(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-20
(54)【発明の名称】多層プリント基板を製造するための方法
(51)【国際特許分類】
H05K 3/46 20060101AFI20240912BHJP
H05K 3/00 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
H05K3/46 X
H05K3/00 J
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024515612
(86)(22)【出願日】2022-09-12
(85)【翻訳文提出日】2024-03-08
(86)【国際出願番号】 DE2022100670
(87)【国際公開番号】W WO2023041112
(87)【国際公開日】2023-03-23
(31)【優先権主張番号】102021123685.1
(32)【優先日】2021-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524090149
【氏名又は名称】ウルリヒ・ロッテ・アンラーゲンバウ・ウント・フェルダーテヒニク・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【氏名又は名称】石田 大成
(74)【代理人】
【識別番号】100191938
【氏名又は名称】高原 昭典
(72)【発明者】
【氏名】ロッテ・ウルリヒ
【テーマコード(参考)】
5E316
【Fターム(参考)】
5E316CC02
5E316EE02
5E316GG28
5E316HH31
(57)【要約】
本発明は、多層プリント基板を製造するための方法に関する。測定値エンコーダが、製造すべき前記プリント基板の少なくとも1つの機能層5及び/又は絶縁層4に接触するように、最初に、製造方法ステップ中に、製造すべき前記プリント基板の複数の機能層5と少なくとも1つの絶縁層4とが、複合工具の工具下部2と工具上部1との間に積層される。装着方法ステップ中に、前記工具が、前記複数の機能層5と前記少なくとも1つの絶縁層4と前記測定値エンコーダと一緒にヒートプレス部20内に設置される。この場合、さらに、製造方法ステップ中に、前記工具上部1及び前記工具下部2が、この工具上部1とこの工具下部2との間に設けられている前記複数の機能層5と前記少なくとも1つの絶縁層4と前記測定値エンコーダと一緒に前記ヒートプレス部20内で互いに押圧され且つ加熱され、このときに測定値が、前記測定値エンコーダによって検出される。測定値及び/又は測定値から得られたデータが、進行する前記製造方法ステップ中に製造制御装置13に伝達される。前記測定値及び/又は前記測定値から得られたデータは、前記測定値エンコーダの測定変数に対するプリセット値を基準として進行する前記製造方法ステップを監視するために及び/又は進行する前記製造方法ステップを制御するために前記製造制御装置13によって処理される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多層プリント基板を製造するための方法であって、
最初に、製造方法ステップ中に、製造すべきプリント基板の複数の機能層(5)と少なくとも1つの絶縁層(4)とが、分割式の工具の工具下部(2)と工具上部(1)との間に積層して配置され、少なくとも1つの測定値エンコーダが、複合工具の工具下部(2)と工具上部(1)との間に、製造すべきプリント基板の少なくとも1つの機能層(5)及び/又は絶縁層(4)に接触するように配置され、
-次に、装着方法ステップ中に、前記工具が、前記複数の機能層(5)、前記少なくとも1つの絶縁層(4)、及び前記測定値エンコーダと一緒にヒートプレス部(20)内に装填され、
-さらに、製造方法ステップ中に、前記工具上部(1)及び前記工具下部(2)が、この工具上部(1)とこの工具下部(2)との間に設けられている前記複数の機能層(5)、前記少なくとも1つの絶縁層(4)、及び前記測定値エンコーダと一緒に前記ヒートプレス部(20)内で互いに押圧され且つ加熱され、測定値が、前記測定値エンコーダによって検出される当該方法において、
測定値及び/又は測定値から得られたデータが、前記製造方法ステップの進行中に製造制御装置(13)に伝送され、
