給される。その結果、流動媒体は流動化され、また、燃焼に必要な酸素含有ガスが炉12の中に供給される。さらに、燃料は燃料供給部22を経由して炉12の中に供給される。
【0050】
燃焼は、燃料供給部22を制御することによって(例えば、燃料供給22を減少または増加させることによって)、および、流動化ガス供給部を制御することによって(例えば、炉12の中への酸素または酸素含有ガス、好ましくは燃焼空気の供給量を減少または増加させることによって)調節することができる。燃料は、添加剤と共に、特に、例えばCaCO3および/または粘土などのアルカリ吸着剤として機能するような添加剤と共に供給することができる。これに加えてまたはこれに代えて、アンモニウムまたは尿素などのNOx低減剤を炉12の燃焼領域内に、または炉12の燃焼領域の上方に供給することができる。
【0051】
炉の中に導入される流動媒体は、砂、石灰石、および/または粘土を含んでもよく、特にカオリンを含んでもよい。床および一般に燃焼の1つの効果は、水-蒸気回路において、水および蒸気が管壁13で加熱され、水が蒸気に変換されることである。
【0052】
ボトムアッシュは炉12の底に落下し、アッシュシュート(明瞭化のため
図1から省略されている)によって除去できるが、灰の一部、いわゆるフライアッシュは煙道ガスと共に運ばれる。
【0053】
煙道ガス、未燃燃料、および流動媒体などの燃焼生成物は、炉12から、ボルテックスファインダ103を備える場合がある粒子分離器14へと進む。粒子分離器14は、煙道ガスを固体から分離する。大型の燃焼ボイラ10では特に、好ましくは互いに並列に配置された2つ以上(2つ、3つ、・・・)の分離器14が存在する場合がある。
【0054】
分離器14によって分離された固体は、好ましくは分離器14の底部に位置するループシール120を通過する。次いで、固体は、伝熱面(例えば、限定するものではないが、管および/または伝熱パネルを備える)でもある流動床熱交換器(FBHE:fluidized bed heat exchanger)100に至り、その結果、FBHE100は固体から熱を集めて水-蒸気回路内の蒸気をさらに加熱する。
【0055】
FBHE100は、流動化され、伝熱管または他の種類の伝熱面を備え、再熱器または過熱器として配置されてもよい。FBHE出口105から、蒸気は高圧タービン(FBHE100が過熱器の場合)または中圧タービン(FBHE100が再熱器の場合)に送られる。FBHE入口104には、好ましくは、エコノマイザ(FBHE100が過熱器の場合)または高圧タービン(FBHE100が再熱器の場合)から流れて来る。
【0056】
固体は、FBHE100を出て戻り流路102を経由して炉12の中に入ることができる。大型の燃焼ボイラ10では特に、各分離器14に対して、それぞれのループシール120、FBHE100、および戻り流路102があるように、好ましくは互いに並列に配置された2つ以上(2つ、3つ、・・・)のループシール120およびFBHE100、ならびに戻り流路102が存在する場合がある。実際には、FBHE100のいくつかは過熱器として配置され、他のいくつかは再熱器として配置される。
【0057】
煙道ガスは分離器14からクロスオーバーダクト15に送られ、そこからさらに後部煙道16(垂直煙道であることが好ましい)に送られ、そこから煙道ガスダクト18を経由して煙突19に送られる。
【0058】
後部煙道16は、いくつかの伝熱面21
i(ここで、i=1、2、3、・・・、k、kは伝熱面の数)を備える。
図1では、これらの伝熱面のうち、伝熱面21
1、21
2、21
3、21
4、・・・、21
kが示されている。伝熱面21
kは空気予熱器を示す。他の伝熱面21
1~21
k-1には、エコノマイザ、過熱器、再熱器が含まれる場合がある。これらの構成要素のそれぞれにおける異なる伝熱面の実際の数は、例えば、実際の必要性に応じて、各燃焼ボイラに対して異なるように選択されてもよい。また、伝熱面21を備えるさらなる構成要素も存在する場合がある。
【0059】
燃焼ボイラシステム10は、複数のセンサおよびコンピュータユニットを備える。実際、1つの中型(100~150MWth)の燃焼ボイラシステム10は、1日当たり1億の測定結果を生じる場合があり、これは25GBの記憶領域を必要とする。
図1および
