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特表2024-534417インターロイキン-9受容体シグナル伝達ドメインを含むキメラ抗原受容体
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-20
(54)【発明の名称】インターロイキン-9受容体シグナル伝達ドメインを含むキメラ抗原受容体
(51)【国際特許分類】
   C07K 19/00 20060101AFI20240912BHJP
   C07K 16/30 20060101ALI20240912BHJP
   C07K 14/47 20060101ALI20240912BHJP
   C12N 15/62 20060101ALI20240912BHJP
   C12N 15/12 20060101ALI20240912BHJP
   C12N 15/13 20060101ALI20240912BHJP
   C12N 15/85 20060101ALI20240912BHJP
   C12N 15/867 20060101ALI20240912BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20240912BHJP
   C12N 5/0783 20100101ALI20240912BHJP
   A61K 35/17 20150101ALI20240912BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
C07K19/00 ZNA
C07K16/30
C07K14/47
C12N15/62 Z
C12N15/12
C12N15/13
C12N15/85 Z
C12N15/867 Z
C12N5/10
C12N5/0783
A61K35/17
A61P35/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024516765
(86)(22)【出願日】2022-09-16
(85)【翻訳文提出日】2024-04-22
(86)【国際出願番号】 US2022076605
(87)【国際公開番号】W WO2023044453
(87)【国際公開日】2023-03-23
(31)【優先権主張番号】63/245,386
(32)【優先日】2021-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/245,400
(32)【優先日】2021-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500429103
【氏名又は名称】ザ トラスティーズ オブ ザ ユニバーシティ オブ ペンシルバニア
(71)【出願人】
【識別番号】515158308
【氏名又は名称】ザ ボード オブ トラスティーズ オブ ザ レランド スタンフォード ジュニア ユニバーシティー
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100188433
【弁理士】
【氏名又は名称】梅村 幸輔
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100214396
【弁理士】
【氏名又は名称】塩田 真紀
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(74)【代理人】
【識別番号】100221741
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 直子
(74)【代理人】
【識別番号】100114926
【弁理士】
【氏名又は名称】枝松 義恵
(72)【発明者】
【氏名】シウララ ミッコ
(72)【発明者】
【氏名】ジューン カール エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】ガルシア ケナン クリストファー
【テーマコード(参考)】
4B065
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA94X
4B065AB01
4B065BA02
4B065CA25
4B065CA44
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB37
4C087BB65
4C087MA66
4C087NA14
4C087ZB26
4H045AA10
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA41
4H045DA76
4H045EA28
4H045FA74
(57)【要約】
本開示は、腫瘍抗原結合ドメインと、膜貫通ドメインと、インターロイキン-9受容体アルファ(IL9Ra)の細胞内シグナル伝達ドメインを含む細胞内ドメインとを含むCAR、および、該CARを発現するように操作された改変された細胞、すなわち免疫細胞またはその前駆細胞を提供する。例えば、がんの少なくとも1つの徴候および/または症状を治療するための、改変された細胞の方法および使用も提供される。関連する核酸、ベクター、および薬学的組成物も提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
腫瘍抗原結合ドメインと、膜貫通ドメインと、インターロイキン-9受容体アルファ(IL9Ra)の細胞内シグナル伝達ドメインを含む細胞内ドメインとを含むキメラ抗原受容体(CAR)。
【請求項2】
前記腫瘍抗原が、アルファフェトプロテイン(AFP)/HLA-A2、AXL、B7-H3、BCMA、CA-1X、CD2、CD3、CD4、CD5、CD7、CD8、CD19、CD20、CD22、CD30、CD33、CD38、CD44v6、CD70、CD79a、CD79b、CD80、CD86、CD117、CD123、CD133、CD147、CD171、CD276、CEA、クローディン18.2、c-Met、DLL3、DR5、EGFR、EGFRvIII、EpCAM、EphA2、FAP、葉酸受容体アルファ(FRa)/葉酸結合タンパク質(FBP)、GD-2、糖脂質F77、グリピカン-2(GPC2)、グリピカン-3(GPC3)、HER2、HLA-A2、ICAM1、IL3Ra、IL13Ra2、LAGE-1、ルイスY、LMP1(EBV)、MAGE-A1、MAGE-A3、MAGE-A4、メランA、メソテリン、MG7(グリコシル化CEA)、MMP、MUC1、ネクチン4/FAP、NKG2Dリガンド(MIC-A、MIC-B、およびULBP 1~6)、NY-ESO-1、P16、PD-L1、PSCA、PSMA、ROR1、ROR2、TIM-3、TM4SF1、TnMuc1、VEGFR2、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される、請求項1記載のCAR。
【請求項3】
前記腫瘍抗原が、メソテリン、GD2、HER2、TnMuc1、CD70、PMSAおよびEGFRvIIIから選択される、請求項1または請求項2記載のCAR。
【請求項4】
前記腫瘍抗原結合ドメインが、完全長抗体またはその抗原結合断片、単一特異性抗体、二重特異性抗体、Fab、Fab'、F(ab')2、Fv、一本鎖可変断片(scFv)、線状抗体、単一ドメイン抗体(sdAb)および抗体模倣物(例えば、設計アンキリンリピートタンパク質(DARPin)、アフィボディ、モノボディ(アドネクチン)、アフィリン、アフィマー、アフィチン、アルファボディ、アビマー、クニッツドメインペプチド、アンチカリン、およびシンセリン)からなる群より選択される、請求項1~3のいずれか一項記載のCAR。
【請求項5】
前記腫瘍抗原結合ドメインが一本鎖可変断片(scFv)である、請求項1~4のいずれか一項記載のCAR。
【請求項6】
前記腫瘍抗原結合ドメインが、
(a)SEQ ID NO:49およびSEQ ID NO:65から選択される配列と少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む抗メソテリンscFv;
(b)SEQ ID NO:108と少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む抗GD2 scFv;
(c)SEQ ID NO:110またはSEQ ID NO:112と少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む抗HER2 scFv;
(d)SEQ ID NO:114と少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む抗TnMuc1 scFv;
(e)SEQ ID NO:116と少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む抗CD70 scFv;
(f)SEQ ID NO:120と少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む抗PMSA scFv;および
(g)SEQ ID NO:122と少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む抗EGFRvIII scFv
から選択される、請求項1~5のいずれか一項記載のCAR。
【請求項7】
前記CARの前記細胞内ドメインが、TNFRスーパーファミリーのタンパク質、CD28、4-1BB(CD137)、OX40(CD134)、PD-1、CD7、LIGHT、CD83L、DAP10、DAP12、CD27、CD2、CD5、ICAM-1、LFA-1、Lck、TNFR-I、TNFR-II、Fas、CD30、CD40、ICOS、NKG2CおよびB7-H3(CD276)からなる群より選択されるタンパク質の共刺激ドメイン、もしくはそのバリアント、またはキラー免疫グロブリン様受容体(KIR)に由来する細胞内ドメインをさらに含む、請求項1~6のいずれか一項記載のCAR。
【請求項8】
前記CARの前記細胞内ドメインが、CD3ゼータ鎖(CD3ζ)、FcγRIII、FcsRI、Fc受容体の細胞質尾部、免疫受容体チロシンベースの活性化モチーフ(ITAM)を有する細胞質受容体、TCRゼータ、FcRガンマ、CD3ガンマ、CD3デルタ、CD3イプシロン、CD5、CD22、CD79a、CD79bおよびCD66dからなる群より選択されるタンパク質の細胞内シグナル伝達ドメイン、またはそのバリアントをさらに含む、請求項1~7のいずれか一項記載のCAR。
【請求項9】
前記CARの前記細胞内ドメインが、CD28の共刺激ドメイン、4-1BBの共刺激ドメイン、CD3ゼータの細胞内シグナル伝達ドメイン、またはそれらの任意の組合せをさらに含む、請求項1~8のいずれか一項記載のCAR。
【請求項10】
ヒンジドメインをさらに含む、請求項1~9のいずれか一項記載のCAR。
【請求項11】
(a)抗ヒトメソテリンscFv、ヒトCD8ヒンジドメイン、ヒトCD28膜貫通ドメイン、ヒトCD28共刺激ドメイン、ヒトIL9Ra細胞内シグナル伝達ドメインおよびヒトCD3zシグナル伝達ドメイン;
(b)抗ヒトメソテリンscFv、ヒトCD8ヒンジドメイン、ヒトCD8膜貫通ドメイン、ヒト4-1BB共刺激ドメイン、ヒトIL9Ra細胞内シグナル伝達ドメインおよびヒトCD3zシグナル伝達ドメイン;
(c)抗マウスメソテリンscFv、マウスCD8ヒンジドメイン、マウスCD28膜貫通ドメイン、マウスCD28共刺激ドメイン、マウスIL9Ra細胞内シグナル伝達ドメインおよびマウスCD3zシグナル伝達ドメイン;または
(d)抗マウスメソテリンscFv、マウスCD8ヒンジドメイン、マウスCD8膜貫通ドメイン、マウス4-1BB共刺激ドメイン、マウスIL9Ra細胞内シグナル伝達ドメインおよびマウスCD3zシグナル伝達ドメイン
を含む、請求項1~10のいずれか一項記載のCAR。
【請求項12】
SEQ ID NO:81、83、85および87から選択される配列と少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項1~11のいずれか一項記載のCAR。
【請求項13】
SEQ ID NO:82、84、86および88から選択される配列と少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む核酸によってコードされる、請求項1~12のいずれか一項記載のCAR。
【請求項14】
腫瘍抗原結合ドメインと、膜貫通ドメインと、インターロイキン-9受容体アルファ(IL9Ra)の細胞内シグナル伝達ドメインを含む細胞内ドメインとを含むキメラ抗原受容体(CAR)をコードするヌクレオチド配列を含む、単離された核酸。
【請求項15】
前記腫瘍抗原が、アルファフェトプロテイン(AFP)/HLA-A2、AXL、B7-H3、BCMA、CA-1X、CD2、CD3、CD4、CD5、CD7、CD8、CD19、CD20、CD22、CD30、CD33、CD38、CD44v6、CD70、CD79a、CD79b、CD80、CD86、CD117、CD123、CD133、CD147、CD171、CD276、CEA、クローディン18.2、c-Met、DLL3、DR5、EGFR、EGFRvIII、EpCAM、EphA2、FAP、葉酸受容体アルファ(FRa)/葉酸結合タンパク質(FBP)、GD-2、糖脂質F77、グリピカン-2(GPC2)、グリピカン-3(GPC3)、HER2、HLA-A2、ICAM1、IL3Ra、IL13Ra2、LAGE-1、ルイスY、LMP1(EBV)、MAGE-A1、MAGE-A3、MAGE-A4、メランA、メソテリン、MG7(グリコシル化CEA)、MMP、MUC1、ネクチン4/FAP、NKG2Dリガンド(MIC-A、MIC-B、およびULBP 1~6)、NY-ESO-1、P16、PD-L1、PSCA、PSMA、ROR1、ROR2、TIM-3、TM4SF1、TnMuc1、VEGFR2、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される、請求項14記載の単離された核酸。
【請求項16】
前記腫瘍抗原が、メソテリン、GD2、HER2、TnMuc1、CD70、PMSAおよびEGFRvIIIから選択される、請求項14または請求項15記載の単離された核酸。
【請求項17】
前記腫瘍抗原結合ドメインが、完全長抗体またはその抗原結合断片、単一特異性抗体、二重特異性抗体、Fab、Fab'、F(ab')2、Fv、一本鎖可変断片(scFv)、線状抗体、単一ドメイン抗体(sdAb)および抗体模倣物(例えば、設計アンキリンリピートタンパク質(DARPin)、アフィボディ、モノボディ(アドネクチン)、アフィリン、アフィマー、アフィチン、アルファボディ、アビマー、クニッツドメインペプチド、アンチカリン、およびシンセリン)からなる群より選択される、請求項14~16のいずれか一項記載の単離された核酸。
【請求項18】
前記腫瘍抗原結合ドメインが一本鎖可変断片(scFv)である、請求項14~17のいずれか一項記載の単離された核酸。
【請求項19】
前記腫瘍抗原結合ドメインが、
(a)SEQ ID NO:49およびSEQ ID NO:65から選択される配列と少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む抗メソテリンscFv;
(b)SEQ ID NO:108と少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む抗GD2 scFv;
(c)SEQ ID NO:110またはSEQ ID NO:112と少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む抗HER2 scFv;
(d)SEQ ID NO:114と少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む抗TnMuc1 scFv;
(e)SEQ ID NO:116と少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む抗CD70 scFv;
(f)SEQ ID NO:120と少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む抗PMSA scFv;および
(g)SEQ ID NO:122と少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む抗EGFRvIII scFv
から選択される、請求項14~18のいずれか一項記載の単離された核酸。
【請求項20】
前記CARの前記細胞内ドメインが、TNFRスーパーファミリーのタンパク質、CD28、4-1BB(CD137)、OX40(CD134)、PD-1、CD7、LIGHT、CD83L、DAP10、DAP12、CD27、CD2、CD5、ICAM-1、LFA-1、Lck、TNFR-I、TNFR-II、Fas、CD30、CD40、ICOS、NKG2CおよびB7-H3(CD276)からなる群より選択されるタンパク質の共刺激ドメイン、もしくはそのバリアント、またはキラー免疫グロブリン様受容体(KIR)に由来する細胞内ドメインをさらに含む、請求項14~19のいずれか一項記載の単離された核酸。
【請求項21】
前記CARの前記細胞内ドメインが、CD3ゼータ鎖(CD3ζ)、FcγRIII、FcsRI、Fc受容体の細胞質尾部、免疫受容体チロシンベースの活性化モチーフ(ITAM)を有する細胞質受容体、TCRゼータ、FcRガンマ、CD3ガンマ、CD3デルタ、CD3イプシロン、CD5、CD22、CD79a、CD79bおよびCD66dからなる群より選択されるタンパク質の細胞内シグナル伝達ドメイン、またはそのバリアントをさらに含む、請求項14~20のいずれか一項記載の単離された核酸。
【請求項22】
前記CARの前記細胞内ドメインが、CD28の共刺激ドメイン、4-1BBの共刺激ドメイン、CD3ゼータの細胞内シグナル伝達ドメイン、またはそれらの任意の組合せをさらに含む、請求項14~21のいずれか一項記載の単離された核酸。
【請求項23】
ヒンジドメインをさらに含む、請求項14~22のいずれか一項記載の単離された核酸。
【請求項24】
前記CARが、
(a)抗ヒトメソテリンscFv、ヒトCD8ヒンジドメイン、ヒトCD28膜貫通ドメイン、ヒトCD28共刺激ドメイン、ヒトIL9Ra細胞内シグナル伝達ドメインおよびヒトCD3zシグナル伝達ドメイン;
(b)抗ヒトメソテリンscFv、ヒトCD8ヒンジドメイン、ヒトCD8膜貫通ドメイン、ヒト4-1BB共刺激ドメイン、ヒトIL9Ra細胞内シグナル伝達ドメインおよびヒトCD3zシグナル伝達ドメイン;
(c)抗マウスメソテリンscFv、マウスCD8ヒンジドメイン、マウスCD28膜貫通ドメイン、マウスCD28共刺激ドメイン、マウスIL9Ra細胞内シグナル伝達ドメインおよびマウスCD3zシグナル伝達ドメイン;または
(d)抗マウスメソテリンscFv、マウスCD8ヒンジドメイン、マウスCD8膜貫通ドメイン、マウス4-1BB共刺激ドメイン、マウスIL9Ra細胞内シグナル伝達ドメインおよびマウスCD3zシグナル伝達ドメイン
を含む、請求項14~23のいずれか一項記載の単離された核酸。
【請求項25】
前記CARが、SEQ ID NO:81、83、85および87から選択される配列と少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項14~24のいずれか一項記載の単離された核酸。
【請求項26】
前記CARが、SEQ ID NO:82、84、86および88から選択される配列と少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む核酸によってコードされる、請求項14~25のいずれか一項記載の単離された核酸。
【請求項27】
請求項14~26のいずれか一項記載の単離された核酸を含むベクター。
【請求項28】
レトロウイルスベクターまたはレンチウイルスベクターである、請求項27記載のベクター。
【請求項29】
改変された細胞であって、
前記細胞が免疫細胞またはその前駆細胞であり、かつ
前記細胞が、腫瘍抗原結合ドメインと、膜貫通ドメインと、インターロイキン-9受容体アルファ(IL9Ra)の細胞内シグナル伝達ドメインを含む細胞内ドメインとを含むキメラ抗原受容体(CAR)を発現するように操作されている、
前記改変された細胞。
【請求項30】
前記腫瘍抗原が、アルファフェトプロテイン(AFP)/HLA-A2、AXL、B7-H3、BCMA、CA-1X、CD2、CD3、CD4、CD5、CD7、CD8、CD19、CD20、CD22、CD30、CD33、CD38、CD44v6、CD70、CD79a、CD79b、CD80、CD86、CD117、CD123、CD133、CD147、CD171、CD276、CEA、クローディン18.2、c-Met、DLL3、DR5、EGFR、EGFRvIII、EpCAM、EphA2、FAP、葉酸受容体アルファ(FRa)/葉酸結合タンパク質(FBP)、GD-2、糖脂質F77、グリピカン-2(GPC2)、グリピカン-3(GPC3)、HER2、HLA-A2、ICAM1、IL3Ra、IL13Ra2、LAGE-1、ルイスY、LMP1(EBV)、MAGE-A1、MAGE-A3、MAGE-A4、メランA、メソテリン、MG7(グリコシル化CEA)、MMP、MUC1、ネクチン4/FAP、NKG2Dリガンド(MIC-A、MIC-B、およびULBP 1~6)、NY-ESO-1、P16、PD-L1、PSCA、PSMA、ROR1、ROR2、TIM-3、TM4SF1、TnMuc1、VEGFR2、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される、請求項29記載の改変された細胞。
【請求項31】
前記腫瘍抗原が、メソテリン、GD2、HER2、TnMuc1、CD70、PMSAおよびEGFRvIIIから選択される、請求項29または請求項30記載の改変された細胞。
【請求項32】
前記腫瘍抗原結合ドメインが、完全長抗体またはその抗原結合断片、単一特異性抗体、二重特異性抗体、Fab、Fab'、F(ab')2、Fv、一本鎖可変断片(scFv)、線状抗体、単一ドメイン抗体(sdAb)および抗体模倣物(例えば、設計アンキリンリピートタンパク質(DARPin)、アフィボディ、モノボディ(アドネクチン)、アフィリン、アフィマー、アフィチン、アルファボディ、アビマー、クニッツドメインペプチド、アンチカリン、およびシンセリン)からなる群より選択される、請求項29~31のいずれか一項記載の改変された細胞。
【請求項33】
前記腫瘍抗原結合ドメインが一本鎖可変断片(scFv)である、請求項29~32のいずれか一項記載の改変された細胞。
【請求項34】
前記腫瘍抗原結合ドメインが、
(a)SEQ ID NO:49およびSEQ ID NO:65から選択される配列と少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む抗メソテリンscFv;
(b)SEQ ID NO:108と少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む抗GD2 scFv;
(c)SEQ ID NO:110またはSEQ ID NO:112と少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む抗HER2 scFv;
(d)SEQ ID NO:114と少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む抗TnMuc1 scFv;
(e)SEQ ID NO:116と少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む抗CD70 scFv;
(f)SEQ ID NO:120と少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む抗PMSA scFv;および
(g)SEQ ID NO:122と少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む抗EGFRvIII scFv
から選択される、請求項29~33のいずれか一項記載の改変された細胞。
【請求項35】
前記CARの前記細胞内ドメインが、TNFRスーパーファミリーのタンパク質、CD28、4-1BB(CD137)、OX40(CD134)、PD-1、CD7、LIGHT、CD83L、DAP10、DAP12、CD27、CD2、CD5、ICAM-1、LFA-1、Lck、TNFR-I、TNFR-II、Fas、CD30、CD40、ICOS、NKG2CおよびB7-H3(CD276)からなる群より選択されるタンパク質の共刺激ドメイン、もしくはそのバリアント、またはキラー免疫グロブリン様受容体(KIR)に由来する細胞内ドメインをさらに含む、請求項29~34のいずれか一項記載の改変された細胞。
【請求項36】
前記CARの前記細胞内ドメインが、CD3ゼータ鎖(CD3ζ)、FcγRIII、FcsRI、Fc受容体の細胞質尾部、免疫受容体チロシンベースの活性化モチーフ(ITAM)を有する細胞質受容体、TCRゼータ、FcRガンマ、CD3ガンマ、CD3デルタ、CD3イプシロン、CD5、CD22、CD79a、CD79bおよびCD66dからなる群より選択されるタンパク質の細胞内シグナル伝達ドメイン、またはそのバリアントをさらに含む、請求項29~35のいずれか一項記載の改変された細胞。
【請求項37】
前記CARの前記細胞内ドメインが、CD28の共刺激ドメイン、4-1BBの共刺激ドメイン、CD3ゼータの細胞内シグナル伝達ドメイン、またはそれらの任意の組合せをさらに含む、請求項29~36のいずれか一項記載の改変された細胞。
【請求項38】
ヒンジドメインをさらに含む、請求項29~37のいずれか一項記載の改変された細胞。
【請求項39】
前記CARが、
(a)抗ヒトメソテリンscFv、ヒトCD8ヒンジドメイン、ヒトCD28膜貫通ドメイン、ヒトCD28共刺激ドメイン、ヒトIL9Ra細胞内シグナル伝達ドメインおよびヒトCD3zシグナル伝達ドメイン;
(b)抗ヒトメソテリンscFv、ヒトCD8ヒンジドメイン、ヒトCD8膜貫通ドメイン、ヒト4-1BB共刺激ドメイン、ヒトIL9Ra細胞内シグナル伝達ドメインおよびヒトCD3zシグナル伝達ドメイン;
(c)抗マウスメソテリンscFv、マウスCD8ヒンジドメイン、マウスCD28膜貫通ドメイン、マウスCD28共刺激ドメイン、マウスIL9Ra細胞内シグナル伝達ドメインおよびマウスCD3zシグナル伝達ドメイン;または
(d)抗マウスメソテリンscFv、マウスCD8ヒンジドメイン、マウスCD8膜貫通ドメイン、マウス4-1BB共刺激ドメイン、マウスIL9Ra細胞内シグナル伝達ドメインおよびマウスCD3zシグナル伝達ドメイン
を含む、請求項29~38のいずれか一項記載の改変された細胞。
【請求項40】
前記CARが、SEQ ID NO:81、83、85および87から選択される配列と少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項29~39のいずれか一項記載の改変された細胞。
【請求項41】
前記CARが、SEQ ID NO:82、84、86および88から選択される配列と少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む核酸によってコードされる、請求項29~40のいずれか一項記載の改変された細胞。
【請求項42】
前記細胞が、T細胞、自己由来細胞、ヒト細胞、またはそれらの任意の組合せである、請求項29~41のいずれか一項記載の改変された細胞。
【請求項43】
前記細胞が、STAT1、STAT3、STAT5、またはそれらの任意の組合せを活性化することができる、請求項29~42のいずれか一項記載の改変された細胞。
【請求項44】
請求項29~43のいずれか一項記載の改変された細胞の集団と、少なくとも1つの薬学的に許容される担体とを含む、薬学的組成物。
【請求項45】
その必要がある対象においてがんを治療する方法であって、前記対象に改変された細胞の集団を投与する工程を含み、前記細胞が免疫細胞またはその前駆細胞であり、かつ前記細胞が、腫瘍抗原結合ドメインと、膜貫通ドメインと、インターロイキン-9受容体アルファ(IL9Ra)の細胞内シグナル伝達ドメインを含む細胞内ドメインとを含むキメラ抗原受容体(CAR)を発現するように操作されている、前記方法。
【請求項46】
前記腫瘍抗原が、アルファフェトプロテイン(AFP)/HLA-A2、AXL、B7-H3、BCMA、CA-1X、CD2、CD3、CD4、CD5、CD7、CD8、CD19、CD20、CD22、CD30、CD33、CD38、CD44v6、CD70、CD79a、CD79b、CD80、CD86、CD117、CD123、CD133、CD147、CD171、CD276、CEA、クローディン18.2、c-Met、DLL3、DR5、EGFR、EGFRvIII、EpCAM、EphA2、FAP、葉酸受容体アルファ(FRa)/葉酸結合タンパク質(FBP)、GD-2、糖脂質F77、グリピカン-2(GPC2)、グリピカン-3(GPC3)、HER2、HLA-A2、ICAM1、IL3Ra、IL13Ra2、LAGE-1、ルイスY、LMP1(EBV)、MAGE-A1、MAGE-A3、MAGE-A4、メランA、メソテリン、MG7(グリコシル化CEA)、MMP、MUC1、ネクチン4/FAP、NKG2Dリガンド(MIC-A、MIC-B、およびULBP 1~6)、NY-ESO-1、P16、PD-L1、PSCA、PSMA、ROR1、ROR2、TIM-3、TM4SF1、TnMuc1、VEGFR2、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される、請求項45記載の方法。
【請求項47】
前記腫瘍抗原が、メソテリン、GD2、HER2、TnMuc1、CD70、PMSAおよびEGFRvIIIから選択される、請求項45または請求項46記載の方法。
【請求項48】
前記腫瘍抗原結合ドメインが、完全長抗体またはその抗原結合断片、単一特異性抗体、二重特異性抗体、Fab、Fab'、F(ab')2、Fv、一本鎖可変断片(scFv)、線状抗体、単一ドメイン抗体(sdAb)および抗体模倣物(例えば、設計アンキリンリピートタンパク質(DARPin)、アフィボディ、モノボディ(アドネクチン)、アフィリン、アフィマー、アフィチン、アルファボディ、アビマー、クニッツドメインペプチド、アンチカリン、およびシンセリン)からなる群より選択される、請求項45~47のいずれか一項記載の方法。
【請求項49】
前記腫瘍抗原結合ドメインが一本鎖可変断片(scFv)である、請求項45~48のいずれか一項記載の方法。
【請求項50】
前記腫瘍抗原結合ドメインが、
(a)SEQ ID NO:49およびSEQ ID NO:65から選択される配列と少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む抗メソテリンscFv;
(b)SEQ ID NO:108と少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む抗GD2 scFv;
(c)SEQ ID NO:110またはSEQ ID NO:112と少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む抗HER2 scFv;
(d)SEQ ID NO:114と少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む抗TnMuc1 scFv;
(e)SEQ ID NO:116と少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む抗CD70 scFv;
(f)SEQ ID NO:120と少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む抗PMSA scFv;および
(g)SEQ ID NO:122と少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む抗EGFRvIII scFv
から選択される、請求項45~49のいずれか一項記載の方法。
【請求項51】
前記CARの前記細胞内ドメインが、TNFRスーパーファミリーのタンパク質、CD28、4-1BB(CD137)、OX40(CD134)、PD-1、CD7、LIGHT、CD83L、DAP10、DAP12、CD27、CD2、CD5、ICAM-1、LFA-1、Lck、TNFR-I、TNFR-II、Fas、CD30、CD40、ICOS、NKG2CおよびB7-H3(CD276)からなる群より選択されるタンパク質の共刺激ドメイン、もしくはそのバリアント、またはキラー免疫グロブリン様受容体(KIR)に由来する細胞内ドメインをさらに含む、請求項45~50のいずれか一項記載の方法。
【請求項52】
前記CARの前記細胞内ドメインが、CD3ゼータ鎖(CD3ζ)、FcγRIII、FcsRI、Fc受容体の細胞質尾部、免疫受容体チロシンベースの活性化モチーフ(ITAM)を有する細胞質受容体、TCRゼータ、FcRガンマ、CD3ガンマ、CD3デルタ、CD3イプシロン、CD5、CD22、CD79a、CD79bおよびCD66dからなる群より選択されるタンパク質の細胞内シグナル伝達ドメイン、またはそのバリアントをさらに含む、請求項45~51のいずれか一項記載の方法。
【請求項53】
前記CARの前記細胞内ドメインが、CD28の共刺激ドメイン、4-1BBの共刺激ドメイン、CD3ゼータの細胞内シグナル伝達ドメイン、またはそれらの任意の組合せをさらに含む、請求項45~52のいずれか一項記載の方法。
【請求項54】
ヒンジドメインをさらに含む、請求項45~53のいずれか一項記載の方法。
【請求項55】
前記CARが、
(a)抗ヒトメソテリンscFv、ヒトCD8ヒンジドメイン、ヒトCD28膜貫通ドメイン、ヒトCD28共刺激ドメイン、ヒトIL9Ra細胞内シグナル伝達ドメインおよびヒトCD3zシグナル伝達ドメイン;
(b)抗ヒトメソテリンscFv、ヒトCD8ヒンジドメイン、ヒトCD8膜貫通ドメイン、ヒト4-1BB共刺激ドメイン、ヒトIL9Ra細胞内シグナル伝達ドメインおよびヒトCD3zシグナル伝達ドメイン;
(c)抗マウスメソテリンscFv、マウスCD8ヒンジドメイン、マウスCD28膜貫通ドメイン、マウスCD28共刺激ドメイン、マウスIL9Ra細胞内シグナル伝達ドメインおよびマウスCD3zシグナル伝達ドメイン;または
(d)抗マウスメソテリンscFv、マウスCD8ヒンジドメイン、マウスCD8膜貫通ドメイン、マウス4-1BB共刺激ドメイン、マウスIL9Ra細胞内シグナル伝達ドメインおよびマウスCD3zシグナル伝達ドメイン
を含む、請求項45~54のいずれか一項記載の方法。
【請求項56】
前記CARが、SEQ ID NO:81、83、85および87から選択される配列と少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項45~55のいずれか一項記載の方法。
【請求項57】
前記CARが、SEQ ID NO:82、84、86および88から選択される配列と少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む核酸によってコードされる、請求項45~56のいずれか一項記載の方法。
【請求項58】
細胞の前記集団が、T細胞、自己由来細胞、ヒト細胞、またはそれらの任意の組合せを含む、請求項45~57のいずれか一項記載の方法。
【請求項59】
細胞の前記集団が、STAT1、STAT3、STAT5、またはそれらの任意の組合せを活性化することができる、請求項45~58のいずれか一項記載の方法。
【請求項60】
前記対象がヒトである、請求項45~59のいずれか一項記載の方法。
【請求項61】
前記がんが、B細胞悪性腫瘍(B細胞リンパ腫または白血病など)、肺癌、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、メルケル細胞癌腫、黒色腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、尿路上皮癌腫、胃癌、子宮頸癌、皮膚扁平上皮癌腫、腎細胞癌腫、乳癌、トリプルネガティブ乳癌、結腸癌、食道癌、胃癌、肝臓癌、腎臓癌、膵臓癌、前立腺癌、脳癌、肺腺癌、神経膠芽腫、肝細胞癌腫、胆嚢癌、子宮頸癌、子宮頸扁平上皮癌腫、結腸直腸癌、卵巣癌、および腎癌から選択される、請求項45~60のいずれか一項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年9月17日に出願された米国仮特許出願第63/245,400号および2021年9月17日に出願された米国仮特許出願第63/245,386号に対する米国特許法119(e)の下での優先権を主張し、それらの全体は参照により本明細書に組み入れられる。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
