(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-20
(54)【発明の名称】水素の発生、回収、および分配のための装置、システム、および方法
(51)【国際特許分類】
F03B 13/26 20060101AFI20240912BHJP
C25B 1/04 20210101ALI20240912BHJP
C25B 9/00 20210101ALI20240912BHJP
B63B 35/44 20060101ALI20240912BHJP
B63B 35/00 20200101ALI20240912BHJP
B63H 25/04 20060101ALI20240912BHJP
B63B 25/16 20060101ALI20240912BHJP
B63B 22/02 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
F03B13/26
C25B1/04
C25B9/00 A
B63B35/44 C
B63B35/00 T
B63H25/04 D
B63B25/16
B63B22/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024514094
(86)(22)【出願日】2022-08-30
(85)【翻訳文提出日】2024-04-19
(86)【国際出願番号】 US2022041996
(87)【国際公開番号】W WO2023034270
(87)【国際公開日】2023-03-09
(32)【優先日】2021-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524079007
【氏名又は名称】オーシャナ エナジー カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110000888
【氏名又は名称】弁理士法人山王坂特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パワー,ダニエル イー.,三世
(72)【発明者】
【氏名】ウェーレン,マーク イー.
【テーマコード(参考)】
3H074
4K021
【Fターム(参考)】
3H074AA06
3H074AA08
3H074AA12
3H074CC16
4K021AA01
4K021BA02
4K021DC03
(57)【要約】
本開示の1つの態様によれば、水素を発生するための方法が提供される。前記方法は、沖合現場において水中に設置された水力発電タービンからAC電流を生成することを含む。前記方法は、AC電流をDC電流に変換することと、DC電流を、水力発電タービンの沖合現場において水面よりも上に位置する電解装置に印加することも含む。前記方法は、さらに、電解装置によって水素を発生することを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素を発生するための方法であって、前記方法が、
沖合現場において水中に設置された水力発電タービンからAC電流を生成すること、
前記AC電流をDC電流に変換すること、
前記DC電流を、前記水力発電タービンの前記沖合現場において水面よりも上に位置する電解装置に印加すること、及び、
前記電解装置によって水素を発生すること、
を含む、方法。
【請求項2】
前記水素を発生することが、水から水素ガスを放出することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
さらに、極低温プロセスによって前記水素ガスを液化することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
さらに、前記水力発電タービンの前記沖合現場において前記液化水素を回収することを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
さらに、前記回収された液化水素を1つ以上の陸上現場に分配することを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記回収された液化水素を分配することが、前記回収された液化水素を1つ以上の極低温タンカーによって輸送することを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
さらに、
前記沖合現場において前記水素ガスを回収すること、及び
前記水素ガスを前記沖合現場から陸上現場に輸送すること、
を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
水素を発生および分配するための方法であって、前記方法が、
1つ以上のエネルギー回収自律水上航行船を沖合現場においてプラットフォームに接続すること、ここで前記1つ以上のエネルギー回収自律水上航行船のそれぞれは電気エネルギー発生システムを支持し、前記プラットフォームは電解装置を支持しており、
前記1つ以上のエネルギー回収自律水上航行船の各電気エネルギー発生システムによって電気エネルギーを発生すること、
前記発生した電気エネルギーを使用して、前記プラットフォーム上で前記電解装置を作動すること、及び、
前記電解装置によって水素ガスを発生すること、
を含む、方法。
【請求項9】
さらに、
前記プラットフォームによって支持された極低温液化システムによって前記発生した水素ガスを液化すること、及び、
前記液化水素を前記プラットフォームから陸上現場に輸送すること、
を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記プラットフォームが半潜水プラットフォームを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記プラットフォームが自律水上航行船を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
さらに、前記自律水上航行船を水面係留ブイに取り外し可能に接続することを含み、前記水面係留ブイは前記沖合現場に投錨されている、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
さらに、前記自律水上航行船を前記水面係留ブイから切り離し、前記水面係留ブイの前記沖合現場以外の地点まで前記自律水上航行船を動かすことを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記1つ以上のエネルギー回収自律水上航行船を前記プラットフォームに接続することが、複数のエネルギー回収自律水上航行船を前記プラットフォームに接続することを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項15】
さらに、前記複数のエネルギー回収自律水上航行船をチェーンとして互いに接続することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記電気エネルギー発生システムが水力発電タービン、風力タービン、またはソーラーパネルの少なくとも1つを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項17】
さらに、前記プラットフォームから前記エネルギー回収自律水上航行船の1つ以上を切り離し、前記プラットフォームの前記沖合現場以外の地点に前記1つ以上のエネルギー回収自律水上航行船を動かすことを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項18】
沖合現場から水素を発生、回収、および分配するためのシステムであって、前記システムが、
沖合現場において水体中で設置され、前記沖合現場において水面よりも上に機器を支持するように構成されたプラットフォームと、
前記プラットフォームによって支持された電解装置と、
電気エネルギーを伝送するように構成されたケーブルによって前記プラットフォームに接続されるように構成された1つ以上のエネルギー回収自律水上航行船であって、前記1つ以上のエネルギー回収自律水上航行船のそれぞれは、前記ケーブルによる前記電解装置への伝送のための電気エネルギーを発生するように構成された電気エネルギー発生システムを含む、1つ以上のエネルギー回収自律水上航行船と、
を含み、
前記電解装置は前記電気エネルギーから水素ガスを発生するように構成される、システム。
【請求項19】
前記1つ以上のエネルギー回収自律水上航行船が、ともに接続されたエネルギー回収自律水上航行船のチェーンとして互いに接続するように構成された複数のエネルギー回収自律水上航行船を含む、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記電気エネルギー発生システムが水力発電タービン、風力タービン、またはソーラーパネルの少なくとも1つを含む、請求項18に記載のシステム。
【請求項21】
さらに、前記プラットフォームによって支持された極低温液化システムを含み、前記極低温液化システムは前記水素ガスを液化するように構成される、請求項18に記載のシステム。
【請求項22】
さらに、前記プラットフォームによって支持された貯蔵タンクを含み、前記貯蔵タンクは前記液化水素を回収するように構成される、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
