(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-18
(54)【発明の名称】金属セラミック基板及び金属セラミック基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
H05K 1/02 20060101AFI20240910BHJP
H05K 1/03 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
H05K1/02 J
H05K1/03 610D
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024519590
(86)(22)【出願日】2022-09-30
(85)【翻訳文提出日】2024-04-30
(86)【国際出願番号】 EP2022077292
(87)【国際公開番号】W WO2023052589
(87)【国際公開日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】102021125557.0
(32)【優先日】2021-10-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515063390
【氏名又は名称】ロジャーズ ジャーマニー ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Rogers Germany GmbH
【住所又は居所原語表記】Am Stadtwald 2, D-92676 Eschenbach, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100116322
【氏名又は名称】桑垣 衛
(72)【発明者】
【氏名】マイヤー、アンドレアス
【テーマコード(参考)】
5E338
【Fターム(参考)】
5E338AA02
5E338AA18
5E338BB19
5E338CD02
5E338EE28
5E338EE60
(57)【要約】
電気部品を取り付けるためのプリント回路基板として提供される金属セラミック基板(1)であって、部品メタライゼーション部(10)及び裏面メタライゼーション部(20)と、部品メタライゼーション部(10)と裏面メタライゼーション部(20)との間に積層方向(S)に沿って配置されたセラミック要素(30)と、を備え、部品メタライゼーション部(10)は、第1の金属セクション(11)及び第2の金属セクション(12)を含み、第1の金属セクション(11)及び第2の金属セクション(12)は、絶縁セクション(15)によって互いに分離されており、裏面メタライゼーション部(20)は材料弱化部(25)、特に、積層方向(S)に見て、絶縁セクション(15)と少なくとも部分的に一致して配置された材料凹部を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気部品を取り付けるためのプリント回路基板として提供される金属セラミック基板(1)であって、
部品メタライゼーション部(10)及び裏面メタライゼーション部(20)と、
前記部品メタライゼーション部(10)と前記裏面メタライゼーション部(20)との間に積層方向(S)に沿って配置されたセラミック要素(30)と、を備え、
前記部品メタライゼーション部(10)は、第1の金属セクション(11)及び第2の金属セクション(12)を含み、前記第1の金属セクション(11)及び前記第2の金属セクション(12)は、絶縁セクション(15)によって互いに分離されており、
前記裏面メタライゼーション部(20)は材料弱化部(25)、特に、前記積層方向(S)に見て、前記絶縁セクション(15)と少なくとも部分的に一致して配置された材料凹部を有する、金属セラミック基板(1)。
【請求項2】
前記材料弱化部(25)は、ドーム状の凹部として形成される、請求項1に記載の金属セラミック基板(1)。
【請求項3】
前記部品メタライゼーション部(10)における前記絶縁セクション(15)は、主延長面(HSE)に平行に延びる平面において第1のコース(VE1)に従い、前記裏面メタライゼーション部(20)における前記材料弱化部(25)又は複数の材料弱化部(25)は、前記主延長面(HSE)に平行に延びる平面において第2のコース(VE2)に従い、好ましくは、前記第2のコース(VE2)は、前記積層方向(S)において前記第1のコース(VE1)と一致して配置される、請求項1又は2に記載の金属セラミック基板(1)。
【請求項4】
前記材料弱化部(25)又は前記複数の材料弱化部(25)の前記第2のコース(VE2)は、例えば孔の列の形態の一連の材料弱化部(25)によって形成され、かつ/又は2つの材料弱化部(25)間に前記第2のコース(VE2)に沿って安定化領域を有する、請求項3に記載の金属セラミック基板(1)。
【請求項5】
更なる材料弱化部(26)が設けられており、前記更なる材料弱化部(26)は、前記裏面メタライゼーション部(20)の周縁領域において前記裏面メタライゼーション部(20)に埋め込まれており、特に、絶縁セクション(15)とは独立して前記部品メタライゼーション部(10)に埋め込まれている、請求項1~4のいずれか一項に記載の金属セラミック基板(1)。
【請求項6】
前記裏面メタライゼーション部(20)における凹部として形成された前記材料弱化部(25)が、前記セラミック要素(30)まで延びる、請求項1~5のいずれか一項に記載の金属セラミック基板(1)。
【請求項7】
残留メタライゼーション部(40)が、凹部として形成された前記更なる材料弱化部(26)と前記セラミック要素(30)との間に形成される、請求項1~6のいずれか一項に記載の金属セラミック基板(1)。
【請求項8】
前記第1のコース(VE1)と前記第2のコース(VE2)とが前記積層方向(S)に見て互いに一致して走っていないセクションの、前記第1のコース(VE1)と前記第2のコース(VE2)とが前記積層方向(S)に見て互いに一致して走っているセクションに対する比が、1未満、より好ましくは0.5未満、最も好ましくは0.2未満の値を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の金属セラミック基板(1)。
【請求項9】
前記第1のコース(VE1)及び/又は前記第2のコース(VE2)に沿った単位長さ(LE)当たり、前記絶縁セクション(15)は第1の体積(V1)を有し、前記裏面メタライゼーション部(20)における前記材料弱化部(25)又は前記複数の材料弱化部は第2の体積(V2)を有し、前記第1の体積(V1)及び前記第2の体積(V2)は、それらの絶対サイズに関して実質的に等しく、それらの幾何学的形状に関して異なる、請求項1~8のいずれか一項に記載の金属セラミック基板(1)。
【請求項10】
電気部品を取り付けるためのプリント回路基板として提供される金属セラミック基板(1)であって、
部品メタライゼーション部(10)及び裏面メタライゼーション部(20)と、
前記部品メタライゼーション部(10)と前記裏面メタライゼーション部(20)との間に積層方向(S)に沿って配置されたセラミック要素(30)と、を備え、
前記部品メタライゼーション部(10)は、第1の金属セクション(11)及び第2の金属セクション(12)を有し、前記第1の金属セクション(11)及び前記第2の金属セクション(12)は、絶縁セクション(15)によって互いに分離され、かつ/又は電気部品用の接続領域が前記第1の金属セクション上に設けられ、
前記裏面メタライゼーション部(20)は材料弱化部(25)、特に、前記積層方向(S)に見て、前記接続領域と少なくとも部分的に一致して配置された材料凹部を有する、金属セラミック基板(1)。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の金属セラミック基板(1)を製造する方法であって、
部品メタライゼーション部(10)と、裏面メタライゼーション部(30)と、セラミック要素(20)とを設けることと、
前記部品メタライゼーション部(10)と前記裏面メタライゼーション部(30)とを前記セラミック要素(20)に接合することであって、前記セラミック要素(20)が前記部品メタライゼーション部(10)と前記裏面メタライゼーション部(20)との間に積層方向(S)に沿って配置されることと、
絶縁セクション(15)を実現することによって前記部品メタライゼーション部(10)を構造化することと、
