(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-20
(54)【発明の名称】ブドウキャラス培養液を有効成分として含有する抗菌及び抗酸化用組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/9789 20170101AFI20240912BHJP
A61P 17/10 20060101ALI20240912BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20240912BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20240912BHJP
A61K 36/87 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
A61K8/9789
A61P17/10
A61Q19/00
A61P31/04
A61K36/87
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024516697
(86)(22)【出願日】2022-09-14
(85)【翻訳文提出日】2024-03-14
(86)【国際出願番号】 KR2022013697
(87)【国際公開番号】W WO2023043173
(87)【国際公開日】2023-03-23
(31)【優先権主張番号】10-2021-0122731
(32)【優先日】2021-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522329995
【氏名又は名称】アイエヌジーアル インク
【氏名又は名称原語表記】INGR Inc.,
【住所又は居所原語表記】Rm 414, West Bldg., Dankook Univ., 152, Jukjeon-ro, Suji-gu, Yongin-si, Gyeonggi-do, 16890, Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】ピ、ジェホ
【テーマコード(参考)】
4C083
4C088
【Fターム(参考)】
4C083AA111
4C083AA112
4C083CC02
4C083EE14
4C083FF01
4C088AB56
4C088AC03
4C088AC04
4C088AC05
4C088AC11
4C088NA14
4C088ZA90
4C088ZB35
(57)【要約】
本発明はエプシロンビニフェリン(epsilon(ε)-Viniferin)、デルタビニフェリン(delta(δ)-Viniferin)及びレスベラトロール(resveratrol)などを含むブドウキャラス培養液を有効成分として含有する抗菌及び抗酸化用組成物に関するもので、具体的には本発明のブドウキャラス、その培養液及びその抽出液は細胞毒性がなく、有意な抗酸化効果及びニキビ菌に対する抗菌効果を示し、特に純粋ビニフェリンと比較して顕著な抗酸化及び抗菌効果を持つので、前記ブドウキャラス、その培養液及びその抽出液は抗酸化及び抗菌用組成物の有効成分として有用に使用できる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブドウキャラス、キャラス破砕物、キャラス培養液およびキャラス抽出物からなる群から選択されたいずれか一つ以上を有効成分として含有する抗菌用薬学的組成物。
【請求項2】
前記ブドウキャラスはブドウの花、葉、茎、枝、実及び根からなる群から選択されたいずれか一つ以上の部位から由来することを特徴とする、請求項1に記載の抗菌用薬学的組成物。
【請求項3】
前記ブドウキャラスは活性誘導剤および可溶化剤を添加した培地で培養することを特徴とする、請求項1に記載の抗菌用薬学的組成物。
【請求項4】
前記活性誘導剤および可溶化剤はそれぞれメチルジャスモン酸(methyljasmonate)およびステビオサイド(stevioside)であることを特徴とする、請求項3に記載の抗菌用薬学的組成物。
【請求項5】
前記組成物はプロピオニバクテリウムアクネ(Propionibacterium acnes)、スタフィロコカスエピダミス(Staphylococcus epidermis)、スタフィロコカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)、スタフィロコカスサプロファイティカス(Staphylococcus saprophyticus)、シュドモナスアエルジノサ(Pseudomonas aeruginosa)、エンテロコーカスパカリス(Enterococcus faecalis)、アクチノマイセスバウマニ(Actinomyces baumannii)、バシラスセレウス(Bacillus cereus)、バチルスサブチリス亜種スピジジェニ(Bacillus subtilis subsp.spizenii)、クレプシエラニューモニア(Klebsiella pneumonia)、クレプシエラオキシトカ(Klebsiella oxytoca)及びマイクロコーカスルテウス(Micrococcus luteus)からなる群から、いずれか一つ以上の菌に対する抗菌活性を有することを特徴とする、請求項1に記載の抗菌用医薬的組成物。
【請求項6】
前記組成物は、静菌及び殺菌活性を有することを特徴とする、請求項1に記載の抗菌用薬学的組成物。
【請求項7】
ブドウキャラス、キャラス破砕物、キャラス培養液およびキャラス抽出物からなる群から選択されたいずれか一つ以上を有効成分として含有するニキビ予防および治療用薬学的組成物。
【請求項8】
前記組成物はプロピオニーバクテリウムアクネ(Propionibacterium acnes)に対して抗菌活性を有することを特徴とする、請求項7に記載のニキビ予防及び治療用薬学的組成物。
【請求項9】
前記組成物はプロピオニーバクテリウムアクネに対して静菌及び殺菌活性を有することを特徴とする、請求項7に記載のニキビ予防及び治療用薬学的組成物。
【請求項10】
ブドウキャラス、キャラス破砕物、キャラス培養液及びキャラス抽出物からなる群から選択されたいずれか一つ以上を有効成分として含有する抗菌用化粧料組成物。
【請求項11】
ブドウキャラス、キャラス破砕物、キャラス培養液及びキャラス抽出物からなる群から選択されたいずれか一つ以上を有効成分として含有するニキビ予防及び改善用化粧料組成物。
【請求項12】
ブドウキャラス、キャラス破砕物、キャラス培養液およびキャラス抽出物からなる群から選択されたいずれか一つ以上を有効成分として含有する抗酸化用組成物。
【請求項13】
ブドウのキャラス、キャラス破砕物、キャラス培養液およびキャラス抽出物からなる群から選択されたいずれか一つ以上を有効成分として含有する抗酸化および抗菌用健康食品。
【請求項14】
薬学的に有効な量のブドウキャラス、キャラス破砕物、キャラス培養液及びキャラス抽出物からなる群から選択されたいずれか一つ以上を有効成分として含有する組成物を個体に投与する段階を含む、酸化ストレスの予防又は改善方法。
【請求項15】
薬学的に有効な量のブドウキャラス、キャラス破砕物、キャラス培養液およびキャラス抽出物からなる群から選択されたいずれか一つ以上を有効成分として含有する組成物を個体に投与する段階を含む、酸化ストレスの治療方法。
【請求項16】
薬学的に有効な量のブドウキャラス、キャラス破砕物、キャラス培養液及びキャラス抽出物からなる群から選択されたいずれか一つ以上を有効成分として含有する組成物を個体に投与する段階を含む、バクテリア感染の予防又は改善方法。
【請求項17】
薬学的に有効な量のブドウキャラス、キャラス破砕物、キャラス培養液及びキャラス抽出物からなる群から選択されたいずれか一つ以上を有効成分として含有する組成物を個体に投与する段階を含む、バクテリア感染の治療方法。
【請求項18】
薬学的に有効な量のブドウキャラス、キャラス破砕物、キャラス培養液及びキャラス抽出物からなる群から選択されたいずれか一つ以上を有効成分として含有する組成物を個体に投与する段階を含む、ニキビの予防又は改善方法。
【請求項19】