さらに、前記貯蔵タンクを前記プラットフォームから陸上現場に輸送するように構成された極低温タンカーを含む、請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
前記プラットフォームが半潜水プラットフォームを含む、請求項18に記載のシステム。
【請求項25】
前記プラットフォームが自律水上航行船を含む、請求項18に記載のシステム。
【請求項26】
さらに水面係留ブイを含み、前記水面係留ブイは前記沖合現場において投錨し、前記自律水上航行船と接続するように構成される、請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
投錨構造体に船舶を自律的に接続するためのシステムであって、前記システムが、
前記船舶上に取り付けられた第1の接続装置であって、インターロックシステムの第1の部分を含む第1の接続装置と、
前記投錨構造体上に取り付けられた第2の接続装置であって、前記第2の接続装置は前記インターロックシステムの第2の部分を含み、前記インターロックシステムの前記第2の部分は、人間の介入なしに前記投錨構造体に前記船舶を固定するために前記インターロックシステムの前記第1の部分と係合するように構成される、第2の接続装置と、
を含む、システム。
【請求項28】
前記船舶が自律水上航行船である、請求項27に記載のシステム。
【請求項29】
前記投錨構造体が海面係留ブイである、請求項27に記載のシステム。
【請求項30】
前記海面係留ブイが海軍海洋気象自動装置(NOMAD)、ディスカス、または沿岸ブイである、請求項29に記載のシステム。
【請求項31】
前記インターロックシステムが機械的インターロックシステムを含み、前記機械的インターロックシステムの前記第1の部分は2軸関節式接続ストラットを含み、前記機械的インターロックシステムの前記第2の部分は2軸関節式レセプタクルを含む、請求項27に記載のシステム。
【請求項32】
前記第1および第2の接続装置のそれぞれが機械的アクチュエータを含み、前記機械的アクチュエータは前記関節式接続ストラットおよび前記関節式レセプタクルのそれぞれの高度および方位角を制御するように構成される、請求項31に記載のシステム。
【請求項33】
前記第1および第2の接続装置のそれぞれが位置センサを含む、請求項32に記載のシステム。
【請求項34】
前記第1および第2の接続装置のそれぞれがプロセッサを含み、各プロセッサは、前記位置センサからの信号を受信し、前記信号に基づいて前記船舶に速度および方向のガイダンスを提供するように構成される、請求項33に記載のシステム。
【請求項35】
前記第1および第2の接続装置のそれぞれが短距離無線トランシーバを含み、各無線トランシーバは、前記位置センサからのデータおよび前記プロセッサからの指示を前記機械的アクチュエータに転送するように構成される、請求項34に記載のシステム。
【請求項36】
前記第2の接続装置が、電池、ソーラーパネル、風力タービン発電機、および/または水力発電タービン発電機を含む電力貯蔵装置を備える、請求項35に記載のシステム。
【請求項37】
前記船舶は、1つ以上の水力発電タービンが搭載および設置されように構成される、請求項27に記載のシステム。
【請求項38】
前記船舶が電解装置を支持するように構成される、請求項27に記載のシステム。
【請求項39】
投錨構造体に船舶を自律的に接続する方法であって、前記方法が、
前記船舶を前記投錨構造体に自律的に航行させること、
前記船舶上の第1の接続装置を前記投錨構造体上の第2の接続装置と接続すること、
前記第1および第2の接続装置の間で位置データを交換すること、及び、
前記第1の接続装置上のインターロックシステムの第1の部分を前記第2の接続装置上のインターロックシステムの第2の部分と係合して、人間の介入なしに前記投錨構造体に前記船舶を固定すること、
を含む、方法。
【請求項40】
前記投錨構造体に前記船舶を自律的に航行させることが、海面係留ブイに前記船舶を自律的に航行させることを含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記第1の接続装置を前記第2の接続装置と接続することが、前記第1および第2の接続装置の間の短距離無線接続を確立することを含む、請求項39に記載の方法。
【請求項42】
前記第1および第2の接続装置の間で位置データを交換することが、前記船舶の接近速度、距離、および方向を監視することを含む、請求項39に記載の方法。
【請求項43】
前記インターロックシステムの前記第1の部分を前記インターロックシステムの前記第2の部分と係合することが、前記第1の接続装置上の接続ストラットを前記第2の接続装置上のレセプタクルと係合することを含む、請求項39に記載の方法。
【請求項44】
前記接続ストラットを前記レセプタクルと係合することが、前記接続ストラットの端部のプランジャを前記レセプタクルのばね付勢ラッチ機構に挿入することを含む、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記船舶は、1つ以上の水力発電タービンが搭載および設置されるように構成される、請求項39に記載の方法。
【請求項46】
前記船舶が電解装置を支持するように構成される、請求項39に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、「水素の発生、回収、および分配のための装置、システム、および方法(Devices, Systems, and Methods for Hydrogen Generation, Collection, and Distribution)」という名称の2021年8月30日出願の米国仮特許出願第63/238,538号の優先権を主張し、その内容全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、一般的に、最終生成物として電気を生成するために有用な水素の発生、回収、および分配のためのシステムおよび方法に関する。より具体的には、本開示は、水素を発生、回収、および分配するための堅牢なシステムを達成するために種々の水利用技術を使用する水力発電エネルギーシステムの設置に関する。
【背景技術】
【0003】
序論
本明細書において使用される項の見出しは、単に構成上の目的のものであり、記載された主題を何ら限定するものではない。
【0004】
現在、再生可能エネルギー源を利用し、炭素ベースのエネルギー生成への依存を低下させることについて、世界中で関心が高まっている。例えば、風または水流などの流体流から変換される発電など、化石燃料への依存を低減するための種々のエネルギー生成技術が開発されている。このようなエネルギー変換システムは多くの場合にタービンに依存しており、ブレードが(例えば風または水からの)流体の流動と相互作用し、ロータを回転させ、発電機を回転させて発電する。
【0005】
水力発電エネルギーシステムにおいては、動く水体(例えば、河川、海、または他の流動源)または他の流体源の流動から発電するために水力発電タービンが用いられる。潮汐電力は、例えば、潮汐流動による水の動き、または潮汐による水位の上昇および低下を利用する。水が上昇した後に下降すると、流れまたは流体の流動が発生する。例えば河川からの一方向流も、発電に利用可能な流動を発生する。
【0006】
電力系統への配電のための電気の生成以外に、流体流エネルギー変換システム等の再生可能エネルギー源は、これらのシステムで生成された電気で電解機器(電解装置)を動作させることにより、水素を生成するために使用できる。電解プロセスによって発生する水素は、非炭素ベースの燃料として貯蔵して使用できる。電解は、一般に、水素を生成する効率的な方法とみなされる。例えば、現在利用可能な技術を使用すると、電解は約75パーセントの効率で水素を生成する。そのため、約39.4kWhのエネルギーを保有する1キロの純粋な水素燃料を生成するには、約52.5kWhの電気が必要となる。電解効率を約95パーセントまで改善すると、1キロの水素燃料を発生するのに必要な電気は約41.5kWhのみとなる。電解効率を増大させるために、本開示の実施形態は、例えば高温電解装置を利用することを想定する。
【0007】
水力発電エネルギーシステムは、大きい水体に依存して共存するため、電解を使用する水素の生成に特に好適な場合がある。しかしながら、このような技術を実装し、費用対効果が高く、堅牢な、かつ確実な水素の発生、回収、および分配を達成するには、様々な課題がある。例えば、一般的な水環境、および陸地から比較的遠い水環境における水力発電エネルギーシステムの設置においては、過酷な環境条件からの機器の保護、システムを設置するための現場へのアクセス、現場からの水素の回収、および/または回収現場から離れている場所へ水素を供給して直接分配することなどが困難である。
【0008】
よって、上述の課題を解決し、水力発電エネルギーシステムなどの再生可能エネルギー源を使用して水素の発生、回収、および分配を可能にし、コスト効率がよく、堅牢かつ確実であり、かつ比較的低い均等化発電原価を達成する装置、システム、および方法を開発する必要がある。
【発明の概要】
【0009】
本開示の例示的な実施形態は、上述の望ましい特徴の1つ以上を示す。他の特徴および/または利点は以下の記載から明らかになるであろう。
【0010】
