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特表2024-534419学習に基づくユーザーカスタマイズ型認知モデルを用いて、認知検査タスクを代わりに行う認知モデルに基づく認知状態評価システム
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  • 特表-学習に基づくユーザーカスタマイズ型認知モデルを用いて、認知検査タスクを代わりに行う認知モデルに基づく認知状態評価システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-20
(54)【発明の名称】学習に基づくユーザーカスタマイズ型認知モデルを用いて、認知検査タスクを代わりに行う認知モデルに基づく認知状態評価システム
(51)【国際特許分類】
   G16H 50/20 20180101AFI20240912BHJP
【FI】
G16H50/20
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024516792
(86)(22)【出願日】2022-09-27
(85)【翻訳文提出日】2024-03-13
(86)【国際出願番号】 KR2022014483
(87)【国際公開番号】W WO2023048548
(87)【国際公開日】2023-03-30
(31)【優先権主張番号】10-2021-0126845
(32)【優先日】2021-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524098156
【氏名又は名称】イモティブ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】EMOTIV CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】7th Floor, 8th Floor, 14 Teheran-ro 86-gil, Gangnam-gu, Seoul 06179 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ミン ジョンサン
(72)【発明者】
【氏名】キム ガヨン
(72)【発明者】
【氏名】キム ソンジン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ミンヨン
(72)【発明者】
【氏名】ジ ミンジョン
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA04
(57)【要約】
【課題】短い時間の間に提供される認知ゲームに関するユーザー端末の入力情報から、ゲームデータを取り出して認知状態診断のための学習に基づくユーザーカスタマイズ型認知モデルを構築し、ユーザーカスタマイズ型認知モデルに基づいて認知状態の診断に必要なタスクがユーザーカスタマイズ型認知モデルにおいて自動的に行われるように処理することにより、認知状態の診断にかかる時間及び疲労度を画期的に減縮し、様々な診断及び評価を行うことが可能になる認知状態評価システムを提供する。
【解決手段】ユーザーの認知ゲームアプリケーションに関する反応入力情報から、認知評価のための第1のゲームデータを取り出すステップと、認知タスクごとのゲームデータに対応して認知アーキテクチャーに基づく認知モデルが予め紐付け学習された人工知能学習に基づくユーザーカスタマイズ型認知モデルに、前記取り出された第1のゲームデータを適用して、前記ユーザーに対応するカスタマイズ型認知タスク遂行モデルを生成するカスタマイズ型タスク遂行モデル構成ステップと、前記カスタマイズ型認知タスク遂行モデルを用いて、認知評価項目ごとに選択された認知タスクの代替遂行結果を取得し、前記代替遂行結果に基づいて前記ユーザーの前記認知評価項目ごとの認知能力を評価する認知能力評価ステップと、を含む、認知状態評価装置の動作方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
認知状態評価装置の動作方法において、
ユーザーの認知ゲームアプリケーションに関する反応入力情報から、認知評価のための第1のゲームデータを取り出すステップと、
認知タスクごとのゲームデータに対応して認知アーキテクチャーに基づく認知モデルが予め紐付け学習された人工知能学習に基づくユーザーカスタマイズ型認知モデルに、前記取り出された第1のゲームデータを適用して、前記ユーザーに対応するカスタマイズ型認知タスク遂行モデルを生成するカスタマイズ型タスク遂行モデル構成ステップと、
前記カスタマイズ型認知タスク遂行モデルを用いて、認知評価項目ごとに選択された認知タスクの代替遂行結果を取得し、前記代替遂行結果に基づいて前記ユーザーの前記認知評価項目ごとの認知能力を評価する認知能力評価ステップと、
を含む、認知状態評価装置の動作方法。
【請求項2】
前記カスタマイズ型認知タスク遂行モデルは、
前記選択された認知タスクに対応する前記ユーザーの遂行時間、誤り率、正答率のうちの少なくとも1つを予測して、前記代替遂行結果を出力する仮想のタスク遂行モデルを含む、請求項1に記載の認知状態評価装置の動作方法。
【請求項3】
前記認知アーキテクチャーに基づく認知モデルは、思考の適応制御-理性(ACT-R:Adaptive Control of Thought Rational)アーキテクチャーに基づく認知モデルを含み、
前記認知評価項目は、前記ACT-Rモデルに対応する注意欠陥・多動性障害(ADHD;Attention-Defict/Hyperactivity Disorder)評価項目を含む、請求項1に記載の認知状態評価装置の動作方法。
【請求項4】
前記人工知能学習に基づくユーザーカスタマイズ型認知モデルは、
認知タスクごとのゲーム学習データをサポートベクターマシン(SVM:Support Vector Macnine)に変換して取得されたフィーチャー情報を、注意欠陥・多動性障害(ADHD)対象者グループ及び一般対象者グループに分類するグループ分類紐付け学習を行って構成され、
前記認知能力評価ステップは、前記グループ分類紐付け学習により構成された分類モデルに基づいて、前記ユーザーの注意欠陥・多動性障害(ADHD)項目評価スコアを算出するステップを含む、請求項3に記載の認知状態評価装置の動作方法。
【請求項5】
