(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-20
(54)【発明の名称】抗CGRP抗体の投薬及びスクリーニング方法
(51)【国際特許分類】
A61K 39/395 20060101AFI20240912BHJP
A61P 25/06 20060101ALI20240912BHJP
C07K 16/18 20060101ALN20240912BHJP
【FI】
A61K39/395 N
A61P25/06
C07K16/18 ZNA
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024512024
(86)(22)【出願日】2022-09-15
(85)【翻訳文提出日】2024-04-15
(86)【国際出願番号】 IB2022058723
(87)【国際公開番号】W WO2023042123
(87)【国際公開日】2023-03-23
(32)【優先日】2021-09-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591143065
【氏名又は名称】ハー・ルンドベック・アクチエゼルスカベット
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100141195
【氏名又は名称】西澤 恵美子
(72)【発明者】
【氏名】キャディー,ロジャー,ケイ.
(72)【発明者】
【氏名】アンダーソン,カールトン
(72)【発明者】
【氏名】ブルンナー,エリザベス
(72)【発明者】
【氏名】ハーマン,ジョセフ
【テーマコード(参考)】
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4C085AA14
4C085BB11
4C085EE01
4C085GG02
4C085GG04
4H045AA10
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA40
4H045DA75
4H045DA76
4H045EA20
(57)【要約】
本発明は、第1の投与に十分に反応しないが、第2の投与に反応する被験者におけるモノクローナル抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)アンタゴニスト抗体又は抗CGRP受容体抗体の使用に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者において頭痛を治療する又は予防するための方法であって、
i)ヒト化モノクローナル抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)アンタゴニスト抗体の第1の投与により治療された被験者を選択することであって、前記被験者は、前記第1の投与後に毎月の偏頭痛日数(「MMD応答」)においてベースラインから<50%の減少を有する、選択すること、及び
ii)治療有効量の前記ヒト化モノクローナル抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)アンタゴニスト抗体を含む第2の投与を前記被験者に投与することを含み、
(i)及び(ii)における前記ヒト化モノクローナル抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)アンタゴニスト抗体は、配列番号6において記載されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号12において記載されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、方法。
【請求項2】
被験者において頭痛を治療する又は予防するための方法であって、
i)ヒト化モノクローナル抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)アンタゴニスト抗体の第1の投与により治療された被験者が前記第1の投与後に毎月の偏頭痛日数(「MMD反応」)においてベースラインから<50%の減少を有するか否かを決定すること、及び
ii)前記被験者が前記第1の投与後にMMD反応においてベースラインから<50%の減少を有することが決定された場合、前記ヒト化モノクローナル抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)アンタゴニスト抗体の第2の投与を前記被験者に投与することであって、前記第2の投与は、治療有効量の前記ヒト化モノクローナル抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)アンタゴニスト抗体を含む、投与することを含み、
前記ヒト化モノクローナル抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)アンタゴニスト抗体は、配列番号6において記載されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号12において記載されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、方法。
【請求項3】
前記CGRPアンタゴニスト抗体の第1の投与後に、前記被験者は、45%未満、35%未満、25%未満、15%未満、5%未満の又は反応しない(ほぼ0%)MMD反応を有する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記被験者は、偏頭痛又は群発性頭痛を有する、請求項1、2又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記頭痛は、突発性偏頭痛、慢性偏頭痛、突発性群発性頭痛又は慢性群発性頭痛である、請求項1、2、3又は4に記載の方法。
【請求項6】
前記被験者は、前兆を伴う偏頭痛を経験する、請求項4又は5に記載の方法。
【請求項7】
前記被験者は、前兆を伴わない偏頭痛を経験する、請求項4又は5に記載の方法。
【請求項8】
請求項1又は2のステップi)における被験者は、前記ヒト化モノクローナル抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)アンタゴニスト抗体の1回の投与しか受けていない、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記被験者は、ステップi)及びステップii)において同じ投与又はステップi)及びステップii)において異なる投与を受けた、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記モノクローナル抗体は、請求項1又は2のステップi)において約100mg~約500mgの用量で投与され、約100mg~約500mgの用量は、ステップii)において投与される、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記モノクローナル抗体は、請求項1又は2のステップi)において約100mg、約300mg又は約400mgの用量で投与され、約100mg、約300mg又は約400mgは、ステップii)において投与される、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記モノクローナル抗体は、3ヵ月毎に約1回投与される、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記選択された被験者は、前記ヒト化モノクローナル抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)アンタゴニスト抗体の第1の投与後に、いかなるMMD減少も経験しなかった、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記選択された被験者は、第1の投与後の1~12週間以内に、前記ヒト化モノクローナル抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)アンタゴニスト抗体の前記第1の投与に対して≧50%のMMD反応を経験しなかった、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記選択された被験者は、第1の投与後の1~4週間以内に、前記ヒト化モノクローナル抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)アンタゴニスト抗体の前記第1の投与に対して≧50%のMMD反応を経験しなかった、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記選択された被験者は、第1の投与後の1~2週間以内に、前記ヒト化モノクローナル抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)アンタゴニスト抗体の前記第1の投与に対して≧50%のMMD反応を経験しなかった、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記被験者が前記第2の投与の投与後に≧50%のMMD反応を有する場合、前記被験者は、前記ヒト化モノクローナル抗CGRPアンタゴニスト抗体の第3の投与を投与される、前記ヒト化モノクローナル抗CGRPアンタゴニスト抗体の第3の投与は、任意選択で、前記第1の又は第2の抗体投与の量と同じである又はそれを超える、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記被験者が前記第2の投与の投与後に≧50%のMMD反応を有していない場合、前記被験者は、前記ヒト化モノクローナル抗CGRPアンタゴニスト抗体の第3の投与を投与される、ヒト化モノクローナル抗CGRPアンタゴニスト抗体の前記第3の投与の投与の量は、任意選択で、前記第1の又は第2の抗体投与の量を超える、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記被験者が前記第2の投与の投与後に≧50%のMMD反応を有していない場合、前記被験者は、前記ヒト化モノクローナル抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)アンタゴニスト抗体の第3の投与を投与されない、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
先願情報
本出願は、2021年9月15日に出願された米国仮特許出願第63/244,466号に対する優先権を主張し、この内容は、その全体が参照によって本明細書に援用される。
【0002】