付加的な目的および利点は以下の説明において部分的に記載され、その一部は説明から明らかになるか、または本教示を実施することにより分かり得る。本開示の目的および利点の少なくとも一部は、特に添付の特許請求の範囲において明示された要素および組み合わせによって実現および達成できる。
【0011】
本開示の1つの態様によれば、水素を発生するための方法が提供される。前記方法は、沖合現場において水中に設置された水力発電タービンからAC電流を生成することを含む。前記方法は、AC電流をDC電流に変換することと、DC電流を、水力発電タービンの沖合現場において水面よりも上に位置する電解装置に印加することとも含む。前記方法は、さらに、電解装置によって水素を発生することを含む。
【0012】
本開示の別の態様によれば、沖合現場から水素を発生、回収、および分配するためのシステムが提供される。前記システムは、沖合現場において水体中に設置し、沖合現場において水面よりも上に機器を支持するように構成されたプラットフォームを含む。前記システムは、プラットフォームによって支持された電解装置も含む。前記システムは、さらに、電気エネルギーを伝送するように構成されたケーブルによってプラットフォームに接続するように構成された1つ以上のエネルギー回収自律水上航行船(Automonous surface energy collection vessels)を含む。1つ以上のエネルギー回収自律水上航行船のそれぞれは、ケーブルによる電解装置への伝送のための電気エネルギーを発生するように構成された電気エネルギー発生システムを含み、電解装置は電気エネルギーから水素ガスを発生するように構成される。
【0013】
本開示のさらに別の態様によれば、投錨構造体に船舶を自律的に接続するためのシステムが提供される。前記システムは、船舶上に取り付けられた第1の接続装置を含む。第1の接続装置はインターロックシステムの第1の部分を含む。前記システムは、投錨構造体上に取り付けられた第2の接続装置も含む。第2の接続装置はインターロックシステムの第2の部分を含む。インターロックシステムの第2の部分は、人間の介入なしに投錨構造体に船舶を固定するためにインターロックシステムの第1の部分と係合するように構成される。
【0014】
本開示のさらなる態様によれば、投錨構造体に船舶を自律的に接続する方法が提供される。前記方法は、投錨構造体まで船舶を自律的に航行させることを含む。前記方法は、船舶上の第1の接続装置を投錨構造体上の第2の接続装置と接続することも含む。前記方法は、第1および第2の接続装置の間で位置データを交換することも含む。前記方法は、さらに、第1の接続装置上のインターロックシステムの第1の部分を第2の接続装置上のインターロックシステムの第2の部分と係合して、人間の介入なしに投錨構造体に船舶を固定することを含む。
【0015】
上述の一般的な記載および以下の詳細な記載はいずれも例示的かつ説明的であって、均等物を含む本開示および特許請求の範囲を制限しないことは理解されるべきである。本開示および特許請求の範囲は、例示的な態様および実施形態の1つ以上の特徴を有することなしに最も広い意味で実施され得ることは理解されるべきである。例えば、当業者であれば、水素の発生、回収、および分配に関係する以下の詳細な記載が例示であり、開示される装置、システム、および方法が種々の構成要素を有することができ、これらが種々の半潜水プラットフォーム、水力発電エネルギーシステム、エネルギー回収自律水上航行船(ASECV)、ウォータークラフト(例えばタンカー)、および陸上の車両を利用して、再生可能エネルギー源として使用される水素を発生、回収、および分配することを理解するであろう。
【0016】
本明細書に組み込まれかつその一部を構成する添付の図面は、本開示の種々の非限定的な実施形態を示し、その説明とともに、ある原理を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本開示による水素の生成、回収、および分配のシステムおよび方法の要素を示す概略的なフロー図である。
【
図2A】本開示の実施形態による改造前における石油掘削のための半潜水プラットフォームの上面図である。
【
図3A】本開示の実施形態による改修後の
図2Aの半潜水プラットフォームの上面図である。
【
図4】本開示の実施形態による投錨装置を有する
図3Aの半潜水プラットフォームの側面図である。
【
図5】
図3Aの半潜水プラットフォームの上面図であり、エネルギー回収自律水上航行船の複数のチェーンが本開示の実施形態による半潜水プラットフォームに接続されている。
【
図6】本開示の実施形態によるエネルギー回収自律水上航行船(ASECV)の前面図である。
【
図10】
図6のASECVの左側面図であり、水力発電タービンが、本開示の実施形態によるタービン支持構造によって上昇した位置に水から揚げられている。
【
図11】自律水上航行船(ASV)の側面図であり、本開示の別の実施形態によるモジュール式ユニットおよび接続バーを含む。
【
図13】
図11のASV上のモジュール式ユニットの模式図である。
【
図14】本開示の実施形態によるモジュール式ユニットの例示的な実施形態の斜視図である。
【
図15A】プラットフォームによって利用される例示的な自己推進システムを有する
図11のASVの模式図である。
【
図16】本開示の実施形態による自律的接続ブイ(ACB)に接続された
図11のASVの概略側面図である。
【
図17】
図16のACBに接続されたASVの上面図であり、接続バーが未展開の状態を示す。
【
図18】
図16のACBに接続されたASVの上面図であり、接続バーが部分的に展開された状態を示す。
【
図19】
図16のACBに接続されたASVの上面図であり、接続バーが展開された状態を示す。
【
図20】本開示の実施形態による
図16のACBに接続されたASVの上面図であり、接続バーが展開された状態で、接続バーに接続された複数のASECVを示す。
【
図21】本開示の実施形態による自律的接続システムの上面図であり、自律航行バージに接続する自律的接続ブイを示す。
【
図23】本開示の実施形態による陸上地点への水素ガスの輸送のためのパイプラインに接続された
図11のASVの概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
水中タービンなどの水力発電システムを使用するエネルギーの生成においては、発電施設がさらに沖合に位置するため、課題がある。このような課題としては、タービンを設置させるための比較的複雑な係留システムの使用や、電力を発生源から陸上地点に伝送するための長いケーブル敷設などがある。このような課題を解決するために、本開示の実施形態による方法およびシステムは、化石燃料に基づく技術のエネルギー生成代替を提供しながら、水中タービンを利用して発電し、水中タービンが設置された場所に設けられた電解装置を稼働させて水素を発生する。これにより、比較的効率的かつ経済の陸上輸送し、下流のエネルギー生成に利用できる。
【0019】
1つ以上の水力発電タービンによって電気を発生し、発生した電力を水素燃料源に変換する(すなわち、ある形態の水素を電気から発生する)ためのシステムおよび方法の1つの実施形態の概略的なフロー図である
図1を参照する。フロー図では、1つ以上の洋上タービン(
図1の概略図に図示されているもの)、例えば水中水力発電タービンが設置および使用されて、タービンの発電機によってAC(交流)電気を発生する。当業者であれば、種々の水力発電タービンが使用できることを理解するであろう。
図1のシステムおよび方法に使用できる水力発電タービンの非限定的な実施形態は、「流体の流れから発電するためのシステム(System for Generating Electricity from Fluid Currents)」という名称の米国特許第7,453,166号、「エネルギー変換システムおよび方法(Energy Conversion Systems and Methods)」という名称の米国特許第9,359,991号、「水力発電タービン、投錨構造、及び関連する組み立て方法(Hydroelectric Turbines, Anchoring Structures, and Related Methods of Assembly)」という名称の米国特許第10,389,209号、「水力発電エネルギーシステム、及び関連する構成要素及び方法(Hydroelectric Energy Systems, and Related Components and Methods)」という名称の米国特許第10,544,775号、「水力発電エネルギーシステムおよび方法(Hydroelectric Energy Systems and Methods)」という名称の米国特許出願公開第2021/0190032号、および「環状磁性ギヤおよび関係するシステム(Orbital Magnetic Gears and Related Systems)」という名称の国際特許出願公開第WO/2020/118151号に開示され、これらは参照によって本明細書に組み込まれる。当業者であれば理解できるように、
図1に示されるシステムおよび方法は、電解という工程により、水力発電タービンによって発生する電流によって動力供給される電解装置を使用して、水の水素原子および酸素原子の間の結合を分断し、水素ガスおよび酸素ガスを放出することができる。種々の実施形態においては、電解装置を水力発電タービンの現場に設けることによって、エネルギーの損失は、特に伝送ケーブルを介してより離れた陸上地点に送電する場合に比べて、比較的最小限に抑えられる。電解工程の電流は再生可能エネルギー源から発生するので、電解工程で生成された水素をゼロエミッション燃料源として、大気中にさらに炭素を放出することなく全工程を行うことができる。
