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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-18
(54)【発明の名称】走査プローブ
(51)【国際特許分類】
   G01B 5/012 20060101AFI20240910BHJP
【FI】
G01B5/012
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024515664
(86)(22)【出願日】2022-09-08
(85)【翻訳文提出日】2024-05-13
(86)【国際出願番号】 EP2022075026
(87)【国際公開番号】W WO2023036887
(87)【国際公開日】2023-03-16
(31)【優先権主張番号】21195847.5
(32)【優先日】2021-09-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391002306
【氏名又は名称】レニショウ パブリック リミテッド カンパニー
【氏名又は名称原語表記】RENISHAW PUBLIC LIMITED COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジェイミー ジョン バッキンガム
(72)【発明者】
【氏名】マーク ジェームズ アンドリュー ホームズ
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン エドワード ラムズ
【テーマコード(参考)】
2F062
【Fターム(参考)】
2F062AA04
2F062CC25
2F062EE01
2F062EE62
2F062FF02
2F062GG17
2F062HH01
2F062HH13
2F062HH32
2F062HH42
(57)【要約】
工作機械などの座標位置決め装置用の走査プローブであって、ひずみ検知構造(100)によってスタイラスホルダ(102)に接続されたプローブ本体を備える、走査プローブが記載されている。ひずみ検知構造は、複数の曲げ可能部材(204)によって外側部分(200)に接続された内側部分(202)を有する。各々の曲げ可能部材(204)の近位端(220)は、内側部分(202)に取り付けられ、各々の曲げ可能部材(204)の遠位端(222)は、外側部分(200)に取り付けられる。内側部分及び外側部分(200、202)は、中心軸を中心とし、複数の曲げ可能部材(204)は、少なくとも1つのひずみ検知素子(210)を備える。各々の曲げ可能部材(204)の近位端及び遠位端(220,222)は、中心軸を中心にして異なる角度で配置される。そのような配置は、走査及びタッチトリガ測定値の両方を取得することを可能にする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
座標位置決め装置のための走査プローブであって、
プローブ本体と、
スタイラスホルダと、
前記スタイラスホルダを前記プローブ本体に接続するひずみ検知構造であって、
前記ひずみ検知構造は、複数の曲げ可能部材によって外側部分に接続された内側部分を有し、各曲げ可能部材の近位端は前記内側部分に取り付けられ、各曲げ可能部材の遠位端は前記外側部分に取り付けられ、前記内側部分および外側部分は中心軸を中心とし、前記複数の曲げ可能部材は少なくとも1つのひずみ検知素子を含む、ひずみ検知構造と、
を備え、
各々の曲げ可能部材の近位端及び遠位端は、前記中心軸の周りの異なる角度に配置され、各々の曲げ可能部材は、前記ひずみ検知構造の前記平面内で湾曲している、走査プローブ。
【請求項2】
各々の曲げ可能部材の幅は、その長さに沿って変化する、請求項1に記載の走査プローブ。
【請求項3】
各曲げ可能部材の最も外側の縁部および最も内側の縁部が湾曲しており、最も内側の縁部および最も外側の縁部の湾曲が異なる点を中心とした円弧である、請求項1または2に記載の走査プローブ。
【請求項4】
各々の屈曲可能部材の厚さが、その長さに沿って実質的に不変である、請求項1から3のいずれか一項に記載の走査プローブ。
【請求項5】
前記内側部分は、円形の中央ハブを含み、前記外側部分は、外側リングを含み、前記複数の曲げ可能部材は、互いに等間隔に離間された3つの曲げ可能部材を備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の走査プローブ。
【請求項6】
前記ひずみ検知構造は、単一の機械加工部品を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の走査プローブ。
【請求項7】
前記複数の曲げ可能部材の前記厚さが、前記内側部分及び前記外側部分よりも小さい、請求項1から6のいずれか一項に記載の走査プローブ。
【請求項8】
前記ひずみ検知構造が実質的に平面であり、前記複数の曲げ可能部材が、前記ひずみ検知構造の前記平面に垂直な方向に曲げ可能である、請求項1から7のいずれか一項に記載の走査プローブ。
【請求項9】
少なくとも1つのひずみ検知素子が各曲げ可能部材上に配置される、請求項1から8のいずれか一項に記載の走査プローブ。
【請求項10】
前記スタイラスホルダは、前記スタイラス軸が前記中心軸上にあるように、スタイラスを保持する、請求項1から9のいずれか一項に記載の走査プローブ。
【請求項11】
前記内側部分がプローブハウジングに固定され、前記スタイラスホルダが前記外側部分に接続される、請求項1から10のいずれか一項に記載の走査プローブ。
【請求項12】
前記スタイラスホルダが、保護機構によって前記ひずみ検知構造に接続され、前記保護機構が、前記スタイラスホルダに加えられた前記外力が閾値レベルを超えたときに、前記スタイラスホルダを付勢して前記ひずみ検知構造と接触させるが、前記スタイラスホルダが前記ひずみ検知構造を係合解除することを可能にするばねを備える、請求項1から11のいずれか一項に記載の走査プローブ。
【請求項13】
前記ひずみ検知構造の振動を減衰させるための少なくとも1つの流体ダンパーを備える、請求項1から12のいずれか一項に記載の走査プローブ。
【請求項14】
前記少なくとも1つのひずみ検知素子から信号を受信し、リモートプローブインターフェースに出力するための走査データを生成するように構成された走査ユニットを備える、請求項1から13のいずれか一項に記載の走査プローブ。
【請求項15】
前記少なくとも1つのひずみ検知素子から信号を受信し、前記受信信号をスタイラスたわみ閾値と比較し、前記スタイラスたわみ閾値が超過されたときにリモートプローブインターフェースに出力するためのトリガ信号を生成するように構成されたタッチトリガユニットをさらに備える、請求項1から14のいずれか一項に記載の走査プローブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作機械などの座標位置決め装置のための走査プローブであって、物体接触スタイラスのたわみを検知するための1つまたは複数のひずみ検知要素を備える走査プローブに関する。
【背景技術】
【0002】
工作機械または他の座標位置決め装置で使用するための様々な測定プローブが知られている。これらは、スタイラスが物体との接触のためにたわまされるときにトリガ信号を発行するタッチトリガープローブと、スタイラスが表面に沿って走査されるときに発生するスタイラスたわみの量を記述するデータのストリームを出力する、いわゆる走査プローブとを含む。そのような測定プローブからの出力は、オブジェクトに対する測定プローブの位置を説明する工作機械からの情報と組み合わせて、オブジェクトの表面上の点の位置を測定するために使用することができる。これらの測定値は、部品のセットアップまたは検査目的で使用することができる。
【0003】
タッチトリガープローブは、スタイラスがたわまされたときに壊れ、それによって工作機械に渡されるトリガ信号を生成する単純な電気回路を含み得る。また、ひずみセンサを使用して、物体との接触によりスタイラスがたわんだときを測定することも知られている。
【0004】
