(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-20
(54)【発明の名称】化合物、組成物及び方法
(51)【国際特許分類】
C07D 495/14 20060101AFI20240912BHJP
A61K 31/53 20060101ALI20240912BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20240912BHJP
A61P 9/10 20060101ALI20240912BHJP
A61P 11/06 20060101ALI20240912BHJP
A61P 11/04 20060101ALI20240912BHJP
A61P 37/08 20060101ALI20240912BHJP
A61P 3/00 20060101ALI20240912BHJP
A61P 19/06 20060101ALI20240912BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20240912BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20240912BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20240912BHJP
A61P 19/02 20060101ALI20240912BHJP
A61P 9/12 20060101ALI20240912BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20240912BHJP
A61P 37/06 20060101ALI20240912BHJP
A61P 13/12 20060101ALI20240912BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20240912BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20240912BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
C07D495/14 CSP
A61K31/53
A61P25/28
A61P9/10 101
A61P11/06
A61P11/04
A61P37/08
A61P3/00
A61P19/06
A61P1/04
A61P1/16
A61P29/00
A61P29/00 101
A61P19/02
A61P9/12
A61P9/10
A61P25/00
A61P37/06
A61P13/12
A61P11/00
A61P3/10
A61P43/00 123
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024516756
(86)(22)【出願日】2022-09-16
(85)【翻訳文提出日】2024-03-13
(86)【国際出願番号】 US2022043860
(87)【国際公開番号】W WO2023044043
(87)【国際公開日】2023-03-23
(32)【優先日】2021-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524097414
【氏名又は名称】ニコ セラピューティクス, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】クレイグ, ロバート エー. ザ セカンド
(72)【発明者】
【氏名】オシポフ, マクシム
(72)【発明者】
【氏名】トートゥムカラ, アルン
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086CB27
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086NA15
4C086ZA01
4C086ZA02
4C086ZA15
4C086ZA16
4C086ZA36
4C086ZA42
4C086ZA45
4C086ZA51
4C086ZA59
4C086ZA66
4C086ZA75
4C086ZA81
4C086ZA89
4C086ZA96
4C086ZB08
4C086ZB11
4C086ZB13
4C086ZB15
4C086ZC21
4C086ZC31
4C086ZC35
4C086ZC41
(57)【要約】
本開示は、一般に、NLRファミリーピリンドメイン含有3(NLRP3)の小分子モジュレーターまたはその薬学的に許容される塩、同位体濃縮アナログ、立体異性体、立体異性体の混合物もしくはプロドラッグ、その及びその中間体の製造方法、ならびにその使用方法に関する。いくつかの実施形態において、提供されるのは、NLRP3の活性を調節する化合物である。いくつかの実施形態において、化合物は、NLRP3の活性化を阻害する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物:
【化1】
またはその薬学的に許容される塩、同位体濃縮アナログ、立体異性体、立体異性体の混合物、もしくはプロドラッグ(式中、
Aは、NまたはCR
1であり、
Xは、ハロであり、
Yは、OまたはSであり、
Zは、OまたはSであり、
各R
1は、独立して、水素、ハロ、シアノ、-NO
2、-SF
5、C
1-6アルキル、C
2-6アルケニル、C
2-6アルキニル、C
3-10シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、-N(R
11)
2、-OR
11、-C(O)R
11、-C(O)OR
11、-S(O)
0-2R
11、-NR
11S(O)
0-2-R
11、-S(O)
0-2N(R
11)
2、-NR
11S(O)
0-2N(R
11)
2、-NR
11C(O)N(R
11)
2、-C(O)N(R
11)
2、-NR
11C(O)R
11、-OC(O)N(R
11)
2、もしくは-NR
11C(O)OR
11であり、ここで、各C
1-6アルキル、C
2-6アルケニル、C
2-6アルキニル、C
3-10シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、もしくはヘテロアリールは、独立して、1~8個のZ
1で任意選択により置換されるか、
または、2つのR
1は、それらが結合している原子と一緒になって、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、もしくはヘテロアリール環を形成し、ここで、前記シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、もしくはヘテロアリールは、独立して、1~8個のZ
1で任意選択により置換され、
各R
2は、独立して、水素、ハロ、C
2-6アルケニル、C
2-6アルキニル、C
3-10シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、もしくはヘテロアリールであり、ここで、各C
2-6アルケニル、C
2-6アルキニル、C
3-10シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、もしくはヘテロアリールは、独立して、1~8個のZ
1で任意選択により置換されるか、
または、2つのR
2は、それらが結合している原子と一緒になって、シクロアルキルもしくはヘテロシクリルを形成し、ここで、前記シクロアルキルもしくはヘテロシクリルは、1~8個のZ
1で任意選択により置換され、
R
3は、水素、ハロ、シアノ、C
1-6アルキル、C
2-6アルケニル、C
2-6アルキニル、C
1-6ハロアルキル、C
3-10シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、またはヘテロアリールであり、ここで、前記C
1-6アルキル、C
2-6アルケニル、C
2-6アルキニル、C
1-6ハロアルキル、C
3-10シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、またはヘテロアリールは、1~8個のZ
1で任意選択により置換され、
R
4は、水素、C
1-6アルキル、C
2-6アルケニル、C
2-6アルキニル、C
1-6ハロアルキル、C
3-10シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、もしくはヘテロアリールであり、ここで、前記C
1-6アルキル、C
2-6アルケニル、C
2-6アルキニル、C
1-6ハロアルキル、C
3-10シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、もしくはヘテロアリールは、1~8個のZ
1で任意選択により置換され、
R
5は、C
1-6アルキル、C
2-6アルケニル、C
2-6アルキニル、C
1-6ハロアルキル、C
3-10シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、もしくはヘテロアリールであり、ここで、前記C
1-6アルキル、C
2-6アルケニル、C
2-6アルキニル、C
1-6ハロアルキル、C
3-10シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、もしくはヘテロアリールは、1~8個のZ
1で任意選択により置換されるか、
または、R
4及びR
5は、一緒になって、1~8個のZ
1で任意選択により置換されるヘテロシクリル環もしくはヘテロアリール環を形成し、
R
6は、水素、ハロ、シアノ、C
1-6アルキル、C
2-6アルケニル、C
2-6アルキニル、C
1-6ハロアルキル、C
2-6ヘテロアルキル、C
3-10シクロアルキル、もしくはヘテロシクリルであり、ここで、前記C
1-6アルキル、C
2-6アルケニル、C
2-6アルキニル、C
1-6ハロアルキル、C
2-6ヘテロアルキル、C
3-10シクロアルキル、もしくはヘテロシクリルは、1~5個のZ
1bで任意選択により更に置換され得、
R
7は、水素、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、C
1-6アルキル、C
2-6アルケニル、C
2-6アルキニル、C
1-6ハロアルキル、C
2-6ヘテロアルキル、C
3-10シクロアルキル、もしくはヘテロシクリルであり、ここで、前記C
1-6アルキル、C
2-6アルケニル、C
2-6アルキニル、C
1-6ハロアルキル、C
2-6ヘテロアルキル、C
3-10シクロアルキル、もしくはヘテロシクリルは、1~5個のZ
1bで任意選択により更に置換され得るか、
または、R
6及びR
7は、結合して、C
3-10シクロアルキル環もしくはヘテロシクリル環を形成し、ここで、前記C
3-10シクロアルキル環もしくはヘテロシクリル環は、1~5個のZ
1bで任意選択により更に置換され得、
各Z
1は、独立して、ハロ、シアノ、-NO
2、-SF
5、C
1-6アルキル、C
2-6アルケニル、C
2-6アルキニル、C
1-6ハロアルキル、C
3-10シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、-N(R
11)
2、-OR
11、-C(O)R
11、-C(O)OR
11、-S(O)
0-2R
11、-NR
11S(O)
0-2-R
11、-S(O)
0-2N(R
11)
2、-NR
11S(O)
0-2N(R
11)
2、-NR
11C(O)N(R
11)
2、-C(O)N(R
11)
2、-NR
11C(O)R
11、-OC(O)N(R
11)
2、または-NR
11C(O)OR
11であり、ここで、各C
1-6アルキル、C
2-6アルケニル、C
2-6アルキニル、C
1-6ハロアルキル、C
3-10シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、またはヘテロアリールは、独立して、1~5個のZ
1aで任意選択により置換され、
各R
11は、独立して、水素、C
1-6アルキル、C
2-6アルケニル、C
2-6アルキニル、C
1-6ハロアルキル、C
3-10シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、またはヘテロアリールであり、ここで、R
11の各C
1-6アルキル、C
2-6アルケニル、C
2-6アルキニル、C
1-6ハロアルキル、C
3-10シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、またはヘテロアリールは、独立して、1~5個のZ
1aで任意選択により置換され、
各Z
1aは、独立して、ハロ、シアノ、-NO
2、-SF
5、C
1-6アルキル、C
2-6アルケニル、C
2-6アルキニル、C
1-6ハロアルキル、C
3-10シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、-N(R
13)
2、-OR
13、-C(O)R
13、-C(O)OR
13、-S(O)
0-2R
13、-NR
13S(O)
0-2-R
13、-S(O)
0-2N(R
13)
2、-NR
13S(O)
0-2N(R
13)
2、-NR
13C(O)N(R
13)
2、-C(O)N(R
13)
2、-NR
13C(O)R
13、-OC(O)N(R
13)
2、または-NR
13C(O)OR
13であり、ここで、各C
1-6アルキル、C
2-6アルケニル、C
2-6アルキニル、C
1-6ハロアルキル、C
3-10シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、またはヘテロアリールは、独立して、1~5個のZ
1bで任意選択により置換され、
各R
13は、独立して、水素、C
1-6アルキル、C
2-6アルケニル、C
2-6アルキニル、C
1-6ハロアルキル、C
3-10シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、またはヘテロアリールであり、ここで、R
13の各C
1-6アルキル、C
2-6アルケニル、C
2-6アルキニル、C
1-6ハロアルキル、C
3-10シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、またはヘテロアリールは、独立して、1~5個のZ
1bで任意選択により置換され、
各Z
1bは、独立して、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、-SH、-NH
2、-NO
2、-SF
5、C
1-6アルキル、C
2-6アルケニル、C
2-6アルキニル、C
1-6ハロアルキル、C
3-10シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、-L-C
1-6アルキル、-L-C
2-6アルケニル、-L-C
2-6アルキニル、-L-C
1-6ハロアルキル、-L-C
3-10シクロアルキル、-L-ヘテロシクリル、-L-アリール、または-L-ヘテロアリールであり、
各Lは、独立して、-O-、-NH-、-S-、-S(O)-、-S(O)
2-、-N(C
1-6アルキル)-、-N(C
2-6アルケニル)-、-N(C
2-6アルキニル)-、-N(C
1-6ハロアルキル)-、-N(C
3-10シクロアルキル)-、-N(ヘテロシクリル)-、-N(アリール)-、-N(ヘテロアリール)-、-C(O)-、-C(O)O-、-C(O)NH-、-C(O)N(C
1-6アルキル)-、-C(O)N(C
2-6アルケニル)-、-C(O)N(C
2-6アルキニル)-、-C(O)N(C
1-6ハロアルキル)-、-C(O)N(C
3-10シクロアルキル)-、-C(O)N(ヘテロシクリル)-、-C(O)N(アリール)-、-C(O)N(ヘテロアリール)-、-NHC(O)-、-NHC(O)O-、-NHC(O)NH-、-NHS(O)-、または-S(O)
2NH-であり、
ここで、Z
1b及びLの各C
1-6アルキル、C
2-6アルケニル、C
2-6アルキニル、C
1-6ハロアルキル、C
3-10シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、及びヘテロアリールは、独立して、1~5個のハロ、シアノ、ヒドロキシ、-SH、-NH
2、-NO
2、-SF
5、C
1-6アルキル、C
2-6アルケニル、C
2-6アルキニル、C
1-6ハロアルキル、C
1-6アルコキシ、C
1-6ハロアルコキシ、C
3-10シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、またはヘテロアリールで任意選択により更に置換される)。
【請求項2】
YがOである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
ZがOである、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
前記化合物が、式IAによって表される、請求項1に記載の化合物:
【化2】
【請求項5】
Aが、NまたはCHである、先行請求項のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項6】
前記化合物が、式IBによって表される、請求項1に記載の化合物:
【化3】
【請求項7】
前記化合物が、式ICによって表される、請求項1に記載の化合物:
【化4】
【請求項8】
R
3が、水素である、先行請求項のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項9】
R
5が、C
3-10シクロアルキルまたはヘテロアリールであり、ここで、前記C
3-10シクロアルキルまたはヘテロアリールは、独立して、1~5個のZ
1で任意選択により置換される、先行請求項のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項10】
R
5が、シクロブチル、ピリジル、またはピリミジン-2-イルであり、ここで、前記シクロブチル、ピリジル、またはピリミジン-2-イルは、1~5個のZ
1で任意選択により置換される、先行請求項のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項11】
各Z
1が、独立して、ハロまたはシアノである、請求項9または10に記載の化合物。
【請求項12】
R
5が、5-フルオロピリミジン-2-イル、5-シアノ-3-フルオロピリジン-2-イル、ピリミジン-2-イル、または3-ヒドロキシ-3-メチルシクロブチルである、先行請求項のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項13】
R
4及びR
5が、一緒になって、1~8個のZ
1で任意選択により置換されるヘテロシクリル環またはヘテロアリール環を形成する、請求項1~8のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項14】
前記化合物が、式IIによって表される、請求項1に記載の化合物:
【化5】
(式中、環Aは、C
3-10シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、またはヘテロアリールであり、前記C
3-10シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、またはヘテロアリールは、1~8個のZ
1で任意選択により置換される)。
【請求項15】
R
4が、水素またはC
1-6アルキルである、先行請求項のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項16】
R
4が、水素またはメチルである、先行請求項のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項17】
R
4が、水素である、先行請求項のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項18】
R
6が、水素である、先行請求項のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項19】
R
7が、水素である、先行請求項のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項20】
R
6及びR
7が、結合して、C
3-10シクロアルキルを形成する、請求項1~19のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項21】
前記化合物が、式IIIによって表される、請求項14~20のいずれか1項に記載の化合物:
【化6】
【請求項22】
各R
2が、独立して、水素またはハロである、先行請求項のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項23】
Xが、フルオロである、先行請求項のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項24】
Xが、フルオロであり、少なくとも1つのR
2が、水素である、先行請求項のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項25】
Xが、フルオロであり、一方のR
2が、水素であり、他方のR
2が、フルオロである、先行請求項のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項26】
各R
1が、独立して、水素またはハロである、先行請求項のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項27】
各R
1が、水素である、先行請求項のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項28】
環Aが、C
3-10シクロアルキルまたはヘテロアリールであり、ここで、前記C
3-10シクロアルキルまたはヘテロアリールは、独立して、1~5個のZ
1で任意選択により置換される、請求項21~27のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項29】
環Aが、シクロブチル、ピリジル、またはピリミジン-2-イルであり、ここで、前記シクロブチル、ピリジル、またはピリミジン-2-イルは、1~5個のZ
1で任意選択により置換される、請求項28に記載の化合物。
【請求項30】
各Z
1が、独立して、ハロまたはシアノである、請求項28または29に記載の化合物。
【請求項31】
環Aが、5-フルオロピリミジン-2-イル、5-シアノ-3-フルオロピリジン-2-イル、ピリミジン-2-イル、または3-ヒドロキシ-3-メチルシクロブチルである、請求項21~30のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項32】
表1もしくは表2から選択される化合物、またはその薬学的に許容される塩、立体異性体、立体異性体の混合物、もしくはプロドラッグ。
【請求項33】
先行請求項のいずれか1項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩、立体異性体、立体異性体の混合物、もしくはプロドラッグと、薬学的に許容される担体とを含む、医薬組成物。
【請求項34】
少なくとも部分的にはNLRP3によって媒介される疾患または状態を治療するための方法であって、それを必要とする対象に、請求項33に記載の医薬組成物の有効量を投与することを含む、前記方法。
【請求項35】