薬学的に有効な量のブドウキャラス、キャラス破砕物、キャラス培養液及びキャラス抽出物からなる群から選択されたいずれか一つ以上を有効成分として含有する組成物を個体に投与する段階を含む、ニキビの治療方法。
【請求項20】
酸化ストレスの予防、改善又は治療用組成物として使用するためのブドウキャラス、キャラス破砕物、キャラス培養液およびキャラス抽出物からなる群から選択されたいずれか一つ以上を有効成分として含有する組成物の用途。
【請求項21】
バクテリア感染の予防、改善又は治療用組成物として使用するためのブドウキャラス、キャラス破砕物、キャラス培養液およびキャラス抽出物からなる群から選択されたいずれか一つ以上を有効成分として含有する組成物の用途。
【請求項22】
ニキビ予防又は治療用の薬学的組成物として使用するためのブドウキャラス、キャラス破砕物、キャラス培養液およびキャラス抽出物からなる群から選択されたいずれかを有効成分として含有する組成物の用途。
【請求項23】
ニキビ予防および改善用化粧料組成物として使用するためのブドウキャラス、キャラス破砕物、キャラス培養液およびキャラス抽出物からなる群から選択されたいずれかを有効成分として含有する組成物の用途。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はエプシロンビニフェリン(epsilon(ε)-Viniferin)、デルタビニフェリン(delta(δ)-Viniferin)およびレスベラトロール(resveratrol)などを含むブドウキャラス培養液を有効成分として含有する抗菌および抗酸化用組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
全世界的に産業中心社会からサービス中心社会に転換される過程で、人間の健康が最大の話題になった。石油系物質をベースにした産業社会の急激な膨張は人間に便利さをもたらしたが、急速な発展の後遺症によって居住環境が汚染されただけでなく、人間自らの健康を害する状況も招くことになった。これに対し生活密着型製品を中心に環境にやさしい物質に対する関心と要求が高まっている状況だ。
【0003】
酸素は生命を維持するのに必ず必要な要素として人体で呼吸という過程を通じて体内でエネルギーを作るのに使うが、酸素が私たちにエネルギーだけを与えるわけではない。酸素は体内で食べ物と結合する過程で活性酸素という有害性酸素を作るが、この活性酸素は私たちの体に病気を起こす原因として作用しており最近では医学界が人間老化の主犯として活性酸素を名指ししている。そこで、活性酸素の毒性から人体を保護できる天然物由来抗酸化剤の開発が着実に行われている。
【0004】
ニキビはすべての年齢帯でほとんどの人に発生し、綿布又は膿疱などを形成する皮膚疾患だ。ニキビの発生原因は、過剰な皮脂分泌、ホルモン不均衡、毛包内異常角化およびプロピオニーバクテリウムアクネス(Propionibacterium acnes)の増殖および炎症反応などの複合的な要因で発生する。ニキビ原因菌であるプ.アクネス(P. acnes)は嫌気性皮膚常在菌で毛包内で増殖し、皮脂のトリグリセリドをリパーゼが加水分解して生成される遊離脂肪酸とこれによる毛包の刺激で化学主性因子(chemotactic factor)が発生して炎症反応を起こす。プ.アクネス感染によるニキビの治療方法は抗生剤投与が最も多く使われているが、抗生剤の耐性などによって治療効果が落ちることがある。そこで、ニキビ治療に副作用や耐性のない生薬由来物質に対する研究が活発に進められている。
【0005】
一方、植物由来の多様な有用物質(例、二次代謝産物)を生物工学的な方法で生産しようとする多くの研究が試みられた。その中で最も効果的な生産法が植物細胞培養法だ。この方法は培養培地と培養環境および多様な誘導因子(elicitor)処理などを通じて効果的に二次代謝産物を生産することができる。また、栽培又は自然環境の制約(高/猛毒性農薬、重金属汚染、季節的支配、気候条件など)を受けずに植物由来有用物質を連続的かつ安定的に大量生産することが可能なので商業的に重要といえる。
【0006】
また、関連先行文献として大韓民国登録特許第10-1253374号(ニキビ皮膚改善用化粧料組成物)はニキビ皮膚改善のための化粧料組成物としてキムチ乳酸菌発酵抽出物と大豆発酵抽出物を利用し,大韓民国登録特許第10-0879032号(天然抗菌及び抗炎効果のある抗菌,抗酸化及び抗炎抑制剤及びこれを含有する化粧料組成物)は,漢方薬材の甘草,地毛,毒活,黄白,黄蓮,苦参,黄金,怪花,紫草混合抽出物を利用して抗菌効果のある化粧料組成物を提供しているが,ブドウキャラスのニキビ菌に対する抗菌効果および抗酸化効果は知られてしたところがない。
【0007】
そこで、本発明者らは植物由来の有用物質を大量に生産する方法を構築し、これを利用した機能性化粧料、健康機能食品及び薬学的素材を開発するために努力した結果、本発明のブドウキャラス培養液は有意な抗酸化及び抗菌効果を示し、特に純粋なビニフェリン(viniferin)と比較して顕著な抗酸化及び抗菌効果を示すので、前記のブドウキャラス培養液を天然物由来の抗酸化及び抗菌用医薬組成物、化粧料組成物及び健康食品として有用に使用できることを明らかにすることで、本発明が完成した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、ブドウキャラス、キャラス破砕物、キャラス培養液およびキャラス抽出物からなる群から選択されたいずれか一つ以上を有効成分として含有する抗酸化および抗菌用組成物を提供するためのものである。
【0009】
また、本発明の他の目的は、薬学的に有効な量のブドウキャラス、キャラス破砕物、キャラス培養液およびキャラス抽出物からなる群から選択されたいずれか一つ以上を有効成分として含有する組成物を個体に投与する段階を含む、酸化ストレスの予防、改善又は治療方法を提供するためのものである。
【0010】
また、本発明の他の目的は、薬学的に有効な量のブドウキャラス、キャラス破砕物、キャラス培養液およびキャラス抽出物からなる群から選択されたいずれか一つ以上を有効成分として含有する組成物を個体に投与する段階を含む、バクテリア感染の予防、改善、又は治療方法を提供するためのものである。
【0011】
また、本発明の他の目的は、薬学的に有効な量のブドウキャラス、キャラス破砕物、キャラス培養液およびキャラス抽出物からなる群から選択されたいずれか一つ以上を有効成分として含有する組成物を個体に投与する段階を含む、ニキビの予防、改善、又は治療方法を提供するためのものである。
【0012】
また、本発明の他の目的は酸化ストレスの予防、改善又は治療用組成物として使用するためのブドウキャラス、キャラス破砕物、キャラス培養液およびキャラス抽出物からなる群から選択されたいずれか一つ以上を有効成分として含有する組成物の用途を提供するためのものである。
【0013】
また、本発明の他の目的はバクテリア感染の予防、改善又は治療用組成物として使用するためのブドウキャラス、キャラス破砕物、キャラス培養液およびキャラス抽出物からなる群から選択されたいずれか一つ以上を有効成分として含有する組成物の用途を提供するためのものである。
【0014】
また、本発明の他の目的は、ニキビの予防又は治療用薬学的組成物として使用するためのブドウキャラス、キャラス破砕物、キャラス培養液およびキャラス抽出物からなる群から選択されたいずれか一つ以上を有効成分として含有する組成物の用途を提供するためのものである。
【0015】
併せて、本発明の他の目的はニキビの予防及び改善用化粧料組成物として使用するためのブドウキャラス、キャラス破砕物、キャラス培養液及びキャラス抽出物からなる群から選択されたいずれか一つ以上を有効成分として含有する組成物の用途を提供するためのものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の目的を達成するために、本発明はブドウキャラス、キャラス破砕物、キャラス培養液およびキャラス抽出物からなる群から選択されたいずれか一つ以上を有効成分として含有する抗酸化および抗菌用の薬学的組成物を提供する。
【0017】
また、本発明はブドウキャラス、キャラス破砕物、キャラス培養液およびキャラス抽出物からなる群から選択されたいずれか一つ以上を有効成分として含有するニキビ予防および治療用の薬学的組成物を提供する。
