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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-20
(54)【発明の名称】フラタキシン遺伝子療法
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/12 20060101AFI20240912BHJP
   C12N 15/864 20060101ALI20240912BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20240912BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20240912BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20240912BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20240912BHJP
   A61K 35/76 20150101ALI20240912BHJP
   A61K 35/761 20150101ALI20240912BHJP
   A61K 35/763 20150101ALI20240912BHJP
   A61K 31/7088 20060101ALI20240912BHJP
   A61K 38/17 20060101ALN20240912BHJP
【FI】
C12N15/12 ZNA
C12N15/864 100Z
C12N15/63 Z
A61K48/00
A61P9/00
A61P25/00
A61K35/76
A61K35/761
A61K35/763
A61K31/7088
A61K38/17
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024516751
(86)(22)【出願日】2022-09-16
(85)【翻訳文提出日】2024-04-18
(86)【国際出願番号】 US2022076563
(87)【国際公開番号】W WO2023044424
(87)【国際公開日】2023-03-23
(31)【優先権主張番号】63/245,666
(32)【優先日】2021-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/331,441
(32)【優先日】2022-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/341,737
(32)【優先日】2022-05-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523343514
【氏名又は名称】アステラス ジーン セラピーズ,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】セン,ドワイパヤン
(72)【発明者】
【氏名】グレイ,ジョン,ティー.
(72)【発明者】
【氏名】チャン,ジョシュア,シー.
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
4C087
【Fターム(参考)】
4C084AA02
4C084AA13
4C084BA01
4C084BA08
4C084BA22
4C084BA23
4C084BA44
4C084CA18
4C084NA14
4C084ZA01
4C084ZA22
4C084ZA36
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086EA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA01
4C086ZA22
4C086ZA36
4C087AA01
4C087AA02
4C087BC83
4C087CA09
4C087CA12
4C087NA14
4C087ZA01
4C087ZA22
4C087ZA36
(57)【要約】
本発明は、ヒトフラタキシン遺伝子の発現を刺激するための組成物及び方法を提供する。本明細書に記載の組成物は、例えば、特定の細胞型における発現のために最適化された遺伝子及びRNA等価物を産生するために使用することができる。フリードライヒ運動失調症を治療するために使用することができる組成物及び方法。本開示の組成物及び方法を使用して、フリードライヒ運動失調症を有する患者(例えば、ヒト患者などの哺乳動物患者)に、ヒトフラタキシン遺伝子(hFXN)またはそのRNA等価物を含有するプラスミド(例えば、ウイルスベクター)を投与してもよい。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトフラタキシン(human frataxin)(hFXN)をコードするDNAポリヌクレオチドまたはそのRNA等価物であって、前記ポリヌクレオチドが、配列番号1の核酸配列に対して少なくとも95%同一である核酸配列を有する、前記ポリヌクレオチド。
【請求項2】
前記ポリヌクレオチドが、前記配列番号1の核酸配列に対して少なくとも96%同一である核酸配列を有する、請求項1に記載のポリヌクレオチド。
【請求項3】
前記ポリヌクレオチドが、前記配列番号1の核酸配列に対して少なくとも97%同一である核酸配列を有する、請求項2に記載のポリヌクレオチド。
【請求項4】
前記ポリヌクレオチドが、前記配列番号1の核酸配列に対して少なくとも98%同一である核酸配列を有する、請求項3に記載のポリヌクレオチド。
【請求項5】
前記ポリヌクレオチドが、前記配列番号1の核酸配列に対して少なくとも99%同一である核酸配列を有する、請求項4に記載のポリヌクレオチド。
【請求項6】
前記ポリヌクレオチドが、前記配列番号1の核酸配列を有する、請求項5に記載のポリヌクレオチド。
【請求項7】
任意選択的に、前記ベクターが、プラスミド、DNAベクター、RNAベクター、ビリオン、またはウイルスベクターである、請求項1~6のいずれか1項に記載のポリヌクレオチドを含む、ベクター。
【請求項8】
前記ベクターが、ウイルスベクターである、請求項7に記載のベクター。
【請求項9】
前記ウイルスベクターが、アデノ随伴ウイルス(AAV)、アデノウイルス、レンチウイルス、レトロウイルス、ポックスウイルス、バキュロウイルス、単純ヘルペスウイルス、ワクシニアウイルス、及び合成ウイルスからなる群から選択される、請求項8に記載のベクター。
【請求項10】
前記ウイルスベクターが、AAVである、請求項9に記載のベクター。
【請求項11】
前記AAVが、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAVrh10、及びAAVrh74からなる群から選択されるAAV血清型からのカプシドタンパク質を含む、請求項10に記載のベクター。
【請求項12】
前記ウイルスベクターが、偽型AAVである、請求項10または11に記載のベクター。
【請求項13】
前記偽型AAVが、AAV2/8またはAAV2/9であり、任意選択的に、前記偽型AAVが、AAV2/8である、請求項12に記載のベクター。
【請求項14】
前記AAVが、組換えカプシドタンパク質を含む、請求項10~13のいずれか1項に記載のベクター。
【請求項15】
前記ポリヌクレオチドが、筋肉特異的プロモーターに作動可能に連結され、任意選択的に、前記プロモーターが、前記ポリヌクレオチドに対して5’に配置される、請求項7~14のいずれか1項に記載のベクター。
【請求項16】
前記筋肉特異的プロモーターが、ホスホグリセレートキナーゼ(PGK)プロモーター、デスミンプロモーター、筋肉クレアチンキナーゼプロモーター、ミオシン軽鎖プロモーター、ミオシン重鎖プロモーター、心臓トロポニンCプロモーター、トロポニンIプロモーター、myoD遺伝子ファミリープロモーター、アクチンアルファプロモーター、アクチンベータプロモーター、アクチンガンマプロモーター、またはホメオドメイン3のように対形成された眼のイントロン1内のプロモーターである、請求項15に記載のベクター。
【請求項17】
前記筋肉特異的プロモーターが、PGKプロモーターである、請求項16に記載のベクター。
【請求項18】
前記PGKプロモーターが、配列番号2の配列の核酸に対して少なくとも85%同一である核酸配列を有する、請求項17に記載のベクター。
【請求項19】
前記PGKプロモーターが、配列番号2の配列の前記核酸に対して少なくとも90%同一である核酸配列を有する、請求項18に記載のベクター。
【請求項20】
前記PGKプロモーターが、配列番号2の配列の前記核酸に対して少なくとも95%同一である核酸配列を有し、任意選択的に、前記PGKプロモーターが、配列番号2の核酸配列に対して少なくとも96%、97%、98%、または99%同一である核酸配列を有する、請求項19に記載のベクター。
【請求項21】
前記PGKプロモーターが、配列番号2の前記核酸を有する、請求項20に記載のベクター。
【請求項22】
前記ベクターが、ポリアデニル化部位(pA)を更に含み、任意選択的に、前記pAが前記ポリヌクレオチドに対して3’に配置される、請求項7~21のいずれか1項に記載のベクター。
【請求項23】
前記pA部位が、シミアンウイルス40(SV40)後期ポリアデニル化部位、SV40早期ポリアデニル化部位、ヒトβ-グロビンポリアデニル化部位、またはウシ成長ホルモンポリアデニル化部位を含む、請求項22に記載のベクター。
【請求項24】
前記pA部位が、前記SV40後期ポリアデニル化部位を含む、請求項23に記載のベクター。
【請求項25】
前記ベクターが、イントロンを更に含み、任意選択的に、前記イントロンが、前記プロモーターに対して3’に、かつ前記ポリヌクレオチドに対して5’に配置される、請求項15~24のいずれか1項に記載のベクター。
【請求項26】
前記イントロンが、SV40イントロンである、請求項25に記載のベクター。
【請求項27】
前記AAVが、2つの逆位末端反復(ITR)を更に含み、前記2つのITRが、第1のITR(ITR1)及び第2のITR(ITR2)を含み、ITR1が、前記ポリヌクレオチドに対して5’に配置され、ITR2が、前記ポリヌクレオチドに対して3’に配置されて、構造ITR1-hFXN-ITR2を含むカセットを形成する、請求項10~26のいずれか1項に記載のベクター。
【請求項28】
ITR1とITR2との間の前記核酸の長さが、約3.7Kb~約4.3Kbである、請求項27に記載のベクター。
【請求項29】
ITR1とITR2との間の前記核酸の前記長さが、約3.8Kb~約4.2Kbである、請求項28に記載のベクター。
【請求項30】
ITR1とITR2との間の前記核酸の前記長さが、約3.9Kb~約4.1Kbである、請求項29に記載のベクター。
【請求項31】
ITR1とITR2との間の前記核酸の前記長さが、約4.0Kbである、請求項30に記載のベクター。
【請求項32】
ITR1とITR2との間の、かつこれらを含む前記核酸の前記長さが、約3.9Kb~約4.7Kbである、請求項27~31のいずれか1項に記載のベクター。
【請求項33】
ITR1とITR2との間の、かつこれらを含む前記核酸の前記長さが、約4.1Kb~約4.5Kbである、請求項32に記載のベクター。
【請求項34】
ITR1とITR2との間の、かつこれらを含む前記核酸の前記長さが、約4.3Kbである、請求項33に記載のベクター。
【請求項35】
前記2つのITRが、AAV血清型2 ITRである、請求項27~34のいずれか1項に記載のベクター。
【請求項36】
請求項8~35のいずれか1項に記載のウイルスベクターをコードする、プラスミド。
【請求項37】
前記プラスミドが、1つ以上のスペーサーエレメント(SS)を更に含む、請求項36に記載のプラスミド。
【請求項38】
前記1つ以上のSSが、100アミノ酸長を超えるオープンリーディングフレームを含まない、請求項37に記載のプラスミド。
【請求項39】
前記1つ以上のSSが、原核生物転写因子結合部位を含まない、請求項37に記載のプラスミド。
【請求項40】
前記ベクターが、第1のスペーサーエレメント(SS1)及び第2のスペーサーエレメント(SS2)の2つのスペーサーエレメントを含む、請求項37~39のいずれか1項に記載のプラスミド。
【請求項41】
前記SS1が、約1.0Kb~約5.0Kbの長さである、請求項40に記載のプラスミド。
【請求項42】
前記SS1が、約2.0Kb~約5.0Kbの長さである、請求項41に記載のプラスミド。
【請求項43】
前記SS2が、約1.0Kb~約5.0Kbの長さである、請求項40~42のいずれか1項に記載のプラスミド。
【請求項44】
前記SS2が、約2.0Kb~約5.0Kbの長さである、請求項43に記載のプラスミド。
【請求項45】
前記SSが、ITR1に対して5’に、及び/またはITR2に対して3’に配置される、請求項37~44のいずれか1項に記載のプラスミド。
【請求項46】
前記SS1が、ITR1に対して5’に配置され、前記SS2が、ITR2に対して3’に配置される、請求項40~44のいずれか1項に記載のプラスミド。
【請求項47】
請求項1~6のいずれか1項に記載の組成物、請求項7~35のいずれか1項に記載のベクター、または請求項36~46のいずれか1項に記載のプラスミドと、薬学的に許容される担体、希釈剤、または賦形剤と、を含む、薬学的組成物。
【請求項48】
核酸分子であって、
(i)ITR1と、
(ii)hFXNまたはそのRNA等価物と、
(iii)ITR2と、を含み、
構成要素が、5’-3’方向に互いに
ITR1-hFXN-ITR2として作動可能に連結されており、ITR1とITR2との間の前記核酸の長さが、約3.7Kb~約4.3Kbである、前記核酸分子。
【請求項49】
ITR1とITR2との間の前記核酸の長さが、約3.8Kb~約4.2Kbである、請求項48に記載の核酸分子。
【請求項50】
ITR1とITR2との間の前記核酸の前記長さが、約3.9Kb~約4.1Kbである、請求項49に記載の核酸分子。
【請求項51】
ITR1とITR2との間の前記核酸の前記長さが、約4.0Kbである、請求項50に記載の核酸分子。
【請求項52】
ITR1とITR2との間の、かつこれらを含む前記核酸の前記長さが、約3.9Kb~約4.7Kbである、請求項48~51のいずれか1項に記載の核酸分子。
【請求項53】
ITR1とITR2との間の、かつこれらを含む前記核酸の前記長さが、約4.1Kb~約4.5Kbである、請求項52に記載の核酸分子。
【請求項54】
ITR1とITR2との間の、かつこれらを含む前記核酸の前記長さが、約4.3Kbである、請求項53に記載の核酸分子。
【請求項55】
前記核酸分子が、
(iv)真核生物プロモーター(PEuk)を更に含み、
前記構成要素が、5’-3’方向に互いに
ITR1-PEuk-hFXN-ITR2として作動可能に連結される、請求項48~54のいずれか1項に記載の核酸分子。
【請求項56】
前記PEukが、筋肉特異的プロモーターである、請求項55に記載の核酸分子。
【請求項57】
前記筋肉特異的プロモーターが、PGKプロモーター、デスミンプロモーター、筋肉クレアチンキナーゼプロモーター、ミオシン軽鎖プロモーター、ミオシン重鎖プロモーター、心臓トロポニンCプロモーター、トロポニンIプロモーター、myoD遺伝子ファミリープロモーター、アクチンアルファプロモーター、アクチンベータプロモーター、アクチンガンマプロモーター、またはホメオドメイン3のように対形成された眼のイントロン1内のプロモーター、サイトメガロウイルスプロモーター、またはニワトリ-β-アクチンプロモーターである、請求項56に記載の核酸分子。
【請求項58】
前記筋肉特異的プロモーターが、PGKプロモーターである、請求項57に記載の核酸分子。
【請求項59】
前記PGKプロモーターが、配列番号2の配列の核酸に対して少なくとも85%同一である核酸配列を有する、請求項58に記載の核酸分子。
【請求項60】
前記PGKプロモーターが、配列番号2の配列の前記核酸に対して少なくとも90%同一である核酸配列を有する、請求項59に記載の核酸分子。
【請求項61】
前記PGKプロモーターが、配列番号2の配列の前記核酸に対して少なくとも95%同一である核酸配列を有し、任意選択的に、前記PGKプロモーターが、配列番号2の核酸配列に対して少なくとも96%、97%、98%、または99%同一である核酸配列を有する、請求項60に記載の核酸分子。
【請求項62】
前記PGKプロモーターが、配列番号2の前記核酸を有する、請求項61に記載の核酸分子。
【請求項63】
前記核酸分子が、
(v)pAを更に含み、
前記構成要素が、5’-3’方向に互いに
ITR1-PEuk-hFXN-pA-ITR2として作動可能に連結される、請求項55~62のいずれか1項に記載の核酸分子。
【請求項64】
前記pA部位が、SV40後期ポリアデニル化部位、SV40早期ポリアデニル化部位、ヒトβ-グロビンポリアデニル化部位、またはウシ成長ホルモンポリアデニル化部位を含む、請求項63に記載の核酸分子。
【請求項65】
前記pA部位が、前記SV40後期ポリアデニル化部位を含む、請求項64に記載の核酸分子。
【請求項66】
前記核酸分子が、
(vi)イントロンを更に含み、
前記構成要素が、5’-3’方向に互いに
ITR1-PEuk-イントロン-hFXN-pA-ITR2として作動可能に連結される、請求項63~65のいずれか1項に記載の核酸分子。
【請求項67】
前記イントロンが、SV40イントロンである、請求項66に記載の核酸分子。
【請求項68】
前記hFXN、またはそのRNA等価物が、配列番号3のアミノ酸配列に対して少なくとも85%同一であるアミノ酸配列を有するタンパク質をコードする、請求項48~67のいずれか1項に記載の核酸分子。
【請求項69】
前記hFXN、またはそのRNA等価物が、前記配列番号3のアミノ酸配列に対して少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一であるアミノ酸配列を有するタンパク質をコードする、請求項68に記載の核酸分子。
【請求項70】
前記hFXN、またはそのRNA等価物が、前記配列番号3のアミノ酸配列を有するタンパク質をコードする、請求項69に記載の核酸分子。
【請求項71】
前記hFXN、またはそのRNA等価物が、配列番号1の配列の核酸に対して少なくとも85%同一である核酸配列を有する、請求項48~70のいずれか1項に記載の核酸分子。
【請求項72】
前記hFXN、またはそのRNA等価物が、配列番号1の配列の前記核酸に対して少なくとも90%同一である核酸配列を有する、請求項71に記載の核酸分子。
【請求項73】
前記hFXN、またはそのRNA等価物が、配列番号1の配列の前記核酸に対して少なくとも95%同一である核酸配列を有する、請求項72に記載の核酸分子。
【請求項74】
前記hFXN、またはそのRNA等価物が、配列番号1の配列の前記核酸に対して少なくとも97%同一である核酸配列を有する、請求項73に記載の核酸分子。
【請求項75】
前記hFXN、またはそのRNA等価物が、配列番号1の配列の前記核酸に対して少なくとも98%同一である核酸配列を有する、請求項74に記載の核酸分子。
【請求項76】
前記hFXN、またはそのRNA等価物が、配列番号1の配列の前記核酸に対して少なくとも99%同一である核酸配列を有する、請求項75に記載の核酸分子。
【請求項77】
前記hFXN、またはそのRNA等価物が、前記配列番号1の核酸配列を有する、請求項76に記載の核酸分子。
【請求項78】
任意選択的に、前記ベクターが、プラスミド、DNAベクター、RNAベクター、ビリオン、またはウイルスベクターである、請求項48~77のいずれか1項に記載の核酸分子を含む、ベクター。
【請求項79】
前記ベクターが、ウイルスベクターである、請求項78に記載のベクター。
【請求項80】
前記ウイルスベクターが、AAV、アデノウイルス、レンチウイルス、レトロウイルス、ポックスウイルス、バキュロウイルス、単純ヘルペスウイルス、ワクシニアウイルス、及び合成ウイルスからなる群から選択される、請求項79に記載のベクター。
【請求項81】
前記ウイルスベクターが、AAVである、請求項80に記載のベクター。
【請求項82】
前記AAVが、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAVrh10、及びAAVrh74からなる群から選択されるAAV血清型からのカプシドタンパク質を含む、請求項81に記載のベクター。
【請求項83】
前記ウイルスベクターが、偽型AAVである、請求項81または82に記載のベクター。
【請求項84】
前記偽型AAVが、AAV2/8またはAAV2/9であり、任意選択的に、前記偽型AAVが、AAV2/8である、請求項83に記載のベクター。
【請求項85】
ITR1及び/またはITR2が、パルボウイルスITRである、請求項78~84のいずれか1項に記載のベクター。
【請求項86】
前記パルボウイルスITRが、AAV ITRである、請求項85に記載のベクター。
【請求項87】
前記AAV ITRが、AAV血清型2 ITRである、請求項86に記載のベクター。
【請求項88】
前記AAVが、組換えカプシドタンパク質を含む、請求項81~87のいずれか1項に記載のベクター。
【請求項89】
前記ベクターが、配列番号4の核酸配列に対して少なくとも85%同一である核酸配列を有する、請求項7~35及び78~88のいずれか1項に記載のベクター。
【請求項90】
前記ベクターが、前記配列番号4の核酸配列に対して少なくとも90%同一である核酸配列を有する、請求項89に記載のベクター。
【請求項91】
前記ベクターが、前記配列番号4の核酸配列に対して少なくとも95%同一である核酸配列を有し、任意選択的に、前記ベクターが、前記配列番号4の核酸配列に対して少なくとも96%、97%、98%、または99%同一である核酸配列を有する、請求項90に記載のベクター。
【請求項92】
前記ベクターが、配列番号4の前記核酸を有する、請求項91に記載のベクター。
【請求項93】
請求項79~92のいずれか1項に記載のウイルスベクターをコードする、プラスミド。
【請求項94】
前記プラスミドが、1つ以上のSSを更に含み、前記1つ以上のSSが、ITR1に対して5’に、及び/またはITR2に対して3’に配置される、請求項93に記載のプラスミド。
【請求項95】
前記プラスミドが、2つのSSを含み、前記2つのSSが、SS1及びSS2を含み、SS1が、ITR1に対して5’に配置され、SS2が、ITR2に対して3’に配置される、請求項94に記載のプラスミド。
【請求項96】
前記1つ以上のSSが、100アミノ酸長を超えるオープンリーディングフレームを含まない、請求項94または95に記載のプラスミド。
【請求項97】
前記1つ以上のSSが、原核生物転写因子結合部位を含まない、請求項94~96のいずれか1項に記載のプラスミド。
【請求項98】
SS1が、約1.0Kb~約5.0Kbの長さである、請求項95~97のいずれか1項に記載のプラスミド。
【請求項99】
SS1が、約2.0Kb~約5.0Kbの長さである、請求項98に記載のプラスミド。
【請求項100】
SS2が、約1.0Kb~約5.0Kbの長さである、請求項95~99のいずれか1項に記載のプラスミド。
【請求項101】
SS2が、約2.0Kb~約5.0Kbの長さである、請求項100に記載のプラスミド。
【請求項102】
前記プラスミドが、ITR1に対して5’に配置された前記1つ以上のSSに対して5’に配置されるか、またはITR2に対して3’に配置された前記1つ以上のSSに対して3’に配置される選択可能なマーカー遺伝子に作動可能に連結された原核生物プロモーターを更に含む、請求項95~101のいずれか1項に記載のプラスミド。
【請求項103】
前記選択可能なマーカー遺伝子が、抗生物質耐性遺伝子である、請求項102に記載のプラスミド。
【請求項104】
前記プラスミドが、ITR1に対して5’に配置された前記1つ以上のSSに対して5’に配置された、及び/またはITR2に対して3’に配置された前記1つ以上のSSに対して3’に配置された、原核生物複製起点を更に含む、請求項102または103に記載のプラスミド。
【請求項105】
請求項48~77のいずれか1項に記載の核酸分子、請求項78~92のいずれか1項に記載のベクター、または請求項93~104のいずれか1項に記載のプラスミドと、薬学的に許容される担体、希釈剤、または賦形剤と、を含む、薬学的組成物。
【請求項106】
フリードライヒ運動失調症を治療することを必要とするヒト患者においてそれを行う方法であって、前記方法が、前記患者に、治療有効量の請求項1~6及び48~77のいずれか1項に記載の核酸、請求項7~35及び78~92のいずれか1項に記載のベクター、請求項36~46及び93~104のいずれか1項に記載のプラスミド、または請求項47もしくは105に記載の薬学的組成物を投与することを含む、前記方法。
【請求項107】
フリードライヒ運動失調症を有すると診断されたヒト患者においてフラタキシン発現を増加させる方法であって、前記方法が、前記患者に、治療有効量の請求項1~6及び48~77のいずれか1項に記載の核酸、請求項7~35及び78~92のいずれか1項に記載のベクター、請求項36~46及び93~104のいずれか1項に記載のプラスミド、または請求項47もしくは105に記載の薬学的組成物を投与することを含む、前記方法。
【請求項108】
前記患者が、3歳~17歳である、請求項106または107に記載の方法。
【請求項109】
前記核酸、ベクター、プラスミド、または薬学的組成物を前記患者に投与すると、前記患者が、全血フラタキシンレベルの増加を示し、任意選択的に、前記患者が、投与後約12週間までに全血フラタキシンレベルの増加を示す、請求項106~108のいずれか1項に記載の方法。
【請求項110】
前記核酸、ベクター、プラスミド、または薬学的組成物を前記患者に投与すると、前記患者が、全フリードライヒ運動失調症評価尺度スコアの低下を示し、任意選択的に、前記患者が、投与後約12週間までに全FARSスコアの低下を示す、請求項106~109のいずれか1項に記載の方法。
【請求項111】
キットであって、(i)請求項1~6及び48~77のいずれか1項に記載の核酸、請求項7~35及び78~92のいずれか1項に記載のベクター、請求項36~46及び93~104のいずれか1項に記載のプラスミド、または請求項47もしくは105に記載の薬学的組成物と、(ii)添付文書と、を含み、前記添付文書が、前記キットの使用者に、前記核酸、ベクター、プラスミド、または薬学的組成物を、フリードライヒ運動失調症を有すると診断されたヒト患者に投与するように指示する、前記キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
配列表
本出願は、XMLフォーマットで電子的に提出され、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる配列表を含む。2022年9月9日に作成された当該XMLコピーは、51037-060WO4_Sequence_Listing_9_8_22_ST26.XMLという名称であり、サイズは23,124バイトである。
【0002】
本発明は、核酸バイオテクノロジーの分野に関するものであり、例えば、標的細胞または組織における遺伝子発現を増強するためのコドン最適化された核酸の産生のための組成物及び方法を提供する。
【背景技術】
【0003】
フリードライヒ運動失調症は、最も一般的な常染色体劣性遺伝性運動障害であり、6,000名の米国人がこの疾患を有すると診断されており、世界中でおよそ15,000~20,000名の患者の有病率が診断されている。フリードライヒ運動失調症の臨床症状は、フラタキシン(frataxin)タンパク質欠乏の結果であり、症例の95%が、GAAの反復拡大を引き起こす変異から生じる。フラタキシンは、遍在的に発現されるミトコンドリア鉄結合タンパク質であり、背根神経節ニューロンを含む、心臓、小脳、及び脊髄の機能に重要である。フリードライヒ運動失調症の表現型には、脊髄小脳の後根神経節ニューロンの変性及び脱髄が含まれ、進行性の衰弱、痙縮、及び感覚喪失を引き起こし、ほとんどのフリードライヒ患者は、20歳までに車椅子に束縛される(Dun and Brice,Curr Opin Neurol(2000)13:407-413)。更に、フリードライヒ運動失調症を有するほとんどの患者は、心臓異常(例えば、左心室肥大)を発症し、患者の60%において約30~40歳までに心不全から死に至る。フリードライヒ運動失調症の治療のための遺伝子療法の開発は、罹患組織における治療有効量のフラタキシンの発現を達成することに関連する困難によって妨げられており、現在、承認された疾患改変治療は存在しない。これらの妨げに対処する組成物及び方法のセットの必要性が依然として存在する。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、フリードライヒ運動失調症を治療するために使用することができる組成物及び方法を提供する。本開示の組成物及び方法を使用して、フリードライヒ運動失調症を有する患者(例えば、ヒト患者などの哺乳動物患者)に、ヒトフラタキシン遺伝子(hFXN)またはそのRNA等価物を含有するプラスミド(例えば、ウイルスベクター)を投与してもよい。
【0005】
一態様では、本開示は、hFXN、またはそのRNA等価物をコードするDNAポリヌクレオチドであって、ポリヌクレオチドが、配列番号1の核酸配列に対して少なくとも95%(例えば、95%、96%、97%、98%、または99%)同一である核酸配列を有する、ポリヌクレオチドを提供する。
【0006】
別の態様では、本開示は、上述の態様の組成物を含むベクターであって、ベクターが、プラスミド、DNAベクター、RNAベクター、ビリオン、またはウイルスベクターである、ベクターを提供する。例えば、いくつかの実施形態では、ベクターは、ウイルスベクターである。いくつかの実施形態では、ウイルスベクターは、アデノ随伴ウイルス(AAV)である。
【0007】
上述の態様のいくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、筋肉特異的プロモーターに作動可能に連結され、任意選択的に、プロモーターは、ポリヌクレオチドに対して5’に配置される。
【0008】
いくつかの実施形態では、ベクターは、ポリアデニル化部位(pA)を更に含み、任意選択的に、pAがポリヌクレオチドに対して3’に配置される。
【0009】
いくつかの実施形態では、ベクターは、イントロンを更に含み、任意選択的に、イントロンが、プロモーターに対して3’に、かつポリヌクレオチドに対して5’に配置される。
【0010】
いくつかの実施形態では、AAVは、2つの逆位末端反復(ITR)を更に含み、2つのITRは、第1のITR(ITR1)及び第2のITR(ITR2)を含み、ITR1は、ポリヌクレオチドに対して5’に配置され、ITR2は、ポリヌクレオチドに対して3’に配置されて、構造ITR1-hFXN-ITR2を含むカセットを形成する。
【0011】
いくつかの実施形態では、ITR1とITR2との間の核酸の長さは、約3.7Kb~約4.3Kb(例えば、約3.8Kb~約4.2Kbまたは約3.9Kb~約4.1Kb)である。例えば、いくつかの実施形態では、ITR1とITR2との間の核酸の長さは、約3.8Kb~約4.2Kbである。いくつかの実施形態では、ITR1とITR2との間の核酸の長さは、約3.9Kb~約4.1Kbである。いくつかの実施形態では、ITR1とITR2との間の核酸の長さは、約4.0Kbである。
【0012】
別の態様では、本開示は、上述の態様のウイルスベクターをコードするプラスミドを提供する。
【0013】