本発明は、第1の投与に十分に反応しない被験者におけるモノクローナル抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)アンタゴニスト抗体又は抗CGRP受容体抗体の使用に関する。
【0003】
配列の開示
本出願は、本開示の一部として、「1143257o009813_1270.xml」という名称の57,321バイトのサイズを有する2022年9月7日に作成された電子配列表テキストファイルを含み、これは、その全体が参照によってこれによって援用される。
【0004】
配列の長さによりST.26XMLファイルに入れることができない配列
下記の表Aは、優先権出願米国仮特許出願第63/244,466号明細書(上記に特定される、その全体が参照によって本明細書に援用される)において存在する配列を列挙するが、配列の長さにより、本明細書と共に提出される1143257o009813_1270.xmlファイルに含むことができない。
【0005】
【背景技術】
【0006】
偏頭痛は、頭痛並びに吐き気、嘔吐、羞明及び/又は音恐怖症などの関連症状の発作を特徴とする神経疾患である。米国及び西欧において、偏頭痛患者の全体的な有病率は、一般集団の11%である(男性6%;女性15~18%)。偏頭痛で最も多い2つの形態、前兆を伴わない偏頭痛及び前兆を伴う偏頭痛は、起こるのが月当たり15日未満であり、偏頭痛の突発性形態(EM)と称される(Lipton et al,Neurology 68(5):343-349,2007)。しかしながら、EMを有する個人の3%~6%は、どの年齢であっても、慢性偏頭痛(CM)と呼ばれる著しくより機能障害性の状態に進展する(Scher et al,Pain 106(1-2):81-89,2003)。CMを有する個人は、月当たり15日以上、あらゆる重症度の頭痛の症状を示し、月当たり少なくとも8日、最も悪化した偏頭痛を有する。CMを有する個人の大部分は、頭痛を毎日経験し、そのため、かなりの身体障害に直面する(Bigal and Lipton,Neurology 71(11):848-855,2008)。
【0007】
月当たりの発作の頻度が2回以上である場合又は患者のクオリティオブライフがひどく損なわれる場合を含む多くの事例において、偏頭痛の予防的な薬物治療は、適切である場合がある(Evers et al.,Europ.J.Neurol.16:968-981,2009)。様々な薬理学的カテゴリーの多数の薬物(例えばベータ遮断薬、抗痙攣薬)は、偏頭痛予防に承認されている又はそれらの使用を支持するクラスAエビデンスを有する。しかしながら、これらの薬剤のいくつかに対する患者の反応及び耐性は異なり、これらの薬剤への遵守及びアドヒアランスは不十分となり得る(Puledda et al.,J.Neurol.March 20.doi:10.1007/s00415-017-8434,2017)。
【0008】
カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)は、中枢及び末梢の両方で偏頭痛プロセスに関与することがわかった神経ペプチドである(Eftekhari and Edvinsson,Ther.Adv.Neurol.Disord.3(6):369-378,2010,Olesen,Cephalagia 31(5):638,2011)。CGRPの頸静脈レベルは偏頭痛発作の間、増加しており、静脈内(iv)CGRP投与は、偏頭痛を有するほとんどの個人において偏頭痛様の頭痛を誘導する(Ashina et al.,Neurology 55(9):1335-1340,2000,Hansen et al.,Cephalagia 30(1):1179-1186,2010)。CGRPは、すべてのレベルで、末梢で(血管拡張、炎症及びタンパク質溢出)、三叉神経節で並びに脳内で偏頭痛の病態生理に関与する(Ho et al.,Nat.Rev.Neurol.6(10):573-582,2010)。試験により、CGRPの阻害又はCGRP受容体への拮抗がEM(Bigal et al.,Lancet Neurol.14:1081-1090,2015a,Hewitt et al.,Cephalagia 31(6):712-722,2011,Ho et al.,Lancet 372(9656):2115-2123,2008,Olesen et al.,N.Engl.J.Med.350(11):1104-1110,2004)及びCM(Bigal et al.,Lancet Neurol.14:1091-1100,2015b)の治療において有効性を示したことが示された。頻繁な偏頭痛を有する患者及び彼らを治療している医療従事者は、複雑な治療の決定に直面する。突発性又は慢性偏頭痛を有する個人は、偏頭痛関連の身体障害及びクオリティオブライフの減少を経験し、これらの影響は、偏頭痛頻度の増加と共に悪化する。偏頭痛発作の頻度の減少は、予防的治療の重要な目的である。突発性偏頭痛を有する個人の40%近く及び慢性偏頭痛を有する個人のすべては、予防的な偏頭痛治療の候補と見なされる(American Headache Society,Headache.2019;59(1):1-18;Adams et al.,Cephalalgia.2015;35(7):563-578)。
【0009】
エプチネズマブは、偏頭痛の予防的治療のために使用され、12週間毎に投与されるモノクローナル抗体である。第3相臨床試験(「PROMISE-1」及び「PROMISE-2」臨床試験)は、12週間の投与間隔で投与した、それぞれ突発性及び慢性偏頭痛を有する患者において、エプチネズマブの有効性及び安全性を評価した(Ashina et al.Cephalalgia.2020;40(3):241-254;Lipton et al.,Neurology 2020;94(13):e1365-e1377)。両方の試験において、エプチネズマブの第1の投与は、1~12週目にわたって毎月の偏頭痛日数(MMD)の平均における減少を導いた(主要な試験期間;PROMISE-1:プラセボ、-3.2;エプチネズマブ30mg、-4.0;エプチネズマブ100mg、-3.9[p=0.0182対プラセボ];エプチネズマブ300mg、-4.3[p=0.0001対プラセボ]。PROMISE-2:プラセボ:-5.6、エプチネズマブ100mg:-7.7[p<0.0001対プラセボ];エプチネズマブ300mg:-8.2[p<0.0001対プラセボ])。
【0010】
予防的治療の対照治験におけるベースラインと比較した偏頭痛日数における50%の減少は、一般に、治療に対する陽性反応であると見なされ、臨床治験及び医療現場の両方において有用な指標となる。PROMISE-1及びPROMISE-2試験において、MMDにおける少なくとも50%の減少と定義される治療反応は、1~12週目にわたってエプチネズマブ治療アームにおける患者の約50~60%において起こった(PROMISE-1:それぞれエプチネズマブ100mg及び300mgで49.8%及び56.3%対プラセボで37.4%[エプチネズマブ100mg対プラセボについてp=0.0085、この試験階層では統計的に有意でない;エプチネズマブ300mg対プラセボについてp=0.0001];PROMISE-2:それぞれエプチネズマブ100mg及び300mgで57.6%及び61.4%対プラセボで39.3%[両方ともp<0.0001])(Ashina et al.,Cephalalgia.2020;40(3):241-254;Lipton et al.,Neurology 2020;94(13):e1365-e1377)。エプチネズマブによる治療反応は、投薬後1日目に観察され、全治療期間にわたって持続した。医療現場において、医療従事者は、エプチネズマブの第1の投与に対して50%未満のMMD反応を経験している患者についてエプチネズマブの第2の投与による反応の可能性を知りたいかもしれない。
【0011】
本発明の発明者は、臨床治験(PROMISE-1及びPROMISE-2データ)の事後解析を使用して、エプチネズマブの第1の投与に対して陽性の結果を経験しない偏頭痛を有する個人が(50%未満のMMDの減少、(<50%)MMD)、それにもかかわらずエプチネズマブの第2の投与から利益を得ることができることを見つけた。例えば、第1のエプチネズマブ投与後に反応せず、MMDにおける変化を有していない偏頭痛を有する患者について、第2の投与に対して50%を上回るMMDにおける反応を有する可能性は、およそ20%(突発性偏頭痛)及び5~10%(慢性偏頭痛)である。ほとんどの患者について、エプチネズマブは、エプチネズマブの特有の特徴により、例えば1日以内の非常に速やかな作用を有する(例えば国際公開第2020/222892号パンフレット、例えば
図47及び50並びにDavid L.,et al.Neurology April 2021;96(15 Supplement)1477を参照されたい)。エプチネズマブのこの急速な作用は、治療効果が第1の投与の後に観察されない場合、特定の患者が最適以下のレスポンダーとなることが予想される可能性があることを必然的に伴う。しかしながら、驚くべきことに、本発明の発明者は、治療効果が単回投与後に現れない場合、このような治療効果がそれにもかかわらずエプチネズマブの第2の投与後にこれらの最適以下のレスポンダーにおいて観察することができることを確認した。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、被験者において頭痛を治療する又は予防するための方法であって:
i)ヒト化モノクローナル抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)アンタゴニスト抗体又は抗CGRP受容体抗体の第1の投与により治療された被験者を選択することであって、被験者は、前記第1の投与後に毎月の偏頭痛日数(「MMD応答」)においてベースラインから<50%の減少を有する、選択すること、及び
ii)治療有効量のヒト化モノクローナル抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)アンタゴニスト抗体又は抗CGRP受容体抗体の第2の投与を被験者に投与すること
を含む方法に関する。
【0013】
定義
本明細書で使用される場合、用語「偏頭痛の減少」は、抗体の第1の投与後の規定の期間、例えば18時間、20時間、24時間、28時間、又は30時間の期間、好ましくは、24時間の期間で、又は抗体投与日の後の1日目に(すなわち、抗体投与が完了した日の後の最初の丸一日で)、偏頭痛を有する患者の可能性の減少(例えば、50%などの規定のパーセンテージの減少)を指す。可能性の減少が、個々の患者についての結果にかかわらず、多数の患者に観察可能であり得る場合、所与の患者は、その期間中に偏頭痛を有していても又は有していなくてもよいことを理解するべきである。
【0014】
本明細書で使用される場合、用語「慢性偏頭痛」は、患者が、平均して、月当たり少なくとも15の偏頭痛日数及び/又は頭痛日数を示す状態を指す。
