(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-20
(54)【発明の名称】外科手術ロボットアームの制御
(51)【国際特許分類】
A61B 34/35 20160101AFI20240912BHJP
【FI】
A61B34/35
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024510609
(86)(22)【出願日】2023-08-15
(85)【翻訳文提出日】2024-02-20
(86)【国際出願番号】 GB2023052143
(87)【国際公開番号】W WO2024038264
(87)【国際公開日】2024-02-22
(32)【優先日】2022-08-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516263638
【氏名又は名称】シーエムアール サージカル リミテッド
【氏名又は名称原語表記】CMR SURGICAL LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】110001966
【氏名又は名称】弁理士法人笠井中根国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100147717
【氏名又は名称】中根 美枝
(74)【代理人】
【識別番号】100103252
【氏名又は名称】笠井 美孝
(72)【発明者】
【氏名】ブレイク,マーティン
【テーマコード(参考)】
4C130
【Fターム(参考)】
4C130AA02
4C130AA04
4C130AA22
4C130AA24
4C130AB01
4C130AD02
4C130AD11
(57)【要約】
外科手術ロボットアームの第1の部品を動かすためのコントローラであって、外科手術ロボットアームは、外力が外科手術ロボットアームの第2の部品に付与されることに応答して、複数の従動ジョイントによって分離される複数のアームセグメントを備え、コントローラが、外科手術ロボットアームの第2の部品に付与される力から結果的に生じる、複数のジョイントの各々におけるトルクを決定することと、決定されたトルクから、外力が外科手術ロボットアームの第2の部品に付与された結果として、外科手術ロボットアームの第1の部品に作用する、結果的に生じる力を計算することと、後退オイラー近似を使用して、クーロン及び粘性摩擦力をモデル化する運動方程式を評価することによって、現在の時間の後の時間に対する外科手術ロボットアームの第1の部品の所望の速度を計算することであって、運動方程式が、外科手術ロボットアームの第1の部品に作用する、計算された結果的に生じる力、及び外科手術ロボットアームの第1の部品の現在の時間における現在の速度の入力を有する、計算することと、計算された所望の速度に従って、外科手術ロボットアームを駆動することと、を行うように構成されている、コントローラ。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科手術ロボットアームの第1の部品を動かすためのコントローラであって、前記外科手術ロボットアームは、外力が前記外科手術ロボットアームの第2の部品に付与されることに応答して、複数の従動ジョイントによって分離される複数のアームセグメントを備え、前記コントローラが、
前記外科手術ロボットアームの前記第2の部品に付与される前記力から結果的に生じる、前記複数のジョイントの各々におけるトルクを決定することと、
前記決定されたトルクから、前記外力が前記外科手術ロボットアームの前記第2の部品に付与された結果として、前記外科手術ロボットアームの前記第1の部品に作用する、結果的に生じる力を計算することと、
後退オイラー近似を使用して、クーロン及び粘性摩擦力をモデル化する運動方程式を評価することによって、現在の時間の後の時間に対する前記外科手術ロボットアームの前記第1の部品の所望の速度を計算することであって、前記運動方程式が、
前記外科手術ロボットアームの前記第1の部品に作用する、前記計算された結果的に生じる力、及び
前記外科手術ロボットアームの前記第1の部品の前記現在の時間における現在の速度の入力を有する、計算することと、
前記計算された所望の速度に従って、前記外科手術ロボットアームを駆動することと、を行うように構成されている、コントローラ。
【請求項2】
前記運動方程式を評価することが、前記外科手術ロボットアームの前記第1の部品の前記現在の時間における前記現在の速度、及び前記外科手術ロボットアームの前記第1の部品に作用する前記計算された結果的に生じる力に基づいて、値のデッドバンド関数を評価することを含む、請求項1に記載のコントローラ。
【請求項3】
前記デッドバンド関数が、デッドバンド領域を有し、前記デッドバンド領域の外側の前記デッドバンド関数の勾配が、前記外科手術ロボットアームに作用する所望の粘性摩擦力をモデル化するように選択される、請求項2に記載のコントローラ。
【請求項4】
前記デッドバンド関数の前記デッドバンド領域の限界が、前記外科手術ロボットアームに作用する所望のクーロン摩擦力をモデル化するように選択される、請求項3に記載のコントローラ。
【請求項5】
前記運動方程式が、次式に従い、
【数1】
式中、fが、前記外科手術ロボットアームの前記第1の部品に作用する前記結果的に生じる力を表し、
【数2】
が、前記デッドバンド関数の逆数を表し、
【数3】
が、前記現在の時間の後の前記時間における前記外科手術ロボットアームの前記第1の部品の前記所望の速度を表し、
【数4】
が、前記現在の時間の後の前記時間における前記外科手術ロボットアームの前記第1の部品の加速度を表し、M及びDが、所定の定数である、請求項2~4のいずれか一項に記載のコントローラ。
【請求項6】
Dが、前記外科手術ロボットアームに作用する所望の粘性摩擦力をモデル化するように選択される、請求項5に記載のコントローラ。
【請求項7】
前記複数のジョイントの各々におけるトルクを決定することが、
前記外科手術ロボットアームから、前記複数のジョイントの各々における前記トルクの測定値を受信することと、
前記トルク測定値を処理して、前記外科手術ロボットアームの前記第2の部品に付与される前記外力から結果的に生じないトルクを考慮することと、を含む、先行請求項のいずれか一項に記載のコントローラ。
【請求項8】
前記コントローラが、
前記外科手術ロボットアームから、前記外科手術ロボットアームの前記第1の部品の位置の測定値を受信することと、
前記位置の前記測定値から、前記外科手術ロボットアームの前記第1の部品の前記現在の時間における前記現在の速度を計算することと、を行うように構成されている、先行請求項のいずれか一項に記載のコントローラ。
【請求項9】
前記後退オイラー近似が、前記外科手術ロボットアームの前記第1の部品の前記現在の速度と前記所望の速度との間の差を、前記現在の時間と前記現在の時間の後の前記時間との間の差で除算したものとして、前記現在の時間の後の前記時間における前記外科手術ロボットアームの前記第1の部品の前記加速度を近似する、先行請求項のいずれか一項に記載のコントローラ。
【請求項10】
前記後退オイラー近似が、次式に従い、
【数5】
式中、
【数6】
が、前記現在の時間の後の前記時間における前記外科手術ロボットアームの前記第1の部品の前記加速度であり、
【数7】
が、前記所望の速度であり、
【数8】
が、前記現在の速度であり、t
kが、前記現在の時間であり、t
k+1が、前記現在の時間の後の前記時間である、先行請求項に記載のコントローラ。
【請求項11】
前記運動方程式が、次式に従い、
【数9】
式中、t
kが、前記現在の時間を表し、t
k+1が、前記現在の時間の後の前記時間を表し、
【数10】
が、時間t
k+1における前記外科手術ロボットアームの前記第1の部品の前記所望の速度を表し、
【数11】
が、前記現在の時間t
kにおける前記外科手術ロボットアームの前記第1の部品の前記現在の速度を表し、
【数12】
