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特表2024-534381螺旋状アンカーを有する埋め込み可能尿抑制デバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-20
(54)【発明の名称】螺旋状アンカーを有する埋め込み可能尿抑制デバイス
(51)【国際特許分類】
   A61M 39/02 20060101AFI20240912BHJP
【FI】
A61M39/02 110
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024516515
(86)(22)【出願日】2022-09-13
(85)【翻訳文提出日】2024-04-19
(86)【国際出願番号】 US2022076348
(87)【国際公開番号】W WO2023044301
(87)【国際公開日】2023-03-23
(31)【優先権主張番号】63/261,171
(32)【優先日】2021-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521358752
【氏名又は名称】ウロメディカ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】UROMEDICA,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】バートン、ジョン エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】クック、ティモシー シー.
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA03
4C066BB05
(57)【要約】
埋め込み可能デバイスは、導管と、尿失禁の治療としての尿道の接合などの体管腔の制御可能な接合のために導管の前端近傍で導管に結合された調節可能な膜要素と、導管の前端に結合された螺旋体とを含む。螺旋体は、埋め込み可能デバイスを組織に固着させるための固定機構として機能する。埋め込み可能デバイスは、シースを使用して組織内に挿入することができ、シースの前端部に配置された調節可能な膜要素を部分的に膨張させることによってシースと共に回転させることができ、螺旋体は、シースを回転させることによって組織内に回転させて入れることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体の体管腔の接合のために前記生体の組織内に位置決めされるように構成された埋め込み可能デバイスであって、前記埋め込み可能デバイスは、
前記体管腔を接合するように構成され、チャンバを画定する内側表面を有する連続壁を含む調節可能な膜要素と、
導管周面と、導管後端と、導管前端と、1つ以上の導管管腔と、を含む長尺の導管であって、前記導管周面は、前記導管前端又はその近傍において、前記調節可能な膜要素に接続されるとともに封止され、前記1つ以上の導管管腔は、前記導管後端にある第1の開口部と、前記チャンバと流体連通している第2の開口部と、前記導管前端又はその近傍にある閉鎖端と、を有する膨張管腔を少なくとも含む、長尺の導管と、
前記導管後端において前記長尺の導管に接続され、前記膨張管腔の前記第1の開口部と流体連通している空洞を含む後部ポートと、
前記導管前端に結合され、前記埋め込み可能デバイス全体を締め付け方向に回転させることによって、前記埋め込み可能デバイスを前記組織に固着させるように構成される螺旋体と、を備える、埋め込み可能デバイス。
【請求項2】
前記後部ポートは、ストレインリリーフと、前記ストレインリリーフに結合されたポート基部と、を備え、前記導管後端が前記ストレインリリーフ内にある状態で前記長尺の導管に接続される、請求項1に記載の埋め込み可能デバイス。
【請求項3】
それぞれが生体安定性セグメント化ポリウレタンで構築された1つ以上の弾性部分を備える、請求項1又は2に記載の埋め込み可能デバイス。
【請求項4】
前記螺旋体は、生体吸収性材料から構築される、請求項1~3のいずれか一項に記載の埋め込み可能デバイス。
【請求項5】
生体内の標的部位の組織における体管腔の制御可能な接合のための埋め込み可能デバイスキットであって、
埋め込み可能デバイスであって、
前記体管腔を接合するように構成され、チャンバを画定する内側表面を有する連続壁を含む調節可能な膜要素と、
導管周面と、導管後端と、導管前端と、1つ以上の導管管腔と、を含む長尺の導管であって、前記導管周面は、前記導管前端又はその近傍において、前記調節可能な膜要素に接続されるとともに封止され、前記1つ以上の導管管腔は、前記導管後端にある第1の開口部と、前記チャンバと流体連通している第2の開口部と、前記導管前端又はその近傍にある閉鎖端と、を有する膨張管腔を含む、長尺の導管と、
前記導管後端に接続され、前記膨張管腔の前記第1の開口部と流体連通している空洞を含む後部ポートと、
前記導管前端に結合され、前記埋め込み可能デバイスを前記組織に固着させるように構成される螺旋体と、を備える、埋め込み可能デバイスと、
前記調節可能な膜要素を含む前記埋め込み可能デバイスの一部分を収容するように構成されるシースであって、前記埋め込み可能デバイスを前記標的部位に案内するように構成され、前記調節可能な膜要素が部分的に膨張した状態で前記埋め込み可能デバイスの一部分が前記シース内に配置されたときに前記埋め込み可能デバイスを回転させるために使用されるように構成される、シースと、を備える、埋め込み可能デバイスキット。
【請求項6】
プッシュワイヤを更に備え、前記1つ以上の導管管腔は、前記長尺の導管上の開口部と、前記導管前端又はその近傍にある閉鎖端と、を有するプッシュワイヤ管腔を更に含み、前記開口部は、前記プッシュワイヤが前記プッシュワイヤ管腔に入ることを可能にし、前記閉鎖端は、前記プッシュワイヤに前進力を加えることによって前記埋め込み可能デバイスが前記シースを通って前方に押されることを可能にする、請求項5に記載の埋め込み可能デバイスキット。
【請求項7】
前記シースは、
シース後部と、シース前部と、前記シース後部と前記シース前部との間に結合されたシース中間部と、を含む長尺の本体と、
前記シース中間部上に延びるスロット中間部と、前記シース前部上に延びるスロット前部と、を少なくとも含む長手方向スロットであって、前記スロット中間部は、前記シース内への埋め込み可能デバイスの一部分の配置を可能にするように構成され、前記スロット前部は、前記調節可能な膜要素が実質的に前記シース内に配置され、部分的に膨張させられたときに、前記埋め込まれたデバイスが前記シースと共に回転することを可能にするように構成され、前記シースが前記埋め込み可能デバイスから分離されることを可能にするように構成される、長手方向スロットと、を備える、請求項5又は6に記載の埋め込み可能デバイスキット。
【請求項8】
前記シース前部は、1つ以上の把持機構を含む内面を備える、請求項7に記載の埋め込み可能デバイスキット。
【請求項9】
前記1つ以上の把持機構は、長手方向の溝又は隆起部を備える、請求項8に記載の埋め込み可能デバイスキット。
【請求項10】
前記埋め込み可能デバイスの前記後部ポートは、ストレインリリーフと、前記ストレインリリーフに結合されたポート基部と、を備え、前記導管後端が前記ストレインリリーフ内にある状態で前記長尺の導管に接続され、前記ストレインリリーフの少なくとも一部分は、前記シースが前記埋め込み可能デバイスから分離されたときに前記シースの前記スロット前部を通過させるように構成される、請求項7~9のいずれか一項に記載の埋め込み可能デバイスキット。
【請求項11】
前記シースは内面及び外面を備え、前記長手方向スロットは、前記内面と前記外面との間にそれぞれ結合された2つのスロット縁部によって形成され、前記2つのスロット縁部はそれぞれ、前記内面に直接結合されかつ内側半径を有する内側縁部と、前記外面に直接結合されかつ外側半径を有する外側縁部と、を備え、少なくとも前記スロット前部について、前記内側半径は前記外側半径よりも大きい、請求項7~10のいずれか一項に記載の埋め込み可能デバイス。
【請求項12】
前記埋め込み可能デバイスは、それぞれが生体安定性セグメント化ポリウレタンで構築された1つ以上の弾性部分を備える、請求項5~11のいずれか一項に記載の埋め込み可能デバイスキット。
【請求項13】
生体内の標的部位の組織における体管腔を接合するための方法であって、前記方法は、
埋め込み可能デバイスを提供することであって、前記埋め込み可能デバイスは、
前記体管腔を接合するように構成され、チャンバを画定する内側表面を有する連続壁を含む調節可能な膜要素と、
導管周面と、導管後端と、導管前端と、1つ以上の導管管腔と、を含む長尺の導管であって、前記導管周面は、前記導管前端又はその近傍において、前記調節可能な膜要素に接続されるとともに封止され、前記1つ以上の導管管腔は、前記導管後端にある第1の開口部と、前記チャンバと流体連通している第2の開口部と、前記導管前端又はその近傍にある閉鎖端と、を有する膨張管腔を含む、長尺の導管と、
前記導管後端に接続され、前記膨張管腔の前記第1の開口部と流体連通している空洞を含む後部ポートと、
前記導管前端に結合される螺旋体と、を含む、埋め込み可能デバイスを提供することと、
前記埋め込み可能デバイスを前記標的部位に配置したら、締め付け方向に前記埋め込み可能デバイスを回転させて、前記螺旋体を前記組織の中へと回転させて入れることと、を含む、方法。
【請求項14】
前記埋め込み可能デバイスを引っ張ることによって、前記螺旋体を前記組織から係合解除することを更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記埋め込み可能デバイスを提供することは、生体吸収性材料を使用して前記螺旋体を構築することを含む、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
シースを提供することと、
前記調節可能な膜要素を含む前記埋め込み可能デバイスの一部を前記螺旋体が前記シースの前端から延びる状態で前記シース内に配置することと、を更に含み、
前記埋め込み可能デバイスを回転させることは、
前記埋め込み可能デバイスが前記シースと共に回転するように前記調節可能な膜要素を部分的に膨張させることと、
前記シースを回転させることと、を含む、請求項13~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記シースを提供することは、シースであって、
シース後部と、シース前部と、前記シース後部と前記シース前部との間に結合されたシース中間部と、を含む長尺の本体と、
前記シース中間部内に延びるスロット中間部と、前記シース前部内に延びるスロット前部と、を含む長手方向スロットであって、前記スロット中間部は、前記スロット前部よりも広く、前記シース内への前記埋め込み可能デバイスの一部分の配置を可能にするようなサイズにされ、前記スロット前部は、前記長尺の導管の一部分を前記スロット前部に通過させることによって、前記シースが前記埋め込み可能デバイスから分離されることを可能にするようなサイズにされる、シースを提供することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記シースを提供することは、使い捨てシースを提供することを含む、請求項16又は17に記載の方法。
【請求項19】
前記埋め込み可能デバイスが前記シースと共に回転するように前記調節可能な膜要素を部分的に膨張させることは、
前記埋め込み可能デバイスの前記後部ポートの前記空洞に流体を注入することと、
