(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-18
(54)【発明の名称】二重特異性組換えタンパク質及びその使用
(51)【国際特許分類】
C07K 16/46 20060101AFI20240910BHJP
C12N 15/62 20060101ALI20240910BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20240910BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20240910BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20240910BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20240910BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20240910BHJP
C12P 21/08 20060101ALI20240910BHJP
A61K 38/02 20060101ALI20240910BHJP
A61K 38/21 20060101ALI20240910BHJP
A61K 47/65 20170101ALI20240910BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20240910BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240910BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20240910BHJP
A61P 31/12 20060101ALI20240910BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20240910BHJP
C07K 16/24 20060101ALN20240910BHJP
C07K 16/28 20060101ALN20240910BHJP
C12N 15/13 20060101ALN20240910BHJP
【FI】
C07K16/46 ZNA
C12N15/62 Z
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12P21/08
A61K38/02
A61K38/21
A61K47/65
A61K39/395 N
A61P35/00
A61P1/16
A61P31/12
A61P35/02
C07K16/24
C07K16/28
C12N15/13
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024533156
(86)(22)【出願日】2022-08-12
(85)【翻訳文提出日】2024-02-09
(86)【国際出願番号】 CN2022112300
(87)【国際公開番号】W WO2023016568
(87)【国際公開日】2023-02-16
(31)【優先権主張番号】202110926743.1
(32)【優先日】2021-08-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524056662
【氏名又は名称】上海才致薬成生物科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】何柯
(72)【発明者】
【氏名】宋利平
(72)【発明者】
【氏名】範藝
(72)【発明者】
【氏名】陳英嬌
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
4C076
4C084
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4B064AG27
4B064CA19
4B064CC24
4B064DA01
4B065AA01X
4B065AA57X
4B065AA72X
4B065AA90X
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA25
4B065CA44
4C076AA95
4C076CC16
4C076CC27
4C076CC35
4C076CC41
4C076EE41
4C076EE59
4C084AA02
4C084BA41
4C084DA21
4C084DA22
4C084NA13
4C084ZA75
4C084ZB26
4C084ZB27
4C084ZB33
4C085AA14
4C085BB11
4C085DD62
4C085EE01
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA41
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
本発明は、二重特異性組換えタンパク質及びその使用を開示する。前記二重特異性組換えタンパク質は、第1機能結合領域、第2機能結合領域及びFc領域を含み、前記第1機能結合領域は、第1鎖及び第2鎖を含み、前記第1鎖のC末端及び前記第2機能結合領域のC末端は、別々に、Fc領域のN末端に直接に連結されるか、又はリンカー配列によって連結され、前記第2鎖のC末端は、第2機能結合領域のN末端に直接に連結されるか、又はリンカー配列によって連結される。本発明はまた、前記組換えタンパク質の抗腫瘍、抗ウイルス及び肝疾患の治療への使用を開示する。組換えタンパク質は、標的細胞に対する殺傷効果を有意に向上させると同時に、非標的細胞への結合によって引き起こされる毒性副作用を有意に減少させることができ、より優れた安全性及び良好な凍結融解安定性を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二重特異性組換えタンパク質であって、前記二重特異性組換えタンパク質は、第1機能結合領域、第2機能結合領域及びFc領域を含み、前記第1機能結合領域は、第1鎖及び第2鎖を含み、前記第1鎖のC末端及び前記第2機能結合領域のC末端は、別々に、Fc領域のN末端に直接に連結されるか、又はリンカー配列によって連結され、前記第2鎖のC末端は、第2機能結合領域のN末端に直接に連結されるか、又はリンカー配列によって連結され、
前記第1機能結合領域は、重鎖可変領域(VH)、軽鎖可変領域(VL)、重鎖定常領域1(CH1)及び軽鎖定常領域(CL)を含み、
前記第2機能結合領域は、インターフェロン、そのトランケート型変異体、又はその突然変異体を含み、
好ましくは、前記CL又はCH1のC末端は、前記Fc領域のN末端に直接に連結されるか、又はリンカー配列によって連結され、対応するCH1又はCLのC末端は、第2機能結合領域のN末端に直接に連結されるか、又はリンカー配列によって連結されることを特徴とする、二重特異性組換えタンパク質。
【請求項2】
前記インターフェロンは、I型インターフェロンであり、好ましくは、前記I型インターフェロンは、IFNαであり、より好ましくは、前記IFNαは、IFN-α1a、IFN-α1b、IFN-α2a、IFN-α2b、IFN-α4a、IFN-α4b、IFN-α5、IFN-α6、IFN-α7、IFN-α8、IFN-α10、IFN-α14、IFN-α16、IFN-α17及びIFN-α21のうちの1つ又は複数から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の二重特異性組換えタンパク質。
【請求項3】
前記インターフェロンは、IFN-α2bであり、
好ましくは、前記第2機能結合領域は、以下のa1)~a2)のいずれか1つから選択されるアミノ酸配列を含む:a1)配列番号17;a2)配列番号17に示されるアミノ酸配列の少なくとも1つのアミノ酸残基の付加、欠失、修飾及び/又は置換によって得られるアミノ酸配列であって、そのモノマーがIFNα受容体に対する結合親和性を有し、当該結合親和性がIFNα受容体に対するa1)モノマーの結合親和性以下であることを特徴とする、請求項2に記載の二重特異性組換えタンパク質。
【請求項4】
a2)モノマーのアミノ酸配列は、配列番号17に示されるアミノ酸配列の対応する部位における置換によって得られるアミノ酸配列であり、前記対応する部位における置換は、L26A、L30A、A145G、R149A及びS152Aのうちの1つ又は複数から選択され、
好ましくは、前記a2)モノマーは、単一部位における置換であり、置換部位は、それぞれL26A、L30A、A145G、R149A又はS152Aであり、対応するアミノ酸配列は、それぞれ配列番号18~22に示される通りであることを特徴とする、請求項3に記載の二重特異性組換えタンパク質。
【請求項5】
前記VHは、CH1又はCLに直接に連結されるか、又はリンカー配列によって連結され、前記VLは、CL又はCH1に直接に連結されるか、又はリンカー配列によって連結され、
好ましくは、VLがCLに連結される場合、VHはCH1に連結され、VLがCH1に連結される場合、VHはCLに連結されることを特徴とする、請求項1に記載の二重特異性組換えタンパク質。
【請求項6】
前記第1機能結合領域は、腫瘍細胞又は免疫細胞を標的とし、好ましくは、前記第1機能結合領域は、標的GPC3、BCMA、PD-L1、Trop-2、5T4、AGS-16、ALK1、ANG-2、B7-H3、B7-H4、c-fms、c-Met、CA6、CD123、CD19、CD20、CD22、CD24、EpCAM、CD30、CD32b、CD37、CD38、CD40、CD52、CD70、CD74、CD79b、CD98、CEA、CEACAM5、CLDN18.2、CLDN6、CS1、CXCR4、DLL-4、EGFR、EGFRvIII、EGP-1、ENPP3、EphA3、ETBR、FGFR2、FN、FR-α、GCC、GD2、GPNMB、HER2、HER3、HLA-DR、ICAM-1、IGF-1R、IL-3R、LIV-1、MSLN、MUC16、MUC1、NaPi2b、ネクチン-4、Notch2、Notch1、PD-L2、PDGFR-α、PS、PSMA、SLTRK6、STEAP1、TEM1、VEGFR、CD25、CD27L、DKK-1、CSF-1R、MSB0010718C、CD138、Siglec15及びCD155のうちのいずれか1つ又は複数を標的とすることを特徴とする、請求項1に記載の二重特異性組換えタンパク質。
【請求項7】
前記第1機能結合領域は、GPC3を標的とし、前記第1機能結合領域は、特異的抗GPC3モノクローナル抗体の抗原結合フラグメントを含み、好ましくは、前記特異的抗GPC3モノクローナル抗体の重鎖可変領域(VH)の配列は配列番号1に示される通りであり、軽鎖可変領域(VL)の配列は配列番号2に示される通りであり、
又は、前記第1機能結合領域は、PD-L1を標的とし、前記第1機能結合領域は、特異的抗PD-L1モノクローナル抗体の抗原結合フラグメントを含み、好ましくは、前記特異的抗PD-L1モノクローナル抗体の重鎖可変領域(VH)の配列は配列番号5に示される通りであり、軽鎖可変領域(VL)の配列は配列番号6に示される通りであり、
又は、前記第1機能結合領域は、BCMAを標的とし、前記第1機能結合領域は、特異的抗BCMAモノクローナル抗体の抗原結合フラグメントを含み、好ましくは、前記特異的抗BCMAモノクローナル抗体の重鎖可変領域(VH)の配列は配列番号7又は配列番号9に示される通りであり、軽鎖可変領域(VL)の配列は配列番号8又は配列番号10に示される通りであり、
又は、前記第1機能結合領域は、Trop-2を標的とし、前記第1機能結合領域は、特異的抗Trop-2モノクローナル抗体の抗原結合フラグメントを含み、好ましくは、前記特異的抗Trop-2モノクローナル抗体の重鎖可変領域(VH)の配列は配列番号11に示される通りであり、軽鎖可変領域(VL)の配列は配列番号12に示される通りであることを特徴とする、請求項6に記載の二重特異性組換えタンパク質。
【請求項8】
前記リンカー配列は、20個アミノ酸残基以下の長さを有し、前記リンカー配列は、(GGGGS)n、(GGGS)n、(GGS)n、(G)n、(GS)n、(EAAAK)n又は(XP)nから選択され、nは自然数であり、
好ましくは、前記リンカー配列のアミノ酸配列は、配列番号13~16に示される通りであることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の二重特異性組換えタンパク質。
【請求項9】
前記二重特異性組換えタンパク質は、A鎖及びB鎖から構成され、ここで、A鎖の構造はVH-CH1-FcA領域であり、B鎖の構造はVL-CL-第2機能結合領域-FcB領域であり、又は、A鎖の構造はVH-CL-FcA領域であり、B鎖の構造はVL-CH1-第2機能結合領域-FcB領域であり、又は、A鎖の構造はVL-CH1-FcA領域であり、B鎖の構造はVH-CL-第2機能結合領域-FcB領域であり、又は、A鎖の構造はVL-CL-FcA領域であり、B鎖の構造はVH-CH1-第2機能結合領域-FcB領域であり、前記A鎖及びB鎖は、分子間力、共有結合及びイオン結合からなる群より選択される1つ又は複数によって結合されることを特徴とする、請求項8に記載の二重特異性組換えタンパク質。
【請求項10】
二重特異性組換えタンパク質であって、前記二重特異性組換えタンパク質は、第1機能結合領域、第2機能結合領域及びFc領域を含み、前記第1機能結合領域は、重鎖可変領域(VH)、軽鎖可変領域(VL)、重鎖定常領域1(CH1)及び軽鎖定常領域(CL)を含み、前記第2機能結合領域は、インターフェロン、そのトランケート型変異体、又はその突然変異体を含み、前記二重特異性組換えタンパク質は、第1アーム及び第2アームから構成され、前記第1アームは、鎖1及び鎖2から構成され、ここで、前記鎖1の構造はVH-CH1-FcA領域であり、前記鎖2の構造はVL-CLであり、又は、前記鎖1の構造はVH-CL-FcA領域であり、前記鎖2の構造はVL-CH1であり、又は、前記鎖1の構造はVL-CH1-FcA領域であり、前記鎖2の構造はVH-CLであり、又は、前記鎖1の構造はVL-CL-FcA領域であり、前記鎖2の構造はVH-CH1であり、前記第2アームの構造は第2機能結合領域-FcB領域であり、前記FcA領域及びFcB領域は、前記二重特異性組換えタンパク質のFc領域を構成し、前記第2アームにおいて、第2機能結合領域のアミノ酸配列は、配列番号17~22のいずれか1つを含み、
前記第1機能結合領域がGPC3を標的とする場合、前記第1機能結合領域は、特異的抗GPC3モノクローナル抗体の抗原結合フラグメントを含み、好ましくは、前記第1アームにおいて、VHのアミノ酸配列は配列番号1を含み、CH1のアミノ酸配列は配列番号31を含み、VLのアミノ酸配列は配列番号2を含み、CLのアミノ酸配列は配列番号32を含み、
前記第1機能結合領域がPD-L1を標的とする場合、前記第1機能結合領域は、特異的抗PD-L1モノクローナル抗体の抗原結合フラグメントを含み、好ましくは、前記第1アームにおいて、VHのアミノ酸配列は配列番号5を含み、CH1のアミノ酸配列は配列番号31を含み、VLのアミノ酸配列は配列番号6を含み、CLのアミノ酸配列は配列番号32を含み、
前記第1機能結合領域がBCMAを標的とする場合、前記第1機能結合領域は、特異的抗BCMAモノクローナル抗体の抗原結合フラグメントを含み、好ましくは、前記第1アームにおいて、VHのアミノ酸配列は配列番号7又は9を含み、CH1のアミノ酸配列は配列番号31を含み、VLのアミノ酸配列は配列番号8又は10を含み、CLのアミノ酸配列は配列番号32を含み、
前記第1機能結合領域がTrop-2を標的とする場合、前記第1機能結合領域は、特異的抗Trop-2モノクローナル抗体の抗原結合フラグメントを含み、好ましくは、前記第1アームにおいて、VHのアミノ酸配列は配列番号11を含み、CH1のアミノ酸配列は配列番号31を含み、VLのアミノ酸配列は配列番号12を含み、CLのアミノ酸配列は配列番号32を含むことを特徴とする、二重特異性組換えタンパク質。
【請求項11】
前記二重特異性組換えタンパク質のFc領域は、IgG1、IgG2、IgG3又はIgG4由来のFc領域であり、前記Fc領域は、天然配列又は非天然配列を含み、
好ましくは、前記Fc領域は、ヒトIgG1、IgG2、IgG3又はIgG4由来のFc領域であり、
より好ましくは、前記FcA領域及びFcB領域は、knobs-into-holesによって結合され、
更に好ましくは、前記FcA領域のアミノ酸配列が配列番号25を含む場合、前記FcB領域のアミノ酸配列は配列番号25を含み、又は、前記FcA領域のアミノ酸配列が配列番号26を含む場合、前記FcB領域のアミノ酸配列は配列番号27を含み、又は、前記FcA領域のアミノ酸配列が配列番号27を含む場合、前記FcB領域のアミノ酸配列は配列番号26を含み、又は、前記FcA領域のアミノ酸配列が配列番号28を含む場合、前記FcB領域のアミノ酸配列は配列番号28を含み、又は、前記FcA領域のアミノ酸配列が配列番号29を含む場合、前記FcB領域のアミノ酸配列は配列番号30を含み、又は、前記FcA領域のアミノ酸配列が配列番号30を含む場合、前記FcB領域のアミノ酸配列は配列番号29を含むことを特徴とする、請求項9又は10に記載の二重特異性組換えタンパク質。
【請求項12】
前記第1機能結合領域はGPC3を標的とし、前記A鎖において、VHのアミノ酸配列は配列番号1を含み、VLのアミノ酸配列は配列番号2を含み、CH1のアミノ酸配列は配列番号31を含み、CLのアミノ酸配列は配列番号32を含み、FcA領域のアミノ酸配列は配列番号26又は配列番号27を含み、
前記B鎖において、VHのアミノ酸配列は配列番号1を含み、VLのアミノ酸配列は配列番号2を含み、CH1のアミノ酸配列は配列番号31を含み、CLのアミノ酸配列は配列番号32を含み、第2機能結合領域のアミノ酸配列は配列番号17、18、19、21又は22を含み、FcB領域のアミノ酸配列は配列番号27又は配列番号26を含み、
好ましくは、前記B鎖のアミノ酸配列において、配列番号2又は配列番号1のC末端は、配列番号32のN末端に直接に連結され、配列番号32のC末端は、リンカー配列によって配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号21又は配列番号22のN末端に連結され、前記リンカー配列は、配列番号13~16のいずれか1つから選択され、
より好ましくは、前記A鎖のアミノ酸配列が順次連結した配列番号1、31及びFcA領域から構成される場合、
前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号2、32、13、17及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号2、32、13、18及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号2、32、13、19及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号2、32、13、20及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号2、32、13、21及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号2、32、13、22及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号2、32、14、17及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号2、32、14、18及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号2、32、14、19及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号2、32、14、20及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号2、32、14、21及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号2、32、14、22及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号2、32、15、17及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号2、32、15、18及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号2、32、15、19及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号2、32、15、20及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号2、32、15、21及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号2、32、15、22及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号2、32、16、17及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号2、32、16、18及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号2、32、16、19及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号2、32、16、21及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号2、32、16、22及びFcB領域から構成され、