が、前記デッドバンド関数を表し、fが、前記外科手術ロボットアームの前記第1の部品に作用する前記結果的に生じる力を表し、M及びDが、所定の定数である、請求項2~10のいずれか一項に記載のコントローラ。
【請求項12】
前記計算された所望の速度に従って前記外科手術ロボットアームを駆動することが、
前記所望の速度から、前記外科手術ロボットアームの前記第1の部品の所望の位置を計算することと、
前記外科手術ロボットアームの前記第1の部品が前記所望の位置を有することを可能にすることになる、前記複数のジョイントの各々の角度を決定することと、
前記外科手術ロボットアームに、前記複数のジョイントを前記決定された角度に駆動させる信号を送信することと、を含む、先行請求項のいずれか一項に記載のコントローラ。
【請求項13】
前記外科手術ロボットアームの前記第1の部品が、前記外科手術ロボットアームのアームセグメントである、先行請求項のいずれか一項に記載のコントローラ。
【請求項14】
前記外科手術ロボットアームの前記第1の部品が、前記外科手術ロボットアームの最遠位アームセグメントである、請求項13に記載のコントローラ。
【請求項15】
前記外科手術ロボットアームの前記第1の部品が、前記外科手術ロボットアームの前記複数の従動ジョイントのうちのジョイントである、請求項1~12のいずれか一項に記載のコントローラ。
【請求項16】
前記外科手術ロボットアームの前記第1の部品が、前記外科手術ロボットアームのエルボである、請求項15に記載のコントローラ。
【請求項17】
前記外科手術ロボットアームの前記第1の部品が、前記外科手術ロボットアームのリストである、請求項15に記載のコントローラ。
【請求項18】
前記外科手術ロボットアームの前記第2の部品が、前記外科手術ロボットアームのアームセグメントである、先行請求項のいずれか一項に記載のコントローラ。
【請求項19】
前記外科手術ロボットアームの前記第2の部品が、前記外科手術ロボットアームの前記複数の従動ジョイントのうちのジョイントである、請求項1~17のいずれか一項に記載のコントローラ。
【請求項20】
前記第1の部品及び前記第2の部品が、前記外科手術ロボットアームの同じ部品である、先行請求項のいずれか一項に記載のコントローラ。
【請求項21】
前記第1の部品及び前記第2の部品が、前記外科手術ロボットアームの異なる部品である、請求項1~19のいずれか一項に記載のコントローラ。
【請求項22】
前記外科手術ロボットアームの前記第2の部品に付与される前記外力が、回転力であり、前記外力の結果として前記外科手術ロボットアームの前記第1の部品に作用する前記結果的に生じる力が、回転力である、先行請求項のいずれか一項に記載のコントローラ。
【請求項23】
外科手術ロボットアームと、請求項1~22のいずれか一項に記載のコントローラと、を備える、外科手術システム。
【請求項24】
前記外科手術ロボットアームが、前記外科手術ロボットアームの前記複数のジョイントの各ジョイントにトルクセンサを備え、前記外科手術ロボットアームが、前記複数のジョイントの各々における前記トルクを測定し、前記測定値を前記コントローラに送信するように構成されている、請求項7に従属する請求項23に記載の外科手術システム。
【請求項25】
前記外科手術ロボットアームが、前記外科手術ロボットアームに沿った複数の点に位置センサを備え、前記外科手術ロボットアームが、前記外科手術ロボットアームの前記第1の部品の位置を測定し、前記測定値を前記コントローラに送信するように構成されている、請求項8に従属する請求項23又は24に記載の外科手術システム。
【請求項26】
外科手術ロボットアームの第1の部品を動かすための方法であって、前記外科手術ロボットアームは、外力が前記外科手術ロボットアームの第2の部品に付与されることに応答して、複数のジョイントによって分離される複数のアームセグメントを備え、前記方法が、
前記外科手術ロボットアームの前記第2の部品に付与される前記力の結果として、前記複数のジョイントの各々におけるトルクを決定することと、
前記決定されたトルクから、前記外力が前記外科手術ロボットアームの前記第2の部品に付与された結果として、前記外科手術ロボットアームの前記第1の部品に作用する、結果的に生じる力を計算することと、
後退オイラー近似を使用して、クーロン及び粘性摩擦力をモデル化する運動方程式を評価することによって、現在の時間の後の時間に対する前記外科手術ロボットアームの前記第1の部品の所望の速度を計算することであって、前記運動方程式が、
前記外科手術ロボットアームの前記第1の部品に作用する、前記計算された結果的に生じる力、及び
前記外科手術ロボットアームの前記第1の部品の前記現在の時間における現在の速度の入力を有する、計算することと、
前記計算された所望の速度に従って、前記外科手術ロボットアームを駆動することと、を含む、方法。
【請求項27】
コンピュータシステムで実行されると、前記コンピュータシステムに、請求項26に記載の方法を実施させるコンピュータ可読命令を記憶している非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
手術を補助及び実施するためにロボットを使用することが知られている。
図1は、基部101、外科手術ロボットアーム102、及び器具103を備える、典型的な外科手術システム100を示している。基部は、外科手術ロボットアームを支持し、それ自体が、例えば、手術室の床、手術室の天井、又はトロリーに堅固に取り付けられている。アーム102は、基部と器具との間に延在する。アームは、複数のアームセグメント105で形成され、外科手術器具103を患者に対して所望の場所及び向きに位置決めするために使用されるアームセグメント間の複数の従動ジョイント104によって関節運動する。従動ジョイント104は、エルボ104e及びリスト104wを含む。
【0002】
外科手術器具103は、ロボットアームの末端アームセグメント105tの遠位端に取り付けられる。手術中、外科手術器具は手術部位にアクセスするように、ポートにおいて患者の身体を貫通することができる。
【0003】
図1は、外科手術ロボット100が、外科医コマンドインターフェース201及びコントローラ202も含む、システムの一部を形成することを例示する。コントローラは、プロセッサ203及びメモリ204を含む。コントローラ202のメモリ204は、アーム102を所望するように動作させるように、プロセッサ203によって実行可能であるソフトウェアを非一時的な方式で記憶する。コントローラは、外科手術ロボットアーム内のアクチュエータ(図示せず)に結合される。アクチュエータは、アクチュエータを駆動することがジョイントの角度を変化させ、アームを動かすように、ロボットアームのジョイントに結合される。したがって、コントローラ202は、ソフトウェアの実行によって生成される出力に従って、ロボットアーム102の運動をもたらすことができる。コントローラ202は、アーム102から遠隔であってもよい。
【0004】
ソフトウェアは、プロセッサ203を制御して、ユーザが所望の方式でエンドエフェクタの運動を要求することができる1つ以上の入力デバイスを含み得る外科医コマンドインターフェース201からの入力に依存してアームを駆動することができる。入力デバイスは、例えば、制御ハンドル若しくはジョイスティックなどの手動で操作可能な機械的入力デバイス、又は光学ジェスチャセンサなどの非接触型入力デバイスであり得る。メモリ204に記憶されるソフトウェアは、これらの入力に応答するように構成されており、プロセッサ203は、ソフトウェアを実行して、それに応じて、アームのジョイントを動かすように構成されている。
【0005】
外科手術ロボットアームが適合モードにあるとき、ソフトウェアは、プロセッサ203を制御して、アーム102に作用する外力に依存してアームを駆動することができる。例えば、コントローラは、アームの一部を押す臨床チームのメンバーに応答してアームを動かし、それによって、臨床チームのメンバーがアームを物理的に動いているという印象を与えることができる。この機能は、臨床チームのメンバーがアームに接続された器具を変更しているシナリオ、及びアームの一部分が手術室内の別の装置の部品と衝突することに臨床チームのメンバーが気付くシナリオを含む、いくつかのシナリオで有用である。この例では、臨床チームのメンバーは、アームが隣接する装置の邪魔にならずに動くように、ロボットアームの一部を押し出すことができる。
