(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-20
(54)【発明の名称】環状ポリリボヌクレオチドを生成するための組成物及び方法
(51)【国際特許分類】
C12N 15/11 20060101AFI20240912BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20240912BHJP
C12P 21/02 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
C12N15/11 Z
C12N15/63 Z
C12P21/02 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024516852
(86)(22)【出願日】2022-09-16
(85)【翻訳文提出日】2024-05-09
(86)【国際出願番号】 US2022043808
(87)【国際公開番号】W WO2023044006
(87)【国際公開日】2023-03-23
(32)【優先日】2021-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520445473
【氏名又は名称】フラッグシップ パイオニアリング イノベーションズ シックス,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ダドキン, ヴァディム
(72)【発明者】
【氏名】ペク, キ ヨン
(72)【発明者】
【氏名】デ ブール, アレクサンドラ ソフィー
(72)【発明者】
【氏名】ネルソン, ジェニファー エー.
【テーマコード(参考)】
4B064
【Fターム(参考)】
4B064AG01
4B064CA02
4B064CA10
4B064CA19
4B064DA20
(57)【要約】
本開示は、一般に、環状RNAを生成、精製、及び使用するための組成物及び方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式5’-(A)-(B)-(C)-(D)-(E)-(F)-(G)-3’(式中、
(A)は、グループI触媒イントロン断片の3’半分を含む;
(B)は、3’スプライス部位を含む;
(C)は、3’エクソン断片を含む;
(D)は、ポリリボヌクレオチドカーゴを含む;
(E)は、5’エクソン断片を含む;
(F)は、5’スプライス部位を含む;及び
(G)は、グループI触媒イントロン断片の5’半分を含む;
並びに(A)、(B)、又は(C)は、8~50リボヌクレオチドを含む第1のアニーリング領域を含み、且つ(E)、(F)、又は(G)は、8~50リボヌクレオチドを含む第2のアニーリング領域を含む)を有する線状ポリリボヌクレオチドであって、
前記第1のアニーリング領域及び前記第2のアニーリング領域が80%~100%の相補性を有し、又は
前記第1のアニーリング領域及び前記第2のアニーリング領域が0~10のミスマッチ塩基対を含む、線状ポリリボヌクレオチド。
【請求項2】
(A)又は(C)が前記第1のアニーリング領域を含み、且つ(E)又は(G)が前記第2のアニーリング領域を含む、請求項1に記載の線状ポリリボヌクレオチド。
【請求項3】
(C)の前記3’エクソン断片が前記第1のアニーリング領域を含み、且つ(E)の前記5’エクソン断片が前記第2のアニーリング領域を含む、請求項1又は2に記載の線状ポリリボヌクレオチド。
【請求項4】
(A)の前記グループI触媒イントロン断片の3’半分が前記第1のアニーリング領域を含み、且つ(E)の前記5’エクソン断片が前記第2のアニーリング領域を含む、請求項1又は2に記載の線状ポリリボヌクレオチド。
【請求項5】
前記第1のアニーリング領域が10~30リボヌクレオチドを含み、且つ前記第2のアニーリング領域が10~30リボヌクレオチドを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の線状ポリリボヌクレオチド。
【請求項6】
前記第1のアニーリング領域が10~20リボヌクレオチドを含み、且つ前記第2のアニーリング領域が10~20リボヌクレオチドを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の線状ポリリボヌクレオチド。
【請求項7】
前記第1のアニーリング領域が10~15リボヌクレオチドを含み、且つ前記第2のアニーリング領域が10~15リボヌクレオチドを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の線状ポリリボヌクレオチド。
【請求項8】
前記第1のアニーリング領域及び前記第2のアニーリング領域が90%~100%の相補性を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の線状ポリリボヌクレオチド。
【請求項9】
前記第1のアニーリング領域及び前記第2のアニーリング領域が0又は1つのミスマッチ塩基対を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の線状ポリリボヌクレオチド。
【請求項10】
前記第1のアニーリング領域及び前記第2のアニーリング領域が100%相補的である、請求項1~7のいずれか一項に記載の線状ポリリボヌクレオチド。
【請求項11】
(A)の前記グループI触媒イントロン断片の3’半分及び(G)の前記グループI触媒イントロン断片の5’半分が、シアノバクテリアアナベナ属(Anabaena)のプレtRNA-Leu遺伝子、又はテトラヒメナ属(Tetrahymena)のプレrRNAに由来する、請求項1~10のいずれか一項に記載の線状ポリリボヌクレオチド。
【請求項12】
(A)の前記グループI触媒イントロン断片の3’半分及び(G)の前記グループI触媒イントロン断片の5’半分がシアノバクテリアアナベナ属(Anabaena)のプレtRNA-Leu遺伝子に由来し、
且つ(C)の前記3’エクソン断片が前記第1のアニーリング領域を含み、且つ(E)の前記5’エクソン断片が前記第2のアニーリング領域を含む、
請求項1に記載の線状ポリリボヌクレオチド。
【請求項13】
前記第1のアニーリング領域が10~15リボヌクレオチドを含み、且つ前記第2のアニーリング領域が10~15リボヌクレオチドを含む、請求項12に記載の線状ポリリボヌクレオチド。
【請求項14】
(A)の前記グループI触媒イントロン断片の3’半分及び(G)の前記グループI触媒イントロン断片の5’半分がテトラヒメナ属(Tetrahymena)のプレrRNAに由来し、
且つ(A)の前記グループI触媒イントロン断片の3’半分が前記第1のアニーリング領域を含み、且つ(E)の前記5’エクソン断片が前記第2のアニーリング領域を含む、
請求項1に記載の線状ポリリボヌクレオチド。
【請求項15】
前記第1のアニーリング領域が10~16リボヌクレオチドを含み、且つ前記第2のアニーリング領域が10~16リボヌクレオチドを含む、請求項14に記載の線状ポリリボヌクレオチド。
【請求項16】
(A)の前記グループI触媒イントロン断片の3’半分及び(G)の前記グループI触媒イントロン断片の5’半分がT4ファージのtd遺伝子に由来し、且つ(C)の前記3’エクソン断片が前記第1のアニーリング領域を含み、且つ(G)の前記グループI触媒イントロン断片の5’半分が前記第2のアニーリング領域を含む、請求項1に記載の線状ポリリボヌクレオチド。
【請求項17】
前記第1のアニーリング領域が2~16リボヌクレオチドを含み、且つ前記第2のアニーリング領域が2~16リボヌクレオチドを含む、請求項16に記載の線状ポリリボヌクレオチド。
【請求項18】
(A)の前記グループI触媒イントロン断片の3’半分が前記線状ポリヌクレオチドの5’末端である、請求項1~17のいずれか一項に記載の線状ポリリボヌクレオチド。
【請求項19】
(G)の前記グループI触媒イントロン断片の5’半分が前記線状ポリリボヌクレオチドの3’末端である、請求項1~18のいずれか一項に記載の線状ポリリボヌクレオチド。
【請求項20】
さらなるアニーリング領域を含まない、請求項1~19のいずれか一項に記載の線状ポリリボヌクレオチド。
【請求項21】
(G)の5’側のアニーリング領域との部分的又は完全な核酸相補性を含む(A)の3’側のアニーリング領域を含まない、請求項1~20のいずれか一項に記載の線状ポリリボヌクレオチド。
【請求項22】
(D)の前記ポリリボヌクレオチドカーゴが、発現配列、非コード配列、又は発現配列及び非コード配列を含む、請求項1~21のいずれか一項に記載の線状ポリリボヌクレオチド。
【請求項23】
(D)の前記ポリリボヌクレオチドカーゴが、ポリペプチドをコードする発現配列を含む、請求項1~22のいずれか一項に記載の線状ポリリボヌクレオチド。
【請求項24】
(D)の前記ポリリボヌクレオチドカーゴが、ポリペプチドをコードする発現配列に作動可能に連結されているIRESを含む、請求項1~23のいずれか一項に記載の線状ポリリボヌクレオチド。
【請求項25】
(D)の前記ポリリボヌクレオチドカーゴが、対象に対する生物学的効果を有するポリペプチドをコードする発現配列を含む、請求項1~24のいずれか一項に記載の線状ポリリボヌクレオチド。
【請求項26】
(C)の前記3’エクソン断片と(D)の前記ポリリボヌクレオチドカーゴとの間に第1のスペーサー領域をさらに含む、請求項1~25のいずれか一項に記載の線状ポリリボヌクレオチド。
【請求項27】
(D)の前記ポリリボヌクレオチドカーゴと(E)の前記5’エクソン断片との間に第2のスペーサー領域をさらに含む、請求項1~26のいずれか一項に記載の線状ポリリボヌクレオチド。
【請求項28】
各スペーサー領域が少なくとも5リボヌクレオチドの長さである、請求項26又は27に記載の線状ポリリボヌクレオチド。
【請求項29】
各スペーサー領域が5~500リボヌクレオチドの長さである、請求項28に記載の線状ポリリボヌクレオチド。
【請求項30】
前記第1のスペーサー領域、前記第2のスペーサー領域、又は前記第1のスペーサー領域及び前記第2のスペーサー領域がポリA配列を含む、請求項26~29のいずれか一項に記載の線状ポリリボヌクレオチド。
【請求項31】
前記第1のスペーサー領域、前記第2のスペーサー領域、又は前記第1のスペーサー領域及び前記第2のスペーサー領域がポリA-C配列を含む、請求項26~29のいずれか一項に記載の線状ポリリボヌクレオチド。
【請求項32】
300~20,000リボヌクレオチドの長さである、請求項1~31のいずれか一項に記載の線状ポリリボヌクレオチド。
【請求項33】
少なくとも1,000リボヌクレオチドの長さである、請求項1~32のいずれか一項に記載の線状ポリリボヌクレオチド。
【請求項34】
少なくとも3,000リボヌクレオチドの長さである、請求項33に記載の線状ポリリボヌクレオチド。
【請求項35】
請求項1~34のいずれか一項に記載の線状ポリリボヌクレオチドをコードするDNA配列に作動可能に連結されているRNAポリメラーゼプロモーターを含むDNAベクター。
【請求項36】
請求項1~32のいずれか一項に記載の線状ポリリボヌクレオチド又は請求項35に記載のDNAベクターから生成される環状ポリリボヌクレオチド。
【請求項37】
5’エクソン断片及び3’エクソン断片を連結するスプライス結合を含む環状ポリリボヌクレオチドであって、
前記3’エクソン断片が8~50リボヌクレオチドを含む第1のアニーリング領域を含み、且つ前記5’エクソン断片が8~50リボヌクレオチドを含む第2のアニーリング領域を含み、
且つ前記第1のアニーリング領域及び前記第2のアニーリング領域が80%~100%の相補性を含み、又は前記第1のアニーリング領域及び前記第2のアニーリング領域が0~10のミスマッチ塩基対を含む、
環状ポリリボヌクレオチド。
【請求項38】
ポリリボヌクレオチドカーゴをさらに含む、請求項37に記載の環状ポリリボヌクレオチド。
【請求項39】
前記ポリリボヌクレオチドカーゴが、発現配列、非コード配列、又は発現配列及び非コード配列の組み合わせを含む、請求項38に記載の環状ポリリボヌクレオチド。
【請求項40】
前記ポリリボヌクレオチドカーゴが、ポリペプチドをコードする発現配列を含む、請求項39に記載の環状ポリリボヌクレオチド。
【請求項41】
前記ポリリボヌクレオチドが、ポリペプチドをコードする発現配列に作動可能に連結されているIRESを含む、請求項40に記載の環状ポリリボヌクレオチド。
【請求項42】
前記IRESと前記3’エクソン断片又は前記5’エクソン断片との間にスペーサー領域をさらに含む、請求項41に記載の環状ポリリボヌクレオチド。
【請求項43】
前記スペーサー領域が少なくとも5リボヌクレオチドの長さである、請求項42に記載の環状ポリリボヌクレオチド。
【請求項44】
前記スペーサー領域が5~500リボヌクレオチドの長さである、請求項43に記載の環状ポリリボヌクレオチド。
【請求項45】
前記スペーサー領域がポリA配列を含む、請求項42~44のいずれか一項に記載の環状ポリリボヌクレオチド。
【請求項46】
前記スペーサー領域がポリA-C配列を含む、請求項42~44のいずれか一項に記載の環状ポリリボヌクレオチド。
【請求項47】
少なくとも500リボヌクレオチドの長さである、請求項37~46のいずれか一項に記載の環状ポリリボヌクレオチド。
【請求項48】
500~20,000リボヌクレオチドの長さである、請求項47に記載の環状ポリリボヌクレオチド。
【請求項49】
請求項1~32のいずれか一項に記載の線状ポリリボヌクレオチド又は請求項33に記載のベクターから生成される、請求項37~48のいずれか一項に記載の環状ポリリボヌクレオチド。
【請求項50】
細胞内でポリペプチドを発現する方法であって、請求項1~34のいずれか一項に記載の線状ポリリボヌクレオチド、請求項35に記載のDNAベクター、又は請求項36~49のいずれか一項に記載の環状ポリリボヌクレオチドを前記細胞に提供することを含む、方法。
【請求項51】
請求項1~34のいずれか一項に記載の線状ポリリボヌクレオチドから環状ポリリボヌクレオチドを生成する方法であって、前記線状ポリリボヌクレオチドを前記線状ポリリボヌクレオチドの自己スプライシングに適した条件下で準備し、前記環状ポリリボヌクレオチドを生成することを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
環状ポリリボヌクレオチドを生成、精製、及び使用する方法の必要性が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
本開示は、環状RNAを生成、精製、及び使用するための組成物及び方法を提供する。
【0003】
一態様では、本発明は、5’-(A)-(B)-(C)-(D)-(E)-(F)-(G)-3’の式を有する線状ポリリボヌクレオチドを特徴とする。線状ポリリボヌクレオチドは、5’から3’へ、(A)グループI触媒イントロン断片の3’半分;(B)3’スプライス部位;(C)3’エクソン断片;(D)ポリリボヌクレオチドカーゴ(polyribonucleotidecargo);(E)5’エクソン断片;(F)5’スプライス部位;及び(G)グループI触媒イントロン断片の5’半分を含む。ポリリボヌクレオチドは、2~50、例えば、5~50、例えば、6~50、例えば、7~50、例えば、8~50(例えば、10~30、10~20、又は10~15、例えば、少なくとも8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、又は50)リボヌクレオチドを有し、且つ(A)グループI触媒イントロン断片の3’半分;(B)3’スプライス部位;又は(C)3’エクソン断片の内部に存在する第1のアニーリング領域を含む。ポリリボヌクレオチドはまた、2~50、例えば、5~50、例えば、6~50、例えば、7~50、例えば、8~50(例えば、10~30、10~20、又は10~15、例えば、少なくとも8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、又は50)リボヌクレオチドを有し、且つ(E)5’エクソン断片;(F)5’スプライス部位;又は(G)グループI触媒イントロン断片の5’半分の内部に存在する第2のアニーリング領域を含む。第1のアニーリング領域は、第2のアニーリング領域と80%~100%(例えば、85%~100%、例えば、90%~100%、例えば、80%、85%、90%、95%、97%、99%、又は100%)の相補性を有する、又は0~10(例えば、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10)のミスマッチ塩基を有する。
【0004】
別の態様では、本発明は、式5’-(A)-(B)-(C)-(D)-(E)-(F)-(G)-3’を有する線状ポリリボヌクレオチドを特徴とする。線状ポリリボヌクレオチドは、5’から3’へ、(A)グループI触媒イントロン断片の3’半分;(B)3’スプライス部位;(C)3’エクソン断片;(D)ポリリボヌクレオチドカーゴ;(E)5’エクソン断片;(F)5’スプライス部位;及び(G)グループI触媒イントロン断片の5’半分を含み、(A)のグループI触媒イントロン断片の3’半分及び(G)のグループI触媒イントロン断片の5’半分は、シアノバクテリアアナベナ属(Anabaena)のプレtRNA-Leu遺伝子に由来する。ポリリボヌクレオチドは、5~50、例えば、6~50(例えば、10~30、10~20、又は10~15、例えば、少なくとも6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、又は50)リボヌクレオチドを有し、且つ(A)グループI触媒イントロン断片の3’半分;(B)3’スプライス部位;又は(C)3’エクソン断片の内部に存在する第1のアニーリング領域を含む。ポリリボヌクレオチドは、5~50、例えば、6~50(例えば、10~30、10~20、又は10~15、例えば、少なくとも6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、又は50)リボヌクレオチドを有し、且つ(E)5’エクソン断片;(F)5’スプライス部位;又は(G)グループI触媒イントロン断片の5’半分の内部に存在する第2のアニーリング領域も含む。第1のアニーリング領域は、第2のアニーリング領域と80%~100%(例えば、85%~100%、例えば、90%~100%、例えば、80%、85%、90%、95%、97%、99%、又は100%)の相補性を有する、又は0~10、例えば、(0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10)のミスマッチ塩基対を有する。
【0005】
別の態様では、本発明は、式5’-(A)-(B)-(C)-(D)-(E)-(F)-(G)-3’を有する線状ポリリボヌクレオチドを特徴とする。線状ポリリボヌクレオチドは、5’から3’へ、(A)グループI触媒イントロン断片の3’半分;(B)3’スプライス部位;(C)3’エクソン断片;(D)ポリリボヌクレオチドカーゴ;(E)5’エクソン断片;(F)5’スプライス部位;及び(G)グループI触媒イントロン断片の5’半分を含み、(A)のグループI触媒イントロン断片の3’半分及び(G)のグループI触媒イントロン断片の5’半分は、テトラヒメナ属(Tetrahymena)のプレrRNAに由来する。ポリリボヌクレオチドは、6~50、例えば、7~50(例えば、10~30、10~20、又は10~15、例えば、少なくとも7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、又は50)リボヌクレオチドを有し、且つ(A)グループI触媒イントロン断片の3’半分;(B)3’スプライス部位;又は(C)3’エクソン断片の内部に存在する第1のアニーリング領域を含む。ポリリボヌクレオチドは、6~50、例えば、7~50(例えば、10~30、10~20、又は10~15、例えば、少なくとも7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、又は50)リボヌクレオチドを有し、且つ(E)5’エクソン断片;(F)5’スプライス部位;又は(G)グループI触媒イントロン断片の5’半分の内部に存在する第2のアニーリング領域も含む。第1のアニーリング領域は、第2のアニーリング領域と80%~100%(例えば、85%~100%、例えば、90%~100%、例えば、80%、85%、90%、95%、97%、99%、又は100%)の相補性を有する、又は0~10、例えば、(0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10)のミスマッチ塩基対を有する。
【0006】
いくつかの実施形態では、(A)又は(C)は、第1のアニーリング領域を含み、(E)又は(G)は、第2のアニーリング領域を含む。
【0007】
いくつかの実施形態では、(C)の3’エクソン断片は、第1のアニーリング領域を含み、(E)の5’エクソン断片は、第2のアニーリング領域を含む。
【0008】
いくつかの実施形態では、(C)の3’エクソン断片は、第1のアニーリング領域を含み、(G)のグループI触媒イントロン断片の5’半分は、第2のアニーリング領域を含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、(A)のグループI触媒イントロン断片の3’半分は、第1のアニーリング領域を含み、(E)の5’エクソン断片は、第2のアニーリング領域を含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、第1のアニーリング領域及び第2のアニーリング領域は、0又は1つのミスマッチ塩基対を含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、第1のアニーリング領域及び第2のアニーリング領域は、100%相補的である。
【0012】
いくつかの実施形態では、(A)のグループI触媒イントロン断片の3’半分及び(G)のグループI触媒イントロン断片の5’半分は、シアノバクテリアアナベナ属(Anabaena)のプレtRNA-Leu遺伝子、テトラヒメナ属(Tetrahymena)のプレrRNA、又はT4ファージのtd遺伝子に由来する。
【0013】
いくつかの実施形態では、(A)のグループI触媒イントロン断片の3’半分及び(G)のグループI触媒イントロン断片の5’半分は、シアノバクテリアアナベナ属(Anabaena)のプレtRNA-Leu遺伝子に由来し、(C)の3’エクソン断片は、第1のアニーリング領域を含み、(E)の5’エクソン断片は、第2のアニーリング領域を含む。第1のアニーリング領域は、例えば、5~50、例えば、10~15(例えば、10、11、12、13、14、又は15)リボヌクレオチドを含んでもよく、第2のアニーリング領域は、例えば、5~50、例えば、10~15(例えば、10、11、12、13、14、又は15)リボヌクレオチドを含み得る。
【0014】
いくつかの実施形態では、(A)のグループI触媒イントロン断片の3’半分及び(G)のグループI触媒イントロン断片の5’半分は、テトラヒメナ属(Tetrahymena)のプレrRNAに由来し、(A)のグループI触媒イントロン断片の3’半分は、第1のアニーリング領域を含み、(E)の5’エクソン断片は、第2のアニーリング領域を含む。いくつかの実施形態では、(C)の3’エクソン断片は、第1のアニーリング領域を含み、(G)のグループI触媒イントロン断片の5’半分は、第2のアニーリング領域を含む。第1のアニーリング領域は、例えば、6~50、例えば、10~16(例えば、10、11、12、13、14、15、又は16)リボヌクレオチドを含んでもよく、第2のアニーリング領域は、例えば、6~50、例えば、10~16(例えば、10、11、12、13、14、15、又は16)リボヌクレオチドを含み得る。
【0015】
いくつかの実施形態では、(A)のグループI触媒イントロン断片の3’半分及び(G)の5’グループI触媒イントロン断片は、T4ファージのtd遺伝子に由来する。(C)の3’エクソン断片は、第1のアニーリング領域を含んでもよく、(G)のグループI触媒イントロン断片の5’半分は、第2のアニーリング領域を含み得る。第1のアニーリング領域は、例えば、2~16、例えば、10~16(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、又は16)リボヌクレオチドを含んでもよく、第2のアニーリング領域は、例えば、2~16、例えば、10~16(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、又は16)リボヌクレオチドを含み得る。
【0016】
いくつかの実施形態では、(A)のグループI触媒イントロン断片の3’半分は、線状ポリヌクレオチドの5’末端である。
【0017】
いくつかの実施形態では、(G)のグループI触媒イントロン断片の5’半分は、線状ポリリボヌクレオチドの3’末端である。
【0018】
いくつかの実施形態では、線状ポリリボヌクレオチドは、さらなるアニーリング領域を含まない。
【0019】
いくつかの実施形態では、線状ポリリボヌクレオチドは、(G)の5’側のアニーリング領域との部分的又は完全な核酸相補性を含む(A)の3’側のアニーリング領域を含まない。
【0020】
いくつかの実施形態では、(D)のポリリボヌクレオチドカーゴは、発現配列、非コード配列、又は発現配列及び非コード配列を含む。
【0021】
いくつかの実施形態では、(D)のポリリボヌクレオチドカーゴは、ポリペプチドをコードする発現配列を含む。
【0022】
いくつかの実施形態では、(D)のポリリボヌクレオチドカーゴは、ポリペプチドをコードする発現配列に作動可能に連結されているIRESを含む。
【0023】
いくつかの実施形態では、IRESは、発現配列の上流に位置する。いくつかの実施形態では、IRESは、発現配列の下流に位置する。
【0024】
いくつかの実施形態では、(D)のポリリボヌクレオチドカーゴは、対象に対して生物学的効果を有するポリペプチドをコードする発現配列を含む。
【0025】
いくつかの実施形態では、線状ポリリボヌクレオチドは、(C)の3’エクソン断片と(D)のポリリボヌクレオチドカーゴとの間に第1のスペーサー領域をさらに含む。第1のスペーサー領域は、例えば、少なくとも5(例えば、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20)リボヌクレオチドの長さであってもよい。いくつかの実施形態では、線状ポリリボヌクレオチドは、(D)のポリリボヌクレオチドカーゴと(E)の5’エクソン断片との間に第2のスペーサー領域をさらに含む。第2のスペーサー領域は、例えば、少なくとも5(例えば、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20)リボヌクレオチドの長さであってもよい。いくつかの実施形態では、各スペーサー領域は、少なくとも5(例えば、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20)リボヌクレオチドの長さである。各スペーサー領域は、例えば、5~500(例えば、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、300、350、400、450、又は500)リボヌクレオチドの長さであってもよい。第1のスペーサー領域、第2のスペーサー領域、又は第1のスペーサー領域及び第2のスペーサー領域は、ポリA配列を含んでもよい。第1のスペーサー領域、第2のスペーサー領域、又は第1のスペーサー領域及び第2のスペーサー領域は、ポリA-C配列を含んでもよい。第1のスペーサー領域、第2のスペーサー領域、又は第1のスペーサー領域及び第2のスペーサー領域は、ポリA-G配列を含んでもよい。第1のスペーサー領域、第2のスペーサー領域、又は第1のスペーサー領域及び第2のスペーサー領域は、ポリA-T配列を含んでもよい。第1のスペーサー領域、第2のスペーサー領域、又は第1のスペーサー領域及び第2のスペーサー領域は、ランダム配列を含んでもよい。
【0026】
いくつかの実施形態では、線状ポリリボヌクレオチドは、50~20,000、例えば、100~20,000、例えば、200~20,000、例えば、300~20,000(例えば、50、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1,000、1,100、1,200、1,300、1,400、1,500、1,600、1,700、1,800、1,900、2,000、2,500、3,000、3,500、4,000、5,000、6,000、7,000、8,000、9,000、10,000、11,000、12,000、13,000、14,000、15,000、16,000、17,000、18,000、19,000、又は20,000)リボヌクレオチドの長さである。実施形態では、線状ポリリボヌクレオチドは、例えば、少なくとも50、少なくとも100、少なくとも200、少なくとも300、少なくとも400、少なくとも500、少なくとも1,000、少なくとも2,000、少なくとも3,000、少なくとも4,000、又は少なくとも5,000リボヌクレオチドの長さである。
【0027】
別の態様では、本発明は、本明細書に記載の実施形態のいずれかの線状ポリリボヌクレオチドをコードするDNA配列に作動可能に連結されているRNAポリメラーゼプロモーターを含むDNAベクターを特徴とする。
【0028】
別の態様では、本発明は、本明細書に記載の実施形態のいずれかの線状ポリリボヌクレオチド又はDNAベクターから生成される環状ポリリボヌクレオチド(例えば、共有的に閉じている環状ポリリボヌクレオチド)を特徴とする。
【0029】
別の態様では、本発明は、5’エクソン断片及び3’エクソン断片を連結するスプライス結合を有する環状ポリリボヌクレオチド(例えば、共有的に閉じている環状ポリリボヌクレオチド)を特徴とする。3’エクソン断片は、2~50、例えば、5~50、例えば、6~50、例えば、7~50、例えば、8~50(例えば、10~30、10~20、又は10~15、例えば、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、又は50)リボヌクレオチドを含む第1のアニーリング領域を含み、5’エクソン断片は、2~50、例えば、5~50、例えば、6~50、例えば、7~50、例えば、8~50(例えば、10~30、10~20、又は10~15、例えば、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、又は50)リボヌクレオチドを含む第2のアニーリング領域を含む。実施形態では、第1のアニーリング領域及び第2のアニーリング領域は、80%~100%(例えば、80%、85%、90%、95%、97%、99%、又は100%)の相補性を含む。実施形態では、第1のアニーリング領域及び第2のアニーリング領域は、0~10(例えば、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10)のミスマッチ塩基対(bp)を含む。実施形態では、環状ポリヌクレオチドは、ポリリボヌクレオチドカーゴをさらに含む。実施形態では、ポリリボヌクレオチドカーゴは、発現(又はコード)配列、非コード配列、又は発現(又はコード)配列及び非コード配列の組み合わせを含む。実施形態では、ポリリボヌクレオチドカーゴは、ポリペプチドをコードする発現(コード)配列を含む。実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、ポリペプチドをコードする発現配列に作動可能に連結されているIRESを含む。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、IRESと3’エクソン断片又は5’エクソン断片との間にスペーサー領域をさらに含む。スペーサー領域は、例えば、少なくとも5(例えば、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20)リボヌクレオチドの長さであってもよい。スペーサー領域は、例えば、5~500(例えば、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、300、350、400、450、又は500)リボヌクレオチドであってもよい。いくつかの実施形態では、スペーサー領域は、ポリA配列を含む。いくつかの実施形態では、スペーサー領域は、ポリA-C配列を含む。いくつかの実施形態では、スペーサー領域は、ポリA-G配列を含む。いくつかの実施形態では、スペーサー領域は、ポリA-T配列を含む。いくつかの実施形態では、スペーサー領域は、ランダム配列を含む。
【0030】
いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、50~20,000、例えば、100~20,000、例えば、200~20,000、例えば、300~20,000(例えば、50、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1,000、1,100、1,200、1,300、1,400、1,500、1,600、1,700、1,800、1,900、2,000、2,500、3,000、3,500、4,000、5,000、6,000、7,000、8,000、9,000、10,000、11,000、12,000、13,000、14,000、15,000、16,000、17,000、18,000、19,000、又は20,000)リボヌクレオチドの長さである。実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、例えば、少なくとも500、少なくとも1,000、少なくとも2,000、少なくとも3,000、少なくとも4,000、又は少なくとも5,000リボヌクレオチドの長さである。
【0031】
いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、本明細書に記載される線状ポリリボヌクレオチド又はベクターから生成される。
【0032】
別の態様では、本発明は、本明細書に記載される線状ポリリボヌクレオチド、DNAベクター、又は環状ポリリボヌクレオチドを細胞に提供することにより、細胞内でポリペプチドを発現する方法を特徴とする。方法は、細胞機構がポリリボヌクレオチドからポリペプチドを発現することを可能にすることをさらに含む。
【0033】
別の態様では、本発明は、環状ポリリボヌクレオチドを生成するため、本明細書に記載される線状ポリリボヌクレオチドを線状ポリリボヌクレオチドの自己スプライシングに適した条件下で提供することによる、本明細書に記載される環状ポリリボヌクレオチドを生成する方法を特徴とする。
【0034】
定義
本開示の理解を促すため、いくつかの用語が以下に定義される。本明細書で定義される用語は、本開示に関連する領域における当業者によって一般に理解されているような意味を有する。「a」、「an」及び「the」などの用語は、単数の実体のみを指すことを意図しておらず、一般的クラスも含むが、その具体例は、例示のために使用されてもよい。「又は」という用語は、代替物のみを指すように明示されない限り、又は代替物が相互に排他的でない限り、「及び/又は」を意味するものとして使用されるが、本開示は、代替物のみと「及び/又は」とを指すような定義を支持する。本明細書中の用語は、具体的な実施形態を説明するために使用されるが、それらの使用は、請求項において概説される場合を除き、限定するものとして解釈されるべきでない。
【0035】
本明細書で使用されるとき、値の範囲内に提供される任意の値は、上限と下限の両方、並びに上限及び下限の範囲内に含まれる任意の値を含む。
【0036】
本明細書で使用されるとき、「約」という用語は、列挙値の±10%以内にある値を指す。
【0037】
本明細書で使用されるとき、「担体」という用語は、細胞への組成物(例えば、環状ポリリボヌクレオチド)の輸送又は送達を、部分又は完全カプセル化をした薬剤、又はその組み合わせを介して、環状ポリリボヌクレオチドの共有結合修飾によって容易にする化合物、組成物、試薬、又は分子である。担体の非限定的な例には、炭水化物担体(例えば、無水物修飾フィトグリコーゲン又はグリコーゲン型物質)、ナノ粒子(例えば、環状ポリリボヌクレオチドにカプセル化又は共有結合されるナノ粒子)、リポソーム、フソソーム、生体外で分化した網状赤血球、エキソソーム、タンパク質担体(例えば、ポリリボヌクレオチドに共有結合したタンパク質)、又はカチオン性担体(例えば、カチオン性リポポリマー又はトランスフェクション試薬)が含まれる。
【0038】
本明細書で使用されるとき、「環状ポリリボヌクレオチド」及び「環状RNA」という用語は、互換的に使用され、遊離末端(即ち、遊離3’及び/又は5’末端)を有していない構造を有するポリリボヌクレオチド分子、例えば、共有結合又は非共有結合を介して環状又は末端のない構造を形成するポリリボヌクレオチド分子を意味する。環状ポリリボヌクレオチドは、例えば、共有的に閉じているポリリボヌクレオチドであってもよい。
【0039】
本明細書で使用されるとき、「環状化効率」という用語は、得られた環状ポリリボヌクレオチドのその非環状出発物質に対する測定値である。
【0040】
本明細書で使用されるとき、「疾患」、「障害」、及び「症状」という用語はそれぞれ、最適でない健康の状態、例えば、医療専門家によって通常は診断又は処置されている、又は診断又は処置されることになる状態を指す。
【0041】
「異種」は、天然に存在する(天然の)状況以外の状況下で生じること意味する。「異種」ポリヌクレオチド配列は、ポリヌクレオチド配列がその配列の天然ゲノムにおいて見出されるもの以外の方法で使用されていることを示す。例えば、「異種プロモーター」は、そのプロモーターによって天然に転写される配列でない配列の転写を駆動するために使用され;それ故、「異種プロモーター」配列は、組換え核酸技術を用いて、発現構築物中に含まれることが多い。「異種」という用語はまた、別の配列との天然に存在しない関係において配置される所与の配列を指すように使用され;例えば、異種コード又は非コードヌクレオチド配列は、一般にゲノム形質転換技術によってゲノムに挿入され、遺伝子修飾又は組換えゲノムをもたらす。
【0042】
本明細書で使用されるとき、対象の「適応度を増加させる」又は「適応度を促進する」は、本明細書に記載のペプチド又はポリペプチドの投与の結果としての、生理における、又は対象生物によって実施される任意の活性の任意の好ましい改変、例えば限定はされないが、以下の所望の効果のいずれか1つ以上を指す:(1)生物的又は非生物的ストレスの耐性の約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%、100%又はそれ以上の増加;(2)収率又はバイオマスの約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%、100%又はそれ以上の増加;(3)開花期の約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%、100%又はそれ以上の変更;(4)害虫又は病原体に対する抵抗性の約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%、100%又はそれ以上の増加、(4)除草剤に対する抵抗性の約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%、100%又はそれ以上の増加;(5)対象生物(例えば、農業的に重要な昆虫)の集団の約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%、100%又はそれ以上の増加;(6)対象生物(例えば昆虫、例えばミツバチ又はカイコ)の生殖率の約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%、100%又はそれ以上の増加;(7)対象生物(例えば昆虫、例えばミツバチ又はカイコ)の運動性の約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%、100%又はそれ以上の増加;(8)対象生物(例えば昆虫、例えばミツバチ又はカイコ)の体重の約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%、100%又はそれ以上の増加;(9)対象生物(例えば昆虫、例えばミツバチ又はカイコ)の代謝率又は活動性の約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%、100%又はそれ以上の増加;(10)対象生物(例えば昆虫、例えばミツバチ又はカイコ)による受粉(例えば、所与の期間内に受粉された植物の数)の約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%、100%又はそれ以上の増加;(11)対象生物(例えば昆虫、例えばミツバチ又はカイコ)の副産物(例えば、ミツバチからの蜂蜜又はカイコからの絹)の生成の約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%、100%又はそれ以上の増加;(12)対象生物(例えば、昆虫)の栄養素含有量(例えば、タンパク質、脂肪酸、又はアミノ酸)の約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%、100%又はそれ以上の増加;又は(13)駆除薬(例えば、ネオニコチノイド(例えば、イミダクロプリド)又は有機リン殺虫剤(例えば、ホスホロチオエート、例えば、フェニトロチオン))に対する対象生物の抵抗性の約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%、100%又はそれ以上の増加、(14)ヒト又は非ヒト動物などの対象生物の健康の増強又は疾患の低減。宿主適応度の増加は、調節剤が投与されていない対象生物と比較して判定することができる。逆に、対象の「適応度の低下」は、本明細書に記載のペプチド又はポリペプチドの投与の結果としての、生理における、又は対象生物によって実施される任意の活性の任意の好ましくない改変、例えば限定はされないが、以下の意図された効果のいずれか1つ以上を指す:(1)生物的又は非生物的ストレスの耐性の約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%、100%又はそれ以上の低下;(2)収率又はバイオマスの約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%、100%又はそれ以上の低下;(3)開花期の約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%、100%又はそれ以上の変更;(4)害虫又は病原体に対する抵抗性の約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%、100%又はそれ以上の低下、(4)除草剤に対する抵抗性の約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%、100%又はそれ以上の低下;(5)対象生物(例えば、農業的に重要な昆虫)の集団の約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%、100%又はそれ以上の減少;(6)対象生物(例えば昆虫、例えばミツバチ又はカイコ)の生殖率の約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%、100%又はそれ以上の低下;(7)対象生物(例えば昆虫、例えばミツバチ又はカイコ)の運動性の約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%、100%又はそれ以上の低下;(8)対象生物(例えば昆虫、例えばミツバチ又はカイコ)の体重の約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%、100%又はそれ以上の減少;(9)対象生物(例えば昆虫、例えばミツバチ又はカイコ)の代謝率又は活動性の約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%、100%又はそれ以上の低下;(10)対象生物(例えば昆虫、例えばミツバチ又はカイコ)による受粉(例えば、所与の期間内に受粉された植物の数)の約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%、100%又はそれ以上の減少;(11)対象生物(例えば昆虫、例えばミツバチ又はカイコ)の副産物(例えば、ミツバチからの蜂蜜又はカイコからの絹)の生成の約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%、100%又はそれ以上の低下;(12)対象生物(例えば、昆虫)の栄養素含有量(例えば、タンパク質、脂肪酸、又はアミノ酸)の約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%、100%又はそれ以上の減少;又は(13)駆除薬(例えば、ネオニコチノイド(例えば、イミダクロプリド)又は有機リン殺虫剤(例えば、ホスホロチオエート、例えば、フェニトロチオン))に対する対象生物の抵抗性の約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%、100%又はそれ以上の低下、(14)ヒト又は非ヒト動物などの対象生物の健康の低減又は疾患の低減。宿主適応度の低下は、調節剤が投与されていない対象生物と比較して判定することができる。対象の生理、表現型、又は活動性における特定の変化、例えば植物における開花期の変更により、状況に応じて(例えば、気候又は他の環境条件における変化に適応するのに)、対象の適応度が増加するか又は対象の適応度が低下すると考察可能であることは当業者にとって明らかであろう。例えば、開花期の遅延(例えば、所与のカレンダー日付に開花する集団内の植物が約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%、100%減少すること)は、より遅いか又はより涼しい春季への有利な適応であり得て、それ故、植物の適応度を増加させると考察可能であり;逆に、より早期の又はより暖かい春季という状況下での開花期の同様の遅延は、植物の適応度を低下させると考察可能である。