前記FcA領域のアミノ酸配列が配列番号26である場合、前記FcB領域のアミノ酸配列は配列番号27であり、又は、前記FcA領域のアミノ酸配列が配列番号27である場合、前記FcB領域のアミノ酸配列は配列番号26であることを特徴とする、請求項11に記載の二重特異性組換えタンパク質。
【請求項13】
前記第1機能結合領域はPD-L1を標的とし、前記A鎖において、VHのアミノ酸配列は配列番号5を含み、VLのアミノ酸配列は配列番号6を含み、CH1のアミノ酸配列は配列番号31を含み、CLのアミノ酸配列は配列番号32を含み、FcA領域のアミノ酸配列は配列番号26又は配列番号27又は配列番号29又は配列番号30を含み、
前記B鎖において、VHのアミノ酸配列は配列番号5を含み、VLのアミノ酸配列は配列番号6を含み、CH1のアミノ酸配列は配列番号31を含み、CLのアミノ酸配列は配列番号32を含み、第2機能結合領域のアミノ酸配列は配列番号17~22のいずれか1つを含み、FcB領域のアミノ酸配列は配列番号27又は配列番号26又は配列番号30又は配列番号29を含み、
好ましくは、前記B鎖のアミノ酸配列において、配列番号6又は配列番号5のC末端は、配列番号32のN末端に直接に連結され、配列番号32のC末端は、リンカー配列によって配列番号17~22のいずれか1つのN末端に連結され、前記リンカー配列は、配列番号13~16のいずれか1つから選択され、
より好ましくは、
前記A鎖のアミノ酸配列が順次連結した配列番号5、31及びFcA領域から構成される場合、
前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号6、32、13、17及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号6、32、13、18及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号6、32、13、19及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号6、32、13、20及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号6、32、13、21及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号6、32、13、22及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号6、32、14、17及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号6、32、14、18及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号6、32、14、19及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号6、32、14、20及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号6、32、14、21及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号6、32、14、22及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号6、32、15、17及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号6、32、15、18及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号6、32、15、19及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号6、32、15、20及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号6、32、15、21及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号6、32、15、22及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号6、32、16、17及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号6、32、16、18及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号6、32、16、19及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号6、32、16、20及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号6、32、16、21及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号6、32、16、22及びFcB領域から構成され、
前記FcA領域のアミノ酸配列が配列番号26である場合、前記FcB領域のアミノ酸配列は配列番号27であり、又は、前記FcA領域のアミノ酸配列が配列番号27である場合、前記FcB領域のアミノ酸配列は配列番号26であり、又は、前記FcA領域のアミノ酸配列が配列番号29である場合、前記FcB領域のアミノ酸配列は配列番号30であり、又は、前記FcA領域のアミノ酸配列が配列番号30である場合、前記FcB領域のアミノ酸配列は配列番号29であることを特徴とする、請求項11に記載の二重特異性組換えタンパク質。
【請求項14】
前記第1機能結合領域はBCMAを標的とし、
好ましくは、前記A鎖において、VHのアミノ酸配列は配列番号7又は9を含み、VLのアミノ酸配列は配列番号8又は10を含み、CH1のアミノ酸配列は配列番号31を含み、CLのアミノ酸配列は配列番号32を含み、FcA領域のアミノ酸配列は配列番号26又は配列番号27を含み、
前記B鎖において、VHのアミノ酸配列は配列番号7又は9を含み、VLのアミノ酸配列は配列番号8又は10を含み、CH1のアミノ酸配列は配列番号31を含み、CLのアミノ酸配列は配列番号32を含み、第2機能結合領域のアミノ酸配列は配列番号17~22のいずれか1つを含み、FcB領域のアミノ酸配列は配列番号27又は配列番号26を含み、
より好ましくは、前記B鎖のアミノ酸配列において、配列番号7、8、9又は10のC末端は、配列番号32のN末端に直接に連結され、配列番号32のC末端は、リンカー配列によって配列番号17~22のいずれか1つのN末端に連結され、前記リンカー配列は、配列番号13~16のいずれか1つから選択され、
更に好ましくは、
前記A鎖のアミノ酸配列が順次連結した配列番号7、31及びFcA領域から構成される場合、
前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号8、32、13、17及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号8、32、13、18及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号8、32、13、19及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号8、32、13、20及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号8、32、13、21及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号8、32、13、22及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号8、32、14、17及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号8、32、14、18及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号8、32、14、19及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号8、32、14、20及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号8、32、14、21及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号8、32、14、22及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号8、32、15、17及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号8、32、15、18及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号8、32、15、19及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号8、32、15、20及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号8、32、15、21及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号8、32、15、22及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号8、32、16、17及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号8、32、16、18及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号8、32、16、19及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号8、32、16、20及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号8、32、16、21及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号8、32、16、22及びFcB領域から構成され、
前記A鎖のアミノ酸配列が順次連結した配列番号9、31及びFcA領域から構成される場合、
前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号10、32、13、17及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号10、32、13、18及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号10、32、13、19及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号10、32、13、20及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号10、32、13、21及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号10、32、13、22及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号10、32、14、17及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号10、32、14、18及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号10、32、14、19及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号10、32、14、20及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号10、32、14、21及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号10、32、14、22及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号10、32、15、17及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号10、32、15、18及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号10、32、15、19及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号10、32、15、20及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号10、32、15、21及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号10、32、15、22及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号10、32、16、17及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号10、32、16、18及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号10、32、16、19及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号10、32、16、20及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号10、32、16、21及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号10、32、16、22及びFcB領域から構成され、
前記FcA領域のアミノ酸配列が配列番号26である場合、前記FcB領域のアミノ酸配列は配列番号27であり、前記FcA領域のアミノ酸配列が配列番号27である場合、前記FcB領域のアミノ酸配列は配列番号26であることを特徴とする、請求項11に記載の二重特異性組換えタンパク質。
【請求項15】
前記第1機能結合領域はTrop-2を標的とし、
前記A鎖において、VHのアミノ酸配列は配列番号11を含み、VLのアミノ酸配列は配列番号12を含み、CH1のアミノ酸配列は配列番号31を含み、CLのアミノ酸配列は配列番号32を含み、FcA領域のアミノ酸配列は配列番号26又は配列番号27を含み、
前記B鎖において、VHのアミノ酸配列は配列番号11を含み、VLのアミノ酸配列は配列番号12を含み、CH1のアミノ酸配列は配列番号31を含み、CLのアミノ酸配列は配列番号32を含み、第2機能結合領域のアミノ酸配列は配列番号17~22のいずれか1つを含み、FcB領域のアミノ酸配列は配列番号27又は配列番号26を含み、
好ましくは、前記B鎖のアミノ酸配列において、配列番号12又は配列番号11のC末端は、配列番号32のN末端に直接に連結され、配列番号32のC末端は、リンカー配列によって配列番号17~22のいずれか1つのN末端に連結され、前記リンカー配列は、配列番号13~16のいずれか1つから選択され、
より好ましくは、
前記A鎖のアミノ酸配列が順次連結した配列番号11、31及びFcA領域から構成される場合、
前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号12、32、13、17及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号12、32、13、18及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号12、32、13、19及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号12、32、13、20及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号12、32、13、21及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号12、32、13、22及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号12、32、14、17及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号12、32、14、18及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号12、32、14、19及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号12、32、14、20及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号12、32、14、21及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号12、32、14、22及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号12、32、15、17及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号12、32、15、18及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号12、32、15、19及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号12、32、15、20及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号12、32、15、21及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号12、32、15、22及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号12、32、16、17及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号12、32、16、18及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号12、32、16、19及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号12、32、16、20及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号12、32、16、21及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号12、32、16、22及びFcB領域から構成され、
前記FcA領域のアミノ酸配列が配列番号26である場合、前記FcB領域のアミノ酸配列は配列番号27であり、前記FcA領域のアミノ酸配列が配列番号27である場合、前記FcB領域のアミノ酸配列は配列番号26であることを特徴とする、請求項11に記載の二重特異性組換えタンパク質。
【請求項16】
前記第1機能結合領域がGPC3を標的とする場合、前記第1アームにおける鎖1のアミノ酸配列が順次連結した配列番号1、31及びFcA領域から構成されると、鎖2のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号2及び32から構成され、前記第2アームのアミノ酸配列は、順次連結した配列番号17~22のいずれか1つ及びFcB領域から構成され、前記FcA領域のアミノ酸配列が配列番号26である場合、前記FcB領域のアミノ酸配列は配列番号27であり、又は、前記FcA領域のアミノ酸配列が配列番号27である場合、前記FcB領域のアミノ酸配列は配列番号26であり、
前記第1機能結合領域がPD-L1を標的とする場合、前記第1アームにおける鎖1のアミノ酸配列が順次連結した配列番号5、31及びFcA領域から構成されると、鎖2のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号6及び32から構成され、前記第2アームのアミノ酸配列は、順次連結した配列番号17~22のいずれか1つ及びFcB領域から構成され、前記FcA領域のアミノ酸配列が配列番号26である場合、前記FcB領域のアミノ酸配列は配列番号27であり、又は、前記FcA領域のアミノ酸配列が配列番号27である場合、前記FcB領域のアミノ酸配列は配列番号26であり、又は、前記FcA領域のアミノ酸配列が配列番号29である場合、前記FcB領域のアミノ酸配列は配列番号30であり、又は、前記FcA領域のアミノ酸配列が配列番号30である場合、前記FcB領域のアミノ酸配列は配列番号29であり、
前記第1機能結合領域がBCMAを標的とする場合、前記第1アームにおける鎖1のアミノ酸配列が順次連結した配列番号7、31及びFcA領域から構成されると、鎖2のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号8及び32から構成され、又は、前記第1アームにおける鎖1のアミノ酸配列が順次連結した配列番号9、31及びFcA領域から構成される場合、前記第1アームにおける鎖2のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号10及び32から構成され、前記第2アームのアミノ酸配列は、順次連結した配列番号17~22のいずれか1つ及びFcB領域から構成され、前記FcA領域のアミノ酸配列が配列番号26である場合、前記FcB領域のアミノ酸配列は配列番号27であり、又は、前記FcA領域のアミノ酸配列が配列番号27である場合、前記FcB領域のアミノ酸配列は配列番号26であり、
