(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-18
(54)【発明の名称】屈折計及び屈折率を検出する方法
(51)【国際特許分類】
G01N 21/43 20060101AFI20240910BHJP
【FI】
G01N21/43
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024536340
(86)(22)【出願日】2022-04-06
(85)【翻訳文提出日】2024-02-26
(86)【国際出願番号】 CN2022085257
(87)【国際公開番号】W WO2023024523
(87)【国際公開日】2023-03-02
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2021/114432
(32)【優先日】2021-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522072242
【氏名又は名称】深▲せん▼市流数科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】彭 ▲てぃ▼
(72)【発明者】
【氏名】徐 凌杰
(72)【発明者】
【氏名】呉 泳智
【テーマコード(参考)】
2G059
【Fターム(参考)】
2G059AA02
2G059BB06
2G059EE04
2G059GG02
2G059HH01
2G059HH02
2G059JJ03
2G059JJ06
2G059KK04
2G059MM01
2G059NN02
(57)【要約】
この出願は、光源モジュール、反射モジュール、集合モジュール、感光面アレイ、制御モジュール、およびプロセッサを含む屈折計を提供しますする。制御モジュールは、光源モジュールからの光束を制御するために使用される。反射モジュールは、光源モジュールからの光束を受け取り、反射モジュール内で光源モジュールからの光束が全反射条件を満たす場合、反射モジュール内で光束が全反射し、集合モジュールに入射する。集合モジュールは、反射モジュールからの光束を集合モジュールの焦点面に集束させるために使用される。感光面アレイは、集合モジュールの焦点面に位置し、制御モジュールはまた、感光面アレイが受信した光束を検出し、検出画像を出力するために使用される。プロセッサは、検出画像に基づいて検出画像中の輝度変異境界線を特定し、および輝度変異境界線の位置に基づいて対応する屈折率を特定するために使用される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源モジュール、反射モジュール、収束モジュール、感光面アレイ、制御モジュール、およびプロセッサを含み、
前記制御モジュールは、前記光源モジュールからの光束の出射を制御するために使用され、
前記反射モジュールは、前記光源モジュールからの光束を受け取り、前記光源モジュールからの光束が前記反射モジュール内で全反射条件を満たすと、前記光束は前記反射モジュール内で全反射し、前記収束モジュールに入射し、
前記収束モジュールは、前記反射モジュールからの光束を前記収束モジュールの焦点面に集束させるために使用され、
前記感光面アレイは前記収束モジュールの焦点面に位置し、前記制御モジュールは前記感光面アレイが受信した光束を検出し、検出画像を出力するためにも使用され、
プロセッサは、前記検知画像に基づいて前記検知画像内の輝度変異境界線を特定し、また前記輝度変異境界線の位置に基づいて、前記輝度変異境界線に対応する屈折率を特定するために使用されることを特徴とする屈折計。
【請求項2】
前記反射モジュールが第1の媒質を含み、前記屈折計には前記第1の媒質の表面に配置された検知領域を含み、前記検知領域が被検液体で覆われ、かつ前記被検液体の屈折率が前記第1の媒質の屈折率よりも低い場合、前記光束の少なくとも一部は前記被検液体によって全反射され、
前記光源モジュールの発散角が前記検知領域と一致する、請求項1に記載の屈折計。
【請求項3】
前記光源モジュールからの出射光束が、第1光束および第2光束を含み、
前記反射モジュールには、隣接配置した第1媒質および第2媒質が含まれ、前記第1媒質の屈折率が前記第2媒質の屈折率よりも大きく、前記第1光束は前記第1媒質から前記第2媒質に入射し、少なくとも一部が前記第2媒質によって全反射され、
前記収束モジュールは、前記全反射された第1光束を前記感光面アレイに集束させるために使用され、前記制御モジュールは、前記感光面アレイが受信した第1光束を検出し、検出画像を出力するためにも使用され、前記プロセッサは、前記検出画像内で前記第1光束に対応する第1輝度変異境界線を特定するために使用され、
その中で、前記屈折計には検知領域も含み、その検知領域は前記反射モジュールのうちの1つの媒質の表面に配置され、前記第2光束を受信するために使用され、
前記検知領域が被検液体で覆われ、かつ前記被検液体の屈折率が前記1つの媒質の屈折率よりも低い場合、前記第2光束の少なくとも一部は前記被検液体によって全反射され、前記収束モジュールは、前記全反射した第2光束を前記感光面アレイに集束させるためにも使用され、前記プロセッサは、前記検出画像から前記第2光束に対応する第2輝度変異境界線を特定し、前記第2輝度変異境界線の位置に基づいて前記被検液体の屈折率を計算し、また前記第1輝度変異境界線に基づいて前記被検液体の屈折率を校正するためにも使用される、請求項1に記載の屈折計。
【請求項4】
前記検知領域が前記第1媒質の表面に配置され、前記検知領域が前記第1媒質からの第2光束を受信するために使用され、かつ前記検知領域と前記第2媒質はそれぞれ前記第1媒質の同じ表面上の異なる領域に位置する、請求項3に記載の屈折計。
【請求項5】
前記反射モジュールには前記第2媒質とは異なる屈折率を有する第3媒質が含まれており、前記検知領域、前記第2媒質がそれぞれ前記第1媒質の同じ表面上の異なる領域に位置し、前記第3媒質は、前記光源モジュールからの光束の少なくとも一部を受け取り、全反射するために使用され、それが前記収束モジュールによって前記感光面アレイに集束され、前記検出画像には対応する第3輝度変異境界線が形成され、
前記プロセッサは、前記第1輝度変異境界線および/または前記第3輝度変異境界線に基づいて前記被検液体の屈折率を校正するために使用される、請求項4に記載の屈折計。
【請求項6】
前記第1媒質が光入射面、光出射面、および検知面を有するプリズムを含み、前記検知領域と前記第2媒質が前記検知面の異なる領域に位置し、
前記光出射面には、それぞれ前記第2媒質および前記検知領域の第1の光が出るところと第2の光が出るところを配置し、前記第2媒質が全反射した少なくとも部分の光束が前記第1の光が出るところを経て前記収束レンズに入射し、また前記被検液体が全反射した少なくとも部分の光束が前記第2の光が出るところを経て前記収束レンズに入射する、請求項4に記載の屈折計。
【請求項7】
前記光入射面には入光口が設けられており、前記第1光束および前記第2光束が前記入光口を経て前記検知面に入射し、
その中で、前記第1の光が出るところと前記第2の光が出るところは、それぞれ前記入光口が光出射面上の投影の両側に位置し、かつ前記投影と重なっていない、請求項6に記載の屈折計。
【請求項8】
前記第1媒質、前記第2媒質、および前記検知領域が重ねて配置され、前記検知領域が前記第2の媒質に背を向けた前記第1の媒質の側に配置されおり、前記第1媒質と前記第2媒質を順に通過する第2光束を受信する、請求項3に記載の屈折計。
【請求項9】
前記反射モジュールが光入射面、光出射面、および検知面を有するプリズムを含み、前記検知領域が前記検知面に位置しており、前記検知領域と前記検知面の間には硬化された材料層と透明なガラス層が挟まれており、前記透明なガラス層は前記材料層と前記プリズムを前記屈折計内で封じ込め、前記検知領域は前記透明なガラス層から前記材料層の反対側に配置されている、請求項8に記載の屈折計。
【請求項10】
前記プリズムの屈折率が前記材料層の屈折率よりも大きく、かつ前記材料層の屈折率が前記透明なガラス層の屈折率よりも大きく、前記被検液体の屈折率が前記透明なガラス層の屈折率よりも小さい場合、前記検知画像上に少なくとも三本の輝度変異境界線が形成され、
前記第1媒質は前記プリズムであり、前記第2媒質は前記材料層であり、または、前記第1媒質は前記材料層であり、前記第2媒質は前記透明なガラス層である、請求項9に記載の屈折計。
【請求項11】
前記プリズムの屈折率が前記材料層の屈折率よりも大きく、前記材料層の屈折率が前記透明なガラス層の屈折率よりも大きく、かつ前記感光面アレイは、前記材料層での全反射の光束が前記収束レンズによって集められる位置を避け、前記検知画像上には2本の輝度変異境界線が形成され、
前記第1の媒質は材料層であり、前記第2の媒質は前記透明なガラス層である、請求項9に記載の屈折計。
【請求項12】
前記プリズムの屈折率が前記材料層の屈折率よりも大きく、前記材料層の屈折率が前記透明なガラス層の屈折率よりも小さいか等しく、前記第1の媒質が前記プリズムであり、前記第2の媒質が前記材料層であるか、あるいは、前記プリズムの屈折率が前記材料層の屈折率よりも小さいか等しく、前記材料層の屈折率が前記透明なガラス層の屈折率よりも大きい、請求項9に記載の屈折計。
【請求項13】
前記硬化した材料層が光硬化コーティング、または高温硬化コーティング、または自然硬化コーティングである、請求項9に記載の屈折計。
【請求項14】
前記硬化した材料層は光硬化後のUV硬化剤層である、請求項9に記載の屈折計。
【請求項15】
前記透明なガラス層の屈折率は前記屈折計の屈折率測定範囲の最大値よりも大きい、請求項9に記載の屈折計。
【請求項16】
前記第2の媒質の屈折率は1.33より大きく1.6以下であり、かつ温度変化に伴う屈折率の数値変化は-0.0003/deg Cから0.0003/deg Cの範囲にある、請求項3に記載の屈折計。
【請求項17】
前記検出画像は相対的な第1のエッジと第2のエッジを含み、前記検出画像内の輝度変異境界線が第1のエッジに対してより近い位置にあるほど、対応する屈折率が高くなり、
前記第1の輝度変異境界線は、該当する前記探出画像の第1のエッジと前記屈折計の屈折率測定範囲内で最大の屈折率に対応する輝度変異境界線の間に位置している、請求項3に記載の屈折計。
【請求項18】
前記感光面アレイは検知画像のシーケンスを出力し、前記検知画像のシーケンス内の少なくともいくつかの画像の露光パラメータが異なるか、あるいは、
前記光源モジュールは、前記検知画像のシーケンス内の少なくともいくつかの画像に対応して異なる光の強度を持っている、請求項3に記載の屈折計。
【請求項19】
前記光源モジュールの発光面の口径と前記収束モジュールの通光口径が同じであるか、前記発光面の口径の1/5未満であるか、あるいは、
前記光源モジュールの発光面の口径が前記収束モジュールの透明口径の2倍である、請求項1-18のいずれかに記載の屈折計。
【請求項20】
前記感光面アレイの検出角度範囲が前記収束モジュールの全反射角範囲をカバーする、請求項1-18のいずれかに記載の屈折計。
【請求項21】
前記光源モジュールの出射光の半値幅が5nm未満であるか、または、前記光源モジュールの出射光路にナローバンドフィルタが設置され、前記ナローバンドフィルタでフィルタリングされた出射光の半値幅が5nm未満である、請求項1-18のいずれかに記載の屈折計。
【請求項22】
前記光源モジュールの出射光路上に光均一化フィルムが設置されている、請求項1-18のいずれかに記載の屈折計。
【請求項23】
前記光源モジュールの出射光が緑色の波長帯域であり、かつ前記感光面アレイがベイヤーパターンがRGGBのCMOSセンサを採用する、請求項1-18のいずれかに記載の屈折計。
【請求項24】
前記プロセッサは検知画像に基づいて前記検知画像の輝度変異境界線を決定する前に、前記検知画像の輝度と予め設定された輝度との差の絶対値が閾値よりも大きいと確定することに使用される、請求項1-18のいずれかに記載の屈折計。
【請求項25】
前記プロセッサは検知画像に基づいて検知画像の輝度変異境界線を決定する前に、前記検知画像中の目標画素行の上下の少なくとも一部の画素行に基づいて前記目標画素行をノイズフィルタリングすることに使用される、請求項1-18のいずれかに記載の屈折計。
【請求項26】
前記プロセッサは前記目標画素行の画素値および前記少なくとも一部の画素行の画素値の重み付き平均値に基づいて、これを前記目標画素行のノイズフィルタリング後の画素値とすることに使われる、請求項25に記載の屈折計。
【請求項27】
前記プロセッサは散乱光の影響を受けた前記検知画像中の画素行を特定し、前記散乱光の影響を受けた画素行は、前記全反射界面の背面である前記光源モジュール側の媒質の屈折率を決定するのに使用されていない、請求項1-18のいずれかに記載の屈折計。
【請求項28】
前記プロセッサは複数行の画素行の輝度対比の結果および/または複数フレームの検出画像の輝度対比の結果に基づいて、散乱光の影響を受けた前記検知画像中の画素行を特定するのに使用される、請求項26に記載の屈折計。
【請求項29】
前記検知画像は前記感光面アレイによって取得された複数フレームの画像に基づいて重み付きの和を取ることによって生成される、請求項1-18のいずれかに記載の屈折計。
【請求項30】
前記プロセッサは前記検出画像に基づいて、前記全反射界面の背面に位置する前記光源モジュール側の媒質の濁度を計算することにも用いられる、請求項1-18のいずれかに記載の屈折計。
【請求項31】
前記検出画像に非反射領域が含まれ、前記プロセッサは前記非反射領域から非全反射領域の散乱光度および/または前記輝度変異境界線のぼやけ具合を取得し、かつ前記非反射領域から非全反射領域の散乱光度および/または前記輝度変異境界線のぼやけ具合に基づいて濁度を計算し、
この中で、前記非反射領域の非全反射領域は、前記非反射エリア内で全反射角よりも小さい角度で前記全反射界面に入射後に前記感光面アレイに入射する領域に対応する、請求項30に記載の屈折計。
【請求項32】
前記非反射領域は、前記非全反射領域の一側に位置する全反射領域を含み、
前記プロセッサは前記非反射領域内の全反射領域の輝度を基準値として、前記探出画像内の非反射領域の非全反射領域の散乱輝度を計算する、請求項31に記載の屈折計。
【請求項33】
前記プロセッサは検査対象の液体の濃度が予め設定された濃度よりも低い場合には、前記検出画像内の非反射領域での非全反射領域の散乱光度で前記被検液体の濁度として計算し、前記被検液体の濃度が予め設定された濃度よりも高い場合には前記検出画像上の輝度変異境界線のぼやけ具合に基づいて前記被検液体の濁度を計算する、請求項31に記載の屈折計。
【請求項34】
待機モードを有し、
前記待機モードでは、前記制御モジュールは休止待機状態にあり、前記光源モジュールと前記感光面アレイは電源が切られた状態である、請求項1-18のいずれかに記載の屈折計。
【請求項35】
低消費電力モードを有し、
前記低消費電力モードでは、前記制御モジュールは前記光源モジュールと前記感光面アレイを同期フラッシュ制御するために使用される、請求項1-18のいずれかに記載の屈折計。
【請求項36】
前記制御モジュールが前記感光面アレイのフレーム信号に基づいて、パルス幅変調信号を生成し、それを前記光源モジュールの制御に用いる、請求項35に記載の屈折計。
【請求項37】
前記制御モジュールが現在の環境の明るさ情報を取得し、前記明るさ情報に基づいて前記感光面アレイの検出画像の画質を調整する、請求項1-18のいずれかに記載の屈折計。
【請求項38】
前記制御モジュールが少なくとも以下のいずれかを調整することで、前記感光面アレイの検出画像の画質を調整し、
前記光源モジュールの出射光強度、前記感光面アレイの露光時間、前記感光面アレイの模擬ゲイン、前記感光面アレイのデジタルゲインがある、請求項37に記載の屈折計。
【請求項39】
第1温度イメージセンサおよび第2温度イメージセンサを含み、前記第1温度イメージセンサは、反射モジュールの内部または反射モジュールの表面に、光路の外側の領域に設置され、反射モジュールの温度を検知するために使用され、前記第2温度イメージセンサは、前記反射モジュールが被検液体を向いている一方の面に配置され、被検液体の温度を検知するために使用され、
前記プロセッサ内には、被検液体の温度、反射モジュールの温度、および被検液体の屈折率の関係モデルが事前に保存し、前記プロセッサはまた、前記第1温度イメージセンサおよび前記第2温度イメージセンサから取得した温度と前記関係モデルに基づいて、被検液体の屈折率を計算するために使用される、請求項1-18のいずれかに記載の屈折計。
