(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-18
(54)【発明の名称】改良されたディープフライヤーのフライポット
(51)【国際特許分類】
A47J 37/12 20060101AFI20240910BHJP
B21D 5/02 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
A47J37/12 321
B21D5/02 Y
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024537789
(86)(22)【出願日】2022-08-05
(85)【翻訳文提出日】2024-04-24
(86)【国際出願番号】 US2022039611
(87)【国際公開番号】W WO2023027883
(87)【国際公開日】2023-03-02
(32)【優先日】2021-08-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524072868
【氏名又は名称】フライマスター エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】FRYMASTER LLC
【住所又は居所原語表記】2227 Welbilt Boulevard, New Port Richey, FL 34655, USA
(74)【代理人】
【識別番号】100119677
【氏名又は名称】岡田 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100115794
【氏名又は名称】今下 勝博
(74)【代理人】
【識別番号】100160495
【氏名又は名称】畑 雅明
(74)【代理人】
【識別番号】100173716
【氏名又は名称】田中 真理
(72)【発明者】
【氏名】ベーカー、ジャスティン ティー.
(72)【発明者】
【氏名】ピッチフォード、エリック
(72)【発明者】
【氏名】メイシー、ラルフ
(72)【発明者】
【氏名】ハトソン、ヘンリー プレストン ジュニア.
【テーマコード(参考)】
4B059
4E063
【Fターム(参考)】
4B059AA01
4B059AC12
4B059AD14
4B059AE02
4B059BB01
4B059BB20
4E063AA01
4E063BA07
4E063CA01
4E063DA02
4E063DA03
4E063MA22
(57)【要約】
商業用ディープフライヤーのフライポットは、フォームデッキと、フライポットの下向きに延びる垂直面である前壁とを備える。フォームデッキ及び前壁は、フライポットのフォームデッキと前壁との間に丸みのある曲げ部を有する金属薄板で形成される。丸みは、0.25インチ~1.5インチの曲げ半径を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
商業用ディープフライヤーのフライポットであって、
フォームデッキと、
前記フライポットの下向きに延びる垂直面である前壁とを備え、前記フォームデッキ及び前記前壁は、前記フライポットの前記フォームデッキと前記前壁との間に丸みのある曲げ部を有する金属薄板で形成され、前記丸みのある曲げ部は、0.25インチ~1.5インチの曲げ半径を有する、フライポット。
【請求項2】
前記曲げ半径は、0.95~1.05インチである、請求項1に記載のフライポット。
【請求項3】
前記曲げ半径は、0.5インチである、請求項1に記載のフライポット。
【請求項4】
前記丸みのある曲げ部は、1インチの長さを有する、請求項1に記載のフライポット。
【請求項5】
前記フォームデッキの前記金属薄板と前記丸みのある曲げ部とが、ほぼ等しい厚さを有する、請求項1に記載のフライポット。
【請求項6】
前記丸みのある曲げ部の前記金属薄板と前記前壁とが、ほぼ等しい厚さを有する、請求項1に記載のフライポット。
【請求項7】
前記金属薄板は、ステンレス鋼板又は冷延鋼板である、請求項1に記載のフライポット。
【請求項8】
前記金属薄板は、18ゲージ(gauge)のステンレス鋼板である、請求項1に記載のフライポット。
【請求項9】
前記金属薄板は、16ゲージのステンレス鋼板である、請求項1に記載のフライポット。
【請求項10】
フライポットを形成する方法であって、
フォームデッキと、前記フライポットの下向きに延びる垂直面である前壁との間に丸みのある曲げ部を形成するために、パンチ及びプレスブレーキ金型で金属薄板を曲げるステップであって、前記フライポットの前記フォームデッキと前記前壁との間にある前記丸みのある曲げ部は、0.25インチ~1.5インチの曲げ半径を有する、ステップを含む方法。
【請求項11】