前記第1機能結合領域がTrop-2を標的とする場合、前記第1アームにおける鎖1のアミノ酸配列が順次連結した配列番号11、31及びFcA領域から構成されると、鎖2のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号12及び32から構成され、前記第2アームのアミノ酸配列は、順次連結した配列番号17~22のいずれか1つ及びFcB領域から構成され、前記FcA領域のアミノ酸配列が配列番号26である場合、前記FcB領域のアミノ酸配列は配列番号27であり、又は、前記FcA領域のアミノ酸配列が配列番号27である場合、前記FcB領域のアミノ酸配列は配列番号26であることを特徴とする、請求項10に記載の二重特異性組換えタンパク質。
【請求項17】
請求項1~16のいずれか一項に記載の二重特異性組換えタンパク質をコードする核酸分子。
【請求項18】
請求項17に記載の核酸分子を含む組換え発現ベクター。
【請求項19】
請求項18に記載の発現ベクターによって宿主細胞を形質転換することによって得られる組換え細胞。
【請求項20】
請求項19に記載の組換え細胞を使用して前記二重特異性組換えタンパク質を発現させる工程を含むことを特徴とする、請求項1~16のいずれか一項に記載の二重特異性組換えタンパク質を調製する方法。
【請求項21】
請求項1~16のいずれか一項に記載の二重特異性組換えタンパク質を含み、
好ましくは、薬学的に許容される担体を更に含む薬剤又は医薬組成物。
【請求項22】
疾患の治療、補助療法又は予防のための薬剤の調製における、請求項1~16のいずれか一項に記載の二重特異性組換えタンパク質、又は請求項21に記載の薬剤又は医薬組成物の使用であって、
好ましくは、前記疾患は、腫瘍、肝疾患及びウイルス感染症から選択され、
より好ましくは、前記疾患は、GPC3、BCMA、PD-L1、Trop-2、5T4、AGS-16、ALK1、ANG-2、B7-H3、B7-H4、c-fms、c-Met、CA6、CD123、CD19、CD20、CD22、CD24、EpCAM、CD30、CD32b、CD37、CD38、CD40、CD52、CD70、CD74、CD79b、CD98、CEA、CEACAM5、CLDN18.2、CLDN6、CS1、CXCR4、DLL-4、EGFR、EGFRvIII、EGP-1、ENPP3、EphA3、ETBR、FGFR2、FN、FR-α、GCC、GD2、GPNMB、HER2、HER3、HLA-DR、ICAM-1、IGF-1R、IL-3R、LIV-1、MSLN、MUC16、MUC1、NaPi2b、ネクチン-4、Notch2、Notch1、PD-L2、PDGFR-α、PS、PSMA、SLTRK6、STEAP1、TEM1、VEGFR、CD25、CD27L、DKK-1、CSF-1R、MSB0010718C、CD138、Siglec15又はCD155陽性関連疾患である使用。
【請求項23】
前記腫瘍は、乳癌、腸癌、膵臓癌、食道癌、卵巣癌、胃癌、前立腺癌、腎臓癌、子宮頸癌、骨髄腫、リンパ腫、白血病、甲状腺癌、子宮癌、膀胱癌、神経内分泌癌、頭頸部癌、肝臓癌、上咽頭癌、精巣癌、肺癌、黒色腫、皮膚癌、肉腫、神経膠腫、中皮腫及び骨髄異形成症候群から選択され、
好ましくは、前記腸癌は結腸直腸癌を含み、前記卵巣癌は卵黄嚢腫瘍を含み、前記神経内分泌癌はメルケル細胞癌を含み、前記肺癌は小細胞肺癌及び非小細胞肺癌を含み、前記皮膚癌は基底細胞癌及び扁平上皮癌を含み、前記肉腫は隆起性皮膚線維肉腫を含み、前記神経膠腫は神経膠芽腫を含み、前記子宮癌は子宮内膜癌及び子宮肉腫を含むことを特徴とする、請求項22に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本出願は出願日が2021年8月12日である中国特許出願2021109267431の優先権を主張する。本出願は上記の中国特許出願の全文を引用する。
【0002】
[技術分野]
本発明は、生物医学の分野に属し、具体的に、二重特異性組換えタンパク質及びその使用に関する。
【0003】
[背景技術]
インターフェロンは、複数の機能を有する活性タンパク質のグループであり、主に単球及びリンパ球によって産生されるサイトカインであり、I型、II型、III型の3種類に分類され、I型インターフェロンには、IFNα及びIFNβが含まれ、IFNαには、IFNα2、IFNα4などのIFNαのサブタイプも含まれ、II型及びIII型インターフェロンには、IFNγ、IFNλ1(IL-29)、IFNλ2(IL-28a)及びIFNλ3(IL-28b)が含まれる。インターフェロンは、広範囲の抗ウイルス作用、細胞成長及び分化への影響、免疫機能の調節などの様々な生物活性を有する。インターフェロンα(IFNα)は、IFNα受容体との結合によるエフェクター細胞の活性化、ナチュラルキラー細胞などの免疫細胞の活性上昇、ウイルスや腫瘍細胞の増殖阻害、腫瘍細胞のアポトーシス誘導など、幅広い抗ウイルス・抗腫瘍作用を有するため、臨床現場で広く使用されている生物学的製剤の1つになり、主に肝疾患(例えば、慢性B型肝炎、C型肝炎)、ウイルス感染症(例えば、ウイルス性呼吸器疾患、皮膚疾患、血液疾患、婦人科疾患)及び特定の腫瘍(例えば、慢性骨髄性白血病、黒色腫、リンパ腫、腎臓癌)の治療、並びに腫瘍や悪性血液疾患の補助療法として使用されている。
【0004】
しかし、IFNα受容体は体内の様々な組織や臓器に広く発現しているため、臨床使用中に発熱、疲労、筋肉痛、肝毒性、骨髄抑制、神経毒性などの毒性副作用を伴うことが多い。大量の臨床研究データによると、黒色腫の補助療法におけるPEG-IFNα(6μg/kg/週を8週間投与、3μg/kg/週を維持)は、60%以上の患者にグレード3以上の重篤な有害事象(SAE)を引き起こす可能性があり(Practical Guidelines for the Management of Interferon-a-2b Side Effects in Patients Receiving Adjuvant Treatment for Melanoma.Cancer 2008;112:982-94)、慢性骨髄性白血病(CML)の治療におけるPEG-IFNαの臨床最大耐量(MTD)は7.5~9μg/kgであり(Long-Term Results of the Randomized Phase III Trial EORTC 18991 of Adjuvant Therapy With Pegylated Interferon Alfa-2b Versus Observation in Resected Stage III Melanoma.JOURNAL OF CLINICAL ONCOLOGY,VOLUME 30,NUMBER 31,NOVEMBER 1 2012)、前臨床インビボ及びインビトロ有効性試験データによると、最適な腫瘍抑制用量は臨床最大耐量の少なくとも100倍である必要がある(Treating Cancer with PEG Intron Pharmacokinetic Profile and Dosing Guidelines for an Improved Interferon-Alpha-2b Formulation.TALPAZ et al BLOOD,15 SEPTEMBER 2001.VOLUME 98,NUMBER 6)。
【0005】
更に、インターフェロンは、一般に、その製品特性から凍結融解安定性が低く、例えば、組換えヒトアルブミンインターフェロン-α2b融合タンパク質(rHSA-IFN-α2b)は、凍結融解を繰り返すとポリマーが徐々に増加し、4回凍結融解するとポリマーの含有量が17.91%に達し、組換えヒトアルブミンインターフェロン-α2b融合タンパク質は凍結融解に適していない(Xia Yiら,The stability study of recombinant human serum albumin-interferon-alpha-2b fusion protein,JOURNAL OF BIOLOGY,2008,25(006):38-40)ため、生産、輸送及び使用には多くの制限がある。
【0006】
従って、人体が耐容できることを前提に、IFNαの治療用量を有意に増加させ、抗腫瘍、抗ウイルス、肝疾患の治療などの効果を向上させることができる、高効率かつ低毒性の抗体-サイトカイン融合タンパク質(すなわち、二重特異性組換えタンパク質)の発明が急務である。同時に、当該二重特異性組換え蛋白質は、インターフェロンよりも優れた凍結融解安定性を備えている。
【0007】
[発明の概要]
本発明が解決しようとする技術的課題は、先行技術におけるモノクローナル抗体の有効性の低さ、並びにインターフェロンαの安全性及び凍結融解安定性の欠如を克服するために、二重特異性組換えタンパク質及びその使用を提供することである。本発明の二重特異性組換えタンパク質は、指向性免疫調節効果を有し、組換えタンパク質の標的へのターゲティングを有意に改善することができ、調製プロセス中に生成した、非標的臓器、組織及び細胞を標的とする非標的タンパク質によって引き起こされる毒性副作用を有意に低減することもできる。
【0008】
本発明は、以下の技術的解決策によって上記の技術的課題を解決する。
【0009】
本発明の第1態様は、二重特異性組換えタンパク質を提供し、前記二重特異性組換えタンパク質は、第1機能結合領域、第2機能結合領域及びFc領域を含み、前記第1機能結合領域は、第1鎖及び第2鎖を含み、前記第1鎖のC末端及び前記第2機能結合領域のC末端は、別々に、Fc領域のN末端に直接に連結されるか、又はリンカー配列によって連結され、前記第2鎖のC末端は、第2機能結合領域のN末端に直接に連結されるか、又はリンカー配列によって連結され、
前記第1機能結合領域は、重鎖可変領域(VH)、軽鎖可変領域(VL)、重鎖定常領域1(CH1)及び軽鎖定常領域(CL)を含み、
前記第2機能結合領域は、インターフェロン、そのトランケート型変異体、又はその突然変異体を含む。
【0010】
本発明のいくつかの実施形態では、前記CL又はCH1のC末端は、前記Fc領域のN末端に直接に連結されるか、又はリンカー配列によって連結され、対応するCH1又はCLのC末端は、第2機能結合領域のN末端に直接に連結されるか、又はリンカー配列によって連結される。
【0011】
本発明のいくつかの実施形態では、前記第1鎖は、VHとCH1、VHとCL、VLとCH1、又はVLとCLを含み、前記第2鎖は、VHとCH1、VHとCL、VLとCH1、又はVLとCLを含む。前記第1鎖と第2鎖は異なり、第1鎖と第2鎖の組み合わせは、VH、CH1、VL及びCLという4つの要素を含む。例えば、前記第1鎖がVHとCH1を含む場合、第2鎖はVLとCLを含み、前記第1鎖がVHとCLを含む場合、第2鎖はVLとCH1を含む。
【0012】
本発明のいくつかの実施形態では、前記インターフェロンは、IFNαなどのI型インターフェロンである。
【0013】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、前記IFNαは、IFN-α1a、IFN-α1b、IFN-α2a、IFN-α2b、IFN-α4a、IFN-α4b、IFN-α5、IFN-α6、IFN-α7、IFN-α8、IFN-α10、IFN-α14、IFN-α16、IFN-α17及びIFN-α21のうちの1つ又は複数から選択される。
【0014】
本発明のいくつかの特定の実施形態では、前記インターフェロンはIFN-α2bである。
【0015】
本発明のいくつかの実施形態では、前記第2機能結合領域は、以下のa1)~a2)のいずれか1つから選択されるアミノ酸配列を含む:a1)配列番号17;a2)配列番号17に示されるアミノ酸配列の少なくとも1つのアミノ酸残基の付加、欠失、修飾及び/又は置換によって得られるアミノ酸配列であって、そのモノマーがIFNα受容体に対する結合親和性を有し、当該結合親和性がIFNα受容体に対するa1)モノマーの結合親和性以下である。
【0016】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、a2)モノマーのアミノ酸配列は、配列番号17に示されるアミノ酸配列の対応する部位における置換によって得られるアミノ酸配列であり、対応する部位における前記置換は、L26A、L30A、A145G、R149A及びS152Aのうちの1つ又は複数から選択される。
【0017】
本発明のいくつかの特定の実施形態では、前記a2)モノマーは、単一部位における置換であり、置換部位は、それぞれL26A、L30A、A145G、R149A又はS152Aであり、対応するアミノ酸配列は、それぞれ配列番号18~22に示される通りである。
【0018】
本発明のいくつかの実施形態では、前記VHは、CH1又はCLに直接に連結されるか、又はリンカー配列によって連結され、前記VLは、CL又はCH1に直接に連結されるか、又はリンカー配列によって連結される。
【0019】
本発明のいくつかの特定の実施形態では、VLがCLに連結される場合、VHはCH1に連結され、VLがCH1に連結される場合、VHはCLに連結される。
【0020】
本発明のいくつかの実施形態では、前記第1機能結合領域は、腫瘍細胞又は免疫細胞を標的とする。
【0021】
具体的には、前記第1機能結合領域は、標的GPC3、BCMA、PD-L1、Trop-2、5T4、AGS-16、ALK1、ANG-2、B7-H3、B7-H4、c-fms、c-Met、CA6、CD123、CD19、CD20、CD22、CD24、EpCAM、CD30、CD32b、CD37、CD38、CD40、CD52、CD70、CD74、CD79b、CD98、CEA、CEACAM5、CLDN18.2、CLDN6、CS1、CXCR4、DLL-4、EGFR、EGFRvIII、EGP-1、ENPP3、EphA3、ETBR、FGFR2、FN、FR-α、GCC、GD2、GPNMB、HER2、HER3、HLA-DR、ICAM-1、IGF-1R、IL-3R、LIV-1、MSLN、MUC16、MUC1、NaPi2b、ネクチン-4、Notch2、Notch1、PD-L2、PDGFR-α、PS、PSMA、SLTRK6、STEAP1、TEM1、VEGFR、CD25、CD27L、DKK-1、CSF-1R、MSB0010718C、CD138、Siglec15及びCD155のうちのいずれか1つ又は複数を標的とする。
【0022】
本発明のいくつかの実施形態では、前記第1機能結合領域は、GPC3を標的とし、前記第1機能結合領域は、特異的抗GPC3モノクローナル抗体の抗原結合フラグメントを含む。
【0023】
本発明のいくつかの特定の実施形態では、前記特異的抗GPC3モノクローナル抗体の重鎖可変領域(VH)の配列は配列番号1に示される通りであり、軽鎖可変領域(VL)の配列は配列番号2に示される通りである。
【0024】
本発明の他の実施形態では、前記第1機能結合領域は、PD-L1を標的とし、前記第1機能結合領域は、特異的抗PD-L1モノクローナル抗体の抗原結合フラグメントを含む。
【0025】
本発明のいくつかの特定の実施形態では、前記特異的抗PD-L1モノクローナル抗体の重鎖可変領域(VH)の配列は配列番号5に示される通りであり、軽鎖可変領域(VL)の配列は配列番号6に示される通りである。
【0026】
本発明の他の実施形態では、前記第1機能結合領域は、BCMAを標的とし、前記第1機能結合領域は、特異的抗BCMAモノクローナル抗体の抗原結合フラグメントを含む。
【0027】
本発明のいくつかの特定の実施形態では、前記特異的抗BCMAモノクローナル抗体の重鎖可変領域(VH)の配列は配列番号7又は配列番号9に示される通りであり、軽鎖可変領域(VL)の配列は配列番号8又は配列番号10に示される通りである。
【0028】
本発明の他の実施形態では、前記第1機能結合領域は、Trop-2を標的とし、前記第1機能結合領域は、特異的抗Trop-2モノクローナル抗体の抗原結合フラグメントを含む。
【0029】
本発明のいくつかの特定の実施形態では、前記特異的抗Trop-2モノクローナル抗体の重鎖可変領域(VH)の配列は配列番号11に示される通りであり、軽鎖可変領域(VL)の配列は配列番号12に示される通りである。
【0030】
本発明のいくつかの実施形態では、前記リンカー配列は、20個アミノ酸残基以下の長さを有し、前記リンカー配列は、(GGGGS)n、(GGGS)n、(GGS)n、(G)n、(GS)n、(EAAAK)n又は(XP)nから選択され、nは自然数であり、例えば、前記リンカー配列のアミノ酸配列は、配列番号13~16に示される通りである。
【0031】
本発明のいくつかの実施形態では、前記二重特異性組換えタンパク質は、A鎖及びB鎖から構成され、ここで、A鎖の構造はVH-CH1-FcA領域であり、B鎖の構造はVL-CL-第2機能結合領域-FcB領域である。
【0032】
本発明の他の実施形態では、A鎖の構造はVH-CL-FcA領域であり、B鎖の構造はVL-CH1-第2機能結合領域-FcB領域である。
【0033】
本発明の他の実施形態では、A鎖の構造はVL-CH1-FcA領域であり、B鎖の構造はVH-CL-第2機能結合領域-FcB領域である。
【0034】
本発明の他の実施形態では、A鎖の構造はVL-CL-FcA領域であり、B鎖の構造はVH-CH1-第2機能結合領域-FcB領域である。
【0035】
本発明において、前記A鎖及びB鎖は、分子間力、共有結合及びイオン結合からなる群から選択される1つ又は複数によって結合される。
【0036】
本発明の第2態様は、二重特異性組換えタンパク質を提供し、前記二重特異性組換えタンパク質は、第1機能結合領域、第2機能結合領域及びFc領域を含み、前記第1機能結合領域は、重鎖可変領域(VH)、軽鎖可変領域(VL)、重鎖定常領域1(CH1)及び軽鎖定常領域(CL)を含み、前記第2機能結合領域は、インターフェロン、そのトランケート型変異体、又はその突然変異体を含み、前記二重特異性組換えタンパク質は、第1アーム及び第2アームから構成され、前記第1アームは、鎖1及び鎖2から構成され、ここで、前記鎖1の構造はVH-CH1-FcA領域であり、前記鎖2の構造はVL-CLであり、又は、前記鎖1の構造はVH-CL-FcA領域であり、前記鎖2の構造はVL-CH1であり、又は、前記鎖1の構造はVL-CH1-FcA領域であり、前記鎖2の構造はVH-CLであり、又は、前記鎖1の構造はVL-CL-FcA領域であり、前記鎖2の構造はVH-CH1であり、前記第2アームの構造は第2機能結合領域-FcB領域であり、前記FcA領域及びFcB領域は、前記二重特異性組換えタンパク質のFc領域を構成し、前記第2アームにおいて、第2機能結合領域のアミノ酸配列は、配列番号17~22のいずれか1つを含み、
前記第1機能結合領域がGPC3を標的とする場合、前記第1機能結合領域は、特異的抗GPC3モノクローナル抗体の抗原結合フラグメントを含み、前記第1機能結合領域がPD-L1を標的とする場合、前記第1機能結合領域は、特異的抗PD-L1モノクローナル抗体の抗原結合フラグメントを含み、前記第1機能結合領域がBCMAを標的とする場合、前記第1機能結合領域は、特異的抗BCMAモノクローナル抗体の抗原結合フラグメントを含み、前記第1機能結合領域がTrop-2を標的とする場合、前記第1機能結合領域は、特異的抗Trop-2モノクローナル抗体の抗原結合フラグメントを含む。
【0037】
本発明のいくつかの実施形態では、前記第1機能結合領域がGPC3を標的とする場合、前記第1アームにおいて、VHのアミノ酸配列は配列番号1を含み、CH1のアミノ酸配列は配列番号31を含み、VLのアミノ酸配列は配列番号2を含み、CLのアミノ酸配列は配列番号32を含む。
【0038】
本発明のいくつかの実施形態では、前記第1機能結合領域がPD-L1を標的とする場合、前記第1アームにおいて、VHのアミノ酸配列は配列番号5を含み、CH1のアミノ酸配列は配列番号31を含み、VLのアミノ酸配列は配列番号6を含み、CLのアミノ酸配列は配列番号32を含む。
【0039】
本発明のいくつかの実施形態では、前記第1機能結合領域がBCMAを標的とする場合、前記第1アームにおいて、VHのアミノ酸配列は配列番号7又は9を含み、CH1のアミノ酸配列は配列番号31を含み、VLのアミノ酸配列は配列番号8又は10を含み、CLのアミノ酸配列は配列番号32を含む。
【0040】
本発明のいくつかの実施形態では、前記第1機能結合領域がTrop-2を標的とする場合、前記第1アームにおいて、VHのアミノ酸配列は配列番号11を含み、CH1のアミノ酸配列は配列番号31を含み、VLのアミノ酸配列は配列番号12を含み、CLのアミノ酸配列は配列番号32を含む。
【0041】
本発明において、前記二重特異性組換えタンパク質のFc領域は、IgG1、IgG2、IgG3又はIgG4由来のFc領域であり、前記Fc領域は、天然配列又は非天然配列を含む。
【0042】
本発明のいくつかの実施形態では、前記Fc領域は、ヒトIgG1、IgG2、IgG3又はIgG4由来のFc領域である。
【0043】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、前記FcA領域及びFcB領域は、knobs-into-holesによって結合される。
【0044】
本発明のいくつかの特定の実施形態では、前記FcA領域のアミノ酸配列が配列番号25を含む場合、前記FcB領域のアミノ酸配列は配列番号25を含む。
【0045】
本発明の他の特定の実施形態では、前記FcA領域のアミノ酸配列が配列番号26を含む場合、前記FcB領域のアミノ酸配列は配列番号27を含む。
【0046】
本発明の他の特定の実施形態では、前記FcA領域のアミノ酸配列が配列番号27を含む場合、前記FcB領域のアミノ酸配列は配列番号26を含む。
【0047】