前記疾患または状態が、アルツハイマー病、アテローム性動脈硬化症、喘息、アレルギー性気道炎症、クリオピリン関連周期性症候群、痛風、炎症性腸疾患及び関連障害、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、高血圧、心筋梗塞、多発性硬化症、実験的自己免疫性脳炎、シュウ酸誘発性腎症、インフルエンザ感染症後の過剰炎症、移植片対宿主病、脳卒中、珪肺症、1型糖尿病、肥満誘導性炎症もしくはインスリン抵抗性、リウマチ様関節炎、骨髄異形成症候群、接触過敏症、チクングニアウイルスによって惹起された関節炎症、または外傷性脳損傷である、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記疾患が、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)または非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)である、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記疾患がアルツハイマー病である、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
少なくとも部分的にはNLRP3によって媒介される疾患または状態を治療するための、請求項1~32のいずれか1項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩、立体異性体、立体異性体の混合物、もしくはプロドラッグの使用。
【請求項39】
前記疾患または状態が、アルツハイマー病、アテローム性動脈硬化症、喘息、アレルギー性気道炎症、クリオピリン関連周期性症候群、痛風、炎症性腸疾患及び関連障害、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、高血圧、心筋梗塞、多発性硬化症、実験的自己免疫性脳炎、シュウ酸誘発性腎症、インフルエンザ感染症後の過剰炎症、移植片対宿主病、脳卒中、珪肺症、1型糖尿病、肥満誘導性炎症もしくはインスリン抵抗性、リウマチ様関節炎、骨髄異形成症候群、接触過敏症、チクングニアウイルスによって惹起された関節炎症、または外傷性脳損傷である、請求項38に記載の使用。
【請求項40】
治療法に使用するための、請求項1~32のいずれか1項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩、立体異性体、立体異性体の混合物、もしくはプロドラッグ。
【請求項41】
アルツハイマー病の治療に使用するための、請求項1~32のいずれか1項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩、立体異性体、立体異性体の混合物、もしくはプロドラッグ。
【請求項42】
神経変性疾患、アルツハイマー病、アテローム性動脈硬化症、喘息、アレルギー性気道炎症、クリオピリン関連周期性症候群、痛風、炎症性腸疾患及び関連障害、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、高血圧、心筋梗塞、多発性硬化症、実験的自己免疫性脳炎、シュウ酸誘発性腎症、インフルエンザ感染症後の過剰炎症、移植片対宿主病、脳卒中、珪肺症、1型糖尿病、肥満誘導性炎症もしくはインスリン抵抗性、リウマチ様関節炎、骨髄異形成症候群、接触過敏症、チクングニアウイルスによって惹起された関節炎症、または外傷性脳損傷を治療するための医薬品の製造のための、請求項1~32のいずれか1項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩、立体異性体、立体異性体の混合物、もしくはプロドラッグの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、米国特許法第119条(e)に基づき、2021年9月17日に出願された米国特許仮出願第63/245,747号の優先権を主張するものであり、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0002】
本開示は、一般に、NLRファミリーピリンドメイン含有3(NLRP3)の小分子モジュレーター及び治療薬としてのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0003】
NLRP3活性化を阻害すると、炎症性疾患の動物モデルにおいて強力な治療効果をもたらすことが示されている。NLRP3のモジュレーター、特に阻害剤は、より良い治療選択肢を必要とするまたは適切な治療法が存在しない自己炎症性疾患及び慢性炎症性疾患において、幅広い治療可能性がある。NLRP3依存性サイトカインを標的とした治療法は、治療用途として既に承認されているが、直接的なNLRP3アンタゴニストと比べて顕著な欠点がある。NLRP3に拮抗する分子の発見及び臨床開発への強い要望が依然として残っている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本明細書で提供されるのは、少なくとも部分的にはNLRP3によって媒介される疾患の治療及び/または予防に有用である、化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体濃縮アナログ、立体異性体、立体異性体の混合物、もしくはプロドラッグである。
【0005】
いくつかの実施形態において、提供されるのは、NLRP3の活性を調節する化合物である。いくつかの実施形態において、化合物は、NLRP3の活性化を阻害する。
【0006】
別の実施形態において、提供されるのは、本明細書に記載される化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体濃縮アナログ、立体異性体、立体異性体の混合物、もしくはプロドラッグと、薬学的に許容される担体とを含む、医薬組成物である。
【0007】
別の実施形態において、提供されるのは、少なくとも部分的にはNLRP3によって媒介される疾患または状態を治療するための方法であって、本明細書に記載される化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体濃縮アナログ、立体異性体、立体異性体の混合物、もしくはプロドラッグを含む、医薬組成物の有効量を投与することを含む、方法である。
【0008】
別の実施形態において、提供されるのは、少なくとも部分的にはTNF-αによって媒介される疾患または状態を治療するための方法であって、本明細書に記載される化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体濃縮アナログ、立体異性体、立体異性体の混合物、もしくはプロドラッグを含む、医薬組成物の有効量を投与することを含む、方法である。いくつかの実施形態において、投与は、抗TNF-α剤による治療に耐性がある対象になされる。いくつかの実施形態において、疾患は、腸の疾患または状態である。いくつかの実施形態において、疾患または状態は、炎症性腸疾患、クローン病、または潰瘍性大腸炎である。
【0009】
本開示はまた、医薬組成物を含む組成物;化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体濃縮アナログ、立体異性体、立体異性体の混合物、もしくはプロドラッグを含むキット;化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体濃縮アナログ、立体異性体、立体異性体の混合物、もしくはプロドラッグ、及びその中間体の使用(または投与)及び製造の方法を提供する。
【0010】
本開示は、更に、少なくとも部分的にはNLRP3によって媒介される疾患、障害、または状態を治療する方法に使用するための、化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体濃縮アナログ、立体異性体、立体異性体の混合物、もしくはプロドラッグ、またはその組成物を提供する。
【0011】
更に、本開示は、少なくとも部分的にはNLRP3によって媒介される疾患、障害、または状態の治療のための医薬品の製造における、化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体濃縮アナログ、立体異性体、立体異性体の混合物、もしくはプロドラッグ、またはその組成物の使用を提供する。
【0012】
本明細書の説明は、本技術の例示的な実施形態を示すものである。ただし、そのような説明は、本開示の範囲を限定することを意図するものではなく、例示的な実施形態の説明として提供されていることを認識されたい。
【発明を実施するための形態】
【0013】
1.定義
本明細書で使用される場合、以下の語、文言及び記号は、それらが使用される文脈で別途示される場合を除き、一般に以下に記載される意味を有することが意図される。
【0014】
2つの文字または記号の間ではないダッシュ(「-」)は、置換基の結合点を示すために使用される。例えば、-C(O)NH2は、炭素原子を介して結合している。化学基の前または後のダッシュは、便宜上のものであり、化学基は、通常の意味を失うことなく、1つ以上のダッシュをつけて、またはダッシュをつけずに表されてもよい。構造内の線を通って描かれた波線または破線は、基の特定の結合点を示す。化学的または構造的に必要な場合を除き、化学基の表記または命名の順序によって、方向性または立体化学が示されたり、暗示されたりすることはない。
【0015】
「Cu-v」という接頭辞は、後に続く基がu~v個の炭素原子を有することを示す。例えば、「C1-6アルキル」は、アルキル基が1~6個の炭素原子を有することを示す。
【0016】
本明細書において、「約」を付した値またはパラメータへの言及は、その値またはパラメータ自体を対象とする実施形態を含む(及び記載する)。ある特定の実施形態において、「約」という用語は、表示量の±10%を含む。他の実施形態において、「約」という用語は、表示量の±5%を含む。ある特定の他の実施形態において、「約」という用語は、表示量の±1%を含む。また、「Xについて」という用語には、「X」の記載が含まれる。また、単数形の「a」及び「the」は、文脈上、特に明確な指示のない限り、複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「化合物」への言及は、複数のそのような化合物を含み、「アッセイ」への言及は、1つ以上のアッセイ及び当業者に知られているその等価物への言及を含む。
【0017】
「アルキル」は、非分岐鎖または分岐鎖の飽和炭化水素鎖を指す。本明細書で使用される場合、アルキルは、1~20個の炭素原子(すなわち、C1-20アルキル)、1~12個の炭素原子(すなわち、C1-12アルキル)、1~8個の炭素原子(すなわち、C1-8アルキル)、1~6個の炭素原子(すなわち、C1-6アルキル)または1~4個の炭素原子(すなわち、C1-4アルキル)を有する。アルキル基の例としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ペンチル、2-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、2-ヘキシル、3-ヘキシル、及び3-メチルペンチルが挙げられる。特定の炭素数を有するアルキル残基が化学名で表記されるか、または分子式によって識別される場合、その炭素数を有する全ての位置異性体が包含され得る。したがって、例えば、「ブチル」は、n-ブチル(すなわち、-(CH2)3CH3)、sec-ブチル(すなわち、-CH(CH3)CH2CH3)、イソブチル(すなわち、-CH2CH(CH3)2)、及びtert-ブチル(すなわち、-C(CH3)3)を含み、「プロピル」は、n-プロピル(すなわち、-(CH2)2CH3)及びイソプロピル(すなわち、-CH(CH3)2)を含む。
【0018】
一般的に使用されている特定の代替化学物質名が使用される場合もある。例えば、二価の「アルキル」基、二価の「アリール」基、二価のヘテロアリール基などの二価基は、それぞれ「アルキレン」基または「アルキレニル」基(例えば、メチレニル、エチレニル、プロピレニル)、「アリーレン」基または「アリレニル」基(例えば、フェニルエニルもしくはナプチルエニル、またはヘテロアリーレンの場合はキノリニル)とも称される。また、明示的に別段の指示がない限り、本明細書において、基の組み合わせが1つの部分として、例えば、アリールアルキルまたはアラルキルと称される場合、最後に言及された基は、その部分が分子の残りの部分に結合する原子を含有する。
【0019】
「アルケニル」は、少なくとも1つ(例えば、1~3、または1つ)の炭素-炭素二重結合を含有し、2~20個の炭素原子(すなわち、C2-20アルケニル)、2~12個の炭素原子(すなわち、C2-12アルケニル)、2~8個の炭素原子(すなわち、C2-8アルケニル)、2~6個の炭素原子(すなわち、C2-6アルケニル)、または2~4個の炭素原子(すなわち、C2-4アルケニル)を有するアルキル基を指す。アルケニル基の例としては、例えば、エテニル、プロペニル、ブタジエニル(1,2-ブタジエニル、及び1,3-ブタジエニルを含む)が挙げられる。
【0020】
「アルキニル」は、少なくとも1つ(例えば、1~3、または1つ)の炭素-炭素三重結合を含有し、2~20個の炭素原子(すなわち、C2-20アルキニル)、2~12個の炭素原子(すなわち、C2-12アルキニル)、2~8個の炭素原子(すなわち、C2-8アルキニル)、2~6個の炭素原子(すなわち、C2-6アルキニル)、または2~4個の炭素原子(すなわち、C2-4アルキニル)を有するアルキル基を指す。「アルキニル」という用語はまた、1つの三重結合及び1つの二重結合を有する基を含む。
【0021】
「アルコキシ」は、「アルキル-O-」基を指す。アルコキシ基の例としては、例えば、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、iso-プロポキシ、n-ブトキシ、tert-ブトキシ、sec-ブトキシ、n-ペントキシ、n-ヘキソキシ、及び1,2-ジメチルブトキシが挙げられる。
【0022】
「アルコキシアルキル」は、「アルキル-O-アルキル」基を指す。
【0023】
「アルキルチオ」は、「アルキル-S-」基を指す。「アルキルスルフィニル」は、「アルキル-S(O)-」基を指す。「アルキルスルホニル」は、「アルキル-S(O)2-」基を指す。「アルキルスルホニルアルキル」は、-アルキル-S(O)2-アルキルを指す。
【0024】
「アシル」は、-C(O)Ry基を指し、式中、Ryは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアルキル、またはヘテロアリールであり、そのそれぞれは、本明細書に定義されるように、任意選択により置換されてもよい。アシルの例としては、例えば、ホルミル、アセチル、シクロヘキシルカルボニル、シクロヘキシルメチル-カルボニル、及びベンゾイルが挙げられる。
【0025】
「アミド」は、-C(O)NRyRz基を指す「C-アミド」基と、-NRyC(O)Rz基を指す「N-アミド」基の両方を指し、式中、Ry及びRzは、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアルキル、またはヘテロアリールであり、そのそれぞれは、本明細書に定義されるように、任意選択により置換されてもよく、または、RyとRzが一緒になって、シクロアルキルもしくはヘテロシクリルを形成し、そのそれぞれは、本明細書に定義されるように、任意選択により置換されてもよい。
【0026】
「アミノ」は、-NRyRz基を指し、式中、Ry及びRzは、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアルキル、またはヘテロアリールであり、そのそれぞれは、本明細書に定義されるように、任意選択により置換されてもよい。
【0027】
「アミジノ」は、-C(NRy)(NRz
2)を指し、式中、Ry及びRzは、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアルキル、またはヘテロアリールであり、そのそれぞれは、本明細書に定義されるように、任意選択により置換されてもよい。
【0028】
「アリール」は、単環(例えば、単環式)または縮合系を含む多環(例えば、二環式または三環式)を有する芳香族炭素環基を指す。本明細書で使用される場合、アリールは、6~20個の環炭素原子(すなわち、C6-20アリール)、6~12個の炭素環原子(すなわち、C6-12アリール)、または6~10個の炭素環原子(すなわち、C6-10アリール)を有する。アリール基の例としては、例えば、フェニル、ナフチル、フルオレニル、及びアンスリルが挙げられる。しかしながら、アリールは、以下に定義されるヘテロアリールをいかなるものも包含せず、重複しない。1つ以上のアリール基とヘテロアリールが縮合した場合、得られる環系は、結合点にかかわらず、ヘテロアリールである。1つ以上のアリール基とヘテロシクリルが縮合した場合、得られる環系は、結合点にかかわらず、ヘテロシクリルである。1つ以上のアリール基とシクロアルキルが縮合した場合、得られる環系は、結合点にかかわらず、シクロアルキルである。
【0029】
「アリールアルキル」または「アラルキル」は、「アリール-アルキル-」基を指す。
【0030】
「カルバモイル」は、-O-C(O)NRyRz基を指す「O-カルバモイル」基と、-NRyC(O)ORz基を指す「N-カルバモイル」基の両方を指し、式中、Ry及びRzは、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアルキル、またはヘテロアリールであり、そのそれぞれは、本明細書に定義されるように、任意選択により置換されてもよい。
【0031】
「カルボキシルエステル」または「エステル」は、-OC(O)Rxと-C(O)ORxの両方を指し、式中、Rxは、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアルキル、またはヘテロアリールであり、そのそれぞれは、本明細書に定義されるように、任意選択により置換されてもよい。
【0032】
「シクロアルキル」は、単環、または縮合、架橋及びスピロ環系を含む多環を有する飽和または部分不飽和の環状アルキル基を指す。「シクロアルキル」という用語は、シクロアルケニル基(すなわち、少なくとも1つの二重結合を有する環状基)及び少なくとも1つのsp3炭素原子(すなわち、少なくとも1つの非芳香族環)を有する炭素環式縮合環系を含む。本明細書で使用される場合、シクロアルキルは、3~20個の環炭素原子(すなわち、C3-20シクロアルキル)、3~14個の環炭素原子(すなわち、C3-12シクロアルキル)、3~12個の環炭素原子(すなわち、C3-12シクロアルキル)、3~10個の環炭素原子(すなわち、C3-10シクロアルキル)、3~8個の環炭素原子(すなわち、C3-8シクロアルキル)、または3~6個の環炭素原子(すなわち、C3-6シクロアルキル)を有する。単環式基は、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、及びシクロオクチルを含む。多環式基は、例えば、ビシクロ[2.2.1]ヘプタニル、ビシクロ[2.2.2]オクタニル、アダマンチル、ノルボルニル、デカリニル、7,7-ジメチル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタニルなどを含む。更に、シクロアルキルという用語は、分子の残りの部分への結合に関係なく、アリール環に縮合し得る任意の非芳香族環を包含することが意図される。なお更に、シクロアルキルは、同一炭素原子上に2つの置換位置がある場合、「スピロシクロアルキル」、例えば、スピロ[2.5]オクタニル、スピロ[4.5]デカニル、またはスピロ[5.5]ウンデカニルを含む。
【0033】
「シクロアルキルアルキル」は、「シクロアルキル-アルキル-」基を指す。
【0034】
「イミノ」は、-C(NRy)Rz基を指し、式中、Ry及びRzは、それぞれ独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアルキル、またはヘテロアリールであり、そのそれぞれは、本明細書に定義されるように、任意選択により置換されてもよい。
【0035】
「イミド」は、-C(O)NRyC(O)Rz基を指し、式中、Ry及びRzは、それぞれ独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアルキル、またはヘテロアリールであり、そのそれぞれは、本明細書に定義されるように、任意選択により置換されてもよい。
【0036】
「ハロゲン」または「ハロ」は、フルオロ、クロロ、ブロモ、またはヨードなどの周期表第VIIA族に属する原子を指す。
【0037】
「ハロアルキル」は、上に定義される非分岐鎖または分岐鎖のアルキル基であって、1つ以上(例えば、1~6または1~3)の水素原子がハロゲンで置き換えられているものを指す。例えば、残基が1を超えるハロゲンで置換されている場合、それは、結合しているハロゲン部分の数に対応する接頭辞を使用することによって称され得る。ジハロアルキル及びトリハロアルキルは、2つ(「ジ」)または3つ(「トリ」)のハロ基で置換されたアルキルを指し、ハロ基は、同じハロゲンであり得るが、必ずしもそうである必要はない。ハロアルキルの例としては、例えば、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、フルオロメチル、トリクロロメチル、2,2,2-トリフルオロエチル、1,2-ジフルオロエチル、3-ブロモ-2-フルオロプロピル、1,2-ジブロモエチルなどが挙げられる。
【0038】
「ハロアルコキシ」は、上に定義されるアルコキシ基であって、1つ以上(例えば、1~6または1~3)の水素原子がハロゲンで置き換えられているものを指す。
【0039】
「ハロアルコキシアルキル」は、上に定義されるアルコキシアルキル基であって、1つ以上(例えば、1~6または1~3)の水素原子がハロゲンで置き換えられているものを指す。
【0040】
「ヒドロキシアルキル」は、上に定義されるアルキル基であって、1つ以上(例えば、1~6または1~3)の水素原子がヒドロキシ基で置き換えられているものを指す。
【0041】
「ヘテロアルキル」は、任意の末端炭素原子(複数可)を除く1つ以上の炭素原子(及び任意の結合水素原子)が、それぞれ独立して、同一または異なるヘテロ原子基で置き換えられており、ただし、分子の残りの部分への結合点は、炭素原子を介している、アルキル基を指す。「ヘテロアルキル」という用語は、炭素原子及びヘテロ原子を有する非分岐状または分岐状の飽和鎖を含む。例として、1、2、または3個の炭素原子が、独立して、同一または異なるヘテロ原子基で置き換えられていてもよい。ヘテロ原子基には、-NRy-、-O-、-S-、-S(O)-、-S(O)2-などが含まれるが、これらに限定されず、式中、Ryは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアルキル、またはヘテロアリールであり、そのそれぞれは、本明細書に定義されるように、任意選択により置換されてもよい。ヘテロアルキル基の例としては、例えば、エーテル(例えば、-CH2OCH3、-CH(CH3)OCH3、-CH2CH2OCH3、-CH2CH2OCH2CH2OCH3など)、チオエーテル(例えば、-CH2SCH3、-CH(CH3)SCH3、-CH2CH2SCH3、-CH2CH2SCH2CH2SCH3など)、スルホン(例えば、-CH2S(O)2CH3、-CH(CH3)S(O)2CH3、-CH2CH2S(O)2CH3、-CH2CH2S(O)2CH2CH2OCH3など)、及びアミン(例えば、-CH2NRyCH3、-CH(CH3)NRyCH3、-CH2CH2NRyCH3、-CH2CH2NRyCH2CH2NRyCH3など(式中、Ryは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアルキル、またはヘテロアリールであり、そのそれぞれは、本明細書に定義されるように、任意選択により置換され得る))が挙げられる。本明細書で使用される場合、ヘテロアルキルは、2~10個の炭素原子、2~8個の炭素原子、または2~4個のヘテロ原子;及び1~3個のヘテロ原子、1~2個のヘテロ原子、または1個のヘテロ原子を含む。
