IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ キューイーディー テクノロジーズ インターナショナル,エルエルシーの特許一覧

特表2024-534422材料除去部の差分計測のための偏向測定デバイス
<>
  • 特表-材料除去部の差分計測のための偏向測定デバイス 図1
  • 特表-材料除去部の差分計測のための偏向測定デバイス 図2
  • 特表-材料除去部の差分計測のための偏向測定デバイス 図3
  • 特表-材料除去部の差分計測のための偏向測定デバイス 図4a
  • 特表-材料除去部の差分計測のための偏向測定デバイス 図4b
  • 特表-材料除去部の差分計測のための偏向測定デバイス 図5
  • 特表-材料除去部の差分計測のための偏向測定デバイス 図6
  • 特表-材料除去部の差分計測のための偏向測定デバイス 図7a
  • 特表-材料除去部の差分計測のための偏向測定デバイス 図7b
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-20
(54)【発明の名称】材料除去部の差分計測のための偏向測定デバイス
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/22 20060101AFI20240912BHJP
【FI】
G01B11/22 H
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024516813
(86)(22)【出願日】2022-09-16
(85)【翻訳文提出日】2024-05-01
(86)【国際出願番号】 US2022043876
(87)【国際公開番号】W WO2023044054
(87)【国際公開日】2023-03-23
(31)【優先権主張番号】63/245,887
(32)【優先日】2021-09-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524098857
【氏名又は名称】キューイーディー テクノロジーズ インターナショナル,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100211236
【弁理士】
【氏名又は名称】道下 浩治
(72)【発明者】
【氏名】デイビス,ジョナサン
(72)【発明者】
【氏名】スプラノウィッツ,クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】メスナー,ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】シデア,マシュー
(72)【発明者】
【氏名】ラチャンス,ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】ジョーンズ,アンドリュー
【テーマコード(参考)】
2F065
【Fターム(参考)】
2F065AA21
2F065AA53
2F065FF04
2F065HH06
2F065JJ03
2F065JJ26
2F065LL30
2F065MM16
2F065QQ25
2F065QQ31
2F065RR09
2F065UU01
2F065UU02
(57)【要約】
偏向測定デバイスは、運動学的スポットパートホルダと、ディスプレイと、画像化光学部品と、絞りと、カメラレンズおよびカメラを含むカメラ画像化アセンブリとを備え、カメラは検出器を有する。さらに、ディスプレイと、画像化光学部品と、絞りと、カメラレンズおよびカメラを含むカメラ画像化アセンブリとを備えるな仕上機の一部である偏向測定デバイスが説明される。さらに、決定論的な仕上機によってもたらされる材料除去部を特徴付けするための方法が提供される。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
決定論的な仕上機によってもたらされる材料除去部を特徴付けするための方法であって、(i)スポットパート表面の初期測定値を得るステップと、(ii)前記決定論的な仕上機を使用して、前記スポットパート表面から材料を除去するステップと、(iii)材料を除去した後に、前記スポットパート表面の後続の測定値を得るステップと、(iv)前記初期測定値と前記後続の測定値の間の変化に基づいて、前記除去された材料の深さおよび空間的性質を決定するステップとを含み、
前記スポットパート表面の前記初期測定値および前記後続の測定値が偏向測定デバイスを使用して獲得され、前記偏向測定デバイスが、ディスプレイと、画像化光学部品と、運動学的パートホルダと、絞りと、カメラレンズおよびカメラを含むカメラ画像化アセンブリとを備える、方法。
【請求項2】
前記偏向測定デバイスを使用して獲得される、前記スポットパート表面の前記初期測定値および前記後続の測定値を得る前記ステップが、
前記画像化光学部品で屈折または反射される、空間的に変化する強度パターンの形態の光を前記ディスプレイから放出するステップと、
続いて前記スポットパート表面で前記光を反射させるステップと、
続いて前記反射した光を前記画像化光学部品に向け直すステップであり、前記光が、前記画像化光学部品によって反射されるか、または屈折されるかのいずれかである、ステップと、
続いて前記ディスプレイからの前記光の画像を前記絞りで形成するステップであって、前記絞りは、前記スポットパート表面で反射した、前記カメラレンズに入射する前記光を幾何学的に制御する、ステップと、
続いて前記入射した光を、前記カメラレンズによって、前記光が焦点を合わされるカメラ検出器へ屈折させるステップと、
を含み、
前記ディスプレイおよびカメラが同期され、その結果、強度変化においてプログラムされた変化が前記カメラによって同時に捕捉され、次に、前記初期測定値および後続の測定値毎に試験表面のトポグラフィマップを再構築するために、獲得された画像がデータ解析器によってデータ解析される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記初期測定値と前記後続の測定値の間の変化に基づいて前記除去された材料の深さおよび空間的性質を決定するステップ(iv)が、スポットマップを作成するために、差分計測によって、前記初期測定値と前記後続の測定値の間の前記スポットパート表面の表面トポグラフィーの変化を決定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記決定論的な仕上機がMRF機械を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ディスプレイがマイクロ-OLEDディスプレイを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記画像化光学部品が、平面スポットパート表面のために最適化される画像化レンズを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記画像化光学部品が、色消しダブレット平行化レンズを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記画像化光学部品が、非平面スポットパート表面のために最適化される画像化レンズを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記画像化光学部品が、平面スポットパート表面を測定するために最適化される画像化鏡を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記画像化光学部品が非平面スポットパート表面のために最適化される画像化鏡を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記偏向測定デバイスを使用して獲得される前記スポットパート表面の前記初期測定値および前記後続の測定値を得る前記ステップが、前記カメラの温度を能動的に制御するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記カメラの温度を能動的に制御する前記ステップが、前記カメラ画像化アセンブリの前記カメラを冷却するステップを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
運動学的スポットパートホルダと、ディスプレイと、画像化光学部品と、絞りと、カメラレンズおよびカメラを含むカメラ画像化アセンブリとを備え、前記カメラが検出器を有する、偏向測定デバイスであって、
前記運動学的スポットパートホルダが、測定されるスポットパート表面を保持し、配置するように構成され、
前記画像化光学部品が、前記スポットパート表面の規定の幾何学形状に基づいて設計され、
