(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-20
(54)【発明の名称】頸部ジストニアを治療する用途の修飾BoNT/A
(51)【国際特許分類】
C07K 14/33 20060101AFI20240912BHJP
A61P 21/00 20060101ALI20240912BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20240912BHJP
A61K 38/48 20060101ALI20240912BHJP
C12N 15/31 20060101ALN20240912BHJP
C07K 19/00 20060101ALN20240912BHJP
C12N 15/62 20060101ALN20240912BHJP
【FI】
C07K14/33 ZNA
A61P21/00
A61P25/00
A61K38/48
C12N15/31
C07K19/00
C12N15/62 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024516560
(86)(22)【出願日】2022-09-16
(85)【翻訳文提出日】2024-04-30
(86)【国際出願番号】 GB2022052361
(87)【国際公開番号】W WO2023041934
(87)【国際公開日】2023-03-23
(32)【優先日】2021-09-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2022-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517340507
【氏名又は名称】イプセン バイオファーム リミテッド
【氏名又は名称原語表記】IPSEN BIOPHARM LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】110000774
【氏名又は名称】弁理士法人 もえぎ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】グリゴール,ニコラエ
(72)【発明者】
【氏名】ポンス,ローラン
【テーマコード(参考)】
4C084
4H045
【Fターム(参考)】
4C084AA02
4C084AA03
4C084BA01
4C084DA33
4C084DC09
4C084MA66
4C084NA14
4C084ZA011
4C084ZA012
4C084ZA941
4C084ZA942
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA11
4H045DA83
4H045EA20
4H045FA74
4H045GA21
(57)【要約】
本発明は、頸部ジストニアを治療する用途の修飾ボツリヌス神経毒素A(BoNT/A)を含む修飾BoNT/Aを用いた頸部ジストニアの治療を対象とするものであり、当該修飾BoNT/Aは罹患者の罹患頸筋に筋肉内注射で投与され、当該修飾BoNT/Aは750pg乃至17,000pgの修飾BoNT/Aの単位用量で投与され、少なくとも単回の単位用量が当該罹患頸筋に投与され、治療中に投与される修飾BoNT/Aの総用量は最大170,000pgであり、当該修飾BoNT/Aは、BoNT/A軽鎖及び転位置ドメインと、BoNT/B受容体結合ドメイン(HCドメイン)と、を含む。また、関連する方法、使用、単位剤形及びキットも提供される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
頸部ジストニアを治療する用途の修飾ボツリヌス神経毒素A(BoNT/A): ここで、
前記修飾BoNT/Aは、罹患者の罹患頸筋に筋肉内注射で投与され;
前記修飾BoNT/Aは、750pg乃至17,000pgの修飾BoNT/Aの単位用量で投与され;
少なくとも単回の単位用量が、前記罹患頸筋に投与され;
前記治療中に投与される修飾BoNT/Aの総用量は、最大170,000pgであり;
前記修飾BoNT/Aは、BoNT/A軽鎖及び転位置ドメインと、BoNT/B受容体結合ドメイン(H
Cドメイン)と、を含む。
【請求項2】
非修飾BoNT/A(例えば配列番号2)を用いて治療する場合よりも長い持続期間で罹患者の頸部ジストニアを治療する用途の修飾BoNT/A: ここで、
前記修飾BoNT/Aは、前記罹患者の罹患頸筋に筋肉内注射で投与され;
前記修飾BoNT/Aは、750pg乃至17,000pgの修飾BoNT/Aの単位用量で投与され;
少なくとも単回の単位用量が、前記罹患頸筋に投与され;
前記治療中に投与される修飾BoNT/Aの総用量は、最大170,000 pgであり;
前記修飾BoNT/Aは、BoNT/A軽鎖及び転位置ドメインと、BoNT/B受容体結合ドメイン(H
Cドメイン)と、を含む。
【請求項3】
頸部ジストニアを治療するための方法: ここで、
前記方法は、修飾BoNT/Aを罹患者の罹患頸筋に筋肉内注射で投与することを含み;
前記修飾BoNT/Aは、750pg乃至17,000pgの修飾BoNT/Aの単位用量で投与され;
少なくとも単回の単位用量が、前記罹患頸筋に投与され;
前記治療中に投与される修飾BoNT/Aの総用量は、最大170,000pgであり;
前記修飾BoNT/Aは、BoNT/A軽鎖及び転位置ドメインと、BoNT/B受容体結合ドメイン (H
Cドメイン)と、を含む。
【請求項4】
罹患者の頸部ジストニアを、非修飾BoNT/A(例えば配列番号2)を用いて治療する場合よりも長い持続期間で治療するための方法: ここで、
前記方法は、修飾BoNT/Aを前記罹患者の罹患頸筋に筋肉内注射で投与することを含み;
前記修飾BoNT/Aは、750pg乃至17,000pgの修飾BoNT/Aの単位用量で投与され;
少なくとも単回の単位用量が、前記罹患頸筋に投与され;
前記治療中に投与される修飾BoNT/Aの総用量は、最大170,000pgであり;
前記修飾BoNT/Aは、BoNT/A軽鎖及び転位置ドメインと、BoNT/B受容体結合ドメイン(H
Cドメイン)と、を含む。
【請求項5】
頸部ジストニアを治療するための薬剤の製造における修飾ボツリヌス神経毒素A(BoNT/A)の使用: ここで、
前記修飾BoNT/Aは、罹患者の罹患頸筋に筋肉内注射で投与され;
前記修飾BoNT/Aは、750pg乃至17,000pgの修飾BoNT/Aの単位用量で投与され;
少なくとも単回の単位用量が、前記罹患頸筋に投与され;
前記治療中に投与される修飾BoNT/Aの総用量は、最大170,000pgであり;
前記修飾BoNT/Aは、BoNT/A軽鎖及び転位置ドメインと、BoNT/B受容体結合ドメイン(H
Cドメイン)と、を含む。
【請求項6】
罹患者の頸部ジストニアを、非修飾BoNT/A(例えば配列番号2)を用いて治療する場合よりも長い持続期間で治療するための薬剤の製造における修飾BoNT/Aの使用: ここで、
前記修飾BoNT/Aは、前記罹患者の罹患頸筋に筋肉内注射で投与され;
前記修飾BoNT/Aは、750pg乃至17,000pgの修飾BoNT/Aの単位用量で投与され;
少なくとも単回の単位用量が、前記罹患頸筋に投与され;
前記治療中に投与される修飾BoNT/Aの総用量は、最大170,000pgであり;
前記修飾BoNT/Aは、BoNT/A軽鎖及び転位置ドメインと、BoNT/B受容体結合ドメイン(H
Cドメイン)と、を含む。
【請求項7】
投与される総用量は、5,250pg乃至170,000pg、好ましくは7,000pg乃至160,000pgである、請求項1もしくは請求項2に記載の用途の修飾BoNT/A、請求項3もしくは請求項4に記載の方法、または、請求項5もしくは請求項6に記載の使用。
【請求項8】
前記単位用量は、1,000pg乃至6,000pgである、前記請求項のいずれか一項に記載の、修飾BoNT/A、方法、または、使用。
【請求項9】
前記治療中に投与される修飾BoNT/Aの総用量は、最大160,000pgである、前記請求項のいずれか一項に記載の、特定用途の修飾BoNT/A、方法、または、使用。
【請求項10】
前記修飾BoNT/Aは、単一の注射部位、または、2以上の注射部位(例えば2ヵ所の注射部位)で、罹患頸筋に投与される、前記請求項のいずれか一項に記載の、特定用途の修飾BoNT/A、方法、または、使用。
【請求項11】
前記修飾BoNT/Aは、注射部位ごとに、750pg乃至4,000pg(好ましくは1,000pgまたは2,000pg)の単位用量で投与される、請求項10に記載の、特定用途のBoNT/A、方法、または、修飾BoNT/Aの使用。
【請求項12】
頸部ジストニアを治療する用途の修飾ボツリヌス神経毒素A(BoNT/A): ここで、
前記修飾BoNT/Aは、罹患者の罹患頸筋に筋肉内注射で投与され;
前記修飾BoNT/Aは、31単位乃至707単位の修飾BoNT/Aの単位用量で投与され;
1単位はマウスの算出半致死量(LD
50)に相当する修飾BoNT/Aの量であり;
少なくとも単回の単位用量が、前記罹患頸筋に投与され;
前記治療中に投与される修飾BoNT/Aの総用量は、最大7,070単位であり;
前記修飾BoNT/Aは、BoNT/A軽鎖及び転位置ドメインと、BoNT/B受容体結合ドメイン(Hcドメイン)と、を含む。
【請求項13】
非修飾BoNT/A(例えば配列番号2)を用いて治療する場合よりも長い持続期間で罹患者の頸部ジストニアを治療する用途の修飾BoNT/A: ここで、
前記修飾BoNT/Aは、前記罹患者の罹患頸筋に筋肉内注射で投与され;
前記修飾BoNT/Aは、31単位乃至707単位の修飾BoNT/Aの単位用量で投与され;
1単位はマウスの算出半致死量(LD
50)に相当する修飾BoNT/Aの量であり;
少なくとも単回の単位用量が、前記罹患頸筋に投与され;
前記治療中に投与される修飾BoNT/Aの総用量は、最大7,070単位であり;
前記修飾BoNT/Aは、BoNT/A軽鎖及び転位置ドメインと、BoNT/B受容体結合ドメイン(Hcドメイン)と、を含む。
【請求項14】
頸部ジストニアを治療するための方法: ここで、
前記方法は、修飾BoNT/Aを罹患者の罹患頸筋に筋肉内注射で投与することを含み;
前記修飾BoNT/Aは、31単位乃至707単位の修飾BoNT/Aの単位用量で投与され;
1単位はマウスの算出半致死量(LD
50)に相当する修飾BoNT/Aの量であり;
少なくとも単回の単位用量が、前記罹患頸筋に投与され;
前記治療中に投与される修飾BoNT/Aの総用量は、最大7,070単位であり;
前記修飾BoNT/Aは、BoNT/A軽鎖及び転位置ドメインと、BoNT/B受容体結合ドメイン (H
Cドメイン)と、を含む。
【請求項15】
非修飾BoNT/A(例えば配列番号2)を用いて治療する場合よりも長い持続期間で罹患者の頸部ジストニアを治療するための方法: ここで、
前記方法は、修飾BoNT/Aを罹患者の罹患頸筋に筋肉内注射で投与することを含み;
前記修飾BoNT/Aは、31単位乃至707単位の修飾BoNT/Aの単位用量で投与され;
1単位はマウスの算出半致死量(LD
50)に相当する修飾BoNT/Aの量であり;
少なくとも単回の単位用量が、前記罹患頸筋に投与され;
前記治療中に投与される修飾BoNT/Aの総用量は、最大7,070単位であり;
前記修飾BoNT/Aは、BoNT/A軽鎖及び転位置ドメインと、BoNT/B受容体結合ドメイン (H
Cドメイン)と、を含む。
【請求項16】
頸部ジストニアを治療するための薬剤の製造における修飾ボツリヌス神経毒素A(BoNT/A)の使用: ここで、
前記修飾BoNT/Aは、罹患者の罹患頸筋に筋肉内注射で投与され;
前記修飾BoNT/Aは、31単位乃至707単位の修飾BoNT/Aの単位用量で投与され;
1単位はマウスの算出半致死量(LD
50)に相当する修飾BoNT/Aの量であり;
少なくとも単回の単位用量が、前記罹患頸筋に投与され;
前記治療中に投与される修飾BoNT/Aの総用量は、最大7,070単位であり;
前記修飾BoNT/Aは、BoNT/A軽鎖及び転位置ドメインと、BoNT/B受容体結合ドメイン (H
Cドメイン)と、を含む。
【請求項17】
罹患者の頸部ジストニアを、非修飾BoNT/A(例えば配列番号2)を用いて治療する場合よりも長い持続期間で治療するための薬剤の製造における修飾BoNT/Aの使用: ここで、
前記修飾BoNT/Aは、罹患者の罹患頸筋に筋肉内注射で投与され;
前記修飾BoNT/Aは、31単位乃至707単位の修飾BoNT/Aの単位用量で投与され;
1単位はマウスの算出半致死量(LD
50)に相当する修飾BoNT/Aの量であり;
少なくとも単回の単位用量が、前記罹患頸筋に投与され;
前記治療中に投与される修飾BoNT/Aの総用量は、最大7,070単位であり;
前記修飾BoNT/Aは、BoNT/A軽鎖及び転位置ドメインと、BoNT/B受容体結合ドメイン (H
Cドメイン)と、を含む。
【請求項18】
投与される総用量は、217単位乃至7,070単位、好ましくは294単位乃至6,660単位である、請求項12もしくは請求項13に記載の用途の修飾BoNT/A、請求項14もしくは請求項15に記載の方法、または、請求項16もしくは請求項17に記載の修飾BoNT/Aの使用。
【請求項19】
前記単位用量は、42単位乃至666単位である、請求項12、13もしくは18のいずれか一項に記載の用途の修飾BoNT/A 、請求項14、15もしくは18のいずれか一項に記載の方法、または、請求項16乃至18のいずれか一項に記載の修飾BoNT/Aの使用。
【請求項20】
前記治療中に投与される修飾BoNT/Aの総用量は、最大6,660単位である、請求項12、13、18もしくは19のいずれか一項に記載の用途の修飾BoNT/A、請求項14、15、18もしくは19のいずれか一項に記載の方法、または、請求項16乃至19のいずれか一項に記載の修飾BoNT/Aの使用。
【請求項21】
前記修飾BoNT/Aは、単一の注射部位、または、2以上の注射部位(例えば2ヵ所の注射部位)で、罹患頸筋に投与される、請求項12、13もしくは18乃至20のいずれか一項に記載の用途の修飾BoNT/A、請求項14、15もしくは18乃至20のいずれか一項に記載の方法、または、請求項16乃至20のいずれか一項に記載の修飾BoNT/Aの使用。
【請求項22】
前記修飾BoNT/Aは、注射部位ごとに、31単位乃至166.4単位(好ましくは41.6単位または83.2単位)の単位用量で投与される、請求項21に記載の、特定用途の修飾BoNT/A、方法、または、修飾BoNT/Aの使用。
【請求項23】
前記修飾BoNT/Aは、E1191M及びS1199Yの2つの置換修飾の組み合わせを含む、前記請求項のいずれか一項に記載の、特定用途の修飾BoNT/A、方法、または、修飾BoNT/Aの使用。
【請求項24】
前記修飾BoNT/Aは、配列番号14に対して少なくとも70%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含む、前記請求項のいずれか一項に記載の、特定用途の修飾BoNT/A、方法、または、修飾BoNT/Aの使用。
【請求項25】
前記修飾BoNT/Aは、配列番号14を含む単鎖修飾BoNT/Aを、その活性化ループ内のペプチド結合を加水分解するプロテアーゼと接触させることにより前記単鎖修飾BoNT/Aを対応する二鎖修飾BoNT/Aに変換することを含む方法によって取得可能な、ジスルフィド結合を介して軽鎖(L鎖)が重鎖(H鎖)に結合している二鎖修飾BoNT/Aである、前記請求項のいずれか一項に記載の、特定用途の修飾BoNT/A、方法、または、修飾BoNT/Aの使用。
【請求項26】
前記修飾BoNT/Aは、配列番号14からなる単鎖修飾BoNT/Aを、その活性化ループ内のペプチド結合を加水分解するプロテアーゼと接触させることにより前記単鎖修飾BoNT/Aを対応する二鎖修飾BoNT/Aに変換することを含む方法によって取得可能な、ジスルフィド結合を介してL鎖がH鎖に結合している二鎖修飾BoNT/Aである、前記請求項のいずれか一項に記載の、特定用途の修飾BoNT/A、方法、または、修飾BoNT/Aの使用。
【請求項27】
頸部ジストニアを治療する用途の修飾ボツリヌス神経毒素A(BoNT/A): ここで、
前記修飾BoNT/Aは、罹患者の罹患頸筋に筋肉内注射で投与され;
前記修飾BoNT/Aは、450pg乃至8,000pgの修飾BoNT/Aの単位用量で投与され;
少なくとも単回の単位用量が、前記罹患頸筋に投与され;
前記治療中に投与される修飾BoNT/Aの総用量は、最大80,000pgであり;
前記修飾BoNT/Aは、以下から選択される一つ又は複数のアミノ酸残基に修飾を含み: ASN886、ASN905、GLN915、ASN918、GLU920、ASN930、ASN954、SER955、GLN991、GLU992、GLN995、ASN1006、ASN1025、ASN1026、ASN1032、ASN1043、ASN1046、ASN1052、ASP1058、HIS1064、ASN1080、GLU1081、GLU1083、ASP1086、ASN1188、ASP1213、Gly1215、ASN1216、GLN1229、ASN1242、ASN1243、SER1274、及びTHR1277;
前記修飾は、以下から選択される:
(i)酸性表面露出アミノ酸残基の塩基性アミノ酸残基による置換;
(ii)酸性表面露出アミノ酸残基の非荷電アミノ酸残基による置換;
(iii)非荷電表面露出アミノ酸残基の塩基性アミノ酸残基による置換;
(iv)塩基性アミノ酸残基の挿入;及び
(v)酸性表面露出アミノ酸残基の削除。
【請求項28】
非修飾BoNT/A(例えば配列番号2)を用いて治療する場合よりも長い持続期間で罹患者の頸部ジストニアを治療する用途の修飾BoNT/A: ここで、
前記修飾BoNT/Aは、前記罹患者の罹患頸筋に筋肉内注射で投与され;
前記修飾BoNT/Aは、450pg乃至8,000pgの修飾BoNT/Aの単位用量で投与され;
少なくとも単回の単位用量が、前記罹患頸筋に投与され;
前記治療中に投与される修飾BoNT/Aの総用量は、最大80,000pgであり;
前記修飾BoNT/Aは、以下から選択される一つ又は複数のアミノ酸残基に修飾を含み: ASN886、ASN905、GLN915、ASN918、GLU920、ASN930、ASN954、SER955、GLN991、GLU992、GLN995、ASN1006、ASN1025、ASN1026、ASN1032、ASN1043、ASN1046、ASN1052、ASP1058、HIS1064、ASN1080、GLU1081、GLU1083、ASP1086、ASN1188、ASP1213、Gly1215、ASN1216、GLN1229、ASN1242、ASN1243、SER1274、及びTHR1277;
前記修飾は、以下から選択される:
(i)酸性表面露出アミノ酸残基の塩基性アミノ酸残基による置換;
(ii)酸性表面露出アミノ酸残基の非荷電アミノ酸残基による置換;
(iii)非荷電表面露出アミノ酸残基の塩基性アミノ酸残基による置換;
(iv)塩基性アミノ酸残基の挿入;及び
(v)酸性表面露出アミノ酸残基の削除。
【請求項29】
頸部ジストニアを治療するための方法: ここで、
前記方法は、修飾BoNT/Aを罹患者の罹患頸筋に筋肉内注射で投与することを含み;
前記修飾BoNT/Aは、450pg乃至8,000pgの修飾BoNT/Aの単位用量で投与され;
少なくとも単回の単位用量が、前記罹患頸筋に投与され;
前記治療中に投与される修飾BoNT/Aの総用量は、最大80,000pgであり;
前記修飾BoNT/Aは、以下から選択される一つ又は複数のアミノ酸残基に修飾を含み: ASN886、ASN905、GLN915、ASN918、GLU920、ASN930、ASN954、SER955、GLN991、GLU992、GLN995、ASN1006、ASN1025、ASN1026、ASN1032、ASN1043、ASN1046、ASN1052、ASP1058、HIS1064、ASN1080、GLU1081、GLU1083、ASP1086、ASN1188、ASP1213、Gly1215、ASN1216、GLN1229、ASN1242、ASN1243、SER1274、及びTHR1277;
前記修飾は、以下から選択される:
(i)酸性表面露出アミノ酸残基の塩基性アミノ酸残基による置換;
(ii)酸性表面露出アミノ酸残基の非荷電アミノ酸残基による置換;
(iii)非荷電表面露出アミノ酸残基の塩基性アミノ酸残基による置換;
(iv)塩基性アミノ酸残基の挿入;及び
(v)酸性表面露出アミノ酸残基の削除。
【請求項30】
非修飾BoNT/A(例えば配列番号2)を用いて治療する場合よりも長い持続期間で罹患者の頸部ジストニアを治療するための方法: ここで、
前記方法は、修飾BoNT/Aを前記罹患者の罹患頸筋に筋肉内注射で投与することを含み;
前記修飾BoNT/Aは、450pg乃至8,000pgの修飾BoNT/Aの単位用量で投与され;
少なくとも単回の単位用量が、前記罹患頸筋に投与され;
前記治療中に投与される修飾BoNT/Aの総用量は、最大80,000pgであり;
前記修飾BoNT/Aは、以下から選択される一つ又は複数のアミノ酸残基に修飾を含み: ASN886、ASN905、GLN915、ASN918、GLU920、ASN930、ASN954、SER955、GLN991、GLU992、GLN995、ASN1006、ASN1025、ASN1026、ASN1032、ASN1043、ASN1046、ASN1052、ASP1058、HIS1064、ASN1080、GLU1081、GLU1083、ASP1086、ASN1188、ASP1213、Gly1215、ASN1216、GLN1229、ASN1242、ASN1243、SER1274、及びTHR1277;
前記修飾は、以下から選択される:
(i)酸性表面露出アミノ酸残基の塩基性アミノ酸残基による置換;
(ii)酸性表面露出アミノ酸残基の非荷電アミノ酸残基による置換;
(iii)非荷電表面露出アミノ酸残基の塩基性アミノ酸残基による置換;
(iv)塩基性アミノ酸残基の挿入;及び
(v)酸性表面露出アミノ酸残基の削除。
【請求項31】
頸部ジストニアを治療するための薬剤の製造における修飾ボツリヌス神経毒素A(BoNT/A)の使用: ここで、
前記修飾BoNT/Aは、罹患者の罹患頸筋に筋肉内注射で投与され;
前記修飾BoNT/Aは、450pg乃至8,000pgの修飾BoNT/Aの単位用量で投与され;
少なくとも単回の単位用量が、前記罹患頸筋に投与され;
前記治療中に投与される修飾BoNT/Aの総用量は、最大80,000pgであり;
前記修飾BoNT/Aは、以下から選択される一つ又は複数のアミノ酸残基に修飾を含み: ASN886、ASN905、GLN915、ASN918、GLU920、ASN930、ASN954、SER955、GLN991、GLU992、GLN995、ASN1006、ASN1025、ASN1026、ASN1032、ASN1043、ASN1046、ASN1052、ASP1058、HIS1064、ASN1080、GLU1081、GLU1083、ASP1086、ASN1188、ASP1213、Gly1215、ASN1216、GLN1229、ASN1242、ASN1243、SER1274、及びTHR1277;
前記修飾は、以下から選択される:
(i)酸性表面露出アミノ酸残基の塩基性アミノ酸残基による置換;
(ii)酸性表面露出アミノ酸残基の非荷電アミノ酸残基による置換;
(iii)非荷電表面露出アミノ酸残基の塩基性アミノ酸残基による置換;
(iv)塩基性アミノ酸残基の挿入;及び
(v)酸性表面露出アミノ酸残基の削除。
【請求項32】
罹患者の頸部ジストニアを、非修飾BoNT/A(例えば配列番号2)を用いて治療する場合よりも長い持続期間で治療するための薬剤の製造における修飾BoNT/Aの使用: ここで、
前記修飾BoNT/Aは、前記罹患者の罹患頸筋に筋肉内注射で投与され;
前記修飾BoNT/Aは、450pg乃至8,000pgの修飾BoNT/Aの単位用量で投与され;
少なくとも単回の単位用量が、前記罹患頸筋に投与され;
前記治療中に投与される修飾BoNT/Aの総用量は、最大80,000pgであり;
前記修飾BoNT/Aは、以下から選択される一つ又は複数のアミノ酸残基に修飾を含み: ASN886、ASN905、GLN915、ASN918、GLU920、ASN930、ASN954、SER955、GLN991、GLU992、GLN995、ASN1006、ASN1025、ASN1026、ASN1032、ASN1043、ASN1046、ASN1052、ASP1058、HIS1064、ASN1080、GLU1081、GLU1083、ASP1086、ASN1188、ASP1213、Gly1215、ASN1216、GLN1229、ASN1242、ASN1243、SER1274、及びTHR1277;
前記修飾は、以下から選択される:
(i)酸性表面露出アミノ酸残基の塩基性アミノ酸残基による置換;
(ii)酸性表面露出アミノ酸残基の非荷電アミノ酸残基による置換;
(iii)非荷電表面露出アミノ酸残基の塩基性アミノ酸残基による置換;
(iv)塩基性アミノ酸残基の挿入;及び
(v)酸性表面露出アミノ酸残基の削除。
【請求項33】
投与される総用量は、3,150pg乃至80,000pg、好ましくは3,500pg乃至75,000pgである、請求項27もしくは請求項28に記載の用途の修飾BoNT/A、請求項29もしくは請求項30に記載の方法、または、請求項31もしくは請求項32に記載の修飾BoNT/Aの使用。
【請求項34】
単位用量は、550pg乃至75,00pgである、請求項27、28もしくは33のいずれか一項に記載の用途の修飾BoNT/A、請求項29、30もしくは33のいずれか一項に記載の方法、または、請求項31乃至33のいずれか一項に記載の修飾BoNT/Aの使用。
【請求項35】
前記治療中に投与される修飾BoNT/Aの総用量は、最大75,000pgである、請求項27、28、33もしくは請求項34のいずれか一項に記載の用途の修飾BoNT/A、請求項29、30、33もしくは請求項34のいずれか一項に記載の方法、または、請求項31乃至請求項34のいずれか1項に記載の修飾BoNT/Aの使用。
【請求項36】
頸部ジストニアを治療する用途の修飾ボツリヌス神経毒素A(BoNT/A): ここで、
前記修飾BoNT/Aは、罹患者の罹患頸筋に筋肉内注射で投与され;
前記修飾BoNT/Aは、53単位乃至948単位の修飾BoNT/Aの単位用量で投与され;
1単位はマウスの算出半致死量(LD
50)に相当する修飾BoNT/Aの量であり;
少なくとも単回の単位用量が、前記罹患修飾頸筋に投与され;
治療中に投与される修飾BoNT/Aの総用量は、最大9,480単位であり;
前記修飾BoNT/Aは、以下から選択される一つ又は複数のアミノ酸残基に修飾を含み: ASN886、ASN905、GLN915、ASN918、GLU920、ASN930、ASN954、SER955、GLN991、GLU992、GLN995、ASN1006、ASN1025、ASN1026、ASN1032、ASN1043、ASN1046、ASN1052、ASP1058、HIS1064、ASN1080、GLU1081、GLU1083、ASP1086、ASN1188、ASP1213、Gly1215、ASN1216、GLN1229、ASN1242、ASN1243、SER1274、及びTHR1277;
前記修飾は、以下から選択される:
(i)酸性表面露出アミノ酸残基の塩基性アミノ酸残基による置換;
(ii)酸性表面露出アミノ酸残基の非荷電アミノ酸残基による置換;
(iii)非荷電表面露出アミノ酸残基の塩基性アミノ酸残基による置換;
(iv)塩基性アミノ酸残基の挿入;及び
(v)酸性表面露出アミノ酸残基の削除。
【請求項37】
非修飾BoNT/A(例えば配列番号2)を用いて治療する場合よりも長い持続期間で罹患者の頸部ジストニアを治療する用途の修飾BoNT/A: ここで、
前記修飾BoNT/Aは、罹患者の罹患頸筋に筋肉内注射で投与され;
前記修飾BoNT/Aは、53単位乃至948単位の修飾BoNT/Aの単位用量で投与され;
1単位はマウスの算出半致死量(LD
50)に相当する修飾BoNT/Aの量であり;
少なくとも単回の単位用量が、前記罹患修飾頸筋に投与され;
治療中に投与される修飾BoNT/Aの総用量は、最大9,480単位であり;
前記修飾BoNT/Aは、以下から選択される一つ又は複数のアミノ酸残基に修飾を含み: ASN886、ASN905、GLN915、ASN918、GLU920、ASN930、ASN954、SER955、GLN991、GLU992、GLN995、ASN1006、ASN1025、ASN1026、ASN1032、ASN1043、ASN1046、ASN1052、ASP1058、HIS1064、ASN1080、GLU1081、GLU1083、ASP1086、ASN1188、ASP1213、Gly1215、ASN1216、GLN1229、ASN1242、ASN1243、SER1274、及びTHR1277;
前記修飾は、以下から選択される:
(i)酸性表面露出アミノ酸残基の塩基性アミノ酸残基による置換;
(ii)酸性表面露出アミノ酸残基の非荷電アミノ酸残基による置換;
(iii)非荷電表面露出アミノ酸残基の塩基性アミノ酸残基による置換;
(iv)塩基性アミノ酸残基の挿入;及び
(v)酸性表面露出アミノ酸残基の削除。
【請求項38】
頸部ジストニアを治療するための方法: ここで、
前記方法は、修飾BoNT/Aを罹患者の罹患頸筋に筋肉内注射で投与することを含み;
前記修飾BoNT/Aは、53単位乃至948単位の修飾BoNT/Aの単位用量で投与され;
1単位はマウスの算出半致死量(LD
50)に相当する修飾BoNT/Aの量であり;
少なくとも単回の単位用量が、前記罹患頸筋に投与され;
前記治療中に投与される修飾BoNT/Aの総用量は、最大9,480単位であり;
前記修飾BoNT/Aは、以下から選択される一つ又は複数のアミノ酸残基に修飾を含み: ASN886、ASN905、GLN915、ASN918、GLU920、ASN930、ASN954、SER955、GLN991、GLU992、GLN995、ASN1006、ASN1025、ASN1026、ASN1032、ASN1043、ASN1046、ASN1052、ASP1058、HIS1064、ASN1080、GLU1081、GLU1083、ASP1086、ASN1188、ASP1213、Gly1215、ASN1216、GLN1229、ASN1242、ASN1243、SER1274、及びTHR1277;
前記修飾は、以下から選択される:
(i)酸性表面露出アミノ酸残基の塩基性アミノ酸残基による置換;
(ii)酸性表面露出アミノ酸残基の非荷電アミノ酸残基による置換;
(iii)非荷電表面露出アミノ酸残基の塩基性アミノ酸残基による置換;
(iv)塩基性アミノ酸残基の挿入;及び
(v)酸性表面露出アミノ酸残基の削除。
【請求項39】
非修飾BoNT/A(例えば配列番号2)を用いて治療する場合よりも長い持続期間で罹患者の頸部ジストニアを治療するための方法: ここで、
前記方法は、修飾BoNT/Aを罹患者の罹患頸筋に筋肉内注射で投与することを含み;
前記修飾BoNT/Aは、53単位乃至948単位の修飾BoNT/Aの単位用量で投与され;
1単位はマウスの算出半致死量(LD
50)に相当する修飾BoNT/Aの量であり;
少なくとも単回の単位用量が、前記罹患頸筋に投与され;
前記治療中に投与される修飾BoNT/Aの総用量は、最大9,480単位であり;
前記修飾BoNT/Aは、以下から選択される一つ又は複数のアミノ酸残基に修飾を含み: ASN886、ASN905、GLN915、ASN918、GLU920、ASN930、ASN954、SER955、GLN991、GLU992、GLN995、ASN1006、ASN1025、ASN1026、ASN1032、ASN1043、ASN1046、ASN1052、ASP1058、HIS1064、ASN1080、GLU1081、GLU1083、ASP1086、ASN1188、ASP1213、Gly1215、ASN1216、GLN1229、ASN1242、ASN1243、SER1274、及びTHR1277;
前記修飾は、以下から選択される:
(i)酸性表面露出アミノ酸残基の塩基性アミノ酸残基による置換;
(ii)酸性表面露出アミノ酸残基の非荷電アミノ酸残基による置換;
(iii)非荷電表面露出アミノ酸残基の塩基性アミノ酸残基による置換;
(iv)塩基性アミノ酸残基の挿入;及び
(v)酸性表面露出アミノ酸残基の削除。
【請求項40】
頸部ジストニアを治療するための薬剤の製造における修飾ボツリヌス神経毒素A(BoNT/A)の使用: ここで、
前記修飾BoNT/Aは、罹患者の罹患頸筋に筋肉内注射で投与され;
前記修飾BoNT/Aは、53単位乃至948単位の修飾BoNT/Aの単位用量で投与され;
1単位はマウスの算出半致死量(LD
50)に相当する修飾BoNT/Aの量であり;
少なくとも単回の単位用量が、前記罹患頸筋に投与され;
前記治療中に投与される修飾BoNT/Aの総用量は、最大9,480単位であり;
前記修飾BoNT/Aは、以下から選択される一つ又は複数のアミノ酸残基に修飾を含み: ASN886、ASN905、GLN915、ASN918、GLU920、ASN930、ASN954、SER955、GLN991、GLU992、GLN995、ASN1006、ASN1025、ASN1026、ASN1032、ASN1043、ASN1046、ASN1052、ASP1058、HIS1064、ASN1080、GLU1081、GLU1083、ASP1086、ASN1188、ASP1213、Gly1215、ASN1216、GLN1229、ASN1242、ASN1243、SER1274、及びTHR1277;
前記修飾は、以下から選択される:
(i)酸性表面露出アミノ酸残基の塩基性アミノ酸残基による置換;
(ii)酸性表面露出アミノ酸残基の非荷電アミノ酸残基による置換;
(iii)非荷電表面露出アミノ酸残基の塩基性アミノ酸残基による置換;
(iv)塩基性アミノ酸残基の挿入;及び
(v)酸性表面露出アミノ酸残基の削除。
【請求項41】
罹患者の頸部ジストニアを、非修飾BoNT/A(例えば配列番号2)を用いて治療する場合よりも長い持続期間で治療するための薬剤の製造における修飾BoNT/Aの使用: ここで、
前記修飾BoNT/Aは、罹患者の罹患頸筋に筋肉内注射で投与され;
前記修飾BoNT/Aは、53単位乃至948単位の修飾BoNT/Aの単位用量で投与され;
1単位はマウスの算出半致死量(LD
50)に相当する修飾BoNT/Aの量であり;
少なくとも単回の単位用量が、前記罹患頸筋に投与され;
前記治療中に投与される修飾BoNT/Aの総用量は、最大9,480単位であり;
前記修飾BoNT/Aは、以下から選択される一つ又は複数のアミノ酸残基に修飾を含み: ASN886、ASN905、GLN915、ASN918、GLU920、ASN930、ASN954、SER955、GLN991、GLU992、GLN995、ASN1006、ASN1025、ASN1026、ASN1032、ASN1043、ASN1046、ASN1052、ASP1058、HIS1064、ASN1080、GLU1081、GLU1083、ASP1086、ASN1188、ASP1213、Gly1215、ASN1216、GLN1229、ASN1242、ASN1243、SER1274、及びTHR1277;
前記修飾は、以下から選択される:
(i)酸性表面露出アミノ酸残基の塩基性アミノ酸残基による置換;
(ii)酸性表面露出アミノ酸残基の非荷電アミノ酸残基による置換;
(iii)非荷電表面露出アミノ酸残基の塩基性アミノ酸残基による置換;
(iv)塩基性アミノ酸残基の挿入;及び
(v)酸性表面露出アミノ酸残基の削除。
【請求項42】
投与される総用量は、371単位乃至9,480単位、好ましくは413単位乃至8,890単位である、請求項36もしくは請求項37に記載の用途の修飾BoNT/A、請求項38もしくは請求項39に記載の方法、または、請求項40もしくは請求項41に記載の修飾BoNT/Aの使用。
【請求項43】
単位用量は、59単位乃至889単位である、請求項36、37もしくは請求項42のいずれか一項に記載の用途の修飾BoNT/A、請求項38、39もしくは請求項42のいずれか一項に記載の方法、または、請求項40乃至42のいずれか一項に記載の修飾BoNT/Aの使用。
【請求項44】
治療中に投与される修飾BoNT/Aの総用量は、最大8,890単位である、請求項26、37、42もしくは請求項43のいずれか一項に記載の用途の修飾BoNT/A、請求項38、39、42もしくは請求項43のいずれか一項に記載の方法、または、請求項40乃至43のいずれか一項に記載の修飾BoNT/Aの使用。
【請求項45】
請求項27乃至44のいずれか一項に記載の、特定用途の修飾BoNT/A、方法、または修飾BoNT/Aの使用: ここで、
前記修飾は、以下から選択される一つ又は複数のアミノ酸残基における修飾を含み(好ましくは、当該修飾からなり):
ASN886、ASN930、ASN954、SER955、GLN991、ASN1025、ASN1026、ASN1052、ASN1188、ASP1213、GLY1215、ASN1216、GLN1229、ASN1242、ASN1243、SER1274、またはTHR1277;
前記修飾BoNT/Aは、配列番号3、5、7、及び9から選択される核酸配列に対して少なくとも70%の配列同一性を有する核酸配列によってコードされ、且つ/又は、配列番号4、6、8、及び10から選択されるポリペプチド配列に対して少なくとも70%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含み;
好ましくは、前記修飾は、以下から選択される一つ又は複数のアミノ酸残基における修飾を含み(好ましくは、当該修飾からなり):
ASN886、ASN930、SER955、GLN991、ASN1026、ASN1052、及びGLN1229;
前記修飾BoNT/Aは、配列番号3に対して少なくとも70%の配列同一性を有する核酸配列によってコードされ、且つ/又は配列番号4から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも70%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含む。
【請求項46】
前記修飾は、置換、好ましくはリジンまたはアルギニンによる置換である、請求項27乃至45のいずれか一項に記載の用途の修飾BoNT/A、方法、または修飾BoNT/Aの使用。
【請求項47】
前記修飾BoNT/Aは、配列番号4を含む単鎖修飾BoNT/Aを、その活性化ループ内のペプチド結合を加水分解するプロテアーゼと接触させることにより前記単鎖修飾BoNT/Aを対応する二鎖修飾BoNT/Aに変換することを含む方法によって得られる、ジスルフィド結合を介して軽鎖(L鎖)が重鎖(H鎖)に連結されている二鎖修飾BoNT/Aである、請求項27乃至46のいずれか一項に記載の用途の修飾BoNT/A、方法、または修飾BoNT/Aの使用。
【請求項48】
前記修飾BoNT/Aは、配列番号4からなる単鎖修飾BoNT/Aを、その活性化ループ内のペプチド結合を加水分解するプロテアーゼと接触させることにより前記単鎖修飾BoNT/Aを対応する二鎖修飾BoNT/Aに変換することを含む方法によって得られる、ジスルフィド結合を介して軽鎖(L鎖)が重鎖(H鎖)に連結されている二鎖修飾BoNT/Aである、請求項27乃至47のいずれか一項に記載の用途の修飾BoNT/A、方法、または修飾BoNT/Aの使用。
【請求項49】
前記修飾BoNT/Aは、7より大きい安全率を有し、前記安全率は、pg/マウスで測定された体重を-10%変化させるために必要な毒素の用量を、pg/マウスで測定されたDASED
50で除算することにより算出され、ここでED
50は、DASスコア2を得るために必要な用量である、前記請求項のいずれか一項に記載の用途の修飾BoNT/A、方法、または修飾BoNT/Aの使用。
【請求項50】
前記請求項のいずれか一項に記載の用途の修飾BoNT/A、方法、または修飾BoNT/Aの使用: ここで、
前記罹患頸筋は、以下から選択され:
胸鎖乳突筋、頭板状筋、頸板状筋、斜角筋複合体(例えば前斜角筋及び/又は中斜角筋)、僧帽筋(例えば僧帽筋上部)、肩甲挙筋、頭半棘筋及び最長筋(例えば頭最長筋及び/又は頸最長筋);
前記罹患頸筋は、以下から選択され:
右肩甲挙筋、左肩甲挙筋、右僧帽筋、左僧帽筋、右胸鎖乳突筋、左胸鎖乳突筋、右頭板状筋、左頭板状筋、中斜角筋、前斜角筋、右頭半棘筋、左頭半棘筋、右頭最長筋、左頭最長筋;
前記罹患頸筋は、以下から選択され:
胸鎖乳突筋(sternocleidomastoid/sternocleidomastoideus)、頭板状筋、頸板状筋、斜角筋複合体(例えば前斜角筋及び/又は中斜角筋)、僧帽筋(例えば僧帽筋上部)、肩甲挙筋、頭半棘筋、最長筋(例えば頭最長筋及び/又は頚最長筋)、傍脊椎後部(例えば後斜角筋、中斜角筋及び/又は前斜角筋、好ましくは後斜角筋)、顎下複合体(例えば顎二腹筋、オトガイ舌骨筋、顎舌骨筋、顎舌骨ブートニエール及び/又は茎突舌骨筋)、僧帽筋下部、上項線―鎖骨(外側部)、棘突起C3‐Th3‐乳様突起、棘突起Th3‐Th5―横突起C1‐C2、横突起C3‐Th6、棘突起C3‐Th1―上項線、横突起Th1‐Th6―棘突起C2‐C7、横突起C3‐Th3―乳様突起、横突Th1‐Th6―横突起C2‐C6、下頭斜筋、棘突起C2―横突起C1、胸骨上切痕及び鎖骨(内側部)―乳様突起及び上項線、横突起C1‐C4―肩甲骨(上角)、横突起C2‐C7―第一肋骨、横突起C3‐C6―第一肋骨、頭長筋、横突起C3‐C6―後頭骨(底部)、頸長筋、横突起C2-C5―環椎(前結節); または、
前記罹患頸筋は、以下から選択される:
胸鎖乳突筋(例えば左胸鎖乳突筋または右胸鎖乳突筋)、左頭板状筋または右頭板状筋、前斜角筋または中斜角筋、左僧帽筋または右僧帽筋(例えば左僧帽筋上部または右僧帽筋上部)、左肩甲挙筋または右肩甲挙筋、左頭半棘筋または右頭半棘筋、最長筋(例えば、左右の頭最長筋及び/又は、左右の頸最長筋)、頸板状筋、斜角筋複合体(例えば前斜角筋及び/又は中斜角筋)、傍脊椎後部(例えば後斜角筋、中斜角筋及び/又は前斜角筋、好ましくは後斜角筋)、顎下複合体(例えば顎二腹筋、オトガイ舌骨筋、顎舌骨筋、顎舌骨ブートニエール及び/又は茎突舌骨筋)、僧帽筋下部、上項線― 鎖骨(外側部)、棘突起C3‐Th3―乳様突起、棘突起Th3‐Th5―横突起C1‐C2、横突起C3‐Th6、棘突起C3‐Th1―上項線、横突起Th1‐Th6―棘突起C2‐C7、横突起C3‐Th3― 乳様突起、横突起Th1‐Th6―横突起C2‐C6、下頭斜筋、上頭斜筋、棘突起C2―横突起C1、胸骨上切痕及び鎖骨(内側部)―乳様突起及び上項線、横突起C1‐C4―肩甲骨(上角)、横突起C2‐C7―第一肋骨、横突起C3‐C6―第一肋骨、頭長筋、横突起C3‐C6―後頭骨(底部)、頸長筋、頸半棘筋、大後頭直筋、小後頭直筋、前頭直筋、多裂管、及び横突起C2‐C5―環椎(前結節)。
【請求項51】
前記請求項のいずれか一項に記載の、特定用途の修飾BoNT/A、方法、または修飾BoNT/Aの使用: ここで、
前記修飾BoNT/Aは、罹患者の複数の罹患頸筋に筋肉内注射で投与され;
少なくとも単回の単位用量が、各罹患首筋に投与され;
好ましくは、
前記複数の罹患首筋は、以下から選択され:
胸鎖乳突筋、頭板状筋、頸板状筋、斜角筋複合体(例えば前斜角筋及び/又は中斜角筋)、僧帽筋(例えば僧帽筋上部)、肩甲挙筋、頭半棘筋と最長筋(例えば頭最長筋及び/又は頸最長筋);
前記複数の罹患頸筋は、以下から選択され:
右肩甲挙筋、左肩甲挙筋、右僧帽筋、左僧帽筋、右胸鎖乳突筋、左胸鎖乳突筋、右頭板状筋、左頭板状筋、中斜角筋、前斜角筋、右頭半棘筋、左頭半棘筋、右頭最長筋、左頭最長筋;
前記複数の罹患首筋は、以下から選択され:
胸鎖乳突筋(sternocleidomastoid/sternocleidomastoideus)、頭板状筋、頸板状筋、斜角筋複合体(例えば前斜角筋及び/又は中斜角筋)、僧帽筋(例えば僧帽筋上部)、肩甲挙筋、頭半棘筋、最長筋(例えば頭最長筋及び/又は頸最長筋)、傍脊椎後部(例えば後斜角筋、中斜角筋及び/又は前斜角筋、好ましくは後斜角筋)、顎下複合体(例えば、顎二腹筋、オトガイ舌骨筋、顎舌骨筋、顎舌骨ブートニエール及び/又は茎突舌骨筋)、僧帽筋下部、上項線― 鎖骨(外側部)、棘突起C3‐Th3―乳様突起、棘突起Th3‐Th5―横突起C1‐C2、横突起 C3‐Th6、棘突起C3‐Th1―上項線、横突起Th1‐Th6―棘突起C2‐C7、横突起C3‐Th3―乳様突起、横突起Th1‐Th6―横突起C2‐C6、下頭斜筋、棘突起C2―横突起C1、胸骨上切痕及び鎖骨 (内側部)―乳様突起及び上項線、横突起C1‐C4―肩甲骨(上角)、横突起C2‐C7―第一肋骨、横突起C3‐C6―第一肋骨、頭長筋、横突起C3‐C6―後頭骨(底部)、頸長筋、横突起C2‐C5―環椎(前結節); または、
前記複数の罹患首筋は、以下から選択される:
胸鎖乳突筋(例えば左胸鎖乳突筋または右胸鎖乳突筋)、左頭板状筋または右頭板状筋、前斜角筋または中斜角筋、左僧帽筋または右僧帽筋(例えば左僧帽筋上部または右僧帽筋上部)、左肩甲挙筋または右肩甲挙筋、左頭半棘筋または右頭半棘筋、頭半棘筋中間部、最長筋(例えば、左右の頭最長筋及び/又は左右の頸最長筋)、頸板状筋、斜角筋複合体(例えば前斜角筋及び/又は中斜角筋)、傍脊椎後部(例えば後斜角筋、中斜角筋及び/又は前斜角筋、好ましくは後斜角筋)、顎下複合体(例えば顎二腹筋、オトガイ舌骨筋、顎舌骨筋、顎舌骨ブートニエール及び/又は茎突舌骨筋)、僧帽筋下部、上項線―鎖骨(外側部)、棘突起C3‐Th3― 乳様突起、棘突起Th3‐Th5― 横突起C1‐C2、横突起C3‐Th6、棘突起C3‐Th1―上項線、横突起Th1‐Th6―棘突起C2‐C7、横突起C3‐Th3―乳様突起、横突起Th1‐Th6―横突起C2-C6、下頭斜筋、上頭斜筋、棘突起C2―横突起C1、胸骨上切痕及び鎖骨 (内側部) ―乳状突起及び上項線、横突起C1‐C4―肩甲骨(上角)、横突起C2‐C7―第一肋骨、横突起C3‐C6―第一肋骨、頭長筋、横突起C3‐C6―後頭骨(底部)、頸長筋、頸半棘筋、大後頭直筋、小後頭直筋、前頭直筋、多裂管、及び横突起C2‐C5―環椎(前結節)。
【請求項52】
前記修飾BoNT/Aは、罹患頸筋に、注射部位あたり単位用量で投与され、または、前記修飾BoNT/Aは、注射部位あたり単位用量未満で投与される、前記請求項のいずれか一項に記載の、特定用途の修飾BoNT/A、方法、または修飾BoNT/Aの使用。
【請求項53】
単回の単位用量が、罹患頸筋の複数の注射部位に投与され、且つ/又は、2以上の単位用量が、罹患頸筋の複数の注射部位に投与される、前記請求項のいずれか一項に記載の、特定用途の修飾BoNT/A、方法、または修飾BoNT/Aの使用。
【請求項54】
単回の単位用量が、罹患頸筋に投与される(例えば単回の単位用量が各罹患頸筋に投与される)、前記請求項のいずれか一項に記載の用途の修飾BoNT/A、方法、または修飾BoNT/Aの使用。
【請求項55】
前記罹患者が、ヒトである、前記請求項のいずれか一項に記載の用途の修飾BoNT/A、方法、または修飾BoNT/Aの使用。