【0018】
また、本発明はブドウキャラス、キャラス破砕物、キャラス培養液およびキャラス抽出物からなる群から選択されたいずれか一つ以上を有効成分として含有する抗酸化および抗菌用化粧料組成物を提供する。
【0019】
また、本発明はブドウキャラス、キャラス破砕物、キャラス培養液およびキャラス抽出物からなる群から選択されたいずれか一つ以上を有効成分として含有するニキビ予防および改善用化粧料組成物を提供する。
【0020】
また、本発明はブドウキャラス、キャラス破砕物、キャラス培養液およびキャラス抽出物からなる群から選択されたいずれか一つ以上を有効成分として含有する抗酸化および抗菌用健康食品を提供する。
【0021】
また、本発明は薬学的に有効な量のブドウキャラス、キャラス破砕物、キャラス培養液およびキャラス抽出物からなる群から選択されたいずれか一つ以上を有効成分として含有する組成物を個体に投与する段階を含む酸化ストレスの予防又は改善方法を提供する。
【0022】
また、本発明は薬学的に有効な量のブドウキャラス、キャラス破砕物、キャラス培養液およびキャラス抽出物からなる群から選択されたいずれか一つ以上を有効成分として含有する組成物を個体に投与する段階を含む酸化ストレスの治療方法を提供する。
【0023】
また、本発明の他の目的は、薬学的に有効な量のブドウキャラス、キャラス破砕物、キャラス培養液およびキャラス抽出物からなる群から選択されたいずれか一つ以上を有効成分として含有する組成物を個体に投与する段階を含む、バクテリア感染の予防又は改善方法を提供する。
【0024】
また、本発明の他の目的は、薬学的に有効な量のブドウキャラス、キャラス破砕物、キャラス培養液およびキャラス抽出物からなる群から選択されたいずれか一つ以上を有効成分として含有する組成物を個体に投与する段階を含む、バクテリア感染の治療方法を提供する。
【0025】
また、本発明はブドウキャラス、キャラス破砕物、キャラス培養液およびキャラス抽出物からなる群から選択されたいずれか一つ以上を有効成分として含有する組成物を個体に投与する段階を含む、ニキビの予防又は改善方法を提供する。
【0026】
また、本発明はブドウキャラス、キャラス破砕物、キャラス培養液およびキャラス抽出物からなる群から選択されたいずれか一つ以上を有効成分として含有する組成物を個体に投与する段階を含む、ニキビの治療方法を提供する。
【0027】
また、本発明は酸化ストレスの予防、改善又は治療用組成物として使用するためのブドウキャラス、キャラス破砕物、キャラス培養液およびキャラス抽出物からなる群から選択されたいずれか一つ以上を有効成分として含有する組成物の用途を提供する。
【0028】
また、本発明はバクテリア感染の予防、改善又は治療用組成物として使用するためのブドウキャラス、キャラス破砕物、キャラス培養液およびキャラス抽出物からなる群から選択されたいずれか一つ以上を有効成分として含有する組成物の用途を提供する。
【0029】
また、本発明はニキビ予防又は治療用の薬学的組成物として使用するためのブドウキャラス、キャラス破砕物、キャラス培養液およびキャラス抽出物からなる群から選択されたいずれか一つ以上を有効成分として含有する組成物の用途を提供する。
【0030】
併せて、本発明はニキビ予防および改善用化粧料組成物として使用するためのブドウキャラス、キャラス破砕物、キャラス培養液およびキャラス抽出物からなる群から選択されたいずれか一つ以上を有効成分として含有する組成物の用途を提供する。
【発明の効果】
【0031】
本発明のブドウキャラス、その培養液及びその抽出液は細胞毒性がなく、有意な抗酸化及びニキビ菌に対する抗菌効果を示し、特に純粋ビニフェリンと比較して顕著な抗酸化及び抗菌効果を有するので、前記ブドウキャラス、その培養液及びその抽出液は抗酸化及び抗菌用組成物の有効成分として有用に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】
図1は、MNT-1セルにおけるビニフェリン及びブドウキャラス培養液(試料名A)の細胞毒性を確認した図である。ブドウキャラス培養液(試料名A)はビニフェリンと比較するためにエプシロンビニフェリン含量基準で試料を希釈してウェル(well)に処理した。
【
図2】
図2は、Raw264.7セルでビニフェリン及びブドウキャラス培養液(試料名A)の細胞毒性を確認した図である。ブドウキャラス培養液(試料名A)はビニフェリンと比較するためにエプシロンビニフェリン含量基準で試料を希釈してウェルに処理した。
【
図3】
図3は、ブドウのキャラス培養液(試料名A)及びブドウのキャラス培養液の抽出物(試料名a)の抗酸化効果を確認するためにDPPH分析を行った図である。
【
図4】
図4は、ブドウキャラス培養液(試料名A及び試料名C)を3種のプ.アクネス(P. acnes)に処理72時間後、プ.アクネスの生長を阻害する最小濃度を確認した図である。
【
図5】
図5は、ブドウキャラス培養液(試料名A及び試料名C)を3種のプ.アクネスに処理72時間後、プ.アクネス成長を抑制する最小濃度を確認した図である。
【
図6】
図6は、ブドウキャラス培養液(試料名A及び試料名C)を3種のプ.アクネスに処理48時間後、プ.アクネス成長を抑制する最小濃度を確認した図である。
【
図7】
図7は、円盤拡散試験を利用してブドウキャラス培養液の抽出物(試料名a)の抗菌効果を確認した図である。
【発明の実施のための最善の形態】
【0033】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0034】
本発明はブドウキャラス、キャラス破砕物、キャラス培養液およびキャラス抽出物からなる群から選択されたいずれか一つ以上を有効成分として含有する抗酸化および抗菌用組成物を提供する。
【0035】
本発明では、前記キャラスは正常な器官形成や組織分化を起こす能力を失った無定型の組織又は細胞塊で、大部分が有細胞であり、植物体から切り取った組織を成長調節剤を含む組織培養用培地で培養したり、植物体に傷をつけたり、植物体の傷口に成長調節剤を処理した時に生じる特殊な組織又は細胞塊をいう。
【0036】
また、前記破砕物は細胞を一般的な界面活性剤(detergent)などを利用して化学的な方法又はフレンチプレス(French Press)などを利用した物理的な方法などで破砕して得た細胞溶解物を意味し、その方法は当業界に公示された通常の方法に従って製造することができ、その方法は特に制限されない。
【0037】
また、前記培養液は当業界に公示された通常の方法で細胞を培養する過程を経た後、遠心分離(centrifugation)、濾過網ろ過などの物理的方法を利用してペレットを除去した残りの培養液(コンディション培地)を意味し、その方法は当業界に公示された通常の方法に従って製造することができ、その方法は特に制限されない。
【0038】
前記抽出物は、キャラス自体又はキャラス粉末、キャラス破砕物、又はキャラス培養液を当業界に知られた通常の方法によって抽出したものを意味し、その方法は当業界に公示された通常の方法によって製造することができ、その方法は特に制限されない。例えば、冷浸抽出、熱水抽出、超音波抽出、還流冷却抽出などがある。抽出溶媒としては一般的に使用できる溶媒を使用することができ、水、炭素数1-4個の無水又は含水低級アルコール、アセトン、エチルアセテート、ブチルアセテートおよび1,3-ブチレングリコールなどを使用することができる。
【0039】
一方、前記ブドウキャラス及びその培養液は后記のように製造されることが望ましいが、これに限定されない。
【0040】
ブドウ組織からキャラスを誘導する段階;及び
【0041】
前記誘導されたブドウキャラスを活性誘導剤及び可溶化剤を添加して培養する段階。
【0042】
