(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-20
(54)【発明の名称】ポンプ補助血液循環のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
A61M 60/178 20210101AFI20240912BHJP
A61M 60/242 20210101ALI20240912BHJP
A61M 60/33 20210101ALI20240912BHJP
A61M 60/416 20210101ALI20240912BHJP
A61M 60/419 20210101ALI20240912BHJP
A61M 60/806 20210101ALI20240912BHJP
【FI】
A61M60/178
A61M60/242
A61M60/33
A61M60/416
A61M60/419
A61M60/806
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024516711
(86)(22)【出願日】2022-09-15
(85)【翻訳文提出日】2024-03-14
(86)【国際出願番号】 US2022076474
(87)【国際公開番号】W WO2023044377
(87)【国際公開日】2023-03-23
(32)【優先日】2021-09-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523095750
【氏名又は名称】カーディオダイム インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100224672
【氏名又は名称】深田 孝徳
(72)【発明者】
【氏名】チョプラ ゴパル ケイ
(72)【発明者】
【氏名】グラハム ウィリアム
【テーマコード(参考)】
4C077
【Fターム(参考)】
4C077AA04
4C077DD10
4C077EE01
(57)【要約】
【課題】一般に血液循環を補助するためにポンプを使用するためのシステムを提供する。
【解決手段】ポンプを含む患者の体内の血液の循環を補助するためのシステムであって、ポンプは、上流部分及び下流部分を有するハウジングと、ハウジングの上流部分に配置されたインデューサであって、ポンプの長手方向軸の周りに回転する1又は2以上のらせん状に巻かれたインデューサブレードを含む、インデューサと、ハウジング内のインデューサの下流側に配置されたインペラであって、ポンプの長手方向軸の周りに回転する1又は2以上のインペラブレードを含む、インペラと、ハウジングの下流部分に配置され、ハウジングの周囲の少なくとも1つの開口を通して血液を導くディフューザと、を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンプを備える患者の体内の血液の循環を補助するためのシステムであって、
前記ポンプは、
上流部分及び下流部分を有するハウジングと、
前記ハウジングの前記上流部分に配置されたインデューサであって、前記ポンプの長手方向軸の周りに回転する1又は2以上のらせん状に巻かれたインデューサブレードを含む、インデューサと、
前記ハウジング内の前記インデューサの下流側に配置されたインペラであって、前記ポンプの前記長手方向軸の周りを回転する1又は2以上のインペラブレードを含む、インペラと、
前記ハウジングの下流部分に配置され、前記ハウジングの周囲の少なくとも1つの開口を通して血液を導くディフューザと、
を含む、システム。
【請求項2】
前記インデューサ及び前記インペラは、前記ハウジング及び前記ディフューザに対して回転可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
上流部分及び下流部分を有するカテーテルをさらに備え、前記カテーテルの前記上流部分は、血流入口を含み、前記血流入口から前記カテーテルを通してらせん状インデューサに血液を送給する、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記ポンプと前記患者の体外のセンサ又はコントローラのうちの1又は2以上との間に電気経路を提供するために、前記ポンプに接続されたポンプケーブルをさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記少なくとも1つの開口は、少なくとも2つの開口を含み、前記少なくとも2つの開口は、前記少なくとも2つの開口の遠位部分及び近位部分における前記ハウジングの円筒状部分と、前記少なくとも2つの開口の半径方向側面における前記ハウジングの支柱状部分とによって画定される、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記1又は2以上のらせん状に巻かれたインデューサブレードは、前記ハウジング内の血液を最初に加速するために回転し、
