(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-20
(54)【発明の名称】ドライバおよび使い捨てプローブを有する自動流体ディスペンサ
(51)【国際特許分類】
A61B 17/00 20060101AFI20240912BHJP
【FI】
A61B17/00 400
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024513017
(86)(22)【出願日】2022-09-15
(85)【翻訳文提出日】2024-04-16
(86)【国際出願番号】 US2022043675
(87)【国際公開番号】W WO2023043934
(87)【国際公開日】2023-03-23
(31)【優先権主張番号】202141042483
(32)【優先日】2021-09-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591013229
【氏名又は名称】バクスター・インターナショナル・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BAXTER INTERNATIONAL INCORP0RATED
(71)【出願人】
【識別番号】501453189
【氏名又は名称】バクスター・ヘルスケヤー・ソシエテ・アノニム
【氏名又は名称原語表記】Baxter Healthcare S.A.
【住所又は居所原語表記】Thurgauerstr.130 CH-8152 Glattpark (Opfikon) Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100140453
【氏名又は名称】戸津 洋介
(72)【発明者】
【氏名】アポルバ, ラージ エムアール
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160CC40
4C160MM32
4C160NN23
(57)【要約】
止血剤または他のシーラントを生物組織に塗布するための例示的な分注デバイス。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プローブユニットであって、
流体状態のシーラントを受容し貯蔵するように構成されたハウジング、
前記ハウジングの遠位端から延在するカニューレであって、前記カニューレが、前記ハウジング内部に貯蔵された前記シーラントと流体連通している、カニューレ、
前記プローブユニットを識別する識別子を無線送信するように構成された識別タグ、および
磁場を提供するように構成された磁石
を含む、プローブユニットと、
ドライバユニットであって、前記プローブユニットが、前記ドライバユニット上に着脱可能に装着されており、前記ドライバユニットが、
前記プローブユニットが前記ドライバユニット上に装着されたことに応答して、前記磁石を検出するように配置されたホールセンサ、
前記ホールセンサが前記磁石を検出したことに応答して、前記プローブユニットの前記識別タグから前記識別子を取得するように構成されたコントローラ、および
前記プローブユニットの前記識別子の表示を表示するように構成されたディスプレイ
を含む、ドライバユニットと、
を備える、分注デバイス。
【請求項2】
前記プローブユニットが、
バルブと、
前記シーラントを貯蔵するように構成されたリザーバであって、前記リザーバが、前記バルブを介して前記カニューレと流体連通している、リザーバと、
前記バルブを介して前記リザーバから前記カニューレへの前記シーラントの流れを動かすように構成されたプランジャと、
をさらに含む、請求項1に記載の分注デバイス。
【請求項3】
前記ドライバユニットが、
前記プローブユニットが前記ドライバユニット上に装着されたときに、前記プランジャを受容し前記プランジャと接続するように構成されたプッシャと、
前記プッシャに結合されており、前記プッシャを作動させて前記プランジャを移動させるように構成されたモータと、
をさらに含み、
前記コントローラが、前記モータを制御するための制御信号を生成し、前記制御信号に基づいて前記リザーバ内部の前記シーラントの量を判定し、かつ前記ディスプレイに前記リザーバ内部の前記シーラントの前記判定された量を表示させるように構成されている、
請求項2に記載の分注デバイス。
【請求項4】
前記識別タグが、近距離無線通信(NFC)タグである、請求項1に記載の分注デバイス。
【請求項5】
前記ディスプレイが、前記ドライバユニットの近位端に配設されている、請求項1に記載の分注デバイス。
【発明の詳細な説明】
【優先権主張】
【0001】
[0001]本出願は、2021年9月20日に出願されたインド仮出願第202141042483号の優先権および利益を主張し、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれ、依拠される。
【背景】
【0002】