【請求項40】
前記感光面アレイが面アレイCMOS画像イメージセンサである、請求項1-18のいずれかに記載の屈折計。
【請求項41】
屈折計内の反射モジュールに光束を発射し、
聚光モジュールを使用して、前記反射モジュールから少なくとも全反射された光束を前記聚光モジュールの焦点面の感光面アレイに収束させることと、
前記感光アレイが受信した光束をイメージングして検出画像を生成することと、
前記検出画像に基づいて前記検出画像中の輝度変異境界線を特定することと、
前記検出画像中の前記輝度変異境界線の位置に基づいて、前記輝度変異境界線に対応する媒質の屈折率を決定することと
を含むことを特徴とする屈折計を検出する方法。
【請求項42】
前記屈折計には前記反射モジュール内に設置された第1媒質の表面にある検出領域が含まれており、前記検出領域が被検液体で覆われ、かつ前記被検液体の屈折率が前記第1媒質の屈折率よりも低い場合、前記光束の少なくとも一部が前記被検液体に完全反射され、
前記検出画像内には、前記被検液体の屈折率に対応する輝度変異境界線が一本だけ形成される、請求項41に記載の屈折計を検出する方法。
【請求項43】
前記光束は第1光束と第2光束を含み、前記反射モジュールは隣接した第1媒質と第2媒質を含み、前記第1媒質の屈折率が前記第2媒質の屈折率よりも大きく、前記第1光束が前記第1媒質から前記第2媒質に入射し、少なくとも一部が前記第2媒質に完全反射され、
前記屈折計には、探出領域が含まれており、前記反射モジュール内の1つの媒質の表面に配置され、前記第2光束を受信するために使用され、前記探出領域が被検液体で覆われ、かつ前記被検液体の屈折率が前記その中の1つの媒質の屈折率よりも低い場合、前記第2光束の少なくとも一部が前記被検液体に完全反射され、前記検出画像には、前記第2媒質に対応する第1の輝度変異境界線と、前記被検液体に対応する第2の輝度変異境界線が形成され、
前記第2の輝度変異境界線の位置に基づいて、前記被検液体の屈折率を計算し、
前記第1の輝度変異境界線の位置に基づいて、前記被検液体の屈折率を校正する、請求項41に記載の屈折計を検出する方法。
【請求項44】
前記探出領域と前記第2媒質は、前記第1媒質の同じ表面上の異なる領域にそれぞれ配置されており、前記第2光束は前記第1媒質から前記第2媒質を経ずに前記探出領域に入射する、請求項43に記載の屈折計を検出する方法。
【請求項45】
前記反射モジュールには、前記第2の媒質とは異なる屈折率を有す第3の媒質が含まれており、前記探出領域及び前記第2の媒質とそれぞれ前記第1の媒質の同じ表面上の異なる領域に配置されており、
前記光束には、第3の光束も含まれており、前記第3の光束は前記第1の媒質から前記第3の媒質に入射する際に少なくとも部分的に完全反射され、または、前記検出画像には、前記第3の媒質に対応する第3の輝度変異境界線も形成され、
前記第1の輝度変異境界線の位置に基づいて前記被検液体の屈折率を校正し、
前記第1の輝度変異境界線と/または前記第3の輝度変異境界線に基づいて、前記被検液体の屈折率を校正する、請求項44に記載の屈折計を検出する方法。
【請求項46】
前記第1の媒質は、光入射面、光出射面、および検出面を有するプリズムを含み、前記探出領域と前記第2の媒質は、それぞれ前記検出面の異なる領域に配置されており、
前記光出射面からの第1の光が出るところから、前記第2の媒質を経由して少なくとも部分的に全反射した光束が、前記第1の光が出るところから前記収束レンズに入射することを許容し、
前記光出射面からの第2の光が出るところから、前記被検液体を経由して少なくとも部分的に全反射した光束が、前記第2の光が出るところから前記収束レンズに入射することを許容する、請求項44に記載の屈折計を検出する方法。
【請求項47】
前記光入射面上には光入射口が設置されており、前記第1の光束と前記第2の光束は前記光入射口を介して前記検出面に入射し、
この中で、前記第1の光が出るところと前記第2の光が出るところは、それぞれ前記光入射口が前記光出射面に投影される位置の両側にあり、かつ前記投影と重なっていない、請求項46に記載の屈折計。
【請求項48】
前記第1の媒質、前記第2の媒質、および前記探出領域は重ねて配置され、前記探出領域は前記第2の媒質が前記第1の媒質に背いた側に配置され、第2の光束は順次前記第1の媒質と前記第2の媒質を通過する、請求項43に記載の屈折計を検出する方法。
【請求項49】
前記反射モジュールには、光入射面、光出射面、および検出面を有するプリズムが含まれており、前記探出領域は検出面上に配置されており、かつ前記探出領域と前記検出面の間には硬化した材料層と透明なガラス層が挟まれており、前記透明なガラス層は前記材料層と前記プリズムを前記屈折計内で封じ込めるために使用されており、前記探出領域は前記透明なガラス層が材料層に背いた側に配置されている、請求項48に記載の屈折計を検出する方法。
【請求項50】
前記プリズムの屈折率は前記材料層の屈折率よりも大きく、かつ前記材料層の屈折率は前記透明なガラス層の屈折率よりも大きく、前記被検液体の屈折率が前記透明なガラス層の屈折率よりも小さい場合、前記検出画像上には少なくとも三本の輝度変異境界線が形成され、
前記第1の媒質は前記プリズムであり、前記第2の媒質は前記材料層であり、または、前記第1の媒質は前記材料層であり、前記第2の媒質は前記透明なガラス層である、請求項49に記載の屈折計を検出する方法。
【請求項51】
前記プリズムの屈折率は前記材料層の屈折率よりも大きく、かつ前記材料層の屈折率は前記透明なガラス層の屈折率よりも大きく、かつ前記感光面アレイは前記材料層が全反射した光束が前記収束レンズに収束する位置を避け、前記検出画像上には輝度変異境界線が2本だけ形成され、
前記第1の媒質は前記材料層であり、前記第2の媒質は前記透明なガラス層である、請求項49に記載の屈折計を検出する方法。
【請求項52】
前記プリズムの屈折率は前記材料層の屈折率よりも大きく、前記材料層の屈折率が前記透明なガラス層の屈折率以下か等しく、前記第1の媒質は前記プリズムであり、前記第2の媒質は前記材料層であり、または、
前記プリズムの屈折率が前記材料層の屈折率以下か等しく、前記材料層の屈折率が前記透明なガラス層の屈折率より大きい、請求項49に記載の屈折計を検出する方法。
【請求項53】
前記硬化された材料層は、光硬化されたコーティングであり、または高温硬化されたコーティングであり、または自然硬化されたコーティングである、請求項49に記載の屈折計を検出する方法。
【請求項54】
前記硬化された材料層は光硬化されたUV硬化剤層である、請求項49に記載の屈折計を検出する方法。
【請求項55】
前記透明なガラス層の屈折率は、前記屈折計の屈折率測定範囲の最大値よりも大きい、請求項49に記載の屈折計を検出する方法。
【請求項56】
前記第2の媒質の屈折率は1.33よりも大きく、1.6以下であり、かつ温度変化に伴う屈折率の変動は-0.0003/deg Cから0.0003/deg Cの範囲内にある、請求項43に記載の屈折計を検出する方法。
【請求項57】
前記検出画像には相対的な第1エッジと第2エッジが含まれており、前記検出画像内の輝度変異境界線は第1エッジに近いほど対応する屈折率が高くなり、
前記第1の輝度変異境界線は、前記検出画像の第1エッジと前記屈折計の屈折率測定範囲の最大屈折率に対応する輝度変異境界線の間に位置している、請求項43に記載の屈折計を検出する方法。
【請求項58】
前記光束は光源モジュールから放射され、前記感光アレイを用いて受信された光束をイメージングし、検出画像を生成し、
検出画像のシーケンスを生成し、その中で、前記検出画像のシーケンス中の少なくとも一部の画像は異なる露光パラメータが使用され、または、前記検出画像のシーケンスの少なくとも一部の画像に対応する前記光源モジュールの光放射強度が異なる、請求項43に記載の屈折計を検出する方法。
【請求項59】
前記光源モジュールの発光面の口径は、前記収束モジュールの透過口径と同じか、または前記発光面の口径の1/5以下であるか、
または、前記光源モジュールの発光面の口径が前記収束モジュールの透過口径の2倍である、請求項41-58のいずれかに記載の屈折計を検出する方法。
【請求項60】
前記感光面アレイの検出角度範囲は、前記収束モジュールの全反射角範囲をカバーしている、請求項41-58のいずれかに記載の屈折計を検出する方法。
【請求項61】
前記光源モジュールからの出射光の半値幅が5nm以下であるか、または前記光源モジュールの出射光路にナローバンドフィルタが設置され、前記ナローバンドフィルタを通過した出射光の半値幅が5nm以下である、請求項41-58のいずれかに記載の屈折計を検出する方法。
【請求項62】
前記光源モジュールの出射光路には光均一化フィルムが設置されている、請求項41-58のいずれかに記載の屈折計を検出する方法。
【請求項63】
前記光源モジュールからの出射光は緑色の波長帯であり、前記感光面アレイはベイヤーパターンがRGGBのCMOSセンサを採用する、請求項41-58のいずれかに記載の屈折計を検出する方法。
【請求項64】
前記探出画像に基づいて前記探出画像内の輝度変異境界線を確定する前に、
前記探出画像の輝度と予め設定された輝度との差の絶対値が閾値よりも大きいことを確定し、請求項41-58のいずれかに記載の屈折計を検出する方法。
【請求項65】
前記探出画像に基づいて前記探出画像内の輝度変異境界線を確定する前に、
前記探出画像中の対象画素行の上下の少なくとも一部の画素行に基づいて、前記対象画素行に対してノイズフィルタリングを行う、請求項41-58のいずれかに記載の屈折計を検出する方法。
【請求項66】
前記探出画像中の対象画素行の上下の少なくとも一部の画素行に基づいて、前記対象画素行に対してノイズフィルタリングを行い、
前記対象画素行の画素値と前記少なくとも一部の画素行の画素値の重み付き平均値を前記対象画素行のノイズフィルタリング後の画素値として使用する、請求項41-58のいずれかに記載の屈折計を検出する方法。
【請求項67】
前記探出画像に基づいて前記探出画像中の輝度変異境界線を確定する前に、
前記探出画像中に散乱光の影響を受けるピクセル行を確定し、
そのうち、散乱光の影響を受けた前記画素行は、前記全反射界面の背面に位置する前記光源モジュールの側の媒質の屈折率を確定するために使用されない、請求項41-58のいずれかに記載の屈折計を検出する方法。
【請求項68】
前記検出画像は前記感光面アレイによって取得された複数のフレームの画像を加重合算して生成される、請求項41-58のいずれかに記載の屈折計を検出する方法。
【請求項69】
前記全反射界面外側の媒質の温度および前記全反射界面の温度を取得し、
事前に保存された被測定媒質の温度、前記全反射界面の温度、および被測定媒質の屈折率の関係モデル、および前記全反射界面外側の媒質の温度と前記全反射界面の温度に基づいて、媒質の屈折率を計算する、請求項41-58のいずれかに記載の屈折計を検出する方法。
【請求項70】
前記検出画像に基づいて、前記反射モジュールの外側に位置する媒質の濁度を計算する、請求項41-58のいずれかに記載の屈折計を検出する方法。
【請求項71】
前記検出画像には非反射領域を含み、
前記検出画像に基づいて、前記反射モジュールの外側に位置する媒質の濁度を計算し、
前記非反射領域内の非全反射領域の散乱輝度および/または前記輝度変異境界線のぼやけ度を取得し、この中で、前記非反射領域内の非全反射領域は、全反射角よりも小さい角度で前記反射モジュールに入射した後前記感光面アレイに入射する領域に対応し、
前記非反射領域内の非全反射領域の散乱輝度および/または前記輝度変異境界線のぼやけ度を使用して、濁度を計算する、請求項70に記載の屈折計を検出する方法。
【請求項72】
前記非反射領域には、前記非全反射領域の一側に位置する全反射領域も含まれており、
前記非反射領域内の非全反射領域の散乱輝度を取得するには、
前記非反射領域内の全反射領域の輝度を基準値として、前記検出画像内の非反射領域内の非全反射領域の散乱輝度を計算する、請求項71に記載の屈折計を検出する方法。
【請求項73】
前記非反射領域内の非全反射領域の散乱輝度および/または前記輝度変異の境界線のぼやけ度に基づいて前記濁度を計算し、
予め設定された濃度よりも検査対象の被検液体の濃度が低い場合、前記検出画像の非反射領域上の非全反射領域の散乱輝度に基づいて前記被検液体の濁度を計算し、
前記被検液体の濃度が予め設定された濃度よりも高い場合、前記検出画像上の輝度変異境界線のぼやけ度に基づいて、前記被検液体の濁度を計算する、請求項71に記載の屈折計を検出する方法。
【請求項74】
前記反射モジュールの外側に位置する媒質は被検液体であり、
前記被検液体の体積を取得し、
前記被検液体の屈折率、濁度、および体積に基づいて、前記被検液体のカロリーを計算する、請求項70に記載の屈折計を検出する方法。
【請求項75】
前記反射モジュールの外側に位置する媒質は被検液体であり、
補助デバイスを使用して補助情報を取得し、この中で、前記補助デバイスは色度計であり、前記補助情報は前記被検液体の色であり、または前記補助デバイスはインピーダンス計であり、前記補助情報は前記被検液体のイオン含有量であり、または前記補助デバイスはpHメータであり、前記補助情報は前記被検液体の酸度値であり、
前記補助情報および前記被検液体の屈折率および/または濁度に基づいて、前記被検液体の種類を特定する、請求項70に記載の屈折計を検出する方法。
【請求項76】
前記屈折計内の反射モジュールへ光束を発射する前に、
液体を発射して対象物を清掃し、前記反射モジュールの外側に位置する媒質は対象物の清掃後の液体であり、
更に、前記対象物を清掃した後の液体の屈折率に基づいて、対象物の清潔度を判断する、請求項41-58のいずれかに記載の屈折計を検出する方法。
【請求項77】
前記対象物の清潔度に基づいて、前記対象物を引き続き清掃する必要があるかどうかを判断する、請求項76に記載の屈折計を検出する方法。
【請求項78】
前記屈折計内の反射モジュールへ光束を発射する前に、
前記屈折計をパイプの内壁内または前記パイプの内壁の表面に固定し、
この中では、前記屈折計は前記パイプ内の流動液体の屈折率を測定するために使用され、前記輝度変異境界線は前記パイプ内の流動液体に対応する輝度変異境界線を含む、請求項41-58のいずれかに記載の屈折計を検出する方法。
【請求項79】
一種の検出装置、請求項1-40のいずれかに記載の屈折計。
【請求項80】
前記検出装置がスマートカップであり、カップの蓋と本体を含み、
前記屈折計は、前記カップの蓋または前記カップの底部に配置され、前記カップ内の液体の屈折率を検出するに使用され、前記カップの底部の上には薄いフィルムが配置され、前記カップの底部との間に密閉空間が形成し、前記密閉空間内には微小気圧センサが配置され、前記カップ内の液体の体積を検出し、前記密閉空間内には計算モジュールも配置されており、前記液体の体積と屈折率に基づいて前記液体のカロリーを計算する、請求項79に記載の前記検出装置。
【請求項81】
前記検出装置がスマートスケールであり、スケール本体を含み、
前記屈折計は前記スケール本体内に配置され、前記スケール本体の表面には液体を保持する領域と第1の表示領域が設けられており、前記屈折計は前記液体を保持する領域内の液体の屈折率を検出し、かつ前記第1の表示領域にはその液体の屈折率を表示し、前記スケール本体には計量領域と第2の表示領域も設けられており、前記第2の表示領域には前記計量領域上の物体の重さを表示する、請求項79に記載の前記検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願の相互参照>
本願は、発明者がアレキサンダー N. アルシュクホヴィッヒ、Z.アラス アスランリングフェングユウ及びミハイル ボウクニイである「眼球バイオメトリのための統合されたOCT-屈折計システム」と称する2022年4月6日付け米国特許出願番号PCT/CN2022/085257の優先権を主張するものであり、参照することにより、その全体が本明細書に完全に記載されていると同様に含まれる。
【0002】
この発明は液体の屈折率測定領域に属し、具体的には屈折計、検出装置、および屈折率を検出する方法に関連している。
【背景技術】
【0003】
屈折計は液体の屈折率を測定する装置である。液体中の溶解性固体は溶解すると液体の屈折率が増加するため、屈折率の測定を通じて液体中の溶解性固体の含有量を測定できる。したがって、屈折計は液体中の溶解性固体の含有量を測定するために使用できる。通常、水溶液中の溶解性固体は糖分であり、このため屈折計は飲料(例えばジュース、コーヒーなど)の測定において糖度計としても呼ばれている。
