(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-18
(54)【発明の名称】信号位相シフトを使用する人体検知センサシステム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/041 20060101AFI20240910BHJP
【FI】
G06F3/041 512
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024515683
(86)(22)【出願日】2022-09-28
(85)【翻訳文提出日】2024-03-11
(86)【国際出願番号】 US2022045011
(87)【国際公開番号】W WO2023091238
(87)【国際公開日】2023-05-25
(32)【優先日】2021-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】バイスウェイ ジャレド
(72)【発明者】
【氏名】山田 朋輝
(57)【要約】
人体検出センサシステムは、第1の電極と、第2の電極と、駆動回路と、検出回路と、比較回路とを含む。第2の電極は、静電容量を介して第1の電極に接続される。駆動回路は、第1の信号を生成するように構成され、その第1の信号は、規定されている周波数を有して第1の電極を駆動する。検出回路は、第2の信号を検出するように構成され、その第2の信号は、第1の信号が第1の電極に供給されることに応答して、第2の電極において生成される。比較回路は、第1の信号と前記第2の信号とを比較するように構成される。比較回路は、第1の信号と第2の信号との間の位相差が規定されている範囲の中にあるときに、第1の電極及び第2の電極のうちの少なくとも一方に関して、人体に対応する特定の範囲にあるインピーダンスを有する対象物のタッチ及び/又は接近を検出する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物を検出するためのセンサシステムであって、当該センサシステムは、
第1の電極と、
静電容量を介して前記第1の電極に接続されている第2の電極と、
規定されている周波数を有する第1の信号を生成するように構成される駆動回路であって、前記第1の信号は、前記第1の電極に供給される、駆動回路と、
前記第1の信号が前記第1の電極に供給されるのに応答して、前記第2の電極において生成される第2の信号を検出するように構成される検出回路と、
前記第2の信号と前記第1の信号とを比較するように構成される比較回路と、を含み、
前記比較回路は、前記第1の信号と前記第2の信号との間の位相差が規定されている範囲の中にあるときに、前記第1の電極及び前記第2の電極のうちの少なくとも一方に対する前記対象物のタッチ及び/又は接近を検出するように構成される、
センサシステム。
【請求項2】
前記駆動回路は、複数の周波数から前記第1の信号の前記規定されている周波数を選択するように構成される、請求項1に記載のセンサシステム。
【請求項3】
前記静電容量は、前記第1の信号の選択されている前記規定されている周波数に基づいて調整される、請求項2に記載のセンサシステム。
【請求項4】
前記第2の電極と接地電位との間のインピーダンスは、前記第1の信号の選択されている前記規定されている周波数に基づいて調整される、請求項2に記載のセンサシステム。
【請求項5】
前記第2の電極は、ステアリングホイールの中に配置される、請求項1に記載のセンサシステム。
【請求項6】
前記第1の電極は、前記ステアリングホイールの中に配置される、請求項5に記載のセンサシステム。
【請求項7】
前記第1の信号と前記第2の信号との間の前記位相差が前記規定されている範囲の中にあるときに、前記比較回路は、前記第2の電極に対する前記対象物の前記タッチ及び/又は前記接近を検出するように構成される、請求項1に記載のセンサシステム。
【請求項8】
前記第1の信号の前記規定されている周波数は、1[MHz]から100[MHz]までの範囲の中にある、請求項1に記載のセンサシステム。
【請求項9】
前記第1の信号と前記第2の信号との間の前記位相差が前記規定されている範囲の中にあるときに、前記比較回路は、人体に対応する特定の範囲の中にあるインピーダンスを有する前記対象物の前記第1の電極及び前記第2の電極のうちの少なくとも一方に対する前記タッチ及び/又は前記接近を検出するように構成される、請求項1に記載のセンサシステム。
【請求項10】
前記第1の信号と前記第2の信号との間の振幅差が他の規定されている範囲の中にあるときに、前記比較回路は、前記第1の電極及び前記第2の電極のうちの少なくとも一方に対する前記対象物の前記タッチ及び/又は前記接近を検出するように構成される、請求項1に記載のセンサシステム。
【請求項11】
対象物を検出する方法であって、当該方法は、
規定されている周波数を有する第1の信号を生成するステップと、
第1の電極及び検出回路に前記第1の信号を供給するステップと、
前記第1の信号が前記第1の電極に供給されるのに応答して、第2の電極において生成される第2の信号を検出するステップであって、前記第1の電極は、静電容量を介して前記第2の電極に接続される、ステップと、
それぞれ、前記第1の信号の第1の位相と前記第2の信号の第2の位相とを比較するステップと、
前記第1の位相と前記第2の位相との間の位相差が規定されている範囲の中にあるときに、前記第1の電極及び前記第2の電極のうちの少なくとも一方に対する前記対象物のタッチ及び/又は接近を検出するステップと、を含む、
方法。
【請求項12】
前記第1の信号の前記規定されている周波数は、複数の周波数から選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記静電容量は、前記第1の信号の選択されている前記規定されている周波数に基づいて調整される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第2の電極と接地電位との間のインピーダンスは、前記第1の信号の選択されている前記規定されている周波数に基づいて調整される、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の信号と前記第2の信号との間の前記位相差が前記規定されている範囲の中にあるときに、前記第2の電極に対する前記対象物の前記タッチ及び/又は前記接近は検出される、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願への相互参照]
この出願は、2021年11月19日付で出願されている米国特許出願第17/455,728号に基づく優先権を主張する。上記の米国特許出願の開示の全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[技術分野]
本開示は、容量性センサ(capacitive sensors)に関し、より詳細には、人体検出センサシステム(human body detecting sensor system)に関し、その人体検出センサシステムは、駆動信号(drive signal)と検知信号(sensed signal)との間の位相差(phase difference)を使用することによって人体(human body)のタッチ(touch)及び/又は接近(approach)を検出する。
【背景技術】
【0003】
本明細書において提供される背景技術の説明は、その開示の文脈を一般的に示すことを目的とする。本明細書において説明されている発明者らの研究は、本明細書の背景技術の節において説明されている範囲において、出願時に先行技術としての適格性を有しない場合がある明細書の態様と同様に、本開示に対する先行技術としては明示的にも黙示的にも認められることはない。
【0004】
容量性センサは、(例えば、指等の)対象物(object)と車両のステアリングホイールの表面(a surface of a steering wheel of a vehicle)等の対象物の表面との間の接触(contact)を検知し、そして、その検知されている接触を示す信号(a signal indicative of the sensed contact)を生成するのに使用されてもよい。例えば、波形発生器(waveform generator)は、信号を生成して、容量性センサにその信号を出力するように構成されてもよい。複数の例のうちのいくつかにおいては、米国特許第9,827,996号の中で説明されているように、ステアリングホイールセンサシステム(steering wheel sensor system)は、可撓性の圧電基板(flexible piezoelectric substrate)及びステアリングホイールの周りに巻き付けられているセンサのアレイ(an array of sensors wrapped around the steering wheel)を有し、そのステアリングホイールセンサシステムは、それらのセンサのアレイと関連する接触(グリップ)力(a contact (grip) force associated with the array of sensors)がある指定されている期間にわたってしきい値を超えることを検出する。したがって、そのセンサに接触している対象物の有無は、それらのセンサからの物理量の値に基づいて決定されてもよい。
【発明の概要】
【0005】
1. 技術的課題
しかしながら、残念なことに、上記で説明されている容量性センサは、人体とそのセンサとの間の静電容量Cfrを定量化することはできず、むしろ、人体と大地との間の結合静電容量Cfg(the coupling capacitance Cfg between the human body and ground)及び人体とセンサとの間の静電容量Cfr(the capacitance Cfr between the human body and the sensor)との直列合成静電容量(series combined capacitance)Cfr*Cfg/(Cfr+Cfg)を定量化することが可能である。したがって、その容量性センサは、液体又は接地されている金属等の他の対象物による接触(contact by other objects such as a liquid or a grounded metal)とその人体による接触(contact by the human body)とを正確には判別しない場合がある。
【0006】
2. 課題に対する解決方法