【0042】
「ヘテロアリール」は、窒素、酸素、及び硫黄から独立して選択される1つ以上の環ヘテロ原子を含む、単環、多環または複数の縮合環を有する芳香族基を指す。本明細書で使用される場合、ヘテロアリールは、1~20個の環炭素原子(すなわち、C1-20ヘテロアリール)、3~12個の環炭素原子(すなわち、C3-12ヘテロアリール)、または3~8個の環炭素原子(すなわち、C3-8ヘテロアリール)と、窒素、酸素、及び硫黄から独立して選択される1~5個の環ヘテロ原子、1~4個の環ヘテロ原子、1~3個の環ヘテロ原子、1~2個の環ヘテロ原子、または1個の環ヘテロ原子とを含む。ある特定の場合には、ヘテロアリールは、5~10員環系、5~7員環系、または5~6員環系を含み、それぞれ独立して、窒素、酸素、及び硫黄から独立して選択される1~4個の環ヘテロ原子、1~3個の環ヘテロ原子、1~2個の環ヘテロ原子、または1個の環ヘテロ原子を有する。ヘテロアリール基の例としては、例えば、アクリジニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾインドリル、ベンゾフラニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾナフトフラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチエニル(ベンゾチオフェニル)、ベンゾトリアゾリル、ベンゾ[4,6]イミダゾ[1,2-a]ピリジル、カルバゾリル、シンノリニル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチオフェニル、フラニル、イソチアゾリル、イミダゾリル、インダゾリル、インドリル、インダゾリル、イソインドリル、イソキノリル、イソオキサゾリル、ナフチリジニル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、1-オキシドピリジニル、1-オキシドピリミジニル、1-オキシドピラジニル、1-オキシドピリダジニル、フェナジニル、フタラジニル、プテリジニル、プリニル、ピロリル、ピラゾリル、ピリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、キノリニル、キヌクリジニル、イソキノリニル、チアゾリル、チアジアゾリル、チオフェニル(すなわち、チエニル)トリアゾリル、テトラゾリル、及びトリアジニルが挙げられる。縮合ヘテロアリール環の例としては、ベンゾ[d]チアゾリル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾ[b]チオフェニル、インダゾリル、ベンゾ[d]イミダゾリル、ピラゾロ[1,5-a]ピリジニル、及びイミダゾ[1,5-a]ピリジニルが挙げられるが、これらに限定されない。ここで、ヘテロアリールは、縮合系のいずれかの環を介して結合され得る。少なくとも1つのヘテロ原子を含有する単一または複数の縮合環を有する任意の芳香環は、分子の残りの部分への結合(すなわち、縮合環のいずれか1つを介する)に関係なく、ヘテロアリールとみなされる。ヘテロアリールは、上に定義されるアリールを包含せず、重複しない。1つの単環のみを有するヘテロアリールは、「モノヘテロアリール」とも称される。縮合環を有するヘテロアリールは、「縮合ヘテロアリール」とも称される。
【0043】
「ヘテロアリールアルキル」は、「ヘテロアリール-アルキル-」基を指す。
【0044】
「ヘテロシクリル」は、窒素、酸素、及び硫黄から独立して選択される1つ以上の環ヘテロ原子を含む、飽和または部分不飽和の環状アルキル基を指す。「ヘテロシクリル」という用語は、ヘテロシクロアルケニル基(すなわち、少なくとも1つの二重結合を有するヘテロシクリル基)、架橋ヘテロシクリル基、縮合ヘテロシクリル基、及びスピロヘテロシクリル基を含む。ヘテロシクリルは、単環または多環であり得、ここで、多環は、縮合、架橋、またはスピロであってよく、1つ以上(例えば、1~3)のオキソ(=O)またはN-オキシド(-O-)部分を含み得る。少なくとも1つのヘテロ原子を含有する任意の非芳香族環は、結合に関係なく、ヘテロシクリルとみなされる(すなわち、炭素原子またはヘテロ原子を介して結合することができる)。更に、ヘテロシクリルという用語は、分子の残りの部分への結合に関係なく、シクロアルキル、アリール環、またはヘテロアリール環に縮合し得る少なくとも1つのヘテロ原子を含有する任意の非芳香族環を包含することが意図される。本明細書で使用される場合、ヘテロシクリルは、窒素、硫黄、または酸素から独立して選択される1~5個の環ヘテロ原子、1~4個の環ヘテロ原子、1~3個の環ヘテロ原子、1~2個の環ヘテロ原子、または1個の環ヘテロ原子を有する、2~20個の環炭素原子(すなわち、C2-20ヘテロシクリル)、2~12個の環炭素原子(すなわち、C2-12ヘテロシクリル)、2~10個の環炭素原子(すなわち、C2-10ヘテロシクリル)、2~8個の環炭素原子(すなわち、C2-8ヘテロシクリル)、3~12個の環炭素原子(すなわち、C3-12ヘテロシクリル)、3~8個の環炭素原子(すなわち、C3-8ヘテロシクリル)、または3~6個の環炭素原子(すなわち、C3-6ヘテロシクリル)を有する。ヘテロシクリル基の例としては、例えば、アゼチジニル、アゼピニル、ベンゾジオキソリル、ベンゾ[b][1,4]ジオキセピニル、1,4-ベンゾジオキサニル、ベンゾピラニル、ベンゾジオキシニル、ベンゾピラノニル、ベンゾフラノニル、ジオキサラニル、ジヒドロピラニル、ヒドロピラニル、チエニル[1,3]ジチアニル、デカヒドロイソキノリル、フラノニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、インドリニル、インドリジニル、イソインドリニル、イソチアゾリジニル、イソキサゾリジニル、モルホリニル、オクタヒドロインドリル、オクタヒドロイソインドリル、2-オキソピペラジニル、2-オキソピペリジニル、2-オキソピロリジニル、オキサゾリジニル、オキシラニル、オキセタニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、4-ピペリドニル、ピロリジニル、ピラゾリジニル、キヌクリジニル、チアゾリジニル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロピラニル、トリチアニル、テトラヒドロキノリニル、チオモルホリニル、チアモルホリニル、1-オキソ-チオモルホリニル、及び1,1-ジオキソ-チオモルホリニル.が挙げられる。「ヘテロシクリル」という用語は、同一炭素原子上に2つの置換位置がある「スピロヘテロシクリル」も含む。スピロヘテロシクリル環の例としては、例えば、オキサビシクロ[2.2.2]オクタニル、2-オキサ-7-アザスピロ[3.5]ノナニル、2-オキサ-6-アザスピロ[3.4]オクタニル、及び6-オキサ-1-アザスピロ[3.3]ヘプタニルなどの二環式及び三環式環系が挙げられる。縮合ヘテロシクリル環の例としては、1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリニル、4,5,6,7-テトラヒドロチエノ[2,3-c]ピリジニル、インドリニル、及びイソインドリニルが挙げられるが、これらに限定されない。ここで、ヘテロシクリルは、縮合系のいずれかの環を介して結合され得る。
【0045】
「ヘテロシクリルアルキル」は、「ヘテロシクリル-アルキル-」基を指す。
【0046】
「オキシム」は、-CRy(=NOH)基を指し、式中、Ryは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアルキル、またはヘテロアリールであり、そのそれぞれは、本明細書に定義されるように、任意選択により置換されてもよい。
【0047】
「スルホニル」は、-S(O)2Ry基を指し、式中、Ryは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアルキル、またはヘテロアリールであり、そのそれぞれは、本明細書に定義されるように、任意選択により置換されてもよい。スルホニルの例は、メチルスルホニル、エチルスルホニル、フェニルスルホニル、及びトルエンスルホニルである。
【0048】
「スルフィニル」は、-S(O)Ry基を指し、式中、Ryは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアルキル、またはヘテロアリールであり、そのそれぞれは、本明細書に定義されるように、任意選択により置換されてもよい。スルフィニルの例は、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、フェニルスルフィニル、及びトルエンスルフィニルである。
【0049】
「スルホンアミド」は、-SO2NRyRz基及び-NRySO2Rz基を指し、式中、Ry及びRzは、それぞれ独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアルキル、またはヘテロアリールであり、そのそれぞれは、本明細書に定義されるように、任意選択により置換されてもよい。
【0050】
「任意選択の」または「任意選択により」とは、後述される事象または状態が生じても生じなくてもよいこと、また、その記述が、当該事象または状況が生じる場合及び生じない場合を含むことを意味する。また、「任意選択により置換される」という用語は、指定される原子上または基上の任意の1つ以上(例えば、1~5または1~3)の水素原子が水素以外の部分によって置き換えられていても置き換えられていなくてもよいことを指す。
【0051】
本明細書で使用される「置換される」という用語は、少なくとも1つ(例えば、1~5または1~3)の水素原子が、限定するものではないが、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アシル、アミド、アミノ、アミジノ、アリール、アラルキル、アジド、カルバモイル、カルボキシル、カルボキシルエステル、シアノ、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、グアナジノ、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヒドロキシアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、-NHNH2、=NNH2、イミノ、イミド、ヒドロキシ、オキソ、オキシム、ニトロ、スルホニル、スルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルスルフィニル、チオシアナート、-S(O)OH、-S(O)2OH、スルホンアミド、チオール、チオキソ、N-オキシド、または-Si(Ry)3(式中、各Ryは、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、またはヘテロシクリルである)などの非水素原子への結合によって置き換えられている、上記の基(すなわち、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキレン、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、及び/またはヘテロアルキル)のいずれかを意味する。
【0052】
ある特定の実施形態において、「置換される」は、1つ以上(例えば、1~5または1~3)の水素原子が、独立して、重水素、ハロ、シアノ、ニトロ、アジド、オキソ、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、-NRgRh、-NRgC(O)Rh、-NRgC(O)NRgRh、-NRgC(O)ORh、-NRgS(O)1-2Rh、-C(O)Rg、-C(O)ORg、-OC(O)ORg、-OC(O)Rg、-C(O)NRgRh、-OC(O)NRgRh、-ORg、-SRg、-S(O)Rg、-S(O)2Rg、-OS(O)1-2Rg、-S(O)1-2ORg、-NRgS(O)1-2NRgRh、=NSO2Rg、=NORg、-S(O)1-2NRgRh、-SF5、-SCF3、または-OCF3で置き換えられている、上記のアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、またはヘテロアリール基のいずれかを含む。ある特定の実施形態において、「置換された」はまた、1つ以上(例えば、1~5または1~3)の水素原子が、-C(O)Rg、-C(O)ORg、-C(O)NRgRh、-CH2SO2Rg、または-CH2SO2NRgRhで置き換えられている、上記の基のいずれかを意味する。前述において、Rg及びRhは、同じであるか、異なっており、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、チオアルキル、アリール、アラルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ハロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、及び/またはヘテロアリールアルキルである。ある特定の実施形態において、「置換された」はまた、1つ以上(例えば、1~5または1~3)の水素原子が、アミノ、シアノ、ヒドロキシ、イミノ、ニトロ、オキソ、チオキソ、ハロ、アルキル,アルコキシ、アルキルアミノ、チオアルキル、アリール、アラルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ハロアルキル、ヘテロシクリル、N-ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、及び/またはヘテロアリールアルキルへの結合によって置き換えられているか、あるいは、Rg及びRh及びRiのうちの2つが、それらが結合している原子と一緒になって、オキソ、ハロ、もしくはオキソ、ハロ、アミノ、ヒドロキシもしくはアルコキシで任意選択により置換されたアルキルで任意選択により置換されたヘテロシクリル環を形成する、上記の基のいずれかを意味する。
【0053】
更なる置換基が際限なく付加された置換基(例えば、置換アリールが置換アルキルを有し、その置換アルキル自体が置換アリール基で置換され、その置換アリール基が更に置換ヘテロアルキル基で置換されているなど)を定義することによって到達される高分子または類似の無限の構造は、本明細書中に含まれることを意図していない。特に記載のない限り、本明細書に記載される化合物の一連の置換の最大数は、3である。例えば、2つの他の置換アリール基で置換されたアリール基の一連の置換は、((置換アリール)置換アリール)置換アリールに限定される。同様に、上の定義は、許容されない置換パターン(例えば、5個のフルオロで置換されたメチル、または2つの隣接する酸素環原子を有するヘテロアリール基)を含むことを意図していない。そのような許容されない置換パターンは、当業者によく知られている。化学基を修飾するために使用される場合、「置換される」という用語は、本明細書に定義される他の化学基を記述し得る。
【0054】
ある特定の実施形態において、本明細書で使用される場合、「1つ以上」という文言は、1~5を指す。ある特定の実施形態において、本明細書で使用される場合、「1つ以上」という文言は、1~3を指す。
【0055】
本明細書で与えられる任意の化合物または構造はまた、その化合物の非標識形態及び同位体標識形態を表すことが意図される。化合物のこれらの形態は、「同位体濃縮アナログ」とも称され得る。同位体標識化合物は、1つ以上の原子が、選択された原子の質量または質量数を有する原子によって置き換えられていることを除き、本明細書で表される構造を有する。本開示の化合物に組み込むことができる同位体の例としては、水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素、塩素、及びヨウ素の同位体、例えば、それぞれ、2H、3H、11C、13C、14C、13N、15N、15O、17O、18O、31P、32P、35S、18F、36Cl、123I、及び125Iが挙げられる。本開示の様々な同位体標識化合物は、例えば、3H及び14Cなどの放射性同位体が組み込まれたものである。そのような同位体標識化合物は、代謝研究、反応速度論研究、薬物もしくは基質の組織分布アッセイを含む陽電子放射断層撮影(PET)もしくは単一光子放射コンピュータ断層撮影(SPECT)などの検出またはイメージング技術、または患者の放射線治療において有用であり得る。
【0056】
「同位体濃縮アナログ」という用語は、炭素原子上の水素などの1つ以上の水素が重水素によって置き換えられている、本明細書に記載される化合物の「重水素化アナログ」を含む。そのような化合物は、哺乳動物、特にヒトに投与した場合、代謝への耐性が増加するため、任意の化合物の半減期を延長するのに有用である。例えば、Foster,“Deuterium Isotope Effects in Studies of Drug Metabolism,” Trends Pharmacol.Sci.5(12):524-527(1984)を参照されたい。そのような化合物は、当該技術分野においてよく知られている手段、例えば、1つ以上の水素が重水素によって置き換えられた出発材料を採用することによって、合成される。
【0057】
本開示の重水素標識されたまたは置換された治療用化合物は、分布、代謝、及び排泄(ADME)に関連するDMPK(薬物代謝及び薬物動態)の特性が改善し得る。重水素などのより重い同位体での置換は、代謝安定性の向上、例えば、in vivo半減期の増加、必要投与量の減少、及び/または治療指数の改善から生じる、いくつかの治療上の利点をもたらし得る。PETもしくはSPECTまたは他のイメージング研究には、18F、3H、11C標識化合物が有用であり得る。本開示の同位体標識化合物及びそのプロドラッグは、一般に、以下に記載されるスキームまたは実施例及び調製方法に開示される手順を実施し、非同位体標識試薬を容易に入手可能な同位体標識試薬に置き換えることによって、調製され得る。この文脈において、重水素は、本明細書に記載される化合物の置換基とみなされることが理解される。
【0058】
そのような重同位体、特に重水素の濃度は、同位体濃縮係数によって定義され得る。本開示の化合物において、特定の同位体が具体的に指定されていない任意の原子は、その原子の任意の安定同位体を表すことを意味する。特に指示のない限り、位置が「H」または「水素」と具体的に指定されている場合、その位置は、水素をその天然存在度の同位体組成で有することが理解される。したがって、本開示の化合物において、重水素(D)と具体的に指定される任意の原子は、重水素を表すことを意味する。
【0059】
多くの場合、本開示の化合物は、アミノ基及び/またはカルボキシル基もしくはそれに類似する基の存在により、酸性塩及び/または塩基性塩を形成することができる。
【0060】
また、本明細書に記載される化合物の薬学的に許容される塩、同位体濃縮アナログ、重水素化アナログ、立体異性体、立体異性体の混合物、及びプロドラッグも提供される。「薬学的に許容される」または「生理学的に許容される」は、動物またはヒトの医薬用途に適した医薬組成物の調製に有用な化合物、塩、組成物、剤形、及び他の材料を指す。
【0061】
所与の化合物の「薬学的に許容される塩」という用語は、所与の化合物の生物学的効果及び特性を保持し、かつ生物学的またはその他の点で望ましくないものではない塩を指す。「薬学的に許容される塩」または「生理学的に許容される塩」には、例えば、無機酸との塩、及び有機酸との塩が含まれる。加えて、本明細書に記載される化合物が酸付加塩として得られる場合、その酸性塩の溶液を塩基化することによって遊離塩基を得ることができる。反対に、生成物が遊離塩基である場合、付加塩、特に薬学的に許容される付加塩は、塩基性化合物から酸付加塩を調製する従来の手順に従って、遊離塩基を適切な有機溶媒に溶解し、その溶液を酸で処理することによって、生成することができる。当業者であれば、薬学的に許容される非毒性の付加塩を調製するために使用され得る様々な合成方法を認識するであろう。薬学的に許容される酸付加塩は、無機酸または有機酸から調製され得る。無機酸から誘導される塩には、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などが含まれる。有機酸から誘導される塩には、例えば、酢酸、プロピオン酸、グルコン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、リンゴ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエン-スルホン酸、サリチル酸などが含まれる。同様に、薬学的に許容される塩基付加塩は、無機塩基または有機塩基から調製することができる。無機塩基から誘導される塩には、例示にすぎないが、ナトリウム、カリウム、リチウム、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、及びマグネシウムの塩が含まれる。有機塩基から誘導される塩には、アルキルアミン(すなわち、NH2(アルキル))、ジアルキルアミン(すなわち、HN(アルキル)2)、トリアルキルアミン(すなわち、N(アルキル)3)、置換アルキルアミン(すなわち、NH2(置換アルキル))、ジ(置換アルキル)アミン(すなわち、HN(置換アルキル)2)、トリ(置換アルキル)アミン(すなわち、N(置換アルキル)3)、アルケニルアミン(すなわち、NH2(アルケニル))、ジアルケニルアミン(すなわち、HN(アルケニル)2)、トリアルケニルアミン(すなわち、N(アルケニル)3)、置換アルケニルアミン(すなわち、NH2(置換アルケニル))、ジ(置換アルケニル)アミン(すなわち、HN(置換アルケニル)2)、トリ(置換アルケニル)アミン(すなわち、N(置換アルケニル)3、モノ、ジもしくはトリシクロアルキルアミン(すなわち、NH2(シクロアルキル)、HN(シクロアルキル)2、N(シクロアルキル)3)、モノ、ジ、もしくはトリアリールアミン(すなわち、NH2(アリール)、HN(アリール)2、N(アリール)3)、または混合アミンなどの一級、二級、及び三級アミンの塩が含まれるが、これらに限定されない。好適なアミンの具体例としては、例示にすぎないが、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリ(イソプロピル)アミン、トリ(n-プロピル)アミン、エタノールアミン、2-ジメチルアミンエタノール、ピペラジン、ピペリジン、モルホリン、N-エチルピペリジンなどが挙げられる。
【0062】
一部の化合物は、互変異性体として存在する。互変異性体は、互いに平衡状態にある。例えば、アミド含有化合物は、イミド酸の互変異性体と平衡状態で存在し得る。どの互変異性体が示されるかに関係なく、また、互変異性体間の平衡の性質に関係なく、化合物は、アミド互変異性体とイミド酸互変異性体の両方を含むことが当業者に理解される。したがって、アミド含有化合物は、そのイミド酸互変異性体を含むことが理解される。同様に、イミド酸含有化合物は、そのアミド互変異性体を含むことが理解される。
【0063】