【0006】
アームの一部に加えられる外力に応答してアームを駆動するプロセスは、アームに加えられた外力についての情報を集め、その力に基づいて、アームがその力に応答してどのように挙動すべきかを決定することを伴う。アームが力に応答してどのように挙動するかは、選択されたインピーダンスモデルによって決定され、その特性は、所望されるアームのどのような挙動も達成するために任意に選択され得る。
【0007】
本出願は、外力がアームに付与されるのに応答した外科手術ロボットアームの動きの改善された制御に関する。
【発明の概要】
【0008】
第1の実施形態によると、外科手術ロボットアームの第1の部品を動かすためのコントローラであって、外科手術ロボットアームは、外力が外科手術ロボットアームの第2の部品に付与されることに応答して、複数の従動ジョイントによって分離される複数のアームセグメントを備え、コントローラが、外科手術ロボットアームの第2の部品に付与される力から結果的に生じる、複数のジョイントの各々におけるトルクを決定することと、決定されたトルクから、外力が外科手術ロボットアームの第2の部品に付与された結果として、外科手術ロボットアームの第1の部品に作用する、結果的に生じる力を計算することと、後退オイラー近似を使用して、クーロン及び粘性摩擦力をモデル化する運動方程式を評価する(すなわち、解く)ことによって、現在の時間の後の時間に対する外科手術ロボットアームの第1の部品の所望の速度を計算することであって、運動方程式が、外科手術ロボットアームの第1の部品に作用する、計算された結果的に生じる力、及び外科手術ロボットアームの第1の部品の現在の時間における現在の速度の入力を有する、計算することと、計算された所望の速度に従って、外科手術ロボットアームを駆動することと、を行うように構成されている、コントローラが提供される。
【0009】
第2の実施形態によると、第1の実施形態による外科手術ロボットアーム及びコントローラを備える外科手術システムが提供される。
【0010】
運動方程式を評価することが、外科手術ロボットアームの第1の部品の現在の時間における現在の速度、及び外科手術ロボットアームの第1の部品に作用する計算された結果的に生じる力に基づいて、値のデッドバンド関数を評価することを含み得る。
【0011】
デッドバンド関数が、デッドバンド領域を有し得、デッドバンド領域の外側のデッドバンド関数の勾配が、外科手術ロボットアームに作用する所望の粘性摩擦力をモデル化するように選択され得る。
【0012】
デッドバンド関数のデッドバンド領域の限界が、外科手術ロボットアームに作用する所望のクーロン摩擦力をモデル化するように選択され得る。
【0013】
運動方程式が、次式に従い得、
【数1】
式中、fが、外科手術ロボットアームの第1の部品に作用する結果的に生じる力を表し、
【数2】
が、デッドバンド関数の逆数を表し、
【数3】
が、現在の時間の後の時間における外科手術ロボットアームの第1の部品の所望の速度を表し、
【数4】
が、現在の時間の後の時間における外科手術ロボットアームの第1の部品の加速度を表し、M及びDが、所定の定数である。
【0014】
Dが、外科手術ロボットアームに作用する所望の粘性摩擦力をモデル化するように選択され得る。
【0015】
複数のジョイントの各々におけるトルクを決定することが、外科手術ロボットアームから、複数のジョイントの各々におけるトルクの測定値を受信することと、トルク測定値を処理して、外科手術ロボットアームの第2の部品に付与される外力から結果的に生じないトルクを考慮することと、を含み得る。
【0016】
コントローラが、外科手術ロボットアームから、外科手術ロボットアームの第1の部品の位置の測定値を受信することと、位置の測定値から、外科手術ロボットアームの第1の部品の現在の時間における現在の速度を計算することと、を行うように構成され得る。
【0017】
後退オイラー近似が、外科手術ロボットアームの第1の部品の現在の速度と所望の速度との間の差を、現在の時間と現在の時間の後の時間との間の差で除算したものとして、現在の時間の後の時間における外科手術ロボットアームの第1の部品の加速度を近似し得る。
【0018】
後退オイラー近似が、次式に従い得、
【数5】
式中、
【数6】
が、現在の時間の後の時間における外科手術ロボットアームの第1の部品の加速度であり、
【数7】
が、所望の速度であり、
【数8】
が、現在の速度であり、t
kが、現在の時間であり、t
k+1が、現在の時間の後の時間である。
【0019】
運動方程式が、次式に従い得、
【数9】
式中、t
kが、現在の時間を表し、t
k+1が、現在の時間の後の時間を表し、
【数10】
が、時間t
k+1における外科手術ロボットアームの第1の部品の所望の速度を表し、
【数11】
が、現在の時間t
kにおける外科手術ロボットアームの第1の部品の現在の速度を表し、
【数12】
が、デッドバンド関数を表し、fが、外科手術ロボットアームの第1の部品に作用する結果的に生じる力を表し、M及びDが、所定の定数である。
【0020】
計算された所望の速度に従って外科手術ロボットアームを駆動することが、所望の速度から、外科手術ロボットアームの第1の部品の所望の位置を計算することと、外科手術ロボットアームの第1の部品が所望の位置を有することを可能にすることになる、複数のジョイントの各々の角度を決定することと、外科手術ロボットアームに、複数のジョイントを決定された角度に駆動させる信号を送信することと、を含み得る。
【0021】
外科手術ロボットアームの第1の部品が、外科手術ロボットアームのアームセグメントであり得る。
【0022】
外科手術ロボットアームの第1の部品が、外科手術ロボットアームの最遠位アームセグメントであり得る。
【0023】
外科手術ロボットアームの第1の部品が、外科手術ロボットアームの複数の従動ジョイントのうちのジョイントであり得る。
【0024】
外科手術ロボットアームの第1の部品が、外科手術ロボットアームのエルボであり得る。
【0025】
外科手術ロボットアームの第1の部品が、外科手術ロボットアームのリストであり得る。
【0026】
外科手術ロボットアームの第2の部品が、外科手術ロボットアームのアームセグメントであり得る。
【0027】
外科手術ロボットアームの第2の部品が、外科手術ロボットアームの複数の従動ジョイントのうちのジョイントであり得る。
【0028】
第1の部品及び第2の部品が、外科手術ロボットアームの同じ部品であり得る。
【0029】
第1の部品及び第2の部品が、外科手術ロボットアームの異なる部品であり得る。
【0030】
外科手術ロボットアームの第2の部品に付与される外力が、回転力であり得、外力の結果として外科手術ロボットアームの第1の部品に作用する結果的に生じる力が、回転力であり得る。
【0031】
外科手術ロボットアームが、外科手術ロボットアームの複数のジョイントの各ジョイントにトルクセンサを備え得、外科手術ロボットアームが、複数のジョイントの各々におけるトルクを測定し、測定値をコントローラに送信するように構成され得る。
【0032】
外科手術ロボットアームが、外科手術ロボットアームに沿った複数の点に位置センサを備え得、外科手術ロボットアームが、外科手術ロボットアームの第1の部品の位置を測定し、測定値をコントローラに送信するように構成され得る。
【0033】
第3の実施形態によると、外科手術ロボットアームの第1の部品を動かすための方法であって、外科手術ロボットアームは、外力が外科手術ロボットアームの第2の部品に付与されることに応答して、複数のジョイントによって分離される複数のアームセグメントを備え、方法が、外科手術ロボットアームの第2の部品に付与される力の結果として、複数のジョイントの各々におけるトルクを決定することと、決定されたトルクから、外力が外科手術ロボットアームの第2の部品に付与された結果として、外科手術ロボットアームの第1の部品に作用する、結果的に生じる力を計算することと、後退オイラー近似を使用して、クーロン及び粘性摩擦力をモデル化する運動方程式を評価する(すなわち、解く)ことによって、現在の時間の後の時間に対する外科手術ロボットアームの第1の部品の所望の速度を計算することであって、運動方程式が、外科手術ロボットアームの第1の部品に作用する、計算された結果的に生じる力、及び外科手術ロボットアームの第1の部品の現在の時間における現在の速度の入力を有する、計算することと、計算された所望の速度に従って、外科手術ロボットアームを駆動することと、を含む、方法が提供される。