前記曲げ半径は、0.95~1.05インチである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記曲げ半径は、0.5インチである、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記丸みのある曲げ部は、1インチの長さを有する、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記フォームデッキの前記金属薄板と前記丸みのある曲げ部とが、ほぼ等しい厚さを有する、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記丸みのある曲げ部の前記金属薄板と前記前壁とが、ほぼ等しい厚さを有する、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記金属薄板は、ステンレス鋼板又は冷延鋼板である、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
前記金属薄板は、18ゲージのステンレス鋼板である、請求項10に記載の方法。
【請求項18】
前記金属薄板は、16ゲージのステンレス鋼板である、請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]
本開示は、外食産業用のディープフライヤーに関する。より詳細には、本開示は、耐久性を高めるための、ディープフライヤーのフライポットの新しい構造に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]
ディープフライヤーは、フライドポテト、魚、フライドチキンなどの様々な食品を調理するために、レストラン、施設の調理場、及びファストフード店舗で商業利用されている。食品は、加熱された油又はショートニングで満たされたフライポット内に完全に沈めることによって調理される。調理される食品は、油の中に沈められている間は、かご内に保持されていることが多い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
[0003]
揚げ物の調理は迅速な工程なので、揚げかごに入れられたひとまとまりの食品が、極めて頻繁にフライヤーのフライポットに挿入されたり、当該フライポットから除去されたりし、これが毎日何百回にも及ぶことがよくある。また、ファストフードレストランでは、調理のペースがあわただしいために、揚げかごが丁寧に扱われないことが多い。このため、揚げかごは、フライポットの内側に毎日何百回も繰返しぶつけられたり、表面を引きずって動かされたりする可能性がある。このかごの衝撃が繰り返されることによって、フライポットの破損(漏れなど)につながる可能性がある。このフライポットの破損により、フライポット全体の交換が必要になり、不本意ながら高価な費用がかかる。
【0004】
[0004]
事実上全ての商業用ディープフライヤーがこの問題を抱えていながら、この問題に対する解決策をいまだに誰も提案又は実施していない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
[0005]
本開示は、商業用ディープフライヤーのフライポット内部の、大きな丸みのある角部について説明する。フライポット内部のこの大きな丸みのある曲げ部は、通常の破損点に配置される。この大きな丸みのある曲げ部は、広い表面積にわたって、揚げかごとフライポットとの金属同士の接触を分散させる。結果として、フライポットは、早めの摩耗及び破損に対する耐性が高くなる。
【0006】
[0006]
本発明の前記及び更に他の目的及び利点は、添付の図面に関連する、本発明の好ましい実施形態の以下の詳細な説明からより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】[0007]フライポットを有する従来のディープフライヤーの前方等角図を示す。
【
図2】[0008]
図1のディープフライヤーの右側断面図を示す。
【
図3】[0009]
図1のフライポットの右側後方等角図を示す。
【
図4】[0010]本開示に係るフライポットの右側後方等角図を示す。
【
図5】[0011]
図4のフライポットを有するディープフライヤーの右側断面図を示す。
【
図6】[0012]従来のフライポット金属薄板の丸み部分の断面を示す。
【
図7】[0013]本開示に係るフライポットの丸みのある曲げ部の断面を示す。
【
図8】[0014]
図4のフライポットの部分後方上面斜視図である。
【
図9】[0015]
図4の丸みのある曲げ部を形成するためのプレスブレーキ金型を有する工具の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[0016]
図1を参照すると、ディープフライヤーの前面斜視図が示され、全体にわたって参照符号10で言及される。ディープフライヤー10は、商業食品産業で一般的に使用される揚げ物用の油が入っているフライポット12を有する。ディープフライヤー10は、食用油を加熱するためにフライポット12の下側に配置されたバーナー(図示せず)を有する。ディープフライヤー10は、1つのフライポット12を有するものとして図示されているが、ディープフライヤー10は、4つ又は6つものフライポット12を有する場合がある。ディープフライヤー10は、フライポット12内の2つの揚げかご14と共に図示されている。
