(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-20
(54)【発明の名称】発光可能なガラスに基づく物品
(51)【国際特許分類】
F21S 2/00 20160101AFI20240912BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20240912BHJP
【FI】
F21S2/00 433
F21S2/00 438
F21S2/00 443
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023576363
(86)(22)【出願日】2022-09-28
(85)【翻訳文提出日】2023-12-12
(86)【国際出願番号】 CN2022122331
(87)【国際公開番号】W WO2023051649
(87)【国際公開日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】202111165959.7
(32)【優先日】2021-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500374146
【氏名又は名称】サン-ゴバン グラス フランス
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100217179
【氏名又は名称】村上 智史
(72)【発明者】
【氏名】マー スートン
(72)【発明者】
【氏名】ジェフ ピート
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル ラブロート
(72)【発明者】
【氏名】ローラン マイヨー
【テーマコード(参考)】
3K244
【Fターム(参考)】
3K244AA05
3K244BA31
3K244CA03
3K244DA01
3K244EA02
3K244EA12
3K244EA17
3K244EA22
3K244EA32
3K244ED13
3K244ED29
3K244FA14
3K244KA07
3K244KA16
3K244LA01
3K244LA10
(57)【要約】
本出願は、発光可能なガラスに基づく物品を提供し、その物品は、曲率を有するガラス又は平坦なガラスを含む。その物品は、建築用ガラス又は自動車用ガラス、特には自動車用ルーフガラスに適している。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光可能なガラスに基づく物品であって:
ガラスであって、反対側を向いている2つの面、及び前記2つの面間の距離を定める厚さを有し、かつ長さ、及び前記長さを定める第1末端表面及び第2末端表面を有する、ガラス;
前記ガラスの一方の面上に配置されている光遮断層であって、前記光遮断層が、長さ、並びに前記長さを定める第1末端表面及び第2末端表面を有する、光遮断層;
前記光遮断層上に配置されている導光層であって、前記導光層が、第1表面、及び前記第1表面とは反対側の第2表面、並びに前記第1表面と前記第2表面との間の距離を定める厚さを有し、前記導光層が、長さ、及び前記長さを定める第1末端表面及び第2末端表面を有し、ここで、前記導光層は、前記第1表面を通じて前記光遮断層上に配置されており、光が全反射様式でその中を伝搬することを可能にする、導光層;
を含み、
前記導光層は、前記導光層から光を導き出すための出射光再方向付け素子をさらに含む、
ガラスに基づく物品。
【請求項2】
前記ガラスが、曲率を有するガラスである、請求項1に記載のガラスに基づく物品。
【請求項3】
光源から放出された光を受け入れるために用いられる、光入口をさらに含む、請求項1又は請求項2に記載のガラスに基づく物品。
【請求項4】
光源をさらに含む、請求項1~3のいずれか1項に記載のガラスに基づく物品。
【請求項5】
前記光入口は、前記導光層の前記第1末端表面上にある、請求項1~4のいずれか1項に記載のガラスに基づく物品。
【請求項6】
前記光入口が、前記導光層の前記第1表面上にある、請求項1~5のいずれか1項に記載のガラスに基づく物品。
【請求項7】
前記導光層が、入射再方向付け素子をさらに含む、請求項1~6のいずれか1項に記載のガラスに基づく物品。
【請求項8】
前記入射再方向付け素子が、導波路素子又はプリズム光学再方向付け素子である、請求項1~7のいずれか1項に基づくガラスに基づく物品。
【請求項9】
前記出射光再方向付け素子が、構造化された表面、プリセットパターン、凹状、及び/又は凸状などである、請求項1~8のいずれか1項に基づくガラスに基づく物品。
【請求項10】
前記導光層の前記第2表面が、空気に接触している、請求項1~9のいずれか1項に記載のガラスに基づく物品。
【請求項11】
前記導光層の前記第2表面が、保護層をさらに提供されている、請求項1~10のいずれか1項に記載のガラスに基づく物品。
【請求項12】
前記ガラスに基づく物品が、端部封入材料を有する、請求項1~11のいずれか1項に記載のガラスに基づく物品。
【請求項13】
前記光入口が、前記導光層の前記第1表面上にあり、前記光入口と、随意に端部封入材料を有する、前記ガラス及び/又は前記光遮断層の前記第1末端表面及び/又は前記第2末端表面の、外部側との間の距離が、0より大きい、請求項1~12のいずれか1項に基づくガラスに基づく物品。
【請求項14】
前記光入口が、前記導光層の前記第1表面上にあり、前記光入口と、前記導光層の前記第1末端表面及び/又は前記第2末端表面の内部側との間の距離が、2cm未満である、請求項1~13のいずれか1項に記載のガラスに基づく物品。
【請求項15】
前記光遮断層が、以下の材料のうちの1種又は複数の組み合わせを含む、請求項1~14のいずれか1項に記載のガラスに基づく物品:
(1)1種以上のフルオロポリマー、好ましくはエチレン-テトラフルオロエチレンコポリマー、フッ素化エチレンプロピレンコポリマー、及びポリフッ化ビニリデンのうちの1種又は複数の組み合わせ;
(2)1種以上のポリシロキサン、好ましくはシリコーンオイル、シリコーンゴム、及びシリコーン樹脂のうちの1種又は複数の組み合わせ;
(3)1種以上のアクリレートポリマー、好ましくはアクリル樹脂、及びメタクリル樹脂のうちの1種又は複数の組み合わせ;並びに、