前記1又は2以上のインペラブレードは、前記インデューサによって付与された前記血液の回転速度を増加させるために回転し、
前記ディフューザは、2又は3以上の湾曲フィンを含み、前記インペラによって付与された前記血液の回転速度を、前記少なくとも1つの開口を通る軸方向の速度に変換する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記1又は2以上のらせん状に巻かれたインデューサブレードは、前記インデューサの軸方向の長さに沿って変化するピッチを有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記1又は2以上のインペラブレードは、前記ポンプの前記長手方向軸とほぼ整列している、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記1又は2以上のインペラブレードは、前記インペラの上流部分において円弧形状を有し、前記インペラの下流部分において比較的真っ直ぐな形状を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記ポンプは、シャフトをさらに含み、
前記ディフューザは、前記ハウジング内で静止しており、前記ディフューザは、前記シャフトが前記ディフューザ内で回転するのを可能にしながら前記シャフトを支持するための軸受マウントをさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記インデューサ及び前記インペラは、前記ハウジング内で回転するように前記シャフトに取り付けられている、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記ポンプは、前記ハウジングの下流部分又は前記ディフューザの下流部分のうちの1又は2以上に固定され、前記シャフトを回転させ、それによって前記ハウジング及び前記ディフューザに対して前記インデューサ及び前記インペラを回転させるように前記シャフトに動作可能に連結されたモータをさらに含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記インデューサ及び前記インペラのうちの1又は2以上は、密封された磁石を含み、
前記ポンプは、前記密封された磁石を前記シャフトの周りで回転させ、それによって前記ハウジング及び前記ディフューザに対して前記インデューサ及び前記インペラを回転させるステータをさらに含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
前記ステータは、前記ハウジングの円周の360度未満を取り囲むC字形状を有する、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記インデューサ及び前記インペラのうちの1又は2以上は、密封された磁石を含み、
前記システムは、前記患者の身体に付着されるか又は巻き付けられるように構成された可撓性パッド又はストラップに含まれる外部ステータをさらに備え、前記外部ステータは、前記密封された磁石を前記シャフトの周りで回転させ、それによって前記ハウジング及び前記ディフューザに対して前記インデューサ及び前記インペラを回転させる、
請求項11に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2021年9月16日出願の米国出願第63/245,039号の優先権の利益を主張するものであり、その開示内容全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(技術分野)
本開示の様々な態様は、一般に血液循環を補助するためにポンプを使用するためのシステム及び方法に関する。実施例によれば、本開示は、循環補助又はバイパスを提供するための軸流ポンプの使用及び制御のためのシステム、装置、及び関連する方法に関する。実施形態では、ポンプは、血管内用途において血液を循環させるために使用される多段軸流ポンプとすることができる。
【背景技術】
【0003】
