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特表2024-534434車両クロスメンバ及びフロアアセンブリ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-20
(54)【発明の名称】車両クロスメンバ及びフロアアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   B62D 25/20 20060101AFI20240912BHJP
【FI】
B62D25/20 G
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024516868
(86)(22)【出願日】2022-09-16
(85)【翻訳文提出日】2024-04-12
(86)【国際出願番号】 US2022076572
(87)【国際公開番号】W WO2023044429
(87)【国際公開日】2023-03-23
(31)【優先権主張番号】63/245,363
(32)【優先日】2021-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591187162
【氏名又は名称】シェイプ・コープ
【氏名又は名称原語表記】SHAPE CORP.
【住所又は居所原語表記】1900 Hayes St., Grand Haven, Michigan 49417, U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100221729
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 圭介
(72)【発明者】
【氏名】ホンダ、トモヒサ
(72)【発明者】
【氏名】藤川 且豊
(72)【発明者】
【氏名】カイパーズ、マシュー
【テーマコード(参考)】
3D203
【Fターム(参考)】
3D203AA31
3D203AA33
3D203BB06
3D203BB12
3D203BB22
3D203CA02
3D203CA25
3D203CA28
3D203CA53
3D203CA57
3D203CB03
3D203DB05
(57)【要約】
金属板を有するフロアパネルと、フロアパネルの側部に沿って長手方向に配置された一対のロッカー部材とを含む車両用フロアアセンブリ。クロスメンバが、ロッカー部材間にまたがり、管状ビームの長さに沿って連続的に延びる断面形状を有する管状ビームを含む。クロスメンバの断面形状は、その長さに沿って延びる囲まれた管状形状と、管状形状と並行にそれぞれ延びる上壁部分及び下壁部分とを含む。溶接部は、クロスメンバをフロアパネルに取り付けるために、上壁部分に配置され、下壁部分を貫いてフロアパネルの金属板まで延びる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属板を含むフロアパネルであって、前記フロアパネルの平面的な範囲から上方に突出する隆起部を含むフロアパネルと、
前記金属板の上面に配置され、前記金属板の上面にわたって延びる支持ビームと
を備える、車両フロアアセンブリであって、
前記支持ビームは、前記支持ビームの直線長さに沿って連続的に延びる断面形状を備え、
前記支持ビームの断面形状は、前記支持ビームの前記直線長さに延びる中空エリアを少なくとも部分的に囲む管状形状を形成するために前記フロアパネルの前記金属板の前記隆起部に溶接される下壁部分を含む、
車両フロアアセンブリ。
【請求項2】
前記支持ビームが、前記支持ビームの前記直線長さに沿って延びる少なくとも1つの管状セクションを有するように形成された金属板を含み、
前記支持ビームの金属板が、少なくとも980MPaの引張強度を有するマルテンサイト鋼を含む、請求項1に記載の車両フロアアセンブリ。
【請求項3】
前記支持ビームが、前記車両フロアを横切って横方向に延びるように構成される、請求項1に記載の車両フロアアセンブリ。
【請求項4】
