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特表2024-534353ヌクレオチド配列合成関連メトリックを生成するためのシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-20
(54)【発明の名称】ヌクレオチド配列合成関連メトリックを生成するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   G16B 30/00 20190101AFI20240912BHJP
   C12Q 1/6869 20180101ALI20240912BHJP
   C12N 15/113 20100101ALI20240912BHJP
   A61K 31/7105 20060101ALI20240912BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20240912BHJP
   A61K 9/51 20060101ALI20240912BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
G16B30/00
C12Q1/6869 Z
C12N15/113 Z
A61K31/7105
A61K9/48
A61K9/51
A61K48/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024515624
(86)(22)【出願日】2022-09-16
(85)【翻訳文提出日】2024-04-11
(86)【国際出願番号】 US2022043752
(87)【国際公開番号】W WO2023043972
(87)【国際公開日】2023-03-23
(31)【優先権主張番号】63/245,528
(32)【優先日】2021-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521126302
【氏名又は名称】ナットクラッカー セラピューティクス, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002848
【氏名又は名称】弁理士法人NIP&SBPJ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】べックウィス、ロビン
(72)【発明者】
【氏名】ドゥ―チュ、サミュエル
(72)【発明者】
【氏名】マッカートニー-メルスタッド、エヴァン
(72)【発明者】
【氏名】ナス、サンギータ
【テーマコード(参考)】
4B063
4C076
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4B063QA13
4B063QQ42
4B063QQ52
4B063QS39
4B063QS40
4B063QX10
4C076AA65
4C076AA95
4C084AA13
4C084MA37
4C084NA13
4C086AA04
4C086EA16
(57)【要約】
一例では、配列データ構造を受信し、複数のメトリックのうちの少なくとも1つの第1のメトリックを配列データ構造に適用して、少なくとも1つの第1のメトリックスコアを生成し、少なくとも1つの第1のメトリックスコアが第1の条件を満たすと決定し、少なくとも1つの第1のメトリックスコアが第1の条件を満たすことに応答して、複数のメトリックのうちの少なくとも1つの第2のメトリックを配列データ構造に適用して、少なくとも1つの第2のメトリックスコアを生成し、少なくとも1つの第1のメトリックスコア及び少なくとも1つの第2のメトリックスコアの指示を出力するための、1つ以上のプロセッサを備えるシステムが提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
核酸配列決定メトリックを生成する方法であって、
1つ以上のプロセッサによって、配列データ構造を受信することと、
前記1つ以上のプロセッサによって、複数のメトリックのうちの少なくとも1つの第1のメトリックを前記配列データ構造に適用して、少なくとも1つの第1のメトリックスコアを生成することと、
前記1つ以上のプロセッサによって、前記少なくとも1つの第1のメトリックスコアが第1の条件を満たすと決定することと、
前記1つ以上のプロセッサによって、前記少なくとも1つの第1のメトリックスコアが前記第1の条件を満たすと決定することに応答して、前記複数のメトリックのうちの少なくとも1つの第2のメトリックを前記配列データ構造に適用して、少なくとも1つの第2のメトリックスコアを生成することと、
前記1つ以上のプロセッサによって、前記少なくとも1つの第1のメトリックスコア及び前記少なくとも1つの第2のメトリックスコアの指示を出力することと
を含む、方法。
【請求項2】
前記1つ以上のプロセッサによって、前記配列データ構造の少なくとも1つの固有分子インデックスを検出することと、
前記1つ以上のプロセッサによって、前記少なくとも1つの固有分子インデックスを使用して前記少なくとも1つの第2のメトリックスコアを生成することと
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記配列データ構造が、mRNAの配列決定からのものであり、前記少なくとも1つの第2のメトリックスコアを生成することが、前記配列データ構造に関連する誤差率を低減して前記mRNAの品質管理を行うように、前記少なくとも1つの第2のメトリックスコアを調整することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つの固有分子インデックスが、前記配列データ構造のi7インデックスに隣接する、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記1つ以上のプロセッサによって、前記配列データ構造の少なくとも1つの合成アダプタ配列を識別することと、
前記1つ以上のプロセッサによって、前記配列データ構造から前記少なくとも1つの合成アダプタ配列を除去することと、
前記1つ以上のプロセッサによって、前記少なくとも1つの合成アダプタ配列を除去することに応答して、前記少なくとも1つの合成アダプタ配列が除去された前記配列データ構造の複数の固有分子インデックスをマージすることと、
前記1つ以上のプロセッサによって、前記複数の固有分子インデックスをマージすることに応答して、ミスマッチ率を含むように前記少なくとも1つの第2のメトリックスコアを生成することと
を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記複数のメトリックの前記サブセットが、前記配列データ構造を生成するために使用されるフローセルの少なくとも1つのメトリックを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記1つ以上のプロセッサによって、前記少なくとも1つの第1のメトリックスコアが前記第1の条件を満たさないことに応答して失敗条件の指示を出力することを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記指示を出力することが、前記1つ以上のプロセッサによって、前記配列データ構造が検出される標的配列の合成を改変するための命令を含む前記指示を生成することを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記命令を使用して前記標的配列の合成を改変することを更に含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも1つの第2のメトリックスコアが標的ミスマッチ率を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記配列データ構造が、核酸の並行配列決定からのものである、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記指示を使用してmRNA治療薬を生成することを更に含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記指示を使用して前記mRNA治療薬を生成することが、前記1つ以上のプロセッサを使用して、前記指示を使用して前記mRNA治療薬のmRNAと前記mRNAの標的配列との間の差を低減するようにプロセッサチップの動作を制御することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
少なくとも1つのmRNAを少なくとも1つの送達ビヒクル組成物でカプセル化して、前記mRNA治療薬を形成することを更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記指示を含むレポートを生成することを更に含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記指示を使用して所定のmRNA生成プロセスを改変することを更に含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
配列データ構造を受信し、
複数のメトリックのうちの少なくとも1つの第1のメトリックを前記配列データ構造に適用して、少なくとも1つの第1のメトリックスコアを生成し、
前記少なくとも1つの第1のメトリックスコアが第1の条件を満たすと決定し、
前記少なくとも1つの第1のメトリックスコアが前記第1の条件を満たすことに応答して、前記複数のメトリックのうちの少なくとも1つの第2のメトリックを前記配列データ構造に適用して、少なくとも1つの第2のメトリックスコアを生成し、
前記少なくとも1つの第1のメトリックスコア及び前記少なくとも1つの第2のメトリックスコアの指示を出力するための、1つ以上のプロセッサを含む、システム。
【請求項18】
前記1つ以上のプロセッサが、
前記配列データ構造の少なくとも1つの固有分子インデックスを検出し、前記少なくとも1つの固有分子インデックスを使用して前記少なくとも1つの第2のメトリックスコアを生成するためのものである、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記1つ以上のプロセッサが、前記配列データ構造に関連する誤差率を低減するために、前記少なくとも1つの固有分子インデックスに関連するミスマッチを識別することによって、前記少なくとも1つの第2のメトリックスコアを生成するためのものである、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記少なくとも1つの分子インデックスが、前記配列データ構造のi7インデックスに隣接している、請求項18又は19に記載のシステム。
【請求項21】
前記1つ以上のプロセッサが、
前記配列データ構造の少なくとも1つの合成アダプタ配列を識別し、
前記配列データ構造から前記少なくとも1つの合成アダプタ配列を除去し、
前記少なくとも1つの合成アダプタ配列を除去することに応答して、前記少なくとも1つの合成アダプタ配列が除去される前記配列データ構造の複数の固有分子インデックスをマージし、
前記複数の固有分子インデックスをマージすることに応答して、ミスマッチ率を含むように前記少なくとも1つの第2のメトリックスコアを生成するためのものである、請求項1~20のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項22】
前記メトリックのサブセットが、前記配列データ構造を生成するために使用されるフローセルの少なくとも1つのメトリックを含む、請求項17~21のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項23】
前記1つ以上のプロセッサが、前記少なくとも1つの第1のメトリックスコアが前記第1の条件を満たさないことに応答して、失敗条件の指示を出力するためのものである、請求項17~22のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項24】
前記1つ以上のプロセッサが、前記配列データ構造が検出される標的配列の合成を改変するための命令を含むように前記指示を生成するためのものである、請求項17~23のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項25】
前記1つ以上のプロセッサが、前記命令を使用して前記標的配列を合成するようにプロセッサチップの動作を制御するためのものである、請求項24に記載のシステム。
【請求項26】
