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特表2024-534337自動車用カメラのレンズモジュールの加熱
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-20
(54)【発明の名称】自動車用カメラのレンズモジュールの加熱
(51)【国際特許分類】
   G03B 17/02 20210101AFI20240912BHJP
   G03B 17/55 20210101ALI20240912BHJP
   G02B 7/02 20210101ALI20240912BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20240912BHJP
   H04N 23/51 20230101ALI20240912BHJP
【FI】
G03B17/02
G03B17/55
G02B7/02 F
G03B15/00 V
H04N23/51
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024514745
(86)(22)【出願日】2022-09-06
(85)【翻訳文提出日】2024-05-07
(86)【国際出願番号】 EP2022074691
(87)【国際公開番号】W WO2023036758
(87)【国際公開日】2023-03-16
(31)【優先権主張番号】102021123051.9
(32)【優先日】2021-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514189527
【氏名又は名称】コノート、エレクトロニクス、リミテッド
【氏名又は名称原語表記】CONNAUGHT ELECTRONICS LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100210790
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大策
(72)【発明者】
【氏名】パトリック、ヤング
(72)【発明者】
【氏名】ブレイン、プレンダーガスト
【テーマコード(参考)】
2H044
2H104
5C122
【Fターム(参考)】
2H044AH18
2H104CC00
5C122DA14
5C122EA02
5C122FB03
5C122FC01
5C122FC02
5C122GE18
5C122HA84
(57)【要約】
自動車(1)用のカメラ(2)は、レンズモジュールと、前記レンズモジュールに機械的に接続するレンズホルダ本体(5)と、前記レンズモジュールを加熱するための電気ヒータ素子(6)と、を備える。前記ヒータ素子(6)は、前記レンズホルダ本体(5)の、前記レンズモジュールが位置する側とは反対側を向く表面に配置され、前記ヒータ素子(6)は、前記レンズホルダ本体(5)を介して前記レンズモジュールに熱的に接続する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車(1)用のカメラ(2)であって、レンズモジュールと、前記レンズモジュールに機械的に接続するレンズホルダ本体(5)と、前記レンズモジュールを加熱するための電気ヒータ素子(6)と、を備えるカメラ(2)において、
‐前記ヒータ素子(6)は、前記レンズホルダ本体(5)の、前記レンズモジュールが位置する側とは反対側を向く表面に配置され、
‐前記ヒータ素子(6)は、前記レンズホルダ本体(5)を介して前記レンズモジュールに熱的に接続する、
ことを特徴とするカメラ(2)。
【請求項2】
‐前記カメラ(2)は、前記レンズホルダ本体(5)の、前記レンズモジュールが位置する側とは反対側に配置された回路基板(7)を備え、
‐前記回路基板(7)は、電流を前記ヒータ素子(6)に供給するための供給回路を備え、
‐前記ヒータ素子(6)は、前記供給回路に電気的に接続する、
ことを特徴とする請求項1に記載のカメラ(2)。
【請求項3】
前記ヒータ素子(6)は、前記回路基板(7)と前記レンズホルダ本体(5)との間に配置される、
ことを特徴とする請求項2に記載のカメラ(2)。
【請求項4】
前記供給回路は、供給接点を備え、
前記ヒータ素子(6)は、ヒータ接点(10)を備え、
前記カメラ(2)は、前記ヒータ接点(10)を前記供給接点に電気的に接続するコネクタ要素(11)を備える、
ことを特徴とする請求項2または3に記載のカメラ(2)。
【請求項5】
前記コネクタ要素(11)は、バネコネクタとして設計される、
ことを特徴とする請求項4に記載のカメラ(2)。
【請求項6】
前記ヒータ素子(6)は、抵抗ヒータ素子(6)として設計される、
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載のカメラ(2)。
【請求項7】
‐前記カメラ(2)は、前記レンズホルダ本体(5)に接続する後方ハウジング本体(8)を備え、
‐前記後方ハウジング本体(8)と前記レンズホルダ本体(5)とは、アセンブリスペースを一体となって形成し、
‐前記ヒータ素子(6)は、前記アセンブリスペースの内部に完全に配置される、
ことを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載のカメラ(2)。
【請求項8】
‐前記レンズホルダ本体(5)は、前記ヒータ素子(6)が配置される前記表面を形成する金属材料を備え、
‐前記レンズモジュールに対する前記ヒータ素子(6)の熱的な前記接続は、前記金属材料により少なくとも部分的に形成される、
ことを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載のカメラ(2)。