前記測定値及び/又は前記測定値から得られたデータは、前記測定値エンコーダの測定量に対するプリセット値を基準として進行する前記製造方法ステップを監視するために及び/又は進行する前記製造方法ステップを制御するために前記製造制御装置(13)によって処理されることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記測定値は、前記製造制御装置(13)に少なくとも部分的に無線式に伝送されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記測定値は、ハイブリッド式に、すなわち少なくとも部分的に無線式に且つ部分的に有線式に又はケーブル接続式に伝送されることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記測定値は、有線式に又はケーブル接続式に前記工具から取り出されることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記測定値は、有線式に又はケーブル接続式に前記ヒートプレス部(20)からこのヒートプレス部(20)の外側に設けられている前記製造制御装置(13)に伝送されることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記測定値は、前記ヒートプレス部(20)内に配置された送信器からこの送信器と協働する受信装置(9)に無線式に伝送されることを特徴とする請求項2~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記送信器は、前記ヒートプレス部(20)内で流体によって冷却され、
冷却流体が、少なくとも1つの流体管(16,17)を通じて供給及び/又は排出されることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記送信器は、前記工具と一緒に又はこの工具の一部として前記ヒートプレス部(20)内へのこの工具の装填時に前記受信装置(9)に対して相対的に位置決め及び/又は配向されることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
温度及び/又は圧力及び/又は湿度値が、測定値として測定されることを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記測定値及び/又は前記測定値から得られたデータの処理時に、前記製造制御装置(13)によって、前記測定値及び/又は前記測定値から得られたデータが、記憶された基準値と比較され、
好ましくは前記プリセット値が、前記測定値エンコーダの測定量に対する基準値として当該比較で使用されることを特徴とする請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
進行する前記製造方法ステップの持続期間が、前記測定値及び/又は前記測定値から得られたデータに依存して決定され、及び/又は
進行する前記製造方法ステップは、進行する前記製造方法ステップの持続期間に対するプリセット値にわたって継続されるか又は前記製造方法ステップの持続期間に対するプリセット値に達する前に終了されることを特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記ヒートプレス部(20)が加熱される目標温度が、進行する前記製造方法ステップ中に前記測定値及び/又は前記測定値から得られたデータに依存して前記目標温度に対するプリセット値を介して上昇され、及び/又は前記目標温度に対するプリセット値とは異なって設定されることを特徴とする請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記ヒートプレス部(20)内の前記工具に印加される目標圧力が、進行する前記製造方法ステップ中に前記測定値及び/又は前記測定値から得られたデータに依存して前記目標圧力に対するプリセット値を介して上昇され、及び/又は前記目標圧力に対するプリセット値とは異なって設定されることを特徴とする請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多層プリント基板を製造するための方法に関する。この場合、最初に、製造方法ステップ中に、製造すべきプリント基板の複数の機能層と少なくとも1つの絶縁層とが、多分割式の工具の工具下部と工具上部との間に積層して配置され、少なくとも1つの測定値エンコーダが、工具上部と工具下部との間に、製造すべきプリント基板の少なくとも1つの機能層及び/又は絶縁層に接触するように配置される。さらに、装着方法ステップ中に、当該工具が、複数の機能層、少なくとも1つの絶縁層、及び当該測定値エンコーダと一緒にヒートプレス部内に装填され、さらに、製造方法ステップ中に、当該工具上部及び当該工具下部が、この工具上部とこの工具下部との間に設けられている複数の機能層、少なくとも1つの絶縁層、及び当該測定値エンコーダと一緒に当該ヒートプレス部内で互いに押圧され且つ加熱され、測定値が、当該測定値エンコーダによって検出される。
【背景技術】
【0002】
今日では、多層プリント基板は、一般に多段ヒートプレス機において製造される。この場合、製造方法の実験によるテスト中に、適切な工程パラメータが、多段ヒートプレス機を稼働させるために決定され、引き続く大量生産が、こうして実験により決定された工程パラメータを使用して実行される。当該必要なパラメータを実験によるテスト時に決定するため、最初に、銅を母材とした機能層と絶縁層とが、製造方法ステップ中に互いに重ねられる。温度センサが、測定値エンコーダとしてこれらの2つの層間に配置され、信号線が、この工具から引き出される。この場合、温度センサは、再使用され得ない使い捨てセンサを構成する。