(4)1種以上のエポキシ樹脂、好ましくはビスフェノールA型エポキシ樹脂、ハロゲン化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノール型エポキシ樹脂、シクロ脂肪族エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂のうちの1種又は複数の組み合わせ。
【請求項16】
前記導光層が、以下の材料のうちの1種又は複数の組み合わせを含む、請求項1~15のいずれか1項に記載のガラスに基づく物品:
(1)1種以上のポリウレタン;
(2)1種以上のポリカーボネート;
(3)1種以上のアクリレートポリマー、好ましくはポリメチルメタクリレート;
(4)1種以上のポリエステル、好ましくはポリエチレンテレフタレート;及び、
(5)1種以上のセルロースアセテート、好ましくはセルローストリアセテート、より好ましくは2.7以上のエステル化度を有するセルロースアセテート。
【請求項17】
前記光遮断層が、1種以上の熱可塑性材料、及び硬化性材料、又はそれらの組み合わせを含む、請求項1~16のいずれか1項に記載のガラスに基づく物品。
【請求項18】
前記導光層が、1種以上の熱可塑性材料、及び硬化性材料、又はそれらの組み合わせを含む、請求項1~17のいずれか1項に基づくガラスに基づく物品。
【請求項19】
前記熱可塑性材料が、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、セルロースアセテート、ポリカーボネート、エチレン-酢酸ビニルポリマー、ポリビニルブチラール、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリオキシメチレン、ポリアミド、ポリスルホン、ポリフェニルエーテル、及び塩素化ポリエーテルのうちの、1種又は複数の組み合わせを含む、請求項17又は18に記載のガラスに基づく物品。
【請求項20】
前記硬化性材料が、フェノール樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、及びポリウレタン、のうちの1種又は複数の組み合わせ、並びに前記硬化性材料を生成するための1種以上の前駆体材料を含む、請求項17又は18に記載のガラスに基づく物品。
【請求項21】
前記光遮断層が、1種以上の感圧接着剤、光学的に透明な接着剤、及びプライマー、又はそれらの組み合わせを含む、請求項1~20のいずれか1項に記載のガラスに基づく物品。
【請求項22】
前記導光層の材料が、光学的に透明な接着剤を含む、請求項1~21のいずれか1項に基づくガラスに基づく物品。
【請求項23】
前記感圧接着剤が、ゴム感圧接着剤、ポリウレタン感圧接着剤、アクリレートポリマー感圧接着剤、及びポリシロキサン感圧接着剤のうちの1種又は複数の組み合わせを含む、請求項21に記載のガラスに基づく物品。
【請求項24】
前記光学的に透明な接着剤が、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、及びアクリレートのうちの1種又は複数の組み合わせを含む、請求項21又は22に記載のガラスに基づく物品。
【請求項25】
前記導光層の材料の屈折率の、前記光遮断層の材料の屈折率に対する比が、約1.02以上である、請求項1~24のいずれか1項に基づくガラスに基づく物品。
【請求項26】
前記導光層の屈折率と前記光遮断層の屈折率との差が、0.01~0.30の範囲内である、請求項1~25のいずれか1項に記載のガラスに基づく物品。
【請求項27】
前記光遮断層の屈折率が、約1.50以下、約1.49以下、約1.48以下、約1.47以下、約1.46以下、約1.45以下、約1.44以下、約1.43以下、約1.42以下、約1.41以下、約1.40以下、約1.39以下、約1.38以下、約1.37以下、約1.36以下、約1.35以下、約1.34以下、約1.33以下、約1.32以下、約1.31以下、約1.30以下、約1.29以下、約1.28以下、約1.27以下、約1.26以下、約1.25以下である、請求項1~26のいずれか1項に記載のガラスに基づく物品。
【請求項28】
前記導光層の屈折率が、約1.80以下、約1.79以下、約1.78以下、約1.77以下、約1.76以下、約1.75以下、約1.74以下、約1.73以下、約1.72以下、約1.71以下、約1.70以下、約1.69以下、約1.68以下、約1.67以下、約1.66以下、約1.65以下、約1.64以下、約1.63以下、約1.62以下、約1.61以下、約1.60以下、約1.59以下、約1.58以下、約1.57以下、約1.56以下、約1.55以下、約1.54以下、約1.53以下、約1.52以下、約1.51以下、約1.50以下、約1.49以下、約1.48以下、約1.47以下、約1.46以下、約1.45以下、約1.44以下、約1.43以下、約1.42以下、約1.41以下、約1.40以下、約1.39以下、約1.38以下、約1.37以下、約1.36以下、約1.35以下、約1.34以下、約1.33以下、約1.32以下、約1.31以下、約1.30以下、約1.29以下、約1.28以下、約1.27以下、約1.26以下、約1.25以下である、請求項1~27のいずれか1項に記載のガラスに基づく物品。
【請求項29】
前記出射光再方向付け素子が、前記導光層内、前記導光層の第1表面上、若しくは前記導光層の第2表面上、又はそれらの組み合わせに配置されうる、請求項1~28のいずれか1項に記載のガラスに基づく物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、曲率を有するガラス又は平坦なガラスを含む、発光可能なガラスに基づく物品を提供する。この物品は、建築用ガラス又は自動車用ガラス、特には自動車用ルーフガラスに適している。
【背景技術】
【0002】
ガラスは、様々な用途、例えば建築用ガラス又は自動車用ガラスなど、において広く用いられている。統合された発光機能を有するガラスは、より高い利便性を提供するので、望ましい。発光可能なガラスは、発光機能を提供するだけでなく、良好な商業効果及び視覚効果も提供する。
【0003】
