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特表2024-534332周期的にパターン化された表面のためのシーケンサ焦点品質メトリック及び焦点追跡
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-20
(54)【発明の名称】周期的にパターン化された表面のためのシーケンサ焦点品質メトリック及び焦点追跡
(51)【国際特許分類】
   G02B 21/00 20060101AFI20240912BHJP
   G02B 21/24 20060101ALI20240912BHJP
   G02B 21/36 20060101ALI20240912BHJP
   G02B 7/28 20210101ALI20240912BHJP
   G01N 21/64 20060101ALI20240912BHJP
   C12M 1/00 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
G02B21/00
G02B21/24
G02B21/36
G02B7/28 J
G01N21/64 E
C12M1/00 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024514455
(86)(22)【出願日】2022-09-09
(85)【翻訳文提出日】2024-03-25
(86)【国際出願番号】 US2022042986
(87)【国際公開番号】W WO2023039120
(87)【国際公開日】2023-03-16
(31)【優先権主張番号】63/242,801
(32)【優先日】2021-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/940,591
(32)【優先日】2022-09-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514202402
【氏名又は名称】イラミーナ インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100225543
【弁理士】
【氏名又は名称】上原 真
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ベイカー
(72)【発明者】
【氏名】ケヴィン アーリー
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ 思▲其▼
(72)【発明者】
【氏名】レイチェル アバスカロン
(72)【発明者】
【氏名】アンミブ プラブフ
(72)【発明者】
【氏名】パトリック ウェン
【テーマコード(参考)】
2G043
2H052
2H151
4B029
【Fターム(参考)】
2G043AA04
2G043BA16
2G043CA04
2G043DA02
2G043DA05
2G043EA01
2G043FA02
2G043HA01
2G043KA09
2G043LA03
2H052AA09
2H052AB01
2H052AC04
2H052AC05
2H052AC33
2H052AC34
2H052AD09
2H052AD19
2H052AD20
2H052AD34
2H052AE13
2H052AF14
2H052AF25
2H151AA12
4B029AA07
4B029BB20
4B029FA15
(57)【要約】
強度非依存性である焦点品質メトリックの生成及び使用が説明される。一例では、焦点品質メトリックは、フローセルのパターン化された表面の画像などの画像を取得し、それぞれの画像データのフーリエ変換を生成するために、全て又は一部(例えば、サブ領域又はサブ画像)を処理することによって、生成される。例として、一実施形態では、離散フーリエ変換が、パターン化されたフローセル表面の画像のサブ領域に適用され得る。強度非依存性である焦点品質メトリックは、画像データのフーリエ変換から導出され得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
焦点品質メトリックを判定するための方法であって、
複数の試料ウェルを備えるフローセルの画像を取得すること又はそれにアクセスすることと、
前記画像の一部又は全部のフーリエ変換を判定することであって、前記画像に関連付けられた光学的点拡がり関数(PSF)が、ガウス分布プロファイルを有しない、フーリエ変換を判定することと、
前記フーリエ変換に基づいて、パワースペクトルを判定することと、
前記パワースペクトルの一部分に適合された線形セグメントの勾配を判定することであって、前記勾配が、前記焦点品質メトリックに対応する、勾配を判定することと、
少なくとも前記焦点品質メトリックに基づいて、焦点モデルをパラメータ化又は較正することと、
前記焦点モデルに基づいて、対物レンズと、前記フローセルが位置付けられている試料ステージと、の相対位置を調整することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記フーリエ変換を判定することが、前記フローセル上に提供された1つ以上の基準に基づいて判定された前記フローセル上の既知の場所における前記画像のサブ領域の前記フーリエ変換を判定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記パワースペクトルを判定することが、
前記フーリエ変換の平均若しくは中央k値又は半径方向強度を判定することと、
前記フーリエ変換の前記平均若しくは中央k値又は半径方向強度に基づいて、前記パワースペクトルを生成することと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記画像に関連付けられた前記光学的点拡がり関数(PSF)が、ローレンツ分布プロファイルを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記対物レンズと、前記試料ステージと、の前記相対位置を調整することが、前記焦点モデルに基づいて、シーケンシング動作のための焦点高さを選択することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記シーケンシング動作中に、前記焦点高さを使用して、前記フローセルの全て又は一部を撮像することを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記焦点品質メトリックが、強度非依存性である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
シーケンシング機器であって、
試料容器を支持するように構成された、試料ステージと、
前記試料ステージ上に存在するときに、前記試料容器を撮像するために、組み合わせて動作するように構成された、対物レンズ、光検出器、及び光源と、
前記試料ステージ上に存在するときに、前記試料容器に対する前記対物レンズの位置付けを制御するように構成された、焦点構成要素と、
動作を実行するように構成された、コントローラであって、前記動作が、
異なるz高さにおける試料表面の取得された画像の積み重ね内の各画像に対して、前記それぞれの画像のサブ領域に対するそれぞれのフーリエ変換を判定することと、
各フーリエ変換に対して、前記フーリエ変換から計算されたそれぞれのパワースペクトルの一部分に適合された線形セグメントのそれぞれの勾配を判定することであって、前記勾配が、焦点品質メトリックに対応する、判定することと、
前記焦点品質メトリックに基づいて、焦点モデルをパラメータ化することと、
前記焦点モデルに基づいて、シーケンシング動作中に、前記焦点構成要素の動作を制御することと、を含む、コントローラと、を備える、シーケンシング機器。
【請求項9】
前記画像の積み重ねが、第1のカラーチャネルを使用して取得された、第1のセットの画像と、第2のカラーチャネルを使用して取得された、第2のセットの画像と、を含む、請求項8に記載のシーケンシング機器。
【請求項10】
前記焦点モデルをパラメータ化することが、前記第1のカラーチャネルに対して導出された焦点品質メトリックと、前記第2のカラーチャネルに対して導出された焦点品質メトリックとの間の差に基づいて、中間焦点高さを判定することを含む、請求項9に記載のシーケンシング機器。
【請求項11】
前記焦点構成要素の動作を制御することが、前記中間焦点高さにおける前記シーケンシング動作の少なくとも一部分の間に、画像データを取得することを含む、請求項10に記載のシーケンシング機器。
【請求項12】
前記試料表面が、フローセルのパターン化された表面を含む、請求項8に記載のシーケンシング機器。
【請求項13】
前記焦点品質メトリックが、強度非依存性である、請求項11に記載のシーケンシング機器。
【請求項14】
焦点品質メトリックを判定するための方法であって、
複数の試料ウェルを備えるフローセルの画像を取得すること又はそれにアクセスすることと、
前記画像内の1つ以上の列のピクセルの一次元フーリエ変換を計算することと、
各列のピクセルの前記一次元フーリエ変換に基づいて、パワースペクトルを判定することと、
前記パワースペクトルの一部分に適合された線形セグメントの勾配を判定することであって、前記勾配が、前記焦点品質メトリックに対応する、勾配を判定することと、
少なくとも前記焦点品質メトリック、又は前記焦点品質メトリックから導出されたスコアに基づいて、焦点モデルをパラメータ化又は較正することと、
前記焦点モデルに基づいて、対物レンズと、前記フローセルが位置付けられている試料ステージと、の相対位置を調整することと、を含む、方法。
【請求項15】
前記パワースペクトルを判定することが、
前記一次元フーリエ変換の対数二乗正規化を実行することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記焦点モデルをパラメータ化又は較正することが、前記焦点品質メトリック、又は前記1つ以上の列のピクセルにおいて前記焦点品質メトリックから導出された前記スコアの放物線プロットの極小値を判定することによって、前記1つ以上の列のピクセルに対応する前記焦点モデル内の場所に対する焦点高さを判定することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記対物レンズと、前記試料ステージと、の前記相対位置を調整することが、前記焦点モデルに基づいて、シーケンシング動作のための焦点高さを選択することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記シーケンシング動作中に、前記焦点高さを使用して、前記フローセルの全て又は一部を撮像することを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
シーケンシング機器であって、
フローセルを支持するように構成された、試料ステージと、
前記試料ステージ上に存在するときに、前記フローセルを撮像するために、組み合わせて動作するように構成された、対物レンズ、光検出器、及び光源と、
前記試料ステージ上に存在するときに、前記フローセルに対する前記対物レンズの位置付けを制御するように構成された、焦点構成要素と、
動作を実行するように構成された、コントローラであって、前記動作が、
異なるz高さにおける試料表面の取得された画像の積み重ね内の各画像に対して、前記それぞれの画像内のピクセル列に対するそれぞれの一次元フーリエ変換を判定することと、
各一次元フーリエ変換に対して、前記一次元フーリエ変換から計算されたそれぞれのパワースペクトルの一部分に適合された線形セグメントのそれぞれの勾配を判定することであって、前記勾配が、焦点品質メトリックに対応する、判定することと、
前記焦点品質メトリックに基づいて、焦点モデルをパラメータ化することと、
前記焦点モデルに基づいて、シーケンシング動作中に、前記焦点構成要素の動作を制御することと、を含む、コントローラと、を備える、シーケンシング機器。
【請求項20】
前記焦点モデルをパラメータ化することが、第1のカラーチャネルに対して導出された焦点品質メトリックと、第2のカラーチャネルに対して導出された焦点品質メトリックとの間の差に基づいて、中間焦点高さを判定することを含む、請求項19に記載のシーケンシング機器。
【請求項21】
前記焦点構成要素の動作を制御することが、前記中間焦点高さにおける前記シーケンシング動作の少なくとも一部分の間に、画像データを取得することを含む、請求項20に記載のシーケンシング機器。
【請求項22】
各パワースペクトルが、前記一次元フーリエ変換の対数二乗正規化を実行することによって判定される、請求項19に記載のシーケンシング機器。
【請求項23】
前記焦点モデルをパラメータ化することが、前記焦点品質メトリック、又は前記ピクセル列において前記焦点品質メトリックから導出されたスコアの放物線プロットの極小値を判定することによって、前記ピクセル列に対応する前記焦点モデル内の場所に対する焦点高さを判定することを含む、請求項19に記載のシーケンシング機器。
【請求項24】
前記シーケンシング動作中に、前記焦点構成要素の動作を制御することが、前記焦点モデルに基づいて、シーケンシング動作に対する焦点高さを選択することによって、前記対物レンズと、前記試料ステージと、の前記相対位置を調整することを含む、請求項19に記載のシーケンシング機器。
【請求項25】
前記シーケンシング動作中に、前記焦点高さを使用して、前記フローセルの全て又は一部を撮像することを含む、請求項24に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本アプローチは、概して、核酸シーケンスを順序付けするか又は他の方法で処理するために使用される基材上のパターン化された表面を含む、パターン化された表面を評価するための画像ベースのアプローチに関する。より具体的には、アプローチは、そのようなパターン化された表面の走査に関する焦点品質の査定に関する。
【背景技術】
【0002】
核酸シーケンシングの文脈では、フローセルなどのシーケンシングデバイスは、表面上の場所にいくつかの個々の部位(例えば、試料ウェル又はナノウェル)を含み得る。そのような部位は、化学基又は生物学的分子を含み得、これらは、多くの部位の間で同一又は異なり得、生物学的試料などの関心対象の他の材料と相互作用し得る。部位は、基材表面の画像を撮影することによって、例えば、平面撮像によるか又はライン走査によって、位置特定及び/又は分析され得る。画像データは、部位の少なくとも一部分を位置特定及び識別するために、並びに/又は、分析されている試料に関連する定性的若しくは定量的測定値を得るために処理され得る。そのような文脈では、化学的又は生物学的相互作用が特定の部位で生じる場合、相互作用は、その部位で検出され得、その部位の場所及び同一性、並びにその部位に存在する特定の基又は分子と相関され得る。
【0003】
部位は、基材表面上で利用可能な部位の数を最適化し、自動機器による部位の位置特定を容易にするために、市松模様又は六角格子など、パターンの要素が繰り返す規則的な幾何学模様で配置されることが多い。表面上の個々の部位の場所は、様々なレジストレーション方法を使用して、判定及び/又は補正することができる。例として、局所レジストレーション技術は、既知のテンプレートとの相互相関を可能にするために、画像内の様々な既知の場所に存在するブルズアイパターンなどの剛体レジストレーション基準を利用し得る。面内シフト又はオフセットは、この相互相関の結果として判定され得、テンプレート場所及び/又は画像データは、これらのオフセットに基づいて、調整又は補正され得る。