【0034】
第4の実施形態によると、コンピュータシステムで実行されると、コンピュータシステムに、第3の実施形態による方法を実施させるコンピュータ可読命令を記憶している非一時的コンピュータ可読記憶媒体が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【数13】
を例示する。
【数14】
を例示する。
【数15】
を例示する。
【
図5】外科手術システムがクーロン及び粘性摩擦モデルを実装することを実施するように構成されている方法を例示する。
【
図6】外科手術システムが外科手術ロボットアームを駆動することを実施するように構成されている方法を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0036】
入力外力に応答して、ロボットアームは、選択された質量、ばね、ダンパ係数に従って非常に硬いばねであるかのように挙動するように、質量、ばね、ダンパインピーダンスモデルを使用することが効果的であることが既に見出されている。質量、ばね、ダンパ係数は、ロボットアームがその最大伸長の近くで非常に硬いばねとして挙動するように選択される。モデルによると、ばねの設定値は、ばね伸長をその最大に維持するように動かされ、係数は、ばねの最大伸長が非常に小さいように選択される。質量、ばね、ダンパモデルは、様々な用途にわたってロボットアームが所望の挙動を呈することを可能にするのに非常に効果的であることが見出されている。しかしながら、手術用のロボットアームの適用については、代替的なアプローチが有利であることが見出された。
【0037】
手術で使用されるロボットアームは、アームに取り付けられた器具が人体内の外科手術部位内で複雑かつ精密な操作を実施する必要があるという事実に起因して、他の用途(例えば、製造)で使用されるロボットアームよりもはるかに高いレベルの安定性を必要とする。アームに取り付けられた器具は、例えば、ナイフ又は焼灼器であり得るため、アームが外科手術部位内で器具を静止状態に保つように命令されたときに、その位置が変化しないことが重要である。
【0038】
質量、ばね、ダンパモデルの使用は、結果的に、最大ばね伸長を下回るか、又はその近傍の運動の振幅に対する安定性マージンの低下をもたらすことが見出されており、これは、アームの位置がこれらの境界内で振動し得ることを意味する。モデルは、振動運動が非常に小さく、多くの場合、知覚できないように、質量、ばね、ダンパ係数を変更することによって調整され得るが、これは、結果的に、長期間にわたってばねのモデル化された設定値がドリフトすることをもたらし得る。これは、結果的に、アームの部品(例えば、器具に取り付けられた末端アームセグメント)の位置が、それらが静止したままであることが望ましいときに変化することをもたらす。
【0039】
本出願は、本明細書ではクーロン及び粘性摩擦モデルと称される、外科手術ロボットアームの運動を制御する際に使用される代替的なモデルに関する。このモデルを実装する結果として外科手術ロボットアームによって呈される挙動は、スティックスリップ状態で別の物体の上を摺動する物体の挙動に類似している。したがって、このモデルの使用は、アームが、別の表面と密接に接触し、かつ別の表面に対して動く表面を有するかのように、アームに付与される外力に応答してアームが動くことを可能にする。
【0040】
以下に説明されるようにクーロン及び粘性摩擦モデルを実装するために使用される技術は、外科手術ロボットアームの任意の部品の動きを指示するために使用され得る。外科手術ロボットアームに加えられた外力に基づいて、力が動かすように意図されたロボットアームの部品(本明細書では、外科手術ロボットアームの第1の部品又は第1のアーム部分と称される)が推定され、モデルは、第1の部品の所望の挙動を計算するために使用される。部品という用語は、本明細書では、外科手術ロボットアームの任意の部分を指すために使用される。外科手術ロボットアームの第1の部品は、アームセグメント105、ジョイント104、又は1つ以上のアームセグメント105及び/若しくはジョイント104の組み合わせの一部又は全部であってもよい。
【0041】
説明されるクーロン及び粘性摩擦モデルを実装するために使用される技術はまた、外力が外科手術ロボットアーム102の任意の部品に加えられるときに使用され得る。力が加えられるロボットアームの部品は、例えば、アームセグメント105又はジョイント104であってもよい。例えば、外力は、エルボジョイント104e、リストジョイント104w、又は器具が取り付けられる末端アームセグメント105tに加えられ得る。力が加えられるロボットアームの部品は、例えば、アームセグメント105の一部分、いくつかのアームセグメント105、いくつかのジョイント105、又は1つ以上のアームセグメント105及び/若しくはジョイント104の組み合わせであってもよい。外力が付与されるロボットアームの部品は、本明細書では、外科手術ロボットアーム又は第2のアーム部品の第2の部品と呼ばれる。
【0042】
第1の実施例(実施例1)によると、臨床チームのメンバーは、アームの同じ部品を動かす意図で、アームの部品に力を付与し得る。例えば、臨床チームのメンバーは、エルボを異なる場所に動かすことを望んでエルボを押し得る。そのようなシナリオでは、外科手術ロボットアームの第1の部品は、外科手術ロボットアームの第2の部品と同じである。
【0043】
しかしながら、器具が外科手術部位内に位置決めされ、臨床チームのメンバーが遠位アームセグメント105tに取り付けられた器具を変更することを望む第2の実施例(実施例2)によると、臨床チームのメンバーは、外科手術部位から末端アームセグメント102t(及び器具)を後退させる意図で、アームセグメント102の別の部品に力を加え得る。この実施例によると、外科手術ロボットアームの第1の部品は、外科手術ロボットアームの第2の部品とは異なる。
【0044】
以下でより詳細に説明されることになるように、クーロン及び粘性摩擦モデルを実装することは、外力がロボットアームの第2の部品に付与された結果として、ロボットアームの第1の部品に作用する結果的に生じる力を決定することを伴う。上記の第2の実施例を使用して、方法は、アームセグメント102の別のものに付与される力の量が、末端アームセグメント102tに作用する力にどの程度寄与するかを決定することを伴うことになる。
【0045】
以下でより詳細に説明されるように、クーロン及び粘性摩擦モデルを実装することは、モデルに従って運動方程式を定義し、それを解いて、所望の挙動を呈するために、第1のアーム部品が将来の時間において動くべき所望の速度を得ることを伴う。現在の時間は、本明細書では、t
kと称されるが、一方で、第1のアーム部品が所望の速度で動くことになる将来の時間は、t
k+1と称される。したがって、クーロン及び粘性摩擦モデルを実装することは、所望の速度
【数16】
の値を得るために、運動方程式を解くことを伴う。
【0046】
モデルは、摩擦力が、アームに付与される外力の方向とは反対方向に、外科手術ロボットアームの表面上に作用することを決定する。摩擦力は、クーロン摩擦(Fc)成分及び粘性摩擦(Fv)成分の2つの成分を有するものとして、クーロン及び粘性摩擦モデルを使用してモデル化される。
【0047】
粘性摩擦成分(Fv)は、速度に比例するものとしてモデル化される。言い換えると、粘性摩擦成分は、速度に比例する大きさを有し、速度の方向と反対の方向に作用する。クーロン摩擦成分(Fc)は、一定の大きさを有し、速度の方向と反対の方向に作用するものとしてモデル化される。クーロン摩擦成分(Fc)は、2つの表面間で作用する静止摩擦と等しいものとしてモデル化される。クーロン摩擦成分(Fc)は、ゼロではない。