独国特許出願公開第102017127746号明細書は、ガラス表面内に封入されているLED光源を含む、発光可能なガラスを開示している。透明な(透過性)ガラスは、射出成形プロセスを通じて、LED光源をガラス表面上に封入することを必要とする。しかしながら、封入のための射出成形プロセスは、比較的複雑である。また、LED光源が機能しなくなった場合、光源を交換することによって修理することは困難である。その上、LED光源は、まぶしさを潜在的に引き起こしうる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
当該技術分野では、増加する用途に対応する、曲率を有する発光可能なガラスを提供することが望まれている。曲率を有するガラスは、通常、以下のプロセスによって作製される:平坦な未加工ガラス板を、予め決められたサイズへと切断する;600~700℃の温度で、平坦なガラス板を軟化させ、所望の曲率に曲げる。曲率を有する発光可能なガラスの作製は、発光可能な素子が、曲率を得るための高温環境に耐えうることを要求する。さらに、その後の高温高圧処理(約100~150℃、10~15バール)が必要であり、それによって、発光可能な素子表面、及び曲率を有するガラスの表面上の、任意の空隙又は気泡が排除され、そのようにして、満足のいく発光可能な性能が提供される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本出願は、発光可能なガラスに基づく物品を提供し、その物品は、曲率を有するガラス又は平坦なガラスを含む。その物品は、建築用ガラス又は自動車用ガラス、特には自動車のルーフガラスに適している。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、本出願の例示的な実施形態を示す。参照番号は以下の通りである:1:ガラス;2:光遮断層;3:導光層;4:保護層;5:端部封入材料;及び6:光源。
【0007】
【
図2】
図2は、導光層における光路を説明する。参照番号は以下の通りである:1:ガラス;2:光遮断層;3:導光層;6:光源;7:光;8:出射光再方向付け素子;及び9:光入口。
【0008】
【
図3】
図3は、光源が導光層の第2表面上に配置されている、第1例示的実施形態を示す。参照番号は以下の通りである:1:ガラス;2:光遮断層;3:導光層;6:光源;7:光;及び8:出射光再方向付け素子である。
【0009】
【
図4】
図4は、光源が導光層の第2表面上に配置されている、第2例示的実施形態を示す。参照番号は以下の通りである:1:ガラス;2:光遮断層;3:導光層;6:光源;7:光;8:出射光再方向付け素子;及び10:入射再方向付け素子である。
【0010】
【
図5】
図5は、光源が導光層の第2表面上に配置されている、第3例示的実施形態を示す。参照番号は以下の通りである:1:ガラス;2:光遮断層;3:導光層;6:光源;7:光;8:出力光再方向付け素子;及び10:入射再方向付け素子である。
【0011】
【
図6】
図6は、プリズム光学再方向付け素子の光路を説明する。参照番号は以下の通りである:2:光遮断層;3:導光層;6:光源;7:光;及び10:入射再方向付け素子である。
【0012】
【
図7A】
図7Aは、実施例1に係る物品の構造の概略図であり、参照番号11は、クリアガラス(パターン1、F2)を表し、12は、クリアガラス(パターン2、F3)を表す。
【0013】
【0014】
【
図8A】
図8Aは、実施例2に係る物品の構造の概略図であり、参照番号11は、クリアガラス(パターン1)を表し、12は、クリアガラス(パターン2)を表す。
【0015】
【発明を実施するための形態】
【0016】
本出願の発光可能なガラスに基づく物品は、以下のものを含む:
【0017】
ガラスであって、反対側を向いている2つの面、及びその2つの面間の距離を定める厚さ、並びに長さ、及びその長さを定める第1末端表面及び第2末端表面を有する、ガラス;
【0018】
ガラスの一方の面上に配置されている光遮断層であって、その光遮断層は、長さ、並びにその長さを定める第1末端表面及び第2末端表面を有する、光遮断層;
【0019】
光遮断層上に配置されている導光層であって、その導光層は、第1表面、及び第1表面とは反対側の第2表面、並びに第1表面と第2表面との間の距離を定める厚さを有し、その導光層は、長さ、並びにその長さを定める第1末端表面及び第2末端表面を有し、ここで、その導光層は、第1表面を通じて光遮断層上に配置され、光が全反射様式でそこに伝搬することを可能にする、導光層;そして、
【0020】
その導光層は、その導光層から光を導き出すための出射光再方向付け素子をさらに含む。
【0021】
出射光再方向付け素子は、光を導光層から導き出すために用いられ、出射光再方向付け素子は、導光層内、導光層の第1表面上、若しくは導光層の第2表面上、又はそれらの組み合わせに配置されうる。
【0022】
好ましい実施形態では、ガラスは、曲率を有するガラスである。別の好ましい実施形態では、ガラスは、平坦なガラスである。
【0023】
好ましい実施形態では、発光可能なガラスに基づく物品は、端部封入材料を有する。好ましい実施形態では、ガラス、光遮断層、及び導光層の、第1末端表面及び/又は第2末端表面は、端部封入材料を有する。
【0024】
一実施形態では、ガラスに基づく物品は、光源から放出された光を受け入れるために用いられる、光入口をさらに含む。
【0025】
一実施形態では、光入口は、導光層の第1末端表面上にある。
【0026】
一実施形態では、光入口は、導光層の第1表面上にある。好ましくは、光入口は、導光層の第1表面上にあり、第1末端表面及び/又は第2末端表面に隣接している。
【0027】
ガラス、光遮断層、及び導光層は、それぞれ実質的に同じ長さ又は異なる長さを持ちうる。
【0028】
本明細書で説明するガラスの長さは、ガラスの厚さと直交しうる。
【0029】
本明細書で説明する光遮断層の長さは、光遮断層の厚さと直交しうる。
【0030】
本明細書で説明する導光層の長さは、導光層の厚さと直交しうる。
【0031】
好ましい実施形態では、導光層の長さは、ガラスの長さ及び/又は光遮断層の長さよりも大きい。導光層の長さのうち、ガラスの長さ及び/又は光遮断層の長さよりも長い部分は、導光層の延長部分と呼ばれる。ガラス及び/又は光遮断層の第1末端表面及び/又は第2末端表面が、端部封入材料を有する場合、導光層の延長部分は、依然として存在する。好ましい実施形態では、光入口は、導光層の第1表面の延長部分上に配置され、導光層の第1末端表面及び/又は第2末端表面に隣接する。
【0032】