【0004】
前述の文脈を念頭に置くと、フローセルなどのシーケンシングデバイス上の部位を読み取る際に用いられる撮像プロセスに関連付けられた焦点品質は、データ読み出しのために部位を特定するために実行されるレジストレーションプロセス、及びデータ取得ステップ自体の両方にとって重要であることが理解されよう。したがって、焦点品質は、所与の表面上の試料部位のレジストレーション(例えば、フローセルレジストレーション)、焦点モデル生成、焦点面マッピング、及びシーケンシングランの間の焦点追跡を含むがこれらに限定されない、所与のシーケンシング動作におけるいくつかのステップを監視又は実施するために定量化され得る。
【0005】
焦点品質を測定又は別様に査定することへの現在のアプローチは、自動焦点プロセスの一部に使用されることができる焦点スコア(すなわち、ブレナースコア)を生成するためのブレナー勾配又は関数の使用に基づき得る。しかしながら、そのようなブレナースコアは、本質的に強度依存性である。それに応じて、ブレナースコアに基づく焦点技術は、このような強度依存性に起因する堅牢性の問題に悩まされる。例えば、核酸シーケンシングの文脈では、ブレナースコアに基づく焦点メトリックは、フローセル表面にわたるフルオロフォアの強度が不均一であるか、又は経時的に変化する(例えば、空間的及び/又は時間的不均一性)ため、経時的に又はシーケンシングシステム間で堅牢でない場合がある。したがって、ブレナー勾配に基づく焦点査定は、強度の変動を、焦点の変動又は差として、誤って特徴付ける可能性がある。結果として、機器(例えば、シーケンサ)及び/若しくはフローセルにわたって、又はフローセルの取得された画像タイル内でさえ、ブレナースコアを比較するには堅牢ではない。
【発明の概要】
【0006】
ここで説明する技術は、強度非依存性である焦点品質メトリックの生成及び使用を提供する。一文脈では、焦点品質メトリックは、フローセルのパターン化された表面の画像などの画像を取得し、それぞれの画像データのフーリエ変換を生成するために、全て又は一部(例えば、サブ領域又はサブ画像)を処理することによって、生成される。例として、一実施形態では、離散フーリエ変換が、パターン化されたフローセル表面の画像のサブ領域に適用され得る。平均(又は中央)半径方向強度は、結果として生じるフーリエ変換に対して計算され得、その後、フーリエ変換及び下地画像データに対するパワースペクトルを判定するために使用され得る。本明細書の様々な例は、二次元(two-dimensional、2D)フーリエ変換の文脈において提示され、そのような例は、対応する2Dフーリエ変換の文脈において半径、半径方向強度、半径方向平均などに言及し得る。しかしながら、半径又はそれぞれの半径に対して導出された値へのそのような言及は、これらの2Dの文脈における特別な場合とみなされ得、そのような半径ベースの用語は、k空間(すなわち、フーリエ又は周波数空間)及びk空間内のk値に対して、他の例において、及び概してより広い文脈において包含され得ることが理解されるべきである。したがって、本明細書で使用される場合、半径、半径方向平均、半径方向強度などへの言及は、k空間におけるそれぞれの一般化された対応物に対応するようより広範に理解され得、そのようなk空間用語は、本明細書の非2D(例えば、一次元(one-dimensional、1D))フーリエ変換の例において、必要に応じて使用され得る。
【0007】
区分関数は、パワースペクトルに適合され得、適合された区分関数に対して1つ以上のパラメータが判定され得る。そのようなパラメータは、半径方向勾配、コーナー周波数、ノイズフロアなどを含み得るがこれらに限定されない。一実施形態では、半径方向勾配は、フーリエ変換が導出された撮像サブ領域に対する焦点品質メトリックを構成する。半径方向勾配、及び対応する焦点品質メトリックは、強度非依存性であり、したがって、シーケンシングランの間の、及び/又はシーケンシング撮像装置間の強度変動にかかわらず、焦点品質の一貫した尺度を提供する。
【0008】
重要なことに、ここで説明されている焦点品質メトリックを生成するためのアプローチのうちのいくつかは、他の従来のアプローチで想定され得る点拡がり関数のガウス分布プロファイルを想定しない。実際に、ローレンツ分布プロファイルは、特定の実施形態では、点拡がり関数をより良く説明することができる。ガウスプロファイルが想定されないので、本開示の焦点品質定量化技術は、そのような想定に依存する他のアプローチよりも、それぞれの用途においてより柔軟である。
【0009】
実際には、ここで説明されている技術に従って生成された焦点品質メトリックは、シーケンシングランの開始時に生成され、フローセルのパターン化された表面に対して撮像装置の焦点を監視及び補正するためにシーケンシングラン全体を通して後に使用される焦点モデルをパラメータ化するために使用され得る。例として、初期焦点モデル生成の一部として、赤外線(infrared、IR)ベースの焦点測定システムなどのリアルタイム焦点監視システムは、焦点モデルに基づいて、較正することができる。較正されたIR焦点測定システムは、その後、リアルタイムで焦点を監視及び補正するために、シーケンシング中に使用され得る。いくつかの実施形態では、本明細書において説明される焦点品質メトリックは、焦点モデル生成のためのシーケンシングランの開始時にのみ計算される。他の実施形態では、本明細書において説明される焦点品質メトリックは、焦点モデルを更新し、リアルタイム焦点測定システムを再較正するために、間隔を置いて(例えば、10、20、30、又は40サイクルごとに)計算される。
【0010】
いくつかのシステムでは、画像取得は、異なる周波数(例えば、赤、青、緑など)における画像が、各撮像領域に対して得られるように、マルチチャネルであり得る。そのようなシステムでは、本明細書において説明される焦点品質メトリックは、撮像領域に対して各チャネルについて計算され得る。次いで、焦点面又は高さは、各カラーチャネルに好適な焦点を提供する代表的な焦点高さ(例えば、中間焦点高さ)を選択することによって、判定され得る。
【0011】
上記を念頭に置くと、一実施形態では、焦点品質メトリックを計算するための方法が提供される。この方法によれば、複数の試料ウェルを含むフローセルの画像が取得又はアクセスされる。画像の一部又は全部のフーリエ変換が計算される。画像に関連付けられた光学的点拡がり関数(point spread function、PSF)は、ガウス分布プロファイルを有しない。フーリエ変換に基づいて、パワースペクトルが計算される。パワースペクトルの一部分に適合された線形セグメントの勾配が計算される。勾配は、焦点品質メトリックに対応する。
【0012】
更なる実装形態では、シーケンシング機器が提供される。本実装形態によれば、シーケンシング機器は、試料容器を支持するように構成された、試料ステージと、試料ステージ上に存在するときに、試料容器を撮像するために、組み合わせて動作するように構成された、対物レンズ、光検出器、及び光源と、試料ステージ上に存在するときに、試料容器に対する対物レンズの位置付けを制御するように構成された、焦点構成要素と、コントローラと、を備える。コントローラは、動作を実行するように構成されており、動作は、異なるz高さにおける試料表面の取得された画像の積み重ね内の各画像に対して、それぞれの画像のサブ領域に対するそれぞれのフーリエ変換を計算することと、各フーリエ変換に対して、フーリエ変換から計算されたそれぞれのパワースペクトルの一部分に適合された線形セグメントのそれぞれの勾配を計算することであって、勾配が、焦点品質メトリックに対応する、勾配を計算することと、焦点品質メトリックに基づいて、焦点モデルをパラメータ化することと、焦点モデルに基づいて、シーケンシング動作中に、焦点構成要素の動作を制御することと、を含む。
【0013】
更なる実施形態では、焦点品質メトリックを計算するための方法が提供される。この方法によれば、複数の試料ウェルを含むフローセルの画像が取得又はアクセスされる。画像内の1つ以上の列のピクセルの一次元フーリエ変換が計算される。パワースペクトルは、各列のピクセルの一次元フーリエ変換に基づいて、判定される。パワースペクトルの一部分に適合された線形セグメントの勾配が判定される。ここで、勾配は、焦点品質メトリックに対応する。焦点モデルは、少なくとも焦点品質メトリック、又は焦点品質メトリックから導出されたスコアに基づいて、パラメータ化又は較正される。焦点モデルに基づいて、対物レンズと、フローセルが位置付けられている試料ステージと、の相対位置が調整される。
【0014】
更なる実施形態では、シーケンシング機器が提供される。本実装形態によれば、シーケンシング機器は、フローセルを支持するように構成された、試料ステージと、試料ステージ上に存在するときに、フローセルを撮像するために、組み合わせて動作するように構成された、対物レンズ、光検出器、及び光源と、試料ステージ上に存在するときに、フローセルに対する対物レンズの位置付けを制御するように構成された、焦点構成要素と、コントローラと、を備える。コントローラは、動作を実行するように構成されており、動作は、異なるz高さにおける試料表面の取得された画像の積み重ね内の各画像に対して、それぞれの画像内のピクセル列に対するそれぞれの一次元フーリエ変換を判定することと、各一次元フーリエ変換に対して、一次元フーリエ変換から計算されたそれぞれのパワースペクトルの一部分に適合された線形セグメントのそれぞれの勾配を判定することであって、勾配が、焦点品質メトリックに対応する、判定することと、焦点品質メトリックに基づいて、焦点モデルをパラメータ化することと、焦点モデルに基づいて、シーケンシング動作中に、焦点構成要素の動作を制御することと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本発明のこれらの特徴、態様、及び利点、並びにその他の特徴、態様、及び利点は、添付図面を参照して以下の詳細な説明を読むと、より深く理解されると考えられ、同様の特徴は、図面にわたって同様の部分を表している。
図1】本開示による、画像走査システムの一例の高レベルの概観図を例解する。
図2】本開示による、生物学的試料のためなどの撮像及び画像処理システムのブロック図の例解図である。
図3】本開示による、例示的なパターン化された表面の平面図である。
図4】本開示による、例示的なパターン化されたフローセル表面上の部位を例解する、更なる切り取り図である。
図5】パターン化されたフローセル表面の2つの例示的な部位の拡大図であり、処理中の部位に対する画像データにおけるピクシレーションを例解する。
図6】本開示による、焦点動作のための例示的な焦点制御システムを例解するブロック図である。
図7】本開示による、zステージコントローラのための例示的なアーキテクチャを例解する図である。
図8】本開示による、焦点品質メトリックの生成におけるステップを例解するプロセスフローを描写する。
図9】本開示による、画像から導出されたフーリエ変換を視覚的に例解する。
図10】本開示による、フーリエ変換から導出されたパワースペクトルを視覚的に例解する。
図11】本開示による、パワースペクトルへの区分関数適合を視覚的に例解し、画像から導出されたフーリエ変換を視覚的に例解する。
図12A】本開示による、画像のz積み重ねのそれぞれの画像に対して導出されたパワースペクトルへの区分関数の適合を視覚的に例解する。
図12B】本開示による、画像のz積み重ねのそれぞれの画像に対して導出されたパワースペクトルへの区分関数の適合を視覚的に例解する。
図12C】本開示による、画像のz積み重ねのそれぞれの画像に対して導出されたパワースペクトルへの区分関数の適合を視覚的に例解する。
図13A図12A図12Cに例解されたパワースペクトルに対して、対応する画像データを描写する。
図13B図12A図12Cに例解されたパワースペクトルに対して、対応する画像データを描写する。
図13C図12A図12Cに例解されたパワースペクトルに対して、対応する画像データを描写する。
図14】本開示による、2つの異なるカラーチャネルに対するz高さに対してプロットされた、半径方向勾配及びコーナー周波数のプロットをグラフで描写する。
図15】固定焦点高さに対して及び強度値の範囲にわたって判定された、半径方向勾配及びブレナースコアのプロットをグラフで描写する。
図16】本開示による、z及びy寸法値の範囲にわたる半径方向勾配のプロットをグラフで描写する。
図17】本開示による、異なるフローセルに対して判定された、半径方向勾配及びコーナー周波数のプロットをグラフで描写する。
図18】本開示による、画像の異なるサブ領域に対してプロットされた、勾配の視覚的コード化表現をグラフで描写する。
図19】本開示による、半径方向非対称フーリエ変換及び対応するパワースペクトルを描写する。
図20】本開示による、列データを使用する焦点品質メトリックの生成におけるステップを例解するプロセスフローを描写する。
図21】本開示による、画像から導出された一次元フーリエ変換を視覚的に例解する。
図22】本開示による、パワースペクトルへの区分関数適合を視覚的に例解し、画像から導出されたフーリエ変換を視覚的に例解する。
図23】本開示による、列長さを変化させ、かつ第1の平均化スキームを使用する場合の、積算パワー対k空間値のプロットを視覚的に例解する。
図24】本開示による、列長さを変化させ、かつ第2の平均化スキームを使用する場合の、積算パワー対k空間値のプロットを視覚的に例解する。
図25】本開示による、最適な焦点深度を識別するために、焦点品質メトリック対焦点深度の放物線適合を描写するプロットを視覚的に例解する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
1つ以上の具体的な実施形態を以下に説明する。これらの実施形態の簡潔な説明を提供するために、実際の実装形態の全ての特徴が本明細書で説明されるわけではない。任意のそのような実際の実装形態の開発では、どのエンジニアリング又は設計プロジェクトでも同様であるが、実装形態によって異なり得るシステム関連及び企業関連の制約への準拠など、開発者の具体的な目標を達成するために、多数の実装形態固有の決定を行わなければならないことを理解されたい。更に、そのような開発努力は、複雑で時間がかかる可能性があるが、それにもかかわらず、本開示の利益を有する当業者にとって、設計、製作、及び製造の日常的な仕事であることを理解されたい。
【0017】
本開示は、焦点品質メトリックの生成におけるフーリエ変換(例えば、離散フーリエ変換(discrete Fourier transform、DFT))の使用を提供し、加えて、リアルタイム焦点監視又は補正を提供するために、シーケンシング又は走査動作の間に使用される焦点モデルを生成又は別様にパラメータ化するなど、そのような焦点品質メトリックの使用の例を提供する。特定の実装形態では、規則的にパターン化された表面(例えば、試料ウェルなどの、部位の周期的又は他の繰り返しパターンを有する表面)が撮像され、画像の領域又はサブ領域が、関心対象の各領域又は部分領域に対して本明細書において説明される焦点品質メトリックを計算することなどによって、焦点品質に対して別個に査定される。このアプローチに従って生成された焦点品質メトリックは、強度非依存性であり、したがって、パターン化された表面にわたる、ラン間の又はデバイス間の強度の変動に対して堅牢である。結果として、説明される焦点品質メトリックは、デバイス、試料、プロセス、ランなどの間の強度の変動をもたらす、光退色又は他の強度ダイナミクスを呈する画像上であっても、焦点品質を定量化し比較するために使用され得る。