前記ディスプレイが、前記運動学的スポットパートホルダの近傍に配置される前記画像化光学部品の近傍に配置され、前記ディスプレイおよび画像化光学部品が、スポットパート表面が前記運動学的スポットパートホルダの中に配置されるときに、ディスプレイ光を測定される前記スポットパート表面に向かって導くように構成され、また、反射したディスプレイ光を前記スポットパート表面から前記画像化光学部品に向け直し、前記光が次に前記絞りへ導かれるように構成され、
前記絞りが前記カメラ画像化アセンブリの近傍に配置され、前記スポットパート表面で反射した、前記カメラレンズに入射する前記光を幾何学的に制御し、前記入射した光が、次に前記カメラレンズで屈折して前記カメラ検出器に焦点を合わされ、また、
前記スポットパート表面の形状を予測することができるデータ解析器を備える、
偏向測定デバイス。
【請求項14】
前記画像化光学部品が、平面スポットパート表面のために最適化される画像化レンズを備える、請求項13に記載のデバイス。
【請求項15】
前記画像化光学部品が、色消しダブレット平行化レンズを備える、請求項13に記載のデバイス。
【請求項16】
前記画像化光学部品が、非平面スポットパート表面のために最適化される画像化レンズを備える、請求項13に記載のデバイス。
【請求項17】
前記画像化光学部品が、平面スポットパート表面を測定するために最適化される画像化鏡を備える、請求項13に記載のデバイス。
【請求項18】
前記画像化光学部品が、非平面スポットパート表面のために最適化される画像化鏡を備える、請求項13に記載のデバイス。
【請求項19】
前記カメラの温度を制御するための手段をさらに備える、請求項13に記載のデバイス。
【請求項20】
前記デバイスが決定論的な仕上機と共に使用される、請求項13に記載のデバイス。
【請求項21】
前記決定論的な仕上デバイスがMRF機械を備える、請求項20に記載のデバイス。
【請求項22】
ディスプレイと、画像化光学部品と、絞りと、カメラレンズおよびカメラを含むカメラ画像化アセンブリとを備える決定論的な仕上機の一部である偏向測定デバイスであって、
前記画像化光学部品が試験パート表面の規定の幾何学形状に基づいて設計され、
前記ディスプレイが、前記試験パート表面の近傍に配置される前記画像化光学部品の近傍に配置され、前記試験パート表面を測定している間、前記試験パート表面が前記決定論的な仕上機によって保持され、前記ディスプレイおよび画像化光学部品が、前記試験パートが前記決定論的な仕上機によって測定位置に保持されるときに、ディスプレイ光を前記試験パート表面に向かって導くように構成され、また、反射したディスプレイ光を前記試験パート表面から前記画像化光学部品に向け直し、前記光が次に前記絞りへ導かれるように構成され、
前記絞りが前記カメラ画像化アセンブリの近傍に配置され、前記試験パート表面で反射した、前記カメラレンズに入射する前記光を幾何学的に制御し、前記入射した光が、次に前記カメラレンズで屈折して前記カメラ検出器に焦点を合わされ、また、
前記カメラ画像から前記試験パート表面の形状を予測するために使用されるデータ解析器を備え、前記決定論的な仕上機が、測定されるスポットパート表面を正確な位置に保持するための手段を有し、個別の運動学的パートホルダの必要性を不要にする、偏向測定デバイス。
【請求項23】
前記デバイスがMRF機械によって生成された材料除去部を評価するために使用される、請求項22に記載のデバイス。
【請求項24】
前記ディスプレイがマイクロ-OLEDディスプレイを備える、請求項22に記載のデバイス。
【請求項25】
前記画像化光学部品が、平面試験パート表面のために最適化される画像化レンズを備える、請求項22に記載のデバイス。
【請求項26】
前記画像化光学部品が、色消しダブレット平行化レンズを備える、請求項22に記載のデバイス。
【請求項27】
前記画像化光学部品が、非平面試験パート表面のために最適化される画像化レンズを備える、請求項22に記載のデバイス。
【請求項28】
前記画像化光学部品が、平面試験パート表面を測定するために最適化される画像化鏡を備える、請求項22に記載のデバイス。
【請求項29】
前記画像化光学部品が非平面試験パート表面のために最適化される画像化鏡を備える、請求項22に記載のデバイス。
【請求項30】
前記カメラの温度を制御するための手段をさらに備える、請求項22に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示は、差分(differentia)計測によって、磁気粘性流体(MRF)仕上げスポットなどの決定論的な仕上機からの材料除去部を特徴付けるように設計された偏向測定(deflectometry)デバイスを使用するシステム、方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]光学製造の分野には、表面のトポグラフィーを測定する多くの理由が存在している。最も一般的な理由は、恐らく、品質保証であり、とりわけ個々の製造ステップ後の光学部品の測定、およびその光学部品が要求された表面製造公差に合致しているかどうかの評価である。光学製造の場合、製造公差が許容する範囲内で所望の形状を達成するためには何らかのさらなる処理が必要であるかどうか、また、製造ステップの間に何らかの不測の問題が生じたかどうかを判断するために、光学部品の現在の状態を知る必要がある。最終的な光学部品の認定では、光学部品が完成したと認定するには、全測定の不確実性を光学部品の製造公差より著しく小さくしなければならない。軽減され得る測定の不確実性の一要因は、光学部品を測定する計器の系統的誤差である。系統的誤差の特徴付けはいくつかの方法で実施することができ、一例は、既知の較正標準の測定である。較正標準の既知の形状およびトポグラフィーと、較正されている計器を使用して実施される較正標準の測定との間の相違を使用して、計器系の統的誤差が予測できる。不確実性の様々な要因を少なくするために使用される方策に関わらず、結果として得られる絶対測定精度は、厳しい製造公差を有する光学表面を認定するために最も重要である。
【0003】
[0003]それほど一般的ではないが、光学部品表面が測定と測定の間で変化した様子を知る必要がある。この場合、表面変化を決定するためには、初期測定と、後続の測定の両方が要求される。この変化を予測するために使用される方法は差分計測と呼ばれ、ある測定から別の測定への光学表面の変化が測定される。差分計測が有用であり得る例は、熱的または機械的影響などの何らかの外部の影響で形状が変化しつつある光学部品の測定である。例えば、適応される光学部品の較正がこの光学部品の形状に対するアクチュエータの影響を決定するための初期測定および後続の測定を二次的に要求する、R.Briguglio、「Optical calibration and performance of the adaptive secondary mirror at the Magellan telescope」、Nature、5c/Rep8、10835(2018)を参照されたい。
【0004】
[0004]差分計測の別の用途は、何らかのプロセスによってもたらされる材料除去部の測定である。この場合、初期測定が実施され、それに続いて何らかの機械によって実行されるプロセスによって表面から材料が除去され、それに続いて後続の測定が実施される。測定計器が十分な精度とそのための捕捉範囲を有することを前提とし、初期測定と後続の測定との間の変化は、何の材料が除去されたかを予測するために使用される。この情報は、除去プロセスの間に使用される機械の既知のパラメータと組み合わせて使用され、いわゆる機械工具影響関数(TIF)と呼ばれるものを生成できる。
【0005】
[0005]本開示のために、決定論的な仕上機という用語は、制御されたパラメータに基づいて、光学部品または基板材料の表面に予測可能な影響を及ぼし得る任意の機械を説明するために使用され得る。処理される光学部品の最適な収束を提供するためには、決定論的な機械のTIFを正確に特徴付けしなければならない。磁気粘性仕上げ(MRF)機械は、光学表面の誤差をナノメートルの精度で正確に修正するそれらの能力のため、決定論的な仕上機と見なされている。このタスクを達成するために、MRF機械は正確に特徴付けされたTIFに依存をしている。決定論的な仕上機の他の例には、イオンビーム面修正(IBF)およびコンピュータ制御サブ-アパーチャ研磨機があり、これらはいずれも、最適結果を達成するために、TIFの正確な特徴付けの恩恵を受けている。
【0006】