本発明の他の特定の実施形態では、前記FcA領域のアミノ酸配列が配列番号28を含む場合、前記FcB領域のアミノ酸配列は配列番号28を含む。
【0048】
本発明の他の特定の実施形態では、前記FcA領域のアミノ酸配列が配列番号29を含む場合、前記FcB領域のアミノ酸配列は配列番号30を含む。
【0049】
本発明の他の特定の実施形態では、前記FcA領域のアミノ酸配列が配列番号30を含む場合、前記FcB領域のアミノ酸配列は配列番号29を含む。
【0050】
本発明のいくつかの実施形態では、前記第1機能結合領域はGPC3を標的とし、前記A鎖において、VHのアミノ酸配列は配列番号1を含み、VLのアミノ酸配列は配列番号2を含み、CH1のアミノ酸配列は配列番号31を含み、CLのアミノ酸配列は配列番号32を含み、FcA領域のアミノ酸配列は配列番号26又は配列番号27を含み、
前記B鎖において、VHのアミノ酸配列は配列番号1を含み、VLのアミノ酸配列は配列番号2を含み、CH1のアミノ酸配列は配列番号31を含み、CLのアミノ酸配列は配列番号32を含み、第2機能結合領域のアミノ酸配列は配列番号17、18、19、21又は22を含み、FcB領域のアミノ酸配列は配列番号27又は配列番号26を含む。
【0051】
本発明のいくつかの特定の実施形態では、前記B鎖のアミノ酸配列において、配列番号2又は配列番号1のC末端は、配列番号32のN末端に直接に連結され、配列番号32のC末端は、リンカー配列によって配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号21又は配列番号22のN末端に連結され、前記リンカー配列は、配列番号13~16のいずれか1つから選択される。
【0052】
本発明のいくつかの実施形態では、前記A鎖のアミノ酸配列が順次連結した配列番号1、31及びFcA領域から構成される場合、
前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号2、32、13、17及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号2、32、13、18及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号2、32、13、19及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号2、32、13、20及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号2、32、13、21及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号2、32、13、22及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号2、32、14、17及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号2、32、14、18及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号2、32、14、19及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号2、32、14、20及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号2、32、14、21及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号2、32、14、22及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号2、32、15、17及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号2、32、15、18及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号2、32、15、19及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号2、32、15、20及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号2、32、15、21及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号2、32、15、22及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号2、32、16、17及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号2、32、16、18及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号2、32、16、19及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号2、32、16、21及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号2、32、16、22及びFcB領域から構成される。
【0053】
上記の実施形態では、前記FcA領域のアミノ酸配列が配列番号26である場合、前記FcB領域のアミノ酸配列は配列番号27である。前記FcA領域のアミノ酸配列が配列番号27である場合、前記FcB領域のアミノ酸配列は配列番号26である。
【0054】
本発明のいくつかの実施形態では、前記第1機能結合領域はPD-L1を標的とし、前記A鎖において、VHのアミノ酸配列は配列番号5を含み、VLのアミノ酸配列は配列番号6を含み、CH1のアミノ酸配列は配列番号31を含み、CLのアミノ酸配列は配列番号32を含み、FcA領域のアミノ酸配列は配列番号26又は配列番号27又は配列番号29又は配列番号30を含み、
前記B鎖において、VHのアミノ酸配列は配列番号5を含み、VLのアミノ酸配列は配列番号6を含み、CH1のアミノ酸配列は配列番号31を含み、CLのアミノ酸配列は配列番号32を含み、第2機能結合領域のアミノ酸配列は配列番号17~22のいずれか1つを含み、FcB領域のアミノ酸配列は配列番号27又は配列番号26又は配列番号30又は配列番号29を含む。
【0055】
本発明のいくつかの特定の実施形態では、前記B鎖のアミノ酸配列において、配列番号6又は配列番号5のC末端は、配列番号32のN末端に直接に連結され、配列番号32のC末端は、リンカー配列によって配列番号17~22のいずれか1つのN末端に連結され、前記リンカー配列は、配列番号13~16のいずれか1つから選択される。
【0056】
本発明のいくつかの実施形態では、前記A鎖のアミノ酸配列が順次連結した配列番号5、31及びFcA領域から構成される場合、
前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号6、32、13、17及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号6、32、13、18及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号6、32、13、19及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号6、32、13、20及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号6、32、13、21及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号6、32、13、22及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号6、32、14、17及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号6、32、14、18及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号6、32、14、19及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号6、32、14、20及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号6、32、14、21及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号6、32、14、22及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号6、32、15、17及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号6、32、15、18及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号6、32、15、19及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号6、32、15、20及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号6、32、15、21及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号6、32、15、22及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号6、32、16、17及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号6、32、16、18及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号6、32、16、19及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号6、32、16、20及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号6、32、16、21及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号6、32、16、22及びFcB領域から構成される。
【0057】
上記の実施形態では、前記FcA領域のアミノ酸配列が配列番号26である場合、前記FcB領域のアミノ酸配列は配列番号27である。前記FcA領域のアミノ酸配列が配列番号27である場合、前記FcB領域のアミノ酸配列は配列番号26である。前記FcA領域のアミノ酸配列が配列番号29である場合、前記FcB領域のアミノ酸配列は配列番号30である。前記FcA領域のアミノ酸配列が配列番号30である場合、前記FcB領域のアミノ酸配列は配列番号29である。
【0058】
本発明のいくつかの実施形態では、前記第1機能結合領域はBCMAを標的とする。
【0059】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、前記A鎖において、VHのアミノ酸配列は配列番号7又は9を含み、VLのアミノ酸配列は配列番号8又は10を含み、CH1のアミノ酸配列は配列番号31を含み、CLのアミノ酸配列は配列番号32を含み、FcA領域のアミノ酸配列は配列番号26又は配列番号27を含み、
前記B鎖において、VHのアミノ酸配列は配列番号7又は9を含み、VLのアミノ酸配列は配列番号8又は10を含み、CH1のアミノ酸配列は配列番号31を含み、CLのアミノ酸配列は配列番号32を含み、第2機能結合領域のアミノ酸配列は配列番号17~22のいずれか1つを含み、FcB領域のアミノ酸配列は配列番号27又は配列番号26を含む。
【0060】
本発明のいくつかの特定の実施形態では、前記B鎖のアミノ酸配列において、配列番号7、8、9又は10のC末端は、配列番号32のN末端に直接に連結され、配列番号32のC末端は、リンカー配列によって配列番号17~22のいずれか1つのN末端に連結され、前記リンカー配列は、配列番号13~16のいずれか1つから選択される。
【0061】
本発明のいくつかの実施形態では、前記A鎖のアミノ酸配列が順次連結した配列番号7、31及びFcA領域から構成される場合、
前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号8、32、13、17及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号8、32、13、18及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号8、32、13、19及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号8、32、13、20及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号8、32、13、21及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号8、32、13、22及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号8、32、14、17及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号8、32、14、18及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号8、32、14、19及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号8、32、14、20及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号8、32、14、21及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号8、32、14、22及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号8、32、15、17及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号8、32、15、18及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号8、32、15、19及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号8、32、15、20及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号8、32、15、21及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号8、32、15、22及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号8、32、16、17及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号8、32、16、18及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号8、32、16、19及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号8、32、16、20及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号8、32、16、21及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号8、32、16、22及びFcB領域から構成される。
【0062】
本発明の他の実施形態では、前記A鎖のアミノ酸配列が順次連結した配列番号9、31及びFcA領域から構成される場合、
前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号10、32、13、17及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号10、32、13、18及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号10、32、13、19及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号10、32、13、20及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号10、32、13、21及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号10、32、13、22及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号10、32、14、17及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号10、32、14、18及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号10、32、14、19及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号10、32、14、20及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号10、32、14、21及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号10、32、14、22及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号10、32、15、17及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号10、32、15、18及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号10、32、15、19及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号10、32、15、20及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号10、32、15、21及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号10、32、15、22及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号10、32、16、17及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号10、32、16、18及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号10、32、16、19及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号10、32、16、20及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号10、32、16、21及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号10、32、16、22及びFcB領域から構成される。
【0063】
上記の実施形態では、前記FcA領域のアミノ酸配列が配列番号26である場合、前記FcB領域のアミノ酸配列は配列番号27である。前記FcA領域のアミノ酸配列が配列番号27である場合、前記FcB領域のアミノ酸配列は配列番号26である。
【0064】
本発明のいくつかの実施形態では、前記第1機能結合領域はTrop-2を標的とし、前記A鎖において、VHのアミノ酸配列は配列番号11を含み、VLのアミノ酸配列は配列番号12を含み、CH1のアミノ酸配列は配列番号31を含み、CLのアミノ酸配列は配列番号32を含み、FcA領域のアミノ酸配列は配列番号26又は配列番号27を含み、
前記B鎖において、VHのアミノ酸配列は配列番号11を含み、VLのアミノ酸配列は配列番号12を含み、CH1のアミノ酸配列は配列番号31を含み、CLのアミノ酸配列は配列番号32を含み、第2機能結合領域のアミノ酸配列は配列番号17~22のいずれか1つを含み、FcB領域のアミノ酸配列は配列番号27又は配列番号26を含む。
【0065】
本発明のいくつかの特定の実施形態では、前記B鎖のアミノ酸配列において、配列番号12又は配列番号11のC末端は、配列番号32のN末端に直接に連結され、配列番号32のC末端は、リンカー配列によって配列番号17~22のいずれか1つのN末端に連結され、前記リンカー配列は、配列番号13~16のいずれか1つから選択される。
【0066】
本発明のいくつかの実施形態では、前記A鎖のアミノ酸配列が順次連結した配列番号11、31及びFcA領域から構成される場合、