急性リンパ芽球性白血病およびびまん性大細胞型B細胞リンパ腫の治療に対する、CD19標的化キメラ抗原受容体T細胞(CAR-T細胞)のFDAによる承認から明らかなように、現在の免疫療法の進歩は血液悪性腫瘍の治療にとって革命的であった。しかしながら、がん治療に関する最大の未解決の難題は固形腫瘍である。腫瘍特異的抗原の欠如、治療耐性、腫瘍の不均一性、乏しい増殖および持続性、ならびに密な免疫抑制性の腫瘍微小環境(TME)によって引き起こされるT細胞浸潤に対する外因性機能障害および物理的障壁という障害を克服することを含む多数の課題のために、CAR-T細胞は、固形腫瘍との戦いにおける有効性を欠いてきた。1つの大きな制約は、養子移入されたT細胞のインビボでの増殖および持続性が不十分であり、患者の適格性を制限する有毒なレジメンであるリンパ球除去コンディショニング化学療法を必要とすることである。増殖および持続するT細胞でさえ、最終的には、分化し、機能障害性となる。幹様表現型を有するT細胞は、これらの制限を克服し、マウスモデルおよびヒトにおいて優れた抗腫瘍活性を示すことができるが、幹様T細胞を選択するか、または増殖させるための治療的操作は細胞製造段階に限定されており、インビボで行うことはできない。当技術分野において、これらの障害および課題を克服する新規な細胞ベースの治療が必要とされている。本発明は、この要求に対処する。
【発明の概要】
【0003】
いくつかの局面において、本発明は、腫瘍抗原結合ドメインと、膜貫通ドメインと、インターロイキン-9受容体アルファ(IL9Ra)の細胞内シグナル伝達ドメインを含む細胞内ドメインとを含むキメラ抗原受容体(CAR)を提供する。
【0004】
いくつかの態様において、腫瘍抗原は、アルファフェトプロテイン(AFP)/HLA-A2、AXL、B7-H3、BCMA、CA-1X、CD2、CD3、CD4、CD5、CD7、CD8、CD19、CD20、CD22、CD30、CD33、CD38、CD44v6、CD70、CD79a、CD79b、CD80、CD86、CD117、CD123、CD133、CD147、CD171、CD276、CEA、クローディン18.2、c-Met、DLL3、DR5、EGFR、EGFRvIII、EpCAM、EphA2、FAP、葉酸受容体アルファ(FRa)/葉酸結合タンパク質(FBP)、GD-2、糖脂質F77、グリピカン-2(GPC2)、グリピカン-3(GPC3)、HER2、HLA-A2、ICAM1、IL3Ra、IL13Ra2、LAGE-1、ルイスY、LMP1(EBV)、MAGE-A1、MAGE-A3、MAGE-A4、メランA、メソテリン、MG7(グリコシル化CEA)、MMP、MUC1、ネクチン4/FAP、NKG2Dリガンド(MIC-A、MIC-B、およびULBP 1~6)、NY-ESO-1、P16、PD-L1、PSCA、PSMA、ROR1、ROR2、TIM-3、TM4SF1、TnMuc1、VEGFR2、およびそれらの任意の組合せから選択される。
【0005】
いくつかの態様において、腫瘍抗原は、メソテリン、GD2、HER2、TnMuc1、CD70、PMSAおよびEGFRvIIIから選択される。
【0006】
いくつかの態様において、腫瘍抗原結合ドメインは、完全長抗体またはその抗原結合断片、単一特異性抗体、二重特異性抗体、Fab、Fab'、F(ab')2、Fv、一本鎖可変断片(scFv)、線状抗体、単一ドメイン抗体(sdAb)および抗体模倣物(例えば、設計アンキリンリピートタンパク質(DARPin)、アフィボディ、モノボディ(アドネクチン)、アフィリン、アフィマー、アフィチン、アルファボディ、アビマー、クニッツドメインペプチド、アンチカリン、およびシンセリン)からなる群より選択される。
【0007】
いくつかの態様において、腫瘍抗原結合ドメインは一本鎖可変断片(scFv)である。
【0008】
いくつかの態様において、腫瘍抗原結合ドメインは、
(a)SEQ ID NO:49およびSEQ ID NO:65から選択される配列と少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む抗メソテリンscFv;
(b)SEQ ID NO:108と少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む抗GD2 scFv;
(c)SEQ ID NO:110またはSEQ ID NO:112と少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む抗HER2 scFv;
(d)SEQ ID NO:114と少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む抗TnMuc1 scFv;
(e)SEQ ID NO:116と少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む抗CD70 scFv;
(f)SEQ ID NO:120と少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む抗PMSA scFv;および
(g)SEQ ID NO:122と少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む抗EGFRvIII scFv
から選択される。
【0009】
いくつかの態様において、CARの細胞内ドメインは、TNFRスーパーファミリーのタンパク質、CD28、4-1BB(CD137)、OX40(CD134)、PD-1、CD7、LIGHT、CD83L、DAP10、DAP12、CD27、CD2、CD5、ICAM-1、LFA-1、Lck、TNFR-I、TNFR-II、Fas、CD30、CD40、ICOS、NKG2CおよびB7-H3(CD276)からなる群より選択されるタンパク質の共刺激ドメイン、もしくはそのバリアント、またはキラー免疫グロブリン様受容体(KIR)に由来する細胞内ドメインをさらに含む。
【0010】
いくつかの態様において、CARの細胞内ドメインは、CD3ゼータ鎖(CD3ζ)、FcγRIII、FcsRI、Fc受容体の細胞質尾部、免疫受容体チロシンベースの活性化モチーフ(ITAM)を有する細胞質受容体、TCRゼータ、FcRガンマ、CD3ガンマ、CD3デルタ、CD3イプシロン、CD5、CD22、CD79a、CD79bおよびCD66dからなる群より選択されるタンパク質の細胞内シグナル伝達ドメイン、またはそのバリアントをさらに含む。
【0011】
いくつかの態様において、CARの細胞内ドメインは、CD28の共刺激ドメイン、4-1BBの共刺激ドメイン、CD3ゼータの細胞内シグナル伝達ドメイン、またはそれらの任意の組合せをさらに含む。
【0012】
いくつかの態様において、CARはヒンジドメインをさらに含む。
【0013】
いくつかの態様において、CARは、
(a)抗ヒトメソテリンscFv、ヒトCD8ヒンジドメイン、ヒトCD28膜貫通ドメイン、ヒトCD28共刺激ドメイン、ヒトIL9Ra細胞内シグナル伝達ドメインおよびヒトCD3zシグナル伝達ドメイン;
(b)抗ヒトメソテリンscFv、ヒトCD8ヒンジドメイン、ヒトCD8膜貫通ドメイン、ヒト4-1BB共刺激ドメイン、ヒトIL9Ra細胞内シグナル伝達ドメインおよびヒトCD3zシグナル伝達ドメイン;
(c)抗マウスメソテリンscFv、マウスCD8ヒンジドメイン、マウスCD28膜貫通ドメイン、マウスCD28共刺激ドメイン、マウスIL9Ra細胞内シグナル伝達ドメインおよびマウスCD3zシグナル伝達ドメイン;または
(d)抗マウスメソテリンscFv、マウスCD8ヒンジドメイン、マウスCD8膜貫通ドメイン、マウス4-1BB共刺激ドメイン、マウスIL9Ra細胞内シグナル伝達ドメインおよびマウスCD3zシグナル伝達ドメイン
を含む。
【0014】
いくつかの態様において、CARは、SEQ ID NO:81、83、85および87から選択される配列と少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0015】
いくつかの態様において、CARは、SEQ ID NO:82、84、86および88から選択される配列と少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む核酸によってコードされる。
【0016】
別の局面において、腫瘍抗原結合ドメインと、膜貫通ドメインと、インターロイキン-9受容体アルファ(IL9Ra)の細胞内シグナル伝達ドメインを含む細胞内ドメインとを含むキメラ抗原受容体(CAR)をコードするヌクレオチド配列を含む、単離された核酸が提供される。
【0017】
いくつかの態様において、腫瘍抗原は、アルファフェトプロテイン(AFP)/HLA-A2、AXL、B7-H3、BCMA、CA-1X、CD2、CD3、CD4、CD5、CD7、CD8、CD19、CD20、CD22、CD30、CD33、CD38、CD44v6、CD70、CD79a、CD79b、CD80、CD86、CD117、CD123、CD133、CD147、CD171、CD276、CEA、クローディン18.2、c-Met、DLL3、DR5、EGFR、EGFRvIII、EpCAM、EphA2、FAP、葉酸受容体アルファ(FRa)/葉酸結合タンパク質(FBP)、GD-2、糖脂質F77、グリピカン-2(GPC2)、グリピカン-3(GPC3)、HER2、HLA-A2、ICAM1、IL3Ra、IL13Ra2、LAGE-1、ルイスY、LMP1(EBV)、MAGE-A1、MAGE-A3、MAGE-A4、メランA、メソテリン、MG7(グリコシル化CEA)、MMP、MUC1、ネクチン4/FAP、NKG2Dリガンド(MIC-A、MIC-B、およびULBP 1~6)、NY-ESO-1、P16、PD-L1、PSCA、PSMA、ROR1、ROR2、TIM-3、TM4SF1、TnMuc1、VEGFR2、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される。
【0018】
いくつかの態様において、腫瘍抗原は、メソテリン、GD2、HER2、TnMuc1、CD70、PMSAおよびEGFRvIIIから選択される。
【0019】
いくつかの態様において、腫瘍抗原結合ドメインは、完全長抗体またはその抗原結合断片、単一特異性抗体、二重特異性抗体、Fab、Fab'、F(ab')2、Fv、一本鎖可変断片(scFv)、線状抗体、単一ドメイン抗体(sdAb)および抗体模倣物(例えば、設計アンキリンリピートタンパク質(DARPin)、アフィボディ、モノボディ(アドネクチン)、アフィリン、アフィマー、アフィチン、アルファボディ、アビマー、クニッツドメインペプチド、アンチカリン、およびシンセリン)からなる群より選択される。
【0020】
いくつかの態様において、腫瘍抗原結合ドメインは一本鎖可変断片(scFv)である。
【0021】
いくつかの態様において、腫瘍抗原結合ドメインは、
(a)SEQ ID NO:49およびSEQ ID NO:65から選択される配列と少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む抗メソテリンscFv;
(b)SEQ ID NO:108と少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む抗GD2 scFv;
(c)SEQ ID NO:110またはSEQ ID NO:112と少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む抗HER2 scFv;
(d)SEQ ID NO:114と少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む抗TnMuc1 scFv;
(e)SEQ ID NO:116と少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む抗CD70 scFv;
(f)SEQ ID NO:120と少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む抗PMSA scFv;および
(g)SEQ ID NO:122と少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む抗EGFRvIII scFv
から選択される。
【0022】
いくつかの態様において、CARの細胞内ドメインは、TNFRスーパーファミリーのタンパク質、CD28、4-1BB(CD137)、OX40(CD134)、PD-1、CD7、LIGHT、CD83L、DAP10、DAP12、CD27、CD2、CD5、ICAM-1、LFA-1、Lck、TNFR-I、TNFR-II、Fas、CD30、CD40、ICOS、NKG2CおよびB7-H3(CD276)からなる群より選択されるタンパク質の共刺激ドメイン、もしくはそのバリアント、またはキラー免疫グロブリン様受容体(KIR)に由来する細胞内ドメインをさらに含む。
【0023】
いくつかの態様において、CARの細胞内ドメインは、CD3ゼータ鎖(CD3ζ)、FcγRIII、FcsRI、Fc受容体の細胞質尾部、免疫受容体チロシンベースの活性化モチーフ(ITAM)を有する細胞質受容体、TCRゼータ、FcRガンマ、CD3ガンマ、CD3デルタ、CD3イプシロン、CD5、CD22、CD79a、CD79bおよびCD66dからなる群より選択されるタンパク質の細胞内シグナル伝達ドメイン、またはそのバリアントをさらに含む。
【0024】
いくつかの態様において、CARの細胞内ドメインは、CD28の共刺激ドメイン、4-1BBの共刺激ドメイン、CD3ゼータの細胞内シグナル伝達ドメイン、またはそれらの任意の組合せをさらに含む。
【0025】
いくつかの態様において、本発明の単離された核酸は、ヒンジドメインをさらに含む。
【0026】
いくつかの態様において、CARは、
(a)抗ヒトメソテリンscFv、ヒトCD8ヒンジドメイン、ヒトCD28膜貫通ドメイン、ヒトCD28共刺激ドメイン、ヒトIL9Ra細胞内シグナル伝達ドメインおよびヒトCD3zシグナル伝達ドメイン;
(b)抗ヒトメソテリンscFv、ヒトCD8ヒンジドメイン、ヒトCD8膜貫通ドメイン、ヒト4-1BB共刺激ドメイン、ヒトIL9Ra細胞内シグナル伝達ドメインおよびヒトCD3zシグナル伝達ドメイン;
(c)抗マウスメソテリンscFv、マウスCD8ヒンジドメイン、マウスCD28膜貫通ドメイン、マウスCD28共刺激ドメイン、マウスIL9Ra細胞内シグナル伝達ドメインおよびマウスCD3zシグナル伝達ドメイン;または
(d)抗マウスメソテリンscFv、マウスCD8ヒンジドメイン、マウスCD8膜貫通ドメイン、マウス4-1BB共刺激ドメイン、マウスIL9Ra細胞内シグナル伝達ドメインおよびマウスCD3zシグナル伝達ドメイン
を含む。
【0027】
いくつかの態様において、CARは、SEQ ID NO:81、83、85および87から選択される配列と少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0028】
いくつかの態様において、CARは、SEQ ID NO:82、84、86および88から選択される配列と少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む核酸によってコードされる。
【0029】
別の局面において、本発明の単離された核酸を含むベクターが提供される。
【0030】
いくつかの態様において、ベクターはレトロウイルスベクターまたはレンチウイルスベクターである。
【0031】
別の局面において、改変された細胞であって、
前記細胞が免疫細胞またはその前駆細胞であり、かつ
前記細胞が、腫瘍抗原結合ドメインと、膜貫通ドメインと、インターロイキン-9受容体アルファ(IL9Ra)の細胞内シグナル伝達ドメインを含む細胞内ドメインとを含むキメラ抗原受容体(CAR)を発現するように操作されている、
改変された細胞が提供される。
【0032】
いくつかの態様において、腫瘍抗原は、アルファフェトプロテイン(AFP)/HLA-A2、AXL、B7-H3、BCMA、CA-1X、CD2、CD3、CD4、CD5、CD7、CD8、CD19、CD20、CD22、CD30、CD33、CD38、CD44v6、CD70、CD79a、CD79b、CD80、CD86、CD117、CD123、CD133、CD147、CD171、CD276、CEA、クローディン18.2、c-Met、DLL3、DR5、EGFR、EGFRvIII、EpCAM、EphA2、FAP、葉酸受容体アルファ(FRa)/葉酸結合タンパク質(FBP)、GD-2、糖脂質F77、グリピカン-2(GPC2)、グリピカン-3(GPC3)、HER2、HLA-A2、ICAM1、IL3Ra、IL13Ra2、LAGE-1、ルイスY、LMP1(EBV)、MAGE-A1、MAGE-A3、MAGE-A4、メランA、メソテリン、MG7(グリコシル化CEA)、MMP、MUC1、ネクチン4/FAP、NKG2Dリガンド(MIC-A、MIC-B、およびULBP 1~6)、NY-ESO-1、P16、PD-L1、PSCA、PSMA、ROR1、ROR2、TIM-3、TM4SF1、TnMuc1、VEGFR2、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される。
【0033】
いくつかの態様において、腫瘍抗原は、メソテリン、GD2、HER2、TnMuc1、CD70、PMSAおよびEGFRvIIIから選択される。
【0034】
いくつかの態様において、腫瘍抗原結合ドメインは、完全長抗体またはその抗原結合断片、単一特異性抗体、二重特異性抗体、Fab、Fab'、F(ab')2、Fv、一本鎖可変断片(scFv)、線状抗体、単一ドメイン抗体(sdAb)ならびに抗体模倣物(例えば、設計アンキリンリピートタンパク質(DARPin)、アフィボディ、モノボディ(アドネクチン)、アフィリン、アフィマー、アフィチン、アルファボディ、アビマー、クニッツドメインペプチド、アンチカリン、およびシンセリン)からなる群より選択される。
【0035】
いくつかの態様において、腫瘍抗原結合ドメインは一本鎖可変断片(scFv)である。
【0036】
いくつかの態様において、腫瘍抗原結合ドメインは、
(a)SEQ ID NO:49およびSEQ ID NO:65から選択される配列と少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む抗メソテリンscFv;
(b)SEQ ID NO:108と少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む抗GD2 scFv;
(c)SEQ ID NO:110またはSEQ ID NO:112と少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む抗HER2 scFv;
(d)SEQ ID NO:114と少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む抗TnMuc1 scFv;
(e)SEQ ID NO:116と少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む抗CD70 scFv;
(f)SEQ ID NO:120と少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む抗PMSA scFv;および
(g)SEQ ID NO:122と少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む抗EGFRvIII scFv
から選択される。
【0037】
いくつかの態様において、CARの細胞内ドメインは、TNFRスーパーファミリーのタンパク質、CD28、4-1BB(CD137)、OX40(CD134)、PD-1、CD7、LIGHT、CD83L、DAP10、DAP12、CD27、CD2、CD5、ICAM-1、LFA-1、Lck、TNFR-I、TNFR-II、Fas、CD30、CD40、ICOS、NKG2CおよびB7-H3(CD276)からなる群より選択されるタンパク質の共刺激ドメイン、もしくはそのバリアント、またはキラー免疫グロブリン様受容体(KIR)に由来する細胞内ドメインをさらに含む。
【0038】
いくつかの態様において、CARの細胞内ドメインは、CD3ゼータ鎖(CD3ζ)、FcγRIII、FcsRI、Fc受容体の細胞質尾部、免疫受容体チロシンベースの活性化モチーフ(ITAM)を有する細胞質受容体、TCRゼータ、FcRガンマ、CD3ガンマ、CD3デルタ、CD3イプシロン、CD5、CD22、CD79a、CD79bおよびCD66dからなる群より選択されるタンパク質の細胞内シグナル伝達ドメイン、またはそのバリアントをさらに含む。
【0039】
いくつかの態様において、CARの細胞内ドメインは、CD28の共刺激ドメイン、4-1BBの共刺激ドメイン、CD3ゼータの細胞内シグナル伝達ドメイン、またはそれらの任意の組合せをさらに含む。
【0040】
いくつかの態様において、本発明の改変された細胞は、ヒンジドメインをさらに含む。
【0041】
いくつかの態様において、CARは、
(a)抗ヒトメソテリンscFv、ヒトCD8ヒンジドメイン、ヒトCD28膜貫通ドメイン、ヒトCD28共刺激ドメイン、ヒトIL9Ra細胞内シグナル伝達ドメインおよびヒトCD3zシグナル伝達ドメイン;
(b)抗ヒトメソテリンscFv、ヒトCD8ヒンジドメイン、ヒトCD8膜貫通ドメイン、ヒト4-1BB共刺激ドメイン、ヒトIL9Ra細胞内シグナル伝達ドメインおよびヒトCD3zシグナル伝達ドメイン;
(c)抗マウスメソテリンscFv、マウスCD8ヒンジドメイン、マウスCD28膜貫通ドメイン、マウスCD28共刺激ドメイン、マウスIL9Ra細胞内シグナル伝達ドメインおよびマウスCD3zシグナル伝達ドメイン;または
(d)抗マウスメソテリンscFv、マウスCD8ヒンジドメイン、マウスCD8膜貫通ドメイン、マウス4-1BB共刺激ドメイン、マウスIL9Ra細胞内シグナル伝達ドメインおよびマウスCD3zシグナル伝達ドメイン
を含む。
【0042】
いくつかの態様において、CARは、SEQ ID NO:81、83、85および87から選択される配列と少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0043】
いくつかの態様において、CARは、SEQ ID NO:82、84、86および88から選択される配列と少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む核酸によってコードされる。
【0044】
いくつかの態様において、細胞は、T細胞、自己由来細胞、ヒト細胞、またはそれらの任意の組合せである。
【0045】
いくつかの態様において、細胞は、STAT1、STAT3、STAT5、またはそれらの任意の組合せを活性化することができる。
【0046】
別の局面において、前記態様のいずれか1つの改変された細胞の集団と、少なくとも1つの薬学的に許容される担体とを含む薬学的組成物が提供される。
【0047】
別の局面において、その必要がある対象においてがんを治療する方法であって、前記対象に改変された細胞の集団を投与する工程を含み、前記細胞が免疫細胞またはその前駆細胞であり、かつ前記細胞が、腫瘍抗原結合ドメインと、膜貫通ドメインと、インターロイキン-9受容体アルファ(IL9Ra)の細胞内シグナル伝達ドメインを含む細胞内ドメインとを含むキメラ抗原受容体(CAR)を発現するように操作されている、方法が提供される。
【0048】
いくつかの態様において、腫瘍抗原は、アルファフェトプロテイン(AFP)/HLA-A2、AXL、B7-H3、BCMA、CA-1X、CD2、CD3、CD4、CD5、CD7、CD8、CD19、CD20、CD22、CD30、CD33、CD38、CD44v6、CD70、CD79a、CD79b、CD80、CD86、CD117、CD123、CD133、CD147、CD171、CD276、CEA、クローディン18.2、c-Met、DLL3、DR5、EGFR、EGFRvIII、EpCAM、EphA2、FAP、葉酸受容体アルファ(FRa)/葉酸結合タンパク質(FBP)、GD-2、糖脂質F77、グリピカン-2(GPC2)、グリピカン-3(GPC3)、HER2、HLA-A2、ICAM1、IL3Ra、IL13Ra2、LAGE-1、ルイスY、LMP1(EBV)、MAGE-A1、MAGE-A3、MAGE-A4、メランA、メソテリン、MG7(グリコシル化CEA)、MMP、MUC1、ネクチン4/FAP、NKG2Dリガンド(MIC-A、MIC-B、およびULBP 1~6)、NY-ESO-1、P16、PD-L1、PSCA、PSMA、ROR1、ROR2、TIM-3、TM4SF1、TnMuc1、VEGFR2、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される。
【0049】
いくつかの態様において、腫瘍抗原は、メソテリン、GD2、HER2、TnMuc1、CD70、PMSAおよびEGFRvIIIから選択される。
【0050】
いくつかの態様において、腫瘍抗原結合ドメインは、完全長抗体またはその抗原結合断片、単一特異性抗体、二重特異性抗体、Fab、Fab'、F(ab')2、Fv、一本鎖可変断片(scFv)、線状抗体、単一ドメイン抗体(sdAb)および抗体模倣物(例えば、設計アンキリンリピートタンパク質(DARPin)、アフィボディ、モノボディ(アドネクチン)、アフィリン、アフィマー、アフィチン、アルファボディ、アビマー、クニッツドメインペプチド、アンチカリン、およびシンセリン)からなる群より選択される。
【0051】
いくつかの態様において、腫瘍抗原結合ドメインは一本鎖可変断片(scFv)である。
【0052】
いくつかの態様において、腫瘍抗原結合ドメインは、
(a)SEQ ID NO:49およびSEQ ID NO:65から選択される配列と少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む抗メソテリンscFv;
(b)SEQ ID NO:108と少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む抗GD2 scFv;
(c)SEQ ID NO:110またはSEQ ID NO:112と少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む抗HER2 scFv;
(d)SEQ ID NO:114と少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む抗TnMuc1 scFv;
(e)SEQ ID NO:116と少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む抗CD70 scFv;
(f)SEQ ID NO:120と少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む抗PMSA scFv;および
(g)SEQ ID NO:122と少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む抗EGFRvIII scFv
から選択される。
【0053】
いくつかの態様において、CARの細胞内ドメインは、TNFRスーパーファミリーのタンパク質、CD28、4-1BB(CD137)、OX40(CD134)、PD-1、CD7、LIGHT、CD83L、DAP10、DAP12、CD27、CD2、CD5、ICAM-1、LFA-1、Lck、TNFR-I、TNFR-II、Fas、CD30、CD40、ICOS、NKG2CおよびB7-H3(CD276)からなる群より選択されるタンパク質の共刺激ドメイン、もしくはそのバリアント、またはキラー免疫グロブリン様受容体(KIR)に由来する細胞内ドメインをさらに含む。
【0054】
いくつかの態様において、CARの細胞内ドメインは、CD3ゼータ鎖(CD3ζ)、FcγRIII、FcsRI、Fc受容体の細胞質尾部、免疫受容体チロシンベースの活性化モチーフ(ITAM)を有する細胞質受容体、TCRゼータ、FcRガンマ、CD3ガンマ、CD3デルタ、CD3イプシロン、CD5、CD22、CD79a、CD79bおよびCD66dからなる群より選択されるタンパク質の細胞内シグナル伝達ドメイン、またはそのバリアントをさらに含む。
【0055】
いくつかの態様において、CARの細胞内ドメインは、CD28の共刺激ドメイン、4-1BBの共刺激ドメイン、CD3ゼータの細胞内シグナル伝達ドメイン、またはそれらの任意の組合せをさらに含む。
【0056】
本発明の方法のいくつかの態様において、CARはヒンジドメインをさらに含む。
【0057】
いくつかの態様において、CARは、
(a)抗ヒトメソテリンscFv、ヒトCD8ヒンジドメイン、ヒトCD28膜貫通ドメイン、ヒトCD28共刺激ドメイン、ヒトIL9Ra細胞内シグナル伝達ドメインおよびヒトCD3zシグナル伝達ドメイン;
(b)抗ヒトメソテリンscFv、ヒトCD8ヒンジドメイン、ヒトCD8膜貫通ドメイン、ヒト4-1BB共刺激ドメイン、ヒトIL9Ra細胞内シグナル伝達ドメインおよびヒトCD3zシグナル伝達ドメイン;
(c)抗マウスメソテリンscFv、マウスCD8ヒンジドメイン、マウスCD28膜貫通ドメイン、マウスCD28共刺激ドメイン、マウスIL9Ra細胞内シグナル伝達ドメインおよびマウスCD3zシグナル伝達ドメイン;または
(d)抗マウスメソテリンscFv、マウスCD8ヒンジドメイン、マウスCD8膜貫通ドメイン、マウス4-1BB共刺激ドメイン、マウスIL9Ra細胞内シグナル伝達ドメインおよびマウスCD3zシグナル伝達ドメイン
を含む。
【0058】
いくつかの態様において、CARは、SEQ ID NO:81、83、85および87から選択される配列と少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0059】
いくつかの態様において、CARは、SEQ ID NO:82、84、86および88から選択される配列と少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む核酸によってコードされる。
【0060】
本発明の方法のいくつかの態様において、細胞の集団は、T細胞、自己由来細胞、ヒト細胞、またはそれらの任意の組合せを含む。
【0061】
いくつかの態様において、細胞の集団は、STAT1、STAT3、STAT5、またはそれらの任意の組合せを活性化することができる。
【0062】
いくつかの態様において、対象はヒトである。
【0063】
いくつかの態様において、がんは、B細胞悪性腫瘍(B細胞リンパ腫または白血病など)、肺癌、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、メルケル細胞癌腫、黒色腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、尿路上皮癌腫、胃癌、子宮頸癌、皮膚扁平上皮癌腫、腎細胞癌腫、乳癌、トリプルネガティブ乳癌、結腸癌、食道癌、胃癌、肝臓癌、腎臓癌、膵臓癌、前立腺癌、脳癌、肺腺癌、神経膠芽腫、肝細胞癌腫、胆嚢癌、子宮頸癌、子宮頸扁平上皮癌腫、結腸直腸癌、卵巣癌、および腎癌から選択される。
【図面の簡単な説明】
【0064】
本発明の上記および他の特徴および利点は、添付の図面と併せて、例示的な態様の以下の詳細な説明からより完全に理解されるであろう。
図1A図1Aは、抗原結合scFv細胞外ドメインと、CD8ヒンジドメインと、膜貫通ドメインと、4-1BBおよび/またはCD28共刺激ドメイン、IL9Raシグナル伝達ドメインならびにCD3zシグナル伝達ドメインを含む細胞内ドメインとを含むキメラ抗原受容体(CAR)を示す概略図である。
図1B図1Bは、形質導入されていない(UTD)細胞と比較した、形質導入されたマウスT細胞上でのCARの発現を例示する、フローサイトメトリーデータを提供する。CARは、抗マウスメソテリン(抗mMSLN)A03 scFv細胞外ドメインと、マウスCD8ヒンジと、膜貫通ドメインと、マウス4-1BB共刺激ドメイン、マウスIL9Raシグナル伝達ドメインおよびマウスCD3zシグナル伝達ドメインを含む細胞内ドメインとを含む。
図2A図2A図2Dは、形質導入されたマウスCD3+T細胞上で例示的CARと同時発現される野生型マウスIL9Raサイトカイン受容体に関するデータを提供する。図3Aは、形質導入されていない(UTD)細胞と比較した、形質導入されたマウスCD3+T細胞上でのマウスIL9RaおよびマウスCARの同時発現を示すデータを提供する。図2Bは、形質導入された細胞が、100ng/mLの野生型mIL9または野生型mIL2による刺激の24時間後にTscm表現型を示すという知見を例示する、表面マーカーCD44、C62LおよびFas(CD95)のフローサイトメトリー分析を提供する。図2Cは、野生型mIL9または野生型mIL2による刺激の24時間後にmIL9Raを発現する形質導入されたマウスCAR T細胞における全般的遺伝子発現プロファイルデータを提供する。mIL-2またはmIL-9の存在下で24時間培養された形質導入されたT細胞から全RNAを抽出した。RNAをNanostring nCounter Mouse Immunology Panel(562の遺伝子)で分析し、nSolver 4.0ソフトウェアを使用してプロットした。図2Dは、アデノウイルスベクター構築物Ad-mIL9を介したmIL9のインビトロ発現を示すグラフを提供する。マウス膵臓癌細胞株PDA7940b(10,000細胞/ウェル)を100ウイルス粒子/細胞のAd-mIL9に感染させ、示された時点で、ELISAによって、細胞培養上清をmIL-9について分析した。
図2B図2Aの説明を参照されたい。
図2C図2Aの説明を参照されたい。
図2D図2Aの説明を参照されたい。
図3A図3Aは、ヒトIL9Raおよびヒト抗メソテリンCAR(M5)を発現させるための遺伝子発現構築物の概略図、ならびにヒトT細胞におけるIL9RaおよびCARの同時発現を示すフローサイトメトリーデータを提供する。
図3B図3Bは、マウスIL9Raおよびマウス抗メソテリンCAR(A03)を発現させるための遺伝子発現構築物の概略図、ならびに形質導入後5日目のマウス細胞におけるIL9RaおよびCARの同時発現を示すフローサイトメトリーデータを提供する。
図4図4は、T細胞におけるIL9Raシグナル伝達がTscm表現型をもたらすという知見を示すフローサイトメトリーデータを提供する。
図5図5は、TにおけるIL9Raシグナル伝達がSTAT1、STAT3およびSTAT5のリン酸化を誘導するという知見を示すホスホフローサイトメトリーデータを提供する。MFIのlog2(倍数変化)が示されている。
図6-1】図6は、IL9とともにインキュベートされたマウスT細胞における示されたサイトカインについての定量化されたサイトカイン分泌データを提供する。A03 CAR(各パネルの左側)またはA03 CARおよびIL9Ra(各パネルの右側)を発現するように、T細胞を形質導入した。
図6-2】図6-1の説明を参照されたい。
図6-3】図6-1の説明を参照されたい。
図7図7は、マウスT細胞におけるIL9Raシグナル伝達が腫瘍細胞死滅を増強するという知見を示す。
図8A図8A~8Cは、IL9aシグナル伝達が、抗メソCARおよびIL9Raまたは抗メソCARおよびオルソゴナルなキメラサイトカイン受容体(オルソ-IL2Rβ-IL9Raキメラサイトカイン受容体(o9R))を発現するように操作されたT細胞において同様の遺伝子発現プロファイルを誘導するという知見を例示する。図8Aは、IL9またはIL2のいずれかとともにプレインキュベートされた、抗メソCARおよびIL9Raを発現するT細胞についての上位20個の上方制御されたおよび下方制御された遺伝子を示す。図8Bは、オルソ-IL2またはIL-2とともにプレインキュベートされた、抗メソCARおよびo9Rを発現するT細胞についての上位20個の上方制御および下方制御された遺伝子を示す。図8Cは、共通する上方制御および下方制御された遺伝子を示す。