特許文献1は、スタイラスホルダが中間部材を介してプローブ本体に取り付けられる測定プローブを記載する。中間部材は、小さなスタイラスのたわみを感知するように構成され、一方、ばね手段は、スタイラスのより大きなたわみに対応するように提供される。中間部材のたわみが測定される様々な実施形態が特許文献1に記載されている。特許文献1(特許文献1の図5および6に示される)の1つの具体的な実施形態では、中間部材122は、中間部材の中心軸121Aの周りに接線方向に延びる3つの直線的な肢127によって接続された内側領域122Bおよび外側リング128を含む。減らされた厚さ部分は、各肢127の各端部に設けられ、その上に一対のひずみゲージ130が取り付けられて、それらの細長い肢の任意の曲がりを測定する。
【0005】
特許文献2及び特許文献3は、スタイラスホルダをプローブ本体に接続するひずみ検知構造を有するタッチトリガ測定用の測定プローブを記載している。ひずみ検知構造は、ひずみ検知素子が取り付けられている3つの直線的な半径方向に延びるスポークを含む。ひずみ検知素子からの信号が組み合わされ、組み合わされた信号が特定の閾値を超えるとトリガ信号が発行される。この配置は、堅牢で正確で信頼性の高いタッチトリガープローブを提供する。
【0006】
特許文献4は、工作機械での使用に適した堅牢な走査プローブを記載している。タッチトリガ測定を可能にする特許文献1、特許文献2、及び特許文献3に記載の構成とは異なり、特許文献4の走査プローブは、はるかに大きな範囲にわたってスタイラスのたわみを伝達することができる。特に、特許文献4の走査プローブは、印加された外力がない状態で静止位置に吊り下げられたスタイラスホルダを維持するばね装置と組み合わせた容量性トランスデューサを含む。静電容量トランスデューサは、静止位置から離れてスタイラスホルダに取り付けられたスタイラスの任意のたわみを(3次元で)測定するために使用され、3次元たわみデータのストリームは、スタイラス先端が測定されているオブジェクトの表面に沿って移動(すなわち走査)されている間に走査プローブによって出力される。そのような走査プローブは、タッチトリガープローブと比較して、多数の表面位置測定値を比較的迅速に取得することを可能にする。しかしながら、複雑で比較的高価なばねおよびトランスデューサ構成は、典型的には、そのような走査プローブの使用をよりハイエンドの測定用途に限定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】欧州特許出願公開第0068899号明細書
【特許文献2】国際公開第2006/100508号パンフレット
【特許文献3】国際公開第2006/120403号パンフレット
【特許文献4】国際公開第2002/061378号パンフレット
【発明の概要】
【0008】
本発明によれば、プローブ本体、スタイラスホルダ、およびスタイラスホルダをプローブ本体に接続するひずみ検知構造を含む座標位置決め装置用の走査プローブが提供され、ひずみ検知構造は、複数の曲げ可能部材によって外側部分に接続された内側部分を有し、各曲げ可能部材の近位端は内側部分に取り付けられ、各曲げ可能部材の遠位端は外側部分に取り付けられ、内側部分および外側部分は中央軸を中心とし、複数の曲げ可能部材は少なくとも1つのひずみ検知素子を含み、各曲げ可能部材の近位端および遠位端は中央軸を中心とする異なる角度に配置され、各曲げ可能部材はひずみ検知構造の平面内で湾曲している。
【0009】
したがって、本発明は、任意選択でタッチトリガープローブとしても動作することができ、座標位置決め装置と共に使用するように構成される走査プローブに関する。好ましい例では、走査プローブは、工作機械と共に使用されるように構成される。走査プローブは、プローブ本体またはハウジングを備える。プローブ本体は、座標位置決め装置に固定された走査プローブの一部である。例えば、プローブ本体は、工作機械のスピンドルまたはクイル(quill)に保持することができるシャンク(shank)にボルトで固定され得る。プローブ本体に対してたわむことができるスタイラスホルダも提供される。スタイラスホルダは、スタイラスを組み込んでもよく、またはスタイラスを固定することができるコネクタ(例えば、ねじ山開口)を含んでもよい。スタイラスは、その遠位端にボールが取り付けられた細長いロッドを備え得る。したがって、スタイラスホルダは、取り付けられたスタイラスの長手方向シャフトが突出する中心軸を画定し得る。
【0010】
スタイラスホルダは、ひずみ検知構造を介してプローブ本体にたわみ可能に接続されている。ひずみ検知構造は、外側部分と同じ中心軸を有する内側部分を備える。言い換えれば、内側部分および外側部分は、同心円状であるか、または共通の(中央の)軸を中心としている。好ましい実施形態では、内側部分は、円形ハブを含み得、外側部分は、円形ハブよりも大きい直径を有する(円形)リングを含み得る。内側部分および外側部分が中心に置かれる中心軸はまた、スタイラスホルダによって画定される細長い軸と一致し得る。内側部分および外側部分は、複数の曲げ可能部材(曲げ可能アーム(arms)、脚(legs)、または手足(limbs)とも呼ばれ得る)によって接続される。特に、各々の曲げ可能部材の近位端は、内側部分に取り付けられ、各々の曲げ可能部材の遠位端は、外側部分に取り付けられる。以下に説明するように、内側部分及び外側部分は、比較的硬くてもよい。1つまたは複数の曲げ可能部材は、内側部分と外側部分との間の唯一の接続を便利に提供する。以下に説明するように、スタイラスホルダがプローブハウジングに対して移動するとき(すなわち、内側部分および外側部分が互いに対して移動するとき)、複数の曲げ可能部材は曲がる。少なくとも1つのひずみ検知要素が、曲げ可能部材の曲げを測定するために提供される。好ましい実施形態では、各々の曲げ可能部材は、そのような各々の曲げ可能部材の曲げを測定することを可能にするために、少なくとも1つのひずみ検知要素を含む。
【0011】
走査プローブは、中心軸の周りの異なる角度に配置された各曲げ可能部材の近位端および遠位端を有する。言い換えれば、各々の曲げ可能部材の近位端は、その遠位端から角度的にオフセットされる(すなわち、中心軸を中心にして異なる角度を有する)。したがって、曲げ可能部材は、純粋に半径方向に延びるのではなく(すなわち、中心軸の周りの角度に変化はない)、ひずみ検知構造の中心軸の周りに円周方向に延びる(すなわち、各曲げ可能部材の中心軸の周りの角度は、その長さに沿って変化する)。さらに、各曲げ可能部材は、ひずみ検知構造の平面内で湾曲している。これは、各々の曲げ可能部材が、内側部分から外側部分に角度を付けて延びるときに湾曲することを意味する。もちろん、各曲げ可能部材の端部の間に半径方向オフセットもあり得る(すなわち、曲げ可能部材は、ひずみ検知構造の中心軸の周りに角度を付けて延びることができ、内側部分から外側部分まで半径方向外向きに延びることができる)。
【0012】
特許文献2、特許文献3及び特許文献1に記載されている従来のひずみゲージタッチトリガープローブに対する本発明の利点は、曲げ可能部材の構成(形状)から生じる。特に、各曲げ可能部材の長さは、内側部分と外側部分との間の半径方向の分離よりも大きくすることができる。これにより、ひずみ検知構造の所与の外形寸法または直径に対して、曲げ可能部材の長さを増加させることができる。より長い曲げ可能部材の提供は、材料の所与の剛性および弾性に対してより大きな曲げを可能にする。これは、次に、プローブ本体に対するスタイラスホルダのたわみの測定可能な作業範囲を増加させる。さらに、湾曲した曲げ可能部材を提供することは、外側部分に対する内側部分の動きによって(例えば、スタイラスのたわみなどによる)曲げ可能部材が平面外に曲げられるときに、曲げ可能部材の望ましくないねじれを最小限に抑える、または除去することが予想外に見出されている。特に、ひずみ検知構造の平面内で湾曲した曲げ可能部材を提供することは、従来技術の測定プローブで使用されるタイプの直線(曲げられていない)曲げ可能部材と比較して、ねじれを大幅に低減することが見出されている。上記で説明したように、従来技術の測定プローブは、これが以前は、印加された力に対する均一で予測可能な応答を得るための最良の方法であると考えられていたため、まっすぐな(曲がっていない)曲げ可能部材を含む。しかし、この仮定は誤りであり、湾曲した曲げ可能部材が曲げ特性を改善していることが判明している。さらに、曲率は、ひずみを各曲げ可能部材の特定のセクションに集中させることを可能にし、ひずみ検知要素をそのような曲げを測定するための最適な位置に配置することを可能にする。結果として、本発明は、特許文献1、特許文献2、及び特許文献3に記載されている構成とは対照的に、実際には、タッチトリガープローブとしてのみ使用可能な走査プローブを提供する。