前記ユーザーのユーザー端末から、前記第1のゲームデータとは異なる追加のゲームデータを前記ユーザー端末からさらに受信して、前記カスタマイズ型認知タスク遂行モデルの正確度検証を行う正確度検証ステップをさらに含む、請求項1に記載の認知状態評価装置の動作方法。
【請求項6】
前記認知能力評価ステップは、
前記認知能力の評価による結果データを分析インターフェースにより構成して前記ユーザーに対応して予め登録された保護者端末に出力する結果データ処理ステップを含む、請求項1に記載の認知状態評価装置の動作方法。
【請求項7】
前記認知能力評価ステップは、
前記結果データに基づいて、予め設定されたしきい値以下であると評価された認知能力項目に対応する強化タスクを推奨する認知強化トラック推奨ステップをさらに含む、請求項1に記載の認知状態評価装置。
【請求項8】
前記認知ゲームアプリケーションは、予め設定された認知評価項目ごとのタスク変数モデルに対応して、段階的に構成された複数のゲームインターフェースアプリケーションを含み、
前記認知評価項目ごとのタスク変数モデルは、作業記憶力変数モデル、抑制力変数モデル、分割注意力変数モデル、柔軟性変数モデル、処理速度変数モデル、選択的注意力変数モデルのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の認知状態評価装置の動作方法。
【請求項9】
認知状態評価装置において、
ユーザーの認知ゲームアプリケーションに関する反応入力情報から、認知評価のための第1のゲームデータを取り出すゲームデータ処理部と、
認知タスクごとのゲームデータに対応して認知アーキテクチャーに基づく認知モデルが予め紐付け学習された人工知能学習に基づくユーザーカスタマイズ型認知モデルに、前記取り出された第1のゲームデータを適用して、前記ユーザーに対応するカスタマイズ型認知タスク遂行モデルを生成するカスタマイズ型タスク遂行モデル構成部と、
前記カスタマイズ型認知タスク遂行モデルを用いて、認知評価項目ごとに選択された認知タスクの代替遂行結果を取得し、前記代替遂行結果に基づいて前記ユーザーの前記認知評価項目ごとの認知能力を評価する認知能力評価部と、
を備える、認知状態評価装置。
【請求項10】
ユーザー端末装置の動作方法において、
認知評価項目ごとの予め設定された認知診断タスクに対応する認知ゲームアプリケーションを行うステップと、
前記認知ゲームアプリケーションに関する反応入力情報から、認知評価のための第1のゲームデータを取り出すステップと、
前記第1のゲームデータを認知状態評価装置に伝送するステップと、
を含み、
前記認知状態評価装置は、認知タスクごとのゲームデータに対応して認知アーキテクチャーに基づく認知モデルが予め紐付け学習された人工知能学習に基づくユーザーカスタマイズ型認知モデルに、前記取り出された第1のゲームデータを適用して、前記ユーザーに対応するカスタマイズ型認知タスク遂行モデルを生成し、前記カスタマイズ型認知タスク遂行モデルを用いて、認知評価項目ごとに選択された認知タスクの代替遂行結果を取得し、前記代替遂行結果に基づいて前記ユーザーの前記認知評価項目ごとの認知能力を評価する装置である、ユーザー端末装置の動作方法。
【請求項11】
前記認知ゲームアプリケーションは、予め設定された認知評価項目ごとのタスク変数モデルに対応して、段階的に構成された複数のゲームインターフェースアプリケーションを備え、
前記認知評価項目ごとのタスク変数モデルは、作業記憶力変数モデル、抑制力変数モデル、分割注意力変数モデル、柔軟性変数モデル、処理速度変数モデル、選択的注意力変数モデルのうちの少なくとも1つを含む、請求項10に記載のユーザー端末装置の動作方法。
【請求項12】
前記作業記憶力変数モデルに対応する前記ユーザーの反応入力情報は、順次に表示された一連の数字を逆順に入力する情報であり、
前記抑制力変数モデルに対応する前記ユーザーの反応入力情報は、ストループ(stroop)テスト問い合わせに対応するオブジェクト選択情報であり、
前記分割注意力変数モデルに対応する前記ユーザーの反応入力情報は、互いに異なる色を有する順次的数字入力選択情報であり、
前記柔軟性変数モデルに対応する前記ユーザーの反応入力情報は、カード分類基準提示語に適したカード選択情報であり、
前記処理速度変数モデルに対応する前記ユーザーの反応入力情報は、形状が異なる図形又は提示されたオブジェクトを選択するオブジェクト選択情報である、請求項11に記載のユーザー端末装置の動作方法。
【請求項13】
前記認知評価項目ごとのタスク変数モデルは、前記ユーザーの反応入力情報から算出される正答スコア及び正答所要時間情報に基づいて決定される、請求項12に記載のユーザー端末装置の動作方法。
【請求項14】
認知状態評価レポートの提供装置において、
ユーザー端末において認知評価項目ごとの予め設定された認知診断タスクに対応する認知ゲームアプリケーションが行われ、前記認知ゲームアプリケーションに関する反応入力情報から、認知評価のための第1のゲームデータが取り出されれば、前記第1のゲームデータに対応して、認知状態評価装置から分析結果インターフェース情報を受信する通信部と、
前記分析結果インターフェース情報に基づく認知状態評価レポートを出力する出力部と、
を備え、
前記認知状態評価装置は、認知タスクごとのゲームデータに対応して認知アーキテクチャーに基づく認知モデルが予め紐付け学習された人工知能学習に基づくユーザーカスタマイズ型認知モデルに、前記取り出された第1のゲームデータを適用して、前記ユーザーに対応するカスタマイズ型認知タスク遂行モデルを生成し、前記カスタマイズ型認知タスク遂行モデルを用いて、認知評価項目ごとに選択された認知タスクの代替遂行結果を取得し、前記代替遂行結果に基づいて前記ユーザーの前記認知評価項目ごとの認知能力を評価し、前記評価結果に基づいて前記分析結果インターフェース情報を生成する装置である、認知状態評価レポートの提供装置。
【請求項15】
前記出力部は、前記分析結果インターフェース情報を多角形のスパイダーマップの形態に構成した前記レポートを出力する、請求項14に記載の認知状態評価レポートの提供装置。
【請求項16】
前記出力部は、
学習に基づいて算出された成長回帰方程式に基づいて、前記ユーザーカスタマイズ型認知モデルに対応する一定期間以内の認知項目ごとの認知能力成長予測データを出力する、請求項14に記載の認知状態評価レポートの提供装置。