前記調節可能な膜要素が前記シース前部に配置されたときに前記埋め込み可能デバイスの前記調節可能な膜要素の一部分を前記スロット前部を通して突出させるために、前記空洞に注入される流体の体積を制御することと、を含む、請求項16~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記埋め込み可能デバイスが前記シースと共に回転するように前記調節可能な膜要素を部分的に膨張させることは、
前記埋め込み可能デバイスの前記後部ポートの前記空洞に流体を注入することと、
前記空洞に注入される流体の圧力を制御することと、を含む、請求項16~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記締め付け方向に前記埋め込み可能デバイスを回転させて、前記螺旋体を前記組織の中へと回転させて入れることは、前記組織のタイプに基づいて、回転の量を制御することを含む、請求項13~20のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、概して、埋め込み可能医療デバイスに関し、より詳細には、尿失禁を治療するためのデバイスを患者に埋め込んだ後に組織に固着させるための螺旋体を有するデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
尿失禁を治療するための埋め込み可能デバイスの一例は、導管によって後部ポートに接続されたバルーンなどの調節可能な膜要素を含む。埋め込み可能デバイスは、調節可能な膜要素が患者の尿道に隣接して配置され、後部ポートが患者の皮膚の下に配置された状態で、低侵襲手術によって患者に移植することができる。調節可能な膜要素は、針を使用して経皮的に後部ポートに流体を注入するか、又は後部ポートから流体を抽出することによって、手術中及び手術後に調節することができる。例示的な治療では、そのような埋め込み可能デバイスの2つが患者内に配置されることにより、2つの調節可能な膜要素が、ストレス性尿失禁(例えば、くしゃみ、咳、又は身体活動中の漏出)などの場合に尿の不慮の漏出から保護するために、患者の膀胱頸部に圧迫及び支持を提供する。この治療の有効性は、患者内の標的部位における調節可能な膜要素の正確な配置、配置後の調節可能な膜要素の調節、及び経時的な調節可能な膜要素の位置の維持に依存する。
【発明の概要】
【0003】
埋め込み可能デバイスは、導管と、尿失禁の治療としての尿道の接合(coaptation)などの体管腔(body lumen)の制御可能な接合のために導管の前端近傍で導管に結合された調節可能な膜要素と、導管の前端に結合された螺旋体とを含む。螺旋体は、埋め込み可能デバイスを組織に固着させるための固定機構として機能する。埋め込み可能デバイスは、シースを使用して組織内に挿入することができ、シースの前端部に配置された調節可能な膜要素を部分的に膨張させることによってシースと共に回転させることができ、螺旋体は、シースを回転させることによって組織内に回転させて入れることができる。
【0004】
この概要は、本出願の教示の一部の概要であり、本主題の排他的又は網羅的な取り扱いを意図するものではない。本主題に関する更なる詳細は、発明を実施するための形態及び添付の特許請求の範囲に見出される。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲及びそれらの法的均等物によって定義される。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】本主題の実施形態による、埋め込み可能デバイスと、埋め込み可能デバイスの調節可能な膜要素に流動性材料を提供するためのシリンジソースとの斜視図である。
図2】本主題の実施形態による、図1に示される埋め込み可能デバイスの長手方向断面図である。
図3】本主題の実施形態による、図2の線3-3に沿った断面図である。
図4】本主題の実施形態による、患者の中の所望の場所に設置され、体管腔の調節可能な拘束を引き起こすために身体組織を体管腔に向かって変位させるように拡張された後の、図1の埋め込みデバイスを示す。
図5】本主題の実施形態による、別の埋め込み可能デバイスの長手方向断面図である。
図6】本主題の実施形態による、図5の線6-6に沿った断面図である。
図7】本主題の実施形態による、埋め込み可能デバイスの埋め込みのために使用されるシースを示す。
図8】本主題の実施形態による、図7のシースと共に使用されるトロカールを示す。
図9】本主題の実施形態による、図7のシースと図8のトロカールとのアセンブリを示す。
図10】本主題の実施形態による、図7のシース及び図8のトロカールのアセンブリを使用して尿道の接合を提供するための、患者の組織の中への埋め込み可能デバイスの導入を示す、破断図を含む図である。
図11】本主題の実施形態による、尿道の接合を提供するために患者に配置される一対の埋め込み可能デバイスを示す、破断図を含む図である。
図12】本主題の実施形態による、一対の埋め込み可能デバイスが図11に示されるように患者に配置された後の尿道の接合の調節を示す、破断図を含む図である。
図13】本主題の実施形態による、埋め込み可能デバイス、プッシュワイヤ、及びシースの図である。
図14】本主題の実施形態による、別の埋め込み可能デバイス、プッシュワイヤ、及びシースの図である。
図15】本主題の実施形態による、シースを使用して埋め込み可能デバイスを患者内に配置するための方法の図である。図15は、シース内に部分的に配置された埋め込み可能デバイスを示す。
図16】本主題の実施形態による、シースを使用して埋め込み可能デバイスを患者内に配置するための方法の図である。図16は、埋め込み可能デバイスの調節可能な膜要素がシースの前部内に前進させられ、埋め込み可能デバイスの螺旋体を組織内に回転させて入れることを可能にするように部分的に膨張させられている様子を示す。
図17】本主題の実施形態による、シースを使用して埋め込み可能デバイスを患者内に配置するための方法の図である。図17は、調節可能な膜要素の膨張を可能にするために部分的に引き出されているシースを示す。
図18】本主題の実施形態による、シースを使用して埋め込み可能デバイスを患者内に配置するための方法の図である。図18は、患者の体管腔の接合のために膨張させられている調節可能な膜要素を示す。
図19】本主題の実施形態による、シースを使用して埋め込み可能デバイスを患者内に配置するための方法の図である。図19は、シースが埋め込み可能デバイスから分離されることを可能にするために、引き出されているシースを示す。
図20】本主題の実施形態による、図15図19の方法を実行する際のシナリオと、そのシナリオに関連するデバイス特徴とを示す図である。図20は、シースのスロットから突出している埋め込み可能デバイスの調節可能な膜要素を示す。
図21】本主題の実施形態による、図15図19の方法を実行する際のシナリオと、そのシナリオに関連するデバイス特徴とを示す図である。図21は、シースのスロットから突出している埋め込み可能デバイスの調節可能な膜要素の長手方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本主題の以下の詳細な説明は、本主題が実施され得る特定の態様及び実施形態を例示として示す添付の図面における主題を参照する。これらの実施形態は、当業者が本主題を実施することができるように十分詳細に説明される。本開示における「ある(an)」、「1つの(one)」、又は「様々な(various)」実施形態への言及は、必ずしも同じ実施形態に対するものではなく、そのような言及は、2つ以上の実施形態を企図する。以下の詳細な説明は例示的なものであり、限定的な意味で解釈されるべきではない。本主題の範囲は、添付の特許請求の範囲によって、そのような特許請求の範囲が権利を与えられる法的均等物の全範囲と共に定義される。
【0007】
本明細書は、とりわけ、尿失禁を治療するために周囲の組織に埋め込み可能デバイスを固定するための機構及びツールについて論じている。埋め込み可能デバイスは、例えば、導管によって後部ポートに接続された調節可能な膜要素を含むことができ、導管は調節可能な膜要素のチャンバと後部ポートの内部空洞との間の流体連通を提供する管腔を有する。本明細書で説明する埋め込み可能デバイス(例えば、図1に示す埋め込み可能デバイス110)の様々な構造要素は、それぞれ様々な用語で呼ばれることがある。「調節可能な膜要素」(例えば、図1に示される調節可能な膜要素112)はまた、例えば、調節可能要素、拡張可能要素、拡張可能膜要素、前方拡張可能膜要素、バルーン、又は調節可能バルーンと称され得る。「導管」(例えば、図1に示される導管114)はまた、例えば、中心導管要素、デバイス導管、接続導管、接続導管チューブ、又は管状の長尺の本体と称され得る。「後部ポート」(例えば、図1に示される後部ポート116)はまた、例えば、後方ポート部分又は後部ポート要素と称され得る。「管腔」(例えば、図2に示される第1の管腔115及び第2の管腔117)はまた、例えば、通路、内側通路、又は内部通路と称され得る。
【0008】
一例において、埋め込み可能デバイスは、導管によってポートに接続された調節可能なバルーンを含む。バルーンは尿道に隣接して配置され、尿道壁に非円周方向の圧縮を加える。治療の有効性は、尿道壁に近接した尿生殖隔膜の上方の尿道-膀胱接合部近傍の恥骨後隙など、患者の体内の標的部位におけるバルーンの適切な位置決めに依存する。2つのバルーン(例えば、2つの埋め込み可能デバイスの)が使用される場合、それらの好ましい位置決めは、通常、尿道に対して対称的かつ横方向である。蛍光透視法又は経直腸超音波検査法(transrectal ultrasonography、TRUS)などの医療画像技術が、バルーン(複数可)の位置決めを補助するために使用され得る。2019年6月24日に出願され、UroMedica,Inc.に譲渡された米国特許出願第16/450246号(参照によりその全体が本明細書に援用される)に議論されているように、埋め込み可能デバイス(複数可)及び/又は1つ以上の外科用ツールに組み込まれるセンサもまた、バルーン(複数可)の位置決めを補助するために使用され得る。
【0009】
埋め込み処置の間、埋め込み可能デバイス(複数可)は、バルーン(複数可)が標的部位(複数可)の所定の位置に配置され固定された状態で患者の体内に配置される。バルーン(複数可)は、組織カプセル化を可能にしてその(それらの)標的部位(複数可)でバルーン(複数可)を安定化させるために、4~6週間の期間にわたって、典型的には0.5~1.5ccの間でわずかに膨張させられるだけである。特に、カプセル化なしでは、埋め込み可能デバイス(複数可)は、そこを通って埋め込み可能デバイス(複数可)が埋め込まれた拡張経路を移動する傾向がある。最適な効果のためには、バルーン(複数可)が骨盤底の上に維持されることが重要である。したがって、この埋め込み処置の間に固定が発生することが非常に重要である。カプセル化の後、望ましくない閉塞を引き起こすことなく排尿抑制を達成して維持するために、バルーン(複数可)内の流体の体積を調節する1つ以上の調節処置を患者に対して行うことができる。
【0010】
本主題は、尿失禁を治療するための埋め込み可能デバイスであって、埋め込み可能デバイスのバルーンが望ましくない変位をするのを防止するための螺旋状固定機構を有する埋め込み可能デバイスを提供する。図1図9は、螺旋状固定機構を組み込むことができる埋め込み可能デバイスと、埋め込み可能デバイスを患者の体内に配置するために使用される外科用ツールとの様々な実施形態を示す。埋め込み可能デバイス及び外科用ツールの様々な実施形態が、図1図9に示されており、限定としてではなく例として以下で説明される。これらの例並びに埋め込み可能デバイス及び外科用ツールの追加の例は、米国特許第5964806号、米国特許第6045498号、米国特許第6419624号、米国特許第6579224号、米国特許第8926494号、及び米国特許第9861384号で論じられており、これらは全てUroMedica,Inc.に付与されており、参照によりそれらの全体が本明細書に援用される。図10図12は、前立腺切除術後の患者における尿道接合のための一対の埋め込み可能デバイスの配置及び調節の例を示す。図13図19は、埋め込み可能デバイスに組み込まれた螺旋状固定機構と、埋め込み可能デバイスを患者の組織内に配置し、埋め込み可能医療デバイスを組織に固定するプロセスとを示す。