本明細書に記載される化合物、またはその薬学的に許容される塩は、不斉中心を含み、そのため、絶対立体化学の観点から、(R)-もしくは(S)-、またはアミノ酸の場合は(D)-もしくは(L)-と定義され得るエナンチオマー、ジアステレオマー、及び他の立体異性体を生じ得る。本開示は、そのような全ての可能な異性体、ならびにそれらのラセミ体及び光学的に純粋な形態を含むことを意味する。光学的に活性である(+)及び(-)、(R)-及び(S)-、または(D)-及び(L)-異性体は、キラルシントンまたはキラル試薬を使用して調製することができ、あるいは、従来技術、例えば、クロマトグラフィー及び/または分別晶析を使用して分割することもできる。個々のエナンチオマーを調製/単離するための従来技術は、好適な光学的に純粋な前駆体からのキラル合成、または例えば、キラル高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を使用するラセミ体(または塩もしくは誘導体のラセミ体)の分割を含む。本明細書に記載される化合物がオレフィン二重結合または他の幾何学的不斉中心を含有する場合、特に明記しない限り、化合物は、E幾何異性体とZ幾何異性体の両方を含むことが意図される。
【0064】
「立体異性体」は、同じ結合によって結合された同じ原子からなるが、互換性はない、異なる三次元構造を有する化合物を指す。本開示は、様々な立体異性体、またはその混合物を企図し、分子を互いに重ね合わせることができない鏡像である2つの立体異性体を指す「エナンチオマー」を含む。
【0065】
「ジアステレオマー」は、少なくとも2つの不斉原子を有するが、互いに鏡像ではない立体異性体である。
【0066】
本明細書で表される化合物の相対中心は、「太い結合」スタイル(太線または平行線)を使用して図式的に示され、絶対立体化学は、くさび形結合(太線または平行線)を使用して表される。
【0067】
「プロドラッグ」は、かかるプロドラッグが哺乳動物対象に投与されたとき、本明細書に記載される構造による活性親薬物をin vivoで放出する任意の化合物を意味する。本明細書に記載される化合物のプロドラッグは、本明細書に記載される化合物に存在する官能基を修飾することによって調製され、その修飾は、in vivoで切断され、親化合物を放出することができるようなものである。プロドラッグは、慣用的な操作またはin vivoのいずれかで、修飾が切断されて親化合物になるように化合物中に存在する官能基を修飾することによって、調製することができる。プロドラッグは、本明細書に記載される化合物中のヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシル基、またはスルフヒドリル基が、それぞれ遊離のヒドロキシ基、アミノ基、またはスルフヒドリル基を再生するようにin vivoで切断され得る任意の基に結合している、本明細書に記載される化合物を含む。プロドラッグの例としては、本明細書に記載される化合物のヒドロキシ官能基のエステル(例えば、酢酸、ギ酸、及び安息香酸誘導体)、アミド、グアニジン、カルバメート(例えば、N,N-ジメチルアミノカルボニル)などが挙げられるが、これらに限定されない。プロドラッグの調製、選択、及び使用は、T.Higuchi and V.Stella,“Pro-drugs as Novel Delivery Systems,” Vol.14 of the A.C.S.Symposium Series;“Design of Prodrugs,” ed.H.Bundgaard,Elsevier,1985;及びBioreversible Carriers in Drug Design,ed.Edward B.Roche,American Pharmaceutical Association and Pergamon Press,1987に記述されており、そのそれぞれは、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0068】
「ハロゲン化」とは、化合物にハロゲンを導入する任意の化学反応を指す。ハロゲン化は、化合物に1つまたは複数のハロゲン原子を導入するために使用され得る。2つ以上のハロゲン原子は、同じハロゲン原子であってもよいし、異なるハロゲン原子であってもよい。ハロゲン化には、モノハロゲン化(化合物の単一の炭素原子に1つのハロゲン原子を導入する)、ジハロゲン化(化合物の単一の炭素原子に2つのハロゲン原子を導入する)、及びトリハロゲン化反応(化合物の単一の炭素原子に3つのハロゲン原子を導入する)が含まれる。更に、ハロゲン化には、化合物の異なる炭素原子にハロゲン原子を導入することが含まれる。
【0069】
ハロゲン化には、フッ素化(フッ素原子の導入)、塩素化(塩素原子の導入)、臭素化(臭素原子の導入)、及びヨウ素化(ヨウ素原子の導入)の反応が含まれる。ハロゲン化反応には、化合物から任意の原子または原子基を脱離させることなく、化合物にハロゲン原子を付加する付加反応が含まれる(例えば、ハロゲン原子が不飽和結合に付加される場合)。また、ハロゲン化反応には、化合物の原子または化合物の原子基(例えば、脱離基)をハロゲン原子に置き換える置換反応が含まれる。更に、ハロゲン化反応には、ハロゲン原子を有する前駆体分子が化合物と縮合して副生成物分子(例えば、水、アルコールなど)を形成し、それにより、ハロゲン原子が化合物の骨格に組み込まれ、化合物の断片が副生成物分子の一部として残る、縮合反応も含まれる。ハロゲン化反応は、ハロゲン化試薬単独または他の好適な試薬の存在下で実施され得る。
【0070】
「ハロゲン化試薬」とは、ハロゲン化反応において、化合物に1つ以上のハロゲン原子を導入するために使用される化学試薬を指す。ハロゲン化試薬には、フッ素化試薬(フッ素原子の導入に使用)、塩素化試薬(塩素原子の導入に使用)、臭素化試薬(臭素原子の導入に使用)、及びヨウ素化試薬(ヨウ素原子の導入に使用)が含まれる。
【0071】
2.化合物
本明細書で提供されるのは、NLRP3のモジュレーターである化合物である。ある特定の実施形態において、提供されるのは、式Iの化合物:
【化1】
またはその薬学的に許容される塩、同位体濃縮アナログ、立体異性体、立体異性体の混合物、もしくはプロドラッグであり、式中、
Aは、NまたはCR
1であり、
Xは、ハロであり、
Yは、OまたはSであり、
Zは、OまたはSであり、
各R
1は、独立して、水素、ハロ、シアノ、-NO
2、-SF
5、C
1-6アルキル、C
2-6アルケニル、C
2-6アルキニル、C
3-10シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、-N(R
11)
2、-OR
11、-C(O)R
11、-C(O)OR
11、-S(O)
0-2R
11、-NR
11S(O)
0-2-R
11、-S(O)
0-2N(R
11)
2、-NR
11S(O)
0-2N(R
11)
2、-NR
11C(O)N(R
11)
2、-C(O)N(R
11)
2、-NR
11C(O)R
11、-OC(O)N(R
11)
2、もしくは-NR
11C(O)OR
11であり、ここで、各C
1-6アルキル、C
2-6アルケニル、C
2-6アルキニル、C
3-10シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、もしくはヘテロアリールは、独立して、1~8個のZ
1で任意選択により置換されるか、
または、2つのR
1は、それらが結合している原子と一緒になって、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、もしくはヘテロアリール環を形成し、ここで、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、もしくはヘテロアリールは、独立して、1~8個のZ
1で任意選択により置換され、
各R
2は、独立して、水素、ハロ、C
2-6アルケニル、C
2-6アルキニル、C
3-10シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、もしくはヘテロアリールであり、ここで、各C
2-6アルケニル、C
2-6アルキニル、C
3-10シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、もしくはヘテロアリールは、独立して、1~8個のZ
1で任意選択により置換されるか、
または、2つのR
2は、それらが結合している原子と一緒になって、シクロアルキルもしくはヘテロシクリルを形成し、ここで、シクロアルキルもしくはヘテロシクリルは、1~8個のZ
1で任意選択により置換され、
R
3は、水素、ハロ、シアノ、C
1-6アルキル、C
2-6アルケニル、C
2-6アルキニル、C
1-6ハロアルキル、C
3-10シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、またはヘテロアリールであり、ここで、C
1-6アルキル、C
2-6アルケニル、C
2-6アルキニル、C
1-6ハロアルキル、C
3-10シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、またはヘテロアリールは、1~8個のZ
1で任意選択により置換され、
R
4は、水素、C
1-6アルキル、C
2-6アルケニル、C
2-6アルキニル、C
1-6ハロアルキル、C
3-10シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、もしくはヘテロアリールであり、ここで、C
1-6アルキル、C
2-6アルケニル、C
2-6アルキニル、C
1-6ハロアルキル、C
3-10シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、もしくはヘテロアリールは、1~8個のZ
1で任意選択により置換され、
R
5は、C
1-6アルキル、C
2-6アルケニル、C
2-6アルキニル、C
1-6ハロアルキル、C
3-10シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、もしくはヘテロアリールであり、ここで、C
1-6アルキル、C
2-6アルケニル、C
2-6アルキニル、C
1-6ハロアルキル、C
3-10シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、もしくはヘテロアリールは、1~8個のZ
1で任意選択により置換されるか、
または、R
4及びR
5は、一緒になって、1~8個のZ
1で任意選択により置換されるヘテロシクリル環もしくはヘテロアリール環を形成し、
R
6は、水素、ハロ、シアノ、C
1-6アルキル、C
2-6アルケニル、C
2-6アルキニル、C
1-6ハロアルキル、C
2-6ヘテロアルキル、C
3-10シクロアルキル、もしくはヘテロシクリルであり、ここで、C
1-6アルキル、C
2-6アルケニル、C
2-6アルキニル、C
1-6ハロアルキル、C
2-6ヘテロアルキル、C
3-10シクロアルキル、もしくはヘテロシクリルは、1~5個のZ
1bで任意選択により更に置換され得、
R
7は、水素、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、C
1-6アルキル、C
2-6アルケニル、C
2-6アルキニル、C
1-6ハロアルキル、C
2-6ヘテロアルキル、C
3-10シクロアルキル、もしくはヘテロシクリルであり、ここで、C
1-6アルキル、C
2-6アルケニル、C
2-6アルキニル、C
1-6ハロアルキル、C
2-6ヘテロアルキル、C
3-10シクロアルキル、もしくはヘテロシクリルは、1~5個のZ
1bで任意選択により更に置換され得るか、
または、R
6及びR
7は、結合して、C
3-10シクロアルキル環もしくはヘテロシクリル環を形成し、ここで、C
3-10シクロアルキル環もしくはヘテロシクリル環は、1~5個のZ
1bで任意選択により更に置換され得、
各Z
1は、独立して、ハロ、シアノ、-NO
2、-SF
5、C
1-6アルキル、C
2-6アルケニル、C
2-6アルキニル、C
1-6ハロアルキル、C
3-10シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、-N(R
11)
2、-OR
11、-C(O)R
11、-C(O)OR
11、-S(O)
0-2R
11、-NR
11S(O)
0-2-R
11、-S(O)
0-2N(R
11)
2、-NR
11S(O)
0-2N(R
11)
2、-NR
11C(O)N(R
11)
2、-C(O)N(R
11)
2、-NR
11C(O)R
11、-OC(O)N(R
11)
2、または-NR
11C(O)OR
11であり、ここで、各C
1-6アルキル、C
2-6アルケニル、C
2-6アルキニル、C
1-6ハロアルキル、C
3-10シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、またはヘテロアリールは、独立して、1~5個のZ
1aで任意選択により置換され、
各R
11は、独立して、水素、C
1-6アルキル、C
2-6アルケニル、C
2-6アルキニル、C
1-6ハロアルキル、C
3-10シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、またはヘテロアリールであり、ここで、R
11の各C
1-6アルキル、C
2-6アルケニル、C
2-6アルキニル、C
1-6ハロアルキル、C
3-10シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、またはヘテロアリールは、独立して、1~5個のZ
1aで任意選択により置換され、
各Z
1aは、独立して、ハロ、シアノ、-NO
2、-SF
5、C
1-6アルキル、C
2-6アルケニル、C
2-6アルキニル、C
1-6ハロアルキル、C
3-10シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、-N(R
13)
2、-OR
13、-C(O)R
13、-C(O)OR
13、-S(O)
0-2R
13、-NR
13S(O)
0-2-R
13、-S(O)
0-2N(R
13)
2、-NR
13S(O)
0-2N(R
13)
2、-NR
13C(O)N(R
13)
2、-C(O)N(R
13)
2、-NR
13C(O)R
13、-OC(O)N(R
13)
2、または-NR
13C(O)OR
13であり、ここで、各C
1-6アルキル、C
2-6アルケニル、C
2-6アルキニル、C
1-6ハロアルキル、C
3-10シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、またはヘテロアリールは、独立して、1~5個のZ
1bで任意選択により置換され、
各R
13は、独立して、水素、C
1-6アルキル、C
2-6アルケニル、C
2-6アルキニル、C
1-6ハロアルキル、C
3-10シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、またはヘテロアリールであり、ここで、R
13の各C
1-6アルキル、C
2-6アルケニル、C
2-6アルキニル、C
1-6ハロアルキル、C
3-10シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、またはヘテロアリールは、独立して、1~5個のZ
1bで任意選択により置換され、
各Z
1bは、独立して、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、-SH、-NH
2、-NO
2、-SF
5、C
1-6アルキル、C
2-6アルケニル、C
2-6アルキニル、C
1-6ハロアルキル、C
3-10シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、-L-C
1-6アルキル、-L-C
2-6アルケニル、-L-C
2-6アルキニル、-L-C
1-6ハロアルキル、-L-C
3-10シクロアルキル、-L-ヘテロシクリル、-L-アリール、または-L-ヘテロアリールであり、
各Lは、独立して、-O-、-NH-、-S-、-S(O)-、-S(O)
2-、-N(C
1-6アルキル)-、-N(C
2-6アルケニル)-、-N(C
2-6アルキニル)-、-N(C
1-6ハロアルキル)-、-N(C
3-10シクロアルキル)-、-N(ヘテロシクリル)-、-N(アリール)-、-N(ヘテロアリール)-、-C(O)-、-C(O)O-、-C(O)NH-、-C(O)N(C
1-6アルキル)-、-C(O)N(C
2-6アルケニル)-、-C(O)N(C
2-6アルキニル)-、-C(O)N(C
1-6ハロアルキル)-、-C(O)N(C
3-10シクロアルキル)-、-C(O)N(ヘテロシクリル)-、-C(O)N(アリール)-、-C(O)N(ヘテロアリール)-、-NHC(O)-、-NHC(O)O-、-NHC(O)NH-、-NHS(O)-、または-S(O)
2NH-であり、
ここで、Z
1b及びLの各C
1-6アルキル、C
2-6アルケニル、C
2-6アルキニル、C
1-6ハロアルキル、C
3-10シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、及びヘテロアリールは、独立して、1~5個のハロ、シアノ、ヒドロキシ、-SH、-NH
2、-NO
2、-SF
5、C
1-6アルキル、C
2-6アルケニル、C
2-6アルキニル、C
1-6ハロアルキル、C
1-6アルコキシ、C
1-6ハロアルコキシ、C
3-10シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、またはヘテロアリールで任意選択により更に置換される。
【0072】
ある特定の実施形態において、各R1は、独立して、水素、ハロ、シアノ、-NO2、-SF5、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C3-10シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、-N(R11)2、-OR11、-C(O)R11、-C(O)OR11、-S(O)0-2R11、-NR11S(O)0-2-R11、-S(O)0-2N(R11)2、-NR11S(O)0-2N(R11)2、-NR11C(O)N(R11)2、-C(O)N(R11)2、-NR11C(O)R11、-OC(O)N(R11)2、または-NR11C(O)OR11であり、ここで、各C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C3-10シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、またはヘテロアリールは、独立して、1~8個のZ1で任意選択により置換される。
【0073】
ある特定の実施形態において、Yは、Oである。
【0074】
ある特定の実施形態において、Zは、Oである。
【0075】
ある特定の実施形態において、各R2は、独立して、水素、ハロ、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C3-10シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、またはヘテロアリールであり、ここで、各C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C3-10シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、またはヘテロアリールは、独立して、1~8個のZ1で任意選択により置換される。
【0076】
ある特定の実施形態において、各R2は、水素である。ある特定の実施形態において、一方のR2は、水素であり、他方のR2は、ハロである。一実施形態において、ハロは、フルオロである。一実施形態において、ハロは、クロロである。ある特定の実施形態において、各R2は、ハロである。
【0077】
ある特定の実施形態において、-C(X)(R2)(R2)基は、-CHF2または-CH2Fである。
【0078】
ある特定の実施形態において、-C(X)(R2)(R2)基は、-CHCl2または-CH2Clである。
【0079】
ある特定の実施形態において、2つのR2は、それらが結合している原子と一緒になって、シクロアルキルもしくはヘテロシクリルを形成し、ここで、シクロアルキルもしくはヘテロシクリルは、1~8個のZ1で任意選択により置換される。
【0080】
ある特定の実施形態において、R3は、水素、ハロ、またはシアノである。
【0081】
ある特定の実施形態において、R4は、水素である。
【0082】
ある特定の実施形態において、R5は、C3-10シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、またはヘテロアリールであり、ここで、C3-10シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、またはヘテロアリールは、1~8個のZ1で任意選択により置換される。
【0083】
ある特定の実施形態において、R5は、シクロブチル、ピリジル、またはピリミジン-2-イルであり、ここで、シクロブチル、ピリジル、またはピリミジン-2-イルは、1~5個のZ1で任意選択により置換される。
【0084】
ある特定の実施形態において、各Z1は、独立して、ハロまたはシアノである。
【0085】
ある特定の実施形態において、R
5は、
【化2】
であり、ここで、
【化3】
は、式Iの化合物の残りの部分への結合点を表す。
【0086】
ある特定の実施形態において、R4及びR5は、一緒になって、1~8個のZ1で任意選択により置換されるヘテロシクリル環またはヘテロアリール環を形成する。
【0087】
ある特定の実施形態において、R4及びR5は、3,4-ジヒドロキノリン-1(2H)-イルを形成する。
【0088】
ある特定の実施形態において、化合物は、式IAによって表される:
【化4】
【0089】
ある特定の実施形態において、Aは、NまたはCHである。
【0090】
ある特定の実施形態において、化合物は、式IBによって表される:
【化5】
【0091】
ある特定の実施形態において、化合物は、式ICによって表される:
【化6】
【0092】
ある特定の実施形態において、R3は、水素である。
【0093】
ある特定の実施形態において、R5は、C3-10シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、またはヘテロアリールであり、ここで、C3-10シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、またはヘテロアリールは、1~5個のZ1で任意選択により置換される。
【0094】
ある特定の実施形態において、R5は、シクロブチル、ピリジル、またはピリミジン-2-イルであり、ここで、シクロブチル、ピリジル、またはピリミジン-2-イルは、1~5個のZ1で任意選択により置換される。
【0095】
ある特定の実施形態において、各Z1は、独立して、ハロまたはシアノである。
【0096】
ある特定の実施形態において、R5は、5-フルオロピリミジン-2-イル、5-シアノ-3-フルオロピリジン-2-イル、ピリミジン-2-イル、または3-ヒドロキシ-3-メチルシクロブチルである。
【0097】
ある特定の実施形態において、R4及びR5は、一緒になって、1~8個のZ1で任意選択により置換されるヘテロシクリル環またはヘテロアリール環を形成する。
【0098】
ある特定の実施形態において、化合物は、式II:
【化7】
によって表され、環Aは、C
3-10シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、またはヘテロアリールであり、C
3-10シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、またはヘテロアリールは、1~8個のZ