【0020】
化石燃料などの炭素ベースのエネルギー源と同様に、水素は、特に液体状態では比較的容易に貯蔵および輸送可能なエネルギーである。
図1に示されるように、システムおよび方法は、さらに、電解装置から生成された水素(例えば液体水素)を例えば貯蔵タンクに回収および貯蔵することを含み、水素は沖合の水素発生施設から例えば極低温タンカーによって陸上施設に輸送可能で、燃料源として分配される。発生した水素燃料は、例えば、水素エンジンおよび/または燃料電池に使用することができ、(例えば住居を暖房および照明するために)ローカルな電力系統に集約されて自動車もしくはジェット燃料源として、または当業者には周知の他の燃料源としてそのまま使用することができる。
【0021】
沖合に位置する水力発電タービンなどの再生可能エネルギー源を使用して水素の発生、回収、および分配を効率的に実施できるようにするために、本開示のシステムおよび方法では、エネルギー回収自律水上航行船(ASECV)を利用して、水力発電タービン(例えば
図6~10参照)および発生プラットフォーム、例えば、転用された半潜水プラットフォーム(例えば
図2~5参照)および/または係留された自律水上航行船(例えば
図11~22参照)を、沖合の水素発生施設としての役割を果たすように配備することを想定する。これらについては、以下で詳細に説明する。
【0022】
1つの実施形態によれば、
図2A~
図4に示されるように、種々の半潜水プラットフォームを使用できるが、石油掘削産業において従来から使用されている半潜水プラットフォーム20を利用することが有益かつより低コストな場合があり、その場合、電解プラント(電解装置11)、(電解装置11によって生成された水素ガスを液化する)極低温液化システム16、および液体水素貯蔵タンク12を含むように転用および改修される。
図3Aおよび
図3Bの改修された半潜水プラットフォーム20の図において示されるように、半潜水プラットフォーム20は、さらに、液体水素を半潜水プラットフォーム20上の貯蔵タンク12からタンカー30上の液体水素貯蔵タンク12’に、半潜水プラットフォーム20から遠い方への(例えば陸地へ)液体水素を輸送するために移送するように構成される。
図4に示されるように、例えば、海底25に埋め込まれ、半潜水プラットフォーム20に錨索21を介して繋げられている錨22によって、半潜水プラットフォーム20は沖合に投錨し得る。このようにして、半潜水プラットフォーム20は(例えば動力船によって)牽引され、周辺環境に対する影響を最小限に抑えた状態で選択された沖合現場に設置できるとともに、必要に応じて新たな地点に容易に移設できる。
【0023】
当業者であれば、
図2A~
図4に示される半潜水プラットフォーム20は例示であり、本システムおよび方法が想定する半潜水プラットフォームは、本開示および特許請求の範囲から逸脱することなく種々の構成および構成要素を有することができることを理解するであろう。本システムおよび方法が想定する半潜水プラットフォームは、開示される投錨システムを含むがこれに限定されない選択された沖合現場に半潜水プラットフォーム20を設置するための種々の技術および方法を利用してもよい。当業者であれば、さらに、半潜水プラットフォーム20上で発生および貯蔵される液体水素が、半潜水プラットフォームを離れて(例えば再度陸地に)、当分野において公知の輸送車両、システム、および/または方法によっても移送できるということを理解するであろう。本開示の種々の追加の実施形態は、発生した水素を再度陸地に直接的にそのガス形態で輸送することも想定する。このような実施形態においては、半潜水プラットフォーム20は極低温プラント16の設置を省くことができる。
【0024】
図5に示されるように、本開示の種々の実施形態によれば、単一の係留された半潜水プラットフォーム20を使用し、1つ以上のエネルギー回収自律水上航行船(ASECV)100の連続チェーン(連結体)140を連結し、これらがDC電力を連続的に発生し、この電力を電力/係留ケーブル102によって半潜水プラットフォーム20に伝送する。ASECV100の各連続チェーン140は1つ以上のASECV100を含み、これらは電力/係留ケーブル102およびカプラ125によってともに連結される。
図5に示されるように、種々の実施形態によれば、1つのASECV100からのケーブル102は、別のASECVのカプラ125と係合して2つのASECV100をともに連結し得る。同様に、ASECVの各チェーン140は、半潜水プラットフォーム20のデッキ1上のカプラ125によって半潜水プラットフォーム20のデッキ1に連結し得る。種々の実施形態は、さらに後述のように、当業者に周知のウェットメイトコネクタを利用して2つのASECVをともに連結することおよび/またはASECVのチェーンを半潜水プラットフォーム20に接続することを想定することができる。
【0025】
各ASECV100は、例えば、水力発電タービン111を搭載および設置されるように構成でき、これは、半潜水プラットフォーム20が設置されている水体の流動(例えば、海流または水体からの他の流動)から電気を発生するように構成される。種々の実施形態によれば、そのような水力発電タービンは、動かない部材(例えばステータ)と、ステータの外側周縁表面から半径方向外向きに配設され(例えば、ステータの周りに同心的に配設され)かつ回転軸を中心としてステータの周りを回転するように構成されている回転部材(例えばロータ)とを含むことができる。そのようなタービンは、例えば、ロータに対して半径方向内向きにおよび半径方向外向きの両方に延びる複数のブレード部分を有することができる。このように、タービンは、ロータの回転軸と全体的に平行な指向性の成分の流れを有する流体流がブレード部分に対して作用して回転軸を中心としてロータを回転させ得るようにして流体中に位置しなければならない。使用され得る非限定的な実施形態の水力発電タービンは、例えば、「流体の流れから発電するためのシステム(System for Generating Electricity from Fluid Currents)」という名称の米国特許第7,453,166号、「エネルギー変換システムおよび方法(Energy Conversion Systems and Methods)」という名称の米国特許第9,359,991号、「水力発電タービン、投錨構造、及び関連する組み立て方法(Hydroelectric Turbines, Anchoring Structures, and Related Methods of Assembly)」という名称の米国特許第10,389,209号、「水力発電エネルギーシステム、及び関連する構成要素及び方法(Hydroelectric Energy Systems, and Related Components and Methods)」という名称の米国特許第10,544,775号、「水力発電エネルギーシステムおよび方法(Hydroelectric Energy Systems and Methods)」という名称の米国特許出願第2021-0190032号、および「環状磁性ギヤおよび関係するシステム(Orbital Magnetic Gears and Related Systems)」という名称の国際特許出願公開第WO/2020/118151号に記載され、これらの内容それぞれはその全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0026】
上述したように、ASECV100によって支持された水力発電タービン111が使用されて、DC(直流)電力を連続的に発生させ、この電力を半潜水プラットフォーム20に電力/係留ケーブル102によって伝送し、DC電力は電解装置によって使用されて水素ガスを発生する。種々の実施形態においては、例えば、AC電流が水力発電タービン111によって直接的に発生する(例えば、当業者に周知の発電機を回すことによる)。そして、AC電流が整流器(図示せず)を通して流されて、AC電流をDC電流に変換し、これが電解装置に供給される。このように、整流器(図示せず)も各ASECV100上に設け、電流を電力/係留ケーブル102によって電解装置11に伝送することに先立って、各タービン111の内部で発生するAC電流をDC電流に変換し得る。それから、電解装置によって生成された水素ガスは、極低温液化システム16によって液体状態に極低温冷却され、分配のために半潜水プラットフォーム20にドッキング可能なタンカー30などの船舶によって陸地に輸送されるまで、液体水素貯蔵タンク12に貯蔵される。
【0027】
水力発電エネルギーシステムおよびそれらの関連部品の上述の実施形態は非限定的であり、本システムおよび方法は様々な種類および構成の水力発電エネルギーシステムに使用できる。さらに、本開示は、水力発電、風、およびソーラーエネルギー源を含むがこれらに限定されない種々の再生可能エネルギー源によって発生したDC電流を利用して水素を発生、回収、および分配するための開示されるシステムおよび方法を利用することを想定し、本明細書において詳細に説明される例示的な水力発電タービンに限定されるものではない。このような再生可能エネルギー発生システムであれば、ASECVによって半潜水プラットフォームにおいて水力発電タービンの代えて同様に配備することができる。