【0043】
本明細書で使用されるとき、「線状RNA」又は「線状ポリリボヌクレオチド」又は「線状ポリリボヌクレオチド分子」という用語は、互換的に使用され、5’及び3’末端を有するポリリボヌクレオチド分子を意味する。5’末端及び3’末端の一方又は両方は、遊離末端であってもよいし、又は別の部分に結合していてもよい。線状RNAは、環状化されていない(例えば、事前に環状化されていない)RNAを含み、環状化のための出発物質として使用することができる。
【0044】
本明細書で使用されるとき、「修飾リボヌクレオチド」という用語は、糖、核酸塩基、又はヌクレオシド間結合に対して少なくとも1つの修飾を有するヌクレオチドを意味する。
【0045】
本明細書で使用されるとき、「裸の送達」という用語は、担体の助けを借りず、細胞への送達を助ける部分への共有結合修飾も使用しない、細胞への送達のための製剤である。裸の送達製剤には、トランスフェクション試薬、カチオン担体、炭水化物担体、ナノ粒子担体、又はタンパク質担体のいずれも含まれない。例えば、環状ポリリボヌクレオチドの裸の送達製剤は、共有結合修飾なしで環状ポリリボヌクレオチドを含み、担体を含まない製剤である。
【0046】
「医薬組成物」という用語は、医薬組成物内に含まれる環状又は線状ポリリボヌクレオチドを、療法によるヒト又は動物の体の処置に使用できることを開示することも意図している。
【0047】
本明細書で使用されるとき、「ポリヌクレオチド」という用語は、1つ又は複数の核酸サブユニット又はヌクレオチドを含む分子を意味し、「核酸」又は「オリゴヌクレオチド」と互換的に使用することができる。ポリヌクレオチドは、アデノシン(A)、シトシン(C)、グアニン(G)、チミン(T)、及びウラシル(U)、又はそれらの変異体から選択される1つ又は複数のヌクレオチドを含み得る。ヌクレオチドは、ヌクレオシド及び少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、又はそれ以上のリン酸(PO3)基を含み得る。ヌクレオチドは、核酸塩基、五炭糖(リボース又はデオキシリボースのいずれか)、及び1つ又は複数のリン酸基を含み得る。リボヌクレオチドは、糖がリボースであるヌクレオチドである。ポリリボヌクレオチド又はリボ核酸、又はRNAは、ホスホジエステル結合を介して重合された複数のリボヌクレオチドを含む高分子を指し得る。デオキシリボヌクレオチドは、糖がデオキシリボースであるヌクレオチドである。本明細書で使用されるとき、チミン(T)を表すポリリボヌクレオチド配列は、ウラシル(U)を表すと理解されている。
【0048】
本明細書で使用されるとき、本明細書中の「ポリリボヌクレオチドカーゴ」という用語は、少なくとも1つのポリリボヌクレオチドを含む任意の配列を含む。実施形態では、ポリリボヌクレオチドカーゴは、1つ又は複数の発現配列を含み、各発現配列は、ポリペプチドをコードする。実施形態では、ポリリボヌクレオチドカーゴは、調節又は触媒機能を有するポリリボヌクレオチドなどの1つ又は複数の非コード配列を含む。実施形態では、ポリリボヌクレオチドカーゴは、発現及び非コード配列の組み合わせを含む。実施形態では、ポリリボヌクレオチドカーゴは、本明細書に記載の1つ又は複数のポリリボヌクレオチド配列、例えば、1つ又は複数の調節要素、内部リボソーム進入部位(IRES)要素、又はスペーサー配列を含む。
【0049】
本明細書で互換的に使用されるとき、「ポリA」又は「ポリA配列」という用語は、少なくとも5ヌクレオチドの長さであり、アデノシン残基からなる核酸分子の翻訳されない隣接領域を指す。いくつかの実施形態では、ポリA配列は、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、又は少なくとも50ヌクレオチドの長さである。いくつかの実施形態では、ポリA配列は、オープンリーディングフレーム(open reason frame)(例えば、ポリペプチドをコードするオープンリーディングフレーム)の3’側(例えば、その下流)に位置し、ポリA配列は、ポリAが翻訳されないように、終結配列(例えば、停止コドン)の3’側に存在する。いくつかの実施形態では、ポリA配列は、終結配列及び3’非翻訳領域の3’側に位置する。
【0050】
本明細書で使用されるとき、核酸の要素は、それらが転写されて、線状RNAを形成し得て、次いで本明細書に提供される方法を用いて、環状RNAに環状化され得るように、ベクターに配置される場合、「作動可能に連結されている」。
【0051】
ポリデオキシリボヌクレオチド又はデオキシリボ核酸、又はDNAは、ホスホジエステル結合を介して重合された複数のデオキシリボヌクレオチドを含む高分子を意味する。ヌクレオチドは、ヌクレオシド一リン酸又はヌクレオシドポリリン酸であり得る。ヌクレオチドは、発光タグやマーカーなどの検出可能なタグ(例えば、フルオロフォア)を含む、例えば、デオキシアデノシン三リン酸(dATP)、デオキシシチジン三リン酸(dCTP)、デオキシグアノシン三リン酸(dGTP)、ウリジン三リン酸(dUTP)、及びデオキシチミジン三リン酸(dTTP)dNTPから選択することができるデオキシリボヌクレオシド三リン酸(dNTP)などのデオキシリボヌクレオシドポリリン酸を意味する。ヌクレオチドは、成長する核酸鎖に組み込むことができる任意のサブユニットを含み得る。このようなサブユニットは、A、C、G、T、又はU、或いは、1つ又は複数の相補的なA、C、G、T、若しくはUに特異的であるか、又はプリン(即ち、A又はG、又はその変異体)若しくはピリミジン(即ち、C、T、又はU、又はその変異体)に相補的な任意の他のサブユニットであり得る。いくつかの例では、ポリヌクレオチドは、デオキシリボ核酸(DNA)、リボ核酸(RNA)、又はそれらの誘導体若しくは変異体である。場合によっては、ポリヌクレオチドは、いくつか例を挙げると、低分子干渉RNA(siRNA)、マイクロRNA(miRNA)、プラスミドDNA(pDNA)、低分子ヘアピンRNA(shRNA)、核内低分子RNA(snRNA)、メッセンジャーRNA(mRNA)、mRNA前駆体(pre-mRNA)、アンチセンスRNA(asRNA)であり、ヌクレオチド配列、及び一本鎖、二本鎖、三本鎖、らせん、ヘアピンなどのその任意の構造的実施形態の両方を包含する。場合によっては、ポリヌクレオチド分子は環状である。ポリヌクレオチドは、様々な長さを有し得る。核酸分子は、少なくとも約10塩基、20塩基、30塩基、40塩基、50塩基、100塩基、200塩基、300塩基、400塩基、500塩基、1キロ塩基(kb)、2kb、3kb、4kb、5kb、10kb、50kb、又はそれ以上の長さを有し得る。ポリヌクレオチドは、細胞又は組織から単離することができる。ポリヌクレオチド配列の実施形態は、単離及び精製されたDNA/RNA分子、合成DNA/RNA分子、及び合成DNA/RNA類似体を含み得る。
【0052】
ポリヌクレオチドの実施形態、例えば、ポリリボヌクレオチド又はポリデオキシリボヌクレオチドは、非標準ヌクレオチド、非天然ヌクレオチド、ヌクレオチド類似体、又は修飾ヌクレオチドを含む1つ又は複数のヌクレオチド変異体を含有するポリヌクレオチドを含む。修飾ヌクレオチドの例には、限定されるものではないが、ジアミノプリン、5-フルオロウラシル、5-ブロモウラシル、5-クロロウラシル、5-ヨードウラシル、ヒポキサンチン、キサンチン、4-アセチルシトシン、5-(カルボキシヒドロキシルメチル)ウラシル、5-カルボキシメチルアミノメチル-2-チオウリジン、5-カルボキシメチルアミノメチルウラシル、ジヒドロウラシル、β-D-ガラクトシルケオシン、イノシン、N6-イソペンテニルアデニン、1-メチルグアニン、1-メチルイノシン、2,2-ジメチルグアニン、2-メチルアデニン、2-メチルグアニン、3-メチルシトシン、5-メチルシトシン、N6-アデニン、7-メチルグアニン、5-メチルアミノメチルウラシル、5-メトキシアミノメチル-2-チオウラシル、β-D-マンノシルケオシン、5’-メトキシカルボキシメチルウラシル、5-メトキシウラシル、2-メチルチオ-D46-イソペンテニルアデニン、ウラシル-5-オキシ酢酸(v)、ウィブトキソシン、プソイドウラシル、ケオシン、2-チオシトシン、5-メチル-2-チオウラシル、2-チオウラシル、4-チオウラシル、5-メチルウラシル、ウラシル-5-オキシ酢酸メチルエステル、ウラシル-5-オキシ酢酸(v)、5-メチル-2-チオウラシル、3-(3-アミノ-3-N-2-カルボキシプロピル)ウラシル、(acp3)w、及び2,6-ジアミノプリンなどが含まれる。場合によっては、ヌクレオチドは、三リン酸部分への修飾を含む、それらのリン酸部分の修飾を含む。そのような修飾の非限定的な例としては、より長いリン酸鎖(例えば、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、又はそれ以上のリン酸部分を有するリン酸鎖)及びチオール部分の修飾(例えば、α-チオ三リン酸及びβ-チオ三リン酸)が挙げられる。実施形態では、核酸分子はまた、塩基部分、糖部分、又はリン酸骨格で(例えば、典型的には相補的ヌクレオチドとの水素結合を形成するのに利用できる1つ又は複数の原子で、又は典型的には相補的なヌクレオチドとの水素結合を形成できない1つ又は複数の原子で)修飾される。実施形態では、核酸分子は、N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(NHS)などのアミン反応性部分の共有結合を可能にするために、アミノアリル-dUTP(aa-dUTP)及びアミノヘキシルアクリルアミド-dCTP(aha-dCTP)などのアミン修飾基を含む。本開示のオリゴヌクレオチドにおける標準的なDNA塩基対又はRNA塩基対の代替物は、高い1立方mm当たりのビット密度、より高い安全性(天然毒素の偶発的又は意図的な合成に対する耐性)、光プログラムされたポリメラーゼにおけるより容易な識別、又は下位二次構造を提供し得る。デノボ又は増幅合成のための天然及び突然変異ポリメラーゼと適合するそのような代替塩基対は、すべての目的のために参照により本明細書に組み込まれる、Betz K,Malyshev DA,Lavergne T,Welte W,Diederichs K,Dwyer TJ,Ordoukhanian P,Romesberg FE,Marx A.Nat.Chem.Biol.2012 Jul;8(7):612-4に記載されている。
【0053】
本明細書で使用されるとき、「ポリペプチド」は、ほとんどの場合ペプチド結合によって一緒に連結されたアミノ酸残基(天然又は非天然)のポリマーを意味する。この用語は、本明細書で使用されるとき、任意のサイズ、構造、又は機能のタンパク質、ポリペプチド、及びペプチドを指す。ポリペプチドには、遺伝子産物、天然に存在するポリペプチド、合成ポリペプチド、相同体、オルソログ、パラログ、それらの断片及び他の同等物、変異体、及び類似体が含まれ得る。ポリペプチドは、単一分子であっても、又は二量体、三量体、若しくは四量体などの多分子複合体であってもよい。ポリペプチドはまた、単鎖、又は抗体若しくはインスリンなどの多重鎖ポリペプチドを含み得、会合又は連結され得る。最も一般的なジスルフィド結合は、多重鎖ポリペプチドに見られる。ポリペプチドという用語は、1つ又は複数のアミノ酸残基が対応する天然に存在するアミノ酸の人工化学類似体であるアミノ酸ポリマーにも適用することができる。
【0054】
本明細書で使用されるとき、「植物改変ポリペプチド(plant-modifying polypeptide)」という用語は、遺伝的特性(例えば、遺伝子発現を増加させる、遺伝子発現を低下させる、又はそれ以外ではDNA若しくはRNAのヌクレオチド配列を改変する)、エピジェネティック特性、又は植物の生化学的若しくは生理学的特性を、植物の生理又は表現型の変化、例えば植物適応度の増加又は低下をもたらす方法で改変し得るポリペプチドを指す。
【0055】
本明細書で使用されるとき、「調節要素」という用語は、環状又は線状ポリリボヌクレオチド内の発現配列の発現を変更する、核酸配列などの部分である。
【0056】
本明細書で使用されるとき、「スペーサー」は、2つの隣接するポリヌクレオチド領域間に距離又は柔軟性をもたらす(例えば、1つ以上のヌクレオチドの)任意の隣接するヌクレオチド配列を指す。
【0057】
本明細書で使用されるとき、「配列同一性」という用語は、グローバル又はローカルアラインメントアルゴリズムを使用して2つのペプチド配列又は2つのヌクレオチド配列のアラインメントによって決定される。配列は、それらが最適に整列された場合(デフォルトパラメータを使用して、GAP又はBESTFITなどのプログラムによって整列された場合)に少なくとも特定の最小パーセンテージの配列同一性を共有する場合、「実質的に同一」又は「本質的に類似」と呼ばれる。GAPは、Needleman及びWunschグローバルアラインメントアルゴリズムを使用して、2つの配列をその全長にわたって整列させ、一致の数を最大化し、ギャップの数を最小化する。一般に、ギャップ作成ペナルティ=50(ヌクレオチド)/8(タンパク質)及びギャップ拡張ペナルティ=3(ヌクレオチド)/2(タンパク質)のGAPのデフォルトパラメータが使用される。ヌクレオチドの場合、使用されるデフォルトのスコア行列は、nwsgapdnaであり、タンパク質の場合、デフォルトのスコア行列は、Blosum62である(Henikoff&Henikoff,1992,PNAS 89,915-919)。配列アラインメント及び配列同一性パーセンテージのスコアは、例えば、Accelrys Inc.,9685 Scranton Road,San Diego,CA 92121-3752 USAから入手可能なGCG Wisconsin Package,Version 10.3又はEmbossWin version 2.10.0(プログラム「針」を使用)などのコンピュータープログラムを使用して決定される。別法又はこれに加えて、パーセント同一性は、例えば、FASTA、BLASTなどのアルゴリズムを使用してデータベースで検索することによって決定される。配列同一性は、配列の全長にわたる配列同一性を指す。
【0058】
本明細書で使用されるとき、RNAに関して「構造化された」は、それ自身又は同じRNA分子中の他の配列を用いる構造(例えば、ヘアピンループ)を形成するため、RNAFoldソフトウェア又は類似の予測ツールによって予測されるRNA配列を指す。
【0059】
本明細書で使用されるとき、「対象」という用語は、動物、植物、又は微生物などの生物を指す。実施形態では、対象は、脊椎動物(例えば、哺乳動物、鳥類、魚類、爬虫類、又は両生類)である。実施形態では、対象はヒトである。実施形態では、対象は非ヒト哺乳動物である。実施形態では、対象は、非ヒト霊長類(例えば、サル、類人猿)、有蹄動物(例えば、ウシ、水牛、バイソン、ヒツジ、ヤギ、ブタ、ラクダ、ラマ、アルパカ、シカ、ウマ、ロバ)、肉食動物(例えば、イヌ、ネコ)、齧歯類(例えば、ラット、マウス)、又はウサギ類(例えば、ウサギ)などの非ヒト哺乳動物である。実施形態では、対象は、キジ目(Galliformes)(例えば、ニワトリ、シチメンチョウ、キジ、ウズラ)、ガンカモ目(Anseriformes)(例えば、アヒル、ガチョウ)、古顎類(Paleaognathae)(例えば、ダチョウ、エミュー)、ハト目(Columbiformes)(例えば、ハト(pigeons)、ハト(doves))、又はオウム目(Psittaciformes)(例えば、オウム)といった鳥類分類群のメンバーなどの鳥類である。実施形態では、対象は、節足動物(例えば、昆虫、クモ類、甲殻類)、線虫、環形動物、蠕虫、又は軟体類などの無脊椎動物である。実施形態では、対象は、無脊椎動物の農業害虫又は無脊椎動物若しくは脊椎動物宿主に対する寄生虫である無脊椎動物である。実施形態では、対象は、被子植物(双子葉又は単子葉であり得る)又は裸子植物(例えば、針葉樹、ソテツ、マオウ門(Gnetophyte)、イチョウ)、シダ、ツクシ、ヒカゲノカズラ、又はコケ植物などの植物である。実施形態では、対象は、真核藻類(単細胞又は多細胞)である。実施形態では、対象は、作条作物、果実生成植物及び樹木、野菜、樹木、及び観賞植物、例えば、観賞花、低木、樹木、グランドカバー、及び芝生などの農業又は園芸上重要な植物である。
【0060】
本明細書で使用されるとき、「処置する」又は「処置すること」という用語は、対象の疾患又は障害(例えば、感染症、がん、毒性、又はアレルギー反応)の予防的又は治療的処置を指す。処置の効果には、疾患又は疾患若しくは障害の1つ若しくは複数の徴候若しくは発現の逆転、軽減、重症度の軽減、治癒、進行の阻害、再発の可能性の低減、疾患又は障害の状態の安定化(即ち、悪化しないこと)、又は治療的処置がない場合の疾患又は障害の状態又は症状と比較して、疾患又は障害の蔓延の防止が含まれ得る。実施形態は、植物を処置して、無脊椎動物害虫又は微生物(例えば、細菌、真菌、卵菌、又はウイルス)病原体に起因するか又はそれと関連する疾患又は有害な症状を制御することを含む。実施形態は、植物を処置して、害虫又は病原体圧力に耐える植物の自然防御能又は免疫能を増加させることを含む。
【0061】
本明細書で使用されるとき、「終結要素」という用語は、環状又は線状ポリリボヌクレオチドにおける発現配列の翻訳を終結させる核酸配列などの部分である。
【0062】
本明細書で使用されるとき、「翻訳効率」という用語は、リボヌクレオチド転写産物からのタンパク質又はペプチド産生の速度又は量である。ある実施形態では、翻訳効率は、例えば、所与の翻訳系、例えば、ウサギ網状赤血球溶解物のような無細胞翻訳系において、例えば所与の期間で、タンパク質又はペプチドをコードする所与の量の1転写産物当たりで生成されるタンパク質又はペプチドの量として表され得る。
【0063】
本明細書で使用されるとき、「翻訳開始配列」という用語は、環状又は線状ポリリボヌクレオチドにおける発現配列の翻訳を開始させる核酸配列である。
【0064】
本明細書で使用されるとき、「治療用ポリペプチド」という用語は、対象に投与されるか又は対象で発現されると、いくつかの治療的利益を提供するポリペプチドを指す。実施形態では、治療用ポリペプチドを使用して、対象における疾患、障害、又は症状を、治療用ペプチドの対象への投与によって、又は治療用ポリペプチドの対象における発現によって処置又は予防する。他の実施形態では、治療用ポリペプチドは、細胞内で発現され、細胞は、対象に投与することで、治療的利益を提供する。
【0065】
本明細書で使用されるとき、「ベクター」は、(例えば、PCRを使用して)合成される、又は外来DNA断片がクローニング若しくは発現を目的として挿入可能である、若しくは挿入されている高次生物のウイルス、プラスミド、若しくは細胞から採取される、DNAの断片を意味する。いくつかの実施形態では、ベクターは、生物内で安定に維持され得る。ベクターは、例えば、複製起点、選択可能マーカー又はレポーター遺伝子、例えば、抗生物質耐性若しくはGFP、又は複数のクローニング部位(MCS)を含み得る。該用語は、直鎖状DNA断片(例えば、PCR産物、線状化プラスミド断片)、プラスミドベクター、ウイルスベクター、コスミド、細菌人工染色体(BAC)、酵母人工染色体(YAC)などを含む。一実施形態では、本明細書に提供されるベクターは、複数のクローニング部位(MCS)を含む。別の実施形態では、本明細書に提供されるベクターはMCSを含まない。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【
図1】5ヌクレオチドのアニーリング領域を伴う例示的なアナベナ属(Anabaena)置換イントロン-エクソン(
図1A)及び拡張されたアニーリング領域を伴う例示的なアナベナ属(Anabaena)置換イントロン-エクソン(
図1B)を示す概略図である。
【
図2】5ヌクレオチドのアニーリング領域を伴う例示的なアナベナ属(Anabaena)置換イントロン-エクソン(
図2A)及び拡張されたアニーリング領域を伴う例示的なアナベナ属(Anabaena)置換イントロン-エクソン(
図2B)の構造を示す概略図である。
【
図3】5ヌクレオチドのアニーリング領域を伴うアナベナ属(Anabaena)置換イントロン-エクソン(Anabaena1)、拡張されたアニーリング領域を伴うアナベナ属(Anabaena)置換イントロン-エクソン(Anabaena2)、及び1.2KbのRNA(
図3A)又は4.5KbのRNA(
図3B)のいずれかを伴うAnabaena3の環状化効率を示すグラフである。
【
図4】3つの異なる時点で、5ヌクレオチドのアニーリング領域を伴うアナベナ属(Anabaena)置換イントロン-エクソン(Anabaena1)、拡張されたアニーリング領域を伴うアナベナ属(Anabaena)置換イントロン-エクソン(Anabaena2)、又はAnabaena3により生成された環状RNAからのGlucの相対的発現を示すグラフである。
【
図5】3つの異なる時点で、5ヌクレオチドのアニーリング領域を伴うアナベナ属(Anabaena)置換イントロン-エクソン(Anabaena1)、拡張されたアニーリング領域を伴うアナベナ属(Anabaena)置換イントロン-エクソン(Anabaena2)、又はAnabaena3により生成された環状RNAからのSARS-CoV-2スパイクタンパク質の相対的発現を示すグラフである。
【
図6】E2とE1との間にいくつかの拡張されたアニーリング領域を伴うアナベナ属(Anabaena)置換イントロン-エクソンの例示的設計を示す概略図である。
【
図7】拡張されたアニーリング領域を伴うアナベナ属(Anabaena)置換イントロン-エクソン(Anabaena2)、及びアニーリング領域の5、10、又は15ヌクレオチド拡張をさらに伴うアナベナ属(Anabaena)置換イントロン-エクソンの場合の環状化効率を示すグラフである。
【
図8】拡張されたアニーリング領域を伴うアナベナ属(Anabaena)置換イントロン-エクソン(Anabaena2)、及びアニーリング領域の5、10、又は15ヌクレオチド拡張をさらに伴うアナベナ属(Anabaena)置換イントロン-エクソンの場合の3つの異なる時点での発現を示すグラフである。
【
図9】6ヌクレオチドのアニーリング領域を伴う例示的なテトラヒメナ属(Tetrahymena)置換イントロン-エクソン(
図9A)及び拡張されたアニーリング領域を伴う例示的なテトラヒメナ属(Tetrahymena)置換イントロン-エクソン(
図9B)を示す概略図である。
【
図10】6ヌクレオチドのアニーリング領域を伴う例示的なテトラヒメナ属(Tetrahymena)置換イントロン-エクソン(
図9A)及び拡張されたアニーリング領域を伴う例示的なテトラヒメナ属(Tetrahymena)置換イントロン-エクソン(
図9B)の構造を示す概略図である。
【
図11】6ヌクレオチドのアニーリング領域を伴うテトラヒメナ属(Tetrahymena)置換イントロン-エクソン(Tetrahymena1)及び拡張されたアニーリング領域を伴うテトラヒメナ属(Tetrahymena)置換イントロン-エクソン(Tetrahymena2)の環状化効率を示すグラフである。
【
図12】2ヌクレオチドのアニーリング領域を伴う例示的なT4ファージ置換イントロン-エクソン(
図12A)及び拡張されたアニーリング領域を伴う例示的なT4ファージ置換イントロン-エクソン(
図12B)を示す概略図である。
【
図13】2ヌクレオチドのアニーリング領域を伴うT4ファージ置換イントロン-エクソン(T4ファージ1)及び拡張されたアニーリング領域を伴うT4ファージ置換イントロン-エクソン(T4ファージ2)の環状化効率を示すグラフである。
【
図14】アニーリング領域を伴う例示的な置換イントロン-エクソン(
図14A)及び拡張されたアニーリング領域を伴う例示的な置換イントロン-エクソン(
図14B)を示す概略図である。
【
図15】7ヌクレオチドのアニーリング領域を伴う例示的なシネココッカス(Synechococcus)置換イントロン-エクソン(
図15A)並びに修飾及び拡張されたアニーリング領域を伴う例示的なシネココッカス(Synechococcus)置換イントロン-エクソン(
図15B)の構造を示す概略図である。
【
図16】5ヌクレオチドのアニーリング領域を伴う例示的なアナベナ・アゾラエ(Anabaena azollae)置換イントロン-エクソン(
図16A)並びに修飾及び拡張されたアニーリング領域を伴う例示的なアナベナ・アゾラエ(Anabaena azollae)置換イントロン-エクソン(
図16B)の構造を示す概略図である。
【
図17】5ヌクレオチドのアニーリング領域を伴う例示的なアナベナ・シリンドリカ(Anabaena cylindrica)(
図17A)並びに修飾及び拡張されたアニーリング領域を伴う例示的なアナベナ・シリンドリカ(Anabaena cylindrica)置換イントロン-エクソン(
図17B)の構造を示す概略図である。
【
図18】5ヌクレオチドのアニーリング領域を伴う例示的なスキトネマ(Scytonema)置換イントロン-エクソン(
図18A)並びに修飾及び拡張されたアニーリング領域を伴う例示的なスキトネマ(Scytonema)置換イントロン-エクソン(
図18B)の構造を示す概略図である。
【
図19】アニーリング領域を伴う様々な置換イントロン-エクソンに対する例示的修飾を示す表である。太字は、元のアニーリング領域を特定し;イタリック体及び下線は、拡張されたアニーリングに対する例示的修飾を特定する。
【
図20】4.5KbのRNAを伴う様々な修飾された置換イントロン-エクソンの環状化の、4.5KbのRNAを伴う非修飾(元の)置換イントロン-エクソンと比較した倍数増加を示すグラフである。拡張されたE2-E1アニーリング領域を伴う置換イントロン-エクソンを有するグループIイントロンの場合、増強された環状化効率が認められる。
【
図21】(
図21A)アナベナ属(Anabaena)自己スプライシングイントロンの二次構造を示す概略図である。P6bにおける置換領域が強調される。 (
図21B)拡張されたP6bステムを伴うアナベナ属(Anabaena)置換イントロン-エクソン(Anabaena4)、又はP6bのバルジのステムへの変化を伴うアナベナ属(Anabaena)置換イントロン-エクソン(Anabaena5)の例示的設計の構造を示す概略図である。
【
図22】拡張されたアニーリング領域を伴うアナベナ属(Anabaena)置換イントロン-エクソン(Anabaena2)、5ヌクレオチドのアニーリング領域を伴うアナベナ属(Anabaena)置換イントロン-エクソン(Anabaena1)、Anabaena4、及びAnabaena5の場合の環状化効率を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0067】
本発明は、環状ポリリボヌクレオチド(環状RNA)を生成するための組成物及び方法を特徴とする。本明細書に記載の環状ポリリボヌクレオチドは、ポリヌクレオチドカーゴ(例えば、遺伝子又はタンパク質をコードする)を標的細胞に送達するのに特に有用である。
【0068】
環状ポリリボヌクレオチドは、線状ポリリボヌクレオチドから生成することができ、そこで、末端は一緒に自己スプライスされ、それにより環状ポリリボヌクレオチドを形成する。本明細書に記載の線状RNA分子は、5’から3’へ、(A)グループI触媒イントロン断片の3’半分;(B)3’スプライス部位;(C)3’エクソン断片;(D)ポリリボヌクレオチドカーゴ;(E)5’エクソン断片;(F)5’スプライス部位;及び(G)グループI触媒イントロン断片の5’半分を含む。ポリリボヌクレオチドは、2~50、例えば、8~50リボヌクレオチドを有し、且つ(A)グループI触媒イントロン断片の3’半分;(B)3’スプライス部位;又は(C)3’エクソン断片の内部に存在する第1のアニーリング領域を含む。ポリリボヌクレオチドは、2~50、例えば、8~50リボヌクレオチドを有し、且つ(E)5’エクソン断片;(F)5’スプライス部位;又は(G)グループI触媒イントロン断片の5’半分の内部に存在する第2のアニーリング領域も含む。第1のアニーリング領域は、第2のアニーリング領域と80%~100%の相補性を有する、又は0~10のミスマッチ塩基対を有する。これらの特徴は、第1のアニーリング領域が第2のアニーリング領域とハイブリダイズし、それにより線状ポリリボヌクレオチドの5’及び3’末端近傍のスプライス部位を接近状態にすることを可能にする。一旦スプライス部位が近傍に存在すると、ポリリボヌクレオチドは、3’及び5’スプライス部位を自己スプライスし、それにより環状ポリリボヌクレオチドを形成することができる。
【0069】
例えば、(A)グループI触媒イントロン断片の3’半分;(B)3’スプライス部位;又は(C)3’エクソン断片の内部に第1のアニーリング領域を、また例えば、(E)5’エクソン断片;(F)5’スプライス部位;又は(G)グループI触媒イントロン断片の5’半分の内部に第2のアニーリング領域を含めることにより、線状分子は、これらの特徴を欠いている他のポリリボヌクレオチド構築物と比較すると、増加した環状化効率及びスプライシング忠実度を示す。さらに、自己触媒性の自己スプライシングイントロンを使用することにより、線状分子は、環状ポリリボヌクレオチドを生成するため、リガーゼなどの外因性酵素で処理される必要がない。これは、単一ポット反応で環状生成物を生成するのに特に有利である。生成する分子、方法、及びその使用は、以下により詳細に記載される。
【0070】
ポリヌクレオチド
本開示は、環状ポリリボヌクレオチド組成物及び環状ポリリボヌクレオチドを作製する方法を特徴とする。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、線状ポリリボヌクレオチドから(例えば、線状ポリリボヌクレオチドの自己スプライシングに適合可能な末端により)生成される。いくつかの実施形態では、線状ポリリボヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチド鋳型(例えば、ベクター、線状化ベクター、又はcDNA)から転写される。したがって、本開示は、環状ポリリボヌクレオチドの生成において有用である、デオキシリボヌクレオチド、線状ポリリボヌクレオチド、及び環状ポリリボヌクレオチド及びその組成物を特徴とする。
【0071】
鋳型デオキシリボヌクレオチド
本発明は、環状RNAを作製するための鋳型デオキシリボヌクレオチドを特徴とする。デオキシリボヌクレオチドは、5’から3’への方向で作動可能に連結されている以下を含む:(A)グループI触媒イントロン断片の3’半分;(B)3’スプライス部位;(C)3’エクソン断片;(D)ポリリボヌクレオチドカーゴ;(E)5’エクソン断片;(F)5’スプライス部位;及び(G)グループI触媒イントロン断片の5’半分。実施形態では、デオキシリボヌクレオチドは、さらなる要素を、例えば、要素(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、(F)、又は(G)の外部又はそれら要素のいずれかの間に含む。実施形態では、要素(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、(F)、又は(G)のいずれかは、本明細書に記載のとおり、スペーサー配列によって互いに分離されている。
【0072】
実施形態では、デオキシリボヌクレオチドは、例えば、環状DNAベクター、線状化DNAベクター、又は線状DNA(例えば、DNAベクターから生成される、例えばcDNA)である。
【0073】
いくつかの実施形態では、デオキシリボヌクレオチドは、本明細書に記載の線状RNAをコードする配列に作動可能に連結されているRNAポリメラーゼプロモーターをさらに含む。実施形態では、RNAポリメラーゼプロモーターは、線状RNAをコードする配列に対して異種である。いくつかの実施形態では、RNAポリメラーゼプロモーターは、T7プロモーター、T6プロモーター、T4プロモーター、T3プロモーター、SP6ウイルスプロモーター、又はSP3プロモーターである。
【0074】
いくつかの実施形態では、デオキシリボヌクレオチドは、多重クローニング部位(MCS)を含む。
【0075】
いくつかの実施形態では、デオキシリボヌクレオチドを使用して、約100~約20,000ヌクレオチドのサイズ範囲を有する環状RNAを生成する。いくつかの実施形態では、環状RNAは、少なくとも100、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1,000、1,100、1,200、1,300、1,400、1,500、1,600、1,700、1,800、1,900、2,000、2,500、3,000、3,500、4,000、4,500又は5,000ヌクレオチドのサイズである。いくつかの実施形態では、環状RNAは、20,000、15,000、10,000、9,000、8,000、7,000、6,000、5,000又は4,000ヌクレオチド以下のサイズである。
【0076】
線状ポリリボヌクレオチド
本発明はまた、以下の、5’から3’への方向で作動可能に連結されている以下を含む線状ポリリボヌクレオチドを特徴とする:(A)グループI触媒イントロン断片の3’半分;(B)3’スプライス部位;(C)3’エクソン断片;(D)ポリリボヌクレオチドカーゴ;(E)5’エクソン断片;(F)5’スプライス部位;及び(G)グループI触媒イントロン断片の5’半分。実施形態では、線状ポリリボヌクレオチドは、さらなる要素を、例えば、要素(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、(F)、又は(G)の外部又はそれら要素のいずれかの間に含み、例えば、要素(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、(F)、又は(G)のいずれかは、本明細書に記載のとおり、スペーサー配列によって分離され得る。
【0077】
特定の実施形態では、本明細書に提供されるのは、本明細書に提供されるデオキシリボヌクレオチド(例えば、ベクター、線状化ベクター、又はcDNA)を鋳型(例えば、RNAポリメラーゼプロモーターが線状RNAをコードする領域の上流に配置された、本明細書に提供されるベクター、線状化ベクター、又はcDNA)として使用して、無細胞系における転写(例えば、インビトロ転写)を実施することによって線状RNAを生成する方法である。
【0078】
実施形態では、デオキシリボヌクレオチド鋳型は、転写され、本明細書に記載の成分を含有する線状RNAを生成する。発現時、線状ポリリボヌクレオチドは、スプライシングに適合可能なポリリボヌクレオチドを生成し、それは自己スプライスされることで、環状ポリリボヌクレオチドを生成し得る。
【0079】
いくつかの実施形態では、線状ポリリボヌクレオチドは、50~20,000、100~20,000、200~20,000、300~20,000(例えば、50、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1,000、1,100、1,200、1,300、1,400、1,500、1,600、1,700、1,800、1,900、2,000、2,500、3,000、3,500、4,000、5,000、6,000、7,000、8,000、9,000、10,000、11,000、12,000、13,000、14,000、15,000、16,000、17,000、18,000、19,000、又は20,000)リボヌクレオチドの長さである。実施形態では、線状ポリリボヌクレオチドは、例えば、少なくとも500、少なくとも1,000、少なくとも2,000、少なくとも3,000、少なくとも4,000、又は少なくとも5,000リボヌクレオチドの長さである。
【0080】
環状ポリリボヌクレオチド
いくつかの実施形態では、本発明は、環状ポリリボヌクレオチド(例えば、共有的に閉じている環状ポリリボヌクレオチド)を特徴とする。実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、5’エクソン断片及び3’エクソン断片を連結するスプライス結合を含む。実施形態では、3’エクソン断片は、2~50、例えば、8~50(例えば、10~30、10~20、又は10~15、例えば、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、又は50)リボヌクレオチドを有する第1のアニーリング領域を含み、5’エクソン断片は、2~50、例えば、8~50(例えば、10~30、10~20、又は10~15、例えば、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、又は50)リボヌクレオチドを有する第2のアニーリング領域を含む。実施形態では、第1のアニーリング領域及び第2のアニーリング領域は、80%~100%(例えば、80%、85%、90%、95%、97%、99%、又は100%)の相補性を含む。実施形態では、第1のアニーリング領域及び第2のアニーリング領域は、0~10(例えば、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10)のミスマッチ塩基対を含む。
【0081】
実施形態では、環状ポリヌクレオチドは、ポリリボヌクレオチドカーゴをさらに含む。実施形態では、ポリリボヌクレオチドカーゴは、発現(又はコード)配列、非コード配列、又は発現(コード)配列及び非コード配列の組み合わせを含む。実施形態では、ポリリボヌクレオチドカーゴは、ポリペプチドをコードする発現(コード)配列を含む。実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、ポリペプチドをコードする発現配列に作動可能に連結されているIRESを含む。いくつかの実施形態では、IRESは、発現配列の上流に位置する。いくつかの実施形態では、IRESは、発現配列の下流に位置する。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、IRESと3’エクソン断片又は5’エクソン断片との間にスペーサー領域をさらに含む。スペーサー領域は、例えば、少なくとも5(例えば、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20)リボヌクレオチドの長さであってもよい。スペーサー領域は、例えば、5~500(例えば、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、300、350、400、450、又は500)リボヌクレオチドであってもよい。いくつかの実施形態では、スペーサー領域は、ポリA配列を含む。いくつかの実施形態では、スペーサー領域は、ポリA-C配列を含む。いくつかの実施形態では、スペーサー領域は、ポリA-G配列を含む。いくつかの実施形態では、スペーサー領域は、ポリA-T配列を含む。いくつかの実施形態では、スペーサー領域は、ランダム配列を含む。いくつかの実施形態では、第1のアニーリング領域及び第2のアニーリング領域は連結され、それにより環状ポリリボヌクレオチドが形成される。
【0082】
いくつかの実施形態では、環状RNAは、本明細書に記載のデオキシリボヌクレオチド鋳型又は線状RNAによって生成される。いくつかの実施形態では、環状RNAは、本明細書に記載の方法のいずれかによって生成される。
【0083】
いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、少なくとも約20ヌクレオチド、少なくとも約30ヌクレオチド、少なくとも約40ヌクレオチド、少なくとも約50ヌクレオチド、少なくとも約75ヌクレオチド、少なくとも約100ヌクレオチド、少なくとも約200ヌクレオチド、少なくとも約300ヌクレオチド、少なくとも約400ヌクレオチド、少なくとも約500ヌクレオチド、少なくとも約1,000ヌクレオチド、少なくとも約2,000ヌクレオチド、少なくとも約5,000ヌクレオチド、少なくとも約6,000ヌクレオチド、少なくとも約7,000ヌクレオチド、少なくとも約8,000ヌクレオチド、少なくとも約9,000ヌクレオチド、少なくとも約10,000ヌクレオチド、少なくとも約12,000ヌクレオチド、少なくとも約14,000ヌクレオチド、少なくとも約15,000ヌクレオチド、少なくとも約16,000ヌクレオチド、少なくとも約17,000ヌクレオチド、少なくとも約18,000ヌクレオチド、少なくとも約19,000ヌクレオチド、又は少なくとも約20,000ヌクレオチドである。
【0084】
いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、リボソームへの結合部位を収容するのに十分なサイズである。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドのサイズは、有用なポリペプチドをコードするのに十分な長さであり、例えば、少なくとも20,000ヌクレオチド、少なくとも15,000ヌクレオチド、少なくとも10,000ヌクレオチド、少なくとも7,500ヌクレオチド、少なくとも5,000ヌクレオチド、少なくとも4,000ヌクレオチド、少なくとも3,000ヌクレオチド、少なくとも2,000ヌクレオチド、少なくとも1,000ヌクレオチド、少なくとも500ヌクレオチド、少なくとも1400ヌクレオチド、少なくとも300ヌクレオチド、少なくとも200ヌクレオチド、又は少なくとも100ヌクレオチドが生成され得る。