【請求項17】
前記出力部は、
前記分析結果インターフェース中の予め設定された認知状態項目がしきい値以下である場合、しきい値以下である前記認知状態項目の能力を強化可能な強化タスクから構成された強化推奨トラック情報を前記認知状態評価装置から受信して出力する、請求項14に記載の認知状態評価レポートの提供装置。
【請求項18】
前記強化推奨トラック情報は、前記強化タスクに対応して段階的に構成された1つ以上のゲーム情報を含む、請求項17に記載の認知状態評価レポートの提供装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、認知状態評価装置及びその動作方法に関する。より具体的には、本発明は、学習に基づくユーザーカスタマイズ型認知モデルを用いて、認知検査タスクを代わりに行う認知モデルに基づく認知状態評価システムに関する。
【背景技術】
【0002】
親が認知発達状態について詳しく知っていれば、子供に適切に対応可能な能力が強化されるので、親に児童に関する情報を提供することは問題をさらに解決し易くし、親の決定に確信を与えることができ、子供が育つことにつれて必要とされる要求事項に対してさらに敏感に反応することを可能にする。
【0003】
この理由から、親たちは、子供の発達状態を把握するために親子一緒に専門診断機関に訪問して、子供が医学的検査、標準化検査(例えば、社会成熟度検査、KEDI-WISC、ポーテージ認知発達検査など)、非形式的検査、観察、問診票の作成、面談などを受けるようにしている。
【0004】
また、認知症に悩んでいるお年寄りやうつ病などが予想される場合であっても、このような専門診断機関に訪問して様々な認知検査を行っている。
【0005】
しかしながら、従来の診断方法は、数多くの問診検査とタスク(task)を行うため、少なくとも2時間以上の時間がかかっており、児童やお年寄りなどの診断の対象が診断それ自体を拒んだり、疲労を感じて正常に問診やタスクを行うことができないという問題が生じる恐れがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記のような課題を解決するために案出されたものであって、短い時間の間に提供される認知ゲームに関するユーザー端末の入力情報から、ゲームデータを取り出して認知状態診断のための学習に基づくユーザーカスタマイズ型認知モデルを構築し、ユーザーカスタマイズ型認知モデルに基づいて認知状態の診断に必要なタスクがユーザーカスタマイズ型認知モデルにおいて自動的に行われるように処理することにより、認知状態の診断にかかる時間及び疲労度を画期的に減縮し、様々な診断及び評価を行うことが可能になる認知状態評価システムを提供することにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記のような課題を解決するための本発明の実施形態に係る装置は、認知状態評価装置において、ユーザーの認知ゲームアプリケーションに関する反応入力情報から、認知評価のための第1のゲームデータを取り出すゲームデータ処理部と、認知タスクごとのゲームデータに対応して認知アーキテクチャーに基づく認知モデルが予め紐付け学習された人工知能学習に基づくユーザーカスタマイズ型認知モデルに、前記取り出された第1のゲームデータを適用して、前記ユーザーに対応するカスタマイズ型認知タスク遂行モデルを生成するカスタマイズ型タスク遂行モデル構成部と、前記カスタマイズ型認知タスク遂行モデルを用いて、認知評価項目ごとに選択された認知タスクの代替遂行結果を取得し、前記代替遂行結果に基づいて前記ユーザーの前記認知評価項目ごとの認知能力を評価する認知能力評価部と、を備える。
【0008】
また、上記のような課題を解決するための本発明の実施形態に係る方法は、認知状態評価装置の動作方法において、ユーザーの認知ゲームアプリケーションに関する反応入力情報から、認知評価のための第1のゲームデータを取り出すステップと、認知タスクごとのゲームデータに対応して認知アーキテクチャーに基づく認知モデルが予め紐付け学習された人工知能学習に基づくユーザーカスタマイズ型認知モデルに、前記取り出された第1のゲームデータを適用して、前記ユーザーに対応するカスタマイズ型認知タスク遂行モデルを生成するカスタマイズ型タスク遂行モデル構成ステップと、前記カスタマイズ型認知タスク遂行モデルを用いて、認知評価項目ごとに選択された認知タスクの代替遂行結果を取得し、前記代替遂行結果に基づいて前記ユーザーの前記認知評価項目ごとの認知能力を評価する認知能力評価ステップと、を含む。
【0009】
また、上記のような課題を解決するための本発明の実施形態に係る方法は、前記方法をコンピューターにて実行するためのコンピューターにて読み取り可能な記録媒体及びコンピュータープログラムにより実現され得る。
【発明の効果】
【0010】
本発明の実施形態によれば、短い時間の間に提供される認知ゲームに関するユーザー端末の入力情報から、ゲームデータを取り出して認知状態診断のための学習に基づくユーザーカスタマイズ型認知モデルを構築し、ユーザーカスタマイズ型認知モデルに基づいて認知状態の診断に必要なタスクがユーザーカスタマイズ型認知モデルにおいて自動的に行われるように処理することにより、認知状態の診断にかかる時間及び疲労度を画期的に減縮し、様々な診断及び評価を行うことが可能になる認知状態評価装置及びその動作方法を提供することができる。
【0011】
これにより、本発明の実施形態によれば、認知モデリングを用いた個人カスタマイズ型診断及び評価を行うことで、教育、医療などに活用可能であり、既存に約2時間ほどかかっていたADHD検査などの様々な問診検査を簡単かつ短いゲームに基づくカジュアルな形態で進めることができる。
【0012】
また、本発明の実施形態によれば、認知状態に対する自己診断も行うことが可能になって、認知健康状態のモニタリング及び速やかな病因への来訪、並びに治療につながる認知健康づくりの効果をも図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の全体のシステムを概略的に示す概念図である。
図2】本発明の実施形態に係る認知状態評価装置をより具体的に示すブロック図である。
図3】本発明の実施形態に係る認知アーキテクチャーの構成のための変数モデリングデータを図式化した図である。
図4】本発明の実施形態に係るタスクモデル変数の算出のためのゲームアプリケーションごとの動作を説明するための図である。