前記フロアパネルの車外縁部に沿って長手方向に延びる一対のロッカーセクションをさらに備え、前記支持ビームが、前記一対のロッカーセクションの間に前記車両フロアを横切って横方向に延び、前記支持ビームが、前記一対のロッカーセクションの間に横方向荷重経路を画定する、請求項1に記載の車両フロアアセンブリ。
【請求項5】
前記支持ビームが、前記支持ビームの前記下壁部分によって分割される一対の隣接する管状部材を有するようにロール成形された金属板を含む、請求項1に記載の車両フロアアセンブリ。
【請求項6】
前記一対の隣接する管状部材が、前記車両フロアにまたがる場合に水平方向に互いに隣接して配置される、請求項5に記載の車両フロアアセンブリ。
【請求項7】
前記下壁部分が、前記隆起部の両側に前記一対の隣接する管状部材を配置するために前記隆起部に溶接される、請求項5に記載の車両フロアアセンブリ。
【請求項8】
前記支持ビームが、少なくとも1,500MPaの引張強度を有するマルテンサイト鋼板を含む、請求項1に記載の車両フロアアセンブリ。
【請求項9】
金属板を含むフロアパネルと、
前記フロアパネルの側部に沿って長手方向に配置された一対のロッカー部材と、
前記一対のロッカー部材に結合され、前記一対のロッカー部材の間にまたがるクロスメンバであって、管状ビームの長さに沿って連続的に延びる断面形状を有する前記管状ビームを備えるクロスメンバと
を備える、車両フロアアセンブリであって、
前記クロスメンバの断面形状は、前記長さに沿って延びる囲まれた管状形状を含み、
前記クロスメンバの断面形状は、前記管状形状と並行にそれぞれ延びる上壁部分及び下壁部分を含み、
溶接部が、前記クロスメンバを前記フロアパネルに取り付けるために、前記上壁部分に配置され、前記下壁部分を貫いて前記フロアパネルの前記金属板まで延びる、
車両フロアアセンブリ。
【請求項10】
前記クロスメンバが、少なくとも980MPaの引張強さを有するマルテンサイト鋼を含む、請求項9に記載の車両フロアアセンブリ。
【請求項11】
前記クロスメンバが、前記一対のロッカー部材の間に荷重経路を渡すために前記車両フロアを横切って横方向に延びる、請求項10に記載の車両フロアアセンブリ。
【請求項12】
前記クロスメンバが、前記上壁部分及び下壁部分によって分割される一対の管状部材を備える、請求項11に記載の車両フロアアセンブリ。
【請求項13】
前記フロアパネルが、前記フロアパネルの平面的な範囲から上方に突出する隆起部を含み、
前記下壁部分が、前記隆起部の両側に前記一対の隣接する管状部材を配置するために前記隆起部に溶接される、請求項12に記載の車両フロアアセンブリ。
【請求項14】
前記クロスメンバが、少なくとも1,500MPaの引張強さを有するマルテンサイト鋼板を含む、請求項9に記載の車両フロアアセンブリ。
【請求項15】
前記クロスメンバの底面が、前記管状ビームの前記長さに沿って、前記フロアパネルのの上面と接触する、請求項9に記載の車両フロアアセンブリ。
【請求項16】
前記第1のクロスメンバから長手方向に間隔をあけた距離で前記一対のロッカー部材の間に取り付けられ且つまたがる第2のクロスメンバと、
前記第1及び第2のクロスメンバに結合され且つ支持されるシートアセンブリと
をさらに備える、請求項9に記載の車両フロアアセンブリ。
【請求項17】
金属板を含むフロアパネルと、
前記金属板の上面に配置され、前記金属板の上面にわたって延びる支持ビームであって、管状ビームの長さに沿って連続的に延びる断面形状を有する前記管状ビームを備える、支持ビームと
を備える、車両フロアアセンブリであって、
前記支持ビームの断面形状が、前記管状形状と並行にそれぞれ延びる上壁部分及び下壁部分を含み、
溶接部が前記上壁部分に配置され、前記支持ビームを前記フロアパネルに取り付けるために、前記下壁部分を通って前記フロアパネルの前記金属板まで延びる、
車両フロアアセンブリ。
【請求項18】
前記金属板が、前記フロアパネルの平面的な範囲から上方に突出する隆起部を含み、
前記支持ビームの前記断面形状が、前記金属板の前記隆起部に溶接された下壁部分を含む、請求項17に記載の車両フロアアセンブリ。
【請求項19】
前記フロアパネルの側部に沿って長手方向に配置された一対のロッカー部材をさらに備え、