[0002]分注デバイスまたはディスペンサは、制御された量の流体を分注するために使用される。医療の場面では、分注された流体には止血マトリックスまたは他のシーラントなどの生物学的シーラントが含まれ得、これは、出血を制御するかまたは血栓に関連するリスクを低減するために組織接着剤として生物組織上に塗布される。例えば、心臓手術または血管の切断/修復を伴う他の外科手術中、深部静脈血栓症または肺塞栓症を潜在的に引き起こし得る血栓を形成するリスクが増加する。分注デバイスを使用して、血管または他の生物組織上に止血マトリックス(または他のシーラント)を分注することによって、これらの種類のリスクを軽減することができる。
【0003】
[0003]ディスペンサは、外科手術および他の医療処置において生物学的シーラントを塗布するために一般的に使用されている。残念ながら、手動ディスペンサは医療従事者にとって負担が大きい。例えば、医療従事者は、誤って手動ディスペンサからの誤った量のシーラントの放出を引き起こす可能性がある。別の例として、外科医は、ディスペンサ内のシーラントの残量が創傷を適切に封止するのに十分ではないことに気付かずに、シーラントを創傷に塗布し始めるかもしれない。特に外科的処置中に、ディスペンサ内でどの程度のシーラントが利用可能であるかを迅速かつ正確に評価することは、外科医にとって負担となり得る。手動ディスペンサはまた、2人以上の患者に誤って使用される可能性があり、これは患者に危険をもたらす場合がある。
【概要】
【0004】
[0004]本開示は、シーラントを分注し塗布するための分注デバイスまたはディスペンサを提供する。本明細書に開示されるディスペンサは、ディスペンサ内で現在利用可能なシーラントの量に関するフィードバックを提供し、これにより、ユーザは、シーラントを分注する前(および/または分注している間)に十分な量のシーラントが存在するかどうかをより正確かつ迅速に評価することが可能になる。ディスペンサはまた、ユーザがシーラントの塗布をより正確に制御することを可能にする強化されたトリガ機構を提供する。
【0005】
[0005]一例では、ドライバユニットと、プローブユニットと、を含む分注デバイスが開示される。プローブユニットは、ドライバユニット上に着脱可能に装着されている。プローブユニットは、シーラントを貯蔵するように構成されたハウジングと、プローブユニットを識別する情報を無線送信するように構成された近距離無線通信(NFC)タグと、を含む。ドライバユニットは、ディスプレイと、モータと、トリガと、コントローラと、を含む。ディスプレイは、NFCタグから受信した情報に基づいてプローブユニットを識別する識別子を表示するように構成されている。トリガは、触覚入力を受信するように構成されている。モータは、触覚入力に基づいてプローブユニットにシーラントをハウジングから吐出させるように構成されている。
【0006】
[0006]本明細書に開示される分注デバイスまたはディスペンサは、止血剤および/または他のシーラントを手動で分注することを必要とするデバイスおよびシステムと比較して利便性を提示することが期待される。
【0007】
[0007]本開示の別の利点は、再使用可能なドライバユニットと、使い捨てプローブユニットと、を含む分注デバイスを提供することである。
【0008】
[0008]本開示の別の利点は、電動補助分注機構を有するシーラントアプリケータ(例えば、シーラントアプライヤ)を提供することである。
【0009】
[0009]本開示の別の利点は、プローブユニットによる分注に利用可能なシーラント流体の量についてユーザにフィードバックを提供し、かつプローブユニットがディスペンサに取り付けられたときにプローブユニットの識別子を表示する、分注システムを提供することである。
【0010】
[0010]本開示の別の利点は、ユーザから受信した触覚入力に応じて、複数の異なるモードのうちの1つに従ってディスペンサを通って流れるシーラントを自動的に動かすように構成されたディスペンサを提供することである。
【0011】
[0011]開示されたシーラントアプリケータ(例えば、シーラントディスペンサ)、システム、および方法の追加の特徴および利点は、以下の詳細な説明および図に記載されており、それらから明らかになるであろう。本明細書に記載の特徴および利点は、包括的なものではなく、特に、多くの追加の特徴および利点が、図および説明を考慮すると当業者には明らかになるであろう。また、任意の特定の実施形態は、本明細書に列挙された利点のすべてを有する必要はない。さらに、本明細書で使用される言語は、主に読みやすさおよび指示目的のために選択されており、本発明の主題の範囲を限定するものではないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本開示による、再使用可能なドライバユニットに取り付けられた使い捨てプローブユニットを含む例示的なシーラントディスペンサの斜視図である。
【
図2】本開示による、例示的なプローブユニットが例示的なドライバユニットから分離された構成における例示的なシーラントディスペンサの斜視図である。
【
図3A】本開示による例示的なドライバユニットの斜視図である。
【
図3C】
図3Aの例示的なドライバユニットの一部分の斜視図である。
【