図5】本発明の全体のシステム動作を具体的に説明するためのラダーダイアグラムである。
図6-7】本発明の実施形態により、保護者端末から出力されるレポートインターフェースを例示的に説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下の内容は、単に本発明の原理を例示する。そのため、当業者であれば、たとえ本明細書に明らかに説明されたり図示されたりしていないものの、本発明の原理を実現し、本発明の概念と範囲に含まれている種々の装置と方法を発明することができるのである。なお、本明細書に列挙されたすべての条件付き用語及び実施形態は、原則として、本発明の概念が理解されるようにするための目的にしか明らかに意図されず、このように特別に列挙された実施形態及び状態に制限的ではないものと理解されるべきである。
【0015】
また、本発明の原理、観点及び実施形態だけではなく、特定の実施形態を列挙するすべての詳細な説明は、このような事項の構造的及び機能的な均等物を含むように意図されるものであると理解されるべきである。なお、これらの均等物は、現在公知となっている均等物だけではなく、将来に開発されるべき均等物、すなわち、構造とは無関係に同一の機能を行うように発明されたあらゆる素子を網羅するものであると理解されるべきである。
【0016】
よって、例えば、本明細書のブロック図は、本発明の原理を具体化させる例示的な回路の概念的な観点を示すものであると理解されるべきである。これと同様に、すべてのフローチャート、状態変換図、擬似コードなどは、コンピューターにて読み取り可能な媒体に実質的に示すことができ、コンピューターまたはプロセッサーが明らかに示されているか否かを問わずに、コンピューターまたはプロセッサーにより行われる様々なプロセスを示すものであると理解されるべきである。
【0017】
プロセッサー又はこれと略同一の概念により示された機能ブロックを備える図面に示された様々な素子の機能は、専用ハードウェアのみならず、適切なソフトウェアと関連してソフトウェアを起動する能力を有するハードウェアの使用により提供され得る。プロセッサーにより提供されるとき、前記機能は、単一専用プロセッサー、単一共有プロセッサー又は複数の個別的なプロセッサーにより提供可能であり、これらのうちの一部は、共有可能である。
【0018】
また、プロセッサー、制御またはこれと略同一の概念として提示される用語の明確な使用は、ソフトウェアを実行する能力をもったハードウェアを排他的に引用して解釈されてはならず、制限なしにデジタル信号プロセッサー(DSP)ハードウェア、ソフトウェアを記憶するための読み込み専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)及び不揮発性メモリを暗示的に含むものであると理解されるべきである。周知慣用の他のハードウェアもまた含まれ得る。
【0019】
この明細書中の特許請求の範囲において、詳細な説明の欄に記載の機能を行うための手段として表現された構成要素は、例えば、前記機能を行う回路素子の組み合わせ又はファームウェア/マイクロコードなどを含むあらゆる形式のソフトウェアを含む機能を行うあらゆる方法を含むものとして意図されており、前記機能を行うように前記ソフトウェアを起動するための適切な回路と結合される。このような特許請求の範囲により定義される本発明は、様々に列挙された手段により提供される機能が結合され、請求項が要求する方式と結合されるため、前記機能を提供可能ないかなる手段もこの明細書から把握されるものと均等なものであると理解されるべきである。
【0020】
上述した目的、特徴及びメリットは、添付図面と結び付けて行われる以下の詳細な説明からなお一層明らかになる筈であり、それにより、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者が本発明の技術的思想を容易に実施することができる筈である。なお、本発明を説明するに当たって、本発明と関わる公知の技術についての具体的な説明が本発明の要旨をかえって曖昧にする恐れがあると認められる場合にはその詳細な説明を省略する。
【0021】
以下、添付図面に基づいて、本発明による好適な一実施形態について詳しく説明する。
【0022】
図1は、本発明の実施形態に係る全体のシステムを概略的に示す概念図である。
【0023】
本発明の一実施形態に係る全体のシステムは、認知状態評価装置100、ユーザー端末200、保護者端末400及び学習ベースのユーザーカスタマイズ型認知モデル300を備える。
【0024】
認知状態評価装置100は、本発明の実施形態に係る認知状態の診断及び評価サービスの提供のために、各ユーザー端末200、保護者端末400、学習ベースのユーザーカスタマイズ型認知モデル300と有/無線ネットワークを介して結ばれ得、相互間の通信を行うことができる。
【0025】
ここで、前記各ネットワークは、近距離通信網(Local Area Network;LAN)、広域通信網(Wide Area Network;WAN)、付加価値通信(Value Added Network;VAN)、個人近距離無線通信(Personal Area Network;PAN)、移動通信網(mobile radio communication network)又は衛星通信網などのあらゆる種類の有/無線ネットワークにより実現され得る。
【0026】
そして、ユーザー端末200及び保護者端末400は、パソコン、携帯電話、スマートフォン(smart phone)、スマートパッド(smart pad)、ノート型パソコン(laptop computer)、個人向けの情報端末(PDA;Personal Digital Assistants)、ポータブルメディアプレイヤー(PMP:Portable Media Player)のうちのいずれか1つの個別的な機器、又は特定の場所に設置されるキオスク又は据え置き型ディスプレイ装置のような共用化したデバイスのうちの少なくとも1つのマルチデバイスであってもよい。
【0027】
まず、ユーザー端末200は、保護者端末400とともに認知状態評価装置100に予め登録された端末であって、認知評価の対象者の端末装置であり得る。そして、ユーザー端末200は、認知評価項目に応じて、認知状態評価装置100から提供された認知ゲームを出力し、認知ゲームに対応するユーザー反応データの入力を受けて認知状態評価装置100に引き渡すことができる。