【0028】
図5~
図10に示されるように、本開示の実施形態は、1つ以上のエネルギー回収自律水上航行船(ASECV)100を利用して、オンボード水力発電タービン111、例えば上述のものを搭載および設置することを想定する。各ASECV100は、例えば、タービン支持構造112を有するハル110を含むことができる。ある実施形態では、ハル110はカタマランハルであり得るが、他のハル構成が本開示の範囲内で想定される。種々の実施形態によれば、タービン支持構造112は、ハル110が浮かぶ流体135中において水力発電タービン111を支持するように構成され、その結果、ロータ126の回転軸Aと全体的に平行な指向性の成分の流れFを有する流体流がブレード部分127に対して作用して、回転軸Aを中心にしてロータ126を回転させ得る(
図7および
図8参照)。しかしながら、本開示のタービンは種々の変化する方向の流体流によって運転するように構成でき、例えば潮汐流動の干満両方、ならびに例えば河川流などの一方向のみから来る流動によって運転するように構成されるということは、当業者であれば理解するであろう。
【0029】
ある実施形態によれば、タービン支持構造112は、さらに、タービン111がエネルギーを回収するためにハル110の下にかつ流体流中に位置する第1の設置位置(
図6~
図9参照)と、水力発電タービン111がASECV100の自律的操船を可能にするように流体から外に(すなわち喫水線よりも上に)上昇させられる第2の格納位置(
図10参照)との間において、水力発電タービン111を上昇および下降させるように構成される。
【0030】
種々の実施形態によれば、各ASECV100は、半潜水プラットフォーム20におよびそれから自律的に航行するように、半潜水プラットフォーム20から接続および切り離すように、ならびにそのそれぞれの連続チェーン140から連結および連結解除するように構成される。このようにして、いずれかのASECV100をチェーン140から連結解除し、メンテナンスのために所定の地点に自律的に航行しながら、残りのASECV100およびいずれかの取り換え用ASECVは必要に応じて自律的にともに再連結し得る。さらにまた、ASECV100およびそれらのペイロード(例えば水力発電タービン111)の損傷を防止するために、全てのASECV100は、各連続チェーン140から順番に連結解除し、嵐または損傷を引き起こし得る他の事象の予測された経路から遠い方に所定の安全な地点まで自律的に航行し得る。これにより、事象の脅威が過ぎ去ると、ASECV100は順番に再連結して、各連続チェーン140を再形成し得る。
【0031】
種々の実施形態によれば、本開示のシステムおよび方法は、半潜水プラットフォーム20に自律的に接続し/切り離し、別のASECV100に(すなわち連続チェーン140として)連結する/連結解除するための、オンボードセンサ119および120ならびに制御システム(コントローラ109に収められている)を含むASECV100を利用してもよい。自動化された接続/連結のために、ASECV100は、例えば、(半潜水プラットフォーム20または別のASECV100どちらかの上の)カプラ125のケーブルレセプタクル115に接近し得る。例えばカプラ125上のビデオカメラ105によるオンボードビデオカメラ映像が使用されて、制御信号をリニアアクチュエータ106およびスラストベクタリング推進システム(例えば、プロペラ117およびサイドスラスタ118)に提供し得る。リニアアクチュエータ106は、互いに対して90度で取り付けられ、鉛直/水平よりもむしろカタマランハルなどのハルへ取り付やすい角度で配置され得る。関節式ケーブルストラット103の前部は、ストラット103およびアクチュエータ106の形状によって設定される半径内に動的に位置して、接続/連結を補助する。ひとたび接続/連結されると、ウェットメイトコネクタ101が電力、データ、および機械的接続を電力/係留ケーブル102に提供し得る。電力/係留ケーブル102は、それから、ウインチ/リールシステム108を使用して所望の離間距離まで繰り出され得る。同様に、ASECV100が別のASECV100に連結しているときには、「受け取り側の」ASECV100はビデオカメラ105およびスラストベクタリング推進システムを使用して、連結中における少なくとも水平軸上の整列を補助し得る。
【0032】
切り離す/連結解除するときに、ウェットメイトコネクタ101は機械的に解除され、ウインチ/リールシステム108はケーブル102をストラット103に引き入れ、その結果、ASECV100は自律的操船、航行、および最終的な再接続/連結ができる。
【0033】
当業者であれば、
図6~
図10を参照して示され記載されるASECV100は例示であり、本開示によるASECVが、水力発電タービン111を支持し、半潜水プラットフォーム20に/からおよび互いに/から接続し/連結し、切り離す/連結解除するための種々の構成ならびに種々のコンプライアンス(要請)および公差を有する種々の構成要素を有することができることを理解するであろう。種々の実施形態において、例えば、アクチュエータ106は、波上で接続/連結するときの半径方向のショック荷重を最小化するための何らかの内蔵のコンプライアンス(例えば、アクチュエータ106はばね付きかつ軽度にダンパー付きである)を有し、係留中にはそのコンプライアンスを保って、風および海の状態を原因とするASECV100に対する動的なケーブル荷重を最小化できる。同様に、「固定された」ケーブルレセプタクル115は接続/連結荷重を最小化するための何らかの軸方向のコンプライアンスを有することができ、必要な場合には、ウインチ108も風および海の状態を原因とするケーブル荷重を最小化するために繰り出すことができる。
【0034】
当業者であれば理解できるように、各ASECV100は、指定の地点間を自動的に移動するように(例えば汎地球測位システム(GPS)座標によって)プログラムされ得る。ASECVの自律的な性質は、船が半潜水プラットフォーム20と例えば陸地、追加のエネルギー回収地点、メンテナンス地点、および/または避難港地点を含む指定の種々の二次地点との間を動くことを可能にしながら、運転が陸地、半潜水プラットフォーム20、または他の沖合地点から制御および監視することを可能にし得る。その結果、人間の運転者はASECVの運転を要求されない。種々の実施形態においては、ASECV100上に収められたコントローラ109と半潜水プラットフォーム20上に収められたコントローラ14との間のデータリンク伝送が、ASECV100上のトランスミッタ122と半潜水プラットフォーム20上のアンテナ15との間で送信される高周波数無線信号によって行われてもよい。これにより、作業員が物理的に水力発電タービン111の設置地点に居合わせたり、メンテナンスのために設置地点に出向いたりする必要がなくなり、設置の安全性やメンテナンスの容易性が高まる。
【0035】
本開示の種々の実施形態によるASECVは、様々な種類および配置の自律的な船の構成要素を含み、様々な種類および構成の自律的制御・監視ユニットを採用し、種々のシステムおよび方法を利用して、自律的な船を例えば制御室に接続し得る。さらに、当業者であれば、上記の例示的なASECVはその自律的運転のためにGPS座標を利用するが、本開示のシステムおよび方法は、所望の地点の間において船を自律的に往復案内するための公知の方法を使用することを想定するということを理解するであろう。
【0036】
その上、種々の実施形態においては、ASECVの遠隔制御された運転が想定され、その結果、地点を検知することなどに基づいて種々の運転作業を自動的に始めるようにプログラムされるよりもむしろ、ロボット制御システム技術と同様に、運転者が遠隔制御入力装置を利用し、無線で船と通信して、船を位置修正し、船を移行させて、種々の作業(例えば、タービン支持構造113を上昇および下降させる)を行ない得る。そのような遠隔制御された運転は、より完全に自動化された運転と組み合わせて使用できる。
【0037】
ここで
図11~
図22を参照すると、本開示の種々の追加の実施形態は、ASECV100によって発生するDC電力を回収し、回収された電力から水素を発生させ、および/または後の陸上輸送のための水素を貯蔵するために、半潜水プラットフォームと組み合わせて、またはその代わりに、1つ以上の自律水上航行船(ASV)200を利用することも想定する。そのような自律的プラットフォームは、例えば、半潜水プラットフォーム(例えば、改造のための既存のプラットフォーム)が利用可能もしくは現実的でない地域、および/または異なる地点に機器を動かす能力を有することが望ましい変わりやすい天候もしくは他の条件の影響を受けやすい地域での使用に有利である。種々の実施形態によれば、各ASV200は、沖合現場におよびそれから自律的に航行するように構成される。各ASV200は、さらに後述のように、現場において例えば水面係留ブイ(例えば、自律的接続ブイ体(ACB))などの投錨構造体に自律的に接続し得る。このように、ASV200は、また、ブイから自律的に切り離され、メンテナンスのためおよび/または悪天候を避けるために所定の地点に(例えば、嵐または船の損傷を引き起こし得る他の事象の予測された経路から遠い方の所定の安全な地点に)航行し得る。これにより、事象の脅威が過ぎ去ると、ASV200は、再度沖合現場に航行してブイと再接続し得る。