図4A】本開示による例示的なプローブユニットの斜視図である。
【
図5】本開示による例示的なシーラントディスペンサの一部分の断面図である。
【
図6】本開示による例示的なシーラントディスペンサの別の部分の斜視図である。
【
図7】本開示による例示的なシーラントディスペンサの別の部分の断面図である。
【例示的な実施形態の詳細な説明】
【0013】
[0022]本明細書の例示的なシーラント分注システム(例えば、シーラントディスペンサ、止血剤アプリケータ、止血マトリックスディスペンサなど)は、改善された止血剤流体の塗布および分注機能を提供する。
【0014】
[0023]
図1は、本開示による例示的な流体分注システムまたはディスペンサ100を示している。
図2は、ドライバユニット120から使い捨てプローブユニット160が分離された(例えば、使い捨てプローブユニット160がドライバユニット120上に装着されていない)構成の例示的なディスペンサ100を示している。ディスペンサ100は、手術面(例えば、血管など)にシーラント(例えば、止血マトリックスまたは他の流動性止血剤)を塗布するように構成されている。分注システム100は、充填シリンジ102と、再使用可能なドライバユニット120と、使い捨てプローブユニット160と、を含む。
【0015】
[0024]充填シリンジ102は、プローブユニット160内部のシーラントリザーバ(図示せず)を充填および/または再充填するために使用され得る。具体例では、充填シリンジ102は、5ミリリットル(ml)または10mlシリンジであり得る。他の種類のシリンジも同様に可能である。これを容易にするために、プローブユニット160は、充填シリンジ102を受容するように成形されたバルブ176(
図1に示す)を含む。例えば、ルアーキャップ166(
図2に示す)がプローブユニット160上に取外し可能に配設されて、充填シリンジが接続されてシーラント流体をプローブユニット160内に輸送することができるバルブ176の入口またはポートを露出させるまたは覆うことができる。
【0016】
[0025]いくつかの例では、プローブユニット160は、取外し可能、着脱可能、および/または使い捨てのデバイスとして構成されている。例えば、外科的処置の前または間に、新しい使い捨てプローブユニット160をドライバユニット120上に設置する/ドライバユニット120に取り付けることができる。そして、この例では、外科的処置後に使い捨てプローブユニット160を取り外し廃棄することができる。一般に、汚染または感染などのリスクを回避するように、複数の患者を治療するために同じ内視鏡アプリケータ(例えば、プローブユニット160)を使用することを避けることが望ましい。その目的のために、本開示は、ディスペンサ100全体を交換することなく交換することができる比較的低コストの構成要素として使い捨てプローブユニット160を提供する。
【0017】
[0026]
図3Aは、本開示による例示的なドライバユニット120の一実施形態の斜視図である。
図3Bは、
図3Aの例示的なドライバユニット120の分解図である。
【0018】
[0027]いくつかの例では、ドライバユニット120は、プローブユニット160と同様の異なる使い捨てプローブユニットを受容し、装着し、かつ/または動作させることができる再使用可能なデバイスとして構成されている。
図3Aに最もよく示されているように、ドライバユニット120は、ハンドヘルドデバイス(例えば、ガン形状)として成形され、構成されている。よって、ドライバユニット120(およびより一般にはディスペンサ100)は、外科手術中および/または内視鏡によるシーラントの塗布を実行している間に片手を使用して都合よく保持され操作され得る。図示の例では、ドライバユニット120は、片手でドライバユニット120(および/またはディスペンサ100)を支持/把持するために使用され得るハンドルを形成するように成形されている。
【0019】
[0028]図示のように、ドライバユニット120は、ディスプレイ130およびトリガ132を含む。図示の例では、ディスプレイ130は、ドライバユニット120の近位端122に配設されている。この配置により、本開示は、ユーザがドライバユニット120を保持しながら、手術部位上にシーラントを塗布しながら、かつ/または何らかの他の手術作業を実行しながら、ディスプレイ130上の情報を容易に見ることを好適に可能にする。
【0020】
[0029]一例では、ディスプレイ130は、プローブユニット160内部に現在配設されている(および/または現在分注に利用可能な)シーラントの現在のレベルおよび/または量(例えば、ミリリットル単位)を表示するように構成されている。したがって、本開示のディスペンサ100は、創傷を適切に封止するのに十分な量のシーラントが利用可能であるかどうかを評価する際に、外科医を好適に支援することができる。
【0021】
