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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-18
(54)【発明の名称】誘電体ロッドアンテナアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   H01Q 21/06 20060101AFI20240910BHJP
   H01Q 13/24 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
H01Q21/06
H01Q13/24
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024516422
(86)(22)【出願日】2022-09-19
(85)【翻訳文提出日】2024-05-09
(86)【国際出願番号】 AU2022051123
(87)【国際公開番号】W WO2023039640
(87)【国際公開日】2023-03-23
(31)【優先権主張番号】2021902999
(32)【優先日】2021-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
(71)【出願人】
【識別番号】524095306
【氏名又は名称】イー エム ソリューションズ プロプリエイタリー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100135781
【弁理士】
【氏名又は名称】西原 広徳
(74)【代理人】
【識別番号】100217227
【弁理士】
【氏名又は名称】野呂 亮仁
(72)【発明者】
【氏名】ネス ジョン ブレイン
(72)【発明者】
【氏名】カリベーシック サビン
【テーマコード(参考)】
5J021
5J045
【Fターム(参考)】
5J021AA08
5J021AA09
5J021AA10
5J021AB02
5J021CA02
5J045AA05
5J045AB08
5J045DA18
5J045LA03
(57)【要約】
誘電体ロッドアンテナアセンブリは、複数の誘電体ロッドアンテナの中へと電磁エネルギを方向づけるように配置された単一の導波管と、単一の導波管に接続された複数の誘電体ロッドアンテナとを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体ロッドアンテナアセンブリであって、
電磁エネルギを複数の誘電体ロッドアンテナの中へと方向づけるように配置された単一の導波管と、
前記単一の導波管に接続された複数の誘電体ロッドアンテナと、を備える、
誘電体ロッドアンテナアセンブリ。
【請求項2】
前記単一の導波管が、共通の誘電体導波管である、
請求項1に記載の誘電体ロッドアンテナアセンブリ。
【請求項3】
前記誘電体ロッドアンテナアセンブリが、前記単一の導波管に接続された2以上の誘電体ロッドアンテナを備える、
請求項1または2に記載の誘電体ロッドアンテナアセンブリ。
【請求項4】
前記誘電体ロッドアンテナアセンブリが、前記単一の導波管に接続された少なくとも4つの放射誘電体ロッド開口部を備える、
請求項1または2に記載の誘電体ロッドアンテナアセンブリ。
【請求項5】
前記誘電体ロッドアンテナアセンブリが、前記単一の導波管に接続された2~12個の間の誘電体ロッドアンテナを備える、
請求項1または2に記載の誘電体ロッドアンテナアセンブリ。
【請求項6】
前記誘電体ロッドアンテナアセンブリが、前記単一の導波管に接続された4~8個の間の誘電体ロッドアンテナを備える、
請求項1または2に記載の誘電体ロッドアンテナアセンブリ。
【請求項7】
前記複数の誘電体ロッドアンテナの各々が、放射誘電体ロッドを備える、
請求項1~6のいずれか一項に記載の誘電体ロッドアンテナアセンブリ。
【請求項8】
前記複数の誘電体ロッドアンテナの各々が、放射誘電体ロッド開口部を備える、
請求項1~7のいずれか一項に記載の誘電体ロッドアンテナアセンブリ。
【請求項9】
前記単一の導波管が、前記複数の誘電体ロッドアンテナの各々に接続される、
請求項1~8のいずれか一項に記載の誘電体ロッドアンテナアセンブリ。
【請求項10】
前記誘電体ロッドアンテナアセンブリが、前記複数の誘電体ロッドアンテナの入力部に位置するマッチングセクションを備える、