前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号12、32、13、17及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号12、32、13、18及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号12、32、13、19及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号12、32、13、20及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号12、32、13、21及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号12、32、13、22及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号12、32、14、17及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号12、32、14、18及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号12、32、14、19及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号12、32、14、20及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号12、32、14、21及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号12、32、14、22及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号12、32、15、17及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号12、32、15、18及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号12、32、15、19及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号12、32、15、20及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号12、32、15、21及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号12、32、15、22及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号12、32、16、17及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号12、32、16、18及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号12、32、16、19及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号12、32、16、20及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号12、32、16、21及びFcB領域から構成され、
又は、前記B鎖のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号12、32、16、22及びFcB領域から構成される。
【0067】
上記の実施形態では、前記FcA領域のアミノ酸配列が配列番号26である場合、前記FcB領域のアミノ酸配列は配列番号27である。前記FcA領域のアミノ酸配列が配列番号27である場合、前記FcB領域のアミノ酸配列は配列番号26である。
【0068】
本発明のいくつかの実施形態では、前記第1機能結合領域がGPC3を標的とする場合、前記第1アームにおける鎖1のアミノ酸配列が順次連結した配列番号1、31及びFcA領域から構成されると、前記第1アームにおける鎖2のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号2及び32から構成され、前記第2アームのアミノ酸配列は、順次連結した配列番号17~22のいずれか1つ及びFcB領域から構成され、前記FcA領域のアミノ酸配列が配列番号26であると、前記FcB領域のアミノ酸配列は配列番号27であり、又は、前記FcA領域のアミノ酸配列が配列番号27であると、前記FcB領域のアミノ酸配列は配列番号26である。
【0069】
本発明の他の実施形態では、前記第1機能結合領域がPD-L1を標的とする場合、前記第1アームにおける鎖1のアミノ酸配列が順次連結した配列番号5、31及びFcA領域から構成されると、前記第1アームにおける鎖2のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号6及び32から構成され、前記第2アームのアミノ酸配列は、順次連結した配列番号17~22のいずれか1つ及びFcB領域から構成され、前記FcA領域のアミノ酸配列が配列番号26であると、前記FcB領域のアミノ酸配列は配列番号27であり、又は、前記FcA領域のアミノ酸配列が配列番号27であると、前記FcB領域のアミノ酸配列は配列番号26であり、又は、前記FcA領域のアミノ酸配列が配列番号29であると、前記FcB領域のアミノ酸配列は配列番号30であり、又は、前記FcA領域のアミノ酸配列が配列番号30であると、前記FcB領域のアミノ酸配列は配列番号29である。
【0070】
本発明の他の実施形態では、前記第1機能結合領域がBCMAを標的とする場合、前記第1アームにおける鎖1のアミノ酸配列が順次連結した配列番号7、31及びFcA領域から構成されると、前記第1アームにおける鎖2のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号8及び32から構成され、又は、前記第1アームにおける鎖1のアミノ酸配列が順次連結した配列番号9、31及びFcA領域から構成されると、前記第1アームにおける鎖2のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号10及び32から構成され、前記第2アームのアミノ酸配列は、順次連結した配列番号17~22のいずれか1つ及びFcB領域から構成され、前記FcA領域のアミノ酸配列が配列番号26であると、前記FcB領域のアミノ酸配列は配列番号27であり、又は、前記FcA領域のアミノ酸配列が配列番号27であると、前記FcB領域のアミノ酸配列は配列番号26である。
【0071】
本発明の他の実施形態では、前記第1機能結合領域がTrop-2を標的とする場合、前記第1アームにおける鎖1のアミノ酸配列が順次連結した配列番号11、31及びFcA領域から構成されると、前記第1アームにおける鎖2のアミノ酸配列は、順次連結した配列番号12及び32から構成され、前記第2アームのアミノ酸配列は、順次連結した配列番号17~22のいずれか1つ及びFcB領域から構成され、前記FcA領域のアミノ酸配列が配列番号26であると、前記FcB領域のアミノ酸配列は配列番号27であり、又は、前記FcA領域のアミノ酸配列が配列番号27であると、前記FcB領域のアミノ酸配列は配列番号26である。
【0072】
本発明の第3態様は、第1又は第2態様に記載の二重特異性組換えタンパク質をコードする核酸分子を提供する。
【0073】
本発明の第4態様は、第3態様に記載の核酸分子を含む組換え発現ベクターを提供する。
【0074】
本発明の第5態様は、第4態様に記載の発現ベクターによって宿主細胞を形質転換することによって得られる組換え細胞を提供する。
【0075】
本発明の第6態様は、第5態様に記載の組換え細胞を使用して前記二重特異性組換えタンパク質を発現させる工程を含む第1又は第2態様に記載の二重特異性組換えタンパク質を調製する方法を提供する。
【0076】
本発明の第7態様は、第1又は第2態様に記載の二重特異性組換えタンパク質を含む薬剤又は医薬組成物を提供する。
【0077】
本発明のいくつかの実施形態では、前記医薬組成物は、薬学的に許容される担体を更に含む。
【0078】
本発明の第8態様は、疾患の治療、補助療法又は予防のための薬剤の調製における、第1又は第2態様に記載の二重特異性組換えタンパク質、又は第7態様に記載の薬剤又は医薬組成物の使用を提供する。
【0079】
本発明のいくつかの実施形態では、前記疾患は、腫瘍、肝疾患及びウイルス感染症から選択される。
【0080】
本発明のいくつかの特定の実施形態では、前記疾患は、GPC3、BCMA、PD-L1、Trop-2、5T4、AGS-16、ALK1、ANG-2、B7-H3、B7-H4、c-fms、c-Met、CA6、CD123、CD19、CD20、CD22、CD24、EpCAM、CD30、CD32b、CD37、CD38、CD40、CD52、CD70、CD74、CD79b、CD98、CEA、CEACAM5、CLDN18.2、CLDN6、CS1、CXCR4、DLL-4、EGFR、EGFRvIII、EGP-1、ENPP3、EphA3、ETBR、FGFR2、FN、FR-α、GCC、GD2、GPNMB、HER2、HER3、HLA-DR、ICAM-1、IGF-1R、IL-3R、LIV-1、MSLN、MUC16、MUC1、NaPi2b、ネクチン-4、Notch2、Notch1、PD-L2、PDGFR-α、PS、PSMA、SLTRK6、STEAP1、TEM1、VEGFR、CD25、CD27L、DKK-1、CSF-1R、MSB0010718C、CD138、Siglec15又はCD155陽性関連疾患である。
【0081】
本発明のいくつかの実施形態では、前記腫瘍は、乳癌、腸癌、膵臓癌、食道癌、卵巣癌、胃癌、前立腺癌、腎臓癌、子宮頸癌、骨髄腫、リンパ腫、白血病、甲状腺癌、子宮癌、膀胱癌、神経内分泌癌、頭頸部癌、肝臓癌、上咽頭癌、精巣癌、肺癌、黒色腫、皮膚癌、肉腫、神経膠腫、中皮腫及び骨髄異形成症候群から選択される。
【0082】
本発明のいくつかの特定の実施形態では、前記腸癌は結腸直腸癌を含み、前記卵巣癌は卵黄嚢腫瘍を含み、前記神経内分泌癌はメルケル細胞癌を含み、前記肺癌は小細胞肺癌及び非小細胞肺癌を含み、前記皮膚癌は基底細胞癌及び扁平上皮癌を含み、前記肉腫は隆起性皮膚線維肉腫を含み、前記神経膠腫は神経膠芽腫を含み、前記子宮癌は子宮内膜癌及び子宮肉腫を含む。
【0083】
本明細書において、「組換えタンパク質」という用語は、天然に存在するタンパク質ではなく、人工的に設計/構築されたタンパク質を指す。本発明の「組換えタンパク質」における「組換え」は、その製造方法を表すものではなく、「組換えタンパク質」が天然に存在しないことを示すためにのみ使用される。本発明の組換えタンパク質は、発現されたタンパク質又は組み立てられたタンパク質であり得る。
【0084】
本明細書において、「抗体」という用語は、一般に、免疫グロブリン遺伝子又は免疫グロブリン遺伝子断片によって本質的にコードされる1つ又は複数のポリペプチドを含むタンパク質を指す。免疫グロブリン遺伝子には、κ、λ、α、γ、δ、ε及びμ定常領域遺伝子のほか、多数の免疫グロブリン可変領域遺伝子が含まれる。本明細書において、軽鎖はκ又はλに分類される。重鎖はγ、μ、α、δ又はεに分類され、それぞれIgG、IgM、IgA、IgD及びIgEという免疫グロブリンを定義する。本出願における抗体は、四量体からなる構造単位を有することができる。各四量体は2対の同一のポリペプチド鎖から構成され、各対は1つの「軽鎖」(約25kD)及び1つの「重鎖」(約50~70kD)を有する。各メンバーのN末端は、主に抗原認識に関与する約100~110個以上のアミノ酸からなる可変領域を定義することができる。本明細書において、軽鎖可変領域(VL)及び重鎖可変領域(VH)という用語は、一般に、それぞれ軽鎖及び重鎖のこれらの領域を指す。抗体は、無傷の免疫グロブリンとして、又は様々なペプチダーゼによる消化やデノボ発現によって生成される多くの完全に特徴付けられた断片として存在することができる(その他の抗体断片に関するより詳細な説明は、Fundamental Immunology,W.E.Paul編,Raven Press,N.Y.(1993)を参照)。
【0085】
本明細書において、「第1機能抗原」又は「標的抗原」という用語は、第1機能結合領域に結合した抗原を指す。
【0086】
本明細書において、「第2機能抗原」という用語は、第2機能結合領域に結合した抗原を指す。
【0087】
本明細書において、「Fc領域」(fragment crystallizable、Fc)という用語は、IgG定常領域CH2及びCH3ドメイン、並びにヒンジ領域から構成される。
【0088】
本明細書において、「抗原結合フラグメント」又は「Fabフラグメント」又は「Fab」という用語は、軽鎖可変領域(VL)、軽鎖定常領域(CL)、重鎖可変領域(VH)及び重鎖定常領域1(CL1)ドメインから構成され、抗原に結合することができる。
【0089】
本明細書において、「knobs-into-holes技術」又は「杵臼」技術又は「ノブ・イントゥ・ホール」技術又は「ボタン」技術という用語は、遺伝子工学技術を使用して、重鎖の2つのCH3ドメインに異なる突然変異を導入して、重鎖のヘテロ二量体化を誘導し、一方の重鎖に1つのノブ(knob)を作製し、他方の重鎖にホール(hole)を作製した後、両者を優先的に結合させて非対称抗体を形成する(Ridgway JB,et al.‘Knobs-into-holes’engineering of antibody CH3 domains for heavy chain heterodimerization.Protein Engineering,1996,9(7):617-621)。当業者に知られているように、一方の重鎖に複数のノブ(knob)及び/又はホール(hole)を作製することができ、それに対応して、他方の重鎖に複数のホール(hole)及び/又はノブ(knob)を作製することができる。
【0090】
「抗原特異性」という用語は、抗原結合分子が特定の抗原又はそのエピトープを選択的に認識することを指す。
【0091】
本明細書において、アミノ酸残基に適用される場合、「置換」又は「変換」又は「突然変異」という用語は、ペプチド、ポリペプチド又はタンパク質において、天然に存在するか又は導入された1つ又は複数のアミノ酸を別のアミノ酸で置換して、新規なペプチド、ポリペプチド又はタンパク質を形成することを指す(例えば、本明細書における「突然変異体」又は「突然変異型」という用語)。ポリペプチド又はタンパク質における置換は、ポリペプチド又はタンパク質の機能の低下又は不変をもたらす可能性がある。置換は「保存的置換」であってもよく、アミノ酸配列の文脈では、1つのアミノ酸残基を物理化学的特性が類似した別の側鎖の異なるアミノ酸残基で置換することを指し、又はポリペプチドの活性にとって重要ではないアミノ酸を置換することを指す。例えば、非極性側鎖アミノ酸残基間(例えば、Met、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe及びTrp)、非荷電極性側鎖残基間(例えば、Cys、Ser、Thr、Asn、Gly及びGln)、酸性側鎖残基間(例えば、Asp及びGlu)、塩基性側鎖アミノ酸間(例えば、His、Lys及びArg)、β分岐側鎖アミノ酸間(例えば、Thr、Val及びIle)、硫黄含有側鎖アミノ酸間(例えば、Cys及びMet)、又は芳香族側鎖残基間(例えば、Trp、Tyr、His及びPhe)で保存的置換を実行することができる。いくつかの実施形態では、置換、欠失又は付加も「保存的置換」と見なすことができる。挿入又は欠失されるアミノ酸の数は、約1~5の範囲であり得る。保存的置換は、一般に、タンパク質の立体構造に大きな変化を引き起こさないため、タンパク質の生物学的活性を維持することができる。
【0092】
本明細書において、「二重陽性発現細胞」又は「標的細胞」又は「ターゲット細胞」という用語は、第1機能結合領域及び第2機能結合領域の両方と相互作用することができる細胞を指す。
【0093】
本明細書において、「第2機能抗原単一陽性細胞」又は「非標的細胞」又は「非ターゲット細胞」という用語は、第1機能結合領域と相互作用せず、第2機能結合領域とのみ相互作用する細胞を指す。
【0094】
本明細書において、「インターフェロン」(IFN)という用語は、一般に、病原体(例えば、ウイルス、細菌、寄生虫又は腫瘍細胞)の存在に応答して宿主細胞によって産生/放出されるシグナル伝達タンパク質を指す。インターフェロンには主に3つのタイプ(すなわち、I型、II型、III型)があり、I型インターフェロンにはIFNα及びIFNβが含まれ、IFNαにはIFNα2、IFNα4などのIFNαのサブタイプが含まれる。I型インターフェロンは、ウイルスの複製を阻害し、抗寄生虫活性を有し、細胞増殖を阻害し、免疫細胞の細胞傷害活性を刺激し、免疫調節に関与し、抗腫瘍効果を示すことができる。II型及びIII型インターフェロンには、IFNγ、IFNλ1(IL-29)、IFNλ2(IL-28a)及びIFNλ3(IL-28b)が含まれる。本明細書において、「インターフェロン」という用語は、全長インターフェロン、又はそのフラグメント(例えば、トランケート型)又は変異体を含み、前記そのフラグメント又は変異体は、対応するインターフェロン受容体に結合し、その細胞増殖阻害生物学的活性を保持することができる。本明細書において、インターフェロンは、任意の哺乳類に由来する。いくつかの実施形態では、インターフェロンは、ヒト、ウマ、ウシ、マウス、ブタ、ウサギ、ネコ、イヌ、ラット、ヤギ、ヒツジ及び非ヒト霊長類からなる群より選択される種に由来する。
【0095】
本明細書において、「IFNα」又は「インターフェロンα」という用語は、すべての天然型又は組換えインターフェロンαを含み、特に好ましくは、IFN-α 2b(例えば、Intron(登録商標)Aインターフェロン又はViraferon(登録商標)-Aインターフェロン、Schering社(ニュージャージー州ケニルワース)から入手可能)又はIFN-α 2a(例えば、Roferon(登録商標)-Aインターフェロン、Hoffmann-La Roche(ニュージャージー州ナトリー)から入手可能)を含むがこれらに限定されない組換えヒトインターフェロンαなどのヒトインターフェロンαであり、別の例として、IFN-α-n1(例えば、Wellferon(登録商標)インターフェロンα-n1、住友(日本)又はGlaxo-Wellcome社(英国ロンドン)から入手可能)又はIFN-α-n3(例えば、Alferon N(登録商標)インターフェロン、Interferon Sciencesから入手可能)を含むがこれらに限定されない天然型インターフェロンαの混合物である。本発明において、「IFNα」又は「インターフェロンα」という用語は、IFNαのPEG誘導体(PEG-IFNα)などの突然変異又は修飾されたIFNαなど、IFNαの生物学的活性を有する任意の物質も含む。本発明において、「IFNα」又は「インターフェロンα」という用語は、いかなる特定の入手源にも限定されず、商業的供給源から入手するか又は当業者に公知の従来の技術によって製造することができ、当該製造方法は、例えば、「Pestka S.Arch Biochem Biophys.1983 Feb 15;221(1):1-37」に詳細に記載されている、生物源抽出法及び遺伝子工学的抽出法を含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、IFNαは、ヒト、ウマ、ウシ、マウス、ブタ、ウサギ、ネコ、イヌ、ラット、ヤギ、ヒツジ及び非ヒト霊長類からなる群より選択される種に由来する。
【0096】
本明細書において、「IFNα2b」又は「IFN-α2b」又は「IFN-α 2b」又は「インターフェロン-α 2b」という用語は、IFN-αのサブタイプであり、いずれもインターフェロン-α 2bを指す。シグナルペプチド含有ヒト野生型インターフェロン-α 2bのアミノ酸配列は、配列番号15に示される通りである。
【0097】
本明細書において、「低親和性突然変異体」という用語は、野生型IFNαと比較して、増殖阻害活性又は抗ウイルス機能活性が変化しないか又は低下しているIFNα突然変異体を指す。
【0098】
本明細書において、「リンカー配列」又は「Linker」という用語は、異なる機能結合フラグメント(例えば、第1機能結合領域及び第2機能結合領域、第1機能結合領域又は第2機能結合領域及びFc領域)を連結するか又は同じ機能結合フラグメント内の異なるドメインを連結するアミノ酸配列を指す。
【0099】
本明細書において、「GC33」、「Codrituzumab」、「抗GPC3 mAb」という用語は、本発明において交互に使用することができ、抗GPC3抗体Codrituzumabを指す。
【0100】
本明細書において、「アテゾリズマブ」、「Atezolizumab」、「抗PD-L1 mAb」という用語は、本発明において交互に使用することができ、抗PD-L1抗体Atezolizumabを指す。
【0101】
本明細書において、「宿主細胞」という用語は、一般に、本明細書に開示されるポリヌクレオチドを含むか、又は本出願のタンパク質ヘテロ二量体(例えば、ヘテロ二量体タンパク質)を発現する、対象のプラスミド又はベクターのレシピエントであり得るか、又はレシピエントであった、単一の細胞、細胞株又は細胞培養物を含む。宿主細胞は、単一の宿主細胞の子孫を含むことができる。自然、偶発的又は意図的突然変異により、子孫は必ずしも元の親細胞と同一(形態学的にも総ゲノムDNA相補的にも)であるとは限らない。宿主細胞は、本明細書に開示されるベクターでインビトロでトランスフェクトされた細胞を含むことができる。宿主細胞は、細菌細胞(例えば、大腸菌(E.coli))、酵母細胞、又はHEK293細胞、COS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、HeLa細胞又は骨髄腫細胞などの他の真核細胞であり得る。いくつかの実施形態では、宿主細胞は哺乳動物細胞である。いくつかの実施形態では、前記哺乳動物細胞はCHO細胞である。
【0102】
本明細書において、「ベクター」という用語は、一般に、挿入された核酸分子を宿主細胞へ、及び/又は宿主細胞間で伝達する、適切な宿主内で自己複製可能な核酸分子を指す。当該用語は、主に細胞へのDNA又はRNAの挿入に使用されるベクター、主にDNA又はRNAの複製に使用されるベクター、及びDNA又はRNAの転写及び/又は翻訳に使用される発現ベクターを含むことができる。また、上記の機能の複数を提供するベクターも含まれる。「発現ベクター」とは、適切な宿主細胞に導入されたときに転写され、ポリペプチドに翻訳され得るポリヌクレオチドである。「発現系」とは、一般に、所望の発現量を生成することができる発現ベクターを含む適切な宿主細胞を意味する。