[0030]一例では、ディスプレイ130は、トリガ132がディスペンサ100の自動モードに割り当てられた触覚入力を検出したときに分注されることとなる固定量のシーラントの値などの、ディスペンサ100の動作パラメータを表示するように構成されている。例えば、ディスペンサ100のユーザは、ユーザがトリガ132を短時間(例えば、100ミリ秒)タップまたは押圧したときに、分注される固定量として1ミリリットルの値を選択することができる。この例では、ディスプレイ130は、外科的処置中にユーザにとって便利なリマインダとして、選択された1ミリメートルの値を表示するように構成され得る。
【0022】
[0031]一例では、ディスプレイ130は、どの特定のプローブユニット160が現在ドライバユニット120上に装着されているかを識別する識別子(例えば、数)を表示するように構成されている。例えば、所与のプローブユニット160は、プローブユニット160がドライバユニット120上に装着されたときにメッセージ(例えば、無線周波数識別子(RFID)コードなど)を送信するように構成され得、さらにディスプレイ130は、その特定のプローブユニット160を識別する識別子を表す値を表示することができる。
【0023】
[0032]ディスプレイ130は、とりわけ、発光ダイオード(LED)ディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)などの任意の種類のディスプレイを含み得る。いくつかの例では、ディスプレイ130は、ユーザがドライバユニット120(および/またはディスペンサ100)を制御するために様々な動作パラメータを選択、調整、および/または設定することを可能にするタッチスクリーンディスプレイである。一例として、ユーザは、タッチスクリーンディスプレイ130を使用して、自動モードで動作しているときにディスペンサ100が分注すべき特定の量のシーラント(例えば、1mlなど)の値を設定することができる。
【0024】
[0033]トリガ132は、ディスペンサ100のユーザからのタッチまたは押圧アクションなどの触覚入力を検出するように構成されている。特定の例では、トリガ132は、シリコンカバー(または他のカバー)と、シリコンカバーによって覆われた触覚スイッチと、を含む。ドライバユニット120は、トリガ132によって検出された触覚入力に基づいてプローブユニット160(および/またはドライバユニット120の1つ以上の構成要素)を制御するように構成されている。特定の例では、トリガ132を動作させるのに必要な力は、比較的低くあり得る(例えば、3ニュートン(N)~12N)。
【0025】
[0034]一例では、ドライバユニット120は、トリガ132が第1の種類の触覚入力(例えば、長押し)を検出したことに応答して、ドライバユニット120(および/またはディスプレイ130)をオンまたはオフに切り替えるように構成されている。
【0026】
[0035]一例では、ドライバユニット120は、トリガ132が第2の種類の触覚入力(例えば、ある特定のパターンの押圧)を検出したことに応答して、ディスペンサ100をプライミングモードで動作させるように構成されている。例えばプライミングモードで動作するとき、ドライバユニット120は、プローブユニット160を自動的に動作させて、カニューレをプライミングするようにプローブユニット160のカニューレを通して特定の量のシーラントを動かすことができる。
【0027】
[0036]一例では、ドライバユニット120は、トリガ132が第3の種類の触覚入力(例えば、ソフトプレス、ショートプレスなど)を検出したことに応答して、自動モードでディスペンサ100を動作させるように構成されている。自動モードでは、ドライバユニット120は、プローブユニット160に固定量のシーラント(例えば、1ミリリットル、半ミリリットルなど)を分注させる。
【0028】
[0037]一例では、ドライバユニット120は、トリガ132が第4の種類の触覚入力(例えば、連続的または長押し、ハードプレスなど)を検出したことに応答して、手動モードでディスペンサ100を動作させるように構成されている。例えば、手動モードでは、ドライバユニット120は、ディスペンサ100のユーザがトリガ132を押圧することを停止するまで、プローブユニットにシーラントを連続的に分注させ得る。
【0029】
[0038]したがって、本開示は、ディスペンサ100のユーザが、従来の止血剤ディスペンサと比較して少ない労力で、特定の制御された様式でディスペンサ100を便利にかつ効率的に動作させる、および/またはシーラント流体(例えば、止血マトリックス)を分注することを好適に可能にする。
【0030】
[0039]図示のように、ドライバユニット120はまた、ドライバユニット120の頂面124に配設されたレール134およびプッシャ136を含む。レール134は、プローブユニット160がドライバユニット120上に装着されたときに、プローブユニット160を受容および/または留めるためのトラックを提供するように構成されている。プッシャまたはラック136は、トリガ132がディスペンサ100のユーザによって押圧されたときに、(例えば、シリンジプランジャなどを押すまたは引くことによって)プローブユニット160から外にシーラントを動かすように構成されている。
【0031】
[0040]