人体検出センサシステム(human body detecting sensor system)は、第1の電極(first electrode)と、第2の電極(second electrode)と、駆動回路(drive circuit)と、検出回路(detection circuit)と、比較回路(comparison circuit)とを含む。第2の電極は、静電容量(capacitance)を介して第1の電極に接続される。駆動回路は、第1の信号を生成するように構成され、その第1の信号は、規定されている周波数(prescribed frequency)を有して第1の電極に供給される。検出回路は、第2の信号を検出するように構成され、その第2の信号は、第1の信号が第1の電極に供給されることに応答して、第2の電極において生成される。比較回路は、第1の信号と前記第2の信号とを比較するように構成される。有利に、比較回路は、第1の信号と第2の信号との間の位相差及び振幅差(a phase difference and an amplitude difference between the first signal and the second signal)が規定されている範囲(prescribed range)の中にあるときに、第1の電極及び第2の電極のうちの少なくとも一方に対する人体のタッチ及び/又は接近を検出する(detect a touch and/or an approach of a human body with respect to at least one of the first and second electrodes)ように構成される。
【0007】
他の特徴に関して、当該人体検出センサシステムにおいて、駆動回路は、複数の周波数から第1の信号の規定されている周波数を選択する(select the predetermined frequency of the first signal from a plurality of frequencies)ように構成される。
【0008】
他の特徴に関して、当該人体検出センサシステムにおいて、コンデンサは、第1の信号の選択されているとともに規定されている周波数(the selected predetermined frequency of the first signal)に基づいて調整される。
【0009】
他の特徴に関して、当該人体検出センサシステムにおいて、第2の電極と接地電位との間のインピーダンス(impedance between the second electrode and a ground potential)は、第1の信号の選択されているとともに規定されている周波数に基づいて調整される。
【0010】
他の特徴に関して、当該人体検出センサシステムにおいて、第1の電極は、ステアリングホイールの中に配置される(the first electrode is arranged in a steering wheel)。
【0011】
他の特徴に関して、当該人体検出センサシステムにおいて、第1の電極及び/又は第2の電極は、ステアリングホイールの中に配置される。
【0012】
他の特徴に関して、当該人体検出センサシステムにおいて、第1の信号の規定されている周波数は、1[MHz]から100[MHz]までの範囲の中にある(in a range of 1[MHz] to 100[MHz])。
【0013】
他の特徴に関して、当該人体検出センサシステムにおいて、比較回路は、第1の信号と第2の信号との間の位相差が規定されている範囲の中にある(the phase difference between the first signal and the second signal is within the prescribed range)ときに、人体に対応する特定の範囲の中にあるインピーダンスを有する対象物の第2の電極に対するタッチ及び/又は接近を検出する(detect the touch and/or the approach of an object, which has an impedance in a certain range corresponding to a human body, with respect to the second electrode)ように構成される。
【0014】
他の特徴に関して、当該人体検出センサシステムにおいて、比較回路は、第1の信号と第2の信号との間の振幅差が他の規定されている範囲の中にある(an amplitude difference between the first signal and the second signal is within another prescribed range)ときに、人体に対応するインピーダンスを有する対象物の第2の電極に対するタッチ及び/又は接近を検出する(detect the touch and/or the approach of an object, which has an impedance corresponding to a human body, with respect to the second electrode)ように構成される。
【0015】
他の特徴に関して、当該人体検出センサシステムにおいて、位相差の規定されている範囲は、位相シフトとして1度から42度までの範囲の中にあり(in a range of 1 degree to 42 degrees as a phase shift)、より詳細には、位相シフトとして26度から42度までの範囲の中にある(in a range of 26 degrees to 42 degrees as a phase shift)。これらの範囲は、後に詳細に議論される合成インピーダンスZall(a combined impedance Zall)の位相成分Φ及びΦ’(phase components Φ and Φ’)を使用して実験に基づいて定義される。
【0016】
他の特徴に関して、当該人体検出センサシステムにおいて、第2の電極の大きさ(a size of the second electrode)及び第2の電極の重ね合わせの厚さ(a thickness of an overlay of the second electrode)は、第2の電極の重ね合わせに対して人体がタッチする面を検出するときに(when a surface touched by the human body with respect to the overlay of the second electrode is detected)、人体と第2の電極との間の静電容量が人体の容量性成分と同じになる(a capacitance between the human body and the second electrode becomes the same as a capacitive component of the human body)ように設定される。
【0017】
本開示の適用のさらなる範囲は、発明の詳細な説明、特許請求の範囲、及び図面から明らかになるであろう。発明の詳細な説明及び具体的な例は、例示を目的としているにすぎないことを意図し、本開示の範囲を限定することを意図してはいない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本開示は、発明の詳細な説明及び複数の添付の図面からより完全に理解されるであろう。
【0019】
【
図1】2つの電極を有する容量性センサ及びコントローラを含む(including a capacitive sensor with two electrodes and a controller)ある1つの例示的な人体検出システムである。
【
図2】人体のインピーダンスを含む人体検出システムの容量性センサのある1つの例示的な且つ概略的な回路図である。
【
図3A】
図1に示されている容量性センサの駆動信号と検知信号との間のインピーダンス(位相)の変化(impedance (phase) changes between a drive signal and a sensed signal of the capacitive sensor)を示す例示的なグラフである。
【
図3B】
図1に示されている容量性センサの駆動信号と検知信号との間のインピーダンス(位相)の変化を示す例示的なグラフである。
【
図4】1つの電極を有する容量性センサ及びコントローラを含む(including a capacitive sensor with one electrode and a controller)ある1つの例示的な人体検出システムである。
【
図5A】
図4に示されている容量性センサの駆動信号と検知信号との間のインピーダンス(位相)の変化を示す例示的なグラフである。
【
図5B】
図4に示されている容量性センサの駆動信号と検知信号との間のインピーダンス(位相)の変化を示す例示的なグラフである。
【
図6】
図1、
図2、及び/又は
図4に示されているセンサモジュール及びコントローラのいくつかの構成要素を含むある1つの例示的なセンサ回路である。
【
図7】複数の電極を有するステアリングホイールのある1つの例示的な且つ概略的な図である。
【0020】
それらの複数の図面において、参照番号は、同様の要素及び/又は同じ要素を識別するのに再利用されてもよい。
【発明を実施するための形態】
【0021】
容量性タッチセンサ(capacitive touch sensor)は、"相互キャパシタンス(mutual capacitance)"型のセンサにおいて送信機と受信機との間の静電容量の変化(the change in capacitance between a transmitter and receiver)を検知するか、又は、"自己キャパシタンス(self-capacitance)"型のセンサにおいて単一電極の受信機の負荷(the loading of a single electrode receiver)を検知する。浮遊している導体又は小さな表面積の導体(a floating or small surface area conductor)が相互キャパシタンスセンサに近接する場合に、検知される静電容量Ctrは増加する。同じ導電性対象物が接地されるか、又は、導電性対象物の表面積が大幅に増加する場合に、検知される静電容量Ctrは減少する。誘電率が高く且つ非導電性の対象物(high dielectric, non-conductive object)を使用して、極めてよく似ている挙動が観測される。導電性の対象物又は誘電率が高い対象物(a conductive or high dielectric object)が、自己キャパシタンスセンサの電極及び接地に近接する(comes in close proximity to a self-capacitance sensor electrode and ground)場合に、検知される静電容量は減少する。小さな対象物が検知電極の近くで電気的に浮遊している場合に、静電容量の変化は検出されない。人体は、通常、導電性の皮膚表面領域からの100[pF]から200[pF]までの静電容量を有する。タッチセンサの多くは、ほとんど接地されている導電性の対象物のように見えるのに十分である静電容量であると、この静電容量を考える(see this as enough capacitance to look like a mostly grounded conductive object)。容量性タッチセンサのほとんど(Most capacitance touch sensors)は、静電容量の変化が公称しきい値のうちのいくつかを上回るときに、"タッチ"のフラグを立てる(flag a "touch")。
【0022】