【0009】
[0017]
前方の、フライポット12の傾斜した部分は、フォームデッキ16と呼ばれる。フォームデッキ16は、
図2に示すように、金属薄板が前壁20へ下向きに曲げられている縁部18を有する。フライポット12は、通常は18ゲージ(gauge、「ga」)のステンレス鋼板で作られている。
【0010】
[0018]
縁部18は、フライポット12と揚げかご14との間で最も多く衝突が生じる位置である。このような衝突は、通常かごを急いでフライヤー10の中に入れたり、フライヤー10から除去したりする作業者が、急ぎ過ぎて揚げかご14の軌道に注意が行き届かないために生じる可能性がある。このように衝突が繰り返されることによって、最終的にフライポット12の金属薄板が縁部18で破損し、油漏れが生じてフライポット12を修理又は交換しなければならなくなる。
【0011】
[0019]
図2は、縁部18、及びフライポット12の内部にある揚げかご14の位置を説明する、フライヤー10の右側断面図である。
【0012】
[0020]
図3は、フォームデッキ16の縁部にある縁部18を示す、フライポット12の右側後方等角図である。
【0013】
[0021]
図6は、縁部18における、従来のフライポット金属薄板の丸み部分の断面を説明する。通常、位置18における曲げは、鋭い95度の曲げである。この種の鋭い曲げは、曲げる際に材料の引き延ばしが生じるために、フライポット12の金属薄板の厚さを減少させる。この厚さの減少により、フライポット12の縁部18の曲げ位置における金属の強度が減少する。
【0014】
[0022]
図4は、
図5に示すフライヤー10’で使用され得る、本開示のフライポット12’の右側後方等角図である。フライポット12’は、フォームデッキ16’の縁部に丸みのある曲げ部18’を組み込んでいる。フォームデッキ16’は、金属薄板が前壁400へ下向きに曲げられている、丸みのある曲げ部18’を有する。フォームデッキ16’の丸みのある曲げ部18’は、フライポット12’のフォームデッキ16’と、フライポット12’の下向きに延びる垂直面である前壁400との間で曲がっている金属薄板で形成される。丸みのある曲げ部は、0.25インチ~1.5インチの曲げ半径を有する。
【0015】
[0023]
図7は、本開示に係るフライポット12’の丸みのある曲げ部18’の、より大きい丸み部分の断面を示す。丸みのある曲げ部18’は、フォームデッキ16’から前壁400まで延び、丸みのある曲げ部18’の半径が遥かに大きいために、フライポット12’の金属薄板の厚さの測定可能な減少を引き起こさない。したがって、フォームデッキ16’、丸みのある曲げ部18’及び前壁400の金属薄板の厚さ402は、ほぼ等しい。増加した金属薄板の厚さと、丸みのある曲げ部18’のより大きい曲げとの組合わせにより、揚げかご14の衝撃からの、より頑強な防護が可能になり、フライポット12’の信頼性を高めることができる。
【0016】
[0024]
丸みのある曲げ部18’は、かご14をフライポット12’に挿入したり、フライポット12’から除去したりするときに、フライポット12の縁部18よりも広い表面積にわたって、揚げかご14とフライポット12’との間に生じ得る金属同士の衝撃力を分散させる。結果として、フライポット12’は、フライポット12の縁部18よりも、早めの摩耗及び破損に対する耐性が高くなる。フライポット12’は、11~20gaのステンレス鋼板など、冷延又はステンレス鋼板で作られてもよい。フライポット12’の別の実施例は、18gaステンレス鋼板又は16gaステンレス鋼板で作られている。
【0017】
[0025]
図5は、本開示に係るフライポット12’の内部にある丸みのある曲げ部18’及び揚げかご14の位置を説明する、フライヤー10’の右側切断図である。
【0018】
[0026]
図6及び
図7を参照すると、縁部18の0.032インチの急カーブ半径の縁部と、丸みのある曲げ部18’の0.500インチの半径の縁部との間には、縁部18の1.56平方インチに対し、丸みのある曲げ部18’の9.84平方インチの面積の相違がある。縁部18の面積は、
図6において破線で示すフォームデッキ16の接線600から、
図6において破線で示すフライポット12の前面20の接線602までと、
図3に示す側壁22から側壁24までとで測定される。
図8においてハイライト部分800で示す丸みのある曲げ部18’の面積は、
図7において破線で示すフォームデッキ16’の接線700から、
図7において破線で示すフライポット12の前面400の接線704までと、
図8に示す側壁404から側壁406までとで測定される。丸みのある曲げ部18’は、
図7において破線で示すフォームデッキ16’の接線700から、
