(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-18
(54)【発明の名称】建物エンベロープアクセスシステム
(51)【国際特許分類】
E04G 23/00 20060101AFI20240910BHJP
B08B 13/00 20060101ALI20240910BHJP
B08B 5/02 20060101ALI20240910BHJP
A47L 1/02 20060101ALI20240910BHJP
B08B 3/02 20060101ALI20240910BHJP
E04G 3/22 20060101ALI20240910BHJP
E04G 3/30 20060101ALI20240910BHJP
B64U 10/60 20230101ALI20240910BHJP
B64U 10/14 20230101ALN20240910BHJP
B64U 20/87 20230101ALN20240910BHJP
F42D 3/02 20060101ALN20240910BHJP
B64U 101/29 20230101ALN20240910BHJP
B64U 101/28 20230101ALN20240910BHJP
B64U 101/00 20230101ALN20240910BHJP
B64U 101/30 20230101ALN20240910BHJP
【FI】
E04G23/00
B08B13/00
B08B5/02 Z
A47L1/02
B08B3/02 E
E04G3/22 B
E04G3/30 301B
E04G3/30 302B
B64U10/60
B64U10/14
B64U20/87
F42D3/02
B64U101:29
B64U101:28
B64U101:00
B64U101:30
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024533152
(86)(22)【出願日】2022-08-09
(85)【翻訳文提出日】2024-03-12
(86)【国際出願番号】 AU2022050861
(87)【国際公開番号】W WO2023015337
(87)【国際公開日】2023-02-16
(32)【優先日】2021-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524057050
【氏名又は名称】デファイ-ハイ ロボティックス ピーティーワイ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ニコラス,オリバー
(72)【発明者】
【氏名】バナーマン,トーマス アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ウィディン,アビゲイル グレース
(72)【発明者】
【氏名】ゴンザレス,ロレンツォ
(72)【発明者】
【氏名】バウテル,ルーク
(72)【発明者】
【氏名】ジオヴァナンジェリ,ニコラス
【テーマコード(参考)】
2E003
2E176
3B116
3B201
【Fターム(参考)】
2E003EA01
2E003EB01
2E176BB36
2E176BB38
3B116AA31
3B116AB53
3B116AB54
3B116BA02
3B116BA12
3B116BA32
3B116BA35
3B116BB21
3B116BB71
3B201AA31
3B201AB53
3B201AB54
3B201AB56
3B201BA02
3B201BA12
3B201BA32
3B201BA35
3B201BB21
3B201BB71
3B201BB92
(57)【要約】
建物(2)の測量又はメンテナンスを可能にするように、建物(2)の外壁に対する上昇した位置に機能プラットフォーム(5)を位置決めするためのシステム(1)。システム(1)は、細長い可撓性要素(10)と、可撓性要素(10)に装着可能であり、可撓性要素(10)に沿って移動するように動作可能な台車(4)と、台車(4)の下に機能プラットフォーム(5)を動作可能に吊架するように構成された台車(4)と、一対の支持アセンブリ(6)と、を含む。各支持アセンブリ(6)は、建物(2)に固定されて、位置軸(7)を画定するように構成されたマウント(14)と、位置軸を中心として回転可能であるようにマウント(14)に接続するように構成された細長い支持部材(13)と、を含み、支持部材(13)は、可撓性要素(10)を支持するように構成された自由端部(11)を画定する。システム(1)はまた、可撓性要素(10)と係合可能であり、支持部材(13)間で可撓性要素(10)を後退させ、張力をかけるように動作可能な後退機構を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機能プラットフォームを建物の外壁に対して上昇した位置に位置決めするためのシステムであって、
細長い可撓性要素と、
前記可撓性要素に装着可能であり、前記可撓性要素に沿って移動するように動作可能な台車であって、前記台車の下に前記機能プラットフォームを動作可能に吊架するように構成されている、台車と、
一対の支持アセンブリであって、各支持アセンブリが、
前記建物に固定されて、位置軸を画定するように構成されたマウントと、
前記位置軸を中心として回転可能であるように前記マウントに接続するように構成された細長い支持部材と、を含み、前記支持部材が、前記可撓性要素を支持するように構成された自由端部を画定する、一対の支持アセンブリと、
前記可撓性要素と係合可能であり、前記可撓性要素を後退させるように動作可能な後退機構と、を含み、
それによって、建物の頂部に前記支持アセンブリを離間配置されるように装着し、各支持部材の前記自由端部に対して固定位置と前記後退機構との間に前記可撓性要素を固設し、かつ前記後退機構を動作させることにより、前記可撓性要素に、前記支持部材の間に張力をかけさせ、前記可撓性要素を前記建物の前記頂部より上に配置することを可能にし、前記機能プラットフォームを搬送する前記台車を前記可撓性要素に装着することを可能にする、システム。
【請求項2】
各支持部材は、使用中に、前記支持部材が互いに離れて広がるように配置可能であるように、前記マウントのうちの1つに装着可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
各支持アセンブリが、前記位置軸に直交するように配置された張力軸を画定し、各支持部材が、前記位置軸及び前記張力軸を中心として回転可能であるように装着するように接続するように構成されており、それによって、使用中に、関連付けられた前記張力軸を中心として各支持アームを枢動させることにより、前記支持部材が互いに離れて広がるように、前記支持アームの前記自由端部を離れて移動させることを可能にする、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
各マウントが、前記位置軸を前記建物の平面に平行であるように配置するために、前記平面に装着されるように構成されており、各支持アセンブリが、前記位置軸を中心として回転可能に装着されて、前記支持部材を前記マウントに接続するように構成されたカップリングを更に含み、前記カップリングが、前記張力軸を画定し、前記支持部材が、前記張力軸を中心として回転可能に装着可能である、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
各支持アセンブリが、使用中に、前記支持部材の前記自由端部の互いに向かう移動を抑制するように配置されるように構成された制限部材を含む、請求項3又は4に記載のシステム。
【請求項6】
前記制限部材が、前記支持部材と前記建物との間に固設されて、前記張力軸を中心とした前記支持部材の回転を制限するように構成された第1のブレースを含む、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記第1のブレースが、前記支持部材の第2の端部と前記建物との間に固設されるように構成された可撓性ラインである、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
各支持アセンブリが、使用中に、前記支持部材と前記建物との間に配置されるように構成された調整部材を含み、各調整部材が、前記支持部材の前記位置軸を中心とした回転範囲を調整することを可能にするように調整可能な長さである、先行請求項のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
各支持アセンブリが、前記支持部材から離れて延在するように配置されたストラットを含み、前記調整部材が、前記ストラットと固定位置との間で固設可能である、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記ストラットが、前記支持部材によって画定された第3の軸を中心として回転可能に装着されている、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
各支持アセンブリが、前記ストラットと前記支持部材の前記自由端部との間に固設可能な第2のブレースを更に含む、請求項9又は10に記載のシステム。
【請求項12】
各調整部材が、更なる可撓性要素を備え、前記システムが、前記更なる可撓性要素のうちの少なくとも1つの有効長さを調整するように動作可能な少なくとも1つの調整機構を更に含む、請求項8~11のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
機能プラットフォームを建物の外壁に対して上昇した位置に位置決めするためのシステムであって、
細長い可撓性要素と、
前記可撓性要素に装着可能であり、前記可撓性要素に沿って移動するように動作可能な台車であって、前記台車の下に前記機能プラットフォームを動作可能に吊架するように構成されている、台車と、
支持アセンブリであって、前記建物に固定されて、位置軸を画定するように構成されたマウントと、前記位置軸を中心として回転可能であるように前記マウントに接続するように構成された細長い支持部材とを有し、前記支持部材が、前記可撓性要素を支持するように配置された自由端部を画定する、支持アセンブリと、
前記可撓性要素と係合可能であり、前記可撓性要素を後退させるように動作可能な後退機構と、を含み、
それによって、建物の頂部に前記支持アセンブリを装着し、前記支持部材の前記自由端部を横切って固定位置と前記後退機構との間に前記可撓性要素を固設し、かつ巻上機構を動作させることにより、前記可撓性要素に、前記固定位置と前記支持部材の間に張力をかけさせ、前記可撓性要素を前記建物の前記頂部より上に配置することを可能にし、前記機能プラットフォームを搬送する前記台車を前記可撓性要素に装着することを可能にする、システム。
【請求項14】
前記台車が、前記機能プラットフォームを作動可能に上昇又は下降させるように動作可能な巻上機構を含む、先行請求項のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項15】
前記台車が、前記台車を前記可撓性要素に沿って駆動するための駆動機構を含む、先行請求項のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項16】
前記台車は、使用中に、前記機能プラットフォームを前記可撓性要素に向かって、又は前記可撓性要素から離れるように変位させるように動作可能な変位機構を含む、先行請求項のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項17】
前記建物のジオメトリの少なくとも一部分のデジタルマップを生成すること、前記建物の1つ以上の画像をキャプチャすること、前記建物の1つ以上の物理的パラメータを測定すること、前記建物の少なくとも一部分を清掃すること、前記建物を修復すること、前記建物に1つ以上のオブジェクトを設置することのうちの1つ以上を行うように構成された前記機能プラットフォームを含む、先行請求項のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項18】
前記機能プラットフォームが、前記プラットフォームの一方の側に配置されたユーティリティモジュールと、前記プラットフォームを少なくとも1つの方向に駆動して、前記ユーティリティモジュールを前記建物に向かって、又は前記建物に対して付勢することを可能にするように動作可能な駆動機構と、を含む、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記駆動機構が、前記プラットフォームの前記ユーティリティモジュールの反対側に配置された少なくとも1つの推進機構を含む、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記プラットフォームが、複数の前記推進機構を含み、各機構が、推力を生成するように動作可能な動力式のロータを含む、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
前記ユーティリティモジュールが、洗浄装置及び撮像システムのうちの少なくとも1つを含む、請求項18~20のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項22】
前記清掃装置が、少なくとも1つの動力式の回転可能なブラシを含む、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記清掃装置が、前記少なくとも1つのブラシに隣接して配置された吸気ヘッドを有する吸引機構を含み、前記吸引機構が、前記ユーティリティモジュールを前記建物に向かって引き込むように動作可能である、請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
前記清掃装置が、前記吸気ヘッド内に装着されたカメラ及び光源を含む、請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
前記ユーティリティモジュールが、前記プラットフォームに解放可能に装着されて、前記ユーティリティモジュールを代替ユーティリティモジュールと交換することを可能にする、請求項18~24のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項26】
前記ユーティリティモジュールが、少なくとも1つの軸を中心として前記プラットフォームに回転可能に装着されている、請求項18~25のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項27】
前記ユーティリティモジュールが、前記ユーティリティモジュールの少なくとも一部分を前記プラットフォームに対して配向するように動作可能な位置決め機構に関連付けられている、請求項26に記載のシステム。
【請求項28】
建物に対して上昇した位置にあるようにラインから吊架するための機能プラットフォームであって、
本体であって、前記本体の動作可能な頂端部に配置されており、前記ラインに結合するように構成されたコネクタを含む本体と、
前記本体の一方の側に配置されたユーティリティモジュールと、
前記プラットフォームを少なくとも1つの方向に駆動して、前記ユーティリティモジュールを前記建物に向かって、又は前記建物に対して付勢することを可能にするように動作可能な駆動機構と、を含む、機能プラットフォーム。
【請求項29】
前記駆動機構が、前記本体の前記ユーティリティモジュールの反対側に配置された少なくとも1つの推進機構を含む、請求項28に記載の機能プラットフォーム。
【請求項30】
前記プラットフォームが、複数の前記推進機構を含み、各機構が、推力を生成するように動作可能な動力式のロータを含む、請求項29に記載の機能プラットフォーム。
【請求項31】
各推進機構が、ダクト推力を単一の方向に提供するために、前記本体によって画定された導管内に配置されている、請求項30に記載の機能プラットフォーム。
【請求項32】
前記推進機構のうちの少なくとも2つが、動作可能な前方方向及び後方方向に推力を生成するために、第1の方向に互いに反対に配置されており、前記推進機構のうちの少なくとも2つが、動作可能な横方向に推力を生成するために、前記第1の方向に直交する第2の方向に互いに反対に配置されている、請求項30又は31に記載の機能プラットフォーム。
【請求項33】
前記ユーティリティモジュールが、前記ユーティリティモジュールを前記本体に向かって、又は前記本体から離れるように変位させるように動作可能な変位機構に装着される、請求項28~32のいずれか一項に記載の機能プラットフォーム。
【請求項34】
前記変位機構が、前記本体に対して前記ユーティリティモジュールと反対方向に移動するように配置された釣り合い重りを含む、請求項33に記載の機能プラットフォーム。
【請求項35】
前記ユーティリティモジュールが、前記変位機構に対して前記ユーティリティモジュールを傾けることを可能にするために、少なくとも1つの軸を中心として前記変位機構に回転可能に装着される、請求項33又は34に記載の機能プラットフォーム。
【請求項36】
前記ユーティリティモジュールが、前記ユーティリティモジュールの少なくとも一部分を前記プラットフォームに対して配向するように動作可能な位置決め機構に関連付けられている、請求項35に記載の機能プラットフォーム。
【請求項37】
前記ユーティリティモジュールが、ツール及びセンサのうちの少なくとも1つを含む、請求項28~36のいずれか一項に記載の機能プラットフォーム。
【請求項38】
前記ユーティリティモジュールが、清掃装置、窓密閉保全性システム、及び撮像システムのうちの少なくとも1つを含む、請求項30に記載の機能プラットフォーム。
【請求項39】
前記清掃装置が、少なくとも1つの動力式の回転可能なブラシを含む、請求項38に記載の機能プラットフォーム。
【請求項40】
前記清掃装置が、前記少なくとも1つのブラシに隣接して配置された吸気ヘッドを有する吸引機構を含み、前記吸引機構が、前記ユーティリティモジュールを前記建物に向かって引き込むように動作可能である、請求項39に記載の機能プラットフォーム。
【請求項41】
前記清掃装置が、前記吸気ヘッド内に装着されたカメラ及び光源を含む、請求項40に記載の機能プラットフォーム。
【請求項42】
前記ユーティリティモジュールが、前記プラットフォームに解放可能に装着されて、前記ユーティリティモジュールを代替ユーティリティモジュールと交換することを可能にする、請求項28~41のいずれか一項に記載の機能プラットフォーム。
【請求項43】
荷重を位置決めするための台車であって、
シャーシと、
前記シャーシに固設され、前記台車を支持要素に装着するように構成された少なくとも1つの支持アセンブリと、
前記シャーシに固設された一対の運動制御機構であって、各運動制御機構が、スプールと、前記スプールに固定された細長い可撓性駆動ラインと、前記スプールを回転させて、前記スプールを中心として前記駆動ラインを巻き上げるか、又は巻き戻すように動作可能な駆動手段と、を含む、一対の運動制御機構と、を含み、
前記運動制御機構は、前記スプールを中心として関連付けられた前記駆動ラインを巻き上げるために第1の運動制御機構を動作させることが、第2の運動制御機構の同時動作を引き起こして、前記スプールから前記駆動ラインを巻き戻すように構成されている、台車。
【請求項44】
荷重を位置決めするためのシステムであって、
動作可能に水平であるように固定された位置の間に装着されるように構成された支持要素と、
前記シャーシに接続され、前記荷重に固設されて、前記台車の下で前記荷重を動作可能に吊架することを可能にするように構成された少なくとも1つの荷重ラインを含む、請求項43に記載の台車であって、それによって、前記少なくとも1つの支持アセンブリを前記支持要素に装着し、各駆動ラインの自由端部を固定位置に固設し、前記運動制御機構を動作させることが、前記台車を前記支持要素に沿って横方向に移動させる、台車と、を含む、システム。
【請求項45】
荷重を位置決めするための台車であって、
シャーシと、
前記シャーシに固設され、前記台車を支持要素に装着するように構成された少なくとも1つの支持アセンブリと、
前記シャーシに固設された横方向運動制御機構であって、第1のスプールと、前記第1のスプールに固定された細長い可撓性の第1の駆動ラインと、前記第1のスプールを回転させて、前記第1のスプールを中心として前記第1の駆動ラインを巻き上げるか、又は巻き戻すように動作可能な駆動手段と、を含む、横方向運動制御機構と、
前記シャーシに固設された垂直運動制御機構であって、第2のスプールと、前記第2のスプールに固定された細長い可撓性の第2の駆動ラインと、前記第2のスプールを回転させて、前記第2のスプールを中心として前記第2の駆動ラインを巻き上げるか、又は巻き戻すように動作可能な駆動手段と、を含む、垂直運動制御機構と、を含み、
前記第1の駆動ラインが、固定位置に固設されるように構成された自由端部を画定し、前記第2の駆動ラインが、前記荷重を前記台車の下に作動可能に吊架することを可能にするように荷重に固設されるように構成された自由端部を画定し、
前記台車が、前記第1の駆動ライン及び前記第2の駆動ラインの各々に沿って、かつ前記第1のスプールと前記第2のスプールとの間に延在するように配置されたユーティリティラインを更に含み、前記ユーティリティラインを前記固定位置と前記荷重との間に固設することを可能にする、台車。
【請求項46】
前記ユーティリティラインが、流体及び電力のうちの1つを前記荷重に伝達するように構成されている、請求項45に記載の台車。
【請求項47】
一対の横方向制御機構と、一対の垂直方向制御機構と、一対の前記ユーティリティラインを含み、前記ユーティリティラインのうちの一方が、前記荷重に流体を伝達するように構成されており、他方のユーティリティラインが、前記荷重に電力を伝達するように構成されている、請求項46に記載の台車。
【請求項48】
前記第1の駆動ライン及び前記第2の駆動ラインの各々が、中空であり、前記ユーティリティラインが、前記第1の駆動ライン及び前記第2の駆動ラインの各々内に延在するように配置されている、請求項45~47のいずれか一項に記載の台車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、建物の外部エンベロープへのアクセスを可能にするためのシステムに関し、具体的には、建物の外部エンベロープにアクセスして、建物の外面のメンテナンス又は測量、例えば、ファサード又は窓の清掃を行うように動作可能なシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
建物の日常的なメンテナンスには、通常、ファサード及び窓などの建物の外面の定期的な監視及び清掃が含まれる。建物エンベロープへのアクセスは、亀裂又は他の損傷を識別するため、及び窓清掃などのファサード検査のために必要である。建物の最初の数階について、高架作業プラットフォームを使用して、かつ/又は延在可能なポールに装着されたブラシを使用して、手動でメンテナンスを実施することが可能であり得る。ただし、建物の高さ及び場所に応じて、このような方法は好適でない場合がある。高層ビル、例えば3階より上の高いレベルの場合、そのような方法は、リーチが不十分である。
【0003】
建物のより高いレベルを維持するために、建物のエンベロープは、概して、例えば、建物メンテナンスユニット(BMU)、吊架された足場、又は降下(懸垂下降)によって、建物の頂部から人によってアクセスされる。
【0004】
従来の建物メンテナンスユニット(BMU)は、典型的には、建物の頂部に静的に装着された、又はレール上などの建物に移動可能に装着されたクレーン又はブームアームである、恒久的に設置された機構を含む。機構は、建物の外壁に隣接する作業プラットフォームを下降させるために使用される。建物の手動検査及びメンテナンスを可能にするために、1人以上の人がプラットフォーム上に立つ。典型的なBMUは高価であり、個々の建物への恒久的な取り付けを必要とし、動作は、しばしば特定の許可された人に制限される。更に、BMUで手作業を行うことは、作業者に安全上のリスクをもたらす。
【0005】
フルサイズのBMUに加えて、代替のプラットフォームは、建物の頂部に配置されたホイール付きのダビット又はクレーンから下降させるか、又は足場を吊架することができる。これらの構造は、建物の頂部の周りに持ち運び可能であり得るが、それらは、典型的には、大きく、扱いにくく、建物間を輸送するために実用的ではない。これらの機構は通常、高価であり、全ての建物に好適ではない。また、建物が、屋根上に障害物、例えば、ダクト及び空調を含む場合、これはアクセスを大幅に妨げる可能性がある。
【0006】
高所で建物のエンベロープにアクセスする上記の従来の手段では、作業者がBMUを使用するか、ロープにアクセスするか、又は他の高架作業プラットフォーム(EWP)を使用する必要があり、これら全てが人間の安全上のリスクをもたらす可能性がある。加えて、建物エンベロープにアクセスするこれらの方法は、悪天候によって損なわれる可能性があり、人的労働並びに機械使用料、設置及び/又はメンテナンスにコストがかかる可能性がある。
【0007】
過去のいくつかのアプローチは、無人航空機(UAV、典型的にはドローンと称される)を使用して、建物のエンベロープメンテナンスを自動化しようとすることを伴っている。しかしながら、UAVは、そのような航空機が違法であるか、又は安全上のリスクをもたらす場所では好適でないことが多い。この制限を克服しようとする試みは、例えば、建物の各隅にあるウィンチによって、建物に直接装着されたロープ又はロープシステムからUAVを吊架して、建物に対するUAVの運動を誘導することを含んでいる。そのような構成では、UAVは、典型的には、取り付けられたロープによって画定された、制限された運動の範囲を有するため、建物面の範囲、特に頂部縁及び下隅にアクセスすることができない。また、UAVの運動は、建物面から突出する構造、例えば、方立又は突出するファサードパネルによって妨げられ得、これは、非効率的及び/又は不完全なメンテナンスをもたらし得る。
【0008】
本明細書に含まれている文書、行為、材料、デバイス、物品などのあらゆる考察は、これらの事項のいずれか又は全てが、添付の特許請求の範囲の各々の優先日の前に存在する、本開示に関連する分野における技術常識であったことを認めるものとはみなされない。
【発明の概要】
【0009】
いくつかの開示された態様によれば、機能プラットフォームを建物の外壁に対して上昇した位置に位置決めするためのシステムが提供される。システムは、細長い可撓性要素と、可撓性要素に装着可能であり、可撓性要素に沿って移動するように動作可能な台車であって、台車の下に機能プラットフォームを動作可能に吊架するように構成されている、台車と、一対の支持アセンブリであって、各支持アセンブリが、建物に固定されて、位置軸を画定するように構成されたマウントと、位置軸を中心として回転可能であるようにマウントに接続するように構成された細長い支持部材と、を含み、支持部材が、可撓性要素を支持するように構成された自由端部を画定する、一対の支持アセンブリと、可撓性要素と係合可能であり、可撓性要素を後退させるように動作可能な後退機構と、を含み、それによって、建物の頂部に支持アセンブリを離間配置されるように装着し、各支持部材の自由端部に対して固定位置と後退機構との間に可撓性要素を固設し、かつ後退機構を動作させることにより、可撓性要素に、支持部材の間に張力をかけさせ、可撓性要素を建物の頂部より上に配置することを可能にし、機能プラットフォームを搬送する台車を可撓性要素に装着することを可能にする。
【0010】
各支持部材は、使用中に、支持部材が互いに離れて広がるように配置可能であるように、マウントのうちの1つに装着可能であってもよい。
【0011】
各支持アセンブリは、位置軸に直交するように配置された張力軸を画定してもよく、各支持部材は、位置軸及び張力軸を中心として回転可能であるように装着するように接続するように構成され、その結果、使用中に、関連付けられた張力軸を中心として各支持アームを枢動させることにより、支持部材が互いに離れて広がるように、支持アームの自由端部を離れて移動させることを可能にする。
【0012】
各マウントは、位置軸を建物の平面に平行であるように配置するために、平面に装着されるように構成されてもよく、各支持アセンブリは、位置軸を中心として回転可能に装着されて、支持部材をマウントに接続するように構成されたカップリングを更に含み、カップリングは、張力軸を画定し、支持部材は、張力軸を中心として回転可能に装着可能である。
【0013】
各支持アセンブリは、使用中に、支持部材の自由端部の互いに向かう移動を抑制するように配置されるように構成された制限部材を含んでもよい。制限部材は、支持部材と建物との間に固設されて、張力軸を中心とした支持部材の回転を制限するように構成された第1のブレースを含んでもよい。第1のブレースは、支持部材の第2の端部と建物との間に固設されるように構成された可撓性ラインとして構成されてもよい。
【0014】
各支持アセンブリは、使用中に、支持部材と建物との間に配置されるように構成された調整部材を含んでもよく、各調整部材は、支持部材の位置軸を中心とした回転範囲を調整することを可能にするように調整可能な長さである。加えて、各支持アセンブリは、支持部材から離れて延在するように配置されたストラットを含んでもよく、調整部材は、ストラットと固定位置との間で固設可能である。ストラットは、支持部材によって画定された第3の軸を中心として回転可能に装着されてもよい。各支持アセンブリはまた、ストラットと支持部材の自由端部との間に固定可能な第2のブレースを含んでもよい。各調整部材は、更なる可撓性要素を備えてもよく、システムは、更なる可撓性要素のうちの少なくとも1つの有効長さを調整するように動作可能な少なくとも1つの調整機構を含む。
【0015】