心臓疾患、肺疾患、又は心臓に対する処置中及び処置後の患者において、心臓は、患者の体内に血液を循環させることが困難な場合がある。例えば、心不全の患者は、心臓の1又は2以上の心室の収縮の強さ又はリズムに関する問題に起因して心室血液送り出しが不十分である可能性がある。外科手術又は外来治療などの、他の状況では、一部又は全部の血流をバイパスする必要がある場合がある。このような場合、ポンプが、心臓を補助又はバイパスさせるために、心臓又は血管系(動脈など)の他の部分に植え込まれるか、さもなければ患者の循環系に接続される場合がある。ポンプは、体内の一般的な血流を改善すること、又は腎臓への腎動脈のような特定の部位への血流を実質的に改善することができるが、そのために、ポンプは、局所的及び方向的な流れの制御を有する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、上記の課題又は当技術分野における他の課題の1又は2以上に対処することに焦点を当てた方法及びシステムに関する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
いくつかの態様では、本明細書に記載の技術は、患者の体内の血液の循環を補助するためのシステムに関し、このシステムは、ポンプを含み、ポンプは、上流部分及び下流部分を有するハウジングと;ハウジングの上流部分に配置されたインデューサであって、ポンプの長手方向軸の周りを回転する1又は2以上のらせん状に巻かれたインデューサブレードを含むインデューサと;ハウジング内のインデューサの下流側に配置されたインペラであって、ポンプの長手方向軸の周りを回転する1又は2以上のインペラブレードを含むインペラと;ハウジングの下流部分に配置され、ハウジングの周囲の少なくとも1つの開口を通して血液を導くディフューザと;を含む。
【0006】
いくつかの態様では、本明細書に記載の技術は、インデューサ及びインペラがハウジング及びディフューザに対して回転可能である、システムに関する。
【0007】
いくつかの態様では、本明細書に記載の技術は、上流部分及び下流部分を有するカテーテルを含み、カテーテルの上流部分が血流入口を含み、血流入口からカテーテルを通してらせん状インデューサまで血液を送給する、システムに関する。
【0008】
いくつかの態様では、本明細書に記載の技術は、ポンプと患者の体外のセンサ又はコントローラのうちの1又は2以上との間に電気経路を提供するために、ポンプに接続されたポンプケーブルをさらに含む、システムに関する。
【0009】
いくつかの態様では、本明細書に記載の技術は、少なくとも1つの開口が、少なくとも2つの開口を含み、少なくとも2つの開口が、少なくとも2つの開口の遠位部分及び近位部分におけるハウジングの円筒状部分と、少なくとも2つの開口の半径方向側面におけるハウジングの支柱状部分とによって画定される、システムに関する。
【0010】
いくつかの態様では、本明細書に記載の技術は、1又は2以上のらせん状に巻かれたインデューサブレードが、ハウジング内の血液を最初に加速するために回転し、1又は2以上のインペラブレードが、インデューサによって付与された血液の回転速度を増加させるために回転し、ディフューザが、2又は3以上の湾曲フィンを含み、インペラによって付与された血液の回転速度を、少なくとも1つの開口を通る軸方向の速度に変換する、システムに関する。
【0011】
いくつかの態様では、本明細書に記載の技術は、1又は2以上のらせん状に巻かれたインデューサブレードが、インデューサの軸方向の長さに沿って変化するピッチを有する、システムに関する。
【0012】
いくつかの態様では、本明細書に記載の技術は、1又は2以上のインペラブレードが、ポンプの長手方向軸とほぼ整列している、システムに関する。
【0013】
いくつかの態様では、本明細書に記載の技術は、1又は2以上のインペラブレードが、インペラの上流部分において円弧形状を有し、インペラの下流部分において比較的真っ直ぐな形状を有する、システムに関する。
【0014】
いくつかの態様では、本明細書に記載の技術は、ポンプがシャフトをさらに含み、ディフューザがハウジング内で静止しており、ディフューザが、シャフトがディフューザ内で回転するのを可能にしながらシャフトを支持するための軸受マウントをさらに含む、システムに関する。
【0015】
いくつかの態様では、本明細書に記載の技術は、インデューサ及びインペラが、ハウジング内で回転するようにシャフトに取り付けられている、システムに関する。
【0016】
いくつかの態様では、本明細書に記載の技術は、ポンプが、ハウジングの下流部分又はディフューザの下流部分のうちの1又は2以上に固定され、シャフトを回転させ、それによってハウジング及びディフューザに対してインデューサ及びインペラを回転させるようにシャフトに動作可能に連結されたモータをさらに含む、システムに関する。