【0003】
一般に、信号線の自由端部が、例えば接着テープによって工具の外側で一時的に固定される。このとき、装着された工具は、装着方法ステップ中に複数の別の工具と一緒に多段ヒートプレス機に装填される。この場合、工具下部が、この多段ヒートプレス機の加熱板上に設置され、この加熱板に対して配向又は位置決めされている。この加熱板は、当該工具のための支持体として使用される。工具上部が、この工具上部の上に配置された別の加熱板に離間して設けられている。当該別の加熱板は、一番上の加熱板を除いて、装着された別の工具を支持する。
【0004】
実験によるテスト中に測定値を算出し、方法パラメータを決定できるようにするため、信号線の自由端部が、それぞれの工具から取り外され、多段ヒートプレス機のヒートプレス部内にある複数の加熱板及び複数の工具と一緒に配置されているデータ記録ボックスに接続される。引き続き、このヒートプレス部は密封され、これらの加熱板は、引き続く製造方法ステップ中にこれらの工具が2つの加熱板間にサンドイッチ状に存在し、装着されたこれらの工具が加熱するように相互に作用する。この場合、当該工具内の機能層と絶縁層とが、加圧下で接合される。この工程中に、特に当該工具の内部の温度が、温度センサによって測定される。
【0005】
工程パラメータは、実験によるテスト中にオフラインで決定される。当該実験によるテスト中に、データだけが取得され、データ記録ボックスに収集される。その後に、当該データは処理され評価される。それ故に、実験によるテスト中に算出された測定値は、進行する製造方法ステップ中に制御介入又は調整介入するために使用されない。さらに、高温の多段ヒートプレス機内での個々の温度センサを手作業で装着することは、制限された許容空間と当該許容空間に及ぼす一般に100℃以上の温度とに起因して労力と時間を要し、機械運転者にとってはやけどを負うというリスクを伴う。
【0006】
例外的な場合には、上記の実験によるテストに関する方法は、プリント基板の大量生産中にも使用される。しかしながら、長時間を要する労力とこれに伴う高いコストとに起因して、この労力は、例外的な場合にだけ注力され、例えば、製造すべきプリント基板が安全性の重視される用途で使用され、それ故にユーザが当該生産の監視及び記録に対して特別な要求を課す場合に注力される。しかし、この場合でも、進行する製造方法ステップ中にオンライン介入のために測定値を使用することが実現されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、多層プリント基板を製造するための改良された方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題を解決するため、本発明は、請求項1の上位概念に関連して、測定値及び/又は測定値から得られたデータが、進行する製造方法ステップ中に製造制御装置に伝送され、当該測定値及び/又は当該測定値から得られたデータは、測定値エンコーダの測定量に対するプリセット値を基準として進行する製造方法ステップを監視するために及び/又は進行する製造方法ステップを制御するために当該製造制御装置によって処理されることによって解決される。
【0009】
本発明の特別な利点は、測定値をオンラインで検出し処理することによって、進行する製造方法ステップへの介入が可能になることにある。この製造方法ステップは、関連する工程パラメータ、例えばヒートプレス部若しくは工具の温度又は工具に印加される圧力に関して監視又は再調整され得る。これにより、工程の推移が、最適化され得て、場合によっては計画よりも早く終了され得る。結果として、工程時間又はサイクル期間が短縮され、スループットが向上され得る。このとき、向上されたスループットは、コストを直接的に低減し、製造個数を上昇させる。
【0010】
さらに、進行する製造方法ステップのより良好な監視によって、製造されたプリント基板が出荷され、市場に流通する前に、不具合を製造工程中に確認することを可能にする品質管理が実行され得る。これにより、製品の品質が向上され得る。さらに、不具合対策又は欠陥製品の回収のためのコストが減少する。特に安全が重視される用途の場合、製造記録に対する高い要求が保証され、故障のリスクが低減され得る。
【0011】
本発明の範囲内で説明されている製造制御装置及び/又は進行する製造方法ステップの制御では、制御装置及び調整装置又は制御介入及び調整介入が同様に含まれる。
【0012】
本発明によれば、測定値エンコーダによって得られた測定値自体及び/又は当該測定値から得られたデータが伝送され、進行する製造方法ステップの監視又は制御のために利用され得る。しかし、当該測定値から得られるデータの用語は、特に、測定値エンコーダの測定値の平滑化、圧縮、集合及び/又は数学的処理によって得られるデータを含むが、それ以外を排除するものではない。
【0013】