【0015】
本明細書において使用されるように、用語「突発性偏頭痛」は、患者が、平均して、月当たり15未満の頭痛及び/又は偏頭痛日数を示す状態を指す(IHS分類ICHD3)。
【0016】
本明細書において使用されるように、用語「群発性頭痛」は、群発性頭痛発作が7日間~1年間続く期間に起こり、少なくとも3ヵ月続く無痛期間によって区切られる「突発性」又は発作が寛解を伴うことなく少なくとも1年間起こっている若しくは寛解期間が3ヵ月未満続く「慢性」と定義されてもよい(IHS分類ICHD3)。
【0017】
本明細書で使用される場合、用語「慢性偏頭痛と診断される」は、その患者の正式な診断が行われるか否かにかかわらず、患者が慢性偏頭痛の基準を満たすことを指す。
【0018】
本明細書で使用される場合、用語「静脈内投与する」は、物質、例えば抗体が、その患者の循環中に直接導入される投与モードを指す。物質は、水溶液などの担体流体、例えば通常の生理食塩水中で導入されてもよい。物質は、投与が短時間で完了しさえすれば(例えば、1日以内、好ましくは12時間以内、より好ましくは6時間以内、最も好ましく1~2時間以内)、単一製剤で、又は複数の製剤で投与されてもよい。
【0019】
MMDは、毎月の偏頭痛日数を意味する。
【0020】
本明細書において使用されるように、用語「MMDのベースライン数」は、エプチネズマブ、フレマネズマブ、ガルカネズマブ又はエレヌマブなどの抗CGRPアンタゴニスト抗体又は抗CGRP受容体抗体又は抗CGRPアンタゴニスト抗体断片又は抗CGRP受容体抗体断片による治療の前に患者が示すMMD日数の数を指す。
【0021】
最適以下のレスポンダーは、45%未満、35%未満若しくは25%未満、15%未満、5%未満又は反応しない(0%)などのMMDにおけるベースラインからの<50%(50%未満)の減少を有する患者として本明細書において定義される;レスポンダーは、ベースラインからのMMDにおけるベースラインからの≧50%(50%以上)の減少を有する患者として定義された。
【0022】
Headache Impact Test-6(HIT-6)は、頭痛の負担の一因となっている広範囲の要因を測定し、頭痛の影響についての定量的な関連する情報を生成するために使用した。本発明は、被験者を治療するための方法に関する(例えばShin et al.,J Clin Neurol.2008 Dec;4(4):158-163.を参照されたい)。
【0023】
群発性頭痛もまた、毎月の群発性頭痛日数において測定されてもよい。
【0024】
本明細書において使用されるように、被験者という用語は、ヒト、特に頭痛患者である。
【0025】
脊椎動物における抗体の一般的な構造は、現在よく理解されている(Edelman,G.M.,Ann.N.Y.Acad.Sci.,190:5(1971))。抗体は、分子量約23,000ダルトンの2つの同一のポリペプチド軽鎖(「軽鎖」)と、分子量53,000~70,000の2つの同一の重鎖(「重鎖」)とからなる。4つの鎖は、ジスルフィド結合によって「Y」立体配置で連結されており、軽鎖は、「Y」立体配置の口から始まる重鎖を包み込む。「Y」立体配置の「分岐」部分は、Fab領域と呼ばれ、「Y」立体配置のステム部分は、FC領域と呼ばれる。アミノ酸配列の向きは、「Y」立体配置の上部のN末端から各鎖の下部のC末端まで延びている。N末端は、それを誘発した抗原に対して特異性を有する可変領域を有し、長さが約100アミノ酸であり、軽鎖と重鎖との間、及び抗体から抗体へのわずかな変動がある。
【0026】
可変領域は、各鎖において、鎖の残りの長さを伸長する定常領域に連結され、抗体の特定のクラスのものは、抗体(即ち、それを誘発する抗原)の特異性によって変化しない。免疫グロブリン分子のクラスを決定する5つの既知の主要クラスの定常領域が存在する(γ、μ、α、δ、及びε(ガンマ、ミュー、アルファ、デルタ、又はイプシロン)重鎖定常領域に対応するIgG、IgM、IgA、IgD、及びIgE)。定常領域又はクラスは、補体の活性化(Kabat,E.A.,Structural Concepts in Immunology and Immunochemistry,2nd Ed.,p.413-436,Holt,Rinehart,Winston(1976))、及び他の細胞応答(Andrews,D.W.,et al.,Clinical Immunobiology,pp 1-18,W.B.Sanders(1980);Kohl,S.,et al.,Immunology,48:187(1983))を含む、抗体の後続のエフェクター機能を決定し;一方、可変領域は、それが反応する抗原を決定する。軽鎖は、κ(カッパ)又はλ(ラムダ)のいずれかに分類される。各重鎖クラスは、カッパ又はラムダ軽鎖のいずれかと共に調製することができる。軽鎖と重鎖は、互いに共有結合し、免疫グロブリンがハイブリドーマ又はB細胞のいずれかによって生成される場合、2つの重鎖の「尾部」部分は、共有結合ジスルフィド結合によって互いに結合する。
【0027】
「可変領域」又は「VR」という表現は、抗体の抗原への結合に直接関与する、抗体の軽鎖と重鎖の各対内のドメインを指す。各重鎖は、一端に可変ドメイン(VH)を有し、その後に多数の定常ドメインが続く。各軽鎖は、一端に可変ドメイン(VL)を有し、他端に定常ドメインを有し;軽鎖の定常ドメインは、重鎖の第1の定常ドメインと整列され、軽鎖可変ドメインは、重鎖の可変ドメインと整列される。
【0028】
「相補性決定領域」、「超可変領域」、又は「CDR」という表現は、抗体の軽鎖又は重鎖の可変領域に見出される超可変又は相補性決定領域(CDR)の1つ以上を指す(Kabat,E.A.et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,National Institutes of Health,Bethesda,Md.,(1987))を参照されたい。これらの発現は、Kabat et al.(“Sequences of Proteins of Immunological Interest,” Kabat E.,et al.,US Dept.of Health and Human Services,1983)によって定義されるような超可変領域、又は抗体の3次元構造における超可変ループ(Chothia and Lesk,J Mol.Biol.196 901-917(1987))を含む。各鎖のCDRは、フレームワーク領域によって近接して保持され、他の鎖からのCDRと共に、抗原結合部位の形成に寄与する。CDR内には、抗体-抗原相互作用においてCDRによって使用される重要な接触残基を表す選択性決定領域(SDR)として記載されている選択アミノ酸が存在する(Kashmiri,S.,Methods,36:25-34(2005))。本発明において、特定の抗体アミノ酸残基が数によって参照される場合、これは一般に、特定のアミノ酸配列内のその位置(即ち、特定の配列識別子)、及び/又はKabatらの番号付けによるその位置を指す。
【0029】
「フレームワーク領域」又は「FR」という表現は、抗体の軽鎖又は重鎖の可変領域内のフレームワーク領域の1つ以上を指す(Kabat,E.A.et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,National Institutes of Health,Bethesda,Md.,(1987)を参照されたい)。これらの表現は抗体の軽鎖及び重鎖の可変領域内のCDRの間に介在するアミノ酸配列領域を含む。
【0030】
カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP):本明細書において使用されるように、CGRPは、American Peptides(Sunnyvale CA)及びBachem(Torrance、CA)から入手可能な以下のホモ・サピエンス(Homo sapiens)CGRP-アルファ及びホモ・サピエンス(Homo sapiens)CGRP-ベータアミノ酸配列を包含するだけではなく:
CGRP-アルファ:ACDTATCVTHRLAGLLSRSGGVVKNNFVPTNVGSKAF-NH2、端末フェニルアラニンは、アミド化されている(配列番号1)
CGRP-ベータ:ACNTATCVTHRLAGLLSRSGGMVKSNFVPTNVGSKAF-NH2、端末フェニルアラニンは、アミド化されている(配列番号2);これらのCGRPアミノ酸配列の任意の膜結合型並びにこの配列の突然変異体(mutiens)、スプライス変異体、アイソフォーム、オルソログ、相同体及び変異体もまた包含する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】
図1は、全体のロジスティック回帰分析を使用する1~12週目にわたって<50%のMMD反応を有した患者における第2の注入≧50%MMD反応の潜在的な第1の注入の予測因子を示す図である(エプチネズマブ100mg及び300mgの治療群、統合データ)。
【
図2】
図2は、1~12週目にわたって<50%のMMD反応を有した患者における第2の注入≧50%MMD反応の第1の注入の予測因子の段階的ロジスティック回帰分析を示す図である(エプチネズマブ100mg及び300mgの治療群、統合データ)。
【
図3】
図3は、PROMISE-1試験における第1の注入の予測因子に基づく第2の注入≧50%MMD反応の確率を示す図である。
【
図4】
図4は、PROMISE-2試験における第1の注入の予測因子に基づく第2の注入≧50%MMD反応の確率を示す図である。
【
図5】
図5は、(A)PROMISE-1試験及びPROMISE-2試験(B)における第1の注入の予測因子に基づく第2の注入≧50%MMD反応の確率を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
第III相臨床試験(PROMISE-1及びPROMISE-2臨床試験)は、突発性及び慢性偏頭痛を有する患者のエプチネズマブ治療の効果を評価した。両方の試験における重要な副次エンドポイントは、1~12週目にわたってMMDにおいて≧50%の減少を有した患者の割合とした。PROMISE-1及びPROMISE-2試験における患者のおよそ50~60%は、≧50%のMMD減少と共にエプチネズマブの第1の投与に反応した。医療従事者及び患者は、日常の医療現場において、エプチネズマブの第1の投与に対して最初最適以下であった患者についてエプチネズマブの第2の投与による反応の可能性を知りたいかもしれない。PROMISE-1及びPROMISE-2試験からの統合エプチネズマブ100mg及び300mg投与データのこの事後解析において、第1のエプチネズマブ注入に対して≧50%のMMD減少で反応しなかった患者の中で、約1/3(突発性偏頭痛を有する患者の37.0%及び慢性偏頭痛を有する患者の28.8%)は、第2のエプチネズマブ投与に対して≧50%MMDレスポンダーとなった。MMDにおける変化率は、突発性偏頭痛を有する個人について第2の投与反応の有意な第1の投与の予測因子であることが示され、MMDにおける変化率及びHIT-6総スコアにおける変化(PROMISE-2においてのみ評価した)は、慢性偏頭痛を有する患者について第2の投与反応の有意な第1の投与の予測因子であることが示された。