【0103】
「有効量」又は「治療有効量」という用語は、意図される使用(疾患治療を含むが、これに限定されない)を達成するのに十分な組成物(例えば、本明細書に記載の二重特異性組換えタンパク質)の量を指す。治療有効量は、意図される使用(例えば、インビトロ又はインビボ)、又は治療対象となる被験者及び病状(例えば、被験者の体重及び年齢、病状の重篤度、投与方法など)に応じて変化することができ、当業者によって容易に決定され得る。当該用語は、標的細胞において特定の応答(例えば、標的遺伝子の誘導、増殖及び/又はアポトーシス)を誘導する用量にも適用され得る。具体的な用量は、選択する特定の化合物、投与計画、他の化合物との併用投与、投与のタイミング、投与する組織、及び投与する物理的送達システムによって異なる。
【0104】
「治療」又は「治癒」又は「緩和」又は「改善」という用語は、本明細書において交互に使用することができ、有益な又は所望の結果(治療上の有益性及び/又は予防上の有益性を含むが、これらに限定されない)を得る方法を指す。本明細書において、治療上の有益性とは、一般に、治療対象となる基礎疾患の重篤度の根絶又は軽減を指す。更に、被験者において改善が観察されるように(被験者は依然として基礎疾患に罹患している可能性がある)、重篤度の根絶又は軽減、又は基礎疾患に関連する1つ又は複数の生理学的症状の発生率の低下によって治療上の有益性を達成する。予防上の有益性のために、特定の疾患を発症する危険性がある被験体、又は疾患の診断がなされていなくても、疾患の1つ又は複数の生理学的症状を報告する被験体に、組成物を投与することができる。
【0105】
本明細書において、「治療効果」という用語は、一般に、上記の治療上の有益性及び/又は予防上の有益性を含む。予防効果には、疾患又は病態の発症を遅延又は排除すること、疾患又は病態の症状の発症を遅延又は排除すること、疾患又は病態の進行を遅延、停止又は逆転させること、又はそれらの任意の組み合わせが含まれる。
【0106】
本明細書において、「共投与」、「併用投与」という用語、及びそれらの文法的等価物は、一般に、試薬及び/又はそれらの代謝産物が被験体中に同時に存在するように、2つ以上の試薬を動物に投与することを含む。共投与は、別々の組成物での同時投与、別々の組成物で異なる時間での投与、又は両方の試薬が存在する組成物での投与を含む。
【0107】
本明細書において、「細胞増殖」という用語は、一般に、分裂によって細胞数が変化する現象を指す。例えば、細胞増殖は、細胞数の増加をもたらす可能性がある。当該用語には、増殖シグナルと一致する、細胞形態が変化した(例えば、サイズの増加)細胞成長も含まれる。
【0108】
本明細書において、「増殖阻害」又は「細胞増殖の阻害」という用語は、一般に、癌細胞の成長速度及び/又は増殖速度の低下を指す。例えば、当該用語には、癌細胞の死滅(例えば、アポトーシスによる)が含まれる。いくつかの実施形態では、当該用語はまた、固形腫瘍の成長及び/又は増殖を阻害すること、及び/又は腫瘍のサイズの縮小又は除去を誘導することを指す場合がある。
【0109】
本明細書において、「凍結融解安定性」という用語は、一般に、凍結と融解を交互に受ける場合のエマルション系の安定性を指す。
【0110】
本明細書において、「被験者」又は「個体」又は「動物」又は「患者」という用語は、疾患又は状態の診断、予後、緩和、予防及び/又は治療を必要とする、ヒト又はヒト以外の動物(哺乳類又は霊長類を含む)を指す。哺乳類の被験者には、ヒト、飼育動物、家畜、動物園の動物、運動場の動物又はペット、例えば、イヌ、ネコ、モルモット、ウサギ、ラット、マウス、ウマ、ブタ、ウシ、クマなどが含まれる。
【0111】
本明細書において、「インビボ」という用語は、一般に、被験体の体内で起こる事象を指す。
【0112】
本明細書において、「インビトロ」という用語は、一般に、被験体の体外で起こる事象を指す。例えば、インビトロアッセイには、被験体の体外で実施されるあらゆるアッセイが含まれる。インビトロアッセイには、死細胞又は生細胞を使用する細胞ベースのアッセイが含まれる。インビトロアッセイには、無傷の細胞を使用しない無細胞アッセイも含まれる。
【0113】
本明細書において、「投与」という用語は、本発明の組換えタンパク質又は融合タンパク質を含む治療有効量の医薬組成物を被験体に送達することを指す。投与は、全身投与又は局所投与であり得る。投与は、注射器などの投与装置を用いて行うことができる。投与方法は、インプラント、経鼻吸入、噴霧、注射などを含むが、これらに限定されない。投与経路は、吸入、鼻腔内、経口、静脈内、皮下又は筋肉内投与などを含む。
【0114】
先行技術と比較して、本発明は以下の有益な効果を有する:
本発明により提供されるインターフェロン、そのトランケート型変異体、又はその突然変異体を含む、2種類の構造を有する新規な二重特異性組換えタンパク質は、高活性、高安全性及び高凍結融解安定性を有する。
【0115】
IFNα受容体を発現する細胞は、以下の有益な効果を有する:
1、本発明の二重特異性組換えタンパク質は、等モル濃度のIFNαよりも、標的抗原陽性の標的細胞に対する結合活性、ADCC活性及び増殖阻害活性が有意に強く、標的抗原陰性の非標的細胞(例えば、正常細胞)に対する結合活性及び増殖阻害活性が非有意に弱く、一部の実験では、二重特異性組換えタンパク質の非標的細胞に対する増殖阻害活性が陰性であると検出された場合さえある。すなわち、本発明の二重特異性組換えタンパク質が標的抗原を標的とする能力を持たない場合、IFNα受容体を発現する細胞に対する第2機能結合領域におけるIFNαの活性は有意に低下するか、又は関連する活性が全く見られないことさえある。
【0116】
2、抗原結合フラグメントにおけるCH1ドメインのC末端又はCLドメインのC末端と第2機能結合領域のN末端との間の異なるリンカー配列によって連結された、本発明の第1種構造を有する二重特異性組換えタンパク質は、いずれも標的抗原陽性の標的細胞に対する増殖阻害活性が強く、当該増殖阻害活性(IC50)はインターフェロン対照の増殖阻害活性よりも高く、リンカー配列が短い二重特異性組換えタンパク質の活性が比較的に弱いため、リンカー配列の長さを調節することにより、IFNα受容体を発現する細胞に対する第2機能結合領域の活性を調節することができる。
【0117】
3、野生型IFN-α 2bを含む二重特異性組換えタンパク質の標的抗原陰性の非標的細胞に対する増殖阻害活性と比較して、IFN-α 2b低親和性突然変異体を含む二重特異性組換えタンパク質の標的抗原陽性の標的細胞に対する増殖阻害活性と比較して、IFN-α 2b低親和性突然変異体を含む本発明の二重特異性組換えタンパク質の標的抗原陰性の非標的細胞に対する増殖阻害活性は同程度に低下するか、又は有意に低下する。
【0118】
4、本発明の二重特異性組換えタンパク質の潜在的危険性不純物(B鎖又は第2アームのホモ二量体)は、標的抗原陰性の非標的細胞に対する増殖阻害活性が極めて弱く、第1種構造を有する二重特異性組換えタンパク質の潜在的危険性不純物は、第2種構造を有する二重特異性組換えタンパク質の潜在的危険性不純物と比較して、標的抗原陰性の非標的細胞に対する増殖阻害活性が弱いため、本発明の二重特異性組換えタンパク質の潜在的危険性不純物がもたらす潜在的安全性リスク又は潜在的毒性副作用は極めて低く、第1種構造を有する二重特異性組換えタンパク質の潜在的危険性不純物がもたらす潜在的安全性リスク又は潜在的毒性副作用は更に低い。
【0119】
5、本発明の二重特異性組換えタンパク質は、良好な凍結融解安定性を有し、凍結融解を5回繰り返した後、純度はいずれも95%以上であり、外観は透明であり、凍結融解安定性は、IFN-α 2bモノマー又はPEG化IFN-α 2bよりも有意に優れている。
【0120】
6、本発明の二重特異性組換えタンパク質の構造は、拡張性が高く、その第1機能結合領域は、臨床適応の必要に応じて標的抗原を標的とする特異的抗体の抗原結合フラグメントを構築することができるため、従来の抗体医薬品スクリーニングにかかる時間を有意に短縮し、医薬品スクリーニング効率を向上させ、スクリーニングコストを削減することができる。
【0121】
要約すると、本発明に係る二重特異性組換えタンパク質は、標的細胞に対する殺傷効果を有意に向上させると同時に、非標的細胞への結合によって引き起こされる毒性副作用を有意に減少させることができ、より優れた安全性及び良好な凍結融解安定性を有する。以下、本発明の目的、特徴及び効果を十分に理解するために、本発明の概念、具体的な構造及び技術的効果について、添付図面と併せてさらに説明する。
【0122】
[図面の簡単な説明]
[
図1]本発明の第1種構造を有する二重特異性組換えタンパク質の構造模式図である。
【0123】
[
図2]本発明の第2種構造を有する二重特異性組換えタンパク質の構造模式図である。
【0124】
[
図3]本発明の第1種構造を有する二重特異性組換えタンパク質のアフィニティーキャプチャー後の非還元SDS-PAGE電気泳動図である。
【0125】
[
図4]本発明の第1種構造を有する二重特異性組換えタンパク質のアフィニティーキャプチャー後の還元SDS-PAGE電気泳動図である。
【0126】
[
図5]本発明の第1種構造を有する二重特異性組換えタンパク質の精製後の非還元SDS-PAGE電気泳動図である。
【0127】
[
図6]本発明の第2種構造を有する二重特異性組換えタンパク質のカッパ精製後の非還元SDS-PAGE電気泳動図である。
【0128】
[
図7]フローサイトメトリーによって決定された、標的細胞HepG2肝臓癌細胞に対する本発明の二重特異性組換えタンパク質(第1種構造)及び対照試料の結合活性を示すグラフである。
【0129】
[
図8]フローサイトメトリーによって決定された、標的細胞HuH-7に対する本発明の二重特異性組換えタンパク質(第1種構造)及び対照試料の結合活性を示すヒストグラムである。
【0130】
[
図9]フローサイトメトリーによって決定された、標的細胞HepG2に対する本発明の二重特異性組換えタンパク質(第2種構造)及び対照試料の結合活性を示すグラフである。
【0131】
[
図10]LDH法によって決定された、標的細胞HepG2に対する本発明の二重特異性組換えタンパク質(第1種構造)のADCC活性を示すグラフである。
【0132】
[
図11]LDH法によって決定された、標的細胞HepG2に対する本発明の二重特異性組換えタンパク質(第2種構造)及び対照試料のADCC活性を示すグラフである。
【0133】
[
図12]標的細胞HuH-7に対する、本発明のリンカー配列が異なる二重特異性組換えタンパク質(第1種構造)の増殖阻害活性を示すグラフである。
【0134】
[
図13]GPC3陽性の標的細胞HuH-7に対する、GPC3抗原を標的とする機能を有する二重特異性組換えタンパク質(第1種構造)及び対照試料の増殖阻害活性を示すグラフである。
【0135】
[
図14]PD-L1陽性の標的細胞MDA-MB-231に対する本発明の二重特異性組換えタンパク質(第1種構造)の増殖阻害活性を示すグラフである。
【0136】
[
図15]抗PD-L1抗体閉鎖後のMDA-MB-231に対する本発明の二重特異性組換えタンパク質(第1種構造)の増殖阻害活性を示すグラフである。
【0137】
[
図16]GPC3陽性の標的細胞HuH-7に対する、本発明の異なるIFN-α2b低親和性突然変異体を含む二重特異性組換えタンパク質(第1種構造)の増殖阻害活性を示すグラフである。
【0138】
[
図17]GPC3陰性の非標的細胞SW480に対する、本発明の異なるIFN-α2b低親和性突然変異体を含む二重特異性組換えタンパク質(第1種構造)の増殖阻害活性を示すグラフである。
【0139】
[
図18]GPC3陰性の非標的細胞U266に対する、本発明の異なるIFN-α2b低親和性突然変異体を含む二重特異性組換えタンパク質(第1種構造)の増殖阻害活性を示すグラフである。
【0140】
[
図19]Trop-2陽性の標的細胞OVCAR3に対する、本発明の異なるIFN-α2b低親和性突然変異体を含む二重特異性組換えタンパク質(第1種構造)の増殖阻害活性を示すグラフである。
【0141】
[
図20]Trop-2陽性の標的細胞MDA-MB-231に対する、本発明の異なるIFN-α2b低親和性突然変異体を含む二重特異性組換えタンパク質(第1種構造)の増殖阻害活性を示すグラフである。
【0142】
[
図21]Trop-2陰性の非標的細胞NCI-H929に対する、本発明の異なるIFN-α2b低親和性突然変異体を含む二重特異性組換えタンパク質(第1種構造)の増殖阻害活性を示すグラフである。
【0143】
[
図22]BCMA陽性の標的細胞NCI-H929に対する、本発明の異なるIFN-α2b低親和性突然変異体を含む二重特異性組換えタンパク質(第1種構造)の増殖阻害活性を示すグラフである。
【0144】
[
図23]BCMA陰性の非標的細胞HuH-7に対する、本発明の異なるIFN-α2b低親和性突然変異体を含む二重特異性組換えタンパク質(第1種構造)の増殖阻害活性を示すグラフである。
【0145】
[
図24]BCMA陰性の非標的細胞MDA-MB-231に対する、本発明の異なるIFN-α2b低親和性突然変異体を含む二重特異性組換えタンパク質(第1種構造)の増殖阻害活性を示すグラフである。
【0146】
[
図25]PD-L1陽性の標的細胞MDA-MB-231に対する、本発明の異なるIFN-α2b低親和性突然変異体を含む二重特異性組換えタンパク質(第1種構造)の増殖阻害活性を示すグラフである。
【0147】
[
図26]PD-L1陰性の標的細胞OVCAR3に対する、本発明の異なるIFN-α2b低親和性突然変異体を含む二重特異性組換えタンパク質(第1種構造)の増殖阻害活性を示すグラフである。
【0148】
[
図27]GPC3陽性の標的細胞HuH-7に対する、本発明の異なるIFN-α2b低親和性突然変異体を含む二重特異性組換えタンパク質(第2種構造)の増殖阻害活性を示すグラフである。
【0149】
[
図28]GPC3陰性の非標的細胞SW480に対する、本発明の異なるIFN-α2b低親和性突然変異体を含む二重特異性組換えタンパク質(第2種構造)の増殖阻害活性を示すグラフである。
【0150】
[
図29]GPC3陰性の非標的細胞MDA-MB-231に対する、本発明の異なるIFN-α2b低親和性突然変異体を含む二重特異性組換えタンパク質(第2種構造)の増殖阻害活性を示すグラフである。
【0151】
[
図30]GPC3陰性の非標的細胞U266に対する、本発明の異なるIFN-α2b低親和性突然変異体を含む二重特異性組換えタンパク質(第2種構造)の増殖阻害活性を示すグラフである。
【0152】
[
図31]GPC3陰性の非標的細胞MDA-MB-231に対する、本発明の二重特異性組換えタンパク質の潜在的危険性不純物の増殖阻害活性を示すグラフである。
【0153】
[
図32]BALB/cヌードマウスHuH-7皮下腫瘍モデルに対する、本発明の二重特異性組換えタンパク質の抗腫瘍効果を示すグラフである。
【0154】
[
図33]BALB/cヌードマウスHuH-7皮下腫瘍モデルにおける、本発明の二重特異性組換えタンパク質の抗腫瘍効果を示すヒストグラムである。
【0155】
[
図34]PBMCヒト化M-NSGマウスMDA-MB-231モデルにおける、本発明の二重特異性組換えタンパク質の抗腫瘍効果を示すヒストグラムである。
【0156】
[発明を実施するための形態]
本発明の技術的手段、独創的特徴、目的及び効果を理解しやすくするために、以下、具体的な例示を参照して本発明をさらに詳しく説明する。しかし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0157】
実施例1:二重特異性組換えタンパク質の設計
本発明の二重特異性組換えタンパク質の構造は
図1及び
図2に示された通りであり、前記二重特異性組換えタンパク質は、標的抗原を標的とする第1機能結合領域と、IFN-α2b又はその低親和性突然変異体、又はIFNα機能を保持したトランケート型変異体又はその突然変異体からなる第2機能結合領域と、Fc領域とを含む。ここで、第2機能結合領域のC末端は、Fc領域に直接に連結されるか、又はリンカー配列によって連結され、第1機能結合領域のC末端は、Fc領域に直接に連結されるか、又はリンカー配列によって連結され、第1機能結合領域の可変領域(V領域)及び定常領域(C領域)は、直接に連結されるか、又はリンカー配列によって連結され、Fc領域は、通常のIgG構造であり得るか、又はknobs-into-holes技術を利用した領域であってもよく、第1機能結合領域と第2機能結合領域との連結関係には2つの構造があり、それぞれ下記のようである。
【0158】
第2機能結合領域のN末端が、Fc領域に連結されていない第1機能結合領域のCL又はCH1のC末端に直接に連結されるか、又はリンカー配列によって連結される、第1種構造(
図1に示される)、
第2機能結合領域のN末端が第1機能結合領域から分離されている、すなわち、第2機能結合領域のN末端が他の機能フラグメント(シグナルペプチドを除く)に連結されていない、第2種構造(
図2に示される)。
【0159】
本実施例では、ヒトIFN-α 2b(Genebank:AAP20099.1)から選択される第2機能結合領域を例として、本発明の二重特異性組換えタンパク質の設計を説明する。IFNαファミリーは15のサブタイプから構成され、異なるサブタイプは類似した構造と高い配列相同性(80~99%)を有し、同じIFN受容体に結合し、いずれも抗ウイルス、増殖阻害、抗腫瘍及び免疫調節機能を有する。IFN-α 2bで得られる技術的効果については、IFNαの他のサブタイプでも一貫した技術的効果を達成することができる(British Journal of Pharmacology (2013) 168 1048-1058)ため、ここでは繰り返さない。
【0160】
第1種構造を有する二重特異性組換えタンパク質は表1に示される通りであり、第2種構造を有する二重特異性組換えタンパク質は表2に示される通りであり、対照試料は表3に示される通りである。
【0161】
【0162】
【0163】
【0164】
上記の表1及び表2において、(H)は重鎖VH及びCH1からなるドメインを指し、(L)は軽鎖VL及びCLからなるドメインを指し、GC33は抗グリピカン3(GPC3)モノクローナル抗体Codrituzumabを表し、Fcは野生型Fc領域を表し、Fc1はhole又はholes突然変異を有するFc領域を表し、Fc2はknob又はknobs突然変異を有するFc領域を表す。
【0165】
表1及び表2に記載の配列名に対応する配列番号は表4-1及び表4-2に示される通りである。ここで、第1種構造を有するA鎖及びB鎖のシグナルペプチド、及び第2種構造を有する第1アーム(H+L)のシグナルペプチドは、配列番号23に示される通りであり、第2種構造を有する第2アームのシグナルペプチドは、配列番号24に示される通りであり、IFNα2bの天然型シグナルペプチドである。表3において、IFN-α 2b-Fcのアミノ酸配列は、順次連結した配列番号17及び配列番号25から構成され、対応するシグナルペプチドの配列は配列番号24に示される通りであり、IFN-α 2bのアミノ酸配列は配列番号17に示される通りである。Codrituzumabのアミノ酸配列は特許US7919086から引用され、重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号1に示される通りであり、軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号2に示される通りである。Atezolizumabのアミノ酸配列は特許US20100203056から引用され、重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号5に示される通りであり、軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号6に示される通りである。Palivizumabのアミノ酸配列は特許WO1994017105から引用され、重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号3に示される通りであり、軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号4に示される通りである。Belantamabの重鎖可変領域及び軽鎖可変領域の配列は特許US20190194338から引用され、重鎖可変領域の配列は配列番号9に示される通りであり、軽鎖可変領域の配列は配列番号10に示される通りである。Elranatamabの重鎖可変領域及び軽鎖可変領域の配列は特許US20160297885から引用され、重鎖可変領域の配列は配列番号7に示される通りであり、軽鎖可変領域の配列は配列番号8に示される通りである。hRS7の重鎖可変領域及び軽鎖可変領域の配列は特許US7517964から引用され、重鎖可変領域の配列は配列番号11に示される通りであり、軽鎖可変領域の配列は配列番号12に示される通りである。ヒトIgG1アイソタイプ対照(B117901)は、Biointron社から購入したものである。組換え発現IFN-α 2bタンパク質(Z03003)は、Nanjing GenScript Biotech Co., Ltd.から購入したものである。
【0166】
【0167】
【0168】
実施例2:二重特異性組換えタンパク質のプラスミド構築、発現及び精製
1.プラスミド構築、細胞トランスフェクション及びタンパク質の発現