【0004】
【0005】
しかしながら、工程上の制約により、LED光源の発光面積は一定の面積を持っている。そのため、LED光源2′が異なる入射角で面5′に入射する光が感光ラインアレイ3′上の同じ点に反射され、これらの光の角度を区別できなくなり、それにより全反射角を確定するのが難しくなる。そのため、既存の屈折計では、LED光源2′の出射光路にスリット1′が設置されており、光源が感光ラインアレイ3′と平行な方向に小さな点光源になるようになっている。これにより、感光ラインアレイ3′上の各光束の角度が定義される。スリット1′の本質は、光線の位置と方向を分離し、屈折計が光線の方向だけを検出し、光線の位置に干渉されないようにすることである。ただし、この設計により、特に折射率測定範囲の要求が比較的大きい場合には、感光ラインアレイ3′のサイズが非常に大きくなる。具体的な理由は以下の通りである。
【0006】
図2に示されているように、感光ラインアレイ3′のサイズは 2*tan(α/2)*d であり、ここで d はLED光源2′から感光ラインアレイ3′までの光路距離を表し、α はLED光源2′の出射光の全体的な放射角を指す。折射率の測定範囲が比較的大きい場合(例えば、異なる折射率の液体を測定する必要がある場合)、αは大きな値を持つ必要があり、その結果として感光ラインアレイ3′のサイズも大きくなる必要がある。これは屈折計の小型化には不利である。
【0007】
CCDやCMOSなどの半導体チップにとって、物理的なサイズが大きいほどコストが高くなる。半導体ウェハのサイズが限られていることから考えると、デバイスのサイズが大きいほど出荷率と良率の低下をもたらす可能性がある。大きなサイズのチップは梱包と実装の難易度が増加し、実装時の反り率が増加することを意味し、これらがコストの増加につながる。通常、このように大きな半導体サイズの要求があるため、コストの要件を満たすのは一次元アレイであるラインアレイのみである。ただし、ラインアレイは自身の方向に垂直な位置と高い精度が要求される一方で、光路に偏差が生じた場合(例:熱膨張、収縮、衝撃、機械変形などの原因で)、自動修正が難しく、また環境光や散乱光の影響を受けやすく、測定に偏差が生じる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、上記の問題を解決し、低コスト、小型、広範、かつ優れた堅牢性を持つ屈折計、該屈折計のスマートカップ、および屈折率を検出する方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明が採用する技術的手段は、光源モジュール、反射モジュール、集合モジュール、感光サーフェスアレイ、制御モジュール、およびプロセッサを含む屈折計である。制御モジュールは、光源モジュールからの光束を制御するためのものであり、反射モジュールは、光源モジュールからの光束を受け取り、反射モジュール内で光源モジュールからの光束が全反射条件を満たす場合、反射モジュール内で光束が全反射し、集合モジュールに入射する。集合モジュールは、反射モジュールからの光束星の樹を焦点面に集合させるためのものであり、感光サーフェスアレイは、集合モジュールの焦点面上に配置され、制御モジュールは、感光サーフェスアレイが受信した光束を検出し、検出された画像を出力するためのものである。プロセッサは、検出された画像に基づいて、検出された画像内の輝度突然変異限界線を特定し、および輝度突然変異限界線の位置に基づいて、輝度突然変異限界線に対応する屈折率を決定するためのものである。
【0010】
本発明は、上記の屈折計を含む検出装置も提供する。
【0011】
本発明は、屈折率を検出する方法も提供する。この方法は、屈折計内の反射モジュールに光線を発射することと、反射モジュールによって少なくとも全反射された光線を焦点面に集めることと、焦点面にある感光列に収集された光線を使って画像を生成することと、生成された検出画像から輝度突然変異限界線を特定することと、検出画像内の輝度突然変異限界線の位置に基づいて、限界線が対応する媒質の屈折率を特定することとを含む。
【0012】
本発明の屈折計は、レンズモジュールの像方焦点面に感光面アレイを配置することで、レンズモジュールが無限遠焦点方式の像を形成するようにし、非点光源を光源として使用できるようにする。これにより、感光面アレイのサイズを光源のサイズと共有し、感光面アレイのサイズを非常に小さくでき、低コスト、小型、大範囲の測定、優れた堅牢性の利点を備えている。また、この屈折計は面アレイCMOSイメージセンサを使用し、コストが低く、精度が高く、取り付けの要件が低減され、また、1次元センサでは実現できない多くの機能を実現できる。例えば、精度の向上、耐干渉性の向上、他の測定機能の追加などが挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
この発明の実施例における技術的な手法をより明確に説明するために、以下では実施例の説明に必要な図を簡単に紹介する。見えるように、以下の説明の図は本発明のいくつかの実施例にすぎず、この分野の普通の技術者にとって、創造的な労力を払わずにこれらの図をもとに他の図を得ることができる。
【
図2】
図1で感光線列を液面側に等価化する概念図である。
【
図4】レンズユニットが無限遠焦点を採用した画像形成の原理の概念図である。
【
図6-7】異なるサイズの光源モジュールおよびレンズモジュールを使用した、この出願で採用される屈折計の概念図である。
【
図8】屈折計が被測定液体を検出する際の感光面アレイが受信した光束によって形成される検出画像である。
【
図10a-10c】温度の変化に伴う無影ゲルと水の屈折率の実験結果の概念図である。
【
図11-12】2つの異なる検出画像の例の概念図である。
【
図13】
図9に示された屈折計の俯瞰図の一例である。
【
図14】三角プリズム、三角プリズム表面のコーティング、防水部品、および被測定液体の位置関係の概念図である。
【
図18】感光面アレイが受信した光束によって形成された検出画像上の1つのピクセル行のピクセル値の曲線である。
【
図21】この出願での屈折計を使用して被測定液体の屈折率を検出する方法の実施例の概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
特定の実施例を説明する目的のみで、本発明を制限する意図はない。本発明および添付の請求項において単数形の「一種」、「該当する」、「その」などが使用されている場合、文脈から他の意味が明示的に示されていない限り、これらは複数形も含むものとみなされる。また、本文で使用されている「および/または」という用語は、関連するリストされたアイテムの任意またはすべての可能な組み合わせを指すものとされる。
【0015】
理解すべきは、本発明において第1、第2、第3などの用語が各種の情報を説明するために使用されているとしても、これらの情報はこれらの用語に限定されるべきではないということである。これらの用語は、同じタイプの情報を互いに区別するためにのみ使用されている。
【0016】
ここからはこの出願の屈折計の構造について例を挙げて説明する。この例では、既存の技術と比較して、光源の出射端に小さな穴を設置して感光線アレイに対する入射光束の角度と位置を一次元(すなわち感光線アレイの方向に平行な方向)で解離する手法とは異なり、この実施例では感光モジュールの光束入射側に配置された集合モジュールを使用して感光モジュールへの入射光束の角度と位置を解離する。そして、集合モジュールは二つの次元で解離でき、したがって感光モジュールは光束を検出するために感光面アレイを使用し、それにより自己校正用の屈折率検出光路とテスト対象液体の屈折率検出光路を共有できる。これにより、二つの検出光路間のずれ(たとえば、半導体チップの一貫性の低さ、取り付け構造の一貫性の低さ、取り付けのずれ、機械的な衝撃や温度のドリフトによるずれなど)が生じる計算の偏差を回避できる。
【0017】
また、感光アレイの前方に集合モジュールを追加することにより、無限遠焦点を利用して光線の位置と方向を解離するため、光源モジュールは非常に小さくても、反射モジュールから出射する光の出射角が同じ位置に集合されることができる。既存の技術では、光源モジュールの発散角が大きいが、LED光源自体の発散角がそれほど大きくないため、それゆえ、既存の技術の提案を採用するには、特製の大きな角度と小さな発光面を持つLED光源を見つける必要がある。この技術を採用すると、この出願の光源モジュールは角度と位置を区別する機能に必要がなく、光源モジュール内の発光ユニットの選択に対する制約が比較的小さい。
【0018】
そして、既存の技術と比較して、小さい穴の設定により線列が必要な場合、この実施例では面アレイが光束を検出するために使用され、線列よりも多くの情報を取得でき、被検液体の屈折率の精度を向上させるのに有利であり、さらに被検液体に関するより多くの情報を取得することができる。また、屈折計は面アレイCMOS検出イメージセンサを使用しており、コストがもっと低く、精度がもっと高く、取り付けの要件が低減し、一次元センサでは実現できない精度向上、耐干渉性向上、その他の測定機能の追加などが可能である。さらに、既存の技術の屈折計が液面範囲内で全反射面界面の反射性質を一貫させる必要があることから比較して、この出願では光線の方向を直接測定できるため、プリズムの検出面に気泡があり、または被検液体が完全に全反射界面を覆っていない場合でも、輝度突然変異限界線は依然として明確に区別できる。
【0019】
液体の屈折率は温度の変化に応じて変動するため、液体の屈折率に基づいて固体可溶物含有量を確定する際に偏差が生じる。屈折計の測定精度を確保するため、現行の解決策の一つは、屈折計の感光線列が形成する画像の中で特定の濃度の液体(例:0度Brixの液体)に対応する箇所、すなわち輝度の急激な変化が見られる点を基準とし、屈折計の測定精度を確保するためにこれをキャリブレーションすることである。具体的には、屈折計内には0度Brixの輝度変化点があらかじめ設定されて、屈折計はリアルタイムで清水を測定し、感光線列のイメージング上で輝度の急激な変化点を自己キャリブレーション位置として形成する。そして、屈折計は被検液体の屈折率と固体可溶物の含有量を測定する時、0度Brixの輝度変化点と自己キャリブレーション位置に基づいてリアルタイムの測定結果を校正する。ただし、このような手法は測定の前に水を使用して自己キャリブレーションを行う必要がある。測定する同時にキャリブレーションを実現するには、既存の計算手法を採用すると、自己キャリブレーション位置を形成する必要があるため、2つの発光源とそれに対応する2つの感光線列を設置する必要がある。1つの発光源と感光線列は自己キャリブレーション用の液体を検出するために使用され、もう1つの発光源と感光線列は被検液体を検出するために使用される。しかしながら、屈折計の使用中には、自己キャリブレーション用の液体と待機中の液体を検出するための2つの異なる構造が存在し、屈折計内での2つの光路の検出のずれが、不正確な自己キャリブレーション結果を引き起こし、計算の偏差を生む可能性がある。
【0020】
本実施例の屈折計は、反射モジュール内に既存技術の水の代わりに第2の媒質を固定することにより、自己キャリブレーション用の対象物として機能させることもできる。光束が第2の媒質に入射する前に全反射することにより、感光面アレイが形成する画像上に輝度突然変異限界線を形成し、第2の媒質の屈折率を測定し、その結果を使用して被検液体の測定結果を校正する。既存の技術と比較して、集合モジュールと感光面アレイの組み合わせを使用して光束の位置と方向を解離し、かつ感光面アレイが二次元であるため、第2の媒質と被検液体の測定に同じ受信機を使用して検出できる。さらに、感光面アレイ上に第2の媒質と待機中の液体に対応する輝度突然変異限界線を形成するために同じ発光源を使用することすら可能であり、これにより異なる感光線列と光路がもたらす測定誤差を回避し、屈折計の測定結果の精度を向上させることができる。さらに、第2の媒質を導入して被検液体の屈折率をキャリブレーションすることで、水のキャリブレーション手順が必要なくなり、より高温の液体をより正確に測定できるため、より広範な応用が可能である。
【0021】
以下は、
図3に示された実施例についての具体的な説明である。
図3は屈折計の一種の構造の断面図である。
図3に示すように、屈折計には光源モジュール1、反射モジュール2、集合モジュール3、感光面アレイ4、制御モジュール(図示なし)およびプロセッサ(図示なし)が含まれている。この中で、制御モジュールは光源モジュール1からの光ビームの出射を制御し、感光面アレイ4の光検出を制御するために使用される。オプションとして、制御モジュールには光源コントローラおよび感光コントローラが含まれ、それぞれ光源モジュール1および感光面アレイ4を制御する。反射モジュール2は光源モジュール1からの光ビームを受け取るためのものである。光源モジュール1からの光ビームが反射モジュール2に入射すると、全反射角の条件に満たす場合、入射角が全反射角以上で光ビームは全反射される。入射角が全反射角未満の場合、一部が透過し、一部が反射する。反射および全反射された光ビームは反射モジュール2から出射して集合モジュール3に入射する。集合モジュール3は反射モジュール2からの光ビームを集合して集合モジュール3の焦点面上にある感光面アレイ4に導く。制御モジュールはまた、感光面アレイ4が受け取った光ビームを検出し、検出された画像を出力するためにも使用される。
【0022】
該集合モジュール3はレンズである場合、集合モジュール3の焦平面はそのレンズの焦平面を指す。または、少なくとも2つのレンズで構成されるレンズグループである場合、集合モジュール3の焦平面はそのレンズグループの等価焦平面。レンズグループを使用する案では、光学的な設計により集合モジュールのイメージングの収差と歪みを軽減することもできる。
【0023】
以下は、
図4を使用して、集合モジュールがレンズである場合の集合モジュールの作用について説明する。
図4に示すように、理想的な状況では、平行光はレンズによって焦平面上の集合点に集合される。この集合点は、レンズの中心から平行光の方向に延び、焦平面と交差する交点である。したがって、この集合点は光線の方向にのみ依存し、光線の出射位置とは関係ない。この原理を利用して、この実施例では感光面アレイの前に集合モジュールを設置することにより、光線の位置と方向を解離し、集合モジュールを通過する中で、任意の平面において、その平面内で同じ出射角で反射モジュールによって全反射される異なる位置の光線が感光面アレイ4の同じ位置に集合され、最終的に感光面陣4上に全反射角に対応する輝度突然変異限界線が形成される。集合モジュールの設置により、検出イメージ内の輝度突然変異限界線の異なる位置は、異なる全反射角で全反射される光線に対応している。したがって、プロセッサは、この限界線の位置を取得することによって、この限界線に対応する全反射角を特定し、それに基づいて対応する屈折率を計算することができる。
【0024】
一つの例では、光源モジュール1はLEDストリップを含むか、または複数のLEDチップがチップ実装またはパッケージングされたもので構成されている。LEDの波長はCMOS感光アレイの波長応答と互換性が必要、その波長は300nmから1000nmの範囲内にある。例えば、波長は400nmから500nmの範囲内、または500nmから600nmの範囲内、または600nmから700nmの範囲内、または700nmから800nmの範囲内、または800nnmから900nmの範囲内にある。オプションとして、LEDの波長は緑光領域であり、例えば中心波長が500nmから600nmの範囲内にあり、市場に出回っている一般的な感光アレイは、RGGBベイヤーパターンのCMOSセンサであるため、このタイプの感光アレイはGチャネルに対してより高い解像度と感度を持っており、緑光波長を使用することで感光アレイとの相性が良くなる。
【0025】
一つの例では、
図3に示されているように、反射モジュール2の検出面から感光アレイ4への光路上には、光源モジュール1の出射光に一致するように設置されたフィルタ7がある。これは光源モジュール1の出射光を透過させ、他の波長の光を反射し、背景光が検出結果に与える影響を軽減するため。オプションとして、光源モジュール1の出射光が単一の波長であり、これによりバックグラウンド光の除去のための狭帯域フィルタとのマッチングが容易になる。
【0026】