前記少なくとも1つの第2のメトリックスコアが標的ミスマッチ率を含む、請求項17~25のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項27】
前記配列データ構造が、核酸の並行配列決定からのものである、請求項17~26のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項28】
前記1つ以上のプロセッサが、前記指示を使用してmRNA治療薬を生成するようにプロセッサチップの動作を制御するためのものである、請求項17~27のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項29】
前記1つ以上のプロセッサが、前記指示を使用して、前記mRNAと前記mRNAの標的配列との間の差を低減するように、前記プロセッサチップの動作を制御するためのものである、請求項28に記載のシステム。
【請求項30】
前記1つ以上のプロセッサが、少なくとも1つのmRNAを少なくとも1つの送達ビヒクル組成物でカプセル化して、前記mRNA治療薬を形成するプロセスを実行するためのものである、請求項28に記載のシステム。
【請求項31】
前記1つ以上のプロセッサが、前記指示を含むレポートを生成するためのものである、請求項17~30のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項32】
前記1つ以上のプロセッサが、前記指示を使用して、所定のmRNA生成プロセスを改変するためのものである、請求項17~31のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項33】
標的配列を含むフローセルに基づいて配列データ構造を生成するためのシーケンサと、
請求項17~32のいずれか一項に記載のシステムと
を含む、配列決定装置。
【請求項34】
1つ以上のプロセッサによって実行されると、前記1つ以上のプロセッサに、
配列データ構造を受信させ、
複数のメトリックのうちの少なくとも1つの第1のメトリックを前記配列データ構造に適用して、少なくとも1つの第1のメトリックスコアを生成させ、
前記少なくとも1つの第1のメトリックスコアが第1の条件を満たすと決定させ、
前記少なくとも1つの第1のメトリックスコアが前記第1の条件を満たすことに応答して、前記複数のメトリックのうちの少なくとも1つの第2のメトリックを前記配列データ構造に適用して、少なくとも1つの第2のメトリックスコアを生成させ、
前記少なくとも1つの第1のメトリックスコア及び前記少なくとも1つの第2のメトリックスコアの指示を出力させるプロセッサ可読命令を含む、非一時的プロセッサ可読媒体。
【請求項35】
前記1つ以上のプロセッサに、
前記配列データ構造の少なくとも1つの固有分子インデックスを検出させ、
前記少なくとも1つの固有分子インデックスを使用して前記少なくとも1つの第2のメトリックスコアを生成させる命令を更に含む、請求項34に記載のプロセッサ可読媒体。
【請求項36】
前記1つ以上のプロセッサに、前記配列データ構造に関連する誤差率を低減するように前記少なくとも1つの第2のメトリックスコアを調整することによって、前記少なくとも1つの第2のメトリックスコアを生成させる命令を更に含む、請求項35に記載のプロセッサ可読媒体。
【請求項37】
前記少なくとも1つの分子インデックスが、前記配列データ構造のi7インデックスに隣接している、請求項35又は36に記載のプロセッサ可読媒体。
【請求項38】
前記1つ以上のプロセッサに、
前記配列データ構造の少なくとも1つの合成アダプタ配列を識別させ、
前記配列データ構造から前記少なくとも1つの合成アダプタ配列を除去させ、
前記少なくとも1つの合成アダプタ配列を除去することに応答して、前記少なくとも1つの合成アダプタ配列が除去される前記配列データ構造の複数の固有分子インデックスをマージさせ、
前記複数の固有分子インデックスをマージすることに応答して、ミスマッチ率を含むように前記少なくとも1つの第2のメトリックスコアを生成させる命令を更に含む、請求項34~37のいずれか一項に記載のプロセッサ可読媒体。
【請求項39】
前記メトリックのサブセットが、前記配列データ構造を生成するために使用されるフローセルの少なくとも1つのメトリックを含む、請求項34~38のいずれか一項に記載のプロセッサ可読媒体。
【請求項40】
前記1つ以上のプロセッサに、前記少なくとも1つの第1のメトリックスコアが前記第1の条件を満たさないことに応答して失敗条件の指示を出力させる命令を更に含む、請求項34~39のいずれか一項に記載のプロセッサ可読媒体。
【請求項41】
前記1つ以上のプロセッサに、前記配列データ構造が検出される標的配列の合成を改変することを示す前記指示を生成させる命令を更に含む、請求項34~40のいずれか一項に記載のプロセッサ可読媒体。
【請求項42】
前記1つ以上のプロセッサに、前記指示を使用して前記標的配列を合成するためにプロセッサチップの動作を制御させる命令を更に含む、請求項41に記載のプロセッサ可読媒体。
【請求項43】
前記少なくとも1つの第2のメトリックスコアが標的ミスマッチ率を含む、請求項34~42のいずれか一項に記載のプロセッサ可読媒体。
【請求項44】
前記配列データ構造が、核酸の並行配列決定からのものである、請求項34~43のいずれか一項に記載のプロセッサ可読媒体。
【請求項45】
前記1つ以上のプロセッサに、前記指示を使用してmRNA治療薬を生成するようにプロセッサチップの動作を制御させる命令を更に含む、請求項34~44のいずれか一項に記載のプロセッサ可読媒体。
【請求項46】
前記1つ以上のプロセッサに、前記指示を使用して前記mRNA治療薬のmRNAと前記mRNAの標的配列との間の差を低減するように前記プロセッサチップの動作を制御させる命令を更に含む、請求項45に記載のプロセッサ可読媒体。
【請求項47】
前記1つ以上のプロセッサに、少なくとも1つのmRNAを少なくとも1つの送達ビヒクル組成物でカプセル化して前記mRNA治療薬を形成するプロセスを実行させる命令を更に含む、請求項45に記載のプロセッサ可読媒体。
【請求項48】
前記1つ以上のプロセッサに、前記指示を含むレポートを生成させる命令を更に含む、請求項34~47のいずれか一項に記載のプロセッサ可読媒体。
【請求項49】
前記1つ以上のプロセッサに、前記指示を使用して所定のmRNA生成プロセスを改変させる命令を更に含む、請求項34~48のいずれか一項に記載のプロセッサ可読媒体。
【請求項50】
システムであって、
前記システムに取り外し可能に挿入される、核酸を生成するためのプロセッサチップと、
標的配列に対する前記核酸に関連する配列データ構造の誤差の指示を受信し、
前記指示を使用して前記マイクロ流体経路デバイスの動作を制御するための1つ以上のプロセッサを備えるコントローラと
を備える、システム。
【請求項51】
前記コントローラが、前記指示を使用して、前記配列データ構造と前記標的配列との間の差を低減するように前記プロセッサチップの動作を制御するためのものである、請求項50に記載のシステム。
【請求項52】
前記コントローラが、前記指示を使用して、
前記誤差と、前記核酸を生成するために使用される複数の試薬のうちの特定の試薬との間の関連を識別することと、
前記プロセッサチップに、前記核酸を生成するために使用される前記特定の試薬の量を改変させることと
によって、前記プロセッサチップの動作を制御するためのものである、請求項50又は51に記載のシステム。
【請求項53】
前記コントローラが、前記指示を使用して、
前記誤差に関連する前記配列データ構造の少なくとも1つのヌクレオチドデータ要素を識別することと、
前記識別された少なくとも1つのヌクレオチドデータ要素に関連する前記マイクロ流体経路デバイスの経路、又は前記少なくとも1つのヌクレオチドデータ要素に関連する前記核酸を生成するプロセス工程のうちの少なくとも1つを識別することと、
前記プロセッサチップに、前記核酸の生成を改変するために、前記識別された経路又は前記識別されたプロセス工程のうちの前記少なくとも1つの使用を改変させることと
によって、前記プロセッサチップの動作を制御するためのものである、請求項50~52のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項54】
前記コントローラが、前記プロセッサチップに、前記識別されたプロセス工程に関連する温度、前記識別されたプロセス工程に関連する圧力、又は前記識別されたプロセス工程に関連する試薬の流量のうちの少なくとも1つを改変することによって、前記識別されたプロセス工程を改変させるためのものである、請求項53に記載のシステム。
【請求項55】
前記コントローラが、前記指示を使用して、
前記指示から、前記誤差が特定の汚染物質に関連すると決定することと、
前記プロセッサチップに、前記核酸から前記特定の汚染物質を除去することを目的として、前記プロセッサチップの精製経路に前記核酸を提供させることと
によって、前記プロセッサチップの動作を制御するためのものである、請求項50~54のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項56】
前記核酸が第1の核酸であり、
前記プロセッサチップが、前記第1の核酸及び少なくとも1つの第2の核酸を含む生成物を生成し、
前記コントローラが、前記指示を使用して、
前記指示から、前記第1の核酸の前記少なくとも1つの第2の核酸に対する比と、前記第1の核酸の前記少なくとも1つの第2の核酸に対する目標比との間の差を決定することと、
前記差を低減するように前記プロセッサチップの動作を改変することと
によって、前記プロセッサチップの動作を制御するためのものである、
請求項50~55のいずれか一項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2021年9月17日に出願された米国仮出願第63/245528号の利益及び優先権を主張し、その開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
mRNA配列などのヌクレオチド配列は、様々な特性を有するように製造することができる。製造プロセスにおいて誤差が生じる可能性があり、その結果、製造されたヌクレオチド配列が標的配列と一致しなくなる可能性がある。
【発明の概要】
【0003】
本明細書で提供されるいくつかの例は、一般にヌクレオチド配列の分野に関する。より詳細には、本開示は、ヌクレオチド配列合成関連メトリックを生成するためのシステム及び方法に関する。
【0004】
少なくとも1つの態様は、核酸配列決定メトリックを生成する方法に関する。本方法は、1つ以上のプロセッサを使用して、配列データ構造を受信することと、1つ以上のプロセッサを使用して、複数のメトリックのうちの少なくとも1つの第1のメトリックを配列データ構造に適用して、少なくとも1つの第1のメトリックスコアを生成することと、1つ以上のプロセッサを使用して、少なくとも1つの第1のメトリックスコアが第1の条件を満たすと決定することと、1つ以上のプロセッサを使用して、少なくとも1つの第1のメトリックスコアが第1の条件を満たすと決定することに応答して、複数のメトリックのうちの少なくとも1つの第2のメトリックを配列データ構造に適用して、少なくとも1つの第2のメトリックスコアを生成することと、1つ以上のプロセッサを使用して、少なくとも1つの第1のメトリックスコア及び少なくとも1つの第2のメトリックスコアの指示を出力することとを含むことができる。
【0005】
本方法は、1つ以上のプロセッサによって、配列データ構造の少なくとも1つの固有分子インデックスを検出することと、1つ以上のプロセッサによって、少なくとも1つの固有分子インデックスを使用して少なくとも1つの第2のメトリックスコアを生成することとを含むことができる。
【0006】
少なくとも1つの第2のメトリックスコアを生成することは、配列データ構造に関連する誤差率を低減するように少なくとも1つの第2のメトリックスコアを調整することを含むことができる。
【0007】
少なくとも1つの固有分子インデックスは、配列データ構造のi7インデックスに隣接することができる。
【0008】
本方法は、1つ以上のプロセッサによって、配列データ構造の少なくとも1つの合成アダプタ配列を識別することと、1つ以上のプロセッサによって、配列データ構造から少なくとも1つの合成アダプタ配列を除去することと、1つ以上のプロセッサによって、少なくとも1つの合成アダプタ配列を除去することに応答して、少なくとも1つの合成アダプタ配列が除去された配列データ構造の複数の固有分子インデックスをマージすることと、1つ以上のプロセッサによって、複数の固有分子インデックスをマージすることに応答して、ミスマッチ率を含むように少なくとも1つの第2のメトリックスコアを生成することとを含むことができる。