請求項1~9のいずれか一項に記載の誘電体ロッドアンテナアセンブリ。
【請求項11】
前記複数の誘電体ロッドアンテナが、円形のアレイ状に間隔を置いて配置される、
請求項1~10のいずれか一項に記載の誘電体ロッドアンテナアセンブリ。
【請求項12】
前記複数の誘電体ロッドが、円形のアレイ状に等間隔を置いて配置される、
請求項1~10のいずれか一項に記載の誘電体ロッドアンテナアセンブリ。
【請求項13】
前記複数の誘電体ロッドアンテナが、円形のアレイ状に対象配置される、
請求項1~10のいずれか一項に記載の誘電体ロッドアンテナアセンブリ。
【請求項14】
前記複数の誘電体ロッドアンテナが、放射対称状に配置される、
請求項1~13のいずれか一項に記載の誘電体ロッドアンテナアセンブリ。
【請求項15】
前記誘電体ロッドアンテナが、正方形または長方形のアレイ状に間隔を置いて配置される、
請求項1~10のいずれか一項に記載の誘電体ロッドアンテナアセンブリ。
【請求項16】
誘電体ロッドアンテナアセンブリであって、
電磁エネルギを複数の誘電体ロッドアンテナの中へと方向づけるように配置された単一の導波管と、
前記単一の導波管に接続された複数の誘電体ロッドアンテナと、を備え、
前記アンテナアセンブリのゲインが、単一の誘電体ロッドアンテナを有するアンテナアセンブリのゲインよりも大きく、前記複数の誘電体ロッドアンテナの各々と、前記単一の誘電体ロッドアンテナとが、等しい長さである、
誘電体ロッドアンテナアセンブリ。
【請求項17】
共通の誘電体導波管に接続するように構成された複数の誘電体ロッドアンテナを備える、
誘電体ロッドアンテナアセンブリ。
【請求項18】
単一の導波管に接続された複数の誘電体ロッドアンテナを有する誘電体ロッドアンテナアセンブリを備える、
パラボラ反射アンテナシステム。
【請求項19】
誘電体ロッドアンテナアセンブリであって、
電磁エネルギを複数の誘電体ロッドアンテナの中へと方向づけるように配置された単一の導波管と、
前記導波管に接続された複数の誘電体ロッドアンテナと、を備える、
誘電体ロッドアンテナアセンブリ。
【請求項20】
誘電体ロッドアンテナアセンブリであって、
複数の誘電体ロッドアンテナに向かう、またはそこからの電磁エネルギを方向づけるように配置された共通の誘電体導波管と、
前記共通の誘電体導波管に接続された複数の誘電体ロッドアンテナと、を備える、
誘電体ロッドアンテナアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、誘電体ロッドアンテナアセンブリに関する。特に、本開示は、これらに限定されないが、複数の誘電体ロッドを有する誘電体ロッドアンテナアセンブリの形態の、コンパクトかつ高ゲインの複数のロッド誘電体アンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
先行技術の方法、装置、または文書へのあらゆる言及は、それらが一般的な知識を形成している、または一般的な知識の一部を形成していることを示す証拠または容認を構成するものとはみなされない。
【0003】
RF(無線周波数)、マイクロ波、ミリ波周波数用の誘電体ロッドアンテナは、通常、略円錐形または錐台形状を有する。アンテナの大口径セクションでは、信号は誘電体ロッドと周囲の空気との界面によって効果的に結合され、ガイド波が提供される。アンテナに信号を放射させるため、ロッドの直径ははるかに小さな直径まで徐々にテーパ状にされ、エネルギをロッドから離れさせてアンテナとして機能させる。
【0004】
誘電体ロッドアンテナ(表面波アンテナファミリのサブセット)は、長年にわたって研究されており、設計方程式および設計方法は、(Zukker、1969)に要約されている。研究にもかかわらず、誘電体ロッドアンテナは、RFおよび低マイクロ波周波数でのワイヤおよびプレート構造から、高マイクロ波およびミリ波周波数でのホーンおよび反射器に至る多種多様な形態で存在する従来の金属製アンテナと比較して、広範には使用されていない。
【0005】
誘電体ロッドアンテナのゲイン、すなわちビームを集光する能力は、放射テーパセクションの長さを増大させることによって増大し、この方法によって20dB、さらには25dBのゲインを実現することが可能である。より高いゲインを得るために、誘電体ロッドアンテナをパラボラアンテナの給電アンテナとして使用することができ、この場合、20~50dBのアンテナゲインが容易に実現される。