光入口と、ガラス及び/又は光遮断層の、第1末端表面及び/又は第2末端表面の外部側との間の距離を、D1で表す。ガラス及び/又は光遮断層の、第1末端表面及び/又は第2末端表面が、端部封入材料を提供されている場合、D1は、光入口と、ガラス及び/又は光遮断層の、第1末端表面及び/又は第2末端表面の、端部封入材料の外側表面との間の距離である。好ましくは、D1は0より大きい。光入口と、導光層の第1末端表面の内部側との間の距離は、D2で表される。好ましくは、D2は0より大きい。より好ましくは、D2は、0より大きく2cm以下の範囲内、例えば、2.00cm未満、例えば、1.99、1.98、1.97、1.96、1.95、1.94、1.93、1.92、1.91、1.90、1.89、1.88、1.87、1.86、1.85、1.84、1.83、1.82、1.81、1.80、1.79、1.78、1.77、1.76、1.75、1.74、1.73、1.72、1.71、1.70、1.69、1.68、1.67、1.66、1.65、1.64、1.63、1.62、1.61、1.60、1.59、1.58、1.57、1.56、1.55、1.54、1.53、1.52、1.51、1.50、1.49、1.48、1.47、1.46、1.45、1.44、1.43、1.42、1.41、1.40、1.39、1.38、1.37、1.36、1.35、1.34、1.33、1.32、1.31、1.30、1.29、1.28、1.27、1.26、1.25、1.24、1.23、1.22、1.21、1.20、1.19、1.18、1.17、1.16、1.15、1.14、1.13、1.12、1.11、1.10、1.09、1.08、1.07、1.06、1.05、1.04、1.03、1.02、1.01、1.00、0.99、0.98、0.97、0.96、0.95、0.94、0.93、0.92、0.91、0.90、0.89、0.88、0.87、0.86、0.85、0.84、0.83、0.82、0.81、0.80、0.79、0.78、0.77、0.76、0.75、0.74、0.73、0.72、0.71、0.70、0.69、0.68、0.67、0.66、0.65、0.64、0.63、0.62、0.61、0.60、0.59、0.58、0.57、0.56、0.55、0.54、0.53、0.52、0.51、0.50、0.49、0.48、0.47、0.46、0.45、0.44、0.43、0.42、0.41、0.40、0.39、0.38、0.37、0.36、0.35、0.34、0.33、0.32、0.31、0.30、0.29、0.28、0.27、0.26、0.25、0.24、0.23、0.22、0.21、0.20、0.19、0.18、0.17、0.16、0.15、0.14、0.13、0.12、0.11、0.10、0.09、0.08、0.07、0.06、0.05、0.04、0.03、0.02、0.01、0.00cmである。
【0033】
「実質的に」という用語は、同じ単位を前提として、関係する対象間の差が、0.1%未満、又は0.01%未満であることを意味する。「約」という用語は、記載された値から、±5%の変動を包含することを意味する。
【0034】
一実施形態において、本明細書に記載の導光層は、通常、良好な光透過率を有し、例えば、本明細書に記載の導光層の光透過率は、約80~100%、例えば、約80%以上、約81%以上である、約82%以上、約83%以上、約84%以上、約85%以上、約86%以上、約87%以上、約88%以上、約89%以上、約90%以上、約91%以上、約92%以上、約93%以上、約94%以上、約95%以上、約96%以上、約97%以上、約98%以上、約99%以上、又は例えば、約80%、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%である。
【0035】
本明細書に記載の光遮断層は、1種以上のフルオロポリマー、ポリシロキサン、アクリレートポリマー、及びエポキシ樹脂、又はそれらの組み合わせを含む。本明細書に記載の光遮断層は、1種以上の熱可塑性材料、及び硬化性材料、又はそれらの組み合わせをさらに含む。本明細書に記載の光遮断層は、1種以上の感圧接着剤、光学的に透明な接着剤、及びプライマー、又はそれらの組み合わせをさらに含む。
【0036】
本出願の導光層は、下記の1種以上から選択される材料を採用しうる:ポリウレタン、ポリカーボネート、アクリレートポリマー、ポリエステル、及びセルロースアセテート、又はそれらの組み合わせ。本明細書に記載の導光層は、1種以上の熱可塑性材料、及び硬化性材料、又はそれらの組み合わせをさらに含む。本明細書に記載の導光層は、光学的に透明な接着剤をさらに含む。本明細書に記載の導光層は、ガラスを含みうる。
【0037】
本明細書に記載のフルオロポリマーとは、その分子中にフッ素原子を含有するポリマーを指す。本明細書に記載のフルオロポリマーとして、エチレン-テトラフルオロエチレンコポリマー(ETFE)、フッ素化エチレンプロピレンコポリマー(FEP)、及びポリフッ化ビニリデン(PVDF)のうちの1種又は複数の組み合わせが挙げられる。
【0038】
本明細書に記載のポリシロキサンとは、骨格中に(-Si-O-)の繰り返し単位を含有するポリマーを指す。ポリシロキサンは、シリコーンとも呼ばれる。ポリシロキサンとシリコーンとを、互換的に用いうる。この文脈では、ポリシロキサン液体は、シリコーンオイルと呼ばれ、ポリシロキサンゴムは、シリコーンゴムと呼ばれ、ポリシロキサン樹脂は、シリコーン樹脂と呼ばれる。本明細書に記載されるポリシロキサンとして、シリコーンオイル、シリコーンゴム、及びシリコーン樹脂のうちの1種又は複数の組み合わせが挙げられる。
【0039】
本明細書に記載のアクリレートポリマーとは、アクリレートに由来する繰り返し単位を含有するポリマーを指す。繰り返し単位は、原子価によって許容される限り、置換又は非置換でありうる。アクリレートポリマーは、ホモポリマー及び/又はコポリマーでありうる。本明細書に記載のアクリレートポリマーとして、ポリメチルアクリレート、ポリエチルアクリレート、ポリプロピルメタクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、及びポリプロピルメタクリレートのうちの1種又は複数の組み合わせが挙げられる。
【0040】