【0048】
図2は、速度に比例する成分と、速度の方向と反対の方向にyの一定の大きさを有する成分との合計である関数
【数17】
を例示する。速度が正であるとき、定数成分は、yの値を有する。速度が負であるとき、定数成分は、-yの値を有する。
図2は、関数
【数18】
が、限界
【数19】
の間の
【数20】
における無限勾配、並びにDと等しい勾配を有する
【数21】
の両側における傾き部分を有する、逆デッドバンド関数の形態をとることを示す。デッドバンド関数は、本明細書では、0の勾配を有する領域を有する任意の関数を包含するものとして定義される。逆デッドバンド関数は、本明細書では、無限勾配を有する領域を有する任意の関数を包含するものとして定義される。
【0049】
クーロン及び粘性摩擦力の合計は、
図2に示される関数の形態を有する関数を使用して表され得る。特に、
図3は、速度
【数22】
に対してプロットされたクーロン及び粘性摩擦力(F
c+F
v)を例示する。
【0050】
2つの成分の合計は、結果的に、値yがクーロン摩擦力F
cで置き換えられたことを除いて、
図2に示される逆デッドバンド関数と同じように見える関数をもたらす。したがって、クーロン及び粘性摩擦成分の合計は、次のように記述され得る。
【数23】
式中、Dは、
【数24】
から離れた逆デッドバンド関数の領域の勾配を表す定数である。
定数Dの値は、所望の粘性摩擦力をモデル化するように選択され得る。
F
cの値は、外科手術ロボットアームに作用する所望のクーロン摩擦力をモデル化するように選択される。
【0051】
上記に説明されたように、クーロン及び粘性摩擦モデルを実装することは、モデルに従って定義される運動方程式を解いて、第1のアーム部品が所望の挙動を達成するために動くべき所望の速度を決定することを伴う。
【0052】
第1のアーム部品が所望の速度
【数25】
で動くことになる、現在の時間の後の時点である時間t
k+1では、クーロン及び粘性摩擦モデルに対応する運動方程式は、次のように記述され得る。
【数26】
式中、fは、第1のアーム部品に作用する結果的に生じる力であり、Mは、第1のアーム部品が有するようにモデル化される質量を表す定数であり、
【数27】
は、時間t=t
k+1における第1のアーム部品の加速度であり、
【数28】
は、逆デッドバンド関数であり、Dは、
【数29】
から離れた
【数30】
の領域の勾配を表す定数であり、
【数31】
は、時間t=t
k+1における第1のアーム部品の所望の速度である。
【0053】
上記に説明されたように、クーロン及び粘性摩擦モデルを実装することは、モデル(例えば、方程式2)に対応する運動方程式を解いて、アームに加えられる外力に応答してアームが所望の挙動を呈することを可能にすることになる、第1のアーム部品の所望の速度を得ることを伴う。
【0054】
本実施例によると、運動方程式(方程式2)を解くことは、後退オイラー近似の使用を伴う。
【0055】
後退オイラー近似は、後続の時間t
k+1から開始し、後続の時間
【数32】
における速度と、より早い(本実施例では、現在の)時間t
kにおける以前の速度
【数33】
との間の差を見ることによって、加速度を近似する。
【0056】
後退オイラー近似は、現在の速度
【数34】
と第1のアーム部品の所望の速度
【数35】
との間の差を、現在の時間t
kと現在の時間の後の時間t
k+1との間の差で除算したものとして、現在の時間t
k+1の後の時間における第1のアーム部品の加速度を近似する。
【0057】
後退オイラー近似は、次のように記述され得る。
【数36】
【0058】
クーロン及び粘性摩擦モデル(方程式2)に対応する運動方程式に後退オイラー近似を挿入することは、結果的に次式をもたらす。
【数37】
これは、次式のように変形され得る。
【数38】
【0059】
図2及び
図3に示されるグラフから、又は代数的に、次のように推論され得る。
【数39】
これは、次式のように変形され得る。
【数40】
【0060】
方程式7が解かれて、所望の速度
【数41】
の値を得ることができる。
【0061】
方程式4~7から分かるように、所望の速度
【数42】
を得るために運動方程式を解くことは、逆デッドバンド関数
【数43】
を反転させて、デッドバンド関数である関数
【数44】
を得ることと、関数
【数45】
を評価することと、を含む。
【0062】
図4は、関数
【数46】
を例示する。
図4は、関数
【数47】
が、ゼロの値(及びゼロの勾配)を有する限界
【数48】
及び
【数49】
の間の部分(本明細書ではデッドバンド領域と呼ばれる)、並びに
【数50】
に等しい勾配を有するデッドバンド領域の両側の傾き部分を有することを示す。
【0063】
図4に示されるグラフから分かるように、関数
【数51】
を評価することは、
【数52】
が連続関数であるという事実に起因して、単純である。
【0064】
前進オイラー近似の使用などの、運動方程式(方程式2)を解くための他のアプローチは、
図3に見られるように、不連続関数である逆デッドバンド関数
【数53】
を評価することを必要とする。
【数54】
における関数
【数55】
の出力は、明確に定義されておらず、範囲
【数56】
内の任意の値であり得る。したがって、不連続関数
【数57】
を評価する結果は、速度
【数58】
がゼロに留まらないが、代わりに、ゼロの周囲で振動することが引き起こされることになる。
【0065】
したがって、本明細書に説明されるように、後退オイラー近似を使用して運動方程式(方程式2)を解くことは、質量、ばね、ダンパモデル、及び前進オイラー近似の両方から結果的に生じる小さい振動の問題が排除されるため、有利であり、これは、外科手術ロボットアームの安定性が改善されることを意味する。
【0066】
図5は、コントローラ202がクーロン及び粘性摩擦モデルを実装することを実施するように構成されている方法を例示する。
【0067】
図5に示されるステップ501は、コントローラが、外科手術ロボットアームの第2の部品に付与される外力から結果的に生じる、複数のジョイントの各々におけるトルクを決定することを記述する。
【0068】
図1に例示された外科手術ロボットアーム102は、各ジョイントに位置するトルクセンサ106(全ては図示せず)を備える。各トルクセンサは、それが位置するジョイントに加えられるトルクを測定するように構成されている。外科手術ロボットアーム102は、ジョイントに加えられるトルクの測定値をコントローラ202に送信するように構成されている。
【0069】
外科手術ロボットアームの第2の部品に付与される力から結果的に生じる複数のジョイントの各々におけるトルクを決定するステップ501は、外科手術ロボットアームから、複数のジョイントの各々におけるトルクの測定値を受信すること(トルクセンサ106によって測定された際)を含み得る。
【0070】
ステップ501はまた、受信されたトルク測定値を処理することと、受信された測定値を処理して、外力が第2のアーム部品に付与されることに起因しないトルクを考慮することと、を含み得る。例えば、受信されたトルク測定値は、ロボットアームの質量に起因する重力から結果的に生じるトルク、内部ギアトレインの伸張から結果的に生じるトルク、並びに/又はポート及び外科手術部位と相互作用する器具から結果的に生じる反作用トルクを除去するように調整され得る。上記の処理の結果は、第2のアーム部品に付与される外力から結果的に生じるトルクのみである。
【0071】
コントローラが、外科手術ロボットアームの第2の部品に付与される外力から結果的に生じる、複数のジョイントの各々におけるトルクを決定すると、コントローラは、ステップ502に移動する。
【0072】
図5に示されるステップ502は、コントローラが、ステップ501で決定されたトルクから、外力が外科手術ロボットアームの第2の部品に付与された結果として、外科手術ロボットアームの第1の部品に作用する、結果的に生じる力fを計算することを記述する。
【0073】