前記段階1)のブドウはブドウの花、葉、茎、枝、実及び根からなる群から選択されたいずれか一つ以上の部位であり、より具体的にはブドウの花であることが好ましく、前記ブドウの品種は清水、紅丹、タムナラ、紅露、黒玉、黒宝石、水玉、トゥヌリ、タムクムチュ、ホンアラム、ナルシャ、ホンソダム、アルデン(Alden)、キャンベルアーリー(Campbell Early)、デラウェア(Delaware)、ダッチェス(Ductchess)、ゴールデンマスカット(Golden Muscat)、ヒムロードシードレス(Himrod Seedless)、シラー(Schuyler)、ホンイドゥ(Beniizu)、巨峰(Kyoho)、フィオーネ(Pione)、スーパーハンバーグ(Super Hamburg)、タノレッド(Tano Red)、マスカットハンバーグ(Muscat Hamburg)及びシベル9110(Seibel 9110)を含むが、これに制限されるわけではない。
【0043】
前記の段階1)で、キャロラインの誘導は植物体の組織又はその切片体を組織培養用培地で培養して行われる。前記組織培養用培地としてはMS(Murashige and Skoog,1962)培地、N6(Chu et al.,1975)、B5(Gamborg et al.,1968)、NN(Nitsch and Nitsch、1967)培地、ホワイト培地など多様な植物の基本培地が使用できる。また、前記組織培養用培地は植物成長調節剤が添加されたものを使用することが望ましい。前記植物成長調節剤は、当業界に告知された物質を利用することができるが、好ましくは2,4-D(2,4-dichlorophenoxyacetic acid)、2,4,5-T(2,4,5-trichlorophenoxyacetic acid)、ディカンバ(2-methoxy-3,6-dichlorobenzoic acid)、IAA(indole-3-acetic acid)、IBA(indole-3-butyric acid)、MCPA(2-methyl-4-chlorophenoxyacetic acid)、NAA(1-naphthylacetic acid)、NOA(2-naphthyloxyacetic acid)、ピクロラム(4-amino-2,5,6-trichloropicolinic acid)などのオキシン(Auxin)類;BAP(6-benzylaminopurine)、2iP(N6-(2-isopentyl)adenine)、Kinetin(6-furfurylaminopurine)、Thidiazuron(1-phenyl-3-(1,2,3-thiadiazol-5-yl)urea)、Zeatin(4-hydroxy-3-methyl-trans-2-butenylaminopurine)などのサイトキニン(Cytokin)類及びその誘導体を含むことができる。他にも組織培養用培地には細胞の分化および増殖に作用するアルカロイド類、テルペノイド類、カロテノイド類、フェノール類化合物および天然抽出物などを追加で添加することができる。より好ましくはIAA、NAA、2,4-D及びキネチンを添加することができ、より一層好ましくは0.05~0.2mg/LのIAA、0.05~0.2mg/LのNAA、1~2mg/Lの2,4-D及び0.2~0.3mg/Lのキネチンを添加することができるが、これに限定されない。
【0044】
前記段階2)で活性誘導剤はメチルジャスモン酸、SA又はプラゼリン22を含み、さらにより好ましくはメチルジャスモン酸であることができるが、これに制限されない。また、可溶化剤はシクロデキストリン、メチルサイクロデキストリン又はステビオサイド(stevioside)であり、さらに好ましくはステビオサイドでありうるが、これに制限されない。前記メチルジャスモン酸及びステビオサイドは、好ましくはそれぞれ50~350μM及び40~60mMの濃度で添加することができ、より好ましくはそれぞれ100μM及び50mMの濃度で添加することができるが、これに制限されない。
【0045】
また、前記の組成物は、プロピオニバクテリウムアクネ(Propionibacterium acnes)、スタフィロコカスエピダミス(Staphylococcus epidermis)、スタフィロコカスアウレウス(Staphylococcus aureus)、スタフィロコカスサプロファイティカス(Staphylococcus saprophyticus)、シュドモナスアエルジノサ(Pseudomonas aeruginosa)、エンテロコーカスパカリス(Enterococcus faecalis)、アクチノマイセスバウマニ(Actinomyces baumannii)、バチルスセレウス(Bacillus cereus)、バチルスサブチリス亜種スピジゼニ(Bacillus subtilis subsp. spizenii)、クレプシエラニューモニア(Klebsiella pneumonia)、クレプシエラオキシトカ(Klebsiella oxytoca)及びマイクロコーカスルテウス(Micrococcus luteus)からなる群から、いずれか一つ以上の菌に対する抗菌活性を有することが望ましく、特にプロピオニーバクテリウムアクネ(Propionibacterium acnes)に対して有意な静菌および殺菌活性を示すので、前記組成物はニキビ予防および治療用薬学的組成物として使われることが望ましい。
【0046】
また、本発明はニキビの予防又は治療用薬学的組成物として使用するためのブドウキャラス、キャラス破砕物、キャラス培養液およびキャラス抽出物からなる群から選択されたいずれか一つ以上を有効成分として含有する抗酸化および抗菌用組成物の用途を提供する。
【0047】
本発明の具体的な実施例において、本発明者らはブドウキャラスを誘導した後、その培養液及びその抽出物を製造した後、細胞毒性を確認した結果、エプシロンビニwフェリンは20μg/ml内でのみ細胞毒性がなかったが、ブドウキャラス培養液はエプシロンビニフェリンが100μg/ml含まれていても細胞毒性を示さないことを確認した(
図1及び
図2参照)。
【0048】
また、本発明者らは、ブドウキャラス培養液の抗酸化効果を確認するためにDPPH分析を行った結果、エプシロンビニフェリン及びデルタビニフェリンは500μg/mlで対照群に比べてラジカルが25%程度消去されたが、本発明のブドウキャラス培養液(試料名A)及びブドウキャラス培養液の抽出物(試料名a)の場合、500μg/ml(エプシロンビニフェリン含量基準)からラジカルが60%以上消去されることを確認した(
図3参照)。
【0049】
また、本発明者らはブドウキャラス培養液の抗菌効果を確認した結果、本発明のブドウキャラス培養液はニキビ菌に対して有意な殺菌及び静菌効果を示し、特に純粋ビニフェリンと比較して顕著な抗菌効果を示すことを確認した(
図4ないし
図7参照)。
【0050】
したがって、本発明のブドウキャラス、その培養液及びその抽出液は細胞毒性がなく、有意な抗酸化効果を示し、ニキビ菌に対する顕著な抗菌効果を示すので、抗酸化及び抗菌用組成物の有効成分として有用に使用できる。
【0051】
本発明による薬学的組成物は、有効成分以外に薬学的に許容される担体を含むことができる。本発明の薬学的組成物に含まれる薬学的に許容される担体は製剤時に通常的に用いられるもので、炭水化物類化合物(例:ラクトス、アミロース、デキストロース、スクロース、ソルビット、マンニトール、デンプン、セルロースなど)、アカシアゴム、リン酸カルシウム、アルギネート、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微細結晶性セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、水、シロップ、塩溶液、アルコール、アラビアゴム、植物油(例:トウモロコシ油、綿種油、豆乳、オリーブ油、ココナッツ油)、ポリエチレングリコール、メチルセルロース、メチルヒドロキシベンゾエイト、プロピルヒドロキシベンゾエイト、滑石、ステアル酸マグネシウム及びミネラルオイルなどを含むが、これに限定されない。
【0052】
本発明の薬学的組成物は,前記成分以外に潤滑剤,湿潤剤,甘味剤,香味剤,乳化剤,懸濁剤,保存剤などを追加で含むことができる。適合する薬剤学的に許容される担体および製剤は,Remington's Pharmaceutical Sciences(19th ed.,1995)に詳細に記載されている。
【0053】
本発明の薬学的組成物は経口又は非経口などの多様な経路で投与でき、投与のすべての方式は予想できるが、例えば経口、直腸又は静脈、筋肉、皮下注射によって投与できる。この時、非経口経路としては経皮投与が望ましく、その中でも塗布による局部投与(topical application)が最も望ましい。