図8B図8Aの説明を参照されたい。
図8C図8Aの説明を参照されたい。
図9A-1】図9A~9Fは、IL9またはIL2のいずれかとともにプレインキュベートされた、抗メソCARおよびIL9Raを発現するT細胞についての、ならびにオルソ-IL2またはIL-2とともにプレインキュベートされた、抗メソCARおよびオルソ-IL2Rβ-IL9Raキメラサイトカイン受容体(o9R)を発現するT細胞についての、遺伝子セット変異解析(GSVA)および遺伝子セットエンリッチメント解析(GSEA)データを示す。図9Aのデータは、IL2に対して、IL9で刺激されたCAR T細胞において有意に濃縮された経路を比較する。図9Bは、GSEA統計とともに、濃縮された経路の表を提供する。図9Cは、IL2と比較した、IL9とプレインキュベートされた抗メソCARおよびIL9Raを発現するT細胞におけるインターフェロンガンマ応答についてのエンリッチメントプロットおよび解析を提供する。図9Dは、IL2と比較した、IL9とプレインキュベートされた抗メソCARおよびIL9Raを発現するT細胞におけるインターフェロンアルファ応答についてのエンリッチメントプロットおよび解析を提供する。図9Eは、IL-2と比較した、オルソIL2でプレインキュベートされた抗メソCARおよびオルソIL2Rβ-IL9Raキメラサイトカイン受容体(o9R)を発現するT細胞におけるインターフェロンガンマ応答についてのエンリッチメントプロットおよび解析を提供する。図9Fは、IL-2と比較した、オルソIL2でプレインキュベートされた抗メソCARおよびオルソIL2Rβ-IL9Raキメラサイトカイン受容体(o9R)を発現するT細胞におけるインターフェロンアルファ応答についてのエンリッチメントプロットおよび解析を提供する。
図9A-2】図9A-1の説明を参照されたい。
図9B図9A-1の説明を参照されたい。
図9C-1】図9A-1の説明を参照されたい。
図9C-2】図9A-1の説明を参照されたい。
図9D図9A-1の説明を参照されたい。
図9E-1】図9A-1の説明を参照されたい。
図9E-2】図9A-1の説明を参照されたい。
図9F図9A-1の説明を参照されたい。
図10A-1】図10A~10Dは、PDAのインビボ同系マウスモデルの確立に関する。図10Aは、プロトコル、腫瘍体積のチャートおよびPDA7940b細胞のメソテリン発現データの概略図を示す。図10Bは、同系PDAマウスモデルにおけるmIL9を発現するアデノウイルスベクター(Ad-mIL9)の用量設定のための実験計画を示す。図10Cは、Ad-mIL9の形質導入効率データを提供する。図10Dは、同系PDAマウスモデルにおける示された条件についての用量設定腫瘍増殖データを提供する。
図10A-2】図10A-1の説明を参照されたい。
図10B-1】図10A-1の説明を参照されたい。
図10B-2】図10A-1の説明を参照されたい。
図10C-1】図10A-1の説明を参照されたい。
図10C-2】図10A-1の説明を参照されたい。
図10D-1】図10A-1の説明を参照されたい。
図10D-2】図10A-1の説明を参照されたい。
【発明を実施するための形態】
【0065】
詳細な説明
本開示は、細胞外腫瘍抗原結合ドメインと、膜貫通ドメインと、IL9Raの細胞内シグナル伝達ドメインを含む細胞内ドメインとを含むCAR、ならびに、(1)腫瘍中の腫瘍抗原を利用して免疫細胞(例えば、T細胞)中の免疫刺激シグナルを増強し、(2)CARを発現する免疫細胞の表現型を変化させ、かつ(3)CARを発現する免疫細胞におけるIL-9シグナル伝達を可能にしてインサイチューでエフェクター機能を改善することによって、がんを治療するためのCAR細胞免疫療法を改善するためのその使用を提供する。T細胞において、IL9Ra細胞内シグナル伝達ドメインを含むCARを使用してIL-9Rシグナル伝達を別の目的で使用する(repurposing)ことによって、これらの細胞は、付随するSTAT1、STAT3およびSTAT5活性化を介して新たな機能を獲得する。このようなCAR T細胞は、改善された輸送およびエフェクター機能を有する幹細胞メモリー(Tscm)の特徴を帯び、それにより、治療困難な固形腫瘍に対する改善された抗腫瘍活性をもたらす。
【0066】
IL-9R ICDを含むオルソゴナルなキメラサイトカイン受容体は、そのオルソゴナルなキメラサイトカイン受容体を発現するT細胞においてSTAT1、STAT3およびSTAT5の強力な活性化(例えば、リン酸化)をもたらしたので、本開示のIL-9R細胞内ドメイン(ICD)を含む受容体(例えば、CAR)は、IL-4R ICD、IL-7R ICDまたはIL-21R ICDを含む受容体(例えば、CAR)とは区別されることが本明細書において想定される。Kalbasi,et al.Nature,607:360-365(2022)を参照のこと。実際に、oIL2Rβ-IL9Rαキメラサイトカイン受容体を発現するCAR T細胞は、幹細胞メモリーおよびエフェクターT細胞の特徴を帯び、例えば、IL-2、ICDを含むオルソゴナルな受容体を発現する細胞と比較した場合、黒色腫および膵臓癌の2つの不応性同系マウス固形腫瘍モデルにおいて、より優れた抗腫瘍効果を示した。さらに、IL-9R ICDを含む受容体の抗腫瘍効果は、コンディショニングであるリンパ球除去の非存在下において有効であった。加えて、IL-9 ICDを含むオルソゴナルなキメラサイトカイン受容体を発現するCAR T細胞は、例えば、IL-2 ICDを発現する細胞よりも増殖が少なかった。
【0067】
したがって、本開示は、新規CAR、CAR発現細胞(例えば、CAR T細胞)、およびオルソゴナルなサイトカインまたは一切の外因性サイトカインの投与を必要としない幹様表現型を有するCAR T細胞を操作するための新規プロセスを提供する。本発明の細胞は、優れた抗腫瘍活性を示すことが本明細書において想定される。野生型IL9RaをCARと一緒に発現させることによってT細胞における幹様表現型が本明細書で実証され、これは、STAT1、STAT3およびSTAT5の活性化ならびにCD62L集団の濃縮ならびにFas(CD95)およびSca-1のより高い発現をもたらした。CD62Lは、養子細胞療法(ACT)における優れた抗腫瘍活性で知られている。
【0068】
本明細書中に開示されているCARおよびCAR発現細胞の新規性は、IL-9ナイーブT細胞がIL-9に対して非感受性でありかつIL-9欠損マウスではT細胞の発達が損なわれていないという事実によって強調される。マウスT細胞は、IL-9R受容体を発現しない。したがって、IL-9は、T細胞生物学における重要な天然サイトカインではない可能性がある。実際、IL-9Rは、肥満細胞、メモリーB細胞、自然リンパ球系細胞および造血前駆細胞によって天然に発現される。ただし、IL-9を産生するT細胞サブセットは記載されている。しかしながら、T細胞に対するIL-9Rシグナル伝達の効果は十分に特徴付けられていない。特有のSTATシグナル伝達プロファイル(例えば、強力な活性化)などの、T細胞におけるIL-9(γcサイトカイン受容体ファミリーの中ではあまり知られていないサイトカイン)の特有のシグナル伝達特性の同定および幹細胞メモリーT(TSCM)細胞の特徴の獲得は驚くべきことであり、予想外であった。
【0069】
したがって、一局面において、本発明は、腫瘍抗原結合ドメインと、膜貫通ドメインと、インターロイキン-9受容体アルファ(IL9Ra)の細胞内シグナル伝達ドメインを含む細胞内ドメインとを含むキメラ抗原受容体(CAR)を提供する。
【0070】
別の局面において、本発明は、腫瘍抗原結合ドメインと、膜貫通ドメインと、インターロイキン-9受容体アルファ(IL9Ra)の細胞内シグナル伝達ドメインを含む細胞内ドメインとを含むキメラ抗原受容体(CAR)をコードするヌクレオチド配列を含む単離された核酸を提供する。
【0071】
別の局面において、本発明は、改変された細胞であって、
前記細胞が免疫細胞またはその前駆細胞であり、かつ
前記細胞が、腫瘍抗原結合ドメインと、膜貫通ドメインと、インターロイキン-9受容体アルファ(IL9Ra)の細胞内シグナル伝達ドメインを含む細胞内ドメインとを含むキメラ抗原受容体(CAR)を発現するように操作されている、
改変された細胞を提供する。
【0072】
別の局面において、本発明は、その必要がある対象においてがんを治療する方法であって、前記対象に改変された細胞の集団を投与する工程を含み、前記細胞が免疫細胞またはその前駆細胞であり、かつ前記細胞が、腫瘍抗原結合ドメインと、膜貫通ドメインと、インターロイキン-9受容体アルファ(IL9Ra)の細胞内シグナル伝達ドメインを含む細胞内ドメインとを含むキメラ抗原受容体(CAR)を発現するように操作されている、方法を提供する。
【0073】
他の局面では、関連する組成物(例えば、薬学的組成物)およびキットが本明細書で提供される。
【0074】
本開示に記載される方法は、本明細書に開示される特定の方法および実験条件に限定されるわけではなく、なぜならそのような方法および条件が変化し得るからであることが、理解されるべきである。本明細書で使用される用語は、特定の態様を説明することのみを目的としており、限定することを意図しないことも理解されるべきである。
【0075】
さらに、本明細書に記載される実験は、特に指示されない限り、当業者の技術の範囲内の従来の分子生物学的および細胞生物学的および免疫学的技術を使用する。そのような技術は当業者に周知であり、文献で十分に説明されている。例えば、全ての補遺を含む、Ausubel, et al., ed., Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley&Sons, Inc., NY, N.Y.(1987-2008)、Molecular Cloning:A Laboratory Manual(Fourth Edition)by MR Green and J.Sambrook and Harlow et al., Antibodies:A Laboratory Manual, Chapter 14, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor(2013, 2nd edition)を参照。
【0076】
キメラ抗原受容体(例えばCAR T細胞)を有する免疫細胞を使用する方法および技術は、例えば、Ruella, et al., J.Clin.Invest., 126(10):3814-3826(2016)およびKalos, et al., 3(95), 95ra73:1-11(2011)に記載されており、これらの内容はその全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0077】
A. 定義
特に定義されない限り、本明細書で使用される科学用語および技術用語は、当業者によって一般的に理解される意味を有する。潜在的な曖昧さがある場合、本明細書で提供される定義が辞書または外部定義に優先する。文脈上特に要求されない限り、単数形の用語は複数形を含み、複数形の用語は単数形を含むものとする。「または」の使用は、特に明記されない限り、「および/または」を意味する。「含む(including)」という用語ならびに「含む(includes)」および「含まれる(included)」などの他の形態の使用は、限定的ではない。
【0078】
一般に、本明細書に記載される細胞および組織培養、分子生物学、免疫学、微生物学、遺伝学ならびにタンパク質および核酸の化学およびハイブリダイゼーションに関連して使用される命名法は周知であり、当技術分野で一般的に使用される。本明細書で提供される方法および技術は、一般に、特に指示されない限り、当技術分野で周知の従来の方法に従って、本明細書を通して引用され、論じられる様々な一般的およびより具体的な参考文献に記載されているように実施される。酵素反応および精製技術は、当技術分野で一般的に達成されるように、または本明細書に記載されるように、製造業者の仕様に従って行われる。本明細書に記載される分析化学、合成有機化学、ならびに医薬品化学および創薬化学に関連して使用される命名法、ならびにその実験手法および技術は、当技術分野で周知であり、一般的に使用されるものである。標準的な技術は、化学合成、化学分析、薬学的調製、製剤化および送達、ならびに患者の治療に使用される。
【0079】
本開示がより容易に理解され得ることから、選択用語を以下に定義する。
【0080】
冠詞「1つの」は、本明細書では、冠詞の文法的対象の1つまたは複数(すなわち、少なくとも1つ)を指すために使用される。例として、「要素」は、1つの要素または複数の要素を意味する。
【0081】
量、持続時間などの測定可能な値を指す場合に本明細書で使用される「約」は、指定された値から±20%または±10%、より好ましくは±5%、さらにより好ましくは±1%、なお一層好ましくは±0.1%の変動を包含することを意図しており、そのような変動は開示される方法を実施するのに適している。
【0082】
本明細書で使用される「活性化」は、検出可能な細胞増殖を誘導するために十分に刺激されたT細胞の状態を指す。活性化はまた、サイトカイン産生の誘導および検出可能なエフェクター機能に関連し得る。「活性化T細胞」という用語は、とりわけ、細胞分裂を受けているT細胞を指す。
【0083】
本明細書で使用される場合、疾患を「緩和する」ことは、疾患の1つまたは複数の症状の重症度を軽減することを意味する。
【0084】
本明細書で使用される「抗原」という用語は、免疫応答を引き起こす分子として定義される。この免疫応答は、抗体産生、または特定の免疫担当細胞の活性化、またはその両方を含み得る。当業者は、事実上全てのタンパク質またはペプチドを含む任意の高分子が抗原として機能し得ることを理解するであろう。
【0085】
さらに、抗原は、組換えDNAまたはゲノムDNAに由来し得る。したがって、当業者は、免疫応答を誘発するタンパク質をコードするヌクレオチド配列または部分ヌクレオチド配列を含む任意のDNAが本明細書で使用される用語としての「抗原」をコードすることを、理解するであろう。さらに、当業者は、抗原が遺伝子の全長ヌクレオチド配列だけにコードされる必要はないことを理解するであろう。本発明が複数の遺伝子の部分ヌクレオチド配列の使用を含むがこれに限定されるわけではないこと、およびこれらのヌクレオチド配列が所望の免疫応答を誘発するために様々な組合せで配置されることは容易に明らかである。さらに、当業者は、抗原が「遺伝子」によってコードされる必要は全くないことを理解するであろう。抗原が、合成されて生成され得る、または生物学的試料に由来し得ることは容易に明らかである。そのような生物学的試料は、組織試料、腫瘍試料、細胞または生物学的流体を含み得るが、これらに限定されるわけではない。
【0086】
本明細書で使用される場合、「自己由来」という用語は、個体に由来する任意の材料であって、後で同じ個体に再導入される、任意の材料を指すことが意図されている。
【0087】
「共刺激分子」は、共刺激リガンドと特異的に結合し、それによって増殖などのしかしそれに限定されないT細胞による共刺激応答を媒介する、T細胞上の同族結合パートナーを指す。共刺激分子には、MHCクラスI分子、BTLAおよびTollリガンド受容体が含まれるが、これらに限定されるわけではない。
【0088】
本明細書で使用される「共刺激シグナル」は、TCR/CD3ライゲーションなどの一次シグナルとの組み合わせでT細胞増殖および/または重要な分子の上方制御もしくは下方制御をもたらすシグナルを指す。
【0089】
「疾患」は、動物が恒常性を維持することができず、疾患が改善されない場合、動物の健康が悪化し続ける動物の健康状態である。対照的に、動物における「障害」は、動物が恒常性を維持することができるが、動物の健康状態は障害が存在しない場合よりも好ましくない、健康状態である。未処置のままである場合、障害は必ずしも動物の健康状態のさらなる低下を引き起こさない。
【0090】
本明細書で使用される「下方制御」という用語は、1つまたは複数の遺伝子の遺伝子発現の減少または排除を指す。
【0091】
「有効量」または「治療有効量」は、本明細書では互換的に使用され、特定の生物学的結果を達成するために有効な、または治療的もしくは予防的利益を提供する、本明細書に記載の化合物、製剤、材料、または組成物の量を指す。そのような結果には、哺乳動物に投与された場合に本発明の組成物の非存在下で検出される免疫応答と比較して検出可能なレベルの免疫抑制または寛容を引き起こす量が含まれ得るが、これに限定されるわけではない。免疫応答は、当技術分野で認識されている多数の方法によって容易に評価することができる。当業者は、本明細書で投与される組成物の量が変化し、かつ処置される疾患または状態、処置される哺乳動物の年齢ならびに健康および身体状態、疾患の重症度、投与される特定の化合物などの多くの因子に基づいて容易に決定され得ることを、理解するであろう。
【0092】
「コードする」は、定義されたヌクレオチドの配列(すなわち、rRNA、tRNAおよびmRNA)または定義されたアミノ酸の配列のいずれかを有する生物学的プロセスにおける他のポリマーおよび高分子の合成のための鋳型として働く、遺伝子、cDNA、またはmRNAなどのポリヌクレオチド中のヌクレオチドの特定の配列の固有の特性、ならびにそれから生じる生物学的特性を指す。したがって、ある遺伝子に対応するmRNAの転写および翻訳が細胞または他の生物系においてタンパク質を産生する場合、その遺伝子はタンパク質をコードする。ヌクレオチド配列がmRNA配列と同一でありかつ通常は配列表に提供されるコード鎖と、遺伝子またはcDNAの転写のための鋳型として使用される非コード鎖の両方を、その遺伝子またはcDNAのタンパク質または他の産物をコードすると呼ぶことができる。
【0093】
本明細書で使用される場合、「内因性」は、生物、細胞、組織または系からの、またはそれらの内部で産生される任意の物質を指す。
【0094】
本明細書で使用される「エピトープ」という用語は、免疫応答を誘発し、B細胞および/またはT細胞応答を誘導することができる抗原上の小化学分子として定義される。抗原は、1つまたは複数のエピトープを有することができる。ほとんどの抗原は多くのエピトープを有する; すなわち、それらは多価である。一般に、エピトープは、おおよそ約10アミノ酸および/または糖のサイズである。好ましくは、エピトープは、約4~18アミノ酸、より好ましくは約5~16アミノ酸、さらにより好ましくは6~14アミノ酸、より好ましくは約7~12アミノ酸、最も好ましくは約8~10アミノ酸である。当業者は、一般に、分子の特定の線状配列ではなく、全体的な三次元構造が抗原特異性の主な基準であり、したがって、あるエピトープを別のエピトープと区別することを理解する。本開示に基づき、本発明で使用されるペプチドはエピトープであり得る。
【0095】
本明細書で使用される場合、「外因性」という用語は、生物、細胞、組織または系から導入されるか、またはそれらの外部で産生される任意の物質を指す。
【0096】
本明細書で使用される「拡大する」という用語は、T細胞の数の増加のように、数が増加することを指す。一態様では、エクスビボで拡大されるT細胞は、培養物中に最初に存在する数と比較して数が増加する。別の態様では、エクスビボで拡大されるT細胞は、培養物中の他の細胞型と比較して数が増加する。本明細書で使用される「エクスビボ」という用語は、生きている生物(例えば、ヒト)から取り出され、生物の外部で(例えば、培養皿、試験管、またはバイオリアクタにおいて)増殖した細胞を指す。
【0097】
本明細書で使用される「発現」という用語は、特定のヌクレオチド配列の、そのプロモーターによって駆動される転写および/または翻訳として定義される。
【0098】
「発現ベクター」は、発現されるヌクレオチド配列に機能的に連結された発現制御配列を含む組換えポリヌクレオチドを含むベクターを指す。発現ベクターは、発現に十分なシス作用性エレメントを含む; 発現のための他の要素は、宿主細胞によって、またはインビトロ発現系において供給され得る。発現ベクターには、組換えポリヌクレオチドを組み込んだコスミド、プラスミド(例えば、裸の、またはリポソームに含まれる)ならびにウイルス(例えば、センダイウイルス、レンチウイルス、レトロウイルス、アデノウイルスおよびアデノ随伴ウイルス)などの当技術分野で公知の全てのものが含まれる。
【0099】
本明細書で使用される「同一性」は、2つのポリマー分子間、特に2つのアミノ酸分子間、例えば2つのポリペプチド分子間のサブユニット配列の同一性を指す。2つのアミノ酸配列が同じ位置に同じ残基を有する場合、例えば、2つのポリペプチド分子のそれぞれの位置がアルギニンによって占められている場合、それらはその位置で同一である。2つのアミノ酸配列がアラインメントの同じ位置に同じ残基を有する同一性または程度は、しばしばパーセンテージとして表される。2つのアミノ酸配列間の同一性は、一致するまたは同一の位置の数の直接関数であり、例えば、2つの配列中の位置の半分(例えば、10アミノ酸長のポリマーにおける5つの位置)が同一である場合、2つの配列は50%同一であり、位置の90%(例えば、10のうちの9)が一致するかまたは同一である場合、2つのアミノ酸配列は90%同一である。
【0100】
本明細書で使用される「免疫応答」という用語は、リンパ球が抗原分子を異物として識別し、抗体の形成を誘導し、および/またはリンパ球を活性化して抗原を除去するときに生じる、抗原に対する細胞応答として定義される。
【0101】
「免疫抑制性」という用語は、本明細書では、全体的な免疫応答を減少させることを指すために使用される。
【0102】
「単離された」とは、天然の状態から変化したまたは取り出されたことを意味する。例えば、生きている動物に天然に存在する核酸またはペプチドは「単離され」ていないが、その天然状態の共存物質から部分的または完全に分離された同じ核酸またはペプチドは「単離され」ている。単離された核酸またはタンパク質は、実質的に精製された形態で存在し得るか、または、例えば宿主細胞などの非天然環境に存在し得る。
【0103】
本明細書で使用される「レンチウイルス」は、レトロウイルス科(Retroviridae family)の属を指す。レンチウイルスは、非分裂細胞に感染することができるという点でレトロウイルスの中でも独特である; それらは、かなりの量の遺伝情報を宿主細胞のDNAに送達することができるので、遺伝子送達ベクターの最も効率的な方法の1つである。HIV、SIV、およびFIVは、全てレンチウイルスの例である。レンチウイルスに由来するベクターは、インビボで有意なレベルの遺伝子導入を達成する手段を提供する。
【0104】
本明細書で使用される「修飾された」という用語は、本発明の分子または細胞の変化した状態または構造を意味する。分子は、化学的、構造的、および機能的方法を含む多くの方法で修飾され得る。細胞は、核酸の導入を介して修飾され得る。
【0105】
本明細書で使用される「調節する」という用語は、治療または化合物の非存在下での対象における応答のレベルと比較した、および/または他の点では同一であるが未治療の対象における応答のレベルと比較した、対象における応答のレベルの検出可能な増加または減少を媒介することを意味する。この用語は、天然のシグナルまたは応答を混乱させ、および/または影響を及ぼし、それによって対象、好ましくはヒトにおいて有益な治療応答を媒介することを包含する。
【0106】
本発明の文脈において、一般的に存在する核酸塩基の以下の略語を使用する。「A」はアデノシンを指し、「C」はシトシンを指し、「G」はグアノシンを指し、「T」はチミジンを指し、「U」はウリジンを指す。
【0107】
「オリゴヌクレオチド」という用語は、典型的には短いポリヌクレオチドを指す。ヌクレオチド配列がDNA配列(すなわち、A、T、C、G)によって表される場合、これは、「U」が「T」に取って代わるRNA配列(すなわち、A、U、C、G)も含むことが理解されるであろう。
【0108】
特に明記されない限り、「アミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列」は、互いの縮重バージョンであるものおよび同じアミノ酸配列をコードするものの、全てのヌクレオチド配列を含む。また、タンパク質またはRNAをコードするヌクレオチド配列という語句は、該タンパク質をコードする該ヌクレオチド配列が、あるバージョンではイントロンを含み得るという程度に、イントロンも含み得る。
【0109】
免疫原性組成物の「非経口」投与には、例えば、皮下(s.c.)、静脈内(i.v.)、筋肉内(i.m.)、もしくは胸骨内注射、または注入技術が含まれる。
【0110】
本明細書で使用される「ポリヌクレオチド」という用語は、ヌクレオチドの鎖として定義される。さらに、核酸はヌクレオチドのポリマーである。したがって、本明細書で使用される「核酸」および「ポリヌクレオチド」は交換可能である。当業者は、核酸が、単量体「ヌクレオチド」に加水分解され得、かつ、1つまたは複数の「ヌクレオチド配列」を含むポリヌクレオチドであるという一般的知識を有する。単量体ヌクレオチドは、ヌクレオシドに加水分解され得る。本明細書で使用される場合、ポリヌクレオチドは、非限定的にされることなく、組換え手段、すなわち、通常のクローニング技術およびPCRなどを使用した組換えライブラリまたは細胞ゲノムからの核酸配列のクローニングを含む、当技術分野で利用可能な任意の手段によって、ならびに合成手段によって得られる全ての核酸配列(すなわち、「ヌクレオチド配列」)を含むが、これらに限定されるわけではない。
【0111】
本明細書で使用される場合、「ペプチド」、「ポリペプチド」、および「タンパク質」という用語は互換的に使用され、ペプチド結合によって共有結合したアミノ酸残基で構成される化合物を指す。タンパク質またはペプチドは少なくとも2つのアミノ酸を含有しなければならず、タンパク質またはペプチドの配列を含むことができるアミノ酸の最大数に制限はない。ポリペプチドは、ペプチド結合によって互いに結合した2つまたはそれ以上のアミノ酸を含む任意のペプチドまたはタンパク質を含む。本明細書で使用される場合、この用語は、例えば、当技術分野で一般にペプチド、オリゴペプチドおよびオリゴマーとも呼ばれる短鎖と、多くの種類がある、当技術分野で一般にタンパク質と呼ばれる長鎖の両方を指す。「ポリペプチド」には、例えば、とりわけ、生物学的に活性な断片、実質的に相同なポリペプチド、オリゴペプチド、ホモ二量体、ヘテロ二量体、ポリペプチドのバリアント、修飾ポリペプチド、誘導体、類似体、融合タンパク質が含まれる。ポリペプチドには、天然ペプチド、組換えペプチド、合成ペプチド、またはそれらの組合せが含まれる。
【0112】
抗体に関して本明細書で使用される「特異的に結合する」という用語は、特定の抗原を認識するが試料中の他の分子を実質的に認識しないまたは結合しない抗体を意味する。例えば、1つの種からの抗原に特異的に結合する抗体は、1つまたは複数の種からのその抗原にも結合し得る。しかし、そのような種交差反応性は、特異的として抗体の分類をそれ自体が変更することはない。別の例では、抗原に特異的に結合する抗体は、異なる対立遺伝子型の抗原にも結合し得る。しかしながら、そのような交差反応性は、特異的として抗体の分類をそれ自体が変更することはない。場合によっては、「特異的結合」または「特異的に結合する」という用語は、抗体、タンパク質、またはペプチドと第2の化学種との相互作用に関して、相互作用が化学種の特定の構造(例えば、抗原決定基またはエピトープ)の存在に依存することを意味するために使用され得る; 例えば、抗体は、広くタンパク質ではなく、特定のタンパク質構造を認識し、それに結合する。抗体がエピトープ「A」に特異的である場合、標識「A」および抗体を含む反応において、エピトープA(または遊離の非標識A)を含む分子の存在は、抗体に結合する標識Aの量を減少させる。
【0113】
「刺激」という用語は、刺激分子(例えば、TCR/CD3複合体)とその同族リガンドとの結合によって誘導され、それによってTCR/CD3複合体を介したシグナル伝達などの、しかしそれに限定されない、シグナル伝達事象を媒介する一次応答を意味する。刺激は、TGF-ベータの下方制御および/または細胞骨格構造の再編成などの特定の分子の発現の変化を媒介することができる。
【0114】
「刺激分子」は、この用語が本明細書で使用される場合、抗原提示細胞上に存在する同族刺激リガンドと特異的に結合するT細胞上の分子を意味する。
【0115】
本明細書で使用される「刺激リガンド」は、抗原提示細胞(例えば、aAPC、樹状細胞、B細胞など)上に存在する場合、T細胞上の同族結合パートナー(本明細書では「刺激分子」と呼ばれる)と特異的に結合し、それによって、活性化、免疫応答の開始、増殖などを含むがそれらに限定されない、T細胞による一次応答を媒介することができるリガンドを意味する。刺激リガンドは当技術分野で周知であり、とりわけ、ペプチドを負荷したMHCクラスI分子、抗CD3抗体、スーパーアゴニスト抗CD28抗体、およびスーパーアゴニスト抗CD2抗体を包含する。
【0116】
「対象」という用語は、免疫応答が誘発され得る、生きている生物(例えば、哺乳動物)を含むことが意図されている。本明細書で使用される「対象」または「患者」は、ヒトまたは非ヒト哺乳動物であり得る。非ヒト哺乳動物には、例えば、家畜およびペット、例えばヒツジ、ウシ、ブタ、イヌ、ネコおよびマウス哺乳動物、ならびにサルおよび非ヒト霊長類哺乳動物が含まれる。好ましくは、対象はヒトである。
【0117】
「標的部位」または「標的配列」は、結合が起こるのに十分な条件下で結合分子が特異的に結合し得る核酸の一部を定義する、核酸配列を指す。いくつかの態様では、標的配列は、結合が起こるのに十分な条件下で結合分子が特異的に結合し得る核酸の一部を定義する、ゲノム核酸配列を指す。
【0118】
本明細書で使用される場合、「T細胞受容体」または「TCR」という用語は、抗原の提示に応答したT細胞の活性化に関与する膜タンパク質の複合体を指す。TCRは、主要組織適合遺伝子複合体分子に結合した抗原の認識を担う。TCRは、アルファ(α)鎖およびベータ(β)鎖のヘテロ二量体から構成されるが、いくつかの細胞では、TCRはガンマおよびデルタ(γ/δ)鎖からなる。TCRは、構造的に類似しているが異なる解剖学的位置および機能を有する、アルファ/ベータおよびガンマ/デルタ形態で存在し得る。各鎖は、2つの細胞外ドメイン、可変ドメインおよび定常ドメインから構成される。いくつかの態様では、TCRは、例えばヘルパーT細胞、細胞傷害性T細胞、メモリT細胞、制御性T細胞、ナチュラルキラーT細胞、およびガンマデルタT細胞を含む、TCRを含有する任意の細胞上で改変され得る。
【0119】
本明細書で使用される「治療的」という用語は、治療および/または予防を意味する。治療効果は、疾患状態の抑制、寛解、または根絶によって得られる。
【0120】
本明細書で使用される「トランスフェクトされた」または「形質転換された」または「形質導入された」という用語は、外因性核酸が宿主細胞に移入または導入されるプロセスを指す。「トランスフェクトされた」または「形質転換された」または「形質導入された」細胞は、外因性核酸でトランスフェクト、形質転換または形質導入された細胞である。細胞は、初代対象細胞およびその子孫を含む。
【0121】
疾患を「治療する」とは、この用語が本明細書で使用される場合、対象が経験する疾患または障害の少なくとも1つの徴候または症状の頻度または重症度を低下させることを意味する。
【0122】
「ベクター」は、単離された核酸を含み、かつ単離された核酸を細胞の内部に送達するために使用することができる、物質の組成物である。線状ポリヌクレオチド、イオン性または両親媒性化合物に関連するポリヌクレオチド、プラスミド、およびウイルスを含むがこれらに限定されるわけではない多数のベクターが当技術分野で公知である。したがって、「ベクター」という用語は、自律複製プラスミドまたはウイルスを含む。この用語はまた、例えば、ポリリジン化合物、リポソームなどの、細胞への核酸の移入を促進する非プラスミドおよび非ウイルス化合物を含むと解釈されるべきである。ウイルスベクターの例としては、センダイウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクターなどが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0123】
範囲: 本開示全体を通して、本発明の様々な局面を範囲形式で提示することができる。範囲形式での説明は、単に便宜および簡潔さのためのものであり、本発明の範囲に対する柔軟性のない限定として解釈されるべきではないことが理解されるべきである。したがって、範囲の説明は、全ての可能な部分範囲ならびにその範囲内の個々の数値を具体的に開示していると見なされるべきである。例えば、1~6などの範囲の説明は、1~3、1~4、1~5、2~4、2~6、3~6などの部分範囲、ならびにその範囲内の個々の数、例えば、1、2、2.7、3、4、5、5.3、および6を具体的に開示していると見なされるべきである。これは、範囲の幅に関係なく適用される。
【0124】
B. キメラ抗原受容体(CAR)
本発明は、インターロイキン-9受容体アルファ(IL9Ra)細胞内シグナル伝達ドメイン(IL-9Ra ICD)を含む細胞内ドメインを含むキメラ抗原受容体(CAR)を発現するように操作された、改変された免疫細胞またはその前駆細胞(例えば、改変されたT細胞)を提供する。CARは、細胞外腫瘍抗原結合ドメイン、膜貫通ドメインおよび細胞内ドメインをさらに含む。CARの細胞外腫瘍抗原結合ドメインは、それぞれ本明細書の他の箇所に記載されている、ヒンジドメイン、膜貫通ドメインまたは細胞内ドメインなどのCARの別のドメインに機能的に連結されている。
【0125】
本明細書に記載されている腫瘍抗原結合ドメインは、本明細書に記載されている任意の膜貫通ドメイン、本明細書に記載されている任意の細胞内ドメインもしくは細胞質ドメイン、または本発明のCAR中に含まれ得る本明細書に記載されている任意の他のドメイン、例えばヒンジドメインもしくはスペーサー配列と組み合わせることができる。
【0126】
本発明のCARはまた、本明細書に記載のリーダー配列を含み得る。本発明のCARはまた、本明細書に記載のヒンジドメインを含み得る。本発明のCARはまた、CARの1つのドメインを次のドメインに連結する役割を果たし得る、本明細書に記載の1つまたは複数のスペーサードメインまたはリンカーを含み得る。
【0127】
抗原結合ドメイン
CARの抗原結合ドメインは、タンパク質、炭水化物および糖脂質を含む特定の標的抗原に結合するためのCARの細胞外領域である。本発明のCARは、腫瘍抗原を結合することができる抗原結合ドメインを含む。適切な腫瘍抗原は当技術分野において公知であり、アルファフェトプロテイン(AFP)/HLA-A2、AXL、B7-H3、BCMA、CA-1X、CD2、CD3、CD4、CD5、CD7、CD8、CD19、CD20、CD22、CD30、CD33、CD38、CD44v6、CD70、CD79a、CD79b、CD80、CD86、CD117、CD123、CD133、CD147、CD171、CD276、CEA、クローディン18.2、c-Met、DLL3、DR5、EGFR、EGFRvIII、EpCAM、EphA2、FAP、葉酸受容体アルファ(FRa)/葉酸結合タンパク質(FBP)、GD-2、糖脂質F77、グリピカン-2(GPC2)、グリピカン-3(GPC3)、HER2、HLA-A2、ICAM1、IL3Ra、IL13Ra2、LAGE-1、ルイスY、LMP1(EBV)、MAGE-A1、MAGE-A3、MAGE-A4、メランA、メソテリン、MG7(グリコシル化CEA)、MMP、MUC1、ネクチン4/FAP、NKG2Dリガンド(MIC-A、MIC-B、およびULBP 1~6)、NY-ESO-1、P16、PD-L1、PSCA、PSMA、ROR1、ROR2、TIM-3、TM4SF1、TnMuc1、VEGFR2、およびそれらの任意の組合せが含まれるが、これらに限定されない。いくつかの態様において、腫瘍抗原は、メソテリン、GD2、HER2、TnMuc1、GPC2、CD70、PMSAおよびEGFRvIIIから選択される。
【0128】
抗原結合ドメインは、抗原(例えば、腫瘍抗原)に結合する任意のドメインを含むことができ、モノクローナル抗体(mAb)、ポリクローナル抗体、合成抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、非ヒト抗体、単一ドメイン抗体、完全長抗体またはその任意の抗原結合断片、Fabおよび一本鎖可変断片(scFv)を含み得るが、これらに限定されるわけではない。いくつかの態様において、抗原結合ドメインは、非グリコシル化抗体またはその断片またはそのscFvを含む。いくつかの態様において、腫瘍抗原結合ドメインはscFvである。