【0028】
このようなシステム構成において、認知状態評価装置100は、学習ベースのユーザーカスタマイズ型認知モデル300を予め構築することができる。認知状態評価装置100は、認知ゲームに対応するユーザー反応データから取り出される認知ゲームデータと、学習対象者に対応して診断されていた過去の認知状態データを比較学習して、学習ベースのユーザーカスタマイズ型認知モデル300を構築することができる。学習には、例えば、畳み込みニューラル ネットワーク(CNN:Convolutional Neural Network)、ディープニューラルネットワーク(DNN:Deep Neural Network)、回帰型ニューラルネットワーク(RNN:Recurrent Neural Network)、長・短期記憶(LSTM:Long Short-Term Memory)などの様々なディープラーニング学習が挙げられ、回帰分析などの分析方式や統計的な関係分析方式をも利用可能である。
【0029】
より具体的には、認知状態評価装置100は、認知タスクごとのゲームデータに対応して認知アーキテクチャーに基づく認知モデルが予め紐付け学習された人工知能学習に基づくユーザーカスタマイズ型認知モデルを予め構築することができる。
【0030】
ここで、このような認知アーキテクチャーに基づく認知モデルは、周知のACT-R(Adaptive Control of Thought Rational)アーキテクチャーに基づく認知モデルを含み得、前記認知評価項目は、前記ACT-Rモデルに対応する注意欠陥・多動性障害(ADHD:Attention-Defict/Hyperactivity Disorder)評価項目を含み得るため、ゲームデータに基づくADHDに対応する認知項目の評価を可能にする。
【0031】
このために、認知状態評価装置100は、まず、ユーザーの認知ゲームアプリケーションに関する反応入力情報から、認知評価のための第1のゲームデータを取り出し、前記取り出された第1のゲームデータを、前記学習ベースのユーザーカスタマイズ型認知モデル300に適用して、前記ユーザーに対応するカスタマイズ型認知タスク遂行モデルを生成し、前記カスタマイズ型認知タスク遂行モデルを用いて、認知評価項目ごとに選択された認知タスクの代替遂行結果を取得し、前記代替遂行結果に基づいて前記ユーザーの前記認知評価項目ごとの認知能力を評価することができる。
【0032】
ここで、前記タスク遂行モデルは、ゲームデータ入力から、学習ベースのユーザーカスタマイズ型認知モデル300を用いてユーザーの認知状態を予測して生成されたタスク自動遂行モデルであって、既存のADHDなどの認知状態の診断のために約2時間ほどかかっていた一連の様々な問診及びタスクを、別途のユーザー入力なしでも自動的に代わりに行うようにするモデルであってもよい。
【0033】
すなわち、タスク遂行モデルは、認知評価のためのタスクを、前記ゲームデータにより構築されたユーザーカスタマイズ型認知モデルが行ったときに予測される結果データを出力するモデルであって、これは、各タスクごとの予め設定された評価基準などにより予測され得る。例えば、ユーザーカスタマイズ型認知モデルの反応速度変数が0.5である場合、タスク遂行モデルは、反応速度変数が0.5である状態で認知評価タスクを行った場合に予測される結果を、前記代替遂行結果として出力することができるのである。
【0034】
したがって、本発明の実施形態に係る認知ゲームアプリケーションは、このようなタスク遂行モデルの生成のための反応変数を収集できるように構成され得る。そして、認知状態評価装置100は、このような反応変数を種類ごとにそれぞれゲームデータから取り出すことができ、このために、予め段階的に構成された認知ゲームアプリケーションをユーザー端末200に与えることができる。
【0035】
このような認知ゲームアプリケーションには、短い時間の間に遂行可能な認知ゲームが含まれ得、認知状態の診断及び評価に用いられる認知変数などを取り出すための様々なタスクが順次又は同時に並列的に行われる認知ゲームを含み得る。
【0036】
一方、ユーザー端末200からは、このようにして構成された認知ゲームアプリケーションが出力され得、対象者は、ゲームを行うためのユーザー反応入力をユーザー端末200に入力する。ユーザー端末200は、入力されたユーザー反応入力情報を加工して、認知状態評価装置100に引き渡すことができる。
【0037】
そして、認知状態評価装置100は、ユーザー反応入力情報から取り出される認知ゲームデータを用いて、学習ベースのユーザーカスタマイズ型認知モデル300に適用することにより、ユーザーカスタマイズ型認知モデルを生成し、ユーザーカスタマイズ型認知モデルに対応するカスタマイズ型タスク遂行モデルを生成することができる。
【0038】
これにより、認知状態評価装置100は、カスタマイズ型タスク遂行モデルに、人間が自ら認知状態を評価するために構成されていた既存のタスクをデジタル化させて入力することにより、カスタマイズ型タスク遂行モデルの代替駆動によるユーザーごとの認知状態の診断結果データを取得することができ、取得された結果データに基づく適切な診断及び評価情報が速やかに処理されてユーザー端末200及び保護者端末400や、又は別途の機関に与えられることが可能になる。
【0039】
図2は、本発明の実施形態に係る認知状態評価装置をより具体的に説明するためのブロック図である。
【0040】
本発明の実施形態に係る認知状態評価装置100は、認知モデル生成部110、認知能力評価部120及びカスタマイズ型タスク遂行モデル構成部130を備えていてもよいし、学習ベースのユーザーカスタマイズ型認知モデル300は、前記認知状態評価装置100に接続されてもよいし、あるいは、認知状態評価装置100に含まれていてもよいし、あるいは、外部サーバーなどに予め構築されていてもよい。
【0041】
まず、認知モデル生成部110は、認知アーキテクチャー構成部111、ゲームデータ処理部112、ユーザー端末入力情報処理部113、認知モデル学習モデリング部114を備える。
【0042】
まず、認知アーキテクチャー構成部111は、ゲームアプリケーションのゲームデータから認知状態の評価及び診断のための変数を取り出すために、予め構築された認知変数のアーキテクチャーデータを格納及び管理する。
【0043】