【0013】
したがって、本発明は、ひずみ検知素子(例えば、ひずみゲージ)を使用することの堅牢性、コンパクト性、およびコスト上の利点と、タッチトリガ測定ではなく走査を行うという利点とを組み合わせる。以下に記載されるように、タッチトリガ測定を行うために本発明の走査プローブを使用することも可能であることに留意されたい。
【0014】
複数の曲げ可能部材は、実質的に平面のひずみ検知構造の平面内で湾曲する(すなわち、曲げられる)。ひずみ検知構造は、実質的に円形である、概して平坦または平面の構造であってもよい。例えば、ひずみ検知構造は、実質的に平面のディスクを含み得る(すなわち、ひずみ検知構造は、実質的にディスク形状であり得る)。そのような例では、中心軸は、ディスクの中心点と一致してもよく、この中心軸は、ディスクの平面に垂直に延びてもよい。ディスク形状が好ましいが、表面検知構造の他の形状を使用することが可能である。そのような例では、曲げ可能部材の曲率は、好ましくは、ディスクの平面内にある。したがって、曲げ可能部材のこの曲率は、曲げ可能部材が使用中に曲がるように構成されている方向または平面に垂直な平面内にあり得る。例えば、曲げ可能部材は、湾曲した内側/外側の縁を有する平面内に平らに横たわってもよく、その平面の外に(すなわち、測定中)曲げ可能であってもよい。
【0015】
各湾曲した曲げ可能部材の横方向の範囲または(平面内)幅はまた、曲げを最適化するように構成され得る。有利には、各々の曲げ可能部材の幅は、その長さに沿って変化する。例えば、各部材の幅は、その近位端からその遠位端まで、またはその逆に増加し得る。この点で、各曲げ可能部材の「幅」(または横幅など)は、その長さを横切る寸法であることに留意する(長さは、各曲げ可能部材の近位端から遠位端までの方向に画定される)。好ましい例では、曲げ可能部材の最も外側および/または最も内側の縁部は、湾曲していてもよい。好ましくは、曲げ可能部材の最も外側の縁部と最も内側の縁部の両方が湾曲している。
【0016】
好ましい実施形態では、各曲げ可能部材の最も外側の縁部および最も内側の縁部は湾曲しており、最も内側の縁部および最も外側の縁部の湾曲は、異なる点を中心とするそれぞれの円弧である。円弧はまた、異なる半径を有し得る。最も内側の縁部および最も外側の縁部の曲率は、ひずみ検知構造の中心軸と一致しない点の周りを便利に中心とすることができる。これは、外側部分に対する内側部分の動きによって曲げられるとき(例えば、スタイラスのたわみによる)、曲げ可能な部材の望ましくないねじれをさらに低減することが見出されている。これはまた、各曲げ可能部材の特定のセクションにひずみをさらに集中させるのに役立ち、ひずみ検知素子を曲げ効果を測定するための最適な位置に配置することを可能にする。
【0017】
内側部分は、好ましくは、円形の中央ハブを備える。この円形の中央ハブは、好ましくは剛性であり、単一の部品から形成され得る。中央ハブは、プローブ本体またはスタイラスホルダのいずれかに取り付けられ得る。外側部分は、便利に、外側(円形)リングを含み得る。外側リングは、好ましくは剛性であり、単一の連続したピースとして形成される。外側リングは、スタイラスホルダまたはプローブ本体の他方に取り付けられ得る。
【0018】
好ましい実施形態では、複数の曲げ可能部材は、3つの曲げ可能部材を含む。3つの曲げ可能部材は、互いに(すなわち、中心軸の周りに)便利に等間隔に離間される。3つの曲げ可能部材のそれぞれにひずみ検知素子を配置することにより、スタイラスホルダのたわみの方向を、曲げ可能部材のそれぞれで感知されたひずみを使用して測定することができる。
【0019】
ひずみ検知構造は、複数の構成要素から組み立てられ得る。有利には、ひずみ検知構造は、単一の(一体型の)部分を備える。好ましい実施形態では、ひずみ検知構造は、単一の機械加工部品として形成される。言い換えれば、ブランク基板(例えば、ステンレス鋼のブランクディスク)は、(例えば、EDMプロセスを使用して)機械加工されて、曲げ可能部材がそれらの部分を接続して内側部分および外側部分を形成し得る。そのような単一のひずみ検知構造を提供することは、互いに取り付けられているまたはクランプされている構成要素間のスリップに起因して生じる可能性のあるヒステリシス効果を低減する。これにより、スタイラスホルダは、以下で説明するように、プローブ本体に対して非常に反復可能な静止位置または中立位置を採用することができる。
【0020】
有利には、ひずみ検知構造は、弾性材料から形成される。測定されるたわみの範囲に応じて、様々な異なる材料を使用することができる。例えば、低剛性であり、したがって低ヤング率値材料(例えば、アルミニウム)は、高たわみ範囲の用途に使用することができる。あるいは、高剛性、したがって高ヤング率値材料(例えば、セラミック)を高感度(低たわみ範囲)用途に使用することができる。
【0021】
ひずみ検知構造は、金属から形成され得る。便利なことに、ひずみ検知構造は、マルテンサイト系ステンレス鋼(例えば、グレード416、420、440、440CまたはX15TNステンレス鋼)から形成される。あるいは、EN31などの炭素(ベアリング)鋼を使用することができる。アルミニウム(例えば、6000シリーズアルミニウム)は、別の選択肢であろう。ひずみ検知構造はまた、セラミックからまたはポリマーから形成され得る。上記の異なる材料は、耐久限界およびヤング率などの異なる材料特性要件を有する異なる用途に適している。ポリマーは、機械加工または成形することができる。セラミックスは、焼結成形部品であり得る。
【0022】
ひずみ検知素子は、(例えば、接着剤を使用して)曲げ可能部材に接合され得る。ダイヤモンドライクコーティング(DLC)コーティング(特に電気絶縁DLCコーティング)は、(例えば、曲げ可能部材が導電性材料から作られている場合)曲げ可能部材に適用され得る。これは、ひずみ検知素子が導電性基板によって短絡されるのを防ぐための電気絶縁体の層を提供する。ひずみ検知構造がアルミニウムで形成されている場合、DLCコーティングの代替として陽極酸化プロセスを使用することができる。セラミックス及びポリマーは、そのような隔離層を必要としないであろう。
【0023】
ひずみ検知構造の厚さは、その構造の異なる部分に所望のレベルの柔軟性を与えるように構成され得る。例えば、ひずみ検知構造の特定の部分は、柔軟性を高めるために薄くし得る。好ましい実施形態では、内側部分および外側部分は、比較的厚く、したがって比較的剛性であり得る。対照的に、複数の曲げ可能部材のそれぞれは、増加した柔軟性を提供するために、比較的薄くてもよい(すなわち、内側/外側部分よりも薄くてもよい)。次いで、外側部分に対する内側部分の任意の動きは、(変換された)内側部分及び外側部分の最小限の曲げを伴う(変換されない)曲げ可能部材の曲げをもたらす。このようにして、スタイラスホルダとプローブ本体との間の動きは、ひずみ検知要素によって測定することができる曲げ可能部材の曲げを引き起こす。有利には、各々の曲げ可能部材の厚さは、その長さに沿って実質的に不変である。これにより、不要なねじれなしに、一貫して制御可能な曲げ部材が可能になる。
【0024】
上述したように、ひずみ検知構造は、実質的に平面であってもよい。ひずみ検知構造はまた、弾性材料から形成されてもよい。好ましい実施形態では、複数の可動部材は、ひずみ検知構造の平面に垂直な方向に曲げ可能であってもよい(すなわち、弾性的に変形可能であってもよい)。言い換えれば、スタイラスホルダがプローブ本体に対してたわまされるとき、曲げ可能部材は、ひずみ検知構造の平面から外へ曲がってもよい。印加された外力を除去すると、ひずみ検知構造の弾力性は、それがばねのように作用し、静止状態に戻ることを意味し得る。ひずみ検知構造は、プローブ本体とスタイラスホルダとの間の唯一の接続であり得る。あるいは、プローブ本体に対してスタイラスホルダを支持する他のばねまたは機構もあり得る。