1で任意選択により置換される。
【0099】
ある特定の実施形態において、R4は、水素またはC1-6アルキルである。
【0100】
ある特定の実施形態において、R4は、水素またはメチルである。
【0101】
ある特定の実施形態において、R4は、水素である。
【0102】
ある特定の実施形態において、R6は、水素である。
【0103】
ある特定の実施形態において、R7は、水素である。
【0104】
ある特定の実施形態において、R6及びR7は、結合して、C3-10シクロアルキルを形成する。
【0105】
ある特定の実施形態において、化合物は、式IIIによって表される:
【化8】
【0106】
ある特定の実施形態において、各R2は、独立して、水素またはハロである。
【0107】
ある特定の実施形態において、Xは、フルオロである。
【0108】
ある特定の実施形態において、Xは、フルオロであり、少なくとも1つのR2は、水素である。
【0109】
ある特定の実施形態において、Xは、フルオロであり、一方のR2は、水素であり、他方のR2は、フルオロである。
【0110】
ある特定の実施形態において、各R1は、独立して、水素またはハロである。
【0111】
ある特定の実施形態において、各R1は、水素である。
【0112】
ある特定の実施形態において、環Aは、C3-10シクロアルキルまたはヘテロアリールであり、C3-10シクロアルキルまたはヘテロアリールは、独立して、1~5個のZ1で任意選択により置換される。
【0113】
ある特定の実施形態において、環Aは、シクロブチル、ピリジル、またはピリミジン-2-イルであり、ここで、シクロブチル、ピリジル、またはピリミジン-2-イルは、1~5個のZ1で任意選択により置換される。
【0114】
ある特定の実施形態において、各Z1は、独立して、ハロまたはシアノである。
【0115】
ある特定の実施形態において、環Aは、5-フルオロピリミジン-2-イル、5-シアノ-3-フルオロピリジン-2-イル、ピリミジン-2-イル、または3-ヒドロキシ-3-メチルシクロブチルである。
【0116】
ある特定の実施形態において、提供されるのは、表1から選択される化合物、またはその薬学的に許容される塩、立体異性体、立体異性体の混合物、もしくはプロドラッグである。
【表1】
【0117】
ある特定の実施形態において、提供されるのは、表2から選択される化合物、またはその薬学的に許容される塩、立体異性体、立体異性体の混合物、もしくはプロドラッグである。
【表2】
【0118】
3.方法
「治療」または「治療すること」は、臨床結果を含む有益または望ましい結果を得るためのアプローチである。有益または望ましい臨床結果は、次のうちの1つ以上を含み得る:a)疾患または状態の抑制(例えば、疾患もしくは状態から生じる1つ以上の症状の軽減、及び/または疾患もしくは状態の程度の低減);b)疾患または状態に関連する1つ以上の臨床症状の発現の緩徐化または阻止(例えば、疾患もしくは状態の安定化、疾患もしくは状態の悪化もしくは進行の防止もしくは遅延、及び/または疾患もしくは状態の拡大(例えば、移転)の防止もしくは遅延);及び/またはc)疾患の緩和、すなわち、臨床症状の退行の発生(例えば、疾患状態の改善、疾患もしくは状態の部分的もしくは全体的寛解の提供、別の薬剤の効果の増強、疾患の進行の遅延、生活の質の向上、及び/または生存期間の延長。
【0119】
「予防」または「予防すること」は、疾患または状態の臨床症状を発現させないようにする疾患または状態の任意の治療を意味する。化合物は、いくつかの実施形態において、疾患または状態のリスクがあるまたは家族歴がある対象(ヒトを含む)に投与され得る。
【0120】
「対象」は、治療、観察または実験の対象となったまたは対象となる哺乳動物(ヒトを含む)などの動物を指す。本明細書に記載される方法は、ヒトの治療法及び/または獣医学的用途に有用であり得る。いくつかの実施形態において、対象は、哺乳動物である。ある特定の実施形態において、対象は、ヒトである。
【0121】
本明細書に記載される化合物またはその薬学的に許容される塩、同位体濃縮アナログ、立体異性体、立体異性体の混合物、もしくはプロドラッグの「治療上有効な量」または「有効量」という用語は、対象に投与されたときに、症状の緩和または疾患進行の遅延などの治療上の利益を提供する治療を効果的に行うのに十分な量を意味する。例えば、治療上有効な量は、本明細書に記載される疾患または状態の症状を減少させるのに十分な量であり得る。治療上有効な量は、対象、ならびに治療される疾患または状態、対象の体重及び年齢、疾患または状態の重症度、ならびに投与様式に応じて変わり得、当業者であれば容易に決定することができる。
【0122】
本明細書に記載される方法は、in vivoまたはex vivoで細胞集団に適用され得る。「in vivo」は、動物またはヒトの内部のように、生きている個体の内部にあることを意味する。この文脈において、本明細書に記載される方法は、個体に治療的に使用され得る。「ex vivo」は、生きている個体の外部にあることを意味する。ex vivoの細胞集団の例としては、in vitro細胞培養物及び個体から得られた体液または組織試料を含む生体試料が挙げられる。そのような試料は、当該技術分野においてよく知られている方法によって得ることができる。例示的な生体液試料には、血液、脳脊髄液、尿、及び唾液が含まれる。この文脈において、本明細書に記載される化合物及び組成物は、治療目的及び実験目的を含む、様々な目的に使用され得る。例えば、本明細書に記載される化合物及び組成物は、所定の適応症、細胞型、個体、及び他のパラメータに対して、本開示の化合物の最適な投与スケジュール及び/または投与量を決定するために、ex vivoで使用され得る。そのような使用から得られた情報は、in vivo治療におけるプロトコルを設定するために、実験目的または臨床で使用され得る。本明細書に記載される化合物及び組成物が好適であり得る他のex vivoでの使用は、以下に記載され、または、当業者には明らかであろう。化合物は、ヒトまたは非ヒト対象における安全性または耐性用量を試験するために、更に特性評価がなされ得る。そのような特性は、当業者に一般的に知られている方法を使用して試験され得る。
【0123】
ある特定の実施形態において、NLRファミリーピリンドメイン含有3(NLRP3)の活性を調節する、化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体濃縮アナログ、立体異性体、立体異性体の混合物、もしくはプロドラッグが提供される。ある特定の実施形態において、本明細書で提供される化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体濃縮アナログ、立体異性体、立体異性体の混合物、もしくはプロドラッグは、NLRP3の活性を阻害する。
【0124】
NLRタンパク質は、免疫系に関与し、損傷、毒素、または微生物による侵入に対する免疫系の応答を開始し、調節するのに役立つ。NLRP3(クリオピリン、NALP3、LRR及びPYDドメイン含有タンパク質3としても知られる)は、NLRP3遺伝子(CIAS1としても知られる)によってコードされるタンパク質である。活性化されると、NLRP3分子は、他のタンパク質とともに、インフラマソームへと組み立てられる。細胞ストレスによるNLRP3の活性化は、インフラマソームの活性化及び下流のタンパク質分解イベントを引き起こし、これには、インターロイキン(IL)-1β及びIL-18などの活性炎症促進性サイトカインの形成、それに続く、分泌が含まれる。他のサイトカインのなかでも、IL-1β及びIL‐18は、炎症、例えば、動脈壁の炎症、アテローム性動脈硬化症及び老化プロセスのメディエーターとして知られている。
【0125】
ある特定の実施形態において、提供されるのは、本明細書で開示される化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体濃縮アナログ、立体異性体、立体異性体の混合物、もしくはプロドラッグの有効量と細胞を接触させることを含む、インフラマソーム(例えば、NLRP3インフラマソーム)活性を阻害する方法である。阻害は、in vitroまたはin vivoであり得る。
【0126】
ある特定の実施形態において、提供されるのは、インフラマソーム(例えば、NLRP3インフラマソーム)活性の阻害(例えば、in vitroまたはin vivo)に使用するための、本明細書で開示される化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体濃縮アナログ、立体異性体、立体異性体の混合物、もしくはプロドラッグである。
【0127】
ある特定の実施形態において、提供されるのは、アルツハイマー病を治療する際に使用するための、本明細書で開示される化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体濃縮アナログ、立体異性体、立体異性体の混合物、もしくはプロドラッグである。
【0128】
ある特定の実施形態において、提供されるのは、治療法で使用するための、本明細書で開示される化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体濃縮アナログ、立体異性体、立体異性体の混合物、もしくはプロドラッグである。
【0129】
ある特定の実施形態において、本開示は、インフラマソーム(例えば、NLRP3インフラマソーム)活性を阻害する(例えば、in vitroまたはin vivo)医薬品の製造における、本明細書で開示される化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体濃縮アナログ、立体異性体、立体異性体の混合物、もしくはプロドラッグの使用を提供する。
【0130】
ある特定の実施形態において、本開示は、治療における、本明細書で開示される化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体濃縮アナログ、立体異性体、立体異性体の混合物、もしくはプロドラッグの使用を提供する。
【0131】
ある特定の実施形態において、本開示は、少なくとも部分的にはNLRP3によって媒介される疾患または状態を治療するための、本明細書で開示される化合物、またはその薬学的に許容される塩、立体異性体、立体異性体の混合物、もしくはプロドラッグの使用を提供する。
【0132】
ある特定の実施形態において、本開示は、神経変性疾患、アルツハイマー病、アテローム性動脈硬化症、喘息、アレルギー性気道炎症、クリオピリン関連周期性症候群、痛風、炎症性腸疾患及び関連障害、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、高血圧、心筋梗塞、多発性硬化症、実験的自己免疫性脳炎、シュウ酸誘発性腎症、インフルエンザ感染症後の過剰炎症、移植片対宿主病、脳卒中、珪肺症、1型糖尿病、肥満誘導性炎症もしくはインスリン抵抗性、リウマチ様関節炎、骨髄異形成症候群、接触過敏症、チクングニアウイルスによって惹起された関節炎症、または外傷性脳損傷を治療するための医薬品の製造のための、本明細書で開示される化合物、またはその薬学的に許容される塩、立体異性体、立体異性体の混合物、もしくはプロドラッグの使用を提供する。
【0133】
慢性的な炎症反応は、様々な種類のがんと関連している。悪性化時またはがん療法時に、インフラマソームは、特定のシグナルに反応して活性化することがあり、様々ながん(例えば、乳癌、前立腺癌、結腸癌、肺癌、頭頸部癌、黒色腫など)においてはIL-Ιβ発現が上昇し、IL-Ιβを産生する腫瘍のある患者は一般に予後が悪い。
【0134】
ある特定の実施形態において、少なくとも部分的にはNLRP3によって媒介される疾患または状態を治療するための方法であって、それを必要とする対象に、本明細書で開示される化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体濃縮アナログ、立体異性体、立体異性体の混合物、もしくはプロドラッグの有効量を投与することを含む、方法である。
【0135】
ある特定の実施形態において、提供されるのは、自己炎症性障害、自己免疫障害、神経変性疾患またはがんから選択される疾患または状態を治療するための方法であって、それを必要とする対象に、本明細書で開示される化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体濃縮アナログ、立体異性体、立体異性体の混合物、もしくはプロドラッグの治療上有効な量を投与することを含む、方法である。
【0136】
ある特定の実施形態において、提供されるのは、自己炎症性障害、自己免疫障害、神経変性疾患またはがんを治療することを、それを必要とする対象に行う際に使用するための、本明細書で開示される化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体濃縮アナログ、立体異性体、立体異性体の混合物、もしくはプロドラッグである。
【0137】
ある特定の実施形態において、本開示は、自己炎症性障害、自己免疫障害、神経変性疾患またはがんを治療または予防することを、それを必要とする対象に行うための医薬品の製造における、本明細書で開示される化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体濃縮アナログ、立体異性体、立体異性体の混合物、もしくはプロドラッグの使用を提供する。
【0138】
ある特定の実施形態において、提供されるのは、炎症、自己免疫疾患、がん、感染症、中枢神経系疾患、代謝疾患、心血管疾患、呼吸器疾患、肝臓疾患、腎臓疾患、眼疾患、皮膚疾患、リンパ系の状態、精神障害、移植片対宿主病、アロディニア、及び個体がNLRP3における生殖細胞系列もしくは体細胞系列の非サイレント突然変異を有することが決定された任意の疾患を治療するための方法であって、それを必要とする対象に、本明細書で開示される化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体濃縮アナログ、立体異性体、立体異性体の混合物、もしくはプロドラッグの治療上有効な量を投与することを含む、方法である。
【0139】
ある特定の実施形態において、疾患または状態は、免疫系、心臓血管系、内分泌系、消化管、腎臓系、肝臓系、代謝系、呼吸器系、中枢神経系の疾患もしく状態であり得、がんもしくは他の悪性腫瘍であり得、及び/または病原体に起因するものもしくは関連するものであり得る。疾患、障害及び状態の広範な分類に従って定義されたこれらの一般的な実施形態は、相互に排他的ではないことが理解される。
【0140】
ある特定の実施形態において、疾患または状態は、炎症性障害、例えば、自己炎症性疾患の結果として生じる炎症、非炎症性障害の症状として生じる炎症、感染の結果として生じる炎症、または外傷、損傷もしくは自己免疫に続発する炎症を含む炎症;急性播種性脳炎、アジソン病、強直性脊椎炎、抗リン脂質抗体症候群(APS)、抗合成酵素症候群、再生不良性貧血、自己免疫性副腎炎、自己免疫性肝炎、自己免疫性卵巣炎、自己免疫性多腺性内分泌不全、自己免疫性甲状腺炎、セリアック病、クローン病、1型糖尿病(T1D)、グッドパスチャー症候群、グレーヴス病、ギランバレー症候群(GBS)、橋本病、特発性血小板減少性紫斑、川崎病、全身性エリテマトーデス(SLE)を含むエリテマトーデス、一次性進行型多発性硬化症(PPMS)、二次性進行型多発性硬化症(SPMS)及び再発寛解型多発性硬化症(RRMS)を含む多発性硬化症(MS)、重症筋無力症、オプソクローヌス・ミオクローヌス症候群(OMS)、視神経炎、オード甲状腺炎、天疱瘡、悪性貧血、多発性関節炎、原発性胆汁性肝硬変、リウマチ様関節炎(RA)、乾癬性関節炎、若年性特発性関節炎またはスティル病、難治性痛風関節炎、ライター症候群、シェーグレン症候群、全身性結合組織障害である全身性硬化症、高安動脈炎、側頭動脈炎、温式自己免疫性溶血性貧血、ウェゲナー肉芽腫症、全身性脱毛症、ベーチェット病、シャーガス病、自律神経障害、子宮内膜症、化膿性汗腺炎(HS)、間質性膀胱炎、神経性筋強直症、乾癬、サルコイドーシス、強皮症、潰瘍性大腸炎、シュニッツラー症候群、マクロファージ活性化症候群、ブラウ症候群、白斑または外陰痛などの自己免疫疾患;肺癌、膵臓癌、胃癌、骨髄異形成症候群、急性リンパ性白血病(ALL)及び急性骨髄性白血病(AML)を含む白血病、副腎癌、肛門癌、基底扁平上皮癌、胆管癌、膀胱癌、骨癌、脳脊髄腫瘍、乳癌、子宮頸癌、慢性リンパ性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、大腸癌、子宮内膜癌、食道癌、ユーイングファミリー腫瘍、眼癌、胆嚢癌、消化管カルチノイド腫瘍、消化管間質腫瘍(GIST)、妊娠性絨毛疾患、神経膠腫、ホジキンリンパ腫、カポジ肉腫、腎臓癌、喉頭及び下咽頭癌、肝臓癌、肺カルチノイド腫瘍、皮膚T細胞リンパ腫を含むリンパ腫、悪性中皮腫、メラノーマ皮膚癌、メルケル細胞皮膚癌、多発性骨髄腫、鼻腔及び副鼻腔癌、鼻咽頭癌、神経芽腫、非ホジキンリンパ腫、非小細胞肺癌、口腔及び口咽頭癌、骨肉腫、卵巣癌、陰茎癌、下垂体腫瘍、前立腺癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、唾液腺癌、皮膚癌、小細胞肺癌、小腸癌、軟部肉腫、胃癌、精巣癌、胸腺癌、未分化甲状腺癌を含む甲状腺癌、子宮肉腫、膣癌、外陰癌、ワルデンストームマクログロブリン血症及びウィルムス腫瘍を含む癌;ウイルス感染症(例えば、インフルエンザウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、αウイルス(チクングニア熱及びロスリバーウイルスなど)、フラビウイルス(デングウイルス及びジカウイルスなど)、ヘルペスウイルス(エプスタインバーウイルス、サイトメガロウイルス、水痘・帯状疱疹ウイルス、及びKSHVなど)、ポックスウイルス(ワクシニアウイルス(改変ワクシニアウイルスアンカラなど)及び粘液腫ウイルス)、アデノウイルス(アデノウイルス5など)、またはパピローマウイルスによるもの)、細菌感染症(例えば、Staphylococcus aureus、Helicobacter pylori、Bacillusanthracis、Bordatella pertussis、Burkholderia pseudomallei、Corynebacterium diptheriae、Clostridium tetani、Clostridium botulinum、Streptococcus pneumoniae、Streptococcus pyogenes、Listeria monocytogenes、Hemophilus influenzae、Pasteurella multicida、Shigella dysenteriae、Mycobacterium tuberculosis、Mycobacterium leprae、Mycoplasma pneumoniae、Mycoplasma hominis、Neisseria meningitidis、Neisseria gonorrhoeae、Rickettsia rickettsii、Legionella pneumophila、Klebsiella pneumoniae、Pseudomonas aeruginosa、Propionibacterium acnes、Treponema pallidum、Chlamydia trachomatis、Vibrio cholerae、Salmonella typhimurium、Salmonella typhi、Borrelia burgdorferiまたはYersinia pestisによるもの)、真菌感染症(例えば、カンジダまたはアスペルギルス種によるもの)、原虫感染症(例えば、Plasmodium、Babesia、Giardia、Entamoeba、LeishmaniaまたはTrypanosomesによるもの)、蠕虫感染症(例えば、住血吸虫、線虫、条虫または吸虫によるもの)及びプリオン感染症を含む感染症;パーキンソン病,アルツハイマー病、認知症、運動ニューロン疾患、ハンチントン病、脳性マラリア、肺炎球菌髄膜炎による脳損傷、頭蓋内動脈瘤、外傷性脳損傷、及び筋萎縮性側索硬化症などの中枢神経系疾患;2型糖尿病(T2D)、アテローム性動脈硬化症、肥満症、痛風、及び偽痛風などの代謝系疾患;高血圧、虚血、MI後虚血再灌流障害を含む再灌流障害、虚血性脳卒中を含む脳卒中、一過性脳虚血発作、再発性心筋梗塞を含む心筋梗塞、鬱血性心不全及び駆出率の保たれた心不全を含む心不全、塞栓症、腹部大動脈瘤を含む動脈瘤、及びドレスラー症候群を含む心膜炎などの心臓血管疾患;慢性閉塞性肺疾患(COPD)、アレルギー性喘息及びステロイド抵抗性喘息などの喘息、アスベスト症、珪肺症、ナノ粒子誘発性炎症、嚢胞性線維症及び特発性肺線維症を含む呼吸器疾患;非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)及び非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)(進行線維化ステージF3及びF4を含む);アルコール性脂肪性肝疾患(AFLD)、及びアルコール性脂肪性肝炎(ASH)を含む肝臓疾患;慢性腎臓病、シュウ酸腎症、腎石灰化症、糸球体腎炎、及び糖尿病性腎症を含む腎臓疾患;眼球上皮、加齢黄斑変性(AMD)(ドライ及びウェット)、ぶどう膜炎、角膜感染症、糖尿病網膜症、視神経障害、ドライアイ、緑内障を含む眼科疾患;接触皮膚炎及びアトピー性皮膚炎などの皮膚炎、接触過敏症、日焼け、皮膚病変、化膿性汗腺炎(HS)、他の嚢胞性皮膚疾患、及び集簇性座瘡などの皮膚疾患;リンパ管炎及びキャッスルマン病などのリンパ系の状態;鬱病及び精神的ストレスなどの精神障害;移植片対宿主病;機械的アロディニアを含むアロディニア;ならびに個体がNLRP3における生殖細胞系列もしくは体細胞系列の非サイレント突然変異を有することが決定された任意の疾患を含む。
【0141】
ある特定の実施形態において、疾患、障害または状態は、クリオピリン関連周期性症候群(CAPS)、マックルウェルズ症候群(MWS)、家族性寒冷自己炎症性症候群(FCAS)、家族性地中海熱(FMF)、新生児発症多臓器炎症性疾患(NOMID)、腫瘍壊死因子(TNF)受容体関連周期性症候群(TRAPS)、高免疫グロブリンD血症・周期性熱症候群(HIDS)、インターロイキン1受容体アンタゴニスト欠損症(DIRA)、Majeed症候群、化膿性関節炎・壊疽性膿皮症・アクネ症候群(PAPA)、成人スティル病(AOSD)、A20ハプロ不全症(HA20)、小児肉芽腫性動脈炎(PGA)、PLCG2関連抗体欠損・免疫異常症(PLAID)、PLCG2関連自己炎症・抗体欠損・免疫異常症(APLAID)、または鉄芽球性貧血・B細胞免疫不全、周期性発熱・発達遅滞(SIFD)などの自己炎症性疾患である。
【0142】
ある特定の実施形態において、提供されるのは、クリオピリン関連周期性症候群(CAPS;例えば、家族性寒冷自己炎症性症候群(FCAS))、マックルウェルズ症候群(MWS)、慢性乳児神経皮膚関節(CINCA)症候群、新生児発症多臓器炎症性疾患(NOMID)、家族性地中海熱及び非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、痛風、リウマチ様関節炎、変形性関節症、クローン病、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、慢性腎臓病(CKD)、線維症、肥満症、2型糖尿病、及び多発性硬化症ならびにタンパク質のミスフォールディング疾患で生じる神経炎症(例えば、プリオン病)から選択される自己炎症性障害及び/または自己免疫障害から選択される疾患または状態を治療するための方法であって、それを必要とする対象に、本明細書で開示される化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体濃縮アナログ、立体異性体、立体異性体の混合物、もしくはプロドラッグの治療上有効な量を投与することを含む、方法である。