【0011】
図1は、本主題の実施形態による、埋め込み可能デバイス110及びシリンジ120の斜視図である。図2は、埋め込み可能デバイス110の長手方向断面図を示す。図3は、図2の線3-3に沿った埋め込み可能デバイス110の断面図である。埋め込み可能デバイス110は、図1に拡張状態で示されている調節可能な膜要素(バルーンとも呼ばれる)112を含み、これは長尺の導管114に圧密に(pressure-tightly)取り付けられている。導管114は前端160を有する。一実施形態では、導管114の周面は、調節可能な膜要素112に接続されるとともに封止される。一実施形態では、調節可能な膜要素112は、チャンバを画定する内面を有する連続壁を含む。
【0012】
導管114は、(図2及び図3に示されるように)第1の管腔115及び第2の管腔117を含む。一実施形態では、第1の管腔115は、導管114内で第1の開口部115Aから1つ以上の第2の開口部115B(例えば、図2に示されるような2つの開口部)まで長手方向に延びる。第2の開口部(複数可)115Bは、第1の開口部115Aを通して導入される流動性材料によって調節可能な膜要素112を調節可能に拡張又は収縮させるために、調節可能な膜要素112のチャンバと流体連通している。調節可能な膜要素112からの流体の漏出を防止するために、第1の管腔115は、導管114の前端160又はその近傍に閉鎖端を有する。閉鎖端は、例えば、シリコーン接着剤を使用して、第1の管腔115の前端を封止することによって形成され得る。あるいは、第1の管腔115は、それを導管1014の前端に到達する前に終端するように製造することによって閉鎖され得る。
【0013】
第2の管腔117は、導管114に沿って入口117Aから前端160の閉鎖端117Bまで長手方向に延びる。一実施形態では、第2の管腔117及び入口117Aはそれぞれ、組織内で埋め込み可能デバイス110を前進させるために使用され得るプッシュワイヤ(プッシュロッドとも称される)を受け入れるのに十分な直径のものである。
【0014】
埋め込み可能デバイス110は、導管114の後端に結合された後部ポート116を更に含む。一実施形態では、これは、空洞116A及び弾性隔壁118を含む。空洞116Aは、第1の開口部115Aにおいて第1の管腔115に結合されて流体連通している。弾性隔壁118は、調節可能な膜要素112を拡張(膨張)及び/又は縮小(収縮)させるために、流体を導入する及び/又は引き出すための針(図1に示される針121など)を使用して、空洞116Aへのアクセスを可能にする。弾性隔壁118の直径は、より良好な封止のために弾性隔壁1018に圧縮を生じさせるように、空洞116Aの直径よりもわずかに大きくすることができる。中空針121及び後部の軸方向に移動可能なプランジャ122を含むシリンジ120は、調節可能な膜要素112を拡張又は収縮させるために、それぞれ後部ポート116を通して埋め込み可能デバイス110に適切な流動性材料を注入するか、又は埋め込み可能デバイス110から適切な流動性材料を引き込むために設けられる。様々な実施形態では、流動性材料は、例えば、生理食塩水であり得、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、若しくはカルボキシメチルセルロースのシリコーンゲル若しくはヒドロゲルなどのポリマーゲル、又はヒアルロン酸、デキストラン、ポリアクリル酸、若しくはポリビニルアルコールなどの高粘度液体であり得る。必要に応じて、流動性材料は、膜膨張の程度がX線によって見られ得るように放射線不透過性(等張性造影剤など)にされ得るか、又は超音波によって見られ得るようにエコー源性であり得る。
【0015】
一実施形態では、図2に示されるように、後部ポート116は、チタンポートライナ111及びオーバーモールド113を含む。ポートライナ111は、空洞116A及び隔壁118の一部を囲繞し、針121が内側から後部ポート116を穿孔することを防止するか、又は針121が外側から誤って方向付けられた場合に後部ポート116を穿孔することを防止する。ポートライナ111の内径は、より良好な封止のための圧縮を提供するために、隔壁118の囲まれた部分よりもわずかに小さくすることができる。図2に示すように、ポートライナ111は、空洞116Aを取り囲む円筒部分と、円筒部分に接続されたキャップとを含む。キャップは、空洞116Aと第1の管腔との間の流体連通を可能にする穴を有する。この穴は、針が空洞116Aを越えて前方に貫通することを防止するために、針の直径よりも小さい直径を有することができる。オーバーモールド113は、シリコーン又は生体安定性セグメント化ポリウレタンエラストマーから作製され、ポートライナ111及び導管114の実際の部分(real portion)を覆って成形され、後部ポート116を導管114に接続することができる。オーバーモールド113は、ストレインリリーフとして機能するテーパ部分を含み、これは、導管114と後部ポート116との間の接続部を含む導管114を、例えば、埋め込み可能デバイス110が患者に埋め込まれている間の身体の動きによる周期的な曲げから生じ得る損傷、又は埋め込み可能デバイス110を組織から除去する間の引っ張りから生じ得る破損から保護する。
【0016】
調節可能な膜要素112を含む埋め込み可能デバイス110全体は、例えば、シリコーン又はポリウレタン系のエラストマー、及び長期埋め込みに適したチタン又はタンタルなどの金属を含む生体適合性材料から形成される。任意選択で、導管114及び後部ポート116は、一体構造として形成することができる。任意選択で、埋め込み可能デバイス110は、生体安定性のために選択されたマクロジオールの可撓性セグメントを有するポリウレタンである、生体安定性セグメント化ポリウレタンからそれぞれ構築された1つ以上の弾性部分を含む。この生体安定性は、長期埋め込みに予想される経時的な体内での応力亀裂などによる劣化に抵抗するポリマーの能力である。シラキサン、ポリエーテル、及びポリカーボネートのマクロジオールは、セグメント化ポリウレタンに生体安定性を与えることが知られており、任意の組合せで使用して、シリコーンよりも優れた靭性、耐切断性、耐摩耗性、及び透過性の欠如などの特性を与えることができる。加えて、熱可塑性であるため、マクロジオールは、大幅に削減したコストで調節可能な膜要素112をブロー成形することを可能にし、場合によっては3D印刷などの付加製造を使用することを可能にする。調節可能な膜要素112は、適切な接着剤を使用して、又は音波溶接若しくは溶剤接着などの手段によって導管114に接着することができる。シリコーン系材料の例としては、ポリジメチルシロキサン(PDMS)が挙げられ、これは、射出成形、押出、マンドレル上での浸漬成形のための分散液、又は接着剤などの意図された用途に応じて様々な配合を有する。
【0017】
図4は、本主題の実施形態による、患者の中の所望の場所に設置され、体管腔432の調節可能な拘束を引き起こすために身体組織を体管腔432に向かって変位させるように拡張された後の、埋め込みデバイス110を示す。収縮状態の調節可能な膜要素112が体管腔432に隣接する所望の位置にあるように、埋め込み可能デバイス110が患者に配置された後(例えば、図7図10を参照して以下に説明するような外科用ツールを用いる方法を使用して)、シリンジ120の針121で隔壁118を穿孔し、流動性材料を第1の管腔115を通して調節可能な膜要素112に注入することによって、体管腔432を所望の程度に拘束することができる。医師は、拘束部を通過させて体管腔432を通して流体を注入し、背圧を測定するなどの手段によって、体管腔432の所望の拘束度を決定することができる。一実施形態では、図10図12を参照して以下で更に説明するように、体管腔は尿道である。
【0018】
調節可能な膜要素112が体管腔432の近傍に配置され、後部ポート116内の隔壁118が皮膚430の近傍に配置された状態で、埋め込み可能デバイス110が適切に位置決めされた後、デバイスにシリンジ120から流動性材料が注入される。調節可能な膜要素112は、ある程度まで膨張させられ、次いで、身体組織による調節可能な膜要素112のカプセル化に好適な程度まで収縮させることができる。
【0019】
本主題は、手術後の膜拡張の調節可能性を有する埋め込み可能デバイス110を提供する。この調節可能性は、隔壁118が調節可能な膜要素112から離れているが、患者の皮膚の下であって皮膚に近いところ、例えば男性患者の陰嚢又は女性患者の陰唇内に配置されているためにもたらされる。後部ポート116及び隔壁118は、例えば、皮膚領域の手による触診によって位置が特定され、シリンジ120の針121は、皮膚及び隔壁118を通して挿入されて、調節可能な膜要素112に流動性材料を追加又は除去し、したがって、体管腔432の拘束を増加又は減少させる。
【0020】
図5は、本主題の実施形態による埋め込み可能デバイス510の長手方向断面図である。図6は、図5の線6-6に沿った埋め込み可能デバイス510の断面図である。埋め込み可能デバイス510は、調節可能な膜要素(バルーンとも呼ばれる)512と長尺の導管514とを含み、導管514は、導管の後端(近位端とも呼ばれる)における第1の開口部515Aから第2の開口部515Bまで導管514内で長手方向に延びる少なくとも第1の管腔515を含む。
【0021】
埋め込み可能デバイス510は、後部ポート516を更に含み、後部ポート516は、導管514の後端に結合されている。一実施形態では、後部ポート516は、化学接着剤を使用して、又は代替として、材料に応じて、音波溶接、溶剤結合、及び/又は当該技術分野で知られている他の技法を使用して、長尺の本体514の後端に結合される。追加の実施形態では、後部ポート516及び導管514は、液体射出成形又はオーバーモールドなどのポリマー成形プロセスで一緒に形成される。
【0022】
後部ポート516は、空洞516Aを含み、空洞516Aは、導管514の第1の開口部515Aと流体連通している。一実施形態では、後部ポート516はまた、それを通して空洞516Aがアクセスされる弾性隔壁518を含み、弾性隔壁518は、例えば針で繰り返し穿孔した後に自己封止する。一実施形態では、弾性隔壁518は、後部ポート516の周りに配置されたクランプリング519によって後部ポート516内に保持される。一実施形態では、クランプリング519は、例えばチタンなどの生体適合性材料から作製される。一実施形態では、弾性隔壁518は、例えば、シリコーン又は生体安定性セグメント化ポリウレタンなどの生体適合性材料から作製される。後部ポート516は、後部ポート516の外面554によって画定される外径を有する。一実施形態では、後部ポート516は、2~15ミリメートルの外径を有し、5.7ミリメートルが具体例である。
【0023】
いったん埋め込み可能デバイス510が体内に配置されると、調節可能な膜要素512は、流動性材料ソースを後部ポート516に解放可能に接続することによって膨張させられる。一実施形態では、流動性材料ソースは、針121を有するシリンジ120などの非コアリング針を有するシリンジを含み、針は、弾性隔壁518を通して挿入される。測定された量の流体は、埋め込み可能デバイス510内に導入することができ、調節可能な膜要素112は、流動性材料ソースから後部ポート516の空洞516A内に導入される流動性材料の体積に起因して、拡張又は収縮する。次いで、調節可能な膜要素512は、体管腔を少なくとも部分的に調節可能に拘束するために使用される。いったん調節可能な膜要素512が膨張させられると、針は後部ポート516の隔壁518から引き抜かれる。