別の態様では、本開示は、ITR1と、hFXNまたはそのRNA等価物と、ITR2と、を含む核酸分子であって、構成要素が、5’-3’方向に互いにITR1-hFXN-ITR2として作動可能に連結され、ITR1とITR2との間の核酸の長さが、約3.7Kb~約4.3Kb(例えば、約3.8Kb~約4.2Kbまたは約3.9Kb~約4.1Kb)である、核酸分子を提供する。例えば、いくつかの実施形態では、ITR1とITR2との間の核酸の長さは、約3.8Kb~約4.2Kbである。いくつかの実施形態では、ITR1とITR2との間の核酸の長さは、約3.9Kb~約4.1Kbである。いくつかの実施形態では、ITR1とITR2との間の核酸の長さは、約4.0Kbである。
【0014】
前述の態様のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、ITR1とITR2との間の、かつこれらを含む核酸の長さは、約3.9Kb~約4.7Kb(例えば、約4.0Kb~約4.6Kb、約4.1Kb~約4.5Kb、約4.2Kb~約4.4Kb、または約4.3Kb)である。例えば、いくつかの実施形態では、ITR1とITR2との間の、かつこれらを含む核酸の長さは、約4.0Kb~約4.6Kbである。いくつかの実施形態では、ITR1とITR2との間の、かつこれらを含む核酸の長さは、約4.1Kb~約4.5Kbである。いくつかの実施形態では、ITR1とITR2との間の、かつこれらを含む核酸の長さは、約4.2Kb~約4.4Kbである。いくつかの実施形態では、ITR1とITR2との間の、かつこれらを含む核酸の長さは、約4.3Kbである。
【0015】
いくつかの実施形態では、核酸分子は、真核生物プロモーター(PEuk)を更に含み、構成要素は、5’-3’方向に互いにITR1-PEuk-hFXN-ITR2として作動可能に連結される。
【0016】
いくつかの実施形態では、PEukは、筋肉特異的プロモーターである。
【0017】
上述の態様のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、筋肉特異的プロモーターは、ホスホグリセレートキナーゼ(PGK)プロモーター、デスミンプロモーター、筋肉クレアチンキナーゼプロモーター、ミオシン軽鎖プロモーター、ミオシン重鎖プロモーター、心臓トロポニンCプロモーター、トロポニンIプロモーター、myoD遺伝子ファミリープロモーター、アクチンアルファプロモーター、アクチンベータプロモーター、アクチンガンマプロモーター、またはホメオドメイン3のように対形成された眼のイントロン1内のプロモーター、サイトメガロウイルスプロモーター、またはニワトリ-β-アクチンプロモーターである。例えば、いくつかの実施形態では、筋肉特異的プロモーターは、PGKプロモーターである。
【0018】
前述の態様のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、PGKプロモーターは、配列番号2の配列の核酸に対して少なくとも85%(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)同一である核酸配列を有する。例えば、いくつかの実施形態では、PGKプロモーターは、配列番号2の配列の核酸に対して少なくとも90%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、PGKプロモーターは、配列番号2の配列の核酸に対して少なくとも95%同一である核酸配列を有し、任意選択的に、PGKプロモーターは、配列番号2の核酸配列に対して少なくとも96%、97%、98%、または99%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、PGKプロモーターは、配列番号2の核酸を有する。
【0019】
いくつかの実施形態では、核酸分子は、pAを更に含み、構成要素は、5’-3’方向に互いにITR1-PEuk-hFXN-pA-ITR2として作動可能に連結される。
【0020】
上述の態様のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、pA部位は、シミアンウイルス40(SV40)後期ポリアデニル化部位、SV40早期ポリアデニル化部位、ヒトβ-グロビンポリアデニル化部位、またはウシ成長ホルモンポリアデニル化部位を含む。例えば、いくつかの実施形態では、pA部位は、SV40後期ポリアデニル化部位を含む。
【0021】
いくつかの実施形態では、核酸分子は、イントロンを更に含み、構成要素は、5’-3’方向に互いにITR1-PEuk-イントロン-hFXN-pA-ITR2として作動可能に連結される。
【0022】
上述の態様のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、イントロンは、SV40イントロンである。
【0023】
いくつかの実施形態では、hFXN、またはそのRNA等価物は、配列番号3のアミノ酸配列に対して少なくとも85%(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)同一であるタンパク質をコードする。例えば、いくつかの実施形態では、hFXN、またはそのRNA等価物は、配列番号3のアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一であるタンパク質をコードし、任意選択的に、hFXN、またはそのRNA等価物は、配列番号3のアミノ酸配列に対して少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一であるタンパク質をコードする。いくつかの実施形態では、hFXN、またはそのRNA等価物は、配列番号3のアミノ酸配列を有するタンパク質をコードする。
【0024】
前述の態様のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、hFXN、またはそのRNA等価物は、配列番号1の核酸配列に対して少なくとも85%(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)同一である核酸配列を有する。例えば、いくつかの実施形態では、hFXN、またはそのRNA等価物は、配列番号1の核酸配列に対して少なくとも86%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、hFXN、またはそのRNA等価物は、配列番号1の核酸配列に対して少なくとも87%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、hFXN、またはそのRNA等価物は、配列番号1の核酸配列に対して少なくとも88%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、hFXN、またはそのRNA等価物は、配列番号1の核酸配列に対して少なくとも89%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、hFXN、またはそのRNA等価物は、配列番号1の核酸配列に対して少なくとも90%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、hFXN、またはそのRNA等価物は、配列番号1の核酸配列に対して少なくとも91%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、hFXN、またはそのRNA等価物は、配列番号1の核酸配列に対して少なくとも92%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、hFXN、またはそのRNA等価物は、配列番号1の核酸配列に対して少なくとも93%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、hFXN、またはそのRNA等価物は、配列番号1の核酸配列に対して少なくとも94%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、hFXN、またはそのRNA等価物は、配列番号1の核酸配列に対して少なくとも95%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、hFXN、またはそのRNA等価物は、配列番号1の核酸配列に対して少なくとも96%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、hFXN、またはそのRNA等価物は、配列番号1の核酸配列に対して少なくとも97%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、hFXN、またはそのRNA等価物は、配列番号1の核酸配列に対して少なくとも98%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、hFXN、またはそのRNA等価物は、配列番号1の核酸配列に対して少なくとも99%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、hFXN、またはそのRNA等価物は、配列番号1の核酸配列を有する。
【0025】
別の態様では、本開示は、上述の態様のうちのいずれかの組成物または核酸分子を含むベクターであって、ベクターが、プラスミド、DNAベクター、RNAベクター、ビリオン、またはウイルスベクターである、ベクターを提供する。例えば、いくつかの実施形態では、ベクターは、ウイルスベクターである。
【0026】
上述の態様のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、ウイルスベクターは、AAV、アデノウイルス、レンチウイルス、レトロウイルス、ポックスウイルス、バキュロウイルス、単純ヘルペスウイルス、ワクシニアウイルス、及び合成ウイルスからなる群から選択される。例えば、いくつかの実施形態では、ウイルスベクターは、AAVである。いくつかの実施形態では、AAVは、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAVrh10、またはAAVrh74血清型である。いくつかの実施形態では、ウイルスベクターは、偽型AAVである。いくつかの実施形態では、偽型AAVは、AAV2/8またはAAV2/9であり、任意選択的に、偽型AAVは、AAV2/8である。
【0027】
上述の態様のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、ITR1及び/またはITR2は、パルボウイルスITRである。例えば、いくつかの実施形態では、パルボウイルスITRは、AAV ITRである。いくつかの実施形態では、AAV ITRは、AAV血清型2 ITRである。
【0028】
上述の態様のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、AAVは、組換えカプシドタンパク質を含む。
【0029】
前述の態様のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、ベクターは、配列番号4の核酸配列に対して少なくとも85%、例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)同一である核酸配列を有する。例えば、いくつかの実施形態では、ベクターは、配列番号4の核酸配列に対して少なくとも90%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、ベクターは、配列番号4の核酸配列に対して少なくとも95%同一である核酸配列を有し、任意選択的に、ベクターは、配列番号4の核酸配列に対して少なくとも96%、97%、98%、または99%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、ベクターは、配列番号4の核酸を有する。
【0030】
別の態様では、本開示は、上述の態様のうちのいずれか1つのウイルスベクターをコードするプラスミドを提供する。
【0031】
上述の態様のいくつかの実施形態では、プラスミドは、1つ以上のスペーサー(SS)を更に含み、1つ以上のSSは、ITR1に対して5’に、及び/またはITR2に対して3’に配置される。例えば、いくつかの実施形態では、プラスミドは、2つのSSを含み、2つのSSは、第1のスペーサー(SS1)及び第2のスペーサー(SS2)を含み、SS1は、ITR1に対して5’に配置され、SS2は、ITR2に対して3’に配置される。
【0032】
いくつかの実施形態では、1つ以上のSSは、100アミノ酸長を超えるオープンリーディングフレームを含まない。
【0033】
いくつかの実施形態では、1つ以上のSSは、原核生物転写因子結合部位を含まない。
【0034】
上述の態様のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、SS1は、約1.0Kb~約5.0Kb(例えば、1.5Kb~約4.5Kb、約2.0Kb~約4.0Kb、または約3.0Kb)の長さである。例えば、いくつかの実施形態では、SS1は、約2.0Kb~約5.0Kbの長さである。
【0035】
上述の態様のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、SS2は、約1.0Kb~約5.0Kb(例えば、1.5Kb~約4.5Kb、約2.0Kb~約4.0Kb、または約3.0Kb)の長さである。例えば、いくつかの実施形態では、SS2は、約2.0Kb~約5.0Kbの長さである。
【0036】
いくつかの実施形態では、プラスミドは、ITR1に対して5’に配置された1つ以上のSSに対して5’に配置されるか、またはITR2に対して3’に配置された1つ以上のSSに対して3’に配置される選択可能なマーカー遺伝子に作動可能に連結された原核生物プロモーターを更に含む。例えば、いくつかの実施形態では、選択可能なマーカー遺伝子は、抗生物質耐性遺伝子である。
【0037】
いくつかの実施形態では、プラスミドは、ITR1に対して5’に配置された1つ以上のSSに対して5’に配置された、及び/またはITR2に対して3’に配置された1つ以上のSSに対して3’に配置された、原核生物複製起点を更に含む。
【0038】
別の態様では、本開示は、上述の態様のうちのいずれかの組成物、核酸分子、ベクター、またはプラスミドと、薬学的に許容される担体、希釈剤、または賦形剤と、を含む、薬学的組成物を提供する。
【0039】
別の態様では、本開示は、フリードライヒ運動失調症を治療することを必要とするヒト患者においてそれを行う方法であって、本方法が、患者に、治療有効量の上述の態様のうちのいずれかの組成物、核酸分子、ベクター、プラスミド、または薬学的組成物を投与することを含む、方法を提供する。
【0040】
別の態様では、本開示は、フリードライヒ運動失調症を有すると診断されたヒト患者においてフラタキシン発現を増加させる方法であって、本方法が、患者に、治療有効量の上述の態様のうちのいずれかの組成物、核酸分子、ベクター、プラスミド、または薬学的組成物を投与することを含む、方法を提供する。
【0041】
いくつかの実施形態では、患者は、3歳~17歳(例えば、4歳~16歳、5歳~15歳、6歳~14歳、7歳~13歳、8歳~12歳、9歳~11歳、または10歳)である。
【0042】
いくつかの実施形態では、上述の態様のうちのいずれかの組成物、核酸分子、ベクター、プラスミド、または薬学的組成物を患者に投与すると、患者は、全血フラタキシンレベルの変化を示し、任意選択的に、患者は、投与後約12週間までに全血フラタキシンレベルの変化を示す。
【0043】
いくつかの実施形態では、上述の態様のうちのいずれかの組成物、核酸分子、ベクター、プラスミド、または薬学的組成物を患者に投与すると、患者は、全フリードライヒ運動失調症評価尺度(FARS)スコアの低下を示し、任意選択的に、患者は、投与後約12週間までに全FARSスコアの低下を示す。
【0044】
別の態様では、本開示は、キットであって、上述の態様のうちのいずれかの組成物、核酸分子、ベクター、プラスミド、または薬学的組成物と、添付文書と、を含み、添付文書が、キットの使用者に、組成物またはベクターを、フリードライヒ運動失調症を有すると診断されたヒト患者に投与するように指示する、キットを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1】それぞれ、ヒトフラタキシン(FXN)バリアント1(H.FXN.WT)をコードする遺伝子の残基位置1~270における核酸変動の確率を示す模式図である。Integrated DNA Technologies(IDT)及びGENEWIZ(GeneWiz)コドン最適化ツールを使用して、残基最適化を、データベース及び残基位置にわたって比較した。残基1~270を本明細書に示すが、コドン最適化を、残基1~633を含むヒトFXNバリアント1遺伝子の全ての残基にわたって行った。上の配列は、データセットにわたるそれぞれの残基位置における最も頻繁な核酸を示す。矢印は、コドン最適化されたヒトFXNバリアント1構築物(H.FXN.ATX.CoまたはhFXNcoと相互に置き換え可能に省略される)における改変のために選択された残基を示す。例えば、残基12は、野生型シトシン(C)がグアニン(G)に変更されたことを示す。
図2】コドン最適化されたヒトFXNバリアント1遺伝子(hFXNco)の発現のための例示的な偽型アデノ随伴ウイルス(AAV)2/8(AAV2/8)ウイルスベクターのマップである。左から右へ、陰影付きの矢印は、5’から3’に、第1のスペーサー、第1の逆位末端反復(ITR1)、ヒトホスホグリセレートキナーゼ(hPGK)プロモーター、hFXNco、シミアンウイルス40(SV40)後期ポリアデニル化部位(SV4 LpA)、第2のITR(ITR2)、原核生物複製起点(ori)、及びカナマイシン(kan)選択遺伝子を含む核酸分子を含有するプラスミドを表し、ペイロード(例えば、hPGK及びhFXNco)を含むITR1とITR2との間の長さは、約4.3Kbの長さである。
図3A】それぞれ、抗フラタキシン免疫蛍光発現ベースの効力アッセイを示す写真及びグラフである。hFXNcoの発現のためのAAV2/8ウイルスベクターの1×10(1e7)ウイルスゲノム(vg)/細胞による形質導入の後に、フラタキシンについて染色されたマウス骨格筋(C2C12)に由来する細胞の写真のセットである。
図3B】それぞれ、抗フラタキシン免疫蛍光発現ベースの効力アッセイを示す写真及びグラフである。Hoechst対比染色の強度に対して正規化された感染多重度(MOI)の関数として、図3Aに記載のフラタキシン免疫蛍光を示すグラフである。
図4図1及び2に記載されるように、それぞれ1×10(1e6)vg/細胞または1×10(1e7)vg/細胞の量で、hFXNcoの発現のために例示的なAAV2/8ウイルスベクターにより形質導入されたC2C12細胞におけるフラタキシンの中間体及び成熟アイソフォームの発現を示す免疫ブロットである。
図5】非形質導入対照(ビヒクル野生型(WT)及びビヒクルKO)と比較して、3×1013(3e13)vg/kgまたは1×1014(1e14)vg/kgの量でのhPGKプロモーターによって生じるhFXNcoまたはマウスFXNバリアント1(mFXN)の発現のための例示的なAAV2/8ウイルスベクターの静脈内(i.v.)投与後の経時的なFXNノックアウト(KO)マウスの生存の確率を示すグラフである。
図6】A~Eは、非形質導入対照(WTビヒクル及びFRDAビヒクル)と比較して、3×1013vg/kgまたは1×1014vg/kgの量でのhPGKプロモーターによって生じるhFXNco(hFXN)またはmFXNの発現のための例示的なAAV2/8ウイルスベクターのi.v.投与後のFXN KOマウスの生存率、体重、及び心臓パラメータを示す。Aは、経時的なFXN KOマウスの生存の確率を示すグラフである。生存データは、マウスが、スケジューリングされた生検の前に、20%を超える体重減少、呼吸窮迫の徴候、意味のある刺激に対する不応答、及び/または全体的な身体状態の不良を示した場合、マウスを安楽死させた齢として表される。Bは、経時的なFXN KOマウスの雄及び雌の体重を示すグラフである。Cは、治療前(6週齢)、治療後(9~10週齢)の時点、及び寿命時(18~19週齢)における、体重に対して正規化された左心室質量によるFXN KOマウスの心臓重量を示すグラフである。Dは、治療前(6週齢)、治療後(9~10週齢)の時点、及び寿命時(18~19週齢)における、FXN KOマウスの駆出率を示すグラフである。Eは、治療前(6週齢)、治療後(9~10週齢)の時点、及び寿命時(18~19週齢)における、FXN KOマウスの心筋損傷のマーカーであるミオシン軽鎖3を示すグラフである。
図7】A及びBは、非形質導入対照(ビヒクルWT及びビヒクルKO)と比較して、3×1013vg/kgまたは1×1014vg/kgの量でのhFXNcoまたはmFXNの発現のための例示的なAAV2/8ウイルスベクターのi.v.投与後のFXN KOマウスの心臓におけるフラタキシン発現を示すグラフのセットである。Aは、ベクターコピー数(VCN)/デシグラム(DG)の関数としての心臓における用量依存性フラタキシン発現を示すグラフであり、一方で、Bは、サンプリングされた生検心臓組織のmg当たりのタンパク質のナノグラム(ng)としてのフラタキシン発現を示す。
図8】非形質導入対照(WTビヒクル及びFRDAビヒクル)と比較して、3×1013vg/kgまたは1×1014vg/kgの量でのhFXNcoまたはmFXNの発現のための例示的なAAV2/8ウイルスベクターの投与後4週間(A)及び12週間(B)における、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)によって測定される心臓組織におけるフラタキシンタンパク質のレベルを示すグラフである。
図9】A及びBは、非形質導入対照(WTビヒクル及びFRDAビヒクル)と比較して、3×1013vg/kgまたは1×1014vg/kgの量でのhFXNcoまたはmFXNの発現のための例示的なAAV2/8ウイルスベクターの投与後4週間及び12週間における、qPCRによって測定される心臓組織において検出されたベクターコピー数/二倍体ゲノムを示すグラフである。
図10】Aは、心臓組織におけるフラタキシン発現の免疫組織化学である。Bは、3×1013vg/kgまたは1×1014vg/kgの量でのhFXNcoまたはmFXNの発現のための例示的なAAV2/8ウイルスベクターの投与後4週間における弱い、中等度、または強いフラタキシン発現を示す細胞の割合を示すグラフである。
図11】A及びBは、マウス骨格筋(A)及びヒト骨格筋(B)について、非形質導入対照(ビヒクル対照)と比較して、hFXNcoの発現のためのAAV2/8ウイルスベクターのバージョン2(AAV2/8-PGK-FXN V2)の1×10(1e7)ウイルスゲノム(vg)/細胞による形質導入後のフラタキシンについて染色された細胞の写真、及びHoechst対比染色の強度に対して正規化された、多重感染度(MOI)の関数として記載されるフラタキシン免疫蛍光を示すグラフである。
図12】AAV2/8-PGK-FXNバージョン1(V1)及びバージョン2(V2)の比較である。Aは、非形質導入対照(ビヒクル対照)と比較して、AAV2/8-PGK-FXN V1またはV2の1×10(1e7)ウイルスゲノム(vg)/細胞による形質導入後のフラタキシンについて染色されたマウス骨格筋(C2C12)細胞の写真の一群である。Bは、AAV2/8-PGK-FXN V1またはV2について、Hoechst対比染色の強度に対して正規化された感染多重度(MOI)の関数として記載されるフラタキシン免疫蛍光を示すグラフである。Cは、1×10(1e6)vg/細胞または1×10(1e7)vg/細胞の量でのAAV2/8-PGK-FXN V1またはV2により形質導入されたC2C12細胞におけるフラタキシンの成熟アイソフォームの発現を示す免疫ブロットである。
図13】野生型FXN(WT)またはコドン最適化されたFXN(CO)のいずれかを発現する、FXN(AAV2/8-PGK-FXN V2)の発現のためのAAV2/8ウイルスベクターのバージョン2について、Hoechst対比染色の強度に対して正規化された感染多重度(MOI)の関数として記載されるフラタキシン免疫蛍光を示すグラフの一群である。Aは、形質導入されたマウス骨格筋(C2C12)細胞に対応し、Bは、形質導入されたヒト細胞に対応する。
図14】非形質導入対照(ビヒクルWT及びビヒクル変異体)と比較して、様々な用量のウイルスゲノム(vg)/キログラム(kg)でのAAV2/8-PGK-FXNバージョン1(V1)またはバージョン2(V2)の静脈内投与後の経時的なFXN KOマウスの生存率を示すグラフである。生存データは、スケジューリングされた生検の前に、以下の条件のうちのいずれかを示した場合、マウスを安楽死させた齢として表される。体重の20%を超える体重減少、呼吸窮迫の徴候、意味のある刺激に対する不応答、及び/または全体的な身体状態の不良。
図15】5週齢(WOA)、9~10WOA、及び18~19WOAにおける、非形質導入対照(ビヒクルWT及びビヒクル変異体)と比較して、様々な用量のウイルスゲノム(vg)/キログラム(kg)でのAAV2/8-PGK-FXN V1またはV2の静脈内投与後のFXN KOマウスの心臓駆出率を示すグラフの一群である。
図16】5週齢(WOA)、9~10WOA、及び18~19WOAにおける、非形質導入対照(ビヒクルWT及びビヒクル変異体)と比較して、様々な用量のウイルスゲノム(vg)/キログラム(kg)でのAAV2/8-PGK-FXN V1またはV2の静脈内投与後のFXN KOマウスの心臓の左室内径短縮率を示すグラフの一群である。
図17】5週齢(WOA)、9~10WOA、及び18~19WOAにおける、非形質導入対照(ビヒクルWT及びビヒクル変異体)と比較して、様々な用量のウイルスゲノム(vg)/キログラム(kg)でのAAV2/8-PGK-FXN V1またはV2の静脈内投与後のFXN KOマウスの心臓の左心室質量を示すグラフの一群である。
図18】9~10週齢(WOA)及び18~19WOAにおける、非形質導入対照(ビヒクルWT及びビヒクル変異体)と比較して、様々な用量のウイルスゲノム(vg)/キログラム(kg)でのAAV2/8-PGK-FXN V1またはV2の静脈内投与後のFXN KOマウスの血清心臓トロポニンを示すグラフの一群である。
図19】9~10週齢(WOA)及び18~19WOAにおける、非形質導入対照(ビヒクルWT及びビヒクル変異体)と比較して、様々な用量のウイルスゲノム(vg)/キログラム(kg)でのAAV2/8-PGK-FXN V1またはV2の静脈内投与後のFXN KOマウスの血清ミオシン軽鎖を示すグラフの一群である。
図20】9~10週齢(WOA)及び18~19WOAにおける、非形質導入対照(ビヒクルWT及びビヒクル変異体)と比較して、様々な用量のウイルスゲノム(vg)/キログラム(kg)でのAAV2/8-PGK-FXN V1またはV2の静脈内投与後のFXN KOマウスの血清アスパラギン酸トランスアミナーゼ(AST)を示すグラフの一群である。
図21】9~10週齢(WOA)及び18~19WOAにおける、非形質導入対照(ビヒクルWT及びビヒクル変異体)と比較して、様々な用量のウイルスゲノム(vg)/キログラム(kg)でのAAV2/8-PGK-FXN V1またはV2の静脈内投与後のFXN KOマウスの血清アラニントランスアミナーゼ(ALT)を示すグラフの一群である。
図22】様々な用量のウイルスゲノム(vg)/キログラム(kg)でのAAV2/8-PGK-FXN V1またはV2の静脈内投与後4週間及び12週間におけるFXN KOマウスの心臓及び大腿四頭筋におけるAAV2/8-PGK-FXNのベクターコピー数(VCN)/デシグラム(DG)を示すグラフの一群である。
図23】様々な用量のウイルスゲノム(vg)/キログラム(kg)でのAAV2/8-PGK-FXN V1またはV2の静脈内投与後4週間及び12週間におけるFXN KOマウスの心臓及び大腿四頭筋におけるAAV2/8-PGK-FXNのベクターコピー数(VCN)/デシグラム(DG)を比較するグラフの一群である。
図24】様々な用量のウイルスゲノム(vg)/キログラム(kg)でのAAV2/8-PGK-FXN V1またはV2の静脈内投与後4週間及び12週間におけるFXN KOマウスの肝臓におけるAAV2/8-PGK-FXNのベクターコピー数(VCN)/デシグラム(DG)を示すグラフの一群である。
図25】様々な用量のウイルスゲノム(vg)/キログラム(kg)でのAAV2/8-PGK-FXN V1またはV2の静脈内投与後のFXN KOマウスの心臓及び大腿四頭筋(Quad)におけるRNA相対定量(RQ)としてのFXN mRNA転写産物を示すグラフである。
図26】非形質導入対照(WTビヒクル及びKOビヒクル)と比較して、様々な用量のウイルスゲノム(vg)/キログラム(kg)でのAAV2/8-PGK-FXN V1またはV2の静脈内投与後4週間及び12週間におけるFXN KOマウスの心臓におけるFXNタンパク質発現を示すグラフである。
図27】非形質導入対照(WTビヒクル及びKOビヒクル)と比較して、様々な用量のウイルスゲノム(vg)/キログラム(kg)でのAAV2/8-PGK-FXN V1またはV2の静脈内投与後4週間及び12週間におけるFXN KOマウスの肝臓におけるFXNタンパク質発現を示すグラフである。
図28】非形質導入対照(WTビヒクル及びKOビヒクル)と比較して、様々な用量のウイルスゲノム(vg)/キログラム(kg)でのAAV2/8-PGK-FXN V1またはV2の静脈内投与後4週間及び12週間におけるFXN KOマウスの大腿四頭筋におけるFXNタンパク質発現を示すグラフである。
図29】非形質導入対照(ビヒクル対照及びビヒクル変異体)と比較して、様々な用量のウイルスゲノム(vg)/動物でのAAV8-PGK-FXN V1またはV2の脳室内(ICV)投与後のFXN KOマウスのロータロッドから落ちるのにかかる時間を秒単位で示すグラフである。測定を、6~8週齢(WOA)、11~12WOA、13~14WOA、及び16~18WOAで行い、8WOAでICV投与した。
図30】様々な用量のウイルスゲノム(vg)/動物でのAAV8-PGK-FXN V2の脳室内(ICV)投与後のFXN KOマウスの尾側脊髄、小脳、皮質、頭側脊髄、坐骨神経、尾側後根神経節(DRG)、肝臓左葉、心臓の半分、及び頭側DRGにおける生検時のAAV8-PGK-FXNのベクターコピー数(VCN)/デシグラム(DG)を示すグラフの一群である。ICV投与を8週齢で行った。
図31】様々な用量のウイルスゲノム(vg)/動物でのAAV8-PGK-FXN V2の脳室内(ICV)または実質内(IPC)投与後のFXN KOマウスの小脳、皮質、心臓、及び肝臓における生検時のAAV8-PGK-FXNのベクターコピー数(VCN)/デシグラム(DG)を示すグラフの一群である。動物に、8週齢で投与した。投与後10~11週間でICV投与マウス由来の組織を分析し、投与後5週間でIPC投与マウス由来の組織を分析した。
図32】様々な用量のウイルスゲノム(vg)/動物でのAAV8-PGK-FXN V1またはV2の脳室内(ICV)または実質内(IPC)投与を介して形質導入された、野生型(WT)、非形質導入(FXNPAV/null)、及びFXN KOマウスについての生検時の皮質及び小脳におけるFXNタンパク質を示すグラフの一群である。動物に、8週齢で投与した。投与後10週間でICV投与マウス由来の組織を分析し、投与後5週間でIPC投与マウス由来の組織を分析した。
図33】AAV8-PGK-FXN V2の脳室内(ICV)または実質内(IPC)投与後のFXN KOマウスの皮質、小脳、心臓、及び肝臓におけるFXNタンパク質/ベクターコピー数(VCN)を示すグラフである。注射後5週間(weeks post injection、wpi)で組織を分析した。ICVは、生後2日目(postnatal day 2、PND2)に投与した。