図3Bに最もよく示されているように、ドライバユニット120は、右カバー126と、左カバー127と、複数のねじ128と、複数のインサート129と、を含む。組立て中、右カバー126および左カバー127は、(例えば、ねじ128をインサート129と位置合わせすることによって)結合されて、特定の配置でドライバユニット120の様々な構成要素を支持するフレームを形成する。
【0032】
[0041]ドライバユニット120はまた、鋼または他の固体材料から形成され得るシャーシ138を含む。レール134およびプッシャ136は、シャーシ138の第1の面上に配設されている。ドライバユニット120はまた、モータ140を含み、レール134およびプッシャ136が配設された面とは反対側のシャーシ138の別の面上にウォームシャフト142が配設されている。モータ140は、プッシャ136を(ウォームシャフト142を介して)作動させて、レールまたはトラック134の内側でプッシャ136を前方または後方に移動させるように構成されている。
【0033】
[0042]一例では、モータ140はプッシャ136を作動させて、プローブユニット160にシーラントを分注させる。プローブユニット160によって分注されたシーラントの量(およびシーラントの残量)は、モータ140による作動量を測定するエンコーダ(図示せず)を使用して測定することができる。よって、上記の説明に沿って、ドライバユニット120は、ディスプレイ130を介してプローブユニット160内のシーラントの残量を表示することができる。
【0034】
[0043]ドライバユニット120はまた、リチウムポリマー(LIPO)バッテリーまたは任意の他のバッテリーであり得るバッテリー144を含む。バッテリー144は、ドライバユニット120の様々な構成要素(例えば、ディスプレイ130、トリガ132、モータ140など)に電力を供給する。
【0035】
[0044]ドライバユニット120はまた、ドライバユニット120の近位端122に、ディスプレイ130に隣接して配設されたホールセンサ146を含む。ホールセンサ146は、プローブユニット160内部の磁石(図示せず)を検出するように構成されている。ドライバユニット120は、ホールセンサ146からの信号に基づいて、プローブユニット160がドライバユニット120上に装着された/ドライバユニット120に取り付けられたことを検出するように構成されている。
【0036】
[0045]ドライバユニット120はまた、上述したドライバユニット120の様々な機能および動作を実行するように配線された回路148(例えば、1つ以上のプリント回路基板(PCB))を含む。例えば、ドライバユニット120は、ドライバユニット120の様々な構成要素(例えば、ディスプレイ130、トリガ132、モータ140、ホールセンサ146、バッテリー144など)を制御し、したがってドライバユニット120(および/またはその各構成要素)を上記の説明に従って動作させるための、電気信号を受信および提供するコントローラ150を含む。
【0037】
[0046]一例では、コントローラ150は、ホールセンサ146から、プローブユニット146がドライバユニット120上に装着されていることを示す信号を受信する。これに応じて、コントローラ150は、近距離無線通信(NFC)リーダ(例えば、回路148の構成要素など)を動作させてプローブユニット160のNFCタグ(図示せず)と通信し、それによってプローブユニット160から識別情報(例えば、NFCタグ識別子など)を読み出す。次いで、コントローラ150は、ディスプレイ130を動作させて、NFCタグから受信したプローブユニット160の識別子の表示を表示する。
【0038】
[0047]一例では、コントローラ150は、上記のトリガ132の説明に従ってトリガ132を動作させ、トリガ132による触覚入力の検出を示す信号を受信する。次に、検出された触覚入力に応じて、コントローラ150は、上記の説明に従ってモータ140を動作させてプッシャ136を作動させ、それによって、プローブユニット160に複数の動作モードのうちの1つに従ってシーラントを分注させる。コントローラ150はまた、モータ140によって引き起こされた作動の測定値(例えば、エンコーダなどを介して)に基づいて、プローブユニット160内に分注されたおよび/または残っているシーラントの量を追跡し得る。次いで、コントローラ150は、ディスプレイ130を動作させて、プローブユニット160内部のシーラントの現在の残量を更新および/または表示し得る。より一般には、コントローラ150は、ドライバユニット120の様々な構成要素を動作させてドライバユニット120に上述した様々な機能および動作を実行させるように構成されている。
【0039】
[0048]一例では、コントローラ150は、1つ以上のプロセッサと、1つ以上のプロセッサによって実行されたときに、ドライバユニット120(および/またはその構成要素)に上述した機能および動作を実行させる命令を記憶するメモリと、を含む。代替的または追加的に、コントローラ150は、ドライバユニット120(および/またはその構成要素)に上述した機能および動作を実行させるように配線されたデジタルおよび/またはアナログ回路を含む。
【0040】