【0054】
本発明の薬学的組成物の適合した投与量は、製剤化方法、投与方式、患者の年齢、体重、性、病的状態、食物、投与時間、投与経路、排泄速度及び反応感応性のような要因によって多様に処方されることができる。本発明の薬学的組成物の経口投与量は成人基準で0.001-100mg/kg(体重)範囲内である。また、外用剤の場合には成人基準で1.0ないし3.0mlの量で1日1回ないし5回塗布して1ヶ月以上継続することができる。ただし、前記投与量は本発明の範囲に制限されない。
【0055】
本発明の薬学的組成物は、当該発明の属する技術分野において通常の知識を有する者が容易に行うことができる方法により、薬学的に許容される担体及び/又は賦形剤を用いて製剤化することにより、単位容量形態で製造されるか、又は多容量容器内に内入させて製造することができる。この時、剤形はオイル又は水性媒質中の溶液、懸濁液、シロップ剤又は乳化液形態であるか、エックス剤、酸剤、粉末剤、顆粒剤、精製又はカプセル剤形態であることもありうるし、分散剤又は安定化薬を追加的に含むことができる。
【0056】
また、本発明はブドウキャラス、キャラス破砕物、キャラス培養液およびキャラス抽出物からなる群から選択されたいずれか一つ以上を有効成分として含有する抗酸化および抗菌用化粧料組成物を提供する。
【0057】
また、本発明はニキビ予防および改善用化粧料組成物として使用するためのブドウキャラス、キャラス破砕物、キャラス培養液およびキャラス抽出物からなる群から選択されたいずれか一つ以上を有効成分として含有する組成物の用途を提供する。
【0058】
前記ブドウケラス、キャラス破砕物、キャラス培養液およびキャラス抽出物、その効果およびニキビについては前記抗酸化および抗菌用組成物に対する説明と同じであり、具体的な説明は前記内容を援用し、以下では化粧料組成物に特有の構成についてのみ説明する。
【0059】
本発明による化粧料組成物は、有効成分以外に化粧料組成物に通常的に利用される成分を追加的に含むことができる。例えば、抗酸化剤、安定化剤、溶解化剤、ビタミン、顔料および抗料のような通常の補助剤、および担体を含むことができる。
【0060】
本発明の化粧料組成物は、当業界で通常的に製造されるいかなる製剤でも製造することができ、例えば、溶液、懸濁液、乳濁液、ペースト、ゲル、クリーム、ローション、パウダー、石鹸、界面活性剤-含有クレンジング、オイル、粉末ファンデーション、乳濁液ファンデーション、ワックスファンデーション及びスプレーなどで製剤化することができるが、これに制限されない。より詳しくは、栄養クリーム、収斂化粧水、柔軟化粧水、ローション、エッセンス、栄養ジェル又はマッサージクリームなどの製剤で製造することができる。
【0061】
前記化粧料組成物の製剤がペースト、クリーム又はゲルである場合には、担体成分として動物性油、植物性油、ワックス、パラフィン、デンプン、トラカンド、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコン、ベントナイト、シリカ、タルク又は酸化亜鉛などが利用できる。
【0062】
前記化粧料組成物の製剤がパウダー又はスプレーの場合には、担体成分としてラクトス、タルク、シリカ、アルミニウムヒドロキシド、カルシウムシリケート又はポリアミドパウダーが利用でき、特にスプレーの場合には、追加的にクロロヒドロカーボン、プロパン/ブータン又はジメチルエーテルのような推進体を含むことができる。
【0063】
前記化粧料組成物の製剤が溶液又は乳濁液である場合には、担体成分として溶媒、溶解化剤又は乳濁化剤が用いられ、例えば水、エタノール、イソプロパノール、エチルカーボネート、エチルアセテート、ベンジルアルコール、ベンジルベンゾエイト、プロピレングリコール、1,3-ブチルグリコールオイル、グリセロール脂肪族エステル、ポリエチレングリコール又はソルビタンの脂肪酸エステルが用いられる。
【0064】
前記化粧料組成物の製剤が懸濁液である場合には、担体成分として水、エタノール又はプロピレングリコールのような液状の希釈剤、エトキシル化イソステアリールアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールエステルおよびポリオキシエチレンソルビタンエステルのような懸濁剤、微小結晶性セルロース、アルミニウムメタヒドロキシド、ベントナイト、アガ又はトラカントなどが利用できる。
【0065】
前記化粧料組成物の製剤が界面活性剤-含有クレンジングの場合には、担体成分として脂肪族アルコールソルフェート、脂肪族アルコールエーテルスルフェート、スルホコハク酸モノエステル、イセチオネート、イミダゾリニウム誘導体、メチルタウレート、サルコシネート、脂肪酸アミドエーテルスルフェート、アルキルアミドベタイン、脂肪族アルコール、脂肪酸グリセリド、脂肪酸ジエタノールアミド、植物性油、ラノリン誘導体又はエトキシル化グリセロール脂肪酸エステルなどが利用できる。
【0066】
併せて、本発明はブドウキャラス、キャラス破砕物、キャラス培養液およびキャラス抽出物からなる群から選択されたいずれか一つ以上を有効成分として含有する抗酸化および抗菌用健康食品を提供する。
【0067】
前記ブドウキャラス、キャラス破砕物、キャラス培養液およびキャラス抽出物、その効果については前記抗酸化および抗菌用組成物に対する説明と同じであり、具体的な説明は前記の内容を援用し、以下では健康食品組成物に特有の構成についてのみ説明する。
【0068】
本発明による健康食品は、有効成分以外に食品製造時に通常的に添加される成分を含むことができる。例えば、蛋白質、炭水化物、脂肪、栄養素、調味料および香味剤を含む。上述の炭水化物の例はモノサカライド、例えばブドウ糖、果糖等;ダイサカライド、例えばマルトス、シュクロス、オリゴ糖等;及びポリサカライド、例えばデキストリン、シクロデキストリン等の通常の糖及びキシリトール、ソルビトール、エリトリトール等の糖アルコールである。香味剤として天然香味剤[タウマチン、ステビア抽出物(例えばレバウジオシドA、グリチルヒジンなど)および合成香味剤(サカリン、アスパルタムなど)]を使用することができる。
【0069】
有効成分の混合量は、その使用目的によって適切に決定できる。一般的に、健康食品中の前記有効成分の量は、全体食品重量の0.01ないし15重量で加えることができ、健康飲料組成物は100mlを基準に0.02ないし5g、好ましくは0.3ないし1gの割合で加えることができる。しかし、健康および衛生を目的とするか、又は健康調節を目的とする長期間の摂取の場合には、前記の量は前記の範囲以下であり、安全性の面で何の問題もないため、有効成分は前記の範囲以上の量としても使用できる。
【0070】
本発明の健康食品が健康飲料組成物として製造される場合には、本発明の有効成分以外にクエン酸、液状果糖、砂糖、ブドウ糖、酢酸、リンゴ酸などを追加で含めることができる。
【0071】
また、前記の健康食品は、上述の成分の他に、様々な栄養剤、ビタミン、電解質、風味剤、着色剤、ペクト酸及びその塩、アルギン酸及びその塩、有機酸、保護性コロイド増粘剤、pH調節剤、安定化剤、防腐剤、グリセリン、アルコール、炭酸飲料に使用される炭酸化剤等を含有することができる。その他、本発明の健康食品は、天然フルーツジュース、飲料及び野菜飲料の製造のための果肉を含有することができる。これらの成分は独立して、又は組み合わせて使用することができる。
【0072】
また、本発明は薬学的に有効な量のブドウキャラス、キャラス破砕物、キャラス培養液およびキャラス抽出物からなる群から選択されたいずれか一つ以上を有効成分として含有する組成物を個体に投与する段階を含む酸化ストレスの予防又は改善方法を提供する。
【0073】
また、本発明は薬学的に有効な量のブドウキャラス、キャラス破砕物、キャラス培養液およびキャラス抽出物からなる群から選択されたいずれか一つ以上を有効成分として含有する組成物を個体に投与する段階を含む酸化ストレスの治療方法を提供する。
【0074】