結果的に生じる力fを計算することは、ステップ501で決定されたトルクτを使用して、ロボットアームに沿った一連の点で作用する結果的に生じる力に対応する力ベクトルfを計算することを含み得る。力ベクトルfは、仮想作業の原理をジョイントトルクτに適用することによって計算され得る。アーム上の点Pを距離
【数59】
だけ動かすという仮想作業状態の原理は、ジョイントJが角度∂θ
Jだけ動くことを必要とし、次いで、力が点Pで
【数60】
の方向に加えられる場合、ジョイントJによって見られるトルクτ
Jは、θ
Jに対する変位に比例する。これは、ヤコビ行列J
pに書かれ得る。
【数61】
式中、τは、外科手術ロボットアームのn個のジョイントの各々に作用するトルクのベクトルであり、τは、各ジョイントに作用するトルクであり、∂p
xは、ロボットアームに沿った一連の点によって方向xに動く距離であり、∂θ
nは、ジョイントnによって動かされる角度であり、fは、ロボットアームに沿った一連の点に作用する結果的に生じる力に対応する力ベクトルである。ヤコビ行列J
pは、アームの幾何学的形状及び姿勢の関数である。
【0074】
方向x,y及びzにおける解法の結果は、次のとおりである。
【数62】
これは、次の形態に変形され得る。
f=Kτ(方程式10)
式中、Kは、
【数63】
の逆数である。
【0075】
したがって、ステップ502は、変位及びジョイント角変位
【数64】
のヤコビ行列を計算することと、ヤコビアンKの逆数を見つけることと、それを外科手術ロボットアームのn個のジョイントの各々に作用するトルクで乗算して、ロボットに沿った一連の点で作用する結果的に生じる力を表すベクトルfを計算することと、を含み得る。
【0076】
図1に例示された外科手術ロボットアーム102は、外科手術ロボットアームに沿った複数の点に位置する位置センサ107を備える(全ては図示せず)。各位置センサは、それが位置する外科手術ロボットアーム上の点の位置を測定するように構成されている。外科手術ロボットアーム102は、アームに沿った点における位置の測定値をコントローラ202に送信するように構成されている。コントローラは、位置センサによる位置の測定値、及び外科手術ロボットアームの幾何学的形状の知識から、ジョイントnの各々の角度を推定するように構成され得る。したがって、ヤコビアンJ
pは、外科手術ロボットアームから受信された測定値に従って、コントローラによって生成され得る。したがって、ステップ502は、外科手術ロボットアームから位置の測定を受信することを含み得る。
【0077】
上記に説明されるように、外科手術ロボットアームτのn個のジョイントの各々に作用するトルクのベクトルに逆ヤコビアンKを乗じた結果は、ロボットアームに沿った一連の点に作用する結果的に生じる力に対応するベクトルfである。
【0078】
上記に説明されるように、クーロン及び粘性摩擦モデルを実装するために使用される技術は、外科手術ロボットアームの任意の部品の動きを指示するために使用され得る。コントローラは、第2のアーム部品に加えられた力が動かすように意図されたアームの部品を推定する(本明細書では第1のアーム部品と呼ばれる)。外力が第2のアーム部品に付与された結果として第1のアーム部品に作用する力に関する情報は、方程式8~10を使用して計算されたベクトルf内に含有される。この情報は、ベクトルf(アームの他の部品に作用する力を無視する)から抽出されて、外科手術ロボットアームの第1の部品に作用する結果的に生じる力を決定する。
【0079】
結果的に生じる力fを計算するためのステップ501及び502は、当技術分野で既知であり、当業者は、外科手術ロボットアームを制御するためのこれらのステップを実装するやり方を知るであろうことに留意されたい。コントローラが、外力が外科手術ロボットアームの第2の部品に付与された結果として、外科手術ロボットアームの第1の部品に作用する、結果的に生じる力fを計算すると、コントローラは、ステップ503に移動する。
【0080】
図5のステップ503は、コントローラが、後退オイラー近似を使用して、クーロン及び粘性摩擦力をモデル化する運動方程式を評価することによって、現在の時間の後の時間t
k+1に対する外科手術ロボットアームの第1の部品の所望の速度
【数65】
を計算するように構成されていることを記述する。運動方程式は、外科手術ロボットアームの第1の部品に作用する計算された結果的に生じる力f、及び外科手術ロボットアームの第1の部品の現在の時間における現在の速度
【数66】
の入力を有する。ステップ503は、方程式2で与えられる形態の運動方程式を評価することを含み得る。
【0081】
上記に説明されたように、
図1に例示された外科手術ロボットアーム102は、外科手術ロボットアームに沿った複数の点に位置する位置センサ107を備え、各位置センサは、位置する外科手術ロボットアーム上の点の位置を測定し、アームに沿った点の位置の測定値をコントローラ202に送信するように構成されている。コントローラ202が、外科手術ロボットアームから、外科手術ロボットアームの第1の部品の位置の測定値を受信することと、位置の測定値から、外科手術ロボットアームの第1の部品の現在の時間t
kにおける現在の速度
【数67】
を計算することと、を行うように構成され得る。
【0082】
コントローラは、後退オイラー近似を使用して、運動方程式を評価するように構成されている。後退オイラー近似は、方程式3に与えられる形態であってもよい。方程式2に与えられる運動方程式の評価は、方程式4~7によって示されるように方程式を操作することによって実行され得る。コントローラは、方程式7で与えられる形態の方程式を解くことによって、外科手術ロボットアームの第1の部品の所望の速度
【数68】
を計算するように構成され得る。
【0083】
運動方程式を解くことが、
【数69】
を評価すること、すなわち、外科手術ロボットアームの第1の部品の現在の時間における現在の速度、及び外科手術ロボットアームの第1の部品に作用する計算された結果的に生じる力に基づいて、値のデッドバンド関数
【数70】
を評価することを含み得る。外科手術ロボットアームの第1の部品に作用する計算された結果的に生じる力fは、ステップ502で実施される計算の結果から得られる。
【0084】
コントローラが、現在の時間の後の時間に対する外科手術ロボットアームの第1の部品の所望の速度
【数71】
を計算すると、コントローラは、ステップ504に移動する。ステップ504は、コントローラが、ステップ503で計算された、計算された所望の速度
【数72】
に従って、外科手術ロボットアーム102を駆動するように構成されていることを記述する。言い換えると、コントローラは、第1のアーム部品が時間t=t
k+1で所望の速度
【数73】
を達成するように、ロボットアームを制御する。当業者であれば、ステップ504を実装するやり方を知るであろう。したがって、当業者は、ステップ501、502、及び504を実装するやり方を知るであろう。ステップ503(後退オイラー近似を使用してクーロン及び粘性摩擦力をモデル化する運動方程式を評価することによる所望の速度の計算)は、本開示の一次的改善を提供する。
【0085】
コントローラは、
図6に例示された方法に従って、外科手術ロボットアームを駆動するように構成され得る。
図6に示される方法のステップ601は、クーロン及び粘性摩擦モデルを使用して、ロボットアームの第1の部品の所望の速度
【数74】
を決定することである。ステップ601は、
図6に見られるステップ501~503の全てを包含し得る。所望の速度
【数75】
の値が決定されると、コントローラは、ステップ602に移動する。ステップ602では、コントローラは、アームの第1の部品の所望の位置x
k+1を計算する。所望の位置は、第1のアーム部品が、現在の時間の後の時間t
k+1において有することが所望される位置を指す。所望の位置x
k+1は、時間tに対して所望の速度
【数76】
を積分することと、t=t
k+1における位置を評価することと、によって計算され得る。したがって、コントローラは、所望の速度から、外科手術ロボットアームの第1の部品の所望の位置を計算するように構成され得る。