【請求項9】
前記レンズモジュールは、レンズハウジング(4)と、前記レンズハウジング(4)内に配置された少なくとも1つのレンズと、を備える、
ことを特徴とする請求項1~8のいずれか一項に記載のカメラ(2)。
【請求項10】
‐前記レンズハウジング(4)は、さらなる金属材料を備え、
‐前記ヒータ素子(6)は、前記レンズホルダ本体(5)および前記さらなる金属材料を介して、前記少なくとも1つのレンズに熱的に接続する、
ことを特徴とする請求項9に記載のカメラ(2)。
【請求項11】
‐前記レンズハウジング(4)は雄ネジ(13)を備え、前記レンズホルダ本体(5)は雌ネジ(12)を備える、または、前記レンズハウジング(4)は雌ネジ(12)を備え、前記レンズホルダ本体(5)は雄ネジ(13)を備える、および、
‐前記レンズホルダ本体(5)は、前記雌ネジ(12)および前記雄ネジ(13)を介して、前記レンズハウジング(4)に固着される、
ことを特徴とする請求項9または10に記載のカメラ(2)。
【請求項12】
‐前記レンズハウジング(4)は、前記レンズホルダ本体(5)に対面する後方開口を備え、前記少なくとも1つのレンズの光軸が、前記後方開口を通過し、
‐前記レンズホルダ本体(5)は、前記後方開口と整列する貫通孔を備え、
‐前記ヒータ素子(6)は、前記貫通孔の周囲に環状に延びる、
ことを特徴とする請求項9~11のいずれか一項に記載のカメラ(2)。
【請求項13】
前記カメラ(2)は、回路基板(7)に装着される撮像チップを備える、
ことを特徴とする請求項1~11のいずれか一項に記載のカメラ(2)。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載のカメラ(2)を備える電子車両ガイドシステム。
【請求項15】
自動車(1)用のカメラ(2)のレンズモジュールを加熱するための方法において、
‐ヒータ素子(6)が、前記レンズモジュールに機械的に接続するレンズホルダ本体(5)の表面に配置され、前記表面は、前記レンズモジュールが位置する側とは反対側を向き、
‐前記レンズホルダ本体(5)は、前記ヒータ素子(6)により加熱され、加熱された前記レンズホルダ本体(5)から前記レンズモジュールに熱が伝達される、
ことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用カメラを対象とする。カメラは、レンズモジュールと、レンズモジュールに機械的に接続するレンズホルダ本体と、レンズモジュールを加熱するための電気ヒータ素子と、を備える。本発明は、さらに、このようなカメラを備える電子車両ガイドシステム、および自動車用カメラのレンズモジュールを加熱するための方法を対象とする。
【背景技術】
【0002】
自動車に配置されるカメラは、種々の構成で知られている。この文脈において、カメラは自動車の周囲環境を捕捉するように形成されるとともに配置されることが知られている。ただし、カメラは、自動車の内部を捕捉するようにも採用され得るとともに、これに対応して配置され得る。このため、カメラは、大幅な温度変動および/またはその他の環境条件にさらされ得る。さらに、カメラは、車両の移動中の振動による機械的ストレスも受け得る。したがって、自動車用カメラは、前記条件下でも所望どおりに動作し、十分に良好な画質を達成するように設計されなければならない。画像は、ドライバー支援システムや他の電子車両ガイドシステムに提供され得る。これらのシステムは、ドライバー支援のための入力、または車両を少なくとも部分的に自動でガイドするための入力として、提供された画像を使用し得る。
【0003】
特に車両の外部に装着されたカメラにおいて画質の劣化をもたらし得る1つの状況は、周囲環境温度が低いためにカメラのレンズに氷が張る場合である。
【0004】
文献DE 10 2015 116 962 A1は、カメラのレンズを加熱するための加熱ユニットを備えた車両用カメラについて記載している。加熱ユニットは、細長いワイヤ要素として設計されている。このワイヤ要素は、レンズから軸方向チャネルを介して、レンズから軸方向に離れて配置された回路基板にガイドされる。
【0005】
文書DE 10 2015 111 281 A1は、レンズを加熱するための誘導ヒータを有する車両用カメラについて記載している。ヒータは、強磁性材料で被覆され得るレンズの一部を取り囲む巻線を備えている。このような既知のカメラにおいて、ヒータには、ヒータから距離を置いて配置されたエネルギー源から電気エネルギーを供給する必要がある。したがって、これに応じて必要なヒータの配線を、レンズからカメラハウジングまたはレンズハウジングを介してガイドしなければならない。配線は、外部からの影響や設置中にカメラが損傷する可能性のある潜在的な弱点スポットである。さらに、配線により組立が複雑になるため、よりコストが高くなりエラーが生じやすくなる。
【発明の概要】
【0006】
本発明の目的は、車両用カメラのレンズモジュールを加熱するためのヒータ素子の電気的接触を単純化することである。
【0007】
この目的は、独立請求項のそれぞれの主題により達成される。さらなる実施例および好適な実施形態は、従属請求項の主題である。
【0008】
本発明は、ヒータ素子を加熱すべき実際のレンズモジュールから離して配置し、レンズモジュールに取り付けられたレンズホルダ本体を加熱して、ヒータ素子からレンズホルダ本体を介してレンズモジュールへ、そして最終的にレンズへの熱的接続によって熱を伝達するという考えに基づいている。
【0009】