【0129】
本明細書で使用される場合、「一本鎖可変断片」または「scFv」という用語は、VH::VLヘテロ二量体を形成するように共有結合した免疫グロブリン(例えば、マウスまたはヒト)の重鎖(VH)および軽鎖(VL)の可変領域の融合タンパク質である。可変重鎖(VH)と可変軽鎖(VL)は、直接連結されるか、またはVHのN末端をVLのC末端と、もしくはVHのC末端をVLのN末端と接続するペプチドリンカーによって連結される。いくつかの態様では、抗原結合ドメイン(例えば、腫瘍抗原結合ドメイン)は、N末端からC末端に向かってVH-リンカー-VLの配置を有するscFvを含む。いくつかの態様では、抗原結合ドメインは、N末端からC末端に向かってVL-リンカー-VHまたはVH-リンカー-VLの配置を有するscFvを含む。当業者は、本発明で使用するための適切な配置を選択することができるであろう。
【0130】
リンカーは、通常、柔軟性のためにグリシンに富み、溶解性のためにセリンまたはトレオニンに富む。リンカーは、細胞外抗原結合ドメインの重鎖可変領域と軽鎖可変領域とを連結することができる。リンカーの非限定的な例は、Shen et al., Anal.Chem.80(6):1910-1917(2008)および国際公開公報第2014/087010号に開示されており、これらの内容はその全体が参照により本明細書に組み入れられる。非限定的に、グリシンセリン(GS)リンカーを含む様々なリンカー配列が当技術分野で公知である。当業者は、本発明で使用するための適切なリンカー配列を選択することができるであろう。一態様では、本発明の抗原結合ドメインは重鎖可変領域(VH)と軽鎖可変領域(VL)とを含み、VHとVLとはリンカー配列によって分離されている。
【0131】
定常領域の除去およびリンカーの導入にもかかわらず、scFvタンパク質は元の免疫グロブリンの特異性を保持する。一本鎖Fvポリペプチド抗体は、Huston, et al.(Proc.Nat.Acad.Sci.USA, 85:5879-5883, 1988)によって記載されているように、VHおよびVLをコードする配列を含む核酸から発現させることができる。米国特許第5,091,513号、同第5,132,405号および同第4,956,778号、ならびに米国特許出願公開第20050196754号および同第20050196754号も参照のこと。阻害活性を有するアンタゴニストscFvが記載されている(例えば、Zhao et al., Hybridoma(Larchmt)2008 27(6):455-51; Peter et al., J Cachexia Sarcopenia Muscle 2012 August 12; Shieh et al., J Imunol 2009 183(4):2277-85; Giomarelli et al., Thromb Haemost 2007 97(6):955-63; Fife eta., J Clin Invst 2006 116(8):2252-61; Brocks et al., Immunotechnology 1997 3(3):173-84; Moosmayer et al., Ther Immunol 1995 2(10:31-40)も参照のこと。刺激活性を有するアゴニストscFvが記載されている(例えば、Peter et al., J Bioi Chem 2003 25278(38):36740-7; Xie et al., Nat Biotech 1997 15(8):768-71; Ledbetter et al., Crit Rev Immunol 1997 17(5-6):427-55; Ho et al., BioChim Biophys Acta 2003 1638(3):257-66を参照)。
【0132】
本明細書で使用される場合、「Fab」は、抗原に結合するが一価であり、Fc部分を有しない抗体構造の断片を指し、例えば、酵素パパインによって消化された抗体は、2つのFab断片および1つのFc断片(例えば、重(H)鎖定常領域; 抗原に結合しないFc領域)を生成する。
【0133】
本明細書で使用される場合、「F(ab')2」は、IgG抗体全体のペプシン消化によって生成された抗体断片を指し、この断片は、2つの抗原結合(ab')(二価)領域を有し、各(ab')領域は、2つの別個のアミノ酸鎖、抗原に結合するためのS-S結合によって連結されたH鎖の一部および軽(L)鎖を含み、残りのH鎖部分は一緒に連結されている。「F(ab')2」断片は、2つの個々のFab'断片に分割することができる。
【0134】
他の態様では、抗原結合ドメインは、例えば、設計アンキリンリピートタンパク質(DARPin)、アフィボディ、モノボディ、(すなわち、アドネクチン)、アフィリン、アフィマー、アフィチン、アルファボディ、アビマー、クニッツドメインペプチド、またはアンチカリンなどの抗体模倣タンパク質を含む。特異的結合親和性を有する構築物は、例えば、Seeger, et al., , Protein Sci., 22:1239-1257(2013)に記載されているように、DARPinライブラリを使用して生成することができる。
【0135】
いくつかの態様では、抗原結合ドメインは、CARが最終的に使用される同じ種に由来し得る。例えば、ヒトにおける使用のために、CARの抗原結合ドメインは、ヒト抗体またはその断片を含み得る。いくつかの態様では、抗原結合ドメインは、CARが最終的に使用される異なる種に由来し得る。例えば、ヒトにおける使用のために、CARの抗原結合ドメインは、マウス抗体もしくはその断片、またはヒト化マウス抗体もしくはその断片を含み得る。
【0136】
特定の態様では、抗原結合ドメインは、3つの重鎖相補性決定領域(HCDR)を含む重鎖可変領域と、3つの軽鎖相補性決定領域(LCDR)を含む軽鎖可変領域とを含む。特定の態様では、抗原結合ドメインはリンカーを含む。
【0137】
膜貫通ドメイン
本発明のCARは、CARの抗原結合ドメインをCARの細胞内ドメインに接続する膜貫通ドメインを含み得る。CARの膜貫通ドメインは、細胞(例えば、免疫細胞またはその前駆体)の原形質膜にまたがることができる領域である。いくつかの態様では、膜貫通ドメインは、CARの抗原結合ドメインと細胞内ドメインとの間に挟まれる。
【0138】
いくつかの態様では、膜貫通ドメインは、CAR(例えば、IL-9R ICDを含むCAR)中のドメインの1つまたは複数と天然に会合している。いくつかの態様では、膜貫通ドメインは、受容体複合体の他のメンバーとの相互作用を最小限に抑えるために、同じかまたは異なる表面膜タンパク質の膜貫通ドメインへのそのようなドメインの結合を回避するように選択され得るか、または1つもしくは複数のアミノ酸置換によって改変され得る。
【0139】
膜貫通ドメインは、天然源または合成源のいずれかに由来し得る。供給源が天然である場合、ドメインは、任意の膜結合タンパク質または膜貫通タンパク質、例えばI型膜貫通タンパク質に由来し得る。供給源が合成である場合、膜貫通ドメインは、細胞膜へのCAR(例えば、IL-9R ICDを含むCAR)の挿入を容易にする任意の人工配列、例えば人工疎水性配列であり得る。本発明において特に有用な膜貫通ドメインの例としては、非限定的に、T細胞受容体のアルファ鎖、ベータ鎖もしくはゼータ鎖、CD28、CD3イプシロン、CD45、CD4、CD5、CD7、CD8、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134(OX-40)、CD137(4-1BB)、CD154(CD40L)、ICOS、CD278、Toll様受容体1(TLR1)、TLR2、TLR3、TLR4、TLR5、TLR6、TLR7、TLR8、TLR9に由来する(すなわち、少なくともその膜貫通領域を含む)膜貫通ドメイン、またはキラー免疫グロブリン様受容体(KIR)に由来する膜貫通ドメインが挙げられる。
【0140】
特定の態様では、膜貫通ドメインは、CD8の膜貫通ドメインを含む。特定の態様では、CD8の膜貫通ドメインは、CD8αの膜貫通ドメインである。
【0141】
いくつかの態様では、膜貫通ドメインは合成であってもよく、その場合、ロイシンおよびバリンなどの疎水性残基を主に含む。好ましくは、フェニルアラニン、トリプトファンおよびバリンのトリプレットが、合成膜貫通ドメインの各末端に見出される。
【0142】
本明細書に記載の膜貫通ドメインは、本明細書に記載の抗原結合ドメインのいずれか、本明細書に記載の細胞内ドメインのいずれか、または、本明細書に記載のIL-9R ICDを含むCARに含まれ得る本明細書に記載の他のドメインのいずれかと組み合わせることができる。
【0143】
いくつかの態様では、膜貫通ドメインはヒンジ領域をさらに含む。本発明のCARはまた、ヒンジ領域を含み得る。CARのヒンジ領域は、抗原結合ドメインと膜貫通ドメインとの間に位置する親水性領域である。いくつかの態様では、このドメインは、CARの適切なタンパク質の折り畳みを促進する。ヒンジ領域は、CARの任意の構成要素である。ヒンジ領域は、抗体のFc断片、抗体のヒンジ領域、抗体のCH2領域、抗体のCH3領域、人工ヒンジ配列またはそれらの組合せから選択されるドメインを含み得る。ヒンジ領域の例としては、非限定的に、CD8aヒンジ、3つのグリシン(Gly)ほど小さくてもよいポリペプチドで作製される人工ヒンジ、ならびにIgG(ヒトIgG4など)のCH1およびCH3ドメインが挙げられる。
【0144】
いくつかの態様では、本開示のCARは、抗原結合ドメインを膜貫通ドメインと接続させ、これが次に細胞内ドメインに接続する、ヒンジ領域を含む。ヒンジ領域は、好ましくは、抗原結合ドメインが標的細胞上の標的抗原を認識して結合するのを支持することができる(例えば、Hudecek et al., Cancer Immunol.Res.(2015)3(2):125-135を参照)。いくつかの態様では、ヒンジ領域は可撓性ドメインであり、これがしたがって、腫瘍細胞などの細胞上の標的抗原の特異的構造および密度を最適に認識する構造を抗原結合ドメインが有することを可能にする(Hudecek et al.前出)。ヒンジ領域の可撓性は、ヒンジ領域が多くの異なる立体配座をとることを可能にする。
【0145】
いくつかの態様では、ヒンジ領域は、免疫グロブリン重鎖ヒンジ領域である。いくつかの態様では、ヒンジ領域は、受容体に由来するヒンジ領域ポリペプチド(例えば、CD8由来ヒンジ領域)である。
【0146】
ヒンジ領域は、約4アミノ酸~約50アミノ酸、例えば、約4aa~約10aa、約10aa~約15aa、約15aa~約20aa、約20aa~約25aa、約25aa~約30aa、約30aa~約40aa、または約40aa~約50aaの長さを有することができる。いくつかの態様では、ヒンジ領域は、5aa超、10aa超、15aa超、20aa超、25aa超、30aa超、35aa超、40aa超、45aa超、50aa超、55aa超、またはそれ以上の長さを有することができる。
【0147】
適切なヒンジ領域は、容易に選択することができ、いくつかの適切な長さのいずれか、例えば1アミノ酸(例えば、Gly)~20アミノ酸、2アミノ酸~15アミノ酸、3アミノ酸~12アミノ酸、例えば4アミノ酸~10アミノ酸、5アミノ酸~9アミノ酸、6アミノ酸~8アミノ酸、または7アミノ酸~8アミノ酸であり得、1、2、3、4、5、6、または7アミノ酸であり得る。適切なヒンジ領域は、20アミノ酸超(例えば、30、40、50、60またはそれ以上のアミノ酸)の長さを有することができる。
【0148】
例えば、ヒンジ領域は、グリシンポリマー(G)n、グリシン-セリンポリマー、グリシン-アラニンポリマー、アラニン-セリンポリマー、および当技術分野で公知の他の可撓性リンカーを含む。グリシンおよびグリシン-セリンポリマーを使用することができる; GlyおよびSerはどちらも比較的構造化されておらず、したがって構成要素間の中立テザーとして機能することができる。グリシンポリマーを使用することができる; グリシンは、アラニンよりも有意に多くのphi-psi空間にアクセスし、より長い側鎖を有する残基よりもはるかに制限されない(例えば、Scheraga, Rev.Computational.Chem.(1992)2:73-142を参照)。ヒンジ領域は、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4のヒンジ領域のアミノ酸配列を含み得る(例えば、Yan et al., J.Biol.Chem.(2012)287:5891-5897を参照)。一態様では、ヒンジ領域は、ヒトCD8に由来するアミノ酸配列、またはそのバリアントを含み得る。
【0149】
細胞内シグナル伝達ドメイン
本発明のCARはまた、細胞内シグナル伝達ドメインを含む。「細胞内シグナル伝達ドメイン」および「細胞内ドメイン」という用語は、本明細書では互換的に使用される。CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、CARが発現される細胞(例えば、免疫細胞)のエフェクター機能の少なくとも1つの活性化を担う。細胞内シグナル伝達ドメインは、エフェクター機能シグナルを伝達し、細胞(例えば、免疫細胞)にその特殊な機能、例えば標的細胞の傷害および/または破壊を行うように指示する。
【0150】
本発明で使用するための細胞内ドメインの例としては、表面受容体の細胞質部分、共刺激分子、および協調して作用してT細胞におけるシグナル伝達を開始する任意の分子、ならびにこれらの要素の任意の誘導体またはバリアント、および同じ機能的能力を有する任意の合成配列が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0151】
細胞内シグナル伝達ドメインの例としては、非限定的に、T細胞受容体複合体のζ鎖またはそのホモログのいずれか、例えばη鎖、FcsRIγおよびβ鎖、MB1(Iga)鎖、B29(Ig)鎖など、ヒトCD3ゼータ鎖、CD3ポリペプチド(Δ、δおよびε)、sykファミリーチロシンキナーゼ(Syk、ZAP 70など)、srcファミリーチロシンキナーゼ(Lck、Fyn、Lynなど)、ならびにCD2、CD5およびCD28などのT細胞形質導入に関与する他の分子が挙げられる。一態様では、細胞内シグナル伝達ドメインは、ヒトCD3ゼータ鎖、FcyRIII、FcsRI、DAP10、DAP12、Fc受容体の細胞質尾部、免疫受容体チロシンベースの活性化モチーフ(ITAM)を有する細胞質受容体、およびそれらの組合せから選択されるタンパク質の細胞内シグナル伝達ドメインを含み得る。
【0152】
一態様では、CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、1つまたは複数の共刺激分子の任意の部分、例えばCD2、CD3、CD8、CD27、CD28、ICOS、4-1BB、PD-1、それらの任意の誘導体またはバリアント、例えば同じ機能的能力を有するそれらの任意の合成配列、およびそれらの任意の組合せを含む。
【0153】
細胞内ドメインの他の例としては、TCR、CD3ゼータ、CD3ガンマ、CD3デルタ、CD3イプシロン、CD86、共通FcRガンマ、FcRベータ(FcイプシロンRIb)、CD79a、CD79b、FcガンマRIIa、DAP10、DAP12、T細胞受容体(TCR)、CD8、CD27、CD28、4-1BB(CD137)、OX9、OX40、CD30、CD40、PD-1、ICOS、KIRファミリータンパク質、リンパ球機能関連抗原1(LFA-1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7-H3、CD83と特異的に結合するリガンド、CDS、ICAM-1、GITR、BAFFR、HVEM(LIGHTR)、SLAMF7、NKp80(KLRF1)、CD127、CD160、CD19、CD4、CD8アルファ、CD8ベータ、IL2Rベータ、IL2Rガンマ、IL7Rアルファ、ITGA4、VLA1、CD49a、ITGA4、IA4、CD49D、ITGA6、VLA-6、CD49f、ITGAD、CD11d、ITGAE、CD103、ITGAL、CD11a、LFA-1、ITGAM、CDlib、ITGAX、CD11c、ITGBl、CD29、ITGB2、CD18、LFA-1、ITGB7、TNFR2、TRANCE/RANKL、DNAM1(CD226)、SLAMF4(CD244、2B4)、CD84、CD96(Tactile)、CEACAM1、CRT AM、Ly9(CD229)、CD160(BY55)、PSGL1、CD100(SEMA4D)、CD69、SLAMF6(NTB-A、Ly108)、SLAM(SLAMF1、CD150、IPO-3)、BLAME(SLAMF8)、SELPLG(CD162)、LTBR、LAT、GADS、SLP-76、PAG/Cbp、NKp44、NKp30、NKp46、NKG2D、Toll様受容体1(TLR1)、TLR2、TLR3、TLR4、TLR5、TLR6、TLR7、TLR8、TLR9、IL-9R、IL-21R、本明細書に記載される他の共刺激分子、それらの任意の誘導体、バリアントまたは断片、同じ機能的能力を有する共刺激分子の任意の合成配列、およびそれらの任意の組合せを含むがこれらに限定されるわけではない1つまたは複数の分子または受容体由来の断片またはドメインが挙げられる。
【0154】
細胞内ドメインのさらなる例としては、非限定的に、CD3、B7ファミリー共刺激分子および腫瘍壊死因子受容体(TNFR)スーパーファミリー受容体を含む第1、第2および第3世代T細胞シグナル伝達タンパク質を含むがこれらに限定されるわけではない、いくつかのタイプの様々な他の免疫シグナル伝達受容体の細胞内シグナル伝達ドメインが挙げられる(例えば、Park and Brentjens, J.Clin.Oncol.(2015)33(6):651-653を参照)。さらに、細胞内シグナル伝達ドメインは、NK細胞およびNKT細胞によって使用されるシグナル伝達ドメイン(例えば、Hermanson and Kaufman, Front.Immunol.(2015)6:195を参照)、例えば、NKp30(B7-H6)(例えば、Zhang et al., J.Immunol.(2012)189(5):2290-2299を参照)、およびDAP12(例えば、Topfer et al., J.Immunol.(2015)194(7):3201-3212を参照)、NKG2D、NKp44、NKp46、DAP10、およびCD3zのシグナル伝達ドメインを含み得る。
【0155】
本発明のCARにおける使用に適した細胞内シグナル伝達ドメインには、CARの活性化(すなわち、抗原および二量体化剤によって活性化される)に応答して別個の検出可能なシグナル(例えば、細胞による1つまたは複数のサイトカインの産生の増加; 標的遺伝子の転写の変化; タンパク質の活性の変化; 細胞挙動の変化、例えば細胞死; 細胞増殖; 細胞分化; 細胞生存; 細胞シグナル伝達応答の調節など)を提供する任意の所望のシグナル伝達ドメインが含まれる。いくつかの態様では、細胞内シグナル伝達ドメインは、以下に記載される少なくとも1つ(例えば、1、2、3、4、5、6など)のITAMモチーフを含む。いくつかの態様では、細胞内シグナル伝達ドメインはDAP10/CD28型シグナル伝達鎖を含む。いくつかの態様では、細胞内シグナル伝達ドメインは、膜に結合したCARに共有結合しておらず、代わりに細胞質内に拡散している。
【0156】
本発明のCARにおける使用に適した細胞内シグナル伝達ドメインには、免疫受容体チロシンベースの活性化モチーフ(ITAM)含有細胞内シグナル伝達ポリペプチドが含まれる。いくつかの態様では、ITAMモチーフは、細胞内シグナル伝達ドメインにおいて2回繰り返され、ITAMモチーフの第1および第2の存在は、6~8個のアミノ酸によって互いに分離されている。一態様では、CARの細胞内シグナル伝達ドメインは3つのITAMモチーフを含む。
【0157】
いくつかの態様では、細胞内シグナル伝達ドメインは、FcガンマRI、FcガンマRIIA、FcガンマRIIC、FcガンマRIIIA、FcRL5などの、しかしこれらに限定されない、免疫受容体チロシンベースの活性化モチーフ(ITAM)を含有するヒト免疫グロブリン受容体のシグナル伝達ドメインを含む(例えば、Gillis et al., Front.Immunol.(2014)5:254を参照)。
【0158】
適切な細胞内シグナル伝達ドメインは、ITAMモチーフを含有するポリペプチドに由来するITAMモチーフ含有部分であり得る。例えば、適切な細胞内シグナル伝達ドメインは、任意のITAMモチーフ含有タンパク質由来のITAMモチーフ含有ドメインであり得る。したがって、適切な細胞内シグナル伝達ドメインは、それが由来するタンパク質全体の配列全体を含む必要はない。適切なITAMモチーフ含有ポリペプチドの例としては、DAP12、FCER1G(Fcイプシロン受容体Iガンマ鎖)、CD3D(CD3デルタ)、CD3E(CD3イプシロン)、CD3G(CD3ガンマ)、CD3Z(CD3ゼータ)、およびCD79A(抗原受容体複合体関連タンパク質アルファ鎖)が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0159】
一態様では、細胞内シグナル伝達ドメインは、DAP12(TYROBP; TYROタンパク質チロシンキナーゼ結合タンパク質; KARAP; PLOSL; DNAX活性化タンパク質12; KAR関連タンパク質; TYROタンパク質チロシンキナーゼ結合タンパク質; キラー活性化受容体関連タンパク質; キラー活性化受容体関連タンパク質などとしても公知)に由来する。一態様では、細胞内シグナル伝達ドメインは、FCER1G(FCRG; Fcイプシロン受容体Iガンマ鎖; Fc受容体ガンマ鎖; fcイプシロンRIガンマ; fcRガンマ; fceRlガンマ; 高親和性免疫グロブリンイプシロン受容体サブユニットガンマ; 免疫グロブリンE受容体の高親和性ガンマ鎖などとしても公知)に由来する。一態様では、細胞内シグナル伝達ドメインは、T細胞表面糖タンパク質CD3デルタ鎖(CD3D; CD3-DELTA; T3D; CD3抗原、デルタサブユニット; CD3デルタ; CD3d抗原、デルタポリペプチド(TiT3複合体); OKT3、デルタ鎖; T細胞受容体T3デルタ鎖; T細胞表面糖タンパク質CD3デルタ鎖などとしても公知)に由来する。一態様では、細胞内シグナル伝達ドメインは、T細胞表面糖タンパク質CD3イプシロン鎖(CD3e、T細胞表面抗原T3/Leu-4イプシロン鎖、T細胞表面糖タンパク質CD3イプシロン鎖、AI504783、CD3、CD3イプシロン、T3eなどとしても公知)に由来する。一態様では、細胞内シグナル伝達ドメインは、T細胞表面糖タンパク質CD3ガンマ鎖(CD3G、T細胞受容体T3ガンマ鎖、CD3-GAMMA、T3G、ガンマポリペプチド(TiT3複合体)などとしても公知)に由来する。一態様では、細胞内シグナル伝達ドメインは、T細胞表面糖タンパク質CD3ゼータ鎖(CD3Z、T細胞受容体T3ゼータ鎖、CD247、CD3-ZETA、CD3H、CD3Q、T3Z、TCRZなどとしても公知)に由来する。一態様では、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD79A(B細胞抗原受容体複合体関連タンパク質アルファ鎖; CD79a抗原(免疫グロブリン関連アルファ); MB-1膜糖タンパク質; igアルファ; 膜結合免疫グロブリン関連タンパク質; 表面IgM関連タンパク質などとしても公知)に由来する。一態様では、本開示のCARにおける使用に適した細胞内シグナル伝達ドメインは、IL-9RaまたはIL-21R型シグナル伝達鎖を含む。一態様では、本開示のCARにおける使用に適した細胞内シグナル伝達ドメインは、本明細書に記載のIL-9Ra細胞内ドメインを含む。いくつかの態様では、細胞内シグナル伝達ドメインは、TCRゼータ、FcRガンマ、FcRベータ、CD3ガンマ、CD3デルタ、CD3イプシロン、CD5、CD22、CD79a、CD79b、またはCD66dの細胞質シグナル伝達ドメインを含む。一態様では、CARにおける細胞内シグナル伝達ドメインは、ヒトCD3ゼータの細胞質シグナル伝達ドメインを含む。
【0160】
通常、細胞内シグナル伝達ドメイン全体を使用することができるが、多くの場合、分子全体を使用する必要はない。細胞内シグナル伝達ドメインの切断部分が使用される範囲では、そのような切断部分は、それがエフェクター機能シグナルを伝達する限り、無傷の鎖の代わりに使用され得る。細胞内シグナル伝達ドメインは、エフェクター機能シグナルを伝達するのに十分な細胞内シグナル伝達ドメインの任意の切断部分を含む。
【0161】
本明細書に記載の細胞内ドメインは、本明細書に記載の抗原結合ドメインのいずれか、本明細書に記載の膜貫通ドメインのいずれか、またはCARに含まれ得る本明細書に記載の他のドメインのいずれかと組み合わせることができる。
【0162】
特定の態様では、細胞内ドメインは、4-1BBの共刺激ドメインを含む。特定の態様では、細胞内ドメインは、CD3ζの細胞内ドメインまたはそのバリアントを含む。特定の態様では、細胞内ドメインは、4-1BBの共刺激ドメインおよびCD3ζの細胞内ドメインを含む。
【0163】
IL9Raの細胞内シグナル伝達ドメインを含むICDを含むCAR
一局面において、本発明は、細胞外腫瘍抗原結合ドメインと、膜貫通ドメインと、IL9Raの細胞内シグナル伝達ドメインを含む細胞内ドメインとを含むCARを提供する。CAR、およびCARを発現する改変された細胞(例えば、免疫細胞)は、(1)腫瘍中の腫瘍抗原を利用して免疫細胞(例えば、T細胞)中の免疫刺激シグナルを増強し、(2)CARを発現する免疫細胞の表現型を変化させ、かつ(3)CARを発現する免疫細胞におけるIL-9シグナル伝達を可能にしてインサイチューでエフェクター機能を改善することによって、がんを治療するためのCAR細胞免疫療法を改善する。
【0164】
いくつかの態様において、IL9Ra ICDは、SEQ ID NO:1、SEQ ID NO:4またはSEQ ID NO:8を含む。いくつかの態様において、IL9Ra ICDは、SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:3、SEQ ID NO:5、SEQ ID NO:6、SEQ ID NO:7、SEQ ID NO:9またはSEQ ID NO:124によってコードされる。
【0165】
様々な態様において、CARの細胞内ドメインは、本明細書の他の箇所に記載されている1つまたは複数の共刺激および/またはシグナル伝達ドメイン、例えばCD28および/もしくは4-1BB共刺激ドメインならびに/またはCD3z刺激ドメインをさらに含み得る。いくつかの態様において、細胞内ドメインは、CD28共刺激ドメイン、IL9Raの細胞内シグナル伝達ドメインおよびCD3z刺激ドメインを含む。いくつかの態様において、細胞内ドメインは、4-1BB共刺激ドメイン、IL9Raの細胞内シグナル伝達ドメインおよびCD3z刺激ドメインを含む。
【0166】
様々な態様において、腫瘍抗原結合ドメインは、抗メソテリン抗原結合ドメイン、抗GD2抗原結合ドメイン、抗HER2抗原結合ドメイン、抗GPC2抗原結合ドメイン、抗CD19抗原結合ドメイン、抗TnMuc1抗原結合ドメイン、抗CD70抗原結合ドメイン、抗PMSA抗原結合ドメインおよびEGFRvIII抗原結合ドメインから選択されるドメインを含む。
【0167】
いくつかの態様において、CARは、細胞外抗メソテリン抗原結合ドメイン、CD8ヒンジ、CD28 TMならびにCD28共刺激ドメイン、IL9Ra ICDおよびCD3zシグナル伝達ドメインを含む細胞内ドメインを含む。
【0168】
いくつかの態様において、CARは、細胞外抗メソテリン抗原結合ドメイン、CD8ヒンジ、CD8 TMならびに4-1BB共刺激ドメイン、IL9Ra ICDおよびCD3zシグナル伝達ドメインを含む細胞内ドメインを含む。
【0169】
個々のCARドメイン配列(リーダー、抗原結合ドメイン、ヒンジ、膜貫通および/または細胞内ドメイン)の許容される変動は、当業者に公知であろう。例えば、特定の態様では、CARドメインは、任意の天然に存在する配列または公知の配列と少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0170】
CARおよびそのドメインのある態様についてのアミノ酸およびヌクレオチド配列を以下に記載する。
【0171】
C. 核酸および発現ベクター
一局面において、本発明は、腫瘍抗原結合ドメインと、膜貫通ドメインと、インターロイキン-9受容体アルファ(IL9Ra)の細胞内シグナル伝達ドメインを含む細胞内ドメインとを含むキメラ抗原受容体(CAR)をコードするヌクレオチド配列を含む単離された核酸を提供する。
【0172】
特定の態様では、本開示の核酸は、第1のヌクレオチド配列および第2のヌクレオチド配列を含む。第1および第2のヌクレオチド配列は、リンカーによって分離され得る。本開示で使用するためのリンカーは、複数のタンパク質が同じ核酸配列(例えば、マルチシストロニックまたはバイシストロニック配列)によってコードされることを可能にし、それらは別個のタンパク質成分に解離されるポリタンパク質として翻訳される。特定の態様では、核酸は、5'から3'に向かって第1のヌクレオチド配列、リンカー、および第2のヌクレオチド配列を含む。特定の態様では、核酸は、5'から3'に向かって第2のヌクレオチド配列、リンカー、および第1のヌクレオチド配列を含む。
【0173】
いくつかの態様では、リンカーは、内部リボソーム進入部位(IRES)をコードする核酸配列を含む。本明細書で使用される場合、「内部リボソーム進入部位」または「IRES」は、タンパク質コード領域のATGなどの開始コドンへの直接的な内部リボソーム進入を促進し、それによって遺伝子のキャップ非依存性翻訳をもたらす要素を指す。様々な内部リボソーム進入部位が当業者に公知であり、非限定的に、ウイルスまたは細胞mRNA源、例えば、免疫グロブリン重鎖結合タンパク質(BiP)から得られるIRES; 血管内皮増殖因子(VEGF); 線維芽細胞増殖因子2; インスリン様成長因子; 翻訳開始因子eIF4G; 酵母転写因子TFIIDおよびHAP4; ならびに、例えばカルジオウイルス、ライノウイルス、アフトウイルス、HCV、フレンドマウス白血病ウイルス(FrMLV)およびモロニーマウス白血病ウイルス(MoMLV)から得られるIRESを含む。当業者は、本発明で使用するための適切なIRESを選択することができるであろう。
【0174】
いくつかの態様では、リンカーは、自己切断ペプチドをコードする核酸配列を含む。本明細書で使用される場合、「自己切断ペプチド」または「2Aペプチド」は、複数のタンパク質が、翻訳時に成分タンパク質に解離するポリタンパク質としてコードされることを可能にする、オリゴペプチドを指す。「自己切断」という用語の使用は、タンパク質分解切断反応を暗示することを意図しない。非限定的に、ピコルナウイルス科(Picornaviridae)ウイルスファミリーのメンバー、例えば口蹄疫ウイルス(FMDV)、ウマ鼻炎Aウイルス(ERAV0、トセア・アシグナ(Thosea asigna)ウイルス(TaV)、およびブタテスコウイルス-1(PTV-1)、ならびにタイロウイルスおよび脳心筋炎ウイルスなどのカルジオウイルスに見出されるものを含む、様々な自己切断または2Aペプチドが当業者に公知である。FMDV、ERAV、PTV-1、およびTaVに由来する2Aペプチドは、本明細書ではそれぞれ「F2A」、「E2A」、「P2A」、および「T2A」と呼ばれる。当業者は、本発明で使用するための適切な自己切断ペプチドを選択することができるであろう。
【0175】
いくつかの態様では、構築物は、任意で、フリン切断部位をコードする核酸配列をさらに含むリンカーを含む。フリンは、トランスゴルジに存在し、タンパク質前駆体をその分泌前にプロセシングする、遍在的に発現されるプロテアーゼである。フリンは、そのコンセンサス認識配列のCOOH末端で切断する。様々なフリンコンセンサス認識配列(または「フリン切断部位」)が当業者に公知である。当業者は、本発明で使用するための適切なフリン切断部位を選択することができるであろう。
【0176】
いくつかの態様では、リンカーは、フリン切断部位と2Aペプチドとの組合せをコードする核酸配列を含む。例としては、非限定的に、フリン切断部位およびF2Aをコードする核酸配列を含むリンカー、フリン切断部位およびE2Aをコードする核酸配列を含むリンカー、フリン切断部位およびP2Aをコードする核酸配列を含むリンカー、フリン切断部位およびT2Aをコードする核酸配列を含むリンカーが挙げられる。当業者は、本発明で使用するための適切な組合せを選択することができるであろう。そのような態様では、リンカーは、フリン切断部位と2Aペプチドとの間にスペーサー配列をさらに含み得る。いくつかの態様では、リンカーは、2Aペプチドに対して5'側にフリン切断部位を含む。いくつかの態様では、リンカーは、フリン切断部位に対して5'側に2Aペプチドを含む。非限定的に、グリシンセリン(GS)スペーサー(GSリンカーとしても公知)を含む様々なスペーサー配列が当技術分野で公知である。当業者は、本発明で使用するための適切なスペーサー配列を選択することができるであろう。
【0177】
いくつかの態様では、本開示のヌクレオチド配列は、転写制御要素、例えばプロモーターおよびエンハンサーなどに機能的に連結され得る。適切なプロモーターおよびエンハンサーエレメントは当業者に公知である。
【0178】
特定の態様では、プロモーターは、ホスホグリセリン酸キナーゼ1(PGK)プロモーター、EF-1aプロモーター、およびCMVプロモーターから選択される。
【0179】
細菌細胞における発現に関して、適切なプロモーターには、lacI、lacZ、T3、T7、gpt、ラムダPおよびtrcが含まれるが、これらに限定されるわけではない。真核細胞における発現に関して、適切なプロモーターには、軽鎖および/または重鎖免疫グロブリン遺伝子プロモーターおよびエンハンサーエレメント; サイトメガロウイルス前初期プロモーター; 単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼプロモーター; 初期および後期SV40プロモーター; レトロウイルス由来の長い末端反復配列に存在するプロモーター; マウスメタロチオネイン-Iプロモーター; ならびに様々な当技術分野で公知の組織特異的プロモーターが含まれるが、これらに限定されるわけではない。可逆的誘導性プロモーターを含む適切な可逆的プロモーターは、当技術分野で公知である。そのような可逆的プロモーターは、多くの生物、例えば真核生物および原核生物から単離され得、それらに由来し得る。第2の生物において使用するための第1の生物に由来する可逆的プロモーターの改変(例えば、第1の原核生物および第2の真核生物、第1の真核生物および第2の原核生物など)は、当技術分野で周知である。そのような可逆的プロモーター、およびそのような可逆的プロモーターに基づくがさらなる制御タンパク質も含む系には、アルコール調節プロモーター(例えば、アルコールデヒドロゲナーゼI(alcA)遺伝子プロモーター、アルコールトランスアクチベータタンパク質(A1cR)に応答性のプロモーターなど)、テトラサイクリン調節プロモーター(例えば、TetActivator、TetON、TetOFFなどを含むプロモーター系)、ステロイド調節プロモーター(例えば、ラットグルココルチコイド受容体プロモーター系、ヒトエストロゲン受容体プロモーター系、レチノイドプロモーター系、甲状腺プロモーター系、エクジソンプロモーター系、ミフェプリストンプロモーター系など)、金属調節プロモーター(例えば、メタロチオネインプロモーター系など)、病原性関連調節プロモーター(例えば、サリチル酸調節プロモーター、エチレン調節プロモーター、ベンゾチアジアゾール調節プロモーターなど)、温度調節プロモーター(例えば、熱ショック誘導性プロモーター(例えば、HSP-70、HSP-90、ダイズ熱ショックプロモーターなど)、光調節プロモーター、合成誘導性プロモーターなどが含まれるが、これらに限定されるわけではない。
【0180】
いくつかの態様では、プロモーターは、CD8細胞特異的プロモーター、CD4細胞特異的プロモーター、好中球特異的プロモーター、またはNK特異的プロモーターである。例えば、CD4遺伝子プロモーターを使用することができる; 例えば、Salmon et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1993)90:7739; およびMarodon et al.(2003)Blood 101:3416を参照。別の例として、CD8遺伝子プロモーターを使用することができる。NK細胞特異的発現は、NcrI(p46)プロモーターの使用によって達成することができる; 例えば、Eckelhart et al.Blood(2011)117:1565を参照。