【0143】
ある特定の実施形態において、提供されるのは、クリオピリン関連周期性症候群(CAPS)、マックルウェルズ症候群(MWS)、家族性寒冷自己炎症性症候群(FCAS)、新生児発症多臓器炎症性疾患(NOMID)、家族性地中海熱(FMF)、化膿性関節炎・壊疽性膿皮症・アクネ症候群(PAPA)、高免疫グロブリンD血症・周期性熱症候群(HIDS)、腫瘍壊死因子(TNF)、受容体関連周期性症候群(TRAPS)、全身型若年性特発性関節炎、成人スティル病(AOSD)、再発性多発軟骨炎、シュニッツラー症候群、スウィート症候群、ベーチェット病、抗合成酵素症候群、インターロイキン1受容体アンタゴニスト欠損症(DIRA)、及びA20ハプロ不全症(HA20)から選択される疾患または状態を治療するための方法であって、それを必要とする対象に、本明細書で開示される化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体濃縮アナログ、立体異性体、立体異性体の混合物、もしくはプロドラッグの治療上有効な量を投与することを含む、方法である。
【0144】
ある特定の実施形態において、提供されるのは、アルツハイマー病、アテローム性動脈硬化症、喘息、アレルギー性気道炎症、クリオピリン関連周期性症候群、痛風、炎症性腸疾患及び関連障害、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、高血圧、心筋梗塞、多発性硬化症、実験的自己免疫性脳炎、シュウ酸誘発性腎症、インフルエンザ感染症後の過剰炎症、移植片対宿主病、脳卒中、珪肺症、1型糖尿病、肥満誘導性炎症もしくはインスリン抵抗性、リウマチ様関節炎、骨髄異形成症候群、接触過敏症、チクングニアウイルスによって惹起された関節炎症、または外傷性脳損傷から選択される疾患または状態を治療するための方法であって、それを必要とする対象に、本明細書で開示される化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体濃縮アナログ、立体異性体、立体異性体の混合物、もしくはプロドラッグの治療上有効な量を投与することを含む、方法である。
【0145】
ある特定の実施形態において、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)または非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)を治療するための方法が提供される。
【0146】
ある特定の実施形態において、アルツハイマー病を治療するための方法が提供される。
【0147】
ある特定の実施形態において、提供されるのは、少なくとも部分的にはTNF-αによって媒介される疾患または状態を治療するための方法である。ある特定の実施形態において、疾患または状態は、抗TNF-α剤による治療に耐性がある。いくつかの実施形態において、疾患は、腸の疾患または状態である。いくつかの実施形態において、疾患または状態は、炎症性腸疾患、クローン病、または潰瘍性大腸炎である。いくつかの実施形態において、本明細書で開示される化合物またはその薬学的に許容される塩、同位体濃縮アナログ、立体異性体、立体異性体の混合物、もしくはプロドラッグは、抗TNF-α剤と組み合わせて投与される。いくつかの実施形態において、抗TNF-α剤は、インフリキシマブ、エタネルセプト、セルトリズマブペゴル、ゴリムマブ、またはアダリムマブである。
【0148】
ある特定の実施形態において、疾患または状態は、自己炎症性障害、自己免疫障害、神経変性疾患、またはがんである。
【0149】
ある特定の実施形態において、疾患または状態は、自己炎症性障害及び/または自己免疫障害である。
【0150】
ある特定の実施形態において、疾患または状態は、神経変性疾患である。
【0151】
ある特定の実施形態において、疾患または状態は、パーキンソン病またはアルツハイマー病である。
【0152】
ある特定の実施形態において、提供されるのは、がんを治療するための方法であって、それを必要とする対象に、本明細書で開示される化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体濃縮アナログ、立体異性体、立体異性体の混合物、もしくはプロドラッグの有効量を投与することを含む、方法である。
【0153】
ある特定の実施形態において、がんは、転移癌、胃腸癌、皮膚癌、非小細胞肺癌、または大腸腺癌である。
【0154】
ある特定の実施形態において、提供されるのは、神経変性疾患(例えば、パーキンソン病またはアルツハイマー病)を治療することを、それを必要とする対象に行う際に使用するための、本明細書で開示される化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体濃縮アナログ、立体異性体、立体異性体の混合物、もしくはプロドラッグである。
【0155】
ある特定の実施形態において、提供されるのは、がんを治療することを、それを必要とする対象に行う際に使用するための、本明細書で開示される化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体濃縮アナログ、立体異性体、立体異性体の混合物、もしくはプロドラッグである。
【0156】
ある特定の実施形態において、本明細書で開示される化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体濃縮アナログ、立体異性体、立体異性体の混合物、もしくはプロドラッグは、単独療法として単独で投与されてもよいし、1つ以上の他の物質及び/または治療に追加して投与することもできる。このような併用治療は、治療の個々の構成要素を、同時、順次または別々に投与することによって達成することができる。
【0157】
例えば、アジュバントの投与によって治療効果が高まる場合がある(すなわち、アジュバントは、それ自体だけでは最小の治療上の利益しか得られないが、別の治療薬と組み合わせると、個体に対する全体的な治療上の利益が向上する)。あるいは、例示にすぎないが、個体が経験する利益は、本明細書で開示される化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体濃縮アナログ、立体異性体、立体異性体の混合物、もしくはプロドラッグと、治療上の利益を同様に有する別の治療薬(治療レジメンも含む)とともに投与することによって増大し得る。
【0158】
他の実施形態は、治療法における本開示の化合物の使用を含む。
【0159】
4.キット
本明細書では、本開示の化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体濃縮アナログ、立体異性体、立体異性体の混合物、もしくはプロドラッグと、好適な包装を含む、キットも提供される。ある特定の実施形態において、キットは、使用説明書を更に含む。一態様において、キットは、本開示の化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体濃縮アナログ、立体異性体、立体異性体の混合物、もしくはプロドラッグと、本明細書に記載される疾患または状態を含む適応症の治療における化合物の使用に関するラベル及び/または説明書を含む。
【0160】
また、本明細書で提供されるのは、本明細書に記載される化合物またはその薬学的に許容される塩、同位体濃縮アナログ、立体異性体、立体異性体の混合物、もしくはプロドラッグを適切な容器に含む製造品である。容器は、バイアル、ジャー、アンプル、予め充填されたシリンジ、または静注バッグであり得る。
【0161】
5.医薬組成物及び投与様式
本明細書で提供される化合物は、通常、医薬組成物の形態で投与される。したがって、本明細書で提供されるのはまた、1つ以上の本明細書に記載される化合物、またはその薬学的に許容される塩、立体異性体、立体異性体の混合物、もしくはプロドラッグと、担体、アジュバント、及び賦形剤から選択される1つ以上の薬学的に許容されるビヒクルとを含有する、医薬組成物である。好適な薬学的に許容されるビヒクルには、例えば、不活性固体希釈剤及び充填剤、無菌水溶液及び様々な有機溶媒を含む希釈剤、浸透促進剤、可溶化剤、ならびにアジュバントが含まれ得る。そのような組成物は、薬学分野においてよく知られている様式で調製される。例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mace Publishing Co.,Philadelphia,Pa.17th Ed.(1985);及びModern Pharmaceutics,Marcel Dekker,Inc.3rd Ed.(G.S.Banker & C.T.Rhodes,Eds.)を参照されたい。
【0162】
医薬組成物は、単回投与または複数回投与のいずれかで投与され得る。医薬組成物は、例えば、直腸、頬側、鼻腔内、及び経皮経路を含む様々な方法で投与することができる。ある特定の実施形態において、医薬組成物は、動脈内注射、静脈内、腹腔内、非経口、筋肉内、皮下、経口、局所、または吸入剤として投与され得る。
【0163】
投与の一様式は、非経口であり、例えば、注射による。注射による投与のために本明細書に記載される医薬組成物を組み込むことができる形態には、例えば、水性もしくは油性の懸濁液、またはゴマ油、トウモロコシ油、綿実油、もしくはピーナッツ油との乳濁液、ならびにエリキシル剤、マンニトール、デキストロース、または無菌水溶液、ならびに類似の薬学的ビヒクルが含まれる。
【0164】
経口投与は、本明細書に記載される化合物の別の投与経路であり得る。投与は、例えば、カプセル剤または腸溶性コーティング錠剤によりなされ得る。少なくとも1つの本明細書に記載される化合物またはその薬学的に許容される塩、同位体濃縮アナログ、立体異性体、立体異性体の混合物、もしくはプロドラッグを含む医薬組成物の製造において、活性成分は、通常、賦形剤によって薄められ、及び/またはカプセル剤、サシェ、紙、もしくは他の容器の形態であり得る担体内に入れられる。賦形剤が希釈剤として機能する場合、それは、固体、半固形、または液体材料の形態であり得、活性成分のためのビヒクル、担体または媒体として機能する。したがって、組成物は、錠剤、丸剤、散剤、ロゼンジ剤、サシェ、カシェ剤、エリキシル剤、懸濁剤、乳剤、液剤、シロップ剤、エアロゾル(固体または液体媒体)、例えば、10重量%までの活性化合物を含有する軟膏、軟質及び硬質ゼラチンカプセル剤、無菌注射液、ならびに無菌包装粉末の形態であり得る。
【0165】
好適な賦形剤のいくつかの例としては、例えば、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アラビアガム、リン酸カルシウム、アルギン酸塩、トラガカント、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微結晶セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、滅菌水、シロップ、及びメチルセルロースが挙げられる。製剤は、タルク、ステアリン酸マグネシウム、及びミネラルオイルなどの滑沢化剤;湿潤剤;乳化剤及び懸濁化剤;メチル及びプロピルヒドロキシベンゾアートなどの保存剤;甘味剤;ならびに矯味矯臭剤を追加で含み得る。
【0166】
少なくとも1つの本明細書に記載される化合物またはその薬学的に許容される塩、同位体濃縮アナログ、立体異性体、立体異性体の混合物もしくはプロドラッグを含む組成物は、当該技術分野において知られている手順を採用することによって、対象への投与後に活性成分の迅速な持続性または遅延放出をもたらすように製剤化することができる。経口投与のための制御放出薬物送達系は、浸透圧ポンプシステム及びポリマーコーティングされたリザーバーまたは薬物-ポリマーマトリックス製剤を含む溶解システムを含む。本明細書で開示される方法で使用するための別の製剤は、経皮送達デバイス(「パッチ剤」)を利用するものである。そのような経皮パッチ剤は、本明細書に記載される化合物を制御された量で連続的または非連続的に注入するために使用され得る。薬剤を送達するための経皮パッチ剤の作製及び使用は、当該技術分野においてよく知られている。そのようなパッチ剤は、薬剤の連続的なパルス送達またはオンデマンド送達用に作製することができる。
【0167】
錠剤などの固体組成物を調製するために、主要活性成分を薬学的な賦形剤と混合して、本明細書に記載される化合物またはその薬学的に許容される塩、同位体濃縮アナログ、立体異性体、立体異性体の混合物、もしくはプロドラッグの均質な混合物を含有する固体前製剤組成物を形成してもよい。これらの前製剤組成物を均質と称する場合、活性成分は、組成物全体に均一に分散しており、それにより、組成物を、錠剤、丸剤、及びカプセル剤などの等しく有効な単位剤形に容易に分けることができる。
【0168】
本明細書に記載される化合物の錠剤または丸剤は、長期作用の利点をもたらす剤形を提供するために、または胃の酸性条件から保護するために、コーティングまたは他の方法で調製されてもよい。例えば、錠剤または丸剤は、内側の投与構成成分及び外側の投与構成成分を含むことができ、後者は前者を覆う外被の形態である。2つの構成成分は、腸溶層によって分離され得、これは、胃での崩壊に耐え、内側構成成分を無傷で十二指腸まで通過させることまたは遅延放出されることを可能にするように機能する。そのような腸溶層またはコーティングには、様々な材料を使用することができ、そのような材料には、いくつかのポリマー酸、ならびにポリマー酸とセラック、セチルアルコール及び酢酸セルロースなどの材料の混合物が含まれる。
【0169】
吸入または吹送のための組成物は、薬学的に許容される水性溶媒もしくは有機溶媒またはその混合物中の溶液及び懸濁液、ならびに粉末を含み得る。液体または固体組成物は、本明細書に記載されるような好適な薬学的に許容される賦形剤を含有し得る。いくつかの実施形態において、組成物は、局所または全身的効果のために、経口または経鼻による呼吸器経路によって投与される。他の実施形態において、薬学的に許容される溶媒中の組成物は、不活性ガスを使用することによって噴霧することができる。噴霧された溶液は、噴霧デバイスから直接吸入されてもよいし、または、噴霧デバイスは、テント状顔用マスクもしくは間欠的陽圧呼吸器に付着されてもよい。溶液、懸濁液、または粉末組成物は、好ましくは、適切な方式で製剤を送達するデバイスから経口または経鼻により投与され得る。
【0170】
したがって、ここで提供される実施形態には、疾患または状態、例えば、少なくとも部分的にはNLRP3によって媒介される疾患または状態を治療するための方法であって、それを必要とする対象に、有効量の本明細書に記載される医薬組成物を投与することを含む、方法も含まれる。
【0171】
6.投与
任意の特定の対象に対する本出願の化合物の具体的な用量レベルは、採用される具体的な化合物の活性、年齢、体重、全般的な健康状態、性別、食生活、投与時期、投与経路、及び排泄速度、薬物の組み合わせ、及び治療法を受ける対象の特定の疾患の重症度を含む様々な因子に依存する。例えば、用量は、対象の体重の1キログラムあたりの本明細書に記載される化合物のミリグラム数として表すことができる(mg/kg)。約0.1~150mg/kgの用量が適切であり得る。いくつかの実施形態において、約0.1~100mg/kgが適切であり得る。他の実施形態において、0.5~60mg/kgの用量が適切であり得る。いくつかの実施形態において、1日あたり1kg体重あたり約0.0001~約100mg、1kg体重あたり約0.001~約50mgの化合物、または1kg体重あたり約0.01~約10mgの化合物の用量が適切であり得る。対象の体重による正規化は、人間の子どもと成人の両方に薬物を使用する場合、またはイヌなどのヒト以外の対象の有効用量をヒト対象に適した用量に変換する場合に生じるように、大きさが大きく異なる対象間で用量を調節する場合に特に有用である。
【0172】
7.化合物の合成
化合物は、本明細書で開示される方法及びその常用の変法を使用して調製することができるが、本明細書の開示及び当該技術分野においてよく知られている方法を考慮すれば明らかであろう。本明細書における教示に加えて、従来からよく知られている合成方法が使用されてもよい。本明細書に記載される典型的な化合物の合成は、以下の実施例に記載のとおりに達成され得る。入手可能であれば、試薬及び出発材料は、例えば、Sigma Aldrichまたは他の化学サプライヤーから商業的に購入することができる。
【0173】
典型的または好ましいプロセス条件(すなわち、反応温度、時間、反応体のモル比、溶媒、圧力など)が示されているが、特に指示のない限り、他のプロセス条件も使用できることを理解されたい。最適な反応条件は、使用される特定の反応体または溶媒により変わり得るが、そのような条件は、当業者であれば、最適化の定法から決定することができる。
【0174】
更に、ある特定の官能基が望ましくない反応を受けることがないように、従来の保護基(「PG」)が必要な場合がある。様々な官能基に好適な保護基ならびに特定の官能基の保護及び脱保護に好適な条件は、当該技術分野においてよく知られている。例えば、Wuts,P.G.M.,Greene,T.W.,& Greene,T.W.(2006)Greene’s protective groups in organic synthesis.Hoboken,N.J.,Wiley-Interscience及び当該文献中に引用されている参考文献に多数の保護基が記載されている。例えば、ヒドロキシなどのアルコールの保護基には、シリルエーテル(トリメチルシリル(TMS)、tert-ブチルジメチルシリル(TBDMS)、トリイソプロピルシリルオキシメチル(TOM)、及びトリイソプロピルシリル(TIPS)エーテルを含む)が含まれ、これらは、酸またはフッ化物イオン、例えば、NaF、TBAF(フッ化テトラ-n-ブチルアンモニウム)、HF-Py、もしくはHF-NEt3によって除去することができる。アルコールの他の保護基には、酸または塩基により除去されるアセチル、酸または塩基により除去されるベンゾイル、水素化により除去されるベンジル、酸により除去されるメトキシエトキシメチルエーテル、酸により除去されるジメトキシトリチル、酸により除去されるメトキシメチルエーテル、酸により除去されるテトラヒドロピラニルまたはテトラヒドロフラニル、及び酸により除去されるトリチルが含まれる。アミンの保護基の例としては、水素化分解によって除去されるカル簿ベンジルオキシ、水素化分解によって除去されるp-メトキシベンジルカルボニル、濃強酸(HClまたはCF3COOHなど)または約80℃を超える加熱により除去されるtert-ブチルオキシカルボニル、ピペリジンなどの塩基によって除去される9-フルオレニルメチルオキシカルボニル、塩基での処理によって除去されるアセチル、塩基での処理によって除去されるベンゾイル、水素化分解によって除去されるベンジル、酸及び穏やかな加熱によって除去されるカルバメート基、水素化分解によって除去されるp-メトキシベンジル、水素化分解によって除去される3,4-ジメトキシベンジル、硝酸アンモニウムセリウム(IV)によって除去されるp-メトキシフェニル、濃縮した酸(HBrまたはH2SO4など)及び強還元剤(液体アンモニア中のナトリウムまたはナフタレン化ナトリウム)によって除去されるトシル、酢酸の存在下でのZnの挿入によって除去されるtroc(クロロギ酸トリクロロエチル)、ならびにヨウ化サマリウムまたは水素化トリブチルスズによって除去されるスルホンアミド(Nosyl & Nps)が挙げられる。
【0175】
更に、本開示の化合物は、1つ以上のキラル中心を含有し得る。したがって、所望により、そのような化合物は、純粋な立体異性体として、すなわち、個々のエナンチオマーもしくはジアステレオマーとして、または立体異性体の濃縮混合物として、調製または単離することができる。そのような全ての立体異性体(及び濃縮混合物)は、特に指定のない限り、本開示の範囲内に含まれる。純粋な立体異性体(または濃縮混合物)は、例えば、当該技術分野においてよく知られている光学的に活性な出発材料または立体選択的試薬を使用して調製され得る。あるいは、そのような化合物のラセミ混合物は、例えば、キラルカラムクロマトグラフィー、キラル分割剤などを使用して分割することができる。
【0176】
以下の反応のための出発材料は、一般に知られている化合物であるか、または、既知の手順もしくはその明白な変法によって調製することができる。例えば、出発材料の多くは、Aldrich Chemical Co.(Milwaukee,Wisconsin,USA)、Bachem(Torrance,California,USA)、Emka-ChemceまたはSigma(St.Louis,Missouri,USA)などの市販業者から入手可能である。その他は、Fieser and Fieser’s Reagents for Organic Synthesis,Volumes 1-15(John Wiley,and Sons,1991),Rodd’s Chemistry of Carbon Compounds,Volumes 1-5,and Supplementals(Elsevier Science Publishers,1989)organic Reactions,Volumes 1-40(John Wiley,and Sons,1991),March’s Advanced Organic Chemistry,(John Wiley,and Sons,5th Edition,2001)、及びLarock’s Comprehensive Organic Transformations(VCH Publishers Inc.,1989)などの標準的な参考書に記載されている手順またはその明らかな変法によって調製され得る。
【0177】
一般的な合成方法
スキームI及びIIは、本明細書に記載される化合物の合成に利用することができる一般的な方法を例示するものであり、X、Y、Z、A、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、及びR
7のそれぞれは、独立して、本明細書で定義されるとおりであり、R
zは、HまたはC
1-6アルキルであり、LGは、脱離基(例えば、ハロ)であり、Alkは、好適なアルキル基であり、Halは、好適なハロゲン化試薬(フッ素化試薬など)である。スキームI及びIIで概説されるプロセスで使用される化合物のいずれか1つ以上、またはそれによって得られる任意の生成物をプロセスの任意のステップで誘導体化すると、式Iの様々な化合物が得られることを理解されたい。
【化9】
【0178】
スキームIにおいて、式I-1の化合物(化合物I-1とも称される)を、まず、好適な溶媒中、好適な反応条件下(例えば、還流状態のアルコール溶媒)で、ヒドラジン、例えば、過剰量のヒドラジンとの反応を行い、化合物I-2を調製する。酸(例えば、酢酸)の存在下で、化合物I-2とアルコキシエタンイミド酸(例えば、そのわずかな過剰量)の縮合により、化合物I-3を得る。あるいは、2,2-ジアルコキシ酢酸または2,2-ジアルコキシ酢酸アルキルを代わりに使用して、化合物I-3を得てもよい。ある特定の実施形態において、プロセスは、約2~3日間の還流条件下でのアルコール溶媒を含む。化合物I-3を、テトラヒドロフラン中、酸性条件下、約60℃で約2~4時間かけて化合物I-4に変換する。
【0179】