【0025】
有利には、少なくとも1つのひずみ検知素子は、各曲げ可能部材上に配置される。各曲げ可能部材には、単一のひずみ検知素子のみが設けられ得る。各曲げ可能部材には、2つ以上のひずみ検知素子が設けられ得る。例えば、各々の曲げ可能部材は、一対のひずみ検知素子を含み得る。一対のひずみ検知素子を使用する場合、それらは、曲げ可能部材の対向する表面(例えば、上面および下面)に配置されてもよく、これにより、特定の温度影響を低減または除去するのに役立つ差動ひずみ測定を行うことができる。各々の曲げ可能部材に設けられたひずみ検知素子は、互いに類似していてもよい。あるいは、各曲げ可能部材に設けられたひずみ検知素子は異なっていてもよい。例えば、曲げ可能部材は、抵抗温度効果を補償するために、その上面及び下面にそれぞれp型及びn型半導体ひずみ検知素子を担持し得る。また、複数の曲げ可能部材のうちのいくつかだけが、ひずみ検知素子を含むことが可能である。
【0026】
曲げ可能部材のひずみ特性の分析は、ひずみ検知素子の配置を最適化するために実行され得る。例えば、曲げ可能部材設計のひずみマップは、ひずみ検知要素の配置を最適化するために使用され得る。このようにして、ひずみ検知素子の位置は、所与のスタイラスのたわみ範囲にわたってひずみの測定可能な変化を得るように最適化することができる。有利には、各ひずみ検知素子は、ひずみの変化が曲げ可能部材の曲げに比例する(例えば、線形関係によって)曲げ可能部材の領域に固定され得る。
【0027】
有利には、ひずみ検知素子は、スタイラスホルダが静止(たわまされていない)位置にあるときに示されるひずみの変動が低い各曲げ可能部材の領域に固定される。各ひずみ検知素子は、所与のスタイラスのたわみのために、ひずみ勾配が素子の軸に沿って低い場所に配置され得る(それによって、ひずみ検知素子の位置のわずかな変化による影響を低減する)。各ひずみ検知素子の位置は、曲げ可能部材の中点またはその近く(例えば、曲げ可能部材の幅のほぼ半分)にあり得る。ひずみ検知素子はまた、曲げ可能部材の局所的な細長い軸と整列され得る。これにより、エッジ効果や応力集中を回避できる。ひずみ検知素子はまた、好ましくは、最も内側および/または最も外側の縁部が湾曲している(すなわち、それらは、曲げ可能部材のいずれの真っ直ぐな部分にも位置しない)曲げ可能部材に沿った位置に配置される。
【0028】
有利には、ひずみ検知素子は、プローブ本体に取り付けられた曲げ可能部材の端部またはその近くに取り付けられる。ひずみ検知素子は、プローブ本体に取り付けられた曲げ可能部材の端部またはその近くにのみ取り付けられ得る。例えば、内側部分がプローブ本体に取り付けられている場合、各ひずみ検知素子は、各曲げ可能部材の近位端に、またはその近位に取り付けられ得る。このようにして、スタイラスのたわみ中に発生するひずみの変化が最大化される。各曲げ可能部材の幅は、プローブ本体に取り付けられた曲げ可能部材の端部に向かって便利に増加し得る。さらに、ひずみ検知素子への電気接続の長さは、そのような配置で最小限に抑えることができ、各曲げ可能部材の長さに沿って電気(例えば、銅)トラックを走らせる必要はない(これは、曲げ可能部材にヒステリシスを導入する可能性がある)。
【0029】
もちろん、ひずみ検知素子の適切な位置決めによって構造を脱感作することも可能である。例えば、ひずみ検知素子は、それらが受けるひずみのレベルを低減するために、プローブ本体に固定されている曲げ可能部材の端部から離れるように移動され得る。同様に、ひずみ検知素子を回転させて(例えば、曲げ可能部材の細長い軸から離れて)、スタイラスのたわみに対する感度を調整することができる。ひずみ検知素子の位置及び/または向きのこの変更は、例えば、同じひずみ検知ディスクが異なるスタイラスたわみ範囲にわたる測定に使用されることを可能にするために使用され得る。
【0030】
走査プローブは、少なくとも1つの温度センサを含み得る。少なくとも1つの温度センサは、温度の変化のためにひずみ検知素子を使用して行われた任意の測定値を補償するために使用され得る。少なくとも1つの温度センサは、ひずみ検知構造に取り付けられ得る。例えば、1つまたは複数の温度センサは、内側部分および/または外側部分に取り付けられ得る。有利には、温度センサは、ひずみ検知素子の近くのひずみ検知構造に取り付けられ得る。例えば、温度センサは、1つまたは複数の曲げ可能部材に取り付けられ得る。温度センサを、ひずみ検知素子の近くの曲げ可能部材に取り付けることが好ましい。温度センサは、熱電対またはサーミスタを含み得る。あるいは、1つまたは複数の追加のひずみ検知素子(すなわち、曲げを測定するために使用されない)を使用して、温度補償を可能にするために温度を測定することができる。
【0031】
上述したように、スタイラスホルダは、一体型スタイラスを組み込んでもよく、またはスタイラスホルダは、取り外し可能に取り付け可能なスタイラスを運んでもよい。ひずみ検知構造は、スタイラスホルダまたはスタイラスが通過できる開口部(貫通孔)を含み得る。開口部は、円形であり得る。開口部は、中心軸上に配置され得る。スタイラスホルダは、スタイラス軸(すなわち、スタイラスの細長い軸)が中心軸上にあるように、スタイラスを保持し得る。以下に説明するように、この構成は、保護機構を走査プローブに組み込んで、スタイラスの過剰なたわみからひずみ検知構造を保護することを可能にするため、便利である。
【0032】
上述したように、ひずみ検知構造は、スタイラスホルダをプローブ本体に接続する。これは、プローブ本体に対するスタイラスホルダの任意のたわみが、ひずみ検知構造に曲げ力を与えることを意味する。好ましくは、任意の曲げは、主に、ひずみ検知構造の曲げ可能部材において生じる。外側部分は、プローブハウジングに固定され得、スタイラスホルダは、内側部分に接続され得る。好ましい実施形態では、内側部分はプローブハウジングに固定され、スタイラスホルダは外側部分に接続される。これは、スタイラスホルダが次いで、中心軸から外側部分と係合する場所まで半径方向に延びる複数のアームを含むことができるため、有利である。これは、(すなわち、レバー効果によって)スタイラスに加えられる任意の力の効果を拡大することができる。上述したように、ひずみ検知構造はまた、印加された外力がない場合にスタイラスホルダを静止位置に戻すためのばねとして機能し得る。
【0033】
走査プローブは、好ましくは、スタイラスホルダに外力が加えられないときに、静止位置(中立位置またはたわまされていない位置とも称されることができる)を採用する。スタイラスホルダは、それがたわんだ後、実質的に同じ静止位置に戻ることが好ましい。したがって、ひずみ検知構造は、スタイラスホルダを静止位置に戻すリターンスプリングとして機能し得る。本発明者らは、以下に記載する実施形態では、100mmのスタイラスについて、同じ静止位置を1μm以内に到達させることができることを見出した。この高レベルの機械的再現性により、正確なタッチトリガとスキャン測定が可能になる。そのような機械的に定義された静止位置の提供は、自由に吊り下げられたスタイラスホルダ構造で発生する可能性のあるトランスデューサドリフト効果を低減するため、有利である。例えば、スタイラスホルダが機械的に定義された静止位置にあるときにひずみ検知素子の出力を自動ゼロにすることは、取得されたすべての測定値が同じ(機械的に定義された)静止位置に結び付けられることを確実にすることができる。したがって、短期または長期のトランスデューサドリフトの影響を軽減することができる。
【0034】