【0181】
酵母細胞での発現に関して、適切なプロモーターは、ADH1プロモーター、PGK1プロモーター、ENOプロモーター、PYK1プロモーターなどの構成的プロモーター; または調節可能なプロモーター、例えば、GAL1プロモーター、GAL10プロモーター、ADH2プロモーター、PHOSプロモーター、CUP1プロモーター、GALTプロモーター、MET25プロモーター、MET3プロモーター、CYC1プロモーター、HIS3プロモーター、ADH1プロモーター、PGKプロモーター、GAPDHプロモーター、ADC1プロモーター、TRP1プロモーター、URA3プロモーター、LEU2プロモーター、ENOプロモーター、TP1プロモーター、およびAOX1(例えば、ピキア属(Pichia)における使用のため)である。適切なベクターおよびプロモーターの選択は、十分に当業者のレベル内である。原核生物宿主細胞で使用するための適切なプロモーターには、バクテリオファージT7 RNAポリメラーゼプロモーター; trpプロモーター; lacオペロンプロモーター; ハイブリッドプロモーター、例えばlac/tacハイブリッドプロモーター、tac/trcハイブリッドプロモーター、trp/lacプロモーター、T7/lacプロモーター; trcプロモーター; tacプロモーターなど; araBADプロモーター; ssaGプロモーターまたは関連プロモーター(例えば、米国特許出願公開第20040131637号を参照)、pagCプロモーター(Pulkkinen and Miller, J.Bacteriol.(1991)173(1):86-93; Alpuche-Aranda et al., Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1992)89(21):10079-83)、nirBプロモーター(Harborne et al.Mol.Micro.(1992)6:2805-2813)などのインビボ調節プロモーター(例えば、Dunstan et al., Infect.Immun.(1999)67:5133-5141; McKelvie et al., Vaccine(2004)22:3243-3255; およびChatfield et al., Biotechnol.(1992)10:888-892を参照); sigma70プロモーター、例えばコンセンサスsigma70プロモーター(例えば、GenBankアクセッション番号AX798980、AX798961およびAX798183を参照); 固定相プロモーター、例えばdpsプロモーター、spvプロモーターなど; 病原性アイランドSPI-2に由来するプロモーター(例えば、国際公開公報第96/17951号を参照); actAプロモーター(例えば、Shetron-Rama et al., Infect.Immun.(2002)70:1087-1096を参照); rpsMプロモーター(例えば、Valdivia and Falkow Mol.Microbiol.(1996)22:367を参照); tetプロモーター(例えば、Hillen, W.and Wissmann, A.(1989)In Saenger, W.and Heinemann, U.(eds), Topics in Molecular and Structural Biology, Protein-Nucleic Acid Interaction.Macmillan, London, UK, Vol.10, pp.143-162を参照); SP6プロモーター(例えば、Melton et al., Nucl.Acids Res.(1984)12:7035を参照)などが含まれるが、これらに限定されるわけではない。大腸菌(Escherichia coli)などの原核生物での使用に適した強力なプロモーターには、Trc、Tac、T5、T7、およびPラムダが含まれるが、これらに限定されるわけではない。細菌宿主細胞で使用するためのオペレーターの非限定的な例としては、ラクトースプロモーターオペレーター(LacIリプレッサータンパク質は、ラクトースと接触すると立体配座を変化させ、それによってLadリプレッサータンパク質がオペレーターに結合するのを妨げる)、トリプトファンプロモーターオペレーター(トリプトファンと複合体化した場合、TrpRリプレッサータンパク質は、オペレーターに結合する立体配座を有する; トリプトファンの非存在下では、TrpRリプレッサータンパク質は、オペレーターに結合しない立体配座を有する)、およびtacプロモーターオペレーター(例えば、deBoer et al., Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.(1983)80:21-25)が挙げられる。
【0182】
適切なプロモーターの他の例としては、前初期サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター配列が挙げられる。このプロモーター配列は、それに機能的に連結された任意のポリヌクレオチド配列の高レベルの発現を駆動することができる強力な構成的プロモーター配列である。他の構成的プロモーター配列も使用され得、例えば、これらに限定されるわけではないが、シミアンウイルス40(SV40)初期プロモーター、マウス乳癌ウイルス(MMTV)またはヒト免疫不全ウイルス(HIV)の長末端反復(LTR)プロモーター、MoMuLVプロモーター、トリ白血病ウイルスプロモーター、エプスタイン-バーウイルス前初期プロモーター、ラウス肉腫ウイルスプロモーター、EF-1アルファプロモーター、ならびにヒト遺伝子プロモーター、例えば、これらに限定されるわけではないがアクチンプロモーター、ミオシンプロモーター、ヘモグロビンプロモーターおよびクレアチンキナーゼプロモーターなどが含まれる。さらに、本発明は、構成的プロモーターの使用に限定されるべきではない。誘導性プロモーターも本発明の一部として企図される。誘導性プロモーターの使用は、そのような発現が望ましい場合に機能的に連結されたポリヌクレオチド配列の発現をオンにすることができるか、または発現が望ましくない場合に発現をオフにすることができる分子スイッチを提供する。誘導性プロモーターの例としては、メタロチオネインプロモーター、グルココルチコイドプロモーター、プロゲステロンプロモーター、およびテトラサイクリンプロモーターが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0183】
いくつかの態様では、適切なプロモーターを含有する遺伝子座または構築物または導入遺伝子は、誘導性の系の誘導によって不可逆的にスイッチされる。不可逆的スイッチの誘導のための適切な系は当技術分野で周知であり、例えば、不可逆的スイッチの誘導は、Cre-lox媒介性組換えを利用し得る(例えば、その開示が参照により本明細書に組み入れられる、Fuhrmann-Benzakein, et al., Proc.Natl.Acad.Sci.USA(2000)28:e99を参照)。当技術分野で公知のリコンビナーゼ、エンドヌクレアーゼ、リガーゼ、組換え部位などの任意の適切な組合せを、不可逆的にスイッチ可能なプロモーターの作製に使用し得る。本明細書の他の箇所に記載される部位特異的組換えを行うための方法、機構および要件は、不可逆的にスイッチされたプロモーターを作製する際に利用され、当技術分野で周知であり、例えば、その開示が参照により本明細書に組み入れられる、Grindley et al.Annual Review of Biochemistry(2006)567-605; およびTropp, Molecular Biology(2012)(Jones&Bartlett Publishers, Sudbury, Mass.)を参照。
【0184】
いくつかの態様では、本開示の核酸は、CAR誘導性発現カセットをコードする核酸配列をさらに含む。一態様では、CAR誘導性発現カセットは、CARシグナル伝達時に放出されるトランスジェニックポリペプチド産物の産生のために使用される。例えば、Chmielewski and Abken, Expert Opin.Biol.Ther.(2015)15(8):1145-1154; およびAbken, Immunotherapy(2015)7(5):535-544を参照。いくつかの態様では、本開示の核酸は、T細胞活性化応答性プロモーターに機能的に連結されたサイトカインをコードする核酸配列をさらに含む。いくつかの態様では、T細胞活性化応答性プロモーターに機能的に連結されたサイトカインは、別個の核酸配列上に存在する。一態様では、サイトカインはIL-12である。
【0185】
本開示の核酸は、発現ベクターおよび/またはクローニングベクター内に存在し得る。発現ベクターは、選択マーカー、複製起点、ならびにベクターの複製および/または維持を提供する他の特徴を含み得る。適切な発現ベクターには、例えば、プラスミド、ウイルスベクターなどが含まれる。多数の適切なベクターおよびプロモーターが当業者に公知である; 多くは、対象の組換え構築物を作製するために市販されている。以下のベクターは例として提供され、いずれにせよ限定として解釈されるべきではない: 細菌: pBs、phagescript、PsiX174、pBluescript SK、pBs KS、pNH8a、pNH16a、pNH18a、pNH46a(Stratagene, La Jolla, Calif., USA); pTrc99A、pKK223-3、pKK233-3、pDR540、およびpRIT5(Pharmacia, Uppsala, Sweden)。真核生物: pWLneo、pSV2cat、pOG44、PXR1、pSG(Stratagene)pSVK3、pBPV、pMSGおよびpSVL(Pharmacia)。
【0186】
発現ベクターは一般に、異種タンパク質をコードする核酸配列の挿入を提供するためにプロモーター配列の近くに位置する好都合な制限部位を有する。発現宿主において機能的な選択マーカーが存在してもよい。適切な発現ベクターには、ウイルスベクター(例えば、ワクシニアウイルス; ポリオウイルス; アデノウイルスに基づくウイルスベクター(例えば、Li et al., Invest.Opthalmol.Vis.Sci.(1994)35:2543-2549; Borras et al., Gene Ther.(1999)6:515-524; Li and Davidson, Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1995)92:7700-7704; Sakamoto et al., H.Gene Ther.(1999)5:1088-1097; 国際公開公報第94/12649号、国際公開公報第93/03769号; 国際公開公報第93/19191号; 国際公開公報第94/28938号; 国際公開公報第95/11984号および国際公開公報第95/00655号を参照); アデノ随伴ウイルス(例えば、Ali et al., Hum.Gene Ther.(1998)9:81-86, Flannery et al., Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1997)94:6916-6921; Bennett et al., Invest.Opthalmol.Vis.Sci.(1997)38:2857-2863; Jomary et al., Gene Ther.(1997)4:683 690, Rolling et al., Hum.Gene Ther.(1999)10:641-648; Ali et al., Hum.Mol.Genet.(1996)5:591-594; 国際公開公報第93/09239号のSrivastava、Samulski et al., J.Vir.(1989)63:3822-3828; Mendelson et al., Virol.(1988)166:154-165; およびFlotte et al., Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1993)90:10613-10617を参照); SV40; 単純ヘルペスウイルス; ヒト免疫不全ウイルス(例えば、Miyoshi et al., Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1997)94:10319-23; Takahashi et al., J.Virol.(1999)73:7812-7816を参照); レトロウイルスベクター(例えば、マウス白血病ウイルス、脾臓壊死ウイルス、ならびにラウス肉腫ウイルス、ハーベイ肉腫ウイルス、トリ白血病ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、骨髄増殖性肉腫ウイルス、および乳癌ウイルスなどのレトロウイルスに由来するベクター)が含まれるが、これらに限定されるわけではない。
【0187】
使用に適したさらなる発現ベクターは、例えば、非限定的に、レンチウイルスベクター、ガンマレトロウイルスベクター、フォーミーウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、アデノウイルスベクター、ポックスウイルスベクター、ヘルペスウイルスベクター、操作されたハイブリッドウイルスベクター、トランスポゾン媒介性ベクターなどである。ウイルスベクター技術は当技術分野で周知であり、例えば、Sambrook et al., 2012, Molecular Cloning:A Laboratory Manual, volumes 1-4, Cold Spring Harbor Press, NY)、ならびに他のウイルス学および分子生物学マニュアルに記載されている。ベクターとして有用なウイルスには、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、ヘルペスウイルス、およびレンチウイルスが含まれるが、これらに限定されるわけではない。
【0188】
一般に、適切なベクターは、少なくとも1つの生物において機能的な複製起点、プロモーター配列、好都合な制限エンドヌクレアーゼ部位、および1つまたは複数の選択可能なマーカーを含む(例えば、国際公開公報第01/96584号; 国際公開公報第01/29058号; および米国特許第6,326,193号)。
【0189】
いくつかの態様では、発現ベクター(例えば、レンチウイルスベクター)を使用して、核酸を免疫細胞またはその前駆体(例えば、T細胞)に導入し得る。したがって、本発明の発現ベクター(例えば、レンチウイルスベクター)は、本発明のCARをコードする1つまたは複数のヌクレオチド配列を含む本発明の核酸を含み得る。いくつかの態様では、発現ベクター(例えば、レンチウイルスベクター)は、その中にコードされる受容体の機能的発現を助けるさらなる要素を含む。いくつかの態様では、本発明の核酸を含む発現ベクターは、伸長因子1アルファプロモーター(EF-1αプロモーター)をさらに含む。EF-1αプロモーターの使用は、下流の導入遺伝子(例えば、CARをコードするヌクレオチド配列)の発現効率を高め得る。生理学的プロモーター(例えば、EF-1αプロモーター)は、組込み媒介性遺伝毒性を誘導する可能性が低く、幹細胞を形質転換するレトロウイルスベクターの能力を無効にし得る。ベクター(例えば、レンチウイルスベクター)における使用に適した他の生理学的プロモーターは当業者に公知であり、本発明のベクターに組み込まれ得る。いくつかの態様では、ベクター(例えば、レンチウイルスベクター)は、力価および遺伝子発現を改善し得る必須でないシス作用性配列をさらに含む。必須でないシス作用性配列の1つの非限定的な例は、効率的な逆転写および核取り込みに重要なセントラルポリプリントラクトおよび中心終結配列(cPPT/CTS)である。他の必須でないシス作用性配列は当業者に公知であり、本発明のベクター(例えば、レンチウイルスベクター)に組み込まれ得る。いくつかの態様では、ベクターは転写後調節エレメントをさらに含む。転写後調節エレメントは、RNA翻訳を改善し、導入遺伝子発現を改善し、RNA転写物を安定化し得る。転写後調節エレメントの一例は、ウッドチャック肝炎ウイルス転写後調節エレメント(WPRE)である。したがって、いくつかの態様では、本発明のためのベクターはWPRE配列をさらに含む。様々な転写後調節エレメントが当業者に公知であり、本発明のベクター(例えば、レンチウイルスベクター)に組み込まれ得る。本発明のベクターは、RNA輸送のためのrev応答エレメント(RRE)、パッケージング配列、ならびに5'および3'長末端反復(LTR)などのさらなる要素をさらに含み得る。「長末端反復」または「LTR」という用語は、U3、RおよびU5領域を含むレトロウイルスDNAの末端に位置する塩基対のドメインを指す。LTRは一般に、レトロウイルス遺伝子の発現(例えば、遺伝子転写物の促進、開始およびポリアデニル化)ならびにウイルス複製に必要な機能を提供する。一態様では、本発明のベクター(例えば、レンチウイルスベクター)は、3'U3欠失LTRを含む。したがって、本発明のベクター(例えば、レンチウイルスベクター)は、導入遺伝子の機能的発現の効率を高めるために、本明細書に記載の要素の任意の組合せを含み得る。例えば、本発明のベクター(例えば、レンチウイルスベクター)は、本発明のCARをコードする核酸に加えて、WPRE配列、cPPT配列、RRE配列、5'LTR、3'U3欠失LTR'を含み得る。
【0190】
本発明のベクターは、自己不活性化ベクターであり得る。本明細書で使用される場合、「自己不活性化ベクター」という用語は、3'LTRエンハンサープロモーター領域(U3領域)が改変されている(例えば、欠失または置換によって)ベクターを指す。自己不活性化ベクターは、最初のウイルス複製ラウンドを超えたウイルス転写を防止し得る。その結果、自己不活性化ベクターは、一度だけ宿主ゲノム(例えば、哺乳動物ゲノム)に感染し、次いで組み込まれ得、それ以上通過することはできない。したがって、自己不活性化ベクターは、複製可能ウイルスを生成するリスクを大幅に低減し得る。
【0191】
いくつかの態様では、本発明の核酸は、RNA、例えばインビトロ合成RNAであり得る。RNAのインビトロ合成のための方法は当業者に公知である; 本開示のCARをコードする配列を含むRNAを合成するために任意の公知の方法を使用することができる。RNAを宿主細胞に導入するための方法は当技術分野で公知である。例えば、Zhao et al.Cancer Res.(2010)15:9053を参照。本開示のCARをコードするヌクレオチド配列を含むRNAを宿主細胞に導入することは、インビトロ、エクスビボまたはインビボで実施することができる。例えば、宿主細胞(例えば、NK細胞、細胞傷害性Tリンパ球など)に、本開示のCARをコードするヌクレオチド配列を含むRNAをインビトロまたはエクスビボでエレクトロポレーションすることができる。
【0192】
ポリペプチドまたはその一部の発現を評価するため、細胞に導入される発現ベクターにはまた、ウイルスベクターを介してトランスフェクトまたは感染させようとする細胞の集団からの発現細胞の同定および選択を容易にするために、選択可能なマーカー遺伝子もしくはレポーター遺伝子のいずれかまたは両方を含めることもできる。いくつかの態様では、選択可能なマーカーは、別々のDNA片に担持され、同時トランスフェクション手法で使用され得る。選択可能なマーカーおよびレポーター遺伝子の両方が、宿主細胞における発現を可能にする適切な調節配列に隣接し得る。有用な選択可能なマーカーには、非限定的に、抗生物質耐性遺伝子が含まれる。
【0193】
レポーター遺伝子は、トランスフェクトされた可能性のある細胞を同定するために、および調節配列の機能性を評価するために使用される。一般に、レポーター遺伝子は、レシピエント生物もしくは組織に存在しないかまたはレシピエント生物もしくは組織によって発現されず、その発現が何らかの容易に検出可能な特性、例えば酵素活性によって明らかにされるポリペプチドをコードする遺伝子である。レポーター遺伝子の発現は、DNAがレシピエント細胞に導入された後の適切な時点で評価される。適切なレポーター遺伝子には、非限定的に、ルシフェラーゼ、ベータ-ガラクトシダーゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ、分泌型アルカリホスファターゼ、または緑色蛍光タンパク質遺伝子(例えば、Ui-Tei et al., 2000 FEBS Letters 479:79-82)をコードする遺伝子が含まれ得る。
【0194】
いくつかの態様では、本開示の核酸は、例えば哺乳動物細胞における、本明細書に記載のCARの産生のために提供される。いくつかの態様では、本開示の核酸は、CARをコードする核酸の増幅を提供する。
【0195】
D. 改変された免疫細胞
本発明は、さらに、改変された細胞であって、
前記細胞が免疫細胞またはその前駆細胞であり、かつ
前記細胞が、腫瘍抗原結合ドメインと、膜貫通ドメインと、インターロイキン-9受容体アルファ(IL9Ra)の細胞内シグナル伝達ドメインを含む細胞内ドメインとを含むキメラ抗原受容体(CAR)を発現するように操作されている、
改変された細胞を提供する。
【0196】
ある態様において、改変された免疫細胞またはその前駆細胞は、T細胞、ナチュラルキラーT(NKT)細胞、ガンマデルタT細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞およびマクロファージから選択される。
【0197】
ある態様において、改変された細胞は自己由来細胞である。ある態様において、改変された細胞は自己由来細胞である。いくつかの態様において、細胞はヒト対象から得られたヒト細胞である。ある態様において、改変された細胞はT細胞である。
【0198】
E. 治療の方法
別の局面において、本発明は、その必要がある対象においてがんを治療する方法であって、前記対象に改変された細胞の集団を投与する工程を含み、前記細胞が免疫細胞またはその前駆細胞であり、かつ前記細胞が、腫瘍抗原結合ドメインと、膜貫通ドメインと、インターロイキン-9受容体アルファ(IL9Ra)の細胞内シグナル伝達ドメインを含む細胞内ドメインとを含むキメラ抗原受容体(CAR)を発現するように操作されている、方法を提供する。
【0199】
本明細書に記載の改変された細胞(例えば、T細胞)は、免疫療法のための組成物に含まれ得る。組成物は、薬学的組成物を含み得、薬学的に許容される担体をさらに含み得る。改変T細胞を含有する薬学的組成物の治療有効量を投与し得る。
【0200】
一局面では、本発明は、その必要がある対象に本発明の改変された細胞の集団を投与する工程を含む、養子細胞移入療法のための方法を含み、該細胞は、免疫細胞またはその前駆細胞(例えば、T細胞)である。
【0201】
養子細胞療法のための免疫細胞の投与方法は公知であり、提供される方法および組成物と組み合わせて使用され得る。例えば、養子免疫細胞療法の方法は、例えば、Gruenberg et alの米国特許出願公開第2003/0170238号; Rosenbergの米国特許第4,690,915号; Rosenberg(2011)Nat Rev Clin Oncol.8(10):577-85)に記載されている。例えば、Themeli et al.(2013)Nat Biotechnol.31(10):928-933; Tsukahara et al.(2013)Biochem Biophys Res Commun 438(1):84-9; Davila et al.(2013)PLoS ONE 8(4):e61338; Lee et al., Int J.Mol Sci.(2021)22(9):4590; Banerjee et al., JCO Clin Cancer Inform.(2021)5:668-678; Robbins et al., Stem Cell Res Ther.(2021)12(1):350; Wrona et al., Int J Mol Sci.(2021)22(11):5899; Atrash and Moyo, Onco Targets Ther.(2021)14:2185-2201; Martinez Bedoya et al., Front Immunol.(2021)12:640082; Morgan et al., Front Immunol.(2020)11:1965; Chicaybam et al., Cancers(Basel)(2020)12(9):2360; およびRafiq et al., Nat Rev Clin Oncol.(2020)17(3):147-167を参照。いくつかの態様では、細胞療法、例えば養子T細胞療法は、細胞が、細胞療法を受けることになっている対象から、またはそのような対象に由来する試料から単離されるおよび/またはさもなければ調製される、自家移植によって実施される。したがって、いくつかの局面では、細胞は、治療を必要とする対象、例えば患者に由来し、単離および処理後に細胞は同じ対象に投与される。
【0202】
いくつかの態様では、細胞療法、例えば養子T細胞療法は、細胞が、細胞療法を受けることになっている対象または最終的に細胞療法を受ける対象以外の対象、例えば第1の対象から単離されるおよび/またはさもなければ調製される、同種移植によって実施される。そのような態様では、細胞は、次いで、同じ種の異なる対象、例えば第2の対象に投与される。いくつかの態様では、第1の対象と第2の対象は遺伝的に同一である。いくつかの態様では、第1の対象と第2の対象は遺伝的に類似している。いくつかの態様では、第2の対象は、第1の対象と同じHLAクラスまたはスーパータイプを発現する。
【0203】
いくつかの態様では、対象は、細胞または細胞を含有する組成物の投与前に、疾患または状態、例えば腫瘍を標的とする治療薬で治療されている。いくつかの局面では、対象は、他の治療薬に対して難治性または非応答性である。いくつかの態様では、対象は、例えば化学療法、放射線、および/または造血幹細胞移植(HSCT)、例えば同種HSCTを含む別の治療介入による治療後に、持続性または再発性疾患を有する。いくつかの態様では、投与は、対象が別の療法に対して抵抗性になったにもかかわらず、対象を有効に治療する。
【0204】
いくつかの態様では、対象は他の治療薬に応答性であり、該治療薬による処置は疾患負荷を軽減させる。いくつかの局面では、対象は、該治療薬に対して最初は応答性であるが、経時的に疾患または状態の再発を示す。いくつかの態様では、対象は再発していない。いくつかのそのような態様では、対象は再発のリスクがある、例えば再発のリスクが高いと判定され、したがって細胞は、例えば再発の可能性を低減するかまたは再発を防止するために予防的に投与される。いくつかの局面では、対象は、別の治療薬による事前の処置を受けていない。
【0205】
いくつかの態様では、対象は、例えば化学療法、放射線、および/または造血幹細胞移植(HSCT)、例えば同種HSCTを含む別の治療介入による治療後に、持続性または再発性疾患を有する。いくつかの態様では、投与は、対象が別の療法に対して抵抗性になったにもかかわらず、対象を有効に治療する。
【0206】
本発明の改変された免疫細胞は、がんを治療するために、動物、好ましくは哺乳動物、さらにより好ましくはヒトに投与することができる。さらに、本発明の細胞は、疾患を治療するか、または緩和することが望ましい場合に、がんに関連する任意の状態の治療、特に(1つまたは複数の)腫瘍細胞に対する細胞媒介性免疫応答のために使用することができる。本発明の改変された細胞または薬学的組成物で治療されるがんの種類には、特定の白血病またはリンパ性悪性腫瘍、良性および悪性腫瘍、ならびに悪性腫瘍、例えば肉腫、癌腫および黒色腫が含まれる。例示的ながんとしては、B細胞悪性腫瘍(B細胞リンパ腫および白血病など)、肺癌、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、メルケル細胞癌腫、黒色腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、尿路上皮癌腫、胃癌、子宮頸癌、皮膚扁平上皮癌腫、腎細胞癌腫、乳癌、トリプルネガティブ乳癌、結腸癌、食道癌、胃癌、肝臓癌、腎臓癌、膵臓癌、前立腺癌、脳癌、肺腺癌、神経膠芽腫、肝細胞癌腫、胆嚢癌、子宮頸癌、子宮頸扁平上皮癌腫、結腸直腸癌、卵巣癌、および腎癌が挙げられるが、これらに限定されない。がんは、非固形腫瘍(血液腫瘍など)または固形腫瘍であり得る。成人(adult)腫瘍/がんおよび小児(pediatric)腫瘍/がんも含まれる。一態様において、がんは、固形腫瘍または血液腫瘍である。
【0207】
投与される細胞は、治療を受けている対象に対して自己由来であり得る。
【0208】
本発明の細胞の投与は、当業者に公知の任意の好都合な方法で実施され得る。本発明の細胞は、エアロゾル吸入、注射、経口摂取、輸血、埋め込みまたは移植によって対象に投与され得る。本明細書に記載の組成物は、経動脈的に、皮下、皮内、腫瘍内、節内、髄内、筋肉内に、静脈内(i.v.)注射によって、または腹腔内経路で患者に投与され得る。他の例では、本発明の細胞は、対象の炎症部位、対象の局所疾患部位、リンパ節、臓器、腫瘍などに直接注射される。
【0209】
いくつかの態様では、細胞は所望の投与量で投与され、これはいくつかの局面では、所望の用量もしくは数の細胞もしくは細胞型および/または所望の比の細胞型を含む。したがって、いくつかの態様における細胞の投与量は、細胞の総数(または体重1kg当たりの数)および個々の集団またはサブタイプの所望の比、例えばCD4+対CD8+比に基づく。いくつかの態様では、細胞の投与量は、個々の集団または個々の細胞型における細胞の所望の総数(または体重1kg当たりの数)に基づく。いくつかの態様では、投与量は、そのような特徴、例えば全細胞の所望の数、所望の比、および個々の集団における細胞の所望の総数などの組合せに基づく。
【0210】
いくつかの態様では、CD8およびCD4T細胞などの細胞の集団またはサブタイプは、T細胞の所望の用量などの全細胞の所望の用量の許容差でまたは許容差内で投与される。いくつかの局面では、所望の用量は、細胞の所望の数または細胞が投与される対象の単位体重当たりの細胞の所望の数、例えば細胞/kgである。いくつかの局面では、所望の用量は、細胞の最小数もしくは最小数より上、または単位体重当たりの細胞の最小数もしくは最小数より上である。いくつかの局面では、所望の用量で投与される全細胞の中で、個々の集団またはサブタイプは、所望の産生比(CD4対CD8比など)またはそれに近い比で、例えばそのような比の特定の許容差内または許容誤差内で存在する。
【0211】
いくつかの態様では、細胞は、所望の用量のCD4+細胞および/または所望の用量のCD8+細胞などの、細胞の個々の集団またはサブタイプの1つまたは複数の所望の用量の許容差でまたは許容差内で投与される。いくつかの局面では、所望の用量は、サブタイプまたは集団の細胞の所望の数、または細胞が投与される対象の単位体重当たりのそのような細胞の所望の数、例えば細胞/kgである。いくつかの局面では、所望の用量は、集団もしくはサブタイプの細胞の最小数もしくは最小数より上、または単位体重当たりの集団もしくはサブタイプの細胞の最小数もしくは最小数より上である。したがって、いくつかの態様では、投与量は、全細胞の所望の固定用量および所望の比に基づき、ならびに/または個々のサブタイプもしくは亜集団の1つもしくは複数、例えばそれぞれの所望の固定用量に基づく。したがって、いくつかの態様では、投与量は、T細胞の所望の固定用量もしくは最小用量およびCD4対CD8細胞の所望の比に基づき、ならびに/またはCD4および/もしくはCD8細胞の所望の固定用量もしくは最小用量に基づく。
【0212】
特定の態様では、細胞、または細胞のサブタイプの個々の集団は、約100万~約1000億個の細胞の範囲、例えば100万~約500億個の細胞(例えば、約500万個の細胞、約2500万個の細胞、約5億個の細胞、約10億個の細胞、約50億個の細胞、約200億個の細胞、約300億個の細胞、約400億個の細胞、もしくは前記値のいずれか2つによって定義される範囲)、例えば1000万~約1000億個の細胞(例えば約2000万個の細胞、約3000万個の細胞、約4000万個の細胞、約6000万個の細胞、約7000万個の細胞、約8000万個の細胞、約9000万個の細胞、約100億個の細胞、約250億個の細胞、約500億個の細胞、約750億個の細胞、約900億個の細胞、もしくは前記値のいずれか2つによって定義される範囲)、およびいくつかの場合には、約1億個の細胞~約500億個の細胞(例えば約1億2000万個の細胞、約2億5000万個の細胞、約3億5000万個の細胞、約4億5000万個の細胞、約6億5000万個の細胞、約8億個の細胞、約9億個の細胞、約30億個の細胞、約300億個の細胞、約450億個の細胞)、またはこれらの範囲の間の任意の値で対象に投与される。
【0213】
いくつかの態様では、全細胞の用量および/または細胞の個々の亜集団の用量は、1×105細胞/kg~約1×1011細胞/kg 104または約1×105細胞/kg~約1×1011細胞/kg 104から、1011または約1011細胞/kg体重であり、例えば、105~106細胞/kg体重の範囲内であり、例えば、1×105細胞/kg、1.5×105細胞/kg、2×105細胞/kgもしくは1×106細胞/kg、または約1×105細胞/kg、約1.5×105細胞/kg、約2×105細胞/kgもしくは約1×106細胞/kgである。例えば、いくつかの態様では、細胞は、104または約104から、109または約109T細胞/キログラム(kg)体重で、例えば105~106T細胞/kg体重で、例えば、1×105T細胞/kg、1.5×105T細胞/kg、2×105T細胞/kgもしくは1×106T細胞/kg体重、または約1×105T細胞/kg、約1.5×105T細胞/kg、約2×105T細胞/kgもしくは約1×106T細胞/kg体重で、あるいはそれらの特定の誤差範囲内で投与される。他の例示的態様では、本開示の方法で使用するための改変された細胞の適切な投与量範囲は、非限定的に、約1×105細胞/kg~約1×106細胞/kg、約1×106細胞/kg~約1×107細胞/kg、約1×107細胞/kg~約1×108細胞/kg、約1×108細胞/kg~約1×109細胞/kg、約1×109細胞/kg~約1×1010細胞/kg、約1×1010細胞/kg~約1×1011細胞/kgを含む。例示的な態様では、本開示の方法で使用するための適切な投与量は、約1×108細胞/kgである。例示的な態様では、本開示の方法で使用するための適切な投与量は、約1×107細胞/kgである。他の態様では、適切な投与量は、約1×107個の全細胞~約5×107個の全細胞である。いくつかの態様では、適切な投与量は、約1×108個の全細胞~約5×108個の全細胞である。いくつかの態様では、適切な投与量は、約1.4×107個の全細胞~約1.1×109個の全細胞である。例示的な態様では、本開示の方法で使用するための適切な投与量は、約7×109個の全細胞である。
【0214】
いくつかの態様では、細胞は、104または約104から、109または約109個のCD4および/またはCD8細胞/キログラム(kg)体重で、例えば105~106個のCD4および/またはCD8細胞/kg体重で、例えば、1×105個のCD4および/もしくはCD8細胞/kg、1.5×105個のCD4および/もしくはCD8細胞/kg、2×105個のCD4および/もしくはCD8細胞/kg、または1×106個のCD4および/もしくはCD8細胞/kg体重、または約1×105個のCD4および/もしくはCD8細胞/kg、約1.5×105個のCD4および/もしくはCD8細胞/kg、約2×105個のCD4および/もしくはCD8細胞/kg体重、または約1×106個のCD4および/もしくはCD8細胞/kg体重で、あるいはそれらの特定の誤差範囲内で、投与される。いくつかの態様では、細胞は、約1×106超、約2.5×106超、約5×106超、約7.5×106超もしくは約9×106超個のCD4細胞、および/または少なくとも約1×106、約2.5×106、約5×106、約7.5×106もしくは約9×106個のCD4細胞、および/または少なくとも約1×106、約2.5×106、約5×106、約7.5×106もしくは約9×106個のCD8+細胞、および/または少なくとも約1×106、約2.5×106、約5×106、約7.5×106もしくは約9×106個のT細胞で、あるいはそれらの特定の誤差範囲内で、投与される。いくつかの態様では、細胞は、約108~1012もしくは約1010~1011個のT細胞、約108~1012もしくは約1010~1011個のCD4細胞、および/または約108~1012もしくは約1010~1011個のCD8細胞で、あるいはそれらの特定の誤差範囲内で、投与される。