前記裏面メタライゼーション部(20)において材料弱化部(25)を実現することであって、前記材料弱化部(25)は、前記積層方向(S)に見て、前記絶縁セクション(15)及び/又は前記第1の金属セクションの接続領域と一致して配置されることと、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属セラミック基板及び金属セラミック基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば金属セラミック基板の形態の電気部品用のキャリア基板は、例えば特許文献1~3より、例えばプリント回路基板又は回路基板として、従来技術から十分に知られている。典型的には、電気部品及び導体経路のための接続領域は、金属セラミック基板の一方の部品側に配置され、ここで、電気部品及び導体経路は、電気回路を形成するために相互に接続され得る。金属セラミック基板の本質的な部品は、より好ましくはセラミックから製造された絶縁層、及び部品メタライゼーション部、又は絶縁層に接合された部品メタライゼーション部である。セラミックから製造された絶縁層は、それらの比較的高い絶縁強度により、パワーエレクトロニクスにおいて特に有利であることが証明されている。部品メタライゼーション部を構造化することによって、電気部品用の導体経路及び/又は接続領域を作り出すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】独国特許出願公開第102013104739号明細書
【特許文献2】独国特許出願公告第19927046号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第102009033029号明細書 熱間等方圧加圧法、拡散接合プロセス、直接金属接合プロセス、DCBプロセス、又は活性はんだ付けプロセスなどの高温プロセスが、通常、部品メタライゼーション部をセラミック要素に接合するために提供される。個々の導体経路又は接続領域を形成するために、接合された部品メタライゼーション部は、少なくとも第1の金属セクション及び第2の金属セクションが部品メタライゼーション部に形成され、それらが互いに分離されかつ絶縁されるように構造化される。部品メタライゼーション部とセラミック要素とは異なる膨張係数を有するので、例えば接合中に、又は電気部品に起因して温度が上昇すると、部品メタライゼーション部とセラミック要素との間の接合界面に熱機械的応力が発生し、これにより金属セラミック基板全体が反る可能性がある。この影響を打ち消すために、従来技術では、金属セラミック基板の部品側と裏面との間に対称性を作り出すために、裏面メタライゼーション部がセラミック要素に接合されるようになっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術に基づいて、本発明は、金属セラミック基板を改善して、金属セラミック基板の反りやすさを更に低減し、できるだけ平坦な金属セラミック基板を提供する目的を有する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、この目的を、請求項1に記載の方法及び請求項10に記載の方法で製造された金属セラミック基板によって達成する。
第1の態様によれば、電気部品を取り付けるためのプリント回路基板として提供又は意図される金属セラミック基板が提供され、この基板は、
部品メタライゼーション部及び裏面メタライゼーション部と、
部品メタライゼーション部と裏面メタライゼーション部との間に積層方向に沿って配置されたセラミック要素と、を備え、
部品メタライゼーション部は、第1の金属セクション及び第2の金属セクションを含み、第1の金属セクション及び第2の金属セクションは、絶縁セクションによって互いに分離されており、
裏面メタライゼーション部は、材料弱化部、特に、積層方向に見て、絶縁セクションと一致して配置された材料凹部を有する。
【0006】
従来技術から知られている金属セラミック基板とは対照的に、裏面メタライゼーション部は材料弱化部を有し、この材料弱化部は、部品側の絶縁セクション又は複数の絶縁セクションと一致して配置されるか、又は延びるように正確に配置されると規定される。これにより、有利なことに、部品側及び反対の裏面における材料分布の対称性を向上させる。その結果、部品側と裏側に生じる熱機械的応力が互いに相殺するので、基板全体の曲がりやすさを低減することができる。これは、曲がる傾向を更に低減することができ、可能な限り平坦な金属セラミック基板を提供することができることを意味する。この目的のために、好ましくは、部品メタライゼーション部の第1の厚さは、裏面メタライゼーション部の第2の厚さに実質的に対応する。
【0007】
一致した配置とは、特に、積層方向に沿って、又は積層方向に平行に走る方向に沿って材料弱化部を仮想投影した場合に、絶縁セクションとの空間的重なりが確立されることを意味する。この場合、この仮想的な空間的重なりは、裏面メタライゼーション部における材料弱化部の広がりの50%より多く、より好ましくは75%より多く、最も好ましくは90%より多くにわたって生じる。材料弱化部の広がりの中心は、絶縁セクションの広がりの中心と本質的に一致して配置され得るか、又は横方向に、すなわち積層方向に対して垂直な方向に沿ってオフセットされ得る。
【0008】
更に、好ましくは、セラミック要素は、積層方向に沿って測定された第3の厚さを有することが規定される。特に好ましくは、第3の厚さは、700μm未満、より好ましくは400μm未満、最も好ましくは330μm未満であると規定される。裏面メタライゼーション部における材料弱化部と部品メタライゼーション部における絶縁セクションとの間の対称性は、比較的薄い絶縁層又はセラミック要素に対して特に有利であることが判明している。なぜなら、これらのセラミック要素は、特に曲がりやすく、損傷を受け易いためである。例えば、セラミック要素の第3の厚さが、部品メタライゼーション部の第1の厚さ及び裏面メタライゼーション部の第2の厚さ、又は第1の厚さと第2の厚さの合計よりも小さいか又は薄いことさえ考えられる。
【0009】
更に、好ましくは、構造化及び/又は材料弱化部の導入は、メタライゼーション部及び/又は裏面メタライゼーション部をセラミック要素に接合した後に行われると規定される。
【0010】
特に、プリント回路基板として使用されるのは金属セラミック基板であり、この基板では、メタライゼーション部、すなわち部品メタライゼーション部が部品側に形成され、この部品側は、構造化に起因していくつかの電気的に絶縁されたメタライゼーションセクションを有する。これらのメタライゼーションセクションは、例えば、プリント回路基板の接続領域又はパッド又は導体経路を形成する。
【0011】
好ましくは、セラミック要素は、セラミックの材料としてAl2O3、Si3N4、AlN、HPSXセラミック(すなわち、xパーセントのZrO2を含むAl2O3マトリックスを有するセラミック、例えば、9%ZrO2を有するAl2O3=HPS9又は25%ZrO2を有するAl2O3=HPS25)、SiC、BeO、MgO、高密度MgO(理論密度の>90%)、TSZ(正方晶安定化酸化ジルコニウム)を有する。また、セラミック要素がコンパウンドセラミック又はハイブリッドセラミックとして形成され、この場合、様々な所望の特性を組み合わせるために、それらの材料組成においてそれぞれが異なるいくつかのセラミック層が互いの上に配置され、互いに接合されて、絶縁要素を形成する。
【0012】
銅、アルミニウム、モリブデン、タングステン、及び/又はCuZr、AlSi、AlMgSiなどのそれらの合金、並びにCuW、CuMo、CuAl、及び/又はAlCuなどの積層体、あるいはCuW、CuMo、AlSiCなどのMMC(metal matrix composite、金属マトリックス複合材)が、部品メタライゼーション部及び/又は裏面メタライゼーション部用の材料として考えられる。好ましくは、部品メタライゼーション部は、その材料に関して裏面メタライゼーション部に対応するか、又は裏面メタライゼーション部とは異なる。更に、好ましくは、製造された金属セラミック基板上の部品メタライゼーション部及び/又は裏面メタライゼーション部は、特に部品メタライゼーション部として表面改質されることが規定される。表面改質としては、例えば、貴金属、特に銀及び/若しくは金、又は(無電解)ニッケル若しくはENIG(「electroless nickel immersion gold」、「無電解ニッケル浸漬金」)によるシーリング、あるいは亀裂形成若しくは膨張を抑制するためのメタライゼーション部上のエッジカプセル化が挙げられる。例えば、部品メタライゼーション部の金属は、裏面メタライゼーション部の金属とも異なる。
【0013】
金属層、すなわち部品メタライゼーション部及び/又は裏面メタライゼーション部のセラミック要素への接合は、例えば、DCB法、AMB法、拡散接合、特にADB、及び/又は熱間等方圧加圧法によって行うことができる。
【0014】
当業者は、「DCB法」(直接銅接合技術)又は「DAB法」(直接アルミニウム接合技術)が、例えば、金属層又はシート(例えば、銅シート若しくは銅箔又はアルミニウムシート若しくはアルミニウム箔)を互いに及び/又はセラミック若しくはセラミック層に接合するために、すなわち、それらの表面側に層又はコーティング(溶融層)を有する金属シート、銅シート、金属箔又は銅箔を使用して、使用されるような方法であると理解する。例えば米国特許第3744120号又は独国特許第2319854号に記載されているこの方法では、この層又はコーティング(溶融層)は、金属(例えば銅)の製錬温度よりも低い溶融温度を有する共晶を形成し、その結果、箔をセラミック上に置き、すべての層を加熱することによって、本質的に溶融層又は酸化物層の領域のみで金属又は銅を製錬することによって、それらを互いに接合することができる。