図2は、センサおよびコンピュータユニットの一部を示す。センサの例としては、FBHE100の出口105で出力蒸気温度を測定する温度センサ、FBHE100チャンバで圧力を測定する圧力センサ、分離器14で煙道ガス出口温度を測定する温度センサ、ループシール120内の温度を測定する温度センサ、およびループシール内の圧力を測定する圧力センサがある。
【0060】
プロセスデータは、分散型制御システム(DCS:distributed control system)301によってセンサから収集することができる。データ収集は、例えば、フィールドバス378を介して行われることが最も好都合である。DCS301は、運転員に運転状態情報を表示するためのディスプレイ/モニタ302を有することができる。EDGEサーバ303は、センサから得られた測定データを、フィルタリングおよび平滑化などの処理を行うことができる。データを記憶するためのローカルストレージ304があってもよい。
【0061】
DCS301、ディスプレイ/モニタ302、EDGEサーバ303、ローカルストレージ304は、燃焼ボイラネットワーク370(ローカルストレージ304は、好ましくはEDGEサーバ303に直接接続される)内にあってもよい。燃焼ボイラネットワーク370は、好ましくは、センサからの測定結果をDCS301および/またはEDGEサーバ303に通信するために使用されるフィールドバス380とは別である。DCS301とEDGEサーバ303との間には、システムの相互運用性を向上させるために、オープンプラットフォームコミュニケーションサーバがあってもよい。
【0062】
燃焼ボイラネットワーク370は、好ましくはゲートウェイ308を介して、インターネット300と接続されていてもよい。この状況において、測定結果は、燃焼ボイラネットワーク370から、計算クラウド306に配置されたプロセスインテリジェンスシステム305などのクラウドサービスに転送されてもよい。本出願人は現在、分析プラットフォームを実行するクラウドサービスを運営している。本クラウドサービスは、分散コンピューティングおよびデータ用クラウドストレージのための仮想化された、容易にスケーラブルな環境であるMicrosoft(登録商標)Azure(登録商標)などの仮想化されたサーバ環境で運用することができる。他のクラウドコンピューティングサービスも、分析プラットフォームを実行するのに適している場合がある。さらに、クラウドコンピューティングサービスの代わりに、あるいはそれに加えて、ローカルサーバまたはリモートサーバが分析プラットフォームを実行するために使用されてもよい。
【0063】
図2は、BFBボイラである燃焼ボイラシステム10を示す。BFBボイラは、流動床が循環床ではなく気泡床である点でCFBボイラとは異なる。したがって、分離器14、ループシール120、FBHE100、および戻り流路102は必要ない。
【0064】
通常、少なくとも1つの過熱器14が炉12内に、好ましくは炉12の頂部に配置される。過熱器14の入口143へは、好ましくは蒸気ドラム200または別の過熱器から来て、出口144は高圧タービンへ至る。
【0065】
好ましくはボイラ格子250の上方に配置され、共に測定格子を定め、それぞれが測定点Pi、i=1、・・・、nを代表する少なくとも3つの温度センサ20iを備えるボイラ格子250を有する炉12を備える燃焼ボイラシステム10の流動床における局所的な温度異常を判定するための方法において、
- 床温度TMi、i=1、・・・、Nが、測定点Pi、i=1、・・・、Nで測定され、
- 測定点Pi、i=1、・・・、nに対する床温度が、少なくとも1つの数値床温度モデルを使用して計算されて、燃焼ボイラシステム10の通常運転状態における計算床温度TCi、i=1、・・・、nを得て、
- 測定点Pi、i=1、・・・、nの少なくともいくつかに対して、測定温度TMiが計算温度TCiと比較され、異常閾値を超えている場合(例えば、ΔT=TMi-TCiがすべてのiに対して計算され、ΔT>ΔTlimitの場合)、局所的な温度異常が存在すると判定する。
【0066】
測定点Pi、i=1、・・・、Nに対する計算床温度TCi、i=1、・・・、Nは、好ましくは次の方法で得られる。
- ボイラ運転データ、すなわち少なくとも一次空気流量x1、燃料水分x2、主蒸気流量x3、煙道ガス酸素x4、および床圧力x5と、各測定点(Pi、i=1、・・・、N)における測定床温度TMi、i=1、・・・、Nとの間の数値モデルfが準備および較正され、すなわちf(x1、x2、c3、x4、x5)=TMi、