【0085】
いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、本明細書中の他の箇所に記載の1つ以上の要素を含む。いくつかの実施形態では、要素は、スペーサー配列によって互いに分離される。いくつかの実施形態では、要素は、1リボヌクレオチド、2ヌクレオチド、約5ヌクレオチド、約10ヌクレオチド、約15ヌクレオチド、約20ヌクレオチド、約30ヌクレオチド、約40ヌクレオチド、約50ヌクレオチド、約60ヌクレオチド、約80ヌクレオチド、約100ヌクレオチド、約150ヌクレオチド、約200ヌクレオチド、約250ヌクレオチド、約300ヌクレオチド、約400ヌクレオチド、約500ヌクレオチド、約600ヌクレオチド、約700ヌクレオチド、約800ヌクレオチド、約900ヌクレオチド、約1000ヌクレオチド、最大約1kb、少なくとも約1000ヌクレオチド、又はそれらの間の任意の量のヌクレオチドによって互いに分離される。いくつかの実施形態では、1つ以上の要素は、互いに隣接しており、例えばスペーサーエレメントを欠いている。
【0086】
いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、本明細書中の他の箇所に記載の1つ以上の反復エレメントを含む。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、本明細書中の他の箇所に記載の1つ以上の修飾を含む。一実施形態では、環状RNAは、少なくとも1つのヌクレオシド修飾を含む。一実施形態では、環状RNAのヌクレオシドの最大100%が修飾される。一実施形態では、少なくとも1つのヌクレオシド修飾は、ウリジン修飾又はアデノシン修飾である。
【0087】
その環状化の結果として、環状ポリリボヌクレオチドは、それを線状RNAと区別する特定の特徴を含み得る。例えば、環状ポリリボヌクレオチドは、線状RNAと比較して、エキソヌクレアーゼによる分解をより受けにくい。そのようなものとして、環状ポリリボヌクレオチドは、特にエキソヌクレアーゼの存在下でインキュベートされる際、線状RNAより安定である。環状ポリリボヌクレオチドの線状RNAと比較して増加した安定性は、環状ポリリボヌクレオチドを、ポリペプチドを生成するための細胞形質転換試薬としてより有用なものにし、線状RNAより容易に、より長い間、貯蔵することができる。エキソヌクレアーゼで処理された環状ポリリボヌクレオチドの安定性は、(例えば、ゲル電気泳動により)RNA分解が生じているか否かを判定する、当該技術分野における標準の方法を用いて試験することができる。さらに、線状RNAと異なり、環状ポリリボヌクレオチドは、環状ポリリボヌクレオチドがホスファターゼ、例えば子ウシ腸ホスファターゼとともにインキュベートされる際、脱リン酸化をより受けにくい。
【0088】
アニーリング領域
本明細書に記載のポリヌクレオチド組成物は、2つ以上のアニーリング領域、例えば、本明細書に記載の2つ以上のアニーリング領域を含み得る。アニーリング領域、又はアニーリング領域の対は、好適な条件下でハイブリダイゼーションを促進する高度な相補性を有する部分を含むものである。
【0089】
アニーリング領域は、少なくとも本明細書に記載される相補的領域を含む。相補的領域の高度な相補性は、アニーリング領域対の会合を促進する。第1のアニーリング領域(例えば、5’アニーリング領域)が線状RNAの5’末端又はその近傍に位置し、且つ第2のアニーリング領域(例えば、3’アニーリング領域)が線状RNAの3’末端又はその近傍に位置する場合、アニーリング領域の会合により、5’及び3’及び対応するイントロン断片が近接状態になる。いくつかの実施形態では、これは、3’及び5’スプライス部位のスプライシングによる線状RNAの環状化を支持する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のアニーリング領域は、天然に存在するアニーリング領域を強化し、例えば、自己スプライシングを促進する。
【0090】
アニーリング領域は、1つ以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、又はそれ以上)の変異をポリリボヌクレオチド配列に導入することによって改変することができる。例えば、アニーリング領域を、1つ以上の点変異を第1のアニーリング領域及び/又は第2のアニーリング領域に導入することによって拡張させ、第1及び第2のアニーリング領域間の相補性の長さを増加させることができる。アニーリング領域はまた、1つ以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、又はそれ以上)のヌクレオチドをポリリボヌクレオチドに挿入することによって変更することができる。実施形態では、アニーリング領域は、1つ以上のヌクレオチドを第1のアニーリング領域及び/又は第2のアニーリング領域に挿入することによって拡張され、第1及び第2のアニーリング領域間の相補性の長さが増加する。実施形態では、アニーリング領域を、1つ以上の点変異を第1アニーリング及び/又は第2の領域に導入し、1つ以上のヌクレオチドを第1のアニーリング及び/又は第2のアニーリング領域に挿入することによって拡張され、相補性の長さが増加する。アニーリング領域を変更することで、元の配列を有するバルジ又はミスマッチ領域を支持することによってポリリボヌクレオチドの二次構造が変更され、変更された配列を有するステム又はステムループ構造を優先的に形成することができる。
【0091】
ポリリボヌクレオチドは、2~50、5~50、6~50、7~50、又は8~50(例えば、10~30、10~20、又は10~15、例えば、少なくとも6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、又は50)リボヌクレオチドを有し、且つ(A)グループI触媒イントロン断片の3’半分;(B)3’スプライス部位;又は(C)3’エクソン断片の内部に存在する第1のアニーリング領域を含む。ポリリボヌクレオチドは、2~50、5~50、6~50、7~50、又は8~50(例えば、10~30、10~20、又は10~15、例えば、少なくとも6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、又は50)リボヌクレオチドを有し、且つ(E)5’エクソン断片;(F)5’スプライス部位;又は(G)グループI触媒イントロン断片の5’半分の内部に存在する第2のアニーリング領域も含む。第1のアニーリング領域は、第2のアニーリング領域と80%~100%(例えば、85%~100%、例えば、90%~100%、例えば、80%、85%、90%、95%、97%、99%、又は100%)の相補性を有する、又は0~10、例えば、(0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10)のミスマッチ塩基対を有する。
【0092】
いくつかの実施形態では、第1のアニーリング領域及び第2のアニーリング領域は、100%相補的である。
【0093】
いくつかの実施形態では、第1のアニーリング領域は、5’-TCCGT-3’の配列(配列番号1)と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、90%、95%、97%、99%、又は100%)の配列同一性を有し、第2のアニーリング領域は、5’-ACGGA-3’の配列(配列番号2)と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、90%、95%、97%、99%、又は100%)の配列同一性を有する。
【0094】
いくつかの実施形態では、第1のアニーリング領域は、5’-TCCGTAGCGTCT-3’の配列(配列番号5)と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、90%、95%、97%、99%、又は100%)の配列同一性を有し、第2のアニーリング領域は、5’-AGACGCTACGGA-3’の配列(配列番号6)と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、90%、95%、97%、99%、又は100%)の配列同一性を有する。
【0095】
いくつかの実施形態では、第1のアニーリング領域は、5’-TCCGTAGCGTCTAAACG-3’の配列(配列番号22)と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、90%、95%、97%、99%、又は100%)の配列同一性を有し、第2のアニーリング領域は、5’-CGTTTAGACGCTACGGA-3’の配列(配列番号23)と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、90%、95%、97%、99%、又は100%)の配列同一性を有する。
【0096】
いくつかの実施形態では、第1のアニーリング領域は、5’-TCCGTAGCGTCTAAACGGTCGT-3’の配列(配列番号24)と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、90%、95%、97%、99%、又は100%)の配列同一性を有し、第2のアニーリング領域は、5’-ACGACCGTTTAGACGCTACGGA-3’の配列(配列番号25)と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、90%、95%、97%、99%、又は100%)の配列同一性を有する。
【0097】
いくつかの実施形態では、第1のアニーリング領域は、5’-TCCGTAGCGTCTAAACGGTCGTGTGGG-3’の配列(配列番号26)と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、90%、95%、97%、99%、又は100%)の配列同一性を有し、第2のアニーリング領域は、5’-CCCACACGACCGTTTAGACGCTACGGA-3’の配列(配列番号27)と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、90%、95%、97%、99%、又は100%)の配列同一性を有する。
【0098】
いくつかの実施形態では、第1のアニーリング領域は、5’-AAGGTA-3’の配列(配列番号13)と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、90%、95%、97%、99%、又は100%)の配列同一性を有し、第2のアニーリング領域は、5’-TACCTT-3’の配列(配列番号14)と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、90%、95%、97%、99%、又は100%)の配列同一性を有する。
【0099】
いくつかの実施形態では、第1のアニーリング領域は、5’-AAGGTAAATATT-3’の配列(配列番号16)と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、90%、95%、97%、99%、又は100%)の配列同一性を有し、第2のアニーリング領域は、5’-AATATTTACCTT-3’の配列(配列番号17)と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、90%、95%、97%、99%、又は100%)の配列同一性を有する。
【0100】
いくつかの実施形態では、第1のアニーリング領域は、5’-CT-3’の配列を有し、第2のアニーリング領域は、5’-AG-3’の配列を有する。
【0101】
いくつかの実施形態では、第1のアニーリング領域は、5’-CTCAATT-3’の配列(配列番号20)と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、90%、95%、97%、99%、又は100%)の配列同一性を有し、第2のアニーリング領域は、5’-AATTGAG-3’の配列(配列番号21)と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、90%、95%、97%、99%、又は100%)の配列同一性を有する。
【0102】
いくつかの実施形態では、(A)又は(C)は、第1のアニーリング領域を含み、(E)又は(G)は、第2のアニーリング領域を含む。
【0103】
いくつかの実施形態では、(C)の3’エクソン断片は、第1のアニーリング領域を含み、(E)の5’エクソン断片は、第2のアニーリング領域を含む。
【0104】
いくつかの実施形態では、(A)のグループI触媒イントロン断片の3’半分は、第1のアニーリング領域を含み、(E)の5’エクソン断片は、第2のアニーリング領域を含む。
【0105】
いくつかの実施形態では、(C)の3’エクソン断片は、第1のアニーリング領域を含み、グループI触媒イントロン断片の5’半分は、第2のアニーリング領域を含む。
【0106】
いくつかの実施形態では、第1のアニーリング領域及び第2のアニーリング領域は、0又は1つのミスマッチ塩基対を含む。
【0107】
実施形態では、アニーリング領域は、下記のような非相補的領域をさらに含む。非相補的領域を相補的領域に付加することで、RNAの末端が柔軟性、不定形性、又は相補性領域より低い構造性を維持することを可能にする。
【0108】
いくつかの実施形態では、各アニーリング領域は、2~100、5~100、又は6~100リボヌクレオチド(例えば、6~80、6~50、6~30、6~20、10~100、10~80、10~50、又は10~30リボヌクレオチド)を含む。いくつかの実施形態では、5’アニーリング領域は、2~100、5~100、6~100リボヌクレオチド(例えば、6~80、6~50、6~30、6~20、10~100、10~80、10~50、又は10~30リボヌクレオチド)を含む。いくつかの実施形態では、3’アニーリング領域は、6~100リボヌクレオチド(例えば、6~80、6~50、6~30、6~20、10~100、10~80、10~50、又は10~30リボヌクレオチド)を含む。
【0109】
いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、(G)の5’側のアニーリング領域との部分的又は完全な核酸相補性を含む(A)の3’側のアニーリング領域を含まない。
【0110】
いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、例えば、第1のアニーリング領域及び第2のアニーリング領域に加えて、さらなるアニーリング領域を含まない。
【0111】
相補的領域
相補的領域は、対応する相補的領域との会合を好適な条件下で支持する領域である、例えば、相補的領域の対は、高度な配列相補性を共有し得る(例えば、第1の相補的領域は、少なくとも部分的には第2の相補的領域の逆相補である)。2つの相補的領域が会合する(例えば、ハイブリダイズする)場合、それらは、ステム又はステムループなどの高度に構造化された二次構造を形成し得る。
【0112】
いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、5’相補的領域及び3’相補的領域を含む。いくつかの実施形態では、5’相補的領域は、2~50、例えば、5~50リボヌクレオチド(例えば、5~40、5~30、5~20、5~10、10~50、10~40、10~30、10~20、又は20~50、例えば、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、又は50リボヌクレオチド)を有する。いくつかの実施形態では、3’相補的領域は、2~50、例えば、5~50リボヌクレオチド(例えば、5~40、5~30、5~20、5~10、10~50、10~40、10~30、10~20、又は20~50、例えば、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、又は50リボヌクレオチド)を有する。
【0113】
いくつかの実施形態では、5’相補的領域及び3’相補的領域は、50%~100%の配列相補性(例えば、60%~100%、70%~100%、80%~100%、90%~100%、又は100%、例えば、80%、85%、90%、95%、97%、99%、又は100%の配列相補性)を有する。
【0114】
いくつかの実施形態では、5’相補的領域及び3’相補的領域は、-5kcal/モル未満(例えば、-10kcal/モル未満、-20kcal/モル未満、又は-30kcal/モル未満)の結合の自由エネルギーを有する。
【0115】
いくつかの実施形態では、5’相補的領域及び3’相補的領域は、少なくとも10℃、少なくとも15℃、少なくとも20℃、少なくとも30℃、少なくとも40℃、少なくとも50℃、少なくとも60℃、少なくとも70℃、少なくとも80℃、又は少なくとも90℃の結合のTmを有する。
【0116】
いくつかの実施形態では、5’相補的領域及び3’相補的領域は、少なくとも1つであるが10以下のミスマッチ、例えば、10、9、8、7、6、5、4、3、若しくは2つのミスマッチ、又は1つのミスマッチを含む(即ち、5’相補的領域及び3’相補的領域が互いにハイブリダイズする場合)。ミスマッチは、例えば、互いに逆である(即ち、5’相補的領域及び3’相補的領域がハイブリダイズされる場合)が、ワトソン・クリック塩基対を形成しない、5’相補的領域内のヌクレオチド及び3’相補的領域内のヌクレオチドであり得る。ミスマッチは、例えば、5’相補的領域又は3’相補的領域のいずれかにおいてキンク又はバルジを形成する不対ヌクレオチドであり得る。いくつかの実施形態では、5’相補的領域及び3’相補的領域は、ミスマッチを全く含まない。
【0117】
非相補的領域
非相補的領域は、対応する非相補的領域との会合を好適な条件下で支持しない領域である。例えば、非相補的領域の対は、低度な配列相補性を共有し得る(例えば、第1の非相補的領域は、第2の非相補的領域の逆相補でない)。2つの非相補的領域が近接状態にある場合、それらはステム又はステムループなどの高度に構造化された二次構造を形成しない。
【0118】
いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、5’非相補的領域及び3’非相補的領域を含む。いくつかの実施形態では、5’非相補的領域は、5~50リボヌクレオチド(例えば、5~40、5~30、5~20、5~10、10~50、10~40、10~30、10~20、又は20~50リボヌクレオチド)を有する。いくつかの実施形態では、3’非相補的領域は、5~50リボヌクレオチド(例えば、5~40、5~30、5~20、5~10、10~50、10~40、10~30、10~20、又は20~50リボヌクレオチド)を有する。
【0119】
いくつかの実施形態では、5’非相補的領域は、5’相補的領域の5’側(例えば、5’触媒イントロン断片と5’相補的領域との間)に位置する。いくつかの実施形態では、3’非相補的領域は、3’相補的領域の3’側(例えば、3’相補的領域と3’触媒イントロン断片との間)に位置する。
【0120】
いくつかの実施形態では、5’非相補的領域及び3’非相補的領域は、0%~50%の配列相補性(例えば、0%~40%、0%~30%、0%~20%、0%~10%、又は0%の配列相補性)を有する。
【0121】
いくつかの実施形態では、5’非相補的領域及び3’非相補的領域は、-5kcal/モルを超える結合の自由エネルギーを有する。
【0122】
いくつかの実施形態では、5’相補的領域及び3’相補的領域は、10℃未満の結合のTmを有する。
【0123】
いくつかの実施形態では、5’非相補的領域及び3’非相補的領域は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10のミスマッチを含む。
【0124】
触媒イントロン
本明細書に記載のポリリボヌクレオチド(polyribonucletides)は、(A)グループI触媒イントロン断片の3’半分及び(G)グループI触媒イントロン断片の5’半分などの触媒イントロン断片を含む。第1及び第2のアニーリング領域は、触媒イントロン断片内に配置され得る。グループI触媒イントロンは、2金属イオンホスホリル(phorphoryl)導入機構を介して、mRNA、tRNA、及びrRNA前駆体からのそれら自身の切断を触媒する自己スプライシングリボザイムである。重要なことに、RNA自体は、リガーゼなどの外因性酵素を必要とすることなく、イントロン除去を自己触媒する。
【0125】
いくつかの実施形態では、(A)のグループI触媒イントロン断片の3’半分及び(G)のグループI触媒イントロン断片の5’半分は、シアノバクテリアアナベナ属(Anabaena)のプレtRNA-Leu遺伝子、又はテトラヒメナ属(Tetrahymena)のプレrRNAに由来する。
【0126】
いくつかの実施形態では、(A)のグループI触媒イントロン断片の3’半分及び(G)のグループI触媒イントロン断片の5’半分は、シアノバクテリアアナベナ属(Anabaena)のプレtRNA-Leu遺伝子に由来し、(C)の3’エクソン断片は、第1のアニーリング領域を含み、(E)の5’エクソン断片は、第2のアニーリング領域を含む。第1のアニーリング領域は、例えば、5~50、例えば、10~15(例えば、10、11、12、13、14、又は15)リボヌクレオチドを含んでもよく、第2のアニーリング領域は、例えば、5~50、例えば、10~15(例えば、10、11、12、13、14、又は15)リボヌクレオチドを含み得る。
【0127】
いくつかの実施形態では、(A)のグループI触媒イントロン断片の3’半分及び(G)のグループI触媒イントロン断片の5’半分は、テトラヒメナ属(Tetrahymena)のプレrRNAに由来し、(A)のグループI触媒イントロン断片の3’半分は、第1のアニーリング領域を含み、(E)の5’エクソン断片は、第2のアニーリング領域を含む。いくつかの実施形態では、(B)の3’エクソンは、第1のアニーリング領域を含み、(G)のグループI触媒イントロン断片の5’半分は、第2のアニーリング領域を含む。第1のアニーリング領域は、例えば、6~50、例えば、10~16(例えば、10、11、12、13、14、15、又は16)リボヌクレオチドを含んでもよく、第2のアニーリング領域は、例えば、6~50、例えば、10~16(例えば、10、11、12、13、14、15、又は16)リボヌクレオチドを含み得る。
【0128】
いくつかの実施形態では、(A)のグループI触媒イントロン断片の3’半分及び(G)のグループI触媒イントロン断片の5’半分は、シアノバクテリアアナベナ属(Anabaena)のプレtRNA-Leu遺伝子、テトラヒメナ属(Tetrahymena)のプレrRNA、又はT4ファージのtd遺伝子に由来する。
【0129】
いくつかの実施形態では、(A)のグループI触媒イントロン断片の3’半分及び(G)の5’グループI触媒イントロン断片は、T4ファージのtd遺伝子に由来する。(C)の3’エクソン断片は、第1のアニーリング領域を含んでもよく、(G)のグループI触媒イントロン断片の5’半分は、第2のアニーリング領域を含み得る。第1のアニーリング領域は、例えば、2~16、例えば、10~16(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、又は16)リボヌクレオチドを含んでもよく、第2のアニーリング領域は、例えば、2~16、例えば、10~16(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、又は16)リボヌクレオチドを含み得る。
【0130】
いくつかの実施形態では、(A)のグループI触媒イントロン断片の3’半分は、線状ポリヌクレオチドの5’末端である。
【0131】
いくつかの実施形態では、(G)のグループI触媒イントロン断片の5’半分は、線状ポリリボヌクレオチドの3’末端である。
【0132】
いくつかの実施形態では、(A)のグループI触媒イントロン断片の3’半分は、
5’-AACAACAGATAACTTACAGCTAGTCGGAAGGTGCAGAGACTCGACGGGAGCTACCCTAACGTCAAGACGAGGGTAAAGAGAGAGTCCAATTCTCAAAGCCAATAGGCAGTAGCGAAAGCTGCGGGAGAATG-3’の配列(配列番号28)と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、90%、95%、97%、99%、又は100%)の配列同一性を有する。
【0133】
いくつかの実施形態では、(G)のグループI触媒イントロン断片の5’半分は、
5’-AAATAATTGAGCCTTAGAGAAGAAATTCTTTAAGTGGATGCTCTCAAACTCAGGGAAACCTAAATCTAGCTATAGACAAGGCAATCCTGAGCCAAGCCGAAGTAGTAATTAGTAAGTT-3’の配列(配列番号29)と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、90%、95%、97%、99%、又は100%)の配列同一性を有する。
【0134】
いくつかの実施形態では、(A)のグループI触媒イントロン断片の3’半分は、配列番号28の配列を有し、(G)のグループI触媒イントロン断片の5’半分は、配列番号29の配列を有する。
【0135】
いくつかの実施形態では、(A)のグループI触媒イントロン断片の3’半分は、
【化1】
と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、90%、95%、97%、99%、又は100%)の配列同一性を有する。
【0136】
いくつかの実施形態では、(G)のグループI触媒イントロン断片の5’半分は、
【化2】
と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、90%、95%、97%、99%、又は100%)の配列同一性を有する。
【0137】
いくつかの実施形態では、(A)のグループI触媒イントロン断片の3’半分は、配列番号30の配列を有し、(G)のグループI触媒イントロン断片の5’半分は、配列番号31の配列を有する。
【0138】
いくつかの実施形態では、(A)のグループI触媒イントロン断片の3’半分は、
【化3】
と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、90%、95%、97%、99%、又は100%)の配列同一性を有する。
【0139】
いくつかの実施形態では、(G)のグループI触媒イントロン断片の5’半分は、
5’-TAATTGAGGCCTGAGTATAAGGTGACTTATACTTGTAATCTATCTAAACGGGGAACCTCTCTAGTAGACAATCCCGTGCTAAATTGTAGGACT-3’の配列(配列番号33)と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、90%、95%、97%、99%、又は100%)の配列同一性を有する。
【0140】
いくつかの実施形態では、(A)のグループI触媒イントロン断片の3’半分は、配列番号32の配列を有し、(G)のグループI触媒イントロン断片の5’半分は、配列番号33の配列を有する。
【0141】
いくつかの実施形態では、(A)のグループI触媒イントロン断片の3’半分は、
【化4】
と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、90%、95%、97%、99%、又は100%)の配列同一性を有する。
【0142】
いくつかの実施形態では、(G)のグループI触媒イントロン断片の5’半分は、
5’-ACGGTAGACGCAGCGGACTTAGAAAACTGGGCCTCGATCGCGAAAGGGATCGAGTGGCAGCTCTCAAACTCAGGGAAACCTAAAACTTTAAACATTMAAGTCATGGCAATCCTGAGCCAAGCTAAAGC-3’の配列(配列番号81)と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、90%、95%、97%、99%、又は100%)の配列同一性を有する。
【0143】
いくつかの実施形態では、(A)のグループI触媒イントロン断片の3’半分は、配列番号80の配列を有し、(G)のグループI触媒イントロン断片の5’半分は、配列番号81の配列を有する。
【0144】
いくつかの実施形態では、(A)のグループI触媒イントロン断片の3’半分は、
【化5】
と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、90%、95%、97%、99%、又は100%)の配列同一性を有する。
【0145】
いくつかの実施形態では、(G)のグループI触媒イントロン断片の5’半分は、
【化6】
と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、90%、95%、97%、99%、又は100%)の配列同一性を有する。
【0146】
いくつかの実施形態では、(A)のグループI触媒イントロン断片の3’半分は、配列番号82の配列を有し、(G)のグループI触媒イントロン断片の5’半分は、配列番号83の配列を有する。
【0147】
いくつかの実施形態では、(A)のグループI触媒イントロン断片の3’半分は、
【化7】
と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、90%、95%、97%、99%、又は100%)の配列同一性を有する。
【0148】
いくつかの実施形態では、(G)のグループI触媒イントロン断片の5’半分は、
【化8】
と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、90%、95%、97%、99%、又は100%)の配列同一性を有する。
【0149】
いくつかの実施形態では、(A)のグループI触媒イントロン断片の3’半分は、配列番号84の配列を有し、(G)のグループI触媒イントロン断片の5’半分は、配列番号85の配列を有する。
【0150】
いくつかの実施形態では、(A)のグループI触媒イントロン断片の3’半分は、
【化9】
と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、90%、95%、97%、99%、又は100%)の配列同一性を有する。
【0151】
いくつかの実施形態では、(G)のグループI触媒イントロン断片の5’半分は、
【化10】
と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、90%、95%、97%、99%、又は100%)の配列同一性を有する。
【0152】
いくつかの実施形態では、(A)のグループI触媒イントロン断片の3’半分は、配列番号86の配列を有し、(G)のグループI触媒イントロン断片の5’半分は、配列番号87の配列を有する。
【0153】
いくつかの実施形態では、(A)のグループI触媒イントロン断片の3’半分は、
【化11】
と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、90%、95%、97%、99%、又は100%)の配列同一性を有する。
【0154】
いくつかの実施形態では、(G)のグループI触媒イントロン断片の5’半分は、
【化12】
と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、90%、95%、97%、99%、又は100%)の配列同一性を有する。
【0155】
いくつかの実施形態では、(A)のグループI触媒イントロン断片の3’半分は、配列番号88の配列を有し、(G)のグループI触媒イントロン断片の5’半分は、配列番号89の配列を有する。
【0156】
いくつかの実施形態では、(A)のグループI触媒イントロン断片の3’半分は、
【化13】
と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、90%、95%、97%、99%、又は100%)の配列同一性を有する。
【0157】
いくつかの実施形態では、(G)のグループI触媒イントロン断片の5’半分は、
5’-AGACGCTACGGACTTAAATAATTGAGCCTTAGAGAAGAAATTCTTTAAGTGGATGCTCTCAAACTCAGGGAAACCTAAATCTAGCTATAGACAAGGCAATCCTGAGCCAAGCCGAAGTAGTAATTAGTAAGTT-3’の配列(配列番号91)と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、90%、95%、97%、99%、又は100%)の配列同一性を有する。
【0158】
いくつかの実施形態では、(A)のグループI触媒イントロン断片の3’半分は、配列番号90の配列を有し、(G)のグループI触媒イントロン断片の5’半分は、配列番号91の配列を有する。
【0159】
スプライス部位
本明細書に記載のポリリボヌクレオチドは、(B)3’スプライス部位;及び(F)5’スプライス部位などのスプライス部位を含む。スプライス部位は、シアノバクテリアアナベナ属(Anabaena)のプレtRNA-Leu遺伝子、テトラヒメナ属(Tetrahymena)のプレrRNA、又はT4ファージのtd遺伝子に由来してもよい。
【0160】
いくつかの実施形態では、3’スプライス部位(例えば、グループI触媒イントロン断片の3’半分と3’エクソン断片との間は、
【化14】
を有し、ここで矢印は切断部位を表す。いくつかの実施形態では、5’スプライス部位(例えば、5’エクソン断片とグループI触媒イントロン断片の5’半分との間は、
【化15】
を有し、ここで矢印は切断部位を表す。
【0161】
いくつかの実施形態では、3’スプライス部位(例えば、グループI触媒イントロン断片の3’半分と3’エクソン断片との間は、
【化16】
を有し、ここで矢印は切断部位を表す。いくつかの実施形態では、5’スプライス部位(例えば、5’エクソン断片とグループI触媒イントロン断片の5’半分との間は、
【化17】
を有し、ここで矢印は切断部位を表す。
【0162】
いくつかの実施形態では、3’スプライス部位(例えば、グループI触媒イントロン断片の3’半分と3’エクソン断片との間は、
【化18】
を有し、ここで矢印は切断部位を表す。いくつかの実施形態では、5’スプライス部位(例えば、5’エクソン断片とグループI触媒イントロン断片の5’半分との間は、
【化19】
を有し、ここで矢印は切断部位を表す。
【0163】
エクソン断片
本明細書に記載のポリリボヌクレオチドは、(C)3’エクソン断片;及び(E)5’エクソン断片などのエクソン断片を含む。
【0164】
いくつかの実施形態では、(C)の3’エクソン断片は、5’-AAAATCCGTTGACCTTAAACGGTCGTGTGGGTTCAAGTCCCTCCACCCCCA-3’の配列(配列番号40)と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、90%、95%、97%、99%、又は100%)の配列同一性を有する。
【0165】
いくつかの実施形態では、(C)の3’エクソン断片は、5’-AAAATCCGTAGCGTCTAAACGGTCGTGTGGGTTCAAGTCCCTCCACCCCCA-3’の配列(配列番号41)と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、90%、95%、97%、99%、又は100%)の配列同一性を有する。
【0166】
いくつかの実施形態では、(E)の5’エクソン断片は、5’-AGACGCTACGGACTT-3’の配列(配列番号42)と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、90%、95%、97%、99%、又は100%)の配列同一性を有する。
【0167】
いくつかの実施形態では、(E)の5’エクソン断片は、5’-CGTTTAGACGCTACGGACTT-3’の配列(配列番号43)と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、90%、95%、97%、99%、又は100%)の配列同一性を有する。
【0168】
いくつかの実施形態では、(E)の5’エクソン断片は、5’-ACGACCGTTTAGACGCTACGGACTT-3’の配列(配列番号44)と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、90%、95%、97%、99%、又は100%)の配列同一性を有する。
【0169】
いくつかの実施形態では、(E)の5’エクソン断片は、5’-CCCACACGACCGTTTAGACGCTACGGACTT-3’の配列(配列番号45)と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、90%、95%、97%、99%、又は100%)の配列同一性を有する。
【0170】
いくつかの実施形態では、(C)の3’エクソン断片は、5’-TAAGGTAGC-3’の配列(配列番号46)と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、90%、95%、97%、99%、又は100%)の配列同一性を有する。
【0171】
いくつかの実施形態では、(C)の3’エクソン断片は、5’-TAAGGTAAATATTGC-3’の配列(配列番号47)と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、90%、95%、97%、99%、又は100%)の配列同一性を有する。
【0172】
いくつかの実施形態では、(E)の5’エクソン断片は、5’-ATGACTCTCT-3’の配列(配列番号48)と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、90%、95%、97%、99%、又は100%)の配列同一性を有する。
【0173】
いくつかの実施形態では、(C)の3’エクソン断片は、5’-CTACCGTTTAATATT-3’の配列(配列番号49)と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、90%、95%、97%、99%、又は100%)の配列同一性を有する。
【0174】
いくつかの実施形態では、(C)の3’エクソン断片は、5’-CTCAATTTTAATATT-3’の配列(配列番号50)と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、90%、95%、97%、99%、又は100%)の配列同一性を有する。
【0175】
いくつかの実施形態では、(E)の5’エクソン断片は、5’-ATGTTTTCTTGGGT-3’の配列(配列番号51)と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、90%、95%、97%、99%、又は100%)の配列同一性を有する。
【0176】
ポリリボヌクレオチドカーゴ
本明細書に記載のポリリボヌクレオチドカーゴは、少なくとも1つのポリリボヌクレオチドを含む任意の配列を含む。いくつかの実施形態では、(D)のポリリボヌクレオチドカーゴは、発現配列、非コード配列、又は発現配列及び非コード配列を含む。いくつかの実施形態では、(D)のポリリボヌクレオチドカーゴは、ポリペプチドをコードする発現配列を含む。いくつかの実施形態では、(D)のポリリボヌクレオチドカーゴは、ポリペプチドをコードする発現配列に作動可能に連結されているIRESを含む。いくつかの実施形態では、(D)のポリリボヌクレオチドカーゴは、対象に対する生物学的効果を有するポリペプチドをコードする発現配列を含む。
【0177】
ポリリボヌクレオチドカーゴは、例えば、少なくとも約40ヌクレオチド、少なくとも約50ヌクレオチド、少なくとも約75ヌクレオチド、少なくとも約100ヌクレオチド、少なくとも約200ヌクレオチド、少なくとも約300ヌクレオチド、少なくとも約400ヌクレオチド、少なくとも約500ヌクレオチド、少なくとも約1,000ヌクレオチド、少なくとも約2,000ヌクレオチド、少なくとも約5,000ヌクレオチド、少なくとも約6,000ヌクレオチド、少なくとも約7,000ヌクレオチド、少なくとも約8,000ヌクレオチド、少なくとも約9,000ヌクレオチド、少なくとも約10,000ヌクレオチド、少なくとも約12,000ヌクレオチド、少なくとも約14,000ヌクレオチド、少なくとも約15,000ヌクレオチド、少なくとも約16,000ヌクレオチド、少なくとも約17,000ヌクレオチド、少なくとも約18,000ヌクレオチド、少なくとも約19,000ヌクレオチド、又は少なくとも約20,000ヌクレオチドを含み得る。いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチドカーゴは、1~20,000ヌクレオチド、1~10,000ヌクレオチド、1~5,000ヌクレオチド、100~20,000ヌクレオチド、100~10,000ヌクレオチド、100~5,000ヌクレオチド、500~20,000ヌクレオチド、500~10,000ヌクレオチド、500~5,000ヌクレオチド、1,000~20,000ヌクレオチド、1,000~10,000ヌクレオチド、又は1,000~5,000ヌクレオチドを含む。
【0178】
実施形態では、ポリリボヌクレオチドカーゴは、1つ又は複数の発現(又はコード)配列を含み、ここで各発現(又はコード)配列は、ポリペプチドをコードする。実施形態では、ポリリボヌクレオチドカーゴは、1つ又は複数の非コード配列を含む。実施形態では、ポリリボヌクレオチドカーゴは、全体的に非コード配列からなる。実施形態では、ポリリボヌクレオチドカーゴは、発現(又はコード)配列及び非コード配列の組み合わせを含む。
【0179】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のとおりに作製されたポリリボヌクレオチドは、治療法又は農業におけるエフェクターとして使用される。例えば、本明細書に記載の方法(例えば、本明細書に記載の無細胞法)によって作製された環状ポリリボヌクレオチドは、(例えば、医薬、動物、又は農業組成物において)対象に投与することができる。別の例では、本明細書に記載の方法(例えば、本明細書に記載の無細胞法)によって作製された環状ポリリボヌクレオチドは、細胞に送達することができる。
【0180】
いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、全体が参照により本明細書に援用される国際公開第2019/118919号パンフレットに開示されたとおりの任意の特徴、又は特徴のいずれかの組み合わせを含む。
【0181】
ポリペプチド発現配列
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリリボヌクレオチド(例えば、環状ポリリボヌクレオチドのポリリボヌクレオチドカーゴ)は、1つ以上の発現(又はコード)配列を含み、ここで各発現配列は、ポリペプチドをコードする。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10又はそれ以上の発現(又はコード)配列を含む。
【0182】