【0215】
いくつかの態様では、細胞は、CD4+およびCD8+細胞またはサブタイプなどの複数の細胞集団またはサブタイプの所望の産生比で、またはその許容範囲内で投与される。いくつかの局面では、所望の比は特定の比であり得るかまたは比の範囲であり得、例えば、いくつかの態様では、所望の比(例えば、CD4対CD8細胞の比)は、5:1もしくは約5:1から、5:1もしくは約5:1(または約1:5より大きく約5:1より小さい)、または1:3もしくは約1:3から、3:1もしくは約3:1(または約1:3より大きく約3:1より小さい)であり、例えば2:1もしくは約2:1から、1:5もしくは約1:5(もしくは約1:5より大きく約2:1より小さい)であり、例えば5:1、4.5:1、4:1、3.5:1、3:1、2.5:1、2:1、1.9:1、1.8:1、1.7:1、1.6:1、1.5:1、1.4:1、1.3:1、1.2:1、1.1:1、1:1、1:1.1、1:1.2、1:1.3、1:1.4、1:1.5、1:1.6、1:1.7、1:1.8、1:1.9、1:2、1:2.5、1:3、1:3.5、1:4、1:4.5もしくは1:5、または約5:1、約4.5:1、約4:1、約3.5:1、約3:1、約2.5:1、約2:1、約1.9:1、約1.8:1、約1.7:1、約1.6:1、約1.5:1、約1.4:1、約1.3:1、約1.2:1、約1.1:1、約1:1、約1:1.1、約1:1.2、約1:1.3、約1:1.4、約1:1.5、約1:1.6、約1:1.7、約1:1.8、約1:1.9、約1:2、約1:2.5、約1:3、約1:3.5、約1:4、約1:4.5もしくは約1:5である。いくつかの局面では、許容差は、所望の比の約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%以内であり、これらの範囲の間の任意の値を含む。
【0216】
いくつかの態様では、改変された細胞の用量は、単回用量または複数回用量で、その必要がある対象に投与される。いくつかの態様では、改変された細胞の用量は、複数回用量で、例えば、1週間に1回もしくは7日ごとに、2週間に1回もしくは14日ごとに、3週間に1回もしくは21日ごとに、4週間に1回もしくは28日ごとに投与される。例示的な態様では、改変された細胞の単回用量が、その必要がある対象に投与される。例示的な態様では、改変された細胞の単回用量が、その必要がある対象に急速静脈内注入によって投与される。
【0217】
疾患の予防または治療に関して、適切な投与量は、治療される疾患の種類、細胞または組換え受容体の種類、疾患の重症度および経過、細胞が予防目的または治療目的のいずれで投与されるか、過去の治療、対象の病歴および細胞に対する応答、ならびに主治医の裁量に依存し得る。組成物および細胞は、いくつかの態様では、一度にまたは一連の治療にわたって対象に適切に投与される。
【0218】
いくつかの態様では、細胞は、併用治療の一部として、例えば別の治療的介入、例えば抗体または操作された細胞または受容体または剤、例えば細胞傷害剤もしくは治療薬と同時にまたは任意の順序で連続的に投与される。いくつかの態様における細胞は、1つもしくは複数のさらなる治療薬と共に、または別の治療的介入と組み合わせて、同時にまたは任意の順序で連続的に同時投与される。いくつかの状況では、細胞は、細胞集団が1つもしくは複数のさらなる治療薬の効果を増強するように、またはその逆になるように、時間的に十分に近い別の療法と同時投与される。いくつかの態様では、細胞は、1つまたは複数のさらなる治療薬の前に投与される。いくつかの態様では、細胞は、1つまたは複数のさらなる治療薬の後に投与される。いくつかの態様では、1つまたは複数のさらなる剤は、例えば持続性を高めるために、IL-2などのサイトカインを含む。いくつかの態様では、方法は、化学療法剤の投与を含む。
【0219】
特定の態様では、本発明の改変された細胞(例えば、CARを含む改変された細胞)は、免疫チェックポイント抗体(例えば、抗PD1、抗CTLA-4、または抗PDL1抗体)と組み合わせて対象に投与され得る。例えば、改変された細胞は、例えばPD-1(プログラム死1タンパク質)を標的とする抗体または抗体断片と組み合わせて投与され得る。抗PD-1抗体の例としては、ペムブロリズマブ(KEYTRUDA(登録商標)、以前はラムブロリズマブ、MK-3475としても公知)、およびニボルマブ(BMS-936558、MDX-1106、ONO-4538、OPDIVA(登録商標))またはその抗原結合断片が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。特定の態様では、改変された細胞は、抗PD-L1抗体またはその抗原結合断片と組み合わせて投与され得る。抗PD-L1抗体の例としては、BMS-936559、MPDL3280A(TECENTRIQ(登録商標)、アテゾリズマブ)、およびMEDI4736(デュルバルマブ、Imfinzi)が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。特定の態様では、改変された細胞は、抗CTLA-4抗体またはその抗原結合断片と組み合わせて投与され得る。抗CTLA-4抗体の例としては、イピリムマブ(商品名Yervoy)が挙げられるが、これに限定されるわけではない。小分子、siRNA、miRNA、およびCRISPRシステムを含むがこれらに限定されるわけではない、他のタイプの免疫チェックポイントモジュレータも使用され得る。免疫チェックポイントモジュレータは、CARを含む改変された細胞の前、改変された細胞の後、または改変された細胞と同時に投与され得る。特定の態様では、免疫チェックポイントモジュレータを含む併用治療は、本発明の改変された細胞を含む療法の治療効果を増加させ得る。
【0220】
細胞の投与後、いくつかの態様では操作された細胞集団の生物学的活性が、例えば、いくつかの公知の方法のいずれかによって測定される。評価すべきパラメータには、インビボでは、例えばイメージングによる、またはエクスビボでは、例えばELISAもしくはフローサイトメトリによる、操作されたもしくは天然のT細胞または他の免疫細胞の抗原への特異的結合が含まれる。特定の態様では、操作された細胞が標的細胞を破壊する能力は、例えば、Kochenderfer et al., J.Immunotherapy, 32(7):689-702(2009); Herman et al.J.Immunological Methods, 285(1):25-40(2004); Kiesgen et al., Nat Protoc.(2021)16(3):1331-1342; およびMaldini et al., J Immunol Methods(2020)484-485:112830に記載されている細胞毒性アッセイなどの当技術分野で公知の任意の適切な方法を用いて測定することができる。特定の態様では、細胞の生物学的活性は、CD107a、IFNγ、IL-2、およびTNFなどの1つまたは複数のサイトカインの発現および/または分泌をアッセイすることによって測定される。いくつかの局面では、生物学的活性は、腫瘍量または腫瘍負荷の減少などの臨床転帰を評価することによって測定される。
【0221】
特定の態様では、対象に二次治療が提供される。二次治療は、化学療法、放射線、手術、および薬物療法を含むが、これらに限定されるわけではない。
【0222】
いくつかの態様では、対象は、CAR T細胞療法の前にコンディショニング療法を施され得る。いくつかの態様では、コンディショニング療法は、有効量のシクロホスファミドを対象に投与する工程を含む。いくつかの態様では、コンディショニング療法は、有効量のフルダラビンを対象に投与する工程を含む。好ましい態様では、コンディショニング療法は、有効量のシクロホスファミドとフルダラビンとの組合せを対象に投与する工程を含む。CAR T細胞療法の前のコンディショニング療法の投与は、CAR T細胞療法の有効性を高め得る。T細胞療法のために患者をコンディショニングする方法は、その全体が参照により本明細書に組み入れられる、米国特許第9,855,298号に記載されている。
【0223】
いくつかの態様では、本開示の特定の投薬レジメンは、改変T細胞の投与の前にリンパ球枯渇工程を含む。例示的な態様では、リンパ球枯渇工程は、シクロホスファミドおよび/またはフルダラビンの投与を含む。
【0224】
いくつかの態様では、リンパ球枯渇工程は、約200mg/m2/日~約2000mg/m2/日(例えば、200mg/m2/日、300mg/m2/日、または500mg/m2/日)の用量でのシクロホスファミドの投与を含む。例示的態様では、シクロホスファミドの用量は約300mg/m2/日である。いくつかの態様では、リンパ球枯渇工程は、約20mg/m2/日~約900mg/m2/日(例えば、20mg/m2/日、25mg/m2/日、30mg/m2/日、または60mg/m2/日)の用量でのフルダラビンの投与を含む。例示的な態様では、フルダラビンの用量は約30mg/m2/日である。
【0225】
いくつかの態様では、リンパ球枯渇工程は、約200mg/m2/日~約2000mg/m2/日(例えば、200mg/m2/日、300mg/m2/日、または500mg/m2/日)の用量のシクロホスファミド、および約20mg/m2/日~約900mg/m2/日(例えば、20mg/m2/日、25mg/m2/日、30mg/m2/日、または60mg/m2/日)の用量のフルダラビンの投与を含む。例示的な態様では、リンパ球枯渇工程は、約300mg/m2/日の用量のシクロホスファミドおよび約30mg/m2/日の用量のフルダラビンの投与を含む。
【0226】
例示的な態様では、シクロホスファミドの投与量は、3日間にわたって300mg/m2/日であり、フルダラビンの投与量は、3日間にわたって30mg/m2/日である。
【0227】
リンパ球枯渇化学療法の投与は、0日目のT細胞(例えば、CAR-T、TCR-T、改変T細胞など)の注入に対して、-6日目から-4日目(-1日ウィンドウ、すなわち-7日目から-5日目に投与)にスケジュールされ得る。
【0228】
例示的な態様では、がんを有する対象について、対象は、改変T細胞の投与の3日前に、静脈内注入による300mg/m2のシクロホスファミドを含むリンパ球枯渇化学療法を受ける。例示的な態様では、がんを有する対象について、対象は、改変T細胞の投与前に3日間、静脈内注入による300mg/m2のシクロホスファミドを含むリンパ球枯渇化学療法を受ける。
【0229】
例示的な態様では、がんを有する対象について、対象は、約20mg/m2/日~約900mg/m2/日(例えば、20mg/m2/日、25mg/m2/日、30mg/m2/日、または60mg/m2/日)の用量のフルダラビンを含むリンパ球枯渇化学療法を受ける。例示的な態様では、がんを有する対象について、対象は、30mg/m2の用量のフルダラビンを含むリンパ球枯渇化学療法を3日間受ける。
【0230】
例示的な態様では、がんを有する対象について、対象は、約200mg/m2/日~約2000mg/m2/日(例えば、200mg/m2/日、300mg/m2/日、または500mg/m2/日)の用量のシクロホスファミド、および約20mg/m2/日~約900mg/m2/日(例えば、20mg/m2/日、25mg/m2/日、30mg/m2/日、または60mg/m2/日)の用量のフルダラビンを含むリンパ球枯渇化学療法を受ける。例示的な態様では、がんを有する対象について、対象は、約300mg/m2/日の用量のシクロホスファミドおよび30mg/m2の用量のフルダラビンを含むリンパ球枯渇化学療法を3日間受ける。
【0231】
本発明の細胞は、適切な前臨床および臨床実験および治験で決定される投与量および経路および時点で投与され得る。細胞組成物は、これらの範囲内の投与量で複数回投与され得る。本発明の細胞の投与は、当業者によって決定される所望の疾患または状態を治療するのに有用な他の方法と組み合わせてもよい。
【0232】
CAR T細胞の注入後の有害作用の1つが、サイトカイン放出症候群(CRS)として知られる免疫活性化の発症であることは、当技術分野で公知である。CRSは、炎症性サイトカインの上昇をもたらす免疫活性化である。CRSは公知のオンターゲット毒性であり、その発現は有効性と相関する可能性が高い。臨床的および実験的尺度は、軽度CRS(全身症状および/またはグレード2の臓器毒性)から重度CRS(sCRS; グレード≧3の臓器毒性、積極的な臨床介入、および/または潜在的に生命を脅かす)に及ぶ。臨床的特徴には、高熱、倦怠感、疲労、筋痛、悪心、食欲不振、頻脈/低血圧、毛細血管漏出、心機能障害、腎障害、肝不全、および播種性血管内凝固が含まれる。インターフェロン-ガンマ、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、IL-10およびIL-6を含むサイトカインの劇的な増加が、CAR T細胞注入後に示されている。1つのCRSシグネチャは、IL-6(重度の上昇)、IFN-ガンマ、TNF-アルファ(中等度)、およびIL-2(軽度)を含むサイトカインの上昇である。フェリチンおよびC反応性タンパク質(CRP)を含む臨床的に利用可能な炎症マーカーの上昇もまた、CRS症候群と相関することが観察されている。CRSの存在は、一般に、養子移入された細胞の拡大および進行性免疫活性化と相関する。高い腫瘍負荷量を有する患者はより多くのsCRSを経験するので、CRS重症度の程度は注入の時点の疾患負荷によって決定されることが実証されている。
【0233】
したがって、本発明は、CRSの診断後、操作された細胞(例えば、CAR T細胞)の抗腫瘍効果を弱めることなく、制御されない炎症の生理学的症状を緩和するための、適切なCRS管理戦略を提供する。CRS管理戦略は当技術分野で公知である。例えば、全身コルチコステロイドを投与して、初期抗腫瘍応答を損なうことなくsCRS(例えば、グレード3のCRS)の症状を迅速に回復させ得る。
【0234】
いくつかの態様では、抗IL-6R抗体が投与され得る。抗IL-6R抗体の一例は、アトリズマブ(Actemra、またはRoActemraとして市販されている)としても公知の、食品医薬品局に承認されたモノクローナル抗体トシリズマブである。トシリズマブは、インターロイキン-6受容体(IL-6R)に対するヒト化モノクローナル抗体である。トシリズマブの投与は、CRSのほぼ即時の逆転を実証した。
【0235】
CRSは、一般に、観察された症候群の重症度に基づいて管理され、介入はそれに応じて調整される。CRS管理の決定は、臨床検査値のみに基づくのではなく、臨床徴候および症状ならびに介入に対する応答に基づき得る。
【0236】
軽度から中等度の症例は一般に、十分な症状緩和のための必要に応じて、輸液療法、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)および抗ヒスタミン薬による症状管理で治療される。より重篤な症例には、任意の程度の血行動態不安定性を有する患者が含まれ、血行動態不安定がある場合、トシリズマブの投与が推奨される。CRSの第一選択管理は、いくつかの態様では、60分間にわたる8mg/kg IVの表示用量(800mg/用量を超えない)でのトシリズマブであり得る; トシリズマブはQ8時間ごとに繰り返すことができる。トシリズマブの最初の用量に対する最適以下の応答の場合、トシリズマブのさらなる用量が考慮され得る。トシリズマブは、単独で、またはコルチコステロイド療法と組み合わせて投与することができる。継続的または進行性のCRS症状、12~18時間での不十分な臨床的改善、またはトシリズマブに対する不十分な応答を有する患者は、高用量コルチコステロイド療法、一般にヒドロコルチゾン100mg IVまたはメチルプレドニゾロン1~2mg/kgで治療され得る。より重度の血行動態不安定またはより重度の呼吸器症状を有する患者では、患者はCRSの経過の初期に高用量のコルチコステロイド療法を施され得る。CRS管理ガイダンスは、公開された規格(Lee et al.(2019)Biol Blood Marrow Transplant, doi.org/10.1016/j.bbmt.2018.12.758; Neelapu et al.(2018)Nat Rev Clin Oncology, 15:47; Teachey et al.(2016)Cancer Discov, 6(6):664-679)に基づき得る。
【0237】
マクロファージ活性化症候群(MAS)または血球貪食性リンパ組織球症(HLH)と合致する特徴が、CRSの臨床症状と一致して、CAR-T療法で治療された患者において観察されている(Henter, 2007)。MASは、CRSから生じる免疫活性化に対する反応であるようであり、したがって、CRSの症状発現と見なされるべきである。MASはHLHに類似する(同じく免疫刺激に対する反応である)。MASの臨床症候群は、高悪性度の非寛解熱、3つの系統のうち少なくとも2つに影響を及ぼす血球減少症、および肝脾腫を特徴とする。これは、高い血清フェリチン、可溶性インターロイキン2受容体およびトリグリセリド、ならびに循環ナチュラルキラー(NK)活性の低下に関連する。
【0238】
一局面では、本発明は、その必要がある対象においてがんを治療する方法であって、本明細書に開示される改変免疫細胞または前駆細胞のいずれか1つを対象に投与する工程を含む、方法を含む。本発明のさらに別の局面は、その必要がある対象においてがんを治療する方法であって、本明細書に開示される方法のいずれか1つによって作製される改変免疫細胞または前駆細胞を対象に投与する工程を含む、方法を含む。
【0239】
F. 免疫細胞の供給源
特定の態様では、免疫細胞(例えばT細胞)の供給源は、エクスビボ操作および/またはインビボ形質導入のために対象から得られる。エクスビボ操作のための標的細胞の供給源はまた、例えば、自己由来または異種ドナーの血液、臍帯血または骨髄を含み得る。例えば、免疫細胞の供給源は、本発明の改変免疫細胞で治療される対象、例えば、対象の血液、対象の臍帯血または対象の骨髄に由来し得る。対象の非限定的な例としては、ヒト、イヌ、ネコ、マウス、ラット、およびそれらのトランスジェニック種が挙げられる。好ましくは、対象はヒトである。CAR発現のための免疫細胞のインビボ形質導入のための方法は、例えば、Pfeiffer et al., EMBO Mol Med.(2018)10(11):e9158; Weidner et al., Nat Protoc.(2021)16(7):3210-3240; Frank et al., Blood Advances(2020)4(22):5702-5715; Nawaz et al., Blood Cancer J.(2021)11(6):119に記載されている。
【0240】
免疫細胞は、血液、末梢血単核細胞、骨髄、リンパ節組織、脾臓組織、臍帯、リンパ、またはリンパ器官を含む多くの供給源から得ることができる。免疫細胞は、自然免疫または適応免疫の細胞などの免疫系の細胞、例えば、骨髄細胞またはリンパ球を含むリンパ系細胞、典型的にはT細胞および/またはNK細胞である。他の例示的な細胞としては、人工多能性幹細胞(iPSC)を含む万能性および多能性幹細胞などの幹細胞が挙げられる。いくつかの局面では、細胞はヒト細胞である。治療される対象に関して、細胞は同種異系および/または自己由来であり得る。細胞は、典型的には、対象から直接単離されたもの、および/または対象から単離されて凍結されたものなどの初代細胞である。
【0241】
特定の態様では、免疫細胞は、T細胞、例えばCD8+T細胞(例えば、CD8+ナイーブT細胞、セントラルメモリT細胞もしくはエフェクターメモリT細胞)、CD4+T細胞、ナチュラルキラーT細胞(NKT細胞)、制御性T細胞(Treg)、幹細胞メモリT細胞、リンパ球前駆細胞、造血幹細胞、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)、マクロファージ、または樹状細胞である。いくつかの態様では、細胞は、単球または顆粒球、例えば、骨髄細胞、マクロファージ、好中球、樹状細胞、肥満細胞、好酸球、および/または好塩基球である。一態様では、標的細胞は、人工多能性幹(iPS)細胞またはiPS細胞に由来する細胞、例えば、対象から作製され、1つまたは複数の標的遺伝子の発現を改変する(例えば、変異を誘導する)または操作するように操作され、例えばT細胞、例えばCD8+T細胞(例えば、CD8+ナイーブT細胞、セントラルメモリT細胞もしくはエフェクターメモリT細胞)、CD4+T細胞、幹細胞メモリT細胞、リンパ球前駆細胞、または造血幹細胞に分化したiPS細胞である。
【0242】
いくつかの態様では、細胞は、T細胞または他の細胞型の1つまたは複数のサブセット、例えば全T細胞集団、CD4+細胞、CD8+細胞、およびそれらの亜集団、例えば機能、活性化状態、成熟度、分化能、拡大、再循環、局在化、および/または持続能力、抗原特異性、抗原受容体の種類、特定の器官もしくは区画における存在、マーカーもしくはサイトカイン分泌プロファイル、および/または分化の程度によって定義されるものを含む。T細胞ならびに/またはCD4+および/もしくはCD8+T細胞のサブタイプおよび亜集団の中には、ナイーブT(TN)細胞、エフェクターT細胞(TEFF)、メモリT細胞およびそのサブタイプ、例えば幹細胞メモリT(TSCM)細胞、セントラルメモリT(TCM)細胞、エフェクターメモリT(TEM)細胞、または最終分化エフェクターメモリT細胞、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、未成熟T細胞、成熟T細胞、ヘルパーT細胞、細胞傷害性T細胞、粘膜関連インバリアントT(MAIT)細胞、内在性および適応制御性T(Treg)細胞、ヘルパーT細胞、例えばTH1細胞、TH2細胞、TH3細胞、TH17細胞、TH9細胞、TH22細胞、濾胞性ヘルパーT細胞、アルファ/ベータT細胞、ならびにデルタ/ガンマT細胞がある。特定の態様では、当技術分野で利用可能な任意の数のT細胞株を使用し得る。
【0243】
いくつかの態様では、方法は、免疫細胞を対象から単離する工程、それらを調製する工程、処理する工程、培養する工程、および/または操作する工程を含む。いくつかの態様では、操作された細胞の調製は、1つまたは複数の培養および/または調製工程を含む。記載されるような操作のための細胞は、試料、例えば生物学的試料、例えば対象から得られるまたは対象に由来する試料から単離され得る。いくつかの態様では、細胞が単離される対象は、疾患もしくは状態を有するか、または細胞療法を必要とするか、または細胞療法が投与される対象である。いくつかの態様における対象は、特定の治療的介入、例えばそのために細胞が単離され、処理され、および/または操作される養子細胞療法などを必要とする、ヒトである。したがって、いくつかの態様における細胞は初代細胞、例えば初代ヒト細胞である。試料は、組織、体液、および対象から直接採取された他の試料、ならびに分離、遠心分離、遺伝子操作(例えばウイルスベクターによる形質導入)、洗浄、および/またはインキュベーションなどの1つまたは複数の処理工程から生じる試料を含む。生物学的試料は、生物源から直接得られた試料または処理された試料であり得る。生物学的試料には、血液、血漿、血清、脳脊髄液、滑液、尿および汗などの体液、組織および器官試料に由来する処理された試料を含む組織および器官試料が含まれるが、これらに限定されるわけではない。
【0244】
いくつかの局面では、細胞が由来するまたは単離される試料は、血液もしくは血液由来の試料であるか、またはアフェレーシスもしくは白血球アフェレーシスの産物であるかもしくはそれに由来する。例示的な試料としては、全血、末梢血単核細胞(PBMC)、白血球、骨髄、胸腺、組織生検、腫瘍、白血病、リンパ腫、リンパ節、腸管関連リンパ組織、粘膜関連リンパ組織、脾臓、他のリンパ組織、肝臓、肺、胃、腸、結腸、腎臓、膵臓、乳房、骨、前立腺、子宮頸部、精巣、卵巣、扁桃腺、もしくは他の器官、および/またはそれらに由来する細胞が挙げられる。試料は、細胞療法、例えば養子細胞療法の状況において、自己由来および同種異系供給源由来の試料を含む。
【0245】
いくつかの態様では、細胞は細胞株、例えばT細胞株に由来する。いくつかの態様における細胞は、異種供給源から、例えばマウス、ラット、非ヒト霊長動物およびブタから得られる。いくつかの態様では、細胞の単離は、1つまたは複数の調製および/または非親和性ベースの細胞分離工程を含む。いくつかの例では、細胞は、例えば望ましくない成分を除去する、所望の成分を濃縮する、特定の試薬に感受性の細胞を溶解または除去するために、洗浄され、遠心分離され、および/または1つもしくは複数の試薬の存在下でインキュベートされる。いくつかの例では、細胞は、密度、接着特性、サイズ、感受性および/または特定の成分に対する耐性などの1つまたは複数の特性に基づいて分離される。
【0246】
いくつかの例では、対象の循環血液由来の細胞は、例えばアフェレーシスまたは白血球アフェレーシスによって得られる。試料は、いくつかの局面では、T細胞を含むリンパ球、単球、顆粒球、B細胞、他の有核白血球、赤血球、および/または血小板を含み、いくつかの局面では、赤血球および血小板以外の細胞を含む。いくつかの態様では、対象から収集された血液細胞は、例えば、血漿画分を除去し、その後の処理工程のために細胞を適切な緩衝液または培地に入れるために洗浄される。いくつかの態様では、細胞はリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で洗浄される。いくつかの局面では、洗浄工程は、製造業者の指示に従って接線流濾過(TFF)によって達成される。いくつかの態様では、細胞は、洗浄後に様々な生体適合性緩衝液に再懸濁される。特定の態様では、血液細胞試料の成分は除去され、細胞は直接培養培地に再懸濁される。いくつかの態様では、方法は、赤血球を溶解することによる末梢血からの白血球の調製およびPercollまたはFicoll勾配による遠心分離などの密度に基づく細胞分離方法を含む。
【0247】
一態様では、個体の循環血液から得られる免疫細胞は、アフェレーシスまたは白血球アフェレーシスによって得られる。アフェレーシス産物は、典型的には、T細胞を含むリンパ球、単球、顆粒球、B細胞、他の有核白血球、赤血球、および血小板を含む。アフェレーシスによって収集された細胞は、血漿画分を除去し、細胞を適切な緩衝液または培地、例えばリン酸緩衝生理食塩水(PBS)に入れるために洗浄されてもよく、またはその後の処理工程のために、洗浄溶液はカルシウムを欠き、マグネシウムを欠くかもしくは全てではないにせよ多くの二価カチオンを欠いてもよい。洗浄後、細胞は、例えばCa不含、Mg不含PBSなどの様々な生体適合性緩衝液に再懸濁され得る。あるいは、アフェレーシス試料の望ましくない成分を除去し、細胞を培養培地に直接再懸濁してもよい。
【0248】
いくつかの態様では、単離方法は、表面マーカー、例えば表面タンパク質、細胞内マーカー、または核酸などの1つまたは複数の特定の分子の細胞における発現または存在に基づく異なる細胞型の分離を含む。いくつかの態様では、そのようなマーカーに基づく分離のための任意の公知の方法を使用し得る。いくつかの態様では、分離は、親和性または免疫親和性に基づく分離である。例えば、いくつかの局面における単離は、例えば、1つまたは複数のマーカー、典型的には細胞表面マーカーに特異的に結合する抗体または結合パートナーとのインキュベーションによる、そのようなマーカーの細胞での発現または発現レベルに基づく細胞および細胞集団の分離、続いて一般に、洗浄工程および抗体または結合パートナーに結合した細胞の、抗体または結合パートナーに結合しなかった細胞からの分離を含む。
【0249】
そのような分離工程は、試薬に結合した細胞がさらなる使用のために保持される陽性選択、および/または抗体もしくは結合パートナーに結合しなかった細胞が保持される陰性選択に基づき得る。いくつかの例では、両方の画分がさらなる使用のために保持される。いくつかの局面では、陰性選択は、不均一な集団において細胞型を特異的に同定する抗体が利用可能でない場合に特に有用であり得、そのため分離は、所望の集団以外の細胞によって発現されるマーカーに基づいて最良に行われる。分離は、特定の細胞集団または特定のマーカーを発現する細胞の100%の濃縮または除去をもたらす必要はない。例えば、マーカーを発現する細胞などの特定の種類の細胞の陽性選択または濃縮は、そのような細胞の数または割合を増加させることを指すが、マーカーを発現しない細胞の完全な非存在をもたらす必要はない。同様に、マーカーを発現する細胞などの特定の種類の細胞の陰性選択、除去、または枯渇は、そのような細胞の数または割合を減少させることを指すが、全てのそのような細胞の完全な除去をもたらす必要はない。
【0250】
いくつかの例では、1回の工程から陽性または陰性選択された画分が、その後の陽性または陰性選択などの別の分離工程に供される、複数回の分離工程が実施される。いくつかの例では、それぞれが陰性選択の標的となるマーカーに特異的な複数の抗体または結合パートナーと共に細胞をインキュベートすることなどによって、複数のマーカーを同時に発現する細胞を単一の分離工程で枯渇させることができる。同様に、様々な細胞型上に発現された複数の抗体または結合パートナーと共に細胞をインキュベートすることによって、複数の細胞型を同時に陽性選択することができる。
【0251】
いくつかの態様では、T細胞集団の1つまたは複数は、表面マーカーなどの1つもしくは複数の特定のマーカーについて陽性であるか(マーカー+)もしくは高レベルを発現する(マーカーhlgh)細胞、または1つもしくは複数のマーカーについて陰性であるか(マーカー-)もしくは比較的低レベルを発現する(マーカーlow)細胞が、濃縮されているかまたは枯渇している。例えば、いくつかの局面では、T細胞の特定の亜集団、例えば1つまたは複数の表面マーカーに陽性またはその高レベルを発現する細胞、例えばCD28+、CD62L+、CCR7+、CD27+、CD127+、CD4+、CD8+、CD45RA+、および/またはCD45RO+T細胞は、陽性または陰性選択技術によって単離される。いくつかの場合、そのようなマーカーは、T細胞の特定の集団(非メモリ細胞など)には存在しないかまたは比較的低レベルで発現されるが、T細胞の特定の他の集団(メモリ細胞など)には存在するかまたは比較的高レベルで発現されるマーカーである。一態様では、細胞(CD8+細胞またはT細胞など、例えば、CD3+細胞)は、CD45RO、CCR7、CD28、CD27、CD44、CD127および/もしくはCD62Lに陽性であるかもしくはそれらの高い表面レベルを発現している細胞が濃縮されており(すなわち、陽性選択される)、ならびに/またはCD45RAに陽性であるかもしくはCD45RAの高い表面レベルを発現する細胞が枯渇している(例えば、陰性選択される)。いくつかの態様では、細胞は、CD122、CD95、CD25、CD27、および/またはIL7-Ra(CD127)に陽性またはそれらの高い表面レベルを発現する細胞が濃縮されているかまたは枯渇している。いくつかの例では、CD8+T細胞は、CD45ROに陽性(またはCD45RAに陰性)かつCD62Lに陽性の細胞が濃縮されている。例えば、CD3+、CD28+T細胞は、CD3/CD28結合磁気ビーズ(例えば、DYNABEADS(登録商標)M-450 CD3/CD28 T Cell Expander)を使用して陽性選択することができる。
【0252】
いくつかの態様では、T細胞は、B細胞、単球、または他の白血球などの非T細胞上に発現されるマーカー、例えばCD14の陰性選択によってPBMC試料から分離される。いくつかの局面では、CD4+またはCD8+選択工程を使用して、CD4+ヘルパーT細胞およびCD8+細胞傷害性T細胞を分離する。そのようなCD4+およびCD8+集団は、1つまたは複数のナイーブT細胞、メモリT細胞、および/またはエフェクターT細胞亜集団上に発現されるかまたは比較的高い程度に発現されるマーカーについての陽性選択または陰性選択によって、亜集団にさらに分類することができる。いくつかの態様では、CD8+細胞は、それぞれの亜集団に関連する表面抗原に基づく陽性選択または陰性選択などによって、ナイーブ、セントラルメモリ、エフェクターメモリ、および/またはセントラルメモリ幹細胞がさらに濃縮または枯渇される。いくつかの態様では、セントラルメモリT(TCM)細胞の濃縮は、有効性を高めるため、例えば長期生存、拡大、および/または投与後の生着を改善するために行われ、これは、いくつかの局面では、そのような亜集団において特に堅固である。いくつかの態様では、TCMが濃縮されたCD8+T細胞とCD4+T細胞とを組み合わせることは、有効性をさらに増強する。
【0253】
いくつかの態様では、メモリT細胞は、CD8+末梢血リンパ球のCD62L+およびCD62L-サブセットの両方に存在する。PBMCは、抗CD8抗体および抗CD62L抗体などを使用して、CD62L-CD8+および/またはCD62L+CD8+画分を濃縮または枯渇させることができる。いくつかの態様では、CD4+T細胞集団およびCD8+T細胞亜集団、例えばセントラルメモリ(TCM)細胞が濃縮された亜集団。いくつかの態様では、セントラルメモリT(TCM)細胞の濃縮は、CD45RO、CD62L、CCR7、CD28、CD3、および/またはCD127の陽性または高い表面発現に基づく: いくつかの局面では、これは、CD45RAおよび/またはグランザイムBを発現するかまたは高発現する細胞の陰性選択に基づく。いくつかの局面では、TCM細胞が濃縮されたCD8+集団の単離は、CD4、CD14、CD45RAを発現する細胞の枯渇、およびCD62Lを発現する細胞の陽性選択または濃縮によって行われる。一局面では、セントラルメモリT(TCM)細胞の濃縮は、CD4発現に基づいて選択された細胞の陰性画分から出発し、これをCD14およびCD45RAの発現に基づく陰性選択、ならびにCD62Lに基づく陽性選択に供して行われる。いくつかの局面ではそのような選択は同時に行われ、他の局面ではいずれかの順序で連続的に行われる。いくつかの局面では、CD8+細胞集団または亜集団を調製するのに使用されるのと同じCD4発現に基づく選択工程は、CD4+細胞集団または亜集団を生成するためにも使用され、その結果、CD4に基づく分離からの陽性および陰性画分の両方が保持され、任意で1つまたは複数のさらなる陽性または陰性選択工程後に、方法のその後の工程で使用される。
【0254】
CD4+Tヘルパー細胞は、細胞表面抗原を有する細胞集団を同定することによって、ナイーブ細胞、セントラルメモリ細胞、およびエフェクター細胞に選別される。CD4+リンパ球は、標準的な方法によって得ることができる。いくつかの態様では、ナイーブCD4+Tリンパ球は、CD45RO-、CD45RA+、CD62L+、CD4+T細胞である。いくつかの態様では、セントラルメモリCD4+細胞は、CD62L+およびCD45RO+である。いくつかの態様では、エフェクターCD4+細胞はCD62L-およびCD45ROである。一例では、陰性選択によってCD4+細胞を濃縮するために、モノクローナル抗体カクテルは、典型的には、CD14、CD20、CDllb、CD16、HLA-DRおよびCD8に対する抗体を含む。いくつかの態様では、抗体または結合パートナーは、陽性および/または陰性選択のための細胞の分離を可能にするために、磁気ビーズまたは常磁性ビーズなどの固体支持体またはマトリックスに結合される。
【0255】