【0024】
追加の実施形態では、検出可能なマーカー570が埋め込み可能デバイス510に埋め込まれる。例えば、検出可能なマーカー570は、導管514の前端(遠位端とも呼ばれる)560に配置される。一実施形態では、検出可能なマーカー570は、導管514の管腔内に配置される。検出可能なマーカー570は、体内の物体の位置を特定する手段として電磁エネルギーを使用する任意の数の可視化技術を使用して、前端560の、したがって調節可能な膜要素512の前端の、患者の組織内の位置を特定することを可能にする。一実施形態では、検出可能なマーカー570は、患者の組織内の調節可能な膜要素512の可視化及び配向を可能にするように構築及び配置される。一実施形態では、検出可能なマーカー570は、放射線不透過性タンタルから構築され、X線で可視化することができる。一実施形態では、導管514全体は、例えば、導管514内にタンタル粉末を分散させることによって、放射線不透過性にされる。埋め込み可能デバイス510は、埋め込み可能医療デバイス110について上述したのと同じ又は実質的に同様の方法で生体適合性材料から形成することができる。同様に、検出可能なマーカーは、埋め込み可能医療デバイス110について上述したのと実質的に同じ方法で配置され、実質的に同じ目的を果たすことができる。
【0025】
図7図9は、埋め込み可能デバイス110及び510などの埋め込み可能デバイスを患者の組織内に配置するための外科用ツールキットを示す。外科用ツールキットは、シース746(図7に示す)とトロカール838(図8に示す)とを含む。図9は、シース746及びトロカール838を含むアセンブリ940を示す。
【0026】
トロカール838は、長尺の部材(シャフト)837とハンドル部分836とを含む。一実施形態では、トロカール838は、使い捨てである(すなわち、再使用が意図されていない、又は再使用に適さない、例えば、使用後の洗浄及び再滅菌に適さない)。別の実施形態では、トロカール838は再使用可能である(すなわち、各使用後に洗浄及び再滅菌することができる)。長尺の部材837は、様々な実施形態では、滅菌可能である。追加の実施形態では、ハンドル部分836も滅菌可能である。別の実施形態では、トロカール838は、蒸気滅菌可能な構成要素を含む。様々な実施形態は、このような機能を提供することが公知の材料(例えば、外科グレードのステンレス鋼)を組み込む。複数の実施形態が本主題によって企図される。各実施形態では、長尺の部材837を構築するのに1つ以上の材料が使用される。各実施形態において、ハンドル部分836を構築するのに1つ以上の材料が使用される。
【0027】
トロカール838は、近位端及び遠位端を有し、ハンドル部分は近位端に配置される。一実施形態では、トロカール838は、遠位端に鋭い先端を有する。別の実施形態では、トロカール838は、遠位端に鈍い先端を有する。一実施形態では、鋭い先端を有するトロカール838及び鈍い先端を有するトロカール838は両方とも、埋め込み可能デバイス110及び510などのデバイスを埋め込むために提供される。
【0028】
シース746は、長尺の部材(シャフト)745とハンドル部分743とを含む。一実施形態では、シース746は使い捨てである(すなわち、再使用が意図されていない、又は再使用に適さない、例えば、使用後の洗浄及び再滅菌に適さない)。これは、シース746が使用中に損傷を受ける(例えば、埋め込み処置中に埋め込み可能デバイスからの分離を容易にするように修正される)ときに費用対効果をもたらすことができる。別の実施形態では、シース746は再使用可能である(例えば、各使用後に洗浄及び再滅菌することができる)。長尺の部材745は、一実施形態では、その直径にわたって窪み(U字又はC字)形状である。様々な実施形態では、長尺の部材745は、その長さの少なくとも一部にわたって延びるスロット開口部を有する管を含む。長尺の部材745は、様々な実施形態において湾曲した断面を有する。したがって、これらの実施形態は、シース746のチャネル744を画定する。様々な実施形態では、取り外し可能トロカールは、ハンドル部分743内の開口部を介して、シース746の長尺の部材内に摺動可能に配置されるようなサイズにされる。様々な実施形態では、1つ以上の材料が、長尺の部材745を構築する際に使用される。各実施形態において、1つ以上の材料が、ハンドル部分743を構築する際に使用される。そのような1つ以上の材料の例としては、ステンレス鋼及び様々な適切なポリマーが挙げられる。
【0029】
トロカール838は、図9に示すように、アセンブリ940を形成するためにシース746内に挿入される。一実施形態では、鋭い先端を有するトロカール838は、医師がハンドル836を把持してトロカール838を操作するときなどに、遠位部分が最初に、切開部、存在し得る任意の瘢痕組織、骨盤底の筋膜を通して、患者の膀胱頸部又は前立腺(存在する場合)の近位に位置する移植部位に向かって、患者の組織を貫通するために使用される。様々な実施形態では、医師は、トロカール838を伴うアセンブリ940を患者に作製された切開の中に挿入し、トロカール838が膀胱頸部に到達するまで、患者の組織内でアセンブリ940を前進させ、シース746の先端は、引き出され(例えば、約1~2cm)、標的部位におけるシース746の先端の位置を維持しながら、調節可能な膜要素112が膀胱頸部において部分的に膨張させられる(例えば、約1ccまで)ことを可能にする。一実施形態では、鋭い先端を有するトロカール838は、鋭い先端が患者の骨盤底に到達するまで使用され、次いで、患者の膀胱頸部に接近するときに膀胱穿孔を回避するために、鈍い先端を有するトロカール838によって置換される。
【0030】
様々な実施形態では、トロカール838及びシース746を含む外科用ツールキットが、埋め込み可能デバイス110及び510などのデバイスの埋め込みを行う医師に提供される。一実施形態では、外科用ツールキットは、鋭い先端を有するトロカール838と、鈍い先端を有するトロカール838と、シース746とを含む。一実施形態では、トロカール(複数可)838(鋭い先端及び/又は鈍い先端)及びシース746を含む外科用ツールキットは、使い捨てであり、すなわち単回使用が意図されている。再使用可能なトロカール及びシースと比較して、使い捨てトロカール及びシースは、より費用対効果が高く、及び/又はより安全であり得る(例えば、洗浄及び再滅菌に関連する費用及び有効性の懸念に起因する)。
【0031】
図10は、本主題の実施形態による、尿道の接合を提供するために、アセンブリ940を使用しての前立腺切除術後の男性患者の組織への埋め込み可能デバイス1010の導入を示す、破断図を含む図である。埋め込み可能デバイス1010の例には、埋め込み可能デバイス110、510、1310、1410、1510、及び本明細書で説明するそれらの実施形態のいずれかが含まれる。様々な実施形態では、医師は、患者の陰嚢の下の会陰に作製された切開の中にアセンブリ940を挿入し、トロカール838の先端が膀胱の膀胱頸部に近位の標的部位に到達するまで、患者の組織の中でアセンブリ940を前進させる。次に、シース746の先端の位置を標的部位に維持したまま、トロカール838を抜去する。埋め込み可能デバイス1010は収縮された調節可能な膜要素と共に、シース746を通して、プッシュワイヤを使用して選択された位置まで前進させられる。一実施形態では、プッシュワイヤが調節可能な抑制デバイス内に完全に挿入されることを確実にすることが有用である。一実施形態では、埋め込み可能デバイス1010の前端の位置は、例えば、蛍光透視法、膀胱鏡検査法、又は触診によって確認することができる。一実施形態では、埋め込み可能デバイス1010の先端は、膀胱頸部に隣接して位置決めされる。
【0032】
一実施形態では、シースは、埋め込み可能デバイス1010の調節可能な膜要素がシース746から離れるように、約2センチメートル引き戻される。これは、部分的には、バルーンが膨張中に損傷を受けないことを確実にするためである。次に、埋め込み可能デバイス1010は、埋め込み可能デバイス1010の後部ポートの隔壁を、シリンジの23ゲージノンコアリング針などのシリンジの針で貫通することによって調節することができ、調節可能な膜要素は、約1ミリリットルの生理食塩水又は等張性造影剤などの流体で部分的に膨張させることができる。X線視覚化又は超音波を使用する実施形態では、医師は、球形を呈する調節可能な膜要素を見ることができる。一実施形態では、シース746は、調節可能な膜要素が膨張させられる前に、患者から完全に除去される。
【0033】
一実施形態では、埋め込み可能デバイス1010の調節可能な膜要素が部分的に膨張させられ、かつシース746が患者から完全に除去された後、経路が陰嚢に通され、埋め込み可能デバイス1010の後部ポートが鉗子で把持され、陰嚢の上端に向かって配置される。切開は、埋め込み可能デバイス1010の導管上で、縫合などによって閉じることができる。
【0034】
図11は、本主題の実施形態による、尿道の接合を提供するために患者に配置された一対の埋め込み可能デバイス1010A及び1010Bを示す、破断図を含む図である。様々な実施形態では、埋め込み可能デバイス1010A及び1010Bはそれぞれ、埋め込み可能デバイス1010の例である。医師は、2つのデバイスが患者の尿道に対して互いに反対側に位置決めされた状態で、埋め込み可能デバイス1010A及び1010Bのそれぞれを配置するために、上述したのと同じ処置を適用することができる。
【0035】
一実施形態では、可能である場合、医師は、X線可視化又は超音波を使用することなどによって、埋め込み可能デバイス1010A及び1010Bの調節可能な膜要素の尿道に対する対称的な位置決めを確認する。プッシュワイヤは、両方のデバイスの位置決めが医師によって適切であると決定された後、埋め込み可能デバイス1010A及び1010Bから除去され得る。
【0036】
図12は、本主題の実施形態による、一対の埋め込み可能デバイス1010A及び1010Bが患者内に配置された後の尿道の接合の調節を示す、破断図を含む図である。それらを患者に配置した後、埋め込み可能デバイス1010A及び1010Bの調節可能な膜要素内の体積は、皮膚及び埋め込み可能デバイス1010A及び1010Bのそれぞれの後部ポートの隔壁をシリンジ120の針で貫通することによって、それぞれ経皮的に調節することができる。標的部位に配置した後、調節可能な膜要素をそれぞれ0.5~1.5ccの体積に膨張させて、X線又は超音波で、それらが尿道を接合するための正しい位置にあることを観察する。いったんこれが確認されると、調節可能な膜要素は、それぞれ0.5~1.5ccの体積のままとされ、その結果、それらは、所定の位置にしっかりと残るが、例えば、瘢痕組織又は解剖学的異常によって歪められない。調節可能な膜要素は、組織のカプセル化がそれらの位置を固定するように、この状態で4~6週間放置される。続いて、各調節可能な膜要素の体積は、抑制が達成されるまで4~6週間毎に0.5~1.0cc増加する方向に調節される。時間の経過と共に、抑制を維持するために調節可能な膜要素の各々の体積を増加させるか、尿閉を防止するためにその体積を減少させる、更なる調節が必要とされ得る。いくつかの例において、医師は、必要に応じて、膀胱鏡検査によって尿道又は膀胱損傷がないことを確認する。
【0037】
前立腺切除術後の男性患者における尿道の接合が一例として図10図12に示されているが、本主題は、様々な実施形態において(例えば、女性患者において、又は前立腺の経尿道的切除(TURP)後の男性患者において)、尿抑制のために任意の患者の尿道の接合に適用することができる。様々な他の実施形態では、本主題は、解剖学的構造を含む要因を考慮して、必要で実現可能である場合、任意の体管腔の接合のために適用され得る。
【0038】