[0006]本開示の残りの部分では、「スポット」という用語は、決定論的な仕上機によって除去される材料を特定するための一般的な意味で使用されることになる。「MRFスポット」という用語は、MRF機械によって除去される材料を特定するために使用されることになる。材料除去部が生成されることになる対象および関連する表面は、それぞれ「スポットパート」および「スポットパート表面」と呼ばれることになる。スポットパートから材料をスポット形態で除去するアクションは、「スポットテーキング」と呼ばれることになる。「スポットマップ」という用語は、スポットテーキングの間に生成される材料除去部が差分計測を使用して予測される場合、生成される測定結果を特定するために使用されることになる。これらの定義を考慮すると、スポットマップは、機械TIFの特徴付けのために、除去プロセスの間に使用されたパラメータが分かっている決定論的な仕上機と関連して使用され得る、と言われている。
【0007】
[0007]商用的に入手することができるほとんどの干渉計は、ナノメートル感度、空間解像度および傾斜捕捉範囲の点に関して、MRFスポットテーキングの計測要求事項を満たしている。しかしながら、それらは、他の面においては必ずしも最適化されていない。光学部品の工場における干渉計の主要な効用は、プロセスにおける光学部品の表面計測を提供することである。干渉計によって提供される絶対測定精度は、光学部品が正常に完了するためには極めて重要である。したがって、干渉計は、この絶対精度基準に合致するように厳格に設計されている。この設計の厳格さ、関連する複雑性および計器構成要素の品質は、それに応じて高価になる。差分計測と関連したスポットテーキングの場合、絶対測定精度は、初期測定および後続の測定に存在するすべての再現可能系統的誤差が無効にされることになるため、それほど重要ではない。この方法では、差分計測は、絶対形状ではなく、スポットパートの表面の変化を正確に区別するために使用されている。系統的誤差などの測定不確実性要因を少なくするステップは、系統的誤差が測定と測定の間で再現可能であると仮定すると、もはや不要である。測定と測定の間で生じる非再現可能性も、系統的であれ、あるいは非系統的であれ、同じく最小化されなければならない。
【0008】
[0008]別の考察は、ほとんどの干渉計は、振動および大気乱流などの環境条件に敏感であることであり、これらは、いずれも測定の再現可能性に悪影響を及ぼし得る。この環境によって引き起こされる非再現可能性は、スポット特徴付けプロセスの精度を損なう可能性がある。この問題をさらに悪化させているものは、MRF機械が従来の研磨機および粉砕機などの他の機器と空間を共有する光学製造設備にしばしば見られるという事実である。これらの環境条件はMRF研磨機には適しているかもしれないが、それらは、干渉計などの高精度の計器のためには理想的ではないことがしばしばである。したがってMRFスポットテーキングをサポートする計測計器は、通常、より良好な環境制御の異なる場所に存在しているか、または高価な振動分離テーブルおよび/または囲いによって工場環境に対して鈍感化されている。すべての干渉計が光学製造環境の非理想的条件の影響を受けるわけではない。いくつかの干渉計計器は振動に対してより鈍感であり、したがって工場のフロアでの測定にはより適しているが、より高価で、複雑で、および/または小さい空間解像度を有する場合がある。MRFスポットを測定するための理想的な解決法は、これらの環境条件と両立し、その一方で、必要な空間が最小で、非効率性を低減し、かつ、干渉計解決法と関連する高いコストを低減することであろう。
【0009】
[0009]米国特許第9,068,904号は、驚くほど単純ないくつかの偏向測定システムの設計を明示している。この単純性は、コスト低減における重要な要素であり、干渉計の構築に際して、ほとんどの偏向測定システムをより安価にしている。提案されている構成の1つでは、偏向測定システムは、CPU、ディスプレイ、試験中の光学部品、カメラレンズおよびカメラから構成されている。この例では、既知のパターンがディスプレイによって投影され、パターンが試験光学部品でカメラレンズアセンブリに向かって反射される。この構成では、既知の投影されたパターンをディスプレイからの光が試験光学部品で反射した後にカメラによって画像化されるパターンに対して比較することにより、試験光学部品に関する傾斜情報が学習され得る。この設計の単純性は望ましいことではあり得るが、ディスプレイおよびカメラがほぼ試験中の光学の曲率の中心に置かれる凹状光学部品の試験に限定されている。試験形状およびスポットパート形状におけるこの制限は、スポットが平らな表面から取られることがしばしばであるMRFスポットテーキングのためには理想的ではない。この試験構成に関連する別の課題は、試験光学部品の正確な絶対測定を達成するためには、試験の幾何学形状を著しい精度で知る必要があることである。試験形状を正確に特徴付けすることができないと、試験の絶対精度と妥協する系統的誤差の原因になり得る。
【0010】
[0010]文書「Deflectometry for measuring mount-induced mirror surface deformations」Proc.SPIE 10373、Applied Optical Metrology II、1037301(2017年8月23日)、E.Fraterは、取付け誘導表面変形の測定に使用される偏向測定システムを記載している。この例は、ある測定から別の測定への変化を区別することによって試験の系統的誤差が管理される差分計測のための偏向測定システムの有用性を示している。このシステムは、系統的誤差を首尾よく管理しているが、凹状表面のために最適化されており(米国特許第9,068,904号のように)、スポット測定のためのその有用性を制限している。平らな凸状光学部品の試験が、はるかに大きいディスプレイの必要性、放射測定非効率性および追加測定不確実性、という関連する欠点と共に簡単に考察されている。さらに、試験中の光学部品のみが変形され、したがって光学部品の位置合わせが測定と測定の間で乱されない。スポットテーキングの場合、スポットパートは、測定と測定の間で測定デバイスから除去されなければならない。したがって測定と測定の間の系統的誤差の良好な再現性を達成するためには、測定と測定の間でスポットパートの正確な再度の位置合わせが必要であり、これは、上で考察した設計では対処されていない。
【0011】
[0011]文書「Development of a portable deflectometry system for high spatial resolution surface measurements」、A.V.Maldonado、P.Su、およびJ.H.Burge、AppL Opt.、AO 53(18)、4023-4032(2014)で、Maldonadoは、「補助」レンズを利用して、曲率画像化幾何学形状の1対1中心を必要とすることなく、ディスプレイからの光を試験光学部品、カメラへ中継した偏向測定システムを提示しており、凸状からのすべてを試験される凹状光学部品に対して平らにすることができる。曲率ベースシステムの中心の使用に優る特定の利点を提供しているが(例えば干渉計と比較すると、異なる曲率の光学部品を測定するための可撓性、コンパクトで軽量の設計(10kg未満)、優れた空間解像度、優れた傾斜範囲、手ごろな構築性)、Maldonadoによって説明されている偏向測定機設計には、依然として表面の絶対測定のためのものであることが意図されている。したがってシステムには、依然として、試験形状についての正確な知識、およびナノメートルレベルの絶対測定精度を達成するために要求されるいくつかの較正プロセスステップの使用が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
[0012]当技術分野に必要なものは、従来技術に存在している複雑な較正を必要としない、スポットパート表面を正確に測定するための、コスト、振動鈍感性および使用の容易性の点で最適化される測定デバイスある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
[0013]本発明は、運動学的スポットパートホルダと、ディスプレイと、画像化光学部品と、絞りと、カメラレンズおよびカメラを含むカメラ画像化アセンブリとを備える偏向測定デバイスを提供し、運動学的スポットパートホルダは、測定されるスポットパート表面を保持し、配置するように構成され、画像化光学部品は、スポットパート表面の規定の幾何学形状に基づいて設計され、ディスプレイは、運動学的スポットパートホルダの近傍に配置される画像化光学部品の近傍に配置され、ディスプレイおよび画像化光学部品は、スポットパート表面が運動学的スポットパートホルダの中に配置されると、ディスプレイ光を測定されるスポットパート表面に向かって導くように構成され、また、反射したディスプレイ光をスポットパート表面から画像化光学部品に向け直すように構成され、光は、次に絞りへ導かれ、絞りはカメラ画像化アセンブリの近傍に配置され、スポットパート表面で反射した、カメラレンズに入射する光を幾何学的に制御し、入射した光は、次にカメラレンズで屈折してカメラ検出器の上に焦点を合わされ、また、偏向測定デバイスは、スポットパート表面の形状を予測することができるデータ解析器を備える。