各コードポリペプチドは、直鎖状又は分岐状であってもよい。様々な実施形態では、ポリペプチドは、約5~約40,000アミノ酸、約15~約35,000アミノ酸、約20~約30,000アミノ酸、約25~約25,000アミノ酸、約50~約20,000アミノ酸、約100~約15,000アミノ酸、約200~約10,000アミノ酸、約500~約5,000アミノ酸、約1,000~約2,500アミノ酸、又はそれらの間の任意の範囲の長さを有する。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、有用であり得る、約40,000アミノ酸未満、約35,000アミノ酸未満、約30,000アミノ酸未満、約25,000アミノ酸未満、約20,000アミノ酸未満、約15,000アミノ酸未満、約10,000アミノ酸未満、約9,000アミノ酸未満、約8,000アミノ酸未満、約7,000アミノ酸未満、約6,000アミノ酸未満、約5,000アミノ酸未満、約4,000アミノ酸未満、約3,000アミノ酸未満、約2,500アミノ酸未満、約2,000アミノ酸未満、約1,500アミノ酸未満、約1,000アミノ酸未満、約900アミノ酸未満、約800アミノ酸未満、約700アミノ酸未満、約600アミノ酸未満、約500アミノ酸未満、約400アミノ酸未満、約300アミノ酸未満、又はそれ以下の長さを有する。
【0183】
本明細書に含まれるポリペプチドは、天然に存在するポリペプチド又は天然に存在しないポリペプチドを含み得る。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、参照ポリペプチドの機能断片又は変異体(例えば、酵素の酵素活性断片又は変異体)であるか又はそれを含む。例えば、ポリペプチドは、例えば、特定領域にわたり、又は全配列にわたり、本明細書に記載のポリペプチド又は天然に存在するポリペプチドの配列と少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性を有する、本明細書に記載のポリペプチドのいずれかの機能的に活性のある変異体であってもよい。いくつかの場合、ポリペプチドは、目的のタンパク質と少なくとも50%(例えば、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、97%、99%、又はそれ以上)の同一性を有し得る。
【0184】
ポリペプチドのいくつかの例として、限定はされないが、蛍光タグ若しくはマーカー、抗原、治療用ポリペプチド、又は農業用途のポリペプチドが挙げられる。
【0185】
治療用ポリペプチドは、ホルモン、神経伝達物質、成長因子、酵素(例えば、オキシドレダクターゼ、代謝酵素、ミトコンドリア酵素、オキシゲナーゼ、デヒドロゲナーゼ、ATP非依存性酵素、リソソーム酵素、デサチュラーゼ)、サイトカイン、抗原結合ポリペプチド(例えば、抗原結合抗体又は抗体様断片、例えば、一本鎖抗体、ナノボディ又は他のIg重鎖若しくは軽鎖を含むポリペプチド)、Fc融合タンパク質、抗凝固剤、血液因子、骨形成タンパク質、インターフェロン、インターロイキン、及び血栓溶解剤であってもよい。
【0186】
農業用途のポリペプチドは、バクテリオシン、溶解素、抗菌ポリペプチド、抗真菌ポリペプチド、根粒Cリッチペプチド、菌細胞調節ペプチド(bacteriocyte regulatory peptide)、ペプチド毒素、殺虫性(pesticidal)ポリペプチド(例えば、殺虫性(insecticidal)ポリペプチド又は殺線虫性ポリペプチド)、抗原結合ポリペプチド(例えば、抗原結合抗体又は抗体様断片、例えば、一本鎖抗体、ナノボディ又は他のIg重鎖若しくは軽鎖を含むポリペプチド)、酵素(例えば、ヌクレアーゼ、アミラーゼ、セルラーゼ、ペプチダーゼ、リパーゼ、キチナーゼ)、ペプチドフェロモン、及び転写因子であってもよい。
【0187】
いくつかの場合、環状ポリリボヌクレオチドは、非ヒトタンパク質を発現する。
【0188】
いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、抗体、例えば、抗体断片、又はその一部分を発現する。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドによって発現される抗体は、IgA、IgD、IgE、IgG、IgMなどの任意のアイソタイプであり得る。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、抗体の一部分、例えば、軽鎖、重鎖、Fc断片、CDR(相補性決定領域)、Fv断片、又はFab断片、そのさらなる一部分を発現する。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、抗体の1つ以上の部分を発現する。例えば、環状ポリリボヌクレオチドは、2つ以上の発現(又はコード)配列を含むことができ、それらの各々は、抗体の一部分を発現し、それらの和は、抗体を構成し得る。いくつかの場合、環状ポリリボヌクレオチドは、抗体の重鎖をコードする1つの発現配列、及び抗体の軽鎖をコードする別の発現配列を含む。いくつかの場合、環状ポリリボヌクレオチドが細胞又は無細胞環境下で発現される場合、軽鎖及び重鎖は、適切な修飾、フォールディング、又は他の翻訳後修飾を受け、機能的抗体を形成し得る。
【0189】
実施形態では、ポリペプチドは、複数のポリペプチド、例えば、1つのポリペプチド配列の複数のコピー、又は複数の異なるポリペプチド配列を含む。実施形態では、複数のポリペプチドは、リンカーアミノ酸又はスペーサーアミノ酸によって接続される。
【0190】
実施形態では、ポリヌクレオチドカーゴは、シグナルペプチドをコードする配列を含む。多くのシグナルペプチド配列は記載がなされており、例えば、Tat(ツインアルギニン転座)シグナル配列は、典型的に、脂質二重層を通じてそのようなTatシグナルペプチドを含む折り畳みタンパク質を転座させることに役立つ、コンセンサスSRRxFLK「ツインアルギニン」モチーフを含むN末端ペプチド配列である。また、例えば、www[dot]signalpeptide[dot]deで公的に利用可能なシグナルペプチドデータベースを参照されたい。シグナルペプチドは、タンパク質を特定の細胞小器官に誘導するためにも有用であり;例えば、proline[dot]bic[dot]nus[dot]edu[dot]sg/spdbで公的に利用可能なSpdbシグナルペプチドデータベースにおいて開示された、実験的に測定され、計算的に予測されたシグナルペプチドを参照されたい。
【0191】
実施形態では、ポリヌクレオチドカーゴは、細胞透過性ペプチド(CPP)をコードする配列を含む。数百のCPP配列が記載されており;例えば、crdd[dot]osdd[dot]net/raghava/cppsite/で公的に利用可能な細胞透過性ペプチドのデータベースのCPPsiteを参照されたい。一般に使用されるCPP配列の例が、CGIペプチドのC末端に融合され得る、ポリ-アルギニン配列、例えば、オクタアルギニン(octoarginine)又はノナアルギニン(nonoarginine)である。
【0192】
実施形態では、ポリヌクレオチドカーゴは、自己集合ペプチドをコードする配列を含み;例えば、Miki et al.(2021)Nature Communications,21:3412,DOI:10.1038/s41467-021-23794-6を参照されたい。
【0193】
いくつかの実施形態では、発現(又はコード)配列は、(例えば、発現配列の3’末端に)ポリA配列を含む。いくつかの実施形態では、ポリA配列の長さは、10を超えるヌクレオチドの長さである。一実施形態では、ポリA配列は、15を超えるヌクレオチドの長さである(例えば、少なくとも約10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、70、80、90、100、120、140、160、180、200、250、300、350、400、450、500、600、700、800、900、1,000、1,100、1,200、1,300、1,400、1,500、1,600、1,700、1,800、1,900、2,000、2,500、及び3,000ヌクレオチドであるか又はそれを超える)。いくつかの実施形態では、ポリA配列は、全体が参照により本明細書に援用される国際公開第2019/118919A1号パンフレットの[0202]~[0204]におけるポリA配列の記載に従って設計される。いくつかの実施形態では、発現配列は、(例えば、発現配列の3’末端で)ポリA配列を欠いている。
【0194】
いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、環状ポリリボヌクレオチドの1つ以上の特徴を調節するため、ポリAを含むか、ポリAを欠いているか、又は修飾ポリAを有する。いくつかの実施形態では、ポリAを欠いているか又は修飾ポリAを有する環状ポリリボヌクレオチドは、1つ以上の機能特性、例えば、免疫原性(例えば、免疫又は炎症性応答の1つ以上のマーカーのレベル)、半減期、及び/又は発現効率を改良する。
【0195】
治療用ポリペプチド
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の環状ポリリボヌクレオチド(例えば、環状ポリリボヌクレオチドのポリリボヌクレオチドカーゴ)は、治療用ポリペプチドをコードする少なくとも1つの発現配列を含む。治療用ポリペプチドは、対象に投与されるか又は対象内で発現される場合、いくつかの治療的利益を提供するポリペプチドである。治療用ポリペプチドの対象への投与又は対象内での発現を用いて、疾患、障害、若しくは状態又はその症状を処置又は予防することができる。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10又はそれ以上の治療用ポリペプチドをコードする。
【0196】
いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、治療用タンパク質をコードする発現配列を含む。該タンパク質は、それを必要とする対象における疾患を処置することができる。いくつかの実施形態では、治療用タンパク質は、それを必要とする対象における変異された、下方発現された、又は存在しないタンパク質を補償し得る。いくつかの実施形態では、治療用タンパク質は、それを必要とする対象における細胞、組織、又はウイルスを標的にし、それと相互作用し、又はそれに結合することができる。
【0197】
治療用ポリペプチドは、細胞から分泌され得る、又は細胞の細胞質、核、若しくは膜区画に局在化され得るポリペプチドであり得る。
【0198】
治療用ポリペプチドは、ホルモン、神経伝達物質、成長因子、酵素(例えば、オキシドレダクターゼ、代謝酵素、ミトコンドリア酵素、オキシゲナーゼ、デヒドロゲナーゼ、ATP非依存性酵素、リソソーム酵素、デサチュラーゼ)、サイトカイン、転写因子、抗原結合ポリペプチド(例えば、抗原結合抗体又は抗体様断片、例えば一本鎖抗体、ナノボディ又は他のIg重鎖若しくは軽鎖を含むポリペプチド)、Fc融合タンパク質、抗凝固剤、血液因子、骨形成タンパク質、インターフェロン、インターロイキン、血栓溶解剤、抗原(例えば、腫瘍、ウイルス、又は細菌抗原)、ヌクレアーゼ(例えば、Casタンパク質、例えばCas9などのエンドヌクレアーゼ)、膜タンパク質(例えば、キメラ抗原受容体(CAR)、膜貫通受容体、Gタンパク質共役受容体(GPCR)、受容体チロシンキナーゼ(RTK)、抗原受容体、イオンチャネル、又は膜トランスポーター)、分泌タンパク質、遺伝子編集タンパク質(例えば、CRISPR-Cas、TALEN、又はZnフィンガー)、又は遺伝子書き込みタンパク質(gene writing protein)(例えば、全体が参照により本明細書に援用される国際公開第2020/047124号パンフレットを参照されたい)であってもよい。
【0199】
いくつかの実施形態では、治療用ポリペプチドは、抗体、例えば、全長抗体、抗体断片、又はその一部分である。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドによって発現される抗体は、IgA、IgD、IgE、IgG、IgMなどの任意のアイソタイプであり得る。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、発現・抗体の一部分、例えば、軽鎖、重鎖、Fc断片、CDR(相補性決定領域)、Fv断片、又はFab断片、そのさらなる一部分を発現する。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、抗体の1つ以上の部分を発現する。例えば、環状ポリリボヌクレオチドは、2つ以上の発現配列を含むことができ、それらの各々は、抗体の一部分を発現し、それらの和は、抗体を構成し得る。いくつかの場合、環状ポリリボヌクレオチドは、抗体の重鎖をコードする1つの発現配列、及び抗体の軽鎖をコードする別の発現配列を含む。環状ポリリボヌクレオチドが細胞下で発現される場合、軽鎖及び重鎖は、適切な修飾、フォールディング、又は他の翻訳後修飾を受け、機能的抗体を形成し得る。
【0200】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のとおりに作製された環状ポリリボヌクレオチドは、治療法又は農業におけるエフェクターとして使用される。例えば、本明細書に記載の方法(例えば、本明細書に記載の無細胞法)によって作製された環状ポリリボヌクレオチドは、(例えば、医薬、動物、又は農業組成物において)対象に投与することができる。実施形態では、対象は、脊椎動物(例えば、哺乳動物、鳥類、魚類、爬虫類、又は両生類)である。実施形態では、対象はヒトである。実施形態では、方法の対象は非ヒト哺乳動物である。実施形態では、対象は、非ヒト霊長類(例えば、サル、類人猿)、有蹄動物(例えば、ウシ、水牛、ヒツジ、ヤギ、ブタ、ラクダ、ラマ、アルパカ、シカ、ウマ、ロバ)、肉食動物(例えば、イヌ、ネコ)、齧歯類(例えば、ラット、マウス)、又はウサギ類(例えば、ウサギ)などの非ヒト哺乳動物である。実施形態では、対象は、キジ目(Galliformes)(例えば、ニワトリ、シチメンチョウ、キジ、ウズラ)、ガンカモ目(Anseriformes)(例えば、アヒル、ガチョウ)、古顎類(Paleaognathae)(例えば、ダチョウ、エミュー)、ハト目(Columbiformes)(例えば、ハト(pigeons)、ハト(doves))、又はオウム目(Psittaciformes)(例えば、オウム)といった鳥類分類群のメンバーなどの鳥類である。実施形態では、対象は、節足動物(例えば、昆虫、クモ類、甲殻類)、線虫、環形動物、蠕虫、又は軟体類などの無脊椎動物である。実施形態では、対象は、無脊椎動物の農業害虫又は無脊椎動物若しくは脊椎動物宿主に対する寄生虫である無脊椎動物である。実施形態では、対象は、被子植物(双子葉又は単子葉であり得る)又は裸子植物(例えば、針葉樹、ソテツ、マオウ門(Gnetophyte)、イチョウ)、シダ、ツクシ、ヒカゲノカズラ、又はコケ植物などの植物である。実施形態では、対象は、真核藻類(単細胞又は多細胞)である。実施形態では、対象は、作条作物、果実生成植物及び樹木、野菜、樹木、及び観賞植物、例えば、観賞花、低木、樹木、グランドカバー、及び芝生などの農業又は園芸上重要な植物である。
【0201】
分泌ポリペプチドエフェクター
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の環状ポリリボヌクレオチド(例えば、環状ポリリボヌクレオチドのポリリボヌクレオチドカーゴ)は、分泌ポリペプチドエフェクターをコードする少なくとも1つのコード配列を含む。発現され得る例示的な分泌ポリペプチドエフェクター又はタンパク質として、例えば、サイトカイン及びサイトカイン受容体、ポリペプチドホルモン及び受容体、成長因子、凝固因子、治療用の置換酵素及び治療用の非酵素的なエフェクター、再生、修復、及び線維症因子、形質転換因子、及び細胞再生を刺激するタンパク質が挙げられ、それらの非限定的な例は、本明細書、例えば下の表に記載される。
【0202】
サイトカイン及びサイトカイン受容体
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のエフェクターは、表1のサイトカイン、又はその機能的変異体若しくは断片、例えば、そのUniProt IDを参照すると、表1に開示されるタンパク質配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、967%、98%、99%の同一性を有するタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、機能的変異体は、対応するサイトカイン受容体に、対応する野生型サイトカインの同じ条件下での同じ受容体に対するKdよりも10%、20%、30%、40%、又は50%以下高いか又は低いKdで結合する。いくつかの実施形態では、エフェクターは、第1の領域(例えば、表1のサイトカインポリペプチド又はその機能的変異体若しくは断片)及び第2の異種領域を含む融合タンパク質を含む。いくつかの実施形態では、第1の領域は、表1の第1のサイトカインポリペプチドである。いくつかの実施形態では、第2の領域は、表1の第2のサイトカインポリペプチドであり、第1及び第2のサイトカインポリペプチドは、野生型細胞内で互いにサイトカインヘテロ二量体を形成する。いくつかの実施形態では、表1のポリペプチド又はその機能的変異体は、シグナル配列、例えば、エフェクターに対して内因性であるシグナル配列、又は異種シグナル配列を含む。
【0203】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のエフェクターは、表1のサイトカインに結合する抗体又はその断片を含む。いくつかの実施形態では、抗体分子は、シグナル配列を含む。
【0204】
【0205】
【0206】
ポリペプチドホルモン及び受容体
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のエフェクターは、表2のホルモン、又はその機能的変異体、例えば、そのUniProt IDを参照すると、表2に開示されるタンパク質配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、967%、98%、99%の同一性を有するタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、機能的変異体は、対応する受容体に、対応する野生型ホルモンの同じ条件下での同じ受容体に対するKdよりも10%、20%、30%、40%、又は50%以下高いKdで結合する。いくつかの実施形態では、表2のポリペプチド又はその機能的変異体は、シグナル配列、例えば、エフェクターに対して内因性であるシグナル配列、又は異種シグナル配列を含む。
【0207】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のエフェクターは、表2のホルモンに結合する抗体分子(例えば、scFv)を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のエフェクターは、表2のホルモン受容体に結合する抗体分子(例えば、scFv)を含む。いくつかの実施形態では、抗体分子は、シグナル配列を含む。
【0208】
【0209】
【0210】
成長因子
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のエフェクターは、表3の成長因子、又はその機能的変異体、例えば、そのUniProt IDを参照すると、表3に開示されるタンパク質配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、967%、98%、99%の同一性を有するタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、機能的変異体は、対応する受容体に、対応する野生型成長因子の同じ条件下での同じ受容体に対するKdよりも10%、20%、30%、40%、又は50%以下高いKdで結合する。いくつかの実施形態では、表3のポリペプチド又はその機能的変異体は、シグナル配列、例えば、エフェクターに対して内因性であるシグナル配列、又は異種シグナル配列を含む。
【0211】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のエフェクターは、表3の成長因子に結合する抗体又はその断片を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のエフェクターは、表3の成長因子受容体に結合する抗体分子(例えば、scFv)を含む。いくつかの実施形態では、抗体分子は、シグナル配列を含む。
【0212】
【0213】
【0214】
凝固因子
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のエフェクターは、表4のポリペプチド、又はその機能的変異体、例えば、そのUniProt IDを参照すると、表4に開示されるタンパク質配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、967%、98%、99%の同一性を有するタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、機能的変異体は、例えば、野生型タンパク質よりも10%、20%、30%、40%、又は50%以上低い又は高い速度で、対応する野生型タンパク質と同じ反応を触媒する。いくつかの実施形態では、表4のポリペプチド又はその機能的変異体は、シグナル配列、例えば、エフェクターに対して内因性であるシグナル配列、又は異種シグナル配列を含む。
【0215】
【0216】
治療用の置換酵素
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のエフェクターは、表5の酵素、又はその機能的変異体、例えば、そのUniProt IDを参照すると、表5に開示されるタンパク質配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、967%、98%、99%の同一性を有するタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、機能的変異体は、例えば、野生型タンパク質よりも10%、20%、30%、40%、又は50%以上又は以下低い速度で、対応する野生型タンパク質と同じ反応を触媒する。
【0217】
【0218】
【0219】
【0220】
【0221】
【0222】
他の非酵素的なエフェクター
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の治療用ポリペプチドは、表6のポリペプチド、又はその機能的変異体、例えば、そのUniProt IDを参照すると、表6に開示されるタンパク質配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、967%、98%、99%の同一性を有するタンパク質を含む。
【0223】
【0224】
【0225】
再生、修復、及び線維症因子
本明細書に記載の治療用ポリペプチドはまた、例えば表7に開示される成長因子、又はその機能的変異体、例えば、そのNCBIタンパク質受入番号を参照すると、表7に開示されるタンパク質配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、967%、98%、99%の同一性を有するタンパク質を含む。また、このような成長因子、又は再生及び修復を促進するmiRNAに対する抗体又はその断片が含まれる。
【0226】
【0227】
形質転換因子
本明細書に記載の治療用ポリペプチドはまた、形質転換因子、例えば、線維芽細胞を分化細胞に形質転換するタンパク質因子、例えば、表8に開示される因子又はその機能的変異体、例えば、そのUniProt IDを参照すると、表8に開示されるタンパク質配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、967%、98%、99%の同一性を有するタンパク質を含む。
【0228】
【0229】
細胞再生を刺激するタンパク質
本明細書に記載の治療用ポリペプチドはまた、細胞再生を刺激するタンパク質、例えば、表9に開示されるタンパク質又はその機能的変異体、例えば、そのUniProt IDを参照すると、表9に開示されるタンパク質配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、967%、98%、99%の同一性を有するタンパク質を含む。
【0230】
【0231】
いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、1つ以上の発現配列(コード配列)を含み、インビボで対象の細胞における持続的発現のために設計される。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、後の時点での細胞における1つ以上の発現配列の発現がより早期の時点と等しいか又はそれより高いように設計される。このような実施形態では、1つ以上の発現配列の発現は、比較的安定なレベルで維持され得る、又は経時的に増加し得るのいずれかである。発現配列の発現は、長期間にわたって比較的安定であり得る。例えば、いくつかの場合、少なくとも7、8、9、10、12、14、16、18、20、22、23日又はそれ以上にわたる細胞における1つ以上の発現配列の発現は、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%、又は5%低下することはない。いくつかの場合、細胞における1つ以上の発現配列の発現は、少なくとも7、8、9、10、12、14、16、18、20、22、23日又はそれ以上の間、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%、又は5%を超えて変化しないレベルで維持される。
【0232】
植物改変ポリペプチド
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリリボヌクレオチド(例えば、ポリリボヌクレオチドのポリリボヌクレオチドカーゴ)は、植物改変ポリペプチドをコードする少なくとも1つの発現配列を含む。植物改変ポリペプチドは、植物の生理又は表現型の変化、例えば植物の適応度の増加又は低下をもたらす様式で、植物の遺伝的特性を改変し得る(例えば、遺伝子発現を増加させる、遺伝子発現を低下させる、又はそれ以外ではDNA若しくはRNAのヌクレオチド配列を改変する)、エピジェネティック特性を改変し得る、又は生理学的若しくは生化学的特性を改変し得るポリペプチドを指す。いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10若しくはそれ以上の異なる植物改変ポリペプチド、又は1つ以上の植物改変ポリペプチドの多重コピーをコードする。植物改変ポリペプチドは、種々の植物の生理若しくは表現型を改変し得る、又は種々の植物の適応度を増加若しくは低下させ得る、又は1つ以上の特定の植物(例えば、植物の特定の種又は属)におけるこのような変化をもたらすものであり得る。
【0233】
本明細書で使用することができるポリペプチドの例として、酵素(例えば、代謝組換え酵素、ヘリカーゼ、インテグラーゼ、リボヌクレアーゼ、デオキシリボヌクレアーゼ、又はユビキチン化タンパク質)、孔形成タンパク質、シグナル伝達リガンド、細胞透過性ペプチド、転写因子、受容体、抗体、ナノボディ、遺伝子編集タンパク質(例えば、CRISPR-Casエンドヌクレアーゼ、TALEN、又はZnフィンガー)、リボタンパク質、タンパク質アプタマー、又はシャペロンを挙げることができる。
【0234】
農業ポリペプチド(agricultural polypeptide)
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリリボヌクレオチド(例えば、ポリリボヌクレオチドのポリリボヌクレオチドカーゴ)は、農業ポリペプチドをコードする少なくとも1つの発現配列を含む。農業ポリペプチドは、農業使用に適するポリペプチドである。実施形態では、農業ポリペプチドを、(例えば、葉面スプレー、ダスティング、注射、又は種子被覆により)植物若しくは種子に、又は(例えば、土壌ドレンチ又は顆粒土壌適用により)植物の環境に適用することで、植物の生理、表現型、又は適応度の改変をもたらす。農業ポリペプチドの実施形態は、植物又は非ヒト動物宿主の内部又は表面に常在する1つ以上の微生物のレベル、活性、又は代謝を改変するポリペプチドを含み、その改変により、宿主の適応度増加がもたらされる。いくつかの実施形態では、農業ポリペプチドは、植物ポリペプチドである。いくつかの実施形態では、農業ポリペプチドは、昆虫ポリペプチドである。いくつかの実施形態では、農業ポリペプチドは、非ヒト脊椎動物、無脊椎動物、微生物、又は植物細胞と接触する際、生物学的効果を有する。
【0235】
いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10若しくはそれ以上の農業ポリペプチド、又は1つ以上の農業ポリペプチドの多重コピーをコードする。
【0236】
農業適用に有用なポリペプチドの実施形態として、例えば、バクテリオシン、溶解素、抗菌ペプチド、根粒Cリッチペプチド、及び菌細胞調節ペプチドが挙げられる。ミツバチ及びカイコなどの昆虫の適応度を増加させるため、このようなポリペプチドを使用して、標的微生物のレベル、活性、又は代謝を改変することができる。農業的に有用なポリペプチドの実施形態は、ペプチド毒素、例えば、当該技術分野で公知のとおり、昆虫病原菌(例えば、バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)、フォトラブダス・ルミネッセンス(Photorhabdus luminescens)、セラチア・エントモフィラ(Serratia entomophila)、又はゼノラブダス・ネマトフィラ(Xenorhabdus nematophila))によって天然に生成されたものを含む。農業的に有用なポリペプチドの実施形態は、農業的に重要な害虫又は病原体を制御するための(シクロジペプチド又はジケトピペラジンなどの小ペプチドを含む)ポリペプチド、例えば、植物における疾患を制御するための抗菌ポリペプチド若しくは抗真菌ポリペプチド、又は昆虫若しくは線虫などの無脊椎動物害虫を制御するための殺虫性(pesticidal)ポリペプチド(例えば、殺虫性(insecticidal)ポリペプチド又は殺線虫性ポリペプチド)を含む。農業的に有用なポリペプチドの実施形態は、抗体、ナノボディ、及びその断片、例えば、インタクトな抗体又はナノボディの特定の結合活性の少なくとも一部(例えば、少なくとも10%)を保持する抗体又はナノボディ断片を含む。農業的に有用なポリペプチドの実施形態は、転写因子、例えば植物転写因子を含み;例えば、agris-knowledgebase[dot]org/AtTFDB/で公的に利用可能な、モデル植物のシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)において同定された転写因子ファミリーを列記する「AtTFDB」データベース)を参照されたい。農業的に有用なポリペプチドの実施形態は、ヌクレアーゼ、例えば、エキソヌクレアーゼ又はエンドヌクレアーゼ(例えば、Cas9又はCas12aなどのCasヌクレアーゼ)を含む。農業的に有用なポリペプチドの実施形態は、細胞透過性ペプチド、酵素(例えば、アミラーゼ、セルラーゼ、ペプチダーゼ、リパーゼ、キチナーゼ)、ペプチドフェロモン(例えば、酵母接合フェロモン、無脊椎動物の生殖及び幼生のシグナル伝達フェロモン、例えば、Altstein(2004)Peptides,25:1373-1376を参照されたい)をさらに含む。
【0237】
内部リボソーム進入部位
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリリボヌクレオチド(例えば、ポリリボヌクレオチドのポリリボヌクレオチドカーゴ)は、1つ以上の内部リボソーム進入部位(IRES)要素を含む。いくつかの実施形態では、IRESは、1つ以上の発現配列に作動可能に連結される(例えば、各IRESは、1つ以上の発現配列に作動可能に連結される)。実施形態では、IRESは、異種プロモーターとコード配列の5’末端との間に位置する。
【0238】
ポリリボヌクレオチド内に含めるのに適したIRES要素は、真核生物リボソームと会合することが可能なRNA配列を含む。いくつかの実施形態では、IRES要素は、少なくとも約5nt、少なくとも約8nt、少なくとも約9nt、少なくとも約10nt、少なくとも約15nt、少なくとも約20nt、少なくとも約25nt、少なくとも約30nt、少なくとも約40nt、少なくとも約50nt、少なくとも約100nt、少なくとも約200nt、少なくとも約250nt、少なくとも約350nt、又は少なくとも約500ntである。
【0239】
いくつかの実施形態では、IRES要素は、限定はされないが、ウイルス、哺乳動物、及びショウジョウバエを含む生物のDNAに由来する。このようなウイルスDNAは、限定はされないが、ピコルナウイルス相補DNA(cDNA)とともに、脳心筋炎ウイルス(encephalomyocarditis virus)(EMCV)cDNA及びポリオウイルス(poliovirus)cDNAに由来し得る。一実施形態では、IRES要素の由来元であるショウジョウバエ(Drosophila)DNAは、限定はされないが、キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)由来のアンテナペディア遺伝子を含む。
【0240】
いくつかの実施形態では、存在する場合、IRES配列は、タウラ症候群ウイルス、トリアトマウイルス、タイラー脳脊髄炎ウイルス、シミアンウイルス40、ソレノプシスインビクタウイルス1、ムギクビレアブラムシウイルス、細網内皮症ウイルス、ヒト(fuman)ポリオウイルス1、チャバネアオカメムシ腸管ウイルス、カシミール蜂ウイルス、ヒトライノウイルス2、ヒメヨコバイ(Homalodisca coagulata)ウイルス-1、ヒト免疫不全ウイルス1型、ヒメヨコバイ(Homalodisca coagulata)ウイルス-1、ヒメトビPウイルス(Himetobi P virus)、C型肝炎ウイルス、A型肝炎ウイルス、GB型肝炎ウイルス、口蹄疫ウイルス、ヒトエンテロウイルス71、ウマ鼻炎ウイルス(Equine rhinitis virus)、チャシャクガピコルナ様ウイルス、脳心筋炎ウイルス(EMCV)、ショウジョウバエCウイルス、アブラナ科トバモ(Crucifer tobamo)ウイルス、クリケット麻痺(Cricket paralysis)ウイルス、ウシウイルス性下痢ウイルス1、黒色女王蜂児ウイルス、アブラムシ致死性麻痺ウイルス(Aphid lethal paralysis virus)、トリ脳脊髄炎ウイルス、急性蜂麻痺ウイルス、ハイビスカス退緑輪点ウイルス(Hibiscus chlorotic ringspot virus)、古典的ブタ熱ウイルス、ヒトFGF2、ヒトSFTPAl、ヒトAMLl/RUNXl、ショウジョウバエアンテナペディア(antennapedia)、ヒトAQP4、ヒトAT1R、ヒトBAG-1、ヒトBCL2、ヒトBiP、ヒトc-IAPl、ヒトc-myc、ヒトeIF4G、マウスNDST4L、ヒトLEF1、マウスHIF1α、ヒトn.myc、マウスGtx、ヒトp27kipl、ヒトPDGF2/c-sis、ヒトp53、ヒトPim-1、マウスRbm3、ショウジョウバエリーパー(reaper)、イヌスカンパー(Scamper)、ショウジョウバエUbx、ヒトUNR、マウスUtrA、ヒトVEGF-A、ヒトXIAP、サリウイルス(Salivirus)、コサウイルス、パレコウイルス、ショウジョウバエヘアレス(hairless)、酵母(S.cerevisiae)TFIID、酵母(S.cerevisiae)YAP1、ヒトc-src、ヒトFGF-1、サルピコマウイルス(picomavirus)、カブクリンクルウイルス(Turnipcrinklevirus)、eIF4Gに対するアプタマー、コクサッキーウイルスB3(CVB3)又はコクサッキーウイルスA(CVB1/2)のIRES配列である。さらに別の実施形態では、IRESは、コクサッキーウイルスB3(CVB3)のIRES配列である。さらなる実施形態では、IRESは脳心筋炎ウイルスのIRES配列である。
【0241】
いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、少なくとも1つ(例えば、2つ、3つ、4つ、5つ又はそれ以上)の発現配列に隣接する少なくとも1つのIRESを含む。いくつかの実施形態では、IRESは、少なくとも1つ(例えば、2つ、3つ、4つ、5つ又はそれ以上)の発現配列の両側に隣接する。いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、各発現配列の片側又は両側に1つ以上のIRES配列を含み、得られるペプチド及び/又はポリペプチドの分離をもたらす。
【0242】
いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチドカーゴは、IRESを含む。例えば、ポリリボヌクレオチドカーゴは、例えば、全体が参照により本明細書に援用される、Chen et al.Mol.Cell 81:1-19,2021に記載されるとおり、環状RNA IRESを含み得る。
【0243】
調節要素
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリリボヌクレオチド(例えば、ポリリボヌクレオチドのポリリボヌクレオチドカーゴ)は、1つ以上の調節要素を含む。いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、調節要素、例えば、ポリリボヌクレオチド内の発現配列の発現を調節する配列を含む。
【0244】
調節要素は、発現産物をコードする発現配列に隣接して位置する配列を含んでもよい。調節要素は、隣接配列に作動可能に連結されてもよい。調節要素は、調節要素が存在しない場合に発現される産物の量と比較して、発現される産物の量を増加させ得る。さらに、1つの調節要素が、並んで結合された複数の発現配列について発現される産物の量を増加させ得る。したがって、1つの調節要素が、1つ以上の発現配列の発現を促進することができる。複数の調節要素が、当業者に周知である。
【0245】
いくつかの実施形態では、調節要素は、翻訳モジュレーターである。翻訳モジュレーターは、ポリリボヌクレオチド中の発現配列の翻訳を調節し得る。翻訳モジュレーターは、翻訳エンハンサー又はサプレッサーであり得る。いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、少なくとも1つの発現配列に隣接した少なくとも1つの翻訳モジュレーターを含む。いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、各発現配列に隣接した翻訳モジュレーターを含む。いくつかの実施形態では、翻訳モジュレーターは、各発現配列の片側又は両側にあり、発現産物、例えばペプチド及び/又はポリペプチドの分離をもたらす。
【0246】
いくつかの実施形態では、調節要素は、マイクロRNA(miRNA)又はmiRNA結合部位である。
【0247】
調節要素のさらなる例が、例えば、全体が参照により本明細書に援用される国際公開第2019/118919号パンフレットの段落[0154]~[0161]に記載されている。
【0248】
翻訳開始配列
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリリボヌクレオチド(例えば、ポリリボヌクレオチドのポリリボヌクレオチドカーゴ)は、少なくとも1つの翻訳開始配列を含む。いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、発現配列に作動可能に連結されている翻訳開始配列を含む。
【0249】
いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、ポリペプチドをコードし、翻訳開始配列、例えば開始コドンを含み得る。いくつかの実施形態では、翻訳開始配列は、コザック又はシャイン・ダルガノ配列を含む。いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、発現配列に隣接する翻訳開始配列、例えば、コザック配列を含む。ある実施形態では、翻訳開始配列は、非コード開始コドンである。ある実施形態では、翻訳開始配列、例えば、コザック配列は、各発現配列の1つの側又は両側に存在して、発現産物の分離をもたらす。ある実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、発現配列に隣接する少なくとも1つの翻訳開始配列を含む。ある実施形態では、翻訳開始配列は、ポリリボヌクレオチドに立体配座柔軟性を与える。ある実施形態では、翻訳開始配列は、環状ポリリボヌクレオチドの実質的に一本鎖領域内にある。翻訳開始配列のさらなる例が、全体が参照により本明細書に援用される国際公開第2019/118919号パンフレットの段落[0163]~[0165]に記載されている。
【0250】
ポリリボヌクレオチドは、限定はされないが、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60又は60を超える開始コドンなどの2つ以上の開始コドンを含んでもよい。翻訳は、第1の開始コドンで開始し得るか、又は第1の開始コドンの下流で開始し得る。
【0251】
いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、第1の開始コドン、例えばAUGでないコドンで開始し得る。ポリリボヌクレオチドの翻訳は、代替的な翻訳開始配列、例えば限定はされないが、ACG、AGG、AAG、CTG/CUG(配列番号74)、GTG/GUG(配列番号75)、ATA/AUA(配列番号76)、ATT/AUU(配列番号77)、TTG/UUG(配列番号78)で開始し得る。いくつかの実施形態では、翻訳は、選択的条件、例えばストレス誘導条件下で、代替的な翻訳開始配列で開始する。非限定的な例として、ポリリボヌクレオチドの翻訳は、代替的な翻訳開始配列、例えばACGで開始し得る。別の非限定的な例として、ポリリボヌクレオチドの翻訳は、代替的な翻訳開始配列のCTG/CUG(配列番号74)で開始し得る。別の非限定的な例として、ポリリボヌクレオチドの翻訳は、代替的な翻訳開始配列のGTG/GUG(配列番号75)で開始し得る。別の非限定的な例として、ポリリボヌクレオチドは、リピート関連非AUG(RAN)配列、例えば、反復RNAの短いストレッチ、例えば、CGG、GGGGCC(配列番号79)、CAG、CTGを含む代替的な翻訳開始配列で翻訳を開始し得る。
【0252】
終結配列
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリリボヌクレオチド(例えば、ポリリボヌクレオチドのポリリボヌクレオチドカーゴ)は、少なくとも(least)1つの終結配列を含む。いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、発現配列に作動可能に連結されている終結配列を含む。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、終結配列を欠いている。
【0253】
いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、1つ以上の発現配列を含み、各発現配列は、終結配列を有する場合も有しない場合もある。いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、1つ以上の発現配列を含み、発現配列は、終結配列を欠いていることで、ポリリボヌクレオチドは、継続的に翻訳される。終結配列の除外は、ローリングサークル翻訳又は発現産物の連続的発現をもたらし得る。
【0254】
いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、1つ以上の発現配列を含み、各発現配列は、終結配列を有する場合も有しない場合もある。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、1つ以上の発現配列を含み、発現配列は、終結配列を欠いていることで、環状ポリリボヌクレオチドは、継続的に翻訳される。終結配列の除外は、リボソーム停止又は脱落の欠如に起因して、ローリングサークル翻訳又は発現産物、例えばペプチド又はポリペプチドの連続的発現をもたらし得る。このような実施形態では、ローリングサークル翻訳は、各発現配列を通じて、連続的発現産物を発現する。いくつかの他の実施形態では、発現配列の終結配列は、スタガー要素の一部であり得る。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチド中の1つ以上の発現配列は、終結配列を含む。しかし、環状ポリリボヌクレオチド中の後続の(例えば、第2、第3、第4、第5などの)発現配列のローリングサークル翻訳又は発現が実施される。このような場合、発現産物は、リボソームが終結配列、例えば停止コドンに遭遇し、翻訳を終結させる場合、リボソームから脱落し得る。いくつかの実施形態では、翻訳は、リボソーム、例えば、リボソームの少なくとも1つのサブユニットが環状ポリリボヌクレオチドとの接触状態を維持しながら終結される。
【0255】
いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、1つ以上の発現配列の末端に終結配列を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の発現配列は、後続の2つ以上の終結配列を含む。このような実施形態では、翻訳が終結され、ローリングサークル翻訳が終結される。いくつかの実施形態では、リボソームは、環状ポリリボヌクレオチドと完全に隔てられる。いくつかのこのような実施形態では、環状ポリリボヌクレオチド中の後続の(例えば、第2、第3、第4、第5などの)発現配列の生成において、翻訳の開始前に環状ポリリボヌクレオチドと再会合するため、リボソームを必要とし得る。一般に、終結配列は、翻訳の終結を伝えるインフレームのヌクレオチドトリプレット、例えば、UAA、UGA、UAGを含む。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチド中の1つ以上の終結配列は、フレームシフトされた終結配列、例えば限定はされないが、翻訳を終結し得る、オフフレーム又は-1及び+1シフトされたリーディングフレーム(例えば、隠れた停止)である。フレームシフトされた終結配列は、発現配列の第2及び第3のリーディングフレーム内に出現する三重ヌクレオチド、TAA、TAG、及びTGAを含む。フレームシフトされた終結配列は、細胞に対して有害であることが多い、mRNAの誤読を防止するのに重要であり得る。いくつかの実施形態では、終結配列は、停止コドンである。
【0256】
終結配列のさらなる例が、全体が参照により本明細書に援用される国際公開第2019/118919号パンフレットの段落[0169]~[0170]に記載されている。
【0257】
非翻訳領域
ある実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、非翻訳領域(UTR)を含む。遺伝子を含むゲノム領域のUTRは、転写され得るが、翻訳されていない。ある実施形態では、UTRは、本明細書に記載される発現配列の翻訳開始配列の上流に含まれ得る。ある実施形態では、UTRは、本明細書に記載される発現配列の下流に含まれ得る。ある場合において、第1の発現配列のための1つのUTRは、第2の発現配列のための別のUTRと同じであるか又はそれと連続しているか又はそれと重複している。ある実施形態では、イントロンは、ヒトイントロンである。ある実施形態では、イントロンは、完全長ヒトイントロン、例えば、ZKSCAN1である。
【0258】
例示的な非翻訳領域が、全体が参照により本明細書に援用される国際公開第2019/118919号パンフレットの段落[0197]~[201]に記載されている。
【0259】
ある実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、ポリA配列を含む。例示的なポリA配列が、全体が参照により本明細書に援用される国際公開第2019/118919号パンフレットの段落[0202]~[0205]に記載されている。ある実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、ポリA配列を欠いている。
【0260】
いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、アデノシン及びウリジンの1つ又は複数のストレッチが内包されたUTRを含む。これらのAUリッチのシグネチャーは、発現産物のターンオーバー速度を増加させ得る。
【0261】
UTRのAUリッチエレメント(ARE)の導入、除去、又は修飾は、環状ポリリボヌクレオチドの安定性、又は免疫原性(例えば、免疫又は炎症性応答の1つ又は複数のマーカーのレベル)を調節するのに有用であり得る。特定の環状ポリリボヌクレオチドを改変するとき、AREの1つ又は複数コピーを環状ポリリボヌクレオチドに導入してもよく、AREのコピーは、発現産物の翻訳及び/又は産生を調節し得る。同様に、AREを、同定及び除去し、又は環状ポリリボヌクレオチドに改変することで、細胞内安定性を調節し、ひいては得られるタンパク質の翻訳及び産生に作用することができる。
【0262】
任意の遺伝子からの任意のUTRが環状ポリリボヌクレオチドの各隣接領域に組み込まれてもよいことは理解されるべきである。
【0263】
いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、5’UTRを欠いており、その1つ又は複数の発現配列からのタンパク質発現の能力がある。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、3’UTRを欠いており、その1つ又は複数の発現配列からのタンパク質発現の能力がある。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、ポリA配列を欠いており、その1つ又は複数の発現配列からのタンパク質発現の能力がある。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、終結配列を欠いており、その1つ又は複数の発現配列からのタンパク質発現の能力がある。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、内部リボソーム進入部位を欠いており、その1つ又は複数の発現配列からのタンパク質発現の能力がある。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、キャップを欠いており、その1つ又は複数の発現配列からのタンパク質発現の能力がある。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、5’UTR、3’UTR、及びIRESを欠いており、その1つ又は複数の発現配列からのタンパク質発現の能力がある。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、以下の配列:1つ又は複数のmiRNAをコードする配列、1つ又は複数の複製タンパク質をコードする配列、外因性遺伝子をコードする配列、治療(therapeutic)をコードする配列、調節要素(例えば、翻訳モジュレーター、例えば、翻訳エンハンサー又はサプレッサー)、翻訳開始配列、内因性遺伝子を標的にする1つ又は複数の調節核酸(例えば、siRNA、lncRNA、shRNA)、及び治療的mRNA又はタンパク質をコードする配列、の1つ又は複数を含む。
【0264】
いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、5’UTRを欠いている。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、3’UTRを欠いている。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、ポリA配列を欠いている。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、終結配列を欠いている。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、内部リボソーム進入部位を欠いている。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、エキソヌクレアーゼによる分解感受性を欠いている。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドが分解感受性を欠いているという事実は、環状ポリリボヌクレオチドがエキソヌクレアーゼによって分解されない、又はエキソヌクレアーゼの存在下で限られた範囲に限って分解される、例えば、エキソヌクレアーゼの不在下で同等又は類似的であることを意味し得る。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、エキソヌクレアーゼによって分解されない。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、エキソヌクレアーゼに曝露されるとき、分解が低下している。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、キャップ結合タンパク質への結合を欠いている。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、5’キャップを欠いている。
【0265】
スタガー要素
いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、発現配列に隣接した少なくとも1つのスタガー要素を含む。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、各発現配列に隣接したスタガー要素を含む。いくつかの実施形態では、スタガー要素は、各発現配列の片側又は両側にあり、発現産物、例えばペプチド及び/又はポリペプチドの分離をもたらす。いくつかの実施形態では、スタガー要素は、1つ以上の発現配列の一部分である。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、1つ以上の発現配列を含み、1つ以上の発現配列のそれぞれが、環状ポリリボヌクレオチドにおけるスタガー要素によって後続の発現配列から隔てられる。いくつかの実施形態では、スタガー要素は、(a)単一の発現配列の2回の翻訳から、又は(b)2つ以上の発現配列の1回以上の翻訳からの単一のポリペプチドの生成を防止する。いくつかの実施形態では、スタガー要素は、1つ以上の発現配列から切り離された配列である。いくつかの実施形態では、スタガー要素は、1つ以上の発現配列のうちの発現配列の一部を含む。
【0266】
いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、スタガー要素を含む。連続的発現産物、例えばペプチド又はポリペプチドの生成を回避しながら、ローリングサークル翻訳を維持するため、スタガー要素を含めることで、翻訳中のリボソーム停止を誘導してもよい。いくつかの実施形態では、スタガー要素は、1つ又は複数の発現配列の少なくとも1つの3’末端にある。スタガー要素は、環状ポリリボヌクレオチドのローリングサークル翻訳中にリボソームを停止させるように設計され得る。スタガー要素は、限定はされないが、2A様、又はCHYSEL(配列番号71)(シス作用性ヒドロラーゼエレメント)配列を含んでもよい。いくつかの実施形態では、スタガー要素は、X1X2X3EX5NPGP(配列番号72)(式中、X1は、不在又はG若しくはHであり、X2は、不在又はD若しくはGであり、X3は、D又はV又はI又はS又はMであり、X5は、任意のアミノ酸である)であるC末端コンセンサス配列を有する配列をコードする。いくつかの実施形態では、この配列は、強力なαらせん性を有するアミノ酸の非保存配列と、それに続くコンセンサス配列-D(V/I)EXNPGP(配列番号73)(式中、x=任意のアミノ酸である)とを含む。スタガー要素のいくつかの非限定例として、GDVESNPGP(配列番号52)、GDIEENPGP(配列番号53)、VEPNPGP(配列番号54)、IETNPGP(配列番号55)、GDIESNPGP(配列番号56)、GDVELNPGP(配列番号57)、GDIETNPGP(配列番号58)、GDVENPGP(配列番号59)、GDVEENPGP(配列番号60)、GDVEQNPGP(配列番号61)、IESNPGP(配列番号62)、GDIELNPGP(配列番号63)、HDIETNPGP(配列番号64)、HDVETNPGP(配列番号65)、HDVEMNPGP(配列番号66)、GDMESNPGP(配列番号67)、GDVETNPGP(配列番号68)GDIEQNPGP(配列番号69)、及びDSEFNPGP(配列番号70)が挙げられる。
【0267】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のスタガー要素は、本明細書に記載のコンセンサス配列のG及びPの間などで、発現産物を切断する。1つの非限定例として、環状ポリリボヌクレオチドは、発現産物を切断するための少なくとも1つのスタガー要素を含む。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、少なくとも1つの発現配列に隣接したスタガー要素を含む。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、各発現配列の後にスタガー要素を含む。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、各発現配列の片側又は両側に存在するスタガー要素を含むことで、各発現配列から個別のペプチド及び/又はポリペプチドの翻訳を引き起こす。
【0268】
いくつかの実施形態では、スタガー要素は、翻訳中にリボソーム停止を誘導する、1つ又は複数の修飾ヌクレオチド又は非天然ヌクレオチドを含む。非天然ヌクレオチドは、ペプチド核酸(PNA)、モルホリノ及びロックド核酸(LNA)、並びにグリコール核酸(GNA)及びトレオース核酸(TNA)を含んでもよい。これらなどの例は、天然に存在するDNA又はRNAと、分子の骨格に対する変化によって区別される。例示的な修飾は、翻訳中にリボソーム停止を誘導し得る、糖、核酸塩基、ヌクレオシド間結合(例えば、連結リン酸塩/リン酸ジエステル結合/リン酸ジエステル骨格)に対する任意の修飾、及びそれらの任意の組み合わせを含み得る。本明細書に提供される例示的な修飾のいくつかは、本明細書中の他の箇所に記載されている。
【0269】
いくつかの実施形態では、スタガー要素は、環状ポリリボヌクレオチド中に他の形態で存在する。例えば、いくつかの例示的な環状ポリリボヌクレオチドでは、スタガー要素は、環状ポリリボヌクレオチド中の第1の発現配列の終結配列、及び第1の発現配列に連続する発現の第1の翻訳開始配列から終結配列を分離するヌクレオチドスペーサー配列を含む。いくつかの例において、第1の発現配列の第1のスタガー要素は、環状ポリリボヌクレオチド中の第1の発現配列に連続する発現の第1の翻訳開始配列の上流(それに対する5’側)に存在する。いくつかの場合、第1の発現配列及び第1の発現配列に連続する発現配列は、環状ポリリボヌクレオチド中の2つの別々の発現配列である。第1のスタガー要素と第1の翻訳開始配列との間の距離は、第1の発現配列及びその連続する発現配列の連続的翻訳を可能にし得る。
【0270】
いくつかの実施形態では、第1のスタガー要素は、終結配列を含み、第1の発現配列の発現産物をその連続する発現配列の発現産物から分離し、それにより分離した発現産物を作出する。いくつかの場合、環状ポリリボヌクレオチド中の連続する配列の第1の翻訳開始配列の上流に第1のスタガー要素を含む環状ポリリボヌクレオチドは、継続的に翻訳される一方で、第2の発現配列に連続する発現配列の第2の翻訳開始配列の上流に存在する第2の発現配列のスタガー要素を含む対応する環状ポリリボヌクレオチドは、継続的に翻訳されない。いくつかの場合、環状ポリリボヌクレオチド中に発現配列が1つだけ存在し、第1の発現配列及びその連続する発現配列は、同じ発現配列である。いくつかの例示的な環状ポリリボヌクレオチドでは、スタガー要素は、環状ポリリボヌクレオチド中の第1の発現配列の第1の終結配列、及び下流の翻訳開始配列から終結配列を分離するヌクレオチドスペーサー配列を含む。いくつかのそのような例では、第1のスタガー要素は、環状ポリリボヌクレオチド中の第1の発現配列の第1の翻訳開始配列の上流(に対する5’側)に存在する。いくつかの場合、第1のスタガー要素と第1の翻訳開始配列との間の距離は、第1の発現配列及び任意の連続する発現配列の連続的翻訳を可能にする。
【0271】
いくつかの実施形態では、第1のスタガー要素は、第1の発現配列の1回の発現産物を第1の発現配列の次回の発現産物から分離し、それにより分離した発現産物を作出する。いくつかの場合、環状ポリリボヌクレオチド中の第1の発現配列の第1の翻訳開始配列の上流に第1のスタガー要素を含む環状ポリリボヌクレオチドは、継続的に翻訳される一方で、対応する環状ポリリボヌクレオチド中の第2の発現配列の第2の翻訳開始配列の上流にスタガー要素を含む対応する環状ポリリボヌクレオチドは、継続的に翻訳されない。いくつかの場合、第2のスタガー要素と第2の翻訳開始配列との間の距離は、対応する環状ポリリボヌクレオチドにおいて、環状ポリリボヌクレオチドにおける第1のスタガー要素と第1の翻訳開始配列との間の距離よりも少なくとも2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、又は10倍大きい。いくつかの場合、第1のスタガー要素と第1の翻訳開始配列との間の距離は、少なくとも2nt、3nt、4nt、5nt、6nt、7nt、8nt、9nt、10nt、11nt、12nt、13nt、14nt、15nt、16nt、17nt、18nt、19nt、20nt、25nt、30nt、35nt、40nt、45nt、50nt、55nt、60nt、65nt、70nt、75nt、又はそれ以上である。いくつかの実施形態では、第2のスタガー要素と第2の翻訳開始配列との間の距離は、第1のスタガー要素と第1の翻訳開始配列との間の距離よりも、少なくとも2nt、3nt、4nt、5nt、6nt、7nt、8nt、9nt、10nt、11nt、12nt、13nt、14nt、15nt、16nt、17nt、18nt、19nt、20nt、25nt、30nt、35nt、40nt、45nt、50nt、55nt、60nt、65nt、70nt、75nt、又はそれ以上大きい。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、2つ以上の発現配列を含む。
【0272】
スタガー要素の例が、全体が参照により本明細書に援用される国際公開第2019/118919号パンフレットの段落[0172]~[0175]に記載されている。
【0273】
非コード配列
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリリボヌクレオチド(例えば、ポリリボヌクレオチドのポリリボヌクレオチドカーゴ)は、1つ以上の非コード配列、例えば、ポリペプチドの発現をコードしない配列を含む。いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10若しくは10より大きい非コード配列を含む。いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、ポリペプチド発現配列をコードしない。
【0274】
非コード配列は、天然又は合成配列であり得る。いくつかの実施形態では、非コード配列は、細胞挙動、例えば、リンパ球挙動などを改変し得る。いくつかの実施形態では、非コード配列は、細胞RNA配列に対してアンチセンスである。
【0275】
いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、典型的に、(特定のRNA構造(例えば、5~30bpのmiRNA、200~500bpのlncRNA)に応じて約5~500塩基対(bp)のRNA又はRNA様構造である調節核酸を含み、細胞内の発現された標的遺伝子におけるコード配列と同一(相補的)又はほぼ同一(実質的に相補的)である核酸塩基配列を有し得る。実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、より小さいmiRNA中間体又は成熟miRNAにプロセシング可能である、約50~約1000bpであり得る、より小さいRNAにプロセシング可能であるRNA前駆体、例えばmiRNA前駆体をコードする調節核酸を含む。
【0276】
長い非コードRNA(IncRNA)は、100ヌクレオチドより長い非タンパク質コード転写物と定義される。多くのIncRNAは、組織特異性として特徴づけられる。近傍のタンパク質コード遺伝子に対して逆方向に転写される多様なIncRNAは、有意な割合(例えば、哺乳動物ゲノムにおける全IncRNAの約20%)を含み、おそらくは近傍遺伝子の転写を調節する。一実施形態では、本明細書に提供されるポリリボヌクレオチドは、IncRNAのセンス鎖を含む。一実施形態では、本明細書に提供されるポリリボヌクレオチドは、IncRNAのアンチセンス鎖を含む。
【0277】
実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、内因性遺伝子又は遺伝子産物(例えば、mRNA)の全て又は少なくとも1つの断片に対して、実質的に相補的である、又は完全に相補的である調節核酸をコードする。実施形態では、調節核酸は、転写における特定遺伝子の新規に生成された核RNA転写物のmRNAへの成熟を防止するため、イントロンとエクソンとの間の境界での、エクソン間における、又はエクソンに隣接した配列を補完する。特定遺伝子に対して相補的である調節核酸は、その遺伝子に対するmRNAとハイブリダイズし、その翻訳を阻止し得る。アンチセンス調節核酸は、DNA、RNA、又はその誘導体若しくはハイブリッドであり得る。いくつかの実施形態では、調節核酸は、内因性遺伝子又は外因性遺伝子の発現の調節に関与するタンパク質に結合し得るタンパク質結合部位を含む。
【0278】
実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、目的の転写産物にハイブリダイズする調節性RNAをコードし、ここで調節性RNAは、約5~30ヌクレオチド、約10~30ヌクレオチド、又は約11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30ヌクレオチド若しくは30を超えるヌクレオチドの長さを有する。実施形態では、調節性RNAの標的化転写産物との配列同一性の程度は、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%である。
【0279】
実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、標的遺伝子の約5~約25の隣接ヌクレオチドと同一のマイクロRNA(miRNA)分子をコードする、又はそのmiRNAの前駆体をコードする。いくつかの実施形態では、miRNAは、mRNAが特定の標的mRNAを認識し、それに結合することを可能にする配列を有する。実施形態では、miRNA配列は、ジヌクレオチドAAから開始し、約30~70%(約30~60%、約40~60%、又は約45%~55%)のGC含量を含み、対象(例えば、哺乳動物)のゲノム中の標的以外の任意のヌクレオチド配列であって、例えば標準BLAST検索による決定として導入されるべきであるヌクレオチド配列とは高いパーセンテージの同一性を有しない。
【0280】
いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、少なくとも1つのmiRNA(又はmiRNA前駆体)、例えば、2、3、4、5、6、又はそれ以上のmiRNA又はmiRNA前駆体を含む。いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、標的配列と少なくとも約75%、80%、85%、90%95%、96%、97%、98%、又は99%又は100%のヌクレオチド配列相補性を有する、miRNA(又はその前駆体)をコードする配列を含む。
【0281】
siRNA及びshRNAは、内因性マイクロRNA(miRNA)遺伝子のプロセシング経路における中間体に類似する。いくつかの実施形態では、siRNAは、miRNAとして機能することができ、その逆も言える。マイクロRNAは、siRNAのようにRISCを使用して、標的遺伝子を下方制御するが、siRNAと異なり、大部分の動物のmiRNAは、mRNAを切断しない。代わりに、miRNAは、翻訳抑制又はポリA除去及びmRNA分解を通じて、タンパク質出力を低減する。公知のmiRNA結合部位は、mRNAの3’UTRの内部に存在し;miRNAは、miRNAの5’末端からのヌクレオチド2~8とほぼ完全な相補性を有する部位を標的にするように思われる。この領域は、シード領域として知られる。成熟siRNA及びmiRNAが互換可能であることから、外因性siRNAは、siRNAと相補的なシードを有するmRNAを下方制御する。
【0282】
公知のmiRNA配列のリストは、特に、ウェルカム・トラスト・サンガー研究所(Wellcome Trust Sanger Institute),Penn Center for Bioinformatics、メモリアル・スローン・ケタリングがんセンター(Memorial Sloan Kettering Cancer Center)、及び欧州分子生物学研究所(European Molecule Biology Laboratory)などの研究組織によって維持されたデータベース内に見出すことができる。公知の有効なsiRNA配列及び同族結合部位についても、関連文献において十分に表されている。RNAi分子は、当該技術分野で公知の技術によって容易に設計及び生成される。加えて、有効な特定の配列モチーフを見出す機会を増加させる計算ツールが存在する。
【0283】
タンパク質結合配列
いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、タンパク質、例えば、リボソームがRNA配列内の内部部位に結合することを可能にする、1つ又は複数のタンパク質結合部位を含む。タンパク質結合部位、例えば、リボソーム結合部位を環状ポリリボヌクレオチド中に設計することにより、環状ポリリボヌクレオチドは、環状ポリリボヌクレオチドを宿主の免疫系の成分からマスクすることによって、宿主の免疫系による検知を逃避し得るか又は低下させているか、分解を調節しているか、又は翻訳を調節している。
【0284】
いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、少なくとも1つの免疫タンパク質結合部位を含むことで、例えば、免疫応答、例えば、CTL(細胞傷害性Tリンパ球)応答を逃避する。いくつかの実施形態では、免疫タンパク質結合部位は、免疫タンパク質に結合し、外因性としての環状ポリリボヌクレオチドのマスキングを補助するヌクレオチド配列である。いくつかの実施形態では、免疫タンパク質結合部位は、免疫タンパク質に結合し、外因性又は外来性としての環状ポリリボヌクレオチドの隠蔽を補助するヌクレオチド配列である。
【0285】
線状RNAへのリボソーム会合の伝統的機構は、RNAのキャップされた5’末端へのリボソーム結合を含む。リボソームは、5’末端から開始コドンに移動するとすぐに、第1のペプチド結合が形成される。本開示によると、環状ポリリボヌクレオチドの翻訳の内部開始(即ち、キャップ非依存性)は、遊離末端又はキャップ末端を必要としない。むしろ、リボソームは、非キャップ内部部位に結合し、それにより、リボソームは、ポリペプチド伸長を開始コドンで開始させる。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、リボソーム結合部位、例えば、開始コドンを含む、1つ又は複数のRNA配列を含む。
【0286】
天然5’UTRは、翻訳開始における役割を果たす特徴を有する。それは、リボソームが多数の遺伝子の翻訳を開始させるプロセスに関与することが一般に知られるコザック配列のようなシグネチャーを内包する。コザック配列は、コンセンサスCCR(A/G)CCAUGG(配列番号79)(ここでRは、開始コドン(AUG)の3塩基上流のプリン(アデニン又はグアニン)である)を有し、それにもう一つの「G」が後続する。5’UTRは、伸長因子結合に関与する二次構造を形成することも知られている。
【0287】
いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、タンパク質に結合するタンパク質結合配列をコードする。いくつかの実施形態では、タンパク質結合配列は、環状ポリリボヌクレオチドを特異的標的に標的化し、又は局在化する。いくつかの実施形態では、タンパク質結合配列は、タンパク質のアルギニンリッチ領域に特異的に結合する。
【0288】
いくつかの実施形態では、タンパク質結合部位として、限定はされないが、ACIN1、AGO、APOBEC3F、APOBEC3G、ATXN2、AUH、BCCIP、CAPRIN1、CELF2、CPSF1、CPSF2、CPSF6、CPSF7、CSTF2、CSTF2T、CTCF、DDX21、DDX3、DDX3X、DDX42、DGCR8、EIF3A、EIF4A3、EIF4G2、ELAVL1、ELAVL3、FAM120A、FBL、FIP1L1、FKBP4、FMR1、FUS、FXR1、FXR2、GNL3、GTF2F1、HNRNPA1、HNRNPA2B1、HNRNPC、HNRNPK、HNRNPL、HNRNPM、HNRNPU、HNRNPUL1、IGF2BP1、IGF2BP2、IGF2BP3、ILF3、KHDRBS1、LARP7、LIN28A、LIN28B、m6A、MBNL2、METTL3、MOV10、MSI1、MSI2、NONO、NONO-、NOP58、NPM1、NUDT21、PCBP2、POLR2A、PRPF8、PTBP1、RBFOX2、RBM10、RBM22、RBM27、RBM47、RNPS1、SAFB2、SBDS、SF3A3、SF3B4、SIRT7、SLBP、SLTM、SMNDC1、SND1、SRRM4、SRSF1、SRSF3、SRSF7、SRSF9、TAF15、TARDBP、TIA1、TNRC6A、TOP3B、TRA2A、TRA2B、U2AF1、U2AF2、UNK、UPF1、WDR33、XRN2、YBX1、YTHDC1、YTHDF1、YTHDF2、YWHAG、ZC3H7B、PDK1、AKT1、及びRNAに結合する任意の他のタンパク質などのタンパク質への結合部位が挙げられる。
【0289】
スペーサー配列
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリリボヌクレオチドは、1つ以上のスペーサー配列を含む。スペーサーは、2つの隣接するポリヌクレオチド領域間で距離又は柔軟性を提供する、(例えば、1つ以上のヌクレオチドの)任意の隣接するヌクレオチド配列を指す。スペーサーは、本明細書に記載の核酸因子のいずれかの間に存在してもよい。スペーサーはまた、本明細書に記載の核酸因子の内部に存在してもよい。
【0290】
例えば、核酸は、以下の要素のいずれかの2つ以上を含み:(A)グループI触媒イントロン断片の3’半分;(B)3’スプライス部位;(C)3’エクソン断片;(D)ポリリボヌクレオチドカーゴ;(E)5’エクソン断片;(F)5’スプライス部位;及び(G)グループI触媒イントロン断片の5’半分;スペーサー領域は、要素のいずれか1つ以上の間に存在してもよい。要素(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、(F)、又は(G)のいずれかは、本明細書に記載のとおり、スペーサー配列によって分離されてもよい。例えば、(A)と(B)との間、(B)と(C)との間、(C)と(D)との間、(D)と(E)との間、(E)と(F)との間、又は(F)と(G)との間に、スペーサーが存在してもよい。
【0291】
いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、(C)の5’エクソン断片と(D)のポリリボヌクレオチドカーゴとの間に第1のスペーサー領域をさらに含む。スペーサーは、例えば、少なくとも5(例えば、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20)リボヌクレオチドの長さであってもよい。いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、(D)のポリリボヌクレオチドカーゴと(E)の5’エクソン断片との間に第2のスペーサー領域をさらに含む。スペーサーは、例えば、少なくとも5(例えば、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20)リボヌクレオチドの長さであってもよい。いくつかの実施形態では、各スペーサー領域は、少なくとも5(例えば、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20)リボヌクレオチドの長さである。各スペーサー領域は、例えば、5~500(例えば、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、300、350、400、450、又は500)リボヌクレオチドの長さであってもよい。第1のスペーサー領域、第2のスペーサー領域、又は第1のスペーサー領域及び第2のスペーサー領域は、ポリA配列を含んでもよい。第1のスペーサー領域、第2のスペーサー領域、又は第1のスペーサー領域及び第2のスペーサー領域は、ポリA-C配列を含んでもよい。いくつかの実施形態では、第1のスペーサー領域、第2のスペーサー領域、又は第1のスペーサー領域及び第2のスペーサー領域は、ポリA-G配列を含む。いくつかの実施形態では、第1のスペーサー領域、第2のスペーサー領域、又は第1のスペーサー領域及び第2のスペーサー領域は、ポリA-T配列を含む。いくつかの実施形態では、第1のスペーサー領域、第2のスペーサー領域、又は第1のスペーサー領域及び第2のスペーサー領域は、ランダム配列を含む。
【0292】
スペーサーはまた、本明細書に記載の核酸領域内に存在してもよい。例えば、ポリヌクレオチドカーゴ領域は、1つ又は複数のスペーサーを含んでもよい。スペーサーは、ポリヌクレオチドカーゴ内の領域を分離し得る。
【0293】
いくつかの実施形態では、スペーサー配列は、例えば、少なくとも10ヌクレオチドの長さ、少なくとも15ヌクレオチドの長さ、又は少なくとも30ヌクレオチドの長さであり得る。いくつかの実施形態では、スペーサー配列は、少なくとも7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25又は30ヌクレオチドの長さである。いくつかの実施形態では、スペーサー配列は、100、90、80、70、60、50、45、40、35又は30ヌクレオチドの長さ以下である。いくつかの実施形態では、スペーサー配列は、20~50ヌクレオチドの長さである。特定の実施形態では、スペーサー配列は、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49又は50ヌクレオチドの長さである。
【0294】
スペーサー配列は、ポリA配列、ポリA-C配列、ポリC配列、又はポリU配列であり得る。
【0295】
いくつかの実施形態では、スペーサー配列は、ポリA-T、ポリA-C、ポリA-G、又はランダム配列であり得る。
【0296】
スペーサー配列を使用して、IRESを隣接する構成要素から分離することで、IRES又は隣接要素の構造と機能を維持(martini)することができる。スペーサーは、IRESに応じて特異的に改変することができる。いくつかの実施形態では、RNAFoldなどのRNAフォールディングのコンピュータソフトウェアを利用して、スペーサーを含むベクターの様々な要素の設計を導くことができる。
【0297】
いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、(例えば、5’アニーリング領域とポリリボヌクレオチドカーゴとの間に)5’スペーサー配列を含む。いくつかの実施形態では、5’スペーサー配列は、少なくとも10ヌクレオチドの長さである。別の実施形態では、5’スペーサー配列は、少なくとも15ヌクレオチドの長さである。さらなる実施形態では、5’スペーサー配列は、少なくとも30ヌクレオチドの長さである。いくつかの実施形態では、5’スペーサー配列は、少なくとも7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25又は30ヌクレオチドの長さである。いくつかの実施形態では、5’スペーサー配列は、100、90、80、70、60、50、45、40、35又は30ヌクレオチドの長さ以下である。いくつかの実施形態では、5’スペーサー配列は、20~50ヌクレオチドの長さである。特定の実施形態では、5’スペーサー配列は、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49又は50ヌクレオチドの長さである。一実施形態では、5’スペーサー配列は、ポリA配列である。別の実施形態では、5’スペーサー配列は、ポリA-C配列である。いくつかの実施形態では、5’スペーサー配列は、ポリA-G配列を含む。いくつかの実施形態では、5’スペーサー配列は、ポリA-T配列を含む。いくつかの実施形態では、5’スペーサー配列は、ランダム配列を含む。
【0298】
いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、(例えば、3’アニーリング領域とポリリボヌクレオチドカーゴとの間に)3’スペーサー配列を含む。いくつかの実施形態では、3’スペーサー配列は、少なくとも10ヌクレオチドの長さである。別の実施形態では、3’スペーサー配列は、少なくとも15ヌクレオチドの長さである。さらなる実施形態では、3’スペーサー配列は、少なくとも30ヌクレオチドの長さである。いくつかの実施形態では、3’スペーサー配列は、少なくとも7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25又は30ヌクレオチドの長さである。いくつかの実施形態では、3’スペーサー配列は、100、90、80、70、60、50、45、40、35又は30ヌクレオチドの長さ以下である。いくつかの実施形態では、3’スペーサー配列は、20~50ヌクレオチドの長さである。特定の実施形態では、3’スペーサー配列は、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49又は50ヌクレオチドの長さである。一実施形態では、3’スペーサー配列は、ポリA配列である。別の実施形態では、5’スペーサー配列は、ポリA-C配列である。いくつかの実施形態では、5’スペーサー配列は、ポリA-G配列を含む。いくつかの実施形態では、5’スペーサー配列は、ポリA-T配列を含む。いくつかの実施形態では、5’スペーサー配列は、ランダム配列を含む。
【0299】
一実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、5’スペーサー配列を含むが、3’スペーサー配列を含まない。別の実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、3’スペーサー配列を含むが、5’スペーサー配列を含まない。別の実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、5’スペーサー配列も3’スペーサー配列も含まない。別の実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、IRES配列を含まない。さらなる実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、IRES配列、5’スペーサー配列又は3’スペーサー配列を含まない。
【0300】
いくつかの実施形態では、スペーサー配列は、少なくとも3リボヌクレオチド、少なくとも4リボヌクレオチド、少なくとも5リボヌクレオチド、少なくとも約8リボヌクレオチド、少なくとも約10リボヌクレオチド、少なくとも約12リボヌクレオチド、少なくとも約15リボヌクレオチド、少なくとも約20リボヌクレオチド、少なくとも約25リボヌクレオチド、少なくとも約30リボヌクレオチド、少なくとも約40リボヌクレオチド、少なくとも約50リボヌクレオチド、少なくとも約60リボヌクレオチド、少なくとも約70リボヌクレオチド、少なくとも約80リボヌクレオチド、少なくとも約90リボヌクレオチド、少なくとも約100リボヌクレオチド、少なくとも約120リボヌクレオチド、少なくとも約150リボヌクレオチド、少なくとも約200リボヌクレオチド、少なくとも約250リボヌクレオチド、少なくとも約300リボヌクレオチド、少なくとも約400リボヌクレオチド、少なくとも約500リボヌクレオチド、少なくとも約600リボヌクレオチド、少なくとも約700リボヌクレオチド、少なくとも約800リボヌクレオチド、少なくとも約900リボヌクレオチド、又は少なくとも約100リボヌクレオチドを含む。
【0301】
生成方法
無細胞系における生成方法
本開示はまた、環状RNAを生成する方法を提供する。例えば、デオキシリボヌクレオチド鋳型を、無細胞系において(例えば、インビトロ転写により)転写して、線状RNAを生成することができる。線状ポリリボヌクレオチドは、スプライシングに適合するポリリボヌクレオチドを生成し、それは自己スプライスされて、環状ポリリボヌクレオチドを生成し得る。
【0302】
いくつかの実施形態では、本開示は、線状ポリリボヌクレオチド;及び自己スプライシングする線状ポリリボヌクレオチドを、線状ポリリボヌクレオチドの3’及び5’スプライス部位のスプライシングに適した条件下で準備し;それにより環状ポリリボヌクレオチドを生成することによる、(例えば、無細胞系において)環状ポリリボヌクレオチドを生成する方法を提供する。
【0303】
いくつかの実施形態では、本開示は、線状ポリリボヌクレオチドをコードするデオキシリボヌクレオチドを準備し;無細胞系においてデオキシリボヌクレオチドを転写し、線状ポリリボヌクレオチドを生成し;任意選択的に、スプライシングに適合する線状ポリリボヌクレオチドを精製し;そして線状ポリリボヌクレオチドを、線状ポリリボヌクレオチドの3’及び5’スプライス部位のスプライシングに適した条件下で自己スプライシングし、それにより環状ポリリボヌクレオチドを生成することによる、環状ポリリボヌクレオチドを生成する方法を提供する。
