(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-20
(54)【発明の名称】センサ設計
(51)【国際特許分類】
G01J 1/02 20060101AFI20240912BHJP
H04N 25/20 20230101ALI20240912BHJP
H04N 25/70 20230101ALI20240912BHJP
B81B 7/02 20060101ALI20240912BHJP
B81C 1/00 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
G01J1/02 C
G01J1/02 Q
H04N25/20
H04N25/70
B81B7/02
B81C1/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024515502
(86)(22)【出願日】2022-09-07
(85)【翻訳文提出日】2024-04-15
(86)【国際出願番号】 US2022042779
(87)【国際公開番号】W WO2023038987
(87)【国際公開日】2023-03-16
(32)【優先日】2021-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524089084
【氏名又は名称】オブシディアン センサーズ,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】ヒスン シン
(72)【発明者】
【氏名】ピン ウォン
(72)【発明者】
【氏名】エドワード チャン
(72)【発明者】
【氏名】ショーン アンドリュース
(72)【発明者】
【氏名】タリス チャン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ホン
【テーマコード(参考)】
2G065
3C081
5C024
【Fターム(参考)】
2G065AA11
2G065AB02
2G065BA12
2G065BA34
2G065BB30
2G065BC02
2G065BC03
2G065BC28
2G065BE08
2G065CA12
2G065CA13
2G065CA27
3C081AA01
3C081BA22
3C081BA28
3C081BA29
3C081BA32
3C081BA33
3C081CA03
3C081CA15
3C081CA23
3C081DA06
3C081EA04
5C024AX06
5C024CY47
5C024GX08
5C024GX16
5C024GY31
5C024HX47
(57)【要約】
検知用画素を備える電子デバイス、電子デバイスの動作方法及び電子デバイスの製造方法を開示する。いくつかの実施形態において、電子デバイスは、画素を支持するためのヒンジを備える。いくつかの実施形態において、電子デバイスは、画素にバイアス電圧を供給するように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス基板と、
画素ピッチを備える二つの画素と、
前記二つの画素のうちの一方と前記ガラス基板との間のヒンジと、を備え、
前記ヒンジは、前記画素を支持し、
前記ヒンジの長さは、前記画素ピッチより長い、電子デバイス。
【請求項2】
バイアスラインを更に備え、
前記二つの画素は、前記バイアスラインに電気的に結合され、
前記二つの画素のうちの一方は、第1の行に関連付けられ、
前記二つの画素のうちの他方は、第2の行に関連付けられる、請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項3】
前記バイアスラインの電圧は、バイアス生成画素を介して生成される、請求項2に記載の電子デバイス。
【請求項4】
第2のバイアス生成画素を更に備え、前記バイアスラインの電圧は、前記第1のバイアス生成画素及び前記第2のバイアス生成画素の平均電圧に基づいて生成される、請求項3に記載の電子デバイス。
【請求項5】
前記バイアス生成画素の面積は、前記二つの画素のうちの一方の画素の面積より広い、請求項3に記載の電子デバイス。
【請求項6】
前記ヒンジに結合されたリベットを更に備える、請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項7】
前記二つの画素のうちの一方は、センサと、吸収体と、を備える、請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項8】
前記吸収体の第1のエッジ及び第2のエッジは、90度より大きい角度をなす、請求項7に記載の電子デバイス。
【請求項9】
前記二つの画素のうちの一方と前記ガラス基板との間のギャップは、500nmと3000nmとの間であり、
前記二つの画素のうちの一方は、6000nmと14000nmとの間の波長を有する入射放射波の少なくとも35%を吸収するように構成された、請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項10】
前記二つの画素のうちの一方の画素の抵抗は、100kΩと10MΩとの間であり、前記ヒンジの抵抗は、10kΩと100kΩとの間である、請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項11】
前記ヒンジは、前記画素のうちの一方に電気的に結合された導電層と、前記導電層の側に配置された誘電体層と、を備える、請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項12】
前記二つの画素のうちの一方の画素の形状は、凸状である、請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項13】
前記二つの画素は、隣接する画素であり、
前記二つの画素を支持するブリッジを更に備え、前記ブリッジは、前記二つの画素と前記基板との間にある、請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項14】
前記ヒンジは、応力部分と、非応力部分と、を備える、請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項15】
前記二つの画素のうちの一方の画素の第1のノード及び第2のノードは、異なる層上に配置され、
前記第1のノードと前記第2のノードとの重複部分は、前記第1のノードの面積の半分未満又は前記第2のノードの面積の半分未満である、請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項16】
ガラス基板を設けることと、
第1の画素及び第2の画素を設けることと、
第1のヒンジ及び第2のヒンジを設けることと、
前記第1のヒンジ及び前記第2のヒンジをガラス基板に結合することと、
前記第1の画素を前記第1のヒンジに結合することと、
前記第2の画素を前記第2のヒンジに結合することと、
を備え、
結合された前記第1の画素及び結合された前記第2の画素は、画素ピッチだけ離れ、
前記第1のヒンジの長さは、前記画素ピッチより長く、前記第2のヒンジの長さは、前記画素ピッチより長い、電子デバイスの製造方法。
【請求項17】
画素のアレイであって、
前記アレイの第1の行及び前記アレイの列に属する第1の画素と、
前記アレイの第2の行及び前記アレイの前記列に属する第2の画素と、
を備える、画素のアレイと、
前記第1の画素及び前記第2の画素に電気的に結合されたバイアスラインと、
前記アレイの前記列に関連する列ラインと、
を備える電子デバイスを動作させる方法であって、
前記バイアスラインを介して第1のバイアス電圧を前記第1の画素に供給することと、
前記第1の画素を前記列ラインに電気的に結合することと、
前記第1の画素を前記列ラインから電気的に切り離すことと、
前記バイアスラインを介して第2のバイアス電圧を前記第2の画素に供給することと、
前記第2の画素を前記列ラインに電気的に結合することと、
前記第2の画素を前記列ラインから電気的に切り離すことと、
を備える、電子デバイスを動作させる方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2021年9月7日に出願された米国仮出願第63/241,469号の利益を主張するものであり、その開示全体は、あらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、一般に、センサ回路及びセンサ構造に関する。
【背景技術】
【0003】
コストを削減するために、(例えば、電子デバイスの単位面積当たりのコストを削減するとともに歩留まりを向上させるために)ガラス基板上にセンサを配置することによって電子デバイスを製造することが望ましい場合がある。センサの製造工程とガラス基板の製造工程には違いがある場合がある。例えば、センサは、(0.25~0.35μmのリソグラフィ規則に従う)シリコン工程を使用して製造されたボロメータである場合があり、一方、ガラス基板及びその関連部品は、(1.5μm以上の)更に大きなリソグラフィ規則に従って製造される場合がある。更に小さなセンサ工程を使用してインターフェース部品(例えば、基板上でセンサを支持するためのヒンジ)を製造することは、更にコストがかかる場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
バイアス電圧がセンサに供給されるとき、バイアス電圧は、電子デバイスの状態を反映することがある。バイアス電圧の精度は、ノイズの影響を受けることがある。さらに、センサは、外力を受けることがある。例えば、センサは、センサのノード間に印加される電圧(例えば、バイアス電圧)によって引き起こされる静電気力を経験することがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
検知用画素を備える電子デバイス、電子デバイスの動作方法及び電子デバイスの製造方法を開示する。いくつかの実施形態において、電子デバイスは、画素を支持するためのヒンジを備える。いくつかの実施形態において、電子デバイスは、画素にバイアス電圧を供給するように構成される。
【0006】
いくつかの実施形態において、電子デバイスは、ガラスと、画素ピッチを備える二つの画素と、二つの画素のうちの一方と基板との間のヒンジとを備える。ヒンジは、画素を支持し、ヒンジの長さは、画素ピッチより長い。
【0007】
いくつかの実施形態において、電子デバイスの製造方法は、基板を設けることと、第1の画素及び第2の画素を設けることと、第1のヒンジ及び第2のヒンジを設けることと、第1のヒンジ及び第2のヒンジを基板に結合することと、第1の画素を第1のヒンジに結合することと、第2の画素を第2のヒンジに結合することと、を備える。結合された第1の画素と結合された第2の画素は、画素ピッチだけ離れ、第1のヒンジの長さは、画素ピッチより長く、第2のヒンジの長さは画素ピッチより長い。
【0008】
いくつかの実施形態において、電子デバイスは、画素のアレイであって、アレイの第1の行及びアレイの列に属する第1の画素と、アレイの第2の行及びアレイの列に属する第2の画素と、を備える、画素のアレイと、第1の画素及び第2の画素に電気的に結合されたバイアスラインと、アレイの列に関連する列ラインと、を備える。そして、電子デバイスを動作させる方法は、バイアスラインを介して第1のバイアス電圧を第1の画素に供給することと、第1の画素を列ラインに電気的に結合することと、第1の画素を列ラインから電気的に切り離すことと、バイアスラインを介して第2のバイアス電圧を第2の画素に供給することと、第2の画素を列ラインに電気的に結合することと、第2の画素を列ラインから電気的に切り離すことと、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本開示の実施形態による例示的な電子デバイスを示す。
【0010】
【
図2】
図2は、本開示の実施形態による例示的な電子デバイスを示す。
【0011】
【
図3A】
図3Aは、本開示の実施形態による例示的な画素を示す。
【
図3B】
図3Bは、本開示の実施形態による例示的な画素を示す。
【0012】
【
図3】
図3は、本開示の実施形態による例示的なセンサ回路を示す。
【0013】
【
図4】
図4は、本開示の実施形態による例示的なセンサ回路を示す。
【0014】
【
図6A】
図6Aは、本開示の実施形態による例示的な画素を示す。
【
図6B】
図6Bは、本開示の実施形態による例示的な画素を示す。
【
図6C】
図6Cは、本開示の実施形態による例示的な画素を示す。
【0015】
【
図7A】
図7Aは、本開示の実施形態による例示的な画素を示す。
【0016】
【
図7B】
図7Bは、本開示の実施形態による例示的な画素特性を示す。
【0017】
【
図8】
図8は、本開示の実施形態による例示的な電子デバイスを示す。
【0018】
【
図9】
図9は、本開示の実施形態による例示的な画素を示す。
【0019】
【0020】
【0021】
【0022】
【
図13】
図13は、本開示の実施形態による電子デバイスを製造する例示的な方法を示す。
【0023】
【
図14】
図14は、本開示の実施形態による電子デバイスを動作させる例示的な方法を示。
【0024】
【
図15】
図15は、本開示の実施形態による電気機械システムの製造方法を示す。
【0025】
【
図16】
図16は、本開示の実施形態による例示的なセンサを示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下の実施形態の説明では、本明細書の一部を構成するとともに実施可能な特定の実施形態を例示として示す添付図面を参照する。開示した実施形態の範囲から逸脱することなく他の実施形態を使用することができるとともに構造変更を行うことができることを理解されたい。
【0027】
コストを削減するために、(例えば、電子デバイスの単位面積当たりのコストを削減するとともに歩留まりを向上させるために)ガラス基板上にセンサを配置することによって電子デバイスを製造することが望ましい場合がある。本明細書で説明する実施例は、ガラス基板上にセンサを実装すること及び関連する電子デバイスの電気的要件、熱的要件及び機械的要件を満たすことを有利に可能にする。本明細書における実施例を主にガラス基板に関連して論じているが、他の実装を使用できることが当業者には理解されるべきである。