[0049]ドライバユニット120はまた、回路148に結合されたユニバーサルシリアルバス(USB)コネクタ152を含む。USBコネクタ152は、ドライバユニット120と外部デバイス(例えば、バッテリー充電器など)との電気的なインタフェースとして構成されている。一例では、USBコネクタ152は、バッテリー144を充電するための電力を受け取るためにバッテリー充電器と取外し可能に接続するように構成されている。一例では、USBコネクタ152は、別のUSB対応外部デバイス(例えば、コンピュータなど)と接続して、外部デバイスと通信し、かつ/または外部デバイスから命令を受信するように構成されている。例えば、外部デバイスは、(USBコネクタ152を介して)コントローラ150と通信して、ドライバユニット120(および/またはその1つ以上の構成要素)を動作させるために使用されるソフトウェアおよび/またはファームウェアを更新することができる。
【0041】
[0050]
図3Cは、ドライバユニット120の一部分(例えば、底面)の斜視図である。
図3Cに最もよく示されているように、USBコネクタ152は、ドライバユニット120が組み立てられたときに(すなわち、右カバー126と左カバー127とが接続されているときに)、ドライバ120の外部環境に曝されている。
【0042】
[0051]
図4Aは、プローブユニット160の例示的な実施形態を示す斜視図である。
図4Bは、
図4Aのプローブユニットの分解図である。プローブユニット160は、近位端162から遠位端164まで長手方向に延在する。プローブユニット160は、ハウジング170と、カニューレ164と、を含む。ハウジング170は、ルアーキャップ166によって覆われたポート(例えば、バルブ176)を介して受容されたシーラント(例えば、止血マトリックス)を貯蔵するように構成されている。
【0043】
[0052]プローブユニット160はまた、ハウジング170/プローブユニット160の近位端162に配設された識別タグ168を含む。識別タグ168は、識別情報(例えば、番号または他の識別子)を記憶するデータストアを含み、かつプローブユニット160がドライバユニット120上に装着された/ドライバユニット120に取り付けられたときに識別情報または識別子をドライバユニット120に無線送信するように構成された無線通信デバイス(例えば、トランスポンダ、トランシーバなど)を含む、電子デバイスである。一例では、タグ168は、プローブユニット160がドライバユニット120上に装着された/ドライバユニット120に取り付けられたときにドライバユニット120からの無線信号によって電力供給(例えば、誘導などによって)される受動デバイス(例えば、無線周波数識別(RFID)タグ、近距離無線通信(NFC)タグ)である。
【0044】
[0053]プローブユニット160はまた、ハウジング170の遠位端163から遠ざかるようにプローブユニット160の遠位端164まで延在するカニューレを含む。カニューレは、シーラント(例えば、止血剤)をハウジング170から(遠位端164で)カニューレ172の外に輸送するための流体チャネルを画定し、その結果、シーラントが生物組織に分注および/または塗布され得る。
【0045】
[0054]
図4Bに最もよく示されているように、ハウジング170は、頂部カバー170aおよび底部カバー170bから形成されている。プローブユニット160がドライバユニット120上に装着された/ドライバユニット120に取り付けられたときに、底部カバー170bは(ドライバユニット120に隣接する)プローブユニット160の底面に位置し、頂部カバー170aは(底面とは反対側の)プローブユニット160の頂面に位置する。
【0046】
[0055]プローブユニット160はまた、ハウジング170の頂面上に(すなわち、頂部カバー170aに)配設された窓174を含む。一例では、窓174は、ユーザがハウジング170の内側の一部分を見ることを可能にするように構成された透明基板(例えば、透明ガラス)を含む。
【0047】
[0056]プローブユニット160はまた、ハウジング170内部(すなわち、頂部カバー170aと底部カバー170bとの間)に配設された、バルブ176、リザーバ178、およびプランジャ180を含む。一例では、バルブ176は、充填シリンジ102(
図1に示す)からハウジングの頂面を通って(例えば、
図4Aの図示のルアーキャップ166によって覆われたバルブ176のポートを介して)リザーバ178に入るシーラントの流れを制御するデュアルチェックバルブである。したがって、プローブユニット160にシーラント流体を充填または再充填するとき、シリンジ102およびリザーバ178は、バルブ176を介して流体連通している。シーラントの分注を容易にするために、デュアルチェックバルブ176は、リザーバ178からカニューレ172へのシーラントの流れを制御する。したがって、カニューレ172は、バルブ176を介してリザーバ178と流体連通している。組み立てられたとき、カニューレ172およびリザーバ178はバルブ176に接続される。
【0048】