【0015】
好ましくは、セラミック層及び金属層は、直接金属接合プロセス、熱間等方加圧プロセス、はんだ付けプロセス及び/又は拡散接合プロセスによって接合される。
特に、DCB法は、次に、例えば以下の方法ステップ、すなわち、
・均一な酸化銅層が形成されるように銅箔を酸化させることと、
・銅箔をセラミック層上に配置することと、
・複合材を約1025~1083℃のプロセス温度、例えば約1071℃に加熱することと、
・室温に冷却することと、を有する。
【0016】
例えば金属層又は金属箔、特に銅層又は銅箔をセラミック材料と接合するための活性はんだ付けプロセスは、特に金属セラミック基板の製造にも使用される方法として理解されるべきであり、銅、銀及び/又は金などの主成分に加えて活性金属も含有する硬質はんだを使用して、金属箔、例えば銅箔とセラミック基板、例えば窒化アルミニウムセラミックとの間で約600~1000℃の温度で製造される。例えば、Hf、Ti、Zr、Nb、Ceの群からの少なくとも1つの元素であるこの活性金属は、化学反応によってはんだとセラミックとの間に接合を生じさせ、はんだと金属との間の接合は、金属ろう付け接続である。代替的に、接合のために厚膜プロセスも考えられる。
【0017】
好ましくは、拡散接合方法としてADB(Active Diffusion Bonding、活性拡散接合)法が提供される。これは例えば以下のステップ、すなわち、
セラミック要素及び金属層を提供することと、
セラミック要素を囲む気密容器を提供することであって、容器は、好ましくは金属層から形成されるか、又は金属層を含むことと、
熱間等方圧加圧法によって、金属層をセラミック要素に接合することによって金属セラミック基板を形成することと、を含み、
活性金属層又は活性金属を含む接触層は、少なくとも金属層とセラミック要素との間のセクションにおいて配置されて、金属セラミック基板を形成するために、金属層のセラミック要素への接合を支援する。容器は、好ましくは、金属層及び/又は更なる金属層から金属容器として形成される。代替的に、ガラス容器を使用することも考えられる。
【0018】
熱間等方圧加圧法では、接合は、特に圧力下で加熱することによって提供され、金属容器の金属層、特に金属セラミック基板の後続の金属層及びそこに生じる任意の共晶層は、溶融相に移行しない。したがって、熱間等方圧加圧法には、直接金属接合法、特にDCB法よりも低い温度が必要とされる。
【0019】
少なくとも1つの金属層の溶融温度未満の温度が通常使用される、はんだ材料によるセラミック層への金属層の接合と比較して、本手順は、有利には、はんだベース材料を不要にし、活性金属のみが必要とされる。熱間等方圧加圧法中の圧力の使用又は利用は、一方の金属層と他方のセラミック要素との間の空気の包含又は空洞を減少させることができ、したがって、形成されたか又は製造された金属セラミック基板におけるそれらの頻度でのボイドの形成を減少させるか又は回避することさえできるので、有利であることも判明している。これは、金属容器の金属層とセラミック要素との間の接合の品質に有利な効果を有する。更に有利には、「第2のエッチング」を簡略化し、はんだ残留物及び銀マイグレーションを回避することが可能である。
【0020】
活性金属層を含む接触層は、15重量パーセントより多い活性金属を含む。
熱間等方圧加圧法は、例えば、欧州特許第3080055号から知られており、その内容は、熱間等方圧加圧法に関して本明細書によって明確に参照される。
【0021】
更に、材料弱化部は、ドーム状の凹部として形成されることがより好ましい。裏面メタライゼーション部におけるこれらのドーム状の凹部の1つの開口部は、セラミック要素に面し、及び/又はセラミック要素から離れる方向に面することが考えられる。材料弱化部として、裏面メタライゼーション部が形成される材料とは異なる材料を有する材料セクションが裏面メタライゼーション部において設けられることも考えられる。例えば、裏面メタライゼーション部におけるそれぞれの凹部は、膨張係数が熱機械的応力の形成又は支持/補強に大きく寄与しない対応する充填材料で充填することができる。このような充填材料は、部品側と裏面との間の所望の熱機械的対称性を損なうことなく安定性を高める。
【0022】
凹部は、主延長面に対して平行な方向において、円形、ダイヤモンド形状、正方形、長方形、又は多角形の断面を有することもできる。
特に、一致した配置は、材料弱化部の配置に関することに留意されたい。これに対して、例えば、部品側の絶縁セクションの各サブ領域に対して裏面材料弱化部を設ける必要はない。換言すれば、部品メタライゼーション部において絶縁セクションによって占められる第1の総面積は、裏面メタライゼーション部において材料弱化部によって占められる第2の総面積よりも大きい。好ましくは、第1の面積に対する第2の面積の比は、0.6~0.9、より好ましくは0.7~0.9、最も好ましくは0.75~0.9の値を有すると規定される。ここで、更なる材料弱化部は、より好ましくは考慮されず、それは、絶縁セクションと一致して裏面メタライゼーション部に埋め込まれる材料弱化部に加えて実現される。
【0023】
特に、部品メタライゼーション部における絶縁セクションは、第1のコースに沿って延び、特に、途切れずに延びる一方で、反対側では、裏面メタライゼーション部における一致した配置で、互いに分離された複数の材料弱化部が形成されることが考えられる。更に、裏面メタライゼーション部の外側上の材料弱化部は、セラミック要素から離れる方向に面し、1.0mmより小さい、より好ましくは0.8mmより小さい、最も好ましくは0.7mmより小さい第1の広がりを有すると規定される。更に、好ましくは、2つの隣接する材料弱化部は、互いに600μm未満、より好ましくは400μm未満、最も好ましくは250μm未満の第1の距離で配置されると規定される。更に、第1の距離及び/又は第1の広がりは、いくつかの材料弱化部に対して異なってもよいことが考えられる。代替的に、例えば、裏面メタライゼーション部における2つの隣接する材料弱化部の間の第1の広がり又は第1の距離が同じであることが考えられる。
【0024】
好ましくは、部品メタライゼーション部における絶縁セクションは、主延長面に対して平行に走る平面において第1のコースに従い、裏面メタライゼーション部における1つ以上の材料弱化部は、主延長面に対して平行に延びる平面において第2のコースに従い、積層方向で第2のコースは第1のコースと一致して配置され、特に、第2のコースは、その総延長の50%より多く、より好ましくは70%より多く、最も好ましくは90%より多く又は完全に第1のコースと一致すると規定される。したがって、材料弱化部及び絶縁セクションは、主延長面に対して垂直に走る断面において互いに一致して配置されるだけでなく、絶縁セクション及び材料弱化部が主延長面に対して平行に走る平面において延びるそれらの第1及び第2のコースに関しても互いに一致して配置される。裏面メタライゼーション部における個片化されたセクション又は部分的なセクションは、絶縁セクション又は複数の絶縁セクションに対するそれらの一致した配置に関して省略されることが考えられる。換言すれば、裏面メタライゼーション部において材料弱化部が存在する限り、これは、好ましくは、常に絶縁セクションと一致して配置されるが、絶縁セクションには、裏面メタライゼーション部における材料弱化部が絶縁セクションと一致することが必ずしも必要ではない。必要であれば、これは、この金属領域における裏面メタライゼーション部が、密接に間隔を空けて配置された絶縁セクションによって過度に弱められることを防止することができる。
【0025】
第1のコース及び/又は第2のコースは、互いに対してある角度で又はオフセットして配置された直線又は湾曲したセクションを有することができる。更に、より好ましくは、材料弱化部又は複数の材料弱化部の第2のコースが、一連の材料弱化部、例えば孔の列又は一連のドーム状の凹部の形態の材料弱化部によって形成されること、及び/又は第2のコースに沿って、裏面メタライゼーション部が2つの材料弱化部間に安定化領域を有することが規定される。特に、孔の列は、一連の隣接するドーム状の凹部によって形成される。2つの隣接するドーム状の凹部間に、裏面メタライゼーション部が第2の厚さを有する部分的なセクションが形成されるか、又は凹部とセラミック要素との間の残留メタライゼーション部よりも大きい残留メタライゼーション部が設けられることが考えられる。その結果、対称性の向上にもかかわらず、金属セラミック基板の安定性は維持される。好ましくは、2つの隣接する材料弱化部間の第1の距離は、600μm未満、400μm未満、最も好ましくは250μm未満であると規定される。特に、凹部は、化学的方法、例えばエッチングによって、機械的方法、例えばミリングによって、又は光学的方法、例えばレーザ光、特にレーザパルスによって製造されると規定される。特にレーザ光の使用は、材料弱化部、特に凹部の最も狭くかつ最も正確に位置決めされた形成を可能にする。安定化領域は、好ましくは、材料弱化部があまり顕著でないという事実によって特徴付けられる。例えば、安定化領域における凹部の深さはより小さいか、又はいくつかの領域では、安定化領域において凹部が全く存在しない。
