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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-20
(54)【発明の名称】外科用三尖弁プロテーゼ
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/24 20060101AFI20240912BHJP
【FI】
A61F2/24
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024516835
(86)(22)【出願日】2022-09-21
(85)【翻訳文提出日】2024-04-30
(86)【国際出願番号】 SG2022050678
(87)【国際公開番号】W WO2023048643
(87)【国際公開日】2023-03-30
(31)【優先権主張番号】10202110444X
(32)【優先日】2021-09-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SG
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507335687
【氏名又は名称】ナショナル ユニヴァーシティー オブ シンガポール
(71)【出願人】
【識別番号】511002216
【氏名又は名称】ナショナル ユニバーシティー ホスピタル (シンガポール) ピーティーイー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(72)【発明者】
【氏名】コフィディス テオドロス
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA27
4C097BB01
4C097CC01
4C097CC05
4C097DD01
4C097DD05
4C097DD09
4C097DD15
4C097EE18
4C097EE19
4C097SB02
4C097SB03
4C097SB09
(57)【要約】
心臓に移植される三尖弁プロテーゼが提供され、三尖弁プロテーゼは、環状長さと先端を形成する2つの自由縁とをそれぞれが備える2つ以上の弁尖を備え、2つ以上の弁尖は、交連で一緒に接合されてリングを形成し、互いに接合するように構成されている。三尖弁プロテーゼは、2つ以上の弁尖の先端に接続されたコネクタ要素を備えてもよい。また、三尖弁プロテーゼは、2セット以上のコードを備えてもよい。三尖弁プロテーゼは、ステントフレームを備えていても、備えていなくてもよい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
心臓に移植される三尖弁プロテーゼであって、
環状長さと先端を形成する2つの自由縁とをそれぞれが備える2つ以上の弁尖であって、交連で一緒に接合されてリングを形成し、互いに接合するように構成されている、2つ以上の弁尖と、
前記2つ以上の弁尖の前記先端に接続されたコネクタ要素と、
を備える、三尖弁プロテーゼ。
【請求項2】
前記2つ以上の弁尖は、縁同士で互いに接合する、請求項1に記載の三尖弁プロテーゼ。
【請求項3】
前記2つ以上の弁尖は、表面同士で互いに接合する、請求項1に記載の三尖弁プロテーゼ。
【請求項4】
前記コネクタ要素は、前記心臓の乳頭筋に取り付けられるように構成される、請求項1~3のいずれか一項に記載の三尖弁プロテーゼ。
【請求項5】
前記乳頭筋は、前乳頭筋である、請求項4に記載の三尖弁プロテーゼ。
【請求項6】
前記コネクタ要素は、右心室の自由壁に取り付けられるように構成される、請求項1~3のいずれか一項に記載の三尖弁プロテーゼ。
【請求項7】
2セット以上のコードをさらに備え、各セットのコードは、第一の端部において前記コネクタ要素に取り付けられる、請求項1~3のいずれか一項に記載の三尖弁プロテーゼ。
【請求項8】
2セット以上のコードをさらに備え、各セットのコードは、第一の端部において前記2つ以上の弁尖のうちの1つの前記先端に取り付けられ、前記2セット以上のコードは、前記コネクタ要素によって囲まれる、請求項1~3のいずれか一項に記載の三尖弁プロテーゼ。
【請求項9】
前記コネクタ要素は、前記2セット以上のコードの第一の端部を囲む、請求項8に記載の三尖弁プロテーゼ。
【請求項10】
前記コネクタ要素は、前記2セット以上のコードの長さにわたる、請求項8に記載の三尖弁プロテーゼ。
【請求項11】
前記2セット以上のコードは、第二の端部において前記心臓の1つ以上の乳頭筋に取り付けられるように構成される、請求項7~10のいずれか一項に記載の三尖弁プロテーゼ。
【請求項12】
前記リングは、豆形状又はサドル形状である、請求項1~11のいずれか一項に記載の三尖弁プロテーゼ。
【請求項13】
前記自由縁は、円の凹状弧に沿って成形される、請求項1~12のいずれか一項に記載の三尖弁プロテーゼ。
【請求項14】
前記2つ以上の弁尖は、前記2つ以上の弁尖の先端を分割するスロットをさらに備え、前記スロットは、2つの円弧を備える、請求項1~13のいずれか一項に記載の三尖弁プロテーゼ。
【請求項15】
前記2つの円弧は、互いに接合するように構成される、請求項14に記載の三尖弁プロテーゼ。
【請求項16】
心臓に移植される三尖弁プロテーゼであって、
環状長さと先端を形成する2つの自由縁とをそれぞれが備える2つ以上の弁尖であって、交連で一緒に接合されてリングを形成し、互いに接合するように構成されている、2つ以上の弁尖と、
2セット以上のコードであって、各セットのコードが第一の端部で前記2つ以上の弁尖に取り付けられる、2セット以上のコードと、
を備える、三尖弁プロテーゼ。
【請求項17】
前記2セット以上のコードは、一緒に縫合され、キャップを形成し、前記キャップは、前記心臓の乳頭筋に取り付けられるように構成される、請求項16に記載の三尖弁プロテーゼ。
【請求項18】
前記乳頭筋は、前乳頭筋である、請求項17に記載の三尖弁プロテーゼ。
【請求項19】
前記2セット以上のコードは、一緒に縫合され、キャップを形成し、前記キャップは、右心室の自由壁に取り付けられるように構成される、請求項16に記載の三尖弁プロテーゼ。
【請求項20】
前記リングは、豆形状又はサドル形状である、請求項16~19のいずれか一項に記載の三尖弁プロテーゼ。
【請求項21】
前記自由縁は、円の凹状弧に沿って成形される、請求項16~20のいずれか一項に記載の三尖弁プロテーゼ。
【請求項22】
前記2つ以上の弁尖は、前記2つ以上の弁尖の先端を分割するスロットをさらに備え、前記スロットは、2つの円弧を備える、請求項16~21のいずれか一項に記載の三尖弁プロテーゼ。
【請求項23】
前記2つの円弧は、互いに接合するように構成される、請求項22に記載の三尖弁プロテーゼ。
【請求項24】
ステントフレームをさらに備え、2つ以上の弁尖は、前記ステントフレーム内に位置付けられ、前記リングは、前記ステントフレームの周囲に合致するように寸法決定される、請求項1~16のいずれか一項に記載の三尖弁プロテーゼ。
【請求項25】
前記ステントフレームは、前記2つ以上の弁尖を前記ステントフレームに挿入するための1つ以上のスロットを備える、請求項24に記載の三尖弁プロテーゼ。
【請求項26】
前記ステントフレームは、前記2つ以上の弁尖を縫合するための複数の穴を備える、請求項24及び25に記載の三尖弁プロテーゼ。
【請求項27】
前記ステントフレームは、医療グレード材料を含む、請求項24~26のいずれか一項に記載の三尖弁プロテーゼ。
【請求項28】
前記ステントフレームは、ステンレス鋼、シリコン、プラスチック、又は酸化グラフェンから作製される、請求項24~26のいずれか一項に記載の三尖弁プロテーゼ。
【請求項29】
前記ステントフレームに取り付けられたカフをさらに備える、請求項24~28のいずれか一項に記載の三尖弁プロテーゼ。
【請求項30】
前記カフは、1つ以上の薬物でコーティングされる、請求項29に記載の三尖弁プロテーゼ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2021年9月21日に出願されたシンガポール出願第10202110444X号の利益を主張することであって、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、人工心臓弁に関する。特に、本開示は、三尖弁の外科的置換のための三尖弁プロテーゼに関する。
【背景技術】
【0003】
三尖弁は、右心房(上室)と右心室(下室)との間に位置する心臓内の弁である。三尖弁によって、血液が右心房から右心室へ流れることが可能になり、血液が右心房から右心室へ正しい方向に流れることが保証される。三尖弁は、心臓の線維骨格の右三角内に位置し、三尖弁輪、三尖弁弁尖、腱索、及び乳頭筋からなる。
【0004】
三尖弁は、概して、不均等なサイズの前尖、中隔弁尖、及び後尖を有する3つの弁尖である。同様に、3つの乳頭筋、すなわち、中隔/内側乳頭筋、下乳頭筋、及び前乳頭筋が存在する。前乳頭筋は、最も大きく、右心室自由壁に向かって進むにつれて、調節帯から生じる。腱索は、乳頭筋を三尖弁尖に接続する。三尖弁は、概して、7~9cmの面積を有し、心臓内に存在する4つの心臓弁で最も大きなものである。
【0005】
三尖弁オリフィスは、三尖弁輪で作られ、男性では平均11.4cm、女性では10.8cmである。前上縁、下縁、及び中隔縁は、各弁尖に対応する。房室(AV)弁のオリフィスの周りの結合組織は、AV束の位置を除いて、心房を心室から分離する。正常な三尖弁輪は、最高点が前後配向であり、最低点が内側外側配向であるサドル形状構造である。機能性三尖弁逆流を有する患者では、弁輪は、右心室自由壁に沿って拡張し、より円形で平面になる。
【0006】
三尖弁は、真の交連よりもくぼみのように見える交連を有する薄く膜状の3つの弁尖を有する。弁尖は、それぞれ、その対応する位置に応じて、前上、下又は壁、及び中隔と命名される。次いで、交連は、前中隔、前下、及び下と命名される。前上弁尖は、最大の弁尖である。それは、上室頂の後外側面に付着し、中隔肢から膜性中隔に延びて、前中隔交連の一部を形成する。後尖は、壁表面に完全に取り付けられ、AV接合部の横隔膜表面を保護する。それは、複数のスカロップを有することができ、その限界は、中隔下交連及び前下交連である。中隔弁尖は、右心房内の解剖学的領域であるコッホ三角の境界の1つであり、その位置は、冠状静脈洞開口部、トダロ腱索、及び頂点の房室結節によって区切られている。したがって、中隔弁尖は、右房室弁の手術中に、この伝導性組織の位置を特定するのに役立つ臨床上の目印である。
【0007】
腱索は、三尖弁の咬頭の自由端から右心室内の乳頭筋の先端まで延在する薄い強力な非弾性線維性索である。それらは、心室収縮中に収縮する乳頭筋の力を弁の弁尖に伝達し、心室で生成されるより高い圧力に起因して弁が心房の中に脱出することを防止する。
【0008】
RVには3つの乳頭筋、すなわち、前方、下方、及び内側又は中隔があり、その中で、前乳頭筋が最大であり、他は小さい筋先端である。これらの筋肉のそれぞれは、サイズ及び位置の両方で、それが支持する弁尖に対応している。前乳頭筋は、下弁尖の前下交連の下の右前外側心室壁(TV)から生じ、海綿体小柱(SMT)の右端と融合している(blending)。
【0009】
その命名法に反して、三尖弁(TV)は、二尖弁のように挙動する。つまり、中隔弁尖が右及び左線維三角と心房中隔及び心室中隔との間に固定されたままである一方で、前尖及び後尖が拡張期中にRVの中に扇形に広がり、収縮期中に弁を密閉するように扇形を縮ませる。弁輪は、拡張期及び収縮期のそれぞれの間に、拡張及び収縮することによってこれに役立つ。
【0010】
一部の人々の間では、この弁が正しく機能せず、三尖弁疾患を患っていると言われている。三尖弁疾患は、他のタイプの弁疾患と比較して稀である。三尖弁疾患の最も一般的な形態は、三尖弁狭窄症であり、これは弁尖が硬く、完全には開かないことを意味する。このため、弁が狭くなり、血流が制限される。弁疾患の別の形態は、三尖弁逆流である。この病状の患者は、弁尖が完全に閉じておらず、血液が心室に流入する代わりに、弁を超えて逆方向に漏出する。このような状態になると、心臓のポンプ機能が低下し、血液が体内に送られにくくなる。
【0011】