本発明の好適な実施の形態によれば、測定値エンコーダによって測定された測定値及び/又は当該測定値から得られたデータが、ハイブリッド式に、すなわち少なくとも部分的に無線式に伝送され、且つ部分的に有線式に又はケーブル接続式に伝送される。好ましくは、測定値及び/又は当該測定値から得られたデータの当該ハイブリッド式の伝送によって、製造の大まかな境界条件(rauen Randbedingungen)とロジスティック上の問題(logistischen Herausforderungen)を製造工程中に同様に充足することができる。例えば、測定値及び/又は当該測定値から得られたデータが、工具に付設された送信器からこの送信器と協働する受信装置に無線式に伝送され得る。受信装置は、ヒートプレス部に固定設置されているか、又はヒートプレス部の外側に多段ヒートプレス機の若しくは適切な別の製造装置の一部として固定設置されている。この場合、工具をヒートプレス部内に装着することによって、測定値エンコーダに関する従来の配線が省略される。これにより、装着時間が短縮され、機械運転者が測定値エンコーダの配線時にやけどを負うリスクが軽減される。同時に、工具の内部で得られた測定値が、無線式に又はケーブル接続式に送信器に到達され得る。これは、ヒートプレス部の温度と工具に作用する圧力とに対して同様にロバストであり且つエラーに頑強である。これに対して、測定値エンコーダは、使い捨てセンサとして再使用され得ないので、無線測定値エンコーダの使用及び工具からの測定値の無線式のデータ伝送は、非常に高価である。これに対して、例えば熱電対が、同時に測定値エンコーダと測定値エンコーダから送信器まで敷設された信号線を構成する場合は、当該構成は非常に低コストである。
【0014】
本発明の他の構成によれば、センサと協働する受信装置が、ヒートプレス部自体に配置されていて、測定値又は当該測定値から得られたデータが、ヒートプレス部からこのヒートプレス部の外側に設けられている製造制御装置に伝送される。好ましくは、これにより、送信器と受信装置とが、空間的に直ぐ近くに互いに配置されていることが保証され得る。これにより、当該無線式のデータ伝送は、ほとんどノイズなしに且つ少ない電力で実行され得る。同時に、受信装置から製造制御装置への別のデータ伝送が、有線式に又はケーブル接続式であり、製造境界条件に応じてロバストに構築されている。
【0015】
本発明の別の実施の形態によれば、受信装置が、ヒートプレス部の外側に設けられ得る。好ましくは、当該ヒートプレス部の外側の受信装置は、熱負荷をほとんど受けない。その結果、特に低コストの受信装置が使用され得る。
【0016】
本発明の別の構成によれば、ヒートプレス部内の送信器が、流体によって冷却される。この場合、冷却流体が、少なくとも1つの流体管を通じて供給又は排出される。冷却流体としては、例えば空気が使用され得て、好ましくは周囲空気が使用され得る。好ましくは、センサの熱負荷が、当該流体冷却によって軽減される。したがって、センサが損傷されない。
【0017】
本発明の他の構成によれば、温度、圧力又は湿度値が、測定値として測定される。好ましくは、これらの測定値は、プリント基板の品質又は機能性に関する情報のための基準を提供する。同時に、これらの測定値は、進行する製造方法ステップにオンラインで介入するために利用され得る。特に、進行する製造方法ステップにオンラインで作用することができることによって、プリント基板の品質又は機能性に不利に作用することなしに、工程時間又はサイクル時間を最小に短縮することができる。この場合、ヒートプレス部内の圧力及び/又は温度は、機能層と絶縁層とが希望通りに確実に互いに接合されるように維持され且つ調整される。
【0018】
本発明の別の構成によれば、ヒートプレス部が進行する製造方法ステップ中に加熱されなければならない目標温度及び/又は進行する製造方法ステップ中にヒートプレス部内で工具に印加される目標圧力が、当該進行する製造方法ステップ中に測定値及び/又は測定値から得られるデータに依存して当該目標温度又は当該目標圧力に対するプリセット値を介して増大され得るか又は再調整のために異なって調整され得る。同様にして、進行する製造方法ステップ中に推移する温度対時間プロファイル及び/又は圧力対時間プロファイルが、測定値及び/又は測定値から得られるデータに依存して適合又は変更ことが提唱され得る。
【0019】
本発明の他の利点、特徴及び詳細は、他の従属請求項及び以下の説明に記載されている。これらに記載されている特徴のそれぞれが、本発明にとって個別に重要であり得るか又は任意に組み合わせた状態で重要であり得る。図は、本発明を明確に例示するためだけに使用される。当該図は、特徴を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】多層プリント基板を製造するための、設置された多分割式工具と工具論理モジュールと測定伝送モジュールとを有する本発明の装置の斜視部分図である。この場合、当該工具の工具下部が、加熱板に設置されていて、測定値伝送モジュールの受信装置が、この加熱板に保持される。