【0009】
複数のメトリックのサブセットは、配列データ構造を生成するために使用されるフローセルの少なくとも1つのメトリックを含むことができる。
【0010】
本方法は、1つ以上のプロセッサによって、少なくとも1つの第1のメトリックスコアが第1の条件を満たさないことに応答して、失敗条件の指示を出力することを含むことができる。
【0011】
指示を出力することは、1つ以上のプロセッサによって、配列データ構造が検出される標的配列の合成を改変するための命令を含むように指示を生成することを含むことができる。
【0012】
本方法は、命令を使用して標的配列の合成を改変することを含むことができる。
【0013】
少なくとも1つの第2のメトリックスコアは、標的ミスマッチ率を含むことができる。
【0014】
配列データ構造は、核酸の並行配列決定からのものであることができる。
【0015】
本方法は、指示を使用してmRNA治療薬を生成することを含むことができる。
【0016】
指示を使用してmRNA治療薬を生成することは、1つ以上のプロセッサを使用して、指示を使用して、mRNA治療薬のmRNAとmRNAの標的配列との間の差を低減するようにプロセッサチップの動作を制御することを含むことができる。
【0017】
本方法は、少なくとも1つのmRNAを少なくとも1つの送達ビヒクル組成物でカプセル化して、mRNA治療薬を形成することを含むことができる。
【0018】
本方法は、指示を含むレポートを生成することを含むことができる。
【0019】
本方法は、指示を使用して所定のmRNA生成プロセスを改変することを含むことができる。
【0020】
少なくとも1つの態様は、システムに関する。システムは、配列データ構造を受信し、複数のメトリックのうちの少なくとも1つの第1のメトリックを配列データ構造に適用して、少なくとも1つの第1のメトリックスコアを生成し、少なくとも1つの第1のメトリックスコアが第1の条件を満たすと決定し、少なくとも1つの第1のメトリックスコアが第1の条件を満たすことに応答して、複数のメトリックのうちの少なくとも1つの第2のメトリックを配列データ構造に適用して、少なくとも1つの第2のメトリックスコアを生成し、少なくとも1つの第1のメトリックスコア及び少なくとも1つの第2のメトリックスコアの指示を出力するための、1つ以上のプロセッサを含むことができる。
【0021】
1つ以上のプロセッサは、配列データ構造の少なくとも1つの固有分子インデックスを検出し、少なくとも1つの固有分子インデックスを使用して少なくとも1つの第2のメトリックスコアを生成するためのものであることができる。
【0022】
1つ以上のプロセッサは、配列データ構造に関連する誤差率を低減するように少なくとも1つの第2のメトリックスコアを調整することによって、少なくとも1つの第2のメトリックスコアを生成するためのものであることができる。
【0023】
少なくとも1つの分子インデックスは、配列データ構造のi7インデックスに隣接することができる。
【0024】
1つ以上のプロセッサは、配列データ構造の少なくとも1つの合成アダプタ配列を識別し、配列データ構造から少なくとも1つの合成アダプタ配列を除去し、少なくとも1つの合成アダプタ配列を除去することに応答して、少なくとも1つの合成アダプタ配列が除去された配列データ構造の複数の固有分子インデックスをマージし、複数の固有分子インデックスをマージすることに応答して、ミスマッチ率を含むように少なくとも1つの第2のメトリックスコアを生成するためのものであることができる。
【0025】
メトリックのサブセットは、配列データ構造を生成するために使用されるフローセルの少なくとも1つのメトリックを含むことができる。
【0026】
1つ以上のプロセッサは、少なくとも1つの第1のメトリックスコアが第1の条件を満たさないことに応答して、失敗条件の指示を出力するためのものであることができる。
【0027】
1つ以上のプロセッサは、配列データ構造が検出される標的配列の合成を改変するための命令を含むように指示を生成するためのものであることができる。
【0028】
1つ以上のプロセッサは、命令を使用して標的配列を合成するようにプロセッサチップの動作を制御するためのものであることができる。
【0029】
少なくとも1つの第2のメトリックスコアは、標的ミスマッチ率を含むことができる。
【0030】
配列データ構造は、核酸の並行配列決定からのものであることができる。
【0031】
1つ以上のプロセッサは、指示を使用してmRNA治療薬を生成するようにプロセッサチップの動作を制御するためのものであることができる。
【0032】
1つ以上のプロセッサは、少なくとも1つのmRNAを少なくとも1つの送達ビヒクル組成物でカプセル化してmRNA治療薬を形成するプロセスを実行するためのものであることができる。
【0033】
1つ以上のプロセッサは、指示を含むレポートを生成するためのものであることができる。
【0034】
1つ以上のプロセッサは、指示を使用して所定のmRNA生成プロセスを改変するためのものであることができる。
【0035】
少なくとも1つの態様は、配列決定装置に関する。配列決定装置は、標的配列を含むフローセルに基づいて配列データ構造を生成するためのシーケンサと、配列データ構造を受信し、複数のメトリックのうちの少なくとも1つの第1のメトリックを配列データ構造に適用して、少なくとも1つの第1のメトリックスコアを生成し、少なくとも1つの第1のメトリックスコアが第1の条件を満たすと決定し、少なくとも1つの第1のメトリックスコアが第1の条件を満たすことに応答して、複数のメトリックのうちの少なくとも1つの第2のメトリックを配列データ構造に適用して、少なくとも1つの第2のメトリックスコアを生成し、少なくとも1つの第1のメトリックスコア及び少なくとも1つの第2のメトリックスコアの指示を出力するための、1つ以上のプロセッサとを含むことができる。
【0036】
1つ以上のプロセッサは、配列データ構造の少なくとも1つの固有分子インデックスを検出し、少なくとも1つの固有分子インデックスを使用して少なくとも1つの第2のメトリックスコアを生成するためのものであることができる。
【0037】
1つ以上のプロセッサは、配列データ構造に関連する誤差率を低減するように少なくとも1つの第2のメトリックスコアを調整することによって、少なくとも1つの第2のメトリックスコアを生成するためのものであることができる。
【0038】
少なくとも1つの分子インデックスは、配列データ構造のi7インデックスに隣接することができる。
【0039】
1つ以上のプロセッサは、配列データ構造の少なくとも1つの合成アダプタ配列を識別し、配列データ構造から少なくとも1つの合成アダプタ配列を除去し、少なくとも1つの合成アダプタ配列を除去することに応答して、少なくとも1つの合成アダプタ配列が除去された配列データ構造の複数の固有分子インデックスをマージし、複数の固有分子インデックスをマージすることに応答して、ミスマッチ率を含むように少なくとも1つの第2のメトリックスコアを生成するためのものであることができる。
【0040】
メトリックのサブセットは、配列データ構造を生成するために使用されるフローセルの少なくとも1つのメトリックを含むことができる。
【0041】
1つ以上のプロセッサは、少なくとも1つの第1のメトリックスコアが第1の条件を満たさないことに応答して、失敗条件の指示を出力するためのものであることができる。
【0042】
1つ以上のプロセッサは、配列データ構造が検出される標的配列の合成を改変するための命令を含むように指示を生成するためのものであることができる。
【0043】
1つ以上のプロセッサは、命令を使用して標的配列を合成するようにプロセッサチップの動作を制御するためのものであることができる。
【0044】
少なくとも1つの第2のメトリックスコアは、標的ミスマッチ率を含むことができる。
【0045】
配列データ構造は、核酸の並行配列決定からのものであることができる。
【0046】
1つ以上のプロセッサは、指示を使用してmRNA治療薬を生成するようにプロセッサチップの動作を制御するためのものであることができる。
【0047】
1つ以上のプロセッサは、少なくとも1つのmRNAを少なくとも1つの送達ビヒクル組成物でカプセル化してmRNA治療薬を形成するプロセスを実行するためのものであることができる。
【0048】
1つ以上のプロセッサは、指示を含むレポートを生成するためのものであることができる。
【0049】
1つ以上のプロセッサは、指示を使用して所定のmRNA生成プロセスを改変するためのものであることができる。
【0050】
少なくとも1つの態様は、非一時的プロセッサ可読媒体に関する。コンピュータ可読媒体は、1つ以上のプロセッサによって実行されると、1つ以上のプロセッサに、配列データ構造を受信させ、複数のメトリックのうちの少なくとも1つの第1のメトリックを配列データ構造に適用して、少なくとも1つの第1のメトリックスコアを生成させ、少なくとも1つの第1のメトリックスコアが第1の条件を満たすと決定させ、少なくとも1つの第1のメトリックスコアが第1の条件を満たすことに応答して、複数のメトリックのうちの少なくとも1つの第2のメトリックを配列データ構造に適用して、少なくとも1つの第2のメトリックスコアを生成し、少なくとも1つの第1のメトリックスコア及び少なくとも1つの第2のメトリックスコアの指示を出力させるための、コンピュータ可読命令を含むことができる。
【0051】
プロセッサ可読媒体は、1つ以上のプロセッサに、配列データ構造の少なくとも1つの固有分子インデックスを検出させ、少なくとも1つの固有分子インデックスを使用して少なくとも1つの第2のメトリックスコアを生成させる命令を含むことができる。
【0052】
プロセッサ可読媒体は、1つ以上のプロセッサに、1つ以上のプロセッサが配列データ構造に関連する誤差率を低減するように少なくとも1つの第2のメトリックスコアを調整することによって、少なくとも1つの第2のメトリックスコアを生成するようにさせる命令を含むことができる。
【0053】
少なくとも1つの分子インデックスは、配列データ構造のi7インデックスに隣接することができる。
【0054】
プロセッサ可読媒体は、1つ以上のプロセッサに、配列データ構造の少なくとも1つの合成アダプタ配列を識別させ、配列データ構造から少なくとも1つの合成アダプタ配列を除去させ、少なくとも1つの合成アダプタ配列を除去することに応答して、少なくとも1つの合成アダプタ配列が除去される配列データ構造の複数の固有分子インデックスをマージさせ、複数の固有分子インデックスをマージすることに応答して、ミスマッチ率を含むように少なくとも1つの第2のメトリックスコアを生成させる命令を含むことができる。
【0055】
プロセッサ可読媒体は、1つ以上のプロセッサに、配列データ構造の少なくとも1つの固有分子インデックスを検出させ、少なくとも1つの固有分子インデックスを使用して少なくとも1つの第2のメトリックスコアを生成させる命令を含むことができる。
【0056】
プロセッサ可読媒体は、1つ以上のプロセッサに、配列データ構造に関連する誤差率を低減するように少なくとも1つの第2のメトリックスコアを調整することによって、少なくとも1つの第2のメトリックスコアを生成させる命令を含むことができる。
【0057】
少なくとも1つの分子インデックスは、配列データ構造のi7インデックスに隣接することができる。
【0058】
プロセッサ可読媒体は、1つ以上のプロセッサに、配列データ構造の少なくとも1つの合成アダプタ配列を識別させ、配列データ構造から少なくとも1つの合成アダプタ配列を除去させ、少なくとも1つの合成アダプタ配列を除去することに応答して、少なくとも1つの合成アダプタ配列が除去される配列データ構造の複数の固有分子インデックスをマージさせ、複数の固有分子インデックスをマージすることに応答して、ミスマッチ率を含むように少なくとも1つの第2のメトリックスコアを生成させる命令を含むことができる。
【0059】
メトリックのサブセットは、配列データ構造を生成するために使用されるフローセルの少なくとも1つのメトリックを含むことができる。
【0060】
プロセッサ可読媒体は、1つ以上のプロセッサに、少なくとも1つの第1のメトリックスコアが第1の条件を満たさないことに応答して、失敗条件の指示を出力させる命令を含むことができる。
【0061】
プロセッサ可読媒体は、1つ以上のプロセッサに、配列データ構造が検出される標的配列の合成を改変することを示す指示を生成させる命令を含むことができる。
【0062】
プロセッサ可読媒体は、1つ以上のプロセッサに、指示を使用して標的配列を合成するためにプロセッサチップの動作を制御させる命令を含むことができる。