【0018】
以下で考察される用語及び概念の更なる文脈を提供するために、本明細書で使用される場合、「フローセル」は、試料保持及び/若しくは処理構造又はデバイスであると理解され得ることに留意され得る。そのようなデバイスは、検体が処理及び分析のために位置特定され得る部位又はウェル(すなわち、試料部位又は結合部位)を含む。本明細書で考察されるように、部位の一部又は全部は、フローセル構造の1つ以上の表面上に繰り返し又は周期的パターンで配設され得る。
【0019】
加えて、「焦点」の概念並びにその使用及び撮像動作との関連性に関して、この概念は、以下に関連し得るが、それらに限定されない:(1)リアルタイムで撮像されている領域に焦点を合わせるリアルタイム自動焦点、(2)撮像される次の領域を分析することによる、先読み予測焦点合わせ、及び/又は(3)同じ領域の前の走査サイクルからの先行走査の情報を現在の走査へ使用することによる、フィードフォワード焦点。これらの一部又は全部は、米国特許第8422031号(2010年11月16日出願、2013年4月16日発行、発明の名称「FOCUSING METHODS AND OPTICAL SYSTEMS AND ASSEMBLIES USING THE SAME」)、米国特許第11054624号(2017年12月22日出願、2021年7月6日発行、発明の名称「PREDICTIVE FOCUS TRACKING APPARATUS AND METHODS」)、及び米国特許第10834308号(2019年1月10日出願、2020年11月10日発行、発明の名称「REAL TIME CONTROLLER SWITCHING」)で考察されおり、これらの全ては、それぞれの全体が全ての目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0020】
更に、本明細書で考察されるように、核酸シーケンシング技術において、フローセルのパターン化された表面などの基材上で空間的に分離及び特定され得る核酸のオリゴマー又はポリマー鎖は、生化学的処理及び撮像のいくつかのサイクルの対象とされ得る。そのようなパターン化された表面は、植物、動物(例えば、ヒト)、及び他の生物に存在するヌクレオチド配列に特異的なDNA又はRNAプローブを含み得る。いくつかの用途では、個々のDNA又はRNAプローブは、パターン化されたフローセルの表面の個々の外観(例えば、試料ウェル又は部位)に付着され得る。既知又は未知のヒト又は生物からのものなどの試験試料は、標的核酸(例えば、遺伝子断片、mRNA、又はアンプリコン)が部位パターンにおけるそれぞれの部位で相補的プローブにハイブリダイズするように、部位に曝露することができる。プローブは、標的特異的プロセス(例えば、標的核酸上に存在する標識に起因して、又は外観においてハイブリダイズした形態で存在するプローブ又は標的の酵素標識に起因して)標識することができる。次いで、パターン化された表面は、どの標的核酸が試料中に存在するかを識別するために、外観の上の特定の光の周波数(例えば、1つ、2つ、3つ又は4つの周波数)を走査することなどによって、検査することができる。実際には、複数(例えば、2つ)の異なる画像が、所与のサイクルで得られ得、各外観は、組み合わされた画像において検出される。シーケンシングは複数のサイクルを含み、連続サイクルからの画像データを使用して、それぞれの部位で検出された標識のシーケンスに基づいて、各部位のヌクレオチドのシーケンスを判定する。本明細書で考察されるように、画像の不十分な焦点は、シーケンス分析に悪影響を与え得る。
【0021】
パターン化された表面上の反応又は試料結合部位(例えば、試料ウェル又はナノウェル)などの外観のサイズに関して、そのような外観のサイズは、所望の用途に適合するように選択されることができる。いくつかの例では、パターン化された表面の外観は、単一の核酸分子のみを収容するサイズを有することができる。このサイズ範囲の複数の外観を有する表面は、単一分子分解能で検出するための分子のパターンを構築するのに有用である。このサイズ範囲の外観もまた、核酸分子のコロニーをそれぞれ含む外観を有するパターン化された表面での使用にも有用である。したがって、パターン化された表面の外観は各々、約1mm以下、約500μm以下、約100μm以下、約10μm以下、約1μm以下、約500nm以下、約100nm以下、約10nm以下、約5nm以下、又は約1nm以下の面積を有することができる。代替的に又は追加的に、パターン化された表面の外観は、約1mm以上、約500μm以上、約100μm以上、約10μm以上、約1μm以上、約500nm以上、約100nm以上、約10nm以上、約5nm以上、又は約1nm以上である。実際に、外観は、上記に例示したものから選択される上限と下限との間の範囲内の大きさを有することができる。表面の外観のいくつかのサイズ範囲が核酸及び核酸のスケールに関して例示されてきたが、これらのサイズ範囲の外観は、核酸を含まない用途に使用され得ることが理解されるであろう。外観のサイズは、核酸用途に使用されるスケールに必ずしも限定される必要はないことが更に理解されるであろう。
【0022】
複数の外観を有する物体(例えば、フローセル表面)を含む例では、外観(例えば、試料部位又はウェル)は離散的であり得、互いの間に空間で分離されている。本文脈において有用なパターン化された表面は、最大で約100μm、約50μm、約10μm、約5μm、約1μm、約0.5μm、又はそれ以下の縁間距離によって分離されている外観を有することができる。代替的に又は追加的に、パターン化された表面は、少なくとも約0.5μm、約1μm、約5μm、約10μm、約50μm、約100μm、又はそれ以上の縁間距離によって分離されている外観を有することができる。これらの範囲は、外観の平均縁部間隔及び縁部間隔、並びに最小又は最大間隔に適用することができる。
【0023】
外観のサイズ及び/又は外観のピッチは、パターン化された表面上の外観が所望の密度を有し得るように、変化することができる。例えば、規則的なパターンにおける平均外観ピッチは、最大で約100μm、約50μm、約10μm、約5μm、約1μm、又は約0.5μm以下であり得る。代替的に又は追加的に、規則的なパターンにおける平均外観ピッチは、少なくとも約0.5μm、約1μm、約5μm、約10μm、約50μm、約100μm以上であり得る。これらの範囲は、規則的なパターンの最大ピッチ又は最小ピッチにも適用することができる。例えば、規則的なパターンの最大外観ピッチは、最大で約100μm、約50μm、約10μm、約5μm、約1μm、若しくは約0.5μm以下であり得、かつ/又は規則的なパターンにおける最小外観ピッチは、少なくとも約0.5μm、約1μm、約5μm、約10μm、約50μm、若しくは約100μm以上であり得る。
【0024】
パターン化された表面上の外観の密度は、単位面積当たりに存在する外観の数に関しても理解され得る。例えば、パターン化された表面上の外観の平均密度は、少なくとも約1×10外観/mm、約1×10外観/mm、約1×10外観/mm、約1×10外観/mm、約1×10外観/mm、約1×10外観/mm、又は約1×10外観/mm以上であり得る。代替的に又は追加的に、パターン化された表面上の外観の平均密度は、最大で約1×10外観/mm、約1×10外観/mm、約1×10外観/mm、約1×10外観/mm、約1×10外観/mm、約1×10外観/mm、又は約1×10外観/mm以下であり得る。
【0025】
パターン化された表面上に提供された外観は、様々な形状、断面、及びレイアウトのいずれかを有することができる。例えば、表面上などの二次元平面で観察される場合、外観は、丸みを帯びた、円形、楕円形、矩形、正方形、対称、非対称、三角形、多角形などである外周を有し得る。外観は、例えば六角形又は直線パターンを含む規則的な繰り返しパターンで配置することができる。パターンは、所望のレベルのパッキングを達成するように選択され得る。例えば、円形外観は、六角形の配置で最適に充填される。他のパッキング構成もまた、円形外観のために使用することができ、逆もまた同様である。
【0026】
一般に、パターン化された表面は、パターンの最小幾何学的単位を形成するサブセット内に存在する外観の数に関して特徴付けることができる。サブセットは、例えば、少なくとも2、3、4、5、6、10個以上の外観を含み得る。外観のサイズ及び密度に応じて、幾何学的単位は、約1mm、約500μm、約100μm、約50μm、約10μm、約1μm、約500nm、約100nm、約50nm、又は約10nm以下の面積を占めることができる。代替的に又は追加的に、幾何学的単位は、約10nm、約50nm、約100nm、約500nm、約1μm、約10μm、約50μm、約100μm、約500μm、又は約1mm以上の面積を占めることができる。形状、サイズ、ピッチなどの幾何学的単位における外観の特性は、パターン化された表面上に提供された外観に関して、より一般的に本明細書に記載されるものから選択することができる。
【0027】
外観の規則的なパターンを有する表面は、外観の相対的な場所に対して順序付けられるが、各外観の1つ以上の他の特性に対してランダムであり得る。例えば、核酸シーケンシング表面の場合、核酸外観は、それぞれの相対的な場所に対して順序付けられるが、任意の外観に存在する核酸種に関するシーケンスの知識に関してランダムであり得る。より具体的な例として、テンプレート核酸を有する外観の繰り返しパターンを播種し、(例えば、クラスタ増幅又はブリッジ増幅を介して)各外観でテンプレートを増幅して、外観においてテンプレートのコピーを形成することによって形成される核酸シーケンシング表面は、核酸検体の規則的なパターンを有するが、パターンにわたる核酸のシーケンスの分布に関してランダムであろう。したがって、表面上の核酸材料の存在の検出は、外観の繰り返しパターンをもたらすことができるのに対し、シーケンス特異的検出は、表面にわたる信号の非反復分布をもたらすことができる。
【0028】
理解できるように、本明細書に提供されるパターン、順序、ランダム性などの説明は、物体上の外観(例えば、固体支持体又は表面上の外観などの、そのような外観を有する固体基材)に関係するだけでなく、本明細書において説明される外観を有するそのような物体を含むか又は描写する、画像データ、又はそのような画像データから生成される画像にも関係する。したがって、パターン、順序、ランダム性などは、限定するものではないが、グラフィカルユーザインターフェース又は他の出力デバイスなどのコンピュータ可読媒体又はコンピュータ構成要素を含むがこれらに限定されない、画像データを記憶、操作、又は通信するために使用される様々なフォーマットのうちのいずれかに存在することができる。
【0029】
本明細書で使用される場合、「基準」という用語は、(フローセル表面などの分析される分子材料のための部位を有する支持体又は基材などの)物体内又は物体上の、及び、物体の取得された画像データ内の基準の識別可能な領域(例えば、点又は面積)を意味することが意図する。基準は、例えば、マーク、物体、形状、縁部、領域、不規則性、チャネル、ピット、ポスト、又は多くの場合のように、基準として使用することができる既知の場所、幾何形状、及び/又は構成における外観の集合とすることができる。基準は、物体の画像内に、又は物体を検出する(例えば、撮像する)ことから導出される別のデータセット内に存在することができる。
【0030】
基準は、分子が位置する部位を含む、パターン化された表面上の個々の外観の識別及び位置特定を容易にするために、本開示において企図されるパターン化された表面上又はその中、並びに部位及び分子の画像データに含まれる。基準は、部位又は外観の空間的場所をレジストレーションするのに有用である。なぜなら、基準は、そのような部位又は外観の相対的な場所に対する基準領域又は基準点を提供するからである。基準は、支持体及び部位が繰り返し検出されて、個々の部位で経時的に生じる変化、及び処理の連続サイクルを追跡する用途に有用である。例えば、基準は、個々のクラスタに存在する核酸種のシーケンスが正確に判定され得るように、複数のシーケンシングサイクルにわたって得られた連続画像を通して、個々の核酸クラスタが追跡されることを可能にし得る。
【0031】
上記を念頭に置くと、特定の実世界の実装形態では、本技術は、核酸シーケンサ又は同等の画像ベースのシステムを使用して処理することができる、パターン化されたフローセル基材上の蛍光エミッタの画像の焦点品質の定量的尺度の生成を容易にする。そのような文脈では、焦点品質は、機器若しくは機器タイプ、フローセルタイプ、又はフローセル上の位置にかかわらず、ここで説明されているメトリックを使用して、定量化され得る。例として、フローセルの蛍光画像は、シーケンサ(すなわち、シーケンシングシステム)によって取得され得る。蛍光画像のサブ領域を画定することができ、サブ領域のうちの1つ以上について、それぞれの離散フーリエ変換及びパワースペクトル密度を計算することができる。そのような一例では、結果として生じるパワースペクトルの半径方向平均(又は、中央若しくは最頻などの、中心傾向の他の尺度)が計算される。最小二乗適合(又は、他の好適な適合の尺度)が、区分関数をパワースペクトル(例えば、積算パワー対半径プロット)に適合させるために生成され、適合された関数は、(1)焦点の品質に対応する、半径方向勾配、(2)焦点情報が見出される最大空間周波数を判定する、コーナー周波数、及び(3)下回ると有用な情報が得られない、ノイズフロアのうちの1つ以上の値を導出するために使用される。
【0032】
そのようなシーケンサの文脈では、本明細書で考察されるように、導出された焦点品質メトリック(すなわち、半径方向勾配)は、パターン化された表面上の蛍光エミッタの強度にほとんど影響を受けない。結果として、焦点品質メトリックは、グラフティング及びテンプレートハイブリダイゼーションプロセスにおいて見られる通常のばらつきの存在下で、及び、励起強度における不均一性に対し堅牢である。更に、そのようなシーケンシングの文脈における本アプローチは、視野内の数千から数万の蛍光エミッタから生成された定期情報に依存するため、取得された蛍光画像における通常の不均一性に影響を受けない。追加の利益はまた、画像を生成する光学系の(例えば、ローレンツ分布プロファイルに基づいた)点拡がり関数(PSF)に関する追加の診断データ、及び、試料面傾斜(すなわち、撮像されている基材又は表面に関連付けられた焦点面の傾斜)に関する情報の生成を含み得る。そのような情報は、走査プロセス全体を通して焦点品質を維持するために使用される焦点モデルを初期化、更新、又は較正するように、初期若しくは1回限りの較正の一部として、周期的に実行される較正若しくは再較正の一部として、又は、間隔を置いて(例えば、10、20、30、40、又は50サイクルごとに)それぞれの走査動作中に実行される反復若しくはランタイム再較正の一部として、有益であり得る。加えて、本明細書において説明される焦点品質定量化技術の特定の実装形態では、(他の従来のアプローチとは異なり)PSFのガウス分布プロファイルは想定されない。実際に、ローレンツ分布プロファイルは、特定の実施形態では、PSFをより良く説明することができる。ガウスプロファイルが想定されないので、本開示の焦点品質定量化技術は、そのような想定に依存する他のアプローチよりも、それぞれの用途においてより柔軟である。