【
図5】
図1による装置の分解図である。この場合、設置された多分割式工具に設置された工具論理モジュールを有するこの多分割式工具が、加熱板から離間させて示されている。
【
図6】製造制御装置を有する多段ヒートプレス機の一部としての本発明の装置の原理を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
多層プリント基板を製造するための本発明の装置は、工具下部2と工具上部1とを有する多分割式の工具と、測定値エンコーダと、この測定値エンコーダによって検出された測定値が信号線を介して供給される工具論理モジュール7とを含む。さらに、当該装置は、受信装置9と伝送装置10とを有する測定値伝送モジュール12と、当該測定値又は当該測定値から得られたデータをさらに送信するために使用されるデータ線14とを含む。測定値伝送モジュール12の受信装置9と伝送装置10とは、空間的に互いに分離されて配置されていて、主に電線11を介してデータ技術的に互いに接続されている。
【0022】
工具上部1と工具下部7とを有する工具、工具論理モジュール7、測定値エンコーダ及び測定値伝送モジュール12の受信装置9は、本発明の装置の所定の使用時に複数の加熱板3と一緒に多段ヒートプレス機のヒートプレス部20内に配置されている。測定値伝送モジュール12の伝送装置10と、データ線14を介して伝送装置10に接続されている多段ヒートプレス機の製造制御装置13とは、ヒートプレス部20の外側に設けられている。製造制御装置13、ヒートプレス部20及び加熱板3は、本発明の装置の一部ではない。しかしながら、これらは本発明の装置と一緒に多段ヒートプレス機に属する。
【0023】
多層プリント基板を製造する場合、最初に、製造方法の準備ステップで、製造すべきプリント基板の機能層5と絶縁層20とが、多段ヒートプレス機のヒートプレス部20の外側で、工具内で交互に配置され、工具上部1と工具下部2との間に積層される。本発明のこの実施の形態では、当該積層中に、本発明の装置の測定値エンコーダと信号線とを同時に構成する全部で6つの熱電対6が、層4と層5との間に配置される。この場合、これらの熱電対6は、これらの熱電対6が後で切断によって製造すべき層構造体のプリント基板の外側に存在するように、好適には特に異なる層4と層5との間に配置される。
【0024】
熱電対6は、層構造体から工具論理モジュール7まで敷設され、この工具論理モジュール7に接触接続される。工具論理モジュール7は、ハウジング8と、送信器と、測定値を受け取り及び/又は記憶し及び/又は後処理するための別の機能構成要素とを含み、この工具論理モジュール7は、工具の工具下部2に固定されている。工具論理モジュール7の内部構造は、信号線を介して供給された測定値が送信器に到達するように構成されている。
【0025】
多層プリント基板の製造の準備中に、上記の方法で、複数の工具が、事前設定されるか又は予め組み立てられ、装着方法ステップ中に適切な操作手段によって、好ましくは自動化されて多段ヒートプレス機に搬送される。次いで、これらの工具は、それぞれの工具が当該それぞれの工具の工具下部2の下面をもって上から加熱板3上に当接され、この加熱板3に対して相対的に位置決めされるように、当該多段ヒートプレス機のヒートプレス部20に装填される。この場合、ヒートプレス部20内のこれらの加熱板3の数は、1つの加熱板3がそれぞれの工具下部2の下に設けられていて、さらにもう1つの加熱板3がヒートプレス部20内の一番上の工具の工具上部1の上に設けられるように有益に選択されている。
【0026】
これらの工具を多段ヒートプレス機のヒートプレス部20に装填する際に、送信器を有する工具論理モジュール7が、同様にヒートプレス部20内に設置された測定値伝送モジュール12の受信装置9に隣接して位置決めされる。この場合、工具論理モジュール7の送信器と測定伝送モジュール1の受信装置9との間の間隔は、測定値又は当該測定値から得られるデータを工具論理モジュール7の送信器から受信装置9に無線送信することが可能であるように、選択されている。
【0027】
無線送信は、実際の例としては近接場無線通信規格を使用して実行される。このとき、工具論理モジュール7の送信器は、例えばNFCコイル(NFC:近接場無線通信)を含み、測定値伝送モジュール12の受信装置9は、NFCリーダとして構成されているか又はNFCリーダを含む。この場合、NFCコイル及びNFCリーダは、測定値又は当該測定値から得られるデータが無線式に伝送又は交信されるように協働する。例えば、工具論理モジュール7のための電力供給が、NFC通信の枠内で測定値伝送モジュール12を介して実現されている。
【0028】
加熱板3に対してこれらの工具を位置決めするのと同時に、それぞれの工具に割り当てられた測定値伝送モジュール12の受信装置9に対するそれぞれの工具の送信器の位置決めを保証するために、支持本体19が、それぞれの加熱板3に設けられている。受信装置9が、支持本体19に固定されている。本発明のこの実施の形態では、支持本体19は、例示的に二重L字形又はZ字形の断面枠材によって形成されている。