【0006】
しかしながら、誘電体ロッドアンテナは、単体として、あるいはパラボラ反射アンテナの給電部として、非常に限られた用途が見出されているように思われる。その理由は、誘電体ロッドアンテナの以下のような問題に関連している:
1.誘電体材料の損失。テフロン、ピュアシリカ、酸化アルミニウム等、最も低損失の誘電体材料で作られた誘電体導波管でも、単位長さあたりの損失は金属導波管よりも大きくなる。
2.誘電体ロッドアンテナによって放射されるパターンはほぼ制御されない。ゲインは放射テーパの長さによってある程度制御されるが、これも比較的限られている;
3.強く放射する誘電体ロッドアンテナのセクションの位置および長さが周波数に依存するため、誘電体ロッドアンテナをパラボラ反射器の給電部として使用する場合は特に、周波数帯域幅がかなり制限される場合がある。主放射セクションの位置が周波数とともにロッドに沿ってシフトする場合、このことは給電の位相中心がシフトすることに相当し、パラボラ反射アンテナで広帯域にわたって良好なアンテナパターンを維持することが困難になる。
4.単位長さあたりの損失と放射セクションのテーパリングが、誘電体材料の加熱により、誘電体ロッドアンテナを介して伝送可能な最大電力を厳しく制限する可能性がある。
【0007】
誘電体ロッドアンテナのいくつかの既存の設計は、中心ロッドを、追尾に使用される複数のロッドが取り囲む主アンテナ給電部とし、各ロッドが別個の正方形の導波管によって給電さえることを含む、複数のロッドを利用する。しかしながら、そのような設計は、高ゲイン用途には公的ではなく、最適化されていない。
【発明の概要】
【0008】
一つの態様では、本発明は誘電体ロッドアンテナアセンブリを提供し、
電磁エネルギを複数の誘電体ロッドアンテナの中へと方向づけるように配置された単一の導波管と、
単一の導波管に接続された複数の誘電体ロッドアンテナと、を備える。
【0009】
好ましくは、単一の導波管は、共通の誘電体導波管である。
【0010】
好ましくは、複数の誘電体ロッドアンテナの各々が、放射誘電体ロッドを備える。より好ましくは、複数の誘電体ロッドアンテナの各々が、放射誘電体ロッド開口部を備える。
【0011】
好ましくは、誘電体ロッドアンテナアセンブリは、単一の導波管(または共通の誘電体導波管)に接続された2以上の放射誘電体ロッド開口部または誘電体ロッドアンテナを備える。好ましくは、誘電体ロッドアンテナアセンブリは、単一の導波管に接続された少なくとも4つの放射誘電体ロッド開口部または誘電体ロッドアンテナを備える。より好ましくは、追尾用途のために、誘電体ロッドアンテナアセンブリは、単一の導波管(または共通の誘電体導波管)に接続された4~8個の放射誘電体ロッド開口部または誘電体ロッドアンテナを備える。
【0012】
好ましくは、単一の導波管は、複数の誘電体ロッドアンテナの各々に接続される。使用時、複数の誘電体ロッドアンテナが、単一の高ゲインビームを生成する。
【0013】
好ましくは、誘電体ロッドアンテナアセンブリが、マッチングセクションを備える。好ましくは、マッチングセクションは、複数の誘電体ロッドアンテナの入力部に位置する。
【0014】
好ましくは、誘電体ロッドアンテナアセンブリは、単一の導波管に接続された2~12個の間の誘電体ロッドアンテナを備える。より好ましくは、誘電体ロッドアンテナアセンブリは、単一の導波管に接続された4~8個の間の誘電体ロッドアンテナを備える。
【0015】
好ましくは、複数の誘電体ロッドアンテナが、円形のアレイ状に間隔を置いて配置される。このことは、追尾用途に特に好適である。より好ましくは、複数の誘電体ロッドが、円形のアレイ状に等間隔を置いて配置される。好ましくは、複数の誘電体ロッドアンテナが、円形のアレイ状に対象配置される。好ましくは、複数の誘電体ロッドアンテナが、放射対称状に配置される(すなわち、中心軸の周囲に配置される)。代替的には、誘電体ロッドアンテナが、正方形または長方形のアレイ状に間隔を置いて配置される。
【0016】
一つの態様では、本発明は誘電体ロッドアンテナアセンブリを提供し、
電磁エネルギを複数の誘電体ロッドアンテナの中へと方向づけるように配置された単一の導波管と、
単一の導波管に接続された複数の誘電体ロッドアンテナと、を備え、
アンテナアセンブリのゲインが、単一の誘電体ロッドアンテナを有するアンテナアセンブリのゲインよりも大きく、複数の誘電体ロッドアンテナの各々と、単一の誘電体ロッドアンテナとが、等しい長さである。