【0028】
図1は、本開示の実施形態による例示的な電子デバイスを示す。図示したように、電子デバイス100は、画素102A~102Iと、ヒンジ104A~104Iと、バイアス回路106と、行回路108、読み出し回路110と、出力部112A~112Cと、基板120と、を備える。
【0029】
いくつかの実施形態において、電子デバイス100は、MEMSデバイスを備え、画素102A~102Iは、MEMSセンサを備える。いくつかの実施形態において、画素102A~102Iは、ボロメータを備える。いくつかの実施形態において、ボロメータは、長波赤外線(LWIR)放射を検知するように構成される。いくつかの実施形態において、画素102A~120Iはそれぞれ、二つのノードを備え、二つのノード間の抵抗は、画素によって受信した放射線に応じて変化する。したがって、画素の二つのノードに亘って(例えば、バイアス電圧と列ライン電圧との間で)電圧が印加されるとき、電流が画素を流れ、電流は、画素の抵抗を示す(したがって、放射を定量化することができる(例えば、温度))。いくつかの実施形態において、ヒンジ104A~104Iは、それぞれの画素102A~102Iを支持するように構成される。いくつかの実施形態において、
図1に示すように、画素及びヒンジは、矩形グリッドに配置され、画素及びヒンジは、同一のピッチを有する。 すなわち、いくつかの実施形態において、隣接する画素と隣接するヒンジは、同一の間隔を有する。
【0030】
いくつかの実施形態において、画素102A~102Iは、基板120の上に懸架された吸収体(例えば、吸収層)を備え、ヒンジ104A~104Iは、画素を基板から熱的に絶縁するように構成される。いくつかの実施形態において、電子デバイス100は、画素と基板との間にそれぞれミラーを備え、ヒンジ104A~104Iは、吸収を増加させる(例えば、吸収体とミラーとの間の1/4波長であるLWIR放射に対する吸収を増加させる)ミラーに対する位置に画素を配置するように構成される。
【0031】
いくつかの実施形態において、吸収体は、高い熱抵抗係数(TCR)(例えば、対応する画素の抵抗が、TCR=(1/R)(dR/dT)の関係に従って、摂氏1度あたり1~5%で温度とともにスケールするようなTCR)を有する抵抗素子を備える。いくつかの実施形態において、吸収体は、Ti,TiOxNy,V,MoCr,ITOのような金属、金属酸化物及び金属酸窒化物を含む。いくつかの実施形態において、吸収体の厚さは、(例えば、吸収率を高めるために)吸収体の電磁波表面インピーダンスが自由空間のインピーダンスと一致するように設計される。
【0032】
いくつかの実施形態において、ヒンジ104A~104Iは、導電性部材を備える。いくつかの実施形態において、画素102A~102Iは、導電性ヒンジを介してそれぞれのバイアスライン(例えば、バイアスライン122A~122Cのうちの一つ)及び対応する画素スイッチに電気的に接続される。いくつかの実施形態において、ヒンジの厚さ、長さ、幅及び熱伝導率は、対応する画素の感度に影響を及ぼし、これを、雑音等価温度差(NETD)として表してもよい。いくつかの実施形態において、k
thがヒンジ材料(例えば、単一材料、異なる材料の複合材料(例えば、層状に積層されたもの))の実効熱伝導率である場合、ヒンジの熱コンダクタンスは、次式で与えられる。
【数1】
【0033】
ヒンジの例を、本明細書で更に詳しく説明する。
【0034】
いくつかの実施形態において、バイアス回路106は、バイアスライン(例えば、バイアスライン122A~122C)を介して画素のそれぞれの行にバイアス電圧を供給するように構成される。例えば、画素の列は、画素102A,102B,102Cを備え、画素の列は、バイアスライン122Aに電気的に結合される。バイアス回路106の例を、本明細書で説明する。
【0035】
いくつかの実施形態において、行回路108は、行多重化回路を備える。いくつかの実施形態において、行多重化回路は、画素の行を読み出し回路110に電気的に結合する(例えば、画素の行によって生成された信号を並列方式で読み出すことを可能にする)ために画素の行を一度に選択するように構成される。いくつかの実施形態において、行回路108は、(行回路によって)読み出し回路に電気的に結合される画素の行にバイアス電圧が供給されるようにバイアス回路106と連携する。
【0036】
いくつかの実施形態において、読み出し回路110は、列読み出し回路114A~114Cと、アナログ/デジタルコンバータ(ADC)116A~116Cと、を備える。 いくつかの実施形態において、列読み出し回路114A~114Cの各々及びADC116A~116Cの各々は、画素のそれぞれの列に電気的に結合される。例えば、画素の列は、画素102A、102D及び102Gを備える。いくつかの実施形態において、列読み出し回路114A~114Cは、列から信号を受信するように構成される。例えば、信号は、電気的に結合された画素の抵抗、画素の一つのノードにおけるバイアス電圧及び画素の第2のノードにおける電圧に基づいて生成された電流を含む。いくつかの実施形態において、列読み出し回路は、容量性トランスインピーダンス増幅器(CTIA)を備える。いくつかの実施形態において、ADC116A~116Cは、列読み出し回路114A~114Cの出力を受信するとともに出力部112A~112Cをそれぞれ設けるように構成される。いくつかの実施形態において、出力は、列読み出し回路によって受信された信号のデジタル表現を含む。いくつかの実施形態において、読み出し回路110は、読み出し集積回路(ROIC)を備える。
【0037】
いくつかの実施形態において、基板120はガラス基板を備える。いくつかの実施形態において、ガラス基板は、画素を読み出し回路110のそれぞれの部分に結合するためのスイッチを備え、スイッチは、行回路108によって制御される。例えば、スイッチは、薄膜トランジスタ(TFT)を備え、行回路は、TFTの行をオンにするための電圧を供給するように構成される。TFT列がオンになるとき、画素列のそれぞれは、読み出し回路110に電気的に結合される。いくつかの実施形態において、スイッチは、金属-酸化膜-半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)を備える。いくつかの実施形態において、画素102A~102I、ヒンジ104A~104I、バイアス回路106、行回路108及びスイッチは、基板120上又は基板120の上に実装される。いくつかの実施形態において、基板120は、フラットパネルディスプレイ工程を使用して製造される。
【0038】
いくつかの実施形態において、基板120がガラス基板であるので、金属層の厚さが500nmに制限される場合があり、金属層の抵抗を低減するために低抵抗材料(例えば、低抵抗銅)が利用できない場合がある。したがって、列ライン抵抗は、1~100kΩの範囲であってもよい。いくつかの実施形態において、列電圧は、列電圧の代わりに(選択された画素から)列ラインを流れる電流を測定する読み出し回路110によって(例えば、CTIAを使用して)一定に保持される。画素電流を測定するとともに電圧を一定に保持することによって、列ラインの電圧降下を補償するためのバッファを実装するための追加の面積及び電力消費を含まなくてもよく、追加の面積及び電力コストを削減しながらガラス基板上の電子デバイス100の性能を向上させる。
【0039】
いくつかの実施形態において、読み出し回路110は、チップオンガラス(COG)工程を介してガラス基板に実装される。いくつかの実施形態において、読み出し回路110は、フレキシブル回路上に実装され、フレキシブル回路は、チップオンフレックス(COF)工程を介してガラス基板に取り付けられる。いくつかの実施形態において、読み出し回路110は、多数の信号が並列に変換されるために200~2000mWの熱を発生する。COF工程は、有利には、読み出し回路110をガラス基板から熱的に絶縁し、読み出し回路に関連する電子デバイス100の側面からの熱応力勾配を低減することができる。 さらに、COF工程は、更に厚い(例えば、1~10μmの)導電性材料が読み出し回路110を電子デバイス100に電気的に結合することを可能にし、読み出し回路への経路における電圧降下を低減することができる。一部の実施形態において、(COFが取り付けられた読み出し回路から発生する熱による)ホットスポットの形成を低減するために、(画素とは反対側の)基板120上に金属平面を堆積する。いくつかの実施形態において、金属層(例えば、金属化ポリマー)がCOFと基板120との間に挿入され、読み出し回路110を基板120から更に熱的に切り離す。
【0040】
電子デバイス100を
図1に図示したように説明するが、電子デバイスが図示したものとは異なるように配置されるとともに構成されてもよいことが理解されるべきである。例えば、バイアス回路及び行回路を、デバイスの異なる位置に配置してもよい。別の例として、電子デバイスは、異なる数の列画素及び異なる数の行画素を備えてもよい。別の例として、読み出し回路は、説明されたものとは異なる構成要素を備えてもよい(例えば、列読み出し回路及びADCは、一つの構成要素として統合されてもよい)。別の例として、画素及びヒンジは、
図1に図示したものとは異なる形状、配置及びサイズであってもよい。例えば、
図2は、電子デバイスの別の例を示す。
【0041】
また、
図1に関して説明した構成要素を他の図に関して説明した実施例と共に実施してもよいことを理解されたい。例えば、
図1に関して説明したバイアス回路、行回路及び読み出し回路を、電子デバイス200、電子デバイス300又は図に関して説明した画素に電気的に結合してもよい。別の例として、他の図に関して説明した画素、ヒンジ及び回路を、電子デバイス100に実装してもよい。
【0042】
図2は、本開示の実施形態による例示的な電子デバイス200を示す。いくつかの実施形態において、電子デバイス200は、画素202A~202Tと、ヒンジ204A~204Tと、スイッチ206A~206Tと、行ライン208A~208Dと、バイアスライン210A~210Bと、列ライン212A~212Eと、を備える。いくつかの実施形態において、電子デバイス200は、基板(例えば、基板120)を備え、
図2の構成要素は、基板上に配置される。いくつかの実施形態において、画素202A~202Tは、ボロメータ画素を備える。
【0043】
いくつかの実施形態において、画素は、画素ピッチを備える。 例えば、画素ピッチは、隣接する画素間の距離(例えば、隣接する画素上の同一点(例えば、画素の同一の角)の間の距離、画素202Aと画素202Bの間の距離、画素202Aと画素202F間の距離)である。別の例として、画素ピッチは、画素アレイの画素間の(例えば、アレイの方向に沿った)空間的周期性である。いくつかの実施形態において、画素202A~202Tは、非矩形に配置される。例えば、行ライン及び列ラインに対して、画素は、斜めに配置される。いくつかの実施形態において、画素は、(明瞭化のために
図2ではいくつか隠されている)吸収体214を備え、吸収体は、吸収体の二つの辺が90度より大きい角度をなすような平行四辺形形状である。いくつかの実施形態において、吸収体214の辺の長さは、画素ピッチである。
【0044】
いくつかの実施形態において、ヒンジは、それぞれの画素とガラス基板との間にある。例えば、ヒンジ204Aは、画素202Aとガラス基板との間にある。いくつかの実施形態において、ヒンジは、それぞれの画素を支持し、ヒンジの長さ(例えば、バイアスラインに電気的に結合されたヒンジのノードとスイッチに電気的に結合されたヒンジのノードとの間の距離)は、画素ピッチより長い。例えば、ヒンジ204Aは、画素202Aを支持し、ヒンジ204Aの長さは、画素ピッチより長い。例えば、画素ピッチは、10~50μmであり、ヒンジの長さは、10~100μmである。いくつかの実施形態において、ヒンジ204A~204Tは、ヒンジ104A~104Iと同様の材料を含む。
【0045】
いくつかの実施形態において、ヒンジ202A~202T並びに画素及びヒンジの配置は、有利には、電子デバイス200の製造コストを低減する。ヒンジが画素ピッチより大きいので、ヒンジを、ガラス基板の工程(例えば、1.5μm以上のリソグラフィ規則を有するフラットパネルディスプレイ工程)を使用して製造することができ、これは、画素の工程(例えば、0.25~0.35μmのリソグラフィ規則を有するシリコン工程)より廉価な工程である可能性がある。
【0046】
いくつかの実施形態において、画素202A~202T及びヒンジ204A~204Tは、同一のマスク層の一部である。例えば、画素及びヒンジは、一犠牲層工程を使用して実装される。これは、サイズが40μmを超える画素において又は電子デバイスの複雑さとコスト及び低減するために大きな充填率が可能であるときに有利である。いくつかの実施形態において、画素202A~202T及びヒンジ204A~204Tはそれぞれ、異なるマスク層の一部である。例えば、画素及びヒンジは、二犠牲層工程(例えば、ヒンジ及び画素のための別個の層、ヒンジを構成するヒンジ層、画素を構成するセンサ吸収層)を使用して実装される。これは、画素内に別個の吸収体構造を形成する40μmより小さい画素において有利な場合がある。二犠牲層工程の例を、本明細書で更に詳しく説明する。
【0047】
いくつかの実施形態において、バイアス電圧は、バイアスライン(例えば、バイアス回路106からのバイアスライン210A~210B)を介して供給される。図示したように、いくつかの実施形態において、画素の二つの行がバイアスラインに電気的に結合される。例えば、行ライン208Aに対応する画素の列及び行ライン208Bに対応する画素の列がバイアスライン210Aに電気的に結合される。
【0048】