他の開示された実施形態によれば、機能プラットフォームを建物の外壁に対して上昇した位置に位置決めするためのシステムであって、細長い可撓性要素と、可撓性要素に装着可能であり、可撓性要素に沿って移動するように動作可能な台車であって、台車の下に機能プラットフォームを動作可能に吊架するように構成されている、台車と、支持アセンブリであって、建物に固定されて、位置軸を画定するように構成されたマウントと、位置軸を中心として回転可能であるようにマウントに接続するように構成された細長い支持部材とを有し、支持部材が、可撓性要素を支持するように配置された自由端部を画定する、支持アセンブリと、可撓性要素と係合可能であり、可撓性要素を後退させるように動作可能な後退機構と、を含み、それによって、建物の頂部に支持アセンブリを装着し、支持部材の自由端部を横切って固定位置と後退機構との間に可撓性要素を固設し、かつ巻上機構を動作させることにより、可撓性要素に、固定位置と支持部材の間に張力をかけさせ、可撓性要素を建物の頂部より上に配置することを可能にし、機能プラットフォームを搬送する台車を可撓性要素に装着することを可能にする、システムが提供される。
【0016】
台車は、機能プラットフォームを動作可能に上昇又は下降させるように動作可能な巻上機構を含んでもよい。台車は、可撓性要素に沿って台車を駆動するための駆動機構を含んでもよい。台車は、使用中に、機能プラットフォームを可撓性要素に向かって、又は可撓性要素から離れるように変位させるように動作可能な変位機構を含んでもよい。
【0017】
前述の段落のいずれかに記載のシステムは、建物のジオメトリの少なくとも一部分のデジタルマップを生成すること、建物の1つ以上の画像をキャプチャすること、建物の1つ以上の物理的パラメータを測定すること、建物の少なくとも一部分を清掃すること、建物を修復すること、建物に1つ以上のオブジェクトを設置することのうちの1つ以上を行うように構成されている機能プラットフォームを含んでもよい。
【0018】
機能プラットフォームは、プラットフォームの一方の側に配置されたユーティリティモジュールと、プラットフォームを少なくとも1つの方向に駆動して、ユーティリティモジュールを建物に向かって、又は建物に対して付勢することを可能にするように動作可能な駆動機構と、を含んでもよい。駆動機構は、プラットフォームのユーティリティモジュールの反対側に配置された少なくとも1つの推進機構を含んでもよい。プラットフォームは、複数の推進機構を含んでもよく、各機構は、推力を生成するように動作可能な動力式のロータを含む。
【0019】
ユーティリティモジュールは、清掃装置及び撮像システムのうちの少なくとも1つを含んでもよい。清掃装置は、少なくとも1つの動力式の回転可能なブラシを含んでもよい。清掃装置は、少なくとも1つのブラシに隣接して配置された吸気ヘッドを有する吸引機構を含んでもよく、吸引機構は、ユーティリティモジュールを建物に向かって引き込むように動作可能である。清掃装置は、吸気ヘッド内に装着されたカメラ及び光源を含んでもよい。
【0020】
ユーティリティモジュールは、プラットフォームに解放可能に装着されて、ユーティリティモジュールを代替ユーティリティモジュールと交換することを可能にしてもよい。ユーティリティモジュールは、少なくとも1つの軸を中心としてプラットフォームに回転可能に装着されてもよい。ユーティリティモジュールは、ユーティリティモジュールの少なくとも一部分をプラットフォームに対して配向するように動作可能な位置決め機構に関連付けられてもよい。
【0021】
本開示の更なる態様によれば、建物に対して上昇した位置にあるようにラインから吊架するための機能プラットフォームであって、本体であって、本体の動作可能な頂端部に配置されており、ラインに結合するように構成されたコネクタを含む本体と、本体の一方の側に配置されたユーティリティモジュールと、プラットフォームを少なくとも1つの方向に駆動して、ユーティリティモジュールを建物に向かって、又は建物に対して付勢することを可能にするように動作可能な駆動機構と、を含む、機能プラットフォームが提供される。
【0022】
駆動機構は、本体のユーティリティモジュールの反対側に配置された少なくとも1つの推進機構を含んでもよい。プラットフォームは、複数の推進機構を含んでもよく、各機構は、推力を生成するように動作可能な動力式のロータを含む。各推進機構は、ダクト推力を単一の方向に提供するために、本体によって画定された導管内に配置されてもよい。推進機構のうちの少なくとも2つが、動作可能な前方方向及び後方方向に推力を生成するために、第1の方向に互いに反対に配置されてもよく、推進機構のうちの少なくとも2つが、動作可能な横方向に推力を生成するために、第1の方向に直交する第2の方向に互いに反対に配置されている。
【0023】
ユーティリティモジュールは、ユーティリティモジュールを本体に向かって、又は本体から離れるように変位させるように動作可能な変位機構に装着されてもよい。変位機構は、本体に対してユーティリティモジュールと反対方向に移動するように配置された釣り合い重りを含んでもよい。ユーティリティモジュールは、変位機構に対してユーティリティモジュールを傾けることを可能にするために、少なくとも1つの軸を中心として変位機構に回転可能に装着されてもよい。ユーティリティモジュールは、ユーティリティモジュールの少なくとも一部分をプラットフォームに対して配向するように動作可能な位置決め機構に関連付けられてもよい。ユーティリティモジュールは、プラットフォームに解放可能に装着されて、ユーティリティモジュールを代替ユーティリティモジュールと交換することを可能にしてもよい。
【0024】
ユーティリティモジュールは、ツール及びセンサのうちの少なくとも1つを含んでもよい。ユーティリティモジュールは、清掃装置、窓密閉保全性システム、及び撮像システムのうちの少なくとも1つを含んでもよい。清掃装置は、少なくとも1つの動力式の回転可能なブラシを含んでもよい。清掃装置は、少なくとも1つのブラシに隣接して配置された吸気ヘッドを有する吸引機構を含んでもよく、吸引機構は、ユーティリティモジュールを建物に向かって引き込むように動作可能である。清掃装置は、吸気ヘッド内に装着されたカメラ及び光源を含んでもよい。
【0025】
本開示の他の態様によれば、荷重を位置決めするための台車であって、シャーシと、シャーシに固設され、台車を支持要素に装着するように構成された少なくとも1つの支持アセンブリと、シャーシに固設された一対の運動制御機構であって、各運動制御機構が、スプールと、スプールに固定された細長い可撓性駆動ラインと、スプールを回転させて、スプールを中心として駆動ラインを巻き上げるか、又は巻き戻すように動作可能な駆動手段と、を含む、一対の運動制御機構と、を含み、運動制御機構は、スプールを中心として関連付けられた駆動ラインを巻き上げるために第1の運動制御機構を動作させることが、第2の運動制御機構の同時動作を引き起こして、スプールから駆動ラインを巻き戻すように構成されている、台車が提供される。
【0026】
システムは、動作可能に水平であるように固定された位置の間に装着されるように構成された支持要素と、シャーシに接続され、荷重に固設されて、台車の下で荷重を動作可能に吊架することを可能にするように構成された少なくとも1つの荷重ラインを含む、前述の段落に記載の台車であって、それによって、少なくとも1つの支持アセンブリを支持要素に装着し、各駆動ラインの自由端部を固定位置に固設し、運動制御機構を動作させることが、台車を支持要素に沿って横方向に移動させる、台車と、を含む、システムが提供される。
【0027】
本開示の更なる態様によれば、荷重を位置決めするための台車であって、シャーシと、シャーシに固設され、台車を支持要素に装着するように構成された少なくとも1つの支持アセンブリと、シャーシに固設された横方向運動制御機構であって、第1のスプールと、第1のスプールに固定された細長い可撓性の第1の駆動ラインと、第1のスプールを回転させて、第1のスプールを中心として第1の駆動ラインを巻き上げるか、又は巻き戻すように動作可能な駆動手段と、を含む、横方向運動制御機構と、シャーシに固設された垂直運動制御機構であって、第2のスプールと、第2のスプールに固定された細長い可撓性の第2の駆動ラインと、第2のスプールを回転させて、第2のスプールを中心として第2の駆動ラインを巻き上げるか、又は巻き戻すように動作可能な駆動手段と、を含む、垂直運動制御機構と、を含み、第1の駆動ラインが、固定位置に固設されるように構成された自由端部を画定し、第2の駆動ラインが、荷重を台車の下に作動可能に吊架することを可能にするように荷重に固設されるように構成された自由端部を画定し、台車が、第1の駆動ライン及び第2の駆動ラインの各々に沿って、かつ第1のスプールと第2のスプールとの間に延在するように配置されたユーティリティラインを更に含み、ユーティリティラインを固定位置と荷重との間に固設することを可能にする、台車が提供される。
【0028】
ユーティリティラインは、流体及び電力のうちの1つを荷重に伝達するように構成されてもよい。
【0029】
台車は、一対の横方向制御機構と、一対の垂直方向制御機構と、一対のユーティリティラインを含んでもよく、ユーティリティラインのうちの一方が、荷重に流体を伝達するように構成されており、他方のユーティリティラインが、荷重に電力を伝達するように構成されている。
【0030】
第1の駆動ライン及び第2の駆動ラインの各々は、中空であり、ユーティリティラインは、第1の駆動ライン及び第2の駆動ラインの各々内に延在するように配置されている。
【0031】
本明細書全体を通して、「含む(comprise)」という言葉、又は「含む(comprises)」若しくは「含む(comprising)」などの変形例は、本開示の文脈が別段の指示をしない限り、記載された要素、整数若しくはステップ、又は要素、整数若しくはステップのグループの包含を意味するが、任意の他の要素、整数若しくはステップ、又は要素、整数若しくはステップのグループの排除を意味しないことを理解されたい。
【0032】
実施形態は、本明細書に開示された、又は本出願の明細書に個別に又は集合的に示されたステップ、特徴、及び/又は整数、並びに当該ステップ又は特徴のうちの2つ以上のありとあらゆる組み合わせを含み得ることが理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0033】
ここで、実施形態は、添付の図面を参照して例としてのみ説明される。
【0034】
【
図1】建物に装着された建物エンベロープアクセスシステムの第1の実施形態の斜視図である。
【
図2】建物に装着された建物エンベロープアクセスシステムの第1の実施形態の正面図である。
【0035】
【0036】
【0037】
【
図5】張力平面内の回転を例解する、前の図に示されるシステムの支持アセンブリの正面図である。
【0038】
【
図6】位置軸を中心とした回転を例解する、
図5に示される支持アセンブリの側面図である。
【0039】
【
図7】
図5及び
図6に示される支持アセンブリの一部の斜視図である。
【0040】
【0041】
【0042】
【0043】
【0044】
【0045】
【0046】
【
図20】
図1~
図4のシステムの台車及び機能プラットフォームの正面図である。
【0047】
【0048】
【0049】
【
図31】機能プラットフォームの動作経路を例解する概略図である。
【0050】
【
図32】機能プラットフォームの推進システムの斜視図である。
【
図33】機能プラットフォームの推進システムの側面図である。
【0051】
【0052】
【
図35】建物に対して上昇した位置でプラットフォームを支持するための代替支持システムの斜視図である。
【
図36】建物に対して上昇した位置でプラットフォームを支持するための代替支持システムの側面図である。
【
図37】建物に対して上昇した位置でプラットフォームを支持するための代替支持システムの正面図である。
【0053】
【
図38】建物に装着された建物エンベロープアクセスシステムの第2の実施形態の斜視図である。
【
図39】建物に装着された建物エンベロープアクセスシステムの第2の実施形態の側面図である。
【0054】
【
図40】
図38及び
図39に示されるシステムの機能プラットフォームの斜視図であり、プラットフォームは、展開構成にある。
【
図41】
図38及び
図39に示されるシステムの機能プラットフォームの正面図であり、プラットフォームは、展開構成にある。
【
図42】
図38及び
図39に示されるシステムの機能プラットフォームの側面図であり、プラットフォームは、展開構成にある。
【0055】
【
図43】
図40~
図42の機能プラットフォームの斜視図であり、プラットフォームは、動作構成にある。
【
図44】
図40~
図42の機能プラットフォームの側面図であり、プラットフォームは、動作構成にある。
【0056】
【0057】
【0058】
図面及び説明全体の参照を容易にするために、対応する特徴は、対応する参照番号を与えられている。
【発明を実施するための形態】
【0059】
本明細書全体を通じて、「いくつかの実施形態」又は「実施形態」への言及は、その実施形態に関連して記載される特定の特徴、構造、又は特性が、少なくとも1つの開示された実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体を通じて、「いくつかの実施形態」又は「様々な実施形態」という語句が出現した場合、必ずしも全て同じ実施形態を指すわけではないが、そうである場合もある。更に、特定の特徴、構造、又は特性は、1つ以上の実施形態における本開示から当業者には明らかなように、任意の好適な様式で組み合わされてもよい。
【0060】
本明細書で使用される場合、共通のオブジェクトを記述するための順序形容詞「第1の」、「第2の」、「第3の」などの使用が別途指定されない限り、単に類似のオブジェクトの異なる例が言及されていることを示し、そのように記述されたオブジェクトが、時間的、空間的、ランキングで、又は任意の他の様式のいずれかで、所与の順序でなければならないことを暗示することを意図するものではない。
【0061】
結合された用語は、特許請求の範囲で使用された場合、直接接続のみに限定されるものとして解釈されるべきではないことに留意されたい。用語「結合された」及び「接続された」は、それらの派生語と共に使用され得る。これらの用語は、互いの同義語として意図されていないことを理解されたい。したがって、デバイスAがデバイスBに結合された表現の範囲は、デバイスAの出力がデバイスBの入力に直接接続されているデバイス又はシステムに限定されるべきではない。これは、Aの出力と他のデバイス又は手段を含む経路であり得るBの入力との間に機能的な経路が存在することを意味する。「結合された」とは、2つ以上の要素が直接物理的若しくは電気的に接触しているか、又は2つ以上の要素が互いに直接接触していないが、それでも互いに協働若しくは相互作用していることを意味し得る。
【0062】
図面において、参照番号1は、概して、建物2の測量又はメンテナンスを可能にするように、建物2の外壁に対する上昇した位置に機能プラットフォーム5を位置決めするためのシステム1を指定する。システム1は、細長い可撓性要素10と、可撓性要素10に装着可能であり、可撓性要素10に沿って移動するように動作可能な台車4と、台車4の下に機能プラットフォーム5を動作可能に吊架するように構成された台車4と、一対の支持アセンブリ6と、を含む。各支持アセンブリ6は、建物2に固定されて、位置軸7を画定するように構成されたマウント14と、位置軸を中心として回転可能であるようにマウント14に接続するように構成された細長い支持部材13と、を含み、支持部材は、可撓性要素10を支持するように構成された自由端部11を画定する。システム1はまた、可撓性要素10と係合可能であり、可撓性要素10を後退させるように動作可能な後退機構を含む。
【0063】
建物2の頂部に支持アセンブリ6を離間配置されるように装着し、各支持部材13の自由端部11に対して固定位置と後退機構との間に可撓性要素10を固設し、かつ後退機構を動作させることにより、可撓性要素10に、支持部材13の間に張力をかけさせ、可撓性要素10を建物2の頂部より上に配置することを可能にし、機能プラットフォーム5を搬送する台車4を可撓性要素10に装着することを可能にする。
【0064】
図では、可撓性要素10は、典型的には、高強度の合成繊維ライン、例えば、Dyneemaロープから形成された、伸縮不能なジップライン10として構成されている。他の実施形態(図示せず)では、可撓性要素は、ケーブル、ロープ、ワイヤ、コード、ストラップ、及びチェーンのうちのいずれかを備える。ジップライン10は、台車4を支持し、その動きを誘導するように配置可能である。ジップライン10は、支持部材13間の横方向の移動を容易にするために、台車4によって駆動ラインとして使用されてもよい。図示された実施形態では、単一のジップライン10が、ガイドライン及び駆動ラインの両方として利用される。他の実施形態(図示せず)では、ジップラインは、ガイドラインとしてのみ機能し、1つ以上の別個の駆動ラインは、台車4の横方向の移動を引き起こすことを可能にするように提供される。そのような実施形態では、ガイドラインは、強度及び支持を強化するための比較的太いラインであってもよく、駆動ラインは、摩擦を低減するための比較的細いラインであってもよい。
【0065】
図示された実施形態では、各支持部材13は、細長いマスト、又は装着アーム13として構成されている。ジップライン10は、各支持アセンブリ6の装着アーム13の自由端部11の接続点に固定されてもよい。各接続点は、装着アーム13のうちの1つに固設された端部キャップによって画定されてもよい。代替的に、ジップライン10は、装着アーム13の端部キャップを介して、装着アーム13のベースなどの代替的に位置する接続点に配線されてもよい。いくつかの実施形態では、実装アーム13の端部キャップは、ジップライン10をアーム13のベースに配線して、ジップライン10によってアーム13に及ぼされる力をリダイレクトするためのプーリ配置20を組み込む。そのような実施形態では、プーリ機構20の位置は、典型的には、一対のアーム13が互いの鏡像であるように、各アーム13を手渡させる。このように構成されている場合、第1のアーム13は、システム1の左側に装着されなければならず、第2のアーム13は、プーリ機構20を介してジップライン10を支持することを可能にするために、システム1の右側に装着されなければならない。
【0066】
図1~
図4を参照すると、支持アセンブリ6は、位置軸7を中心として回転するために、建物2の頂部表面に回転可能に装着可能である。この図示される実施形態では、位置軸7は、マウント14によって画定される。マウント14は、屋根などの平面表面に装着されるように構成されており、軸7は、この実施形態では建物2の頂部表面である平面表面と実質的に平行であり、動作可能に水平であるように配置されており、その結果、支持アセンブリ6は、建物2のライブエッジ8に向かって、又はライブエッジ8から離れて回転してもよい。他の実施形態(図示せず)では、各支持アセンブリ6は、動作可能に垂直となる建物2の頂部表面に垂直であるように配置された位置軸7を中心として建物2に回転可能に装着可能であり、その結果、支持アセンブリ6は、建物2のライブエッジ8に向かって、又はライブエッジ8から離れて回転することができることが理解されるであろう。いずれかの構成では、支持部材13は、使用時に、支持部材13が互いに離れて広がるように配置可能であるように、マウント14のうちの1つに装着可能であってもよい。これにより、各支持部材13は、引力をかけられたジップライン10によって部材13に及ぼされた力によって圧縮され、その結果、各支持部材13は、関連付けられたマウント14に向かって付勢される。これは、ジップライン10の張力を維持するために、アーム13の端部11が互いに向かって引かれるのを有利に抑制することができる。結果として、これは、台車4の垂直位置及び吊架された機能プラットフォーム5の位置の制御を強化することができる。
【0067】
図5に最もよく示されるように、各支持アセンブリ6は、典型的には、ジップライン10が建物2の頂部の上に配置されるように、各アーム13の自由端部11に画定された一対の接続点の間の張力平面内でジップライン10に張力をかけるように、張力軸9を中心として回転させるように構成されている。このようにジップライン10を配置することで、機能プラットフォーム5が建物2の頂部にアクセスすることを可能にすることができる。台車4は、ジップライン10と係合可能であり、接続点11の間でジップラインに沿って移動するように構成されている。機能プラットフォーム5は、台車4から吊架され、台車4を移動させることと組み合わせて、建物2のエンベロープを中心として移動させるように動作可能である。システム1がこのように設置及び動作されるとき、機能プラットフォーム5は、建物の外壁の検査及び/又は測量などの潜在的に危険な環境への人間の曝露を回避するために、建物の少なくとも一部分を走査又はマッピングして、2D又は3Dデジタルモデルを生成すること、建物を撮像すること、建物を清掃すること、建物を塗装又はコーティングすることを含む建物を修復すること、及び例えば、建物上又は建物内で行われる建物の解体又は防衛動作を支援するために、センサ又は爆発物などのオブジェクトを建物に設置することを含む、広範なタスクを効率的に実行することができる。
【0068】
各支持アセンブリ6は、典型的には、装着アーム3が位置軸7を中心として回転して、最初に建物2の周辺の内側になるように、建物2に設置される。建物2の縁8の後ろに設置されると、
図6に例解されるように、支持アセンブリ6は、ジップライン10を張力面内の張力で維持しながら、位置軸7を中心として回転させて、ジップライン10、台車4、及び機能プラットフォーム5に建物2の縁8を越えさせ、エンベロープへのアクセスを提供してもよい。
図3に見られるように、システム1は、機能プラットフォーム5の形態で、建物2のライブエッジ8を越えて、地上の上昇した位置で荷重を支持することができる。ジップライン10を搬送するアーム3の構成は、ジップライン10、台車4、及びプラットフォーム5を、建物2の頂部表面上及び建物2の頂部表面のレベルの下のバリア又は手すり12の上に展開することを可能にする。有利には、システム1は、建物2のエンベロープの周りの作業位置での様々な上昇した位置で荷重を支持することができる。
【0069】
図4に最もよく示されるように、各支持体アセンブリ6は、支持体アセンブリ6が建物の縁8の隣接する隅に固設されるように、建物2の頂部表面に回転可能に装着可能な装着アーム13を含む。装着アーム13の各々は、マウント14にそれぞれ装着され、マウント14は、ブラケットとして、又は例解されるように、ベースプレート14として、カップリング15によって具現化されてもよい。いくつかの用途では、ベースプレート14は、建物2の周辺から約2メートルのところで表面に固定され、装着アーム13は、約4メートルの長さになるように寸法決定される。したがって、アーム13は、位置軸7を中心として回転可能であり、ジップライン10に建物2の周辺を越えさせる。ベースプレート14の位置及び装着アーム13の相対的な寸法は、必要に応じて、ジップライン10が任意の棚又はバリア12を越えて、縁8を十分に越えて延在することを可能にするように調整されてもよいことが理解されるであろう。
【0070】
図示された実施形態では、ジップライン10は、両方の支持アセンブリ6にわたる固定位置と後退機構との間に固定されて、その結果、ジップライン10は、支持アセンブリ6の間で張力をかけられ、支持アセンブリ6によって上昇することができる。後退機構は、典型的には、手動で動作可能なラチェット機構、又は動力式のウィンチ機構を含み、これらのいずれかは、支持アセンブリ6の一方に装着されてもよく、固定位置は、他方の支持アセンブリ6によって画定される。後退機構及び/又は固定位置は、代替的に、建物2自体に位置してもよいことが理解されるであろう。いくつかの実施形態では(図示せず)、ジップライン10は、建物又は他の静的構造に固定的に固設されたアンカー点によって画定されるような単一の固定接続点と、単一の装着アーム13の遠位端部11上の可動接続点との間に延在してもよい。そのような実施形態では、単一の支持アセンブリ6のみが必要である。概して、一対の支持アセンブリ6を備える図示された実施形態は、これが建物2からの設置及び取り外しがそれほど複雑ではなく、したがって、建物間をより容易に移動し、かつ/又は建物2に対して異なる位置に設置されるため、好ましい。
【0071】
図7~
図9を参照すると、各支持アセンブリ6は、背面支持アンカー16と、各ベースプレート14に隣接する建物2に固定的に固設された少なくとも1つの張力アンカー17と、を含んでもよい。各背面支持アンカー16は、建物2とそれぞれの装着アーム13との間に調整部材を固設して、装着アーム3を位置軸7を中心として所定の配向に支持し、維持するように配置されている。各張力アンカー17は、特に、アーム13の自由端部11が互いに向かって移動するのを抑制することによって、それぞれの装着アーム13上の張力を維持するために、建物2とそれぞれの装着アーム13との間に制限部材を固設するように配置されている。各張力アンカー17は、使用中、張力アンカー17が、それぞれの装着アーム13の遠位端部11から関連付けられたベースプレート14に向かって内側にあるように位置決めされている。
【0072】
背面支持アンカー16及び張力アンカー17は、張力に耐えるように特別に選択及び設置されているが、従来のアンカーは、剪断荷重のためにのみ設計されており、張力に耐えることができない。カラー付きアイボルトの場合、これは、現在の背面支持又は張力アンカーとして使用するには不十分なボルトが設置されている表面に対して20度を超えない引張角度に変換される。特に、背部支持アンカー16及び張力アンカー17は、それらが設置されている表面に対して実質的に高い張力に抵抗するように構成されている、Petzl Coeurボルトによって画定されてもよい。有利には、アンカー16、17は、アンカー点16、17から引き上げる張力に耐えることができ、したがって、装着アーム13及びジップライン10の背面支持及び張力を提供し得る。
【0073】
有利には、張力アンカー17の位置決め及び装着アーム13の構成は、装着アーム13が圧縮されるように、装着アーム13の長さに沿って張力ジップライン10の張力をリダイレクトする。したがって、軽量かつ剛性の支持構造3を使用して、上昇した位置で荷重を支持してもよい。
【0074】
図5を参照すると、支持部材13は、各装着アーム13の遠位端部11の2つの接続点の間でジップライン10に張力をかけるために、張力軸9の周りの張力平面を横切って回転可能である。図示された実施形態では、各装着アーム13は、それぞれの張力軸9を中心として、好ましくはジップライン10に対称に張力をかけて回転してもよい。
【0075】
図6を参照すると、各支持アセンブリ6はまた、位置軸7を中心として回転可能であり、ジップライン10を搬送する装着アーム13の遠位端部11を建物2の縁8に向かわせるか、又は建物2の縁8から離れさせる。
図4に最もよく示されるように、装着アーム13の各々は、典型的には、それらが共通位置軸7を中心として回転可能であるように建物に装着される。ジップライン10は、位置軸7に平行になるように張力をかけられる。
【0076】
支持アセンブリ6は、ジップライン10が張力をかけられてもよく、支持部材13が、張力平面内の張力を維持しながら、位置軸7を中心として回転するように構成されている。有利には、この面内張力は、支持アセンブリ6が張力を保持しながらジップライン10を再位置決めすることを可能にする。したがって、システム1は、台車4及びプラットフォーム5をジップライン10に装着することを含む、建物2の縁8から離れるように枢動されたときに設定されてもよく、次いで、支持アセンブリ6は、張力をかけられながらジップライン10を再位置決めするために回転されてもよい。
【0077】
代替的な実施形態(図示せず)では、ジップライン10の一方の端部は所定の位置に固定されてもよく、他方の端部、又はジップライン10に沿った場所は、支持アセンブリ6によって固定端に対して回転されてもよい。ジップライン10の接続点の相対的な運動は、ジップライン10を再位置決めし、ジップライン10に張力をかけることができる。例えば、ジップライン10の一方の端部は、建物2に固定されてもよく、ジップライン10の他方の端部は、装着アーム13に接続されてもよい。したがって、装着アーム13は、固定接続点から離れて回転してライン10に張力をかけることができ、直交して回転してジップライン10を再位置決めすることもできる。
【0078】
位置軸7が動作可能に垂直であるように配置されている更に他の実施形態(図示せず)では、各装着アーム13は、アーム13を軸7を中心として制御可能に回転させるように動作可能なターンテーブルに装着されてもよい。そのような実施形態では、一方又は両方のターンテーブルと係合するモータを動作させるなどして、アーム13を軸7を中心として回転させると、アーム13の間のジップライン10に張力をかけ、建物2の縁8に対してジップライン10を再位置決めすることができる。いくつかの実施形態(図示せず)では、更なるモータは、それぞれの張力軸9を中心としてアーム13を枢動させるために、各アーム13に関連付けられる。好ましくは、アーム13は、アーム13が互いに離れて広がり、張力をかけられたジップライン10によって位置軸に向かって各アーム13の圧縮を引き起こし、結果として、ジップライン10の張力の維持を強化するように、動作位置に回転される。
【0079】
再び
図7及び
図8を参照すると、各支持アセンブリ6は、荷重を支持することを強化し、かつ/又は荷重の位置決めを容易にするために、複数の追加のブレース及びストラットを含んでもよい。ブレース及びストラットは、一方又は両方の軸7、9を中心とした支持部材13の回転を制限するように配置されている。図示された実施形態では、各支持アセンブリ6は、別個のジップライン10、支持ライン18、及び張力ライン19に関連付けられる。代替的な実施形態(図示せず)では、様々なラインは、それぞれの点で固設された連続した長さによって画定されてもよい。更に他の実施形態(図示せず)では、支持ライン18及び/又は張力ライン19は、位置軸7を中心として支持部材13の回転位置を調整するように動作可能なガスストラット又はモータなどの他の好適な静的若しくは調整可能な保持構造、又は張力軸9を中心として支持部材13を固設するように配置されたバーなどの実質的に剛性の部材で置き換えられる。