【0033】
上記を念頭に置くと、本明細書では、焦点メトリック、及び/又はそのようなメトリックを使用してパラメータ化又は較正された焦点モデルの生成及び使用、並びに分析のシステム及び方法におけるそれぞれの使用に関して、いくつかの例を説明する。自動化又は半自動化された手法で方法を実施するためのシステムもまた提供され、そのようなシステムは、プロセッサ、データ記憶デバイス、及び画像分析のためのプログラムを含み、プログラムは、離散フーリエ変換を使用して、焦点メトリックを生成するために提供された1つ以上の方法を実施するためのプロセッサ実行可能命令と、核酸シーケンシングの文脈などの実世界の撮像の文脈において、そのような焦点メトリックを使用するプロセッサ実行可能命令と、を含むことが理解されるであろう。したがって、本明細書で考察される方法は、例えば、そのような目的のために必要とされる構成要素及び実行可能なルーチンを有するコンピュータで実施することができる。
【0034】
本明細書において説明される方法及びシステムは、様々な物体上又は内にあり得る、生物学的試料及び分子などの、様々な材料のうちのいずれかを分析するために用いられ得る。有用な物体は、固体担体又は付着した検体を有する固相表面である。説明される方法及びシステムは、DNA、RNA、ウイルスからの生物学的材料、タンパク質、抗体、炭水化物、(薬物候補などの)小分子、生物学的活性分子、又は関心対象の任意の他の検体などの分子の付着した集合を有するパターン化されたフローセルなどのx、y平面内に外観の繰り返しパターンを有する物体とともに使用されるとき、撮像装置の焦点品質を査定及び補正する際に利点を提供し得る。
【0035】
上記は、用語及びプロセスに関する有用な背景及び文脈を提供するが、以下は、本明細書において説明される焦点品質メトリックの利益を伴って、試料基材を利用又は処理し得る、好適なシステム及び機能的ワークフローの例を提供する。例として、図1は、生物学的試料を処理するために、開示される焦点品質定量化技術と併せて使用され得るシーケンシングシステムなどの、光学画像走査システム10の例を描写する。そのような撮像システム10に関して、そのような撮像システムは、典型的には、撮像される試料又は他の物体(例えば、離間された試料部位のパターン化された表面を有するフローセル又はシーケンシングカートリッジ)を保持する試料ステージ又は支持体と、撮像動作のために使用される光学素子を含む光学ステージと、を含むことが理解され得る。そのような撮像システム10の焦点合わせ動作は、典型的には、試料ステージに対して光学ステージを移動させることを伴う。それらの動作の一部として、そのような撮像システムは、焦点情報を取得するための期間の間、光学ステージに対して定位置に試料ステージを保持することなどによって、焦点モデルを生成するための1つのモードで動作され得る。本明細書で考察されるように、焦点モデル生成(又は再較正)の一部として、本明細書において説明される焦点品質メトリックが、焦点モデルをパラメータ化又は更新するために生成され得る。別個のシーケンシング動作モードでは、高速焦点調整は、適切なスループットを維持するために、較正された焦点モデルを使用して、実行され得る。
【0036】
図1を参照すると、例示的な画像走査システムは、フローセルのタイル、サブタイル、又はライン(例えば、試料部位の列又はピクセル列)などの領域の画像を取得又は生成するためのデバイスを含み得る。図1に例解された例は、バックライト動作構成で構成された例示的な画像走査システムを示す。描写された例では、対象試料は、対物レンズ142の下の試料ステージ170上に位置付けられている、試料容器110上に位置する。光源160及び関連付けられた光学素子は、レーザ光又は高輝度発光ダイオード(superluminescent light emitting diode、SLED)などの光ビームを、試料容器110上の選択された試料の場所に方向付ける。試料蛍光及び得られた光は、対物レンズ142によって収集され、光検出器140に方向付けられて蛍光が検出される。試料ステージ170は、試料容器110上の次の試料の場所を対物レンズ142の焦点に位置付けるため、対物レンズ142に対して移動される。対物レンズ142に対する試料ステージ170の移動は、試料ステージ自体、対物レンズ、光学ステージ全体、又はこれらの構造の任意の組み合わせを移動させることによって、達成することができる。更なる例はまた、静止試料の上で撮像システム全体を移動させることを含み得る。
【0037】
流体送達モジュール又はデバイス100は、以下で詳細に考察されるように、試薬の流れ(例えば、蛍光ヌクレオチド、緩衝剤、酵素、開裂試薬など)を試料容器110及び廃棄物バルブ120に方向付ける(かつ通過させる)。いくつかの用途では、試料容器110は、試料容器110上の複数の試料の場所に核酸シーケンスのクラスタを含むフローセルとして、実装することができる。順序付けされる試料は、他の任意選択的な構成要素とともに、フローセルの基材に付着され得る。実際には、フローセルの表面上に提供された複数の試料の場所は、離間された試料部位として配置され得、試料部位は、それぞれが複数の試料の場所の対応するサブセットを含むタイル、サブタイル、及びライン領域に細分され得る。
【0038】
描写された例示的な画像走査システム10はまた、試料容器110内の流体の状態の温度を任意選択的に調節し得る温度ステーションアクチュエータ130及び加熱器/冷却器135を備える。カメラシステム(例えば、光検出器システム140)は、試料容器110のシーケンシングを監視及び追跡するために含めることができる。光検出器システム140は、例えば、フィルタスイッチングアセンブリ145内の様々なフィルタ、対物レンズ142と相互作用することができるCCDカメラとして実装することができる。光検出器システム140は、CCDカメラに限定されず、他のカメラ及び画像センサ技術を使用することができる。焦点モデルに対する焦点アセンブリの較正に基づいて、迅速又はリアルタイムの焦点測定を提供するために、(本明細書で考察されるように)焦点モデルとともに動作する、焦点合わせアセンブリ(例えば、集束エミッタ150(例えば、集束レーザ又はSLED)及び焦点検出器141)もまた提供され得る。
【0039】
光源160(例えば、複数のエミッタを任意選択的に備えるアセンブリ内の励起エミッタ(例えば、レーザ又はSLED))は、光ファイバインターフェース161(任意選択的に1つ以上の再撮像レンズ、光ファイバ装着部などを備えることができる)を通した照明を介した試料内の蛍光シーケンシング反応を照明するために含めることができる。示される例では、低ワットランプ165及び逆ダイクロイック185もまた提示されている。いくつかの用途では、集束エミッタ150は、撮像中にオフにされ得る。他の用途では、代替焦点構成は、データ収集と同時に表面から反射された散乱ビームの場所を測定するための、象限検出器、光位置センサ、又は同様の検出器であり得る、第2の集束カメラを含むことができる。そのような代替構成では、本明細書で考察されるように、焦点モデルは、依然として、高速焦点検出機構の動作を較正するために用いられ得る。
【0040】
バックライト付きデバイスとして例解されているが、他の例は、対物レンズ142を通して試料容器110(すなわち、フロントライト付き構成)上の試料に方向付けられているレーザ、SLED又は他の光源からの光を含み得る。試料容器110は、対物レンズ142に対する試料容器110の移動及び位置合わせを提供するように、試料ステージ170に装着することができる。試料ステージ170は、3つの方向のうちのいずれかでそれが移動することを可能にする1つ以上のアクチュエータを有することができる。例えば、デカルト座標系の観点から、ステージが対物レンズ142に対してX方向、Y方向、及びZ方向に移動することを可能にするアクチュエータを提供することができる。これは、試料容器110上の1つ以上の試料の場所が対物レンズ142と光学的に位置合わせされて位置付けられることを可能にすることができる。
【0041】
この例には、(典型的にはz軸又はz方向と称される)焦点方向における試料容器110に対する光学構成要素の位置付けを制御するために含まれるものとして、焦点構成要素175が示されている。焦点構成要素175は、光学構成要素(例えば、対物レンズ142)に対して試料ステージ170上の試料容器110を移動させて、撮影動作のための適切な焦点合わせを提供するように、光学ステージ若しくは試料ステージ、又はその両方に物理的に結合された1つ以上のアクチュエータを含むことができる。例えば、アクチュエータは、例えば、ステージとの直接的又は間接的な、機械的接続、磁気的接続、流体的接続、若しくは他の接続又は接触によって、それぞれのステージに物理的に結合され得る。1つ以上のアクチュエータは、試料ステージを同一平面内に維持しながら(例えば、光軸に垂直なレベル又は水平姿勢を維持しながら)、ステージをz方向に移動させるように構成することができる。1つ以上のアクチュエータはまた、ステージを傾斜させるように構成することができる。これは、例えば、試料容器110が、その表面における任意の勾配を補償するように動的に平坦化され得るように行われる。
【0042】
システムの焦点合わせは、一般に、対物レンズ142の焦点面を、選択された試料場所で撮像される試料に位置合わせすることを指す。しかしながら、焦点合わせはまた、例えば、試験試料の画像に対する所望のレベルの鋭利さ又はコントラストなどの試料の表現のために所望の特性を得る又は高めるようにシステムを調整することを指し得る。対物レンズ142の焦点面の使用可能な被写界深度は非常に小さい(時に1μm程度又はそれ以下)場合があるため、焦点構成要素175は、撮像されている表面に密接に従う。試料容器は、器具に固定されるものとして完全に平坦でない場合があるため、焦点構成要素175は、走査方向(典型的には、y軸と称される)に沿って移動しながら、このプロファイルに従うように設定され得る。
【0043】
試料の場所における試験試料から発せられる光は、1つ以上の光検出器140に方向付けられ得る。光検出器は、例えば、CCDカメラを含むことができる。開口は、焦点領域から発せられる光のみが光検出器へと通過することを可能にするように、含める、及び位置付けることができる。開口は、焦点領域の外側にある領域から発せられる光の成分をフィルタリングすることによって、画質を改善するように含めることができる。発光フィルタは、フィルタスイッチングアセンブリ145に含めることができる、判定された発光波長を記録するため、及びいかなる迷光も遮断するために選択することができる。
【0044】
様々な例では、試料容器110(例えば、フローセル)は、試料がその上に提供される1つ以上の基材を含むことができる。例えば、多数の様々な核酸配列を解析するシステムの場合、試料容器110は、順序付けされる核酸がその上で結合、付着、又は会合する1つ以上の基材を含むことができる。様々な例では、基材としては、例えば、ガラス表面、プラスチック表面、ラテックス、デキストラン、ポリスチレン表面、ポリプロピレン表面、ポリアクリルアミドゲル、金表面、及びシリコンウェハなどの、核酸が付着され得る任意の不活性基材又は基質が挙げられ得る。いくつかの用途では、基材は、試料容器110にわたって行列又はパターンに形成された複数の場所におけるチャネル内又は他のエリア内にある。
【0045】
図1を参照しながら説明した例示的な画像走査システム10などの走査システムの動作を制御するための、1つ以上のコントローラ190(例えば、プロセッサ又はASICベースのコントローラ)を提供することができる。コントローラ190は、例えば、走査、焦点合わせ(例えば、焦点品質の測定又は定量化、焦点の調整など)、ステージ移動及び調整、並びに撮像動作などのシステム動作の態様を制御するように実装することができる。様々な用途では、コントローラは、ハードウェア、ソフトウェア、又は上記の組み合わせを用いて、実装することができる。例えば、いくつかの実装形態では、コントローラは、1つ以上のCPU又は関連するメモリを有するプロセッサを含むことができる。別の例として、コントローラは、動作を制御するためのハードウェア又は他の回路を備えることができる。例えば、この回路構成は、以下のうちの1つ以上を含むことができる:フィールドプログラマブルゲートアレイ(field programmable gate array、FPGA)、特定用途向け集積回路(application specific integrated circuit、ASIC)、プログラマブル論理デバイス(programmable logic device、PLD)、複合プログラマブル論理デバイス(complex programmable logic device、CPLD)、プログラマブル論理アレイ(programmable logic array、PLA)、プログラマブルアレイ論理(programmable array logic、PAL)、又は他の同様の処理デバイス若しくは回路構成。更に別の例として、コントローラは、この回路構成の1つ以上のプロセッサとの組み合わせを備えることができる。
【0046】
焦点品質メトリックの生成及び/又は使用、並びにそのようなメトリックを利用するか又はそれに基づく焦点モデルが、この例示的なシステムの文脈において本明細書で説明及び考察され得るが、これは、これらの技術が実装され得る1つの例にすぎない。この説明を読んだ後、当業者は、本明細書において説明されるシステム及び方法が、この及び他のスキャナ、顕微鏡、並びに他の撮像システムを用いてどのように実装され得るかを理解するであろう。
【0047】
前述の説明は、シーケンシングシステムなどの光学画像走査システム10の構成要素及び特徴を網羅しているが、図2は、機能的ワークフローの文脈におけるそのようなシステム10の使用を考察している。この考察は、焦点品質メトリックの生成及び使用の後続の考察のための有用な実世界の文脈を提供するために提供される。このようにして、以降で説明されるように、焦点品質メトリックの使用及び重要性がより十分に理解されることが期待される。
【0048】
このことを念頭に置いて、図2を参照すると、システム構成要素とともに、例示的なワークフローを例解するブロック図が提供される。この例では、ワークフロー及び対応するシステム構成要素は、パターン化されたフローセル(生物学的用途のためなど)を処理し、パターン化されたフローセル表面を撮像し、撮像から導出されたデータを分析するのに好適であり得る。
【0049】
例解された例では、(ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、及び他の生物活性試薬などの)分子は、前もって調製され得るそれぞれの試料容器110に導入され得る。本明細書で述べられるように、そのような試料容器110は、フローセル、シーケンシングカートリッジ、又は撮像のための試料部位を包含する基材を有する他の好適な構造を備え得る。システム構成要素を伴う描写されたワークフローは、DNA鎖などのバイオポリマーを合成するために、又はバイオポリマーを順序付けするために利用され得る。しかしながら、本技術は、シーケンシング動作、遺伝子発現動作、診断用途などに限定されず、以下に説明されるように、試料又は試料ホルダの撮像から検出されたスワス又は領域などの焦点品質メトリックを導出するために、収集された画像データを処理するためにより一般的に使用され得ることが理解されるべきである。パターン化された、又は別様に検出可能な外観を含有する他の基材は、開示される技術及びシステムとともに同様に使用することができる。