三尖弁疾患には多くの外科的治療選択肢があり、その1つは、三尖弁を人工弁で置換することである。三尖弁置換手術は、従来の開心手術又は最小侵襲的方法を使用して行われてもよく、これは、開心手術で使用されるものより小さい切開を伴い、ロボット支援技法を含んでもよい。既存の置換弁は、2つのカテゴリ、すなわち、組織弁及び機械的弁に分類される。組織又は生物学的弁は、動物組織及び弁から作製され、軟質で薄い弁尖を有する。生物学的組織弁は、最終的に、経時的に変性するにつれて、交換の必要がある。生物学的弁は、血液をさらさらにする薬を短期間、約3~6ヶ月間にわたって使用する必要がある。これらの薬物療法は、通常、不規則な心拍等の使用を継続する別の医学的理由がない限り、その時点で中止することができる。他方、炭素繊維から作製された機械的弁は、中実の弁尖を有する。弁置換を受けた患者は、生涯にわたって抗生物質予防に従う必要がある。機械的弁を受けた患者は、クマジンによる生涯にわたる治療を必要とする。この薬剤は、血液をさらさらにして、弁尖自体に破滅的な血餅が形成されるのを防止する。さらに、現在の置換弁は、三尖弁輪においてのみ心臓に接続され、右心室と相互作用又は「クロストーク」しない。この右心室との相互作用がなければ、置換弁のレシピエントにおける心不全につながることもある。
【0012】
したがって、既存の置換弁には、不自然に成形され、嵩張る異物を含有し、強力な抗凝固を必要とし、長く持続せず、心臓の効率的な回復に役立たないという欠点を有する。このため、既存の置換弁のこれらの問題を回避する三尖弁プロテーゼが必要とされている。
【発明の概要】
【0013】
本開示のいくつかの実施形態によれば、心臓に移植される三尖弁プロテーゼが提供され、三尖弁プロテーゼは、環状長さと先端を形成する2つの自由縁とをそれぞれが備える2つ以上の弁尖であって、交連で一緒に接合されてリングを形成し、互いに接合するように構成されている、2つ以上の弁尖と、2つ以上の弁尖の先端に接続されたコネクタ要素と、を備える。任意選択で、2つ以上の弁尖は、縁同士で互いに接合してもよい。任意選択で、2つ以上の弁尖は、表面同士で互いに接合してもよい。
【0014】
いくつかの実施形態によれば、コネクタ要素は、心臓の乳頭筋に取り付けられるように構成されてもよい。任意選択で、乳頭筋は、前乳頭筋であってもよい。
【0015】
いくつかの実施形態によれば、コネクタ要素は、右心室の自由壁に取り付けられるように構成されてもよい。
【0016】
いくつかの実施形態によれば、三尖弁プロテーゼは、2セット以上のコードをさらに備えてもよく、各セットのコードは、第一の端部においてコネクタ要素に取り付けられる。
【0017】
いくつかの実施形態によれば、三尖弁プロテーゼは、2セット以上のコードをさらに備えてもよく、各セットのコードは、第一の端部において2つ以上の弁尖のうちの1つの先端に取り付けられ、2セット以上のコードは、コネクタ要素によって囲まれる。任意選択で、コネクタ要素は、2セット以上のコードの第一の端部を囲んでもよい。任意選択で、コネクタ要素は、2セット以上のコードの長さにわたる。任意選択で、2セット以上のコードは、第二の端部において心臓の1つ以上の乳頭筋に取り付けられるように構成されてもよい。
【0018】
いくつかの実施形態によれば、リングは、豆形状であっても、サドル形状であってもよい。
【0019】
いくつかの実施形態によれば、自由縁は、円の凹状弧に沿って成形されてもよい。
【0020】
いくつかの実施形態によれば、2つ以上の弁尖は、2つ以上の弁尖の先端を分割するスロットをさらに備えてもよく、スロットは、2つの円弧を備える。任意選択で、2つの円弧は、互いに接合するように構成されてもよい。
【0021】
本開示のいくつかの実施形態によれば、心臓に移植される三尖弁プロテーゼがさらに提供され、三尖弁プロテーゼは、環状長さと先端を形成する2つの自由縁とをそれぞれが備える2つ以上の弁尖であって、交連で一緒に接合されてリングを形成し、互いに接合するように構成されている、2つ以上の弁尖と、2セット以上のコードであって、各セットのコードが第一の端部で2つ以上の弁尖に取り付けられる、2セット以上のコードと、を備える。任意選択で、2セット以上のコードは、一緒に縫合され、キャップを形成してもよく、キャップは、心臓の乳頭筋に取り付けられるように構成される。任意選択で、乳頭筋は、前乳頭筋である。
【0022】
いくつかの実施形態によれば2セット以上のコードは、一緒に縫合され、キャップを形成してもよく、キャップは、右心室の自由壁に取り付けられるように構成される。
【0023】
いくつかの実施形態によれば、リングは、豆形状であっても、サドル形状であってもよい。
【0024】
いくつかの実施形態によれば、自由縁は、円の凹状弧に沿って成形されてもよい。
【0025】
いくつかの実施形態によれば、2つ以上の弁尖は、2つ以上の弁尖の先端を分割するスロットをさらに備えてもよく、スロットは、2つの円弧を備える。任意選択で、2つの円弧は、互いに接合するように構成されてもよい。
【0026】
いくつかの実施形態によれば、本明細書に開示される三尖弁プロテーゼは、ステントフレームをさらに備え、2つ以上の弁尖が、ステントフレーム内に位置付けられてもよく、リングは、ステントフレームの周囲に合致するように寸法決定されてもよい。
【0027】
いくつかの実施形態によれば、ステントフレームは、2つ以上の弁尖をステントフレームに挿入するための1つ以上のスロットを備えてもよい。
【0028】
いくつかの実施形態によれば、ステントフレームは、2つ以上の弁尖を縫合するための複数の穴を備えてもよい。
【0029】
いくつかの実施形態によれば、ステントフレームは、医療グレード材料、例えば、ステンレス鋼、シリコン、プラスチック、酸化グラフェン、又はそれらの混合物を含んでもよい。
【0030】
いくつかの実施形態によれば、本明細書に開示される三尖弁プロテーゼは、ステントフレームに取り付けられたカフをさらに備えてもよい。任意選択で、カフは、1つ以上の薬物でコーティングされてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
本開示をよりよく理解し、その実用的な用途を認識するために、以下の図を提供し、以下で参照する。図は、例としてのみ与えられており、決して本発明の範囲を限定するものではないことに留意されたい。
【0032】
図1】本開示の実施形態による三尖弁プロテーゼの概略図である。
図2】本開示の実施形態による、乳頭筋に取り付けられたコードを備えて心臓に移植された三尖弁プロテーゼの概略図である。
図3A】本開示の実施形態による、コードが縫い合わされた、図1の三尖弁プロテーゼの代替実施形態である三尖弁プロテーゼの概略図である。
図3B】本開示の実施形態による、コードがコネクタ要素に固定された、図1の三尖弁プロテーゼの代替実施形態である三尖弁プロテーゼの概略図である。
図3C】本開示の実施形態による、コネクタ要素を有する、図1の三尖弁プロテーゼの別の代替実施形態である、三尖弁プロテーゼの概略図である。
図4A】本開示の実施形態による、三尖弁プロテーゼを心臓に移植する方法の概略図である。
図4B】本開示の実施形態による、三尖弁プロテーゼを心臓に移植する方法の概略図である。
図5A】本開示の実施形態による、第一の代替三尖弁プロテーゼの弁尖及びリングの側面斜視図の概略図である。
図5B】本開示の実施形態による、第一の代替三尖弁プロテーゼの弁尖の底面図の概略図である。
図5C】本開示の実施形態による、第一の代替三尖弁プロテーゼの弁尖及びコードの概略図である。
図5D】本開示の実施形態による、23mmHgの外圧下での第一の代替三尖弁プロテーゼの弁尖の有限要素法(FEM)分析の結果の上面図の概略図である。
図5E】本開示の実施形態による、最大主応力(MPa)下での第一の代替三尖弁プロテーゼの弁尖の有限要素法(FEM)分析の結果の側面図の概略図である。
図6A】本開示の実施形態による、第二の代替三尖弁プロテーゼの側面斜視図の概略図である。
図6B】本開示の実施形態による、開状態にある第二の代替三尖弁プロテーゼの概略図である。
図6C】本開示の実施形態による、閉状態にある第二の代替三尖弁プロテーゼの概略図である。
図6D】本開示の実施形態による、第二の代替三尖弁プロテーゼの弁尖に接続された代替コードの概略図である。
図7A】本開示の実施形態による、第三の代替三尖弁プロテーゼの弁尖の概略図である。
図7B】本開示の実施形態による、第三の代替三尖弁プロテーゼの弁尖の概略図である。
図7C】本開示の実施形態による、23mmHgの外部圧力下での第三の代替三尖弁プロテーゼの弁尖の有限要素法(FEM)分析の結果の上面図の概略図である。
図8A】本開示の実施形態による、第四の代替三尖弁プロテーゼの弁尖の概略図である。
図8B】本開示の実施形態による、23mmHgの外部圧力下での第四の代替三尖弁プロテーゼの弁尖の有限要素法(FEM)分析の結果の上面図の概略図である。
図9A】本開示の実施形態による、タイプI三尖弁のために設計された第五の代替三尖弁プロテーゼの側面斜視図の概略図である。
図9B】本開示の実施形態による、タイプI三尖弁のために設計された第五の代替三尖弁プロテーゼの弁尖の上面図の概略図である。
図9C】本開示の実施形態による、第五の代替三尖弁プロテーゼの弁尖及びコードの概略図である。
図9D】本開示の実施形態による、23mmHgの外部圧力下での第五の代替三尖弁プロテーゼの弁尖の有限要素法(FEM)分析の結果の上面図の概略図である。
図10A】本開示の実施形態による、タイプIIIB三尖弁のために設計された第六の代替三尖弁プロテーゼの側面斜視図の概略図である。
図10B】本開示の実施形態による、タイプIIIB三尖弁のために設計された第六の代替三尖弁プロテーゼの弁尖の上面図の概略図である。
図10C】本開示の実施形態による、第六の代替三尖弁プロテーゼの弁尖及びコードの概略図である。
図10D】本開示の実施形態による、23mmHgの外部圧力下での第六の代替三尖弁プロテーゼの弁尖の有限要素法(FEM)分析の結果の上面図の概略図である。
図11A】本開示の実施形態による、第七の代替三尖弁プロテーゼの側面斜視図の概略図である。
図11B】本開示の実施形態による、第七の代替三尖弁プロテーゼの弁尖の上面図の概略図である。
図11C】本開示の実施形態による、第七の代替三尖弁プロテーゼの弁尖及びコードの概略図である。
図11D】本開示の実施形態による、23mmHgの外部圧力下での第七の代替三尖弁プロテーゼの弁尖の有限要素法(FEM)分析の結果の上面図の概略図である。
図12A】本開示のいくつかの実施形態による、三尖弁プロテーゼ内に含まれるステントの上面図の概略図である。
図12B】本開示のいくつかの実施形態による、三尖弁プロテーゼ内に含まれるステントの第一の側面斜視図の概略図である。
図12C】本開示のいくつかの実施形態による、三尖弁プロテーゼ内に含まれるステントの第二の側面斜視図の概略図である。
図12D】本開示のいくつかの実施形態による、三尖弁プロテーゼ内に含まれるステントの第三の側面斜視図の概略図である。
図13A】本開示のいくつかの実施形態による、ステント付き三尖弁プロテーゼの側面斜視図の概略図である。
図13B】本開示のいくつかの実施形態による、ステント付き三尖弁プロテーゼの上面図の概略図である。
図13C】本開示のいくつかの実施形態による、ステント付き三尖弁プロテーゼの前尖の概略図である。
図13D】本開示のいくつかの実施形態による、ステント付き三尖弁プロテーゼの後尖の概略図である。
図13E】本開示のいくつかの実施形態による、ステント付き三尖弁プロテーゼの中隔弁尖の概略図である。
図14A】本開示のいくつかの実施形態による、ステント付き三尖弁プロテーゼの上面図の画像である。
図14B】本開示のいくつかの実施形態による、ステント付き三尖弁プロテーゼの側面斜視図の画像である。
図15A】本開示のいくつかの実施形態による、弁閉鎖中のステント付き三尖弁プロテーゼの上面図の画像である。
図15B】本開示のいくつかの実施形態による、弁開放中のステント付き三尖弁プロテーゼの上面図の画像である。
【0033】
1つ以上の図面に現れる同一又は重複又は同等又は類似の構造、要素、又は部分は、概して、同じ参照番号でラベル付けされ、随意に、類似のエンティティ又はエンティティの変形を区別するための付加的な文字を加えてラベル付けされるが、繰り返してラベル付け及び/又は説明されないことがある。以前に提示された要素への参照は、それらが現れる図面又は説明を必ずしもさらに引用することなく暗示される。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下の詳細な説明では、本発明の完全な理解を提供するために、多数の具体的な詳細が提示される。しかしながら、当業者であれば、これらの具体的な詳細なしに本発明を実施し得ることを理解するであろう。他の例では、本発明を不明瞭にしないように、周知の方法、手順、構成要素、モジュール、ユニット、及び/又は回路については、詳細に説明されていない。