【0017】
いくつかの態様では、本明細書に記載の技術は、インデューサ及びインペラのうちの1又は2以上が、密封された磁石を含み、ポンプが、密封された磁石をシャフトの周りで回転させ、それによってハウジング及びディフューザに対してインデューサ及びインペラを回転させるためのステータをさらに含む、システムに関する。
【0018】
いくつかの態様では、本明細書に記載の技術は、ステータが、ハウジングの円周の360度未満を取り囲むC字形状を有する、システムに関する。
【0019】
いくつかの態様では、本明細書に記載の技術は、インデューサ及びインペラの1又は2以上が、密封された磁石を含み、システムが、患者の身体に付着されるか又は巻き付けられるように構成された可撓性パッド又はストラップに含まれる外部ステータをさらに含み、外部ステータが、密封された磁石をシャフトの周りで回転させ、それによってハウジング及びディフューザに対してインデューサ及びインペラを回転させる、システムに関する。
【0020】
本開示の態様は、特に血流を補助又は支援するポンプを採用するシステム、装置、及び方法に関する。実施形態では、軸流ポンプが血液循環を補助する。本明細書に開示された態様の各々は、他の開示された態様のいずれかに関連して記載された特徴の1又は2以上を含むことができる。
【0021】
上述の全体的な説明及び以下の詳細な説明の両方は、単に例示的で説明のためのものであり、権利主張される本開示を制限するものではないことを理解されたい。
【0022】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付の図面は、本開示の例示的な態様を示し、本明細書と共に本開示の原理を説明するものである。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本開示の態様による、カテーテルポンプ組立体の図である。
【
図2】本開示の態様による、
図1のカテーテルポンプ組立体のポンプ部分の断面図である。
【
図3】本開示の態様による、ポンプ組立体の斜視図である。
【
図4】本開示の態様による、内部構成要素を見るためにハウジングが透明で示された、
図3のポンプ組立体の斜視図である。
【
図5】本開示の態様による、ポンプ組立体の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本開示の態様は、体内用途において血液を循環させるために多段軸流ポンプを使用するためのシステム及び方法に関する。本開示による軸流ポンプは、カテーテルを用いて、心腔、動脈、又は静脈内に配置することができる。このような体内用途では、ポンプは、血液を循環させる際に心臓を補助するシステムの構成要素とすることができる。
【0025】
血管内血液ポンプは、経皮的及び/又は外科的に患者の血管系又は心臓に植え込むことができる循環補助装置である。これらの装置は、心臓の左側又は右側から排出される血液量を増加させることによって循環を補助することができる。軸流血液ポンプなどの血管内ポンプは、可撓性カテーテルの遠位端に結合することができ、カテーテルは、血管系に挿入することができる。
【0026】
説明を容易にするために、開示された装置及び/又はその構成要素の一部は、近位部分及び遠位部分と呼ばれる。「近位」という用語は、装置の使用者に近い部分を指すことを意図しており、「遠位」という用語は、本明細書では、使用者からさらに遠く離れた部分、従って患者の血管系に沿ってさらに離れた部分を指すために使用されることに留意されたい。同様に、「遠位」に延びることは、構成要素が遠位方向に延びることを示し、「近位」に延びることは、構成要素が近位方向に延びることを示す。開示された装置及び/又はその構成要素の複数の部分は、上流部分及び下流部分とも呼ばれ、「上流」という用語は、血流源により近い部分を指すことを意図し、「下流」という用語は、血流源からより遠い部分を指すために本明細書で使用される。さらに、本明細書で使用される場合、「約」、「ほぼ」、及び「実質的に」という用語は、記載された値又は示唆された値の±10%以内の値の範囲を示す。さらに、構成要素/表面の幾何学的形状を示す用語は、正確な形状及び近似的な形状を指す。
【0027】
本開示の一実施形態によれば、ポンプは、血液を循環系内の別の部位に送給するのを補助するために使用される。本開示は、ポンプが上行大動脈に配置される実施形態を説明するが、本開示はそのような使用に限定されない。また、本開示の態様は、心腔(すなわち、左心室、右心室、右心房、又は左心房)、動脈、又は静脈から、循環系の別の部位(例えば、動脈、静脈、又は他の心房)へ、又は、は動脈又は静脈の上流部分からその同じ動脈又は静脈の下流部分へ血液を送給するために使用することができる。本開示による循環補助装置は、回転軸流機械式心室補助ポンプとすることができ、上行大動脈への血液のポンプ送給において心臓を補助するために、例えば左心室(LV)に配置することができる。