【0017】
別の態様では、本発明は、共通の誘電体導波管に接続するように構成された複数の誘電体ロッドアンテナを備える、誘電体ロッドアンテナアセンブリを提供する。
【0018】
別の態様では、本発明は、単一の導波管に接続された複数の誘電体ロッドアンテナを有する誘電体ロッドアンテナアセンブリを備える、パラボラ反射アンテナシステムを提供する。
【0019】
別の態様では、本発明は誘電体ロッドアンテナアセンブリを提供し、
電磁エネルギを複数の誘電体ロッドアンテナの中へと方向づけるように配置された単一の導波管と、
導波管に接続された複数の誘電体ロッドアンテナと、を備える。
【0020】
別の態様では、本発明は誘電体ロッドアンテナアセンブリを提供し、
複数の誘電体ロッドアンテナに向かう、またはそこからの電磁エネルギを方向づけるように配置された共通の誘電体導波管と、
共通の誘電体導波管に接続された複数の誘電体ロッドアンテナと、を備える。
【0021】
本発明の好ましい特徴、実施形態および変形は、当業者が本発明を実施するのに十分な情報を提供する以下の詳細な説明から識別することができる。詳細な説明は、いかなる形においても前述の発明の概要の範囲を限定するものと見なされるものではない。詳細な説明は、以下の多くの図面を参照している。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施形態による8素子の誘電体ロッドアンテナを図示する。
図2】導波管に接続された図1に示す8素子誘電体ロッドアンテナの断面を図示する。
図3】本発明の一実施形態による4素子誘電体ロッドアンテナを図示する。
図4】単一の誘電体ロッドアンテナと8素子誘電体ロッドアンテナとの間のゲインv周波数の比較を示すグラフである。
図5】単一の誘電体ロッドアンテナと8素子誘電体ロッドアンテナとの間の3dBビーム幅対周波数の比較を示すグラフである。
図6】単一の誘電体ロッドアンテナと8素子誘電体ロッドアンテナとの間の位相中心位置対周波数の比較を示すグラフである;
図7】20W、30GHz励振による単一の誘電体ロッドアンテナの予想温度を図示する。
図8】20W、30GHz励起による8素子誘電体ロッドアンテナの予想温度を図示する。
図9】誘電体ロッドアンテナを有するパラボラ反射アンテナの断面図を図示する。
図10】本発明の別の実施形態による8素子誘電体ロッドアンテナを図示する。
図11図10に示す8素子誘電体ロッドアンテナの断面図を図示する。
図12】本発明の別の実施形態による8素子誘電体ロッドアンテナを図示する。
図13図12に示す8素子誘電体ロッドアンテナの断面図を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1~3は、スタンドアロンアンテナとして、またパラボラ反射アンテナのための広帯域フィードとして使用されることができる誘電体ロッドアンテナを図示する。この設計は、既存の誘電体ロッドアンテナに関連する問題を実質的に低減させると同時に、完全な円対称性、直線または円偏波動作、およびパラボラ反射アンテナ実装の高次モードトラッキング能力を提供する。
【0024】
図1および2は、単一の導波管102に接続された複数の誘電体ロッドアンテナ100を有する誘電体ロッドアンテナアセンブリ10を図示する。
【0025】
図示された実施形態では、誘電体ロッドアンテナアセンブリ10は、単一の導波管102(共通の誘電体導波管の形状)およびマッチングセクション104に接続された8つの誘電体ロッドアンテナ100(8つの放射誘電体ロッド開口部の形状)を含み、それによって、誘電体ロッドアンテナアセンブリ10のゲインが、等しい長さの単一の誘電体ロッドアンテナを有するアンテナアセンブリよりも大きくなる。すなわち、各々が長さLを有する8つの誘電体ロッドアンテナを有するアンテナアセンブリは、長さLを有する単一の誘電体ロッドアンテナを有するアンテナアセンブリよりも大きいゲインを有する。
【0026】
さらに、誘電体ロッドアンテナアセンブリ10は、はるかに長い長さを有する単一の誘電体ロッドアンテナアセンブリよりも大きいゲインを有することがわかっている。言い換えると、誘電体ロッドアンテナアセンブリ10の8つの誘電体ロッド100の長さ(8つすべてのロッドが同じ長さである)は、単一の誘電体ロッドアンテナを有するアンテナアセンブリの長さを下回り、両方のアセンブリが同じゲインを提供する。
