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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-20
(54)【発明の名称】包装用のリサイクル可能な物品
(51)【国際特許分類】
   B65D 25/20 20060101AFI20240912BHJP
【FI】
B65D25/20 Q BRH
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024516383
(86)(22)【出願日】2022-08-30
(85)【翻訳文提出日】2024-05-10
(86)【国際出願番号】 EP2022074119
(87)【国際公開番号】W WO2023041323
(87)【国際公開日】2023-03-23
(31)【優先権主張番号】21197005.8
(32)【優先日】2021-09-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521042714
【氏名又は名称】ユニリーバー・アイピー・ホールディングス・ベスローテン・ヴェンノーツハップ
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100219265
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 崇大
(74)【代理人】
【識別番号】100228980
【弁理士】
【氏名又は名称】副島 由加里
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】ベゼラ,アルトゥール・トラルディ
(72)【発明者】
【氏名】ナイドゥ,ユヴェスヴェリ
【テーマコード(参考)】
3E062
【Fターム(参考)】
3E062AA09
3E062AB01
3E062AC02
3E062BB06
3E062BB10
3E062DA02
3E062DA07
3E062JA08
3E062JC07
(57)【要約】
本発明は、包装用の持続可能でリサイクル可能な物品に関する。リサイクル中に問題を引き起こすことなくリサイクルすることができる一方で容器上に最大ラベル被覆率を有するプラスチック包装の必要性が依然として残っている。したがって、本発明の目的は、NIR(近赤外線)選別プロセスによってプラスチック物品を検出し選別することによってリサイクルすることができる、70%以上のラベル被覆率を有するプラスチック包装を提供することである。使用されるラベルの基材層の厚さを60pm未満に維持することによって、NIR(近赤外線)選別プロセスにより、より高いラベル被覆率を有するプラスチック包装のポリマーが検出されかつ選別され得ることが分かった。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a リサイクル可能なポリマーから構成された容器と、
b 前記容器のポリマーとは異なるポリマーから構成された基材層を備えるラベルであって、前記ラベルが、前記容器の全面積の少なくとも70%を覆う、ラベルと、
を備え、
前記基材層が、40μm~60μm未満の厚さを有する、
持続可能でリサイクル可能な物品。
【請求項2】
前記ラベルが、前記容器の前記全面積の少なくとも80%を覆う、請求項1に記載の物品。
【請求項3】
前記基材層が、40μm~55μmの厚さを有する、請求項1または2に記載の物品。
【請求項4】
前記基材層が、45μm~55μmの厚さを有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の物品。
【請求項5】
前記ラベルが、インクおよび接着剤をさらに備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の物品。
【請求項6】
基材のポリマーが、一軸延伸(機械方向)(MDO)または二軸延伸(BO)である、請求項1から5のいずれか一項に記載の物品。
【請求項7】
前記物品が、日用消費財(FMCG)用の包装である、請求項1から6のいずれか一項に記載の物品。
【請求項8】
a リサイクル可能なポリマーから構成された容器、
b ポリマーから構成された基材を備えるラベルであって、前記ラベルが、前記容器の全面積の少なくとも70%を覆う、ラベル、
を備え、
基材層が、NIR選別機器による識別および選別のために40μm~60μm未満の厚さを有する、
持続可能でリサイクル可能な物品の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装用の持続可能でリサイクル可能な物品に関し、特に、本発明は、最大ラベル被覆率を有するリサイクル可能な物品に関する。
【背景技術】
【0002】