ブレイクアウト機構または保護機構は、スタイラスの過剰たわみ(すなわち、操作可能なたわみ範囲を超えるスタイラスのたわみ)による損傷からひずみ検知構造を保護するために提供され得る。言い換えれば、スタイラスホルダは、保護機構によってひずみ検知構造に接続され得る。保護機構は、外部に加えられた力がない場合に、スタイラスホルダをひずみ検知構造と接触させるためのばね(例えば、コイルまたは圧縮ばね)を含み得る。スタイラスホルダおよびひずみ検知構造は、ひずみ検知構造に対してスタイラスホルダを反復的に配置する相互に係合可能な要素を含み得る。例えば、運動学的配置が提供され得る(例えば、ボールがひずみ検知構造上に設けられ、溝がスタイラスホルダ上に設けられる)。次に、スタイラスホルダがひずみ検知構造と係合するたびに、ひずみ検知構造に対するスタイラスホルダの同じ位置(例えば、100mmスタイラスの場合は1μm以内)が採用される。
【0035】
保護機構はまた、スタイラスホルダに加えられる外力が閾値レベルを超えたときに、スタイラスホルダがひずみ検知構造を係合解除することを可能にする。言い換えれば、力が大きすぎると、スタイラスホルダはひずみ検知構造から持ち上げられ、損傷を引き起こすのに十分な大きさの力をその構造に与えない。その後、ひずみ検知構造を再係合させるスタイラスホルダは、スタイラスホルダが以前に位置していたのと同じ静止位置に戻るため、再較正を必要としない。これにより、運動学的ブレイクアウト(クラッシュ)保護が提供される
保護機構は、スタイラスホルダをひずみ検知構造と接触させるためのばねを含み得る。好ましい実施形態では、ばね力は、ひずみ検知構造に反作用する。例えば、スタイラスホルダに加えられた力は、外側部分に伝わり得、ばね力はまた、外側部分に反作用し得る。これにより、一貫した残留力(例えば、運動学的保持力)がひずみ検知構造に適用されることが保証される。このようにして、測定性能が改善される。
【0036】
走査プローブの動きの間、内側部分と外側部分との間に振動運動が存在する可能性がある。したがって、走査プローブは、ひずみ検知構造の振動を減衰するための少なくとも1つの流体ダンパーを含み得る。少なくとも1つの流体ダンパーは、磁石および強磁性流体(すなわち、磁石流体)を含み得る。磁石は、所望の位置に強磁性流体を保持し得る。強磁性流体を捕捉するための少なくとも1つのシール及び/または空隙はまた、走査プローブが高速回転にさらされる場合(例えば、工作機械スピンドルで回転される場合)、強磁性流体の損失を防止するために提供され得る。
【0037】
上述したように、本発明は、走査プローブを提供する。したがって、少なくとも1つのひずみ検知素子から信号を受信し、座標位置決め機械に出力するための走査データを(例えば、リモートプローブインターフェースを介して)生成するように構成された走査ユニット(例えば、プローブ本体内に配置された)が提供され得る。走査ユニットは、プロセッサを含み得る。走査データは、スタイラスのたわみの大きさの測定値を提供し得る。走査データは、スタイラスのたわみの方向の測定値を提供し得る。スタイラスのたわみ方向の2次元測定が提供され得る。スタイラスのたわみ方向の3次元測定が提供されることが好ましい。x方向及びy方向における感度及び/または偏向範囲は、z方向に沿った感度とは異なり得、z方向は、スタイラスの細長いシャフトと一致する方向である。好ましくは、スタイラスのたわみの大きさ及び方向の両方が生成され、出力される。例えば、3つのデカルト座標(x、y、z)で測定されたスタイラスのたわみが出力され得る。出力は、無線(例えば、RF/光)リンクまたは有線リンクを介してもよい。走査プローブは、バッテリ駆動であり得る。
【0038】
本発明に従って走査プローブが提供されるが、そのような走査プローブは、タッチトリガープローブとして使用することもできる。言い換えれば、走査プローブはまた、より大きな範囲のスタイラスたわみ測定が必要とされないタッチトリガモードで動作可能であってもよい。したがって、プローブはまた、少なくとも1つのひずみ検知素子から信号を受信するように構成されたタッチトリガユニット(例えば、プローブ本体内に配置された)を含み得る。タッチトリガユニットは、プロセッサを含み得る。タッチトリガユニットは、受信した信号をスタイラスたわみ閾値と比較し、スタイラスたわみ閾値を超えたときにリモートプローブインターフェースに出力するためのトリガ信号を生成し得る。走査トリガユニット及びタッチトリガユニットは、単一のユニットとして実装され得る(例えば、タッチトリガ及び/または走査モードで動作可能である)。このようにして、走査プローブは、タッチトリガープローブシステムと下位互換性があり得、それによって、タッチトリガ測定を行うことを可能にするが、追加の走査機能が追加される。
【0039】
走査プローブは、工作機械のスピンドルに(例えば、ワークピースを切断するために使用されるツールの代わりに)取り付け可能であってもよく、または取り付けられてもよい。工作機械スピンドルは、工作機械内で走査プローブを移動させて、ワークピースなどの物体の表面上の点を測定するように構成され得る。あるいは、走査プローブは、工作機械の別の部分に取り付け可能であり得る。例えば、工作機械ベッド、工具設定アーム、または研削砥石ヘッドなどに取り付けられ得る。走査プローブは、任意の物体を測定するために使用され得る。例えば、走査プローブは、工作機械によって処理(例えば、切断)された、または処理される(例えば、切断される)ワークピース(ワークピースブランクを含む)を測定するように配置され得る。走査プローブはまた、工作機械によって使用される工具を測定するために使用されてもよい(すなわち、それは、機械上の工具検査または設定のために使用されてもよい)。
【0040】
走査プローブは、任意の適切なスタイラスを運ぶように配置され得る。例えば、走査プローブは、細長いシャフトおよびその遠位端に取り付けられたボールを有する標準スタイラスを含み得る。このようにして、フォーム測定値を収集し得る。走査プローブはまた、表面仕上げスタイラスを運ぶように配置され得る。表面仕上げのスタイラスは滑りにくい場合がある。このようにして、表面仕上げ(例えば、表面粗さ、波状度など)測定値を収集し得る。任意の取り付けられたスタイラスは、部品機能への所望のアクセスを達成するためにクランクまたは角度を付けられ得る。
【0041】
走査プローブはまた、走査プローブから測定データ(例えば、走査及び/またはタッチトリガーデータ)を受信するための関連するインターフェースを備え得る。インターフェースは、工作機械コントローラの一部であってもよく、または工作機械コントローラに接続された別個のユニットを含んでもよい。
【0042】
また、本明細書には、スタイラスホルダをプローブ本体に接続するためのひずみ検知構造が記載されており、ひずみ検知構造は、複数の曲げ可能部材によって外側部分に接続された内側部分を有し、各曲げ可能部材の近位端は内側部分に取り付けられ、各曲げ可能部材の遠位端は外側部分に取り付けられ、内側部分および外側部分は中心軸を中心とし、複数の曲げ可能部材は少なくとも1つのひずみ検知素子を含み、各曲げ可能部材の近位端および遠位端は、中心軸について異なる角度で配置される。そのようなひずみ検知構造は、走査プローブなどの測定プローブに組み込まれ得る。本発明の上記の特徴のいずれもまた含まれ得る。
【0043】
また、本明細書には、スタイラスホルダをプローブ本体に接続するためのひずみ検知構造が記載されており、ひずみ検知構造は、複数の曲げ可能部材によって外側部分に接続された内側部分を有し、各曲げ可能部材の近位端は内側部分に取り付けられ、各曲げ可能部材の遠位端は外側部分に取り付けられ、内側部分および外側部分は中心軸を中心とし、複数の曲げ可能部材は少なくとも1つのひずみ検知要素を含み、複数の曲げ可能部材は内側部分および外側部分よりも薄い。ひずみ検知構造は、ステンレス鋼などの弾性材料から形成され得る。そのようなひずみ検知構造は、測定プローブに組み込まれ得る。本発明の上記の特徴のいずれもまた含まれ得る。
【0044】
また、本明細書では、スタイラスホルダをプローブ本体に接続するためのひずみ検知構造(例えば、ひずみ検知ディスク)について説明し、ひずみ検知構造は、複数の湾曲した曲げ可能部材によって同心外側部分に接続された内側部分を有し、各曲げ可能部材の近位端は内側部分に取り付けられ、各湾曲した曲げ可能部材の遠位端は外側部分に取り付けられる。そのようなひずみ検知構造は、測定プローブに組み込まれ得る。本発明の上記の特徴のいずれもまた含まれ得る。