【0063】
少なくとも1つの第2のメトリックスコアは、標的ミスマッチ率を含むことができる。
【0064】
配列データ構造は、核酸の並行配列決定からのものであることができる。
【0065】
プロセッサ可読媒体は、1つ以上のプロセッサに、指示を使用してmRNA治療薬を生成するようにプロセッサチップの動作を制御させる命令を含むことができる。
【0066】
プロセッサ可読媒体は、1つ以上のプロセッサに、指示を使用して、mRNA治療薬のmRNAとmRNAの標的配列との間の差を低減するようにプロセッサチップの動作を制御させる命令を含むことができる。
【0067】
プロセッサ可読媒体は、1つ以上のプロセッサに、少なくとも1つのmRNAを少なくとも1つの送達ビヒクル組成物でカプセル化してmRNA治療薬を形成するプロセスを実行させる命令を含むことができる。
【0068】
プロセッサ可読媒体は、1つ以上のプロセッサに、指示を含むレポートを生成させるための命令を含むことができる。
【0069】
プロセッサ可読媒体は、1つ以上のプロセッサに、指示を使用して所定のmRNA生成プロセスを改変させる命令を含むことができる。
【0070】
少なくとも1つの態様は、システムに関する。システムは、核酸を生成するためのマイクロ流体経路デバイスと、参照配列に対する核酸に関連する標的配列の誤差の指示を受信し、指示を使用してマイクロ流体経路デバイスの動作を制御するための1つ以上のプロセッサを含むコントローラとを含むことができる。
【0071】
コントローラは、指示を使用して、配列データ構造と標的配列との間の差を低減するようにプロセッサチップの動作を制御するためのものであることができる。
【0072】
コントローラは、指示を使用して、誤差と核酸を生成するために使用される複数の試薬のうちの特定の試薬との間の関連を識別し、プロセッサチップに核酸を生成するために使用される特定の試薬の量を改変させることによって、プロセッサチップの動作を制御するためのものであることができる。
【0073】
コントローラは、指示を使用して、指示から誤差が特定の汚染物質に関連することを決定し、プロセッサチップに、核酸から特定の汚染物質を除去するように標的化されたプロセッサチップの精製経路に核酸を提供させることによって、プロセッサチップの動作を制御するためのものであることができる。
【0074】
核酸は、第1の核酸であることができ、プロセッサチップは、第1の核酸及び少なくとも1つの第2の核酸を含む生成物を生成するためのものであることができ、コントローラは、指示を使用して、指示から第1の核酸の少なくとも1つの第2の核酸に対する比と第1の核酸の少なくとも1つの第2の核酸に対する目標比との間の差を決定し、差を低減するようにプロセッサチップの動作を改変することによって、プロセッサチップの動作を制御するためのものであることができる。
【0075】
これら及び他の態様及び実装形態を、以下で詳細に説明する。前述の情報及び以下の詳細な説明は、様々な態様及び実装形態の例示的な例を含み、特許請求される態様及び実装形態の性質及び特徴を理解するための概要又は枠組みを提供する。図面は、様々な態様及び実装形態の例示及び更なる理解を提供し、本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する。
【0076】
前述の概念及び以下でより詳細に論じられる追加の概念の全ての組み合わせは、本明細書で開示される本発明の主題の一部であると企図され、本明細書で説明される利益を達成するために任意の組み合わせで使用され得ることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0077】
図1】核酸製造システムの一例のブロック図である。
図2】核酸シーケンサの一例のブロック図である。
図3】核酸メトリックジェネレータの一例のブロック図である。
図4】核酸配列決定メトリックを生成する方法の一例のフロー図である。
図5】核酸製造システムの一例のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0078】
本明細書に記載されるシステム、装置、及び方法は、分析プロセス、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、配列決定、又は核酸(mRNAを含む)と核酸が合成されることが意図される標的配列との間の根底にある生物学的差から生じる誤差を含む、核酸の配列決定データにおける誤差を正確に検出するために使用することができる。例えば、誤差を識別及び除去するために、配列決定データから様々なメトリックを決定することができる。メトリックは、例えば配列決定誤差をより迅速に識別し、誤差に対処する行動を引き起こすために、失敗したサンプル又は配列決定ランを評価するために実行される計算を低減することによることを含めて、メトリック決定プロセスをより効率的にするために特定の順序で決定することができる。メトリック(及びメトリックを使用して検出された根底にある誤差)に応答して、メトリックを使用して核酸がどのように合成されるかを改変するなどの行動を引き起こすことができる。特定のメトリックは、核酸に含まれる固有分子インデックス(UMI)に基づいて決定することができ、これは、核酸と標的配列との間の分析的差を、核酸と生物学的差との間の生物学的差から区別することを容易にすることができる。例えば、mRNA製造品質管理は、同じUMIを有する核酸に対応する配列データを識別するためにUMIを使用し、配列データ構造から検出された誤差が、根底にある生物学的誤差ではなく分析誤差に対応することを決定することによって、実施及び改善することができる。
【0079】
A.ヌクレオチド配列の製造
mRNAを含む核酸などのヌクレオチド配列は、対象への治療的送達を含む様々な用途に使用するために製造又は合成することができる。例えば、mRNA治療薬などの治療薬は、ワクチン接種、免疫療法、タンパク質置換療法、組織リモデリング/再生、及び遺伝子編集による遺伝性疾患の処置を含む複数の処置法に使用することができる。mRNAは、特定の治療を行うための標的タンパク質などの標的タンパク質に対応する標的配列を有するように製造することができる。二本鎖DNA配列は、mRNAの転写(例えば、インビトロ転写(IVT)による)のための鋳型として使用することができる。
【0080】
図1は、核酸製造システム100の一例を示す。核酸製造システム100は、対象への治療的送達を含めた、標的mRNA配列を製造するために使用することができる。核製造システム100は、図5を参照して説明されるシステム500の1つ以上の構成要素を使用して実装することができる。
【0081】
核酸製造システム100は、マイクロ流体経路デバイス又はバイオチップなどの少なくとも1つのプロセッサチップ104を含むことができる。プロセッサチップ104は、試薬を受容して(例えば、流体チャネルを介して)、受容した試薬を使用して反応させて標的生成物106を生成する、複数の反応器を含むことができる。例えば、様々なプロセッサチップ104は、鋳型デバイス(例えば、標的mRNA配列に対応するDNA鋳型を生成するため)、IVTデバイス(例えば、標的mRNA配列を生成するため)、製剤デバイス(例えば、標的mRNA配列の薬物を生成するため)、又はそれらの様々な組み合わせとして動作することができる。プロセッサチップ104又は核酸製造システム100の他の構成要素は、例えば、少なくとも1つのmRNAを少なくとも1つの送達ビヒクル組成物でカプセル化してmRNA治療薬を形成することによって、mRNA治療薬を生成することができる。
【0082】
核酸製造システム100は、少なくとも1つのコントローラ108を含むことができる。コントローラ108は、プロセッサチップ104の動作を制御するように構成され得る。例えば、コントローラ108は、プロセッサチップ104によって実行される反応を制御するために、流量制御デバイス(例えば、ポンプ、弁)、加熱若しくは冷却要素若しくは流体流、光学要素、又は他の構成要素などの、プロセッサチップ104内に含まれるか又はそれと結合される様々な構成要素を制御することができる。コントローラ108は、センサ112からセンサデータを受信することと、センサデータを使用してプロセッサチップ104又はその構成要素の動作を制御することとを含む、本明細書に説明される様々な動作を行うために、コンピュータ可読命令を実行するように構成される(例えば、メモリに記憶される)1つ以上のプロセッサ及びメモリを含むことができる。
【0083】
核酸製造システム100は、少なくとも1つのセンサ112を含むことができる。少なくとも1つのセンサ112は、プロセッサチップ104、又は流体、試薬、若しくは生成物106などのプロセッサチップ104内の材料の、1つ以上のパラメータを検出することができる。
【0084】
コントローラ108は、本明細書で更に説明されるようなメトリックジェネレータ300によって決定された誤差の指示又はメトリックに基づくことを含む、生成物106の生成を制御するための様々な動作を実行することができる。例えば、コントローラ108は、少なくとも1つのセンサ112によって検出された指示又はパラメータのうちの少なくとも1つを使用して、プロセッサチップ104(又はその構成要素)の動作を制御することができる。コントローラ108は、プロセッサチップ104の動作を制御して、温度、圧力、試薬の流量、試薬の導入時間、試薬の反応若しくは混合の持続時間、又はプロセッサチップ104の1つ以上の経路で実行される様々な他のプロセス工程を制御することができる。
【0085】
コントローラ108は、プロセッサチップ104の動作を制御して、指示(メトリックジェネレータ300によって生成される)から識別される誤差(例えば、誤差に関連する汚染物質を識別することに基づくことを含む)を低減することができる。例えば、コントローラ108は、(試薬又は生成物106を生成するためにUMIが導入された経路に遡ることができる)誤差に関連する生成物106の材料に関連する1つ以上のUMIに基づくなどして、誤差に関連する特定の試薬又は生成物106のヌクレオチドを識別する命令を識別又は受信することができる。コントローラ108は、誤差に関連するプロセッサチップ104の特定のプロセス工程又は経路を識別する命令を識別又は受信し、特定のプロセス工程若しくは経路を使用しないようにプロセッサチップ104の動作を改変するか、又は特定のプロセス工程若しくは経路で使用される試薬の流量を低減することができる。コントローラ108は、誤差に関連する生成物106の特定の汚染物質を識別する命令を識別又は受信し、プロセッサチップ104に、汚染物質を除去するために生成物106を精製経路に提供させることができる。例えば、コントローラ108は、特定の汚染物質のタイプを識別する命令を識別又は受信し、汚染物質を除去するために実行される精製のタイプを識別する命令を(例えば、コントローラ108のメモリ内に維持されるルックアップテーブル又は他の論理若しくはヒューリスティックデータ構造から)識別又は受信し、プロセッサチップ104に、汚染物質を除去するために生成物106を識別された精製経路を通して流させることができる。コントローラ108は、生成物106の核酸の目標比を識別する命令を識別又は受信し、(誤差又は誤差に関連するメトリックから)生成物106の目標比と実際の比との間の差を決定し、差を低減するようにプロセッサチップ104の動作を改変することができる。コントローラ108は、例えば生成物106の生成を反復的に更新して生成物106の標的メトリック又は仕様を達成するために、メトリックジェネレータ300から受信したデータ、又はメトリックジェネレータ300によって出力されたデータを使用して決定された命令を使用して、様々な制御フロー及びフィードバックループにおいて生成物106の生成を制御することができる。
【0086】
B.核酸配列決定
例えば、DNAサンプル、mRNAサンプル、又は核酸を有する薬物製品であり得る生成物106の特徴を評価するために、生成物106は配列決定を受けることができる。
【0087】
図2は、シーケンサ200の一例を示す。シーケンサ200は、(例えば、複数の核酸を並行して配列決定することによって)並行配列決定を行うシーケンサなどの次世代配列決定(NGS)システムであり得る。シーケンサ200は、本明細書に記載される核酸製造システム100及びメトリックジェネレータ300とは別個のデバイスとして実装され得る。シーケンサ200は、生成物106を入力として受信し、生成物106を表す少なくとも1つの配列データ構造204を出力することができる。配列データ構造204は、生成物106の核酸のヌクレオチド及びヌクレオチドの順序を表すことができる、複数のヌクレオチドデータ要素208を含むことができる。