【0304】
いくつかの実施形態では、本開示は、線状ポリリボヌクレオチドをコードするデオキシリボヌクレオチドを準備し;無細胞系においてデオキシリボヌクレオチドを転写して、線状ポリリボヌクレオチドを生成し(ここで転写は、線状ポリリボヌクレオチドの3’及び5’スプライス部位のスプライシングに適した条件下で溶液中で行い)、それにより環状ポリリボヌクレオチドを生成することによる、環状ポリリボヌクレオチドを生成する方法を提供する。いくつかの実施形態では、線状ポリリボヌクレオチドは、5’分割-イントロン及び3’分割-イントロン(例えば、環状ポリリボヌクレオチドを生成するための自己スプライシング構築物)を含む。いくつかの実施形態では、線状ポリリボヌクレオチドは、5’アニーリング領域及び3’アニーリング領域を含む。
【0305】
インビトロ転写及び自己スプライシングに適する条件は、1つ以上の観点における生理的状態を再現する任意の条件(例えば、水性緩衝液又は溶液などの溶液又は緩衝液)を含み得る。いくつかの実施形態では、好適な条件は、0.1~100mMのMg2+イオン又はその塩(例えば、1~100mM、1~50mM、1~20mM、5~50mM、5~20mM、又は5~15mM)を含む。いくつかの実施形態では、好適な条件は、1~1000mMのK+イオン又はKClなどのその塩(例えば、1~1000mM、1~500mM、1~200mM、50~500mM、100~500mM、又は100~300mM)を含む。いくつかの実施形態では、好適な条件は、1~1000mMのCl~イオン又はKClなどのその塩(例えば、1~1000mM、1~500mM、1~200mM、50~500mM、100~500mM、又は100~300mM)を含む。いくつかの実施形態では、好適な条件は、0.1~100mMのMn2+イオン又はMnCl2などのその塩(例えば、0.1~100mM、0.1~50mM、0.1~20mM、0.1~10mM、0.1~5mM、0.1~2mM、0.5~50mM、0.5~20mM、0.5~15mM、0.5~5mM、0.5~2mM、又は0.1~10mM)を含む。いくつかの実施形態では、好適な条件は、ジチオトレイトール(DTT)(例えば、1~1000μM、1~500μM、1~200μM、50~500μM、100~500μM、100~300μM、0.1~100mM、0.1~50mM、0.1~20mM、0.1~10mM、0.1~5mM、0.1~2mM、0.5~50mM、0.5~20mM、0.5~15mM、0.5~5mM、0.5~2mM、又は0.1~10mM)を含む。いくつかの実施形態では、好適な条件は、0.1mM及び100mMのリボヌクレオシド三リン酸(NTP)(例えば、0.1~100mM、0.1~50mM、0.1~10mM、1~100mM、1~50mM、又は1~10mM)を含む。いくつかの実施形態では、好適な条件は、4~10のpH(例えば、5~9のpH、6~9のpH、又は6.5~8.5のpH)を含む。いくつかの実施形態では、好適な条件は、4℃~50℃(例えば、10℃~40℃、15℃~40℃、20℃~40℃、又は30℃~40℃)の温度を含む。
【0306】
いくつかの実施形態では、線状ポリリボヌクレオチドは、デオキシリボ核酸、例えば本明細書に記載のデオキシリボ核酸、例えば、DNAベクター、線状化DNAベクター、又はcDNAから生成される。いくつかの実施形態では、線状ポリリボヌクレオチドは、無細胞系における転写(例えば、インビトロ転写)によって、デオキシリボ核酸から転写される。
【0307】
細胞内での生成方法
本開示はまた、細胞内、例えば、原核細胞又は真核細胞内で環状RNAを生成する方法を提供する。いくつかの実施形態では、外因性ポリリボヌクレオチドが細胞に提供される(例えば、本明細書に記載の線状ポリリボヌクレオチド又は本明細書に記載の線状ポリリボヌクレオチドの転写をコードするDNA分子)。線状ポリリボヌクレオチドは、細胞に提供される外因性DNA分子から細胞内で転写され得る。線状ポリリボヌクレオチドは、細胞に一過性に提供される外因性組換えDNA分子から細胞内で転写され得る。いくつかの実施形態では、外因性DNA分子は、細胞のゲノム中に組み込まれない。いくつかの実施形態では、線状ポリリボヌクレオチドは、細胞のゲノム中に組み込まれる組換えDNA分子から細胞内で転写される。
【0308】
いくつかの実施形態では、細胞は、原核細胞である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリリボヌクレオチドを含む原核細胞は、細菌細胞又は古細菌細胞であってもよい。例えば、本明細書に記載のポリリボヌクレオチドを含む原核細胞は、大腸菌(E coli)、好塩古細菌(例えば、ハロフェラックス・ボルカニ(Haloferax volcaniii))、スフィンゴモナス(Sphingomonas)、シアノバクテリア(例えば、シネチョコッカス・エロンガトゥス(Synechococcus elongatus)、スピルリナ(Spirulina)(アルトロスピラ(Arthrospira))属種、及びシネコシスティス(Synechocystis)属種)、ストレプトマイセス(Streptomyces)、放線菌(actinomycetes)(例えば、ノノムラエア(Nonomuraea)、キタサトスポラ(Kitasatospora)、又はテルモビフィダ(Thermobifida))、バチルス(Bacillus)属種(例えば、枯草菌(Bacillus subtilis)、炭疽菌(Bacillus anthracis)、セレウス菌(Bacillus cereus))、ベータプロテオバクテリア(betaproteobacteria)(例えば、バークホルデリア(Burkholderia))、アルファプロテオバクテリア(alphaproteobacterial)(例えば、アグロバクテリウム(Agrobacterium))、シュードモナス(Pseudomonas)(例えば、プチダ菌(Pseudomonas putida))、及び腸内細菌(enterobacteria)であってもよい。原核細胞は、培地中で増殖させてもよい。原核細胞は、バイオリアクター内に含めてもよい。
【0309】
いくつかの実施形態では、細胞は、真核細胞である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリリボヌクレオチドを含む真核細胞は、単細胞真核細胞である。いくつかの実施形態では、単細胞真核生物は、酵母細胞(例えば、出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)及び他のサッカロマイセス(Saccharomyces)属種)、ブレタノマイセス(Brettanomyces)属種、シゾサッカロマイセス(Schizosaccharomyces)属種、トルラスポラ(Torulaspora)属種、及びピキア(Pichia)属種などの単細胞真菌細胞である。いくつかの実施形態では、単細胞真核細胞は、単細胞動物細胞である。単細胞動物細胞は、多細胞動物から単離され、培養下で増殖される細胞、又はその娘細胞であってもよい。いくつかの実施形態では、単細胞動物細胞は、脱分化され得る。いくつかの実施形態では、単細胞真核細胞は、単細胞植物細胞である。単細胞植物細胞は、多細胞動物から単離され、培養下で増殖される細胞、又はその娘細胞であってもよい。いくつかの実施形態では、単細胞植物細胞は、脱分化され得る。いくつかの実施形態では、単細胞植物細胞は、植物カルスに由来する。実施形態では、単細胞細胞は、植物細胞プロトプラストである。いくつかの実施形態では、単細胞真核細胞は、単細胞真核生物の藻類細胞、例えば、単細胞の緑色藻類、珪藻、ユーグレナ藻、又は渦鞭毛藻類である。目的の単細胞真核藻類の非限定例として、ドナリエラ・サリナ(Dunaliella salina)、クロレラ・バルガリス(Chlorella vulgaris)、クロレラ・ゾフィンギエンシス(Chlorella zofingiensis)、ヘマトコッカス藻(Haematococcus pluvialis)、ネオクロリス・オレオアブンダンス(Neochloris oleoabundans)及び他のネオクロリス(Neochloris)属種、プロトシフォン・ボトリオイデス(Protosiphon botryoides)、ボトリオコッカス・ブラウニイ(Botryococcus braunii)、クリプトコッカス(Cryptococcus)属種、コナミドリムシ(Chlamydomonas reinhardtii)及び他のクラミドモナス(Chlamydomonas)属種が挙げられる。いくつかの実施形態では、単細胞真核細胞は、原生生物細胞である。いくつかの実施形態では、単細胞真核細胞は、原生動物細胞である。
【0310】
いくつかの実施形態では、真核細胞は、多細胞真核生物の細胞である。例えば、多細胞真核生物は、脊椎動物、無脊椎動物、多細胞真菌、多細胞藻、及び多細胞植物からなる群から選択されてもよい。いくつかの実施形態では、真核生物は、ヒトである。いくつかの実施形態では、真核生物は、非ヒト脊椎動物である。いくつかの実施形態では、真核生物は、無脊椎動物である。いくつかの実施形態では、真核生物は、多細胞真菌である。いくつかの実施形態では、真核生物は、多細胞植物である。実施形態では、真核細胞は、ヒトの細胞、又は非ヒト霊長類(例えば、サル、類人猿)、有蹄動物(例えば、ウシ、水牛、バイソン、ヒツジ、ヤギ、及びジャコウウシを含むウシ科;ブタ;ラクダ、ラマ、及びアルパカを含むラクダ類;シカ、アンテロープ;並びにウマ及びロバを含むウマ類)、肉食動物(例えば、イヌ、ネコ)、齧歯類(例えば、ラット、マウス、モルモット、ハムスター、リス)、若しくはウサギ類(例えば、ウサギ、ノウサギ)などの非ヒト哺乳動物の細胞である。実施形態では、真核細胞は、トリ、例えば鳥類分類群キジ目(Galliformes)のメンバー(例えば、ニワトリ、シチメンチョウ、キジ、ウズラ)、ガンカモ目(Anseriformes)(例えば、アヒル、ガチョウ)、古顎類(Paleaognathae)(例えば、ダチョウ、エミュー)、ハト目(Columbiformes)(例えば、ハト(pigeons)、ハト(doves))、又はオウム目(Psittaciformes)(例えば、オウム)の細胞である。実施形態では、真核細胞は、節足動物(例えば、昆虫、クモ類、甲殻類)、線虫、環形動物、蠕虫、又は軟体類の細胞である。実施形態では、真核細胞は、被子植物(双子葉又は単子葉であり得る)又は裸子植物(例えば、針葉樹、ソテツ、マオウ門(Gnetophyte)、イチョウ)、シダ、ツクシ、ヒカゲノカズラ、又はコケ植物などの多細胞植物の細胞である。実施形態では、真核細胞は、真核多細胞藻類の細胞である。
【0311】
真核細胞は、培地中で増殖させてもよい。真核細胞は、バイオリアクター内に含めてもよい。
【0312】
精製方法
1つ以上の精製ステップは、本明細書に記載の方法に含めてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、線状ポリリボヌクレオチドは、線状ポリリボヌクレオチドを自己スプライシングする前に、実質的に濃縮されているか又は純粋である(例えば、精製されている)。他の実施形態では、線状ポリリボヌクレオチドは、線状ポリリボヌクレオチドを自己スプライシングする前に精製されていない。いくつかの実施形態では、得られる環状RNAは精製されている。
【0313】
精製は、1つ以上の望まれない成分、例えば、任意の未反応の開始材料、副産物、酵素、又は他の反応成分から所望の反応産物を分離又は濃縮することを含み得る。例えば、無細胞系における転写(例えば、インビトロ転写)後の線状ポリリボヌクレオチドの精製は、線状ポリリボヌクレオチドを自己スプライシングする前に、DNA鋳型からの分離又は濃縮を含んでもよい。スプライシング後の環状RNA産物の精製を用いて、環状RNAをその対応する線状RNAから分離又は濃縮することができる。RNAの精製方法は、当業者に公知であり、酵素精製又はクロマトグラフィーによる精製を含む。
【0314】
いくつかの実施形態では、精製方法は、50%未満(例えば、40%、30%、20%、10%、5%、4%、3%、2%、又は1%未満)の線状ポリリボヌクレオチドを有する環状ポリリボヌクレオチドをもたらす。
【0315】
バイオリアクター
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の環状ポリリボヌクレオチドを生成する任意の方法は、バイオリアクター内で実施してもよい。バイオリアクターは、生物又はそのような生物に由来する生化学的活性物質を含む化学的又は生物学的プロセスが実施される、任意の容器を指す。バイオリアクターは、本明細書に記載の環状RNAを生成するための無細胞法に適合し得る。バイオリアクター用の容器は、単回使用(ディスポーザブル)、オートクレーブ可能、又は滅菌可能であり得る、培養フラスコ、ディッシュ、又はバッグを含んでもよい。バイオリアクターは、ガラス製であってもよい、又はポリマーベースであってもよい、又は他の材料で製造されてもよい。
【0316】
バイオリアクターの例として、限定はされないが、撹拌タンク(例えば、十分に混合された)バイオリアクター及び平板(例えば、プラグフロー)バイオリアクター、空輸バイオリアクター、膜撹拌タンク(membrane stirred tank)、スピンフィルター撹拌タンク、振動ミキサー、流動層リアクター、及び膜バイオリアクターが挙げられる。バイオリアクターを運転するモードは、バッチ又は連続プロセスであってもよい。バイオリアクターは、試薬及び製品の流れが継続的に供与され、システムから取り除かれる場合、連続的である。バッチバイオリアクターは、連続再循環フローを有し得るが、試薬又は製品回収の連続供与を有し得ない。
【0317】
本開示のいくつかの方法は、環状ポリリボヌクレオチドの大規模生成を対象とする。大規模生成方法の場合、方法は、1リットル(L)~50L、又はそれ以上(例えば、5L、10L、15L、20L、25L、30L、35L、40L、45L、50L、又はそれ以上)の体積で実施することができる。いくつかの実施形態では、方法は、5L~10L、5L~15L、5L~20L、5L~25L、5L~30L、5L~35L、5L~40L、5L~45L、10L~15L、10L~20L、10L~25L、20L~30L、10L~35L、10L~40L、10L~45L、10L~50L、15L~20L、15L~25L、15L~30L、15L~35L、15L~40L、15L~45L、又は15~50Lの体積で実施することができる。
【0318】
いくつかの実施形態では、バイオリアクターは、少なくとも1gの環状RNAを生成し得る。いくつかの実施形態では、バイオリアクターは、1~200gの環状RNA(例えば、1~10g、1~20g、1~50g、10~50g、10~100g、50~100g、50~200gの環状RNA)を生成し得る。いくつかの実施形態では、生成される量は、1リットル当たりで測定され(例えば、1リットル当たり1~200g)、バッチ又は反応当たりで測定され(例えば、バッチ又は反応当たり1~200g)、又は単位時間当たりで測定される(例えば、1時間又は1日当たり1~200g)。
【0319】
いくつかの実施形態では、生成能力を増強するため、2つ以上のバイオリアクターを連続的に利用することができる(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、又は9つのバイオリアクターを連続的に使用することができる)。
【0320】
使用方法
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のとおりに作製された環状ポリリボヌクレオチドは、治療又は農業におけるエフェクターとして使用される。
【0321】
例えば、本明細書に記載の方法によって作製された環状ポリリボヌクレオチドは、(例えば、医薬、動物、又は農業組成物で)対象に投与してもよい。いくつかの実施形態では、対象は、脊椎動物(例えば、哺乳動物、鳥類、魚類、爬虫類、又は両生類)である。いくつかの実施形態では、対象はヒトである。いくつかの実施形態では、対象は非ヒト哺乳動物である。実施形態では、対象は、非ヒト霊長類(例えば、サル、類人猿)、有蹄動物(例えば、ウシ、水牛、ヒツジ、ヤギ、ブタ、ラクダ、ラマ、アルパカ、シカ、ウマ、ロバ)、肉食動物(例えば、イヌ、ネコ)、齧歯類(例えば、ラット、マウス)、又はウサギ類(例えば、ウサギ)などの非ヒト哺乳動物である。実施形態では、対象は、キジ目(Galliformes)(例えば、ニワトリ、シチメンチョウ、キジ、ウズラ)、ガンカモ目(Anseriformes)(例えば、アヒル、ガチョウ)、古顎類(Paleaognathae)(例えば、ダチョウ、エミュー)、ハト目(Columbiformes)(例えば、ハト(pigeons)、ハト(doves))、又はオウム目(Psittaciformes)(例えば、オウム)といった鳥類分類群のメンバーなどの鳥類である。実施形態では、対象は、節足動物(例えば、昆虫、クモ類、甲殻類)、線虫、環形動物、蠕虫、又は軟体類などの無脊椎動物である。実施形態では、対象は、無脊椎動物の農業害虫又は無脊椎動物若しくは脊椎動物宿主に対する寄生虫である無脊椎動物である。実施形態では、対象は、被子植物(双子葉又は単子葉であり得る)又は裸子植物(例えば、針葉樹、ソテツ、マオウ門(Gnetophyte)、イチョウ)、シダ、ツクシ、ヒカゲノカズラ、又はコケ植物などの植物である。実施形態では、対象は、真核藻類(単細胞又は多細胞)である。実施形態では、対象は、作条作物、果実生成植物及び樹木、野菜、樹木、及び観賞植物、例えば、観賞花、低木、樹木、グランドカバー、及び芝生などの農業又は園芸上重要な植物である。
【0322】
いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に記載の組成物又は調製物を対象に提供することによる、対象を変更する方法を提供する。いくつかの実施形態では、組成物又は調製物は、核酸分子(例えば、本明細書に記載のDNA分子又はRNA分子)であるか又はそれを含み、ポリヌクレオチドは、真核生物対象に提供される。いくつかの実施形態では、組成物又は調製物は、本明細書に記載の核酸を含む真核又は原核細胞であるか又はそれを含む。
【0323】
いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に記載の組成物又は調製物を対象に提供することによる、それを必要とする対象における症状を処置する方法を提供する。いくつかの実施形態では、組成物又は調製物は、核酸分子(例えば、本明細書に記載のDNA分子又はRNA分子)であるか又はそれを含み、ポリヌクレオチドは、真核生物対象に提供される。いくつかの実施形態では、組成物又は調製物は、本明細書に記載の核酸を含む真核又は原核細胞であるか又はそれを含む。
【0324】
いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に記載のポリヌクレオチドを含む真核生物又は原核細胞を対象に提供することによる、環状ポリリボヌクレオチドを対象に提供する方法を提供する。
【0325】
調製物
本開示のいくつかの実施形態では、本明細書に記載の環状ポリリボヌクレオチドは、組成物、例えば、細胞、植物、無脊椎動物、非ヒト脊椎動物、又はヒト対象への送達のための組成物、例えば、農業、動物、又は医薬組成物で製剤化することができる。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、医薬組成物で製剤化される。いくつかの実施形態では、組成物は、環状ポリリボヌクレオチド及び希釈剤、担体、アジュバント、又はそれらの組み合わせを含む。特定の実施形態では、組成物は、本明細書に記載の環状ポリリボヌクレオチド及び担体又は担体を全く含まない希釈剤を含む。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドと担体を全く含まない希釈剤とを含む組成物は、環状ポリリボヌクレオチドの対象へのネイキッド送達に使用される。
【0326】
塩
いくつかの場合、本明細書に提供される組成物又は医薬組成物は、1つ又は複数の塩を含む。浸透圧を制御するため、ナトリウム塩などの生理学的塩が、本明細書に提供される組成物に含まれ得る。他の塩は、塩化カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸二ナトリウム、及び/又は塩化マグネシウムなどを含み得る。いくつかの場合、組成物は、1つ又は複数の薬学的に許容できる塩と共に製剤化される。1つ又は複数の薬学的に許容できる塩は、例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムイオンなどの無機イオンのものを含み得る。そのような塩は、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硝酸、硫酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、酢酸、フマル酸、コハク酸、乳酸、マンデル酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、又はマレイン酸などの無機酸又は有機酸の塩を含み得る。ポリリボヌクレオチドは、線状又は環状のいずれかの形態で存在し得る。
【0327】
緩衝剤/pH
本明細書に提供される組成物又は医薬組成物は、トリス緩衝剤;ホウ酸緩衝剤;コハク酸緩衝剤;ヒスチジン緩衝剤(例えば、水酸化アルミニウムアジュバントを有する);又はクエン酸緩衝剤などの1つ又は複数の緩衝剤を含み得る。緩衝剤は、いくつかの場合、5~20mMの範囲内に含まれる。
【0328】
本明細書に提供される組成物又は医薬組成物は、約5.0~約8.5の間、約6.0~約8.0の間、約6.5~約7.5の間、又は約7.0~約7.8の間のpHを有し得る。組成物又は医薬組成物は、約7のpHを有し得る。ポリリボヌクレオチドは、線状又は環状のいずれかの形態で存在し得る。
【0329】
洗浄剤/界面活性剤
本明細書で提供される組成物又は医薬組成物は、意図される投与経路に応じて、1種又は複数種の洗浄剤及び/又は界面活性剤、例えば、ポリオキシエチレンソルビタンエステル界面活性剤(一般に「Tween(登録商標)」と呼ばれる)、例えば、ポリソルベート20及びポリソルベート80;DOWFAX(商標)という商品名で販売されているエチレンオキシド(EO)、プロピレンオキシド(PO)、及び/又はブチレンオキシド(BO)のコポリマー、例えば、線状EO/POブロックコポリマー;エトキシ(オキシ-l,2-エタンジイル)基の繰り返し数が異なり得るオクトキシノール、例えば、オクトキシノール-9(Triton(登録商標) X-100、又はt-オクチルフェノキシポリエトキシエタノール);(オクチルフェノキシ)ポリエトキシエタノール(IGEPAL CA-630/NP-40);リン脂質、例えば、ホスファチジルコリン(レシチン);ノニルフェノールエトキシレート、例えば、Tergitol(商標)NPシリーズ;ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール及びオレイルアルコール由来のポリオキシエチレン脂肪族エーテル(Brij(登録商標)界面活性剤として知られる)、例えば、トリエチレングリコールモノラウリルエーテル(Brij(登録商標) 30);並びにソルビタンエステル(一般に、「SPAN(登録商標)」として知られる)、例えば、ソルビタントリオレエート(Span(登録商標) 85)及びソルビタンモノラウレート、オクトキシノール(オクトキシノール-9(Triton(登録商標) X-100)又はt-オクチルフェノキシポリエトキシエタノールなど)、セチルトリメチルアンモニウムブロミド(「CTAB」)、又はデオキシコール酸ナトリウムを含むことができる。1種又は複数種の洗浄剤及び/又は界面活性剤は、微量でのみ含まれ得る。いくつかの例では、組成物は、オクトキシノール-10及びポリソルベート80のそれぞれを1mg/ml未満含むことができる。本明細書では、非イオン性界面活性剤を使用することができる。界面活性剤は、それらの「HLB」(親水性/親油性バランス)によって分類することができる。いくつかの例では、界面活性剤は、少なくとも10、少なくとも15、及び/又は少なくとも16のHLBを有する。ポリリボヌクレオチドは、線状又は環状の形態で含まれ得る。
【0330】
希釈剤
いくつかの実施形態では、本開示の組成物は、環状ポリリボヌクレオチド及び希釈剤を含む。いくつかの実施形態では、本開示の組成物は、線状ポリリボヌクレオチド及び希釈剤を含む。
【0331】
希釈剤は、非担体賦形剤であり得る。非担体賦形剤は、本明細書に記載される環状ポリリボヌクレオチドなどの、組成物のためのビヒクル又は媒体として働く。非担体賦形剤は、本明細書に記載される線状ポリリボヌクレオチドなどの、組成物のためのビヒクル又は媒体として働く。非担体賦形剤の非限定的な例としては、溶媒、水性溶媒、非水性溶媒、分散媒、希釈剤、分散体、懸濁助剤、表面活性剤、等張剤、増粘剤、乳化剤、保存料、ポリマー、ペプチド、タンパク質、細胞、ヒアルロニダーゼ、分散剤、造粒剤、崩壊剤、結合剤、緩衝剤(例えば、リン酸緩衝生理食塩水(PBS))、滑沢剤、油、及びそれらの混合物が挙げられる。非担体賦形剤は、米国食品医薬品局(United States Food and Drug Administration)(FDA)によって承認され、細胞透過効果を示さないInactive Ingredient Databaseに列挙された非有効成分のいずれかであり得る。非担体賦形剤は、例えば、獣医学的使用に好適な非ヒト動物への投与に好適な任意の不活性成分であり得る。組成物を様々な動物への投与に好適にするための、ヒトへの投与に好適な組成物の変更は、十分に理解されており、通常の技能を有する獣医薬理学者は、あったとしても通常の実験のみでこのような変更を設計及び/又は行うことができる。
【0332】
ある実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、希釈剤を含むものなどのネイキッド送達製剤として送達され得る。ネイキッド送達製剤は、担体を用いずに、修飾又は環状ポリリボヌクレオチドの部分的若しくは完全な封入、キャップされたポリリボヌクレオチド、又はその複合体なしで、環状ポリリボヌクレオチドを細胞に送達する。
【0333】
ネイキッド送達製剤は、担体を含まない製剤であり、ここで、環状ポリリボヌクレオチドは、細胞への送達を助ける部分に結合する共有結合修飾を有さず、又は環状ポリリボヌクレオチドの部分的若しくは完全な封入なしである。ある実施形態では、細胞への送達を助ける部分に結合する共有結合修飾を有さない環状ポリリボヌクレオチドは、タンパク質、小分子、粒子、ポリマー、又はバイオポリマーに共有結合されないポリリボヌクレオチドである。細胞への送達を助ける部分に結合する共有結合修飾を有さない環状ポリリボヌクレオチドは、修飾リン酸基を含まない。例えば、細胞への送達を助ける部分に結合する共共有結合修飾を有さない環状ポリリボヌクレオチドは、ホスホロチオエート、ホスホロセレネート、ボラノホスフェート、ボラノリン酸エステル、水素ホスホネート、ホスホロアミダート、ホスホロジアミダート、アルキル又はアリールホスホネート、又はホスホトリエステルを含まない。
【0334】
ある実施形態では、ネイキッド送達製剤は、トランスフェクション試薬、カチオン性担体、炭水化物担体、ナノ粒子担体、又はタンパク質担体のうちのいずれか又は全てを含まない。ある実施形態では、ネイキッド送達製剤は、フィトグリコーゲンオクテニルスクシネート、フィトグリコーゲンβ-デキストリン、無水物修飾フィトグリコーゲンβ-デキストリン、リポフェクタミン、ポリエチレンイミン、ポリ(トリメチレンイミン)、ポリ(テトラメチレンイミン)、ポリプロピレンイミン、アミノグリコシド-ポリアミン、ジデオキシ-ジアミノ-β-シクロデキストリン、スペルミン、スペルミジン、ポリ(2-ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、ポリ(リジン)、ポリ(ヒスチジン)、ポリ(アルギニン)、カチオン化ゼラチン、デンドリマー、キトサン、1,2-ジオレオイル-3-トリメチルアンモニウム-プロパン(DOTAP)、N-[1-(2,3-ジオレオイルオキシ)プロピル]-N,N,N-トリメチルアンモニウムクロリド(DOTMA)、1-[2-(オレオイルオキシ)エチル]-2-オレイル-3-(2-ヒドロキシエチル)イミダゾリニウムクロリド(DOTIM)、2,3-ジオレイルオキシ-N-[2(スペルミンカルボキサミド)エチル]-N,N-ジメチル-1-プロパンアミニウムトリフルオロアセテート(DOSPA)、3B-[N-(N,N’-ジメチルアミノエタン)-カルバモイル]コレステロール塩酸塩(DC-コレステロールHCl)、ジヘプタデシルアミドグリシルスペルミジン(DOGS)、N,N-ジステアリル-N,N-ジメチルアンモニウムブロミド(DDAB)、N-(1,2-ジミリスチルオキシプロパ-3-イル)-N,N-ジメチル-N-ヒドロキシエチルアンモニウムブロミド(DMRIE)、N,N-ジオレイル-N,N-ジメチルアンモニウムクロリド(DODAC)、ヒト血清アルブミン(HSA)、低比重リポタンパク質(LDL)、高比重リポタンパク質(HDL)、又はグロブリンを含まない。
【0335】
ある実施形態では、ネイキッド送達製剤は、非担体賦形剤を含む。ある実施形態では、非担体賦形剤は、細胞透過効果を示さない不活性成分を含む。ある実施形態では、非担体賦形剤は、緩衝液、例えばPBSを含む。ある実施形態では、非担体賦形剤は、溶媒、非水性溶媒、希釈剤、懸濁助剤、表面活性剤、等張剤、増粘剤、乳化剤、保存料、ポリマー、ペプチド、タンパク質、細胞、ヒアルロニダーゼ、分散剤、造粒剤、崩壊剤、結合剤、緩衝剤、滑沢剤、又は油である。
【0336】
ある実施形態では、ネイキッド送達製剤は、希釈剤を含む。希釈剤は、液体希釈剤又は固体希釈剤であり得る。ある実施形態では、希釈剤は、RNA可溶化剤、緩衝液、又は等張剤である。RNA可溶化剤の例としては、水、エタノール、メタノール、アセトン、ホルムアミド、及び2-プロパノールが挙げられる。緩衝液の例としては、2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)、ビス-トリス、2-[(2-アミノ-2-オキソエチル)-(カルボキシメチル)アミノ]酢酸(ADA)、N-(2-アセトアミド)-2-アミノエタンスルホン酸(ACES)、ピペラジン-N,N’-ビス(2-エタンスルホン酸)(PIPES)、2-[[1,3-ジヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)プロパン-2-イル]アミノ]エタンスルホン酸(TES)、3-(N-モルホリノ)プロパンスルホン酸(MOPS)、4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸(HEPES)、トリス、トリシン、Gly-Gly、ビシン、又はホスフェートが挙げられる。等張剤の例としては、グリセリン、マンニトール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、トレハロース、又はスクロースが挙げられる。
【0337】
担体
ある実施形態では、本開示の組成物は、環状ポリリボヌクレオチド及び担体を含む。ある実施形態では、本開示の組成物は、線状ポリリボヌクレオチド及び担体を含む。
【0338】
特定の実施形態において、組成物は、小胞又は他の膜ベースの担体中に本明細書に記載される環状ポリリボヌクレオチドを含む。特定の実施形態において、組成物は、小胞又は他の膜ベースの担体中に本明細書に記載される線状ポリリボヌクレオチドを含む。
【0339】
他の実施形態において、組成物は、細胞、小胞若しくは他の膜ベースの担体中に又はそれらを介して環状ポリリボヌクレオチドを含む。他の実施形態において、組成物は、細胞、小胞若しくは他の膜ベースの担体中に又はそれらを介して線状ポリリボヌクレオチドを含む。一実施形態において、組成物は、リポソーム又は他の同様の小胞中に環状ポリリボヌクレオチドを含む。一実施形態において、組成物は、リポソーム又は他の同様の小胞中に線状ポリリボヌクレオチドを含む。リポソームは、内部の水性区画を取り囲む単層又は多重膜脂質二重層及び比較的不透過性の外側の親油性リン脂質二重層から構成される球形の小胞構造である。リポソームは、アニオン性、中性又はカチオン性であり得る。リポソームは、生体適合性であり、非毒性であり、親水性及び親油性の両方の薬物分子を送達することができ、そのカーゴを血漿酵素による分解から保護し、生体膜及び血液脳関門(BBB)を越えてそのロードを輸送する(例えば、概説については、Spuch and Navarro,Journal of Drug Delivery,vol.2011,Article ID 469679,12 pages,2011.doi:10.1155/2011/469679を参照されたい)。
【0340】
小胞は、いくつかの異なるタイプの脂質から作製され得るが;リン脂質が、薬物担体としてリポソームを生成するために、最も一般的に使用される。多重膜小胞脂質の調製のための方法が、当該技術分野において公知である(例えば、多重膜小胞脂質調製に関連するその教示内容が参照により本明細書に援用される、米国特許第6,693,086号明細書を参照されたい)。脂質膜が水溶液と混合されるとき、小胞形成が自然に起こり得るが、それはまた、ホモジナイザー、ソニケーター、又は押し出し装置を用いることによって、振とうの形態の力を加えることによって促進され得る(例えば、概説については、Spuch and Navarro,Journal of Drug Delivery,vol.2011,Article ID 469679,12 pages,2011.doi:10.1155/2011/469679を参照されたい)。押し出された脂質は、押し出された脂質の調製に関するその教示内容が参照により本明細書に援用される、Templeton et al.,Nature Biotech,15:647-652,1997に記載されるように、減少したサイズのフィルタに通して押し出すことによって調製され得る。
【0341】
特定の実施形態において、本開示の組成物は、本明細書に記載される環状ポリリボヌクレオチド及び脂質ナノ粒子、例えば、脂質ナノ粒子を含む。特定の実施形態において、本開示の組成物は、線状ポリリボヌクレオチド及び脂質ナノ粒子を含む。脂質ナノ粒子は、本明細書に記載される環状ポリリボヌクレオチド分子のための生体適合性及び生分解性送達システムを提供する担体の別の例である。脂質ナノ粒子は、本明細書に記載される線状ポリリボヌクレオチド分子のための生体適合性及び生分解性送達システムを提供する担体の別の例である。ナノ構造脂質担体(NLC)は、SLNの特性を保持し、薬物安定性及び負荷容量を改善し、薬物漏出を防止する、修飾された固体脂質ナノ粒子(SLN)である。ポリマーナノ粒子(PNP)は、薬物送達の重要な構成要素である。これらのナノ粒子は、薬物送達を、特定の標的に有効に指向し、薬物安定性及び制御薬物放出を改善し得る。リポソーム及びポリマーを組み合わせる新しいタイプの担体である脂質-ポリマーナノ粒子(PLN)も、用いられ得る。これらのナノ粒子は、PNP及びリポソームの補完的な利点を有する。PLNは、コア-シェル構造から構成され;ポリマーコアは、安定した構造を提供し、リン脂質シェルは、良好な生体適合性を提供する。したがって、2つの構成要素が、薬物封入効率を増加させ、表面修飾を促進し、水溶性薬物の漏出を防止する。概説については、例えば、Li et al.2017,Nanomaterials 7,122;doi:10.3390/nano7060122を参照されたい。
【0342】
担体のさらなる非限定的な例としては、炭水化物担体(例えば、無水物修飾フィトグリコーゲン若しくはグリコーゲン型材料)、タンパク質担体(例えば、環状ポリリボヌクレオチドに共有結合されたタンパク質又は線状ポリリボヌクレオチドに共有結合されたタンパク質)、又はカチオン性担体(例えば、カチオン性リポポリマー又はトランスフェクション試薬)が挙げられる。炭水化物担体の非限定的な例としては、フィトグリコーゲンオクテニルスクシネート、フィトグリコーゲンβ-デキストリン、及び無水物修飾フィトグリコーゲンβ-デキストリンが挙げられる。カチオン性担体の非限定的な例としては、リポフェクタミン、ポリエチレンイミン、ポリ(トリメチレンイミン)、ポリ(テトラメチレンイミン)、ポリプロピレンイミン、アミノグリコシド-ポリアミン、ジデオキシ-ジアミノ-b-シクロデキストリン、スペルミン、スペルミジン、ポリ(2-ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、ポリ(リジン)、ポリ(ヒスチジン)、ポリ(アルギニン)、カチオン化ゼラチン、デンドリマー、キトサン、l,2-ジオレオイル-3-トリメチルアンモニウム-プロパン(DOTAP)、N-[1-(2,3-ジオレオイルオキシ)プロピル]-N,N,N-トリメチルアンモニウムクロリド(DOTMA)、l-[2-(オレオイルオキシ)エチル]-2-オレイル-3-(2-ヒドロキシエチル)イミダゾリニウムクロリド(DOTIM)、2,3-ジオレイルオキシ-N-[2(スペルミンカルボキサミド)エチル]-N,N-ジメチル-l-プロパンアミニウムトリフルオロアセテート(DOSPA)、3B-[N-(N\N’-ジメチルアミノエタン)-カルバモイル]コレステロール塩酸塩(DC-コレステロールHC1)、ジヘプタデシルアミドグリシルスペルミジン(DOGS)、N,N-ジステアリル-N,N-ジメチルアンモニウムブロミド(DDAB)、N-(l,2-ジミリスチルオキシプロパ-3-イル)-N,N-ジメチル-N-ヒドロキシエチルアンモニウムブロミド(DMRIE)、及びN,N-ジオレイル-N,N-ジメチルアンモニウムクロリド(DODAC)が挙げられる。タンパク質担体の非限定的な例としては、ヒト血清アルブミン(HSA)、低比重リポタンパク(LDL)、高密度リポタンパク質(HDL)、又はグロブリンが挙げられる。
【0343】
エキソソームはまた、本明細書に記載される環状RNA組成物又は調製物の薬物送達ビヒクルとして使用され得る。エキソソームはまた、本明細書に記載される線状ポリリボヌクレオチド組成物又は調製物の薬物送達ビヒクルとして使用され得る。レビューのためには、Ha et al.July 2016.Acta Pharmaceutica Sinica B.Volume 6,Issue 4,Pages 287-296;https://doi.org/10.1016/j.apsb.2016.02.001を参照されたい。
【0344】
エクスビボ分化赤血球はまた、本明細書に記載される環状RNA組成物又は調製物の担体として使用され得る。エクスビボ分化赤血球はまた、本明細書に記載される線状ポリリボヌクレオチド組成物又は調製物の担体として使用され得る。例えば、国際公開第2015/073587号パンフレット;国際公開第2017/123646号パンフレット;国際公開第2017/123644号パンフレット;国際公開第2018/102740号パンフレット;国際公開第2016/183482号パンフレット;国際公開第2015/153102号パンフレット;国際公開第2018/151829号パンフレット;国際公開第2018/009838号パンフレット;Shi et al.2014.Proc Natl Acad Sci USA.111(28):10131-10136;米国特許第9,644,180号明細書;Huang et al.2017.Nature Communications 8:423;Shi et al.2014.Proc Natl Acad Sci USA.111(28):10131-10136を参照されたい。
【0345】
例えば、国際公開第2018/208728号パンフレットに記載されるようなフソソーム組成物も、本明細書に記載される環状ポリリボヌクレオチド分子を送達するための担体として使用され得る。例えば、国際公開第2018/208728号パンフレットに記載されるようなフソソーム組成物も、本明細書に記載される線状ポリリボヌクレオチド分子を送達するための担体として使用され得る。
【0346】
ビロソーム及びウイルス様粒子(VLP)も、本明細書に記載される環状ポリリボヌクレオチド分子を標的細胞に送達するための担体として使用され得る。ビロソーム及びウイルス様粒子(VLP)も、本明細書に記載される線状ポリリボヌクレオチド分子を標的細胞に送達するための担体として使用され得る。
【0347】
例えば、国際特許公開番号国際公開第2011/097480号パンフレット、国際公開第2013/070324号パンフレット、国際公開第2017/004526号パンフレット、又は国際公開第2020041784号パンフレットに記載されるような植物ナノ小胞及び植物メッセンジャーパック(PMP)も、本明細書に記載される環状RNA組成物又は調製物を送達するための担体として使用され得る。植物ナノ小胞及び植物メッセンジャーパック(PMP)も、本明細書に記載される線状ポリリボヌクレオチド組成物又は調製物を送達するための担体として使用され得る。
【0348】
マイクロバブルも、本明細書に記載される環状ポリリボヌクレオチド分子を送達するための担体として使用され得る。マイクロバブルも、本明細書に記載される線状ポリリボヌクレオチド分子を送達するための担体として使用され得る。例えば、米国特許第7115583号明細書;Beeri,R.et al.,Circulation.2002 Oct 1;106(14):1756-1759;Bez,M.et al.,Nat Protoc.2019 Apr;14(4):1015-1026;Hernot,S.et al.,Adv Drug Deliv Rev.2008 Jun 30;60(10):1153-1166;Rychak,J.J.et al.,Adv Drug Deliv Rev.2014 Jun;72:82-93を参照されたい。ある実施形態では、マイクロバブルは、アルブミン被覆されたペルフルオロカーボンマイクロバブルである。
【0349】
本明細書に記載の環状ポリリボヌクレオチドを含む担体は、複数の粒子を含み得る。粒子は、30~700ナノメートル(例えば、30~50、50~100、100~200、200~300、300~400、400~500、500~600、600~700、100~500、50~500、又は200~700ナノメートル)の物品サイズ中央値を有し得る。粒子の大きさは、細胞への環状ポリリボヌクレオチドを含むペイロードの沈着に有利に働くように最適化することができる。特定の細胞型への環状ポリリボヌクレオチドの沈着は、異なる粒径に有利であり得る。例えば、粒径は、抗原提示細胞への環状ポリリボヌクレオチドの沈着のために最適化され得る。粒径は、樹状細胞への環状ポリリボヌクレオチドの沈着のために最適化され得る。さらに、粒径は、流入領域リンパ節細胞への環状ポリリボヌクレオチドの沈着のために最適化され得る。
【0350】
脂質ナノ粒子
本開示によって提供される組成物、方法、及び送達システムは、特定の実施形態において、本明細書に記載の脂質ナノ粒子(LNP)を含む任意の好適な担体又は送達モダリティを用い得る。脂質ナノ粒子は、ある実施形態では、1つ以上のイオン性脂質、例えば、非カチオン性脂質(例えば、中性又はアニオン性、又は両性脂質);1つ以上のコンジュゲート脂質(PEGコンジュゲート脂質又は全体が参照により本明細書に援用される国際公開第2019217941号パンフレットの表5に記載されるポリマーにコンジュゲートされた脂質など);1つ以上のステロール(例えば、コレステロール)を含む。
【0351】