前記支持ビームが前記一対のロッカー部材の間に結合され且つまたがる、請求項17に記載の車両フロアアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年9月17日に提出された米国仮特許出願第63/245,363号に付与された米国特許法第119条(e)に基づく利益及び優先権を主張し、この先行出願の内容は本出願の一部とみなされ、参照により完全な形で本明細書に組み込まれる。
本開示は、車両用のフロア構造及びビームに関し、より詳細には、クロスメンバ構造及び関連するフロアアセンブリ、サブアセンブリ等に関する。
【背景技術】
【0002】
車両フレーム及び車体構造は、保険要件及び他の規制要件及び法的要件に従って、車両内への侵入距離を抑制するためなど、特定のレベルの衝撃力を受け、吸収するように設計されることが一般に理解されている。電気自動車やハイブリッド電気自動車のバッテリの貯蔵においては、車両フロア下のバッテリトレイなど、利用可能なバッテリ貯蔵容積を最大化するために、側面衝撃の侵入距離を短くすることがより望ましい。
【0003】
車両への側面衝撃は、一般的にサイドポール衝撃試験で試験され、これは車両に大きな側面衝撃力を仕向ける。車両フレームは主に、車両フレームの下部車外部分に沿って長手方向に走るロッカーセクションでこれらの側面衝撃を吸収する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の一態様は、フロアパネルと、車両フロアを横切るようにフロアパネルの上面に配置され、フロアパネルの上面にわたって延在する支持ビームとを含む車両フロアアセンブリを提供する。支持ビームは、支持ビームの直線長さに沿って連続的に延びる断面形状を含む。支持ビームの断面形状は、支持ビームの直線長さに延びる中空エリアを少なくとも部分的に囲む管状形状を形成するためにフロアパネルの金属板に溶接される下壁部分を含む。溶接部は、クロスメンバのみによって形成された管状形状を囲み得るか、又はフロアパネルとの組み合わせにおいてクロスメンバによって形成された管状形状を囲み得る。クロスメンバをフロアパネルに溶接することによって形成された囲まれた管状構造は、クロスメンバの剛性及び曲げ強度を増大し、例えば、より軽量で高ゲージの金属板材料でクロスメンバを形成することを可能にする。
【0005】
本開示の実施態様は、以下の任意選択の特徴のうちの1つ又は複数を含み得る。いくつかの例では、支持ビームは、支持ビームの直線長さに沿って延びる少なくとも1つの管状セクションを有するように形成された金属板を含む。支持ビームの金属板は、少なくとも980MPaの引張強度、例えば少なくとも1,500MPaの引張強度を有するマルテンサイト鋼であり得る。
【0006】
いくつかの実施態様では、支持ビームは、支持ビームの下壁部分によって分割される一対の隣接する管状部材を有するようにロール成形される金属板を含む。一対の隣接する管状部材は、車両フロアにまたがるときに水平方向に互いに隣接して配置されてもよい。いくつかの例では、フロアパネルは、フロアパネルの平面的な範囲から上方に突出する隆起部を含み、下壁部分は、一対の隣接する管状部材を隆起部の両側に配置するために隆起部に溶接される。
【0007】
本開示の別の態様は、クロスメンバを含む車両用フロアアセンブリを提供する。車両フロアアセンブリは、金属板を有するフロアパネルと、フロアパネルの側部に沿って長手方向に配置された一対のロッカー部材とを含む。クロスメンバが、ロッカー部材間にまたがり、管状ビームの長さに沿って連続的に延びる断面形状を有する管状ビームを含む。クロスメンバの断面形状は、その長さに沿って延びる囲まれた管状形状と、管状形状と並んでそれぞれ延びる上壁部分及び下壁部分とを含む。溶接部が上壁部分に配置され、クロスメンバをフロアパネルに取り付けるために、下壁部分を通ってフロアパネルの金属板まで延びる。
【0008】
本開示の実施態様は、以下の任意選択の特徴のうちの1つ又は複数を含み得る。いくつかの例では、クロスメンバは、一対のロッカー部材間に荷重経路を渡すために車両フロアを横切って横方向に延びる。いくつかの実施態様では、クロスメンバは、上壁部分及び下壁部分によって分割される一対の管状部材を含む。いくつかの例では、クロスメンバの底面は、その長さに沿って金属板の、管状ビームの上面に接触する。クロスメンバは、少なくとも980MPa、例えば少なくとも1,500MPaの引張強度を有する金属板から形成され得る。