【0027】
本明細書に開示された誘電体ロッドアンテナアセンブリ10の動作上の利点は、誘電体ロッドアンテナアセンブリ10の長さに対するゲインの比率が、単一の誘電体ロッドアンテナを有するアンテナアセンブリの長さに対するゲインの比率よりも大きくなるようにされることである。
【0028】
図1に図示された実施形態は、高次モードアンテナ追尾のための完全な円対称性を維持するための8つの誘電体ロッドアンテナを含むが、2に等しいかまたはそれを上回る任意の数のロッド(たとえば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12等)を使用することができることがわかっている。
【0029】
いくつかの特定の実施形態では、誘電体ロッドアンテナアセンブリ10は、単一の導波管102(または共通の誘電体導波管)に接続された2以上の放射誘電体ロッド開口部または誘電体ロッドアンテナを含む。誘電体ロッドアンテナアセンブリは、単一の導波管に接続された少なくとも4つの放射誘電体ロッド開口部または誘電体ロッドアンテナをさらに含み得る。いくつかの実施形態では、誘電体ロッドアンテナアセンブリは、単一の導波管(または共通の誘電体導波管)に接続された4~8つの放射誘電体ロッド開口部または誘電体ロッドアンテナを含む。
【0030】
上記に加え、誘電体ロッドアンテナアセンブリは、単一の導波管に接続された2~12個の誘電体ロッドアンテナを含み得る。より好ましくは、誘電体ロッドアンテナアセンブリは、単一の導波管に接続された4~8つの誘電体ロッドアンテナを含み得る。
【0031】
単一の導波管102は、自身に接続された複数の誘電体ロッドアンテナ102の中へと電磁エネルギを方向づけるように配置される。
【0032】
より特定的には、図示された実施形態では、単一の導波管102は、8つの誘電体ロッドアンテナ100の各々に、またはそこから電磁波を供給する円形の導波管を含み、それによって、8つの誘電体ロッドアンテナ100の各々が互いに独立して動作するようにされる。
【0033】
しかしながら、単一の導波管102は、たとえば正方形、六角形または八角形を含む任意の多角形状を取ることができる。
【0034】
8つの誘電体ロッドアンテナ100は、対称に配置され、円形のアレイ状に互いに対して等しく間隔を置いて配置される。図示された実施形態から理解できるように、8つの誘電体ロッドアンテナ100は、中心ロッドなく中心軸106の周囲に放射対称状に配置される。
【0035】
8つの誘電体ロッドアンテナ100の各々は、細長い円筒形のシャフト100aと、マッチングセクション104に対して遠位端にある円形の台100bとを含む。
【0036】
マッチングセクション104は、テーパ状の誘電体ロッドアンテナ100の入力端に設けられる。いくつかの実施形態では、マッチングセクション104を省略しても良いことが理解されよう。
【0037】
図3を参照すると、4つの誘電体ロッドアンテナ200を有する誘電体ロッドアセンブリ20の代替の実施形態が示されている。この実施形態は、誘電体ロッドアンテナアセンブリ10と実質的に類似している。しかしながら、4つの誘電体ロッドアンテナ200は、誘電体ロッドアンテナアセンブリ10のような円形のアレイではなく、正方形のアレイ状で均等に間隔を置いて配置されている。ただし、正方形のアレイは円形の円周上に収まると理解することができ、円形のアレイ状に配置されているとも考え得る。
【0038】
誘電体ロッドアンテナアセンブリ20は、4つの誘電体ロッドアンテナアセンブリ200の各々に給電する単一の円形導波管202をさらに含む。また、誘電体ロッドアンテナアセンブリ20は、いくつかの実施形態では、マッチングセクション(上述のマッチングセクション104と同様)を含み得る。
【0039】
本発明者は、単一の誘電体ロッドを複数のテーパ状ロッドのアレイに置き換えることが、コンパクトな形状因子(すなわち、単一のロッド構成と比較して全体的なサイズを縮小する)で高いゲイン(特に、単一の高ゲインビーム)を達成するために有利であることを発見した。また、本発明者は、4つのロッド(図3参照)は基本モードに必要とされる完全な円対称性を提供するが、より高次なモード追尾の場合には、図1および2に示すような8つのロッドを使用することが好ましいことを発見した。
【0040】