そして、ユーザー端末入力情報処理部113に入力されたユーザーの入力情報は、ゲームデータ処理部112において認知変数として処理されて、認知モデル学習モデリング部114に与えられる。
【0044】
そして、認知モデル学習モデリング部114は、ゲームデータ処理部の認知変数を学習ベースのユーザーカスタマイズ型認知モデル300に入力して、カスタマイズ型タスク遂行モデルを構築する。
【0045】
より具体的には、例えば、認知アーキテクチャー構成部は、人間の認知/行動過程を論理的に構成するために、周知のACT-R(Adaptive Control of Thought Rational)アーキテクチャーに基づく認知モデルを用いて、予め設定されたモジュールとバッファーに合うように構成された条件-実行文に基づく認知モデルアーキテクチャーを構成することができ、ゲームデータ処理部112は、認知モデルアーキテクチャーの各条件-実行文を予め設定されたゲームデータにマッピングする処理を行うことができる。
【0046】
そして、認知モデル学習モデリング部は、ゲームデータ処理部112のアーキテクチャーマッピングデータと、ユーザー端末入力情報処理部113の入力情報から、ユーザーがN個のゲームを行った結果データから取得される作業記憶力、注意力、認知的柔軟性、抑制力、処理速度などに関連する認知モデル変数を取り出し、取り出された認知モデル変数を学習ベースのユーザーカスタマイズ型認知モデル300に適用して、ユーザーカスタマイズ型に個人化した認知モデルを構成することができる。
【0047】
そして、カスタマイズ型タスク遂行モデル構成部130は、このような個人化した認知モデルを用いて、認知評価項目ごとに選択された認知タスクを代わりに行うことが可能なタスクカスタマイズ型認知タスク遂行モデルを構成することができる。
【0048】
このために、カスタマイズ型タスク遂行モデル構成部130は、前述したACT-Rに基づく基本的なタスク遂行モデルアーキテクチャーを構成するが、前記個人化した認知モデルごとの変数を適用して、タスクが入力されれば、各ユーザーの遂行時間、誤り率、ミッション成功率、正答率、連続成功率などを繰り返し測定できるように構成された仮想のタスク遂行モデルを生成することができる。
【0049】
カスタマイズ型タスク遂行モデル構成部130は、このようなタスク遂行モデルを個別的に生成し、その正確度の検証のためにモデリングに活用されなかったN+1番目以降のゲームデータをユーザー端末200からさらに受信することができる。
【0050】
このようなN+1番目以降のゲームデータは、認知能力評価部120の正確度検証部127に引き渡され得る。正確度検証部127は、遂行時間、エラー率、レイテンシー(Latency)などを基準とする比較評価に基づいて、モデル予測情報の誤差を比較検出し、誤差がしきい値以上である場合、追加のゲームの遂行を決定してユーザー端末200に報知を提供することもできる。このようなモデルの自己学習を通じて、カスタマイズ型タスク遂行モデル構成部130は、カスタマイズ型タスクを自動的に代わりに行うためのユーザー複製認知モデルをより一層正確に生成することができる。
【0051】
そして、認知能力評価部120においては、カスタマイズ型タスク遂行モデルを用いて、認知モデルに基づくタスクを自動的に行わせる認知モデルに基づくタスク代替遂行部121を備える。
【0052】
ここで、タスクは、それぞれの診断目的や対象に応じて代替して構成可能な診断や問診タスクを含み得、認知状態評価装置100には、タスクをADHD状態の評価などのそれぞれの目的やユーザー分類に基づいて選択・構成するタスク選択部122がさらに備えられ得る。
【0053】
そして、認知状態評価装置100は、結果データを処理する結果データ処理部を備え、結果データは、クラウド接続部を介して保護者やユーザー端末200に与えられるか、あるいは、インターフェース出力部125を介して保護者端末400の画面の上に出力するか、あるいは、認知強化トラック推奨部126に与えられて、認知状態診断結果に対応する認知強化プロセスが保護者端末400に与えられて出力されるように処理されてもよい。
【0054】
より具体的には、認知能力評価部120は、認知モデルに基づくタスク代替遂行部121を用いて、カスタマイズ型タスク遂行モデルの代替遂行に基づいて実際にユーザーが進めるべき様々な課題を代わりに行うようにし、ユーザーカスタマイズ型に学習され、かつ複製された遂行能力(ミッションをどれくらい行うか、エラーはどれくらい起きたか、どのようなターゲットを頻繁に逃していたかなど)を基準とするM回以上の様々なタスクを行うようにすることができる。
【0055】
結果データ処理部124は、遂行結果データを構成するために予め設定された基準又は予め定義されたアルゴリズムに基づいて、定量化を行うことができる。
【0056】
そして、インターフェース出力部125は、定量化した遂行結果データを用いて、分析結果インターフェースを構成し、構成された分析結果インターフェースを備えるレポートデータが保護者端末400に与えられてもよい。
【0057】
これにより、保護者端末400においては、様々な形態のインターフェースを介してユーザーの認知状態評価情報を与えることができる。例えば、分析結果インターフェースは、五角形のスパイダーマップの形態でレポートされてもよいし、あるいは、追加的に分析された情報は定性的なデータとして出力されてもよい。
【0058】
さらに、結果データ処理部124は、既存まで行った情報を踏まえて今後の2週間以内のデータを統計的な分析を用いて予測し、予測されたデータをユーザー端末200に与えることもできる。このために、結果データ処理部124は、認知モデルと学習による成長回帰方程式を算出し、2週間以内の予測データを生成する分析処理を行うことができる。
【0059】
また、認知強化トラック推奨部126は、予め設定された認知状態項目がしきい値以下である場合に、しきい値以下である項目の能力を強化可能な強化タスクから構成された強化トラックを推奨トラックとして構成し、構成された推奨トラックを保護者端末400又はユーザー端末200に与える推奨プロセスを行うことができる。
【0060】
ここで、前記推奨トラック情報は、ユーザー端末200又は保護者端末400に与えられてもよく、推奨トラック情報は、段階的に構成された1つ以上のゲーム情報を含み得る。ここで、推奨される各ゲームは、認知能力を総合的に向上させるタスクを含み得、特に、足りないと予測される前記しきい値以下である項目をさらに強く集中的に強化させるタスクを含み得る。