本発明の一態様によれば、自動車用のカメラが提供される。カメラは、レンズモジュールと、前記レンズモジュールに機械的に接続するレンズホルダ本体と、前記レンズモジュールを加熱するための電気ヒータ素子と、を備える。前記ヒータ素子は、前記レンズホルダ本体の表面に配置され、前記表面は、前記レンズモジュールが位置する側とは反対側を向く。前記ヒータ素子は、前記レンズホルダ本体を介して前記レンズモジュールに熱的に接続し、前記レンズモジュールを加熱する。
【0010】
レンズモジュールは、レンズハウジングと、前記レンズハウジング内に配置された少なくとも1つのレンズと、を備えることが理解され得る。ここで、レンズハウジングは、例えば、少なくとも1つのレンズを周方向に取り囲み得る。レンズハウジングは、前方開口と後方開口とを有する。前方および後方とは、レンズハウジング、レンズモジュール、およびカメラの軸方向それぞれに対して理解され得る。特に、レンズハウジングおよびレンズモジュールの長手方向軸と同一であるカメラの長手方向軸は、少なくとも1つのレンズの光軸と同一または平行である。レンズハウジングの前方開口は、レンズハウジングの軸方向端部であって、カメラの撮像チップが位置する側とは反対側を向く軸方向縁部に位置する。レンズハウジングの後方開口は、レンズハウジングの反対側の軸方向端部であって、撮像チップに対面する軸方向端部に位置する。レンズモジュール、特にレンズハウジングを加熱することにより、レンズハウジングは、ヒータ素子とレンズモジュール、特にレンズハウジングとのレンズホルダ本体を介した熱的接続によって加熱される。レンズハウジングを加熱することにより、少なくとも1つのレンズも効果的に加熱される。したがって、レンズおよび/またはレンズハウジングに堆積した氷は、加熱により除去され得る。
【0011】
レンズホルダ本体は、レンズハウジングの後方軸方向端部および後方開口に位置する。レンズホルダ本体は、特に、レンズモジュールを車両に接続するために使用され得る。レンズハウジングおよびレンズホルダ本体以外に、カメラは、1つ以上のさらなる部品、特にカメラおよびレンズモジュールを車両に装着するための装着部品またはハウジング部品を備え得る。例えば、カメラは、後方ハウジング本体を備え得る。後方ハウジング本体は、車両に接続可能であるとともに、レンズホルダ本体が後方ハウジング本体とレンズモジュールとの間、すなわちそれぞれ後方ハウジング本体とレンズハウジングとの間に配置されるように、レンズホルダ本体に接続する。レンズホルダ本体がレンズモジュールの機械的に接続するということは、レンズホルダ本体がレンズハウジングに、機械的に接続している、例えばネジ留めまたはクランプ留めされているように理解され得る。
【0012】
ヒータ素子が、レンズホルダ本体の、レンズモジュールが位置する側とは反対側を向く表面に配置されるということは、ヒータ素子が当該表面に取り付けられている、固定されている、または固着されているように理解され得る。例えば、ヒータ素子は、接着材料、例えば感圧接着剤により当該表面に接着され得る。ただし、他のタイプの接着剤も使用され得る。代替的に、ヒータ素子は、カメラのさらなる部品またはハウジング部品によって当該表面に対して押圧され得る。換言すれば、ヒータ素子を材料接合(ドイツ語:「Stoffschluss」)によって当該表面に固着することが可能であるが、これはすべての実施形態において必須ではない。
【0013】
ヒータ素子は、電気ヒータ素子として設計されるとともに、電流がヒータ素子に供給されるとそれ自体で発熱し得る。例えば、ヒータ素子は、抵抗ヒータ素子として実現され得る。
【0014】
ヒータ素子で最初に発生した熱は、ヒータ素子とレンズモジュール、特にレンズハウジングとの熱的接続を介してレンズモジュールに伝達される。特に、熱は、ヒータ素子から当該表面を介してレンズホルダ本体に、そしてレンズホルダ本体からレンズモジュール、特にレンズハウジングに、そしてレンズハウジングから少なくとも1つのレンズに伝達される。ここで、ヒータ素子とレンズホルダ本体との間に、熱伝達に寄与するさらなる中間部品が存在し得る。特に、熱伝達は、熱伝導を介して、特に熱伝導のみを介して、または本質的に熱伝導(熱的伝導とも記載される)を介して生じる。換言すれば、対流または放射による熱伝達は、ヒータ素子によるレンズモジュールの加熱に重要な役割を果たさない、または加熱にまったく関与しない。
【0015】
ヒータ素子がレンズホルダ本体を介してレンズモジュールに熱的に接続するということは、特に、熱伝導率または熱伝導がレンズモジュールを加熱するための所定の加熱要件に応じて十分であるように理解され得る。加熱要件は、例えば、加熱素子が達成すべきレンズモジュールの所定位置における最小温度上昇、および任意の所定の周囲環境条件、特に所定の外部温度の観点から与えられ得る。例えば、空気湿度または空気流等のさらなる周囲環境条件が、本文脈において事前に定義され得る。例えば、ヒータ素子がY℃の環境温度でレンズモジュールの所定の位置を少なくともX℃だけ加熱することができれば、熱的接続は十分であると規定され得る。選択的に、加熱を達成するための最大時間も規定され得る。例えば、Xは、1~20℃程度、例えば8~12度で選択され得る。Yは、例えば-15~0℃、例えば-10~-6°の間で選択され得る。代替的に、加熱素子からレンズモジュールにおける特定の所定点までの、加熱素子が達成可能な最小熱伝達率が規定され得る。
【0016】
カメラの実際の実施例を設計する際に、レンズホルダ本体およびレンズハウジングのそれぞれの材料、ならびにレンズハウジングをレンズホルダ本体に接続する接続技術を選択することにより、熱的接続を調整することができる。具体的な要件に応じて、様々な選択が可能であり得る。好適には、レンズホルダ本体および/またはレンズハウジングは、アルミニウム等の金属材料を含有し得る、もしくは、金属材料からなる、または大部分が金属材料からなる。さらに、所定の熱伝導率に関して、ヒータ素子のサイズおよび加熱電力を、要件を達成すべくさらに調整してもよい。