図1に示した実施形態におけるゲインへの主な効果は、単一のロッドと比較して、同等の長さで達成可能なゲインが著しく増加することである。ゲインおよびビーム幅は、ロッドの長さとレートのみならず、ロッドのアレイの数および間隔によっても制御することができるという点で、より高い自由度を有する。同じ長さの単一のロッドと8つのロッドアレイに対するゲインおよびビーム幅を、図4および図5で比較している。4つおよび8つのロッドアレイのより高いゲインおよびより小さなビーム幅によって、これらの構成はパラボラアンテナシステムの給電アンテナとしてより好適となっている。
【0041】
本明細書で開示された実施形態の帯域幅への影響に目を向けると、主放射セクションの場所は、給電素子として使用された場合の位相中心に相当し、単一(1)、4つ(4)、および8つ(8)のロッドアレイの周波数に関して表されている。位相中心の位置は、4つまたは8つのロッドアレイでは、単一の素子またはロッドと比較して周波数に対しはるかに低い依存性であることがわかった。結果的に、パラボラ反射アンテナの給電として使用する場合、アンテナゲインおよびパターンは、単一の誘電体ロッド給電の場合よりも周波数への依存が低くなる。
【0042】
図6は、単一の誘電体ロッドと比較した4つの誘電体ロッドアレイの位相中心の安定性を示す。図からわかるように、4つの誘電体ロッドアレイは、より高い周波数帯域にわたって10mmの範囲内で安定した位相中心を有するのに対し、単一の誘電体ロッドは40mm前後と、はるかに高いばらつきを有する。特にパラボラアンテナでは、正確な位置決めおよび広帯域にわたり良好なアンテナパターンを維持するために、安定した位相中心(すなわちばらつきが少ないこと)が望ましいことは確かに明らかであろう。
【0043】
当業者においては、図示された例では位相中心位置が17.70~21.20GHzおよび27.50~31GHzに最適化されており、よって位相中心位置がこれらの周波数においてより多くまとまっていることが理解されるべきである。
【0044】
電力処理能力は、誘電体材料が耐えることができる最大温度によって決定される。誘電体材料に吸収される電力は、誘電率、誘電正接、周波数および電力レベルの複雑な関数である。材料において到達する最高温度も同様に、誘電体材料の熱特性、サイズおよび形状、誘電体ロッド上の空気の流れの複雑な関数である。
【0045】
本明細書で開示された実施形態で使用されるマルチロッドアレイでは、電力、そしてひいては電力損失とそれに続く加熱が複数の素子/ロッドに分散され、それによって、電力損失および誘電体材料における最高温度が低減され、ゆえに誘電体材料の動作寿命およびロッドアンテナの動作効率の両方が改善される。
【0046】
周波数30GHz、入力電力20ワットでの所与の誘電体材料について、単一のロッドおよび8つのロッドアレイにおける予想温度を図7および図8に示す。単一のロッドの最高温度は約45℃であるのに対し、8つのロッドアレイの最高温度は約30℃である。このように、受動的な空冷を想定すると、8つのロッドアレイ(図8に示す)は、単一の素子/ロッド(図7に示す)と比較して約15℃温度が低いことが理解できる。このことは、動作温度における著しい低減を示している。
【0047】
図9を参照すると、上述したように、8つの誘電体ロッドアンテナを有する誘電体ロッドアンテナアセンブリ10に装着されたパラボラ反射器900を有するパラボラ反射アンテナシステム90が図示されている。特に、誘電体ロッドアンテナアセンブリ10は、複数の誘電体ロッドアンテナに接続された単一の導波管を含む。
【0048】
ここでマルチロッドアンテナの給電およびテーパリングの方法について考察すると、誘電体ロッドアンテナのカップリングを出入りさせる最も簡単な方法は、誘電体を導波管(通常は円形)の内側に取り付け、ロッドをテーパリングして広範な周波数範囲にわたって良好なマッチングを得ることである。本明細書に記載されるマルチロッドアンテナの構成は、電力分配器/結合器に類似した、複数の別個のロッドに給電する1つの大きなマッチングセクションを含む。マルチロッドアンテナにおけるE電界およびH電界の分布は、大部分はロッド間の自由空間を伝搬する。
【0049】
誘電体装荷円形導波管とマルチロッドセクションとの間の急激な遷移(例えば、図1、2、3参照)は、一般に、結果として低いリターンロス(RL)の影響を受ける不十分にマッチングされた遷移をもたらす。
【0050】