【0009】
いくつかの実施態様では、フロアパネルは、フロアパネルの平面的範囲から上方に突出する隆起部を含み、クロスメンバの下壁部分は、隆起部の両側にクロスメンバの一対の隣接する管状部材を配置するように、隆起部に溶接される。いくつかの例では、フロアパネルの金属板は、プレス成形された補剛特徴部を有するマルテンサイト鋼を含む。
【0010】
いくつかの例では、車両フロアアセンブリは、他方のクロスメンバから長手方向に間隔をあけた距離で一対のロッカー部材の間に取り付けられ且つまたがる第2のクロスメンバを含む。クロスメンバは、クロスメンバに取り付けられるシートアセンブリを支持するために使用され、構成されてもよい。
【0011】
本開示の1つ又は複数の実施態様の詳細は、添付の図面及び以下の記載に記載されている。他の態様、利点、目的、及び特徴は、図面と併せて以下の明細書を検討すれば明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】フロアアセンブリを示す車両の側面立面図である。
図2図1に示すフロアアセンブリの上方斜視図である。
図3図1に示すフロアアセンブリの平面図である。
図4図1のフロアアセンブリの側面立面図である。
図5図4の線V-Vでとられたクロスメンバの断面図である。
図6】クロスメンバの追加例の断面図である。
図7】別のクロスメンバの断面図である。
図8図6及び7のクロスメンバに関連する情報を示すチャートである。
図9図9はさらなるクロスメンバの例の断面図である。
図10図10はさらなるクロスメンバの例の断面図である。
図11図11はさらなるクロスメンバの例の断面図である。
図12図12はさらなるクロスメンバの例の断面図である。
図13図13はさらなるクロスメンバの例の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
同様の参照数字は、図面全体を通して同様の部品を示す。
【0014】
ここで図面及びそこに描かれた説明に役立つ例を参照すると、図1に示されるような車両100用のフロアアセンブリ10は、フロアパネル12と、フロアパネル12の側部に沿って長手方向に配置された一対のロッカーセクション14とを有する。フロアアセンブリ10又は車両構造は、長手方向部材又はロッカーセクション14の間でフロアパネル12に形成されたプレス成形特徴部も含み得る。追加の例において、中央トンネルが、内燃機関(ICE)車両の車両駆動伝達系及び排気システム構成要素を跨ぐか、又は部分的に収容するためなど、フロアの中心に沿って長手方向に突出し得る。また、中央トンネルは、ワイヤハーネス、冷却液ライン、又は電気自動車に関連するものなどの電気構成要素を収容又は部分的に取り囲むことも考えられる。
【0015】
図1に提供される例に示されるように、車両100は、ロッカーセクション14の外側シルから概ね車内に、且つフロアアセンブリ10のフロアパネル12の下方に取り付けられたバッテリトレイ102を含み得る。バッテリトレイ102は、メインバッテリ又はバッテリモジュール等など、車両100の推進システムを作動させるために少なくとも部分的に使用される1つ又は複数のバッテリを取り囲む。バッテリトレイ102は、バッテリの重量を分散させ、車両の低重心を確立するために、車両100の前輪及び後輪104の間に概ね存在し得る。本開示の目的のための車両は、乗用車、トラック、バス、バン、スポーツ用多目的車等などの任意のタイプの陸上自動車であり得、これは旅客移動、貨物輸送、又は任意の他の個人的、行政関係、又は商業的目的のために使用されるものを含む。
【0016】
図2~4に示されるようなフロアアセンブリ10は、クロスメンバ20として示されるような少なくとも1つの支持ビームを含む。他の例では、図2~14に示すクロスメンバ取付け構成及び構造ありで又はなしで、ロッカーセクション間に追加のクロスメンバを設けてもよいことが考えられる。クロスメンバ20は、車両フロアパネル12の上側に横方向にまたがって示されるように、フロアパネル12の上面に配置され、フロアパネル12の上面上に延在する。クロスメンバ20は、管状ビームの長さに沿って連続的に延びる断面形状を有する管状ビームを含み、その結果、管状ビームに一体化された管状形成物の1つ又は複数の断面形状が、図2に示されるように、クロスメンバの直線長さに沿って設けられる。