【0050】
本文脈では、例示的なバイオポリマーは、DNA、RNA、又はDNA若しくはRNAの類似体などの核酸を含み得るが、これらに限定されない。他の例示的なバイオポリマーとしては、タンパク質(ポリペプチドとも称される)、多糖、又はそれらの類似体を挙げられ得る。様々な生体高分子のうちのいずれかが、説明される技術に従って処理され得るが、説明を容易にし、単純化するために、例示的文脈において処理及び撮像のために使用されるシステム及び方法は、核酸の処理に関して説明される。一般に、説明されるワークフローは、試料容器110を処理し、その各々は、反応部位のパターン化された表面を含み得る。本明細書で使用される場合、「パターン化された表面」は、異なる反応部位が、それぞれの相対的な場所に従って互いに区別され得るように、異なる離散した、かつ離間された反応部位の集団を有する支持体又は基材の表面を指す。単一種のバイオポリマーが、各個々の反応部位に付着され得る。しかしながら、バイオポリマー種の複数のコピーを反応部位に付着させることができる。パターンは、全体として見ると、複数の異なる部位に付着した複数の異なるバイオポリマーを含み得る。反応部位は、同じ基材上の異なるアドレス可能な場所に位置することができる。代替的に、パターン化された表面は、各々が異なる反応部位を形成する別個の基材を含むことができる。部位は、具体的な、既知の場所に付着したDNAの断片を含み得るか、又は標的生成物が合成対象となるウェル若しくはナノウェルであり得る。いくつかの用途では、システムは、(共通のヌクレオチドに基づくポリマー分子などの)分子を連続的に合成又は順序付けするために設計され得る。
【0051】
図2の図式表現では、分析システムは、(例えば、パターン化された表面を含み得る)試料容器110内に提供された試料を処理し、パターン化された表面上の個々の部位、及び部位間の空間を表す画像データ、並びにパターン化された表面内又はパターン化された表面上に提供された基準の表現を生成するように設計された、処理システム224(例えば、シーケンシングシステム又はステーション)を含み得る。データ分析システム226は、本開示に従って、画像データを受信し、画像データを処理して、本明細書において説明される撮像データから意味のある値を抽出する。次いで、下流処理/記憶システム228は、この情報を受信し、必要に応じて、撮像データとともに情報を記憶し得る。下流処理/記憶システム228は、例えば、生理学的状態を診断し、シーケンシングリストをコンパイルし、遺伝子発現を分析するなどのため、画像データ、又は画像データから導出された処理データを更に分析し得る。
【0052】
本文脈に関連し得るようなデータ分析システム226及び/又は下流プロセス/記憶システム228に関して、画像データは、Illuminaシーケンサ用に市販されているリアルタイム分析(real-time analysis、RTA)プロトコルを使用して、分析され得る。暗部(無信号生成領域又はピクセル)及び明部(信号生成領域又はピクセル)は、それぞれ0及び255の強度レベル、又はこれらの間の任意の所望の他のレベルを割り当てられ得る。
【0053】
処理システム224は、処理が進行するにつれて様々な試薬を試料容器110に送達するための、生体分子試薬送達システム(図2の例では、ヌクレオチド送達システム230として示されている)を用い得る。生体分子試薬送達システムは、図1の流体送達モジュール又はデバイス100に対応し得る。処理システム224は、試料容器110及び対応する試料が進行する複数の動作を実行し得る。この進行は、例えば、異なるステーションへの試料容器110の物理的移動、又は、試料容器110が移動されるか若しくは光学系が移動されるか若しくはその両方であるシステムにおける(フローセルなどの)試料容器110の装填、又は、バルブ作動を介して実行される流体の送達を含む、いくつかの手法で達成することができる。システムは、反応が単一ヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドで促進され、その後、後続のサイクルに対する調製においてフラッシング、撮像及びデブロッキングが続く、周期動作のために設計され得る。実際のシステムでは、試料容器110及び対応する試料は、処理システム224内に配設され、全ての有用な情報が試験試料から抽出される前に、反応、フラッシング、撮像、デブロッキングなどのための自動化又は半自動化された動作のシーケンスが、いくつかの連続サイクルで実行される。この場合もやはり、図2に例解されたワークフローは限定的なものではなく、本技術は、任意の用途に用いられる任意の好適なシステムから取得された画像データに作用し得ることに留意されたい。本開示では「撮像」又は「画像データ」に言及する一方で、多くの実際のシステムでは、このことは、実際の光学撮像と、電子検出回路(例えば、カメラ又は撮像電子回路若しくはチップ)からのデータの抽出と、を必然的に伴うが、他の検出技術もまた用いることができ、かつ、関心対象の分子を特徴付ける、結果として生じる電子又はデジタル検出データもまた、「画像」又は「画像データ」とみなすべきであることに留意されたい。
【0054】
図2に例解された例では、ヌクレオチド送達システム230は、プロセス流232を試料容器110に供給する。試料容器110(例えば、フローセル)からの流出液流234は、例えば、ヌクレオチド送達システム230において、再捕捉及び再循環され得る。例解された例では、フローセルのパターン化された表面は、追加の試薬を除去し、撮像のために試料容器110内の試料を清澄化するために、フラッシュステーション236において(又は多くの場合、図1の廃棄物バルブ120などの適切なバルブの作動によるフラッシングによって)フラッシュされ得る。次いで、試料容器110は、同じデバイス内にあり得る)撮像システム10(によって、ライン撮像又はエリア撮像技術を使用するなどして、撮像される。それによって生成された画像データは、例えば、テンプレートに基づくような、漸進的に構築するヌクレオチド鎖のシーケンスの判定のために分析され得る。可能な一実施形態では、撮像システム10は、共焦点ライン走査を用いて、パターン化された表面上の個々の部位を位置特定するために、及び各部位に直前に付着又は結合されたヌクレオチドのタイプを判定するために分析され得る、プログレッシブピクセル化画像データを生成し得る。「ステップ・アンド・シュート」又は他のエリアベースの撮像アプローチを用いる技術など、他の撮像技術もまた好適に用いられ得る。
【0055】
上で述べられるように、撮像システム10の撮像構成要素は、より一般的に「検出装置」とみなされ得、表面の高解像度撮像が可能な任意の検出装置を用いられ得る。いくつかの例では、検出装置は、本明細書に記載される密度、ピッチ、及び/又は外観サイズにおける外観を区別するのに十分な分解能を有するであろう。検出装置の例は、物体及び検出器を既知の幾何学的関係に維持しつつ、エリア画像を得るように構成されたものである。上で述べられるように、ライン走査装置(例えば、時間遅延積算(time delay and integration、TDI)走査装置)、及び一連の又は連続的なエリア画像を得るシステム(例えば、「ステップ・アンド・シュート」検出器)を使用することができる。ライン走査検出器は、フローセル(又は他の試料保持基材)上の(従来の方法でx次元と示される)交差試料内のラインを走査するように構成され得、一方、フローセルは、走査又は(従来の方法でy次元と示される)走査方向に漸進的に移動される。検出デバイス、物体、又はその両方を移動させて、走査検出を達成することができることが理解されるであろう。例えば、核酸シーケンシング用途において有用な検出装置は、米国特許出願公開第2012/0270305(A1)号、同第2013/0023422(A1)号及び同第2013/0260372(A1)号、並びに米国特許第5,528,050号、同第5,719,391号、同第8,158,926号及び同第8,241,573号で説明され、これらの全ては、それぞれの全体が全ての目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0056】
一例では、本明細書でより詳細に考察されるように、本明細書に記載される方法又はシステムで使用される撮像システム10は、パターン化された表面のy次元に沿って走査することができ、プロセスにおいてパターン化された表面の部位の平行なスワス又はラインを走査する。パターン化された表面は、x次元に沿った部位のスワスの相対的な場所を区別する、粗位置合わせマーカを含み得る。使用されるとき、粗位置合わせマーカは、部位のスワスのうちの少なくとも1つの場所を判定するためになど、検出装置と協働することができる。任意選択的に、検出装置、及び/又はパターン化された表面を有する試料容器110の相対位置は、スワスに対して判定された場所に基づいて、調整され得る。いくつかの例では、スワスの場所の判定は、レジストレーション又は外観の識別を実行するために使用されるコンピュータなどの、プロセッサ又はコンピュータによるアルゴリズムによって実行することができる。したがって、システムは、コンピュータでアルゴリズムを実行して、画像データ内の外観の場所を判定するようにだけでなく、各部位における分子を特徴付けるように機能することができる。
【0057】
撮像に続いて(例えば、撮像システム10において)、試料容器110は、デブロッキングのためにデブロックステーション240に進むことができ、その間に、ブロッキング分子又は保護基が、マーキング色素とともに最後に加えられたヌクレオチドから切断される。処理システム224がシーケンシングに使用される場合、例として、撮像システム10からの画像データは記憶され、データ分析システム226に転送される。
【0058】
データ分析システム226は、汎用又は特定用途向けにプログラムされたコンピュータを含むことができ、このコンピュータは、以下に説明されるように、4つの共通DNAヌクレオチドのうちのどれが、パターン化された表面上の部位の各々に最後に加えられた可能性があるかを判定するための、ユーザインターフェース、及び画像データの自動化又は半自動化された分析を提供する。当業者によって理解されるように、そのような分析は、4つの共通DNAヌクレオチドの各々に対する固有のタグ付け色素の色に基づいて実行され得、したがって、1つ以上の光周波数又は光周波数の組み合わせにおける複数の画像が、パターン化された表面の各撮像領域に対して得ることができる。この画像データは、下流処理/記憶システム228によって更に分析され得、下流処理/記憶システム228は、以下に説明されるように、画像データから導出されたデータと、適切な場合、画像データ自体と、を記憶し得る。この場合もやはり、シーケンシング用途は、一例であることが意図され、本技術によって操作される同様の撮像データを生成する、診断用途、臨床用途、遺伝子発現実験などの他の動作が実施され得る。
【0059】
上で述べられるように、いくつかの実装形態では、パターン化された表面を有する試料容器110(例えば、フローセル)は、定位置に留まることができ、言及される「ステーション」は、説明される試料容器110に作用する、(例えば、所望の化学物質の導入及びそれらとの反応、フラッシング、撮像、画像データ収集などのための)統合サブシステムを含み得る。データ分析は、他の処理動作と同時に(すなわち、「リアルタイムで」)実行され得るか、又は、画像データ、若しくは画像データから導出されたデータに、適切なメモリ(同じシステム内、若しくは他の場所)からアクセスすることによって、後処理で行われ得る。多くの用途では、パターン化された表面「容器」は、パターン化された表面が存在し、所望の化学物質が循環するカートリッジ又はフローセルを備える。そのような用途では、撮像は、フローセルを通して及びそれを介して行われ得る。フローセルは、撮像のための必要に応じて、(例えば、x-y平面内に)適切に位置し得、(例えば、x、y、及びz方向に)移動され得る。所望の化学物質のための接続は、フローセルが装置に装着されたときに、フローセルに直接行われ得る。更に、デバイス設計、及び使用される撮像技術に応じて、フローセルに入れられたパターン化された表面は、最初にx-y平面内に位置し得、かつ、撮像の間にこの平面内で移動され得るか、又は撮像構成要素は、撮像の間にこの平面に平行に移動され得る。一般に、繰り返して言うが、「x-y平面」は、部位を支持するパターン化された表面の平面、又はこれに平行な平面である。したがって、フローセルは、x-y平面内に延在すると言うことができ、x方向は、試料を横断する方向であり、y方向は、フローセルが走査動作中に相対運動を受ける、走査方向に対応する。しかしながら、この配向は、逆にされ得るか、又は別様に変更され得ることを理解されたい。フローセル及び対応するパターン化された表面はまた、z方向に移動され得、これは、焦点方向であり、典型的には、x及びy次元によって画定された平面に直交する。そのような移動は、フローセルを所定の場所に固定するため、フローセルへの流体接続を行うため、及び撮像(例えば、正確なz深度で部位を撮像するために光学素子の焦点を合わせること)のために有用であり得る。いくつかの用途では、光学素子は、正確な撮像のためにx方向に移動され得る。
【0060】
上記を念頭に置くと、図3は、試料容器110の一部として、又はその中に存在し得る、パターン化された表面288の例を例解する。図3に示されるように、複数の格子又はスワス290(ここでは、y次元の垂直スワスとして描写されている)は、各々が、撮像される多数の個々のタイル294を含むように提供され得る。次に、各画像タイル294は、処理動作(例えば、シーケンシング動作)の異なるサイクルにおける関心対象の活動を表示し得る、多数の試料部位(例えば、捕捉又は反応部位)を含む。本明細書で述べられるように、パターン化された表面288のための広範囲のレイアウトが可能であり、本技術は、任意の所望の又は特定のレイアウトに限定されることを意図するものではない。プログレッシブライン走査の文脈では、撮像が進行するにつれて、試料容器110(又は、その中のパターン化された表面288)は、スワス290の各々が撮像され得るように、割り出した方向に相対運動を受けるであろう。図3の観点では、パターン化された表面288が位置し得る、周囲のフローセルは示されていないことに留意されたい。
【0061】
図4は、スワス290内の複数の試料部位340(例えば、ウェル又はナノウェル)にわたる走査線310を、幾分より詳細に例解する。例として、フローセルの文脈では、部位340は、ゲル充填ウェルであり得、各ウェルは、核酸(例えば、DNA)コロニーによって占められる。上で述べられるように、いくつかの実装形態では、部位340は、任意の好適な格子パターンでレイアウトされ得る。例解された例では、部位340は、六角形パターンでレイアウトされているが、矩形パターン(例えば、直線パターン)及び他のパターンが用いられ得る。各部位340の場所は、パターン化された表面の格子又は部分の縁部342などの、1つ以上の基準又は基準外観を参照して分かる。