【0088】
シーケンサ200は、フローセル、増幅、染色(例えば、蛍光染料)、又はそれらの様々な組み合わせを使用するなど、生成物106のヌクレオチドを検出して配列データ構造204に割り当てるための様々な動作を実行することができる。シーケンサ200は、生成物106の各ヌクレオチドを識別することができ、ヌクレオチドを配列データ構造204のそれぞれのデータ要素208に割り当てるように構成された1つ以上のプロセッサ及びメモリを含むことができる。
【0089】
固有分子インデックス(UMI)(又は固有分子識別子)を生成物106に適用(例えば、ライゲーション)して、ライブラリ調製物の出発分子を固有にタグ付けすることができる。UMIは、PCRが分子に適用される前などの生成物106を配列決定する他の動作の前に、生成物106の分子にライゲーションすることができるヌクレオチドの無作為な鎖であってもよい。UMIを適用して、分子の1つ以上の核酸鎖を標識することができ、例えば、UMIを使用して二本鎖配列決定を容易にし、別個のUMIを使用して各核酸鎖のタグ付けを容易にすることができる(これにより、特定の核酸鎖について誤差を検出することができる)。
【0090】
C.核酸配列メトリック生成
上述したように、生成物106の実際の配列に対する配列データ構造204の誤差(例えば、計算誤差、PCR誤差、及び/又は配列決定誤差などの分析差)、並びに生成物106を製造する際に合成されることが意図される標的配列に対する生成物106の誤差(例えば、生物学的誤差)の様々な原因が存在し得る。例えば、生成物106は、誤って組み込まれたDNA/RNA塩基又は汚染DNA若しくは他の可能性のある汚染物質を有する可能性がある。配列データ構造204は、増幅バイアス又は配列決定誤差などの要因、例えば、配列決定システム200によって検出される、配列データ構造204に含まれるが基礎となる生成物106中の真の又は実際の塩基を表さない塩基などの影響を受けやすい可能性があり、これは、例えば、配列決定システム200によって実行される合成プロセスによる配列決定がクラスタ内のクローンコピー内で同期しなくなることから生じる可能性があり、その結果、クラスタ内のいくつかの分子が不正確なシグナルを伝達し、ノイズを増加させ、蛍光シグナルを塩基コールに割り当てる際の精度を低下させる可能性がある。
【0091】
本開示によるシステム及び方法は、1つ以上のそのような誤差に対応する配列データ構造204の1つ以上のメトリックを決定することによって、配列データ構造204及び生成物106の様々なそのような計算誤差及び生物学的誤差に対処することができ、配列データ構造204のより正確な生成を可能にする。メトリックは、特定の順序で選択的に決定することができ、メトリックを生成するために費やされる計算リソースを低減する。メトリックは、生成物106がどのように合成されるかを改変すること、配列データ構造204がどのように生成されるかを改変すること、又はそれらの様々な組み合わせなどの行動を引き起こすために使用することができ、生成物106が標的配列により密接に類似する(例えば、標的配列において意図されるものとは異なる塩基などの誤差を有さない)ように生成物106を生成することを可能にする。例えば、メトリックは、様々な品質管理行動のために使用することができる。
【0092】
図3は、メトリックジェネレータ300の一例を示す。メトリックジェネレータ300は、配列データ構造204に基づいてメトリックを生成するなどの、核酸に関するメトリックを正確且つ効率的に生成するための本明細書に記載される様々なプロセスを実行するために使用することができる。メトリックジェネレータ300は、サンプル中の合成された核酸がそれぞれの標的配列と異なる程度、複数の標的配列が意図される場合、サンプル中の標的配列の相対比、並びにサンプル中の外因性核酸汚染物質の出現率及び分類構成などの、(例えば、配列データ構造204が検出される生成物106の)1つ以上の核酸のサンプルの特徴を評価するために使用することができる。配列メトリック生成システム300は、例えば分析ノイズを低減するために、増幅前にUMIタグをライブラリ分子にライゲーションすること、及び重複リード対をマージして配列決定誤差を見つけて解決することを含む、配列データ構造204に表される誤差を低減するための行動を引き起こすか、又はそれを実装することができる。メトリックジェネレータ300は、本明細書で説明する様々な動作を実行するためのコンピュータ可読命令を実行するように構成された1つ以上のプロセッサ及びメモリを含むことができる。
【0093】
メトリックジェネレータ300は、配列データ構造204を受信することができる。例えば、メトリックジェネレータ300は、配列データ構造204を送信され得るか、又は配列データ構造204が記憶若しくは維持される1つ以上のデータベースにアクセスすることができる。
【0094】
メトリックジェネレータ300は、複数のメトリック304のうちの1つ以上のメトリック304を配列データ構造204に適用して、メトリック304に対するそれぞれのメトリックスコア308を生成することができ、メトリックスコア308の指示312を出力することができる。
【0095】
メトリック304は、メトリックジェネレータ300のプロセッサ及びメモリによって実装され、配列データ構造204(又は配列データ構造204のデータの一部)を受信し、配列データ構造204の受信に応答して出力を生成することができる、1つ以上の関数、計算、方程式、アルゴリズム、フィルタ、ルール、ヒューリスティック、ポリシー、論理、又は他の動作であり得る。本明細書に更に記載されるように、メトリックジェネレータ300は、特定の順序などで、メトリック304を配列データ構造204に選択的に適用し、適用されたメトリック304がそれぞれの条件(例えば、閾値)を満たさないことに応答して、メトリック適用を中断するか、又は別様に誤差を出力することができ、これにより、メトリックジェネレータ300は、配列データ構造204をより効率的に(例えば、より少ない計算リソースを使用して)処理して、配列データ構造204を生成するために使用される配列決定プロセスの分析誤差又は生成物106の生物学的誤差のうちの少なくとも1つを識別及び補正することができる。
【0096】
メトリック304は、少なくとも1つの前処理メトリック320を含むことができる。前処理メトリック320は、更なる評価のために配列データ構造204のデータを準備するために使用され得る、様々なフィルタ、メタデータ抽出器、又は他のメトリックを含むことができる。前処理メトリック320は、配列データ構造204を解析して、配列データ構造204を予想ファイルテンプレート(例えば、XMLメタデータファイルなどの予想ファイルのリスト)と比較することができるファイル整合性チェックメトリック320を含むことができる。配列データ構造204が予期されるファイルテンプレートと一致しない(例えば、予期されるファイル又はメタデータが欠落している)ことを示す比較に応答して、メトリックジェネレータ300は、誤差を出力することができる。
【0097】
メトリック304は、少なくとも1つのシーケンサメトリック324を含むことができる。シーケンサメトリック324は、配列データ構造204を生成するために、生成物106に対して実行される配列決定プロセスに関する配列データ構造204の特徴を評価することができる。例えば、シーケンサメトリック324は、フローセルが期限切れであるかどうか、フローセルが再ハイブリダイズされたかどうか、フローセルの完了ステータス、全ての計画されたサイクルが全てのリードに対して完了したかどうか、又はそれらの様々な組み合わせなどの、生成物を配列決定するために使用されるフローセルに関するメトリックを含むことができる。メトリックジェネレータ300は、追加のメトリックを評価するかどうかを決定するために、ゲーティングメトリックとして1つ以上のシーケンサメトリック324を使用することができる。例えば、1つ以上のシーケンサメトリック324が標的値(例えば、閾値)を満たすかどうかの決定に応答して、メトリックジェネレータ300は、追加のメトリック304を評価するかどうかを決定することができる。
【0098】
シーケンサメトリック324は、収率(例えば、フローセルの塩基での総収率)を示すフローセル収率メトリックを含むことができ、これはメトリックジェネレータ300によって、フローセルのタイプについての期待値又は仕様(例えば、ギガベース(Gb)の桁の値)と比較することができる。
【0099】
シーケンサメトリック324は、塩基品質メトリック、例えば、閾値を満たすか又は超える品質スコアを有する(例えば、配列データ構造204のリードのうちの1つ以上からの)塩基の割合を示すメトリックを含むことができる。シーケンサメトリック324は、閾値に対する誤差の確率を示すことができる。例えば、塩基品質メトリックは、少なくとも30の品質スコアを有する配列データ構造204の塩基の画分を示すQ30メトリックであり得る。品質スコアは、配列データ構造204に含まれ得る。メトリックジェネレータ300は、塩基品質メトリックを最小閾値(例えば、80パーセント)などの閾値と比較することによって、塩基品質メトリックに関する条件を評価することができる。
【0100】
メトリックジェネレータ300は、塩基品質メトリックが最小閾値未満であることに応答して誤差を出力することができる。メトリックジェネレータ300は、塩基品質メトリックが閾値を満たすか又は超えることに応答して満たされるべき条件を決定し、例えば、塩基品質メトリックが閾値を満たすか又は超えることに応答して様々なメトリック304を生成し続けることができる。
【0101】
シーケンサメトリック324は、フィルタ評価メトリックを含むことができる。例えば、配列データ構造204は、塩基を識別するためにシーケンサ200によって検出されたシグナルの強度の純度に関連するフィルタなど、配列データ構造204を生成するために使用される1つ以上のフィルタを通過した生成物106のクラスタの数を示すことができる。メトリックジェネレータ300は、フィルタを通過したクラスタの数を閾値(例えば、フローセルのタイプに対応する閾値であって、中出力フローセルに対する700万個又は高出力フローセルに対する2200万個など、数百万の桁であり得る閾値)と比較することによって、フィルタ評価メトリックに関する条件を評価することができる。
【0102】
シーケンサメトリック324は、対照ライブラリメトリックを含むことができる。対照ライブラリメトリックは、シーケンサ200による生成物106の配列決定中に生成物106と共に含まれる対照ライブラリ(例えば、San Diego,CAのIllumina,Inc.によって製造されるPhiX対照ライブラリなどの非インデックス化ライブラリなどの核酸ライブラリ)に対応し得る。シーケンサ200は、配列データ構造204を生成している間に検出された配列リードを対照ライブラリと比較してミスマッチ率を識別することによって、対照ライブラリメトリックを決定することができる(例えば、対照ライブラリメトリックはミスマッチ率などの誤差率であり得る)。メトリックジェネレータ300は、対照ライブラリメトリックを閾値(例えば、最大閾値)と比較し、対照ライブラリメトリックが閾値以下であることに応答して条件を満たすように対照ライブラリメトリックを決定することによって、対照ライブラリメトリックに関する条件を評価することができる。メトリックジェネレータ300は、対照ライブラリメトリックが閾値を超えたことに応答して、条件が満たされないと決定することができる。
【0103】
メトリック304は、リードサイズメトリック328を含むことができる。リードサイズメトリック328は、配列データ構造204によって表されるライブラリのリードクラスタの数に対応し得る。リードクラスタは、配列データ構造204によって表されるライブラリの1つ以上の核酸であって、シーケンサ200又はメトリックジェネレータ300によって複製であると識別される核酸を表すことができる。ライブラリの分子複雑性(例えば、出発DNA分子の数)及び配列決定深度などの因子が十分な深度のUMIクラスタの数に影響を及ぼす可能性があり、リードクラスタの数がそのような因子を示す可能性があるので、リードサイズメトリック328は、十分な深度(例えば、2以上の深度)のUMIクラスタ(例えば、固有のUMIに対応するリードクラスタ)の数に関連し得る。
【0104】
したがって、メトリックジェネレータ300は、リードサイズメトリック328を決定し、リードサイズメトリック328を最小閾値(例えば、100万個のリードクラスタ)などの閾値と比較し、リードサイズメトリック328が閾値を満たすか又は超えることに応答してリードサイズメトリック328が条件を満たすと決定することができる。メトリックジェネレータ300は、リードサイズメトリック328が閾値未満であることに応答して、条件が満たされないと決定して、例えば誤差を出力することができる。