次いで、スキームIIにおいて、化合物I-4を、ハロゲン化試薬(Hal)を使用するハロゲン化ステップと、好適な脱離基I-6を有するエステル化合物とのカップリング反応とを含む2ステッププロセスにより、化合物I-8に変換することができる。この2ステッププロセスは、ハロゲン化が最初に生じる場合は化合物I-5を介するか、またはカップリング反応が最初に生じる場合は化合物I-7を介するかのいずれかで進行し得る。ハロゲン化反応は、ハロゲン系溶媒(例えば、ジクロロメタン)中、好適なハロゲン化試薬を使用して、低温で行うことができる。カップリング反応は、アセトニトリル中、2-ブロモ酢酸を使用して、還流条件下で行うことができる。
【化10】
【0180】
次いで、化合物I-8を好適な置換アミン化合物I-9とカップリングさせて、式(I)の化合物を形成する。Rzが水素である場合、または化合物I-8がカルボン酸である場合は、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)-カルボジイミド(EDCI)の存在下で、過剰量(例えば、約1.2当量~約4当量)の化合物I-9と反応させて、式(I)の化合物を調製することができる。反応は、約0℃~約40℃の好適な温度で約2時間~約18時間進行させて、所望の生成物を得ることができる。RzがC1-6アルキルである場合、または化合物I-8がエステルである場合は、トリメチルアルミニウム(AlMe3)の存在下で、過剰量(例えば、約1.2当量~約3当量)の化合物I-9と反応させて、所望の生成物を得ることができる。反応は、ハロゲン系溶媒中、約50℃~約100℃の好適な温度で約1時間~約5時間進行し得る。反応は、TLCまたは同様の方法を使用してモニタリングすることができる。反応終了後、粗生成物をワークアップして、式(I)の化合物を得る。
【0181】
あるいは、化合物I-5を、縮合条件下での化合物I-10との直接アルキル化を介して、式(I)の化合物に直接変換してもよい。例えば、化合物I-5と化合物I-10を、DMF中、約1:1の化学量論比で、約80℃~約100℃の温度、約30分~約2時間、互いに反応させて、式(I)の化合物を得ることができる。
【0182】
各ステップは、単一の反応であってもよいし、2以上のサブステップを含んでもよい。また、簡略化のため、特定のステップまたはサブステップが省略されている場合もある。例えば、いくつかの状況において、上記ハロゲン化ステップの前に還元反応が実施され得る。別の例として、アミンとの縮合反応の前に、エステルを加水分解して対応する酸にしてもよい。上記の反応は、好適な代替有機溶媒中、例えば、アルコール、エーテル(テトラヒドロフランなど)、アセトニトリル、塩素系溶媒中(ジクロロメタンなど)などで進行し得る。有機溶媒は、反応開始前に、必要に応じて、例えば、蒸留を介して、脱酸素化及び/または乾燥させてもよい。また、反応は、必要に応じて、空気及び/または湿気を含まない環境(例えば、グローブボックスまたはバッグ内)で実施され得る。更に、該当する場合、1-ヒドロキシベンゾトリアゾールなどのラセミ化阻害剤を使用して、単一のエナンチオマーキラル分子のラセミ化を抑制することもができる。
【0183】
適切な出発材料及び試薬は、当業者に知られている方法によって購入または調製することができる。中間体または最終化合物のそれぞれは、各反応終了時に、中和、抽出、沈殿、クロマトグラフィー、濾過などの従来技術によって回収され、任意選択により、精製され得る。
【0184】
いくつかの実施形態において、スキームIに使用される化合物I-1、I-2、I-3、I-4、I-5、I-6、I-7、I-8、I-9、及びI-10の様々な置換基は、式Iについて定義されるとおりである。
【0185】
ある特定の実施形態において、提供されるのは、式Iの化合物を調製するためのプロセスであって、
式Iの化合物を得るのに適した条件下で、式I-8の化合物を式I-9の化合物と接触させることを含む、プロセスである。
【0186】
ある特定の実施形態において、提供されるのは、式Iの化合物を調製するためのプロセスであって、
式I-8の化合物を得るのに適した条件下で、式I-5の化合物を式I-6の化合物と接触させること;及び
式Iの化合物を得るのに適した条件下で、式I-8の化合物を式I-9の化合物と接触させることを含む、プロセスである。
【0187】
ある特定の実施形態において、提供されるのは、式Iの化合物を調製するためのプロセスであって、
式I-8の化合物を得るのに適した条件下で、式I-7の化合物にハロゲン化反応を起こすこと;及び
式Iの化合物を得るのに適した条件下で、式I-8の化合物を式I-9の化合物と接触させることを含む、プロセスである。
【0188】
ある特定の実施形態において、提供されるのは、式Iの化合物を調製するためのプロセスであって、
式I-5の化合物を得るのに適した条件下で、式I-4の化合物にハロゲン化反応を起こすこと;
式I-8の化合物を得るのに適した条件下で、式I-5の化合物を式I-6の化合物と接触させること;及び
式Iの化合物を得るのに適した条件下で、式I-8の化合物を式I-9の化合物と接触させることを含む、プロセスである。
【0189】
ある特定の実施形態において、提供されるのは、式Iの化合物を調製するためのプロセスであって、
式I-7の化合物を得るのに適した条件下で、式I-4の化合物を式I-6の化合物と接触させること;
式I-8の化合物を得るのに適した条件下で、式I-7の化合物にハロゲン化反応を起こすこと;及び
式Iの化合物を得るのに適した条件下で、式I-8の化合物を式I-9の化合物と接触させることを含む、プロセスである。
【0190】
ある特定の実施形態において、提供されるのは、式Iの化合物を調製するためのプロセスであって、
適切な条件下で、式I-3の化合物を式I-4の化合物に変換すること;
式I-5の化合物を得るのに適した条件下で、式I-4の化合物にハロゲン化反応を起こすこと;
式I-8の化合物を得るのに適した条件下で、式I-5の化合物を式I-6の化合物と接触させること;及び
式Iの化合物を得るのに適した条件下で、式I-8の化合物を式I-9の化合物と接触させることを含む、プロセスである。
【0191】
ある特定の実施形態において、提供されるのは、式Iの化合物を調製するためのプロセスであって、
適切な条件下で、式I-3の化合物を式I-4の化合物に変換すること;
式I-7の化合物を得るのに適した条件下で、式I-4の化合物を式I-6の化合物と接触させること;
式I-8の化合物を得るのに適した条件下で、式I-7の化合物にハロゲン化反応を起こすこと;及び
式Iの化合物を得るのに適した条件下で、式I-8の化合物を式I-9の化合物と接触させることを含む、プロセスである。
【0192】
ある特定の実施形態において、提供されるのは、式Iの化合物を調製するためのプロセスであって、
適切な条件下で、式I-2の化合物を式I-3の化合物に変換すること;
適切な条件下で、式I-3の化合物を式I-4の化合物に変換すること;
式I-5の化合物を得るのに適した条件下で、式I-4の化合物にハロゲン化反応を起こすこと;
式I-8の化合物を得るのに適した条件下で、式I-5の化合物を式I-6の化合物と接触させること;及び
式Iの化合物を得るのに適した条件下で、式I-8の化合物を式I-9の化合物と接触させることを含む、プロセスである。
【0193】
ある特定の実施形態において、提供されるのは、式Iの化合物を調製するためのプロセスであって、
適切な条件下で、式I-2の化合物を式I-3の化合物に変換すること;
適切な条件下で、式I-3の化合物を式I-4の化合物に変換すること;
式I-7の化合物を得るのに適した条件下で、式I-4の化合物を式I-6の化合物と接触させること;
式I-8の化合物を得るのに適した条件下で、式I-7の化合物にハロゲン化反応を起こすこと;及び
式Iの化合物を得るのに適した条件下で、式I-8の化合物を式I-9の化合物と接触させることを含む、プロセスである。
【0194】
ある特定の実施形態において、提供されるのは、式Iの化合物を調製するためのプロセスであって、
適切な条件下で、式I-1の化合物を式I-2の化合物に変換すること;
適切な条件下で、式I-2の化合物を式I-3の化合物に変換すること;
適切な条件下で、式I-3の化合物を式I-4の化合物に変換すること;
式I-5の化合物を得るのに適した条件下で、式I-4の化合物にハロゲン化反応を起こすこと;
式I-8の化合物を得るのに適した条件下で、式I-5の化合物を式I-6の化合物と接触させること;及び
式Iの化合物を得るのに適した条件下で、式I-8の化合物を式I-9の化合物と接触させることを含む、プロセスである。
【0195】
ある特定の実施形態において、提供されるのは、式Iの化合物を調製するためのプロセスであって、
適切な条件下で、式I-1の化合物を式I-2の化合物に変換すること;
適切な条件下で、式I-2の化合物を式I-3の化合物に変換すること;
適切な条件下で、式I-3の化合物を式I-4の化合物に変換すること;
式I-7の化合物を得るのに適した条件下で、式I-4の化合物を式I-6の化合物と接触させること;
式I-8の化合物を得るのに適した条件下で、式I-7の化合物にハロゲン化反応を起こすこと;及び
式Iの化合物を得るのに適した条件下で、式I-8の化合物を式I-9の化合物と接触させることを含む、プロセスである。
【0196】
ある特定の実施形態において、提供されるのは、式Iの化合物を調製するためのプロセスであって、
式Iの化合物を得るのに適した条件下で、式I-5の化合物を式I-10の化合物と接触させることを含む、プロセスである。
【0197】
ある特定の実施形態において、提供されるのは、式Iの化合物を調製するためのプロセスであって、
式I-5の化合物を得るのに適した条件下で、式I-4の化合物にハロゲン化反応を起こすこと;及び
式Iの化合物を得るのに適した条件下で、式I-5の化合物を式I-10の化合物と接触させることを含む、プロセスである。
【0198】
ある特定の実施形態において、提供されるのは、式Iの化合物を調製するためのプロセスであって、
適切な条件下で、式I-3の化合物を式I-4の化合物に変換すること;
式I-5の化合物を得るのに適した条件下で、式I-4の化合物にハロゲン化反応を起こすこと;及び
式Iの化合物を得るのに適した条件下で、式I-5の化合物を式I-10の化合物と接触させることを含む、プロセスである。
【0199】
ある特定の実施形態において、提供されるのは、式Iの化合物を調製するためのプロセスであって、
適切な条件下で、式I-2の化合物を式I-3の化合物に変換すること;
適切な条件下で、式I-3の化合物を式I-4の化合物に変換すること;
式I-5の化合物を得るのに適した条件下で、式I-4の化合物にハロゲン化反応を起こすこと;及び
式Iの化合物を得るのに適した条件下で、式I-5の化合物を式I-10の化合物と接触させることを含む、プロセスである。
【0200】
ある特定の実施形態において、提供されるのは、式Iの化合物を調製するためのプロセスであって、
適切な条件下で、式I-1の化合物を式I-2の化合物に変換すること;
適切な条件下で、式I-2の化合物を式I-3の化合物に変換すること;
適切な条件下で、式I-3の化合物を式I-4の化合物に変換すること;
式I-5の化合物を得るのに適した条件下で、式I-4の化合物にハロゲン化反応を起こすこと;及び
式Iの化合物を得るのに適した条件下で、式I-5の化合物を式I-10の化合物と接触させることを含む、プロセスである。
【実施例】
【0201】
以下の実施例は、本開示の具体的な実施形態を示すために含まれるものである。以下に続く実施例で開示される技術は、本発明の実施において良好に機能する技術を表すものであり、そのため、その実施の具体的な様式を構成するとみなされ得ることが当業者によって理解されるものである。しかしながら、当業者であれば、本開示に照らして、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、開示される特定の実施形態に対して多くの変更をなすことができ、それでもなお同等または類似の結果を得ることができることを理解するべきである。
【0202】
一般的な実験方法
使用した溶媒は全て市販のものであり、更に精製することなく使用した。反応は、典型的に、窒素による不活性雰囲気下で無水溶媒を使用して実施した。
【0203】
NMR分光法:1H核磁気共鳴(NMR)分光法は、300MHzで作動するBBFO 300MHzプローブを備えたBruker Avance IIIまたは次の機器のうちの1つ:プローブDUAL 400 MHz S1を備えたBruker Avance 400機器、プローブ6 S1 400MHz 5mm 1H-13CIDを備えたBruker Avance 400機器、プローブBroadband BBFO 5mmダイレクトを備えたナノベイ付きBruker Avance III 400機器、400MHzで動作するBruker400BBOプローブを備えたBruker Mercury Plus 400 NMR分光計を使用して実施した。全ての重水素化溶媒には,典型的に、0.03%~0.05%v/vのテトラメチルシランが含まれており、これを参照シグナルとして使用した(1H及び13Cの両方でδ0.00に設定)。ある特定の場合、1H核磁気共鳴(NMR)分光法は、特に指示のない限り、指定の溶媒を室温付近で使用し、400MHzで作動するBruker Advance 400機器を使用して実施した。全ての場合において、NMRデータは、提案された構造と一致した。特徴的なケミカルシフト(δ)は、主要ピークを指定する従来の略語を使用して百万分率で与えられる:例えば、s、シングレット;d、ダブレット;t、トリプレット;q、カルテット;dd、ダブレットのダブレット;dt、トリプレットのダブレット;br、ブロード。
【0204】
薄層クロマトグラフィー:薄層クロマトグラフィー(TLC)が使用される場合、シリカゲルF254(Merck)プレートを使用するシリカゲルTLCを指し、Rfは、TLCプレート上で化合物が移動した距離を溶媒が移動した距離で割ったものである。カラムクロマトグラフィーは、自動フラッシュクロマトグラフィーシステムを使用してシリカゲルカートリッジ上で、逆相クロマトグラフィーの場合はC18カートリッジ上で実施した。あるいは、薄層クロマトグラフィー(TLC)は、Mancherey-Nagel社のAlugram(登録商標)(シリカゲル60 F254)上で実施し、スポットの可視化にはUVを典型的に使用した。ある場合には、追加の可視化法も採用した。これらの場合、TLCプレートは、ヨウ素(およそ1gのI2を10gのシリカゲルに加え、よく混合することによって生成)、ニンヒドリン(Aldrichから市販)、またはMagic Stain(25gの(NH4)6Mo7O24.4H2O、5gの(NH4)2Ce(IV)(NO3)6を450mLの水及び50mLの濃H2SO4中で十分に混合することによって生成)で展開して、化合物を可視化した。
【0205】
液体クロマトグラフィー質量分析法及びHPLC分析:HPLC分析は、フォトダイオードアレイ検出器及びLuna-C18(2)2.0×50mm、5μmカラムを備えるShimadzu 20AB HPLCシステムで、移動相A(MPA、H2O+0.037%(v/v)TFA):移動相B(MPB、ACN+0.018%(v/v)TFA)(0.01分、10%MPB;4分、80%MPB;4,9分、80%MPB;4.92分、10%MPB;5.5分、10%MPB)のグラジエント溶媒を1.2mL/分の流速で用いて実施した。LCMSは、220nm及び254nmで検出するか、または蒸発光散乱(ELSD)検出及び正のエレクトロスプレーイオン化(MS)を使用した。セミ分取HPLCは、酸性条件または中性条件のいずれかによって実施した。酸性:Luna C18 100×30mm、5μm;MPA:HCl/H2O=0.04%、またはギ酸/H2O=0.2%(v/v);MPB:ACN。中性:Waters Xbridge 150×25、5μm;MPA:10mM NH4HCO3/H2O;MPB:ACN。両条件のグラジエント:10%のMPBから80%のMPBへ流速20mL/分で12分、次いで、100%MPBで2分、10%MPBで2分、UV検出器。SFC分析は、UV/Vis検出器ならびにAD、AS-H、OJ、OD、AY及びIC、4.6×100mm、3μmカラムを含む一連のキラルカラムを備えるThar分析SFCシステムで、移動相A(MPA、CO2):移動相B(MPB、MeOH+0.05%(v/v)IPAm)(0.01分、10%MPB;3分、40%MPB;3.5分、40%MPB;3.56-5分、10%MPB)のグラジエント溶媒を4mL/分の流速で用いて実施した。SFC分取は、UV/Vis検出器ならびにAD-H、AS-H、OJ-H、OD-H、AY-H及びIC-H、30×250mm、5μmカラムを含む一連のキラル分取カラムを備えるThar80分取SFCシステムで、移動相A(MPA、CO2):移動相B(MPB、MeOH+0.1%(v/v)NH3H2O)(0.01分、10%MPB;5分、40%MPB;6分、40%MPB;6.1-10分、10%MPB)のグラジエント溶媒を65mL/分の流速で用いて実施した。また、LC-MSデータを、PDA検出器を備え、正と負のエレクトロスプレーイオン化モードで交互に作動するWatersシングル四重極型質量分析計に連結されたUPLC-MS Acquity(商標)システムを使用して取得した。使用したカラムは、Cortecs UPLC C18、1.6μm、2.1×50mmであった。95%A(A:0.1%ギ酸/水)で始まり、95%B(B:0.1%ギ酸/MeCN)で終わる2.0分の線形グラジエントを適用し、ランタイムは合計2.5分であった。カラム温度は40℃、流速は0.8mL/分であった。
【0206】
中間体1
【化11】
4H-チエノ[3,2-b]ピロール-5-カルボヒドラジド:4H-チエノ[3,2-b]ピロール-5-カルボン酸エチル(10.0g、55.2mmol)のEtOH(100mL)中溶液に、NH
2NH
2・H
2O(21.8g、426mmol)を加えた。反応混合物を90℃で16時間攪拌した。反応混合物を濾過し、濾過ケーキを減圧下で乾燥させて、残渣を得、これを直接使用した。LCMS: m/z = 182.0 [M+H]
+.
【0207】
5-(ジエトキシメチル)チエノ[2’,3’:4,5]ピロロ[1,2-d][1,2,4]トリアジン-8(7H)-オン:MeOH(240mL)中の4H-チエノ[3,2-b]ピロール-5-カルボヒドラジド(8.5g、46.9mmol)及び2,2-ジエトキシエタンイミド酸メチル(9.07g、56.3mmol)の溶液に、AcOH(8.45g、141mmol)を加えた。反応混合物を90℃で60時間攪拌した。反応混合物を減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製した。LCMS: m/z = 294.0 [M+H]+.
【0208】
8-オキソ-7,8-ジヒドロチエノ[2’,3’:4,5]ピロロ[1,2-d][1,2,4]トリアジン-5-カルバルデヒド:5-(ジエトキシメチル)チエノ[2’,3’:4,5]ピロロ[1,2-d][1,2,4]トリアジン-8(7H)-オン(4.5g、15.3mmol)のTHF(70mL)中溶液に、HCl水溶液(70mL、6M)を加えた。反応混合物を60℃で3時間攪拌した。反応混合物を濾過し、濾過ケーキを減圧下で乾燥させて、残渣を得、これを直接使用した。LCMS: m/z = 238.0 [M+H2O+H]+.
【0209】
中間体2
【化12】
5-(ジフルオロメチル)チエノ[2’,3’:4,5]ピロロ[1,2-d][1,2,4]トリアジン-8(7H)-オン:0℃のジクロロメタン(DCM)(10mL)中の8-オキソ-7,8-ジヒドロチエノ[2’,3’:4,5]ピロロ[1,2-d][1,2,4]トリアジン-5-カルバルデヒド(600mg、2.74mmol)の溶液に、ビス(2-メトキシエチル)アミノサルファートリフルオリド(BAST)(1.82g、8.21mmol)を加えた。反応混合物を15℃で16時間攪拌した。反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(NaHCO
3)(10mL)で希釈し、濾過した。回収した固体をMeCN(2mL)でトリチュレートし、濾過し、減圧下で乾燥させて、残渣を得、これを直接使用した。LCMS: m/z = 242.0 [M+H]
+.
【0210】
2-(5-(ジフルオロメチル)-8-オキソチエノ[2’,3’:4,5]ピロロ[1,2-d][1,2,4]トリアジン-7(8H)-イル)酢酸メチル:アセトニトリル(MeCN)(10mL)中の5-(ジフルオロメチル)チエノ[2’,3’:4,5]ピロロ[1,2-d][1,2,4]トリアジン-8(7H)-オン(900mg、3.73mmol)及びCs2CO3(2.43g、7.46mmol)の溶液に、2-ブロモ酢酸メチル(856mg、5.60mmol)を加えた。反応混合物を90℃まで加熱し、1時間攪拌した。反応混合物を水(15mL)で希釈し、酢酸エチル(EtOAc)(3×5mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(5mL)で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製した。LCMS: m/z = 314.2 [M+H]+.
【0211】
中間体3
【化13】
2-(5-(ジフルオロメチル)-8-オキソチエノ[2’,3’:4,5]ピロロ[1,2-d][1,2,4]トリアジン-7(8H)-イル)酢酸:2-(5-(ジフルオロメチル)-8-オキソチエノ[2’,3’:4,5]ピロロ[1,2-d][1,2,4]トリアジン-7(8H)-イル)酢酸メチル(600mg、1.92mmol)のTHF(6mL)中溶液に、LiOH・H
2O(161mg、3.83mmol)の水(2.0mL)中溶液を加えた。反応混合物を15℃で3時間攪拌した。反応混合物を水(5mL)で希釈し、MTBE(2mL)で洗浄した。次いで、水性部分をクエン酸の添加によりpH=3に調整した。沈殿物を濾過により回収し、減圧下で乾燥させて、残渣を得、これを直接使用した。LCMS: m/z = 300.2 [M+H]
+.
【0212】
中間体4
【化14】
2-(5-ホルミル-8-オキソチエノ[2’,3’:4,5]ピロロ[1,2-d][1,2,4]トリアジン-7(8H)-イル)酢酸メチル:8-オキソ-7,8-ジヒドロチエノ[2’,3’:4,5]ピロロ[1,2-d][1,2,4]トリアジン-5-カルバルデヒド(2.3g、10.49mmol)のDMF(20mL)中溶液に、Cs
2CO
3(6.84g、20.98mmol)、次いで、2-ブロモ酢酸メチル(1.77g、11.54mmol、1.09mL)を0℃でN
2下で加えた。混合物を15℃で2時間攪拌した。混合物を0℃の水(30mL)によってクエンチし、EtOAc(3×10mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(10mL)で洗浄しNa
2SO
4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、残渣を得、これを直接使用した。LCMS: m/z = 310.0 [M+H
2O+H]
+.
【0213】
2-(5-(ヒドロキシメチル)-8-オキソチエノ[2’,3’:4,5]ピロロ[1,2-d][1,2,4]トリアジン-7(8H)-イル)酢酸メチル:0℃のMeOH(30mL)中の2-(5-ホルミル-8-オキソチエノ[2’,3’:4,5]ピロロ[1,2-d][1,2,4]トリアジン-7(8H)-イル)酢酸メチル(2.0g、6.87mmol)の溶液に、NaBH4(519mg、13.7mmol)を加えた。反応混合物を15℃で2時間攪拌した。反応混合物を飽和NH4Cl水溶液(60mL)で希釈し、EtOAc(3×20mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(20mL)で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製した。LCMS: m/z = 294.0 [M+H]+.