[0057]プランジャ180は、プランジャ180がドライバユニット120によって作動されるのに応答して、シーラントをリザーバ178から外に(および/またはリザーバ178内に)移動させるように構成されている。これを容易にするために、プランジャ180は、プランジャ180をドライバユニット120のプッシャ136(
図3Bに示す)と接続するスナップ機構またはコネクタ180aを含む。
【0049】
[0058]プローブユニット160はまた、磁石182を含む。一例では、磁石182には、プローブユニット160の近位端162に配設された任意の種類の永久磁石が含まれる(例えば、プローブユニット160がドライバユニット120上に装着されたときにドライバユニット120のホールセンサ146に隣接しかつ対向する)。磁石182は、プローブユニット160がドライバユニット120上に装着またはドライバユニット120に取り付けられたときにホールセンサ146によって検出される磁場を生成するように構成されている。再び
図3Bを参照すると、例えば、磁石182とホールセンサ146との相互作用により、ドライバユニット120のコントローラ150は、プローブユニット160がドライバユニット160に取り付けられたかつ/またはドライバユニット160上に装着されたことを検出することが可能になる。
【0050】
[0059]
図5は、プローブユニット160がドライバユニット120上に装着されたかつ/またはドライバユニット120に取り付けられた構成における、例示的なディスペンサ100の一部分の断面図である。上述のように(かつ
図5に最もよく示されているように)、いくつかの例では、プローブユニット160がドライバユニット120上に装着されたときに、プローブユニット160の磁石182は、ドライバユニット120のホールセンサ146に隣接して、ドライバユニット120のホールセンサ146から閾値距離内に、かつドライバユニット120のホールセンサ146に対向して配設される。次いで、ホールセンサ146は、プローブユニット160がドライバユニット120上に装着されたことを示す信号を(例えば、ドライバユニット120のコントローラ150に)送信する。次いで、コントローラ150は、タグ168と通信して、プローブユニット160を識別する識別子または他の識別情報を受信し得る。一例では、コントローラ150は、次に、タグ168から受信した識別子の表示をディスプレイ130に表示させ、かつ/またはドライバユニット120の説明において上述した他の機能および動作を実行する。
【0051】
[0060]
図6は、例示的なディスペンサ100の一部分の斜視図である。なお、説明の便宜上、
図6の図示からはディスペンサ100の構成要素のうちのいくつかが省略されている。
【0052】
[0061]
図6に最もよく示されているように、(プローブユニット160の)プランジャ180は、スナップ機構またはコネクタ180aを介して(ドライバユニット120の)プッシャ136に接続されている。
【0053】
[0062]また、
図6に示す例では、ドライバユニット120は、シャフト141と、ギヤ143と、ベアリング145と、を含む。例えば、ギヤ143は、シャフト141を中心として回転することによって、(モータ140によって引き起こされた)ウォームシャフト142の作動運動をプッシャ136に伝達するように構成され得る。これを容易にするために、ギヤ143は、ベアリング145を介してシャーシ138(
図3Bに示すシャーシ)に取り付けられている。
【0054】
[0063]図示されていないが、いくつかの例では、ドライバユニット120はエンコーダも含む。エンコーダは、モータ140に結合されたハードウェア構成要素として、(例えば、
図3Bに示すコントローラ150によって実行される)ソフトウェア構成要素として、またはエンコーダの機能を実行するように配線された任意の他の回路として実装され得る。一例では、エンコーダは、モータ140および/またはウォームシャフト142の角度位置を示す信号を出力する。例えば、エンコーダから出力された信号は、(プローブユニット16の)リザーバ178内部に残っているシーラントの量および/またはリザーバ178から流出するシーラントの量を判定するためにコントローラ150(
図3Bに示す)によって使用され得る。例えば、コントローラ150は、エンコーダからのエンコーダ測定値に基づいて、(ウォームシャフト142、ギヤ143、プッシャ136などを介した)モータ140によるプランジャ180の作動により、プローブユニット160によって分注されたシーラントの体積を計算することができる。
【0055】
[0064]
図7は、プローブユニット160がドライバユニット120上に装着された/ドライバユニット120に取り付けられた構成における例示的なディスペンサ100の一部分の断面図である。なお、説明の便宜上、
図7の図示からはディスペンサ100の構成要素のうちのいくつかが省略されている。
【0056】
[0065]