対象物との接触(contact with an object)に応答して(検知信号に対応して)容量性センサに供給される信号の変化は、通常、供給される信号(すなわち、制御信号、励起信号、又は駆動信号)と比較して小さく、大地に近い(導電性又は非導電性の)水性液体によるタッチ等の非人体の対象物によるタッチと、指又は手によるタッチ等の人体によるタッチとを判別することは困難な場合がある。(アルミホイル等の金属導体等の)接地されている導体の場合に、同様の動作に遭遇することが可能である。例えば、非人体の対象物が容量性センサにタッチし、且つ、その容量性センサがタッチの物理量に対応する検知信号を生成するときに、その容量性センサは、誤って、検出される物理量が人体によるタッチの結果であるということを決定する場合がある。
【0023】
複数の例のうちのいくつかにおいて、自己キャパシタンスセンサ(self-capacitance sensor)は、センサ素子と検出対象(detection target)との間の静電容量を定量化する(quantify)ことが可能である。自己キャパシタンスセンサは、実際には、検出対象とセンサ素子と接地電位との間の合成静電容量を定量化する。具体的には、人体がセンサ素子に接近するときに、そのセンサ素子は、人体とそのセンサ素子との間の静電容量Cfrを定量化するのではなく、むしろ、(人体とそのセンサ素子との間の)静電容量Cfr及び人体と接地電位との間の静電容量Cfgの直列合成静電容量(series combined capacitance)(Cfr×Cfg/(Cfr+Cfg))を定量化する。このようにして、水筒(液体又は浮遊している導体)(a water bottle (a liquid or floating conductor))は、人体と接地電位との間の静電容量Cfgと同様であるその水筒(液体又は浮遊している導体)と接地電位との間の静電容量Cwgを有する場合があるため、センサ素子は、検出対象が人体であるのか又は水筒(液体又は浮遊している導体)であるのかを正しく検出しない場合がある。加えて、接地されている導体(金属)(a grounded conductor (metal))は接地されているので、そのセンサ素子は、検出対象が人体であるのか又は接地されている導体(金属)であるのかを正しく検出しない場合がある。具体的には、電極の大きさ(the size of the electrodes)及びタッチまでの距離(distance to a touch)に依存して、且つ、人体がどのように"接地されている"か(how "grounded" a human body is)に依存して、そのセンサ素子の静電容量は、接地されている導体(金属)と同様の方式によって変化する場合がある。人体からの静電容量の変化の範囲は、接地されている導体(金属)と比較して、人体の"接地度(groundedness)"、タッチの面積、タッチからの距離(a distance from the touch)、及び汗等に依存してかなり大きくなる。センサ素子の電極は、通常、絶縁されているので、検知対象物(sensed object)へのガルバニック接続(galvanic connections)は不可能である。それにもかかわらず、容量性接続(capacitive connections)は可能である。
【0024】
ここで、
図1を参照すると、
図1は、ある1つの例示的な人体検出システム100を示し、その人体検出システム100は、容量性センサに対応するセンサモジュール110、及び、(以下で議論されるようにCPU及びメモリを含む)センサコントローラ120を含む。センサモジュール110は、第1の電極Tx及び第2の電極Rxを含む。第1の電極Tx及び第2の電極Rxは、通常、互いに近接してコンデンサ(capacitor)Crtを形成する。しかし、追加的な信号を必要とする場合には、第1の電極Tx及び第2の電極Rxと並列になるように個別のコンデンサを追加してもよい。センサコントローラ120は、CPU(プロセッサ)、RAM、ROM、及びEEPROM等のメモリ、DAC、ADC、増幅器、及び、フィルタを含み、プロセッサがメモリの中に格納するプログラム又はコマンドを実行することによって、駆動回路(drive circuit)130、検出回路(detection circuit)140、決定回路(determination circuit)150、位相比較回路(phase comparison circuit)160を制御する。検出回路140は、位相比較回路160を含む。
【0025】
複数の例のうちのいくつかにおいて、第2の電極Rxは、車両のステアリングホイール111の芯材(core material)の中に配置されてもよく、その芯材の周囲に巻き付けられてもよく、又は、その芯材を覆ってもよい。第2の電極Rxは、(例えば、指又は手等の)人体112によるステアリングホイール111への接近(approach)(すなわち、近傍の中に存在する(being within a proximity of))及び/又は接触(contact)(タッチ(touch))を検出するのに使用される。同様に、第1の電極Txは、
図1に示されているように、ステアリングホイール111の芯材の中に配置されてもよく、その芯材の周囲に巻き付けられてもよく、又は、その芯材を覆ってもよい。第1の電極Txは、(指又は手等の)人体112によるステアリングホイール111への接近(すなわち、近傍の中に存在する)及び/又は接触(タッチ)を検出するのに使用される。複数の例のうちのいくつかにおいて、第1の電極Tx及び第2の電極Rxは、ステアリングホイール111の全体に巻かれてもよく、又は、ステアリングホイール111の全体を覆ってもよい。一方で、第1の電極Txは、人体112がタッチする必要はないので、第1の電極Txは、
図4に示されているように、ステアリングホイール111以外の構造体に配置されてもよい。具体的には、後で説明されるように、位相比較回路160は、基準信号として駆動回路130からの駆動信号Vinを受信する必要があり、且つ、検知結果の信号として第2の電極Rxからの検知信号Voutを受信する必要がある。このようにして、少なくとも第2の電極Rxは、人体が接近し又はタッチする(例えば、ステアリングホイール112等の)位置に配置される必要がある。
【0026】
駆動回路130は、センサモジュール110の第1の電極Tx及び検出回路140の中の位相比較回路160に、(例えば、正弦波等の)駆動信号(drive signal)又は励起信号(excitation signal)Vinを供給する。その駆動信号Vinは、8[MHz]又は10[MHz]等の規定されている周波数を有し、その規定されている周波数は、1[MHz]から100[MHz]までの範囲からといったように複数の周波数から選択されてもよい。第1の電極Txに駆動信号Vinを印加することに応答して、第2の電極Rxによって(例えば、正弦波等の)検知信号Voutを生成する。検知信号Voutは、コンデンサCrt及び駆動信号Vinの規定されている周波数に対応する周波数を有する。このようにして、コンデンサCrtの静電容量に依存して、検知信号Voutの波形の位相及び振幅は、駆動信号Vinの位相及び振幅と実質的に同じであってもよい。検知信号Voutは、検出回路140の中の位相比較回路160に供給される。さらに、センサモジュール110は、
図1に示されているコンデンサCrx及び抵抗Rrxによって表わされるインピーダンス等の第2の電極Rxからぶら下がるインピーダンスを有する(has an impedance hanging from the second electrode Rx, such as that represented by a capacitor Crx and a resistor Rrx)。
【0027】
人体112の一部が、ステアリングホイール111の中の第2の電極Rx及び第1の電極Txに接近し(approaches)(すなわち、近傍に入り(becomes within a proximity of))及び/又は第2の電極Rx及び第1の電極Txに接触する(タッチする)ときに、検知信号Voutは変化する。具体的には、ステアリングホイール111の中の第2の電極Rx及び第1の電極Txに接近し及び/又は接触する対象物が存在しないときの検知信号Voutの波形の位相と比較して、ある特定の角度だけ(for a certain degree)、検知信号Voutの波形の位相をシフトさせ又は遅延させる。言い換えると、駆動信号Vinの波形の位相と比較して、ある特定の角度だけ(for a certain degree)、検知信号Voutの波形の位相をシフトさせ又は遅延させる。これらの位相差(シフト又は遅延)は、人体のインピーダンスの抵抗及び静電容量(RC)の混合が原因となって生じる(occur due to the resistance capacitance (RC) mix of the impedance of the human body)。検知信号Voutの振幅は、また、人体112による接近又はタッチにより、許容可能な範囲の中で変化する。
【0028】
位相比較回路160が駆動信号Vin及び検知信号Voutの双方を受信した後に、位相比較回路160は、それらの2つの信号Vin及びVoutを比較し、そして、それらの2つの信号Vin及びVoutの差を定量化する(quantifies)。具体的には、位相比較回路160は、それらの2つの信号Vin及びVoutの位相及び振幅を比較する。それらの2つの信号Vin及びVoutの位相及び振幅に関する定量化された差(quantified difference)が、規定されている範囲に属する(is within a prescribed range)ときに、決定回路150は、人体112がステアリングホイール111に接近し及び/又はタッチしているということを決定する。特に、以下で詳細に議論されるように、それらの2つの信号Vin及びVoutの位相に関する定量化された差(角度(度)差(angle (degree) difference))が、例えば、1°以上42°以下、より詳細には、26°以上42°以下であるといったように、規定されている範囲に属するときに、決定回路150は、人体112がステアリングホイール111に接近し及び/又はタッチしているということを決定する。26°及び42°の位相差は、合成インピーダンスZallの位相成分Φ’が約41.7°(41.7°-0°=41.7°)及び26.2°(40.9°-14.7°=26.2°)である以下で議論される実験に対応する。
【0029】