【0026】
好ましくは、絶縁セクションと一致して配置される材料弱化部に加えて、裏面メタライゼーション部の周縁領域において裏面メタライゼーション部に埋め込まれた更なる材料弱化部が設けられる。材料弱化部とは対照的に、更なる材料弱化部では、積層方向に見て、一致して配置された絶縁セクションが反対側に設けられない、又は形成されないことが規定される。
【0027】
例えば、好ましくは、更なる材料弱化部は、主延長面に平行な方向に部品メタライゼーション部から突出する裏面メタライゼーション部の周縁領域に配置されることが規定される。この場合、部品メタライゼーション部は、特に主延長面に沿ったその広がりに関して、裏面メタライゼーション部よりも小さい。更なる材料弱化部は、孔の列を形成することができるか、又は平坦な側面として、すなわち、特に比較的小さい傾斜角で形成することができ、この傾斜角は、例えば、部品側の対応する傾斜角よりも少なくとも2の倍数、より好ましくは少なくとも3の倍数、最も好ましくは少なくとも5の倍数小さい。部品メタライゼーション部及び裏面メタライゼーション部の異なる広がりは、電気的フラッシュオーバーを防止するために、部品側のセラミック要素の外縁からの十分な距離を確保し、部品メタライゼーション部から突出する裏面メタライゼーション部のセクションは、周縁領域において金属セラミック基板の安定性を向上させる。
【0028】
更なる材料弱化部のこの手段は、金属セラミック基板における更なる改善を達成することができ、それは、金属セラミック基板の曲がりやすさを打ち消し、特に、耐熱衝撃性を更に向上させることができることが見出された。更なる縁部側の材料弱化部は、少なくとも1つの中間最大値を有する湾曲した側壁プロファイルとして設計することもできる。更に、好ましくは、更なる材料弱化部の第1の広がりは、材料弱化部の第1の広がりよりも小さいと規定される。材料弱化部及び更なる材料弱化部が各々異なる広がりを有する場合、好ましくは、それぞれの平均値が考慮されることが規定される。更に、周縁領域は、裏面メタライゼーション部の外周から延び、かつその際に裏面メタライゼーション部の全面積の10%未満、より好ましくは5%未満、最も好ましくは2%未満を占めるメタライゼーション部又は裏面メタライゼーション部の部分的なセクションとして理解されるものとする、と規定される。更に、更なる材料弱化部は、材料弱化部を有する領域を囲み、特に完全に取り囲むと規定される。
【0029】
更に、凹部の形態の材料弱化部がセラミック要素まで走るか、又はセラミック要素まで延びることがより好ましい。これにより、部品側と裏面との間の高い対称性が達成される。代替的に、残留メタライゼーション部が材料弱化部の領域に形成されることが考えられ、その結果、この残留メタライゼーション部は、金属セラミック基板全体の安定性の向上に寄与することができる。これは、非常に薄い絶縁層又はセラミック要素を使用する場合に特に有利であり、さもなければ、絶縁層又はセラミック要素は破壊する傾向が増大する。例えば、積層方向で測定して、残留メタライゼーション部は第4の厚さを有し、ここで、第2の厚さに対する第4の厚さの比は、0.5未満、より好ましくは0.4未満、最も好ましくは0.2未満であると規定される。
【0030】
特に、凹部として形成された材料弱化部がセラミック要素まで延びる場合、凹部として形成された更なる材料弱化部とセラミック要素との間に残留メタライゼーション部が形成されることも考えられる。これにより、例えば周縁領域において、材料弱化部が更なる材料弱化部から区別される。
【0031】
好ましくは、絶縁セクションの第1の幅は、第1のコースに対して垂直に走る第1の方向に沿って測定される、第1の金属セクションと第2の金属セクションとの間の距離によって決定され、第1の方向に沿って測定された材料弱化部の第2の幅の、第1の幅に対する比は、0.1から2の間、より好ましくは0.5から1.5の間、最も好ましくは0.75から0.9の間の値を有すると規定される。特に、裏面メタライゼーション部上の材料弱化部が絶縁セクションの第2の幅全体にわたって延びない場合には、部品側及び裏面の熱力学的広がりに関して十分な程度の対称性をすでに設定することができることが示されている。その結果、金属セラミック基板の安定性を維持することができ、裏面上の材料の量が少ないために金属セラミック基板の破断点が発生する恐れがない。
【0032】
好ましくは、第1のコースと第2のコースとが、積層方向に見て、互いに一致して走っていないセクションの、第1のコースと第2のコースとが、積層方向に見て、互いに一致して走っているセクションに対する比は、1未満、より好ましくは0.5未満、最も好ましくは0.2未満の値を有すると規定される。金属セラミック部品の前面及び背面における全体的な対称性は、一致して配置された材料弱化部の割合が増加するにつれて向上させることができ、したがって、対応して設計された金属セラミック基板の全体的な曲がりやすさが更に改善又は低減されることが見出された。
【0033】
好ましくは、裏面メタライゼーション部にヒートシンクが接合されていると規定される。特に、材料弱化部は、例えば凹部の形態で裏面メタライゼーション部に埋め込まれていると規定される。したがって、裏面メタライゼーション部に埋め込まれた材料弱化部は、裏面メタライゼーション部に接合され、特に特定の金属セラミック基板の動作中に発生した熱を冷却流体に放散するために設けられたヒートシンクに埋め込まれた凹部ではない。
【0034】
特に、第1のコース及び/又は第2のコースに沿った単位長さ当たり、絶縁セクションは第1の体積を有し、裏面メタライゼーション部における材料弱化部は第2の体積を有し、ここで、第1の体積及び第2の体積は、それらの絶対サイズに関して実質的に等しく、かつそれらの幾何学的形状に関して異なると規定される。このようにして、一方では、部品メタライゼーション部における凹部と裏面メタライゼーション部における凹部との間の対称性を可能な限り大きく保つことができ、同時に、絶縁セクション又は材料弱化部が埋め込まれている領域における安定性を強化するための手段を講じることができる。この文脈において、当業者は、好ましくは、「実質的に等しい」体積が、それらの平均値の10%より多く、より好ましくは5%より多く、最も好ましくは2.5%より多く互いから逸脱しない体積であると理解する。第1の体積及び第2の体積は、例えば、それらの深さ、それらの幅、及び/又はそれらの長さの点で異なり得る。したがって、部品メタライゼーション部及び裏面メタライゼーション部における凹部の体積が本質的に一致することを確実にするために、例えば、部品側及び裏面上の異なる深さの凹部に対して、対応して異なる幅又は直径を使用することができる。
【0035】
本発明の別の目的によれば、電気部品を取り付けるためのプリント回路基板として設けられる金属セラミック基板が提供され、金属セラミック基板は、
部品メタライゼーション部及び裏面メタライゼーション部と、
部品メタライゼーション部と裏面メタライゼーション部との間に積層方向に沿って配置されたセラミック要素と、を備え、
部品メタライゼーション部は、第1の金属セクション及び第2の金属セクションを含み、第1の金属セクション及び第2の金属セクションは、絶縁セクションによって互いに分離され、かつ/又は電気部品のための接続領域が第1の金属セクション上に設けられ、
裏面メタライゼーション部は、材料弱化部、特に、積層方向に見て、接続領域と少なくとも部分的に一致するように配置される材料凹部を有する。絶縁セクションと一致して配置された材料弱化部を有する金属セラミック基板について記載された全ての利点及び特性は、接続領域と一致した材料弱化部を有する金属セラミック基板について記載された利点及び特性又は仕様に同様に転用することができ、逆もまた同様である。特に、絶縁セクションと一致する材料凹部と、接続領域と一致する(更なる)材料凹部との両方を有する金属セラミック基板が考えられる。
【0036】
好ましくは、接続領域は、対応する平面広がりによって特徴付けられ、この平面広がりは、主延長面において導体経路よりも幅広であるため、導体経路とは明らかに異なる。材料弱化部は、接続領域の下に一致して配置された領域全体にわたって延びることが考えられる。接続領域と一致する裏面メタライゼーション部の部分的なセクションのみが、いくつかの領域で、例えば接続領域の縁部セクションと一致する材料弱化部を有することも考えられる。好ましくは、接続領域の下に一致して配置される材料弱化部は、二次元パターンで配置される。
【0037】
本発明の更なる目的は、金属セラミック基板、特に本発明による金属セラミック基板を製造する方法であって、該方法は、
部品メタライゼーション部と、裏面メタライゼーション部と、セラミック要素とを設けることと、