【0062】
図5は、パターン化された表面の関心対象の領域のプログレッシブ走査によって収集された画像データに基づいて生成され得るタイプの例示的な画像の一部分を表す。実際の画像350は、多数のピクセル352から構成されており、各ピクセルに、撮像システム10によってデジタル値が割り当てられている。企図される文脈では、画像350を表すピクセルデータは、鮮やかな又は明るいピクセル354及びより暗いピクセル356に対応する値を符号化し得る。例として、暗部(すなわち、無信号生成領域又はピクセル)及び明部(すなわち、信号生成領域又はピクセル)は、それぞれ0及び255の強度レベル、又はこれらの間の任意の所望の他のレベルを割り当てられ得る。実際には、様々な中間調又はカラー符号化さえも、それぞれの個々のデジタル値によって示されるように、ピクセル間のコントラスト又は色値の差を検出することによって、個々の部位340を識別することができるように、用いることができる。注目すべきことに、ここで説明されているシーケンシングの文脈では、他の従来の撮像動作とは対照的に、問題になっている画像350は、完全には分解されず、関心対象の外観(例えば、試料ウェル又は部位340)のサイズ、ピクセル352の寸法、及び画像350を形成する際に実行され得るエイリアシングに起因して、それに応じてアンダーサンプリングされ得る。画像350が完全には分解されていないため、焦点品質の査定は、従来のアプローチを使用して、更に複雑になる場合があるが、本明細書で考察されるように、導出された焦点品質メトリックは、そのような画像350とともに使用するのに好適である。
【0063】
前述の背景の考察及び文脈から理解され得るように、焦点合わせ動作は、シーケンシング又は他の分析若しくは診断動作の一部として、フローセル又は他の基材のパターン化された表面の画像データを生成するために使用される、撮像プロセスの重要な部分であり得る。先で述べられるように、かつ本明細書で考察されるように、撮像動作(例えば、フローセルを処理するためのシーケンシングラン)のために、焦点モデルを調製することができ、次いで、撮像動作中に、パターン化された表面上の試料に対する対物レンズ142の位置を最初に位置付けし、監視し、補正するために、焦点モデルを使用することができる。焦点モデルは、必要とする焦点を測定するために試料の場所から反射される、集束エミッタ150によって生成された焦点ビームと併せて動作中に使用され得、試料ステージは、光学ステージに対して移動され、光学ステージの焦点を、現在の試料の場所上に合わせる。例として、焦点ビームは、動作中の焦点ビームの所与の測定値を使用して、試料部位における焦点を検証することができるか、又は焦点高さに対する必要な補正の表示を提供することができるように、焦点モデルに対して較正される。本明細書で考察されるように、所与のシーケンシングランについて、焦点品質メトリックは、最初に又は周期的に計算され得、焦点モデルをパラメータ化又は再較正するために使用され得る。
【0064】
撮像中の焦点調整のための光学ステージに対する試料ステージ170の移動は、概して、z軸に沿った又はz方向の移動として説明される。「z軸」及び「z方向」という用語は、z軸が焦点軸を指す、一般に、顕微鏡検査及び撮像システムの技術におけるそれぞれの使用と一致して使用することを意図する。したがって、z軸並進は、焦点軸の長さの増加又は減少をもたらす。z軸並進は、例えば、試料ステージ170を光学ステージに対して移動させることによって(例えば、試料ステージ又は光学素子又はその両方を移動させることによって)、実施することができる。したがって、z軸並進は、対物レンズ142、光学ステージ、若しくは試料ステージ170、又は上記の組み合わせを駆動することによって、実施することができ、これらのいずれも、対物レンズ142若しくは試料ステージ170又はその両方と機能的に連通している1つ以上のサーボ若しくはモータ、又は他のアクチュエータを作動させることによって、駆動することができる。実際には、試料ステージは、例えば、光学撮像軸に垂直な平面上で試料容器(例えば、フローセル)を効果的に水平にするために、光学ステージに対して傾斜され得る。本開示は、z軸及び方向という用語を採用するが、これは、説明の明確さ及び従来の用語との一貫性のために行われることが理解されるべきである。本明細書に開示される原理は、これらのニーモニックに依存せず、他の用語が、x、y、及びz方向における移動を説明するために使用され得る。
【0065】
図6は、本明細書で考察されるように、焦点モデルを入力又は基線として使用し得る、焦点動作のための例示的な焦点制御システムを例解するブロック図である。このような例示的な焦点制御システムは、zステージ384内の焦点追跡フィードバックループを駆動する駆動信号を生成するために使用される現在の焦点設定を判定するように構成されている、焦点追跡回路380を含む。図6の例に例解されるように、コマンド396は、焦点設定差に基づいて、zステージ384の移動を制御するために、zステージ384に供給される。
【0066】
この例では、zステージ384は、対物レンズ142を移動させるように構成されている。アクチュエータ394は、zステージ増幅器390によって提供された駆動信号に応答して、光学ステージ、特に対物レンズ142を移動させる。上で述べられるように、アクチュエータ394は、圧電アクチュエータ、ボイスコイルアクチュエータ、モータ、又は他の同様のアクチュエータを含むことができる。位置エンコーダ392は、アクチュエータの位置及びその移動に関する情報を提供する。このエンコーダ情報400は、zステージコントローラ388を通して焦点追跡回路380にフィードバックすることができ、誤差信号を判定する際に使用することができる。
【0067】
移動を制御するために使用されるコントローラは、位置及び速度コントローラの両方を含む、フィードフォワードを備える比例、積分及び微分(proportional,integral and derivative、PID)コントローラを使用して実装することができる。それらは、誤差信号及びフィードフォワード制御分岐の両方に対する比例、積分及び微分制御を含むことができる。いくつかの例はまた、使用事例に応じてシステムの安定性を改善するために使用され得る、追加のフィルタ及び軌道生成を含むことができる。
【0068】
図7は、本明細書において説明されるシステム及び方法の一例による、zステージコントローラのための例示的なアーキテクチャを例解する図である。この例示的なコントローラは、フィードフォワード及びフィードバック制御の両方を組み込んで、ステージアクチュエータ394を制御するための駆動信号を生成する。いくつかの例では、これは、制御システムの誤差信号及びフィードフォワード制御分岐のいずれか一方又は両方のためのPID制御として実装することができる。この例に例解されるように、目標z位置(すなわち、焦点設定)420と実際のz位置424との間の差が算出され、制御ブロック432に供給される。位置情報もまた、フィードフォワード経路428を介して送信され、制御ブロック432の出力信号に加えられる。制御ブロック432内の駆動回路からのこの出力信号は、アクチュエータ394を駆動するために使用される、制御出力信号を提供する。図のように、目標焦点位置と実際の位置との間の差の大きさは、制御出力信号を調整するために、フィードフォワード経路428を介して提供される。
【0069】
前述の考察は、シーケンシングシステムなどの光学画像走査システムの実装形態の様々な態様、並びにそのようなシステムで用いられ得る焦点合わせ制御システム及び論理の例に関する。本明細書で考察されるように、焦点査定、調整、及び制御は、シーケンシングラン中のフローセルレジストレーション、焦点モデル生成、焦点面マッピング、及び焦点追跡などの、画像ベースの核酸シーケンシング動作における複数のステップに関連する。従来のアプローチは、焦点を査定するために、ブレナー画像処理に依存する。しかしながら、本明細書で述べられるように、ブレナースコアに基づくアプローチは、フローセル表面にわたるフルオロフォアの強度が不均一である場合、及び/又は経時的に変化する場合(すなわち、空間的及び/又は時間的強度不均一性が存在する場合)、堅牢性の欠如に悩まされる。それに応じて、ブレナースコアは、機器又はフローセルにわたる比較、又は場合によっては画像サブタイルにわたる比較さえも(強度依存性であることに起因して)可能にしないという点で、堅牢でない。
【0070】
この文脈を念頭に置くと、本明細書では、強度非依存性であり、かつ、核酸シーケンシングで使用されるフローセルで実行される撮像動作を含む撮像動作の一部として焦点品質を確立し、検証し、維持するために用いられ得る、焦点品質メトリックを導出するための、様々な技術を説明する。以下で詳細に説明されるように、本開示のアプローチは、離散フーリエ変換(DFT)又は他の好適な変換を利用して、フローセル表面上の蛍光エミッタの焦点品質を定量化するための強度非依存性の技術を提供する。この技術は、強度変動に対して堅牢であるため、光退色又は他の強度変化ダイナミクスを呈する画像で使用することができる。
【0071】
以下で考察されるように、ここで説明されている技術は、焦点に対応する強度非依存性の測定値を生成するために、離散フーリエ変換と組み合わせて、パターン化されたフローセルに関連付けられた規則的にパターン化された(例えば、周期的にパターン化された)表面を活用する。この方法論は、機器、フローセルタイプ、又はフローセル上の位置(例えば、画像タイル又はサブタイル)にかかわらず、焦点品質の定量化を可能にする。次いで、そのように得られた定量化された焦点品質(すなわち、焦点品質メトリック)を使用して、シーケンシング動作中に焦点を監視及び調整するために、シーケンシング動作中に使用するための焦点モデルをパラメータ化又は較正することができる。
【0072】
図を参照すると、図8図11は、開示される技術による、焦点品質メトリックの生成の態様を例解する。具体的には、図8は、可能な一実装形態による、焦点品質メトリックの生成において用いられ得るステップの一般化されたプロセスフローであり、図9図11は、このプロセスフローの態様をグラフで例解する。図8を参照すると、描写されたプロセスは、フローセル又は他の試料結合若しくは含有表面の画像などの画像の取得(ステップ450)から始まる。例として、画像は、全部又は一部において、パターン化された表面288の画像、そのような表面の格子又はスワス290、そのようなスワス290内の画像タイル294、より大きいタイル294から選択されたサブタイル、ピクセル列352、又は画像内の試料部位列340に対応し得る。更に、画像は、撮像領域のシングルショット又は取得から構成され得るか、又はラインごとに実行される時間遅延積算として構成され得るか、又は、画像を生成するために多相取得にわたって平均化することなどを介して、処理のために多相取得を単一の画像に統合するなどのための組み合わせプロセスを介して構築され得る。
【0073】
先で述べられるように、核酸シーケンシング動作の文脈では、パターン化された表面の各領域は、それぞれの画像を生成するために使用される光周波数に基づいて、異なる試料部位が所与の撮像サイクルにおいて「オン」又は「オフ」の状態で、2回以上(すなわち、青及び緑などの各カラーチャネルに対して1回)撮像され得る。結果として、各領域の2つ以上の画像が存在し得、各画像は、異なる色又は強度チャネルに対応し、活性又は非活性の異なる試料部位を有する。実際には、各カラーチャネルは、別個の最適な焦点を有し得る。このことを念頭に置いて、本技術に関して、焦点品質メトリックは、システムの焦点を維持するのに十分であると判定されたカラーチャネルなど、1つのカラーチャネル(例えば、青チャネル又は緑チャネル)のみについて導出された画像に対して生成され得る。代替的に、焦点品質メトリックは、カラーチャネルのうちの2つ以上に対して別個に生成され得(例えば、青チャネル焦点メトリック及び緑チャネル焦点メトリック)、各カラーチャネルを使用して撮像に許容可能である中間焦点高さが判定され得る。このようにして、この例では、青及び緑チャネルの両方を使用して画像を取得するために使用され得る、単一の焦点高さが判定され得る。
【0074】
描写されたプロセスフローでは、画像のサブ領域は、処理されたサブ領域に対する焦点品質メトリックを生成するために、後続の処理ステップでの使用のために選択(ステップ458)又は識別され得る。例として、ピクセル行若しくは列、又は256×256ピクセル、512×512ピクセル、1024×1024ピクセルなどのピクセル領域若しくはウィンドウが、処理のために選択され得る。画像の寸法に応じて、サブ領域の代わりに、画像自体が処理され得ることもまた理解されよう。実際には、画像(例えば、完全には分解されていない画像)及び画像サブ領域は、個々のピクセルを含み、各ピクセルは、空間的場所及び関連付けられたグレースケール又は色強度値(例えば、画像に関連付けられたカラーチャネルに応じた、赤、緑、又は青強度値)を有する。描写されたプロセスフローでは、画像サブ領域は、ステップ466においてフーリエ変換(例えば、離散フーリエ変換(DFT))への入力として提供され、このステップは、画像サブ領域の対応するフーリエ変換を出力する。
【0075】
このステップは、図9にグラフで描写されており、フローセルの一部分(例えば、画像タイル294又はピクセル行)の画像454(例えば、蛍光画像)が描写されており、そこから画像454のサブ領域462が処理のために選択される。描写された例では、サブ領域462は、1つ以上の基準468(例えば、ブルズアイ基準)を使用して、特定又は別様に識別され得、したがって、同じサブ領域462が、撮像ランのシーケンス又は一連の撮像ランにおける処理のために選択され得る。
【0076】
画像サブ領域462内のデータ(すなわち、画像サブ領域462に対応する空間的場所及び強度データ)に対して離散フーリエ変換演算が実行される(ステップ466)。結果として生じるフーリエ変換470(及び対応するパワースペクトル密度)は、このステップにおいて出力される。本明細書で述べられるように、所与の画像454及びサブ領域462は、マルチチャネル撮像の文脈における、所与のグレースケール強度又は所与のカラーチャネル(例えば、赤、緑、若しくは青)に対するものであり得、したがって、対応する変換は、所与の色又は全体的なグレースケール画像、及びそれぞれの励起周波数に対する活性/非活性の試料ウェルの対応するパターンに関連し得る。
【0077】
図8に戻ると、(フーリエ変換470の中心から測定された)平均(又は中央)半径方向強度が計算され得(ステップ474)、これは、大きさが、距離とともに減少する速さの尺度を提供する。パワースペクトルは、半径方向平均(又は中央)強度から判定され得る(ステップ480)。これは、図10にグラフで例解されており、図では、フーリエ変換の出力が例解され、そこから半径方向平均強度が判定され(ステップ480)、積算パワーが各rに対してプロットされる、パワースペクトル482の計算で使用される。
【0078】