反対に、以下で詳細に議論されるように、非人体の対象物(non-human object)としての液体(浮遊している導体)又は金属(接地されている導体)が、ステアリングホイール111に接近し及び/又はタッチするときには、それらの2つの信号Vin及びVoutの位相に関する定量化された差は、規定されている範囲に属さない(outside a prescribed range)か、又は、それらの2つの信号Vin及びVoutの間に実質的な位相差は存在しない。具体的には、接地されている導体(grounded conductor)、浮遊している導体(floating conductor)、接地されている誘電体(grounded dielectric)、又は浮遊している誘電体(floating dielectric)が、ステアリングホイール111の中のセンサ素子の近傍に入る(comes in proximity)場合に、検知信号Voutにおいては位相シフトは観測されない。一方で、上記で言及されているように、人体112がセンサ素子の近傍に入るときに、人体は、また、ある特定の量の電気抵抗を有するので、位相シフトは観測される。センサモジュール110の中の抵抗及び静電容量の組み合わせは、検知信号Voutの中に位相シフトを引き起こす。したがって、決定回路160は、人体112によるステアリングホイール111の接近及び/又はタッチを正確に且つ確実性をもって検出することが可能であるとともに、非人体の対象物によるステアリングホイール111への接近及び/又はタッチと人体112による接近及び/又はタッチとを判別することが可能である。結果として、車両の安全性を改善する。
【0030】
上記の複数の例においては、第1の電極Tx及び第2の電極Rxの単一の対を説明してきたが、ステアリングホイール111の中に複数の第1の電極Tx及び/又は複数の第2の電極Rxを配置してもよい。例えば、
図7に示されているように、ステアリングホイール111は、複数の離間した電極710及び円形電極720を有していてもよい。円形電極720は、第1の電極Txに対応し、複数の電極710は、複数の第2の電極Rxに対応する。このようにして、
図1及び
図2に示されているセンサモジュール110及び
図4に示されている(後に説明される)センサモジュール210は、それぞれ、複数の電極710及び円形電極720を含んでもよい。この構成は、センサモジュール110及び210のコスト及び複雑さを減少させることを可能とする。
【0031】
図7において、13個の電極710が図示されている。しかしながら、電極710の数は、必要に応じて、13よりも少なくてもよく又は13よりも多くてもよい。さらに、その円形電極720は、
図7においては、ステアリングホイール111の内周に設けられているが、センサモジュール110及び210を適切に構成する場合には、その円形電極720は省略されてもよい。具体的には、ステアリングホイール111から円形電極720を省略するときに、それらの複数の電極710の各々は、第1の電極Tx及び第2の電極Rxの単一の対に対応する。この場合には、それらの複数の電極710の各々は、単一のセンサモジュール110又は210に対応する。この構成の利点は、接地にたいする静電容量(Crg)を減少させ、したがって、システム100又は200の信号対雑音比を増加させることである。代替的な構成においては、電極710の数を4つに減少させ、円形電極720を省略する。それらの4つの電極710は、運転者の手が頻繁にタッチすることが知られているステアリングホイール111の領域に配置される。この場合には、4つの駆動信号Vin及び4つの検知信号Voutを生成する。このようにして、信号の組み合わせの16の固有の対が存在し、結果として、ステアリングホイール111においてセンサモジュール110及び210の16個の固有のタッチ領域を作り出す。
【0032】
対照的に、上記で説明されているように、円形電極720が設けられるときに、その円形電極720は、単一の第2の電極Rxに対応し、複数の電極710は、複数の第1の電極Txに対応する。複数の第1の電極Txは、ステアリングホイール111の中の複数の異なる箇所に配置されている(arranged at several different places)ので、センサコントローラ120は、駆動回路130からの駆動信号Vinをいずれの第1の電極Txに供給するかを選択することが可能である。この例では、選択された第1の電極Tx(Tx1)が駆動信号Vinを受信するステアリングホイール111の第1の特定の位置において、検出回路140が位相差を検出しないときに、人体検出システム100は、人体112がステアリングホイール111のその第1の特定の位置に接近しておらず及び/又はタッチしていないということを決定してもよい。また、検出回路140は、ステアリングホイール111の第2の特定の位置にある選択された第1の電極Tx(Tx2)への駆動信号Vinの供給に応答して位相差(シフト又は遅延)が発生するステアリングホイール111の第2の特定の位置を検出することが可能であるので、人体検出システム100は、選択された第1の電極Tx(Tx2)及び第2の電極Rxの近傍において、人体112がステアリングホイール111に接近し及び/又はタッチする正確な位置(第2の特定の位置)を決定することが可能である。加えて、上記で説明されているように、ステアリングホイール111の周囲に配置されている複数の小型センサを使用することによって、人体検出センサシステム100のためのセンサの小型化を実現することが可能である。
【0033】
図2を参照すると、
図2は、
図1に示されている図に部分的に対応し、(例えば、指又は手等の)人体112の(Cf及びRfによって表される)インピーダンスを含む人体検出システム100のセンサモジュール110のある1つの例示的な且つ概略的な回路図を提供する。第1の電極Txと第2の電極Rxとの間には、コンデンサCrtが設けられる。第2の電極Rxからぶら下がるインピーダンス(an impedance hanging from the second electrode Rx)として、コンデンサCrx及び抵抗Rrxが設けられる。人体112が第1の電極Tx及び第2の電極Rxに接近するときに、静電容量Cft及び静電容量Cfrは、(例えば、指又は手等の)人体112と第1の電極Tx及び第2の電極Rxとの間に、それぞれ、生成される。(例えば、指又は手等の)人体112は、(コンデンサCf及び抵抗Rfによって表される)インピーダンスを有する。
【0034】
第1の電極Txに供給される規定されている周波数は、上記で説明されているさまざまなコンデンサ及び抵抗(合成インピーダンスZall)の影響が原因となって、第2の電極Rxにおいて変化し、それによって、検知信号Voutの位相及びインピーダンスを変化させ又はシフトさせる(遅延させる)。位相及び振幅のそのような変化は、第1の電極Txと第2の電極Rxとの間の合成インピーダンスZallによって引き起こされる。合成インピーダンスZallの位相成分は、実数部成分及び虚数部成分のなす角に対応する。このようにして、合成インピーダンスZallの位相成分は、特定の静電容量の値又は抵抗値の変化が原因となって変化する。
【0035】
例えば、検出対象(detection target)が第2の電極Rx及び第1の電極Txの近傍には位置していないときに、合成インピーダンスZallの位相成分はΦとなる。これに対して、検出対象が第2の電極Rx及び第1の電極Txの近傍に位置している(検出対象が第2の電極Rx及び第1の電極Txに接近し及び/又は接触する)ときに、合成インピーダンス(combined impedance)Zallの位相成分はΦ’となる。Φ及びΦ’の各々は、駆動信号Vinの位相と検知信号Voutの位相との差に等しい。駆動信号Vinの位相は基準位相となるので、Φは0°となる(検出対象は、第2の電極Rx及び第1の電極Txの近傍には位置していない)。このようにして、Φ’が1°以上である場合には、人体が第2の電極Rx及び第1の電極Txに接近し及び/又は接触するということを決定する。上記で言及されているように、接地されている導体、浮遊している導体、接地されている誘電体、又は浮遊している誘電体が、ステアリングホイール111の中のセンサ素子の近傍に入る(comes in proximity to)場合には、検知信号Voutでは位相シフトは観測されないということに留意するべきである。一方で、人体112がセンサ素子の近傍に入る場合には、人体は、また、ある特定の量の電気抵抗を有するので、位相シフトは観測される。さらに、人体が第2の電極Rx及び第1の電極Txの近傍に位置している場合には、Φ’は、1°から42°までの範囲の中にあり、より詳細には、26°から42°までの範囲の中にある、といったように、かなりの角度となる(is a substantial angle)。上記で説明されているように、位相比較回路160は、第2の電極Rxからの検知信号Voutを受信するのに使用されるので、そのような接近及び/又は接触(タッチ)を検出するには、検出対象が、少なくとも、第2の電極Rxに接近し及び/又は接触することが可能であれば十分であるということに留意するべきである。このようにして、この出願においては、"人体112(又は、他の対象物)が第2の電極Rx及び第1の電極Txに接近し及び/又はタッチする"との表現は、また、"人体112(又は、他の対象物)の(例えば、指又は手等の)部分が、少なくとも、第2の電極Rxに接近し及び/又はタッチする"ということを意味する。例示的なセンサモジュール110は、駆動信号Vinの規定されている周波数及び(Crt及びZrx(Crx及びRrx)等の)内部インピーダンスのパラメータ及び/又は値を設定することによって、合成インピーダンスZallの位相成分Φと位相成分Φ’との間の大きな差を有するので、人体112又は人体112と同じインピーダンスを有する等価な対象物(equivalent object)による接近及び/又は接触(タッチ)が原因となって、位相成分を実質的に変化させるにすぎない。一般的に、人体112は、100[pF]の(例えば、Cf等の)静電容量及び510[Ω]の(例えば、Rf等の)抵抗を有するということに留意するべきである。反対に、液体(浮遊している導体)又は接地されている導体(金属)等の非人体の対象物による接近及び/又は接触が原因となって、位相成分を大きく変化させることはない。
【0036】
複数の例のうちのいくつかにおいて、
図2を参照すると、10[MHz]となるように例示的なセンサモジュール110における駆動信号Vinの周波数を調整し、10[pF]となるように(第1の電極Txと第2の電極Rxとの間にある)コンデンサCrtの静電容量を調整し、0[pF]となるように静電容量Cft及びCfrの各々を調整し、且つ、コンデンサCrxの静電容量が10[pF]となり、抵抗Rrxの抵抗値が1[Ω]となるように第2の電極Rxからぶら下がるインピーダンスZrx(the impedance Zrx hanging from the second electrode Rx)を調整するときに、検出対象が第2の電極Rx及び第1の電極Txの近傍には位置していない場合の合成インピーダンスZ
allは、0.500+(1.57×10
-5)iとなる。(接近も接触(タッチ)もしないときの)この合成インピーダンスZ
allは、位相成分Φとして実質的に0度(0°)に相当する。
【0037】