一つの例では、反射モジュール2は第1媒質21を含んでいる。屈折計には、第1媒質の表面に配置された検出エリアも含まれており、このエリアは屈折計が検査中に被検液体5を乗せるために使用される。検出エリアが被検液体で覆われ、かつ被検液体の屈折率が第1媒質の屈折率よりも低い場合、光束の一部は被検液体による全反射が生じる。プロセッサは、全反射した光束の検出画像内での対応する輝度突然変異限界線の位置を通じて、被検液体の屈折率を計算することができる。
【0027】
第1の媒質はプリズムであり、このプリズム21は光入射面212、検出面211、および光出射面213を含む。検出エリアは検出面211の表面に配置されている。光源モジュール1からの光束は光入射面212からプリズム21の検出面211に入射し、検出エリア上の物体5の屈折率がプリズムの屈折率よりも低く、かつ光束が検出面211での入射角条件を満たす場合、光束は検出面211で全反射し、光出射面213から出射する。オプションとして、このプリズム21は三角プリズムであり、例えば直角で等辺のプリズムであると、プリズム構造がよりコンパクトになり、全体の構造がより小型化される。
【0028】
オプションとして、このプリズムの光入射面212と光出射面213には透過率を向上させるための透過膜が設置されている。プリズム21はガラス材料で作られるかもしれないし、またはプラスチック、樹脂など他の透明な材料で作られるかもしれない。オプションとして、検出エリアのサイズは光源モジュール1の出射光の発散角と一致し、出射光が検出エリア上に形成する光斑がちょうど検出エリアを覆い、またはそれよりもわずかに小さいようになっている。これにより、屈折計の小型化が促進される。別の例では、第1の媒質は高屈折率を有する他の光学部品であるか、または他の高屈折率を有する媒質で構成されているかもしれない。
【0029】
レンズの視野角は、レンズの焦点距離fおよび口径サイズdによって決まるが、屈折計が被検液体の大きな屈折率の検出範囲を実現するためには、視野角だけでなく、その視野角内の光線が反射モジュールによって反射され、集合モジュールに入射することが保証される必要がある。したがって、光モジュールの発光面のサイズを相応に増加させる必要がある。最終的に、集合モジュールが受け取ることができる光束の角度範囲は、光源モジュールの発光面のサイズと集合モジュールのサイズの両方によって決まる。以下は、
図5に示す等価光学システムを使用して詳細に説明する。この等価光学システムでは、集合モジュール3、感光面アレイ4、およびプロセッサが鏡像として光源モジュール1の背後に配置され、集合モジュール3が等価のレンズを例にして示している。
【0030】
図5に示すように、感光面アレイ4が検出できる角度範囲αは、端から端までの2本の線によって定義されている。光源モジュール1の発光面の最上部からレンズ3の透過口径の最下部までの光線r1、および光源モジュール1の発光面の最下部からレンズの透過口径の最上部までの光線r2である。この角度範囲αは、光源モジュール1の発光面のサイズ、レンズ3の透過口径、光源モジュール1の発光面とレンズ3の間の距離の3つの変数によって決定される。したがって、感光面アレイ4の検出角度範囲αが同じである場合、狭溝設計を採用した
図1と比較して、この出願において感光面アレイのサイズは光源モジュール1の発光面のサイズとレンズの透過口径とで共有されることができる。つまり、感光モジュールの検出角度範囲αが同じ場合、
図1に示す屈折計の感光モジュールの口径=この出願の光源モジュール1の発光面の口径+レンズの透過口径である。したがって、既存の技術に比べて、この出願では同じ検出角度範囲でより小さな光源モジュールと感光モジュールを実現でき、製品の小型化とコスト削減が可能である。さらに、この出願では感光面アレイのサイズを光源のサイズで分担することができ、感光面アレイのサイズを小さくでき、低コストで小型の利点がある。
【0031】
一つの例では、光源モジュール1の発光面の口径が集合モジュール3の透過口径より大きいか等しい。例えば、
図6に示すように、光源モジュール1の発光面の口径と集合モジュール3の透過口径が同じか、あるいはその口径の1/5以下の差である場合がある。これにより、感光面アレイ4の検出角度範囲αが同じである場合、本出願の屈折計の感光面アレイの口径は従来技術の屈折計の感光面アレイの口径の半分であり、屈折計のコストと量産の難易度を減少させることができる。
【0032】
例えば、
図7に示すように、光源モジュール1の発光面の口径は集合モジュール3の透過口径の2倍である。これにより、感光面アレイの検出角度範囲αが同じである場合、この出願の屈折計の感光面アレイの口径寸法は非常に小さくできる。光源モジュールのサイズを増やすことは、感光面アレイのサイズを増やすよりもコストと量産の難しさが低いため、光源モジュールにより多くの寸法を担当させることで、コストと量産の難しさをより大幅に低減できる。
【0033】
オプションとして、感光面アレイの検出角度範囲αは、反射モジュールの全反射角範囲をカバーし、反射モジュールの全反射角範囲は、反射モジュール内で全反射を発生する可能性のあるすべての角度を指す。これにより、屈折率の大きな屈折率検出範囲が確保される。オプションとして、反射モジュールは高屈折率の媒質を使用し、集合モジュールの全反射角範囲を減少させることができる。ただし、高屈折率のガラスは色の分散が厳重であるため、異なる波長の光がガラスを透過する際、高屈折率の反射モジュールは異なる波長の光束の屈折率変化が大きくなり、それにより感光面アレイが取得する探査画像の全反射境界がぼやける現象が生じ、全反射角の検出精度が低下する可能性がある。一つの例では、屈折計は波長帯域が比較的狭い光源モジュールを使用したり、光源モジュールの出射光路に狭帯域のフィルタフィルムを設置することで、光源モジュールの出射光の波長帯域を減少させ、色の分散現象を軽減することができる。たとえば、光源モジュールの出射光または狭帯域フィルタフィルムを通過した出射光は、半値幅が5nm以下の光束であることがある。
【0034】
図8に示すように、
図8は屈折計が被検液体を検測する際に、感光面アレイが受信した光束によって形成される検測画像である。屈折計は検査液中に配置され、検出エリアが液体で覆われ、感光面アレイが検出画像を形成する。
図8に示すように、この検出画像には反射領域81と反射領域81の周囲の非反射領域82が含まれている。反射領域81には全反射領域811と非全反射領域812が含まれている。この中で、全反射領域81は検出画像8の反射領域81で、反射モジュール2の全反射界面21によって反射された光束が入射する領域を指す。非全反射領域812は検出画像8の中で、反射モジュール2の全反射界面21に小さな全反射角で入射する光束が反射される領域を指す。全反射されなかった光束のうち、反射された部分は全反射された光束と比較して輝度が急激に低下するため、全反射領域812と非全反射領域811の境界には明白な輝度の変化が生じ、この輝度突然変異限界線813は、全反射界面21で全反射角で入射する光束に対応する。
【0035】
集束モジュールの設置により、検出画像内の異なる画素位置は、全反射界面から異なる角度で射出される光線に対応する。したがって、プロセッサは、少なくとも1つの画素点の位置を取得して、輝度突然変異限界線の位置を特定でき、その位置に対応する全反射角に基づいて被検液体の屈折率を計算する。
【0036】
本出願では、感光アレイの前方にレンズモジュールを追加して光線の位置と方向を解離するため、小型の光源モジュールは不要で、対応する角度の光があれば対応するセンサ位置に焦点を合わせることができる。既存技術と比較して、この出願では光源モジュールは角度と位置を区別する機能を必要としない。既存技術では、光源モジュールの発散角が大きい必要があるが、LED光源の発散角自体がそれほど大きくないため、既存技術のソリューションを使用するには特製の大角度で小さな発光面のLED光源が必要である。しかし、この出願では光源モジュールに対する要件が緩和されており、大きな発光範囲は複数のLEDと均一化プレートで実現できる。一つの例では、
図3に示すように、光源モジュール1には発光面の一側に配置された均一化プレート6も含まれている。感光アレイは異なる方向からの光を感知するため、均一化プレートは各方向の光束の均一性を向上させ、それにより感光アレイが形成するイメージの均一性を向上させるだけでなく、異なる角度の光の強度の不均一さによる測定精度の低下を防ぐことができる。
【0037】
ある例では、反射モジュールには隣接する2つの媒質が含まれ、この2つの媒質は第1の媒質以外の媒質もあり、第1の媒質を含む媒質もある。そして、光源モジュールの出射光がこれらの隣接する2つの媒質の間で全反射するようにし、それによって検出画像上に、被検液体対応する亮度変動ラインの他、被検液体の屈折率を校正するための亮度変動ラインが形成される。これにより、液体の屈折率が温度変化に伴って変動することによる被検液体の屈折率計算の偏差を減少させ、被検液体の屈折率計算の精度を向上させるのに役立ちする。次に、
図9を組み合わせて、この出願の屈折計の一例の構造について詳細に説明する。
【0038】
図9は屈折計の一例の構造の模式図である。
図9に示すように、この実施例では、光源モジュール1が第1の光束と第2の光束を発射するために使用されている。反射モジュールは、光源モジュールからの光束を受けるために少なくとも2種類の媒質を含む。具体的には、反射モジュールには隣り合った第1媒質21と第2媒質22が含まれている。第1媒質21の屈折率は第2媒質22の屈折率よりも大きく、第1媒質21と第2媒質22の間には第1全反射領域が存在する。反射モジュールには、第1媒質21の上に設置された検出領域23も含まれている。オプションとして、第2媒質22と検出領域23は、それぞれ第1媒質21の同じ表面上の異なる領域に設置されている。
【0039】
第1媒質は第1光束と第2光束を受け入れるために使用される。この中には、第1光束の一部は第1媒質21から第2媒質22に入射し、第1媒質21の屈折率が第2媒質22の屈折率よりも大きいため、かつ第1光束の射出角が第2媒質22に入射する際の入射角が全反射角をカバーするようになっているため、第1全反射領域内で第2媒質22に入射する第2光束の一部は全反射が発生する。探検エリア23の一側が検査対象の液体5で覆われている場合、第2光束の一部は第1媒質21から検査対象の液体に入射する。検査対象の液体の屈折率が第1媒質21の屈折率よりも大きい場合、かつ第2光束の放射角が第2媒質22に入射する際の入射角が全反射角をカバーする条件を満たす場合、検査区域23に入射する第2光束の一部は検査区域23上で全反射が発生する。
【0040】
その中では、光源モジュール1には、1つまたは少なくとも1つの発光ユニット(例:LED)が含まれるかもしれない。光源モジュール1に複数の発光ユニットが含まれる場合、第1光束と第2光束は、光源モジュール1内の異なる発射ユニットから来るものであり、または異なる出射角度を持つ光源モジュール1内のすべての発射ユニットから来るものである可能性がある。
図9では、第1光束と第2光束が光源モジュール1内のすべての発射ユニットから異なる出射角度のものであると仮定して、例えば、発射ユニット11から出射される光束の中の光線L111と発射ユニット12から出射される光束の中のL121は第1光束に属し、第2媒質21に入射して全反射を引き起こす。発射ユニット11から出射される光束の中の光線L112と発射ユニット12から出射される光束の中のL122は第2光束に属し、探検エリア23に入射して全反射を引き起こす。
【0041】
オプションとして、第1の光束の放射角が第2の媒質22に入射する際の入射角が全反射角よりも大きいか、少なくとも50%以上大きい場合、そしてその結果として第1の完全反射領域内で全反射が完全またはほぼ完全に発生するようになり、輝度突然変異限界線の輝度対比を向上させることができる。オプションとして、第2の媒質22の面積が第1の光束の発散角と一致し、第1の光束が第2の媒質22上に形成するスポットがちょうど第2の媒質22を覆い、またはやや小さい場合、これにより屈折計の小型化が促進される。
【0042】
図9に示される例では、第1媒質21はプリズムである。第2媒質22は第1媒質21の表面に敷設されたコーティングである。この表面は並べられた第1領域と第2領域に分割されている。第1領域の光源モジュールに向かっている側の面には、第2媒質22が固定されており、第2領域には第2媒質22が覆われていない。これが探検エリア23であり、測定される液体が第2領域を覆うようになっている。オプションとして、第1媒質21の表面には液体槽が設けられ、第2媒質はスプレー工程、印刷工程、またはその他の工程によって液体槽の一部領域に設置され、液体槽の残りの領域は探検エリアとして設定される。ある例では、第2媒質には防水処理が必要である。例えば、液体槽の第1領域にコーティングが施された後、透明で防水性のある材料(例えばガラス板)24を追加し、第1領域だけを覆い、または全体の液体槽を覆うことがある。
【0043】
いくつかの例では、第2媒質は温度変化に伴う屈折率の特性と清水の屈折率の特性との関連性が比較的高い材料を使用でき、被検液体の屈折率への校正の精度を向上させることができる。オプションとして、第2媒質の屈折率の温度変化の数値は-0.0003/deg ℃から0.0003/deg ℃の範囲内にある。
【0044】
第2の媒質は、液体であることが可能であり、例えば、清水であり、清水をプリズムの表面の液体槽に固定する。第2の媒質は、固体であることも可能であり、例えば、光硬化型コーティング、高温硬化型コーティング、または自然硬化型コーティングなどである。高温硬化型コーティングは、高温で硬化したポリテトラフルオロエチレン(Poly tetra fluoroethylene, PTFE)であることが可能である。自然硬化型コーティングは、自然硬化後のフッ素樹脂FEVEコーティングであることが可能である。光硬化型コーティングは、光硬化後の無影グルーである。無影グルーの屈折率は温度変化に対する特性が水と高い相関があり、無影グルーの測定結果を使用して校正することで、被検液体の屈折率の測定精度を向上させることができる。
図10a~cに示すように、
図10a~cは無影グルーと水の屈折率が温度変化に応じて変化する実験結果の概略図である。ここで、
図10aは無影ゲルの屈折率が温度の上昇とともに変化する実験結果の概略図であり、
図10bは水の屈折率が温度の上昇とともに変化する実験結果の概略図であり、
図10cは各温度での屈折率の差の分布を示す概略図である。
図10a~cの縦軸は、探知画像内の屈折率に対応する輝度変異線の位置を示し、横軸は回数を示す。異なる位置は異なる屈折率に対応し、異なる回数は異なる温度に対応する。図から無影グルーと水の屈折率は温度変化に対する特性が高い相関を示す。無影グルーは高い透過率と低膨張率などの利点を有する。オプションとして、無影ゲルが硬化した後の屈折率は1.33を超え、1.6を超えない。
【0045】
第1媒質の第1エリアと第2エリアの位置関係はさまざまである。
図9に示す実施例では、光源モジュール1から出射される光束は、紙面に平行な断面内で最大またはほぼ最大の発散角を有し、紙面に垂直な断面内で最小の発散角を有する。この光源モジュールからの出射光に対応して、第1エリアと第2エリアはこれらのエリアの幅方向(または紙面に垂直な方向)に配置され、第2エリアはこれらのエリアの長さ方向(または紙面に平行な断面)で光源モジュール1からの出射光の発散角をカバーできる。これにより、第2エリアが測定できる全反射角の範囲が広がり、それによって屈折率の測定範囲が拡大し、それにより、屈折率測定範囲を拡大し、同時に第2光束が感光面アレイ4において第1イメージング領域と第1光束が感光面アレイ4において第2イメージング領域との重なり領域を狭くし、第1イメージング領域と第2イメージング領域との相互の干渉を低減できる。もちろん、第1エリアと第2エリアは他の位置関係であってもよく、この実施例では、第1エリアが第2媒質に対応する全反射角をカバーできればよく、第2エリアは第1光束のできるだけ大きな入射角範囲をカバーできるものを選択し、これにより、より大きな屈折率の測定範囲が実現できる。
【0046】