図13は、本主題の実施形態による、埋め込み可能デバイス1310、シース1346、及び任意選択でプッシュワイヤ1324を含む、埋め込み可能デバイスキット1320の図である。埋め込み可能デバイス1310、シース1346、及び任意選択でプッシュワイヤ1324は、デバイスキット1320として提供することができ、キットはまた、他の付属品(例えば、図7図9を参照して上述したような、シースと共に使用するための1つ以上のトロカールなどの、シース1346を組織に挿入するための外科用ツール)を含むことができる。埋め込み可能デバイス1310は、体内の管腔を接合するために使用することができ、調節可能な膜要素(バルーンとも称される)1312と、長尺の導管1314と、後部ポート1316と、螺旋体1350とを含むことができる。調節可能な膜要素1312は、管腔を接合するように構成され、チャンバを画定する内面を有する連続壁を含む。後部ポート1316は、ポート基部1323に結合された、シリコーン系又はセグメント化ポリウレタン系エラストマーから作製された円錐形のストレインリリーフ1325を含む。導管1314は、ストレインリリーフ1325内の後部ポート1316に結合された導管後端1314Aと、調節可能な膜要素1312に結合された導管前端1314Bと、導管前端1314Bの近傍で調節可能な膜要素1312に接続されるとともに封止された周面と、任意選択で(以下で説明するように、プッシュワイヤ1324が使用される場合)、導管後端1314Aの近傍の管腔入口1317Aから導管前端1314Bにある管腔前端1317Bまで導管1314内を長手方向に延びるプッシュワイヤ管腔1317とを有する。管腔入口1317Aは、プッシュワイヤ1324の一部分を進入可能にする大きさを有する。プッシュワイヤ管腔1317は、管腔入口1317Aを通って入るプッシュワイヤ1324の少なくとも一部分を収容する直径を有する。この直径は、導管1314の外側にあるプッシュワイヤ1324の一部分を押すことによって、プッシュワイヤ1324がプッシュワイヤ管腔1317内で長手方向に移動するのに適している。
【0039】
後部ポート1316は、ストレインリリーフ1325内の導管後端1314Aによって導管1314に結合されている。ポート基部1323は、導管1314内の膨張管腔(図13には図示せず)を通して調節可能な膜要素1312のチャンバと流体連通している空洞(図13には図示せず)を含み、チャンバ内に流体を注入することによって調節可能な膜要素1312の拡張を可能にし、チャンバから流体を引き出すことによって調節可能な膜要素1312の収縮を可能にする。いくつかの実施形態では、後部ポート1316は、導管後端1314Aに解放可能に結合される。様々な実施形態では、ポート基部1323の外面は、ストレインリリーフと同じ材料から作られた層によって覆われる。これは、ポート基部1323の実質的な部分又はポート基部1323全体を覆うようにストレインリリーフ1325を延ばすことによって行うことができる。
【0040】
一実施形態では、後部ポート1316は、図2を参照して上述した後部ポート116と実質的に同一である。ストレインリリーフ1325は、オーバーモールド113のテーパ部分によって形成される。ポート基部1323は、オーバーモールド113の残りの部分(ポートライナ111を包囲する)、ポートライナ111、弾性隔壁118、及び空洞116Aによって形成される。換言すれば、ストレインリリーフ1325は、図2に示すように後部ポート116のオーバーモールド113のテーパ部分を含み、ポート基部1323は、図2に示すように後部ポート116の残りの部分を含む。
【0041】
様々な実施形態では、埋め込み可能デバイス1310は、別個の管腔としてプッシュワイヤ管腔1317及び膨張管腔(図13に図示せず)を含む、多管腔(例えば、二重管腔)埋め込み可能デバイスである。
【0042】
螺旋体1350は、導管前端1314Bに結合されて、埋め込み可能デバイス1310を組織に固着させることによって、埋め込み後の埋め込み可能デバイス1310の組織内での変位を制限する固定機構として機能する。様々な実施形態において、埋め込み可能デバイス1310は、締め付け方向(例えば、時計回り方向)の埋め込み可能デバイス1310の回転運動を使用して、螺旋体1350を組織の一部分に回転させて入れることによって、組織に固着させることができる。いくつかの実施形態では、埋め込み可能デバイス1310は、例えば、埋め込み可能デバイス1310が組織内で再位置決めされるか、又は組織から除去される必要があるときに、緩め方向(例えば、反時計回り方向)の埋め込み可能デバイス1310の回転運動を使用して、螺旋体1350を組織の一部から係合解除することによって、組織から解放され得る。これは、例えば、プッシュワイヤ1324を導入することによって埋め込み可能デバイス1310を回転させるか、又はそのような回転を補助することによって行うことができる。様々な実施形態では、埋め込み可能デバイス1310はまた、埋め込み可能デバイス1310を引っ張ることによって組織の一部から螺旋体1350を係合解除すること(「引き抜き解放」と呼ばれる方法)によって組織から解放することができ、螺旋体1350は、引っ張りから生じる許容できないレベルの組織損傷及び/又はデバイス破損を回避するように構成されている。例えば、螺旋体1350が組織と係合したままである間に標的部位の組織から埋め込み可能デバイス1310を引き抜くために必要な引張力(「引き抜き力」と呼ばれる)の量は、埋め込み可能デバイス1310が破壊され、一部分が患者の体内に残ることを防止するのに十分なだけ小さくなければならない。一実施形態では、螺旋体1350は、引き抜き解放を容易にするために生体吸収性材料で作製される。身体組織に配置された後、生体再吸収性材料(生分解性材料とも呼ばれる)は、患者の身体によって安全に吸収され得る1つ以上の非毒性物質へと経時的に分解する。生体吸収性螺旋体1350は、最初の配置に続く組織カプセル化によって安定化されるまで、埋め込み可能デバイス1310を固着させることができる。螺旋体1350用の生体吸収性材料の例としては、キトサン(例えば、甲殻類又はキノコなどの天然キチンに由来する)などの螺旋体を構築するために使用するのに適した機械的特性(例えば、強度及び剛性)を有する生体吸収性ポリマー、並びにマンガンの合金、マグネシウムの合金、鉄の合金、及び/又は亜鉛の合金などの生体吸収性金属が挙げられる。
【0043】
埋め込み可能デバイス1310は、螺旋体1350と、埋め込み可能デバイス110、又は埋め込み可能デバイス110、510、及び1010の特徴の様々な組み合わせを含む埋め込み可能デバイスを含むがこれらに限定されない、図1図12を参照して説明したものから選択される好適な埋め込み可能デバイスとの組み合わせとすることができる。
【0044】
シース1346は、長尺の円筒形シース本体1345と、シース本体1345内で長手方向に延びるチャネル1344とを有する。シース本体1345Aは、シース後端1345Aと、シース前端1345Bと、シース本体1345の少なくとも一部に沿って長手方向に延びるスロット1348B~Cとを有する。図示された実施形態では、スロット1348B~Cは、スロット前部1348B及びスロット中間部1348Cを含む。他の実施形態では、スロット中間部1348Cは、シース後端1345A又はシース後端1345A近傍の点まで延びることができる。スロット中間部1348Cは、少なくとも調節可能な膜要素1312(その収縮状態にある)及び導管1314がシース1346のチャネル1344内に配置されることを可能にするようなサイズにされる。スロット前部1348Bは、調節可能な膜要素1312がチャネル1344内で前進させられるときにチャネル1344から出ることを防止し、シース1346が埋め込み可能デバイス1310から分離され(例えば、必要に応じてその直径を減少させるために引き伸ばすことができる長尺の導管1314の一部をスロット前部1348Bに通すことによって)、その後埋め込み可能デバイス1310が組織内に配置されて固着された後に組織から除去されることを可能にするようなサイズにされる。これは、スロット前部1348Bの縁部が導管1314内の膨張管腔に切り込む可能性を低減するためである。導管1314内の膨張管腔がスロット前部1348Bの縁部によって切断されないように保護するための別の方法(長尺の導管1314を引き伸ばすこと以外)は、長尺の導管1314の一部分をスロット前部1348Bに通すときに、管腔入口1317Aをスロット前部1348Bの中央と整列させることである。導管1314内の膨張管腔がスロット前部1348Bの縁部によって切断されないように保護するための更に別の方法は、図19を参照して以下で更に説明するように、ストレインリリーフの一部分をスロット前部1348Bに通すことである。様々な実施形態において、シース1346は、直径にわたってC字形であり、幅が変化するスロット1348を含むように変更されたシース946であってもよく、このスロットは、前部と、前部よりも広い中間部とを含む。
【0045】
一実施形態では、後部ポート1316の外面及び調節可能な膜要素1312は、埋め込み可能デバイス1310がシース1346のチャネル1344を通って長手方向に移動することを可能にするために、チャネル1344の内側サイズ(例えば、直径)よりも小さいサイズ(例えば、直径)である。代替実施形態では、後部ポート1316は、埋め込み可能デバイス1310がチャネル1344を通って長手方向に移動することができるように、弛緩状態の後部ポート1316のサイズが十分に小さいサイズに圧縮されることを可能にするのに十分な可撓性を有する少なくとも1つの材料から構築される。一実施形態では、導管1314は、導管後端1314Aにおいて(例えば、後部ポート1316を通して)印加される力が、チャネル1344を通して少なくとも部分的に埋め込み可能デバイス1310を移動させることを可能にするのに十分な剛性を有する。この実施形態では、プッシュワイヤ1324は任意選択であり、埋め込み可能デバイスキット1320は、埋め込み可能デバイス1310及びシース1346のみを含むことができる。一実施形態では、導管1314の剛性は、その管状の長尺の本体を構築する際に使用される材料のタイプに基づいて決定される。例えば、導管1314は、ポリウレタン又はシリコーンで作製され得る。ポリウレタンで作製された導管1314は、シリコーンで作製された導管1314よりも実質的に硬い。あるいは、支持要素を導管1314の管状の長尺の本体に追加することができる。例えば、金属コイルを管状の長尺の本体内に長手方向に配置して、管状の長尺の本体の剛性を高めることができる。一実施形態では、導管1314は、様々なレベルの剛性を有するポリウレタンによって提供される、その長さに沿って変化する剛性を有することができる。
【0046】
別の実施形態では、プッシュワイヤ1324を使用して、シース1346のチャネル1344を通して少なくとも部分的に埋め込み可能デバイス1310を移動させることができる。プッシュワイヤ1324は、プッシュワイヤ後端1326Aとプッシュワイヤ前端1326Bとを有する長尺のプッシュワイヤ本体1326を有する。プッシュワイヤ前端1326Bは、シース1346のチャネル1344及び/又は組織の中で埋め込み可能デバイス1310を前進させるために好適な任意の形状を有することができる。長尺のプッシュワイヤ本体1326は、導管1314のプッシュワイヤ管腔1317内で長手方向に移動するのに適した直径を有する。プッシュワイヤ1324の長手方向移動は、プッシュワイヤ1324をそれ自体の長手方向軸線(導管1314の長手方向軸線にも実質的に平行である)に沿って移動させることを含む。
【0047】