【請求項56】
修飾BoNT/A(例えば頸部ジストニアの治療用)の単位剤形: ここで、
単位剤形は以下を含む:
(a) 31単位乃至707単位の修飾BoNT/A、ここで、1単位はマウス半数致死量(LD
50)に相当する修飾型BoNT/Aの量である;又は
(b) 750pg乃至17,000pgの修飾 BoNT/A;及び
(c) 任意に薬学的に許容される担体、賦形剤、アジュバント及び/又は塩類;
ここで、前記修飾BoNT/Aは、BoNT/A軽鎖及び転位置ドメインと、BoNT/B受容体結合ドメイン(Hcドメイン)と、を含む。
【請求項57】
前記修飾BoNT/Aは、E1191M及びS1199Yの2つの置換修飾の組み合わせを含む、請求項56に記載の単位剤形。
【請求項58】
前記修飾BoNT/Aは、配列番号14に対して少なくとも70%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含む、請求項56または請求項57に記載の単位剤形。
【請求項59】
前記修飾BoNT/Aは、配列番号14を含む単鎖修飾BoNT/Aを、その活性ループ内のペプチド結合を加水分解するプロテアーゼと接触させることにより前記単鎖修飾BoNT/Aを対応する二鎖修飾BoNT/Aに変換する方法によって得られる、ジスルフィド結合を介してL鎖がH鎖と結合している二鎖修飾BoNT/Aである、請求項56乃至58のいずれか一項に記載の単位剤形。
【請求項60】
前記修飾BoNT/Aは、配列番号14からなる単鎖修飾BoNT/Aを、その活性ループ内のペプチド結合を加水分解するプロテアーゼと接触させることにより前記単鎖修飾BoNT/Aを対応する二鎖修飾BoNT/Aに変換する方法によって得られる、ジスルフィド結合を介してL鎖がH鎖と結合している二鎖修飾BoNT/Aである、請求項56乃至59のいずれか一項に記載の単位剤形。
【請求項61】
修飾BoNT/A(例えば頸部ジストニアの治療用)の単位剤形: ここで、
前記単位剤形は、以下を含み:
(a) 53単位乃至948単位の修飾BoNT/A、ここで1単位はマウス半数致死量(LD
50)に相当する修飾型BoNT/Aの量である;又は
(b) 450pg乃至8,000pgの修飾 BoNT/A;及び
(c) 任意に薬学的に許容される担体、賦形剤、アジュバント及び/又は塩類;
前記修飾BoNT/Aは、以下から選択される一つ又は複数のアミノ酸残基に修飾を含み: ASN886、ASN905、GLN915、ASN918、GLU920、ASN930、ASN954、SER955、GLN991、GLU992、GLN995、ASN1006、ASN1025、ASN1026、ASN1032、ASN1043、ASN1046、ASN1052、ASP1058、HIS1064、ASN1080、GLU1081、GLU1083、ASP1086、ASN1188、ASP1213、Gly1215、ASN1216、GLN1229、ASN1242、ASN1243、SER1274、及びTHR1277;
前記修飾は、以下から選択される:
(i)酸性表面露出アミノ酸残基の塩基性アミノ酸残基による置換;
(ii)酸性表面露出アミノ酸残基の非荷電アミノ酸残基による置換;
(iii)非荷電表面露出アミノ酸残基の塩基性アミノ酸残基による置換;
(iv)塩基性アミノ酸残基の挿入;及び
(v)酸性表面露出アミノ酸残基の削除。
【請求項62】
請求項61に記載の修飾BoNT/Aの単位剤形: ここで、
前記修飾は、以下から選択される一つ又は複数のアミノ酸残基における修飾を含み(好ましくは、当該修飾からなり):
ASN886、ASN930、ASN954、SER955、GLN991、ASN1025、ASN1026、ASN1052、ASN1188、ASP1213、GLY1215、ASN1216、GLN1229、ASN1242、ASN1243、SER1274、またはTHR1277;
前記修飾BoNT/Aは、配列番号3、5、7、及び9から選択される核酸配列に対して少なくとも70%の配列同一性を有する核酸配列によってコードされ、且つ/又は、配列番号4、6、8、及び10から選択されるポリペプチド配列に対して少なくとも70%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含み;
好ましくは、前記修飾は、以下から選択される一つ又は複数のアミノ酸残基における修飾を含み(好ましくは、当該修飾からなり):
ASN886、ASN930、SER955、GLN991、ASN1026、ASN1052、及びGLN1229;
前記修飾BoNT/Aは、配列番号3に対して少なくとも70%の配列同一性を有する核酸配列によってコードされ、且つ/又は配列番号4から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも70%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含む。
【請求項63】
前記修飾は、置換、好ましくはリジンまたはアルギニンによる置換である、請求項61または請求項62に記載の単位剤形。
【請求項64】
修飾BoNT/Aは、配列番号4を含む単鎖修飾BoNT/Aを、その活性ループ内のペプチド結合を加水分解するプロテアーゼと接触させることにより前記単鎖修飾BoNT/Aを対応する二鎖修飾BoNT/Aに変換する方法によって取得される、ジスルフィド結合を介して軽鎖(L鎖)が重鎖(H鎖)と結合している二鎖修飾BoNT/Aである、請求項61乃至63のいずれか一項に記載の単位剤形。
【請求項65】
修飾BoNT/Aは、配列番号4からなる単鎖修飾BoNT/Aを、その活性ループ内のペプチド結合を加水分解するプロテアーゼと接触させることにより前記単鎖修飾BoNT/Aを対応する二鎖修飾BoNT/Aに変換する方法によって取得される、ジスルフィド結合を介してL鎖がH鎖と結合している二鎖修飾BoNT/Aである、請求項61乃至64のいずれか一項に記載の単位剤形。
【請求項66】
以下を含むキット:
(a) 請求項56乃至65のいずれか一項に記載の単位剤形;
(b) 頸部ジストニアの治療における同単位剤形の使用の指示書;
(c) 随意により希釈剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、頸部ジストニアの治療に関する。
【背景技術】
【0002】
頸部ジストニア(痙性斜頸としても知られる)は、典型的には極度の痛みを伴う、神経系の慢性運動障害である。当該障害によって、罹患者の頸部が無意識に左、右、上、及び/又は下に曲がるようになる。ジストニア運動中に主動作筋と、拮抗筋と、の両方が同時に収縮することがある。
【0003】
当該障害は、典型的には、発症から数か月間は、視認できない頭部の振戦など、比較的軽い症状を示す。その他の初期の/進行性の症状としては、頭部が回転し、引っ張られ、及び/又は傾く、突然の動作が含まれ得る。更に、初期の/進行性の症状には、典型的には、持続的な/長期に亘る不随意な頭部のポジショニングが含まれる。頸筋の不随意な痙攣は、プラトーに達する前に、時間の経過とともに頻度と、強度と、が増加する傾向がある。頸部ジストニアを患った罹患者は筋肥大、頸部の痛み、構音障害及び/又は振戦を経験することもある。
【0004】
頸部ジストニアの症状は、罹患者の任意の頸筋に作用するかもしれず、頭部の姿勢は多様であり得る。典型的には、頸部ジストニアに関連する最も一般的な異常姿勢は、頭部が横に向かって回転するような顎の肩の方へのねじれ(斜頸)である。頸部ジストニアに関連する他の異常な姿勢には、頭部が前に傾く頸部前屈、頭部が後ろに傾く頸部後屈、または頭部が片側に傾く頸部側屈が含まれてもよい。また、矢状前方偏移(前方への移動)または矢状後方偏移(後方への移動)において、頭部が肩の上に移動することもあり得る。しかし、最も一般的には、頸部ジストニアは、罹患者が様々な角度の頭部の動きを示す、複雑な症状を呈する。
【0005】
従来の治療法の選択肢には、経口薬(ドーパミン遮断薬など)と、脳深部刺激と、ボツリヌス神経毒と、筋収縮と、を引き起こす神経に対する選択的外科的除神経などが含まれる。従来の経口薬には多くの重篤な副作用が伴う一方で、脳深部刺激と、外科的除神経と、は侵襲的であり、合併症のリスクを伴い、及び/又は有効ではない可能性もある。
【0006】
頸部ジストニアに対する従来のボツリヌス神経毒素血清型A(BoNT/A)治療の例は、Dysport(登録商標)であり、これはA型ボツリヌス菌系統から分離及び精製された原薬であるBoNT/Aヘマグルチニン複合体(BTX‐A‐HAC)を含む医薬品である。ボツリヌス菌によって天然に生成される他の医療用BoNT/A製品も市販されている(例えばBOTOX(登録商標)とXEOMIN(登録商標))。
【0007】
ジストニア拮抗筋を麻痺させることにより、BoNT/Aは作動筋を自由に動かせるようにし得る。より詳細には、BoNT/Aはシナプス前神経終末からのアセチルコリンの放出を選択的に阻害し、神経筋接合部でのコリン作動性伝達を遮断することで筋収縮と筋緊張の低下を引き起こし、注射を受けた筋肉を弛緩させる。しかしながら、現在入手可能なBoNT/A製品の作用持続期間は約12週間乃至14週間で、この間に新しい神経終末が発芽して神経機能が正常に戻り、元の症状が再発する。結果として、効果を保つために定期的に注射を繰り返す必要がある。したがって、症状の慢性化と必要とされる治療の長期性を考慮すると、BoNT/A注射の頻度は頸部ジストニアの治療にとって重要な考慮事項となる。実際、罹患者と、介護者と、にかかる直接的及び間接的な健康上のコスト、病院・診療所内での注射のためのロジスティクス、そして最も重要なことに、当該罹患者の生活の質に影響を与える。
【0008】
Dysport(登録商標)は治療セッション1回あたり最大総用量を1,000単位として頸部ジストニアの治療法として承認されている(
図1参照)。臨床医は、治療セッションごとに合計1,000単位の基準値上限まで、当該罹患者の頸筋にDysport(登録商標)を投与する必要がある。当該臨床医は罹患者の治療中に難しい選択を強いられる。換言すると、従来の治療計画では、臨床医は投与できうる比較的少ないBoNT/A総量(1,000単位、BoNT/Aの強い毒性により要される)と、複数の異なる筋肉に対して効力を有する量と、の間のバランスを見つけなければならない。したがって、特定の筋肉が無視される一方で、他の筋肉には最善ではない量のBoNT/Aが投与される結果、最適とはいえない治療となる。
【0009】
更に、従来の頸部ジストニアの治療計画は複雑であり、当該罹患者への毒性を避けるため、臨床医が過少投与する結果となる。したがって、便利で安全かつ有効な単回投与単位と、治療セッション中に、罹患者に毒性を結果としてもたらすことなく、罹患頸筋に投与できる単位数と、についての対応するガイド(例えば筋肉ごとの注射部位の数を含む)が必要である。
【0010】
結論として、頸部ジストニアの分布と、程度と、重症度と、によって注射を受ける罹患頸筋の組み合わせが異なることを許容する標的臨床パターンにあわせた治療を作り上げると同時に、毒性を避け長きにわたって持続する治療(結果として投与頻度が少なくなる)をもたらす、個人に合わせた罹患者本位のアプローチを可能とする改善された頸部ジストニアの治療法が必要である。
【0011】
本発明は、一つ又は複数の上述の問題を克服するものである。
【発明の概要】
【0012】
本発明者らは、驚くべきことに、修飾BoNT/Aが頸部ジストニアの治療に特に有用であることを見出した。当該修飾BoNT/Aは、BoNT/A軽鎖及び転位置ドメインと、BoNT/B受容体結合ドメイン(HCドメイン)と、を含んでもよく、その結果、投与部位での残留の増加(投与位置からの拡散の減少)及び/又は作用持続期間の延長(例えば6カ月乃至9カ月)を示す修飾BoNT/Aがもたらされる。あるいは、当該修飾BoNT/Aは、正味の正電荷の増加をもたらす表面露出アミノ酸残基における一つ又は複数の修飾を含んでもよい。電荷の増加により、ポリペプチドと、陰イオン性細胞外成分と、の間の静電相互作用を促進し、それによってポリペプチドと、細胞表面と、の間の結合を促進する。次に、これはまた、投与部位での滞留を増加させ(そこからの拡散を減少させ)、及び/又は作用持続期間の増加(例えば6カ月乃至9ヶ月)をもたらす。
【0013】
有利には、修飾BoNT/Aは非修飾BoNT/A(例えばDysport(登録商標))と比較した場合に改善された安全性プロファイルを有する。この改善された安全性プロファイルは当該修飾BoNT/Aに対して本明細書に記載される高い安全率によって表現されてもよい。
【0014】
本明細書の前臨床データ及び臨床データに基づき(実施例参照)、より総用量が大きな修飾BoNT/Aを罹患者に投与できると同時に、このような高用量ではあるが非修飾BoNT/A(例えばDysport(登録商標))と同様の安全性プロファイルが達成されることが示された。したがって、頸部ジストニアの治療において、最大総用量に達するまで、より多くの修飾BoNT/Aを注射することができ、及び、また、より多くの頸筋及び場所に注射することができる。これは重要かつ有利な発見であり、頸部ジストニア治療を改善するとともに、臨床医により幅広い治療の選択肢を提供する。当該治療は、より永続性のある治療(結果として投与頻度が少なくなる)を提供し、及び/又は当該罹患者に適合させることができるとともに、または非修飾BoNT/A(例えばDysport(登録商標))を用いた治療と比較した場合に、罹患者の生活の質を向上させる結果となるという点において改善される可能性がある。したがって、本発明における治療法は従来の治療計画と比較して改善されている。
【0015】
更に本発明は便利で、安全、かつ有効な単回の単位用量のみならず、単回の治療において安全に投与され得る総(最大)投与量を提供する。本発明はまた、患者に毒性を結果として発生させずに、前記単位用量を頸筋に投与することができる回数(例えば筋肉ごとの注射部位の数を含む)に対応したガイドを提供する。したがって、本発明による頸部ジストニアの治療は、当該臨床医にとってさほど複雑ではなく、過小投与及び/又は過剰投与を回避する一助となる。更に、本発明記載の治療は、従来の頸部ジストニア治療と比較した場合、当該患者のニーズによりよく適合しているため、当該患者にとってはるかに満足できるものである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
一態様において、本発明は、頸部ジストニアを治療する用途の修飾ボツリヌス神経毒素A(BoNT/A)であって、当該修飾BoNT/Aが筋肉内注射により罹患者の罹患頸筋に投与され、当該修飾BoNT/Aが750pg乃至17,000pgの修飾BoNT/Aの単位用量で投与され、少なくとも単回の単位用量が当該罹患頸筋に投与され、治療中に投与される修飾BoNT/Aの総用量が最大170,000pgであり、当該修飾BoNT/AがBoNT/A軽鎖及び転位置ドメインとBoNT/B受容体結合ドメイン(HCドメイン)とを含む、修飾BoNT/Aを提供する。
【0017】
関連する態様において、本発明は、非修飾BoNT/A(例えば配列番号2)によって治療される場合よりも長い持続期間で罹患者の頸部ジストニア治療に用いられる修飾BoNT/Aであって、当該修飾BoNT/Aは筋肉内注射で罹患者の罹患頸筋へ投与され、当該修飾BoNT/Aは750pg乃至17,000pgの修飾BoNT/Aの単位用量で投与され、少なくとも単回の単位用量は当該罹患頸筋に投与され、治療中に投与される総用量は最大170,000pgの修飾BoNT/Aであり、当該修飾BoNT/AがBoNT/A軽鎖及び転位置ドメインとBoNT/B受容体結合ドメイン(HCドメイン)とを含む、修飾BoNT/Aを提供する。
【0018】
「非修飾BoNT/Aによって治療される場合よりも長い持続期間で罹患者の頸部ジストニアを治療する」という用語は、当該罹患者の一つ又は複数の頸部ジストニアの症状が、非修飾BoNT/Aの投与と比較した場合に、本発明の修飾BoNT/Aの投与後により長い期間緩和されることを意味してもよい。前記作用持続期間は、少なくとも1.25倍、1.5倍、1.75倍、2.0倍、または2.25倍であってもよい。修飾BoNT/Aの作用持続期間は6カ月と、9カ月と、の間であってもよい。例えば、作用持続期間は少なくとも以下であってもよい: 4.5ヶ月(発症から)、5.0ヶ月、5.5ヶ月、6ヶ月、6.5ヶ月、7.0ヶ月、7.5ヶ月、8.0ヶ月、8.5ヶ月または9.0ヶ月。特定の実施の形態において、作用持続期間は9.0ヶ月を超えてもよい。前記の緩和は、非修飾BoNT/Aを用いて治療された同等の症状を呈する同等の対照群と比較することにより決定されてもよい。当該対照群の一つ又は複数の症状の重症度が非修飾BoNT/A治療前と実質的に同じ(例えば同じ)である期間において、当該修飾BoNT/Aを用いた治療前の一つ又は複数の症状の重症度と比較した場合に、本発明記載の修飾BoNT/Aを用いて治療された罹患者は、同等の一つ又は複数の症状において、少なくとも5%、10%、25%、または30%の改善を示し得る。当該非修飾BoNT/Aは好ましくは二鎖型で存在する配列番号2である。
【0019】
一態様において、本発明は、頸部ジストニアを治療するための方法であって、当該方法は筋肉内注射で罹患者の罹患頸筋へ修飾BoNT/Aを投与することを含み、当該修飾BoNT/Aは750pg乃至17,000pgの修飾BoNT/Aの単位用量で投与され、少なくとも単回の単位用量が当該罹患頸筋に投与され、治療中に投与される総用量は最大170,000pgの修飾BoNT/Aであり、当該修飾BoNT/AがBoNT/A軽鎖及び転位置ドメインとBoNT/B受容体結合ドメイン(HCドメイン)とを含む、方法を提供する。
【0020】
関連する態様において、本発明は、非修飾BoNT/A(例えば配列番号2)によって治療される場合よりも長い持続期間で罹患者の頸部ジストニアを治療する方法であって、当該方法は修飾BoNT/Aを筋肉内注射で当該罹患者の罹患頸筋に投与することを含み、当該修飾BoNT/Aが750pg乃至17,000pgの修飾BoNT/Aの単位用量で投与され、少なくとも単回の単位用量が当該罹患頸筋に投与され、治療中に投与される総用量が最大170,000pgの修飾BoNT/Aであり、当該修飾BoNT/AがBoNT/A軽鎖及び転位置ドメインとBoNT/B受容体結合ドメイン(HCドメイン)とを含む、方法を提供する。
【0021】
一態様において、本発明は、頸部ジストニア治療のための薬剤の製造における修飾ボツリヌス神経毒素A(BoNT/A)の使用であって、当該修飾BoNT/Aは筋肉内注射で罹患者の罹患頸筋に投与され、当該修飾BoNT/Aは750pg乃至17,000pgの修飾BoNT/Aの単位用量で投与され、少なくとも単一単位用量は当該罹患頸筋に投与され、治療中に投与される総用量は最大170,000pgの修飾BoNT/Aであり、当該修飾BoNT/AがBoNT/A軽鎖及び転位置ドメインとBoNT/B受容体結合ドメイン(HCドメイン)とを含む、使用を提供する。
【0022】
関連する態様において、本発明は、非修飾BoNT/A(例えば配列番号2)によって治療される場合よりも長い持続期間で罹患者の頸部ジストニアを治療するための薬剤の製造における修飾BoNT/Aの使用であって、当該修飾BoNT/Aは、筋肉内注射により罹患者の罹患頸筋に投与され、当該修飾BoNT/Aは750pg乃至17,000pgの修飾BoNT/Aの単位用量で投与され、少なくとも単回の単位用量が当該罹患頸筋に投与され、治療中に投与される総用量は最大170,000pgの修飾BoNT/Aであり、当該修飾BoNT/AがBoNT/A軽鎖及び転位置ドメインとBoNT/B受容体結合ドメイン(HCドメイン)とを含む、使用を提供する。
【0023】
当該単位用量は750pg乃至17,000pgの修飾BoNT/Aであってもよく、当該修飾BoNT/Aは、BoNT/A軽鎖及び転位置ドメインと、BoNT/B受容体結合ドメイン(HCドメイン)と、を含む。当該単位用量範囲の上限は16,500、15,500、14,500、13,500、12,500、11,500、10,500、9,500、8,500、7,500、6,500、5,500、4,500、3,500、2,500、2,250、2,000、1,500、1,250、1,000、750、または500pgの修飾BoNT/Aであってもよく、好ましくは、当該上限は16,000pgである。当該単位用量範囲の下限は800pg、850pg、950pg、1,000pg、1,500pg、1,750pg、2,000pg、2,500pg、3,000pg、3,500pg、4,000pg、4,500pg、または5,000pgの修飾BoNT/Aであってもよく、好ましくは、当該下限は1,000pgである。好ましくは、修飾BoNT/Aの当該単位用量は1,000pg乃至16,000pgの修飾BoNT/A、例えば950pg乃至1,250pg、1,750pg乃至2,250pg、または8,000pg乃至12,000pgである。好ましくは、修飾BoNT/Aの単位用量は1,000、2,000、3,000、8,000、または16,000pgであってもよい。
【0024】
本発明の治療計画を実施する際に投与される総用量は、最大170,000pgの修飾BoNT/Aであってもよく、当該修飾BoNT/AはBoNT/A軽鎖及び転位置ドメインと、BoNT/B受容体結合ドメイン(HCドメイン)と、を含む。換言すると、所与の治療セッションで投与される修飾BoNT/Aの総量は、最大170,000pgとなってもよい。総用量は、最大165,000、160,000、140,000、110,000、100,000、90,000、80,000、70,000、60,000、50,000、40,000、30,000、28,000、25,000、20,000、15,000、14,000、10,000、8,000、7,000、または5,000pgであってもよい。好ましくは、当該総用量は最大160,000pgの修飾BoNT/Aであり、例えば当該総用量は最大7,000、10,000、14,000、20,000、28,000、30,000、80,000、または160,000pgであってもよい。当該総用量は、少なくとも900、1,000、2,000、3,000、4,000、5,000、6,000、7,000、7,500、10,000、12,500、13,000、14,000、15,000、20,000、25,000、30,000、40,000、50,000、60,000、70,000、80,000、90,000、100,000、120,000、または150,000pgであってもよい。好ましくは、当該総用量は少なくとも1,500pg、より好ましくは少なくとも2,000pgの修飾BoNT/A、例えば少なくとも5,000pgであってもよい。当該総用量は5,250pg乃至170,000pg、好ましくは7,000pg乃至160,000pgであってもよい。例えば当該総投与用量は6,000pg乃至30,000pg、例えば6,000乃至15,000pg、または13,000乃至29,000pgであってもよい。より好ましくは、当該総投与用量は10,000pg乃至160,000pgである。好ましくは、当該総投与用量は7,000pg、10,000pg、14,000pg、20,000pg、28,000pg、30,000pg、80,000pg、または160,000pgであってもよい。
【0025】
したがって、当該単位用量は750pg乃至17,000pgの修飾BoNT/Aであってもよく、当該修飾BoNT/AはBoNT/A軽鎖及び転位置ドメインと、BoNT/B受容体結合ドメイン(HCドメイン)と、を含み、本発明の治療計画を実施する際の総投与用量は最大170,000pgであってもよい。当該単位用量は1,000pgであってもよく、当該総用量は最大7,000pgであってもよい。当該単位用量は1,000pgであってもよく、当該総用量は最大10,000pgであってもよい。当該単位用量は1,000pgであってもよく、当該総用量は最大14,000pgであってもよい。当該単位用量は2,000pgであってもよく、当該総用量は最大14,000pgであってもよい。当該単位用量は2,000pgであってもよく、当該総用量は最大20,000pgであってもよい。当該単位用量は2,000pgであってもよく、当該総用量は最大28,000pgであってもよい。当該単位用量は3,000pgであってもよく、当該総用量は最大30,000pgであってもよい。当該単位用量は8,000pgであってもよく、当該総用量は最大80,000pgであってもよい。単位用量は16,000pgであってもよく、当該総用量は最大160,000pgであってもよい。
【0026】
したがって、当該単位用量は750pg乃至17,000pgの修飾BoNT/Aであってもよく、当該修飾BoNT/Aは、BoNT/A軽鎖及び転位置ドメインと、BoNT/B受容体結合ドメイン(HCドメイン)と、を含み、そして、本発明の治療計画を実施する際の総投与用量は、最大170,000pgであってもよい。当該単位用量は1,000pgであってもよく、当該総用量は7,000pgであってもよい。当該単位用量は1,000pgであってもよく、当該総用量は10,000pgであってもよい。当該単位用量は1,000pgであってもよく、当該総用量は14,000pgであってもよい。当該単位用量は2,000pgであってもよく、当該総用量は14,000pgであってもよい。当該単位用量は2,000pgであってもよく、当該総用量は20,000pgであってもよい。当該単位用量は2,000pgであってもよく、当該総用量は28,000pgであってもよい。当該単位用量は3,000pgであってもよく、当該総用量は30,000pgであってもよい。当該単位用量は8,000pgであってもよく、当該総用量は80,000pgであってもよい。当該単位用量は16,000 pgであってもよく、当該総用量は160,000pgであってもよい。
【0027】
一態様において、本発明は、頸部ジストニアの治療に用いられる修飾ボツリヌス神経毒素A(BoNT/A)であって、当該修飾BoNT/Aは筋肉内注射で罹患者の罹患頸筋に投与され、当該修飾BoNT/Aは31単位乃至707単位の修飾BoNT/Aの単位用量として投与され、ここで1単位はマウスの算出半致死量(LD50)に相当する修飾BoNT/Aの量であり、少なくとも単回の単位用量が当該罹患頸筋に投与され、治療中に投与される総用量は最大7,070単位の修飾BoNT/Aであり、当該修飾BoNT/AがBoNT/A軽鎖及び転位置ドメインとBoNT/B受容体結合ドメイン(HCドメイン)とを含む、修飾BoNT/Aを提供する。
【0028】
関連する態様において、本発明は、非修飾BoNT/A(例えば配列番号2)を用いて治療する場合よりも長い持続期間で罹患者の頸部ジストニア治療する用途の修飾BoNT/Aであって、当該修飾BoNT/Aは筋肉内注射で当該罹患者の罹患頸筋に投与され、
当該修飾BoNT/Aは、31単位乃至707単位の修飾BoNT/Aの単位用量として投与され、ここで1単位はマウスの算出半致死量(LD50)に相当する修飾BoNT/Aの量であり、少なくとも単回の単位用量が当該罹患頸筋に投与され、治療中に投与される総用量は最大7,070単位の修飾BoNT/Aであり、当該修飾BoNT/AがBoNT/A軽鎖及び転位置ドメインとBoNT/B受容体結合ドメイン(HCドメイン)とを含む、修飾BoNT/Aを提供する。
【0029】
一様態において、本発明は、頸部ジストニア治療のための方法であって、当該方法は筋肉内注射で罹患者の罹患頸筋へ修飾BoNT/Aを投与することを含み、当該修飾BoNT/Aは31単位乃至707単位の修飾BoNT/Aの単位用量として投与され、ここで1単位はマウスの算出半致死量(LD50)に相当する修飾BoNT/Aの量であり、少なくとも単回の単位用量が当該罹患頸筋に投与され、治療中に投与される総用量は最大7,070単位の修飾BoNT/Aであり、当該修飾BoNT/AがBoNT/A軽鎖及び転位置ドメインとBoNT/B受容体結合ドメイン(HCドメイン)とを含む、方法を提供する。
【0030】
関連する態様において、本発明は、非修飾BoNT/A(例えば配列番号2)によって治療される場合よりも長い持続期間で罹患者の頸部ジストニアを治療する方法であって、当該方法は修飾BoNT/Aを筋肉内注射で罹患者の罹患頸筋に投与することを含み、
当該修飾BoNT/Aは31単位乃至707単位の修飾BoNT/Aの単位用量として投与され、ここで1単位はマウスの算出半致死量(LD50)に相当する修飾BoNT/Aの量であり、少なくとも単回の単位用量が当該罹患頸筋に投与され、治療中に投与される総用量は最大7,070単位の修飾BoNT/Aであり、当該修飾BoNT/AがBoNT/A軽鎖及び転位置ドメインとBoNT/B受容体結合ドメイン(HCドメイン)とを含む、方法を提供する。
【0031】
一態様において、本発明は、頸部ジストニア治療のための薬剤の製造における修飾ボツリヌス神経毒素A(BoNT/A)の使用であって、当該修飾BoNT/Aは、筋肉内注射で罹患者の罹患頸筋に投与され、当該修飾BoNT/Aは31単位乃至707単位の修飾BoNT/Aの単位用量で投与され、ここで1単位はマウスの算出半致死量(LD50)に相当する修飾BoNT/Aの量であり、少なくとも単回の単位用量が当該罹患頸筋に投与され、治療中に投与される総用量は最大7,070単位の修飾BoNT/Aであり、当該修飾BoNT/AがBoNT/A軽鎖及び転位置ドメインとBoNT/B受容体結合ドメイン(HCドメイン)とを含む、使用を提供する。
【0032】
関連する態様において、本発明は、非修飾BoNT/A(例えば配列番号2)を用いて治療する場合よりも長い持続期間で、罹患者の頸部ジストニアを治療するための薬剤の製造における修飾BoNT/Aの使用であって、当該修飾BoNT/Aは筋肉内注射で罹患者の罹患頸筋に投与され、当該修飾BoNT/Aは、31単位乃至707単位の修飾BoNT/Aの単位用量で投与され、ここで1単位はマウスの算出半致死量(LD50)に相当する修飾BoNT/Aの量であり、少なくとも単回の単位用量が当該罹患頸筋に投与され、治療中に投与される総用量は最大7,070単位の修飾BoNT/Aであり、当該修飾BoNT/AがBoNT/A軽鎖及び転位置ドメインとBoNT/B受容体結合ドメイン(HCドメイン)とを含む、使用を提供する。
【0033】
当該単位用量は31単位乃至707単位の修飾BoNT/Aであってもよく、当該修飾BoNT/Aは、BoNT/A軽鎖及び転位置ドメインと、BoNT/B受容体結合ドメイン(HCドメイン)と、を含む。当該単位用量範囲の上限は700、650、600、550、500、450、400、350、300、250、200、150、100、95、90、85、65、60、55、50、または31単位の修飾BoNT/Aであってもよく、好ましくは、当該上限は、666単位である。当該単位用量範囲の下限は35、40、45、50、60、65、70、75、80、85、90、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、または700単位の修飾BoNT/Aであってもよく、好ましくは、当該下限は42単位である。好ましくは、修飾BoNT/Aの当該単位用量は、42単位乃至666単位の修飾BoNT/A、例えば40単位乃至50単位、70単位乃至95単位、または333単位乃至499単位である。好ましくは、修飾BoNT/Aの単位用量は、41.6単位、83.2単位、124.8単位、332.8単位、または665.6単位であってもよい。
【0034】
本発明の治療計画を実施する際に投与される総用量は最大7,070単位の修飾BoNT/Aであってもよく、当該修飾BoNT/Aは、BoNT/A軽鎖及び転位置ドメインとBoNT/B受容体(HCドメイン)とを含む。換言すると、所与の治療セッションで投与される修飾BoNT/Aの当該総量は最大7,070単位となってもよい。当該総用量は最大7,000、6,000、5,000、4,000、3,500、3,350、3,000、2,000、1,500、1,250、1,175、1,000、900、800、700、650、625、600、575、550、500、450、425、400、350、330、300、290、250、または200単位であってもよい。好ましくは、当該総用量は最大6,660単位であってもよく、例えば当該総用量は最大290、425、575、600、800、1,000、1,175、1,250、3,000、3,350、3,500、または7,000単位であってもよい。当該総用量は少なくとも35、40、50、100、150、200、250、290、300、350、400、450、500、540、550、580、600、650、700、750、800、850、900、950、1,000、1,050、1,500、2,000、3,000、4,000、5,000、6,000、または7,000単位であってもよい。好ましくは、当該総用量は少なくとも62単位であってもよく、より好ましくは少なくとも83単位の修飾BoNT/A、例えば少なくとも208単位であってもよい。当該総用量は217単位乃至7,070単位、好ましくは294単位乃至6,660単位であってもよい。例えば、投与される総用量は250乃至1,250単位または540単位乃至1200単位、例えば250乃至625単位など、であってもよい。より好ましくは、投与される総用量は420単位乃至6,660単位である。好ましくは、投与される総用量は291単位、416単位、582単位、832単位、1,165単位、1,248単位、3,328単位、または6,656単位であってもよい。
【0035】
したがって、当該単位用量は31単位乃至707単位の修飾BoNT/Aであってもよく、当該修飾型BoNT/Aは、BoNT/A軽鎖及び転位置ドメインとBoNT/B受容体結合ドメイン(HCドメイン)を含み、本発明の治療計画を実施する際に投与される総用量は最大7,070単位であってもよい。当該単位用量は41.6単位であってもよく、当該合計用量は最大291単位であってもよい。当該単位用量は41.6単位であってもよく、当該合計用量は最大416単位であってもよい。当該単位用量は41.6単位であってもよく、当該合計用量は最大582単位であってもよい。当該単位用量は83.2単位であってもよく、当該合計用量は最大582単位であってもよい。当該単位用量は83.2単位であってもよく、当該合計用量は最大832単位であってもよい。当該単位用量は83.2単位であり、当該合計用量は最大1,165単位であってもよい。当該単位用量は124.8単位であってもよく、当該合計用量は最大1,248単位であってもよい。当該単位用量は332.8単位であってもよく、当該合計用量は最大3,328単位であってもよい。当該単位用量は665.5単位であってもよく、当該合計用量は最大6,656単位であってもよい。
【0036】
したがって、当該単位用量は31単位乃至707単位の修飾BoNT/Aであってもよく、当該修飾BoNT/Aは、BoNT/A軽鎖及び転位置ドメインとBoNT/B受容体結合ドメイン(HCドメイン)を含み、本発明の治療計画を実施する際に投与される総用量は最大7,070単位であってもよい。当該単位用量が41.6単位であってもよく、当該総用量が291単位であってもよい。当該単位用量は41.6単位であってもよく、当該総用量は416単位であってもよい。当該単位用量は41.6単位であってもよく、当該総用量は582単位であってもよい。当該単位用量は83.2単位であってもよく、当該総用量は582単位であってもよい。当該単位用量は83.2単位であってもよく、当該総用量は832単位であってもよい。当該単位用量は83.2単位であってもよく、当該総用量は1,165単位であってもよい。当該単位用量は124.8単位であり、当該総用量は1,248単位であってもよい。当該単位用量は332.8単位であってもよく、当該総用量は3,328単位であってもよい。当該単位用量は665.5単位であってもよく、当該総用量は6,656単位であってもよい。
【0037】
一態様において、本発明は、頸部ジストニアを治療する用途の修飾ボツリヌス神経毒素A(BoNT/A)を提供し、当該修飾BoNT/Aは筋肉内注射で罹患者の罹患頸筋に投与され、
当該修飾BoNT/Aは450pg乃至8,000pgの修飾BoNT/Aの単位用量で投与され、
少なくとも単回の単位用量が当該罹患頸筋に投与され、
治療中に投与される総用量は最大80,000pgの修飾BoNT/Aであり、且つ
当該修飾BoNT/Aは以下から選択される一つ又は複数のアミノ酸残基に修飾を含み: ASN886、ASN905、GLN915、ASN918、GLU920、ASN930、ASN954、SER955、GLN991、GLU992、GLN995、ASN1006、ASN1025、ASN1026、ASN1032、ASN1043、ASN1046、ASN1052、ASP1058、HIS1064、ASN1080、GLU1081、GLU1083、ASP1086、ASN1188、ASP1213、GLY1215、ASN1216、GLN1229、ASN1242、ASN1243、SER1274、及びTHR1277、当該修飾が以下から選択される:
(i) 酸性表面露出アミノ酸残基の塩基性アミノ酸残基による置換;
(ii) 酸性表面露出アミノ酸残基の非荷電アミノ酸残基による置換;
(iii) 非荷電表面露出アミノ酸残基の塩基性アミノ酸残基による置換;
(iv) 塩基性アミノ酸残基の挿入;及び
(v) 酸性表面露出アミノ酸残基の削除。
【0038】
関連する態様において、本発明は、非修飾BoNT/A(例えば配列番号2)を用いて治療する場合よりも長い持続期間で、罹患者の頸部ジストニアを治療する用途の修飾BoNT/Aを提供し、当該修飾BoNT/Aは筋肉内注射で罹患者の罹患頸筋に投与され
当該修飾BoNT/Aは450pg乃至8,000pgの修飾BoNT/Aの単位用量で投与され、
少なくとも単回の単位用量が当該罹患頸筋に投与され、
治療中に投与される総用量は最大80,000pgの修飾BoNT/Aであり、
当該修飾BoNT/Aは以下から選択される一つ又は複数のアミノ酸残基に修飾を含み: ASN886、ASN905、GLN915、ASN918、GLU920、ASN930、ASN954、SER955、GLN991、GLU992、GLN995、ASN1006、ASN1025、ASN1026、ASN1032、ASN1043、ASN1046、ASN1052、ASP1058、HIS1064、ASN1080、GLU1081、GLU1083、ASP1086、ASN1188、ASP1213、GLY1215、ASN1216、GLN1229、ASN1242、ASN1243、SER1274、及びTHR1277、当該修飾は以下から選択される:
(i) 酸性表面露出アミノ酸残基の塩基性アミノ酸残基による置換;
(ii) 酸性表面露出アミノ酸残基の非荷電アミノ酸残基による置換;
(iii) 非荷電表面露出アミノ酸残基の塩基性アミノ酸残基による置換;
(iv) 塩基性アミノ酸残基の挿入;及び
(v) 酸性表面露出アミノ酸残基の削除。
【0039】
一態様において、本発明は、頸部ジストニア治療のための方法を提供し、当該方法は修飾BoNT/Aを筋肉内注射で罹患者の罹患頸筋に投与することを含み、
当該修飾BoNT/Aは450pg乃至8,000pgの修飾BoNT/Aの単位用量で投与され、
少なくとも単回の単位用量が罹患頸筋に投与され、
修飾BoNT/Aを治療中に投与される総用量は最大80,000pgの修飾BoNT/Aであり、
当該修飾BoNT/Aは以下から選択される一つ又は複数のアミノ酸残基における修飾を含み: ASN886、ASN905、GLN915、ASN918、GLU920、ASN930、ASN954、SER955、GLN991、GLU992、GLN 995、ASN1006、ASN1025、ASN1026、ASN1032、ASN1043、ASN1046、ASN1052、ASP1058、HIS1064、ASN1080、GLU1081、GLU1083、ASP1086、ASN1188、ASP1213、GLY1215、ASN1216、GLN1229、ASN1242、ASN1243、SER1274、及びTHR1277、当該修飾は以下から選択される:
(i) 酸性表面露出アミノ酸残基の塩基性アミノ酸残基による置換;
(ii) 酸性表面露出アミノ酸残基の非荷電アミノ酸残基による置換;
(iii) 非荷電表面露出アミノ酸残基の塩基性アミノ酸残基による置換;
(iv) 塩基性アミノ酸残基の挿入;及び
(v) 酸性表面露出アミノ酸残基の削除。
【0040】
関連する態様において、本発明は、非修飾BoNT/A(例えば配列番号2)を用いて治療する場合よりも長い持続期間で罹患者の頸部ジストニアを治療する方法を提供し、当該方法は修飾BoNT/Aを筋肉内注射で当該罹患者の罹患頸筋に投与することを含み、
ここで当該修飾BoNT/Aは、450pg乃至8,000pgの修飾BoNT/Aの単位用量で投与され、
少なくとも単回の単位用量が当該罹患頸筋に投与され、
当該治療中に投与される総用量は最大80,000pgの修飾BoNT/Aであり、
当該修飾BoNT/Aは以下から選択される一つ又は複数のアミノ酸残基における修飾を含み: ASN886、ASN905、GLN915、ASN918、GLU920、ASN930、ASN954、STORAGE REGion955、GLN991、GLU992、GLN 995、ASN1006、ASN1025、ASN1026、ASN1032、ASN1043、ASN1046、ASN1052、ASP1058、HIS1064、ASN1080、GLU1081、GLU1083、ASP1086、ASN1188、ASP1213、GLY1215、ASN1216、GLN1229、ASN1242、ASN1243、SER1274、及びTHR1277、当該修飾は以下から選択される:
(i) 酸性表面露出アミノ酸残基の塩基性アミノ酸残基による置換;
(ii) 酸性表面露出アミノ酸残基の非荷電アミノ酸残基による置換;
(iii) 非荷電表面露出アミノ酸残基の塩基性アミノ酸残基による置換;
(iv) 塩基性アミノ酸残基の挿入;及び
(v) 酸性表面露出アミノ酸残基の削除。
【0041】
一態様において、本発明は、頸部ジストニア治療のための薬剤の製造における修飾ボツリヌス神経毒素A(BoNT/A)の使用を提供し、当該修飾BoNT/Aは筋肉内注射で罹患者の罹患頸筋に投与され、
ここで当該修飾BoNT/Aは450pg乃至8,000pgの修飾BoNT/Aの単位用量で投与され、
少なくとも単回の単位用量が当該罹患頸筋に投与され、
当該治療中に投与される総用量は最大80,000pgの修飾BoNT/Aであり、
当該修飾BoNT/Aは以下から選択される一つ又は複数のアミノ酸残基における修飾を含み: ASN886、ASN905、GLN915、ASN918、GLU920、ASN930、ASN954、SER955、GLN991、GLU992、GLN995、ASN1006、ASN1025、ASN1026、ASN1032、ASN1043、ASN1046、ASN1052、ASP1058、HIS1064、ASN1080、GLU1081、GLU1083、ASP1086、ASN1188、ASP1213、GLY1215、ASN1216、GLN1229、ASN1242、ASN1243、SER1274、及びTHR1277、当該修飾は以下から選択される:
(i) 酸性表面露出アミノ酸残基の塩基性アミノ酸残基による置換;
(ii) 酸性表面露出アミノ酸残基の非荷電アミノ酸残基による置換;
(iii) 非荷電表面露出アミノ酸残基の塩基性アミノ酸残基による置換;
(iv) 塩基性アミノ酸残基の挿入;及び
(v) 酸性表面露出アミノ酸残基の削除。
【0042】
関連する態様において、本発明は、非修飾BoNT/A(例えば配列番号2)を用いて治療する場合よりも長い持続期間で罹患者の頸部ジストニアを治療するための薬剤の製造における修飾BoNT/Aの使用を提供し、当該修飾BoNT/Aは筋肉内注射で罹患者の罹患頸筋に投与され、
当該修飾BoNT/Aは450pg乃至8,000pgの修飾BoNT/Aの単位用量で投与され、
少なくとも単回の単位用量が罹患頸筋投与され、
治療中に投与される総用量は最大80,000pgの修飾BoNT/Aであり、
当該修飾BoNT/Aは以下から選択される一つ又は複数のアミノ酸残基における修飾を含み: ASN886、ASN905、GLN915、ASN918、GLU920、ASN930、ASN954、SER955、GLN991、GLU992、GLN 995、ASN1006、ASN1025、ASN1026、ASN1032、ASN1043、ASN1046、ASN1052、ASP1058、HIS1064、ASN1080、GLU1081、GLU1083、ASP1086、ASN1188、ASP1213、GLY1215、ASN1216、GLN1229、ASN1242、ASN1243、SER1274、及びTHR1277、当該修飾は以下から選択される:
(i) 酸性表面露出アミノ酸残基の塩基性アミノ酸残基による置換;
(ii) 酸性表面露出アミノ酸残基の非荷電アミノ酸残基による置換;
(iii) 非荷電表面露出アミノ酸残基の塩基性アミノ酸残基による置換;
(iv) 塩基性アミノ酸残基の挿入;及び
(v) 酸性表面露出アミノ酸残基の削除。
【0043】
当該単位用量は450pg乃至8,000pgの修飾BoNT/Aであってもよく、ここで当該修飾BoNT/Aは以下から選択される一つ又は複数のアミノ酸残基に修飾を含み: ASN886、ASN905、GLN915、ASN918、GLU920、ASN930、ASN954、SER955、GLN991、GLU992、GLN995、ASN1006、ASN1025、ASN1026、ASN1032、ASN1043、ASN1046、ASN1052、ASP1058、HIS1064、ASN1080、GLU1081、GLU1083、ASP1086、ASN1188、ASP1213、GLY1215、ASN1216、GLN1229、ASN1242、ASN1243、SER1274、及びTHR1277、当該修飾は以下から選択される:
(i) 酸性表面露出アミノ酸残基の塩基性アミノ酸残基による置換;
(ii) 酸性表面露出アミノ酸残基の非荷電アミノ酸残基による置換;
(iii) 非荷電表面露出アミノ酸残基の塩基性アミノ酸残基による置換;
(iv) 塩基性アミノ酸残基の挿入;及び
(v) 酸性表面露出アミノ酸残基の削除。
【0044】
当該単位用量範囲の上限は7,750、7,500、7,000、6,000、5,000、4,000、3,000、2,000、または1,000pgの修飾BoNT/Aであってもよく、好ましくは、当該上限は7,500pgである。当該単位用量範囲の下限は475、500、600、700、800、900、1,000、1,500、2,000、3,000、4,000、5,000、6,000、または7,000pgの修飾BoNT/Aであってもよく、好ましくは、当該下限は500pgである。好ましくは、修飾BoNT/Aの当該単位用量は500pg乃至7,500pgの修飾BoNT/Aであり、例えば4,000pg乃至6,000pgである。最も好ましくは、修飾BoNT/Aの単位用量は2,000pg乃至3,000pg、例えば2,400pg乃至2,600pgなどである。
【0045】