- 各測定点Pi、i=1、・・・、Nにおける測定温度TMi、i=1、・・・、Nと、少なくとも一次空気流量x1、燃料水分x2、主蒸気流量x3、煙道ガス酸素x4、および床圧力x5とを含むボイラの現在の運転データが監視され、
- 少なくとも1つの測定点Pj、jは1、・・・、nに対して、数値モデルが、現在の運転データと少なくとも2つの他の測定点の測定温度とを使用して計算温度TCjを計算するために使用され、
- 計算温度TCiと測定温度TMiを異常基準に対して比較し、異常基準が満たされている場合、局所的な温度異常が存在すると判定する。
【0067】
較正は、好ましくは少なくともM日前の履歴データを使用して遅延方式で行うことができ、ここでMは少なくとも3であり、好ましくはMは少なくとも7であり、より好ましくはMは少なくとも14である。
【0068】
局所的な温度異常を検出すると、較正は、予め定められた時間の間、実行されなくてもよい。特に、所与の閾値を満たす局所的な温度異常を検出すると、較正は、予め定められた時間の間、実行されなくてもよい。
【0069】
共に測定格子を定め、それぞれが測定点Pi、i=1、・・・、Nを代表する少なくとも3つの温度センサ20iを備えるボイラ格子250を有する炉12を備える燃焼ボイラシステム10の流動床の数値モデルを較正するための方法であって、燃焼ボイラシステム10が、測定点Pi、i=1、・・・、Nのそれぞれにおいて測定温度TMiを生成するように構成されている、方法において、
- 各測定点Pi、i=1、・・・、nにおける測定温度TMi、i=1、・・・、Nと、少なくとも一次空気流量x1、燃料水分x2、主蒸気流量x3、煙道ガス酸素x4、および床圧力x5とを含むボイラの現在の運転データは監視および収集されて履歴データとなり、
- ボイラ運転データ、すなわち少なくとも一次空気流量x1、燃料水分x2、主蒸気流量x3、煙道ガス酸素x4、および床圧力x5と、各測定点Pi、i=1、・・・、nにおける測定床温度TMi、i=1、・・・、Nとの間の数値モデルfは、少なくとも1つの数値フィッティング法、好ましくは数値回帰法、有利には最小二乗フィッティングを使用してフィッティングされる。
【0070】
図3は、ボイラ格子250が8つの温度センサ20(従ってN=5)を備える例を示す。基本的には、任意の数(しかしながら、少なくとも3つ)の温度センサ20を使用することができる。
【0071】
較正は、好ましくは、定期的になど、予め定められた間隔で繰り返される。
【0072】
局所的な温度異常を検出すると、較正を中止することができる。
【0073】
共に測定格子を定め、それぞれが測定点Pi、i=1、・・・、nを代表する少なくとも3つの温度センサ(20i)を備えるボイラ格子(250)を有する炉(12)を備える流動床燃焼ボイラシステム(10)の床焼結の危険性を評価するための方法において、
- ボイラの現在の運転データ、すなわち測定温度TMi、i=1、・・・、Nが、各測定点Pi、i=1、・・・、nで測定され、
- ボイラの現在の運転データに基づき、
i)測定床温度の平均が計算され、
ii)測定床温度の標準偏差が計算され、
iii)測定床最高温度と測定床最低温度との差が計算され、
iv)測定床温度に対して、散布度
【0074】
【数2】
が計算され、
- i)、ii)、iii)、およびiv)の計算結果を使用して、床焼結指数が準備される。
【0075】
本発明の一実施形態によれば、散布度i=1:Nの計算において、Nは床温度測定値の総数、xiは個々の床温度測定値、
【0076】
【数3】
はx
i以外のすべての床温度測定値の平均値である。
【0077】
好ましくは、本方法ではまた、
v)同じ測定点に対する計算床温度TCi、I=1、・・・、nが計算され、測定床温度TMi、i=1、・・・、nと計算床温度との間の残差が計算される。ステップv)の結果はまた、有利にも、床焼結指数の準備に使用される。
【0078】
流動床ボイラシステム10を制御する方法において、局所的な床温度異常および/または床焼結指数が監視され、予め定められた基準を超える局所的な床温度異常および/または床焼結指数を検出すると、燃焼ボイラシステム10の運転を自動的に調節し、および/または、局所的な床温度異常および/または床焼結状態が検出されていることをボイラ運転員に示す。
【0079】