【0035】
図面に示される構成要素及び特徴の寸法は、提示の便宜上又は明瞭さのために選択され、必ずしも縮尺通り又は真の視点で示されていない。便宜上又は明確にするために、いくつかの要素又は構造は、示されていないか、あるいは部分的にのみ、及び/又は異なる見方で、又は異なる視点で示されている。
【0036】
本発明の実施形態はこの点に関して限定されないが、本明細書で使用される用語「複数(“plurality”及び“a plurality”)」は、例えば、「多数(multiple)」又は「2つ以上」を含むことがある。用語「複数」は、2つ以上の構成要素、デバイス、要素、ユニット、パラメータ等を説明するために本明細書全体にわたって使用されることがある。明示的に述べられていない限り、本明細書に記載される方法の実施形態は、特定の順序又はシーケンスに制約されない。さらに、記載された方法の実施形態又はその要素のいくつかは、同時に、同じ時点で、又は一緒に生じ得るか、又は実行され得る。別段の指示がない限り、本明細書で使用される用語「又は」の使用は、包括的である(記述された選択肢のいずれか又は全て)と理解されるべきである。
【0037】
ここで図面を詳細に具体的に参照すると、示される詳細は、例として、本開示の実施形態の例示的な議論を目的としていることが強調される。この点に関して、図面と共に行われる説明によって、本開示の実施形態がどのように実施され得るかが当業者にとって明らかになる。
【0038】
図1は、本開示の実施形態による三尖弁プロテーゼ100の概略図である。三尖弁プロテーゼ100は、自然なヒト三尖弁に類似する特徴を有してもよい。三尖弁プロテーゼ100は、心筋の自然な歪みと共に動く天然三尖弁の機能を厳密に反映することを意図している。三尖弁プロテーゼ100は、心臓内の三尖弁輪に取り付けて血液が一方向に流れることを可能にするためのオリフィス、輪、又はリング108を形成するように互いに接続された2つ以上の可撓性の膜状弁尖104を含む。リング108は、天然三尖弁輪を模倣し、平坦な豆形状リング、平坦な円形リング、又はサドル形状リングであってもよい。いくつかの実施形態では、リング108は、可撓性又は剛性であってもよい。いくつかの実施形態では、リング108は、弁尖104の環状長(図示せず)を伴って形成されてもよい。いくつかの実施形態では、リング108は、例えば、弾性弁輪形成リングから形成されてもよい。いくつかの実施形態では、リング108は、三尖弁プロテーゼ100の外側に向かって、弁尖104をそれ自体の上に折り畳むこと、又は巻くことによって形成されてもよい。いくつかの実施形態では、リング108は、生物医学的繊維、ポリマー、又はウシ心膜等の好適な材料のストリップを追加することによってさらに強化されてもよい。三尖弁プロテーゼ100の外側に向かってそれ自体の上に弁尖104を巻くこと又は折り畳むことは、三尖弁プロテーゼ100の内側における凝血の生成を回避するのに有利に役立ち得、凝血が生成される場合、凝血は、リング108又はリング部分を折り畳んだ領域又は巻いた領域において三尖弁プロテーゼ100の外側にのみ現れるであろう。これによって、三尖弁プロテーゼ100の効率的な動作に損傷を与えるリスクが少なくなる。いくつかの実施形態では、リング108を形成する弁尖104を巻く場合又は折り畳む場合は、縫合を含まない。いくつかの実施形態では、可撓性リング108は、「ステントなしリ
【0039】
本開示のいくつかの実施形態では、弁尖104は、天然三尖弁弁尖の機能を模倣する。いくつかの実施形態では、各弁尖104は、1つ以上の天然三尖弁弁尖の機能を模倣してもよい。いくつかの実施形態では、2つ以上の弁尖104は、1つの天然三尖弁弁尖の機能を模倣してもよい。いくつかの実施形態では、患者の天然後尖の機能を模倣する第一の弁尖と、患者の天然中隔弁尖の機能を模倣する第二の弁尖と、患者の天然前尖の機能を模倣する第三の弁尖とが存在してもよい(図5A~5E、6A~6D、7A~7C、9A~9D、10A~10D、及び11A~11Dを参照)。いくつかの実施形態では、患者の天然後尖の機能を模倣する第一の弁尖及び第二の弁尖と、患者の天然中隔弁尖の機能を模倣する第三の弁尖及び第四の弁尖と、患者の天然前尖の機能を模倣する第五の弁尖及び第六の弁尖とが存在してもよい(図示せず)。いくつかの実施形態では、患者の天然中隔弁尖の機能を模倣する第一の弁尖と、患者の天然後尖及び前尖の機能を模倣する第二の弁尖とが存在してもよい(図8A~8B参照)。弁尖104の数、寸法、形状、及び配向は、患者の天然三尖弁及び弁輪のサイズ、形状、及び形態タイプ、並びに患者の天然乳頭筋の位置に基づいて、カスタマイズ及び調整されてもよい。いくつかの実施形態では、弁尖104は、患者の天然三尖弁の画像に基づいてカスタマイズ及び設計されてもよい。画像は、心エコー検査研究(又は他の画像化研究)を通して取得されてもよい。画像化研究から、心腔サイズ及び運動が測定される。患者の三尖弁輪、弁尖、及びコードの詳細な寸法も、取得された画像から測定される。三次元心エコー検査は、例えば、経食道心エコー検査(TEE)プローブ又は経胸腔心エコー検査(TTE)プローブを用いて実行することができる。三尖弁のセグメントは、eSieValves(商標)(Siemens Medical Solutions USA,Inc.,ペンシルベニア州Malvern)等のソフトウェアを用いて三次元及び四次元モデル化及び測定することができる。関連する測定値には、弁輪の外径及び内径、環状面積、線条体間距離及び交連間距離、前尖、中隔弁尖、及び後尖の様々な軸に沿った長さ、並びに乳頭筋の位置を含むことができる。追加又は代替として、三尖弁の三次元研究は、コンピュータ断層撮影(CT)又は磁気共鳴画像法(MRI)を用いて行うことができる。三尖弁領域のセグメント化は、画像解析ソフトウェアを用いて行うことができ、関連する測定値を得ることができる。弁尖104を設計した後、弁尖104の寸法は、弁尖104が心臓内の外圧下でどのように接合、変形、及び機能し得るかを調べるために、有限要素法(FEM)分析を用いて最適化してもよい。
【0040】
本開示のいくつかの実施形態では、弁尖104は、凝固に抵抗することができる天然材料又は生体適合性複合材料から形成されてもよい。いくつかの実施形態では、隣接する弁尖104は、交連112を形成するように、環状長(図示せず)の両端で相互に接続されてもよい。いくつかの実施形態では、弁尖104は、別個の材料片から作製され、弁尖104の隣接する対は、交連112において一緒に縫合されてもよい。他の実施形態では、弁尖104は、単一の材料片から構築されてもよい。いくつかの実施形態では、交連112は、移植中に三尖弁プロテーゼ100の配向を支援するために、レーザ又は任意の他の適切な方法によってラベル付けされてもよい。
【0041】
本開示のいくつかの実施形態では、弁尖104は、概して、頂部における環状長さ(図示せず)と、先端部122を形成する2つの自由縁116とを含む三面形状として成形されてもよい。いくつかの実施形態では、自由縁116は、互いに向かって先細になり、先端122を形成し得る。自由縁116は、凹状弧の形態で成形されてもよい。いくつかの実施形態では、閉状態では、弁尖104の自由縁116は、縁同士を接合してもよく、それによって、弁尖の自由縁116は、三尖弁プロテーゼ100を密閉及び閉鎖するように、接合縁(図示せず)を形成する、同じ弁尖又は隣接する弁尖104内に位置する隣接する自由縁116と接合又は合致してもよい(図5D、5E、7C、8B、9D、10D、及び11D参照)。これは、弁尖が、相互に接触すること、又は表面同士を接合することによって開閉する、患者の天然三尖弁とは異なる。いくつかの実施形態では、閉状態では、自由縁116に加えて、弁尖104が隣接する弁尖104と表面同士を接合し得るように、弁尖104間の接合が増加してもよい(図6C参照)。開状態では、弁尖104の自由縁116は、互いに接触しない。いくつかの実施形態では、三尖弁プロテーゼ100は、閉位置に付勢されてもよい。他の実施形態では、三尖弁プロテーゼ100は、開位置に付勢されてもよい。
【0042】
本開示のいくつかの実施形態では、三尖弁プロテーゼ100は、心臓の天然腱索を模倣するコード120をさらに備えてもよい。各コード120は、第一の端部121及び第二の端部123を備えてもよい。各コード120は、第一の端部121において、先端122又は弁尖104の本体に接続されてもよい。他の実施形態では、弁尖104の先端122は、コネクタ要素(図3Bのコネクタ要素132等)に接続される。この実施形態では、コネクタ要素132は、全ての弁尖104の先端122に接続されてもよい。いくつかの実施形態では、コネクタ要素132は、その遠位端でコード120の第一の端部121に接続される。いくつかの実施形態では、各弁尖104に接続される1つ以上のコード120が存在してもよい。いくつかの実施形態では、コード120の第一の端部121は、分岐に分割されてもよく、各分岐は、弁尖104に接続される(図6D参照)。各コード120は、弁尖104と同じ材料片から形成されてもよく、又は別個の材料片から形成され、次いで、弁尖104に取り付けられてもよい。いくつかの実施形態では、コード120は、第二の端部123において、右心室の1つ以上の乳頭筋に接続されてもよく(図2及び4A参照)、又は右心室の自由壁に接続されてもよい(図4B参照)。コード120は、同じ乳頭筋に接続されても、あるいは異なる乳頭筋に接続されてもよい。いくつかの実施形態では、それぞれが1つのコード120を有する3つの弁尖104が存在する場合、コード120のそれぞれは、右心室の3つの乳頭筋のうちの1つに接続されてもよい(図2参照)。他の実施形態では、コード120は、全て、右心室の1つの乳頭筋、好ましくは右心室の最も強い乳頭筋である前乳頭筋に接続されてもよい。他の実施形態では、コード120の第二の端部123は、右心室の自由壁に接続されてもよい(図4B参照)。弁尖104を心臓の乳頭筋又は右心室の自由壁に接続するコード120によって、三尖弁プロテーゼ100が心室と相互作用又は「クロストーク」することが可能になり、したがって、移植後の心不全のリスクが少なくなる。
【0043】
本開示のいくつかの実施形態では、リング108、弁尖104、コード120、及びコネクタ要素132(図3B及び3C参照)を含む、三尖弁プロテーゼ100のいずれか又は全ての構成要素は、天然材料で生産されてもよく、綿撒糸等の異物が入り込むのを回避することができる。同種移植片、異種移植片及び/又は自家移植片材料の様々な組み合わせを含む同種移植片材料及び/又は複合材料を使用して、リング108、弁尖104、コード120及びコネクタ要素132を製造してもよい(図3B及び3C参照)。三尖弁プロテーゼ100の任意の構成要素を形成するために使用される材料は、ヒト、ウシ、又はブタの心膜、脱細胞化生体補綴材料、天然及び合成ポリマーを含むポリマー、細胞に組み込まれた織られた生分解性ポリマー、並びに細胞外材料を含んでもよいが、それらに限定されない。生分解性天然ポリマーは、フィブリン、コラーゲン、キトサン、ゼラチン、ヒアルロナン、及びそれらの類似材料を含むことができるが、それらに限定されない。細胞及び細胞外マトリックス材料を浸潤させることができる生分解性合成ポリマー足場は、ポリ(L-ラクチド)、ポリグリコリド、ポリ(乳酸-コ-グリコール酸)、ポリ(カプロラクトン)、ポリオルトエステル、ポリ(ジオキサノン)、ポリ(無水物)、ポリ(トリメチレンカルボネート)、ポリホスファゼン、及びそれらの類似材料を含むことができるが、それらに限定されない。可撓性リング108は、患者に個別化された可撓性又は剛性を提供するようにさらにカスタマイズされてもよい。加えて、三尖弁プロテーゼ100の任意の構成要素は、患者の自己心膜とともに手術中に作られてもよい。いくつかの実施形態では、三尖弁プロテーゼ100は、患者自身の心膜から製作することができる。あるいは、三尖弁プロテーゼ100は、患者自身の培養細胞の層が組織工学によって適用される異種材料(例えば、既存の弁等の動物組織)から製作されてもよい。他の実施形態では、リング108、弁尖104、コード120、及びコネクタ要素132(図3B及び3C参照)を含む、三尖弁プロテーゼ100のいずれか又は全ての構成要素は、プラスチック、シリコーン、又はステンレス鋼等の合成又は非生分解性材料から作製されてもよい。
【0044】