また、本発明の他の目的は、薬学的に有効な量のブドウキャラス、キャラス破砕物、キャラス培養液およびキャラス抽出物からなる群から選択されたいずれか一つ以上を有効成分として含有する組成物を個体に投与する段階を含む、バクテリア感染の予防又は改善方法を提供する。
【0075】
また、本発明の他の目的は、薬学的に有効な量のブドウキャラス、キャラス破砕物、キャラス培養液およびキャラス抽出物からなる群から選択されたいずれか一つ以上を有効成分として含有する組成物を個体に投与する段階を含む、バクテリア感染の治療方法を提供する。
【0076】
また、本発明は薬学的に有効な量のブドウキャラス、キャラス破砕物、キャラス培養液およびキャラス抽出物からなる群から選択されたいずれか一つ以上を有効成分として含有する組成物を個体に投与する段階を含む、ニキビの予防又は改善方法を提供する。
【0077】
併せて、本発明は薬学的に有効な量のブドウキャラス、キャラス破砕物、キャラス培養液およびキャラス抽出物からなる群から選択されたいずれか一つ以上を有効成分として含有する組成物を個体に投与する段階を含む、ニキビの治療方法を提供する。
【0078】
前記ブドウキャラス、キャラス破砕物、キャラス培養液およびキャラス抽出物およびニキビは前記抗酸化および抗菌用組成物に対する説明と同じであり、具体的な説明は前記の内容を援用する。
【0079】
一方、本発明の方法で製造された抗酸化及び抗菌用組成物は細胞毒性がなく、有意な抗酸化効果及びニキビ菌に対する抗菌効果を示し、特に純粋ビニフェリンと比べて顕著な抗酸化及び抗菌効果があることを確認したので、本発明の抗酸化及び抗菌用組成物をニキビ予防、改善又は治療のために有用に利用できる。
【0080】
以下、本発明を実施例および実験例により詳しく説明する。
【0081】
ただし、下記の実施例および実験例は本発明を例示するだけで、本発明の内容が下記の実施例および実験例によって限定されるものではない。
【0082】
<実施例1>ブドウキャラス培養液の製造
【0083】
<1-1>ブドウキャラス誘導
【0084】
ブドウ品種でケンベル(Vitisvinifera L. cv Campbell Early)を利用してブドウ組織からキャラスを誘導した後増殖した。
【0085】
具体的には、ブドウの花を切り取り、流水で洗浄した後、70%エタノール溶液に1分間浸漬して表面殺菌を実施した。表面殺菌は無菌作業台内でブドウの花組織をガラス瓶に入れ、商業用ラックス(約1%次亜塩素酸ナトリウム)溶液で15分間実施し、滅菌蒸留水で3回洗浄した。表面殺菌が完了した組織は滅菌ろ過紙を利用して残った湿気を除去し培養に使用した。表面殺菌が完了したブドウの花組織をメスを利用して切り取った後、それぞれの組織(花びら、花飯、雄しべ)を培養培地に致傷した。ブドウキャラス誘導に使用された培地は[表1]に示し、成長調節剤として0.1mg/LのIAA、0.1mg/LのNAA、1.5mg/Lの2,4-D、そして0.25mg/Lのキネチンが添加された培地を使用した。培養条件は25℃恒温期において癌培養を実施した。培養後に形成された白色のキャラスは、同一組成の固体培地に約4週間おきに季帯培養を実施した。
【0086】
【0087】
<1-2>ブドウ・キャラス培養液回収
【0088】
前記の実施例<1-1>から誘導され、安定化されたブドウキャラスを培養してブドウキャラス培養液を回収した。
【0089】
具体的には、前記の実施例<1-1>から誘導され安定化されたブドウキャラスを1mg/L2,4-Dを含むMS(Murashige&Skoog)培地を称するMS1D(MS4.4g、スクロース30g、MES0.5g、ミオ-イノシトール0.1g、チアミンHCl0.4mg、2,4-D1mg/L)液体培地100mlに10gずつ3個フラスコにそれぞれ接種した後、25℃、90rpmで培養した。14日間培養して増殖したキャラスをあらかじめ滅菌し、乾燥した3Lバイオリアクターにすべてリレーした後、1.2LのMS1D液体培地を追加した。7日間培養した後、100μM MeJA(methyl jasmonate)と50mMステビオサイドを共に処理し、以後培養5日目試料を濾過網に濾過してキャラスとキャラス培養液に分離することにより、ブドウケラス培養液(試料名A)を獲得した。
【0090】
併せて、前記製造したブドウカロース培養液内に存在するエプシロンビニフェリン、デルタビニフェリンおよびレスベラトロールの含量を測定した結果は表2に示す通りである。
【0091】
一方、エプシロンビニフェリン、デルタビニフェリン及びレスベラトロールの含有量は、前記のブドウケラス培養液(試料名A)20mlに同じ体積のエチルアセテートを入れてよく混ぜた後、エチルアセテート層を回収し、蒸発器を利用してエチルアセテートを除去した。最終的にエタノール1mlに溶かした後、適量に希釈してHPLCでエプシロン-ビニフェリン、デルタ-ビニフェリン、レスベラトロールそれぞれの含量を分析した。
【0092】
<1-3>ブドウキャラス培養液の抽出物の製造
【0093】
前記の実施例<1-2>で獲得したブドウキャラス培養液(試料名A)をエチルアセテートとして抽出し、ブドウキャラス培養液の抽出物(試料名a)を製造した。
【0094】
具体的には、前記の実施例<1-2>で獲得したブドウ・キャラス培養液(試料名A)20mlに同じ体積のエチルアセテートを入れてよく混ぜた後、エチルアセテート層を回収し、蒸発器を利用してエチルアセテートを除去した。最終的にエタノール1mlに溶かして、キャラス培養液の抽出物(試料名a)を製造した。
【0095】
併せて、前記<1-2>と同じ方法で、キャラス培養液の抽出物(試料名a)内のエプシロンビニフェリン、デルタビニフェリン及びレスベラトロールの含量を測定し、その結果、下記の表2に示した。
【0096】
<1-4>試料Cの製造
【0097】
前記の実施例<1-2>でフラスコに接種し、14日間培養して増殖したキャラスをバイオリアクターの代わりにあらかじめ滅菌して乾燥したフラスコに継代した後、300mlのMS1D液体培地を追加した。7日間培養した後、100μM MeJA(methyl jasmonate)と50mMステビオサイドを一緒に処理し、以後培養5日目の試料を濾過網に濾過して、キャラスとキャラス培養液を分離することでブドウキャラス培養液(試料名Cと命名)を獲得した。
【0098】
【0099】
<1-5>デルタビニフェリンの分離精製
【0100】
前記<1-2>で製造したブドウキャラス培養液を水とエチルアセテートに分配抽出して得られたエチルアセテート層を減圧濃縮した。得られた濃縮物(15g)をMPLC機器を用いて逆相コラム(10×30cm)を1段階分離した。この時、溶離溶媒は水-アセトニトリルを利用し、水-アセトニトリル混合溶液を100:1から100%アセトニトリルまで極性を低くして溶離させて7つの分画物(A-G)を得た。目標化合物であるビニフェリン(trance-d-viniferin、下記化学式1)が多量に含まれた分画Cを濃縮して濃縮物1.3gを得た。得られた濃縮物1.3gをリサイクリングLC機器を用いて逆相コラムクロマトグラフィーを水-アセトナイトリル(2:2)混合溶媒条件で行い、80%以上純度のビニフェリン160mgを得た。得られた分画物を95%メタノールで溶離させるゲルクロマトグラフィー(Sephadex LH-20)を行い、98%純度のビニフェリン12mgを得た。得られた化合物の構造は、1H-NMR、13C-NMR、2D-NMR、DEPT及び質量分析器を用いて究明した。
【0101】
trans-δ-Viniferin:1H-NMR(400MHz、Acetone-d6)δ7.45(1H、dd、J=8.5、2.0Hz、H-14b)、7.27(1H、s、H-10b)、7.25(2H、d、J=8.5Hz、H-2(6)a)、7.07(1H、d、J=16.5Hz、H-7b)、6.92(1H、d、J=16.5Hz、H-8b)、6.88(1H、d、J=8.1Hz、H-13b)、6.86(2H、d、J=8.5Hz、H-3(5)a)、6.55(2H、d、J=2.0Hz、H-2(6)b)、6.29(1H、t、J=2.0Hz、12a)、6.27(1H、t、J=2.0Hz、H-4b)、6.21(2H、d、J=2.0、H-10(14)a)、5.47(1H、d、J=8.0Hz、H-7a)、4.48(1H、d、J=8.0Hz、H-8a);13C-NMR(100MHz、Acetone-d6)δ159.7(C-12b)、158.8(C-11(13)a)、158.6(C-3(5)b)、157.5(C-4a)、144.3(C-9a)、139.8(C-1b)、131.6(C-11b)、131.2(C-1a)、130.8(C-9b)、128.2(C-7b)、127.7(C-14b)、127.6(C-2(6)a)、126.3(C-8b)、123.0(C-10b)、115.2(C-3(5)a)、109.2(C-13b)、106.4(C-10(14)a)、104.7(C-2(6)b)、101.8(C-4b)、101.4(C-12a)、93.1(C-7a)、56.9(C-8a)。