第1の光線は第1全反射領域内での全反射により、感光面アレイのイメージングにおいて第1の輝度突然変異限界線が固定される。被検液体が全反射条件を満たす場合、第2の光線は被検液体と一方の媒質との間での全反射により、感光面アレイのイメージングにおいて第2の輝度突然変異限界線が形成される。具体的には、感光面アレイのイメージングには、第1の光線の入射に対応する第1のイメージング領域と第2の光線の入射に対応する第2のイメージング領域が含まれている。第1のイメージング領域には、第1輝度突然変異限界線の両側に位置する領域が含まれ、一方の側は輝度が高く、全反射領域に対応している(便宜上、以下「全反射領域」と呼びます)、他方の側は輝度が低く、非全反射領域に対応している(便宜上、以下「非全反射領域」と呼ぶ)。同様に、第2のイメージング領域には、第2輝度突然変異限界線の両側に位置する全反射領域および非全反射領域が含まれている。
【0047】
その中で、
図11に示されているように、第1イメージングエリアP1と第2イメージングエリアP2は、イメージング中に互いに交わらない2つの領域であることも可能である。これにより、第1輝度突然変異限界線L1と第2輝度突然変異限界線L2の相互の干渉を減少させ、プロセッサがこれらの2つの限界線をより簡単に検出できるようになる。また、
図12に示されているように、イメージング中にオーバーラップまたは重なり合っている2つの領域であることも可能である。この場合、被検液体と第2の媒質の屈折率が異なる限り、第1輝度突然変異限界線L1と第2輝度突然変異限界線L2の位置に差異が生じ、プロセッサは輝度の変化を通じてそれぞれを識別できる。オプションとして、第1輝度突然変異限界線は探知画像内でヘリに近い位置にある。オプションとして、探知画像には相対する第1ヘリと第2へりが含まれ、探知画像内の輝度突然変異限界線が第1へりに近づくほど屈折率が高くなり、かつ第1輝度突然変異限界線が探知画像内の第1ヘリと屈折計の屈折率測定範囲で最大の屈折率に対応する輝度突然変異限界線の間に位置する。これにより、感光面アレイのFOVが固定された状態で、屈折計の屈折率測定範囲が最大になれる。オプションとして、第1輝度突然変異限界線と第1へりとの距離は、探知画像の幅の1/10よりも大きく、かつ屈折計の最大屈折率測定範囲に対応する輝度突然変異限界線の距離は、その幅の1/8よりも大きいことで、第1輝度突然変異限界線と第2輝度突然変異限界線の両方の測定精度を同時に確保できる。
【0048】
第1イメージングエリアと第2イメージングエリアが互いに分離し、交差しないように実現する方法はいくつかある。ある一例では、焦点モジュール3よりも前の光路に構造を設定することで、第1光線と第2光線の光路を分離し、それによって第1イメージングエリアと第2イメージングエリアが互いに分かれた二つの領域となる。たとえば、
図9に示されている例では、プリズム21の光入射面に入射口2111が設けられており、光源モジュール1からの光束がこの入射口2111からプリズム21内部にのみ入射するように制限されている。21の光出射面には、光束の出射に使用される第1の光が出るところ2121と第2の光が出るところ2122が設けられており、第1の光が出るところ2121および第2の光が出るところ2122以外の領域には反射光束または吸収光束の材料が設置されている。第1の光が出るところ2121は第2媒質22での全反射と反射を経た第1光線の光路上にあり、第2の光が出るところは検出エリア23上の検査対象液体の全反射と反射を経た第2光線の光路上に位置している。
【0049】
ある例では、
図13に示されているように、
図13は
図9に示されている屈折計の俯瞰図の一例である。この例では、第1の光が出るところ2121の下端は入射口2111の上端の延長線の上に位置し、第2の光が出るところ2122の上端は入射口2111の下端の延長線の下に位置している。これにより、第1光束が第1の光が出るところ2121から出射する割合が減少し、さらに第2光束が第2の光が出るところ2122から出射する割合が大幅に減少し、結果として第1の光が出るところ2121から出射した光束と第2の光が出るところ2122から出射した光束が集合モジュールに集合後、感光面アレイの異なる領域にそれぞれ入射し、感光面アレイ上のイメージングにおいて第1イメージングエリアと第2イメージングエリアが重ならないようになっている。
【0050】
もちろん、第1の光が出るところの下端と第2の光が出るところの上端もこの制約を受けなくても構わない。反射モジュールからの光が出るところから出射された第2光束と第1光束を完全に分離できなくても、光が出るところのないケースと比較して、第1イメージングエリアと第2イメージングエリアの相互の干渉を低減できる。
【0051】
第1の光が出るところと第2の光が出るところは、集合モジュールの光が出る面にシルクスクリーンを行うことで実現できる。または、集光モジュールの光が出る面またはその側面に構造部品を取り付けることでも実現できる。ここでは制限を加えない。
【0052】
一部分の例では、光源の放射光の光分布特性により、感光面アレイの中心領域と周辺領域の輝度が異なる。オプションとして、感光面アレイ内の異なる感光ユニットまたは異なる領域の感光ユニットが異なる露光パラメータ(例:異なる露光強度、異なる露光時間、または異なる露光回数)を使用し、暗い領域の輝度を向上させ、それによって検出の信号と雑音の比を向上させることがある。
【0053】
ある例では、第2の媒質と検出領域の位置関係は、第1の媒質の同じ表面に並列に配置されるのではなく、重ねて配置されることもある。例えば、第2の媒質は第1の媒質の表面に敷かれたコーティングであり、検出領域は第2の媒質の上側に配置する。
【0054】
第1光束と第2光束は、順次第1の媒質、第2の媒質、および検出領域に入射する。この中で、第1の媒質と第2の媒質の間は、主に第1の光束が全反射するように使用され、これにより検出イメージ上に第1の輝度突然変異限界が形成される。また、第2の媒質と検出領域上の被検液体の間は、主に第2の光束が全反射するように使用され、これにより検出イメージ上に第2の輝度突然変異限界が形成される。この中で、第1の媒質と第2の媒質の間の光束の全反射角(便宜上、以下第1の全反射角と呼ぶ)は、第2の媒質と被検液体の間の光束の全反射角(便宜上、以下第2の全反射角と呼ぶ)よりも大きくなければならず、したがって、第2の媒質は屈折率が被検液体の測定範囲の最高点よりも大きい材料を使用する。
【0055】
オプションとして、光源モジュール1からの出射光を整形したり、異なる発光素子の発光輝度を調整したりして、光源モジュール1の出射光のうち、第2媒質22に入射する際の入射角が第1全反射角よりも小さい部分が50%以上になるようにする。これにより、光源モジュール1からの出射光が第2媒質を経て大幅に減衰することによる、測定対象の液体に対応する第2の輝度変異の輝度の減少を軽減する。
【0056】
屈折計は通常防水の要件を満たす必要があるため、第2の媒質には防水機能を持つ材料を使用することができ、同時に防水機能を備え、第1の媒質を屈折計に封じ込む。または、オプションとして、第2の媒質が第1の媒質の反側にある側では、透明な防水部品が配置され、これにより第1の媒質と第2の媒質を屈折計内に封じ込め、検出エリアが防水部品の第2の媒質の反側にある表面に設置される。さらに、防水部品は高い屈折率の材料を使用することができ、これにより検査対象の液体の屈折率との差を広げ、屈折計に入る環境光を減らし、環境光が測定結果に与える影響を軽減する。オプションとして、防水部品の屈折率は屈折計の測定範囲内の最大屈折率より大きい。
【0057】
防水部品を備えた場合、防水部品が厚すぎると熱伝導に影響を与え、検査対象の液体と第2媒質の温度が一致にならない。自己校正の効果に影響を与える。一方で、防水部品が薄すぎると防水部品の硬度に影響を与える。オプションとして、防水部品の厚さは0.05ミリメートルから3ミリメートルの範囲にあり、同時に熱伝導と硬度を確保できる。
【0058】
第2媒質と検出エリアの位置関係が同じ層に設定された場合と比較して、第2媒質と検出エリアの位置関係を上下の層に設定する例では、製造プロセスの難易度が簡素化され、防水がより容易に実現でき、コストが低減できる。防水部品にはガラス片または他の透明で防水の材料が使用できる。この中で、防水部品の屈折率は第2媒質の屈折率よりも大きくてもよく、小さくても構わない。第1媒質をプリズム、第2媒質をプリズム表面のコーティングを例として仮定して説明する。もちろん、この出願の第1媒質と第2媒質は他の要素を指す可能性もあり、以下の説明で具体的な例を挙げる。ここからは
図14から
図17までの3つの例について詳しく説明する。
図14はプリズム、プリズム表面のコーティング、防水部品、および検査対象の液体の位置関係の概略図である。
【0059】
例1:第1媒質はプリズムであり、第2媒質はコーティングである。第2媒質の屈折率は防水部品の屈折率より大きい。全反射は、光束が光量が多い媒質から光量が少ない媒質に入る時に発生するため、光束は第1媒質、第2媒質、防水部品、検出領域を順次通過し、かつ検査対象の液体の屈折率が防水材の屈折率よりも小さい場合、光束が全ての隣接する2つの層の間の全反射角をカバーする場合、任意の隣接する2つの層の間で全反射が発生し、それにより検出イメージ中に対応する輝度突然変異限界が形成される。
図15に示すように、
図15は検出イメージの模式図である。検出イメージでは、M1は第1媒質と第2媒質の間で全反射が発生した光束によって生成された輝度突然変異限界であり、第2媒質の屈折率を計算するために使用できる。M2は第2媒質と防水材の間で全反射が発生した光束によって生成された輝度突然変異限界であり、防水材の屈折率を計算するために使用できる。M3は防水材と検査対象の液体の間で全反射が発生した光束によって生成された輝度突然変異限界であり、検査対象の液体の屈折率を計算するために使用できる。これらの3つの輝度突然変異限界は、画像中で左から右に順番に配置されている。
【0060】
オプションとして、感光面アレイと収束モジュール3の位置関係を設定することにより、第1全反射領域を通過した光束が収束モジュール3によって収束された位置が感光面アレイ4の外にある。したがって、
図16に示すように、得られる検出画像にはM2とM3のみが表示される。これにより、第1の輝度突然変異限界線が他の輝度突然変異限界の検測に与える干渉がさらに減少する。また、M2が画像の右端からの距離が増加すると、屈折計が被検液体の屈折率の測定範囲が向上する。
【0061】
例2:第1の媒質はプリズムであり、第2の媒質はコーティングである。防水部品の屈折率は第2の媒質の屈折率以上であるか、もしくはそれに等しい。被検液体の屈折率が防水部品の屈折率よりも小さい場合、光束が全ての隣接する二つの層の間で全反射する角度を覆う場合、第1の媒質と第2の媒質の間、および防水部品と被検液体の間で全反射が発生し、それにより対応する輝度突然変異限界が検出イメージ上に形成される。
図17に示すように、
図17は検出イメージの別の模式図である。検出イメージでは、M4は第1の媒質と第2の媒質の間で全反射が発生した光束によって生じる輝度突然変異限界であり、第2の媒質の屈折率を計算するために使用できる。M5は防水部品と被検液体の間で全反射が発生した光束によって生じた輝度突然変異限界であり、被検液体の屈折率を計算するために使用できる。
【0062】
例1と比較して、例2では画像中の輝度突然変異限界線が1つ減少するため、他の2つの輝度突然変異限界線の検測に対する干渉が減少し、また、屈折計の測定範囲が向上できる。
【0063】
例3:第1の媒質はプリズム表面上のコーティングであり、第2の媒体は防水部品であり、かつコーティングの屈折率は防水部品の屈折率よりも大きい。従って、第1の全反射領域とは、第1の光束がコーティングと防水部品の間で全反射する領域を指し、これに対応して第1の輝度突然変異限界線が生じる。第2の輝度突然変異限界線は、第2の光束が防水部品と検出エリア上の被検液体との間で全反射することによって生じる。プロセッサは、第1の全反射領域内で発生した全反射光束によって形成された第1の輝度突然変異限界線を通じて、被検液体の屈折率に対応する第2の輝度突然変異限界線を校正する。この例では、コーティングには温度変化に伴う屈折率のドリフト方向が純水の屈折率の温度変化に伴うドリフト方向と逆向きの材料が好まれる。
【0064】
第2の媒質と検出エリアの位置関係が上下に設定されている例では、第1の媒質と第2の媒質の間で既に一度全反射が発生しているため、第2の媒質と被検液体の間での全反射の光束は多く減衰する。これにより、第2の輝度突然変異限界線が第1の輝度突然変異限界線よりもはるかに暗くなり、信号と雑音の比が低下になる。
【0065】
一つの例では、感光面アレイは連続して多くのフレームの検出画像を含む検出イメージの検出イメージシリアルナンバーを出力するために使用される。この中で、隣接する2つのフレームの検出イメージ感光面アレイに対し異なる露光パラメータを使用する。これらの露光パラメータには、露光強度、露光時間、または露光回数などが含まれることがよい。プロセッサはこれらの隣接する2つのフレーム検出イメージに基づいて、検出用に1つのイメージを合成するためにも使用され、第2の輝度突然変異限界線輝度を向上させ、信号と雑音の比を向上させる。
【0066】
一つの例では、感光面アレイは連続して多くのフレームの検出画像を含む検出イメージの検出イメージシリアルナンバーを出力するために使用される。この中で、対応する感光アレイは隣接する2つのフレームの検出画像を形成する2つの時期で、光源モジュールの発光強度が異なる。これにより、対応する1つのフレーム検出画像に対応する光源モジュールの発光強度を向上させることにより、第2の媒質と被検液体との間の全反射光束の強度を向上させ、それにより第2の輝度突然変異限界線の輝度を向上させ、同時に第1の輝度突然変異限界線の飽和を避け、信号と雑音の比を向上させる。
【0067】
上記の各例では、屈折計で被検液体によって引き起こされる全反射によって画像上に形成される輝度突然変異限界線を通し、被検液体の屈折率を計算する。および第2の媒質を設定して、光線が全反射を引き起こし、画像上に形成される輝度突然変異限界線を介して試料液体の屈折率を校正する。オプションとして、屈折計は、被検液体の屈折率を校正するために画像上に形成される追加の少なくとも一つの輝度突然変異限界線を引き起こすために、追加の少なくとも一種の媒質をさらに設定することもできる。例えば、
図9に示す実施例では、第3の媒質と第2の媒質、および検出領域が第1の媒質の表面に並んで配置され、第3の光束を光源モジュールから受け取り、第3の光束が全反射を引き起こし、それによって第3の媒質に対応する新しい輝度突然変異限界線が画像上に形成される。また、第3の媒質と第1の媒質、第2の媒質、検出領域が重なり合って配置されることもあり、第3の媒質は、その全反射が第3の媒質に入射するか、またはその第3の媒質から隣接する別の媒質に入射すると発生するように、新しい第3の媒質に対応する輝度突然変異限界線が画像上に形成される。
【0068】
被検液体の屈折率を校正する際、校正に使用される媒質の屈折率が温度変化に伴う特性と被検液体の屈折率の温度変化に伴う特性の相関が強ければ、被検液体の屈折率校正の精度は高まる。被検液体の屈折率を校正するために、被検液体の屈折率を校正するために使用される媒質を2種類以上設定することで、被検液体の特性とより関連性の高い媒質を選択し、被検液体の屈折率校正の精度を向上させることができる。2種類や2種類以上の媒質を使用して被検液体の屈折率を校正する際の例では、画像内でそれぞれの媒質に対応する輝度突然変異限界線に基づいて、被検液体の屈折率を校正するためのその中の1つの限界線を選択する。被検液体に対応する輝度突然変異限界線に最も近い限界線を選択するか、または2種類や2種類以上の媒質に対応する輝度突然変異限界線に基づいて新しい限界線を適合させて校正に使用するか、あるいは機械学習の手法を採用して校正に使用する輝度突然変異限界線を選択または生成する。
【0069】
プロセッサが画像中の輝度突然変異限界線の位置を決定する方法は複数ある。たとえば、プロセッサは探知画像中の反射領域の各画素行の輝度勾配変化を個別に計算し、各行の画素で勾配変化が最大の点を輝度突然変異限界線上の点として特定できる。また、プロセッサはエッジ検出、テンプレートマッチング、機械学習などの方法を使用して輝度突然変異限界線の位置を取得することもできる。オプションとして、限界線の位置を取得するプロセス中に、プロセッサは現在の温度と/または組み立て公差による限界線の偏差を取得し、取得した現在の温度と/または限界線の偏差に基づいて輝度突然変異限界線の位置を補償することもできる。輝度突然変異限界線を確定した後、プロセッサは事前にキャリブレーションされた輝度突然変異限界線と屈折率の対応関係グラフを参照して、対応する屈折率を取得できる。
【0070】