人工弁は、既知の毒素であり、再生を促進するグルタルアルデヒドでしばしば固定される。本発明の三尖弁プロテーゼは、色素媒介光固定等の非グルタルアルデヒドベースの方法によって固定されてもよい。本開示の三尖弁プロテーゼは、また、エポキシ化合物、カルボジイミド、ジグリシジル、ロイテリン、ゲニピン、ジフェニルホスホリルアザイド、アシルアジド、及びシアナミド等の代替架橋剤を使用することによって、又は紫外線及び脱水等の物理的方法によって、固定されてもよい。
【0045】
本開示のいくつかの実施形態では、三尖弁プロテーゼ100、又は三尖弁プロテーゼ100のいくつかの構成要素は、生物学的材料を使用して、生物学的三次元(3D)印刷を用いて直接製造されてもよい。他の実施形態では、三尖弁プロテーゼ100、又は三尖弁プロテーゼ100のいくつかの構成要素は、術前に実施される三次元撮像から得られる詳細な寸法に基づいて、三次元印刷によって構築されるテンプレート又は型を使用して製造されてもよい。
【0046】
図2は、本開示の実施形態による、乳頭筋124に取り付けられたコード120を有する心臓200に移植された三尖弁プロテーゼ100の概略図である。三尖弁プロテーゼ100は、右心房208と右心室212との間に位置する天然三尖弁輪204の位置に移植されて示されている。三尖弁プロテーゼ100のコード120は、乳頭筋124に接続されて示されている。弁尖104(図示せず)を患者の乳頭筋124に繋ぐコード120は、有利なことに、心周期全体を通じて右心室壁に支持を提供し、弁尖104が右心房208の中に開くのを防止する。いくつかの実施形態では、コード120は、長さが5~15mmの間、幅が1~5mmの間であってもよい。いくつかの実施形態では、コード120の長さ及び幅は、調節可能であり、三尖弁プロテーゼ100を受容する患者に対して行われる術前エコースキャン及びCTスキャンに基づいて決定されてもよい。いくつかの実施形態では、コード120の長さは、天然三尖弁輪204から乳頭筋124の先端までの距離を測定することによって決定されてもよい。
【0047】
本開示のいくつかの実施形態では、リング108は、患者の心臓の超音波検査後にカスタムメイドされてもよい。特に、詳細な解剖学的測定値を得るために、及び/又はカスタマイズされた三尖弁プロテーゼを製造することができる患者の心臓の三次元モデルをレンダリングするために、三次元心エコー検査が実施されてもよい。弁尖104及びコード120は、また対象の天然三尖弁及び周囲の解剖学的構造の超音波撮像に基づいてカスタマイズされてもよい。いくつかの実施形態では、カスタマイズされた三尖弁プロテーゼは、また心臓CT及び心臓MRIを含む三次元情報を提供する他の撮像モダリティによって得られたデータから生産されてもよい。したがって、本開示の三尖弁プロテーゼは、患者の特定の解剖学的構造に合致するように選択、カスタマイズ、又は設計されてもよい。
【0048】
本開示のいくつかの実施形態では、天然三尖弁の除去又は外植の前に、天然交連位置をダブルアーム縫合糸でマークしてもよい。天然三尖弁が除去された後、天然交連位置をマークする縫合糸が、三尖弁プロテーゼ100のリング108上の対応する点を通過させられ、三尖弁プロテーゼ100を心臓200の中へ誘導してもよく、それによって、リング108上の対応する点は、天然交連位置をマークするダブルアーム縫合糸上に着地するであろう。いくつかの実施形態では、三尖弁プロテーゼ100上の対応する点は、交連112であってもよい。リング108が天然三尖弁輪204内に位置付けられると、交連縫合糸は、結束によって固定されてもよい。コード120は、次いで、それらの対応する乳頭筋上に固定されてもよい。いくつかの実施形態では、コード120は、三尖弁プロテーゼ100のリング108を配向する前に、それらの対応する乳頭筋に取り付けられてもよい。
【0049】
図3Aは、本開示の実施形態による、コード120が縫い合わされた、図1の三尖弁プロテーゼ100の代替実施形態である三尖弁プロテーゼ100-1の概略図である。図3Aの実施形態は、図1の実施形態に類似しており、同様の番号の用語は、同じように構成されているが、コード120-1がキャップ128を形成するために長さ方向に縫い合わされる点で異なる。次いで、キャップ128は、患者の乳頭筋124、好ましくは前乳頭筋(図4A参照)に縫合され固定されてもよい。他の実施形態では、キャップ128は、右心室212の自由壁440に固定されてもよい(図4B参照)。キャップ128は、心臓が収縮するときに引っ張る単一のベクトルを保証する。また、キャップ128は、弁尖104-1と乳頭筋124又は右心室212の自由壁440との間の接続を有利に強化するが、その理由は、心臓収縮中に乳頭筋124又は右心室212の自由壁440がコード120-1を引っ張るときに、コード120-1が裂けるのを防止するために、キャップ128がコード120-1を一緒に導くからである。また、キャップ128は、三尖弁プロテーゼ100-1の自由縁116-1の接合が心臓収縮中に損なわれないように、接合中に均一性を確保する。
【0050】
他の実施形態では、コード120-1は、第一の端部において弁尖104-1に接続されたコード120-1の一部にわたって長さ方向に縫合されてもよく、それにより、コード120-1は、第二の端部において互いに自由であり、別個の乳頭筋(図示せず)に取り付けられてもよい。縫合は、たとえコード120-1が異なる乳頭筋に接続され得るとしても、心臓200が収縮するときに単一の引っ張りベクトルが存在することを確実にする。いくつかの実施形態では、コード120-1は、長さが2~10mmの間であってもよく、2~10mmの長さにわたって長さ方向に縫い合わされてもよい。いくつかの実施形態では、コード120-1の長さ及び幅、並びにコード120-1が縫合される長さは、調節可能であり、三尖弁プロテーゼ100-1を受容する患者に対して行われる術前エコースキャン及びCTスキャンによって決定されてもよい。
【0051】
図3Bは、本開示の実施形態による、コード120-2がコネクタ要素132に固定された、図1の三尖弁プロテーゼ100の代替実施形態である三尖弁プロテーゼ100-2の概略図である。図3Bの実施形態は、図1の実施形態と同様であり、同様の番号が付された用語が同じように構成されているが、コード120-2が、弁尖104-2に接合されたコード120-2の第一の端部でコネクタ要素132に固定され、コネクタ要素132はコード120-2の長さの一部に及ぶ点で異なる。いくつかの実施形態では、コネクタ要素132は、コード120-2を囲むか又はその周りに巻き付けられ、コード120-2に縫合される材料片であってもよい。コネクタ要素132は、コード120-2の第二の端部が互いに自由であり、異なる乳頭筋124に接続され得るように、コード120-2よりも短くてもよい。いくつかの実施形態では、コード120-2は、長さが2~10mmであってもよく、コネクタ要素132は、1~5mmの長さにわたってコード120-2を囲んでもよい。いくつかの実施形態では、コード120-2の長さ及びコネクタ要素132によって囲まれるコード120-2の長さは、調節可能であり、三尖弁プロテーゼ100-2を受容する患者に対して行われる術前エコー走査及びCT走査によって決定されてもよい。いくつかの実施形態では、コネクタ要素132は、一端で弁尖104-2の先端122-2に接続され、遠位端でコード120-2の第一の端部に接続されてもよい。いくつかの実施形態では、コネクタ要素132は、弁尖104-2の縁が互いに接触しているときに充分な接合を可能にするように、弁尖104-2に接続される。いくつかの実施形態では、コネクタ要素132は、弁尖104-2の先端122-2に縫合されてもよい。いくつかの実施形態では、コネクタ要素132は、中空管(図示せず)として成形される。他の実施形態では、コネクタ要素132は、三尖弁プロテーゼ100-2を通る血流に対する妨害を最小限に抑えながら、弁尖104-2の先端122-2及びコード120-2をそれに接続することを可能にする、楕円形又は円形断面を有する中実管として成形される。いくつかの実施形態では、コネクタ要素132の長さは、1~5mmの間である。コネクタ要素132は、たとえコード120-2が異なる乳頭筋124に接続され得るとしても、心臓が収縮するときに単一の引っ張りベクトルが存在することを確実にする。コネクタ要素132は、三尖弁プロテーゼ100-2の自由縁116-2の接合が、乳頭筋124の異なる場所又は乳頭筋124までの異なる距離によって損なわれないように、接合中の均一性を有利に保証してもよい。
【0052】
図3Cは、本開示の実施形態による、コネクタ要素132-3を有する、図1の三尖弁プロテーゼ100の別の代替実施形態である、三尖弁プロテーゼ100-3の概略図である。図3Cの実施形態は、図1の実施形態と同様であり、同様の番号が付された用語が同じように構成されているが、図1の実施形態に類似しており、コード(図示せず)が、コード(図示せず)の全長にわたるコネクタ要素132-3とともに固定される点で異なる。コネクタ要素132-3とともに固定されたコード(図示せず)は、次いで、患者の乳頭筋、好ましくは、前乳頭筋、又は心臓の心室の壁に縫合及び固定されてもよい。コネクタ要素132-3は、弁尖104-3と右心室の乳頭筋又は自由壁との間の接続を強化するが、その理由は、コネクタ要素132-3は、心臓収縮中に前乳頭筋がコード120-3を引っ張るときにコード120-3が裂けるのを防止するようにコード20-3を一緒に導くからである。
【0053】
他の実施形態では、コネクタ要素132-3は、一端で弁尖104-3の先端122-3に接続され、他端で患者の乳頭筋124、好ましくは前乳頭筋、又は心臓の心室の壁に接続されてもよい。いくつかの実施形態では、コネクタ要素132-3は、弁尖104-3の先端122-3に縫合される。いくつかの実施形態では、コネクタ要素132-3は、中空管(図示せず)として成形される。他の実施形態では、コネクタ要素132-3は、三尖弁プロテーゼ100-3を通る血流に対する妨害を最小限に抑えて、弁尖104-3の先端を乳頭筋又は右心室の自由壁に接続することを可能にする、楕円形又は円形断面を有する中実管として成形される。コネクタ要素132-3は、心臓が収縮するときに引っ張る単一のベクトルが存在することを確実にする。コネクタ要素132-3は、三尖弁プロテーゼ100-3の自由縁116-3の接合が心臓収縮中に損なわれないように、接合中の均一性を有利に保証してもよい。
【0054】
図4A及び図4Bは、本開示の実施形態による、三尖弁プロテーゼ100-3を心臓200の中に移植する方法の概略図である。いくつかの実施形態では、三尖弁プロテーゼ100-3内のキャップ128として、コネクタ要素132-3と一緒に固定されたコード120-3は、全て、右心室内の同じ乳頭筋124に接続されてもよい(図4A参照)。いくつかの実施形態では、コネクタ要素132-3と一緒に固定されたコード120-3は、最も強い乳頭筋であるため、前乳頭筋に接続されてもよい。いくつかの実施形態では、三尖弁プロテーゼ100-3内のコネクタ要素132-3と一緒に固定されたコード120-3は、右心室212の自由壁440に接続されてもよい(図4B参照)。いくつかの実施形態では、三尖弁プロテーゼ100-3内のコネクタ要素132-3と一緒に固定されたコード120-3は、コネクタ要素132-3と一緒に固定されたコード120-3を右心室212の自由壁440内の切開部(図示せず)に通し、コネクタ要素132-3と一緒に固定されたコード120-3を右心室212の自由壁440の内面444及び右心室212の自由壁440の外面448に縫合することによって、右心室212の自由壁440に接続されてもよい。いくつかの実施形態では、心尖パッド(図示せず)が、右心室212の自由壁440の切開部を覆って、自由壁440の外面448に配置されてもよい。図4A及び図4Bに図示される三尖弁プロテーゼ100-3を心臓200の中へ移植する方法は、同様に、三尖弁プロテーゼ100-1を、心臓200の中へキャップ128の中へ一緒に縫合されるコード120-1とともに移植するために、あるいは三尖弁プロテーゼ100-3を、弁尖104-3の先端122-3に直接接合されるコネクタ要素132-3とともに移植するために採用されてもよい。コネクタ要素132又はキャップ128と一緒に固定されたコード120を接合すること、あるいはコネクタ要素132-3を乳頭筋124又は右心室212の自由壁440に直接接合することは、心周期全体を通して右心室壁への支持を提供し、弁尖104が右心房208の中へ開くことを防止する。それによって、また、三尖弁プロテーゼ100が心室と相互作用又は「クロストーク」することが可能になり、したがって、有利なことに移植後の心不全のリスクが減少する。
【0055】