【0086】
第1のアーム部品の所望の位置の値が計算されると、コントローラは、ステップ603に移動する。ステップ603では、コントローラは、アームの第1の部品が所望の位置xk+1を有することを可能にする姿勢を画定することになる、ロボットアームの複数の(n)個のジョイントの各々の角度θを決定する。角度θ1,2…nを決定することは、当技術分野で公知のように、逆運動学の使用を伴い得る。角度θ1,2…nを決定することは、ヤコビ行列を使用して計算を実施することを必要とし得る。角度θ1,2…nを決定することは、アームの幾何学的形状、例えば、各アームセグメントの長さの知識を必要とし得る。
【0087】
従動ジョイントの各々の角度θの値が決定されると、コントローラは、ステップ604に移動する。ステップ604では、コントローラは、決定された角度θ1,2…nを達成するためにジョイントが駆動されるべきであることを示す信号をロボットアームに送信する。外科手術ロボットアームに、決定された角度に複数のジョイントを駆動させる信号を送信することは、決定された角度θ1,2…nにジョイントを駆動するようにアクチュエータが回転するように、外科手術ロボットアーム内のアクチュエータに信号を送信することを含み得る。
【0088】
図6に示される方法を実装するコントローラの結果は、アームがクーロン及び粘性摩擦モデルによって指示される所望の挙動を呈するように、ロボットアームの第1の部品が所望の位置に駆動されることである。
【0089】
上記に説明されたように、この方法は、アームの部品によって呈される運動を指示するように、外科手術ロボットアームの任意の部品に適用され得る。以下に説明される実施例などの一部のシナリオでは、クーロン及び粘性摩擦モデルを実装することは、ロボットアームによって呈される挙動を更に制御するために、追加の制約を適用することを伴い得る。
【0090】
上記に導入された実施例1によると、臨床チームのメンバーは、エルボ(第1のアーム部品)を異なる場所に動かすことを望んで、エルボを押し得る(それによって、第2のアーム部品に対して外力を加える)。そのようなシナリオでは、第1の部品及び第2の部品は、外科手術ロボットアームの同じ部品である。この実施例によるエルボに作用する結果的に生じる力fは、力の線形成分のみを含み得る。器具が末端アームセグメントに取り付けられ、外科手術部位内に位置する間に力がエルボに作用する場合、外科手術部位内の器具の位置に影響を与えることなく、外力の結果としてエルボの位置が動かされ得ることが望ましい。そのような場合のクーロン及び粘性摩擦モデルは、エルボの所望の速度が、外科手術部位内の器具の位置を維持しながらエルボが達成し得る値のみであるように計算され得るように、所望の速度の値に更なる制約を適用し得る。この機能は、外科手術ロボットアームの冗長性の性質に起因して、容易にされ得る。
【0091】
関連する実施例は、外科手術部位への入口に位置する器具上の点(すなわち、外科手術部位へのポートのすぐ内側に位置決めされる器具上の点)に枢動点を画定する。特定のシナリオでは、枢動点を動かすことなく、外力に応答してエルボの位置を変更することが望ましい場合がある。そのような場合のクーロン及び粘性摩擦モデルは、エルボの所望の速度が、器具が外科手術部位内の枢動点を中心として枢動することを可能にするが、器具上の枢動点が器具上の別の点に動くことを可能にしない値のみであるように計算され得るように、所望の速度の値に更なる制約を適用し得る。
【0092】
器具が外科手術部位内に位置決めされ、臨床チームのメンバーが遠位アームセグメント105tに取り付けられた器具を変更することを望む、上記に説明された実施例2によると、臨床チームのメンバーは、外科手術部位から末端アームセグメント102t(及び器具)を後退させる意図で、末端アームセグメント105tに隣接するアームセグメント102に力を加え得る。この実施例によると、第1の部品及び第2の部品は、外科手術ロボットアームの異なる部品である。この実施例によるアームセグメントに作用する結果的に生じる力fは、力の線形成分のみを含み得る。末端アームセグメントに取り付けられた器具が外科手術部位内に位置する間にアームセグメントに外力が付与される場合、器具が取り外されたときに人体に生じる損傷を最小化するために、器具の長手方向軸と同一直線上にある経路を辿る間に、末端アームセグメントが外科手術部位から抜き取られることが望ましい。そのような場合のクーロン及び粘性摩擦モデルは、末端アームセグメントの所望の速度が、器具の長手方向軸に沿った方向に作用する速度としてのみ計算され得るように、末端アームセグメントの所望の速度の値に更なる制約を適用し得る。
【0093】
他の実施例によると、外科手術ロボットアームに加えられる外力は、力の線形成分及び力の回転成分を含み得る。
【0094】
更なる実施例では、アームに加えられる外力は、力の回転成分のみを含み得る。外科手術ロボットアームの第2の部品に付与される外力は、回転力のみであってもよい。したがって、外力の結果として外科手術ロボットアームの第1の部品に作用する結果的に生じる力もまた、回転力(すなわち、トルク)のみであってもよい。この実施例は、臨床チームのメンバーが、その軸を中心として器具を回転させる意図で、末端アームセグメント105tに隣接するアームセグメントを把持するシナリオに適用され得る。
【0095】
そのような実施例では、結果的に生じる力を計算するステップ502は、第1のアーム部品に作用する結果的に生じるトルクを計算することを含み得る。所望の速度を計算するステップ503は、方程式4に示される運動方程式を評価し、計算された結果的に生じる力fを計算された結果的に生じるトルクτと置換し、現在の速度
【数77】
を現在の角速度
【数78】
と置換し、有効質量Mを「有効」慣性モーメントと置換することによって、1つ以上のジョイントの所望の角速度
【数79】
を計算することを含み得る。したがって、ステップ504は、計算された所望の角速度
【数80】
に従って、外科手術ロボットアームを駆動することを含み得る。
【0096】
同じ実施例によると、アームを駆動するために
図6に記載されるようにコントローラによって実施されるように構成されている方法は、クーロン及び粘性摩擦モデルを使用して、ロボットアームの第1の部品の所望の角速度
【数81】
を決定するステップ601を含み得る。ステップ602は、1つ以上のジョイントの所望の角度位置θ
k+1を計算することを含み得、ステップ603は、アームの第1の部品が所望の角度位置θ
k+1を有することを可能にする姿勢を画定するロボットアーム(θ
1,2…n)のn個のジョイントの各々の角度θを得るために、1つ以上のジョイント以外のジョイントの各々の角度を決定することを含み得る。
【0097】
本明細書によって、本出願人は、本明細書に説明される各個々の特徴及び2つ以上のかかる特徴の任意の組み合わせを、かかる特徴又は組み合わせが、当業者に共通する一般知識に照らして、全体として本明細書に基づいて行うことができるような程度まで、かかる特徴又は特徴の組み合わせが、本明細書に開示する任意の問題を解決するかにかかわらず、かつ特許請求の範囲を限定することなく、分離して開示する。本出願人は、本発明の態様が、任意のかかる個々の特徴又は特徴の組み合わせからなり得ることを示している。前述の説明を考慮すると、本発明の範囲内で様々な修正を行うことができることは当業者には明らかであろう。
【手続補正書】
【提出日】2024-02-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科手術ロボットアームの第1の部品を動かすためのコントローラであって、前記外科手術ロボットアームは、外力が前記外科手術ロボットアームの第2の部品に付与されることに応答して、複数の従動ジョイントによって分離される複数のアームセグメントを備え、前記コントローラが、
前記外科手術ロボットアームの前記第2の部品に付与される前記力から結果的に生じる、前記複数のジョイントの各々におけるトルクを決定することと、
前記決定されたトルクから、前記外力が前記外科手術ロボットアームの前記第2の部品に付与された結果として、前記外科手術ロボットアームの前記第1の部品に作用する、結果的に生じる力を計算することと、