【0014】
[0014]本発明は、さらに、(i)スポットパート表面の初期測定値を得るステップと、(ii)決定論的な仕上機を使用して、スポットパート表面から材料を除去するステップと、(iii)材料を除去した後に、スポットパート表面の後続の測定値を得るステップと、(iv)初期測定値と後続の測定値の間の変化に基づいて、除去された材料の深さおよび空間的性質を決定するステップとを含む、決定論的な仕上機によってもたらされる材料除去部を特徴付けするための方法を提供し、スポットパート表面の初期測定値および後続の測定値は偏向測定デバイスを使用して獲得され、偏向測定デバイスは、ディスプレイと、画像化光学部品と、絞りと、カメラレンズおよびカメラを含むカメラ画像化アセンブリとを備える。
【0015】
[0015]本発明は、さらに、ディスプレイと、画像化光学部品と、絞りと、カメラレンズおよびカメラを含むカメラ画像化アセンブリとを備える決定論的な仕上機の一部である偏向測定デバイスを説明し、画像化光学部品は、試験パート表面の規定の幾何学形状に基づいて設計され、ディスプレイおよび画像化光学部品は、試験パートが決定論的な仕上機によって測定位置に保持されると、ディスプレイ光を試験パート表面に向かって導くように構成され、また、ディスプレイ光を試験パート表面から画像化光学部品へ反射して向け直し、光は次に絞りへ導かれるように構成され、絞りはカメラ画像化アセンブリの近傍に配置され、一方、絞りは、試験パート表面で反射した、カメラレンズに入射する光を幾何学的に制御して、カメラ検出器に焦点が合わされ、また、画像化光学部品は、試験パート表面の形状をカメラ画像から予測するために使用されるデータ解析器を備え、決定論的な仕上機は、正確な位置で測定されるようスポットパート表面を保持するための手段を有し、これは、個別の運動学的パートホルダの必要性を不要にする。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】[0016]平らな表面を測定するための本発明の概念レイアウトを示す図である。
図2】[0017]凸状表面を測定するための本発明の概念レイアウトを示す図である。
図3】[0018]現行の最良の実施例を使用した、スポットマップを作成するための方法を明示するブロック図である。
図4a】[0019]平らな表面のMRFスポットを測定するために最適化された本発明の等角図である。
図4b】[0020]平らな表面のMRFスポットを測定するために最適化された本発明の平面図である。
図5】[0021]強度画像を本発明のための表面マップに変換するためのソフトウェア処理の機能ブロック図である。
図6】[0022]MRFスポットを測定するために最適化された偏向測定デバイスのための例示的要求事項の表である。
図7】[0023]副図7a~副図7bを含む、パートの再現可能取付けを容易にするための運動学的ネストを使用する本発明におけるパートホルダの実施形態の等角図を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[0024]本開示は、高価な干渉計装置または複雑な試験セットアップを必要とすることなく、TIFを正確に特徴付けするための重要な構成要素である、スポットを正確に測定するための要求事項を満たす新しい手法を説明する。
【0018】
[0025]本開示によれば、差分計測が、光学部品の最終試験および認定においてではなく、予測プロセスおよび決定論的な仕上げプロセスを支援するためにとりわけ高い価値を提供することが提案される。最適に動作させるために機械のための差分計測を依存する決定論的な仕上機と共に使用するために、開示される偏向測定デバイスは独自の価値を保持していることが分かる。
【0019】
[0026]より詳細には、偏向測定の独自の長所と、光学製造環境におけるスポットテーキングの要求事項とは互いに補完している。本開示は、正確なTIF特徴付けを容易にするために、除去が生じる前、および除去が生じた後のスポットパートの表面を測定するための偏向測定デバイスを説明する。結果は、現況技術における干渉計ベースシステム(例えばQED技術のQIS干渉計製品)に対して同等であるが、達成可能な改善点が含まれ、代表的な達成可能な改善点は、構築コストの著しい低減、サイズおよび重量の低減、延いては改善された携帯性;システムを通常の机の上で使用することができる振動鈍感性;広くなった傾斜捕捉範囲;高くなった空間解像度;である。
【0020】
[0027]本開示では、図1は、スポットパート表面を測定するために使用される偏向測定システム100のための一般的なレイアウトを明示している。光は、既知の空間的に変化する強度パターン、優先的には正弦波の形態でディスプレイ101から放出される。光は画像化光学部品102に向かって移動する。この実施形態の場合、光は、光を平面スポットパート表面103にノミナルに垂直入射させる画像化光学部品102によってほぼ平行化されている。光は、次に、スポットパート表面103で反射して、入射角は反射角に等しい反射の法則によって、スポットパート表面に存在するあらゆる傾斜情報を符号化する。光は、次に、画像化光学部品104によって絞り104に向かって向け直され、そこで最終的に絞り104に焦点が合わされる。この光学設計を考慮すると、絞り104は、ディスプレイに対して共役であると言われる。絞り104は、スポットパートの表面反射から、どのような光を入射させることができるかを幾何学的に制御する。絞り104により入射した光は、次に、スポットパート表面103に焦点を合わせるカメラレンズ105によって屈折される。最後に、カメラレンズ105によって屈折した光はカメラ106の検出器に入射する。
【0021】
[0028]この実施形態では、X方向またはY方向のいずれかの正弦波パターンである初期光パターンは、所望の位相シフトアルゴリズムに従って位相シフトされる。検出器によって捕捉された光は強度画像に変換され、この強度画像は、次に、コンピュータなどのデジタル解析器によって解釈され得る。
【0022】
[0029]本発明の別の実施形態では、非平面スポットパート表面の測定が可能である。図2では、システム200はシステム100のこの修正例を表しており、画像化光学部品202の目的は、この事例では凸状であるスポットパート表面203にほぼ直角で到達するよう、ディスプレイ201からの光を屈折させることである。スポットパート表面203により反射した光は、次に、画像化光学部品202によって向け直されて、絞り204に焦点が合わされる。このポイントから先では、システム200の機能はシステム100と等価である。この代替構成を達成するためのいくつかの方法が存在しており、例えばディスプレイ201、絞り204およびスポットパート表面203に対するレンズ202間隔の調整、および/または画像化光学部品202の光学設計の変更などの方法が存在している。
【0023】
[0030]屈折設計以外の光学構成が画像化光学部品102または202のために使用され得ることは当業者には明らかである。例えば別の実施形態では、反射鏡が画像化光学部品のために使用される。この事例では、鏡は屈折レンズの目的と同じ目的を果たし、ディスプレイからスポットパートの表面に入射する光を正規化し、続いてディスプレイ光をディスプレイ共役である絞りに向け直して戻す。平面スポットパート表面のためには軸外れ放物線が好ましいが、他の鏡構成も、考慮されている画像化共役のために良好に修正され設計され得る。この手法は、多くのあり得るスポットパート表面形状が与えられる場合に有利であり得る別の設計自由度を提供する。この設計の1つの利点は、画像化レンズ設計に関連するゴースト反射の除去である。ゴースト反射の除去が重要である用途、および/またはスポットパートの中心における表面情報が重要である用途の場合、鏡設計が理想的である。しかしながら鏡設計にはその欠点がある。ディスプレイによって鏡に向かって放出される光の妨害を回避するために、スポットパートは、鏡に対して、システム100の屈折設計で必要とされる距離よりも長い距離に、置かれなければならない。したがってスポットパート表面から鏡表面へ戻る追加の伝搬距離が、スポットパート表面の傾斜の急峻さに応じて、測定の不確実性、傾斜捕捉範囲の損失および口径食をもたらし得る。
【0024】