【0028】
図1は、本開示によるカテーテルポンプ組立体100を示し、
図2は、組立体のカテーテルポンプ部分を示す。
図3は、インデューサ、インペラ、及びディフューザ部分を含むカテーテルポンプ組立体の一部を示し、その部分は、ハウジングが部分的に透明にされた状態で
図4にも示されている。
【0029】
図1を参照すると、カテーテルポンプ組立体100の1つの実施形態が示されている。組立体100は、一般に、血流入口を有するカテーテル110、ポンプケーブル120、及びポンプ130を含む。組立体100は、動脈などの血管内に挿入され、例えば心腔内から動脈への血液のポンプ送給を補助するように構成されている。
【0030】
カテーテル110及びポンプ130は、様々な方法で動脈内に挿入することができ、動脈内にポンプを適切に位置決めすることは、血管の形状及び大きさに起因して課題となる可能性がある。1つの実施形態では、この課題は、鉄道のような(railroad-like)ガイドワイヤを使用することによって対処することができる。ガイドワイヤを動脈内に挿入した後、カテーテル110は所望の位置に達するまでガイドワイヤを辿ることができる。その後、ガイドワイヤは、カテーテル110及びポンプ130を所定の位置に残したまま取り出すことができ、ポンプケーブル120は、ポンプ130からカテーテル110を通って患者の体外まで延びる。ポンプケーブル120は、ポンプ130に給電すること、1又は2以上のセンサ又はコントローラから信号を受け取ること又はそこから信号を送ること、及び/又は、臓器又は血管から体外への、例えばコントローラ及び/又は電源への電気経路を必要とする他の目的に役立つことができる。
【0031】
カテーテル110は、例えば、10mmの外径とそれを貫通して延びる1又は2以上の内腔を有する30Frのカテーテルとすることができる。他のサイズは、特定の用途に適する場合がある。カテーテル110は、医療グレードのプラスチックなどの可撓性生体適合性材料で構成することができる。ポンプ130の下流側のカテーテル110の部分は、ポンプケーブル120を収容する内腔を含む。ポンプ130の上流側のカテーテル110の部分は、カテーテル110の遠位開口部からポンプ130への血流のための管腔を含む。いくつかの実施形態では、ポンプ130の上流側のカテーテル110の部分は、ポンプ130への血液の交互流入を可能にするために有孔することができる。カテーテル110は、カテーテル110を血管又は心腔内の所定の位置に固定するためのステント(図示せず)を含むことができる。ステントは、当業者に公知の折り畳み可能/拡張可能な構造体とすることができ、何らかの従来の方法によって展開することができる。カテーテル110を係止し、それによってポンプ130の移動を阻止するための他の構造体を使用することができ、例えば、カテーテル110の遠位端での係止バルーンを使用することができる。
【0032】
ポンプ130は、ポンプ130の内部構成要素を収容するためのハウジング131を含むことができる。いくつかの実施形態では、ハウジング131は、7-8mmの外径を有し、焼結チタン又は他の適切な生体適合性材料から機械加工することができるが、他のサイズ及び材料を使用することができる。ハウジング131は、らせん状インデューサ133(ポンプ130の第1段)、インペラ135(ポンプ130の第2段)、及び血液ディフューザ138(ポンプ130の第3段)を含むことができる。ハウジング131の遠位部分、又は上流部分は、らせん状インデューサ133及びインペラ135を完全に収容する役割を果たすことができる。ハウジング131の近位部分、又は下流部分は、血液ディフューザ138を部分的に覆うことができるが、ポンプ送給された血流がポンプ130から出ることを可能にする1又は2以上の出口開口132を含むこともできる。いくつかの実施形態では、出口開口132は、出口開口132の遠位部分及び近位部分でのハウジング131の円筒状部分131A、及び出口開口132の半径方向側面でのハウジング131の支柱状部分131Bによって画定することができる。
図3及び4は、円周方向にほぼ等間隔に、120度離れて配置された3つの支柱状部分131Bを示す。支柱状部分131Bは、円筒状部分131Aの間に延び、円筒状部分131Aと一体成形することができ、3つの出口開口132を画定する。より多い又はより少ない支柱状部分131B、及び結果として生じる出口開口132、並びに支柱状部分131B間の不等間隔を使用することができる。