【0017】
図3に示すように、クロスメンバ20は、側面衝撃荷重又は力をフロアパネル12を横切って横方向に伝達するための横方向荷重経路をロッカーセクション14間に画定するように、ロッカーセクション14に結合され、ロッカーセクション14間にまたがる。このようにすることで、側面衝撃による車内変形が低減され、例えば、バッテリトレイへの衝撃侵入干渉が防止される。ロッカーセクション14は、例示的な構成として示されており、インナーシル及びアウターシル、パネル、又は他の長手方向フレーム構成要素又はその部分として実施されてもよい。クロスメンバ20は、直接溶接部、接着剤、留め具、及び/又はブラケット等などを使用するなどして、直接的又は間接的にロッカーセクションと結合し得る。例えば、クロスメンバは、管状ビームの両端部とロッカーセクションの車内表面との間に取り付けられる一対の取付ブラケットを含み得る。このような取付ブラケットは、側面に沿って取り付けるように、又はクロスメンバ上にまたがるように、異なる構成向けの形状で形成又はプレス成形することができる。
【0018】
図2~6に示すように、クロスメンバ20は、クロスメンバ20の底面がフロアパネル12の上面に支持された状態で、フロアパネル12上に配置される。クロスメンバ20は、クロスメンバ20の壁部とフロアパネル12との間の溶接部22によってフロアパネル12の金属板に取り付けられる。溶接部22は、図5に示すようにクロスメンバ20のみによって形成された管状形状を囲むか、又は図7に示すようにフロアパネル112との組み合わせにおいてクロスメンバ120によって形成された管状形状を囲む。クロスメンバ20のフロアパネル12への溶接部22によって形成される囲まれた管状構造は、クロスメンバの剛性及び曲げ強度を増加させ、例えば、クロスメンバをより軽量で高ゲージの金属板材料で形成することを可能にする。また、クロスメンバのフロアパネルへの溶接部は、シートアセンブリを車両フロアに取り付けるように構成された構造又は支持ビームを提供することができる。
【0019】
図5に示すように、クロスメンバ20の断面形状は、クロスメンバ20の長さに沿って下壁部分28と密着して配置された上壁部分26によって画定された重なり壁領域24を含む。重なり領域24において、上壁部分26及び下壁部分28は、平面形状を有し、互いに当接して係合した状態で配置される。製造公差のために、全長に沿って直接接触が提供されないか、又は維持されない場合があることが理解される。フロアパネル12との組立て前、クロスメンバ20の重なり壁領域24は、上下の壁部分26、28の間に溶接部を有していない。しかしながら、いくつかの例では、重なり領域とフロアパネルとの間に溶接部が形成されることを可能にするために溶接部のない十分な領域がある限り、いくつかの溶接部が重なり領域に沿って断続的に配置されてもよいことが考えられる。フロアパネル12と組み立てると、重なり壁領域24は、フロアパネル12の金属板に溶接され、上壁部分と下壁部分との間の公差ギャップを閉じ、重なり領域に隣接する1つ又は複数の中空エリアを囲む。重なり領域24の溶接接合部22は、断続的又は連続的なレーザ溶接部又はガス金属アーク溶接で形成することができる。
【0020】
図5に同じく示されるように、クロスメンバ20は、示される断面形状にロール成形される金属板を含み、金属板の縁部は、重なり接合部30で溶接される。断面形状は、一対の隣接する管状セクション又は部材、前部管状セクション32及び後部管状セクション34を有する。それらは、上下の壁部分26、28によって形成される重なり領域24によって分割される。前部管状セクション32は、後壁部分36が重なり領域を形成する上下の壁部分26、28に一体的に接続された概ね長方形の形状を含む。重なり領域24は、一体的に後方へ移行し、上壁部分26は上方へ移行する屈曲部を有し、下壁部分28は下方へ移行する屈曲部を有し、後部管状セクション34の前壁部38を形成する。後部管状セクション34の断面形状は、上壁部分及び後壁部分40、42が後方に角度をなすほぼ矩形形状を有する。図5に示すように、重なり接合部30は、クロスメンバ20の後部管状セクション34の頂壁部分32に形成されている。追加の例では、重なり溶接部は、断面形状の異なるエリアに配置されてもよい。追加の例は、異なるシートアセンブリ、内部カウンセル等のための所望の取付配置に対応するように、様々な異なる形状の管状セクション又は部材を有し得ることが理解される。