プッシュワイヤ1324及び導管1314は、任意選択で、プッシュワイヤが、埋め込み可能デバイス1310を回転させるために、又はその回転を補助するために使用されることを可能にするように構成され得る。いくつかの実施形態では、図13に図示されるように、パルスプッシュワイヤ前端1326Bは、ドライバ1327を含むように構成され、導管前端1314Bは、ドライバ1327に嵌合するように成形されているドライブ1328を含むように構成される。例えば、ドライバ1327は、スクリュードライバの前端と同様の形状を有することができ、ドライブ1328は、スクリュードライバの形状に対応するねじ頭のドライブの形状(例えば、スロット、フィリップス、正方形、六角形、又は別の標準若しくは非標準スクリュードライブ形状)を有することができる。プッシュワイヤ1324が埋め込み可能デバイス1310を回転させるために使用されることが意図されていない他の実施形態では、ドライバ1327及びドライブ1328は不要であり、含まれなくてもよい。
【0048】
本明細書において、「実質的な」、「実質的に」、「およそ」、「ほぼ」などを含む用語は、手動操作における精度及び製造公差内の誤差を含む実用的要因から生じる不完全性又は不正確性を指すことができるが、これらに限定されない。例えば、導管のプッシュワイヤの長手方向軸線及びプッシュワイヤ管腔の長手方向軸線は、とりわけ、(1)それらの製造公差内の誤差、(2)プッシュワイヤ管腔内のプッシュワイヤの手動制御された移動、及び(3)プッシュワイヤの一部分がプッシュワイヤ管腔内にないこと、に起因して完全に平行ではないので、前者(プッシュワイヤ)が後者(プッシュワイヤ管腔)内に部分的に配置されたときには、「実質的に平行」であり得る。そのような用語(「実質的な」、「実質的に」、「およそ」、「ほぼ」など)は、設計による小さな偏差も指すことができる。例えば、プッシュワイヤ管腔は、導管の長手方向軸に「実質的に平行」であり得るが、入口に隣接する(導管の側面側の)プッシュワイヤ管腔の小部分は、設計上導管の長手方向軸線に平行であることから逸脱している。マルチ管腔埋め込み可能デバイスにおいて、プッシュワイヤ管腔は、導管の長手方向軸線に「実質的に平行」であり得る。このプッシュワイヤ管腔の主要部分は、膨張管腔のための空間を可能にするように、導管内で中心から外れていてもよいが、プッシュワイヤ管腔の前端部分は、導管の長手方向軸線に平行であることから逸脱して、導管の前端部の中心で終了し得る。
【0049】
図14は、本主題の実施形態による、埋め込み可能デバイス1410、シース1346、及び任意選択でプッシュワイヤ1324を含む、埋め込み可能デバイスキット1420の図である。埋め込み可能デバイス1410、シース1346、及び任意選択でプッシュワイヤ1324は、デバイスキット1420として提供することができ、キットはまた、他の付属品(例えば、図7図9を参照して上述したような、シースと共に使用するための1つ以上のトロカールなどの、シース1346を組織に挿入するための外科用ツール)を含むことができる。埋め込み可能デバイス1410は、体内の管腔を接合するために使用することができ、調節可能な膜要素(バルーンとも称される)1412と、長尺の導管1414と、後部ポート1416と、固定機構1350とを含むことができる。調節可能な膜要素1412は、管腔を接合するように構成され、チャンバを画定している内面を有する連続壁を含む。後部ポート1416は、ポート基部1423に結合された円錐形のストレインリリーフ1425(例えば、シリコーン又は生体安定性セグメント化ポリウレタンから作製される)を含む。導管1414は、ストレインリリーフ1425内の後部ポート1416に結合された導管後端1414Aと、調節可能な膜要素1412に結合された導管前端1414Bと、導管前端1414Bの近傍で調節可能な膜要素1412に接続されるとともに封止された周面と、導管1414内で長手方向に延びる膨張管腔1415とを有する。膨張管腔1415は、導管後端1414Aにおける管腔後部開口部1415Aと、調節可能な膜要素1412のチャンバと流体連通しており、チャンバ内に流体を注入することによって調節可能な膜要素1412の拡張を可能にし、チャンバから流体を引き出すことによって調節可能な膜要素1412の収縮を可能にする管腔前部開口部1415Bと、プッシュワイヤ1324が組織内で埋め込み可能デバイス1410を前進させ、かつ/又は固定機構1450を動作させることを可能にする管腔前端1415Cとを有する。管腔前端1415Cは、流体が管腔1415から漏出することを許容しない閉鎖端である。
【0050】
後部ポート1416は、ストレインリリーフ1425内の導管後端1414Aで導管1414に結合されている。ポート基部1423は、膨張管腔1415を通して調節可能な膜要素1412のチャンバと流体連通している空洞1419を含み、チャンバ内に流体を注入することによって調節可能な膜要素1412の拡張を可能にし、チャンバから流体を引き出すことによって調節可能な膜要素1412の収縮を可能にする。空洞1419は、例えば、流体を注入及び引き出しするためのシリンジに結合された中空針によって穿孔された後に弾性かつ自己封止性である隔壁1418によって封止される。いくつかの実施形態では、後部ポート1416は、導管後端1414Aに解放可能に結合される。様々な実施形態では、ポート基部1423の外面は、シリコーン系又はポリウレタン系コポリマーなどの材料から作製されるライニングによって覆われる。例えば、ライニングは、ポート基部1423の実質的な部分又はポート基部1423全体を覆うようにストレインリリーフ1425を延ばすことによって形成された薄層を含むことができる。
【0051】
一実施形態では、後部ポート1416の外面及び調節可能な膜要素1412は、埋め込み可能デバイス1310がシース1346のチャネル1344を通って長手方向に移動することを可能にするために、チャネル1344の内側サイズ(例えば、直径)よりも小さいサイズ(例えば、直径)である。代替実施形態では、後部ポート1416は、埋め込み可能デバイス1410をチャネル1344を通って長手方向に移動させることができるように、弛緩状態の後部ポート1416のサイズが十分に小さいサイズに圧縮されることを可能にするのに十分な可撓性を有する少なくとも1つの材料から構築される。一実施形態では、導管1414は、導管後端1414Aにおいて(例えば、後部ポート1316を通して)印加される力が、チャネル1344を通して少なくとも部分的に埋め込み可能デバイス1410を移動させることを可能にするのに十分な剛性を有する。この実施形態では、プッシュワイヤ1324は任意選択であり、埋め込み可能デバイスキット1420は、埋め込み可能デバイス1410及びシース1346のみを含むことができる。一実施形態では、導管1414の剛性は、その管状の長尺の本体を構築する際に使用された材料のタイプに基づいて決定される。例えば、導管1414は、ポリウレタン又はシリコーンで作製され得る。ポリウレタンで作製された導管1414は、シリコーンで作製された導管1414よりも実質的に硬い。あるいは、支持要素を導管1414の管状の長尺の本体に追加することができる。例えば、金属コイルを管状の長尺の本体内に長手方向に配置して、管状の長尺の本体の剛性を高めることができる。一実施形態では、導管1414は、様々なレベルの剛性を有するポリウレタンによって提供される、その長さに沿って変化する剛性を有することができる。
【0052】
別の実施形態では、プッシュワイヤ1324を使用して、シース1346のチャネル1344を通して少なくとも部分的に埋め込み可能デバイス1310を移動させることができる。埋め込み可能デバイス1410は、プッシュワイヤ管腔としても機能する膨張管腔1415を有する単一管腔埋め込み可能デバイスとすることができる。膨張管腔1415は、上述したようなプッシュワイヤ管腔1317の要件を満たすことができ、プッシュワイヤ管腔入口は膨張管腔後端1415Aである。プッシュワイヤ1324は、隔壁1418を穿孔することによって膨張管腔1415に入ることができる。
【0053】
螺旋体1350は、導管前端1414Bに結合されて、埋め込み可能デバイス1410を組織に固着させることによって、埋め込み後の埋め込み可能デバイス1410の組織内での変位を制限する固定機構として機能する。様々な実施形態では、埋め込み可能デバイス1410は、締め付け方向(例えば、時計回り方向)への埋め込み可能デバイス1410の回転運動を使用して、螺旋体1350を組織の一部の中に延ばすことによって、組織に固定することができる。いくつかの実施形態では、埋め込み可能デバイス1410は、例えば、埋め込み可能デバイス1410が組織内に再位置決めされるか、又は組織から除去される必要があるときに、緩め方向(例えば、反時計回り方向)への埋め込み可能デバイス1410の回転運動を使用して、螺旋体1350を組織の一部から係合解除することによって、組織から解放され得る。これは、例えば、プッシュワイヤ1324を導入して埋め込み可能デバイス1410を回転させるか、又はそのような回転を補助することによって行うことができる。様々な実施形態では、埋め込み可能デバイス1410はまた、埋め込み可能デバイス1410を引っ張ることによって組織の一部分から螺旋体1350を係合解除すること(すなわち、引き抜き解放)によって組織から解放することができ、螺旋体1350は、引っ張りから生じる許容できないレベルの組織損傷及び/又はデバイス破損を回避するように構成されている。例えば、引き抜き力の大きさは、埋め込み可能デバイス1410が壊れて患者の体内に一部分が残ることを防止するのに十分小さくなければならない。
【0054】
プッシュワイヤ1324及び導管1414は、任意選択で、プッシュワイヤが、埋め込み可能デバイス1410を回転させるために、又はその回転を補助するために使用されることを可能にするように構成され得る。いくつかの実施形態では、図14に図示されるように、パルスプッシュワイヤ前端1326Bは、ドライバ1327を含むように構成され、導管前端1414Bは、ドライバ1327に嵌合するように成形されているドライブ1428を含むように構成されている。例えば、ドライバ1327は、スクリュードライバの前端と同様の形状を有することができ、ドライブ1428は、スクリュードライバの形状に対応するねじ頭のドライブの形状(例えば、スロット、フィリップス、正方形、六角形、又は別の標準若しくは非標準スクリュードライブ形状)を有することができる。プッシュワイヤ1324が埋め込み可能デバイス1310を回転させるために使用されることが意図されていない他の実施形態では、ドライバ1327及びドライブ1428は不要であり、含まれなくてもよい。
【0055】
埋め込み可能デバイス1410は、螺旋体1350と、埋め込み可能デバイス510又は埋め込み可能デバイス110、510、及び1010の特徴の様々な組み合わせを含む埋め込み可能デバイスを含むがこれらに限定されない、図1図12を参照して説明した埋め込み可能デバイスから選択される好適な埋め込み可能デバイスとの組み合わせとすることができる。
【0056】
様々な実施形態において、埋め込み可能デバイス1310及び埋め込み可能デバイス1410は、実質的に同様のサイズを有することができる。例えば、調節可能な膜要素1312及び調節可能な膜要素1412は、実質的に同様のサイズを有することができ、長尺の導管1314及び長尺の導管1414は、実質的に同様のサイズを有することができ、後部ポート1316及び後部ポート1416は、実質的に同様のサイズを有することができる。
【0057】