部品メタライゼーション部と裏面メタライゼーション部とをセラミック要素に接合することであって、セラミック要素が部品メタライゼーション部と裏面メタライゼーション部との間に積層方向に沿って配置されることと、
絶縁セクションを実現することによって部品メタライゼーション部を構造化することと、
裏面メタライゼーション部において材料弱化部を実現することであって、材料弱化部は、積層方向に見て、絶縁セクションと一致して配置されることと、を含む。
【0038】
金属セラミック基板に関して説明した全ての利点及び特性又は仕様は、本方法にも同様に転用することができ、逆もまた同様である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
更なる利点及び特徴は、添付の図面を参照して、本発明による目的の好ましい実施形態の以下の説明からもたらされる。それによって、個々の実施形態の個々の特徴は、本発明の範囲内で互いに組み合わせることができる。
【0040】
以下を示す。
【
図2】本発明の第1の例示的な実施形態による、断面図における金属セラミック基板。
【
図3】本発明の第2の例示的な実施形態による、断面図における金属セラミック基板。
【
図4】本発明の第3の例示的な実施形態による、金属セラミック基板。
【
図5】裏面メタライゼーション部の2つの異なる材料弱化部。
【
図6】本発明の第4の実施形態による、金属セラミック基板の部品メタライゼーション部(下)、裏面メタライゼーション部(上)及び側面図(中央)。
【
図7】本発明の第5の例示的な実施形態による、金属セラミック基板のための絶縁セクションを形成する凹部と材料弱化部を形成する凹部との間の比較。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図1は、従来技術による金属セラミック基板1を概略的に示す。このような金属セラミック基板1は、好ましくは電気部品用のキャリアである。特に、金属セラミック基板1は、セラミック要素30及び部品メタライゼーション部10を有し、セラミック要素30及び部品メタライゼーション部10は、主延長面HSEに沿って延びると規定される。部品メタライゼーション部10は、セラミック要素30に接合されており、部品メタライゼーション部10及びセラミック要素30は、主延長面HSEに対して垂直な積層方向Sで互いの上に配置されている。特に、部品メタライゼーション部10は、複数の金属セクション、例えば第1の金属セクション11、第2の金属セクション12、及び第2の第3の金属セクション13を有し、これらの金属セクションは、例えば、主延長面HSEに対して平行に走る方向に沿って互いに電気的に絶縁されて互いに隣り合って配置されていると規定される。
【0042】
特に、従来技術では、まず、特に、直接金属接合プロセス及び/又は活性はんだ付けプロセス又はAMBプロセス及び/又はADBプロセス及び/又は熱間等方圧加圧法によって、部品メタライゼーション部10をセラミック要素30に接合することが一般的である。このような接合プロセスは高温プロセスであり、この高温プロセスでは、セラミック要素30及び部品メタライゼーション部10の配置が、高められた温度、特に500℃を上回る温度にさらされる。接合プロセスの後、電気的に絶縁された金属セクション、特に第1の金属セクション11及び第2の金属セクション12を実現するために、例えばエッチングプロセスによって構造化が行われ、これらの金属セクションは、電気回路のための導体経路及び/又は接続領域、いわゆるパッドとして使用することができる。
【0043】
部品メタライゼーション部10とは反対側のセラミック要素30の側には、裏面メタライゼーション部20が接合されることが好ましく、裏面メタライゼーション部20は、特に、部品メタライゼーション部10と同時に、すなわち共通の作業ステップで、セラミック要素30に接合される。代替的に、部品メタライゼーション部10及び裏面メタライゼーション部は、互いに接合される。このような裏面メタライゼーション部20は、特に、部品メタライゼーション部10とセラミック要素30との異なる熱機械膨張係数によって引き起こされる金属セラミック基板1における熱機械的応力を補償する働きをする。
【0044】
この文脈において、部品メタライゼーション部10は、少なくとも第1の金属セクション11、第2の金属セクション12及び/又は第3の金属セクション13を有すると規定される。構造化後、第1の金属セクション11、第2の金属セクション12及び/又は第3の金属セクション23は、互いに電気的に絶縁された対応する導体経路及び/又は接続領域を形成するために、絶縁セクション15によって互いに分離される。この目的のために、例えば、化学的方法及び/又は機械的方法及び/又は光学的方法によって、構造化が部品メタライゼーション部10に埋め込まれ、構造化に必要な部品メタライゼーション部10における凹部は、必要な電気絶縁を提供するために、少なくともセラミック要素30まで延びる。このような絶縁セクション15は、特にトレンチの形態で部品メタライゼーション部10に形成され、口語的に絶縁トレンチとしても知られている。トレンチ形状の絶縁セクション15の対応する第1のコースVE1は、プリント回路基板として提供される金属セラミック基板1の用途に応じて特定のパターンに従う。特に、一連の製造された金属セラミック基板1のための絶縁セクション15の第1のコースは、対応する用途のために個々に設定されると規定される。
【0045】
金属セラミック基板1の部品側BSと裏面RSとの間に所望の対称性を提供し、したがって、金属セラミック基板1に生じる対応する熱機械的応力を互いに補償することを可能にするために、裏面メタライゼーション部20及び部品メタライゼーション部10が実質的に同等の厚さを有すると規定される。厚さは、積層方向Sに沿った方向に沿って測定される。
【0046】
図2は、本発明の第1の例示的な実施形態による、金属セラミック基板1を示す。金属セラミック基板1の反りやすさを低減するために、ここでは、部品メタライゼーション部10における絶縁セクション15に加えて、材料弱化部25が裏面メタライゼーション部20に埋め込まれる。
図2に示される実施形態では、材料弱化部25は、裏面メタライゼーション部20における凹部であり、凹部は、特にセラミック要素20まで延び、裏面メタライゼーション部30の部分的なセクションの完全な絶縁をもたらす。特に、材料弱化部25は、積層方向Sに見て、絶縁セクション15と実質的に一致して配置されると規定される。これは、有利なことに、部品側BSと裏面RDとの間の対称性を更に向上させ、したがって、金属セラミック基板1の曲がりやすさを更に低減する。更に、部品メタライゼーション部10は第1の厚さD1を有し、裏面メタライゼーション部20は第2の厚さD2を有し、第1の厚さD1と第2の厚さD2とは実質的に等しい。この文脈において、「実質的に」とは、第1の厚さD1と第2の厚さD2との間の偏差が、第1の厚さD1及び/又は第2の厚さD2の平均値の10%未満、より好ましくは5%未満、最も好ましくは2.5%未満であることを意味すると理解される。
【0047】
更に、セラミック要素30は第3の厚さD3を有すると規定される。好ましくは、第3の厚さD3は、700μm未満、より好ましくは400μm未満、最も好ましくは330μm未満の値を有すると規定される。したがって、これらは比較的薄い絶縁層又はセラミック要素30であり、それに対応してより曲がりやすい。したがって、一致して配置された材料弱化部25を追加的に含むことによってもたらされる対称性の向上によって、比較的薄い絶縁層、すなわち比較的薄いセラミック要素30が使用されるこのような金属セラミック基板1における曲げに対抗することも有利に可能である。
【0048】
更に、絶縁セクションが第1の幅B1を有し、材料弱化部25が第2の幅B2を有すると規定される。好ましくは、第2の幅B2は第1の幅B1よりも小さいと規定される。特に、第1の幅B1に対する第2の幅B2の比は、0.1~2.0、より好ましくは0.5~1.5、最も好ましくは0.75~0.5の値を有することが考えられる。
図2に示される実施形態の例では、凹部として形成された材料弱化部25の領域における裏面メタライゼーション部20の側面は、主延長面HSEに対して実質的に垂直に走る。しかしながら、ここでは、特に裏面メタライゼーション部20に埋め込まれた材料弱化部25がエッチングプロセスによって実現される場合、形成された側面が湾曲しているか、又は傾斜していることが好ましい。
【0049】
絶縁セクション15の第1の幅は、特に、絶縁セクション15の測定されるべき点において、2つの対向する金属セクション11、12、13間の最小距離によって決定される。第1の幅B1が決定される第1の方向R1は、主延長面HSE内にあり、特に、絶縁セクション15が主延長面HSEにおける第1のコースVE1に従って延びる方向に垂直である。この第1のコースVE1は、それぞれの金属セラミック基板1に設けられた対応するパターンによって予め決定される。第2の幅B2の大きさは、同じ第1の方向R1に沿った裏面RS上の同じ位置において決定されることが好ましい。
【0050】