一方で、((例えば、指又は手等の)人体112のための)人体の実験的なモデル(human body experimental model)として、(上記で説明されているように、(Cf=100[pF]及びRf=510[Ω]の)インピーダンスZfinger等の)例示的なインピーダンスを有する実験的な対象物(experimental object)(検出対象(detection target))が、静電容量Cft及びCfrの各々が10[pF]となるある特定の距離で(さまざまな静電容量及び抵抗を上記で説明されているように調整したセンサモジュール110の)第2の電極Rx及び第1の電極Txに接近するときに、合成インピーダンスZallは、0.234+0.2086iに変化する。(人体の実験的なモデルによる接近の際の)この合成インピーダンスZallは、位相成分Φ’として約41.7度(41.7°)に対応する。位相差が40°以上となっているので、その位相成分のこの位相差(シフト又は遅延)(41.7°)は、かなり大きいと考えられる。上記の実験的な目的のために、インピーダンスZfingerと実験的な対象物の(0[pF]又は10[pF]のいずれかである)静電容量Cft及びCfrとを例示的に設定し、且つ、また、第2の電極Rxからぶら下がるインピーダンスZrxとコンデンサCrtの静電容量とを例示的に設定するので、その合成インピーダンスZallの位相成分Φと位相成分Φ’との間の位相差(シフト又は遅延)は、駆動信号Vinと検知信号Voutとの間の位相差(シフト又は遅延)に対応する。
【0038】
反対に、(Cf=100[pF]及びRf=10[Ω]の)液体(浮遊している導体)が(さまざまな静電容量及び抵抗を上記で説明されているように調整したセンサモジュール110の)第2の電極Rx及び第1の電極Txに接近し及び/又はタッチする場合に、合成インピーダンスZallは、0.164+0.00455iに変化する。(液体による接近及び/又は接触の際の)この合成インピーダンスZallは、位相成分Φ’として実質的に0度(0°)に対応する。このようにして、0度は、(接近も接触もしないときの)合成インピーダンスZallの位相成分Φと同じ であるので、位相差(シフト又は遅延)は存在しない。
【0039】
上記で説明されているように、第1の電極Txと第2の電極Rxとの間の合成インピーダンスZallの位相成分Φ’の位相差しきい値は、40度(40°)となるように設定されることが好ましい。位相成分Φと位相成分Φ’との間の位相差(シフト又は遅延)が40°以上である、より詳細には、その位相差が40°から359°までの範囲の中にある場合に、決定回路150は、人体112が(センサモジュール110の)第2の電極Rx及び第1の電極Txに接近し及び/又は接触(タッチ)するか否かを決定するように構成される。位相差が360°である場合には、360°が位相差が存在しないことを意味するのか又は検知信号Voutの1つ(又は複数の)サイクル差が存在することを意味するのかを決定することが可能ではない場合がある。このようにして、その範囲の上限は、360°ではないことが好ましい。したがって、規定されている範囲が、40°以上である位相成分Φと位相成分Φ’との間の位相差(シフト又は遅延)として、より詳細には、40°から359°までの範囲の中にあるように設定され、且つ、センサモジュール110及びセンサコントローラ120が、上記で説明されているように、センササイズ、第1の電極Txと第2の電極Rxとの間の物理的な距離(静電容量)、第2の電極Rxからぶら下がるインピーダンスZrx(the impedance Zrx hanging from the second electrode Rx)、及び駆動信号Vinの規定されている周波数等のあらかじめ選択されているパラメータを含むときに、人体112の第2の電極Rx及び第1の電極Txに対する接近及び/又はタッチ(接触)は、合成インピーダンスZallの位相成分Φと位相成分Φ’との間の位相差(シフト又は遅延)、すなわち、駆動信号Vinと検知信号Voutとの間の位相差(シフト又は遅延)に基づいて、液体(浮遊している導体)又は接地されている導体(金属)等の非人体の対象物の接近及び接触と明確に判別可能である。
【0040】
静電容量Cf及び静電容量Cfrは、実質的に直列となっている。このようにして、Cf及びCfrの直列合成静電容量(series combined capacitance)は、"Cf×Cfr/(Cf+Cfr)"によって表現される。第2の電極Rxから見たCf及びCfrの合成静電容量は、Cfr及びCfの静電容量のうちのより小さい静電容量に大きく依存する。このようにして、Cf及びCfrのそれらの静電容量の間の差が大きく、検出対象がセンサモジュール110の第2の電極Rxに接近し及び/又は接触(タッチ)するときに、検出対象がまだタッチしていない場合であっても、検知信号Voutの位相は、有意に変化する場合があり、或いは、人体112以外の静電容量が小さい検出対象が接近するときであっても、その位相は変化する場合がある。したがって、Cf及びCfrの静電容量はほぼ同じ値であることが好ましい。例えば、人体112がコンデンサCfの(100[pF]又はそれ以上の)静電容量を有する場合に、静電容量Cfrは、また、第2の電極Rxへの接近及び/又は接触(タッチ)の時点において、100[pF]となっている必要がある。
【0041】
一般的に、ある特定の周波数を有する信号の位相シフトを検出する方法は数多く存在するが、センサモジュール110は、1度(1°)程度の位相シフトの検出解像度を有する。一方で、その検出解像度は、センサモジュール110(すなわち、第1の電極Tx及び第2の電極Rxを有するステアリングホイール111)への(例えば、指又は手等の)人体112の近接度(closeness)に対応して設計されてもよい。もちろん、また、ステアリングホイール111にあるゴム、革、又は他の材料の厚さ、及び、駆動溝の厚さを考慮してもよい。複数の例のうちのいくつかにおいて、センサモジュール110(及びセンサコントローラ120)は、PLL(位相ロックループ(phase-locked loop))回路(VCO(電圧制御発振器(voltage controlled oscillator))及び位相検出器の組み合わせ)を使用して、位相差(シフト)を検出してもよい。PLLの出力は、マイクロコントローラの中の周波数カウンタ(又は、入力キャプチャカウンタ(input capture counter))に供給される。センサモジュール110の回路オプションの複数の例のうちのいくつかは、後で説明される。
【0042】
PLLベースライン周波数は、好ましくは、RC(抵抗コンデンサ)回路を使用してだいたい8[MHz]に調整される。すなわち、好ましい周波数は、7[MHz]から10[MHz]までの間である。(例えば、指又は手等の)人体112が第1の電極Tx及び第2の電極Rxに近接する(comes close to)ときに、周波数は、数千ヘルツだけ変化する。非人体の対象(nonhuman target)は、PLLの周波数を変化させないであろう。PLLへと帰還する前に(before returning to the PLL)、第2の電極Rxから直接的に能動的な4極帯域通過フィルタ又は低域通過フィルタ(an active 4 pole band pass or low pass filter)を有することが好ましい。この構成は、第2の電極Rxから検知信号Voutに紛れ込む(creep into the sensed signal Vout)可能性がある任意の雑音、高調波、又は歪みを大幅に減少させる。
【0043】
ここで、
図3A及び
図3Bを参照すると、
図3A及び
図3Bは、上記で説明されているセンサモジュール110の駆動信号Vinと検知信号Voutとの間のインピーダンス(位相)変化(シフト又は遅延)を示す例示的なグラフを提供する。具体的には、
図3Aは、人体の実験的なモデル(人体112)が第1の電極Tx及び第2の電極Rxを有するステアリングホイール111にまだ接近しておらず及び/又はタッチしていない("X"(Z(ノータッチ(No Touch)))に対応し、位相が0°である)状態から、人体の実験的なモデル(人体112)が第1の電極Tx及び第2の電極Rxを有するステアリングホイール111に接近し及び/又はタッチするまでの(最も大きなドット(Z(タッチ))に対応し、位相が約41.7°である)位相変化又はシフトを示している。人体の実験的なモデル(人体112)が接近し及び/又はタッチするときの位相変化又は位相シフトは、静電容量Cfr及び静電容量Cftの増加を表すより小さなドット(Z(ノータッチ(No touch)→タッチ(Touch)))を使用して示される。その後に、静電容量Cfr及びCftの各々は、最も大きなドットによって示されているように、41.7°の位相シフトにおいて10[pF]に達する。
【0044】
反対に、
図3Bは、液体が第1の電極Tx及び第2の電極Rxを有するステアリングホイール111にまだ接近しておらず及び/又はタッチしていない("X"(Z(ノータッチ(No Touch))に対応し、位相が0°である)状態から、液体(浮遊している導体)が第1の電極Tx及び第2の電極Rxを有するステアリングホイール111に接近し及び/又はタッチするまでの(最も大きなドット(Z(タッチ))に対応し、位相が0°である)位相変化又はシフトを示している。液体が接近するのに伴って、実数部成分又は絶対値は変化する(より小さいドット(Z(ノータッチ(No touch)→タッチ(Touch)))が、角度(位相シフト)は実質的に変化しない。センサモジュール110は、
図3A及び
図3Bに示されているように、検知信号Vout(すなわち、合成インピーダンスZ
allの位相成分)の明確な位相差(シフト又は遅延)を提供するので、人体112のインピーダンスを有する対象物による接近及び/又はタッチを個別的に検出する(discretely detect)ことが可能である。
【0045】
ここで、
図4を参照すると、
図4は、他の例示的な人体検出システム200を示している。そのシステム200は、第2の電極Rx及びセンサコントローラ220を有するある1つの例示的なセンサモジュール210を含む。そのセンサモジュール210は、第1の電極Tx及び第2の電極Rxを含む。第2の電極Rxは、車両のステアリングホイール211の芯材の中に配置されるか、その芯材の周囲に巻き付けられるか、又は、その芯材の上に巻き付けられる。複数の例のうちのいくつかにおいて、第2の電極Rxは、ステアリングホイール211の全体の周囲に配置されてもよく、又は、そのステアリングホイール211の全体を覆ってもよい。これに対して、第1の電極Txは、ステアリングホイール211の中に配置されるのではなく、むしろ、他の構成要素の中にといったように他の場所に配置される。
【0046】
複数の例のうちのいくつかにおいて、第1の電極Txは、ゴム(rubber)等の厚い表面材料の下に配置されてもよく、又は、ステアリングホイール211の輪止め(spoke)(或いは、ハブ(hub)又はシャフト(shaft))に配置されてもよい。複数の例のうちのいくつかにおいて、第1の電極Txは、単純に、回路の中のノードであってもよく又は回路基板にあるトレースであってもよい。このようにして、第1の電極Txは、ステアリングホイール211のところで露出しなくてもよい(may not be exposed at the steering wheel 211)。第1の電極Tx及び第2の電極Rxは、コンデンサCrtを通じて接続され、そのコンデンサCrtは、個別のコンデンサであってもよく、又は、第2の電極Rxへの第1の電極Txの近接によって形成される(formed by the proximity of the first electrode Tx to the second electrode Rx)コンデンサであってもよい。センサコントローラ220は、CPU(プロセッサ)及びRAM、ROM、及びEEPROM等のメモリ、DAC、ADC、増幅器、フィルタなどを含み、プロセッサがメモリの中に格納するプログラム又はコマンドを実行することによって、駆動回路230、検出回路240、決定回路250、及び位相比較回路260を制御する。検出回路240は、位相比較回路260を含む。第2の電極Rxは、(指又は手等の)人体212によるステアリングホイール211への接近(すなわち、近傍の中に存在すること(being within a proximity of))及び/又は接触(タッチ)を(2つの信号Vin及びVoutの間の位相差として)検出する。