【0033】
第1の投与に応じたMMDにおける変化を経験しない突発性偏頭痛を有する患者については、第2の投与に対して≧50%MMD反応を有する確率は、およそ20%であった。したがって、第1の投与後にMMDにおける変化を有していない患者でさえ、エプチネズマブの第2の投与に反応する5分の1の確率を有する。第1の投与後のMMDにおける患者の変化率が50%に近づくと、第2の投与に対して≧50%MMDレスポンダーである確率は、約60%まで増加する。第1の投与に応じたMMDにおける変化を経験しない慢性偏頭痛を有する患者については、HIT-6総スコアにおける変化に従って、第2の投与に対して≧50%MMD反応を有する確率は、およそ5~10%となり、第1の投与後のMMDにおける患者の変化率が50%に近づくと、約60~80%まで増加した。
【0034】
一態様によれば、本発明は、被験者において頭痛を治療する又は予防するための方法であって:
i)ヒト化モノクローナル抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)アンタゴニスト抗体により治療された被験者を選択することであって、被験者は、第1の投与後に毎月の偏頭痛日数(「MMD応答」)においてベースラインから<50%の減少を有する、選択すること、及び
ii)前記ヒト化抗CGRPアンタゴニスト抗体の第2の投与を被験者に投与することであって、第2の投与は、治療有効量の前記ヒト化モノクローナル抗CGRPアンタゴニスト抗体を含む、投与することを含み、
前記ヒト化モノクローナル抗CGRPアンタゴニスト抗体は、配列番号6において記載されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号12において記載されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、方法に関する。
【0035】
特定の実施形態において、被験者は、第1の投与後に45%未満、35%未満若しくは25%未満、15%未満、5%未満の又は反応しない(0%)MMD反応を有する。
【0036】
いくつかの実施形態によれば、被験者は、突発性偏頭痛、慢性偏頭痛、突発性群発性頭痛又は慢性群発性頭痛などの偏頭痛又は群発性頭痛を有していてもよい。被験者は、前兆を伴う偏頭痛及び前兆を伴わない偏頭痛を経験してもよい。
【0037】
被験者は、一実施形態によればヒト又はヒト頭痛患者である。
【0038】
上記のステップi)における被験者は、前記ヒト化モノクローナル抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)アンタゴニスト抗体の1回の投薬しか受けておらず、一実施形態によれば、ステップi)及びステップii)において同じ投薬又はステップi)及びステップii)において異なる投薬を受けてもよい。1回又は複数回の投与は、皮下に又は静脈内に与えられてもよい。
【0039】
一実施形態によれば、モノクローナル抗体は、ステップi)において約100mg~約500mgの用量で及びステップii)において約100mg~約500mgの用量で投与される。
【0040】
別の実施形態によれば、用量は、ステップi)において約100mg、約300mg又は約400mg及びステップii)において約100mg、約300mg又は約400mgである。
【0041】
いくつかの実施形態において、モノクローナル抗体は、3ヵ月(約12週間)当たり1回投与される。
【0042】
一実施形態によれば、ステップi)における被験者は、前記ヒト化モノクローナル抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)アンタゴニスト抗体の第1の投与に対して≧50%のMMD反応を経験せず、これは、最適以下のレスポンダーを示す。
【0043】
被験者は、他の実施形態によれば、1~12週間以内に、1~4週間以内に又は1~2週間以内に、前記ヒト化モノクローナル抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)アンタゴニスト抗体の第1の投与に対して≧50%のMMD反応を経験していなくてもよい。
【0044】
いくつかの態様において、前記偏頭痛又は頭痛は、急性偏頭痛又は頭痛、前兆を伴う又は伴わない偏頭痛、慢性偏頭痛、突発性偏頭痛、慢性/突発性偏頭痛、片麻痺性偏頭痛、群発性頭痛、偏頭痛様神経痛、慢性頭痛、緊張性頭痛、一般的頭痛、頭頚部の根本的な構造的問題に起因する頭痛、副鼻腔炎性頭痛(例えば副鼻腔炎に関連するものなど)及びアレルギー誘導性頭痛又は偏頭痛を含む群から選択されてもよい。
【0045】
本発明による抗体(Vyepti、すなわちエプチネズマブ)は、Kabatによって決定される以下のCDRを含む(Kabat,E.A.,Structural Concepts in Immunology and Immunochemistry,2nd Ed.,p.413-436)
【0046】
エプチネズマブについての重鎖CDR
CDR-H1:GYYMN 配列番号3
CDR-H2:VIGINGATYYASWAKG 配列番号4
CDR-H3:GDI 残基GDI(1頁、表A、細目番号1を参照されたい)
【0047】
エプチネズマブの可変重鎖は以下を含む:
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAVSGIDLSGYYMNWVRQAPGKGLEWVGVIGINGATYYASWAKGRFTISRDNSKTTVYLQMNSLRAEDTAVYFCARGDIWGQGTLVTVSS 配列番号6
【0048】
【0049】
C末端リシン(K)は、重鎖がこれを切断する系又は細胞において、例えばピキアなどの酵母においてプロセシングされない又は発現されない場合、存在してもよいが、通常CHO発現系において切断される。
【0050】
エプチネズマブの重鎖は次いで以下を含む:
【化2】
【0051】
エプチネズマブについての軽鎖CDR
CDR-L1:QASQSVYHNTYLA 配列番号9
CDR-L2:DASTLAS 配列番号10
CDR-L3:LGSYDCTNGDCFV 配列番号11
【0052】
エプチネズマブの可変軽鎖は以下を含む:
QVLTQSPSSLSASVGDRVTINCQASQSVYHNTYLAWYQQKPGKVPKQLIYDASTLASGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDVATYYCLGSYDCTNGDCFVFGGGTKVEIKR 配列番号12
【0053】
【0054】
いくつかの態様において、Vyepti(エプチネズマブ)は、1mL体積当たり、約100mg又は300mgのVyepti(エプチネズマブ)、約3.1mgのL-ヒスチジン、約40.5mgのソルビトール及び約0.15mgのポリソルベート80などのヒスチジン(L-ヒスチジン)、ソルビトール、ポリソルベート80及び水を含み又はそれからなり且つ約5.8のpHを有する製剤に含まれてもよい。
【0055】
いくつかの態様において、前記製剤は、1mL体積当たり、100又は300mgのVyepti(エプチネズマブ)、3.1mgのL-ヒスチジン、40.5mgのソルビトール及び0.15mgのポリソルベート80を含んでいてもよく若しくはそれからなってもよく又は前記値の+/-10%以内の量の各成分を有し且つ5.8の又は前記値の+/-10%以内のpHを有する。いくつかの態様において、前記製剤は、1mL体積当たり、100又は300mgのVyepti(エプチネズマブ)、3.1mgのL-ヒスチジン、40.5mgのソルビトール及び0.15mgのポリソルベート80を含んでいてもよく若しくはそれからなってもよく又は前記値の+/-5%以内の量の各成分を有し且つ/或いは5.8の又は前記値の+/-5%以内のpHを有する。いくつかの態様において、前記製剤は、1mL体積当たり、100mgのVyepti(エプチネズマブ)、3.1mgのL-ヒスチジン、40.5mgのソルビトール及び0.15mgのポリソルベート80を含んでいてもよく若しくはそれからなってもよく又は前記値の+/-1%以内の量の各成分を有し且つ/或いは5.8の又は前記値の+/-1%以内のpHを有する。いくつかの態様において、前記製剤は、1mL体積当たり、100mgのVyepti(エプチネズマブ)、3.1mgのL-ヒスチジン、40.5mgのソルビトール及び0.15mgのポリソルベート80を含んでいてもよく若しくはそれからなってもよく又は前記値の+/-0.5%以内の量の各成分を有し且つ/或いは5.8の又は前記値の+/-0.5%以内のpHを有する。いくつかの態様において、前記製剤は、1mL体積当たり、100mgのVyepti(エプチネズマブ)、3.1mgのL-ヒスチジン、40.5mgのソルビトール及び0.15mgのポリソルベート80を含んでいてもよく若しくはそれからなってもよく又は前記値の+/-0.1%以内の量の各成分を有し且つ/或いは5.8の又は前記値の+/-0.1%以内のpHを有する。いくつかの態様において、前記製剤中の前記L-ヒスチジンは、L-ヒスチジン及びL-ヒスチジン一水和物の混合物を含む。前記製剤中の前記3.1mgのヒスチジンは、L-ヒスチジン(1mg)及びL-ヒスチジン一水和物(2.8mg)の混合物を含んでいてもよく、これは、最終的な製剤中で、合計して3.1mgのL-ヒスチジン遊離塩基になる。いくつかの態様において、前記製剤は、100mg/mLの単回投与バイアル中に含まれてもよく、各mLは、5.8のpHで、100mgのVyepti(エプチネズマブ)、L-ヒスチジン(1mg)、L-ヒスチジン塩酸塩一水和物(2.8mg)、ポリソルベート80(0.15mg)、ソルビトール(40.5mg)及び注射用水、USPを含有する。いくつかの態様において、前記製剤は、300mg/mLの単回投与バイアル中に含まれてもよく、各mLは、5.8のpHで、300mgのVyepti(エプチネズマブ)、L-ヒスチジン(1mg)、L-ヒスチジン塩酸塩一水和物(2.8mg)、ポリソルベート80(0.15mg)、ソルビトール(40.5mg)及び注射用水、USPを含有する。
【0056】
Vyepti(エプチネズマブ)は、好ましくは、静脈内に又は皮下に投与される。
【0057】
別の実施形態によれば、本発明はまた、他のCGRP結合抗体、例えばフレマネズマブ又はガルカネズマブにも関する。
【0058】
フレマネズマブは、以下の配列を有する:
フレマネズマブ重鎖CDR
CDR1-H1 NYWIS 配列番号14