当該単位用量は1,000pgまたは5,000pgを超える修飾BoNT/Aであってもよく、当該修飾BoNT/Aは以下から選択される一つ又は複数のアミノ酸残基における修飾を含み: ASN886、ASN905、GLN915、ASN918、GLU920、ASN930、ASN954、SER955、GLN991、GLU992、GLN 995、ASN1006、ASN1025、ASN1026、ASN1032、ASN1043、ASN1046、ASN1052、ASP1058、HIS1064、ASN1080、GLU1081、GLU1083、ASP1086、ASN1188、ASP1213、GLY1215、ASN1216、GLN1229、ASN1242、ASN1243、SER1274、及びTHR1277、当該修飾は以下から選択される:
(i) 酸性表面露出アミノ酸残基の塩基性アミノ酸残基による置換;
(ii) 酸性表面露出アミノ酸残基の非荷電アミノ酸残基による置換;
(iii) 非荷電表面露出アミノ酸残基の塩基性アミノ酸残基による置換;
(iv) 塩基性アミノ酸残基の挿入;及び
(v) 酸性表面露出アミノ酸残基の削除。
【0046】
当該修飾BoNT/Aの単位用量は1,000pgより大きい最大7,500pgの修飾型BoNT/A、例えば5,000pgより大きい最大7,500pgの修飾BoNT/Aであってもよい。
【0047】
本発明の治療計画を実施する際に投与される総用量は最大80,000pgの修飾BoNT/Aであってもよく、修飾BoNT/Aは以下から選択される一つ又は複数のアミノ酸残基に修飾を含み: ASN886、ASN905、GLN915、ASN918、GLU920、ASN930、ASN954、SER955、GLN991、GLU992、GLN995、ASN1006、ASN1025、ASN1026、ASN1032、ASN1043、ASN1046、ASN1052、ASP1058、HIS1064、ASN1080、GLU1081、GLU1083、ASP1086、ASN1188、ASP1213、GLY1215、ASN1216、GLN1229、ASN1242、ASN1243、SER1274、及びTHR1277、当該修飾は以下から選択される:
(i) 酸性表面露出アミノ酸残基の塩基性アミノ酸残基による置換;
(ii) 酸性表面露出アミノ酸残基の非荷電アミノ酸残基による置換;
(iii) 非荷電表面露出アミノ酸残基の塩基性アミノ酸残基による置換;
(iv) 塩基性アミノ酸残基の挿入;及び
(v) 酸性表面露出アミノ酸残基の削除。
【0048】
換言すれば、所定の治療セッションで投与される修飾BoNT/Aの当該総量は最大80,000pgとなってもよい。当該総用量は最大75,000、70,000、60,000、50,000、40,000、30,000、20,000、10,000、または5,000pgであってもよい。好ましくは、当該総用量は最大75,000pgの修飾BoNT/Aであってもよい。当該総用量は少なくとも700、800、900、1,000、2,000、3,000、4,000、5,000、7,500、10,000、12,500、15,000、20,000、30,000、40,000、50,000、60,000、または70,000pgであってもよい。好ましくは、当該総用量は少なくとも900pg、より好ましくは少なくとも1,000pgの修飾BoNT/Aであってもよく、例えば少なくとも3,000pgである。当該総用量は、3,150pg乃至80,000pgであってもよく、好ましくは3,500pg乃至75,000pgである。より好ましくは、当該総投与用量は7,500乃至75,000pgである。
【0049】
当該総投与用量は1,000pgまたは5,000pgより大きい修飾BoNT/Aであってもよく、当該修飾BoNT/Aは以下から選択される一つ又は複数のアミノ酸残基に修飾を含み: ASN886、ASN905、GLN915、ASN918、GLU920、ASN930、ASN954、SER955、GLN991、GLU992、GLN995、ASN1006、ASN1025、ASN1026、ASN1032、ASN1043、ASN1046、ASN1052、ASP1058、HIS1064、ASN1080、GLU1081、GLU1083、ASP1086、ASN1188、ASP1213、GLY1215、ASN1216、GLN1229、ASN1242、ASN1243、SER1274、及びTHR1277、当該修飾は以下から選択される:
(i) 酸性表面露出アミノ酸残基の塩基性アミノ酸残基による置換;
(ii) 酸性表面露出アミノ酸残基の非荷電アミノ酸残基による置換;
(iii) 非荷電表面露出アミノ酸残基の塩基性アミノ酸残基による置換;
(iv) 塩基性アミノ酸残基の挿入;及び
(v) 酸性表面露出アミノ酸残基の削除。
【0050】
好ましくは、当該総用量は1,000pgより大きな修飾BoNT/Aであってもよく、例えば5,000pgより大きな修飾BoNT/Aである。
【0051】
一態様において、本発明は、頸部ジストニアを治療する用途の修飾ボツリヌス神経毒素A(BoNT/A)を提供し、当該修飾BoNT/Aは筋肉内注射で罹患者の罹患頸筋に投与され、
当該修飾BoNT/Aは、53単位乃至948単位の修飾BoNT/Aの単位用量で投与され、ここで1単位はマウスの算出半致死量(LD50)に相当する修飾BoNT/Aの量であり、
少なくとも単回の単位用量が当該罹患頸筋に投与され、
治療中に投与される総用量は最大9,480単位の修飾BoNT/Aであり、
当該修飾BoNT/Aは以下から選択される一つ又は複数のアミノ酸残基に修飾を含み:
ASN886、ASN905、GLN915、ASN918、GLU920、ASN930、ASN954、SER955、GLN991、GLU992、GLN995、ASN1006、ASN1025、ASN1026、ASN1032、ASN1043、ASN1046、ASN1052、ASP1058、HIS1064、ASN1080、GLU1081、GLU1083、ASP1086、ASN1188、ASP1213、GLY1215、ASN1216、GLN1229、ASN1242、ASN1243、SER1274、及びTHR1277、当該修飾は以下から選択される:
(i) 酸性表面露出アミノ酸残基の塩基性アミノ酸残基による置換;
(ii) 酸性表面露出アミノ酸残基の非荷電アミノ酸残基による置換;
(iii) 非荷電表面露出アミノ酸残基の塩基性アミノ酸残基による置換;
(iv) 塩基性アミノ酸残基の挿入;及び
(v) 酸性表面露出アミノ酸残基の削除。
【0052】
関連する態様において、本発明は、非修飾BoNT/A(例えば配列番号2)を用いて治療する場合よりも長い持続期間で罹患者の頸部ジストニアを治療する用途の修飾BoNT/Aを提供し、当該修飾BoNT/Aは筋肉内注射で罹患者の罹患頸筋に投与に投与され、
当該修飾BoNT/Aは53単位乃至948単位の修飾BoNT/Aの単位用量で投与され、ここで1単位はマウスの算出半致死量(LD50)に相当する修飾BoNT/Aの量であり、
少なくとも単回の単位用量が当該罹患頸筋に投与され、
治療中に投与される総用量は最大9,480単位の修飾BoNT/Aであり、
当該修飾BoNT/Aは以下から選択される一つ又は複数のアミノ酸残基に修飾を含み: ASN 886、ASN905、GLN915、ASN918、GLU920、ASN930、ASN954、SER955、GLN991、GLU992、GLN995、ASN1006、ASN1025、ASN1026、ASN1032、ASN1043、ASN1046、ASN1052、ASP1058、HIS1064、ASN1080、GLU1081、GLU1083、ASP1086、ASN1188、ASP1213、GLY1215、ASN1216、GLN1229、ASN1242、ASN1243、SER1274、及びTHR1277、当該修飾は以下から選択される:
(i) 酸性表面露出アミノ酸残基の塩基性アミノ酸残基による置換;
(ii) 酸性表面露出アミノ酸残基の非荷電アミノ酸残基による置換;
(iii) 非荷電表面露出アミノ酸残基の塩基性アミノ酸残基による置換;
(iv) 塩基性アミノ酸残基の挿入;及び
(v) 酸性表面露出アミノ酸残基の削除。
【0053】
関連する態様において、本発明は、頸部ジストニアを治療するための方法を提供し、当該方法は修飾BoNT/Aを筋肉内注射で罹患者の罹患頸筋に投与することを含み、
当該修飾BoNT/Aは53単位乃至948単位の修飾BoNT/Aの単位用量で投与され、ここで1単位はマウスの算出半致死量(LD50)に相当する修飾BoNT/Aの量であり、
少なくとも単回の単位用量が当該罹患頸筋に投与され、
当該治療中に投与される総用量は最大9,480単位の修飾BoNT/Aであり、
当該修飾BoNT/Aは以下から選択される一つ又は複数のアミノ酸残基に修飾を含み: ASN886、ASN905、GLN915、ASN918、GLU920、ASN930、ASN954、SER955、GLN991、GLU992、GLN995、ASN1006、ASN1025、ASN1026、ASN1032、ASN1043、ASN1046、ASN1052、ASP1058、HIS1064、ASN1080、GLU1081、GLU1083、ASP1086、ASN1188、ASP1213、GLY1215、ASN1216、GLN1229、ASN1242、ASN1243、SER1274、及びTHR1277、当該修飾は以下から選択される:
(i) 酸性表面露出アミノ酸残基の塩基性アミノ酸残基による置換;
(ii) 酸性表面露出アミノ酸残基の非荷電アミノ酸残基による置換;
(iii) 非荷電表面露出アミノ酸残基の塩基性アミノ酸残基による置換;
(iv) 塩基性アミノ酸残基の挿入;及び
(v) 酸性表面露出アミノ酸残基の削除。
【0054】
関連する態様において、本発明は、非修飾BoNT/A(例えば配列番号2)を用いて治療する場合よりも長い持続期間で罹患者の頸部ジストニアを治療する方法を提供し、当該方法は修飾BoNT/Aを筋肉内注射で当該罹患者の罹患頸筋に修飾BoNT/Aを投与することを含み、
当該修飾BoNT/Aは53単位乃至948単位の修飾BoNT/Aの単位用量で投与され、ここで1単位はマウスの算出半致死量(LD50)に相当する修飾BoNT/Aの量であり、
少なくとも単回の単位用量が当該罹患頸筋に投与され、
当該治療中に投与される総用量は最大9,480単位の修飾BoNT/Aであり、
当該修飾BoNT/Aは以下から選択される一つ又は複数のアミノ酸残基に修飾を含み: ASN886、ASN905、GLN915、ASN918、GLU920、ASN930、ASN954、SER955、GLN991、GLU992、GLN995、ASN1006、ASN1025、ASN1026、ASN1032、ASN1043、ASN1046、ASN1052、ASP1058、HIS1064、ASN1080、GLU1081、GLU1083、ASP1086、ASN1188、ASP1213、GLY1215、ASN1216、GLN1229、ASN1242、ASN1243、SER1274、及びTHR1277、当該修飾は以下から選択される:
(i) 酸性表面露出アミノ酸残基の塩基性アミノ酸残基による置換;
(ii) 酸性表面露出アミノ酸残基の非荷電アミノ酸残基による置換;
(iii) 非荷電表面露出アミノ酸残基の塩基性アミノ酸残基による置換;
(iv) 塩基性アミノ酸残基の挿入;及び
(v) 酸性表面露出アミノ酸残基の削除。
【0055】
別の関連する態様において、本発明は、頸部ジストニア治療のための薬剤の製造における修飾ボツリヌス神経毒素A(BoNT/A)の使用を提供し、当該修飾BoNT/Aは筋肉内注射で罹患頸筋に投与され、
当該修飾BoNT/Aは、53単位乃至948単位の修飾BoNT/Aの単位用量で投与され、ここで1単位はマウスの算出半致死量(LD50)に相当する修飾BoNT/Aの量であり、
少なくとも単回の単位用量が当該罹患頸筋に投与され、
治療中に投与される総用量は最大9,480単位の修飾BoNT/Aであり、
当該修飾BoNT/Aは以下から選択される一つ又は複数のアミノ酸残基に修飾を含み: ASN886、ASN905、GLN915、ASN918、GLU920、ASN930、ASN954、SER955、GLN991、GLU992、GLN995、ASN1006、ASN1025、ASN1026、ASN1032、ASN1043、ASN1046、ASN1052、ASP1058、HIS1064、ASN1080、GLU1081、GLU1083、ASP1086、ASN1188、ASP1213、GLY1215、ASN1216、GLN1229、ASN1242、ASN1243、SER1274、及びTHR1277、当該修飾は以下から選択される:
(i) 酸性表面露出アミノ酸残基の塩基性アミノ酸残基による置換;
(ii) 酸性表面露出アミノ酸残基の非荷電アミノ酸残基による置換;
(iii) 非荷電表面露出アミノ酸残基の塩基性アミノ酸残基による置換;
(iv) 塩基性アミノ酸残基の挿入;及び
(v) 酸性表面露出アミノ酸残基の削除。
【0056】
関連する態様において、本発明は、非修飾BoNT/A(例えば配列番号2)を用いて治療する場合よりも長い持続期間で罹患者の頸部ジストニアを治療するための薬剤の製造における修飾BoNT/Aの使用を提供し、当該修飾BoNT/Aは筋肉内注射で罹患者の罹患頸筋に投与され、
当該修飾BoNT/Aは53単位乃至948単位の修飾BoNT/A単位用量で投与され、ここで1単位はマウスの算出半致死量(LD50)に相当する修飾BoNT/Aの量であり、
少なくとも単回の単位用量が当該罹患頸筋に投与され、
治療中に投与される総用量は最大9,480単位の修飾BoNT/Aであり、
当該修飾BoNT/Aは以下から選択される一つ又は複数のアミノ酸残基に修飾を含み: ASN886、ASN905、GLN915、ASN918、GLU920、ASN930、ASN954、SER955、GLN991、GLU992、GLN995、ASN1006、ASN1025、ASN1026、ASN1032、ASN1043、ASN1046、ASN1052、ASP1058、HIS1064、ASN1080、GLU1081、GLU1083、ASP1086、ASN1188、ASP1213、GLY1215、ASN1216、GLN1229、ASN1242、ASN1243、SER1274、及びTHR1277、当該修飾は以下から選択される:
(i) 酸性表面露出アミノ酸残基の塩基性アミノ酸残基による置換;
(ii) 酸性表面露出アミノ酸残基の非荷電アミノ酸残基による置換;
(iii) 非荷電表面露出アミノ酸残基の塩基性アミノ酸残基による置換;
(iv) 塩基性アミノ酸残基の挿入;及び
(v) 酸性表面露出アミノ酸残基の削除。
【0057】
当該単位用量は53単位乃至948単位の修飾BoNT/Aであってもよく、当該修飾BoNT/Aは以下から選択される一つ又は複数のアミノ酸残基に修飾を含み: ASN886、ASN905、GLN915、ASN918、GLU920、ASN930、ASN954、SER955、GLN991、GLU992、GLN995、ASN1006、ASN1025、ASN1026、ASN1032、ASN1043、ASN1046、ASN1052、ASP1058、HIS1064、ASN1080、GLU1081、GLU1083、ASP1086、ASN1188、ASP1213、GLY1215、ASN1216、GLN1229、ASN1242、ASN1243、SER1274、及びTHR1277、当該修飾は以下から選択される:
(i) 酸性表面露出アミノ酸残基の塩基性アミノ酸残基による置換;
(ii) 酸性表面露出アミノ酸残基の非荷電アミノ酸残基による置換;
(iii) 非荷電表面露出アミノ酸残基の塩基性アミノ酸残基による置換;
(iv) 塩基性アミノ酸残基の挿入;及び
(v) 酸性表面露出アミノ酸残基の削除。
【0058】
当該単位用量範囲の上限は925、900、850、800、750、700、650、600、550、50、500、450、400、350、300、250、200、150、または100単位修飾BoNT/Aであってもよく、好ましくは、当該上限は889単位である。当該単位用量範囲の下限は55、60、65、70、75、80、85、90、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、または900単位の修飾BoNT/Aであってもよく、好ましくは、当該下限は59単位である。好ましくは、修飾BoNT/Aの当該単位用量は、59単位乃至889単位の修飾BoNT/Aであり、例えば200単位乃至600単位である。最も好ましくは、修飾BoNT/Aの単位用量は、237単位乃至355単位であり、例えば284単位から308単位などである。
【0059】
当該単位用量は118.5単位より多い、または592.5単位より多い修飾BoNT/Aであってもよく、当該修飾BoNT/Aは以下から選択される一つ又は複数のアミノ酸残基に修飾を含み: ASN886、ASN905、GLN915、ASN918、GLU920、ASN930、ASN954、SER955、GLN991、GLU992、GLN995、ASN1006、ASN1025、ASN1026、ASN1032、ASN1043、ASN1046、ASN1052、ASP1058、HIS1064、ASN1080、GLU1081、GLU1083、ASP1086、ASN1188、ASP1213、GLY1215、ASN1216、GLN1229、ASN1242、ASN1243、SER1274、及びTHR1277、当該修飾は以下から選択される:
(vi) 酸性表面露出アミノ酸残基の塩基性アミノ酸残基による置換;
(vii) 酸性表面露出アミノ酸残基の非荷電アミノ酸残基による置換;
(viii) 非荷電表面露出アミノ酸残基の塩基性アミノ酸残基による置換;
(ix) 塩基性アミノ酸残基の挿入;及び
(x) 酸性表面露出アミノ酸残基の削除。
【0060】
修飾BoNT/Aの当該単位用量は、118.5単位より大きい最大888単位の修飾BoNT/Aであってもよく、例えば592.5単位より大きい最大888単位の修飾BoNT/Aである。
【0061】
本発明の治療計画を実施する際に投与される総用量は、最大9,480単位の修飾BoNT/Aであってもよく、当該修飾BoNT/Aは以下から選択される一つ又は複数のアミノ酸残基に修飾を含み: ASN886、ASN905、GLN915、ASN918、GLU920、ASN930、ASN954、SER955、GLN991、GLU992、GLN995、ASN1006、ASN1025、ASN1026、ASN1032、ASN1043、ASN1046、ASN1052、ASP1058、HIS1064、ASN1080、GLU1081、GLU1083、ASP1086、ASN1188、ASP1213、GLY1215、ASN1216、GLN1229、ASN1242、ASN1243、SER1274、及びTHR1277、当該修飾は以下から選択される:
(i) 酸性表面露出アミノ酸残基の塩基性アミノ酸残基による置換;
(ii) 酸性表面露出アミノ酸残基の非荷電アミノ酸残基による置換;
(iii) 非荷電表面露出アミノ酸残基の塩基性アミノ酸残基による置換;
(iv) 塩基性アミノ酸残基の挿入;及び
(v) 酸性表面露出アミノ酸残基の削除。
【0062】
換言すると、所与の治療セッションで投与される修飾BoNT/Aの総量は最大9,480単位となってもよい。当該総用量は、最大9,000、8,000、7,000、6,000、5,000、4,000、3,000、2,000、または1,000単位であってもよい。好ましくは、当該総用量は最大8,890単位の修飾BoNT/Aであってもよい。当該総用量は、少なくとも83、95、106、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1,000、1,500、2,000、3,000、4,000、5,000、6,000、7,000、8,000、または9,000単位であってもよい。好ましくは、当該総用量は少なくとも106単位であり、より好ましくは少なくとも118単位の修飾BoNT/A、例えば少なくとも355単位の修飾BoNT/Aである。当該総用量は371単位乃至9,480単位であってもよく、好ましくは413単位乃至8,890単位でよりある。より好ましくは、当該総投与用量は889単位乃至8,890単位である。
【0063】
当該総投与用量は118.5単位より大きいまたは592.5単位より大きい修飾BoNT/Aであってもよく、当該修飾BoNT/Aは以下から選択される一つ又は複数のアミノ酸残基に修飾を含み:
ASN886、ASN905、GLN915、ASN918、GLU920、ASN930、ASN954、SER955、GLN991、GLU992、GLN995、ASN1006、ASN1025、ASN1026、ASN1032、ASN1043、ASN1046、ASN1052、ASP1058、HIS1064、ASN1080、GLU1081、GLU1083、ASP1086、ASN1188、ASP1213、GLY1215、ASN1216、GLN1229、ASN1242、ASN1243、SER1274、及びTHR1277、当該修飾は以下から選択される:
(i) 酸性表面露出アミノ酸残基の塩基性アミノ酸残基による置換;
(ii) 酸性表面露出アミノ酸残基の非荷電アミノ酸残基による置換;
(iii) 非荷電表面露出アミノ酸残基の塩基性アミノ酸残基による置換;
(iv) 塩基性アミノ酸残基の挿入;及び
(v) 酸性表面露出アミノ酸残基の削除。
【0064】
好ましくは、当該総用量は118.5単位より大きい修飾BoNT/Aであり、例えば592.5単位より大きい修飾BoNT/Aである。
【0065】
「罹患頸筋」とは罹患者の頸部ジストニアと、またはその症状に関与する(例えば引き起こす)頸筋であってもよい。好ましいことではあるが、「罹患頸筋」が必ずしも治療時に頸部ジストニアと、またはその症状に関与している(例えば引き起こしている)必要があるとは意図されていない。例えば、当該頸筋は過去に当該罹患者において頸部ジストニアと、またはその症状に関与したことのある(例えば引き起こした)もの、または将来に当該罹患者において頸部ジストニアと、またはその症状に関与する(例えば引き起こす)と予期されるものであってもよい。一実施形態において、二つ以上の頸筋(例えば頸筋の主動作筋と拮抗筋の対)が、罹患者における頸部ジストニアと、またはその症状に関与(例えば惹起)し得る。このような場合、修飾BoNT/Aは二つ以上の頸筋に投与されてもよい(例えば頸筋の対のうち主動作筋である頸筋と拮抗筋である頸筋に投与される)。
【0066】
罹患頸筋は、好ましくは、収縮することによって罹患者における頸部ジストニアと、またはその症状に関与(例えば惹起)する。したがって、好ましくは、当該罹患者の罹患頸筋は収縮しているまたは収縮して当該罹患者において頸部ジストニアと、またはその症状を結果として引き起こす。前記頸筋は、好ましくは、例えば治療時に不随意に収縮する、または不随意に収縮した頸筋である。頸筋は、例えば罹患者の頭部の姿勢を変えることのできる任意の筋肉(例えば収縮時などに)など、罹患者の頭部や頸部と動作可能に結合している任意の筋肉(例えば骨格筋)であってもよい。罹患頸筋は、以下の可能性がある筋肉であってもよい。罹患者の顎の当該罹患者の肩に向かう屈曲の原因となり、結果として頭部を側方に回転させる(斜頸)、罹患者の当該頭部の前方への傾き(頸部前屈)の原因となる、罹患者の当該頭部の後方への傾きの原因となる(頸部後屈)、罹患者の当該頭部の側方への傾き(頸部側屈)の原因となる、罹患者の当該頭部の前方矢状偏移(前方移動)を引き起こす、及び/又は罹患者の当該頭部の後方矢状偏移(後方移動)を引き起こす。
【0067】
罹患頸筋には、胸鎖乳突筋(sternocleidomastoid/sternocleidomastoideus)、頭板状筋、頸板状筋、斜角筋複合体(例えば前斜角筋及び/又は中斜角筋)、僧帽筋(例えば、僧帽筋上部及び/又は僧帽筋下部)、肩甲挙筋、頭半棘筋、または最長筋(例えば頭最長筋及び/又は頸最長筋)、傍脊椎後部(例えば後斜角筋、中斜角筋及び/又は前斜角筋、好ましくは後斜角筋)、顎下複合体(例えば、顎二腹筋、オトガイ舌骨筋、顎舌骨筋、顎舌骨ブートニエール及び/又は茎突舌骨筋)、上項線―鎖骨(外側部)、棘突起C3‐Th3‐乳様突起、棘突起Th3‐Th5‐横突起C1-C2、横突起C3‐Th6、棘突起C3‐Th1―上項線、横突起Th1‐Th6―棘突起C2‐C7、横突起C3‐Th3―乳様突起、横突起Th1‐Th6―横突起C2‐C6、下頭斜筋、棘突起C2―横突起C1、胸骨上切痕及び鎖骨(内側部)―乳様突起及び上項線、横突起C1‐C4―肩甲骨(上角)、横突起 C2‐C7―第一肋骨、横突起C3‐C6―第一肋骨、頭長筋、横突起C3‐C6―後頭骨(底部)、頸長筋または横突起C2‐C5―環椎(前結節)を含んでもよい。当該罹患頸筋には、右肩甲挙筋、左肩甲挙筋、右僧帽筋、左僧帽筋、右胸鎖乳突筋、左胸鎖乳突筋、右頭板状筋、左頭板状筋、中斜角筋、前斜角筋、右頭半棘筋、左頭半棘筋、右頭最長筋または左頭最長筋を含んでもよい。罹患頸筋は、胸鎖乳突筋(例えば左胸鎖乳突筋または右胸鎖乳突筋)、左頭板状筋または右頭板状筋、前斜角筋または中斜角筋、左僧帽筋または右僧帽筋(例えば、左僧帽筋上部または右僧帽筋上部)、左肩甲挙筋または右肩甲挙筋、左頭半棘筋または右頭半棘筋、最長筋(例えば左頭最長筋または右頭最長筋及び/又は左頸最長筋または右頸最長筋)、頸板状筋、斜角筋複合体例えば前斜角筋及び/又は中斜角筋)、傍脊椎後部(例えば後斜角筋、中斜角筋及び/又は前斜角筋、好ましくは後斜角筋)、顎下複合体(例えば顎二腹筋、オトガイ舌骨筋、顎舌骨筋、顎舌骨ブートニエール及び/又は茎突舌骨筋)、僧帽筋下部、上項線―鎖骨(外側部)、棘突起C3‐Th3‐乳様突起、棘突起Th3‐Th5 ― 横突起C1‐C2、横突起C3‐Th6、棘突起C3‐Th1―上項線、横突起Th1‐Th6― 棘突起C2‐C7、横突起C3‐Th3―乳様突起、横突起Th1‐Th6―横突起C2‐C6、下頭斜筋、上頭斜筋、棘突起C2―横突起C1、胸骨上切痕及び鎖骨(内側部)―乳様突起及び上項線、横突起C1‐C4―肩甲骨(上角)、横突起C2‐C7―第一肋骨、横突起C3‐C6―第一肋骨、頭長筋、横突起C3‐C6―後頭骨(底部)、頸長筋、頸半棘筋、大後頭直筋、小後頭直筋、前頭直筋、多管または横突起C2‐C5―環椎(前結節)を含んでもよい。
【0068】
罹患頸筋には以下を含んでもよい: 頚半棘筋、肩甲挙筋、頸板状筋、頸最長筋、僧帽筋下部、胸鎖乳突筋、頭半棘筋、下頭斜筋、頭最長筋、頭板状筋、頸半棘筋、中斜角筋、頭最長筋、頸長筋または頭長筋。
【0069】
本発明において治療される複数罹患頸筋は、本明細書に記載される任意の筋肉のうち少なくとも1つ(例えば少なくとも2つ)を含んでもよい。
【0070】
一実施形態において、修飾BoNT/Aは以下から選択される一つ又は複数の罹患頸筋に投与されてもよい: 胸鎖乳突筋、頭板状筋、頸板状筋、斜角筋複合体(例えば前斜角筋及び/又は中斜角筋)、僧帽筋(例えば僧帽筋上部及び/又は僧帽筋下部)、肩甲挙筋、頭半棘筋と最長筋(例えば頭最長筋及び/又は頸最長筋)。好ましくは、修飾BoNT/Aは複数の罹患頸筋に投与される。例えば、修飾BoNT/Aは以下から選択される少なくとも2個(例えば少なくとも3個、4個、5個、6個、または7個、好ましくは8個)の罹患頸筋に投与されてもよい: 胸鎖乳突筋、頭板状筋、頸板状筋、斜角筋複合体(例えば前斜角筋及び/又は中斜角筋)、僧帽筋(例えば僧帽筋上部及び/又は僧帽筋下部)、肩甲挙筋、頭半棘筋と最長筋(例えば頭最長筋及び/又は頸最長筋)。
【0071】
一実施形態において、修飾BoNT/Aは以下から選択される一つ又は複数の罹患頸筋に投与されてもよい: 右肩甲挙筋、左肩甲挙筋、右僧帽筋、左僧帽筋、右胸鎖乳突筋、左胸鎖乳突筋、右頭板状筋、左頭板状筋、中斜角筋、前斜角筋、右頭半棘筋、左頭半棘筋、右頭最長筋及び左頭最長筋。
【0072】
一実施形態において、修飾BoNT/Aは以下から選択される一つ又は複数の罹患頸筋に投与されてもよい: 胸鎖乳突筋(sternocleidomastoid/sternocleidomastoideus)、頭板状筋、頸板状筋、斜角筋複合体(例えば前斜角筋及び/又は中斜角筋)、僧帽筋(例えば僧帽筋上部及び/又は僧帽筋下部)、肩甲挙筋、頭半棘筋、最長筋(例えば頭最長筋及び/又は頸最長筋)、傍脊椎後部(例えば後斜角筋、中斜角筋及び/又は前斜角筋、好ましくは後斜角筋)、顎下複合体(例えば顎二腹筋、オトガイ舌骨筋、顎舌骨筋、顎舌骨ブートニエール及び/又は茎突舌骨筋)、上項線―鎖骨(外側部)、棘突起C3‐Th3‐乳様突起、棘突起Th3‐Th5―横突起C1‐C2、横突起C3‐Th6、棘突起C3‐Th1―上項線、横突起Th1‐Th6―棘突起C2‐C7、横突起C3‐Th3―乳様突起、横突起Th1‐Th6―横突起C2‐C6、下頭斜筋、棘突起C2―横突起C1、胸骨上切痕及び鎖骨(内側部)―乳様突起及び上項線、横突起C1‐C4―肩甲骨(上角)、横突起C2‐C7―第一肋骨、横突起C3‐C6―第一肋骨、頭長筋、横突起C3‐C6―後頭骨(底部)、頸長筋と横突起C2‐C5―環椎(前結節)。 好ましくは、修飾BoNT/Aは複数の罹患頸筋に投与される。例えば、修飾BoNT/Aは以下から選択される少なくとも2個(例えば、少なくとも3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、26個、27個、28個、29個、30個、31個、32個、33個、34個、または35個)の罹患頸筋に投与されてもよい: 胸鎖乳突筋(sternocleidomastoid/sternocleidomastoideus)、頭板状筋、頸板状筋、斜角筋複合体(例えば前斜角筋及び/又は中斜角筋)、僧帽筋(例えば僧帽筋上部及び/又は僧帽筋下部)、肩甲挙筋、頭半棘筋、最長筋(例えば頭最長筋及び/又は頸最長筋)、傍脊椎後部(例えば後斜角筋、中斜角筋及び/又は前斜角筋、好ましくは後斜角筋)、顎下複合体(例えば顎二腹筋、オトガイ舌骨筋、顎舌骨筋、顎舌骨ブートニエール及び/又は茎突舌骨筋)、上項線―鎖骨(外側部)、棘突起C3‐Th3‐乳様突起、棘突起Th3‐Th5―横突起C1‐C2、横突起C3‐Th6、棘突起 C3‐Th1―上項線、横突起Th1‐Th6―棘突起C2‐C7、横突起C3‐Th3―乳様突起、横突起Th1‐Th6―横突起 C2‐C6、下頭斜筋、棘突起C2―横突起C1、胸骨上切痕及び鎖骨(内側部)―乳様突起及び上項線、横突起C1‐C4―肩甲骨(上角)、横突起C2‐C7―第一肋骨、頭長筋、横突起C3‐C6―後頭骨(底部)、顎長筋と横突起C2‐C5―環椎(前結節)。
【0073】
一実施形態において、修飾BoNT/Aは以下を含む一つ又は複数の罹患頸部に投与されてもよい: 胸鎖乳突筋(例えば左胸鎖乳突筋または右胸鎖乳突筋)、左頭板状筋または右頭板状筋、前斜角筋または中斜角筋、左僧帽筋または右僧帽筋(例えば左僧帽筋上部または右僧帽筋上部)、左肩甲挙筋または右肩甲挙筋、左頭半棘筋または右頭半棘筋、頭半棘筋中間部、最長筋(例えば左頭最長筋または右頭最長筋及び/又は左頸最長筋または右頸最長筋)、頸板状筋、斜角筋複合体(例えば前斜角筋及び/又は中斜角筋)、傍脊椎後部(例えば後斜角筋、中斜角筋及び/又は前斜角筋、好ましくは後斜角筋)、顎下複合体(例えば顎二腹筋、オトガイ舌骨筋、顎舌骨筋、顎舌骨ブートニエール及び/又は茎突舌骨筋)、僧帽筋下部、上項線―鎖骨(外側部)、棘突起C3‐Th3‐乳様突起、棘突起Th3‐Th5―横突起 C1‐C2、横突起C3‐Th6、棘突起C3‐Th1―上項線、横突起Th1‐Th6―棘突起C2‐C7、横突起C3‐Th3―乳様突起、横突起Th1‐Th6―横突起C2‐C6、下頭斜筋、上頭斜筋、棘突起C2―横突起C1、胸骨上切痕及び鎖骨(内側部)―乳様突起及び上項線、横突起C1‐C4―肩甲骨(上角)、横突起C2‐C7―第一肋骨、横突起C3‐C6―第一肋骨、頭長筋、横突起C3‐C6―後頭骨(底部)、頸長筋、頸半棘筋、大後頭直筋、小後頭直筋、前頭直筋、多裂筋または横突起C2‐C5―環椎(前結節)。 好ましくは、修飾BoNT/Aは複数の罹患頸筋に投与される。例えば、修飾BoNT/Aは以下から選択される少なくとも2個(例えば少なくとも3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、26個、27個、28個、29個、30個、31個、32個、33個、34個、または35個)の罹患頸筋に投与されてもよい: 胸鎖乳突筋(例えば左胸鎖乳突筋または右胸鎖乳突筋)、左頭板状筋または右頭板状筋、前斜角筋または中斜角筋、左僧帽筋または右僧帽筋(例えば左僧帽筋上部または右僧帽筋上部)、左肩甲挙筋または右肩甲挙筋、左頭半棘筋または右頭半棘筋、頭半棘筋中間部、最長筋(例えば左頭長筋または右頭長筋及び/又は左頸最長筋または右頸最長筋)、頸板状筋、斜角筋複合体(例えば前斜角筋及び/又は中斜角筋)、傍脊椎後部(例えば後斜角筋、中斜角筋及び/又は前斜角筋、好ましくは後斜角筋)、顎下複合体(例えば顎二腹筋、オトガイ舌骨筋、顎舌骨筋、顎舌骨ブートニエール及び/又は茎突舌骨筋)、僧帽筋下部、上項線-鎖骨(外側部)、棘突起C3‐Th3‐乳様突起、棘突起Th3‐Th5―横突起C1‐C2、横突起C3‐Th6、棘突起C3‐Th1―上項線、横突起Th1‐Th6―棘突起C2‐C7、横突起C3‐Th3―乳様突起、横突起Th1‐Th6―横突起C2‐C6、下頭斜筋、上頭斜筋、棘突起C2-横突起C1、胸骨上切痕及び鎖骨(内側部)―乳様突起及び上項線、横突起C1‐C4―肩甲骨(上角)、横突起C2‐C7―第一肋骨、横突起C3‐C6―後頭骨(底部)、頸長筋、頸半棘筋、大後頭直筋、小後頭直筋、前頭直筋、多裂管と、または横突起C2‐C5―環椎(前結節)。
【0074】
一実施形態において、修飾BoNT/Aは以下から選択される一つ又は複数の罹患頸筋に投与されてもよい: 胸鎖乳突筋(例えば左胸鎖乳突筋または右胸鎖乳突筋)、左頭板状筋または右頭板状筋、前斜角筋または中斜角筋、左僧帽筋または右僧帽筋(例えば左僧帽筋上部または右僧帽筋上部)、左肩甲挙筋または右肩甲挙筋、左頭半棘筋または右頭半棘筋、最長筋(例えば左頭長筋または右頭長筋及び/又は左頸最長筋または右頸最長筋)、頸板状筋、斜角筋複合体(例えば前斜角筋及び/又は中斜角筋)、傍脊椎後部(例えば後斜角筋、中斜角筋及び/又は前斜角筋、好ましくは後斜角筋)、顎下複合体(例えば顎二腹筋、オトガイ舌骨筋、顎舌骨筋、顎舌骨ブートニエール及び/又は茎突舌骨筋)、僧帽筋下部、上項線―鎖骨(外側部)、棘突起C3‐Th3-乳様突起、棘突起Th3‐Th5―横突起C1‐C2、横突起C3‐Th6、棘突起C3‐Th1―上項線、横突起Th1‐Th6―棘突起C2‐C7、横突起C3‐Th3―乳様突起、横突起Th1‐Th6―横突起C2‐C6、下頭斜筋、上頭斜筋、棘突起C2―横突起C1、胸骨上切痕及び鎖骨(内側部)―乳様突起及び上項線、横突起C1‐C4―肩甲骨(上角)、横突起C2‐C7―第一肋骨、横突起C3‐C6―第一肋骨、頭長筋、横突起C3‐C6―後頭骨(底部)、頸長筋、頸半棘筋、大後頭直筋、小後頭直筋、前頭直筋、多裂筋及び横突起C2‐C5―環椎(前結節)。 好ましくは、修飾BoNT/Aは複数の罹患頸筋に投与される。例えば修飾BoNT/Aは、以下から選択される少なくとも2個(例えば少なくとも3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個 、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、26個、27個、28個、29個、30個、31個、32個、33個、34個、または35個)の罹患頸筋に投与されてもよい: 胸鎖乳突筋(例えば左胸鎖乳突筋または右胸鎖乳突筋)、左頭板状筋または右頭板状筋、前斜角筋または中斜角筋、左僧帽筋または右僧帽筋(例えば左僧帽筋上部または右僧帽筋上部)、左肩甲挙筋または右肩甲挙筋、左頭半棘筋または右頭半棘筋、最長筋(例えば左頭長筋または右頭長筋及び/又は左頸最長筋または右頸最長筋)、頸板状筋、斜角筋複合体(例えば前斜角筋及び/又は中斜角筋)、傍脊椎後部(例えば後斜角筋、中斜角筋及び/又は前斜角筋、好ましくは後斜角筋)、顎下複合体(例えば顎二腹筋、オトガイ舌骨筋、顎舌骨筋、顎舌骨ブートニエール及び/又は茎突舌骨筋)、僧帽筋下部、上項線―鎖骨(外側部)、棘突起C3‐Th3‐乳様突起、棘突起Th3‐Th5―横突起C1‐C2、横突起C3‐Th6、棘突起C3‐Th1―上項線、横突起Th1‐Th6―棘突起C2‐C7、横突起C3‐Th3-乳様突起、横突起Th1‐Th6―横突起C2‐C6、下頭斜筋、上頭斜筋、棘突起C2-横突起C1、胸骨上切痕及び鎖骨(内側部)―乳様突起及び上項線、横突起C1‐C4― 肩甲骨(上角)、横突起C2‐C7―第一肋骨、横突起C3‐C6―第一肋骨、頭長筋、横突起C3‐C6―後頭骨(底部)、頸長筋、頸半棘筋、大後頭直筋、小後頭直筋、前頭直筋、多裂筋と横突起C2‐C5―環椎(前結節)。
【0075】
一実施形態において、修飾BoNT/Aは以下のものを含む一つ又は複数の罹患頸筋に投与されてもよい: 頸半棘筋、肩甲挙筋、頸板状筋、頸最長筋、僧帽筋下部、胸鎖乳突筋、頭半棘筋、下頭斜筋、頭最長筋、頭板状筋、頸半棘筋、中斜角筋、頭最長筋、頸長筋または頭長筋。一実施形態において、修飾BoNT/Aは以下から選択される一つ又は複数の罹患頸筋に投与されてもよい: 頸半棘筋、肩甲挙筋、頸板状筋、頸最長筋、僧帽筋下部、胸鎖乳突筋、頭半棘筋、下頭斜筋、頭最長筋、頭板状筋、頸半棘筋、中斜角筋、頭最長筋、頸長筋または頭長筋。例えば修飾BoNT/Aは、前記罹患頸筋のうち少なくとも2個(例えば少なくとも3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、または15個)に投与されてもよい。
【0076】
頸部の両側に同等な頸筋が2つある場合(例えば左胸鎖乳突筋と右胸鎖乳突筋などの胸鎖乳突筋)、当該修飾BoNT/Aは片側に(例えば一方の筋肉のみが収縮している場合は当該筋肉のうちの1つに)または両側に(例えば両方の筋肉が収縮している場合は当該筋肉の両方へ)投与してもよい。複数の罹患筋を処置する場合、複数の異なる種類の罹患筋であることが好ましい。例えば2つの罹患胸鎖乳突筋に対して両側投与が実施される場合、本明細書に記載のように複数の罹患筋を処置する際には更なる筋肉を処置するのが好ましい。
【0077】
頸部の両側に同等な2つの頸筋がある場合、前記の同等な頸筋のいずれかに対して片側投与を実施してもよい。例えば、収縮筋または同等の非収縮筋に投与してもよい。一実施形態において、片側投与は罹患者の頸部の片側に位置する筋肉に対して行われ、ここで罹患者の当該側では頸部ジストニアの症状を示し、または罹患者の頸部の反対側に位置する同等の筋肉に対して行われ、ここで当該罹患者の頸部の反対側では頸部ジストニアの症状を示さない。
【0078】
本発明記載の治療のために選択される当該罹患頸筋は治療を受ける当該罹患者の頸部ジストニア特有の症状(例えば斜頸、頸部側屈、頸部前屈、頸部後屈もしくはこれらの併発)によって決定されてもよい。
【0079】
本発明記載の治療のために選択される当該罹患頸筋は治療を受ける当該罹患者の頸部ジストニア特有の症状(例えば斜頸、頸部側屈、頸部前屈、頸部後屈、頭部側屈、頭部回旋、頭部前屈、頭部後屈、外側偏移、矢状偏移もしくはこれらの併発)によって決定されてもよい。
【0080】
一実施形態において、斜頸(torticollis)を治療する場合、修飾BoNT/Aは以下から選択される一つ又は複数の罹患頸筋に投与されてもよい: 胸鎖乳突筋、僧帽筋(例えば僧帽筋上部)、前斜角筋、頭板状筋、頸板状筋、肩甲挙筋と最長筋(例えば頭最長筋及び/又は頸最長筋)。好ましくは、斜頸を治療する場合、修飾BoNT/Aは以下から選択される一つ又は複数の罹患頸筋とは反対側に投与されてもよい: 胸鎖乳突筋、僧帽筋(例えば僧帽筋上部)と前斜角筋、及び/又は以下から選択される一つ又は複数の罹患頸筋に対して同側に投与されてもよい: 頭板状筋、頸板状筋、肩甲挙筋と最長筋(例えば頭最長筋及び/又は頸最長筋)。
【0081】
一実施形態において、斜頸を治療する場合、修飾BoNT/Aは以下から選択される一つ又は複数の頸筋に投与されてもよく: 胸鎖乳突筋、僧帽筋(例えば僧帽筋上部)、前斜角筋、頭板状筋、頸板状筋、肩甲挙筋、最長筋(例えば頭最長筋及び/又は頸最長筋)と頸半棘筋。一実施形態において斜頸を治療する場合、修飾BoNT/Aは以下から選択される一つ又は複数の罹患頸筋に対して反対側に投与されてもよく: 胸鎖乳突筋、僧帽筋(例えば僧帽筋上部)と前斜角筋、及び/又は、以下から選択される一つ又は複数の罹患頸筋に対して同側投与されてもよい: 頭板状筋、頸板状筋、肩甲挙筋、最長筋(例えば頭最長筋及び/又は頸最長筋)と頸半棘筋。
【0082】
一実施形態において、斜頸を治療する場合、修飾BoNT/Aは以下から選択される一つ又は複数の罹患頸筋に投与されてもよい: 胸鎖乳突筋、僧帽筋(例えば僧帽筋上部)、前斜角筋、頭板状筋、頸板状筋、肩甲挙筋、最長筋(例えば頭最長筋及び/又は頸最長筋)、頸半棘筋、大後頭直筋、多裂筋と後頭斜筋。一実施形態において斜頸を治療する場合、修飾BoNT/Aは以下から選択される一つ又は複数の罹患頸筋に対して反対側に投与されてもよく: 胸鎖乳突筋、僧帽筋(例えば僧帽筋上部)、前斜角筋、頸半棘筋と多裂筋、及び/又は以下から選択される一つ又は複数の罹患頸筋に対して同側投与されてもよい: 頭板状筋、頸板状筋、肩甲挙筋、最長筋(例えば頭最長筋及び/又は頸最長筋)、大後頭直筋と下頭斜筋。
【0083】
一実施形態において、斜頸を治療する場合、修飾BoNT/Aは以下を含む罹患頸筋に投与されてもよく: 胸鎖乳突筋、僧帽筋(例えば僧帽筋上部)、前斜角筋、頭板状筋、頸板状筋、肩甲挙筋、最長筋(例えば頭最長筋及び/又は頸最長筋)、頸半棘筋、大後頭直筋、多裂筋または下頭斜筋。 一実施形態において、斜頸を治療する場合、修飾BoNT/Aは以下を含む一つ又は複数の罹患頸に対して反対側に投与されてもよい: 胸鎖乳突筋、僧帽筋(例えば僧帽筋上部)、前斜角筋、頸半棘筋または多裂筋、及び/又は以下を含む一つ又は複数の罹患頸筋に対して同側投与されてもよい: 頭板状筋、頸板状筋、肩甲挙筋、最長筋(例えば頭最長筋及び/又は頸最長筋)、大後頭直筋または下頭斜筋。
【0084】
一実施形態において頸部側屈(laterocollis)を治療する場合、修飾BoNT/Aは以下から選択される一つ又は複数の罹患頸筋に投与されてもよい: 肩甲挙筋、僧帽筋(例えば僧帽筋上部)、斜角筋複合体(前斜角筋及び/又は中斜角筋)、胸鎖乳突筋、頭板状筋、頸板状筋と最長筋(例えば頭最長筋及び/又は頸最長筋)。好ましくは、頸部側屈を治療する場合に、修飾BoNT/Aは一つ又は複数の前記罹患頸筋に対して同側投与されてもよい。
【0085】
一実施形態において、頸部側屈を治療する場合、修飾BoNT/Aは以下から選択される一つ又は複数の罹患頸筋に投与されてもよい: 肩甲挙筋、僧帽筋(例えば僧帽筋上部)、斜角筋複合体(前斜角筋及び/又は中斜角筋)、胸鎖乳突筋、頭板状筋、頸板状筋、最長筋(例えば頭最長筋及び/又は頸最長筋)と頸半棘筋。一実施形態において、頸部側屈を治療する場合、修飾BoNT/Aは一つ又は複数の前記罹患頸筋に対して同側投与されてもよい。
【0086】
一実施形態において、頸部側屈を治療する場合、修飾BoNT/Aは以下から選択される一つ又は複数の罹患頸筋に投与されてもよい: 肩甲挙筋、僧帽筋(例えば僧帽筋上部)、斜角筋複合体(前斜角筋及び/又は中斜角筋)、胸鎖乳突筋、頭板状筋、頸板状筋、最長筋(例えば頭最長筋及び/又は頸最長筋)と多裂筋。一実施形態において、頸部側屈を治療する場合、修飾BoNT/Aは一つ又は複数の前記罹患頸筋に対して同側投与されてもよい。
【0087】
一実施形態において、頸部側屈を治療する場合、修飾BoNT/Aは以下から選択される一つ又は複数の罹患頸筋に投与されてもよい: 肩甲挙筋、僧帽筋(例えば僧帽筋上部)、斜角筋複合体(例えば前斜角筋及び/又は中斜角筋)、胸鎖乳突筋、頭板状筋、頸板状筋、最長筋(例えば頭最長筋及び/又は頸最長筋)、頚半棘筋と多裂筋。一実施形態において、頸部側屈を治療する場合、修飾BoNT/Aは一つ又は複数の前記罹患頸筋に対して同側投与されてもよい。
【0088】
一実施形態において、頸部側屈を治療する場合、修飾BoNT/Aは以下を含む一つ又は複数の罹患頸筋に投与されてもよい: 肩甲挙筋、僧帽筋(例えば僧帽筋上部)、斜角筋複合体(例えば前斜角筋及び/又は中斜角筋)、胸鎖乳突筋、頭板状筋、頸板状筋、最長筋(例えば頭最長筋及び/又は頸最長筋)、頸半棘筋または多裂筋。一実施形態において、頸部側屈を治療する場合、修飾BoNT/Aは一つ又は複数の前記罹患頸筋に対して同側投与されてもよい。
【0089】
一実施形態において、頸部前屈(anterocollis)を治療する場合、修飾BoNT/Aは以下から選択される一つ又は複数の罹患頸筋に投与されてもよい: 胸鎖乳突筋、前斜角筋と中斜角筋。好ましくは、頸部前屈を治療する場合、修飾BoNT/Aは両側投与されてもよい。
【0090】
一実施形態において、頸部前屈を治療する場合、修飾BoNT/Aは以下から選択される一つ又は複数の罹患頸筋に投与されてもよい: 胸鎖乳突筋、前斜角筋、中斜角筋、肩甲挙筋、頸長筋と顎下複合体(例えば顎二腹筋、オトガイ舌骨筋、顎舌骨筋、顎舌骨ブートニエール及び/又は茎突舌骨筋)。好ましくは、頸部前屈を治療する場合には、修飾BoNT/Aは両側投与されてもよい。
【0091】
一実施形態において、頸部前屈を治療する場合、修飾BoNT/Aは以下から選択される一つ又は複数の罹患頸筋に投与されてもよい: 胸鎖乳突筋、前斜角筋、中斜角筋、頭長筋、頸長筋と前頭直筋。一実施形態において、頸部前屈を治療する場合、修飾BoNT/Aは両側投与されてもよい。
【0092】
一実施形態において、頸部前屈を治療する場合、修飾BoNT/Aは以下から選択される一つ又は複数の罹患頸筋に投与されてもよい: 胸鎖乳突筋、前斜角筋、中斜角筋、肩甲挙筋、頸長筋、顎下複合体(例えば顎二腹筋、オトガイ舌骨筋、顎舌骨筋、顎舌骨ブートニエール及び/又は茎突舌骨筋)、頭長筋と前頭直筋。一実施形態において、頸部前屈を治療する場合、修飾BoNT/Aは両側投与されてもよい。
【0093】
一実施形態において、頸部前屈を治療する場合、修飾BoNT/Aは以下を含む一つ又は複数の罹患頸筋に投与されてもよい: 胸鎖乳突筋、前斜角筋、中斜角筋、肩甲挙筋、頸長筋、顎下複合体(例えば頸二腹筋、オトガイ舌骨筋、顎舌骨筋、顎舌骨ブートニエール及び/又は茎突舌骨筋)、頭長筋または前頭直筋。一実施形態において、頸部前屈を治療する場合、修飾BoNT/Aは両側投与されてもよい。
【0094】
一実施形態において、頸部後屈(retrocollis)を治療する場合、修飾BoNT/Aは以下から選択される一つ又は複数の罹患頸筋に投与されてもよい: 肩甲挙筋、僧帽筋(例えば僧帽筋上部)、最長筋(例えば頭最長筋及び/又は頸最長筋)、頭板状筋、頸板状筋と頭半棘筋。好ましくは、頸部後屈を治療する場合には、修飾BoNT/Aは両側投与されてもよい。
【0095】
一実施形態において、頸部後屈を治療する場合、修飾BoNT/Aは以下から選択される一つ又は複数の罹患頸筋に投与されてもよい: 肩甲挙筋、僧帽筋(例えば僧帽筋上部)、最長筋(例えば頭最長筋及び/又は頸最長筋)、頭板状筋、頸板状筋、頭半棘筋、頸半棘筋と傍脊椎後部(例えば後斜角筋、中斜角筋及び/又は前斜角筋、好ましくは後斜角筋)。好ましくは、頸部後屈を治療する場合には、修飾BoNT/Aは両側投与されてもよい。