【0214】
2-(5-(フルオロメチル)-8-オキソチエノ[2’,3’:4,5]ピロロ[1,2-d][1,2,4]トリアジン-7(8H)-イル)酢酸メチル:-78℃のDCM(3.0mL)中の2-(5-(ヒドロキシメチル)-8-オキソチエノ[2’,3’:4,5]ピロロ[1,2-d][1,2,4]トリアジン-7(8H)-イル)酢酸メチル(150mg、0.51mmol)の溶液に、N,N-ジエチルエタンアミントリヒドロフルオリド(165mg、1.02mmol)及び(ジフルオロ-λ4-スルファニリデン)-ジエチル-アンモニウムテトラフルオロボラート(234mg、1.02mmol)を加えた。反応混合物を15℃で2時間攪拌した。反応混合物を水(30mL)で希釈し、EtOAc(3×15mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(15mL)で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製した。LCMS: m/z = 296.0 [M+H]+.
【0215】
中間体5
【化15】
2-(5-(ジフルオロメチル)-8-オキソチエノ[2’,3’:4,5]ピロロ[1,2-d][1,2,4]トリアジン-7(8H)-イル)酢酸メチル:-78℃のDCM(2.0mL)中の2-(5-ホルミル-8-オキソチエノ[2’,3’:4,5]ピロロ[1,2-d][1,2,4]トリアジン-7(8H)-イル)酢酸メチル(160mg、0.55mmol)の溶液に、N,N-ジエチルエタンアミントリヒドロフルオリド(266mg、1.65mmol、0.27mL)、次いで、(ジフルオロ-λ
4-スルファニリデン)-ジエチル-アンモニウムテトラフルオロボラート(377mg、1.65mmol)を加えた。反応混合物を15℃で2時間攪拌した。反応混合物を水(10mL)で希釈し、DCM(3×3mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(3mL)で洗浄し、無水Na
2SO
4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製した。LCMS: m/z = 314.0 [M+H]
+.
【0216】
中間体6
【化16】
4H-ピロロ[2,3-d]チアゾール-5-カルボヒドラジド:NH
2NH
2・H
2O(10.4g、204mmol)のMeOH(50mL)中溶液に、4H-ピロロ[2,3-d]チアゾール-5-カルボン酸エチル(5.9g、25.5mmol)を加えた。反応混合物を15℃で48時間攪拌した。反応混合物を濾過した。回収した固体を減圧下で乾燥させ、残渣を得、これを直接使用した。LCMS: m/z = 183.2 [M+H]
+.
【0217】
5-(ジエトキシメチル)チアゾロ[5’,4’:4,5]ピロロ[1,2-d][1,2,4]トリアジン-8(7H)-オン:MeOH(90mL)中の4H-ピロロ[2,3-d]チアゾール-5-カルボヒドラジド(2.86g、15.7mmol)及び2,2-ジエトキシエタンイミド酸メチル(3.04g、18.8mmol)の溶液に、AcOH(2.83g、47.1mmol)を加えた。反応混合物を90℃で32時間攪拌した。反応混合物を減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製した。LCMS: m/z = 295.0 [M+H]+.
【0218】
2-(5-(ジエトキシメチル)-8-オキソチアゾロ[5’,4’:4,5]ピロロ[1,2-d][1,2,4]トリアジン-7(8H)-イル)酢酸メチル:0℃のDMF(5.0mL)中の2-ブロモ酢酸メチル(270mg、1.77mmol)及びCs2CO3(886mg、2.72mmol)の溶液に、5-(ジエトキシメチル)チアゾロ[5’,4’:4,5]ピロロ[1,2-d][1,2,4]トリアジン-8(7H)-オン(400mg、1.36mmol)を加えた。反応混合物を15℃で3時間攪拌した。反応混合物を水(15mL)で希釈し、EtOAc(3×5mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(5mL)で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、残渣を得、これを直接使用した。
【0219】
2-(5-ホルミル-8-オキソチアゾロ[5’,4’:4,5]ピロロ[1,2-d][1,2,4]トリアジン-7(8H)-イル)酢酸メチル:2-(5-(ジエトキシメチル)-8-オキソチアゾロ[5’,4’:4,5]ピロロ[1,2-d][1,2,4]トリアジン-7(8H)-イル)酢酸メチル(600mg、1.64mmol)のDCM(9.0mL)中溶液に、TFA(3.0mL)を加えた。反応混合物を15℃で16時間攪拌した。反応混合物を減圧下で濃縮し、EtOAc(30mL)中に再懸濁し、飽和NaHCO3水溶液(3mL)で洗浄した。合わせた有機層をブライン(10mL)で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、残渣を得、これを直接使用した。LCMS: m/z = 293.0 [M+H]+.
【0220】
2-(5-(ジフルオロメチル)-8-オキソチアゾロ[5’,4’:4,5]ピロロ[1,2-d][1,2,4]トリアジン-7(8H)-イル)酢酸メチル:-78℃のDCM(2.0mL)中の2-(5-ホルミル-8-オキソチアゾロ[5’,4’:4,5]ピロロ[1,2-d][1,2,4]トリアジン-7(8H)-イル)酢酸メチル(300mg、1.03mmol)の溶液に、N,N-ジエチルエタンアミントリヒドロフルオリド(496mg、3.08mmol)及び(ジフルオロ-λ4-スルファニリデン)-ジエチル-アンモニウムテトラフルオロボラート(705mg、3.08mmol)を加えた。反応混合物を15℃で16時間攪拌した。反応混合物を水(30mL)で希釈し、EtOAc(3×10mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(10mL)で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製した。LCMS: m/z = 315.0 [M+H]+.
【0221】
実施例1
2-(5-(ジフルオロメチル)-8-オキソチエノ[2’,3’:4,5]ピロロ[1,2-d][1,2,4]トリアジン-7(8H)-イル)-N-(5-フルオロピリミジン-2-イル)アセトアミド
【化17】
【0222】
ピリジン(1.0mL)中の2-(5-(ジフルオロメチル)-8-オキソチエノ[2’,3’:4,5]ピロロ[1,2-d][1,2,4]トリアジン-7(8H)-イル)酢酸(50mg、0.17mmol)及び5-フルオロピリミジン-2-アミン(28mg、0.25mmol)の溶液に、EDCI(54mg、0.28mmol)を加えた。反応混合物を15℃で16時間攪拌した。反応混合物を水(10mL)で希釈し、EtOAc(3×10mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(3×10mL)で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣を逆相分取HPLCによって精製した。LCMS: m/z = 395.0 [M+H]+. 1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 8.60 (s, 2H), 7.73 (d, J = 5.2 Hz, 1H), 7.64 (s, 1H), 7.52-7.44 (m, 1H), 7.14-6.84 (t, J = 51.6 Hz 1H), 5.18 (br s, 2H).
【0223】
実施例2
2-(5-(ジフルオロメチル)-8-オキソチエノ[2’,3’:4,5]ピロロ[1,2-d][1,2,4]トリアジン-7(8H)-イル)-N-(ピリミジン-2-イル)アセトアミド
【化18】
【0224】
ピリジン(2.0mL)中のピリミジン-2-アミン(19mg、0.20mmol)及び2-(5-(ジフルオロメチル)-8-オキソチエノ[2’,3’:4,5]ピロロ[1,2-d][1,2,4]トリアジン-7(8H)-イル)酢酸(50mg、0.17mmol)の混合物に、EDCI(48mg、0.25mmol)を加えた。反応混合物を35℃で3時間攪拌した。反応混合物を水(10mL)で希釈し、EtOAc(3×10mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(3×10mL)で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣を逆相分取HPLCによって精製した。LCMS: m/z = 377.0 [M+H]+. 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 11.03 (br s, 1H), 8.69 (d, J = 5.0 Hz, 2H), 7.89 (d, J = 5.6 Hz, 1H), 7.71 (s, 1H), 7.54-7.26 (m, 2H), 7.22 (t, J = 4.8 Hz, 1H), 5.11 (s, 2H).
【0225】
実施例3
2-(5-(ジフルオロメチル)-8-オキソチエノ[2’,3’:4,5]ピロロ[1,2-d][1,2,4]トリアジン-7(8H)-イル)-N-(3-cis-ヒドロキシ-3-メチルシクロブチル)アセトアミド
【化19】
【0226】
0℃のDMF(2.0mL)中の2-(5-(ジフルオロメチル)-8-オキソチエノ[2’,3’:4,5]ピロロ[1,2-d][1,2,4]トリアジン-7(8H)-イル)酢酸(100mg、0.33mmol)及び3-cis-アミノ-1-メチルシクロブタノールHCl塩(60mg、0.43mmol)の溶液に、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)(68mg、0.50mmol)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)(130mg、1.00mmol、0.17mL)及びEDCI(96mg、0.50mmol)を加えた。反応混合物を15℃で16時間攪拌した。反応混合物を35℃まで加熱し、更に4時間攪拌した。反応混合物を水(10mL)で希釈し、EtOAc(3×3mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(3mL)で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣を逆相分取HPLCによって精製した。LCMS: m/z = 383.0 [M+H]+. 1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 7.71 (d, J = 5.6 Hz, 1H), 7.61 (s, 1H), 7.52-7.41 (m, 1H), 6.98 (t, J = 51.6 Hz, 1H), 4.74 (s, 2H), 3.94-3.90 (m, 1H), 2.50-2.33 (m, 2H), 2.14-1.98 (m, 2H), 1.33 (s, 3H).
【0227】
実施例4
N-(5-シアノ-3-フルオロピリジン-2-イル)-2-[12-(ジフルオロメチル)-9-オキソ-5-チア-1,10,11-トリアザトリシクロ[6.4.0.02,6]ドデカ-2(6),3,7,11-テトラエン-10-イル]アセトアミド
【化20】
【0228】
ジクロロエタン(DCE)(2.0mL)中の2-(5-(ジフルオロメチル)-8-オキソチエノ[2’,3’:4,5]ピロロ[1,2-d][1,2,4]トリアジン-7(8H)-イル)酢酸メチル(80mg、0.26mmol)及び6-アミノ-5-フルオロ-ピリジン-3-カルボニトリル(46mg、0.33mmol)の溶液に、AlMe3(n-ヘプタン中1M、0.51mL)を加えた。反応混合物を90℃で2時間攪拌した。反応混合物を水(15mL)で希釈し、EtOAc(3×5mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(5mL)で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣を逆相分取HPLCによって精製した。LCMS: m/z = 419.0 [M+H]+. 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 11.13 (br s, 1H), 8.74 (d, J = 1.2 Hz, 1H), 8.44 (dd, J = 1.4, 10.2 Hz, 1H), 7.89 (d, J = 5.6 Hz, 1H), 7.71 (s, 1H), 7.57-7.25 (m, 2H), 5.03 (s, 2H).
【0229】
実施例5
2-(5-(フルオロメチル)-8-オキソチエノ[2’,3’:4,5]ピロロ[1,2-d][1,2,4]トリアジン-7(8H)-イル)-N-(5-フルオロピリミジン-2-イル)アセトアミド
【化21】
【0230】
DCE(1.0mL)中の2-(5-(フルオロメチル)-8-オキソチエノ[2’,3’:4,5]ピロロ[1,2-d][1,2,4]トリアジン-7(8H)-イル)酢酸メチル(30mg、0.10mmol)及び5-フルオロピリミジン-2-アミン(23mg、0.20mmol)の溶液に、AlMe3(n-ヘプタン中1M、0.22mL)を加えた。反応混合物を90℃で2時間攪拌した。反応混合物を水(10mL)で希釈し、EtOAc(3×3mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(5mL)で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣を逆相分取HPLCによって精製した。LCMS: m/z = 377.0 [M+H]+. 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 11.12 (s, 1H), 8.78 (s, 2H), 7.90-7.82 (m, 1H), 7.62 (s, 1H), 7.55-7.48 (m, 1H), 5.97-5.69 (m, 2H), 5.02 (s, 2H).
【0231】
実施例6
2-(5-(ジフルオロメチル)-8-オキソチアゾロ[5’,4’:4,5]ピロロ[1,2-d][1,2,4]トリアジン-7(8H)-イル)-N-(5-フルオロピリミジン-2-イル)アセトアミド
【化22】
【0232】
DCE(1.0mL)中の2-(5-(ジフルオロメチル)-8-オキソチアゾロ[5’,4’:4,5]ピロロ[1,2-d][1,2,4]トリアジン-7(8H)-イル)酢酸メチル(67mg、0.21mmol)及び5-フルオロピリミジン-2-アミン(48mg、0.40mmol)の溶液に、AlMe3(n-ヘプタン中1M、0.47mL)を加えた。反応混合物を60℃で3時間攪拌した。反応混合物を水(10mL)で希釈し、EtOAc(3×3mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(3mL)で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣を逆相分取HPLCによって精製した。LCMS: m/z = 396.0 [M+H]+. 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.95 (s, 1H), 8.49 (s, 2H), 8.47 (br s, 1H), 7.60 (s, 1H), 7.33 (t, J = 52.4 Hz, 1H), 5.46 (br s, 2H).
【0233】
生物学的実施例1
化合物の生化学的アッセイ
THP-1細胞の培養手順
本明細書で提供される化合物を以下のアッセイで試験した。RPMI1640培地(89%)、FBS(10%)、Pen/Strep(1%)、及び2-メルカプトエタノール(0.05mM)を含有する細胞培養培地を利用した。凍結培地は、90%FBS及び10%DMSOで構成された。THP-1細胞を液体窒素から取り出し、37℃の水浴に入れ、氷の痕跡が消えるまで解凍した。次いで、細胞を温めた細胞培養培地9mLに加え、1000rpmで5分間遠心分離した。上清を捨て、細胞を新しい細胞培養培地に再懸濁した。次いで、THP-1細胞を分割し、細胞培養培地中で培養し、2~3日ごとに継代した。細胞密度は、5×105~1.5×106の間の生細胞/mLに維持する。
【0234】
凍結するために、細胞を新しい凍結培地に再懸濁し、細胞密度を5×106細胞/mLに調整した。細胞懸濁液をバイアルあたりアリコート1mLに分注し、バイアルを-80℃のフリーザーに移した。-80℃で1日後、細胞バイアルを保管のための液体窒素フリーザーに移した。
【0235】
384-ウェルプレートでのIL-1β分泌のアッセイ手順
PMAをDMSO中に溶解して5mg/mlのストック溶液を作製し、シングルユースのために10μlのアリコートで-20℃で保存した。正常な増殖培地にPMAを添加する。LPSを1mLの水溶液で希釈して1mg/mLのストック溶液を得、シングルユースのために15μlのアリコートで-20℃で保存した。ニゲリシンを氷冷100%エタノールで5mg/ml(6.7mM)に希釈し、シングルユースのために75μLのアリコートで-20℃で保存した。無血清培地は、RPMI1640培地(99%)、Pen/Strep(1%)、及び2-メルカプトエタノール(0.05mM)を含有する。試験化合物の用量反応曲線を定量及び正規化するために使用した2つのコントロール条件は次のとおりであった:高コントロール=25ng/mLのLPS、5μMのニゲリシン、0.5%DMSO、低コントロール=25ng/mLのLPS、0.5%DMSO。
【0236】
1日目:PMAによる分化
THP-1細胞を希釈し、1.0×106細胞/mLの濃度の懸濁液を得、所望の数のアッセイプレートが可能となるのに必要な懸濁液の総量を準備した。増殖培地にPMA(最終濃度5ng/mL)を添加し、細胞を5%CO2の加湿雰囲気下37℃で40時間インキュベートした。
【0237】
3日目:LPS及びニゲリシンの順次刺激によるプレーティング
各培養フラスコから全ての培地を注意深く吸引した。細胞を1x DPBSで注意深く洗浄した。次いで、細胞をトリプシンLEにより23℃で5分間手早く消化し、直ちに細胞増殖培地に再懸濁した。再懸濁後、細胞を1000rpmで3分間遠心分離し、上清を捨てた。細胞をDPBSに再懸濁し、もう一度1000rpmで5分間遠心分離した。上清を捨て、細胞ペレットをLPS(最終濃度25ng/mL)を添加した無血清培地に再懸濁することで、45μLの培地内の30KのTHP-1細胞を384ウェルPDLコートプレートの各ウェルに分注することが可能となった。次いで、384ウェルプレートを5%CO2の加湿雰囲気下37℃で2時間インキュベートした。その後、所望の濃度範囲にわたる試験化合物をTecanによって分注した。全てのウェルは、0.5%DMSOの最終濃度に正規化した。次いで、プレートを5%CO2の加湿雰囲気下37℃で1時間インキュベートした。その後、5μLの5mg/mLニゲリシンストック溶液を適切なウェルのそれぞれに加え、プレートを1000rpmで30秒間遠心分離した。プレートを直ちに5%CO2の加湿雰囲気下37℃のインキュベータに2時間戻した。この後、35μL/ウェルの上清を採取し、v底プレートに移し、1000rpmで1分間遠心分離した。これらの上清アリコートを、以下に記載されるようにIL-Iβ検出キットを使用して分析した。必要であれば、試験試料を急速凍結し、分析するまで-80℃で保存することもできる。
【0238】
IL-1β検出
各ELISAプレートを調製するために、捕捉抗体(mAb Mt175)をPBSで最終濃度2μg/mLに希釈し、次いで、この溶液の20μLをELISAプレートの各ウェルに加えた。各プレートを4℃で一晩インキュベートした。翌日、捕捉抗体溶液を除去し、捨てた。各ELISAプレートをPBSTで4回洗浄し、続いて、0.1%Tween(登録商標)20を添加したブロッキング緩衝液(Licor-927-40010)を25μL/ウェルで加えた。次いで、各ELISAプレートを23℃で1時間インキュベートした。この後、ブロッキング緩衝液を除去し、捨てた。各ELISAプレートをPBSTで4回洗浄した。この間に、アッセイランから得た上清アリコートを含むv底プレートを300gで5分間遠心分離した後、上清試料を15μL/ウェルで各ELISAプレートに移した。次いで、各ELISAプレートを23℃で2時間インキュベートした。この後、上清試料を除去し、捨てた。各ELISAプレートをPBSTで4回洗浄した。各ELISAプレートに0.5μg/mLのmAb 7P10-ビオチン(ブロッキング緩衝液で1:1000に希釈)を15μL/ウェルで加えた。次いで、各ELISAプレートを23℃で1時間インキュベートした。この後、抗体溶液を除去し、捨てた。各ELISAプレートをPBSTで4回洗浄した。各ELISAプレートにストレプトアビジン-HRP(ブロッキング緩衝液で1:2000に希釈)を20μL/ウェルで加えた。次いで、各ELISAプレートを23℃で1時間インキュベートした。この後、緩衝液を除去し、捨てた。各ELISAプレートをPBSTで4回洗浄した。各ELISAプレートにHRP基質を20μL/ウェルで加えた。次いで、各ELISAプレートを23℃で2分間インキュベートした。この後、各ELISAプレートに反応停止液を40μL/ウェルで加えた。各ELISAプレートを1200rpmで30秒間遠心分離した。
【0239】
次いで、マイクロプレートリーダーで、プレートを450nmで読み取った。阻害率(%)は、以下のように算出した:
%阻害率=(処理した試料-高コントロール)/(低コントロール-高コントロール)×100
【0240】
試験した化合物の活性を以下の表3に示す:+++=IC
50<10μM;++=IC
50 10~15μM;+=IC
50>15μM。
【表3】
【0241】
別途の定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般的に理解される意味と同じ意味を有する。
【0242】
本明細書に例示的に記載される実施形態は、本明細書で具体的に開示されていない何らかの1つまたは複数の要素、1つまたは複数の制限がない場合でも好適に実施することができる。したがって、例えば、「含む(comprising)」、「含む(including)」、「含有する(containing)」などの用語は、制限なく広範に解釈されるものとする。更に、本明細書で採用される用語及び表現は、説明のための用語として使用されており、限定するためのものではない。かかる用語及び表現の使用において、示される及び記載される特徴またはその部分の任意の等価物を除外することを意図するものではないが、特許請求される実施形態の範囲内で様々な変更が可能であることが認識される。
【0243】
本明細書で言及される全ての刊行物、特許出願、特許、及び他の参考文献は、それぞれが参照により個別に援用されるのと同様に、その全体が参照により明示的に援用される。矛盾する場合には、定義を含め、本明細書が優先する。
【0244】
本開示を上記の実施形態に関連して説明してきたが、前述の説明及び実施例は例示を意図するものであり、本発明の範囲を限定するものではないことを理解されたい。本開示の範囲内の他の態様、利点及び変更は、本開示が関係する当業者には明らかであろう。
【国際調査報告】