【0047】
駆動回路230は、センサモジュール210の第1の電極Tx及び検出回路240の中の位相比較回路260に、(例えば、正弦波等の)駆動信号又は励起信号Vinを供給する。駆動信号Vinは、8[MHz]又は10[MHz]等の規定されている周波数を有し、その規定されている周波数は、1[MHz]から100[MHz]までの範囲からといったように複数の周波数から選択されてもよい。(例えば、正弦波等の)検知信号Voutは、第1の電極Txへの駆動信号Vinの印加に応答して、第2の電極Rxによって生成される。検知信号Voutは、駆動信号Vin及びコンデンサCrtの規定されている周波数に対応する周波数を有する。このようにして、コンデンサCrtの静電容量に依存して、検知信号Voutの波形の位相及び振幅は、駆動信号Vinの位相及び振幅と実質的に同じになってもよい。その検知信号Voutは、検出回路240の中の位相比較回路260に供給される。さらに、
図4に示されているセンサモジュール210は、
図4に示されているコンデンサCrx及び抵抗Rrxによって表わされるインピーダンス等の第2の電極Rxからぶら下がるインピーダンスを有する(has an impedance hanging from the second electrode Rx)。
図2に示されている静電容量Cfrは、図示を容易にするために、
図4からは省略されている。
【0048】
人体212が、ステアリングホイール211の中の第2の電極Rxに接近し(approaches)(すなわち、近傍に入り(becomes within a proximity of))及び/又は第2の電極Rxに接触する(タッチする)ときに、検知信号Voutは変化する。具体的には、ステアリングホイール211の中の第2の電極Rxに接近し及び/又は接触する対象物が存在しないときの検知信号Voutの波形の位相と比較して、ある特定の角度だけ(for a certain degree)、検知信号Voutの波形の位相をシフトさせ又は遅延させる。言い換えると、駆動信号Vinの波形の位相と比較して、ある特定の角度だけ(for a certain degree)、検知信号Voutの波形の位相をシフトさせ又は遅延させる。これらの位相差(シフト又は遅延)は、人体のインピーダンスの抵抗及び静電容量(RC)の混合が原因となって生じる(occur due to the resistance capacitance (RC) mix of the impedance of the human body)。検知信号Voutの振幅は、また、人体112による接近又はタッチにより、許容可能な範囲の中で変化する。
【0049】
位相比較回路260が駆動信号Vin及び検知信号Voutの双方を受信した後に、位相比較回路260は、それらの2つの信号Vin及びVoutを比較し、そして、それらの2つの信号Vin及びVoutの差を定量化する(quantifies)。具体的には、位相比較回路260は、それらの2つの信号Vin及びVoutの位相及び振幅を比較する。それらの2つの信号Vin及びVoutの位相及び振幅に関する定量化された差(quantified difference)が、規定されている範囲に属する(is within a prescribed range)ときに、決定回路250は、人体212がステアリングホイール211に接近し及び/又はタッチしている(或いは、接近しつつあり及び/又はタッチしつつある)ということを決定する。特に、以下で詳細に議論されるように、それらの2つの信号Vin及びVoutの位相に関する定量化された差(角度(度)差(angle (degree) difference))が、例えば、1°以上42°以下、より詳細には、26°以上42°以下であるといったように、規定されている範囲に属するときに、決定回路250は、人体212がステアリングホイール211に接近し及び/又はタッチしているということを決定する。
【0050】
反対に、以下で詳細に議論されるように、非人体の対象物(non-human object)としての(例えば、浮遊している導体等の)液体又は(例えば、接地されている導体等の)金属が、ステアリングホイール211に接近し及び/又はタッチするときには、それらの2つの信号Vin及びVoutの位相に関する定量化された差は、規定されている範囲に属さない(outside a prescribed range)か、又は、それらの2つの信号Vin及びVoutの間に実質的な位相差は存在しない。したがって、決定回路260は、人体212によるステアリングホイール211の接近及び/又はタッチを正確に且つ確実性をもって検出することが可能であるとともに、非人体の対象物によるステアリングホイール211への接近及び/又はタッチと人体112による接近及び/又はタッチとを判別することが可能である。結果として、車両の安全性を改善する。
【0051】
上記の複数の例においては、第1の電極Tx及び第2の電極Rxの単一の対を説明してきたが、ステアリングホイール211の中に複数の第2の電極Rxを配置してもよい。例えば、上記で議論されているように、
図7は、複数の電極710及び円形電極720を有するステアリングホイール111を示している。円形電極720は、第1の電極Txに対応し、複数の電極710は、複数の第2の電極Rxに対応する。要求に応じて、円形電極720は、ステアリングホイール111から省略されてもよい。この場合には、複数の電極710の各々は、第1の電極Tx及び第2の電極Rxの単一の対に対応する。結果として、複数の電極710の各々は、単一のセンサモジュール110又は210に対応する。
【0052】
複数の第2の電極Rxが、ステアリングホイール211の中の複数の異なる箇所に配置されている(arranged at several different places)ときに、センサコントローラ220は、さまざまな第2の電極からの検知信号Voutのうちのいずれの検知信号Voutが変化するか(シフトするか又は遅延するか)を決定することが可能である。この例では、検出回路240が、ステアリングホイール211の第1の特定の位置に配置されている選択されている第2の電極Rx(Rx1)からの検知信号Voutの位相差を検出しないときに、人体検出システム200は、人体112がステアリングホイール211の第1の特定の位置にまだ接近しておらず及び/又はタッチしていないということを決定してもよい。また、検出回路240は、ステアリングホイール211の第2の特定の位置にある選択されている第2の電極Rx(Rx2)からの検知信号Voutの受信及び比較に応答して、位相差(シフト又は遅延)が発生するステアリングホイール211の第2の特定の位置を検出することが可能であるので、人体検出システム200は、選択されている第2の電極Rx(Rx2)の近傍で人体212がステアリングホイール211に接近し及び/又はタッチする正確な位置(第2の特定の位置)を決定することが可能である。加えて、
図7に示されているように、ステアリングホイール211の周囲に配置されている複数の小型センサを使用することによって、人体検出センサシステム200のためのセンサの小型化を実現することが可能である。
【0053】
図4に示されている構成は、また、
図2に関して説明されている合成インピーダンスと同様の合成インピーダンスZ
allを有するが、静電容量Cftを含まない。これに対して、合成インピーダンスZ
allの冗長的な説明は、本明細書においては省略される。
【0054】
検出対象が第2の電極Rxの近傍には位置していないときに、合成インピーダンスZallの位相成分は、Φとなる。これに対して、検出対象が第2の電極Rxの近傍に位置している(検出対象が第2の電極Rxに接近し及び/又は接触する)ときに、合成インピーダンスZallの位相成分は、Φ’となる。センサモジュール210は、駆動信号Vinの規定されている周波数及び(Crt及びZrx(Crx及びRrx)等の)内部インピーダンスのパラメータ及び/又は値を設定することによって、合成インピーダンスZallの位相成分Φと位相成分Φ’との間の大きな差を有するので、人体212又は人体212と同じインピーダンスを有する等価な対象物(equivalent object)による接近及び/又は接触(タッチ)が原因となって、位相成分を実質的に変化させるにすぎない。反対に、液体(浮遊している導体)又は接地されている導体(金属)等の非人体の対象物による接近及び/又は接触が原因となって、位相成分を大きく変化させることはない。
【0055】
複数の例のうちのいくつかにおいて、
図4を参照すると、20[MHz]となるようにセンサモジュール210における駆動信号Vinの周波数を調整し、10[pF]となるように(第1の電極Txと第2の電極Rxとの間にある)コンデンサCrtの静電容量を調整し、0[pF]となるように静電容量Cfrを調整し、且つ、コンデンサCrxの静電容量が10[pF]となり、抵抗Rrxの抵抗値が500[Ω]となるように、第2の電極Rxからぶら下がる(
図2に示されている)インピーダンスZrx(
図2参照)を調整するときに、検出対象が第2の電極Rxの近傍には位置していない場合の合成インピーダンスZ
allは、0.545+0.1430iとなる。(接近も接触(タッチ)もしないときの)この合成インピーダンスZ
allは、位相成分Φとして概ね14.7度(14.7°)に相当する。
【0056】
一方で、((例えば、指又は手等の)人体112のための)人体の実験的なモデル(human body experimental model)として、(上記で説明されているように、(Cf=100[pF]及びRf=510[Ω]の)(
図2に示されている)インピーダンスZ
finger等の)例示的なインピーダンスを有する実験的な対象物(experimental object)(検出対象(detection target))が、静電容量Cfrが100[pF]となるある特定の距離で(さまざまな静電容量及び抵抗を上記で説明されているように調整したセンサモジュール210の)第2の電極Rxに接近する(及び/又は、接触する(タッチする))ときに、合成インピーダンスZ
allは、0.264+0.229iに変化する。(人体の実験的なモデルによる接近の際の)この合成インピーダンスZ
allは、位相成分Φ’として約40.9度(40.9°)に対応する。位相差が26°以上となっているので、その位相成分のこの位相差(シフト又は遅延)(26.2°)は、かなり大きいと考えられる。上記の実験的な目的のために、インピーダンスZ
fingerと実験的な対象物の(0[pF]又は100[pF]のいずれかである)静電容量Cfrとを例示的に設定し、且つ、また、第2の電極Rxからぶら下がるインピーダンスZ