【0021】
図5及び6に示されるような隣接する管状セクション32、34は、車両フロアを横切るときに互いに水平に隣接して配置される。フロアパネル12は、フロアパネル12の平面的な範囲から上方に突出する隆起部44を含み、その結果、クロスメンバ20の重なり領域24における下壁部分28が隆起部44に接触して、一対の隣接する管状部材32、34を隆起部44の両側に配置すると同時に、前部及び後部管状セクション32、34の底壁部分46、48を隆起部44のそれぞれの前側及び後側でフロアパネル12の平面的な部分と接続して配置する。重なり領域24が隆起部44に接触した状態で、溶接部により、上壁部分26、下壁部分28、及びフロアパネル12の金属板が溶接接合部22で一体的に融合する。上下の壁部分26、28が溶接接合部22で接合されることにより、前部及び後部管状部材32、34の別個の管状形状がクロスメンバ22の直線長さに沿って囲まれる。
【0022】
フロアパネル12は、図3に示すような、プレス成形された補剛特徴部を有する鋼板を含む。プレス成形された補剛特徴部には、クロスメンバ溶接部22によって係合された隆起部44の他、追加の特徴部が含まれる。フロアパネル12の前方エリアは、フロアパネル12の前方エリアで足置き用スペース(foot well)補剛するために上方に突出する一連の横方向リブ50を含む。また、別の横方向隆起部52が足置き用スペースの後方に配置され、シートアセンブリの前方部分を取り付けるための構造を形成している。横方向隆起部52、44の間には、シートアセンブリ構成要素、ワイヤハーネス、及びそれぞれのシートアセンブリの下方の空気循環のための空間を提供するための2つの正方形の凹部エリア54が形成されている。また、前部隆起部52とクロスメンバ20との間には、シートアセンブリを支持するための長手方向の剛性をさらに高めるための長手方向隆起部56が形成されている。クロスメンバの後方には、隆起したプラス形のリブ58とその周囲の隆起したピル形のリブ60が設けられ、車両の後部シートエリア又は荷室エリアのフロアパネルを補剛するようになっている。フロアパネルの金属板は、厚さ2mm、少なくとも980MPaの引張強度を有するようなマルテンサイト鋼であってもよく、いくつかの例では、フロアパネルは、セクション又は別個のフロアパンに分割されてもよい。
【0023】
いくつかの例では、車両フロアアセンブリは、他方のクロスメンバから長手方向に間隔をあけた距離で一対のロッカー部材の間に取り付けられ且つまたがる第2のクロスメンバを含み得る。例えば、前部隆起部は、それに沿って取り付けられたクロスメンバを含み得る。この場合、前部及び後部クロスメンバは、クロスメンバに取り付けられるシートアセンブリの前部及び後部取付位置を支持するために使用され、構成され得る。
【0024】
図7に示すように、クロスメンバ120の追加の例は、クロスメンバ120とフロアパネル112との間に画定される中空管状エリアを囲むように少なくとも2箇所でフロアパネル112に溶接される下壁部分128を有する。図7に示すクロスメンバ120の断面形状は、フロアパネル112に密着して配置された下壁部分128によって画定される4つの重なり領域124を含む。重なり領域124において、下壁部分128とフロアパネル112は平面形状を有し、互いに当接係合した状態で配置される。クロスメンバ120をフロアパネル112に組み付けると、重なり領域124は、重なり領域124に隣接する中空エリア125を囲むように溶接される。重なり領域124における溶接122は、断続的又は連続的なレーザ溶接又はガスメタルアーク溶接で形成することができる。
【0025】