【0080】
図示された実施形態では、各支持アセンブリ6はまた、装着アーム13の端部キャップを建物2の頂部表面に固定された張力アンカー17に接続する可撓性張力ライン19の形態の制限部材を含み、その結果、張力ライン19は、支持アセンブリ6の端部キャップの互いに向かう移動を制限するためのブレースを提供し、これにより、ジップライン10の張力を低減することができる。張力ライン19は、一体型ラチェット部分、例えば、ラチェットストラップを組み込んでもよい。代替的に、張力ライン19は、張力アンカー17を通って引っ張られて、装着アーム13を回転させ、ジップライン10に張力をかけ、次いで、張力アンカーで結び付けられてもよい。このようにして、装着アーム13は、ジップライン10に張力をかけるためのレバーアームとして機能してもよく、張力ライン19は、ジップライン10に張力をかけて、次いで、その張力を維持することを容易にするように構成されている。各装着アーム13は、ジップライン10をジップライン10の交互の端部から対称に張力をかけるための張力機構を含んでもよい。更に代替的に、張力ライン19は、張力軸9を中心とした支持部材13の回転を制限するように配置された、固定された伸縮不可能な長さであってもよく、ジップライン10は、ラチェット機構を動作させることがジップライン10に張力をかけるように支持部材13に装着されたラチェット機構に関連付けられ、ひいては、張力ライン19に張力をかけるまでアーム13の枢動を引き起こす。
【0081】
各支持アセンブリ6は、図示された実施形態では、支持ライン18の形態で、位置軸7を中心として所定の角度又は配向で装着アーム13を位置決めするように構成された調整部材を含んでもよい。支持ライン18は、軸7を中心とした装着アーム13の回転の範囲を制限して、建物2の縁8に対するジップライン10の位置を制御することを可能にするように配置されている。
【0082】
支持ライン18は、支持アセンブリ6及び/又はジップライン10に加えられた荷重を支持するように配置されている。支持ライン18は、典型的には、装着アーム13の自由端部11と支持アンカー16との間に接続され、この実施形態では、背面支持アーム22の形態で、剛性ストラットによって装着アーム13から離間配置される。図示された実施形態では、支持ライン18は、端部キャップ20及び背面支持アーム22に接続された可撓性の上部支持ライン21と、背面支持アームとアンカー16との間に接続された可撓性の下部支持ライン23と、を備える。各支持ライン21、23は、装着アーム13に剛性を付与するためのブレースとして機能するように構成可能である。いくつかの実施形態(図示せず)では、支持ライン21、23の一方又は両方は、剛性部材によって置き換えられることが理解されるであろう。また、他の実施形態では、支持ライン18は、アーム13の端部11からアンカー16までのストラップ、ロープ、又はチェーンなどの連続したラインであることも理解されるであろう。最も典型的には、下部支持ライン23は、例えば、ライン23を手動で調整して結束することによって、又はラチェット機構若しくはウィンチなどの関連付けられた調整機構を動作させることによって、長さ調整可能であるように構成されている。いくつかの実施形態では、電動ウィンチなどの単一の調整機構は、調整機構の動作が位置軸7を中心として支持部材13の回転限界を調整することを同期するように、両方の支持アセンブリ6の支持ライン21に接続される。
【0083】
上部支持ライン21は、静的又は動的ラインのいずれかであってもよい。概して、上部支持体21ラインは、背面支持アーム22を装着アーム13に対して実質的に直角に維持するのに十分な所定の長さの静的ラインである。下部支持ライン23は、装着アーム13を位置軸7の周りの所望の角度に維持するように構成されている。下部支持ライン23は、好ましくは、実質的に動的なライン、例えば、ある程度の延伸を可能にするポリエステルロープである。有利には、下部支持ライン23は、衝撃荷重の場合にシステムがエネルギーを吸収し、ピーク力を劇的に減少させることを可能にし得る。
【0084】
装着アーム13の角度、及びそれに対応して、ジップライン10が保持される位置は、装着アーム13を位置軸7を中心として回転させることによって変えることができる。そのような回転は、例えば、ラチェットストラップを使用することによって、下部支持ライン23の有効長さを増加させるか、又は減少させることによって実施されてもよい。代替的な実施形態では、下部支持ライン23は、下部支持ラインの長さを巻き上げるか、又は巻き戻すためのウィンチ機構を組み込んでもよい。代替的に、固定長さの支持ライン23は、使用中に、位置軸7の周りの所望の角度で装着アーム13を維持するために依存され得る。以下で詳細に概説するように、ベースプレート14内の制限機構24を使用して、装着アーム13を設定角度、組み立て角度、装着角度、又は他の所望の角度で維持することができる。
【0085】
背面支持アーム22は、使用時に、背面支持アーム22が装着アーム13に対して概ね直角になるように、装着アーム13によって画定される第3の軸を中心として回転可能に装着される。背面支持アーム22は、装着アーム13を所望の位置に固設するために、支持ライン18の支点として、てこの作用を提供する。有利には、カップリング15を介して装着アーム13に回転可能に装着された背面支持アーム22は、背面支持アームが、上部支持ライン21から下部支持ライン23に装着アーム13に及ぼされる衝撃力を通過することを可能にする。背面支持アーム22は、輸送及び保管を容易にするために、装着アーム13から取り外し可能であってもよい。
【0086】
図9に最もよく例解されるように、各ベースプレート14及び装着アーム13は、背面支持アンカー16及び一対の張力アンカー17に関連付けられてもよい。支持アセンブリ6は、支持アンカー16及び張力アンカー17のうちの1つを利用することによって、装着アーム13を使用して、建物2の隣接する縁のいずれかに沿ってジップライン10を支持することができるように構成されている。
図9では、建物2は、直角の隅を有し、一対の張力アンカー17は、各隣接する縁から等間隔に、マウント14に対して互いに実質的に直角に位置決めされていると想定される。次いで、装着アーム13は、ジップライン10を建物2の北縁を越えて支持することができ、背面支持アンカー16によって所定の位置角度で固設され、張力アンカー17のうちの一方を利用して張力をかけられる。したがって、システム1は、建物の北面へのアクセスを提供してもよい。同じ装着アーム13はまた、ジップライン10を建物2の東縁を越えて支持するために使用されてもよく、同じ背面支持アンカー16によって所定の位置角度で固設され、張力アンカー17のうちの他方を利用して張力をかけられる。
【0087】
図示されていないが、長方形の建物の各隅でベースプレート14に回転可能に装着された4つの装着アーム13の構成が、完全な建物エンベロープへのアクセスを提供することができることが理解されるであろう。同様に、他の形状の建物では、各ベースプレート14のための張力アンカー17及び背面支持アンカー16の位置決めは、各装着アーム13が、建物2のそれぞれの隣接する縁の両方を越えてジップライン10を支持するために利用され得るように構成されてもよい。例えば、ベースプレート14が建物2の屋根の直角の隅に配置されている場合、第1の張力アンカー17及び第1の背面支持アンカー16は、第1の配向でベースプレート14に装着された支持アーム13を位置決めして、建物2の第1の側面に対して延在することを可能にするように固設されてもよく、第2の張力アンカー17及び第2の背面支持アンカー16は、第2の配向でベースプレート14に装着された支持アーム13を位置決めして、建物2の第2の側面に対して延在することを可能にするように固設されてもよい。有利には、ベースプレート14及び位置決めアンカー16、17を構成して、同じ支持アーム13を装着して、ジップライン10を建物2の2つ以上の隣接する縁を越えて支持することを可能にすることは、建物2のエンベロープにアクセスするために必要なベースプレート14の数を最小限に抑えることができる。結果として、これは、必要な建物2の頂部表面及び屋根膜の貫通の数を制限することができ、そうでなければ、建物の耐候性に影響を与える可能性がある。
【0088】
図10は、カップリング15を介してベースプレート14に回転可能に装着可能な装着アーム13、及びアーム13に回転可能に装着された背面支持アーム22の斜視図を示し、
図11は、その側面図を示す。
【0089】
この実施形態では、装着アーム13は、カラー26によって接合された複数のポールセクション25から形成される。概して、装着アーム13は約4メートルの長さであり、それぞれ約1メートル及び3分の1メートルの長さの3つのポールセクション25を含む。建物又は設置の様々な要件がより長い装着アーム13を必要とする場合、追加のポールセクション25が追加されてもよい。カラー26は、それぞれ、ポールセクション25を接合するために一緒にボルトで固定されており、装着アーム13を分解するためにボルトを外されてもよい。装着アーム13は、使用中はカップリング15にボルトで固定され、使用しないときはボルトを外されてもよい。装着アーム13を迅速に組み立て及び分解することができるため、システム1は携帯可能である。
【0090】
装着アーム13、張力ライン19、支持ライン21、23、及びアンカー16、17の構成は、装着アーム13が使用中に圧縮されていることを意味する。これは、十分な強度を維持しながら、装着アーム13が軽いアルミニウムから作製されることを可能にする。カップリング15及び背面支持アーム22もまた、軽量アルミニウムで作製されている。この軽量かつ折りたたみ可能な構成は、例えば、装着アーム13及びラインがベースプレート14及びアンカー16、17が設置されている建物の間で人によって手動で搬送されることができるように、異なる建物間のシステム1の携帯性を高める。
【0091】
図12~
図16に示すように、装着アーム13は、カップリング15を介してベースプレート14に回転可能に装着可能である。この実施形態では、ベースプレート14は、それらの間に装着車軸28を受容するための一対の概ね台形の装着フランジ27を含む。装着車軸28は、位置軸7を画定するために、カップリング15をベースプレート14に回転可能に装着するために使用される。装着車軸28は、カップリング15が周りを回転するための滑らかな部分及びベースプレート14に固定するためのナットを受容するためのねじ付き端部分を有するボルトを備えてもよい。有利には、カップリング15は、装着車軸29によってベースプレート14に解放可能に取り付けられ、異なるベースプレート14間での装着アーム13の輸送を容易にする。
【0092】
図15~
図18を参照すると、カップリング15は、装着車軸28に加えて、張力軸9を画定する枢動軸29を含む。使用中、カップリング15は、装着アーム13が位置軸7を中心として回転してジップライン10を位置決めすることを可能にし、装着アーム13が張力軸9を中心として枢動軸7に対して横方向に回転して、ジップライン10に張力をかけることを可能にする。装着車軸28と同様に、枢動軸29は、設置及び携帯性の容易さを容易にするために、カップリング15を通って配置されたナット及びボルトを備えてもよい。代替的な実施形態(図示せず)では、枢動軸29は、カップリング15と一体的に形成されるか、又はカップリング15に恒久的に取り付けられる。
【0093】
図示された実施形態では、カップリング15は、背面支持アーム22を回転可能に装着するための第3の軸を画定する支持接続点30を更に含む。代替的な実施形態では、支持接続点は、ベースプレート15又は装着アーム13の最も低いセクションに含まれ得る。カップリング15はまた、ジップライン10の端部を固設するための固定場所を画定するために使用することができる拘束点31を含む。代替的な実施形態では、ジップライン10は、ベースプレート15に固定的に固設されてもよい。上で概説されたように、ジップライン10をカップリング15上の拘束点31にリダイレクトするプーリ端部キャップ20は、システム1内の力のリダイレクトを可能にし、使用中の装着アーム13に剛性を提供する。
【0094】
図19に最もよく見られるように、ベースプレート14は、典型的には、ベースプレート14を表面に固定するためのファスナーを受容するための複数のアパーチャ32を含む。ベースプレート14は、装着フランジ27を補強及び支持するための複数の支持フランジ33を更に含む。支持フランジ33は、支持アセンブリ6のための設置面積及び装着点を最小限に抑えることができ、これは、設置の容易さを高めることができる。
【0095】
装着フランジ27は、装着車軸28の一方の側に配置されたしっかりと装着されたストップバー24の形態で、回転制限機構を搬送する。ストップバー24は、位置軸7を中心とした装着アーム13の運動範囲を制限するために、カップリング15に当接するように配置されている。したがって、制限機構24の位置は、建物2に対してジップライン10を支持する装着アーム13の所望の位置、例えば、定義された高さ及び/若しくは縁8からの間隔と一致するように構成することができ、又は代わりに、装着アーム13の設定位置を画定するように配置することができる。例えば、ストップバー24は、ジップライン10及び支持アセンブリ6の初期設定を容易にするために、実質的に垂直な位置に装着アーム13を保持してもよい。他の実施形態では、複数のストップバーをベースプレート14に設置して、位置軸7の周りの1つ以上の位置を画定してもよい。更に他の実施形態では、ストップバー24又は任意の他の制限機構は省略され、システム1は、代わりに、支持ライン21、23に依存して、装着アーム13を位置決めする。
【0096】
図20は、ジップライン10上に配置された台車4、及び台車4の下に吊架された機能プラットフォームを例解している。台車4は、ジップライン10の長さに沿って横方向に移動するように構成されており、典型的には、機能プラットフォーム5を上昇及び/又は下降させるように構成されている。建物2の縁8を越えて離間配置されるジップライン10の配置は、台車4及びプラットフォーム5が、屋根上の障害物を越えて移動するか、又は建物2の壁から延在することを可能にする。更に、ジップライン10に沿って横方向に移動し、機能プラットフォーム5の垂直方向の移動を提供するように台車4を配置することで、プラットフォーム5は、頂部、底部、及び外側の縁、並びに隅に延在する完全なファサードカバレッジを含む、建物2の側面全体にアクセスすることを可能にすることができる。これは、プラットフォーム5が各窓の全体にアクセスして清掃することができるため、例えば、窓が建物2の側面の周囲に延在する場合に特に有用であり得る。
【0097】
図21~
図24を参照すると、台車4は、実質的に長方形の前方フレームプレート34及び後方フレームプレート35を含む。台車4は、前方フレームプレートと後方フレームプレートとの間で実質的に中央に駆動軸37に回転可能に装着された駆動ホイール36の形態の駆動機構を含む。駆動ホイール36は、ジップライン10と係合して、ジップラインに沿って台車4を引っ張るように構成されている。駆動ホイール36は、台車4に装着された駆動モータ38に結合され、駆動モータ38は、駆動ホイール36をいずれかの方向に回転させて、ジップラインに沿って台車4を前後に移動させることができる双方向モータである。
【0098】
台車4は、前方フレームプレート及び後方フレームプレートの頂部隅の間のそれぞれのガイド軸40に回転可能に装着された一対のガイドホイール39の形態でガイド機構を更に含む。ガイドホイール39は、ジップライン10に係合して、ジップライン10に沿った台車4の移動中に台車4を支持するように構成されている。駆動ホイール36及びガイドホイール39は、ジップライン10の同じラインと係合してもよいか、又はジップライン10の別個の駆動ライン及びガイドラインと係合してもよい。有利には、ガイドホイール39は、駆動ホイール36の上に位置決めされており、台車4に支持を提供する台車4の隣接する隅にある。ガイドホイール39は、典型的には、台車4を支持するための非駆動、受動ホイールである。駆動ホイール36は、それによって台車の移動を判定するために、それらの回転を記録するためのエンコーダを含んでもよい。
【0099】
台車4から荷重を吊架するために、台車4は、前方フレームプレート34と後方フレームプレート35の底部分の間のそれぞれの吊架車軸42に回転可能に装着された一対の吊架ホイール41の形態の吊架機構を含む。吊架ホイール41は、一対の吊架ライン43と係合して、前方フレームプレート34と後方フレームプレート35の底部隅の間のそれぞれの吊架プーリ44を介して荷重を上昇及び/又は下降させるように構成されている。各吊架ホイール41は、台車4に装着されたそれぞれの吊架モータ45を含む。各吊架モータ45は、それぞれの吊架ホイール41をいずれかの方向に回転させて、荷重を上及び/又は下に移動させることができる双方向モータである。吊架モータ45及びホイール41は、独立して動作して、荷重を傾け、かつ/又は荷重への妨害を補償し得る。概して、吊架モータ45及びホイール41は、対称に動作して、水平な様式で荷重を上昇及び/又は下降させる。吊架プーリ44は、吊架ホイール41の力をリダイレクトする。吊架ライン43は、実質的に静的なラインであってもよく、吊架ラインの各々は、ラインのエネルギー吸収遠位動的部分の形態のそれぞれのショックアブソーバを含んでもよい。使用中、エネルギー吸収ラインは、吊架ラインから荷重を吊架するために荷重に接続されており、通常の動作では静止していて使用されていない。十分な高さからの計画外の落下の場合、エネルギー吸収ラインは、荷重をゆっくりと捕捉し、その速度を距離を置いてゼロに減少させ、制御された減速を可能にし、過度の衝撃力がシステムに配置されることを防止する。
【0100】
吊架プーリ44は、吊架ホイール41を実質的に中央に位置決めし、駆動ホイール36の下に位置決めすることを可能にし、台車4へのバランスの取れた重心を確保する。それぞれの吊架モータ45及び駆動モータ38はまた、中心点の周りに台車4の重量を均等に配置するために、中心に位置決めされている。吊架プーリ44の各々は、フレームの隅にあるそれぞれのガイドホイール39の下に位置決めされている。したがって、使用中、台車4から吊架された荷重の重量は、フレームを横切って均等に適用され、ガイドホイール39によって支持される。有利には、ガイド39、支持体41、及び駆動ホイール36のこの構成は、そこからの荷重を吊架するための安定した台車を提供する。
【0101】
台車4は、駆動及び吊架ホイール及びモータを制御するための台車コントローラ(図示せず)を更に含んでもよい。台車コントローラは、コントローラ信号及び位置決め情報を含む信号を無線で送受信するためのトランシーバを含んでもよい。台車はまた、慣性測定ユニット(IMU)、加速度計、視覚センサ、近接センサ、超音波センサのいずれかを含む1つ以上のセンサ、並びにガイド、駆動及び/又は吊架ホイールのうちの1つ以上に結合された1つ以上のエンコーダを含んでもよい。台車コントローラは、台車位置決めシステムを実装して、センサ及びエンコーダのうちの1つ以上から位置決め情報を受信し、各センサからの位置決め情報を融合して、台車4の統一された位置を推定するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、台車4の制御及び位置決めは、外部コントローラによって遠隔に提供されてもよい。台車4、コントローラ、及びそれぞれのモータは、搭載されたバッテリ又は外部電源によって電力供給されてもよい。
【0102】
図25~
図30は、半自律型ドローンプラットフォーム又はロボット5の形態の機能プラットフォーム5の一実施形態を例解する。ロボット5は、建物の外部エンベロープに関する1つ以上の機能を容易にするように構成されてもよい。
【0103】
ロボット5は、ロボット5をそこから吊架するために、吊架ライン43を受容するための一対の吊架点47を有するフレーム46を含む。ロボット5は、ジンバル49を介してフレームに装着された4つのクワッドコプタースタイルのプロペラの形態の推進及び安定化システム48を更に含む。使用中、プロペラ48は、建物の表面に概ね直交する推力を提供し得るように、建物の表面に概ね垂直である。各プロペラ48は、それぞれのモータによって駆動される。ロボット5は、誘導、ナビゲーション、制御、及び安定化のための機能プラットフォームコントローラを更に含む。
【0104】
ロボット5は、清掃スイート50、検出スイート51、拡張スイート、及び噴霧スイートのうちの1つ以上を含む1つ以上のユーティリティモジュールに解放可能に取り付け、搬送するように構成されたモジュラープラットフォームである。例えば、
図25~
図27は、ファサード清掃スイートモジュール50を含むロボット5を示す。
図28~
図30は、監視及び検出スイートモジュール51を含むロボット5を示す。清掃スイート、検出スイート、延在スイート、及び噴霧スイートの各々は、ロボット5のフレーム46に装着され、プラットフォームコントローラと通信可能に結合して、建物2の外部エンベロープ周辺のアタッチメントの遠隔動作を可能にしてもよい。
【0105】
図25~
図27などの清掃スイート50は、機能プラットフォーム5に装着可能であり、建物2の窓及び/又はファサード構造などの表面を清掃するように動作可能な回転可能なブラシ52を含んでもよい。清掃中、推進システム48は、ブラシ52によるスクラブを容易にするために、ロボット5を建物2に対して付勢する接触力を提供するために使用されてもよい。清掃スイート50は、流体供給及び清掃噴霧システム53を更に含んでもよい。噴霧システム53は、ブラシ52と組み合わせて動作可能であり、回転ブラシ52による粒子又は残留物の機械的除去を強化するために、表面上に流体を噴霧する。流体は、好ましくは、実質的に純粋な水、例えば、筋又は残留物を残さずに窓を清掃するのに好適な脱イオン水である。代替的又は追加的に、流体は、例えば、ファサードを清掃するために、漂白剤、酵素若しくは四級アンモニウム化合物及び/又は洗剤又は界面活性剤などの1つ以上の化学物質を含んでもよい。ロボット5は、複数の異なる流体を保持する複数のリザーバを含んでもよい。噴霧システム53は、ブラシ52と連携して表面を清掃するために1つ以上の特異的な流体を噴霧するように構成されてもよい。例えば、ブラシ52の下から作動可能に前方及び上向きの流体流を噴霧するように噴霧システム53を配置することは、窓を清掃するときに特に効果的であり得る。
【0106】
監視及び検出スイート51は、例えば、
図28~
図30に示すように、複数のセンサ54を含んでもよい。センサ54は、カメラ、及び赤外ラインセンサ、及び/又は超音波センサを含む光センサのうちの1つ以上を含んでもよい。複数の光学センサを使用して、建物2の外面の立体撮像を容易にすることができる。センサ54は、汚れ検出、ファサード検査、亀裂検出、風化検出、染み検出、腐食検出、及び/又は熱損失検出を容易にするために、建物2の外面の画像をキャプチャするように構成され得てもよい。センサ54、センサ融合、及び機械学習アルゴリズムのうちの1つ以上を利用して、窓の清浄度を評価することができる。次いで、清掃アタッチメントが動作されて、必要に応じて追加の清掃を行うことができる。
図25~
図30は、例解に過ぎず、それぞれの機能アタッチメントは、互いに排他的ではないことが理解されるであろう。実際、ロボット5は、2つ以上のアタッチメントスイートを同時に含み、実装してもよい。有利には、このようにして、機能アタッチメントのスイートトは、必要に応じて、モジュラー方式で機能プラットフォーム5に取り付け、それから取り外すことができる。
【0107】
センサ54は、建物の多数の視覚的及び構造的側面を測定することを可能にするように構成可能である。例えば、マルチモーダル光学センサは、構造の亀裂、風化、染み、及び/又は腐食を測定することを可能にするために用いられてもよい。追加的又は代替的に、熱撮像センサを利用して、窓密閉などのあらゆる亀裂、又は隙間を通る異なる温度の空気の漏れを監視することによって、欠陥を判定することができる。熱撮像を利用して、熱エネルギーの損失又は利得の重要な領域を識別することができる。建物の熱シグネチャに関するこの洞察は、様々なエネルギー効率ソリューションを実装することによって、建物のエネルギー消費を低減する能力を支援する。様々なセンサ54による検出は、機械学習技術及び画像処理技術を使用して処理されてもよい。
【0108】
いくつかの実施形態(図示せず)では、ロボット5は、ブラシ52のような機能アタッチメントのいずれかの範囲を延在させるための、カンチレバーアームのような延在可能な部材を含む。いくつかの実施形態では、カンチレバーアームは、例えば、設置及び修復のための遠隔機械的操作を可能にする把持部分を含む。追加的又は代替的に、ロボット5は、ファサードの塗装を可能にするために、塗料のリザーバ及び塗料噴霧器を搬送するように構成されてもよい。追加的又は代替的に、ロボット5は、建物2の周りの虫害の予防的又は標的化された噴霧を可能にするために、殺虫剤噴霧システムを搬送するように構成されてもよい。更に、検出スイート51の様々なセンサ54はまた、ロボットの遠隔及び/又は自律制御を容易にするために利用され得る。
【0109】
推進及び安定化システム48は、プラットフォーム5をファサードに向かって及びファサードに対して付勢するための推力を生じさせるように動作可能である。推進及び安定化システム48は、動作中にロボット5の位置を維持し、建物2の面に対する接触力並びに風及び/又は熱によって引き起こされるなどの環境干渉に対抗するように更に構成されている。加えて、プロペラ48は、ファサード上で遭遇する可能性のある方立、バルコニー、及びプラントベントなどの様々な障害物の周りで操作することを可能にするように動作可能である。プロペラ48を使用して、建物から離れる方向の推力を断続的に提供し、ロボット5がその経路内の任意のそのような障害物を越えて操作することを可能にしてもよい。そのような離れる推力の間、ロボット5は、吊架ライン43から制御された様式でスイングし、障害物を越えて移動するのに十分な距離を作成する。プロペラ48は、推力を好適に変更して、ロボット5が実質的に垂直に吊架された位置に戻ることを可能にしてもよい。ロボット5の動作を通して、プロペラ48は、概して、必要に応じて、建物2の表面から約0~50センチメートルの範囲内でロボット5を維持し、機能アタッチメントを動作させて、障害物の周りで操作することを可能にする。
【0110】
図26及び
図27が最もよく示されるように、いくつかの実施形態では、ロボット5のプロペラ48は、ジンバル49を介してフレーム46に装着されてもよく、ジンバル49は、プロペラ48の推力方向を配向し、向けて、動作中にロボット5を安定させるだけでなく、建物2の外面の周りでロボット5を操作するために、プロペラを上、下、左、及び右に傾けることを可能にする。以下に詳細に概説されるように、代替的な実施形態では、ジンバル49は、プロペラ48が横方向、すなわち、左及び/又は右にのみ傾き得るように構成されている。各プロペラ48の配向は、風、雨、及び振動などの様々な機械的外乱に対してシステムを安定させるように動的に制御されてもよい。各ジンバル49は、独立して制御されてもよく、したがって、各プロペラ48を個別に配向してもよい。ジンバル49の角度は、外乱に対抗し、安定化力を提供するために、位置決め及び移動情報に応答して制御されてもよい。図示された実施形態では、4つのプロペラ48が示されているが、代替的な実施形態では、より少ない又はより多いプロペラが設けられてもよい。加えて、ロボット5は、ロボットを安定させるための更なる選択的な横方向推力を提供するために、横方向のジェットの形態の横方向推進システムを含んでもよい。かかる横方向推進システムは、台車の横方向の動きを相殺するように具体的に構成されてもよい。代替的に、プロペラ48は、横方向安定化を提供してもよい。
【0111】
ロボット5の機能プラットフォームコントローラは、推進システム及び取り付けられたユーティリティモジュールを動作させることを含む、ロボット5を制御するように構成されている。プラットフォームコントローラは、コントローラ信号及び位置決め情報を含む信号を無線で送受信するためのトランシーバを含んでもよい。ロボット5はまた、慣性測定ユニット(IMU)、加速度計、視覚センサ、近接センサ、超音波センサ、及び1つ以上の推進センサ、例えば、プロペラの速度及び対応する推力に基づいて推進システムによって引き起こされる変位を判定するように構成されたプロペラ48上の速度センサのうちのいずれかを含んでもよい。プラットフォームコントローラは、プラットフォーム位置決めシステムを実装して、センサのうちの1つ以上から位置決め情報を受信し、センサの各々から位置決め情報を融合して、プラットフォーム5の統一された位置を推定してもよい。プラットフォーム5、コントローラ、推進システム、及びアタッチメントは、搭載されたバッテリ又は外部電源によって電力供給されてもよい。
【0112】
台車4及びプラットフォーム5のセンサ及び位置決めシステムに加えて、1つ以上の「灯台」ビーコン又はマーカ、又は他の位置決めランドマークは、建物2に対する台車4及び/又はプラットフォーム5の位置決めを容易にするために、装着アーム13によって搬送されるなど、建物の外面の周りに配置されてもよい。例えば、台車4及びロボット5の搭載されたセンサは、位置データ入力を使用して、建物のファサードに対する現在の位置の推定を判定してもよい。次いで、ランドマークを検出することは、位置推定を支援してもよく、例えば、建物の隅は、測地データとして使用されてもよい。隅又は任意の好適なランドマークは、例えば、建物に恒久的に装着された、又は装着アーム13上のいずれかの反射材料の形態で、形状マッチング及び/又は反射「灯台」を識別することによって、台車4及び/又はロボット5の視覚センサによって検出され得る。
【0113】