図34】非形質導入対照(WTビヒクル及びKOビヒクル)と比較して、様々な用量のウイルスゲノム(vg)/動物でのAAV8-PGK-FXN V1またはV2の投与後のFXN KOマウスのピコグラム(pg)/ミリリットル(mL)における神経フィラメント軽鎖(NFLC)を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0046】
定義
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、記載されている値から10%以内で上回るかまたは下回る値を指す。
【0047】
本明細書で使用される場合、「アデノ随伴ウイルス」(AAV)という用語としては、限定されないが、AAV1型、AAV2型、AAV3型(3A型及び3B型を含む)、AAV4型、AAV5型、AAV6型、AAV7型、AAV8型、AAV9型、AAV10型、AAV11型、AAV12型、AAV13型、ヘビAAV、トリAAV、ウシAAV、イヌAAV、ウマAAV、ヒツジAAV、ヤギAAV、エビAAV、及び現在知られているか、または後に発見される任意の他のAAVが挙げられる。例えば、Fields et al.Virology,4th ed.Lippincott-Raven Publishers,Philadelphia,1996を参照されたい。追加のAAV血清型及びクレードが近年特定されている。(例えば、Gao et al.J.Virol.78:6381(2004)、Moris et al.Virol.33:375(2004)を参照されたい。種々の血清型のAAVのゲノム配列、ならびに天然ITR、Repタンパク質、及びカプシドサブユニットの配列が、当該技術分野で既知である。そのような配列は、文献中に、またはGenBankなどの公的データベース中に見出され得る。例えば、GenBankアクセッション番号NC_002077、NC_001401、NC_001729、NC_001863、NC_001829、NC_001862、NC_000883、NC_001701、NC_001510、NC_006152、NC_006261、AF063497、U89790、AF043303、AF028705、AF028704、J02275、J01901、J02275、X01457、AF288061、AH009962、AY028226、AY028223、AY631966、AX753250、EU285562、NC_001358、NC_001540、AF513851、AF513852及びAY530579を参照されたい(それらの開示は、AAV核酸及びアミノ酸配列を教示するために参照により本明細書に組み込まれる)。また、例えば、Bantel-Schaal et al.J.Virol.73:939(1999)、Chiorini et al.J.Virol.71:6823(1997)、Chiorini et al.J.Virol.73:1309(1999)、Gao et al.Proc.Nat.Acad.Sci.USA 99:11854(2002)、Moris et al.Virol.33:375(2004)、Muramatsu et al.Virol.221:208(1996)、Ruffing et al.J.Gen.Virol.75:3385(1994)、Rutledge et al.J.Virol.72:309(1998)、Schmidt et al.J.Virol.82:8911(2008)、Shade et al.J.Virol.58:921(1986)、Srivastava et al.J.Virol.45:555(1983)、Xiao et al.J.Virol.73:3994(1999)、WO00/28061、WO99/61601、WO98/11244、及びUS6,156,303を参照されたい(これらの開示は、AAV核酸及びアミノ酸配列を教示するために参照により本明細書に組み込まれる)。
【0048】
「カプシドタンパク質」は、本明細書で使用される場合、AAV8及びAAV9を含む、AAVウイルス粒子の構成要素であるAAVカプシドタンパク質のいずれかを指す。
【0049】
本明細書で使用される場合、「クローニング部位」という用語は、互換性のある凝集末端または平滑末端を含有する核酸のライゲーションによる制限エンドヌクレアーゼ媒介性クローニングのための制限部位、相同性及び伸長「オーバーラップPCRステッチング」による挿入DNAのPCR媒介性クローニングのためのプライミング部位として機能する核酸の領域、または組換え交換反応による標的核酸のリコンビナーゼ媒介性挿入のための組換え部位、または標的核酸のトランスポゾン媒介性挿入のためのモザイク末端、ならびに当該技術分野で一般的な他の技術を含む核酸配列を指す。
【0050】
本明細書で使用される「コドン」という用語は、特定のアミノ酸または翻訳のための開始シグナルまたは停止シグナルを特定する、所与のメッセンジャーRNA分子またはDNAのコード鎖における3つの連続したヌクレオチド塩基の任意の群を指す。コドンという用語はまた、DNA鎖中の塩基トリプレットを指す。
【0051】
本明細書で使用される場合、「コドン最適化」は、コードDNA中の同義コドン(例えば、同じアミノ酸をコードするコドン)の出現頻度が異なる種においてバイアスされるという原則に従って、核酸配列を改変するプロセスを指す。このようなコドン縮重は、同一のポリペプチドが様々なヌクレオチド配列によってコードされることを可能にする。このように改変された配列は、本明細書では「コドン最適化された」と称される。このプロセスは、発現または安定性を増強するために、本明細書に記載される配列のいずれかで実施され得る。コドン最適化は、例えば、米国特許第7,561,972号、同第7,561,973号、及び同第7,888,112号に記載されているような、当該技術分野で公知の方法で実施されてもよく、その各々は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。例えば、翻訳開始部位を取り囲む配列は、既知の方法に従って、コンセンサスKozak配列に変換することができる。例えば、Kozak et al,Nucleic Acids Res.15(20):8125-8148(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)を参照されたい。複数の終止コドンを組み込むことができる。本明細書で使用される場合、「コドン最適化されたヒトフラタキシン遺伝子」及び「hFXNco」という用語は、フラタキシンタンパク質バリアント1(例えば、配列番号5)をコードする内因性RNA分子に対して少なくとも95%(例えば、95%、97%、98%、または99%)の配列同一性を示すポリヌクレオチドを指す。いくつかの実施形態では、hFXNcoは、配列番号1と同一である。
【0052】
本明細書及び特許請求の範囲全体全体で、「含む(comprise)」という語句、または「含む(comprises)」もしくは「含むこと(comprising)」などの変化語は、述べられている整数または整数の群の包含を意味するが、任意の他の整数または整数の群の除外を意味するものではないことが理解されるであろう。
【0053】
本明細書で使用される場合、「保存的変異」、「保存的置換」、及び「保存的アミノ酸置換」という用語は、1つ以上のアミノ酸を、同様の物理化学的特性(例えば、極性、静電電荷、及び立体障害体積)を示す1つ以上の異なるアミノ酸に置換することを指す。これらの特性を、20種類の天然に存在するアミノ酸の各々について、以下の表1にまとめている。
【0054】
【表1】
【0055】
この表から、保存的アミノ酸ファミリーには、例えば、(i)G、A、V、L、I、P、及びM;(ii)D及びE;(iii)C、S及びT;(iv)H、K及びR;(v)N及びQ;ならびに(vi)F、Y及びWが含まれることが理解される。したがって、保存的変異または置換は、1つのアミノ酸を同じアミノ酸ファミリーのメンバーに置換するものである(例えば、ThrをSerに置換、またはArgをLysに置換)。
【0056】
「CpG部位」とは、その長さに沿ったヌクレオチドの線状核酸配列内のグアニンヌクレオチドの隣にシトシンヌクレオチドが存在するDNAの領域、例えば、1つのホスフェートのみによって分離された-C-ホスフェート-G-、シトシン及びグアニン、またはグアニンヌクレオチドに対して5’のシトシンを意味する。
【0057】
本明細書で使用される場合、「内因性」という用語は、特定の生物(例えば、ヒト)または生物内の特定の場所(例えば、器官、組織または細胞、例えば、ヒト細胞)に自然に見出される分子(例えば、ポリペプチド、核酸または補因子)を表す。
【0058】
「フラタキシン」という用語は、フラタキシンタンパク質を指し、「FXN」という用語は、フラタキシンタンパク質をコードする遺伝子(当該技術分野では「FA」、「X25」、「CyaY」、「FARR」、及び「MGC57199」とも称される)を指す。本明細書で使用される場合、「フラタキシン」及び「FXN」という用語は、それぞれ、以下の多型バリアント、対立遺伝子、変異体、及び種間相同体を含む、ポリペプチド及び核酸を相互に置き換え可能に指す。(1)FXN核酸(配列番号5、例えば、GenBankアクセッション番号NM000144.4(アイソフォーム1)を参照されたい)によってコードされるアミノ酸配列に対して、またはフラタキシンポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号3、例えば、GenBankアクセッション番号NP000135.2(アイソフォーム1)を参照されたい)に対して、好ましくは、少なくとも約25、50、100、200、300、400、もしくはそれより多くのアミノ酸の領域にわたって、または全長にわたって、約905個のアミノ酸配列同一性、例えば、96%、97%、98%、もしくは99%、もしくはそれより大きいアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を有する;FXN核酸(例えば、本明細書に記載のフラタキシンポリヌクレオチド、及び本明細書に記載のフラタキシンポリヌクレオチドをコードするFXNポリヌクレオチド)に対して、好ましくは、少なくとも約25、50、100、200、500、1000、2000、もしくはそれより多くのヌクレオチドの領域にわたって、または全長にわたって、約95%を超える、例えば、約96%、97%、98%、99%を超える、またはそれより大きいヌクレオチド配列同一性を有する核酸配列を有する。
【0059】
本明細書で使用される場合、「フリードライヒ運動失調症」という用語は、染色体9上に位置するフラタキシンをコードする遺伝子FXN(以前はX25として知られている)における変異によって引き起こされる常染色体劣性先天性運動失調症を指す。フリードライヒ運動失調症の遺伝的根拠は、フラタキシンをコードする遺伝子のイントロン領域におけるGAAトリヌクレオチド反復を伴う。このセグメントは、通常、FXN遺伝子内で5~33回反復される。フリードライヒ運動失調症を有する人々では、GAAセグメントは、66回から1,000回を超えて反復される。GAAセグメントが300回未満繰り返された人々は、より大きなGAAトリヌクレオチド反復を有する人々よりも、症状の出現が遅くなる傾向がある(25歳以降)。これらの反復の存在は、遺伝子の転写及び発現の低下を引き起こす。フラタキシンは、ミトコンドリア鉄含有量の調節に関与している。FXN遺伝子の変異は、神経系に進行性の損傷を引き起こし、歩行障害から言語障害までの範囲の症状を引き起こし、心臓病及び糖尿病につながる可能性もある。フリードライヒ運動失調症の運動失調は、脊髄内の神経組織、特に腕及び脚の筋肉運動を指示するために(小脳との接続を介して)不可欠な感覚ニューロンの変性から生じる。脊髄が薄くなり、神経細胞は、その髄鞘(神経インパルスを伝達するのに役立ついくつかの神経細胞上にある絶縁性の覆い)の一部を失う。フリードライヒ運動失調症を有する対象は、以下の症状のうちの1つ以上を示し得る。腕及び脚の筋力低下、協調性の喪失、視力障害、聴覚障害、不明瞭な発話、脊椎の湾曲(脊柱側弯症)、高い足底アーチ(内反凹足変形)、炭水化物不耐症、糖尿病、心臓障害(例えば、心房細動、頻拍(高速心拍)及び肥大性心筋症)。フリードライヒ運動失調症を有する対象は、不随意及び/または急速な眼の動き、深部腱反射の喪失、足底伸筋応答の喪失、振動及び固有感覚の喪失、心肥大、対称性肥大、心臓雑音、及び心臓伝導欠陥を更に示し得る。病理学的分析は、後根神経節、脊髄小脳束、外側皮質脊髄束、及び後柱の硬化症及び変性を明らかにし得る。
【0060】
本明細書で使用される場合、「GC含有量」という用語は、核酸分子中に存在するヌクレオシドの総量に対してグアノシン(G)またはシチジン(C)のいずれかである、DNAまたはRNAポリヌクレオチドなどの特定の核酸分子中のヌクレオシドの量を指す。GC含有量は、例えば、以下の式に従って、割合として表されてもよい。
GC含有量=((グアノシンヌクレオシドの総量)+(シチジンヌクレオシドの総量)/(ヌクレオシドの総量))×100
【0061】
本明細書で使用される場合、「遺伝子」という用語は、タンパク質をコードするDNAの領域を指す。遺伝子は、調節領域及びタンパク質コード領域を含み得る。いくつかの実施形態では、遺伝子は、2つ以上のイントロン及び3つ以上のエクソンを含み、各イントロンは、2つのエクソンの間に介在する配列を形成する。
【0062】
本明細書で使用される場合、「イントロン」という用語は、遺伝子のコード領域内の領域を指し、そのヌクレオチド配列は、対応するタンパク質のアミノ酸配列に翻訳されない。イントロンという用語はまた、遺伝子から転写されたRNAの対応する領域も指す。いくつかの実施形態では、遺伝子は、例えば、少なくとも2つのイントロンを含んでいてもよく、これらのイントロンの各々は、2つのエクソン間の介在配列を形成する。イントロンは、mRNA前駆体に転写されるが、プロセシング中に除去され、成熟mRNAには含まれない。
【0063】
「ITR」は、回文核酸、例えば、逆位末端反復であり、約120ヌクレオチド~約250ヌクレオチドの長さであり、ヘアピンを形成することができる。「ITR」という用語は、パルボウイルスタンパク質によって認識及び結合され得るウイルスゲノム複製の部位を含む(例えば、Rep78/68)。ITRは、任意のアデノ随伴ウイルス(AAV)に由来してもよく、血清型2が好ましい。ITRは、複製タンパク質結合エレメント(RBE)及び末端分解配列(TRS)を含む。「ITR」という用語は、ITRがウイルスパッケージング、複製、組み込み、及び/またはプロウイルスレスキューなどを媒介するように機能する限り、野生型パルボウイルスITRを必要としない(例えば、野生型核酸配列は、挿入、欠失、切断、またはミスセンス変異によって変更され得る)。「5’ITR」は、核酸分子の5’境界に位置するパルボウイルスITRを意味することが意図され、「3’ITR」という用語は、核酸分子の3’境界に位置するパルボウイルスITRを意味することが意図される。
【0064】
本明細書で使用される場合、「改変ヌクレオチド」という用語は、1つ以上の酵素または合成化学変換によって変化されたヌクレオチドまたはその部分(例えば、アデノシン、グアノシン、チミジン、シチジン、またはウリジン)を指す。本明細書に記載されるか、または当該技術分野で知られている改変ヌクレオチドで観察される例示的な変化としては、2-デオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドの1つ以上の位置(例えば、2’、3’、及び/または5’位置)へのハロ、チオ、アミノ、アジド、アルキル、アシル、または他の官能基などの化学置換基の導入が挙げられる。
【0065】
本明細書で使用される場合、「変異」という用語は、遺伝子のヌクレオチド配列の変化またはタンパク質のポリペプチド配列の変化を指す。遺伝子またはタンパク質の変異は、例えば、DNA複製、DNA修復の誤り、照射の結果として自然に生じる場合があり、発がん性物質または変異への曝露は、変異体遺伝子を発現する導入遺伝子の投与の結果として誘導され得る。変異は、単一または複数のヌクレオチドの挿入、欠失、または置換から生じ得る。
【0066】
本明細書で相互に置き換え可能に使用される「核酸」及び「ポリヌクレオチド」は、任意の長さのヌクレオチドのポリマーを指し、DNA及びRNAを含む。
【0067】
本明細書で使用される場合、「作動可能に連結された」という用語は、第1の分子が第2の分子に接続されることを指し、ここで、分子は、第1の分子が第2の分子の機能に影響を与えるように配置される。2つの分子は、単一の連続する分子の一部である場合もあればそうでない場合もあり、隣接している場合もあればそうでない場合もある。例えば、プロモーターが細胞内の目的の転写可能なポリヌクレオチド分子の転写を調節する場合、そのプロモーターは転写可能なポリヌクレオチド分子に作動可能に連結される。加えて、転写調節エレメントの2つの部分は、一方の部分の転写活性化機能が他方の部分の存在により悪影響を受けないように接続されている場合、互いに作動可能に連結される。2つの転写調節エレメントは、リンカー核酸(例えば、介在する非コード核酸)を介して互いに作動可能に連結されてもよく、または介在するヌクレオチドが存在せずに、互いに作動可能に連結されてもよい。
【0068】
本明細書で使用される「パルボウイルス」という用語は、自律複製パルボウイルス及びディペンドウイルスを含む、Parvoviridae科を包含する。自律型パルボウイルスとしては、Parvovirus属、Erythrovirus属、Densovirus属、Iteravirus属、及びContravirus属のメンバーが挙げられる。例示的な自律型パルボウイルスとしては、限定されないが、マウスの微小ウイルス、ウシパルボウイルス、イヌパルボウイルス、ニワトリパルボウイルス、ネコ汎白血球減少症ウイルス、ネコパルボウイルス、ガチョウパルボウイルス、H1パルボウイルス、ノバリケンパルボウイルス、ヘビパルボウイルス、及びB19ウイルスが挙げられる。他の自律型パルボウイルスは、当業者に既知である。例えば、Fields et al.Virology,4th ed.Lippincott-Raven Publishers,Philadelphia,1996を参照されたい。ディペンドウイルス属は、限定されないが、AAV1型、AAV2型、AAV3型(3A型及び3B型を含む)、AAV4型、AAV5型、AAV6型、AAV7型、AAV8型、AAV9型、AAV10型、AAV11型、AAV12型、AAV13型、トリAAV、ウシAAV、イヌAAV、ヤギAAV、ヘビAAV、ウマAAV、及びヒツジAAVを含む、アデノ随伴ウイルス(AAV)を含む。
【0069】
参照ポリヌクレオチド配列または参照ポリペプチド配列に対する「配列同一性パーセント(%)」とは、配列をアラインメントし、必要に応じてギャップを導入して、最大の配列同一性パーセントを達成した後、参照ポリヌクレオチド配列または参照ポリペプチド配列における核酸またはアミノ酸と同一である候補配列における核酸またはアミノ酸の割合として定義される。核酸またはアミノ酸配列の同一性パーセントを決定する目的のためのアラインメントは、例えば、BLAST、BLAST-2、またはMegalignソフトウェアなどの公的に入手可能なコンピュータソフトウェアを使用して、当業者の能力の範囲内である様々な方法で達成することができる。当業者は、比較される配列の完全長にわたる最大のアラインメントを達成するために必要とされる任意のアルゴリズムを含む、配列をアラインメントするのに適切なパラメータを決定することができる。例えば、配列同一性パーセントの値は、配列比較コンピュータプログラムBLASTを使用して生成されてもよい。一例として、所与の核酸配列またはアミノ酸配列Bについての、これらとの、これらに対する所与の核酸配列またはアミノ酸配列Aの配列同一性パーセント(これは代わりに、所与の核酸配列またはアミノ酸配列Bについての、これらとの、これらに対する特定の配列同一性パーセントを有する所与の核酸配列またはアミノ酸配列Aと言い換えることができる)は、以下のように計算される:
100×(分数X/Y)
式中、Xは、AとBとのプログラムのアラインメントにおいて、配列アラインメントプログラム(例えば、BLAST)によって同一の一致としてスコアリングされたヌクレオチドまたはアミノ酸の数であり、Yは、Bの核酸の総数である。核酸配列またはアミノ酸配列Aの長さが核酸配列またはアミノ酸配列Bの長さと等しくない場合、Bに対するAの配列同一性パーセントは、Aに対するBの配列同一性パーセントと等しくないことが理解されるだろう。
【0070】
当業者が理解するように、本明細書で使用される場合、「配列同一性パーセント」を決定する目的で、RNA分子中のウリジンヌクレオシドは、DNA分子中のチミジンヌクレオシドと等価であるとみなされる。したがって、RNA等価物とDNAポリヌクレオチドとが、DNAポリヌクレオチド中のチミジンヌクレオシドとRNA等価物中のウリジンヌクレオシドの置換によってのみ互いに異なっている場合、RNA等価物は、DNAポリヌクレオチドに対して100%の配列同一性を有するとみなし得る。
【0071】
「ポリアデニル化シグナル」または「ポリアデニル化部位」という用語は、本明細書では、細胞内で発現されるRNA分子へのポリアデノシンリボ核酸の付加を指示するのに十分な核酸配列を意味するために使用される。
【0072】
「プロモーター」は、メッセンジャーRNA内の遺伝子の転写の開始を可能にする核酸であり、そのような転写は、プロモーター上またはその近くのRNAポリメラーゼの結合によって開始される。
【0073】
本明細書で使用される場合、「薬学的組成物」という用語は、対象に影響を及ぼす、または影響を及ぼし得る特定の疾患または状態を予防、治療または制御するために、対象、例えば、哺乳動物、例えば、ヒトに投与される治療用化合物を含む混合物を指す。
【0074】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される」という用語は、過度の毒性、刺激、アレルギー反応及び他の問題となる合併症がなく、妥当なベネフィット/リスク比を有し、哺乳動物(例えば、ヒト)などの対象の組織との接触に好適な化合物、材料、組成物、及び/または剤形を指す。
【0075】
本明細書で使用される場合、遺伝子の「RNA等価物」という用語は、遺伝子をコードするDNAポリヌクレオチドに対応するRNAポリヌクレオチド、例えば、遺伝子を含むDNAポリヌクレオチドの転写によって得ることができるRNA転写産物を指す。例示的なRNA等価物としては、当該技術分野で公知の及び/または本明細書に記載の固相核酸合成技術、ならびに組換え核酸調製方法などによって合成的に生成されるmRNA転写産物が挙げられる。
【0076】
「スペーサー」は、100アミノ酸未満のオープンリーディングフレーム(ORF)を含有するか、全核酸配列の1%未満であるCpG含有量を有するか、または転写因子(TF)結合部位(例えば、原核生物もしくはバキュロウイルス転写因子によって認識される部位)を含有しない、少なくとも1.0Kbの長さの任意のポリヌクレオチドである。スペーサーという用語は、原核生物またはバキュロウイルス起源の核酸を含まない。スペーサーは、天然に存在する供給源から単離されるか、または改変されて、例えば、ORFのサイズ、CpG含有量、または転写因子結合部位の数を低下させることができる。スペーサーは、ポリヌクレオチド、例えば、ORFに隣接して見出されるイントロン、または転写開始部位の近くに見出されるエンハンサーの発現を促進する天然に存在する核酸から選択され得る。「スペーサー」の使用は、本明細書で定義される場合、ウイルス粒子にパッケージングされる汚染核酸の低下をもたらす。
【0077】
本明細書で使用される場合、「転写調節エレメント」という用語は、目的の遺伝子の転写を少なくとも部分的に制御する核酸を指す。転写調節エレメントは、遺伝子転写を制御するか、または遺伝子転写の制御に役立つプロモーター、エンハンサー、及び他の核酸(例えば、ポリアデニル化シグナル)を含み得る。転写調節エレメントの例は、例えば、Goeddel,Gene Expression Technology:Methods in Enzymology 185(Academic Press,San Diego,CA,1990)に記載される。
【0078】
本明細書で使用される場合、「治療する」または「治療」という用語は、療法的治療を指し、その目的は、とりわけ、望ましくない生理学的変化または障害、例えば、フリードライヒ運動失調症を予防または減速させる(減らす)ことである。有益なまたは所望の臨床結果は、検出可能であるか検出不可能であるかにかかわらず、症状の緩和、疾患の程度の減少、疾患の安定化された(すなわち、悪化しない)状態、疾患進行の遅延または遅れ、疾患状態の改良または緩和、及び寛解(部分的であるか完全であるかにかかわらず)を含むが、これらに限定されない。フリードライヒ運動失調症の文脈では、患者の治療は、1つ以上の検出可能な変化で現れてもよく、例えば、フラタキシンまたはフラタキシンをコードする核酸(例えば、DNAまたはRNA、例えば、mRNA)の濃度の増加(例えば、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、200%、300%、400%、500%、600%、700%、800%、900%、10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍、500倍、1,000倍、またはそれより多く)であってもよい。フラタキシンの濃度は、本明細書に記載のELISAアッセイを含む、当該技術分野で既知のタンパク質検出アッセイを使用して決定され得る。フラタキシンをコードする核酸の濃度は、本明細書に記載の核酸検出アッセイ(例えば、RNA Seqアッセイ)を使用して決定され得る。フラタキシンタンパク質及び核酸の検出のための例示的なプロトコルを、以下の実施例3に提供する。加えて、フリードライヒ運動失調症を患っている患者の治療は、患者の筋肉機能(例えば、心筋または骨格筋機能)の改善、ならびに筋肉協調の改善において現れ得る。例えば、フリードライヒ運動失調症を患っている患者の治療は、全フリードライヒ運動失調症評価尺度(FARS)スコアの低下(例えば、治療後約12週間まで)に現れ得る。
【0079】
本明細書で使用される場合、「ベクター」という用語は、複製及び/または発現の目的などのために、目的の遺伝子を細胞(例えば、ヒト細胞などの哺乳動物細胞)に送達するビヒクルとして機能し得る核酸、例えば、DNAまたはRNAを指す。本明細書に記載の組成物及び方法と組み合わせて有用な例示的なベクターは、プラスミド、DNAベクター、RNAベクター、ビリオン、または他の好適なレプリコン(例えば、ウイルスベクター)である。外因性タンパク質をコードするポリヌクレオチドを原核細胞または真核細胞に送達するために、様々なベクターが開発されている。そのような発現ベクターの例は、例えば、WO1994/11026に開示されており、その開示は、参照により本明細書に組み込まれる。本明細書に記載の発現ベクターは、ポリヌクレオチド配列だけでなく、例えば、タンパク質の発現及び/またはこれらのポリヌクレオチド配列の哺乳動物細胞のゲノムへの組み込みに使用される追加の配列エレメントを含有する。本明細書に記載の導入遺伝子の発現に使用することができる特定のベクターには、遺伝子転写を指示するプロモーター領域及びエンハンサー領域などの調節配列を含有するプラスミドが含まれる。導入遺伝子の発現に有用な他のベクターは、これらの遺伝子の翻訳速度を増強するか、または遺伝子転写から生じるmRNAの安定性もしくは核外輸送を改善する、ポリヌクレオチド配列を含有する。これらの配列エレメントとしては、例えば、5’及び3’非翻訳領域、内部リボソーム進入部位(IRES)、及び発現ベクター上に保有される遺伝子の効率的な転写を指示するためのポリアデニル化シグナル部位が挙げられる。本明細書に記載の発現ベクターはまた、そのようなベクターを含有する細胞を選択するためのマーカーをコードするポリヌクレオチドを含有してもよい。好適なマーカーの例としては、アンピシリン、クロラムフェニコール、カナマイシン、またはノーセオトリシンなどの抗生物質に対する耐性をコードする遺伝子が挙げられる。
【0080】
詳細な説明
本明細書に記載の組成物及び方法は、ヒトフラタキシンタンパク質の発現を刺激するために、また、フラタキシン遺伝子(FXN)中の変異に関連する障害、例えば、フリードライヒ運動失調症を治療するために有用である。本明細書に記載の組成物は、細胞におけるフラタキシンタンパク質の発現のためのコドン最適化されたヒトFXN(hFXNco)、またはそのRNA等価物をコードするプラスミド(例えば、ウイルスベクター、例えば、アデノ随伴ウイルス(AAV))を含む。本明細書に記載のプラスミドは、2つの逆位末端反復(ITR、例えば、第1のITR(ITR1)及び第2のITR(ITR2))を含むAAVを含み、ITR1とITR2との間の、かつこれらを含む核酸の長さは、約3.9Kb~約4.7Kbである。機構によって制限されないが、本明細書に記載の組成物は、ヒトフラタキシンタンパク質の発現を効果的に刺激することによって、フリードライヒ運動失調症に関連する病変を改良し得る。
【0081】
本発明は、ITR1とITR2との間の、かつこれらを含む核酸の長さが約3.9Kb~約4.7KbであるITR1-hFXNco-ITR2を含む核酸分子の送達が、細胞におけるヒトフラタキシンタンパク質の発現を誘導する驚くべき優れた能力をもたらすという発見に少なくとも部分的に基づいている。この特性は、フリードライヒ運動失調症を有するヒト患者のゲノムなどの哺乳動物ゲノムにおけるFXN遺伝子の変異の発生率を考慮すると、特に有益である。本明細書に記載の組成物及び方法を使用して、重要な健康なFXNまたはそのRNA転写産物、及びそれらのコードされたフラタキシンタンパク質産物の発現を有効に増強することができる。
【0082】
以下のセクションは、本明細書に記載のそのような構築物をコードするベクターと組み合わせて使用され得るhFXNcoを産生するための例示的なコドン最適化、及びその産生方法、ならびにフリードライヒ運動失調症を治療するために使用され得る方法の説明を提供する。
【0083】
治療タンパク質
本明細書に記載の方法に従ってプラスミド(例えば、ウイルスベクター)に組み込むことができる遺伝子としては、治療タンパク質(例えば、フラタキシン)をコードする遺伝子、例えば、タンパク質の欠乏を特徴とする疾患または状態(例えば、フリードライヒ運動失調症)に罹患している対象(例えば、ヒト患者)に移すことができる遺伝子が挙げられる。例えば、本明細書に記載の方法に従って患者に送達され得る遺伝子は、フラタキシンをコードする遺伝子を含む。
【0084】
1つのアプローチでは、本発明は、フラタキシンタンパク質バリアント1(例えば、配列番号5)をコードする内因性RNA分子に対して少なくとも95%(例えば、95%、96%、97%、98%、または99%)同一であるポリヌクレオチド配列を有するヒトFXN(hFXN)、またはそのRNA等価物を提供する。例えば、いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、フラタキシンタンパク質バリアント1(例えば、配列番号5)をコードする内因性RNA分子に対して少なくとも95%の配列同一性を示す。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、フラタキシンタンパク質バリアント1(例えば、配列番号5)をコードする内因性RNA分子に対して少なくとも96%の配列同一性を示す。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、フラタキシンタンパク質バリアント1(例えば、配列番号5)をコードする内因性RNA分子に対して少なくとも97%の配列同一性を示す。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、フラタキシンタンパク質バリアント1(例えば、配列番号5)をコードする内因性RNA分子に対して少なくとも98%の配列同一性を示す。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、フラタキシンタンパク質バリアント1(例えば、配列番号5)をコードする内因性RNA分子に対して少なくとも99%の配列同一性を示す。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、フラタキシンタンパク質バリアント1(例えば、配列番号5)をコードする内因性RNA分子と同一である。