【0061】
このような一連のプロセスのために、すべてのRAWデータ(未加工データ)は、ユーザー端末200において1次的に格納された後に加工されて認知状態評価装置100に与えられてもよく、取りまとめられたデータは、クラウド接続部123を介してクラウドサーバーに格納され、最終的に取りまとめられたデータは、ユーザー端末200又は保護者端末400に与えられてもよい。
【0062】
このようなシステムの構築を行うことで、認知モデリングを用いた個人カスタマイズ型診断/評価が速やかにかつ手軽に進められることができ、これは、教育、医療(治療)などに活用可能であり、特に、既存の約2時間近くに進められることを余儀なくされていた児童ADHDの検査などをさらにカジュアルにかつ速やかに処理することができる。
【0063】
また、韓国内の潜在的な児童ADHDの90%が医療機関を訪れて受診していないのが現状であるが、この認知状態評価装置100を利用すると、簡単な自己診断後に受診し易くなるという効果を奏することができ、これは、児童診断のみならず、自閉症、うつ病、認知症などの一般の認知の診断にも活用可能であるという利点がある。
【0064】
図3は、本発明の実施形態に係る認知アーキテクチャーの構成のための変数モデリングデータを図式化させた図である。
【0065】
図3を参照すると、認知モデル学習モデリング部114は、認知学習モデルに基づいて、各タスクを行うようにするタスク変数モデリング部1141、認知モデル変数モデリング部1143、フィーチャー変数モデリング部1145及びスコアリング変数モデリング部1147を備える。
【0066】
タスク変数モデリング部1141は、各ゲームデータから取り出されるタスクごとのユーザー入力結果を、認知能力を評価するための認知タスク遂行用のモデル変数としてモデリングする処理を行うことができる。
【0067】
そして、認知モデル変数モデリング部1143は、認知モデルを構成するために、認知アーキテクチャーに基づいて取得される学習変数を設定するモデリングを行うことができる。
【0068】
ここで、認知アーキテクチャーとしては、ACT-Rモデルが挙げられるが、ACT-Rの場合、人間の頭脳の色々な役割を8個のモジュール(modules)においてそれぞれ分けて担当するように構成され、各モジュールと中央処理装置の役割を果たす生産システム(production system)は、バッファー(buffer)を介して認知過程に関する情報、すなわち、チャンクを互いにやり取りするように構成される。このとき、たとえバッファーにおいては、一回につき1個のチャンクのみを順次に格納しかつ処理することができるが、各モジュールは、複数の情報を同時に検索したり格納したりすることができ、生産システム(production system)においては、複数の生産ルールに準拠するタスクを同時にかつ並列的に比較処理するように構成され得る。
【0069】
したがって、認知モデル変数モデリング部1143は、このような認知アーキテクチャーにより予め設定されたバッファー及びシステム構造をデータ化させ、個人化した認知モデルの構成のための学習変数を選択調整することができる。
【0070】
そして、フィーチャー変数モデリング部1145は、認知モデル変数モデリング部1143においてモデリングされた変数のうち、ゲームデータに基づくタスクの代替遂行に有用なフィーチャー変数を取り出すモデリングを処理することができる。ここで、フィーチャー情報は、周知のサポートベクターマシン(SVM)方式などを用いて取り出される変数であってもよく、1次フィーチャー情報として、例えば、学習のための活性化関数、ベースレベル活性値、認知正確度、認知遅延時間などが挙げられ、2次フィーチャー情報としては、1次フィーチャー情報の最小値、最大値、平均、標準偏差、分散などが挙げられる。
【0071】
また、スコアリング変数モデリング部1147は、個人に対応する認知スクリーニング及び認知評価点数を算出可能なアルゴリズム及びスコアリング変数をモデリングすることができるが、これは、先に設定されたタスク変数、認知モデル変数、フィーチャー変数を用いて算出される、1つ以上の認知評価項目ごとの評価関数に対応する変数の調整により処理されてもよい。
【0072】
図4は、本発明の実施形態に係るタスクモデル変数の算出のためのゲームアプリケーションごとの動作を説明するための図である。
【0073】
図4を参照すると、本発明の実施形態に係るゲームデータから算出されるタスクモデル変数としては、大きく、作業記憶力変数モデル、抑制力変数モデル、分割注意力変数モデル、柔軟性変数モデル、処理速度変数モデルが挙げられる。但し、これは単なる例示であるため、追加の変数モデルがさらに含まれ得るということはいうまでもない。
【0074】
まず、作業記憶力変数モデルは、他の感覚器官から入ってくる情報を頭の中に記憶し、一定の短い時間内に情報を再び引き出し可能な能力を示すものであって、これによるゲームアプリケーションは、一連の数字を順次に表示することができ、ユーザーは、順次に表示された一連の数字を逆順に入力する反応データを入力することができる。そして、モデル変数においては、正答スコア、正答所要時間などがその変数として活用可能であり、結果的に、作業記憶力変数としてカスタマイズ型認知評価タスク遂行モデルに反映可能である。
【0075】
また、抑制力変数モデルは、外部の環境や個体の内部からの多くの刺激のうちの特定の刺激のみを明らかに認知したり、特定の刺激にのみ反応したりする選択的/集中的な活動及び状態能力を示すものであって、これによるゲームアプリケーションとしては、周知のストループ(STROOP)テストなどが挙げられる。ストループテストは、単語又はオブジェクトの表示色合いと、その単語又はオブジェクトが示す意味合いが互いに異なる単語又はオブジェクトを並べ、特定の色合い又はオブジェクトのみを選択するように表示して、選択的/集中的な活動能力をチェックすることができる。ユーザーは、テスト問い合わせに対応するオブジェクトを選択する反応データを入力することができる。そして、モデル変数においては、一致刺激情報、不一致刺激情報、総合刺激情報などがその変数として活用可能であり、結果的に、抑制力変数としてカスタマイズ型認知評価タスク遂行モデルに反映可能である。
【0076】