【0017】
本発明によれば、加熱素子はレンズモジュールおよび少なくとも1つのレンズから離れて配置されるため、加熱素子を電気的に接触させる手間を少なくすることができる。さらに、撮像チップまたは駆動部品または評価部品等のさらなる電子部品が、カメラの回路基板に配置され得る。回路基板は、同様に、レンズホルダ本体の、レンズモジュールが位置する側とは反対側を向く表面に配置される。したがって、本発明によるカメラにおいて、これらのさらなる電子部品とヒータ素子との間の距離を非常に短くすることができる。
【0018】
ヒータ素子用の電源は、回路基板に配置してもよいし、カメラの外部に配置してヒータ素子に回路基板を介して接続してもよい。したがって、電気的接続部は、回路基板とヒータ素子との間でしか必要ないため、非常に短くてシンプルにすることができる。特に、ヒータ素子は、回路基板の直近に配置され得る。さらに、レンズモジュールは回路基板またはカメラの他の部品に対して原則として移動可能であり得るのに対し、ヒータ素子およびレンズホルダ本体は、回路基板に対して固定位置にあり得る。したがって、ヒータ素子と回路基板との電気的接続部は、特にシンプルであり得る。
【0019】
さらに、実験により、本発明に関して説明した設計において、レンズモジュールおよび少なくとも1つのレンズの有意な加熱が、ヒータ素子からレンズモジュールまでのレンズモジュールを介した熱的接続により、十分に短時間で達成され得ることが示された。
【0020】
本発明によるカメラのいくつかの実施例によれば、前記カメラは、回路基板を備え、前記回路基板は、前記レンズホルダ本体の、前記レンズモジュールが位置する側とは反対側に配置される。前記回路基板は、電流を前記ヒータ素子に供給するための供給回路を備える。前記ヒータ素子は、前記供給回路に電気的に接続する。
【0021】
回路基板は、必ずしもレンズホルダ本体またはヒータ素子が配置される表面に接続しない。ただし、回路基板の一側は、ヒータ素子に対面し得る。
【0022】
供給回路は、電流をヒータ素子に供給するための電源、特に電流源または電圧源を備え得る。しかしながら、他の実施例において、供給回路は、回路基板の外部および/またはカメラの外部に配置された外部電源に接続し得る。電源は、供給回路を介してヒータ素子に間接的に電流を供給し得る。最もシンプルなケースでは、供給回路は、ヒータ素子と外部電源とを互いに接続する電気的接続部からなる。いくつかの実施例によれば、ヒータ素子は、回路基板とレンズホルダ本体との間に配置される。
【0023】
特に、回路基板は、回路基板とレンズホルダ本体との間にスペースが形成されるようにして、レンズホルダ本体に対して装着される。ヒータ素子は、当該スペース内において、レンズホルダ本体の表面に配置される。特に、ヒータ素子と回路基板との間に、スペースが同様に形成され得る。供給回路とヒータ素子との電気的接続部は、ヒータ素子と回路基板との間の当該スペースに配置され得る。特に、ヒータ素子と回路基板との間のスペースは、非常に小さく、例えば1mm~10mm、例えば1mm~5mmであり得る。したがって、電気的接続部は、非常にシンプルな態様で実現され得る。例えば、回路基板をヒータ素子に接続するように、剛性の電気コネクタが使用され得る。
【0024】
いくつかの実施例によれば、前記供給回路は供給接点を備え、前記ヒータ素子はヒータ接点を備える。前記カメラは、前記ヒータ接点を前記供給接点に電気的に接続するコネクタ要素を備える。
【0025】
ヒータ接点および/または供給接点は、例えば、ヒータ素子と回路基板それぞれにおける接点パッドとして実現され得る。
【0026】
同様に、供給回路は、さらなる供給接点を備え得る。ヒータ素子は、さらなるヒータ接点を備え得る。そして、カメラは、さらなるヒータ接点をさらなる供給接点に電気的に接続するさらなるコネクタ要素を備え得る。
【0027】
供給回路により供給された電流は、供給接点からコネクタ要素およびヒータ接点を介してヒータ素子を通って流れ、そしてさらなるヒータ接点からさらなるコネクタ要素およびさらなる供給接点を介して供給回路に戻るように、すなわち逆方向に流れる。
【0028】
コネクタ要素は、例えば、バネコネクタとして設計され得る。さらなるコネクタ要素も同様である。このような実施例において、ヒータ素子を供給回路に接続するためのワイヤが不要であるため、特に堅牢でシンプルな設計がもたらされる。いくつかの実施例によれば、前記ヒータ素子は、抵抗ヒータ素子として設計される。
【0029】
例えば、ヒータ素子は、可撓性のシートヒータを備え得る。例えば、ヒータ素子は、加熱ワイヤまたは他の導電性構造体、例えばエッチングされた箔または可撓性回路基板上のエッチングされた導電路等を備え得る。加熱ワイヤまたは他の導電性構造体は、シートを形成する、例えばシリコーンゴム材料、ポリイミド等の可撓性シートを形成する非導電性材料に埋設され得る。ヒータ素子は、電気絶縁材料で被覆された可撓性回路基板をも備え得る。
【0030】
このような加熱素子は、レンズホルダ本体と回路基板との間に非常に小さいスペースしか必要としないという利点を有している。また、このような加熱素子は、レンズホルダ本体に非常にシンプルな態様で、例えば表面に押し付けることにより、または接着剤で表面に接着することにより取り付けることができる。その一方で、このような加熱素子は、種々の幾何学的形状で入手可能であり、カメラにおける前記要件を満たすのに十分な加熱電力を有する。
【0031】