次いで、パワースペクトル482のいくつかのパラメータが計算され、各パラメータは、焦点品質に対応する定量的メトリックを含む有用な情報を提供する。例として、図8を参照すると、半径方向勾配、コーナー周波数、及び/又はノイズフロアのうちの1つ以上が、パワースペクトル482から導出される(ステップ484)。例として、一実装形態では、図11に例解されるように、(例えば、2つ以上の別個に適合されたセグメントを備える)区分関数が、パワースペクトル482に適合され得る。次いで、半径方向勾配、コーナー周波数、及び/又はノイズフロアに対応する区分関数の様々なメトリックを判定することができる。
【0079】
例として、図11に示されるように、最小二乗適合アプローチ又は他の好適な適合アプローチを使用して、区分関数をパワースペクトル482に適合することができる。描写された例では、区分関数は、2つの線形セグメントを含む。適合された水平セグメント500は、ノイズフロアに対応し、それより下では情報が得られず、測定された信号は、電子又は他のノイズに対応する。セグメント500のy切片は、ノイズフロアの値を与える。
【0080】
別のセグメント502は、ノイズフロアのセグメント500と斜めに交差し、非ノイズの有用な信号に対応する。セグメント502の勾配は、半径方向勾配であり、焦点の質に依存しており、その結果、半径方向勾配の測定値は、焦点品質の定量的メトリックを提供する。すなわち、本文脈では、セグメント502の勾配は、焦点品質メトリックを含み、それによって、パワースペクトル482に対応する入力画像サブ領域462の焦点が評価され得、及び/又は他のサブ領域462と比較され得る。先で述べられるように、他のアプローチは、点拡がり関数が半径方向勾配に関係するので、点拡がり関数に対するガウス分布プロファイルを想定する。しかしながら、本開示のアプローチでは、そのような想定はされない。実際に、特定の実施形態では、点拡がり関数に対するローレンツ分布プロファイル、及び半径方向勾配に及ぼす対応する影響が、代わりに好適であり得る。
【0081】
セグメント500及び502の交点504は、コーナー周波数で生じ、これは、焦点情報が判定され、有用な診断情報を提供し得る最大空間周波数に対応する。関心対象であり得、計算され得る他のメトリックは、観測された観測信号強度範囲についての情報を提供する、値が観測されたノイズフロアを上回る最高周波数と、測定データのばらつきが割合を占める程度を、モデル適合関数によって定量化することによって、問題になっているそれぞれのメトリックの品質又は信頼性についての情報を提供し得る、セグメント500及び502の一方又は両方の適合度と、を含む。
【0082】
核酸シーケンシングの文脈では、焦点品質メトリックとしての勾配の使用は、パターン化された表面上の異なる位置における画像タイル間などの、パターン化された表面上の信号強度の変動(例えば、フルオロフォア強度の変動)に実質的に影響を受けない。それに応じて、焦点品質メトリックとしての勾配の使用は、核酸シーケンシング動作に関連付けられたグラフティング及びテンプレートハイブリダイゼーションプロセスの文脈において観察される通常のばらつきに対して、並びにそのような動作における励起強度に関連付けられた不均一性に対して堅牢である。更に、本開示のアプローチは、視野内の数千から数万の蛍光エミッタから生成された定期情報に依存するため、焦点品質メトリックはまた、シーケンシング動作において取得された画像内で観察された通常の不均一性に影響を受けない。加えて、ここで説明するような焦点品質メトリックの生成及び使用はまた、画像データを生成するために使用される光学撮像システムの点拡がり関数(PSF)に関する追加の診断データを提供する。本明細書で述べられるように、ここで説明されている焦点品質メトリックに対するアプローチは、光学PSFに対するガウスプロファイルを想定せず、これは、このアプローチを、そのような想定を必要とする従来のアプローチよりもより柔軟にする。最後に、パターン化された表面上の異なる場所における焦点品質メトリックの値が、異なる場所における実際の焦点面を判定し、したがって、試料表面の傾斜を識別するために使用され得るので、試料面傾斜に関する詳細な情報もまた導出され得る。
【0083】
上記を念頭に置いて、本明細書において説明される焦点品質メトリックを評価するために実験が行われた。第1の実験設定では、フローセル表面のz次元に沿った様々な高さで取得された画像の積み重ねが取得された。この設定では、フローセル表面上に提供された自動センタリングクロス基準のz次元の画像の積み重ねが、2つのカラーチャネル(青及び緑)を使用して取得された。画像は、0.1μmの増分でz次元において取得された。追加の態様では、焦点を最適化した焦点面高さが判定されると、z次元の高さが固定され、励起レーザパワー及び露光が基準にわたって滴定されている間、画像もまた、この最適焦点高さで取得された。全ての画像に、自動センタリングクロス基準を中心とした256ピクセル×256ピクセル領域を切り取り、焦点品質について分析した。
【0084】
図12A図12C及び図13A図13Cを参照すると、画像のz積み重ね内の異なる高さで取得された画像に対して得られた一連の区分関数が、半径方向勾配のそれぞれのプロット(上のプロット520)及びコーナー周波数のそれぞれのプロット(下のプロット524)と併せて描写されている。z次元の異なる高さにおける対応する画像サブ領域の画像462の場合、フーリエ変換及びそれぞれのパワースペクトル482が計算され、それぞれの半径方向勾配及びコーナー周波数が判定された。描写された例では、図12A図12B、及び図12Cは、z次元の異なる高さにおいて取得された6つの異なるサブ領域画像462について、それぞれのパワースペクトル、(線分502に対する)半径方向勾配、及びコーナー周波数504の代表的なプロットを描写し、一方、図13A図13B、及び図13Cは、半径方向勾配及びコーナー周波数が計算された、対応する画像サブ領域462を描写する。描写されたパワースペクトル並びにプロット520及び524は、描写された例における単一のカラーチャネル(青カラーチャネル)に対するものであった。
【0085】
図12A図12B、及び図12Cに示されるように、z積み重ね内のより高い及びより低い高度で取得された画像データは、より急な勾配を有し、これは、(勾配の負値性による)より低い勾配値、及びより劣った焦点品質に対応する。逆に、より高い勾配値は、優れた焦点品質に関連付けられており、ここでは画像のz積み重ねの中央に向かって取得された画像データについて観察される。図13A図13B、及び図13Cは、図12A図12Cのそれぞれのパワースペクトル482及び半径方向勾配に対応する、サブ領域画像データを描写する。先で述べられるように、(画像のz積み重ねにおける高さの範囲にわたって下のプロットに示される)コーナー周波数は、焦点情報が判定され、有用な診断情報を提供し得る、最大空間周波数に対応する。
【0086】
図12A図12C及び図13A図13Cは、単一のカラーチャネル(例えば、青カラーチャネル)上で取得された画像についての結果を例解するが、実際には、撮像動作において用いられる各カラーチャネル(例えば、青、緑、赤など)について焦点品質メトリックを計算することが望ましくあり得る。次いで、各カラーチャネルに対して適切な焦点を提供する中間又は「折衷」焦点高さが判定され得、両方のカラーチャネルを撮像するときに、同じ焦点高さが使用されることを可能にする。そのようなアプローチは、単一の焦点高さが複数のカラーチャネルに用いられることを可能にすることによって、計算及びシステム時間並びにリソースを節約し得る。
【0087】
例として、図14を参照すると、説明される実験設定において取得された画像のz積み重ねに対する半径方向勾配及びコーナー周波数の結果が、青チャネル及び緑チャネルの両方について一緒にプロットされて示されている。青チャネル及び緑チャネルの画像のz積み重ねの半径方向勾配が、上のプロット530にプロットされて示されており、一方、青チャネル及び緑チャネルの画像のz積み重ねのコーナー周波数が、下のプロット534にプロットされて示されている。この例に示されるように、青及び緑チャネルについて、半径方向勾配及びコーナー周波数の両方は、上記のとおり、高さと同じ傾向である(例えば、z次元における高さと相関するか、又は別様に関連付けることができる)。半径方向勾配に関して、青及び緑チャネルの両方は、z次元の同様の高さ(すなわち、約-0.02~-0.03)における焦点品質に対する局所最適を有するように見える。したがって、時間又は計算制約に基づいて、2つ以上のカラーチャネルについて焦点品質メトリックを評価し、全てのカラーチャネルについて十分な焦点品質を提供する焦点高さを判定することによって、撮像動作についての焦点高さを確立又は検証することができる。逆に、時間又は計算上の制約がない場合、及び/又は各カラーチャネルに対して別個に最適化された焦点が必要であると判定された場合、各カラーチャネルに対して焦点品質メトリック(すなわち、半径方向勾配)を別個に、かつ独立して計算して、各チャネルに対して最適焦点高さを判定することができる。
【0088】
従来のアプローチに対する本開示の焦点品質メトリック(すなわち、半径方向勾配)の性能に関して、図15は、本明細書で考察されるような半径方向勾配もまた勾配品質メトリック(上のプロット564)として計算される、画像データに対するブレナースコア(下のプロット560)の形態の焦点品質尺度のプロットを描写する。これらのプロットに関して、焦点品質が査定されるために取得された画像データは、緑及び青チャネルの両方について、最適焦点高さであると判定されたz次元の一定の高さにおいて取得された。励起レーザパワー及び露光を滴定し、「レーザパワー×露光」の異なる値における画像を取得した。したがって、この実験設定では、ピクセル強度は、同じ固定z値であり、各画像内の同じサブ領域であるにもかかわらず、画像によって異なる。
【0089】
本明細書で述べられるように、ブレナースコアは強度依存性であり、したがって、下地画像内の強度、又は強度の変動に基づいて、変動する。それに応じて、下のプロット560に示されるように、青及び緑チャネルの両方で観察されたブレナースコアは、それぞれの画像が全てz次元の同じ高さにおいて(すなわち、同じ焦点において)取得されているにもかかわらず、大きく異なる。
【0090】
逆に、上のプロット564に示されるように、緑及び青チャネルの両方から導出され、それらについてプロットされた半径方向勾配は、実質的に強度非依存性であり、サンプリングされた「レーザパワー×露光」の範囲にわたって変動がほとんどないことを実証している。すなわち、焦点品質メトリックとしての焦点勾配は、z次元の固定高さにおいて取得された画像データに対してピクセル強度が変化するにつれて、相対的に小さい変動を実証する。
【0091】
同様に、図16を参照すると、半径方向勾配が、z次元の高さとともに変化することを示す実験結果が例解されており、半径方向勾配が焦点品質に対応することを確認する。図のように、非極大値は明らかではない。更に、撮像されたフローセルについて、勾配プロファイルは、異なるy座標において類似のままであり、すなわち、このアプローチによって識別された焦点高さは、パターン化された表面上の他の場所に好適であるように見える。結果として、示されたタイプのプロットに基づいた較正曲線は、画像上の異なる場所が最適焦点からどれだけ離れているかを判定するために使用され得る。
【0092】
同様の文脈では、更なる実験データとして、複数のフローセルを、それぞれのシーケンサシステムを使用して、撮像した。それぞれのサブ領域画像エリアについて、半径方向勾配及びコーナー周波数が計算された。図17を参照すると、それぞれの半径方向勾配及びコーナー周波数値は、プロットの底部に沿ったフローセル識別子(flow cell identifier、FCID)とともに、各フローセルに対してプロットされた(それぞれ、上のプロット580及び下のプロット584)。図のように、それぞれのシーケンサデバイスについて、半径方向勾配は、フローセルにわたって略一定であり、このことは、同じ機器がシーケンシングラン間で同じ焦点特性を有するはずであるように、半径方向勾配及び焦点品質が機器依存性であり得るので、予想される。フローセル識別子12VA1COMCに対応する1つの外れ値が描写されていることに留意され得る。この外れ値に対応するシーケンシングランでは、フローセルは、半径方向勾配への対応する効果を実証するために、焦点を外して撮像された。
【0093】
本明細書において先で述べられるように、本明細書で論じられるような焦点品質メトリックを使用して導出され得る他の情報の中には、表面(例えば、フローセルのパターン化された表面)全体にわたるか、又はそのような表面の領域若しくは部分に対する、焦点高さの変化又は一貫性がある。実際には、これは、焦点面と試料面との間の不整合に対応する表面又はステージに対する「傾斜」又は他の不規則性の存否と同じであり得る。例として、図18を参照すると、画像454に対応する表現が描写されている。この例では、画像454は、サブ領域462(すなわち、ここでは128ピクセル×128ピクセルの寸法を有するサブタイル)に分割され、その各々は、サブ領域462の半径方向勾配を計算するために、本明細書で考察されるように処理された。図18は、x及びy次元におけるそれぞれの位置に従って配置され、それぞれの計算された半径方向勾配値に対応するように視覚的にコード化された、サブ領域462の表現を描写する。図のように、計算された半径方向勾配は、撮像された表面にわたって系統的に変化し得、これは、スライド又はステージに対する傾斜を示し得る。そのような傾斜は、焦点高さの適切な変化によって、後続のシーケンシングラン中に対処され得る。
【0094】
上記で考察されるような焦点品質の査定は、更に一般化することができることに留意され得る。特に、前述の考察は、概して、フーリエ変換470の半径方向対称性を想定している。そのような半径方向対称性は、存在するか又は想定される場合、上で考察されるように、フーリエ変換470が一次元(例えば、z次元)に適合されることを可能にする。しかしながら、そのような半径方向対称性は、特別な場合のシナリオであり得るか、又は、フーリエ変換が半径方向対称性に実質的に近い場合に想定され得る。
【0095】
より一般化された文脈では、フーリエ変換470は、対角線に沿って細長くあり得る(例えば、半径方向対称性を呈しない場合がある)、「非点収差」として特徴付けられ得る。この例が図19に例解されており、半径方向非対称フーリエ変換470Aが、対応するパワースペクトル482と併せて描写されている。そのような半径方向非対称性は、1つの次元(例えば、x次元)における焦点が、異なる次元(例えば、y次元)における焦点とは異なることを示し得る。そのようなシナリオでは、追加の焦点情報を得るために、二次元で焦点を分析又は定量化することが有用であり得る。すなわち、フーリエ変換470は、フーリエ変換470の半径方向対称性がない場合、焦点をより十分に特徴付けるために、二次元に適合され得る。
【0096】