いくつかの実施形態において、バイアスラインを二つの列の画素に電気的に結合することにより、電子デバイス200の製造コストを有利に低減する。いくつかの実施形態において、バイアスラインを二つの列の画素に電気的に結合することにより、画素を非矩形に配置するとともにヒンジを画素ピッチより大きくすることができる。ヒンジが画素ピッチより大きいので、ヒンジは、ガラス基板の工程(例えば、1.5μm以上のリソグラフィ規則を有するフラットパネルディスプレイ工程)を使用して製造することができ、これは、画素の製造工程(例えば、0.25~0.35μmのリソグラフィ規則を有するシリコン工程)より廉価なプロセスである可能性がある。
【0049】
いくつかの実施形態において、行ライン208A~208Dは、スイッチ206A~206Tのそれぞれの行を制御する(例えば、スイッチの行をオン又はオフにする)ための信号を(例えば、行回路108から)伝導するように構成される。いくつかの実施形態において、スイッチは、TFTを備え、TFTは、ガラス基板を備えるパネルの一部である。いくつかの実施形態において、スイッチは、画素をそれぞれの列ラインに電気的に結合するように構成される。例えば、対応する行のスイッチをオンにするために行ライン208Aで行信号を受信することに応答して、スイッチ206Aは、画素202Aを列ライン212Aに電気的に結合するように構成される。いくつかの実施形態において、電流は、バイアスラインの電圧、(例えば、画素によって受信された放射線に基づく)画素の抵抗及び列ラインの電圧に基づいて生成される。いくつかの実施形態において、電流は、測定のために読み出し回路に流れる。
【0050】
いくつかの実施形態において、一つの列のスイッチが一度にオンにされる。例えば、208A~208Bに対応する一つの列のスイッチが一度にオンにされる。いくつかの実施形態において、バイアスラインが二つの列の画素間で共有されるので、対応する二つの列のスイッチが異なる時間にオンにされる間にバイアスラインにバイアス電圧が供給され、有利には、このバイアスライン共有構成においてバイアス電圧の発生が列のスイッチングに干渉しないようにすることができる。
【0051】
電子デバイス200を
図2に図示するように説明するが、電子デバイスを図示したのと異なるように配置するとともに構成してもよいことを理解されたい。例えば、画素を、異なる(例えば、図示した平行四辺形吸収体構造、六角形吸収体構造とは異なる)ように配置してもよい。別の例として、ヒンジを、図示したものとは異なる構造にしてもよい。別の例として、二つを超える列の画素をバイアスラインに電気的に結合してもよい。別の例として、電子デバイス200は、図示したものとは異なる数の画素、ヒンジ、スイッチ、行ライン、バイアスライン及び列ラインを備えてもよい。
【0052】
図3A及び
図3Bは、本開示の実施形態による例示的な画素を示す。例えば、
図3Aは、二犠牲層プロセスを使用して作成された電子デバイス300の断面を示す。いくつかの実施形態において、電子デバイス300は、画素302(他の画素を明瞭のために
図3A及び
図3Bに図示しない)と、ヒンジ304と、アンカー306と、ビア308と、バックプレーン310と、を備える。例えば、画素302のうちの一つは、画素102A~102I又は202A~202のうちの一つであり、ヒンジ304のうちの一つは、ヒンジ204A~204Tのうちの一つである。
【0053】
いくつかの実施形態において、アンカー306は、ヒンジの端部をバックプレーン310に固定する。いくつかの実施形態において、アンカーは、ヒンジを更に安定させるためのリベットを備える。いくつかの実施形態において、ビア308は、ヒンジをバックプレーン310の回路(例えば、バイアスライン、列スイッチ)に電気的に結合するように構成される。いくつかの実施形態において、バックプレーン310は、TFTバックプレーンと、
図1及び
図2に関して説明した回路(例えば、行ライン、バイアスライン、スイッチ)と、を備える。いくつかの実施形態において、バックプレーン310はガラス基板上に配置される。
【0054】
いくつかの実施形態において、
図3Bに示すように、画素302の一つは、ヒンジ304の一つから距離312である。いくつかの実施形態において、距離312は、(1)基板に面する画素302の点から(2)画素302の表面に面するヒンジの点までの距離であり、これらの2点間に引かれた線は、画素302の表面に垂直である。例えば、距離312は、500~2000nmである。いくつかの実施形態において、
図3Bに示すように、ヒンジ304のうちの一つは、バックプレーン310から距離314である。いくつかの実施形態において、距離314は、(1)基板に面するヒンジの点及びヒンジに面する基板の点との距離であり、これらの2点間に引かれた線は、基板の表面に対して垂直である。例えば、距離314は、500~2000nmである。
【0055】
図2に戻ると、いくつかの実施形態において、二つの行の画素がバイアスラインを共有しているので、それは、同一でなくてもよいが、バイアスラインに関して対称性を有してもよい。その結果、交互に並ぶ行の間の電気環境(例えば、電圧、電流、雑音)は、リソグラフィ及び工程のばらつきに起因して(例えば、行ライン208Aに沿った画素と行ライン208Bに沿った画素との間で)異なる場合がある。いくつかの実施形態において、バイアス生成画素の列を使用して各行に固有のバイアス電圧を生成することによって、その差を低減することができる。例えば、画素の列のバイアス電圧は、バイアス生成画素の列の一つの画素を介して生成される。いくつかの実施形態において、各行に対して生成されるバイアス電圧は、それぞれの行に特有のリソグラフィ及び工程のばらつきを考慮する。 いくつかの実施形態において、バイアス生成画素は、(例えば、入射放射線の影響を受けることなくバイアス電圧がリソグラフィ及び工程の変動及び周囲条件を補償するように)入射放射線から遮蔽される。
【0056】
いくつかの実施形態において、バイアス生成画素は、アクティブ画素(例えば、画素102A~102I、画素202A~202T)と同一の設計を有する。いくつかの実施形態において、バイアス生成画素は、アレイの端部におけるアクティブ画素のアレイの一部であり、バイアス生成画素に対する端部の影響を低減するために、バイアス生成画素は、ダミー画素(例えば、電子デバイスの動作に使用されない画素)によって包囲される。例えば、ダミー画素の列又は複数の列がバイアス生成画素を包囲する。バイアス生成画素は、工程の違い及び熱勾配に起因する行間の画素抵抗のばらつきも有利に補償してもよい。
【0057】
図4は、本開示の実施形態による例示的なセンサ回路400を示す。いくつかの実施形態において、バイアス回路106は、センサ回路400の一部(例えば、増幅器、バッファ、入力抵抗、平均抵抗)を備える。一部の実施形態において、バイアス生成画素は、そのサイズ(例えば、アクティブ画素と同一サイズ)に起因するフリッカ雑音(例えば、1/f雑音)を経験し、この雑音は、生成されたバイアス電圧の精度に影響を及ぼす可能性がある。センサ回路400は、この雑音を有利に低減する。
【0058】
いくつかの実施形態において、センサ回路400は、バイアス生成画素の複数の列402A~402Nと、増幅器405A~405Nと、バッファ406と、バイアス回路出力40と8、平均化抵抗器410A~410Nと、抵抗器412A~412Nと、を備える。
【0059】
いくつかの実施形態において、列の各センサは、(例えば、リソグラフィ及び工程の変動並びにバイアス生成画素の自己発熱が対応する画素の行のものと同様であるように)アクティブ画素の行に対応する。例えば、A列の画素404AA(例えば、第1のバイアス生成画素)及びN列の画素404NA(例えば、第2のバイアス生成画素)は、アクティブ画素の第1の行に対応する。画素404AA及び画素404NAは、第1の行のアクティブ画素のバイアス電圧を生成するためにオペアンプ404A及び404N並びに抵抗器412A及び412Nに電気的に結合するように選択される。別の例として、A列の画素404AM(例えば、第1のバイアス生成画素)及びN列の画素404NM(例えば、第2のバイアス生成画素)は、第2の行のアクティブ画素に対応する。画素404AM及び画素404NNは、第2の行のアクティブ画素のバイアス電圧を生成するために、オペアンプ405A及びオペアンプ405N並びに抵抗器412A及び抵抗器412Nに電気的に結合するように選択される。
【0060】
いくつかの実施形態において、バイアス生成画素は、較正中に(例えば、一度に一つずつ)走査され、欠陥のあるバイアス生成画素を、バイアス電圧の生成に使用しなくてもよい。
【0061】
いくつかの実施形態において、列の各々は、増幅器(例えば、増幅器405A~405N)に電気的に結合され、それぞれの増幅器にフィードバック経路を提供する。いくつかの実施形態において、増幅器は、オペアンプである。いくつかの実施形態において、抵抗器は、増幅器の反転入力部に電気的に結合され、反転入力部における電圧は、バイアス生成センサを流れる電流に基づいて生成される。
【0062】
一例として、バイアス電圧は、以下のように生成される。第1の行の時間中、第1の行に対応する第1のバイアス生成画素(例えば、画素404AA及び404NA)は、それぞれの抵抗器(例えば、抵抗器412A及び抵抗器412N)及びそれぞれの増幅器(例えば、増幅器404A及び増幅器404N)に(スイッチを介して)電気的に結合される。その結果、バイアス電流が、バイアス生成画素及び抵抗器を通じて生成される。出力部における電圧は、バイアス生成画素の抵抗に基づく。例えば、バイアス生成画素は、ボロメータであり、バイアス生成センサの抵抗は、温度(例えば、自己発熱)、リソグラフィのばらつき及び工程のばらつきに基づいて変化する。いくつかの実施形態において、増幅器404A~404Nの出力部における電圧は、バッファ406の入力部において平均化され、バッファ406は、バイアス電圧(例えば、増幅器の出力部における電圧の平均)を供給するように構成される。いくつかの実施形態において、バイアス電圧は、開示した電子デバイスのバイアスラインに供給される。例えば、バイアス回路出力部408は、アクティブ画素のアレイ全体にグローバルに設けられる。別の例として、バイアス回路出力部408は、一度にアレイの一部分(例えば、一度に一つの行、一度に複数の行)に設けられる。いくつかの実施形態において、バイアス回路出力部408におけるバイアス電圧は、(ADC112A~112Cと同一のADCのようなADCを介して)デジタル的に変換され、バイアス電圧のデジタル値は、(例えば、出力部112A~112Cにおける)アクティブセンサ測定値のデジタル値を更に正確に調整するために使用される。
【0063】
いくつかの実施形態において、平均抵抗器410A~410Nは、それぞれの増幅器404A~404Nに電気的に結合され、平均抵抗器の抵抗値は、同一である。いくつかの実施形態において、平均抵抗器410A~410Nのうちの一つ以上は、バイアス生成画素のそれぞれの列に電気的に結合され、これらの列によって生成さえる電圧を平均化する。いくつかの実施形態において、平均抵抗器は、増幅器の出力部における電圧が異なる場合に増幅器に戻すことができる電流を制限するように構成される(例えば、平均抵抗器は、増幅器の出力部が短絡するのを防止することができる)。
【0064】
一つの列に複数のバイアス生成センサを使用するとともにバイアス生成センサ間に生成された電圧を平均化することによって、バイアス生成センサの雑音並びに自己発熱、リソグラフィのばらつき及び工程のばらつきの影響を低減することができる。
【0065】
図5は、本開示の実施形態による例示的なセンサ回路500を示す。いくつかの実施形態において、バイアス回路106は、センサ回路500の一部(例えば、抵抗器、バッファ)を備える。いくつかの実施形態において、バイアス生成画素は、そのサイズ(例えば、アクティブ画素と同一サイズ)に起因するフリッカ雑音(例えば、1/f雑音)を経験し、この雑音は、生成されたバイアス電圧の精度に影響を及ぼす可能性がある。
図5に関して説明した回路は、この雑音を有利に低減する。
【0066】
いくつかの実施形態において、センサ回路500は、複数のバイアス生成画素(例えば、第1のバイアス生成画素502A、第2のバイアス生成画素504A、第3のバイアス生成画素506A)と、増幅器505Aと、バッファ506と、バイアス回路出力508、平均化抵抗器510Aと、抵抗器512Aと、バイアス回路出力508と、を備える。 いくつかの実施形態において、センサ回路500は、第2の複数のバイアス生成画素(例えば、第1のバイアス生成画素502N、第2のバイアス生成画素504N、第3のバイアス生成画素506N)と、第2の増幅器505Nと、第2の平均化抵抗器510Nと、第2の抵抗器512Nと、を備える。センサ回路500が複数のバイアス生成画素(例えば、バイアス生成画素502A、504A、506A)又は第1の複数のバイアス生成画素(例えば、 バイアス生成画素502A、504A、506A、502N、504N、506N)及び関連回路(例えば、複数のバイアス生成画素(例えば、
図4に関して説明するように画素502A、502N)によって生成された電圧を平均化するための回路)を備えてもよいことを理解されたい。いくつかの実施形態において、バイアス生成画素は、ボロメータを備える。
【0067】
いくつかの実施形態において、バイアス生成画素502Aは、増幅器505A及び抵抗器512Aに電気的に結合され、バイアス生成画素504A及び506Aは、スイッチを介してバイアス生成画素502Aに選択的に電気的に並列に結合される。いくつかの実施形態において、バイアス生成画素502N、504N及び506Nも同様に電気的に結合される。いくつかの実施形態において、バイアス生成画素はそれぞれ、画素の対向する側に位置する二つの電極(画素の各ノードに対して一つ)を備える。
【0068】
いくつかの実施形態において、第2のバイアス生成画素(例えば、画素504A、504N)及び第3のバイアス生成画素(例えば、画素506A、506N)は、バイアス生成画素の実効抵抗を調整するとともに発生バイアス電圧を所望の範囲(例えば、増幅器のダイナミックレンジ)に設定するために、第1のバイアス生成画素と並列に選択的に電気的に結合される。いくつかの実施形態において、第2のバイアス生成画素及び第3のバイアス生成画素は、これらの画素のスイッチングを介して四つの異なる可能な抵抗値が達成できるようなサイズである。いくつかの実施形態において、第2のバイアス生成画素及び第3のバイアス生成画素に電気的に結合されたスイッチのタイミングは、自己発熱効果を模倣するように調節される。