CDR2-H2 EIRSESDASATHYAEAVKG 配列番号15
CDR3-H3 YFDYGLAIQNY 配列番号16
【0059】
重鎖可変領域
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSNYWISWVRQAPGKGLEWVAEIRSES DASATHYAEAVKGRFTISRDNAKNSLYLQMNSLRAEDTAVYYCLAYFDYGLAIQNY WGQGTLVTVSS 配列番号17
【0060】
【0061】
フレマネズマブ軽鎖CDR
CDR1-L1 KASKRVTTYVS 配列番号19
CDR2-L2 GASNRYL 配列番号20
CDR3-L3 SQSYNYPYT 配列番号21
【0062】
フレマネズマブ軽鎖可変領域アミノ酸配列
EIVLTQSPATLSLSPGERATLSCKASKRVTTYVSWYQQKPGQAPRLLIYGASNRYL GIPARFSGSGSGTDFTLTISSLEPEDFAVYYCSQSYNYPYTFGQGTKLEIK 配列番号22
【0063】
【0064】
フレマネズマブの与えられる投与量は、毎月225mg又は代わりに年四回(約12週間)675mgであり、両方とも皮下投与によるものである。
【0065】
一実施形態によれば、フレマネズマブは、ステップi)において約200mg~約700mgの用量及びステップii)において約200mg~約700mgの用量で投与される。
【0066】
別の実施形態によれば、用量は、ステップi)において約225mg又は約675mg及びステップii)において約225mg又は約675mgである。
【0067】
別の実施形態によれば、225mgの用量が毎月与えられ、約675mgの投与量は、ステップii)において年四回(約12週間)与えられる。
【0068】
ガルカネズマブは、以下の配列を有する:
ガルカネズマブ重鎖CDR
CDR1-H1 NYWMQ 配列番号24
CDR2-H2 AIYEGTGKTVYIQKFAD 配列番号25
CDR3-H3 LSDYVSGFGY 配列番号26
【0069】
ガルカネズマブ重鎖可変領域
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGYTFGNYWMQWVRQAPGQGLEWMGAIYEGTGKTVYIQKFADRVTITADKSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARLSDYVSGFGYWGQGTTVTVSS 配列番号27
【0070】
【0071】
ガルカネズマブ軽鎖CDR
CDR1-L1 RASKDISKYLN 配列番号29
CDR2-L1 YTSGYHS 配列番号30
CDR3-L3 QQGDALPPT 配列番号31
【0072】
ガルカネズマブ軽鎖可変領域
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASKDISKYLNWYQQKPGKAPKLLIYYTSGYHSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQGDALPPTFGGGTKVEIK 配列番号32
【0073】
【0074】
ガルカネズマブの与えられる投与量は、一般に、偏頭痛について毎月120mg及び群発性頭痛について300mgであり、両方とも皮下投与によるものである。第1の投与量は、約240mgの負荷投与量であってもよい。
【0075】
一実施形態によれば、ガルカネズマブは、ステップi)において約120mg~約300mgの用量及びステップii)において約120mg~約300mgの用量で投与される。
【0076】
別の実施形態によれば、用量は、ステップi)において約120mg、240mg又は約300mg及びステップii)において約120mg又は約300mgである。
【0077】
いくつかの実施形態において、エレヌマブなどの抗CGRP受容体抗体は、本明細書において記載される方法のいずれかにおいて使用することができる。
【0078】
エレヌマブは、以下の配列を含む:
エレヌマブ重鎖CDR
CDR1-H1 SFGMH 配列番号33
CDR2-H2 VISFDGSIKYSVDSVKG 配列番号34
CDR3-H3 DRLN YYDSSGYYHYKYYGM AV 配列番号35
【0079】
【0080】
【0081】
エレヌマブ軽鎖CDR
CDR1-L1 SGSSSNIGNNYVS 配列番号39
CDR2-L2 DNNKRPS 配列番号40
CDR3-L3 GTWDSRLSAVV 配列番号41
【0082】
エレヌマブ軽鎖可変領域
QSVLTQPPSVSAAPGQKVTISCSGSSSNIGNNYVSWYQQLPGTAPKLLIYDNNKRP SGIPDRFSGSKSGTSTTLGITGLQTGDEADYYCGTWDSRLSAVVFGGGTKLTVL 配列番号42
【0083】
【0084】
与えられるエレヌマブの投与量は、一般に、毎月mg又は代わりに毎月140mgであり、両方とも皮下投与によるものである。
【0085】
一実施形態によれば、エレヌマブは、ステップi)において約50mg~約150mgの用量及びステップii)において約50mg~約150mgの用量で投与される。
【0086】
別の実施形態によれば、用量は、ステップi)において約70mg又は約140mg及びステップii)において約70mg又は約140mgである。
【0087】
いくつかの態様において、本発明のヒト化モノクローナル抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)アンタゴニスト抗体又は抗CGRP受容体抗体は、300mg/mL濃度、150mg/mL濃度又は100mg/mL濃度などの400mg/mLの濃度で製剤されてもよい。
【0088】
225mgのフレマネズマブを含有する1.5mLの溶液は、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム二水和物(EDTA)(0.204mg)、L-ヒスチジン(0.815mg)、L-ヒスチジン塩酸塩一水和物(3.93mg)、ポリソルベート-80(0.3mg)、精製白糖(99mg)及び注射用水において製剤されてもよく、5.5のpHを有する。本発明の一実施形態によれば、フレマネズマブ(200~300mg、例えば225mgの濃度の)は、エチレンジアミン四酢酸二水和物(EDTA)、L-ヒスチジン、L-ヒスチジン塩酸塩一水和物、ポリソルベート-80、精製白糖(99mg)及び水を含む組成物において製剤されてもよい。
【0089】
70mgのエレヌマブの1mL溶液は、アセテート(1.5mg)、ポリソルベート80(0.10mg)及び精製白糖(73mg)、5.2のpHで製剤されてもよい。一実施形態によれば、約50~150mg(70mgなど)のエレヌマブは、アセテート、ポリソルベート80及び精製白糖、pH約5において製剤されてもよい。
【0090】
1mL 120mgのガルカネズマブは、L-ヒスチジン(0.5mg);L-ヒスチジン塩酸塩一水和物(1.5mg);ポリソルベート80(0.5mg);塩化ナトリウム(8.8mg);注射用水で製剤されてもよい。pH範囲は、5.3~6.3である。一実施形態によれば、約120mgのガルカネズマブは、L-ヒスチジン、L-ヒスチジン塩酸塩一水和物;ポリソルベート80;塩化ナトリウム;注射用水で約5.3~約6.3のpH範囲で製剤されてもよい。
【0091】
本発明のいくつかの態様によれば、被験者は、トリプタン、非オピオイド若しくはオピオイド/麻酔剤、アセトアミノフェン、NSAIDなどの鎮痛剤、組み合わせ薬剤、エルゴタミン又は麦角誘導体などの、疼痛又は偏頭痛のための併用の又は追加の治療を受けてもよい。一実施形態によれば、前記非オピオイド鎮痛剤が、パラセタモール(アセトアミノフェン)、アセチルサリチル酸(アスピリン)、別のNSAID、又は別の非オピオイド鎮痛剤を含み;前記トリプタンが、スマトリプタン、ゾルミトリプタン、ナラトリプタン、リザトリプタン、エレトリプタン、アルモトリプタン、又はフロバトリプタンのうちの1つ以上の使用を含み;前記オピオイドが、オキシコドン、トラマドール、ブトルファノール、モルヒネ、コデイン、及びヒドロコドンのうちの1つ以上の使用を含み;前記組み合わせ薬剤が、鎮痛効果を有する2つの薬物(例えば、パラセタモール及びコデイン)、鎮痛剤及び補助剤(例えば、パラセタモール及びカフェイン)を含み、及び/又は前記組み合わせ鎮痛剤が、少なくとも1つのオピオイド(トラマドール、ブトルファノール、モルヒネ、コデイン、ヒドロコドン、又はそれらの任意の組み合わせなど)、バルビツレート、例えばブタルビタール、及び/又はカフェインを含み、及び/又は前記組み合わせ鎮痛剤が、アセチルサリチル酸(アスピリン)、パラセタモール及びカフェインを含む。リドカインなどのIV麻酔薬もまた、リドカイン又は他の類似化合物による後頭神経ブロック及び蝶形骨口蓋ブロックとなるので、時々使用される。
【0092】
本発明の別の態様によれば、本発明はまた、難治性偏頭痛又は群発性頭痛を有する被験者において偏頭痛又は群発性頭痛を治療する又は予防するための方法であって:
(i)2つ又はそれ以上のクラスの予防的偏頭痛治療より治療された被験者を選択することであって、予防的偏頭痛治療のクラスの少なくとも1つは、本発明のステップi)の前にベータ遮断薬、抗痙攣薬、三環系抗うつ薬、カルシウムチャネル遮断薬、アンギオテンシンII受容体アンタゴニスト、オナボツリナムトキシンA及びバルプロエートからなる群から選択される、選択すること;並びに
(ii)治療有効量の本発明のヒト化モノクローナル抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)アンタゴニスト抗体又は本発明の抗CGRP受容体抗体を被験者に投与すること、
(iii)本発明のヒト化モノクローナル抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)アンタゴニスト抗体又は本発明の抗CGRP受容体抗体の第1の投与後に<50%MMD反応を有する被験者を選択すること並びに
(iv)治療有効量の本発明のヒト化モノクローナル抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)アンタゴニスト抗体又は抗CGRP受容体抗体の第2の投与を被験者に投与することを含む方法も提供する。
【0093】
別の実施形態において、前記予防的偏頭痛治療は、2つ又はそれ以上の異なる予防的偏頭痛治療を含む群から選択されてもよく、予防的偏頭痛治療の少なくとも1つは、トピラマート、カルバマゼピン、ジバルプロエクスナトリウム、バルプロ酸ナトリウム、バルプロ酸、ジバルプロエックス、フルナリジン、カンデサルタン、ピゾチフェン、アミトリプチリン、ベンラファキシン、ノルトリプチリン、デュロキセチン、アテノロール、ナドロール、メトプロロール、プロプラノロール、ビソプロロール、チモロール、オナボツリナムトキシンA、リシノプリル及びオキセテロン(oxeterone)から選択される。