前述の考察は、サブ領域画像データのフーリエ変換に基づいて取得された画像のサブ領域に基づいて焦点品質メトリックを計算する態様に関するが、以下の例は、サブ領域が、画像内の線形サブ領域(例えば、ピクセル列)である、このアプローチの更なる態様に関する。以下の例及び実施形態は、前述の考察の範囲内に入るが、特定の態様は、画像データのエリアでの二次元(2D)フーリエ変換とは対照的に、ラインデータで一次元(1D)フーリエ変換(例えば、高速フーリエ変換(fast Fourier transform、FFT))を実行する利益のために、省略又は修正され得る。例として、画像のエリアサブ領域に基づいて焦点品質メトリックを計算する文脈では、本明細書において説明されるように、実行されるステップは、処理のために画像のサブ領域を選択することと、画像データのサブ領域で2D FFTを実行することと、フーリエ変換に基づいて、半径方向平均を判定することと、半径方向平均に基づいて、パワースペクトルを判定することと、区分関数をパワースペクトルに適合することと、区分関数の関連セグメントの勾配を判定することと、を含み得、勾配は、関心対象の焦点品質メトリックに対応する。逆に、以下で考察される例では、フーリエ変換が実行される画像のサブ領域は、線形セグメント、例えば、フーリエ変換が1Dフーリエ変換(例えば、FFT)であり得るような、ピクセル列である。そのような1Dフーリエ変換は、改善された計算効率及びシステム性能のために、(フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブル論理デバイス(PLD)、複合プログラマブル論理デバイス(CPLD)、プログラマブル論理アレイ(PLA)、プログラマブルアレイ論理(PAL)、又は他の同様の処理デバイス若しくは回路構成などを使用する)ファームウェア又はハードウェアにおいて実装され得る。
【0097】
例として、図20を参照すると、1つ以上の列のピクセルに基づく焦点品質メトリックの生成において用いられ得るステップの一般化されたプロセスフローが描写されている。図20を参照すると、描写されたプロセスは、フローセル又は他の試料結合若しくは含有表面の画像などの画像の取得(ステップ450)から始まる。例として、画像は、全部又は一部において、パターン化された表面288の画像、そのような表面の格子又はスワス290、そのようなスワス290内の画像タイル294、又は画像内のより大きいタイル294から選択されたサブタイルに対応し得る。更に、画像は、撮像領域のシングルショット又は取得から構成され得るか、又はラインごとに実行される時間遅延積算として構成され得るか、又は、画像を生成するために多相取得にわたって平均化することなどを介して、処理のために多相取得を単一の画像に統合するなどのための組み合わせプロセスを介して構築され得る。
【0098】
先で述べられるように、核酸シーケンシング動作の文脈では、パターン化された表面の各領域は、それぞれの画像を生成するために使用される光周波数に基づいて、異なる試料部位が所与の撮像サイクルにおいて「オン」又は「オフ」の状態で、2回以上(すなわち、青及び緑などの各カラーチャネルに対して1回)撮像され得る。結果として、各領域の2つ以上の画像が存在し得、各画像は、異なる色又は強度チャネルに対応し、活性又は非活性の異なる試料部位を有する。実際には、各カラーチャネルは、別個の最適な焦点を有し得る。このことを念頭に置いて、本技術に関して、焦点品質メトリックは、システムの焦点を維持するのに十分であると判定されたカラーチャネルなど、1つのカラーチャネル(例えば、青チャネル又は緑チャネル)のみについて導出された画像に対して生成され得る。代替的に、焦点品質メトリックは、カラーチャネルのうちの2つ以上に対して別個に生成され得(例えば、青チャネル焦点メトリック及び緑チャネル焦点メトリック)、各カラーチャネルを使用して撮像に許容可能である中間焦点高さが判定され得る。このようにして、この例では、青及び緑チャネルの両方を使用して画像を取得するために使用され得る、単一の焦点高さが判定され得る。
【0099】
描写されたプロセスフローでは、画像のピクセル列(又は、そのような列の一部分)は、その列に関連するか、又は列が平均化される若しくは別様に組み合わせられる他の列と組み合わせてその列に関連する焦点品質メトリックを生成するために、後続の処理ステップでの使用のために選択される(ステップ600)か、又は別様に識別され得る。例として、所与の幅(例えば、128ピクセル、256ピクセル、512ピクセル、1024ピクセル、2048ピクセルなど)のピクセル行又は列が、処理のために選択又は識別され得る。実際には、そのように選択又は識別された各ピクセル列は、個々のピクセルを含み、各ピクセルは、空間的場所及び関連付けられたグレースケール又は色強度値(例えば、画像に関連付けられたカラーチャネルに応じた、赤、緑、又は青強度値)を有する。描写されたプロセスフローでは、選択されたピクセル列は、ステップ602において一次元(1D)フーリエ変換(例えば、1D高速フーリエ変換(FFT))への入力として提供され、このステップは、ピクセル列の対応するフーリエ変換を出力する。
【0100】
これらのステップは、図21にグラフで描写され、フローセルの一部分の画像454(例えば、蛍光画像)が描写され、そこから画像454のピクセル列604が処理のために選択される(ステップ600)。それぞれのピクセル列604の選択は、1つ以上の基準468(例えば、ブルズアイ基準)の存在によって容易にされ得る。
【0101】
ピクセル列604内のデータ(すなわち、ピクセル列604に対応する空間的場所及び強度データ)に対して、1Dフーリエ変換演算(例えば、1D FFT)が実行される(ステップ602)。結果として生じる1Dフーリエ変換470Aは、このステップで出力される。本明細書で述べられるように、所与の画像454及びピクセル列604は、マルチチャネル撮像の文脈における、所与のグレースケール強度又は所与のカラーチャネル(例えば、赤、緑、若しくは青)に対するものであり得、したがって、対応する1Dフーリエ変換470Aは、所与の色又は全体的なグレースケール画像、及びそれぞれの励起周波数に対する活性/非活性の試料ウェルの対応するパターンに関連し得る。
【0102】
図20に戻ると、積算パワーが各k値についてプロットされるパワースペクトル482は、図22に示されるように、1Dフーリエ変換470Aを使用して計算され得る。一実施形態では、パワースペクトル482は、列604に対する1Dフーリエ変換470Aの対数二乗正規化を実行することによって、導出され得る(ステップ608)。パワースペクトルのk値平均を計算する(ステップ612)。これにより、本明細書で考察されるように、フーリエ変換470Aの対数二乗正規化のパワースペクトル482をk値又はk値二乗の関数として適合することによって、関連付けられた点拡がり関数(PSF)の幅を抽出又は別様に判定することが可能になる。本明細書で考察されるように、平均(又は中央)k値強度は、大きさが、距離とともに減少する速さの尺度を提供する。
【0103】
本明細書で考察されるように、更に図22を参照すると、パワースペクトル482のパラメータが計算され、そのうちのいくつかは、本明細書で考察されるような焦点品質に対応する定量的メトリックを含む有用な情報を提供する。例として、図22を参照すると、k値勾配、コーナー周波数、及び/又はノイズフロアのうちの1つ以上が、パワースペクトル482を使用して導出される。例として、一実装形態では、かつ図22に例解されるように、(例えば、2つ以上の別個に適合されたセグメントを備える)区分関数が、パワースペクトル482に適合され得る。次いで、ノイズフロア、k値勾配(例えば、ノイズフロアより上の領域におけるパワースペクトルの勾配)、コーナー周波数などに対応する、区分関数の様々なメトリックが判定され得る。
【0104】
特定の実施形態では、区分関数の適合は、積算パワー対k空間プロットの最小二乗適合を生成すること(ステップ616)を介して達成される。様々な実装形態は、線形適合が実行される固定k値範囲を設定することなどによって、適合動作のパラメータを限定又は指定することによって、ハードウェア又はファームウェアベースの性能を改善し得る。例として、k値範囲の下限(lower limit、LL)は、0、10、15、20、25、30などであり得る。逆に、k値範囲の上限(upper limit、UL)は、50、75、100、150、200などであり得る。このようにして、ハードウェア又はファームウェアベースの実装形態では、計算空間は、計算効率及び性能を改善するように限定され得る。いくつかの実施形態では、線形適合範囲は、計算的に効率的な様式で有用な焦点メトリックを得るように、指定された公差(例えば、LL±10若しくは±20又はUL LL±10若しくは±20)内で変化することを可能にされ得る。本明細書の他の箇所で考察されるように、線形適合の勾配が判定され得(ステップ620)、走査動作中の使用のための焦点モデルをパラメータ化又は生成する際に使用され得る焦点メトリックとして使用され得る。特定の実装形態では、適合線の適合度(すなわち、R)もまた判定され得、所与の適合線(及び、対応する焦点品質メトリック)が後続の動作及び計算から保持又は除外されるかどうかを判定するために使用され得る。例として、特定の閾値(例えば、0.3、0.5、0.7、0.9など)を上回る適合度の尺度は、良好に適合するとみなされ、保持される適合線に対して指定され得る。
【0105】
特定の実装形態では、導出された焦点品質メトリックの品質を改善するために、区分関数の適合の前又は後に、パワースペクトルデータを平均化することに利益があり得る。例として、図23及び図24を参照すると、これらの図の各々では、青(白抜きの丸として示される)及び緑(塗りつぶした丸として示される)信号の両方に対する積算パワー対k値のプロットが、ピクセル列604の長さの変動及びフーリエ変換信号の平均化とともに例解され、複数列及び画像にわたる両方の平均化の効果並びに列長さの効果を例解する。図23を参照すると、焦点品質メトリック生成のために処理されているピクセル列604の長さによって左から右に変化する3つのプロットが例解されている。左端のプロットは、256ピクセル列に対するものであり、中央のプロットは、512ピクセル列に対するものであり、右端のプロットは、1024ピクセル列に対するものである。x軸に沿ったK値は、予想され得るように、描写されたプロットにおいても変更されており、左端のプロットでは0~130、中央のプロットでは0~250、右端のプロットでは0~500の範囲である。先で述べられるように、k値の上限及び下限は、ハードウェア又はファームウェアに基づく実装を容易にするように、分析及び適合の目的のために制約され得、そのような制約は、計算効率を改善し得る。図23のプロットの各々は、5つの画像における1つの列を平均化する実装形態についての積算パワー対k値を描写す。認識され得るように、データ点及び傾向は、列の長さが増加するにつれて、より容易に認識される。
【0106】
図24を参照すると、対応するプロットが描写されているが、平均化は、5つの画像の各々のうちの20列にわたって実行される。観察され得るように、各画像内の複数の列にわたる平均化は、データの拡がりを減少させ、それによって、信号品質を改善する。前述の図においても観察されるように、ピクセル列の長さが増加すると、信号品質もまた改善されるが、特定の列の長さを超えると、計算の観点から、利益の価値が低い場合がある。例として、実際の実装形態の場合、512ピクセルを超えることにはほとんど利益がない可能性があるが、データは、より長い列の長さに対して依然として改善される。
【0107】
理解できるように、実世界の実装形態では、本明細書で考察されるような区分関数における適合線の勾配に対応する焦点品質メトリックの値を使用して焦点モデルを生成し、次いで、この焦点モデルを走査又はシーケンシング動作で用いて、フローセルが走査を通して進行するにつれて、焦点距離又は高さを調整する。実用的な目的のために、このことは、列ごとに、又は増分的若しくは周期的な列チェックポイント若しくはマイルストーン(例えば、10列ごと、20列ごと、50列ごと、100列ごと、200列ごと、500列ごとなど)においてのいずれかで、走査において異なる列に到達するにつれて変化又は変更されるz次元の高さ(深度又は焦点深度)を提供することに対応し得る。図25は、このことが、焦点メトリックの判定において使用される各ピクセル列に対する異なる焦点高さにおいて撮像されるとき(すなわち、異なる焦点高さにおいて取得された画像の積み重ねを使用して)、特定の実装形態では、青及び緑蛍光走査の両方に対して、どのように達成され得るかをグラフで例解する。
【0108】
描写された例では、本明細書で考察されるような区分関数の適合線の勾配の形態の焦点品質メトリックは、勾配をフーリエ空間からピクセルに変換するのに好適な係数を乗算することによってIQSスコアに変換される。このIQS値は、プロットのx軸に沿ってプロットされたz次元の高さ(すなわち、焦点深度又は深度)に対して、例解されたプロットのy軸に沿ってプロットされる。これらの例では、(異なる焦点深度において取得された画像を処理することを介して判定されるような)z次元の高さの関数としてのIQSスコアのプロットが、概して、放物線プロットを形成することが観察され得る。これらのプロットでは、観察された最小又は最低点は、それぞれの周波数に対する最適な焦点深度に対応する。
【0109】
図25を参照すると、IQSスコアは、20列の増分についての平均に基づいて計算され、区分関数への線適合は、k値の下限25及び上限200で実行される。観察され得るように、明確な最小値が、各カラーチャネルに対して観察され、各最小値は、プロットが生成されるそれぞれの列に対するそのそれぞれのカラーチャネルに対して最適に使用され得る、x軸に沿った焦点深度に対応する。実際には、各カラーチャネルに対して(列のそれぞれのセットに対して)最適な焦点深度が判定され得るか、又は、代替的に、全てのカラーチャネル若しくはカラーチャネルの異なるサブセットに対して、それぞれの最小値に基づいて、許容可能な焦点深度が判定され得る。すなわち、2つ以上のカラーチャネルに対するそれぞれの最適な焦点深度が所与の公差内にある場合、単一の中間焦点深度が、問題になっている列に対するこれらのカラーチャネルを撮像するために用いられ得る。
【0110】
上で説明され、かつ本明細書で考察されるように、実際には、ここで説明されている技術をファームウェア又はハードウェアで実装することが有用であり得る。そのような実装形態では、かつ本明細書で考察されるように、そのようなハードウェア又はファームウェア実装形態を最適化するように、制約を適用すること、及び/又は特定のパラメータを指定若しくは別様に設定することが有用であり得る。例として、そのような実装形態において指定又は制約され得るそのようなパラメータは、以下を含むが、これらに限定されない:ピクセル列幅(例えば、128ピクセル、256ピクセル、512ピクセル、1024ピクセルなど)、区分関数の線適合のためのk値の下限(LL)(例えば、0、25、50)、区分関数の線適合のためのk値の上限(UL)(例えば、75、100、150、200、250、500)、区分関数の線適合のR(すなわち、適合度)(例えば、0.75、0.8、0.9)、焦点高さに関する焦点品質メトリック(又は変換された等価物)の放物線適合のための適合度カットオフ、放物線適合を得るために所与の画像内で分析される列(又は列区分)の数(例えば、列ごと、1列おきなど)、分析するための列間のピッチ、及び/又は各焦点深度について平均化される列の数。
【0111】
本発明の特定の特徴のみが、本明細書において例解及び説明されているが、当業者には多くの修正及び変更が着想されるであろう。したがって、添付の特許請求の範囲は、本発明の本趣旨の範囲内に含まれるような、そのような修正及び変更の全てを網羅することを意図するものであることを理解されたい。
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【国際調査報告】