[0031]図1および図2で説明した偏向測定デバイスを使用して、スポットマップ、つまり正確なTIF特徴付けのために必要な測定値が獲得される。差分計測、決定論的な機械および偏向測定デバイスを使用してスポットマップを作成するためのプロセスは、図3にブロック図の形態で示されている。通常、スポットパートは、光学部品、すなわち最終的に研磨されることになる対象と同じ材料種類で構築されることになる。例えば研磨される光学部品がN-BK7ガラスである場合、スポットパートも同じくN-BK7である。この方法は、仕上げプロセスの除去速度メカニズムに影響を及ぼすことになる硬さまたは他の特性における基板固有の相違によって生じる除去速度の変化を回避する。スポットパート表面の形状を決定するために、偏向測定デバイスによって初期スポットパート測定値が獲得される301。次にスポットパートが決定論的な仕上機の上に設置され、かつ、位置合わせされ302、ここで、機械のソフトウェアの中においてスポットパートが位置合わせされ且つ定義され得る。次に、TIFに影響を及ぼすことが分かっている機械パラメータが設定される303。これらのパラメータは、体積除去速度、ピーク除去速度または一般的な形状などの理想のTIF特性を達成するために最適化され得る。次にスポットテーキングプロセスが実行されて304、上記スポットパートから材料が除去される。次に、ステップ301で使用されたものと同じ偏向測定デバイスによって、スポットパートが再度測定される305。差分計測方法は、次に、初期スポットパート測定結果306と後続のスポットパート測定結果307とを使用して、スポットパート表面に生成された材料除去部308を計算し、スポットマップ309を作成する。次に、既知の機械パラメータと共にスポットマップを使用して機械のTIFが計算され得る。計算されたスポットマップ中の誤差は、すべて、TIF計算の精度に直接影響を及ぼし得る。TIFを正確に特徴付けすることができないと、決定論的な仕上げプロセスの効能に影響を及ぼすことになり、したがって最小化しなければならない。そのため、偏向測定デバイスが測定することになる除去物の種類に応じて最適化されるように偏向測定デバイスを設計することが理想的である。MRF機械の場合、これらの設計最適化は、コンピュータ制御のサブ-アパーチャ研磨機またはIBF機械の場合の設計最適化とは異なる場合がある。
【0025】
[0032]図4aおよび図4bのシステム400は、MRFスポットを測定するために最適化された偏向測定デバイスの実施形態を示したものであり、ソフトウェア制御、データ収集およびデータ処理のためのコンピュータ(図示せず)と;コンピュータソフトウェアによって生成されるパターンを投影するディスプレイ401(従来技術で使用されているディスプレイと比較すると、その卓越した強度特性、コントラスト特性およびコンパクト性特性のため、優先的にはMicro-OLED)と;ディスプレイからの光を大まかに平行化する画像化光学部品402と;交換可能で、かつ、スポットパート表面の位置合わせが測定と測定の間で再現可能であることを保証する運動学的パートホルダ404によって支持されているスポットパート403であって、系統的誤差の非再現性を最小化するための重要な態様であるスポットパート403と;スポットパート表面反射から入射され得る光を幾何学的に制御する絞り405と;スポットパート表面からの光を、検出器を有するカメラ407例えばコンパクトCMOSカメラに焦点を合わせるカメラレンズ406と;カメラおよびディスプレイを支持する台座408と;台座408と画像化光学部品402の間の位置関係を厳格に制御する計量ロッド409であって、ロッドは、熱影響に対する敏感性を小さくするための炭素繊維などの低熱膨張材料で優先的に構築される、計量ロッド409と;長い露光時間にわたる暗電流を最小にするためにカメラ温度を調整する冷却システム410(そのコンパクト性および実現の容易性のために優先的には熱-電気クーラ)と;を備えている。
【0026】
[0033]迷光がシステムに潜入し、かつ、測定の品質に影響を及ぼすのを阻止するために、図には示されていない囲いパネルが使用される。代替の解決法は、カメラ露光時間が十分に短くなるよう、ディスプレイの輝度を増すことである。しかしながらこの軽減戦略は、実際的には利用可能なディスプレイ技術によって制限され、例えばマイクロ-OLEDディスプレイがプログラム可能な輝度を有していても、その寿命はディスプレイの輝度レベルと逆相関するため、したがってより短い露光時間では、デバイスの寿命が短くなる代償が伴う。
【0027】
[0034]適切なソフトウェアを備えたコンピュータは、ソフトウェアのデータ解析器によって実施されるデバイスの制御、データ収集およびデータ処理のために、優先的に使用される。データ収集プロセスは、所望の位相シフト方法に基づいて複数のパターン画像を生成し、次に、それらを1つずつディスプレイに表示するステップを含む。画像が表示されると、カメラ検出器によって強度画像が収集される。コンピュータ制御ディスプレイは、制御可能な周波数を有する一連の正弦波パターンなどの画像を表示するようにプログラムされることができ、個々の画像は、XおよびYの両方の方向に対して、π/2ラジアン位相シフト、各4つを表す。位相シフトされた個々の画像は、スポットパート表面で反射した光パターンの画像がカメラによって収集され得るよう、適切な時間の長さにわたって表示され得る。
【0028】
[0035]所望のスポットマップに到達するよう、獲得した画像ファイルを処理するためにソフトウェアのデータ解析器によって使用されるシーケンスは図5に示されている。最初に、位相シフト毎の強度画像が収集される501。位相シフト画像の総数は位相シフトアルゴリズムによって決まり、例えば4-バケット位相シフトアルゴリズムは8個の画像、すなわち(4)個のX-位相シフト画像および(4)個のY-位相シフト画像から構成される。位相シフト強度画像は、ラップされた位相マップ変換502を経て、続いて位相アンラッピングが施され503、XおよびY傾斜マップを計算する504。
【0029】
[0036]傾斜を表面高さへ変換するために、xおよびy傾斜マップ(それぞれSおよびS)が与えられると、傾斜マップを積分する505ことによって表面高さマップφのサンプルが計算され、これは、次のように、一次方程式の系を解くことによって達成される。
行iおよび列jにおける傾斜マップサンプル毎に、
【数1】
および
【数2】
が存在すれば
【数3】
とし、さもなければ0とし、
【数4】
および
【数5】
が存在すれば
【数6】
とし、さもなければ0とし、
【数7】
および
【数8】
が存在すれば
【数9】
とし、さもなければ0とし、
【数10】
および
【数11】
が存在すれば
【数12】
とし、さもなければ0とし、
【数13】
および
【数14】
のうちの少なくとも1つが非ゼロであるサンプル毎に、以下の式が系に加えられる。
【数15】
【0030】
[0037]式のこの系は、Shack-Hartmann試験における傾斜から位相を計算するためにしばしば使用されるSouthwellアルゴリズムの系と類似しており、例えばSection I 0.4.3 in Optical Shop Testing、D.Malacara(編)、第3版(2007)を参照されたい。
【0031】
[0038]式の系はまばらである(式の数は有効サンプルの数に等しく、一方、個々の式における非ゼロ係数の数は最大5個である)。解は、Intel(登録商標)Math Kernel LibraryにおけるDirect Sparse Solverを使用して計算することができ、これは、傾斜-位相問題に典型的に適用されるSuccessive Over-relaxation(SOR)アルゴリズムよりもはるかに有効である。
【0032】
[0039]結果として得られる未加工の表面マップ506は、次に、意図された用途、例えばスケーリング、マスキングまたはフィルタリングの必要に応じて後処理をすることができ507、それにより最終表面マップ508が作成される。Z-スケーリングとも呼ばれる表面マップの高さスケーリングは、システムの幾何学的知識を使用して、あるいは既知の較正標準によって較正され得る。初期および後続の最終表面マップは、差分計測によってスポットマップを計算するために使用され、MRF機械TIFが計算され得る。
【0033】
[0040]スポットを測定する用途のために、偏向測定の長所を利用し且つ干渉法の次善の性質を克服するために、偏向測定システムの設計は、スポットの既知の特性によって決定されるべきである。MRFスポットの場合、とりわけ傾斜捕捉範囲、空間解像度、スポットパート表面開口および測定の再現可能性を慎重に評価しなければならない。最も小さい、大まかに幅1mm×長さ2mmのMRFスポットは、最大傾斜捕捉範囲および空間解像度要求事項を決定し、一方、より大きいスポットは測定の再現可能性およびスポットパート表面開口を決定する。要求事項は、スポット深さおよび空間寸法などの変数に基づいて再最適化することができ、これらの変数は、いずれも異なるプロセスおよび決定論的な仕上機の種類に応じて変化する。これらの再最適化は、説明されている本発明の拘束の範囲内で当業者によって獲得され得る。