【0069】
いくつかの実施形態において、第1のバイアス生成画素(例えば、バイアス生成画素502A、バイアス生成画素502N)のサイズは、アクティブ画素(例えば、画素102A~102I、画素202A~202T)のサイズより大きい。例えば、第1のバイアス生成画素は、フリッカ雑音(例えば、1/f雑音)を有利に低減するのに十分な体積を有する(例えば、第1のバイアス生成画素の面積は、アクティブ画素の面積の10~100倍である)。いくつかの実施形態において、第1のバイアス生成画素のアスペクト比は、(例えば、アクティブ画素と同一の抵抗を維持するために)アクティブセンサの幅対長さの比と同一である。いくつかの実施形態において、第1のバイアス生成画素は、アクティブ画素の材料と同一の材料を含む。いくつかの実施形態において、第1のバイアス生成画素は、薄膜を備える。
【0070】
いくつかの実施形態において、第1のバイアス生成画素は、基板(例えば、基板120、バックプレーン310)に熱的に結合される。基板への熱的結合は、有利には、第1のバイアス生成画素が入射放射線から遮蔽されないことを可能にしてもよい。
【0071】
いくつかの実施形態において、複数のバイアス生成画素の各々は、増幅器(例えば、増幅器505A~505N)に電気的に結合され、それぞれの増幅器にフィードバック経路を提供する。いくつかの実施形態において、増幅器は、オペアンプである。いくつかの実施形態において、抵抗器(例えば、抵抗器512A、512N)は、増幅器の反転入力部に電気的に結合され、反転入力部における電圧は、バイアス生成センサを流れる電流に基づいて生成される(
図4と同様)。
【0072】
いくつかの実施形態において、バイアス電圧は、開示した電子デバイスのバイアスラインに供給される。例えば、バイアス回路出力部508は、アクティブ画素のアレイ全体にグローバルに設けられる。別の例として、バイアス回路出力部508は、一度にアレイの一部分(例えば、一度に一つの行、一度に複数の行)に設けられる。
【0073】
いくつかの実施形態において、回路500によって生成されたバイアス電圧を測定する。例えば、バイアス電圧の変動による行間変動の影響を更に除去するために、バイアス電圧を測定するとともにアクティブ画素測定値をデジタル的に調整するために使用する。いくつかの実施形態において、コンバータ(例えば、増幅器の負入力部に結合された図示しないCTIAを備えるADC)を、バイアス電圧の表現を(抵抗器(図示せず)を流れるバイアス電流を介して)測定するために使用し、この表現は、コンバータによってデジタル値に変換される。バイアス電圧の表現をデジタル変換するためにコンバータをセンサ回路500の別の部分に電気的に結合してもよいことを理解されたい。
【0074】
バイアス電圧表現のこのデジタル値を、アクティブ測定のデジタル表現(例えば、出力112A~112Cにおけるデジタル信号)を調整するために使用してもよい。いくつかの実施形態において、コンバータは、有利には、電子デバイスのデータ変換回路の複雑さを低減するためにアクティブ画素測定値を変換するのに使用するのと同一のコンバータ(例えば、ADC116A~116C)を備える。いくつかの実施形態において、複数のバイアス生成回路のバイアス電圧表現は、アクティブ画素のデジタル測定値を更に調整するためにコンバータを介してデジタル的に測定されるとともに平均化される。
【0075】
いくつかの実施形態において、バイアス電圧及びコンバータの入力部における電圧を生成するために(例えば、コンバータ入力部における電圧がコンバータのダイナミックレンジ内にあることを保証するために)追加の画素を使用する。例えば、図示したように、第2のバイアス生成画素(例えば、バイアス生成画素504A、バイアス生成画素504N)及び/又は第3のバイアス生成画素(例えば、バイアス生成画素506A、バイアス生成画素506N)を、コンバータの入力部におけるバイアス電圧及び/又は電圧を調整するために、それぞれの第1のバイアス生成画素と並列に(スイッチを介して)電気的に結合してもよい。バイアス電圧を生成するために、追加のバイアス生成画素又は更に少ないバイアス生成画素を使用してもよいことを理解されたい。
【0076】
以下のセクションは、開示した電子デバイス(例えば、電子デバイス100、電子デバイス200、電子デバイス300)の例示的な構造を説明する。いくつかの実施形態において、ヒンジ(例えば、ヒンジ204A~204T)は、更に長い(例えば、画素ピッチより長い)寸法にまたがるようにするために、その動作温度範囲に亘って全体的に(例えば、100MPaより大きい)正味の引張応力を有してもよい、画素の平坦性を維持してもよい、(例えば、バイアス電圧によって引き起こされる)静電気力による動きを防止してもよい、及び/又は、周囲の振動の影響を受けにくくするために(例えば、10kHzより大きい)十分な機械的共振周波数を維持してもよい。さらに、ヒンジは、(例えば、画素を周囲から熱的に切り離し、画素の読み取りに対する周囲の影響を低減するための)十分に低い熱伝導率及び(例えば、画素を回路に電気的に結合するための)十分に高い電気伝導率を有してもよい。
【0077】
いくつかの実施形態において、ヒンジ設計は、画素抵抗がセンサ読み出し経路の全抵抗(例えば、画素抵抗、ヒンジ抵抗、スイッチ抵抗、及び列抵抗の直列抵抗)を支配するとともに(更に正確な画素測定、読み出し信号のダイナミックレンジの改善及びS/N比の改善のため)画素に亘る電圧降下がセンサ読み出し経路の任意の構成要素に亘って最も高くなるように画素抵抗に基づく。いくつかの実施形態において、スイッチ抵抗は、10~100kΩである。例えば、スイッチは、LWIRセンサ画素ピッチ(例えば、10~50μm)に基づいてサイズが決定されるとともにLTPS技術及びIGZO技術で製造されたTFTスイッチで構成される。一部の実施形態において、TFTは、アモルファスシリコンを含む。いくつかの実施形態において、スイッチ抵抗は、1MΩである。いくつかの実施形態において、ヒンジ抵抗は、スイッチ抵抗と同一の範囲である。いくつかの実施形態において、スイッチ抵抗の変動は、センサ測定に雑音を加えるおそれがあり、例えば、スイッチ抵抗の0.1~1%である画素のLSBに制限される。したがって、いくつかの実施形態において、画素抵抗は、10~12ビット解像度を達成するために100kΩから10MΩである。いくつかの実施形態において、ヒンジは、100kΩ以下の抵抗を有するために、16mΩ・cm以下の抵抗率を有する材料を含む。
【0078】
いくつかの実施形態において、ヒンジは、十分に低い熱伝導率(<50NW/K)を有するために、式(1)に従って更に長くて更に小さい断面を有してもよい。一例として、3W/mKの熱伝導率を有するとともにW=1μm、T=100nm、L=30μmの大きさを有する材料を含むヒンジは、20nW/Kの熱伝導率を提供する。いくつかの実施形態において、ヒンジ形状(例えば、長さ対幅の比が30:1、長さ対厚さの比が300:1、電気伝導率及び熱伝導率の要件を満たすための閾値以上の長さ対幅の比、電気伝導率及び熱伝導率の要件を満たすための閾値以上の長さ対厚さの比)の結果、他のいくつかの蛇行ヒンジ設計とは異なり、応力勾配によって引き起こされるカールを有利に低減してもよい。
【0079】
図6A~6Cは、本開示の実施形態による例示的な画素を示す。これらの図に関して説明するヒンジは、上記の要件を有利に満たすことができる。(例えば、ヒンジを画素ピッチより長くすることを可能にするとともに本明細書で説明する利点を達成する)。いくつかの実施形態において、例示的なヒンジは、(例えば、電子デバイス100、電子デバイス200、電子デバイス300のための)電気的要件、熱的要件及び機械的要件を満たすか又はそれを超えるために、一つ以上の層を備える。
【0080】
いくつかの実施形態において、
図6Aに示すように、画素600は、センサ602と、電気絶縁体604と、を備える。画素600は、ビア608を介してヒンジ606に電気的に結合される。いくつかの実施形態において、ヒンジ606は、
図1~3Bに関して説明したヒンジである。いくつかの実施形態において、ビア608は、ビア308である。いくつかの実施形態において、ヒンジ606は、TiN
x層610を備える。
【0081】
いくつかの実施形態において、
図6Bに示すように、画素600は、センサ602と、電気絶縁体604と、を備える。画素600は、ビア608を介してヒンジ616に電気的に結合される。いくつかの実施形態において、ヒンジ616は、
図1~3Bに関して説明したヒンジである。いくつかの実施形態において、ビア608は、ビア308である。いくつかの実施形態において、ヒンジ616は、TiN
x層610と、TiN
x層の下のSiN
x層612と、を備える。SiN
x層は、有利には(ヒンジ上の)応力のバランスをとるとともにTiN
x層を酸化から保護することができる。
【0082】
いくつかの実施形態において、SiNx層は、TiNx層が電気伝導性及び熱伝導性を増加することを可能にするのと同時に引張応力を提供するように設計される。いくつかの実施形態において、TiNx層は、電気的要件及び熱的要件を満たすように設計され(例えば、30:1の長さ対幅比、300:1の長さ対厚さ比、電気的要件及び熱伝導率要件を満たすための閾値比を超える長さ対幅比、電気的要件及び熱的要件を満たすための閾値比を超える長さ対厚さ比)、SiNx層は、機械的要件を満たすように設計される。いくつかの実施形態において、TiNxの熱伝導率は、1~10mΩ・cmの電気伝導率を有するのと同時にTiNx材料の立方晶相で低減される。
【0083】
いくつかの実施形態において、リベット620は、ヒンジを補強するためにヒンジのアンカー(例えば、アンカー306)に配置される。リベット620は、有利には、ヒンジの補強を提供し、ヒンジの厚さ及び/又は幅を低く維持することによって熱伝導率を低く維持しながら放射線吸収を増加させるためにビア及び画素を高さ(例えば、画素と基板との間の500~2000nm)で更に支持することを可能にしてもよい。いくつかの実施形態において、リベット620は、(図示のように)TiNx層610の上方に配置される。いくつかの実施形態において、リベットは、TiNx層の下に配置される。いくつかの実施形態において、リベット620は、有利には、TiNxに対するウェットエッチング選択性を有してもよいモリブデンのようなスパッタ金属を含む。アンカーに配置されるリベットが図示とは異なる構造を有していてもよいことを理解されたい。ヒンジを補強するためにアンカーにリベット以外の部品を配置してもよいことを理解されたい。
【0084】
いくつかの実施形態において、
図6Cに示すように、画素600はセンサ602と電気絶縁体604から構成される。画素600は、ビア608を介してヒンジ626に電気的に結合される。いくつかの実施形態において、ヒンジ626は、
図1~3Bに関して説明したヒンジである。いくつかの実施形態において、ビア608はビア308である。いくつかの実施形態において、ヒンジ626は、TiN
x層610と、TiN
x層の下の第1のSiN
x層612と、TiN
x層の上(及びリベット620の上)の第2のSiN
x層614とを備える。第1及び第2のSiN
x層は、(ヒンジ上の)応力のバランスをとり、TiN
x層を酸化から保護するのに有利である。
【0085】
いくつかの実施形態において、SiNx層は、TiNx層が電気伝導性及び熱伝導性を増加することを可能にするのと同時に引張応力を提供するように設計される。いくつかの実施形態において、TiNx層は、機械的要件を満たすように設計され(例えば、30:1の長さ対幅の比、300:1の長さ対厚さの比、電気伝導性及び熱伝導性の要件を満たすための閾値比を超える長さ対幅の比、電気伝導性及び熱伝導性の要件を満たすための閾値比を超える長さ対厚さの比)、SiNx層は、機械的要件を満たすように設計される。いくつかの実施形態において、TiNxの熱伝導率は、1~10mΩ・cmの電気伝導率を有するのと同時にTiNx材料の立方晶相で低減される。
【0086】
いくつかの実施形態において、リベット620は、ヒンジを補強するためにヒンジのアンカー(例えば、アンカー306)に配置される。リベット620は、有利には、ヒンジの補強を提供し、ヒンジの厚さ及び/又は幅を低く維持することによって熱伝導率を低く維持しながら放射線吸収を増加させるためにビア及び画素を高さ(例えば、画素と基板との間の500~2000nm)で更に支持することを可能にしてもよい。いくつかの実施形態において、リベット620は、(図示のように)TiNx層610の上方に配置される。いくつかの実施形態において、リベットは、TiNx層の下に配置される。いくつかの実施形態において、リベット620は、有利には、TiNxに対するウェットエッチング選択性を有してもよいモリブデンのようなスパッタ金属を含む。アンカーに配置されるリベットが図示とは異なる構造を有していてもよいことを理解されたい。ヒンジを補強するためにアンカーにリベット以外の部品を配置してもよいことを理解されたい。
【0087】
いくつかの実施形態において、ヒンジは、関連する電子デバイスの解放及び吊り下げのときにゴムバンドの張力によってヒンジ及び取り付けられた画素が平坦に保たれるとともにねじれが低減されるように、可能な限り平坦に加工される。例えば、第1の犠牲層の下のトポグラフィは、ヒンジの表面が平面でない原因となる凹凸を生じさせることがある。このために、例えば、ヒンジの厚さ、幅及び応力が不均一になることがある。
【0088】
いくつかの実施形態において、ビアの底部は、ヒンジの長さを増加させるとともにアンカー間のゴムバンド作用を維持するために画素の中央付近に配置される。いくつかの実施形態において、ビアの上部と画素との間の接触を、画素の全容積を利用するために増加させる。いくつかの実施形態において、(各々が画素のノードに対応する)ビアは、抵抗及び雑音を低減するように設計される。いくつかの実施形態において、
図6B及び
図6Cに関して説明したSiN
x層は、このゴムバンドの張力を維持するための二つのアンカー間に連続的にまたがる。