世界中で、プラスチックは人々の生活の不可欠な一部となっているが、それに伴い、その廃棄物の問題も深刻化している。プラスチックは、低コストの有用かつ汎用的な材料であり、使用に便利である。問題となるのはプラスチックの使用ではなく、その単回使用である。プラスチックの単回使用により、その価値の95%が失われる。
【0003】
プラスチック包装にはすべてのポリマーのほぼ40%が使用されており、そのかなりの部分はパーソナルケア包装(例えば、シャンプー、コンディショナー、液体手洗い)および家庭用包装(例えば、洗濯洗剤および洗浄組成物用)などの消費者製品に使用されている。
【0004】
しかしながら、近年、プラスチック包装をリサイクルするかなりの努力がなされている。確立された消費者リサイクルストリームを介して収集され、選別され、洗われ、ペレットに再処理されたプラスチック包装は、ポストコンシューマ樹脂(PCR)として定義される。これをバージン樹脂の代わりに使用して、消費財用の新しいプラスチック包装を作成することができる。
【0005】
現在のプラスチック包装は、リサイクル中に困難に直面し得る。典型的なリサイクル手順の最初の数ステップでは、一般的に使用される選別プロセスは、PCRへの再処理のためにプラスチックを異なるポリマーストリーム内に分離する自動近赤外線(NIR)によるものである。主に材料回収施設(MRF)において、プラスチック回収施設(PRF)において、および再処理工場で使用される自動近赤外線(NIR)選別システムが、ポリマーを検出し正しいポリマーストリーム内に選別することができない場合、これはリサイクル中に困難を引き起こす。
【0006】
ポリマーが正しいポリマーストリーム内に選別されない理由は様々あり得、その1つは、プラスチック物品を覆うラベルが物品のポリマーとは異なるポリマーである場合、ラベルは物品のポリマーの検出を可能にせず、それによって物品を誤ったポリマーストリーム内に選別することである。これは、プラスチック物品の大部分がラベルで覆われている場合に問題となる。この問題は、ラベルの被覆率を低減することによって解決されることが知られているが、ラベルの面積の縮小は、消費者への製品情報の提供の減少を意味することとなる。したがって、ラベル被覆率の低減は望ましくない。
【0007】
したがって、リサイクル中に困難を引き起こすことなくリサイクルすることができる一方で容器上に最大のラベル被覆率を有するプラスチック包装の必要性が依然として残っている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明の目的は、リサイクルすることができるプラスチック包装を提供することである。
【0009】
本発明の別の目的は、70%以上のラベル被覆率を有するプラスチック包装のリサイクル中に85%を超える捕捉率を提供することである。
【0010】
本発明のさらに別の目的は、リサイクルすることができる、70%以上のラベル被覆率を有するプラスチック包装を提供することである。
【0011】
本発明のさらに別の目的は、NIR(近赤外線)選別プロセスによってプラスチック物品のポリマーが検出されかつ選別され得るプラスチック包装を提供することである。
【0012】
驚くべきことに、使用されるラベルの基材層の厚さを60μm未満に維持することによって、NIR(近赤外線)選別プロセスにより、より高いラベル被覆率を有するプラスチック包装のポリマーが検出されかつ選別され得ることが分かった。
【課題を解決するための手段】
【0013】
したがって、第1の態様では、本発明は、リサイクル可能なポリマーから構成された容器と、容器のポリマーとは異なるポリマーから構成された基材層を備えるラベルであって、該ラベルが、容器の全面積の少なくとも70%を覆う、ラベルと、を備え、基材層が、40μm~60μm未満の厚さを有する、持続可能でリサイクル可能な物品を提供する。
【0014】
第2の態様では、本発明は、リサイクル可能なポリマーから構成された容器、ポリマーから構成された基材層を備えるラベルであって、該ラベルが、容器の全面積の少なくとも70%を覆う、ラベル、を備え、基材層が、NIR選別機器による識別および選別のために40μm~60μm未満の厚さを有する、持続可能でリサイクル可能な物品の使用が提供される。
【0015】