本明細書に記載のエポキシ樹脂とは、エポキシ結合を含有する物質の重合後に得られるポリマーを指す。エポキシ樹脂として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ハロゲン化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノール型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、及びビスフェノールS型エポキシ樹脂のうちの1種又は複数の組み合わせが挙げられる。
【0041】
本明細書で説明する熱可塑性材料とは、加熱すると流動かつ変形でき、冷却した後に硬化しうる、材料を指す。本明細書に記載の熱可塑性材料として、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、セルロースアセテート、エチレン-酢酸ビニルポリマー、ポリカーボネート、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリオキシメチレン、ポリアミド、ポリスルホン、ポリフェニルエーテル、及び塩素化ポリエーテルのうちの1種又は複数の組み合わせが挙げられる。
【0042】
本明細書に記載の硬化性材料とは、光又は熱の条件下で非固定形状から固定形状に変形しうる材料を指す。本明細書に記載の硬化性材料として、フェノール樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、及びポリウレタンのうちの1種又は複数の組み合わせが挙げられる。本明細書に記載の硬化性材料は、所望の硬化性材料を生成するための1種以上の前駆体材料をさらに含み、ここで、1種以上の前駆体材料は、混合状態又は分離状態の形態でありうる。
【0043】
本明細書に記載の感圧接着剤とは、一定の圧力下で粘性を帯びるようになり、剥離力が凝集力より小さい物質を指す。本明細書に記載の感圧接着剤として、ゴム系感圧接着剤、ポリウレタン系感圧接着剤、アクリレートポリマー系感圧接着剤、及びポリシロキサン系感圧接着剤の1種又は複数の組み合わせが挙げられる。
【0044】
本明細書に記載の光学的に透明な接着剤とは、通常、良好な光透過率(例えば、90%以上)、及び良好な接着強度を有する物質の分類を指す。本明細書に記載の光学的に透明な接着剤は、適切な温度で(例えば、室温又は加熱条件下で)硬化させられうるし、小さい硬化収縮率を有する。本明細書に記載の光学的に透明な接着剤として、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、及びアクリレートのうちの1種又は複数の組み合わせが挙げられる。
【0045】
本明細書に記載のプライマーは、処理済み又は未処理の表面上に直接適用される塗料の最初の層を指す。本明細書に記載のプライマーは、良好な光透過率を有する。
【0046】
本明細書に記載のポリウレタンは、骨格中にウレタン(-NH-COO-)の繰り返し単位を含有するポリマーを指す。ポリウレタンは、ポリイソシアネート(ジイソシアネートを含む)及びポリオール(ジオールを含む)並びに随意に補助添加剤の反応によって得られる。ポリウレタンの生成に用いられるポリイソシアネート、ポリオール及び補助添加剤の種類は、当業者に周知である。処理技術により、ポリウレタン(PU)は、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、キャストポリウレタン(CPU)、及び粉砕可能ポリウレタン(MPU)に分類される。
【0047】
ポリカーボネート(PC)とは、骨格中にカーボネート基を含有するポリマーを指す。ポリカーボネートは、例えば脂肪族ポリカーボネート、芳香族ポリカーボネート、及び脂肪族-芳香族ポリカーボネートなど、多くの種類に分類されうる。
【0048】
本明細書に記載のポリエステルとは、ポリオールとポリ酸との重縮合によって得られるポリマーを指す。ポリエステルとして、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、及びポリアリレート(PAR)などが挙げられる。
【0049】
本明細書に記載のセルロースアセテートとは、セルロース分子中のヒドロキシル基を、酢酸でエステル化することによって得られる、化学的に改質されたポリマー物質を指す。セルロースアセテートとして、セルロースモノアセテート、セルロースジアセテート、セルローストリアセテートなどが挙げられる。セルローストリアセテートとは、通常、エステル化度が2.7以上であるセルロースアセテートを指す。
【0050】
一実施形態では、本明細書に記載の導光層の屈折率は、光遮断層の屈折率よりも大きい。一実施形態では、本明細書に記載の光遮断層の屈折率に対する導光層の屈折率の比は、約1.01、1.02、1.03、1.04、1.05、1.06、1.07、1.08、1.09、1.10、1.11、1.12、1.13、1.14、1.15、1.16、1.17、1.18、1.19、1.20以上である。一実施形態では、本明細書に記載の光遮断層の材料の屈折率に対する導光層の材料の屈折率の比は、約1.01~1.20の範囲内、例えば約1.01、1.02、1.03、1.04、1.05、1.06、1.07、1.08、1.09、1.10、1.11、1.12、1.13、1.14、1.15、1.16、1.17、1.18、1.19、1.20である。
【0051】
一実施形態では、本明細書に記載の導光層の屈折率は、光遮断層の屈折率よりも大きい。一実施形態では、本明細書に記載の導光層の屈折率と光遮断層の屈折率との差は、約0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.10、0.11、0.12、0.13、0.14、0.15、0.16、0.17、0.18、0.19、0.20、0.21、0.22、0.23、0.24、0.25、0.26、0.27、0.28、0.29、0.30以上である。一実施形態では、導光層の材料の屈折率と本明細書に記載の光遮断層の材料の屈折率との差は、約0.01~0.30の範囲内、例えば0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.10、0.11、0.12、0.13、0.14、0.15、0.16、0.17、0.18、0.19、0.20、0.21、0.22、0.23、0.24、0.25、0.26、0.27、0.28、0.29、0.30である。