【0089】
図6A~6Cのヒンジが特定の材料を有するものとして説明しているが、電気的要件、熱的要件及び機械的要件を満たすために、ヒンジが異なる材料を含んでもよいことを理解されたい。 例えば、ヒンジは、CrN,ZrN,ITO,IZO,TiO
x及び/又は他の導電性金属酸化物及び窒化物を含んでもよい。
【0090】
図7Aは、本開示の実施形態による例示的な画素層を示す。上述したように、いくつかの実施形態において、画素抵抗は、信号ダイナミックレンジを増大させるとともに読み出し感度を向上させるために読み出し経路の全抵抗を支配する。いくつかの実施形態において、画素抵抗は、100kΩと10MΩとの間の範囲にある。この抵抗を達成するために、いくつかの実施形態において、画素700(例えば、画素102A~102I、202A~202T、画素302、画素600)は、50~500Ω・cmの範囲の抵抗率を有するドープされたアモルファスシリコン(例えば、N型アモルファスシリコン、P型アモルファスシリコン)を含むセンサ702を備える。いくつかの実施形態において、センサ702は、所定の抵抗率に対してP型アモルファスシリコンより高い抵抗温度係数(TCR)を有するとともに110℃まで動作特性を維持してもよいN型アモルファスシリコンを備える。いくつかの実施形態において、センサ702は、ZrO
x及び/又はTiO
xを含む。いくつかの実施形態において、画素700は、ボロメータを備える。
【0091】
いくつかの実施形態において、センサ702は、50~500nmの厚さを有する。センサの厚さは、ガラスベースの製造工程における層間剥離及び割れを有利に低減してもよい。さらに、センサの厚さは、画素の熱容量を低減するとともに画素を毎秒9~60フレームで読み出すことを可能にしてもよい。
【0092】
いくつかの実施形態において、画素700は、絶縁層704及び706を備える。いくつかの実施形態において、絶縁層704及び706は、シリコンリッチSiNx又はアンドープアモルファスシリコンのようなトラップの密度が低い材料を含む。いくつかの実施形態において、絶縁層704又は絶縁層706の厚さは、20~50nmであり、これにより、表面トラップが雑音変動を生じるのを防止することができる。いくつかの実施形態において、絶縁層は、有利には、(例えば、デバイス分離の前に行ってもよい真空封止の前のリリースエッチングの間に)酸素ラジカルからセンサ702を保護する。
【0093】
いくつかの実施形態において、画素700は、吸収体708を備える。いくつかの実施形態において、吸収体708は、LWIR放射を吸収するように構成される(例えば、8~12μmの吸収)。いくつかの実施形態において、吸収体708は、センサ702の下の導電性接触層を備える。いくつかの実施形態において、導電性接触層は、センサ702の半導電性特性のバイアス制御のために構成される。いくつかの実施形態において、吸収体708は、チタン及び/又はチタンリッチTiNxを含む。いくつかの実施形態において、吸収体708は、TiOxNy,V,MoCr,CrN,ITO又はその任意の組合せを含む。
【0094】
いくつかの実施形態において、画素700を製造することは、(例えば、表面微細加工工程におけるスティクションを防止するための)酸素アッシング及びXeF2のようなドライリリース工程を行うことを備える。いくつかの実施形態において、画素700を製造することは、有機犠牲層を酸素アッシングすることを備える。
【0095】
いくつかの実施形態において、吸収体708は、図示したように、画素700の底部にある。これは、応力勾配に起因するカールの原因となり得る非対称性をもたらす可能性がある。カールを減少させるために、画素の剛性を増大させることができる。例えば、画素の剛性を増大させるために、画素スタックを形成する前に絶縁層704に溝(例えば、深さ50~300nm)をエッチングすることによって、画素を波形にする。いくつかの実施形態において、溝は、カールの影響を受けやすい方向(例えば、対角線方向)にある。
【0096】
いくつかの実施形態において、画素700は、図示したように、ミラー710の上に配置される。いくつかの実施形態において、ミラー710は、バックプレーン(例えば、TFTバックプレーン)及び/又は基板(例えば、ガラス基板)の一部である。いくつかの実施形態において、入射放射線は、画素の上部からセンサ702を通って吸収体708に入射する。入射放射線の一部は、この時点で吸収体に吸収される。吸収されなかった残りの放射線は、吸収体を横切ってミラー710に到達する。残りの放射線は、反射し 吸収体708は、反射した放射線の少なくとも一部を吸収する。いくつかの実施形態において、画素700とミラー710との間の距離は、(例えば、吸収を増大させるための1/4波長キャビティを形成するために)関心のある放射波長の1/4波長である。
【0097】
いくつかの実施形態において、吸収体708は、例えば、(例えば、深いビアからの)バックプレーンのトポグラフィ、基板のトポグラフィ、収縮及び堆積工程による有機犠牲層からの平坦化の減少及び応力による吸収体のカールに起因する50~1000nmの範囲のトポグラフィを有する。さらに、いくつかの実施形態において、二つの犠牲層設計(例えば、電子デバイス300)において、画素層とミラー層との間のヒンジは、画素とミラーとの間に形成される1/4波長キャビティの光学応答に影響を及ぼす可能性がある。すなわち、トポグラフィ及びヒンジは、画素とミラーとの間の距離が変化することによる吸収の量に影響を及ぼす可能性がある。例えば、これらの影響により、画素とミラーとの間の1/4波長距離が維持されないことがある。
【0098】
いくつかの実施形態において、吸収体708は、Tiを含むとともに5~20nmの厚さを有する。いくつかの実施形態において、吸収体708は、TiNxを含むとともに20~100nmの厚さを有する。いくつかの実施形態において、センサ702及び吸収体708は、画素700とミラー710との間の距離が(上述の理由によって)変化する間にLWIR帯域の放射の吸収を有利に増加させるように設計される。例えば、吸収体708とミラー710との間の距離は、500~3000nmの間で変化する。
【0099】
いくつかの実施形態において、画素700は、画素700とミラー710との間の距離が変化する間に更に多くのLWIR放射が吸収されることを有利に可能にし、化学的機械的研磨(CMP)のようなよりコストのかかるプロセスを介してミラー表面を平坦化する工程を減少させる。さらに、このような平坦化工程では、高い充填率を必要とするためにヒンジを補強するためのリベットを使用できない場合がある。
【0100】
図7Bは、本開示の実施形態による例示的な画素特性を示す。いくつかの実施形態において、
図7Bは、画素700の特性及び上述した画素設計の利点を示す。プロットに示すように、画素700は、500~3000nmの間のギャップ(吸収体とミラーとの間の変化する距離)に対して波長8000~12000nmを有する入射放射線の波の少なくとも60%を吸収するように構成される。例えば、吸収体は、100の波に対して少なくとも60の波を検出するように構成され、波は、8000~12000nmである。プロットに示すように、画素700は、500~3000nmの間のギャップに対して波長6000~14000nmの入射放射線の少なくとも35%を吸収するように構成される。例えば、吸収体は、100の波に対して少なくとも35の波を検出するように構成され、波は、6000~14000nmである。
【0101】
図8は、本開示の実施形態による例示的な電子デバイス800を示す。いくつかの実施形態において、電子デバイス800は、開示した電子デバイス(例えば、電子デバイス100、電子デバイス200、電子デバイス300)を備える。いくつかの実施形態において、電子デバイス800は、マルチプレクサ802を備える。 いくつかの実施形態において、マルチプレクサ802は、行回路804又は読み出し回路806から離れて(例えば、行回路又は読み出し回路に関連しない電子デバイスの側に)配置される。いくつかの実施形態において、マルチプレクサ802は、電子デバイス800をテスト回路808に電気的に結合するように構成される。例えば、テスト回路808は、自動ウェーハプローバ用のテストパッド(例えば、ポゴピンパッド)を備える。 マルチプレクサ802は、後続のダイシング工程及び組立工程の前に、複数の電子デバイスがガラスパネル上にある間に電子デバイス800の画素アレイの(例えば、品質管理のための)テストを有利には可能にしてもよい。いくつかの実施形態において、電子デバイス800がパネル上の他のデバイスから切り離された後に、マルチプレクサ802を、(例えば、マルチプレクサのゲート、入力部、及び/又は出力部を固定電圧に短絡することによって)不作動状態にしてもよい。
【0102】
いくつかの実施形態において、開示した画素は、ボロメータを備える。いくつかの実施形態において、マイクロボロメータが広い範囲の周囲温度で動作する可能性があるので、バイアス電圧は、変化する条件に適応する必要がある可能性がある。例えば、半導体画素の場合、抵抗係数は、負であり、典型的には、1ケルビン当たり-2~-3%の範囲である。室温(25℃)での公称画素抵抗が1MΩであるボロメータが、車載の応用及び他の要求の厳しい応用でしばしば要求される-40~80℃の周囲温度にさらされる場合、画素抵抗は、約5.3MΩから395kΩまで変化する。これは、アモルファスシリコン、シリコンゲルマニウム及び様々な金属酸化物のような抵抗材料の単一の活性化エネルギーを想定している。ヒンジの設計を考慮するとともに吊り下げられた画素の部分間に存在し得る電圧差の範囲を考慮すると、局所的な静電気力に反応する吊り下げられた画素のピストン又は回転(ティッピング)プルインに関わる安定性の問題が生じる。その安定性の問題は、不安定な傾斜を引き起こし、画素の角又は端が基板に固着し、熱シャントにより画素の動作が不能になる可能性がある。
図9~12Bは、静電気力の影響を低減するための例を説明する。静電気力の影響を低減するための構造の例を開示した電子デバイス(例えば、電子デバイス100、電子デバイス200、電子デバイス300、電子デバイス800)において実現できることを理解されたい。
【0103】
図9は、本開示の実施形態による例示的な画素900を示す。いくつかの実施形態において、画素900の形状は、凸状である。すなわち、誘導された凸状の曲率は、画素900の端において画素と下の層(例えば、基板902、その下の金属の下層)との間のギャップの増大を引き起こす。例えば、図示したように、画素900は、基板902に対して凸形状を有する。いくつかの実施形態において、画素900は、凸状の曲率を誘導するために印加される高い面内応力を有する窒化シリコンの層を備える。誘導された凸状湾曲は、画素の角又は縁付近の最大静電トルクを有利に低減してもよい。いくつかの実施形態において、画素900の形状は、対称的である(例えば、画素の凸部は、対称軸に関する画素の点と基板との間の距離が同じであるように対称的である)。いくつかの実施形態において、画素900の形状は、非対称である(例えば、画素の凸部は、非対称である)。
【0104】
図10A~10Dは、本開示の実施形態による例示的な画素1000を示す。いくつかの実施形態において、電子デバイスは、画素1000を支持するブリッジを備える。いくつかの実施形態において、ブリッジは、
図10A~10Dに示すように、画素及びその近傍を支持するように構成される。ブリッジは、回転軸(例えば、回転軸1004)の周りの(例えば、静電気力によって引き起こされる)画素の移動を、回転軸の周りの力が増大する点にブリッジを配置することによって有利に防止してもよい。さらに、ブリッジは、機械的エネルギーを更に迅速に隣接する画素に分散させることによって、(例えば、画素の高真空環境及びバイアスパルス(例えば、各列時間で周期的に供給されるバイアス電圧)によって引き起こされる)振動を有利に低減させてもよい。
図10A~10Dに示すブリッジが例示的なものであることを理解されたい。ブリッジを、図示したものとは異なるように配置してもよい。 例えば、ブリッジは、いくつかの画素の同一の対応する点と比較して(例えば、画素の中心を支持するブリッジと比較して、画素の同一の側を支持するブリッジと比較して)それぞれの画素の異なる対応する点で異なる画素を支持してもよい。
【0105】
いくつかの実施形態において、ブリッジは、互いに近接する画素間の熱クロストークを低減するための(例えば、画素の面積に対して小さい)断面を有する絶縁材料を備える。例えば、ブリッジは、薄膜を備える。いくつかの実施形態において、小さい断面は、製造工程による面内応力を有し、応力は、静電気力による画素の移動を防止するための剛性を提供する。 いくつかの実施形態において、ブリッジは、画素に関連するヒンジに結合する。いくつかの実施形態において、ブリッジは、画素に結合する。いくつかの実施形態において、追加の犠牲スペーサ層(例えば、画素の上の第3の層)が画素の上に追加され、追加の層は、第3の次元を形成するとともにブリッジを伸長させる。(追加の層によって形成される)追加の間隔は、熱クロストークを有利には低減してもよい。
【0106】
例えば、
図10Aに示すように、ブリッジ1002は、回転軸1004に垂直な方向に画素の中心に沿って配置される。別の例として、
図10Bに示すように、ブリッジ1012は、回転軸1004に垂直な方向に画素の交互の側面に沿って配置される。 別の例として、
図10Cに示すように、ブリッジ1022は、回転軸1004に垂直な方向に画素の二つの側面に沿って(例えば、二つのブリッジの一部が画素を支持するように)配置される。別の例として、
図10Dに示すように、ブリッジ1032は、回転軸1004に垂直な方向及び平行な方向に画素の中心に沿って配置される。
【0107】
画素を支持するために説明したものより更に多い又は更に少ないブリッジを電子機器の機械的要件及び静電気力に耐える画素及びヒンジの能力に応じて追加することができることを理解されたい。
【0108】