ナノ粒子形成において使用され得る脂質(例えば、脂質ナノ粒子)は、例えば、参照により援用される国際公開第2019217941号パンフレットの表4に記載されるものを含み-例えば、脂質含有ナノ粒子は、国際公開第2019217941号パンフレットの表4中の脂質の1つ以上を含み得る。脂質ナノ粒子は、さらなる要素、例えば、ポリマー、例えば、参照により援用される国際公開第2019217941号パンフレットの表5に記載されるポリマーを含み得る。
【0352】
ある実施形態では、コンジュゲート脂質は、存在する場合、PEG-ジアシルグリセロール(DAG)(l-(モノメトキシ-ポリエチレングリコール)-2,3-ジミリストイルグリセロール(PEG-DMG)など)、PEG-ジアルキルオキシプロピル(DAA)、PEG-リン脂質、PEG-セラミド(Cer)、ペグ化ホスファチジルエタノールアミン(PEG-PE)、PEGスクシネートジアシルグリセロール(PEGS-DAG)(4-0-(2’,3’-ジ(テトラデカノイルオキシ)プロピル-l-0-(w-メトキシ(ポリエトキシ)エチル)ブタンジオエート(PEG-S-DMG)など)、PEGジアルコキシプロピルカルバム、N-(カルボニル-メトキシポリエチレングリコール2000)-1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミンナトリウム塩、及び国際公開第2019051289号パンフレット(参照により援用される)の表2に記載されるもの、並びに上記のものの組合せのうちの1つ以上を含み得る。
【0353】
ある実施形態では、脂質ナノ粒子に組み込まれ得るステロールとしては、参照により援用される国際公開第2009/127060号パンフレット又は米国特許出願公開第2010/0130588号明細書に記載されるものなどの、コレステロール又はコレステロール誘導体の1つ以上が挙げられる。さらなる例示的なステロールとしては、参照により本明細書に援用される、Eygeris et al.(2020)、dx.doi.org/10.1021/acs.nanolett.0c01386に記載されるものを含む植物ステロールが挙げられる。
【0354】
ある実施形態では、脂質粒子は、イオン化可能な脂質、非カチオン性脂質、粒子の凝集を阻害するコンジュゲート脂質、及びステロールを含む。これらの構成要素の量は、独立して、所望の特性を達成するために変化され得る。例えば、ある実施形態では、脂質ナノ粒子は、総脂質の約20mol%~約90mol%の量のイオン化可能な脂質(他の実施形態において、それは、脂質ナノ粒子中に存在する総脂質の20~70%(mol)、30~60%(mol)又は40~50%(mol);約50mol%~約90mol%であり得る)、総脂質の約5mol%~約30mol%の量の非カチオン性脂質、総脂質の約0.5mol%~約20mol%の量のコンジュゲート脂質、及び総脂質の約20mol%~約50mol%の量のステロールを含む。総脂質対核酸の比率は、必要に応じて変化され得る。例えば、総脂質対核酸(質量又は重量)比は、約10:1~約30:1であり得る。
【0355】
ある実施形態では、脂質対核酸比(質量/質量比;w/w比)は、約1:1~約25:1、約10:1~約14:1、約3:1~約15:1、約4:1~約10:1、約5:1~約9:1、又は約6:1~約9:1の範囲であり得る。脂質及び核酸の量は、所望のN/P比、例えば、3、4、5、6、7、8、9、10又はそれ以上のN/P比を得るために調整され得る。一般に、脂質ナノ粒子製剤の全脂質含量は、約5mg/ml~約30mg/mLの範囲であり得る。
【0356】
本明細書に記載される組成物、例えば、本明細書に記載される核酸(例えば、RNA(例えば、環状ポリリボヌクレオチド、線状ポリリボヌクレオチド))の送達のための脂質ナノ粒子を形成するために(例えば、他の脂質成分と組み合わせて)使用され得る脂質化合物のいくつかの非限定的な例としては、以下のものが挙げられる。
【化20】
ある実施形態では、式(i)を含むLNPが、本明細書に記載されるポリリボヌクレオチド(例えば、環状ポリリボヌクレオチド、線状ポリリボヌクレオチド)組成物を、細胞に送達するのに使用される。
【0357】
【化21】
ある実施形態では、式(ii)を含むLNPが、本明細書に記載されるポリリボヌクレオチド(例えば、環状ポリリボヌクレオチド、線状ポリリボヌクレオチド)組成物を、細胞に送達するのに使用される。
【0358】
【化22】
ある実施形態では、式(iii)を含むLNPが、本明細書に記載されるポリリボヌクレオチド(例えば、環状ポリリボヌクレオチド、線状ポリリボヌクレオチド)組成物を、細胞に送達するのに使用される。
【0359】
【化23】
ある実施形態では、式(v)を含むLNPが、本明細書に記載されるポリリボヌクレオチド(例えば、環状ポリリボヌクレオチド、線状ポリリボヌクレオチド)組成物を、細胞に送達するのに使用される。
【0360】
【化24】
ある実施形態では、式(vi)を含むLNPが、本明細書に記載されるポリリボヌクレオチド(例えば、環状ポリリボヌクレオチド、線状ポリリボヌクレオチド)組成物を、細胞に送達するのに使用される。
【0361】
【化25】
ある実施形態では、式(viii)を含むLNPが、本明細書に記載されるポリリボヌクレオチド(例えば、環状ポリリボヌクレオチド、線状ポリリボヌクレオチド)組成物を、細胞に送達するのに使用される。
【0362】
【化26】
ある実施形態では、式(ix)を含むLNPが、本明細書に記載されるポリリボヌクレオチド(例えば、環状ポリリボヌクレオチド、線状ポリリボヌクレオチド)組成物を、細胞に送達するのに使用される。
【化27】
式中、
X
1が、O、NR
1、又は直接結合であり、X
2が、C2~5アルキレンであり、X
3が、C(=O)又は直接結合であり、R
1が、H又はMeであり、R
3が、C1~3アルキルであり、R
2が、C1~3アルキルであり、又はR
2が、それが結合される窒素原子及びX
2の1~3個の炭素原子と一緒になって、4員、5員、若しくは6員環を形成し、又はX
1が、NR
1であり、R
1及びR
2が、それらが結合される窒素原子と一緒になって、5員若しくは6員環を形成し、又はR
2が、R
3及びそれらが結合される窒素原子と一緒になって、5員、6員、若しくは7員環を形成し、Y
1が、C2~12アルキレンであり、Y
2が、
【化28】
から選択され、
nが、0~3であり、R
4が、C1~15アルキルであり、Z
1が、C1~6アルキレン又は直接結合であり、
Z
2が
【化29】
(いずれかの配向で)であるか又は非存在であり、ただし、Z
1が直接結合であり、Z
2が非存在である場合;
R
5が、C5~9アルキル又はC6~10アルコキシであり、R
6が、C5~9アルキル又はC6~10アルコキシであり、Wが、メチレン又は直接結合であり、R
7が、H又はMe、又はその塩であり、ただし、R
3及びR
2が、C2アルキルであり、X
1が、Oであり、X
2が、直鎖状C3アルキレンであり、X
3が、C(=0)であり、Y
1が、直鎖状Ceアルキレンであり、(Y
2)n-R
4が、
【化30】
であり、R
4が、直鎖状C5アルキルであり、Z
1が、C2アルキレンであり、Z
2が、非存在であり、Wが、メチレンであり、R
7が、Hである場合、R
5及びR
6が、Cxアルコキシでない。
【0363】
ある実施形態では、式(xii)を含むLNPが、本明細書に記載されるポリリボヌクレオチド(例えば、環状ポリリボヌクレオチド、線状ポリリボヌクレオチド)組成物を、細胞に送達するのに使用される。
【0364】
【化31】
ある実施形態では、式(xi)を含むLNPが、本明細書に記載されるポリリボヌクレオチド(例えば、環状ポリリボヌクレオチド、線状ポリリボヌクレオチド)組成物を、細胞に送達するのに使用される。
【0365】
【化32】
ある実施形態では、LNPは、式(xiii)の化合物及び式(xiv)の化合物を含む。
【0366】
【化33】
ある実施形態では、式(xv)を含むLNPが、本明細書に記載されるポリリボヌクレオチド(例えば、環状ポリリボヌクレオチド、線状ポリリボヌクレオチド)組成物を、細胞に送達するのに使用される。
【0367】
【化34】
ある実施形態では、式(xvi)の製剤を含むLNPが、本明細書に記載されるポリリボヌクレオチド(例えば、環状ポリリボヌクレオチド、線状ポリリボヌクレオチド)組成物を、細胞に送達するのに使用される。
【化35】
【0368】
ある実施形態では、本明細書に記載される組成物、例えば、本明細書に記載される核酸(例えば、RNA(例えば、環状ポリリボヌクレオチド、線状ポリリボヌクレオチド))の送達のための脂質ナノ粒子を形成するのに使用される脂質化合物は、以下の反応のうちの1つによって作製される:
【化36】
【0369】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるポリリボヌクレオチド(例えば、環状ポリリボヌクレオチド、線状ポリリボヌクレオチド)組成物を細胞に送達するために、式(xxi)を含むLNPが使用される。いくつかの実施形態では、式(xxi)のLNPは、国際公開第2021113777号パンフレットによって記載されるLNP(例えば、国際公開第2021113777号パンフレットの表1の脂質など、式(1)の脂質)である。
【化37】
式中、
各nは、独立に、2~15の整数であり;L
1及びL
3は、各々独立に、-OC(O)-
*又は-C(O)O-
*であり、式中、「
*」は、R
1又はR
3との結合点を指し;
R
1及びR
3は、各々独立に、オキソ、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、アルキル、アルケニル、アルデヒド、ヘテロシクリルアルキル、ヒドロキシアルキル、ジヒドロキシアルキル、ヒドロキシアルキルアミノアルキル、アミノアルキル、アルキルアミノアルキル、ジアルキルアミノアルキル、(ヘテロシクリル)(アルキル)アミノアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、アルキルヘテロアリール、アルキニル、アルコキシ、アミノ、ジアルキルアミノ、アミノアルキルカルボニルアミノ、アミノカルボニルアルキルアミノ、(アミノカルボニルアルキル)(アルキル)アミノ、アルケニルカルボニルアミノ、ヒドロキシカルボニル、アルキルオキシカルボニル、アミノカルボニル、アミノアルキルアミノカルボニル、アルキルアミノアルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノアルキルアミノカルボニル、ヘテロシクリルアルキルアミノカルボニル、(アルキルアミノアルキル)(アルキル)アミノカルボニル、アルキルアミノアルキルカルボニル、ジアルキルアミノアルキルカルボニル、ヘテロシクリルカルボニル、アルケニルカルボニル、アルキニルカルボニル、アルキルスルホキシド、アルキルスルホキシドアルキル、アルキルスルホニル、及びアルキルスルホンアルキルからなる群から選択される1つ又は複数の置換基によって任意選択で置換されている、線状又は分枝状C
9~C
20アルキル又はC
9~C
20アルケニルであり;及び
R
2は、
【化38】
からなる群から選択される。
【0370】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるポリリボヌクレオチド(例えば、環状ポリリボヌクレオチド、線状ポリリボヌクレオチド)組成物を細胞に送達するために、式(xxii)を含むLNPが使用される。いくつかの実施形態では、式(xxii)のLNPは、国際公開第2021113777号パンフレットによって記載されるLNP(例えば、国際公開第2021113777号パンフレットの表2の脂質など、式(2)の脂質)である。
【化39】
式中、
各nは、独立に、1~15の整数であり;
R
1及びR
2は、各々独立に、
【化40】
からなる群から選択される。
【0371】
【0372】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるポリリボヌクレオチド(例えば、環状ポリリボヌクレオチド、線状ポリリボヌクレオチド)組成物を細胞に送達するために、式(xxiii)を含むLNPが使用される。いくつかの実施形態では、式(xxiii)のLNPは、国際公開第2021113777号パンフレットによって記載されるLNP(例えば、国際公開第2021113777号パンフレットの表3の脂質など、式(3)の脂質)である。
【化42】
式中、
Xは、-O-、-S-、又は-OC(O)-
*から選択され、式中、
*は、R
1との結合点を指し;
R
1は、
【化43】
からなる群から選択され、
R
2は、
【化44】
からなる群から選択される。
【0373】
ある実施形態では、本明細書に記載される組成物(例えば核酸(例えば環状ポリリボヌクレオチド、線状ポリリボヌクレオチド)又はタンパク質)は、イオン化可能な脂質を含むLNP中で提供される。ある実施形態では、イオン化可能な脂質は、例えば、米国特許第9,867,888号明細書(全体が参照により本明細書に援用される)の実施例1に記載されるようなヘプタデカン-9-イル8-((2-ヒドロキシエチル)(6-オキソ-6-(ウンデシルオキシ)ヘキシル)アミノ)オクタノエート(SM-102)である。ある実施形態では、イオン化可能な脂質は、例えば、国際公開第2015/095340号パンフレット(全体が参照により本明細書に援用される)の実施例13において合成されるような9Z,12Z)-3-((4,4-ビス(オクチルオキシ)ブタノイル)オキシ)-2-((((3-(ジエチルアミノ)プロポキシ)カルボニル)オキシ)メチル)プロピルオクタデカ-9,12-ジエノエート(LP01)である。ある実施形態では、イオン化可能な脂質は、例えば、米国特許出願公開第2012/0027803号明細書(全体が参照により本明細書に援用される)実施例7、8、又は9において合成されるようなジ((Z)-ノナ-2-エン-1-イル)9-((4-ジメチルアミノ)ブタノイル)オキシ)ヘプタデカンジオエート(L319)である。ある実施形態では、イオン化可能な脂質は、例えば、国際公開第2010/053572号パンフレット(全体が参照により本明細書に援用される)の実施例14及び16において合成されるような1,1’-((2-(4-(2-((2-(ビス(2-ヒドロキシドデシル)アミノ)エチル)(2-ヒドロキシドデシル)アミノ)エチル)ピペラジン-1-イル)エチル)アザンジイル)ビス(ドデカン-2-オール)(C12-200)である。ある実施形態では、イオン化可能な脂質は、イミダゾールコレステロールエステル(ICE)脂質(3S、10R、13R、17R)-10、13-ジメチル-17-((R)-6-メチルヘプタン-2-イル)-2、3、14、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17-テトラデカヒドロ-lH-シクロペンタ[a]フェナントレン-3-イル3-(1H-イミダゾール-4-イル)プロパノエート、例えば、国際公開第2020/106946号パンフレット(全体が参照により本明細書に援用される)からの構造(I)である。
【0374】
ある実施形態では、イオン化可能な脂質は、カチオン性脂質、イオン化可能なカチオン性脂質、例えば、pHに応じて正荷電若しくは中性形態で存在し得るカチオン性脂質、又は容易にプロトン化され得るアミン含有脂質であり得る。ある実施形態では、カチオン性脂質は、例えば、生理的条件下で、正に荷電することが可能である脂質である。例示的なカチオン性脂質としては、正電荷を有する1つ以上のアミン基を含む。ある実施形態では、脂質粒子は、中性脂質、イオン化可能なアミン含有脂質、生分解性アルキン脂質、ステロイド、多価不飽和脂質を含むリン脂質、構造脂質(例えば、ステロール)、PEG、コレステロール及びポリマーコンジュゲート脂質のうちの1つ以上との配合物中のカチオン性脂質を含む。ある実施形態では、カチオン性脂質は、イオン化可能なカチオン性脂質であり得る。本明細書に開示される例示的なカチオン性脂質は、6.0を超える有効pKaを有し得る。実施形態において、脂質ナノ粒子は、第1のカチオン性脂質と異なる有効pKa(例えば、第1の有効pKaより高い)を有する第2のカチオン性脂質を含み得る。脂質ナノ粒子は、40~60molパーセントのカチオン性脂質、中性脂質、ステロイド、ポリマーコンジュゲート脂質、及び治療剤、例えば、脂質ナノ粒子内に封入されるか又はそれと結合された本明細書に記載される核酸(例えば、RNA(例えば、環状ポリリボヌクレオチド、線状ポリリボヌクレオチド))を含み得る。ある実施形態では、核酸は、カチオン性脂質と同時に配合される。核酸は、LNP、例えば、カチオン性脂質を含むLNPの表面に吸着され得る。ある実施形態では、核酸は、LNP、例えば、カチオン性脂質を含むLNP内に封入され得る。ある実施形態では、脂質ナノ粒子は、例えば、標的化剤で被覆された標的部分を含み得る。実施形態において、LNP製剤は、生分解性である。ある実施形態では、本明細書に記載される1つ以上の脂質、例えば、式(i)、(ii)、(ii)、(vii)及び/又は(ix)を含む脂質ナノ粒子は、少なくとも1%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%又は100%のRNA分子を封入する。
【0375】
脂質ナノ粒子製剤に使用され得る例示的なイオン化可能な脂質としては、限定はされないが、参照により本明細書に援用される国際公開第2019051289号パンフレットの表1に列挙されるものが挙げられる。さらなる例示的な脂質としては、限定はされないが、以下の式の1つ以上:米国特許出願公開第2016/0311759号明細書のX;米国特許出願公開第20150376115号明細書又は米国特許出願公開第2016/0376224号明細書のI;米国特許出願公開第20160151284号明細書のI、II又はIII;米国特許出願公開第20170210967号明細書のI、IA、II、又はIIA;米国特許出願公開第20150140070号明細書のI-c;米国特許出願公開第2013/0178541号明細書のA;米国特許出願公開第2013/0303587号明細書又は米国特許出願公開第2013/0123338号明細書のI;米国特許出願公開第2015/0141678号明細書のI;米国特許出願公開第2015/0239926号明細書のII、III、IV、又はV;米国特許出願公開第2017/0119904号明細書のI;国際公開第2017/117528号パンフレットのI又はII;米国特許出願公開第2012/0149894号明細書のA;米国特許出願公開第2015/0057373号明細書のA;国際公開第2013/116126号パンフレットのA;米国特許出願公開第2013/0090372号明細書のA;米国特許出願公開第2013/0274523号明細書のA;米国特許出願公開第2013/0274504号明細書のA;米国特許出願公開第2013/0053572号明細書のA;国際公開第2013/016058号パンフレットのA;国際公開第2012/162210号パンフレットのA;米国特許出願公開第2008/042973号明細書のI;米国特許出願公開第2012/01287670号明細書のI、II、III、又はIV;米国特許出願公開第2014/0200257号明細書のI又はII;米国特許出願公開第2015/0203446号明細書のI、II、又はIII;米国特許出願公開第2015/0005363号明細書のI又はIII;米国特許出願公開第2014/0308304号明細書のI、IA、IB、IC、ID、II、IIA、IIB、IIC、IID、又はIII~XXIV;米国特許出願公開第2013/0338210号明細書の;国際公開第2009/132131号パンフレットのI、II、III、又はIV;米国特許出願公開第2012/01011478号明細書のA;米国特許出願公開第2012/0027796号明細書のI又はXXXV;米国特許出願公開第2012/0058144号明細書のXIV又はXVII;米国特許出願公開第2013/0323269号明細書の;米国特許出願公開第2011/0117125号明細書のI;米国特許出願公開第2011/0256175号明細書のI、II、又はIII;米国特許出願公開第2012/0202871号明細書のI、II、III、IV、V、VI、VII、VIII、IX、X、XI、XII;米国特許出願公開第2011/0076335号明細書のI、II、III、IV、V、VI、VII、VIII、X、XII、XIII、XIV、XV、又はXVI;米国特許出願公開第2006/008378号明細書のI又はII;米国特許出願公開第2013/0123338号明細書のI;米国特許出願公開第2015/0064242号明細書のI又はX-A-Y-Z;米国特許出願公開第2013/0022649号明細書のXVI、XVII、又はXVIII;米国特許出願公開第2013/0116307号明細書のI、II、又はIII;米国特許出願公開第2013/0116307号明細書のI、II、又はIII;米国特許出願公開第2010/0062967号明細書のI又はII;米国特許出願公開第2013/0189351号明細書のI~X;米国特許出願公開第2014/0039032号明細書のI;米国特許出願公開第2018/0028664号明細書のV;米国特許出願公開第2016/0317458号明細書のI;米国特許出願公開第2013/0195920号明細書のI;米国特許出願公開第10,221,127号明細書の5、6、又は10;国際公開第2018/081480号パンフレットのIII-3;国際公開第2020/081938号パンフレットのI-5又はI-8;米国特許出願公開第9,867,888号明細書の18又は25;米国特許出願公開第2019/0136231号明細書のA;国際公開第2020/219876号パンフレットのII;米国特許出願公開第2012/0027803号明細書の1;米国特許出願公開第2019/0240349号明細書のOF-02;米国特許出願公開第10,086,013号明細書の23;Miao et al(2020)のcKK-E12/A6;国際公開第2010/053572号パンフレットのC12-200;Dahlman et al(2017)の7C1;Whitehead et alの304-O13又は503-O13;米国特許第9,708,628号明細書のTS-P4C2;国際公開第2020/106946号パンフレットのI;国際公開第2020/106946号パンフレットのI;及び国際公開第2021/113777号パンフレットの(1)、(2)、(3)又は(4)が挙げられる。例示的脂質としては、国際公開第2021/113777号パンフレットの表1~表16のいずれか1つの脂質がさらに挙げられる。
【0376】
ある実施形態では、イオン化可能な脂質は、例えば、国際公開第2019051289A9号パンフレット(全体が参照により本明細書に援用される)の実施例9に記載されるようなMC3(6Z,9Z,28Z,3lZ)-ヘプタトリアコンタ-6,9,28,3l-テトラエン-l9-イル-4-(ジメチルアミノ)ブタノエート(DLin-MC3-DMA又はMC3)である。ある実施形態では、イオン化可能な脂質は、例えば、国際公開第2019051289A9号パンフレット(全体が参照により本明細書に援用される)の実施例10に記載されるような脂質ATX-002である。ある実施形態では、イオン化可能な脂質は、例えば、国際公開第2019051289A9号パンフレット(全体が参照により本明細書に援用される)の実施例11に記載されるような(l3Z,l6Z)-A,A-ジメチル-3-ノニルドコサ-l3、l6-ジエン-l-アミン(化合物32)である。ある実施形態では、イオン化可能な脂質は、例えば、国際公開第2019051289A9号パンフレット(全体が参照により本明細書に援用される)の実施例12に記載されるような化合物6又は化合物22である。
【0377】
例示的な非カチオン性脂質としては、限定はされないが、ジステアロイル-sn-グリセロ-ホスホエタノールアミン、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、ジオレイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジオレオイルホスファチジルグリセロール(DOPG)、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール(DPPG)、ジオレオイル-ホスファチジルエタノールアミン(DOPE)、パルミトイルオレオイルホスファチジルコリン(POPC)、パルミトイルオレオイルホスファチジルエタノールアミン(POPE)、ジオレオイル-ホスファチジルエタノールアミン4-(N-マレイミドメチル)-シクロヘキサン-1-カルボキシレート(DOPE-mal)、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン(DPPE)、ジミリストイルホスホエタノールアミン(DMPE)、ジステアロイル-ホスファチジル-エタノールアミン(DSPE)、モノメチル-ホスファチジルエタノールアミン(16-O-モノメチルPEなど)、ジメチル-ホスファチジルエタノールアミン(16-O-ジメチルPEなど)、l8-l-trans PE、l-ステアロイル-2-オレオイル-ホスファチジルエタノールアミン(SOPE)、水素化大豆ホスファチジルコリン(HSPC)、卵ホスファチジルコリン(EPC)、ジオレオイルホスファチジルセリン(DOPS)、スフィンゴミエリン(SM)、ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)、ジミリストイルホスファチジルグリセロール(DMPG)、ジステアロイルホスファチジルグリセロール(DSPG)、ジエルコイルホスファチジルコリン(DEPC)、パルミトイルオレオイルホスファチジルグリセロール(POPG)、ジエライドイル-ホスファチジルエタノールアミン(DEPE)、レシチン、ホスファチジルエタノールアミン、リゾレシチン、リゾホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、スフィンゴミエリン、卵スフィンゴミエリン(ESM)、セファリン、カルジオリピン、ホスファチジン酸、セレブロシド、ジセチルホスフェート、リゾホスファチジルコリン、ジリノレオイルホスファチジルコリン、又はそれらの混合物が挙げられる。他のジアシルホスファチジルコリン及びジアシルホスファチジルエタノールアミンリン脂質も使用され得ることが理解される。これらの脂質中のアシル基は、好ましくは、C10~C24炭素鎖を有する脂肪酸に由来するアシル基、例えば、ラウロイル、ミリストイル、パルミトイル、ステアロイル、又はオレオイルである。さらなる例示的な脂質としては、特定の実施形態において、限定はされないが、参照により本明細書に援用される、Kim et al.(2020)dx.doi.org/10.1021/acs.nanolett.0c01386に記載されるものが挙げられる。このような脂質としては、ある実施形態では、mRNA(例えば、DGTS)との肝臓トランスフェクションを改善することが分かっている植物脂質が挙げられる。
【0378】
脂質ナノ粒子に使用するのに好適な非カチオン性脂質の他の例としては、限定はされないが、非リン脂質、例えば、ステアリルアミン、ドデシルアミン、ヘキサデシルアミン、パルミチン酸アセチル、リシノール酸グリセロール、ステアリン酸ヘキサデシル、ミリスチン酸イソプロピル、両性アクリルポリマー、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、アルキル-アリールサルフェートポリエチルオキシ化脂肪酸アミド、ジオクタデシルジメチルアンモニウムブロミド、セラミド、スフィンゴミエリンなどが挙げられる。他の非カチオン性脂質が、国際公開第2017/099823号パンフレット又は米国特許出願公開第2018/0028664号明細書(全内容が参照により本明細書に援用される)に記載される。
【0379】
ある実施形態では、非カチオン性脂質は、オレイン酸又は米国特許出願公開第2018/0028664号明細書(全体が参照により本明細書に援用される)の式I、II、若しくはIVの化合物である。非カチオン性脂質は、例えば、脂質ナノ粒子中に存在する総脂質の0~30%(mol)を占め得る。ある実施形態では、非カチオン性脂質含量は、脂質ナノ粒子中に存在する総脂質の5~20%(mol)又は10~15%(mol)である。実施形態において、イオン化可能な脂質対中性脂質のモル比は、約2:1~約8:1の範囲(例えば、約2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、又は8:1)である。
【0380】
ある実施形態では、脂質ナノ粒子は、いずれのリン脂質も含まない。
【0381】
ある態様において、脂質ナノ粒子は、膜完全性を提供するために、ステロールなどの成分をさらに含み得る。脂質ナノ粒子に使用され得る1つの例示的なステロールは、コレステロール及びその誘導体である。コレステロール誘導体の非限定的な例としては、極性類似体、例えば、5a-コレスタノール、53-コプロスタノール、コレステリル-(2,-ヒドロキシ)-エチルエーテル、コレステリル-(4’-ヒドロキシ)-ブチルエーテル、及び6-ケトコレスタノール;非極性類似体、例えば、5a-コレスタン、コレステノン、5a-コレスタノン、5p-コレスタノン、及びデカン酸コレステリル;及びそれらの混合物が挙げられる。ある実施形態では、コレステロール誘導体は、極性類似体、例えば、コレステリル-(4’-ヒドロキシ)-ブチルエーテルである。例示的なコレステロール誘導体が、PCT公開国際公開第2009/127060号パンフレット及び米国特許出願公開第2010/0130588号明細書(これらはそれぞれ、全体が参照により本明細書に援用される)に記載される。
【0382】
ある実施形態では、ステロールなどの、膜完全性を提供する成分は、脂質ナノ粒子中に存在する総脂質の0-50%(mol)(例えば、0~10%、10~20%、20~30%、30~40%、又は40~50%)を占め得る。ある実施形態では、このような成分は、脂質ナノ粒子の総脂質含量の20~50%(mol)30~40%(mol)である。
【0383】
ある実施形態では、脂質ナノ粒子は、ポリエチレングリコール(PEG)又はコンジュゲート脂質分子を含み得る。一般に、これらは、脂質ナノ粒子の凝集を阻害し、及び/又は立体安定化を提供するのに使用される。例示的なコンジュゲート脂質としては、限定はされないが、PEG-脂質コンジュゲート、ポリオキサゾリン(POZ)-脂質コンジュゲート、ポリアミド-脂質コンジュゲート(ATTA-脂質コンジュゲートなど)、カチオン性ポリマー脂質(CPL)コンジュゲート、及びそれらの混合物が挙げられる。ある実施形態では、コンジュゲート脂質分子は、PEG-脂質コンジュゲート、例えば、(メトキシポリエチレングリコール)コンジュゲート脂質である。
【0384】
例示的なPEG-脂質コンジュゲートとしては、限定はされないが、PEG-ジアシルグリセロール(DAG)(l-(モノメトキシ-ポリエチレングリコール)-2,3-ジミリストイルグリセロール(PEG-DMG)など)、PEG-ジアルキルオキシプロピル(DAA)、PEG-リン脂質、PEG-セラミド(Cer)、ペグ化ホスファチジルエタノールアミン(PEG-PE)、PEGスクシネートジアシルグリセロール(PEGS-DAG)(4-0-(2’,3’-ジ(テトラデカノイルオキシ)プロピル-l-0-(w-メトキシ(ポリエトキシ)エチル)ブタンジオエート(PEG-S-DMG)など)、PEGジアルコキシプロピルカルバム、N-(カルボニル-メトキシポリエチレングリコール2000)-l,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミンナトリウム塩、又はそれらの混合物が挙げられる。さらなる例示的なPEG-脂質コンジュゲートが、例えば、米国特許第5,885,6l3号明細書、米国特許第6,287,59l号明細書、米国特許出願公開第2003/0077829号明細書、米国特許出願公開第2003/0077829号明細書、米国特許出願公開第2005/0175682、米国特許出願公開第2008/0020058号明細書、米国特許出願公開第2011/0117125号明細書、米国特許出願公開第2010/0130588号明細書、米国特許出願公開第2016/0376224号明細書、米国特許出願公開第2017/0119904号明細書、及び米国特許出願第099823号明細書(これらは全て、全内容が参照により本明細書に援用される)に記載される。ある実施形態では、PEG-脂質は、米国特許出願公開第2018/0028664号明細書(全内容が参照により本明細書に援用される)の式III、III-a-I、III-a-2、III-b-1、III-b-2、又はVの化合物である。ある実施形態では、PEG-脂質は、米国特許出願公開第20150376115号明細書又は米国特許出願公開第2016/0376224号明細書(これらは両方とも、全内容が参照により本明細書に援用される)の式IIのものである。ある実施形態では、PEG-DAAコンジュゲートは、例えば、PEG-ジラウリルオキシプロピル、PEG-ジミリスチルオキシプロピル、PEG-ジパルミチルオキシプロピル、又はPEG-ジステアリルオキシプロピルであり得る。PEG-脂質は、PEG-DMG、PEG-ジラウリルグリセロール、PEG-ジパルミトイルグリセロール、PEG-ジステリルグリセロール、PEG-ジラウリルグリカミド、PEG-ジミリスチルグリカミド、PEG-ジパルミトイルグリカミド、PEG-ジステリルグリカミド、PEG-コレステロール(l-[8’-(コレスタ-5-エン-3[β]-オキシ)カルボキサミド-3’,6’-ジオキサオクタニル]カルバモイル-[ω]-メチル-ポリ(エチレングリコール)、PEG-DMB(3,4-ジテトラデコキシルベンジル-[ω]-メチル-ポリ(エチレングリコール)エーテル)、及び1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[メトキシ(ポリエチレングリコール)-2000]のうちの1つ以上であり得る。ある実施形態では、PEG-脂質は、PEG-DMG、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[メトキシ(ポリエチレングリコール)-2000]を含む。ある実施形態では、PEG-脂質は、
【化45】
から選択される構造を含む。
【0385】
ある実施形態では、PEG以外の分子とコンジュゲートされた脂質も、PEG-脂質の代わりに使用され得る。例えば、ポリオキサゾリン(POZ)-脂質コンジュゲート、ポリアミド-脂質コンジュゲート(ATTA-脂質コンジュゲートなど)、及びカチオン性ポリマー脂質(GPL)コンジュゲートが、PEG-脂質の代わりに又はそれに加えて使用され得る。
【0386】
例示的なコンジュゲート脂質、すなわち、PEG-脂質、(POZ)-脂質コンジュゲート、ATTA-脂質コンジュゲート及びカチオン性ポリマー-脂質が、国際公開第2019051289A9号パンフレット(これらは全て、全内容が参照により本明細書に援用される)の表2に列挙されるPCT及びLIS特許出願に記載される。
【0387】
ある実施形態では、PEG又はコンジュゲート脂質は、脂質ナノ粒子中に存在する総脂質の0~20%(mol)を占め得る。ある実施形態では、PEG又はコンジュゲート脂質含量は、脂質ナノ粒子中に存在する総脂質の0.5~10%又は2~5%(mol)である。イオン化可能な脂質、非カチオン性脂質、ステロール、及びPEG/コンジュゲート脂質のモル比は、必要に応じて変化され得る。例えば、脂質粒子は、組成物のモル又は総重量当たり30~70%のイオン化可能な脂質、組成物のモル又は総重量当たり0~60%のコレステロール、組成物のモル又は総重量当たり0~30%の非カチオン性脂質及び組成物のモル又は総重量当たり1~10%のコンジュゲート脂質を含み得る。好ましくは、組成物は、組成物のモル又は総重量当たり30~40%のイオン化可能な脂質、組成物のモル又は総重量当たり40~50%のコレステロール、及び組成物のモル又は総重量当たり10~20%の非カチオン性脂質を含む。ある他の実施形態において、組成物は、組成物のモル又は総重量当たり50~75%のイオン化可能な脂質、組成物のモル又は総重量当たり20~40%のコレステロール、及び、組成物のモル又は総重量当たり5~10%の非カチオン性脂質及び組成物のモル又は総重量当たり1~10%のコンジュゲート脂質である。組成物は、組成物のモル又は総重量当たり60~70%のイオン化可能な脂質、組成物のモル又は総重量当たり25~35%のコレステロール、及び組成物のモル又は総重量当たり5~10%の非カチオン性脂質を含有し得る。組成物はまた、組成物のモル又は総重量当たり最大で90%のイオン化可能な脂質及び組成物のモル又は総重量当たり2~15%の非カチオン性脂質を含有し得る。製剤はまた、例えば、組成物のモル又は総重量当たり8~30%のイオン化可能な脂質、組成物のモル又は総重量当たり5~30%の非カチオン性脂質、及び組成物のモル又は総重量当たり0~20%のコレステロール;組成物のモル又は総重量当たり4~25%のイオン化可能な脂質、組成物のモル又は総重量当たり4~25%の非カチオン性脂質、組成物のモル又は総重量当たり2~25%のコレステロール、組成物のモル又は総重量当たり10~35%のコンジュゲート脂質、及び組成物のモル又は総重量当たり5%のコレステロール;又は組成物のモル又は総重量当たり2~30%のイオン化可能な脂質、組成物のモル又は総重量当たり2~30%の非カチオン性脂質、組成物のモル又は総重量当たり1~15%のコレステロール、組成物のモル又は総重量当たり2~35%のコンジュゲート脂質、及び組成物のモル又は総重量当たり1~20%のコレステロール;或いは組成物のモル又は総重量当たり最大で90%のイオン化可能な脂質及び組成物のモル又は総重量当たり2~10%の非カチオン性脂質、或いは組成物のモル又は総重量当たり100%のカチオン性脂質を含む脂質ナノ粒子製剤であり得る。ある実施形態では、脂質粒子製剤は、50:10:38.5:1.5のモル比で、イオン化可能な脂質、リン脂質、コレステロール及びPEG化脂質を含む。ある他の実施形態において、脂質粒子製剤は、60:38.5:1.5のモル比で、イオン化可能な脂質、コレステロール及びPEG化脂質を含む。
【0388】
ある実施形態では、脂質粒子は、イオン化可能な脂質、非カチオン性脂質(例えばリン脂質)、ステロール(例えば、コレステロール)及びPEG化脂質を含み、ここで、脂質のモル比は、イオン化可能な脂質では20~70モルパーセントの範囲であり、目標は40~60であり、非カチオン性脂質のモルパーセントは、0~30の範囲であり、目標は0~15であり、ステロールのモルパーセントは、20~70の範囲であり、目標は30~50であり、PEG化脂質のモルパーセントは、1~6の範囲であり、目標は2~5である。
【0389】
ある実施形態では、脂質粒子は、50:10:38.5:1.5のモル比で、イオン化可能な脂質/非カチオン性脂質/ステロール/コンジュゲート脂質を含む。
【0390】
一態様において、本開示は、リン脂質、レシチン、ホスファチジルコリン及びホスファチジルエタノールアミンを含む脂質ナノ粒子製剤を提供する。
【0391】
ある実施形態では、1つ以上のさらなる化合物も含まれ得る。それらの化合物は、別々に投与され得、又はさらなる化合物は、本発明の脂質ナノ粒子に含まれ得る。言い換えると、脂質ナノ粒子は、核酸又は第1の核酸と異なる少なくとも第2の核酸に加えて、他の化合物を含有し得る。限定はされないが、他のさらなる化合物は、小型若しくは大型有機又は無機分子、単糖、二糖、三糖、オリゴ糖、多糖、ペプチド、タンパク質、ペプチド類似体及びその誘導体、ペプチド模倣薬、核酸、核酸類似体及び誘導体、生体材料から作製された抽出物、又はそれらの任意の組合せからなる群から選択され得る。
【0392】
ある実施形態では、LNPは、生分解性、イオン化可能な脂質を含む。ある実施形態では、LNPは、(9Z,l2Z)-3-((4,4-ビス(オクチルオキシ)ブタノイル)オキシ)-2-((((3-(ジエチルアミノ)プロポキシ)カルボニル)オキシ)メチル)プロピルオクタデカ-9,l2-ジエノエート(3-((4,4-ビス(オクチルオキシ)ブタノイル)オキシ)-2-((((3-(ジエチルアミノ)プロポキシ)カルボニル)オキシ)メチル)プロピル(9Z,l2Z)-オクタデカ-9,l2-ジエノエート)とも呼ばれる)又は別のイオン化可能な脂質を含む。例えば、国際公開第2019/067992号パンフレット、国際公開第/2017/173054号パンフレット、国際公開第2015/095340号パンフレット、及び国際公開第2014/136086号パンフレット、並びにその中に提供される参考文献の脂質を参照されたい。ある実施形態では、LNP脂質に関するカチオン性及びイオン化可能という用語は、同義的であり、例えば、イオン化可能な脂質は、pHに応じてカチオン性である。
【0393】
ある実施形態では、LNP製剤の平均LNP直径は、例えば、動的光散乱(DLS)によって測定される、数10nm~数100nmであり得る。ある実施形態では、LNP製剤の平均LNP直径は、約40nm~約150nm、例えば、約40nm、45nm、50nm、55nm、60nm、65nm、70nm、75nm、80nm、85nm、90nm、95nm、100nm、105nm、110nm、115nm、120nm、125nm、130nm、135nm、140nm、145nm、又は150nmであり得る。ある実施形態では、LNP製剤の平均LNP直径は、約50nm~約100nm、約50nm~約90nm、約50nm~約80nm、約50nm~約70nm、約50nm~約60nm、約60nm~約100nm、約60nm~約90nm、約60nm~約80nm、約60nm~約70nm、約70nm~約100nm、約70nm~約90nm、約70nm~約80nm、約80nm~約100nm、約80nm~約90nm、又は約90nm~約100nmであり得る。ある実施形態では、LNP製剤の平均LNP直径は、約70nm~約100nmであり得る。特定の実施形態において、LNP製剤の平均LNP直径は、約80nmであり得る。ある実施形態では、LNP製剤の平均LNP直径は、約100nmであり得る。ある実施形態では、LNP製剤の平均LNP直径は、約lmm~約500mm、約5mm~約200mm、約10mm~約100mm、約20mm~約80mm、約25mm~約60mm、約30mm~約55mm、約35mm~約50mm、又は約38mm~約42mmの範囲である。
【0394】
LNPは、ある場合には、比較的均質であり得る。多分散指数は、LNPの均質性、例えば、脂質ナノ粒子の粒度分布を示すのに使用され得る。小さい(例えば、0.3未満の)多分散指数は、一般に、狭い粒度分布を示す。LNPは、約0~約0.25、例えば、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.10、0.11、0.12、0.13、0.14、0.15、0.16、0.17、0.18、0.19、0.20、0.21、0.22、0.23、0.24、又は0.25の多分散指数を有し得る。ある実施形態では、LNPの多分散指数は、約0.10~約0.20であり得る。
【0395】
LNPのゼータ電位は、組成物の界面動電位を示すのに使用され得る。ある実施形態では、ゼータ電位は、LNPの表面電荷を表し得る。より高度に荷電された種は、身体内の細胞、組織、及び他の要素と不必要に相互作用し得るため、正又は負の比較的低い電荷を有する脂質ナノ粒子が一般に望ましい。ある実施形態では、LNPのゼータ電位は、約-10mV~約+20mV、約-10mV~約+15mV、約-10mV~約+10mV、約-10mV~約+5mV、約-10mV~約0mV、約-10mV~約-5mV、約-5mV~約+20mV、約-5mV~約+15mV、約-5mV~約+10mV、約-5mV~約+5mV、約-5mV~約0mV、約0mV~約+20mV、約0mV~約+15mV、約0mV~約+10mV、約0mV~約+5mV、約+5mV~約+20mV、約+5mV~約+15mV、又は約+5mV~約+10mVであり得る。
【0396】