【0038】
種々の自律水上航行船のいずれかが使用できるが、
図11~
図13に示されるように、個別のモジュール式ユニット208を含むモジュール式水素生成プラントを備えている浮体プラットフォーム230を有する自律航行バージ(自律航行船)200を利用することが有益な場合がある。おそらく
図13および
図14の概略図および拡大図に最もよく示されるように、モジュール式ユニットは、それぞれ(例えば、パイプ214から海水を引き込み、海水を脱塩するように構成された)浄水プラント210、電解プラント(電解装置211)、(電解装置211によって生成される水素ガスを液化する)極低温プラント216、および液体水素貯蔵タンク212を含むコンテナ207を含むことができる。このように、水素生成プラントの各ユニット208は独立しており可搬であるため、その結果、必要に応じて容易に取り換え、新たなユニットに交換できる。よって、ユニット208のモジュール性により、水素生成プラントの効率的なメンテナンスが容易となる。当業者であれば、各コンテナ207は上記で列挙した構成要素の全てを貯蔵する必要はなく、種々のそのような機器は、具体的な用途に応じて異なるコンテナの間で分配され、および/または省略できるということを理解するであろう。
【0039】
図11および
図12のバージ200の図において示されるように、自律航行バージ200は、さらに、液体水素をバージ200上の貯蔵タンク212から液体水素貯蔵タンカー30に、例えば移送装置206によって、バージ200から遠い方への(例えば陸地への)液体水素の輸送のために移送するように構成される。または、バージ200の自律的な性質は、バージ200が貯蔵タンカーおよび/または他の回収/貯蔵施設(例えば陸上の)まで自律的に航行して液体水素をその貯蔵タンク212から移送することも可能にする。本開示の種々の追加の実施形態は、発生した水素を再度陸地に直接的にガス形態で輸送することも想定する。
図23に示されるように、バージ200はある地点まで自律的に航行し、そこで、発生した水素ガスは再度陸上地点245まで例えばパイプライン240によって移送される。このような実施形態では、バージ200は、極低温プラント216および液体水素貯蔵タンク212を搭載するモジュールの設置を省くことができ、これらのモジュールは代わりに陸上地点245に設ける。種々の実施形態においては、例えば、陸上極低温プラント216によって生成され、陸上貯蔵タンク212に貯蔵された液体水素は、さらなる輸送のためにタンカートラック250上の貯蔵タンク252に移送される。当業者であれば理解できるように、このような実施形態では、水素発生プロセスの他の構成要素も陸上地点245に設ける。例えば、別の実施形態においては、バージ200上の浄水プラント210およびパイプ214(海水を脱塩する)を搭載するモジュールの設置を省くためにも、純粋な水が、代わりに、陸上地点245からバージ200上の電解装置211まで圧送される。
【0040】
船の自律的構成要素の例示の便宜のためにASV200を概略的に図示する
図15Aおよび
図15Bを参照すると、上で記載されたASECV100と同様に、想定されるASV200は、
図16に図示されるように、沖合地点に/から自律的に航行するためにおよび沖合地点における投錨構造体300に接続する/切り離すために、ASV200上に収められたオンボードセンサ219および220ならびに制御システム209を含むことができる。ASVは、例えば、指定の地点間を自動的に移動するように(例えば汎地球測位システム(GPS)座標によって)プログラムされ得る。よって、ASV200の自律的な性質は、投錨構造体300と例えば追加の投錨構造体300、陸地、メンテナンス地点、および/または避難港地点を含む種々の指定の二次地点との間を船が動くことを可能にしながら、運転が陸地からまたは別の沖合地点から制御および監視されることを可能にする。その結果、人間の運転者がASV200の運転に要求されない。種々の実施形態においては、ASV200上のコントローラ209および制御地点の制御室におけるコントローラ(図示せず)の間のデータリンク伝送が、ASV200上のトランシーバ222および制御地点におけるアンテナ(図示せず)の間で送信される高周波数無線信号によって行われ得る。ASV200上のコントローラは、制御地点から受信したデータに基づいてASV200上の自己推進システムによってASV200を推進および位置修正もできる。1つの実施形態において、自己推進システムは1つ以上のポッドプロペラ217および1つ以上のサイドスラスタ260を含み、各プロペラ217は電気モーター(図示せず)によって動力供給され得る。電気モーターは、例えば、当業者であれば理解できるように、ASV200上のコンテナ207の上面に取り付けられたソーラーパネル251によってまたは水素によって稼働する発電機によって充電される電池(図示せず)によって供給される電気によって動力供給され得る。
【0041】
当業者であれば、
図11~
図15に示されるASV200は例示であり、本システムおよび方法によって想定されるASVは、本開示および特許請求の範囲から外れることなしに、様々な構成および種類の水素生成構成要素ならびに様々な構成および種類の自律的構成要素を含む種々の構成ならびに構成要素を有することができることを理解するであろう。
【0042】
図16に示されるように、ASV200を沖合地点に設置するために、種々の実施形態によれば、ASV200は投錨構造体、例えば海面係留ブイ300などに接続され、海面係留ブイ300は錨22に連結され、錨22は海底25に埋め込まれ、錨索21によって海面ブイ300に繋げられている。以下でさらに説明するように、本開示の種々の実施形態は、自律的接続ブイ(ACB)300として備えられた海面ブイとASV200を自律的に接続するための自律的接続システム(ACS)を利用することを想定する。しかしながら、本システムおよび方法によって想定されるASVは、選択された沖合現場においてASV200を投錨させるための公知の技術および方法を利用してもよい。
【0043】
図17~
図20に示すように、指定の沖合現場に投錨すると、一つの係留されたASV200を用いて、DC電力を連続的に発生しかつこの電力を伝送する1つ以上のエネルギー回収自律水上航行船(ASECV)100を、ASV200上のモジュール式水素生成プラントに電力/係留ケーブル202によって連結し得る(
図20参照)。1つの実施形態では、上述の半潜水プラットフォーム20と同様に、ASV200は、ASECV100の電力/係留ケーブル202と係合するように構成されている1つ以上のカプラ225を含むことができる。ASV200は、例えば、1つ以上の接続バー223に沿って配置された複数のカプラ225を含むことができる。
図17~20に段階的に示されるように、種々の実施形態において、接続バー223は、接続バー223がASV200の両側に折り畳まれている未展開位置(
図17参照)と接続バー223の1つ以上がASV200の両側から外向きに延ばされてASECV100のための直線的なドッキング構造を形成する展開位置(
図20参照)との間で展開可能である。
図18および
図19に示されるように、1つの実施形態においては、ケーブル270がASV200および接続バー223の間に延在し、その結果、接続バー223の完全な展開によって、ケーブルは張られて接続バー223を支持することを補助する。図示されていないが、
図5を参照して上述したように、ASECV100は、ASECV100の1つ以上の連続チェーン(すなわち、電力/係留ケーブル202およびカプラ225によってともに連結されている1つ以上のASECV100を含むASECV100の各連続チェーン)としてASV200に連結されてもよい。
【0044】
当業者は、
図17~
図20に示されるASV200は例示であり、開示されるASV200は、展開可能な接続バー223上に位置したカプラ225を含むがこれに限定されないASECV100と接続するための公知の方法および/または技術を採用し得ることを理解するであろう。さらに、想定されるASV200では、様々な数、種類、および構成のカプラ225を有するいずれかの数および構成の接続バー223を利用してもよく、示される実施形態に限定されるものではない。本開示はさらに、例えば、さらに後述のように、ASV200にASECV100を接続するための自律的接続システム(ACS)を採用してもよい。
【0045】
さらに、本開示の実施形態は、例えば、人間の介入なしに例えば投錨構造体(例えば海面係留ブイ)、別のASV、および1つ以上のASECVなどの別の船に自律水上航行船(ASV)が自律的に接続し切り離すことを可能にする自律的接続システム(ACS)を想定することができる。想定されるACSは、ともに接続されるべき船(例えばASVおよび投錨構造体)のそれぞれに取り付けられた自律的接続サブシステムを含む。ACSは、例えば、船上に取り付けられた第1の接続装置と、投錨構造体上に取り付けられた第2の接続装置とを含むことができる。1つの実施形態において、第1の接続装置はインターロックシステムの第1の部分を含み、第2の接続装置はインターロックシステムの第2の部分を含む。その結果、繋げられたときには、インターロックシステムの第1および第2の部分が一緒にロックして、投錨構造体に船を固定する。
【0046】