【0094】
本発明の例示的な実施形態
本発明の様々な例示的な実施形態が、下記に記載される。
1.実施形態
1.1被験者において頭痛を治療する又は予防するための方法であって:
i)ヒト化モノクローナル抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)アンタゴニスト抗体又は抗CGRP受容体抗体の第1の投与により治療された被験者を選択することであって、被験者は、前記第1の投与後に毎月の偏頭痛日数応答(「MMD応答」)においてベースラインから<50%の減少を有する、選択すること、及び
ii)治療有効量のヒト化モノクローナル抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)アンタゴニスト抗体又は抗CGRP受容体抗体の第2の投与を被験者に投与すること、を含む方法。
1.2前記CGRPアンタゴニスト抗体又は抗CGRP受容体アンタゴニスト抗体の第1の投与後に、被験者は、45%未満、35%未満、25%未満、15%未満、5%未満の又は反応しない(ほぼ0%)MMD反応を有する、実施形態1.1に記載の方法。
1.3被験者は、偏頭痛又は群発性頭痛を有する、実施形態1.1又は1.2に記載の方法。
1.4前記偏頭痛は、突発性偏頭痛、慢性偏頭痛、突発性群発性頭痛又は慢性群発性頭痛である、実施形態1.1、1.2又は1.3に記載の方法。
1.5被験者は、前兆を伴う偏頭痛を経験する、実施形態1.3又は1.4に記載の方法。
1.6被験者は、前兆を伴わない偏頭痛を経験する、実施形態1.3又は1.4に記載の方法。
1.7実施形態1のステップi)における被験者は、前記ヒト化モノクローナル抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)アンタゴニスト抗体又は抗CGRP受容体抗体の1回の投薬しか受けていない、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
1.8前記被験者は、ステップi)及びステップii)において同じ投薬又はステップi)及びステップii)において異なる投薬を受けた、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
1.9モノクローナル抗体は、月当たり1回又は12週間毎に投与される、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
1.10前記選択された被験者は、前記ヒト化モノクローナル抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)アンタゴニスト抗体又は抗CGRP受容体抗体の第1の投与に対して≧50%のMMD反応を経験しなかった、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
1.11前記選択された被験者は、1~12週間以内に、前記ヒト化モノクローナル抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)アンタゴニスト抗体又は抗CGRP受容体抗体の第1の投与に対して≧50%のMMD反応を経験しなかった、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
1.12前記選択された被験者は、1~4週間以内に、前記ヒト化モノクローナル抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)アンタゴニスト抗体又は抗CGRP受容体抗体の第1の投与に対して≧50%のMMD反応を経験しなかった、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
1.13前記選択された被験者は、1~2週間以内に、前記ヒト化モノクローナル抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)アンタゴニスト抗体又は抗CGRP受容体抗体の第1の投与に対して≧50%のMMD反応を経験しなかった、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
1.14前記ヒト化モノクローナル抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)アンタゴニスト抗体又は抗CGRP受容体抗体は、本明細書において開示されるエレヌマブ、Vyepti、ガルカネズマブ又はフレマネズマブの重鎖又は可変重鎖に対して少なくとも90%又は95%またそれ以上の配列相同性を有する重鎖及び/又は可変重鎖ポリペプチドを含む、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
1.15前記ヒト化モノクローナル抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)アンタゴニスト抗体又は抗CGRP受容体抗体は、本明細書において開示されるエレヌマブ、Vyepti、ガルカネズマブ又はフレマネズマブの軽鎖及び/又は可変軽鎖に対して少なくとも90%又は95%またそれ以上の配列相同性を有する軽鎖及び/又は可変軽鎖ポリペプチドを含む、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
1.16前記ヒト化モノクローナル抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)アンタゴニスト抗体又は抗CGRP受容体抗体は、本明細書において開示されるエレヌマブ、Vyepti、ガルカネズマブ又はフレマネズマブのうちの1つの重鎖及び/又は可変重鎖ポリペプチド並びに軽鎖及び/又は可変軽鎖ポリペプチドに対して少なくとも90%又は95%又はそれ以上の配列相同性をそれぞれ有する重鎖及び/又は可変重鎖ポリペプチド並びに軽鎖及び/又は可変軽鎖ポリペプチドを含む、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
1.17CGRP又はCGRP受容体抗体は、フレマネズマブであり、フレマネズマブの投与量は、実施形態1のステップi)において約200mg~約700mgであり、約200mg~約700mgの用量は、ステップii)において投与され、例えばステップi)において約225mg又は約675mg及びステップii)において約225mg又は約675mgなどであり、好ましくは、ステップi)及びii)において、約225mgの投与量は毎月与えられ、約675mgの投与量は年四回与えられる、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
1.18前記抗体は、ガルカネズマブであり、ガルカネズマブの投与量は、実施形態1のステップi)において約120mg~約300mg及びステップii)において約120mg~約300mgの用量である又は用量は、ステップi)において約120mg、240mg若しくは約300mgであり且つステップii)において約120mg若しくは約300mgである、前記用量は、好ましくは、毎月与えられる、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
1.19エレヌマブの前記投与量は、実施形態1のステップi)において約50mg~約150mg及びステップii)において約50mg~約150mgの用量である又は用量は、ステップi)において約70mg若しくは約140mg及びステップii)において約70mg若しくは約140mgである、前記用量は、好ましくは、毎月与えられる、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
2.実施形態
2.1被験者において頭痛を治療する又は予防するための方法において使用するためのヒト化モノクローナル抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)アンタゴニスト抗体であって、前記方法は、
i)ヒト化モノクローナル抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)アンタゴニスト抗体の第1の投与により治療された被験者を選択することであって、被験者は、前記第1の投与後に毎月の偏頭痛日数応答(「MMD応答」)においてベースラインから<50%の減少を有する、選択すること、及び
ii)治療有効量のヒト化モノクローナル抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)アンタゴニスト抗体の第2の投与を被験者に投与することを含み、
前記ヒト化モノクローナル抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)アンタゴニスト抗体は、配列番号6において記載されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号12において記載されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、ヒト化モノクローナル抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)アンタゴニスト抗体。
2.2前記CGRPアンタゴニスト抗体の前記第1の投与後に、被験者は、45%未満、35%未満、25%未満、15%未満、5%未満の又は反応しない(ほぼ0%)MMD反応を有する、実施形態2.1に記載の使用。
2.3実施形態2.1又は2.2に記載の方法において使用するためのヒト化モノクローナル抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)アンタゴニスト抗体であって、被験者は、偏頭痛又は群発性頭痛を有する、ヒト化モノクローナル抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)アンタゴニスト抗体。
2.4実施形態2.1、2.2又は2.3に記載の方法において使用するためのヒト化モノクローナル抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)アンタゴニスト抗体であって、前記偏頭痛は、突発性偏頭痛、慢性偏頭痛、突発性群発性頭痛又は慢性群発性頭痛である、ヒト化モノクローナル抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)アンタゴニスト抗体。