【0096】
一実施形態において、頸部後屈を治療する場合、修飾BoNT/Aは以下から選択される一つ又は複数の罹患頸筋に投与されてもよい: 肩甲挙筋、僧帽筋(例えば僧帽筋上部)、最長筋(例えば頭最長筋及び/又は頸最長筋)、頭板状筋、頸板状筋、頭半棘筋、頸半棘筋、頭棘筋、大後頭直筋、小後頭直筋と上頭斜筋。好ましくは、頸部後屈を治療する場合には、修飾BoNT/Aは両側投与されてもよい。
【0097】
一実施形態において、頸部後屈を治療する場合、修飾BoNT/Aは以下から選択される一つ又は複数の罹患頸筋に投与されてもよい: 肩甲挙筋、僧帽筋(例えば僧帽筋上部)、最長筋(例えば頭最長筋及び/又は頸最長筋)、頭板状筋、頸板状筋、頭半棘筋、頸半棘筋、傍脊椎後部(例えば後斜角筋、中斜角筋及び/又は前斜角筋、好ましくは後斜角筋)、頭棘筋、大後頭直筋、小後頭直筋と上頭斜筋。好ましくは、頸部後屈を治療する場合には、修飾BoNT/Aは両側投与されてもよい。
【0098】
一実施形態において、頸部後屈を治療する場合、修飾BoNT/Aは以下を含む一つ又は複数の罹患頸筋に投与されてもよい: 肩甲挙筋、僧帽筋(例えば僧帽筋上部)、最長筋(例えば頭最長筋及び/又は頸最長筋)、頭板状筋、頸板状筋、頭半棘筋、頸半棘筋、傍脊椎後部(例えば後斜角筋、中斜角筋及び/又は前斜角筋、好ましくは後斜角筋)、頭棘筋、大後頭直筋、小後頭直筋または上頭斜筋。好ましくは、頸部後屈を治療する場合、修飾BoNT/Aは両側投与されてもよい。
【0099】
一実施形態において、外側偏移(lateral shift)を治療する場合、修飾BoNT/Aは、以下から選択される一つ又は複数の罹患頸筋に投与されてもよい: 肩甲挙筋、僧帽筋(例えば僧帽筋上部または僧帽筋下部)、斜角筋複合体(例えば前斜角筋及び/又は中斜角筋)、胸鎖乳突筋、頭板状筋、頸板状筋、最長筋(例えば頭最長筋及び/又は頸最長筋)と頸半棘筋。好ましくは、外側偏移を治療する場合、修飾BoNT/Aは以下から選択される罹患頸筋に投与されてもよく: 当該頸部の第1側(例えば左側)の肩甲挙筋、頸半棘筋、中斜角筋と頸最長筋、ならびに 当該修飾BoNT/Aは以下から選択される罹患頸筋に投与されてもよい: 当該頸部の第2側(例えば右側)の胸鎖乳突筋、僧帽筋下部、頭板状筋、頭半棘筋、頭最長筋と肩甲挙筋。
【0100】
一実施形態において、外側偏移を治療する場合、修飾BoNT/Aは以下を含む一つ又は複数の罹患頸筋に投与されてもよい: 肩甲挙筋、僧帽筋(例えば僧帽筋上部または僧帽筋下部)、斜角筋複合体(例えば前斜角筋及び/又は中斜角筋)、胸鎖乳突筋、頭板状筋、頸板状筋、最長筋(例えば頭最長筋及び/又は頸最長筋)または頸半棘筋。 好ましくは外側偏移を治療する場合、修飾BoNT/Aは以下を含む罹患頸筋に投与されてもよく: 当該頸部の第1側(例えば左側)の肩甲挙筋、頸半棘筋、中斜角筋または頸最長筋、ならびに 当該修飾BoNT/Aは以下を含む罹患頸筋に投与されてもよい: 当該頸部の第2側(例えば右側)の胸鎖乳突筋、僧帽筋下部、頭板状筋、頭半棘筋、頭最長筋または肩甲挙筋。
【0101】
一実施形態において、頭部側屈(laterocaput)を治療する場合、修飾BoNT/Aは以下から選択される一つ又は複数の罹患頸筋に投与されてもよい: 僧帽筋下部、胸鎖乳突筋、頭最長筋、頭板状筋、頭半棘筋、肩甲挙筋と傍脊椎後部(例えば後斜角筋、中斜角筋及び/又は前斜角筋、好ましくは後斜角筋)。好ましくは、頭部側屈を治療する場合、修飾BoNT/Aは同側投与されてもよい。
【0102】
一実施形態において頭部側屈を治療する場合、修飾BoNT/Aは以下を含む一つ又は複数の罹患頸筋に投与されてもよい: 僧帽筋下部、胸鎖乳突筋、頭最長筋、頭板状筋、頭半棘筋、肩甲挙筋または傍脊椎後部(例えば後斜角筋、中斜角筋及び/又は前斜角筋、好ましくは後斜角筋)。好ましくは、頭部側屈を治療する場合、修飾BoNT/Aは同側投与されてもよい。
【0103】
一実施形態において、頭部回旋(torticaput)を治療する場合、修飾BoNT/Aは以下から選択される一つ又は複数の罹患頸筋に投与されてもよい: 僧帽筋下部、胸鎖乳突筋、頭最長筋、頭板状筋、頭半棘筋中間部と下頭斜筋。好ましくは、頭部回旋を治療する場合、修飾BoNT/Aは同側または反対側に投与されてもよい。例えば、修飾BoNT/Aは以下から選択される一つ又は複数の罹患頸筋に対して反対側に投与されてもよく: 僧帽筋下部、胸鎖乳突筋と頭半棘筋中間部、及び/又は当該修飾BoNT/Aは以下から選択される一つ又は複数の罹患頸筋に対して同側投与されてもよい: 下頭斜筋、頭最長筋と頭板状筋。
【0104】
一実施形態において頭部回旋を治療する場合、修飾BoNT/Aは以下を含む一つ又は複数の罹患頸筋に投与されてもよい: 僧帽筋下部、胸鎖乳突筋、頭最長筋、頭板状筋、頭半棘筋中間部または下頭斜筋。好ましくは、頭部回旋を治療する場合、修飾BoNT/Aは同側または反対側に投与されてもよい。例えば、修飾BoNT/Aは以下を含む一つ又は複数の罹患頸筋に対して反対側に投与されてもよく: 僧帽筋下部、胸鎖乳突筋または頭半棘筋中間部、及び/又は当該修飾BoNT/Aは以下を含む一つ又は複数の罹患頸筋に対して同側に投与されてもよい: 下頭斜筋、頭最長筋または頭板状筋。
【0105】
一実施形態において、頭部前屈(antecaput)を治療する場合、修飾BoNT/Aは以下を含む一つ又は複数の罹患頸筋に投与されてもよい: 頭長筋、肩甲挙筋と胸鎖乳突筋。好ましくは、頭部前屈を治療する場合、修飾BoNT/Aは両側投与されてもよい。
【0106】
一実施形態において、頭部前屈を治療する場合、修飾BoNT/Aは以下を含む一つ又は複数の罹患頸筋に投与されてもよい: 頭長筋、肩甲挙筋または胸鎖乳突筋。好ましくは、頭部前屈を治療する場合、修飾BoNT/Aは両側投与されてもよい。
【0107】
一実施形態において、頭部後屈(retrocaput)を治療する場合、修飾BoNT/Aは以下から選択される一つ又は複数の罹患頸筋に投与されてもよい: 下頭斜筋、頭半棘筋、僧帽筋下部と頭板状筋。好ましくは、頭部後屈を治療する場合、修飾BoNT/Aは両側投与されてもよい。
【0108】
一実施形態において、頭部後屈を治療する場合、修飾BoNT/Aは以下を含む一つ又は複数の罹患頸筋に投与されてもよい: 下頭斜筋、頭半棘筋、僧帽筋下部または頭板状筋。好ましくは、頭部後屈を治療する場合、修飾BoNT/Aを両側投与してもよい。
【0109】
一実施形態において、矢状偏移(sagittal shift)を治療する場合、修飾BoNT/Aは以下から選択される一つ又は複数の罹患頸筋に投与されてもよい: 胸鎖乳突筋、前斜角筋、中斜角筋、肩甲挙筋、頸長筋、顎下複合体(例えば顎二腹筋、オトガイ舌骨筋、顎舌骨筋、顎舌骨ブートニエール及び/又は茎突舌骨筋)、下頭斜筋、頭半棘筋、僧帽筋下部と頭板状筋。好ましくは矢状偏移を治療する場合、修飾BoNT/Aは以下から選択される罹患頸筋に投与されてもよく: 当該頸部の第1側(例えば左側)の胸鎖乳突筋、前斜角筋、中斜角筋、肩甲挙筋、頸長筋と顎下複合体(例えば頸二腹筋、オトガイ舌骨筋、顎舌骨筋、顎舌骨ブートニエール及び/又は茎突舌骨筋)、ならびに修飾BoNT/Aは以下から選択される罹患頸筋に投与されてもよい: 当該頸部の第2側(例えば右側)の下頭斜筋、頭半棘筋、僧帽筋下部と頭板状筋。
【0110】
一実施形態において、矢状偏移を治療する場合、修飾BoNT/Aは以下を含む一つ又は複数の罹患頸筋に投与されてもよい: 当該頸部の第1側(例えば左側)の胸鎖乳突筋、前斜角筋、中斜角筋、肩甲挙筋、頸長筋、顎下複合体(例えば顎二腹筋、オトガイ舌骨筋、顎舌骨筋、顎舌骨ブートニエール及び/又は茎突舌骨筋)、下頭斜筋、頭半棘筋、僧筋下部または頭板状筋。好ましくは、矢状偏移を治療する場合、修飾BoNT/Aは以下を含む罹患頸筋に投与されてもよく: 当該頸部の第1側(例えば左側)の胸鎖乳突筋、前斜角筋、中斜角筋、肩甲挙筋、頸長筋または顎下複合体(例えば顎二腹筋、オトガイ舌骨筋、顎舌骨筋、顎舌骨ブートニエール及び/又は茎突舌骨筋)、ならびに修飾BoNT/Aは以下を含む罹患頸筋に投与されてもよい: 当該頸部の第2側(例えば右側)の下頭斜筋、頭半棘筋、僧帽筋下部または頭板状筋。
【0111】
修飾BoNT/Aは筋肉内注射で罹患頸筋に投与される。修飾BoNT/Aの1単位以上の単位用量(例えば、少なくとも2単位用量)を罹患頸筋に投与してもよい。しかしながら、罹患頸筋あたり単回の単位用量のみを投与することが好ましい。当該頸筋が胸鎖乳突筋である場合、2単位用量を投与してもよい。例えば、2単位用量を左胸鎖乳突筋に投与してもよく、及び/又は2単位用量を右胸鎖乳突筋に投与してもよい。当該頸筋が僧帽筋(例えば僧帽筋下部)である場合、2単位用量を投与してもよい。例えば、2単位用量を左僧帽筋(例えば左僧帽筋上部)に投与してもよく、及び/又は2単位用量を右僧帽筋(例えば右僧帽筋上部)に投与してもよい。
【0112】
単位用量は単一の注射部位で罹患頸筋へ投与されてもよい。したがって、一部の実施の形態において、当該修飾BoNT/Aは罹患頸筋における注射部位あたり単位用量で投与される。しかしながら単一の注射部位で、単位用量に満たない量で投与されることが望ましく、この場合には当該単位用量は当該罹患頸筋の二つまたはそれ以上の注射部位間で(均等または不均等に)分割されてもよい。したがって、当該修飾BoNT/Aは罹患頸筋に二つまたはそれ以上の注射部位で投与されてもよい。好ましい実施の形態において、当該修飾BoNT/Aは罹患頸筋における注射部位当たり単位用量に満たない量で投与される。有利なことに、罹患程度の低い部位と比較した場合に、より多くの当該修飾BoNT/Aを前記部位に投与することによって、臨床医が当該筋肉を他の筋肉と明確に区別し、そして、または当該筋肉のうち特に罹患している部位を治療することが可能になり得る。
【0113】
最も好ましくは、単位用量は注射部位ごとに投与される。
【0114】
当該修飾BoNT/Aは注射部位あたり750pg乃至4,000pgの用量で投与されてもよく、ここで当該修飾BoNT/AはBoNT/A軽鎖及び転位置ドメインとBoNT/B受容体結合ドメイン(HCドメイン)とからなる。好ましくは当該修飾BoNT/Aは、注射部位あたり1,000pgまたは2,000pgの用量で投与され、ここで当該修飾BoNT/Aは、BoNT/A軽鎖及び転位置ドメインとBoNT/B受容体結合ドメインとからなる(HCドメイン)。
【0115】
当該修飾BoNT/Aは注射部位あたり31単位乃至166.4単位の用量で投与されてもよく、ここで当該修飾BoNT/Aは、BoNT/A軽鎖及び転位置ドメインとBoNT/B受容体結合ドメイン(HCドメイン)とからなる。好ましくは当該修飾BoNT/Aは、注射部位あたり41.6単位または83.2単位の用量で投与され、ここで当該当該修飾BoNT/Aは、BoNT/A軽鎖及び転位置ドメインとBoNT/B受容体結合ドメイン(HCドメイン)とからなる。
【0116】
「少なくとも単回の単位用量が投与される」という言い回しは、少なくとも実質的に全ての単回の単位用量が投与されるということを意味する。例えば、当該単位用量の残存量(例えば最大1%、最大0.1%、または最大0.01%)が、当該修飾BoNT/Aが再構成されたバイアル中に残留し得る。しかしながら、好ましくは、少なくとも単回の単位用量のすべてが(例えば一つ又は複数の注射部位に)投与される。
【0117】
本発明に係る用途の修飾BoNT/Aの有効性は、標準的な技術に従ったマウスLD50アッセイによって決定されてもよい。前記アッセイにおいて、1単位はマウスの算出半致死量(LD50)に相当する修飾BoNT/Aの量として定義される。好ましくはマウスの算出腹膜内半致死量である。
【0118】
本発明に係る用途の修飾BoNT/Aが、BoNT/A軽鎖及び転位置ドメインとBoNT/B受容体結合ドメイン(HCドメイン)とからなる修飾BoNT/Aである場合、前記アッセイにおける1単位に相当する修飾BoNT/Aの量は、好ましくは24.04pgである。
【0119】
本発明に係る用途の修飾BoNT/Aが以下から選択されるアミノ酸残基に一つ以上の修飾を含む修飾BoNT/Aである場合: ASN886、ASN905、GLN915、ASN918、GLU920、ASN930、ASN954、SER955、GLN991、GLU992、GLN995、ASN1006、ASN1025、ASN1026、ASN1032、ASN1043、ASN1046、ASN1052、ASP1058、HIS1064、ASN1080、GLU1081、GLU1083、ASP1086、ASN1188、ASP1213、GLY1215、ASN1216、GLN1229、ASN1242、ASN1243、SER1274、及びTHR1277、ここで当該修飾は以下から選択され: 酸性表面露出アミノ酸残基の塩基性アミノ酸残基による置換、酸性表面露出アミノ酸残基の非荷電アミノ酸残基による置換、非荷電表面露出アミノ酸残基の塩基性アミノ酸残基による置換、塩基性アミノ酸残基の挿入及び酸性表面露出アミノ酸残基の削除;
前記アッセイにおける1単位に相当する修飾BoNT/Aの量は好ましくは8.44pgである。
【0120】
数値(例えば最大170,000pg)に関して使用される場合の「最大」という用語は言及された数値まで及びその言及された数値を含むことを意味している。したがって例として、修飾BoNT/Aの「最大170,000pg」投与への言及には、170,000pg未満の修飾BoNT/A投与のみならず170,000pgの修飾BoNT/A投与が包含されている。
【0121】
単位用量は修飾BoNT/Aの量の観点から、修飾BoNT/Aの単位で、またはそれらの組み合わせで表現されてもよい。
【0122】
一実施形態において、修飾BoNT/Aは下記用量で、以下の通りに、一つ又は複数の下記頸筋に投与されてもよい。
【表A】
【0123】
一実施形態において、修飾BoNT/Aは、下記用量で、以下の通りに一つ又は複数の下記頸筋に投与されてもよい。
【表B】
【0124】
(当該修飾BoNT/Aが修飾BoNT/A軽鎖及び転位置ドメインと、BoNT/B受容体結合ドメイン(H
Cドメイン)と、を含む場合に、当該治療中に投与される総用量が170,000pgまたは7,070単位の上限を超えない限り、または当該修飾BoNT/AがASN886、ASN905、GLN915、ASN918、GLU920、ASN930、ASN954、SER955、GLN991、GLU992、GLN995、ASN1006、ASN1025、ASN1026、ASN1032、ASN1043、ASN1046、ASN1052、ASP1058、HIS1064、ASN1080、GLU1081、GLU1083、ASP1086、ASN1188、ASP1213、GLY1215、ASN1216、GLN1229、ASN1242、ASN1243、SER1274、及びTHR1277から選択される一つ又は複数のアミノ酸残基に修飾を含み、ここで当該修飾が酸性表面露出アミノ酸残基の塩基性アミノ酸残基による置換、酸性表面露出アミノ酸残基の非荷電アミノ酸残基による置換、非荷電表面露出アミノ酸残基の塩基性アミノ酸残基による置換、塩基性アミノ酸残基の挿入及び酸性表面露出アミノ酸残基の削除から選択される場合に、治療中に投与される総用量が80,000pgまたは9,480単位の上限を超えない限り)、一実施形態において、修飾BoNT/Aは下記用量で、以下の通りに、一つ又は複数の下記頸筋に投与されてもよい。
【表C】
【0125】
(当該修飾BoNT/Aが修飾BoNT/A軽鎖及び転位置ドメインと、BoNT/B受容体結合ドメイン(H
Cドメイン)と、を含む場合に、治療中に投与される総用量が170,000pgまたは7,070単位の上限を超えない限り、または当該修飾BoNT/AがASN886、ASN905、GLN915、ASN918、GLU920、ASN930、ASN954、SER955、GLN991、GLU992、GLN995、ASN1006、ASN1025、ASN1026、ASN1032、ASN1043、ASN1046、ASN1052、ASP1058、HIS1064、ASN1080、GLU1081、GLU1083、ASP1086、ASN1188、ASP1213、GLY1215、ASN1216、GLN1229、ASN1242、ASN1243、SER1274、及びTHR1277から選択される一つ又は複数のアミノ酸残基に修飾を含み、ここで当該修飾が酸性表面露出アミノ酸残基の塩基性アミノ酸残基による置換、酸性表面露出アミノ酸残基の非荷電アミノ酸残基による置換、非荷電表面露出アミノ酸残基の塩基性アミノ酸残基による置換、塩基性アミノ酸残基の挿入及び酸性表面露出アミノ酸残基の削除から選択される場合に、80,000pgまたは9,480単位の上限を超えない限り)、好ましくは、修飾BoNT/Aは、下記用量で、以下の通りに下記頸筋に投与されてもよい。
【表D】
【0126】
好ましくは、修飾BoNT/Aは下記用量で、以下の通りに、一つ又は複数の下記頸筋に投与されてもよい。
【表E】
【0127】
好ましくは、修飾BoNT/Aは下記用量で、以下の通りに、下記頸筋に投与されてもよい。
【表F】
【0128】
本明細書で使用する場合、「右」と「左」という用語は通常の意味を帯びる。例えば、罹患者の右肩甲挙筋は当該罹患者の右手側にある肩甲挙筋であり、一方で当該罹患者の左肩甲挙筋は当該罹患者の左手側にある肩甲挙筋である。
【0129】
所定の治療において投与される単位用量の総数は、当該単位用量の最大10倍または最大7倍となってもよい。単位用量の総数は治療を受ける当該罹患頸筋に応じて分割されてもよく、例えば、一実施形態において、治療中に送達される当該用量が単位用量の1倍である場合、一つの罹患頸筋のみが治療されてもよい。しかしながら、もし当該総数が単位用量の2倍であるならば、2つの罹患頸筋が治療されてもよい。投与される当該単位用量の総数は最大9倍、最大8倍、最大7倍または最大6倍としてもよい。単位用量の総数は、当該単位用量の少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍としてもよく、好ましくは少なくとも2倍である。投与される単位用量の総数は1倍乃至10倍または5倍乃至10倍としてもよく、好ましくは7倍乃至10倍である。
【0130】
当該修飾BoNT/Aが修飾BoNT/A軽鎖及び転位置ドメインと、BoNT/B受容体結合ドメイン(HCドメイン)と、を含む場合に、治療において投与される総用量が170,000pgまたは7,070単位の上限を超過しない限り、または当該修飾BoNT/AがASN886、ASN905、GLN915、ASN918、GLU920、ASN930、ASN954、SER955、GLN991、GLU992、GLN995、ASN1006、ASN1025、ASN1026、ASN1032、ASN1043、ASN1046、ASN1052、ASP1058、HIS1064、ASN1080、GLU1081、GLU1083、ASP1086、ASN1188、ASP1213、GLY1215、ASN1216、GLN1229、ASN1242、ASN1243、SER1274、及びTHR1277から選択される一つ又は複数のアミノ酸残基において修飾を含み、ここで当該修飾が酸性表面露出アミノ酸残基の塩基性アミノ酸残基による置換、酸性表面露出アミノ酸残基の非荷電アミノ酸残基による置換、非荷電表面露出アミノ酸残基の塩基性アミノ酸残基による置換、塩基性アミノ酸残基の挿入及び酸性表面露出アミノ酸残基の削除から選択される場合に、治療において投与される総用量が80,000pgまたは9,480単位の上限を超過しない限り、当該治療で投与される単位用量の総数は当該単位用量の最大20倍または最大15倍(好ましくは最大14倍または最大7倍)としてもよい。
【0131】
したがって、当該修飾BoNT/Aが修飾BoNT/A軽鎖及び転位置ドメインと、BoNT/B受容体結合ドメイン(HCドメイン)と、を含む場合に、治療中に投与される総用量が170,000pgまたは7,070単位の上限を超過しない限り、または当該修飾BoNT/AがASN886、ASN905、GLN915、ASN918、GLU920、ASN930、ASN954、SER955、GLN991、GLU992、GLN995、ASN1006、ASN1025、ASN1026、ASN1032、ASN1043、ASN1046、ASN1052、ASP1058、HIS1064、ASN1080、GLU1081、GLU1083、ASP1086、ASN1188、ASP1213、GLY1215、ASN1216、GLN1229、ASN1242、ASN1243、SER1274、及びTHR1277から選択される一つ又は複数のアミノ酸残基に修飾を含み、ここで当該修飾が酸性表面露出アミノ酸残基の塩基性アミノ酸残基による置換、酸性表面露出アミノ酸残基の非荷電アミノ酸残基による置換、非荷電表面露出アミノ酸残基の塩基性アミノ酸残基による置換、塩基性アミノ酸残基の挿入及び酸性表面露出アミノ酸残基の削除から選択される場合に、治療中に投与される総用量が80,000pgまたは9,480単位の上限を超過しない限り、投与される単位用量の総数を最大13倍、最大12倍、最大10倍、最大9倍、最大8倍、最大7倍、または最大6倍としてもよい。
【0132】
当該修飾BoNT/Aが修飾BoNT/A軽鎖及び転位置ドメインと、BoNT/B受容体結合ドメイン(HCドメイン)と、を含む場合に、治療中に投与される総用量が170,000pgまたは7,070単位の上限を超過しない限り、または当該修飾BoNT/AがASN886、ASN905、GLN915、ASN918、GLU920、ASN930、ASN954、SER955、GLN991、GLU992、GLN995、ASN1006、ASN1025、ASN1026、ASN1032、ASN1043、ASN1046、ASN1052、ASP1058、HIS1064、ASN1080、GLU1081、GLU1083、ASP1086、ASN1188、ASP1213、GLY1215、ASN1216、GLN1229、ASN1242、ASN1243、SER1274、及びTHR1277から選択される一つ又は複数のアミノ酸残基に修飾を含み、ここで当該修飾が酸性表面露出アミノ酸残基の塩基性アミノ酸残基による置換、酸性表面露出アミノ酸残基の非荷電アミノ酸残基による置換、非荷電表面露出アミノ酸残基の塩基性アミノ酸残基による置換、塩基性アミノ酸残基の挿入と、酸性表面露出アミノ酸残基の削除から選択される場合に、当該治療中に投与される総用量が80,000pgまたは9,480単位の上限を超過しない限り、投与される単位用量の総数は単位用量の少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍及び少なくとも10倍としてもよく、好ましくは少なくとも2倍(例えば7倍または14倍)である。
【0133】
当該修飾BoNT/Aが修飾BoNT/A軽鎖及び転位置ドメインと、BoNT/B受容体結合ドメイン(HCドメイン)と、を含む場合に、治療中に投与される総用量が170,000pgまたは7,070単位の上限を超過しない限り、または当該修飾BoNT/AがASN886、ASN905、GLN915、ASN918、GLU920、ASN930、ASN954、SER955、GLN991、GLU992、GLN995、ASN1006、ASN1025、ASN1026、ASN1032、ASN1043、ASN1046、ASN1052、ASP1058、HIS1064、ASN1080、GLU1081、GLU1083、ASP1086、ASN1188、ASP1213、GLY1215、ASN1216、GLN1229、ASN1242、ASN1243、SER1274、及びTHR1277から選択される一つ又は複数のアミノ酸残基に修飾を含み、ここで当該修飾が酸性表面露出アミノ酸残基の塩基性アミノ酸残基による置換、酸性表面露出アミノ酸残基の非荷電アミノ酸残基による置換、非荷電表面露出アミノ酸残基の塩基性アミノ酸残基による置換、塩基性アミノ酸残基の挿入、及び酸性表面露出アミノ酸残基の削除から選択される場合に、治療中に投与される総用量が80,000pgまたは9,480単位の上限を超過しない限り、投与される単位用量の総数は1倍乃至20倍(例えば12倍乃至16倍)、1倍乃至15倍、1倍乃至14倍、または5倍乃至14倍であってもよく、好ましくは7倍乃至14倍である。
【0134】
罹患者が例えば美容整形や他の症状に対する治療の一部としてクロストリジウム神経毒(例えばBoNT)を用いた追加的治療を直近で受けたことがある(または後で受ける予定がある)場合について当業者は考慮に入れ得る。当該技術分野において日常的な技術を使用して当該当業者は本治療計画を適切に適応させ得る。
【0135】
本発明の修飾BoNT/Aは、非修飾BoNT/A(例えばDysport(登録商標))と比較した場合、好ましくは、より長い作用持続期間(例えば一つ又は複数の症状において少なくとも5%、10%、25%、または50%の改善)を有する。前記作用持続期間は少なくとも1.25倍、1.5倍、1.75倍、2.0倍、または2.25倍であり得る。修飾BoNT/Aの当該作用持続期間は6カ月と9カ月との間であり得る。例えば作用持続期間は少なくとも以下であり得る。(発現より)4.5カ月、5.0カ月、5.5カ月、6カ月、6.5カ月、7.0カ月、7.5カ月、8カ月、8.5カ月、または9.0カ月。特定の実施の形態において、作用持続期間は9.0カ月よりも長くなり得る。
【0136】
複数の罹患頸筋に対して投与する場合、好ましくは、前記投与を同じ治療セッションで行う。
【0137】
修飾BoNT/Aの投与後の適切な期間に治療を繰り返してもよい。当該作用持続期間が非修飾BoNT/A(例えばDysport(登録商標))の2倍であることを考慮に入れると、罹患者が非修飾BoNT/A(例えばDysport(登録商標))を用いた治療を受ける場合よりも、後続の投与の間に適切に長い期間が存在する。本発明において、罹患者は先行する投与後少なくとも18週間、20週間、25週間、または30週間でBoNT/Aを再投与されてもよい。例えば、本発明において、罹患者は先行する投与後少なくとも18週間乃至45週間、好ましくは20週間乃至35週間で、修飾BoNT/Aを再投与されてもよい。
【0138】
当該治療の有効性(罹患者の症状の重症度を含む)はJost et al. 2013 J Neural Transm (Vienna) 120(3):487-496によってレビューされたトロントウェスタン痙攣性斜頸評価スケール(TWSTRS)を用いて評価されてもよい。TWSTRSはTWSTRS重症度スケールとTWSTRS障害スケールとTWSTRS疼痛スケールとからなる合成スケールである。TWSTRSのスコアが高いほど、病状がより重篤であることを示す。TWSTRS疼痛スケールは以下の項目を含む: A.最大可動域(回転、傾斜、前屈または後屈、外側偏移、矢状偏移)、B.持続期間係数、C.感覚トリックの効果、D.肩の挙上/前方の変位、E.可動域(感覚上の錯覚の補助を用いない)、F.時間(感覚トリックを用いずに当該罹患者が中立位置から10度以内に頭部を維持できる最大60秒)。持続期間係数は2倍に重みづけされ、AからFの合計は最大でスコア35になる。TWSTRS障害スケールは、頸部ジストニアの影響を受ける可能性のある日々の活動の成果についての評価を含む以下の6つの項目からなるスケールである: 作業の成果(仕事または家事)、日常生活における活動(食事、着替え、衛生)、運転、読書、テレビ鑑賞と家庭外での余暇活動。各項目は6段階評価(0=困難なし、5=障害の程度が最も高い)で評価され、各項目の合計は最大でスコア30になる。TWSTRS疼痛スケールは、持続期間構成要素と障害に対する疼痛の寄与についての評価だけでなく、当該罹患者の過去一週間におけるありふれた痛み、最悪の痛み及び最良の痛みに対する重症度評価からなる。評価範囲は0と20との間で、経験しうる最も激しい痛みに20を割り当てる。
【0139】
本明細書で使用する場合、「罹患者」はヒトまたは他の哺乳動物などの哺乳動物であってもよい。好ましくは、「罹患者」はヒトの罹患者を意味する。「罹患者」は好ましくは成人の罹患者であり、すなわち少なくとも18歳の罹患者である。「罹患者」と「患者」という用語は本明細書では同意語として使う。
【0140】
本明細書で使用する場合、「治療」または「治療する」という用語は、矯正治療(すでに病気を患っている罹患者の治療)だけではなく、予防的治療(例えば病気の発症を予防するため)も包含する。好ましくは、本明細書で使用する場合、「治療」または「治療する」は矯正治療を意味する。本明細書で使用する場合、「治療」または「治療する」という用語は、それらの疾患及び/又は症状を指す。
【0141】
適切な修飾BoNT/Aポリペプチド(と、存在する場合は、同じポリペプチドをコードするヌクレオチド配列)は、WO2015/004461A1とWO2017/191315と、に記載されており、これらの両方は、その全体が参照により本明細書に包含される。
【0142】
クロストリジウム属の細菌が産生するクロストリジウム神経毒の一例がBoNT/Aである。このようなクロストリジウム神経毒の他の例として、C. baratiiと、C. butyricumと、により産生される神経毒に加えて、破傷風菌(TeNT)とボツリヌス菌(BoNT)血清型B乃至Gとにより産生される神経毒も含まれる。前記神経毒は非常に強力かつ特異的であり、送達先の神経と他の細胞を毒する可能性がある。当該クロストリジウム毒素は既知の最も強力な毒素の一部である。例としてボツリヌス神経毒は、血清型によるが、0.5乃至5ng/kgの範囲の、マウスに対する半数致死量(LD50)値を有する。破傷風毒素とボツリヌス毒素は両方とも罹患したニューロンの機能、特に神経伝達物質の放出を阻害することにより作用する。ボツリヌス毒素が神経筋接合部で作用し、末梢神経系でのコリン作用性伝達を阻害する一方で、破傷風毒素は中枢神経系で作用する。
【0143】
自然界ではクロストリジウム神経毒(BoNT/Aを含む)は、ジスルフィド結合によって連結している2本のポリペプチド鎖を形成するタンパク質分解的切断事象によって、単鎖ポリペプチドとして合成される。切断は、鎖間ジスルフィド結合を提供するシステイン残基間に位置する、しばしば活性部位と呼ばれる、特定の切断部位で起こる。当該毒素の活性形態はこの二鎖型である。当該二鎖は約100kDaの分子量を有する重鎖(H鎖)と、約50kDaの分子量を有する軽鎖(L鎖)と呼ばれる。H鎖はN末端側転位置成分(HNドメイン)とC末端側標的成分(HCドメイン)とを含む。当該切断部位はL鎖と転位置ドメイン成分との間に位置する。当該HCドメインが標的ニューロンに結合し、エンドソームにより当該結合毒素が当該細胞内へ取り込まれた後に、当該HNドメインによって当該L鎖がエンドソーム膜を透過細胞質基質中に移動し、当該L鎖はプロテアーゼ機能(非細胞毒性プロテアーゼとしても知られている)を提供する。
【0144】
非細胞毒性プロテアーゼはSNAREタンパク質(例えばSNAP‐25、VAMPまたはシンタキシンなど)として知られる細胞間輸送タンパク質をタンパク質分解切断することで作用する―Gerald K (2002) "Cell and Molecular Biology” (4th edition) John Wiley & Sons, Inc参照。SNAREの頭字語は可溶性NSF付着受容体(Solute NSF Attachment Receptor)に由来し、NSFはN‐エチルマレイミド感度因子を意味する。SNAREタンパク質は細胞内小胞融合に不可欠であり、したがって小胞輸送を介した細胞からの分子分泌に不可欠である。プロテアーゼ機能は亜鉛依存エンドペプチダーゼ活性であり、SNAREタンパク質に対して高い基質特異性を示す。したがって望ましい目標細胞に送達されるとすぐに、非細胞毒性プロテアーゼは標的細胞からの細胞分泌を抑制することができる。クロストリジウム毒素のL鎖プロテアーゼはSNAREタンパク質を切断する非細胞毒性プロテアーゼである。
【0145】
SNAREタンパク質の遍在的性質を考えると、ボツリヌス毒素などのクロストリジウム神経毒の使用は幅広い治療法において成功している。
【0146】
ボツリヌス菌と破傷風菌における毒素産生の遺伝的基盤に関する更なる詳細についてはHenderson et al (1997)、The Clostridia: Molecular Biology and Pathogenesis、Academic pressを参照。
【0147】
上述のように、クロストリジウム神経毒は2つのポリペプチド鎖、約100kDaの分子量を持つ重鎖(H鎖)と約50kDaの分子量を持つ軽鎖(L鎖)、から形成される。H鎖はC末端側標的成分(受容体結合ドメインまたはHCドメイン)とN末端側転位置成分(HNドメイン)とを含む。
【0148】
クロストリジウム神経毒ドメインは以下でより詳細に記述される。
【0149】
L鎖参照配列の例は以下を含む:
A型ボツリヌス神経毒: アミノ酸残基 1~448
B型ボツリヌス神経毒: アミノ酸残基 1~440
【0150】
亜血清型に応じて若干の違いが生じる可能性があるので、上記特定参照配列は指針とみなされるべきである。例としてUS2007/0166332(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)は、以下のわずかに異なるクロストリジウム配列を引用している:
A型ボツリヌス神経毒: アミノ酸残基 M1~K448
B型ボツリヌス神経毒: アミノ酸残基 M1~K441
【0151】
転位置ドメインはH鎖のアミノ末端の半分にほぼ等しいクロストリジウム神経毒のH鎖の断片、または無傷のH鎖におけるその断片に相当するドメインである。
【0152】
転位置ドメイン参照の例は以下を含む:
A型ボツリヌス神経毒-アミノ酸残基(449~871)
B型ボツリヌス神経毒-アミノ酸残基(441~858)
【0153】
亜血清型に応じて若干の違いが生じる可能性があるので、上記で特定した参照配列は指針だと考えられるべきである。例として、US2007/0166332(参照により本明細書に組み込まれる)は、わずかに異なるクロストリジウム配列を引用している:
A型ボツリヌス神経毒‐アミノ酸残基 (A449~K871)
B型ボツリヌス神経毒‐アミノ酸残基 (A442~S858)
【0154】
本発明の文脈において転位置ドメインを含む様々なBoNT/AHN領域は、本発明の態様において有用であり得る。BoNT/Aの重鎖由来のHN領域は長さにおいて約410乃至430のアミノ酸であり、転位置ドメインを含む。クロストリジウム神経毒重鎖由来HN領域の全長は、転位置ドメインの転位置活性に必要でないということが研究により示された。したがって本実施の形態の態様は、例えば少なくとも350アミノ酸、少なくとも375アミノ酸、少なくとも400アミノ酸または少なくとも425アミノ酸の長さを有する転位置ドメインを含むBoNT/AHN領域を含む可能性がある。本実施の形態の他の態様は、例えば多くとも350アミノ酸、多くとも375アミノ酸、多くとも400アミノ酸または多くとも425アミノ酸の長さを有する転位置ドメインを含むBoNT/AH1N領域を含む可能性がある。
【0155】
HNという用語は自然発生のBoNT/AHN部分と、自然発生しないアミノ酸配列及び/又は人工アミノ酸残基を有する修飾BoNT/AHN部分と、を包含する。好ましくは、前記修飾BoNT/AHN部分は上記転位置機能を依然として示す。
【0156】
クロストリジウム神経毒受容体結合ドメイン(HC)参照配列の例は以下を含む:
BoNT/A‐N872-L1296
BoNT/B‐E859-E1291
【0157】
約50kDaのクロストリジウム神経毒(BoNT/Aなど)のHcドメインはHCCドメイン及びHCNドメインと呼ばれる2つの異なる構造的特徴を含み、両方とも典型的には約25kDaである。受容体結合に関与するアミノ酸残基は主にHCCドメインに位置すると考えられる。天然のクロストリジウム神経毒のHCドメインは、約400乃至440のアミノ酸残基を含みうる。この事実は、以下の刊行物によって確認されており、各刊行物は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる: Umland TC (1997) Nat. Struct. Biol. 4: 788-792; Herreros J (2000) Biochem. J. 347: 199-204; Halpern J (1993) J. Biol. Chem. 268: 15, pp. 11188-11192; Rummel A (2007) PNAS 104: 359-364; Lacey DB (1998) Nat. Struct. Biol. 5: 898-902; Knapp (1998) Am. Cryst. Assoc. Abstract Papers 25: 90; Swaminathan and Eswaramoorthy (2000) Nat. Struct. Biol. 7: 1751-1759; and Rummel A (2004) Mol. Microbiol. 51(3), 631-643。
【0158】
HCNドメイン(参照)例は以下を含む:
A型ボツリヌス神経毒‐アミノ酸残基(872~1110)
B型ボツリヌス神経毒‐アミノ酸残基(859~1097)
【0159】
上記配列位置は血清型/亜血清型に応じて多少異なってもよく、更なるHCNドメイン(参照)例は以下を含む:
A型ボツリヌス神経毒‐アミノ酸残基(874~1110)
B型ボツリヌス神経毒‐アミノ酸残基(861~1097)
【0160】
HCCドメインの(参照)例は以下を含む:
A型ボツリヌス神経毒‐アミノ酸残基(Y1111~L1296)
B型ボツリヌス神経毒‐アミノ酸残基(Y1098~E1291)
【0161】
L鎖及びHNドメイン(任意に完全なまたは部分的な活性化ループ、例えば修飾BoNT/Aが単鎖形態である場合には、完全な活性化ループを含み、二鎖型である場合には切断された/部分的な活性化ル-プを含む)は、集合的にLHNドメインと呼ばれてもよい。このLHNドメインは、したがって、更にHCドメインを含むことはない。
【0162】
本発明で使用する修飾BoNT/Aは以下から選択される一つ又は複数のアミノ酸残基に修飾を含むものであってもよい: ASN886、ASN905、GLN915、ASN918、GLU920、ASN930、ASN954、SER955、GLN991、GLU992、GLN995、ASN1006、ASN1025、ASN1026、ASN1032、ASN1043、ASN1046、ASN1052、ASP1058、HIS1064、ASN1080、GLU1081、GLU1083、ASP1086、ASN1188、ASP1213、GLY1215、ASN1216、GLN1229、ASN1242、ASN1243、SER1274、及びTHR1277。このような修飾BoNT/Aは既知のBoNT/Aの使用と比較して、副作用の軽減または不存在を示す。本発明の修飾BoNT/Aの増進した組織保持特性によって、有用性及び/又は作用持続期間の増大もまた提供され、既知のクロストリジウム神経毒治療法と比較して、使用用量の削減(または付加的な副作用を伴わない投与量の増加)が可能になり、したがって更なる利点を提供する。
【0163】
修飾は配列番号2として示される非修飾BoNT/Aと比較した場合の修飾であってもよく、ここでアミノ酸残基の番号付けは配列番号2とのアラインメントによって決定される。メチオニン残基が配列番号2の1番目に存在しているかは(本明細書に記載の修飾BoNT/Aポリペプチドに相当する配列番号と同様に)任意なので、アミノ残基の番号付けを決定する場合に、当業者はメチオニン残基の存在/不存在を考慮に入れよう。例えば、配列番号2がメチオニンを含む場合、位置番号付けは上で定義した通りである(例えばASN886は配列番号2のASN886となる)。あるいは、メチオニンが配列番号2に存在しない場合、当該アミノ酸残基の番号付けは-1だけ修正されるべきである(例えばASN886は配列番号2のASN885となる)。本明細書に記載の他のポリペプチド配列の1番目にメチオニンが存在する/存在しない場合にも同様の考え方が適用され、当業者は当技術分野で日常的な技術を用いて容易に正しいアミノ酸残基の番号付けを決定しよう。
【0164】
本明細書記載のアミノ酸残基の番号付けを決定するためのアラインメントは、配列の一致及び/又は%配列同一性を決定する本明細書に記載の方法のいずれかを用いて実行されてもよい。
【0165】
修飾のために示されたアミノ酸残基が表面露出アミノ酸残基である。
【0166】
修飾BoNT/Aは、以下から選択される一つ又は複数のアミノ酸残基に修飾を含む: ASN886、ASN930、ASN954、SER955、GLN991、ASN1025、ASN1026、ASN1052、ASN1188、ASP1213、GLY1215、ASN1216、GLN1229、ASN1242、ASN1243、SER1274、及びTHR1277。 当該修飾BoNT/Aは、配列番号3,5,7及び9から選択される核酸に対して少なくとも70%の配列同一性を有する核酸配列によってコードされてもよい。例えば、配列番号3、5、7及び9から選択される核酸配列に対して少なくとも80%、90%、95%、または99.9%の配列同一性を有する核酸配列である。好ましくは、本発明で使用される修飾BoNT/Aは、配列番号3、5、7、または9を含む(または当該配列番号からなる)核酸によってコードされてもよい。当該修飾BoNT/Aは配列番号4、6、8及び10から選択されるポリペプチド配列に対して少なくとも70%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含んでもよい。例えば、配列番号4、6、8及び10から選択されるポリペプチド配列に対して少なくとも80%、90%、95%、または99.9%の配列同一性を有するポリペプチド配列である。好ましくは、本発明で使用される修飾BoNT/Aは、配列番号4、6、8及び10から選択されるポリペプチド配列を含んでもよい(より好ましくは、当該ポリペプチド配列からなる)。
【0167】
「一つ又は複数のアミノ酸残基」という用語は、修飾BoNT/Aの文脈で使用される場合、好ましくは少なくとも2、3、4、5、6、または7つの提示されたアミノ酸残基を意味する。したがって、修飾BoNT/Aは、提示されたアミノ酸残基において少なくとも2、3、4、5、6、または7つ(好ましくは7つ)の修飾を含んでもよい。この修飾BoNT/Aは、1乃至30個、3乃至20個、または5乃至10個のアミノ酸修飾を含んでもよい。より好ましくは、「一つ又は複数のアミノ酸残基」という用語は、修飾BoNT/Aの文脈で使用される場合、提示された全てのアミノ酸残基を意味する。
【0168】
好ましくは、配列番号2と比較した場合、示されたアミノ酸残基における一つ又は複数の修飾以外に、当該修飾BoNT/Aは更なるアミノ酸修飾を含まない。
【0169】
最も好ましくは、修飾BoNT/Aは以下から選択される一つ又は複数のアミノ酸残基に修飾を含む(より好ましくは、当該修飾からなる): ASN886、ASN930、SER955、GLN991、ASN1026、ASN1052及び、GLN1229。 当該修飾BoNT/Aは、配列番号3に対して少なくとも70%の配列同一性を有する核酸配列によってコードされてもよい。例えば、配列番号3に対して少なくとも80%、90%、95%、または99.9%の配列同一性を有する核酸配列である。好ましくは、本発明で使用する修飾BoNT/Aは、配列番号3を含む(または当該配列番号からなる)核酸によってコードされてもよい。当該修飾BoNT/Aは、配列番号4に対して少なくとも70%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含んでもよい。例えば、配列番号4に対して少なくとも80%、90%、95%、または99.9%の配列同一性を有するポリペプチド配列である。好ましくは、本発明で使用する修飾BoNT/Aは配列番号4を含んでもよい(より好ましくは当該配列番号4からなる)。
【0170】
当該修飾は以下から選択されてもよい:
(i) 酸性表面露出アミノ酸残基の塩基性アミノ酸残基による置換、
(ii) 酸性表面露出アミノ酸残基の非荷電アミノ酸残基による置換、
(iii) 非荷電表面露出アミノ酸残基の塩基性アミノ酸残基による置換、
(iv) 塩基性アミノ酸残基の挿入、と
(v) 酸性表面露出アミノ酸残基の削除。
【0171】
上述したような修飾の結果、相当する非修飾のBoNT/Aと比較した場合に、正の表面電荷が増加し、等電点が増加した修飾BoNT/Aが得られる。
【0172】
等電点(pI)は、所与のタンパク質に特有の特性である。当該技術分野でよく知られているように、タンパク質は特定のアミノ酸配列(タンパク質の場合にはアミノ酸残基とも呼ばれる)から作られる。標準的な20のアミノ酸は各々、異なる側鎖(またはR基)を有し、これはタンパク質中の各アミノ酸残基が電荷や疎水性などの異なる化学的特性を示すことを意味する。これらの特性は温度やpHなどの周囲の化学的環境の影響を受け得る。タンパク質の全体的な化学的特性は、これら様々な要因の総和に依存する。
【0173】
特定のアミノ酸残基(以下詳述)は、当該周囲のpHに左右されて電荷を示し得るイオン化可能な側鎖を持つ。このような側鎖が所定のpHで帯電しているかどうかは、関連するイオン化しやすい部分のpKaに依存し、ここでpKaは、共役塩基からの特定のプロトンに対する酸解離定数(Ka)の負の対数である。
例えばアスパラギン酸やグルタミン酸などの酸性残基はpKa値が約4.1の側鎖カルボン酸基を持つ(正確なpKa値は温度、イオン強度及びイオン化可能な基の微環境に左右され得る)。したがってこれらの側鎖は、pH7.4(しばしば「生理的pH」と呼ばれる)で負の電荷を示す。pH値が低ければ、これらの側鎖はプロトン化されて電荷を失う。
【0174】
逆にリジンやアルギニンなどの塩基性残基はpKa値が約10~12の窒素含有側鎖基を有する。したがってこれらの側鎖はpH7.4で正の電荷を示す。これらの側鎖は高いpH値で脱プロトン化され、電荷を失う。
【0175】
したがって、タンパク質分子全体の(正味の)電荷は、当該タンパク質中に存在する酸性残基及び塩基性残基の数(及びそれらの表面露出の程度)と周囲のpHと、に依存する。周囲のpHを変化させると、当該タンパク質全体の電荷が変化する。したがってあらゆるタンパク質にとって、正電荷及び負電荷の数が等しく、当該タンパク質が全体として正味の電荷を示さない所与のpHが存在する。この点は等電点(pI)として知られている。等電点は、当業者が精通しているタンパク質生化学において標準的な概念である。
【0176】
したがって等電点(pI)は、タンパク質がゼロの正味電荷を示すpH値と定義される。pIの増加は、当該タンパク質がゼロの正味電荷を示すためにより高いpH値が必要であることを意味する。それゆえに、pIの増加は所与のpHにおけるタンパク質の正味の正電荷の増加を表す。逆にpIの減少は、当該タンパク質がゼロの正味電荷を示すために、より低いpH値が必要であることを意味する。したがって、pIの減少は、所与のpHにおける当該タンパク質の正味の正電荷の減少を表す。
【0177】