図21および22を参照して、ここで、投錨構造体、例えば改変された海面ブイ300にASV200を自律的に接続するためのACS400を説明する。本開示の実施形態は、例えば、国立データブイセンターによって使用される例えば海面ブイなどの既存のブイをACS400の自律的接続サブシステムを含むように改変すること(または改造すること)を想定する。そのようなブイは例えば海軍海洋気象自動装置(NOMAD)、ディスカス、または沿岸ブイを含むことができる。設置された自律的接続サブシステムを有する改変された海面ブイを自律的接続ブイ(ACB)と称する。種々の実施形態において、ACBは、風力羽根および/または水力羽根も利用して、ACB接続装置を直接的に主風向から遠い方におよび/または水流方向の下流に配置し、風および/または水流動条件におけるより容易な接続を円滑にし得る。ASV200は、例えば、最初の組み立て中にまたは既存のASVへの組み込み部品としてASV200の前端に設置された相似の自律的接続サブシステムを有することができる。ACS400は、ブイ(ACB)および船(ASV)の両方に設置された自律的接続サブシステムの組み合わせである。
【0047】
図21および
図22に示されるように、ACS400は、ASV200上に取り付けられた第1の接続装置410と、ACB300上に取り付けられた第2の接続装置430とを含む。第1の接続装置410および第2の接続装置430は、2つの間の係合を提供するように相補的である。1つの実施形態において、ACSは機械的インターロックシステム400を含み、その場合、第1の接続装置410はASV200の前端215に取り付けられている2軸関節式接続ストラット412を含み、第2の接続装置430はACB300に取り付けられた2軸関節式レセプタクル432を含む。1つの実施形態において、接続ストラット412はストラット412の前端411にプランジャ414を含み、レセプタクル432はばね付勢ラッチ機構434を含み、これは、最終接続においてレセプタクル432内にプランジャ414をロックするためにプランジャ414のスロット416と係合するように構成される。別の実施形態においては、プランジャ414はケーブル418に繋げられ、接続ストラット412を介して展開して、ASV200がACBからの所望の離間距離を達成することを可能にする一方、繋げられたままの状態で様々な風および波条件におけるASV200およびACB300の間のより多くの相対的な動きを可能にし、繋がりの応力を低減し得る。レセプタクル432のラッチ機構434に繋げられたソレノイド(図示せず)は、当業者であれば理解できるように、切り離しのためにロックラッチ435を引き込むように指示することができる。
【0048】
ACS400はそれぞれASV200およびACB300上の機械的アクチュエータ420および440も含むことができ、これらは接続ストラット412およびレセプタクル432の高度および方位角の動的なかつ連続的な制御を提供するように構成されて、最終接続中の(例えば、風、波、および水表面の流動の存在下における)構成要素の相互整列を容易にする。当業者であれば理解できるように、機械的アクチュエータ420および440は電気的または油圧的に動力供給され得る。単純化された実施形態においては、機械的アクチュエータ420および440は受動ばねおよび油圧式ダンパーまたは可撓性ゴム取り付け部と取り換えられ得る。これらも、構成要素の鉛直のおよび水平の角変位が最終接続中の相互整列を容易にすることを可能にし得る。
【0049】
ACS400は、さらに、位置センサ422および442を含むことができ、これらはそれぞれ、ASV200上の接続ストラット412の前端411におよびACB300上のレセプタクル432に隣接して取り付けられる。位置センサ422および442は、ACB300への最終接続前におけるASV200の接近中に接続ストラット412の前端411に対するレセプタクル432の相対位置を連続的に監視するように構成される。ASV200およびACB300上の位置センサ422および442は、動的干渉測位処理(RTK)を有するGPS、3Dオブジェクト認識を有するビデオカメラ、プラス赤外線、超音波、静電容量、誘導型、光電、および/またはLIDAR近接センサを含むことができるが、これらに限定されない。加えて、ダイナミックモーションセンサ、例えば3軸加速度計およびジャイロスコープが利用され得る。1つの実施形態においては、複数の位置センサがASV200およびACB300の両方に利用されて、冗長性および相互相関によって接続の確実性を改善し得る。
【0050】
それぞれASV200およびACB300上に収められた制御システムプロセッサ209および309が、例えば、位置センサ422および442からのデータを制御アルゴリズムと共に利用して、最終接近中のASV200に速度および方向のガイダンスを提供し、かつASV200およびACB300の両方の上の機械的アクチュエータ420および440に方向の制御を提供して、最終接近中の接続ストラット412およびレセプタクル432の連続的な角度合わせを容易にする。種々の実施形態によれば、以下で詳細に説明するように、ASV200およびACB300のそれぞれの上の制御システムプロセッサは、スタンバイモード(デフォルト)、接続モード、および切り離しモードの3つの基本的な運転モードを有することができる。
【0051】
種々の実施形態において、例えば、制御システムプロセッサ209および309のそれぞれはメモリを含む。メモリは、情報を記憶および/または読み出すように構成された構成要素を含む。いくつかの例においては、メモリは、1つ以上の記憶素子、例えばランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、メモリ回路、光学記憶ドライブおよび/またはディスク、磁気記憶ドライブおよび/またはテープ、ハードディスク、フラッシュメモリ、取り外し可能な記憶媒体などであり得るか、またはそれを含むことができる。メモリは、ACS400の運転およびアルゴリズムの実装に使用可能なソフトウェアを記憶できる。ソフトウェアは、コンピュータプログラム、ファームウェア、または他の形態の機械読み取り可能な命令を含み、オペレーティングシステム、ユーティリティ、ドライバ、ネットワークインターフェース、アプリケーションなどを含むことができる。
【0052】
プロセッサ209および309は、例えば、ACS400の他の素子および/またはそれぞれのASV200およびACB300を制御するためのマイクロプロセッサまたは他の回路要素を含み、記憶素子または他のソースから取り出された命令を処理し、(本開示に記載されるものを含むがこれに限定されない種々の方法の演算を行なうためのソフトウェア命令を実行し、データを分析するための信号処理および/または機械学習アルゴリズムを適用し、計算および/または予測などを行う。いくつかの例では、プロセッサは、1つ以上の中央演算処理装置(CPU)、算術論理演算装置(ALU)、浮動小数点演算装置(FPU)、または他のマイクロコントローラであるか、またはそれを含むことができる。
【0053】
ACS400、ASV200、およびACB300の各構成要素は、専用のハードウェアコンポーネント、ソフトウェアコンポーネント、ファームウェア、またはそれらの組み合わせによって実装され得る。ハードウェアコンポーネントは、専用回路、例えば特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などを含むことができる。ソフトウェアコンポーネントは、メモリに記憶されたソフトウェアモジュール、非一時的なコンピュータ読み取り可能な媒体(例えば内部メモリまたは外部メモリ)に記憶され、プロセッサ(例えばコントローラ)によって実行される命令、外部ソースから(例えば通信回路によって)受信される遠隔の命令などを含むことができる。
【0054】
本明細書に記載される例示的な装置、システム、および方法は、例えば、コンピュータ読み取り可能な記録媒体または一時的媒体によって伝送される通信信号上に具現化されたコンピュータ読み取り可能なコードを実行するプロセッサの制御下で行なわれ得る。コンピュータ読み取り可能な記録媒体は、処理システムによって読み取り可能なデータを記憶し得るデータ記憶装置であり、揮発性および不揮発性媒体の両方、取り外し可能なおよび非取り外し可能な媒体を含み、データベース、コンピュータ、および種々の他のネットワーク装置によって読み取り可能な媒体を想定する。コンピュータ読み取り可能な記録媒体の例は、リードオンリーメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、消去可能な電気的にプログラム可能なROM(EEPROM)、フラッシュメモリ、または他のメモリ技術、ホログラフィック媒体または他の光ディスクストレージ、磁気テープおよび磁気ディスクを含む磁気ストレージ、ならびにソリッドステート記憶装置を含むが、これらに限定されない。
【0055】
例えば短距離無線トランシーバなどの無線トランシーバもACS400によって利用され得る。1つの実施形態において、ACS400はASV200上のトランシーバ222およびACB300上の第2のトランシーバ444を利用してもよい。トランシーバ222および444は、それぞれが、ひとたびASV200がACB300にごく近接すると、位置センサデータならびに制御システムプロセッサからの指示および制御情報を機械的アクチュエータ420および430に転送するように構成できる。
【0056】