本発明の文脈において、「持続可能な」への言及は、典型的には、そうでなければ物品を製造するために使用されたであろう関連する未使用の石油ベースのプラスチック材料と比較した場合に、そのライフサイクルアセスメントまたはライフサイクルインベントリのいくつかの態様において10%を超える改善を有する材料を意味する。本明細書で使用される場合、「ライフサイクルアセスメント」(LCA)または「ライフサイクルインベントリ」(LCI)は、その存在によって引き起こされるかまたは必要とされる所与の製品またはサービスの環境への影響の調査および評価を指す。LCAまたはLCIは、「ゆりかごから墓場まで」分析を伴い得、これは、製造(「ゆりかご」)から使用段階および廃棄段階(「墓場」)までの完全なライフサイクルアセスメントまたはライフサイクルインベントリを指す。例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)容器をHDPE樹脂ペレットにリサイクルし、次いで容器、フィルム、または射出成物品を形成するために使用し、例えば化石燃料エネルギーを大幅に節約することができる。その寿命の終わりに、ポリエチレンは、例えば焼却によって処分され得る。すべての投入および出力は、ライフサイクルのすべての段階で考慮される。
【0016】
本発明の文脈において、「リサイクル可能な」への言及は、典型的には、物品の構成要素(例えば、ボトル、キャップ、ラベル)が石油由来の樹脂(例えば、HDPE、PET、PP)または紙に対して確立された現在のリサイクルストリーム内に、構成要素の再製において使用するリサイクル樹脂または紙出力の適合性を損なうことなく入る能力を意味する。
【0017】
これらおよび他の態様、特徴、および利点は、以下の詳細な説明および添付の特許請求の範囲を読むことによって当業者には明らかになるであろう。誤解を避けるために言うと、本発明の一態様の任意の特徴は、本発明の任意の他の態様で利用され得る。「備える」という語は、「含む」を意味することを意図しているが、必ずしも「からなる」または「から構成された」を意味するものではない。換言すれば、列挙されたステップまたは選択肢は、網羅的である必要はない。以下の説明に与えられた実施例は、本発明を明確にすることを意図しており、本発明をそれらの実施例自体に限定することを意図するものではないことに留意されたい。同様に、別段の指示がない限り、すべてのパーセンテージは重量/重量パーセンテージである。動作例および比較例を除いて、または別段に明示的に示されている場合を除いて、材料の量もしくは反応の条件、材料の物理的特性、および/または使用を示す本明細書中のすべての数字は、「約」という語によって修飾されているものとして理解されるべきである。
【0018】
「x~y」の形式で表される数値範囲は、xおよびyを含むと理解される。特定の特徴について、複数の好ましい範囲が「x~y」の形式で記載されている場合、異なる端点を組み合わせたすべての範囲も企図されていることが理解される。
【発明を実施するための形態】
【0019】
第1の態様では、本発明は、容器と、容器の全面積の少なくとも70%を覆うラベルと、を備える持続可能でリサイクル可能な物品に関する。
【0020】
本発明による物品は、パーソナルケア製品、美容製品、化粧品、ホームケア製品、および/または食品などの日用消費財(FMCG)用の包装である。
【0021】
容器
本発明の容器は、バージンポリエチレン、ポストコンシューマリサイクルポリエチレン(PCR-PE)、ポストインダストリアルリサイクルポリエチレン(PIR-PE)、およびそれらの混合物からなる群から選択されたリサイクル可能なポリマーから構成されている。ポリエチレンは、HDPE(高密度ポリエチレン)、またはHDPE(高密度ポリエチレン)とLDPE(低密度ポリエチレン)との混合物を含み得る。代替の実施形態では、ポリマーは、バージンポリエチレンテレフタレート、ポストコンシューマリサイクルポリエチレンテレフタレート(PCR-PET)、ポストインダストリアルリサイクルポリエチレンテレフタレート(PIR-PET)、およびそれらの混合物からなる群から選択されている。他の代替の実施形態では、ポリマーは、ポリプロピレン、ポストコンシューマリサイクルポリプロピレン(PCR-PP)、ポストインダストリアルリサイクルポリプロピレン(PIR-PP)、およびそれらの混合物からなる群から選択されている。
【0022】
好ましくは、容器は、ポストコンシューマリサイクルポリエチレンテレフタレート(PCR-PET)、ポストコンシューマリサイクルポリプロピレン(PCR-PP)、またはポストコンシューマリサイクルポリエチレン(PCR-PE)から構成されている。
【0023】
容器は、好ましくは、パーソナルケア製品、美容製品、化粧品、ホームケア製品、および/または食品などの日用消費財(FMCG)を包装するためのボトルである。
【0024】
ラベル