rxとコンデンサCrtの静電容量とを例示的に設定するので、その合成インピーダンスZ
allの位相成分Φと位相成分Φ’との間の位相差(シフト又は遅延)は、駆動信号Vinと検知信号Voutとの間の位相差(シフト又は遅延)に対応する。
【0057】
図1に関連する例においては、位相差(シフト又は遅延)は、約41.7°となり、位相成分Φは、約0°となり、位相成分Φ’は、約41.7°となるということに留意するべきである。
図4に関連する例においては、位相差(シフト又は遅延)は、約26.2°となり、位相成分Φは、約14.7°となり、位相成分Φ’は、約40.9°となる。
図1及び
図4における駆動信号(10[MHz]及び20[MHz])及び第1の電極Txの(ステアリングホイール111の中での又は他の構成要素における)位置は、
図1に関連する例と
図4と関連する例とでは異なり、且つ、静電容量Cftが存在する状態(
図1)であるのか又は静電容量Cftが存在しない状態(
図4)であるのかは、
図1に関連する例と
図4と関連する例とでは異なる(すなわち、設定パラメータは異なる)ので、位相差及び位相成分Φ及びΦ’の値は、
図1に関連する例と
図4と関連する例とでは異なる。
【0058】
反対に、(Cf=100[pF]及びRf=10[Ω]の)(例えば、浮遊している導体等の)液体が(さまざまな静電容量及び抵抗を上記で説明されているように調整したセンサモジュール210の)第2の電極Rxに接近し及び/又はタッチする場合に、合成インピーダンスZallは、0.147+0.0168iに変化する。(液体による接近及び/又は接触の際の)この合成インピーダンスZallは、位相成分Φ’として6.5度(6.5°)に対応する。このようにして、8.2度(8.2°)のみのわずかな位相差(シフト又は遅延)が存在し、上記の位相差(26.2°)とは容易に判別可能である。
【0059】
上記で説明されているように、第1の電極Txと第2の電極Rxとの間の合成インピーダンスZallの位相成分Φ’の位相差しきい値は、26度(26°)となるように設定されることが好ましい。位相成分Φと位相成分Φ’との間の位相差(シフト又は遅延)が26°以上である、より詳細には、その位相差が26°から359°までの範囲の中にある場合に、決定回路250は、人体112が(センサモジュール210の)第2の電極Rxに接近し及び/又は接触(タッチ)するか否かを決定するように構成される。位相差が360°である場合には、上記で説明されているように、360°が位相差が存在しないことを意味するのか又は検知信号Voutの1つ(又は複数の)サイクル差が存在することを意味するのかを決定することが可能ではない場合がある。したがって、規定されている範囲が、26°以上である位相成分Φと位相成分Φ’との間の位相差(シフト又は遅延)として設定され、より詳細には、26°から359°までの範囲の中にあるように、より詳細には、1°から42°までの範囲の中にあるように、さらにより詳細には、26°から42°までの範囲の中にあるように設定され、且つ、センサモジュール210及びセンサコントローラ220が、上記で説明されているように、センササイズ、第1の電極Txと第2の電極Rxとの間の物理的な距離(静電容量)、第2の電極Rxからぶら下がるインピーダンスZrx(the impedance Zrx hanging from the second electrode Rx)、及び駆動信号Vinの規定されている周波数等のあらかじめ選択されているパラメータを含むときに、人体212の第2の電極Rxに対する接近及び/又はタッチ(接触)は、合成インピーダンスZallの位相成分Φと位相成分Φ’との間の位相差(シフト又は遅延)、すなわち、駆動信号Vinと検知信号Voutとの間の位相差(シフト又は遅延)に基づいて、液体(浮遊している導体)又は接地されている導体(金属)等の非人体の対象物の接近及び接触と明確に判別可能である。
【0060】
静電容量Cf及び静電容量Cfrは、実質的に直列となっている。このようにして、Cf及びCfrの直列合成静電容量(series combined capacitance)は、"Cf×Cfr/(Cf+Cfr)"によって表現される。第2の電極Rxから見たCf及びCfrの合成静電容量は、Cfr及びCfの静電容量のうちのより小さい静電容量に大きく依存する。このようにして、Cf及びCfrのそれらの静電容量の間の差が大きく、検出対象がセンサモジュール210の第2の電極Rxに接近し及び/又は接触(タッチ)するときに、検出対象がまだタッチしていない場合であっても、検知信号Voutの位相は、有意に変化する場合があり、或いは、人体212以外の静電容量が小さい検出対象が接近するときであっても、その位相は変化する場合がある。したがって、Cf及びCfrの静電容量はほぼ同じ値であることが好ましい。例えば、人体212がコンデンサCfの(100[pF]又はそれ以上の)静電容量を有する場合に、静電容量Cfrは、また、第2の電極Rxへの接近及び/又は接触(タッチ)の時点において、100[pF]となっている必要がある。
【0061】
一般的に、ある特定の周波数を有する信号の位相シフトを検出する方法は数多く存在する。さらに、検出回路(140及び240)及び決定回路(150及び250)の検出解像度は、センサモジュール210(すなわち、第2の電極Rxを有するステアリングホイール211)への(例えば、指又は手等の)人体212の近接度(closeness)に対応して設計されてもよい。もちろん、また、ステアリングホイール211にあるゴム、革、又は他の材料の厚さ、及び、駆動溝の厚さを考慮してもよい。複数の例のうちのいくつかにおいて、センサモジュール210(及びセンサコントローラ120)は、PLL回路(VCO及び位相検出器の組み合わせ)を使用して、位相差(シフト)を検出してもよい。PLLの出力は、マイクロコントローラの中の周波数カウンタ(又は、入力キャプチャカウンタ(input capture counter))に供給される。センサモジュール210の回路オプションの複数の例のうちのいくつかは、後で説明される。
【0062】
PLLベースライン周波数は、好ましくは、RC回路を使用してだいたい8[MHz]に調整される。すなわち、好ましい周波数は、7[MHz]から10[MHz]までの間である。(例えば、指又は手等の)人体212が第2の電極Rxに近接する(comes close to)ときに、周波数は、数千ヘルツだけ変化する。非人体の対象(nonhuman target)は、PLLの周波数を変化させないであろう。PLLへと帰還する前に(before returning to the PLL)、第2の電極Rxから直接的に能動的な4極帯域通過フィルタ又は低域通過フィルタ(an active 4 pole band pass or low pass filter)を有することが好ましい。この構成は、第2の電極Rxから検知信号Voutに紛れ込む(creep into the sensed signal Vout)可能性がある任意の雑音、高調波、又は歪みを大幅に減少させる。
【0063】
ここで、
図5A及び
図5Bを参照すると、
図5A及び
図5Bは、上記で説明されているセンサモジュール210の駆動信号Vinと検知信号Voutとの間のインピーダンス(位相)変化(シフト又は遅延)を示す例示的なグラフを提供する。具体的には、
図5Aは、人体212が第2の電極Rxを有するステアリングホイール211にまだ接近しておらず及び/又はタッチしていない("X"(Z(ノータッチ(No Touch)))に対応し、位相が約14.7°である)状態から、人体212が第2の電極Rxを有するステアリングホイール211に接近し及び/又はタッチするまでの(最も大きなドット(Z(タッチ))に対応し、位相が約40.9°である)位相変化又はシフトを示している。人体212が接近し及び/又はタッチするときの位相変化又は位相シフトは、静電容量Cfrの増加を表すより小さなドット(Z(ノータッチ(No touch)→タッチ(Touch)))を使用して示される。その後に、静電容量Cfrは、最も大きなドット(Z(タッチ))によって示されているように、40.9°の位相シフトにおいて100[pF]に達する。
【0064】
反対に、
図5Bは、液体が第2の電極Rxを有するステアリングホイール211にまだ接近しておらず及び/又はタッチしていない("X"(Z(ノータッチ(No Touch)))に対応し、位相が約14.7°である)状態から、液体(浮遊している導体)が第2の電極Rxを有するステアリングホイール211に接近し及び/又はタッチするまでの(最も大きなドット(Z(タッチ))に対応し、位相が約6.5°である)位相変化又はシフトを示している。この場合には、液体が第2の電極Rxを有するステアリングホイール211に接近し又はタッチするのに伴って、位相角は、より浅くなる(becomes shallower)(より小さくなる(becomes smaller))。センサモジュール210は、
図5A及び
図5Bに示されているように、検知信号Vout(すなわち、合成インピーダンスZ
allの位相成分)の(26°よりも大きな)明確な位相差(シフト又は遅延)を提供するので、人体212のインピーダンスを有する対象物による接近及び/又はタッチを個別的に検出する(discretely detect)ことが可能である。
【0065】
ここで、
図6を参照すると、
図6は、
図1、
図2、及び/又は
図4に示されているセンサモジュール及びコントローラの構成要素のうちのいくつかを含むある1つの例示的なセンサ回路300を示している。センサ回路300は、指301がタッチするRx電極(第2の電極Rx)及びTx電極(第1の電極Tx)、低域通過フィルタ310、位相検出器320、VCO(電圧制御発振器)330、及び周波数カウンタ340を含む。位相検出器320及びVCO330の組み合わせは、一般的に、PLL回路を形成する。
【0066】
センサモジュール110又は210(及びセンサコントローラ120又は220)は、PLL回路(VCO330及び位相検出器320の組み合わせ)を使用して、位相差(シフト)を検出してもよい。PLLの出力は、例えば、マイクロコントローラの中の周波数カウンタ340に供給される。PLLベースライン周波数は、好ましくは、RC回路を使用してだいたい8[MHz]に調整される。すなわち、好ましい周波数は、7[MHz]から10[MHz]までの間のいずれかの位置である。(例えば、指又は手等の)人体112、212、又は301が第1の電極Tx及び第2の電極Rxに近接する(comes close to)ときに、周波数は、数千ヘルツだけ変化する。非人体の対象物(non-human object)は、PLLの周波数を変化させないか、又は、人体によるタッチと比較して、反対方向にその周波数を変化させる。PLLへと帰還する前に(before returning to the PLL)、低域通過フィルタ310の代わりに、第2の電極Rxから直接的に能動的な4極帯域通過フィルタ(An active 4 pole band pass filter)を使用してもよい。さらに、VCO330とTx電極(第1の電極Tx)との間に、他の4極低域通過(又は、帯域通過)フィルタを挿入してもよい。この構成は、第2の電極Rxから検知信号Voutに紛れ込む(creep into the sensed signal Vout)可能性がある任意の雑音、高調波、又は歪みを大幅に減少させる。