【0029】
工具内に配置された機能層5及び絶縁層4を互に結合するため、ヒートプレス部20は、約180℃に加熱される。同時に、加熱板3同士が合わさるように走行され、こうしてこれらの層4,5同士が、これらの工具内で互いに加圧される。特に温度、圧力及び使用される機能層5及び絶縁層4の材料に依存して変化する特定の加熱時間後に、これらの層4,5は互いに強固に接合されている。この場合、隣接した複数の機能層5のそれぞれが、絶縁層4によって互いに分離されていて且つ互いに絶縁されている。複数の熱電対6が、層構造体に固定接続されている。これらの熱電対6は、使い捨てセンサとして再使用され得ない。
【0030】
工具論理モジュール7の機能構成要素、特に送信器を高温に対して保護するために、本発明の実施の形態では、工具論理モジュール7のための流体冷却部が実現されている。この流体冷却部は、2つの流体管16,17を含む。冷却流体が、これらの流体管を通じて供給され排出される。さらに、冷却流体のための流入口21及び流出口22が、工具論理モジュール7のハウジング8に設けられている。
【0031】
一方で流入口21及び流出口22を他方で流体管16,17に接続するために、工具論理モジュール7に面した側で支持本体19に固定されている接続スリーブ18が使用される。接続スリーブ18は、流体管16,17に接続されている。さらに、接続スリーブ18は、工具をヒートプレス部20に装填するときに、流入口21及び流出口22にあてがわれるように支持本体19に位置決めされている。この場合、接続スリーブ18は、弾性変形し得る。変形に起因して、十分に密な接続をもたらし、ほぼ耐漏洩性になるよう押圧力が提供される。
【0032】
冷却流体は、第1流体管16と第1接続スリーブ18とを介してハウジング8の流入口21に到達し、流出口22と第2接続スリーブ18と第2流体管17とを介して流出する。ハウジング8自体は、実質的には流路として使用され、流入口21と流出口22とを接続させる。こうして、工具論理モジュール7のハウジング8内に設置された機能構成要素が冷却される。
【0033】
冷却流体としては、例えば、ヒートプレス部20の外側から供給される周囲空気が使用され得る。
【0034】
本発明の装置を多段ヒートプレス機の一部として使用することによって、多層プリント基板の製造が改良され得る。熱電対によって測定された測定値及び/又は当該測定値から得られたデータが、多段ヒートプレス機の製造制御装置13にオンラインで、すなわち製造方法ステップの進行中に直接、供給され得る。製造制御装置13は、当該測定値及び/又は当該測定値から得られたデータに基づいて、進行する製造方法ステップへの介入が必要であるか否か、例えば、保持期間を延長若しくは短縮するか否か、又は温度若しくは圧力を再調整するか否かを判定できる。この場合、この製造制御装置は、特に、測定値及び/又は測定値から得られたデータを、記憶された及び/又は計算されたプリセット値と比較するように、特に、進行する製造方法ステップの持続期間に対するプリセット値と比較するように、又はヒートプレス部20が加熱される目標温度に対するプリセット値と比較するように、又はヒートプレス部20内の工具に印加される目標圧力に対するプリセット値と比較するように構成されている。さらに、測定値及び/又は測定値から得られたデータは、情報管理のために記憶され得る。
【0035】
同じ構成要素及び構成要素の機能は、同じ符号によって示されている。
【符号の説明】
【0036】
1 工具上部
2 工具下部
3 加熱板
4 絶縁層
5 機能層
6 熱電対
7 工具論理モジュール
8 ハウジング
9 受信装置
10 伝送装置
11 電線
12 測定値伝送モジュール
13 製造制御装置
14 データ線
16 流体管
17 流体管
18 接続スリーブ
19 支持本体
20 ヒートプレス部
21 流入口
22 流出口
X 細部
【手続補正書】
【提出日】2024-05-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多層プリント基板を製造するための方法であって、
最初に、製造方法ステップ中に、製造すべきプリント基板の複数の機能層(5)と少なくとも1つの絶縁層(4)とが、分割式の工具の工具下部(2)と工具上部(1)との間に積層して配置され、少なくとも1つの測定値エンコーダが、複合工具の工具下部(2)と工具上部(1)との間に、製造すべきプリント基板の少なくとも1つの機能層(5)及び/又は絶縁層(4)に接触するように配置され、
-次に、装着方法ステップ中に、前記工具が、前記複数の機能層(5)、前記少なくとも1つの絶縁層(4)、及び前記測定値エンコーダと一緒にヒートプレス部(20)内に装填され、
-さらに、製造方法ステップ中に、前記工具上部(1)及び前記工具下部(2)が、この工具上部(1)とこの工具下部(2)との間に設けられている前記複数の機能層(5)、前記少なくとも1つの絶縁層(4)、及び前記測定値エンコーダと一緒に前記ヒートプレス部(20)内で互いに押圧され且つ加熱され、測定値が、前記測定値エンコーダによって検出される当該方法において、