2.5実施形態2.3又は2.4に記載の方法において使用するためのヒト化モノクローナル抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)アンタゴニスト抗体であって、被験者は、前兆を伴う偏頭痛を経験する、ヒト化モノクローナル抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)アンタゴニスト抗体。
2.6実施形態2.3又は2.4に記載の方法において使用するためのヒト化モノクローナル抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)アンタゴニスト抗体であって、被験者は、前兆を伴わない偏頭痛を経験する、ヒト化モノクローナル抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)アンタゴニスト抗体。
2.7先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法において使用するためのヒト化モノクローナル抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)アンタゴニスト抗体であって、請求項1のステップi)における被験者は、前記ヒト化モノクローナル抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)アンタゴニスト抗体の1回の投薬しか受けていない、ヒト化モノクローナル抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)アンタゴニスト抗体。
2.8先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法において使用するためのヒト化モノクローナル抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)アンタゴニスト抗体であって、前記被験者は、ステップi)及びステップii)において同じ投薬又はステップi)及びステップii)において異なる投薬を受けた、ヒト化モノクローナル抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)アンタゴニスト抗体。
2.9先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法において使用するためのヒト化モノクローナル抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)アンタゴニスト抗体であって、モノクローナル抗体は、ステップi)において約100mg~約500mgの用量で及びステップii)において約100mg~約500mgの用量で投与される、ヒト化モノクローナル抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)アンタゴニスト抗体。
2.10先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法において使用するためのヒト化モノクローナル抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)アンタゴニスト抗体であって、モノクローナル抗体は、ステップi)において約100mg、約300mg又は約400mgの用量で及びステップii)において約100mg、約300mg又は約400mgの用量で投与される、ヒト化モノクローナル抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)アンタゴニスト抗体。
2.11先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法において使用するためのヒト化モノクローナル抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)アンタゴニスト抗体であって、モノクローナル抗体は、3ヵ月当たり1回投与される、ヒト化モノクローナル抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)アンタゴニスト抗体。
2.12先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法において使用するためのヒト化モノクローナル抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)アンタゴニスト抗体であって、前記選択された被験者は、前記ヒト化モノクローナル抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)アンタゴニスト抗体の第1の投与後にMMD減少を経験しなかった、ヒト化モノクローナル抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)アンタゴニスト抗体。
2.13先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法において使用するためのヒト化モノクローナル抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)アンタゴニスト抗体であって、前記選択された被験者は、1~12週間以内に、前記ヒト化モノクローナル抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)アンタゴニスト抗体の第1の投与に対して≧50%のMMD反応を経験しなかった、ヒト化モノクローナル抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)アンタゴニスト抗体。
2.14先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法において使用するためのヒト化モノクローナル抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)アンタゴニスト抗体であって、前記選択された被験者は、1~4週間以内に、前記ヒト化モノクローナル抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)アンタゴニスト抗体の第1の投与に対して≧50%のMMD反応を経験しなかった、ヒト化モノクローナル抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)アンタゴニスト抗体。
2.15先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法において使用するためのヒト化モノクローナル抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)アンタゴニスト抗体であって、前記選択された被験者は、1~2週間以内に、前記ヒト化モノクローナル抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)アンタゴニスト抗体の第1の投与に対して≧50%のMMD反応を経験しなかった、ヒト化モノクローナル抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)アンタゴニスト抗体。
3.実施形態
3.1被験者において頭痛を治療する又は予防するための方法において使用するための薬剤の製造のためのヒト化モノクローナル抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)アンタゴニスト抗体の使用であって、前記方法は、
i)ヒト化モノクローナル抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)アンタゴニスト抗体の第1の投与により治療された被験者を選択することであって、被験者は、前記第1の投与後に毎月の偏頭痛日数応答(「MMD応答」)においてベースラインから<50%の減少を有する、選択すること、及び
ii)治療有効量のヒト化モノクローナル抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)アンタゴニスト抗体の第2の投与を被験者に投与することを含み、
前記ヒト化モノクローナル抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)アンタゴニスト抗体は、配列番号6において記載されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号12において記載されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、使用。
3.2前記CGRPアンタゴニスト抗体の前記第1の投与後に、被験者は、45%未満、35%未満、25%未満、15%未満、5%未満の又は反応しない(ほぼ0%)MMD反応を有する、実施形態3.1に記載の使用。
3.3被験者は、偏頭痛又は群発性頭痛を有する、実施形態3.1又は3.2に記載の使用。
3.4前記偏頭痛は、突発性偏頭痛、慢性偏頭痛、突発性群発性頭痛又は慢性群発性頭痛である、実施形態3.1、3.2又は3.3に記載の使用。
3.5被験者は、前兆を伴う偏頭痛を経験する、実施形態3.3又は3.4に記載の使用。
3.6被験者は、前兆を伴わない偏頭痛を経験する、実施形態3.3又は3.4に記載の使用。
3.7請求項1のステップi)における被験者は、前記ヒト化モノクローナル抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)アンタゴニスト抗体の1回の投薬しか受けていない、先行する実施形態のいずれか1つに記載の使用。
3.8前記被験者は、ステップi)及びステップii)において同じ投薬又はステップi)及びステップii)において異なる投薬を受けた、先行する実施形態のいずれか1つに記載の使用。
3.9モノクローナル抗体は、実施形態1のステップi)において約100mg~約500mgの用量及びステップii)において約100mg~約500mgの用量で投与される、先行する実施形態のいずれか1つに記載の使用。
3.10モノクローナル抗体は、実施形態1のステップi)において約100mg、約300mg又は約400mg及びステップii)において約100mg、約300mg又は約400mgの用量で投与される、先行する実施形態のいずれか1つに記載の使用。
3.11モノクローナル抗体は、3ヵ月当たり1回投与される、先行する実施形態のいずれか1つに記載の使用。
3.12前記選択された被験者は、前記ヒト化モノクローナル抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)アンタゴニスト抗体の第1の投与後にMMD減少を経験しなかった、先行する実施形態のいずれか1つに記載の使用。