【0067】
駆動信号Vinの規定されている周波数に関して、(位相が最も大きく変化する)最適な駆動周波数は、人体の抵抗成分に対して(反比例的に)大きく依存する。人体の抵抗成分が約500[Ω]から510[Ω]までであると仮定すると、人体の検出のために(位相が最も大きく変化する)最適な駆動周波数は、だいたい1[MHz]から100[MHz]までの範囲、より詳細には、だいたい10[MHz]程度である。したがって、人体を検出対象とするときに、駆動信号Vinの規定されている(駆動)周波数としてMHz帯域を使用することが好ましい。
【0068】
変形例として、PLL回路の代わりに、入力として第1の電極Tx及び第2の電極Rxを使用するXORゲートを使用して位相検出器を構成してもよい。そのXORゲートの出力パルス幅は、位相差(シフト)に対応する。この出力パルス幅は、100[ps]程度といった高い解像度で測定される。
【0069】
他の変形例は、第1の電極Txの駆動信号Vinのためにほとんど任意の周波数の方形波を使用し、そして、高い解像度で遅延時間を測定することであって、その遅延時間は、第1の電極Txへの駆動信号Vinの入力から、第2の電極Rxからの検知信号Voutの出力までの遅延時間である。この方法は、必要とされるフィルタ等のアナログ回路がより少ない。(容量性センサの近傍に対象物が存在しないときの容量性センサからの)ベースライン信号は、センサの近傍に対象物がない場合の第1の電極Txへの駆動信号Vinの入力から、第2の電極Rxからの検知信号Voutの出力までの遅延時間を有する。小さな手による軽いタッチ又はタッチすることを検出することが望ましいときに、測定される遅延量は、有効な人間のタッチを決定するためのしきい値であってもよい。
【0070】
上記の説明は、本質的に例示であるにすぎず、開示、その適用、又は使用を限定することを意図してはいない。さまざまな形態で開示の広範な教示を実装してもよい。したがって、この開示は複数の特定の例を含むが、他の修正は、図面、明細書、及び以下の特許請求の範囲を検討すると明らかになるので、その開示の真の範囲は、それほど限定されるべきではない。本開示の原理を変更することなく、異なる順序で(又は、同時に)ある方法の中の1つ又は複数のステップを実行してもよいということを理解するべきである。さらに、複数の実施形態の各々は特定の特徴を有するものとして上記で説明されているが、たとえ、その組み合わせが明示的には説明されていない場合であっても、その開示の任意の実施形態に関して説明されているそれらの特徴のうちのいずれか1つ又は複数は、他の実施形態のうちのいずれかの特徴において実装され及び/又はそれらの特徴と組み合わせられてもよい。言い換えると、説明されている実施形態は、相互に排他的ではなく、1つ又は複数の実施形態の互いの順列は、この開示の範囲の中にとどまる。
【0071】
(例えば、複数のモジュール、複数の回路素子、複数の半導体層等の間の、といったように)複数の要素の間の空間的な関係及び機能的な関係は、"接続される"、"係合する"、"結合される"、"隣接する"、"の次にある"、"の最上部にある"、"の上にある"、"の下にある"、及び"配置される"を含むさまざまな語を使用して説明される。"直接的"であると明示的に説明されない限り、第1の要素と第2の要素との間の関係が上記の開示の中で説明されているときは、その関係は、第1の要素と第2の要素との間にいかなる他の介在する要素も存在しない直接的な関係であってもよいが、また、第1の要素と第2の要素との間に(空間的に又は機能的に)1つ又は複数の介在する要素が存在する非直接的な関係でもあってもよい。本明細書において使用されているように、"A、B、及びCのうちの少なくとも1つ"の表現は、非排他的論理であるORを使用する論理(A OR B OR C)を意味すると解釈されるべきであり、"Aのうちの少なくとも1つ、Bのうちの少なくとも1つ、及びCのうちの少なくとも1つ"を意味すると解釈されるべきではない。
【0072】
図において、矢印の方向は、矢じりによって示されるように、一般的に、図示の対象となっている(データ又は命令等の)情報の流れを明示する。例えば、要素A及び要素Bがさまざまな情報を交換するが、要素Aから要素Bへと送信される情報が図示に関連するときに、その矢印は、要素Aから要素Bへの方向を指してもよい。この一方向の矢印は、他の情報が要素Bから要素Aへと送信されないということを示唆するものではない。さらに、要素Aから要素Bへと送信される情報について、要素Bは、要素Aに情報の要求又はその情報の受信確認を送信してもよい。
【0073】
以下の定義を含むこの出願において、"モジュール"の語又は"コントローラ"の語は、"回路"の語によって置き換えられてもよい。"モジュール"の語は、特定用途向け集積回路(ASIC)、ディジタル、アナログ、又はアナログ/ディジタルを混合した個別の回路、ディジタル、アナログ、又はアナログ/ディジタルを混合した集積回路、組合せ論理回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、コードを実行する(共有の、専用の、又はグループの)プロセッサ回路、プロセッサ回路が実行するコードを格納する(共有の、専用の、又はグループの)メモリ回路、説明されている機能を提供する他の適切なハードウェア構成要素、又は、システムオンチップ等における上記のうちの一部又はすべての組み合わせを指してもよく、それらの一部であってもよく、又は、それらを含んでもよい。
【0074】
モジュールは、1つ又は複数のインターフェイス回路を含んでもよい。複数の例のうちのいくつかにおいて、インターフェイス回路は、有線又は無線インターフェイスを含んでもよく、それらの有線又は無線インターフェイスは、ローカルエリアネットワーク(LAN)、インターネット、ワイドエリアネットワーク(WAN)、又はそれらの組み合わせに接続される。この開示の任意の与えられるモジュールの機能は、インターフェイス回路を介して接続される複数のモジュールの間に分配されてもよい。例えば、複数のモジュールは、負荷平衡化を可能としてもよい。さらなる例において、(また、リモートモジュール又はクラウドモジュールとして知られている)サーバモジュールは、クライアントモジュールを代表して複数の機能のうちのいくつかを達成してもよい。
【0075】
上記で説明されているように、コードの語は、ソフトウェア、ファームウェア、及び/又はマイクロコードを含んでもよく、プログラム、ルーチン、関数、クラス、データ構造、及び/又は対象物を指してもよい。共有プロセッサ回路の語は、単一のプロセッサ回路を包含し、その単一のプロセッサ回路は、複数のモジュールからのコードのうちの一部又はすべてを実行する。グループプロセッサ回路の語は、プロセッサ回路を含み、そのプロセッサ回路は、追加的なプロセッサ回路と組み合わせて、1つ又は複数のモジュールからのコードのうちの一部又はすべてを実行する。複数のプロセッサ回路への言及は、個別のダイの上の複数のプロセッサ回路、単一のダイの上の複数のプロセッサ回路、単一のプロセッサ回路の複数のコア、単一のプロセッサ回路の複数のスレッド、又はこれらの組み合わせを包含する。共有メモリ回路の語は、単一のメモリ回路を包含し、その単一のメモリ回路は、複数のモジュールからのコードのうちの一部又はすべてを格納する。グループメモリ回路の語は、ある1つのメモリ回路を包含し、そのメモリ回路は、追加的なメモリと組み合わせて、1つ又は複数のモジュールからのコードのうちの一部又はすべてを格納する。
【0076】
メモリ回路の語は、コンピュータ読み取り可能な媒体の語のサブセットである。本明細書において使用されるコンピュータ読み取り可能な媒体の語は、(搬送波によってといったように)媒体を介して伝播する一時的な電気信号又は電磁信号を含まず、したがって、コンピュータ読み取り可能な媒体の語は、有体的であり且つ非一時的であると考えられてもよい。非一時的な且つ有体的なコンピュータ読み取り可能な媒体の非限定的な例は、(フラッシュメモリ回路、消去可能な且つプログラム可能な読み取り専用メモリ回路、又はマスク読み取り専用メモリ回路等の)不揮発性メモリ回路、(静的なランダムアクセスメモリ回路又は動的なランダムアクセスメモリ回路等の)揮発性メモリ回路、(アナログ又はディジタル磁気テープ、或いは、ハードディスクドライブ等の)磁気記憶媒体、及び(CD、DVD、ブルーレイディスク等の)光記憶媒体である。
【0077】
この出願において説明されている装置及び方法は、特別な目的のコンピュータによって部分的に又は完全に実装されてもよく、その特別な目的のコンピュータは、コンピュータプログラムの中で具現化されている1つ又は複数の特定の機能を実行するように汎用コンピュータを構成することによって作成される。上記で説明されている機能ブロック、フローチャート構成要素、及びその他の要素は、ソフトウェア仕様として機能し、それらのソフトウェア仕様は、熟練した技術者又はプログラマーの日常作業によってコンピュータプログラムへと変換されてもよい。
【0078】
コンピュータプログラムは、プロセッサ実行可能な命令を含み、それらのプロセッサ実行可能な命令は、少なくとも1つの非一時的な且つ有体的なコンピュータ読み取り可能な媒体に格納される。コンピュータプログラムは、また、格納されているデータを含んでもよく、又は、その格納されているデータに依存してもよい。コンピュータプログラムは、特別な目的のコンピュータのハードウェアと対話する基本入出力システム(BIOS)、特別な目的のコンピュータの特定のデバイスと対話するデバイスドライバ、1つ又は複数のオペレーティングシステム、ユーザアプリケーション、バックグラウンドサービス、バックグラウンドアプリケーション等を含んでもよい。
【0079】
コンピュータプログラムは、 (i) HTML(ハイパーテキストマークアップ言語)、XML(拡張可能なマークアップ言語)、又はJSON(ジャバスクリプトオブジェクト表記法)等の構文解析される記述的なテキスト、(ii) アセンブリコード、(iii) コンパイラによってソースコードから生成されるオブジェクトコード、(iv) インタプリタが実行するためのソースコード、(v) ジャストインタイムコンパイラによるコンパイル及び実行のためのソースコード等を含んでもよい。例示の目的に過ぎないが、ソースコードは、C、C++、C#、Objective-C、Swift、Haskell、Go、SQL、R、Lisp、Java、Fortran、Perl、Pascal、Curl、OCaml、Javascript、HTML5(ハイパーテキストマークアップ言語第5版)、Ada、ASP(Active Server Pages)、PHP(PHP: ハイパーテキストプリプロセッサ)、Scala、Eiffel、Smalltalk、Erlang、Ruby、Flash、Visual Basic、Lua、MATLAB(登録商標)、SIMULINK(登録商標)、及びPythonを含む言語からの構文を使用して記述されてもよい。
【国際調査報告】