更に、「一致する」とは、積層方向Sに平行な絶縁セクション15の広がりへの材料弱化部25の広がりの仮想投影に沿って、特に50%より大きい、好ましくは75%より大きい、より好ましくは95%より大きい空間的重なりが決定され得ることを意味するものとして理解されるべきである。材料弱化部25の広がりの中心及び絶縁セクション15の中心は、積層方向で互いの上に位置し得、又は、特に主延長面HSEにおいて、第1のコースVE1に対して垂直又は第2のコースVE2に対して垂直に走る方向に沿って、互いに対して横方向にオフセットされ得る。
【0051】
図3は、本発明の第2の例示的な実施形態による金属セラミック基板1を通る断面図を示す。
図3の実施形態の例は、
図3の実施形態の例において、凹部として形成された材料弱化部25がセラミック要素30まで延びないという点においてのみ、
図2の実施形態の例と本質的に異なる。特に、ここでは、残留メタライゼーション部40が材料弱化部25の領域に設けられている。この残留メタライゼーション部40は、第2の厚さD2よりも小さい第4の厚さD4を有する。好ましくは、第2の厚さD2に対する第4の厚さD4の比は、0.5未満、より好ましくは0.25未満、最も好ましくは0.1未満である。この実施形態の例は、残留メタライゼーション部40をセラミック要素30の安定性に寄与するために使用することができ、同時に、部品側BS及び裏面RSの対称性の考えが考慮されるという利点を有する。残留メタライゼーション部40の存在を補償するために、第2の厚さD2が第1の厚さD1よりも小さいことが考えられる。更に、別の実施形態の例では、金属セラミック基板1に凹部として設けられた材料弱化部25が部分的にセラミック部分30まで延び、他のセクションが残留メタライゼーション部40を有することが考えられる。換言すれば、金属セラミック基板1は、凹部として形成された材料弱化部25を含み、その一部はセラミック要素30まで延び、その一部は残留メタライゼーション部40を有する。
【0052】
更に、別の実施形態の例では、第4の厚さD4は、異なる材料弱化部25に対して異なり、変化し、特に、絶縁セクション15のそれぞれのレイアウト/パターン又はそれぞれの計画された第1のコースVE1に対して予想される熱機械的応力の程度に適合されることが考えられる。
【0053】
図4は、本発明の第3の例示的な実施形態による金属セラミック基板1の側面図(中央)、裏面RSの上面図(上)、及び部品側BSの上面図(下)を示す。特に、裏面メタライゼーション部20における材料弱化部25は、孔の列として、又は一連の材料弱化部25として形成されると規定される。このような孔の列は、個々の孔の間に保持されたメタライゼーション部が金属セラミック基板1の安定性を高め、同時に金属セラミック基板1の部品側BS及び裏面RS上の材料凹部の対称性を向上させるので、特に有利であることが判明している。好ましくは、孔の列は、一連の円形及び/又はドーム状の凹部である。断面図に示された凹部の実施形態は、セラミック要素30(左)まで延び、凹部が裏面メタライゼーション部で終端する(右)、すなわち、残留メタライゼーション部40が凹部とセラミック要素30との間に設けられる。
【0054】
更に、孔の列又は一連の材料弱化部25は、第2のコースVE2を辿り、この第2のコースVE2は、特に、部品側BS上又は部品メタライゼーション部10における絶縁セクション15によって提供される第1のコースVE1と一致すると規定される。主延長面HSEにおける第1のコースVE1及び第2のコースVE2は、各々互いに対して角度を付けられたサブセクションを有してもよく、及び/又は、たとえば直線のサブセクションを互いに接合する湾曲したサブセクションを有してもよい。第1のコースVE1及び/又は第2のコースVE2が分岐を有することも考えられる。
【0055】
更に、好ましくは、2つの隣接する凹部間又は材料弱化部25間の第1の距離AB1は、600μmよりも小さく、より好ましくは400μmよりも小さく、最も好ましくは250μmよりも小さいと規定される。特に、2つの材料弱化部間の第1の距離AB1は、第1の広がりE1よりも大きいと規定される。
【0056】
孔の列として配置された凹部が、互いに接触するか、又は互いに一体化し、裏面メタライゼーション部の外側へ延びる金属セクションによって互いに分離されないことも考えられる。
【0057】
更に、材料弱化部25に加えて、裏面メタライゼーション部20の周縁領域に形成される更なる材料弱化部26が設けられることがより好ましい。特に、更なる材料弱化部26は、一連の更なる材料弱化部26として、特に孔の列として形成され、この一連の更なる材料弱化部26は、裏面メタライゼーション部20又は金属セラミック基板1の周縁領域に沿って枠状に延びる。特に、更なる材料弱化部26のコースは、第1のコースVE1と又は部品側BS上の絶縁セクション15の配置と一致して配置される材料弱化部25が形成される領域の外側に位置すると規定される。更に、特に更なる凹部として形成された更なる材料弱化部26は、セラミック要素30から離れる方向に面する裏面メタライゼーション部20の外側上に、材料弱化部25の第1の広がりE1よりも小さい第1の広がりE1を有すると規定される。更に、材料弱化部25の第1の広がりE1に対する更なる材料弱化部26の第1の広がりE1の比は、0.7未満、0.6未満、最も好ましくは0.5未満の値を有する。好ましくは、更なる材料弱化部26の第1の広がりE1は、1.2mm未満、より好ましくは0.9mm未満、最も好ましくは0.7mm未満である。更に、より好ましくは、2つの隣接する更なる材料弱化部26間の第1の距離AB1は、2つの材料弱化部25間の距離よりも小さいことが規定される。材料弱化部25間又は更なる材料弱化部26間の距離は、ここでは、それぞれの凹部の中心から中心までで、決定される。更に、好ましくは、周縁領域は、外周から裏面メタライゼーション部20の中心の方向に延びる領域であると理解され、周縁領域の範囲は、裏面メタライゼーション部20の全範囲の最大10%、特に最大5%、より好ましくは最大2%に制限されると規定される。
【0058】
図5は、材料弱化部25の2つの異なる形態を通る断面図を示す。特に、ドーム状の凹部は、セラミック要素30から離れる方向に面する裏面メタライゼーション部20の外側上に第1の広がりE1を有すると規定される。好ましくは、第1の広がりE1は、全ての材料弱化部25、特に全てのドーム状の凹部に対して実質的に同一であると規定される。絶縁セクション15と一致して配置された異なるドーム状の凹部の第1の広がりE1のサイズが互いに異なることも考えられる。
【0059】
好ましくは、材料弱化部25、特にドーム状の凹部の第1の広がりE1は、1.5mmより小さく、より好ましくは1.0mmより小さく、最も好ましくは0.75mmより小さいと規定される。ドーム状の凹部がセラミック要素30まで延びる場合、好ましくは、セラミック要素30に面する裏面メタライゼーション部20の外側上の材料弱化部25の第2の広がりE2は、1.3mmより小さく、より好ましくは0.8mmより小さく、最も好ましくは0.6mmより小さいことが規定される。特に、第1の広がりE1に対する第2の広がりE2の比は、0.6~0.95、より好ましくは0.7~0.9、最も好ましくは0.75~0.85の値を有する。
【0060】
図6は、第4の例示的な実施形態による金属セラミック基板1の部品メタライゼーション部10(下)、裏面メタライゼーション部20(上)及び側面図(中央)を示す。
図6の実施形態は、特に、互いと一致しており、各々部品メタライゼーション部10又は裏面メタライゼーション部20の中央領域に配置される第1のコースVE1及び第2のコースVE2が、互いに向かって角度を付けられたいくつかのサブセクションを有するという点で、
図4の実施形態と異なる。これは、導体経路又は接続パッドを形成するための所望のパターンを実現するために必要である。特に、以下の図は、第1のコースVE1を示し、それに沿って、絶縁セクション15が、主延長面HSEに対して平行に走る平面において延びる。ここで選択された上面図では、セラミック要素30が、プルバックを形成するために、主延長面HSEに平行な方向において、部品メタライゼーション部10に対して突出していることが分かる。
【0061】
本質的に、
図6の実施形態の例では、裏面メタライゼーション部20は、部品メタライゼーション部10上の絶縁セクション15の第1のコースVE1と一致して配置された材料弱化部25と、裏面メタライゼーション部20の周縁領域に配置された更なる材料弱化部26とを提供すると規定される。周縁領域における更なる材料弱化部26は、絶縁セクション15全体と一致して配置されていないことが分かる。
【0062】
図6の実施形態では、セラミック要素30は、主延長面HSEに対して平行に走る方向において、部品メタライゼーション部10に対してよりも裏面メタライゼーション部20に対して突出していないことが更に規定される。これにより、セラミック要素30の端部までの距離が増大するにつれて、部品側BS上でのフラッシュオーバーの確率が減少し、裏面RS上では、金属セラミック基板1の安定化が裏面メタライゼーション部20の周縁領域によって支持される。特に、更なる材料弱化部26は、部品メタライゼーション部10に対して主延長面HSEに平行な方向に突出する裏面メタライゼーション部20の領域で、裏面メタライゼーション部20の周縁領域に配置されると規定される。側面図では、裏面メタライゼーション部20は、主延長面HSEにおけるその広がりが部品メタライゼーション部10よりも大きく、部品メタライゼーション部10に対して主延長面HSEに平行な方向に突出していることが分かる。