【0052】
一実施形態では、本明細書に記載の光遮断層の屈折率は、約1.50以下、約1.49以下、約1.48以下、約1.47以下、約1.46以下、約1.45以下、約1.44以下、約1.43以下、約1.42以下、約1.41以下、約1.40以下、約1.39以下、約1.38以下、約1.37以下、約1.36以下、約1.35以下、約1.34以下、約1.33以下、約1.32以下、約1.31以下、約1.30以下、約1.29以下、約1.28以下、約1.27以下、約1.26以下、約1.25以下である。
【0053】
一実施形態では、本明細書に記載の光遮断層の屈折率は、1.25~1.50の範囲内、例えば約1.25、1.26、1.27、1.28、1.29、1.30、1.31、1.32、1.33、1.34、1.35、1.36、1.37、1.38、1.39、1.40、1.41、1.42、1.43、1.44、1.45、1.46、1.47、1.48、1.49、1.50である。
【0054】
一実施形態では、本明細書に記載の導光層の屈折率は、約1.80以下、約1.79以下、約1.78以下、約1.77以下、約1.76以下、約1.75以下、約1.74以下、約1.73以下、約1.72以下、約1.71以下、約1.70以下、約1.69以下、約1.68以下、約1.67以下、約1.66以下、約1.65以下、約1.64以下、約1.63以下、約1.62以下、約1.61以下、約1.60以下、約1.59以下、約1.58以下、約1.57以下、約1.56以下、約1.55以下、約1.54以下、約1.53以下、約1.52以下、約1.51以下、約1.50以下、約1.49以下、約1.48以下、約1.47以下、約1.46以下、約1.45以下、約1.44以下、約1.43以下、約1.42以下、約1.41以下、約1.40以下、約1.39以下、約1.38以下、約1.37以下、約1.36以下、約1.35以下、約1.34以下、約1.33以下、約1.32以下、約1.31以下、約1.30以下、約1.29以下、約1.28以下、約1.27以下、約1.26以下、約1.25以下である。一実施形態では、本明細書に記載の導光層の屈折率は、1.25~1.80の範囲内、例えば、約1.25、1.26、1.27、1.28、1.29、1.30、1.31、1.32、1.33、1.34、1.35、1.36、1.37、1.38、1.39、1.40、1.41、1.42、1.43、1.44、1.45、1.46、1.47、1.48、1.49、1.50、1.51、1.52、1.53、1.54、1.55、1.56、1.57、1.58、1.59、1.60、1.61、1.62、1.63、1.64、1.65、1.66、1.67、1.68、1.69、1.70、1.71、1.72、1.73、1.74、1.75、1.76、1.77、1.78、1.79、1.80である。
【0055】
一実施形態では、導光層は、光入口からの光の入射角を、全反射角へと再方向付けさせるための入射再方向付け素子をさらに含む。一実施形態では、入射再方向付け素子は、導波路素子又はプリズム光学再方向付け素子であり、プリズム光学再方向付け素子の表面は、高い反射率を有する。プリズムの角度は、光が導光層内を全反射様式で伝搬することを確保するために、調整されうる。
【0056】
一実施形態では、出射光再方向付け素子は、構造化された表面、プリセットパターン、凹、状及び/又は凸状などである。プリセットパターンとして、1つ以上のドット、線、長方形、矢印、十字、台形、長方形、正方形、V字形、五角形、六角形、円、楕円、円弧、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0057】
一実施形態では、導光層の第2表面は、空気に接触する。
【0058】
別の実施形態では、随意の保護層が、導光層の第2表面上に配置されている。保護層は、耐傷性層又は耐火性層でありうる。保護層は、光が導光層と保護層との間の界面において、全反射様式で反射することを確保するために、適切な低屈折率(例えば、導光層の屈折率より0.03以上低い)を有する必要がある。保護層の例は、ハードコーティング、例えばポリシロキサンハードコーティングでありうる。
【0059】
一実施形態では、本明細書に記載の導光層の屈折率は、保護層の屈折率よりも大きい。一実施形態では、本明細書に記載の保護層の屈折率に対する導光層の屈折率の比は、約1.01、1.02、1.03、1.04、1.05、1.06、1.07、1.08、1.09、1.10、1.11、1.12、1.13、1.14、1.15、1.16、1.17、1.18、1.19、1.20以上である。一実施形態では、本明細書に記載の保護層の材料の屈折率に対する導光層の材料の屈折率の比は、約1.01~1.20の範囲内、例えば、約1.01、1.02、1.03、1.04、1.05、1.06、1.07、1.08、1.09、1.10、1.11、1.12、1.13、1.14、1.15、1.16、1.17、1.18、1.19、1.20である。
【0060】
一実施形態では、本明細書に記載の導光層の屈折率は、保護層の屈折率よりも大きい。一実施形態では、導光層の屈折率と本明細書に記載の保護層の屈折率との差は、約0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.10、0.11、0.12、0.13、0.14、0.15、0.16、0.17、0.18、0.19、0.20、0.21、0.22、0.23、0.24、0.25、0.26、0.27、0.28、0.29、0.30以上である。一実施形態では、本明細書に記載の導光層の材料の屈折率と保護層の材料の屈折率との差は、約0.01~0.30の範囲内、例えば、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.10、0.11、0.12、0.13、0.14、0.15、0.16、0.17、0.18、0.19、0.20、0.21、0.22、0.23、0.24、0.25、0.26、0.27、0.28、0.29、0.30である。
【0061】
一実施形態では、本明細書に記載の光遮断層は、以下のうちの1つ又は複数の組み合わせを含む:
(1)熱可塑性フルオロポリマー、好ましくはETFE、FEP、PVDF、エチレンテトラフルオロエチレン、フッ素化エチレンプロピレン、ポリフッ化ビニリデン;
(2)シリコーン;