【0105】
上述したように、UMIは、配列決定の前に生成物106の分子に適用することができ、したがって、UMIを配列データ構造204に示すことができる。メトリックジェネレータ300は、配列データ構造204を使用して、リードクラスタを対応するUMIファミリーに割り当てることができる(各ファミリーは、標的配列中、同じUMI及びUMIの位置を有する)。例えば、各UMIファミリーは、標的配列中の同じ位置に同じUMIを有する1つ以上のリードクラスタを含むことができる。したがって、配列データ構造204によって表される配列における差は、PCR誤差又は配列決定誤差などの誤差の原因に対応する可能性があり、これを除去して標的配列に対する生成物106における生物学的差を主に残すことを試みることができる。
【0106】
例えば、メトリックジェネレータ300は、少なくとも1つのUMI差メトリック332を配列データ構造204に適用して、互いに異なる配列データ構造204によって表される核酸(例えば、UMIクラスタ)間の塩基の差を識別することができる。メトリックジェネレータ300は、更なる評価の前に(例えば、PCR誤差又は配列決定誤差を除去するために)UMI差メトリック332に基づいて配列データ構造204のクラスタを破棄すること、又はUMI差メトリック332が閾値を満たさない若しくは超えないことに応答して誤差を出力すること(例えば、2000個のUMIクラスタなど、少なくとも2つのリードによってカバーされる閾値数未満のUMIクラスタを有するサンプルが誤差をもたらす)などの行動を実行することができる。
【0107】
メトリックジェネレータ300は、(例えば、本明細書に記載されるメトリックのいずれかの出力又はそれらの組み合わせを入力として使用して)少なくとも1つの標的メトリック336を決定することができ、例えば、配列データ構造204が標的配列にどれだけ密接に一致するかを決定することができる。メトリックジェネレータ300は、少なくとも1つの標的メトリック336を決定する前に、配列データ構造204に対して様々なトリミング又はマージ動作を実行することができる。例えば、メトリックジェネレータ300は、ライブラリ調製中にライゲーションされたアダプタの塩基を識別し、除去することができる。メトリックジェネレータ300は、R1/R2リード対をマージすることができ、これは、(例えば、オンターゲットミスマッチ分析を実行するための)標的メトリック336の生成のために配列データ構造204のデータの品質を改善することができ、マージされていないリード対を破棄することができる。例えば、重複リード対をマージすることは、配列決定誤差を有する可能性が最も高い配列の部分(例えば、配列の3’末端から)に対処することによって、より低い配列決定誤差率をもたらし得る。
【0108】
メトリックジェネレータ300は、(例えば、マージを実行することに応答して)配列データ構造204を参照配列に整列させることができる。参照配列は、合成されることが 意図された配列(例えば、標的配列)を表す所定の配列であり得る。メトリックジェネレータ300は、配列データ構造204を複数の参照配列と同時に整列させることができる(これは特異性を改善することができる)。
【0109】
メトリックジェネレータ300は、(例えば、配列データ構造を参照配列と整列させることに応答して)配列データ構造204を参照配列と比較することによって、少なくとも1つの標的メトリック336を決定することができる。例えば、メトリックジェネレータ300は、配列データ構造204の各ヌクレオチドデータ要素208の各塩基(例えば、A、T、C、G、N、挿入、欠失)を参照配列の対応する塩基(例えば、対立遺伝子)と比較し、比較に基づいて差のカウントを決定して、少なくとも1つの標的メトリック336をミスマッチ率として決定することができる。メトリックジェネレータ300は、各位置で最も頻繁に観察される塩基を決定することによって、配列データ構造204の複数の配列からコンセンサス配列を決定し、コンセンサス配列と参照配列との間で異なる位置のパーセンテージを含むように少なくとも1つの標的メトリック336を決定することができる。
【0110】
メトリックジェネレータ300は、特定の位置で異なる対立遺伝子の、異なる対立遺伝子と参照対立遺伝子との合計に対する割合として、特定の位置に対する(例えば、各位置に対する)ミスマッチパーセンテージを含むように、少なくとも1つの標的メトリック336を決定することができる。メトリックジェネレータ300は、平均ミスマッチ率(例えば、特定の位置についてのミスマッチパーセンテージの平均)、閾値深度未満(例えば200)のUMIカバー深度を有するミスマッチパーセンテージを割り引くか若しくは含まない平均ミスマッチ率、又は参照配列全体に対する誤差の数を参照配列の塩基の総数で割る(例えば、各位置の深度によって誤差計算の寄与を重み付けする)ことによる重み付けミスマッチ率のうちの少なくとも1つを含むように、少なくとも1つの標的メトリック336の標的全体のミスマッチ率を決定することができる。
【0111】
メトリックジェネレータ300は、標的画分メトリック340を含むように少なくとも1つの標的メトリック336を決定することができる。標的画分メトリック340は、(例えば、別の転写物、混入DNA、又はそれらの様々な組み合わせに対して)特定の転写物から構成される生成物106の相対的画分を示すことができる。メトリックジェネレータ300は、特定の転写物に関連する特定のUMI(例えば、固有の、別個の、又は離散的なUMI)の数をカウントし、特定の転写物に関連する(例えば、マッピングされた)配列データ構造204から識別された特定のUMIのカウントを、特定の転写物に関連付けられていない特定のUMIのカウントと比較することによって、標的画分メトリック340を決定することができる。
【0112】
メトリックジェネレータ300は、例えば、オフターゲット配列を識別及び特徴付けるために、配列データ構造204に基づいて少なくとも1つのオフターゲットメトリック344を決定することができる。オフターゲット配列は、参照配列と(例えば、任意の意図された標的配列と)整列しない非整列配列であり得、これは、外部細胞若しくは核酸による汚染、参照配列に対する多すぎるミスマッチ、又はキメラライブラリ調製アーチファクトを表すことなどの因子に起因し得る。メトリックジェネレータ300は、非整列配列を識別し、非整列配列を1つ以上のオフターゲット参照配列(例えば、様々なデータベース又はシーケンサ200によって行われる他の配列決定ランから検索され得る)と比較することができる。
【0113】
メトリックジェネレータ300は、レポートジェネレータ348を含むことができる。レポートジェネレータ348は、メトリックスコア308の指示312を提供する出力を生成して、例えばメトリック304の値又はメトリック304の評価から生じる誤差状態を示すことができる。指示312は、例えば、生成物106の再調製又は生成物106の再配列決定(例えば、新しいフローセル上での)のうちの少なくとも1つを引き起こすために、メトリック304が決定されるmRNAの合成を改変するなど、核酸の合成を改変するための命令、行動、又は他の動作を決定するために使用され得る。
【0114】
図4は、核酸配列決定メトリックを生成する方法400の一例を示す。方法400は、配列メトリック生成システム300を含むがそれらに限定されない、本明細書で説明される様々なシステム及びデバイスを使用して実行され得る。方法400又はその動作は、核酸配列決定システム(例えば、シーケンサ200)による出力の生成に続いて、又はそれに応答して実行され得る。方法400は、核酸製造システム100、シーケンサ200、又はそれらの様々な組み合わせの動作中に実行することができ、例えば、核酸を表す配列データと核酸の標的配列との間の差などの分析誤差、配列決定誤差、又は生物学的誤差を低減するために、核酸を製造又は配列決定するための制御スキームによって使用することができるメトリックの出力を提供することができる。方法400は、本明細書で説明する様々なメトリック(例えば、図3及びメトリックジェネレータ300を参照しながら説明したメトリック)の生成を含むことができる。
【0115】
405において、配列データ構造が受信される。配列データ構造は、シーケンサ又は配列データ構造を記憶若しくは維持するデータベースからの配列データ構造の要求に応答して受信され得る。配列データ構造は、様々なシーケンサ又はデータベースなどから、データの1つ以上のバッチ又はストリームで受信することができる。
【0116】
410において、少なくとも1つの第1のメトリックが評価される。第1のメトリックは、配列データ構造を決定するために使用される配列決定プロセスに関連するメトリックであり得る。例えば、第1のメトリックは、フローセル期限切れ、再ハイブリダイゼーション、又は完了ステータスなどの、フローセルなどの配列決定構成要素からのデータに基づいて決定することができる。第1のメトリックは、フローセル収率メトリックであり得る。第1のメトリックは、塩基品質メトリックであり得る。第1のメトリックを評価して、配列データ構造のデータが、配列データ構造のデータから更なるメトリックを決定するのに十分な品質であるかどうかを決定することができる。
【0117】
415において、少なくとも1つの第1のメトリックが第1の条件を満たすかどうかが決定される。第1の条件は、定量的(例えば、閾値)又は定性的(例えば、カテゴリ)条件のうちの少なくとも1つであり得る。例えば、フローセル収率メトリックスコア及び塩基品質スコアが各々それぞれの閾値を満たすか又は超えることに応答して、第1の条件が満たされていると決定することができる。第1の条件が満たされないことに応答して、誤差のうちの少なくとも1つを出力することができ(これは第1の条件を満たさなかったメトリックを示すことができる)、又は配列データ構造をもたらすプロセス(例えば、核酸合成、核酸配列決定)の改変を行うことができる。
【0118】
420において、少なくとも1つの第2のメトリックが評価される。少なくとも1つの第2のメトリックは、配列データ構造に関連する1つ以上のUMI、例えば、配列データ構造によって表される1つ以上の核酸(又はその鎖若しくは部分)にライゲートされているUMIに対応するメトリックであり得る。例えば、少なくとも1つの第2のメトリックは、配列データ構造によって表される核酸のUMI部分の間の塩基の差を示すUMI差メトリックであり得る。
【0119】
425において、少なくとも1つの第2のメトリックが第2の条件を満たすかどうかが決定される。例えば、UMI差メトリックスコアが閾値未満であることに応答して、配列データ構造に関する更なるメトリックを効果的に評価するためのデータが不十分であると決定することができ、誤差を出力するか、又は核酸の合成若しくは配列決定を改変するために他の行動をとることができる。
【0120】
430において、少なくとも1つの標的メトリックが評価され得る。例えば、標的メトリックは、第1及び第2の条件が満たされたことに応答して評価され得る(例えば、これらの条件は、標的及びオフターゲットメトリックを効果的に評価するために十分な量及び品質の配列決定データが利用可能であることを示し得る)。標的メトリックは、配列データ構造と標的配列との間のマッチ(又はミスマッチ)率を示すことができる。標的メトリックは、配列データ構造のアダプタのトリミング又はリード対のマージのうちの少なくとも1つに応答して評価され得、標的メトリックを決定する前に配列データ構造に存在し得る誤差を低減する(これは、標的メトリック及び標的メトリックに基づいて引き起こされる任意の行動をより正確にすることができる)。
【0121】
435において、少なくとも1つのオフターゲットメトリックが評価される。オフターゲットメトリックは、オフターゲット配列を識別することができる。例えば、オフターゲットメトリックは、参照配列と整列しない配列を識別し、非整列配列を非参照配列と比較し、非整列配列と非参照配列との間の一致を検出することによって評価することができる。非整列配列のカウントを配列データ構造の配列のカウントと比較して、オフターゲットメトリックを決定する(例えば、オフターゲット配列の割合を決定する)ことができる。
【0122】
D.マイクロ流体プロセッサチップを備えるシステム