【0085】
いくつかの実施形態では、hFXN、またはそのRNA等価物は、配列番号3のアミノ酸配列に対して少なくとも85%(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)同一であるタンパク質をコードする。例えば、いくつかの実施形態では、hFXN、またはそのRNA等価物は、配列番号3のアミノ酸配列に対して少なくとも86%同一であるタンパク質をコードする。いくつかの実施形態では、hFXN、またはそのRNA等価物は、配列番号3のアミノ酸配列に対して少なくとも87%同一であるタンパク質をコードする。いくつかの実施形態では、hFXN、またはそのRNA等価物は、配列番号3のアミノ酸配列に対して少なくとも88%同一であるタンパク質をコードする。いくつかの実施形態では、hFXN、またはそのRNA等価物は、配列番号3のアミノ酸配列に対して少なくとも89%同一であるタンパク質をコードする。いくつかの実施形態では、hFXN、またはそのRNA等価物は、配列番号3のアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一であるタンパク質をコードする。いくつかの実施形態では、hFXN、またはそのRNA等価物は、配列番号3のアミノ酸配列に対して少なくとも91%同一であるタンパク質をコードする。いくつかの実施形態では、hFXN、またはそのRNA等価物は、配列番号3のアミノ酸配列に対して少なくとも92%同一であるタンパク質をコードする。いくつかの実施形態では、hFXN、またはそのRNA等価物は、配列番号3のアミノ酸配列に対して少なくとも93%同一であるタンパク質をコードする。いくつかの実施形態では、hFXN、またはそのRNA等価物は、配列番号3のアミノ酸配列に対して少なくとも94%同一であるタンパク質をコードする。いくつかの実施形態では、hFXN、またはそのRNA等価物は、配列番号3のアミノ酸配列に対して少なくとも95%同一であるタンパク質をコードする。いくつかの実施形態では、hFXN、またはそのRNA等価物は、配列番号3のアミノ酸配列に対して少なくとも96%同一であるタンパク質をコードする。いくつかの実施形態では、hFXN、またはそのRNA等価物は、配列番号3のアミノ酸配列に対して少なくとも97%同一であるタンパク質をコードする。いくつかの実施形態では、hFXN、またはそのRNA等価物は、配列番号3のアミノ酸配列に対して少なくとも98%同一であるタンパク質をコードする。いくつかの実施形態では、hFXN、またはそのRNA等価物は、配列番号3のアミノ酸配列に対して少なくとも99%同一であるタンパク質をコードする。いくつかの実施形態では、hFXN、またはそのRNA等価物は、配列番号3のアミノ酸配列と同一であるタンパク質をコードする。
【0086】
コドン最適化
本明細書に記載の組成物及び方法を使用して、例えば、特定の細胞型におけるタンパク質の発現の増強を達成するように、目的のタンパク質(例えば、フラタキシン)をコードする遺伝子またはそのRNA等価物(例えば、FXN)の核酸配列を最適化することができる。例えば、本明細書に記載の組成物及び方法を使用して、遺伝子及びそのRNA等価物を、コードされるタンパク質(例えば、フラタキシン)の組織特異的発現のために最適化することができる。本明細書に記載の組成物及び方法を使用して最適化された遺伝子及びそのRNA等価物は、化学合成技術によって合成することができ、例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)ベースの増幅方法を使用するか、またはその遺伝子を、外因性核酸を複製することができる細菌細胞または哺乳動物細胞などの細胞にトランスフェクションすることによって増幅させてもよい。
【0087】
本明細書に記載の遺伝子及びRNA等価物は、重要な臨床有用性を有し得る。フリードライヒ運動失調症などの遺伝性遺伝障害を含む多様な疾患及び状態は、天然タンパク質(例えば、フラタキシン)の欠乏の症状である。遺伝子療法の出現により、標的細胞(例えば、ヒト細胞)への外因性タンパク質をコードする核酸の導入のために、広範なベクター及び遺伝子送達技術が開発されてきた。しかしながら、目的の細胞におけるコードされたタンパク質の強固かつ安定した発現を達成するように、外因性核酸によってコードされる導入遺伝子の最適化されたバリアントに対する必要性が依然として存在する。
【0088】
CpG含有量及びホモポリマー含有量を低下させる
コドン最適化は、当該技術分野で知られている技術によって行われ得る。非限定的な例として、当業者は、遺伝子のCpG含有量及び/またはホモポリマー含有量を減少させるコドン置換を組み込むことによって、標的遺伝子のタンパク質をコードする遺伝子配列を操作することができる。例えば、野生型遺伝子配列から始まり、コードされたタンパク質配列の同一性を保存しながら、遺伝子のCpG含有量及び/またはホモポリマー含有量を低下させる置換(例えば、単一ヌクレオチド置換)を導入することができる。次いで、目的の細胞型にコードされる遺伝子(例えば、FXN)に最小限に類似する遺伝子配列を得るために、上記及び実施例1に記載の配列同一性最小化プロセスに従うことができる。あるいは、上記の配列同一性最小化プロセスに従ってコドン最適化されている配列から開始することができ、その後、遺伝子のCpG含有量及び/またはホモポリマー含有量を低下させる変異(例えば、単一ヌクレオチド置換)の導入によって操作することができる。CpG部位及びホモポリマーは、mRNA翻訳プロセス中に+1フレームシフトを促進することができる。あるいは、ホモポリマーが、タンパク質機能に不可欠ではないアミノ酸残基をコードする場合(例えば、コードされたアミノ酸が、コードされた酵素の活性部位内に、または別の生体分子への非共有結合に必要な部位内に存在しない場合)、当業者は、ホモポリマーを中断し、かつ対応するアミノ酸の部位でコードされたタンパク質に保存的置換を導入するコドン置換を組み込むことができる。
【0089】
コドン最適化された遺伝子の調製
一旦設計されると、最終的なコドン最適化された遺伝子は、例えば、当該技術分野で既知の固相核酸手順によって調製することができる。例えば、DNA、RNAなどの核酸分子の化学合成を行うために、ホスホラミダイト法を用いた固相合成プロセスを用いることができる。この手順によれば、核酸は、一般に、以下の工程によって合成される。
【0090】
第一に、合成される核酸の3’末端に生じる5-OH保護されたヌクレオシドは、ヌクレオシドを切断可能なリンカーに付加することによって、3’-OH機能を介して固体支持体にエステル化される。次に、ヌクレオシドが固定化されている固相合成用の支持体を反応カラムに配置し、その後、自動核酸合成装置にセットすることができる。
【0091】
その後、以下の工程を含む反復合成プロセスを、自動核酸合成装置の合成プログラムに従って反応カラム内で実施することができる。
●(1)保護され固定化されたヌクレオシドの5’-OH部分の脱保護工程(例えば、ジクロロメタン溶液などの中のトリクロロ酢酸などの酸を用いて酸不安定性ヒドロキシル保護基を除去する)、
●(2)活性化剤(例えば、テトラゾールなど)の存在下で、5-OHで保護されたヌクレオシドホスホラミダイトを、固定化されたヌクレオシドの脱保護された5’-OH基とカップリングさせる工程、
●(3)3’末端ヌクレオシドの未反応の5’-OH基を(例えば、無水酢酸などで)キャッピングする工程、及び
●(4)固定化されたホスファイト置換基を(例えば、ヨウ素水溶液などで)酸化する工程。
【0092】
上記のプロセスを繰り返して、必要に応じて3’-5’方向に核酸を伸長させることができる。5’末端方向が促進され、所望の配列を有する核酸が合成される。
【0093】
最後に、切断可能なリンカーを(例えば、アンモニア水溶液、メチルアミン溶液などで)加水分解して、合成された核酸を固相支持体から切断する。核酸の化学合成のための前述のような手順は、当該技術分野で既知であり、例えば、米国特許第8,835,656号に記載されており、その開示は、核酸分子の合成のためのプロトコルに関する場合に参照により本明細書に組み込まれる。
【0094】
加えて、調製された遺伝子は、例えば、本明細書に記載されるか、または当該技術分野で既知であるPCRベースの技術を使用して、及び/またはDH5α E.coliを、設計された遺伝子を含有するプラスミドで形質転換することによって増幅させることができる。細菌は、その後、その中のDNAを増幅するように培養することができ、遺伝子は、当該技術分野で知られている単離されたプラスミド精製技術であってもよく、任意選択的に、制限消化及び/またはプラスミドの配列決定が続き、同一性コドン最適化遺伝子を検証することができる。
【0095】
例示的なコドン最適化ヒトFXN
1つのアプローチでは、本発明は、配列番号1の核酸配列に対して少なくとも85%(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)同一であるポリヌクレオチド配列を有するhFXNco、またはそのRNA等価物を提供する。例えば、いくつかの実施形態では、hFXNco、またはそのRNA等価物は、配列番号1の核酸配列に対して少なくとも86%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、hFXNco、またはそのRNA等価物は、配列番号1の核酸配列に対して少なくとも87%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、hFXNco、またはそのRNA等価物は、配列番号1の核酸配列に対して少なくとも88%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、hFXNco、またはそのRNA等価物は、配列番号1の核酸配列に対して少なくとも89%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、hFXNco、またはそのRNA等価物は、配列番号1の核酸配列に対して少なくとも90%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、hFXNco、またはそのRNA等価物は、配列番号1の核酸配列に対して少なくとも91%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、hFXNco、またはそのRNA等価物は、配列番号1の核酸配列に対して少なくとも92%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、hFXNco、またはそのRNA等価物は、配列番号1の核酸配列に対して少なくとも93%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、hFXNco、またはそのRNA等価物は、配列番号1の核酸配列に対して少なくとも94%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、hFXNco、またはそのRNA等価物は、配列番号1の核酸配列に対して少なくとも95%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、hFXNco、またはそのRNA等価物は、配列番号1の核酸配列に対して少なくとも96%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、hFXNco、またはそのRNA等価物は、配列番号1の核酸配列に対して少なくとも97%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、hFXNco、またはそのRNA等価物は、配列番号1の核酸配列に対して少なくとも98%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、hFXNco、またはそのRNA等価物は、配列番号1の核酸配列に対して少なくとも99%同一である核酸配列を有する。
【0096】
いくつかの実施形態では、hFXNco、またはそのRNA等価物は、配列番号1の核酸配列を有する。
【0097】
外因性核酸を標的細胞に送達するための方法
トランスフェクション技術
本明細書に記載の転写調節エレメントに作動可能に連結された導入遺伝子などの導入遺伝子を標的細胞に導入するために使用することができる技術は、当該技術分野で知られている。例えば、エレクトロポレーションを使用して、目的の細胞に静電電位を適用することによって、哺乳動物細胞(例えば、ヒト標的細胞)を透過させることができる。このようにして外部電場にさらされたヒト細胞などの哺乳動物細胞は、その後、外因性核酸を取り込みやすくなる。哺乳動物細胞のエレクトロポレーションは、例えば、Chu et al.,Nucleic Acids Res 15:1311(1987)に詳細に記載されており、その開示は、参照により本明細書に組み込まれる。同様の技術であるNucleofection(商標)は、真核生物細胞の核への外因性ポリヌクレオチドの取り込みを刺激するために、適用された電場を利用する。Nucleofection(商標)及びこの技術を実施するのに有用なプロトコルは、例えば、Distler et al.,Exp.Dermatol.14:315(2005)及びUS2010/0317114に詳細に記載されており、これらの各々の開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0098】
標的細胞のトランスフェクションに有用な更なる技術には、スクイーズポレーション(squeeze-poration)法が含まれる。この技術は、加えられたストレスに応答して形成される膜孔を介した外因性DNAの取り込みを刺激するために、細胞の急速な機械的変形を誘導する。この技術は、ヒト標的細胞などの細胞への核酸の送達にベクターを必要としないという点で有利である。スクイーズポレーションは、例えば、Sharei et al.,JoVE 81:e50980(2013)に詳細に記載されており、その開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0099】
リポフェクションは、標的細胞のトランスフェクションに有用な別の技術を表す。この方法は、核酸をリポソームにローディングすることを伴い、多くの場合、リポソームの外部に向かって四級アミンまたはプロトン化したアミンなどのカチオン系官能基が提示される。これにより、細胞膜がアニオン性であることから、リポソームと細部との間の静電相互作用が促進され、最終的に、例えば、リポソームと細胞膜との直接的な融合によって、または複合体のエンドサイトーシスによって、外因性核酸が取り込まれる。リポフェクションは、例えば、米国特許第7,442,386号に詳細に記載されており、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。細胞膜とのイオン相互作用を利用して外来核酸の取り込みを誘発する同様の技術には、細胞をカチオン性ポリマー-核酸複合体と接触させることが含まれる。細胞膜との相互作用に有利な正電荷を付与するようにポリヌクレオチドと会合する例示的なカチオン性分子は、活性化されたデンドリマー(例えば、その開示が参照により本明細書に組み込まれるDennig,Top Curr Chem 228:227(2003)に記載される)及びジエチルアミノエチル(DEAE)-デキストランであり、トランスフェクション剤としてのその使用は、例えば、Gulick et al.,Curr Protoc Mol Biol 40:I:9.2:9.2.1(1997)に詳細に記載され、その開示は、参照により本明細書に組み込まれる。磁気ビーズは、核酸の取り込みを生じさせるために適用された磁場を利用する方法であるため、穏やかかつ効率的な方法で標的細胞をトランスフェクトするために使用することができる別のツールである。本技術は、例えば、US2010/0227406に詳細に記載されており、その開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0100】
標的細胞による外因性核酸の取り込みを誘導するための別の有用なツールは、レーザーフェクション(laserfection)であり、細胞を穏やかに透過性化し、ポリヌクレオチドが細胞膜を透過することを可能にするために、細胞を特定の波長の電磁放射線に曝露することを伴う技術である。この技術は、例えば、Rhodes et al.,Methods Cell Biol.82:309(2007)に詳細に記載されており、その開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0101】
マイクロベシクルは、本明細書に記載される方法に従って、標的細胞のゲノムを改変するために使用することができる可能性のある別のビヒクルである。例えば、糖タンパク質VSV-Gと、例えば、ヌクレアーゼなどのゲノム改変タンパク質とを同時に過剰発現させることによって誘導したマイクロベシクルを使用して、タンパク質を細胞に効率的に送達することができ、その後、タンパク質は、遺伝子または調節配列などの目的のポリヌクレオチドを共有結合的に組み込むための細胞のゲノムを調製するように、内因性ポリヌクレオチド配列の部位特異的切断を触媒することができる。真核細胞を遺伝子改変するための、Gesicleとも称されるそのようなベシクルの使用は、例えば、Quinn et al.,Genetic Modification of Target Cells by Direct Delivery of Active Protein[abstract]に、Methylation changes in early embryonic genes in cancer[abstract]に、Proceedings of the 18th Annual Meeting of the American Society of Gene and Cell Therapy;2015 May 13,Abstract No.122に詳細に記載されている。
【0102】
遺伝子編集技術による標的遺伝子の組み込み
上記に加えて、目的の遺伝子をヒト細胞などの標的細胞に組み込むために使用することができる様々なツールが開発されている。標的遺伝子をコードするポリヌクレオチドを標的細胞に組み込むために使用することができるそのような1つの方法は、トランスポゾンの使用を伴う。トランスポゾンは、トランスポザーゼ酵素をコードし、5’及び3’切断部位によって隣接される目的のポリヌクレオチド配列または遺伝子含有するポリヌクレオチドである。トランスポゾンが細胞に送達されると、トランスポザーゼ遺伝子の発現が始まり、トランスポゾンから目的の遺伝子を切断する活性酵素が生じる。この活性は、トランスポザーゼがトランスポゾン切断部位を部位特異的に認識することによって媒介される。いくつかの事例では、これらの切除部位は、末端反復または逆位末端反復(ITR)であり得る。目的の遺伝子は、トランスポゾンから切断されると、哺乳動物細胞の核ゲノム内に存在する同様の切断部位がトランスポザーゼの触媒により切断されることによって、哺乳動物細胞のゲノムに組み込まれ得る。これにより、目的の遺伝子は、切断された核DNAの相補的な切断部位に挿入され、その後、目的の遺伝子を哺乳動物細胞ゲノムのDNAに接続するホスホジエステル結合の共有結合的なライゲーションがなされ、組み込みのプロセスが完了する。特定の場合では、トランスポゾンは、標的遺伝子をコードする遺伝子がまずRNA産物に転写され、次いで、DNAに逆転写された後に哺乳動物細胞ゲノムに組み込まれる、レトロトランスポゾンであってもよい。例示的なトランスポゾン系は、piggybacトランスポゾン(例えば、WO2010/085699に詳細に記載されている)及びsleeping beautyトランスポゾン(例えば、US2005/0112764に詳細に記載されている)であり、その各々の開示は、目的の細胞への遺伝子送達に使用するためのトランスポゾンに関して、参照により本明細書に組み込まれる。
【0103】
標的細胞のゲノムに標的遺伝子を組み込むための別のツールは、クラスター化された規則的な間隔のある短い回文の繰り返し配列(clustered regularly interspaced short palindromic repeat、CRISPR)/Cas系であり、このシステムは、元々、細菌及び古細菌のウイルス感染に対する適応的防御機構として進化したシステムである。CRISPR/Cas系は、プラスミドDNA内の回文反復配列及び関連するCas9ヌクレアーゼを含む。このDNAとタンパク質との複合体は、まず、外来DNAをCRISPR遺伝子座に組み込むことによって、標的配列の部位特異的なDNA切断を誘導する。これらの外来配列及びCRISPR遺伝子座のリピート・スペーサーエレメントを含有するポリヌクレオチドが、次いで、宿主細胞で転写されてガイドRNAが生成され、その後、ガイドRNAが標的配列にアニーリングして、この部位にCas9ヌクレアーゼを局在化させることができる。このように、cas9が標的DNA分子に近接する相互作用は、RNA:DNAハイブリダイゼーションによって支配されているので、cas9媒介性の高度に部位特異的なDNA切断を外来ポリヌクレオチドに起こすことができる。その結果、目的の任意の標的DNA分子を切断するようにCRISPR/Cas系を設計することができる。この技術は、真核生物ゲノムを編集するために利用されており(Hwang et al.,Nat.Biotechnol.31:227(2013)を参照されたい)、標的遺伝子をコードする遺伝子を組み込む前にDNAを切断するために、標的細胞ゲノムを部位特異的に編集する効率的な手段として使用することができる。遺伝子発現を調整するためのCRISPR/Casの使用は、例えば、米国特許第8,697,359号に記載されており、その開示は、ゲノム編集のためのCRISPR/Cas系の使用に関して、参照により本明細書に組み込まれる。目的の遺伝子を標的細胞に組み込む前にゲノムDNAを部位特異的に切断するための代替法には、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)及び転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)の使用が含まれる。CRISPR/Cas系とは異なり、これらの酵素は、特定の標的配列に局在化させるガイドポリヌクレオチドを含有しない。代わりに、標的特異性は、これらの酵素内のDNA結合ドメインによって制御される。ゲノム編集用途におけるZFN及びTALENの使用は、例えば、Urnov et al.,Nat.Rev.Genet.11:636(2010)に、また、Joung et al.,Nat.Rev.Mol.Cell Biol.14:49(2013)に記載されており、これらの各々の開示は、ゲノム編集のための組成物及び方法に関して、参照により本明細書に組み込まれる。
【0104】
標的遺伝子をコードするポリヌクレオチドを標的細胞のゲノムに組み込むために使用され得る追加のゲノム編集技術には、ゲノムDNAを部位特異的に切断するように合理的に設計され得るARCUS(商標)メガヌクレアーゼの使用が含まれる。これらの酵素を使用して標的遺伝子をコードする遺伝子を哺乳動物細胞のゲノムに組み込むことは、当該酵素について確立されている明確な構造活性関係の観点から有利である。所望の位置でDNAを選択的に切断するヌクレアーゼを作り出すために、単鎖メガヌクレアーゼを特定のアミノ酸位置で改変することができ、それにより、標的細胞の核DNAに標的遺伝子を部位特異的に組み込むことが可能となる。これらの単鎖ヌクレアーゼは、例えば、米国特許第8,021,867号及び同第US8,445,251号に広範に記載されており、その各々の開示は、ゲノム編集のための組成物及び方法に関して、参照により本明細書に組み込まれる。
【0105】
外因性核酸を標的細胞に送達するためのベクター
核酸送達のためのウイルスベクター
ウイルスゲノムは、目的の遺伝子を標的細胞(例えば、ヒト細胞などの哺乳動物細胞)のゲノムに効率的に送達するために使用することができるベクターの豊富な供給源を提供する。ウイルスゲノムは、そのゲノム内に含有されるポリヌクレオチドが、典型的に、一般的な形質導入または特殊な形質導入によって標的細胞のゲノムに組み込まれるため、特に有用な遺伝子送達のためのベクターである。これらのプロセスは、天然のウイルス複製サイクルの一部として発生し、遺伝子組み込みを誘導するためにタンパク質または試薬を追加する必要がない。ウイルスベクターの例としては、AAV、レトロウイルス、アデノウイルス(例えば、Ad5、Ad26、Ad34、Ad35、及びAd48)、パルボウイルス(例えば、アデノ随伴ウイルス)、コロナウイルス、マイナス鎖RNAウイルス、例えば、オルトミクソウイルス(例えば、インフルエンザウイルス)、ラブドウイルス(例えば、狂犬病ウイルス及び水疱性口内炎ウイルス)、パラミクソウイルス(例えば、麻疹及びセンダイ)、プラス鎖RNAウイルス、例えば、ピコルナウイルス及びアルファウイルス、ならびにアデノウイルス、ヘルペスウイルス(例えば、単純ヘルペスウイルス1型及び2型、エプスタインバールウイルス、サイトメガロウイルス)、及びポックスウイルス(例えば、ワクシニア、改変ワクシニアアンカラ(MVA)、鶏痘及びカナリア痘)を含む二本鎖DNAウイルスが挙げられる。本発明の抗体軽鎖及び重鎖または抗体断片をコードするポリヌクレオチドを送達するのに有用な他のウイルスには、例えば、ノーウォークウイルス、トガウイルス、フラビウイルス、レオウイルス、パポーバウイルス、ヘパドナウイルス、及び肝炎ウイルスが含まれる。レトロウイルスの例としては、トリ白血病肉腫、哺乳動物C型、B型ウイルス、D型ウイルス、HTLV-BLV群、レンチウイルス、スピューマウイルスが挙げられる(Coffin,J.M.,Retroviridae:The viruses and their replication,In Fundamental Virology,Third Edition,B.N.Fields,et al.,Eds.,Lippincott-Raven Publishers,Philadelphia,1996)。他の例としては、マウス白血病ウイルス、マウス肉腫ウイルス、マウス乳がんウイルス、ウシ白血病ウイルス、ネコ白血病ウイルス、ネコ肉腫ウイルス、トリ白血病ウイルス、ヒトT細胞白血病ウイルス、ヒヒ内在性ウイルス、テナガザル白血病ウイルス、マソン-ファイザーサルウイルス、サル免疫不全ウイルス、サル肉腫ウイルス、ラウス肉腫ウイルス及びレンチウイルスが挙げられる。ベクターの他の例は、例えば、米国特許第5,801,030号に記載されており、その開示は、遺伝子療法における使用のためのウイルスベクターに関して、参照により本明細書に組み込まれる。
【0106】
核酸送達のためのAAVベクター
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物及び方法の核酸は、それらの細胞への導入を容易にするために、組換えAAV(rAAV)ベクター及び/またはビリオンに組み込まれる。本発明に有用なrAAVベクターは、(1)発現される導入遺伝子(例えば、フラタキシンタンパク質をコードするポリヌクレオチド)及び(2)異種遺伝子の組み込み及び発現を容易にするウイルス核酸を含む、組換え核酸構築物である。ウイルス核酸は、ビリオンへのDNAの複製及びパッケージングのためにシスで必要とされるAAVのこれらの配列(例えば、機能的ITR)を含み得る。典型的な用途では、導入遺伝子は、フリードライヒ運動失調症に罹患している患者におけるフラタキシン欠乏症を修正するのに有用なフラタキシンをコードする。このようなrAAVベクターはまた、マーカー遺伝子またはレポーター遺伝子を含んでもよい。有用なrAAVベクターでは、1つ以上のAAV WT遺伝子の全体または一部が欠失しているが、機能的な隣接ITR配列は保持されている。AAV ITRは、特定の用途に好適な任意の血清型(例えば、血清型2に由来するもの)であり得る。いくつかの実施形態では、AAV ITRは、AAV血清型2 ITRであり得る。rAAVベクターを使用するための方法は、例えば、Tal et al.,J.Biomed.Sci.7:279-291(2000)、及びMonahan and Samulski,Gene Delivery 7:24-30(2000)に記載されており、その各々の開示は、遺伝子送達のためのAAVベクターに関して、参照により本明細書に組み込まれる。
【0107】
本明細書に記載される核酸及びベクターは、核酸またはベクターの細胞への導入を容易にするために、rAAVビリオンに組み込むことができる。AAVのカプシドタンパク質は、ビリオンの外側の非核酸部分を構成し、AAV cap遺伝子によってコードされる。いくつかの実施形態では、本発明のAAVは、組換えカプシドタンパク質を含む。cap遺伝子は、ビリオンアセンブリに必要な3つのウイルスコートタンパク質VP1、VP2、及びVP3をコードする。rAAVビリオンの構築は、例えば、米国特許第5,173,414号、同第5,139,941号、同第5,863,541号、同第5,869,305号、同第6,057,152号、及び同第6,376,237号、ならびにRabinowitz et al.,J.Virol.76:791-801(2002)、及びBowles et al.,J.Virol.77:423-432(2003)に記載されており、その各々の開示は、遺伝子送達のためのAAVベクターに関して、参照により本明細書に組み込まれる。
【0108】
本明細書に記載の組成物及び方法と組み合わせて有用なrAAVビリオンとしては、AAV1、2、3、4、5、6、7、8及び9を含む様々なAAV血清型に由来するものが挙げられる。筋肉細胞を標的とするために、少なくとも1つの血清型1カプシドタンパク質を含むrAAVビリオンが特に有用であり得る。血清型6カプシドタンパク質は、血清型1カプシドタンパク質と構造的に類似しており、したがって、筋肉細胞におけるFXNの高い発現をもたらすことも期待されるので、少なくとも1つの血清型6カプシドタンパク質を含むrAAVビリオンも特に有用であり得る。rAAV血清型9は、筋肉細胞の効率的なトランスデューサーであることも見出されている。異なる血清型のAAVベクター及びAAVタンパク質の構築及び使用は、例えば、Chao et al.,Mol.Ther.2:619-623(2000)、Davidson et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 97:3428-3432(2000)、Xiao et al.,J.Virol.72:2224-2232(1998)、Halbert et al.,J.Virol.74:1524-1532(2000)、Halbert et al.,J.Virol.75:6615-6624(2001)、及びAuricchio et al.,Hum.Molec.Genet.10:3075-3081(2001)に記載されており、その各々の開示は、遺伝子送達のためのAAVベクターに関する場合に参照により本明細書に組み込まれる。