いくつかの実施例によれば、前記カメラは、前記レンズホルダ本体に接続する後方ハウジング本体を備える。前記後方ハウジング本体と前記レンズホルダ本体とは、アセンブリスペースを一体となって形成し、前記ヒータ素子は、前記アセンブリスペースの内部に完全に配置される。
【0032】
特に、後方ハウジング本体は、レンズホルダ本体の、レンズモジュールが位置する側とは反対側に配置される。アセンブリスペースは、後方ハウジング本体および/またはレンズホルダ本体により、カメラの周囲環境から隔てられる。回路基板も、アセンブリスペースの内部に、特にアセンブリスペースの内部に完全に配置され得る。後方ハウジング本体は、回路基板を自動車に、特に自動車の電子制御ユニット、すなわちECUに接続するコネクタケーブル用の開口を備え得る。
【0033】
このような実施例において、ヒータ素子、および特に回路基板は、汚染、汚れ、湿気等の外部または周囲環境の影響から効果的に保護され得る。
【0034】
いくつかの実施例によれば、前記レンズホルダ本体は、金属材料を備える、または前記金属材料からなり、前記金属材料は、前記ヒータ素子が配置される前記表面を構成または形成する。前記レンズモジュールに対する前記ヒータ素子の熱的な前記接続は、前記金属材料により少なくとも部分的に確立される。
【0035】
金属材料は、例えば、アルミニウムまたはアルミニウム合金を備え得る、またはこれからなり得る。これにより、非常に高い熱伝導率が実現されると同時に、レンズホルダ本体の軽量化と高い機械的安定性が実現される。
【0036】
レンズハウジングは、さらなる金属材料を備え得る。ヒータ素子は、レンズホルダおよびさらなる金属材料を介して、特に金属材料およびさらなる金属材料を介して少なくとも1つのレンズに熱的に接続する。
【0037】
さらなる金属材料も、アルミニウムまたはアルミニウム合金を備え得る、またはこれからなり得る。特に、レンズハウジングは、さらなる金属材料からなり得る。
【0038】
いくつかの実施例によれば、前記レンズハウジングは雄ネジを備え、前記レンズホルダ本体は雌ネジを備える。前記レンズホルダ本体は、前記雌ネジおよび前記雄ネジを介して、前記レンズハウジングに固着される。
【0039】
代替的な実施例において、前記レンズハウジングは雌ネジを備え、前記レンズホルダ本体は雄ネジを備える。
【0040】
レンズホルダ本体を、雌ネジと雄ネジとを介してレンズハウジングに固着することにより、レンズハウジングとレンズホルダ本体との間の接続部の表面が増大することで、特に良好な熱伝達が達成され得る。
【0041】
いくつかの実施例によれば、前記レンズハウジングは、前記レンズホルダ本体に対面する後方開口を備え、前記少なくとも1つのレンズの光軸が、前記後方開口を通過する。前記レンズホルダ本体は、前記後方開口と整列する貫通孔を備え、前記ヒータ素子は、前記貫通孔の周囲に環状に延びる。
【0042】
貫通孔が後方開口と整列するとは、特に、光軸が、後方開口を通過し、貫通孔を通過し、そしてヒータ素子により形成される環状形状を通過することを意味する。特に、貫通孔の中心が後方開口の中心と一致し得るとともに、光軸が後方開口および貫通孔の中心を通過し得る。特に、例えばヒータ素子に対面する回路基板の表面に配置される撮像チップ、レンズホルダ本体、およびレンズモジュールも、少なくとも1つのレンズの光軸と整列し得る。ヒータ素子は貫通孔の周囲に環状に延びるため、少なくとも1つのレンズを介してカメラに入射して撮像チップの表面にぶつかる光の光路は妨げられない。
【0043】
また、カメラは、光が撮像チップのアクティブ面にぶつかった際に撮像チップが生成する撮像信号を処理または前処理するための処理または前処理回路も備え得る。
【0044】
本発明のさらなる態様によれば、本発明によるカメラを備える電子車両ガイドシステムが提供される。
【0045】
電子車両ガイドシステムは、完全に自動化された、または完全に自律的な態様で車両をガイドするように構成された電子システムであって、特に車両のドライバーまたはユーザによる手動介入または制御を必要としない電子システムとして理解され得る。車両は、ステアリング操作、減速操作および/または加速操作、道路交通の監視および記録、対応する反応等の必要なすべての機能を自動的に実施する。特に電子、車両ガイドシステムは、SAE J3016分類のレベル5に従う完全自動運転モードまたは完全自律運転モードを実施し得る。電子車両ガイドシステムは、部分的な自動運転または部分的な自律運転のためにドライバーを支援する先進運転支援システム、すなわちADASとしても実現され得る。特に、電子車両ガイドシステムは、SAE J3016分類のレベル1から4に従う部分自動運転モードまたは部分自律運転モードを実施し得る。以降で、SAE J3016は、2018年6月付のそれぞれの規格を指すものとする。
【0046】
したがって、車両を少なくとも部分的に自動で案内することは、SAE J3016分類のレベル5に従う完全自動運転モードまたは完全自律走行モードに従って車両をガイドすることを備え得る。車両を少なくとも部分的に自動でガイドすることは、SAE J3016分類のレベル1から4に従う部分的自動運転モードまたは部分的自律運転モードに従って車両をガイドすることを備え得る。
【0047】
電子車両ガイドシステムは、例えば、カメラが生成した、特に撮像チップおよび/または処理または前処理回路が生成した画像データに応じて、1つ以上の制御信号を生成するように構成された制御ユニットを備え得る。車両を少なくとも部分的に自動でガイドするように、制御信号は、制御ユニットにより車両の1つ以上のアクチュエータに提供され得る。
【0048】
代替的または追加的に、電子車両ガイドシステムは、カメラが生成した画像データに応じて、画像を自動車のユーザに表示するように構成された表示装置を備え得る。