図15図19は、本主題の実施形態による、シース1346を使用して埋め込み可能デバイス1510を患者の組織内に配置するための方法の図である。埋め込み可能デバイス1510は、体内の管腔を接合するために使用することができ、調節可能な膜要素(バルーンとも称される)1512と、長尺の導管1514と、後部ポート1516と、螺旋体1350とを含むことができる。埋め込み可能デバイス1510の例は、埋め込み可能デバイス1310(調節可能な膜要素1512、長尺の導管1514、調節可能な膜要素1312に対応する後部ポート1516、長尺の導管1314、後部ポート1316をそれぞれ有する)、及び埋め込み可能デバイス1410(調節可能な膜要素1512、長尺の導管1514、調節可能な膜要素1412に対応する後部ポート1516、長尺の導管1414、後部ポート1416をそれぞれ有する)を含む。図15図19に示される実施形態は、埋め込み可能デバイス1510がどのように組織内に配置され得、組織に固着され得るかを示すために、限定ではなく例として説明される。例えば、図示された実施形態ではプッシュワイヤは使用されていないが、シース1346及び/又は組織のチャネル1344内で埋め込み可能デバイス1510を前進させるために、埋め込み可能デバイス1510がプッシュワイヤの一部分を受け入れるように構成されている様々な実施形態では、プッシュワイヤを使用することができる。本方法の実行中、患者に入った埋め込み可能デバイス1510の部分及びシース1346は、蛍光透視法又は超音波などの医療撮像技術を使用して見ることができる。
【0058】
図15は、調節可能な膜要素1512を患者の標的部位に配置することを可能にするようにシースが配置された後に、埋め込み可能デバイス1510が、スロット中間部1348Cを通してシース1346のチャネル1344内に部分的に配置されていることを示す。シース1346は、スロット後部1348Aを含むシース後部と、スロット前端1348Bを含むシース前部と、スロット中間部1348Cを含むシース中間部とを有する。スロット中間部1348Cは、調節可能な膜要素1512が実質的に収縮させられたときに、調節可能な膜要素1512及び長尺の導管1514がチャネル1344内に配置されることを可能にするようなサイズにされる。スロット前部1348Bは、スロット中間部1348Cよりも実質的に狭く、シース前部においてチャネル1344の実質的に閉鎖された部分を形成し、実質的に収縮した調節可能な膜要素1512をシース前部に案内する。より狭いスロット前部1348Bはまた、調節可能な膜要素1512が、シース前部においてチャネル1344内で前進させられるとき、チャネル1344から出ることを防止する。
【0059】
図16は、蛍光透視法又は超音波を使用して見られ得るように、螺旋体1350がシース1346から延びるように、埋め込み可能デバイス1510の調節可能な膜要素1512がシース前部(スロット前部1348を含む)の中へ前進させられたことを示す。調節可能な膜要素1512は、シース前部のチャネル1344の部分を充填し、シースの内側を把持するような程度まで膨張させられ、その結果、シース1346が回転されるとき、シース1346と共に回転し、したがって、導管114又は514に取り付けられた螺旋体1350を固定のために組織内に回転させて入れる。これに必要となるのは、比較的小さい体積(例えば、0.1cc程度)である。この時点での過膨張は、調節可能な膜要素1512の一部分を、スロット前部1348Bを通してシース1346から突出させる(又は外に膨らませる)ことができ、これは、図20及び図21を参照して以下で更に説明されるシナリオである。
【0060】
スロット前部1348Bを通る実質的に制限された突出によるシースに対する調節可能な膜要素1512の回転(すなわち、滑り)に抵抗するための調節可能な膜要素1512の体積に対する高い感度に起因して、本方法の実施のこの時点における調節可能な膜要素1512の膨張は、正確に制御される必要がある。一実施形態では、1.0ccなどの小容量シリンジを、調節可能な膜要素1512を膨張させる際の微細体積制御のために使用することができる。別の実施形態では、調節可能な膜要素1512は、特定の圧力まで膨張させることができる。これは、例えば、シリンジ上の圧力ゲージ、又はシリンジと調節可能な膜要素1512との間に結合されるTコネクタを使用して行うことができる。体積ではなく圧力を制御することによって、本方法は、最初に回転安定性のために、後に体管腔の接合のために、調節可能な膜要素1512を膨張させるために単一シリンジを用いて行うことができる。様々な実施形態では、必要に応じて、この体積感度は、シース1346の直径を増加させること、及び/又は調節可能な膜要素1512の(その収縮状態での)直径を減少させることのいずれかによって、より緩い嵌合で減少させることができる。
【0061】
様々な実施形態では、調節可能な膜要素1512は、スロットを通るその突出に関連する所望の特性のために構成され得る。様々な実施形態では、シース1346内の調節可能な膜要素1512の回転安定性(すなわち、滑り抵抗)は、調節可能な膜要素1512がシース前部内で滑ることを防止するように、(スロット前部1348Bを伴う)シース前部内のチャネル1344の一部分に把持機構を組み込むことによって、増加させることができる。そのような機構の例は、チャネル1344の一部分の表面(すなわち、シース前部の内面)上のテクスチャ及び浅い長手方向の溝又は隆起部を含む。
【0062】
調節可能な膜要素1512がシース前部に固定されて、螺旋体1350が標的部位で組織内に延びている状態でシース1346に対するその回転を防止した後、シース1346を締め付け方向に回転させて螺旋体1350を組織内に回転して入れる。所望のレベルの固定を提供するために必要とされる回転数は、埋め込み可能デバイス1510が固着することができる異なるタイプの組織(例えば、瘢痕、筋肉、又は脂肪)のそれぞれに対する試験及び経験を用いて決定され得る。望ましいレベルの固定は、埋め込み可能デバイス1510に十分な固定を提供して、カプセル化が生じるまで調節可能な膜要素1512が移動するのを防止することができる。様々な実施形態では、望ましいレベルの固定はまた、組織損傷及び/又はデバイス破損を引き起こすことなく、(螺旋体1350を組織から能動的に係合解除することなく)引き抜き解放によって埋め込み可能デバイス1510の除去を可能にする。
【0063】
図17は、螺旋体1350が組織内に回転させて入れられた後、シース1346が引き出されて調節可能な膜要素1512の膨張を可能にすることを示す。調節可能な膜要素1512は、それが組織内で膨張させられる前にシース1346の引き出しを可能にするために収縮させられる。
【0064】
図18は、調節可能な膜要素1512が組織部位で(例えば、2~3ccの体積に)膨張させられていることを示す。調節可能な膜要素1512の適切な位置決めは、蛍光透視法又は内視鏡検査を用いて体管腔(例えば、尿道)の接合(例えば、平坦化)を観察することによって確認することができる。位置が調節される場合、調節可能な膜要素1512は、収縮させられ、シース前部内に戻され、膨張させられて、調節可能な膜要素1512をシース前部に再固定し、それがシース1346に対して回転することを防止し、シース1346を緩め方向に回転させることによって、螺旋体1350を組織から能動的に係合解除させることができる。図16図18を参照して上述したステップは、調節可能な膜要素1512の位置決めが満足できるものになるまで繰り返すことができる。あるいは、図15図18を参照して上述したステップは、調節可能な膜要素1512の適切な位置決めが確認されるまで、螺旋体1350の回転をスキップすることによって部分的に実行することができる。次に、調節可能な膜要素1512を収縮させ、シース前部が調節可能な膜要素1512を越えるようにシース1346を前進させ、図16図18を参照して上述したステップを実行して、埋め込み可能デバイス1510を標的部位の組織に固着させることができる。
【0065】
図19は、埋め込み可能デバイス1510が標的部位で組織内に固着され、かつ調節可能な膜要素1512の適切な位置決めが確認された後、後部ポート1516がスロット中間部1348Cとスロット前部1348Bとの間の移行部に達するまで、シース1346が引き出されることを示す。図19に示すように、後部ポート1516は、後部ポート1516と導管1514との間の移行部において円錐形のストレインリリーフを有する。一実施形態では、スロット中間部1348Cとスロット前部1348Bとの間の移行部は、ポート1516の円錐形ストレインリリーフに係合して、ポート1516が押されている間、及び/又はシース1346が引っ張られて埋め込み可能デバイス1510をシース1346から分離している間の導管1514への損傷を防止する。ストレインリリーフは、あらゆる著しい損傷に抵抗するのに十分な弾性バルクを有することができる。別の実施形態では、導管1514及びシース1346は、導管1514がスロット前部1348Bの幅よりも小さい直径を有するように引き伸ばされることを可能にするように構成される。次に、引き伸ばされた導管1514をスロット前部1348Bに通すことによって、シース1346を埋め込み可能デバイス1510から分離することができる。スロット前部1348Bがスリット又は非常に狭いスロットによって置き換えられる別の実施形態では、スリット又は狭いスロットは、シース1346が埋め込み可能デバイス1510から分離されることを可能にするために、ツール(例えば、内部スナップリングプライヤー)を使用して開放され得る。
【0066】
埋め込み可能デバイス1510が標的部位の組織に配置されかつ固着され、シース1346が埋め込み可能デバイス1510から分離された後、埋め込み可能デバイスは、例えば、患者の状態が変化したとき、及び/又はより適切なデバイスが利用可能であるとき、デバイスの再位置決め又は置き換えのために、患者から除去される必要があり得る。一実施形態では、シース1346は、例えば、スロット前部1348Bを通して導管1514の露出部分を配置し、調節可能な膜要素1512(収縮させられている)がシース前部の中に入るまでシース1346を前進させることによって、患者内に挿入され、埋め込み可能デバイス1510と係合され得る。次いで、調節可能な膜要素1512は、シース1346を緩め方向に回転させることによって、螺旋体1350が組織から能動的に係合解除されることを可能にする程度まで膨張させられる。別の実施形態では、埋め込み可能デバイス1510は、引き抜き開放を使用して取り外される。一実施形態では、螺旋体1350は、上述したように、生体吸収性材料でから作製されており、これにより、螺旋体1350が実質的に分解した後に、引き抜き解放(又は埋め込み可能デバイス1510を再位置決めするために取り外すための任意の引っ張り方法)による埋め込み可能デバイス1510の取り外しがより容易かつより安全になる。
【0067】
図20図21は、本主題の実施形態による、図15図19の方法を実行する際のシナリオと、そのシナリオに関連するデバイス特徴とを示す図である。図20は、シース1346のスロットの一部分(例えば、スロット前部1348B)から突出している、埋め込み可能デバイス1510の調節可能な膜要素1512を示す。図21は、シース1346のスロット前部1348Bからの調節可能な膜要素1512の長手方向断面図である。図16を参照して上述したように、調節可能な膜要素1512の過膨張は、その一部分をスロット前部1348Bを通してシース1346から突出させ、それによって、調節可能な膜要素1512をスロット前部1348Bの縁部からの損傷のリスクにさらす可能性がある。このような突出は、例えば、蛍光透視法を用いて観察することができる。一方、スロット前部1348Bからの調節可能な膜要素1512の限定された突出は、シース1346内の調節可能な膜要素1512の回転安定性(すなわち、滑り抵抗)を追加することができる。この場合、スロットの縁部が滑らかで丸くなるように特別な注意を払うべきである。様々な実施形態では、図21に示すように、スロット前部1348Bは、2つのスロット縁部を有し、各スロット縁部は、内側半径を有する丸い内縁部1349(シース1346の内面に直接結合される)と、外側半径を有する丸い外縁部1350(シース1346の外面に直接結合される)とを含む。内側半径及び外側半径は、調節可能な膜要素1512のスロット前部1348Bを通ってのシース1346からの突出によって引き起こされる調節可能な膜要素1512の損傷を防止するために実験的に決定することができ、内側半径は外側半径より大きい。様々な実施形態では、スロット1348全体がそのような内側縁部及び外側縁部を有することができる。更に、スロット1348の縁部又は長尺の円筒形シース本体1345全体をパリレンなどの潤滑性コーティングで処理して、調節可能な膜要素1512が損傷するのを更に防止することができる。