【0034】
[0041]MRFスポットを測定するために最適化される偏向測定デバイスのための要求事項を誘導するプロセスを示すために、図6は、第一次の光学要求事項およびそれらの関連する決定特性の表を示したものである。この例のために提供されている一般設計指針は、MRF機械によって製造されるスポットを測定するために最適化される偏向測定デバイスを設計するための好ましい実施形態である。
【0035】
[0042]傾斜捕捉範囲は、除去プロセスで生成される最も急峻な傾斜によって決定される。例えば深さ0.5μmの小さい1mm×2mmのMRFスポットは、軟材料および積極的な研磨流体が与えられると、無理なものではない。この深さのスポットは、2ミリラジアンより大きい傾斜を有することがあり得る。この量の少なくとも2倍の傾斜捕捉範囲は、測定するためのシステムに対する妥当な目標である。関連する偏向測定デバイスの傾斜捕捉範囲を予測するための表現式は、以下のようにMaldanadoによって誘導される。
【数16】
θmaxは測定され得る傾斜範囲であり、Dはミリメートル単位のディスプレイのサイズであり(最小断面を仮定している)、また、Sはミリメートル単位の絞り径である。システム400の場合、ディスプレイの最小断面は、ピクセルの数を掛けたピクセルピッチである。絞りサイズは、所望の傾斜捕捉範囲、空間解像度および測定の再現可能性に基づいて選択される。画像化光学部品の有効焦点距離(EFL)はいくつかの要因に基づいている。システム400の場合、光を平行にする画像化光学部品は、平面スポットパート表面が測定され得るように選択され、ディスプレイは画像化光学部品からほぼ1焦点距離だけ離れている。システムを比較的コンパクトに維持するために、短い焦点距離が選択されている。平面パートを測定するために最適化された構成の場合、システムの空間解像度は、固定されたスポットパート表面開口の画像化光学部品焦点距離に反比例する。したがって、空間解像度の要求事項も、画像化光学部品の選択において要因とならなければならない。さらに、計器の傾斜感度は焦点距離に正比例し、一方、傾斜捕捉範囲は反比例する。これは、所望の傾斜捕捉範囲と、測定の再現可能性に直接相関される傾斜感度との間のバランスを取ることを計器設計者に要求する。画像化光学部品がディスプレイからの光を場合によっては平行にすることができない平面以外のスポットパート表面の場合、最適性能のために異なる焦点距離、レンズ間隔および光学設計が要求され得る。空間解像度などの要因に対する画像化光学部品焦点距離の関係は、適切に再評価されなければならない。
【0036】
[0043]所望の空間解像度を達成するためには、いくつかの要因が考慮されなければならない。妥当な第1のステップは、画像化光学部品とディスプレイの間の間隔、およびスポットパート表面開口の直径を考慮することである。この幾何学的関係は、偏向測定デバイスのF/#と呼ばれ得る。システム400の場合、F/#は、試験開口径で割ったコリメータの焦点距離として定義される。この場合、カメラレンズおよびカメラは、偏向測定デバイスのF/#を考慮しつつ、所望の空間解像度を提供するように選択され得る。空間解像度も同じく絞り径によって影響され、絞りサイズを小さくすると、カメラおよびカメラレンズアセンブリの回折限界画像化性能に悪影響を及ぼす。既に言及したように、絞り径は、傾斜捕捉範囲および測定の再現可能性にも影響を及ぼす。したがって絞り径は、上で言及した関連する要求事項のすべてを考慮して最適化されなければならない。
【0037】
[0044]測定の再現可能性は、理論的な設計特性および多くの他の要因の集合でもある。理論的な設計に関して、システム400の場合、測定の再現可能性は、ディスプレイピクセルピッチに比例し、かつ、画像化光学部品の焦点距離に反比例するシステムの傾斜感度に直接関連する。この関係により、設計者は、所望のディスプレイフォーム要因を考慮し、可能である最も高い解像度を有するディスプレイを探求するようになる。最新のマイクロ-OLEDディスプレイ技術は、極めてコンパクトであるが、極めて高い解像度を有するディスプレイを提供し、結果として極めて微細なピクセルピッチを提供している。これらは、ナノメートル感度で光学表面を測定する必要があるコンパクトな偏向測定デバイスにとって理想的な特性である。高解像度マイクロ-OLEDディスプレイ(図4aの401)を採用したシステム400の実施態様は、5回の連続測定に対して1nm RMS未満の測定の再現可能性の結果をもたらし、これは、スポットパート表面の材料除去部を測定するために日常的に使用されている干渉計の性能に匹敵している。実際には、カメラ暗電流などの他の要因も測定の再現可能性に重要な役割を果たしている。
【0038】
[0045]システム400を使用した試験は、測定の再現可能性に影響を及ぼすいくつかの要因の特徴付けを可能にした。カメラ暗電流は、測定の再現可能性に対して極めて影響力がある要因であることが分かった。これは、暗電流のかなりの蓄積をもたらす露光時間を必要とするシステムの放射測定特性に起因すると考えられ得る。カメラ露光時間と暗電流の間の関係は十分に裏付けされており、露光時間が長いほど、より多くの暗電流をもたらし得る。偏向測定デバイスの場合、暗電流は、本質的にノイズフロアを高くすることによって測定の再現可能性に影響を及ぼし得る。システム400と同様であるが、クーラ410が欠乏している偏向測定デバイスが最初に試験され、所望の仕様に合致するためには適切ではない測定の再現可能性が得られることが分かった。この問題はカメラの熱特性に起因していた。カメラに冷却システムを追加することにより、測定の再現可能性が1桁改善され、サブナノメートルの結果を可能にした。
【0039】
[0046]受動冷却、熱電気冷却、さらには水冷却を含む任意の適切な冷却手段が使用され得る。小さいパッケージ、低電力消費および妥当なコストで冷却性能を提供するため、熱電気冷却が使用されることが好ましい。
【0040】
[0047]いくつかのカメラデバイスは、他のカメラデバイスよりも低い暗電流を示し得ること、および電子機器の発熱量が変化し得ることが理解されている。したがって任意の特定の実施形態のための最良の冷却方法は変化し得る。しかしながら冷却方法の実施態様は、本発明に使用されるカメラならびに他の構成要素を選択する際に、設計の柔軟性を可能にする。
【0041】
[0048]迷光、ディスプレイパターン生成性能およびソフトウェアパラメータ選択などの他の要因は、性質が明らかであるか、あるいは影響が最小のいずれかである、測定の再現可能性に対する影響を有することが見出された。したがってこれらの影響要因については、より詳細に説明しない。
【0042】
[0049]システムの測定の再現性は、スポットパート表面の材料除去部を測定するための偏向測定デバイスの効用に影響を及ぼす別の重要な要素である。決定論的な仕上機のTIFを計算するために使用されるスポットマップを作成するプロセスには、通常、スポットパート表面が測定デバイスから取り外され、除去プロセスが実施される決定論的な仕上機の上に置かれ、続いて、スポットパート表面が再測定される測定デバイスの再設置が必要である。プロセスまたは構成に無関係に、最も重要なことは、撓み計デバイスに対するスポットパート表面の再現可能な位置決めである。
【0043】
[0050]スポットパート表面の材料除去部を測定するために干渉計が使用される現況技術では、計器に対するスポットパート表面の位置は、通常、先端/傾斜/パワーを最小にするように位置合わせされなければならない。平面スポットパート表面の場合、空洞は、環境の影響を最小にするためには可能な限り小さいことが理想的である。これらの位置合わせおよび最適化を達成することができないと、光学リトレース、乱流および振動などの環境の影響に起因する測定の非再現性ステミングが生じ得る。さらに、干渉計は、スポットパート表面に焦点を合せなければならない。
【0044】