【0049】
本発明のさらなる態様によれば、本発明による電子車両ガイドシステムおよび/または本発明によるカメラを備えた自動車も提供される。
【0050】
本発明にさらなる態様によれば、自動車用のカメラのレンズモジュールを加熱するための方法も提供される。本方法によれば、ヒータ素子が、前記レンズモジュールに機械的に接続するレンズホルダ本体の表面に配置され、前記表面は、前記レンズモジュールが位置する側とは反対側を向く。前記レンズホルダ本体は、前記ヒータ素子により加熱され、加熱された前記レンズホルダ本体から前記レンズモジュールに熱が伝達される。
【0051】
換言すれば、熱がヒータ素子により生成され、そして熱は、レンズホルダ本体により少なくとも部分的に確立された熱的接続を介して、レンズモジュールに、特にレンズモジュールの少なくとも1つのレンズに伝達される。
【0052】
本発明による方法のさらなる実施例は、本発明によるカメラ、本発明による電子車両ガイドシステム、および本発明による自動車の種々の実施例から直接的に導かれ、この逆もまた同様である。特に、本発明によるカメラは、本発明による方法を実施し得る、または実施するように使用され得る、またはこのような方法を実施する。
【0053】
本発明のさらなる特徴は、特許請求の範囲、図面および図面の説明から明らかである。本明細書において上述した特徴および特徴の組み合わせ、ならびに図面の説明において後述する特徴および特徴の組み合わせ、および/または図面に示す特徴および特徴の組み合わせは、記載されたそれぞれの組み合わせにおいてのみならず、他の組み合わせにおいても本発明に含まれ得る。特に、当初策定された請求項のすべての特徴を有していない特徴の実施形態および組み合わせも、本発明に含まれる。さらに、特許請求の範囲の記載に記載された特徴の組合せを超える、または逸脱する特徴の実施形態および組合せが、本発明に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
図1図1は、本発明によるカメラの例示的な実施例を有する自動車を概略的に示す。
図2図2は、本発明によるカメラのさらなる例示的な実施例の分解側面図および分解斜視図を概略的に示す。
図3図3は、本発明によるカメラのさらなる例示的な実施例の一部の斜視図を概略的に示す。
図4図4は、本発明によるカメラのさらなる例示的な実施例の一部の斜視図を概略的に示す。
図5図5は、本発明によるカメラのさらなる例示的な実施例の一部を通る縦断面図を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0055】
図面において、同一または機能的に同一の要素には同一の参照符号を付す。
【0056】
図1において、少なくとも1つのカメラ2、例えば、本発明による例示的な実施形態により実現された前方カメラ、側方カメラ、および/または後方カメラを備える自動車1が平面図で示されている。ここで、自動車1は、乗用車として形成されている。自動車1は、本発明による電子車両ガイドシステムを備えている。カメラ2は、電子車両ガイドシステムの一部としてみなされ得る。電子車両ガイドシステムは、例えば自動車1の電子制御ユニット、すなわちECUにより形成され得る制御ユニット3を備えている。
【0057】
図示例において、自動車1は、自動車1に分散配置された4つのカメラ2を備えている。カメラ2のうちの1つは、後方エリアに配置されている。カメラ2のうちの1つは、自動車1の前方エリアに配置されている。残りの2つのカメラ2は、それぞれの側方エリア、具体的にはサイドミラーの近傍に配置されている。ただし、カメラ2の個数および配置は、他の例において異なっていてもよい。代替的または追加的に、本発明による1つ以上のカメラが、自動車1の内部スペースすなわち車室を捕捉するために配置されてもよい。
【0058】
カメラ2は、特に、それぞれの個々の自動車部品に組み付けられるように設置される。自動車部品は、例えば、バンバー、または外部ミラー、またはサイドトリムであり得る。また、自動車部品は、ヘッドライナ、または内部トリム、またはハンドル中央のカバー、または内部ミラーであり得る。上述の自動車部品は、単なる非限定的な例としてみなされるべきである。
【0059】
実施形態において、自動車1の周囲環境領域が、カメラ2により捕捉され得る。4つのカメラ2の場合、4つのカメラ2は、好適には、同一の構造で形成され得る。特に、カメラ2により、周囲環境を示す画像シーケンスまたはビデオデータが提供され得る。ビデオデータは、カメラ2から制御ユニット3に送信され得る。カメラ2のビデオデータが自動車1のユーザに表示され得るように、制御ユニット3により自動車1の表示装置(図示せず)が制御され得る。したがって、電子車両ガイドシステムは、自動車1を運転している自動車1のドライバーを支援するためのドライバー支援システムとして動作し得る。代替的または追加的に、制御ユニット3は、ビデオデータを処理して、自動車1の1つ以上のそれぞれのアクチュエータ(図示せず)に対する少なくとも1つの制御信号を生成し得る。アクチュエータは、制御信号に基づいて自動車1を自動的または部分的に自動的に制御し得る。
【0060】
図2において、本発明によるカメラ2の例示的な実施例について、左側が分解斜視図、右側が対応する分解側面図を示す。カメラ2は、例えば、自動車1において、または図1に関して説明した対応する電子車両ガイドシステムにおいて使用され得る。
【0061】
カメラ2は、レンズホルダ本体5に接続する後方ハウジング本体8を含むハウジングを備えている。これにより、レンズホルダ本体5と組み合わせた後方ハウジング本体8により囲まれた領域内にアセンブリスペースが形成されている。
【0062】