図7に最もよく示されているように、シャーシ138は、特定の配置で作動アセンブリ(例えば、モータ140、モータシャフト139、ギヤシャフト141、およびギヤ143)を支持するように成形されている。例えば、ドライバユニット120は、モータ140/モータシャフト139がウォームシャフト142を回転させている間にシャーシ138がウォームシャフト142を留めかつ支持するように、ウォームシャフト142の端部をシャーシ138に結合するように構成されたフランジ付きベアリング137を含み得る。次に、ウォームシャフト142の回転はギヤ143を回転させ、これは今度はプッシャまたはラック136に、プランジャ180をリザーバ178内に(またはリザーバ178から外に)押し込ませる(または引き出す)。例えば、プッシャ/ラック136がプランジャ180をリザーバ178内に押し込んだとき、リザーバ内のシーラント(図示せず)はリザーバ178からバルブ176を通ってカニューレ172に流れ得る。
【0057】
[0066]複数または代替の実施形態を有する各構成要素について、実施形態の各々またはいずれかは、前述または後述の実施形態と同じまたは類似の特徴を含み得ることを理解されたい。さらに、本明細書のいくつかの例示的な実施形態は、他の例示的な実施形態よりも少ないまたは多い構成要素を含み得ることを理解されたい。本明細書に記載の主題の態様は、単独で、または本明細書に記載の1つ以上の他の態様と組み合わせて有用であり得る。これらの態様のうちのいずれかが相互に排他的である限りにおいて、そのような相互排他性は、そのような態様が明示的に記載されているか否かにかかわらず、そのような態様と任意の他の態様との組合せを決して限定するべきではないことを理解されたい。これらの態様のうちのいずれも、システム、方法、装置、デバイス、媒体などとして特許請求され得るが、これらに限定されない。
【0058】
[0067]本開示の多くの特徴および利点は、記載された説明から明らかであり、したがって、添付の特許請求の範囲は、本開示のすべてのそのような特徴および利点を網羅することが意図されている。さらに、多数の修正および変更が当業者には容易に想起されるため、本開示は、図示および説明されたような正確な構成および動作に限定されない。したがって、記載された実施形態は、制限ではなく例示として解釈されるべきであり、本開示は、本明細書に与えられた詳細に限定されるべきではなく、現在または将来において予測可能か予測不可能かにかかわらず、以下の特許請求の範囲およびそれらの均等物の全範囲によって定義されるべきである。
【手続補正書】
【提出日】2023-07-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プローブユニットであって、
流体状態のシーラントを受容し貯蔵するように構成されたハウジング、
前記ハウジングの遠位端から延在するカニューレであって、前記カニューレが、前記ハウジング内部に貯蔵された前記シーラントと流体連通している、カニューレ、
前記プローブユニットを識別する識別子を無線送信するように構成された識別タグ、および
磁場を提供するように構成された磁石
を含む、プローブユニットと、
ドライバユニットであって、前記プローブユニットが、前記ドライバユニット上に着脱可能に装着されており、前記ドライバユニットが、
前記ドライバユニットの頂面に配置された少なくとも1つのレールであって、前記プローブユニットが前記ドライバユニット上に装着されたときに、前記プローブユニットを受容および留めるためのトラックを提供するように構成された少なくとも1つのレール、
前記プローブユニットが前記ドライバユニット上に装着されたことに応答して、前記磁石を検出するように配置されたホールセンサ、
前記ホールセンサが前記磁石を検出したことに応答して、前記プローブユニットの前記識別タグから前記識別子を取得するように構成されたコントローラ、および
前記プローブユニットの前記識別子の表示を表示するように構成されたディスプレイ
を含む、ドライバユニットと、
を備える、分注デバイス。
【請求項2】
前記プローブユニットが、
バルブと、
前記シーラントを貯蔵するように構成されたリザーバであって、前記リザーバが、前記バルブを介して前記カニューレと流体連通している、リザーバと、
前記バルブを介して前記リザーバから前記カニューレへの前記シーラントの流れを動かすように構成されたプランジャと、
をさらに含む、請求項1に記載の分注デバイス。
【請求項3】
前記ドライバユニットが、
前記プローブユニットが前記ドライバユニット上に装着されたときに、前記プランジャを受容し前記プランジャと接続するように構成されたプッシャと、
前記プッシャに結合されており、前記プッシャを作動させて前記プランジャを移動させるように構成されたモータと、
をさらに含み、
前記コントローラが、前記モータを制御するための制御信号を生成し、前記制御信号に基づいて前記リザーバ内部の前記シーラントの量を判定し、かつ前記ディスプレイに前記リザーバ内部の前記シーラントの前記判定された量を表示させるように構成されている、
請求項2に記載の分注デバイス。
【請求項4】
前記識別タグが、近距離無線通信(NFC)タグである、請求項1に記載の分注デバイス。
【請求項5】
前記ディスプレイが、前記ドライバユニットの近位端に配設されている、請求項1に記載の分注デバイス。
【国際調査報告】