遷移のRLは、以下に説明する2つの設計のうちの一方を使用して改善することができる。両方の設計が、基本および追尾する円形導波管モードの両方の伝搬を可能にするような直径のサイジングを伴うが、これは2つの異なる方法で達成される。
【0051】
図10および図11に図示された1つの手法は、ロッドを外側に向けてテーパ状にすることを含む。より具体的には、マルチロッドアンテナのロッドは、マッチングセクションから外側に向かってテーパ状にされている。ロッドをマッチングセクションから外側に向かってテーパ状にすることは、完全に充填された導波管とロッド間の自由空間との間の遷移におけるマッチングを改善する。この給電方法および遷移は、通常20dBを上回るRLをもたらす。
【0052】
図10および図11に示す実施形態は、単一の導波管(図示せず)(共通の誘電体導波管の形態)およびマッチングセクション304に接続された8つの誘電体ロッドアンテナ300(8つの誘電体ロッド開口部の形態)を有する誘電体ロッドアンテナアセンブリ30を含み、それによって、誘電体ロッドアンテナアセンブリ30のゲインが、等しい長さの単一の誘電体ロッドアンテナを有するアンテナアセンブリよりも大きくなる。すなわち、各々が長さL3を有する8つの誘電体ロッドアンテナを有するアンテナアセンブリは、長さL3を有する単一の誘電体ロッドアンテナを有するアンテナアセンブリよりも大きいゲインを有する。
【0053】
8つの誘電体ロッドアンテナ300は、略円錐形(または円錐台形)であり、各誘電体ロッドアンテナ300の基部がマッチングセクション304に接続する位置に対して分岐している。すなわち、8つの誘電体ロッドアンテナ300のうちの2つの基部間の距離は、8つの誘電体ロッドアンテナ300のうちの2つの先端部間の距離よりも小さい。
【0054】
8つの誘電体ロッドアンテナ300は対称に配置され、円形のアレイ状に互いに対して等しく間隔を置いて配置される。図示された実施形態から理解できるように、8つの誘電体ロッドアンテナ300は、中心ロッドなく中心軸306の周囲に放射対称状に配置される。
【0055】
8つの誘電体ロッドアンテナ300の各々は、細長い略円筒形のシャフト300aと、マッチングセクション304に対して遠位端にある円形の台300bとを含む。
【0056】
図12および図13に図示された第2の手法は、逆円錐の給電方法を含む。より具体的には、ロッドとマッチングセクションとの間のテーパセクションは、完全に充填された導波管からロッドへのスムーズな遷移を提供し、各ロッドを取り付けるための大きな誘電体面を提供する。テーパセクションは、誘電体部分を通って伝搬する電界とロッド間の自由空間への遷移との間のマッチングを改善するための逆円錐部分を含む。この給電方法および遷移は、通常20dB以上のRLをもたらす。
【0057】
図12および図13に示す実施形態は、単一の導波管(図示せず)(共通の誘電体導波管の形態)およびマッチングセクション404に接続された8つの誘電体ロッドアンテナ400(8つの誘電体ロッド開口部の形態)を有する誘電体ロッドアンテナアセンブリ40を含み、それによって、誘電体ロッドアンテナアセンブリ40のゲインが、等しい長さの単一の誘電体ロッドアンテナを有するアンテナアセンブリよりも大きくなる。すなわち、各々が長さL4を有する8つの誘電体ロッドアンテナを有するアンテナアセンブリは、長さL4を有する単一の誘電体ロッドアンテナを有するアンテナアセンブリよりも大きいゲインを有する。
【0058】
8つの誘電体ロッドアンテナ400は、略円錐形(または円錐台形)であり、円錐部分405の形状の中間テーパ部分によってマッチングセクション404に接続されている。円錐部分405の最大直径は8つの誘電体ロッドアンテナ400に接続し、円錐部分405の頂点はマッチングセクション404に接続する。
【0059】
8つの誘電体ロッドアンテナ400は対称に配置され、円形のアレイ状に互いに対して等しく間隔を置いて配置される。図示された実施形態から理解できるように、8つの誘電体ロッドアンテナ400は、中心ロッドなく中心軸406の周囲に放射対称状に配置される。
【0060】
8つの誘電体ロッドアンテナ400の各々は、細長い略円筒形のシャフト400aと、マッチングセクション404に対して遠位端にある円形の台400bとを含む。
【0061】
給電およびテーパリング設計の両方の電磁気的性能はきわめて類似しているため、発明者らは、構成の選択は、主に、選択された誘電体材料と、その構成で利用可能な製造方法によって決定されることを想定している。