二重特異性組換えタンパク質発現プラスミドは、タンパク質配列に基づいてコドン最適化して、GENEWIZ社によって合成され、pCDNA3.1プラスミドにライゲーションされ、配列決定によって配列を確認した。
【0169】
得られた発現プラスミドを0.22μmのフィルターで濾過した後、50μgのプラスミド(第1種構造を有する二重特異性組換えタンパク質の場合、A鎖及びB鎖発現プラスミドの質量比は2:1又は3:1であり、第2種構造を有する二重特異性組換えタンパク質の場合、軽鎖、重鎖及び第2アーム発現プラスミドの質量比は3:2:2である)を2mLのOptiPRO SFM培地(GIBCO)にピペッティングし、よく混合した。160μLのトランスフェクション試薬ExpiFectamine CHO試薬を2mLのOptiPRO SFM培地にピペッティングし、よく混合した。得られたトランスフェクション試薬の混合液をプラスミドを含む混合液に加え、よく混合した。プラスミドとトランスフェクション試薬の混合液を、50mLの容量と6×106生細胞/mLの細胞密度を有する宿主細胞ExpiCHO-S(Thermo Fisher)の懸濁液にゆっくりと均一に加え、37℃、8%CO2のインキュベーターで培養した。1日目(18~22時間後)に300μLのExpiCHO Enhancerと8mLのExpiCHO Feedを加え、培養温度を32℃に下げ、5日目に2回目のフィードとして8mLのExpiCHO Feedを加え、12日間培養した後細胞懸濁液を収穫した。細胞懸濁液を8000rpmで15分間遠心分離し、遠心分離によって得られた上清、すなわち細胞培養収穫液を標的タンパク質の精製に使用した。
【0170】
2.タンパク質の精製
2.1.試料キャプチャー
二重特異性組換えタンパク質の発現上清は、MabSelect SuRe(すなわち、Cytiva社から購入したプロテインA)アフィニティー担体を使用して標的タンパク質をキャプチャーし、実験プロセスは下記の通りである。
【0171】
a)平衡化:平衡化バッファー(50mM Tris-HCl、150mM NaCl、pH7.2)を使用して、UV検出ラインが安定するまでクロマトグラフィーカラムを平衡化し、
b)試料ローディング:試料ポンプを使用して試料をローディングし、保持時間は5分、ローディング容量は30mg/mL以下であり、
c)再平衡化:5カラム容量の平衡化バッファー(50mM Tris-HCl、150mM NaCl、pH7.2)を使用して、クロマトグラフィーカラムを洗浄し、
d)溶出:溶出液(50mM NaAC-HAC、pH3.5)を使用して標的タンパク質を溶出し、1M Tris緩衝液で溶出液のpHを5.5に調整し、SDS-PAGEでタンパク質の純度を検出した。
【0172】
2.2.試料の精製
2.2.1.本実施例では、TTM101-LC01を例として、第1種構造を有する二重特異性組換えタンパク質試料の精製プロセスを説明する。
【0173】
二重特異性組換えタンパク質TTM101-LC01の発現上清は、SULFATE 650F担体(TOSOH)を使用して試料から凝集体及びその他の不純物を除去し、実験プロセスは下記の通りである。
【0174】
a)平衡化:平衡化バッファー(50mM NaAC-HAC、pH5.5)を使用して、UV検出ラインが安定するまでクロマトグラフィーカラムを平衡化し、
b)試料ローディング:試料ポンプを使用して試料をローディングし、保持時間は5分、ローディング容量は50mg/mL以下であり、
c)再平衡化:5カラム容量の平衡化バッファー(50mM NaAC-HAC、pH5.5)を使用して、クロマトグラフィーカラムを洗浄し、
d)溶出:溶出液(50mM NaAC-HAC、250Mm、pH5.5)を使用して標的タンパク質を溶出し、SDS-PAGEでタンパク質の純度を検出した。
【0175】
2.2.2.本実施例では、TTM101-01を例として、第2種構造を有する二重特異性組換えタンパク質試料の精製プロセスを説明する。
【0176】
二重特異性組換えタンパク質TTM101-01の発現上清は、Kappa selectアフィニティー担体(Cytiva社)を使用して試料から不純物を除去し、実験プロセスは下記の通りである。
【0177】
a)平衡化:平衡化バッファー(50mM Tris-HCl、150mM NaCl、pH7.2)を使用して、UV検出ラインが安定するまでクロマトグラフィーカラムを平衡化し、
b)試料ローディング:試料ポンプを使用して試料をローディングし、保持時間は5分、ローディング容量は30mg/mL以下であり、
c)再平衡化:5カラム容量の平衡化バッファー(50mM Tris-HCl、150mM NaCl、pH7.2)を使用して、クロマトグラフィーカラムを洗浄し、
d)溶出:溶出液(0.1M Gly-HCl、pH2.7)を使用して標的タンパク質を溶出し、1M Tris緩衝液で溶出液のpHを5.5に調整し、SDS-PAGEでタンパク質の純度を検出した。
【0178】
表3の対照試料Codrituzumab、IFN-α 2b-Fc及びAtezolizumabの精製方法は、2.1の方法と同様である。
【0179】
表1及び表2に示される二重特異性組換えタンパク質の理論分子量はいずれも約120kDであり、表3に示される対照抗体Codrituzumabの分子量は150kDであり、IFN-α 2b-Fcの分子量は88kDであり、IFNα 2bモノマーの分子量は19.2kDである。第1種構造を有する二重特異性組換えタンパク質(
図1を参照)のアフィニティーキャプチャー後(すなわち、プロテインAによる精製後)の試料の非還元SDS-PAGEタンパク質電気泳動検出結果は
図3に示された通りであり、還元SDS-PAGEタンパク質電気泳動検出結果は
図4に示された通りであり、電気泳動の結果は、当該構造によって発現される抗体が多くの凝集体を含むことを示し、精製後(すなわち、SULFATE 650Fによる精製後)の非還元SDS-PAGEタンパク質電気泳動検出結果は
図5に示された通りであり、陽イオン交換クロマトグラフィー担体により、大部分の凝集体を除去できることが分かる。第2種構造を有する二重特異性組換えタンパク質(
図2を参照)の精製後(すなわち、カッパ精製後)の非還元SDS-PAGEタンパク質電気泳動検出結果は
図6に示された通りであり、プロテインAによるアフィニティー精製及びカッパアフィニティー精製により、高純度の二重特異性組換えタンパク質を得る。
【0180】
実施例3:GPC3陽性の肝癌細胞株(二重陽性発現細胞、標的細胞)に対するGPC3を標的とする二重特異性組換えタンパク質の結合活性の検出
標的GPC3陽性の肝癌細胞株に対するGPC3を標的とする二重特異性組換えタンパク質の結合親和性をフローサイトメトリーによって測定した。下記の方法は、TTM101-LC01、TTM101-LC02、TTM101-LC03及びTTM101-01を例としており、第1機能結合領域がGPC3抗原に結合し、第2機能結合領域がIFN-α 2b又はその低親和性突然変異体である二重特異性組換えタンパク質の検出に適用可能である。
【0181】
検出細胞はHepG2細胞(Nanjing Kebai Biotechnology Co., Ltd.)及びHuH-7(Cell Bank of Chinese Academy of Sciences,Shanghai)であり、成長が良好な細胞を収集してカウントし、遠心分離してFACS緩衝液(PBS+2%FBS)で1×106個細胞/mLの濃度に再懸濁させた。細胞を100μL/ウェルで96ウェルU字型プレート(カタログ番号:3799、Corning)に加え、7つの希釈度の二重特異性組換えタンパク質又は対照タンパク質(100nMから開始、3倍勾配希釈、合計7濃度)をそれぞれ加え、4℃で1時間培養し、FACS緩衝液で洗浄した後、ヤギ抗ヒトIgG(Alexa Fluor488 goat anti-human IgG (H+L)、Invitrogen)を加え、4℃で1時間培養し、FACS緩衝液で洗浄して再懸濁させた後、フローサイトメーター(Attune Nxt、Invitrogen)によって蛍光値を検出した。
【0182】
実験結果は、
図7及び
図8に示された通りであり、第1種構造を有する二重特異性組換えタンパク質TTM101-LC01、TTM101-LC02及びTTM101-LC03は、いずれもGPC3及びIFNα受容体を同時に発現する標的細胞HepG2細胞及びHuH-7細胞に対してある程度の結合活性を有し、HepG2細胞及びHuH-7細胞に結合した二重特異性組換えタンパク質は、抗GPC3モノクローナル抗体(抗GPC3 mAb、すなわち対照試料Codrituzumab)よりも高い最大平均蛍光強度を有することを示した。同時に、
図7及び
図8に示されるように、リンカー配列の長さは、二重特異性組換えタンパク質の標的細胞に対する結合活性に弱い影響を及ぼし、リンカー配列が1つのGGGGSである場合、組換えタンパク質の結合活性(EC50)は比較的に低い。
【0183】
図9に示されるように、第2種構造を有する二重特異性組換えタンパク質(TTM101-01)は、GPC3及びIFN受容体を同時に発現する標的細胞HepG2細胞に対してある程度の結合活性を有し、そのEC50は、抗GPC3モノクローナル抗体(抗GPC3 mAb、すなわち対照試料Codrituzumab)のEC50と同程度であり、二重特異性組換えタンパク質(TTM101-01)は、抗GPC3モノクローナル抗体(抗GPC3 mAb、すなわち対照試料Codrituzumab)よりも高い最大平均蛍光強度を有する。
【0184】
実施例4:GPC3を標的とする二重特異性組換えタンパク質の抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(antibody-dependent cell-mediated cytotoxicity、ADCC)活性の検出
二重特異性組換えタンパク質の標的GPC3陽性の肝癌細胞株に対するADCC活性を乳酸脱水素酵素(LDH)法によって測定した。下記の方法は、TTM101-LC01、TTM101-LC02、TTM101-LC03及びTTM101-01を例としており、第1機能結合領域がGPC3抗原に結合し、第2機能結合領域がIFN-α 2b又はその低親和性突然変異体である二重特異性組換えタンパク質のADCC活性の検出に適用可能である。
【0185】
エフェクター細胞は、ヒト末梢血単核球細胞(Peripheral Blood Mononuclear Cell、PBMC)であり、標的細胞は、GPC3陽性のHepG2肝癌細胞株であり、LDH検出キットは、CytoTox-ONETM-Homogeneous Membrance Integrity Assay(Promega、G7892)である。標的細胞及びエフェクター細胞を1:20の割合でプレイティングし、二重特異性組換えタンパク質又は対照タンパク質(150nMから開始、5倍勾配希釈、合計8濃度)を加え、37℃で4時間共培養した。37℃で3.5時間培養した後、対照群に溶解試薬を加え、顕微鏡で細胞の状態を観察し、細胞が完全に溶解した後、10000rpmで5分間遠心分離し、上清を96ウェル黒クリアボトムプレート(Corning、3904)に移し、反応基質とともに37℃で30分間培養し、停止液を加え、3~5分間光を避けて振とうし、マイクロプレートリーダー(SpectraMax M2)で信号値を検出し、詳細はLDH検出キットの説明書を参照できる。
【0186】
図10及び
図11に示されるように、第1種構造を有する二重特異性組換えタンパク質(例えば、TTM101-LC01、TTM101-LC02及びTTM101-LC03)及び第2種構造を有する二重特異性組換えタンパク質(例えば、TTM101-01)は、いずれもADCC活性を保持しており、二重特異性組換えタンパク質のADCC活性は、抗GPC3モノクローナル抗体(抗GPC3 mAb、すなわち対照試料Codrituzumab)のADCC活性と同程度である(
図11を参照)。
【0187】
実施例5:GPC3を標的とする二重特異性組換えタンパク質の増殖阻害活性の検出
異なる腫瘍細胞株に対するGPC3を標的とする二重特異性組換えタンパク質の増殖阻害活性を、cell titer gloキット(Promega、Cat:G7558)を使用して測定した。下記の方法は、TTM101-LC01、TTM101-LC02及びTTM101-LC03を例としており、第1機能結合領域がGPC3抗原に結合し、第2機能結合領域がIFN-α2b又はその低親和性突然変異体である二重特異性組換えタンパク質の検出に適用可能である。
【0188】
GPC3陽性の細胞株HuH-7又はGPC3陰性の腫瘍細胞株U266(Nanjing Kebai Biotechnology Co., Ltd.から購入)及びGPC3陰性の腫瘍細胞株SW480(Nanjing Kebai Biotechnology Co., Ltd.から購入)を96ウェル黒クリアボトムプレート(Corning、3904)にプレイティングし、二重特異性組換えタンパク質又は対照タンパク質(52nMから開始、10倍勾配希釈、合計6ポイント、又は10nMから開始、5倍勾配希釈、合計8ポイント)を加え、37℃、CO2のインキュベーターで3日間培養し、Cell titer gloを加え、Multomode Plate Reader(PerkinElmer、Envision2105)で信号値を検出した。
【0189】
その結果、GPC3陽性(GPC3+)の標的細胞HuH-7に対する二重特異性組換えタンパク質(例えば、TTM101-LC01、TTM101-LC02及びTTM101-LC03)の増殖阻害活性(IC50)は、いずれも対照IFN-α 2b(
図12を参照)よりも高く、抗GPC3モノクローナル抗体(抗GPC3 mAb、すなわち対照試料Codrituzumab、当該抗体のHuH-7に対する増殖阻害効果を示さなかった)よりも高いことを示した。
図13に示されるように、HuH-7(GPC3陽性の標的細胞)に対するGPC3を標的とする機能を欠く二重特異性組換えタンパク質TTM101-LC04及びIFN-α 2bのFc融合タンパク質の増殖阻害活性は、いずれもGPC3を標的とする機能を有する二重特異性組換えタンパク質TTM101-LC02よりも有意に低く、GPC3を標的とする機能を有する二重特異性組換えタンパク質と標的細胞のGPC3との結合は、IFN-α 2bの増殖阻害活性を有意に増加させるが、標的細胞を標的とする効果を有しない二重特異性組換えタンパク質のIFN-α 2bの増殖阻害活性が低いことを示し、本発明の二重特異性組換えタンパク質は、標的抗原を有する標的細胞に対してのみ強い増殖阻害効果を有し、標的抗原を有しない非標的細胞に対してはその効果が弱いか、又は結合しないことから、本発明の二重特異性組換えタンパク質の安全性が高いことを示した。
【0190】
更に、表5に示されるように、GPC3陽性(GPC3+)の標的細胞(例えば、HuH-7)に対する、リンカー配列が異なる第1種構造を有する二重特異性組換えタンパク質(例えば、TTM101-LC01、TTM101-LC02及びTTM101-LC03)は、いずれもIFN-α 2bよりも強い増殖阻害活性を有し、リンカー配列が異なる二重特異性組換えタンパク質の増殖阻害活性はわずかに異なり、リンカー配列として、1つのGGGGSを含む二重特異性組換えタンパク質(すなわち、短いリンカー配列によって連結された二重特異性組換えタンパク質、例えば、TTM101-LC01)の活性は比較的に低く(
図12、表5を参照)、
図8に示されるようなリンカー配列が異なる組換えタンパク質の結合活性と一致する。GPC3陰性(GPC3-)の非標的細胞U266及びSW480細胞株において、二重特異性組換えタンパク質(例えば、TTM101-LC01、TTM101-LC02及びTTM101-LC03)の増殖阻害活性は、IFN-α 2bの増殖阻害活性よりも有意に低い(すなわち、二重特異性組換えタンパク質の相対活性は1よりはるかに小さい)ことから、GPC3を発現しない細胞(すなわち、標的抗原を発現しない非標的細胞)において、二重特異性組換えタンパク質の増殖阻害活性が極めて低いことを示し、その安全性が高いことを示した。同時に、表5に示されるように、標的細胞に対する二重特異性組換えタンパク質の増殖阻害活性は、非標的細胞に対する当該二重特異性組換えタンパク質の増殖阻害活性の少なくとも700倍である。
【0191】
【0192】
実施例6:PD-L1を標的とする二重特異性組換えタンパク質の増殖阻害活性の検出
異なる腫瘍細胞株に対するPD-L1を標的とする二重特異性組換えタンパク質の増殖阻害活性を、cell titer gloキット(Promega、Cat:G7558)を使用して測定した。下記の方法は、TTM101-LC05、TTM101-LC06及びTTM101-LC07を例としており、第1機能結合領域がPD-L1抗原に結合し、第2機能結合領域がIFN-α 2b又はその低親和性突然変異体である二重特異性組換えタンパク質に適用可能である。
【0193】
PD-L1陽性の細胞株MDA-MB-231(Nanjing Kebai Biotechnology Co., Ltd.から購入)(ヒト乳癌細胞)を96ウェル黒クリアボトムプレート(Corning、3904)にプレイティングし、二重特異性組換えタンパク質又は対照タンパク質(52nMから開始、10倍勾配希釈、合計6濃度ポイント)を加え、37℃、CO2のインキュベーターで3日間培養し、Cell titer gloを加え、Multomode Plate Reader(PerkinElmer、Envision2105)で信号値を検出した。
【0194】
図14に示されるように、PD-L1陽性(PD-L1+)の標的細胞MDA-MB-231に対して、PD-L1を標的とする二重特異性組換えタンパク質(TTM101-LC05、TTM101-LC06及びTTM101-LC07)は、いずれも増殖阻害活性を有し、その活性は、PD-L1を標的とする機能を有しない対照二重特異性組換えタンパク質TTM101-LC04及びIFN-α 2bの活性よりも有意に高く、PD-L1を標的とすることは、IFN-α 2bの増殖阻害活性を有意に増加させることを示した。PD-L1を標的とする機能を有する二重特異性組換えタンパク質と標的細胞MDA-MB-231のPD-L1との結合は、IFN-α 2bの増殖阻害活性を有意に増加させるが、標的細胞を標的とする効果を有しない二重特異性組換えタンパク質のIFN-α 2bの増殖阻害活性が低いことを示し、本発明の二重特異性組換えタンパク質は、標的抗原を有する標的細胞に対してのみ強い増殖阻害効果を有し、標的抗原を発現しない非標的細胞に対してはその効果が弱いか、又は結合しないことから、本発明の二重特異性組換えタンパク質の安全性が高いことを示した。
【0195】
PD-L1陽性の標的細胞MDA-MB-231を96ウェル黒クリアボトムプレート(Corning、3904)にプレイティングし、PD-L1抗体Atezolizumab又はアイソタイプ対照200nMを加え、37℃で30分間培養した。二重特異性組換えタンパク質又は対照タンパク質(開始濃度20nM、6倍勾配希釈、合計6濃度ポイント)を加え、37℃、CO2のインキュベーターで3日間培養し、Cell titer gloを加え、Multomode Plate Reader(PerkinElmer、Envision2105)で信号値を検出した。
【0196】
図15に示されるように、Atezolizumabを加えてPD-L1抗原と抗体の結合部位を閉鎖した後、TTM101-LC07の増殖阻害活性が有意に低下したことから、試験細胞上の標的抗原の結合機能を閉鎖することにより、試験細胞に対する二重特異性組換えタンパク質の増殖阻害活性が有意に低下したことを示し、別の観点から、標的抗原の結合機能を有しない非標的細胞に対しては本発明の二重特異性組換えタンパク質の効果が弱いか、又は結合しないことから、本発明の二重特異性組換えタンパク質の安全性が高いことを示した。
【0197】
実施例7:IFN-α 2b低親和性突然変異体を含む二重特異性組換えタンパク質の増殖阻害活性の検出
IFN-α 2bの人体耐量と従来の抗体の有効量に差があることを考慮し、標的抗原を標的とするハーフ抗体とIFN-α 2bの効果をより一致させ、高効率かつ低毒性を達成するために、本発明はまた、IFN-α 2b低親和性突然変異体を含む一連の二重特異性組換えタンパク質を設計した。本実施例では、TTM101-LC02に基づく突然変異設計を例として、IFN-α 2b低親和性突然変異体を含む二重特異性組換えタンパク質を設計し、IFNAR2(IFNα受容体2)に対する野生型IFN-α 2bの突然変異部位に基づく突然変異体の相対親和性(データについては、Cell.2011 August 19;146(4):621-632を参照)を表6に示し、異なるIFN-α 2b低親和性突然変異体を含む二重特異性組換えタンパク質の増殖阻害活性を検出し、実験方法は実施例5と同様である。
【0198】
【0199】
図16~18に示されるように、IFN-α 2b低親和性突然変異体を有する二重特異性組換えタンパク質が、GPC3陽性の標的細胞(HuH-7)又はGPC3陰性の非標的細胞(U266、SW480)、TTM101-LC02-M2、TTM101-LC02-M3及びTTM101-LC02-M4に対する増殖阻害活性がいずれもTTM101-LC02と比較して低下したことを示した。例えば、HuH-7(GPC3陽性の細胞株、標的細胞)に対するTTM101-LC02-M3の増殖阻害活性IC50は、IFN-α 2bのIC50と同程度であるが(IC50
IFN-α 2b=0.1793、IC50
TTM101-LC02-M3=0.179)、GPC3陰性の非標的細胞(U266)に対するTTM101-LC02-M3の相対増殖阻害活性(IC50 IFN-α 2b/二重特異性組換えタンパク質)はより弱く、例えば、U266に対するTTM101-LC02-M3の相対増殖阻害活性(IC50 IFN-α 2b/二重特異性組換えタンパク質)は0.000615であり、IFN-α 2bより有意に弱く、TTM101-LC02より弱く、TTM101-LC02-M2、TTM101-LC02-M4、TTM101-LC03-M3及びTTM101-LC03-M4でも同様の結果を示した。