図11A~11Bは、本開示の実施形態による例示的な画素1100を示す。いくつかの実施形態において、画素は、ヒンジを介して2点で支持され、各ヒンジは、第1のビアに固定され、第2のビアを使用して画素に取り付けられる。軸周りのねじれ抵抗を増加させるために、ヒンジの長さを短くするとともにヒンジの断面積を大きくしてもよい。しかしながら、ねじり抵抗を増加させると、熱コンダクタンスが増加する可能性があり、ボロメータ画素のような画素にとって望ましくない可能性がある。
【0109】
いくつかの実施形態において、画素1100は、一軸回転対称性を低減するために、(上述した二つの支持点に加えて)第3の支持点を備える。いくつかの実施形態において、第3の支持点を形成するための追加のヒンジは、導電性ではない。面内応力(ヒンジは固定-固定形状で両端に固定されている)が曲げ抵抗に寄与するので、そのような構造を画素サスペンションの設計に組み込むことが有利な場合がある。
【0110】
例えば、
図11Aは、点1102,1104及び1106においてヒンジ部1108,1110,1112,1114及び1116によって支持された画素1100を示す。いくつかの実施形態において、ヒンジ部分1108,1110及び1112は、第1のヒンジに属し、ヒンジ部分1114及び1116は、第2のヒンジに属する。いくつかの実施形態において、第1のヒンジは、応力部分と、非応力部分と、を備え、第2のヒンジは、応力部分と、非応力部分と、を備える。例えば、ヒンジ部分1108,1110,1112及び1114は、対称性によって許容されるように、引張応力を受け、ヒンジ部分1116は、非応力を受ける(例えば、固定/自由カンチレバーとして振る舞う)。別の例として、
図11Bは、点1122,1124及び1126においてヒンジ部分1128,1130,1132,1134及び1136によって支持される画素1100を示す。いくつかの実施形態において、ヒンジ部分1128,1130及び1132は、第1のヒンジに属し、ヒンジ部分1134及び1136は、第2のヒンジに属する。別の例として、ヒンジ部分1128,1136は、引張応力を受け、ヒンジ部分1130,1132,1134は、非応力を受ける。いくつかの実施形態において、第1のヒンジ又は第2のヒンジは、応力を受けたヒンジ(図示せず)を備える。いくつかの実施形態において、第1のヒンジ又は第2のヒンジは、非応力ヒンジ(図示せず)を備える。
【0111】
図12A~12Bは、本開示の実施形態による例示的な画素を示す。いくつかの実施形態において、金属層パターンの設計は、画素上の静電トルクを低減してもよい。例えば、金属層は、センサ(例えば、センサ702)用の金属接点を提供するセンサ層内のELと、第1のビア及び第2のビアに接続する導電性経路を提供するヒンジ層内のHGと、を備え、M3は、基板上の最上層(例えば、ガラス基板の最上層)である。いくつかの実施形態において、EL層は、画素のプレート電極を備え、M3層は、画素の底部電極を備える。
【0112】
いくつかの実施形態において、本明細書で説明するように、電流を生成するために、画素の両端間に電圧(例えば、バイアス電圧と列ライン電圧との差)を印加してもよい。異なる電圧である画素の部分間の静電引力を低減するために、各電圧の様々な導電層を、他の電圧の導電層とほとんど又は全く重ならないように垂直に積層してもよい。例えば、
図12A~12Bに示すように、画素の第1のノード及び第2のノード(例えば、画素の端子に関連する各ノード)は、異なる層上に配置され、第1のノードと第2のノードとの間の重複部分は、第1のノードの閾値面積未満(例えば、面積の半分未満、面積の4分の1未満)又は第2のノードの面積の半分未満である。
図12Bに示すように、例示的な画素設計は、画素の第1の領域1202に印加される第1の電圧と画素の第2の領域1204に印加される第2の電圧との間の切り離しを可能にし、画素に対する静電気力の影響を低減する。
【0113】
図13は、本開示の実施形態による電子デバイスを製造する例示的な方法1300を示す。いくつかの実施形態において、方法1300は、開示した電子デバイス(例えば、電子デバイス100、 電子デバイス200、電子デバイス300、電子デバイス800)又は電子デバイスの構成要素(例えば、電子デバイスのヒンジ、電子デバイスの画素)を製造するために実行される。簡潔のために、これらのデバイス又は構成要素に関連するいくつかの特徴、材料、寸法及び利点を、ここでは繰り返さない。方法1300を、記載したステップを含むものとして図示するが、本開示の範囲から逸脱することなく異なる順序のステップ、追加のステップ(例えば、本明細書に開示された他の方法との組合せ)又は更に少ないステップを含んでもよいことを理解されたい。例えば、方法1300のステップを、方法1400及び/又は1500のステップと共に実行してもよい。
【0114】
いくつかの実施形態において、方法1300は、基板を設けることを備える(ステップ1302)。例えば、
図1に関して説明したように、基板120を設ける。いくつかの実施形態において、基板は、ガラス基板である。
【0115】
いくつかの実施形態において、方法1300は、第1の画素及び第2の画素を設けることを備える(ステップ1304)。いくつかの実施形態において、第1の画素及び第2の画素を設けることは、画素のアレイを備える。例えば、
図1に関して説明したように、複数の画素(例えば、画素102A~102I)を設ける。別の例として、
図2に関して説明したように、複数の画素(例えば、202A~202T)を設ける。
【0116】
いくつかの実施形態において、方法1300は、第1のヒンジ及び第2のヒンジを設けることを備える。例えば、
図1~3B、6A~6Cに関して説明したように、第1のヒンジ(例えば、ヒンジ104A~104I、ヒンジ204A~204T、ヒンジ304、ヒンジ606)及び第2のヒンジ(例えば、ヒンジ104A~104I、ヒンジ204A~204T、ヒンジ304、ヒンジ606のうちの第2のヒンジ)を設ける。
【0117】
いくつかの実施形態において、方法1300は、ヒンジを基板に結合することを備える。例えば、
図1~3B,6A~6Cに関して説明したように、ヒンジ(例えば、ヒンジ104A~104I、ヒンジ204A~204T、ヒンジ304、ヒンジ606)を、基板(例えば、基板120、バックプレーン310を備える基板)に結合する。
【0118】
いくつかの実施形態において、方法1300は、第1の画素を第1のヒンジに結合することを備える。例えば、
図1~3B,6A~6Cに関して説明したように、第1のヒンジ(例えば、ヒンジ104A~104I、ヒンジ204A~204T、ヒンジ304、ヒンジ606、ヒンジ616、ヒンジ626)を、第1の画素(例えば、画素102A~102I、画素202A~202T、画素302、画素600)に電気的に結合する。
【0119】
いくつかの実施形態において、方法1300は、第2の画素を第2のヒンジに結合することを備える。例えば、
図1~3B,6A~6Cに関して説明したように、第2のヒンジ(例えば、ヒンジ104A~104I、ヒンジ204A~204T、ヒンジ304、ヒンジ606、ヒンジ616、ヒンジ626のうちの第2のヒンジ)を、第2の画素(例えば、画素102A~102I、画素202A~202T、画素302、画素600のうちの第2の画素)に電気的に結合する。
【0120】
いくつかの実施形態において、結合された第1の画素及び結合された第2の画素は、画素ピッチだけ離れている。第1のヒンジの長さは、画素ピッチより長く、第2のヒンジの長さは、画素ピッチより長い。例えば、
図2に関して説明したように、ヒンジ(例えば、ヒンジ204A~204T)の長さは、画素ピッチより長い。
【0121】
いくつかの実施形態において、方法1300は、ガラス基板にバイアスラインを形成することと、第1の画素及び第2の画素をバイアスラインに電気的に結合することと、を更に備える。第1の画素は、第1の行に関連付けられ、第2の画素は、第2の行に関連付けられる。例えば、
図2に関して説明したように、2行の画素は、バイアスラインを共有する。
【0122】
いくつかの実施形態において、方法1300は、バイアス生成画素を設けることを更に備える。バイアス生成画素は、バイアスラインの電圧を生成するように構成される。例えば、
図4及び
図5に関して説明したように、バイアス生成画素(例えば、バイアス生成画素404AA~404AM,502A,504A,506A)を、(バイアスラインに供給される)バイアス電圧を生成するために設ける。
【0123】
いくつかの実施形態において、方法1300は、バイアス生成画素を包囲するダミー画素を設けることを更に備える。例えば、
図4及び
図5に関して説明したように、バイアス生成画素は、(例えば、バイアス生成画素に対するエッジ効果を低減するために)ダミー画素によって包囲される。
【0124】
いくつかの実施形態において、方法1300は、第2のバイアス生成画素を設けることを更に備える。バイアスラインの電圧を、第1のバイアス生成画素及び第2のバイアス生成画素の平均電圧に基づいて生成する。例えば、
図4及び
図5に関して説明したように、電圧を生成するために第2のバイアス生成画素(例えば、画素404A~404NM、画素502N、画素504N、画素506N)を設け、バイアス電圧を、第1のバイアス生成画素によって生成された電圧と第2のバイアス生成画素によって生成された電圧との間の平均に基づいて生成する。いくつかの実施形態において、第2のバイアス生成画素の面積は、第1の画素の面積及び第2の画素の面積より広い。例えば、バイアス生成画素502Aは、
図1~3Bに関して説明したように、アクティブ画素の面積より広い。
【0125】
いくつかの実施形態において、方法1300は、第2のバイアス生成画素を設けることを更に備える。バイアスラインの電圧を、第2のバイアス生成画素を介して更に生成し、第1のバイアス生成画素の面積は、第2のバイアス生成画素の面積より広い。例えば、
図5に関して説明したように、追加のバイアス生成画素504A又は506Aを、電子デバイスのバイアス電圧を更に発生させるために設ける。
【0126】
いくつかの実施形態において、方法1300は、リベットを設けることと、リベットを第1のヒンジ又は第2のヒンジに結合することと、を更に備える。例えば、
図6B及び
図6Cに関して説明したように、リベット620を設けるとともにヒンジ616又はヒンジ626に結合する。
【0127】
いくつかの実施形態において、第1の画素及び第2の画素の各々は、センサと、吸収体と、を備える。例えば、
図7Aに関して説明したように、画素700は、センサと、吸収体と、を備える。いくつかの実施形態において、吸収体の第1のエッジ及び第2のエッジは、90度より大きい角度をなす。 例えば、
図2に関して説明したように、画素(例えば、画素202A~202T)は、90度より大きい角度をなす第1のエッジ及び第2のエッジを有する吸収体を備える(例えば、図示したように、吸収体は、平行四辺形の形状を有する)。
【0128】
いくつかの実施形態において、吸収体は、接点を備える。 例えば、
図7Aに関して説明したように、吸収体708は、接点を備える。いくつかの実施形態において、センサは、二つの誘電体層の間の半導体層を備える。例えば、
図7Aに関して説明したように、センサ702は、半導体層を備え、半導体層は、絶縁層704と706の間にある。
【0129】
いくつかの実施形態において、方法1300は、ヒンジ層を設けることと、センサブソーバー層を設けることと、を更に備える。ヒンジ層は、第1のヒンジと、第2のヒンジと、を備え、センサブソーバー層は、二つの画素を備える。例えば、ヒンジ(例えば、ヒンジ104A~104I、ヒンジ204A~204T、ヒンジ304、ヒンジ606、ヒンジ616、ヒンジ626のうちの第2のもの)は、ヒンジ層に属し、画素(例えば、画素102A~102I、画素202A~202T、画素302、画素600のうちの第2のもの)は、センサブソーバー層に属する。
【0130】
いくつかの実施形態において、第1のヒンジ及び第2のヒンジの各々は、画素の一方に電気的に結合された導電層と、導電層の側に配置された誘電体層と、を備える。例えば、
図6Bに関して説明したように、ヒンジ616は、TiN
x層610の側のSiN
x層612を備える。別の例として、
図6Cに関して説明されるように、ヒンジ626は、TiN
x層610の側のSiN
x層612及び614を備える。
【0131】
いくつかの実施形態において、第1の画素及び第2の画素の各々の抵抗は、(例えば、
図1~3B及び
図6A~7Bに関して説明したように)100kΩと10MΩとの間であり、第1のヒンジ及び第2のヒンジの各々の抵抗は、(例えば、
図1~3B及び
図6A~7Bに関して説明したように)10kΩと100kΩとの間である。
【0132】
いくつかの実施形態において、二つの画素のうちの一方とガラス基板との間のギャップは、500~3000nmであり、第1の画素及び第2の画素の各々は、6000~14000nmの間の波長を有する入射放射線の波の少なくとも35%を吸収するように構成される。例えば、
図7A及び
図7Bに関して説明したように、画素700は、6000nmと14000nmとの間の波長を有する入射放射線の波の少なくとも35%を吸収するように構成される。
【0133】
いくつかの実施形態において、方法1300は、読み出し回路を設けることを更に備える。読み出し回路は、第1の画素又は第2の画素からの電流を測定するように構成される。例えば、
図1に関して説明したように、読み出し回路110を設ける。いくつかの実施形態において、方法1300は、読み出し回路をガラス基板上に実装することを更に備える。例えば、
図1に関して説明したように、読み出し回路110を基板120上に実装し、基板120は、ガラス基板である。
【0134】
いくつかの実施形態において、方法1300は、読み出し回路をフレキシブル回路に実装し、フレキシブル回路をガラス基板に結合することをさらに含む。例えば、
図1に関して説明したように、読み出し回路1100は、COFプロセスを介して実装される。いくつかの実施形態において、方法1300は、読み出し回路とガラス基板との間に金属層を設けることをさらに含む。例えば、
図1に関して説明したように、読み出し回路100とガラス基板である基板120との間に金属層を設ける。
【0135】
いくつかの実施形態において、方法1300は、マルチプレクサを設けることと、マルチプレクサをテスト回路に電気的に結合することと、を更に備える。例えば、