ラベルは、ポリエチレン、ポストコンシューマリサイクルポリエチレン(PCR-PE)、ポストインダストリアルリサイクルポリエチレン(PIR-PE)、紙、およびそれらの混合物からなる群から選択されたポリマーを含む基材層から構成されている。ポリエチレンは、LDPE(低密度ポリエチレン)、LLDPE、またはHDPE(高密度ポリエチレン)を含み得る。代替の実施形態では、基材層は、ポリエチレンテレフタレート、ポストコンシューマリサイクルポリエチレンテレフタレート(PCR-PET)、ポストインダストリアルリサイクルポリエチレンテレフタレート(PIR-PET)、フランジカルボン酸のポリエステル、フランジカルボン酸のポストコンシューマリサイクルポリエステル、フランジカルボン酸のポストインダストリアルリサイクルポリエステル、フランジカルボン酸の粉砕再生ポリエステル、紙、およびそれらの混合物からなる群から選択されたポリマーを含む。他の代替の実施形態では、基材層は、ポリプロピレン、ポストコンシューマリサイクルポリプロピレン(PCR-PP)、ポストインダストリアルリサイクルポリプロピレン(PIR-PP)、紙、およびそれらの混合物からなる群から選択されたポリマーを含む。
【0025】
ポリマーは、一軸延伸(機械方向)(MDO)であっても二軸延伸(BO)であってもよい。
【0026】
好ましくは、ポリマーは二軸延伸ポリプロピレン(BOPP)である。
【0027】
本発明によるラベルは、容器の全面積の少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%を覆う。
【0028】
ラベルの被覆率は、ラベルがボトルの周りに完全に巻き付けられている場合、「ラベルの高さ」/「ボトルの高さ」の比率を計算することによって査定することができる。これは、他の種類のラベル、例えば表ラベルおよび裏ラベルについて「ラベル面積」/「ボトル面積」の比率を計算することによっても査定することができる。
【0029】
基材層の厚さは重要である。ラベルが容器の大部分を覆い、それが容器上の全面積の70%以上である場合、基材層の厚さは40μm~60μm未満であり、NIR選別機器が物品を正確に識別および選別することを可能にする。好ましくは、基材層の厚さは、少なくとも43μm、より好ましくは少なくとも45μm、さらに好ましくは少なくとも48μm、さらにより好ましくは少なくとも51μmであるが、典型的には59μm以下、好ましくは57μm以下、より好ましくは55μm以下、さらにより好ましくは53μm以下、またはさらに52μm以下である。
【0030】
基材層の厚さが40μm未満であると、接着剤を塗布する際に、ラベルに気泡およびしわなどの問題が生じる。
【0031】
ラベルは、溶剤系または水性であり得るインクをさらに含む。いくつかの実施形態では、インクは、大豆、植物、またはそれらの混合物などの再生可能資源に由来する。インクは、熱または紫外線(UV)を使用して硬化させることができる。
【0032】
インク層の厚さは、印刷構成に応じて2~14μmで変動し得る。
【0033】
ラベルは、接着剤を使用して容器に固定することができる。いくつかの実施形態では、接着剤は、プラスチックリサイクル業者協会(APR)のプラスチックリサイクル性についての設計ガイドに従ってPETボトルおよび熱成形容器のリサイクルを可能にするように設計された透明な永久アクリル系接着剤である、CleanFlake Adhesive TechnologyによるFasson(登録商標)SR3010などのリサイクル可能な接着剤である。
【0034】
キャップ
本発明による物品は、キャップをさらに備え得る。いくつかの実施形態では、本発明のキャップは、バージンポリプロピレン、ポストコンシューマリサイクルポリプロピレン(PCR-PP)、ポストインダストリアルリサイクルポリプロピレン(PIR-PP)、およびそれらの混合物からなる群から選択されたポリマーから構成されている。いくつかの実施形態では、キャップは、リニア低密度ポリエチレン(LLDPE)、ポストコンシューマリサイクルLLDPE、ポストインダストリアルリサイクルLLDPE、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポストコンシューマリサイクルポリエチレン(PCR-PE)、ポストインダストリアルリサイクルポリエチレン(PIR-PE)、およびそれらの混合物からなる群から選択されたポリマーから構成されている。例えば、キャップは、(i)上記のようなリニア低密度ポリエチレン(LLDPE)、ポストコンシューマリサイクルLLDPE、ポストインダストリアルリサイクルLLDPE、およびそれらの混合物からなる群から選択されたポリマー、または(ii)上記のような高密度ポリエチレン(HDPE)、ポストコンシューマリサイクルHDPE、ポストインダストリアルリサイクルポリエチレンHDPE、低密度ポリエチレン(LDPE)、ポストコンシューマリサイクルLDPE、ポストインダストリアルリサイクルLDPE、およびそれらの混合物からなる群から選択されたポリマーから構成され得る。
【0035】
使用
第2の態様では、本発明は、リサイクル可能なポリマーから構成された容器、ポリマーから構成された基材層を備えるラベルであって、該ラベルが、容器の全面積の少なくとも70%を覆う、ラベル、を備え、基材層が、NIR選別機器による識別および選別のために40μm~60μm未満の厚さを有する、持続可能でリサイクル可能な物品の使用に関する。