(3)約1.45~1.47以下の屈折率を有するアクリル;
(4)約1.43以下の屈折率を有するポリシロキサン;
(5)約1.3以下の屈折率を有するガラスラミネート用の光学的に透明な接着剤、好ましくはシリコーン樹脂、エポキシ樹脂、又はアクリレート;
(6)約1.45~1.47以下の屈折率を有する感圧接着剤(PSA);又は、
(7)低屈折率を有するプライマー。
【0062】
一実施形態では、本明細書に記載の導光層は、以下のうちの1つ又は複数の組み合わせを含む:
(1)熱可塑性ポリウレタン;
(2)ポリカーボネート;
(3)ポリメチルメタクリレート;
(4)PET、好ましくは1.5超の屈折率を有するPET;
(5)セルローストリアセテート;
(6)光学的に透明な接着剤、好ましくは1.5超の屈折率を有する光学的に透明な接着剤;又は
(7)その他のポリウレタン。
【0063】
一実施形態では、光遮断層は、光が導光層と光遮断層との間の界面において、全反射様式で反射することを確保するために、適切に低い屈折率(例えば、導光層の屈折率より0.03以上低い)を有する。驚くべきことに、本出願の光遮断層は、ガラス及び/又は導光層への良好な付着を達成することができ、接触表面間の空隙及び/又は気泡を排除することができる。さらに、本出願の光遮断層は、140℃かつ13バール下での、2時間にわたる処理を含む後処理プロセスに耐えうる。光遮断層はまた、ガラス及び導光層に対する良好な付着を達成することができ、例えば、2N/mm超(例えば、3N/mm超、例えば、4N/mm超、例えば、5N/mm超、例えば、6N/mm超、例えば、7N/mm超、例えば、8N/mm超、例えば、9N/mm超、例えば、10N/mm超)の剥離強度を達成することができる。本出願の光遮断層は、良好なクリア性、例えば1mで6%未満(例えば、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、1%未満)のヘイズ、好ましくは1%未満のヘイズを有する良好なクリア性、を達成することができる。好ましい態様において、本出願の光遮断層はまた、紫外線及び/又は赤外線光をフィルタリングする機能、並びにガラス片をブロッキングする機能も有する。本出願の光遮断層は、1~1000μm、例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000μmの厚さを有する。
【0064】
一実施形態では、導光層は、微細構造表面を有し、これは、出射光再方向付け素子として用いられる。出射光再方向付け素子は、導光層内を全反射様式で伝搬する光の入射角を、全反射角未満に再方向付けするために用いられ、光が導光層から出射することを可能にする。本出願の導光層は、良好なクリア性、例えば1mで6%未満(例えば、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、1%未満)のヘイズ、好ましくは1%未満のヘイズを有する良好なクリア性、を達成することができる。導光層はまた、光遮断層及び随意の保護層への良好な付着を達成することができ、例えば2N/mm超(例えば3N/mm超、例えば4N/mm超、例えば5N/mm超、例えば6N/mm超、例えば7N/mm超、例えば8N/mm超、例えば9N/mm超、例えば10N/mm超)の剥離強度を達成することができる。好ましい態様において、本出願の導光層はまた、紫外線及び/又は赤外線光をフィルタリングする機能、並びにガラス片をブロッキングする機能も有する。導光層は、0.1~1.5mm、例えば0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.5mmの厚さを有する。また、本出願の導光層は、140℃かつ13バール下で、2時間にわたる処理を含む後処理工程にも耐えうる。
【0065】
本明細書に記載のガラス(例えば、曲率を有するガラス又は平坦であるガラスなど)は、0.1~5.0mmの厚さを有し、例えば、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0mmの厚さを有する。
【0066】
本出願の発光可能なガラスに基づく物品は、様々な光源に適している。光源は、線状光源又はドット状光源でありうる。光源を、封入プロセスを通じてガラスに基づく物品内に封入しうる。随意に、光源を、ガラスに基づく物品に取り外し可能に接続してもよい。代替的には、光源の一部は、凸形状を有し、ガラスに基づく物品の一部は、凹形状を有し、凸形状及び凹形状は、相補的である。光源は、好ましくは平行であり(コリメートされており)、例えば、平行LED光源である。光源が、導光層の第2表面に対して垂直である場合、入射光の入射角は、再方向付け素子によって全反射角へと再方向付けされる。
【0067】
本明細書に記載の任意のポリマーは、ホモポリマー及び/又はコポリマーでありうる。コポリマーとして、ランダムコポリマー、ブロックコポリマーなどが挙げられる。
【0068】
本明細書に記載のポリマーの分子量は、数平均分子量又は重量平均分子量でありうる。
【0069】
明確に規定されないが、本明細書に記載の含有量は、体積含有量又は重量含有量であってもよい。当業者であれば、特定の状況に応じてそれを容易に決定しうる。
【0070】
本明細書に記載の温度とは、摂氏を指す。
【0071】
本明細書に記載の発光可能なガラスに基づく物品は、曲率を有する物品であってよいし、又は平坦な物品であってよい。
【0072】
本出願の光遮断層を、以下のプロセスによって作製しうる:射出成形、熱ラミネート、接着、又はコーティングなど。接着は、感圧接着剤を用いることができる。コーティングは、フローコーティング、スプレーコーティング、ロールコーティング、又はスパッタコーティングでありうる。
【0073】
本出願の導光層を、以下のプロセスによって作製しうる:
(1)射出成形封入プロセス;
(2)熱ラミネートプロセス;又は、
(3)他の適切なプロセス。
【0074】
本出願の光入口を、以下の方法によって作製しうる:
(1)層の表面材料のレーザー除去;
(2)層中の材料のレーザー除去;
(3)表面エンボス加工及びマイクロエンボス加工;又は、
(4)印刷、例えばスクリーン印刷。
【0075】
本出願の出射光再方向付け素子は、以下の方法によって作製しうる:
(1)層の表面材料のレーザー除去;
(2)層中の材料のレーザー除去;
(3)表面エンボス加工及びマイクロエンボス加工;又は、