図8に関して説明したように、マルチプレクサ802を電子デバイス800を設け、マルチプレクサ802は、テスト回路に電気的に結合するように構成される。
【0136】
いくつかの実施形態において、第1の画素又は第2の画素の形状は、凸状である。例えば、
図9に関して説明したように、画素900は、凸形状を備える。いくつかの実施形態において、方法1300は、第1の画素及び第2の画素を支持するためのブリッジを設けることを更に備える。ブリッジは、(1)第1の画素及び第2の画素と、(2)基板との間にある。ブリッジの例を、
図10A~10Dに関して説明する。いくつかの実施形態において、第1のヒンジ及び第2のヒンジの各々は、応力部分と、非応力部分と、を備える。応力部分及び非応力部分を備えるヒンジの例を、
図11A及び
図11Bに関して説明する。
【0137】
いくつかの実施形態において、第1の画素又は第2の画素の一方の第1のノード及び第2のノードは、異なる層上に配置され、第1のノードと第2のノードとの間の重複部分は、第1のノードの面積の半分又は第2のノードの面積の半分未満である。例えば、
図12A及び
図12Bに関して説明したように、画素のノードは、異なる層に関連付けられ、ノード間の重複部分は、閾値未満(例えば、第1のノードの面積の半分未満又は第2のノードの面積の半分未満)である。
【0138】
図14は、本開示の実施形態による電子デバイスを動作させる例示的な方法1400を示す。いくつかの実施形態において、方法1400は、開示した電子デバイス(例えば、電子デバイス100、電子デバイス200、電子デバイス300、電子デバイス800)又は電子デバイスの構成要素(例えば、センサ回路400、センサ回路500)を動作させるために実行される。簡潔のために、これらの装置又は構成要素に関連するいくつかの特徴及び利点を、ここでは繰り返さない。方法1400を、記載したステップを含むものとして図示するが、本開示の範囲から逸脱することなく異なる順序のステップ、追加のステップ(例えば、本明細書に開示した他の方法との組合せ)又は更に少ないステップを含んでもよいことを理解されたい。例えば、方法1300のステップを、方法1300及び/又は1500のステップと共に実行してもよい。
【0139】
いくつかの実施形態において、方法1400は、バイアスラインを介して第1のバイアス電圧を第1の画素に供給すること(ステップ1402)を備える。例えば、
図2に関して説明したように、第1のバイアス電圧を、バイアスライン210Aを介して提供する。
【0140】
いくつかの実施形態において、方法1400は、バイアス生成画素を介して第1のバイアス電圧を生成することを更に備える。例えば、
図4及び
図5に関して説明したように、バイアス生成画素(例えば、バイアス生成画素404AA~404AM,502A,504A,506A)を、(バイアスラインに供給される)バイアス電圧を生成するために設ける。
【0141】
いくつかの実施形態において、方法1400は、第2のバイアス生成画素を介して第1のバイアス電圧を更に生成することを更に備える。第1のバイアス電圧を生成することは、第1のバイアス生成画素及び第2のバイアス生成画素によって生成された電圧を平均化することを備える。例えば、
図4及び
図5に関して説明したように、電圧を生成するために第2のバイアス生成画素(例えば、画素404A~404NM、画素502N、画素504N、画素506N)を設け、バイアス電圧を、第1のバイアス生成画素によって生成された電圧と第2のバイアス生成画素によって生成された電圧との間の平均に基づいて生成する。いくつかの実施形態において、第2のバイアス生成画素の面積は、第1の画素の面積及び第2の画素の面積より広い。例えば、バイアス生成画素502Aは、
図1~3Bに関して説明したように、アクティブ画素の面積より広い。
【0142】
いくつかの実施形態において、方法1400は、第2のバイアス生成画素を介して第1のバイアス電圧を更に生成することを更に備える。第1のバイアス生成画素の面積は、第2のバイアス生成画素の面積より広い。例えば、
図5に関して説明したように、追加のバイアス生成画素504A又は506Aを、電子デバイスのバイアス電圧を更に生成するために設ける。
【0143】
いくつかの実施形態において、方法1400は、第1の画素を列ラインに電気的に結合すること(ステップ1404)を備える。例えば、
図2に関して説明したように、画素202Cを、スイッチ206Cを介して列ライン212Bに電気的に結合する。
【0144】
いくつかの実施形態において、方法1400は、第1の画素を列ラインから電気的に切り離すこと(ステップ1406)を備える。例えば、
図2に関して説明したように、画素202Cを、(例えば、行ライン208Aに関連する行の読み出しが完了した後に)スイッチ206Cを介して列ライン212Bから電気的に切り離す。
【0145】
いくつかの実施形態において、方法1400は、バイアスラインを介して第2の画素に第2のバイアス電圧を供給すること(ステップ1408)を備える。例えば、
図2に関して説明したように、第2のバイアス電圧を、バイアスライン210Aを介して(ステップ1402に関して説明した画素の異なる行に)提供する。いくつかの実施形態において、第2のバイアス電圧を、上述したのと同様に生成する。
【0146】
いくつかの実施形態において、方法1400は、第2の画素を列ラインに電気的に結合すること(ステップ1410)を備える。例えば、
図2に関して説明したように、画素202Fを、スイッチ206Hを介して列ライン212Bに電気的に結合する。
【0147】
いくつかの実施形態において、方法1400は、第2の画素を列ラインから電気的に切り離すこと(ステップ1406)を備える。例えば、
図2に関して説明したように、画素202Fを、(例えば、行ライン208Bに関連する行の読み出しが完了した後に)スイッチ206Hを介して列ライン212Bから電気的に切り離す。
【0148】
図15は、実施形態による電気機械システムを製造する方法1500を示す。非限定的な例として、電気化学システムは、デバイス(例えば、電子デバイス100、電子デバイス 200、電子デバイス300、電子デバイス800)、構成要素(例えば、本明細書に記載の画素、本明細書に記載のヒンジ)又は本明細書に記載のシステムに関連することができる。電気機械システムを製造するために、方法1500の工程ステップの全て又は一部を使用することができるとともに異なる順序で使用することができる。非限定的な例として、ステップ1514を、ステップ1512の前に実行することができる。いくつかの実施形態において、方法1300及び/又は方法1400を、方法1500と共に実行することができる。
【0149】
方法1500は、基板を設けるステップ1502を備える。例えば、設けられる基板は、基板120を備える。いくつかの実施形態において、基板は、ガラス製である。いくつかの実施形態において、基板は、低温多結晶シリコンである。いくつかの実施形態において、基板は、特性を微調整するための追加元素を含むホウケイ酸塩である。ホウケイ酸塩の例は、アルカリ土類ホウ素アルミノケイ酸塩(ホウ素、アルミニウム、及び様々なアルカリ土類元素を含有するケイ酸塩)を製造するコーニング(登録商標)のイーグル(登録商標)によるものがある。 他の変形は、旭硝子(登録商標)又はスコッチ(登録商標)から市販されている。
【0150】
いくつかの実施形態において、電気機械システムを製造するためにフラットパネルガラス工程を使用する。いくつかの実施形態において、、電気機械システムを製造するために液晶ディスプレイ(LCD)工程を使用する。いくつかの実施形態において、OLEDディスプレイ工程又はX線パネル工程を使用する。フラットパネルガラス工程を採用することによって、基板サイズを大きくすることができ、それにより、基板当たりの電気化学システムの数を多くすることができ、処理コストを削減することができる。「パネルレベル」の基板サイズは、620mm×750mm、680mm×880mm、1100mm×1300mm、1300mm×1500mm、1500mm×1850mm、1950mm×2250mm及び2200mm×2500mmを含むことができる。さらに、パネルレベル製造における薄膜トランジスタ(TFT)もコストを削減でき、例えば、LCD-TFTプロセスを有益なものとすることができる。
【0151】
方法1500は、基板にMEMS(例えば、開示されたMEMSセンサ)を追加するステップ1504を備える。MEMSを、構造の追加を説明するために使用するが、本開示の範囲から逸脱することなく他の構造(例えば、NEMS、他の種類のデバイス)を追加することができることを理解されたい。パネルレベル処理を使用する実施形態において、LCD-TFT工程を使用してMEMS構造を追加してもよい。
【0152】
ステップ1504に続いて、オプションのステップ1516のサブプレーティングを行ってもよい。 ステップ1516を、基板が後続のステップで使用される処理装置より大きいときに使用してもよい。例えば、(LCDのような)パネルレベル工程を使用する場合、いくつかの実施形態において、(例えば、CMOS製造装置を使用して)更なる処理を実行するために(ステップ1504で)パネルをウェーハサイズに切断することを有する。他の実施形態において、方法1500全体を通して同一サイズの基板を使用する(すなわち、ステップ1516を使用しない)。
【0153】
方法1500は、基板からMEMSをリリースするステップ1506を有する。
【0154】
方法1500は、ステップ1508のリリース後処理を有する。そのようなリリース後処理は、平坦化のような更なる工程ステップのためにMEMS構造を準備してもよい。ウェハレベル処理において、平坦化は、化学的機械的平坦化を含み得る。一部の実施形態において、更なる工程ステップは、フォトレジストをトポグラフィ上にスピンして更に平坦な表面を生成した後に表面をエッチングするエッチバックを有する。エッチング時間を更に高度に制御することによって、更に滑らかな表面形状を生じさせることができる。いくつかの実施形態において、更なる工程ステップは、ガラス担持有機バインダーをトポグラフィ上にスピンするとともに有機溶媒を除去するためにその結果をベークして更に滑らかな表面を残す「スピンオンガラス」を有する。
【0155】
方法1500は、必要に応じてMEMS構造を真空カプセル化するステップ1510を有する。真空カプセル化は、デバイスの寿命を延ばすのに有益である。
【0156】
方法1500は、ステップ1512の分離を有する。いくつかの実施形態は、センサの特性を考慮してもよい較正及びチッププログラミングを有してもよい。本明細書に記載された方法は、ガラスリソグラフィ能力の均一性が制限されるためにガラス基板製造工程において有利となり得る。更なる利点として、ガラスは、熱伝導率が低く、ガラス基板は、更に優れた熱絶縁体となることができる。ガラス基板からボロメータ画素を分離する薄い構造を製造することにより、本明細書の実施形態は、ガラスボロメータ画素をパッケージング環境から熱的に絶縁する役割を良好に果たしてもよい。いくつかの実施形態において、分離の前に、MEMSの特性を(例えば、マルチプレクサ802を介して)測定する。
【0157】
方法1500は、ステップ1514の読み出し集積回路(ROIC)の取り付け及びフレックス/PCBの取り付けを有する。非限定的な例として、読み出し回路(例えば、読み出し回路110)は、本明細書に記載したデバイス又はシステムに関連することができる。本明細書に記載したプロセス及びデバイスは、信号処理に必要な面積を検知物理学によって規定される検知面積より著しく小さくすることができるという更なる利点を有してもよい。典型的には、センサは、CMOS回路上に集積され、面積主導のコストは、信号処理タスクに最適でない技術ノードにつながる。本明細書で説明する工程は、更に適切なCMOSを使用するとともに信号処理に必要な面積を削減することができ、FPD(フラットパネルディスプレイ)製造の低コストを活用することによってセンサを面積の制約から解放する。一部の実施形態において、ROICを、特定の電磁波(X線、THz、LWIR等)を検知するために特別に設計する。
【0158】
図16は、例示的なセンサを示す。 いくつかの実施形態において、センサ1600を、方法1400及び/又は方法1500のステップを使用して製造する。センサ1600は、ガラス基板1606と、ガラス基板1606に結合された(例えば、幅250nm未満の)構造体1604と、構造体1604に結合された画素1602と、を有する。いくつかの実施形態において、基板1606は、基板120を備える。いくつかの実施形態において、画素1602は、本明細書に記載された画素を備える。センサ1600のいくつかの実施形態において、構造1604は、アクティブエリアをガラスから熱的に分離するヒンジ(例えば、本明細書に記載のヒンジ)である。いくつかの実施形態において、センサ1600は、電圧差を経験するとともに受信した放射に基づいて電流又は電荷を生成する(例えば、LWIR放射への曝露に応答して、センサの二つの端子間の抵抗が変化する)。
【0159】
いくつかの実施形態において、センサは、ガラス基板と、本明細書に記載した方法のいずれかから製造されるとともにガラス基板に結合された構造と、構造に結合された画素と、を有する。
【0160】
いくつかの実施形態において、センサは、LCD-TFT製造工程によって製造されたMEMS又はNEMSデバイスと、本明細書に記載した方法のいずれかによって製造された構造と、を有する。
【0161】
一例として、センサは、抵抗センサ及び容量センサを含むことができる。ボロメータを、様々な応用に使用することができるできる。例えば、長波赤外線(LWIR、波長約8~12μm)ボロメータを、自動車産業及び商業セキュリティ産業で使用することができる。例えば、QVGA、VGA及び他の解像度を持つLWIRボロメータ。テラヘルツ(THz、波長約1.0~0.1mm)ボロメータを、セキュリティ(空港旅客セキュリティスクリーニング等)及び医療(医療イメージング)に使用することができる。例えば、QVGA解像度及び他の解像度を持つTHzボロメータ。一部の電気化学システムは、X線センサ及びカメラシステムを含むことができる。同様に、LWIRセンサ及びTHzセンサもカメラシステムに使用される。一部の電気機械システムは、内視鏡及び外視鏡のような医療用イメージングに適用される。 X線センサは、直接検知態様及び間接検知態様を含む。