【0033】
いくつかの実施形態では、出口開口132は、適切な位置決め及び固定を助けるために、適切な放射線物質のマーキングを有する特定の血管に流れを導くように構成することができる。ポンプ130は、3段を有することができ、比較的大きな長さ(約1-2インチ)及び十分な時間にわたって血液の加速を分散させることができ、その結果、せん断が低くなり、血液細胞への害が少なくなり、血栓の蓄積及び形成が抑制される。
図2には、カテーテル110及びポンプケーブル120に接続されたポンプ130の一実施形態が示されている。
【0034】
らせん状インデューサ133は、1又は2以上のらせん状に巻かれたインデューサブレード134を有することができる。ポンプ130のらせん状インデューサ133は、血液の初期加速をもたらす。らせん状インデューサ133の長さは、流量及び圧力を変えるために変化させることができる。加えて、インデューサブレード134のピッチは、溶血及びせん断に影響を与えることができるので、より急なピッチは、より速い流量及び溶血の減少を可能にし、これは、より低圧の用途で有利な場合がある。インデューサブレード134のらせん角度は、1回転当たりの血液吸入量を増加させ、圧力能力を低下させるために減少させることができ、又は、1回転当たりの血液吸入量を減少させ、圧力能力を増大させるために増加させることができる。いくつかの実施形態では、らせん状に巻かれたインデューサブレード134は、らせん状インデューサ133及びインペラ135の軸方向の長さに沿って変化するピッチを有しており、らせん状インデューサ133のらせん状に巻かれたインデューサブレード134のピッチは、インペラ135内のらせん状に巻かれたインデューサブレード134のピッチよりも小さくなっている。らせん状インデューサ133の例示的な長さは、約5mmから約2cmである。例示的なピッチは約22度である。
【0035】
いくつかの実施形態では、インペラ135は、複数の直線状又はほぼ直線状のインペラブレード136を含むことができる(すなわち、ブレードは、ポンプ130の長手方向軸と整列している又はほぼ整列している)。インペラブレード136は、らせん状に巻かれたインデューサブレード134の間に(例えば、インデューサブレード134と円周方向に交互に)介在することができ、インペラブレード136は、インペラ135の下流側端部に近づくにつれて平らになる(本質的に直線状になる)初期円弧形状を有する。らせん状に巻かれたインデューサブレード134及びインペラブレード136の両方は、互いに実質的に平行に延在し、その下流側端部でインペラ135に対して等間隔に配置される場合がある。インペラ135はシャフト137に結合することができ、インペラ135及びらせん状インデューサ133にその周りで回転する軸を提供するようになっている。インペラブレードの厚さ及び角度は、設計の所望の圧力及び流量特性に適したディフューザとペアを組むように調整することができる。
【0036】
ポンプ130の効率を改善するために、らせん状に巻かれたインデューサブレード134及びインペラブレード136の特定の寸法及び輪郭は、所与の臨床用途の流量及び圧力要件に基づいて調整することができる。
【0037】
図3及び4に示されるように、血液ディフューザ138(ポンプ130の第3段)は、インペラ135の下流側端部に配置することができ、インペラ135によって付与された血液の回転速度を、血流の回転を止めることによって、軸方向速度及び血液ポンプ流出流に変換するように構成することができる。2又は3以上の湾曲フィン139を使用することにより、血流の回転速度を遅くすることができるが、血液ディフューザ138の本体の輪郭により、ハウジング131の1又は2以上の出口開口132を通して血流を外部に導くことができる。インペラ135に対する湾曲フィン139の数、厚さ、角度、及び近接性は、所望の圧力及び流れ特性を達成するように調整することができる。ポンプケーブル120に最も近いポンプ130の端部の血液ディフューザ138のすぐ近位の領域には血液は流れない。
【0038】
いくつかの実施形態では、