ASV200上の既存のオンボードパワーシステムは、ASV200上の自律的接続サブシステムに電力を提供するために利用され、ACB300は、その自律的接続サブシステムに動力供給するためのパワーサブシステム350を備え付けられる。パワーシステムは、機械的アクチュエータ420および430、位置センサ422および442、制御システムプロセッサ(すなわち、制御ボックス209および制御ボックス309内に設ける)、ならびにトランシーバ222および444に動力供給する。種々の実施形態において、パワーサブシステムは、例えば、電力貯蔵装置、例えば、電池、ソーラーパネル、および/またはタービン発電機、関連する電池充電コントローラ、ならびにいずれかの要求される電力分配コントローラおよび配線を、機械的アクチュエータ420および440、位置センサ422および442、制御システムプロセッサ、ならびにトランシーバ222および444のために含むことができる。1つの実施形態において、電力貯蔵装置は、水素またはディーゼルなどの燃料を含み、関連する電力変換機器を有することができる。別の実施形態においては、機械的インターロックシステムはASV200およびACB300の間の電力移送を可能にするように改変されてもよい。
【0057】
上述のACS400は、次の例示的な方法を使用してACB300(例えばこれは沖合地点において投錨する)にASV200を自律的にドッキングするために実装され得る。ASV200がACB300の沖合地点に航行するときに、制御システムプロセッサの接続コンポーネントがスタンバイモードにある間に、ASV200のオンボードの自律的航行・制御システムは制御システムプロセッサ209および無線トランシーバ222を利用することができる。ASV200が沖合地点に近くに近接し(例えば沖合地点からおよそ100メートル)、その結果、ASV200上のトランシーバ222がACB300上のトランシーバ444と接続することができるようになると、ASV200およびACB300上の制御システムプロセッサは接続モードになり、これにより接続装置410および430の各部(例えば、位置センサ422および442、機械的アクチュエータ420および440、ならびに接続ストラット412およびレセプタクル432)を起動する。
【0058】
このように、ASV200がACB300に接近すると、制御システムプロセッサ209および309は位置センサ422および442のそれぞれからの信号を連続的に受信し、第1および第2の接続装置410および430の間の位置データを交換してASV200の接近を監視することができる。種々の実施形態において、例えば、制御システムプロセッサ209および309は、位置センサ422および442からの信号に基づいて、接近するASV200の接近速度、距離、および方向を連続的に監視するように構成される。
【0059】
最終的な接近において、各部の最終接続中に(例えば、風、波、および/または水表面の流動の存在下において)ASV200の接続ストラット412およびACB300のレセプタクル432の間の相互整列を容易にするために、制御システムプロセッサ209および309は、接続ストラット412およびレセプタクル432のそれぞれの高度角および方位角を連続的に制御するようにも構成される。これにより、最終接続時には、制御システムプロセッサ209および309が協働してASV200を前方に航行させ、接続ストラット412のプランジャ414がレセプタクル432に進入し、ばね付勢ラッチ機構434によってロックされるまで、接続ストラット412およびレセプタクル432の間の整列を調整する。SV200およびACB300が繋げられると、制御システムプロセッサ209および309はスタンバイモードに復帰する。
【0060】
後でACB300から切断するために、ASV200上の制御システムプロセッサ209は、ラッチ機構434を解除するための指示(例えば無線トランシーバ222によって)をACB300のプロセッサ309に送ることによって切り離しモードに入る。1つの実施形態においては、例えば、レセプタクル432上の電動式ソレノイド(図示せず)は、プロセッサ309からの制御プロンプトを受け取るときにラッチ機構434を解除し得る。それから、ASV200は接続ストラット412および展開したケーブルをレセプタクル432から引き込んで、ACB300から遠い方の別の所望の地点まで自律的に航行し得る。
【0061】
当業者は、
図21および22を参照して記載および例示された自律的接続システム(ACS)400、接続装置(すなわちサブシステム)410および430、ならびに全ての関係する構成要素は例示であり、本開示が、当業者に公知の様々な種類、構成、および/または数の接続システムおよび構成要素を利用して、沖合現場において投錨構造体にASV200を自律的に接続することを想定することを理解するであろう。
【0062】
さらに、上記の自律的接続システム(ACS)および方法は自律水上航行船(ASV)を自律的接続ブイ(ACB)に接続することを参照して記載されているが、当業者であれば、開示されるシステム、サブシステム、および方法が、本開示に基づいて、例えばASECV100をASV200に接続することを含む船対船の接続に同様に採用できることを理解するであろう。
【0063】
本明細書および例示的な実施形態を示す添付図面は、本開示を限定するものと解釈されるべきではない。本明細書および特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の機械的、組成的、構造的、電気的、および動作上の変更を加えたり、均等物で置換したりすることができる。本開示を曖昧にすることを避けるため、周知の構造および技術については、図示や詳細な説明を省略している場合がある。さらに、ある実施形態で詳細に説明された構成要素およびそれに関連する特徴は、現実的な場合であれば、特にそれらが図示または説明されていない他の実施形態にも含まれ得る。例えば、ある構成要素がある実施形態で詳細に説明され、第2の実施形態では説明されていない場合でも、その構成要素は第2の実施形態に包まれ得る。
【0064】
なお、本明細書において、単数形「a」、「an」、および「the」ならびに任意の単語の単数形での使用は、明確かつ明示的に1つの指示対象に限定されない限り、複数の指示対象を含む。本明細書において使用される用語「含む」およびその文法上の変形は、非限定的であることを意図しており、列記された項目の記載は、列記された項目に置換または追加可能な他の同様の項目を排除するものではない。
【0065】
さらに、本明細書の用語は本開示を限定するものではない。例えば、空間的に相対的な用語、例えば「上流」、「下流」、「下(beneath)」、「下(below)」、「下(lower)」、「上(above)」、「上(upper)」、「前(forward)」、「前(front)」、「後(behind)」などは、図の向きに例示されるように、1つの要素または特徴に対する別の要素または特徴の関係性を記載するために用いられてもよい。これらの空間的に相対的な用語は、図で示された位置および向きに加えて、使用または運転中の装置の異なる位置および向きを含むことを意図している。例えば、図中の装置が反転される場合には、他の要素または特徴の「下(below)」または「下(beneath)」と記載された要素は他の要素または特徴の「上(above)」または「上(over)」であろう。したがって、例示的な用語「下(below)」は上および下の位置および向き両方を含むことができる。装置はその他の向き(90度回転させた向きなど)であってもよく、本明細書において使用される空間的に相対的な記述(用語等)は然るべく解釈される。
【0066】
さらなる変更および代替的な実施形態は、本明細書の開示から当業者には明らかであろう。例えば、システムは、動作を明確にするために図面および説明では省略した構成要素が追加されてもよい。したがって、本明細書は、例示と解釈されるべきであり、本開示のシステムおよび方法を実行する一般的な態様を当業者に教示する目的である。本明細書において示された種々の実施形態は例示的なものである。本明細書の記載から当業者には明らかなように、構成要素および材料ならびにそれらの構成要素および材料の配置は、本明細書において示されるものと置換されてもよく、部品および工程は逆であってもよく、本教示の特定の特徴は独立して利用されてもよい。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、ここに記載された構成要素を変更することができる。
【0067】
本明細書において記載される特定の例および実施形態は非限定的なものであり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構造、寸法、材料、および方法を変更することができる。本開示による他の実施形態は、本明細書に開示された発明の説明および実施形態から当業者には明らかであろう。説明および実施例は例示的なものであり、均等物を含む全範囲の権利を有することを意図する。
【符号の説明】
【0068】
20 半潜水プラットフォーム
30 タンカー
100 エネルギー回収自律水上航行船(ASECV)
102 ケーブル
111 水力発電タービン
125 カプラ
140 チェーン
200 自律水上航行船(ASV)
210 浄水プラント
211 電解装置
212 液体水素貯蔵タンク
216 極低温プラント
300 投錨構造体
【国際調査報告】