プロセッサは、検知画像から第1の輝度突然変異限界線と第2の輝度突然変異限界線を特定し、その第2の輝度突然変異限界線の位置に基づいて被検液体の屈折率を計算し、また第1の輝度突然変異限界線の位置に基づいて被検液体の屈折率を補正する。第1の輝度突然変異限界線の位置に基づいて被検液体の屈折率を補正する方法は複数ある。たとえば、プロセッサは、第1の輝度突然変異限界線と待測液体に対応する第2の輝度突然変異限界線の距離とドリフト補償の関数を記憶している。この関数を通して、第2の輝度突然変異限界線のドリフト距離を補償し、第2の輝度突然変異限界線を特定の固定温度(たとえば20℃)の位置に戻す。または、他の方法を採用することもでき、例えば機械学習の手法を使用して第1の輝度突然変異限界線の位置に基づいて被検液体の屈折率を校正することができる。
【0071】
ある例では、感光面アレイは補完金属酸化物半導体(Complementary Metal Oxide Semiconductor、CMOS)イメージセンサアレイである可能性がある。もちろん、感光面アレイはCCD画像イメージセンサなど他の光電子センサを使用しても実現できる。オプションとして、感光面アレイが検知画像を出力した後、プロセッサはその検知画像の輝度を統計し、検知画像の輝度が予め設定された条件を満たす場合にのみ、その検知画像に基づいて屈折率を計算する。この予め設定された条件は複数ある。例えば、この条件には、検知画像の輝度と予め設定された目標の輝度との差が閾値よりも大きい絶対値であるという条件が含まれる。
【0072】
既存の技術でラインアレイを感光アレイとして使用するのに比べて、CMOSイメージセンサアレイを使用すると、取り付けの要件が大幅に低減されるだけでなく、2次元アレイの性質により、以前の1次元アレイでは実現できなかった多くのことが可能になる。例えば、感光アレイによって検出された1フレームの検出画像に基づいて屈折率を計算する前に、プロセッサは1フレームの検出画像に対応する感光アレイ上の複数行センサで測定された画素値を使用してノイズをフィルタリングし、信号と雑音の比を向上させる。その中では、プロセッサは空間領域または変換領域で1フレームの検出画像に対してノイズフィルタリングを行うことができる。ノイズフィルタリング時には、プロセッサはウィンドウのスライディング平均フィルタリングを基にしてノイズフィルタリングを行うことができ、このフィルタリングウィンドウの幅は1から検出画像の幅までの値であり、高さは1から検出画像の高さまでの値である。具体的な例では、プロセッサは複数行センサが検出した画素値に対して重み付き処理(例:平均処理)を行い、ノイズがフィルタリングされた結果を得て、そのノイズがフィルタリングされた結果に基づいて検出対象の媒質の屈折率を計算することができる。もちろん、プロセッサは他のノイズフィルタリング方法を採用することもでき、例えば機械学習の手法を使用して1フレームの検出画像をノイズフィルタリングすることができる。
【0073】
図18に示すように、
図18の左側は感光面アレイが受け取った光束によって形成された検知画像上の1行の画素値曲線であり、右側はその行の画素値および上下の複数行の画素値を平均した後の画素値曲線である。複数行の画素値を平均処理することでノイズの影響を低減できることがわかる。既存の技術では1行の画素値のみが存在する(すなわち、ラインアレイセンサの検出結果のみがある)のに対し、本出願では感光面アレイを使用することで測定の精度を向上させることができる。
【0074】
例えば、探知画像中の反射領域の複数行画素値に基づいて検査対象の媒質の屈折率を計算する際、プロセッサは散乱光の影響を受けた1行または複数行の画素値を取り除くか、またはその行または複数行の画素値の影響重みを低減させることができる。
【0075】
1フレームの検出画像から、散乱光の影響が少ない一行の測定結果を選択して被検対象の媒質の屈折率を計算できる。散乱光は、表面の摩耗、汚れ、霧の凝結、または部品の位置のずれなどの理由によって光学システム内で発生する干渉光である。散乱光の存在は屈折率の計算精度を低下させる。感光面アレイを使用すると、プロセッサは多行の画素行の輝度を比較分析することで、散乱光の影響を受ける画素行を特定できる。既存の技術でのラインアレイセンサに比べて、本出願では感光面アレイを使用することで屈折率の測定精度が向上する。オプションとして、プロセッサは多枚のフレームの検出画像を比較分析することで、散乱光の影響を受ける画素行を特定できる。これにより、散乱光の影響を受ける場合の屈折率の測定がより頑健になる。
【0076】
ある例では、プロセッサは屈折率を計算する前に、複数のフレームの検出画像に基づいてノイズをフィルタリングすることもできる。例えば、感光面アレイが複数のフレームの検出画像を収集した後、プロセッサはこれらの複数のフレームの検出画像を重み付き処理して1つのフレーム検出画像に合成し、その合成された検出画像を使用して屈折率を計算する。オプションとして、屈折率を計算する前に、プロセッサは上記で説明した1フレームのノイズフィルタリングの方法を使用して、この合成された検出画像をさらにノイズフィルタリングすることもできる。
【0077】
ある例では、制御モジュールは現在の測定環境の輝度情報を取得し、その輝度情報に基づいて感光面アレイの検出画像の品質を調整して、より優れた測定品質を得ることができる。この中で、制御モジュールは輝度情報に基づいて以下の少なくとも1つを調整できる。光源モジュールの放射光強度、感光面アレイの露光時間、感光面アレイのアナログゲイン、感光面アレイのデジタルゲインである。その中では、感光面アレイは全反射光以外の時間帯で環境光を測定するために使用できるほか、また、検出モジュール内には現在の環境の輝度情報を測定するための他のセンサも設置されている。
【0078】
一つの例では、屈折計には第1温度センサと第2温度センサが設置されており、第1温度センサは第2媒質の温度を測定するために使用され、第2温度センサは検出エリアに設置され、被検対象の液体の温度を測定するために使用される。または、第1温度センサと第2温度センサは直接的に第2媒質または被検対象の液体に接触するのではなく、熱伝導性の良い材料を媒質として使用して接触することもできる。オプションとして、第1温度センサはプリズムの表面に取り付けられ、プロセッサは第1温度センサが測定したプリズムの表面温度に基づいて第2媒質の温度を計算する。実際のプロセスでは、第1温度センサを第2媒質の表面に固定することは難しく、プリズムの表面に取り付けることで製造プロセスの難易度を低減し、その後、測定されたプリズム表面の温度と予め設定されたモデルを使用して第2媒質の温度を計算することができる。
【0079】
プロセッサは、さらに、第1温度センサと第2温度センサの測定結果を取得し、それを使用して被検液体の屈折率をさらに校正するためにも使用される。液体の屈折率は液体の温度に依存しており、プリズムの温度がプリズムの熱膨張と収縮の比率を決定し、そしてプリズムの温度は光束の入射と出射角のずれを引き起こす可能性があるため、予め被検液体の温度、反射モジュールの温度、被検液体の屈折率の関係モデルを構築しておき、被検液体の屈折率を計算する際に、被検液体の温度と反射モジュールの温度を取得し、この関係モデルを使用して被検液体の屈折率を計算することで、屈折率の計算精度を向上させることができる。
【0080】
例えば、屈折計の第2媒質と被検液体の温度差が比較的小さい応用シーンでは、第1温度センサと第2温度センサを使用して温度の偏差を計算し、第1の輝度突然変異限界線の位置を使用して第2の輝度突然変異限界線の位置を校正する際に、この温度の偏差を導入することで、被検液体の測定結果をより精密に校正できる。または、屈折計の第2媒質と被検液体の温度差が大きい(例えば、室温で高温の液体を測定する場合)応用シーンでは、温度差が大きいために生じる温度伝導が比較的遅いことから、二つの温度センサを使用することでより正確に二つの温度を計測し、それに基づいて第2媒質と被検液体が熱平衡に達するときの温度を計算できる。あるいは、さらに進んで、二つの温度センサで測定された温度を使用して第2媒質と被検液体の温度変化傾向を取得し、予め設定された温度変化モデルを使用して第2媒質と被検液体の温度変化をより正確に予測し、この温度変化を考慮して被検液体の測定結果を校正する。
【0081】
一つの例では、プロセッサは、感光面アレイが出力した検出画像に基づいて、被検液体の濁度を計算することもできる。光源モジュールの出射光のうち、反射モジュールから被検液体に透過する光束は、被検液体中の懸濁物の粒子による散乱が発生し、その一部の散乱光は反射モジュールを透過した後、感光面アレイに入射する。散乱は、散乱粒子のサイズに応じて異なる角度成分を持つレイリー散乱、ミー散乱、および屈折に分類される。感光面アレイが検出した検出画像を分析することで、プロセッサは検出画像の光強度分布を取得し、その光強度分布に基づいて散乱粒子のサイズと性質を取得し、それによって液体の濁度を判断することができる。
【0082】
例えば、
図8に示すように、液体中の粒子に起因する散乱は、反射されないはずの領域であるにもかかわらず、輝度の値が現れる。したがって、プロセッサは、その非反射領域の輝度に基づいて液体中の粒子の濃度を計算することができる。具体的には、検出画像中の異なる画素の位置が異なる角度で全反射界面に入射するため、非反射領域には全反射領域と非全反射領域が含まれると理解できる。
図8の場合、非反射領域の全反射領域は、反射領域の全反射領域の上下にあり、非反射領域の非全反射領域は、反射領域の非全反射領域の上下にある。 被検液体中の粒子によって散乱された光束は、全反射角以下の角度でしか反射モジュールに再入することができないため、感光面アレイが生成する検出画像には、散乱光斑が現れるのは全反射角より小さい領域に対応する部分のみであり、つまり散乱された光束は検出画像の非全反射領域にのみ現れる。
【0083】
したがって、ある例では、プロセッサは、検出画像上の非反射領域内の非全反射領域の輝度に基づいて散乱光の輝度を計算できる。オプションとして、プロセッサは非反射領域内の全反射領域の輝度を基準値として、散乱光の絶対値を計算することもできる。例えば、プロセッサは検出画像上の非反射領域内の非全反射領域の輝度から非反射領域内の全反射領域の輝度を減算し、散乱光の絶対値を得ることができる。散乱光の輝度を取得した後、プロセッサは予め用意された散乱光と液体の濁度の対応関係モデルに基づいて、対応する被検液体の濁度を得ることができる。
【0084】
オプションとして、プロセッサは非反射領域内の全反射領域の輝度を確定する際、その領域内の少なくとも一部の画素の輝度に重み付き処理を適用し、その全反射領域の輝度を得る。同様に、非反射領域内の非全反射領域の輝度を確定する際、その領域内の少なくとも一部の画素の輝度に重み付き処理を適用し、その非全反射領域の輝度を得ることができる。これにより、計算誤差を低減できる。
【0085】
また、例えば、
図8に示すように、反射モジュールに近い全反射界面の粒子による散乱は、検出画像の反射領域内の輝度突然変異限界線をぼやかしてしまう。したがって、プロセッサは感光面アレイが検出した検出画像上の輝度変異境界線のぼやけ具合を取得し、そのぼやけ具合に基づいて被検液体の濁度を確定できる。この中で、プロセッサは事前にキャリブレートされた輝度突然変異限界線のぼやけ具合と液体濁度の対応関係を調べることで、対応する被検液体の濁度を得ることができる。
【0086】
いくつかの例では、プロセッサは、検出画像の非反射領域の輝度に基づいて、検体の濁度を計算することに使用されるが、検液の濃度が予め設定された濃度よりも低い場合は、検出画像の輝度変異境界線のぼやけ度合いに基づいて濁度を計算する。検体の濃度が予め設定された濃度よりも高い場合は、輝度変異境界線のぼやけ度合いに基づいて濁度を計算する。検体の濃度が低い場合、検体の濁度と検出画像の非反射領域の輝度は比較的良好な線形関係を持っており、非反射領域の輝度に基づいて濁度を計算するとより高い精度が得られる。一方で、検体の濃度が高い場合、この線形関係は低下するため、輝度変異境界線のぼやけ度合いを使用して濁度を計算するとより正確である。
【0087】
屈折計は濁度の計算にさまざまな応用シーンを提供できる。いくつかの例では、屈折計は液体の成分検査に使用できる。たとえば、屈折計は液体の屈折率と濁度を同時に測定し、液体の性質を判断するのに使用できる。また、屈折計は液体(たとえばコーヒー)の屈折率と濁度を同時に測定し、液体の含糖量と乳製品の含有量を判定できる。また、屈折計は液体(たとえばジュース)の屈折率と濁度を同時に測定し、液体の含糖量と果肉の含有量を判断できる。また、屈折計はクリアな液体中のセンサの屈折率と濁度を測定し、その屈折率と濁度はセンサが汚れているかどうかを判断するのに使用できる。オプションとして、この汚れの判断結果は、清掃を継続する必要があるかどうかを決定するために使用できる。特定の応用シーンでは、屈折計は清掃機器(食器洗い機、洗濯機など)のために使用でき、クリーンな対象物の後の液体の屈折率と濁度を測定して、対象物のクリーン度を判断できる。また、屈折計は水質検査に使用できる。屈折計の判定結果は、ユーザーに対してインタラクティブなモジュールを介して表示できる。
【0088】
待機液体の濁りが変化すると、その待機液体の屈折率にも影響を与えるため、一部の例では、プロセッサは待機液体の濁度を計算した後、事前にキャリブレートされた濁度に基づいて屈折率の影響関係を修正するためにも使用される。例えば、屈折計が待機液体の濁度と糖度を同時に測定する場合、待機液体の濁度と糖度を同時に測定することで、待機液体中の乳と糖の比率を区別し、それによって正確な乳量と糖度値を得ることができる。そして、それによって待機液体のカロリー含有量をより正確に計算することができる。
【0089】
ある例では、屈折計はスタンバイモードおよび/または低消費電力モードも備えている。このスタンバイモードでは、制御モジュールはスリープ待機状態であり、光源モジュールおよび感光面アレイは電源が切られ、屈折計全体の電力消費はuWのレベルにある。低消費電力モードでは、制御モジュールは光源モジュールおよび感光面アレイを同期して点滅させ、電源が通電の時間が非常に短く、屈折計全体の電力消費はmWのレベルにある。具体的には、制御モジュールは光源モジュール1および感光面アレイを制御する際に、感光面アレイのフレーム信号に基づいてパルス幅変調(PWM,Pulse Width Modulation)信号を同期トリガーとして使用し、光源モジュールの調光を実現できる。
【0090】
いくつかの例では、屈折計には、待機液体の色を検出するための色度合い計、被検液体中のイオン(例えば酸性イオン)の含有量を検出するためのインピーダンス計、被検液体の酸度値を検出するためのPH計が少なくとも含まれる。これらの情報に基づいて、プロセッサは被検液体の種類を補助的に特定するために使用される。
【0091】
ある例では、屈折計には無線通信モジュールも含まれており、プロセッサが得た被検液体の屈折率、濁度、温度のうち少なくとも1つを他のクライアント(例:スマートフォンの小プログラム、アプリケーション、コンピュータクライアント、サーバなど)に送信する。これにより、クライアントは1つまたは複数の屈折計から収集されたデータに基づいて表示または分析を行う。ある例では、屈折計にはさらに、ユーザーに検出されたデータを表示するためのインタラクションモジュールも含まれている。
【0092】
この出願では、上記の屈折計が内蔵された検出装置も提供されている。たとえば、この検出容器はスマートカップである。
図19に示されているように、
図19はスマートカップの構造の模式図である。このスマートカップにはカップ本体と、カップ本体内に設置された上記の屈折計201が含まれており、これはカップ内の液体の屈折率および/または濁度を検出するために使用される。
図19に示されているように、この屈折計201はカップ本体200の底部に配置されている。または、オプションとして、この屈折計はカップの蓋に固定され、簡単に取り付けられる。液体の屈折率を測定する必要がある場合、ユーザーは蓋のついたカップを逆さまにするだけで、すぐに測定が可能である。この屈折計は、スマートカップのカップ本体に取り付けられた独立したモジュールである可能性がある。これにより、屈折計とスマートカップのカップ本体は独立して組み立てられ、構造および防水工程がより簡単化される。また、この屈折計はスマートカップのカップ本体に統合されることが可能である。オプションとして、上記の屈折計に防水構造が含まれる場合、この屈折計はガラスカップ内に内蔵され、カップの壁を屈折計の防水部品として活用できる。