ボイラ運転の自動調節は、a)一次空気供給151および/または二次空気供給152の増減、b)燃料供給20の増減、c)流動媒体供給および/または流動媒体除去の増減、および/またはd)再循環ガス流量の調節(好ましくは増加)、および/またはe)ボイラ負荷の一時的な制限、のうちの少なくとも1つを含んでもよい。
【0080】
自動調節またはいわゆる是正措置は、
- 燃料混合比を変える
- 一次空気ノズルを通る空気パルスを引き起こす
- 含水粘土(例えばカオリン)であってもよい粘土などの供給添加物を導入する、または供給添加物の量を増やす
のうちの1つを含んでもよい。
【0081】
局所的な床温度異常および/または監視焼結指数は、好ましくは数値モデルを使用して監視される。好ましくは、数値モデルの遅延較正は、較正データにおける最近の床状態の影響を低減または回避するために使用される。
【0082】
燃焼ボイラシステム10は、前記請求項のいずれか一項に記載の方法を実施するように構成される。
【0083】
図4は、流動床燃焼システム10における、より詳細にはDCS301および/またはEDGEサーバ303における、あるいはプロセスインテリジェンスシステム305における本方法の可能な使用を示す。
【0084】
データ入力(ステップJ1)として、燃料水分が本方法に提供される。これは、燃料から測定することができる、または煙道ガス分析から得られる、または手動で入力することができる。
【0085】
ステップJ3では、床温度がモデル化される。
【0086】
ステップJ5では、床診断が実施される。その結果、残差ΔT=TC-TMが得られる。
【0087】
図5は、床診断ステップJ5への可能な入力を示す。可能な入力として、一次空気流量、二次空気流量、煙道ガス酸素、煙道ガスH2O、床圧力が提供される。これらは、燃焼ボイラの運転中に、好ましくはDCS301またはEDGEサーバ303によって測定することができる。
【0088】
是正措置は、(好ましくは、DCS301、EDGEサーバ303、またはプロセスインテリジェンスシステム305によって)自動的に行うことができ、またはボイラ運転員が手動でこの措置を行うことができる。
【0089】
【0090】
本発明者らは、床焼結のために燃焼ボイラシステム10が停止するまで、燃焼ボイラシステム10の運転中に収集された実際のボイラ運転データを分析した。本発明者らは、その方法を用いると、局所的な床温度異常を検出できること、および局所的な床温度異常が床焼結の前兆として機能する傾向があることを示すことができる(
図7参照)。本発明者らの方法を用いると、局所的な床温度異常および焼結状態は、適切に長く、実際に問題が発生する前に十分早いアクションウィンドウ内で、十分に早期に観察することができる。
図7の例では、アクションウィンドウは、燃焼ボイラシステム10が床焼結の問題のために停止しなければならなくなる前の約45~25時間であった。
【0091】
図8Aおよび
図8Bは、
図7に示す曲線となった温度センサ20
1~20
8のそれぞれの温度センサ測定データを示す。このように、少なくとも8つの温度センサ20は、燃焼ボイラシステム10の自動制御またはボイラ運転員による手動制御のための十分長いアクションウィンドウを可能にして、燃焼ボイラシステム10の停止を防止するのに十分早期に焼結問題を確実に検出するのに十分多い。
【0092】
技術的進歩に伴って、本発明の基本的な考え方を多くの方法で実施できることは当業者にとって明らかである。したがって、本発明およびその実施形態は、上記の例に限定されるものではなく、特許請求の内容およびその法的均等物の範囲内で変化し得る。
【0093】
添付の特許請求の範囲および本発明の前述の説明において、文脈において、明示的な言葉または必要な暗示によりそうでないことが要求される場合を除き、「備える(comprise)」という単語または「備える(comprises)」もしくは「備えている(comprising)」などの変形は、包括的な意味で、すなわち、述べられた特徴の存在を特定するために使用されるが、本発明の様々な実施形態におけるさらなる特徴の存在または追加を排除するために使用されるものではない。
【符号の説明】
【0094】
10 燃焼ボイラシステム
12 炉
13 管壁
14 粒子分離器
15 クロスオーバーダクト
16 後部煙道
18 煙道ガスダクト
19 煙突
20j 温度センサ(i=1、2、3、・・・、8)
21i 熱交換器(j=1、2、3、・・・、k)
22 燃料供給部
100 流動床熱交換器(FBHE)
102 戻り流路
103 ボルテックスファインダ