3.13前記選択された被験者は、第1の投与の1~12週間以内に、前記ヒト化モノクローナル抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)アンタゴニスト抗体の第1の投与に対して≧50%のMMD反応を経験しなかった、先行する実施形態のいずれか1つに記載の使用。
3.14前記選択された被験者は、第1の投与の1~4週間以内に、前記ヒト化モノクローナル抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)アンタゴニスト抗体の第1の投与に対して≧50%のMMD反応を経験しなかった、先行する実施形態のいずれか1つに記載の使用。
3.15前記選択された被験者は、第1の投与の1~2週間以内に、前記ヒト化モノクローナル抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)アンタゴニスト抗体の第1の投与に対して≧50%のMMD反応を経験しなかった、先行する実施形態のいずれか1つに記載の使用。
【0095】
実験の部
実施例1
PROMISE-1及びPROMISE-2は、両方とも、第3相多施設試験であり、両方とも、二重盲検ランダム化プラセボ対照並行群間デザインを用いた(Ashina et al.Cephalalgia 2020;40:241-54;Lipton et al.Neurology 2020;94:e1365-77)。PROMISE-1試験は、50歳の時に又はそれより前に偏頭痛と診断され且つスクリーニング前の3ヵ月において1ヵ月当たり15日未満の頭痛日数及び1ヵ月当たり少なくとも4日の偏頭痛日数を含む少なくとも1年間の偏頭痛の病歴を有する18~75歳の成人を組み入れた。4週間のスクリーニング期間後、患者を、1:1:1:1の比にランダム化し、0日目、12週目、24週目及び36週目に静脈内に投与されるエプチネズマブ30mg、100mg若しくは300mg又はプラセボの多くとも4回の治療を受けた。PROMISE-2試験は、≦50歳の時に偏頭痛と診断され且つ試験スクリーニング前に≧1年間の慢性偏頭痛の病歴を有した18~65歳の成人を組み入れた。4週間のスクリーニング期間後、患者を、1:1:1の比にランダム化し、0日目及び12週目に静脈内に投与されるエプチネズマブ100mg、エプチネズマブ300mg又はプラセボを受けた。両方の試験において、1~12週目にわたるMMDにおけるベースラインからの変化は、主要有効性エンドポイントとし、MMDにおける≧50%の減少を有する患者の割合は、重要な副次エンドポイントとした。
【0096】
評価項目
患者は、頭痛及び偏頭痛を記録するために頭痛電子日誌(eDiary)に記入し、いくつかの十分にバリデーション済みの患者報告アウトカムツールに記入した。2つの包括的な健康に関連するクオリティ・オブ・ライフツールは、PROMISE-1及びPROMISE-2の両方において記入された:36-item Short-Form Health Survey(SF-36,v2.0)(Ware J,Kosinski M,Bjorner J,Turner-Bowker D,Gandek B,Maruish M.Development.User’s Manual for the SF-36v2(R)Health Survey.Lincoln(RI):QualityMetric Incorporated;2007)及びEuroQol 5-Dimensions 5-Levelsビジュアルアナログスケール(EQ-5D-5L VAS)(Herdman M,Gudex C,Lloyd A,et al.Development and preliminary testing of the new five-level version of EQ-5D(EQ-5D-5L).Qual Life Res.2011;20(10):1727-1736)。Patient Global Impression of Change(PGIC)10及びpatient-identified most bothersome symptom(PI-MBS)(Lipton et al.,Headache.2021 May;61(5):766-776;(Guy W(ed).ECDEU Assessment Manual for Psychopharmacology.Rockville,MD:US Department of Health,Education,and Welfare Public Health Service Alcohol,Drug Abuse,and Mental Health Administration,1976)の項目は、PROMISE-2試験においてのみ記入された。加えて、PROMISE-2における患者は、6-item Headache Impact Test(HIT-6,v1.0)に記入したが(Yang et al.,Cephalalgia.2011;31(3):357-367;Houts et al.,Headache.2020;60(9):2003-2013)、これは、毎日の機能に対する頭痛の影響を測定し、突発性及び慢性偏頭痛集団を対象にバリデーション済みである(Kosinski et al.Qual Life Res 2003;12:963-974;Yang et al.Cephalalgia 2011;31:357-67)。HIT-6スコアは、36~78の範囲に及び、スコアにおける少なくとも6ポイントの低下は、慢性偏頭痛を有する患者にとって意味があるものと見なすことができる(Houts et al.Headache 2020;60:2003-13)。
【0097】
事後解析
最新の事後解析は、1~12週目にわたって最適以下のレスポンダーであり且つ12及び24週目に入手可能な患者報告アウトカムデータを有した患者に限った。最適以下のレスポンダーは、MMDにおけるベースラインからの<50%の減少を有する患者として定義した;レスポンダーは、MMDにおけるベースラインからの≧50%の減少を有する患者として定義した。2つの試験からのデータは、別々に解析した。それぞれの試験について、エプチネズマブ100mg及び300mgの用量アームからのデータを統合した。エプチネズマブ100mg及び300mg用量は、一般に、同様の有効性を有しており、同様にふるまうことが予想され、統合は、推定の精度の増加のためにより大きなサンプルサイズを提供した。1~12週目にわたって測定した以下の臨床的に有益である又は一般的な評価項目は、ロジスティック回帰分析を使用して13~24週目にわたる反応状態の潜在的な予測因子として評価した:MMDにおける変化率、SF-36スケールスコアにおける変化、EQ-5D-5L VASにおける変化及び重度の疼痛の頭痛の率における変化。加えて、以下は、PROMISE-2についてのみ判定した:HIT-6総スコアにおける変化、PGIC及びPI-MBSの重症度における変化。全体のモデルは、12週目/1~12週目のすべての潜在的な予測変数を含んだ。段階的手法は、パラメータを特定するために使用した。段階的選択手法は、5%エントリ(entry)基準及び10%リテンション(retention)基準を使用した。
【0098】
結果
第2の投与のレスポンダー
全体として、PROMISE-1試験における416人の患者(治療された参加者の46.8%)及びPROMISE-2試験における479人の患者(治療された参加者の44.7%)は、1~12週目にわたって<50%のMMD反応を有し、12及び24週目に入手可能な患者報告アウトカムデータを有した。PROMISE-1において、13~24週目にわたる第2のエプチネズマブ注入に対するレスポンダーであった、1~12週目にわたる第1のエプチネズマブ注入に対する最適以下のレスポンダーの割合は、それぞれエプチネズマブ30mg、100mg及び300mgで38.0%(38/100)、37.6%(38/101)及び36.3%(33/91)であり、統合したエプチネズマブ100mg及び300mg用量については37.0%(71/192)であった。プラセボによる対応する率は、33.9%(42/124)であった。PROMISE-2において、13~24週目にわたる第2のエプチネズマブ注入に対するレスポンダーであった、1~12週目にわたる第1のエプチネズマブ注入に対する最適以下のレスポンダーの割合は、それぞれエプチネズマブ100mg及び300mgで28.7%(41/143)及び29.0%(38/131)であり、統合したエプチネズマブ用量レベルについては28.8%(79/274)であった。プラセボによる対応する率は、18.5%(38/205)であった。PROMISE-2における12週目のHIT-6レスポンダーの率(≧6ポイントスコア減少)は、全体として、それぞれエプチネズマブ100mg及び300mgで47.2%(168/356)及び56.0%(196/350)であり、プラセボで36.3%(133/366)であった。第1の投与の最適以下のレスポンダーにおいて、12週目のHIT-6レスポンダーの率は、それぞれエプチネズマブ100mg及び300mgで22.5%(34/151)及び29.6%(40/135)であり、プラセボで23.4%(52/222)であった。
【0099】
第2の投与反応の第1の投与の予測因子
エプチネズマブ100mg及び300mg治療群からの統合データの全体のロジスティック回帰分析(すべての考えられる予測因子を含むモデル)は、1~12週目にわたるMMDにおける変化率が、PROMISE-1及びPROMISE-2試験において、第2の注入≧50%MMD反応の有意な第1の注入の予測因子であることを示した;PROMISE-2試験においてしか評価しなかったHIT-6総スコアにおける変化は、第2の注入反応のさらなる有意な第1の投与の予測因子であった(
図1)。そういうわけで、最終的な段階的ロジスティック回帰分析は、PROMISE1については1つの予測因子(MMDにおける変化率)並びにPROMISE-2については2つの予測因子(MMDにおける変化率及びHIT-6総スコアにおける変化)を含んだ(
図2)。
【0100】
第1の投与の予測因子に基づく第2の投与の反応の確率
PROMISE-1及びPROMISE-2試験における第1の投与の予測因子に基づく第2の投与反応の確率の段階的モデリング結果は、それぞれ、
図3及び4において示され、
図5においてグラフで示される。PROMISE-1についての式は、
【数1】
式中、P
50%は、注入2においてレスポンダーである確率であり、Δ
1は、注入1の間のMMDにおける変化率である(例えば、注入1の間のMMDにおける30%の減少は、結果としてΔ
1=-30になる)。
【0101】
PROMISE-2についての式は、
【数2】
式中、P
50%は、注入2においてレスポンダーである確率であり、Δ
1は、注入1の間のMMDにおける変化率であり、H
1は、ベースラインから注入1の終わりまでのHIT-6スコアにおける変化である(例えば、注入1の間のHIT-6総スコアにおける6ポイントの減少は、結果としてH
1=-6になる)。
【配列表】
【国際調査報告】