【0102】
【0103】
<1-6>エプシロンビニフェリンの分離精製
【0104】
前記<1-2>で製造したブドウキャラス培養液を水とエチルアセテートに分配抽出して得られたエチルアセテート層を減圧濃縮した。得られた濃縮物(10g)をMPLC機器を用いて逆相コラム(10×30cm)を1段階分離を実施した。この時、溶離溶媒は水-アセトニトリルを利用し、水-アセトニトリル混合溶液を70:1から100%アセトニトリルまで極性を低くして溶離させて5つの分画物(A-E)を得た。目標化合物であるビニフェリン(トランス-デルタ-ビニフェリン、下記化学式2)が多量に含まれた分画Bを濃縮して濃縮物1.5gを得た。得られた濃縮物1.5gをリサイクリングLC機器を用いて逆相コラムクロマトグラフィーを水-アセトナイトリル(2:1)混合溶媒条件で行い、85%以上純度のビニフェリン100mgを得た。得られた分画物を95%メタノールで溶離させるゲルクロマトグラフィー(Sephadex LH-20)を行い、98%純度のビニフェリン30mgを得た。得られた化合物の構造は、1H-NMR、13C-NMR、2D-NMR、DEPT及び質量分析器を用いて究明した。
【0105】
trans-ε-viniferin1H-NMR(400MHz、MeOD)δ7.14(2H、d、J=8.0Hz、H-2(6)a)、7.03(2H、d、J=8.0Hz、H-2(6)b)、6.80(1H、d、J=13.6Hz、H-7b)、6.78(2H、d、J=8.0Hz、H-3(5)a)、6.65(2H、d、J=8.0Hz、H-3(5)b)、6.56(1H、d、J=13.6Hz)、6.28(1H、brs、H-12b)、6.21(1H、brs、H-12a)、6.18(2H、brs、H-10a、14a)、5.37(1H、d、J=8.0Hz、H-7a)、4.35(1H、d、J=4.0Hz、H-8a);13C-NMR(100MHz、MeOD)δ161.3(C-11b)、158.6(C-11a、13a)、158.3(C-13b)、157.1(C-4a)、156.9(C-4b)、146.0(C-9a)、135.6(C-9b)、132.5(C-1a)、129.1(C-1b、7b)、127.5(C-2(6)b)、127.0(C-2(6)a)、122.4(C-8b)、118.8(C-10b)、115.1(C-3(5)b)、115.1(C-3(5)a)、106.3(C-14a、10a)、103.1(C-14b)、101.0(C-12a)、95.6(C-12b)、93.5(C-7a)、56.9(C-8a)。
【0106】
【0107】
<実験例1>ブドウキャラス培養液の細胞毒性の確認
【0108】
ブドウキャラス培養液、エプシロンビニフェリンおよびデルタビニフェリンの細胞毒性の有無を確認するために、MNT-1、Raw264.7細胞を利用してMTTアッセイを行った。
【0109】
具体的には、Raw264.7(murine macrophage)は10%FBSと1%gゲンタマイシンが添加されたDMEM(High glucose)培地で37℃、5%CO2条件で培養し、MNT-1(human melanomacell)は20%FBSと1%ゲンタマイシンが添加されたDMEM/MEM(High glucose)培地で37℃、5%CO2条件で培養した。その後、MNT-1(104cell/well)、Raw264.7(2x104cell/well)をそれぞれ96ウェルに培養し、試料を培地で希釈した後、各ウェルに処理した。24時間後、MTT溶液を100μg/mL濃度で処理し、37℃、5%CO2培養器で1時間反応させた。その後、培養液をすべて除去し、各wellにacid-isopropanol100μlずつ入れた後、570nmでELISAリーダーで吸光度を測定した。併せて、試料はビニフェリンと比較するためにエプシロンビニフェリン含量基準で試料を希釈してウェルに処理した。
【0110】
その結果、
図1及び
図2に示すように、エプシロンビニフェリンは20μg/ml内でのみ細胞毒性がなかったが、ブドウキャラス培養液(試料名A)はエプシロンビニフェリンが100μg/ml含まれていても細胞毒性を示さないことを確認した(
図1及び
図2)。
【0111】
<実験例2>ブドウキャラス培養液の抗酸化効果を確認
【0112】
ブドウキャラス培養液の抗酸化効果を確認するためにDPPH分析を行った。
【0113】
具体的には、80%メタノールを用いて0.2mM DPPH(1、1-Diphenyl-2-picryhydrazyl)溶液を製造した後、DPPH180μlと試料20μlをよく混合して常温で10分間反応させた後、517nmからELISAリーダーに吸光度を測定した。一方、試料はビニフェリンと比較するためにエプシロンビニフェリン含量基準で試料を希釈してwellに処理した。また、コントロールとしては試料の代わりに試料の希釈溶媒にDPPH試薬を入れて使用した。陽性対照群としてアスコルビン酸を処理した。
【0114】
その結果、
図3に示すように、エプシロンビニフェリン及びデルタビニフェリンは500μg/mlで対照群に比べてラジカルが25%程度消去されたが、本発明のブドウキャラス培養液(試料名A)及びブドウキャラス培養液の抽出物(試料名a)の場合、500μg/ml(エプシロンビニフェリン含量基準)でラジカルが60%以上消去されることを確認した(
図3)。
【0115】
<実験例3>ブドウキャラス培養液の抗菌効果の確認
【0116】
<3-1>ニキビ菌の培養
【0117】
ブドウケラス培養液のニキビ菌に対する抗菌効果を確認するために、Propionibacterium acnes(KCTC3314、KCTC3320、KCTC5012)はRCM(Reinforced Clostridial Medium)で37℃、アナロウビク条件で培養した。
【0118】
<3-2>ニキビ菌に対するMIC(minimum inhibitory concentration)確認
【0119】
MICは抗菌物質の静菌特徴を測定する指標で、本発明のブドウキャロース培養液を500nM~3.91nMの間の濃度に希釈した後、3種のプ.アクネスの生長を阻害する最小濃度を確認した。
【0120】
具体的に前記<3-1>で培養した3種のプ.アクネスをRCM液体培地5mlにアナロウビク条件で72時間37℃インキュベーターで培養した。また、96ウェルプレートに最高濃度からDWで1/2ずつ希釈し、8つの濃度でマスタープレートを製造した。その後、希釈したそれぞれの試料50μlを他の96ウェルプレートに移し入れた。前記3種のプ.アクネスを1x106cell/50ulになるように希釈し(in 2xRCM)、菌50μl(1x106cell)をそれぞれ試料が入っている96ウェルプレートに移し替えた。
【0121】
MICを測定するためにマイクロプレートリーダーで0時間OD600nmを測定した。その後、前記96ウェルプレートをアナロウビク条件で72時間37℃インキュベーションで培養した後、マイクロプレートリーダーで72時間OD600nmを測定した後、72時間OD値から0時間OD値を引いた後、コントロールと試料濃度に応じたプ.アクネス3種の生長を比較し、OD値比較を通じて抗菌活性を確認した。
【0122】
その結果、
図4に示すように、ブドウキャラス培養液(試料名A)は、プ.アクネス3320、3314、5012に対してそれぞれ平均151.72nM、176.02nM、117.45nM濃度で成長を阻害することを確認し、δ-viniferin含有量の高いブドウキャラス培養液(試料名C)はプ.アクネス3320、3314、5012に対してそれぞれ平均88.43nM、133.19nMの濃度で成長を阻害することを確認した。一方、純粋ε-viniferinと純粋δ-viniferinはプ.アクネス3種に対する成長阻害を示していないことを確認した。