いくつかの態様では、細胞は、遺伝子操作の前にまたは遺伝子操作と組み合わせてインキュベートおよび/または培養される。インキュベーション工程は、培養、刺激、活性化、および/または増殖を含み得る。いくつかの態様では、組成物または細胞は、刺激条件または刺激剤の存在下でインキュベートされる。そのような条件には、集団中の細胞の増殖、拡大、活性化および/もしくは生存を誘導するように、抗原曝露を模倣するように、ならびに/または組換え抗原受容体の導入などの遺伝子操作のために細胞をプライミングするように設計されたものが含まれる。条件は、特定の培地、温度、酸素含有量、二酸化炭素含有量、時間、作用物質、例えば、栄養素、アミノ酸、抗生物質、イオンおよび/または刺激因子、例えばサイトカイン、ケモカイン、抗原、結合パートナー、融合タンパク質、組換え可溶性受容体、および細胞を活性化するように設計された任意の他の作用物質の1つまたは複数を含み得る。いくつかの態様では、刺激条件または刺激剤は、TCR複合体の細胞内シグナル伝達ドメインを活性化することができる1つまたは複数の作用物質、例えばリガンドを含む。いくつかの局面では、作用物質は、T細胞におけるTCR/CD3細胞内シグナル伝達カスケードを作動させるかまたは開始させる。そのような作用物質には、例えばビーズなどの固体支持体に結合した、TCR成分および/もしくは共刺激受容体に特異的なものなどの抗体、例えば抗CD3、抗CD28、ならびに/または1つもしくは複数のサイトカインが含まれ得る。任意で、拡大方法は、抗CD3および/または抗CD28抗体を培地に添加する(例えば、少なくとも約0.5ng/mlの濃度で)工程をさらに含み得る。いくつかの態様では、刺激剤は、IL-2および/またはIL-15、例えば少なくとも約10単位/mLのIL-2濃度を含む。
【0256】
別の態様では、T細胞は、例えばPERCOLL(商標)勾配による遠心分離によって、赤血球を溶解し、単球を枯渇させることによって末梢血から単離される。あるいは、T細胞は臍帯から単離することができる。いずれにせよ、T細胞の特定の亜集団は、陽性または陰性選択技術によってさらに単離することができる。
【0257】
そのように単離された臍帯血単核細胞は、CD34、CD8、CD14、CD19およびCD56を含むがこれらに限定されるわけではない、特定の抗原を発現する細胞を枯渇させることができる。これらの細胞の枯渇は、単離された抗体、腹水などの抗体を含有する生物学的試料、物理的支持体に結合した抗体、および細胞に結合した抗体を使用して達成することができる。
【0258】
陰性選択によるT細胞集団の濃縮は、陰性選択された細胞に固有の表面マーカーに対する抗体の組合せを使用して達成することができる。好ましい方法は、陰性選択された細胞上に存在する細胞表面マーカーに対するモノクローナル抗体のカクテルを使用する、陰性磁気免疫接着またはフローサイトメトリによる細胞選別および/または選択である。例えば、陰性選択によってCD4細胞を濃縮するために、モノクローナル抗体カクテルは、典型的には、CD14、CD20、CD11b、CD16、HLA-DR、およびCD8に対する抗体を含む。
【0259】
陽性または陰性選択による細胞の所望の集団の単離のために、細胞および表面(例えば、ビーズなどの粒子)の濃度を変化させることができる。特定の態様では、細胞とビーズの最大接触を確実にするために、ビーズと細胞が一緒に混合される体積を有意に減少させる(すなわち、細胞の濃度を増加させる)ことが望ましい場合がある。例えば、一態様では、20億個の細胞/mlの濃度が使用される。一態様では、10億個の細胞/mlの濃度が使用される。さらなる態様では、1億個の細胞/ml超が使用される。さらなる態様では、1000万、1500万、2000万、2500万、3000万、3500万、4000万、4500万または5000万個の細胞/mlの細胞濃度が使用される。さらに別の態様では、7500万、8000万、8500万、9000万、9500万または1億個の細胞/mlの細胞濃度が使用される。さらなる態様では、1億2500万または1億5000万個の細胞/mlの濃度が使用され得る。高濃度の使用は、細胞収量の増加、細胞活性化、および細胞拡大をもたらすことができる。
【0260】
洗浄工程後にT細胞を凍結することもでき、これは単球除去工程を必要としない。理論に拘束されることを望むものではないが、凍結およびその後の解凍工程は、細胞集団中の顆粒球およびある程度単球を除去することによってより均一な生成物を提供する。血漿および血小板を除去する洗浄工程の後、細胞を凍結溶液に懸濁し得る。多くの凍結溶液およびパラメータが当技術分野で公知であり、これに関連して有用であるが、非限定的な例では、1つの方法は、20%DMSOおよび8%ヒト血清アルブミンを含有するPBS、または他の適切な細胞凍結培地を使用することを含む。次いで、細胞を毎分1℃の速度で-80℃に凍結し、液体窒素貯蔵タンクの気相中で保存する。制御された凍結の他の方法、ならびに-20℃または液体窒素中での即時の制御されない凍結を使用してもよい。
【0261】
一態様では、T細胞の集団は、末梢血単核細胞、臍帯血細胞、T細胞の精製集団、およびT細胞株などの細胞内に含まれる。別の態様では、末梢血単核細胞はT細胞の集団を含む。さらに別の態様では、精製T細胞はT細胞の集団を含む。
【0262】
特定の態様では、制御性T細胞(Treg)を試料から単離することができる。試料には、臍帯血または末梢血が含まれ得るが、これらに限定されるわけではない。特定の態様では、Tregはフローサイトメトリ選別によって単離される。試料は、当技術分野で公知の任意の手段によって、単離の前にTregについて濃縮することができる。単離されたTregは、凍結保存する、および/または使用前に拡大させることができる。Tregを単離するための方法は、米国特許第7,754,482号、同第8,722,400号および同第9,555,105号、ならびに米国特許出願第13/639,927号に記載されており、その内容はその全体が本明細書に組み入れられる。
【0263】
G. 免疫細胞の拡大
本発明のCARを発現するための細胞の改変の前か後かにかかわらず、細胞は、例えば、米国特許第6,352,694号; 同第6,534,055号; 同第6,905,680号; 同第6,692,964号; 同第5,858,358号; 同第6,887,466号; 同第6,905,681号; 同第7,144,575号; 同第7,067,318号; 同第7,172,869号; 同第7,232,566号; 同第7,175,843号; 同第5,883,223号; 同第6,905,874号; 同第6,797,514号; 同第6,867,041号; および米国特許出願公開第20060121005号に記載されているような方法を使用して活性化し、数を拡大することができる。例えば、本発明のT細胞は、CD3/TCR複合体関連シグナルを刺激する剤およびT細胞の表面上の共刺激分子を刺激するリガンドが付着した表面との接触によって拡大され得る。特に、T細胞集団は、抗CD3抗体もしくはその抗原結合断片、もしくは表面に固定化された抗CD2抗体との接触によって、またはカルシウムイオノフォアと組み合わせたプロテインキナーゼCアクチベータ(例えば、ブリオスタチン)との接触によって刺激され得る。T細胞の表面上のアクセサリ分子の共刺激のために、アクセサリ分子に結合するリガンドが使用される。例えば、T細胞を、T細胞の増殖を刺激するのに適切な条件下で、抗CD3抗体および抗CD28抗体と接触させることができる。抗CD28抗体の例としては、9.3、B-T3、XR-CD28(Diaclone, Besancon, France)が挙げられ、これらは、当技術分野で公知の他の方法および試薬(例えば、ten Berge et al., Transplant Proc.(1998)30(8):3975-3977; Haanen et al., J.Exp.Med.(1999)190(9):1319-1328; およびGarland et al., J.Immunol.Methods(1999)227(1-2):53-63を参照)と同様に、本発明で使用することができる。
【0264】
本明細書に開示される方法による拡大中のT細胞は、約10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍、200倍、300倍、400倍、500倍、600倍、700倍、800倍、900倍、1000倍、2000倍、3000倍、4000倍、5000倍、6000倍、7000倍、8000倍、9000倍、10,000倍、100,000倍、1,000,000倍、10,000,000倍、またはそれ以上、およびそれらの間のありとあらゆる全整数または部分整数に増加させることができる。一態様では、T細胞は、約20倍~約50倍の範囲で拡大する。
【0265】
培養後、T細胞を、細胞を別の培養装置に送る前の最適な継代のために、一定期間、または細胞がコンフルエントもしくは高細胞密度に達するまで、培養装置内の細胞培地中でインキュベートすることができる。培養装置は、インビトロで細胞を培養するために一般的に使用される任意の培養装置であり得る。好ましくは、細胞を別の培養装置に送る前に、コンフルエンスのレベルは70%またはそれ以上である。より好ましくは、コンフルエンスのレベルは90%またはそれ以上である。期間は、インビトロでの細胞の培養に適した任意の時間であり得る。T細胞培地は、T細胞の培養中にいつでも交換され得る。好ましくは、T細胞培地は、約2~3日ごとに交換される。次いで、T細胞を培養装置から回収し、その後T細胞を直ちに使用するかまたは後で使用するために凍結保存して貯蔵することができる。一態様では、本発明は、拡大させたT細胞を凍結保存する工程を含む。凍結保存されたT細胞は、T細胞に核酸を導入する前に解凍される。
【0266】
別の態様では、本方法は、T細胞を単離する工程およびT細胞を拡大させる工程を含む。別の態様では、本発明は、拡大の前にT細胞を凍結保存する工程をさらに含む。さらに別の態様では、凍結保存されたT細胞は、キメラ膜タンパク質をコードするRNAによるエレクトロポレーションのために解凍される。
【0267】
エクスビボ拡大細胞のための別の手法は、米国特許第5,199,942号(参照により本明細書に組み入れられる)に記載されている。米国特許第5,199,942号に記載されているような拡大は、本明細書に記載の他の拡大方法の代替または追加であり得る。簡単に述べると、T細胞のエクスビボ培養および拡大は、米国特許第5,199,942号に記載されているような細胞増殖因子、またはflt3-L、IL-1、IL-3およびc-kitリガンドなどの他の因子への添加を含む。一態様では、T細胞を拡大させることは、flt3-L、IL-1、IL-3およびc-kitリガンドからなる群より選択される因子と共にT細胞を培養する工程を含む。
【0268】
本明細書に記載の培養工程(本明細書に記載の剤との接触またはエレクトロポレーション後)は非常に短くてよく、例えば24時間未満、例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22または23時間であり得る。本明細書にさらに記載される培養工程(本明細書に記載の剤との接触)はより長くてもよく、例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14日間またはそれ以上の日数であり得る。
【0269】
培養中の細胞を説明するために様々な用語が使用される。細胞培養物とは、一般に、生きている生物から採取され、制御された条件下で増殖させた細胞を指す。初代細胞培養物は、生物から直接かつ最初の継代培養の前に採取された細胞、組織または器官の培養物である。細胞は、細胞の増殖および/または分裂を促進する条件下で増殖培地に入れたときに培養下で拡大され、細胞のより大きな集団をもたらす。細胞を培養下で拡大させる場合、細胞増殖の速度は、典型的には、別名倍加時間として公知の、細胞が数を2倍にするのに必要な時間の量によって測定される。
【0270】
継代培養の各回は、継代と呼ばれる。細胞が継代培養されるとき、それらは継代されたと称される。特定の細胞集団または細胞株は、それが継代された回数によって呼ばれるかまたは特徴付けられることがある。例えば、10回継代された培養細胞集団は、P10培養物と呼ばれ得る。初代培養物、すなわち組織から細胞を単離した後の最初の培養物はP0と指定される。最初の継代培養の後、細胞は二次培養物(P1または継代1)と表される。2回目の継代培養後、細胞は三次培養物(P2または継代2)になり、以下同様である。継代の期間中に多くの集団倍加が存在し得ることが当業者に理解されるであろう; したがって、培養物の集団倍加の数は継代数より大きい。継代間の期間中の細胞の拡大(すなわち、集団倍加の数)は、播種密度、基質、培地、および継代間の時間を含むがこれらに限定されるわけではない、多くの因子に依存する。
【0271】
一態様では、細胞は、数時間(約3時間)~約14日間またはその間の任意の時間単位の整数値にわたって培養され得る。T細胞培養に適切な条件には、血清(例えば、ウシ胎児血清またはヒト胎児血清)、インターロイキン2(IL-2)、インスリン、IFN-ガンマ、IL-4、IL-7、GM-CSF、IL-10、IL-12、IL-15、TGF-ベータおよびTNF-αまたは当業者に公知の細胞増殖のための任意の他の添加剤を含む、増殖および生存に必要な因子を含有し得る適切な培地(例えば、最小必須培地またはRPMI培地1640またはX-vivo 15(Lonza))が含まれる。細胞の増殖のための他の添加剤には、界面活性剤、プラスマネート、ならびにN-アセチル-システインおよび2-メルカプトエタノールなどの還元剤が含まれるが、これらに限定されるわけではない。培地には、RPMI 1640、AIM-V、DMEM、MEM、α-MEM、F-12、X-Vivo 15、およびX-Vivo 20、Optimizerが含まれ得、これらには、アミノ酸、ピルビン酸ナトリウム、およびビタミンが添加されており、無血清であるか、または適切な量の血清(もしくは血漿)もしくはホルモンの定義されたセット、および/もしくはT細胞の増殖および拡大に十分な量のサイトカインが補充されている。抗生物質、例えばペニシリンおよびストレプトマイシンは、実験培養物にのみ含まれ、対象に注入される細胞の培養物には含まれない。標的細胞は、増殖を支援するのに必要な条件下で、例えば、適切な温度(例えば、37℃)および雰囲気(例えば、空気+5%CO2)で維持される。
【0272】
T細胞を培養するために使用される培地は、T細胞を共刺激することができる作用物質を含み得る。例えば、CD3を刺激することができる作用物質はCD3に対する抗体であり、CD28を刺激することができる作用物質はCD28に対する抗体である。本明細書に開示される方法によって単離された細胞は、約10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍、200倍、300倍、400倍、500倍、600倍、700倍、800倍、900倍、1000倍、2000倍、3000倍、4000倍、5000倍、6000倍、7000倍、8000倍、9000倍、10,000倍、100,000倍、1,000,000倍、10,000,000倍、またはそれ以上拡大することができる。一態様では、T細胞は、約20倍~約50倍、またはそれ以上の範囲で拡大する。一態様では、ヒト制御性T細胞を、抗CD3抗体コーティングされたKT64.86人工抗原提示細胞(aAPC)を介して拡大させる。T細胞を拡大および活性化するための方法は、米国特許第7,754,482号、同第8,722,400号および同第9,555,105号に見出すことができ、その内容はその全体が本明細書に組み入れられる。
【0273】
一態様では、T細胞を拡大させる方法は、さらなる用途のために拡大させたT細胞を単離する工程をさらに含み得る。別の態様では、拡大させる方法は、拡大させたT細胞のその後のエレクトロポレーションとそれに続く培養とをさらに含み得る。その後のエレクトロポレーションは、拡大したT細胞を形質導入する工程、拡大したT細胞をトランスフェクトする工程、または拡大したT細胞に核酸をエレクトロポレーションする工程などの、T細胞の拡大した集団に作用物質をコードする核酸を導入する工程を含み得、作用物質はT細胞をさらに刺激する。作用物質は、さらなる拡大、エフェクター機能、または別のT細胞機能を刺激することなどによって、T細胞を刺激し得る。
【0274】
H. 薬学的組成物および製剤
本発明の免疫細胞の集団、そのような細胞を含有するおよび/またはそのような細胞が濃縮された組成物、例えば、CAR(例えば、IL-を含むCAR)を発現する細胞が、組成物中の全細胞またはT細胞もしくはCD8+もしくはCD4+細胞などの特定の種類の細胞の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上を構成する組成物も提供される。組成物の中には、養子細胞療法のためなどの、投与のための薬学的組成物および製剤がある。細胞および組成物を対象、例えば患者に投与するための治療方法も提供される。
【0275】
薬学的組成物および製剤を含む、投与のための細胞を含有する組成物、例えば所与の用量またはその画分で投与するための細胞数を含む単位用量形態の組成物も提供される。薬学的組成物および製剤は、一般に、1つまたは複数の任意の薬学的に許容される担体または賦形剤を含む。いくつかの態様では、組成物は、少なくとも1つのさらなる治療薬を含む。
【0276】
「薬学的製剤」または「薬学的組成物」という用語は、その中に含有される活性成分の生物学的活性が有効であることを可能にするような形態であり、かつ、製剤が投与される対象に対して許容できないほどに毒性であるさらなる成分を含有しない、調製物を指す。「薬学的に許容される担体」は、対象に対して非毒性である、活性成分以外の薬学的製剤中の成分を示す。薬学的に許容される担体には、緩衝剤、賦形剤、安定剤、または防腐剤が含まれるが、これらに限定されるわけではない。いくつかの局面では、担体の選択は、一部には、特定の細胞によっておよび/または投与方法によって決定される。したがって、様々な適切な製剤が存在する。例えば、薬学的組成物は防腐剤を含み得る。適切な防腐剤には、例えば、メチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸ナトリウム、および塩化ベンザルコニウムが含まれ得る。いくつかの局面では、2つまたはそれ以上の防腐剤の混合物が使用される。防腐剤またはその混合物は、典型的には、全組成物の約0.0001重量%~約2重量%の量で存在する。担体は、例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences 16th edition, Osol, A.Ed.(1980)によって記載されている。薬学的に許容される担体は、一般に、使用される投与量および濃度でレシピエントに非毒性であり、以下のものを含むが、これらに限定されるわけではない: リン酸塩、クエン酸塩および他の有機酸などの緩衝剤; アスコルビン酸およびメチオニンを含む抗酸化剤; 防腐剤(塩化オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ヘキサメトニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、フェノール、ブチルもしくはベンジルアルコール、メチルもしくはプロピルパラベンなどのアルキルパラベン、カテコール、レゾルシノール、シクロヘキサノール、3-ペンタノールおよびm-クレゾールなど); 低分子量(約10残基未満)ポリペプチド; 血清アルブミン、ゼラチンもしくは免疫グロブリンなどのタンパク質; ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー; グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニンもしくはリジンなどのアミノ酸; 単糖類、二糖類、およびグルコース、マンノースもしくはデキストリンを含む他の炭水化物; EDTAなどのキレート剤; スクロース、マンニトール、トレハロースもしくはソルビトールなどの糖類; ナトリウムなどの塩形成対イオン; 金属錯体(例えばZn-タンパク質錯体); ならびに/またはポリエチレングリコール(PEG)などの非イオン界面活性剤。
【0277】
いくつかの局面では、緩衝剤が組成物に含まれる。適切な緩衝剤には、例えば、クエン酸、クエン酸ナトリウム、リン酸、リン酸カリウム、ならびに様々な他の酸および塩が含まれる。いくつかの局面では、2つまたはそれ以上の緩衝剤の混合物が使用される。緩衝剤またはその混合物は、典型的には、全組成物の約0.001重量%~約4重量%の量で存在する。投与可能な薬学的組成物を調製するための方法は公知である。例示的な方法は、例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy, Lippincott Williams&Wilkins; 21st ed.(May 1, 2005)により詳細に記載されている。
【0278】
製剤は水溶液を含み得る。製剤または組成物はまた、それぞれの活性が互いに悪影響を及ぼさない場合、細胞で治療される特定の適応症、疾患、または状態に有用な複数の活性成分、好ましくは細胞に相補的な活性を有するものを含有し得る。そのような活性成分は、意図される目的に有効な量で組み合わせて適切に存在する。したがって、いくつかの態様では、薬学的組成物は、他の薬学的に活性な剤または薬物、例えば化学療法剤、例えばアスパラギナーゼ、ブスルファン、カルボプラチン、シスプラチン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、フルオロウラシル、ゲムシタビン、ヒドロキシ尿素、メトトレキサート、パクリタキセル、リツキシマブ、ビンブラスチン、および/またはビンクリスチンをさらに含む。いくつかの態様における薬学的組成物は、治療有効量または予防有効量などの、疾患または状態を治療または予防するのに有効な量で細胞を含有する。いくつかの態様における治療有効性または予防有効性は、治療対象の定期的な評価によって観測される。所望の投与量は、細胞の単回ボーラス投与によって、細胞の複数回ボーラス投与によって、または細胞の持続注入投与によって送達することができる。
【0279】
製剤には、経口投与、静脈内投与、腹腔内投与、皮下投与、肺投与、経皮投与、筋肉内投与、鼻腔内投与、口腔内投与、舌下投与、または坐剤投与用のものが含まれる。いくつかの態様では、細胞集団は非経口投与される。本明細書で使用される「非経口」という用語は、静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、直腸投与、膣投与、および腹腔内投与を含む。いくつかの態様では、細胞は、静脈内注射、腹腔内注射、または皮下注射による末梢全身送達を用いて対象に投与される。いくつかの態様における組成物は、いくつかの局面では選択されたpHに緩衝され得る、滅菌液体調製物、例えば、等張水溶液、懸濁液、エマルジョン、分散液、または粘性組成物として提供される。液体調製物は、通常、ゲル、他の粘性組成物、および固体組成物よりも調製が容易である。さらに、液体組成物は、特に注射によって投与するのに幾分より便利である。他方で、粘性組成物は、特定の組織とのより長い接触期間を提供するために適切な粘度範囲内に製剤化することができる。液体または粘性組成物は担体を含むことができ、担体は、例えば、水、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコール)およびそれらの適切な混合物を含有する溶媒または分散媒であり得る。
【0280】
滅菌注射液は、細胞を溶媒中に、例えば適切な担体、希釈剤、または賦形剤、例えば滅菌水、生理食塩水、グルコース、デキストロースなどと混合して組み込むことによって調製することができる。組成物は、所望の投与経路および調製物に応じて、湿潤剤、分散剤もしくは乳化剤(例えば、メチルセルロース)、pH緩衝剤、ゲル化もしくは増粘添加剤、防腐剤、香味剤および/または着色剤などの補助物質を含有し得る。いくつかの局面では、標準的なテキストを参考にして適切な調製物を調製し得る。
【0281】
抗菌防腐剤、抗酸化剤、キレート剤、および緩衝剤を含む、組成物の安定性および無菌性を高める様々な添加剤を添加することができる。微生物の作用の防止は、様々な抗菌剤および抗真菌剤、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノールおよびソルビン酸によって確実にすることができる。注射用薬学的形態の持続的吸収は、吸収を遅延させる剤、例えばモノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンの使用によってもたらされ得る。
【0282】
インビボ投与に使用される製剤は、一般に無菌である。無菌性は、例えば滅菌濾過膜を通して濾過することによって容易に達成され得る。
【0283】
論文、特許、および特許出願、ならびに本明細書で言及または引用される全ての他の文書および電子的に利用可能な情報の内容は、あたかも各個々の刊行物が具体的かつ個別に参照により組み入れられることが示されているのと同程度に、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。出願人は、そのような論文、特許、特許出願、または他の物理的および電子的文書からのありとあらゆる資料および情報を本出願に物理的に組み込む権利を留保する。
【0284】
本発明をその特定の態様を参照して説明してきたが、本発明の真の趣旨および範囲から逸脱することなく様々な変更を行い得、等価物を置き換え得ることが当業者に理解されるべきである。本明細書に開示される態様の範囲から逸脱することなく、適切な等価物を使用して、本明細書に記載される方法の他の適切な変更および適合を行い得ることは、当業者には容易に明らかであろう。さらに、特定の状況、材料、物質の組成、プロセス、プロセス工程または工程を本発明の目的、精神および範囲に適合させるために、多くの変更を行い得る。そのような変更は全て、添付の特許請求の範囲内にあることが意図されている。ここで特定の態様を詳細に説明してきたが、これは、例示のみを目的として含まれ、限定することを意図するものではない以下の実施例を参照することによってより明確に理解されるであろう。
【実施例
【0285】
実験例
ここで、本発明を以下の実施例を参照して説明する。これらの実施例は、例示のみを目的として提供されており、本発明はこれらの実施例に限定されず、むしろ、本明細書に提供される教示の結果として明らかな全ての変形を包含する。
【0286】
材料および方法
Lipofectamine 2000(ThermoFisher)を使用したpMSGVベクターでの形質移入によって、Plat-Eパッケージング細胞(Cell Biolabs)を利用して、キメラ抗原受容体をコードするレトロウイルスを作製した。培養培地を24時間後に交換し、さらに24時間後に培地を回収し、遠心分離によって清澄化し、0.45umフィルターに通した後、-80℃で保存した。
【0287】
磁気ビーズ分離(Stemcell Technologies)によってドナーCD45.1+マウスバルク脾細胞をCD3+細胞について濃縮することによって、マウスCAR T細胞のレトロウイルス形質導入を達成した。レトロネクチンでコーティングされた(Takara Bio)プレート上のレトロウイルス上清でのスピンフェクション(1時間)の前に、50U/mlの組換えヒトIL-2(Peprotech)の存在下でT細胞をマウスCD3/CD28 Dynabeads(ThermoFisher)で48時間活性化した。スピンフェクションの2日後にフローサイトメトリーのために細胞を採取した。
【0288】
レトロウイルスにより形質導入されたマウスT細胞をCARに対して特異的な抗体とともに暗所において室温で20分間インキュベーションし、その後、LSR IIフローサイトメーター(BD Biosciences)において少なくとも10,000の事象を取得することによって、キメラ抗原受容体のフローサイトメトリー検出を行った。FlowJoソフトウェア(BD Biosciences)でデータを分析した。
【0289】
ここで実験の結果を説明する。
【0290】
実施例1:IL9Ra ICDを含むキメラ抗原受容体
養子移入された遺伝子操作されたT細胞療法は、造血性悪性腫瘍を有する患者において著しい抗腫瘍活性を実証したが、固形腫瘍を有する患者における利益は限られている(Rosenberg and Restifo,Science(2015)348:62-68)。1つの大きな制約は、養子移入されたT細胞のインビボでの増殖および持続性が不十分であり、患者の適格性を制限する有毒なレジメンであるリンパ球除去コンディショニング化学療法を必要とすることである(Goff et al.,J Clin Oncol.(2016)34:2389-2397;Dudley et al.,J Clin Oncol.(2008)26:5233-5239;Dutcher et al.,Journal for ImmunoTherapy of Cancer(2014)2:26)。増殖および持続するT細胞でさえ、最終的には、分化し、機能障害性となる(Philip et al.,Nature,(2017)545:452-456;Schietinger et al.,Immunity(2016)45:389-401)。幹様表現型を有するT細胞は、これらの制限を克服し、マウスモデルおよびヒトにおいて優れた抗腫瘍活性を示すことができるが(Gattinoni et al.,Nature Reviews Cancer(2012)12:671-684;Krishna et al.,Science(2020)370:1328-1334)、幹様T細胞を選択するか、または増殖させるための治療的操作は細胞製造段階に限定されており、インビボで行うことはできない。
【0291】
IL-9受容体(CD129)は、γcサイトカイン受容体ファミリーのあまり研究されていないメンバーであり、IL-9に結合し、pSTAT1、pSTAT3およびpSTAT5の活性化をもたらすことができるγcとのヘテロ二量体受容体シグナル伝達複合体を形成する(Demoulin et al.,Mol Cell Biol.(1996)16:4710-4716;Knoops et al.,Growth Factors(2004)22:207~215;Bauer et al.,J Biol Chem.(1998)273:9255-9260)。IL-9Rは、肥満細胞、メモリーB細胞、自然リンパ球系細胞および造血前駆細胞(Knoops et al.,Growth Factors(2004)22:207-215;Takatsuka et al.,Nature Immunology(2018)19:1025-1034;Townsend et al.,Immunity(2000)13:573-583;Williams et al.,Blood(1990)76:906-911;Turner et al.,J Exp Med(2013)210:2951-2965)によって天然に発現される。IL-9を産生するT細胞サブセットが記載されているが(Lu et al.,J Clin Invest(2012)122:4160-4171;Lu et al.,Proc Natl Acad Sci USA(2014)111:2265;Purwar et al.,Nat Med(2012)18:1248-1253)、T細胞に対するIL-9Rシグナル伝達の効果は十分に特徴付けられていない(Elyaman et al.,Proc Natl Acad Sci USA(2009)106:12885-12890;Nowak et al.,J Exp Med(2009)206:1653-1660;Li et al.,Eur J Immunol(2011)41:2197-2206;Houssiau et al.,J Immunol(1993)150:2634-2640;Louahed et al.,J Immunol(1995)154:5061-5070;Lehrnbecher et al.,Cytokine(1994)6:279-284)。例えば、ナイーブT細胞はIL-9に対して非感受性でありかつIL-9欠損マウスにおいてはT細胞の発達は損なわれていないことが十分に文献に記載されており、IL-9はT細胞生物学における重要な天然サイトカインではないことが示唆されている(Townsend et al.,Immunity(2000)13:573-583;Houssiau et al.,J Immunol(1993)150:2634-2640)。より最近では、STAT1、STAT3およびSTAT5活性化を伴う共通のガンマ鎖(γc)サイトカイン受容体シグナル伝達が、オルソゴナルなキメラサイトカイン受容体を発現するように操作されたT細胞において観察された(国際公開第2021/050752号;Kalbasi,et al.,2022,Nature,607(7918):360-365)。これらのT細胞は、幹細胞メモリーおよびエフェクターT細胞の特徴を帯びる。
【0292】
共通のガンマ鎖(γc)サイトカイン受容体シグナル伝達を有するT細胞を伝達するための代替アプローチとして、IL9Ra ICDを含むキメラ抗原受容体(CAR)を設計した(図1A)。このCARのヒトおよびマウスバージョンを表1に概説されているように設計した。
【0293】
(表1)IL9Ra ICDを含むキメラ抗原受容体
【0294】
形質導入されたマウスT細胞で、レンチウイルス構築物からのマウスCAR(抗MSLN scFv、CD8ヒンジおよびTM、41BB ICD、IL9Ra ICD、およびCD3z刺激ドメインを含む)の発現を試験し、実証した(図1B)。オルソゴナルなサイトカイン受容体系と比較した本発明のCARの重要な利点は、本発明のCARはオルソゴナルなサイトカインの投与を必要としないことである。
【0295】
形質導入されたT細胞上でのIL9Ra ICDを含むこれらのCARの発現は、T細胞においてSTAT1、STAT3およびSTAT5を活性化し、それにより、輸送およびエフェクター機能が改善された幹細胞メモリー特徴を有するT細胞(Tscm)をもたらし、患者の治療困難な固形腫瘍に対する抗腫瘍活性を改善させると予想される。
【0296】
実施例2:T細胞におけるWT IL9RaとCARの同時発現
形質導入されたT細胞上で、IL9Ra受容体またはIL9Ra ICDを含むキメラサイトカイン受容体を、腫瘍抗原を標的とするCARと一緒に同時発現させることは、インビボでT細胞においてSTAT1、STAT3およびSTAT5を同様に活性化し、かつそれにより、輸送およびエフェクター機能が改善された幹細胞メモリー(Tscm)特徴を有するT細胞をもたらし、これによって、(IL9Ra ICDを含むオルソゴナルなキメラサイトカイン受容体を使用して以前に示されたように)患者の治療困難な固形腫瘍に対する抗腫瘍活性を改善させることが、本実施例において想定される。
【0297】
これを実証するために、およびIL-9シグナルを受容するように操作されたCAR T細胞の特有の表現型および優れた抗腫瘍効力を駆動する機構をさらに調べるために、WT IL9Raおよび抗メソテリンCARの発現のためのヒトおよびマウスレンチウイルス構築物を設計し、作製した。ヒトおよびマウスT細胞にそれぞれの構築物を形質導入し、形質導入後にフローサイトメトリーによってCARおよびIL9Raの同時発現を実証した。図3Aは、ヒトT細胞についてのデータを示す。
【0298】
形質導入されたマウスT細胞上でのマウスIL9Raサイトカイン受容体および抗メソテリンCARの同時発現を試験し、実証した(図2Aおよび図3B)。さらに、これらの細胞は、100ng/mLの野生型mIL9または野生型mIL2(図2Bおよび図4)での刺激の24時間後に表面マーカーCD44、CD62LおよびFas(CD95)の発現によって示されるように、幹細胞メモリー(Tscm)表現型を実証した。次に、mIL-2またはmIL-9の存在下で24時間培養した形質導入されたT細胞から全RNAを抽出した。RNAをNanostring nCounter Mouse Immunology Panel(562の遺伝子)で分析し、nSolver 4.0ソフトウェアを使用してプロットして、全体的な遺伝子発現プロファイルを得た(図2C)。これらのデータは、形質導入された細胞のTscm表現型をさらに実証している。
【0299】
IL9Raおよび腫瘍抗原結合ドメインを含むCARを同時発現する形質導入されたT細胞は、対象におけるがんを治療するために、IL9を発現する腫瘍溶解性アデノウイルスベクターとともに使用されるであろう。したがって、マウス膵臓癌細胞株において、Ad5ベクターからのIL9の発現を試験し、実証した(図2D)。マウス膵臓癌細胞株PDA7940b(10,000細胞/ウェル)を100ウイルス粒子/細胞のAd-mIL9に感染させ、示された時点で、ELISAによって、細胞培養上清をmIL-9について分析した。
【0300】