【0063】
更に、材料弱化部25の第2のコースVE2が絶縁セクション15と完全に一致して配置されるが、第2のコースVE2は、材料弱化部25が省略された部分的なセクションを含むことが考えられる(図示せず)。したがって、第1のコースVE1は、第2のコースVE2と完全に一致しない。なぜなら、第1のコースVE1には、裏面メタライゼーション部20上に材料弱化部25が設けられていないサブ領域が存在するからである。これは、高密度の絶縁トレンチ又は絶縁セクション15が設けられている領域に対して特に有用であり、それによって、裏面RS上への対応する材料弱化部25の導入は、金属セラミック基板1の対応する不安定化につながる。
【0064】
図7は、絶縁セクション15に割り当てられた凹部と、金属セラミック基板1の材料弱化部25に割り当てられた凹部との比較を概略的に示す。換言すれば、
図7の中央領域には、部品側BS及び裏面RSの上面図がそれぞれ示されており、したがって、絶縁セクション15の凹部のための第1の表面A1、及び裏面RSの上面図において例えば全体で同じサイズの一連の第2の表面A2を形成するドーム状の凹部の形態のいくつかの材料弱化部25が明らかになっている。
【0065】
ここで同様に挿入されている切断線AAに沿って、部品メタライゼーション部(上)及び裏面メタライゼーション部(下)を通る断面図も示されている。部品側BS上の絶縁セクション15に割り当てられた凹部は第1の深さT1を有し、ドーム状の凹部として形成された材料弱化部25は第2の深さT2を有する。可能な限り大きな対称性を達成するために、固定された単位長さLEに対して、絶縁セクション15を形成するための1つ以上の凹部の第1の体積V1は、絶縁セクション15に対向する裏面メタライゼーション部20における領域において単位長さLE当たりに裏面メタライゼーション部10における凹部又は複数の凹部が占める第2の体積V2にサイズが対応すると規定される。単位長さLEは、好ましくは、2つの隣接する材料弱化部25間の第1の距離AB1によって形成され、かつ/又は1cm、より好ましくは2cm、最も好ましくは2.5cmにわたって延びる。特に、同じサイズの体積にもかかわらず、第1の体積V1及び第2の体積V2の形状が異なることが規定される。例えば、絶縁セクション15は、連続的な凹部によって形成され、一方、裏面RS上の材料弱化部25は、ドーム状の凹部上に形成される。結果として、例えば、第2の深さT2は第1の深さT1に対応せず、第1のコースVE1及び/又は第2のコースVE2に沿って測定された、絶縁セクション15に関連付けられた凹部の長さは、材料弱化部25の対応する長さに対応しない。材料弱化部25における凹部がセラミック要素30まで延びる場合、より好ましくは、例えば、単位長さLE当たりの第1の面積A1は、裏面RSにおける凹部の直径が増大しているため、裏面RSにおける合計された第2の面積A2にほぼ対応すると規定される。絶縁セクション15を形成するための凹部に関して材料弱化部25の異なる形態を考慮するために、ドーム状の凹部の直径、すなわち第2の幅B2は、例えば、関連する絶縁セクション15の対応する第1の幅B1よりも大きくなるように選択することができる。これは、特に、より多くの材料が裏面RS上に保持され、したがって、特に絶縁セクション15の領域において金属セラミック基板1全体の安定性が向上するので、有利であることが判明している。しかしながら、同時に、特に動作中に金属セラミック基板1を曲げる可能性がある対称性の低下が回避される。
【0066】
更に、第1の体積V1及び/又は第2の体積V2を、対応する第1の深さT1及び/又は第2の深さT2によって、第1の体積V1及び第2の体積V2が本質的に互いに対応するように設定することが可能である。
【0067】
この文脈において、当業者は、「実質的に」は、関連する量又は比較される値の平均値の10%未満、より好ましくは5%未満、最も好ましくは2.5%未満の偏差が予想されることを意味すると理解する。
【符号の説明】
【0068】
1…金属セラミック基板、10…部品メタライゼーション部、11…第1の金属セクション、12…第2の金属セクション、13…第3の金属セクション、15…絶縁セクション、20…裏面メタライゼーション部、25…材料弱化部、26…更なる材料弱化部、30…セラミック要素、40…残留メタライゼーション部、S…積層方向、BS…部品側、RS…裏面、HSE…主延長面、R1…第1の方向、B1…第1の幅、B2…第2の幅、D1…第1の厚さ、D2…第2の厚さ、D3…第3の厚さ、D4…第4の厚さ、V1…第1の体積、V2…s第2の体積、VE1…第1のコース、VE2…第2のコース、AB1…第1の距離、T1…第1の深さ、T2…第2の深さ、E1…第1の広がり、E2…第2の広がり。
【手続補正書】
【提出日】2024-02-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気部品を取り付けるためのプリント回路基板として提供される金属セラミック基板(1)であって、
部品メタライゼーション部(10)及び裏面メタライゼーション部(20)と、
前記部品メタライゼーション部(10)と前記裏面メタライゼーション部(20)との間に積層方向(S)に沿って配置されたセラミック要素(30)と、を備え、
前記部品メタライゼーション部(10)は、第1の金属セクション(11)及び第2の金属セクション(12)を含み、前記第1の金属セクション(11)及び前記第2の金属セクション(12)は、絶縁セクション(15)によって互いに分離されており、
前記裏面メタライゼーション部(20)は材料弱化部(25)、特に、前記積層方向(S)に見て、前記絶縁セクション(15)と少なくとも部分的に一致して配置された材料凹部を有する、金属セラミック基板(1)
において、
複数の分離された材料弱化部(25)が形成され、2つの隣接する材料弱化部(25)が互いから600μm未満の第1の距離で配置され、前記絶縁セクションによって占有される前記部品メタライゼーション部における第1の総面積が、前記材料弱化部によって占有される前記裏面メタライゼーション部における第2の総面積よりも大きく、前記第1の総面積に対する前記第2の総面積の比が0.6~0.9の値を有する、金属セラミック基板(1)。
【請求項2】
前記材料弱化部(25)は、ドーム状の凹部として形成される、請求項1に記載の金属セラミック基板(1)。
【請求項3】
前記部品メタライゼーション部(10)における前記絶縁セクション(15)は、主延長面(HSE)に平行に延びる平面において第1のコース(VE1)に従い、前記裏面メタライゼーション部(20)における前記材料弱化部(25)又は複数の材料弱化部(25)は、前記主延長面(HSE)に平行に延びる平面において第2のコース(VE2)に従い、好ましくは、前記第2のコース(VE2)は、前記積層方向(S)において前記第1のコース(VE1)と一致して配置される、請求項1又は2に記載の金属セラミック基板(1)。
【請求項4】
前記材料弱化部(25)又は前記複数の材料弱化部(25)の前記第2のコース(VE2)は、例えば孔の列の形態の一連の材料弱化部(25)によって形成され、かつ/又は2つの材料弱化部(25)間に前記第2のコース(VE2)に沿って安定化領域を有する、請求項3に記載の金属セラミック基板(1)。
【請求項5】
更なる材料弱化部(26)が設けられており、前記更なる材料弱化部(26)は、前記裏面メタライゼーション部(20)の周縁領域において前記裏面メタライゼーション部(20)に埋め込まれており、特に、絶縁セクション(15)とは独立して前記部品メタライゼーション部(10)に埋め込まれている、請求項1~4のいずれか一項に記載の金属セラミック基板(1)。
【請求項6】
前記裏面メタライゼーション部(20)における凹部として形成された前記材料弱化部(25)が、前記セラミック要素(30)まで延びる、請求項1~5のいずれか一項に記載の金属セラミック基板(1)。
【請求項7】
残留メタライゼーション部(40)が、凹部として形成された前記更なる材料弱化部(26)と前記セラミック要素(30)との間に形成される、請求
項5に記載の金属セラミック基板(1)。
【請求項8】
前記第1のコース(VE1)と前記第2のコース(VE2)とが前記積層方向(S)に見て互いに一致して走っていないセクションの、前記第1のコース(VE1)と前記第2のコース(VE2)とが前記積層方向(S)に見て互いに一致して走っているセクションに対する比が、1未満、より好ましくは0.5未満、最も好ましくは0.2未満の値を有する、請求
項3に記載の金属セラミック基板(1)。
【請求項9】