104 FBHE入口
105 FBHE出口
120 ループシール
131 側壁
132 前壁
133 側壁
134 後壁
143 過熱器入口
144 過熱器出口
151 一次流動化ガス供給部
152 二次流動化ガス供給部
153 流動化ガス供給部
180 煙道ガス再循環部
200 蒸気ドラム
203 過熱器
250 格子
300 インターネット
301 分散型制御システム(DCS)
302 ディスプレイ/モニタ
303 EDGEサーバ
304 ローカルストレージ
305 プロセスインテリジェンスシステム
306 計算クラウド
308 ゲートウェイ
370 燃焼ボイラネットワーク
380 フィールドバス
【手続補正書】
【提出日】2024-03-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
共に測定格子を定め、それぞれが測定点(P
i、i=1、・・・、n)を代表する少なくとも3つの温度センサ(20
i)を備えるボイラ格子(250)を有する炉(12)を備える燃焼ボイラシステム(10)の流動床における局所的な温度異常を判定するための方法であって、
- 各測定点(P
i、i=1、・・・、N)における測定床温度(T
Mi、i=1、・・・、N)と、少なくとも一次空気流量(x1)、燃料水分(x2)、主蒸気流量(x3)、煙道ガス酸素(x4)、および床圧力(x5)とを含む前記ボイラの現在の運転データが監視され、
- ボイラ運転データ、すなわち少なくとも一次空気流量(x1)、燃料水分(x2)、主蒸気流量(x3)、煙道ガス酸素(x4)、および床圧力(x5)と、各測定点(P
i、i=1、・・・、N)における前記測定床温度(T
Mi、i=1、・・・、N)との間の数値モデル(f)が準備および較正され、
- 前記測定点(P
i、i=1、・・・、n)に対する床温度が、前記数値モデルを使用して計算されて、前記燃焼ボイラシステム(10)の通常運転状態における計算床温度(T
Ci、i=1、・・・、n)を得て、
- 前記測定点(P
i、i=1、・・・、n)の少なくともいくつかに対して、前記測定床温度(T
Mi)が、前記計算床温度(T
Ci)と比較され、異常閾値を超えている場合、局所的な温度異常が存在すると判定する、方法。
【請求項2】
- 少なくとも1つの測定点(P
j、jは1、・・・、n)に対して、前記数値モデルが、現在の運転データと少なくとも2つの他の測定点の測定床温度とを使用して計算温度(T
Cj)を計算するために使用され、
- 前記計算温度(T
Ci)と前記測定床温度(T
Mi)を異常基準に対して比較し、前記異常基準が満たされている場合、局所的な温度異常が存在すると判定する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記較正が、履歴データを使用して遅延方式で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
局所的な温度異常を検出すると、前記較正が、予め定められた時間の間、実行されない、請求項1または3に記載の方法。
【請求項5】
所与の閾値を満たす局所的な温度異常を検出すると、前記較正が、予め定められた時間の間、実行されない、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
局所的な床温度異常を検出すると、燃焼ボイラシステム(10)の運転を自動的に調節し、および/または、局所的な床温度異常が検出されていることをボイラ運転員に示す、請求項1または2に記載の方法。
【請求項7】
ボイラ運転データと前記測定床温度(T
Mi、i=1、・・・、N)との間の前記数値モデル(f)が、
- 各測定点(P
i、i=1、・・・、n)における前記測定床温度(T
Mi、i=1、・・・、N)と、少なくとも一次空気流量(x1)、燃料水分(x2)、主蒸気流量(x3)、煙道ガス酸素(x4)、および床圧力(x5)とを含む前記ボイラの現在の運転データが監視および収集されて履歴データとなり、
- ボイラ運転データ、すなわち少なくとも一次空気流量(x1)、燃料水分(x2)、主蒸気流量(x3)、煙道ガス酸素(x4)、および床圧力(x5)と、各測定点(P
i、i=1、・・・、n)における前記測定床温度(T
Mi、i=1、・・・、N)との間の数値モデル(f)が、少なくとも1つの数値フィッティング法を使用してフィッティングされる