【0093】
オプションとして、このスマートカップには微気圧センサと計算モジュールも搭載されている。この微気圧センサは、カップ内の液体の体積を検出するために使用され、計算モジュールは屈折計で測定された液体の屈折率および/または濁度に基づいて、カップ内の液体のカロリーを計算するために使用される。オプションとして、この微気圧センサは、カップ本体の底部とその上に配置された仕切りで形成される密閉空間内に設置されている。
【0094】
例えば、この検出装置はスマートスケールである。
図20に示されているように、
図20はスマートスケールの構造の模式図である。このスマートスケールにはスケールボディ210と、そのスケールボディ210内に設置された上記の屈折計211が含まれている。スケールボディ210の表面には液体を収容する領域212と第1表示領域(図には示されていない)が設置されており、屈折計211は領域212内の液体の屈折率を検出し、第1表示領域にはその液体の屈折率が表示される。オプションとして、スマートスケールの表面には重量を測定する領域213と第2表示領域(図には示されていない)も設置されており、第2表示領域には領域上の物体の重さが表示される。オプションとして、重量を測定する領域213と液体を収容する領域212はスマートスケールの表面に並んで配置されている。オプションとして、第1表示領域と第2表示領域は分離して配置されるか、あるいは統合して配置されることもある。
【0095】
例えば、この検出装置はスマートペットの尿検出機器(パッドなど)であり、上記の屈折計が搭載されており、屈折計を使用してペットの尿の屈折率を測定する。
【0096】
この出願は、屈折計を使用して被検液体の屈折率を検出する方法も提供する。
図21に示されているように、
図21は本出願において屈折計を用いて被検液体の屈折率を検出する方法の実施例の模式図である。この方法は以下の手順を含む:S2201、屈折計内の反射モジュールに光線を発射する。S2202、収束モジュールを介して、反射モジュールによって少なくとも全反射された光線を焦点平面上に配置された感光アレイに収束させる。S2203、受信した光線をイメージングするために感光アレイを使用し、検出画像を生成する。S2204、検出画像内の輝度変異境界線を確定する。S2205、検出画像内の輝度変異境界線の位置に基づいて対応する全反射角を決定する。S2206、全反射角に基づいて、輝度変異境界線に対応する媒質の屈折率を決定する。
【0097】
一例では、該当の屈折計には、反射モジュールに配置された検出エリアが含まれている。この検出エリアが被検液体で覆われ、かつその液体の屈折率が第1の媒質の屈折率よりも低い場合、光線は被検液体に少なくとも部分的に全反射される。検出画像内では、被検液体の屈折率に対応する一本の輝度変異境界線だけが形成される。
【0098】
一例では、光束は第1光束と第2光束を含み、反射モジュールは隣接する第1の媒質と第2の媒質を含む。第1の媒質の屈折率が第2の媒質の屈折率よりも大きく、第1光束は第1の媒質から第2の媒質に入射し、少なくとも部分は第2の媒質に全反射される。屈折計には、検出エリアが含まれており、この領域は反射モジュールの一つの媒質の表面に配置されている。第2の光束を受信するために使用される。検出エリアが被検液体で覆われ、かつその液体の屈折率がその中の一つの媒質の屈折率よりも低い場合、第2光束はその少なくとも一部が被検液体に全反射される。検出画像内には、第2の媒質に対応する第1の輝度変異境界線と被検液体に対応する第2の輝度変異境界線が形成されている。この方法には、第2の輝度変異境界線の位置に基づいて被検液体の屈折率を計算し、第1の輝度変異境界線の位置に基づいて被検液体の屈折率を校正する手順も含まれている。
【0099】
一例では、検出エリアと第2の媒質は、それぞれ第1の媒質の同じ表面上の異なる領域に配置されている。第2の光束は、第1の媒質から第2の媒質を経由せずに検出エリアに入射する。
【0100】
一例では、反射モジュールには第2の媒質とは異なる屈折率を有する第3の媒体も含まれている。検出エリアと第2の媒質が第1の媒質の同じ表面上の異なる領域に位置している部分に配置されている。光束には、第3の光束も含まれており、第3の光束は第1の媒質から第3の媒質に入射する際に少なくとも部分的に全反射される。探査画像内には、第3の媒質に対応する第3の輝度変異境界線も形成されている。第1の輝度変異境界線の位置に基づいて被検液体の屈折率を校正する手順には、第1の輝度変異境界線と/または第3の輝度変異境界線に基づいて被検液体の屈折率を校正するというものが含まれている。
【0101】
一例では,第1の媒質は、光入射面、光出射面、および検出面を有するプリズムを含む。検出エリアと第2の媒質は、それぞれ検出面の異なる領域に配置されている。方法には、第1の光が出る面から出射された、第2の媒質を全反射する少なくとも部分的な光束が、第1の光が出る面に入射し、そして第2の光が出る面から出射された、被検液体を全反射する少なくとも部分的な光束が、第2の光が出る面から入射して収束レンズに入射させることを許可するステップも含まれている。一例では、光入射面には入光口が設けられ、第1の光束と第2の光束が入光口を介して検出面に入射する。この中で、第1の光が出るところと第2の光が出るところは、それぞれ入光口の光出射面上の投影の両側に配置され、投影が重なっていないことが特徴。
【0102】
一例では、第1の媒質、第2の媒質、および検出エリアは重なって配置されており、検出エリアは第2の媒質に背を向けた第1の媒質の側に配置されている。第2の光束は、順次第1の媒質と第2の媒質を通過する。
【0103】
一例では、反射モジュールには、光入射面、光出射面、および検出面のプリズムが含まれており、検出エリアは検出面上に配置されている。検出エリアと検出面の間には、硬化した材料層と透明なガラス層が挟まれており、透明なガラス層は材料層とプリズムを折光計内に密閉するために使用される。検出エリアは透明なガラス層に背を向けた材料層の側に配置されている。
【0104】
一例では,プリズムの屈折率は材料層の屈折率よりも大きく、かつ、材料層の屈折率は透明なガラス層の屈折率よりも大きい。被検液体の屈折率が透明なガラス層の屈折率よりも小さい場合、検出画像には少なくとも三つの輝度変異境界線が形成される。第1の媒質はプリズムであり、第2の媒質は材料層であり、または第1の媒質が材料層であり、第2の媒体質が透明なガラス層である。
【0105】
一つの例では、プリズムの屈折率は材料層の屈折率よりも大きく、材料層の屈折率は透光ガラス層の屈折率よりも大きい。感光面アレイは、材料層の全反射の光束が収束レンズに収束する位置を避け、検出画像上には2つの輝度変異境界線しか形成されない。第1の媒質は材料層を指し、第2の媒質は透光ガラス層を指す。
【0106】
一つの例では、プリズムの屈折率は材料層の屈折率よりも大きく、材料層の屈折率は透明なガラス層の屈折率に等しいかまたはそれ以下である。第1の媒質はプリズムであり、第2の媒質は材料層である。または、プリズムの屈折率は材料層の屈折率に等しいかまたはそれ以下であり、材料層の屈折率は透明なガラス層の屈折率よりも大きい。
【0107】
一つの例では、硬化後の材料層は光硬化後のコーティングであるか、高温硬化後のコーティングであるか、または自然硬化後のコーティングである。一つの例では、硬化後の材料層は光硬化後のUV硬化剤層である。一つの例では、硬化後の材料層の屈折率は1.33以上、1.6以下であり、温度変化に伴う屈折率の変化は-0.0003/deg Cから0.0003/deg Cの範囲内にある。一つの例では、第2の媒質の屈折率は1.33以上、1.6以下であり、温度変化に伴う屈折率の変化は-0.0003/deg Cから0.0003/deg Cの範囲内にある。
【0108】
一つの例では、感光アレイを使用して受信した光束をイメージングし、検出画像を生成する場合、検出画像シーケンスを生成する。この検出画像シーケンスでは、少なくとも一部の画像が異なる露光パラメータを使用する、または検出画像シーケンス内の少なくとも一部の画像が対応する光源モジュールの発光強度が異なる。
【0109】
一つの例では、光源モジュールの発光面の口径が収束モジュールの透過口径と同じか、発光面の口径の1/5未満の差があるか、または光源モジュールの発光面の口径が収束モジュールの透過口径の2倍以上である。一つの例では、感光面アレイの検出角度範囲が収束モジュールの全反射角範囲をカバーしていることを含む。一つの例では、光源モジュールの出射光の半値幅が5nm未満であること、または光源モジュールの出射光路にナローバンドフィルタが配置され、ナローバンドフィルタよりフィルタ後の出射光の半値幅が5nm未満であることを含む。一つの例では、光源モジュールの出射光路に光均一化フィルムが配置されている。一つの例では光源モジュールの出射光が緑色の波長帯であり、感光面アレイはベイヤーパターンのRGGBのCMOSセンサを採用する。
【0110】
一つの例では、検出画像に基づいて検出画像内の輝度変異境界線を決定する前には、検出画像の輝度と予め設定された輝度との差の絶対値が閾値を超えるかどうかを判定することも含まれている。一つの例では、検出画像に基づいて検出画像内の輝度変異境界線を決定する前には、検出画像の対象画素行の上下少なくとも一部の画素行を対象画素行に対してノイズフィルタリングする手順も含まれている。一つの例では、検出画像内の対象画素行に対して上下に存在する、少なくとも一部の画素行をノイズフィルタリングする手順には、対象画素行の画素値と、少なくとも一部の画素行の画素値の重み付きの平均値を、対象画素行のノイズフィルタリング後の画素値として使用することが含まれている。一つの例では、検出画像に基づいて検出画像内で輝度変異境界線を決定する前に、検出画像内で散乱光の影響を受けた画素行を特定することが含まれている。この中で、散乱光の影響を受けた画素行は、全反射界面の反対側にある光源モジュールに背を向けた媒質の屈折率を決定するためには使用されない。一つの例では、検出画像は感光面アレイから取得された複数のフレームの画像を加重合算して得られていた。
【0111】
一つの例では、この方法には、全反射界面外側の媒質の温度と全反射界面の温度を取得することも含む。そして、事前に保存された被検媒質の温度、全反射界面の温度と被検媒質の屈折率の関係モデル、および取得した全反射界面外側の媒質の温度と全反射界面の温度に基づいて、媒質の屈折率を計算すること。
【0112】
一つの例では、この方法には、探知画像に基づいて、反射モジュールの外側にある媒質の濁度を計算することも含む。検知画像には非反射領域が含まれている。そして、この検知画像に基づいて反射モジュールの外側にある媒質の濁度を計算する。具体的には、非反射領域内の非全反射領域の散乱輝度および/または輝度変異境界線のぼやけ具合を取得する。この中では、非反射領域内の非全反射領域は、非反射領域内で全反射角よりも小さい角度で反射モジュールに入射し、その後感光面アレイに入射する領域に対応する。そして、非反射領域内の非全反射領域の散乱輝度および/または輝度変異境界線のぼやけ具合に基づいて濁度を計算する。
【0113】
一つの例では、非反射領域は、非全反射領域の一側に位置する全反射領域も含まれている。非反射領域内の非全反射領域の散乱輝度を取得する。非反射領域内の全反射領域の輝度を基準値として、探知画像内の非反射領域の非全反射領域の散乱輝度を計算するのが含まれている。一つの例では、非反射領域内の非全反射領域の散乱輝度および/または輝度変異境界線のぼやけ具合に基づいて濁度を計算する。具体的には、被検液体の濃度が予め設定された濃度よりも低い場合には、非反射領域上の非全反射領域の散乱輝度を使用して被検液体の濁度を計算し、被検液体の濃度が予め設定された濃度よりも高い場合には、検知画像上の輝度変異境界線のぼやけ具合に基づいて被検液体の濁度を計算する。
【0114】
一つの例では、反射モジュールの外側にある媒質は被検液体であり、この方法には、被検液体の体積を取得することが含まれている。そして、被検液体の屈折率、濁度、および体積に基づいて被検液体のカロリーを計算する。一つの例では、反射モジュールの外側にある媒質が被検液体である。この方法には、補助デバイスを使用して補助情報を取得することが含まれている。具体的には、補助デバイスが色度計である場合、補助情報には被検液体の色が含まれる。あるいは、補助デバイスがインピーダンス計である場合、補助情報には被検液体のイオン含有量が含まれる。または、補助デバイスがpH計である場合、補助情報には被検液体の酸度が含まれる。そして、補助情報と被検液体の屈折率および/または濁度に基づいて、被検液体の種類を特定する。
【0115】
一つの例では、屈折計内の反射モジュールが光束を発射する前に、液体を発射して対象物体を清掃し、反射モジュールの外側にある媒質は対象物体を清掃した後の液体も含む。また、この方法には、清掃された対象物体の液体の屈折率に基づいて対象物体の清潔度を判断することも含む。一つの例では、対象物体の清潔度に基づいて、対象物体を継続して清掃する必要があるかどうかを判断することも含む。
【0116】
一つの例では、屈折計の反射モジュールが光束を発射する前に、屈折計をパイプの内壁に固定することが含まれている。この中で、屈折計はパイプ内で流れる液体の屈折率を測定するために使用され、輝度変異境界線はパイプ内の流れる液体の輝度変異境界線に対応する。この出願の屈折計はリアルタイムで自己キャリブレーションが可能であるため、従来のキャリブレーション後に液体を測定する必要がある屈折計に比べて、パイプ内の流れる液体を測定する際により高い精度の測定結果を得ることができる。
【0117】
優先的実施例を結合して本発明を具体的に示し説明したが、本技術分野の技術者は、添付の請求の範囲に規定された本発明の精神と範囲を逸脱しない範囲で、形式的におよび詳細的に本発明に様々な変更を加えることができることを理解すべきである。これらの変更も本発明の保護範囲に含まれる。
【手続補正書】
【提出日】2024-02-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源モジュール、
検知領域、反射モジュール、収束モジュール、感光面アレイ、
およびプロセッサを含
む屈折計であって、
前記光源モジュールは光束を出射することに用いられ、前記光束が第1光束および第2光束を含み、 前記反射モジュールは、前記光源モジュールからの光束を受け取り、
前記反射モジュールは、隣接して配置された第1媒質および第2媒質を含み、前記第1媒質の屈折率が前記第2媒質の屈折率よりも大きく、前記第1光束は前記第1媒質から前記第2媒質に入射し、少なくとも一部の前記第1光束が前記第2媒質によって前記収束モジュールに全反射され、ここで、前記第2媒質の屈折率は1.33より大きく1.6の以下であり、かつ摂氏1度当たりの温度変化に伴う屈折率の数値変化は0.0003以下であり、
前記検知領域は前記反射モジュール内の表面に配置され、前記第2光束を受信するために使用され、前記検知領域が被検液体で覆われ、かつ完全反射条件を満たしている場合、少なくとも一部の前記第2光束は前記被検液体によって前記収束モジュールに全反射され、
前記収束モジュールは、前記反射モジュールからの光束を前記収束モジュールの焦点面に
収束させるために使用され、
前記感光面アレイは前記収束モジュールの焦点面に位置し、
受信した光束を検出し
て検出画像を出力するためにも使用され、
ここで、前記第1光束が前記第2媒質によって全反射されることは前記検出画像に自己キャリブレーション用の第1の輝度変異境界線を形成させ、前記第2光束が前記被検液体によって全反射されることは前記検出画像に第2の輝度変異境界線を形成させ、
前記プロセッサは、
第1位置及び第2位置を確定することに用いられ、前記第1位置及び前記第2位置はそれぞれ前記検出画像における第1の輝度変異境界線及び第2の輝度変異境界線の位置であり、
前記プロセッサは、前記第1位置及び前記第2位置に基づいて前記被検液体の屈折率を計算することに用いられることを特徴とする屈折計。
【請求項2】
前記検知領域が前記第1媒質の表面に配置され、前記検知領域が前記第1媒質からの
前記第2光束を受信するために使用され、かつ前記検知領域と前記第2媒質はそれぞれ前記第1媒質の同じ表面上の異なる領域に位置
し、
または、
前記第1媒質、前記第2媒質、および前記検知領域が積層して配置され、前記検知領域は前記第2媒質との反対側の前記第1媒質の側に配置され、前記第1媒質と前記第2媒質を順に通過する第2光束を受信することに用いられる、請求項
1に記載の屈折計。
【請求項3】