【0123】
したがって、本発明のブドウキャラス培養液は純粋ビニフェリンと比較して顕著な正菌活性を示すことを確認した。
【0124】
<3-3>ニキビ菌に対するMBC(minimum bactericidal concentration)分析
【0125】
MBCは抗菌物質の殺菌特徴を測定する指標として、本発明のブドウキャラス培養液を500nM~3.91nMの間の濃度に希釈した後、3種のプ.アクネスの生長を抑制する最小濃度を確認した。
【0126】
具体的に前記<3-1>のMICを測定したプレートを利用して最小殺菌濃度を測定した。
【0127】
その結果、
図5に示すようにMBCを通じて抗菌物質の72時間殺菌を測定した結果、ブドウキャラス培養液(試料名A)はプ.アクネス3320、3314、5012に対してそれぞれ125nMで最も成長抑制効果が高いことが確認された。また、ブドウキャラス培養液(試料名C)はプ.アクネス3320、5012に対して125nM、プ.アクネス3314に対して62.5nM濃度で成長抑制が最も多く現れることを確認した。
【0128】
また、
図6に示すようにMBCを通じて抗菌物質の48hr殺菌を測定した結果、ブドウキャラス培養液(試料名A)はプ.アクネス3320、3314に対してそれぞれ125nMで最も成長抑制効果が高いことを確認し、プ.アクネス5012に対しては62.5nMで成長が抑制されることを確認した。また、ブドウキャラス培養液(試料名C)はプ.アクネス3320、5012に対して62.5nM、プ.アクネス3314に対して125nM濃度で成長抑制が最も多く現れることを確認した。
【0129】
併せて、48時間、72時間の両方で純粋ε-ビニフェリンと純粋δ-ビニフェリンはプ.アクネス3種に対する生長阻害を示していないことを確認した。
【0130】
したがって、本発明のブドウキャラス培養液は純粋ビニフェリンと比較して顕著な殺菌活性を示すことを確認した。
【0131】
<3-4>円盤拡散試験による抗菌効果の確認
【0132】
円盤拡散試験はバクテリアの抗菌剤敏感度検査法で抗菌効果がある場合、ディスクペイパァ周辺にクリアゾーンが形成され、クリアゾーン形成程度を通じて抗菌能力を測定することができる。
【0133】
具体的にプ.アクネス3320をRCM液体培地5mlにアナロウビク条件で72時間37℃インキュベーターで培養した。その後、5x105~1x106で希釈した菌を綿棒に濡らした後、RCMアガァ培地にまんべんなく塗った。ディスクペイパァをアガァプレートの上に乗せ、原液の試料でディスクペイパァを浸した後、アナロウビク条件で72時間37℃インキュベーターで培養した後、バーニア・キャリパーを利用してクリアゾーンの大きさを測定した。
【0134】
その結果、
図7及び表3に示すように、ブドウキャラス培養液の抽出物(試料名a)をε-ビニフェリン基準で5μg及び10μg処理した際、プ.アクネス2種(プ.アクネス3320、5012)に対する抗菌性が現れ、具体的には対照群50%EtOH処理群において8mmクリアゾーンが現れたが、本発明のブドウキャラス培養液の抽出物(試料名a)がニキビ菌に対する抗菌活性を示すことを確認した。
【0135】
【産業上の利用可能性】
【0136】
本発明はエプシロンビニフェリン(epsilon(ε)-Viniferin)、デルタビニフェリン(delta(δ)-Viniferin)及びレスベラトロール(resveratrol)などを含むブドウキャラス培養液を有効成分として含有する抗菌及び抗酸化用組成物に関するもので、具体的には本発明のブドウキャラス、その培養液及びその抽出液は細胞毒性がなく、有意な抗酸化効果及びニキビ菌に対する抗菌効果を示し、特に純粋なビニフェリンと比べて顕著な抗酸化及び抗菌効果を持つという長所があり有用に利用できる。
【手続補正書】
【提出日】2024-03-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブドウキャラス、キャラス破砕物、キャラス培養液およびキャラス抽出物からなる群から選択されたいずれか一つ以上を有効成分として含有する抗菌用薬学的組成物。
【請求項2】
前記ブドウキャラスはブドウの花、葉、茎、枝、実及び根からなる群から選択されたいずれか一つ以上の部位から由来することを特徴とする、請求項1に記載の抗菌用薬学的組成物。
【請求項3】
前記ブドウキャラスは活性誘導剤および可溶化剤を添加した培地で培養することを特徴とする、請求項1に記載の抗菌用薬学的組成物。
【請求項4】
前記活性誘導剤および可溶化剤はそれぞれメチルジャスモン酸(methyljasmonate)およびステビオサイド(stevioside)であることを特徴とする、請求項3に記載の抗菌用薬学的組成物。
【請求項5】
前記組成物はプロピオニバクテリウムアクネ(Propionibacterium acnes)、スタフィロコカスエピダミス(Staphylococcus epidermis)、スタフィロコカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)、スタフィロコカスサプロファイティカス(Staphylococcus saprophyticus)、シュドモナスアエルジノサ(Pseudomonas aeruginosa)、エンテロコーカスパカリス(Enterococcus faecalis)、アクチノマイセスバウマニ(Actinomyces baumannii)、バシラスセレウス(Bacillus cereus)、バチルスサブチリス亜種スピジジェニ(Bacillus subtilis subsp.spizenii)、クレプシエラニューモニア(Klebsiella pneumonia)、クレプシエラオキシトカ(Klebsiella oxytoca)及びマイクロコーカスルテウス(Micrococcus luteus)からなる群から、いずれか一つ以上の菌に対する抗菌活性を有することを特徴とする、請求項1に記載の抗菌用医薬的組成物。
【請求項6】
前記組成物は、静菌及び殺菌活性を有することを特徴とする、請求項1に記載の抗菌用薬学的組成物。
【請求項7】
ブドウキャラス、キャラス破砕物、キャラス培養液およびキャラス抽出物からなる群から選択されたいずれか一つ以上を有効成分として含有するニキビ予防および治療用薬学的組成物。
【請求項8】
前記組成物はプロピオニーバクテリウムアクネ(Propionibacterium acnes)に対して抗菌活性を有することを特徴とする、請求項7に記載のニキビ予防及び治療用薬学的組成物。
【請求項9】
前記組成物はプロピオニーバクテリウムアクネに対して静菌及び殺菌活性を有することを特徴とする、請求項7に記載のニキビ予防及び治療用薬学的組成物。
【請求項10】
ブドウキャラス、キャラス破砕物、キャラス培養液及びキャラス抽出物からなる群から選択されたいずれか一つ以上を有効成分として含有する抗菌用化粧料組成物。
【請求項11】
ブドウキャラス、キャラス破砕物、キャラス培養液及びキャラス抽出物からなる群から選択されたいずれか一つ以上を有効成分として含有するニキビ予防及び改善用化粧料組成物。
【請求項12】
ブドウキャラス、キャラス破砕物、キャラス培養液およびキャラス抽出物からなる群から選択されたいずれか一つ以上を有効成分として含有する抗酸化用組成物。
【請求項13】
ブドウのキャラス、キャラス破砕物、キャラス培養液およびキャラス抽出物からなる群から選択されたいずれか一つ以上を有効成分として含有する抗酸化および抗菌用健康食品。
【請求項14】
ブドウキャラス、キャラス破砕物、キャラス培養液およびキャラス抽出物からなる群から選択されたいずれか一つ以上を有効成分として含有する
酸化ストレスの予防、改善又は治療用組成
物。
【請求項15】
組成物として使用するためのブドウキャラス、キャラス破砕物、キャラス培養液およびキャラス抽出物からなる群から選択されたいずれか一つ以上を有効成分として含有する
バクテリア感染の予防、改善又は治療用組成
物。
【国際調査報告】