【0045】
したがって、測定プローブが本明細書に記載される。測定プローブは、座標位置決め装置用であり得る。測定プローブは、走査プローブであり得る。走査プローブはまた、タッチトリガープローブとして動作可能であり得る。測定プローブは、プローブ本体を含み得る。測定プローブは、スタイラスホルダを含み得る。ひずみ検知構造が提供され得る。ひずみ検知構造は、スタイラスホルダをプローブ本体に接続し得る。ひずみ検知構造は、内側部分を有し得る。ひずみ検知構造は、外側部分を有し得る。内側部分は、複数の曲げ可能部材によって外側部分に接続され得る。曲げ可能部材は湾曲していてもよい。各々の曲げ可能部材の近位(または第1の)端は、内側部分に取り付けられ得る。各曲げ可能部材の遠位(または第2の)端は、外側部分に取り付けられ得る。内側部分及び外側部分は、中心軸を中心にし得る。複数の曲げ可能部材は、少なくとも1つのひずみ検知素子を含み得る。各々の曲げ可能部材の近位端及び遠位端は、中心軸を中心にして異なる角度で配置され得る。本発明の上記の特徴のいずれもまた含まれ得る。
【0046】
上記のような測定プローブを使用して走査測定値を取得する方法も想定される。
【0047】
つぎに、添付の図面を参照して、単に一例としてのみ本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0048】
図1図1は、特許文献2に記載される従来技術のひずみゲージタッチトリガープローブを示す。
図2図2は、図1のタッチトリガープローブで使用される半径方向に延びるスポークを有する従来技術のひずみ検知ディスクを示す。
図3図3は、本発明のひずみゲージおよびスタイラスホルダ構成の斜視図である。
図4図4は、本発明の走査プローブを通る断面を示す。
図5図5は、図4に示される走査プローブの切断図を示す。
図6a図6aは、本発明のひずみ検知構造の上面の斜視図を示す。
図6b図6bは、本発明のひずみ検知構造の下面の斜視図を示す。
図7a図7aは、本発明のひずみ検知構造の上面の平面図を示す。
図7b図7bは、本発明のひずみ検知構造の下面の平面図を示す。
図8a図8aは、本発明のひずみ検知構造がたわんでいないときのひずみ検知構造のひずみシミュレーションを示す。
図8b図8bは、本発明のひずみ検知構造がたわんでいるときのひずみ検知構造のひずみシミュレーションを示す。
図9a図9aは、ひずみ検知構造上のひずみゲージ位置での反力を示す。
図9b図9bは、ひずみ検知構造上のひずみゲージ位置での反力を示す。
図10図10は、本発明の走査型プローブを使用して得られた測定範囲を示す。
【発明を実施するための形態】
【0049】
図1および2を参照すると、特許文献2の図1および2を参照して説明されている(従来技術の)タッチトリガープローブ10が示されている。明確にするために、図1のプローブの図は、図2の1-1として示される断面における部分断面である。この平面は完全に平らではないが、互いに120°の2つの平面を含む。
【0050】
図1は、ボス12を介して座標位置決め装置5に取り付けられたタッチトリガープローブ10を示す。上述したように、座標位置決め装置は、オブジェクト50に対してプローブ10を移動させることができる座標測定機(CMM)、ロボット、工作機械などを含み得る。座標位置決め装置5は、図示されたx、y及びz方向(すなわち、直交機械座標系内)におけるプローブ10の位置を測定するように構成される。
【0051】
プローブ10は、図示のオブジェクト50などのオブジェクトに接触するためのその遠位端に球形先端16を有するスタイラス14を有する。この例では、スタイラス14はまた、統合されたスタイラスホルダを含むが、これらは分離可能な構成要素として提供され得ることに留意されたい。プローブ10はまた、本体18、回路基板20、ばねケージ22、圧縮ばね24、スタイラス14の近位端にある上部部材26、およびひずみ検知構造30を含む。ばねケージ22およびひずみ検知構造30の中央部分37は、両方ともプローブ10の本体18に固定されている。スタイラス14の上部部材26は、圧縮ばね24によってひずみ検知構造30上の3つのボール31と係合するように押された3対のローラ27を含む。ボール31および対応するローラ27の対は、上部部材26がひずみ検知構造30に対して反復可能な位置を採用することを確実にする運動学的位置(すなわち、6つの接触点を使用する)を提供する。
【0052】
ひずみ検知構造30は、図2により詳細に示される。ボール31を含む外側リング部分は、3つの半径方向に延びるアーム32を介して円形の中央部分37に取り付けられる。半導体ひずみゲージ33は、アーム32のそれぞれに固定される。上述したように、円形の中央部分37は、プローブ本体18に固定されている。したがって、ボール31に加えられる力を変更すると、半径方向に延びるアーム32内のひずみが変化し、ひずみゲージ33によって測定することができる。
【0053】
したがって、使用中、x、y、またはz方向のいずれかでスタイラス先端16に加えられる力は、ボール31を介してひずみ検知構造30に加えられる力を変化させる。言い換えれば、スタイラスに加えられる力は、本体18に対するひずみ検知構造30の半径方向に延びるアーム32のたわみを引き起こす。ひずみゲージ33からの信号は、回路基板20に渡され、特定の大きさを超える力がいつ印加されたかを確認するために処理される。特に、ひずみゲージセンサからの信号は、特許文献3に記載されている二乗和法を使用して組み合わせることができる。次に、スタイラスが物体と接触したと判定されると、トリガ信号が出力される。
【0054】
上述した従来技術のタッチトリガープローブの利点の1つは、堅牢性であることに留意されたい。x方向またはy方向へのスタイラスへの過度の力、またはプローブ本体から離れたz方向へのスタイラスの引っ張りは、ひずみ検知構造30とプローブ本体18との間のギャップ28の閉鎖をもたらす(すなわち、プローブ本体は、ひずみ検知構造30の曲げを制限するための機械的ストップとして効果的に機能する)。プローブ本体に向かってz方向にスタイラスに加えられる過剰な力は、上部スタイラス部材26およびひずみ検知構造30を切断するばね24の圧縮を引き起こし、すなわち、この力は、圧縮ばね24によって加えられる力を克服する。そのような力が除去される場合、ボール31および対応するローラ27の対は、スタイラスがひずみ検知構造30に対して同じ(反復可能な)位置に再着座することを確実にする。これらの特徴は、工作機械環境などでの動作を可能にするために必要な頑健性をプローブに与える。
【0055】
したがって、上述したタッチトリガ測定プローブは、スタイラスのたわみの量の測定値を提供する、ひずみ検知構造30のひずみゲージ33の出力を内部的に分析する。しかしながら、これらのひずみセンサ信号は、プローブから出力されない。プローブから出力される唯一の測定信号は、ひずみゲージ信号が特定の閾値を超えたときに発行されるトリガ信号であり、したがって、スタイラスがオブジェクトに接触したことを示す。
【0056】
上記の従来技術の配置は、ひずみ検知構造が高感度であるが、非常に小さなたわみ範囲にわたってのみスタイラスのたわみを検知することができるため、タッチトリガ測定にのみ適している(例えば、100mmのスタイラスの約30μmを超えるスタイラスのたわみは、ひずみゲージを飽和させる)。このたわみ範囲は、スタイラスが表面に沿って移動(スキャン)され、関連するマシンデータとの組み合わせのためにキャプチャされたスタイラスたわみデータのストリームで使用するには不十分である。言い換えれば、大部分の測定用途では、測定される表面の予想される位置変化は、上記の従来技術のプローブ構造によって提供される実行可能なたわみ範囲をはるかに超える可能性がある。
【0057】
本発明によれば、上記の従来技術のタッチトリガープローブの堅牢性および感度の利点を有するが、測定プローブの全体的なサイズを増加させることなく、たわみの作業範囲を大幅に拡大する修正されたひずみ検知構造が考案されている。この修正されたひずみ検知構造は、例えば、(100mmスタイラスの場合)1.5mmを超える測定可能なたわみ範囲を提供することができ、これは、タッチトリガープローブだけでなく走査プローブとしても使用を可能にするのに十分である。さらに、従来技術のタッチトリガープローブの堅牢性の利点を保持することができる。したがって、ひずみゲージタッチトリガープローブの利点は、一連のタッチトリガ測定を行うのではなく、表面を走査できるという速度の利点と組み合わせることができる。