図5は、システム500の一例を示しており、その少なくともいくつかの特徴は、図1を参照して説明した核製造システム100を実装するために使用することができる。システム500は、1つ以上のプロセッサチップ511(例えば、マイクロ流体プロセスチップ)を取り外し可能に受容することができる着座装着具515を封入するハウジング503を備えることができる。システム500は、プロセッサチップ511を取り外し可能に収容するように構成されたチップ受容構成要素を備えることができ、プロセッサチップ511自体が1つ以上のマイクロ流体チャネル又は流体経路を画定する。プロセッサチップ511と流体的に相互作用するシステム500の構成要素(例えば、ハウジング503内)は、マイクロ流体ではあり得ない流体チャネル又は経路を備えることができる(例えば、そのような流体チャネル又は流路は、プロセッサチップ511内のマイクロ流体チャネル又は流体流路よりも大きい)。プロセッサチップ511は、単回使用デバイスとして提供及び利用されることができ、一方、システム500の残りは、再使用可能であることができる。ハウジング503は、(例えば、蓋又はドアなどを介して)閉鎖されて、それによって内部を封止し得る開口部を伴う、チャンバ、エンクロージャなどの形態であり得る。ハウジング503は、温度調節器を囲繞することができ、且つ/又は温度調節された環境(例えば、冷蔵ユニットなど)内に囲繞されるように構成することができる。ハウジング503は、無菌バリアを形成することができる。ハウジング503は、加湿された又は湿度制御された環境を形成することができる。システム500は、キャビネット(図示せず)内に配置することができる。そのようなキャビネットは、温度調節された(例えば、冷蔵された)環境を提供することができる。そのようなキャビネットはまた、空気濾過及び空気流管理を提供することができ、製造プロセスを通して試薬が所望の温度に保たれることを促進することができる。加えて、そのようなキャビネットは、プロセッサチップ511及びシステム500の他の構成要素の滅菌のためのUVランプを備えることができる。他の適切な特徴を、システム500を収容するキャビネットに組み込むことができる。
【0123】
ハウジング503と、プロセッサチップ511なしでハウジング503内にあるシステム500の構成要素とによって形成されるアセンブリは、機器であると考えることができる。コントローラ521及びユーザインターフェース523は、ハウジング503の外側にあるものとして図5に示されているが、コントローラ521及びユーザインターフェース523は、ハウジング503の中又は上に設けることができ、したがって、機器の一部を形成することもできる。以下でより詳細に説明されるように、この機器は、着座装着具515を介してプロセッサチップ511を取り外し可能に受容することができる。プロセッサチップ511が着座装着具515に着座されると、機器及びプロセッサチップ511は協働してシステム500を共に形成することができる。プロセッサチップ511が着座装着具515から取り外されると、残されたシステム500の部分は、機器とみなすことができる。機器、システム500、及びプロセッサチップ511は各々、装置とみなすことができる。
【0124】
着座装着具515は、プロセッサチップ511を固定された、且つ事前定義された配向に保持するように構成された1つ以上のピン又は他の構成要素を使用して、プロセッサチップ511を固着するように構成することができる。したがって、着座装着具515は、プロセッサチップ511がシステム500の他の構成要素に対して適切な位置及び配向で保持されることを容易にすることができる。着座装着具515は、プロセッサチップ511が地面と平行になるように、プロセッサチップ511を水平配向で保持することができる。
【0125】
熱制御部513は、着座装着具515に隣接して位置し、着座装着具515内に装着される任意のプロセッサチップ511の温度を変調することができる。熱制御部513は、着座装着具515内に装着された任意のプロセッサチップ511の全部又は一部分の温度を制御するための熱電構成要素(例えば、ペルチェ素子など)及び/又は1つ以上のヒートシンクを備えることができる。プロセッサチップ511の1つ以上の領域のうちの異なる領域の温度を別々に調節するなどのために、2つ以上の熱制御部513が含まれ得る。熱制御部513は、プロセッサチップ511及び/又は熱制御部513のフィードバック制御のために使用され得る1つ以上の熱センサ(例えば、熱電対)などを備えることができる。
【0126】
図5に示されるように、流体インターフェースアセンブリ509は、プロセッサチップ511を圧力源517に結合し、それによって、以下でより詳細に記載されるように、圧力源517からプロセッサチップ511の1つ以上の内部領域に連通される正圧又は負圧の流体(例えば、ガス)のための1つ以上の経路を提供する。1つの圧力源517のみが示されているが、システム500は、2つ以上の圧力源517を備えることができる。圧力は、圧力源517以外の1つ以上の源によって生成することができる。例えば、試薬保管フレーム507内の1つ以上のバイアル又は他の流体源が加圧され得る。プロセッサチップ511上で実行される反応及び/又は他のプロセスは、追加の流体圧力を生成することができる。流体インターフェースアセンブリ509はまた、プロセッサチップ511を試薬保管フレーム507と結合することができ、それによって、以下でより詳細に記載されるように、液体試薬などが試薬保管フレーム507からプロセッサチップ511の1つ以上の内部領域に連通される1つ以上の経路を提供することができる。
【0127】
少なくとも1つの圧力源517からの加圧流体(例えば、ガス)は、試薬保管フレーム507が圧力源517と流体インターフェースアセンブリ509との間の流体経路内に介在する1つ以上の構成要素を備えるような、試薬保管フレーム507を介して、流体インターフェースアセンブリ509に到達することができる。1つ以上の圧力源517は、正圧流体(例えば、正圧ガス)又は負圧流体(例えば、吸引ガス又は他の負圧ガス)が、試薬保管フレーム507を迂回して流体インターフェースアセンブリ509に到達するように、流体インターフェースアセンブリ509と直接結合され得る。試薬保管フレーム507が圧力源517と流体インターフェースアセンブリ509との間の流体経路に介在するかどうかにかかわらず、流体インターフェースアセンブリ509は、流体インターフェースアセンブリ509の少なくとも一部分が使用と使用との間の滅菌のために取り外され得るように、システム500の残りの部分に取り外し可能に結合され得る。以下でより詳細に記載されるように、圧力源517は、プロセッサチップ511上の1つ以上のチャンバ領域を選択的に加圧することができる。圧力源517はまた、試薬保管フレーム507によって保持される1つ以上のバイアル又は他の流体保管容器を選択的に加圧することができる。
【0128】
試薬保管フレーム507は、複数の流体サンプルホルダを収容することができ、流体サンプルホルダの各々は、プロセッサチップ511への送達のために試薬(例えば、ヌクレオチド、溶媒、水など)を保持するように構成された流体バイアルを保持することができる。試薬保管フレーム507内の1つ以上の流体バイアル又は他の保管容器は、プロセッサチップ511の内部から生成物を受容することができる。第2のプロセッサチップ511は、1つ以上の流体が1つのプロセッサチップ511から別のプロセッサチップ511に移送されるように、第1のプロセッサチップ511の内部から生成物を受容することができる。第1のプロセッサチップ511は、第1の専用機能(例えば、合成など)を実施し得、第2のプロセッサチップ511は、第2の専用機能(例えば、カプセル化など)を実施することができる。試薬保管フレーム507は、複数の圧力ライン及び/又はマニホールドを含むことができ、複数の圧力ライン及び/又はマニホールドは、1つ以上の圧力源517を、プロセッサチップ511に印加され得る複数の圧力ラインに分割するように構成されている。そのような圧力ラインは、独立して制御され得るか又は集合的に(下位組み合わせで)制御され得る。
【0129】
流体インターフェースアセンブリ509は、複数の流体ライン及び/又は圧力ラインを備え得、その場合、そのような各ラインは、プロセッサチップ511が着座装着具515内に保持されるときに各流体及び/又は圧力ラインをプロセッサチップ511に個々に独立して駆動する、付勢された(例えば、バネ仕掛けの)ホルダ又は先端を備えることができる。いかなる関連する管類(例えば、流体ライン及び/又は圧力ライン)も、流体インターフェースアセンブリ509の一部であることができ、且つ/又は流体インターフェースアセンブリ509に接続することができる。各流体ラインは可撓性管類を含むことができ、この可撓性管類は、試薬保管フレーム507とプロセッサチップ511との間を、バイアルを管類にロック係合(例えば、フェルール)で結合するコネクタを介して接続する。流体ライン/圧力ラインの端部は、以下で記載されるように、(例えば、プロセッサチップ511内に形成された対応する封止ポートにおいて)プロセッサチップ511に対して封止するように構成され得る。圧力源517とプロセッサチップ511との間の接続、及び試薬保管フレーム507内のバイアルとプロセッサチップ511との間の接続は全て、プロセッサチップ511が着座装着具515内に着座するときに隔離される、封止され閉鎖された経路を形成する。そのような封止され閉鎖された経路は、治療用ポリヌクレオチドを処理するときに汚染に対する保護を提供することができる。
【0130】
試薬保管フレーム507のバイアルは、加圧され得る(例えば、2atm、3atm、5atm又はそれ以上などの、1atm超の圧力)。いくつかのバージョンでは、バイアルは、圧力源517によって加圧され得る。したがって、負圧又は正圧が印加され得る。例えば、流体バイアルは、約1~約20psig(例えば、5psig、10psigなど)まで加圧され得る。プロセスの終了時に、流体をバイアル(例えば、貯蔵場所としての役割を果たすバイアル)内に引き戻すために、真空(例えば、約-7psig又は約7psia)が印加され得る。流体バイアルは、以下に記載されるように、空気圧弁よりも低い圧力で駆動することができ、これは、漏出を防止又は低減することができる。流体弁と空気圧弁との間の圧力差は、約1psi~約25psi(例えば、約3psi、約5psi、7psi、10psi、12psi、15psi、20psiなど)であり得る。
【0131】
システム500は、プロセッサチップ511の領域に磁場を生じさせるように構成された磁場アプリケータ519を更に備えることができる。磁場アプリケータ519は、磁場を移動させ、それによって試薬保管フレーム507内のバイアル又は他の保管容器内の磁気捕捉ビーズに付着した生成物を選択的に単離するように動作可能な可動ヘッドを備えることができる。
【0132】
システム500は、1つ以上のセンサ505を備えることができる。センサ505は、1つ以上のカメラ及び/又は他の種類の光学センサを備えることができる。センサ505は、バーコード、試薬保管フレーム507内に保持された流体バイアル内の流体レベル、着座装着具515内に装着されているプロセッサチップ511内の流体移動、及び/又は他の光学的に検出可能な状態、のうちの1つ以上を感知することができる。センサ505は、試薬保管フレーム507内のバイアルを識別するためにセンサ505を使用することができるように、試薬保管フレーム507のバイアル上に含まれるバーコードを感知するために使用することができる。単一のセンサ505は、試薬保管フレーム507内のバイアル上のそのようなバーコード、試薬保管フレーム507内のバイアル内の流体レベル、着座装着具515内に装着されているプロセッサチップ511内の流体移動、及び/又は他の光学的に検出可能な状態を同時に見るように位置決め及び構成され得る。そのような状態を見るために、2つ以上のセンサ505が使用される。異なるセンサ505が、センサ505が特定の対応する光学的に検出可能な状態専用であり得るように、対応する光学的に検出可能な状態を別々に見るように位置決め及び構成され得る。
【0133】
センサ505が少なくとも1つの光学センサを備えるバージョンでは、収率を推定するために、視覚/光学マーカを使用することができる。例えば、蛍光体でタグ付けすることによってプロセス収率又は残留材料を検出するために、蛍光を使用することができる。プロセッサチップ511の一部分(例えば、プロセッサチップ511の混合部分など)内の粒子サイズ分布を測定するために、動的光散乱(dynamic light scattering、DLS)を使用することができる。センサ505は、プロセッサチップ511に光(例えば、レーザ光)を伝達し、プロセッサチップ511から出てくる光信号を検出するために、1つ又は2つの光ファイバを使用して測定を提供することができる。例えば、プロセス収率又は残留材料などを光学的に検出するために、センサ505は、可視光、蛍光、紫外線(ultraviolet、UV)吸光度信号、赤外線(infrared、IR)吸光度信号、及び/又は任意の他の好適な種類の光学フィードバックを検出するように構成され得る。