図7に同じく示されるように、クロスメンバ120は、示される開放断面形状にロール成形される金属板を含む。この断面形状は、下壁部分128とフロアパネル112との間に形成された重なり領域124によって分割される3つの隣接するハット形セクションを有する。ハット形セクションは、結果として生じる各管状セクションの上壁部分140に所望の取付面を提供するために、様々な幅及び高さを有する。クロスメンバの金属板は、図9に記載されているように、少なくとも980MPa、例えば少なくとも1,500MPa、例えば1,700MPaの引張強度を有するマルテンサイト鋼であり得る。
【0026】
フロアアセンブリ210の別の例が図8に示されており、ここで、クロスメンバは、ロール成形又は漸進的プレス成形を介するなどして曲げられるか、又は他の方法で変形される金属板から一体に形成された4つの管状セクションを有する。図8のクロスメンバの管状セクションは、車両フロア212を横切るときに互いに水平方向に隣接して(横並びに)配置された一対の隣接する管状セクション232、234を分離する共通の中央壁262によって分割される。クロスメンバの金属板は、中央壁の周りで同じ回転方向に板を曲げ、縁部を中央壁の反対の端部に接触した状態で中央壁に溶接されるように、共通の中央壁の周りでロール成形される。前後一対の管状セクション232、234はそれぞれ、中央の重なり壁領域224を提供するように頂部及び底部の壁を垂直に内側に曲げて形成される。重なり壁領域224はそれぞれ、クロスメンバ220の長さに沿って下壁部分228と密着して配置された上壁部分226によって画定される。重なり領域において、上壁部分と下壁部分は平面形状を有し、互いに当接係合した状態で配置される。製造公差のために全長に沿って直接接触が提供されないか又は維持されない場合があることを理解されたい。
【0027】
さらに図8に示すように、フロアパネル212は、フロアパネル212の平面的範囲から上方に突出する2つの隆起部244を含み、その結果、重なり領域のそれぞれにおける下壁部分228が隆起部244に接触して、隣接する一対の管状セクション232、234を隆起部244の両側に配置する。管状セクション232、234は、同時に、前部及び後部管状セクション232、234の底壁部分が、隆起部のそれぞれの前側及び後側でフロアパネルの部分と接続している。重なり領域が隆起部244に接触した状態で、溶接部222が形成され(断続的又は連続的なレーザ溶接又はガスメタルアーク溶接により)、上壁部分226、下壁部分228、及びフロアパネル212の金属板が溶接接合部222において一体に融合される。上下の壁部分226、228を溶接接合部222で接合することにより、前部及び後部管状セクション232、234の別個の管状形状がクロスメンバ220の直線長さに沿って囲まれる。また、フロアパネル212と組み立てられると、重なり壁領域224がフロアパネル212の金属板に溶接され、上下の壁部分間の公差ギャップを閉じ、重なり領域に隣接する中空エリアを囲む。2つの溶接接合部222と、その結果得られる図8に示す4つの管状セクションとを形成することにより、クロスメンバ及びフロアパネルの強度が大幅に向上し、その結果、クロスメンバの金属板の厚さを約0.96mm(図9)などに低減して、構造性能を維持しながらクロスメンバの重量を低減することができる。また、クロスメンバの金属板は、図9に記載されているように、少なくとも980MPa、例えば少なくとも1,500MPa、例えば1,700MPaの引張強さを有するマルテンサイト鋼であり得る。
【0028】
次に図10~14を参照すると、異なる重なり領域及び溶接接合部を有するクロスメンバ及びフロアパネルの構成の追加の例が提供されている。上述したものと同様の特徴部には同様の参照番号が付されている。図10に示すように、管状セクション332、334は、後部管状セクション334の頂壁部分における重なり溶接継ぎ目330を除けば、重なり領域における溶接接合部322を隔てて実質的に鏡像であるように示されている。図11に示すように、クロスメンバ420は、隆起部444に溶接された重なり領域424の後方の2つの管状セクション434、435を含む。図12に示されるように、フロアパネル512は、フロアパネルから隆起部544に向かって隆起した高さを有する後部段差エリア513を含み、その結果、フロアパネルの段差エリア513が後部管状セクション534を支持するように、クロスメンバ520の後部管状セクション534は重なり領域の下方でより短い高さを有する。図13に示すように、重なり領域624は、2つの隆起部644に2つの溶接接合部622で取り付けられてもよい。さらに、図14に示すように、重なり領域724は、クロスメンバ720の金属板の縁部部分764に設けられる。