図5Aは、本開示の実施形態による、第一の代替三尖弁プロテーゼ500の弁尖504及びリング508の側面斜視図の概略図であり、図5Bは、第一の代替三尖弁プロテーゼ500の弁尖504の底面図の概略図である。第一の代替三尖弁プロテーゼ500は、円形の弁輪と、円形の弁輪の中心付近に位置する乳頭筋とを有する患者のために設計されてもよい。三尖弁プロテーゼ100と同様に、第一の代替の三尖弁プロテーゼ500は、リング508を有する。リング508は、患者の円形の弁輪に適合するように円形である。リング508は、患者の天然三尖弁内に嵌合するように、20~35mmの間の直径を有してもよい。リング408は、患者の心臓の撮像を通して得られる患者の天然三尖弁輪に対応する直径を有してもよい。三尖弁プロテーゼ100と同様に、第一の代替三尖弁プロテーゼ500は、リング508から懸架される弁尖504を有し、弁尖504は、交連512において相互に接続される。第一の代替三尖弁プロテーゼ500は、3つの弁尖、すなわち、第一の弁尖504a、第二の弁尖504b、及び第三の弁尖504cを有してもよい。第一の弁尖504aは、天然三尖弁の中隔弁尖を模倣してもよく、第二の弁尖504bは、天然三尖弁の後尖を模倣してもよく、第三の弁尖504cは、天然三尖弁の前尖を模倣してもよい。第一の弁尖504aは、第一の交連512aにおいて第二の弁尖504bに接続されてもよく、第二の弁尖504bは、第二の交連512bにおいて第三の弁尖504cに接続されてもよく、第三の弁尖504cは、第三の交連512cにおいて第一の弁尖504aに接続されてもよい。いくつかの実施形態では、第一の弁尖504a、第二の弁尖504b、及び第三の弁尖504cは、同一であってもよく、3つ全ての弁尖504は、同じ環状長さ532を有してもよい。他の実施形態では、第一の弁尖504a、第二の弁尖504b、及び第三の弁尖504cは、異なっていてもよく、3つの弁尖504は、異なる環状長さ532を有する(図5C参照)。いくつかの実施形態では、リング508が円形であり、第一の弁尖504a、第二の弁尖504b、及び第三の弁尖504cが同一であり、第一の代替三尖弁プロテーゼ500は、対称的であり、したがって、第一の代替三尖弁プロテーゼ500は、移植中に、任意の方法で配向されてもよい。
【0056】
図5Cは、本開示の実施形態による、第一の代替三尖弁プロテーゼ500の弁尖504及びコード520の概略図である。各弁尖504の先端522は、コード520の第一の端部521に接続されてもよい。好ましくは、3つ全てのコード520は、単一の乳頭筋、好ましくは前乳頭筋に接合される。いくつかの実施形態では、3つ全てのコード520の第二の端部523は、コード520を一緒に縫合してキャップ128を形成すること、又はコネクタ要素132-3をコード520の周囲に巻き付けることを含む、前述の方法のうちのいずれかを通して、一緒に固定され、次いで、単一乳頭筋124(図4A参照)又は右心室212の自由壁440(図4B参照)に固定されてもよい。他の実施形態では、コード520は、弁尖504に接続され、第二の端部523において別個の乳頭筋124に接続される、第一の端部521において、一緒に縫合されるか、又はコネクタ要素132によって囲まれてもよい。
【0057】
本開示のいくつかの実施形態では、弁尖504は、半径20~40mmの円の120°の凸状弧に沿って形成された環状長さ532を有してもよい。いくつかの実施形態では、環状長さ532は、サイズ25mmの弁に対して26.2mm、サイズ27mmの弁に対して28.3mm、サイズ29mmの弁に対して30.4mm、サイズ31mmの弁に対して32.4mm、及びサイズ33mmの弁に対して34.5mmであってもよい。交連512は、3~10mmの間の長さを有してもよい。いくつかの実施形態では、自由縁516は、30~60mmの間の半径を有する円の20°~30°の凹状弧に沿って形成されてもよい。いくつかの実施形態では、コード520は、5~15mmの長さと、2~8mmの幅を有してもよい。いくつかの実施形態では、弁尖504の寸法は、患者の天然三尖弁のサイズ及び乳頭筋と弁輪との間の垂直距離(PM高さ)に基づいて決定されてもよい。いくつかの実施形態では、30mm以上のPM高さを有するサイズ36mmの円形三尖弁のための第一の代替三尖弁プロテーゼ500は、半径36.51の円の59.07°の弧に沿って形成された環状長さ532を有する3つの同一の弁尖504と、10mmの長さを有する交連512と、半径50mmの円の28°の円弧に沿って形成された自由端516と、長さ8.62mm及び幅1.46mmを有するコード520、を有してもよい。いくつかの実施形態では、弁尖504a、504b、及び504cは、弁尖504aの先端522a、弁尖504bの先端522b、及び弁尖504cの先端522cが、リング508の中心に対応する点に収束するように、寸法決定されてもよい(図5B参照)。弁尖504の種々の寸法は、圧力下での第一の代替三尖弁プロテーゼ500の開閉を可視化するために、有限要素法(FEM)分析を使用して最適化及び決定されてもよい。
【0058】
図5Dは、本開示の実施形態による、23mmHgの外圧下での第一の代替三尖弁プロテーゼ500の弁尖504の有限要素法(FEM)分析の結果の上面図の概略図であり、図5Eは、最大主応力(MPa)下での第一の代替三尖弁プロテーゼ500の弁尖504の有限要素法(FEM)分析の結果の側面図の概略図である。FEM分析は、第一の代替の三尖弁プロテーゼ500の弁尖504に対して実施され、圧力下での三尖弁プロテーゼ500の開閉を可視化し、応力の領域を特定した。好ましくは、三尖弁プロテーゼ500は、正常な肺動脈圧の範囲である10~30mmHgの外部圧力で閉じる。モデル上の領域が暗いほど、領域が受ける応力は高くなる。FEM分析に使用される材料は、0.28mmの厚さ及び30MPaのヤング率を有するウシ心膜であってもよいが、他の特性を有する他の材料を使用してもよい。いくつかの実施形態では、低いヤング率を有する薄い若齢ウシ心膜が使用されてもよい。図5D及び図5Eに図示されるように、自由縁516は、圧力下で互いに接合し、接合縁536を形成し、三尖弁プロテーゼ500を密閉する。
【0059】
図6Aは、本開示の実施形態による、第二の代替三尖弁プロテーゼ600の側面斜視図の概略図である。図6Bは、本開示の実施形態による、開状態にある第二の代替三尖弁プロテーゼ600の概略図であり、図6Cは、閉状態にある第二の代替三尖弁プロテーゼ600の概略図である。第二の代替三尖弁プロテーゼ600は、円形弁輪を有し、3つの弁尖、すなわち、第一の弁尖604a、第二の弁尖604b、及び第三の弁尖604cを備えるという点で、第一の代替三尖弁プロテーゼ500と同様である。いくつかの実施形態では、第一の弁尖604aは、天然三尖弁の中隔弁尖を模倣してもよく、第二の弁尖604bは、天然三尖弁の後尖を模倣してもよく、第三の弁尖604cは、天然三尖弁の前尖を模倣してもよい。第一の弁尖604aは、第一の交連612aにおいて第二の弁尖604bに接続されてもよく、第二の弁尖604bは、第二の交連612bにおいて第三の弁尖604cに接続されてもよく、第三の弁尖604cは、第三の交連612cにおいて第一の弁尖604aに接続されてもよい。第一の弁尖604a、第二の弁尖604b、及び第三の弁尖604cは、同一であってもよく、3つ全ての弁尖604は、同じ環状長さ632を有してもよい。第二の代替三尖弁プロテーゼ600の環状長632は、交連612に沿って一緒に縫合され、弁輪602上に縫合されるリング608を形成してもよい(図6B参照)。いくつかの実施形態では、環状長さ632は、サイズ25mmの弁に対して26.2mm、サイズ27mmの弁に対して28.3mm、サイズ29mmの弁に対して30.4mm、サイズ31mmの弁に対して32.4mm、及びサイズ33mmの弁に対して34.5mmであってもよい。他の実施形態では、第一の弁尖604a、第二の弁尖604b、及び第三の弁尖604cは、異なっていてもよく、3つ全ての弁尖604は、異なる環状長さ632を有してもよい。
【0060】
いくつかの実施形態では、第一の代替三尖弁500とは異なり、第二の代替三尖弁プロテーゼ600は、弁尖604の表面同士の接合のために設計されてもよい(図6C参照)。いくつかの実施形態では、開状態では(図6B参照)、弁尖604a、604b、及び604c間の接触点は、接合点612a、612b、及び612cのみであり、弁尖604a、604b、及び604cの自由縁616は、互いに接触しない。いくつかの実施形態では、閉状態では、弁尖604は、自由縁616に近接する表面において互いに接合し、弁尖604間に接合表面614を形成する。第一の弁尖604aは、第二の弁尖604bと接合して接合表面614aを形成してもよく、第二の弁尖604bは第三の弁尖604cと接合して、接合表面614bを形成してもよく、第三の弁尖604cは、第一の弁尖604aと接合して接合表面614cを形成してもよい。そのような実施形態は、第一の代替三尖弁500における縁同士の接合より高い接合表面614又は面積を有する。接合表面614の面積は、自由縁616の曲率を変更することによって調整されてもよい。
【0061】
いくつかの実施形態では、各弁尖604の先端622は、コード620の第一の端部621に接続されてもよい。好ましくは、3つ全てのコード620は、単一の乳頭筋124、好ましくは前乳頭筋に接合される。いくつかの実施形態では、3つ全てのコード620の第二の端部623は、コード620を一緒に縫合してキャップ128を形成すること、又はコネクタ要素132-3をコード620の周囲に巻き付けることを含む、前述の方法のうちのいずれかを通して、一緒に固定され、次いで、単一乳頭筋124(図4A参照)又は右心室212の自由壁440(図4B参照)に固定されてもよい。他の実施形態では、コード620は、弁尖604に接続され、第二の端部523において別個の乳頭筋124に接続される、第一の端部621において、一緒に縫合されるか、又はコネクタ要素132によって囲まれてもよい。
【0062】
図6Dは、本開示の実施形態による、第二の代替三尖弁プロテーゼ600の弁尖604に接続された代替コード620-1の概略図である。コード620と同様に、コード620-1は、第一の端部621-1及び第二の端部623-1を備えてもよい。いくつかの実施形態では、コード620-1の第一の端部621-1は、2つ以上の分岐625に分割されてもよく、各分岐625は、弁尖604に接続されてもよい。いくつかの実施形態では、弁尖604に接続するときにコード620-1を分割することによって、これは、有利に、圧力効果を心臓の心室の異なる壁に分散させてもよく、第二の代替三尖弁プロテーゼ600の長期耐久性を支援し、心不全を防止してもよい。
【0063】
図7Aは、本開示の実施形態による、第三の代替三尖弁プロテーゼ700の弁尖の概略図である。第三の代替三尖弁プロテーゼ700は、円形の弁輪と、円形の弁輪の中心付近に位置する乳頭筋124とを有する患者用に設計されてもよい。第三の代替三尖弁プロテーゼ700は、円形の環を有し、3つの弁尖、すなわち、第一の弁尖704a、第二の弁尖704b、及び第三の弁尖704cを備えるという点で、第一の代替三尖弁プロテーゼ500と同様である。いくつかの実施形態では、第一の弁尖704aは、天然三尖弁の中隔弁尖を模倣してもよく、第二の弁尖704bは、天然三尖弁の後尖を模倣してもよく、第三の弁尖704cは、天然三尖弁の前尖を模倣してもよい。いくつかの実施形態では、第一の弁尖704aは、第一の交連712aにおいて第二の弁尖704bに接続されてもよく、第二の弁尖704bは、第二の交連712bにおいて第三の弁尖704cに接続されてもよく、第三の弁尖704cは、第三の交連712cにおいて第一の弁尖704aに接続されてもよい。第一の弁尖704a、第二の弁尖704b、及び第三の弁尖704cは、同一であってもよく、3つ全ての弁尖704は、同じ環状長さ732を有してもよい。いくつかの実施形態では、環状長さ732は、サイズ25mmの弁に対して26.2mm、サイズ27mmの弁に対して28.3mm、サイズ29mmの弁に対して30.4mm、サイズ31mmの弁に対して32.4mm、及びサイズ33mmの弁に対して34.5mmであってもよい。他の実施形態では、第一の弁尖704a、第二の弁尖704b、及び第三の弁尖704cは、異なっていてもよく、3つ全ての弁尖704が異なる環状長さ732を有してもよい。
【0064】