図5に示されるように、血液ディフューザ138は、シャフト137の軸受マウントとしての役割を果たすこともできる。血液ディフューザ138の内側面は、軸受面140とすることができる、シャフト137の回転を可能にしながらシャフト137を支持するように構成することができる。軸受面140の長さは、インペラ135及びらせん状インデューサ133が血液ディフューザ138によって完全に支持されることを可能にすることができ、従って、インペラ135及びらせん状インデューサ133の遠位端に別個の軸受を設ける必要がなくなる。いくつかの実施形態では、血液ディフューザ138は、静止構成要素とすることができ、可動部品の数を減らすことで信頼性、製造性、及びシステム効率を助けることができる。いくつかの実施形態では、シャフト137、インペラ135、及びらせん状インデューサ133は、唯一の可動ポンプ構成要素とすることができ、らせん状インデューサ133及びインペラ135は、ハウジング131及び血液ディフューザ138に対して回転可能である。これらの構成要素は、約8,000から約14,000RPMで回転することができる。
【0039】
いくつかの実施形態では、インペラ135及びらせん状インデューサ133は、インペラ135とは反対側の血液ディフューザ138の近位部分に配置されたモータ150によって駆動することができる。モータ150は、ハウジング131及び/又は血液ディフューザ138の近位部分に固定することができ、さらにシャフト137に動作可能に連結することができる。モータ150が回転すると、モータ150はシャフト137を回転させることができ、シャフト137(その遠位端でインペラ135に連結されている)は、インペラ135及びらせん状インデューサ133を回転させることができる。モータ150には、ポンプケーブル120を通って患者の外部まで延在するワイヤによって、又は他の適切な供給源によって給電することができる。モータ150は、ハウジング131及びカテーテル110の直径に対して適切な大きさになるように選択されるが、依然として所望の血流速度をもたらすのに十分な電力が給電される。
【0040】
いくつかの実施形態では、モータ150の代わりに又はモータ150に加えて、インペラ135及び/又はらせん状インデューサ133は、密封された磁石で形成することができ、ステータ160は、インペラ135及びらせん状インデューサ133を直接駆動できるようになっている。これらの磁石により、インペラ135及びらせん状インデューサ133は、例えば、ブラシレス、直流(DC)ステータ160によって駆動することができる。いくつかの実施形態では、ステータ160は、インペラ135及び/又はらせん状インデューサ133を取り囲むハウジング131の部分に形成することができ、ポンプケーブル120を通って患者の外部に通じる配線を用いて給電及び制御することができる。いくつかの実施形態では、ステータ160は、C字形の部分ステータとすることができ、部分ステータは360度の円周を取り囲まない。
【0041】
いくつかの実施形態では、インペラ135及びらせん状インデューサ133は、外部ステータ(図示せず)を用いて経皮的に駆動することができる。外部ステータは、例えば、患者の胴体の周りなど、ポンプ130に隣接する領域において患者の身体に付着される及び/又は巻き付けられるように構成された可撓性パッド又はストラップ内に含めることができる。可撓性パッドの実施形態は、例えば、長さ約40インチ及び幅約5インチとすること、ポンプ130の位置に近接するように配置すること、又はポンプ130から最大約12インチ離れるように配置することができる。いくつかの実施形態では、可撓性パッドは、C字形に形成することができ、ポンプ130の周りの180度の円弧を覆うステータを提供することができる。ここで、外部ステータは、C字形の部分ステータとすることができ、この場合、部分ステータは、360度の円周を取り囲まない。このような外部ステータは、動磁界を発生させることによって、インペラ135及びらせん状インデューサ133を回転させることができる。このような経皮的な用途では、ポンプ組立体は、インペラ135とは反対側の血液ディフューザ138側に駆動構成要素が必要ないため、マイクロモータ駆動式用途と比較して、全長を短くすることができる。さらに、ハウジング131に組み込まれたステータ160を有する用途と比較して、経皮的なステータ用途は、ハウジング131がステータ160の駆動要素を組み込む必要がないため、より小さな外径を有することができる場合がある。
【0042】
様々な修正及び変形は、本開示の範囲から逸脱することなく、開示されるシステム及び方法に対して行うことができることが当業者には明らかであろう。本開示の他の態様は、本明細書に開示され特徴の詳細及び実例の検討から当業者には明らかであろう。詳細及び実施例は、例示的であると見なされることが意図され、本発明の真の範囲及び精神は、以下の特許請求の範囲及びその均等物によって示される。
【符号の説明】
【0043】
100 カテーテルポンプ組立体
110 カテーテル
120 ポンプケーブル
130 ポンプ
【国際調査報告】