測定値及び/又は測定値から得られたデータが、前記製造方法ステップの進行中に製造制御装置(13)に伝送され、
前記測定値及び/又は前記測定値から得られたデータは、前記測定値エンコーダの測定量に対するプリセット値を基準として進行する前記製造方法ステップを監視するために及び/又は進行する前記製造方法ステップを制御するために前記製造制御装置(13)によって処理されることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記測定値は、前記製造制御装置(13)に少なくとも部分的に無線式に伝送されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記測定値は、ハイブリッド式に、すなわち少なくとも部分的に無線式に且つ部分的に有線式に又はケーブル接続式に伝送されることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記測定値は、有線式に又はケーブル接続式に前記工具から取り出されることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記測定値は、有線式に又はケーブル接続式に前記ヒートプレス部(20)からこのヒートプレス部(20)の外側に設けられている前記製造制御装置(13)に伝送されることを特徴とする請求項1~
3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記測定値は、前記ヒートプレス部(20)内に配置された送信器からこの送信器と協働する受信装置(9)に無線式に伝送されることを特徴とする請求項
1~
3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記送信器は、前記ヒートプレス部(20)内で流体によって冷却され、
冷却流体が、少なくとも1つの流体管(16,17)を通じて供給及び/又は排出されることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記送信器は、前記工具と一緒に又はこの工具の一部として前記ヒートプレス部(20)内へのこの工具の装填時に前記受信装置(9)に対して相対的に位置決め及び/又は配向されることを特徴とする請求項
6に記載の方法。
【請求項9】
温度及び/又は圧力及び/又は湿度値が、測定値として測定されることを特徴とする請求項1~
3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記測定値及び/又は前記測定値から得られたデータの処理時に、前記製造制御装置(13)によって、前記測定値及び/又は前記測定値から得られたデータが、記憶された基準値と比較され、
好ましくは前記プリセット値が、前記測定値エンコーダの測定量に対する基準値として当該比較で使用されることを特徴とする請求項1~
3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
進行する前記製造方法ステップの持続期間が、前記測定値及び/又は前記測定値から得られたデータに依存して決定され、及び/又は
進行する前記製造方法ステップは、進行する前記製造方法ステップの持続期間に対するプリセット値にわたって継続されるか又は前記製造方法ステップの持続期間に対するプリセット値に達する前に終了されることを特徴とする請求項1~
3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記ヒートプレス部(20)が加熱される目標温度が、進行する前記製造方法ステップ中に前記測定値及び/又は前記測定値から得られたデータに依存して前記目標温度に対するプリセット値を介して上昇され、及び/又は前記目標温度に対するプリセット値とは異なって設定されることを特徴とする請求項1~
3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記ヒートプレス部(20)内の前記工具に印加される目標圧力が、進行する前記製造方法ステップ中に前記測定値及び/又は前記測定値から得られたデータに依存して前記目標圧力に対するプリセット値を介して上昇され、及び/又は前記目標圧力に対するプリセット値とは異なって設定されることを特徴とする請求項1~
3のいずれか1項に記載の方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0035
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0035】
同じ構成要素及び構成要素の機能は、同じ符号によって示されている。
なお、本願は、特許請求の範囲に記載の発明に関するものであるが、他の態様として以下の構成も包含し得る。
1.