タンパク質のpIを決定する方法は当技術分野で知られており、当業者にはよく知られているであろう。例としてタンパク質のpIは、当該タンパク質中に存在する各アミノ酸の平均pKa値から算出できる(「算出pI」)。このような計算は、ExPASyのCompute pI/MW Tool(.expasy.org/compute_pi/)などの当該技術分野で知られているコンピュータープログラムを使用して実行することができ、これは本発明においてpIを算出するのに好ましい方法である。異なる分子間のpI値の比較は、同じ計算手法/プログラムを用いて行われるべきである。
【0178】
必要に応じて、タンパク質の算出pIは、等電点電気泳動の技術を用いて実験的に確認できる(「実測pI」)。この技術では、電気泳動を用いてpIに従ってタンパク質を分離する。等電点電気泳動は、典型的には、固定化されたpH勾配を有するゲルを用いて実行される。電界が印加されると、正味電荷がゼロになるpH(この地点が当該タンパク質のpIである)に達するまで当該タンパク質がpH勾配を通って移動する。等電点電気泳動によってもたらされる結果は、典型的には本質的に比較的分解能が低いため、本発明者らは(上述したように)算出pIによって得られる結果の方がより使用に適していると考える。
【0179】
本明細書全体を通じ、特に指示しない限り、「pI」は「算出pI」を意味する。
【0180】
タンパク質のpIは、その表面に提示される塩基性基及び/又は酸性基の数を変更することによって増減しうる。これは当該タンパク質の一つ又は複数のアミノ酸を修飾することで達成され得る。例えばpIの増加は酸性残基の数を減らすことにより、または塩基性残基の数を増やすことにより、もたらすことができる。
【0181】
本発明の修飾BoNT/Aは、非修飾BoNT/A(例えば配列番号2)のpI値よりも少なくとも0.2、0.4、0.5、または1pI単位高いpI値を有してもよい。好ましくは、修飾BoNT/Aは少なくとも6.6、例えば少なくとも6.8のpIを有してもよい。
【0182】
20の標準的なアミノ酸の特性は以下の表に示される:
【表G】
【0183】
以下のアミノ酸は荷電アミノ酸とみなされる: アスパラギン酸(負)、グルタミン酸(負)、アルギニン(正)及びリジン(正)。
【0184】
pH7.4では、アスパラギン酸(pKa3.1)とグルタミン酸(pKa4.1)の側鎖は負の電荷を持ち、一方でアルギニン(pKa12.5)とリジン(pKa10.8)の側鎖は正の電荷を持つ。アスパラギン酸とグルタミン酸は酸性アミノ酸残基と呼ばれる。アルギニンとリジンは塩基性アミノ酸残基と呼ばれる。
【0185】
以下のアミノ酸は、非荷電の極性(それらが水素結合に参加できることを意味する)アミノ酸とみなされる: アスパラギン、グルタミン、ヒスチジン、セリン、トレオニン、チロシン、システイン、メチオニン及びトリプトファン。
【0186】
以下のアミノ酸は、非荷電の疎水性アミノ酸とみなされる: アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、プロリン及びグリシン。
【0187】
アミノ酸の挿入において、追加のアミノ酸残基(通常は存在しないもの)が当該BoNT/Aポリペプチド配列に組み込まれ、その結果、前記配列におけるアミノ酸残基の総数が増加する。アミノ酸の削除において、アミノ酸残基がクロストリジウム毒素のアミノ酸配列から除去され、その結果、前記配列におけるアミノ酸残基の総数が減少する。
【0188】
好ましくは、当該修飾は置換であり、当該修飾BoNT/Aにおいて同数のアミノ酸残基を有利に保持する。アミノ酸置換において、当該BoNT/Aポリペプチド配列の一部を形成するアミノ酸残基は異なるアミノ酸残基に置換される。上述したように、当該置換アミノ酸残基は当該20の標準的なアミノ酸のうちの一つであってもよい。あるいは、アミノ酸置換における当該置換アミノ酸は、非標準的なアミノ酸(上記の20の標準的な集まりの一部ではないアミノ酸)であってもよい。例として、当該置換アミノ酸は、例えば、L‐オルニチン、L‐2‐アミノ‐3‐グアニジノプロピオン酸またはリジン、アルギニン及びオルニチンのD‐異性体などの塩基性の非標準アミノ酸であってもよい。非標準的なアミノ酸をタンパク質中に導入する方法は当該技術分野で知られており、大腸菌栄養要求発現ホストを使った組み換えタンパク質合成を含む。
【0189】
一実施形態において、当該置換は以下から選択される: 酸性アミノ酸残基の塩基性アミノ酸残基による置換、酸性アミノ酸残基の非荷電アミノ酸残基による置換及び非荷電アミノ酸残基の塩基性アミノ酸残基による置換。一実施形態において、置換が酸性アミノ酸残基の非荷電アミノ酸残基による置換である場合、当該酸性アミノ酸残基は対応する非荷電アミドアミノ酸残基で置き換えられる(すなわちアスパラギン酸はアスパラギンによって、グルタミン酸はグルタミン酸によって置き換えられる)。
【0190】
好ましくは、塩基性アミノ酸残基はリジン残基またはアルギニン残基である。言い換えると、当該置換はリジンまたはアルギニンによる置換である。最も好ましくは、当該修飾はリジンによる置換である。
【0191】
本発明における修飾の後、当該修飾BoNT/Aは、非修飾BoNT/A(例えば配列番号2)が結合する標的細胞受容体に結合することができる。
【0192】
本発明において使用される修飾BoNT/Aは、クロストリジウム毒素HCNドメインに位置する4と40との間のアミノ酸修飾を含んでもよい。前記修飾BoNT/Aは、好ましくは、少なくとも6.6のpIも有する。前記修飾BoNT/Aは好ましくは以下から選択される少なくとも4つのアミノ酸の修飾を含む: ASN886、ASN930、ASN954、SER955、GLN991、ASN1025、ASN1026、及びASN1052。ここで前記修飾はリジン残基またはアルギニン残基による当該アミノ酸の置換を含む。例えば、前記修飾BoNT/Aまたはその断片は、以下から選択される少なくとも5つのアミノ酸における修飾を含んでもよい: ASN886、ASN930、ASN954、SER955、GLN991、ASN1025、ASN1026、ASN1052、及びGLN1229。ここで前記修飾はリジン残基またはアルギニン残基による当該アミノ酸の置換を含む。
【0193】
本明細書で使用する場合、「修飾BoNT/A」または「キメラ神経毒」という用語は好ましくは、第一のクロストリジウム神経毒血清型由来のクロストリジウム神経毒軽鎖及び転位置ドメイン(HNドメイン)と、第二の異なるクロストリジウム神経毒血清由来の受容体結合ドメイン(HCドメイン)と、を含む(好ましくは当該各ドメインからなる)神経毒を意味する。具体的には、本発明で使用する修飾BoNT/Aは、ボツリヌス神経毒A(BoNT/A)軽鎖及び転位置ドメイン(HNドメイン)と、BoNT/B受容体結合ドメイン(HCドメイン)と、を含む。当該修飾BoNT/AのBoNT/ALHNドメインはBoNT/BHCドメインと共有結合している。本発明の当該修飾BoNT/Aは、キメラボツリヌス神経毒素と呼ばれてもよい。前記修飾BoNT/Aは本明細書では「BoNT/AB」、「mrBoNT/AB」または「BoNT/ABキメラ」とも呼ばれる。
【0194】
最も好ましくは、本発明で使用する修飾BoNT/Aは、BoNT/A軽鎖及び転位置ドメイン(BoNT/ALHNドメイン)と、BoNT/BHCドメインと、を含んでもよい。当該BoNT/ALHNドメインは当該BoNT/BHCドメインと共有結合する。前記修飾BoNT/Aは、本明細書において「BoNT/AB」または「BoNT/ABキメラ」とも呼ばれる。
【0195】
LHNドメインのC末端アミノ酸残基は、BoNT/AのLHNドメイン及びHCドメインを分離する310ヘリックスの最初のアミノ酸残基に対応し得る。更に当該HCドメインのN末端アミノ酸残基は、BoNT/BのLHNドメイン及びHCドメインを分離する310ヘリックスの二番目のアミノ酸残基に対応し得る。
【0196】
BoNT/Bポリペプチド配列の例は、配列番号16(UniProt受託番号B1INP5)として提供される。
【0197】
本明細書における「BoNT/AのLHNドメイン及びHCドメインを分離する310ヘリックスの最初のアミノ酸残基」への言及は、当該LHNドメイン及びHCドメインを分離する310ヘリックスのN末端残基を意味する。
【0198】
本明細書における「BoNT/BのLHNドメイン及びHCドメインを分離する310ヘリックスの二番目のアミノ酸残基」への言及は、当該LHNドメイン及びHCドメインを分離する310ヘリックスのN末端残基に続くアミノ酸残基を意味する。
【0199】
「310ヘリックス」は、αヘリックスと、βシートと、逆ターンと、ともに、タンパク質及びポリペプチドにおいて見られる二次構造の一種である。310ヘリックスにおけるアミノ酸は、フルターンが各々、その回転間の分子内水素結合を分離する3つの残基と10個の原子によって完成される右巻きの螺旋構造に配置されている。各アミノ酸は当該螺旋における120°回転(つまり当該螺旋は1回転あたり3残基を有する)と螺旋軸に沿った2.0Å(= 0.2nm)の移動に対応し、水素結合によって形成された環内に10個の原子を有する。最も重要なことは、アミノ酸のN‐H基が3残基前の当該アミノ酸のC=O基と水素結合を形成することである。この繰り返されるi+3→i水素結合は310ヘリックスを定義する。310ヘリックスは当業者が精通している構造生物学における標準的な概念である。
【0200】
この310ヘリックスは実際の螺旋を形成する4つの残基とこれら4つの残基の各末端に1つずつ位置する2つのキャップ(または移行)残基に相当する。本明細書で使用される「LHNドメインとHCドメインを分離する310ヘリックス」という用語は、それら6残基からなる。
【0201】
構造分析と配列アラインメントの実行を通して、LHNドメイン及びHCドメインを分離する310ヘリックスが同定された。当該310ヘリックスは、そのN末端(つまり当該LHNドメインC末端部)でαヘリックスに囲まれ、そのC末端(つまり、当該HCドメインのN末端部)でβストランドに囲まれる。当該310ヘリックスの最初の(N末端)残基(キャップまたは移行残基)はこのαヘリックスのC末端残基にも相当する。
【0202】
LHNドメイン及びHCドメインを分離する310ヘリックスは例えば公開されているボツリヌス神経毒の結晶構造、例えばボツリヌス神経毒A1及びB1はそれぞれ3BTA(w.rcsb.org/pdb/explore/explore.do?structureId=3BTA)と、1EPW(w.rcsb.org/pdb/explore/explore.do?structureId=1EPW)と、から決定され得る。
【0203】
公表されているイン・シリコモデリング及びアラインメントツール、例えばホモロジーモデリングサーバーであるLOOPP(タンパク質パターンの学習、観察及び出力、p.org)、PHYRE (タンパク質相同性/類似性認識エンジン、w.sbg.bio.ic.ac.uk/phyre2/)及びRosetta(w.rosettacommons.org/)、タンパク質重ね合わせサーバーであるSuperPose (t.biology.ualberta .ca/superpose/)、アラインメントプログラムであるClustalOmega (w.clustal.org/omega/)及び分子細胞生物学者向けインターネットリソースであるl-tools.ca/に列挙されているその他の多くのツール/サービスを用いて、他の神経毒素における当該LHNドメイン及びHCドメインを分離する310ヘリックスの位置を決定することもできる。特に、「HN /HCN」接合部周囲の領域は構造的に高度に保護されている可能性があるために、異なる血清型を重ね合わせるのに理想的な領域となっている。
【0204】
例えば下記方法論を使って他の神経毒におけるこの310ヘリックスの当該配列を決定してもよい:
1. 構造相同性モデリングツールLOOP(p.org)を使用して、BoNT/A1結晶構造(3BTA.pdb)に基づいた他のBoNT血清型の予測構造を取得しうる。
2. このようにして取得した構造的(pdb)ファイルをHCNドメインのN末端とその前の(HNドメインの一部である)約80残基のみを含むように編集することにより、構造的に高度に保護された「HN/HCN」領域を維持する。
3. タンパク質重ね合わせサーバーであるSuperPose(t.biology.ualberta.ca/superpose/)を使用して、各血清型を当該3BTA.pdb構造に重ね合わせてもよい。
4. 重ね合わされた当該pdbファイルを調査することで当該BoNT/A1のHNドメインの先頭に当該310ヘリックスを位置づけてもよく、それにより他の血清型において対応する残基を特定してもよい。
5. 他のBoNT血清配列は、対応する残基が正しいことを確認するために、ClustalOmegaで位置合わせをしてもよい。
【0205】
この方法により決定されたLH
N、H
C及び3
10ヘリックスドメインの例を以下に示す。
【表H】
【0206】
構造分析と配列アラインメントを使用することで、LHNドメイン及びHCドメインを分離する310ヘリックスに続くβ鎖が、全てのボツリヌス神経毒と破傷風神経毒において保護されている構造であり、LHNドメイン及びHCドメインを分離する310ヘリックスの最初の残基(例えばBoNT/A1残基879)から開始した場合に8番目の残基から始まることが判明した。
【0207】
BoNT/ABキメラは、BoNT/B由来のHCドメインと共有結合しているBoNT/A由来のLHNドメインを含むかもしれず、ここでは当該LHNドメインのC末端アミノ酸残基が、BoNT/Aの当該HCドメインの最初(N末端)に位置する当該β鎖のN末端から8番目のアミノ酸残基に相当し、当該HCドメインのN末端アミノ酸残基が、BoNT/Bの当該HCドメインの最初(N末端)に位置する当該β鎖のN末端から7番目のアミノ酸残基に相当する。
【0208】
BoNT/ABキメラは、BoNT/B由来のHCドメインと共有結合しているBoNT/A由来のLHNドメインを含むかもしれず、ここでは当該LHNドメインのC末端アミノ酸残基が、BoNT/Aの当該LHNドメインの最後(C末端)に位置する当該αヘリックスのC末端アミノ酸残基に対応し、当該HCドメインのN末端アミノ酸残基が、BoNT/Bの当該LHNドメインの最後(C末端)に位置する当該αヘリックスのC末端アミノ酸残基に対してC末端で接しているアミノ酸残基に対応する。
【0209】
当該BoNT/ABキメラの設計プロセスの論理的根拠は、二次構造が損なわれていないことを保証し、それによって三次構造及び各ドメインの機能に対するあらゆる変化を最小限に抑えようと試みるものである。理論に拘束されることを望むものではないが、当該BoNT/ABキメラにおける310ヘリックス中央の4つのアミノ酸残基を破壊しないことで、当該キメラ神経毒にとって最適な立体構造が保証され、それにより当該キメラ神経毒がその効用を最大に発揮できるようになるとの仮説が立てられる。実際、驚くべきことに、当該BoNT/Aの310ヘリックスの最初のアミノ酸残基及び、BoNT/Bの310ヘリックス以降2番目のアミノ酸残基のみを保持することにより、可溶かつ機能的なBoNT/ABの生成が可能になるだけではなく、特に効力の増加、安全率の増加及び/又はより長い作用持続期間(非修飾BoNT/Aと比較した場合の安全率及び/又は作用持続期間の増加と同様)といった他のBoNT/ABキメラを上回る優れた特性につながる。
【0210】
当該BoNT/A軽鎖、BoNT/A転位置ドメイン、及び/又はBoNT/BHcドメインは修飾BoNT/A軽鎖、修飾BoNT/A転位置ドメイン、及び/又は修飾BoNT/BHcドメイン、もしくはこれらの誘導体であってもよく、以下に説明するものを含むがこれらに限定されない。修飾BoNT/A軽鎖、BoNT/A転位置ドメイン、及び/又はBoNT/BHCドメイン、もしくは誘導体は、当該BoNT/A軽鎖、BoNT/A転位置ドメイン、及び/又はBoNT/BHCドメインの、天然の(非修飾)形態と比較して修飾された一つ又は複数のアミノ酸を含んでもよく、または当該BoNT/A軽鎖、BoNT/A転位置ドメイン、及び/又はBoNT/BHCドメインの、天然の(非修飾)形態においては存在しない、挿入されたアミノ酸を一つ又は複数含んでもよい。例として、修飾BoNT/A軽鎖、BoNT/A転位置ドメイン、及び/又はBoNT/BHcドメインは、天然の(非修飾)BoNT/A軽鎖、BoNT/A転位置ドメイン、及び/又はBoNT/BHCドメイン配列と比較して、一つ又は複数のドメインにおいて修飾アミノ酸配列を有してもよい。このような修飾によりその機能的側面、例えば生物学的活性または持続性が変更され得る。したがって、一実施形態において、当該BoNT/A軽鎖、BoNT/A転位置ドメイン、及び/又はBoNT/BHCドメインは、修飾BoNT/A軽鎖、BoNT/A転位置ドメイン、及び/又はBoNT/BHCドメイン、または修飾BoNT/A軽鎖、BoNT/A転位置ドメイン、及び/又はBoNT/BHCドメインの誘導体である。
【0211】
標的神経細胞への結合を変化させる修飾、例えば天然の(非修飾)BoNT/BHCドメインと比べて高い、または低い結合親和性を示す、を修飾BoNT/BHCドメインは一つ又は複数、有してもよい。当該BoNT/BHCドメインにおけるそのような修飾には、当該標的神経細胞のガングリオシド受容体、及び/又はタンパク質受容体への結合を変化させる、当該HCドメインのガングリオシド結合部位またはタンパク質(例えばシナプトタグミン)結合部位における残基の修飾が含まれてもよい。このような修飾神経毒の例は、WO2006/027207と、WO2006/114308と、に記載されており、これらの両方ともその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0212】
修飾軽鎖はそのアミノ酸配列に一つ又は複数の修飾、例えば当該修飾軽鎖のSNAREタンパク質特異性を変更または修飾する可能性のある基質結合ドメインまたは触媒ドメインにおける修飾、を有してもよく、好ましくは、前記修飾は前記軽鎖を触媒的に不活性化しないという条件を伴う。このような修飾神経毒の例は、WO2010/120766と、US2011/0318385と、に記載されており、これらの両方ともその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0213】
BoNT/A由来のLHNドメインは、配列番号2のアミノ酸残基1乃至872、またはそれらに対して少なくとも70%の配列同一性を有するポリペプチド配列に相当してもよい。BoNT/A由来の当該LHNドメインは、配列番号2のアミノ酸残基1乃至872、またはそれらに対して少なくとも80%、90%、または95%の配列同一性を有するポリペプチド配列に相当してもよい。好ましくは、BoNT/A由来の当該LHNドメインは、配列番号2のアミノ酸残基1乃至872に相当する。
【0214】
BoNT/B由来のHCドメインは、配列番号16のアミノ酸残基860乃至1291、またはそれらに対して少なくとも70%の配列同一性を有するポリペプチド配列に相当してもよい。BoNT/B由来の当該HCドメインは、配列番号16のアミノ酸残基860乃至1291、またはそれらに対して少なくとも80%、90%、または95%の配列同一性を有するポリペプチド配列に相当してもよい。好ましくは、BoNT/B由来の当該HCドメインは、配列番号16のアミノ酸残基860乃至1291に相当する。
【0215】
好ましくはBoNT/ABキメラは、BoNT/A1LHNドメインと、BoNT/B1HCドメインと、を含む。より好ましくは、当該LHNドメインはBoNT/A1(配列番号2)のアミノ酸残基1乃至872に相当し、当該HCドメインはBoNT/B1(配列番号16)のアミノ酸残基860乃至1291に相当する。
【0216】
好ましくは、BoNT/BHCドメインは更に、天然のBoNT/B配列と比較して、BoNT/B神経毒のヒトSyt2に対する結合親和性を増加させる効果を有する、HCCサブドメインにおけるアミノ酸残基の置換、付加または削除を少なくとも一つ含む。BoNT/BHccサブドメインにおける適切なアミノ酸残基の置換、付加または削除はWO2013/180799と、WO2016/154534と、において開示されている(両方とも参照により本明細書に組み込まれる)。
【0217】
当該BoNT/BHccサブドメインにおける適切なアミノ酸残基の置換、付加または削除には以下で構成される基から選択される置換修飾が含まれてもよい: V1118M、V1183M、E1191M、E1191I、E1191Q、E1191T、S1199Y、S1199F、S1199L、S1201V、E1191C、E1191V、E1191L、E1191Y、S1199W、S1199E、S1199H、W1178Y、W1178Q、W1178A、W1178S、Y1183C、Y1183P、及びそれらの組み合わせ。
【0218】
当該BoNT/BHccサブドメインにおける適切なアミノ酸残基の置換、付加または削除には、更に、以下で構成される基から選択される2つの置換修飾の組み合わせが含まれてもよい: E1191M及びS1199L、E1191M及びS1199Y、E1191M及びS1199F、E1191Q及びS1199L、E1191Q及びS1199Y、E1191Q及びS1199F、E1191M及びS1199W、E1191M及びW1178Q、E1191C及びS1199W、E1191C及びS1199Y、E1191C及びW1178Q、E1191Q及びS1199W、E1191V及びS1199W、E1191V及びS1199Y、またはE1191V及びW1178Q。
【0219】
当該BoNT/BHccサブドメインにおける適切なアミノ酸残基の置換、付加または削除にE1191Mと、S1199Wと、W1178Qと、の3つの置換修飾の組み合わせもまた含まれてもよい。
【0220】
最も好ましくは、当該BoNT/BHccサブドメインにおける適切なアミノ酸残基の置換、付加または削除に、E1191Mと、S1199Yと、の2つの置換修飾の組み合わせが含まれる。このような修飾は、例えばBoNT/ABキメラ配列番号13と、配列番号14と、に存在する。
【0221】
当該修飾は、配列番号16として示される非修飾BoNT/Bと比較した場合の修飾であってもよく、ここでアミノ酸残基の番号付けは、配列番号16とのアラインメントによって決定される。配列番号16の1の位置におけるメチオニン残基の存在は(本明細書に記載の修飾BoNT/Aポリペプチドに相当する配列番号と同様)任意であるので、アミノ酸残基の番号付けを決定する際に当業者は、メチオニン残基の存在/不存在を考慮しよう。例えば、配列番号16がメチオニンを含む場合、その位置の番号付けは上で定義した通りとなる(例えば、E1191は配列番号16のE1191となる)。あるいは、メチオニンが配列番号16に存在しない場合、当該アミノ酸残基の番号付けは‐1だけ修正されるべきである(例えば、E1191は配列番号16のE1190となる)。本明細書に記載の他のポリペプチド配列の1の位置にあるメチオニンが存在/不存在である場合にも同様の考えが適用され、当業者は当技術分野で日常的な技術を用いて容易にアミノ酸残基の正しい番号付けを決定しよう。
【0222】
本発明で使用される修飾BoNT/Aは、配列番号11乃至15から選択されるポリペプチド配列に対して少なくとも70%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含んでもよい。例えば、配列番号11乃至15から選択されるポリペプチド配列に対して少なくとも80%、90%、95%、または99.9%の配列同一性を有するプリペプチド配列である。好ましくは、本発明で使用される修飾BoNT/Aは配列番号11乃至15から選択されるポリペプチド配列を含んでもよい(より好ましくは、当該リペプチド配列からなる)。
【0223】
修飾BoNT/AがBoNT/ABキメラである場合、当該修飾BoNT/Aが配列番号14に対して少なくとも70%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含むことが好ましい。例えば、配列番号14に対して少なくとも80%、90%、95%、または99.9%の配列同一性を有するポリペプチド配列である。最も好ましくは、本発明で使用される修飾BoNT/Aは配列番号14を含んでもよい(より好ましくは配列番号14からなる)。
【0224】
アミノ酸残基の置換、挿入または削除によってタンパク質を修飾する方法は当技術分野で知られている。例として、アミノ酸修飾は、BoNT/Aをコードする(例えば非修飾BoNT/Aをコードする)DNA配列の修飾によって導入されてもよい。これは例えばポリメラーゼ酵素を用いた元のコード配列の置換に所望のアミノ酸をコードする短いDNA(オリゴヌクレオチド)鎖が用いられる部位特異突然変異誘発、または様々な酵素(例えばリガーゼと、制限エンドヌクレアーゼと)を用いた遺伝子の一部の挿入/削除などの標準的な分子クローニング技術を使用することで達成することができる。あるいは、修飾遺伝子配列を化学的に合成することもできる。
【0225】
本明細書に記載の修飾BoNT/Aのポリペプチド配列が、例えば精製のために、Hisタグなどのタグを含む場合、前記タグは任意である。好ましくは、前記タグは本発明における当該修飾BoNT/Aの使用に先立って除去される。
【0226】
上述したように、本明細書に記載の修飾BoNT/Aは、有効性及び/又は作用持続期間の増大もまたもたらす、増大した組織保持特性を有しており、追加的な負の効果を与えることなく投薬量を増やすことが可能である。これらの有利な特性を定義し得る一つの方法は、当該修飾BoNT/Aの安全率の観点からのものである。このことについて、クロストリジウム毒素の望ましくない影響(投与部位からの当該毒素の拡散により引き起こされる)は、適合する動物モデル(例えば、投与してから7日間以内に体重減少が検知されるマウス)における体重減少の割合を測定することによって実験的に評価できる。逆に、クロストリジウム毒素の望ましいオン・ターゲット効果は、筋肉麻痺の指標である指外転スコア(DAS)アッセイによって実験的に評価できる。当該DASアッセイは、ゼラチンリン酸緩衝液に配合されたクロストリジウム毒素20μlをマウスの腓腹筋/ヒラメ筋複合体に注射し、その後Aokiの方法(Aoki KR、Toxicon 39: 1815-1820;2001)を用いた指外転スコアの評価によって実行されてもよい。当該DASアッセイにおいて、マウスが後肢を伸ばし、後ろ指を外転させる特徴的な驚愕反応を引き出すためにマウスを短時間その尾で吊り下げる。クロストリジウム毒素注射の後、様々な程度の指の外転を5段階評価でスコア化する(0=正常、4=指の外転と肢の伸展の減少が最大)。
【0227】
次に、本発明の修飾BoNT/A(または比較のための非修飾BoNT/A)の安全率は、体重の10%減少に必要な毒素の量(マウスに投与後初めての7日間におけるピーク効果で測定)と、DASスコア2に必要な毒素の量と、の比として表されてもよい。したがって、高い安全率スコアは望ましく、望ましくないオフ・ターゲット効果をほとんど伴わずに標的筋を効果的に麻痺させることができる毒素を示す。本発明の修飾BoNT/Aは、同等の非修飾(天然)BoNT/Aの安全率よりも高い安全率を有する。
【0228】
高い安全率は治療指数の増大を意味するので、治療において特に有利である。言い換えると、このことは代替のクロストリジウム神経毒治療と比べて、より少ない用量で使用できること、及び/又は追加の(例えば有害な)影響を与えずに、より多くの用量で使用できることを意味する。有害な影響には全身毒性と、隣接する筋肉への望ましくない拡散と、を含む。通常、高用量により当該神経毒の作用持続期間が増加するので、追加的影響を伴わない高用量の神経毒使用の可能性は特に有利である。
【0229】
修飾BoNT/Aの効用はマウスの腓腹筋/ヒラメ筋複合体に投与した場合の所与のDASスコア、例えばDASスコア2(ED50用量)またはDASスコア4、をもたらす神経毒の最小用量として表されてもよい。修飾BoNT/Aの当該効用は、当該神経毒によるSNARE切断を測定する細胞分析におけるEC50用量、例えば修飾BoNT/AによるSNAP25切断を測定する細胞分析におけるEC50用量、としても表されてもよい。
【0230】
修飾BoNT/Aの作用持続期間は所定用量の神経毒、例えばDASスコア4をもたらす神経毒の最小用量、をマウスの腓腹筋/ヒラメ筋複合体へ投与した後、DASスコア0にまで回復するために必要な時間として表されてもよい。
【0231】
したがって、一実施形態において、本発明の修飾BoNT/Aは7を超える安全率(例えば少なくとも8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、または50)を有し、ここで安全率は以下のものとして計算される: DASED50(pg/マウス)で割った-10%の体重変化に必要な毒素の用量(pg/マウス) [ED50=DASスコア2を生じるのに必要な用量]。
【0232】
一実施形態において、本発明の修飾BoNT/Aは少なくとも10の安全率を有する。一実施形態において、本発明の修飾BoNT/Aは少なくとも15の安全率を有する。
【0233】
好ましくは、本明細書に記載のように修飾BoNT/Aが以下から選択される一つ又は複数のアミノ酸残基を含むものである場合、前記修飾BoNT/Aは少なくとも20、より好ましくは少なくとも22(例えば23乃至25)の安全率を有する: ASN886、ASN930、ASN954、SER955、GLN991、ASN1025、ASN1026、ASN1052、ASN1188、ASP1213、GLY1215、ASN1216、GLN1229、ASN1242、ASN1243、SER1274、及びTHR1277。
【0234】
好ましくは、修飾BoNT/AがBoNT/A軽鎖及び転位置ドメインと、BoNT/BHCドメインと、を含むものである場合、当該修飾BoNT/Aは少なくとも10、より好ましくは少なくとも12(例えば14乃至15)、の安全率を有する。
【0235】
当該修飾BoNT/Aは、好ましくは非複合体の形態をとる(すなわち、天然に存在するBoNT/Aにおいて存在する複合タンパク質を含まない)。このような複合タンパク質の例には、神経毒結合タンパク質(NAP)と、血球凝集活性を持たない無毒成分(NTNH)と、を含む。しかしながら、当該修飾BoNT/Aは組換え修飾BoNT/Aであることが好ましい。本発明のそのような修飾BoNT/Aは、組換え核酸技術を用いて生成することができる。
【0236】
一実施形態において、修飾BoNT/Aをコードする核酸配列を含む核酸(例えばDNA)が与えられる。一実施形態において、当該核酸配列はプロモーターと、ターミネーターと、を含むDNAベクターの一部として作製される。当該核酸配列は、本明細書に記載の核酸配列のいずれかから選択されてもよい。
【0237】
好ましい実施の形態において、当該ベクターは以下から選択されるプロモーターを有する:
プロモーター / 誘導剤 / 典型的な誘導条件
Tac (hybrid) / IPTG / 0.2 mM (0.05-2.0mM)
AraBAD / L-アラビノース / 0.2% (0.002-0.4%)
T7-lac オペレーター / IPTG / 0.2 mM (0.05-2.0mM)
【0238】
別の好ましい実施の形態において、当該ベクターは以下から選択されるプロモーターを有する:
プロモーター / 誘導剤 / 典型的な誘導条件
Tac (hybrid) / IPTG / 0.2 mM (0.05-2.0mM)
AraBAD / L-アラビノース / 0.2% (0.002-0.4%)
T7-lac オペレーター / IPTG / 0.2 mM (0.05-2.0mM)
T5-lac オペレーター / IPTG / 0.2 mM (0.05-2.0mM)
【0239】
当該核酸分子は、当技術分野で知られている任意の適切な処置を用いて作製されてもよい。したがって、当該核酸分子は化学合成技術を用いて作製されてもよい。あるいは、本発明の当該核酸分子は分子生物学技術を用いて作製されてもよい。
【0240】
本発明のDNAコンストラクタは、好ましくはイン・シリコで設計されてから従来のDNA合成技術によって合成される。
【0241】
上述の核酸配列情報は使用される最終的なホスト細胞(例えば大腸菌)の発現系において、コドンバイアスのために任意に修飾される。
【0242】
「ヌクレオチド配列」及び「核酸」という用語は、本明細書では同義に使用される。好ましくは、当該ヌクレオチド配列はDNA配列である。
【0243】
本発明の修飾BoNT/Aは単鎖または二鎖として存在してもよい。しかしながら当該修飾BoNT/Aは、L鎖がジスルフィド結合を介してH鎖(またはその成分、例えばHNドメイン)に結合している二鎖として存在することが好ましい。
【0244】
軽鎖と、重鎖と、を有する単鎖修飾BoNT/Aの産生を、発現ホストにおける修飾BoNT/Aをコードする核酸の発現と、当該ホスト細胞の崩壊による単鎖修飾BoNT/Aを含むホスト細胞ホモジネートの提供と、当該単鎖修飾BoNT/Aの分離と、を含む方法を用いて達成してもよい。本明細書に記載の当該単鎖修飾BoNT/Aは、当該修飾BoNT/Aの活性化ループ内のペプチド結合を加水分解するプロテアーゼと、単鎖修飾BoNT/Aと、の接触による当該単鎖修飾BoNT/Aの対応する二鎖修飾BoNT/Aへの変換(例えばここでは軽鎖と重鎖がジスルフィド結合によって結合される)を含む方法を用いて、タンパク質分解的に処理されてもよい。二鎖修飾BoNT/Aは、好ましくは、そのような方法によって取得される。
【0245】
したがって本発明で使用される修飾BoNT/Aは、好ましくは、単鎖BoNT/Aから生成された二鎖修飾BoNT/Aであり、ここでの当該単鎖BoNT/Aは本明細書に記載のポリペプチド配列を含む、または、当該ポリペプチド配列からなる。例えば、本発明で使用される当該修飾BoNT/Aは、配列番号14に対して少なくとも70%(例えば少なくとも80%、90%、95%、または99.9%)の配列同一性を有するポリペプチド配列を含むポリペプチドから生成された二鎖修飾BoNT/Aであることが好ましい。最も好ましくは、本発明で使用される当該修飾BoNT/Aは、配列番号14を含む(更により好ましくは当該配列番号14からなる)ポリペプチドから生成された二鎖修飾BoNT/Aである。したがって、一部の実施の形態において、当該修飾BoNT/Aは、配列番号14を含む単鎖修飾BoNT/Aと、その活性化ループ内のペプチド結合を加水分解するプロテアーゼと、の接触による当該単鎖修飾BoNT/Aの、対応する二鎖修飾BoNT/Aへの変換を含む方法によって得られる、軽鎖(L鎖)がジスルフィド結合を介して重鎖(H鎖)と結合している二鎖修飾BoNT/Aである。一部の実施の形態において、当該修飾BoNT/Aは配列番号14からなる単鎖修飾BoNT/Aと、その活性ループにおいてペプチド結合を加水分解するプロテアーゼとの接触による当該単鎖修飾BoNT/Aの、対応する二鎖BoNT/Aへの変換を含む方法によって得られる、L鎖がジスルフィド結合を介してH鎖と結合している二鎖修飾BoNT/Aである。
【0246】
一実施形態において、本発明で使用される当該修飾BoNT/Aは、配列番号4に対して少なくとも70%(例えば少なくとも80%、90%、95%、または99.9%)の配列同一性を有するポリペプチド配列を含むポリペプチドから生成された二鎖修飾BoNT/Aである。好ましくは、本発明で使用される当該修飾BoNT/Aは、配列番号4を含む(より好ましくは配列番号4からなる)ポリペプチドから生成された二鎖修飾BoNT/Aである。したがって、一部の実施の形態において、当該修飾BoNT/Aは、配列番号4を含む単鎖修飾BoNT/Aと、その活性化ループ内のペプチド結合を加水分解するプロテアーゼと、の接触による当該単鎖修飾BoNT/Aの、対応する二鎖修飾BoNT/Aへの変換を含む方法によって得られる、軽鎖(L鎖)がジスルフィド結合を介して重鎖(H鎖)に結合している二鎖修飾BoNT/Aである。一部の実施の形態において、当該修飾BoNT/Aは、配列番号4からなる単鎖修飾BoNT/Aと、その活性ループにおいてペプチド結合を加水分解するプロテアーゼと、の接触による当該単鎖修飾BoNT/Aの、対応する二鎖修飾BoNT/Aへの転換を含む方法によって得られる、L鎖がジスルフィド結合を介してH鎖に結合している二鎖修飾BoNT/Aである。
【0247】
本明細書で使用する場合、「得られる」という用語は「得た」という用語も包含する。一実施形態において、「得られる」という用語は、得たことを意味する。
【0248】
活性化ループの切断に使用されるプロテアーゼは、好ましくはLys-Cである。当該活性化ループを切断して二鎖クロストリジウム神経毒を生成するための適切なプロテアーゼ及び方法はWO2014/080206と、WO2014/079495と、EP2677029A2と、に教示されており、これらは参照により本明細書に組み込まれる。Lys-Cは、活性化ループC末端に存在する一つ又は複数のリジン残基に対して活性化ループC末端を切断してもよい。Lys-Cが当該活性化ル-プを複数回切断する場合、二鎖修飾BoNT/Aの当該活性化ループの小さなペプチドが、本明細書に示される配列番号と比較した場合に、存在しない可能性があることは当業者に理解されよう。
【0249】
本発明の修飾BoNT/Aは、例えば医薬組成物の一部として、罹患者への投与のための任意の適切な方法で処方されてもよい。したがって、一つの態様において、本発明は、本発明の修飾BoNT/Aと、薬学的に許容される担体、賦形剤、アジュバント、及び/又は塩類と、を含む医薬組成物を提供する。
【0250】
液体剤形は、典型的には、当該修飾BoNT/Aと、パイロジェンフリーの滅菌溶媒と、を利用して調合される。当該修飾BoNT/Aは、使用する溶媒及び濃度に応じて、当該溶媒中に溶解または懸濁され得る。溶液調合において、当該修飾BoNT/Aは当該溶媒に溶解することができ、必要に応じた塩化ナトリウムの添加により当該溶液を等張にし、無菌技術を用いた滅菌フィルターを介した濾過による滅菌を行ってから、適切な滅菌瓶またはアンプルに充填し、密封する。あるいは、溶液の安定性が十分であれば、密閉容器内の当該溶液は高圧蒸気殺菌法によって滅菌されてもよい。有利には、緩衝剤、可溶化剤、安定化剤、防腐剤または殺菌剤、懸濁剤または乳化剤、及び/又は局所麻酔薬などの添加物を当該溶媒に溶解してもよい。
【0251】
使用に先立ち適切な溶媒に溶解または懸濁される乾燥粉末を、無菌区域で無菌技術を用いて、滅菌済みの成分を無菌容器に充填して調合してもよい。あるいは、無菌区域で無菌技術を用いて当該成分を適切な容器に溶解してもよい。次に当該生産物を凍結乾燥し、当該容器を無菌状態で密封する。
【0252】
本明細書に記載の投与経路に適した、非経口で投与される懸濁液は、滅菌成分が溶解される代わりに滅菌溶媒中に懸濁されること、及び濾過による滅菌を達成できないことを除き、実質的に同じ方法で調合される。当該成分は無菌状態で単離されてもよく、または単離後に例えばガンマ線照射などにより滅菌されてもよい。
【0253】
有利には、例えばポリビニルピロリドンなどの懸濁材が組成物に含まれ、成分の均一な分布を促進する。
【0254】
別の態様において、本発明は頸部ジストニア治療のための修飾ボツリヌス神経毒素A(BoNT/A)の単位剤形を提供し、当該単位剤形は以下を含み:
a. 31乃至707単位の修飾BoNT/A、ここで1単位はマウスにおける算出半致死量(LD50)に相当する当該修飾BoNT/Aの量であり、または
b. 750pg乃至17,000pgの修飾BoNT/A、及び
c. 任意の、薬学的に許容される担体、賦形剤、アジュバント、及び/又は塩類、
当該修飾BoNT/Aは、BoNT/A軽鎖及び転位置ドメインと、BoNT/B受容体結合ドメイン(Hcドメイン)と、を含む。
【0255】
当該単位剤形の修飾BoNT/Aは、配列番号14に対して少なくとも70%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含むことが好ましい。例えば、少なくとも80%、90%、95%、または99.9%の配列同一性を有するポリペプチド配列である。最も好ましくは、修飾BoNT/Aは配列番号14を含んでもよい(より好ましくは当該配列番号14からなる)。
【0256】
頸部ジストニア治療のための単位剤形は、750pg乃至17,000pgの修飾BoNT/Aを含んでもよく、750pg乃至17,000pgの修飾BoNT/Aであり、当該修飾BoNT/AはBoNT/A軽鎖及び転位置ドメインと、BoNT/B受容体結合ドメイン(Hcドメイン)と、を含む。当該単位用量範囲の上限は、16,500、15,500、14,500、13,500、12,500、11,500、10,500、9,500、8,500、7,500、6,500、5,500、4,500、3,500、2,500、2,250、2,000、1,500、1,250、1,000、または750pgの修飾BoNT/Aであってもよく、好ましくは、当該上限は16,000pgである。当該単位用量範囲の下限は800、850、950、1,000、1,500、1,750、2,000、2,500、3,000、3,500、4,000、4,500、または5,000pgの修飾BoNT/Aであってもよく、好ましくは、当該下限は1,000pgである。好ましくは、修飾BoNT/Aの当該単位用量は1,000pg乃至16,000pgの修飾BoNT/Aであり、例えば950pg乃至1,250pg、1,750pg乃至2,250pg、または8,000pg乃至12,000pgである。好ましくは、修飾BoNT/Aの単位用量は、1,000、2,000、3,000、8,000、または16,000pgであってもよい。
【0257】
頸部ジストニア治療のための単位剤形は、31単位乃至707単位の修飾BoNT/Aを含んでもよく、ここで当該修飾BoNT/Aは、BoNT/A軽鎖及び転位置ドメインと、BoNT/B受容体結合ドメイン(HCドメイン)を含む。当該単位用量範囲の上限は700、650、600、550、500、450、400、350、300、250、200、150、100、95、90、85、65、60、55、50、または31単位の修飾BoNT/Aであってもよく、好ましくは、当該上限は666単位である。当該単位用量範囲の下限は35、40、45、50、60、65、70、75、80、85、90、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、または700単位の修飾BoNT/Aであってもよく、好ましくは、当該下限は42単位である。好ましくは、修飾BoNT/Aの当該単位用量は42単位乃至666単位の修飾BoNT/Aであり、例えば40単位乃至50単位、70単位乃至95単位、または333単位乃至499単位である。好ましくは、修飾BoNT/Aの単位用量は41.6単位、83.2単位、124.8単位、332.8単位、または665.6単位であってもよい。
【0258】
別の態様において、本発明は頸部ジストニア治療のための修飾ボツリヌス神経毒素A(BoNT/A)の単位剤形を提供し、当該単位剤形は以下を含むものであり:
a. 53単位乃至948単位の修飾BoNT/Aで、ここで1単位はマウスにおける算出半致死量(LD50)に相当する修飾BoNT/Aの量、または
b. 450pg乃至8,000pgの修飾BoNT/Aと、
c. 任意に、薬学的に許容される担体、賦形剤、アジュバント及び/又は塩類であり、
当該修飾BoNT/Aは、以下から選択される一つ又は複数のアミノ酸残基に修飾を含むものであり: ASN886、ASN905、GLN915、ASN918、GLU920、ASN930、ASN954、SER955、GLN991、GLU992、GLN995、ASN1006、ASN1025、ASN1026、ASN1032、ASN1043、ASN1046、ASN1052、ASP1058、HIS1064、ASN1080、GLU1081、GLU1083、ASP1086、ASN1188、ASP1213、GLY1215、ASN1216、GLN1229、ASN1242、ASN1243、SER1274と、THR1277、当該修飾は以下から選択されるものである:
i.酸性表面露出アミノ酸残基の塩基性アミノ酸残基による置換、
ii.酸性表面露出アミノ酸残基の非荷電アミノ酸残基による置換、
iii.非荷電表面露出アミノ酸残基の塩基性アミノ酸残基による置換、
iv.塩基性アミノ酸残基の挿入と、
v.酸性表面露出アミノ酸残基の削除。
【0259】
頸部ジストニア治療のための単位剤形は450pg乃至8,000pgの修飾BoNT/Aを含んでもよく、当該修飾BoNT/Aは以下から選択される一つ又は複数のアミノ酸残基に修飾を含み: ASN886、ASN905、GLN915、ASN918、GLU920、ASN930、ASN954、SER955、GLN991、GLU992、GLN995、ASN1006、ASN1025、ASN1026、ASN1032、ASN1043、ASN1046、ASN1052、ASP1058、HIS1064、ASN1080、GLU1081、GLU1083、ASP1086、ASN1188、ASP1213、GLY1215、ASN1216、GLN1229、ASN1242、ASN1243、SER1274と、THR1277、当該修飾は以下から選択される: (i)表面露出酸性アミノ酸残基の塩基性アミノ酸残基による置換; (ii)酸性表面露出アミノ酸残基の非荷電アミノ酸残基による置換; (iii)非荷電表面露出アミノ酸残基の塩基性アミノ酸残基による置換; (iv)塩基性アミノ酸残基の挿入; 及び (v)酸性表面露出アミノ酸残基の削除。 当該範囲の上限は7,750、7,500、7,000、6,000、5,000、4,000、3,000、2,000、または1,000pgの修飾BoNT/Aであってもよく、好ましくは、当該上限は7,500pgである。当該範囲の下限は475、500、600、700、800、900、1,000、1,500、2,000、3,000、4,000、5,000、6,000、または7,000pgの修飾BoNT/Aであってもよく、好ましくは、当該下限は500pgである。好ましくは、当該単位剤形は500pg乃至7,500pgの修飾BoNT/Aを含み、例えば4,000pg乃至6,000pgである。最も好ましくは、当該単位剤形は2,000pg乃至3,000pgの修飾BoNT/Aを含み、例えば2,400pg乃至2,600pgなどである。
【0260】