本開示のいくつかの実施形態では、第三の代替三尖弁プロテーゼ700の弁尖704は、それぞれ、凹状弧の形態で成形された2つの自由縁716、すなわち、第一の自由縁716a及び第二の自由縁716bを備えてもよい。第一の自由縁716a及び第二の自由縁716bは、同じ寸法を有しても、異なる寸法を有してもよい。いくつかの実施形態では、第一の自由縁716a及び第二の自由縁716bは、同じ寸法を有してもよく、半径20~35mmの間の円の120°の凹状弧に沿って成形されてもよい。いくつかの実施形態では、第一の自由縁716a及び第二の自由縁716bは、弁尖704の両側に位置してもよい。
【0065】
図7Bは、本開示の実施形態による、第三の代替三尖弁プロテーゼ700の弁尖704の概略図である。第一の代替三尖弁500とは異なり、第三の代替三尖弁プロテーゼ700の各弁尖704は、2つのコード(図示せず)に接続するように適合される。弁尖704は、弁尖704の先端722を2つの別個の先端722a及び722bに分割するスロット740を弁尖704に導入することによって、2つのコードに接続されてもよい。スロット740は、弁尖704の先端722を分割する開放頂点を伴う、2つの円弧744a及び744bによって境界付けられる両凸レンズの略形状に成形される。スロット740は、スロット740の円弧744a及び744bが圧力下で接合して接合縁736bを形成するように適合されてもよい(図7C参照)。いくつかの実施形態では、スロット740の円弧744a及び744bは、30~60mmの半径を有する円の20°~30°の円弧に沿って成形されてもよい。第一の代替三尖弁プロテーゼ500と同様に、先端722a及び722bは、それぞれコード(図示せず)の第一の端部に接続されてもよく、コードの第二の端部は、第一の代替三尖弁プロテーゼ500に関連して説明されるものと同様の方法によって乳頭筋に接続される。弁尖704の種々の寸法は、圧力下での三尖弁プロテーゼの開閉を可視するために、有限要素法(FEM)分析を使用して、最適化及び決定されてもよい。第三の代替三尖弁プロテーゼ700は、弁尖704の中へのスロット740の追加により、第一の代替三尖弁プロテーゼ500より大きい有効オリフィス面積(EOA)又は弁開口面積を有し、これは、有利なことに、増加した流体力学的性能につながってもよい。EOAは、弁機能の重要な指標であり、EOAが大きいほど、弁を横切る圧力勾配は低くなる。圧力勾配が低くなるか、低減すると、弁の摩耗及び断裂が減少し、弁の耐久性を高め、心臓の回復が改善し得る。患者は、心不全を患いにくくなり、良好なパフォーマンスを受けることができる。
【0066】
図7Cは、本開示の実施形態による、23mmHgの外部圧力下での第三の代替三尖弁プロテーゼ700の弁尖704の有限要素法(FEM)分析の結果の上面図の概略図である。FEM分析は、第三の代替三尖弁プロテーゼ700の弁尖704に対して実施され、圧力下での第三の代替三尖弁プロテーゼ700の開閉を可視化し、応力の領域を特定した。モデル上の領域が暗いほど、領域が受ける応力は高くなる。FEM分析に使用される材料は、0.28mmの厚さ及び30MPaのヤング率を有するウシ心膜であってもよいが、他の特性を有する他の材料を使用してもよい。図7Cに図示されるように、自由縁716は、外部圧力下で互いに接合し、接合縁736aを形成し、円弧744a及び744bは、外部圧力下で互いに接合し、接合縁736bを堅固にし、第三の代替三尖弁プロテーゼ700を密閉する。
【0067】
図8Aは、本開示の実施形態による、第四の代替三尖弁プロテーゼ800の弁尖の概略図である。第四の代替の三尖弁プロテーゼ800は、弁輪の中心よりも三尖弁弁輪縁部の近くに位置する乳頭筋を有する患者のために設計されてもよい。第四の代替三尖弁プロテーゼ800は、第一の長手方向長さに凹弧状のくぼみを有する閉鎖した細長い湾曲形状である豆形状の環状リングを有する。第四の代替三尖弁プロテーゼ800は、良好な弁閉鎖を達成するために、2つの弁尖804を備えてもよい。第四の代替三尖弁プロテーゼ800は、第一の弁尖804a及び第二の弁尖804bを備えてもよい。いくつかの実施形態では、第一の弁尖804は、天然三尖弁の中隔弁尖の機能を模倣してもよく、第二の弁尖804bは、天然三尖弁の後尖及び前尖の機能を模倣してもよい。第一の弁尖804aは、第一の交連812a及び第二の交連812bにおいて、第二の弁尖804bに接続されてもよい。いくつかの実施形態では、第一の交連812aは、天然三尖弁の後中隔交連に対応してもよく、第二の交連812bは、天然三尖弁の前中隔交連に対応してもよい。いくつかの実施形態では、第一の交連812a又は第二の交連812bは、天然三尖弁の前後交連に対応してもよく、又は任意の他の好適な位置は、天然三尖弁の交連に対応しなくてもよい。いくつかの実施形態では、第一の交連812a及び第二の交連812bの位置は、心臓の乳頭筋の位置に基づいて決定されてもよい。第一の交連812a及び第二の交連812bは、3~10mmの長さを有してもよい。第一の交連812a及び第二の交連812bは、同じ長さを有しても、異なる長さを有してもよい。いくつかの実施形態では、第一の弁尖804aの環状長さ832は、第一の長手方向長さに凹弧状のくぼみを含んでもよい。第一の弁尖804aは、第一の環状長さ832aを有してもよく、第二の弁尖804bは、第二の環状長さ832bを有してもよい。いくつかの実施形態では、25mmの標準サイズを伴う三尖弁プロテーゼ800は、39.0mmの第一の環状長さ832aと、45.6mmの第二の環状長さ832bとを有してもよい。いくつかの実施形態では、27mmの標準サイズを伴う三尖弁プロテーゼ800は、42.2mmの第一の環状長さ832aと、49.3mmの第二の環状長さ832bとを有してもよい。いくつかの実施形態では、29mmの標準サイズを伴う三尖弁プロテーゼ800は、45.3mmの第一の環状長さ832aと、52.9mmの第二の環状長さ832bとを有してもよい。いくつかの実施形態では、31mmの標準サイズを伴う三尖弁プロテーゼ800は、48.4mmの第一の環状長さ832aと、56.6mmの第二の環状長さ832bとを有してもよい。いくつかの実施形態では、33mmの標準サイズを伴う三尖弁プロテーゼ800は、51.5mmの第一の環状長さ832aと、60.3mmの第二の環状長さ832bとを有してもよい。
【0068】
本開示のいくつかの実施形態では、第一の弁尖804aは、第一の自由縁816a及び第二の自由縁816bを備えてもよい。第二の弁尖804aは、第三の自由縁816c及び第四の自由縁816dを備えてもよい。閉状態では、第一の弁尖804aの第一の自由縁816aは、第二の弁尖804bの第三の自由縁816cと接合して、第一の接合縁836a(図8B参照)を形成してもよく、第一の弁尖804bの第二の自由縁816bは、第二の弁尖の第四の自由縁816dと接合して、接合縁836b(図8B参照)を形成してもよい。第一の自由縁816a及び第三の自由縁816cは、対応する寸法を有してもよく、第二の自由縁816b及び第四の自由縁816dは、対応する寸法を有してもよい。いくつかの実施形態では、第一の自由縁816a及び第三の自由縁816cは、半径21mmの円の50°の弧に沿って形成されてもよく、第二の自由縁816b及び第四の自由縁816dは、半径28mmの円の50°の弧に沿って形成されてもよい。
【0069】
図8Bは、本開示の実施形態による、23mmHgの外部圧力下での第四の代替三尖弁プロテーゼ800の弁尖804の有限要素法(FEM)分析の結果の上面図の概略図である。FEM分析は、第四の代替の三尖弁プロテーゼ800の弁尖804に対して実施され、圧力下での三尖弁プロテーゼ800の開閉を可視化し、応力の領域を特定した。モデル上の領域が暗いほど、領域が受ける応力は高くなる。FEM分析に使用される材料は、0.28mmの厚さ及び30MPaのヤング率を有するウシ心膜であってもよいが、他の特性を有する他の材料を使用してもよい。図8Bに図示されるように、自由縁816は、外部圧力下で互いに接合し、接合縁836を形成し、第四の代替三尖弁プロテーゼ800を密閉する。
【0070】
図9Aは、本開示の実施形態による、タイプI三尖弁用に設計された第五の代替三尖弁プロテーゼ900の側面斜視図の概略図であり、図9Bは、タイプI三尖弁用に設計された第五の代替三尖弁プロテーゼ900の弁尖の上面図の概略図である。患者の54%は、最も普及している三尖弁形態であるI型三尖弁形態を有する。タイプI三尖弁は、3つの弁尖、すなわち、中隔弁尖、後尖、及び前尖を有する。さらに、I型三尖弁の前乳頭筋は、後尖及び前尖に向かってわずかにオフセットして位置する。I型三尖弁と同様に、I型三尖弁用に設計された第五の代替三尖弁プロテーゼ900は、3つの弁尖904、すなわち、I型天然三尖弁の中隔弁尖を模倣する第一の弁尖904a、I型天然三尖弁の後尖を模倣する第二の弁尖904b、及びI型天然三尖弁の前尖を模倣する第三の弁尖904cを有する。第一の弁尖904aは、第一の交連912aにおいて第二の弁尖904bに接続されてもよく、第二の弁尖904bは、第二の交連912bにおいて第三の弁尖904cに接続されてもよく、第三の弁尖904cは、第三の交連912cにおいて第一の弁尖904aに接続されてもよい。いくつかの実施形態では、第一の交連912aは、天然三尖弁の後中隔交連に対応してもよく、第二の交連912bは、天然三尖弁の前後交連に対応してもよく、第三の交連912cは、天然三尖弁の前中隔交連に対応してもよい。いくつかの実施形態では、交連912は、移植中に第五の代替三尖弁プロテーゼ900の配向を支援するために、レーザ又は任意の他の適切な方法によってラベル付けされてもよい。
【0071】
図9Cは、本開示の実施形態による、第五の代替三尖弁プロテーゼ900の弁尖904及びコード920の概略図である。第一の弁尖904aは、第一の環状長さ932aを有してもよく、第二の弁尖904bは、第二の環状長さ932bを有してもよく、第三の弁尖904cは、環状長さ932cを有してもよい。各弁尖904の環状長さ932及び交連912の位置は、患者の天然三尖弁及び弁輪の測定値に基づいて調整又は個人化されてもよい。代替として、環状長さ932は、弁標準サイズに基づいて調整されてもよい。いくつかの実施形態では、標準サイズ25mmの弁は、27.9mmの第一の環状長さ932aと、19.4mmの第二の環状長さ932bと、34.5mmの第三の環状長さ932cとを有してもよい。いくつかの実施形態では、標準サイズ27mmの弁は、30.1mmの第一の環状長さ932aと、21.0mmの第二の環状長さ932bと、37.2mmの第三の環状長さ932cとを有してもよい。いくつかの実施形態では、標準サイズ29mmの弁は、32.4mmの第一の環状長さ932aと、22.5mmの第二の環状長さ932bと、40.0mmの第三の環状長さ932cとを有してもよい。いくつかの実施形態では、標準サイズ31mmの弁は、34.4mmの第一の環状長さ932aと、24.1mmの第二の環状長さ932bと、42.8mmの第三の環状長さ932cとを有してもよい。いくつかの実施形態では、標準サイズ33mmの弁は、36.8mmの第一の環状長さ932aと、25.6mmの第二の環状長さ932bと、45.5mmの第三の環状長さ932cとを有してもよい。
【0072】
本開示のいくつかの実施形態では、第一の弁尖904aは、第一の自由縁916a及び第二の自由縁916bを有してもよい。第二の弁尖904bは、第三の自由縁916c及び第四の自由縁916dを有してもよい。第三の弁尖904cは、第五の自由縁916e及び第六の自由縁916fを有してもよい。好ましくは、第一の自由縁916a及び第三の自由縁916cは、対応する寸法を有し、第四の自由縁916d及び第五の自由縁916eは、対応する寸法を有し、第六の自由縁916f及び第二の自由縁916bは、対応する寸法を有し、その結果、第五の代替三尖弁プロテーゼ900が閉状態にあるときに、第一の弁尖904aの第一の自由縁916aは、第二の弁尖904bの第三の自由縁916cと接合して接合縁936aを形成してもよく、第二の弁尖904bの第四の自由縁916dは、第三の弁尖904cの第五の自由縁916eと接合して接合縁936bを形成してもよく、第三の弁尖604cの第六の自由縁916fは、第一の弁尖904aの第二の自由縁916bと接合して接合縁936cを形成してもよい(図9D参照)。いくつかの実施形態では、第一の自由縁916a及び第三の自由縁916cは、12~18mmの半径を有する円の50°~70°の凹状弧に沿って形成されてもよい。いくつかの実施形態では、第四の自由縁916d及び第五の自由縁916eは、10~15mmの半径を有する円の50°~70°の凹状弧に沿って形成されてもよい。いくつかの実施形態では、第六の自由縁916f及び第二の自由縁916bは、25~35mmの半径を有する円の30°~50°の凹状弧に沿って形成されてもよい。弁尖904の種々の寸法は、圧力下での三尖弁プロテーゼの開閉を可視するために、有限要素法(FEM)分析を使用して、最適化及び決定されてもよい。好ましくは、弁尖904a、904b及び904cは、弁尖の先端が単一乳頭筋124、好ましくは前乳頭筋の上の点に収束するように寸法決定される。