いくつかの実施形態では、ロボット5は、半自律型ドローンであり、プラットフォームコントローラは、外部遠隔制御から遠隔制御コマンドを受信するように構成されている。遠隔制御コマンドは、自律制御を向け、かつ/又は上書きしてもよい。プラットフォームコントローラは、プライマリコントローラとして動作し、コマンドを台車に中継し、台車から情報の位置決めを受信するように構成されている。このようにして、ドローンプラットフォーム5は、統一された位置決め及び駆動制御を担う。したがって、ドローンプラットフォームコントローラは、様々なセンサ及びコントローラ入力から情報を取得し、それをコマンドに変換して台車4及びロボット5のアクチュエータ及びモータに送信することを担当する。代替的な実施形態では、外部コントローラの台車コントローラは、プライマリコントローラであってもよい。
【0114】
図32は、ジンバル49によって推進マウント57に装着されたプロペラ48のうちの1つの斜視図を示す。特に、プロペラは、ジンバル車軸58の形態で推進車軸に回転可能に装着される。ジンバルアーム59は、プロペラ48に装着され、ジンバルモータ60と係合している。ジンバルモータ60は、ジンバル車軸58を中心としてプロペラ48を関節屈曲させるように、ジンバルアームを駆動してもよい。
図33を参照すると、ジンバルモータ60は、軸58の周りのジンバル49の角度を制御するために使用されてもよく、それによって、例えば、ロボットを位置決めし、かつ/又は振動を能動的に減衰させることによってロボットを安定させるために、プロペラ48の推力を向ける。代替的な実施形態では、プロペラが所望の数の車軸を中心として関節屈曲されることを可能にするために、複数の同様のジンバル車軸、及びそれぞれのジンバルアーム及びジンバルモータが提供されてもよい。
【0115】
図34に最もよく見られるように、1つの特に好ましい実施形態では、ジンバル車軸58は、使用中に、プロペラ48が重力に直交する推力のみを横方向に向けることができるように、重力に実質的に平行にジンバルを係止する垂直軸である。すなわち、プロペラは、垂直面内のロボット5の重量を支持する推力が生じることを防止される。有利には、プロペラは、横方向の推力のみが生じ、垂直位置決めにおける妨害及び振動を防止し、ロボット推進システムの安全要件を満たす。
【0116】
図35~
図37を参照すると、建物の外部エンベロープの周りに吊架するための代替の支持システムが示されている。システムは、トロリーに回転可能に装着された装着アーム13の形態のクレーン部材を備えたトロリー61の形態の可動構造を含んでもよい。クレーン13及びトロリーシステムは、窓清掃、ファサード清掃、ファサード検査、塗装、看板設置、熱監視、昆虫制御、ファサード設置、ファサード修復、及び他の機械的修復のうちの1つ以上を容易にするために荷重を吊架するために使用されてもよい。装着アーム13は、それぞれの接続点11から一対の吊架ライン43の形態で支持部材を支持するように構成されてもよい。吊架ライン43は、吊架ラインから荷重を吊架するために、装着アームの遠位端部でプーリ配置20を介して、トロリー内のウィンチ機構から延在してもよい。荷重5は、前述の説明のように、機能プラットフォーム、吊架された足場であってもよく、かつ/又は他の方法でアタッチメントのモジュラースイートを組み込んでもよい。トロリーは、屋根の表面を中心として操作するためのホイール63を更に含んでもよい。代替的又は追加的に、トロリーは、操縦するためにBMUのスキッド又はレールを利用してもよい。
【0117】
トロリー61は、建物の頂部表面を中心として回転させてもよく、装着アーム13は、建物の前縁を越えて回転して、荷重5を上昇した位置で支持する。有利には、トロリー61は、建物の頂部表面全体、すなわち、屋根領域全体を移動するように構成されてもよい。クレーン及びトロリーシステムを使用するために、装着アーム13は、実質的に垂直な設定位置に回転されてもよく、機能プラットフォーム5は、吊架ライン43から吊架されてもよく、トロリーは、建物の屋根領域後方の周りの所望の位置にホイールで移動されてもよく、装着アーム13は、次いで、建物の縁を越えて延在するように回転されてもよく、それによって、プラットフォームが吊架ライン上で上昇及び/又は下降されることを可能にする。トロリーは、装着アーム13を必要な角度で支持するためのカウンタレバー機構62を含む。次いで、トロリー61は、建物の屋根上の任意の位置に建物の端部に沿って旋回され得る。ペイロード5は、吊架ライン43を介して同時に上昇及び下降させ、それによって、建物のファサードの全ての領域へのアクセスを可能にすることができる。システム動作のための制御及び支持機器は、トロリー61に収容され、ファサード上に所望のペイロードを吊架させるために必要な追加の釣り合い重りの数を制限するような方式で位置決めされている。
【0118】
トロリー上のホイール63は、動力式及び非動力式の全方向運動の両方を可能にする。有利には、これは、狭い状況にナビゲートするときに複雑な操作を排除し、建物のエンベロープ全体にわたって最大限の操作性を可能にする。トロリー61は、釣り合い重りシステムを介して建物に固設され、それによって、質量は、吊架されたペイロードの質量を十分な安全範囲(MoS)とバランスをとる。トロリー61はまた、所定の経路を辿ることを可能にするために、既存のBMUレールと一体化することができる。BMUレールが存在しない場合、トロリーは、予めプログラムされた経路、経路/ラインの追跡、灯台、及び/又はリアルタイムの経路最適化を含む方法を使用して計画され、追跡される経路を有することに加えて、遠隔制御で建物の周りを移動するように制御され得る。BMUレールが存在する場合、レール上に固定することは、クランプ機構を使用することによって達成される。
【0119】
トロリー及びクレーンシステムは、別々のセクションに容易に分解されるように構成されている。クレーンマスト13はまた、小型容積に収納されるモジュラーである。台車は、炭素繊維、グラスファイバー、及び/又はアルミニウムなどの高強度対重量比材料から作製されてもよく、高強度鋼から作製されているいくつかの小さい選択された部品と共に作製されてもよい。有利には、装着システム全体の総質量は、30キログラム未満に制限されてもよい。液体を保持することができるタンクは、システムを屋根上に保持するための釣り合い重りとして使用されてもよい。有利には、これは、多数の重量を搬送しなければならない代わりに、屋根上又は本管給水からすでに存在する水を使用することを可能にする。トロリーとクレーンシステムの小型の性質により、設定時間及び複雑さを劇的に低減することが可能になる。これら全ての機能を組み合わせることで、ある建物から次の建物まで、台車を軽量かつ簡単に携帯可能にすることができる。
【0120】
図38及び
図39は、ユーティリティポッド100として構成された機能プラットフォーム5の代替的な実施形態を搬送する台車101の代替的な実施形態を有する建物2に設置されたシステム1を例解する。
図40~
図44は、ユーティリティポッド100を単独で示す。
図45~
図46は、単独での台車101を示す。
【0121】
ユーティリティポッド100は、1つ以上の吊架ライン43から建物2に対して上昇した位置にあるように吊架するための機能プラットフォームである。ユーティリティポッド100は、本体104の動作可能な頂端部108に配置されており、1つ以上のライン43に結合するように構成されたコネクタ106を含む本体104と、本体104の1つの側面109に配置されたユーティリティモジュール110と、ポッド100を少なくとも1つの方向に駆動して、ユーティリティモジュール110を建物2に向かって、又は建物2に対して付勢することを可能にするように動作可能な駆動機構112と、を含む。
【0122】
図示された実施形態100では、ポッド100の本体104は、移動する空気に対する抵抗を最小限に抑えるために、滑らかな、典型的には二重湾曲した外面を画定するように成形されている。この構成は、台車4から吊架されたときの使用中のポッド100の安定性を高め、使用中に建物2から跳ね返ることによって引き起こされ得るような光の衝撃に耐えることによって耐久性を高めることができる。本体104の外面の例解される形態は例示的であり、形態は使用要件に従って構成され得ることが理解されるであろう。
【0123】
駆動機構112は、典型的には、ユーティリティモジュール110の側面109とは反対の本体104の側面に配置された1つ以上の推進機構114を含む。最も典型的には、駆動機構112は、本体104の周りに配置された複数の推進機構114を含む。図示された実施形態では、各機構114は、推力を生成するように動作可能な動力式のロータを含み、本体104によって画定された、又は本体104に取り付けられた導管116内に配置されており、単一の方向にダクト推力を提供する。導管116は、空気が一方の端部で受容され、他方の端部で排出されることを可能にするように各端部で開放されるように成形され、各導管116及び関連付けられた推進機構114がジェットとして機能することを可能にする。
【0124】
図示された実施形態100では、各導管116は、本体104に対して固定されている。他の実施形態(図示せず)では、導管116のうちの1つ以上は、少なくとも1つの軸を中心として回転可能に本体に装着され、推力方向の調整を可能にする。いくつかの実施形態では、推進機構114は、反対方向に推力を生成するように動作可能であるように対に配置されている。これは、共通の導管116内にあるように対の各機構114を配置することを伴ってもよい。そのような実施形態では、推進機構114のうちの少なくとも2つが、動作可能な前方方向及び後方方向に推力を生成するために、第1の方向に互いに反対に配置されてもよく、推進機構114のうちの少なくとも2つが、動作可能な横方向に推力を生成するために、第1の方向に直交する第2の方向に互いに反対に配置されている。更に他の実施形態では、各推進機構114は、ロータを交互の方向に回転させることによってなど、2つの方向に推力を生成するように動作可能である。
【0125】
図41及び
図42に最もよく示されるように、本体104は、動作可能な前方又は後方方向に駆動力を及ぼすように配置された4つの導管116及び関連付けられた推進機構114、並びに動作可能な横方向に駆動力を及ぼすように配置された2つの導管116及び関連付けられた推進機構114を搬送する。この構成は、風又は熱に対抗するなど、建物2に対するポッド100の位置を確実に安定させること、並びに障害物を回避する、及び/又は、例えば、突出する構造物の下でのアクセスを強化するなど、建物2に対するポッド100の位置を操作することを可能にする。
【0126】
図43及び
図44に最もよく示されるように、ユーティリティモジュール110は、ユーティリティモジュール110を本体104に向かって、又は本体104から離れるように変位させるように動作可能な変位機構118に装着される。この実施形態100では、変位機構118は、モジュール110を変位させるように動作可能なはさみリンク機構120を含み、リンク機構120構造が例示的であり、変位機構118が1つ以上の制御可能に延在可能なガスストラットなどの他の好適な構造を含んでもよいことが理解されるであろう。変位機構118を動作させることは、例えば、建物2へのアクセスの範囲を調整するために、本体104に対してユーティリティモジュール110を移動させることを可能にする。
【0127】
いくつかの実施形態では、モジュール110は、少なくとも1つの軸を中心として変位機構118に回転可能に装着され、モジュール110の配向及び本体104に対する位置を調整して、アクセス範囲を更に拡大することを可能にする。例えば、いくつかの実施形態では、変位機構118は、モジュール110を180度以上、動作可能に左右方向及び/又は上下方向に傾けるなど、ユーティリティモジュール110を配向するように動作可能な、手首型機構122などの位置決め機構を含む。
【0128】
図44に最もよく示されるように、変位機構118は、典型的には、ユーティリティモジュール110の移動をミラーリングするためにユーティリティモジュール110とは反対方向に、本体104に対して釣り合い重り125を変位させるように動作可能な第2のはさみリンク機構127に装着された釣り合い重り125を含む。再び、はさみリンク機構127は例示的であり、ポッド100は、他の好適な位置調整機構を含むように構成され得ることが理解されるであろう。このように変位機構118を動作させることは、ユーティリティモジュール110の動作中に建物に対する位置及び配向を維持するためにポッド100のバランスをとることを可能にする。
【0129】
ユーティリティモジュール110は、通常、変位機構118に解放可能に装着されるように、又はいくつかの実施形態では本体104に直接装着可能に構成されており、異なるモジュール110のためにモジュール110を交換することを可能にする。各モジュール110は、典型的には、1つ以上の特定のタスクを実施する、又は1つ以上の特定の機能を提供するように構成されており、したがって、異なる構成のユーティリティモジュール110の範囲のうちのいずれかを搬送するためのフレーム(本体104)を有するようにポッド100を構成することは、ポッド100が広範囲の異なる機能を果たすことを可能にする。
【0130】
ユーティリティモジュール110は、建物2のジオメトリの少なくとも一部分のデジタルマップを生成すること、建物2の1つ以上の画像をキャプチャすること、建物2の1つ以上の物理的パラメータを測定すること、建物2の少なくとも一部分を清掃すること、建物2を修復すること、及び建物2に1つ以上のオブジェクトを設置することのうちの少なくとも1つを行うように構成可能である。例えば、システム1は、複数のモジュール110を含むキットとして供給されてもよく、あるモジュール110は、清掃のために構成されており、別のモジュール110は、測量のために構成されており、更に別のモジュール110は、操作又は修復のために構成されている。いくつかの実施形態(図示せず)では、ポッド100は、台車4から吊架されたときにポッド100の使用中にモジュール100を交換することを可能にするために、複数のユーティリティモジュール110を搬送するカルーセルを含んでもよい。そのような実施形態では、モジュール110のカルーセル全体、又はカルーセルに配置された個々のモジュール110は、他のモジュール110を置き換えることを可能にするために、本体106から迅速に解放するように構成されてもよい。ユーティリティモジュール110が、データを生成するために物理的パラメータを記録又は測定するように構成されている場合、モジュール110は、例えば、ポッド100又は台車4に搭載されている、又は遠隔でホストされているサーバへのセルラ又は他の無線接続によって、プロセッサ及び/又はメモリと通信可能に結合されるように更に構成されている。
【0131】
典型的には、各ユーティリティモジュール110は、少なくとも1つのツール及びセンサを含む。図示された実施形態100では、ユーティリティモジュール110は、ブラシ124による清掃を強化するために、吸引機構128を動作させることにより、壁又は窓などの表面に向かってモジュール110を引き込むように、ブラシ124に隣接して配置された吸気ヘッド128を有する動力式の回転可能なブラシヘッド124及び吸引機構126を含む清掃モジュールとして構成されている。図示された実施形態では、吸気ヘッド128は、ヘッド128が表面を横切ってグライドすることを可能にするように配置された複数のローラ129を搬送する。モジュール110はまた、1つ以上のカメラ130と、ブラシ124の動作を監視することを可能にするように配置されたプローブ132と、を含む。いくつかの実施形態では、プローブ132の1つ以上は、建物2に対してモジュール110によって及ぼされる接触力を測定することを可能にするために、力センサに接続される。
【0132】
いくつかの実施形態では、吸気ヘッド128は、建物2上の汚れを監視及び/又は検出するように動作可能な汚れ検出システムの一部を形成するために、少なくとも1つのカメラ(図示せず)及びLEDユニットのストリップなどの光源(図示せず)を収容する。
【0133】
図示されたモジュール110の構成は例示的であり、モジュール110は、代替的に、他のツール及び/又はセンサを含むように構成可能であることが理解されるであろう。例えば、いくつかの実施形態(図示せず)では、モジュール110は、建物、台車4又はポッド100に装着されたリザーバから供給されたホースと通信可能に結合され、建物2で流体のジェットを向けて、窓の周りなどのアパーチャの密閉をテストするように動作可能な窓密閉保全性システム(雨杖としても知られている)を含む。これは、新しい建物の建設を完了するとき、又は手動で達成することが困難であり得る既存の建物を維持するときの要件であり得る。
【0134】
更に他の実施形態(図示せず)では、モジュール110は、広範な範囲のパラメータを測定するように構成されたセンサアレイを搬送する。アレイは、屋根ライン及び/又は建物2の頂部に装着された装着アーム13を撮像することを可能にするために動作可能に上方に向けられた1つ以上のカメラを含んでもよい。そのような実施形態では、これは、特に灯台タイプのビーコンが建物2及び/又はアーム13に装着されている場合、台車4及び/又はポッド100の位置制御を強化することができ、これは、システム1の位置コントローラがビーコンに対するポッド100の位置を三角測量することを可能にすることができるためである。このようにしてビーコン又はランドマークを検出するように構成された1つ以上のカメラは、代わりに、ポッド100の恒久的に固定された構成要素であるように本体104に直接装着され得ることが理解されるであろう。
【0135】
図45は、単独での台車101の第1の斜視図を示し、
図46は、内部構成要素を見ることを可能にするために隠された前方ハウジング140を有する台車101の第2の斜視図を示す。台車101は、前述の台車4と特徴を共有し、それによって、共通の参照番号は、特に明記しない限り、共通の特徴を示す。台車101は、
図38及び
図39に示されるようにシステム1を参照して説明されるが、台車101の使用がシステム1の構成要素であることに限定されず、台車101が荷重の位置決めを可能にするために他のアセンブリ又はシステムに適用可能であることが理解されるであろう。例えば、台車101は、建設現場又は倉庫などの代替環境を横切って荷重を搬送するために、高架レール又はトラックに装着されるように構成されてもよい。
【0136】
台車101は、対向する後方ハウジング142から離間配置され、対向する後方ハウジング142に固定された前方ハウジング140を含むシャーシ103を含む。図示された実施形態では、ハウジング140、142は、ブラケット105によって接合されたプレートとして示されている。他の実施形態(図示せず)では、少なくとも1つのハウジング140、142は、圧縮シートメタル、射出成形プラスチック、又はガラス/炭素繊維シェルなどの形成若しくは成形された構造を含んでもよいことが理解されるであろう。そのような実施形態では、ハウジング140、142の形状は、風又は熱による干渉を最小限に抑えるように、ハウジング140、142の周りの空気の流れを最適化するように構成されてもよい。更に他の実施形態(図示せず)では、シャーシ103は、台車101の重量を最小限に抑えることができるフレームワークとして構成可能である。
【0137】
ハウジング140、142は、ハウジング140、142の間で内部構成要素を搬送するために、ブラケット105に固設するための複数の装着点を画定する。
図46を参照すると、内部構成要素は、一対の支持アセンブリ144と、一対の横方向運動制御機構146と、一対のロードセル148と、一対の垂直運動制御機構150と、一対のライン供給機構152と、を含む。
【0138】
図47は、単独での単一の支持アセンブリ144を示す。各アセンブリ144は、台車101を支持要素に解放可能に装着すように構成されており、この実施形態では、各アセンブリ144は、ジップラインを受容し、保持するように構成されている。アセンブリ144は、ハウジング140、142の間に固定されたブラケット105の1つに装着されるように構成された本体154を含む。本体154は、一対のローラ156が回転可能に装着される引っ掛けられている部分157である受容部分を画定する。本体154は、ジップライン10を受容するための開口部158を更に画定し、開口部158に隣接して枢動可能に装着されたラッチ160を搬送する。ラッチ160は、ねじりばね(図示せず)によってなど、本体154によって画定された当接面162に向かって付勢され、その結果、表面162に当接するラッチ160が、開口部158を閉じる。当接面162に対するラッチ160の配置は、アセンブリ144がジップライン10上で搬送されるように、ラッチ160を表面162から離れて容易に枢動させて、ジップライン10を開口部158を通して通過させ、ローラ156に対して通過させることを可能にする。アセンブリ144が、台車101の衝突、又は風による跳ね返りによって引き起こされるように、ジップライン10に対して垂直に変位する場合、ラッチ160の配置は、アセンブリ144からのジップライン10の不注意な取り外しを抑制するために、ジップライン10によって当接面162に押し付けられるようにする。アセンブリ144からジップライン10を分解するには、ラッチ160を当接面162から離して手動で枢動させて、開口部158を曝露させる必要がある。
【0139】
図46に戻ると、支持アセンブリ144は、1つのアセンブリ144の開口部158が前部ハウジング140に面し、他のアセンブリ144の開口部158が後部ハウジング142に面するように、それぞれのブラケット105に交互の方向に装着される。この配置は、ジップライン10を織り配置でアセンブリ144の反対側に挿入することを必要とすることによって、ジップライン10を台車101から不注意に切断することを更に抑制する。
【0140】
支持アセンブリ144は、ハウジング140、142の端部で、又はハウジング140、142の端部に隣接して互いに離間配置されるようにハウジング140、142の間に装着され、これは、ジップライン10上の台車101の安定性を高めることができる。支持アセンブリ144のうちの少なくとも1つは、ジップライン10を横切る、かつ/又は支持アーム13若しくは建物2に対する台車101の横方向の位置を判定することを可能にするために、ローラ156のうちの1つの回転を測定するように配置された回転エンコーダ164を含んでもよい。
【0141】
台車101は、1つ以上の横方向駆動ラインと相互作用して、ジップライン10に沿った台車101の移動を引き起こすように配置された一対の横方向運動制御機構146を含む。図示された実施形態では、各機構146は、スプール166に固定されたそれぞれの駆動ライン(図示せず)を搬送するように構成されており、スプール166を中心として関連付けられたラインを巻い上げるように動作可能である。各機構146は、スプール166の回転を引き起こすために、この実施形態では、接続ベルト149を介して、電動ウィンチ147によって制御可能に駆動される。
【0142】
横方向制御機構146は、関連付けられたスプール166を中心として関連付けられた駆動ラインを巻き上げるように第1の機構146を動作させることにより、第2の機構146の動作が関連付けられたスプール166から関連付けられた駆動ラインを巻き戻すように交互に向けられた動作のために構成されている。このようにして機構146を動作させることにより、一方の駆動ラインを効果的に延長させながら、同時に他方の駆動ラインを効果的に短縮することを可能にする。各駆動ラインの自由端部が支持アーム13又は建物2によって画定されるような固定位置に接続され、支持アセンブリ144がジップライン10などの支持部材に装着されるとき、機構146の動作は、台車101を、関連付けられたスプール166を中心として巻き上げられている駆動ラインの方向に引き込ませ、それによって、ジップライン10に沿った台車101の横方向の並進を可能にする。
【0143】
各横方向制御機構146は、ブラケット105のうちの1つによってハウジング140、142の間に装着され、駆動ラインのうちの1つを受容するように配置されたロードセル148に関連付けられる。ロードセル148は各々、1つ以上のローラを備え、関連付けられた駆動ラインに沿って及ぼされる力を測定するように動作可能である。ロードセル138の動作は、ライン内の張力を判定して、横方向制御機構146の制御動作を強化することを可能にする。典型的には、ロードセル148は、関連する機構146と通信して、定義された値、又は定義された範囲内で張力を維持するように構成されている。このように制御ループを動作させることで、不十分な張力による各駆動ラインの不十分な張力、及び/又は過度の張力による破損を防止することができる。
【0144】
台車101はまた、1つ以上の垂直駆動ラインと相互作用して、ユーティリティポッド100などの吊架荷重の台車101に向かう、又は台車101から離れる移動を引き起こすように配置された一対の垂直運動制御機構150を含む。図示された実施形態では、各機構150は、スプール168に固定されたそれぞれの駆動ライン(図示せず)を搬送するように構成されており、スプール168を中心として関連付けられたラインを巻い上げるように動作可能である。各機構150は、スプール168の回転を引き起こすために、この実施形態では、接続ベルト153を介して、電動ウィンチ151によって制御可能に駆動される。
【0145】
垂直制御機構150は、関連付けられたスプール168を中心として関連付けられた駆動ラインを巻き上げるように第1の機構150を動作させることにより、第2の機構146の動作が関連付けられたスプール168から関連付けられた駆動ラインを巻き上げるように対応して向けられた動作のために構成されている。このようにして機構150を動作させることは、それによって、両方の駆動ラインを同時に効果的に延長又は短縮することを可能にする。各駆動ラインの自由端部がユーティリティポッド100などの荷重に接続され、支持アセンブリ144がジップライン10などの支持部材に装着されるとき、機構146の動作は、荷重を、台車101に向かって、又は台車101から離れて引き込ませ、それによって、台車101に対する荷重の垂直な並進を可能にする。
【0146】
各垂直制御機構150は、ブラケット105のうちの1つによってハウジング140、142の間に装着され、駆動ラインのうちの1つを受容するように配置されたライン供給機構152に関連付けられる。各ライン供給機構152は、制御機構150から受容された実質的に水平な方向から実質的に垂直な方向に、駆動ラインを吊架された荷重に向かってリダイレクトするように配置された1つ以上のローラ(図示せず)を収容する。ライン供給機構152は、互いに隣接し、離間配置された垂直制御機構150の間に配置されている。この配置は、各関連付けられた駆動ラインの吊架された部分を実質的に垂直方向に、及び互いに実質的に平行に維持することを可能にし、これにより、吊架された荷重を上昇又は下降させるために各制御機構150によって必要とされるトルクを最小限に抑えることができる。
【0147】
台車101は、一対の横方向制御機構146及び一対の垂直方向制御機構150を有することが示されているが、他の実施形態(図示せず)では、台車101は、単一の横方向制御機構146及び単一の垂直方向制御機構150のみを有することを含む、各機構146、150をより多く又はより少なく有するように構成可能であることが理解されるであろう。そのような実施形態では、1つの駆動ラインのみが横方向制御機構146に関連付けられてもよく、別個の1つの駆動ラインのみが垂直方向制御機構150に関連付けられてもよい。
【0148】
いくつかの実施形態では、台車101は、台車101から吊架された荷重を別の場所に動作可能に結合して、流体、電力、及び/又はデータを荷重に伝達することを可能にするための1つ以上のユーティリティライン(図示せず)を含む。典型的には、各駆動ラインは、ユーティリティラインを含む中空構造として構成されている。例えば、駆動ラインは、ユーティリティラインを搬送するポリマーで覆われたコアを含む中空のDyneemaロープ構造を含んでもよい。いくつかの実施形態では、ユーティリティラインは、駆動ラインに平行に接合される。
【0149】
最も典型的には、ユーティリティラインは、横方向制御機構146のうちの1つのスプール166を中心として巻き上げられ、同軸上に駆動ライン内で又は駆動ラインに隣接し、スプール166によって画定された空洞169内に巻き上げられる。ユーティリティラインは、次いで、スプール166の端部から延在して、ハウジング140、142のうちの1つに装着された導管170を通って移動し、垂直制御機構150のうちの1つのスプール168によって画定された空洞に入る。次いで、ユーティリティラインは、同軸上に駆動ライン内で又は駆動ラインに隣接するスプール168を中心として、駆動ラインに沿って吊架された荷重に巻き上げられる。
【0150】
図示された実施形態では、第1のユーティリティラインが、左側横方向制御機構146から左側垂直方向制御機構150及びポッド100に供給され、第2のユーティリティラインが、右側横方向制御機構146から右側垂直方向制御機構150及びポッド100に供給される、一対のユーティリティラインが提供される。第1のラインは、典型的には水及び/又は洗剤である流体を、屋根に装着されたリザーバなどの遠隔流体供給からポッド100に伝達するように構成されている。第2のラインは、ポッド100に遠隔接続から電力及びデータを伝達するように構成されている。機能プラットフォーム5が建物2の外部エンベロープにアクセスすることを可能にするためのシステム1の設置は、互いに離間配置されるように建物2の頂部に一対の支持アセンブリ6の各々を装着すること、並びに支持部材13のベースの端部11に画定されたなどの固定位置間で、各支持部材13の自由端部11に対して、及び後退機構にジップライン10を固設することを伴う。次いで、後退機構は、ジップライン10に、支持部材13間で張力をかけさせるように動作される。台車4は、機能プラットフォーム5に接続され、ジップライン10に装着されている。支持部材13は、それぞれの位置軸7を中心として回転させて、ジップライン10を建物2の頂部の上に配置する。次いで、プラットフォーム5は、台車4から建物2に対して上昇した位置にあるように下降されてもよい。次いで、プラットフォーム5は、建物2の外面に関して、1つ以上のタスクを実施するか、又は1つ以上の機能を提供するように動作可能である。