ように較正される、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記較正が、予め定められた間隔で繰り返される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
局所的な温度異常を検出すると、前記較正が中止される、請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
流動床燃焼ボイラの床焼結の危険性を評価するための方法であって、
- 前記燃焼ボイラシステム(10)が、共に測定格子を定め、それぞれが測定点(P
i、i=1、・・・、n)を代表する少なくとも3つの温度センサ(20
i)を備えるボイラ格子(250)を有する炉(12)を備え、
- 前記ボイラの現在の運転データ、すなわち前記測定床温度(T
Mi、i=1、・・・、N)が、各測定点(P
i、i=1、・・・、n)で測定され、
- 前記ボイラの前記現在の運転データに基づき、
i)前記測定床温度の平均が計算され、
ii)測定床温度の標準偏差が計算され、
iii)測定床最高温度と測定床最低温度との差が計算され、
iv)前記測定床温度に対して、散布度
【数1】
が計算され、
- i)、ii)、iii)、およびiv)の計算結果を使用して、床焼結指数を準備する、方法。
【請求項11】
さらに
v)同じ測定点に対する計算床温度(T
Ci、I=1、・・・、n)が計算され、前記測定床温度(T
Mi、i=1、・・・、n)と前記計算床温度との間の残差が計算され、ステップv)の結果がまた、前記床焼結指数の準備に使用される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記計算床温度(T
Ci、I=1、・・・、n)が、
- 前記測定点(P
i、i=1、・・・、n)に対する床温度が、ボイラ運転データと前記測定床温度との間の少なくとも1つの数値床温度モデルを使用して計算されて、前記燃焼ボイラシステム(10)の通常運転状態における計算床温度(T
Ci、i=1、・・・、n)を得る
ように得られる、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
予め定められた基準を超える床焼結指数を検出すると、燃焼ボイラシステム(10)の運転を自動的に調節し、および/または、床焼結状態が検出されていることをボイラ運転員に示す、請求項10から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
ボイラ運転の前記自動調節が、a)燃焼空気供給(151、152)の増減、b)燃料供給(20)の増減、c)流動媒体供給および/または流動媒体除去の増減、d)再循環ガス流量の調節、e)前記ボイラ負荷の一時的な制限、のうちの少なくとも1つを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
監視焼結指数が、数値モデルを使用して監視され、前記数値モデルの遅延較正が、前記較正データにおける最近の床状態の影響を低減または回避するために使用される、請求項13または14に記載の方法。
【請求項16】
前記遅延較正が、請求項7から9のいずれか一項に記載の方法を使用して行われる、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記燃焼ボイラシステム(10)が、請求項1から16のいずれか一項に記載の方法を実行するように構成されていることを特徴とする燃焼ボイラシステム(10)。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
本発明の第1の目的に関して、共に測定格子を定め、それぞれが測定点を代表する少なくとも3つの温度センサを備えるボイラ格子を有する炉を備える燃焼ボイラシステムの流動床における局所的な温度異常を判定するための方法は、
- 測定点で床温度を測定するステップと、
- 測定点に対する床温度を、少なくとも1つの数値床温度モデルを使用して計算して、燃焼ボイラシステムの通常運転状態における計算床温度を得るステップと、
- 測定点の少なくともいくつかに対して、測定床温度が計算床温度と比較され、異常閾値を超えている場合、局所的な温度異常が存在すると判定するステップと
を含む。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