[0051]本発明の場合、計器に対する試験表面の位置合わせの認識は、異なる方法で管理される。スポットパートは、偏向測定デバイスに対するスポットパート表面の極めて再現可能な配置を可能にする運動学的パートホルダによって保持される。図7aおよび図7bに示されている運動学的パートホルダは、必要なパート位置の再現可能性を提供することが試験され、かつ、確認された運動学的ネスト構成を備えている。円錐701、平坦部702およびV-溝703からなる合計3つの運動学的ネストが、互いに対して120度で、かつ、等しい半径方向の距離で置かれている。これらのネストは、ネスト幾何学形状に対して等価クロッキングおよび半径方向の間隔を有している3つのボールの上に登録され、コリメータの近傍の偏向測定デバイスの頂部に配置されている。この構成は、偏向測定デバイスに対する運動学的パートホルダの6自由度、X、Y、Z、Z回りの回転、および、先端/傾斜、を制御する。図7bに示されている、パートが設置されるパートインタフェースは運動学的取付け部の反対側に存在しており、平らな表面を有する円筒状の形のスポットパートのために設計されており、厚さに対する直径の比率は、理想的には4:1から6:1(例えば12.5mmの厚さである50mmの径パート)である。パートインタフェースは、スポットパート表面のZおよび先端/傾斜位置を制御する3つの軸方向の接触点704、パートのX位置およびY位置を制御する2つの半径方向の接触点705、および、パートを回転配向させるために使用されるクロッキング基準マーク706、から構成される。運動ネストと、軸方向の接触点とが適切に係合していることを保証するために、重力または磁気予荷重が使用される。適切な位置決めを保証するために、半径方向の接触点の反対側のスポットパートの外径に力が加えられる(例えばばね仕掛けの止めねじまたはたわみによって)。
【0045】
[0052]運動学的パートホルダがない場合、初期スポットパート測定と後続のスポットパート測定の間のスポットパート表面の非再現可能位置決めが、測定と測定の間で非再現可能な系統的誤差へと変換され、スポットマップ中に非点収差およびコマ収差などの低次の残留収差を引き起こし得る。運動学的パートホルダは、測定毎に偏向測定デバイスとスポットパート表面の間の光学幾何学形状を正確に再現することによってこれらの残留収差を回避し、これは、従来技術では、複雑性が増し、かつ、追加コストがかかる補助測定を使用してしばしば管理されていた。さらに、スポットパート表面の長手方向の位置が再現可能であるため、偏向測定デバイスの再焦点合わせは不要である。
【0046】
[0053]本発明の別の実施形態では、偏向測定デバイスを使用して、差分計測を必要とすることなく、表面が測定され得る。この実例では、測定される表面は「試験パート表面」と呼ばれることになり、また、偏向測定デバイスを使用して測定され得るよう、また、同じく偏向測定デバイスの傾斜捕捉範囲で測定され得るよう、適切に反射する任意の表面として定義されることになる。差分計測なしに試験パート表面を正確に測定するためには、偏向測定デバイスの系統的誤差が特徴付けされなければならない。これは、偏向測定デバイスを使用して、試験表面と形状が同様の既知の形状の表面較正標準を測定することによって達成することができ、これは、次に、系統的誤差較正マップを作成するために使用される。系統的誤差較正マップは、傾斜または表面高さ形態のいずれであってもよい。系統的誤差較正マップを使用することにより、製造プロセスまたは認定プロセスにおける光学部品などのスポットテーキング以外の用途における試験パートを測定するための偏向測定デバイスの適用性を広くすることができる。運動学的パートホルダは、システム較正誤差マップを獲得するために使用された試験形状が試験パート表面を測定するために再現されるため、この単純な較正方法を可能にする重要な構成要素である。系統的誤差較正誤差マップは、偏向測定デバイスの系統的誤差が時間に対して安定していることを仮定して、複数の試験表面測定にわたって継続して使用され得る。システム400の系統的誤差安定性が評価され、変動は24時間の期間にわたって5nm RMS未満であることが分かった。この系統的誤差変動は、試験パート表面の測定の不確実性の一部と見なされ得る。一般に、系統的誤差が時間に対して安定しているほど、実施しなければならない較正が少なくなることがしばしばである。試験パート表面の再取付け及び時間経過の関数に応じた、系統的誤差の優れた安定性は、較正プロセスを容易にし、かつ、較正の頻度を少なくする。これらの性質はシステム400上で示されている。
【0047】
[0054]別の実施形態は、決定論的な仕上機に統合された偏向測定デバイスである。この実施形態では、スポットパート表面を偏向測定デバイスに対して再現可能に位置決めすることである運動学的パートホルダの機能は、偏向測定デバイスに対するスポットパート表面の機械の位置知識に置き換えられることになる。このような設計は、機械の位置精度が、運動学的スポットパートホルダの位置の再現可能性に匹敵し得ることを必要とすることになる。今日の決定論的な仕上機の多くはミクロンレベルの位置精度を有しているため、これは不当な提案ではない。偏向測定デバイスに対するスポットパート表面の位置関係を決定するために必要な初期位置合わせステップは、MRF機械または他の決定論的な仕上機上の光学表面を位置合わせさせ、かつ、研磨するために必要な現在のステップに極めて類似している。このようなシステムは、スポットテーキングおよび測定プロセスを自動化する必要がある状況では理想的であり、それが今度は、全体的に、光学部品における決定論的な仕上げプロセスの自動化を促進することになる。
【0048】
[0055]本発明の画像化光学部品の設計は、スポットパート表面位置の再現可能性を考慮する際に、同じく測定の再現性に影響を及ぼし得る。光学設計は、デバイスの傾斜捕捉範囲およびディスプレイのスペクトル特性を同じく考慮しつつ、収差が光学共役に対して最小化されるように最適化されなければならない。これらの設計基準の最適化はいくつかの方法で実施することができ、一例はレンズ設計ソフトウェアである。システム400の一実施形態は、画像化光学部品402のためにシングレットレンズを使用している。この設計と関連した球面収差は、偏向測定デバイスをスポットパート表面位置の再現可能性誤差に対してより敏感にすることが見出された。この敏感性を小さくするために、本発明の好ましい実施形態は、画像化光学部品402のために色消しダブレットを使用している。色消しダブレットは、好ましいMicro-OLEDディスプレイ技術の無限共役画像化およびスペクトル特性のための優れた収差修正を有している。
【0049】
[0056]運動学的パートホルダ404および画像化光学部品402として色消しダブレットレンズを有する場合、5回の連続パート表面の再取付けの測定に対するシステム400の測定の再現性は5nm RMS未満であった。支配的な誤差、非点収差、パワーおよびコマ収差は、材料除去部の測定および関連するTIF特徴付けに対するそれらの影響が無視し得ると見なされる程度の十分に低い大きさであった。
【0050】
[0057]振動敏感性は、システム400と、MRFスポット測定のために広く使用されている市販の干渉計とに対して比較された。MRFスポット測定を実施するために干渉計システムが振動分離テーブルを必要とした条件では、偏向測定デバイスには、匹敵する測定結果を得るためのこのような振動分離は不要であった。
【0051】
[0058]本開示された発明の特有の点は、決定論的な仕上機による材料除去部の特徴付けのための差分計測と、偏向測定デバイスの高度に再現可能で、かつ、高度に再現可能なある測定特性の組合せである。材料除去部プロセスによるスポットパート表面の変化が正確に捕捉されることを条件として、絶対的な意味においてスポットパート表面を正確に特徴付けする必要はない。MRFスポット測定の例の場合、図4aおよび図4bに示されているシステム400は、従来技術に匹敵する結果をもたらし、低減されたコスト、複雑性および環境感度でシステム400を適切な代替にしている。
【0052】
[0059]以上、本発明の柔軟性を明示するために複数の実施形態が提案された。したがって新しい実施形態を引き出すための多くの変更が可能であるようであることが理解される。したがって本発明の精神および範囲は添付の特許請求の範囲によって定義されることになり、本明細書において説明されている特定の実施形態に限定されないことが理解される。
図1
図2
図3
図4a
図4b
図5
図6
図7a
図7b
【手続補正書】
【提出日】2023-07-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
決定論的な仕上機によってもたらされる材料除去部を特徴付けするための方法であって、(i)スポットパート表面の初期測定値を得るステップと、(ii)前記決定論的な仕上機を使用して、前記スポットパート表面から材料を除去するステップと、(iii)材料を除去した後に、前記スポットパート表面の後続の測定値を得るステップと、(iv)前記初期測定値と前記後続の測定値の間の変化に基づいて、前記除去された材料の深さおよび空間的性質を決定するステップとを含み、