【0109】
また、本明細書に記載の組成物及び方法と組み合わせて有用なものは、偽型rAAVベクターである。偽型ベクターには、所与の血清型以外の血清型(例えば、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8など)に由来するカプシド遺伝子で偽型化された所与の血清型(例えば、AAV9)のAAVベクターが含まれる。例えば、代表的な偽型ベクターは、AAV血清型2に由来するカプシド遺伝子で偽型化された治療用タンパク質(例えば、フラタキシン)をコードするAAV8またはAAV9ベクターである。偽型rAAVビリオンの構築及び使用を伴う技術は、当該技術分野で既知であり、例えば、Duan et al.,J.Virol.75:7662-7671(2001)、Halbert et al.,J.Virol.74:1524-1532(2000)、Zolotukhin et al.,Methods,28:158-167(2002)、及びAuricchio et al.,Hum.Molec.Genet.,10:3075-3081(2001)に記載される。
【0110】
ビリオンカプシド内に変異を有するAAVビリオンを使用すると、変異のないカプシドビリオンよりも効率的に特定の細胞型に感染させることができる。例えば、好適なAAV変異体は、AAVを特定の細胞型に標的化することを容易にするためにリガンド挿入変異を有し得る。挿入変異体、アラニンスクリーニング変異体、及びエピトープタグ変異体を含むAAVカプシド変異体の構築及び特性決定は、Wu et al.,J.Virol.74:8635-45(2000)に記載される。本発明の方法に使用することができる他のrAAVビリオンには、ウイルスの分子育種及びエクソンシャッフリングによって生成されるカプシドハイブリッドが含まれる。例えば、Soong et al.,Nat.Genet.,25:436-439(2000)及びKolman and Stemmer,Nat.Biotechnol.19:423-428(2001)を参照されたい。
【0111】
例示的なAAVベクター
本明細書に記載されるように、例示的なAAVベクター構成要素は、プロモーター、イントロン、ヒトFXNをコードするポリヌクレオチド、またはhFXNcoをコードするポリヌクレオチド、及び/またはポリアデニル化部位(pA)を含み得る。
【0112】
いくつかの実施形態では、AAVは、原核生物プロモーター(PEuk)を含み得る。いくつかの実施形態では、AAVは、筋肉特異的プロモーターを含み得る。いくつかの実施形態では、筋肉特異的プロモーターは、ホスホグリセレートキナーゼ(PGK)プロモーター、デスミンプロモーター、筋肉クレアチンキナーゼプロモーター、ミオシン軽鎖プロモーター、ミオシン重鎖プロモーター、心臓トロポニンCプロモーター、トロポニンIプロモーター、myoD遺伝子ファミリープロモーター、アクチンアルファプロモーター、アクチンベータプロモーター、アクチンガンマプロモーター、またはホメオドメイン3のように対形成された眼のイントロン1内のプロモーター、サイトメガロウイルスプロモーター、またはニワトリ-β-アクチンプロモーターである。例えば、いくつかの実施形態では、筋肉特異的プロモーターは、PGKプロモーターである。
【0113】
いくつかの実施形態では、PGKプロモーターは、配列番号2の核酸配列に対して少なくとも85%(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)同一である核酸配列を有する。例えば、いくつかの実施形態では、PGKプロモーターは、配列番号2の核酸配列に対して少なくとも86%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、PGKプロモーターは、配列番号2の核酸配列に対して少なくとも87%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、PGKプロモーターは、配列番号2の核酸配列に対して少なくとも88%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、PGKプロモーターは、配列番号2の核酸配列に対して少なくとも89%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、PGKプロモーターは、配列番号2の核酸配列に対して少なくとも90%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、PGKプロモーターは、配列番号2の核酸配列に対して少なくとも91%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、PGKプロモーターは、配列番号2の核酸配列に対して少なくとも92%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、PGKプロモーターは、配列番号2の核酸配列に対して少なくとも93%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、PGKプロモーターは、配列番号2の核酸配列に対して少なくとも94%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、PGKプロモーターは、配列番号2の核酸配列に対して少なくとも95%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、PGKプロモーターは、配列番号2の核酸配列に対して少なくとも96%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、PGKプロモーターは、配列番号2の核酸配列に対して少なくとも97%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、PGKプロモーターは、配列番号2の核酸配列に対して少なくとも98%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、PGKプロモーターは、配列番号2の核酸配列に対して少なくとも99%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、PGKプロモーターは、配列番号2の核酸配列と同一である核酸配列を有する。
【0114】
いくつかの実施形態では、AAVは、イントロンを含む。いくつかの実施形態では、イントロンは、SV40イントロンである。
【0115】
いくつかの実施形態では、イントロンは、ポリヌクレオチドに対して5’に配置される。
【0116】
いくつかの実施形態では、hFXN、またはそのRNA等価物は、フラタキシンタンパク質バリアント1(例えば、配列番号5)をコードする内因性RNA分子に対して少なくとも95%(例えば、95%、96%、97%、98%、または99%)同一であるポリヌクレオチド配列を有する。例えば、いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、フラタキシンタンパク質バリアント1(例えば、配列番号5)をコードする内因性RNA分子に対して少なくとも95%の配列同一性を示す。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、フラタキシンタンパク質バリアント1(例えば、配列番号5)をコードする内因性RNA分子に対して少なくとも96%の配列同一性を示す。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、フラタキシンタンパク質バリアント1(例えば、配列番号5)をコードする内因性RNA分子に対して少なくとも97%の配列同一性を示す。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、フラタキシンタンパク質バリアント1(例えば、配列番号5)をコードする内因性RNA分子に対して少なくとも98%の配列同一性を示す。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、フラタキシンタンパク質バリアント1(例えば、配列番号5)をコードする内因性RNA分子に対して少なくとも99%の配列同一性を示す。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、フラタキシンタンパク質バリアント1(例えば、配列番号5)をコードする内因性RNA分子と同一である。
【0117】
いくつかの実施形態では、hFXN、またはそのRNA等価物は、配列番号3のアミノ酸配列に対して少なくとも85%(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)同一であるタンパク質をコードする。例えば、いくつかの実施形態では、hFXN、またはそのRNA等価物は、配列番号3のアミノ酸配列に対して少なくとも86%同一であるタンパク質をコードする。いくつかの実施形態では、hFXN、またはそのRNA等価物は、配列番号3のアミノ酸配列に対して少なくとも87%同一であるタンパク質をコードする。いくつかの実施形態では、hFXN、またはそのRNA等価物は、配列番号3のアミノ酸配列に対して少なくとも88%同一であるタンパク質をコードする。いくつかの実施形態では、hFXN、またはそのRNA等価物は、配列番号3のアミノ酸配列に対して少なくとも89%同一であるタンパク質をコードする。いくつかの実施形態では、hFXN、またはそのRNA等価物は、配列番号3のアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一であるタンパク質をコードする。いくつかの実施形態では、hFXN、またはそのRNA等価物は、配列番号3のアミノ酸配列に対して少なくとも91%同一であるタンパク質をコードする。いくつかの実施形態では、hFXN、またはそのRNA等価物は、配列番号3のアミノ酸配列に対して少なくとも92%同一であるタンパク質をコードする。いくつかの実施形態では、hFXN、またはそのRNA等価物は、配列番号3のアミノ酸配列に対して少なくとも93%同一であるタンパク質をコードする。いくつかの実施形態では、hFXN、またはそのRNA等価物は、配列番号3のアミノ酸配列に対して少なくとも94%同一であるタンパク質をコードする。いくつかの実施形態では、hFXN、またはそのRNA等価物は、配列番号3のアミノ酸配列に対して少なくとも95%同一であるタンパク質をコードする。いくつかの実施形態では、hFXN、またはそのRNA等価物は、配列番号3のアミノ酸配列に対して少なくとも96%同一であるタンパク質をコードする。いくつかの実施形態では、hFXN、またはそのRNA等価物は、配列番号3のアミノ酸配列に対して少なくとも97%同一であるタンパク質をコードする。いくつかの実施形態では、hFXN、またはそのRNA等価物は、配列番号3のアミノ酸配列に対して少なくとも98%同一であるタンパク質をコードする。いくつかの実施形態では、hFXN、またはそのRNA等価物は、配列番号3のアミノ酸配列に対して少なくとも99%同一であるタンパク質をコードする。いくつかの実施形態では、hFXN、またはそのRNA等価物は、配列番号3のアミノ酸配列と同一であるタンパク質をコードする。
【0118】
いくつかの実施形態では、hFXNco、またはそのRNA等価物は、配列番号1の核酸配列に対して少なくとも85%(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)同一であるポリヌクレオチド配列を有する。例えば、いくつかの実施形態では、hFXNco、またはそのRNA等価物は、配列番号1の核酸配列に対して少なくとも86%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、hFXNco、またはそのRNA等価物は、配列番号1の核酸配列に対して少なくとも87%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、hFXNco、またはそのRNA等価物は、配列番号1の核酸配列に対して少なくとも88%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、hFXNco、またはそのRNA等価物は、配列番号1の核酸配列に対して少なくとも89%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、hFXNco、またはそのRNA等価物は、配列番号1の核酸配列に対して少なくとも90%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、hFXNco、またはそのRNA等価物は、配列番号1の核酸配列に対して少なくとも91%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、hFXNco、またはそのRNA等価物は、配列番号1の核酸配列に対して少なくとも92%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、hFXNco、またはそのRNA等価物は、配列番号1の核酸配列に対して少なくとも93%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、hFXNco、またはそのRNA等価物は、配列番号1の核酸配列に対して少なくとも94%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、hFXNco、またはそのRNA等価物は、配列番号1の核酸配列に対して少なくとも95%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、hFXNco、またはそのRNA等価物は、配列番号1の核酸配列に対して少なくとも96%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、hFXNco、またはそのRNA等価物は、配列番号1の核酸配列に対して少なくとも97%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、hFXNco、またはそのRNA等価物は、配列番号1の核酸配列に対して少なくとも98%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、hFXNco、またはそのRNA等価物は、配列番号1の核酸配列に対して少なくとも99%同一である核酸配列を有する。
【0119】
いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、配列番号1の核酸配列と同一である核酸配列を有する。
【0120】
いくつかの実施形態では、AAVは、ポリアデニル化部位(pA)を含む。例えば、pA部位は、SV40後期ポリアデニル化部位、SV40早期ポリアデニル化部位、ヒトβ-グロビンポリアデニル化部位、またはウシ成長ホルモンポリアデニル化部位を含む非限定的なリストから選択され得る。いくつかの実施形態では、AAVは、SV40後期ポリアデニル化部位を含む。
【0121】
いくつかの実施形態では、pAは、ポリヌクレオチドに対して3’に配置される。
【0122】
本明細書に記載されるように、本明細書に記載のヒトホスホグリセレートキナーゼ(hPGK)プロモーター、hFXNcoを含む例示的なAAVベクター構成要素は、以下に示される表2の核酸配列、シミアンウイルス40(SV40)イントロン、及びSV40後期ポリアデニル化部位によって例示される。
【0123】
【表2】
【0124】
いくつかの実施形態では、AAVは、配列番号4の核酸配列に対して少なくとも85%(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)同一である核酸配列を有する。例えば、いくつかの実施形態では、AAVは、配列番号4の核酸配列に対して少なくとも86%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、AAVは、配列番号4の核酸配列に対して少なくとも87%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、AAVは、配列番号4の核酸配列に対して少なくとも88%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、AAVは、配列番号4の核酸配列に対して少なくとも89%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、AAVは、配列番号4の核酸配列に対して少なくとも90%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、AAVは、配列番号4の核酸配列に対して少なくとも91%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、AAVは、配列番号4の核酸配列に対して少なくとも92%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、AAVは、配列番号4の核酸配列に対して少なくとも93%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、AAVは、配列番号4の核酸配列に対して少なくとも94%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、AAVは、配列番号4の核酸配列に対して少なくとも95%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、AAVは、配列番号4の核酸配列に対して少なくとも96%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、AAVは、配列番号4の核酸配列に対して少なくとも97%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、AAVは、配列番号4の核酸配列に対して少なくとも98%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、AAVは、配列番号4の核酸配列に対して少なくとも99%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、AAVは、配列番号4の核酸配列と同一の核酸配列を有する。
【0125】
本明細書に記載されるように、配列番号4の核酸配列を有する例示的なAAV2/8ベクターを以下に示す。
TCGCGCGTTTCGGTGATGACGGTGAAAACCTCTGACACATGCAGCTCCCGGACGTCATTGTCGATCCTGCAGGCGTACGCCATCCAATGGAAAAGGGGGGGTTGGATTTCGCTTGTTGCATAGGTTGGTCTCAAACTCCTGGCCTCAAGTGATTCTCCTGCCTCTGCCTCCCAAAGTGCTGAGATTACAGGTGTGAGGCACCATGCCAGGTCTCTTACTGTTTGTAATTAAATACATACACATTTTGTGTGTTTGTGTGCACCTTTATAAAGTCAAAGGTGATAGTAACCCATTTAAGTTCCTACTCAATTTTACTTTCCAGGGATAACTAACTACTTTTTCTTTTTGAGATGGAGTCTCGCTGTGTAGCCCAGGCTGGAGTGCAGTGGCACCATCTCGGCTCACTGCAAGCTCCTCCTCCCTGGTTCACGCTATTCTCCTGCCTCAGCCTCCCCAACAACTAGGACTACAGGCTCACCTCGCCATACCTGGCTAATTTTTTGTATTTTTAGTAGAGACAGGGTTTCACTGTGTTAGCCAGGATGGTCTCGATCTCCTGACCTTGTGATCCGCCTGCCTCTGCCTCCCAAAGTGCTGGGATTACAGGCATGAGCAACCTCACCCAGCTGGGATAACTACTTTTTACAGGTTGATATTCTTTTGGACTTTTCCCCTGTGTAAAAATATACTATATTTGTTATGTACATATTATGTACATACAGACACAAATTGGACCATTCTCAGTATAATGATTCTCAGGTTTTTTTTTTTTTTTTTGAGGTGGGGAACTAGATAATTATGGACATCTTTCCATACTAGCATATCAATATCTACCTCATTCTTTTTAATATTTTTGCTAGTATTCCATTGTATGAATGTCCTATGATTTACTTAACCTGTCCATCAATATTTGTTTCCAGGTTTTTGCTATTATAATGCTGCTGCAAAGTACATCCTCACACATCTTTATTTTGTCTATTCATATTTCTGTAAGATAGGTTACTAAAGTTGGAACTGCCAAATTAACACTATCATACTATTTTGTTTTTTAATTTTAATTTTTTAAAAAATGTAAAATGTGCAATTTCAAGAGGAGAAACTTGAACACAAGGAGCAAAATCTATTTTTATAACATCCTATTAAAAGCTTGCTTTACATAAAGATTTTGAAAGAATAGCATAAATACAAGATTTCTATTTTAATTGGATTCTTAGGGCTAATAAAATAATCAGCCTTAGCACTTATTTATTTATTTTTTTTGAGAGGGAGTCTCGCTCTGTTGTCCATGCTGGAGTGCAGTGGCGTGATCTCGGCTCACTGCAAGCTCCACCTCATGAGTTCACACCATTCTCCTGCCTCAGTCTCCCGAGTAGCTGGGACTCCAGGCGCCCTCTACAAAGCCCGTCTAATTTTTTTTGTATTTTTAGTAGAGACAGGGTTTCACTGTGTTAGCCAGGATGGTCTTGATCTCCTGACCTTGTGATCTGCCCGCCTCGGCCTCCCAAAGTGCTGGGATTATAGGCTTGAGCCACTGCTCCCGGCCAGCACTTATTTTTATAATTCTTCATGATTACTGTGTTACTGTCCCATGGGCCGCCAGGGCCAGCTAGGTTGGCCACTCCCTCTCTGCGCGCTCGCTCGCTCACTGAGGCCGGGCGACCAAAGGTCGCCCGACGCCCGGGCTTTGCCCGGGCGGCCTCAGTGAGCGAGCGAGCGCGCAGAGAGGGAGTGGCCAACTCCATCACTAGGGGTTCCTCCTAGCACGCGTAGAATCAGAAAATCTGAGAAGAAAACTTAAAAACCTTTGAATCTAACCTACTCAAATAAACTTTGAATATATTTATTGAAATATTTAATTTGTTTATTTTTTATTTTTTTATTTTAGAGACAAGGTCTCACTAAAGTGCAGGCTAGAGTGCAGTGACACAATCATGGCTATGGCTCACTGCAACCTCAAACTCCTGGGCTCAAGCGATTCTGTTGCCTTAGGTTCGCCAGGAGCTGGCACTACAGGTGCCACCACACCTGGCTTTTTTGTTTTGTTTTTTTTGGGTAGAGAAGGGGATTTGGTATGTTGCTTAGGCTGATCTTGAACTAGCCTCACGCAATCCTGCTTCGGCTTTCCAAAATGTTGGGATTATAGGCATGAGCCATGCGCCTGACCTTGATTACCTCGATGATGTGTATGTCATACATTGGAGGGCAAAGACATCTCTGAATTCCTCACAACAGCCATGGCAGGGGGCAGGTACCCATGTTACAGATGACAGACTGATGCATAGAGAAGTTAAGTCGTGGGGAGTTTACTTTCTCCTAAATTGTCCTGTTACTAGATGAATTTGTTTTTGTTTCATTTTGTTTTGTTTTTGAGACAGAGTCTCATGTTGTCACCCAGACTGGAGTGCAGTGGCTCCATCTCGGCTCACTATAGCCTCCGCCTCCTGAGTTCAAGTGATTCTCCTGCCTCAGCCTCCCAAGTAGCTGGGTGCATGCCACCACGCCTGGCTAATTTTTGTATTTTTAGTATAGATGGGGTTTCACCATGTTGGCCAGACTGGTCTCGAACTCCTGACCTCAAGTGATCCACCCCGCGCTTAGCCTCCCAAAGTGCTGGGATTATAGGCGTGAGCCACCACACCAGGCCATGAATTTGTTTTCAATATTTATTTATTTTGTATTTTCTATTTTTGAGATGGAGTCTCGCTCTGCTGTCCAGGCTAGAGTGCAGTGGTGTGATCTTGGCTCACTGTAGCCTCCACCTCCTGAGTTCAAGTGATTCTCCTGCCTTAGCCTCCCGAGTAGCTGGGATTACAGGCGCCCACCATCACACCCGGCTAATTTTTGTATTTTTAGTAGAGATGGGGTTTCACCATGTTGGCCACGCTGGTCTCAAACTGACCTCAATTGATCCACCCACCTTGACCTCCCAAAGTGCTGGGATTACAGACCTGAGCCACAGCGCCCAGCCCTTCAATATTTATTTAAATTTGCCTGCTGGCTAACTTCTCATTGCACCTGGGCTCTAGTGTAATTAAATTACTTCATTCTCTTTTTAAAACTTTTTACTTTTTTCTTTTTTGTGTTTTTCATTCTCTTATCTACGAGAGCCACAATACTTGAAGACACCAATTGATACCCCTTAGTCACATCTGAGCTAAACACTTTCAGTTCCTACAGCTGTTTCTTAATCTTAGGTCACATGGTTTCTTCCCATGCTGTTCTTCCCAGACAGCATTTTTTTTTTTTTTGAGAGTCTCACTCTGTTGCCCAGGCTGGAGTACAGTAGCACAATCTCAGTTTACTGCAACCTCTGCCTTCCAGGTTCAGGTGATTCTCCTGCTTCAGCCTCCTGAGTAGCTGGGACTACAGGAGCGTGCCACCACGCCCGGCTAATTTTTGTATTTTTAGTAGAGACAGGGTTTCACCATGTTGGCCAGGCTGGTCTCGAACTCCTTACCTTGTGATCCGCCTGTCTCGGCCTCCCAAAGTGGTGGGATTACAGGTGTGAGCCACCACGCCTGGTTCTTACATTTATTTTGGAATAAATTTAGATACACAGAAAAGTTGCAAAGATAAGAGTTTCCATATAACCCTCACCCAGTTTGCCTTCCCTAATGTTCGCGTGGGGTTGGGGTTGCGCCTTTTCCAAGGCAGCCCTGGGTTTGCGCAGGGACGCGGCTGCTCTGGGCGTGGTTCCGGGAAACGCAGCGGCGCCGACCCTGGGTCTCGCACATTCTTCACGTCCGTTCGCAGCGTCACCCGGATCTTCGCCGCTACCCTTGTGGGCCCCCCGGCGACGCTTCCTGCTCCGCCCCTAAGTCGGGAAGGTTCCTTGCGGTTCGCGGCGTGCCGGACGTGACAAACGGAAGCCGCACGTCTCACTAGTACCCTCGCAGACGGACAGCGCCAGGGAGCAATGGCAGCGCGCCGACCGCGATGGGCTGTGGCCAATAGCGGCTGCTCAGCAGGGCGCGCCGAGAGCAGCGGCCGGGAAGGGGCGGTGCGGGAGGCGGGGTGTGGGGCGGTAGTGTGGGCCCTGTTCCTGCCCGCGCGGTGTTCCGCATTCTGCAAGCCTCCGGAGCGCACGTCGGCAGTCGGCTCCCTCGTTGACCGAATCACCGACCTCTCTCCCCAGCTCTAAGGTAAATATAAAATTTTTAAGTGTATAATGTGTTAAACTACTGATTCTAATTGTTTCTCTCTTTTAGATTCCAACCTTTAGAACTGACCACCATGTGGACCCTGGGCAGGAGGGCTGTGGCTGGCCTGCTGGCCAGCCCCAGCCCTGCCCAGGCCCAGACCCTGACCAGGGTGCCCAGGCCTGCTGAGCTGGCCCCCCTGTGTGGCAGGAGGGGCCTGAGGACTGACATTGATGCCACCTGCACCCCCAGGAGGGCCAGCAGCAACCAGAGGGGCCTGAACCAGATCTGGAATGTGAAGAAGCAGTCTGTGTACCTGATGAACCTGAGGAAGTCTGGCACCCTGGGCCACCCTGGCAGCCTGGATGAAACCACCTATGAGAGGCTGGCTGAGGAAACCCTGGACAGCCTGGCTGAGTTCTTTGAGGACCTGGCTGACAAGCCCTACACCTTTGAGGACTATGATGTGAGCTTTGGCTCTGGGGTGCTGACTGTGAAGCTGGGGGGGGACCTGGGCACCTATGTGATCAACAAGCAGACCCCCAACAAGCAGATCTGGCTGAGCAGCCCCAGCTCTGGCCCCAAGAGATATGACTGGACTGGCAAGAACTGGGTGTACAGCCATGATGGGGTGAGCCTGCATGAGCTGCTGGCTGCTGAGCTGACCAAGGCCCTGAAGACCAAGCTGGACCTGAGCAGCCTGGCCTACTCTGGCAAGGATGCCTGAGATATCGCTTTATTTGTGAAATTTGTGATGCTATTGCTTTATTTGTAACCATTATAAGCTGCAATAAACAAGTTAACAACAACAATTGCATTCATTTTATGTTTCAGGTTCAGGGGGAGGTGTGGGAGGTTTTTTAAAGCGGCCAACATCTTACATTATCATGGTACATTTGTCAAAACTAAGACACTTTTTTTTCTAATAAAAATAATAGAGATGAGGTCTCACTATATTGTCCAGGCTGGTCTCAAACTTT