【0036】
次に、以下の非限定的な実施例を参照して、本発明をさらに説明する。実施例において、すべてのパーセンテージは、別段の指定がない限り、総重量に基づく重量による。
【0037】
[実施例]
[実施例1]
プラスチック物品全体の選別潜在能力
この実施例では、異なるラベル厚さを有するプラスチック物品を、生産施設で使用されるものと同様に実行するパイロットスケールのNIR選別機器で正確に識別および選別することができるかどうかについて評価した。
【0038】
この試験は、Association of Plastics Recyclers(APR)によって開発された一連の「選別潜在能力試験方法」のうちの1つである。
【0039】
(タイトル:Evaluation of the Near Infrared(NIR)Sorting Potential of a Whole Plastic Article、文書番号:Sort-B-01:発行日または改訂日:2018年5月15日)。
【0040】
試験方法
選別潜在能力試験方法は、シングルストリームのポストコンシューマリサイクル可能物を取り扱うための、最も一般的に使用される収集および材料回収施設(MRF)プロセスの実験室スケールの体現を説明する。試験方法は、これらの混在するリサイクル可能物が道路端で収集され、典型的なリサイクル収集トラック内で圧縮され、自動化されたMRFに搬送され自動化されたMRFによって同様のプラスチックのベールに処理され、次いで、プラスチックリクレーマにおいて元の形態でさらに処理されてからサイズが減少されることを想定している。
【0041】
これらの試験は、プラスチックリクレーマでのサイズ減少から開始される、またはサイズ減少後のプラスチックのリサイクルプロセスを考慮していない。また、これらの試験は、異なる結果をもたらす異なる収集および分離の方法を使用し得る他のプロセスを体現するものでもない。さらに、プラスチック選別プロセスは、商業的実践においてある程度の変動性を有する。このプロトコルの目的は、考えられるすべてのプロセス成果をモデル化することはではなく、広く採用されており、業界で使用されているパラメータの範囲内にしっかりと収まる共通のパラメータのセットを選択することである。
【0042】
選別潜在能力試験は、リサイクルプロセスにおいて包装全体が失われる原因となり得る特定の設計上の特徴を識別することを目的としている。包装の単なる構成要素ではなく、包装全体がプラスチックリサイクルストリームに流されるため、サイズ減少前にプラスチック物品が誤って選別された場合の結果はサイズ減少後のプロセス内で誤って選別されるよりも重大である。この試験における選別挙動のモデル化は、設計エンジニアが改善努力に集中することを可能にし、プラスチック包装のリサイクル性に関するAPRの設計ガイダンスの基礎を形成する、APRによって提示された広範囲の試験を補完するように設計されている。
【0043】
典型的には、今日のより新しいシングルストリームMRFおよびPETリクレーマは、透過または反射のいずれかでそれらのNIR(近赤外線)シグネチャによってプラスチック包装および他のアイテムを選別する自動化された機器を採用している。この機器が効果的に動作するためには、プラスチック物品を正確に識別し、かつ正しい場所に誘導しなければならない。そうでなければ、物品は廃棄物ストリームに誘導されるか、またはリサイクルされない可能性が高い別のリサイクル可能なストリーム中の汚染物質になる。
【0044】
この特定のNIR選別潜在能力試験方法は、プラスチック物品を、生産施設で使用されるものと同様に実行するパイロットスケールのNIR選別機器で正確に識別および選別できるかどうかを評価する手段を提供する。このスクリーニング試験における良好な結果は、プラスチック物品が生産条件において良好に選別される潜在能力を有することを示している。不良な結果は、回収を促進するためにはプラスチック製品設計の改善が望ましいことを示している。この試験方法の任意選択の第2の部分は、パイロット機器およびソフトウェアがこの物品を正しく識別および選別するように調整される能力を有するかどうかを判定し、そうである場合、生産施設においてこの調整を捕捉する手段を組み込む。
【0045】
試験は、試験物品のポリマーを標的としながら既知の材料のブレンドを処理することによって、パイロットNIR選別機械のベースライン性能を確立することを伴う。次いで、20個の試験物品のサンプルを加え、混合物質を再処理する。試験物品の選別効率をベースライン効率と比較する。NIRユニットを5回通過させて、試験物品の繰返し値を明らかにする。
【0046】
必要な機器:
1.https://plasticsrecycling.org/images/pdf/design-guide/test-methods/Compression_Practice_for_Sorting.pdfに見られる説明書に従って構築されたボトル圧縮装置
2.適用可能な供給ベルトおよび排出シュートを有する、典型的な現場機器の代表的な(反射または透過)モードで動作するバイナリNIRボトル選別機。この試験は、パイロットプラントスケールのNIR選別機器で行われる。潜在能力試験の場所のリストについては、https://plasticsrecycling.org/images/pdf/design-guide/Resources/Candidate_Test_Labs.pdfに見られる「APR Recognized Laboratories for Testing」を参照されたい。
【0047】
必要な材料:
1.試験申請者によって提供された20個の同一の候補試験物品。これらの物品は、消費者が使用した後に道路端のごみ箱に入れられたかのように、完全に、すなわちラベル、クロージャなどで装飾されているべきである。これらの物品は空であるが、実際のリサイクルストリーム中に見られる物品内にはいくらかの残留製品が残っている場合があることに留意されたい。選別機械は、一般に、一般的な量の残留製品の影響を最小限に抑えるようにプログラムされているため、この試験では残留製品は考慮されない。
【0048】
2.MRFで容器ラインを通して一般的に処理されるプラスチック材料を体現するプラスチック物品の混合物質。この混合物質は、少なくとも1分間、トライアル選別機械を50%以上の設備スループットで動作させるのに十分な量でなければならない(設備能力の一般的な経験則は、機械幅1メートル当たり1トン/時であり、これは毎分34ポンドまたは毎分約733ボトルに相当するが、この比率は製造業者に依存する)。これらの物品は、通常、試験所によって提供および維持され、実際の収集システムを通して事前に圧縮されるべきであり、ラベルおよび付属品を含む。重量パーセントにより、混合物質は、以下からなるべきである。
【0049】
-8オンス~2リットルの7~12%ポリプロピレン容器
-8オンス~1ガロンの12~17%HDPE天然容器
-8オンス~1ガロンの16~21%HDPE着色容器
-8オンス~2リットルの45~50%PET容器、なお、これらは少なくとも20個の以下の、
〇透明または水色の単一の供給水
〇透明な2リットルの炭酸清涼飲料水
〇緑色の2リットルの炭酸清涼飲料水
〇75%未満のラベル被覆率のシュリンクスリーブラベルを有する透明なもの
が体現されることを保証する
-2~3%のPETG容器-10~15%の他のプラスチック容器、なお、これらはPS、PVC、および黒色のアイテムが体現されることの保険となる
方法ステップ:
1.以下を含む提出用のすべての物品の写真を撮影する。
【0050】
a.圧縮前の1つの候補試験物品
b.圧縮後のすべての候補試験物品(1つの集合写真)
c.他の物品の混合物質(1つの集合写真)
2.https://plasticsrecycling.org/images/pdf/design-guide/test-methods/Compression_Practice_for_Sorting.pdfに見られるAPR圧縮手法に従って候補物品を圧縮する
圧縮は、物品を平らにし、物品がコンベヤベルト上で滑りにくくなるのに役立つ。光学的選別が成功するには、エジェクタとセンサとのタイミングを合わせることができるように、物品がコンベヤベルト上で安定した状態を保つ必要がある。圧縮されていない丸められたアイテムに対して実行された選別試験は、悪い結果となる可能性がある。
【0051】
3.材料混合物質を収集し、分類した(試験所は、必要に応じて使用するためにこの混合物質を試験所の施設内に維持し、分類は既に完了していることが期待される)。
【0052】
a.添付の様式に各物品タイプの重量および個数を記載して混合物質を分類する。
【0053】
b.混合物質が少なくとも1分間、定格スループットの50%以上で選別機に供給されるのに十分なサイズであることを確実にする。選別機の使用可能な幅をこれらのパラメータ内に収まるように調整することは許容されており、予想されている。
【0054】
4.ベースラインの確立:
a.すべての選別機パラメータを設定して現場に設置された典型的な機械を体現する。
【0055】
i.主にPETから作製された候補物品の場合、これらのパラメータは、PETリクレーマにおける設定を体現するべきであり、なぜなら、これらの機械は、典型的には、プロセスにおいて最も厳しい基準を表すからである。
【0056】
ii.主にPPまたはHDPEから製造された候補物品の場合、これらのパラメータは、MRFにおける設定を体現するべきであり、なぜなら、これらは典型的には、リサイクルプロセスにおける唯一の自動選別機であるためである。