特に、ボイラ格子で床温度が測定される場合には特に、理論に縛られることなく、局所的な異常が流動床の焼結状態の始まりに関係していることがわかることがある。本発明者らは、局所的な温度異常が、流動床が焼結し始める前兆として機能することを観察した。したがって、計算床温度と共に測定床温度を監視することによって、床の焼結の始まりを検出することができ、床を修復する、または少なくとも焼結が悪化するのを回避するための対策を余裕をもって講じることができる。これは、床焼結のための燃焼ボイラシステムの停止、および費用のかかる修復を回避するのに役立つことができる。床温度異常が、床品質に関する情報、好ましくは、床で焼結が起きているかどうかの情報を与えることは有利である。あるいは、言い換えれば、是正措置がとられなければ停止する傾向になり得る、床に関連する問題についての情報を受け取ることが可能となる。したがって、ボイラの稼働率を改善することができ、および/または、運転コストを削減することができる。本方法は、好ましくは、ローカルなボイラ制御システム、または遠隔の、好ましくはプロセスインテリジェンスシステムのいずれかで自動的に実行される。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
測定点に対する計算床温度は、次の方法で得ることができる。
- ボイラ運転データ、すなわち少なくとも一次空気流量、燃料水分、主蒸気流量、煙道ガス酸素、および床圧力と、各測定点における測定床温度との間の数値モデルが準備および較正され、
- 各測定点における測定床温度と、少なくとも一次空気流量、燃料水分、主蒸気流量、煙道ガス酸素、および床圧力とを含むボイラの現在の運転データが監視され、
- 少なくとも1つの測定点に対して、数値モデルが、現在の運転データと少なくとも2つの他の測定点の測定床温度とを使用して計算温度を計算するために使用され、
- 計算温度と測定床温度を異常基準に対して比較し、異常基準が満たされている場合、局所的な温度異常が存在すると判定する。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0021】
本発明の第2の目的に関して、共に測定格子を定め、それぞれが測定点を代表する少なくとも3つの温度センサを備えるボイラ格子を有する炉を備える燃焼ボイラシステムの流動床の数値モデルを較正するための方法であって、燃焼ボイラシステムが、測定点のそれぞれにおいて測定床温度を生成するように構成されており、好ましくは、本発明の第1の目的のための方法の文脈の中で使用される方法において、
- 各測定点における測定床温度と、少なくとも一次空気流量、燃料水分、主蒸気流量、煙道ガス酸素、および床圧力とを含むボイラの現在の運転データは監視および収集されて履歴データとなり、
- ボイラ運転データ、すなわち少なくとも一次空気流量、燃料水分、主蒸気流量、煙道ガス酸素、および床圧力と、各測定点における測定床温度との間の数値モデルは、少なくとも1つの数値フィッティング法、好ましくは数値回帰法、有利には最小二乗フィッティングを使用してフィッティングされる。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0025
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0025】
本発明の第3の目的に関して、共に測定格子を定め、それぞれが測定点を代表する少なくとも3つの温度センサを備えるボイラ格子を有する炉を備える流動床燃焼ボイラシステムのボイラ床の焼結の危険性を評価するための方法は、
- ボイラの現在の運転データ、すなわち測定床温度が、各測定点で測定されるステップと、
- ボイラの現在の運転データに基づき、
i)測定床温度の平均が計算され、
ii)測定床温度の標準偏差が計算され、
iii)測定床最高温度と測定床最低温度との差が計算され、
iv)測定床温度に対して、散布度が計算され、
- i)、ii)、iii)、およびiv)の計算結果を使用して、床焼結指数が準備されるステップと
を含む。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0065
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0065】