多層プリント基板を製造するための方法であって、
最初に、製造方法ステップ中に、製造すべきプリント基板の複数の機能層(5)と少なくとも1つの絶縁層(4)とが、分割式の工具の工具下部(2)と工具上部(1)との間に積層して配置され、少なくとも1つの測定値エンコーダが、複合工具の工具下部(2)と工具上部(1)との間に、製造すべきプリント基板の少なくとも1つの機能層(5)及び/又は絶縁層(4)に接触するように配置され、
-次に、装着方法ステップ中に、前記工具が、前記複数の機能層(5)、前記少なくとも1つの絶縁層(4)、及び前記測定値エンコーダと一緒にヒートプレス部(20)内に装填され、
-さらに、製造方法ステップ中に、前記工具上部(1)及び前記工具下部(2)が、この工具上部(1)とこの工具下部(2)との間に設けられている前記複数の機能層(5)、前記少なくとも1つの絶縁層(4)、及び前記測定値エンコーダと一緒に前記ヒートプレス部(20)内で互いに押圧され且つ加熱され、測定値が、前記測定値エンコーダによって検出される当該方法において、
測定値及び/又は測定値から得られたデータが、前記製造方法ステップの進行中に製造制御装置(13)に伝送され、
前記測定値及び/又は前記測定値から得られたデータは、前記測定値エンコーダの測定量に対するプリセット値を基準として進行する前記製造方法ステップを監視するために及び/又は進行する前記製造方法ステップを制御するために前記製造制御装置(13)によって処理される当該方法。
2.
前記測定値は、前記製造制御装置(13)に少なくとも部分的に無線式に伝送される上記1に記載の方法。
3.
前記測定値は、ハイブリッド式に、すなわち少なくとも部分的に無線式に且つ部分的に有線式に又はケーブル接続式に伝送される上記2に記載の方法。
4.
前記測定値は、有線式に又はケーブル接続式に前記工具から取り出される上記1~3のいずれか1つに記載の方法。
5.
前記測定値は、有線式に又はケーブル接続式に前記ヒートプレス部(20)からこのヒートプレス部(20)の外側に設けられている前記製造制御装置(13)に伝送される上記1~4のいずれか1つに記載の方法。
6.
前記測定値は、前記ヒートプレス部(20)内に配置された送信器からこの送信器と協働する受信装置(9)に無線式に伝送される上記2~5のいずれか1つに記載の方法。
7.
前記送信器は、前記ヒートプレス部(20)内で流体によって冷却され、
冷却流体が、少なくとも1つの流体管(16,17)を通じて供給及び/又は排出される上記6に記載の方法。
8.
前記送信器は、前記工具と一緒に又はこの工具の一部として前記ヒートプレス部(20)内へのこの工具の装填時に前記受信装置(9)に対して相対的に位置決め及び/又は配向される上記1~7のいずれか1つに記載の方法。
9.
温度及び/又は圧力及び/又は湿度値が、測定値として測定される上記1~8のいずれか1つに記載の方法。
10.
前記測定値及び/又は前記測定値から得られたデータの処理時に、前記製造制御装置(13)によって、前記測定値及び/又は前記測定値から得られたデータが、記憶された基準値と比較され、
好ましくは前記プリセット値が、前記測定値エンコーダの測定量に対する基準値として当該比較で使用される上記1~9のいずれか1つに記載の方法。
11.
進行する前記製造方法ステップの持続期間が、前記測定値及び/又は前記測定値から得られたデータに依存して決定され、及び/又は
進行する前記製造方法ステップは、進行する前記製造方法ステップの持続期間に対するプリセット値にわたって継続されるか又は前記製造方法ステップの持続期間に対するプリセット値に達する前に終了される上記1~10のいずれか1つに記載の方法。
12.
前記ヒートプレス部(20)が加熱される目標温度が、進行する前記製造方法ステップ中に前記測定値及び/又は前記測定値から得られたデータに依存して前記目標温度に対するプリセット値を介して上昇され、及び/又は前記目標温度に対するプリセット値とは異なって設定される上記1~11のいずれか1つに記載の方法。
13.
前記ヒートプレス部(20)内の前記工具に印加される目標圧力が、進行する前記製造方法ステップ中に前記測定値及び/又は前記測定値から得られたデータに依存して前記目標圧力に対するプリセット値を介して上昇され、及び/又は前記目標圧力に対するプリセット値とは異なって設定される上記1~12のいずれか1つに記載の方法。
【国際調査報告】