【0057】
b.製造業者の操作手順を用いて、候補物品を体現するポリマーを確実に選別するように選別機を設定する。設定を調整するために試験物品を使用しないこと。注意:この試験の目的は、最新の機械バージョンの機能ではなく、現場での機械の性能を体現することである。したがって、この試験は、適切な銘柄対銘柄または機械対機械の比較ではない。
【0058】
c.容器内に候補物品を入れずに材料混合物質を混ぜ合わせ、それらがランダムに混合されるようにする。
【0059】
d.選別機の設備スループットの少なくとも50%の速度で、混合された物品を加速ベルト(または試験施設によっては振動フィーダ)上に計量する。
【0060】
e.正しく/確実に選別された標的ポリマー物品の数およびパーセントを以下様式に記録する。
【0061】
5.候補物品を試験する。
【0062】
a.材料混合物質に、ベースライン選別から確実に選別されたアイテムを再導入する。
【0063】
b.候補物品を材料混合物質に加え、それらがランダムに混合されるように容器内で混ぜ合わせる。
【0064】
c.選別機の設備スループットの少なくとも50%の速度で、混合された物品を加速ベルト(または試験施設によっては振動フィーダ)上に計量する。
【0065】
d.確実に選別された候補物品の数を以下様式に記録する。
【0066】
e.5回繰り返す
測定:各実行ごとに、報告書様式に従って「確実に」放出された試験物品の個数を記録する。
【0067】
査定:
分散=ベースライン試験で確立された試験ポリマーの選別効率から、以下の試験を総合した試験物品の選別効率を引いた差
捕捉率=試験全体において正しく選別された試験物品のパーセンテージ。
【0068】
もし:
分散が<=5%である場合:候補物品は、NIRによって正しく選別されている可能性が最も高く、「光学的選別潜在能力」に関する設計特徴についてのAPR設計ガイダンスカテゴリが好ましい。
【0069】
分散が>5%であり、捕捉率が>=51%である場合、高いパーセンテージの試験物品がNIRによって誤って選別されることとなるが、適切なベールに選別される可能性が最も高いこととなる。設計特徴「光学的選別潜在能力」についてのAPR設計ガイダンスカテゴリは有害である
捕捉率%が<51%である場合:候補物品は、NIRによって誤って選別されている可能性が最も高いこととなり、したがって、設計特徴「光学的選別潜在能力」についてのAPR設計ガイダンスカテゴリにより、リサイクル性のAPR定義に従って包装はリサイクル不可能になる
試験物品:
ボトル-100%rPET製
キャップ-ポリプロピレン
ラベル基材-BOPP(二軸延伸ポリプロピレン)
試験結果を以下の表に示す:
【0070】
【表1】
【0071】
上記の表から推測すると、70%以上のラベル被覆率が必要とされる場合、ラベル基材の厚さは、NIR選別機器によって正確に識別および選別することができるように、本発明に従って<=5%の分散を有するように維持されなければならない(40μm~60μm未満)。
【手続補正書】
【提出日】2023-10-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a リサイクル可能なポリマーから構成された容器と、
b リサイクル可能で透明な永久アクリル系接着剤を使用して前記容器に固定されたラベルであって、前記ラベルが、前記容器のポリマーとは異なるポリマーから構成された基材層を備え、前記ラベルが、前記容器の全面積の少なくとも70%を覆う、ラベルと、
を備え、
前記基材層が、40μm~60μm未満の厚さを有する、
持続可能でリサイクル可能な物品。
【請求項2】
前記ラベルが、前記容器の前記全面積の少なくとも80%を覆う、請求項1に記載の物品。
【請求項3】
前記基材層が、40μm~55μmの厚さを有する、請求項1または2に記載の物品。
【請求項4】
前記基材層が、45μm~55μmの厚さを有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の物品。
【請求項5】
基材のポリマーが、一軸延伸(機械方向)(MDO)または二軸延伸(BO)である、請求項1から4のいずれか一項に記載の物品。
【請求項6】
前記物品が、日用消費財(FMCG)用の包装である、請求項1から5のいずれか一項に記載の物品。
【請求項7】
a リサイクル可能なポリマーから構成された容器、
b リサイクル可能で透明な永久接着剤を使用して前記容器に固定されたラベルであって、前記ラベルが、ポリマーから構成された基材を備え、前記ラベルが、前記容器の全面積の少なくとも70%を覆う、ラベル、
を備え、
基材層が、NIR選別機器による識別および選別のために40μm~60μm未満の厚さを有する、
持続可能でリサイクル可能な物品の使用。
【国際調査報告】