タンパク質及び/又は核酸の封入の効率は、提供される初期量と比べた、調製後にLNPで封入されるか又は他の形でLNPと結合されるタンパク質及び/又は核酸の量を表す。封入効率は、高い(例えば、ほぼ100%)のが望ましい。封入効率は、例えば、1つ以上の有機溶媒又は洗浄剤で脂質ナノ粒子を分解する前及び後で脂質ナノ粒子を含有する溶液中のタンパク質又は核酸の量を比較することによって、測定され得る。アニオン交換樹脂が、溶液中の遊離タンパク質又は核酸(例えば、RNA)の量を測定するのに使用され得る。蛍光が、溶液中の遊離タンパク質及び/又は核酸(例えば、RNA)の量を測定するのに使用され得る。本明細書に記載される脂質ナノ粒子の場合、タンパク質及び/又は核酸の封入効率は、少なくとも50%、例えば50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%であり得る。ある実施形態では、封入効率は、少なくとも80%であり得る。ある実施形態では、封入効率は、少なくとも90%であり得る。ある実施形態では、封入効率は、少なくとも95%であり得る。
【0397】
LNPは、任意に、1つ以上のコーティングを含み得る。ある実施形態では、LNPは、コーティングを有するカプセル、フィルム、又は錠剤に製剤化され得る。本明細書に記載される組成物を含むカプセル、フィルム、又は錠剤は、任意の有用なサイズ、引張り強さ、硬度又は密度を有し得る。
【0398】
LNPの追加的な例示的脂質、製剤、方法、及び特徴付けについては、国際公開第2020/061457号パンフレット及び国際公開第2021/113777号パンフレット(これらの各々は、本明細書において全体として参照により援用される)により教示されている。LNPのさらなる例示的脂質、製剤、方法、及び特徴付けについては、Hou et al.Lipid nanoparticles for mRNA delivery.Nat Rev Mater(2021).doi.org/10.1038/s41578-021-00358-0(全体として参照により本明細書に援用される)により教示されている(例えば、Hou et al.の
図2の例示的脂質及び脂質誘導体を参照のこと)。
【0399】
ある実施形態では、インビトロ又はエクスビボ細胞リポフェクションが、Lipofectamine MessengerMax(Thermo Fisher)又はTransIT-mRNA Transfection Reagent(Mirus Bio)を用いて行われる。特定の実施形態において、LNPは、GenVoy_ILMイオン化可能な脂質混合物(Precision NanoSystems)を用いて製剤化される。特定の実施形態において、LNPは、2,2‐ジリノレイル‐4‐ジメチルアミノエチル‐[1,3]‐ジオキソラン(DLin‐KC2‐DMA)又はジリノレイルメチル‐4‐ジメチルアミノブチレート(DLin-MC3-DMA又はMC3)を用いて製剤化され、その製剤及びインビボでの使用が、Jayaraman et al.Angew Chem Int Ed Engl 51(34):8529-8533(2012)(全体が参照により本明細書に援用される)に教示される。
【0400】
CRISPR-Casシステム、例えば、Cas9-gRNA RNP、gRNA、Cas9 mRNAの送達のために最適化されたLNP製剤が、国際公開第2019067992号パンフレット及び国際公開第2019067910号パンフレット(両方とも参照により援用される)に記載され、環状ポリリボヌクレオチド及び本明細書に記載される線状ポリリボヌクレオチドの送達のために有用である。
【0401】
核酸(例えば、環状ポリリボヌクレオチド、線状ポリリボヌクレオチド)の送達に有用なさらなる特定のLNP製剤が、米国特許第8158601号明細書及び米国特許第8168775号明細書(両方とも参照により援用される)に記載され、これは、ONPATTROの名称で販売されているパチシラン中で使用される製剤を含む。
【0402】
ポリリボヌクレオチド(例えば、環状ポリリボヌクレオチド、線状ポリリボヌクレオチド)LNPの例示的な投与量は、約0.1、0.25、0.3、0.5、1、2、3、4、5、6、8、10、又は100mg/kg(RNA)を含み得る。ポリリボヌクレオチド(例えば、環状ポリリボヌクレオチド、線状ポリリボヌクレオチド)を含むAAVの例示的な投与量は、約1011、1012、1013、及び1014vg/kgのMOIを含み得る。
【実施例】
【0403】
以下の実施例は、本明細書に記載される組成物及び方法がどのように使用され、作製され、評価され得るかの説明を当業者に提供するために提示され、本開示を純粋に例示するものであることが意図されており、本発明者らが本発明とみなすものの範囲を限定することは意図されていない。
【0404】
実施例1:拡張されたアニーリング領域を伴うアナベナ属(Anabaena)自己スプライシング置換イントロン-エクソン(PIE)構築物の設計
本実施例では、より優れた環状化効率を提供するため、拡張されたアニーリング領域を伴うアナベナ属(Anabaena)自己スプライシング置換イントロン-エクソン(PIE)配列の設計を説明する。
【0405】
DNA構築物の例示的設計を表す概略図を
図1A及び
図1Bに提示する。本実施例において、構築物は、5’から3’へ:グループI触媒イントロン断片の3’半分(アナベナ属(Anabaena)の3’半分-イントロン)、3’スプライス部位、3’エクソン断片(アナベナ属(Anabaena)のE2)、スペーサーエレメント、ポリヌクレオチドカーゴ、5’エクソン断片(アナベナ属(Anabaena)のE1)、5’スプライス部位、及びグループI触媒イントロン断片の5’半分(アナベナ属(Anabaena)の5’半分-イントロン)を含む。E2は、E1(5’-ACGGA-3’)(配列番号2)に対する5ヌクレオチドの相補的配列(5’-TCCGT-3’)(配列番号1)を有する(
図1A及び
図1B、E2及びE1上の黒線)。E2とE1との間に拡張されたアニーリング領域を有する構築物を作製するため、E2からの5ヌクレオチドを、E1(
【化46】
、太文字は変異配列を表す)の拡張された7ヌクレオチドのアニーリング領域を有するように変異させた(
図1B、E2及びE1上の灰色線、E2におけるアスタリスクは配列上の変異を表す)。拡張されたアニーリング領域を伴うアナベナ属(Anabaena)の置換イントロン-エクソン(PIE)からの全アニーリング領域は、12ヌクレオチドである(E2;5’-TCCGTAGCGTCT-3’(配列番号5)、E1;5’-AGACGCTACGGA-3’(配列番号6))(
図1B)。
【0406】
RNA構造を、RNA構造予測ツールのRNAフォールド(rna.tbi.univie.ac.at/cgi-bin/RNAWebSuite/RNAfold.cgi)によって評価した。配列の修飾によってもたらされたE2-E1相互作用の増強が、適切なE2-E1相互作用及び自己スプライシングイントロン構造の凝集をもたらす(
図2A及び2B)。
【0407】
5ヌクレオチドのアニーリング領域(Anabaena1)及び拡張されたアニーリング領域を伴うアニーリング配列(Anabaena2)を伴うアナベナ属(Anabaena)PIEを有する構築物を、環状化効率を比較するために設計した。Wesselhoeft,et al.2018(Nat.Commun.9:2629)に記載のアナベナ属(Anabaena)PIE構築物(Anabaena3)も比較のために使用した。本実施例において、構築物を、スペーサーエレメントとしてのpolyA50、並びにポリヌクレオチドカーゴとしてのEMCV内部リボソーム進入部位(IRES)及びORFの組み合わせを含むように設計した。2つの異なるORFについて試験した:Gaussiaルシフェラーゼ(Gluc)ORF(558ヌクレオチド)及びSARS-CoV-2スパイクタンパク質ORF(3822nt)。環状RNAのサイズは、Gluc ORFの場合は1.2Kbであり、SARS-CoV-2スパイクタンパク質ORFの場合は4.5Kbであった。
【0408】
7.5mMのNTPの存在下でDNA鋳型からのT7 RNAポリメラーゼを用いるインビトロ転写により、非修飾線状RNAを合成した。デオキシリボヌクレアーゼで20分間処理することにより、鋳型DNAを除去した。合成された線状RNAを、RNAクリーンアップキット(New England Biolabs,T2050)で精製した。自己スプライシングが転写中に生じ;追加的な反応は必要でなかった。自己スプライシング効率を監視するため、200ngのカラム精製したインビトロ転写RNAをゲル負荷緩衝液II(Thermo Fisher,AM8546G)と混合し、95℃で3分間加熱し、次に氷上で3分間インキュベートした。次に、サンプルを6%尿素ポリアクリルアミドゲル電気泳動(尿素PAGE)によって分離し、ゲル染色を用いてRNAバンドを染色し、画像処理システムを用いて可視化した。
【0409】
アニーリング配列の5ヌクレオチドから12ヌクレオチドへの拡張により、環状化効率が最大2倍増加し、Anabaena3が1.2Kbの環状RNAの場合、同様の環状化効率が示された(
図3A)。4.5Kbの環状RNAの場合、拡張されたアニーリング領域を伴うアナベナ属(Anabaena)PIE(Anabaena2)は、Anabaena3と比較して40%優れ、且つ5ヌクレオチドのアニーリング領域を伴うアナベナ属(Anabaena)PIE(Anabaena1)より3倍高い環状化効率を示した(
図3B)。
【0410】
拡張されたE2-E1アニーリング配列を有するように設計されたアナベナ属(Anabaena)PIE(Anabaena2)は、環状RNAのサイズと無関係に5ヌクレオチドのアニーリング領域を伴うアナベナ属(Anabaena)PIE(Anabaena1)より2~3倍優れた環状化効率を示した。これは、環状化することが容易な1.2Kbの構築物と類似する環状化効率、及び環状化困難な4.5Kbの構築物に対して40%優れた環状化効率を示す。
【0411】
実施例2:拡張されたアニーリング領域を伴うアナベナ属(Anabaena)自己スプライシングPIEによって生成された環状RNAからのタンパク質発現
本実施例では、拡張されたアニーリング領域を伴うアナベナ属(Anabaena)自己スプライシングPIEによって生成された環状RNAからのタンパク質発現を実証する。
【0412】
本実施例において、5ヌクレオチドのアニーリング領域(Anabaena1)及び拡張されたアニーリング配列(Anabaena2)を伴うアナベナ属(Anabaena)PIEを有する構築物を、タンパク質発現を比較するため、実施例1に記載のように設計した。本実施例において、構築物は、スペーサーエレメントとしてのpolyA50、並びにポリヌクレオチドカーゴとしてのEMCV IRES及びORFの組み合わせを含むように設計した。2つの異なるORFについて試験した:Gluc(558nts)及びSARS-CoV-2スパイクタンパク質(3822nts)。また、実施例1に記載されるAnabaena3を比較のために試験した。
【0413】
7.5mMのNTPの存在下でT7 RNAポリメラーゼを用いるインビトロ転写により、線状RNAを合成した。デオキシリボヌクレアーゼで20分間処理することにより、鋳型DNAを除去した。合成された線状RNAを、RNAクリーンアップキット(New England Biolabs,T2050)で精製した。Glucをコードする環状RNAを、尿素PAGEによって精製し、緩衝液(0.5M酢酸ナトリウム、0.1%SDS、1mM EDTA)で溶出させ、エタノール沈殿し、RNAseフリー水に再懸濁した。SARS-CoV-2からのスパイクタンパク質をコードする環状RNAを逆相クロマトグラフィーによって精製し、Amicon Ultra Centrifugalフィルター(Sigma Aldrich)を使用する限外濾過を通じて、画分に対して、クエン酸ナトリウム、次に水と緩衝液交換した。
【0414】
Glucをコードする環状RNAの発現を比較するため、Anabaena1及びAnabaena2によって生成される環状RNAを調製した。比較のため、Anabaena3によって生成される環状RNAも調製した。ヒーラ細胞(96ウェルプレート内で10,000細胞/ウェル)に、LIPOFECTAMINE(登録商標)MessengerMAXトランスフェクション試薬(Invitrogen)を製造業者のプロトコルに従って使用して、0.1ピコモルの精製された環状RNAをトランスフェクトした。細胞培地を収集し、24時間、48時間及び72時間の時点で新しい培地と交換し、Gluc活性を測定した。Gluc活性を測定するため、10μlの収集した細胞培地を白色96ウェルプレートに移し、生物発光レポーターアッセイ系を製造業者の使用説明書に従って使用した(Pierce Gaussia Luciferase Flash(登録商標)アッセイキット、16158、Thermo Scientific)。プレートをルミノメーター装置(Promega)において読み取った。
【0415】
SARS-CoV-2スパイクタンパク質をコードする環状RNAの発現を比較するため、5ヌクレオチドのアニーリング領域を伴うアナベナ属(Anabaena)PIE(Anabaena1)及び拡張されたアニーリング領域を伴うアナベナ属(Anabaena)PIE(Anabaena2)によって生成される環状RNAを調製した。比較のため、Anabaena3によって生成される環状RNAも調製した。ヒーラ細胞(6ウェルプレート内で1,200,000細胞/ウェル)に、LIPOFECTAMINE(登録商標)MessengerMAX(Invitrogen)トランスフェクション剤を製造業者の使用説明書に従って使用して、4ピコモルの精製された環状RNAをトランスフェクトした。48時間のトランスフェクション後、トリプシン処理によって細胞を収集し、冷たい無血清培地に再懸濁した。次に、細胞を抗SARS-CoV-2 RBD抗体で1時間染色し、続いて抗マウスIgG1抗体AF647とともに30分間インキュベートした。染色集団をフローサイトメトリーによって測定した。
【0416】
拡張されたアニーリング領域を伴うアナベナ属(Anabaena)PIE(Anabaena2)によって生成された環状RNAは、ポリヌクレオチドカーゴとしてGlucをコードする場合、5ヌクレオチドのアニーリング領域を伴うアナベナ属(Anabaena)PIE(Anabaena1)によって生成された環状RNA及びAnabaena3によって生成された環状RNAの場合と同様の発現を示した(
図4)。SARS-CoV-2スパイクタンパク質をコードする環状RNAの場合、Anabaena2によって生成された環状RNAは、Anabaena3によって生成された環状RNAより約3倍優れた発現及びAnabaena1によって生成された環状RNAより50%多い発現を示した(
図5)。
【0417】
実施例3:アナベナ属(Anabaena)自己スプライシングPIEにおける環状化効率に対するアニーリング領域の長さの効果
本実施例では、アナベナ属(Anabaena)自己スプライシングPIEにおける環状化効率に対するアニーリング領域の長さの効果を実証する。
【0418】
上の実施例1において、発明者らは、E2配列を変異させることによりアニーリング領域を5ヌクレオチドから12ヌクレオチドに拡張することにより、アナベナ属(Anabaena)PIEの環状化効率が増強されることを示した。
【0419】
環状化効率に対するアニーリング領域の長さの効果を調べるため、3つの追加的な構築物を、E2に相補的であるE1の5’末端に追加的配列:(1)5ヌクレオチド拡張(5’-CGTTT-3’)(配列番号7)、(2)10ヌクレオチド拡張(5’-ACGACCGTTT-3’)(配列番号8)、及び(3)15ヌクレオチド拡張(5’-CCCACACGACCGTTT-3’)(配列番号9)を含めることにより、E2とE1との間にさらなる拡張されたアニーリング領域を有するように設計した。E2における相補的配列はそれぞれ、5ヌクレオチド拡張(5’-AAACG-3’)(配列番号10)、10ヌクレオチド拡張(5’-AAACGGTCGT-3’)(配列番号11)、又は15ヌクレオチド拡張(5’-AAACGGTCGTGTGGG-3’)(配列番号12)である。全アニーリング配列はそれぞれ、17ヌクレオチド、22ヌクレオチド、又は27ヌクレオチドである。E2とE1との間に拡張されたアニーリング領域を伴うDNA構築物の例示的設計を表す概略図を
図6に提示する。
【0420】
環状化効率を比較するため、拡張されたアニーリング配列(Anabaena2)及び拡張されたアニーリング領域(5ヌクレオチド拡張、10ヌクレオチド拡張及び15ヌクレオチド拡張)を有する構築物を設計した。本実施例において、構築物を、スペーサーエレメントとしてのpolyA50、並びにポリヌクレオチドカーゴとしてのEMCV IRES及びGlucの組み合わせを含むように設計した。
【0421】
7.5mMのNTPの存在下でT7 RNAポリメラーゼを用いるインビトロ転写により、線状RNAを合成した。デオキシリボヌクレアーゼで20分間処理することにより、鋳型DNAを除去した。合成された線状RNAを、RNAクリーンアップキット(New England Biolabs,T2050)で精製した。
【0422】
自己スプライシングが転写中に生じ;追加的な反応は必要でなかった。自己スプライシング効率を監視するため、200ngのカラム精製したインビトロ転写RNAをゲル負荷緩衝液II(Thermo Fisher,AM8546G)と混合し、95℃で3分間加熱し、次に氷上で3分間インキュベートした。次に、サンプルを6%尿素PAGEによって分離し、ゲル染色を用いてRNAバンドを染色し、画像処理システムを用いて可視化した。
【0423】
E2とE1との間のアニーリング領域のさらなる拡張(5ntの拡張、10ntの拡張、又は15ntの拡張)は、拡張されたアニーリング領域を伴うアナベナ属(Anabaena)PIE(Anabaena2)と同等の環状化効率を示した(
図7)。アニーリング領域の15ヌクレオチド拡張は、Anabaena2と比較して、30%のより優れた環状化効率を示した(
図7)。このデータは、E2-E1相互作用が効率的な環状化にとって重要であり、アニーリング領域をさらに拡張することにより、環状化効率が増加し得ることを示す。
【0424】
実施例4:拡張されたアニーリング配列を伴うアナベナ属(Anabaena)自己スプライシングPIEによって生成された環状RNAからのタンパク質発現
本実施例では、拡張されたアニーリング配列を伴うアナベナ属(Anabaena)自己スプライシングPIEによって生成された環状RNAからのタンパク質発現を実証する。
【0425】
本実施例において、拡張されたアニーリング配列を有する構築物(Anabaena2)及び拡張されたアニーリング領域(5ヌクレオチド拡張、10ヌクレオチド拡張、及び15ヌクレオチド拡張)を有する構築物を、実施例3に記載のとおりに設計して、タンパク質発現を比較した。本実施例では、構築物を、スペーサーエレメントとしてのpolyA50、並びにポリヌクレオチドカーゴとしてのEMCV IRES及びGlucの組み合わせを含むように設計した。
【0426】
7.5mMのNTPの存在下でT7 RNAポリメラーゼを用いるインビトロ転写により、線状RNAを合成した。デオキシリボヌクレアーゼで20分間処理することにより、鋳型DNAを除去した。合成された線状RNAを、RNAクリーンアップキット(New England Biolabs,T2050)で精製した。Glucをコードする環状RNAを、尿素PAGEによって精製し、緩衝液(0.5M酢酸ナトリウム、0.1%SDS、1mM EDTA)で溶出させ、エタノール沈殿し、RNAseフリー水に再懸濁した。
【0427】
Glucをコードする環状RNAの発現を比較するため、Anabaena2及びさらに拡張されたアニーリング領域(5ヌクレオチド拡張、10ヌクレオチド拡張、又は15ヌクレオチド拡張)を伴うアナベナ属(Anabaena)PIEによって生成された環状RNAを、実施例3に記載のとおりに調製した。ヒーラ細胞(96ウェルプレート内で10,000細胞/ウェル)に、LIPOFECTAMINE(登録商標)MessengerMAXトランスフェクション剤を製造業者の使用説明書に従って使用して、0.1ピコモルの精製された環状RNAをトランスフェクトした。トランスフェクタントを、各時点において別々に調製した。6時間、24時間及び48時間の時点で、培地を収集した。Gluc活性を測定するため、10μlの収集した細胞培地を白色96ウェルプレートに移し、生物発光レポーターアッセイ系を製造業者の使用説明書に従って使用した(Pierce Gaussia Luciferase Flash(登録商標)アッセイキット、16158、Thermo Scientific)。プレートをルミノメーター装置(Promega)において読み取った。
【0428】
さらに拡張されたアニーリング領域(5ntの拡張、10ntの拡張、又は15ntの拡張)を伴うアナベナ属(Anabaena)PIEによって生成された環状RNAは、Anabaena2によって生成された環状RNAの場合に対して類似の又は優れた発現を示した(
図8)。例えば、15ヌクレオチド拡張(全体で27ヌクレオチド)を伴うアナベナ属(Anabaena)PIEによって生成された環状RNAは、12ヌクレオチドの拡張されたアニーリング領域を伴うアナベナ属(Anabaena)PIE(Anabaena2)より3倍高い発現を示した。このデータは、アニーリング領域の拡張が環状化効率だけでなく発現にとって重要であることを示す。
【0429】
実施例5:拡張されたアニーリング領域を伴うテトラヒメナ属(Tetrahymena)自己スプライシング置換イントロン-エクソン(PIE)の設計
本実施例では、拡張されたアニーリング領域を伴うテトラヒメナ属(Tetrahymena)自己スプライシング置換イントロン-エクソン(PIE)の設計について説明する。
【0430】
DNA構築物の例示的設計を表す概略図を
図9A及び
図9Bに提示する。
【0431】
本実施例において、構築物は、5’から3’へ:グループI触媒イントロン断片の3’半分(テトラヒメナ属(Tetrahymena)の3’半分-イントロン)、3’スプライス部位、3’エクソン断片(テトラヒメナ属(Tetrahymena)のE2)、スペーサーエレメント、ポリヌクレオチドカーゴ、5’エクソン断片(テトラヒメナ属(Tetrahymena)のE1)、5’スプライス部位、及びグループI触媒イントロン断片の5’半分(テトラヒメナ属(Tetrahymena)の5’半分-イントロン)を含む。E2は、ヘリックスP10を形成する5’半分-イントロン(5’-TACCTT-3’)(配列番号14)に対する6ヌクレオチドの相補的配列(5’-AAGGTA-3’)(配列番号13)を有する(
図9、E1及び5’半分-イントロン上の黒線)。E2及び5’半分-イントロンの間に拡張されたアニーリング領域を有する構築物を作製するため、6ヌクレオチドをE2におけるアニーリング領域の3’末端に付加した(5’-AATATT-3’(配列番号15)、
図9A及び
図9BにおけるE2上の灰色ボックス)。拡張されたアニーリング領域を伴うテトラヒメナ属(Tetrahymena)自己スプライシングPIEからの全アニーリング領域は、12ヌクレオチドである(E2;
【化47】
、5’イントロン;
【化48】
、太文字は拡張されたアニーリング領域を表す)(
図9B)。
【0432】
RNA構造を、RNA構造予測ツールのRNAフォールド(rna.tbi.univie.ac.at/cgi-bin/RNAWebSuite/RNAfold.cgi)によって評価した。追加的配列によるE2-5’半分-イントロン相互作用の増強が、適切なヘリックスP10の形成及び自己スプライシングイントロン構造の凝集をもたらした(
図10A及び10B)。
【0433】
環状化効率を比較するため、6ヌクレオチドのアニーリング領域(Tetrahymena1)及び拡張されたアニーリング配列(Tetrahymena2)を伴うテトラヒメナ属(Tetrahymena)置換イントロン-エクソンを有する構築物を設計した。本実施例において、構築物を、スペーサーエレメントとしてのpolyA50、並びにポリヌクレオチドカーゴとしてのEMCV IRES及びhEPO ORFの組み合わせを含むように設計した。環状RNAのサイズは、1.2Kbであった。
【0434】
7.5mMのNTPの存在下でT7 RNAポリメラーゼを用いるインビトロ転写により、線状RNAを合成した。デオキシリボヌクレアーゼで20分間処理することにより、鋳型DNAを除去した。合成された線状RNAを、RNAクリーンアップキット(New England Biolabs,T2050)で精製した。
【0435】
自己スプライシングが転写中に生じ;追加的な反応は必要でなかった。環状化効率を監視するため、200ngのカラム精製したインビトロ転写RNAをゲル負荷緩衝液II(Thermo Fisher,AM8546G)と混合し、95℃で3分間加熱し、次に氷上で3分間インキュベートした。次に、サンプルを6%尿素PAGEによって分離し、ゲル染色を用いてRNAバンドを染色し、画像処理システムを用いて可視化した。アニーリング配列の6ヌクレオチドから12ヌクレオチドへの拡張(Tetrahymena2)は、6ヌクレオチドのアニーリング領域を伴うテトラヒメナ属(Tetrahymena)自己スプライシングPIE(Tetrahymena1)と類似する環状化効率を示した(
図11)。このデータは、テトラヒメナ属(Tetrahymena)自己スプライシングPIEにおけるアニーリング配列の拡張により、環状化が破壊されなかったことを示す。
【0436】
実施例6:拡張されたアニーリング領域を伴うテトラヒメナ属(Tetrahymena)PIEによって生成された環状RNAからのタンパク質発現
本実施例では、拡張されたアニーリング領域を伴うテトラヒメナ属(Tetrahymena)自己スプライシングPIEによって生成された環状RNAからのタンパク質発現について説明する。
【0437】
タンパク質発現を比較するため、6ヌクレオチドのアニーリング領域(Tetrahymena1)及び拡張されたアニーリング配列(Tetrahymena2)を伴うテトラヒメナ属(Tetrahymena)自己スプライシングPIEを有するDNA構築物を実施例5に記載のとおりに設計した。構築物は、スペーサーエレメントとしてのpolyA50、並びにポリヌクレオチドカーゴとしてのEMCV IRES及びGluc ORFの組み合わせを含むように設計する。
【0438】
7.5mMのNTPの存在下でT7 RNAポリメラーゼを用いるインビトロ転写により、線状RNAを合成する。デオキシリボヌクレアーゼで処理することにより、鋳型DNAを除去する。合成された線状RNAを、RNAクリーンアップキット(New England Biolabs,T2050)で精製する。Glucをコードする環状RNAを、尿素PAGEによって精製し、緩衝液(0.5M酢酸ナトリウム、0.1%SDS、1mM EDTA)で溶出させ、エタノール沈殿し、RNAseフリー水に再懸濁する。
【0439】
Glucをコードする環状RNAの発現を比較するため、6ヌクレオチドのアニーリング領域を伴うテトラヒメナ属(Tetrahymena)PIE(Tetrahymena1)及び拡張されたアニーリング領域を伴うテトラヒメナ属(Tetrahymena)PIE(Tetrahymena2)によって生成された環状RNAを、上記のとおりに調製する。ヒーラ細胞(96ウェルプレート内で10,000細胞/ウェル)に、LIPOFECTAMINE(登録商標)MessengerMAX(Invitrogen)トランスフェクション剤を製造業者の使用説明書に従って使用して、0.1ピコモルの精製された環状RNAをトランスフェクトする。トランスフェクタントを、各時点において別々に調製する。6時間、24時間及び48時間の時点で、培地を収集する。Gluc活性を測定するため、収集した細胞培地を白色96ウェルプレートに移し、生物発光レポーターアッセイ系を製造業者の使用説明書に従って使用する。プレートをルミノメーター装置において読み取る。
【0440】
実施例7:拡張されたアニーリング領域を伴うT4ファージ自己スプライシング置換イントロン-エクソン(PIE)の設計
本実施例では、拡張されたアニーリング領域を伴うT4ファージ自己スプライシングPIEの設計について説明する。
【0441】
DNA構築物の例示的設計を表す概略図を
図12A及び
図12Bに提示する。構築物は、5’から3’へ:グループI触媒イントロン断片の3’半分(T4ファージの3’半分-イントロン)、3’スプライス部位、3’エクソン断片(T4ファージのE2)、スペーサーエレメント、ポリヌクレオチドカーゴ、5’エクソン断片(T4ファージのE1)、5’スプライス部位、及びグループI触媒イントロン断片の5’半分(T4ファージの5’半分-イントロン)を含む。E2は、ヘリックスP10を形成する5’半分-イントロン(5’-AG-3’)に対する2ヌクレオチドの相補的配列(5’-CT-3’)を有する(
図12A及び
図12B、E2及び5’半分-イントロン上の黒線)。E2及び5’半分-イントロンの間に拡張されたアニーリング領域を有する構築物を作製するため、E2からの4ヌクレオチドを、5’半分-イントロン(
【化49】
、太文字は変異配列を表す)を有する拡張された5ヌクレオチドのアニーリング領域を有するように変異させた。拡張されたアニーリング領域を伴うT4ファージPIEからの全アニーリング領域は、7ヌクレオチドである(E2;
【化50】
、5’半分-イントロン;
【化51】
、太文字は拡張されたアニーリング配列を表す)(
図12A及び
図12B)。
【0442】
環状化効率を比較するため、2ヌクレオチドのアニーリング領域(T4ファージ1)及び拡張されたアニーリング領域(T4ファージ2)を伴うT4ファージPIEを有する構築物を設計した。本実施例において、構築物を、スペーサーエレメントとしてのpolyA50、ポリヌクレオチドカーゴとしてのEMCV IRES及びGluc ORFの組み合わせを含むように設計した。環状RNAのサイズは1.2Kであった。
【0443】
7.5mMのNTPの存在下でT7 RNAポリメラーゼを用いるインビトロ転写により、線状RNAを合成した。デオキシリボヌクレアーゼで処理することにより、鋳型DNAを除去した。合成された線状RNAを、RNAクリーンアップキット(New England Biolabs,T2050)で精製した。
【0444】
自己スプライシングが転写中に生じたが;追加的な反応は必要でない。環状化効率を監視するため、200ngのカラム精製したインビトロ転写RNAをゲル負荷緩衝液II(Thermo Fisher,AM8546G)と混合し、95℃で3分間加熱し、次に氷上で3分間インキュベートした。次に、サンプルを6%尿素PAGEによって分離し、ゲル染色を用いてRNAバンドを染色し、画像処理システムを用いて可視化した。
【0445】
アニーリング配列の拡張(T4ファージ2)は、6ヌクレオチドのアニーリング領域を伴うT4ファージ自己スプライシングPIE(T4ファージ1)と類似する環状化効率を示した(
図13)。このデータは、T4ファージ自己スプライシングPIEにおけるアニーリング配列の拡張により、環状化が破壊されなかったことを示す。
【0446】
実施例8:拡張されたアニーリング領域を伴うT4ファージ自己スプライシングPIEによって生成された環状RNAからのタンパク質発現
本実施例では、拡張されたアニーリング領域を伴うT4ファージ自己スプライシングPIEによって生成される環状RNAの発現について説明する。
【0447】
タンパク質発現を比較するため、2ヌクレオチドのアニーリング領域(T4ファージ1)及び拡張されたアニーリング配列(T4ファージ2)を伴うT4ファージPIEを有するDNA構築物を、実施例7に記載のとおりに設計する。本実施例において、構築物は、スペーサーエレメントとしてのpolyA50、並びにポリヌクレオチドカーゴとしてのEMCV IRES及びGluc ORFの組み合わせを含むように設計する。
【0448】
7.5mMのNTPの存在下でT7 RNAポリメラーゼを用いるインビトロ転写により、線状RNAを合成する。デオキシリボヌクレアーゼで処理することにより、鋳型DNAを除去する。合成された線状RNAを、RNAクリーンアップキット(New England Biolabs,T2050)で精製する。Glucをコードする環状RNAを、尿素PAGEによって精製し、緩衝液(0.5M酢酸ナトリウム、0.1%SDS、1mM EDTA)で溶出させ、エタノール沈殿し、RNAseフリー水に再懸濁する。
【0449】
Glucをコードする環状RNAの発現を比較するため、2ヌクレオチドのアニーリング領域を有するT4ファージPIE(T4ファージ1)及び拡張されたアニーリング領域を伴うT4ファージPIE(T4ファージ(page)2)によって生成される環状RNAを、上記のとおりに調製する。ヒーラ細胞(96ウェルプレート内で10,000細胞/ウェル)に、LIPOFECTAMINE(登録商標)MessengerMAX(Invitrogen)トランスフェクション剤を製造業者の使用説明書に従って使用して、0.1ピコモルの精製された環状RNAをトランスフェクトする。トランスフェクタントを、各時点において別々に調製する。6時間、24時間及び48時間の時点で、培地を収集する。Gluc活性を測定するため、収集した細胞培地を白色96ウェルプレートに移し、生物発光レポーターアッセイ系を製造業者の使用説明書に従って使用する。プレートをルミノメーター装置において読み取る。
【0450】
実施例9:拡張されたアニーリング領域を伴う自己スプライシング置換イントロン-エクソン(PIE)構築物の設計
本実施例では、より優れた環状化効率を提供するための、拡張されたアニーリング領域を伴う様々な自己スプライシング置換イントロン-エクソン(PIE)配列の設計について説明する。
【0451】
DNA構築物の例示的設計を表す概略図を
図14A及び
図14Bに提示する。本実施例において、構築物は、5’から3’へ:グループI触媒イントロン断片の3’半分(3’半分-イントロン)、3’スプライス部位、3’エクソン断片(E2)、スペーサーエレメント、ポリヌクレオチドカーゴ、5’エクソン断片(E1)、5’スプライス部位、及びグループI触媒イントロン断片の5’半分(5’半分-イントロン)を含む。
【0452】
異なるグループIイントロンは、異なる長さの相補的配列を有する(
図19)。例えば、シネココッカス・エロンガタス(Synechococcus elongatus)PCC6301のE2は、シネココッカス・エロンガタス(Synechococcus elongatus)PCC6301のE1に対する7ヌクレオチドの相補的配列を有し;アナベナ・アゾラエ(Anabaena azollae)、アナベナ・シリンドリカ(Anabaena cylindrica)、及びスキトネマ・ホフマンニ(Scytonema hofmanni)のE2はそれぞれ、アナベナ・アゾラエ(Anabaena azollae)、アナベナ・シリンドリカ(Anabaena cylindrica)、及びスキトネマ・ホフマンニ(Scytonema hofmanni)のE1に対する5ヌクレオチドの相補的配列を有する。E2とE1との間に拡張されたアニーリング領域を有する構築物を作製するため、E2における配列を、
図19に記載のとおりのE1を伴う拡張されたアニーリング領域を有するように変異させた。拡張されたアニーリング領域を伴うグループI置換イントロン-エクソン(PIE)からの全アニーリング領域は、17ヌクレオチドである。
【0453】
図19からの元の(1)アニーリング領域及び拡張された(2)アニーリング領域は次のとおりである:
Synechococcus1 TCCGCTGACTGTAAAGG(配列番号92)
Synechococcus2 TCCGCTGCGTCTACCGT(配列番号93)
Anabaena azollae1 TCCGTTGACTGTAAAAA(配列番号94)
Anabaena azollae2 TCCGTAGCGTCTACCAT(配列番号95)
Anabaena cylindrica1 TCCGTTGACCTTAAACG(配列番号96)
Anabaena cylindrica2 TCCGTAGCGTCTACCAT(配列番号97)
Scytonema1 CCCGAAGGTCAGTGGTT(配列番号98)
Scytonema2 CCCGACGAGCTACCAGG(配列番号99)
【0454】
RNA構造を、RNA構造予測ツールのRNAフォールド(rna.tbi.univie.ac.at/cgi-bin/RNAWebSuite/RNAfold.cgi)によって評価した。配列の修飾によってもたらされたE2-E1相互作用の増強が、適切なE2-E1相互作用及び自己スプライシングイントロン構造の凝集をもたらす(
図15A~15B、
図16A~16B、
図17A~17B、及び
図18A~18B)。
【0455】
環状化効率を比較するため、元のアニーリング領域を伴うPIE及び拡張されたアニーリング領域を伴うアニーリング配列を有する構築物を設計した。比較のため、Anabaena1構築物及びAnabaena2構築物も使用した。本実施例において、構築物を、スペーサーエレメント、並びにポリヌクレオチドカーゴとしてのEMCV IRES及び3822ヌクレオチドORFの組み合わせを含むように設計した。環状RNAのサイズは、4.5Kbであった。
【0456】
12.5mMのNTPの存在下でDNA鋳型からのT7 RNAポリメラーゼを用いるインビトロ転写により、非修飾線状RNAを合成した。デオキシリボヌクレアーゼで20分間処理することにより、鋳型DNAを除去した。合成された線状RNAを、RNAクリーンアップキット(New England Biolabs,T2050)で精製した。自己スプライシングが転写中に生じ;追加的な反応は必要でなかった。自己スプライシング効率を監視するため、カラム精製したインビトロ転写RNAを、HPLCを通じてアニオン交換(AEX)カラム上で分離させた。線状ピーク及び環状ピークのパーセンテージを測定し、環状化効率を元のアニーリング領域を伴うPIEを有する構築物の場合で正規化した。
【0457】
アニーリング配列の拡張は、環状化効率を、アナベナ属(Anabaena)(Anabaena2)、シネココッカス・エロンガタス(Synechococcus elongatus)PCC6301(Synechococcus2)、及びアナベナ・シリンドリカ(Anabaena cylindrica)(アナベナ・シリンドリカ(Anabaena cylindrica)2)の場合に最大5倍、アナベナ・アゾラエ(Anabaena azollae)(アナベナ・アゾラエ(Anabaena azollae)2)の場合に最大10倍増加させたが、スキトネマ・ホフマンニ(Scytonema hofmanni)(スキトネマ(Scytonema)2)の場合、環状化効率の増加は認められなかった(
図20)。これは、環状化効率が、アナベナ属(Anabaena)イントロンについての本明細書に記載される場合と同じ又は類似する方法を用いて他のグループIイントロンを修飾することによって増加し得ることを示す。
【0458】
実施例10:末端間相互作用を増強するための、拡張されたステム領域を伴うアナベナ属(Anabaena)自己スプライシング置換イントロン-エクソン(PIE)構築物の設計
本実施例では、末端間相互作用を増強することによってより優れた環状化効率を提供するための、拡張されたステム領域を伴うアナベナ属(Anabaena)自己スプライシング置換イントロン-エクソン(PIE)配列の設計について説明する。
【0459】
DNA構築物の例示的設計を表す概略図を
図21Bに提示する。本実施例において、構築物は、5’から3’へ:グループI触媒イントロン断片の3’半分(Anabaena3’半分-イントロン)、3’スプライス部位、3’エクソン断片(アナベナ属(Anabaena)E2)、スペーサーエレメント、ポリヌクレオチドカーゴ、5’エクソン断片(アナベナ属(Anabaena)E1)、5’スプライス部位、及びグループI触媒イントロン断片の5’半分(Anabaena5’半分-イントロン)を含む。拡張されたステム領域を有する構築物の2つのバージョンを設計した。Anabaena4の設計においては、追加的なステム領域(5’-GUAAGUU-3’)を隣同士に配置した。Anabaena5の設計においては、P6bにおけるバルジ領域で満たしてステムを作製した。
【0460】
12.5mMのNTPの存在下でDNA鋳型からのT7 RNAポリメラーゼを用いるインビトロ転写により、非修飾線状RNAを合成した。デオキシリボヌクレアーゼで20分間処理することにより、鋳型DNAを除去した。合成された線状RNAを、RNAクリーンアップキット(New England Biolabs,T2050)で精製した。自己スプライシングが転写中に生じ;追加的な反応は必要でなかった。自己スプライシング効率を監視するため、カラム精製したインビトロ転写RNAを、HPLCを通じてアニオン交換(AEX)カラム上で分離させた。線状ピーク及び環状ピークのパーセンテージを測定し、環状化効率を対応する元の構築物の場合で正規化した。
【0461】
拡張されたステム領域を有する構築物は、拡張されたアニーリング領域を伴うアナベナ属(Anabaena)PIE(Anabaena2)を有する構築物及び5ヌクレオチドのアニーリング領域を伴うアナベナ属(Anabaena)PIE(Anabaena1)を有する構築物と同等の環状化効率を示した(
図22)。
シネココッカス・エロンガタス(Synechococcus elongatus)PCC6301:3’半分-イントロン E2
【化52】
シネココッカス・エロンガタス(Synechococcus elongatus)PCC6301:E1 5’半分-イントロン
ACGGTAGACGCAGCGGACTTAGAAAACTGGGCCTCGATCGCGAAAGGGATCGAGTGGCAGCTCTCAAACTCAGGGAAACCTAAAACTTTAAACATTMAAGTCATGGCAATCCTGAGCCAAGCTAAAGC(配列番号81)
アナベナ・アゾラエ(Anabaena azollae):3’半分-イントロン E2
【化53】
アナベナ・アゾラエ(Anabaena azollae):E1 5’半分-イントロン
【化54】
アナベナ・シリンドリカ(Anabaena cylindrica):3’半分-イントロン E2
【化55】
アナベナ・シリンドリカ(Anabaena cylindrica):E1 5’半分-イントロン
【化56】
スキトネマ・ホフマンニ(Scytonema hofmanni):3’半分-イントロン E2
【化57】
スキトネマ・ホフマンニ(Scytonema hofmanni):E1 5’半分-イントロン
【化58】
Anabaena4:3’半分-イントロン E2
【化59】
Anabaena4:E1 5’半分-イントロン
【化60】
Anabaena5:3’半分-イントロン E2
【化61】
Anabaena5:E1 5’半分-イントロン
AGACGCTACGGACTTAAATAATTGAGCCTTAGAGAAGAAATTCTTTAAGTGGATGCTCTCAAACTCAGGGAAACCTAAATCTAGCTATAGACAAGGCAATCCTGAGCCAAGCCGAAGTAGTAATTAGTAAGTT(配列番号91)
【0462】
他の実施形態
本発明がその特定の実施形態と関連させて記載されている一方で、それがさらなる修飾が可能であり、本願が、一般に本発明の原理に従う、また本発明に関連する当該技術分野に含まれる既知又は通例の慣習の範囲内である本発明からのそうした逸脱を含む、本発明のあらゆるバリエーション、使用、又は適応を包含することが意図され、以前に記載された本質的特徴に適用してもよく、そして請求項の範囲内に従うことは理解されるであろう。他の実施形態は、請求項の範囲内である。
【国際調査報告】