前記第1のコース(VE1)及び/又は前記第2のコース(VE2)に沿った単位長さ(LE)当たり、前記絶縁セクション(15)は第1の体積(V1)を有し、前記裏面メタライゼーション部(20)における前記材料弱化部(25)又は前記複数の材料弱化部は第2の体積(V2)を有し、前記第1の体積(V1)及び前記第2の体積(V2)は、それらの絶対サイズに関して実質的に等しく、それらの幾何学的形状に関して異なる、請求
項3に記載の金属セラミック基板(1)。
【請求項10】
電気部品を取り付けるためのプリント回路基板として提供される金属セラミック基板(1)であって、
部品メタライゼーション部(10)及び裏面メタライゼーション部(20)と、
前記部品メタライゼーション部(10)と前記裏面メタライゼーション部(20)との間に積層方向(S)に沿って配置されたセラミック要素(30)と、を備え、
前記部品メタライゼーション部(10)は、第1の金属セクション(11)及び第2の金属セクション(12)を有し、前記第1の金属セクション(11)及び前記第2の金属セクション(12)は、絶縁セクション(15)によって互いに分離され、かつ/又は電気部品用の接続領域が前記第1の金属セクション上に設けられ、
前記裏面メタライゼーション部(20)は
、前記積層方向(S)に見て、前記接続領域と少なくとも部分的に一致して配置された材料凹部
の形態の材料弱化部(25)を有する、金属セラミック基板(1)
において、
複数の分離された材料弱化部(25)が形成され、前記裏面メタライゼーション部は、前記絶縁セクションと一致する材料凹部と、前記接続領域と一致する材料凹部との両方を有する、金属セラミック基板(1)。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の金属セラミック基板(1)を製造する方法であって、
部品メタライゼーション部(10)と、裏面メタライゼーション部(30)と、セラミック要素(20)とを設けることと、
前記部品メタライゼーション部(10)と前記裏面メタライゼーション部(30)とを前記セラミック要素(20)に接合することであって、前記セラミック要素(20)が前記部品メタライゼーション部(10)と前記裏面メタライゼーション部(20)との間に積層方向(S)に沿って配置されることと、
絶縁セクション(15)を実現することによって前記部品メタライゼーション部(10)を構造化することと、
前記裏面メタライゼーション部(20)において材料弱化部(25)を実現することであって、前記材料弱化部(25)は、前記積層方向(S)に見て、前記絶縁セクション(15)及び/又は前記第1の金属セクションの接続領域と一致して配置されることと、
を含む、方法。
【手続補正書】
【提出日】2024-05-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気部品を取り付けるためのプリント回路基板として提供される金属セラミック基板(1)であって、
部品メタライゼーション部(10)及び裏面メタライゼーション部(20)と、
前記部品メタライゼーション部(10)と前記裏面メタライゼーション部(20)との間に積層方向(S)に沿って配置されたセラミック要素(30)と、を備え、
前記部品メタライゼーション部(10)は、第1の金属セクション(11)及び第2の金属セクション(12)を含み、前記第1の金属セクション(11)及び前記第2の金属セクション(12)は、絶縁セクション(15)によって互いに分離されており、
前記裏面メタライゼーション部(20)は材料弱化部(25)、特に、前記積層方向(S)に見て、前記絶縁セクション(15)と少なくとも部分的に一致して配置された材料凹部を有する、金属セラミック基板(1)において、
複数の分離された材料弱化部(25)が形成され、2つの隣接する材料弱化部(25)が互いから600μm未満の第1の距離で配置され、前記絶縁セクションによって占有される前記部品メタライゼーション部における第1の総面積が、前記材料弱化部によって占有される前記裏面メタライゼーション部における第2の総面積よりも大きく、前記第1の総面積に対する前記第2の総面積の比が0.6~0.9の値を有する、金属セラミック基板(1)。
【請求項2】
前記材料弱化部(25)は、ドーム状の凹部として形成される、請求項1に記載の金属セラミック基板(1)。
【請求項3】
前記部品メタライゼーション部(10)における前記絶縁セクション(15)は、主延長面(HSE)に平行に延びる平面において第1のコース(VE1)に従い、前記裏面メタライゼーション部(20)における前記材料弱化部(25)又は複数の材料弱化部(25)は、前記主延長面(HSE)に平行に延びる平面において第2のコース(VE2)に従い、好ましくは、前記第2のコース(VE2)は、前記積層方向(S)において前記第1のコース(VE1)と一致して配置される、請求項1又は2に記載の金属セラミック基板(1)。
【請求項4】
前記材料弱化部(25)又は前記複数の材料弱化部(25)の前記第2のコース(VE2)は、例えば孔の列の形態の一連の材料弱化部(25)によって形成され、かつ/又は2つの材料弱化部(25)間に前記第2のコース(VE2)に沿って安定化領域を有する、請求項3に記載の金属セラミック基板(1)。
【請求項5】
更なる材料弱化部(26)が設けられており、前記更なる材料弱化部(26)は、前記裏面メタライゼーション部(20)の周縁領域において前記裏面メタライゼーション部(20)に埋め込まれており、特に、絶縁セクション(15)とは独立して前記部品メタライゼーション部(10)に埋め込まれている、請求項1
又は2に記載の金属セラミック基板(1)。
【請求項6】
前記裏面メタライゼーション部(20)における凹部として形成された前記材料弱化部(25)が、前記セラミック要素(30)まで延びる、請求項1
又は2に記載の金属セラミック基板(1)。
【請求項7】
残留メタライゼーション部(40)が、凹部として形成された前記更なる材料弱化部(26)と前記セラミック要素(30)との間に形成される、請求項5に記載の金属セラミック基板(1)。
【請求項8】
前記第1のコース(VE1)と前記第2のコース(VE2)とが前記積層方向(S)に見て互いに一致して走っていないセクションの、前記第1のコース(VE1)と前記第2のコース(VE2)とが前記積層方向(S)に見て互いに一致して走っているセクションに対する比が、1未満、より好ましくは0.5未満、最も好ましくは0.2未満の値を有する、請求項3に記載の金属セラミック基板(1)。
【請求項9】
前記第1のコース(VE1)及び/又は前記第2のコース(VE2)に沿った単位長さ(LE)当たり、前記絶縁セクション(15)は第1の体積(V1)を有し、前記裏面メタライゼーション部(20)における前記材料弱化部(25)又は前記複数の材料弱化部は第2の体積(V2)を有し、前記第1の体積(V1)及び前記第2の体積(V2)は、それらの絶対サイズに関して実質的に等しく、それらの幾何学的形状に関して異なる、請求項3に記載の金属セラミック基板(1)。
【請求項10】
電気部品を取り付けるためのプリント回路基板として提供される金属セラミック基板(1)であって、
部品メタライゼーション部(10)及び裏面メタライゼーション部(20)
と、
前記部品メタライゼーション部(10)と前記裏面メタライゼーション部(20)との間に積層方向(S)に沿って配置されたセラミック要素(30)と、を備え、
前記部品メタライゼーション部(10)は、第1の金属セクション(11)及び第2の金属セクション(12)を有し、前記第1の金属セクション(11)及び前記第2の金属セクション(12)は、絶縁セクション(15)によって互いに分離され、かつ/又は電気部品用の接続領域が前記第1の金属セクション上に設けられ、
前記裏面メタライゼーション部(20)は、前記積層方向(S)に見て、前記接続領域と少なくとも部分的に一致して配置された材料凹部の形態の材料弱化部(25)を有する、金属セラミック基板(1)において、
複数の分離された材料弱化部(25)が形成され、前記裏面メタライゼーション部は、前記絶縁セクションと一致する材料凹部と、前記接続領域と一致する材料凹部との両方を有する、金属セラミック基板(1)。
【請求項11】
請求項1
又は2に記載の金属セラミック基板(1)を製造する方法であって、
部品メタライゼーション部(10)と、裏面メタライゼーション部(30)と、セラミック要素(20)とを設けることと、
前記部品メタライゼーション部(10)と前記裏面メタライゼーション部(30)とを前記セラミック要素(20)に接合することであって、前記セラミック要素(20)が前記部品メタライゼーション部(10)と前記裏面メタライゼーション部(20)との間に積層方向(S)に沿って配置されることと、
絶縁セクション(15)を実現することによって前記部品メタライゼーション部(10)を構造化することと、
前記裏面メタライゼーション部(20)において材料弱化部(25)を実現することであって、前記材料弱化部(25)は、前記積層方向(S)に見て、前記絶縁セクション(15)及び/又は前記第1の金属セクションの接続領域と一致して配置されることと、
を含む、方法。
【国際調査報告】