カメラ2は、レンズハウジング4を有するレンズモジュールをさらに備えている。レンズハウジング4は、レンズホルダ本体5に、後方ハウジング本体8およびアセンブリスペースが位置する側とは反対側において取り付けられている。特に、レンズハウジング4は、雄ネジ13を備え得る。そして、レンズホルダ本体5は、雌ネジ12を備え得る。そして、図5の長手方向断面図に概略的に示すように、レンズホルダ本体5は、レンズハウジング4に、雌ネジ12と雄ネジ13とにより締結され得る。代替的な実施例において、レンズホルダ本体5が、雄ネジを備え得る。そして、レンズハウジング4が、レンズホルダ本体5の雄ネジに接続する雌ネジを備え得る。
【0063】
例えば、レンズハウジング4は、中空シャフトを備え得る。中空シャフトは、例えば、略円筒形の内側形状を有するとともに、カメラ2およびレンズモジュールの1つ以上の光学レンズをそれぞれ包囲する。レンズの光軸は、特に、中空シャフトの長手方向軸と平行である、または同一である。したがって、中空シャフトの長手方向軸を、それぞれレンズモジュールの長手方向軸およびカメラ2の長手方向軸としてみなすことができる。以下では、特に断らない限り、長手方向軸として表記する。例えば、雄ネジ13は、中空シャフトの外側に配置されてもよい。
【0064】
レンズホルダ本体5は、レンズハウジング4の中空シャフトと整列する貫通孔を備え得る。これにより、レンズおよびレンズハウジング4を介してカメラ2に入射した光が、中空シャフトおよび貫通孔を通ってアセンブリスペースに至ることができる。アセンブリスペース内に、カメラ2の回路基板7が配置され得る。回路基板7は、カメラ2の撮像チップ(図示せず)を搭載している。撮像チップも、中空シャフト、貫通孔、および光軸、ならびに長手方向軸とそれぞれ整列している。したがって、カメラに入射するとともに、中空シャフトおよび貫通孔を通ってアセンブリスペースに入射する光は、撮像チップのアクティブ光学面にぶつかり得る。撮像チップは、それぞれの撮像信号を生成する。これらの撮像信号は、後方ハウジング本体8の開口および対応するケーブル接続部(図示せず)を介して、制御ユニット3に送信され得る。代替的に、回路基板7は、撮像信号を前処理して前処理された撮像信号を制御ユニット3に提供するデジタル信号プロセッサ(DSP)、マイクロコントローラ、グラフィック処理ユニット(GPU)等の前処理回路を備え得る。そして、制御ユニット3は、撮像信号または前処理された撮像信号にそれぞれ応じて、ビデオデータを生成し得る。
【0065】
レンズホルダ本体5は、レンズハウジング4が位置する側とは反対側を向く表面であって、後方ハウジング本体8、回路基板7、およびアセンブリスペースに対面する表面を有している。レンズホルダ本体5の貫通孔により、この面は、開口、例えば円形開口を有している。カメラ2は、電気ヒータ素子6、特に抵抗ヒータ素子を備えている。ヒータ素子6は、例えば、レンズホルダ本体5の表面に配置される可撓性のヒータ箔として実現され得る。特に、ヒータ素子6は、レンズホルダ本体5の開口および貫通孔の周囲に環状に配置され得る。ヒータ素子6は、例えば、後方ハウジング本体8により、またはカメラ2の他の構成部品によりヒータ素子6に及ぼされる機械的圧力によって該表面に取り付けられ得る。例えば、クランプやバネ要素を使用してヒータ素子6を該表面に押し付けることができる。代替的または追加的に、ヒータ素子6は、レンズホルダ本体5の該表面に、接着材料により固定され得る。例えば、感圧接着剤を使用することができる。感圧接着剤は、UV硬化や熱硬化等の特別な効果ステップを実施する必要がないため、製造においてカメラを簡単に組み立てることができる。ただし、他のタイプの接着剤も使用できる。
【0066】
レンズホルダ本体5ならびにレンズハウジング4は、熱伝導率の大きい材料、特に金属、例えばアルミニウムまたはアルミニウム合金を含有している。例えば、レンズホルダ本体5および/またはレンズハウジング4は、該材料からなり得る、またはその大部分が該材料からなり得る。したがって、レンズホルダ本体5はレンズハウジング4に機械的に接続しているため、電流の供給時にヒータ素子6により発生する熱は、ヒータ素子6からレンズホルダ本体5に伝達されるとともに、レンズホルダ本体5とレンズハウジング4との機械的接続部を介してレンズハウジング4に伝達される。したがって、レンズモジュール、特にレンズハウジング4ならびに少なくとも1つのレンズが、ヒータ素子6により間接的に加熱され得る。この目的のために、ヒータ素子6が生成した熱は、ヒータ素子6とレンズハウジング4との対応する熱的接続を介した熱伝導により、レンズホルダ本体5を介して伝達される。
【0067】
レンズホルダ本体5が、レンズハウジング4に雌ネジ12および雄ネジ13を介して接続している場合、ネジ12、13により生成される大きな表面、およびこの結果生じる高い熱伝導率により、特に迅速および/または効率的な加熱がもたらされる。
【0068】
回路基板7は、ヒータ素子6に電流を供給するための供給回路を備えている。この目的のために、回路基板7は、ヒータ素子6を外部電源に接続するための対応する電源または回路、特に導電経路または導電線を搭載し得る。外部電源は、例えば、制御ユニット3内に配置される、または制御ユニット3を介してカメラ2に接続され得る。図3および図4に概略的に示すように、ヒータ素子6は、回路基板7に対面する側に2つの接点パッド10を備え得る。そして、カメラ2は、接点パッド10の各々を、回路基板7上の供給回路の対応する供給接点(図示せず)に接続する2つのそれぞれのバネコネクタ11を備え得る。図4において、2つのバネコネクタ11のうち一方のみが示されていることに留意されたい。このように、ヒータ素子6と回路基板7、特に供給回路と電源との電気的接続部は、非常にシンプルでありつつ機械的外乱や他の外部からの影響に対して堅牢性を有している。図4および図5は、カメラ2と制御ユニット3との間のビデオケーブルに接続するためのコネクタ9をさらに示す。