GAGCTCAAGCAGTCCTCCCACCTCCACCTCCCAAAGTGCTGGGATTACAGGCATGAACCACCACACCCAGCCTACATTGTTATGTTACTACTCTCCAGACTATTCAGATTTCACCAATTTTTCTATCCATAGCCTTTTTTTCTGTTTCAGGATCCAATTCAGGACACCATACCACTGTATGGTTAATTTTAAAAACTCAAATGTTGGGAGTTTGCTTTATCACCGCTGTATCTTATCATCTCGTTAGATAATTTTGTATCTGGAGCCTGCTCTCTAGCATGAATAAGTAAAAATGTGGACTTTGTGATTTACAGATCTGATATTTATGTTTTTGTGTTTTTACTTTAAGTACTAGACAAAGTAAATCTAAGAGGTCTGTGGTACTGCACTAGAGAATTGTTACTTGATTATGGTGGGCCAAGTGGTTGAAAATTTACCTAACAATACTATAACATAGGCCATATTTCATAATTTTAATCACAAGGCAATTGTGAAAATTTTATCAAATGTTTAATAAAAGCAAGGTGAAGAAGGTGATAGCTTTAAATTTACTTGCCATTTTTGGGCACACAAAAGTAATTTGCTCTGCCACTTAGAGTTATAAGGTCAAAGTGGGAGTAAATAATCTTTGTATTAGGAATGCGGCCGCTCTAGGAGGAACCCCTAGTGATGGAGTTGGCCACTCCCTCTCTGCGCGCTCGCTCGCTCACTGAGGCCGCCCGGGCAAAGCCCGGGCGTCGGGCGACCTTTGGTCGCCCGGCCTCAGTGAGCGAGCGAGCGCGCAGAGAGGGAGTGGCCAACCTAGAGGCCGCCAGGGCCATATTTCTCAATTTTTAAATTTTTCAAAAAAATTAATCCTTAATGTGCATATTTTTGAATTGTTAATATAACTTTTTGAGGTGATGTCTTCATGTGTTTCAACTACTTAAAAACTTTTAAACAGTATATAATAAAAAATCTTCCAGGCCACTCACACCTGTAATCCCAGCACTTTGGGAGGCTGAGGTGGGCAGATCACCTGAGGGCAGGAGTTCGAGACCAGCCTGGCCAATATATATATATTCATATATTCATATATATATATATATTCATATATTCATATATATATATTCATATATTCATATATATATATATATATATATATAGCAAAACCTCATCTCTAATAAAATACAAAAATTAGCTGAGCGTGGTGATGGATGCCTGTAGTCCCAGCTACTCGGGAGGCTGAGGCAGGAGAATCTCTTGAACCTGGGAGGTGGAGGTTGCAGTGAGCTGAGATGGTGCCACTGCCCTCCAGCCTGAGTGACAGAGCGAGACTCGGTCTCCAAAAAAAAACAACAAAAAAATCTTCCATCCTTGTCTCCCATCCACCCCTTCCCCCCAGCATGTACTTGCAGACTTTATGCATATACAGTGAGTACTGTATATACACAAATAATAAAAAAATCATATATATAATATATGTAATTCCCCTTTACATGAAAGGTAGCACACTGGTCTGTACAGTCTGTCTGCACTGTGCTATTTCACTTTATATTTTTATAGTTTGACAGAGTTCTAACATTTCTTTTTTTTTTTTTTTAACAGAGTCTTGTTCCTGATTGTTAAATTTTAAAGCATCCTAAAGTTTGGTTTCACACTTGAATGAATACCATGTAAGGATTCACTTACATAGATGTGGTTGCCTGAATCTTAAGAATAAAATAACATTGTTTGTATTTATTTAAATTAGTGTTCCTTTTATGGTTTGCCTGAAAGCACAACAAAATCCTCACCAAGATATTACAATTATGACTCCCATACAGGTAAACTGTTTAGAGATTGGCAAGCACCTTTTAATGAAAGGAGTCAGCCAGCTTAGTGTGCAGTATTTATTTCTGCCGGAAGAGGGAGCTTCAGGGACAGACTTTGGTTTAGTCATGAAGCCTCCAGCACTCCCAAGCGGTTGTGGTTGACCAAGCAATTTATGCTTTTACCTTTCTACTTCCAGAGGCTTGTTTACTTATCAGTAAGCATTAATTTAGTGTCCCCTCAGATGCCTTTTACTTTCTTCTTTTCTGCCTAGAATAAGCTGCTCTTCCAATTTTGCAGCTACATGTTTCCACCCCAGTTGGAATTTCTCCATAACATCCATTGTAGCTATCCTTCAATCTACAGCCTCTATTTCCTGTTATAGCTGGTCAGGTCTAATCCCTCAAAATACTCTGTCCCCTGCTTCCCTTATCTGCTGGCCACCTTTTTCCCCCACATACACACTGCCATGTCCCACCCTTCACTCAAGTTGTTCCCTGCCACCTCAACAAATTTAAGTCCATAAAACCATCCAATGGGCTCGAGCCCTGCAGGATCATTGTCACATGTGAGCAAAAGGCCAGCAAAAGGCCAGGAACCGTAAAAAGGCCGCGTTGCTGGCGTTTTTCCATAGGCTCCGCCCCCCTGACGAGCATCACAAAAATCGACGCTCAAGTCAGAGGTGGCGAAACCCGACAGGACTATAAAGATACCAGGCGTTTCCCCCTGGAAGCTCCCTCGTGCGCTCTCCTGTTCCGACCCTGCCGCTTACCGGATACCTGTCCGCCTTTCTCCCTTCGGGAAGCGTGGCGCTTTCTCATAGCTCACGCTGTAGGTATCTCAGTTCGGTGTAGGTCGTTCGCTCCAAGCTGGGCTGTGTGCACGAACCCCCCGTTCAGCCCGACCGCTGCGCCTTATCCGGTAACTATCGTCTTGAGTCCAACCCGGTAAGACACGACTTATCGCCACTGGCAGCAGCCACTGGTAACAGGATTAGCAGAGCGAGGTATGTAGGCGGTGCTACAGAGTTCTTGAAGTGGTGGCCTAACTACGGCTACACTAGAAGAACAGTATTTGGTATCTGCGCTCTGCTGAAGCCAGTTACCTTCGGAAAAAGAGTTGGTAGCTCTTGATCCGGCAAACAAACCACCGCTGGTAGCGGTGGTTTTTTTGTTTGCAAGCAGCAGATTACGCGCAGAAAAAAAGGATCTCAAGAAGATCCTTTGATCTTTTCTACGGGGTCTGACGCTCAGTGGAACGAAAACTCACGTTAAGGGATTTTGGTCATGAGATTATCAAAAAGGATCTTCACCTAGATCCTTTTAAATTAAAAATGAAGTTTTAAATCAAGCCCAATCTGAATAATGTTACAACCAATTAACCAATTCTGATTAGAAAAACTCATCGAGCATCAAATGAAACTGCAATTTATTCATATCAGGATTATCAATACCATATTTTTGAAAAAGCCGTTTCTGTAATGAAGGAGAAAACTCACCGAGGCAGTTCCATAGGATGGCAAGATCCTGGTATCGGTCTGCGATTCCGACTCGTCCAACATCAATACAACCTATTAATTTCCCCTCGTCAAAAATAAGGTTATCAAGTGAGAAATCACCATGAGTGACGACTGAATCCGGTGAGAATGGCAAAAGTTTATGCATTTCTTTCCAGACTTGTTCAACAGGCCAGCCATTACGCTCGTCATCAAAATCACTCGCATCAACCAAACCGTTATTCATTCGTGATTGCGCCTGAGCGAGACGAAATACGCGATCGCTGTTAAAAGGACAATTACAAACAGGAATCGAATGCAACCGGCGCAGGAACACTGCCAGCGCATCAACAATATTTTCACCTGAATCAGGATATTCTTCTAATACCTGGAATGCTGTTTTTCCGGGGATCGCAGTGGTGAGTAACCATGCATCATCAGGAGTACGGATAAAATGCTTGATGGTCGGAAGAGGCATAAATTCCGTCAGCCAGTTTAGTCTGACCATCTCATCTGTAACATCATTGGCAACGCTACCTTTGCCATGTTTCAGAAACAACTCTGGCGCATCGGGCTTCCCATACAAGCGATAGATTGTCGCACCTGATTGCCCGACATTATCGCGAGCCCATTTATACCCATATAAATCAGCATCCATGTTGGAATTTAATCGCGGCCTCGACGTTTCCCGTTGAATATGGCTCATAACACCCCTTGTATTACTGTTTATGTAAGCAGACAGTTTTATTGTTCATGATGATATATTTTTATCTTGTGCAATGTAACATCAGAGATTTTGAGACACGGGCCAGAGCTGCA
【0126】
いくつかの実施形態では、構成要素は、5’-3’方向に互いにITR1-FXN-ITR2として作動可能に連結される。いくつかの実施形態では、構成要素は、5’-3’方向に互いにITR1-PEuk-FXN-ITR2として作動可能に連結される。いくつかの実施形態では、構成要素は、5’-3’方向に互いにITR1-PEuk-FXN-pA-ITR2として作動可能に連結される。いくつかの実施形態では、構成要素は、5’-3’方向に互いにITR1-PEuk-イントロン-FXN-pA-ITR2として作動可能に連結される。
【0127】
いくつかの実施形態では、構成要素は、5’-3’方向に互いにITR1-hFXNco-ITR2として作動可能に連結される。いくつかの実施形態では、構成要素は、5’-3’方向に互いにITR1-プロモーター-hFXNco-ITR2として作動可能に連結される。いくつかの実施形態では、構成要素は、5’-3’方向に互いにITR1-プロモーター-hFXNco-pA-ITR2として作動可能に連結される。いくつかの実施形態では、構成要素は、5’-3’方向に互いにITR1-プロモーター-イントロン-hFXNco-pA-ITR2として作動可能に連結される。
【0128】
いくつかの実施形態では、ITR1-FXN-ITR2は合わせて、約3.7Kb~約4.3Kb(例えば、約3.8Kb~約4.2Kbまたは約3.9Kb~約4.1Kb)である。例えば、いくつかの実施形態では、ITR1-FXN-ITR2は合わせて、約3.8Kb~約4.2Kbの長さである。いくつかの実施形態では、ITR1-FXN-ITR2は合わせて、約3.9Kb~約4.1Kbの長さである。いくつかの実施形態では、ITR1-FXN-ITR2は合わせて、約4.0Kbの長さである。
【0129】
いくつかの実施形態では、ITR1-FXN-ITR2は合わせて、約3.7Kbの長さである。いくつかの実施形態では、ITR1-FXN-ITR2は合わせて、約3.8Kbの長さである。いくつかの実施形態では、ITR1-FXN-ITR2は合わせて、約3.9Kbの長さである。いくつかの実施形態では、ITR1-FXN-ITR2は合わせて、約4.0Kbの長さである。いくつかの実施形態では、ITR1-FXN-ITR2は合わせて、約4.1Kbの長さである。いくつかの実施形態では、ITR1-FXN-ITR2は合わせて、約4.2Kbの長さである。いくつかの実施形態では、ITR1-FXN-ITR2は合わせて、約4.3Kbの長さである。
【0130】
いくつかの実施形態では、ITR1-hFXNco-ITR2は合わせて、約3.7Kb~約4.3Kb(例えば、約3.8Kb~約4.2Kbまたは約3.9Kb~約4.1Kb)である。例えば、いくつかの実施形態では、ITR1-hFXNco-ITR2は合わせて、約3.8Kb~約4.2Kbの長さである。いくつかの実施形態では、ITR1-hFXNco-ITR2は合わせて、約3.9Kb~約4.1Kbの長さである。いくつかの実施形態では、ITR1-hFXNco-ITR2は合わせて、約4.0Kbの長さである。
【0131】
いくつかの実施形態では、ITR1-hFXNco-ITR2は合わせて、約3.7Kbの長さである。いくつかの実施形態では、ITR1-hFXNco-ITR2は合わせて、約3.8Kbの長さである。いくつかの実施形態では、ITR1-hFXNco-ITR2は合わせて、約3.9Kbの長さである。いくつかの実施形態では、ITR1-hFXNco-ITR2は合わせて、約4.0Kbの長さである。いくつかの実施形態では、ITR1-hFXNco-ITR2は合わせて、約4.1Kbの長さである。いくつかの実施形態では、ITR1-hFXNco-ITR2は合わせて、約4.2Kbの長さである。いくつかの実施形態では、ITR1-hFXNco-ITR2は合わせて、約4.3Kbの長さである。
【0132】
いくつかの実施形態では、ITR1とITR2との間の、かつこれらを含む核酸の長さは、約3.9Kb~約4.7Kb(例えば、約4.0Kb~約4.6Kb、約4.1Kb~約4.5Kb、約4.2Kb~約4.4Kb、または約4.3Kb)である。例えば、いくつかの実施形態では、ITR1とITR2との間の、かつこれらを含む核酸の長さは、約4.0Kb~約4.7Kbである。いくつかの実施形態では、ITR1とITR2との間の、かつこれらを含む核酸の長さは、約4.1Kb~約4.7Kbである。いくつかの実施形態では、ITR1とITR2との間の、かつこれらを含む核酸の長さは、約4.2Kb~約4.7Kbである。いくつかの実施形態では、ITR1とITR2との間の、かつこれらを含む核酸の長さは、約4.3Kb~約4.7Kbである。いくつかの実施形態では、ITR1とITR2との間の、かつこれらを含む核酸の長さは、約4.4Kb~約4.7Kbである。いくつかの実施形態では、ITR1とITR2との間の、かつこれらを含む核酸の長さは、約4.5Kb~約4.7Kbである。
【0133】
いくつかの実施形態では、ITR1とITR2との間の、かつこれらを含む核酸の長さは、約3.9Kbである。いくつかの実施形態では、ITR1とITR2との間の、かつこれらを含む核酸の長さは、約4.0Kbである。いくつかの実施形態では、ITR1とITR2との間の、かつこれらを含む核酸の長さは、約4.1Kbである。いくつかの実施形態では、ITR1とITR2との間の、かつこれらを含む核酸の長さは、約4.2Kbである。いくつかの実施形態では、ITR1とITR2との間の、かつこれらを含む核酸の長さは、約4.3Kbである。いくつかの実施形態では、ITR1とITR2との間の、かつこれらを含む核酸の長さは、約4.4Kbである。いくつかの実施形態では、ITR1とITR2との間の、かつこれらを含む核酸の長さは、約4.5Kbである。いくつかの実施形態では、ITR1とITR2との間の、かつこれらを含む核酸の長さは、約4.6Kbである。いくつかの実施形態では、ITR1とITR2との間の、かつこれらを含む核酸の長さは、約4.7Kbである。
【0134】
いくつかの実施形態では、プラスミド(例えば、トランスファーベクター)は、本明細書に記載されるAAVを含む。いくつかの実施形態では、プラスミドは、1つ以上(例えば、2つ)のスペーサーを含んでもよい。スペーサーは、天然に存在する核酸分子または合成核酸分子を含み得る。天然に存在するスペーサー分子は、オンラインウェブツール、例えば、UCSCゲノムブラウザを使用して特定することができ、核酸分子の固有の特徴、例えば、転写開始部位に隣接する核酸の天然発生に基づいて選択することができる。スペーサーは、ウイルス粒子によって導入された場合に毒性を生じ得る潜在的に負の特徴を除去するように、またはウイルス粒子の機能を抑制するように操作され得る。毒性及び機能を抑制する特徴の例示的な供給源は、パッケージングされるべきウイルスゲノムをコードする核酸に隣接して頻繁に見出される汚染核酸に見出される。これらの汚染核酸としては、限定されないが、原核生物(例えば、細菌及びバキュロウイルス)核酸(例えば、複製起点、2%を超えるCpG含有量を有する核酸、オープンリーディングフレーム、及び転写因子結合部位)が挙げられる。いくつかの実施形態では、スペーサーは、汚染核酸を含むのを最小限に抑えるように設計される。いくつかの実施形態では、1つ以上のSSは、100アミノ酸長を超えるオープンリーディングフレームを含まない。いくつかの実施形態では、1つ以上のスペーサーは、原核生物転写因子結合部位を含まない。
【0135】
例えば、いくつかの実施形態では、プラスミドは、2つのスペーサーを含有し、2つのスペーサーは、第1のスペーサー(SS1)及び第2のスペーサー(SS2)を含む。いくつかの実施形態では、SS1は、ITR1に対して5’に配置され、SS2は、ITR2に対して3’に配置される。いくつかの実施形態では、SS1は、約1.0Kb~約5.0Kb(例えば、約1.5Kb~約4.5Kb、約2.0Kb~約4.0Kb、または約3.0Kb)の長さである。いくつかの実施形態では、SS2は、約1.0Kb~約5.0Kb(例えば、約1.5Kb~約4.5Kb、約2.0Kb~約4.0Kb、または約3.0Kb)の長さである。
【0136】
治療方法
フリードライヒ運動失調症
フリードライヒ運動失調症は、フラタキシンポリペプチド発現を減少させるフラタキシン遺伝子の遺伝的変化に起因する神経及び心臓変性疾患である。フリードライヒ運動失調症の療法に有効な薬剤の特定は、以前に、罹患組織における治療有効量のフラタキシンの発現を達成することに関連する困難によって妨げられてきた。
【0137】
本発明は、いくつかの既存の薬剤、すなわち、フリードライヒ運動失調症または他の神経変性疾患を治療するための新しい使用の特定に部分的に基づいている。これらの薬剤は、本明細書に記載の核酸分子を含む。これらの薬剤は、フリードライヒ運動失調症の特徴的な欠陥であるフラタキシンタンパク質のレベルを、フリードライヒ運動失調症のトランスジェニックマウスモデルにおいて増加させる。
【0138】
治療に適した患者には、疾患のリスクがあるが症状を示していない個人、及び現時点で症状を示している患者が含まれる。一般に、対象は、フラタキシンの発現レベルを阻害するか、または低下させる変異(GAA拡大または点変異)に対してホモ接合性である。フラタキシンポリペプチドの不十分な発現レベルをもたらすフラタキシン遺伝子における変異についてホモ接合性の対象について、フリードライヒ運動失調症の症状を発症するリスクは、概して、年齢とともに増加する。したがって、特定の実施形態では、フラタキシンポリペプチドの不十分な発現レベルをもたらすフラタキシン遺伝子における変異についてホモ接合性の無症候性対象では、予防的適用は、3歳より大きな対象、例えば、約4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16またはそれより大きな年齢を超える対象において企図される。上記のような疾患の発症が遅いか、または非常に遅い対象も治療することができる。
【0139】
いくつかの実施形態では、対象は、フリードライヒ運動失調症の症状、例えば、腕及び脚の筋力低下、協調性の喪失、深部腱反射の喪失、足底伸筋応答の喪失、振動及び固有感覚の喪失、視力障害、不随意及び/または急速な眼の動き、聴覚障害、不明瞭な発話、脊椎の湾曲(脊柱側弯症)、高い足底アーチ(内反凹足変形)、炭水化物不耐症、糖尿病、及び心臓障害(例えば、心房細動、頻拍(高速心拍)、肥大性心筋症、心肥大、対称性肥大、心臓雑音、及び心臓伝導欠陥)を示している。
【0140】
いくつかの実施形態では、本開示は、フリードライヒ運動失調症を治療することを必要とするヒト患者においてそれを行う方法であって、本方法が、患者に、治療有効量の本明細書に記載のポリヌクレオチドを投与することを含む、方法を提供する。
【0141】
いくつかの実施形態では、本開示は、フリードライヒ運動失調症を有すると診断されたヒト患者においてフラタキシン発現を増加させる方法であって、本方法が、患者に、治療有効量の本明細書に記載のポリヌクレオチドを投与することを含む、方法を提供する。
【0142】
有効性のモニタリング
臨床有効性は、とりわけ、バイオマーカーを使用してモニタリングされ得る。有効性をモニタリングするための測定可能なバイオマーカーとしては、限定されないが、腕及び脚の筋力低下、協調性の喪失、深部腱反射の喪失、足底伸筋応答の喪失、振動及び固有感覚の喪失、視力障害、不随意及び/または急速な眼の動き、聴覚障害、不明瞭な発話、脊椎の湾曲(脊柱側弯症)、高い足底アーチ(内反凹足変形)、炭水化物不耐症、糖尿病、及び心臓障害(例えば、心房細動、頻拍(高速心拍)、肥大性心筋症、心肥大、対称性肥大、心臓雑音、及び心臓伝導欠陥)を含むフリードライヒ運動失調症の身体症状のうちの1つ以上をモニタリングすることを含む。1つ以上の症状の安定化、改善及び/または逆行の観察は、その治療または予防計画が有効であることを示す。1つ以上の症状の進行、増加または増悪の観察は、その治療または予防計画が有効ではないことを示す。フリードライヒ運動失調症における治療を評価するための好ましいバイオマーカーは、フラタキシンのレベルである。このマーカーは、タンパク質レベルで評価されることが好ましいが、フラタキシンをコードするmRNAの測定は、フラタキシン発現の代理測定としても使用することができる。そのようなレベルは、血液試料中で測定することができる。そのようなレベルは、罹患していない個体の対照集団と比較して、フリードライヒ運動失調症を有する対象において低下する。したがって、レベルの増加は、好ましい治療応答の指標を提供し、一方、変化しないか、または減少したレベルは、好ましくないか、または少なくとも最適でない治療応答の指標を提供する。
【0143】
有効性はまた、後根神経節、脊髄小脳束、外側皮質脊髄束、及び後柱の硬化症及び/または変性のレベルを決定することによって決定することができる。このことは、医療撮像技術、例えば、磁気共鳴撮像または断層撮影技術、例えば、コンピュータ断層撮影(CT)スキャンまたはコンピュータ体軸断層撮影(CAT)スキャンを使用して達成され得る。同じレベルを維持するか、または硬化症及び/または変性の逆行を維持する対象は、その治療または予防計画が有効であることを示す。逆に、より高いレベル、または硬化及び/または変性の進行を示す対象は、その治療または予防計画が有効ではなかったことを示す。
【0144】
特定の実施形態では、モニタリング方法は、本明細書に記載のポリヌクレオチドまたはプラスミド(例えば、ウイルスベクター)の投薬量を投与する前に、対象における測定可能なバイオマーカーまたは疾患パラメータのベースライン値を決定することと、これを、治療経過後の同じ測定可能なバイオマーカーまたはパラメータの値と比較することと、を伴い得る。
【0145】
他の方法では、測定可能なバイオマーカーまたはパラメータの対照値(すなわち、平均及び標準偏差)は、対照集団について決定される。特定の実施形態では、対照集団内の個体は、以前に治療を受けておらず、フリードライヒ運動失調症を有しておらず、フリードライヒ運動失調症を発症するリスクもない。そのような場合、測定可能なバイオマーカーまたは臨床パラメータの値が対照値に近づく場合、その治療は有効であるとみなされる。他の実施形態では、対照集団内の個体は、以前に治療を受けておらず、フリードライヒ運動失調症を有すると診断されている。そのような場合、測定可能なバイオマーカーまたは臨床パラメータの値が対照値に近づく場合、その治療は有効ではないとみなされる。
【0146】
他の方法では、現在治療を受けていないが、以前に一連の治療を受けた対象は、治療の再開が必要かどうかを決定するために、バイオマーカーまたは臨床パラメータのうちの1つ以上についてモニタリングされる。対象における1つ以上のバイオマーカーまたは臨床パラメータの測定値は、以前の一連の治療の後に、対象において以前に達成された値と比較され得る。あるいは、対象において測定された値を、一連の治療を受けた後の対象の集団で決定された対照値(平均+標準偏差)と比較され得る。あるいは、対象における測定値は、疾患の症状がないままである予防的に治療された対象の集団、または疾患特性の改良を示す治療的に治療された対象の集団における対照値と比較され得る。このような場合、測定可能なバイオマーカーまたは臨床パラメータの値が対照値に近づく場合、その治療は有効であるとみなされ、再開する必要はない。これらの場合の全てで、対照レベルとの有意差(すなわち、標準偏差を超える)は、対象において治療を再開すべきであるという指標である。
【0147】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の核酸分子を投与すると、患者は、全血フラタキシンレベルの変化を示す。例えば、いくつかの実施形態では、患者は、投与後約12週間までに全血フラタキシンレベルの変化を示す。
【0148】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の核酸分子を投与すると、患者は、全フリードライヒ運動失調症評価尺度(FARS)スコアの低下を示す。例えば、いくつかの実施形態では、患者は、投与後約12週間までに全FARSスコアの低下を示す。
【0149】
遺伝子発現を測定する方法
単一の細胞または細胞の種類(例えば、特定の組織に属する細胞)によって発現される遺伝子の発現レベルは、例えば、目的の遺伝子の転写に由来するRNA転写産物(例えば、mRNA)の濃度または相対的存在量を評価することによって確認することができる。加えて、またはあるいは、遺伝子発現は、目的の遺伝子の転写及び翻訳によって産生されるタンパク質の濃度または相対的存在量を評価することによって決定され得る。タンパク質濃度は、目的の遺伝子がそれぞれ、酵素または転写の調節因子をコードする場合に、酵素アッセイまたは遺伝子転写アッセイなどの機能的アッセイを使用して評価することもできる。以下のセクションは、例えば、単一の細胞または細胞集団のレベルで、目的の細胞、細胞型、または細胞集団における遺伝子の発現レベルを測定及びランク付けするために使用され得る例示的な技術を説明する。試料中の遺伝子の発現は、核酸配列決定、マイクロアレイ分析、プロテオミクス、インサイチュハイブリダイゼーション(例えば、蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH))、増幅ベースのアッセイ、インサイチュハイブリダイゼーション、蛍光活性化細胞選別(FACS)、mRNAのノーザン分析及び/またはPCR分析を含むがこれらに限定されない、多くが当該技術分野で既知であり、当業者に理解されるいくつかの方法論によって分析することができる。
【0150】
(i)核酸検出
標的細胞特異的遺伝子発現の分析に好適な核酸ベースのデータセットは、目的の細胞で発現される遺伝子の同一性及び遺伝子が発現される程度を表す遺伝子発現プロファイルの形態を有することができ、これを使用して、細胞、細胞型、または目的の細胞の集団内の遺伝子発現レベルのランク付けされた順序を決定することができる。そのようなプロファイルは、全トランスクリプトーム配列決定データ(例えば、RNA-Seqデータ)、mRNAのパネル、非コードRNA、またはゲノムDNAから発現され得る任意の他の核酸配列を含み得る。本明細書に記載の方法とともに使用するのに好適な他の核酸データセットは、撮像ベースの技術(例えば、当該技術分野で既知のノーザンブロッティングまたはサザンブロッティング)によって収集された発現データを含み得る。ノーザンブロット分析は、当該技術分野で周知の従来の技術であり、例えば、Molecular Cloning,a Laboratory Manual,second edition,1989,Sambrook,Fritch,Maniatis,Cold Spring Harbor Press,10 Skyline Drive,Plainview,NY 11803-2500に記載され、その開示は、参照により本明細書に組み込まれる。遺伝子及び遺伝子産物の状態を評価するための典型的なプロトコルは、例えば、Ausubel et al.,eds.,1995,Curr Protoc Mol Biol,Units 2(Northern Blotting),4(Southern Blotting),15(Immunoblotting) and 18(PCR Analysis)に見出され、その開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0151】
本明細書に記載の方法と合わせて分析される遺伝子発現プロファイルは、例えば、当該技術分野で知られている配列決定方法(例えば、ハイスループット配列決定またはディープ配列決定としても知られているサンガー配列決定及び次世代配列決定方法)によって生成されるマイクロアレイデータまたは核酸配列決定データを含み得る。例示的な次世代配列決定技術には、限定されないが、Illumina配列決定、Ion Torrent配列決定、454配列決定、SOLiD配列決定、及びナノポア配列決定プラットフォームが含まれる。当該技術分野で既知の追加の配列決定方法もまた使用することができる。例えば、mRNA発現レベルは、RNA-Seq(例えば、その開示が参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれるMortazavi et al.,Nat.Methods 5:621-628(2008)に記載されるように)を使用して決定され得る。RNA-Seqは、試料中のRNA分子を直接的に配列決定することによって発現をモニタリングするための当該技術分野で既知の強固な技術である。簡潔には、この方法論は、RNAの平均長200ヌクレオチドへの断片化、ランダムプライミングによるcDNAへの変換、及び二本鎖cDNAの合成(例えば、Agilent Technology製のJust cDNA DoubleStranded cDNA Synthesis Kitを使用して)を含み得る。次いで、cDNAを、各ライブラリ(例えば、Illumina(登録商標)/Solexaから)の配列アダプタを添加することによって、配列決定のための分子ライブラリに変換し、得られた50~100ヌクレオチドリードをゲノム上にマッピングする。
【0152】
マイクロアレイ技術が高解像度を提供するため、遺伝子発現レベルは、マイクロアレイベースのプラットフォーム(例えば、単一ヌクレオチド多型(SNP)アレイ)を使用して決定され得る。様々なマイクロアレイ方法の詳細は、文献中に見出すことができる。例えば、米国特許第6,232,068号及びPollack et al.,Nat.Genet.23:41-46(1999)を参照されたく、その各々の開示は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。核酸マイクロアレイを使用して、mRNA試料を逆転写し、標識して、cDNAを生成する。次いで、プローブは、固体支持体上に配列され、固定化された1つ以上の相補的核酸にハイブリダイゼーションすることができる。アレイは、例えば、アレイの各メンバーのシーケンス及び位置が既知であるように構成することができる。特定のアレイメンバーとの標識プローブのハイブリダイゼーションは、プローブが由来する試料がその遺伝子を発現することを示す。発現レベルは、ハイブリダイゼーションされたプローブ-試料複合体から検出されるシグナルの量に従って定量化され得る。典型的なマイクロアレイ実験には、以下の工程が含まれる。1)試料から単離されたRNAからの蛍光標識された標的の調製、2)標識された標的のマイクロアレイへのハイブリダイゼーション、3)アレイの洗浄、染色、及びスキャン、4)スキャン画像の分析、及び5)遺伝子発現プロファイルの生成。マイクロアレイプロセッサの一例は、市販されているAffymetrix GENECHIP(登録商標)システムであり、ガラス表面上でのオリゴヌクレオチドの直接合成によって製造されるアレイを含む。当業者に既知である他のシステムを使用してもよい。
【0153】
増幅ベースのアッセイを使用して、1つ以上のマーカー(例えば、遺伝子)の発現レベルを測定することもできる。そのようなアッセイでは、遺伝子の核酸配列は、増幅反応(例えば、qPCRなどのPCR)において鋳型として機能する。定量増幅では、増幅産物の量は、元の試料中の鋳型の量に比例する。適切な対照との比較は、本明細書に記載される原理に従って、使用される特異的プローブに対応する遺伝子の発現レベルの尺度を提供する。TaqManプローブを使用したリアルタイムqPCRの方法は、当該技術分野で周知である。リアルタイムqPCRのための詳細なプロトコルは、例えば、Gibson et al.,Genome Res.6:995-1001(1996)及びHeid et al.,Genome Res.6:986-994(1996)に提供されており、その各々の開示は、参照により本明細書に組み込まれる。本明細書に記載される遺伝子発現のレベルは、RT-PCR技術によって決定することができる。PCRに使用するプローブは、例えば、放射性同位体、蛍光化合物、生物発光化合物、化学発光化合物、金属キレート剤、または酵素などの検出可能なマーカーで標識してもよい。
【0154】
(ii)タンパク質検出