頸部ジストニア治療のための単位剤形は53単位乃至948単位の修飾BoNT/Aを含んでもよく、当該修飾BoNT/Aは以下から選択される一つ又は複数のアミノ酸残基に修飾を含むものであり: ASN886、ASN905、GLN915、ASN918、GLU920、ASN930、ASN954、SER955、GLN991、GLU992、GLN995、ASN1006、ASN1025、ASN1026、ASN1032、ASN1043、ASN1046、ASN1052、ASP1058、HIS1064、ASN1080、GLU1081、GLU1083、ASP1086、ASN1188、ASP1213、GLY1215、ASN1216、GLN1229、ASN1242、ASN1243、SER1274と、THR1277、ここで当該修飾は以下から選択される: (i)表面露出酸性アミノ酸残基の塩基性アミノ酸残基による置換; (ii)酸性表面露出アミノ酸残基の非荷電アミノ酸残基による置換; (iii)非荷電表面露出アミノ酸残基の塩基性アミノ酸残基による置換; (iv)塩基性アミノ酸残基の挿入; 及び (v)酸性表面露出アミノ酸残基の削除。 当該範囲の上限は925、900、850、800、750、700、650、600、550、500、450、400、350、300、250、200、150、または100単位の修飾BoNT/Aであってもよく、好ましくは、当該上限は889単位である。当該範囲の下限は55、60、65、70、75、80、85、90、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、または900単位の修飾BoNT/Aであってもよく、好ましくは、当該下限は59単位である。好ましくは、当該単位剤形は59単位乃至889単位、例えば200単位乃至600単位の修飾BoNT/Aを含む。最も好ましくは、当該単位剤形は237単位乃至355単位、例えば284単位乃至308単位修飾BoNT/Aを含む。
【0261】
別の態様において、本発明は以下を含むキットを提供する:
a. 本発明による当該単位剤形と、
b. 頸部ジストニアの治療における同単位剤形の使用についての指示書と、
c. 随意により希釈剤。
【0262】
本発明の様々な治療用途に関する実施の形態は、当該方法と、組成物(例えば単位剤形)と、本発明のキットと、に適用することができ、またその逆も同様である。
【0263】
配列相同性
【0264】
同一性パーセントを決定するために,グローバル法、ローカル法及びセグメントアプローチ法などのハイブリッド法を含むがこれらに限定されない、任意の様々な配列アラインメント法を使用することができる。同一性パーセントを決定するプロトコルは、当業者の範囲内の日常的な手順である。グローバル法では、分子配列を最初から最後まで整列させ、個々の残基対のスコアを合計し、ギャップペナルティを課すことによって最適な整列を決定する。非限定的な方法としては、例えばCLUSTALWは、例えばJulie D. Thompson et al., CLUSTAL W: Improving the Sensitivity of Progressive Multiple Sequence Alignment Through Sequence Weighting, Position- Specific Gap Penalties and Weight Matrix Choice, 22(22) Nucleic Acids Research 4673-4680 (1994) を参照、そして反復改良法は、例えば、Osamu Gotoh, Significant Improvement in Accuracy of Multiple Protein を参照。Sequence Alignments by Iterative Refinement as Assessed by Reference to Structural Alignments,264(4) J. MoI. Biol. 823-838 (1996)。ローカル法は、すべての入力配列に共有される一つ又は複数の保存されたモチーフを同定することによって配列を整列させる。非限定的な方法には、例えばマッチボックスが含まれ、例えば、Eric Depiereux and Ernest Feytmans, Match-Box: A Fundamentally New Algorithm for the Simultaneous Alignment of Several Protein Sequences, 8(5) CABIOS 501 -509 (1992) を参照。ギブズサンプリングは、例えば、CE Lawrence et al., Detecting Subtle Sequence Signals: A Gibbs Sampling Strategy for Multiple Alignment, 262(5131) Science 208-214 (1993) を参照。Align-Mは、例えば、Ivo Van WaIIe et al., Align-M - A New Algorithm for Multiple Alignment of Highly Divergent Sequences, 20(9) Bioinformatics:1428-1435 (2004)を参照。
【0265】
したがって、配列同一性パーセントは従来の方法によって決定される。例えば、Altschul et al, Bull. Math. Bio. 48: 603-16, 1986 and Henikoff and Henikoff, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:10915-19, 1992を参照。簡潔に言うと、以下に示すように(アミノ酸は標準的な一文字コードで示される)、2つのアミノ酸配列は10のギャップオープンペナルティと、1のギャップ延長ペナルティと、 Henikoff及びHenikoff(ibid.)の「blosum62」スコアマトリックスと、を用いて一列に並べられ、当該アラインメントスコアを最適化する。好ましくは、この方法は本明細書に記載されるように、配列を本明細書の対象配列(例えば配列番号2)と整列させてアミノ酸位置の番号付けを定義するために使用される。
【0266】
二つまたはそれ以上の核酸またはアミノ酸配列間における「配列同一性パーセント」は、当該配列によって共有される同一位置の数についての関数である。したがって、同一性パーセントは、同一のヌクレオチド/アミノ酸の数をヌクレオチド/アミノ酸の総数で割り、100を掛けたものとして計算されてもよい。配列同一性パーセントの計算では、また、ギャップの数と、二つまたはそれ以上の配列のアラインメントを最適化するために挿入する必要がある各ギャップの長さと、を考慮に入れてもよい。二つまたそれ以上の配列間の配列比較及び同一性パ-セントの決定は、当業者にはよく知られているBLASTなどの特定の数学的アルゴリズムを用いて実行することができる。
【0267】
配列同一性決定のためのアラインメントスコア
【数1】
【0268】
同一性パーセントは次のように計算される:
[完全一致の総数×100] / [長い方の配列の長さ+二つの配列を整列させるために長い方の配列に挿入されたギャップの数]
【0269】
実質的に相同なポリペプチドは一つ又は複数のアミノ酸の置換、削除または付加を有するとみなされる。これらの変化は、好ましくは比較的重要ではない性質のものであり、即ち当該ポリペプチドのフォールディングまたは活性に有意に影響しない保存的アミノ酸置換(下記参照)及び他の置換である: 典型的には1乃至約30のアミノ酸の小さな削除と、アミノ末端メチオニン残基、最大で約20乃至25残基の小さなリンカーペプチド、またはアフィニティタグなどの小さなアミノ末端またはカルボキシル末端の伸長である。
【0270】
保存的アミノ酸置換
塩基性:
アルギニン
リジン
ヒスチジン
酸性:
グルタミン酸
アスパラギン酸
極性:
グルタミン
アスパラギン
疎水性:
ロイシン
イソロイシン
バリン
芳香族:
フェニルアラニン
トリプトファン
チロシン
小さい:
グリシン
アラニン
セリン
トレオニン
メチオニン
【0271】
20の標準アミノ酸に加えて、非標準アミノ酸(4-ヒドロキシプロリンと、6‐N‐メチルリジンと、2‐アミノイソ酪酸と、イソバリンと、α‐メチルセリンなど)が本発明のポリペプチドのアミノ酸残基を置換してもよい。限られた数の非保存アミノ酸及び、遺伝暗号によってコードされないアミノ酸及び、自然に発生しないアミノ酸が、ポリペプチドアミノ酸残基に置換されてもよい。本発明のポリペプチドは自然に発生しないアミノ酸残基を含むこともできる。
【0272】
自然に発生しないアミノ酸には、トランス‐3-メチルプロリン、2,4‐メタノプロリン、シス‐4‐ヒドロキシプロリン、トランス‐4‐ヒドロキシプロリン、N‐メチルグリシン、アロトレオニン、メチルトレオニン、ヒドロキシエチルシステイン、ヒドロキシエチルホモシステイン、ニトログルタミン、ホモグルタミン、ピペコリン酸、テルトロイシン、ノルバリン、2‐アザフェニルアラニン、3‐アザフェニルアラニン、4‐アザフェニルアラニン及び4‐フルオロフェニルアラニンを含むが、これらに限定されない。自然発生しないアミノ酸残基をタンパク質に組み込むための様々な方法が当技術分野で知られている。例えば、化学的にアミノアシル化したサプレッサーtRNAを用いてナンセンス突然変異が抑制されるイン・ビトロ系を使用することができる。アミノ酸を合成し、tRNAをアミノアシル化する方法は当技術分野で知られている。ナンセンス突然変異を含むプラスミドの転写及び翻訳を、大腸菌S30抽出物と、市販の酵素及びその他の試薬と、を含む無細胞系で実行する。タンパク質をクロマトグラフィーによって精製する。例えば、Robertson et al., J. Am. Chem. Soc. 113:2722, 1991; Ellman et al., Methods Enzymol. 202:301, 1991; Chung et al., Science 259:806-9, 1993; and Chung et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:10145-9, 1993) を参照。第二の方法では、突然変異mRNA及び化学的にアミノアシル化したサプレッサーtRNAをマイクロインジェクションすることで、アフリカツメガエル卵母細胞中で翻訳が行われる(Turcatti et al., J. Biol. Chem. 271:19991-8, 1996)。第三の方法では、大腸菌細胞を置換されるであろう天然アミノ酸(例えばフェニルアラニン)の不存在下と、所望の非自然発生アミノ酸(例えば2‐アザフェニルアラニン、3‐アザフェニルアラニン、4‐アザフェニルアラニン、または4‐フルオロフェニルアラニン)の存在下と、において培養する。当該非自然発生アミノ酸は、天然アミノ酸の代わりに当該ポリペプチドに組み込まれる。Koide et al., Biochem. 33:7470-6, 1994を参照。自然発生アミノ酸残基をイン・ビトロ化学修飾によって、非自然発生種に変換することができる。化学修飾を部位特異的突然変異誘発と組み合わせて当該置換の範囲を更に拡大することができる(Wynn and Richards, Protein Sci. 2:395-403, 1993)。
【0273】
限られた数の非保存的アミノ酸と、遺伝暗号によってコードされないアミノ酸と、非自然発生アミノ酸と、非天然アミノ酸と、を本発明のポリペプチドのアミノ酸残基に置換してもよい。
【0274】
本発明のポリペプチドにおける必須アミノ酸は、部位特異的突然変異誘発またはアラニンスキャニング突然変異誘発など(Cunningham and Wells, Science 244: 1081-5, 1989)当技術分野で知られている手順に従って同定することができる。生物相互作用部位は、想定されるコンタクト部位アミノ酸の突然変異と組み合わせて、核磁気共鳴、結晶学、電子回折または光親和性標識などの技術により決定される構造の物理的分析によって決定することもできる。例えば、de Vos et al., Science 255:306-12, 1992; Smith et al., J. Mol. Biol. 224:899-904, 1992; Wlodaver et al., FEBS Lett. 309:59-64, 1992を参照。必須アミノ酸の同一性は、本発明のポリペプチドの関連成分(例えば転位置成分またはプロテアーゼ成分)との相同性の分析から推測することもできる。
【0275】
多数のアミノ酸置換は、Reidhaar-Olson and Sauer (Science 241:53-7, 1988)またはBowie and Sauer (Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:2152-6, 1989) などにより開示されているような既知の突然変異誘発及びスクリーニングについての方法を用いて作成及びテストすることができる。簡潔に言うと、これらの著者らは、ポリペプチド内の2つまたはそれ以上の位置を同時にランダム化し、機能性ポリペプチドを選択し、次に突然変異誘発されたポリペプチドを配列決定して、各位置で許容される置換のスペクトルを決定する方法を開示している。使用可能な他の方法としては、ファージディスプレイ(例えばLowman et al., Biochem. 30:10832-7, 1991; Ladner et al., U.S. Patent No. 5,223,409; Huse, WIPO Publication WO 92/06204)と、部位特異的突然変異誘発(Derbyshire et al., Gene 46:145, 1986; Ner et al., DNA 7:127, 1988)と、が含まれる。
【0276】
他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。Singleton, et al., DICTIONARY OF MICROBIOLOGY AND MOLECULAR BIOLOGY, 20 ED., John Wiley and Sons, New York (1994), and Hale & Marham, THE HARPER COLLINS DICTIONARY OF BIOLOGY, Harper Perennial, NY (1991) は、当業者に本開示で使用される多くの当該用語の一般的な辞書を提供する。
【0277】
本開示は、本明細書で開示される例示的な方法及び材料によって限定されず、本明細書に記載されたものと類似の、または同等の任意の方法及び材料を、本開示の実施の形態の実践またはテストに使用することができる。数値範囲には、当該範囲を定義する数値が含まれる。特に明記しない限り、それぞれ、任意の核酸配列は5´から3´の方向に、左から右へと、アミノ酸配列は、アミノ基方向からカルボキシ基方向に、左から右へと書かれる。
【0278】
本明細書に提供される見出しは、本開示の様々な態様または実施の形態を制限するものではない。本明細書でアミノ酸は、アミノ酸の名称、3文字の略語、または1文字の略語を用いて言及される。本明細書で使用する場合、用語「タンパク質」には、タンパク質と、ポリペプチドと、ペプチドと、が含まれる。本明細書で使用する場合、用語「アミノ酸配列」は用語「ポリペプチド」及び/又は用語「タンパク質」と同義である。場合によっては、用語「アミノ酸配列」は用語「ペプチド」と同義である。場合によっては、用語「アミノ酸配列」は用語「酵素」と同義である。用語「タンパク質」及び「ポリペプチド」は本明細書では互換的に使用される。本開示及び特許請求の範囲において、アミノ酸残基についての従来の一文字コード及び三文字コードが使用されてもよい。アミノ酸の当該三文字コードはIUPACIUB Joint Commission on Biochemical Nomenclature(JCBN)に従って定義されたものである。遺伝暗号の縮重により、ポリペプチドが一つ又は複数のヌクレオチド配列によってコードされてもよいことも理解されている。
【0279】
用語の異なる定義が明細書の全体に亘って現れることもある。例示的な実施の形態についてのより詳細な説明の前に、本開示は述べられた特定の実施の形態に限定されず、よって変更され得ることは理解されるべきである。また、本開示の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ定義されるので、本明細書で使用される用語は特定の実施の形態を説明することのみを目的としており、限定することを意図したものではないことも理解されるべきである。
【0280】
値の範囲が与えられる場合に、当該範囲の上限と下限との間の各介在値はその上、文脈が明確に他の指示をしない限り、当該下限の単位の10分の1まで、明確に開示されることが理解される。記載範囲内における任意の記載値または介在値と、当該記載範囲内における他の記載値または介在値と、の間のより小さな範囲の各々は本開示内に含まれる。
【0281】
これらのより小さな範囲の上限及び下限はそれぞれ独立して、その範囲に包含または除外されてもよく、より小さな範囲において、それらの限度のいずれかが含まれる範囲、どちらも含まれない範囲、またはその両方が含まれる範囲の各々もまた本開示に包含されるが、当該記載範囲において特に除外された限度がある場合はこれを条件とする。当該記載範囲が当該限度の一方または両方を含む場合、それらの包含されている制限の一方または両方を除く範囲もまた本開示に含まれる。
【0282】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用されているように、文脈上明らかな他の指示がない限り、単数形「a」、「an」、及び「the」には複数の指示対象が含まれることに留意すべきである。したがって、例えば、「修飾ボツリヌス神経毒素A」への言及には、複数のそのような候補薬剤が含まれ、「当該修飾ボツリヌス神経毒素A」への言及には、一つ又は複数の修飾ボツリヌス神経毒素A及び当業者が既知のその均等物等への言及が含まれる。
【0283】
本明細書で論じる刊行物は、本出願の出願日前の開示のためにのみ提供される。本明細書のいかなる部分も、そのような刊行物が本明細書に添付の特許請求の範囲に対する先行技術を構成することを認めるものとして解釈されるべきではない。
【0284】
次に、一例として、本発明の実施の形態を、以下の図及び実施例を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0285】
【
図1】
図1はFDAが承認した頸部ジストニア治療のためのDysport(登録商標)の投薬量を示す。
【
図2】
図2はカチオン性コンストラクトの等電点電気泳動(IEF)ゲルを示す。
【
図3】
図3は、Cat5v2(K1064H/N954K)(A)と、Cat5v2(K1064H/N886K)(B)と、Cat5v2(K1064H/N1025K)(C)と、のラット胚性脊髄ニューロン(eSCN)におけるSNAP‐25切断の割合及びnBoNT/A1に対するpEC50の概要を示す(A、B、C)ラット胚性脊髄ニューロンを3週間培養し、Cat5v4で24時間処理した後、SNAP-25特異抗体を用いてウェスタンブロッティングを行った。データは、3連の独立した実験の平均値±SEMである。(D)ラットeSCN SNAP-25切断効力アッセイにおける、Cat5v2(K1064H/N886K)、Cat5v2(K1064H/N954K)及びCat5v2(K1064H/N1025K)のnBoNT/A1(List Biological Laboratories)に対する相対力価である。各点は個々のバッチに対応し、8点の濃度反応曲線(CRC)に基づいた3つの独立したpEC50測定の平均である。CRCの各濃度は3連評価された。効力の比較はプールデータn=24でリストバッチの平均に対して行われる。データはCat5v4あたりn=3バッチの平均±SEMである。
【
図4】
図4は、マウス横隔神経半横隔膜アッセイ(mPNHD)におけるnBoNT/A1と、Cat5v4と、の効力(t
50)を示す。マウス横隔神経半横隔膜組織を図のように、Cat5v4または天然のBoNT/A1と共にインキュベートした。横隔膜の収縮力は収縮が検出されなくなるまで、または140分後に記録された。各点は独立した測定に対応する。t
50値はマウスの半横隔膜の収縮力を50%阻害するのに必要な時間である。
【
図5】
図5は、精製された組換えBoNT/ABキメラ1、2及び、3Aと、(配列番号はそれぞれ11と、12と、13と)のSDS‐PAGEを示す。レーンには「マーカ」(分子量マーカ)と、「-DTT」(酸化型BoNT/ABキメラサンプル)と、「+DTT」(還元型BoNT/ABキメラサンプル)と、ラベルされている。
【
図6】
図6は、ラット脊髄ニューロンにおける、組換えBoNT/ABキメラ1、2及び3A(それぞれ配列番号が11と、12と、13と、で二鎖型に変換されている)によるSNAP‐25の切断を示す。初代培養ラット脊髄ニューロン(SCN)を様々な濃度の組換えBoNT/ABキメラ1、2、または3Aに、24時間、10%のCO
2を含む湿気を含んだ大気中に、37℃で曝露した。次に細胞をDTT及びベンゾナーゼ添加1xNuPAGE緩衝液に溶解させた。当該サンプルを微量遠沈管に移し、ヒートブロック上で5分間、90℃で加熱、-20℃で保存した後にウエスタンブロットでSNAP‐25切断を分析した。SNAP‐25の全長と、切断型と、の両方を検出するポリクローナル抗体を用いてSNAP‐25を検出した(Sigma #S9684)。抗ウサギHRP(Sigma #A6154)を二次抗体として使用した。
【
図7】
図7はマウスの指外転スコアリングアッセイを示す。短時間の全身麻酔下で、マウスの片方の後肢の腓腹筋・ヒラメ筋複合筋に注射し、筋力低下を指外転スコア(DAS)を用いて0乃至4のスケールで測定した。各容量のDAS最大値を決定して用量に対してプロットし、当該データを4パラメーターのロジスティック方程式に当てはめて、ED50と、DAS4を導く用量(DAS4用量)値を決定した。
【
図8】
図8は、精製された組換えBoNT/ABキメラ3B及び3C(配列番号がそれぞれ14と15)と、のSDS‐PAGEを示す。レーンには「マーカ」(分子量マーカ)と、「-DTT」(酸化型BoNT/ABキメラサンプル)と、「+DTT」(還元型BoNT/ABキメラサンプル)と、ラベルされる。
【
図9】
図9はヒト人工多能性幹細胞由来末梢ニューロン(PERI.4U‐Axiogenesis,Germany)における、非修飾BoNT/Aと、BoNT/ABキメラ3B及び3C(配列番号がそれぞれ2と、14と、15と、で二鎖型に変換されている)と、によるSNAP-25の切断を示す。PEDRI.4U細胞を様々な濃度の組換えBoNT/A、またはBoNT/ABキメラ3Bまたは3Cに、24時間、37℃で5%CO
2を含む湿気を含んだCO
2大気中に曝露した。次に細胞をDTT及びベンゾナーゼ添加1xNuPAGEバッファーに溶解した。当該サンプルを微量遠沈管に移し、ヒートブロック上で5分間、90度で加熱し、-20℃で保存した後に、ウエスタンブロットでSNAP‐25切断を分析した。SNAP‐25(Sigma #S9684)の全長及び切断型の両方を検出するポリクローナル抗体を用いて、SNAP‐25を検出した。抗ウサギHRP(Sigma #A6154)を二次抗体として使用した。
【
図10】
図10はマウス指外転スコアリングアッセイにおける経時的な筋力低下の持続期間を示す。短時間の全身麻酔下で、マウスの片方後肢の腓腹筋・ヒラメ筋複合筋に注射し、指外転スコア(DAS)を用いて、筋力低下について0乃至4のスケールで測定した。注射後最初の4日間にDAS4を誘発する最低用量を注射した群の動物を、筋力低下が完全に回復しDAS0(筋力低下が観察されない)になるまで監視した。
【0286】
配列表
【0287】
最初のMetアミノ酸残基、または対応する最初のコドンが以下の配列番号のいずれかに示されている場合、前記残基/コドンは任意である。
【0288】
配列番号1 (ヌクレオチド配列, 非修飾 BoNT/A)
ATGCCATTCGTCAACAAGCAATTCAACTACAAAGACCCAGTCAACGGCGTCGACATCGCATACATCAAGATTCCGAACGCCGGTCAAATGCAGCCGGTTAAGGCTTTTAAGATCCACAACAAGATTTGGGTTATCCCGGAGCGTGACACCTTCACGAACCCGGAAGAAGGCGATCTGAACCCGCCACCGGAAGCGAAGCAAGTCCCTGTCAGCTACTACGATTCGACGTACCTGAGCACGGATAACGAAAAAGATAACTACCTGAAAGGTGTGACCAAGCTGTTCGAACGTATCTACAGCACGGATCTGGGTCGCATGCTGCTGACTAGCATTGTTCGCGGTATCCCGTTCTGGGGTGGTAGCACGATTGACACCGAACTGAAGGTTATCGACACTAACTGCATTAACGTTATTCAACCGGATGGTAGCTATCGTAGCGAAGAGCTGAATCTGGTCATCATTGGCCCGAGCGCAGACATTATCCAATTCGAGTGCAAGAGCTTTGGTCACGAGGTTCTGAATCTGACCCGCAATGGCTATGGTAGCACCCAGTACATTCGTTTTTCGCCGGATTTTACCTTCGGCTTTGAAGAGAGCCTGGAGGTTGATACCAATCCGTTGCTGGGTGCGGGCAAATTCGCTACCGATCCGGCTGTCACGCTGGCCCATGAACTGATCCACGCAGGCCACCGCCTGTACGGCATTGCCATCAACCCAAACCGTGTGTTCAAGGTTAATACGAATGCATACTACGAGATGAGCGGCCTGGAAGTCAGCTTCGAAGAACTGCGCACCTTCGGTGGCCATGACGCTAAATTCATTGACAGCTTGCAAGAGAATGAGTTCCGTCTGTACTACTATAACAAATTCAAAGACATTGCAAGCACGTTGAACAAGGCCAAAAGCATCGTTGGTACTACCGCGTCGTTGCAGTATATGAAGAATGTGTTTAAAGAGAAGTACCTGCTGTCCGAGGATACCTCCGGCAAGTTTAGCGTTGATAAGCTGAAGTTTGACAAACTGTACAAGATGCTGACCGAGATTTACACCGAGGACAACTTTGTGAAATTCTTCAAAGTGTTGAATCGTAAAACCTATCTGAATTTTGACAAAGCGGTTTTCAAGATTAACATCGTGCCGAAGGTGAACTACACCATCTATGACGGTTTTAACCTGCGTAACACCAACCTGGCGGCGAACTTTAACGGTCAGAATACGGAAATCAACAACATGAATTTCACGAAGTTGAAGAACTTCACGGGTCTGTTCGAGTTCTATAAGCTGCTGTGCGTGCGCGGTATCATCACCAGCAAAACCAAAAGCCTGGACAAAGGCTACAACAAGGCGCTGAATGACCTGTGCATTAAGGTAAACAATTGGGATCTGTTCTTTTCGCCATCCGAAGATAATTTTACCAACGACCTGAACAAGGGTGAAGAAATCACCAGCGATACGAATATTGAAGCAGCGGAAGAGAATATCAGCCTGGATCTGATCCAGCAGTACTATCTGACCTTTAACTTCGACAATGAACCGGAGAACATTAGCATTGAGAATCTGAGCAGCGACATTATCGGTCAGCTGGAACTGATGCCGAATATCGAACGTTTCCCGAACGGCAAAAAGTACGAGCTGGACAAGTACACTATGTTCCATTACCTGCGTGCACAGGAGTTTGAACACGGTAAAAGCCGTATCGCGCTGACCAACAGCGTTAACGAGGCCCTGCTGAACCCGAGCCGTGTCTATACCTTCTTCAGCAGCGACTATGTTAAGAAAGTGAACAAAGCCACTGAGGCCGCGATGTTCCTGGGCTGGGTGGAACAGCTGGTATATGACTTCACGGACGAGACGAGCGAAGTGAGCACTACCGACAAAATTGCTGATATTACCATCATTATCCCGTATATTGGTCCGGCACTGAACATTGGCAACATGCTGTACAAAGACGATTTTGTGGGTGCCCTGATCTTCTCCGGTGCCGTGATTCTGCTGGAGTTCATTCCGGAGATTGCGATCCCGGTGTTGGGTACCTTCGCGCTGGTGTCCTACATCGCGAATAAGGTTCTGACGGTTCAGACCATCGATAACGCGCTGTCGAAACGTAATGAAAAATGGGACGAGGTTTACAAATACATTGTTACGAATTGGCTGGCGAAAGTCAATACCCAGATCGACCTGATCCGTAAGAAAATGAAAGAGGCGCTGGAGAATCAGGCGGAGGCCACCAAAGCAATTATCAACTACCAATACAACCAGTACACGGAAGAAGAGAAGAATAACATTAACTTCAATATCGATGATTTGAGCAGCAAGCTGAATGAATCTATCAACAAAGCGATGATCAATATCAACAAGTTTTTGAATCAGTGTAGCGTTTCGTACCTGATGAATAGCATGATTCCGTATGGCGTCAAACGTCTGGAGGACTTCGACGCCAGCCTGAAAGATGCGTTGCTGAAATACATTTACGACAATCGTGGTACGCTGATTGGCCAAGTTGACCGCTTGAAAGACAAAGTTAACAATACCCTGAGCACCGACATCCCATTTCAACTGAGCAAGTATGTTGATAATCAACGTCTGTTGAGCACTTTCACCGAGTATATCAAAAACATCATCAATACTAGCATTCTGAACCTGCGTTACGAGAGCAATCATCTGATTGATCTGAGCCGTTATGCAAGCAAGATCAACATCGGTAGCAAGGTCAATTTTGACCCGATCGATAAGAACCAGATCCAGCTGTTTAATCTGGAATCGAGCAAAATTGAGGTTATCCTGAAAAACGCCATTGTCTACAACTCCATGTACGAGAATTTCTCCACCAGCTTCTGGATTCGCATCCCGAAATACTTCAACAGCATTAGCCTGAACAACGAGTATACTATCATCAACTGTATGGAGAACAACAGCGGTTGGAAGGTGTCTCTGAACTATGGTGAGATCATTTGGACCTTGCAGGACACCCAAGAGATCAAGCAGCGCGTCGTGTTCAAGTACTCTCAAATGATCAACATTTCCGATTACATTAATCGTTGGATCTTCGTGACCATTACGAATAACCGTCTGAATAACAGCAAGATTTACATCAATGGTCGCTTGATCGATCAGAAACCGATTAGCAACCTGGGTAATATCCACGCAAGCAACAACATTATGTTCAAATTGGACGGTTGCCGCGATACCCATCGTTATATCTGGATCAAGTATTTCAACCTGTTTGATAAAGAACTGAATGAGAAGGAGATCAAAGATTTGTATGACAACCAATCTAACAGCGGCATTTTGAAGGACTTCTGGGGCGATTATCTGCAATACGATAAGCCGTACTATATGCTGAACCTGTATGATCCGAACAAATATGTGGATGTCAATAATGTGGGTATTCGTGGTTACATGTATTTGAAGGGTCCGCGTGGCAGCGTTATGACGACCAACATTTACCTGAACTCTAGCCTGTACCGTGGTACGAAATTCATCATTAAGAAATATGCCAGCGGCAACAAAGATAACATTGTGCGTAATAACGATCGTGTCTACATCAACGTGGTCGTGAAGAATAAAGAGTACCGTCTGGCGACCAACGCTTCGCAGGCGGGTGTTGAGAAAATTCTGAGCGCGTTGGAGATCCCTGATGTCGGTAATCTGAGCCAAGTCGTGGTTATGAAGAGCAAGAACGACCAGGGTATCACTAACAAGTGCAAGATGAACCTGCAAGACAACAATGGTAACGACATCGGCTTTATTGGTTTCCACCAGTTCAACAATATTGCTAAACTGGTAGCGAGCAATTGGTACAATCGTCAGATTGAGCGCAGCAGCCGTACTTTGGGCTGTAGCTGGGAGTTTATCCCGGTCGATGATGGTTGGGGCGAACGTCCGCTG
【0289】
配列番号2 (ポリペプチド配列, 非修飾 BoNT/A)
MPFVNKQFNYKDPVNGVDIAYIKIPNAGQMQPVKAFKIHNKIWVIPERDTFTNPEEGDLNPPPEAKQVPVSYYDSTYLSTDNEKDNYLKGVTKLFERIYSTDLGRMLLTSIVRGIPFWGGSTIDTELKVIDTNCINVIQPDGSYRSEELNLVIIGPSADIIQFECKSFGHEVLNLTRNGYGSTQYIRFSPDFTFGFEESLEVDTNPLLGAGKFATDPAVTLAHELIHAGHRLYGIAINPNRVFKVNTNAYYEMSGLEVSFEELRTFGGHDAKFIDSLQENEFRLYYYNKFKDIASTLNKAKSIVGTTASLQYMKNVFKEKYLLSEDTSGKFSVDKLKFDKLYKMLTEIYTEDNFVKFFKVLNRKTYLNFDKAVFKINIVPKVNYTIYDGFNLRNTNLAANFNGQNTEINNMNFTKLKNFTGLFEFYKLLCVRGIITSKTKSLDKGYNKALNDLCIKVNNWDLFFSPSEDNFTNDLNKGEEITSDTNIEAAEENISLDLIQQYYLTFNFDNEPENISIENLSSDIIGQLELMPNIERFPNGKKYELDKYTMFHYLRAQEFEHGKSRIALTNSVNEALLNPSRVYTFFSSDYVKKVNKATEAAMFLGWVEQLVYDFTDETSEVSTTDKIADITIIIPYIGPALNIGNMLYKDDFVGALIFSGAVILLEFIPEIAIPVLGTFALVSYIANKVLTVQTIDNALSKRNEKWDEVYKYIVTNWLAKVNTQIDLIRKKMKEALENQAEATKAIINYQYNQYTEEEKNNINFNIDDLSSKLNESINKAMININKFLNQCSVSYLMNSMIPYGVKRLEDFDASLKDALLKYIYDNRGTLIGQVDRLKDKVNNTLSTDIPFQLSKYVDNQRLLSTFTEYIKNIINTSILNLRYESNHLIDLSRYASKINIGSKVNFDPIDKNQIQLFNLESSKIEVILKNAIVYNSMYENFSTSFWIRIPKYFNSISLNNEYTIINCMENNSGWKVSLNYGEIIWTLQDTQEIKQRVVFKYSQMINISDYINRWIFVTITNNRLNNSKIYINGRLIDQKPISNLGNIHASNNIMFKLDGCRDTHRYIWIKYFNLFDKELNEKEIKDLYDNQSNSGILKDFWGDYLQYDKPYYMLNLYDPNKYVDVNNVGIRGYMYLKGPRGSVMTTNIYLNSSLYRGTKFIIKKYASGNKDNIVRNNDRVYINVVVKNKEYRLATNASQAGVEKILSALEIPDVGNLSQVVVMKSKNDQGITNKCKMNLQDNNGNDIGFIGFHQFNNIAKLVASNWYNRQIERSSRTLGCSWEFIPVDDGWGERPL
【0290】
配列番号3 (ヌクレオチド配列, 修飾 BoNT/A “Cat-A”)
ATGCCATTCGTCAACAAGCAATTCAACTACAAAGACCCAGTCAACGGCGTCGACATCGCATACATCAAGATTCCGAACGCCGGTCAAATGCAGCCGGTTAAGGCTTTTAAGATCCACAACAAGATTTGGGTTATCCCGGAGCGTGACACCTTCACGAACCCGGAAGAAGGCGATCTGAACCCGCCACCGGAAGCGAAGCAAGTCCCTGTCAGCTACTACGATTCGACGTACCTGAGCACGGATAACGAAAAAGATAACTACCTGAAAGGTGTGACCAAGCTGTTCGAACGTATCTACAGCACGGATCTGGGTCGCATGCTGCTGACTAGCATTGTTCGCGGTATCCCGTTCTGGGGTGGTAGCACGATTGACACCGAACTGAAGGTTATCGACACTAACTGCATTAACGTTATTCAACCGGATGGTAGCTATCGTAGCGAAGAGCTGAATCTGGTCATCATTGGCCCGAGCGCAGACATTATCCAATTCGAGTGCAAGAGCTTTGGTCACGAGGTTCTGAATCTGACCCGCAATGGCTATGGTAGCACCCAGTACATTCGTTTTTCGCCGGATTTTACCTTCGGCTTTGAAGAGAGCCTGGAGGTTGATACCAATCCGTTGCTGGGTGCGGGCAAATTCGCTACCGATCCGGCTGTCACGCTGGCCCATGAACTGATCCACGCAGGCCACCGCCTGTACGGCATTGCCATCAACCCAAACCGTGTGTTCAAGGTTAATACGAATGCATACTACGAGATGAGCGGCCTGGAAGTCAGCTTCGAAGAACTGCGCACCTTCGGTGGCCATGACGCTAAATTCATTGACAGCTTGCAAGAGAATGAGTTCCGTCTGTACTACTATAACAAATTCAAAGACATTGCAAGCACGTTGAACAAGGCCAAAAGCATCGTTGGTACTACCGCGTCGTTGCAGTATATGAAGAATGTGTTTAAAGAGAAGTACCTGCTGTCCGAGGATACCTCCGGCAAGTTTAGCGTTGATAAGCTGAAGTTTGACAAACTGTACAAGATGCTGACCGAGATTTACACCGAGGACAACTTTGTGAAATTCTTCAAAGTGTTGAATCGTAAAACCTATCTGAATTTTGACAAAGCGGTTTTCAAGATTAACATCGTGCCGAAGGTGAACTACACCATCTATGACGGTTTTAACCTGCGTAACACCAACCTGGCGGCGAACTTTAACGGTCAGAATACGGAAATCAACAACATGAATTTCACGAAGTTGAAGAACTTCACGGGTCTGTTCGAGTTCTATAAGCTGCTGTGCGTGCGCGGTATCATCACCAGCAAAACCAAAAGCCTGGACAAAGGCTACAACAAGGCGCTGAATGACCTGTGCATTAAGGTAAACAATTGGGATCTGTTCTTTTCGCCATCCGAAGATAATTTTACCAACGACCTGAACAAGGGTGAAGAAATCACCAGCGATACGAATATTGAAGCAGCGGAAGAGAATATCAGCCTGGATCTGATCCAGCAGTACTATCTGACCTTTAACTTCGACAATGAACCGGAGAACATTAGCATTGAGAATCTGAGCAGCGACATTATCGGTCAGCTGGAACTGATGCCGAATATCGAACGTTTCCCGAACGGCAAAAAGTACGAGCTGGACAAGTACACTATGTTCCATTACCTGCGTGCACAGGAGTTTGAACACGGTAAAAGCCGTATCGCGCTGACCAACAGCGTTAACGAGGCCCTGCTGAACCCGAGCCGTGTCTATACCTTCTTCAGCAGCGACTATGTTAAGAAAGTGAACAAAGCCACTGAGGCCGCGATGTTCCTGGGCTGGGTGGAACAGCTGGTATATGACTTCACGGACGAGACGAGCGAAGTGAGCACTACCGACAAAATTGCTGATATTACCATCATTATCCCGTATATTGGTCCGGCACTGAACATTGGCAACATGCTGTACAAAGACGATTTTGTGGGTGCCCTGATCTTCTCCGGTGCCGTGATTCTGCTGGAGTTCATTCCGGAGATTGCGATCCCGGTGTTGGGTACCTTCGCGCTGGTGTCCTACATCGCGAATAAGGTTCTGACGGTTCAGACCATCGATAACGCGCTGTCGAAACGTAATGAAAAATGGGACGAGGTTTACAAATACATTGTTACGAATTGGCTGGCGAAAGTCAATACCCAGATCGACCTGATCCGTAAGAAAATGAAAGAGGCGCTGGAGAATCAGGCGGAGGCCACCAAAGCAATTATCAACTACCAATACAACCAGTACACGGAAGAAGAGAAGAATAACATTAACTTCAATATCGATGATTTGAGCAGCAAGCTGAATGAATCTATCAACAAAGCGATGATCAATATCAACAAGTTTTTGAATCAGTGTAGCGTTTCGTACCTGATGAATAGCATGATTCCGTATGGCGTCAAACGTCTGGAGGACTTCGACGCCAGCCTGAAAGATGCGTTGCTGAAATACATTTACGACAATCGTGGTACGCTGATTGGCCAAGTTGACCGCTTGAAAGACAAAGTTAACAATACCCTGAGCACCGACATCCCATTTCAACTGAGCAAGTATGTTGATAATCAACGTCTGTTGAGCACTTTCACCGAGTATATCAAAAACATCATCAATACTAGCATTCTGAACCTGCGTTACGAGAGCAAGCATCTGATTGATCTGAGCCGTTATGCTAGCAAGATCAACATCGGTAGCAAGGTCAATTTTGACCCGATCGATAAGAACCAGATCCAGCTGTTTAATCTGGAATCGAGCAAAATTGAGGTTATCCTGAAAAAGGCCATTGTCTACAACTCCATGTACGAGAATTTCTCCACCAGCTTCTGGATTCGCATCCCGAAATACTTCAACAAGATTAGCCTGAACAACGAGTATACTATCATCAACTGTATGGAGAACAACAGCGGTTGGAAGGTGTCTCTGAACTATGGTGAGATCATTTGGACCTTGCAGGACACCAAAGAGATCAAGCAGCGCGTCGTGTTCAAGTACTCTCAAATGATCAACATTTCCGATTACATTAATCGTTGGATCTTCGTGACCATTACGAATAACCGTCTGAATAAGAGCAAGATTTACATCAATGGTCGCTTGATCGATCAGAAACCGATTAGCAACCTGGGTAATATCCACGCAAGCAACAAGATTATGTTCAAATTGGACGGTTGCCGCGATACCCATCGTTATATCTGGATCAAGTATTTCAACCTGTTTGATAAAGAACTGAATGAGAAGGAGATCAAAGATTTGTATGACAACCAATCTAACAGCGGCATTTTGAAGGACTTCTGGGGCGATTATCTGCAATACGATAAGCCGTACTATATGCTGAACCTGTATGATCCGAACAAATATGTGGATGTCAATAATGTGGGTATTCGTGGTTACATGTATTTGAAGGGTCCGCGTGGCAGCGTTATGACGACCAACATTTACCTGAACTCTAGCCTGTACCGTGGTACGAAATTCATCATTAAGAAATATGCCAGCGGCAACAAAGATAACATTGTGCGTAATAACGATCGTGTCTACATCAACGTGGTCGTGAAGAATAAAGAGTACCGTCTGGCGACCAACGCTTCGCAGGCGGGTGTTGAGAAAATTCTGAGCGCGTTGGAGATCCCTGATGTCGGTAATCTGAGCCAAGTCGTGGTTATGAAGAGCAAGAACGACAAGGGTATCACTAACAAGTGCAAGATGAACCTGCAAGACAACAATGGTAACGACATCGGCTTTATTGGTTTCCACCAGTTCAACAATATTGCTAAACTGGTAGCGAGCAATTGGTACAATCGTCAGATTGAGCGCAGCAGCcGTACTTTGGGCTGTAGCTGGGAGTTTATCCCGGTCGATGATGGTTGGGGCGAACGTCCGCTG
【0291】
配列番号4 (ポリペプチド配列, 修飾 BoNT/A “Cat-A”)
MPFVNKQFNYKDPVNGVDIAYIKIPNAGQMQPVKAFKIHNKIWVIPERDTFTNPEEGDLNPPPEAKQVPVSYYDSTYLSTDNEKDNYLKGVTKLFERIYSTDLGRMLLTSIVRGIPFWGGSTIDTELKVIDTNCINVIQPDGSYRSEELNLVIIGPSADIIQFECKSFGHEVLNLTRNGYGSTQYIRFSPDFTFGFEESLEVDTNPLLGAGKFATDPAVTLAHELIHAGHRLYGIAINPNRVFKVNTNAYYEMSGLEVSFEELRTFGGHDAKFIDSLQENEFRLYYYNKFKDIASTLNKAKSIVGTTASLQYMKNVFKEKYLLSEDTSGKFSVDKLKFDKLYKMLTEIYTEDNFVKFFKVLNRKTYLNFDKAVFKINIVPKVNYTIYDGFNLRNTNLAANFNGQNTEINNMNFTKLKNFTGLFEFYKLLCVRGIITSKTKSLDKGYNKALNDLCIKVNNWDLFFSPSEDNFTNDLNKGEEITSDTNIEAAEENISLDLIQQYYLTFNFDNEPENISIENLSSDIIGQLELMPNIERFPNGKKYELDKYTMFHYLRAQEFEHGKSRIALTNSVNEALLNPSRVYTFFSSDYVKKVNKATEAAMFLGWVEQLVYDFTDETSEVSTTDKIADITIIIPYIGPALNIGNMLYKDDFVGALIFSGAVILLEFIPEIAIPVLGTFALVSYIANKVLTVQTIDNALSKRNEKWDEVYKYIVTNWLAKVNTQIDLIRKKMKEALENQAEATKAIINYQYNQYTEEEKNNINFNIDDLSSKLNESINKAMININKFLNQCSVSYLMNSMIPYGVKRLEDFDASLKDALLKYIYDNRGTLIGQVDRLKDKVNNTLSTDIPFQLSKYVDNQRLLSTFTEYIKNIINTSILNLRYESKHLIDLSRYASKINIGSKVNFDPIDKNQIQLFNLESSKIEVILKKAIVYNSMYENFSTSFWIRIPKYFNKISLNNEYTIINCMENNSGWKVSLNYGEIIWTLQDTKEIKQRVVFKYSQMINISDYINRWIFVTITNNRLNKSKIYINGRLIDQKPISNLGNIHASNKIMFKLDGCRDTHRYIWIKYFNLFDKELNEKEIKDLYDNQSNSGILKDFWGDYLQYDKPYYMLNLYDPNKYVDVNNVGIRGYMYLKGPRGSVMTTNIYLNSSLYRGTKFIIKKYASGNKDNIVRNNDRVYINVVVKNKEYRLATNASQAGVEKILSALEIPDVGNLSQVVVMKSKNDKGITNKCKMNLQDNNGNDIGFIGFHQFNNIAKLVASNWYNRQIERSSRTLGCSWEFIPVDDGWGERPL
【0292】
配列番号5 (ヌクレオチド配列, 修飾 BoNT/A “Cat-B”)