好ましくはボイラ格子250の上方に配置され、共に測定格子を定め、それぞれが測定点Pi、i=1、・・・、nを代表する少なくとも3つの温度センサ20iを備えるボイラ格子250を有する炉12を備える燃焼ボイラシステム10の流動床における局所的な温度異常を判定するための方法において、
- 床温度TMi、i=1、・・・、Nが、測定点Pi、i=1、・・・、Nで測定され、
- 測定点Pi、i=1、・・・、nに対する床温度が、少なくとも1つの数値床温度モデルを使用して計算されて、燃焼ボイラシステム10の通常運転状態における計算床温度TCi、i=1、・・・、nを得て、
- 測定点Pi、i=1、・・・、nの少なくともいくつかに対して、測定床温度TMiが計算床温度TCiと比較され、異常閾値を超えている場合(例えば、ΔT=TMi-TCiがすべてのiに対して計算され、ΔT>ΔTlimitの場合)、局所的な温度異常が存在すると判定する。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0066
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0066】
測定点Pi、i=1、・・・、Nに対する計算床温度TCi、i=1、・・・、Nは、好ましくは次の方法で得られる。
- ボイラ運転データ、すなわち少なくとも一次空気流量x1、燃料水分x2、主蒸気流量x3、煙道ガス酸素x4、および床圧力x5と、各測定点(Pi、i=1、・・・、N)における測定床温度TMi、i=1、・・・、Nとの間の数値モデルfが準備および較正され、すなわちf(x1、x2、c3、x4、x5)=TMi、
- 各測定点Pi、i=1、・・・、Nにおける測定床温度TMi、i=1、・・・、Nと、少なくとも一次空気流量x1、燃料水分x2、主蒸気流量x3、煙道ガス酸素x4、および床圧力x5とを含むボイラの現在の運転データが監視され、
- 少なくとも1つの測定点Pj、jは1、・・・、nに対して、数値モデルが、現在の運転データと少なくとも2つの他の測定点の測定床温度とを使用して計算温度TCjを計算するために使用され、
- 計算床温度TCiと測定床温度TMiを異常基準に対して比較し、異常基準が満たされている場合、局所的な温度異常が存在すると判定する。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0069
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0069】
共に測定格子を定め、それぞれが測定点Pi、i=1、・・・、Nを代表する少なくとも3つの温度センサ20iを備えるボイラ格子250を有する炉12を備える燃焼ボイラシステム10の流動床の数値モデルを較正するための方法であって、燃焼ボイラシステム10が、測定点Pi、i=1、・・・、Nのそれぞれにおいて測定床温度TMiを生成するように構成されている、方法において、
- 各測定点Pi、i=1、・・・、nにおける測定床温度TMi、i=1、・・・、Nと、少なくとも一次空気流量x1、燃料水分x2、主蒸気流量x3、煙道ガス酸素x4、および床圧力x5とを含むボイラの現在の運転データは監視および収集されて履歴データとなり、
- ボイラ運転データ、すなわち少なくとも一次空気流量x1、燃料水分x2、主蒸気流量x3、煙道ガス酸素x4、および床圧力x5と、各測定点Pi、i=1、・・・、nにおける測定床温度TMi、i=1、・・・、Nとの間の数値モデルfは、少なくとも1つの数値フィッティング法、好ましくは数値回帰法、有利には最小二乗フィッティングを使用してフィッティングされる。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0073
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0073】
共に測定格子を定め、それぞれが測定点Pi、i=1、・・・、nを代表する少なくとも3つの温度センサ(20i)を備えるボイラ格子(250)を有する炉(12)を備える流動床燃焼ボイラシステム(10)の床焼結の危険性を評価するための方法において、
- ボイラの現在の運転データ、すなわち測定床温度TMi、i=1、・・・、Nが、各測定点Pi、i=1、・・・、nで測定され、
- ボイラの現在の運転データに基づき、
i)測定床温度の平均が計算され、
ii)測定床温度の標準偏差が計算され、
iii)測定床最高温度と測定床最低温度との差が計算され、
iv)測定床温度に対して、散布度
【国際調査報告】