【0134】
センサ505がビデオ画像を捕捉するように構成されている少なくとも1つの光学センサを備えるバージョンでは、センサ505は、プロセッサチップ511上の少なくともいくつかのアクティビティを記録することができる。例えば、材料(例えば、治療用RNA)を合成及び/又は処理するための実行全体が、プロセッサチップ511を(例えば、上方から)可視化し得るビデオセンサ505を備える、1つ以上のビデオセンサ505によって記録され得る。プロセッサチップ511上の処理は、視覚的に追跡され得、このビデオ記録は、後の品質管理及び/又は処理のために保持され得る。したがって、処理のビデオ記録は、その後のレビュー及び/又は分析のために保存、記憶、及び/又は送信することができる。加えて、以下でより詳細に記載されるように、ビデオは、このビデオ内で捕捉された少なくとも視覚的に観察可能な条件を使用して処理に影響を及ぼし得るリアルタイムフィードバック入力として使用することができる。
【0135】
本実施例のシステム500は、コントローラ521によって制御され得る。コントローラ521は、1つ以上のプロセッサ、1つ以上のメモリ、及び様々な他の適切な電気構成要素を備えることができる。コントローラ521の1つ以上の構成要素(例えば、1つ以上のプロセッサなど)は、システム500内に埋め込まれ得る(例えば、ハウジング503内に収容される)。コントローラ521の1つ以上の構成要素(例えば、1つ以上のプロセッサなど)は、システム500の他の構成要素に着脱可能に取り付けられ得るか、又は着脱可能に接続され得る。したがって、コントローラ521の少なくとも一部分は、取り外し可能であり得る。更に、コントローラ521の少なくとも一部は、ハウジング503から離れていることができる。
【0136】
コントローラ521による制御は、圧力源517を作動させてプロセッサチップ511を通して圧力を印加して、流体移動を駆動することを備えることができる。コントローラ521は、完全に若しくは部分的にハウジング503の外側にあり得るか、又は完全に若しくは部分的にハウジング503の内側にあり得る。コントローラ521は、システム500のユーザインターフェース523を介してユーザ入力を受信し、ユーザインターフェース523を介してユーザに出力を提供するように構成することができる。コントローラ521は、ユーザインターフェース523が出力のみをユーザに提供するように、ユーザ入力が必要とされない点まで完全に自動化することができる。ユーザインターフェース523は、モニタ、タッチスクリーン、キーボード、及び/又は任意の他の好適な特徴を備えることができる。コントローラ521は、1つ以上の流体をプロセッサチップ511上に移動させること、1つ以上の流体をプロセッサチップ511上で混合すること、プロセッサチップ511に1つ以上の構成要素を追加すること、プロセッサチップ511内で流体を計量すること、プロセッサチップ511の温度を調節すること、磁場を印加すること(例えば、磁気ビーズを使用する場合)などを含む処理を調整し得る。コントローラ521は、センサ505からリアルタイムフィードバックを受信し、センサ505からのそのようなフィードバックに従って制御アルゴリズムを実行することができる。センサ505からのそのようなフィードバックには、試薬保管フレーム507内のバイアル内の試薬の識別、試薬保管フレーム507内のバイアル内の検出された流体レベル、プロセッサチップ511内の流体の検出された移動、プロセッサチップ511内の流体内のフルオロフォアの蛍光などが含まれ得るが、これらに限定される必要はない。コントローラ521には、ソフトウェア、ファームウェア、及び/又はハードウェアが含まれ得る。コントローラ521はまた、例えば、装置の動作を追跡するため、材料(例えば、ヌクレオチドなどの構成要素、プロセッサチップ511など)を並べ替えるため、及び/又はプロトコルをダウンロードするなどのために、遠隔サーバと通信することができる。
【0137】
前述の概念及び以下でより詳細に論じられる追加の概念の全ての組み合わせは、本明細書で開示される本発明の主題の一部であると企図され、本明細書で説明される利益を達成するために任意の組み合わせで使用され得ることを理解されたい。
【0138】
本明細書で説明されるプロセス及びそれらの様々な改変(以下、「プロセス」と称される)の全部又は一部は、少なくとも部分的に、コンピュータプログラム製品を介して、すなわち、データ処理装置、例えば、プログラム可能プロセッサ、コンピュータ、又は複数のコンピュータによる実行のための、又はその動作を制御するためのコンピュータ及び/又は機械可読記憶デバイスである、1つ以上の有形物理ハードウェア記憶デバイス内に有形に具現化されるコンピュータプログラムを介して実装され得る。コンピュータプログラムは、コンパイラ型言語又はインタープリタ型言語を含む任意の形態のプログラミング言語で書くことができ、スタンドアロンプログラムとして、又はモジュール、コンポーネント、サブルーチン、若しくはコンピューティング環境での使用に適した他のユニットとしてなど、任意の形態で展開することができる。コンピュータプログラムは、1つのコンピュータ上で、又は1つのサイトにおける複数のコンピュータ上で、若しくは複数のサイトにわたって分散されネットワークによって相互接続された複数のコンピュータ上で実行されるように展開することができる。
【0139】
コンピュータプログラムの実行に適したプロセッサには、例として、汎用マイクロプロセッサ及び専用マイクロプロセッサの両方、並びに任意の種類のデジタルコンピュータの任意の1つ以上のプロセッサが挙げられる。一般に、プロセッサは、読取り専用記憶領域若しくはランダムアクセス記憶領域又はその両方から命令及びデータを受信する。コンピュータの要素(サーバを含む)は、命令を実行するための1つ以上のプロセッサと、命令及びデータを記憶するための1つ以上の記憶領域デバイスとを備える。一般に、コンピュータはまた、データを記憶するための大容量記憶デバイス、例えば、磁気、光磁気ディスク、又は光ディスクなどの1つ以上の機械可読記憶媒体を備えるか、又はそれらからデータを受信するか、若しくはそれらにデータを転送するか、若しくはその両方を行うように動作可能に結合される。
【0140】
コンピュータプログラム製品は、コンピュータプログラム命令及びデータを具現化するのに適した非一時的コンピュータ可読媒体及び非一時的物理ハードウェア記憶デバイス上に有形の形態で記憶される。これらは、例として、半導体記憶領域デバイス、例えばEPROM、EEPROM、及びフラッシュ記憶領域デバイス;磁気ディスク、例えば、内蔵ハードディスク又はリムーバブルディスク;光磁気ディスク;及びCD-ROMディスク及びDVD-ROMディスクを含む全ての形態の不揮発性記憶装置、並びに揮発性コンピュータメモリ、例えば、スタティックRAM及びダイナミックRAMなどのRAM、並びに消去可能メモリ、例えば、フラッシュメモリ及び他の非一時的デバイスを備える。
【0141】
様々な実施形態に示されるシステム及び方法の構成及び配置は、例示的なものにすぎない。いくつかの実施形態のみが本開示において詳細に説明されたが、多くの改変が可能である(例えば、サイズ、寸法、構造、様々な要素の形状及び比率、パラメータの値、装着配列、材料の使用、色、配向などの変動)。例えば、要素の位置を逆にするか、又は他の方法で変動させることができ、別個の要素又は位置の性質又は数を変更又は変動させることができる。したがって、全てのそのような改変は、本開示の範囲内に含まれることが意図される。任意のプロセス又は方法工程の順序又は配列を、変動又は再順序付けすることができる。本開示の範囲から逸脱することなく、実施形態の設計、動作条件、及び配置において、他の置換、改変、変更、及び省略を行うことができる。
【0142】
本明細書で利用される場合、「およそ」、「約」、「実質的に」という用語、及び類似の用語は、任意の所与の範囲又は数+/-10%を含むことが意図される。これらの用語は、添付の特許請求の範囲に記載される本開示の範囲内にあると考えられる、説明され、特許請求される主題のわずかな又は取るに足らない改変又は変更を含む。
【0143】
本明細書で使用される「結合された」という用語及びその変形形態は、2つの部材を互いに直接又は間接的に接合することを意味する。そのような接合は、静止(例えば、恒久的又は固定)又は移動可能(例えば、取り外し可能又は離型性)であり得る。このような接合は、2つの部材が互いに直接結合されることによって、2つの部材が別個の介在部材及び互いに結合された任意の追加の中間部材を使用して互いに結合されることによって、又は2つの部材が、2つの部材のうちの一方を有する単一の単体として一体的に形成された介在部材を使用して互いに結合されることによって達成され得る。「結合された」又はその変形形態が追加の用語(例えば、直接結合された)によって修飾される場合、上記で提供された「結合された」の一般的な定義は、追加の用語の平易な言葉の意味によって修飾され(例えば、「直接結合された」は、別個の介在部材を用いることなく2つの部材を接合することを意味する)、結果として、上記で提供された「結合された」の一般的な定義よりも狭い定義になる。そのような結合は、機械的、電気的、又は流体的であり得る。
【0144】
本明細書で使用される「又は」という用語は、要素のリストを接続するために使用されるとき、「又は」という用語がリスト内の要素のうちの1つ、いくつか、又は全てを意味するように、その包括的な意味で(その排他的な意味ではなく)使用される。「X、Y、及びZのうちの少なくとも1つ」という句などの接続的な文言は、特に別段の定めがない限り、要素が、X、Y、Z;X及びY;X及びZ;Y及びZ;又はX、Y及びZ(すなわち、X、Y、及びZの任意の組み合わせ)のいずれかであり得ることを伝えるものと理解される。したがって、このような接続的な文言は、一般に、特定の実施形態が、別段の指示がない限り、Xのうちの少なくとも1つ、Yのうちの少なくとも1つ、及びZのうちの少なくとも1つが各々存在することを必要とすると暗示することを意図しない。
【0145】
本明細書における要素の位置への言及(例えば、「上部」、「底部」、「上方」、「下方」)は、単に、図面中の様々な要素の配向を説明するために使用される。様々な要素の配向は、他の例示的な実施形態によって異なる可能性があり、そのような変形形態は、本開示によって包含されることが意図されることに留意されたい。
【0146】
本開示は、様々な動作を達成するための方法、システム、及び任意の機械可読媒体上のプログラム製品を企図する。本開示の実施形態は、既存のコンピュータプロセッサを使用して、又はこの目的若しくは別の目的のために組み込まれた適切なシステムのための専用コンピュータプロセッサによって、又は配線で接続されたシステムによって実装され得る。本開示の範囲内の実施形態は、機械実行可能命令又はデータ構造を担持又は記憶させるための機械可読媒体を備えるプログラム製品を含む。そのような機械可読媒体は、汎用若しくは専用コンピュータ又はプロセッサを有する他の機械によってアクセスされ得る任意の利用可能な媒体であり得る。例として、そのような機械可読媒体は、RAM、ROM、EPROM、EEPROM、CD-ROM若しくは他の光ディスク記憶装置、磁気ディスク記憶装置若しくは他の磁気記憶デバイス、又は機械実行可能命令若しくはデータ構造の形態で所望のプログラムコードを担持若しくは記憶するために使用され得、汎用若しくは専用コンピュータ若しくはプロセッサを有する他の機械によってアクセスされ得る任意の他の媒体を備えることができる。上記の組み合わせも、機械可読媒体の範囲内に含まれる。機械実行可能命令は、例えば、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、又は専用処理機械に、特定の機能又は機能のグループを実行させる命令及びデータを含む。
【0147】
図面は、方法工程の特定の順序を示しているが、工程の順序は、図示されているものと異なっていてもよい。また、2つ以上の工程を同時に又は部分的に同時に実行することができる。そのような変形形態は、選択されたソフトウェア及びハードウェアシステム並びに設計者の選択に依存する。全てのそのような変形形態は、本開示の範囲内である。同様に、ソフトウェア実装形態は、様々な接続工程、処理工程、比較工程、及び決定工程を達成するように、ルールベースの論理及び他の論理を有する標準プログラミング技法を用いて達成することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】