【0058】
図3を参照すると、本発明による走査プローブの内部機構の一部が示されている。図3に示されていない走査プローブの他の特徴(例えば、プローブ本体、座標位置決め装置への取り付けなど)は、図1および図2を参照して上述した従来のものまたは同様のものであり得る。特に、図3には、ひずみ検知構造100、ひずみ検知構造100に取り付けられた3つのボール104と係合する3アーム型スタイラスホルダプレート102、戻り力ケージ106、およびコイルばね108が示されている。上記の従来技術のデバイスと同様に、コイルばね108は、スタイラスホルダプレート102をひずみ検知構造100のボール104と係合するように促すように作用する。
【0059】
図3に示される構成は、スタイラスホルダプレート102によって採用される機械的静止位置の再現性に潜在的に影響を与える可能性のある任意の外力を最小限に抑える。特に、運動学的保持力(すなわち、スタイラスホルダプレート102とボール104との係合を維持するために加えられるばね力)は、ひずみ検知構造100の外側剛性領域に戻される。これは、必要な保持力を提供するときに、運動学的圧縮ばね108が、ひずみ検知構造100の外側領域移動部分に実質的に平行なままであるという利点を有する。このメカニズムには、オーバートラベルおよびクラッシュイベント中に構造に過度の応力をかけることを回避するための内蔵保護機能もある。これには、XYおよびZの過走行および衝突の発生のために、ひずみ検知構造の両側に機械的オフロード機能を有することが含まれる。
【0060】
図4は、図3に示される内部機構を含む測定プローブを通る断面図である。3アーム型スタイラスホルダプレート102を含むスタイラスホルダ110は、ボール104を介してひずみ検知構造100と係合するように押されて示される。スタイラスホルダはまた、スタイラスシャフトの近位端を受け入れるためのねじ込み凹部112を備える。また、プローブ機構に入る外部汚染物質を防止するダイヤフラムシール114も示されている。ダイヤフラムは、反復可能な静止位置に戻るスタイラスホルダの能力に対するその影響を最小限に抑えるために、低い幾何学的剛性を有するように構成される。例えば、ダイヤフラム114は、任意のモーメント効果を最小限に抑えるために、構造の回転中心にできるだけ近く配置され、Oリングは、ダイヤフラムの滑りを防ぐために、ダイヤフラムに対して軸方向に取り付けられる。
【0061】
図5は、図3および図4に示される走査プローブの特定の構成要素の断面図であり、図5の挿入図は、そのような構成要素の斜視図(例示的な)を示す。スタイラスホルダ110は、スタイラス120が取り付けられた状態で示される。ひずみ検知構造100に取り付けられたボール104は、スタイラスホルダプレート102と係合していることが示されている。また、ひずみ検知構造100をプローブ本体またはケーシング(図5には示されていない)に取り付ける固定具132も示されている。また、図5から、スタイラスホルダが、ディスク形状のひずみ検知構造100の平面内にあるピボットポイント130の周りでどのように旋回するかを見ることができる。さらに、ダンパー116とスタイラスホルダ110の長手方向軸136との間の分離「d」は、スタイラス先端138が変位したとき(例えば、物体との接触によって)、ひずみ検知構造100に加えられる力を増幅する機械的利点を提供する。
【0062】
ダンパー116は、ひずみ検知構造100に取り付けられたシャフト142と、強磁性流体146および磁石148を含む空洞とを含む。リテーナ150はまた、プローブが高速で回転される場合に磁性流体を保持するための磁性流体ボイド152と共に示される。ダンパー116は、そうでなければ発生するであろう振動が低減されるように、ひずみ検知構造100の動きを減衰させるように配置される。特に、減衰は、プローブの移動、走査イベント、および表面への接近または離脱中の振動の大きさを低減する。これは、表面を離れた後の出力沈降時間の急速な減衰、反復可能なスタイラスリターンまたはゼロ位置、および高速スピンイベント中であっても流体保持を減衰させるという利点を有する。
【0063】
図6a、図6b、図7a及び図7bを参照すると、ひずみ検知構造100がより詳細に説明される。図6aおよび7aは、それぞれ斜視図および平面図で、ひずみ検知構造100の第1の表面または上面を示す。図6bおよび図7bは、それぞれ斜視図および平面図で、ひずみ検知構造100の第2の表面または下部表面を示す。
【0064】
ひずみ検知構造100は、円形ディスクであり、3つの曲げ可能部材またはアーム204によって内側(ハブ)部分202に接続される外側(リング)部分200を有する。この構造は、マルテンサイト系ステンレス鋼を含み、EDM(放電加工機)プロセス、特にワイヤーEDMプロセスによって形成される。上記のように、他の材料及び製造技術(例えば、スタンピング、機械加工など)の使用も可能であろう。内側部分および外側部分は、厚い(したがって硬い)領域を含み、一方、曲げ可能なアーム204は、著しく薄くなるように機械加工される。
【0065】
上述したように、ひずみ検知構造100の内側(ハブ)部分202は、3つの取り付け穴206を介してプローブハウジングに剛性的に取り付けられる。したがって、内部部分202は、プローブハウジングに対して固定される。外側部分200はまた、可動スタイラスホルダによってボール104に力が加えられたときに変形しないように十分に硬い剛性リングの形態である。したがって、外側部分200は、スタイラスホルダと共に移動する。外側部分200の下側は、3つの等間隔のバランス補強材201を備える。補強材201の領域の幾何学形状はまた、スタイラスホルダ力がボール104を介して適用されるときに、中心のほぼ等しく、反対方向の変形を生成するように最適化される。外側部分はまた、上記戻り力ケージ106(コイルばね108と係合する)が取り付けられた開口部103を含む。内側部分202は、外側部分200と同心円状である。内側部分202はまた、スタイラスホルダが通過することができる中央に位置する開口部214を含み、それによって、内側部分及び外側部分の中心軸がスタイラスホルダ及びスタイラスの長軸136と一致することを可能にする。
【0066】
曲げ可能アーム204は、構造の固定された内側部分202を剛性のある外側部分200に接続する螺旋形の低剛性部材である。特に、各アームの近位端220は、取り付け穴206に隣接して内部部分202に取り付けられる。各アームの遠位端222は、ボール104の位置に隣接して外側部分200に取り付けられる。各アームの遠位端222をボール104に隣接する外側部分200の部分に取り付けることは、運動学的ボール間の外側部分200の任意の変形の影響を最小限に抑える。各曲げ可能アームの近位端および遠位端の幾何学形状はまた、印加された運動学的力からの受動的ひずみ応答を生成し、より硬い内側/外側部分との界面での応力集中を最小限に抑えるように最適化される。
【0067】
特許文献2および特許文献3に記載されている構成とは異なり、曲げ可能アーム204は、直線的に外向きに(すなわち、純粋に半径方向に)延びるのではなく、代わりにほぼ円周方向に延びることがわかる。言い換えれば、各アームの近位端220(すなわち、内側部分202に取り付けられた端部)は、各アームの遠位端222(すなわち、外側部分200に取り付けられた端部)とは異なる角度で、ひずみ検知構造100の中心軸の周りに配置される。これにより、曲げ可能アーム204は、それらが半径方向にのみ延びる場合よりも長くなることができ、それによって、所与の直径のひずみ検知構造100に対して生じ得る曲げの量が増加する。言い換えれば、スパイラルアームのプロファイルは、コンパクトなソリューションでアームの長さを最大化するように最適化されている。
【0068】