前記スポットパート表面の前記初期測定値および前記後続の測定値が偏向測定デバイスを使用して獲得され、前記偏向測定デバイスが、ディスプレイと、画像化光学部品と、前記初期測定値および前記後続の測定値から前記スポットパート表面の再現可能な位置合わせを可能にする運動学的パートホルダと、絞りと、カメラレンズおよびカメラを含むカメラ画像化アセンブリとを備える、方法。
【請求項2】
前記偏向測定デバイスを使用して獲得される、前記スポットパート表面の前記初期測定値および前記後続の測定値を得る前記ステップが、
前記画像化光学部品で屈折または反射される、空間的に変化する強度パターンの形態の光を前記ディスプレイから放出するステップと、
続いて前記スポットパート表面で前記光を反射させるステップと、
続いて前記反射した光を前記画像化光学部品に向け直すステップであり、前記光が、前記画像化光学部品によって反射されるか、または屈折されるかのいずれかである、ステップと、
続いて前記ディスプレイからの前記光の画像を前記絞りで形成するステップであって、前記絞りは、前記スポットパート表面で反射した、前記カメラレンズに入射する前記光を幾何学的に制御する、ステップと、
続いて前記入射した光を、前記カメラレンズによって、前記光が焦点を合わされるカメラ検出器へ屈折させるステップと、
を含み、
前記ディスプレイおよびカメラが同期され、その結果、強度変化においてプログラムされた変化が前記カメラによって同時に捕捉され、次に、前記初期測定値および後続の測定値毎に試験表面のトポグラフィマップを再構築するために、獲得された画像がデータ解析器によってデータ解析される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記初期測定値と前記後続の測定値の間の変化に基づいて前記除去された材料の深さおよび空間的性質を決定するステップ(iv)が、スポットマップを作成するために、差分計測によって、前記初期測定値と前記後続の測定値の間の前記スポットパート表面の表面トポグラフィーの変化を決定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記決定論的な仕上機がMRF機械を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ディスプレイがマイクロ-OLEDディスプレイを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記画像化光学部品が、平面スポットパート表面のために最適化される画像化レンズを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記画像化光学部品が、色消しダブレット平行化レンズを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記画像化光学部品が、非平面スポットパート表面のために最適化される画像化レンズを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記画像化光学部品が、平面スポットパート表面を測定するために最適化される画像化鏡を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記画像化光学部品が非平面スポットパート表面のために最適化される画像化鏡を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記偏向測定デバイスを使用して獲得される前記スポットパート表面の前記初期測定値および前記後続の測定値を得る前記ステップが、前記カメラの温度を能動的に制御するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記カメラの温度を能動的に制御する前記ステップが、前記カメラ画像化アセンブリの前記カメラを冷却するステップを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
運動学的スポットパートホルダと、ディスプレイと、画像化光学部品と、絞りと、カメラレンズおよびカメラを含むカメラ画像化アセンブリとを備え、前記カメラが検出器を有する、偏向測定デバイスであって、
前記運動学的スポットパートホルダが、測定されるスポットパート表面を保持し、配置するように構成され、
前記画像化光学部品が、前記スポットパート表面の規定の幾何学形状に基づいて設計され、
前記ディスプレイが、前記運動学的スポットパートホルダの近傍に配置される前記画像化光学部品の近傍に配置され、前記ディスプレイおよび画像化光学部品が、スポットパート表面が前記運動学的スポットパートホルダの中に配置されるときに、ディスプレイ光を測定される前記スポットパート表面に向かって導くように構成され、また、反射したディスプレイ光を前記スポットパート表面から前記画像化光学部品に向け直し、前記光が次に前記絞りへ導かれるように構成され、
前記絞りが前記カメラ画像化アセンブリの近傍に配置され、前記スポットパート表面で反射した、前記カメラレンズに入射する前記光を幾何学的に制御し、前記入射した光が、次に前記カメラレンズで屈折して前記カメラ検出器に焦点を合わされ、また、
前記スポットパート表面の形状を予測することができるデータ解析器を備える、
偏向測定デバイス。
【請求項14】
前記画像化光学部品が、平面スポットパート表面のために最適化される画像化レンズを備える、請求項13に記載のデバイス。
【請求項15】
前記画像化光学部品が、色消しダブレット平行化レンズを備える、請求項13に記載のデバイス。
【請求項16】
前記画像化光学部品が、非平面スポットパート表面のために最適化される画像化レンズを備える、請求項13に記載のデバイス。
【請求項17】
前記画像化光学部品が、平面スポットパート表面を測定するために最適化される画像化鏡を備える、請求項13に記載のデバイス。
【請求項18】
前記画像化光学部品が、非平面スポットパート表面のために最適化される画像化鏡を備える、請求項13に記載のデバイス。
【請求項19】
前記カメラの温度を制御するための手段をさらに備える、請求項13に記載のデバイス。
【請求項20】
前記デバイスが決定論的な仕上機と共に使用される、請求項13に記載のデバイス。
【請求項21】
前記決定論的な仕上デバイスがMRF機械を備える、請求項20に記載のデバイス。
【請求項22】
ディスプレイと、画像化光学部品と、絞りと、カメラレンズおよびカメラを含むカメラ画像化アセンブリとを備える決定論的な仕上機の一部である偏向測定デバイスであって、
前記画像化光学部品が試験パート表面の規定の幾何学形状に基づいて設計され、
前記ディスプレイが、前記試験パート表面の近傍に配置される前記画像化光学部品の近傍に配置され、前記試験パート表面を測定している間、前記試験パート表面が前記決定論的な仕上機によって保持され、前記ディスプレイおよび画像化光学部品が、前記試験パートが前記決定論的な仕上機によって測定位置に保持されるときに、ディスプレイ光を前記試験パート表面に向かって導くように構成され、また、反射したディスプレイ光を前記試験パート表面から前記画像化光学部品に向け直し、前記光が次に前記絞りへ導かれるように構成され、
前記絞りが前記カメラ画像化アセンブリの近傍に配置され、前記試験パート表面で反射した、前記カメラレンズに入射する前記光を幾何学的に制御し、前記入射した光が、次に前記カメラレンズで屈折して前記カメラ検出器に焦点を合わされ、また、
前記カメラ画像から前記試験パート表面の形状を予測するために使用されるデータ解析器を備え、前記決定論的な仕上機が、測定されるスポットパート表面を正確な位置に保持するための手段を有し、個別の運動学的パートホルダの必要性を不要にする、偏向測定デバイス。
【請求項23】
前記デバイスがMRF機械によって生成された材料除去部を評価するために使用される、請求項22に記載のデバイス。
【請求項24】
前記ディスプレイがマイクロ-OLEDディスプレイを備える、請求項22に記載のデバイス。
【請求項25】
前記画像化光学部品が、平面試験パート表面のために最適化される画像化レンズを備える、請求項22に記載のデバイス。
【請求項26】
前記画像化光学部品が、色消しダブレット平行化レンズを備える、請求項22に記載のデバイス。
【請求項27】
前記画像化光学部品が、非平面試験パート表面のために最適化される画像化レンズを備える、請求項22に記載のデバイス。
【請求項28】
前記画像化光学部品が、平面試験パート表面を測定するために最適化される画像化鏡を備える、請求項22に記載のデバイス。
【請求項29】
前記画像化光学部品が非平面試験パート表面のために最適化される画像化鏡を備える、請求項22に記載のデバイス。
【請求項30】
前記カメラの温度を制御するための手段をさらに備える、請求項22に記載のデバイス。
【国際調査報告】