【0151】
システム1の設置は、典型的には、ベースプレート14、背面支持アンカー16、及び建物2の頂部によって画定される2つ以上の隅に隣接する少なくとも1つの張力アンカー17を固定することを伴う。ベースプレート14及びアンカー16、17は、典型的には、建物2の頂部表面にボルトで固定され、建物2上に実質的に恒久的な設置物として残るように意図されている。ベースプレート14及び背面支持アンカー16は、各隅で隣接する縁から等距離に設置されてもよく、張力アンカー17の対は、各隣接する縁に対応して設置されてもよい。有利には、ベースプレート14及びアンカー16、17のみが、建物2間を輸送することができるシステム1の残りの機器と共に恒久的に設置される。
【0152】
いくつかの実施形態では、システム1は、約55kgの重量であるように指定され、各装着アーム13及び関連付けられたラインは、約20kgであり、台車4は、約10kgであり、ロボット5及びアタッチメントは、約5kgである。
図38に例解されるような他の実施形態では、システム1は、約80kgの重量であるように指定され、台車4は、約20kgの重量であり、プラットフォーム100は、約40kgの重量であり、装着アーム13及び関連付けられたラインは、約20kgである。システム1は、主に軽量のアルミニウム構成要素から形成され、実質的に分解することができるため、1人以上の人が建物間でシステム1を手動で輸送することが可能であり、いくつかの実施形態では、システム1を輸送するトロリー支援を必要とする。システム1の携帯性と連携した機能プラットフォーム5及びそれぞれのアタッチメントのモジュール化された性質は、複数の建物の便利な監視及びメンテナンスを可能にする。
【0153】
使用のためにシステム1を設定するために、各装着アーム13は、それぞれのカラー15によって必要な数のポールセクション25を接合することによって組み立てられる。各装着アーム13は、それぞれのカップリング15に結合され、カップリング15は、それぞれのベースプレート14に回転可能に装着されている。装着アーム13及びカップリング15は、例えば、
図14に示すように、取り外し可能な装着車軸28を介して、それぞれのベースプレート14に取り外し可能に回転可能に装着可能である。背面支持アーム22は、各カップリング15に回転可能に装着され、静的上部支持ライン21は、それぞれの背面支持アーム22の遠位端部と、対応する装着アーム13の遠位端部との間に接続されている。上部支持ライン21の長さは、背面支持アーム22がそれぞれの装着アーム13に対して概ね直角であるように選択される。典型的には、ラチェット部分に関連付けられた下部支持ライン23は、各背面支持アーム22と対応する背面支持アンカー16との間に接続される。最初に、下部支持ライン23は、装着アーム13が設定中に位置軸7を中心として自由に回転することを可能にするように緩んで配置されている。
【0154】
各装着アーム13は、内側に、建物2の外周から離れて、かつ他の装着アーム13に向かって配置されている。静的ジップライン10は、各アーム13の端部11を横切って装着されてもよく、典型的には、各装着アーム13のプーリ端部キャップ20を通ってねじ込まれ、それぞれの枢動アセンブリ15の拘束点31で結び付けられてもよい。ジップライン10の長さは、縁8の長さ及び装着アーム13のそれぞれの寸法に従って選択されてもよく、その結果、システム1は、縁8を越えてジップライン10に好適に張力をかけてもよい。他の用途では、長さ調節可能なジップライン10は、各アームの端部11を横切って、ジップライン10の有効長さを調整するように動作可能なラチェット機構などの調整機構に装着される。ジップライン10は、単一のラインであってもよく、又は別個の駆動ライン及びガイドラインを含んでもよい。非張力駆動ラインは、台車4の駆動輪を中心としてねじ込まれ、台車4のガイドホイールは、非張力ガイドラインと係合している。
【0155】
張力ライン19は、各装着アーム13の遠位端部11と、対応する張力アンカー17との間に接続されている。次いで、各装着アーム13は、縁8に向かって、実質的に垂直な位置のちょうど前方に回転され、背面支持ライン18から緩みを取り出し、ジップライン10に、ジップライン10及び台車4を建物2から持ち上げるのに十分に張力をかける。各ベースプレート14内のストップバー24を任意選択で使用して、各装着アーム13を実質的に垂直な位置に維持してもよい。所望のユーティリティモジュールを含むロボット5又はポッド100の形態の機能プラットフォーム5は、台車4の吊架ライン43に接続される。装着アーム13、ジップライン10、台車4、及びロボット5の設定は、使用者を縁8から距離を置くために建物2の縁8から離れて実施されてもよく、これは、落下関連の怪我のリスクを低減することができる。
【0156】
張力ライン19がラチェット部分を含むか、又はそれに関連する場合、これらは、張力ライン19をラチェットし、張力軸9を中心としてアーム13を回転させて、各装着アーム13の遠位端部11を離間配置させ、その結果、アーム13を互いに離れて広げるように配置し、それによって、張力平面内でジップライン10に張力をかけるように動作される。したがって、張力をかけられたジップライン10及びそれぞれの張力ライン19の力は、装着アーム13を圧縮的にロードするようにリダイレクトされる。この効果は、各張力アンカー17が、それぞれの装着アーム13の遠位端部11からそれぞれのベースプレート14に向かって内向きに配置されていることによって強化されてもよい。建物2のいずれかの側で、マウント14に向かって2つの装着アーム13の長さに沿った力のリダイレクトは、システム1が純粋に引張荷重になることを可能にする。有利には、これは、必要な支持構造を最小限に抑えることができ、システムが大部分の構成要素に対して超軽量の引張荷重材料を活用することを可能にする。これは、システム1の設定に必要な時間、並びにシステムの総質量及び材料コストを最小限に抑えることができることを意味する。更に、安全範囲(MoS)は、同様のサイズ及び質量の従来の装着構造よりも高くてもよい。
【0157】
ここで、背面支持ライン23の有効長さは、関連付けられたラチェット機構を動作させることなどによって、位置軸7を中心とした装着アーム13の所望の位置に対応する所望の長さに調整され、その結果、建物2に対するジップライン10の位置を調整してもよい。この動作中、一対の装着アーム13は、建物2の縁8に向かって位置軸7を中心として前方に回転される。台車4及びロボット5を含むジップライン10は、建物2の縁8を越えさせる。次いで、背面支持ロープ18は、建物2の縁8を越えて所望の位置で、装着アーム13及びそれらの間に張力をかけられたジップライン10を支持する。
【0158】
共通の位置軸7を画定するためのマウント14の配置、及びこの軸7を中心としたアーム13の回転可能な装着は、ジップライン10が位置軸7を中心として回転することができる平面内で張力をかけられ得ることを意味する。ジップライン10の面内張力により、支持アセンブリ6は、軸7を中心として任意の所望の展開角度で安定させることができる。したがって、一方の装着アーム13を軸を中心に移動させると、他方の装着アーム13が同じ角度位置に引っ張られる。この面内張力は、ジップライン10に張力をかけること、並びに台車4及びロボット5を屋根の表面上の便利な位置に装着することを可能にし、その後、共通位置軸7を中心として回転することによって、張力をかけられたジップライン10を再位置決めすることを可能にする。したがって、システムは、バリア又はレール12が建物2の縁を取り囲む場所を含む、建物2の縁8の上に、かつそれを越えて、張力をかけられたジップライン10を支持してもよい。装着アーム13及びベースプレート14のそれぞれの寸法は、必要に応じて、そのようなバリア12の上に、かつそれを越えて延在するように構成されてもよい。有利には、装着アーム13は、異なる建物の特定の幾何学的制限に基づいて、任意の必要な位置角度に回転されてもよく、設置物全体での可撓性を可能にする。
【0159】
張力をかけられたジップライン10が建物2の縁8を越え、その上に支持されると、台車4は、ジップライン10に沿って横方向に移動することができ、プラットフォーム5を上昇及び下降させて、建物2の表面を横切ってアクセスすることができる。ジップライン19が別個のガイドライン及び駆動ラインを含むこの動作中、ガイドラインは、台車4及びプラットフォーム5を支持し、一方で、駆動ホイールは、駆動ラインに沿って台車4及びプラットフォーム5を所望の横方向位置に引っ張るように動作可能である。台車4は、吊架ホイールの電動ウィンチを介して、プラットフォーム5を所望の垂直位置に上昇及び/又は下降させるように動作可能である。独立して動作可能な駆動及び吊架ホイールは、台車4がロボット5を上昇/及び又は下降させるだけでなく、ジップライン10の長さに沿って同時に移動することを可能にすることができる。したがって、ロボット5は、建物2の面について所望されるように、清掃、監視、及び他の方法で機能を実施するように動作されてもよい。
【0160】
図31を参照すると、例示的なファサード清掃経路55が例解されている。システム1は、ジップライン10に沿って台車4を移動させ、プラットフォーム5を動作させてファサードを清掃することによって、この経路に沿ってプラットフォーム5を伝達するようにプログラムされてもよい。プラットフォーム5は、小さい「N」形状に沿って、及びより大きい「Z」形状に沿って移動される。この経路は、建物の外部に面する窓の一般的な構成と概ね一致する。システム1は、建物によって画定された特定の形状にアクセスするために必要な代替経路に沿って、台車4及びプラットフォーム5を駆動するように構成可能であることが理解されるであろう。
【0161】
図31はまた、例示的なファサード検査経路56を例解する。システム1は、ジップライン10に沿って台車4を移動させ、プラットフォーム5を動作させてファサードを検査することによって、この経路に沿ってプラットフォーム5を伝達するようにプログラムされてもよい。図示された清掃経路55及び検査経路56では、プラットフォーム5は、建物2の面上の実質的に任意の点まで横断することができる。台車及びロボットの組み合わせられた横方向及び垂直方向の運動の直交性の性質のために、システム1は、建物2の面全体へのアクセスを提供することができる。
【0162】
清掃、監視又は他の機能のためのロボット5又はポッド100の動作中に、推進システム48、114は、ロボット54又はポッド100を建物2のエンベロープに対して押すための接触力を提供するように動作される。これは、例えば、ロボット5又はポッド100が、粒子又は残留物を除去するためのブラッシングの有効性を高めるように、建物2の表面にしっかりと押し付けることを可能にすることができる。ロボット5のプロペラ48はまた、それぞれのジンバル49上で関節屈曲して、それぞれの推力を提供して、システムを風及び他の妨害から安定させてもよい。更に、推進システム48、114は、障害物、例えば、窓の周りの方立、向かい合った突起、又は空調及び他のプラント機器及びダクトを回避するために、建物エンベロープを中心としてロボット5又はポッド100を操作するように操作され得る。
【0163】
建物2の第1の面に関する清掃及び/又は監視動作が完了すると、プラットフォーム5は、台車4まで後退し、次いで、装着アーム13は、位置軸7を中心として回転して、ジップライン10を建物2の8縁から離させる。次いで、ジップライン10の張力が緩められ、装着アーム13がベースプレート14から取り外される。次いで、装着アーム13は、建物2の別の縁の隣接する隅に回転可能に装着され、上記のプロセスステップのうちのいずれかが繰り返されて、例えば、建物2の別の面を清掃又は検査することを可能にしてもよい。建物2の全ての所望の面に関する清掃及び/又は監視動作が完了すると、装着アーム13、ライン10、18、19、台車4、及びロボット5は、分解され、別の建物に輸送されてもよい。有利には、機器の単一のセットは、複数の建物にサービスを提供するために便利に輸送され、各建物に恒久的に設置されたシステムを設置し、動作させるよりも実質的にコスト効率が高いことが証明され得る。
【0164】
図示された実施形態は、軽量、携帯可能、かつ/又は、モジュラープラットフォーム5を介して様々な監視、維持及び他の機能を実施するために、建物2の壁全体又は外面へのアクセスを提供することができる建物エンベロープアクセスシステム1を提供することができることが理解されるであろう。
【0165】
本開示の広範な一般的な範囲から逸脱することなく、上記の実施形態に対して多数の変形及び/又は修正が行われ得ることが、当業者によって理解されるであろう。したがって、本実施形態は、あらゆる点で例示的であり、制限的ではないとみなされるべきである。
【手続補正書】
【提出日】2024-04-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、建物の外部エンベロープへのアクセスを可能にするためのシステムに関し、具体的には、建物の外部エンベロープにアクセスして、建物の外面のメンテナンス又は測量、例えば、ファサード又は窓の清掃を行うように動作可能なシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
建物の日常的なメンテナンスには、通常、ファサード及び窓などの建物の外面の定期的な監視及び清掃が含まれる。建物エンベロープへのアクセスは、亀裂又は他の損傷を識別するため、及び窓清掃などのファサード検査のために必要である。建物の最初の数階について、高架作業プラットフォームを使用して、かつ/又は延在可能なポールに装着されたブラシを使用して、手動でメンテナンスを実施することが可能であり得る。ただし、建物の高さ及び場所に応じて、このような方法は好適でない場合がある。高層ビル、例えば3階より上の高いレベルの場合、そのような方法は、リーチが不十分である。
【0003】
建物のより高いレベルを維持するために、建物のエンベロープは、概して、例えば、建物メンテナンスユニット(BMU)、吊架された足場、又は降下(懸垂下降)によって、建物の頂部から人によってアクセスされる。
【0004】
従来の建物メンテナンスユニット(BMU)は、典型的には、建物の頂部に静的に装着された、又はレール上などの建物に移動可能に装着されたクレーン又はブームアームである、恒久的に設置された機構を含む。機構は、建物の外壁に隣接する作業プラットフォームを下降させるために使用される。建物の手動検査及びメンテナンスを可能にするために、1人以上の人がプラットフォーム上に立つ。典型的なBMUは高価であり、個々の建物への恒久的な取り付けを必要とし、動作は、しばしば特定の許可された人に制限される。更に、BMUで手作業を行うことは、作業者に安全上のリスクをもたらす。
【0005】
フルサイズのBMUに加えて、代替のプラットフォームは、建物の頂部に配置されたホイール付きのダビット又はクレーンから下降させるか、又は足場を吊架することができる。これらの構造は、建物の頂部の周りに持ち運び可能であり得るが、それらは、典型的には、大きく、扱いにくく、建物間を輸送するために実用的ではない。これらの機構は通常、高価であり、全ての建物に好適ではない。また、建物が、屋根上に障害物、例えば、ダクト及び空調を含む場合、これはアクセスを大幅に妨げる可能性がある。
【0006】
高所で建物のエンベロープにアクセスする上記の従来の手段では、作業者がBMUを使用するか、ロープにアクセスするか、又は他の高架作業プラットフォーム(EWP)を使用する必要があり、これら全てが人間の安全上のリスクをもたらす可能性がある。加えて、建物エンベロープにアクセスするこれらの方法は、悪天候によって損なわれる可能性があり、人的労働並びに機械使用料、設置及び/又はメンテナンスにコストがかかる可能性がある。
【0007】
過去のいくつかのアプローチは、無人航空機(UAV、典型的にはドローンと称される)を使用して、建物のエンベロープメンテナンスを自動化しようとすることを伴っている。しかしながら、UAVは、そのような航空機が違法であるか、又は安全上のリスクをもたらす場所では好適でないことが多い。この制限を克服しようとする試みは、例えば、建物の各隅にあるウィンチによって、建物に直接装着されたロープ又はロープシステムからUAVを吊架して、建物に対するUAVの運動を誘導することを含んでいる。そのような構成では、UAVは、典型的には、取り付けられたロープによって画定された、制限された運動の範囲を有するため、建物面の範囲、特に頂部縁及び下隅にアクセスすることができない。また、UAVの運動は、建物面から突出する構造、例えば、方立又は突出するファサードパネルによって妨げられ得、これは、非効率的及び/又は不完全なメンテナンスをもたらし得る。
【0008】
本明細書に含まれている文書、行為、材料、デバイス、物品などのあらゆる考察は、これらの事項のいずれか又は全てが、添付の特許請求の範囲の各々の優先日の前に存在する、本開示に関連する分野における技術常識であったことを認めるものとはみなされない。
【発明の概要】
【0009】
いくつかの開示された態様によれば、ファサード検査を容易にするために、撮像システムを含む機能プラットフォームを建物の外壁に対して上昇した位置に位置決めするためのシステムが提供される。システムは、建物の屋根を横切って移動可能であり、遠位端部を有するクレーン部材を搬送するように構成された手動式ポータブルトロリーであって、トロリー及びクレーン部材が分解されるように構成された、手動式ポータブルトロリーと、トロリーに装着されたウィンチ機構と、機能プラットフォームとウィンチ機構との間に延在する吊架ラインと、を含む。使用中、トロリーは、遠位端部が建物の前縁を越えて配置されて、機能プラットフォームを上昇した位置に吊架し、屋根を横切って移動可能であり、機能プラットフォームが吊架ラインを介して上昇及び下降して、建物を横切るアクセスを可能にするように、建物の屋根に位置決めされている。
【0010】
トロリーは、建物管理ユニット(BMU)のレールを利用して、建物の屋根を中心として操作するように構成されてもよい。
【0011】
トロリーは、建物の屋根を中心として旋回することを可能にする複数のホイールを含んでもよい。
【0012】
クレーン部材は、トロリーに回転可能に装着されてもよい。クレーン部材は、動作可能な水平軸を中心として回転可能であり、遠位端部をトロリーに対して傾けることを可能にしてもよい。
【0013】
システムは、トロリーに関連付けられた釣り合い重りシステムを含んでもよい。
【0014】
クレーン部材は、モジュール式であり、小型容積に収納されることを可能にしてもよい。
【0015】
本開示の更なる態様によれば、建物に対して上昇した位置にあるようにラインから吊架するための機能プラットフォームであって、本体であって、本体の動作可能な頂端部に配置されており、ラインに結合するように構成されたコネクタを含む本体と、本体の一方の側に配置されたユーティリティモジュールと、プラットフォームを少なくとも1つの方向に駆動して、ユーティリティモジュールを建物に対して駆動することを可能にするように動作可能な駆動機構と、を含む、機能プラットフォームが提供される。
【0016】
駆動機構は、本体のユーティリティモジュールの反対側に配置された少なくとも1つの推進機構を含んでもよい。プラットフォームは、複数の推進機構を含んでもよく、各機構は、推力を生成するように動作可能な動力式のロータを含む。各推進機構は、ダクト推力を提供するために、本体によって画定された導管内に配置されてもよい。推進機構のうちの少なくとも2つが、動作可能な前方方向及び後方方向に推力を生成するために、第1の方向に互いに反対に配置されてもよく、推進機構のうちの少なくとも2つが、動作可能な横方向に推力を生成するために、第1の方向に直交する第2の方向に互いに反対に配置されている。
【0017】
ユーティリティモジュールは、ユーティリティモジュールを本体に向かって、又は本体から離れるように変位させるように動作可能な変位機構に装着されてもよい。変位機構は、本体に対してユーティリティモジュールと反対方向に移動するように配置された釣り合い重りを含んでもよい。ユーティリティモジュールは、変位機構に対してユーティリティモジュールを傾けることを可能にするために、少なくとも1つの軸を中心として変位機構に回転可能に装着されてもよい。ユーティリティモジュールは、ユーティリティモジュールの少なくとも一部分をプラットフォームに対して配向するように動作可能な位置決め機構に関連付けられてもよい。ユーティリティモジュールは、プラットフォームに解放可能に装着されて、ユーティリティモジュールを代替ユーティリティモジュールと交換することを可能にしてもよい。
【0018】
ユーティリティモジュールは、ツール及びセンサのうちの少なくとも1つを含んでもよい。ユーティリティモジュールは、清掃装置、窓密閉保全性システム、及び撮像システムのうちの少なくとも1つを含んでもよい。清掃装置は、少なくとも1つの動力式の回転可能なブラシを含んでもよい。清掃装置は、少なくとも1つのブラシに隣接して配置された吸気ヘッドを有する吸引機構を含んでもよく、吸引機構は、ユーティリティモジュールを建物に向かって引き込むように動作可能である。清掃装置は、吸気ヘッド内に装着されたカメラ及び光源を含んでもよい。
【0019】
本明細書全体を通して、「含む(comprise)」という言葉、又は「含む(comprises)」若しくは「含む(comprising)」などの変形例は、本開示の文脈が別段の指示をしない限り、記載された要素、整数若しくはステップ、又は要素、整数若しくはステップのグループの包含を意味するが、任意の他の要素、整数若しくはステップ、又は要素、整数若しくはステップのグループの排除を意味しないことを理解されたい。
【0020】
実施形態は、本明細書に開示された、又は本出願の明細書に個別に又は集合的に示されたステップ、特徴、及び/又は整数、並びに当該ステップ又は特徴のうちの2つ以上のありとあらゆる組み合わせを含み得ることが理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
ここで、実施形態は、添付の図面を参照して例としてのみ説明される。
【0022】
【
図1】建物に装着された建物エンベロープアクセスシステムの第1の実施形態の斜視図である。
【
図2】建物に装着された建物エンベロープアクセスシステムの第1の実施形態の正面図である。
【0023】
【0024】
【0025】
【
図5】張力平面内の回転を例解する、前の図に示されるシステムの支持アセンブリの正面図である。
【0026】
【
図6】位置軸を中心とした回転を例解する、
図5に示される支持アセンブリの側面図である。
【0027】
【
図7】
図5及び
図6に示される支持アセンブリの一部の斜視図である。
【0028】
【0029】
【0030】
【0031】
【0032】
【0033】
【0034】
【
図20】
図1~
図4のシステムの台車及び機能プラットフォームの正面図である。
【0035】
【0036】
【0037】
【
図31】機能プラットフォームの動作経路を例解する概略図である。
【0038】
【
図32】機能プラットフォームの推進システムの斜視図である。
【
図33】機能プラットフォームの推進システムの側面図である。
【0039】
【0040】
【
図35】建物に対して上昇した位置でプラットフォームを支持するための代替支持システムの斜視図である。
【
図36】建物に対して上昇した位置でプラットフォームを支持するための代替支持システムの側面図である。
【
図37】建物に対して上昇した位置でプラットフォームを支持するための代替支持システムの正面図である。
【0041】
【
図38】建物に装着された建物エンベロープアクセスシステムの第2の実施形態の斜視図である。
【
図39】建物に装着された建物エンベロープアクセスシステムの第2の実施形態の側面図である。
【0042】
【
図40】
図38及び
図39に示されるシステムの機能プラットフォームの斜視図であり、プラットフォームは、展開構成にある。
【
図41】
図38及び
図39に示されるシステムの機能プラットフォームの正面図であり、プラットフォームは、展開構成にある。
【
図42】
図38及び
図39に示されるシステムの機能プラットフォームの側面図であり、プラットフォームは、展開構成にある。
【0043】
【
図43】
図40~
図42の機能プラットフォームの斜視図であり、プラットフォームは、動作構成にある。
【
図44】
図40~
図42の機能プラットフォームの側面図であり、プラットフォームは、動作構成にある。
【0044】
【0045】
【0046】
図面及び説明全体の参照を容易にするために、対応する特徴は、対応する参照番号を与えられている。
【発明を実施するための形態】
【0047】
本明細書全体を通じて、「いくつかの実施形態」又は「実施形態」への言及は、その実施形態に関連して記載される特定の特徴、構造、又は特性が、少なくとも1つの開示された実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体を通じて、「いくつかの実施形態」又は「様々な実施形態」という語句が出現した場合、必ずしも全て同じ実施形態を指すわけではないが、そうである場合もある。更に、特定の特徴、構造、又は特性は、1つ以上の実施形態における本開示から当業者には明らかなように、任意の好適な様式で組み合わされてもよい。
【0048】
本明細書で使用される場合、共通のオブジェクトを記述するための順序形容詞「第1の」、「第2の」、「第3の」などの使用が別途指定されない限り、単に類似のオブジェクトの異なる例が言及されていることを示し、そのように記述されたオブジェクトが、時間的、空間的、ランキングで、又は任意の他の様式のいずれかで、所与の順序でなければならないことを暗示することを意図するものではない。
【0049】
結合された用語は、特許請求の範囲で使用された場合、直接接続のみに限定されるものとして解釈されるべきではないことに留意されたい。用語「結合された」及び「接続された」は、それらの派生語と共に使用され得る。これらの用語は、互いの同義語として意図されていないことを理解されたい。したがって、デバイスAがデバイスBに結合された表現の範囲は、デバイスAの出力がデバイスBの入力に直接接続されているデバイス又はシステムに限定されるべきではない。これは、Aの出力と他のデバイス又は手段を含む経路であり得るBの入力との間に機能的な経路が存在することを意味する。「結合された」とは、2つ以上の要素が直接物理的若しくは電気的に接触しているか、又は2つ以上の要素が互いに直接接触していないが、それでも互いに協働若しくは相互作用していることを意味し得る。
【0050】
図面において、参照番号1は、概して、建物2の測量又はメンテナンスを可能にするように、建物2の外壁に対する上昇した位置に機能プラットフォーム5を位置決めするためのシステム1を指定する。システム1は、細長い可撓性要素10と、可撓性要素10に装着可能であり、可撓性要素10に沿って移動するように動作可能な台車4と、台車4の下に機能プラットフォーム5を動作可能に吊架するように構成された台車4と、一対の支持アセンブリ6と、を含む。各支持アセンブリ6は、建物2に固定されて、位置軸7を画定するように構成されたマウント14と、位置軸を中心として回転可能であるようにマウント14に接続するように構成された細長い支持部材13と、を含み、支持部材は、可撓性要素10を支持するように構成された自由端部11を画定する。システム1はまた、可撓性要素10と係合可能であり、可撓性要素10を後退させるように動作可能な後退機構を含む。
【0051】
建物2の頂部に支持アセンブリ6を離間配置されるように装着し、各支持部材13の自由端部11に対して固定位置と後退機構との間に可撓性要素10を固設し、かつ後退機構を動作させることにより、可撓性要素10に、支持部材13の間に張力をかけさせ、可撓性要素10を建物2の頂部より上に配置することを可能にし、機能プラットフォーム5を搬送する台車4を可撓性要素10に装着することを可能にする。
【0052】
図では、可撓性要素10は、典型的には、高強度の合成繊維ライン、例えば、Dyneemaロープから形成された、伸縮不能なジップライン10として構成されている。他の実施形態(図示せず)では、可撓性要素は、ケーブル、ロープ、ワイヤ、コード、ストラップ、及びチェーンのうちのいずれかを備える。ジップライン10は、台車4を支持し、その動きを誘導するように配置可能である。ジップライン10は、支持部材13間の横方向の移動を容易にするために、台車4によって駆動ラインとして使用されてもよい。図示された実施形態では、単一のジップライン10が、ガイドライン及び駆動ラインの両方として利用される。他の実施形態(図示せず)では、ジップラインは、ガイドラインとしてのみ機能し、1つ以上の別個の駆動ラインは、台車4の横方向の移動を引き起こすことを可能にするように提供される。そのような実施形態では、ガイドラインは、強度及び支持を強化するための比較的太いラインであってもよく、駆動ラインは、摩擦を低減するための比較的細いラインであってもよい。
【0053】
図示された実施形態では、各支持部材13は、細長いマスト、又は装着アーム13として構成されている。ジップライン10は、各支持アセンブリ6の装着アーム13の自由端部11の接続点に固定されてもよい。各接続点は、装着アーム13のうちの1つに固設された端部キャップによって画定されてもよい。代替的に、ジップライン10は、装着アーム13の端部キャップを介して、装着アーム13のベースなどの代替的に位置する接続点に配線されてもよい。いくつかの実施形態では、実装アーム13の端部キャップは、ジップライン10をアーム13のベースに配線して、ジップライン10によってアーム13に及ぼされる力をリダイレクトするためのプーリ配置20を組み込む。そのような実施形態では、プーリ機構20の位置は、典型的には、一対のアーム13が互いの鏡像であるように、各アーム13を手渡させる。このように構成されている場合、第1のアーム13は、システム1の左側に装着されなければならず、第2のアーム13は、プーリ機構20を介してジップライン10を支持することを可能にするために、システム1の右側に装着されなければならない。