【0068】
様々な実施形態では、図15図19に示される方法を実行する際の各ステップ中の調節可能な膜要素1512の体積は、各ステップが意図されるように実行され得ることを確実にするように経験的に決定され得る。各ステップのための適切な体積を決定する様々な要因は、シース1346と共に埋め込み可能デバイス1510を回転させるために必要とされるトルク、許容及び/又は所望される、スロット前部1348Bを通したシース1346からの調節可能な膜要素1512の突出量、シース1346の内面の特性、及び/又は調節可能な膜要素1512の耐久性を含むが、それらに限定されない。
【0069】
本主題のいくつかの非限定的な実施例(実施例1~21)を以下に提供する。
実施例1では、生体の体管腔の接合のために生体の組織内に位置決めされるように構成された埋め込み可能デバイスが提供される。埋め込み可能デバイスは、調節可能な膜要素、長尺の導管、後部ポート、及び螺旋体を含んでもよい。調節可能な膜要素は、体管腔を接合するように構成され、チャンバを画定する内側表面を有する連続壁を含んでいてもよい。長尺の導管は、導管周面と、導管後端と、導管前端と、1つ以上の導管管腔とを含んでもよい。導管周面は、導管前端又はその近傍において、調節可能な膜要素に接続されるとともに封止されてもよい。1つ以上の導管管腔は、導管後端にある第1の開口部と、チャンバと流体連通している第2の開口部と、導管前端又はその近傍にある閉鎖端とを有する膨張管腔を少なくとも含んでもよい。後部ポートは、導管後端において長尺の導管に接続されていてもよく、膨張管腔の第1の開口部と流体連通している空洞を含んでもよい。螺旋体は、導管前端に結合されてもよく、埋め込み可能デバイス全体を締め付け方向に回転させることによって、埋め込み可能デバイスを組織に固着させるように構成されてもよい。
【0070】
実施例2では、実施例1の主題は、任意選択で、後部ポートが、ストレインリリーフと、ストレインリリーフに結合されたポート基部とを含み、導管後端がストレインリリーフ内にある状態で長尺の導管に接続されるように構成されてもよい。
【0071】
実施例3では、実施例1及び2のいずれか1つ又はいずれかの組合せの主題は、任意選択で、埋め込み可能デバイスが、それぞれが生体安定性セグメント化ポリウレタンで構築された1つ以上の弾性部分を含むように構成されてもよい。
【0072】
実施例4では、実施例1~3のいずれか1つ又はいずれかの組み合わせの主題は、任意選択で、螺旋体が生体吸収性材料から構築されるように構成されてもよい。
実施例5では、生体内の標的部位の組織における体管腔の制御可能な接合のための埋め込み可能デバイスキットが提供される。埋め込み可能デバイスキットは、埋め込み可能デバイス及びシースを含んでもよい。埋め込み可能デバイスは、調節可能な膜要素、長尺の導管、後部ポート、及び螺旋体を含んでもよい。調節可能な膜要素は、体管腔を接合し、チャンバを画定する内面を有する連続壁を含むように構成されてもよい。長尺の導管は、導管周面と、導管後端と、導管前端と、1つ以上の導管管腔とを含んでもよい。導管周面は、導管前端又はその近傍で調節可能な膜要素に接続されるとともに封止されてもよい。1つ以上の導管管腔は、導管後端にある第1の開口部と、チャンバと流体連通している第2の開口部と、導管前端又はその近傍にある閉鎖端とを有する膨張管腔を含んでもよい。後部ポートは、導管後端に接続され、膨張管腔の第1の開口部と流体連通している空洞を含んでもよい。螺旋体は、導管前端に結合され、埋め込み可能デバイスを組織に固着させるように構成されてもよい。シースは、調節可能な膜要素を含む埋め込み可能デバイスの一部分を収容し、埋め込み可能デバイスを標的部位に案内し、調節可能な膜要素が部分的に膨張した状態で埋め込み可能デバイスの一部分がシース内に配置されたときに埋め込み可能デバイスを回転させるために使用されるように構成されてもよい。
【0073】
実施例6では、実施例5の主題は、任意選択で、プッシュワイヤを更に含むように構成されてもよく、1つ以上の導管管腔が、長尺の導管上の開口部と、導管前端又はその近傍にある閉鎖端と、を有するプッシュワイヤ管腔を更に含み、開口部が、プッシュワイヤがプッシュワイヤ管腔に入ることを可能にし、閉鎖端が、プッシュワイヤに前進力を加えることによって埋め込み可能デバイスがシースを通って前方に押されることを可能にする、ように構成されてもよい。
【0074】
実施例7では、実施例5及び6のうちのいずれか1つ又は任意の組み合わせの主題は、任意選択で、シースが長尺の本体及び長手方向スロットを含むように構成されてもよい。長尺の本体は、シース後部と、シース前部と、シース後部とシース前部との間に結合されたシース中間部とを含む。長手方向スロットは、少なくとも、シース中間部上に延びるスロット中間部と、シース前部上に延びるスロット前部とを含む。スロット中間部は、シース内への埋め込み可能デバイスの一部分の配置を可能にするように構成される。スロット前部は、調節可能な膜要素が実質的にシース内に配置され、部分的に膨張させられたときに、埋め込みデバイスがシースと共に回転することを可能にするように構成され、シースが埋め込み可能デバイスから分離されることを可能にするように構成される。
【0075】
実施例8では、実施例7の主題は、任意選択で、シース前部が、1つ以上の把持機構を含む内面を含むように構成されてもよい。
実施例9では、実施例8の主題は、任意選択で、1つ以上の把持機構が長手方向の溝又は隆起部を含むように構成されてもよい。
【0076】
実施例10では、実施例7~9のいずれか1つ又はいずれかの組み合わせの主題は、任意選択で、埋め込み可能デバイスの後部ポートが、ストレインリリーフと、ストレインリリーフに結合されたポート基部とを含み、導管後端がストレインリリーフ内にある状態で長尺の導管に接続されるように構成され、ストレインリリーフの少なくとも一部分は、シースが埋め込み可能デバイスから分離されたときにシースのスロット前部を通過させるように構成されてもよい。
【0077】
実施例11では、実施例7~10のいずれか1つ又はいずれかの組み合わせの主題は、任意選択で、シースが内面及び外面を含み、長手方向スロットが、内面と外面との間にそれぞれ結合された2つのスロット縁部によって形成され、2つのスロット縁部がそれぞれ、内面に直接結合されかつ内側半径を有する内側縁部と、外面に直接結合されかつ外側半径を有する外側縁部とを含み、少なくともスロット前部について、内側半径が外側半径よりも大きい、ように構成されてもよい。
【0078】
実施例12では、実施例5~11のいずれか1つ又はいずれかの組み合わせの主題は、任意選択で、埋め込み可能デバイスが、それぞれが生体安定性セグメント化ポリウレタンで構築された1つ以上の弾性部分を含むように構成されてもよい。
【0079】
実施例13では、生体内の標的部位の組織における体管腔を接合するための方法が提供される。本方法は、埋め込み可能デバイスを提供することを含んでもよい。埋め込み可能デバイスは、調節可能な膜要素、長尺の導管、後部ポート、及び螺旋体を含んでもよい。調節可能な膜要素は、体管腔を接合するように構成されてもよく、チャンバを画定する内側表面を有する連続壁を含んでいてもよい。長尺の導管は、導管周面と、導管後端と、導管前端と、1つ以上の導管管腔とを含んでもよい。導管周面は、導管前端又はその近傍において、調節可能な膜要素に接続されるとともに封止されてもよい。1つ以上の導管管腔は、導管後端にある第1の開口部と、チャンバと流体連通している第2の開口部と、導管前端又はその近傍にある閉鎖端とを有する膨張管腔を含んでもよい。後部ポートは、導管後端に接続され、膨張管腔の第1の開口部と流体連通している空洞を含んでもよい。螺旋体は、導管前端に結合されてもよい。本方法は更に、埋め込み可能デバイスを標的部位に配置したら、締め付け方向に埋め込み可能デバイスを回転させて、螺旋体を組織の中へと回転させて入れることを含んでもよい。
【0080】
実施例14では、実施例13の主題は、任意選択で、埋め込み可能デバイスを引っ張ることによって、螺旋体を組織から係合解除することを更に含むことができる。
実施例15では、実施例13及び14のいずれか1つ又はいずれかの組み合わせに見られるような埋め込み可能デバイスを提供する主題は、任意選択で、生体吸収性材料を使用して螺旋体を構築することを含んでもよい。
【0081】
実施例16では、実施例13~15のいずれか1つ又はいずれかの組合せの主題は、任意選択で、シースを提供することと、調節可能な膜要素を含む埋め込み可能デバイスの一部を螺旋体がシースの前端から延びる状態でシース内に配置することとを更に含んでもよく、その結果、埋め込み可能デバイスを回転させることは、埋め込み可能デバイスがシースと共に回転するように調節可能な膜要素を部分的に膨張させることと、シースを回転させることとを含む。
【0082】
実施例17では、実施例16に見られるようなシースを提供する主題は、任意選択で、長尺の本体及び長手方向スロットを含むシースを提供することを含んでもよい。長尺の本体は、シース後部と、シース前部と、シース後部とシース前部との間に結合されたシース中間部とを含む。長手方向スロットは、シース中間部内に延びるスロット中間部と、シース前部内に延びるスロット前部とを含む。スロット中間部は、スロット前部よりも広く、シース内への埋め込み可能デバイスの一部分の配置を可能にするようなサイズにされる。スロット前部は、長尺の導管の一部分をスロット前部に通過させることによって、シースが埋め込み可能デバイスから分離されることを可能にするようなサイズにされる。
【0083】
実施例18では、実施例16及び17のいずれか1つ又はいずれかの組み合わせに見られるようなシースを提供する主題は、任意選択で、使い捨てシースを提供することを含んでもよい。
【0084】
実施例19では、実施例16~18のいずれか1つ又は任意の組み合わせに見られるような、埋め込み可能デバイスがシースと共に回転するように調節可能な膜要素を部分的に膨張させる主題は、任意選択で、埋め込み可能デバイスの後部ポートの空洞に流体を注入することと、調節可能な膜要素がシース前部に配置されたときに埋め込み可能デバイスの調節可能な膜要素の一部分をスロット前部を通して突出させるために、空洞に注入される流体の体積を制御することと、を含んでもよい。
【0085】
実施例20では、実施例16~18のいずれか1つ又は任意の組み合わせに見られるような、埋め込み可能デバイスがシースと共に回転するように調節可能な膜要素を部分的に膨張させる主題は、任意選択で、埋め込み可能デバイスの後部ポートの空洞に流体を注入することと、空洞に注入される流体の圧力を制御することとを含んでもよい。
【0086】
実施例21では、実施例13~20のいずれか1つ又は任意の組み合わせに見られるような、締め付け方向に埋め込み可能デバイスを回転させて、螺旋体を組織の中へと回転させて入れる主題は、任意選択で、組織のタイプに基づいて、回転の量を制御することを含んでもよい。
【0087】
本出願は、本主題の適合又は変形を包含することが意図される。上記の詳細な説明は、例示的なものであり、限定的なものではないことを理解されたい。他の実施形態は、上記の説明を読んで理解すれば当業者には明らかであろう。本主題の範囲は、添付の特許請求の範囲を参照して、そのような特許請求の範囲が権利を与えられる法的均等物の全範囲と共に決定されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
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【国際調査報告】