ATGCCATTCGTCAACAAGCAATTCAACTACAAAGACCCAGTCAACGGCGTCGACATCGCATACATCAAGATTCCGAACGCCGGTCAAATGCAGCCGGTTAAGGCTTTTAAGATCCACAACAAGATTTGGGTTATCCCGGAGCGTGACACCTTCACGAACCCGGAAGAAGGCGATCTGAACCCGCCACCGGAAGCGAAGCAAGTCCCTGTCAGCTACTACGATTCGACGTACCTGAGCACGGATAACGAAAAAGATAACTACCTGAAAGGTGTGACCAAGCTGTTCGAACGTATCTACAGCACGGATCTGGGTCGCATGCTGCTGACTAGCATTGTTCGCGGTATCCCGTTCTGGGGTGGTAGCACGATTGACACCGAACTGAAGGTTATCGACACTAACTGCATTAACGTTATTCAACCGGATGGTAGCTATCGTAGCGAAGAGCTGAATCTGGTCATCATTGGCCCGAGCGCAGACATTATCCAATTCGAGTGCAAGAGCTTTGGTCACGAGGTTCTGAATCTGACCCGCAATGGCTATGGTAGCACCCAGTACATTCGTTTTTCGCCGGATTTTACCTTCGGCTTTGAAGAGAGCCTGGAGGTTGATACCAATCCGTTGCTGGGTGCGGGCAAATTCGCTACCGATCCGGCTGTCACGCTGGCCCATGAACTGATCCACGCAGGCCACCGCCTGTACGGCATTGCCATCAACCCAAACCGTGTGTTCAAGGTTAATACGAATGCATACTACGAGATGAGCGGCCTGGAAGTCAGCTTCGAAGAACTGCGCACCTTCGGTGGCCATGACGCTAAATTCATTGACAGCTTGCAAGAGAATGAGTTCCGTCTGTACTACTATAACAAATTCAAAGACATTGCAAGCACGTTGAACAAGGCCAAAAGCATCGTTGGTACTACCGCGTCGTTGCAGTATATGAAGAATGTGTTTAAAGAGAAGTACCTGCTGTCCGAGGATACCTCCGGCAAGTTTAGCGTTGATAAGCTGAAGTTTGACAAACTGTACaAGATGCTGACCGAGATTTACACCGAGGACAACTTTGTGAAATTCTTCAAAGTGTTGAATCGTAAAACCTATCTGAATTTTGACAAAGCGGTTTTCAAGATTAACATCGTGCCGAAGGTGAACTACACCATCTATGACGGTTTTAACCTGCGTAACACCAACCTGGCGGCGAACTTTAACGGTCAGAATACGGAAATCAACAACATGAATTTCACGAAGTTGAAGAACTTCACGGGTCTGTTCGAGTTCTATAAGCTGCTGTGCGTGCGCGGTATCATCACCAGCAAAACCAAAAGCCTGGACAAAGGCTACAACAAGGCGCTGAATGACCTGTGCATTAAGGTAAACAATTGGGATCTGTTCTTTTCGCCATCCGAAGATAATTTTACCAACGACCTGAACAAGGGTGAAGAAATCACCAGCGATACGAATATTGAAGCAGCGGAAGAGAATATCAGCCTGGATCTGATCCAGCAGTACTATCTGACCTTTAACTTCGACAATGAACCGGAGAACATTAGCATTGAGAATCTGAGCAGCGACATTATCGGTCAGCTGGAACTGATGCCGAATATCGAACGTTTCCCGAACGGCAAAAAGTACGAGCTGGACAAGTACACTATGTTCCATTACCTGCGTGCACAGGAGTTTGAACACGGTAAAAGCCGTATCGCGCTGACCAACAGCGTTAACGAGGCCCTGCTGAACCCGAGCCGTGTCTATACCTTCTTCAGCAGCGACTATGTTAAGAAAGTGAACAAAGCCACTGAGGCCGCGATGTTCCTGGGCTGGGTGGAACAGCTGGTATATGACTTCACGGACGAGACGAGCGAAGTGAGCACTACCGACAAAATTGCTGATATTACCATCATTATCCCGTATATTGGTCCGGCACTGAACATTGGCAACATGCTGTACAAAGACGATTTTGTGGGTGCCCTGATCTTCTCCGGTGCCGTGATTCTGCTGGAGTTCATTCCGGAGATTGCGATCCCGGTGTTGGGTACCTTCGCGCTGGTGTCCTACATCGCGAATAAGGTTCTGACGGTTCAGACCATCGATAACGCGCTGTCGAAACGTAATGAAAAATGGGACGAGGTTTACAAATACATTGTTACGAATTGGCTGGCGAAAGTCAATACCCAGATCGACCTGATCCGTAAGAAAATGAAAGAGGCGCTGGAGAATCAGGCGGAGGCCACCAAAGCAATTATCAACTACCAATACAACCAGTACACGGAAGAAGAGAAGAATAACATTAACTTCAATATCGATGATTTGAGCAGCAAGCTGAATGAATCTATCAACAAAGCGATGATCAATATCAACAAGTTTTTGAATCAGTGTAGCGTTTCGTACCTGATGAATAGCATGATTCCGTATGGCGTCAAACGTCTGGAGGACTTCGACGCCAGCCTGAAAGATGCGTTGCTGAAATACATTTACGACAaTCGTGGTACGCTGATTGGCCAAGTTGACCGCTTGAAAGACAAAGTTAACAATACCCTGAGCACCGACATCCCATTTCAACTGAGCAAGTATGTTGATAATCAACGTCTGTTGAGCACTTTCACCGAGTATATCAAAAACATCATCAATACTAGCATTCTGAACCTGCGTTACGAGAGCAATCATCTGATTGATCTGAGCCGTTATGCTAGCAAGATCAACATCGGTAGCAAGGTCAATTTTGACCCGATCGATAAGAACCAGATCCAGCTGTTTAATCTGGAATCGAGCAAAATTGAGGTTATCCTGAAAAAGGCCATTGTCTACAACTCCATGTACGAGAATTTCTCCACCAGCTTCTGGATTCGCATCCCGAAATACTTCAAGAAGATTAGCCTGAACAACGAGTATACTATCATCAACTGTATGGAGAACAACAGCGGTTGGAAGGTGTCTCTGAACTATGGTGAGATCATTTGGACCTTGCAGGACACCAAAGAGATCAAGCAGCGCGTCGTGTTCAAGTACTCTCAAATGATCAACATTTCCGATTACATTAATCGTTGGATCTTCGTGACCATTACGAATAACCGTCTGAATAAGAGCAAGATTTACATCAATGGTCGCTTGATCGATCAGAAACCGATTAGCAACCTGGGTAATATCCACGCAAGCAACAAGATTATGTTCAAATTGGACGGTTGCCGCGATACCCATCGTTATATCTGGATCAAGTATTTCAACCTGTTTGATAAAGAACTGAATGAGAAGGAGATCAAAGATTTGTATGACAACCAATCTAACAGCGGCATTTTGAAGGACTTCTGGGGCGATTATCTGCAATACGATAAGCCGTACTATATGCTGAACCTGTATGATCCGAACAAATATGTGGATGTCAATAATGTGGGTATTCGTGGTTACATGTATTTGAAGGGTCCGCGTGGCAGCGTTATGACGACCAACATTTACCTGAACTCTAGCCTGTACCGTGGTACGAAATTCATCATTAAGAAATATGCCAGCGGCAACAAAGATAACATTGTGCGTAATAACGATCGTGTCTACATCAACGTGGTCGTGAAGAATAAAGAGTACCGTCTGGCGACCAACGCTTCGCAGGCGGGTGTTGAGAAAATTCTGAGCGCGTTGGAGATCCCTGATGTCGGTAATCTGAGCCAAGTCGTGGTTATGAAGAGCAAGAACGACAAGGGTATCACTAACAAGTGCAAGATGAACCTGCAAGACAACAATGGTAACGACATCGGCTTTATTGGTTTCCACCAGTTCAACAATATTGCTAAACTGGTAGCGAGCAATTGGTACAATCGTCAGATTGAGCGCAGCAGCCGTACTTTGGGCTGTAGCTGGGAGTTTATCCCGGTCGATGATGGTTGGGGCGAACGTCCGCTG
【0293】
配列番号6 (ポリペプチド配列, 修飾 BoNT/A “Cat-B”)
MPFVNKQFNYKDPVNGVDIAYIKIPNAGQMQPVKAFKIHNKIWVIPERDTFTNPEEGDLNPPPEAKQVPVSYYDSTYLSTDNEKDNYLKGVTKLFERIYSTDLGRMLLTSIVRGIPFWGGSTIDTELKVIDTNCINVIQPDGSYRSEELNLVIIGPSADIIQFECKSFGHEVLNLTRNGYGSTQYIRFSPDFTFGFEESLEVDTNPLLGAGKFATDPAVTLAHELIHAGHRLYGIAINPNRVFKVNTNAYYEMSGLEVSFEELRTFGGHDAKFIDSLQENEFRLYYYNKFKDIASTLNKAKSIVGTTASLQYMKNVFKEKYLLSEDTSGKFSVDKLKFDKLYKMLTEIYTEDNFVKFFKVLNRKTYLNFDKAVFKINIVPKVNYTIYDGFNLRNTNLAANFNGQNTEINNMNFTKLKNFTGLFEFYKLLCVRGIITSKTKSLDKGYNKALNDLCIKVNNWDLFFSPSEDNFTNDLNKGEEITSDTNIEAAEENISLDLIQQYYLTFNFDNEPENISIENLSSDIIGQLELMPNIERFPNGKKYELDKYTMFHYLRAQEFEHGKSRIALTNSVNEALLNPSRVYTFFSSDYVKKVNKATEAAMFLGWVEQLVYDFTDETSEVSTTDKIADITIIIPYIGPALNIGNMLYKDDFVGALIFSGAVILLEFIPEIAIPVLGTFALVSYIANKVLTVQTIDNALSKRNEKWDEVYKYIVTNWLAKVNTQIDLIRKKMKEALENQAEATKAIINYQYNQYTEEEKNNINFNIDDLSSKLNESINKAMININKFLNQCSVSYLMNSMIPYGVKRLEDFDASLKDALLKYIYDNRGTLIGQVDRLKDKVNNTLSTDIPFQLSKYVDNQRLLSTFTEYIKNIINTSILNLRYESNHLIDLSRYASKINIGSKVNFDPIDKNQIQLFNLESSKIEVILKKAIVYNSMYENFSTSFWIRIPKYFKKISLNNEYTIINCMENNSGWKVSLNYGEIIWTLQDTKEIKQRVVFKYSQMINISDYINRWIFVTITNNRLNKSKIYINGRLIDQKPISNLGNIHASNKIMFKLDGCRDTHRYIWIKYFNLFDKELNEKEIKDLYDNQSNSGILKDFWGDYLQYDKPYYMLNLYDPNKYVDVNNVGIRGYMYLKGPRGSVMTTNIYLNSSLYRGTKFIIKKYASGNKDNIVRNNDRVYINVVVKNKEYRLATNASQAGVEKILSALEIPDVGNLSQVVVMKSKNDKGITNKCKMNLQDNNGNDIGFIGFHQFNNIAKLVASNWYNRQIERSSRTLGCSWEFIPVDDGWGERPL
【0294】
配列番号7 (ヌクレオチド配列, 修飾 BoNT/A “Cat-C”)
ATGCCATTCGTCAACAAGCAATTCAACTACAAAGACCCAGTCAACGGCGTCGACATCGCATACATCAAGATTCCGAACGCCGGTCAAATGCAGCCGGTTAAGGCTTTTAAGATCCACAACAAGATTTGGGTTATCCCGGAGCGTGACACCTTCACGAACCCGGAAGAAGGCGATCTGAACCCGCCACCGGAAGCGAAGCAAGTCCCTGTCAGCTACTACGATTCGACGTACCTGAGCACGGATAACGAAAAAGATAACTACCTGAAAGGTGTGACCAAGCTGTTCGAACGTATCTACAGCACGGATCTGGGTCGCATGCTGCTGACTAGCATTGTTCGCGGTATCCCGTTCTGGGGTGGTAGCACGATTGACACCGAACTGAAGGTTATCGACACTAACTGCATTAACGTTATTCAACCGGATGGTAGCTATCGTAGCGAAGAGCTGAATCTGGTCATCATTGGCCCGAGCGCAGACATTATCCAATTCGAGTGCAAGAGCTTTGGTCACGAGGTTCTGAATCTGACCCGCAATGGCTATGGTAGCACCCAGTACATTCGTTTTTCGCCGGATTTTACCTTCGGCTTTGAAGAGAGCCTGGAGGTTGATACCAATCCGTTGCTGGGTGCGGGCAAATTCGCTACCGATCCGGCTGTCACGCTGGCCCATGAACTGATCCACGCAGGCCACCGCCTGTACGGCATTGCCATCAACCCAAACCGTGTGTTCAAGGTTAATACGAATGCATACTACGAGATGAGCGGCCTGGAAGTCAGCTTCGAAGAACTGCGCACCTTCGGTGGCCATGACGCTAAATTCATTGACAGCTTGCAAGAGAATGAGTTCCGTCTGTACTACTATAACAAATTCAAAGACATTGCAAGCACGTTGAACAAGGCCAAAAGCATCGTTGGTACTACCGCGTCGTTGCAGTATATGAAGAATGTGTTTAAAGAGAAGTACCTGCTGTCCGAGGATACCTCCGGCAAGTTTAGCGTTGATAAGCTGAAGTTTGACAAACTGTACAAGATGCTGACCGAGATTTACACCGAGGACAACTTTGTGAAATTCTTCAAAGTGTTGAATCGTAAAACCTATCTGAATTTTGACAAAGCGGTTTTCAAGATTAACATCGTGCCGAAGGTGAACTACACCATCTATGACGGTTTTAACCTGCGTAACACCAACCTGGCGGCGAACTTTAACGGTCAGAATACGGAAATCAACAACATGAATTTCACGAAGTTGAAGAACTTCACGGGTCTGTTCGAGTTCTATAAGCTGCTGTGCGTGCGCGGTATCATCACCAGCAAAACCAAAAGCCTGGACAAAGGCTACAACAAGGCGCTGAATGACCTGTGCATTAAGGTAAACAATTGGGATCTGTTCTTTTCGCCATCCGAAGATAATTTTACCAACGACCTGAACAAGGGTGAAGAAATCACCAGCGATACGAATATTGAAGCAGCGGAAGAGAATATCAGCCTGGATCTGATCCAGCAGTACTATCTGACCTTTAACTTCGACAATGAACCGGAGAACATTAGCATTGAGAATCTGAGCAGCGACATTATCGGTCAGCTGGAACTGATGCCGAATATCGAACGTTTCCCGAACGGCAAAAAGTACGAGCTGGACAAGTACACTATGTTCCATTACCTGCGTGCACAGGAGTTTGAACACGGTAAAAGCCGTATCGCGCTGACCAACAGCGTTAACGAGGCCCTGCTGAACCCGAGCCGTGTCTATACCTTCTTCAGCAGCGACTATGTTAAGAAAGTGAACAAAGCCACTGAGGCCGCGATGTTCCTGGGCTGGGTGGAACAGCTGGTATATGACTTCACGGACGAGACGAGCGAAGTGAGCACTACCGACAAAATTGCTGATATTACCATCATTATCCCGTATATTGGTCCGGCACTGAACATTGGCAACATGCTGTACAAAGACGATTTTGTGGGTGCCCTGATCTTCTCCGGTGCCGTGATTCTGCTGGAGTTCATTCCGGAGATTGCGATCCCGGTGTTGGGTACCTTCGCGCTGGTGTCCTACATCGCGAATAAGGTTCTGACGGTTCAGACCATCGATAACGCGCTGTCGAAACGTAATGAAAAATGGGACGAGGTTTACAAATACATTGTTACGAATTGGCTGGCGAAAGTCAATACCCAGATCGACCTGATCCGTAAGAAAATGAAAGAGGCGCTGGAGAATCAGGCGGAGGCCACCAAAGCAATTATCAACTACCAATACAACCAGTACACGGAAGAAGAGAAGAATAACATTAACTTCAATATCGATGATTTGAGCAGCAAGCTGAATGAATCTATCAACAAAGCGATGATCAATATCAACAAGTTTTTGAATCAGTGTAGCGTTTCGTACCTGATGAATAGCATGATTCCGTATGGCGTCAAACGTCTGGAGGACTTCGACGCCAGCCTGAAAGATGCGTTGCTGAAATACATTTACGACAATCGTGGTACGCTGATTGGCCAAGTTGACCGCTTGAAAGACAAAGTTAACAATACCCTGAGCACCGACATCCCATTTCAACTGAGCAAGTATGTTGATAATCAACGTCTGTTGAGCACTTTCACCGAGTATATCAAAAACATCATCAATACTAGCATTCTGAACCTGCGTTACGAGAGCAATCATCTGATTGATCTGAGCCGTTATGCTAGCAAGATCAACATCGGTAGCAAGGTCAATTTTGACCCGATCGATAAGAACCAGATCCAGCTGTTTAATCTGGAATCGAGCAAAATTGAGGTTATCCTGAAAAAGGCCATTGTCTACAACTCCATGTACGAGAATTTCTCCACCAGCTTCTGGATTCGCATCCCGAAATACTTCAACAAGATTAGCCTGAACAACGAGTATACTATCATCAACTGTATGGAGAACAACAGCGGTTGGAAGGTGTCTCTGAACTATGGTGAGATCATTTGGACCTTGCAGGACACCAAAGAGATCAAGCAGCGCGTCGTGTTCAAGTACTCTCAAATGATCAACATTTCCGATTACATTAATCGTTGGATCTTCGTGACCATTACGAATAACCGTCTGAAGAAGAGCAAGATTTACATCAATGGTCGCTTGATCGATCAGAAACCGATTAGCAACCTGGGTAATATCCACGCAAGCAACAAGATTATGTTCAAATTGGACGGTTGCCGCGATACCCATCGTTATATCTGGATCAAGTATTTCAACCTGTTTGATAAAGAACTGAATGAGAAGGAGATCAAAGATTTGTATGACAACCAATCTAACAGCGGCATTTTGAAGGACTTCTGGGGCGATTATCTGCAATACGATAAGCCGTACTATATGCTGAACCTGTATGATCCGAACAAATATGTGGATGTCAATAATGTGGGTATTCGTGGTTACATGTATTTGAAGGGTCCGCGTGGCAGCGTTATGACGACCAACATTTACCTGAACTCTAGCCTGTACCGTGGTACGAAATTCATCATTAAGAAATATGCCAGCGGCAACAAAGATAACATTGTGCGTAATAACGATCGTGTCTACATCAACGTGGTCGTGAAGAATAAAGAGTACCGTCTGGCGACCAACGCTTCGCAGGCGGGTGTTGAGAAAATTCTGAGCGCGTTGGAGATCCCTGATGTCGGTAATCTGAGCCAAGTCGTGGTTATGAAGAGCAAGAACGACAAGGGTATCACTAACAAGTGCAAGATGAACCTGCAAGACAACAATGGTAACGACATCGGCTTTATTGGTTTCCACCAGTTCAACAATATTGCTAAACTGGTAGCGAGCAATTGGTACAATCGTCAGATTGAGCGCAGCAGCCGTACTTTGGGCTGTAGCTGGGAGTTTATCCCGGTCGATGATGGTTGGGGCGAACGTCCGCTG
配列番号8 (ポリペプチド配列, 修飾 BoNT/A “Cat-C”)
MPFVNKQFNYKDPVNGVDIAYIKIPNAGQMQPVKAFKIHNKIWVIPERDTFTNPEEGDLNPPPEAKQVPVSYYDSTYLSTDNEKDNYLKGVTKLFERIYSTDLGRMLLTSIVRGIPFWGGSTIDTELKVIDTNCINVIQPDGSYRSEELNLVIIGPSADIIQFECKSFGHEVLNLTRNGYGSTQYIRFSPDFTFGFEESLEVDTNPLLGAGKFATDPAVTLAHELIHAGHRLYGIAINPNRVFKVNTNAYYEMSGLEVSFEELRTFGGHDAKFIDSLQENEFRLYYYNKFKDIASTLNKAKSIVGTTASLQYMKNVFKEKYLLSEDTSGKFSVDKLKFDKLYKMLTEIYTEDNFVKFFKVLNRKTYLNFDKAVFKINIVPKVNYTIYDGFNLRNTNLAANFNGQNTEINNMNFTKLKNFTGLFEFYKLLCVRGIITSKTKSLDKGYNKALNDLCIKVNNWDLFFSPSEDNFTNDLNKGEEITSDTNIEAAEENISLDLIQQYYLTFNFDNEPENISIENLSSDIIGQLELMPNIERFPNGKKYELDKYTMFHYLRAQEFEHGKSRIALTNSVNEALLNPSRVYTFFSSDYVKKVNKATEAAMFLGWVEQLVYDFTDETSEVSTTDKIADITIIIPYIGPALNIGNMLYKDDFVGALIFSGAVILLEFIPEIAIPVLGTFALVSYIANKVLTVQTIDNALSKRNEKWDEVYKYIVTNWLAKVNTQIDLIRKKMKEALENQAEATKAIINYQYNQYTEEEKNNINFNIDDLSSKLNESINKAMININKFLNQCSVSYLMNSMIPYGVKRLEDFDASLKDALLKYIYDNRGTLIGQVDRLKDKVNNTLSTDIPFQLSKYVDNQRLLSTFTEYIKNIINTSILNLRYESNHLIDLSRYASKINIGSKVNFDPIDKNQIQLFNLESSKIEVILKKAIVYNSMYENFSTSFWIRIPKYFNKISLNNEYTIINCMENNSGWKVSLNYGEIIWTLQDTKEIKQRVVFKYSQMINISDYINRWIFVTITNNRLKKSKIYINGRLIDQKPISNLGNIHASNKIMFKLDGCRDTHRYIWIKYFNLFDKELNEKEIKDLYDNQSNSGILKDFWGDYLQYDKPYYMLNLYDPNKYVDVNNVGIRGYMYLKGPRGSVMTTNIYLNSSLYRGTKFIIKKYASGNKDNIVRNNDRVYINVVVKNKEYRLATNASQAGVEKILSALEIPDVGNLSQVVVMKSKNDKGITNKCKMNLQDNNGNDIGFIGFHQFNNIAKLVASNWYNRQIERSSRTLGCSWEFIPVDDGWGERPL
【0295】
配列番号9 (ヌクレオチド配列, 修飾 BoNT/A “Cat-D”)
ATGCCATTCGTCAACAAGCAATTCAACTACAAAGACCCAGTCAACGGCGTCGACATCGCATACATCAAGATTCCGAACGCCGGTCAAATGCAGCCGGTTAAGGCTTTTAAGATCCACAACAAGATTTGGGTTATCCCGGAGCGTGACACCTTCACGAACCCGGAAGAAGGCGATCTGAACCCGCCACCGGAAGCGAAGCAAGTCCCTGTCAGCTACTACGATTCGACGTACCTGAGCACGGATAACGAAAAAGATAACTACCTGAAAGGTGTGACCAAGCTGTTCGAACGTATCTACAGCACGGATCTGGGTCGCATGCTGCTGACTAGCATTGTTCGCGGTATCCCGTTCTGGGGTGGTAGCACGATTGACACCGAACTGAAGGTTATCGACACTAACTGCATTAACGTTATTCAACCGGATGGTAGCTATCGTAGCGAAGAGCTGAATCTGGTCATCATTGGCCCGAGCGCAGACATTATCCAATTCGAGTGCAAGAGCTTTGGTCACGAGGTTCTGAATCTGACCCGCAATGGCTATGGTAGCACCCAGTACATTCGTTTTTCGCCGGATTTTACCTTCGGCTTTGAAGAGAGCCTGGAGGTTGATACCAATCCGTTGCTGGGTGCGGGCAAATTCGCTACCGATCCGGCTGTCACGCTGGCCCATGAACTGATCCACGCAGGCCACCGCCTGTACGGCATTGCCATCAACCCAAACCGTGTGTTCAAGGTTAATACGAATGCATACTACGAGATGAGCGGCCTgGAAGTCAGCTTCGAAGAACTGCGCACCTTCGGTGGCCATGACGCTAAATTCATTGACAGCTTGCAAGAGAATGAGTTCCGTCTGTACTACTATAACAAATTCAAAGACATTGCAAGCACGTTGAACAAGGCCAAAAGCATCGTTGGTACTACCGCGTCGTTGCAGTATATGAAGAATGTGTTTAAAGAGAAGTACCTGCTGTCCGAGGATACCTCCGGCAAGTTTAGCGTTGATAAGCTGAAGTTTGACAAACTGTACAAGATGCTGACCGAGATTTACACCGAGGACAACTTTGTGAAATTCTTCAAaGTGTTGAATCGTAAAACCTATCTGAATTTTGACAAAGCGGTTTTCaAGATTAACATCGTGCCGAAGGTGAACTACACCATCTATGACGGTTTTAACCTGCGTAACACCAACCTGGCGGCGAACTTTAACGGTCAGAATACGGAAATCAACAACATGAATTTCACGAAGTTGAAGAACTTCACGGGTCTGTTCGAGTTCTATAAGCTGCTGTGCGTGCGCGGTATCATCACCAGCAAAACCAAAAGCCTGGACAAAGGCTACAACAAGGCGCTGAATGACCTGTGCATTAAGGTAAACAATTGGGATCTGTTCTTTTCGCCATCCGAAGATAATTTTACCAACGACCTGAACAAGGGTGAAGAAATCACCAGCGATACGAATATTGAAGCAGCGGAAGAGAATATCAGCCTGGATCTGATCCAGCAGTACTATCTGACCTTTAACTTCGACAATGAACCGGAGAACATTAGCATTGAGAATCTGAGCAGCGACATTATCGGTCAGCTGGAACTGATGCCGAATATCGAACGTTTCCCGAACGGCAAAAAGTACGAGCTGGACAAGTACACTATGTTCCATTACCTGCGTGCACAGGAGTTTGAACACGGTAAAAGCCGTATCGCGCTGACCAACAGCGTTAACGAGGCCCTGCTGAACCCGAGCCGTGTCTATACCTTCTTCAGCAGCGACTATGTTAAGAAAGTGAACAAAGCCACTGAGGCCGCGATGTTCCTGGGCTGGGTGGAACAGCTGGTATATGACTTCACGGACGAGACGAGCGAAGTGAGCACTACCGACAAAaTTGCTGATaTTACCATCATTATCCCGTATATTGGTCCGGCACTGAACATTGGCAACATGCTGTACAAAGACGATTTTGTGGGTGCCCTGATCTTCTCCGGTGCCGTGATTCTGCTGGAGTTCATTCCGGAGATTGCGATCCCGGTGTTGGGTACCTTCGCGCTGGTGTCCTACATCGCGAATAAGGTTCTGACGGTTCAGACCATCGATAACGCGCTGTCGAAACGTAATGAAAAATGGGACGAGGTTTACAAATACATTGTTACGAATTGGCTGGCGAAAGTCaATACCCAGATCGACCTGATCCGTAAGAAAATGAAAGAGGCGCTGGAGAATCAGGCGGAGGCCACCAAAGCAATTATCAACTACCAATACAACCAGTACACGGAAGAAGAGAAGAATAACATTAACTTCAATATCGATGATTTGAGCAGCAAGCTGAATGAATCTATCAACAAAGCGATGATCAATATCAACAAGTTTTTGAATCAGTGTAGCGTTTCGTACCTGATGAATAGCATGATTCCGTATGGCGTCAAACGTCTGGAGGACTTCGACGCCAGCCTGAAAGATGCGTTGCTGAAATACATTTACGACAATCGTGGTACGCTGATTGGCCAAGTTGACCGCTTGAAAGACAAAGTTAACAATACCCTGAGCACCGACATCCCATTTCAACTGAGCAAGTATGTTGATAATCAACGTCTGTTGAGCACTTTCACCGAGTATATCAAAAACATCATCAATACTAGCATTCTGAACCTGCGTTACGAGAGCAATCATCTGATtGATCTGAGCCGTTATGCAAGCAAGATCAACATCGGTAGCAAGGTCAATTTTGACCCGATCGATAAGAACCAGATCCAGCTGTTTAATCTGGAATCGAGCAAAATTGAGGTTATCCTGAAAAACGCCATTGTCTACAACTCCATGTACGAGAATTTCTCCACCAGCTTCTGGATTCGCATCCCGAAATACTTCAACAGCATTAGCCTGAACAACGAGTATACTATCATCAACTGTATGGAGAACAACAGCGGTTGGAAGGTGTCTCTGAACTATGGTGAGATCATTTGGACCTTGCAGGACACCCAAGAGATCAAGCAGCGCGTCGTGTTCAAGTACTCTCAAATGATCAACATTTCCGATTACATTAATCGTTGGATCTTCGTGACCATTACGAATAACCGTCTGAATAACAGCAAGATTTACATCAATGGTCGCTTGATCGATCAGAAACCGATTAGCAACCTGGGTAATATCCACGCAAGCAACAACATTATGTTCAAATTGGACGGTTGCCGCGATACCCATCGTTATATCTGGATCAAGTATTTCAACCTGTTTGATAAAGAACTGAATGAGAAGGAGATCAAAGATTTGTATGACAACCAATCTAACAGCGGCATTTTGAAGGACTTCTGGGGCGATTATCTGCAATACGATAAGCCGTACTATATGCTGAACCTGTATGATCCGAACAAATATGTGGATGTCAATAATGTGGGTATTCGTGGTTACATGTATTTGAAGGGTCCGCGTGGCAGCGTTATGACGACCAACATTTACCTGAACTCTAGCCTGTACCGTGGTACGAAATTCATCATTAAGAAATATGCCAGCGGCAACAAAGATAACATTGTGCGTAATAACGATCGTGTCTACATCAACGTGGTCGTGAAGCGTAAAGAGTACCGTCTGGCGACCAACGCTTCGCAGGCGGGTGTTGAGAAAATTCTGAGCGCGTTGGAGATCCCTCGTGTCCGTCGTCTGAGCCAAGTCGTGGTTATGAAGAGCAAGAACGACCAGGGTATCACTAACAAGTGCAAGATGAACCTGCAAGACCGTCGTGGTAACGACATCGGCTTTATTGGTTTCCACCAGTTCAACAATATTGCTAAACTGGTAGCGAGCAATTGGTACAATCGTCAGATTGAGCGCCGTAGCCGTCGTTTGGGCTGTAGCTGGGAGTTTATCCCGGTCGATGATGGTTGGGGCGAACGTCCGCTG
【0296】
配列番号10 (ポリペプチド配列, 修飾 BoNT/A “Cat-D”)
MPFVNKQFNYKDPVNGVDIAYIKIPNAGQMQPVKAFKIHNKIWVIPERDTFTNPEEGDLNPPPEAKQVPVSYYDSTYLSTDNEKDNYLKGVTKLFERIYSTDLGRMLLTSIVRGIPFWGGSTIDTELKVIDTNCINVIQPDGSYRSEELNLVIIGPSADIIQFECKSFGHEVLNLTRNGYGSTQYIRFSPDFTFGFEESLEVDTNPLLGAGKFATDPAVTLAHELIHAGHRLYGIAINPNRVFKVNTNAYYEMSGLEVSFEELRTFGGHDAKFIDSLQENEFRLYYYNKFKDIASTLNKAKSIVGTTASLQYMKNVFKEKYLLSEDTSGKFSVDKLKFDKLYKMLTEIYTEDNFVKFFKVLNRKTYLNFDKAVFKINIVPKVNYTIYDGFNLRNTNLAANFNGQNTEINNMNFTKLKNFTGLFEFYKLLCVRGIITSKTKSLDKGYNKALNDLCIKVNNWDLFFSPSEDNFTNDLNKGEEITSDTNIEAAEENISLDLIQQYYLTFNFDNEPENISIENLSSDIIGQLELMPNIERFPNGKKYELDKYTMFHYLRAQEFEHGKSRIALTNSVNEALLNPSRVYTFFSSDYVKKVNKATEAAMFLGWVEQLVYDFTDETSEVSTTDKIADITIIIPYIGPALNIGNMLYKDDFVGALIFSGAVILLEFIPEIAIPVLGTFALVSYIANKVLTVQTIDNALSKRNEKWDEVYKYIVTNWLAKVNTQIDLIRKKMKEALENQAEATKAIINYQYNQYTEEEKNNINFNIDDLSSKLNESINKAMININKFLNQCSVSYLMNSMIPYGVKRLEDFDASLKDALLKYIYDNRGTLIGQVDRLKDKVNNTLSTDIPFQLSKYVDNQRLLSTFTEYIKNIINTSILNLRYESNHLIDLSRYASKINIGSKVNFDPIDKNQIQLFNLESSKIEVILKNAIVYNSMYENFSTSFWIRIPKYFNSISLNNEYTIINCMENNSGWKVSLNYGEIIWTLQDTQEIKQRVVFKYSQMINISDYINRWIFVTITNNRLNNSKIYINGRLIDQKPISNLGNIHASNNIMFKLDGCRDTHRYIWIKYFNLFDKELNEKEIKDLYDNQSNSGILKDFWGDYLQYDKPYYMLNLYDPNKYVDVNNVGIRGYMYLKGPRGSVMTTNIYLNSSLYRGTKFIIKKYASGNKDNIVRNNDRVYINVVVKRKEYRLATNASQAGVEKILSALEIPRVRRLSQVVVMKSKNDQGITNKCKMNLQDRRGNDIGFIGFHQFNNIAKLVASNWYNRQIERRSRRLGCSWEFIPVDDGWGERPL
【0297】
配列番号11 (ポリペプチド配列, 修飾 BoNT/A “キメラ 1”)
MPFVNKQFNYKDPVNGVDIAYIKIPNAGQMQPVKAFKIHNKIWVIPERDTFTNPEEGDLNPPPEAKQVPVSYYDSTYLSTDNEKDNYLKGVTKLFERIYSTDLGRMLLTSIVRGIPFWGGSTIDTELKVIDTNCINVIQPDGSYRSEELNLVIIGPSADIIQFECKSFGHEVLNLTRNGYGSTQYIRFSPDFTFGFEESLEVDTNPLLGAGKFATDPAVTLAHELIHAGHRLYGIAINPNRVFKVNTNAYYEMSGLEVSFEELRTFGGHDAKFIDSLQENEFRLYYYNKFKDIASTLNKAKSIVGTTASLQYMKNVFKEKYLLSEDTSGKFSVDKLKFDKLYKMLTEIYTEDNFVKFFKVLNRKTYLNFDKAVFKINIVPKVNYTIYDGFNLRNTNLAANFNGQNTEINNMNFTKLKNFTGLFEFYKLLCVRGIITSKTKSLDKGYNKALNDLCIKVNNWDLFFSPSEDNFTNDLNKGEEITSDTNIEAAEENISLDLIQQYYLTFNFDNEPENISIENLSSDIIGQLELMPNIERFPNGKKYELDKYTMFHYLRAQEFEHGKSRIALTNSVNEALLNPSRVYTFFSSDYVKKVNKATEAAMFLGWVEQLVYDFTDETSEVSTTDKIADITIIIPYIGPALNIGNMLYKDDFVGALIFSGAVILLEFIPEIAIPVLGTFALVSYIANKVLTVQTIDNALSKRNEKWDEVYKYIVTNWLAKVNTQIDLIRKKMKEALENQAEATKAIINYQYNQYTEEEKNNINFNIDDLSSKLNESINKAMININKFLNQCSVSYLMNSMIPYGVKRLEDFDASLKDALLKYIYDNRGTLIGQVDRLKDKVNNTLSTDIPFQLSKYVDNQRLLSTFTEYIKSEILNNIILNLRYKDNNLIDLSGYGAKVEVYDGVELNDKNQFKLTSSANSKIRVTQNQNIIFNSVFLDFSVSFWIRIPKYKNDGIQNYIHNEYTIINCMKNNSGWKISIRGNRIIWTLIDINGKTKSVFFEYNIREDISEYINRWFFVTITNNLNNAKIYINGKLESNTDIKDIREVIANGEIIFKLDGDIDRTQFIWMKYFSIFNTELSQSNIEERYKIQSYSEYLKDFWGNPLMYNKEYYMFNAGNKNSYIKLKKDSPVGEILTRSKYNQNSKYINYRDLYIGEKFIIRRKSNSQSINDDIVRKEDYIYLDFFNLNQEWRVYTYKYFKKEEMKLFLAPIYDSDEFYNTIQIKEYDEQPTYSCQLLFKKDEESTDEIGLIGIHRFYESGIVFEEYKDYFCISKWYLKEVKRKPYNLKLGCNWQFIPKDEGWTEHHHHHHHHHH
【0298】
配列番号12 (ポリペプチド配列, 修飾 BoNT/A “キメラ 2”)
MPFVNKQFNYKDPVNGVDIAYIKIPNAGQMQPVKAFKIHNKIWVIPERDTFTNPEEGDLNPPPEAKQVPVSYYDSTYLSTDNEKDNYLKGVTKLFERIYSTDLGRMLLTSIVRGIPFWGGSTIDTELKVIDTNCINVIQPDGSYRSEELNLVIIGPSADIIQFECKSFGHEVLNLTRNGYGSTQYIRFSPDFTFGFEESLEVDTNPLLGAGKFATDPAVTLAHELIHAGHRLYGIAINPNRVFKVNTNAYYEMSGLEVSFEELRTFGGHDAKFIDSLQENEFRLYYYNKFKDIASTLNKAKSIVGTTASLQYMKNVFKEKYLLSEDTSGKFSVDKLKFDKLYKMLTEIYTEDNFVKFFKVLNRKTYLNFDKAVFKINIVPKVNYTIYDGFNLRNTNLAANFNGQNTEINNMNFTKLKNFTGLFEFYKLLCVRGIITSKTKSLDKGYNKALNDLCIKVNNWDLFFSPSEDNFTNDLNKGEEITSDTNIEAAEENISLDLIQQYYLTFNFDNEPENISIENLSSDIIGQLELMPNIERFPNGKKYELDKYTMFHYLRAQEFEHGKSRIALTNSVNEALLNPSRVYTFFSSDYVKKVNKATEAAMFLGWVEQLVYDFTDETSEVSTTDKIADITIIIPYIGPALNIGNMLYKDDFVGALIFSGAVILLEFIPEIAIPVLGTFALVSYIANKVLTVQTIDNALSKRNEKWDEVYKYIVTNWLAKVNTQIDLIRKKMKEALENQAEATKAIINYQYNQYTEEEKNNINFNIDDLSSKLNESINKAMININKFLNQCSVSYLMNSMIPYGVKRLEDFDASLKDALLKYIYDNRGTLIGQVDRLKDKVNNTLSTDIPFQLSKYVDNQRLLSTFTEYIKNIIELGGGGSELSEILNNIILNLRYKDNNLIDLSGYGAKVEVYDGVELNDKNQFKLTSSANSKIRVTQNQNIIFNSVFLDFSVSFWIRIPKYKNDGIQNYIHNEYTIINCMKNNSGWKISIRGNRIIWTLIDINGKTKSVFFEYNIREDISEYINRWFFVTITNNLNNAKIYINGKLESNTDIKDIREVIANGEIIFKLDGDIDRTQFIWMKYFSIFNTELSQSNIEERYKIQSYSEYLKDFWGNPLMYNKEYYMFNAGNKNSYIKLKKDSPVGEILTRSKYNQNSKYINYRDLYIGEKFIIRRKSNSQSINDDIVRKEDYIYLDFFNLNQEWRVYTYKYFKKEEMKLFLAPIYDSDEFYNTIQIKEYDEQPTYSCQLLFKKDEESTDEIGLIGIHRFYESGIVFEEYKDYFCISKWYLKEVKRKPYNLKLGCNWQFIPKDEGWTEHHHHHHHHHH
【0299】
配列番号13 (ポリペプチド配列, 修飾 BoNT/A “キメラ 3A”)
MPFVNKQFNYKDPVNGVDIAYIKIPNAGQMQPVKAFKIHNKIWVIPERDTFTNPEEGDLNPPPEAKQVPVSYYDSTYLSTDNEKDNYLKGVTKLFERIYSTDLGRMLLTSIVRGIPFWGGSTIDTELKVIDTNCINVIQPDGSYRSEELNLVIIGPSADIIQFECKSFGHEVLNLTRNGYGSTQYIRFSPDFTFGFEESLEVDTNPLLGAGKFATDPAVTLAHELIHAGHRLYGIAINPNRVFKVNTNAYYEMSGLEVSFEELRTFGGHDAKFIDSLQENEFRLYYYNKFKDIASTLNKAKSIVGTTASLQYMKNVFKEKYLLSEDTSGKFSVDKLKFDKLYKMLTEIYTEDNFVKFFKVLNRKTYLNFDKAVFKINIVPKVNYTIYDGFNLRNTNLAANFNGQNTEINNMNFTKLKNFTGLFEFYKLLCVRGIITSKTKSLDKGYNKALNDLCIKVNNWDLFFSPSEDNFTNDLNKGEEITSDTNIEAAEENISLDLIQQYYLTFNFDNEPENISIENLSSDIIGQLELMPNIERFPNGKKYELDKYTMFHYLRAQEFEHGKSRIALTNSVNEALLNPSRVYTFFSSDYVKKVNKATEAAMFLGWVEQLVYDFTDETSEVSTTDKIADITIIIPYIGPALNIGNMLYKDDFVGALIFSGAVILLEFIPEIAIPVLGTFALVSYIANKVLTVQTIDNALSKRNEKWDEVYKYIVTNWLAKVNTQIDLIRKKMKEALENQAEATKAIINYQYNQYTEEEKNNINFNIDDLSSKLNESINKAMININKFLNQCSVSYLMNSMIPYGVKRLEDFDASLKDALLKYIYDNRGTLIGQVDRLKDKVNNTLSTDIPFQLSKYVDNQRLLSTFTEYIKNILNNIILNLRYKDNNLIDLSGYGAKVEVYDGVELNDKNQFKLTSSANSKIRVTQNQNIIFNSVFLDFSVSFWIRIPKYKNDGIQNYIHNEYTIINCMKNNSGWKISIRGNRIIWTLIDINGKTKSVFFEYNIREDISEYINRWFFVTITNNLNNAKIYINGKLESNTDIKDIREVIANGEIIFKLDGDIDRTQFIWMKYFSIFNTELSQSNIEERYKIQSYSEYLKDFWGNPLMYNKEYYMFNAGNKNSYIKLKKDSPVGEILTRSKYNQNSKYINYRDLYIGEKFIIRRKSNSQSINDDIVRKEDYIYLDFFNLNQEWRVYTYKYFKKEEMKLFLAPIYDSDEFYNTIQIKEYDEQPTYSCQLLFKKDEESTDEIGLIGIHRFYESGIVFEEYKDYFCISKWYLKEVKRKPYNLKLGCNWQFIPKDEGWTEHHHHHHHHHH
【0300】
配列番号14 (ポリペプチド配列, 修飾 BoNT/A “キメラ 3B”)
MPFVNKQFNYKDPVNGVDIAYIKIPNAGQMQPVKAFKIHNKIWVIPERDTFTNPEEGDLNPPPEAKQVPVSYYDSTYLSTDNEKDNYLKGVTKLFERIYSTDLGRMLLTSIVRGIPFWGGSTIDTELKVIDTNCINVIQPDGSYRSEELNLVIIGPSADIIQFECKSFGHEVLNLTRNGYGSTQYIRFSPDFTFGFEESLEVDTNPLLGAGKFATDPAVTLAHELIHAGHRLYGIAINPNRVFKVNTNAYYEMSGLEVSFEELRTFGGHDAKFIDSLQENEFRLYYYNKFKDIASTLNKAKSIVGTTASLQYMKNVFKEKYLLSEDTSGKFSVDKLKFDKLYKMLTEIYTEDNFVKFFKVLNRKTYLNFDKAVFKINIVPKVNYTIYDGFNLRNTNLAANFNGQNTEINNMNFTKLKNFTGLFEFYKLLCVRGIITSKTKSLDKGYNKALNDLCIKVNNWDLFFSPSEDNFTNDLNKGEEITSDTNIEAAEENISLDLIQQYYLTFNFDNEPENISIENLSSDIIGQLELMPNIERFPNGKKYELDKYTMFHYLRAQEFEHGKSRIALTNSVNEALLNPSRVYTFFSSDYVKKVNKATEAAMFLGWVEQLVYDFTDETSEVSTTDKIADITIIIPYIGPALNIGNMLYKDDFVGALIFSGAVILLEFIPEIAIPVLGTFALVSYIANKVLTVQTIDNALSKRNEKWDEVYKYIVTNWLAKVNTQIDLIRKKMKEALENQAEATKAIINYQYNQYTEEEKNNINFNIDDLSSKLNESINKAMININKFLNQCSVSYLMNSMIPYGVKRLEDFDASLKDALLKYIYDNRGTLIGQVDRLKDKVNNTLSTDIPFQLSKYVDNQRLLSTFTEYIKNILNNIILNLRYKDNNLIDLSGYGAKVEVYDGVELNDKNQFKLTSSANSKIRVTQNQNIIFNSVFLDFSVSFWIRIPKYKNDGIQNYIHNEYTIINCMKNNSGWKISIRGNRIIWTLIDINGKTKSVFFEYNIREDISEYINRWFFVTITNNLNNAKIYINGKLESNTDIKDIREVIANGEIIFKLDGDIDRTQFIWMKYFSIFNTELSQSNIEERYKIQSYSEYLKDFWGNPLMYNKEYYMFNAGNKNSYIKLKKDSPVGEILTRSKYNQNSKYINYRDLYIGEKFIIRRKSNSQSINDDIVRKEDYIYLDFFNLNQEWRVYTYKYFKKEEMKLFLAPIYDSDEFYNTIQIKEYDEQPTYSCQLLFKKDEESTDEIGLIGIHRFYESGIVFEEYKDYFCISKWYLKEVKRKPYNLKLGCNWQFIPKDEGWTE