そして、分割注意力変数モデルは、同時に2種類の互いに異なる刺激に反応しながら、周辺環境の様々な要求に反応可能な能力を示し、2種類のタスクを同時に進められるか否かを示す。これによるゲームアプリケーションは、互いに異なる色合いを有する順次的な数字を表示するアプリケーションであって、ユーザーは、互いに異なる色合いを有する順次的な数字を選択して、反応データとして入力することができる。そして、モデル変数においては、正答スコア及び正答所要時間などがその変数として活用可能であり、結果的に、分割注意力変数としてカスタマイズ型認知評価タスク遂行モデルに反映可能である。
【0077】
そして、柔軟性変数モデルは、外部の環境及びルールの変化につれて適切に思考と行動を転換する精神的な能力を示し、求められる変化に合うように思考の転換を行う能力を示す。これによるゲームアプリケーションは、カード分類基準提示語に適したカードを選択するアプリケーションであって、ユーザーは、基準提示語に応じた適切なカードを選択して、反応データとして入力することができる。そして、モデル変数においては、正答スコア、連続正答スコア及び正答所要時間などがその変数として活用可能であり、結果的に、柔軟性変数としてカスタマイズ型認知評価タスク遂行モデルに反映可能である。
【0078】
また、処理速度変数モデルは、刺激を受けて反応する時間及び認識情報が視覚的であるか、聴覚的であるか、運動的であるかなどを理解し、かつ反応可能な速度を示す。これによるゲームアプリケーションは、問い合わせによる図形又はオブジェクトを選択するアプリケーションであって、ユーザーは、形状が異なる図形や提示された形状の図形を選択して、反応データとして入力することができる。そして、モデル変数においては、正答スコア及び正答所要時間などがその変数として活用可能であり、結果的に、処理速度変数としてカスタマイズ型認知評価タスク遂行モデルに反映可能である。
【0079】
図5は、本発明の全体のシステム動作を具体的に説明するためのラダーダイアグラムである。
【0080】
図5を参照すると、本発明の実施形態に係る認知状態評価装置100は、まず、認知評価項目ごとのタスクを基にする認知アーキテクチャーデータ及び初期の認知モデルを構成する(S1001)。
【0081】
そして、認知状態評価装置100は、ユーザー端末200及び保護者端末400のユーザー情報を登録する(S1003)。ここで、ユーザー情報としては、端末識別情報、ユーザーアカウント情報、電話番号情報、家族関係情報などが挙げられる。
【0082】
この後、ユーザー端末200は、認知状態評価装置100から認知評価項目情報の提供を受けて(S1004)、認知評価項目ごとの予め設定された認知診断タスクに対応する1つ以上のゲームを行う(S1005)。
【0083】
そして、ユーザー端末200は、ユーザー入力データに基づくモデル変数を構成し(S1007)、構成されたゲームデータ及びモデル変数情報は、認知状態評価装置100に引き渡される(S1009)。ここで、前記ステップS1007は、認知状態評価装置100においても行われ得る。
【0084】
この後、認知状態評価装置100は、学習に基づく個人化した認知モデルモデリングを行い(S1011)、個人化した認知モデルを用いたカスタマイズ型タスク遂行モデルを構成し(S1013)、カスタマイズ型タスク遂行モデルを用いて、認知評価項目ごとの選択されたタスクの代替遂行結果を取得する(S1015)。
【0085】
そして、認知状態評価装置100は、前記代替遂行結果データを用いて、認知評価項目ごとの分析結果インターフェースを構成し(S1017)、認知評価項目ごとの分析結果インターフェースを保護者端末400に与える(S1019)。
【0086】
この後、保護者端末400からは分析結果レポートが出力可能であり(S1021)、認知状態評価装置100は、分析結果に基づく認知強化トラック推奨情報を保護者端末400に与えることができる(S1023)。
【0087】
図6及び図7は、本発明の実施形態により、保護者端末から出力されるレポートインターフェースを例示的に説明するための図である。
【0088】
まず、図6を参照すると、分析結果インターフェースにおいては、ユーザーの結果データを基準とする認知状態を数値化させて出力することができ、付加情報として足りない要素を補強するための強化ゲームと、周辺病院情報などが出力されてもよい。
【0089】
また、図7を参照すると、評価インターフェースにおいては、ユーザーの結果データを基準変数に基づく五角形グラフに加工して出力することができ、一定の期間(2週間)の間の変化に追随し、変化を予測して出力することができる。また、強化ゲームにより変化された数値などを確認することができるので、ユーザーが自分の認知状態を手軽にモニタリングしかつ補完できるようにする機能を提供することができる。
【0090】
上述した本発明に係る方法は、コンピューターにおいて起動されるためのプログラムとして製作されてコンピューターにて読取り可能な記録媒体に格納可能であり、コンピューターにて読取り可能な記録媒体の例としては、読み出し専用メモリ(ROM:read-only memory)、ランダムアクセスメモリ(RAM:random access memory)、コンパクトディスク(CD)による読み出し専用メモリ(CD-ROM)、磁気テープ、フロッピーディスク、光学データ格納装置などがあげられる。
【0091】
コンピューターにて読取り可能な記録媒体は、ネットワークにより結ばれたコンピューターシステムに分散されて、分散方式によりコンピューターにて読取り可能なコードが記憶されかつ実行され得る。そして、前記方法を実現するための機能的な(function)プログラム、コード及びコードセグメントは、本発明が属する技術分野におけるプログラマーにより容易に推論可能である。
【0092】
また、以上においては、本発明の好適な実施形態について図示及び説明したが、本発明は、上述した特定の実施形態に何ら限定されるものではなく、特許請求の範囲において請求する本発明の要旨から逸脱することなく、当該発明が属する技術分野において通常の知識を有する者により種々の変形実施が可能であるということはいうまでもなく、これらの変形された実施形態は、本発明の技術的思想や見通しから個別的に理解されてはならない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】