【0054】
図1~
図4を参照すると、支持アセンブリ6は、位置軸7を中心として回転するために、建物2の頂部表面に回転可能に装着可能である。この図示される実施形態では、位置軸7は、マウント14によって画定される。マウント14は、屋根などの平面表面に装着されるように構成されており、軸7は、この実施形態では建物2の頂部表面である平面表面と実質的に平行であり、動作可能に水平であるように配置されており、その結果、支持アセンブリ6は、建物2のライブエッジ8に向かって、又はライブエッジ8から離れて回転してもよい。他の実施形態(図示せず)では、各支持アセンブリ6は、動作可能に垂直となる建物2の頂部表面に垂直であるように配置された位置軸7を中心として建物2に回転可能に装着可能であり、その結果、支持アセンブリ6は、建物2のライブエッジ8に向かって、又はライブエッジ8から離れて回転することができることが理解されるであろう。いずれかの構成では、支持部材13は、使用時に、支持部材13が互いに離れて広がるように配置可能であるように、マウント14のうちの1つに装着可能であってもよい。これにより、各支持部材13は、引力をかけられたジップライン10によって部材13に及ぼされた力によって圧縮され、その結果、各支持部材13は、関連付けられたマウント14に向かって付勢される。これは、ジップライン10の張力を維持するために、アーム13の端部11が互いに向かって引かれるのを有利に抑制することができる。結果として、これは、台車4の垂直位置及び吊架された機能プラットフォーム5の位置の制御を強化することができる。
【0055】
図5に最もよく示されるように、各支持アセンブリ6は、典型的には、ジップライン10が建物2の頂部の上に配置されるように、各アーム13の自由端部11に画定された一対の接続点の間の張力平面内でジップライン10に張力をかけるように、張力軸9を中心として回転させるように構成されている。このようにジップライン10を配置することで、機能プラットフォーム5が建物2の頂部にアクセスすることを可能にすることができる。台車4は、ジップライン10と係合可能であり、接続点11の間でジップラインに沿って移動するように構成されている。機能プラットフォーム5は、台車4から吊架され、台車4を移動させることと組み合わせて、建物2のエンベロープを中心として移動させるように動作可能である。システム1がこのように設置及び動作されるとき、機能プラットフォーム5は、建物の外壁の検査及び/又は測量などの潜在的に危険な環境への人間の曝露を回避するために、建物の少なくとも一部分を走査又はマッピングして、2D又は3Dデジタルモデルを生成すること、建物を撮像すること、建物を清掃すること、建物を塗装又はコーティングすることを含む建物を修復すること、及び例えば、建物上又は建物内で行われる建物の解体又は防衛動作を支援するために、センサ又は爆発物などのオブジェクトを建物に設置することを含む、広範なタスクを効率的に実行することができる。
【0056】
各支持アセンブリ6は、典型的には、装着アーム3が位置軸7を中心として回転して、最初に建物2の周辺の内側になるように、建物2に設置される。建物2の縁8の後ろに設置されると、
図6に例解されるように、支持アセンブリ6は、ジップライン10を張力面内の張力で維持しながら、位置軸7を中心として回転させて、ジップライン10、台車4、及び機能プラットフォーム5に建物2の縁8を越えさせ、エンベロープへのアクセスを提供してもよい。
図3に見られるように、システム1は、機能プラットフォーム5の形態で、建物2のライブエッジ8を越えて、地上の上昇した位置で荷重を支持することができる。ジップライン10を搬送するアーム3の構成は、ジップライン10、台車4、及びプラットフォーム5を、建物2の頂部表面上及び建物2の頂部表面のレベルの下のバリア又は手すり12の上に展開することを可能にする。有利には、システム1は、建物2のエンベロープの周りの作業位置での様々な上昇した位置で荷重を支持することができる。
【0057】
図4に最もよく示されるように、各支持体アセンブリ6は、支持体アセンブリ6が建物の縁8の隣接する隅に固設されるように、建物2の頂部表面に回転可能に装着可能な装着アーム13を含む。装着アーム13の各々は、マウント14にそれぞれ装着され、マウント14は、ブラケットとして、又は例解されるように、ベースプレート14として、カップリング15によって具現化されてもよい。いくつかの用途では、ベースプレート14は、建物2の周辺から約2メートルのところで表面に固定され、装着アーム13は、約4メートルの長さになるように寸法決定される。したがって、アーム13は、位置軸7を中心として回転可能であり、ジップライン10に建物2の周辺を越えさせる。ベースプレート14の位置及び装着アーム13の相対的な寸法は、必要に応じて、ジップライン10が任意の棚又はバリア12を越えて、縁8を十分に越えて延在することを可能にするように調整されてもよいことが理解されるであろう。
【0058】
図示された実施形態では、ジップライン10は、両方の支持アセンブリ6にわたる固定位置と後退機構との間に固定されて、その結果、ジップライン10は、支持アセンブリ6の間で張力をかけられ、支持アセンブリ6によって上昇することができる。後退機構は、典型的には、手動で動作可能なラチェット機構、又は動力式のウィンチ機構を含み、これらのいずれかは、支持アセンブリ6の一方に装着されてもよく、固定位置は、他方の支持アセンブリ6によって画定される。後退機構及び/又は固定位置は、代替的に、建物2自体に位置してもよいことが理解されるであろう。いくつかの実施形態では(図示せず)、ジップライン10は、建物又は他の静的構造に固定的に固設されたアンカー点によって画定されるような単一の固定接続点と、単一の装着アーム13の遠位端部11上の可動接続点との間に延在してもよい。そのような実施形態では、単一の支持アセンブリ6のみが必要である。概して、一対の支持アセンブリ6を備える図示された実施形態は、これが建物2からの設置及び取り外しがそれほど複雑ではなく、したがって、建物間をより容易に移動し、かつ/又は建物2に対して異なる位置に設置されるため、好ましい。
【0059】
図7~
図9を参照すると、各支持アセンブリ6は、背面支持アンカー16と、各ベースプレート14に隣接する建物2に固定的に固設された少なくとも1つの張力アンカー17と、を含んでもよい。各背面支持アンカー16は、建物2とそれぞれの装着アーム13との間に調整部材を固設して、装着アーム3を位置軸7を中心として所定の配向に支持し、維持するように配置されている。各張力アンカー17は、特に、アーム13の自由端部11が互いに向かって移動するのを抑制することによって、それぞれの装着アーム13上の張力を維持するために、建物2とそれぞれの装着アーム13との間に制限部材を固設するように配置されている。各張力アンカー17は、使用中、張力アンカー17が、それぞれの装着アーム13の遠位端部11から関連付けられたベースプレート14に向かって内側にあるように位置決めされている。
【0060】
背面支持アンカー16及び張力アンカー17は、張力に耐えるように特別に選択及び設置されているが、従来のアンカーは、剪断荷重のためにのみ設計されており、張力に耐えることができない。カラー付きアイボルトの場合、これは、現在の背面支持又は張力アンカーとして使用するには不十分なボルトが設置されている表面に対して20度を超えない引張角度に変換される。特に、背部支持アンカー16及び張力アンカー17は、それらが設置されている表面に対して実質的に高い張力に抵抗するように構成されている、Petzl Coeurボルトによって画定されてもよい。有利には、アンカー16、17は、アンカー点16、17から引き上げる張力に耐えることができ、したがって、装着アーム13及びジップライン10の背面支持及び張力を提供し得る。
【0061】
有利には、張力アンカー17の位置決め及び装着アーム13の構成は、装着アーム13が圧縮されるように、装着アーム13の長さに沿って張力ジップライン10の張力をリダイレクトする。したがって、軽量かつ剛性の支持構造3を使用して、上昇した位置で荷重を支持してもよい。
【0062】
図5を参照すると、支持部材13は、各装着アーム13の遠位端部11の2つの接続点の間でジップライン10に張力をかけるために、張力軸9の周りの張力平面を横切って回転可能である。図示された実施形態では、各装着アーム13は、それぞれの張力軸9を中心として、好ましくはジップライン10に対称に張力をかけて回転してもよい。
【0063】
図6を参照すると、各支持アセンブリ6はまた、位置軸7を中心として回転可能であり、ジップライン10を搬送する装着アーム13の遠位端部11を建物2の縁8に向かわせるか、又は建物2の縁8から離れさせる。
図4に最もよく示されるように、装着アーム13の各々は、典型的には、それらが共通位置軸7を中心として回転可能であるように建物に装着される。ジップライン10は、位置軸7に平行になるように張力をかけられる。
【0064】
支持アセンブリ6は、ジップライン10が張力をかけられてもよく、支持部材13が、張力平面内の張力を維持しながら、位置軸7を中心として回転するように構成されている。有利には、この面内張力は、支持アセンブリ6が張力を保持しながらジップライン10を再位置決めすることを可能にする。したがって、システム1は、台車4及びプラットフォーム5をジップライン10に装着することを含む、建物2の縁8から離れるように枢動されたときに設定されてもよく、次いで、支持アセンブリ6は、張力をかけられながらジップライン10を再位置決めするために回転されてもよい。
【0065】
代替的な実施形態(図示せず)では、ジップライン10の一方の端部は所定の位置に固定されてもよく、他方の端部、又はジップライン10に沿った場所は、支持アセンブリ6によって固定端に対して回転されてもよい。ジップライン10の接続点の相対的な運動は、ジップライン10を再位置決めし、ジップライン10に張力をかけることができる。例えば、ジップライン10の一方の端部は、建物2に固定されてもよく、ジップライン10の他方の端部は、装着アーム13に接続されてもよい。したがって、装着アーム13は、固定接続点から離れて回転してライン10に張力をかけることができ、直交して回転してジップライン10を再位置決めすることもできる。
【0066】
位置軸7が動作可能に垂直であるように配置されている更に他の実施形態(図示せず)では、各装着アーム13は、アーム13を軸7を中心として制御可能に回転させるように動作可能なターンテーブルに装着されてもよい。そのような実施形態では、一方又は両方のターンテーブルと係合するモータを動作させるなどして、アーム13を軸7を中心として回転させると、アーム13の間のジップライン10に張力をかけ、建物2の縁8に対してジップライン10を再位置決めすることができる。いくつかの実施形態(図示せず)では、更なるモータは、それぞれの張力軸9を中心としてアーム13を枢動させるために、各アーム13に関連付けられる。好ましくは、アーム13は、アーム13が互いに離れて広がり、張力をかけられたジップライン10によって位置軸に向かって各アーム13の圧縮を引き起こし、結果として、ジップライン10の張力の維持を強化するように、動作位置に回転される。
【0067】
再び
図7及び
図8を参照すると、各支持アセンブリ6は、荷重を支持することを強化し、かつ/又は荷重の位置決めを容易にするために、複数の追加のブレース及びストラットを含んでもよい。ブレース及びストラットは、一方又は両方の軸7、9を中心とした支持部材13の回転を制限するように配置されている。図示された実施形態では、各支持アセンブリ6は、別個のジップライン10、支持ライン18、及び張力ライン19に関連付けられる。代替的な実施形態(図示せず)では、様々なラインは、それぞれの点で固設された連続した長さによって画定されてもよい。更に他の実施形態(図示せず)では、支持ライン18及び/又は張力ライン19は、位置軸7を中心として支持部材13の回転位置を調整するように動作可能なガスストラット又はモータなどの他の好適な静的若しくは調整可能な保持構造、又は張力軸9を中心として支持部材13を固設するように配置されたバーなどの実質的に剛性の部材で置き換えられる。
【0068】
図示された実施形態では、各支持アセンブリ6はまた、装着アーム13の端部キャップを建物2の頂部表面に固定された張力アンカー17に接続する可撓性張力ライン19の形態の制限部材を含み、その結果、張力ライン19は、支持アセンブリ6の端部キャップの互いに向かう移動を制限するためのブレースを提供し、これにより、ジップライン10の張力を低減することができる。張力ライン19は、一体型ラチェット部分、例えば、ラチェットストラップを組み込んでもよい。代替的に、張力ライン19は、張力アンカー17を通って引っ張られて、装着アーム13を回転させ、ジップライン10に張力をかけ、次いで、張力アンカーで結び付けられてもよい。このようにして、装着アーム13は、ジップライン10に張力をかけるためのレバーアームとして機能してもよく、張力ライン19は、ジップライン10に張力をかけて、次いで、その張力を維持することを容易にするように構成されている。各装着アーム13は、ジップライン10をジップライン10の交互の端部から対称に張力をかけるための張力機構を含んでもよい。更に代替的に、張力ライン19は、張力軸9を中心とした支持部材13の回転を制限するように配置された、固定された伸縮不可能な長さであってもよく、ジップライン10は、ラチェット機構を動作させることがジップライン10に張力をかけるように支持部材13に装着されたラチェット機構に関連付けられ、ひいては、張力ライン19に張力をかけるまでアーム13の枢動を引き起こす。
【0069】
各支持アセンブリ6は、図示された実施形態では、支持ライン18の形態で、位置軸7を中心として所定の角度又は配向で装着アーム13を位置決めするように構成された調整部材を含んでもよい。支持ライン18は、軸7を中心とした装着アーム13の回転の範囲を制限して、建物2の縁8に対するジップライン10の位置を制御することを可能にするように配置されている。
【0070】
支持ライン18は、支持アセンブリ6及び/又はジップライン10に加えられた荷重を支持するように配置されている。支持ライン18は、典型的には、装着アーム13の自由端部11と支持アンカー16との間に接続され、この実施形態では、背面支持アーム22の形態で、剛性ストラットによって装着アーム13から離間配置される。図示された実施形態では、支持ライン18は、端部キャップ20及び背面支持アーム22に接続された可撓性の上部支持ライン21と、背面支持アームとアンカー16との間に接続された可撓性の下部支持ライン23と、を備える。各支持ライン21、23は、装着アーム13に剛性を付与するためのブレースとして機能するように構成可能である。いくつかの実施形態(図示せず)では、支持ライン21、23の一方又は両方は、剛性部材によって置き換えられることが理解されるであろう。また、他の実施形態では、支持ライン18は、アーム13の端部11からアンカー16までのストラップ、ロープ、又はチェーンなどの連続したラインであることも理解されるであろう。最も典型的には、下部支持ライン23は、例えば、ライン23を手動で調整して結束することによって、又はラチェット機構若しくはウィンチなどの関連付けられた調整機構を動作させることによって、長さ調整可能であるように構成されている。いくつかの実施形態では、電動ウィンチなどの単一の調整機構は、調整機構の動作が位置軸7を中心として支持部材13の回転限界を調整することを同期するように、両方の支持アセンブリ6の支持ライン21に接続される。
【0071】
上部支持ライン21は、静的又は動的ラインのいずれかであってもよい。概して、上部支持体21ラインは、背面支持アーム22を装着アーム13に対して実質的に直角に維持するのに十分な所定の長さの静的ラインである。下部支持ライン23は、装着アーム13を位置軸7の周りの所望の角度に維持するように構成されている。下部支持ライン23は、好ましくは、実質的に動的なライン、例えば、ある程度の延伸を可能にするポリエステルロープである。有利には、下部支持ライン23は、衝撃荷重の場合にシステムがエネルギーを吸収し、ピーク力を劇的に減少させることを可能にし得る。
【0072】
装着アーム13の角度、及びそれに対応して、ジップライン10が保持される位置は、装着アーム13を位置軸7を中心として回転させることによって変えることができる。そのような回転は、例えば、ラチェットストラップを使用することによって、下部支持ライン23の有効長さを増加させるか、又は減少させることによって実施されてもよい。代替的な実施形態では、下部支持ライン23は、下部支持ラインの長さを巻き上げるか、又は巻き戻すためのウィンチ機構を組み込んでもよい。代替的に、固定長さの支持ライン23は、使用中に、位置軸7の周りの所望の角度で装着アーム13を維持するために依存され得る。以下で詳細に概説するように、ベースプレート14内の制限機構24を使用して、装着アーム13を設定角度、組み立て角度、装着角度、又は他の所望の角度で維持することができる。
【0073】
背面支持アーム22は、使用時に、背面支持アーム22が装着アーム13に対して概ね直角になるように、装着アーム13によって画定される第3の軸を中心として回転可能に装着される。背面支持アーム22は、装着アーム13を所望の位置に固設するために、支持ライン18の支点として、てこの作用を提供する。有利には、カップリング15を介して装着アーム13に回転可能に装着された背面支持アーム22は、背面支持アームが、上部支持ライン21から下部支持ライン23に装着アーム13に及ぼされる衝撃力を通過することを可能にする。背面支持アーム22は、輸送及び保管を容易にするために、装着アーム13から取り外し可能であってもよい。
【0074】
図9に最もよく例解されるように、各ベースプレート14及び装着アーム13は、背面支持アンカー16及び一対の張力アンカー17に関連付けられてもよい。支持アセンブリ6は、支持アンカー16及び張力アンカー17のうちの1つを利用することによって、装着アーム13を使用して、建物2の隣接する縁のいずれかに沿ってジップライン10を支持することができるように構成されている。
図9では、建物2は、直角の隅を有し、一対の張力アンカー17は、各隣接する縁から等間隔に、マウント14に対して互いに実質的に直角に位置決めされていると想定される。次いで、装着アーム13は、ジップライン10を建物2の北縁を越えて支持することができ、背面支持アンカー16によって所定の位置角度で固設され、張力アンカー17のうちの一方を利用して張力をかけられる。したがって、システム1は、建物の北面へのアクセスを提供してもよい。同じ装着アーム13はまた、ジップライン10を建物2の東縁を越えて支持するために使用されてもよく、同じ背面支持アンカー16によって所定の位置角度で固設され、張力アンカー17のうちの他方を利用して張力をかけられる。
【0075】
図示されていないが、長方形の建物の各隅でベースプレート14に回転可能に装着された4つの装着アーム13の構成が、完全な建物エンベロープへのアクセスを提供することができることが理解されるであろう。同様に、他の形状の建物では、各ベースプレート14のための張力アンカー17及び背面支持アンカー16の位置決めは、各装着アーム13が、建物2のそれぞれの隣接する縁の両方を越えてジップライン10を支持するために利用され得るように構成されてもよい。例えば、ベースプレート14が建物2の屋根の直角の隅に配置されている場合、第1の張力アンカー17及び第1の背面支持アンカー16は、第1の配向でベースプレート14に装着された支持アーム13を位置決めして、建物2の第1の側面に対して延在することを可能にするように固設されてもよく、第2の張力アンカー17及び第2の背面支持アンカー16は、第2の配向でベースプレート14に装着された支持アーム13を位置決めして、建物2の第2の側面に対して延在することを可能にするように固設されてもよい。有利には、ベースプレート14及び位置決めアンカー16、17を構成して、同じ支持アーム13を装着して、ジップライン10を建物2の2つ以上の隣接する縁を越えて支持することを可能にすることは、建物2のエンベロープにアクセスするために必要なベースプレート14の数を最小限に抑えることができる。結果として、これは、必要な建物2の頂部表面及び屋根膜の貫通の数を制限することができ、そうでなければ、建物の耐候性に影響を与える可能性がある。
【0076】
図10は、カップリング15を介してベースプレート14に回転可能に装着可能な装着アーム13、及びアーム13に回転可能に装着された背面支持アーム22の斜視図を示し、
図11は、その側面図を示す。
【0077】
この実施形態では、装着アーム13は、カラー26によって接合された複数のポールセクション25から形成される。概して、装着アーム13は約4メートルの長さであり、それぞれ約1メートル及び3分の1メートルの長さの3つのポールセクション25を含む。建物又は設置の様々な要件がより長い装着アーム13を必要とする場合、追加のポールセクション25が追加されてもよい。カラー26は、それぞれ、ポールセクション25を接合するために一緒にボルトで固定されており、装着アーム13を分解するためにボルトを外されてもよい。装着アーム13は、使用中はカップリング15にボルトで固定され、使用しないときはボルトを外されてもよい。装着アーム13を迅速に組み立て及び分解することができるため、システム1は携帯可能である。
【0078】
装着アーム13、張力ライン19、支持ライン21、23、及びアンカー16、17の構成は、装着アーム13が使用中に圧縮されていることを意味する。これは、十分な強度を維持しながら、装着アーム13が軽いアルミニウムから作製されることを可能にする。カップリング15及び背面支持アーム22もまた、軽量アルミニウムで作製されている。この軽量かつ折りたたみ可能な構成は、例えば、装着アーム13及びラインがベースプレート14及びアンカー16、17が設置されている建物の間で人によって手動で搬送されることができるように、異なる建物間のシステム1の携帯性を高める。
【0079】
図12~
図16に示すように、装着アーム13は、カップリング15を介してベースプレート14に回転可能に装着可能である。この実施形態では、ベースプレート14は、それらの間に装着車軸28を受容するための一対の概ね台形の装着フランジ27を含む。装着車軸28は、位置軸7を画定するために、カップリング15をベースプレート14に回転可能に装着するために使用される。装着車軸28は、カップリング15が周りを回転するための滑らかな部分及びベースプレート14に固定するためのナットを受容するためのねじ付き端部分を有するボルトを備えてもよい。有利には、カップリング15は、装着車軸29によってベースプレート14に解放可能に取り付けられ、異なるベースプレート14間での装着アーム13の輸送を容易にする。
【0080】
図15~
図18を参照すると、カップリング15は、装着車軸28に加えて、張力軸9を画定する枢動軸29を含む。使用中、カップリング15は、装着アーム13が位置軸7を中心として回転してジップライン10を位置決めすることを可能にし、装着アーム13が張力軸9を中心として枢動軸7に対して横方向に回転して、ジップライン10に張力をかけることを可能にする。装着車軸28と同様に、枢動軸29は、設置及び携帯性の容易さを容易にするために、カップリング15を通って配置されたナット及びボルトを備えてもよい。代替的な実施形態(図示せず)では、枢動軸29は、カップリング15と一体的に形成されるか、又はカップリング15に恒久的に取り付けられる。
【0081】
図示された実施形態では、カップリング15は、背面支持アーム22を回転可能に装着するための第3の軸を画定する支持接続点30を更に含む。代替的な実施形態では、支持接続点は、ベースプレート15又は装着アーム13の最も低いセクションに含まれ得る。カップリング15はまた、ジップライン10の端部を固設するための固定場所を画定するために使用することができる拘束点31を含む。代替的な実施形態では、ジップライン10は、ベースプレート15に固定的に固設されてもよい。上で概説されたように、ジップライン10をカップリング15上の拘束点31にリダイレクトするプーリ端部キャップ20は、システム1内の力のリダイレクトを可能にし、使用中の装着アーム13に剛性を提供する。
【0082】
図19に最もよく見られるように、ベースプレート14は、典型的には、ベースプレート14を表面に固定するためのファスナーを受容するための複数のアパーチャ32を含む。ベースプレート14は、装着フランジ27を補強及び支持するための複数の支持フランジ33を更に含む。支持フランジ33は、支持アセンブリ6のための設置面積及び装着点を最小限に抑えることができ、これは、設置の容易さを高めることができる。
【0083】
装着フランジ27は、装着車軸28の一方の側に配置されたしっかりと装着されたストップバー24の形態で、回転制限機構を搬送する。ストップバー24は、位置軸7を中心とした装着アーム13の運動範囲を制限するために、カップリング15に当接するように配置されている。したがって、制限機構24の位置は、建物2に対してジップライン10を支持する装着アーム13の所望の位置、例えば、定義された高さ及び/若しくは縁8からの間隔と一致するように構成することができ、又は代わりに、装着アーム13の設定位置を画定するように配置することができる。例えば、ストップバー24は、ジップライン10及び支持アセンブリ6の初期設定を容易にするために、実質的に垂直な位置に装着アーム13を保持してもよい。他の実施形態では、複数のストップバーをベースプレート14に設置して、位置軸7の周りの1つ以上の位置を画定してもよい。更に他の実施形態では、ストップバー24又は任意の他の制限機構は省略され、システム1は、代わりに、支持ライン21、23に依存して、装着アーム13を位置決めする。
【0084】
図20は、ジップライン10上に配置された台車4、及び台車4の下に吊架された機能プラットフォームを例解している。台車4は、ジップライン10の長さに沿って横方向に移動するように構成されており、典型的には、機能プラットフォーム5を上昇及び/又は下降させるように構成されている。建物2の縁8を越えて離間配置されるジップライン10の配置は、台車4及びプラットフォーム5が、屋根上の障害物を越えて移動するか、又は建物2の壁から延在することを可能にする。更に、ジップライン10に沿って横方向に移動し、機能プラットフォーム5の垂直方向の移動を提供するように台車4を配置することで、プラットフォーム5は、頂部、底部、及び外側の縁、並びに隅に延在する完全なファサードカバレッジを含む、建物2の側面全体にアクセスすることを可能にすることができる。これは、プラットフォーム5が各窓の全体にアクセスして清掃することができるため、例えば、窓が建物2の側面の周囲に延在する場合に特に有用であり得る。
【0085】
図21~
図24を参照すると、台車4は、実質的に長方形の前方フレームプレート34及び後方フレームプレート35を含む。台車4は、前方フレームプレートと後方フレームプレートとの間で実質的に中央に駆動軸37に回転可能に装着された駆動ホイール36の形態の駆動機構を含む。駆動ホイール36は、ジップライン10と係合して、ジップラインに沿って台車4を引っ張るように構成されている。駆動ホイール36は、台車4に装着された駆動モータ38に結合され、駆動モータ38は、駆動ホイール36をいずれかの方向に回転させて、ジップラインに沿って台車4を前後に移動させることができる双方向モータである。
【0086】
台車4は、前方フレームプレート及び後方フレームプレートの頂部隅の間のそれぞれのガイド軸40に回転可能に装着された一対のガイドホイール39の形態でガイド機構を更に含む。ガイドホイール39は、ジップライン10に係合して、ジップライン10に沿った台車4の移動中に台車4を支持するように構成されている。駆動ホイール36及びガイドホイール39は、ジップライン10の同じラインと係合してもよいか、又はジップライン10の別個の駆動ライン及びガイドラインと係合してもよい。有利には、ガイドホイール39は、駆動ホイール36の上に位置決めされており、台車4に支持を提供する台車4の隣接する隅にある。ガイドホイール39は、典型的には、台車4を支持するための非駆動、受動ホイールである。駆動ホイール36は、それによって台車の移動を判定するために、それらの回転を記録するためのエンコーダを含んでもよい。
【0087】
台車4から荷重を吊架するために、台車4は、前方フレームプレート34と後方フレームプレート35の底部分の間のそれぞれの吊架車軸42に回転可能に装着された一対の吊架ホイール41の形態の吊架機構を含む。吊架ホイール41は、一対の吊架ライン43と係合して、前方フレームプレート34と後方フレームプレート35の底部隅の間のそれぞれの吊架プーリ44を介して荷重を上昇及び/又は下降させるように構成されている。各吊架ホイール41は、台車4に装着されたそれぞれの吊架モータ45を含む。各吊架モータ45は、それぞれの吊架ホイール41をいずれかの方向に回転させて、荷重を上及び/又は下に移動させることができる双方向モータである。吊架モータ45及びホイール41は、独立して動作して、荷重を傾け、かつ/又は荷重への妨害を補償し得る。概して、吊架モータ45及びホイール41は、対称に動作して、水平な様式で荷重を上昇及び/又は下降させる。吊架プーリ44は、吊架ホイール41の力をリダイレクトする。吊架ライン43は、実質的に静的なラインであってもよく、吊架ラインの各々は、ラインのエネルギー吸収遠位動的部分の形態のそれぞれのショックアブソーバを含んでもよい。使用中、エネルギー吸収ラインは、吊架ラインから荷重を吊架するために荷重に接続されており、通常の動作では静止していて使用されていない。十分な高さからの計画外の落下の場合、エネルギー吸収ラインは、荷重をゆっくりと捕捉し、その速度を距離を置いてゼロに減少させ、制御された減速を可能にし、過度の衝撃力がシステムに配置されることを防止する。