【0029】
クロスメンバは、0.8mm~1.4mm又は約1mm~1.5mmの間の厚さを有する鋼材の板から作製することができる。また、板は、少なくとも980MPa又は少なくとも1,500MPaなど、約800~2000MPa(すなわち、約120~290ksi)の引張強さを有し得る。追加の実施態様では、補強ビームはAHSS(先進高強度鋼)を含む異なる材料で作ることができ、約0.8mm~3.0mmの厚さを有する板から作ることができる。或いは、金属板は高強度アルミニウム板であり得る。
【0030】
また、クロスメンバは、シートアセンブリ又は他の車両構成要素若しくはサブアセンブリを取り付けるための望ましい位置に、取付特徴部を含み得る。取付特徴部は、同様の取付場所を提供するために、頂壁の選択位置に穴又は取付特徴部(例えば、SPACナット、リブナット等)を含み得る。
【0031】
冠詞「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その(the)」は、先の記載において要素の1つ又は複数が存在することを意味することが意図される。「含む」、「包含する」及び「有する」という用語は、包括的であることを意図され、列挙された要素以外の追加的な要素が存在し得ることを意味する。さらに、数値、パーセンテージ、比率又は他の値は、その値及び本開示の実施態様に包含される、当業者によって理解されるであろう「約」又は「およそ」の記載された値である他の値も含むように意図される。したがって、記載された値は、所望の機能を実行するか又は所望の結果を達成するために、記載された値に少なくとも十分に近い値を包含するように十分に広く解釈されるべきである。記載された値は、好適な製造プロセス又は生産プロセスで予想される変動を少なくとも含み、記載された値の5%以内、1%以内、0.1%以内又は0.01%以内の値を含み得る。
【0032】
また、本開示の目的のために、本明細書で使用される「およそ」、「約」及び「実質的に」という用語は、依然として所望の機能を果たすか又は依然として所望の結果を達成する、記載された量に近い量を表す。例えば、「およそ」、「約」及び「実質的に」という用語は、記載された量の5%未満以内、1%未満以内、0.1%未満以内及び0.01%未満以内の量を指し得る。さらに、先の記載におけるあらゆる方向又は基準枠は、単に相対的な方向又は移動であることを理解されたい。例えば、「上」、「下」、「右」、「左」、「後」、「前」、「垂直」、「水平」、「車内」、「車外」という用語及びそれらの派生語は、図1に示される方向に関するものとする。しかしながら、反対に明示的に指定された場合を除き、様々な代替的な向きが提供され得ることが理解される。また、添付の図面に示され、本明細書に記載された特定の装置及びプロセスは、添付の特許請求の範囲に定義された発明概念の単なる例示的な実施形態であることを理解されたい。したがって、本明細書に開示された実施形態に関連する特定の寸法及び他の物理的特性は、特許請求の範囲に明示的に別段の記載がない限り、限定的なものとはみなされない。
【0033】
具体的に記載された実施形態に対する変更形態及び修正形態は、特許法の原則に従って解釈される添付の特許請求の範囲によってのみ限定されることが意図される本発明の原理から逸脱することなく実施され得る。本開示は、説明に役立つ方法で記載されている。使用されている用語は、限定ではなく、記載の語句の性質内にあることが意図されることが理解されるであろう。本開示の多くの修正形態及び変形形態が上記の教示に照らして可能である。本開示は、具体的に記載された方法とは別の方法で実施され得る。
図1
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【国際調査報告】