遺伝子発現は、加えて、目的の遺伝子によってコードされる対応するタンパク質産物の濃度または相対的存在量を測定することによって決定することができる。タンパク質レベルは、当該技術分野で既知の標準的な検出技法を使用して評価することができる。本明細書に記載の方法とともに使用するのに好適なデータを生成するタンパク質発現分析の例としては、プロテオミクスアプローチ、免疫組織化学及び/またはウェスタンブロット分析、免疫沈降、分子結合アッセイ、ELISA、酵素結合免疫濾過アッセイ(ELIFA)、質量分析、質量分析免疫アッセイ、ならびに生化学的酵素活性アッセイが挙げられるが、これらに限定されない。特に、プロテオミクス方法を使用して、大規模なタンパク質発現データセットを多重化して生成することができる。プロテオミクス方法は、標的タンパク質のパネルに特異的な捕捉試薬(例えば、抗体)を利用してポリペプチド(例えば、タンパク質)及び/またはペプチドマイクロアレイを検出及び定量化し、試料(例えば、単一細胞試料または多細胞集団)で発現されたタンパク質の発現レベルを特定及び測定するために、質量分析を利用してもよい。
【0155】
例示的なペプチドマイクロアレイは、基質に結合した複数のポリペプチドを有し、オリゴヌクレオチド、ペプチド、またはタンパク質の、複数の結合ポリペプチドの各々への結合は、別々に検出可能である。あるいは、ペプチドマイクロアレイは、特定のオリゴヌクレオチド、ペプチド、またはタンパク質の結合を特異的に検出することができる、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、ファージディスプレイ結合剤、酵母のツーハイブリッド結合剤、アプタマーを含むが、これらに限定されない複数の結合剤を含み得る。ペプチドアレイの例は、米国特許第6,268,210号、同第5,766,960号、及び同第5,143,854号に見出すことができ、その各々の開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0156】
質量分析(MS)を、本明細書に記載の方法と合わせて使用して、単一の細胞または多細胞集団の遺伝子発現プロファイルを特定及び特徴付けることができる。当該技術分野で既知の任意のMSの方法を使用して、目的の1つ以上のペプチドを決定、検出、及び/または測定してもよい(例えば、LC-MS、ESI-MS、ESI-MS/MS、MALDI-TOF-MS、MALDI-TOF/TOF-MS、タンデムMSなど)。質量分析計は、一般に、イオン源及び光学系、質量分析器、ならびにデータ処理電子機器を含む。質量分析器は、スキャン及びイオンビーム質量分析器、例えば、飛行時間(TOF)及び四重極(Q)、ならびにトラッピング質量分析器、例えば、イオントラップ(IT)、オービトラップ、及びフーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴(FT-ICR)を含み、本明細書に記載される方法において使用され得る。様々なMS方法の詳細は、文献中に見出すことができる。例えば、Yates et al.,Annu.Rev.Biomed.Eng.11:49-79(2009)を参照されたく、その開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0157】
MS分析の前に、試料中のタンパク質は、最初に、化学的(例えば、臭化シアノゲン切断を介して)または酵素(例えば、トリプシン)消化によって、より小さいペプチドに消化され得る。複合体ペプチド試料はまた、フロントエンド分離技術、例えば、2D-PAGE、HPLC、RPLC、及び親和性クロマトグラフィーの使用からも利益を得る。次いで、消化され、任意選択的に分離された試料をイオン源を使用してイオン化し、更なる分析のために帯電分子を生成する。試料のイオン化は、例えば、エレクトロスプレーイオン化(ESI)、大気圧化学イオン化(APCI)、光イオン化、電子イオン化、高速原子爆撃(FAB)/液体二次イオン化(LSIMS)、マトリックス支援レーザー脱離/イオン化(MALDI)、電界イオン化、電界脱離、熱スプレー/プラズマスプレーイオン化、及び粒子ビームイオン化によって実行され得る。イオン化方法の選択に関連する追加の情報は、当業者に既知である。
【0158】
次いで、イオン化後、消化されたペプチドを断片化して、シグネチャMS/MSスペクトルを生成してよい。MS/MSとしても知られるタンデムMSは、本明細書に記載の多細胞集団から得られた試料などの複合体ペプチド試料のイオン化、その後の断片化を可能にする本明細書に記載の方法に特に有用であり得る。タンデムMSは、MS選択の複数の工程を伴い、ステージ間で何らかの形態のイオン断片化が起こり、これは、空間で分離された個々の質量分析計要素を使用して、または時間で分離されたMS工程を使用して単一の質量分析計を使用して達成され得る。空間的に分離されたタンデムMSでは、要素は物理的に分離されており、高真空を維持するために要素間の物理的接続がある。時間的に分離されたタンデムMSでは、分離は、同じ場所に捕捉されたイオンで達成され、複数の分離工程が経時的に行われる。次いで、シグネチャMS/MSスペクトルを、ペプチド配列データベース(例えば、SEQUEST)と比較してもよい。ペプチドへの翻訳後修飾はまた、例えば、特定のペプチド改変を可能にしながら、データベースに対してスペクトルを検索することによって決定され得る。
【0159】
薬学的組成物
本明細書に記載の組成物、核酸分子、及びプラスミドは、インビボで投与するのに好適な生物学的に適合する形態で、フリードライヒ運動失調症を呈するか、またはそのリスクがあるヒト患者などの患者に投与するための薬学的組成物に製剤化することができる。例えば、本明細書に記載される1つ以上の導入遺伝子を含む核酸分子を含有する薬学的組成物は、典型的には、薬学的に許容される希釈剤または担体を含む。薬学的組成物は、例えば、滅菌生理食塩水及び核酸を含み得る(例えば、それらからなる)。滅菌生理的食塩水は、典型的には、医薬品グレードの生理食塩水である。薬学的組成物は、例えば、滅菌水及び核酸を含み得る(例えば、それらからなる)。滅菌水は、典型的には、医薬品グレードの水である。薬学的組成物は、例えば、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)及び核酸を含み得る(例えば、それらからなる)。滅菌PBSは、典型的には、医薬品グレードのPBSである。
【0160】
特定の実施形態では、薬学的組成物は、1つ以上の組成物または核酸分子と、1つ以上の賦形剤と、を含む。特定の実施形態では、賦形剤は、水、塩溶液、アルコール、ポリエチレングリコール、ゼラチン、ラクトース、アミラーゼ、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ケイ酸、粘性パラフィン、ヒドロキシメチルセルロース、及びポリビニルピロリドンから選択される。
【0161】
特定の実施形態では、核酸分子は、薬学的組成物または製剤の調製のために、薬学的に許容される活性物質及び/または不活性物質と混合され得る。組成物、及び薬学的組成物を製剤化するための方法は、投与経路、疾患の程度、または投与される用量を含むが、これらに限定されない、いくつかの基準に依存する。
【0162】
特定の実施形態では、核酸分子を含む薬学的組成物は、阻害剤の任意の薬学的に許容される塩、阻害剤のエステル、またはそのようなエステルの塩を包含する。特定の実施形態では、核酸分子を含む薬学的組成物は、対象(例えば、ヒト)に投与されると、生物学的に活性な代謝産物またはその残渣を(直接的にまたは間接的に)もたらすことが可能である。したがって、例えば、本開示は、阻害剤の薬学的に許容される塩、プロドラッグ、そのようなプロドラッグの薬学的に許容される塩、及び他の生物学的等価物にも引き出される。好適な薬学的に許容される塩としては、ナトリウム及びカリウム塩が挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、プロドラッグは、核酸分子に結合した1つ以上の共役基を含み、共役基は、体内の内因性ヌクレアーゼによって切断される。
【0163】
脂質部分は、核酸療法に様々な方法で使用されてきた。特定のそのような方法では、核酸を、カチオン性脂質と中性脂質の混合物から作製される予め形成されたリポソームまたはリポプレックスに導入する。特定の方法では、モノまたはポリカチオン性脂質とのDNA複合体は、中性脂質が存在しなくても形成される。特定の実施形態では、脂質部分は、特定の細胞または組織への医薬品の分布を増加させるように選択される。特定の実施形態では、脂質部分は、脂肪組織への医薬品の分布を増加させるように選択される。特定の実施形態では、脂質部分は、筋肉組織への医薬品の分布を増加させるように選択される。
【0164】
特定の実施形態では、薬学的組成物は、送達系を含む。送達系の例としては、リポソーム及びエマルションが挙げられるが、これらに限定されない。疎水性化合物を含むものなどの特定の薬学的組成物を調製するために特定の送達系が有用である。特定の実施形態では、ジメチルスルホキシドなどの特定の有機溶媒が用いられる。
【0165】
特定の実施形態では、薬学的組成物は、本発明の1つ以上の医薬品を特定の組織または細胞型に送達するように設計された1つ以上の組織特異的送達分子を含む。例えば、特定の実施形態では、薬学的組成物は、組織特異的抗体でコーティングされたリポソームを含む。
【0166】
特定の実施形態では、薬学的組成物は、共溶媒系を含む。特定のそのような共溶媒系としては、例えば、ベンジルアルコール、非極性界面活性剤、水混和性有機ポリマー、及び水相が挙げられる。特定の実施形態では、そのような共溶媒系は、疎水性化合物に用いられる。そのような共溶媒系の非限定的な例は、VPD共溶媒系であり、これは、3%(w/v)のベンジルアルコール、8%(w/v)の非極性界面活性剤Polysorbate 80(商標)、及び65%(w/v)のポリエチレングリコール300を含む無水エタノールの溶液である。そのような共溶媒系の割合は、その溶解性及び毒性特性を著しく変えることなく大幅に変化させ得る。更に、共溶媒構成要素の同一性は、変化する場合もあり、例えば、Polysorbate 80(商標)の代わりにその他の界面活性剤が使用されてもよく、ポリエチレングリコールの分率量は変化する場合もあり、他の生体適合性ポリマー、例えば、ポリビニルピロリドンが、ポリエチレングリコールに取って代わってもよく、デキストロースを他の糖または多糖で置換してもよい。
【0167】
特定の実施形態では、薬学的組成物は、口腔投与のために調製される。特定の実施形態では、薬学的組成物は、頬側投与のために調製される。特定の実施形態では、薬学的組成物は、注射(例えば、眼内(例えば、硝子体内)、静脈内、皮下、筋肉内、髄腔内、脳室内、実質内など)による投与のために調製される。特定のそのような実施形態では、薬学的組成物は、担体を含み、水または生理学的に適合する緩衝液、例えば、ハンクス溶液、リンゲル溶液、または生理学的生理食塩水緩衝液などの水溶液中で製剤化される。特定の実施形態では、他の成分(例えば、溶解性に役立つか、または防腐剤の役目を果たす成分)が含まれる。特定の実施形態では、注射可能な懸濁液は、適切な液体担体、懸濁化剤などを用いて調製される。特定の注射用薬学的組成物は、単位剤形として、例えば、アンプルに入れて、または複数用量容器に入れて提示される。特定の注射用薬学的組成物は、油性または水性ビヒクル中の懸濁液、溶液、またはエマルションであり、懸濁化剤、安定化剤、及び/または分散剤などの製剤化剤を含有し得る。注射用薬学的組成物における使用に好適な特定の溶媒には、親油性溶媒及び脂肪油、例えば、ゴマ油、合成脂肪酸エステル、例えば、オレイン酸エチルまたはトリグリセリド、及びリポソームが含まれるが、これらに限定されない。
【0168】
キット
本明細書に記載の組成物は、フリードライヒ運動失調症の治療に使用するためのキットで提供することができる。キットは、本明細書に記載の1つ以上の組成物、核酸分子、プラスミド、または薬学的組成物を含み得る。キットは、キットの使用者、例えば、医師に、本明細書に記載の方法のいずれか1つを実施するように指示する添付文書を含み得る。キットは、任意選択的に、組成物を投与するためのシリンジまたは他のデバイスを含んでもよい。いくつかの実施形態では、キットは、1つ以上の追加の治療剤を含んでもよい。
【実施例
【0169】
以下の実施例は、本明細書に記載される組成物及び方法をどのように使用し、評価し得るかについての説明を当業者に提供するために提示され、本発明の純粋な例示であることが意図されるものであり、本発明者らが発明とみなすものの範囲を限定することを意図するものではない。
【0170】
実施例1.材料及び方法
コドン最適化における有効なタンパク質発現及びイントロントリヌクレオチド反復GAAの拡大の回復のためのフラタキシン遺伝子のコドン最適化
イントロンDNAを除くFXNアイソフォーム1遺伝子配列は、以下のとおりである。
AGTCTCCCTTGGGTCAGGGGTCCTGGTTGCACTCCGTGCTTTGCACAAAGCAGGCTCTCCATTTTTGTTAAATGCACGAATAGTGCTAAGCTGGGAAGTTCTTCCTGAGGTCTAACCTCTAGCTGCTCCCCCACAGAAGAGTGCCTGCGGCCAGTGGCCACCAGGGGTCGCCGCAGCACCCAGCGCTGGAGGGCGGAGCGGGCGGCAGACCCGGAGCAGCATGTGGACTCTCGGGCGCCGCGCAGTAGCCGGCCTCCTGGCGTCACCCAGCCCAGCCCAGGCCCAGACCCTCACCCGGGTCCCGCGGCCGGCAGAGTTGGCCCCACTCTGCGGCCGCCGTGGCCTGCGCACCGACATCGATGCGACCTGCACGCCCCGCCGCGCAAGTTCGAACCAACGTGGCCTCAACCAGATTTGGAATGTCAAAAAGCAGAGTGTCTATTTGATGAATTTGAGGAAATCTGGAACTTTGGGCCACCCAGGCTCTCTAGATGAGACCACCTATGAAAGACTAGCAGAGGAAACGCTGGACTCTTTAGCAGAGTTTTTTGAAGACCTTGCAGACAAGCCATACACGTTTGAGGACTATGATGTCTCCTTTGGGAGTGGTGTCTTAACTGTCAAACTGGGTGGAGATCTAGGAACCTATGTGATCAACAAGCAGACGCCAAACAAGCAAATCTGGCTATCTTCTCCATCCAGTGGACCTAAGCGTTATGACTGGACTGGGAAAAACTGGGTGTACTCCCACGACGGCGTGTCCCTCCATGAGCTGCTGGCCGCAGAGCTCACTAAAGCCTTAAAAACCAAACTGGACTTGTCTTCCTTGGCCTATTCCGGAAAAGATGCTTGATGCCCAGCCCCGTTTTAAGGACATTAAAAGCTATCAGGCCAAGACCCCAGCTTCATTATGCAGCTGAGGTCTGTTTTTTGTTGTTGTTGTTGTTTATTTTTTTTATTCCTGCTTTTGAGGACAGTTGGGCTATGTGTCACAGCTCTGTAGAAAGAATGTGTTGCCTCCTACCTTGCCCCCAAGTTCTGATTTTTAATTTCTATGGAAGATTTTTTGGATTGTCGGATTTCCTCCCTCACATGATACCCCTTATCTTTTATAATGTCTTATGCCTATACCTGAATATAACAACCTTTAAAAAAGCAAAATAATAAGAAGGAAAAATTCCAGGAGGGAAAATGAATTGTCTTCACTCTTCATTCTTTGAAGGATTTACTGCAAGAAGTACATGAAGAGCAGCTGGTCAACCTGCTCACTGTTCTATCTCCAAATGAGACACATTAAAGGGTAGCCTACAAATGTTTTCAGGCTTCTTTCAAAGTGTAAGCACTTCTGAGCTCTTTAGCATTGAAGTGTCGAAAGCAACTCACACGGGAAGATCATTTCTTATTTGTGCTCTGTGACTGCCAAGGTGTGGCCTGCACTGGGTTGTCCAGGGAGACCTAGTGCTGTTTCTCCCACATATTCACATACGTGTCTGTGTGTATATATATTTTTTCAATTTAAAGGTTAGTATGGAATCAGCTGCTACAAGAATGCAAAAAATCTTCCAAAGACAAGAAAAGAGGAAAAAAAGCCGTTTTCATGAGCTGAGTGATGTAGCGTAACAAACAAAATCATGGAGCTGAGGAGGTGCCTTGTAAACATGAAGGGGCAGATAAAGGAAGGAGATACTCATGTTGATAAAGAGAGCCCTGGTCCTAGACATAGTTCAGCCACAAAGTAGTTGTCCCTTTGTGGACAAGTTTCCCAAATTCCCTGGACCTCTGCTTCCCCATCTGTTAAATGAGAGAATAGAGTATGGTTGATTCCCAGCATTCAGTGGTCCTGTCAAGCAACCTAACAGGCTAGTTCTAATTCCCTATTGGGTAGATGAGGGGATGACAAAGAACAGTTTTTAAGCTATATAGGAAACATTGTTATTGGTGTTGCCCTATCGTGATTTCAGTTGAATTCATGTGAAAATAATAGCCATCCTTGGCCTGGCGCGGTGGCTCACACCTGTAATCCCAGCACTTTTGGAGGCCAAGGTGGGTGGATCACCTGAGGTCAGGAGTTCAAGACCAGCCTGGCCAACATGATGAAACCCCGTCTCTACTAAAAATACAAAAAATTAGCCGGGCATGATGGCAGGTGCCTGTAATCCCAGCTACTTGGGAGGCTGAAGCGGAAGAATCGCTTGAACCCAGAGGTGGAGGTTGCAGTGAGCCGAGATCGTGCCATTGCACTGTAACCTGGGTGACTGAGCAAAACTCTGTCTCAAAATAATAATAACAATATAATAATAATAATAGCCATCCTTTATTGTACCCTTACTGGGTTAATCGTATTATACCACATTACCTCATTTTAATTTTTACTGACCTGCACTTTATACAAAGCAACAAGCCTCCAGGACATTAAAATTCATGCAAAGTTATGCTCATGTTATATTATTTTCTTACTTAAAGAAGGATTTATTAGTGGCTGGGCATGGTGGCGTGCACCTGTAATCCCAGGTACTCAGGAGGCTGAGACGGGAGAATTGCTTGACCCCAGGCGGAGGAGGTTACAGTGAGTCGAGATCGTACCTGAGCGACAGAGCGAGACTCCGTCTCAAAAAAAAAAAAAAGGAGGGTTTATTAATGAGAAGTTTGTATTAATATGTAGCAAAGGCTTTTCCAATGGGTGAATAAAAACACATTCCATTAAGTCAAGCTGGGAGCAGTGGCATATACCTATAGTCCCAGCTGCACAGGAGGCTGAGACAGGAGGATTGCTTGAAGCCAGGAATTGGAGATCAGCCTGGGCAACACAGCAAGATCCTATCTCTTAAAAAAAGAAAAAAAAACCTATTAATAATAAAACAGTATAAACAAAAGCTAAATAGGTAAAATATTTTTTCTGAAATAAAATTATTTTTTGAGTCTGATGGAAATGTTTAAGTGCAGTAGGCCAGTGCCAGTGAGAAAATAAATAACATCATACATGTTTGTATGTGTTTGCATCTTGCTTCTACTGAAAGTTTCAGTGCACCCCACTTACTTAGAACTCGGTGACATGATGTACTCCTTTATCTGGGACACAGCACAAAAGAGGTATGCAGTGGGGCTGCTCTGACATGAAAGTGGAAGTTAAGGAATCTGGGCTCTTATGGGGTCCTTGTGGGCCAGCCCTTCAGGCCTATTTTACTTTCATTTTACATATAGCTCTAATTGGTTTGATTATCTCGTTCCCAAGGCAGTGGGAGATCCCCATTTAAGGAAAGAAAAGGGGCCTGGCACAGTGGCTCATGCCTGTAATCCCAGCACTTTGGGAGGCTGAGGCAAGTGTATCACCTGAGGTCAGGAGTTCAAGACCAGCCTGGCCAACATGGCAAAATCCCGTCTCTACTAAAAATATTAAAAAATTGGCTGGGCGTGGTGGTTCGTGCCTATAATTTCAGCTACTCAGGAGGCTGAGGCAGGAGAATCGCTGTAACCTGGGGGGTGGAGGTTGCAGTGAGACGAGATCATGCCACTTCACTCCAGCCTGGCCAACAGAGCCATACTCCGTCTCAAATAAATAAATAAATAAATAAAGGGACTTCAAACACATGAACAGCAGCCAGGGGAAGAATCAAAATCATATTCTGTCAAGCAAACTGGAAAAGTACCACTGTGTGTACCAATAGCCTCCCCACCACAGACCCTGGGAGCATCGCCTCATTTATGGTGTGGTCCAGTCATCCATGTGAAGGATGAGTTTCCAGGAAAAGGTTATTAAATATTCACTGTAACATACTGGAGGAGGTGAGGAATTGCATAATACAATCTTAGAAAACTTTTTTTTCCCCTTTCTATTTTTTGAGACAGGATCTCACTTTGGCACTCAGGCTGGAGGACAGTGGTACAATCAAAGCTCATGGCAGCCTCGACCTCCCTGGGCTTGGGCAATCCTCCCACAGGTGTGCACCTCCATAGCTGGCTAATTTGTGTATTTTTTGTAGAGATGGGGTTTCACCATGTTGCCCAGGCTGGTCTCTAACACTTAGGCTCAAGTGATCCACCTGCCTCGTCCTCCCAAGATGCTGGGATTACAGGTGTGTGCCACAGGTGTTCATCAGAAAGCTTTTTCTATTATTTTTACCTTCTTGAGTGGGTAGAACCTCAGCCACATAGAAAATAAAATGTTCTGGCATGACTTATTTAGCTCTCTGGAATTACAAAGAAGGAATGAGGTGTGTAAAAGAGAACCTGGGTTTTTGAATCACAAATTTAGAATTTAATCGAAACTCTGCCTCTTACTTGTTTGTAGACACTGACAGTGGCCTCATGTTTTTTTTTTTTTTAATCTATAAAATGGAGATATCTAACATGTTGAGCCTGGGCCCACAGGCAAAGCACAATCCTGATGTGAGAAGTACTCAGTTCATGACAACTGTTGTTCTCACATGCATAGCATAATTTCATATTCACATTGGAGGACTTCTCCCAAAATATGGATGACGTTCCCTACTCAACCTTGAACTTAATCAAAATACTCAGTTTACTTAACTTCGTATTAGATTCTGATTCCCTGGAACCATTTATCGTGTGCCTTACCATGCTTATATTTTACTTGATCTTTTGCATACCTTCTAAAACTATTTTAGCCAATTTAAAATTTGACAGTTTGCATTAAATTATAGGTTTACAATATGCTTTATCCAGCTATACCTGCCCCAAATTCTGACAGATGCTTTTGCCACCTCTAAAGGAAGACCCATGTTCATAGTGATGGAGTTTGTGTGGACTAACCATGCAAGGTTGCCAAGGAAAAATCGCTTTACGCTTCCAAGGTACACACTAAGATGAAAGTAATTTTAGTCCGTGTCCAGTTGGATTCTTGGCACATAGTTATCTTCTGCTAGAACAAACTAAAACAGCTACATGCCAGCAAGGGAGAAAGGGGAAGGAGGGGCAAAGTTTTGAAATTTCATGTAAATTTATGCTGTTCAAAACGACGAGTTCATGACTTTGTGTATAGAGTAAGAAATGCCTTTTCTTTTTTGAGACAGAGTCTTGCTCTGTCACCCAGGCTGGAGTGCAGTGGCACGATCTGGGCTCACTACAACCTCCGCCTCCTGGGTTCAAGCAATTCTCTGCC
TCAGCCTCCCGAGTAGCTGGGATTACAGGTGCCTGCCACCACACCCGGCTAATTTTTGTATTTTTAGTAGAGACGGGGTTTCACCATCATGGCCAGGCTGGTCTTGAACTCCTGACCTAGTAATCCACCTGCCTCCGCCTCCCAAAGTGCTGGGATTACAGGCGTGAGCCACTGCACCCAGCCAGAAATGCCTTCTAATCTTTGGTTTATCTTAATTAGCCAGGACACTTGGAGTGCATCCCGAAGTACCTGATCAGTGGCCCCTTTGGAATGTGTAAAACTCAGCTCACTTATATCCCTGCATCCGCTACAGAGACAGAATCCAAGCTCATATGTTCCATCTTCTCTGGCTGTATAGTTTAAGGAATGGAAGGCACCAGAACAGATTTATTGAAATGTTTATTAGCTGAAGATTTATTTAGACAGTTGAGGAAAACATCAGCACCCAGCAGTAAAATTGGCTCTCAAAGATTTTCTTCTCCTGTGGAAAGTCAGACCTCTGAGGCCCCATCCAGGTAGAAGTACTAGTGCAAGAAGGGCCTCTGCTGTCCACTTGTGTTTCTGTGATCTGTGGGAACATTGTTAACGCCACATCTTGACCTCAAATTGTTTAGCTCCTGGCCAGACACGGTGGCTCACACCTGTAATCCCAGCACTTTGAGAGGCTGAGGCAGGTGGATCACCTGAGGTTAGGAGTTCGAGGCCAGCCTGGTCAACATGGTAAAACCCCGCCTCTACTAAAAATACAAAAATTAGCTGGCCGTAGTGGCGCACGCCTGTTATCCCAGCTACTCGGGAGGCTGAGGCAGGAGAATTGCTTGAACCTGGGTGGTGGAGGTTGCAGTGAGCCGAGATTACACCACTGCACTCCAGCCTGGGTGACAAGAGGGAAACTCCATTAAAAAAATGTAATTCCCGTGTCTGCCATCTTAAGTGTAAAGGTGGCTAAATTATATAGAAAAATAAGACAATATCATTTCCCAATTACATTCCTTTCCTACCGCACTCTATGATGCTAGCTGAGATTTTTCCAAAAGAAAATGGCTTAAATAAAACCCTAAGAGAAAGAAAAACTTTAAATCCCTCCAAAGCTCAAAAGTAATAGAAACAGATGAGTTTGGAGTCAGGATTTCTCTGTAAGATTGCCTAGGCTGTGTACTGCACATCTCCAGGTGCCACTGTTGACAGAGATTATAACTACAATGTGAAGTGAATGGTGCCACTGACAGTTATGCAAACCGTCCAGAGCATAGCCACCTGATCCTGCTGGGATTCCTCTTGCCAGTCCATCAGCAGTTCCCCTTGAAAGTTTCACCAAACATCCCTTAAATCTGCCCTCTCCTGCCCGTCCCCAGTGGAGGTCCTCATCATTTTTCACCTGCATTTTTGCAGGAGCTTTCTTATATCCACCTTCCTCCTTTTCTCTCAGCCCATCATCTAGCTACACAGTCTCCAGGGTAAGCTTTCAGAAAGGCAATCTCTTGTCTGTAAAACCTAAGCAGGACCAAGGCCAAGTTTCTTAGCCTGAAAAATGTGCTTTTCTGACTGAACTGTTCAGGCACTGACTCTACATATAATTATGCTTTTCTACCCCCTCACACTCAACACTTTGACTCCAGCAATCCCAAATCCCCAGATCCCTAAGTGTGCTGTGCTATTTTCACGTGGCTCTCAGACTTGGCCAGTGCTGTTTCCATTTTGGTCTTTATTCCCCACATCTCTGCCTGGGGGGTAGATTCTACCCTGAAAAATGTTCTTGGCACAGCCTTGCAAACTCCTCCTCCACTCAGCCTCTGCCTGGATGCCCTTGATTGTTCCATGTCCTCAGCATACCATGTTTGTCTTTCCCAGCACTGACCTACCATGTGTCACCCCTGCTTGGCTGTACCTTCCATGAGGCTAGGACTATGTGTCTCCTTTGTTGACTGCTGTTGCCCTAGCATCTTGCACAGTTCCTTGCACACAATTAGAGCTCTATAAATGTCAAATAAATGTGTTATAATTATATGTTTAAGATAGTTGTTCAAATAAACTCTAAATAACCCCAAC(配列番号5)
【0171】
フラタキシンアイソフォーム1アミノ酸配列は、以下のとおりである。
MWTLGRRAVAGLLASPSPAQAQTLTRVPRPAELAPLCGRRGLRTDIDATCTPRRASSNQRGLNQIWNVKKQSVYLMNLRKSGTLGHPGSLDETTYERLAEETLDSLAEFFEDLADKPYTFEDYDVSFGSGVLTVKLGGDLGTYVINKQTPNKQIWLSSPSSGPKRYDWTGKNWVYSHDGVSLHELLAAELTKALKTKLDLSSLAYSGKDA(配列番号3)
【0172】
配列番号5の分析により、遺伝子全体の様々なアミノ酸に対する特定のコドン選好が明らかになる。コドン頻度を調べると、特定のアミノ酸については、特定のコドンが主に使用され、他のコドンはそれほど頻繁に使用されないか、またはまったく使用されないことが明らかになる。当業者は、例えば、タンパク質の安定性を増加させ、局所的なGC含有量を低下させ、及び/またはmRNA二次構造及び不安定なモチーフを低下させるために、FXN遺伝子のバリアントを合理的に設計することができる。フラタキシンの翻訳を増強するように、低下したCpG含有量及び/または低下したホモポリマー含有量を含有する、FXN遺伝子のコドン最適化された設計バリアント。例えば、当業者は、設計されたFXN遺伝子のCpG含有量及び/またはホモポリマー含有量を減少させるコドン置換を組み込むことによって、フラタキシンをコードする遺伝子配列を操作することができる(図1)。例えば、上記のFXNアイソフォーム1遺伝子配列において、ホモポリマーGGGGGGの例が存在する。ホモポリマーは、mRNA転写産物の形成における、及び/または翻訳プロセス中のフレームシフト変異の部位であり得る。このホモポリマー配列が、標的細胞内の内因性に発現された遺伝子に対する遺伝子の配列同一性を最小限に抑えた後でさえ、コドン最適化されたFXN遺伝子内に残る場合、当業者は、コードされたタンパク質の同一性を維持しながら、このホモポリマーを中断する更なる変異を組み込むことができる。あるいは、ホモポリマーが、タンパク質機能に不可欠ではないアミノ酸残基をコードする場合(例えば、コードされたアミノ酸が、フラタキシンの機能を媒介する活性部位(例えば、鉄-硫黄クラスターのアセンブリを媒介する活性部位)内に存在しない場合)、当業者は、ホモポリマーを中断し、対応するアミノ酸の部位でコードされたタンパク質に保存的置換を導入するコドン置換を組み込むことができる。
【0173】
更に、最終的なコドン最適化された遺伝子は、フラタキシンバリアント1(配列番号5)をコードする内因性RNA分子に対して少なくとも95%の配列同一性を示し得る。例えば、最終的なコドン最適化された遺伝子は、フラタキシンバリアント1(配列番号5)をコードする内因性RNA分子に対して少なくとも96%、97%、98%、または99%の配列同一性を示し得る。別の例では、最終的なコドン最適化された遺伝子は、配列番号1の核酸配列と同一の核酸配列を有し得る。いくつかの実施形態では、コドン最適化ヒトFXN遺伝子は、