後退オイラー近似を使用して、クーロン及び粘性摩擦力をモデル化する運動方程式を評価することによって、現在の時間の後の時間に対する前記外科手術ロボットアームの前記第1の部品の所望の速度を計算することであって、前記運動方程式が、
前記外科手術ロボットアームの前記第1の部品に作用する、前記計算された結果的に生じる力、及び
前記外科手術ロボットアームの前記第1の部品の前記現在の時間における現在の速度の入力を有する、計算することと、
前記計算された所望の速度に従って、前記外科手術ロボットアームを駆動することと、を行うように構成されている、コントローラ。
【請求項2】
前記運動方程式を評価することが、前記外科手術ロボットアームの前記第1の部品の前記現在の時間における前記現在の速度、及び前記外科手術ロボットアームの前記第1の部品に作用する前記計算された結果的に生じる力に基づいて、値のデッドバンド関数を評価することを含む、請求項1に記載のコントローラ。
【請求項3】
前記デッドバンド関数が、デッドバンド領域を有し、前記デッドバンド領域の外側の前記デッドバンド関数の勾配が、前記外科手術ロボットアームに作用する所望の粘性摩擦力をモデル化するように選択される、請求項2に記載のコントローラ。
【請求項4】
前記デッドバンド関数の前記デッドバンド領域の限界が、前記外科手術ロボットアームに作用する所望のクーロン摩擦力をモデル化するように選択される、請求項3に記載のコントローラ。
【請求項5】
前記運動方程式が、次式に従い、
【数1】
式中、fが、前記外科手術ロボットアームの前記第1の部品に作用する前記結果的に生じる力を表し、
【数2】
が、前記デッドバンド関数の逆数を表し、
【数3】
が、前記現在の時間の後の前記時間における前記外科手術ロボットアームの前記第1の部品の前記所望の速度を表し、
【数4】
が、前記現在の時間の後の前記時間における前記外科手術ロボットアームの前記第1の部品の加速度を表し、M及びDが、所定の定数で
あり、任意選択的に、Dが、前記外科手術ロボットアームに作用する所望の粘性摩擦力をモデル化するために選択される、請求項2~4のいずれか一項に記載のコントローラ。
【請求項6】
前記複数のジョイントの各々におけるトルクを決定することが、
前記外科手術ロボットアームから、前記複数のジョイントの各々における前記トルクの測定値を受信することと、
前記トルク測定値を処理して、前記外科手術ロボットアームの前記第2の部品に付与される前記外力から結果的に生じないトルクを考慮することと、を含む、
請求項1~4のいずれか一項に記載のコントローラ。
【請求項7】
前記コントローラが、
前記外科手術ロボットアームから、前記外科手術ロボットアームの前記第1の部品の位置の測定値を受信することと、
前記位置の前記測定値から、前記外科手術ロボットアームの前記第1の部品の前記現在の時間における前記現在の速度を計算することと、を行うように構成されている、
請求項1~4のいずれか一項に記載のコントローラ。
【請求項8】
前記後退オイラー近似が、前記外科手術ロボットアームの前記第1の部品の前記現在の速度と前記所望の速度との間の差を、前記現在の時間と前記現在の時間の後の前記時間との間の差で除算したものとして、前記現在の時間の後の前記時間における前記外科手術ロボットアームの前記第1の部品の前記加速度を近似する、
請求項1~4のいずれか一項に記載のコントローラ。
【請求項9】
前記後退オイラー近似が、次式に従い、
【数5】
式中、
【数6】
が、前記現在の時間の後の前記時間における前記外科手術ロボットアームの前記第1の部品の前記加速度であり、
【数7】
が、前記所望の速度であり、
【数8】
が、前記現在の速度であり、t
kが、前記現在の時間であり、t
k+1が、前記現在の時間の後の前記時間である、
請求項1~4のいずれか一項に記載のコントローラ。
【請求項10】
前記運動方程式が、次式に従い、
【数9】
式中、t
kが、前記現在の時間を表し、t
k+1が、前記現在の時間の後の前記時間を表し、
【数10】
が、時間t
k+1における前記外科手術ロボットアームの前記第1の部品の前記所望の速度を表し、
【数11】
が、前記現在の時間t
kにおける前記外科手術ロボットアームの前記第1の部品の前記現在の速度を表し、
【数12】
が、前記デッドバンド関数を表し、fが、前記外科手術ロボットアームの前記第1の部品に作用する前記結果的に生じる力を表し、M及びDが、所定の定数である、請求項2~
4のいずれか一項に記載のコントローラ。
【請求項11】
前記計算された所望の速度に従って前記外科手術ロボットアームを駆動することが、
前記所望の速度から、前記外科手術ロボットアームの前記第1の部品の所望の位置を計算することと、
前記外科手術ロボットアームの前記第1の部品が前記所望の位置を有することを可能にすることになる、前記複数のジョイントの各々の角度を決定することと、
前記外科手術ロボットアームに、前記複数のジョイントを前記決定された角度に駆動させる信号を送信することと、を含む、
請求項1~4のいずれか一項に記載のコントローラ。
【請求項12】
前記外科手術ロボットアームの前記第1の部品が、前記外科手術ロボットアームのアームセグメントである
か、あるいは前記外科手術ロボットアームの前記第1の部品が、前記外科手術ロボットアームの前記複数の従動ジョイントのうちのジョイントである、
請求項1~4のいずれか一項に記載のコントローラ。
【請求項13】
前記外科手術ロボットアームの前記第2の部品が、前記外科手術ロボットアームのアームセグメントである
か、あるいは前記外科手術ロボットアームの前記第2の部品が、前記外科手術ロボットアームの前記複数の従動ジョイントのうちのジョイントである、
請求項1~4のいずれか一項に記載のコントローラ。
【請求項14】
前記第1の部品及び前記第2の部品が、前記外科手術ロボットアームの異なる部品である、請求項1~
4のいずれか一項に記載のコントローラ。
【請求項15】
外科手術ロボットアームと、請求項1~
4のいずれか一項に記載のコントローラと、を備える、外科手術システム。
【請求項16】
外科手術ロボットアームと、請求項6に記載のコントローラと、を備える、外科手術システムであって、前記外科手術ロボットアームが、前記外科手術ロボットアームの前記複数のジョイントの各ジョイントにトルクセンサを備え、前記外科手術ロボットアームが、前記複数のジョイントの各々における前記トルクを測定し、前記測定値を前記コントローラに送信するように構成されている
、外科手術システム。
【請求項17】
外科手術ロボットアームの第1の部品を動かすための方法であって、前記外科手術ロボットアームは、外力が前記外科手術ロボットアームの第2の部品に付与されることに応答して、複数のジョイントによって分離される複数のアームセグメントを備え、前記方法が、
前記外科手術ロボットアームの前記第2の部品に付与される前記力の結果として、前記複数のジョイントの各々におけるトルクを決定することと、
前記決定されたトルクから、前記外力が前記外科手術ロボットアームの前記第2の部品に付与された結果として、前記外科手術ロボットアームの前記第1の部品に作用する、結果的に生じる力を計算することと、
後退オイラー近似を使用して、クーロン及び粘性摩擦力をモデル化する運動方程式を評価することによって、現在の時間の後の時間に対する前記外科手術ロボットアームの前記第1の部品の所望の速度を計算することであって、前記運動方程式が、
前記外科手術ロボットアームの前記第1の部品に作用する、前記計算された結果的に生じる力、及び
前記外科手術ロボットアームの前記第1の部品の前記現在の時間における現在の速度の入力を有する、計算することと、
前記計算された所望の速度に従って、前記外科手術ロボットアームを駆動することと、を含む、方法。
【請求項18】
コンピュータシステムで実行されると、前記コンピュータシステムに、請求項
17に記載の方法を実施させるコンピュータ可読命令を記憶している非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【国際調査報告】