【0069】
ヒータ素子6を、レンズモジュールおよびレンズハウジング4から離れたアセンブリスペースに、特に1つ以上のレンズから離れたアセンブリスペースに配置することにより、ヒータ素子6を回路基板7を介して電気的に接続する手間が最小限とされる。
【0070】
それにもかかわらず、レンズホルダ本体5およびレンズハウジング4を介したヒータ素子6の熱的接続により、レンズモジュールおよび少なくとも1つのレンズは、短時間で効率的に加熱され、少なくとも1つのレンズの表面に張った、またはスチームした氷が除去され得る。これにより、カメラ2の使用性、機能性、および安全性が向上する。
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2024-05-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車(1)用のカメラ(2)であって、レンズモジュールと、前記レンズモジュールに機械的に接続するレンズホルダ本体(5)と、前記レンズモジュールを加熱するための電気ヒータ素子(6)と、を備えるカメラ(2)において、
‐前記ヒータ素子(6)は、前記レンズホルダ本体(5)の、前記レンズモジュールが位置する側とは反対側を向く表面に配置され、
‐前記ヒータ素子(6)は、前記レンズホルダ本体(5)を介して前記レンズモジュールに熱的に接続する、
ことを特徴とするカメラ(2)。
【請求項2】
‐前記カメラ(2)は、前記レンズホルダ本体(5)の、前記レンズモジュールが位置する側とは反対側に配置された回路基板(7)を備え、
‐前記回路基板(7)は、電流を前記ヒータ素子(6)に供給するための供給回路を備え、
‐前記ヒータ素子(6)は、前記供給回路に電気的に接続する、
ことを特徴とする請求項1に記載のカメラ(2)。
【請求項3】
前記ヒータ素子(6)は、前記回路基板(7)と前記レンズホルダ本体(5)との間に配置される、
ことを特徴とする請求項2に記載のカメラ(2)。
【請求項4】
前記供給回路は、供給接点を備え、
前記ヒータ素子(6)は、ヒータ接点(10)を備え、
前記カメラ(2)は、前記ヒータ接点(10)を前記供給接点に電気的に接続するコネクタ要素(11)を備える、
ことを特徴とする請求項2に記載のカメラ(2)。
【請求項5】
前記コネクタ要素(11)は、バネコネクタとして設計される、
ことを特徴とする請求項4に記載のカメラ(2)。
【請求項6】
前記ヒータ素子(6)は、抵抗ヒータ素子(6)として設計される、
ことを特徴とする請求項1に記載のカメラ(2)。
【請求項7】
‐前記カメラ(2)は、前記レンズホルダ本体(5)に接続する後方ハウジング本体(8)を備え、
‐前記後方ハウジング本体(8)と前記レンズホルダ本体(5)とは、アセンブリスペースを一体となって形成し、
‐前記ヒータ素子(6)は、前記アセンブリスペースの内部に完全に配置される、
ことを特徴とする請求項1に記載のカメラ(2)。
【請求項8】
‐前記レンズホルダ本体(5)は、前記ヒータ素子(6)が配置される前記表面を形成する金属材料を備え、
‐前記レンズモジュールに対する前記ヒータ素子(6)の熱的な前記接続は、前記金属材料により少なくとも部分的に形成される、
ことを特徴とする請求項1に記載のカメラ(2)。
【請求項9】
前記レンズモジュールは、レンズハウジング(4)と、前記レンズハウジング(4)内に配置された少なくとも1つのレンズと、を備える、
ことを特徴とする請求項1に記載のカメラ(2)。
【請求項10】
‐前記レンズハウジング(4)は、さらなる金属材料を備え、
‐前記ヒータ素子(6)は、前記レンズホルダ本体(5)および前記さらなる金属材料を介して、前記少なくとも1つのレンズに熱的に接続する、
ことを特徴とする請求項9に記載のカメラ(2)。
【請求項11】
‐前記レンズハウジング(4)は雄ネジ(13)を備え、前記レンズホルダ本体(5)は雌ネジ(12)を備える、または、前記レンズハウジング(4)は雌ネジ(12)を備え、前記レンズホルダ本体(5)は雄ネジ(13)を備える、および、
‐前記レンズホルダ本体(5)は、前記雌ネジ(12)および前記雄ネジ(13)を介して、前記レンズハウジング(4)に固着される、
ことを特徴とする請求項9に記載のカメラ(2)。
【請求項12】
‐前記レンズハウジング(4)は、前記レンズホルダ本体(5)に対面する後方開口を備え、前記少なくとも1つのレンズの光軸が、前記後方開口を通過し、
‐前記レンズホルダ本体(5)は、前記後方開口と整列する貫通孔を備え、
‐前記ヒータ素子(6)は、前記貫通孔の周囲に環状に延びる、
ことを特徴とする請求項9に記載のカメラ(2)。
【請求項13】
前記カメラ(2)は、回路基板(7)に装着される撮像チップを備える、
ことを特徴とする請求項1に記載のカメラ(2)。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載のカメラ(2)を備える電子車両ガイドシステム。
【請求項15】
自動車(1)用のカメラ(2)のレンズモジュールを加熱するための方法において、
‐ヒータ素子(6)が、前記レンズモジュールに機械的に接続するレンズホルダ本体(5)の表面に配置され、前記表面は、前記レンズモジュールが位置する側とは反対側を向き、
‐前記レンズホルダ本体(5)は、前記ヒータ素子(6)により加熱され、加熱された前記レンズホルダ本体(5)から前記レンズモジュールに熱が伝達される、
ことを特徴とする方法。
【国際調査報告】