【0200】
上記の結果は、標的抗原陽性の標的細胞株に対する、IFN-α 2b低親和性突然変異体を含むGPC3を標的とする第1種構造を有する二重特異性組換えタンパク質の活性は、IFN-α 2bと同程度であるが、標的抗原を発現しない非標的細胞株に対する活性は低下したことを示した。A145G又はR149A突然変異では、GPC3又はPD-L1を標的とする第1種構造を有する二重特異性組換えタンパク質は、良好な標的化及び高い安全性を有することを示した。
【0201】
第1種構造の標的性を更に検証するために、標的陰性及び陽性の腫瘍細胞に対する、Trop-2、BCMA及びPD-L1を標的とする二重特異性組換えタンパク質の活性の違いを検出した。実験方法は実施例5及び6と同様である。
【0202】
図19~21に示されるように、Trop-2陽性の標的細胞(OVCAR3及びMDA-MB-231)及びTrop-2陰性の標的細胞(NCI-H929)に対する、IFN-α 2b低親和性突然変異体を有する二重特異性組換えタンパク質の活性を検出した。その結果、Trop-2陰性及び陽性の細胞に対するTTM101-LC10-M3及びTTM101-LC10-M4の増殖阻害活性は、いずれもTTM101-LC10と比較して低下したことを示した。しかし、Trop-2陽性の標的細胞(OVCAR3及びMDA-MB-231)に対して、TTM101-LC10、TTM101-LC10-M3及びTTM101-LC10-M4の増殖阻害活性はIFN-α 2bよりも高いもしくは同程度であり、Trop-2陰性の標的細胞(NCI-H929)に対して、TTM101-LC10、TTM101-LC10-M3及びTTM101-LC10-M4の増殖阻害活性はIFN-α 2bと比較して有意に低下し、特にTTM101-LC10-M3及びTTM101-LC10-M4の活性は、IFN-α 2bと比較して20倍以上低下したことを示した。上記の結果は、A145G又はR149A突然変異では、Trop-2を標的とする第1種構造を有する二重特異性組換えタンパク質は、良好な標的化及び高い安全性を有することを示した。
【0203】
図22~24に示されるように、BCMA陽性の標的細胞(NCI-H929)に対する、IFN-α 2b低親和性突然変異体を有する二重特異性組換えタンパク質の活性を検出した結果、TTM101-LC08-M3、TTM101-LC09-M3及びTTM101-LC08-M4の増殖阻害活性はIFN-α 2bと同程度であり、TTM101-LC09-M4の活性はIFN-α 2bと比較して約7倍低下した。BCMA陰性の非標的細胞(HuH-7及びMDA-MB-231)に対して、TTM101-LC08-M3、TTM101-LC09-M3、TTM101-LC08-M4及びTTM101-LC09-M4の増殖阻害活性はIFN-α 2よりも有意に低かった。A145G又はR149A突然変異では、BCMAを標的とする第1種構造を有する二重特異性組換えタンパク質は、良好な標的化及び高い安全性を有することを示した。
【0204】
図25~26に示されるように、PD-L1陽性の標的細胞MDA-MB-231及びPD-L1陰性の標的細胞OVCAR3に対する、IFN-α 2b低親和性突然変異体を有する二重特異性組換えタンパク質の活性を検出した。その結果、PD-L1陽性の細胞に対するTTM101-LC07-M3及びTTM101-LC07-M4の増殖阻害活性は、いずれもTTM101-LC07と比較して低下したことを示した。TTM101-LC07及びTTM101-LC07-M3の増殖阻害活性はIFN-α 2bと比較して約5倍増加し、TTM101-LC07-M4の活性はIFN-α 2bと同程度であるが、PD-L1陰性の細胞OVCAR3に対するTTM101-LC07-M3及びTTM101-LC07-M4の増殖阻害活性はIFN-α 2bよりも有意に低いことから、A145G又はR149A突然変異では、PD-L1を標的とする第1種構造を有する二重特異性組換えタンパク質は、良好な標的化及び高い安全性を有することを示した。
【0205】
同時に、本発明者らは、A145G又はR149A突然変異を例として、GPC3を標的とする第2種構造を有する二重特異性組換えタンパク質及びPD-L1を標的とする第2種構造を有する二重特異性組換えタンパク質を構築した。
【0206】
本実施例では、TTM101-01-M3及びTTM101-01-M4を例として、GPC3陽性の標的細胞HuH-7及びGPC3陰性の非標的細胞SW480、MDA-MB-231及びU266に対する、IFN-α2b低親和性突然変異体を含むGPC3を標的とする第2種構造を有する二重特異性組換えタンパク質の増殖阻害活性を検出し、実験方法は実施例5と同様であり、試験タンパク質及び対照タンパク質を100nMから5倍段階希釈し、合計9回の勾配希釈を行った。
【0207】
その結果、GPC3陽性の標的細胞(HuH-7、標的細胞)及びGPC3陰性の非標的細胞(U266、MDA-MB-231又はSW480、非標的細胞)に対して、TTM101-01-M3及びTTM101-01-M4の増殖阻害活性はTTM101-01と比較して低下したが、標的細胞と非標的細胞における低下の程度は有意に異なっていた。GPC3陽性の標的細胞HuH-7に対するTTM101-01-M3及びTTM101-01-M4の増殖阻害活性IC50は、基本的にIFN-α 2bと同程度であり(
図27)、GPC3陰性の細胞株(すなわち、非標的細胞)に対するTTM101-01-M3及びTTM101-01-M4の増殖阻害活性は、IFN-α 2bの増殖阻害活性よりも100倍以上低く(
図28~30)、特に、U266及びMDA-MB-231に対する増殖阻害活性は、IFN-α 2bの増殖阻害活性よりも10000倍以上低かった。
【0208】
上記の結果は、A145G又はR149A突然変異では、標的抗原陽性の細胞株に対する、IFN-α 2b低親和性突然変異体を含むGPC3又はPD-L1を標的とする第2種構造を有する二重特異性組換えタンパク質の活性はIFN-α 2bと同程度であるが、標的抗原を発現しない非標的細胞株に対する活性は有意に低下し、R149A突然変異の場合には活性が比較的に低いことを示した。A145G又はR149A突然変異では、GPC3又はPD-L1を標的とする第2種構造を有する二重特異性組換えタンパク質は、良好な標的化及び高い安全性を有することを示した。
【0209】
要約すると、野生型IFN-α 2bを含む二重特異性組換えタンパク質の標的抗原陰性の非標的細胞に対する増殖阻害活性と比較して、IFN-α 2b低親和性突然変異体を含む二重特異性組換えタンパク質の標的抗原陽性の標的細胞に対する増殖阻害活性と比較して、IFN-α 2b低親和性突然変異体を含む本発明の二重特異性組換えタンパク質の標的抗原陰性の非標的細胞に対する増殖阻害活性は同程度に低下するか、又は有意に低下する。
【0210】
実施例8:非標的細胞に対する、二重特異性組換えタンパク質の潜在的危険性不純物の増殖阻害活性の検出
二重特異性組換えタンパク質の将来の調製プロセスにおける不純物の潜在的安全性リスクを低減させるために、本発明は、TTM101-LC02及びTTM101-01を例として、非標的細胞に対するその潜在的危険性不純物(B鎖又は第2アームのホモ二量体)の増殖阻害を分析した。
【0211】
TTM101-LC02の精製プロセス(実施例2に記載)において、TTM101-LC02のB鎖のホモ二量体(
図3、ホモ二量体の分子量は約140kDである)を分離し、非標的細胞(GPC3陰性の細胞)MDA-MB-231における、当該B鎖のホモ二量体及びIFN-α 2b-Fc(TTM101-01の第2アームのホモ二量体)の増殖阻害活性を検出した。その結果、
図31に示されるように、16.7nMの濃度で、MDA-MB-231(GPC3陰性の細胞、非標的細胞)に対するIFN-α 2bの増殖阻害率は91.3%であり、MDA-MB-231(GPC3陰性の細胞、非標的細胞)に対するTTM101-01の第2アームのホモ二量体(IFN-α 2b-Fc)の増殖阻害率は66.8%(IFN-α 2bと比較して約24.5%減少)であり、MDA-MB-231(GPC3陰性の細胞、非標的細胞)に対するTTM101-LC02のB鎖のホモ二量体の増殖阻害率はわずか16.2%(IFN-α 2bと比較して約75.1%減少し、IFN-α 2b-Fcと比較して約50%減少)である。要約すると、非標的細胞に対する潜在的危険性不純物の効果は極めて弱く、すなわち、潜在的安全性リスク又は潜在的毒性副作用は極めて低い。
【0212】
実施例9:IFN-α 2b低親和性突然変異体を含む二重特異性組換えタンパク質のインビボ抗腫瘍効果の活性の検出
BALB/cヌードマウスHuH-7皮下腫瘍モデルに対する、GPC3を標的とする二重特異性組換えタンパク質の抗腫瘍効果
BALB/cヌードマウスの右背中に約30mm3のHuH-7腫瘍塊を接種し、その後の実験のためのユニークな確認マーカーとして、接種と同時に実験動物の耳にタグを付けた。腫瘍増殖を待ち、平均腫瘍体積が150mm3に達したときに、マウスをランダムに各群6匹ずつ分けて投与を開始した。すべてのマウスに10mL/kgを3週間連続、週2回、計6回静脈内投与した。
【0213】
実験指標は、腫瘍増殖の阻害、遅延又は治癒の有無に関する研究である。ノギスを使用して腫瘍径を週2回測定した。腫瘍体積の計算式は、V=0.5a×b2であり、a及びbはそれぞれ腫瘍の長径及び短径を表す。統計解析は、各群の各時点における腫瘍体積の平均値及び標準誤差(SEM)を含む。片側T検定を用いて2群間の比較を分析し、GraphPad Prismを用いてすべてのデータを分析した。p<0.05を「有意差あり」とみなした。
【0214】
その結果、
図32及び
図33に示されるように、TTM101-LC03-M3は用量依存的に腫瘍増殖を阻害し、その抗腫瘍効果は同用量のGC33よりも優れており、高用量のPEG-IFN-α 2b(臨床的耐容量を上回る用量)よりも優れていた。上記の結果は、A145G減弱突然変異を有するGPC3を標的とするIFN-α 2bが、腫瘍増殖を効果的に阻害できることを示した。
【0215】
PBMCヒト化M-NSGマウスMDA-MB-231モデルに対する、PD-L1を標的とする二重特異性組換えタンパク質の抗腫瘍効果
M-NSGマウス(6~8w、雌)にMDA-MB-231細胞(接種細胞数:1E7/匹+30%マトリゲル)を皮下接種し、0日目として記録し、翌日、マウスの生存状態と皮下腫瘍形成を観察した。接種後7日目にPBMC細胞(0205C)(接種細胞数:5E6/匹)を尾静脈内投与し、PBMC接種後7日目にマウスの全血を採取し、フローサイトメトリーによってhCD45%を検出し、平均腫瘍体積(約200mm3)とhCD45%比に基づいて、マウスをランダムに群分けを行い、群分けの日をD0とした。すべてのマウスに10mL/kgを3週間連続、週2回、計6回静脈内投与した。
【0216】
実験指標は、腫瘍増殖の阻害、遅延又は治癒の有無に関する研究である。ノギスを使用して腫瘍径を週2回測定した。腫瘍体積の計算式は、V=0.5a×b2であり、a及びbはそれぞれ腫瘍の長径及び短径を表す。統計解析は、各群の各時点における腫瘍体積の平均値及び標準誤差(SEM)を含む。片側T検定を用いて2群間の比較を分析し、GraphPad Prismを用いてすべてのデータを分析した。p<0.05を「有意差あり」とみなした。
【0217】
その結果、
図34に示されるように、TTM101-LC07-M3(N297G)は用量依存的に腫瘍増殖を阻害し、その抗腫瘍効果は同用量のAtezolizumabよりも優れており、4mg/kgのTTM101-LC07-M3(N297G)の効果は、高用量のPEG-IFN-α 2b(臨床的耐容量を上回る用量)よりも優れていた。TTM101-LC07-M4(N297G)は、0.2mg/kgの用量レベルで1mg/kgのAtezolizumabと同等の効果を示した。上記の結果は、A145G及びR149A減弱突然変異を有するPD-L1を標的とするIFN-α 2bが、腫瘍増殖を効果的に阻害できることを示した。
【0218】
実施例10:二重特異性組換えタンパク質の凍結融解安定性に関する研究
既存の組換えヒトアルブミンインターフェロン-α 2b融合タンパク質は、凍結融解安定性が低く、凍結融解を繰り返すのに適していなく、例えば、PEG化長時間作用型インターフェロンは凍結・振とうできず、輸送及び保管条件に対する要求が高い。本発明の二重特異性組換えタンパク質の凍結融解安定性を研究するために、第1種構造を有する二重特異性組換えタンパク質に対して凍結融解安定性試験を繰り返し実行した。タンパク質を20mMのNaAc(pH=5)緩衝液に入れ、-40℃で凍結融解を5回繰り返した。凍結融解前後の試料に対して純度(サイズ排除クロマトグラフィー、SEC)及び外観を分析した。その結果、表7に示されるように、TTM101-LC03及びその突然変異体の凍結融解安定性は良好であり、純度はいずれも95%以上であり、凍結融解を5回繰り返した後、外観は透明であり、本発明の二重特異性組換えタンパク質のIFN-α 2bタンパク質部分の凍結融解安定性は、IFN-α 2bモノマー又はPEG化IFN-α 2bよりも有意に優れていることを示した。
【0219】
【0220】
第1機能結合領域が他の標的(例えば、5T4、AGS-16、ALK1、ANG-2、B7-H3、B7-H4、c-fms、c-Met、CA6、CD123、CD19、CD20、CD22、CD24、EpCAM、CD30、CD32b、CD37、CD38、CD40、CD52、CD70、CD74、CD79b、CD98、CEA、CEACAM5、CLDN18.2、CLDN6、CS1、CXCR4、DLL-4、EGFR、EGFRvIII、EGP-1、ENPP3、EphA3、ETBR、FGFR2、FN、FR-α、GCC、GD2、GPNMB、HER2、HER3、HLA-DR、ICAM-1、IGF-1R、IL-3R、LIV-1、MSLN、MUC16、MUC1、NaPi2b、ネクチン-4、Notch2、Notch1、PD-L2、PDGFR-α、PS、PSMA、SLTRK6、STEAP1、TEM1、VEGFR、CD25、CD27L、DKK-1、CSF-1R、MSB0010718C、CD138、Siglec15及びCD155)を標的とする本発明の二重特異性組換えタンパク質も、上記の標的と同様の効果を達成することができる。
【0221】
本明細書で提供されるあらゆる実施例又は例示的な言語(例えば、「など」)の使用は、本発明をよりよく説明することのみを意図しており、特に請求されない限り、本発明の範囲を限定しない。明細書中の言語は、保護要求されていない要素が本発明の実施に不可欠であることを示すものとして解釈されるべきではない。
【0222】
本明細書で引用されるすべての刊行物及び特許出願は、個々の出版物又は特許出願が、具体的かつ個別に参照により組み込まれるように、参照により本明細書に組み込まれる。なお、本明細書に記載の理論、メカニズム、証明又は発見は、本発明の理解をさらに高めることを意図しており、いかなる方法によって本発明をそのような理論、メカニズム、証明又は発見に限定することを決して意図していない。本発明は、添付図面及び前述の説明において詳細に示され説明されたが、本発明は限定的なものではなく例示的なものとみなされるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0223】
【
図1】本発明の第1種構造を有する二重特異性組換えタンパク質の構造模式図である。
【
図2】本発明の第2種構造を有する二重特異性組換えタンパク質の構造模式図である。
【
図3】本発明の第1種構造を有する二重特異性組換えタンパク質のアフィニティーキャプチャー後の非還元SDS-PAGE電気泳動図である。
【
図4】本発明の第1種構造を有する二重特異性組換えタンパク質のアフィニティーキャプチャー後の還元SDS-PAGE電気泳動図である。
【
図5】本発明の第1種構造を有する二重特異性組換えタンパク質の精製後の非還元SDS-PAGE電気泳動図である。
【
図6】本発明の第2種構造を有する二重特異性組換えタンパク質のカッパ精製後の非還元SDS-PAGE電気泳動図である。
【
図7】フローサイトメトリーによって決定された、標的細胞HepG2肝臓癌細胞に対する本発明の二重特異性組換えタンパク質(第1種構造)及び対照試料の結合活性を示すグラフである。
【
図8】フローサイトメトリーによって決定された、標的細胞HuH-7に対する本発明の二重特異性組換えタンパク質(第1種構造)及び対照試料の結合活性を示すヒストグラムである。
【
図9】フローサイトメトリーによって決定された、標的細胞HepG2に対する本発明の二重特異性組換えタンパク質(第2種構造)及び対照試料の結合活性を示すグラフである。
【
図10】LDH法によって決定された、標的細胞HepG2に対する本発明の二重特異性組換えタンパク質(第1種構造)のADCC活性を示すグラフである。
【
図11】LDH法によって決定された、標的細胞HepG2に対する本発明の二重特異性組換えタンパク質(第2種構造)及び対照試料のADCC活性を示すグラフである。
【
図12】標的細胞HuH-7に対する、本発明のリンカー配列が異なる二重特異性組換えタンパク質(第1種構造)の増殖阻害活性を示すグラフである。
【
図13】GPC3陽性の標的細胞HuH-7に対する、GPC3抗原を標的とする機能を有する二重特異性組換えタンパク質(第1種構造)及び対照試料の増殖阻害活性を示すグラフである。
【
図14】PD-L1陽性の標的細胞MDA-MB-231に対する本発明の二重特異性組換えタンパク質(第1種構造)の増殖阻害活性を示すグラフである。
【
図15】抗PD-L1抗体閉鎖後のMDA-MB-231に対する本発明の二重特異性組換えタンパク質(第1種構造)の増殖阻害活性を示すグラフである。
【
図16】GPC3陽性の標的細胞HuH-7に対する、本発明の異なるIFN-α2b低親和性突然変異体を含む二重特異性組換えタンパク質(第1種構造)の増殖阻害活性を示すグラフである。
【
図17】GPC3陰性の非標的細胞SW480に対する、本発明の異なるIFN-α2b低親和性突然変異体を含む二重特異性組換えタンパク質(第1種構造)の増殖阻害活性を示すグラフである。
【
図18】GPC3陰性の非標的細胞U266に対する、本発明の異なるIFN-α2b低親和性突然変異体を含む二重特異性組換えタンパク質(第1種構造)の増殖阻害活性を示すグラフである。
【
図19】Trop-2陽性の標的細胞OVCAR3に対する、本発明の異なるIFN-α2b低親和性突然変異体を含む二重特異性組換えタンパク質(第1種構造)の増殖阻害活性を示すグラフである。
【
図20】Trop-2陽性の標的細胞MDA-MB-231に対する、本発明の異なるIFN-α2b低親和性突然変異体を含む二重特異性組換えタンパク質(第1種構造)の増殖阻害活性を示すグラフである。
【
図21】Trop-2陰性の非標的細胞NCI-H929に対する、本発明の異なるIFN-α2b低親和性突然変異体を含む二重特異性組換えタンパク質(第1種構造)の増殖阻害活性を示すグラフである。
【
図22】BCMA陽性の標的細胞NCI-H929に対する、本発明の異なるIFN-α2b低親和性突然変異体を含む二重特異性組換えタンパク質(第1種構造)の増殖阻害活性を示すグラフである。
【
図23】BCMA陰性の非標的細胞HuH-7に対する、本発明の異なるIFN-α2b低親和性突然変異体を含む二重特異性組換えタンパク質(第1種構造)の増殖阻害活性を示すグラフである。
【
図24】BCMA陰性の非標的細胞MDA-MB-231に対する、本発明の異なるIFN-α2b低親和性突然変異体を含む二重特異性組換えタンパク質(第1種構造)の増殖阻害活性を示すグラフである。
【
図25】PD-L1陽性の標的細胞MDA-MB-231に対する、本発明の異なるIFN-α2b低親和性突然変異体を含む二重特異性組換えタンパク質(第1種構造)の増殖阻害活性を示すグラフである。
【
図26】PD-L1陰性の標的細胞OVCAR3に対する、本発明の異なるIFN-α2b低親和性突然変異体を含む二重特異性組換えタンパク質(第1種構造)の増殖阻害活性を示すグラフである。
【
図27】GPC3陽性の標的細胞HuH-7に対する、本発明の異なるIFN-α2b低親和性突然変異体を含む二重特異性組換えタンパク質(第2種構造)の増殖阻害活性を示すグラフである。
【
図28】GPC3陰性の非標的細胞SW480に対する、本発明の異なるIFN-α2b低親和性突然変異体を含む二重特異性組換えタンパク質(第2種構造)の増殖阻害活性を示すグラフである。
【
図29】GPC3陰性の非標的細胞MDA-MB-231に対する、本発明の異なるIFN-α2b低親和性突然変異体を含む二重特異性組換えタンパク質(第2種構造)の増殖阻害活性を示すグラフである。
【
図30】GPC3陰性の非標的細胞U266に対する、本発明の異なるIFN-α2b低親和性突然変異体を含む二重特異性組換えタンパク質(第2種構造)の増殖阻害活性を示すグラフである。
【
図31】GPC3陰性の非標的細胞MDA-MB-231に対する、本発明の二重特異性組換えタンパク質の潜在的危険性不純物の増殖阻害活性を示すグラフである。
【
図32】BALB/cヌードマウスHuH-7皮下腫瘍モデルに対する、本発明の二重特異性組換えタンパク質の抗腫瘍効果を示すグラフである。
【
図33】BALB/cヌードマウスHuH-7皮下腫瘍モデルにおける、本発明の二重特異性組換えタンパク質の抗腫瘍効果を示すヒストグラムである。
【
図34】PBMCヒト化M-NSGマウスMDA-MB-231モデルにおける、本発明の二重特異性組換えタンパク質の抗腫瘍効果を示すヒストグラムである。
【配列表】
【国際調査報告】