【0162】
他の電気機械システムは、光検出及び測距(LIDAR)システム用のスキャナを有する。例えば、レーザビームの空間特性を(例えばビームポインティングのために)形成することができる光スキャナ。 電気機械システムは、(入力刺激が直線運動又は角運動である)慣性センサを有する。一部のシステムを、(例えば、生化学物質を検出する)バイオセンシング及びバイオセラピープラットフォームで使用してもよい。
【0163】
いくつかの実施形態において、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体は、一つ以上のプログラムを記憶し、一つ以上のプログラムは命令を含む。命令が、一つ以上のプロセッサ及びメモリを有する電子デバイス(例えば、電子デバイス100、電子デバイス200、電子デバイス300、電子デバイス800)によって実行されるとき、命令は、例えば、
図1、
図2、
図4、
図5及び
図8に関して説明した方法を電子デバイスに実行させる。
【0164】
いくつかの実施形態において、電子デバイスは、ガラス基板と、画素ピッチを備える二つの画素と、二つの画素のうちの一方と前記ガラス基板との間のヒンジと、を備える。ヒンジは、画素を支持し、ヒンジの長さは、前記画素ピッチより長い。
【0165】
いくつかの実施形態において、電子デバイスは、バイアスラインを更に備える。二つの画素は、バイアスラインに電気的に結合され、二つの画素のうちの一方は、第1の行に関連付けられ、二つの画素のうちの他方は、第2の行に関連付けられる。
【0166】
いくつかの実施形態において、バイアスラインの電圧は、バイアス生成画素を介して生成される。
【0167】
いくつかの実施形態において、電子デバイスは、バイアス生成画素を包囲するダミー画素を更に備える。
【0168】
いくつかの実施形態において、電子デバイスは、第2のバイアス生成画素を更に備え、バイアスラインの電圧は、第1のバイアス生成画素及び第2のバイアス生成画素の平均電圧に基づいて生成される。
【0169】
いくつかの実施形態において、バイアス生成画素の面積は、二つの画素のうちの一方の画素の面積より広い。
【0170】
いくつかの実施形態において、電子デバイスは、第2のバイアス生成画素を更に備える。バイアスラインの電圧は、第2のバイアス生成画素を介して更に生成され、第1のバイアス生成画素の面積は、第2のバイアス生成画素の面積より広い。
【0171】
いくつかの実施形態において、電子デバイスは、ヒンジに結合されたリベットを更に備える。
【0172】
いくつかの実施形態において、二つの画素のうちの一方は、センサと、吸収体と、を備える。
【0173】
いくつかの実施形態において、吸収体の第1のエッジ及び第2のエッジは、90度より大きい角度をなす。
【0174】
いくつかの実施形態において、電子デバイスは、ヒンジ層と、センサ吸収層とを、更に備える。ヒンジ層は、ヒンジを備え、センサブソーバー層は、二つの画素を備える。
【0175】
いくつかの実施形態において、吸収体は、接点を備える。
【0176】
いくつかの実施形態において、センサは、二つの誘電体層の間に半導体層を備える。
【0177】
いくつかの実施形態において、二つの画素のうちの一方とガラス基板との間のギャップは500~3000nmであり、二つの画素のうちの一方は、6000~14000nmの波長を有する入射放射線の波の少なくとも35%を吸収するように構成される。
【0178】
いくつかの実施形態において、電子デバイスは、二つの画素のうちの一方からの電流を測定するように構成された読み出し回路を更に備える。
【0179】
いくつかの実施形態において、読み出し回路は、ガラス基板上に実装される。
【0180】
いくつかの実施形態において、読み出し回路は、ガラス基板に結合されたフレキシブル回路上に実装される。
【0181】
いくつかの実施形態において、電子デバイスは、読み出し回路とガラス基板との間に金属層を更に備える。
【0182】
いくつかの実施形態において、電子デバイスは、テスト回路に電気的に結合するように構成されたマルチプレクサを更に備える。
【0183】
いくつかの実施形態において、二つの画素のうちの一方の抵抗は、100kΩと10MΩの間であり、ヒンジの抵抗は、10kΩと100kΩの間である。
【0184】
いくつかの実施形態において、ヒンジは、画素のうちの一方に電気的に結合された導電層と、導電層の側に配置された誘電体層と、を備える。
【0185】
いくつかの実施形態において、二つの画素のうちの一つの画素の形状は、凸状である。
【0186】
いくつかの実施形態において、二つの画素は、隣接する画素であり、電子デバイスは、二つの画素を支持するためのブリッジを更に備え、ブリッジは、二つの画素と基板との間にある。
【0187】
いくつかの実施形態において、ヒンジは、応力部分と、非応力部分と、を備える。
【0188】
いくつかの実施形態において、二つの画素のうちの一つの画素の第1のノード及び第2のノードは、異なる層上に配置され、第1のノードと第2のノードとの間の重複部分は、第1のノードの面積未満の半分又は第2のノードの面積の半分未満である。
【0189】
いくつかの実施形態において、電子デバイスの製造方法は、ガラス基板を設けることと、第1の画素及び第2の画素を設けることと、第1のヒンジ及び第2のヒンジを設けることと、第1のヒンジ及び第2のヒンジをガラス基板に結合することと、第1の画素を前記第1のヒンジに結合することと、第2の画素を前記第2のヒンジに結合することと、を備える。結合された第1の画素と結合された第2の画素は、画素ピッチだけ離れ、第1のヒンジの長さは、画素ピッチより長く、第2のヒンジの長さは、画素ピッチより長い。
【0190】
いくつかの実施形態において、方法は、ガラス基板上にバイアスラインを形成することと、第1の画素及び第2の画素をバイアスラインに電気的に結合することと、を更に備える。第1の画素は、第1の行に関連し、第2の画素は、第2の行に関連する。
【0191】
いくつかの実施形態において、方法は、バイアス生成画素を設けることを更に備え、バイアス生成画素は、バイアスラインの電圧を生成するように構成される。
【0192】
いくつかの実施形態において、方法は、バイアス生成画素を包囲するダミー画素を設けることを更に備える。
【0193】
いくつかの実施形態において、方法は、第2のバイアス生成画素を設けることを更に備え、バイアスラインの電圧を、第1のバイアス生成画素及び第2のバイアス生成画素の平均電圧に基づいて生成する。
【0194】
いくつかの実施形態において、バイアス生成画素の面積は、第1の画素の面積及び第2の画素の面積より広い。
【0195】
いくつかの実施形態において、方法は、第2のバイアス生成画素を設けることを更に備える。バイアスラインの電圧を、第2のバイアス生成画素を介して更に生成し、第1のバイアス生成画素の面積は、第2のバイアス生成画素の面積より広い。
【0196】
いくつかの実施形態において、方法は、リベットを設けることと、リベットを第1のヒンジ又は第2のヒンジに結合することと、を更に備える。
【0197】
いくつかの実施形態において、第1の画素及び第2の画素の各々は、センサと、吸収体と、を備える。
【0198】
いくつかの実施形態において、吸収体の第1のエッジ及び第2のエッジは、90度より大きい角度をなす。
【0199】
いくつかの実施形態において、方法は、ヒンジ層を設けることと、センサブソーバー層を設けることと、を更に備える。ヒンジ層は、第1のヒンジと、第2のヒンジと、を備え、センサブソーバー層は、二つの画素を備える。
【0200】
いくつかの実施形態において、吸収体は、接点を備える。
【0201】
いくつかの実施形態において、センサは、二つの誘電体層の間に半導体層を備える。
【0202】
いくつかの実施形態において、二つの画素ののうちの一方とガラス基板との間のギャップは、500nmと3000nmとの間であり、第1の画素及び第2の画素の各々は、6000nmと14000nmとの間の波長を有する入射放射線の波の少なくとも35%を吸収するように構成される。
【0203】
いくつかの実施形態において、方法は、読み出し回路を設けることを更に備える。読み出し回路は、第1の画素又は第2の画素からの電流を測定するように構成される。
【0204】
いくつかの実施形態において、方法は、ガラス基板上に読み出し回路を実装することを更に備える。
【0205】
いくつかの実施形態において、方法は、読み出し回路をフレキシブル回路上に実装することと、フレキシブル回路をガラス基板に結合することと、を更に備える。
【0206】
いくつかの実施形態において、方法は、読み出し回路とガラス基板との間に金属層を設けることを更に備える。
【0207】
いくつかの実施形態において、方法は、マルチプレクサを設けることと、マルチプレクサをテスト回路に電気的に結合することと、を更に備える。
【0208】
いくつかの実施形態において、請求項28に記載の方法において、第1の画素及び第2の画素の各々の抵抗は、100kΩと10MΩとの間であり、第1のヒンジ及び第2のヒンジの各々の抵抗は、10kΩと100kΩとの間である。
【0209】
いくつかの実施形態において、第1のヒンジ及び第2のヒンジの各々は、画素のうちの一方に電気的に結合された導電層と、導電層の側に配置された誘電体層と、を備える。
【0210】
いくつかの実施形態において、第1の画素又は第2の画素の形状は、凸状である。
【0211】
いくつかの実施形態において、方法は、第1の画素及び第2の画素を支持するためのブリッジを設けることを更に備え、ブリッジは、(1)第1の画素及び第2の画素と、(2)基板との間にある。
【0212】
いくつかの実施形態において、第1のヒンジ及び第2のヒンジの各々は、応力部分と、非応力部分と、を備える。
【0213】
いくつかの実施形態において、第1の画素又は第2の画素のうちの一方の第1のノード及び第2のノードは、異なる層上に配置され、第1のノードと第2のノードとの間の重複部分は、第1のノードの面積の半分未満又は第2のノードの面積の半分未満である。
【0214】
いくつかの実施形態において、電子デバイスは、画素のアレイであって、アレイの第1の行及びアレイの列に属する第1の画素と、アレイの第2の行及びアレイの列に属する第2の画素と、を備える、画素のアレイと、第1の画素及び第2の画素に電気的に結合されたバイアスラインと、アレイの前記列に関連する列ラインと、を備える。そして、電子デバイスを動作させる方法は、バイアスラインを介して第1のバイアス電圧を第1の画素に供給することと、第1の画素を列ラインに電気的に結合することと、第1の画素を列ラインから電気的に切り離すことと、バイアスラインを介して第2のバイアス電圧を第2の画素に供給することと、第2の画素を列ラインに電気的に結合することと、第2の画素を前記列ラインから電気的に切り離すことと、を備える。
【0215】
いくつかの実施形態において、方法は、バイアス生成画素を介して第1のバイアス電圧を生成することを更に備える。
【0216】
いくつかの実施形態において、方法は、第2のバイアス生成画素を介して第1のバイアス電圧をさらに生成することを更に備え、第1のバイアス電圧を生成することは、第1のバイアス生成画素及び第2のバイアス生成画素によって生成された電圧を平均化することを備える。
【0217】
いくつかの実施形態において、バイアス生成画素の面積は、第1の画素の面積及び第2の画素の面積より広い。
【0218】
いくつかの実施形態において、方法は、第2のバイアス生成画素を介して第1のバイアス電圧を更に生成することを更に備え、第1のバイアス生成画素の面積は、第2のバイアス生成画素の面積より広い。
【0219】
本開示では、二つの電子部品又は素子間の電気的接続を説明するために「電気的に結合」及び「結合」を使用するが、電気的接続が結合される部品又は素子の端子間の直接接続を必ずしも必要としないことを理解されたい。例えば、電気配線は、一緒に電気的に結合されている構成要素又は素子の端子間を接続する。別の例では、閉じられた(導通又は「オン」)スイッチが、一緒に結合される構成要素の端子間に接続される。さらに別の例では、回路の特性に影響を与えることなく、結合される部品の端子間に追加素子が接続される。例えば、バッファ、増幅器及び受動回路素子を、開示された回路の特性に影響を与えずに本開示の範囲から逸脱することなく、一緒に結合される構成要素又は素子の間に追加することができる。
【0220】
当業者は、本明細書に記載したシステムが代表的なものであるとともに明示的に開示した実施形態からの逸脱が本開示の範囲内であることを認識する。例えば、いくつかの実施形態は、電磁スペクトルの他の部分をカバーするカメラのような追加のセンサ又はカメラを含み、いくつかの実施形態を、同一の原理を使用して考案することができる。
【0221】
開示した実施形態を、添付の図面を参照して完全に説明したが、様々な変更及び変形が当業者に明らかになることに留意されたい。このような変更及び変形は、添付の特許請求の範囲によって定義される開示した実施形態の範囲内に含まれるものとして理解される。
【0222】
本明細書における様々な記載した実施形態の説明において使用される用語は、特定の実施形態を説明する目的のみのためのものであり、限定することを意図するものではない。 様々な記載された実施形態の説明及び添付の特許請求の範囲で使用されるように、単数形“a”、“an”及び“the”は、文脈上明らかにそうでないことが示されない限り、複数形も含むことが意図される。また、本明細書で使用される用語「及び/又は」は、関連する列挙された項目の一つ以上のあらゆる可能な組み合わせを指し、包含することが理解される。さらに、本明細書において使用される場合、「含む」、「備える」及び/又は「備え」という用語は、記載した特徴、整数、ステップ、操作、要素及び/又は構成要素の存在を特定するが、一つ以上の他の特徴、整数、ステップ、操作、要素、構成要素及び/又はその群の存在又は追加を排除するものではないことが理解される。
【国際調査報告】