【0062】
アンテナアセンブリ20、30、40は、誘電体ロッドアンテナアセンブリと装着されたパラボラ反射器を有するパラボラ反射アンテナシステム(例えば、図9に示す)とともに使用されることもできる。
【0063】
先行するセクションで明らかなように、4つおよび8つのロッドアンテナアレイは、より高いゲインおよびより小さなビーム幅を提供する。このより高いゲインおよびより小さなビーム幅は、これらの構成を、パラボラ反射アンテナシステムのフィードアンテナとしてより好適にし、それによって、パラボラアンテナの動作を改善する。
【0064】
さらに、上述のように、4つおよび8つのロッドアンテナ構成によって提供される、比較的かつ客観的に安定した位相中心(すなわち、より低い変動)は、パラボラ反射アンテナにおいて正確な位置決めおよび広帯域にわたり良好なアンテナパターンを維持するために特に有用である。
【0065】
有利には、本発明の実施形態は、誘電体ロッドの長さを劇的に増大させることなく、最大20dBのゲインを提供する。加えて、上記で例示したように、本明細書に記載された本発明の実施形態は、既知の単一のロッドアンテナシステムと比較して、帯域幅および電力能力を向上させる。
【0066】
本明細書において、第1および第2、左および右、上および下等の形容詞は、必ずしも実際のそのような関係または順序を要求または含意することなく、1つの素子または動作を別の素子または動作から区別するためにのみ使用され得る。文脈が許す限り、整数または構成素子もしくはステップ(または同様のもの)への言及は、その整数、構成素子、またはステップのうちの1つのみに限定されると解釈されるものではなく、むしろその整数、構成素子、またはステップのうちの1つまたは複数などであることができる。
【0067】
本発明の様々な実施形態に関する上記の詳細な説明は、関連する技術分野における当業者に対する説明を目的として提供される。網羅的であること、または本発明を単一の開示された実施形態に限定することは意図されていない。上述したように、本発明の多数の代替および変形が、上記教示に関して当業者には明らかであろう。したがって、いくつかの代替実施形態について具体的に説明したが、当業者においては、他の実施形態が明らかであるか、または比較的容易に開発されるであろう。本発明は、本明細書で述べられた本発明のすべての代替、修正、および変形、ならびに上述した本発明の本質および範囲に含まれる他の実施形態を包含することが意図されている。
【0068】
オーストラリア仮特許出願番号第2021902999号の全文が、参照により本明細書に組み入れられる。
【0069】
本明細書に記載された手段は、本発明を実施する好ましい態様を成すものであるため、本発明は、図示または記載された特定の特徴に限定されるものではないことが理解されるべきである。
【0070】
したがって、本発明は、当業者によって適切に解釈される添付の特許請求の範囲の正しい範囲内において、いかなる形態または変更も主張される。
【0071】
本明細書において、「備える(comprises)」、「備える(comprising)」、「含む(includes)」、「含む(including)」等の用語は、非排他的な包含を意味することが意図され、素子のリストを構成する方法、システム、または装置は、それらの素子のみを含むのではなく、リストアップされていない他の素子を含んでもよい。
【0072】
本明細書および特許請求の範囲(存在する場合)を通じて、文脈上別段の定めがない限り、用語「実質的に(substantially)」または「およそ(about)」は、当該用語によって限定される特定の値または範囲に限定されないと理解されるべきである。

図1
図2
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図5
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図7
図8
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図10
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図12
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【国際調査報告】