【0073】
本開示のいくつかの実施形態では、第一の弁尖904aは、第一のコード920aの第一の端部に接続されてもよく、第二の弁尖904bは、第二のコード920bの第一の端部に接続されてもよく、第三の弁尖904cは、第三のコード920cの第一の端部に接続されてもよい。いくつかの実施形態では、第一のコード920aは、5~15mmの長さと、2~5mmの幅とを有してもよい。いくつかの実施形態では、第二のコード920bは、5~15mmの長さと、2~5mmの幅とを有してもよい。いくつかの実施形態では、第三のコード920cは、5~15mmの長さと、2~5mmの幅とを有してもよい。好ましくは、コード920a、920b及び920cは、同じ長さを有し、図3A~3C、4A及び4Bに開示される任意の方法によって、単一の乳頭筋124に、好ましくは前乳頭筋又は右心室212の自由壁440に接続される。コード920a、920b、及び920cは、一緒に縫合されてキャップを形成してもよく、又は単一乳頭筋又は自由壁に縫合する前にコネクタ要素924によって囲まれてもよい。
【0074】
図9Dは、本開示の実施形態による、23mmHgの外部圧力下での第五の代替三尖弁プロテーゼ900の弁尖904の有限要素法(FEM)分析の結果の上面図の概略図である。FEM分析に使用される材料は、0.28mmの厚さ及び30MPaのヤング率を有するウシ心膜であってもよいが、他の特性を有する他の材料を使用してもよい。図9Dに図示されるように、自由縁916は、外部圧力下で互いに接合し、接合縁936を形成し、第五の代替三尖弁プロテーゼ900を密閉する。
【0075】
図10Aは、本開示の実施形態による、タイプIIIB三尖弁用に設計された第六の代替三尖弁プロテーゼ1000の側面斜視図の概略図であり、図10Bは、タイプIIIB三尖弁用に設計された第六の代替三尖弁プロテーゼ1000の弁尖の上面図の概略図である。患者の32%がIIIB型三尖弁形態を有し、これは、2番目に優勢な三尖弁形態である。タイプIIIB三尖弁は、4つの弁尖、すなわち、中隔弁尖、2つの後尖、及び前尖を有する。IIIB型三尖弁の前乳頭筋は、後尖及び前尖に向かってわずかにオフセットして位置する。他方、タイプIIIB三尖弁用に設計された第六の代替三尖弁プロテーゼ1000は、3つの弁尖1004、すなわち、IIIB型天然三尖弁の中隔弁尖を模倣する第一の弁尖1004a、IIIB型天然三尖弁の2つの後尖を模倣する第二の弁尖1004b、及びIIIB型天然三尖弁の前尖を模倣する第三の弁尖1004cを有する。第一の弁尖1004aは、第一の交連1012aにおいて第二の弁尖1004bに接続されてもよく、第二の弁尖1004bは、第二の交連1012bにおいて第三の弁尖1004cに接続されてもよく、第三の弁尖1004cは、第三の交連1012cにおいて第一の弁尖1004aに接続されてもよい。いくつかの実施形態では、第一の交連1012aは、天然三尖弁の後中隔交連に対応してもよく、第二の交連1012bは、天然三尖弁の前後交連に対応してもよく、第三の交連1012cは、天然三尖弁の前中隔交連に対応してもよい。いくつかの実施形態では、交連1012は、移植中に第六の代替三尖弁プロテーゼ1000の配向を支援するために、レーザ又は任意の他の適切な方法によってラベル付けされてもよい。
【0076】
図10Cは、本開示の実施形態による、第六の代替三尖弁プロテーゼ1000の弁尖1004及びコード1020の概略図である。第一の弁尖1004aは、第一の環状長さ1032aを有してもよく、第二の弁尖1004bは、第二の環状長さ1032bを有してもよく、第三の弁尖1004cは、環状長さ1032cを有してもよい。いくつかの実施形態では、各弁尖1004の環状長さ1032及び交連1012の位置は、患者の天然三尖弁及び弁輪の測定値に基づいて調整又は個人化されてもよい。代替として、環状長さ1032は、弁標準サイズに基づいて調整されてもよい。いくつかの実施形態では、標準サイズ25mmの弁は、27.6mmの第一の環状長さ1032aと、34.4mmの第二の環状長さ832bと、18.9mmの第三の環状長さ1032cとを有してもよい。いくつかの実施形態では、標準サイズ27mmの弁は、29.8mmの第一の環状長さ1032aと、37.1mmの第二の環状長さ1032bと、20.4mmの第三の環状長さ1032cとを有してもよい。いくつかの実施形態では、標準サイズ29mmの弁は、32.0mmの第一の環状長さ1032aと、39.9mmの第二の環状長さ1032bと、21.9mmの第三の環状長さ1032cとを有してもよい。いくつかの実施形態では、標準サイズ31mmの弁は、34.2mmの第一の環状長さ1032aと、42.6mmの第二の環状長さ1032bと、34.2mmの第三の環状長さ1032cとを有してもよい。いくつかの実施形態では、標準サイズ33mmの弁は、36.4mmの第一の環状長さ1032aと、45.3mmの第二の環状長さ1032bと、24.9mmの第三の環状長さ1032cとを有してもよい。
【0077】
本開示のいくつかの実施形態では、第一の弁尖1004aは、第一の自由縁1016a及び第二の自由縁1016bを有してもよい。いくつかの実施形態では、第二の弁尖1004bは、第三の自由縁1016c及び第四の自由縁1016dを有してもよい。いくつかの実施形態では、第三の弁尖1004cは、第五の自由縁1016e及び第六の自由縁1016fを有してもよい。好ましくは、第一の自由縁1016a及び第三の自由縁1016cは、対応する寸法を有し、第四の自由縁1016d及び第五の自由縁1016eは、対応する寸法を有し、第六の自由縁1016f及び第二の自由縁1016bは、対応する寸法を有し、その結果、第六の代替三尖弁プロテーゼ1000が閉状態にあるときに、第一の弁尖1004aの第一の自由縁1016aは、第二の弁尖1004bの第三の自由縁1016cと接合して、接合縁1036aを形成してもよく、第二の弁尖1004bの第四の自由縁816dは、第三の弁尖1004cの第五の自由縁1016eと接合して、接合縁1036bを形成してもよく、第三の弁尖1004cの第六の自由縁1016fは、第一の弁尖1004aの第二の自由縁1016bと接合して、接合縁1036cを形成してもよい(図10D参照)。いくつかの実施形態では、第一の自由縁1016a及び第三の自由縁1016cは、25~30mmの半径を有する円の30°~50°の凹状弧に沿って形成されてもよい。第四の自由縁1016d及び第五の自由縁1016eは、10~15mmの半径を有する円の50°~70°の凹状弧に沿って形成されてもよい。第六の自由縁1016f及び第二の自由縁1016bは、15~25mmの半径を有する円の50°~70°の凹状弧に沿って形成されてもよい。いくつかの実施形態では、弁尖1004の種々の寸法は、圧力下での三尖弁プロテーゼの開閉を可視するために、有限要素法(FEM)分析を使用して、最適化及び決定されてもよい。好ましくは、弁尖1004a、1004b及び1004cは、弁尖の先端が単一乳頭筋、好ましくは前乳頭筋の上の点に収束するように寸法決定される。他の実施形態では、弁尖1004は、弁尖1004の先端に接続されるコネクタ要素を通して、単一乳頭筋又は自由壁に接続されてもよい。
【0078】
本開示のいくつかの実施形態では、第一の弁尖1004aは、第一のコード1020aの第一の端部に接続されてもよく、第二の弁尖1004bは、第二のコード1020bの第一の端部に接続されてもよく、第三の弁尖1004cは、第三のコード1020cの第一の端部に接続されてもよい。いくつかの実施形態では、第一のコード1020aは、5~15mmの長さと、2~5mmの幅とを有してもよい。第二のコード1020bは、5~15mmの長さと、2~5mmの幅とを有してもよい。第三のコード1020cは、5~15mmの長さと、2~5mmの幅とを有してもよい。好ましくは、コード1020a、1020b、及び1020cは、同じ長さを有し、図3A~3C、4A、及び4Bに開示される任意の方法を通して、単一乳頭筋124、好ましくは、前乳頭筋、又は右心室212の自由壁440に接続される。コード1020a、1020b、及び1020cは、単一乳頭筋又は自由壁に縫合する前に、キャップを形成するように一緒に縫合されてもよく、又はコネクタ要素1024によって囲まれてもよい。
【0079】
図10Dは、本開示の実施形態による、23mmHgの外部圧力下での第六の代替三尖弁プロテーゼ1000の弁尖1004の有限要素法(FEM)分析の結果の上面図の概略図である。FEM分析に使用される材料は、0.28mmの厚さ及び30MPaのヤング率を有するウシ心膜であってもよいが、他の特性を有する他の材料を使用してもよい。図10Dに図示されるように、自由縁1016は、外部圧力下で互いに接合し、接合縁1036を形成し、第六の代替三尖弁プロテーゼ1000を密閉する。
【0080】
図11Aは、本開示の実施形態による、第七の代替三尖弁プロテーゼ1100の側面斜視図の概略図であり、図11Bは、第七の代替三尖弁プロテーゼ1100の弁尖の上面図の概略図である。第七の代替弁プロテーゼ1100は、いかなる天然三尖弁形態に対しても特に設計されていない。第七の代替三尖弁プロテーゼ1100は、3つの弁尖1104、すなわち、天然三尖弁の中隔弁尖を模倣する第一の弁尖1104a、天然三尖弁の後尖を模倣する第二の弁尖1104b、及び天然三尖弁の前尖を模倣する第三の弁尖1104cを有する。第一の弁尖1104aは、第一の交連1112aにおいて第二の弁尖1104bに接続されてもよく、第二の弁尖1104bは、第二の交連1112bにおいて第三の弁尖1104cに接続されてもよく、第三の弁尖1104cは、第三の交連1112cにおいて第一の弁尖1104aに接続されてもよい。いくつかの実施形態では、第一の交連1112aは、天然三尖弁の後中隔交連に対応してもよく、第二の交連1112bは、天然三尖弁の前後交連に対応してもよく、第三の交連1112cは、天然三尖弁の前中隔交連に対応してもよい。いくつかの実施形態では、交連1112は、移植中に第七の代替三尖弁プロテーゼ1100の配向を支援するために、レーザ又は任意の他の適切な方法によってラベル付けされてもよい。
【0081】
図11Cは、本開示の実施形態による、第七の代替三尖弁プロテーゼ1100の弁尖1104及びコード1120の概略図である。第一の弁尖1104aは、第一の環状長さ1132aを有してもよく、第二の弁尖1104bは、第二の環状長さ1132bを有してもよく、第三の弁尖1104cは、環状長さ1132cを有してもよい。いくつかの実施形態では、各弁尖1104の環状長さ1132及び交連1112の位置は、患者の天然三尖弁及び弁輪の測定値に基づいて調整又は個人化されてもよい。代替として、環状長さ1132は、弁標準サイズに基づいて調整されてもよい。いくつかの実施形態では、標準サイズ25mmの弁は、27.7mmの第一の環状長さ1132aと、19.7mmの第二の環状長さ832bと、34.5mmの第三の環状長さ1132cとを有してもよい。いくつかの実施形態では、標準サイズ27mmの弁は、30.0mmの第一の環状長さ1132aと、21.3mmの第二の環状長さ1132bと、37.3mmの第三の環状長さ1132cとを有してもよい。いくつかの実施形態では、標準サイズ29mmの弁は、32.2mmの第一の環状長さ1132aと、22.8mmの第二の環状長さ1132bと、40.0mmの第三の環状長さ1132cとを有してもよい。いくつかの実施形態では、標準サイズ31mmの弁は、34.4mmの第一の環状長さ1132aと、24.4mmの第二の環状長さ1132bと、42.8mmの第三の環状長さ1132cとを有してもよい。いくつかの実施形態では、標準サイズ33mmの弁は、36.6mmの第一の環状長さ1132aと、26.0mmの第二の環状長さ1132bと、45.6mmの第三の環状長さ1132cとを有してもよい。
【0082】