【0174】
配列番号5の核酸8~15に対して、核酸配列:
【0175】
を含む改変コザック配列を含み得る。
【0176】
一旦設計されると、最終的なコドン最適化された遺伝子は、例えば、当該技術分野で既知の固相核酸手順によって調製することができる。ポリヌクレオチドの固相合成のための技術は、当該技術分野で既知であり、例えば、米国特許第5,541,307号に記載されており、その開示は、固相ポリヌクレオチドの合成及び精製に関する場合に参照により本明細書に組み込まれる。加えて、調製された遺伝子は、例えば、本明細書に記載されるか、または当該技術分野で既知であるPCRベースの技術を使用して、及び/またはDH5α E.coliを、設計された遺伝子を含有するプラスミドで形質転換することによって増幅させることができる。細菌は、その後、その中のDNAを増幅するように培養することができ、遺伝子は、当該技術分野で知られている単離されたプラスミド精製技術であってもよく、任意選択的に、制限消化及び/またはプラスミドの配列決定が続き、同一性コドン最適化遺伝子を検証することができる。
【0177】
免疫蛍光
生検した心臓を10%ホルマリンで一晩固定し、次いで70%エタノール中で保存した。組織をパラフィン包埋し、5μmの切片に切断した。
【0178】
免疫蛍光分析のために、組織を透過性化し、スライドを洗浄し、5%ヤギ血清で30分間ブロッキングした。切片を、一次抗体抗フラタキシン(Abcam 175402、2ug/mL、ヒト、マウス、及びラットを認識する)とともに、室温で1時間インキュベーションした。スライドを、二次ヤギ抗ウサギ抗体(Thermo A11008、AlexaFluor 488コンジュゲート、4μg/mL)とともに30分間インキュベーションした。評価には、フラタキシン発現の詳細な定量化が含まれていた。
【0179】
コドン最適化されたヒトフラタキシン構築物
PCRプライマーを、HEK293細胞から単離されたゲノムDNA由来のFXN核酸配列の633塩基対にPCRによって結合し、増幅するように設計した。上に記載のコドン最適化方法を使用して、単離されたFXNを部位特異的変異誘発(Stratgene)によって改変して、CpG含量を低下させた。得られた改変増幅産物をゲル精製し、当該技術分野で知られている方法によって配列決定した。
【0180】
偽型アデノ随伴ウイルス(AAV)2/8(AAV2/8)環状親ベクターを、コドン最適化されたヒトFXNバリアント1(hFXNco)のデスティネーションベクターとして使用した。親ベクターは、第1のスペーサー(SS1)、第1のAAV2逆位末端反復(ITR1)、合成DNAスタッファー、ヒトホスホグリセレートキナーゼ(PGK)プロモーター、シミアンウイルス40(SV40)イントロン、後期SV40ポリアデニル化部位(pA)、第2の合成DNAスタッファー、第2のAAV2 ITR(ITR2)、原核生物複製起点、第2のスペーサー(SS2)、及びカナマイシン抗生物質選択遺伝子(Kan)といった構成要素を有する核酸分子を含有する(図2)。親ベクターはまた、第1のAAV2 ITR1に対して5’にPmeI制限エンドヌクレアーゼ認識部位を含有するクローニング部位と、第2のAAV2 ITR2に対して3’にSwaI制限エンドヌクレアーゼ認識部位を含有するクローニング部位と、を含有する。hFXNcoを親ベクターにクローニングし、得られたベクターは、T4 DNAリガーゼによって16℃で1時間ライゲーションすることによって媒介されるように、5’-3’方向にSS1-AAV2 ITR1-PGK-SV40インロン(inron)-SV40 LpA-AAV2 ITR2-SS2-oriC-Kanとして作動可能に連結された核酸構成要素を含んでいた。得られたベクターの配列を検証した。この上で言及したAAV2/8-PGK-FXN構築物は、合成スタッファーDNAを欠き、ITR1とITR2との間のより短い長さが1.5Kbである、元のバージョン(V1)を用いて作製されたバージョン2(V2)を表す。
【0181】
原理証明実験を、マウス骨格筋細胞に由来する細胞株(C2C12)を使用して実施した。結果として、ベクター調製物は、免疫蛍光によって示されるように、形質導入されたC2C12細胞において強固なフラタキシン発現をもたらした(図3A及び3B)。
【0182】
フリードライヒ運動失調症マウスモデル
FXNの条件付き対立遺伝子のホモ接合性マウス(FXNL3/L3)を、筋肉クレアチンキナーゼ(MCK)プロモーターの制御下で、筋肉特異的Creリコンビナーゼ導入遺伝子を保有したFXNエクソン4(FXNΔ/+)の欠失についてヘテロ接合性のマウスと交配させ、横紋筋制限エクソン4欠失を誘導した(例えば、Puccio et al.,Nat.Genet.27(2)(2001):181-186を参照されたい)。典型的には、変異体は、およそ7週間で体重が減り始め、徐々に疲労の徴候を発現し、76±10日で死亡する。
【0183】
MCKノックアウト(KO)マウスをフリードライヒ運動失調症のモデルとして使用して、実施例2に記載されるように、コドン最適化されたヒトフラタキシン構築物の安全性及び有効性を示した。
【0184】
免疫ブロット分析
放射免疫沈降アッセイ(RIPA)緩衝液で調製した全細胞抽出物に対してウェスタンブロット分析を行った。タンパク質を、4~15%のポリアクリルアミド勾配-ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)ゲル(Bio-Rad)上で分離させ、ニトロセルロース膜(Invitrogen)上に移した。ウェスタンブロットを、増強化学発光(Enhanced Chemiluminescence、Perkin-Elmer)で視覚化した。一次抗体をフラタキシン(Invitrogen#45-6300)に対して使用し、二次抗体は、Licor IR Dye 800 CW Donkey抗マウスであった。結果として、hFXNcoをコードする偽型AAV2/8ウイルスベクターは、FXNの成熟アイソフォームを効果的に発現した(図4)。
【0185】
実施例2.フリードライヒ運動失調症のモデルにおける心臓(heart)表現型及び死亡率に対する、コドン最適化されたヒトFXNの有効性
この実施例は、例えば、フリードライヒ運動失調症のマウスモデルにおいて、フリードライヒ運動失調症に関連する心臓表現型及び早期死亡の改良のための、そのヒト及びマウス遺伝子を含む、コドン最適化されたFXN遺伝子の安全性及び有効性を記載する。
【0186】
材料及び方法
材料及び方法は、実施例1に記載されている。この実施例は、AAV2/8-PGK-FXNバージョン2(V2)を試験した。
【0187】
結果
図5及び6Aは、3×1013vg/kgもしくは1×1014vg/kgのhFXNco(hFXN)もしくはそのマウス等価物(mFXN)の発現を引き起こすヒトPGKプロモーターをコードする例示的なAAV2/8、またはビヒクル対照を静脈内投与されたFRDA MCK KOマウスの生存の確率を示す。投与後4週間(weeks、wks)、ビヒクルKOマウスは、生存の確率の急激な低下を示したが、一方で、hFXNまたはmFXNを投与されたマウスは、ビヒクルWT対照に対して同等に生存した。加えて、hFXNまたはmFXNを投与されたKOマウスでは、ビヒクルKOマウスと比較して、雌及び雄の体重(図6B)、体重によって正規化された心臓重量(図6C)、及び駆出率(図6D)において有意なレスキューが観察された。図7A及び7Bは、ウェスタンブロットによって測定され、それぞれベクターコピー数(VCN、図7A)またはフラタキシンタンパク質レベル(図7B)によって定量化された、同じ実験のマウスから採取された心臓の生検におけるフラタキシン発現のレベルを示す。心臓では、静脈内投与後4週間において、用量レベル間でVCNの差は観察されなかった。図7Bに示されるように、図5に示す読み出しに関連して、mFXNで治療されたKOマウスにおいて、ビヒクル治療されたWTマウス(WT平均約136ng/mg)と比較して、心臓フラタキシンの3.7倍及び13.4倍の増加が観察された。更に、図6Aに示すその後の読み出しに関連して、ビヒクル治療されたWTマウスと比較して、hFXNまたはmFXNで治療されたKOマウスにおいて、心臓フラタキシンの3.7倍及び23倍の増加が観察された。図8は、AAV2/8-PGK-FXNの投与後4週間及び12週間における、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)によって測定される心臓組織におけるフラタキシンタンパク質のレベルを示す。図8に示されるように、投与後4週間において、mFXNで治療されたKOマウスでは、ビヒクル治療されたWTマウスと比較して、3倍及び13倍の心臓フラタキシンの増加が観察され、hFXNで治療されたKOマウスでは、ビヒクル治療されたWTマウスと比較して、7.3倍の心臓フラタキシンの増加が観察された。図8に示されるように、投与後12週間において、mFXNで治療されたKOマウスでは、ビヒクル治療されたWTマウスと比較して、5倍及び21.2倍の心臓フラタキシンの増加が観察され、hFXNで治療されたKOマウスでは、ビヒクル治療されたWTマウスと比較して、17.9倍の心臓フラタキシンの増加が観察された。図9は、投与後4週間及び12週間における、qPCRによって測定される心臓組織において検出されたベクターコピー数/二倍体ゲノムを示す。ベクターDNAは、投与後4週間及び12週間において、全てのAAV2/8-PGK-FXN治療されたKOマウスの心臓組織で検出されたが、いずれの時点でもビヒクル治療マウスでは検出されなかった。図9に示されるように、投与後12週間において、3×1013vg/kgのmFXN治療マウスと比較して、hFXNまたは1×1014vg/kgのmFXN治療マウスにおいて、有意に多くのベクターコピー/ゲノムが検出された。
【0188】
図10Aには、心臓組織におけるフラタキシン発現の免疫組織化学が示されている。フラタキシン発現を示す細胞の割合は、WTマウス(54.4%)と比較して、3×1013vg/kgのmFXNをコードするAAV2/8プラスミドを投与されたKOマウスにおいて同様であった(58.6%)が、1×1014vg/kgのhFXNまたはmFXNをコードするAAV2/8プラスミドを投与されたKOマウスにおいて増加した(78~85%)(図10B)。
【0189】
ウェスタンブロット分析は、hFXNまたはmFXNで治療されたマウスから採取された組織におけるフラタキシンの成熟アイソフォームの発現を明らかにした。加えて、心筋損傷マーカーであるミオシン軽鎖は、hFXNまたはmFXNで治療されたマウスの血清において低下し(図6E)、投与後4週間において、治療されたマウスの心臓で明らかな毒性または線維化は観察されなかった。
【0190】
まとめると、これらの結果は、hFXNcoをコードする例示的なAAV2/8プラスミドが、フリードライヒ運動失調症のマウスモデルにおいて死亡率をレスキューし、心臓におけるフラタキシンの有意な発現を誘発したことを示す。
【0191】
実施例3.フリードライヒ運動失調症の治療のためのコドン最適化されたFXN遺伝子の使用
フラタキシンをコードする遺伝子は、本明細書に記載される手順を使用して(例えば、上記の実施例1に記載されるように)コドン最適化することができる。遺伝子は、例えば、上記の実施例1に記載されるように、最適化されたFXN遺伝子配列にコドン置換を導入することによって、mRNA転写産物中のCpG含有量及び/またはホモポリマー含有量を減少させる、またはコドンバイアスを適応させるという目的でコドン最適化されてもよい。例えば、最終的なコドン最適化されたFXN遺伝子は、フラタキシンバリアント1(配列番号5)をコードする内因性RNA分子に対して少なくとも95%の配列同一性を示し得る。例えば、最終的なコドン最適化されたFXN遺伝子は、フラタキシンバリアント1(配列番号5)をコードする内因性RNA分子に対して少なくとも96%、97%、98%、または99%の配列同一性を示し得る。別の例では、最終的なコドン最適化された遺伝子は、配列番号1の核酸配列と同一の核酸配列を有し得る。
【0192】
遺伝子は、次いで、ウイルスベクターなどのプラスミドに組み込まれ、フリードライヒ運動失調症に罹患している患者に投与され得る。例えば、FXN遺伝子の変異を特徴とする障害であるフリードライヒ運動失調症に罹患している患者は、ヒト筋肉細胞などのヒト細胞における発現のための好適なプロモーターの制御下で、コドン最適化されたFXN遺伝子を含むウイルスベクターを投与することができる。例えば、ベクターの5’逆位末端反復と3’逆位末端反復との間にコドン最適化FXNされた遺伝子を組み込んだ偽型AAV2/8ベクターなどのAAVベクターを生成することができ、遺伝子は、PGKプロモーターなどの筋肉特異的プロモーターの制御下に置かれ得る。AAVベクターは、対象に全身投与することができる。
【0193】
当業者は、多様な方法によって、コドン最適化されたFXN遺伝子の発現をモニタリングすることができる。例えば、当業者は、患者の筋肉におけるコドン最適化された遺伝子の発現をモデル化するために、C2C12細胞などの培養細胞を、コドン最適化された遺伝子でトランスフェクトすることができる。コードされたタンパク質の発現は、その後、例えば、qPCR、RNA-Seq、ELISA、または免疫ブロット手順などの本明細書に記載の発現アッセイを使用してモニタリングされ得る。遺伝子発現アッセイから得られるデータに基づいて、例えば、mRNA転写産物中のCpG含有量及びホモポリマー含有量を更に減少させるために、コドン最適化手順の更なる反復を行うことができる。インビトロで最適な発現パターンを有する候補遺伝子配列を、その後、好適なベクターに組み込むために調製し、哺乳動物対象、例えば、フリードライヒ運動失調症の動物モデル、またはヒト患者に投与することができる。
【0194】
実施例4.コドン最適化されたヒトFXNの投与によるヒト患者におけるフリードライヒ運動失調症の治療
本開示の組成物及び方法を使用して、フリードライヒ運動失調症を有する患者(例えば、3歳~17歳)に、PGKプロモーター、例えば、配列番号4の核酸を有するAAVベクターに作動可能に連結されたコドン最適化されたヒトFXNバリアント1遺伝子をコードする核酸配列を含む偽型AAV2/8ベクターを投与してもよい。
【0195】
コドン最適化されたヒトFXNバリアント1遺伝子をコードする核酸配列を含む偽型AAV2/8ベクターを患者に投与すると、患者は、全血フラタキシンレベルの変化を示す。例えば、患者は、患者へのコドン最適化されたヒトFXNバリアント1をコードする核酸配列を含む偽型AAV2/8ベクターの投与後約12週間までの全血フラタキシンレベルの変化を示す。加えて、またはあるいは、例えば、コドン最適化されたヒトFXNバリアント1遺伝子をコードする核酸配列を含む偽型AAV2/8ベクターを患者に投与すると、患者は、全フリードライヒ運動失調症評価尺度(FARS)スコアの低下を示す。例えば、患者は、患者へのコドン最適化されたヒトフラタキシンバリアント1をコードする核酸配列を含む偽型AAV2/8ベクターの投与後約12週間までの総FARSスコアの低下を示す。
【0196】
実施例5.フリードライヒ運動失調症の治療のための、ITR1からITR2の短い長さ及びFXN遺伝子を有する核酸分子の使用
フラタキシンをコードする遺伝子は、本明細書に記載される手順を使用して(例えば、上記の実施例1に記載されるように)プラスミド(例えば、ウイルスベクター)へとクローニングすることができる。親プラスミドは、例えば、約3.7Kb~約4.3Kb(例えば、約3.8Kb~約4.2Kbまたは約3.9Kb~約4.1Kb)のペイロードを含む、ITR1からITR2の短い長さを含有し得る。これに加えて、またはあるいは、ITR1とITR2との間の、かつこれらを含む核酸の長さは、約3.9Kb~約4.7Kb(例えば、約4.0Kb~約4.6Kb、約4.1Kb~約4.5Kb、約4.2Kb~約4.4Kb、または約4.3Kb)であってもよい。次いで、親プラスミドを、フリードライヒ運動失調症に罹患している患者に投与し得る。例えば、FXN遺伝子における変異を特徴とする障害であるフリードライヒ運動失調症を患っている患者に、ITR1-FXN-ITR2を含む核酸分子を含むプラスミドを含有するウイルスベクターを投与することができ、ITR1-FXN-ITR2は合わせて、約3.7Kb~約4.3Kbの長さである。FXN遺伝子は、ヒト筋肉細胞などのヒト細胞における発現のための好適なプロモーターの制御下にあってもよい。例えば、ベクターの5’逆位末端反復と3’逆位末端反復との間にコドン最適化FXNされた遺伝子を組み込んだ偽型AAV2/8ベクターなどのAAVベクターを生成することができ、遺伝子は、PGKプロモーターなどの筋肉特異的プロモーターの制御下に置かれ得る。AAVベクターは、対象に全身投与することができる。遺伝子は、例えば、上記の実施例1に記載されるように、最適化されたFXN遺伝子配列にコドン置換を導入することによって、mRNA転写産物中のCpG含有量及び/またはホモポリマー含有量を減少させる、またはコドンバイアスを適応させるという目的でコドン最適化されてもよい。別の例では、最終的なコドン最適化された遺伝子は、配列番号1の核酸配列と同一の核酸配列を有し得る。
【0197】
当業者は、多様な方法によって、コドン最適化されたFXN遺伝子の発現をモニタリングすることができる。例えば、当業者は、患者の筋肉におけるコドン最適化された遺伝子の発現をモデル化するために、C2C12細胞などの培養細胞を、コドン最適化された遺伝子でトランスフェクトすることができる。コードされたタンパク質の発現は、その後、例えば、qPCR、RNA-Seq、ELISA、または免疫ブロット手順などの本明細書に記載の発現アッセイを使用してモニタリングされ得る。遺伝子発現アッセイから得られるデータに基づいて、例えば、mRNA転写産物中のCpG含有量及びホモポリマー含有量を更に減少させるために、コドン最適化手順の更なる反復を行うことができる。インビトロで最適な発現パターンを有する候補遺伝子配列を、その後、好適なベクターに組み込むために調製し、哺乳動物対象、例えば、フリードライヒ運動失調症の動物モデル、またはヒト患者に投与することができる。
【0198】
実施例6.ITR1からITR2の短い長さを有する核酸分子及びFXN遺伝子の投与によるヒト患者におけるフリードライヒ運動失調症の治療
本開示の組成物及び方法を使用して、フリードライヒ運動失調症を有する患者(例えば、3歳~17歳)に、フラタキシンをコードする核酸配列を含む偽型AAV2/8ベクターを投与してもよく、AAV2/8は、FXN遺伝子に隣接するITR1及びITR2を含み、ITR1-FXN-ITR2は合わせて、約3.7Kb~約4.3Kb(例えば、約3.8Kb~約4.2Kbまたは約3.9Kb~約4.1Kb)の長さである。これに加えて、またはあるいは、ITR1とITR2との間の、かつこれらを含む核酸の長さは、約3.9Kb~約4.7Kb(例えば、約4.0Kb~約4.6Kb、約4.1Kb~約4.5Kb、約4.2Kb~約4.4Kb、または約4.3Kb)であってもよい。FXN遺伝子は、ヒト筋肉細胞などのヒト細胞における発現のための好適なプロモーターの制御下にあってもよい。例えば、遺伝子は、PGKプロモーターなどの筋肉特異的プロモーターの制御下に置かれ得る。遺伝子は、例えば、上記の実施例1に記載されるように、最適化されたFXN遺伝子配列にコドン置換を導入することによって、mRNA転写産物中のCpG含有量及び/またはホモポリマー含有量を減少させる、またはコドンバイアスを適応させるという目的でコドン最適化されてもよい。別の例では、最終的なコドン最適化された遺伝子は、配列番号1の核酸配列と同一の核酸配列を有し得る。
【0199】
患者に、約3.7Kb~約4.3KbのITR1-FXN-ITR2長を含む偽型AAV2/8ベクターを投与すると、患者は、全血フラタキシンレベルの変化を示す。例えば、患者は、患者への約3.7Kb~約4.3KbのITR1-FXN-ITR2長を含む偽型AAV2/8ベクターの投与後約12週間までの全血フラタキシンレベルの変化を示す。加えて、またはあるいは、例えば、約3.7Kb~約4.3KbのITR1-FXN-ITR2長を含む偽型AAV2/8ベクターを患者に投与すると、患者は、全フリードライヒ運動失調症評価尺度(FARS)スコアの低下を示す。例えば、患者は、患者への約3.7Kb~約4.3KbのITR1-FXN-ITR2長を含む偽型AAV2/8ベクターの投与後約12週間までの総FARSスコアの低下を示す。
【0200】
実施例7.1.5Kb及び4.3Kbの長さのITR1-FXN-ITR2を有する偽型AAV2/8ベクターにおけるコドン最適化されたヒトFXNの発現の比較
上記の実施例1に記載されるように、ヒトPGKプロモーターをコードしてhFXNcoの発現を引き起こす例示的な偽型AAV2/8ベクターの元のバージョン(V1)を生成した。AAV2/8ベクターは、第1のスペーサー(SS1)、第1のAAV2逆位末端反復(ITR1)、ヒトホスホグリセレートキナーゼ(PGK)プロモーター、シミアンウイルス40(SV40)イントロン、コドン最適化されたヒトFXN遺伝子(hFXNco)後期SV40ポリアデニル化部位(pA)、第2のAAV2 ITR(ITR2)、原核生物複製起点、第2のスペーサー(SS2)、及びカナマイシン抗生物質選択遺伝子(Kan)といった構成要素を有する核酸分子を含有する。
【0201】
上記の実施例1に記載されるように、ヒトPGKプロモーターをコードしてhFXNcoの発現を引き起こす例示的な偽型AAV2/8ベクターの第2のバージョン(V2)を生成した。AAV2/8ベクターは、第1のスペーサー(SS1)、第1のAAV2逆位末端反復(ITR1)、合成DNAスタッファー、ヒトホスホグリセレートキナーゼ(PGK)プロモーター、シミアンウイルス40(SV40)イントロン、コドン最適化されたヒトFXN遺伝子(hFXNco) 後期SV40ポリアデニル化部位(pA)、第2の合成DNAスタッファー、第2のAAV2 ITR(ITR2)、原核生物複製起点、第2のスペーサー(SS2)、及びカナマイシン抗生物質選択遺伝子(Kan)といった構成要素を有する核酸分子を含有する(図2)。AAV2/8-PGK-FXNのこの第2のバージョン(V2)は、ITR1とITR2との間の4.3Kbの最適な配列長を達成するための2つの合成DNAスタッファーの存在によって、V1とは異なる。AAV2/8-PGK-FXN V1及びV2の比較を以下の表3にまとめている。
【0202】
【表3】
【0203】
AAV2/8-PGK-FXN V2におけるFXNの発現を試験するために、マウス及びヒト筋肉細胞株を、用量を増加させたAAV2/8-PGK-FXN V2により形質導入した。マウス(図11A)及びヒト(図11B)筋肉細胞株におけるAAV2/8-PGK-FXN V2による形質導入後に、用量依存性FXN発現が観察された。AAV2/8-PGK-FXN V1と比較した場合、V2は同じレベルで発現し(図12A及び図12B)、14kDaの成熟FXN(図12C)をもたらすように正しく処理された。コドン最適化されたヒトFXNは、C2C12またはAB1079細胞を治療した場合、AAV2/8-PGK-FXN V2においてWTヒトFXNと同様の発現レベルを示した(図13)。
【0204】
実施例8.フリードライヒ運動失調症のマウスモデルにおける心臓(cardiac)表現型及び死亡率に対する、コドン最適化されたヒトFXNの有効性
この実施例は、フリードライヒ運動失調症のマウスモデルにおいて、フリードライヒ運動失調症に関連する心臓表現型及び早期死亡の改良のための、コドン最適化されたFXN(hFXNco)遺伝子の安全性及び有効性を記載する。
【0205】
材料及び方法
マウスに、ヒトPGKプロモーターをコードする例示的なAAV8ベクターのバージョン1(V1陽性対照)またはバージョン2(V2)の単回投与を行い、6週齢でhFXNco(AAV8-PGK-FXN)の発現を静脈内で引き起こし、フリードライヒ運動失調症マウスモデル(上記の実施例1に記載)におけるコドン最適化されたFXN遺伝子の有効性及び毒性を評価した。以下の表4に、各治療群についての試験パラメータを記載する。
【0206】
【表4】
【0207】
結果
生存試験を実施して、死亡率に対するhFXNcoの効果を評価した。スケジューリングされた生検の前に、動物が以下の条件のうちのいずれかを示した場合、マウスを安楽死させた。体重の20%を超える減少、呼吸窮迫の徴候、意味のある刺激に対する不応答、及び/または全体的な身体状態の不良。安楽死の時の齢の中央値は、ビヒクル治療群(非形質導入対照)と他の全ての治療群との間で有意に異なっており、AAV8-PGK-FXN V1及びV2治療された動物から観察された死亡率の用量依存的レスキューがあった(図14)。
【0208】
心臓機能は、6週齢(WOA)から開始し、エンドポイントである9~10WOAまたは18~19WOA(表4に詳述されるように)のいずれかまでの一連の試験にわたって、高周波超音波を使用して評価された。AAV8-PGK-FXN V1及びV2の投与は、駆出率の増加(図15)及び左室内径短縮率(図16)、ならびに左心室質量の減少(図17)によって実証されるように、心臓機能をレスキューした。AAV8-PGK-FXN V1及びV2は、血清中の心臓損傷マーカーである心臓トロポニン(図18)及びミオシン軽鎖(図19)のレベルを低下させたが、AST及びALTの有意な変化は観察されなかった(図20及び21)。
【0209】
AAV8-PGK-FXN V2の形質導入及び発現は、心臓、肝臓、及び大腿四頭筋におけるベクターコピー数(VCN)、mRNA、及びFXNタンパク質の発現を測定することによって評価した。用量依存性VCNは、心臓、肝臓、及び大腿四頭筋において検出され(図22~24)、大部分の群において、大腿四頭筋におけるVCNは、心臓におけるVCNよりもおよそ3倍低く(図23)、このことは、大腿四頭筋よりも心臓におけるより良好な形質導入を示している。FXN mRNAは、AAV8-PGK-FXN V2で治療された変異体マウスについて、変異体マウスの心臓及び大腿四頭筋において用量依存的に検出された(図25)。FXNタンパク質の発現は、心臓(図26)、肝臓(図27)、及び大腿四頭筋(図28)において用量依存的に増加し、AAV8-PGK-FXN V2によって生じるタンパク質は、心臓よりも大腿四頭筋においてはるかに低い発現を示している。
【0210】
結論
まとめると、これらの結果は、hFXNcoをコードする例示的なAAV8プラスミドのV2が、ヒトPGKプロモーターの制御下で、フリードライヒ運動失調症のマウスモデルにおいて死亡率及び心臓機能をレスキューし、心臓、肝臓、大腿四頭筋におけるフラタキシンの有意な発現を誘発したことを示す。
【0211】
実施例9.フリードライヒ運動失調症のニューロン特異的マウスモデルにおける中枢神経系表現型に対するコドン最適化されたヒトFXNの有効性
本実施例は、フリードライヒ運動失調症に関連する中枢神経系(CNS)表現型の改良のための、ニューロン特異的フリードライヒ運動失調症マウスモデルにおけるコドン最適化されたヒトFXN(hFXNco)遺伝子の有効性について説明する。
【0212】
材料及び方法
マウスに、ヒトPGKプロモーターをコードする例示的なAAV8ベクターのバージョン1(V1陽性対照)またはバージョン2(V2)の単回の脳室内(ICV)または実質内(IPC)投与を行い、8週齢でhFXNco(AAV8-PGK-FXN)の発現を引き起こし、神経特異的フリードライヒ運動失調症マウスモデルにおけるコドン最適化されたFXN遺伝子の有効性及び毒性を評価した。
【0213】
フラタキシンフロキシド(frataxin floxed)エクソン2についてホモ接合性のマウスを、PV-Creノックイン及びフラタキシングローバルKOの両方についてヘテロ接合性のマウスと交配させて、Fxnflox/null::PV-Cre遺伝子型を誘導し、これは、フラタキシン遺伝子座(それぞれの相同染色体上のフロキシドエクソン2及びグローバルKO)においてヘテロ接合性であり、PV-Creノックイン対立遺伝子についてヘテロ接合性の化合物である。Fxnflox/null::PV-Creマウスは、Cre条件付きフラタキシン対立遺伝子、グローバルノックアウトフラタキシン対立遺伝子、及びパルブアルブミン神経特異的Creリコンビナーゼノックイン対立遺伝子を有しており、フリードライヒ運動失調症の試験に有用な早期発症運動失調マウスモデルを生成する。
【0214】
フリードライヒ運動失調症のモデルとしてFxnflox/null::PV-Creノックアウト(KO)マウスを使用して、コドン最適化されたヒトフラタキシン構築物の有効性が示された。
【0215】
以下の表5に、各治療群についての試験パラメータを記載する。
【0216】
【表5】
【0217】
結果
運動協調性に及ぼすhFXNcoの効果を、ロータロッド性能試験を使用して評価した。AAV8-PGK-FXN V2による治療は、ビヒクル(非形質導入対照)変異体と比較して、落ちるのにかかる時間を有意に改善した(図29)。
【0218】
AAV8-PGK-FXN V2の形質導入及び発現は、CNS組織におけるベクターコピー数(VCN)及びFXNタンパク質の発現を測定することによって評価した。用量依存性VCNの結果は、8週齢でICVを介して投与された動物において観察され、脳VCNは、高い変動性を示している(図30)。IPC投与動物は、8週齢のICVを介して投与された動物よりも、小脳において100倍高いVCN、及び皮質において約10倍高いVCNを示した(図31)。FXNタンパク質発現は、8週齢でAAV8-PGK-FXN V2を投与した動物の皮質及び小脳において観察され、IPC注射は、小脳へのAAV8-PGK-FXN V2送達を改善した(図32)。
【0219】
小脳は、フリードライヒ運動失調症の重要な兆候である。この疾患は、脳の小脳部分に損傷を引き起こすためである。AAV8-PGK-FXN V2投薬後、小脳は、同じ量のVCN当たり、他の組織よりも高い量のFXNタンパク質を産生し(図33)、小脳における治療上の利益のために必要とされるAAV8-PGK-FXN V2が少ないことを示す。
【0220】
神経フィラメント軽鎖(NFLC)は、軸索損傷後に細胞外液に放出される神経特異的細胞骨格タンパク質であり、多くの神経変性疾患において重要なバイオマーカーとして認識されている。AAV8-PGK-FXN V2による治療後、変異体マウスは、NFLC神経損傷マーカーのレベルを低下させたことがわかった(図34)。
【0221】
結論
まとめると、これらの結果は、hFXNcoをコードする例示的なAAV8プラスミドのV2が、ヒトPGKプロモーターの制御下で、CNS表現型をレスキューし、フリードライヒ運動失調症の神経特異的マウスモデルにおいてCNS組織におけるフラタキシンの発現を誘発したことを示す。
【0222】
他の実施形態
本明細書において言及される全ての刊行物、特許、及び特許出願は、各々個々の刊行物または特許出願が参照により本明細書に組み込まれることが具体的かつ個別に示される場合と同様に、参照により本明細書に組み込まれる。
【0223】
特定の実施形態に関連して本発明を説明してきたが、本発明は、更なる変更が可能であり、本出願は、一般に、本発明の原理に従った本発明のあらゆる変形、使用、または適合を含むことが意図され、本発明が属する技術分野における既知のまたは慣習的な実施の範囲内であり、かつ本明細書に前述される本質的な特徴に適用され得る本発明からの逸脱を含み、特許請求の範囲に従うものであることが理解される。
【0224】
他の実施形態は、特許請求の範囲内である。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
【配列表】
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【国際調査報告】