【0088】
吊架プーリ44は、吊架ホイール41を実質的に中央に位置決めし、駆動ホイール36の下に位置決めすることを可能にし、台車4へのバランスの取れた重心を確保する。それぞれの吊架モータ45及び駆動モータ38はまた、中心点の周りに台車4の重量を均等に配置するために、中心に位置決めされている。吊架プーリ44の各々は、フレームの隅にあるそれぞれのガイドホイール39の下に位置決めされている。したがって、使用中、台車4から吊架された荷重の重量は、フレームを横切って均等に適用され、ガイドホイール39によって支持される。有利には、ガイド39、支持体41、及び駆動ホイール36のこの構成は、そこからの荷重を吊架するための安定した台車を提供する。
【0089】
台車4は、駆動及び吊架ホイール及びモータを制御するための台車コントローラ(図示せず)を更に含んでもよい。台車コントローラは、コントローラ信号及び位置決め情報を含む信号を無線で送受信するためのトランシーバを含んでもよい。台車はまた、慣性測定ユニット(IMU)、加速度計、視覚センサ、近接センサ、超音波センサのいずれかを含む1つ以上のセンサ、並びにガイド、駆動及び/又は吊架ホイールのうちの1つ以上に結合された1つ以上のエンコーダを含んでもよい。台車コントローラは、台車位置決めシステムを実装して、センサ及びエンコーダのうちの1つ以上から位置決め情報を受信し、各センサからの位置決め情報を融合して、台車4の統一された位置を推定するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、台車4の制御及び位置決めは、外部コントローラによって遠隔に提供されてもよい。台車4、コントローラ、及びそれぞれのモータは、搭載されたバッテリ又は外部電源によって電力供給されてもよい。
【0090】
図25~
図30は、半自律型ドローンプラットフォーム又はロボット5の形態の機能プラットフォーム5の一実施形態を例解する。ロボット5は、建物の外部エンベロープに関する1つ以上の機能を容易にするように構成されてもよい。
【0091】
ロボット5は、ロボット5をそこから吊架するために、吊架ライン43を受容するための一対の吊架点47を有するフレーム46を含む。ロボット5は、ジンバル49を介してフレームに装着された4つのクワッドコプタースタイルのプロペラの形態の推進及び安定化システム48を更に含む。使用中、プロペラ48は、建物の表面に概ね直交する推力を提供し得るように、建物の表面に概ね垂直である。各プロペラ48は、それぞれのモータによって駆動される。ロボット5は、誘導、ナビゲーション、制御、及び安定化のための機能プラットフォームコントローラを更に含む。
【0092】
ロボット5は、清掃スイート50、検出スイート51、拡張スイート、及び噴霧スイートのうちの1つ以上を含む1つ以上のユーティリティモジュールに解放可能に取り付け、搬送するように構成されたモジュラープラットフォームである。例えば、
図25~
図27は、ファサード清掃スイートモジュール50を含むロボット5を示す。
図28~
図30は、監視及び検出スイートモジュール51を含むロボット5を示す。清掃スイート、検出スイート、延在スイート、及び噴霧スイートの各々は、ロボット5のフレーム46に装着され、プラットフォームコントローラと通信可能に結合して、建物2の外部エンベロープ周辺のアタッチメントの遠隔動作を可能にしてもよい。
【0093】
図25~
図27などの清掃スイート50は、機能プラットフォーム5に装着可能であり、建物2の窓及び/又はファサード構造などの表面を清掃するように動作可能な回転可能なブラシ52を含んでもよい。清掃中、推進システム48は、ブラシ52によるスクラブを容易にするために、ロボット5を建物2に対して付勢する接触力を提供するために使用されてもよい。清掃スイート50は、流体供給及び清掃噴霧システム53を更に含んでもよい。噴霧システム53は、ブラシ52と組み合わせて動作可能であり、回転ブラシ52による粒子又は残留物の機械的除去を強化するために、表面上に流体を噴霧する。流体は、好ましくは、実質的に純粋な水、例えば、筋又は残留物を残さずに窓を清掃するのに好適な脱イオン水である。代替的又は追加的に、流体は、例えば、ファサードを清掃するために、漂白剤、酵素若しくは四級アンモニウム化合物及び/又は洗剤又は界面活性剤などの1つ以上の化学物質を含んでもよい。ロボット5は、複数の異なる流体を保持する複数のリザーバを含んでもよい。噴霧システム53は、ブラシ52と連携して表面を清掃するために1つ以上の特異的な流体を噴霧するように構成されてもよい。例えば、ブラシ52の下から作動可能に前方及び上向きの流体流を噴霧するように噴霧システム53を配置することは、窓を清掃するときに特に効果的であり得る。
【0094】
監視及び検出スイート51は、例えば、
図28~
図30に示すように、複数のセンサ54を含んでもよい。センサ54は、カメラ、及び赤外ラインセンサ、及び/又は超音波センサを含む光センサのうちの1つ以上を含んでもよい。複数の光学センサを使用して、建物2の外面の立体撮像を容易にすることができる。センサ54は、汚れ検出、ファサード検査、亀裂検出、風化検出、染み検出、腐食検出、及び/又は熱損失検出を容易にするために、建物2の外面の画像をキャプチャするように構成され得てもよい。センサ54、センサ融合、及び機械学習アルゴリズムのうちの1つ以上を利用して、窓の清浄度を評価することができる。次いで、清掃アタッチメントが動作されて、必要に応じて追加の清掃を行うことができる。
図25~
図30は、例解に過ぎず、それぞれの機能アタッチメントは、互いに排他的ではないことが理解されるであろう。実際、ロボット5は、2つ以上のアタッチメントスイートを同時に含み、実装してもよい。有利には、このようにして、機能アタッチメントのスイートトは、必要に応じて、モジュラー方式で機能プラットフォーム5に取り付け、それから取り外すことができる。
【0095】
センサ54は、建物の多数の視覚的及び構造的側面を測定することを可能にするように構成可能である。例えば、マルチモーダル光学センサは、構造の亀裂、風化、染み、及び/又は腐食を測定することを可能にするために用いられてもよい。追加的又は代替的に、熱撮像センサを利用して、窓密閉などのあらゆる亀裂、又は隙間を通る異なる温度の空気の漏れを監視することによって、欠陥を判定することができる。熱撮像を利用して、熱エネルギーの損失又は利得の重要な領域を識別することができる。建物の熱シグネチャに関するこの洞察は、様々なエネルギー効率ソリューションを実装することによって、建物のエネルギー消費を低減する能力を支援する。様々なセンサ54による検出は、機械学習技術及び画像処理技術を使用して処理されてもよい。
【0096】
いくつかの実施形態(図示せず)では、ロボット5は、ブラシ52のような機能アタッチメントのいずれかの範囲を延在させるための、カンチレバーアームのような延在可能な部材を含む。いくつかの実施形態では、カンチレバーアームは、例えば、設置及び修復のための遠隔機械的操作を可能にする把持部分を含む。追加的又は代替的に、ロボット5は、ファサードの塗装を可能にするために、塗料のリザーバ及び塗料噴霧器を搬送するように構成されてもよい。追加的又は代替的に、ロボット5は、建物2の周りの虫害の予防的又は標的化された噴霧を可能にするために、殺虫剤噴霧システムを搬送するように構成されてもよい。更に、検出スイート51の様々なセンサ54はまた、ロボットの遠隔及び/又は自律制御を容易にするために利用され得る。
【0097】
推進及び安定化システム48は、プラットフォーム5をファサードに向かって及びファサードに対して付勢するための推力を生じさせるように動作可能である。推進及び安定化システム48は、動作中にロボット5の位置を維持し、建物2の面に対する接触力並びに風及び/又は熱によって引き起こされるなどの環境干渉に対抗するように更に構成されている。加えて、プロペラ48は、ファサード上で遭遇する可能性のある方立、バルコニー、及びプラントベントなどの様々な障害物の周りで操作することを可能にするように動作可能である。プロペラ48を使用して、建物から離れる方向の推力を断続的に提供し、ロボット5がその経路内の任意のそのような障害物を越えて操作することを可能にしてもよい。そのような離れる推力の間、ロボット5は、吊架ライン43から制御された様式でスイングし、障害物を越えて移動するのに十分な距離を作成する。プロペラ48は、推力を好適に変更して、ロボット5が実質的に垂直に吊架された位置に戻ることを可能にしてもよい。ロボット5の動作を通して、プロペラ48は、概して、必要に応じて、建物2の表面から約0~50センチメートルの範囲内でロボット5を維持し、機能アタッチメントを動作させて、障害物の周りで操作することを可能にする。
【0098】
図26及び
図27が最もよく示されるように、いくつかの実施形態では、ロボット5のプロペラ48は、ジンバル49を介してフレーム46に装着されてもよく、ジンバル49は、プロペラ48の推力方向を配向し、向けて、動作中にロボット5を安定させるだけでなく、建物2の外面の周りでロボット5を操作するために、プロペラを上、下、左、及び右に傾けることを可能にする。以下に詳細に概説されるように、代替的な実施形態では、ジンバル49は、プロペラ48が横方向、すなわち、左及び/又は右にのみ傾き得るように構成されている。各プロペラ48の配向は、風、雨、及び振動などの様々な機械的外乱に対してシステムを安定させるように動的に制御されてもよい。各ジンバル49は、独立して制御されてもよく、したがって、各プロペラ48を個別に配向してもよい。ジンバル49の角度は、外乱に対抗し、安定化力を提供するために、位置決め及び移動情報に応答して制御されてもよい。図示された実施形態では、4つのプロペラ48が示されているが、代替的な実施形態では、より少ない又はより多いプロペラが設けられてもよい。加えて、ロボット5は、ロボットを安定させるための更なる選択的な横方向推力を提供するために、横方向のジェットの形態の横方向推進システムを含んでもよい。かかる横方向推進システムは、台車の横方向の動きを相殺するように具体的に構成されてもよい。代替的に、プロペラ48は、横方向安定化を提供してもよい。
【0099】
ロボット5の機能プラットフォームコントローラは、推進システム及び取り付けられたユーティリティモジュールを動作させることを含む、ロボット5を制御するように構成されている。プラットフォームコントローラは、コントローラ信号及び位置決め情報を含む信号を無線で送受信するためのトランシーバを含んでもよい。ロボット5はまた、慣性測定ユニット(IMU)、加速度計、視覚センサ、近接センサ、超音波センサ、及び1つ以上の推進センサ、例えば、プロペラの速度及び対応する推力に基づいて推進システムによって引き起こされる変位を判定するように構成されたプロペラ48上の速度センサのうちのいずれかを含んでもよい。プラットフォームコントローラは、プラットフォーム位置決めシステムを実装して、センサのうちの1つ以上から位置決め情報を受信し、センサの各々から位置決め情報を融合して、プラットフォーム5の統一された位置を推定してもよい。プラットフォーム5、コントローラ、推進システム、及びアタッチメントは、搭載されたバッテリ又は外部電源によって電力供給されてもよい。
【0100】
台車4及びプラットフォーム5のセンサ及び位置決めシステムに加えて、1つ以上の「灯台」ビーコン又はマーカ、又は他の位置決めランドマークは、建物2に対する台車4及び/又はプラットフォーム5の位置決めを容易にするために、装着アーム13によって搬送されるなど、建物の外面の周りに配置されてもよい。例えば、台車4及びロボット5の搭載されたセンサは、位置データ入力を使用して、建物のファサードに対する現在の位置の推定を判定してもよい。次いで、ランドマークを検出することは、位置推定を支援してもよく、例えば、建物の隅は、測地データとして使用されてもよい。隅又は任意の好適なランドマークは、例えば、建物に恒久的に装着された、又は装着アーム13上のいずれかの反射材料の形態で、形状マッチング及び/又は反射「灯台」を識別することによって、台車4及び/又はロボット5の視覚センサによって検出され得る。
【0101】
いくつかの実施形態では、ロボット5は、半自律型ドローンであり、プラットフォームコントローラは、外部遠隔制御から遠隔制御コマンドを受信するように構成されている。遠隔制御コマンドは、自律制御を向け、かつ/又は上書きしてもよい。プラットフォームコントローラは、プライマリコントローラとして動作し、コマンドを台車に中継し、台車から情報の位置決めを受信するように構成されている。このようにして、ドローンプラットフォーム5は、統一された位置決め及び駆動制御を担う。したがって、ドローンプラットフォームコントローラは、様々なセンサ及びコントローラ入力から情報を取得し、それをコマンドに変換して台車4及びロボット5のアクチュエータ及びモータに送信することを担当する。代替的な実施形態では、外部コントローラの台車コントローラは、プライマリコントローラであってもよい。
【0102】
図32は、ジンバル49によって推進マウント57に装着されたプロペラ48のうちの1つの斜視図を示す。特に、プロペラは、ジンバル車軸58の形態で推進車軸に回転可能に装着される。ジンバルアーム59は、プロペラ48に装着され、ジンバルモータ60と係合している。ジンバルモータ60は、ジンバル車軸58を中心としてプロペラ48を関節屈曲させるように、ジンバルアームを駆動してもよい。
図33を参照すると、ジンバルモータ60は、軸58の周りのジンバル49の角度を制御するために使用されてもよく、それによって、例えば、ロボットを位置決めし、かつ/又は振動を能動的に減衰させることによってロボットを安定させるために、プロペラ48の推力を向ける。代替的な実施形態では、プロペラが所望の数の車軸を中心として関節屈曲されることを可能にするために、複数の同様のジンバル車軸、及びそれぞれのジンバルアーム及びジンバルモータが提供されてもよい。
【0103】
図34に最もよく見られるように、1つの特に好ましい実施形態では、ジンバル車軸58は、使用中に、プロペラ48が重力に直交する推力のみを横方向に向けることができるように、重力に実質的に平行にジンバルを係止する垂直軸である。すなわち、プロペラは、垂直面内のロボット5の重量を支持する推力が生じることを防止される。有利には、プロペラは、横方向の推力のみが生じ、垂直位置決めにおける妨害及び振動を防止し、ロボット推進システムの安全要件を満たす。
【0104】
図35~
図37を参照すると、建物の外部エンベロープの周りに吊架するための代替の支持システムが示されている。システムは、トロリーに回転可能に装着された装着アーム13の形態のクレーン部材を備えたトロリー61の形態の可動構造を含んでもよい。クレーン13及びトロリーシステムは、窓清掃、ファサード清掃、ファサード検査、塗装、看板設置、熱監視、昆虫制御、ファサード設置、ファサード修復、及び他の機械的修復のうちの1つ以上を容易にするために荷重を吊架するために使用されてもよい。装着アーム13は、それぞれの接続点11から一対の吊架ライン43の形態で支持部材を支持するように構成されてもよい。吊架ライン43は、吊架ラインから荷重を吊架するために、装着アームの遠位端部でプーリ配置20を介して、トロリー内のウィンチ機構から延在してもよい。荷重5は、前述の説明のように、機能プラットフォーム、吊架された足場であってもよく、かつ/又は他の方法でアタッチメントのモジュラースイートを組み込んでもよい。トロリーは、屋根の表面を中心として操作するためのホイール63を更に含んでもよい。代替的又は追加的に、トロリーは、操縦するためにBMUのスキッド又はレールを利用してもよい。
【0105】
トロリー61は、建物の頂部表面を中心として回転させてもよく、装着アーム13は、建物の前縁を越えて回転して、荷重5を上昇した位置で支持する。有利には、トロリー61は、建物の頂部表面全体、すなわち、屋根領域全体を移動するように構成されてもよい。クレーン及びトロリーシステムを使用するために、装着アーム13は、実質的に垂直な設定位置に回転されてもよく、機能プラットフォーム5は、吊架ライン43から吊架されてもよく、トロリーは、建物の屋根領域後方の周りの所望の位置にホイールで移動されてもよく、装着アーム13は、次いで、建物の縁を越えて延在するように回転されてもよく、それによって、プラットフォームが吊架ライン上で上昇及び/又は下降されることを可能にする。トロリーは、装着アーム13を必要な角度で支持するためのカウンタレバー機構62を含む。次いで、トロリー61は、建物の屋根上の任意の位置に建物の端部に沿って旋回され得る。ペイロード5は、吊架ライン43を介して同時に上昇及び下降させ、それによって、建物のファサードの全ての領域へのアクセスを可能にすることができる。システム動作のための制御及び支持機器は、トロリー61に収容され、ファサード上に所望のペイロードを吊架させるために必要な追加の釣り合い重りの数を制限するような方式で位置決めされている。
【0106】
トロリー上のホイール63は、動力式及び非動力式の全方向運動の両方を可能にする。有利には、これは、狭い状況にナビゲートするときに複雑な操作を排除し、建物のエンベロープ全体にわたって最大限の操作性を可能にする。トロリー61は、釣り合い重りシステムを介して建物に固設され、それによって、質量は、吊架されたペイロードの質量を十分な安全範囲(MoS)とバランスをとる。トロリー61はまた、所定の経路を辿ることを可能にするために、既存のBMUレールと一体化することができる。BMUレールが存在しない場合、トロリーは、予めプログラムされた経路、経路/ラインの追跡、灯台、及び/又はリアルタイムの経路最適化を含む方法を使用して計画され、追跡される経路を有することに加えて、遠隔制御で建物の周りを移動するように制御され得る。BMUレールが存在する場合、レール上に固定することは、クランプ機構を使用することによって達成される。
【0107】
トロリー及びクレーンシステムは、別々のセクションに容易に分解されるように構成されている。クレーンマスト13はまた、小型容積に収納されるモジュラーである。台車は、炭素繊維、グラスファイバー、及び/又はアルミニウムなどの高強度対重量比材料から作製されてもよく、高強度鋼から作製されているいくつかの小さい選択された部品と共に作製されてもよい。有利には、装着システム全体の総質量は、30キログラム未満に制限されてもよい。液体を保持することができるタンクは、システムを屋根上に保持するための釣り合い重りとして使用されてもよい。有利には、これは、多数の重量を搬送しなければならない代わりに、屋根上又は本管給水からすでに存在する水を使用することを可能にする。トロリーとクレーンシステムの小型の性質により、設定時間及び複雑さを劇的に低減することが可能になる。これら全ての機能を組み合わせることで、ある建物から次の建物まで、台車を軽量かつ簡単に携帯可能にすることができる。
【0108】
図38及び
図39は、ユーティリティポッド100として構成された機能プラットフォーム5の代替的な実施形態を搬送する台車101の代替的な実施形態を有する建物2に設置されたシステム1を例解する。
図40~
図44は、ユーティリティポッド100を単独で示す。
図45~
図46は、単独での台車101を示す。
【0109】
ユーティリティポッド100は、1つ以上の吊架ライン43から建物2に対して上昇した位置にあるように吊架するための機能プラットフォームである。ユーティリティポッド100は、本体104の動作可能な頂端部108に配置されており、1つ以上のライン43に結合するように構成されたコネクタ106を含む本体104と、本体104の1つの側面109に配置されたユーティリティモジュール110と、ポッド100を少なくとも1つの方向に駆動して、ユーティリティモジュール110を建物2に向かって、又は建物2に対して付勢することを可能にするように動作可能な駆動機構112と、を含む。
【0110】
図示された実施形態100では、ポッド100の本体104は、移動する空気に対する抵抗を最小限に抑えるために、滑らかな、典型的には二重湾曲した外面を画定するように成形されている。この構成は、台車4から吊架されたときの使用中のポッド100の安定性を高め、使用中に建物2から跳ね返ることによって引き起こされ得るような光の衝撃に耐えることによって耐久性を高めることができる。本体104の外面の例解される形態は例示的であり、形態は使用要件に従って構成され得ることが理解されるであろう。
【0111】
駆動機構112は、典型的には、ユーティリティモジュール110の側面109とは反対の本体104の側面に配置された1つ以上の推進機構114を含む。最も典型的には、駆動機構112は、本体104の周りに配置された複数の推進機構114を含む。図示された実施形態では、各機構114は、推力を生成するように動作可能な動力式のロータを含み、本体104によって画定された、又は本体104に取り付けられた導管116内に配置されており、単一の方向にダクト推力を提供する。導管116は、空気が一方の端部で受容され、他方の端部で排出されることを可能にするように各端部で開放されるように成形され、各導管116及び関連付けられた推進機構114がジェットとして機能することを可能にする。
【0112】
図示された実施形態100では、各導管116は、本体104に対して固定されている。他の実施形態(図示せず)では、導管116のうちの1つ以上は、少なくとも1つの軸を中心として回転可能に本体に装着され、推力方向の調整を可能にする。いくつかの実施形態では、推進機構114は、反対方向に推力を生成するように動作可能であるように対に配置されている。これは、共通の導管116内にあるように対の各機構114を配置することを伴ってもよい。そのような実施形態では、推進機構114のうちの少なくとも2つが、動作可能な前方方向及び後方方向に推力を生成するために、第1の方向に互いに反対に配置されてもよく、推進機構114のうちの少なくとも2つが、動作可能な横方向に推力を生成するために、第1の方向に直交する第2の方向に互いに反対に配置されている。更に他の実施形態では、各推進機構114は、ロータを交互の方向に回転させることによってなど、2つの方向に推力を生成するように動作可能である。
【0113】
図41及び
図42に最もよく示されるように、本体104は、動作可能な前方又は後方方向に駆動力を及ぼすように配置された4つの導管116及び関連付けられた推進機構114、並びに動作可能な横方向に駆動力を及ぼすように配置された2つの導管116及び関連付けられた推進機構114を搬送する。この構成は、風又は熱に対抗するなど、建物2に対するポッド100の位置を確実に安定させること、並びに障害物を回避する、及び/又は、例えば、突出する構造物の下でのアクセスを強化するなど、建物2に対するポッド100の位置を操作することを可能にする。
【0114】
図43及び
図44に最もよく示されるように、ユーティリティモジュール110は、ユーティリティモジュール110を本体104に向かって、又は本体104から離れるように変位させるように動作可能な変位機構118に装着される。この実施形態100では、変位機構118は、モジュール110を変位させるように動作可能なはさみリンク機構120を含み、リンク機構120構造が例示的であり、変位機構118が1つ以上の制御可能に延在可能なガスストラットなどの他の好適な構造を含んでもよいことが理解されるであろう。変位機構118を動作させることは、例えば、建物2へのアクセスの範囲を調整するために、本体104に対してユーティリティモジュール110を移動させることを可能にする。
【0115】
いくつかの実施形態では、モジュール110は、少なくとも1つの軸を中心として変位機構118に回転可能に装着され、モジュール110の配向及び本体104に対する位置を調整して、アクセス範囲を更に拡大することを可能にする。例えば、いくつかの実施形態では、変位機構118は、モジュール110を180度以上、動作可能に左右方向及び/又は上下方向に傾けるなど、ユーティリティモジュール110を配向するように動作可能な、手首型機構122などの位置決め機構を含む。
【0116】
図44に最もよく示されるように、変位機構118は、典型的には、ユーティリティモジュール110の移動をミラーリングするためにユーティリティモジュール110とは反対方向に、本体104に対して釣り合い重り125を変位させるように動作可能な第2のはさみリンク機構127に装着された釣り合い重り125を含む。再び、はさみリンク機構127は例示的であり、ポッド100は、他の好適な位置調整機構を含むように構成され得ることが理解されるであろう。このように変位機構118を動作させることは、ユーティリティモジュール110の動作中に建物に対する位置及び配向を維持するためにポッド100のバランスをとることを可能にする。
【0117】
ユーティリティモジュール110は、通常、変位機構118に解放可能に装着されるように、又はいくつかの実施形態では本体104に直接装着可能に構成されており、異なるモジュール110のためにモジュール110を交換することを可能にする。各モジュール110は、典型的には、1つ以上の特定のタスクを実施する、又は1つ以上の特定の機能を提供するように構成されており、したがって、異なる構成のユーティリティモジュール110の範囲のうちのいずれかを搬送するためのフレーム(本体104)を有するようにポッド100を構成することは、ポッド100が広範囲の異なる機能を果たすことを可能にする。
【0118】
ユーティリティモジュール110は、建物2のジオメトリの少なくとも一部分のデジタルマップを生成すること、建物2の1つ以上の画像をキャプチャすること、建物2の1つ以上の物理的パラメータを測定すること、建物2の少なくとも一部分を清掃すること、建物2を修復すること、及び建物2に1つ以上のオブジェクトを設置することのうちの少なくとも1つを行うように構成可能である。例えば、システム1は、複数のモジュール110を含むキットとして供給されてもよく、あるモジュール110は、清掃のために構成されており、別のモジュール110は、測量のために構成されており、更に別のモジュール110は、操作又は修復のために構成されている。いくつかの実施形態(図示せず)では、ポッド100は、台車4から吊架されたときにポッド100の使用中にモジュール100を交換することを可能にするために、複数のユーティリティモジュール110を搬送するカルーセルを含んでもよい。そのような実施形態では、モジュール110のカルーセル全体、又はカルーセルに配置された個々のモジュール110は、他のモジュール110を置き換えることを可能にするために、本体106から迅速に解放するように構成されてもよい。ユーティリティモジュール110が、データを生成するために物理的パラメータを記録又は測定するように構成されている場合、モジュール110は、例えば、ポッド100又は台車4に搭載されている、又は遠隔でホストされているサーバへのセルラ又は他の無線接続によって、プロセッサ及び/又はメモリと通信可能に結合されるように更に構成されている。
【0119】
典型的には、各ユーティリティモジュール110は、少なくとも1つのツール及びセンサを含む。図示された実施形態100では、ユーティリティモジュール110は、ブラシ124による清掃を強化するために、吸引機構128を動作させることにより、壁又は窓などの表面に向かってモジュール110を引き込むように、ブラシ124に隣接して配置された吸気ヘッド128を有する動力式の回転可能なブラシヘッド124及び吸引機構126を含む清掃モジュールとして構成されている。図示された実施形態では、吸気ヘッド128は、ヘッド128が表面を横切ってグライドすることを可能にするように配置された複数のローラ129を搬送する。モジュール110はまた、1つ以上のカメラ130と、ブラシ124の動作を監視することを可能にするように配置されたプローブ132と、を含む。いくつかの実施形態では、プローブ132の1つ以上は、建物2に対してモジュール110によって及ぼされる接触力を測定することを可能にするために、力センサに接続される。
【0120】
いくつかの実施形態では、吸気ヘッド128は、建物2上の汚れを監視及び/又は検出するように動作可能な汚れ検出システムの一部を形成するために、少なくとも1つのカメラ(図示せず)及びLEDユニットのストリップなどの光源(図示せず)を収容する。
【0121】
図示されたモジュール110の構成は例示的であり、モジュール110は、代替的に、他のツール及び/又はセンサを含むように構成可能であることが理解されるであろう。例えば、いくつかの実施形態(図示せず)では、モジュール110は、建物、台車4又はポッド100に装着されたリザーバから供給されたホースと通信可能に結合され、建物2で流体のジェットを向けて、窓の周りなどのアパーチャの密閉をテストするように動作可能な窓密閉保全性システム(雨杖としても知られている)を含む。これは、新しい建物の建設を完了するとき、又は手動で達成することが困難であり得る既存の建物を維持するときの要件であり得る。
【0122】
更に他の実施形態(図示せず)では、モジュール110は、広範な範囲のパラメータを測定するように構成されたセンサアレイを搬送する。アレイは、屋根ライン及び/又は建物2の頂部に装着された装着アーム13を撮像することを可能にするために動作可能に上方に向けられた1つ以上のカメラを含んでもよい。そのような実施形態では、これは、特に灯台タイプのビーコンが建物2及び/又はアーム13に装着されている場合、台車4及び/又はポッド100の位置制御を強化することができ、これは、システム1の位置コントローラがビーコンに対するポッド100の位置を三角測量することを可能にすることができるためである。このようにしてビーコン又はランドマークを検出するように構成された1つ以上のカメラは、代わりに、ポッド100の恒久的に固定された構成要素であるように本体104に直接装着され得ることが理解されるであろう。
【0123】
図45は、単独での台車101の第1の斜視図を示し、