(4)印刷、例えばスクリーン印刷。
【0076】
図面の説明
【0077】
図1は、本出願の例示的な実施形態を示す。参照番号は以下の通りである:1:ガラス;2:光遮断層;3:導光層;4:保護層;5:端部封入材料;及び6:光源。
【0078】
図2は、導光層における光路を説明する。参照番号は以下の通りである:1:ガラス;2:光遮断層;3:導光層;6:光源;7:光;8:出射光再方向付け素子;及び9:光入口。
【0079】
図3は、光源が導光層の第2表面上に配置されている、第1例示的実施形態を示す。参照番号は以下の通りである:1:ガラス;2:光遮断層;3:導光層;6:光源;7:光;及び8:出射光再方向付け素子である。
【0080】
図4は、光源が導光層の第2表面上に配置されている、第2例示的実施形態を示す。参照番号は以下の通りである:1:ガラス;2:光遮断層;3:導光層;6:光源;7:光;8:出射光再方向付け素子;及び10:入射再方向付け素子である。
【0081】
図5は、光源が導光層の第2表面上に配置されている、第3例示的実施形態を示す。参照番号は以下の通りである:1:ガラス;2:光遮断層;3:導光層;6:光源;7:光;8:出射光再方向付け素子;及び10:入射再方向付け素子である。
【0082】
図6は、プリズム光学再方向付け素子の光路を説明する。参照番号は以下の通りである:2:光遮断層;3:導光層;6:光源;7:光;及び10:入射再方向付け素子である。
【0083】
図7Aは、実施例1に係る物品の構造の概略図であり、参照番号11は、クリアガラス(パターン1、F2)を表し、12は、クリアガラス(パターン2、F3)を表す。
【0084】
【0085】
図8Aは、実施例2に係る物品の構造の概略図であり、参照番号11は、クリアガラス(パターン1)を表し、12は、クリアガラス(パターン2)を表す。
【0086】
【0087】
以下の実施例は、本出願の有利な効果を説明するものである。当業者であれば、これらの実施例は、限定的ではなく例示的なものであり、本出願の範囲を何ら限定するものと考えるべきではないことを理解するであろう。以下の実施例に記載されている実験方法は、特に断らない限り、従来の方法である。用いられる試薬及び材料は、特に指定しない限り、市販されているものである。
【実施例】
【0088】
好ましい実施形態の詳細な説明
【0089】
実施例1
【0090】
図7Aに示すように、2枚の長方形のシートガラスが用いられ、これらのシートガラスは、それぞれ100mm及び100mmの長さ及び幅、2.1mmの厚さ、約91~93%の光透過率、並びに約1.51の屈折率を有する。そして、適当な大きさの発光可能なインクドットの配列を、2枚のシートガラスのそれぞれの一方の表面上に、それぞれ印刷した。2枚のシートガラスを、インク印刷面が互いに向き合う状態で置き、その間に接着剤で順に、以下のように積層した:第1EVA層(エチレン-酢酸ビニルコポリマーであり、約1.48~1.49の硬化後の屈折率、及び0.38mmの厚さを有する)、0.075mmの厚さを有するFEPフィルム(フッ素化エチレンプロピレンコポリマーフィルムであり、約1.34の屈折率を有する)、並びに第2EVA層。完成後、多層構造体を、堅固に圧縮した。
【0091】
その後、得られた物品を真空中に置いて、温度が125℃であり、持続時間が1時間にわたる、熱処理に供した。物品中のEVAは、硬化され、接着された。得られた物品は、安定した多層構造を有していた。
【0092】
熱処理後に得られた多層構造の上部シートガラスの側表面上に、光源を配置した。ガラス層の一方の末端表面上において、材料の一部をレーザーで除去することによって、光入口を配置した。光の伝播及び放出を観察し、その結果を
図7Bに示した。
図7Bからわかるように、光源を側表面から上部シートガラス内に導入した場合、上部ガラス及び上部EVAコーティングの輝度は、下部ガラス及び下部EVAコーティングの輝度よりも著しく高かった。さらに、上部ガラスの発光可能なインクドットの配列は、著しく点灯した一方で、下部ガラスの発光可能なインクドットの配列からの明らかな発光を観察することは困難であった。
【0093】
この実施例は、光遮断層として中間FEPフィルムを用いることは、導光層と良好に調和して機能することができ、導光層内の光を全反射様式で伝搬させることを可能にすることを示している。
【0094】
実施例2
【0095】
図8Aに示すように、2つの長方形のシートガラスが用いられ、シートガラスは、それぞれ100mm及び100mmの長さ及び幅、2.1mmの厚さ、約91~93%の光透過率、並びに約1.51の屈折率を有する。そして、適当な大きさの発光可能なインクドットの配列を、2枚のシートガラスのそれぞれの一方の表面上に、それぞれ印刷した。2枚のシートガラスを、インク印刷表面が互いに向き合う状態で置き、その間に接着剤で順に、以下のように積層した:第1PVB層(ポリビニルブチラールであり、約1.48の硬化後の屈折率、及び0.38mmの厚さを有する)、0.075mmの厚さを有するFEPフィルム(フッ素化エチレンプロピレンコポリマーフィルムであり、約1.34の屈折率を有する)、並びに第2PVB層。完成後、多層構造体を、堅固に圧縮した。
【0096】
その後、得られた物品を、真空中において、125℃の温度で0.5時間にわたって熱処理に供し、次いでオートクレーブ内で、1.3MPaの圧力下で、135℃の温度で、2時間にわたって熱処理に供した。得られた物品は、安定した多層構造を有していた。
【0097】
熱処理後に得られた多層構造の上部シートガラスの側表面上に、光源を配置した。ガラス層の一方の末端表面上において、材料の一部をレーザーで除去することによって、光入口を配置した。光の伝播及び放出を観察し、その結果を
図8Bに示した。
図8Bからわかるように、光源を側表面から上部シートガラス内に導入した場合、上部ガラス及び上部PVBコーティングの輝度は、下部ガラス及び下部PVBコーティングの輝度よりも著しく高かった。さらに、上部ガラスの発光可能なインクドットの配列は、著しく点灯した一方で、下部ガラスの発光可能なインクドットの配列からの明らかな発光を観察することは困難であった。
【0098】
この実施例は、光遮断層として中間FEPフィルムを用いることは、導光層と良好に調和して機能することができ、導光層内の光を全反射様式で伝搬させることを可能にすることを示している。
【国際調査報告】