曲げ可能アーム204はまた、内側/外側部分よりも薄く、ひずみ検知構造100の平面内で湾曲している。特に、アーム204の半径方向最内縁部および最外縁部は、構造の中心からも離間された異なる中心点の周りに湾曲している。これにより、同じスペース内でより硬い外側領域を持つコンパクトなソリューションを可能にするスペースを最小限に抑えることができる。アームプロファイルはまた、使用中のビームのねじれを最小限に抑え、ひずみゲージ210が配置されている場所に隣接する固定近位端220でのより多くの曲げを促進する。
【0069】
スタイラスホルダによって(ボール104を介して)外側部分200に加えられる力は、曲げ可能アーム204の曲げを引き起こす。ひずみゲージ210(すなわち、ひずみ検知素子の例)は、各々の曲げ可能アーム204に取り付けられる。3つのひずみゲージからの出力は、スタイラスのたわみを測定するために(例えば、測定プローブ内に取り付けられたプロセッサによって)処理される。3つのひずみゲージ出力の使用は、スタイラスのたわみの大きさ及び方向を3次元(すなわち、ディスクの平面に平行であるx-y平面内でおよびディスクに垂直なz方向に沿って)で感知することを可能にする。タッチトリガ測定が必要な場合、これらの信号は、特許文献3に記載されているタイプの二乗和法を使用して組み合わせることができる。第4のひずみゲージ212はまた、内部部分202に取り付けられ、これは、ひずみゲージ210によって測定されるひずみに対する温度の影響を緩和することを可能にするために使用される。
【0070】
図8a、図8b、図9a及び図9bを参照すると、ひずみ検知構造100の部分内のモデル化されたひずみが示される。この分析は、曲げ可能アーム204上のひずみゲージ210の位置を最適化することを可能にする。
【0071】
図8aは、デバイスのスタイラスにたわみ力が加えられていないときの、曲げ可能アーム204の近位端220に隣接するひずみ検知構造100の部分のひずみマップを示す(すなわち、これは、加えられた外力がない場合のひずみ検知構造の残留ひずみを示す)。外側部分200の高剛性は、変形およびひずみレベルを最小限に抑えることがわかる。固定された内部部分202はまた、非常に低いひずみを有する。上述したように、ひずみゲージ210は、曲げ可能アームの近位端に配置される。各ひずみゲージ210の正確な位置は、受動ひずみ領域、すなわち、印加された運動学的(ばね)力によって誘発されるひずみの低い大きさが存在する位置と一致するように選択される。言い換えれば、ひずみゲージ位置での残留または寄生ひずみは、スタイラスに力が加えられるときにアーム曲げによって引き起こされるひずみを測定できるように最小化される。
【0072】
図8bは、ひずみ上限に近いひずみを引き起こすたわみ力が加えられたときに、曲げ可能アーム204の近位端220に隣接するひずみ検知構造100の部分のひずみマップを示す。図8bの画像のスケール及び寸法は、図8aのものとは異なることに留意されたい。図8bは、スタイラスのたわみによって引き起こされるひずみが、ひずみゲージ210の近くにある曲げ可能なアーム204の近位端220の近くにどのように集中するかを示す。この高濃度のひずみは、ひずみゲージ210が、スタイラスのたわみの量が変化するにつれて生じるひずみの変化に高度に応答することを可能にする。
【0073】
単位たわみあたりの所望の感度を達成するためには、ある程度の応力が必要であり、したがってひずみが必要であることに留意すべきである。したがって、十分な感度を達成し、適切な範囲を提供し、適切なレベルの堅牢性を達成することの間でバランスが取られる。このバランスは、上記のような運動力を、高い疲労耐久限界を提供する硬化および焼戻しされた440Cマルテンサイトステンレス鋼の選択と組み合わせて反応させることによって、ある程度緩和することができる。
【0074】
図9aおよび9bはそれぞれ、構造内の印加された運動学的力からの反作用が曲げ可能アーム204に対して垂直であり、反作用モーメントがゲージ位置に沿っていることを示す。これは、曲げアーム204の望ましくないねじれを最小限に抑える。
【0075】
したがって、ひずみゲージの位置は、印加された運動学的力に対する受動応答を有し、位置配置誤差に起因する感度の最小限の変化を受けやすい領域にあるように選択されている。接着剤接着層に加えて、電気絶縁を提供するために、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)コーティングがステンレス鋼ひずみ検知構造に適用されることに留意されたい。これにより、非常に薄い単層の接着剤を使用して、ひずみゲージを構造に接着することができ、ひずみ伝達を最大化し、ゲージ間の一貫性を促進する。1200万のZオーバートラベル移動でひずみ検知構造を試験したところ、コーティングの性能の損失または剥離がなかったことが実証された。
【0076】
ひずみゲージは、接着剤硬化温度およびゲージおよび構造材料の熱膨張の差により、取り付け中に圧縮ひずみを受ける。動作中、ゲージは、適合された圧縮ひずみに関するプラスまたはマイナス数百μεのひずみにさらされる。本発明の運動学的負荷構成の利点は、ゲージが圧縮されたままであり、圧縮と引張との間の遷移における潜在的な非線形領域を回避することである。運動学的構成へのさらなる利点は、ひずみ検知構造が休止位置で本質的に無負荷であることである。構造とスタイラスの質量に対する重力の影響は最小限であるため、静止位置の平均応力はゼロに近い。この配置は、S-N曲線疲労分析で使用される理想的な「単純回転曲げ」の類似に近づいている。このアプローチは、疲労寿命を延ばし、したがってスキャンイベント中の構造の堅牢性を高めるという大きな利点を有する。
【0077】
図10は、上記のような一連の測定プローブ設計を使用して収集された生の実験結果を示す。図は、リングゲージを使用したたわみの増加のスキャンを示している。より低い(1mm未満)たわみスキャン(図示せず)は、ローブが存在しない一定のたわみを示す。1.25mmのたわみスキャンは、正の水平軸に単一のローブ機能を備えているが、スキャンの残りの部分は円形である。1.35mmスキャンは、3つのローブ領域を明確に示している。したがって、最大約1.25mmのたわみでスキャンすることが可能である。図10に示される走査は、電子的に制限されていることに留意されたい。しかしながら、(100mmスタイラスのための)最大1.8mmの使用可能なたわみ範囲は、図示されたひずみ検知構造によって提供され得ると予測される。これは、スキャン測定に通常必要な1mmのたわみ範囲をはるかに超えている。
【0078】
したがって、本明細書に記載の測定プローブ構成は、約1.25mmの変換範囲を得ることを可能にすることが示されている。これは、測定プローブを使用してスキャン測定を取得するのに十分な大きさである。したがって、測定プローブは、走査プローブとして動作され得る。例えば、未加工のひずみゲージ信号を取り出し、それらを(例えば、一連のスタイラスたわみ測定として)外部インターフェースまたはコンピュータに出力する出力モジュールが提供され得る。このデータ伝送は、有線または無線(例えば、光またはRF)リンクを介して行われ得る。信号のいくつかの処理は、測定プローブ内(例えば、プローブを備えたプロセッサを使用して)および/または関連するプローブインターフェース内(例えば、プロセッサを含む)で実行され得る。測定プローブはまた、タッチトリガープローブとして操作され得る。例えば、ひずみゲージ出力は、(例えば、特許文献3に記載されている技術を使用して)組み合わされ、トリガ閾値と比較され得る。次いで、出力モジュールは、トリガ閾値を超えたときにトリガ信号を出力し得る。測定プローブは、タッチトリガと走査モードとの間で切り替え可能であってもよく、または走査データとタッチトリガ信号の両方を同時に出力してもよい。
【0079】
上記の説明は、本発明の単なる一例に関することも覚えておくことが重要である。当業者は、可能であろう多くの代替の変形を理解するであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6a
図6b
図7a
図7b
図8a
図8b
図9a
図9b
図10
【国際調査報告】