本開示のいくつかの実施形態では、第一の弁尖1104aは、第一の自由縁1116a及び第二の自由縁1116bを有してもよい。第二の弁尖1104bは、第三の自由縁1116c及び第四の自由縁1116dを有してもよい。第三の弁尖1104cは、第五の自由縁1116e及び第六の自由縁1116fを有してもよい。好ましくは、第一の自由縁1116a及び第三の自由縁1116cは、対応する寸法を有し、第四の自由縁1116d及び第五の自由縁1116eは、対応する寸法を有し、第六の自由縁1116f及び第二の自由縁1116bは、対応する寸法を有し、その結果、第七の代替三尖弁プロテーゼ1100が閉状態にあるときに、第一の弁尖1104aの第一の自由縁1116aは、第二の弁尖1104bの第三の自由縁1116cと接合して、接合縁1136aを形成してもよく、第二の弁尖1104bの第四の自由縁1116dは、第三の弁尖1104cの第五の自由縁1116eと接合して接合縁1136bを形成してもよく、第三の弁尖1104cの第六の自由縁1116fは、第一の弁尖1104aの第二の自由縁1116bと接合して接合縁1136cを形成してもよい(図11D参照)。いくつかの実施形態では、第一の自由縁1116a及び第三の自由縁1116cは、12~20mmの半径を有する円の50°~70°の凹状弧に沿って形成されてもよい。いくつかの実施形態では、第四の自由縁1116d及び第五の自由縁1116eは、12~20mmの半径を有する円の50°~70°の凹状弧に沿って形成されてもよい。いくつかの実施形態では、第六の自由縁1116f及び第二の自由縁1116dは、12~18mmの半径を有する円の50°~70°の凹状弧に沿って形成されてもよい。いくつかの実施形態では、弁尖1104の種々の寸法は、圧力下での三尖弁プロテーゼの開閉を可視するために、有限要素法(FEM)分析を使用して、最適化及び決定されてもよい。好ましくは、弁尖1104a、1104b、及び1104cは、弁尖の先端が天然三尖弁輪の中心に対応する点で収束するように寸法決定される。
【0083】
本開示のいくつかの実施形態では、第一の弁尖1104aは、第一のコード1120aの第一の端部に接続されてもよく、第二の弁尖1104bは、第二のコード1120bの第一の端部に接続されてもよく、第三の弁尖1104cは、第三のコード1120cの第一の端部に接続されてもよい。好ましくは、コード1120a、1120b、及び1120cの第一の端部は、縫合によって、又はコネクタ要素1124を用いて一緒に接続され、コード1120a、1120b、及び1120cの第二の端部は、自由であり、異なる乳頭筋に接続される。いくつかの実施形態では、第一のコード1120aの第二の端部は、中隔乳頭筋に接続されてもよく、第二のコード1120bの第二の端部は、後乳頭筋に接続されてもよく、第三のコード1120cの第二の端部は、前乳頭筋に接続されてもよい。いくつかの実施形態では、コード1120a、1120b、及び1120cは、弁尖1104a、1104b、及び1100cの先端から異なる距離を有すると思われる異なる乳頭筋に接続されるので、互いに異なる長さ及び厚さを有してもよい。いくつかの実施形態では、第一のコード1120aは、5~15mmの長さと、2~5mmの幅とを有してもよい。第二のコード1120bは、5~15mmの長さと、2~5mmの幅とを有してもよい。第三のコード1120cは、5~15mmの長さと、2~5mmの幅とを有してもよい。
【0084】
図11Dは、本開示の実施形態による、23mmHgの外部圧力下での第七の代替三尖弁プロテーゼ1100の弁尖1104の有限要素法(FEM)分析の結果の上面図の概略図である。FEM分析に使用される材料は、0.28mmの厚さ及び30MPaのヤング率を有するウシ心膜であってもよいが、他の特性を有する他の材料を使用してもよい。図11Dに図示されるように、自由縁1116は、外部圧力下で相互に接合し、接合縁1136を形成し、第七の代替三尖弁プロテーゼ1100を密閉する。
【0085】
いくつかの実施形態では、本開示の三尖弁プロテーゼは、ステントフレーム1200を備えてもよい。したがって、具体的に述べられていない限り、本明細書に開示される三尖弁プロテーゼがステントフレームを含まないとき、三尖弁プロテーゼは、図1及び図3A~3Cに説明されるもの等のステントなし三尖弁プロテーゼと見なされることを理解されたい。しかしながら、適用可能であれば常に、以下で説明される実施形態に加えて、上記で説明された第一、第二、第三、第四、第五、第六、及び第七の代替三尖弁プロテーゼ(図5A~E、6A~D、7A~C、8A~B、9A~D、10A~D、及び11A~Dを参照)を含む三尖弁プロテーゼの様々な実施形態は、また、ステントフレームを含んでもよいことを理解されたい。図12A~12Dは、三尖弁プロテーゼに含まれ得るステント1200を図示する。本明細書で使用されるように、「ステント」及び「ステントフレーム」という用語は、互換的に使用されてもよく、同じ意味を有する。ステント1200は、三尖弁プロテーゼのための支持体として有利に使用されてもよい。そのような実施形態では、三尖弁プロテーゼは、ステント付き三尖弁プロテーゼと呼ばれることがある。ステントフレームを備えた三尖弁プロテーゼは、有利なことに、弁プロテーゼの回収を容易にすることができる。ステントフレーム1200の周囲は、天然三尖弁輪の形状を模倣するように適合されてもよい。いくつかの実施形態では、外周は、円であっても、不規則な円(豆形状リング等)であってもよい。図12Aは、天然三尖弁輪の形状を模倣する不規則な円形形状を有するステントフレーム1200の周囲の例示的な実施形態である。ステント1200は、ステンレス鋼、シリコン、プラスチック、酸化グラフェン、又は他の好適な材料から作製されてもよい。いくつかの実施形態では、ステント1200は、米国薬局方規約(USP)クラスVIの認定又は適合材料又はISO10993に適合する材料等の医療グレードの材料から作製されてもよい。いくつかの実施形態では、カフ1205をステント1200に取り付けてもよい(図13B参照)。したがって、カフ1205は、ステント1200の周囲に合致するように寸法決定され得ることを理解されたい。本開示のいくつかの実施形態によれば、カフ1205は、ステント1200に取り付けられたファブリックカフバンド1205であってもよく、心膜によって形成されるリングを強化し、弁を弁輪筋で縫うために有利に使用される(図14A及び14B参照)。理解され得るように、いくつかの実施形態では、カフ1205は、リングのための強化機構と見なされてもよい。いくつかの実施形態では、カフバンド1205は、シリコンと、埋め込まれた放射線不透過性ワイヤとを備えてもよい。1つ以上の薬物は、パンヌス形成、石灰化、又はそれらの組み合わせを防止又は最小限にするために、ファブリックカフ1205又はワイヤ上にコーティングされてもよい。
【0086】
いくつかの実施形態では、ステント1200は、乳頭筋の位置に従って設計されてもよい。少なくとも図12B~12Dから分かるように、いくつかの実施形態では、ステント1200は、心膜の縫合のための複数の穴1210と、挿入される弁尖(図示せず)のための1つ以上のスロット1230とを備えてもよい。いくつかの実施形態では、ステント1200がシリコン又は類似の特性の他の材料から作製されるとき、ステント1200は、複数の穴を伴わずに提供されてもよい。複数の穴の各穴1210は、約0.5mm~約2mmの範囲、好ましくは1mmの直径を有してもよい。いくつかの実施形態では、複数の穴の中の穴の直径は、均一であってもよい。いくつかの実施形態では、複数の穴の各穴は、約0.5mm~約2mmの範囲の異なる直径を有してもよい。いくつかの実施形態では、複数の穴1210の配置又は構成は、それに応じて調整されてもよい。例示的実施形態では、複数の穴の各穴は、隣接又は近接する穴と類似の距離で離間されてもよい。1つ以上のスロット1230の各スロットは、約8mm~約16mmの長さを有してもよい。いくつかの実施形態では、弁サイズが29mmである場合、スロットの好適な長さは、12mmであってもよい。したがって、スロット1230の長さは、弁サイズに応じて調整されてもよい。いくつかの実施形態では、ステントフレーム1200は、約0.5mm~約2mm、好ましくは1mmの厚さを有してもよい。いくつかの実施形態では、29mmの弁サイズに対して、ステント1200は、約100.81mmの外周及び約15mmの高さを有してもよい。周囲及び高さを含むそのようなパラメータは、弁サイズに従って調整され得ることを理解されたい。したがって、概して、ステント1200は、約80mm~約140mmの範囲の外周を有してもよい。いくつかの実施形態では、ステント1200は、約12mm~約25mmの範囲の高さを有してもよい。
【0087】
図13C~13Eは、図13A及び13Bに説明されるステント付き三尖弁の3つの弁尖、すなわち、前尖1204c(図13C)、後尖1204b(図13D)、及び中隔弁尖1204a(図13E)をそれぞれ図示するが、これらの弁尖をステントフレーム1200に装着する前である。図13C~13Eに示されるように、弁尖がステントフレーム1200に装着されると、弁尖のそれぞれは、前述のように、三面形状を有してもよい。言い換えれば、これらの弁尖を組み立てる前に、弁尖又は心膜は、心膜をステントフレーム1200に固定するために使用される延長部分(図13C~13Dの灰色領域を参照)を備えてもよい。心膜をステントフレーム1200に固定する際に、延長部分は、折り畳まれてもよい。図13Aから分かるように、弁尖のコード1220は、単一乳頭筋又は自由壁に縫合する前に、一緒に縫合され、キャップを形成しても、あるいはコネクタ要素1224によって囲まれてもよい。図13Bは、ステント1200と、ファブリックカフバンド1205と、中隔弁尖1204aと、後尖1204bと、前尖1204cとを有するステント付き三尖弁プロテーゼを示す。ステントを備える三尖弁プロテーゼの場合、コードを有する弁尖のそれぞれの高さは、約30mm~55mmの範囲であってもよい(図13C~13E参照)。いくつかの実施形態では、測定される高さは、前述の延長部分を含んでもよい。いくつかの実施形態では、29mmの弁サイズに対して、コードを有する弁尖のそれぞれの高さは、約43mmであってもよい。
【0088】
図14A及び14Bによって図示されるように、ステントフレームを伴う三尖弁プロテーゼは、心膜(ヒト又はウシ心膜)を切除することによって弁尖を成形し、その後、ステント上に成形された弁尖を縫合し、ステントフレームを有する三尖弁プロテーゼを形成することによって製造されてもよい。弁尖を縫合する前に、延長部分を有する成形された弁尖は、弁尖の延長部分を折り畳むことによってフレームに取り付けることができる。折り畳むことは、ステントフレームの1つ以上のスロットを実質的に囲むことであってもよい。任意選択で、折り畳むことは、また、カフをフレームに取り付け、その後、弁尖を縫合することを含んでもよい。成形された弁尖は、前尖、後尖、及び中隔弁尖であってもよい。そのような実施形態では、弁尖(前尖、後尖、及び中隔弁尖)は、ステントフレーム内に位置付けられてもよい。
【0089】
図15A及び図15Bは、本開示の実施形態によるステント付き三尖弁プロテーゼの上面図を示す。収縮期及び拡張期のインビトロ流体力学的試験等の流体力学的試験中に、ステント付き三尖弁プロテーゼは、閉じること(図15A)も、開くこと(図15B)もある。上記のステントレス三尖弁プロテーゼと同様に、ステント付き三尖弁では、弁尖は、互いに接合して接合表面又は接合縁を形成し、弁プロテーゼを密閉してもよい。有利なことに、そのような構成は、本明細書で説明される三尖弁プロテーゼの展開中の漏出を最小限にし得る。
【0090】
上記の方法及び装置は、ステップを省略又は追加すること、ステップの順序及び使用されるデバイスのタイプを変更することを含め、多くの方法で変更され得ることを理解されたい。異なる特徴を異なる方法で組み合わせてもよいことを理解されたい。特に、特定の実施形態で上述された全ての特徴が、本開示の全ての実施形態において必要であるとは限らない。上記の特徴のさらなる組み合わせも、本開示のいくつかの実施形態の範囲内であると考えられる。
【0091】
当業者は、本発明が、上記に具体的に示され記載されたものに限定されないことを理解するであろう。むしろ、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲によってのみ定義される。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図6A
図6B
図6C
図6D
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図9A
図9B
図9C
図9D
図10A
図10B
図10C
図10D
図11A
図11B
図11C
図11D
図12A
図12B
図12C
図12D
図13A
図13B
図13C
図13D
図13E
図14A
図14B
図15A
図15B
【国際調査報告】