図46は、内部構成要素を見ることを可能にするために隠された前方ハウジング140を有する台車101の第2の斜視図を示す。台車101は、前述の台車4と特徴を共有し、それによって、共通の参照番号は、特に明記しない限り、共通の特徴を示す。台車101は、
図38及び
図39に示されるようにシステム1を参照して説明されるが、台車101の使用がシステム1の構成要素であることに限定されず、台車101が荷重の位置決めを可能にするために他のアセンブリ又はシステムに適用可能であることが理解されるであろう。例えば、台車101は、建設現場又は倉庫などの代替環境を横切って荷重を搬送するために、高架レール又はトラックに装着されるように構成されてもよい。
【0124】
台車101は、対向する後方ハウジング142から離間配置され、対向する後方ハウジング142に固定された前方ハウジング140を含むシャーシ103を含む。図示された実施形態では、ハウジング140、142は、ブラケット105によって接合されたプレートとして示されている。他の実施形態(図示せず)では、少なくとも1つのハウジング140、142は、圧縮シートメタル、射出成形プラスチック、又はガラス/炭素繊維シェルなどの形成若しくは成形された構造を含んでもよいことが理解されるであろう。そのような実施形態では、ハウジング140、142の形状は、風又は熱による干渉を最小限に抑えるように、ハウジング140、142の周りの空気の流れを最適化するように構成されてもよい。更に他の実施形態(図示せず)では、シャーシ103は、台車101の重量を最小限に抑えることができるフレームワークとして構成可能である。
【0125】
ハウジング140、142は、ハウジング140、142の間で内部構成要素を搬送するために、ブラケット105に固設するための複数の装着点を画定する。
図46を参照すると、内部構成要素は、一対の支持アセンブリ144と、一対の横方向運動制御機構146と、一対のロードセル148と、一対の垂直運動制御機構150と、一対のライン供給機構152と、を含む。
【0126】
図47は、単独での単一の支持アセンブリ144を示す。各アセンブリ144は、台車101を支持要素に解放可能に装着すように構成されており、この実施形態では、各アセンブリ144は、ジップラインを受容し、保持するように構成されている。アセンブリ144は、ハウジング140、142の間に固定されたブラケット105の1つに装着されるように構成された本体154を含む。本体154は、一対のローラ156が回転可能に装着される引っ掛けられている部分157である受容部分を画定する。本体154は、ジップライン10を受容するための開口部158を更に画定し、開口部158に隣接して枢動可能に装着されたラッチ160を搬送する。ラッチ160は、ねじりばね(図示せず)によってなど、本体154によって画定された当接面162に向かって付勢され、その結果、表面162に当接するラッチ160が、開口部158を閉じる。当接面162に対するラッチ160の配置は、アセンブリ144がジップライン10上で搬送されるように、ラッチ160を表面162から離れて容易に枢動させて、ジップライン10を開口部158を通して通過させ、ローラ156に対して通過させることを可能にする。アセンブリ144が、台車101の衝突、又は風による跳ね返りによって引き起こされるように、ジップライン10に対して垂直に変位する場合、ラッチ160の配置は、アセンブリ144からのジップライン10の不注意な取り外しを抑制するために、ジップライン10によって当接面162に押し付けられるようにする。アセンブリ144からジップライン10を分解するには、ラッチ160を当接面162から離して手動で枢動させて、開口部158を曝露させる必要がある。
【0127】
図46に戻ると、支持アセンブリ144は、1つのアセンブリ144の開口部158が前部ハウジング140に面し、他のアセンブリ144の開口部158が後部ハウジング142に面するように、それぞれのブラケット105に交互の方向に装着される。この配置は、ジップライン10を織り配置でアセンブリ144の反対側に挿入することを必要とすることによって、ジップライン10を台車101から不注意に切断することを更に抑制する。
【0128】
支持アセンブリ144は、ハウジング140、142の端部で、又はハウジング140、142の端部に隣接して互いに離間配置されるようにハウジング140、142の間に装着され、これは、ジップライン10上の台車101の安定性を高めることができる。支持アセンブリ144のうちの少なくとも1つは、ジップライン10を横切る、かつ/又は支持アーム13若しくは建物2に対する台車101の横方向の位置を判定することを可能にするために、ローラ156のうちの1つの回転を測定するように配置された回転エンコーダ164を含んでもよい。
【0129】
台車101は、1つ以上の横方向駆動ラインと相互作用して、ジップライン10に沿った台車101の移動を引き起こすように配置された一対の横方向運動制御機構146を含む。図示された実施形態では、各機構146は、スプール166に固定されたそれぞれの駆動ライン(図示せず)を搬送するように構成されており、スプール166を中心として関連付けられたラインを巻い上げるように動作可能である。各機構146は、スプール166の回転を引き起こすために、この実施形態では、接続ベルト149を介して、電動ウィンチ147によって制御可能に駆動される。
【0130】
横方向制御機構146は、関連付けられたスプール166を中心として関連付けられた駆動ラインを巻き上げるように第1の機構146を動作させることにより、第2の機構146の動作が関連付けられたスプール166から関連付けられた駆動ラインを巻き戻すように交互に向けられた動作のために構成されている。このようにして機構146を動作させることにより、一方の駆動ラインを効果的に延長させながら、同時に他方の駆動ラインを効果的に短縮することを可能にする。各駆動ラインの自由端部が支持アーム13又は建物2によって画定されるような固定位置に接続され、支持アセンブリ144がジップライン10などの支持部材に装着されるとき、機構146の動作は、台車101を、関連付けられたスプール166を中心として巻き上げられている駆動ラインの方向に引き込ませ、それによって、ジップライン10に沿った台車101の横方向の並進を可能にする。
【0131】
各横方向制御機構146は、ブラケット105のうちの1つによってハウジング140、142の間に装着され、駆動ラインのうちの1つを受容するように配置されたロードセル148に関連付けられる。ロードセル148は各々、1つ以上のローラを備え、関連付けられた駆動ラインに沿って及ぼされる力を測定するように動作可能である。ロードセル138の動作は、ライン内の張力を判定して、横方向制御機構146の制御動作を強化することを可能にする。典型的には、ロードセル148は、関連する機構146と通信して、定義された値、又は定義された範囲内で張力を維持するように構成されている。このように制御ループを動作させることで、不十分な張力による各駆動ラインの不十分な張力、及び/又は過度の張力による破損を防止することができる。
【0132】
台車101はまた、1つ以上の垂直駆動ラインと相互作用して、ユーティリティポッド100などの吊架荷重の台車101に向かう、又は台車101から離れる移動を引き起こすように配置された一対の垂直運動制御機構150を含む。図示された実施形態では、各機構150は、スプール168に固定されたそれぞれの駆動ライン(図示せず)を搬送するように構成されており、スプール168を中心として関連付けられたラインを巻い上げるように動作可能である。各機構150は、スプール168の回転を引き起こすために、この実施形態では、接続ベルト153を介して、電動ウィンチ151によって制御可能に駆動される。
【0133】
垂直制御機構150は、関連付けられたスプール168を中心として関連付けられた駆動ラインを巻き上げるように第1の機構150を動作させることにより、第2の機構146の動作が関連付けられたスプール168から関連付けられた駆動ラインを巻き上げるように対応して向けられた動作のために構成されている。このようにして機構150を動作させることは、それによって、両方の駆動ラインを同時に効果的に延長又は短縮することを可能にする。各駆動ラインの自由端部がユーティリティポッド100などの荷重に接続され、支持アセンブリ144がジップライン10などの支持部材に装着されるとき、機構146の動作は、荷重を、台車101に向かって、又は台車101から離れて引き込ませ、それによって、台車101に対する荷重の垂直な並進を可能にする。
【0134】
各垂直制御機構150は、ブラケット105のうちの1つによってハウジング140、142の間に装着され、駆動ラインのうちの1つを受容するように配置されたライン供給機構152に関連付けられる。各ライン供給機構152は、制御機構150から受容された実質的に水平な方向から実質的に垂直な方向に、駆動ラインを吊架された荷重に向かってリダイレクトするように配置された1つ以上のローラ(図示せず)を収容する。ライン供給機構152は、互いに隣接し、離間配置された垂直制御機構150の間に配置されている。この配置は、各関連付けられた駆動ラインの吊架された部分を実質的に垂直方向に、及び互いに実質的に平行に維持することを可能にし、これにより、吊架された荷重を上昇又は下降させるために各制御機構150によって必要とされるトルクを最小限に抑えることができる。
【0135】
台車101は、一対の横方向制御機構146及び一対の垂直方向制御機構150を有することが示されているが、他の実施形態(図示せず)では、台車101は、単一の横方向制御機構146及び単一の垂直方向制御機構150のみを有することを含む、各機構146、150をより多く又はより少なく有するように構成可能であることが理解されるであろう。そのような実施形態では、1つの駆動ラインのみが横方向制御機構146に関連付けられてもよく、別個の1つの駆動ラインのみが垂直方向制御機構150に関連付けられてもよい。
【0136】
いくつかの実施形態では、台車101は、台車101から吊架された荷重を別の場所に動作可能に結合して、流体、電力、及び/又はデータを荷重に伝達することを可能にするための1つ以上のユーティリティライン(図示せず)を含む。典型的には、各駆動ラインは、ユーティリティラインを含む中空構造として構成されている。例えば、駆動ラインは、ユーティリティラインを搬送するポリマーで覆われたコアを含む中空のDyneemaロープ構造を含んでもよい。いくつかの実施形態では、ユーティリティラインは、駆動ラインに平行に接合される。
【0137】
最も典型的には、ユーティリティラインは、横方向制御機構146のうちの1つのスプール166を中心として巻き上げられ、同軸上に駆動ライン内で又は駆動ラインに隣接し、スプール166によって画定された空洞169内に巻き上げられる。ユーティリティラインは、次いで、スプール166の端部から延在して、ハウジング140、142のうちの1つに装着された導管170を通って移動し、垂直制御機構150のうちの1つのスプール168によって画定された空洞に入る。次いで、ユーティリティラインは、同軸上に駆動ライン内で又は駆動ラインに隣接するスプール168を中心として、駆動ラインに沿って吊架された荷重に巻き上げられる。
【0138】
図示された実施形態では、第1のユーティリティラインが、左側横方向制御機構146から左側垂直方向制御機構150及びポッド100に供給され、第2のユーティリティラインが、右側横方向制御機構146から右側垂直方向制御機構150及びポッド100に供給される、一対のユーティリティラインが提供される。第1のラインは、典型的には水及び/又は洗剤である流体を、屋根に装着されたリザーバなどの遠隔流体供給からポッド100に伝達するように構成されている。第2のラインは、ポッド100に遠隔接続から電力及びデータを伝達するように構成されている。機能プラットフォーム5が建物2の外部エンベロープにアクセスすることを可能にするためのシステム1の設置は、互いに離間配置されるように建物2の頂部に一対の支持アセンブリ6の各々を装着すること、並びに支持部材13のベースの端部11に画定されたなどの固定位置間で、各支持部材13の自由端部11に対して、及び後退機構にジップライン10を固設することを伴う。次いで、後退機構は、ジップライン10に、支持部材13間で張力をかけさせるように動作される。台車4は、機能プラットフォーム5に接続され、ジップライン10に装着されている。支持部材13は、それぞれの位置軸7を中心として回転させて、ジップライン10を建物2の頂部の上に配置する。次いで、プラットフォーム5は、台車4から建物2に対して上昇した位置にあるように下降されてもよい。次いで、プラットフォーム5は、建物2の外面に関して、1つ以上のタスクを実施するか、又は1つ以上の機能を提供するように動作可能である。
【0139】
システム1の設置は、典型的には、ベースプレート14、背面支持アンカー16、及び建物2の頂部によって画定される2つ以上の隅に隣接する少なくとも1つの張力アンカー17を固定することを伴う。ベースプレート14及びアンカー16、17は、典型的には、建物2の頂部表面にボルトで固定され、建物2上に実質的に恒久的な設置物として残るように意図されている。ベースプレート14及び背面支持アンカー16は、各隅で隣接する縁から等距離に設置されてもよく、張力アンカー17の対は、各隣接する縁に対応して設置されてもよい。有利には、ベースプレート14及びアンカー16、17のみが、建物2間を輸送することができるシステム1の残りの機器と共に恒久的に設置される。
【0140】
いくつかの実施形態では、システム1は、約55kgの重量であるように指定され、各装着アーム13及び関連付けられたラインは、約20kgであり、台車4は、約10kgであり、ロボット5及びアタッチメントは、約5kgである。
図38に例解されるような他の実施形態では、システム1は、約80kgの重量であるように指定され、台車4は、約20kgの重量であり、プラットフォーム100は、約40kgの重量であり、装着アーム13及び関連付けられたラインは、約20kgである。システム1は、主に軽量のアルミニウム構成要素から形成され、実質的に分解することができるため、1人以上の人が建物間でシステム1を手動で輸送することが可能であり、いくつかの実施形態では、システム1を輸送するトロリー支援を必要とする。システム1の携帯性と連携した機能プラットフォーム5及びそれぞれのアタッチメントのモジュール化された性質は、複数の建物の便利な監視及びメンテナンスを可能にする。
【0141】
使用のためにシステム1を設定するために、各装着アーム13は、それぞれのカラー15によって必要な数のポールセクション25を接合することによって組み立てられる。各装着アーム13は、それぞれのカップリング15に結合され、カップリング15は、それぞれのベースプレート14に回転可能に装着されている。装着アーム13及びカップリング15は、例えば、
図14に示すように、取り外し可能な装着車軸28を介して、それぞれのベースプレート14に取り外し可能に回転可能に装着可能である。背面支持アーム22は、各カップリング15に回転可能に装着され、静的上部支持ライン21は、それぞれの背面支持アーム22の遠位端部と、対応する装着アーム13の遠位端部との間に接続されている。上部支持ライン21の長さは、背面支持アーム22がそれぞれの装着アーム13に対して概ね直角であるように選択される。典型的には、ラチェット部分に関連付けられた下部支持ライン23は、各背面支持アーム22と対応する背面支持アンカー16との間に接続される。最初に、下部支持ライン23は、装着アーム13が設定中に位置軸7を中心として自由に回転することを可能にするように緩んで配置されている。
【0142】
各装着アーム13は、内側に、建物2の外周から離れて、かつ他の装着アーム13に向かって配置されている。静的ジップライン10は、各アーム13の端部11を横切って装着されてもよく、典型的には、各装着アーム13のプーリ端部キャップ20を通ってねじ込まれ、それぞれの枢動アセンブリ15の拘束点31で結び付けられてもよい。ジップライン10の長さは、縁8の長さ及び装着アーム13のそれぞれの寸法に従って選択されてもよく、その結果、システム1は、縁8を越えてジップライン10に好適に張力をかけてもよい。他の用途では、長さ調節可能なジップライン10は、各アームの端部11を横切って、ジップライン10の有効長さを調整するように動作可能なラチェット機構などの調整機構に装着される。ジップライン10は、単一のラインであってもよく、又は別個の駆動ライン及びガイドラインを含んでもよい。非張力駆動ラインは、台車4の駆動輪を中心としてねじ込まれ、台車4のガイドホイールは、非張力ガイドラインと係合している。
【0143】
張力ライン19は、各装着アーム13の遠位端部11と、対応する張力アンカー17との間に接続されている。次いで、各装着アーム13は、縁8に向かって、実質的に垂直な位置のちょうど前方に回転され、背面支持ライン18から緩みを取り出し、ジップライン10に、ジップライン10及び台車4を建物2から持ち上げるのに十分に張力をかける。各ベースプレート14内のストップバー24を任意選択で使用して、各装着アーム13を実質的に垂直な位置に維持してもよい。所望のユーティリティモジュールを含むロボット5又はポッド100の形態の機能プラットフォーム5は、台車4の吊架ライン43に接続される。装着アーム13、ジップライン10、台車4、及びロボット5の設定は、使用者を縁8から距離を置くために建物2の縁8から離れて実施されてもよく、これは、落下関連の怪我のリスクを低減することができる。
【0144】
張力ライン19がラチェット部分を含むか、又はそれに関連する場合、これらは、張力ライン19をラチェットし、張力軸9を中心としてアーム13を回転させて、各装着アーム13の遠位端部11を離間配置させ、その結果、アーム13を互いに離れて広げるように配置し、それによって、張力平面内でジップライン10に張力をかけるように動作される。したがって、張力をかけられたジップライン10及びそれぞれの張力ライン19の力は、装着アーム13を圧縮的にロードするようにリダイレクトされる。この効果は、各張力アンカー17が、それぞれの装着アーム13の遠位端部11からそれぞれのベースプレート14に向かって内向きに配置されていることによって強化されてもよい。建物2のいずれかの側で、マウント14に向かって2つの装着アーム13の長さに沿った力のリダイレクトは、システム1が純粋に引張荷重になることを可能にする。有利には、これは、必要な支持構造を最小限に抑えることができ、システムが大部分の構成要素に対して超軽量の引張荷重材料を活用することを可能にする。これは、システム1の設定に必要な時間、並びにシステムの総質量及び材料コストを最小限に抑えることができることを意味する。更に、安全範囲(MoS)は、同様のサイズ及び質量の従来の装着構造よりも高くてもよい。
【0145】
ここで、背面支持ライン23の有効長さは、関連付けられたラチェット機構を動作させることなどによって、位置軸7を中心とした装着アーム13の所望の位置に対応する所望の長さに調整され、その結果、建物2に対するジップライン10の位置を調整してもよい。この動作中、一対の装着アーム13は、建物2の縁8に向かって位置軸7を中心として前方に回転される。台車4及びロボット5を含むジップライン10は、建物2の縁8を越えさせる。次いで、背面支持ロープ18は、建物2の縁8を越えて所望の位置で、装着アーム13及びそれらの間に張力をかけられたジップライン10を支持する。
【0146】
共通の位置軸7を画定するためのマウント14の配置、及びこの軸7を中心としたアーム13の回転可能な装着は、ジップライン10が位置軸7を中心として回転することができる平面内で張力をかけられ得ることを意味する。ジップライン10の面内張力により、支持アセンブリ6は、軸7を中心として任意の所望の展開角度で安定させることができる。したがって、一方の装着アーム13を軸を中心に移動させると、他方の装着アーム13が同じ角度位置に引っ張られる。この面内張力は、ジップライン10に張力をかけること、並びに台車4及びロボット5を屋根の表面上の便利な位置に装着することを可能にし、その後、共通位置軸7を中心として回転することによって、張力をかけられたジップライン10を再位置決めすることを可能にする。したがって、システムは、バリア又はレール12が建物2の縁を取り囲む場所を含む、建物2の縁8の上に、かつそれを越えて、張力をかけられたジップライン10を支持してもよい。装着アーム13及びベースプレート14のそれぞれの寸法は、必要に応じて、そのようなバリア12の上に、かつそれを越えて延在するように構成されてもよい。有利には、装着アーム13は、異なる建物の特定の幾何学的制限に基づいて、任意の必要な位置角度に回転されてもよく、設置物全体での可撓性を可能にする。
【0147】
張力をかけられたジップライン10が建物2の縁8を越え、その上に支持されると、台車4は、ジップライン10に沿って横方向に移動することができ、プラットフォーム5を上昇及び下降させて、建物2の表面を横切ってアクセスすることができる。ジップライン19が別個のガイドライン及び駆動ラインを含むこの動作中、ガイドラインは、台車4及びプラットフォーム5を支持し、一方で、駆動ホイールは、駆動ラインに沿って台車4及びプラットフォーム5を所望の横方向位置に引っ張るように動作可能である。台車4は、吊架ホイールの電動ウィンチを介して、プラットフォーム5を所望の垂直位置に上昇及び/又は下降させるように動作可能である。独立して動作可能な駆動及び吊架ホイールは、台車4がロボット5を上昇/及び又は下降させるだけでなく、ジップライン10の長さに沿って同時に移動することを可能にすることができる。したがって、ロボット5は、建物2の面について所望されるように、清掃、監視、及び他の方法で機能を実施するように動作されてもよい。
【0148】
図31を参照すると、例示的なファサード清掃経路55が例解されている。システム1は、ジップライン10に沿って台車4を移動させ、プラットフォーム5を動作させてファサードを清掃することによって、この経路に沿ってプラットフォーム5を伝達するようにプログラムされてもよい。プラットフォーム5は、小さい「N」形状に沿って、及びより大きい「Z」形状に沿って移動される。この経路は、建物の外部に面する窓の一般的な構成と概ね一致する。システム1は、建物によって画定された特定の形状にアクセスするために必要な代替経路に沿って、台車4及びプラットフォーム5を駆動するように構成可能であることが理解されるであろう。
【0149】
図31はまた、例示的なファサード検査経路56を例解する。システム1は、ジップライン10に沿って台車4を移動させ、プラットフォーム5を動作させてファサードを検査することによって、この経路に沿ってプラットフォーム5を伝達するようにプログラムされてもよい。図示された清掃経路55及び検査経路56では、プラットフォーム5は、建物2の面上の実質的に任意の点まで横断することができる。台車及びロボットの組み合わせられた横方向及び垂直方向の運動の直交性の性質のために、システム1は、建物2の面全体へのアクセスを提供することができる。
【0150】
清掃、監視又は他の機能のためのロボット5又はポッド100の動作中に、推進システム48、114は、ロボット54又はポッド100を建物2のエンベロープに対して押すための接触力を提供するように動作される。これは、例えば、ロボット5又はポッド100が、粒子又は残留物を除去するためのブラッシングの有効性を高めるように、建物2の表面にしっかりと押し付けることを可能にすることができる。ロボット5のプロペラ48はまた、それぞれのジンバル49上で関節屈曲して、それぞれの推力を提供して、システムを風及び他の妨害から安定させてもよい。更に、推進システム48、114は、障害物、例えば、窓の周りの方立、向かい合った突起、又は空調及び他のプラント機器及びダクトを回避するために、建物エンベロープを中心としてロボット5又はポッド100を操作するように動作されてもよい。
【0151】
建物2の第1の面に関する清掃及び/又は監視動作が完了すると、プラットフォーム5は、台車4まで後退し、次いで、装着アーム13は、位置軸7を中心として回転して、ジップライン10を建物2の8縁から離させる。次いで、ジップライン10の張力が緩められ、装着アーム13がベースプレート14から取り外される。次いで、装着アーム13は、建物2の別の縁の隣接する隅に回転可能に装着され、上記のプロセスステップのうちのいずれかが繰り返されて、例えば、建物2の別の面を清掃又は検査することを可能にしてもよい。建物2の全ての所望の面に関する清掃及び/又は監視動作が完了すると、装着アーム13、ライン10、18、19、台車4、及びロボット5は、分解され、別の建物に輸送されてもよい。有利には、機器の単一のセットは、複数の建物にサービスを提供するために便利に輸送され、各建物に恒久的に設置されたシステムを設置し、動作させるよりも実質的にコスト効率が高いことが証明され得る。
【0152】
図示された実施形態は、軽量、携帯可能、かつ/又は、モジュラープラットフォーム5を介して様々な監視、維持及び他の機能を実施するために、建物2の壁全体又は外面へのアクセスを提供することができる建物エンベロープアクセスシステム1を提供することができることが理解されるであろう。
【0153】
本開示の広範な一般的な範囲から逸脱することなく、上記の実施形態に対して多数の変形及び/又は修正が行われ得ることが、当業者によって理解されるであろう。したがって、本実施形態は、あらゆる点で例示的であり、制限的ではないとみなされるべきである。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファサード検査を容易にするために、撮像システムを含む機能プラットフォームを建物の外壁に対して上昇した位置に位置決めするためのシステムであって、
前記建物の屋根を横切って移動可能であり、遠位端部を有するクレーン部材を搬送するように構成された手動式ポータブルトロリーであって、前記トロリー及びクレーン部材が分解されるように構成された、手動式ポータブルトロリーと、
前記トロリーに装着されたウィンチ機構と、
前記機能プラットフォームと前記ウィンチ機構との間に延在する吊架ラインと、を含み、
これにより、使用中、前記トロリーは、前記遠位端部が前記建物の前縁を越えて配置されて、前記機能プラットフォームを前記上昇した位置に吊架し、前記屋根を横切って移動可能であり、前記機能プラットフォームが前記吊架ラインを介して上昇及び下降して、前記建物を横切るアクセスを可能にするように、前記建物の前記屋根上に位置決めされている、システム。
【請求項2】
前記トロリーが、建物管理ユニット(BMU)のレールを利用して、前記建物の前記屋根を中心として操作するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記トロリーが、前記建物の前記屋根を中心として旋回することを可能にする複数のホイールを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記クレーン部材が、前記トロリーに回転可能に装着されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記クレーン部材が、動作可能な水平軸を中心として回転可能であり、前記遠位端部を前記トロリーに対して傾けることを可能にする、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記トロリーに関連付けられた釣り合い重りシステムを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記クレーン部材が、小型容積に収納されることを可能にするモジュール式である、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
建物に対して上昇した位置にあるようにラインから吊架するための機能プラットフォームであって、
本体であって、前記本体の動作可能な頂端部に配置されており、前記ラインに結合するように構成されたコネクタを含む本体と、
前記本体の一方の側に配置されたユーティリティモジュールと、
前記プラットフォームを少なくとも1つの方向に駆動して、前記ユーティリティモジュールを前記建物に対して駆動することを可能にするように動作可能な駆動機構と、を含む、機能プラットフォーム。
【請求項9】
前記プラットフォームが、複数の推進機構を含み、各機構が、推力を生成するように動作可能な動力式のロータを含む、請求項8に記載の機能プラットフォーム。
【請求項10】
各推進機構が、ダクト推力を提供するために、前記本体によって画定された導管内に配置されている、請求項8に記載の機能プラットフォーム。
【請求項11】
前記ユーティリティモジュールが、前記ユーティリティモジュールを前記本体に向かって、又は前記本体から離れるように変位させるように動作可能な変位機構に装着される、請求項8に記載の機能プラットフォーム。
【請求項12】
前記変位機構が、前記本体に対して前記ユーティリティモジュールと反対方向に移動するように配置された釣り合い重りを含む、請求項11に記載の機能プラットフォーム。
【請求項13】
前記ユーティリティモジュールが、前記変位機構に対して前記ユーティリティモジュールを傾けることを可能にするために、少なくとも1つの軸を中心として前記変位機構に回転可能に装着される、請求項11に記載の機能プラットフォーム。
【請求項14】
前記ユーティリティモジュールが、前記ユーティリティモジュールの少なくとも一部分を前記プラットフォームに対して配向するように動作可能な位置決め機構に関連付けられている、請求項11に記載の機能プラットフォーム。
【請求項15】
前記ユーティリティモジュールが、ツール及びセンサのうちの少なくとも1つを含む、請求項8に記載の機能プラットフォーム。
【請求項16】
前記ユーティリティモジュールが、撮像システムを含む、請求項8に記載の機能プラットフォーム。
【請求項17】
前記ユーティリティモジュールが、前記プラットフォームに解放可能に装着されて、前記ユーティリティモジュールを代替ユーティリティモジュールと交換することを可能にする、請求項8に記載の機能プラットフォーム。
【国際調査報告】