次に、マウスT細胞を24時間IL-2から飢餓状態にし、次いで、漸増濃度のIL-9中で20分間インキュベートした。細胞を固定し、透過処理し、染色し、リン光体フローサイトメトリーによって分析した。IL9RaおよびCARを同時発現する細胞は、CARのみを発現する細胞(A03)または形質導入されていない細胞と比較して、STAT1、STAT3およびSTAT5のリン酸化の有意な増加を示した(図5)。細胞をIL9とともに48時間インキュベートした後、Luminexアッセイによってサイトカイン分泌を分析した。CARおよびIL9Raの同時発現は、IFNγ、TNFα、IL-10、IL-18、IL-1β、IL-6、IL-17A、IL-9、IL-22、IL-23、IL-4、IL-5、IL-13、IL-12p70およびIL-27の分泌を有意に増加させた(図6、各パネルの右側)。CARのみを発現するT細胞(IL9Raの同時発現なし)については、IFNγ、TNFαおよびIL-10について有意な増加は観察されず、IL-4およびIL-13の増加は、CARおよびIL9Raを同時発現する細胞について観察されたものよりも有意ではなかった(図6、各パネルの左側)。
【0301】
次に、5000個のPDA7940b(膵臓腫瘍)細胞を播種することによって腫瘍細胞の死滅を評価した。初代マウスT細胞をIL-9(100nM)(または対照として、IL9なし)とともに48時間プレインキュベートし、3:1、1:1および1:3のT細胞:腫瘍細胞の比で添加した。腫瘍細胞の死滅は、IL9の存在下でIL9Raおよび抗メソテリンCAR(A03)の両方を発現するT細胞について有意に増強された(図7)。
【0302】
IL9(または対照としてIL2)とともにプレインキュベートされた、CARおよびIL9Raを発現するマウスT細胞について、Nanostring nCounter Mouse Immunology Panelを用いて、遺伝子発現プロファイルを決定した(図8A)。オルソゴナルなキメラサイトカイン受容体系(国際公開第2021/050752号;Kalbasi,et al.,Nature,2022,607:360-365を参照)と比較するために、オルソ-IL2(または対照としてIL2)とともにプレインキュベートされた、CARおよびオルソゴナルなキメラサイトカイン受容体(オルソIL2Rβ-IL9Ra(「o9R」)を発現するT細胞についても、遺伝子発現プロファイルを決定した(図8B)。それぞれについて上位20個の上方制御および下方制御された遺伝子を示す(p-adj<0.05)(図8A図8B)。2つに関して、遺伝子発現プロファイルは類似していた。共通する上位の上方制御および下方制御された遺伝子が図8Cに示されている。
【0303】
次に、IL9またはIL2のいずれかとともにプレインキュベートされた、抗メソCARおよびIL9Raを発現するT細胞について、ならびにオルソ-IL2またはIL-2とともにプレインキュベートされた、抗メソCARおよびオルソ-IL2Rβ-IL9Raキメラサイトカイン受容体(o9R)を発現するT細胞について、遺伝子セット変異解析(GSVA)を行った。IL2に対してIL9で刺激されたCAR T細胞において有意に濃縮された経路が、図9A図9Cに示されている。特に、インターフェロンガンマおよびインターフェロンアルファ経路は、IL-9で刺激されたCAR T細胞において有意に濃縮されている(図9D図9F)。
【0304】
次に、PDAのインビボ同系マウスモデルを確立し(図10A)、IL-9を発現するAdベクター(Ad-mIL9)の用量設定を行った(図10B)。形質導入効率データを図10Cに示す。示されている対照条件とともに、CARおよびIL9Raを発現するT細胞を注射されたマウスにおいて、Ad-mIL9の様々な用量でインビボ腫瘍増殖を決定した(図10D)。
【0305】
列挙される態様
以下に列挙される態様を提供するが、その番号付けは、重要性のレベルを指定するものと解釈されるべきではない。
態様1は、以下を提供する:
腫瘍抗原結合ドメインと、膜貫通ドメインと、インターロイキン-9受容体アルファ(IL9Ra)の細胞内シグナル伝達ドメインを含む細胞内ドメインとを含むキメラ抗原受容体(CAR)。
態様2は、以下を提供する:
前記腫瘍抗原が、アルファフェトプロテイン(AFP)/HLA-A2、AXL、B7-H3、BCMA、CA-1X、CD2、CD3、CD4、CD5、CD7、CD8、CD19、CD20、CD22、CD30、CD33、CD38、CD44v6、CD70、CD79a、CD79b、CD80、CD86、CD117、CD123、CD133、CD147、CD171、CD276、CEA、クローディン18.2、c-Met、DLL3、DR5、EGFR、EGFRvIII、EpCAM、EphA2、FAP、葉酸受容体アルファ(FRa)/葉酸結合タンパク質(FBP)、GD-2、糖脂質F77、グリピカン-2(GPC2)、グリピカン-3(GPC3)、HER2、HLA-A2、ICAM1、IL3Ra、IL13Ra2、LAGE-1、ルイスY、LMP1(EBV)、MAGE-A1、MAGE-A3、MAGE-A4、メランA、メソテリン、MG7(グリコシル化CEA)、MMP、MUC1、ネクチン4/FAP、NKG2Dリガンド(MIC-A、MIC-B、およびULBP 1~6)、NY-ESO-1、P16、PD-L1、PSCA、PSMA、ROR1、ROR2、TIM-3、TM4SF1、TnMuc1、VEGFR2、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される、態様1のCAR。
態様3は、以下を提供する:
前記腫瘍抗原が、メソテリン、GD2、HER2、TnMuc1、CD70、PMSAおよびEGFRvIIIから選択される、態様1または態様2のCAR。
態様4は、以下を提供する:
前記腫瘍抗原結合ドメインが、完全長抗体またはその抗原結合断片、単一特異性抗体、二重特異性抗体、Fab、Fab'、F(ab')2、Fv、一本鎖可変断片(scFv)、線状抗体、単一ドメイン抗体(sdAb)および抗体模倣物(例えば、設計アンキリンリピートタンパク質(DARPin)、アフィボディ、モノボディ(アドネクチン)、アフィリン、アフィマー、アフィチン、アルファボディ、アビマー、クニッツドメインペプチド、アンチカリン、およびシンセリン)からなる群より選択される、態様1~3のいずれか一つのCAR。
態様5は、以下を提供する:
前記腫瘍抗原結合ドメインが一本鎖可変断片(scFv)である、態様1~4のいずれか一つのCAR。
態様6は、以下を提供する:
前記腫瘍抗原結合ドメインが、
(a)SEQ ID NO:49およびSEQ ID NO:65から選択される配列と少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む抗メソテリンscFv;
(b)SEQ ID NO:108と少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む抗GD2 scFv;
(c)SEQ ID NO:110またはSEQ ID NO:112と少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む抗HER2 scFv;
(d)SEQ ID NO:114と少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む抗TnMuc1 scFv;
(e)SEQ ID NO:116と少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む抗CD70 scFv;
(f)SEQ ID NO:120と少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む抗PMSA scFv;および
(g)SEQ ID NO:122と少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む抗EGFRvIII scFv
から選択される、態様1~5のいずれか一つのCAR。
態様7は、以下を提供する:
前記CARの前記細胞内ドメインが、TNFRスーパーファミリーのタンパク質、CD28、4-1BB(CD137)、OX40(CD134)、PD-1、CD7、LIGHT、CD83L、DAP10、DAP12、CD27、CD2、CD5、ICAM-1、LFA-1、Lck、TNFR-I、TNFR-II、Fas、CD30、CD40、ICOS、NKG2CおよびB7-H3(CD276)からなる群より選択されるタンパク質の共刺激ドメイン、もしくはそのバリアント、またはキラー免疫グロブリン様受容体(KIR)に由来する細胞内ドメインをさらに含む、態様1~6のいずれか一つのCAR。
態様8は、以下を提供する:
前記CARの前記細胞内ドメインが、CD3ゼータ鎖(CD3ζ)、FcγRIII、FcsRI、Fc受容体の細胞質尾部、免疫受容体チロシンベースの活性化モチーフ(ITAM)を有する細胞質受容体、TCRゼータ、FcRガンマ、CD3ガンマ、CD3デルタ、CD3イプシロン、CD5、CD22、CD79a、CD79bおよびCD66dからなる群より選択されるタンパク質の細胞内シグナル伝達ドメイン、またはそのバリアントをさらに含む、態様1~7のいずれか一つのCAR。
態様9は、以下を提供する:
前記CARの前記細胞内ドメインが、CD28の共刺激ドメイン、4-1BBの共刺激ドメイン、CD3ゼータの細胞内シグナル伝達ドメイン、またはそれらの任意の組合せをさらに含む、態様1~8のいずれか一つのCAR。
態様10は、以下を提供する:
ヒンジドメインをさらに含む、態様1~9のいずれか一つのCAR。
態様11は、以下を提供する:
(a)抗ヒトメソテリンscFv、ヒトCD8ヒンジドメイン、ヒトCD28膜貫通ドメイン、ヒトCD28共刺激ドメイン、ヒトIL9Ra細胞内シグナル伝達ドメインおよびヒトCD3zシグナル伝達ドメイン;
(b)抗ヒトメソテリンscFv、ヒトCD8ヒンジドメイン、ヒトCD8膜貫通ドメイン、ヒト4-1BB共刺激ドメイン、ヒトIL9Ra細胞内シグナル伝達ドメインおよびヒトCD3zシグナル伝達ドメイン;
(c)抗マウスメソテリンscFv、マウスCD8ヒンジドメイン、マウスCD28膜貫通ドメイン、マウスCD28共刺激ドメイン、マウスIL9Ra細胞内シグナル伝達ドメインおよびマウスCD3zシグナル伝達ドメイン;または
(d)抗マウスメソテリンscFv、マウスCD8ヒンジドメイン、マウスCD8膜貫通ドメイン、マウス4-1BB共刺激ドメイン、マウスIL9Ra細胞内シグナル伝達ドメインおよびマウスCD3zシグナル伝達ドメイン
を含む、態様1~10のいずれか一つのCAR。
態様12は、以下を提供する:
SEQ ID NO:81、83、85および87から選択される配列と少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、態様1~11のいずれか一つのCAR。
態様13は、以下を提供する:
SEQ ID NO:82、84、86および88から選択される配列と少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む核酸によってコードされる、態様1~12のいずれか一つのCAR。
態様14は、以下を提供する:
腫瘍抗原結合ドメインと、膜貫通ドメインと、インターロイキン-9受容体アルファ(IL9Ra)の細胞内シグナル伝達ドメインを含む細胞内ドメインとを含むキメラ抗原受容体(CAR)をコードするヌクレオチド配列を含む、単離された核酸。
態様15は、以下を提供する:
前記腫瘍抗原が、アルファフェトプロテイン(AFP)/HLA-A2、AXL、B7-H3、BCMA、CA-1X、CD2、CD3、CD4、CD5、CD7、CD8、CD19、CD20、CD22、CD30、CD33、CD38、CD44v6、CD70、CD79a、CD79b、CD80、CD86、CD117、CD123、CD133、CD147、CD171、CD276、CEA、クローディン18.2、c-Met、DLL3、DR5、EGFR、EGFRvIII、EpCAM、EphA2、FAP、葉酸受容体アルファ(FRa)/葉酸結合タンパク質(FBP)、GD-2、糖脂質F77、グリピカン-2(GPC2)、グリピカン-3(GPC3)、HER2、HLA-A2、ICAM1、IL3Ra、IL13Ra2、LAGE-1、ルイスY、LMP1(EBV)、MAGE-A1、MAGE-A3、MAGE-A4、メランA、メソテリン、MG7(グリコシル化CEA)、MMP、MUC1、ネクチン4/FAP、NKG2Dリガンド(MIC-A、MIC-B、およびULBP 1~6)、NY-ESO-1、P16、PD-L1、PSCA、PSMA、ROR1、ROR2、TIM-3、TM4SF1、TnMuc1、VEGFR2、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される、態様14の単離された核酸。
態様16は、以下を提供する:
前記腫瘍抗原が、メソテリン、GD2、HER2、TnMuc1、CD70、PMSAおよびEGFRvIIIから選択される、態様14または態様15の単離された核酸。
態様17は、以下を提供する:
前記腫瘍抗原結合ドメインが、完全長抗体またはその抗原結合断片、単一特異性抗体、二重特異性抗体、Fab、Fab'、F(ab')2、Fv、一本鎖可変断片(scFv)、線状抗体、単一ドメイン抗体(sdAb)および抗体模倣物(例えば、設計アンキリンリピートタンパク質(DARPin)、アフィボディ、モノボディ(アドネクチン)、アフィリン、アフィマー、アフィチン、アルファボディ、アビマー、クニッツドメインペプチド、アンチカリン、およびシンセリン)からなる群より選択される、態様14~16のいずれか一つの単離された核酸。
態様18は、以下を提供する:
前記腫瘍抗原結合ドメインが一本鎖可変断片(scFv)である、態様14~17のいずれか一つの単離された核酸。
態様19は、以下を提供する:
前記腫瘍抗原結合ドメインが、
(a)SEQ ID NO:49およびSEQ ID NO:65から選択される配列と少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む抗メソテリンscFv;
(b)SEQ ID NO:108と少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む抗GD2 scFv;
(c)SEQ ID NO:110またはSEQ ID NO:112と少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む抗HER2 scFv;
(d)SEQ ID NO:114と少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む抗TnMuc1 scFv;
(e)SEQ ID NO:116と少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む抗CD70 scFv;
(f)SEQ ID NO:120と少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む抗PMSA scFv;および
(g)SEQ ID NO:122と少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む抗EGFRvIII scFv
から選択される、態様14~18のいずれか一つの単離された核酸。
態様20は、以下を提供する:
前記CARの前記細胞内ドメインが、TNFRスーパーファミリーのタンパク質、CD28、4-1BB(CD137)、OX40(CD134)、PD-1、CD7、LIGHT、CD83L、DAP10、DAP12、CD27、CD2、CD5、ICAM-1、LFA-1、Lck、TNFR-I、TNFR-II、Fas、CD30、CD40、ICOS、NKG2CおよびB7-H3(CD276)からなる群より選択されるタンパク質の共刺激ドメイン、もしくはそのバリアント、またはキラー免疫グロブリン様受容体(KIR)に由来する細胞内ドメインをさらに含む、態様14~19のいずれか一つの単離された核酸。
態様21は、以下を提供する:
前記CARの前記細胞内ドメインが、CD3ゼータ鎖(CD3ζ)、FcγRIII、FcsRI、Fc受容体の細胞質尾部、免疫受容体チロシンベースの活性化モチーフ(ITAM)を有する細胞質受容体、TCRゼータ、FcRガンマ、CD3ガンマ、CD3デルタ、CD3イプシロン、CD5、CD22、CD79a、CD79bおよびCD66dからなる群より選択されるタンパク質の細胞内シグナル伝達ドメイン、またはそのバリアントをさらに含む、態様14~20のいずれか一つの単離された核酸。
態様22は、以下を提供する:
前記CARの前記細胞内ドメインが、CD28の共刺激ドメイン、4-1BBの共刺激ドメイン、CD3ゼータの細胞内シグナル伝達ドメイン、またはそれらの任意の組合せをさらに含む、態様14~21のいずれか一つの単離された核酸。
態様23は、以下を提供する:
ヒンジドメインをさらに含む、態様14~22のいずれか一つの単離された核酸。
態様24は、以下を提供する:
前記CARが、
(a)抗ヒトメソテリンscFv、ヒトCD8ヒンジドメイン、ヒトCD28膜貫通ドメイン、ヒトCD28共刺激ドメイン、ヒトIL9Ra細胞内シグナル伝達ドメインおよびヒトCD3zシグナル伝達ドメイン;
(b)抗ヒトメソテリンscFv、ヒトCD8ヒンジドメイン、ヒトCD8膜貫通ドメイン、ヒト4-1BB共刺激ドメイン、ヒトIL9Ra細胞内シグナル伝達ドメインおよびヒトCD3zシグナル伝達ドメイン;
(c)抗マウスメソテリンscFv、マウスCD8ヒンジドメイン、マウスCD28膜貫通ドメイン、マウスCD28共刺激ドメイン、マウスIL9Ra細胞内シグナル伝達ドメインおよびマウスCD3zシグナル伝達ドメイン;または
(d)抗マウスメソテリンscFv、マウスCD8ヒンジドメイン、マウスCD8膜貫通ドメイン、マウス4-1BB共刺激ドメイン、マウスIL9Ra細胞内シグナル伝達ドメインおよびマウスCD3zシグナル伝達ドメイン
を含む、態様14~23のいずれか一つの単離された核酸。
態様25は、以下を提供する:
前記CARが、SEQ ID NO:81、83、85および87から選択される配列と少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、態様14~24のいずれか一つの単離された核酸。
態様26は、以下を提供する:
前記CARが、SEQ ID NO:82、84、86および88から選択される配列と少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む核酸によってコードされる、態様14~25のいずれか一つの単離された核酸。
態様27は、以下を提供する:
態様14~26のいずれか一つの単離された核酸を含むベクター。
態様28は、以下を提供する:
レトロウイルスベクターまたはレンチウイルスベクターである、態様27のベクター。
態様29は、以下を提供する:
改変された細胞であって、
前記細胞が免疫細胞またはその前駆細胞であり、かつ
前記細胞が、腫瘍抗原結合ドメインと、膜貫通ドメインと、インターロイキン-9受容体アルファ(IL9Ra)の細胞内シグナル伝達ドメインを含む細胞内ドメインとを含むキメラ抗原受容体(CAR)を発現するように操作されている、
前記改変された細胞。
態様30は、以下を提供する:
前記腫瘍抗原が、アルファフェトプロテイン(AFP)/HLA-A2、AXL、B7-H3、BCMA、CA-1X、CD2、CD3、CD4、CD5、CD7、CD8、CD19、CD20、CD22、CD30、CD33、CD38、CD44v6、CD70、CD79a、CD79b、CD80、CD86、CD117、CD123、CD133、CD147、CD171、CD276、CEA、クローディン18.2、c-Met、DLL3、DR5、EGFR、EGFRvIII、EpCAM、EphA2、FAP、葉酸受容体アルファ(FRa)/葉酸結合タンパク質(FBP)、GD-2、糖脂質F77、グリピカン-2(GPC2)、グリピカン-3(GPC3)、HER2、HLA-A2、ICAM1、IL3Ra、IL13Ra2、LAGE-1、ルイスY、LMP1(EBV)、MAGE-A1、MAGE-A3、MAGE-A4、メランA、メソテリン、MG7(グリコシル化CEA)、MMP、MUC1、ネクチン4/FAP、NKG2Dリガンド(MIC-A、MIC-B、およびULBP 1~6)、NY-ESO-1、P16、PD-L1、PSCA、PSMA、ROR1、ROR2、TIM-3、TM4SF1、TnMuc1、VEGFR2、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される、態様29の改変された細胞。
態様31は、以下を提供する:
前記腫瘍抗原が、メソテリン、GD2、HER2、TnMuc1、CD70、PMSAおよびEGFRvIIIから選択される、態様29または態様30の改変された細胞。
態様32は、以下を提供する:
前記腫瘍抗原結合ドメインが、完全長抗体またはその抗原結合断片、単一特異性抗体、二重特異性抗体、Fab、Fab'、F(ab')2、Fv、一本鎖可変断片(scFv)、線状抗体、単一ドメイン抗体(sdAb)および抗体模倣物(例えば、設計アンキリンリピートタンパク質(DARPin)、アフィボディ、モノボディ(アドネクチン)、アフィリン、アフィマー、アフィチン、アルファボディ、アビマー、クニッツドメインペプチド、アンチカリン、およびシンセリン)からなる群より選択される、態様29~31のいずれか一つの改変された細胞。
態様33は、以下を提供する:
前記腫瘍抗原結合ドメインが一本鎖可変断片(scFv)である、態様29~32のいずれか一つの改変された細胞。
態様34は、以下を提供する:
前記腫瘍抗原結合ドメインが、
(a)SEQ ID NO:49およびSEQ ID NO:65から選択される配列と少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む抗メソテリンscFv;
(b)SEQ ID NO:108と少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む抗GD2 scFv;
(c)SEQ ID NO:110またはSEQ ID NO:112と少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む抗HER2 scFv;
(d)SEQ ID NO:114と少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む抗TnMuc1 scFv;
(e)SEQ ID NO:116と少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む抗CD70 scFv;
(f)SEQ ID NO:120と少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む抗PMSA scFv;および
(g)SEQ ID NO:122と少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む抗EGFRvIII scFv
から選択される、態様29~33のいずれか一つの改変された細胞。
態様35は、以下を提供する:
前記CARの前記細胞内ドメインが、TNFRスーパーファミリーのタンパク質、CD28、4-1BB(CD137)、OX40(CD134)、PD-1、CD7、LIGHT、CD83L、DAP10、DAP12、CD27、CD2、CD5、ICAM-1、LFA-1、Lck、TNFR-I、TNFR-II、Fas、CD30、CD40、ICOS、NKG2CおよびB7-H3(CD276)からなる群より選択されるタンパク質の共刺激ドメイン、もしくはそのバリアント、またはキラー免疫グロブリン様受容体(KIR)に由来する細胞内ドメインをさらに含む、態様29~34のいずれか一つの改変された細胞。
態様36は、以下を提供する:
前記CARの前記細胞内ドメインが、CD3ゼータ鎖(CD3ζ)、FcγRIII、FcsRI、Fc受容体の細胞質尾部、免疫受容体チロシンベースの活性化モチーフ(ITAM)を有する細胞質受容体、TCRゼータ、FcRガンマ、CD3ガンマ、CD3デルタ、CD3イプシロン、CD5、CD22、CD79a、CD79bおよびCD66dからなる群より選択されるタンパク質の細胞内シグナル伝達ドメイン、またはそのバリアントをさらに含む、態様29~35のいずれか一つの改変された細胞。
態様37は、以下を提供する:
前記CARの前記細胞内ドメインが、CD28の共刺激ドメイン、4-1BBの共刺激ドメイン、CD3ゼータの細胞内シグナル伝達ドメイン、またはそれらの任意の組合せをさらに含む、態様29~36のいずれか一つの改変された細胞。
態様38は、以下を提供する:
ヒンジドメインをさらに含む、態様29~37のいずれか一つの改変された細胞。
態様39は、以下を提供する:
前記CARが、
(a)抗ヒトメソテリンscFv、ヒトCD8ヒンジドメイン、ヒトCD28膜貫通ドメイン、ヒトCD28共刺激ドメイン、ヒトIL9Ra細胞内シグナル伝達ドメインおよびヒトCD3zシグナル伝達ドメイン;
(b)抗ヒトメソテリンscFv、ヒトCD8ヒンジドメイン、ヒトCD8膜貫通ドメイン、ヒト4-1BB共刺激ドメイン、ヒトIL9Ra細胞内シグナル伝達ドメインおよびヒトCD3zシグナル伝達ドメイン;
(c)抗マウスメソテリンscFv、マウスCD8ヒンジドメイン、マウスCD28膜貫通ドメイン、マウスCD28共刺激ドメイン、マウスIL9Ra細胞内シグナル伝達ドメインおよびマウスCD3zシグナル伝達ドメイン;または
(d)抗マウスメソテリンscFv、マウスCD8ヒンジドメイン、マウスCD8膜貫通ドメイン、マウス4-1BB共刺激ドメイン、マウスIL9Ra細胞内シグナル伝達ドメインおよびマウスCD3zシグナル伝達ドメイン
を含む、態様29~38のいずれか一つの改変された細胞。
態様40は、以下を提供する:
前記CARが、SEQ ID NO:81、83、85および87から選択される配列と少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、態様29~39のいずれか一つの改変された細胞。
態様41は、以下を提供する:
前記CARが、SEQ ID NO:82、84、86および88から選択される配列と少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む核酸によってコードされる、態様29~40のいずれか一つの改変された細胞。
態様42は、以下を提供する:
前記細胞が、T細胞、自己由来細胞、ヒト細胞、またはそれらの任意の組合せである、態様29~41のいずれか一つの改変された細胞。
態様43は、以下を提供する:
前記細胞が、STAT1、STAT3、STAT5、またはそれらの任意の組合せを活性化することができる、態様29~42のいずれか一つの改変された細胞。
態様44は、以下を提供する:
態様29~43のいずれか一つの改変された細胞の集団と、少なくとも1つの薬学的に許容される担体とを含む、薬学的組成物。
態様45は、以下を提供する:
その必要がある対象においてがんを治療する方法であって、前記対象に改変された細胞の集団を投与する工程を含み、前記細胞が免疫細胞またはその前駆細胞であり、かつ前記細胞が、腫瘍抗原結合ドメインと、膜貫通ドメインと、インターロイキン-9受容体アルファ(IL9Ra)の細胞内シグナル伝達ドメインを含む細胞内ドメインとを含むキメラ抗原受容体(CAR)を発現するように操作されている、前記方法。
態様46は、以下を提供する:
前記腫瘍抗原が、アルファフェトプロテイン(AFP)/HLA-A2、AXL、B7-H3、BCMA、CA-1X、CD2、CD3、CD4、CD5、CD7、CD8、CD19、CD20、CD22、CD30、CD33、CD38、CD44v6、CD70、CD79a、CD79b、CD80、CD86、CD117、CD123、CD133、CD147、CD171、CD276、CEA、クローディン18.2、c-Met、DLL3、DR5、EGFR、EGFRvIII、EpCAM、EphA2、FAP、葉酸受容体アルファ(FRa)/葉酸結合タンパク質(FBP)、GD-2、糖脂質F77、グリピカン-2(GPC2)、グリピカン-3(GPC3)、HER2、HLA-A2、ICAM1、IL3Ra、IL13Ra2、LAGE-1、ルイスY、LMP1(EBV)、MAGE-A1、MAGE-A3、MAGE-A4、メランA、メソテリン、MG7(グリコシル化CEA)、MMP、MUC1、ネクチン4/FAP、NKG2Dリガンド(MIC-A、MIC-B、およびULBP 1~6)、NY-ESO-1、P16、PD-L1、PSCA、PSMA、ROR1、ROR2、TIM-3、TM4SF1、TnMuc1、VEGFR2、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される、態様45の方法。
態様47は、以下を提供する:
前記腫瘍抗原が、メソテリン、GD2、HER2、TnMuc1、CD70、PMSAおよびEGFRvIIIから選択される、態様45または態様46の方法。
態様48は、以下を提供する:
前記腫瘍抗原結合ドメインが、完全長抗体またはその抗原結合断片、単一特異性抗体、二重特異性抗体、Fab、Fab'、F(ab')2、Fv、一本鎖可変断片(scFv)、線状抗体、単一ドメイン抗体(sdAb)および抗体模倣物(例えば、設計アンキリンリピートタンパク質(DARPin)、アフィボディ、モノボディ(アドネクチン)、アフィリン、アフィマー、アフィチン、アルファボディ、アビマー、クニッツドメインペプチド、アンチカリン、およびシンセリン)からなる群より選択される、態様45~47のいずれか一つの方法。
態様49は、以下を提供する:
前記腫瘍抗原結合ドメインが一本鎖可変断片(scFv)である、態様45~48のいずれか一つの方法。
態様50は、以下を提供する:
前記腫瘍抗原結合ドメインが、
(a)SEQ ID NO:49およびSEQ ID NO:65から選択される配列と少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む抗メソテリンscFv;
(b)SEQ ID NO:108と少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む抗GD2 scFv;
(c)SEQ ID NO:110またはSEQ ID NO:112と少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む抗HER2 scFv;
(d)SEQ ID NO:114と少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む抗TnMuc1 scFv;
(e)SEQ ID NO:116と少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む抗CD70 scFv;
(f)SEQ ID NO:120と少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む抗PMSA scFv;および
(g)SEQ ID NO:122と少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む抗EGFRvIII scFv
から選択される、態様45~49のいずれか一つの方法。
態様51は、以下を提供する:
前記CARの前記細胞内ドメインが、TNFRスーパーファミリーのタンパク質、CD28、4-1BB(CD137)、OX40(CD134)、PD-1、CD7、LIGHT、CD83L、DAP10、DAP12、CD27、CD2、CD5、ICAM-1、LFA-1、Lck、TNFR-I、TNFR-II、Fas、CD30、CD40、ICOS、NKG2CおよびB7-H3(CD276)からなる群より選択されるタンパク質の共刺激ドメイン、もしくはそのバリアント、またはキラー免疫グロブリン様受容体(KIR)に由来する細胞内ドメインをさらに含む、態様45~50のいずれか一つの方法。
態様52は、以下を提供する:
前記CARの前記細胞内ドメインが、CD3ゼータ鎖(CD3ζ)、FcγRIII、FcsRI、Fc受容体の細胞質尾部、免疫受容体チロシンベースの活性化モチーフ(ITAM)を有する細胞質受容体、TCRゼータ、FcRガンマ、CD3ガンマ、CD3デルタ、CD3イプシロン、CD5、CD22、CD79a、CD79bおよびCD66dからなる群より選択されるタンパク質の細胞内シグナル伝達ドメイン、またはそのバリアントをさらに含む、態様45~51のいずれか一つの方法。
態様53は、以下を提供する:
前記CARの前記細胞内ドメインが、CD28の共刺激ドメイン、4-1BBの共刺激ドメイン、CD3ゼータの細胞内シグナル伝達ドメイン、またはそれらの任意の組合せをさらに含む、態様45~52のいずれか一つの方法。
態様54は、以下を提供する:
ヒンジドメインをさらに含む、態様45~53のいずれか一つの方法。
態様55は、以下を提供する:
前記CARが、
(a)抗ヒトメソテリンscFv、ヒトCD8ヒンジドメイン、ヒトCD28膜貫通ドメイン、ヒトCD28共刺激ドメイン、ヒトIL9Ra細胞内シグナル伝達ドメインおよびヒトCD3zシグナル伝達ドメイン;
(b)抗ヒトメソテリンscFv、ヒトCD8ヒンジドメイン、ヒトCD8膜貫通ドメイン、ヒト4-1BB共刺激ドメイン、ヒトIL9Ra細胞内シグナル伝達ドメインおよびヒトCD3zシグナル伝達ドメイン;
(c)抗マウスメソテリンscFv、マウスCD8ヒンジドメイン、マウスCD28膜貫通ドメイン、マウスCD28共刺激ドメイン、マウスIL9Ra細胞内シグナル伝達ドメインおよびマウスCD3zシグナル伝達ドメイン;または
(d)抗マウスメソテリンscFv、マウスCD8ヒンジドメイン、マウスCD8膜貫通ドメイン、マウス4-1BB共刺激ドメイン、マウスIL9Ra細胞内シグナル伝達ドメインおよびマウスCD3zシグナル伝達ドメイン
を含む、態様45~54のいずれか一つの方法。
態様56は、以下を提供する:
前記CARが、SEQ ID NO:81、83、85および87から選択される配列と少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、態様45~55のいずれか一つの方法。
態様57は、以下を提供する:
前記CARが、SEQ ID NO:82、84、86および88から選択される配列と少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む核酸によってコードされる、態様45~56のいずれか一つの方法。
態様58は、以下を提供する:
細胞の前記集団が、T細胞、自己由来細胞、ヒト細胞、またはそれらの任意の組合せを含む、態様45~57のいずれか一つの方法。
態様59は、以下を提供する:
細胞の前記集団が、STAT1、STAT3、STAT5、またはそれらの任意の組合せを活性化することができる、態様45~58のいずれか一つの方法。
態様60は、以下を提供する:
前記対象がヒトである、態様45~59のいずれか一つの方法。
態様61は、以下を提供する:
前記がんが、B細胞悪性腫瘍(B細胞リンパ腫または白血病など)、肺癌、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、メルケル細胞癌腫、黒色腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、尿路上皮癌腫、胃癌、子宮頸癌、皮膚扁平上皮癌腫、腎細胞癌腫、乳癌、トリプルネガティブ乳癌、結腸癌、食道癌、胃癌、肝臓癌、腎臓癌、膵臓癌、前立腺癌、脳癌、肺腺癌、神経膠芽腫、肝細胞癌腫、胆嚢癌、子宮頸癌、子宮頸扁平上皮癌腫、結腸直腸癌、卵巣癌、および腎癌から選択される、態様45~60のいずれか一つの方法。
【0306】
他の態様
本明細書で引用されるありとあらゆる特許、特許出願、および刊行物の開示は、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。特定の態様を参照して本発明を開示してきたが、本発明の真の精神および範囲から逸脱することなく、本発明の他の態様および変形が当業者によって考案され得ることは明らかである。添付の特許請求の範囲は、全てのそのような態様および等価の変形を含むと解釈されることを意図している。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図4
図5
図6-1】
図6-2】
図6-3】
図7
図8A
図8B
図8C
図9A-1】
図9A-2】
図9B
図9C-1】
図9C-2】
図9D
図9E-1】
図9E-2】
図9F
図10A-1】
図10A-2】
図10B-1】
図10B-2】
図10C-1】
図10C-2】
図10D-1】
図10D-2】
【配列表】
2024534417000001.xml
【国際調査報告】