前記反射モジュールが光入射面、光出射面、および検知面を有するプリズムを含み、前記検知領域が前記検知面に位置しており、前記検知領域と前記検知面
との間には硬化
材料層と透明なガラス層が挟まれており、前記透明なガラス層は前記材料層と前記プリズムを前記屈折計内で封じ込
むことに用いられ、前記検知領域は
前記材料層との反対側の前記透明なガラス層の側に配置され
おり、
前記プリズムの屈折率が前記材料層の屈折率より大きく、前記第1媒質は前記プリズムであり、前記第2媒質は前記材料層であり、または、前記材料層の屈折率が前記透明なガラス層の屈折率より大きく、前記第1媒質は前記材料層であり、前記第2媒質は前記透明なガラス層である、請求項
2に記載の屈折計。
【請求項4】
前記第1媒質は前記プリズムであり、前記第2媒質は前記材料層であり、
前記材料層の屈折率が前記透明なガラス層の屈折率より大きく、
前記被検液体の屈折率が前記透明なガラス層の屈折率より小さい場合、前記検知画像上に少なくとも三本の輝度変異境界線が形成され、または、前記感光面アレイの位置は、前記収束レンズが前記透明なガラス層によって全反射された光束を収束する位置を避け、前記検知画像には2本の輝度変異境界線を形成させ、または、前記透明なガラス層の屈折率が前記屈折計の屈折率測定範囲の最大値より大きい、請求項
3に記載の屈折計。
【請求項5】
前記硬化
材料層が光硬化コーティング、または高温硬化コーティング、または自然硬化コーティングである、請求項
3に記載の屈折計。
【請求項6】
前記硬化
材料層は光硬化後のUV硬化剤層である、請求項
5に記載の屈折計。
【請求項7】
前記第1媒質は前記プリズムであり、
前記検知領域と前記第2媒質がそれぞれ前記検知面の異なる領域に位置し、
前記光出射面には、前記第2媒質および前記検知領域にそれぞれ対応する第1光出射口と第2光出射口が配置され、前記第2媒質によって全反射された少なくとも一部の光束が前記第1光出射口を通って前記収束レンズに入射し、また前記被検液体によって全反射された少なくとも一部の光束が前記第2光出射口を通って前記収束レンズに入射し、または、
前記光入射面には少なくとも一つの光入射口が設けられており、前記光出射面には一つの第3光出射口が設けられており、前記第1光束および前記第2光束が前記光入射口を通って前記検知面に入射し、前記第3光出射口を通って前記収束レンズに出射する、請求項
3に記載の屈折計。
【請求項8】
前記検出画像は
対向する第1のエッジと第2のエッジを含み、前記検出画像内の輝度変異境界線が第1のエッジに
近づくほど、対応する屈折率が高くなり、
前記第1の輝度変異境界線は、
前記検出画像の第1のエッジと前記屈折計の屈折率測定範囲内
の最大屈折率に対応する輝度変異境界線
との間に位置している、請求項
1に記載の屈折計。
【請求項9】
前記感光面アレイは検知画像のシーケンスを出力
するために使用され、前記検知画像のシーケンス内の少なくとも
一部の画像の露光パラメータが異なるか、あるいは、
前記検知画像のシーケンス内の少なくとも
一部の画像に対応
する前記光源モジュールの光度が異なる、請求項
1に記載の屈折計。
【請求項10】
前記光源モジュールの発光面の口径と前記収束モジュールの通光口径が同じ
、または、
光源モジュールの発光面の口径が前記収束モジュールの通光口径との差が前記発光面の口径の1/5より小さく、または、
前記光源モジュールの発光面の口径が前記収束モジュールの
通光口径の2倍
より大きい、請求項
1に記載の屈折計。
【請求項11】
前記光源モジュールの出射光の半値幅が5nm
より小さく、
および/または、
前記光源モジュールの出射光路にナローバンドフィルタが設置され、前記ナローバンドフィルタ
によってフィルタリングされた出射光の半値幅が5nm
より小さい、請求項
1に記載の屈折計。
【請求項12】
前記プロセッサは
、前記第1の輝度変異境界線および前記第2の輝度変異境界線のぼやけ具合を取得し、前記第1の輝度変異境界線および前記第2の輝度変異境界線のぼやけ具合に基づいて前記被検液体の濁度を計算することにも用いられる、請求項
1に記載の屈折計。
【請求項13】
第1温度
センサおよび第2温度
センサを含み、前記第1温度
センサは、反射モジュールの内部または
前記反射モジュールの表面に
おける光路の外側の領域に設置され、
前記反射モジュールの温度を
検出するために使用され、前記第2温度
センサは、前記
被検液体を向いている
前記反射モジュールの
表面に配置され、
前記被検液体の温度を
検出するために使用され、
前記プロセッサ内には、
前記被検液体の温度、
前記反射モジュールの温度、および
前記被検液体の屈折率の関係モデルが事前に保存
され、前記プロセッサはまた、前記第1温度
センサおよび前記第2温度
センサから取得した温度と前記関係モデルに基づいて、
前記被検液体の屈折率を計算するために使用される、請求項
1に記載の屈折計。
【請求項14】
屈折計内の反射モジュールに光束を発射することであって、前記光束が第1光束および第2光束を含み、前記反射モジュールは、隣接して配置された第1媒質および第2媒質を含み、前記第1媒質の屈折率が前記第2媒質の屈折率よりも大きく、前記第1光束は前記第1媒質から前記第2媒質に入射し、少なくとも一部の前記第1光束が前記第2媒質によって全反射されることと、
前記反射モジュール内の表面に設置された検知領域が担持する被検液体を通って、前記第2光束が前記検知領域を入射することであって、前記検知領域が前記被検液体で覆われ、かつ完全反射条件を満たしている場合、少なくとも一部の前記第2光束は前記被検液体によって全反射されることと、
前記反射モジュールに反射された光束を前記収束モジュールによって前記収束モジュールの焦点面における感光面アレイに収束させることと、
前記感光アレイが受信した光束をイメージングして検出画像を生成することであって、前記第1光束が前記第2媒質によって全反射されることは前記検出画像に自己キャリブレーション用の第1の輝度変異境界線を形成させ、前記第2光束が前記被検液体によって全反射されることは前記検出画像に第2の輝度変異境界線を形成させることと、
第1位置及び第2位置を確定することであって、第1位置及び第2位置はそれぞれ前記検出画像における第1の輝度変異境界線及び第2の輝度変異境界線の位置であることと、
前記第1位置及び前記第2位置に基づいて前記被検液体の屈折率を計算することと、
を含むことを特徴とする屈折計を検出する方法。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明が採用する技術的手段は、光源モジュール、検知領域、反射モジュール、収束モジュール、感光面アレイ、およびプロセッサを含む屈折計を提供する。前記光源モジュールは光束を出射することに用いられ、前記光束が第1光束および第2光束を含み、前記反射モジュールは、前記光源モジュールからの光束を受け取り、前記反射モジュールは、隣接して配置された第1媒質および第2媒質を含み、前記第1媒質の屈折率が前記第2媒質の屈折率よりも大きく、前記第1光束は前記第1媒質から前記第2媒質に入射し、少なくとも一部の前記第1光束が前記第2媒質によって前記収束モジュールに全反射され、ここで、前記第2媒質の屈折率は1.33より大きく1.6の以下であり、かつ摂氏1度当たりの温度変化に伴う屈折率の数値変化は0.0003以下であり、前記検知領域は前記反射モジュール内の表面に配置され、前記第2光束を受信するために使用され、前記検知領域が被検液体で覆われ、かつ完全反射条件を満たしている場合、少なくとも一部の前記第2光束は前記被検液体によって前記収束モジュールに全反射され、前記収束モジュールは、前記反射モジュールからの光束を前記収束モジュールの焦点面に収束させるために使用され、前記感光面アレイは前記収束モジュールの焦点面に位置し、受信した光束を検出して検出画像を出力するためにも使用され、ここで、前記第1光束が前記第2媒質によって全反射されることは前記検出画像に自己キャリブレーション用の第1の輝度変異境界線を形成させ、前記第2光束が前記被検液体によって全反射されることは前記検出画像に第2の輝度変異境界線を形成させ、前記プロセッサは、第1位置及び第2位置を確定することに用いられ、前記第1位置及び前記第2位置はそれぞれ前記検出画像における第1の輝度変異境界線及び第2の輝度変異境界線の位置であり、前記プロセッサは、前記第1位置及び前記第2位置に基づいて前記被検液体の屈折率を計算することに用いられる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
本発明は、屈折率を検出する方法も提供する。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
屈折率を検出する方法は、屈折計内の反射モジュールに光束を発射することであって、前記光束が第1光束および第2光束を含み、前記反射モジュールは、隣接して配置された第1媒質および第2媒質を含み、前記第1媒質の屈折率が前記第2媒質の屈折率よりも大きく、前記第1光束は前記第1媒質から前記第2媒質に入射し、少なくとも一部の前記第1光束が前記第2媒質によって全反射されることと、前記反射モジュール内の表面に設置された検知領域が担持する被検液体を通って、前記第2光束が前記検知領域を入射することであって、前記検知領域が前記被検液体で覆われ、かつ完全反射条件を満たしている場合、少なくとも一部の前記第2光束は前記被検液体によって全反射されることと、前記反射モジュールに反射された光束を前記収束モジュールによって前記収束モジュールの焦点面における感光面アレイに収束させることと、前記感光アレイが受信した光束をイメージングして検出画像を生成することであって、前記第1光束が前記第2媒質によって全反射されることは前記検出画像に自己キャリブレーション用の第1の輝度変異境界線を形成させ、前記第2光束が前記被検液体によって全反射されることは前記検出画像に第2の輝度変異境界線を形成させることと、第1位置及び第2位置を確定することであって、第1位置及び第2位置はそれぞれ前記検出画像における第1の輝度変異境界線及び第2の輝度変異境界線の位置であることと、前記第1位置及び前記第2位置に基づいて前記被検液体の屈折率を計算することと、を含む。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0048
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0048】
第1イメージングエリアと第2イメージングエリアが互いに分離し、交差しないように実現する方法はいくつかある。ある一例では、焦点モジュール3よりも前の光路に構造を設定することで、第1光線と第2光線の光路を分離し、それによって第1イメージングエリアと第2イメージングエリアが互いに分かれた二つの領域となる。たとえば、
図9に示されている例では、プリズム21の光入射面に
光入射口2111が設けられており、光源モジュール1からの光束がこの
光入射口2111からプリズム21内部にのみ入射するように制限されている。21の光出射面には、光束の出射に使用される第1
光出射口2121と第2
光出射口2122が設けられており、第1
光出射口2121および第2
光出射口2122以外の領域には反射光束または吸収光束の材料が設置されている。第1
光出射口2121は第2媒質22での全反射と反射を経た第1光線の光路上にあり、第2
光出射口は検出エリア23上の検査対象液体の全反射と反射を経た第2光線の光路上に位置している。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0049
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0049】
ある例では、
図13に示されているように、
図13は
図9に示されている屈折計の俯瞰図の一例である。この例では、第1
光出射口2121の下端は
光入射口2111の上端の延長線の上に位置し、第2
光出射口2122の上端は
光入射口2111の下端の延長線の下に位置している。これにより、第1光束が第1
光出射口2121から出射する割合が減少し、さらに第2光束が第2
光出射口2122から出射する割合が大幅に減少し、結果として第1
光出射口2121から出射した光束と第2
光出射口2122から出射した光束が集合モジュールに集合後、感光面アレイの異なる領域にそれぞれ入射し、感光面アレイ上のイメージングにおいて第1イメージングエリアと第2イメージングエリアが重ならないようになっている。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0050
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0050】
もちろん、第1光出射口の下端と第2光出射口の上端もこの制約を受けなくても構わない。反射モジュールからの光が出るところから出射された第2光束と第1光束を完全に分離できなくても、光が出るところのないケースと比較して、第1イメージングエリアと第2イメージングエリアの相互の干渉を低減できる。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0051
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0051】
第1光出射口と第2光出射口は、集合モジュールの光が出る面にシルクスクリーンを行うことで実現できる。または、集光モジュールの光が出る面またはその側面に構造部品を取り付けることでも実現できる。ここでは制限を加えない。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0101
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0101】
一例では,第1の媒質は、光入射面、光出射面、および検出面を有するプリズムを含む。検出エリアと第2の媒質は、それぞれ検出面の異なる領域に配置されている。方法には、第1の光が出る面から出射された、第2の媒質を全反射する少なくとも部分的な光束が、第1の光が出る面に入射し、そして第2の光が出る面から出射された、被検液体を全反射する少なくとも部分的な光束が、第2の光が出る面から入射して収束レンズに入射させることを許可するステップも含まれている。一例では、光入射面には光入射口が設けられ、第1の光束と第2の光束が光入射口を介して検出面に入射する。この中で、第1光出射口と第2光出射口は、それぞれ光入射口の光出射面上の投影の両側に配置され、投影が重なっていないことが特徴。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0107
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0107】
一つの例では、硬化材料層は光硬化コーティングであるか、高温硬化コーティングであるか、または自然硬化コーティングである。一つの例では、硬化材料層は光硬化後のUV硬化剤層である。一つの例では、硬化材料層の屈折率は1.33以上、1.6以下であり、温度変化に伴う屈折率の変化は-0.0003/deg Cから0.0003/deg Cの範囲内にある。一つの例では、第2の媒質の屈折率は1.33以上、1.6以下であり、温度変化に伴う屈折率の変化は-0.0003/deg Cから0.0003/deg Cの範囲内にある。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0109
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0109】
一つの例では、光源モジュールの発光面の口径が収束モジュールの透過口径と同じか、発光面の口径の1/5未満の差があるか、または光源モジュールの発光面の口径が収束モジュールの透過口径の2倍以上である。一つの例では、感光面アレイの検出角度範囲が収束モジュールの全反射角範囲をカバーしていることを含む。一つの例では、光源モジュールの出射光の半値幅が5nmより小さいこと、または光源モジュールの出射光路にナローバンドフィルタが配置され、ナローバンドフィルタよりフィルタ後の出射光の半値幅が5nmより小さいことを含む。一つの例では、光源モジュールの出射光路に光均一化フィルムが配置されている。一つの例では光源モジュールの出射光が緑色の波長帯であり、感光面アレイはベイヤーパターンのRGGBのCMOSセンサを採用する。
【国際調査報告】