【0301】
配列番号15 (ポリペプチド配列, 修飾 BoNT/A “キメラ 3C”)
MPFVNKQFNYKDPVNGVDIAYIKIPNAGQMQPVKAFKIHNKIWVIPERDTFTNPEEGDLNPPPEAKQVPVSYYDSTYLSTDNEKDNYLKGVTKLFERIYSTDLGRMLLTSIVRGIPFWGGSTIDTELKVIDTNCINVIQPDGSYRSEELNLVIIGPSADIIQFECKSFGHEVLNLTRNGYGSTQYIRFSPDFTFGFEESLEVDTNPLLGAGKFATDPAVTLAHELIHAGHRLYGIAINPNRVFKVNTNAYYEMSGLEVSFEELRTFGGHDAKFIDSLQENEFRLYYYNKFKDIASTLNKAKSIVGTTASLQYMKNVFKEKYLLSEDTSGKFSVDKLKFDKLYKMLTEIYTEDNFVKFFKVLNRKTYLNFDKAVFKINIVPKVNYTIYDGFNLRNTNLAANFNGQNTEINNMNFTKLKNFTGLFEFYKLLCVRGIITSKTKSLDKGYNKALNDLCIKVNNWDLFFSPSEDNFTNDLNKGEEITSDTNIEAAEENISLDLIQQYYLTFNFDNEPENISIENLSSDIIGQLELMPNIERFPNGKKYELDKYTMFHYLRAQEFEHGKSRIALTNSVNEALLNPSRVYTFFSSDYVKKVNKATEAAMFLGWVEQLVYDFTDETSEVSTTDKIADITIIIPYIGPALNIGNMLYKDDFVGALIFSGAVILLEFIPEIAIPVLGTFALVSYIANKVLTVQTIDNALSKRNEKWDEVYKYIVTNWLAKVNTQIDLIRKKMKEALENQAEATKAIINYQYNQYTEEEKNNINFNIDDLSSKLNESINKAMININKFLNQCSVSYLMNSMIPYGVKRLEDFDASLKDALLKYIYDNRGTLIGQVDRLKDKVNNTLSTDIPFQLSKYVDNQRLLSTFTEYIKNILNNIILNLRYKDNNLIDLSGYGAKVEVYDGVELNDKNQFKLTSSANSKIRVTQNQNIIFNSVFLDFSVSFWIRIPKYKNDGIQNYIHNEYTIINCMKNNSGWKISIRGNRIIWTLIDINGKTKSVFFEYNIREDISEYINRWFFVTITNNLNNAKIYINGKLESNTDIKDIREVIANGEIIFKLDGDIDRTQFIWMKYFSIFNTELSQSNIEERYKIQSYSEYLKDFWGNPLMYNKEYYMFNAGNKNSYIKLKKDSPVGEILTRSKYNQNSKYINYRDLYIGEKFIIRRKSNSQSINDDIVRKEDYIYLDFFNLNQEWRVYTYKYFKKEEEKLFLAPISDSDEFYNTIQIKEYDEQPTYSCQLLFKKDEESTDEIGLIGIHRFYESGIVFEEYKDYFCISKWYLKEVKRKPYNLKLGCNWQFIPKDEGWTE
【0302】
配列番号16 (ポリペプチド配列, BoNT/B)
MPVTINNFNYNDPIDNNNIIMMEPPFARGTGRYYKAFKITDRIWIIPERYTFGYKPEDFNKSSGIFNRDVCEYYDPDYLNTNDKKNIFLQTMIKLFNRIKSKPLGEKLLEMIINGIPYLGDRRVPLEEFNTNIASVTVNKLISNPGEVERKKGIFANLIIFGPGPVLNENETIDIGIQNHFASREGFGGIMQMKFCPEYVSVFNNVQENKGASIFNRRGYFSDPALILMHELIHVLHGLYGIKVDDLPIVPNEKKFFMQSTDAIQAEELYTFGGQDPSIITPSTDKSIYDKVLQNFRGIVDRLNKVLVCISDPNININIYKNKFKDKYKFVEDSEGKYSIDVESFDKLYKSLMFGFTETNIAENYKIKTRASYFSDSLPPVKIKNLLDNEIYTIEEGFNISDKDMEKEYRGQNKAINKQAYEEISKEHLAVYKIQMCKSVKAPGICIDVDNEDLFFIADKNSFSDDLSKNERIEYNTQSNYIENDFPINELILDTDLISKIELPSENTESLTDFNVDVPVYEKQPAIKKIFTDENTIFQYLYSQTFPLDIRDISLTSSFDDALLFSNKVYSFFSMDYIKTANKVVEAGLFAGWVKQIVNDFVIEANKSNTMDKIADISLIVPYIGLALNVGNETAKGNFENAFEIAGASILLEFIPELLIPVVGAFLLESYIDNKNKIIKTIDNALTKRNEKWSDMYGLIVAQWLSTVNTQFYTIKEGMYKALNYQAQALEEIIKYRYNIYSEKEKSNINIDFNDINSKLNEGINQAIDNINNFINGCSVSYLMKKMIPLAVEKLLDFDNTLKKNLLNYIDENKLYLIGSAEYEKSKVNKYLKTIMPFDLSIYTNDTILIEMFNKYNSEILNNIILNLRYKDNNLIDLSGYGAKVEVYDGVELNDKNQFKLTSSANSKIRVTQNQNIIFNSVFLDFSVSFWIRIPKYKNDGIQNYIHNEYTIINCMKNNSGWKISIRGNRIIWTLIDINGKTKSVFFEYNIREDISEYINRWFFVTITNNLNNAKIYINGKLESNTDIKDIREVIANGEIIFKLDGDIDRTQFIWMKYFSIFNTELSQSNIEERYKIQSYSEYLKDFWGNPLMYNKEYYMFNAGNKNSYIKLKKDSPVGEILTRSKYNQNSKYINYRDLYIGEKFIIRRKSNSQSINDDIVRKEDYIYLDFFNLNQEWRVYTYKYFKKEEEKLFLAPISDSDEFYNTIQIKEYDEQPTYSCQLLFKKDEESTDEIGLIGIHRFYESGIVFEEYKDYFCISKWYLKEVKRKPYNLKLGCNWQFIPKDEGWTE
【実施例】
【0303】
[実施例1]
【0304】
クローニング、発現及び精製
【0305】
野生型BoNT/A (配列番号2)をコードする配列番号1の塩基配列を突然変異させて以下の置換を誘導し、以下の表1に示す4つのコンストラクトを形成した。
【表1】
【0306】
上記修飾BoNT/A分子をコードするDNAコンストラクトを合成し、pJ401発現ベクターにクローニングし、次いでBL21(DE3)大腸菌に形質転換させた。これにより、BL21(DE3)大腸菌における組換えCat-A、Cat-B、Cat-C及びCat-Dタンパク質の可溶性過剰発現が可能になる。
【0307】
古典的なクロマトグラフィー技術を用いて、大腸菌溶解産物から当該組換え修飾BoNTを精製した。陽イオン交換樹脂を用いた初期精製ステップを使用し、続いて疎水性相互作用樹脂を用いる中間精製ステップを使用した。次に当該組換え修飾BoNT単鎖がタンパク質分解によって切断され、その結果、活性化二鎖修飾BoNTを得た。次に、最終精製ステップを用いて、残存汚染物質を除去した。適切な技術は、WO2015/166242と、WO2017055274A1と、 EP2524963B1と、EP2677029B1と、US10087432B2とに教示されている。
【0308】
[実施例2]
【0309】
精製修飾 BoNT/Aの特徴
【0310】
上記実施例1で述べられた修飾BoNTは実験的に以下のように特徴付けられた。
【0311】
pIの測定により、当該修飾BoNTの等電点は非修飾 (天然の)BoNT/A1の等電点よりも大きいと示された (以下の
図2と、表2とを参照)。
【表2】
【0312】
ニューロンに侵入しSNAP‐25 (BoNT/A1の標的) を切断する当該修飾BoNTの能力を、ラット胚性脊髄ニューロン(eSCN) を用いて評価した。
図3は当該修飾BoNTが、天然のBoNT/A1と同じ、ニューロンに侵入してSNAP-25を切断する能力を保持していることを示す。
【0313】
当該修飾BoNTの効力を、マウス横隔神経半横隔膜アッセイ(mPNHD)を用いて更に評価した。
図4は当該修飾BoNTが、天然のBoNT/A1 と同じ、マウス半横隔膜の収縮能力を阻害する能力を保持していることを示す。
【0314】
イン・ビボマウス指外転スコア(DAS)アッセイを用いて、天然BoNT/A1と比較した効力及び安全性を評価した。両方の分子(Cat-A [二鎖型に変換された配列番号4]と、Cat-B [二鎖型に変換された配列番号6])は、天然BoNT/A1と比較してより高い安全率を示し、またわずかに強力であった。これらのデータは以下の表3に示される。
【表3】
【0315】
安全率は効力 (指外転スコア (DAS)の最大半数) に対するBoNT治療の負の効果(体重減少) の尺度である。これは、-10%体重(BW)と、DAS ED50と、の比率として計算され、-10%BWは体重を10%減少させるのに必要なBoNTの量 (pg/動物)を指し、ED50はDAS2を生成するBoNTの量 (pg/動物)を指す。
【0316】
ゼラチンリン酸緩衝液で調剤された20μlの修飾 BoNT/Aをマウスの腓腹筋/ヒラメ筋複合体に注射し、その後、Aoki が以前(Aoki KR, Toxicon 39: 1815-1820; 2001) により報告したように、指の外転を評価することによりDASアッセイを実行する。
【0317】
[実施例3]
【0318】
修飾BoNT/A (BoNT/ABキメラ)のクローニングと、発現と、精製
【0319】
BoNT/ABキメラコンストラクト1、2、3A、3B及び3C(配列番号はそれぞれ11乃至15)を、標準的な分子生物学技術を使用して、親血清型分子をコードするDNA及び適切なオリゴヌクレオチドから構築した。次に、これらをC末端His10タグの有無にかかわらずpJ401発現ベクターにクローニングし、BLR(DE3)大腸菌細胞に形質転換して過剰発現させた。これらの細胞を、適切な抗生物質を添加した1Lの修飾テリフィックブロス(mTB)を含むバッフル付き三角フラスコ内で、37℃及び225RPM で振とうして増殖した。A600 が>0.5に達したらすぐに、培養器の温度を16℃に下げ、1時間後に1mMのIPTGを用いて20時間、225RPMで振とうして誘導し、組換えBoNT/ABコンストラクトを発現させた。
【0320】
採取した細胞を超音波処理により溶解させ、4500RPM、4℃で1時間遠心分離を行って清澄化した。次いで、当該組換えBoNT/ABキメラ分子を硫酸アンモニウムで抽出し、標準的な高速タンパク質液体クロマトグラフィー(FPLC)技術によって精製した。これには、捕捉における疎水性相互作用樹脂の使用と、中間精製ステップにおける陰イオン交換樹脂の使用を伴った。次に、部分精製した分子をエンドプロテイナーゼLys‐C を用いてタンパク質分解的に切断し、活性二鎖を生成した。これを更に2番目の疎水性相互作用樹脂で精製して、最終的な BoNT/ABキメラを得た。
【0321】
デカヒスチジン(H10)タグを有するBoNT/ABキメラ分子(キメラ1、2、3A)について、捕捉段階では疎水性相互作用樹脂の代わりに固定化ニッケル樹脂を使用した。
【0322】
【0323】
[実施例4]
【0324】
BoNT/ABキメラ1、2及び3Aの比較
【0325】
C末端His
10タグと、E1191M/S1199Y二重突然変異と、を有するBoNT/ABキメラ1、2及び3Aを実施例3(
図5)に記載のように精製し、機能活性について試験した。
【0326】
ラット脊髄ニューロンSNAP‐25切断アッセイ
【0327】
ラット脊髄ニューロン(SCN)の初代培養を作製し、96ウェル組織培養プレート(Masuyer et al., 2011, J. Struct. Biol. Structure and activity of a functional derivative of Clostridium botulinum neurotoxin B; and in: Chaddock et al., 2002, Protein Expr. Purif. Expression and purification of catalytically active, non-toxic endopeptidase derivatives of Clostridium botulinum toxin type Aに記載のように)で3週間増殖した。BoNT/ABの希釈系列をSCNフィーディング培地で調製した。処理対象ウェル由来の増殖培地を集め、濾過した(0.2μmのフィルター)。125μLの濾過済み培地を各テストウェルに戻す。次いで125μLの希釈毒素をプレート(3連ウェル)に添加した。当該処理細胞を37℃、10%CO2で24±1時間インキュベートした。
【0328】
SNAP‐25切断アッセイを用いたBoNT活性の分析
【0329】
処理後、BoNTを除去し、細胞をPBS(Gibco, UK) で 1回洗浄した。0.1M ジチオスレイトール(DTT)及び250単位/mLベンゾナ-ゼ(Sigma)を添加した1xNuPAGE溶解バッファー (Life Technologies) に、細胞を溶解させた。タンパク質ライセートをSDS‐PAGEで分離し、ニトロセルロース膜に転写した。BoNT/Aエンドペプチダーゼにより切断されたSNAP-25だけでなく未切断のSNAP-25も認識する、SNAP-25に特異な一次抗体(Sigma#S9684)で、膜を調べた。使用した二次抗体は、HRP標識抗ウサギIgG (Sigma #A6154)だった。増強化学発光によりバンドを検出し、pXi6 Access(Synoptics, UK)用いて画像化した。GeneToolsソフトウェア(Syngene, Cambridg, UK)を用いてバンドの強度を決定し、BoNTの各濃度で切断したSNAP‐25の割合を計算した。データを4パラメーターロジスティック方程式にあてはめ、GraphPad Prismバージョン6(Graphpad)を用いてpEC50を算出した。
【0330】
以下の表5はラットSCN SNAP-25切断アッセイにおいてキメラ1、2及び3Aについて決定したpEC
50値を示す。これらの結果により、当該3つのBoNT/Aキメラがラット脊髄ニューロンに侵入して標的基質を切断する能力を保持していることが示された。しかしこのアッセイにおいて、キメラ1及び2よりもキメラ3Aが効力を有した (
図6も参照)。
【表5】
【0331】
指外転スコア(DAS)アッセイ
【0332】
DASアッセイにおいてBoNT/ABキメラ1、2及び3Aの活性を測定する方法は、マウスを尾で一時的に吊り下げた時の驚愕反応肢指拡張反射に基づく。この反射は指外転スコア(DAS)として記録され、後肢の腓腹筋・ヒラメ筋へのBoNT投与の後に抑制される。マウスを尾で短時間吊り下げると、当該動物が後肢を伸ばして、後ろ指を外転させる特徴的な驚愕反応が引き起こされる(Aoki et al. 1999, Eur. J. Neurol.; 6 (suppl. 4) S3-S10)。
【0333】
注射当日、酸素中3%のイソフルランを導入した誘導室内でマウスに麻酔をかけた。各マウスは右後肢の腓腹筋・ヒラメ筋にBoNT/ABキメラまたはビヒクル(0.2%ゼラチン含有リン酸緩衝液)の筋肉内注射を受けた。
【0334】
神経毒注射後、様々な程度の指外転を0乃至4のスケール、ここでは0=正常で、4=指の外転と肢の伸展における最大の減少である、でスコア付けした。ED50を各用量での最大効果の平均を用いる非線形調整分析によって決定した。使用された数学的モデルは4パラメーターロジスティックモデルであった。
【0335】
投与した初日は、DASを2時間ごとに実施した。その後、4日間はDASを1日3回実施した。
【0336】
図7は、キメラ1、2及び3A(それぞれ、二鎖型に変換された配列番号11、12及び13)の適合曲線を示す。キメラ3A曲線は左にシフトしており、これはキメラ1及び2と比較して、より低用量のキメラ3Aで同様のDAS応答を達成したことを意味し、したがって、当該マウスDASアッセイにおいてキメラ3Aが他のものよりも有効であることを示す。各キメラの算出ED
50及び、各キメラのDAS4(最大スコア)を導く当該用量を示す以下の表(表6)も参照。
【0337】
以下の表6は、当該マウスDASアッセイにおける、非修飾組換えBoNT/A1(rBoNT/A1-二鎖型に変換された配列番号2)と、キメラ1、2及び3Aと、について決定されたED
50及びDAS4用量を示す。これらの結果は、当該3つのキメラのうち、筋力低下を誘導する効力がイン・ビボで最も高いのはキメラ3Aであることを示す。
図7及び表6に示す研究は、Charles River 研究所から入手したマウスで実施された。
【表6】
【0338】
[実施例5]
【0339】
BoNT/ABキメラ3B及び3Cと、非修飾BoNT/A1の比較
【0340】
タグなしのBoNT/ABキメラ3B及び3C、E1191M/S1199Y二重修飾(配列番号14及び15)がそれぞれ存在・非存在の両方、を実施例3(
図8)に記載のように精製し、参照として非修飾BoNT/A(二鎖型に変換された配列番号2)を用いて機能活性についてテストした。
【0341】
ヒト多能性幹細胞SNAP‐25切断アッセイ
【0342】
凍結保存されたPERI.4U細胞をAxiogenesis(Cologne, Germany) から購入した。当該細胞の解凍と、プレーティングと、を当該メーカーの推奨に従って実行した。簡潔に言うと、当該細胞を含むクライオバイアルを37℃の水浴で2分間、解凍した。穏やかに再懸濁した後、当該細胞を50mLチューブに移した。当該メーカーから提供された1mLの Peri.4U(登録商標) 解凍培地でクライオバイアルを洗浄し、更に2mLのPeri.4U(登録商標)解凍培地を当該50mLチューブに滴下して移す前に、当該培地を細胞懸濁液に滴下して50mLチューブへ移した。次いで、血球計算盤を用いて細胞を数えた。この後、更に6mLのPeri.4U(登録商標) 解凍培地を当該細胞懸濁液に添加した。室温で6分間、260xg(例えば1,100RPM)で遠心分離することで細胞ペレットを得た。次いで細胞を当該メーカーから提供されたPeri.4U(登録商標)完全培地中に再懸濁した。細胞をポリ‐L‐オルニチン及びラミニンでコーティングした細胞培養プレート上に1cm2あたり50,000乃至150,000細胞の密度でプレーティングした。湿気を含んだCO2大気下、37℃で細胞を培養し、培地を培養中2~3日ごとに完全に交換した。
【0343】
毒素処理のために、BoNTの希釈系列をPeri.4U(登録商標) 培地で調製した。処理予定のウェル由来の培地を収集し、濾過した(0.2μmフィルター)。当該濾過済み培地125μLを各テストウェルに戻した。次いで、125μLの希釈毒素をプレートに添加した(3連ウェル)。処理した細胞を37℃、10%CO2で48±1時間インキュベートした。
【0344】
SNAP‐25切断アッセイを用いたBoNT活性分析
【0345】
処理後、BoNTを除去し、細胞をPBS (Gibco, UK) で1回洗浄した。細胞を0.1Mジチオスレイトール(DTT)及び250単位/mLベンゾナーゼ(Sigma)添加1xNuPAGE溶解バッファー(Life Technologies)に溶解させた。タンパク質ライセートをSDS‐PAGEで分離し、ニトロセルロース膜に転写した。BoNT/Aエンドペプチダーゼによって切断されたSNAP‐25だけでなく未切断のSNAP‐25も認識する、SNAP‐25に特異的な一次抗体(Sigma #S9684)で膜を調べた。使用した二次抗体はHRP標識抗ウサギIgG (Sigma #A6154)だった。バンドを増強化学発光により検出し、pXi6Access(Synoptics, UK)を用いて画像化した。GeneToolsソフトウェア (Syngene,Cambridge, UK) を用いてバンドの強度を決定し、BoNTの各濃度で切断されたSNAP‐25の割合を計算した。データを4パラメーターのロジスティック方程式にあてはめ、GraphPad Prism version(GraphPad)を用いてpEC50を算出した。
【0346】
図9はキメラ3B及び3Cが、ヒト人工多能性幹細胞でのSNAP‐25の切断において、rBoNT/A1よりも高い能力を示し、前者が顕著に高い能力を有していたことを示す。これらの細胞に存在するヒトシナプトタグミンIIタンパク質受容体に対するキメラ3Bの親和性を高める二重修飾によって、このことは説明できる(
図9、表7)。
【表7】
【0347】
指外転スコアリング(DAS)アッセイ‐安全率
【0348】
DASアッセイにおいてBoNTの活性を測定する方法は、尾で短時間吊り下げられた時の、マウスの驚愕反応肢指拡張反射に基づく。この反射は指外転スコア(DAS)として得点付けされ、当該後肢の腓腹筋・ヒラメ筋へのBoNT投与後に阻害される。マウスを尾で短時間吊り下げることで、当該動物が後肢を伸ばし、後ろ指を外転させる特徴的な驚愕反応を誘発する(Aoki et al. 1999, Eur. J. Neurol.; 6 (suppl. 4) S3-S10)。
【0349】
注射当日、酸素中3%イソフルランを導入した誘導室内でマウスに麻酔をかけた。各マウスに対して、BoNTまたはビヒクル(0.2%ゼラチンを含有リン酸緩衝液)を右後肢の腓腹筋・ヒラメ筋へ筋肉内注射した。
【0350】
神経毒注射後、様々な程度の指の外転を0乃至4のスケールでスコア付けし、ここで0=正常、4=指の外転と脚の伸展における最大の減少である。各用量での最大効果の平均を用いる非線形調整分析によりED50を決定した。使用された数学的モデルは4パラメーターロジスティックモデルだった。
【0351】
DASは投与後初日には2時間ごとに実施し、その後、すべての投与について4日間、1日3回実施した。ビヒクルと、注射してから最初の4日間にDAS4を誘発した最小用量と、を投与された群の動物をその後、筋力低下がDAS0(筋力低下が観察されない)となり完全に回復するまで監視した。
【0352】
安全率を算出するために、毒素注射の前日(D0)に全ての動物の体重を測定し、その後は当該研究期間中に亘って1日1回体重を測定した。平均体重と、その標準偏差と、標本平均についての標準誤差と、を各用量群について毎日計算した。BoNTの安全率 (-10%ΔBW/ED50) を得るために、当該研究中の任意の時点で、投与群の平均体重が同投与群のD0での平均体重の10%未満になる用量を、研究対象のBoNTについてのED50で割った。致死量は、その投与群のうち1匹またはそれ以上の動物が死亡する用量として定義された。
【0353】
図10は非修飾BoNT/Aと、キメラ3Bと、キメラ3Cと、(二鎖型に変換された配列番号2と,14と、15)に対する当該マウスの指外転スコアリングアッセイにおける経時的な筋力低下の持続期間を示し、当該キメラがより長い作用持続期間を有することを示す。
【0354】
以下の表8は、当該マウスDASアッセイにおいて、rBoNT/A1と、キメラ3B及び3Cと、について決定されたED
50と、DAS4用量と、を示す。当該表は筋力低下から完全に回復してDAS0(筋力低下が観察されない) になるまでの、DAS4用量の総作用持続期間も示す。更に、上記本文で定義したように、当該表はマウス致死量と、安全率 (-10%ΔBW/ED
50)と、を示す。rBoNT/A1と比較して、キメラ3B及び3Cはより長い作用持続期間と、より良い安全率と、より多い致死量と、を有する。
図10と、表8と、に示す研究は、Janvier Laboratoriesから入手したマウスで実施した。
【表8】
【0355】
[実施例6]
【0356】
修飾BoNT/A (二鎖型に変換された配列番号4)の前臨床試験
【0357】
当該修飾BoNT/A「Cat-A」(二鎖型に変換された配列番号4)を追加の前臨床試験に供した。
【0358】
材料と方法
【0359】
ラット指外転スコア (DAS)アッセイ
【0360】
イン・ビボの筋活動に対する修飾BoNT/A(二鎖型に変換された配列番号4)の影響を評価するために、ラットDASアッセイを用いて用量反応研究を実施した。当該ラットDASアッセイは、当該動物を短時間掴んだ時の、特徴的な驚愕反応である肢指拡張反射に基づく。左腓骨筋複合体に神経毒を1回注射した後に、筋力低下により指の外転が小さくなる。様々な程度の指の外転を以下のような5点スケールで採点する: 0=正常、乃至4=指の外転と肢の伸展における最大の減少 (Broide RS, Rubino J, Nicholson GS, et al. The rat Digit Abduction Score (DAS) assay: A physiological model for assessing botulinum neurotoxin-induced skeletal muscle paralysis. Toxicon 2013;71:18-24)。DAS値を毒素注射後最初の5日間連続で測定し、その後は低用量の修飾BoNT/A (二鎖型に変換された配列番号4)が肢指拡張反射に対して及ぼす影響が完全に消失するまで、及び、結果としてDAS4をもたらす用量がDAS2に回復するまで、2乃至3日の間隔で測定した。体重増加に及ぼす一過性のBoNT誘発用量依存効果は、全身性毒素効果の証拠と考えられる (Torii Y、Goto Y、nakahira S, et al. Comparison of Systemic Toxicity between Botulinum Toxin Subtypes A1 and A2 in Mice and Rats. Basic Clin. Pharmacol. Toxicol. 2015;116:524-528.)。したがって各評価時点でラットの体重を測定し、副作用を記録した。BoNTの投与溶液は、注射前に、及び研究終了までマスクされた (ランダムな文字が割り当てられた)。効力を、当該効果の50%を誘発するのに必要な用量として決定した(ED50:DAS値2をもたらす用量)。ED50と、95%信頼区間 (CIs)と、を決定するために、2.5乃至750pg/kgの範囲の用量をテストした。起こりうる副作用を評価するためにより高用量の1、1.5、2、2.4、3、4及び5ng/kgもまた投与された。
【0361】
修飾BoNT/A (二鎖型に変換された配列番号4)の作用持続期間を評価して、それを非修飾 BoNT/A (二鎖型に変換された配列番号2)の作用持続期間と比較するために、2つの独立した直接head-to-head研究において、両毒素の最大耐性量(未処置ラットと比較して体重の動きに影響を与えない)について、DAS2の読み取り値が2に戻るまでに必要な時間中央値を評価した。
【0362】
ラット単回投与研究
【0363】
用量が0、0.1、1及び3ng/kgである修飾BoNT/A(二鎖型に変換された配列番号4)の筋肉内注射を、ラットの右腓腹筋に注射した。対照動物の右腓腹筋に配列番号4の希釈剤を投与した。処置の7日後(1群あたり10匹の雄と10匹の雌)、もしくは13週間または26週間の観察期間後に(用量あたり5匹の雄と5匹の雌)、 動物を安楽死させた。中枢神経系機能を評価するためのアーウィン試験観察は、プレテスト(-1日目)され、8日目と、13週及び27週の間に実施された。足の引きずりと、毒素を注射された筋肉のサイズの小ささと、柔らかく膨張した腹部と、を以て他の臨床的(有害な)兆候を評価した。
【0364】
サルの研究
【0365】
用量が0、0.1、0.25及び0.75ng/kgの修飾BoNT/A(二鎖型に変換された配列番号4)単回筋肉内注射を、サルの右腓腹筋に注射した。処置の7日後(1群あたり3匹の雄と3匹の雌)に、もしくは13週間または26週間の観察期間後に(1用量あたり2匹の雄と2匹の雌)、動物を安楽死させた。血行動態と、心電図と、呼吸パラメーターと、を含む心血管検査は、8日目と15日目に外部遠隔測定プレテストによって実施された。
【0366】
妊娠中のラットにおける予備的な強化EFD
【0367】
当該研究の目的は、器官形成期全体に亘って筋肉内注射経路で投与された場合に、修飾BoNT/A (二鎖型に変換された配列番号4)が、ラットの胚と、胎児と、の発育と、に及ぼす影響についての初期情報を示すことであった。9匹の妊娠6日目(G6)乃至妊娠17日目(G17)(6日目と、17日目と、を含む)までのSprague-Dawleyラットの交配雌グループに、0.02、0.05及び0.1ng/kg/日の用量水準で、修飾BoNT/A (二鎖型に変換された配列番号4)を毎日、筋肉内注射(腓腹筋)により投与した。当該研究全体を通じて、臨床状態と、体重と、摂食量と、を監視した。当該雌はG21に帝王切開検査を受け、胎児のパラメーターが記録された。剖検では、当該雌を肉眼で検査し、妊娠中の子宮の重量を測定し、注射を受けた腓腹筋が小さい雌の場合は、当該筋と、反対側の筋肉と、の重量を測定した。全ての胎児の体重を測定した。その後、当該胎児の外部及び内臓の異常を検査し、性別を判定した。約半数の胎児の頭部を、連続切片による内部検査のために固定した。全胎児の内臓摘出死骸は、骨格検査のために処理された。
【0368】
妊娠中のウサギにおける予備的な強化EFD
【0369】
当該研究の目的は、器官形成期全体に亘って筋肉内注射経路で投与された場合に、修飾BoNT/A (二鎖型に変換された配列番号4)が、ウサギの胚と、胎児と、の発育に及ぼす影響についての初期情報を示すことだった。9匹の妊娠6日目 (G6)乃至妊娠19日目 (G19)(6日目と、19日目と、を含む)までのニュージーランドホワイトラビットの交配雌グループに、0.02、0.05及び0.1ng/kg/日の用量水準で、修飾BoNT/A (二鎖型に変換された配列番号4)を毎日、筋肉内注射(腓腹筋)により投与した。当該研究全体を通じて、臨床状態と、体重と、摂食量と、を監視した。当該雌はG29に帝王切開検査を受け、胎児のパラメーターが記録された。剖検では、当該雌を肉眼で検査し、妊娠中の子宮の重量を測定し、注射を受けた腓腹筋が小さい雌の場合は、当該筋と、反対側の筋肉と、の重量を測定した。全ての胎児の体重を測定した。その後、当該胎児の外部及び内臓の異常を検査し、性別を判定した。約半数の胎児の頭部を、連続切片による内部検査のために固定した。
【0370】
結果
【0371】
上記のような研究を実施することにより、修飾BoNT/Aを投与された多くの異なる種について、以下の薬理学的データ(以下の表9に示す)を得た。
【表9】
【0372】
更に、修飾BoNT/A(二鎖型に変換された配列番号4)をラットDASアッセイにおいて試験し、Dysport(登録商標)と比較した場合の作用持続期間を決定した。結果を以下の表 10 に示す。
【表10】
【0373】
これらのデータは、当該修飾BoNT/AがDysport(登録商標)の2倍以上の作用持続期間を有することを示す。
【0374】
[実施例7]
【0375】
頸部ジストニア治療のための修飾BoNT/A (二鎖型に変換された配列番号4)の単位用量の決定
【0376】
上記の実施例6で得た前臨床薬理学データを考慮して、ヒトにおける修飾BoNT/Aの投与に適した単位用量範囲(UD)を決定した。当該研究では、修飾 BoNT/A が非修飾BoNT/A よりも長い作用持続期間をもたらすのと同時に、改善した安全性プロファイルを示すことが明らかになった。この改善された安全性プロファイルは、当該修飾BoNT/Aについて本明細書に記載される高い安全率によって表現されてもよい。
【0377】
修飾BoNT/AがDysport(登録商標)と同じ作用機序を共有しているため(その修飾特性により安全率が向上しているが)、罹患者を治療するための修飾BoNT/Aの最低用量は、同じ筋肉群におけるDysport(登録商標)のラベル表示用量と比較して相対的に位置づけられた:
・Digit Abduction Scoreラットモデルにおいて修飾BoNT/AのED50 は13pg/kgであり、同じ動物種における推定無毒性量 (NOAEL)の1500pg/kgより100倍以上少ない。同ラットモデルにおいて、Dysport(登録商標)の当該ED50は0.5単位/kgである。これらの動物データに基づき、修飾 BoNT/Aの用量2.6ngはDysport(登録商標)の用量100単位であると見積もられる。
・マウス腹腔内LD50は8.44pgに設定された。これらの条件下で、修飾BoNT/Aの用量0.84ngはDysport(登録商標)の用量100単位に相当する。
【0378】
したがって、算出された最低用量は500pg(0.5ng)である。背景を提供すべく上記のマウスの腹腔内LD50のデータを使用することにより、0.5ngの修飾 BoNT/Aは約60単位のDysport(登録商標)に相当し、したがって頸部ジストニア治療のために筋肉内投与した場合に、効力があり得る。
【0379】
ラットにおける修飾BoNT/Aの推定NOAEL1.5ng/kgは、体重60kgのヒトに対する90ng用量に相当する。非臨床試験を受けた2種のうち感受性の高いサルにおいて、修飾 BoNT/Aの0.125ng/kgの推定NOAELは、体重60kgのヒトの7.5ng用量に相当する。
【0380】
したがって、当該単位用量の上限はヒト用量に換算した当該ラットのNOAELを下回るように、7,500pg(7.5ng)と決定される。
【0381】
したがって、修飾 BoNT/A を用いた頸部ジストニアの治療に適した単位用量は500乃至7,500pgと決定された。得られた前臨床データに基づくと、これはマウス腹腔内致死用量アッセイを用いて決定されたように、算出されたマウスにおける腹腔内半数致死量(LD50)に基づいた約59乃至889単位の修飾BoNT/A(また、約59乃至889単位のDysport(登録商標)にも相当する)である。
【0382】
実施例6の前臨床データによって決定されたように、Dysport(登録商標)と比較した場合に改善された安全性プロファイルを考慮すると、頸部ジストニアに投与される総用量(単位)は、Dysport(登録商標)のものよりほぼ9倍の大きさになると予想される。頸部ジストニアの治療のためのDysport(登録商標)の最大総用量は1,000単位である (
図1を参照)。
【0383】
有利には、当該最大用量に達するまで、頸部ジストニアの治療において、より多くの修飾BoNT/Aを注射することができ、及び/又はより多くの頸筋/頸部に注射することができる。これは重要かつ有利な発見であり、臨床医により広い範囲の治療の選択肢を提供すると同時に、頸部ジストニア治療の改善につながる。
【0384】
[実施例8]
【0385】
頸部ジストニアの治療のための投与計画
【0386】
修飾BoNT/A(二鎖型に変換された配列番号4)は、1バイアル当たり15ngの修飾BoNT/Aを含む2mL透明ガラスバイアル中の凍結乾燥粉末として提供される。当該凍結乾燥粉末を、防腐剤を含まない滅菌塩化ナトリウム0.9%v/w溶液と、希釈剤 (修飾BoNT/Aの賦形剤のみを含む緩衝液製剤)と、の混合物で再構成する。再構成後、当該溶液を必要に応じて更に希釈する。
【0387】
当該単位用量(UD)は500乃至7,500pg (約59乃至889単位)である。
【0388】
頸部ジストニアは、以下の投与計画(表11)に従って筋肉内注射により治療される。
【表11】
【0389】
当該投与は特定の症状に基づき、必要に応じて、片側または両側で行ってもよい。
【0390】
投与される最大総用量は単位用量の10倍である(例えば、場合によっては、単位用量の2倍が、示された一つ又は複数の当該頸筋に投与される)。これは75,000pg/約8,890単位に相当する。これは、毒性限度(従来の治療計画における懸念事項)に近づくことなく、頸部ジストニアの治療中に投与できるDysport(登録商標)の最大総用量のほぼ9倍である。したがって、臨床医は、毒性の懸念なしに10倍の単位用量を投与できるという知識によって、罹患者に治療を適合させることができ、それによって当該罹患者のさらなる頸筋への治療が可能になり、及び/又は各頸筋が薬理学的に有効な用量を受け取ることが保証される。
【0391】
[実施例9]
【0392】
修飾BoNT/AB(BoNT/ABキメラ[二鎖型に変換された配列番号14])の前臨床試験
【0393】
配列番号14(二鎖型に変換された)のBoNT/ABキメラを、マウスLD50アッセイにおいて試験したところ、1.202ng/kgの結果を得た。したがって、本アッセイにおいて配列番号14(二鎖型に変換された)の1単位は24.04pgに相当する。
【0394】
更に前記BoNT/ABキメラをラットDASアッセイにおいて試験し、Dysport(登録商標)と比較した場合の作用持続期間を決定した(実施例6に従って)。結果を以下の表12に示す。
【表12】
【0395】
結論として、BoNT/ABの当該作用持続期間はDysport(登録商標)よりもはるかに長く、配列番号4(二鎖型に変換)の当該作用持続期間と同様であった。したがって、配列番号4(二鎖型に変換)に対する単位用量及び投与計画は、同様にBoNT/ABに適用され、改善された、頸部ジストニアに対する治療の提供が可能になると期待される。
【0396】
[実施例10]
【0397】
頸部ジストニア治療のための修飾BoNT/A (二鎖型に変換された配列番号14)の単位用量の決定
【0398】
前臨床薬理学データを考慮して、ヒトにおける修飾BoNT/Aの投与に適した単位用量の範囲(UD) が決定された。
【0399】
配列番号14(二鎖型に変換)について、13pg/kgのDAS ED50が算出された。ED50は薬理学的効用のある最小用量と考えられ、同じ動物種における無毒性量(NOAEL)の4ng/kgと比べて約300倍低い。ラットにおける配列番号14(二鎖型に変換)のED5013pg/kgは、体重60kgのヒトの0.8ng用量に相当する。
【0400】
したがって当該単位用量の下限として1,000pgが選択された。当該単位用量の上限は16,000pgが選択され、これは非臨床安全種(ラット及びサル)の両方由来の、体重60kgのヒト用量に換算した、NOAEL4ng/kgよりも低い。したがって、単位用量は 1,000pg乃至16,000pg(約42単位乃至約666単位)と決定された。
【0401】
改善された安全性プロファイルを考慮して、頸部ジストニアの治療に対する当該最大総用量は160,000pg(約7,070単位) に設定され、これは、体重60kgのヒトの用量に換算した両非臨床安全性動物種 (ラットとサル) 由来のNOAEL4ng/kg に由来する。
【0402】
実施例9の前臨床データにより決定されたように、Dysport(登録商標)と比較した場合に改善された安全性プロファイルを考慮すると、頸部ジストニアにおいて投与される総投薬量(単位)は、Dysport(登録商標)のほぼ7倍と予想される。頸部ジストニア治療に対するDysport(登録商標)の最大総用量は 1,000単位である (
図1参照)。
【0403】
有利には、頸部ジストニアの治療において、当該最大用量に達するまで、より多くの修飾BoNT/A(二鎖型に変換された配列番号14)を注射することができ、及び/又はより多くの頸筋/頸部に注射することができる。これは、臨床医により広い範囲の治療選択肢を示すと同時に、改善された頸部ジストニアの治療につながる重要かつ有利な発見である。
【0404】
[実施例11]
【0405】
修飾BoNT/A(二鎖型に変換された配列番号14)を用いた頸部ジストニア治療に対する投与計画
【0406】
バイアル当たり36ngの修飾BoNT/Aを含むバイアル中の凍結乾燥粉末として修飾BoNT/A(二鎖型に変換された配列番号14)が提供される。当該凍結乾燥粉末は再構成される。
【0407】
当該単位用量(UD)は1,000乃至16,000pg (約42乃至666単位 [マウスLD50による測定]) である。
【0408】
頸部ジストニアは、以下の投与計画に従った筋肉内注射により治療される(表13)。
【表13】
【0409】
当該投与は特定の症状に基づき、必要に応じて片側または両側で行ってもよい。
【0410】
投与される最大総用量は単位用量の10倍である(例えば、場合によっては、単位用量の2倍を、示された一つ又は複数の頸筋に投与する)。これは160,000pg/約6,660単位に相当する。これは、毒性限度(従来の治療計画における懸念事項)に近づくことなく、頸部ジストニアの治療中に投与できるDysport(登録商標)の最大総用量のほぼ7倍である。したがって、臨床医は、毒性の懸念なしに単位用量の10倍を投与できるという知識によって罹患者に治療を適合させることができ、それによって当該罹患者のさらなる頸筋の治療が可能になり、及び/又は各頸筋が薬理学的に有効な用量を受け取ることが保証される。
【0411】
[実施例12]
【0412】
頸部ジストニア(頸部側屈)患者の治療
【0413】
65歳のジェーンは、総合診療医によって頸部ジストニアと診断された。具体的な症状は頸部側屈のようなものである。修飾BoNT/A(二鎖型に変換された配列番号4)の単回の単位用量(3,000pg)をジェーンの肩甲挙筋に同側投与し、単回の単位用量をジェーンの胸鎖乳突筋にも同側投与する(結果として当該治療セッションにおける総用量は6,000pgである)。当該頸部側屈は緩和され、当該修飾BoNT/Aの持続期間が長いので、ジェーンは9か月を超えて、更なる治療を必要としない。したがって、非修飾BoNT/Aを投与された同等の罹患者と比較した場合、ジェーンが受ける注射の頻度は少なくなる(例えば1年当たりの頻度)。更に、当該修飾BoNT/Aの安全性プロファイルが改善されているため、ジェーンは副作用を示さない。
【0414】
[実施例13]
【0415】
頸部ジストニア(頸部後屈)患者の治療
【0416】
48歳のブライアンは、総合診療医によって頸部ジストニアと診断された。具体的な症状は頸部後屈のようなものである。修飾BoNT/A (二鎖型に変換された配列番号14)を、ブライアンの以下の各筋肉に両側投与する:
・各肩甲挙筋に10,000pgの単位用量の1倍;
・各僧帽筋に10,000pgの単位用量の1倍;
・各最長筋に10,000pgの単位用量の1倍;
・各頭板状筋に10,000pgの単位用量の1倍; 及び
・各頸板状筋に10,000pgの単位用量の1倍。
【0417】
投与される総用量は単位用量の10倍 (100,000pg)であり、これは 160,000pgの上限内に十分に収まっており、非修飾 BoNT/Aと比較した場合の、当該修飾 BoNT/Aのより高い安全性プロファイルを考慮すると可能である。当該頸部後屈は緩和され、修飾 BoNT/A の持続期間が長いため、ブライアンは 12カ月間に亘って更なる治療を必要としない。したがって、非修飾BoNT/Aを投与された同等の罹患者と比較した場合、ブライアンは注射を受ける頻度が少なくなる。
【0418】
[実施例14]
【0419】
ヒトにおける修飾BoNT/A(二鎖型に変換された配列番号14)の安全性と有効性
【0420】
配列番号14(二鎖型に変換された)を修飾BoNT/Aの単回の単位用量としてヒト罹患者に投与した。5つのコホートに、異なる(増加する)量の修飾BoNT/A(二鎖型に変換された配列番号14)を投与した。コホート1には修飾BoNT/Aの単位用量1,000pgを2回(すなわち最大2,000pg)投与し、同時にコホート5には修飾BoNT/Aの単位用量16,000pgを2回(すなわち最大32,000pg)投与した。
【0421】
試験された修飾BoNT/A の全ての単位用量 (つまり、最大16,000pg単位用量)が筋麻痺に有用であり、支障なく忍容され、例外的に高い筋肉あたり投与量にもかかわらず副作用が観察されないことが結果によって示された。このことは、当該修飾BoNT/Aが当該注射部位から拡散しないことを示し、修飾BoNT/A(二鎖型に変換された配列番号14)の例外的な安全性プロファイルを際立たせる。
【0422】
[実施例15]
【0423】
頸部ジストニア患者の治療
【0424】
64歳のサリーは、総合診療医によって頸部ジストニアと診断される。彼女は、以下のように投与される配列番号14(二鎖型に変換)の単位用量(UD)1000pgによって治療される:
【表I】
【0425】
彼女は、総用量14,000pgの配列番号14(二鎖型に変換)を受ける。当該治療は成功し、症状は軽減される。彼女は9か月を超える治療を必要としない。
【0426】
[実施例16]
【0427】
頸部ジストニア患者の治療
【0428】
43歳のフランチェスコは、総合診療医によって頸部ジストニアと診断される。彼は、以下のように投与される配列番号14(二鎖型に変換)の単位用量(UD)2000pgによって治療される。
【表J】
【0429】
彼は、総用量28,000pgの配列番号14(二鎖型に変換)を受ける。当該治療は成功し、症状は緩和される。彼は10か月を超える治療を必要としない。
【0430】
上記明細書記載の全ての出版物は、参照により本明細書に組み込まれる。本発明の記載された方法及びシステムについての様々な修正及び変形は、本発明の範囲及び精神から逸脱することなく当業者には明らかであろう。本発明を特定の好ましい実施の形態に関連して述べてきたが、特許請求の範囲に記載された本発明は。そのような特定の実施の形態に不当に限定されるべきではないことを理解されるべきである。実際、生化学及びバイオテクノロジー、または関連分野の当業者にとって自明である、本発明を実施するために記載された様態の様々な修正が、特許請求の範囲に含まれることを意図する。
【符号の説明】
【0431】
[
図1]
Indication: 適応症
Recommended Concentration: 推奨濃度
Recommended DYSPORT Dose: 推奨Dysport用量
Cervical Dystonia: 頸部ジストニア
Adults: 成人
50単位/0.1mlまたは25単位/0.1ml
500単位乃至1000単位
[
図2、
図5、
図8]
Marker: マーカー
[
図3A,B,C、
図6、
図9]
% SNAP-25 cleavage: SNAP-25切断の百分率
Basal: 基底
[
図3D]
mean ΔpEC50 v nBoNT/A1: 平均ΔpEC50 対 nBoNT/A1
log units: log/単位
10x less poteint: 10倍有効性がより少ない
[
図4]
min: 分
mean min ± sem: 平均 分 ± 平均値の標準誤差
[
図5~
図10]
SEQ ID NO: 配列番号
[
図6]
in rat spinal cord neurons: ラット脊髄ニューロンにおける
[
図7]
Mean DAS: 平均DAS
Dose (pg/mouse): 用量(pg/マウス)
[
図9]
in human pluripotent stem cells: ヒト多能性幹細胞における
[
図10]
Time (day): 時間(日)
【配列表】
【国際調査報告】