図7において破線で示すフライポット12の前面400の接線704まで測定した長さが約1インチである。0.500インチの半径の縁部を有する丸みのある曲げ部18’の表面積は、8.28平方インチであり、縁部18の0.032インチの急カーブ半径の縁部を有する縁部18の表面積を上回るか、又は531%の増加になる。加速摩耗試験によると、縁部18に対する、丸みのある曲げ部18’のこの形状の変更により、フライポット12’のこの部分の信頼性がフライポット12に対して少なくとも70%高まることを示した。
【0019】
[0027]
図9を参照すると、フライポット12’の丸みのある曲げ部18’は、金属薄板1406を丸みのある曲げ部18’の形状に曲げる、パンチ1402及びプレスブレーキ金型1404を有する工具1400によって形成される。フライポット12’の曲げ部18’、例えば、半径0.500インチの丸みのある曲げ部18’は、半径0.031インチのフライポット12の縁部18とは別の工具を必要とすることに留意されたい。
【0020】
[0028]
丸みのある曲げ部18’は、商業用ディープフライヤー10’のフライポット12’の内部に、大きな丸みのある角部を有する。フライポット10’の内部の丸みのある曲げ部18’のこの大きな丸みのある曲げ部は、通常の破損点に配置される。丸みのある曲げ部18’のこの大きな丸みのある曲げ部は、広い表面積にわたって、揚げかご14とフライポット12’との金属同士の接触を分散させる。結果として、フライポット12’は、早めの摩耗及び破損に対する耐性が高くなる。
【0021】
[0029]
「第1の」、「第2の」、「第3の」、「上側の」、「下側の」などの用語は、本明細書では様々な要素を修飾するために使用され得ることにも留意されたい。このような修飾語句は、特に記載のない限り、修飾される要素に対して、空間的、逐次的、又は階層的な順序を意味するものではない。
【0022】
[0030]
1つ以上の例示的な実施形態を参照しながら、本開示が説明されてきたが、当業者であれば、本開示の範囲から逸脱することなく、様々な変更がなされてもよく、その要素が等価物に代替されてもよいことが理解されよう。また、その範囲から逸脱することなく、特定の状況又は材料を本開示の教示に適合させるために、多くの修正がなされてもよい。したがって、本開示は、考えられる最良の態様として開示された、特定の実施形態に限定されないが、本開示は、添付の特許請求の範囲内にある、あらゆる実施形態を含むことが意図されている。
【手続補正書】
【提出日】2023-06-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
商業用ディープフライヤーのフライポットであって、
フォームデッキと、
前記フライポットの下向きに延びる垂直面である前壁とを備え、
前記フォームデッキ及び前記前壁は、前記フライポットの前記フォームデッキと前記前壁との間に丸みのある曲げ部を有する金属薄板
製であり、
前記丸みのある曲げ部は、0.25インチ~1.5インチの曲げ半径を有
し、
前記金属薄板は、厚さを有し、前記金属薄板の前記厚さは、前記フォームデッキ、前記丸みのある曲げ部、及び前記前壁においてほぼ等しい、フライポット。
【請求項2】
前記曲げ半径は、0.95~1.05インチである、請求項1に記載のフライポット。
【請求項3】
前記曲げ半径は、0.5インチである、請求項1に記載のフライポット。
【請求項4】
前記丸みのある曲げ部は、1インチの長さを有する、請求項1に記載のフライポット。
【請求項5】
前記金属薄板は、ステンレス鋼板又は冷延鋼板である、請求項1に記載のフライポット。
【請求項6】
前記金属薄板は、18ゲージ(gauge)のステンレス鋼板である、請求項1に記載のフライポット。
【請求項7】
前記金属薄板は、16ゲージのステンレス鋼板である、請求項1に記載のフライポット。
【請求項8】
フライポットを形成する方法であって、
フォームデッキと、前記フライポットの下向きに延びる垂直面である前壁との間に丸みのある曲げ部を形成するために、パンチ及びプレスブレーキ金型で金属薄板を曲げるステップであって、前記フライポットの前記フォームデッキと前記前壁との間にある前記丸みのある曲げ部は、0.25インチ~1.5インチの曲げ半径を有する、ステップを含む方法。
【請求項9】
前記曲げ半径は、0.95~1.05インチである、
請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記曲げ半径は、0.5インチである、
請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記丸みのある曲げ部は、1インチの長さを有する、
請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記金属薄板は、ステンレス鋼板又は冷延鋼板である、
請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記金属薄板は、18ゲージのステンレス鋼板である、
請求項8に記載の方法。
【請求項14】
前記金属薄板は、16ゲージのステンレス鋼板である、
請求項8に記載の方法。
【国際調査報告】